らき☆すたSSスレ 〜そろそろ二期の噂はでないのかね〜
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こなたの旅L 2/5
[saga sage]
2013/08/14(水) 13:54:14.90 ID:eUjWtErL0
つかさ「神崎さん帰っちゃったの?」
こなた「うん」
悲しそうな顔で駐車場の外をみるつかさ。
こなた「つかさ、手は大丈夫なの、すごく苦しそうだったけど」
つかさ「う、うん、すっごい力で握られちゃって……男の人かと思うぐらいだった、でも、もう痛みは消えたから」
つかさは私の目の前に握られた手を見せた。少し赤くなっている。
つかさ「私……何か神崎さんに気に障る事したのかな……」
つかさは俯いてしまった。
こなた「別に気にすることじゃないよ……それよりかがみは?」
つかさ「なんか急にしょぼんってなっちゃって……」
感情に身を任せた反動でしょげちゃったかな。
こなた「取り敢えず店にもどう」
私は歩き始めた。
つかさ「待って……何かおかしいよ、お姉ちゃん、あんなに怒った姿をみたの初めて、神崎さんも何もしないで帰っちゃうし……こなちゃん、何か知っているの?」
いくら鈍感なつかさでも気付いたか。もう隠してもしょうがない。
こなた「神崎さんはお稲荷さんを知っている……」
つかさ「え?」
つかさは立ち止まった。私も止まった。
こなた「神崎さんが幼少の頃傷付いた真奈美を助けた」
つかさ「そ、それで?」
こなた「……それしか知らない、神崎さんはそれ以上教えてくれない、だからつかさに会わせようとしたのだけど……開けてみれば大失敗……余計こじれちゃった」
つかさ「まなちゃんと逢った人が私意外に居たんだ……神埼あやめ……さん、まなちゃんの事聞きたかったな……」
私はつかさを見て驚いた。もっと悲しむと思った。真奈美の死を思い出して泣いてしまうのかと思った。
でもそれは間違いだった。つかさはもう真奈美の死を受け入れていた。つかさの安らかな笑顔を見て確信した。
それならもうこの話しをしても構わない。
こなた「それからね、これは憶測だけど、もしかしたら真奈美は生きているかもしれない……」
つかさ「ふふ、こなちゃんったら、こんな時に冗談なんか」
こなた「いや、これはみゆきさんが言った事だよ……」
つかさ「ゆきちゃんが……ほ、本当に?」
こなた「うん、そして神崎さんもそれについて何か知っているような気がするんだ」
つかさ「知っている……」
こなた「そう、そしてその鍵になるのが貿易会社から盗んだデータ、今、みゆきさんに解析してもらってる」
つかさ「盗んだって……ダメだよそんな事しちゃ」
こなた「もうしちゃったからね、この前一ヶ月の研修ってやつがね、実は神崎さんと貿易会社で潜入取材をした、そこの資料室からデータをコピーした」
つかさ「私が知らない間に……そんな事を……」
こなた「ごめん、真奈美の話は嫌がると思って伏せたんだよ……まだ憶測だけの話しで、間違っていたらつかさが傷付くと思って……」
つかさ「……生きていたら嬉しい……例えそれが間違っていても、生きているって思える時間があるから、それでもやっぱり嬉しいよ」
……涙ひとつ溢していない。それどころか昔を懐かしんでいるように見える。
葉っぱを見て泣いていたつかさ。私がちょっと詰め寄っただけで泣いてしまうつかさ。でもそれは弱さじゃなかった。
かえでさんの言っていたつかさの強さってこの事を言っているのか。
つかさはもう完全に真奈美の死を乗り越えていたのか。
それにつかさの口の軽さなんて私とあまり大差なんかなかった。いや、意識しても隠せなかった分私の方が酷いかもしれない。
神崎さんに最初に逢うべきだったのはつかさだった。
私は神崎さんと駆け引きだけで乗り過ごそうとしていただけだった。ゲームをしていたに過ぎなかった。
だから神崎さんは真実を話してくれなかった……
つかさ「どうしたの、こなちゃん?」
こなた「つかさには敵わないや……」
つかさ「え、何が?」
こなた「笑顔だけで私の考え方を変えてしまったから」
真奈美が一晩でつかさを殺すのを止めた理由が今分かった。そういえばゆたかとひよりはつかさが凄いって何度も言っていたっけな。
今頃になってそれが分かるなんて。共同生活までした事があるって言うのに……
つかさ「……わかんないよ」
分からなくていい。それがつかさだから。
こなた「さて、店に戻ろう、かがみが待ってる」
つかさ「うん」
私達は店に向かって歩き始めた。
つかさ「ねぇ、神崎さんってどんな人、握手しただけだからまったく分からない」
こなた「どんな人か……一ヶ月くらい見てきたけど、仕事の為なら何でもするような人かな……でも……」
つかさ「でも、良い人なんだね」
良い人か……
こなた「なんで分かるの?」
つかさ「こなちゃんの友人だからね」
こなた「友達だって、彼女が?」
つかさ「だって、お姉ちゃんに追い出された神崎さんを追いかけたでしょ、呼び止めに行ったんじゃないの?」
こなた「呼び止めに行った訳じゃないよ」
つかさ「それじゃ何しに行ったの?」
こなた「わざと私達を怒らせるような事をしたから、その訳を知りたかった」
つかさ「それで、教えてくれたの?」
こなた「つかさが来たら逃げるように帰った」
つかさ「私、嫌われちゃったかな……」
こなた「あれじゃ逆に私達に嫌われようとしているみたいだ」
つかさ「記者さんって難しいね……」
それから店に着くまでつかさは考え込んで何も話さなかった。
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