デジモンSS　デジモンがいる世界にて　黒髪少女と若きチャンピオン

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4 ：以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ：2025/02/06(木) 20:20:12.67 ID:i0+pa8g90

　東京近郊・頼明市（らいめいし）。
とある街の一角に存在する大きな豪邸。
だだっ広い部屋をいくつも有しているそこに、英気を養う人物がいた。
とある一室、天幕のついた大き目のベッドにて寝ていたその少女は、体をゆっくりと起こし、腕を上げて背伸びをした。

「ふわぁぁ……」

眠気を含んで開けた口を片手で隠し、眠気眼をしっかりとさせる。
腰ほどまで長く伸ばした綺麗な黒髪がゆったりと動き、ぱさっと広がる。
この部屋の主である彼女……黒宗（くろむね）カオル。彼女はは、朝日が照らされた部屋を見ながらとあることを思い出す。
……それは、先のデジモンバトルトーナメントにての事。準決勝を勝ち進んで決勝戦の試合に手相棒のメタルグレイモンと共に存分に戦った。
そしてチャンピオン・皇海ソウハとパートナーデジモンである二人に負けた。
あの戦いはチャレンジャーだった自分達の実力が足りなかったのは明白。それでも悔しい気持ちを捨てられない。
そんな事を思っていると、扉を開けてカオルの部屋に入ってくるものがいた。

「カオル、朝ごはんできたそうだ」

黒い体躯に大きな口と大きな目が特徴的な恐竜のような見た目をしたデジモン。
名前はブラックアグモン。カオルのパートナーデジモンであるこの成長期のデジモンは先のデジモンバトルトーナメントで見せた完全体・メタルグレイモンのもう一つの姿。
一般的によく知られるデジモン・アグモンと異なり黒い体色を有しているブラックアグモンからの挨拶を受けてカオルは優しい笑みを浮かべる。

「おはよう、アグモン」

「おはようさん、カオル。オレは先に行っておくぞ」

「うん、着替えてからあとでいくね」

朝の挨拶のあとに数回言葉を交わした後、ブラックアグモンは部屋から出ていく。
相棒であるパートナーデジモンが廊下を走る音を聞き届けた後、カオルはベッドから抜け出して降りる。
そして寝間着を捨て去り、部屋の隅に置かれたコート掛けに吊るした黒を基調とした制服を身につけていく。
黒のオーバー二―ソックス、膝丈上ほどの長さのスカートと、白いスカーフが印象的な黒いセーラー服。
いつも身に着けている衣服を身に着けた後、カオルは自身の頬を軽く叩き、意識をしっかりとさせる。

「うん、よし、今日も頑張って行きます」

気合づけのような感じで自身のモチベーションを口にすると、彼女は速足で自分の部屋を出て行った。