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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part5
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426 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/01/26(日) 16:43:36.99 ID:SOyvi1bx0
―武具店
ローガン「これは……」
鈍色に輝く片刃の剣「」キラン
店主「それはトカゲ斬り。名の通り、爬虫類に対して強い威力を発揮する剣さ」
ローガン「……ドラゴンは爬虫類に含まれるか?」
店主「実際に見たわけじゃないが、この剣がワイバーンにも効いたという話なら聞いたことがある。ワイバーンも竜の一種だったはずだし、効くんじゃないかね?」
妖精「竜とトカゲは近縁の関係だから、全く効かないってことはないと私も思うよ。まあ、悪竜に対してどこまで効果があるかはなんとも言えないけど……」
店主「あ、悪竜……? あんたら、まさか悪竜に挑むつもりなのか?」
ローガン「……まだ挑むと決まったわけではない。だがこの剣は買わせていただこう」
店主「まあ、買ってくれるならなんでもいいが……。いくらこんなご時世だからって、命は投げ捨てるなよ?」
☆トカゲ斬りを購入し、ローガンが装備しました
爬虫類および竜類との戦闘時、少し有利になります
*
―市場
ほつれた魔術師のローブ「」
イリス「……私たちの服も、けっこう限界が来てるよね……」
ミスティ「まあ、旅をしていれば雨風に晒されるわけだし仕方ないわ……」
使い魔「じゃあ次は服屋さんに行きましょう!」
クロシュ「ふくやさん……」
↓1コンマ クロシュが買う服
01-75 普段着
76-95 オオキイツムリの殻
96-00 クラーケンツムリの殻
↓2コンマ イリスが買う服
01-75 普段着
76-95 賢者のローブ
96-00 星光のローブ
↓3コンマ ミスティが買う服
01-75 普段着
76-95 氷竜革の帽子
96-00 氷竜革の手袋と帽子
↓4コンマ 妖精が買う服
01-75 妖精用の服は売ってなかった
76-95 妖蝶のドレス
96-00 妖精のスク水
↓5コンマ 使い魔が買う服
01-75 普段着
76-95 パーティドレス
96-00 悪魔のドレス
427 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/01/26(日) 16:45:04.04 ID:dZn3tdIL0
あ
428 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/01/26(日) 16:46:05.41 ID:hcItQnfKO
い
429 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/01/26(日) 16:46:53.64 ID:dV0xrWxZo
う
430 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/01/26(日) 16:52:17.58 ID:91jXS1tjO
え
431 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/01/26(日) 16:54:07.73 ID:c9jhlR5c0
お
432 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/01/26(日) 17:59:05.67 ID:SOyvi1bx0
無地のチュニック「」ポン
白と橙のディアンドル「」ポン
黒のコット「」ポン
白黒のエプロンドレス「」ポン
イリス「よし、これでしばらくは大丈夫そう」
クロシュ「うん……」
妖精「人間用の服っていろんなのがあるよね。ちょっと面白い」
使い魔「妖精さん用の服は、その……見つけられなくてすみませんでした……」
妖精「いや、別に良いけど……。必要になったら自分で作るし」
ミスティ「妖精の服ってお手製なの?」
妖精「今着てるのはティセリアから貰ったやつだけど、他はだいたい自作かなあ」
イリス「凄い……! 妖精さんって縫製もできるんだ……!」
妖精「そう……?」
☆女性たちが新しい衣服を買いました
*
―市場
ローガン「使い魔殿、他に竜を殺すのに有用なものはないだろうか?」
使い魔「け、けっこう無茶な注文してきますね。さっきローガンさんが買ったトカゲ斬りの他となると……」
↓1コンマ
01-70 なかった
71-90 ユーシリアボカド
91-00 神酒ヤシオリ
433 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/01/26(日) 18:00:59.34 ID:AWQbmFeF0
や
434 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/01/26(日) 18:31:14.73 ID:SOyvi1bx0
使い魔「……すみません、何も思いつかないです」
ローガン「そうか……無茶を言ってすまなかった」
妖精「竜殺しの道具か……。図書館とかで調べてみるのも良いかもね」
◆
―市場
クロシュ「えと……こちらの、方を……さがしてます……」ピラッ
人型形態の悪竜の似顔絵が描かれたビラ「」ペラッ
通行人「なんだあ……? ほう、随分キレイな姉ちゃんだな……」
ミスティ「巷を騒がせてる悪竜よ、それ」
通行人「エ゛ッ!?」
*
イリス「実際、見た目はすごい美人だよね……。でも私、どこかで見たことがあるような気がするんだよなあ……」
ミスティ「奇遇ね……私もよ……」
妖精「同じく……。どこだったかな……」
クロシュ「……エドワードさんの言った通りに、描いたけど……わたしも、気になる……」
↓1コンマ
01-60 これシノホシのセレスティアじゃない?
61-00 目撃情報:北の街道
435 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/01/26(日) 18:35:03.47 ID:dV0xrWxZo
を
436 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/01/26(日) 18:49:39.34 ID:SOyvi1bx0
イリス「……あ! これって、もしかして……シノホシの指名手配テロリスト、セレスティア・ベールグラッドじゃない!?」
ミスティ「あ……!」
妖精「本当だ……たぶんそうだ……」
クロシュ「せれすてぃあ……」
妖精「ほら、あの芸術都市を襲ってきた奴ら! あの中に混じってたでしょ!」
クロシュ「!」
ミスティ「……なるほど……あのテロ組織の一人が悪竜だったわけね」
イリス「納得……!」
◆
437 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/01/26(日) 19:43:08.43 ID:SOyvi1bx0
―ユーシリア湖 湖畔
大きな湖「」ユラユラ
強化ソリ「」キキッ
ミスティ「着いたわ」
イリス「ありがとう、ミスティ! よし、早速調べよう!」
ローガン「眠り病の原因……見つかると良いが……」
*
クロシュ「……」
動かないカエル「」
ツンツン
動かないカエル「」
妖精「動かないね……。眠ってるというより、昏睡状態だ。たぶん例の眠り病ってやつにかかってる」
イリス「動かないと他の動物に食べられちゃう……!」
ミスティ「その心配はあるけど……でも、こっちを見てみて」
イリス「えっ?」
動かないヘビ「」
イリス「わっ! ヘビも!?」
妖精「全ての動物が昏睡してるわけじゃないみたいだけど、この湖の周辺は明らかに他より症状が多い。騎士団の調査報告は間違ってないみたい」
ローガン「となると、原因もこの近くにある可能性が高いな」
妖精「うん。手分けして不審なものを探そう!」
*
ザッザッザッ…
エバンス「足音だ。こっちに近付いてくるぞ」
ザッ
ノエル「……ローガン!? それに、前に魔族の野郎共に襲われてた嬢ちゃんじゃねえか!?」
イリス「あなたは……!」
ローガン「ノエル……君だったのか」
*
ノエル「なるほど、パティとマーズに頼まれたのか」
ローガン「ああ。君は自主的に調査しているのか?」
ノエル「まあな。今日は非番だったんだが、こんな時に休んでなんかいられないだろ?」
ローガン「そうか。何か収穫はあったか?」
ノエル「いや、俺もさっき調査し始めたばかりだ。まだ何も見つけてない」
イリス「それじゃあ一緒に調査しませんか? お互い、目的は一緒みたいですし」
ノエル「おお、願ったりかなったりだ。一人でこの湖を調べるのは骨が折れると思ってたからな」
ローガン「ではよろしく頼む」
ノエル「おう……。それよりローガン……」
ローガン「……なんだ?」
ノエル「いや……なんでもねえ。よろしく頼むぜ!」
↓1コンマ(女神の騎士との縁+30)
01-60 前に野営した辺りが特に怪しい?
61-90 お墓があったらしい辺りが特に怪しい?
91-00 「やあ、久しぶりだね」ヌッ
438 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/01/26(日) 19:51:07.96 ID:dZn3tdIL0
あ
439 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/01/26(日) 19:58:18.47 ID:cYoP0SApo
素コンマで会えてるのでこの騎士ほんと優しい!
440 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/01/26(日) 22:25:52.60 ID:SOyvi1bx0
クロシュ「……」キョロキョロ
妖精「動かない生き物の傾向を辿っていくと、前に私たちが野営をしてたところ……ううん、そこより……前に、クロシュが見つけたっていう――」
「やあ、久しぶりだね」ヌッ
妖精「わあ!?」
クロシュ「わっ……!」
ヴァン「クロシュちゃんに妖精さん。女神の騎士ヴァン・アナザールートの物語を覚えているかい?」
妖精「あ、あなたか……。久しぶり、ヴァン。もちろん覚えてるよ。あなたみたいな変な人のことは簡単には忘れられないし」
クロシュ「うん……! えっと、お久しぶりです、ヴァンさん……!」
ヴァン「ハハハ! 嬉しいなあ、こんなにかわいい子たちに覚えられてしまったなんて! ああ、今のは違うんだ! 決して浮気をしたわけではなくてね! 俺の一番はこれまでもこれからも永遠に女神様だけだよ!!」
妖精「いや、誰に言い訳してるの……」
ヴァン「しかし困ったなあ……。俺は女神の騎士だから、君たちの熱烈な愛に応えることはできないんだ……。本当にごめん……。女神の騎士という至高の男に憧れる乙女たちの純情を裏切ってしまうのは、心苦しくてたまらないよ……」
クロシュ「?」
妖精「いや、変な勘違いしないでくれる……? 今日はあなたに会いに来たわけじゃなくて、ここ最近この国で多発してる病気の発生源を調べに来たの」
ヴァン「ハハハ、なら良かったよ! 乙女の心を裏切ることほど騎士としてつらいことはないからね! ところで、今眠り病って言ったかい?」
妖精「うん、言った。何か心当たりある?」
ヴァン「うーん……眠り病って言えば、俺が若い頃にも流行ったことがあった気がするなァ……。あれはいつのことだったっけ……」
妖精「え、本当!? いつ!?」
ヴァン「ちょっと待ってくれよ。今がんばって思い出すからさ……」
*
ヴァン「……」
クロシュ「ヴァンさん……動かなくなっちゃった……」
妖精「まさか今眠り病で眠っちゃったとかじゃないだろうなあ……」
ローガン「クロシュくん、妖精くん。調査はどうだ?」スタスタ
妖精「あ、ローガン。今ヴァンと再会してね。ヴァンが若い頃に眠り病が流行ってたことがあるって言うから、思い出してもらってるとこなの」
ローガン「何……?」
ノエル「……ん? その男の鎧……まさか昔の魔法騎士団で使われてたっていう黒鎧か……!?」
ローガン「ノエルもそう思うか?」
ノエル「あ、ああ。最高司令室に飾ってあるが、あれと同じものにしか見えねえぞ」
ローガン「やはり……。彼は一体何者なのだ……?」
ヴァン「ハッ!」
クロシュ「! ヴァンさん……大丈夫……?」
妖精「けっこう長い間思い出そうとしてくれてたけど……」
ヴァン「……」
☆素コンマクリティカルにより、ヴァンの正気が保たれます
441 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/01/26(日) 22:27:09.04 ID:SOyvi1bx0
ヴァン「……ああ。思い出した」
クロシュ「!」
妖精「本当!? 前回の眠り病は、一体……」
ヴァン「……前回の眠り病は……女神様……いや……夢想の魔王がもたらした、災害だ」
クロシュ「!?」
妖精「!!?」
ローガン「なっ……!?」
ノエル「なん、だと……!?」
ヴァン「……当時……ユーシリア帝国に現れた夢想の魔王は……国中に、眠り病を撒き散らしたんだ。眠り病に罹った者は、目覚めることのない永遠の眠りに就いて……しあわせな夢に、溺れ……死んでいった……」
ノエル「……聞いたことがある。ユーシリア帝国に死の眠りをもたらした、恐ろしい魔王の伝説を……。だが、しあわせな夢……だと……?」
ヴァン「ああ……。夢想の魔王に眠らされた者は……その者が望む最も幸福な夢を見続け……二度と目覚めない……」
妖精「……その時は、どうやって眠り病を……魔王を、打ち破ったの?」
ヴァン「……討伐に向かった騎士たちも、ほとんどは眠り病にやられ……しあわせな夢の中で、死んでいった……。だがその中に、一人だけ……目を覚ました者がいたんだ……。そいつが、夢想の魔王を討った……。夢想の魔王の本体は……とても弱々しく、儚い存在だった……」
妖精「ねえ、それって……まさか……」
ローガン「………!!! お、思い出した……!! 魔王を打ち倒した救国の騎士、ヴァン・アナザールート!! あなたは――」
ヴァン「……ああ。たぶん、そいつのことだ……」
クロシュ「……ヴァン、さん……」
ヴァン「……そうだ。俺は……女神の騎士なんかじゃ、ない。女神を殺した……大罪人だ……」
妖精「ま、待って待って! 女神は、魔王なんでしょ!? それを倒したのなら……」
ヴァン「……あれから……帝都を離れて、ここで彼女の墓守をしながら……ずっと考えてたんだ」
妖精「え……?」
ヴァン「俺の行いは……本当に、正しかったのかと……」
ノエル「正しいに決まってるだろ!? だってその魔王のせいで大勢の人が――」
ヴァン「だが、その中の誰一人として……苦痛にまみれて死んでいった者はいない……。誰もが、しあわせな夢の中で……まさしく、眠るように終わっていったんだ……。普通に生きていれば……そんなやさしい結末は、迎えられない……」
ノエル「いや……それは、そうだけど……でもよ……!!」
ヴァン「戦場での討ち死にだろうが、病だろうが、老いだろうが……死というのは、どれもこれも壮絶な苦痛を伴う……。彼女の力は……その宿命を覆すものだった……。それを……俺は……」
妖精「……後悔、しているの?」
ヴァン「……している、と思う……」
クロシュ「……」
ヴァン「生前の彼女が、何者だったのか……俺は、知らない……。ただ、俺は夢を扱う魔法の心得が少しだけあったから……しあわせな夢の中で、魔王の奥底に沈んでいた彼女の本当の心を見つけてしまったんだ」
クロシュ「ほんとうの、心……」
ヴァン「……彼女は……しあわせな夢を見せて、命を奪っていく自分自身の所業に……どうしようもなく、苦しんでいた……」
クロシュ「!!」
妖精(それって、もしかして……あの時の掃除の魔王と……クロと同じような状態……!?)
ヴァン「きっと本来は……心の優しい子だったのだと思う……。だからこそ、あんなにもやさしい力で命を奪い……そんな自分自身にすら、絶望してしまった……」
クロシュ「……」
ヴァン「なんとか意識を保てていた俺は……彼女に頼まれたんだ……。現実に戻って自分を殺して欲しい、と……」
ノエル「それで……あんたは……」
ヴァン「ああ……。その懇願を聞き入れ……目を覚まし、彼女を討った……」
ローガン「……」
ヴァン「後悔は……している……。だが……それ以外に、彼女を救う手立ても……なかった……。どうしようも、なかったんだ……」
妖精「……」
442 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/01/26(日) 22:28:07.20 ID:SOyvi1bx0
ヴァン「………ごめん。話がすごく逸れちゃったな。ええと……眠り病が、今も流行ってるって?」
妖精「あ、うん……。それで……調査の結果、発生源は……どうやら、この辺みたいなんだけど……」
ヴァン「……ははっ……じゃあ簡単だ。俺だよ、原因は。だから……俺を殺せば、終わるよ……きっと……」
クロシュ「……!!」
ヴァン「たぶん彼女の力が……俺の中にちょっと残ってるんだ。俺は、誰よりもあの子に近付いてしまったから……。俺を殺せば、全部終わると思う。良い夢も、悪い夢も、何もかも……」
妖精「……簡単に、言ってくれるね。言葉を交わした相手を殺すのが、どれほどつらいことか……あなたなら、わかるでしょ?」
ヴァン「…………そうだったね。ごめん」
クロシュ「……」
ヴァン「………女神の騎士として、女神様のもとへ向かうべき時が来たみたいだ」スクッ
クロシュ「あ……」
ヴァン「……ありがとう、クロシュちゃん。女神の騎士ヴァン・アナザールートの物語は……忘れてくれ。記憶に残るべきじゃないんだ。俺も……彼女も……」ヨロヨロ
クロシュ「……」
↓1〜 先取3票
1.黙って見送る
2.引き止める
3.食べても良いか聞く
0.自由安価(票数は内容ごと)
443 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/01/26(日) 22:30:57.51 ID:x3SS/n9m0
1
444 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/01/26(日) 22:32:15.92 ID:cYoP0SApo
3
445 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/01/26(日) 22:33:37.94 ID:pra2ocOcO
1
446 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/01/26(日) 22:34:00.78 ID:dV0xrWxZo
3
447 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/01/26(日) 22:34:30.42 ID:cLKDGqvPO
3
448 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/01/26(日) 22:35:35.62 ID:lrqNYXZVO
3
449 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/01/26(日) 23:13:46.94 ID:SOyvi1bx0
クロシュ「ま、待って!」ギュッ
ヴァン「……やめてくれ。俺は至高なる女神の騎士だけど、かわいい女の子に懇願されたら流石に決意が鈍るんだ……」
クロシュ「んーん……。そうじゃ、なくて……」
ヴァン「?」
クロシュ「……わたしが……ヴァンさんを、食べれば……ヴァンさんは……わたしの中で、生きられる……!」
ヴァン「えっ……?」
妖精「ええっ!?」
ローガン「クロシュくん……!?」
ノエル「な、何を言ってるんだこの子は……?」
ヴァン「なるほど……その発想はなかったなあ……。そういえばクロシュちゃんはスライムだったね」
クロシュ「うん……。一人で……死ぬより……寂しく、ない……と思う……」
ヴァン「………」
クロシュ「ヴァンさんの、こと……わたし、忘れたくない……。一緒に、お料理したことも……リンゴのことも……面白いお話も……。だから……」
ヴァン「はは……本当に困ったな……。帝都にいた頃だって、女の子にこんな風に言い寄られたことなんてなかったのに……。俺、女神に会うまでは恋人なんて一度もできたことなかったんだよ」
妖精「…………ねえ、その女神はさ……。あなたの中に、ずっといるんじゃない?」
ヴァン「え……?」
妖精「だって……眠り病は、女神にしか引き起こせない。あなただって、彼女の力が自分に残ってるのかもって、さっき言ったでしょ? だから……あなたの中にあるのは、彼女の力だけじゃなくて……彼女の心も、なんじゃないかな」
ヴァン「……あの子の……」
クロシュ「……」
ヴァン「………そっか……そうかもしれないね」
妖精「……どうする? クロシュはものすごい悪食だから、あなたを食べてお腹を壊すことはないと思う」
ヴァン「ははっ、それが最大の懸念点だったけど問題ないのか。ならまあ、別に良いかな……?」
クロシュ「……!」
ヴァン「……じゃあ、頼むよ。俺も彼女も、寒いのは苦手だからさ」
クロシュ「ん……!」
ヴァン「……あ、ちょっと待ってくれ。最期に……」
*
450 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/01/26(日) 23:15:19.02 ID:SOyvi1bx0
―夕方
ユーシリア湖 湖畔
ヒュオオオオ――…
小さなお墓「」
お供え物のリンゴ「」ポン
ローガン「ここが……」
ヴァン「ああ。彼女が俺の中にいるのだとしても……やっぱり、最期にここには来ておきたくてね」
クロシュ「うん……」
ヴァン「……」スゥー
ザッ!
ヴァン「黒鎧隊隊員、ヴァン・アナザールート!! 墓守の任を終え、女神と共に次の任地へ向かいます!!」
小さなお墓「」ヒュオオオ
ヴァン「ユーシリア帝国に――全ての命あるものたちに、光あれ!!」ビシッ
ローガン「……」ビシッ
ノエル「……」ビシッ
小さなお墓「」ヒュオオオオオ――…
*
ヴァン「それじゃあ、よろしく頼むよ。あまり痛くしないでくれると嬉しいかな」
クロシュ「うん……。わかった……」
デロデロ…バックン!!
モニョモニョ…モグモグ…
◆
451 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/01/27(月) 00:35:54.13 ID:7CCn50NP0
―ずっと昔
ユーシリア帝国 訓練場
ヴァン「ふっ! はっ!」
木刀「」ブンッブンッ
教官「ヴァン! 黒鎧隊に上がったそうだな、おめでとう!」
ヴァン「教官! ありがとうございます!」ペコッ
教官「はは、お前自身が掴んだ結果だ。しかしせっかく黒鎧を貰ったんだから、少しくらい肩の力を抜いたらどうだ?」
ヴァン「いえ、俺はまだまだ新米ですから! 先輩方に遅れを取らないよう、腕を磨かなければ!」
教官「はは……まあほどほどにしとけよ。実戦の前に体を壊されちゃ困るぞ? お前は叩き上げで黒鎧にまでなった、スラム出身の期待の星なんだからな。」
ヴァン「はっ! 心得ております!!」
*
―夜
兵舎 ヴァンの部屋
リンゴの積まれた皿「」
ヴァン「ふー……訓練の後の風呂とリンゴは最高だな……」シャクシャク
ヴァン「……恵まれた職場、恵まれた環境、恵まれた国……。スラムへの支援も最近はかなり充実してきてるって言うし、ここ最近は何もかも良いことづくめだ。今の俺、最高かも……」
ヴァン「後は……かわいい嫁さんでも貰えりゃ言うことなしだが……ははっ、高望みしすぎかな?」
コンコン
ヴァン「はーい」
ガチャッ
薄桃色のロングヘアの少女「こんばんは〜」スタスタ
ヴァン「おっ!!? だだ、誰!? 部屋間違えてんじゃないの!!?」アタフタ
薄桃色のロングヘアの少女「あはは、やだなあヴァンったら。私のこと忘れちゃったの?」
ヴァン「えっ……?」
ヴァン(……そういえば……俺には、かわいい恋人がいたんだった。彼女の名前は……)
ヴァン「■■■!」
■■■「うん! えへへ、黒鎧昇格おめでと! 流石はスラムの期待の星だね!」
ヴァン「おお……! ありがとう、■■■!」
■■■「ふふ……。それじゃあ、お祝いに……今夜も、する?」
ヴァン「お……おっおっおっ……おおっ!?!!? す、するって……なにを!!??」
■■■「もう〜わかってるくせに〜」ケラケラ
ヴァン(……しあわせだ。何もかも順調で……かわいい恋人までいて……。人生の絶頂ってのは、まさにこういうのを言うんじゃないか?)
ヴァン(でも……なんだろう……なんか変だな……)
ヴァン(俺って……童貞じゃなかったっけ?)
◆
452 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/01/27(月) 00:36:46.91 ID:7CCn50NP0
―ユーシリア帝国
市場
ワイワイ ガヤガヤ
■■■「わ! これヴァンにすっごい似合うんじゃない?」
ヴァン「え、そうかな?」
■■■「そうだよ〜! ねね、試着してみよ!」
ヴァン「お、おお」
ヴァン(何の憂いもない、ただただ充実した日々……。しかし……違和感が、拭えない……)
ザワザワ…
ヴァン(ん……?)
「また眠り病が出たんですって……」
「またか……。今月何人目だ?」
「皇族の方も何人か罹ってしまってるそうよ」
「湖畔の村は全滅してたそうだぞ……」
「炭職人の爺さん、すっかりやつれちまってた。娘が湖畔に嫁いだもんだから……」
「早くなんとかならねえかなあ。騎士連中は何やってんだか」
ヴァン(ねむり……病……?)
■■■「ヴァン〜、早く次のお店行こ!」
ヴァン「……」
■■■「ヴァン……?」
ヴァン「……思い出した」
ザザッ――…
◆
―??
ヴァンの部屋
薄桃色のロングヘアの少女「ぐすっ……ぐすっ……」
ヴァン「……」
薄桃色のロングヘアの少女「こんなこと……望んで、ないのに……。殺したかったわけじゃ……ないのに……」グスグス
ヴァン「君は……夢想の、魔王……?」
薄桃色のロングヘアの少女「……!? な、なんで……ここに……!?」
ヴァン「わからない。ただ……君の、泣いてる声が……聞こえた……」
◆
453 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/01/27(月) 00:37:29.74 ID:7CCn50NP0
―??
訓練場
薄桃色のロングヘアの少女「ヴァンは……帝国の、すごい騎士さんなんだ……」
ヴァン「うん。君は……えっと……」
薄桃色のロングヘアの少女「あ……ごめんなさい……。私……もう、自分の名前も……わからないの……」
ヴァン「そうなんだ……」
薄桃色のロングヘアの少女「魔王になる前に……自分が何だったのかも……もう、思い出せない……」
ヴァン「……じゃあ、その……あだ名でも、付けてみるかい?」
薄桃色のロングヘアの少女「えっ……」
ヴァン「そうだね……薄桃色でフワフワですごいから、女神とか」
薄桃色のロングヘアの少女「め、めがみ……?」
ヴァン「あっ……ご、ごめん。調子乗った……」
薄桃色のロングヘアの少女「ううん……。ありがとう……」
ヴァン「う、うん……?」
薄桃色のロングヘアの少女→女神「じゃあこれから、女神って呼んでね」
ヴァン「おっ! ハハッ、じゃあ女神って呼ぼう!」
◆
―??
ユーシリア帝都 市場
ワイワイ ガヤガヤ
ヴァン「これ、全部女神が作り出した夢だなんて凄いな……」
女神「全部私が作ってるわけじゃないよ。ほとんどは、眠った人自身が自分で望むものを描くの。私はそれを、少しだけ後押ししてあげてるだけ……」
ヴァン「魔王って、もっと恐ろしくて大変なものかと思ってたよ。まさかこんなに優しくてかわいい魔王さんがいたなんてね」
女神「……でも……私のせいで、大勢の人が亡くなっていってるの……」
ヴァン「あっ……ご、ごめん……」
女神「ううん……ヴァンは悪くない。悪いのは……全部、私だから……」
ヴァン「……」
◆
454 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/01/27(月) 00:37:58.56 ID:7CCn50NP0
―??
ユーシリア帝都 スラム
子供たち「ヴァンにいちゃんだ!」キャッキャ
子供たち「わあああ!!」キャッキャ
ヴァン「ハハッ、みんな元気だったかな? 今日はお土産があるんだ!」スッ
リンゴ「」ポン
子供たち「わああああ!!」キラキラ
ヴァン「いっぱいあるぞ!」
*
女神「ヴァンは……スラムの期待の星、なんだよね」
ヴァン「うん。俺がみんなの憧れになれれば、みんなも頑張れると思うんだ! それでスラムのみんなが頑張れば、やがてスラムにもお金がいっぱい流れるようになって……いろいろ全部良くなるはず!」
女神「……でも……ヴァンは、今……現実では、昏睡状態だよ……」
ヴァン「あっ……」
女神「……ごめんなさい……。私のせいで……ヴァンの夢を……台無しに、しちゃう……」
ヴァン「い、いやまあ……俺がいなくたって、みんな頑張るよ!」
女神「でも、あの子たちは……きっと、ものすごく悲しんじゃう……」
ヴァン「うっ……」
女神「……やっぱり……ヴァンは、ここにいるべきじゃないよ」
ヴァン「……でも、二度と目を覚ませないんだろ?」
女神「……ヴァンなら……なんとか、現実に送り返せるかも……」
ヴァン「えっ?」
女神「ヴァンは……初めて、私の存在に気付けた人だから……。もしかしたら……」
ヴァン「……でも……俺が、現実に戻ったら……」
女神「……ねえ、ヴァン……。もし現実に戻ったら……」
ヴァン「え……?」
女神「私のこと……殺してくれる?」
ヴァン「!!? そ、そんなこと……できるわけないだろ!」
女神「……ヴァンにしか……頼めないの。私……このまま、みんなを永遠の眠りに引きずり込んで……たくさんの悲しみを生み出すことに……耐えられない……!!」
ヴァン「……!!」
女神「私が死ねば……この悲しみは、終わるの……! ヴァンを慕う子たちも、ヴァンが戻ったら悲しまずに済むの!! だから、お願い……。私を……殺して……」ポロポロ…
ヴァン「……女神………」
◆
455 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/01/27(月) 00:38:39.62 ID:7CCn50NP0
―??
ヴァンの部屋
ベッド「」ギシ…
ヴァン「……やっぱり、君を殺すなんて……俺には……」
女神「だめ……。あなたは……現実に、生きて……」
ヴァン「……」
女神「あなたは、たくさんの人をしあわせにできる……。本当に良い夢を、みんなに届けることができる人……。こんなところで……私なんかに捕まって終わるなんて、絶対にだめなの……」
ヴァン「でも……」
女神「……朝になったら、お別れだからね……」
ヴァン「……うぅ……やだよ……。俺……君を殺したく、ない……」ジワ…
女神「………つらいことを……押し付けちゃって……ごめんね……」ジワワ…
ギュッ…
◆
456 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/01/27(月) 00:39:24.30 ID:7CCn50NP0
―ユーシリア湖 湖畔
ヴァン「……」フラフラ
夢想の魔王「……」
ヴァン「う、うぅ……」ググッ
夢想の魔王「……」
ヴァン「うあああああああ!!!!!」シャキンッ
ザシュッ―
夢想の魔王「……」ニコ…
ドサッ…
◆
457 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/01/27(月) 00:40:06.27 ID:7CCn50NP0
―ユーシリア帝都 王宮
皇帝「何!? 夢想の魔王が討伐された!?」
騎士「はっ!」
皇帝「功労者は誰だ!? すぐにここに呼べ!」
騎士「新人黒鎧騎士のヴァンです。しかし――」
◆
―ユーシリア湖 湖畔
小さなお墓「」
お供え物のリンゴ「」
ヴァン「………」
騎士「ヴァン殿……皇帝陛下のお呼びにも応えられぬか?」
ヴァン「……放っておいてくれ」
騎士「……救国の英雄を盛大に迎え、皆で祝儀を挙げたいと思っているのだが……」
ヴァン「英雄だと……? ハハッ……馬鹿な……。俺は……」
ヴァン「女神を殺した、大罪人だ……」
◆
458 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/01/27(月) 00:40:39.67 ID:7CCn50NP0
―ユーシリア湖 湖畔
小さなお墓「」
お供え物のリンゴ「」
ヴァン「……ごめん……。君は……俺を、みんなをしあわせにできるって、言ったけど……無理だ……」
ヴァン「俺は……君のもとを、離れたくないんだ……」
ヴァン「……ごめん……」
◆
―ユーシリア湖 湖畔
小さなお墓「」
お供え物のリンゴ「」
◆
―ユーシリア湖 湖畔
小さなお墓「」
お供え物のリンゴ「」
黒いスライムの子「……」ナムナム
ヴァン「おや? なんだか随分かわいらしい子がいるなァ」
ヴァン「よく見たらスライムの子だね。フフ……女神様の思し召しかな?」スタスタ
◆
―ユーシリア湖 湖畔
小さなお墓「」
お供え物のリンゴ「」
ヴァン「クロシュちゃんたち、行っちゃったなあ」
ヴァン「女神様の話、聞いてくれて嬉しかったなあ」
ヴァン「……また、来てくれるかな?」
◆
459 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/01/27(月) 00:41:24.10 ID:7CCn50NP0
―ユーシリア湖 湖畔
小さなお墓「」
お供え物のリンゴ「」
デロデロ…バックン!!
モニョモニョ…モグモグ…
ヴァン『ああ……溶けていく……。無為に引き伸ばされた、俺の時間も……これで、ようやく……』
女神『ヴァン……』
ヴァン『……め、がみ……?』
女神『今まで……お疲れ様……。ごめんね……私のせいで……あなたを……こんなにも、苦しめてしまったなんて……』
ヴァン『……ハハッ……今この瞬間、報われたよ。またこうして……君と、心を通わせられる……』
女神『ええ……。これからは……この子の中で、安らかに見守りましょう』
ヴァン『ああ……。この世界に……全ての命たちに……クロシュちゃんに、光あれ――』
◆
460 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/01/27(月) 00:42:20.01 ID:7CCn50NP0
―夜
ユーシリア湖 湖畔
ヒュオオオオオ――…
小さなお墓「」
お供え物のリンゴ「」
クロシュ「……」
妖精「クロシュ……」
クロシュ「……わたし……届ける……」
妖精「え……?」
クロシュ「みんなを……しあわせにする、夢を……届ける……!」グッ
☆クロシュの心属性適性が大きく上がりました
◆
461 :
◆eAA16RTlRw2e
[saga]:2025/01/27(月) 00:45:51.97 ID:7CCn50NP0
というわけで本日はここまでとなります
悲境の黒騎士ヴァンの想いを聞き届け、悲しみに終止符を打つべく食べることを選んだクロシュ。消化の刹那に駆け巡る、黒騎士と女神の記憶。最期に再びめぐり逢えた二つの心は、あかちゃんスライムの中で静かに祈りを捧げ――クロシュは新たなる決意を胸に、次の目標へ向かう――
それでは本日はありがとうございました。次回は土日となります。よろしくお願いいたしします
462 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/01/27(月) 01:44:50.27 ID:WldeaBPko
おつでした
素コンマクリティカルじゃなかったら戦闘あったよなこれ
ちょっとだけ、騎士として守るもののために闘って果てる方が供養になるかもと思ったけど、回想開示でやっぱり穏便に済んで良かったよ
魔王になってしまう者が優しいとお辛いな……
463 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/01/27(月) 06:09:58.79 ID:Afpci9eEo
おつ
難関だと思ってたがコンマ運のお陰で何事もなくあっさり解決したなぁ…
464 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2025/01/27(月) 12:07:40.97 ID:t3ylUsGpO
乙
魔王図鑑にちょっと書かれてただけの夢想の魔王がこんな風に関わるとは
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