【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part5

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354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/19(日) 22:32:59.47 ID:3+SaH0W0O
でろでろ教の信者に囲まれ布教される
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/19(日) 22:33:08.88 ID:Oip5NgKKO
安価なら郊外の農園と果樹園の様子を見に行く
(片方だけなら農園)
356 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/19(日) 22:36:50.73 ID:6KpRB5Yj0
クリティカルでは友好的、ファンブルでは敵対的な訪問となるかもしれません。皇帝の妹様は恐ろしい人物との噂があるので、もしお会いする時はしっかりごまをすった方が良いかもしれません
357 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/19(日) 23:35:09.55 ID:6KpRB5Yj0
―帝都大図書館 司書室

クロシュ「……悪い、竜さんを……やっつける?」

エバンス「いや……まだ戦わなきゃならんと決まったわけじゃないみたいだぞ、クロシュちゃん。それにこの国の軍隊が何度も倒そうとして失敗してる相手だ。もしやっつけに行くなら下調べと準備は入念にしていく必要がある」

ローガン「うむ。現段階で討伐に行くのは危険すぎる。もし倒しに行くなら、エバンスくんの言うように可能な限りの調査と準備が必要になる」

クロシュ「ん……わかった」

 ☆現時点で悪竜に挑むのはとても危険なので、安価が下にずれます

 ◇

―貧民街

クロシュ「という、わけで……調査……!!」

妖精「うんうん、言われたことをしっかり実践できてるね」

イリス「確か貧民街のこの辺に探偵事務所があったよね。せっかくだし寄ってみよう!」

 看板「クロス探偵事務所」

イリス「あれあれ」

ローガン「あれに入るのか……。しかしよく見るとけっこう新し目の看板だな。最近できたのだろうか?」

 *

―クロス探偵事務所

 カランカラン

 年季の入ったソファ「」
 古びた棚「」
 棚に収められた無数の書類「」ギッシリ

イリス「こんにちは〜」

妖精「探偵事務所なんて初めて入ったけど、思ったより落ち着いた内装かも」

ローガン「古めかしいなりに綺麗に整えられている。主は綺麗好きなのかもしれん」


カラスのハーピィ「おや、いらっしゃい。珍しいタイプのお客さんねえ」スタスタ


クロシュ「わ……!」

イリス「カラスの……ハーピィさん!!」

ローガン「ということは……まさか!!」

妖精「……もしかして、魔族国の悪徳新聞記者の知り合い?」

カラスのハーピィ「ん? あいつのこと知ってるの……ていうかあなたたち、ダークヒーロー一行!?」

 *
358 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/19(日) 23:35:52.92 ID:6KpRB5Yj0
 コーヒーカップ「」カチャン

カラスのハーピィ→フーミン「ふむふむ、なるほど。世界樹の光を追ってるのは知ってたけど、今はこの国に来てたのねえ」

イリス「はい。フーミンさんは、この国に住んでらっしゃるんですか?」

フーミン「いいえ。このスラムで適当な空き家を探偵事務所として改装しただけよ。こういう拠点があった方がいろいろ便利だからね」

ローガン「では探偵事務所の看板は偽りなのか?」

フーミン「偽りってわけでもないわ。依頼されれば仕事はする。まあこの貧民街で店を構えたところで客なんてほとんど来ないけどね」

妖精「はあ、なるほど……。まあいいや、探偵なら情報も扱ってるでしょ? 私たち、いろいろ知りたいことがあるの」

フーミン「いいわよ。ダークヒーローの一行なら、今後の期待も込めて特別にお安くしてあげる。魔族にとっちゃあなたたちの活躍は本当に面白くてエキサイティングなんだもの!」

 *

妖精「それじゃあまずは悪竜のことなんだけど」

フーミン「悪竜か。あれはこの国に巣食う癌細胞そのものね。以前国中を荒らし回った挙げ句、鉱山に住み着いて資源を食い潰し続ける極悪竜よ。当人にゃ悪意なんて毛ほどもないかもしれないけどね」

イリス「国中を荒らし回った……?」

フーミン「ええ。何年か前に、二匹の巨竜がユーシリアを散々荒らし回ったことがあったの。一匹はそのうちにどっか行っちゃったみたいだけど、もう一匹は今言ったとおり鉱山に住み着いてしまった。魔法騎士団も散々がんばったみたいだけど、結局討伐はできてないの」

ローガン「……私が騎士団を辞したのは、彼奴らの活動が収まり始めた頃だった。まあ実を言えば、彼奴らが暴れている時点では辞めるに辞められなかったというのもあるがな」

妖精「へえ、そうだったんだ……。じゃあローガンの家族は……そんな竜が暴れていた大変な時期に……」

ローガン「まあ、私の家族を襲ったのは恐らく人型の魔族だ。竜とは無関係だろう」

フーミン「おや? あの頃にご家族を、魔族に?」

ローガン「……うむ。禍々しい爪痕、血肉を食らっていった痕跡、そして扉を開けて閉める知性が見られたことから、魔族と断定した。正体は全くわからなかったがな……」

フーミン「ふむふむ……であれば、竜と無関係と断定するのは早計かもしれないわね」

ローガン「……なんだと?」

フーミン「これはあまり知られていないことなのだけれど……あの二匹の悪竜は、人間態に化けることができるのよ。竜の姿で暴れまわることもあれば、人間態で殺戮を繰り広げたこともあった。だからあなたの家族を襲ったのが、その竜のどちらかだった可能性もゼロではない」

ローガン「………」

フーミン「実際、あの頃はあなたの家みたいに、何者かによる一家惨殺事件が相次いでいる。そしていずれも犯人は不明……。確定的な証拠はないけれど、私はあの竜どもが怪しいとずっと疑ってるのよね」

ローガン「……疑いが確定したら、教えてくれ。私も誤った復讐に身をやつしたくはない」

フーミン「もちろん!」


イリス「ろ、ローガンさん……!」

ローガン「すまぬ。あの事件は、私の中でまだ終わっていないのだ。手がかりの一つも掴めずに諦めかけていたが……もしフーミン殿の推測が正しければ……」

妖精「……一人で行くとかはやめてよね。ローガンがいないと、すごく困るもん」

ローガン「……わかっている」

クロシュ「ローガンさん……」

 ☆情報屋のフーミンと知り合いました
 ☆悪竜の情報を得ました

 ◇
359 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/19(日) 23:47:50.62 ID:6KpRB5Yj0
―帝都 市場

 ワイワイ ガヤガヤ

ミスティ「なるほど、そんな情報が……」

妖精「うん……。この国に滞在する以上、ローガンの因縁とも無縁ではいられないかもって思ってたけど……まさかよりにもよって悪竜の可能性があるなんて……」

エバンス「……もし旦那が復讐に向かうってんなら、俺も力を貸したい。良いか?」

妖精「……悪竜の戦力による。もし全員でかかっても絶対に勝てないような絶望的な相手だったら、私はみんなに嫌われてでも、みんなを止めるよ。流石に、ローガンは止められないかもしれないけど……」

クロシュ「んゅ……」

 ワイワイ ガヤガヤ

クロシュ「……?」

妖精「……あれ、なんか妙に賑わってるね。この国に来てからこんな賑わってるとこなんて見たことなかったのに」

 ワイワイ ガヤガヤ シンノタダシイセカイ!!

クロシュ「??」

ミスティ「なんか変な言葉が聞こえたわ」

エバンス「な、なんだ?」


↓1コンマ
01-10 クロシュヴィア「久しぶりだね……」ポン
11-40 導師????「クロシュちゃん……?」
41-00 導師??「真の正しい世界を目指しましょう」
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/19(日) 23:49:59.47 ID:3+SaH0W0O
でろ
361 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/20(月) 00:03:56.57 ID:K/ZPlCP40
導師??「真の正しい世界を目指しましょう……。そうすれば、あらゆる苦しみから解放されます」

信者たち「真の正しい世界!」

 シンノタダシイセカイ!! シンノタダシイセカイ!!


市民A「な、なんだ……? 新手の新興宗教か?」

市民B「お、おいあの絵を見ろ!!」


 デロデロ世界の絵「」デロデロデロデロ


導師??「この素晴らしき理想画を御覧ください。痛みも苦しみも、悲しみも寂しさも……この世の嫌なことが何もかも溶け合って、柔らかな愛に包まれた世界の姿です」


市民C「な、なんだありゃ……気持ちわりぃ……」

市民D「でも、俺……なんか、目が離せねえよ……」

市民E「あんな風に、デロデロになれたら……こんな苦しいことは、もう終わりになるのかな……」


導師??「今このユーシリア帝国は、未曾有の危機に晒されています。ですが、ご安心ください。全てが溶け合えば、最期に待っているのはしあわせな大団円……。溶け合った向こう側で、みんなで平穏に生きていくことができるのです……」


市民F「溶け合った、向こう側で……」

市民G「平穏に、生きていける……」


導師??「星に還り、二度と会えなくなった方とも……星さえ溶けてしまえば、また巡り逢えます。さあ、私の手を取って……。共に、真の正しい世界へ行きましょう……」


市民たち「うおおおお!! 真の正しい世界!! 真の正しい世界!!」

 シンノタダシイセカイ!! シンノタダシイセカイ!!



妖精「こ、これは……まさか……!!」

クロシュ「……わたしの……描いた、絵……」

エバンス「マジか……!?」

ミスティ「というか、あの導師……」


導師??「あら……お久しぶりです、復権派の皆様」スタスタ


妖精「お、お前は――」


導師僧侶「こんなところでお会いするなんて……。以前は失礼なことを申し上げてしまい、ごめんなさい」ペコリ

クロシュ「わ……そ、僧侶、さん……!?」

 *
362 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/20(月) 00:10:12.77 ID:K/ZPlCP40
というわけで本日はここまでとなります。次回はデロデロ導師となった僧侶さん編、郊外の農園を見に行こう編となります

今回は皇帝陛下とお会いしてお話したり、ルクリリ氏を追い返したり、小鬼のりーだーと知り合ったり、情報屋のフーミン氏から悪竜の情報を買ったり、ローガン氏の復讐の炎が再燃したり、デロデロ教の導師となった僧侶氏と出会ってしまったりしたようでした

悪竜はとても恐ろしい存在なので、無策に挑むのは危険なようです。事前の情報収集と対策がその生死を分けると言っても過言ではないでしょう。そしてローガン氏の復讐すべき相手かどうか、今後も注視していく必要があります
そしてなんと、あの邪悪な差別主義者の僧侶氏が、なんとデロデロ教の導師となって現れてしまったようでした。ある意味では王国側の戦力が減ったので良いことといえなくもないかもしれませんが、このことが未来にどのような影響を及ぼすかは未知数です。セインくんが寂しがっている可能性も僅かにあります

それでは本日もありがとうございました。次回は土日となります、よろしくお願いいたします
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/20(月) 00:27:17.00 ID:2NSaTtvZo

全部でろでろになれば世界は幸福になるのです
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/20(月) 01:36:50.46 ID:sVbsebtao
おつでした
僧侶さん宗旨替えっすか、なんか寝返りそうって思ってたけど
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/20(月) 01:43:58.69 ID:o1Vf6hXZo
おつ
章ボスが宰相にしろ魔王にしろ悪竜にしろ戦力が足りないな…
ローガンの遺恨も解決してあげたいしなかなか忙しいぞ
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/21(火) 23:39:17.10 ID:ida31xvKo
クロシュヴィアは低コンマで出現ということは基本あんまり遭遇しない方がいいのか
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/22(水) 22:42:37.08 ID:+4VO8pj+0
現在分かっている魔法騎士団をまとめてみました。騎士団での役職が分かっているキャラは()をつけてます。間違っていたらすみません。
・魔法騎士団の上司的立ち位置の者
エドワード(最高司令官)、マーズ(指揮官)、リュウゼン(元?教官)
・現在魔法騎士団に所属している者
エルゼ(小隊長)、ノエル(隊長)、ルクリリ、サージェス
・昔魔法騎士団に所属していた者
リチャード(元参謀)、ローガン(元隊長)
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/24(金) 19:59:11.85 ID:PD8VQqvVo
やっぱり騎士団勢力と協力結べるかが鍵か
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/25(土) 00:05:09.57 ID:jP8PzVAeO
悪竜と戦うなら情報や仲間もほしいが地力もほしい。あと少しでレベルアップしそうなクロシュの経験値とかミスティの剣技経験値とか、強い装備品とかもろもろ(強欲)
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/25(土) 11:20:36.21 ID:l2VD/upDo
悪竜は食べ物与えれば解決いけるいける
371 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 15:16:56.85 ID:2d+DZtwZ0
デロデロこそが真の正しい世界であると考える方は少なくないようです。本来はスライム以外には理解しがたい感覚ですが、ここ最近はクロシュヴィアちゃんの地道な活動の成果もあって、少しづつ浸透してきているのかもしれません

僧侶氏の心境にどのような変化があったのかは、もうすぐわかるかもしれません。その変化が吉と出るか凶と出るかは現時点では未知数です

この先何と戦うことになるかはわかりませんが、魔王や悪竜を相手にするとなるとクロシュ一行だけでは実際戦力不足かもしれません。ローガン氏の遺恨もまた、着地点は不明瞭です。忙しそうです

クロシュヴィア氏が低コンマなのは、彼女がユーシリア帝国で活動すると世論がデロデロ方面へ一気に傾く恐れがあるからです。そういう意味では、物理的に暴れるだけのブラッド氏よりもだいぶ厄介なスライムと言える可能性があります。なおクロシュ的にはデロデロは悪くないことなので、ユーシリア帝国がデロデロになるのも一つの解決策かもしれません

騎士団の方々のおまとめ、ありがとうございます。わかりやすいです。また最高司令官のエドワード氏は現在行方不明で、最高司令官の代理は宰相が務めているようです。気を付けるのが良いでしょう

騎士団全体と協力関係を結ぶのは、実のところ最高司令代理が宰相なので難しいかもしれません。しかし騎士団に所属している個人と個別に協力することなら難しくはないと思われます。また、もし宰相を倒す等して騎士団の指揮権を現皇帝に移すことができれば、騎士団全体と協力することも容易くなるでしょう

悪竜と戦うことになる場合、個人の強さもできる限り高めておくのが良いでしょう。また、装備品の更新も良いかもしれません。例えば竜を殺すことに特化した対策や技、武器などがあれば、悪竜に対して少し有利になる可能性があります

悪竜はとても食欲が大きいという噂があります。実のところ、鉱山の鉱物をモグモグ食べているという噂もあるようです。食べ物で釣るというのは有効な作戦になるかもしれません
372 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 15:17:56.12 ID:2d+DZtwZ0
―かなり前
 芸術都市ミュージア 街外れ

 シンノタダシイセカイ!! シンノタダシイセカイ!!

僧侶「………」

クロシュヴィア「……また、来たんだ」ヒョコ

僧侶「……あなたは……教祖の、クロシュヴィアでしたっけ」

クロシュヴィア「いいえ。わたしは導師クロシュヴィア……。皆に正しい道を教え、導く役どころ……」

僧侶「一番偉いのなら、教祖みたいなものってことですね」

クロシュヴィア「宗教のつもりはないんだけど……まあ、その方がわかりやすいならそう考えてもらってもいいよ」

僧侶「……なら、あなたたちは異教徒です。ロイエ教の教えに反する、忌まわしき邪教の……」

クロシュヴィア「そのロイエ教の信者も、いるよ……。あの中に、けっこうたくさん」

 シンノタダシイセカイ!! シンノタダシイセカイ!!

僧侶「……元々、信仰の薄い人だったのでしょう。そんな安い人間の信仰など……」

クロシュヴィア「ロイエ教の神さまは……あなたたちを、救ってくれた?」

僧侶「……」

クロシュヴィア「瓦礫に埋もれて息もできずに死んでった命たちのことなんか……見向きさえ、しなかった……。そうでしょ?」

僧侶「……違います。これは……神が私たちに与え給うた、試練で……」

クロシュヴィア「……一人の男の子が放った、破滅の光が……神さまの試練なの?」

僧侶「……っ」

クロシュヴィア「あなたは……あの男の子の、仲間なんだよね……? だったら……あれが、神さまの思し召しなんかじゃ、なくて……。単なる人災だってことも……わかってるはずだよね……?」

僧侶「」グニャァ

クロシュヴィア「……神なんて、いないよ。もしいるなら、最低最悪の外道だよ。だって……こんな救いようのない、残酷な世界を……地獄を創ったんだもの」

僧侶「……違い、ます……。神は、そのような意図でこの世界を創ったのではなく……私たちが愚かだから……世界が、こんなことになってしまうんです……!」

クロシュヴィア「意図と違うならなんで創り直さないの……? 今ここで苦しんでいる命たちを放ったらかしにして……死と苦痛の螺旋を無限に紡がせ続けるのが、神の試練なの……?」

僧侶「……それも、違います……! その愚かな営みを脱却することこそが……神の試練なのです……!! そうすれば……いつか……命は、救われるはずなんです………」

クロシュヴィア「……そう………」

僧侶「…………」

クロシュヴィア「ねえ、聞いてくれる……? わたしたちが目指す、デロデロ世界のこと……」

僧侶「………何もかもを、溶かして一つにすれば……差別も、争いも……苦しみも、悲しみもない……とかなんとか……」

クロシュヴィア「そう……。怖がるのも、争うのも、傷付け合うのも、食べられるのも……全部、違う生き物だからなの……」

僧侶「だから……溶けて一つになれば、争いはなくなるってこと……ですか」

クロシュヴィア「そういうこと……。どう……? これ、考えようによっては……あなたの神様の試練に、合格する方法の一つとも……言えない……?」

僧侶「……!」

クロシュヴィア「星さえもデロデロになっちゃえば……最期には、死んで星に還った命たちとも……一つに、なれる……。だから……この方法なら……死者も、救える……」

僧侶「……!!」

クロシュヴィア「どうかな……? ロイエ教の神さまは……認めて、くれそう……?」

僧侶「………」

クロシュヴィア「………」

僧侶「……どちらにしろ、私には使命があります。このような邪教で現を抜かしている暇などありません」

クロシュヴィア「……認めないとは断言しないんだね」

僧侶「うるさいです。認めないに決まってます」クルッ スタスタ

クロシュヴィア「ふふ……。ゆっくり、考えてみてね……」

 ◆
373 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 15:18:44.16 ID:2d+DZtwZ0
―芸術都市ミュージア 宿

僧侶「……」

 コンコン

「僕だ。僧侶、いるのか」

僧侶「あ……は、はい。どうぞ」

 ガチャッ

セイン「ただいま戻った」スタスタ

僧侶「おかえりなさい……。砂漠では、どうでしたか」

セイン「先を越された」

僧侶「……仕方ありません。今回は出遅れましたから」

セイン「……」

僧侶「……今回は、私の不調が原因ですから。あの子たちのことなら心配しなくて大丈夫です」

セイン「……そうか」

僧侶「…………」

セイン「…………」

僧侶「………私のこと……恨んで、いますか」

セイン「……いや」

僧侶「遠慮しなくて良いですよ。今日は無礼講です」

セイン「……あの組織に属している以上……全く恨みがないと言えば、たぶん嘘になると思う」

僧侶「…………そりゃそうですよね」

セイン「……だが、どちらかと言うと……感謝の方が、大きい気もする」

僧侶「……正気ですか? 私、あなたに感謝されるようなことなんて……」

セイン「……僧侶は、口では脅すようなことをしばしば言うが……実際にそれを実行したことは、ほとんどなかった。何かと理由を付けて、処分を回避、保留してくれた。そのことに気付かないほど、僕も鈍感じゃない」

僧侶「………」

セイン「……ありがとう。お陰で……ここ最近、あの子たちの様子も少し明るくなった」

僧侶「……やめてください……。私は……あの子たちを人質にして、あなたを利用しているんです。間違っています……」

セイン「……僧侶自身が作り上げた仕組みじゃないだろう。僧侶はその中で、できる範囲内で便宜を図ってくれている」

僧侶「……なんで……感謝なんて、しないで……!! 恨んでください!! 嫌ってください!!! だって……結局、庇い切れてない……!!! 私が来る前に犠牲になった子たちは、どうなるんです!!!?」

セイン「……」

僧侶「セインくんは、私なんかに絶対に感謝しちゃいけないんです!!! 恨んで、憎んで、最期には私たち全員を皆殺しにしなきゃいけないの!!!! わかりましたか!!!!?」

セイン「………」

僧侶「……っ」

 コンコン

僧侶「!!」ビクッ

セイン「……誰だ」スッ

「使徒≠ナす。僧侶様はいらっしゃいますか」

僧侶「!!? な、なんで……使徒様が……!!?」

セイン「……」

僧侶「……は、はい。おります。どうぞ」

「それでは失礼します」

 ガチャッ…
374 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 15:20:20.80 ID:2d+DZtwZ0
 ガチャッ…

十字瞳の金髪ロング少女→使徒「お久しぶりでございます。僧侶様、セイン様」スタスタ ペコリ

僧侶「は、はい。お久しぶりです」

セイン「お久しぶりです」

使徒「僧侶様の成果について裁定が下されましたので、お知らせに参りました」

僧侶「えっ……裁定……?」

使徒「はい。こちらをご覧くださいませ」スッ

 紙『解任通知書』ペラッ

僧侶「か……かい、にん……?」

使徒「はい。僧侶様は十分な成果を挙げられなかったため、世界樹の光探索の任を解くとのことです。今後はセクリエ・ロイエに戻り、大司教より次の指示を仰ぐのが宜しいかと」

僧侶「ま、待ってください! それじゃあ世界樹の光探索はどうするんです!?」

使徒「あなたがそれを知る必要はありません」

セイン「……僕はどうなる? 彼女と同様、任を解かれるのか?」

使徒「セイン様の今後については、追って通達致します。待機期間中は芸術都市ミュージアの復興支援に従事してください」

セイン「……あの子たちについては」

使徒「方針が決定するまでは、私が臨時の担当となります」

セイン「……承知した」

僧侶「あ、あの……! セインくんは、任務にとても忠実でして……! 成果を挙げられなかったのは、私個人の責任です! ですから――」

使徒「わかりました。考慮致します」

僧侶「お願いします……」

使徒「私はセクリエ・ロイエに戻ります。僧侶様も、準備が整い次第お戻りくださいませ」

僧侶「……はい」

使徒「ではまた」スタスタ

 ガチャッ パタム…



僧侶「……」

セイン「……すまない」

僧侶「なんで……セインくんが、謝るんですか……」

セイン「僧侶一人の責任ではないのに……僕は、何も言えなかった」

僧侶「……何言ってるんです。私一人の責任です。何も言わないのが正解だったんです」

セイン「……」

僧侶「……それじゃ……明日には、荷物をまとめて街を出るので……。セインくんは、復興支援がんばってくださいね」

セイン「ああ……。僧侶も、達者で」スタスタ

 ガチャッ バタム…



僧侶「……」

 ガクッ

僧侶「ぐすっ……ひぐっ……う、うぐうぅ……」ポロポロ

僧侶「ごめんなさい……ごめんなさい……。セインくんも……街の、皆さんも……」ポロポロ

 ◆
375 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 15:21:31.22 ID:2d+DZtwZ0
―翌日
 芸術都市ミュージア

僧侶「……」フラフラ

クロシュヴィア「あれ、どこに行くの?」

僧侶「……帰るだけです……。元いた場所に……」

クロシュヴィア「使命は……?」

僧侶「なくなりました……」

クロシュヴィア「そうなんだ……」

僧侶「……」

クロシュヴィア「……」

僧侶「……誘わないんですか?」

クロシュヴィア「……あなたは、考えた? デロデロ世界のこととか……ロイエの神さまが、命に課した試練のこととか……」

僧侶「……わかりませんよ。そんなの……考えたって……」

クロシュヴィア「じゃあさ……やるだけ、やってみない……?」

僧侶「……帰らなきゃ、ならないので……」

クロシュヴィア「……教祖様の命令に従うことだけが、信仰なの?」

僧侶「……」

クロシュヴィア「あなた自身の心で……考えて……。何をするのが、本当の信仰なのか……。どこを目指すのが、本当の正しさなのか……」

僧侶「……」

クロシュヴィア「わたしも……手伝うくらいなら、してあげられるから……」

僧侶「……」

クロシュヴィア「……」

僧侶「………それじゃあ……よろしく、お願いします……」ペコ

クロシュヴィア「うん……! よろしくね……」

 ◆
376 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 15:21:56.79 ID:2d+DZtwZ0
―数日後
 芸術都市ミュージア 街外れ

僧侶(……考えれば考えるほど……導師クロシュヴィアの言う通り、全て溶けるのが正しいことのように思えてくる……)

僧侶(……差別も、争いも……あらゆる苦しみや悲しみさえも、溶けて消える……)

僧侶(それこそが……ロイエ神が望んだ、至るべき終着点……?)

 *

僧侶「……導師クロシュヴィア様」

クロシュヴィア「なあに? 様はいらないよ?」

僧侶「私、理解できました。デロデロ世界のことや……神が望む、真なる正しき結末を……」

クロシュヴィア「そっか……! ふふ、嬉しい……。ロイエ教幹部のお墨付きだね……」

僧侶「……今の私に、宗教組織としてのロイエ教における居場所はありません。だからお墨付きとは言えないかも……」

クロシュヴィア「そうなの? まあいいけど」

僧侶「……デロデロこそが、神が望む真の正しい世界なんです。ロイエ神の真なる信徒として……私にも手伝わせてくださいませんか」

クロシュヴィア「もちろん……! それじゃあ、僧侶ちゃんにも導師をやってもらおうかな……?」

僧侶「え、私が導師を……? つ、務まるでしょうか……?」

クロシュヴィア「ちゃんとデロデロの正しさを言葉にできる人ってあんまりいないんだもん……。だから、ちゃんと言葉にできる僧侶ちゃんなら、適任なの」

僧侶「……ロイエ教に寄ってしまうかもしれません」

クロシュヴィア「結果的にデロデロ世界を実現できるなら、それでも良いよ。前にも言ったけど、わたしは宗教のつもりでやってるわけじゃないから……」

僧侶「わかりました……。それでは――」


導師僧侶「これより私は――ロイエ神の望む真の正しい世界を目指す者――ロイエ教デロデロ派の、導師僧侶となります」

 ◆
377 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 15:22:58.64 ID:2d+DZtwZ0
―現在
 ユーシリア帝都

導師僧侶「――とまあいろいろありまして。今は原理派の幹部ではなく……ロイエ教デロデロ派の導師をやっております」

クロシュ「わあ……!」

妖精「……ロイエ教、デロデロ派!!?」

ローガン「は、初めて聞く宗派だが……」

導師僧侶「それはそうでしょう。デロデロ派は私一人しかいませんから」

妖精「他のデロデロ信者は違うの?」

導師僧侶「真の正しい世界を求める者という意味では、デロデロ派であるとも言えますが……ロイエ神を信仰しているわけではない者も多いので。導師クロシュヴィア様も、同じく。ゆえに、ロイエ教デロデロ派は私一人なんです」

クロシュ「……僧侶さんも……デロデロに、なりたいの……?」

導師僧侶「はい。導師クロシュ様……以前はスライムの方々のことを何も知らず、知ろうともせず、無礼な発言をしたことをお許しください。スライムの皆様はロイエ神の望む真の正しい世界に最も近い方々なので、今は心底から尊敬の念を抱いております」

クロシュ「わ……そうなの?」

導師僧侶「はい。特に導師クロシュ様は、あの素晴らしい理想画を描いた伝説のお方と心得ています。クロシュヴィア様にも、クロシュ様と会ったらよろしくと申し付けられております」

クロシュ「わあ……」

妖精「なんか調子狂うなあ……」

クロシュ「えと……セインさんは……?」

導師僧侶「セインくんとは……別れてしまいました……。唯一の心残りです……。元気にやってくれていると良いのですが……」

クロシュ「そうなんだ……」

導師僧侶「皆さんは、今も世界樹の光を追ってらっしゃるんですか?」

妖精「そうだけど……その様子だと、僧侶はもう追ってないんだ」

導師僧侶「はい。当時は世界樹の光を集めることこそが、世界を救う唯一の方法だと信じて疑いませんでしたが……今は、デロデロの方がより正しさの高い道だと考えております」

イリス「セインくんは、まだ追ってるんですか?」

導師僧侶「……わかりません。私はもう、原理派ではないので」


↓1〜2 自由安価 導師僧侶と話すこと
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/25(土) 15:25:03.48 ID:NvTp4hBGO
とりあえず図書館でお茶する?
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/25(土) 15:27:15.38 ID:0zecU+kso
聖女さんとの関係を聞きたい
380 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 17:35:58.99 ID:2d+DZtwZ0
イリス「えっと、立ち話も何ですし図書館でお茶にしませんか?」

導師僧侶「え……? 図書館で、お茶……?」

イリス「このユーシリア帝都大図書館って、中に喫茶店も併設されてるんです。図書館部分とは区切られてるので、喋ったりしても大丈夫のはず……」

導師僧侶「へえ、そうなんですね……。それじゃあ折角ですし、お茶にしましょう」

 *

―帝都大図書館
 喫茶室

使い魔「いらっしゃいませ〜。ご注文がお決まりになりましたら、テーブルのベルを鳴らしてくださいね〜」


導師僧侶「本当です……! こんな面白い施設があったなんて」

ローガン「管理人の趣味だろうな。ここで働いているのも管理人の使い魔のようだ」

 *

 紅茶のカップ「」カチャン

妖精「……まさかあなたとこうしてお茶を飲む機会が来るなんてね」

導師僧侶「以前の私なら、断固として拒否していたでしょうね。スライムや妖精なんかと一緒にお茶なんて飲めるか、なんて言って……」

エバンス「デロデロ世界に共感したとは言っても、他種族への悪感情までそう簡単に霧散するものなのか?」

導師僧侶「私としても、自分で自分に少し驚いてます。クロシュヴィア様に会って、いろいろ考えるようになって……。それまでの自分の考えが、いかに浅はかで愚かだったかを自覚しました。種族が違うからって、生きてることとか、生きることによって生じる苦しみや悲しみが変わったりするわけじゃない……。それまでの私は、そんな当たり前のことすら、気付けなかった……。もう他種族の方々に見当違いの感情を向けるなんて恥知らずな真似は、できません」

妖精「……ちょっとしたきっかけで、価値観ががらっと変わっちゃうこともあるよ。元々が強い偏見とかに根ざしていたものなら、なおさら」

ミスティ「ふうん……そういうこともあるのね」

 *
381 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 17:36:48.18 ID:2d+DZtwZ0
クロシュ「あの……僧侶さん……」

導師僧侶「はい、何でしょう?」

クロシュ「えと……聖女さんって、知ってる……?」

導師僧侶「聖女……?」

クロシュ「魔族国の……教会に、いる……」

導師僧侶「ああ……あの子は……私の妹です」

妖精「ええっ!?」

ミスティ「嘘!?」

イリス「せ、聖女さんが……僧侶さんの、妹!!?」

ローガン「な、なんと……」

導師僧侶「……ただ……私たちが幼い頃に、あの子だけ穏健派の修道院に押し付けられて……それ以来、ほとんど話す機会はありませんでした。立場的にはあの子も原理派ということになっていますが、原理派の内情や方針は全く知らないし関わりもないと思います。実際、原理派の活動とはほとんど関わりのない魔族国に出向させられているようですし……」

イリス「ど、どうして引き離されちゃったんですか……?」

導師僧侶「さあ……。たぶんですけど、あの子って神聖魔法の才もないし、宗教家としての口の上手さもないみたいなので……。原理派としての活動に向いていないと判断されたんじゃないでしょうか」

ミスティ「……幼い頃にわかることかしら? 魔法の才はともかく、口の上手さなんてその後の成長次第じゃないの?」

導師僧侶「お父様……大司教が何を考えてたかは私にはわかりませんが、何かしらの思慮があっての判断だったと思います」

妖精「てことは大司教の子なんだ、あなた」

導師僧侶「そうです。所詮は親の七光りですよ……。ところで、あなたたちはどこであの子のことを知ったんですか?」

クロシュ「えっと……魔族国で……一緒に、遊んだりして……」

イリス「いろいろあって、危ないところをクロシュちゃんが助けたりしたんですよ!」

導師僧侶「そうだったんですか……。ありがとうございます、妹を助けていただき」

クロシュ「んへへ……」

導師僧侶「あの子は、元気でやれていましたか? 魔族国ではまだまだ人間への風当たりが強いでしょうから、少し心配なのですが……」

妖精「少し前に手紙のやり取りとかもしたけど、元気そうだったよ。魔族国の子供たちに好かれてるみたい」

導師僧侶「子供たちに……。そういえば、あの子は人一倍優しい子でした。害虫のムカデ一匹さえ殺せなかったんですよ。今思えば、あの子が原理派としての教育を受けなくて良かったと思います」

妖精「それはまあ、確かに……」

導師僧侶「もしまたあの子とやり取りをする機会があれば、私は元気でやっていると……いや、やっぱり良いです。あの子が原理派の活動に巻き込まれる危険があるので」

クロシュ「んゅ……」

ミスティ「世知辛いわね……」

 ☆ロイエ教デロデロ派の導師僧侶と知り合いました

 ◆
382 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 18:34:03.31 ID:2d+DZtwZ0
―ユーシリア帝都
 郊外 農園

クロシュ「……」トコトコ

妖精「ここは……ユーシリア帝国の農園だね」

クロシュ「うん」

 しわしわカボチャ「」シワシワ
 しわしわモロコシ「」シワシワ
 しわしわヤマイモ「」シワシワ

クロシュ「しわしわ……」

妖精「これは……。どの植物も、栄養が過剰すぎて苦しんでる……」

クロシュ「んゅ……」

妖精「栄養を与える力は世に数多くあるけれど、栄養を適切に奪うのは難しいんだよね……。」


農家のおじさん「コラーッ!! 勝手に畑に入んなァー!!」ドタドタ


クロシュ「ひゃっ!?」

妖精「あ、しまった……! ちょっと懐に隠れるよ!」パタパタ

 *

農家のおじさん「ったく、どこの子だオメーは? 人んちの敷地に勝手に入っちゃイカンってママに教わんなかったのか?」

クロシュ「……ママ……いない……」

農家のおじさん「……そりゃ悪かった。いいか、人んちの敷地にゃ勝手に入っちゃいけねーんだ。覚えられるか?」

クロシュ「ん……わかった……」

農家のおじさん「よし。わかったなら……ほれ」スッ

 しわしわカボチャ「」ポン

クロシュ「ほえ……?」

農家のおじさん「ハラ減ってたんだろ。どうせ売りもんになんねえんだ。持ってきな」

クロシュ「あ、えと……」

農家のおじさん「ガキが遠慮なんかすんじゃねえ」

クロシュ「でも……」

妖精(貰っておいて。私が調べるのに使える)
クロシュ(!)

クロシュ「……ありがと、ございます……」

農家のおじさん「おう。次からはタダじゃやんねえからな」

 しわしわカボチャ「」ポン

 ◇
383 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 18:34:34.96 ID:2d+DZtwZ0

―帝都大図書館 司書室

 しわしわカボチャ「」シワシワ

イリス「わ、このしわしわカボチャどうしたの?」

クロシュ「えと……もらった……」

妖精「農家のおじさんにね。売り物にならないからって、タダで貰ってきた」

エバンス「おお……。まあ、こんだけしわしわでも食えはするだろうからな」

妖精「んで、調べてみた結果……やっぱり、星の力が影響してることがわかったよ。しかも成分中に微量のステライトが混じってた」

ミスティ「ステライト……確か、星の力が宿った特殊な鉱物……だったかしら?」

妖精「そう。そして――」

パティ「……悪竜が占拠している、北の鉱山で採れた希少鉱物の一つ……ね」

イリス「それって……」

妖精「……断定はできないけど、悪い可能性はちょっと高まっちゃったかも……」

 *

スライムクロシュ「〜〜♪」モニョモニョ モグモグ
 しわしわカボチャ「」モグモグ

パティ「え、あのしわしわカボチャをそのまま食べるの……?」

妖精「まあ、クロシュはスライムだから……」

 ◆
384 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 18:35:09.20 ID:2d+DZtwZ0
―ユーシリア帝国 5日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ラティアの大盾  飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:不死鳥の羽根

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:灼鋼の盾     飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:古代の鉄槌    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:魔銀の剣     防:硬質革鎧     飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*4       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*0       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中    闇の欠片        精霊樹の鉢植え+赤雷球
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    太陽のメダリオン
属性大全        踊り子の双剣      暗黒優待券
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  冒険者証(ランク1)
氷精の魔導書      精霊のローブ      大魔女帝国渡航権
ブラッドワイン*3               かたたたきけん
マッスルワイン*1               大魔女帝国滞在許可証
吸血鬼殺ワイン*1               風船印のパラシュート
綺麗な砂                    ラティア勲章
魔術書「正負の属性」
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘
大魔女サイン*1
古代のセラミック

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[2/5]
・宰相の正体を暴く
・眠り病の原因を突き止める
・前皇帝の死の真相を突き止める(努力目標)
・ユーシリアの人魔対立をなんとかする(努力目標)

◯仲間の目標
・カリス・ノーランドを討つ(ミスティ)
・妻子の仇を討つ(ローガン)

◯経験値
・剣技[3/6](クロシュ)
・魔法[3/6](クロシュ)
・防御[3/6](クロシュ)
・魔法[4/16](イリス)
・剣技[4/6](ミスティ)
・魔法[4/16](ミスティ)
・剣技[9/16](エバンス)
・魔法[0/8](エバンス)
・剣技[6/16](ローガン)
・魔法[3/8](ローガン)
……………………………………………………………………………………
□ユーシリア帝都
中央区:王宮、兵舎、大図書館、邸宅街、他
平民区:公園、市場、食事処、酒場、浴場、娼館、冒険者ギルド、他
貧民街:広場、怪しい商店、薄暗い路地裏、魔族連合、他
 郊外:農園、果樹園、他
……………………………………………………………………………………
385 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 18:35:36.91 ID:2d+DZtwZ0
―朝
 帝都大図書館 司書室

 チュンチュン

 帝都新聞「」ペラッ

パティ「……新興宗教、デロデロ教……溶けて一つになることを是とする、過激派……」ペラッ

妖精「あー……」

パティ「今のこの国の状況じゃ、こんなのが流行るのも無理ないわね……。はあ、皇帝の胃に穴が開かないことを祈る他ないわ……」

イリス「ま、まあ……暴動とかを起こされるよりはマシじゃないですか?」

パティ「それはその通りだけど……。もし勢力が拡大したら厄介だわ。破滅主義のようなものだもの」

クロシュ「んゅ……」

パティ「とはいえイリスの言う通り、暴動や対立に繋がらないだけ遥かにマシね。できればこのまま穏健に、急拡大とかせずにいて欲しいところだけど」

ローガン「うむ……」

エバンス「次から次へと厄介事が舞い込んでくるんだな……」


ユーシリア帝国滞在5日目です。12日目に何かが起こります
↓1コンマ
01-05 皇帝の妹来訪
06-95 本日の自由行動へ
96-00 皇帝の妹来訪

↓2〜4 自由安価 何をする?
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/25(土) 18:37:09.90 ID:CMsd4LaiO
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/25(土) 18:37:43.67 ID:9ZJxLQvM0
ローガン達 ルクリリから聞いたマーズがパティを通し会いにきた。眠りの病と皇帝の死亡について協力してほしいと頼まれる。
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/25(土) 18:37:52.84 ID:iMneSLCiO
亡霊調査を行う
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/25(土) 18:37:54.10 ID:exrZl+L3o
宰相さん遊びましょう
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/25(土) 18:38:25.16 ID:aeX5gSf70
図書館で悪龍の本さがし
391 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 19:40:46.74 ID:2d+DZtwZ0
―帝都大図書館 司書室

パティ「ああそうそう。あなたたちに会いたいという人物がいたわ。そろそろ来るんじゃないかしら」

ローガン「我々に会いたい人物?」

パティ「ええ。あなたも知っているはずよ。騎士団の――」

 コンコン

パティ「来たわね。入って良いわよ」

 ガチャッ

茜髪の騎士「失礼する」スタスタ

クロシュ「!!?」ビクッ

ローガン「あなたは……マーズ指揮官!」

茜髪の騎士→マーズ「久しぶりだな、ローガン。そしてお初にお目にかかる、フォレスティナ使節団の方々。私はユーシリア魔法騎士団の指揮官、マーズ・ネオン。以後お見知りおきを」

妖精「初めまして、マーズ。私が使節団代表の妖精だよ。よろしく」パタパタ

マーズ「うむ……む?」

クロシュ「……」ソワソワ

マーズ「……」


↓1コンマ
01-10 貴様……先日王宮に侵入したスライムだな!
11-70 スライムか……まあいい
71-00 気のせいか。失礼した
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/25(土) 19:42:46.15 ID:iMneSLCiO
393 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 21:35:31.83 ID:2d+DZtwZ0
マーズ「スライムか……。まあ、規律を守れるなら構わん」

クロシュ「」ホッ

妖精「……それで、魔法騎士団の指揮官殿が一体どんなご用で?」

マーズ「ルクリリとパティ殿から聞いたが、世界樹の光探索や眠り病のことで手を貸してくれているそうだな」

妖精「まあそうだね。世界樹の光についてはあなたたち騎士団の目的とも競合してるわけだけど……」

マーズ「その点についてはこちらも譲る気はない。最高司令代理の命令は絶対だ」

妖精「そ、そう……。じゃあ何さ、私たちをしょっぴきに来たとでも言うの?」

パティ「ちょっとマーズ……私の顔に泥を塗る気?」

マーズ「……世界樹の光を譲る気はないが、協力し合えるところは協力したい――と申し出に来たのだ。勘違いさせたのなら、失礼した」

パティ「はあ……。規律にこだわるのは結構だけど、もう少し柔軟に物事を考えられるようになって欲しいわね……」

ローガン「フッ……マーズ指揮官、相変わらずですな」

マーズ「褒め言葉として受け取っておく。それで協力内容についてだが――」

 *

妖精「つまり、眠り病と先帝殺害の件について、私たちに調査して欲しいって?」

マーズ「うむ。眠り病の件についてはパティ殿から既に承っているとのことだが」

ローガン「ええ。マーズ指揮官にあえて言われずとも、余裕があれば手を伸ばすつもりです。しかし先帝暗殺の件は……それこそ、騎士団が取り組むべき問題では?」

マーズ「……今、我々には余裕がないのだ。最優先目標として命令された世界樹の光探索に、諸外国の侵攻に対する防衛、暴徒の鎮圧……。本来であれば他国の使節の手を借りるなど決してあり得ないことだが……今はそのあり得ない行為にでも手を染ねば、もはや首が回らん……」

パティ「他国の使節にお願いするのは規則違反でもないしね」

マーズ「……パティ殿の言う通り、貴殿らの力をお借りすることは何の規則にも違反しない。であれば、頭を下げぬ理由はないのだ」

ローガン「……状況は把握致しました。どうする、妖精くん」

妖精「うーん……手を貸してあげたいとは思うけど……。世界樹の光を譲ってくれる気もないんでしょ?」

マーズ「無論だ。軍隊において命令は絶対。それに背くことなど決してあってはならない」

パティ「……例えば、今の宰相が、宰相じゃなかったとしたら?」

マーズ「……? それはどういう意味です?」

パティ「恐らく宰相は、悪意を持った何者かに取り憑かれている。だから、その宰相の命令に従う必要はないはずよ」

マーズ「……証拠はありますか?」

パティ「客観的に提示できるものはないわ。私の感覚だし。でもあなただって、不自然さは感じているでしょう?」

マーズ「……不自然さ、などという曖昧な主観的感覚では、判断できませぬ」

パティ「はあ……。わかったわよ。でも、ものを頼む時は見返りくらいないと承諾してくれないわよ。世界樹の光以外に、彼らに与えられる得はあるの?」

マーズ「王宮を出入りする自由を保証しましょう。仕事の邪魔にならない範囲で、対話や聞き込みを試みても構いませぬ」

妖精「あ、それはけっこう嬉しいかも」

ローガン「……いいのですか? パティ殿に認められているとは言っても、我々は部外者ですぞ」

マーズ「パティ殿だけでなく、貴様にも認められているだろう。ローガン」

ローガン「……?」

マーズ「貴様も相変わらず鈍感な男だな……。まあいい。まとめると、貴殿らには眠り病と、先帝の真の死因の調査を行って頂きたい。見返りに、各種情報提供と王宮に出入りする権利を進呈しよう。どうだろうか?」

妖精「……わかった。情報は私たちも欲しいところだったし、王宮に出入りできるようになるのは実際嬉しい。あ、でも全部終わったら逮捕とかはやめてよね?」

マーズ「法令に違反しない限り、私が貴殿らを逮捕することはない。だが世界樹の光を求める過程等で魔法騎士団と戦闘行為を行った場合、公務執行妨害となることは頭に入れておいて頂きたい」

妖精「うげ……。み、みんな……騎士団と争うのはやめてね……?」

イリス「う、うん」

ミスティ「まあ……こっちからは手を出したりしないと約束するわ」

エバンス「おう……。俺も牢屋暮らしは御免だしな」

 *
394 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 21:36:28.53 ID:2d+DZtwZ0

マーズ「というわけで、こちらが王宮の案内図、現時点における眠り病の調査報告、先帝が率いた討伐隊の生存者の入院している医療施設の情報だ」スス

 王宮の案内図「」ポン
 眠り病調査報告「」ポン
 討伐隊生存者の入院場所「」ポン

妖精「おお……。これは役に立ちそう」

マーズ「よろしく頼む。それでは失礼する」スタスタ

 ガチャ バタム



イリス「はぁ〜緊張した〜……。すっごい堅物ですね、今の人……」

ローガン「うむ……マーズ指揮官は昔からああなのだ。まあ、規則にだらしないよりはずっと良いだろう」

エバンス「でもこんな緊急時くらいは柔軟に考えて欲しいぜ。息が詰まっちまう……」


スライムクロシュ「」デロデロ…

ミスティ「お疲れ様、クロシュ……。しばらく休んでると良いわ……」

妖精「クロシュにとっては災難だったね……」

スライムクロシュ「」デロロ…

 *

イリス「ふむふむ……この報告書によると、眠り病は帝都の西側の方が発生率が高いみたいですね。さらに言えば、帝都から西方面にある小規模な街や村での発生率はさらに高いみたいです」

ミスティ「でも西に行き過ぎると、また発生率が減少し始めるわ……。発生率のピークとなる箇所は……」

妖精「……ユーシリア湖?」

エバンス「みたいだな……。ユーシリア湖の周辺じゃ昏睡状態の動物や昆虫も発見されてるって話だ。この報告書によると、当然騎士団もユーシリア湖の調査を行ったらしいが……」

ローガン「芳しい結果は得られなかったようだな……」

妖精「私たちも一度調査してみる価値があるかもしれないね」

スライムクロシュ「〜〜」モニョモニョ

 ☆眠り病がユーシリア湖を中心に多発していることがわかりました
 ☆討伐隊の生存者が入院している医療施設の情報を得ました
 ☆王宮への出入りが許可されました

 ◆
395 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 21:37:13.59 ID:2d+DZtwZ0
―王宮

イリス「というわけで早速王宮に来たよ!」

クロシュ「堂々と……入れる……!」トコトコ

妖精「でも、スライムの姿にはならないよう気を付けてね?」

クロシュ「う、うん……」

ミスティ「それで、王宮で何をするの?」

イリス「いろいろできることはあるけど、まずは……亡霊について調べてみよう!」

妖精「宰相に取り憑いてる何者かと関係があるのかどうか、確かに気になるところだもんね」


↓1コンマ
01-05 ??
06-70 森スライム
71-95 亡霊だ!
96-00 ??
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/25(土) 21:38:22.81 ID:aeX5gSf70
397 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 22:35:07.86 ID:2d+DZtwZ0
森スライム「〜〜」モニョモニョ ゴシゴシ


クロシュ「!」

イリス「あ、あの子ってもしかしてパティさんの言ってた……!」


クロシュ「」トコトコ

森スライム「?」モニョニョ?

クロシュ「〜〜」モニョモニョ

森スライム「!?」モニョ!?

クロシュ「〜〜♪」モニョニョ

 *

森スライム→ロシュ「え、えっと……はじめまして、皆さま」モニョモニョ

イリス「わあ……! ロシュちゃん、スライムの姿のまま人の言葉を話せるの?」

ロシュ「うん。でも、人の姿には……まだ、なれないの……」

ミスティ「そういうこともあるのね……」

クロシュ「んへへ……」

ロシュ「えっと……クロシュちゃんたちは、幽霊さんを探してるんだよね?」

クロシュ「うん……。ロシュちゃんは、見たことある……?」

ロシュ「うん……! 最近、王宮でときどきふらふらしてるよ」

妖精「え、本当に?」

ミスティ「いきなり有力そうな証言ね……。いつ、どの辺りにいるかわかる?」

ロシュ「えっと……あっ! ほら、妖精さんの後ろに……」

妖精「えっ……」クルッ


イケメンの幽霊「」ボオ―…


妖精「うわあっ!?」コテッ

クロシュ「わあ……」

イリス「えっ、どこどこ!?」キョロキョロ

ミスティ「見当たらないわ……」
398 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 22:35:34.26 ID:2d+DZtwZ0
妖精「……ん? 人間には見えてない……?」

イケメンの幽霊『……君たち……俺が見えるのか……?』

クロシュ「うん……。おじさんは……?」

イケメンの幽霊→エドワード『私は……エドワード……。ユーシリア魔法騎士団の最高司令官……だった……』

妖精「ええっ!? エドワード!?」

ロシュ「あっ!! 幽霊さん、どこかで見覚えあるなあって思ってたら……エドワードさまだったの……!?」

クロシュ「えどわーど……?」

エドワード『自分で名乗っておいて何だが……私の名前や肩書はどうでも良いんだ……。ただ、あることを皇帝陛下や騎士団の皆に伝えたくて……こんな姿になってまで、私はここに戻ってきた……。だが……肉体を失った私の存在には、誰も気づいてくれなかった……』

ロシュ「わ、わたし、気付いてたのに……ごめんなさい……放ったらかしにしちゃって……」

エドワード『なら……今、聞いてくれ……。今このユーシリア帝国は……滅亡の危機に瀕している……』

妖精「いや、それは私たちも知ってる……。あなたは一体何を知ってしまったの?」

エドワード『なぜ、ここまで急激に滅亡へ向かっているか……それは……奴が、戻ってきたからだ』

クロシュ「やつ……?」

エドワード『悪竜の片割れ……このユーシリアを荒らし回った暴れ者の、より残虐で冷酷な方……。それが今、この国にいる……』

妖精「あ、悪竜の片割れだって……!? てことは……今この国には、かつてと同じように、二体の悪竜が揃っちゃってるってこと!?」

エドワード『そうだ……。俺はそいつに殺され……先帝も……恐らくは……』

妖精「そ、そんな……!」

エドワード『だから……頼む……。このことを……皆に、伝えてくれ……。片割れは……明らかに、何らかの悪意に満ちた目的を持って、行動している……! 放置すれば、この国は取り返しのつかないことに――…』スゥ―

妖精「ああ! 待って、まだ消えないで!」

 モニョモニョポン!

不死鳥クロシュ「コッコッコッ……!」トコトコ

 明るい炎「」メラメラ

エドワード『うおおおお!? なんだこの炎は!? 熱いのに熱くない! 体が蘇るかのように活力が湧いてきた!!』ピカピカ

イリス「うわあ!? なんか半透明のイケメンが出てきた!?」

ミスティ「急にクロシュが不死鳥になったと思ったら……こんな幽霊と話をしていたのね……!」

 デロデロ…

クロシュ「……げ、げんき……でた……?」フラフラ

エドワード『ああ、ありがとう! 君は炎のニワトリなのか!? いや、今は詮索すまい! 私に残された時間は多くない……頼む、もう少し話を聞いてくれ!』

クロシュ「う、うん……」フラフラ

妖精「ちょっと場所を変えない? お互い、一旦落ち着いて話したい」

エドワード『そうしよう……!』

 ◇
399 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 22:36:40.74 ID:2d+DZtwZ0
―帝都大図書館 司書室

ロシュ「わあ……! 司書さんのお部屋、初めてはいっちゃった……!」

パティ「あら、いらっしゃいロシュ。別にいつでも来て良いのよ」

ロシュ「そ、そうだったんだ……。それじゃあ、これからは図書館のお掃除も……」

パティ「いや、それは足りてるから不要よ。休憩に来ると良いわ。それで……」


エドワード『パティ! 私だ、エドワードだ!』フヨフヨ

パティ「見ればわかるわ。でも、どうしたのよ……。死んだの?」

エドワード『そうだ、死んだ。今の私は、縛りの魔法と、そのニワトリの少女の炎によって、意思を繋ぎ止めているに過ぎない』

パティ「に、ニワトリの少女の炎……? よくわからないけど、危機的状況だということはわかったわ。何か伝えたいことがあって、無理矢理現世に残っているのね?」

エドワード『その通りだ! 流石はパティ、話が早くて助かる。今から話すことを聞いて対策を立ててくれ。頼むぞ……!』

パティ「わかったわ。話してみて」

イリス「よ、よし。今度は私も聞けそう……!」

ミスティ「一体何を伝えるのかしら……」

 ◇

パティ「悪竜の片割れがこの国に戻ってきて……何かを企んで、暗躍している……!?」

エドワード『そういうことなのだ! すまない、私は志半ばで奴に食い殺されてしまった……』

ローガン「悪竜の片割れが……。それは確かなのですか、エドワード最高司令官」

エドワード『確かだ、ローガン隊長! いや、ローガン元隊長だったな! ハッハッハ!』

ローガン「は、ははは……」

妖精「クロシュの炎で随分元気になっちゃった……」

パティ「これがエドワードの素よ」

クロシュ「わあ……」

 ☆悪竜の片割れがユーシリアで暗躍しているという情報を得ました
 ☆亡霊エドワードが図書館に住み着きました

 ◇
400 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 22:47:46.88 ID:2d+DZtwZ0
―王宮

妖精「エドワードからの聞き取りはパティたちに任せて、私たちは王宮でもう少し情報収集しよう」

クロシュ「うん……!」

妖精「なんか良い感じに話を聞けそうな相手は……」


宰相「」スタスタ


妖精「……宰相だ」

クロシュ「わあ……」

妖精(……突撃のチャンスだけど……いきなり突っついたら反逆罪で牢屋行き待ったなしか……? どうしよう……?)

クロシュ「……」


どうしよう
↓1〜 先取2票
1.挨拶をして普通に話しかける
2.遠くから観察する
0.自由安価(票数は内容ごと)
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/25(土) 22:49:29.79 ID:UlOv5iUiO
2
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/25(土) 22:49:48.26 ID:aeX5gSf70
403 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 23:02:31.15 ID:2d+DZtwZ0
透明クロシュ「……」ジー
透明妖精「……」ジー


宰相「〜〜」ウンヌン
大臣「〜〜」カンヌン


透明クロシュ「……」

透明妖精「……遠くから見てるだけじゃ何もわからないなあ。まあでも、人間とは異なる魔力の波長を感じられるのは確かだ。何かが取り憑いてる」

透明クロシュ「……何が、取り憑いてるの……?」

透明妖精「う〜ん……この感じは……」


↓1コンマ
01-30 わかんない!
31-70 あと少しで思い出せそう……
71-00 夢魔だ!
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/25(土) 23:02:40.19 ID:exrZl+L3o
むま
405 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 23:05:24.65 ID:2d+DZtwZ0
透明妖精「……ご、ごめん。全然わかんない……」

透明クロシュ「んゅ……」

透明妖精「でも魔力の波長は覚えた。調べ直せばわかるかも!」

透明クロシュ「わあ……!」

 ☆妖精が宰相の魔力波長を覚えました

 ◆
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/25(土) 23:07:58.21 ID:vIsWXnjLO
努力義務の先帝の死の真相は悪竜によるものとして解決でいいのかね
407 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 23:45:36.30 ID:2d+DZtwZ0
―ユーシリア帝国 6日目

◇クロシュ [あかちゃんスライム]
武:メイドブレード  盾:ラティアの大盾  飾:くすんだ耳飾り
武:竜珠の杖     防:ゴスロリエプロン 飾:不死鳥の羽根

◇妖精   [世話焼き妖精]
武:         盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:精霊のレオタード 飾:

◇イリス  [星の魔法使い]
武:精霊樹の杖[改] 盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:魔術師のローブ  飾:

◇ミスティ [氷の魔法使い]
武:魔銀の短剣    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:         防:氷竜革のローブ  飾:

◇ローガン [鋼の戦士]
武:鋼の剣      盾:灼鋼の盾     飾:くすんだ耳飾り
武:鋼の回転ノコギリ 防:鎖帷子      飾:

◇エバンス [地の傭兵]
武:古代の鉄槌    盾:         飾:くすんだ耳飾り
武:魔銀の剣     防:硬質革鎧     飾:

◯所持アイテム
[道具]        [装備品]       [大事なもの]
運命賽*4       蜘蛛絹の下着      魔族国永久旅券
会心賽*0       ザリガニのお守り    フメイの服の切れ端
反魂丹*2       大きな巻き貝      精霊の印
鉄鍋+携帯調理器具   大きな軽石       精霊樹の実のジャム
「星の魔力」上中    闇の欠片        精霊樹の鉢植え+赤雷球
お宿の焼き菓子     フリルワンピ水着    フメイとアリシラの人形
お宿の妖精の織物    魔法学園のスク水    メルルの帽子
魔導飯盒        炎鉱石         溶岩石のアミュレット
妨害魔力波発生装置   ガラスのザリガニ    太陽のメダリオン
属性大全        踊り子の双剣      暗黒優待券
魔王図鑑        サボテンドラゴンの花  冒険者証(ランク1)
氷精の魔導書      精霊のローブ      大魔女帝国渡航権
ブラッドワイン*3               かたたたきけん
マッスルワイン*1               大魔女帝国滞在許可証
吸血鬼殺ワイン*1               風船印のパラシュート
綺麗な砂                    ラティア勲章
魔術書「正負の属性」
吸血鬼の日焼け止め
日蝕の傘
大魔女サイン*1
古代のセラミック

◯現在の目標
・フメイちゃんを探す
・世界樹の光を追う[2/5]
・宰相の正体を暴く
・眠り病の原因を突き止める
・前皇帝の死の真相を突き止める(達成!)
・ユーシリアの人魔対立をなんとかする(努力目標)

◯仲間の目標
・カリス・ノーランドを討つ(ミスティ)
・妻子の仇を討つ(ローガン)

◯経験値
・クロシュ 剣技[03/06] 魔法[03/06] 防御[03/06]
・イリス  杖術[00/04] 魔法[04/16] 
・ミスティ 剣技[04/06] 魔法[04/16] 
・ローガン 剣技[06/16] 魔法[03/08] 
・エバンス 剣技[09/16] 魔法[00/08] 
……………………………………………………………………………………
□ユーシリア帝都
中央区:王宮、兵舎、大図書館、邸宅街、他
平民区:公園、市場、食事処、酒場、浴場、娼館、冒険者ギルド、他
貧民街:広場、怪しい商店、薄暗い路地裏、魔族連合、他
 郊外:農園、果樹園、他
……………………………………………………………………………………
408 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 23:46:04.04 ID:2d+DZtwZ0
―朝
 帝都大図書館 司書室

パティ「判明している情報をまとめたわ……」コンコン


◯世界樹の光
・世界樹の光は北の方
・北には大山脈と鉱山がある
・鉱山は悪竜に占拠されている
・農作物に鉱山の希少鉱物が微量に含まれていた(新)

◯宰相の正体
・王宮と騎士団の実権は宰相が握っている
・皇帝は立場が弱い
・妖精が宰相モドキの魔力波長を覚えた(新)

◯眠り病の原因
・帝位継承順位1〜8位は眠り病にかかっている
・眠り病発生の中心はユーシリア湖(新)
・騎士団が一度調査したが何も見つからず(新)

◯先帝の死
・先帝は悪竜討伐の為の遠征中に襲撃されて死んだ
・襲撃犯は角と翼を持つ者。未だ捕まっていない
・討伐隊の生存者は大怪我で入院している
・皇帝の剣は魔族に奪われたまま
・先帝の殺害犯は戻ってきた悪竜の片割れ(新)

◯その他
・王宮に亡霊が出るらしい(解決!)
・悪竜の片割れが暗躍しているらしい(新)


エドワード『助かる。しかしこれは……私が死んでいる間に、ユーシリアは絶望的なことになっていたのだな……』

パティ「ええ、本当に……。エドワード、あなたなんで死んでしまったのよ……。お陰で宰相モドキの独壇場になっちゃったわ」

エドワード『申し訳ない……。あの悪竜からは逃げ切ることさえできなかった……』

ローガン「先帝を殺害したのも、本当に悪竜の片割れなのですか?」

エドワード『ああ。今この国にいる中で先帝を殺せる者など、あの悪竜のどちらかしか思いつかん。ならば鉱山に籠もっている方ではなく、最近戻ってきてまた暴れている者を疑うのが自然だ。ほぼ確定と言って良い』

ローガン「なるほど、確かに……」

パティ「……悪竜の片割れ……人型形態になれると言ったわね。どんな姿なの?」

エドワード『大きな竜角と血のように赤い翼を持ち、赤いドレスを纏った金髪の女性だ。一見するとこの世のものとは思えぬほど美しい姿だったが……眉一つ動かさず巨大な槍で私を貫いたかと思えば、突然思い出したかのように嗤いながら『魔王復活!』などと宣言するなど、明らかに常軌を逸していた』

パティ「魔王復活……。そういえば、騎士団が昨日鎮圧した魔族の暴徒たちも、そんなようなことを叫びながら人間を襲っていたそうよ」

エドワード『なに……?』

ローガン「……だとすれば、魔族が反乱を企てているというのは本当なのでしょうか? そしてそれに、悪竜も加担していると……?」

エドワード『ふうむ……。しかしあの悪竜が、自分より遥かに弱い者たちの企てに力を貸すとは考えにくい。単に暴徒たちの真似をしてふざけているのか、あるいは――』

パティ「……反乱の、首謀者か」

ローガン「……!!」

エドワード『悪竜は一見すると知性のない暴れ者のように見えるが、実のところ非常に狡猾で悪知恵の働く奴らだ。人間に虐げられて憎しみを募らせる魔族たちを焚き付け、反乱を起こさせるなんて芸当も……恐らく不可能ではない……』

ローガン「……」

パティ「まだ憶測の域を出ないけど……とんでもなく厄介なことになってきたかもしれないわね……」


ユーシリア帝国滞在6日目です。12日目に何かが起こります
↓1コンマ
01-05 皇帝の妹来訪
06-95 本日の自由行動へ
96-00 皇帝の妹来訪

↓2〜4 自由安価 何をする?
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/25(土) 23:48:25.40 ID:aeX5gSf70
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/25(土) 23:48:30.65 ID:QI6fTmMdO
使い魔と買い物
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/25(土) 23:49:12.47 ID:vIsWXnjLO
悪竜探してますと迷子ビラでも配りまくる
412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/25(土) 23:49:29.90 ID:9ZJxLQvM0
クロシュ達 ユーシリア湖周辺で偶然ノエルと出会い雑談と一緒に調査する
413 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/25(土) 23:57:50.35 ID:2d+DZtwZ0
というわけで本日はここまでとなります。次回は使い魔さんと買い物編、悪竜のビラ配り編、ユーシリア湖でノエル氏と調査編となります

ユーシリアを襲う、悪意の暴風……その中心にいたのは、かつてユーシリアを襲った極悪竜の片割れだった。空前絶後の危機を前に、皇帝とその家臣たちはどう立ち向かえば良いのか。あかちゃんスライムのクロシュに、何ができるのか――

なお今回は、導師僧侶さんと和やかなお茶会を楽しんだり、農家のおじさんからもらったしわしわカボチャを美味しく頂いたり、マーズ指揮官と協力関係を結んでみたり、森スライムのロシュちゃんとお話してみたり、最高司令官のエドワード氏の亡霊から話を聞いてみたり、悪竜の片割れが戻ってきたことを知ってしまったり、宰相の魔力の波長を妖精さんが覚えたりしたようでした

先帝の死の真相については、実のところほとんど解決したと言っても良いかもしれません。メタなことを言うと、先帝の死という目標は、悪竜の片割れが戻ってきていることをクロシュたちに知ってもらうための目標でした。それが達成されたので、実質達成と言っても過言ではないでしょう。悪竜の片割れ……一体どこのテロ組織に所属している戦闘狂なのでしょうか。クロシュちゃんは気を付けた方が良いかもしれません

それでは本日もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 00:16:33.63 ID:cYoP0SApo
乙でした
僧侶さん聖女さん姉妹だったの!?おっどろいた……失礼ながら、あんまり似てなかったから
湖調査でまた女神の騎士さんとエンカウントできたらいいが
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 01:01:41.75 ID:73xhxWxlo
おつ
襲撃事件は宰相の仕組んだ事で…みたいに繋がる展開だと思ってたが別個だったかぁ
でもこれで犯人がハッキリしたし当時の無念を晴らしたい人達とも共闘できそうだ
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 02:41:25.65 ID:dV0xrWxZo
悪竜さんは正直シノホシで一番ヤバい相手じゃないか
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 12:38:33.53 ID:Wu9JbyA0O
以前ザイルをあっさり撃退したしセレスティアも余裕余裕
418 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/26(日) 14:34:06.63 ID:SOyvi1bx0
僧侶氏と聖女氏は、見た感じの姿も性格もあまり似ていないようです。姿はともかく性格が似ていないのは、生まれ持った気質以上に、育った環境や受けた教育の違いが大きいと思われます
湖で出会った女神の騎士が何者なのかは、今のところよくわかっておりません。もしまた会うことができれば、話を聞くことができるかもしれません

先帝の殺害について、宰相が関与している可能性は低くなったようです。しかし同時に、危険で厄介な真犯人の可能性が浮上してしまったようです
かの悪竜たちに煮えた苦渋を飲まされた人たちと協力することができれば、戦力の拡充ができるかもしれません。復讐も一つの道です

シノホシに所属している悪竜は、とても危険で恐ろしい存在のようです。本来は関わるべきでない相手ですが、ユーシリアで何らかの活動を行っているとなると、そうも言っていられないかもしれません。十分に気をつけて行動するのが良いでしょう

実のところ以前ザイル氏をあっさり撃退できたのは、フメイちゃんとアリシラさんが一緒にいたという点も大きかったりします。あの頃よりもクロシュたちは強くなりましたが、それでももし悪竜たちと相対しなければならない状況になったら、警戒に警戒を重ねるくらいがちょうど良いかもしれません
419 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/26(日) 14:41:16.94 ID:SOyvi1bx0
―少し前
 ユーシリア鉱山

 ピチョン…ピチョン…

赤黒い巨竜「……」zzz

セレスティア「お姉様〜。可愛い妹が会いに来て差し上げましたわよ〜」スタスタ

赤黒い巨竜「ん〜……? あ〜セレスか〜。久しぶり〜」

セレスティア「あれからずっとここで食っちゃ寝してるんですの?」

赤黒い巨竜「ん〜」

セレスティア「はあ〜、相変わらずですわね。毎日同じ石ころばかり食べてて飽きませんの?」

赤黒い巨竜「同じじゃないし〜。なんだっけ、この銀色の……ステライトってやつ! これがめ〜っちゃ旨いのよ〜。でもそんなにたくさんは採れないから、ここでの暮らしもけっこう面白いんよ〜」

セレスティア「理解に苦しみますわ……。でもそれなら、これもお食べになります?」スッ

 炎のように赤く輝く大剣「」ポン

赤黒い巨竜「わお! それってあれじゃん〜、前にわたしたちに楯突いた人間が振り回してたやつ〜」

セレスティア「ですわ。ここに来る途中で頂戴致しましたの。これ、この国の皇族に伝わる勇者の剣らしいですわよ」

赤黒い巨竜「ふうん……。じゃあせっかくだし……あむ」

 炎のように赤く輝く大剣「」ジュウウッ!

赤黒い巨竜「あっつ! なにこれ熱すぎ! 食べる側のことちっとも考えてないじゃん……!」プンスコ

セレスティア「へえ、お姉様でも食べられないほどの熱が込められてるなんて……。これは面白い拾い物をしましたわ」

赤黒い巨竜「む〜、セレス、わたしを実験台にしたな〜?」

セレスティア「まさか、ちょっと想定外なくらいですわ。ところでお姉様、ここ最近この鉱山の付近に強い地属性の力が落ちてきたりはしませんでした?」

赤黒い巨竜「あ〜、なんか落ちてきたよ〜。最初は食べてみようかと思ったんだけど――」

 グググググ…
 鉱床「」ポン!

セレスティア「わお! 鉱床がいきなり生えてきましたわ!?」

赤黒い巨竜「そう〜。あれ、鉱物を新たに作り出す力があるみたいだから〜、肥料として山に埋めたままの方がお得だって思ったの〜」

セレスティア「なるほど……。となると困りましたわねえ。わたくし、それの回収の仕事をしているんですわ」

赤黒い巨竜「え〜? ……いくらセレスでも……わたしのモノを横取りなんて、絶対に許さないよ……?」ゴゴゴゴ

セレスティア「……お姉様と殺り合うのも面白そうですが、わたくしが勝ってお姉様が死んでしまうのは面白くありませんわ……。というわけでこのお仕事は放棄と致しましょう」

赤黒い巨竜「ん〜……? セレス、今わたしのこと馬鹿にした……? わたし、セレスにも負けるつもりないけど〜?」

セレスティア「わたくしもこんなところで食っちゃ寝してる怠け竜に遅れを取るつもりはありませんわよ?」

赤黒い巨竜「ま〜なんでもいいけど〜。これはわたしのだからセレスも食べないでね〜」

セレスティア「……しかしそうなると……世界樹の光の代わりに別の成果が必要ですわね」

赤黒い巨竜「セレスの今のお仕事って何なの〜?」

セレスティア「人間を滅ぼすテロ活動……かしら? わたくし、シノホシの理念って未だによくわかってなかったり……あ!」

赤黒い巨竜「?」

セレスティア「つまりこの国を滅ぼせば良いってことですわね! 丁度雑魚魔族たちが似たようなことを企んでいたようですし、それに便乗しちゃいましょうか!」

赤黒い巨竜「??」

セレスティア「魔王復活! ですわ!」

赤黒い巨竜「セレスがおかしくなっちゃった」

 ◆
420 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/26(日) 14:43:57.27 ID:SOyvi1bx0
―朝
 ユーシリア帝都 市場

使い魔「いや〜娑婆の空気は美味いですねえ〜」ルンルン

妖精「図書館を刑務所扱いと取られかねない発言……パティに聞かれたらまずそうだけど……」

使い魔「今日は休暇ですから、休暇中の私語に口出しなんて流石のパティさんでもしませんよ! へへっ」

イリス「休暇中は何も言わないだけで……休暇が終わったら、少し怖くないですか……?」

使い魔「いやあ、まさか、そんな……あはは……」

ミスティ「思い当たる節がありそうね……」


エバンス「にしても……やっぱ活気はねえな」

ローガン「うむ……。今日はデロデロ教も別のところで活動しているのかもしれん」

妖精「あのシンノタダシイセカイとかいうへんちくりんな叫びも、この閑散とした市場なら賑やかしに丁度良かったかもね……」

ミスティ「店も閉まっているところが多いわ……」

イリス「湖探索の準備をしたかったけれど、ちょっと難しいかな……?」

使い魔「ご安心を! この使い魔、こんな時でもちゃんとした武具や道具を取り扱っているお店を熟知しております!」

妖精「へえ! それじゃあせっかくだし頼りにさせてもらおうかな?」

使い魔「どうぞどうぞ! スライム用の装備を売ってる闇商店とかも知ってるのでお気軽にご相談くださいね!」

クロシュ「わあ……!」

 *

↓1〜3選択 買いもの
1.◯◯の××を更新する(コンマ)
0.自由安価(装備以外の買うものなど)

※1の記入例:妖精の防具

※以下のものは、この市場では更新できなさそうです
・クロシュの武器、盾、装飾
・ミスティの防具
・ローガンの盾
・エバンスの武器
421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 14:45:42.25 ID:dV0xrWxZo
ローガンの鋼の剣を更新
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 14:46:06.21 ID:dZn3tdIL0
0使い魔と女性陣の服
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 14:50:35.48 ID:hcItQnfKO
0 竜殺しの秘宝かなにかありませんの
424 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/26(日) 15:49:13.18 ID:SOyvi1bx0
ローガン「……」スチャッ

 ボロボロの鋼の剣「」ボロッ…

妖精「……その剣も随分やつれてきてるね」

ローガン「うむ……。鋼魔法で強化と修復を繰り返してなんとか使ってきたが……そろそろ限界かもしれん」

エバンス「旦那、武器の手入れはかなり真面目にやってたよな。かなり長持ちしたんじゃないか」

ローガン「これは、妖精くんたちと出会う少し前……魔族国の工房で購入したものだ。銘こそないが、匠の業が光る良い品だった」

妖精「ここまでの激戦に耐えてきたんだから、大往生だよ」

使い魔「なるほど、剣の新調ですね! であれば、丁度良いお店にご案内しますよ!」

ローガン「かたじけない。よろしく頼む」


↓1コンマ
01-10 邪竜の牙
11-40 剛鉄の剣
41-70 トカゲ斬り
71-90 オリハルソード
91-00 竜殺し
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 15:51:57.45 ID:7XxlL6WyO
それは剣というには余りにも
426 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/26(日) 16:43:36.99 ID:SOyvi1bx0
―武具店

ローガン「これは……」

 鈍色に輝く片刃の剣「」キラン

店主「それはトカゲ斬り。名の通り、爬虫類に対して強い威力を発揮する剣さ」

ローガン「……ドラゴンは爬虫類に含まれるか?」

店主「実際に見たわけじゃないが、この剣がワイバーンにも効いたという話なら聞いたことがある。ワイバーンも竜の一種だったはずだし、効くんじゃないかね?」

妖精「竜とトカゲは近縁の関係だから、全く効かないってことはないと私も思うよ。まあ、悪竜に対してどこまで効果があるかはなんとも言えないけど……」

店主「あ、悪竜……? あんたら、まさか悪竜に挑むつもりなのか?」

ローガン「……まだ挑むと決まったわけではない。だがこの剣は買わせていただこう」

店主「まあ、買ってくれるならなんでもいいが……。いくらこんなご時世だからって、命は投げ捨てるなよ?」

 ☆トカゲ斬りを購入し、ローガンが装備しました
  爬虫類および竜類との戦闘時、少し有利になります

 *

―市場

 ほつれた魔術師のローブ「」

イリス「……私たちの服も、けっこう限界が来てるよね……」

ミスティ「まあ、旅をしていれば雨風に晒されるわけだし仕方ないわ……」

使い魔「じゃあ次は服屋さんに行きましょう!」

クロシュ「ふくやさん……」


↓1コンマ クロシュが買う服
01-75 普段着
76-95 オオキイツムリの殻
96-00 クラーケンツムリの殻

↓2コンマ イリスが買う服
01-75 普段着
76-95 賢者のローブ
96-00 星光のローブ

↓3コンマ ミスティが買う服
01-75 普段着
76-95 氷竜革の帽子
96-00 氷竜革の手袋と帽子

↓4コンマ 妖精が買う服
01-75 妖精用の服は売ってなかった
76-95 妖蝶のドレス
96-00 妖精のスク水

↓5コンマ 使い魔が買う服
01-75 普段着
76-95 パーティドレス
96-00 悪魔のドレス
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 16:45:04.04 ID:dZn3tdIL0
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 16:46:05.41 ID:hcItQnfKO
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 16:46:53.64 ID:dV0xrWxZo
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 16:52:17.58 ID:91jXS1tjO
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 16:54:07.73 ID:c9jhlR5c0
432 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/26(日) 17:59:05.67 ID:SOyvi1bx0
 無地のチュニック「」ポン
 白と橙のディアンドル「」ポン
 黒のコット「」ポン
 白黒のエプロンドレス「」ポン

イリス「よし、これでしばらくは大丈夫そう」

クロシュ「うん……」

妖精「人間用の服っていろんなのがあるよね。ちょっと面白い」

使い魔「妖精さん用の服は、その……見つけられなくてすみませんでした……」

妖精「いや、別に良いけど……。必要になったら自分で作るし」

ミスティ「妖精の服ってお手製なの?」

妖精「今着てるのはティセリアから貰ったやつだけど、他はだいたい自作かなあ」

イリス「凄い……! 妖精さんって縫製もできるんだ……!」

妖精「そう……?」

 ☆女性たちが新しい衣服を買いました

 *

―市場

ローガン「使い魔殿、他に竜を殺すのに有用なものはないだろうか?」

使い魔「け、けっこう無茶な注文してきますね。さっきローガンさんが買ったトカゲ斬りの他となると……」


↓1コンマ
01-70 なかった
71-90 ユーシリアボカド
91-00 神酒ヤシオリ
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 18:00:59.34 ID:AWQbmFeF0
434 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/26(日) 18:31:14.73 ID:SOyvi1bx0
使い魔「……すみません、何も思いつかないです」

ローガン「そうか……無茶を言ってすまなかった」

妖精「竜殺しの道具か……。図書館とかで調べてみるのも良いかもね」

 ◆

―市場

クロシュ「えと……こちらの、方を……さがしてます……」ピラッ

 人型形態の悪竜の似顔絵が描かれたビラ「」ペラッ

通行人「なんだあ……? ほう、随分キレイな姉ちゃんだな……」

ミスティ「巷を騒がせてる悪竜よ、それ」

通行人「エ゛ッ!?」

 *

イリス「実際、見た目はすごい美人だよね……。でも私、どこかで見たことがあるような気がするんだよなあ……」

ミスティ「奇遇ね……私もよ……」

妖精「同じく……。どこだったかな……」

クロシュ「……エドワードさんの言った通りに、描いたけど……わたしも、気になる……」


↓1コンマ
01-60 これシノホシのセレスティアじゃない?
61-00 目撃情報:北の街道
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 18:35:03.47 ID:dV0xrWxZo
436 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/26(日) 18:49:39.34 ID:SOyvi1bx0
イリス「……あ! これって、もしかして……シノホシの指名手配テロリスト、セレスティア・ベールグラッドじゃない!?」

ミスティ「あ……!」

妖精「本当だ……たぶんそうだ……」

クロシュ「せれすてぃあ……」

妖精「ほら、あの芸術都市を襲ってきた奴ら! あの中に混じってたでしょ!」

クロシュ「!」

ミスティ「……なるほど……あのテロ組織の一人が悪竜だったわけね」

イリス「納得……!」

 ◆
437 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/26(日) 19:43:08.43 ID:SOyvi1bx0
―ユーシリア湖 湖畔


 大きな湖「」ユラユラ


 強化ソリ「」キキッ

ミスティ「着いたわ」

イリス「ありがとう、ミスティ! よし、早速調べよう!」

ローガン「眠り病の原因……見つかると良いが……」

 *

クロシュ「……」

 動かないカエル「」

 ツンツン

 動かないカエル「」

妖精「動かないね……。眠ってるというより、昏睡状態だ。たぶん例の眠り病ってやつにかかってる」

イリス「動かないと他の動物に食べられちゃう……!」

ミスティ「その心配はあるけど……でも、こっちを見てみて」

イリス「えっ?」

 動かないヘビ「」

イリス「わっ! ヘビも!?」

妖精「全ての動物が昏睡してるわけじゃないみたいだけど、この湖の周辺は明らかに他より症状が多い。騎士団の調査報告は間違ってないみたい」

ローガン「となると、原因もこの近くにある可能性が高いな」

妖精「うん。手分けして不審なものを探そう!」

 *

 ザッザッザッ…


エバンス「足音だ。こっちに近付いてくるぞ」

 ザッ

ノエル「……ローガン!? それに、前に魔族の野郎共に襲われてた嬢ちゃんじゃねえか!?」

イリス「あなたは……!」

ローガン「ノエル……君だったのか」

 *

ノエル「なるほど、パティとマーズに頼まれたのか」

ローガン「ああ。君は自主的に調査しているのか?」

ノエル「まあな。今日は非番だったんだが、こんな時に休んでなんかいられないだろ?」

ローガン「そうか。何か収穫はあったか?」

ノエル「いや、俺もさっき調査し始めたばかりだ。まだ何も見つけてない」

イリス「それじゃあ一緒に調査しませんか? お互い、目的は一緒みたいですし」

ノエル「おお、願ったりかなったりだ。一人でこの湖を調べるのは骨が折れると思ってたからな」

ローガン「ではよろしく頼む」

ノエル「おう……。それよりローガン……」

ローガン「……なんだ?」

ノエル「いや……なんでもねえ。よろしく頼むぜ!」


↓1コンマ(女神の騎士との縁+30)
01-60 前に野営した辺りが特に怪しい?
61-90 お墓があったらしい辺りが特に怪しい?
91-00 「やあ、久しぶりだね」ヌッ
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 19:51:07.96 ID:dZn3tdIL0
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 19:58:18.47 ID:cYoP0SApo
素コンマで会えてるのでこの騎士ほんと優しい!
440 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/26(日) 22:25:52.60 ID:SOyvi1bx0
クロシュ「……」キョロキョロ

妖精「動かない生き物の傾向を辿っていくと、前に私たちが野営をしてたところ……ううん、そこより……前に、クロシュが見つけたっていう――」

「やあ、久しぶりだね」ヌッ

妖精「わあ!?」

クロシュ「わっ……!」

ヴァン「クロシュちゃんに妖精さん。女神の騎士ヴァン・アナザールートの物語を覚えているかい?」

妖精「あ、あなたか……。久しぶり、ヴァン。もちろん覚えてるよ。あなたみたいな変な人のことは簡単には忘れられないし」

クロシュ「うん……! えっと、お久しぶりです、ヴァンさん……!」

ヴァン「ハハハ! 嬉しいなあ、こんなにかわいい子たちに覚えられてしまったなんて! ああ、今のは違うんだ! 決して浮気をしたわけではなくてね! 俺の一番はこれまでもこれからも永遠に女神様だけだよ!!」

妖精「いや、誰に言い訳してるの……」

ヴァン「しかし困ったなあ……。俺は女神の騎士だから、君たちの熱烈な愛に応えることはできないんだ……。本当にごめん……。女神の騎士という至高の男に憧れる乙女たちの純情を裏切ってしまうのは、心苦しくてたまらないよ……」

クロシュ「?」

妖精「いや、変な勘違いしないでくれる……? 今日はあなたに会いに来たわけじゃなくて、ここ最近この国で多発してる病気の発生源を調べに来たの」

ヴァン「ハハハ、なら良かったよ! 乙女の心を裏切ることほど騎士としてつらいことはないからね! ところで、今眠り病って言ったかい?」

妖精「うん、言った。何か心当たりある?」

ヴァン「うーん……眠り病って言えば、俺が若い頃にも流行ったことがあった気がするなァ……。あれはいつのことだったっけ……」

妖精「え、本当!? いつ!?」

ヴァン「ちょっと待ってくれよ。今がんばって思い出すからさ……」

 *

ヴァン「……」


クロシュ「ヴァンさん……動かなくなっちゃった……」

妖精「まさか今眠り病で眠っちゃったとかじゃないだろうなあ……」


ローガン「クロシュくん、妖精くん。調査はどうだ?」スタスタ

妖精「あ、ローガン。今ヴァンと再会してね。ヴァンが若い頃に眠り病が流行ってたことがあるって言うから、思い出してもらってるとこなの」

ローガン「何……?」

ノエル「……ん? その男の鎧……まさか昔の魔法騎士団で使われてたっていう黒鎧か……!?」

ローガン「ノエルもそう思うか?」

ノエル「あ、ああ。最高司令室に飾ってあるが、あれと同じものにしか見えねえぞ」

ローガン「やはり……。彼は一体何者なのだ……?」


ヴァン「ハッ!」

クロシュ「! ヴァンさん……大丈夫……?」

妖精「けっこう長い間思い出そうとしてくれてたけど……」

ヴァン「……」

 ☆素コンマクリティカルにより、ヴァンの正気が保たれます
441 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/26(日) 22:27:09.04 ID:SOyvi1bx0

ヴァン「……ああ。思い出した」

クロシュ「!」

妖精「本当!? 前回の眠り病は、一体……」

ヴァン「……前回の眠り病は……女神様……いや……夢想の魔王がもたらした、災害だ」

クロシュ「!?」
妖精「!!?」
ローガン「なっ……!?」
ノエル「なん、だと……!?」

ヴァン「……当時……ユーシリア帝国に現れた夢想の魔王は……国中に、眠り病を撒き散らしたんだ。眠り病に罹った者は、目覚めることのない永遠の眠りに就いて……しあわせな夢に、溺れ……死んでいった……」

ノエル「……聞いたことがある。ユーシリア帝国に死の眠りをもたらした、恐ろしい魔王の伝説を……。だが、しあわせな夢……だと……?」

ヴァン「ああ……。夢想の魔王に眠らされた者は……その者が望む最も幸福な夢を見続け……二度と目覚めない……」

妖精「……その時は、どうやって眠り病を……魔王を、打ち破ったの?」

ヴァン「……討伐に向かった騎士たちも、ほとんどは眠り病にやられ……しあわせな夢の中で、死んでいった……。だがその中に、一人だけ……目を覚ました者がいたんだ……。そいつが、夢想の魔王を討った……。夢想の魔王の本体は……とても弱々しく、儚い存在だった……」

妖精「ねえ、それって……まさか……」

ローガン「………!!! お、思い出した……!! 魔王を打ち倒した救国の騎士、ヴァン・アナザールート!! あなたは――」

ヴァン「……ああ。たぶん、そいつのことだ……」

クロシュ「……ヴァン、さん……」

ヴァン「……そうだ。俺は……女神の騎士なんかじゃ、ない。女神を殺した……大罪人だ……」

妖精「ま、待って待って! 女神は、魔王なんでしょ!? それを倒したのなら……」

ヴァン「……あれから……帝都を離れて、ここで彼女の墓守をしながら……ずっと考えてたんだ」

妖精「え……?」

ヴァン「俺の行いは……本当に、正しかったのかと……」

ノエル「正しいに決まってるだろ!? だってその魔王のせいで大勢の人が――」

ヴァン「だが、その中の誰一人として……苦痛にまみれて死んでいった者はいない……。誰もが、しあわせな夢の中で……まさしく、眠るように終わっていったんだ……。普通に生きていれば……そんなやさしい結末は、迎えられない……」

ノエル「いや……それは、そうだけど……でもよ……!!」

ヴァン「戦場での討ち死にだろうが、病だろうが、老いだろうが……死というのは、どれもこれも壮絶な苦痛を伴う……。彼女の力は……その宿命を覆すものだった……。それを……俺は……」

妖精「……後悔、しているの?」

ヴァン「……している、と思う……」

クロシュ「……」

ヴァン「生前の彼女が、何者だったのか……俺は、知らない……。ただ、俺は夢を扱う魔法の心得が少しだけあったから……しあわせな夢の中で、魔王の奥底に沈んでいた彼女の本当の心を見つけてしまったんだ」

クロシュ「ほんとうの、心……」

ヴァン「……彼女は……しあわせな夢を見せて、命を奪っていく自分自身の所業に……どうしようもなく、苦しんでいた……」

クロシュ「!!」

妖精(それって、もしかして……あの時の掃除の魔王と……クロと同じような状態……!?)

ヴァン「きっと本来は……心の優しい子だったのだと思う……。だからこそ、あんなにもやさしい力で命を奪い……そんな自分自身にすら、絶望してしまった……」

クロシュ「……」

ヴァン「なんとか意識を保てていた俺は……彼女に頼まれたんだ……。現実に戻って自分を殺して欲しい、と……」

ノエル「それで……あんたは……」

ヴァン「ああ……。その懇願を聞き入れ……目を覚まし、彼女を討った……」

ローガン「……」

ヴァン「後悔は……している……。だが……それ以外に、彼女を救う手立ても……なかった……。どうしようも、なかったんだ……」

妖精「……」
442 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/26(日) 22:28:07.20 ID:SOyvi1bx0

ヴァン「………ごめん。話がすごく逸れちゃったな。ええと……眠り病が、今も流行ってるって?」

妖精「あ、うん……。それで……調査の結果、発生源は……どうやら、この辺みたいなんだけど……」

ヴァン「……ははっ……じゃあ簡単だ。俺だよ、原因は。だから……俺を殺せば、終わるよ……きっと……」

クロシュ「……!!」

ヴァン「たぶん彼女の力が……俺の中にちょっと残ってるんだ。俺は、誰よりもあの子に近付いてしまったから……。俺を殺せば、全部終わると思う。良い夢も、悪い夢も、何もかも……」

妖精「……簡単に、言ってくれるね。言葉を交わした相手を殺すのが、どれほどつらいことか……あなたなら、わかるでしょ?」

ヴァン「…………そうだったね。ごめん」

クロシュ「……」

ヴァン「………女神の騎士として、女神様のもとへ向かうべき時が来たみたいだ」スクッ

クロシュ「あ……」

ヴァン「……ありがとう、クロシュちゃん。女神の騎士ヴァン・アナザールートの物語は……忘れてくれ。記憶に残るべきじゃないんだ。俺も……彼女も……」ヨロヨロ

クロシュ「……」


↓1〜 先取3票
1.黙って見送る
2.引き止める
3.食べても良いか聞く
0.自由安価(票数は内容ごと)
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 22:30:57.51 ID:x3SS/n9m0
1
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 22:32:15.92 ID:cYoP0SApo
3
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 22:33:37.94 ID:pra2ocOcO
1
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 22:34:00.78 ID:dV0xrWxZo
3
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 22:34:30.42 ID:cLKDGqvPO
3
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2025/01/26(日) 22:35:35.62 ID:lrqNYXZVO
449 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/26(日) 23:13:46.94 ID:SOyvi1bx0
クロシュ「ま、待って!」ギュッ

ヴァン「……やめてくれ。俺は至高なる女神の騎士だけど、かわいい女の子に懇願されたら流石に決意が鈍るんだ……」

クロシュ「んーん……。そうじゃ、なくて……」

ヴァン「?」

クロシュ「……わたしが……ヴァンさんを、食べれば……ヴァンさんは……わたしの中で、生きられる……!」

ヴァン「えっ……?」


妖精「ええっ!?」

ローガン「クロシュくん……!?」

ノエル「な、何を言ってるんだこの子は……?」


ヴァン「なるほど……その発想はなかったなあ……。そういえばクロシュちゃんはスライムだったね」

クロシュ「うん……。一人で……死ぬより……寂しく、ない……と思う……」

ヴァン「………」

クロシュ「ヴァンさんの、こと……わたし、忘れたくない……。一緒に、お料理したことも……リンゴのことも……面白いお話も……。だから……」

ヴァン「はは……本当に困ったな……。帝都にいた頃だって、女の子にこんな風に言い寄られたことなんてなかったのに……。俺、女神に会うまでは恋人なんて一度もできたことなかったんだよ」

妖精「…………ねえ、その女神はさ……。あなたの中に、ずっといるんじゃない?」

ヴァン「え……?」

妖精「だって……眠り病は、女神にしか引き起こせない。あなただって、彼女の力が自分に残ってるのかもって、さっき言ったでしょ? だから……あなたの中にあるのは、彼女の力だけじゃなくて……彼女の心も、なんじゃないかな」

ヴァン「……あの子の……」

クロシュ「……」

ヴァン「………そっか……そうかもしれないね」

妖精「……どうする? クロシュはものすごい悪食だから、あなたを食べてお腹を壊すことはないと思う」

ヴァン「ははっ、それが最大の懸念点だったけど問題ないのか。ならまあ、別に良いかな……?」

クロシュ「……!」

ヴァン「……じゃあ、頼むよ。俺も彼女も、寒いのは苦手だからさ」

クロシュ「ん……!」

ヴァン「……あ、ちょっと待ってくれ。最期に……」

 *
450 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/26(日) 23:15:19.02 ID:SOyvi1bx0
―夕方
 ユーシリア湖 湖畔

 ヒュオオオオ――…

 小さなお墓「」
 お供え物のリンゴ「」ポン


ローガン「ここが……」

ヴァン「ああ。彼女が俺の中にいるのだとしても……やっぱり、最期にここには来ておきたくてね」

クロシュ「うん……」


ヴァン「……」スゥー

 ザッ!

ヴァン「黒鎧隊隊員、ヴァン・アナザールート!! 墓守の任を終え、女神と共に次の任地へ向かいます!!」

 小さなお墓「」ヒュオオオ

ヴァン「ユーシリア帝国に――全ての命あるものたちに、光あれ!!」ビシッ

ローガン「……」ビシッ
ノエル「……」ビシッ

 小さなお墓「」ヒュオオオオオ――…


 *


ヴァン「それじゃあ、よろしく頼むよ。あまり痛くしないでくれると嬉しいかな」

クロシュ「うん……。わかった……」

 デロデロ…バックン!!
 モニョモニョ…モグモグ…

 ◆
451 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/27(月) 00:35:54.13 ID:7CCn50NP0
―ずっと昔
 ユーシリア帝国 訓練場

ヴァン「ふっ! はっ!」
 木刀「」ブンッブンッ

教官「ヴァン! 黒鎧隊に上がったそうだな、おめでとう!」

ヴァン「教官! ありがとうございます!」ペコッ

教官「はは、お前自身が掴んだ結果だ。しかしせっかく黒鎧を貰ったんだから、少しくらい肩の力を抜いたらどうだ?」

ヴァン「いえ、俺はまだまだ新米ですから! 先輩方に遅れを取らないよう、腕を磨かなければ!」

教官「はは……まあほどほどにしとけよ。実戦の前に体を壊されちゃ困るぞ? お前は叩き上げで黒鎧にまでなった、スラム出身の期待の星なんだからな。」

ヴァン「はっ! 心得ております!!」

 *

―夜
 兵舎 ヴァンの部屋

 リンゴの積まれた皿「」

ヴァン「ふー……訓練の後の風呂とリンゴは最高だな……」シャクシャク

ヴァン「……恵まれた職場、恵まれた環境、恵まれた国……。スラムへの支援も最近はかなり充実してきてるって言うし、ここ最近は何もかも良いことづくめだ。今の俺、最高かも……」

ヴァン「後は……かわいい嫁さんでも貰えりゃ言うことなしだが……ははっ、高望みしすぎかな?」

 コンコン

ヴァン「はーい」

 ガチャッ

薄桃色のロングヘアの少女「こんばんは〜」スタスタ

ヴァン「おっ!!? だだ、誰!? 部屋間違えてんじゃないの!!?」アタフタ

薄桃色のロングヘアの少女「あはは、やだなあヴァンったら。私のこと忘れちゃったの?」

ヴァン「えっ……?」


ヴァン(……そういえば……俺には、かわいい恋人がいたんだった。彼女の名前は……)


ヴァン「■■■!」

■■■「うん! えへへ、黒鎧昇格おめでと! 流石はスラムの期待の星だね!」

ヴァン「おお……! ありがとう、■■■!」

■■■「ふふ……。それじゃあ、お祝いに……今夜も、する?」

ヴァン「お……おっおっおっ……おおっ!?!!? す、するって……なにを!!??」

■■■「もう〜わかってるくせに〜」ケラケラ


ヴァン(……しあわせだ。何もかも順調で……かわいい恋人までいて……。人生の絶頂ってのは、まさにこういうのを言うんじゃないか?)

ヴァン(でも……なんだろう……なんか変だな……)

ヴァン(俺って……童貞じゃなかったっけ?)

 ◆
452 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/27(月) 00:36:46.91 ID:7CCn50NP0
―ユーシリア帝国
 市場

 ワイワイ ガヤガヤ

■■■「わ! これヴァンにすっごい似合うんじゃない?」

ヴァン「え、そうかな?」

■■■「そうだよ〜! ねね、試着してみよ!」

ヴァン「お、おお」


ヴァン(何の憂いもない、ただただ充実した日々……。しかし……違和感が、拭えない……)


 ザワザワ…


ヴァン(ん……?)


「また眠り病が出たんですって……」
「またか……。今月何人目だ?」
「皇族の方も何人か罹ってしまってるそうよ」
「湖畔の村は全滅してたそうだぞ……」
「炭職人の爺さん、すっかりやつれちまってた。娘が湖畔に嫁いだもんだから……」
「早くなんとかならねえかなあ。騎士連中は何やってんだか」


ヴァン(ねむり……病……?)


■■■「ヴァン〜、早く次のお店行こ!」

ヴァン「……」

■■■「ヴァン……?」

ヴァン「……思い出した」

 ザザッ――…

 ◆

―??
 ヴァンの部屋

薄桃色のロングヘアの少女「ぐすっ……ぐすっ……」

ヴァン「……」

薄桃色のロングヘアの少女「こんなこと……望んで、ないのに……。殺したかったわけじゃ……ないのに……」グスグス

ヴァン「君は……夢想の、魔王……?」

薄桃色のロングヘアの少女「……!? な、なんで……ここに……!?」

ヴァン「わからない。ただ……君の、泣いてる声が……聞こえた……」

 ◆
453 : ◆eAA16RTlRw2e [saga]:2025/01/27(月) 00:37:29.74 ID:7CCn50NP0
―??
 訓練場

薄桃色のロングヘアの少女「ヴァンは……帝国の、すごい騎士さんなんだ……」

ヴァン「うん。君は……えっと……」

薄桃色のロングヘアの少女「あ……ごめんなさい……。私……もう、自分の名前も……わからないの……」

ヴァン「そうなんだ……」

薄桃色のロングヘアの少女「魔王になる前に……自分が何だったのかも……もう、思い出せない……」

ヴァン「……じゃあ、その……あだ名でも、付けてみるかい?」

薄桃色のロングヘアの少女「えっ……」

ヴァン「そうだね……薄桃色でフワフワですごいから、女神とか」

薄桃色のロングヘアの少女「め、めがみ……?」

ヴァン「あっ……ご、ごめん。調子乗った……」

薄桃色のロングヘアの少女「ううん……。ありがとう……」

ヴァン「う、うん……?」

薄桃色のロングヘアの少女→女神「じゃあこれから、女神って呼んでね」

ヴァン「おっ! ハハッ、じゃあ女神って呼ぼう!」

 ◆

―??
 ユーシリア帝都 市場

 ワイワイ ガヤガヤ

ヴァン「これ、全部女神が作り出した夢だなんて凄いな……」

女神「全部私が作ってるわけじゃないよ。ほとんどは、眠った人自身が自分で望むものを描くの。私はそれを、少しだけ後押ししてあげてるだけ……」

ヴァン「魔王って、もっと恐ろしくて大変なものかと思ってたよ。まさかこんなに優しくてかわいい魔王さんがいたなんてね」

女神「……でも……私のせいで、大勢の人が亡くなっていってるの……」

ヴァン「あっ……ご、ごめん……」

女神「ううん……ヴァンは悪くない。悪いのは……全部、私だから……」

ヴァン「……」

 ◆
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