穂乃果「バトル・ロワイヤル」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/08/14(水) 22:49:41.25 ID:JWzndyDUO
※別の所で書いてたやつの続きです

前スレ
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read_archive.cgi/anime/11188/1717288993/-100

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1723643381
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/08/14(水) 23:52:15.92 ID:rmv/p5fy0
海未ははっとした。にこの声がかすかに震えていることに気づいたからだ。

私は何を馬鹿なことを……この光景を見て冷静でいられる人間など─

海未が自分の浅慮を悔いた時、にこが来た方向から複数の足音が近づいてきている事に気づいた。

今度はにこがはっとする番だった。


にこ「馬鹿っ! いいって言うまで出て来るなって……!」


待ってはいられなかったのだろう。凛と真姫が、左右から絵里を支えつつ姿を現した。
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/08/16(金) 17:27:41.85 ID:Ipi11328O
凛も真姫も絵里も、誰も声をあげなかった。ただただ呆然と、目の前の光景を見つめている。

絵里がふらふらとした足取りで歩き出し、希だった物の側へ膝をついた。飛び散った血液が脚に付着しても気にした様子はない。

絵里「──」

絵里は何かを呟いているようだった。ぶつぶつと、言葉にならない音が周囲に広がる。

上半身のほとんどが血まみれの包帯で覆われた絵里の姿を見て、海未が息を呑んだ。


にこ「リエラの唐可可よ。絵里が助けようとしたところを襲ってきたそうよ」

海未「そんな……」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/08/16(金) 17:42:23.48 ID:NGefBIHMO
にこ「それで、穂乃果」

穂乃果「……」

にこ「希をやったのは?」

ぼんやりと座り込んだままでいた穂乃果が、にこの方へと視線を持ち上げた。

にこ「もう充分に分かったでしょ? 海未が言ったように、他のグループと協力するなんて絶対に無理だって」

穂乃果「……」

にこ「まだ私に人殺しなんてして欲しくないなんて甘い事言うなら─」

にこ「あんたの考えなんてどうでもいい。私は─アクアもリエラも皆殺しにしてやる」


穂乃果「……」

穂乃果「……アクアの……」

穂乃果「黒澤…ダイヤさん……」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/08/25(日) 17:26:22.50 ID:FE+9mLfkO
ラ板で読んでた人来ないね。
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/08/27(火) 17:01:40.70 ID:466LRHBjO
にこ「……分かった」


ぽつりと呟いた穂乃果の言葉に対して、にこはそれだけ言った。一拍置かれた沈黙が、海未には恐ろしかった。


にこ「もう一つだけ。そいつは…黒澤ダイヤは、何か付けてなかった? 多分だけど、ゴーグルみたいな何かを」


穂乃果が小さく頷いたのを確認すると、にこは穂乃果から目を外した。聞きたいことは全て済んだようだった。

「ぅぇっ…」とむせ込むような声がして、凛の背中が丸まった。続いて、ぱしゃぱしゃという音とともに、足元に黄色っぽい液体が飛び散った。真姫が両手で包み込むように、凛の背中を抱きしめる。

一同の様子を見回した後、にこは再び海未に向かって言った。


にこ「海未、この子達の事はあんたに任せるわ。探知機の反応にだけ注意して、逃げることだけ考えなさい」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/08/28(水) 14:05:26.34 ID:uiNKVgPDO
海未「……」

にこ「あんたと穂乃果がこの集落まで来た理由は聞かない。けど、今度は私の言う事を守れるわね?」


『にこは─?』その言葉を海未は呑み込んだ。分かりきった事を聞き返そうとする自分が愚かに思えた。にこはとっくに心を決めている。この益体もないゲームで生き残るために。

海未はにこが抱えているマシンガンに目をやり、自分に問いかける。

私には──出来ない。

希が亡くなっても、考えは変わっていない。自分にそんなことが出来るなど到底思えない。しかし──自分にはもう、にこに掛ける言葉が何も思い浮かばかった。


海未「分かり…ました」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/08/29(木) 14:05:44.18 ID:uA8VOaulO
にこ「頼んだからね」


鋭い、射抜くような目で海未に念を押し、にこは続ける。


にこ「まずは─夜明けまで待つ。黒澤ダイヤは間違いなく、夜目が効くようになる武器を持ってる。今すぐにでも殺してやりたいけど、視界が効かない中で襲われたら分が悪い」

にこ「朝が来たら私はここを出る。で、あんた達は制限時間が来るまでひたすら逃げる。それだけでいい。そうすれば─」

にこ「最期に生き残るのは私達よ」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/08/29(木) 18:22:32.71 ID:zx9q/qlXO
にこが言葉を切ると、聞こえてくるのは絵里が繰り返す呟きだけとなった。最初は理解出来なかった音が意味を持った言葉になって海未の耳に飛び込んできた。

『殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる──』


海未はすがるように穂乃果を見た。

いつだって自分を勇気づけ、希望を見せてくれる幼馴染の姿を求めて。


穂乃果は希の亡き骸を見つめたまま、何も言葉を発しなかった。
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/08/31(土) 09:19:23.02 ID:bNMa5BJdO
02:05 黒澤ダイヤ






体が  熱い

しかし まだ倒れるわけにはいかない

一人でも多く

撃つ [ピーーー] 勝つ 生き残る

鞠莉さん

Aqoursを 

熱い

ルビィ    ルビィ   ルビィ──
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/08/31(土) 15:25:55.76 ID:nO/DZ+qlO
糸が切れた人形のように、ダイヤの体からふっと力が抜け、手放すまいと必死に保ってきた意識がふいに遠くなり、消えた。
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/09/01(日) 11:21:46.53 ID:f7DNV655O
誰も読んでないよ。
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/09/04(水) 14:11:58.34 ID:rBWVtVfsO
02:15 渡辺曜





「千歌ちゃん」

小さく寝息を立てている千歌へ、曜が小声で声をかけた。

布団代わりの、申し訳程度に敷かれた落ち葉の上に横たわり、中身を取り出して大きさを調節したバックパックを枕にしている。

いつもの千歌なら起きるまでに少々時間を要したろうが、状況が状況だけに、曜の声にすぐに身を起こした。

「また…何かあったの?」

こわばった顔で自分を見つめる千歌に対して、曜は首を横に振った。
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/09/04(水) 17:51:26.99 ID:gSN/3AS9O
「ううん。交代の時間だよ」

「! もうそんなに経ったんだ……」

千歌が手元の端末に目を落とし、呟いた。


果南達と別れてから、二人は曜と鞠莉が身を隠していた場所へ戻っていた。曜は闇雲に動き回るより、朝を待ってから行動を開始するべきだと判断し、自分が見張りを買って出た。

曜は朝が来るまで自分一人で見張るつもりだったが、千歌がそれに対して強硬に反対し、仕方なく交代で見張りをすることになったのだった。
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/09/05(木) 17:43:25.90 ID:Hyeq5EONO
曜としては当然、千歌一人で見張りをさせる訳にはいかないと思った。それでも押し切られてしまったのは、正直、休まないと保たないと思ったからだ。

日付が変わって数時間、曜は体に鈍い疲れを感じていた。ライブが終わった時の心地良い疲れではなく、まとわりつくような不快な疲労感。

誘拐され、聖良を目の前で殺されて、今もまだ殺し合いのゲームに巻き込まれている最中なのだ。神経が参ってしまっても仕方がないと言える。


「音に注意して見張ってたけど、あれからは何も聞こえてこなかったよ」

千歌が頷き、不安そうに曜を見た。

「果南ちゃんと鞠莉ちゃん、大丈夫かな…?」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/09/07(土) 15:28:56.04 ID:BHfLj9WX0

少し前に(それもそう離れてはいないと思われる距離から)聞こえた爆発音。何が起きたのかは千歌も曜も想像したくなかった。ここを離れようとも考えたが、下手に移動するよりここに留まっている方がまだ安全だと判断した。

「考えても仕方ないよ。無事でいてくれる事を祈ろう」

曜が諭すように言う。

言いながら、自分が妙に落ち着いていることに気づいた。あの音で誰かが死んだかもしれない。それでも、ゲームが始まったばかりの頃と比べて、それほど動揺はなかった。

時間が経つにつれて、今の状況に適応していっているらしい。

そう思うと、自分の中身が別の誰かに入れ替わってしまったような、不思議な感覚がした。
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2024/09/08(日) 15:15:23.30 ID:q/d6/4BoO
「うん……」

千歌の表情は晴れない。誰にも無事でいられる保証などないことは、千歌にもよく分かっているようだった。


「千歌ちゃん、とにかく今は朝を待とう。何をするにも話はそれからだよ」

朝──

ルール通りならば朝の6時に、死亡した人間が伝えられる。全てはそこからだ。死んだメンバーの数によって、殺さなければならない人間の数も決まる。

Aqoursの誰かが一人だけ死んでいたなら、他のグループから二人ずつ殺す。いや、違う。南ことりはもうダイヤさんが殺したんだった。その場合は最低でもμ’sから一人、Liella!から二人だ。いずれにしても、朝になればはっきりする。他のグループがどれだけやる気か、Aqoursの中でダイヤさんと私以外に戦える子は─
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/09/08(日) 18:28:03.82 ID:ZpQuq6LTO
「曜ちゃん」

曜の思考は千歌の呼びかけによって中断された。千歌はじっと曜の目を見つめている。曜が今何を考えているのか、そこを見れば見透かせるかのように。

「ちょっと前に言った通りだからね。私も……私もやるからね。曜ちゃんにだけ押しつけたりしないからね」

千歌が曜の右手を取り、両手でぎゅっと包み込んだ。曜の右手には女子高生には不似合いな黒い銃が握られている。

その銃が小刻みに揺れ始める。千歌の両手の震えが、そのまま伝わっているらしかった。
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/09/10(火) 18:17:28.40 ID:bonBilDZ0
こんなところで書いてたのか
続き見れて嬉しい
28.68 KB Speed:0.4   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)