【安価コンマ】オリウマ娘と共に Part2

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260 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/09(水) 00:03:00.09 ID:Gr51D2Pw0
パピヨン「えっ!マンティそろそろトレセンに戻ってくるの!?」

マンティ「は、はい……!お医者さんからももう大丈夫だと言われまして……あ、歩くのももう一人でも、へっちゃらなんです!」

――病室のベッドの上で、マンティは誇らしげに力こぶを作って見せた。普段のマンティならしないような仕草に、ちょっと笑っちゃう。

そっか、そっかぁ……マンティ。復帰するんだぁ……。

パピヨン「じゃあ、早くても来年とか?マンティがレースに戻ってくるの」

マンティ「そう、ですね。もう少し早くトレセンに戻れていたら12月のレースに出走できるくらいにはなっていたかもしれませんけど……う、うぅ……」

悲しそうに俯くマンティ。ああ、そっかなるほどね。

パピヨン「今年のチャンピオンズカップ。アタシとライムが出走するもんね。マンティ、出たかったんだ?」

マンティ「…………はぃ。その……一度は、G1の舞台を三人で……走れたらと思っていたんですけど……」

……またなんかネガティブになってる。意味わかんない。けど――。

パピヨン「こらこらなーに言ってるの!アタシとライムとマンティがもうG1で一緒になる機会はないみたいな言い方しちゃって」

――ずっとずっと、ずーっと走り続けてたら。絶対何時かは同じ舞台で競い合う。ならその時までアタシは――。

パピヨン「――言ったでしょ。アタシは、マンティの憧れも吹き飛ばしちゃうくらい最強のウマ娘であり続ける。そしてそれにマンティが挑む」

マンティ「!」

パピヨン「これ、去年の約束。ちゃんと覚えてるから、今日までリハビリ頑張ったんでしょ?」

261 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/09(水) 00:06:13.96 ID:Gr51D2Pw0
マンティ「は、はぃ……はい!ご、ごめんなしゃい!」

パピヨン「んま、アタシとしても一緒に走りたいって気持ちはあるし、ライムの方にも頑張ってもらわないと……今度のレースでボコボコにしちゃって引退とかしちゃったらどうしよ」

いや、まあないだろうけど。それくらい圧倒的な勝利で分からせちゃう気持ちはあるし?

マンティ「……ふふっ。パピヨンさんは、変わらないですね」

パピヨン「とーぜん!アタシは何時だって変わらない!」

ピースサインでアピールなんかしちゃって。それに「おー……」とパチパチ拍手の音。

……と、なんだ自慢げに言っちゃったけど。アタシだって変わる、トレセン学園に入学してから今に至るまでアタシが変わらなかったことなんてない。

どれもこれも全部お兄さんのせいで、お兄さんのおかげ。

パピヨン「…………じゃあアタシ次のレース頑張るからね。チャンピオンズカップ、応援してね〜?」

マンティ「そ、それはもちろんです!あ、いやでもライムさんのことも……ど、どうしましょう……!ふえぇ……」

パピヨン「あー分かってる分かってる。勿論ライムも応援してあげてね?」

アタシだけ応援独り占めとかちょっとズルだしね?
262 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/09(水) 00:32:19.37 ID:Gr51D2Pw0
『…………』

トレーナーの業務の一環として担当ウマ娘が世間一般的にどのように思われているかの調査がある。これは担当ウマ娘へ危害を加えるような発言などがないかのチェックの一環として行われているもので、殆どがエゴサーチのようなものになっている。

――雑誌やテレビでは、少し早いがチャンピオンズカップの話題がちらほらと出ている。時期的にはスプリンターズステークス、少し先の菊花賞や秋華賞、天皇賞秋の話題が多いだろうに。

"――国外を制したウマ娘と国内現役最強のウマ娘、ダート二大ウマ娘激突!!"そんなタイトルの記事が目に滑り込んでくる。

シルヴァーパピヨン、そしてステラライム。どちらが勝つのか――そしてどちらが強いのか。そんなレースにおいて鉄板のような話題が今世間をにぎわせていた。

SNSなどを眺めてみてもどちらかを応援してるような書き込みや、どっちも応援しているという書き込みなど……勿論、ファンが多くなれば多くなるほどアンチというものも切っても切り離せない存在ではあるが……。

『まあ、それも当然だよな』

――では、今現在パピヨンとライム、どちらが世間的に優勢かというと――。


どっちに今軍配が:コンマ直下
コンマが高いほどパピヨン優勢、低いほどライム優勢。真ん中で同じくらい。
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/09(水) 00:54:18.71 ID:KqjBN7hDO
はい
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/09(水) 07:33:25.29 ID:Hq49Sn3ho
海外G1の威光や!
265 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/09(水) 18:38:34.55 ID:Gr51D2Pw0
ごめんなさい昨日寝落ちしてそのまま外出てました……再開します。



「シルヴァーパピヨンでしょ今回は。あのドバイのレースを見たら確信できる」

「パピヨンちゃんならきっと国内G1も勝てる!!」

「もうあの逃げにはステラライムも流石に無理でしょ」

――どうやら今の段階ではパピヨンの方が優勢だったみたいだ。SNSの書き込みを見て見るとやはりその要因にはドバイでのG1勝利……それが影響しているようだった。

だがその一方で「流石にステラライム相手にこの距離はスタミナ切れるでしょ」「海外の砂が合っていただけで日本で勝てるわけじゃない」という意見も見える。

……勿論言っていることの意味は分かる。パピヨンは生粋のスプリンター。初めて会ったあの日からスタミナには悩まされ続け、ステラライムと戦うときはいつも最後の最後で躱されている。

『……でも、だ』

それが事実だとしても――自分はそれに勝てるようにトレーニングを考えたつもりだし、自分の考えにパピヨンは乗ってくれている。

――――最高のライバル"青の流星"ステラライム。

ぜひ見てくれ。その流れる星よりも先に瞬く――蝶の羽ばたきを。そしてその頃にはもう、どちらが最強かなんて議論するまでもないだろう。
266 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/09(水) 18:40:36.93 ID:Gr51D2Pw0
パピヨン「お、に、い、さ、ん!」

放課後。トレーナー室にパピヨンが突撃してくる。勢いよく開かれた扉から駆け足でこちらに向かってきて、ニコニコした可愛らしい表情をこちらに見せつけてくる。

パピヨン「今日のアタシ、いつもと違います!何が違うでしょうか!」

『突然だないきなり』

さあ当ててみて当ててみて!と、その場でくるりと一回転……いや、パっと見だと何が変わっているのか何もわからないんだけど……。

パピヨン「…………じー」

『……』

…………ちらりと、尻尾を見る。

『尻尾に使ってるシャンプー……じゃないな、オイルがいつもと違う?新しい奴か?』

パピヨン「えっ!?なんでわかるの!?キモーい!!!」

『キミなぁ……』

折角当てたのに何でそう言われなくちゃいけないんだ。

パピヨン「好きなブランドの最新作なんだー、尻尾の艶とか毛並みもいつもよりちょっと違うでしょ?あとほら、匂いも違うし」

と、言いながらすりすり脚に尻尾をこすりつけてくる。まあ、確かにこうして近くで見ると結構違うな……匂いも甘いというより、スッキリした匂いだ。

パピヨン「…………えへ、お兄さんこんなところまで気づいちゃうんだ……❤アタシのこと大好き過ぎるでしょ〜❤」

……ニヤニヤこっちを見てくる瞳から逃げるように、視線を逸らす。
267 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/09(水) 18:57:04.15 ID:Gr51D2Pw0
以前募集して書くと言った小ネタですけどちょっとムリそうなのでここで消化させてください……全部書けなくて申し訳ないです。



チャンピオンズカップ前イベント2:安価下2まで。

1 パピヨンが【貴方】にウマ耳マッサージされる話
2 パピヨンがお兄さんが買った抱き枕に嫉妬する話
3 煽りすぎてちょっと分からせられるパピヨンの話
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/09(水) 19:08:53.21 ID:2j+n/QXuo
1
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/09(水) 19:23:20.62 ID:KqjBN7hDO
2
270 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/10(木) 00:14:39.97 ID:XYThoUOX0
パピヨン「かり、かり、かり……かりかり、かきかきかき……」

パピヨン「ぷぷ、お兄さんほんっとすぐ情けない声出ちゃうね〜?もうアタシ以外の耳かきじゃ満足できないよわよわざこざこのお耳になっちゃったね〜?」

パピヨン「……将来はお兄さんのお耳はぜーんぶアタシがお掃除してあげちゃうからね❤」

パピヨン「こら、動かないでお兄さん!あ、もうっ……!」

パピヨン「――ふ〜っ……❤」

パピヨン「はーい、アタシのお耳ふーふーでお兄さん黙らせちゃいま―す❤はいはい、もうちょっとで終わるから、我慢我慢だよ、お兄さん?」
271 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/10(木) 00:15:24.21 ID:XYThoUOX0
『…………』

何時からだろう、月に数回パピヨンに耳掃除をしてもらうようになったのは。

パピヨンから数回耳かきをさせろとお願いされて、言われるがまま耳を貸し……それが習慣化されているこの状況。不健全だと思ったことは――勿論ある。

しかし、事実気持ちが良いし睡眠も取れる。耳かき後のパピヨンの機嫌がすこぶる良いのもあって――止めようと言い出す機会が中々ない。

『……よし』

読んでいた本を閉じる。実は以前からパピヨンに対して何かお返しができないかと考えていたところこの本と出会った。

……自分が満足させてあげられるだろうか。パピヨンが嫌な気持ちになったらどうしようかと考えることもあったが――まあ、パピヨンなら許してくれるだろう。

――――ウマ娘にとって耳というのはとても重要な部分だ。感情表現や周囲の警戒、レース中も走る音一つで位置をキープしたりなど、用途は多岐に渡る。

――つまり、それだけ凝っているということだ。

272 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/10(木) 00:15:53.84 ID:XYThoUOX0
パピヨン「へっ?お兄さんがマッサージしてくれるの?」

『ああ、この前も自分の耳を掃除してくれたしそのお礼と思ってくれ。これでも色々と勉強したんだぞ?』

パピヨン「あー、確かにウマ耳って結構疲れとか溜まってるっていうよね?だからマッサージで揉み解そう〜ってこと?」

ちょっと前に友達がお店でやってもらったって言ってたかも。と、ぼんやりパピヨンが喋る。

……まあ、そういう専用のお店ほどではないが、そこそこいい線行くんじゃないかと自負している。

パピヨン「アタシも一時期極めよう!って思ってた時はあったけど、自分でやってもなんかよく分かんないし、尻尾のお手入れする方が気分も上がるから結局全然なんだよね〜……へ〜、お兄さんアタシのお耳マッサージしてくれるんだ?」

ニヤニヤと上目遣いで見つめてくるパピヨン。へ〜?ふ〜ん?と、まるでバカにするみたいな表情で。

パピヨン「もしかして〜普段アタシに耳かきでよわよわにされてるから仕返しってこと〜?ぷ、ぷぷぷ!お兄さんのそういうところ、良くないと思うな〜?」

『……別にそんな意図はないさ。いつもキミに手入れさせてばかりだと、不公平だと思ってな』

パピヨン「ぷっ、ぷはは!うんうんそうだね〜!お兄さんばっかり気持ちよくなってちゃアタシが損だもんね〜?でも〜……アタシそんな気持ちよくなるかな?」

アタシがウマ耳マッサージあんまやんなくなっちゃったのも、自分でやってあんまり気持ちよくなかったからなんだよね。なんかくすぐったいだけって感じ。

……そ、そうだったのか。じゃあパピヨンにはマッサージ効果がないのかもしれないな……。

パピヨン「でも、お兄さんがせっかく覚えてくれたなら、一回くらいやらせてあげよっかな〜。はい、じゃあどうぞ!」

そう言って、パピヨンは自分の膝の上にちょこんと座り。右耳に何時も付けている銀色のパピヨンマスクを外す。

……ふわふわとしていそうな銀色のウマ耳が目の前にある。心を落ち着かせて、まずは右耳から――。

パピヨン「お兄さんはアタシになっさけなーい声を出させて楽しみたいのかもしれないけど、ちょっとくすぐったいだけでそんな声なんてひゃんっ!?」

273 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/10(木) 00:16:36.27 ID:XYThoUOX0
『!?』

パピヨン「へっ……?やっ、ぇ……?」

――右耳の根元の部分を優しく触った瞬間、パピヨンの体がビクン!と揺れ、可愛らしい声がトレーナー室に響いた。

なっ、ぱ、パピヨン……?

『だ、大丈夫かパピヨン!?い、痛くなかったか!?』

パピヨン「ち、ちがっ……!こ、これはその、ちょっとびっくりしただけだから!ほ、ほら続けて続けて!」

……ほ、本当に大丈夫なんだろうか。しかし、パピヨンが大丈夫だというなら大丈夫か……?

……気を取り直して右耳を触る。

パピヨン「んっ……」

耳の根元を親指で軽くぐりぐりと押してあげる。円を描くように揉み解すと、モジモジとパピヨンの体が動き甘い声が漏れてくる。

耳の根元を揉み解した後、次は耳全体を刺激させていく。親指と人差し指を使ってぎゅっ、ぎゅっ……と左右から耳を押しつぶす。

パピヨン「ふっ、くぁ……!ひぅぁ……!」

あとはそうだ、確か……。

『……声、我慢しなくていいからなパピヨン。パピヨンの耳、ふわふわしてて気持ちが良いな』

パピヨン「ひゃぁ!?み、耳元で喋んないでぇ……!ひぅ……!」

いつも自分にしてくれているみたいにパピヨンの耳元で囁いてあげる、うん。だいぶいい感じだ。

274 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/10(木) 00:17:14.67 ID:XYThoUOX0
――右耳の先っちょをつまんで、真上に軽く伸ばして伸ばして……ぺたんと折り畳み潰す。

パピヨン「んっ、んぁ、ふぁ……ぃ……っ!」

――ぎゅーっ、ぺたん。ぎゅーっ……ぺたん。気持ちいいか?

パピヨンの耳全体がぽかぽかとあったかくなってくる。次は軽く爪を立ててこしょこしょと擽ってみたりする。

――こしょこしょ、こしょこしょこしょ。

パピヨン「ぁああぁあぁあぁ〜〜〜っっっ❤❤❤」

ふにゃふにゃの声と一緒にパピヨンの体重が自分の胸にかかってくる。よし、問題なさそうだな。

次は左耳だ。先ほどと同じように解して押して潰して擽って……とにかく耳を揉みくちゃにしてあげよう。

パピヨン「ぁ……!やっ、それ、やだっ……っ!ぃ……んっ」

パピヨン「にゃ……ぁ……❤ふぃ……んっんぅ、ひゃぁ……!」

もみもみ、ぎゅっぎゅっ……ぺたんぺたん。

かりかり、こしょこしょ、ぽしょぽしょ…………。

――――ふーっ。

パピヨン「っっっ!?!??!?!❤❤❤」

275 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/10(木) 00:17:45.43 ID:XYThoUOX0
――――――――――――――――

――――――――

――――

――

『……よし、終わりだパピヨン!…………パピヨン?』

マッサージが終わりパピヨンに声をかけるが、反応がない。

パピヨン「…………っ、ぁ……?」

眠ってしまっていたか……?と思い不安になったが、どうやら意識はあるようだった。

……完全に自分に体重を預け、目元も口元もとろんと蕩け切ったパピヨン。口からは少し涎も垂れてしまっていた。

近くのティッシュ箱からティッシュをつかみ、パピヨンの口元を拭ってあげる。

パピヨン「………………」

『……大丈夫か?パピヨン?おーい……?』

――――結局、パピヨンの意識がはっきりしたのは十分ほど経ってからだった。

意識を取り戻したパピヨンは顔を真っ赤にしながら何か大きな声で怒り、ぷんすことトレーナー室を飛び出してしまった。

……もしかして嫌だったか、と不安になったが……。

パピヨン「………………お、お兄さん。その、あの……あ、あのさぁ……」

――――後日、モジモジと恥ずかしそうにしながらもう一度マッサージをして欲しいとお願いされて。その不安も吹き飛んでしまった。
276 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/10(木) 00:19:39.91 ID:XYThoUOX0
凄い時間かかっちゃいましたけど今日はこれで終わりです。お疲れさまでした。

次更新は抱き枕に嫉妬する話です。


パピヨンの耳はもう後戻りできない。
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/10(木) 12:39:44.84 ID:4mzKYFSqo
普段隠してる部分を露出させて、手でもみくちゃにして蕩けさせて、快楽の虜にさせる
うーん健全!!!

やっぱり>>1のお耳マッサージ描写ーよ最高だよ!
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/10(木) 21:56:18.34 ID:sT2AUxsM0
相変わらず防御が紙だけど関係性が進みまくってる…同期組で完全に抜けたな
279 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/12(土) 00:37:31.03 ID:tOAnJqPx0
パピヨン「お兄さんいる〜?実はお願いがあるんだけど……ぉ?」

『…………』

ちょっと欲しいものがあったからお兄さんにおねだりしようとトレーナー室に入ると……お兄さんが眠ってた。

ずっと前から置いてあるソファに横になって、すぅすぅ小さな寝息を立てながら。気持ちよさそうに眠ってる。

パピヨン「わっ……わぁ〜!お兄さん、寝てる〜……!」

お兄さんを起こさないように近寄って、寝顔をまじまじと見つめる。わ〜……ぷぷ、お兄さんの寝顔かわい……❤

……てかお兄さん、こんなところでぐっすり眠っちゃうくらい疲れてたんだ。いつものことなのは分かってるけど、お兄さんあんまりこういう姿見せないからなぁ……。

…………うりうり、トレーナー室で寝るならちゃんと家で寝ないとでしょ〜?

パピヨン「……というか、お兄さん抱き枕抱いてるじゃん」

よくよく見るとお兄さんは何かを抱きしめながら眠ってた。寮のアタシの部屋に置いてあるのと同じペンギンの……えっ!?

パピヨン「な、なんで――あ。そうだ、前に同じペンギンのぬいぐるみ買おうか悩んでるって言ってたっけ」

お兄さんが寝不足っぽかったからアタシのペンギンぬいぐるみを貸してあげて、それで睡眠の質を〜……って話の時だ。てか、睡眠の質とか考えてぬいぐるみ買うなら最初からちゃんと寝なきゃダメだって。

『……すぅ』

パピヨン「…………』

お兄さんがソファの上で、ぎゅうっとぬいぐるみを抱きしめながら眠ってる。

…………なんかモヤモヤする。

280 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/12(土) 00:38:45.71 ID:tOAnJqPx0
パピヨン「……」

お兄さんが気持ちよさそうに眠ってることはとても嬉しい。けどなんでこんなにモヤモヤするの……?

パピヨン「……おいペンギン。えいえい」

――何このペンギンお兄さんに抱かれてるの?アタシの方が先にお兄さんにぎゅうううって抱きしめられたし、一緒に寝たんだけど?

ぬいぐるみを抱くよりも、アタシを抱いた方がお兄さんもぐっすり眠れるんだけど?アタシの方がいろいろ柔らかくて気持ち良いんけど?

パピヨン「…………えいっ!」

お兄さんの腕を緩めて、一気にぬいぐるみを引っこ抜く。そして慎重にゆっくりと……お兄さんと一緒にソファに横になる。

ソファが狭いせいで下手したら落ちちゃうから……ぎゅううう、ってお兄さんを抱きしめて。落ちないように工夫する。

パピヨン「…………えへっ。抱き着いちゃった……❤」

あの日はお兄さんがアタシをお布団に引き込んだけど、今日はアタシが……お兄さんのソファに入り込んじゃった。うわっ、お兄さんの顔近すぎ……。

パピヨン「ん〜……❤お兄さんポカポカで、なんだか良い匂いもする……スンスン」

お兄さんの胸に顔を埋めて匂いを堪能する。すりすりと頬もこすりつけて、マーキングもしちゃう。

『……んんっ……?んぅ……』

パピヨン「きゃっ、お兄さんモゾモゾしないで……くすぐったいよ❤」

ペンギン見てる〜?やっぱりお兄さんはぬいぐるみよりアタシの方が嬉しいみたいだよ〜?せっかくお兄さんが睡眠のために買ったのに、ごめんね〜?

…………ふぁぁ。

パピヨン「なんだか眠くなってきちゃった……寝ちゃお」

今日はお兄さんに用事があったけど……まあいいや、今日は……お兄さんとお昼寝の休憩日にしちゃお。

おやすみなさいお兄さん。ぎゅううう…………。

…………すぅ。
281 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/12(土) 00:39:59.86 ID:tOAnJqPx0
――――――――――――――――

――――――――

――――

――

『…………』

パピヨン「……むにゃむにゃ」

仕事中、少し疲れがたまっていたのと感じて仮眠をしたんだが……どうしてこうなった。

『……パピヨン、パピヨン?』

軽くゆすってみるが起きる気配はない。自分はペンギンのぬいぐるみを抱いて眠ったはずなのに……ああ、地面に落ちてる……。

『……パピヨンの家でもこんなことあったな』

パピヨンの部屋の次はトレーナー室で。はあ、どうしてパピヨンは自分と一緒に……。

……甘い匂いと花のような匂いがする。多分使っているオイルの匂いだろう。サラサラとした尻尾が自分の脚をくすぐって、妙にドキドキしてしまう。

パピヨン「すぅ、すぅ……」

『はぁ……』

もしかしてこれもパピヨンからの揶揄いの一部なんだろうか。こうやって体を密着させて、自分の反応を楽しむみたいな……いや、にしてもぐっすり眠っているな。

…………いつか本当に捕まりそうだな自分。しかしまあ、このトレーナー室ならきっと……ギリギリ問題ないだろう。

『……いつの間にか、じゃなくて……ちゃんとお互いに一緒に眠れる日が来るといいな、キミと』

そう思いながら、静かに自分は目を閉じた。
282 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/12(土) 00:55:03.00 ID:tOAnJqPx0
>>277,278
ありがとうございます。健全なのばかり書きたいです。
パピヨンは告白してすべてぶち抜けた……お兄さんもそれにつられていろいろぶっ壊れた……


今日はこれだけ。おやすみなさい。次、チャンピオンズカップ前イベント最後です。そしておそらくパピヨン自由イベント最後です。

特に何も決めてないので、自由安価になるか良いの思いつくかになりそうです。
283 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/12(土) 00:56:42.30 ID:tOAnJqPx0
あと質問なんですけど、次ウマ娘募集するとき用のオリウマ娘もう作って温めてる人いますか?

色々考えてるので作ってる人が多かったら色々考えてます。前作成した時のテンプレもありますので。
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/12(土) 05:04:44.05 ID:AIy7wzgDo
おつおつ
これで清い関係は保ってるからバレても相手が赤面するわ!

パピヨンの物語もいよいよクライマックスか、感慨深い

案はありまーす
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/12(土) 13:22:38.38 ID:wr/0og+Q0
万一負けてもトレーナーに慰めて貰えるぜ
キャラはあるにはある
286 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/12(土) 21:02:29.92 ID:tOAnJqPx0
結構キャラ作ってる人いる感じですね、じゃあまあ普通に募集しようと思います。

ありがとうございましたー。



11月。チャンピオンズカップまで残り一か月。

――ライバル、ステラライムとの決戦に向けてトレーナーとして何ができるか――トレーニング以外にも何かパピヨンにしてやれるんじゃないかと考える。

パピヨン「お兄さん揺れないで、座りにくいから」

『……パピヨン、ちょっとパソコンが見えないんだけど』

パピヨン「えー、今はお休みしようよお休み。アタシ今スマホ見てるから、もう少し待って」

……当然のように自分の膝の上に座り、スマホをいじってるパピヨン。パピヨンの後頭部でパソコンの画面は隠れ、何も見えない。

『今からキミのために色々と仕事しようと思ってたんだけど』

パピヨン「トレーニング以外で何かできないか〜みたいな?さっき言ってた気がするけど、アタシはこれが今一番嬉しいけど?」

そう言って、嬉しそうにニヤニヤ笑いながら頭を自分にこすりつけてくる。いや、まあそう言ってくれるのは嬉しいんだけど……。

パピヨン「別にさぼりたいわけじゃないよ?お兄さんが頑張って仕事してるのも、色々トレーニングの論文とか見てるのも知ってるけど――でも、アタシがこうやって休んでるときは、お兄さんも休んで欲しいな〜……なんて」

だって、レースの時に体壊して入院しちゃいました!とか……笑えないからさ。

『……パピヨン』

パピヨン「だから今日くらいはお休みしよ?ね、今日一日くらい大丈夫だって――勿論、トレーニングとかレースの研究もアタシ頑張るからさ」

――――レースまで残り一か月。頑張りすぎだとパピヨンに言われ、とりあえず今日は色々とお休みすることになった。

――だいぶパピヨンに甘くなったし、自分にも甘くなった気がする――けどまあ、問題ないというなら、問題ないだろう。
287 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/12(土) 21:06:29.91 ID:tOAnJqPx0
チャンピオンズカップ前イベントラスト:自由安価下2まで
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/12(土) 22:18:36.56 ID:AIy7wzgDo
シルフィに勝ってくるから宣言しとく
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/12(土) 23:34:42.35 ID:DD6ExtiUo
ここでライム陣営の様子を見たい
290 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/13(日) 00:01:23.79 ID:CSIuROC1o
お疲れ様です。

ごめんなさいちょっと寝ます…ありがとうございました。
291 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/13(日) 23:46:42.53 ID:CSIuROC10
パピヨン「シルフィーって来週のG1出るんだよね。エリザベス女王杯」

自室。勉強机に向かって何か本を読んでいるシルフィーに話題を振る。

シルフィー「あ、は、はい!お、覚えていてくれたんですね……」

パピヨン「そりゃアタシだってルームメイトのレースくらい把握してるって。現地には行けないけど、テレビで応援してるね〜」

おりゃおりゃ、とシルフィーの頬っぺたを後ろからムニムニと触ってマッサージ。や、止めてくださいよぉ……!涙目で言われてしまってので止めてあげる、ムニムニ。

シルフィー「今年はG1にまだ挑戦していませんでしたので、エリザベス女王杯が今年初のG1レースとなるんです……ですから、み、見ていてくださいね……パピヨンさん」

パピヨン「――――うん、勿論見るよ。シルフィーが勝つところ、だってシルフィーもずっと頑張ってたもんね」

頑張ったから勝てるなんて甘い世界じゃない、けどそれでも――頑張った人には勝って欲しいし、仲が良い人ならなおさらだ。

パピヨン「んじゃ、今月来月でG1勝利部屋にしちゃおうここ!今月はシルフィーで、来月はアタシ!」

シルフィー「……!ふふ、パピヨンさんそれ良いですね……凄い話題になっちゃいそうで」

パピヨン「でしょ〜?」

292 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/13(日) 23:47:35.52 ID:CSIuROC10
パピヨン「じゃ、来月のアタシのチャンピオンズカップ、テレビで応援しててね」

――勝ってくるから。ステラライムに。シルフィー相手に宣言して、約束する。

シルフィー「……はい、見てますよパピヨンさん」

パピヨン「ぷぷ、ほんとかな〜?実はライムの方応援しちゃうとかない〜?」

シルフィー「なっ……!や、止めてください!そりゃ、ライムさんも……友達ですけど!」

パピヨン「ぷはは!冗談冗談、いやまあ別にライムを応援してもいいよ?勝つのはアタシだけど」

シルフィー「むぅ……なんか意地悪です。じゃ、じゃあ良いです!私も……ぱ、パピヨンさんの応援とかいらないですから!」

――あ!シルフィーもそういうこと言うんだ!

パピヨン「なにおー!?すっごいシルフィーのこと応援するけど!?当日は横断幕とか作っちゃうし!」

シルフィー「わ、私は……お、応援歌とか作っちゃいますけど!」

ぎゃーぎゃー!わーわー!

――――とかこんなことを言い合って、最後はバカみたいに笑いあってお互いに眠った。

うん、シルフィーとはこういうことが結構できるからいいよね〜。

……ちゃんと、勝たないとな。あーあ、ここでも約束しちゃった……けど、それも全部全部背負っていこう。
293 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/13(日) 23:51:28.47 ID:CSIuROC10
グリーンシルフィー、久しぶりのG1エリザベス女王杯:コンマ直下

1-3 1着!
4-5 2着……
6-7 3着……
8 掲示板……
9 あちゃぁ
0 おおっと
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/14(月) 00:00:43.38 ID:oqZj7N8Oo
ヌッ
295 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/14(月) 00:34:06.57 ID:Nw/DCeu3o
やっぱりなかなかレース結果が振るわないっすねぇ
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/14(月) 01:13:13.60 ID:hpECAwbIo
ここのコンマ神ここっ! てときにしかデレないの徹底してるよな…
297 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/14(月) 02:47:27.59 ID:Nw/DCeu30
エリザベス女王杯当日。トレーナー室のテレビで中継を見て、シルフィーを応援していたけど――。

パピヨン「あ"ぁ"ぁ"〜〜〜……!!!」

『……スパートのタイミングが少し遅かったな。あと近くに居た4番のウマ娘……あの子の位置取りを考えると――いたっ!』

パピヨン「冷静に分析しないで!」

――5着。そりゃ、レース展開とかタイミングとかが重要なのは分かるけど。あんなずっと頑張ってたシルフィーが……いや、分かってる、分かってるけど……。

パピヨン「…………ますます負けられないじゃん」

『……?』

パピヨン「約束してたの!シルフィーがエリザベス女王杯勝って、来月のチャンピオンズカップでアタシも勝つ!それで二か月連続G1勝利コンビ!って!」

『あ、あぁ……そんな約束してたのか。そっか……じゃあ、せめてな』

パピヨン「……うぅ〜!シルフィー、大丈夫かな……後で電話しよ」

負けちゃったシルフィーの分まで、次のレース頑張らないと……絶対勝つ!ぞー!

パピヨン「あ、帰ってきたシルフィーが落ち込んでたら……尻尾の手入れと、ハグと……あ、じゃあウマ耳のマッサージも気持ちよかったし……」

『……尽くすの好きだな、キミは』
298 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/14(月) 02:57:11.98 ID:Nw/DCeu30
お疲れ様でした、今日はこれで終わりです。ありがとうございました。
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/14(月) 04:29:41.43 ID:hpECAwbIo
おつー
その感想はお兄さんよくパピヨン見てるなあやっぱり
果たしてVSライムは……!
300 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/14(月) 20:29:09.87 ID:Nw/DCeu30
ライム「――――今だ、ここ……!」

最終コーナーを回り最終直線に入ろうとしたタイミングで一気にスパートをかける――!脚に力を入れ、地面を蹴り飛ばし前に突き進む――タイムは!

ライトレ「よし、タイムに狂いはないぞライム。いったん休憩の後もう一度だ!」

ライム「っはい!」

駆け足でトレーナーさんの元に向かい、ボトルとタオルを受け取る。11月のもう冬に足を踏み入れたこの時期に、むわむわと汗が乾き、私の体から蒸気が昇る。

――チャンピオンズカップのための練習。逃げるウマ娘とのレースでも自分のペースを忘れないため体内時計をしっかり整える練習。

そして最後、絶対に相手を差せるタイミングでスパートをかける――逃げを許さない、先頭の景色なんて見させない。

ライトレ「……ライム、調子の方は大丈夫か?脚に違和感とかはないか?」

ライム「はい!トレーナーさん、大丈夫です!特に違和感はなく、問題なくトレーニングできてます!」

ライトレ「なら良かった……ライムの年内最後となるG1レースだからな、トレーナーとしては怪我無く安全に走ってほしいんだ」

――優しそうな笑みを浮かべながら、私にそう語るトレーナーさん。

ライトレ「……それにライムにとっては、シルヴァーパピヨン……彼女との対決になるわけだしな」

ライム「はい、パピヨンさんに対してのリベンジで――この3年間の区切りとして、私は――世界に羽ばたくあの蝶を、捕まえなければいけないんです」

――きっと、パピヨンさんもおんなじことを考えているはずです。なんて自分で言うけれど、なんだか恥ずかしい。

301 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/14(月) 20:30:20.27 ID:Nw/DCeu30
ライトレ「――――ドバイゴールデンシャヒーンでの彼女のレースは見事だった、しかしそれは――彼女の適正に合っていたから」

世界の土が、1200mという距離が彼女の脚にハマっていた。だからこそあんなにも素晴らしいレースができた……しかし、彼女の脚はそれ以上の距離に対応していない。

――ずっと前からそう思っている、今も変わらずそう考える。なのに――――。

ライトレ「適性を無視した走りはトレーナーか担当ウマ娘のエゴで、そんな走りは脚にダメージを溜める――というのに、今の彼女からは……」

ライム「そんな適正も跳ね返して脅威になりえる存在――ですよね?」

ライトレ「………………」

何とも言えない表情で私を見た後、こくりと頷いたトレーナーさん!ふふっ、なんだかちょっと誇らしいです!

ライム「パピヨンさんはちゃんとマイル戦も勝っていますし、この間のエルムステークスも1700mで去年とで連覇していますし……それでも認めてませんでしたよね?」

ライトレ「……いや、今はちゃんと考えを改めている。適性に合った走りをするべきで、適性に合っていないレースには出るべきではないとは今も思っているが……シルヴァーパピヨンにとってはそれが少し違っていた」

真面目な表情になって、トレーナーさんがパピヨンさんのことを語り始める

ライトレ「そう、シルヴァーパピヨン――彼女はマイルじゃなくて長めの短距離を走っていたんだ。彼女のスピードとパワーが長い短距離も走れるだけの適性を生み出した……そう考えている」

ライム「…………長めの短距離?」

ライトレ「そうだ、長めの短距離だ。1700mも1800mも……彼女にとっては短距離に分類されるんだ」

……う〜ん。う〜ん……。

ライム「…………そうですね!確かにちょっと長い短距離かもしれませんね!」

ライトレ「ああ、やはりそうだよな。トレーナーになってから結構な経験を積んだが、まだまだ自分も――」

トレーナーさんって、なんかこういうところあるんですよねぇ……真面目な方なんですけど。

――――待っていてくださいねパピヨンさん。どちらが最強か、知らしめてあげますから。
302 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/14(月) 20:31:53.24 ID:Nw/DCeu30
とりあえずこれだけ。書けたら今日中にチャンピオンズカップ結果コンマ判定まで。
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/14(月) 20:40:17.96 ID:hpECAwbIo
まあ有馬はマイルとも言われますし………
304 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/14(月) 23:19:20.94 ID:Nw/DCeu30
――中京レース場、ダート1800m、G1"チャンピオンズカップ"

寒空のレース場に最高峰のダートウマ娘が集う。出走ウマ娘を見ても、ダートで名を挙げた強者ばかりのそのレースに……彼女は参加できるだけの実力があった。

『最後に確認をしよう』

今回のレースに逃げウマ娘はシルヴァーパピヨンしかいない。つまりパピヨンが今回のレース展開を操作すると言っても過言ではない。

キミの走りで後方のウマ娘はペースを変えるかもしれない、それによってスタミナをぐちゃぐちゃにかき混ぜて最後逃げ切れる――そんな作戦もありえたかもしれない。

が――しかし。

『……キミにはそんな作戦必要ないだろう』

ただただ脚を動かして、腕を振り、全力を出し切る。最後の最後まで気力を振り絞り、スタミナ全てを使い切って――駆け抜ける。それがシルヴァーパピヨンのレースだし。それ以外にシルヴァーパピヨンのレースは存在しない。

自分が憧れた走りがそれで、見惚れた走りはそれ以外にあり得なかった。

『パピヨン……?』

レース場控室でこうして確認をしているが、パピヨンからの返事が一つもない。何か不調かと不安になったが――どうやら問題はなさそうだった。

パピヨン「ん……ごめんお兄さん。ちょっと集中してた、ちゃんと話は聞いてたから大丈夫だよ」

――――目を瞑って、瞑想をしていたパピヨン。勝負服の背中にプリントされた溶けた銀色の蝶が、まるで彼女の滾る熱によって溶けてしまっている――そんな風に見えてしまう。

……膝下のダメージソックスも、ピンヒールブーツも、どんな意図でデザインしたのか分からない面積のインナーも、いつも身に着けているパピヨンマスクも、そして一枚のパーカーも。彼女を表すには十分すぎる勝負服だった。

――どんなに傷を負っても、どれだけ不安定な適性で、周囲をハラハラさせるその性格も、己の本質を隠す小さな仮面も、燃えるレースへの情熱も――全部全部、シルヴァーパピヨンというウマ娘の要素そのものだった。

……いや、多分考えすぎだと思う。パピヨンはそこまで考えてデザインしていないはずだ。
305 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/14(月) 23:19:57.40 ID:Nw/DCeu30
パピヨン「……ねえ、お兄さん」

『ん、どうした――』

パピヨンが静かに立ち上がって、何も言わずにスタスタとこちらに向かって歩いてきて……ぎゅっ、と抱き着いてきた。

自分の胸に顔を埋め、静かに抱きしめる力を強めてくる。

『……』

パピヨン「…………ん、ありがと。最後に充電したかったんだ〜……えへ」

埋めていた顔を上げて、上目遣いでにや〜っと笑う。すりすりと尻尾が脚に絡みついてきて擽ったい。彼女がこうやって尻尾を脚に絡ませてくるときは大抵、甘えたかったり心がちょっと不安定だったりするときだ。最近気づいたことだが。

『……不安か、やっぱり』

パピヨン「……そりゃね、色んな人と約束しちゃったから」

ステラライムとはどちらがダート最強か決めると約束し、ブラックマンティスとは最強となって立ちはだかると約束を、そしてグリーンシルフィーの分まで今回のレースを走り、勝利をすると約束をして。

沢山の約束があった、つまりそれだけパピヨンには――期待をされている。約束を果たしてほしいと、色んなウマ娘の想いが乗りかかっている。

パピヨン「沢山走って色んな人からそういうの貰ってるから、ちょっとは慣れたっちゃ慣れたけど……まだまだ怖いし、不安なんだよね」

『……ああ、そうだな』

パピヨン「勿論、そういうのからはもう逃げないって決めたけど……逃げないために、ちょっとだけ。お兄さんのことを補充したいな〜って、お兄さんパワーをアタシに吸わせろ〜って感じで」

なんなんだお兄さんパワーって、とは思いながら……要するにハグをして心を落ち着かせてレースに行きたいということだろう。

…………自分の両腕を、彼女の背中に回す。
306 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/14(月) 23:20:31.13 ID:Nw/DCeu30
パピヨン「ひゃぁ!?お、お兄さん……?」

『もっと沢山充電しよう、それでキミが落ち着けるなら幾らでも。それでしっかりと……満足する走りを皆に届けよう』

パピヨン「…………えへ、お兄さんってアタシに甘いよね。そういうところ、アタシ大好きだよ」

『……自分もキミのそうやって素直に伝えてくれるところ、好きだぞ』

パピヨン「…………!??!?!??!?!?」

しまった……言い過ぎたか。レース前にこれはちょっとまずいな。

パピヨン「はっ…………は、はーい!はいはいはい!もうお兄さんパワー終わり終わり!これ以上は……あ、溢れちゃうから!もったいないもったいない!!!」

『……ん、そうか』

顔を真っ赤にしてパピヨンが離れてしまった……離れるときにちょっとお腹をパンチされたな、痛くはなかったが。

パピヨン「じゃ、じゃあ行ってくるから!!!お兄さん……応援しててね!」

逃げるように控室から出ていこうとするパピヨン――ダメだ、まだ言っていないことがある。

『パピヨン!』

パピヨン「ちょ、ちょっとなにお兄さん!ア、アタシいま恥ずかしいんだけど……!顔も熱いし――」

307 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/14(月) 23:21:15.65 ID:Nw/DCeu30


『――――頑張れ!キミは、キミらしい走りをしてくればいい!』

とても楽しそうに走るキミの姿に――自分も、皆も期待してるよ!と、叫ぶ。

パピヨン「…………!」

……一瞬の、沈黙。そしてパピヨンは、嬉しそうに笑って。



パピヨン「あーあ、そんなこと言われたら――背負うしかないじゃん!お兄さん!」



――――オッケー任せておいて!アタシはアタシらしく走るから!行ってきます!



ああ、行ってらっしゃい――!その言葉が、パピヨンの耳に届いているかは分からないけれど、この想いはきっとパピヨンに届いているだろうと確信は――あった。



308 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/14(月) 23:21:48.80 ID:Nw/DCeu30
"砂上の戦いを求める猛者が集う!ダート王決定戦、チャンピオンズカップ!"

"今日の主役はもちろんこのウマ娘!一番人気シルヴァーパピヨン!ドバイゴールデンシャヒーンでは見事な逃げ切り勝ちを決め、前走エルムステークスでは連覇も決めております。蝶のように舞う華麗な逃げはこの日本でもその力を証明できるか!"

"そしてこの人気は少々不満か。二番人気、去年チャンピオンズカップ覇者にしてレコードホルダー!ステラライム!流星のごとくその走りは逃げる蝶を打ち抜くか!そしてチャンピオンズカップ連覇を果たすことはできるか――!"

パピヨン「…………会えたね、ライム」

ライム「そうですね……パピヨンさん。会いたかったですよ」

わぁあああああああああ……!!!と観客の歓声が聞こえてくる、アタシとライムが向かい合って何か喋っているんだ、何か宣戦布告とかしてるんだろうと盛り上がってるんだろうなぁ……。

……でも、そういうのって全部全部前にやっちゃってるからなぁ。

パピヨン「ん、今更何か言うつもりはないけど――宜しくね。そっちも別に何か言いたいこととかないでしょ?」

ライム「ええ、話したいことも語りたいことも、全部あの日夏合宿の夜に話しましたから」

――――ライムの後ろから隠しきれないオーラみたいなものが見える。今すぐ走りたい、今すぐアタシと競いたいという思いが――いや、隠し切れないじゃなくて隠してないんだ。これ。

……嬉しいじゃん。だったらアタシも――相応に応えてあげるから。

パピヨン「……っし、じゃあちゃっちゃと決めちゃおうか。どっちがダート最強か――!」

ライム「――お互いがお互いのリベンジのために。証明しましょう、パピヨンさん!」

"どのウマ娘も気合十分!良い表情をしております!"

"――各ウマ娘ゲートイン完了、出走準備整いました!"

パピヨン「…………っ!」

――よし、頑張ろう。ゆっくり息を吸って、吐いて――心を、落ち着かせて。

――――あとは、ゴールの向こうだけを見つめよう。



"さあ今ゲートが開きG1チャンピオンズカップ!スタートいたしました!!!"



309 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/14(月) 23:23:11.33 ID:Nw/DCeu30

結果は:コンマ直下
1 自由に、楽しく、奔放に――逃げる、ただそれだけで
2-4 "砂上の銀の蝶"
5-7 "青の流星"
8-9 煌めく流星は瞬いて、誰もが目を奪われて――。
0 おおっと
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/14(月) 23:23:38.08 ID:l8R9W6/Yo
いざ勝負
311 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/14(月) 23:33:27.06 ID:Nw/DCeu3o
お疲れさまでした!今日は終わりです!ありがとうございました!

ステラライムが強すぎる!最後の最後まで!!!
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/15(火) 01:00:52.27 ID:wiSxMGOpo

このスポ根爽やか魔王最後まで堂々高い壁だったな
でもライムいなかったらパピヨン海外挑戦なんてならなかったと思うしいいライバルよなー
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/15(火) 12:19:13.31 ID:9o76oXEAo
ドバイ前国内ライム:厳しい国内ダート適正と距離適性+バカつよライム=どうやって勝つんですか?(現場猫)

ドバイゴールデンシャヒーン:適正ヨシ!距離ヨシ!相手は強いけどここまで来れたなら勝ちの目は十分ある実質ラストバトル

ドバイ後チャンピオンズカップ:今だから改めて分かる初期ライムの強さ(ここまで鍛えたパピヨンでほぼ互角の)、イベントマッチ

ゲームだとこんな感じかなぁ
立派だ、よく頑張ったよ
幻視する実馬正史は多分ドバイ走ってない、子が国外砂でめっちゃ活躍して、パピヨンも走れたなら……を言われただろうし、そのアンサーを見れるシナリオは大変人気なのですね(早口)
314 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/17(木) 02:16:31.93 ID:GphOy83Z0
――砂を蹴り飛ばす。その体全部を使って、ただひたすらに全力に前を往く。

目の前には誰もいない、自分一人だけが独占しているこの景色が――どうしようもないくらいに、キラキラ輝いて……綺麗だった。

"最終コーナー!先頭は依然としてシルヴァーパピヨンが突き進む!3バ身ほど離れた位置に5番!そしてその後ろをステラライムが追う!そして2番、11番――!""

パピヨン「――――!」

は、はは、ははは――!と、笑いが止まらない。何か自分の中のネジがぶっ飛んでしまったんじゃないかとも思うが、きっとこれは正常だ。

――いや、正常なんかじゃない。こんな大舞台で笑いながら走るウマ娘なんて――きっとイカれている。

楽しくて楽しくてしょうがない。自由に走れるこのレースが、ライバルと競うこのレースが、色んな期待を背負って駆けるこのレースが――今のアタシには最高の時間だった。

――――ずっとずっと、この時間が続いてほしいとアタシは願う。

ライム「――――は、はははは!!!」

"さあ最終直線先頭はシルヴァーパピヨン!そしてその後ろからは――上がってきた上がってきたー!ステラライムが5番を交わし一気に先頭を狙いに行く!

"世界王者か!国内王者か!二人の王者の一騎打ち!シルヴァーパピヨン逃げる!ステラライム追走!残り――あと400m!"

――観客から、今日一番の歓声が沸き上がる――より一層、神経を集中させる。

315 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/17(木) 02:17:24.47 ID:GphOy83Z0
パピヨン「っ……ぁあああああああああああああああ!!!!!」

叫ぶ、自分の力全てを出し切るために。スピードもスタミナも全て限界を超えて出し切って、最後に出せるものは――ギリギリの根性だけだった。

負けたくない、絶対に勝ちたいという想い。ステラライムに絶対に負けないという想い一つで――駆ける。駆ける。駆ける!

ライム「やぁあああああああああああああ!!!!!」

後ろから近づいてくるステラライムの声。先頭は、先頭はアタシのものだ……!絶対に奪わせてたまるものか……!

心臓が爆発しそう、息が苦しい、今にもぶっ倒れそうな体を、根性で動かして――全力で突き進む。

――ずっと続いてほしいと願ったレースにも終わりがくるものだ。


パピヨン「あ"ぁ"あ"あ"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!」

ライム「っ―――ぁああああああああああああああああああ!!!!!」


――――青いウマ娘が、一瞬だけアタシと並ぶ。そして、瞬き一つする間に――アタシの視界が、一瞬だけ青く瞬いた。

"――ステラライム!ステラライム先頭!ステラライム先頭!ぐんぐんぐんぐん突き放す!これはシルヴァーパピヨン追いつけないか!?"


パピヨン「――――っ」

誰もいない景色に――青い星が流れてくる。

――ああ、くそ、くそっ……!なんで、こんな、こんなにさぁ……!

――――悔しいなぁ……!悔しいなぁ!

――――楽しいなぁ……っ!

316 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/17(木) 02:19:04.42 ID:GphOy83Z0
"――――ゴーーーール!一着ステラライム!二着シルヴァーパピヨン!ステラライム、見事チャンピオンズカップ連覇達成!国内王者はやはり強かった!!!"

パピヨン「はっ……はっ、はぁ……っ」

ゆっくりとゆっくりとスピードを落としていき――ゆっくりと、地面に倒れこむ。

前からべしゃぁと倒れる。全身砂まみれになって、寝返りをうち、空を見上げる――ダメだ、もう動けないや。全部全部使い果たして、完全燃焼……だなぁ。

……誰かの足音が、聞こえてくる。

パピヨン「ぉぇ……はぁ。はぁ……どしたの、王者様?」

いつもなら観客に向かって感謝の気持ちを伝えているはずのライムが――敗者のアタシを、見下ろしてくる。

ライム「――――今日は私がリベンジさせていただきました」

誰がどう見ても私の勝ちで、ダート最強は私だと証明されました――ですよね、パピヨンさん?と、語ってくる。

パピヨン「…………」

ライム「悔しいですよね、今すぐここで騒ぎたいくらいですよね?だったら――私は何時でも、貴女を待ち受けますから」

王者として、貴女の挑戦を待ちますと――ステラライムは、眩しい笑顔で、言いやがった。

…………。

パピヨン「はぁあああああああああ!!!んもームカつく!!!くそ、くそくそくそ!ライムさぁ――強すぎ!!!」

脚をじたばたと動かす!G1の舞台がなんだ!観客がなんだ!ムカつくものはムカつくし――悔しい悔しい悔しい!

パピヨン「絶対リベンジするから!――最強の椅子温めておいてよ!」

ライム「――――ええ、もちろんですよ。パピヨンさん」

それでこそ――私の最高のライバルです。

アタシのその宣言を、ライムはとても嬉しそうな表情で――受け止めた。

317 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/17(木) 02:19:48.35 ID:GphOy83Z0
――――――――――――――――

――――――――

――――

――

『――お疲れ様、パピヨン』

パピヨン「ん……ごめん、負けちゃった」

戻って来て早々、彼女の口から出たのは謝罪だった。

彼女らしくないとは思いつつ、それだけ彼女にとってこのレースが大きかったのか……それが伝わってくる。

『……とてもいいレースだった。確かに負けてしまったけれど……キミならこの負けを糧にできるだろう?このままライムに負けて終われるウマ娘じゃないのは、自分がよく知っている』

パピヨン「それはそうだけど!違うじゃん!ほら、ほらもっとアタシが喜ぶことして!」

滅茶苦茶怒られてしまった。

――パピヨンが喜ぶこと。尻尾の手入れを最初に思い浮かべたが――今のパピヨンと、自分ならきっと……。

『…………パピヨン』

そして自分は、最高の愛バに対して――大きく腕を広げて。

おいで。と、そう言ってあげる。

パピヨン「――――っ!!!」

『…………ぐえっ』

――突っ込んでくるパピヨンの力が強すぎて思わず声が漏れるが――倒れないよう堪えて、優しく抱きしめる。

――――悔しい悔しい悔しい!絶対次は勝つ!負けない負けない負けなーーーーい!!!

パピヨンの悔しい思いが響く。どんどん声が震えて、涙声になる……顔は見れないけど、頭をなでなでと撫でてあげる。


…………次は勝とう。キミと自分で、二人一緒ならどこへだって――手が届くはずだから。


318 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/17(木) 02:20:37.52 ID:GphOy83Z0



――――全ての目標を達成しました!


319 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/17(木) 02:22:33.28 ID:GphOy83Z0
安価無し、今日はこれで終わりです。ありがとうございました。

次クリスマスイベ、温泉イベ、そして最後の育成終了イベントです。どこかで安価挟みたいけど、なにかあるかなぁ……。
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/17(木) 12:17:09.01 ID:04EI4xQNo
おつおつ
青春よきかな…!
321 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/17(木) 20:26:46.89 ID:GphOy83Z0
クリスマスイベ、悩んでます
1 【貴方】宅、パピヨン突撃
2 クリスマスデート編
3 風邪を引いた【貴方】を看病してくれるパピヨン
4 それ以外

どれが良いですか。安価とかじゃないのでいいなーってやつください。
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/17(木) 21:43:14.82 ID:e0QNQ3Fpo
寮の皆でクリスマス前の忘年会、からの2への戦略会議へ
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/17(木) 22:35:55.38 ID:fifyN/8Wo
>>322
これに一票
324 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/18(金) 12:16:16.73 ID:aO1TTeFAO
これ作戦会議どっちがやるんだ…?パピヨンといつものメンツかな?

恋愛大好き娘の知恵が合わさるのか…?
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/18(金) 12:33:09.50 ID:P0Md6c9jo
イツメンだと思った
そうなると彼女らにトレーナーとの事が露呈する流れになるが……まあ時間の問題だったな!
326 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/18(金) 20:23:40.11 ID:aO1TTeFAO
何歩も先に進んだパピヨンを見ていつメンはなにを思うのか……

これは負けられないと幼馴染み君にもうアタックするステラライム……震え上がるシルフィーとマンティ……?
327 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/24(木) 23:15:26.73 ID:/gRpbJuM0
お久しぶりです。
そろそろ再開します。明日明後日とか。
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/24(木) 23:43:19.79 ID:rwD8TKy+o
おかえりー
329 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/26(土) 22:55:00.12 ID:YfXsexqa0
パピヨン「――――マンティ〜〜〜!!!」

マンティ「うひゃ!?ぱ、パピヨンしゃん……っ!?ちょ、わっ、わぁ……!」

――チャンピオンズカップを終えて。世間はクリスマス前ということでそれらの話題で持ちきりだったり、有馬記念とかのレースで大騒ぎだけど――少なくとも今この場所では違った。

パピヨン「お帰り〜〜〜!!!すっごい久しぶりな感じがする〜〜〜!」

そう、ついにマンティがトレセン学園に帰ってきた……!長い長い病院生活から、脚をちゃんと治して――戻ってきた!

ライム「マンティさんお疲れさまでした!無事に治ったようでよかったです……!」

シルフィー「お、おかえりなさいマンティさん…………!」

マンティ「あ、あのぉ……!う、嬉しっ、嬉しいんですけどぉ……!ひゃぅぁ、ぱ、ぱぴよんしゃんがぁ…………!」

ライム「……パピヨンさん、そろそろ離れましょうか。凄い困ってますよ」

パピヨン「やーん。マンティ……」

流石に抱き着いてむぎゅむぎゅするのはダメだった見たい。マンティの顔が真っ赤で今にも爆発しちゃいそうだもんね……失敗失敗。

でも、それだけ嬉しいってこと!

マンティ「ひゃぁ…………はっ!す、すみっませんっ!ちょっとぼーっとしちゃいました……!で、でも!脚は治ったんですけど、もう少しちゃんと走るリハビリとか練習も必要なので…………」

パピヨン「ん、良いの良いの!またマンティと走れるのが分かったんだから!――――ぷぷぷ、早く追いつかないと、待ちくたびれちゃうからね?」

マンティ「――はい、待っていてくださいね。パピヨンさん」

――――あーあ、これライムに勝ってから言いたかったなぁ!んもー!
330 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/26(土) 22:55:31.28 ID:YfXsexqa0

マンティ「……と、ところで今は何を……?ちょっと騒がしいような……?」

シルフィー「あ、そういえばマンティさんは知らないんですっけ?えっとですね――」

――クリスマスパーティーにはまだ早い、しかし現に美浦寮に所属するウマ娘たちは騒がしい。

色んなところに飾り付けがあり、寮の広間には様々な料理が並べられている。

ライム「今年はだいぶ早いですよね、クリスマス前に……」

――ヒシアマ姐さん主催で毎年行われている恒例の、忘年会だ!

331 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/26(土) 23:02:02.02 ID:YfXsexqa0
――――――――――――――――

――――――――

――――

――

今年は特に特に盛り上がった一年だった。それはきっとみんながそう思う――そんな一年だったと、忘年会の中、振り返る。

……ドバイゴールデンシャヒーンの勝利、エルムステークス連覇、そして――チャンピオンズカップでのステラライムとの対決。

記録にも残る、記憶にも残る――少なくともアタシはこの年のことを忘れることはない、絶対にない。

パピヨン「……えへ」

それに……お兄さんとも……えへ。

…………えへへっ。

シルフィー「…………パピヨンさんがずっとニヤニヤしてますよ」

ライム「あの、やっぱり……」

マンティ「…………パピヨンさん、やっぱり……うぅ」

……なんかめっちゃ見られてるんだけど。なに、そんなうわぁ……みたいな!

パピヨン「ちょっとそっちの三人!何見てんの!」

ライム「あ、いえいえパピヨンさん!私たちはそんな――――いえ、ここはもうはっきりと訊いちゃいましょう」

シルフィー「えっ、ら、ライムさん…………!」

ライム「パピヨンさん!貴女――と、トレーナーさんとその……な、なったんですか、そういう……仲に?」

真剣な表情で、興味津々そうな表情で、ライムがアタシとお兄さんとの仲を訊ねてくる。

もしここではっきりそうだと言ってしまったら……多分お兄さんが困るだろうなぁ。うん、別に言ってもいいけどここはお兄さんのためにもはっきりと…………。

パピヨン「え〜〜〜?えっ、そっ、そんな…………お兄さんと恋人とか…………そ、そんなわけないじゃん!で、でもぉ……そ、そっかぁ、そんな風に見えちゃうんだアタシたち……お兄さんの恋人みたいな……ふふっ」

マンティ「ぱ、パピヨンさぁん…………!」

332 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/26(土) 23:35:43.84 ID:YfXsexqa0
パピヨン「えへっ、それでさ、お兄さんがさぁ…………」

お兄さんとアタシが付き合ってることがバレちゃった……❤けどバレちゃったならしょうがないよね〜?

じゃあ隠す必要もないし、この三人は興味津々みたいだし……色々教えてあげちゃお〜。

あの日の告白のことも、お兄さんの返事も、そして今日までやった色んなことを!

パピヨン「凄い優しくて、良い匂いして……体つきとかも、すごい男の人って感じでぇ……❤」

シルフィー「ほ、ほほぉ……ほぉ……!」

マンティ「ふぇぇ……そ、そんな……パ、パピヨンさん凄い…………うわぁ……」

ライム「……今までの態度が一気に変わりましたね」

パピヨン「べ、別に変わってなんてないけど?ライムもさ〜、自分からアタックアタックしないと〜……幼馴染くんとか逃げられちゃ――痛い!抓らないで手の甲!」

ライム「パピヨンさん!!!」

興味津々に色々聞いてくるシルフィー、顔真っ赤ではわはわしてるマンティ、そしてなんとも素直じゃなさそうなライム。

ライムちょっとムスーっとしてるけど……耳がちゃんとこっち向いてるんだもんな〜!興味津々恋愛脳ウマ娘の一角のむっつりさんめ〜!

シルフィー「じゃ、じゃあ……!クリスマスにも……デートとかするんですか!?」

パピヨン「もちろん!きっとお兄さんから誘ってくれるだろうし……すっごい楽しみ!」

シルフィー「……あれ、パピヨンさんから誘うんじゃないんですか?」

パピヨン「だってクリスマスだよ〜?お兄さんからきっと誘ってくれるって!お兄さん優しいし……多分すっごいデート考えてくれてるよ!」
333 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/26(土) 23:55:20.47 ID:YfXsexqa0
ライム「…………それ、大丈夫ですか?」

パピヨン「は?なに、お兄さんとアタシの仲疑ってるのライム?」

ライム「別にそういうわけじゃないですけど……その、さっきのパピヨンさんの話だと…………まだ正式な恋人ではないんですよね?」

いや、もうほとんど恋人みたいなものだけど……ま、まあ。一応、トレセン卒業まで回答は未定ってことで…………。

でも!いや、そんなのほぼ恋人決定でしょ!?じゃあもう恋人!両想い!

ライム「……トレーナーさん、クリスマス忙しいんじゃないですか?年末ですし、恋人……いえ、パピヨンさんまだトレセン生ですし、世間的には……」

パピヨン「…………ぇ」

…………お、お兄さん考えてない?いや、いや、でもお兄さんとアタシは……で、でも……ぇ。

パピヨン「…………」

ライム「パ、パピヨンさん!?ち、ちがっ……す、推測!推測ですから!」

マンティ「パ、パピヨンさん!き、きっと考えていますよ!パ、パピヨンさんの……トレーナーさん、良い人ですから!」

シルフィー「じゃ、じゃあいっそのことデートのことこっちから誘っちゃうとか!」

パピヨン「そ、そそ、そう!いや、でもお兄さんがぁ……さ、誘ってくれる…………」

マンティ「と、トレーナーさんにデートを誘ってもらうため……デートまでの作戦会議しましょう!そ、それならどうでしょうか!?」

……ぐすっ。デートしたい…………じゃあ、お兄さんに色々……うぅ。

ライム「わ、私も手伝いますから……す、すみませんパピヨンさん……」
334 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/27(日) 00:08:28.04 ID:BqXiCNkd0
――――デートまでの作戦会議。

こんなことしなくてもお兄さんはデート……誘ってくれるはずだけど。でも、やっぱり、デートは絶対したいし……。

パピヨン「お、お兄さん、普通にデート誘って大丈夫かな……?め、迷惑じゃ……」

ライム「自分から告白してるのにいまさら何言ってるんですか……大丈夫ですって。ほら、お菓子食べて落ち着いてください」

パピヨン「……ありがと」

シルフィー「デートと言えば色々ありますよね。クリスマスですから、イルミネーションを見に行ったりとか……あ、レストランで一緒にご飯とか……!」

マンティ「お、お家デートとかもあります、よね……!聖夜に、二人っきりで…………!」

ライム「シルフィーさんとマンティさんはなんだかいつも以上にやる気ですね?」

……い、いえ。私も、ちょっと……興味はありますし、ドキドキもしますけど…………こ、こほん!

パピヨン「……お兄さん忙しいし、クリスマスもお仕事とかしてたし……」

ライム「パピヨンさん!ちょっと、いきなり弱気になるの止めましょう!?普段通りで行きましょう普段通りで!」

…………うぅ、なんか、一気に不安になってきちゃった……おにいさぁん……。
335 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/27(日) 00:14:30.35 ID:BqXiCNkd0
クリスマスデート作戦会議編

まずデート場所は……:安価直下
1 イルミネーション!
2 家デート!
3 その他(自由安価)
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/27(日) 00:16:34.68 ID:VAb4Hrhlo
1
337 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/27(日) 00:38:51.66 ID:BqXiCNkd0
お兄さんとイルミネーションを見たい!

どうやってデートまで持っていこう……:安価直下
1 それとなーくデートのこと匂わせてみるとか……
2 素直にデートしたいって言えばいいんじゃ……
3 その他(自由安価)
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/27(日) 03:22:11.60 ID:N7XM2gzEo
2
339 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/28(月) 00:19:18.11 ID:6JVayfYH0
『……そういえば今日はクリスマスか』

――クリスマス。年に一度の聖夜ということで世間は盛り上がり、一般的には彼女とデートをしたり家族と過ごしたり……というのが一般的だろう。

しかし、自分はトレセン学園のトレーナーだ。自分にそんなことをする余裕は…………ない。

『いつも以上に仕事が多いな……』

担当ウマ娘の取材依頼に撮影依頼、学園の必要書類の提出に、トレーニングメニューの見直しや研究……やることで言ったら盛りだくさんだ。

…………それに。

『……他の担当、か』

わが学園の理事長である"秋川やよい"理事長から依然このような相談を受けた。

端的に言えば――シルヴァーパピヨン以外のウマ娘を担当するつもりはないか、と。

学園の中にはチームを持ち複数のウマ娘を担当しているトレーナーもいる、しかしそれは経験豊富なトレーナーが行うものだが――おそらく、パピヨンを海外のG1で勝利に導いた実績を考慮されてのものだろう。

――あと、あのパピヨンと二人三脚で三年間無事にやっていけた対応力、も評価されているらしい……まあ、それは光栄なものだ。天晴ッ!とかかれた扇子がとても目立っていたことを思い出す。

『…………』

…………新米トレーナーの自分が、シルヴァーパピヨン以外のウマ娘も担当する。となると、当然パピヨンに割ける時間も減ってしまうだろう。

――はぁ。とため息をついてコーヒーに口を付ける。トレセン学園の来たばかりのころはコーヒーなんて飲めなかったら、今では燃料を補給するみたいに飲めてしまうのだから、恐ろしいものだ。

『パピヨンは、どう思うかな』

もし、自分が他のウマ娘も担当するという話をパピヨンにしたらどうなるか、そう考えていると――トレーナー室の扉が開いた。

340 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/28(月) 00:26:03.78 ID:6JVayfYH0
パピヨン「…………お、お兄さん?」

『ん……どうした、パピヨン』

トレーナー室に入ってきたのはパピヨンだった。なにやら緊張した様子で、自分と目線が合わない――今日はトレーニングも何も休みだから、特に何も連絡はしていないんだが――。

パピヨン「い、今大丈夫!?ちょ、ちょっと、おっ……お願い、があるん、だけど……」

『キミのお願いなら大丈夫さ、どうしたんだ?』

……耳がピコピコとせわしなく動いている。顔が赤く「えっと、あの……そのぉ……」と、中々お願い事が出てこない。こういう時のパピヨンは――――あっ。

そうか、さっき思い出したばかりだった――今日は、クリスマスで…………。

パピヨン「…………で、デート!……したいんだけど。今日、クリスマスだから……お、お兄さんが忙しくなかったら――ひゃっ!?」

『悪いパピヨン!そうだ、そうだよな……きっと、こういうのは自分から言うべきだった』

当然パピヨンと自分はそういう仲じゃない、それはあの夏祭りの日に宣言したしパピヨンも分かっている……はずだ。

けど、だからといって……そんな仲の女の子に、こんな思いをさせるわけにはいかないだろう。

彼女の手を握って、言う。

『――デートしようパピヨン。当日になってからで申し訳ないけど……もしキミが自分と過ごしてくれるなら』

パピヨン「…………っ!ぷっ……ぷはは!なにそれ、お兄さんさぁ……えへ。こんな日にお兄さんと一緒に過ごしてくれる女の子とか……アタシ以外にいないんだからね?」

感謝してよね、お兄さん?と、彼女は満面の笑みでそう言った。嬉しそうに尻尾がブンブンと揺れていて……思わず、こっちも笑ってしまった。
341 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/28(月) 00:52:36.44 ID:6JVayfYH0
昨日はすみません、途中で寝てしまってました。

安価もなしでこれだけです。お疲れさまでした。おやすみなさい。
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/28(月) 03:00:09.00 ID:1TB7dIWWo
おつ
甲斐性、甲斐性だよお兄さん
343 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/29(火) 01:49:09.61 ID:D4BrmwKA0
パピヨン「…………〜♪」

トレセン学園から少し歩くとカップルであろう男女がちらほらと見えるようになってきた。

……傍から見るとこっちもそういう風に見えているのだろうか。と、自分の腕にぎゅううっと密着して離れないパピヨンを見る。

黒いゴスロリチックの、全体的にもこもこふわふわとしたコートを羽織り耳当てを装備した完全防寒仕様のパピヨン。その見た目がなんだか羊みたいで可愛らしい。きっと触り心地も良いのだろう。

パピヨン「ほら、お兄さん!もっともっと近づかないと寒いよ〜?」

『……歩きにくいって。ほら、手は繋いであげるからもう少し離れて』

パピヨン「え〜?んー、もうちょっとこうしてる!」

…………今日のパピヨンには何も言えないな、と自分の中でパピヨンを受け入れる。つくづくパピヨンに甘いと思うが、もうこれが平常運転になってしまっているのだからしょうがない。

『まったく、転んでも知らないからな?』

パピヨン「だって転びそうになったらお兄さんが支えてくれるでしょ?」

『……まあ、それはそうだけど』

パピヨン「じゃあ問題ないじゃーん!えへへ、お兄さん暖かいでしょ?」

……自分の腕に抱きつく力がまた強くなった。もう何を言っても離れないだろうなぁ……。

パピヨン「……❤」

じぃ〜……っと、上目づかいで見つめられている。ほんの少しだけ目を細めて、まるで自分を誘惑するみたいに、クリスマスの街並みを歩きながら――パピヨンはなにも言わずにただただ見つめて、自分の反応を楽しんでいた。

344 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/29(火) 01:49:34.17 ID:D4BrmwKA0
――――――――――――――――

――――――――

――――

――

パピヨン「わっ……すごー……!」

『……本当だな、いや凄いな』

軽く食事を済ませて目的地であるイルミネーションが見れるスポットに向かうと――それはまさに圧巻だった。

木々に飾り付けられたLEDが、白く青く輝ききらきらと街を照らす。まるで雪が降っているように見えて、自分も目を奪われる。

――イルミネーションなんてまともに見たことはなかった、この時期のテレビでたまに見るくらいだったが……自分の目で見ると、やっぱり……凄いな。

『こんな綺麗に彩られるものなんだな、パピヨン……パピヨン?』

パピヨン「……わぁ…………!」

ちらりと、横にいるパピヨンに視線を向ける――イルミネーションにも負けないくらい、きらきらとした瞳をまっすぐ向けて、見つめている年相応の横顔に思わず……息を呑む。

――――あの日告白されたとき、自分の表情を好きになったと……パピヨンは言っていたが。なるほど。

……うん、分かるな。分かってしまうな、恥ずかしいけど。

パピヨン「……ぁ、ちょ、ちょっとなにお兄さん!アタシじゃなくて、イルミネーション見てよ!」

『あ、いや悪い悪い、ちょっと見惚れちゃってたよ……』

パピヨン「へっ?」

『イルミネーションとか実際に見るとこんなに凄いんだな。やっぱりキミと一緒じゃなかったらこの光景も一生見ることは――パピヨン?』

パピヨン「…………〜〜〜っっっ!!!ほんっと、お兄さんさぁ…………!ばか、ばかばかばか…………!」

ぽこぽこわき腹のところを殴られてしまう。な、なんでだ……いたっ、痛いっ!痛い!

345 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/29(火) 01:50:18.59 ID:D4BrmwKA0
パピヨン「お兄さんもうアタシにそういうこと言うの禁止!…………いや、ダメ、やっぱりダメ!もっと言って欲しい……」

『どっちなんだそれは』

そもそもそういうこととは一体?何を言ったんだ自分は?

パピヨン「う〜…………お兄さんのそういうところが、まあ好きだけどさぁ……」

『……こら、他の人もいるんだからそういうことは言わない』

一応自分とパピヨンはごくごく普通の一般的なトレーナーとウマ娘。そんな……軽率に好きとか言ったら、どこで拡散されてしまうか分からない。

パピヨン「…………じゃあ二人っきりだったらいいの?」

『…………』

……なんだかこっちも恥ずかしくなってくる。顔が熱くなっていくのを感じながら、何も言わず縦に首を振ると、パピヨンはとても嬉しそうににや〜っと笑う。

パピヨン「……お兄さん、大好き❤」

『……ああこら!パピヨン!』

パピヨン「えへ〜……❤好き、好き好き、だーいすき!」

無邪気に笑いながら好意を伝えてくるパピヨン。少し前のパピヨンでは絶対に考えられない……が、これまでの道のりがパピヨンをこうさせたのだと、自分は理解している。

――変わらないなんてできっこない、自分もパピヨンもずっと変わり続けていく。この関係も、この時間も、この気持ちも……。

パピヨン「ほらほら、お兄さんも何か言ってみたらどう〜?ぷぷ、返事はアタシが卒業したらなんだっけ〜?お兄さんヘタレだし、当日になったら何も言えなくなっちゃいそ〜!」

346 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/29(火) 02:03:40.00 ID:D4BrmwKA0
『……むっ』

――明らかにパピヨンが煽りのモードに入った。言葉の節々から愛情は感じるが、自分をちょっと小ばかにしたような……そんな喋り方。

パピヨン「ほらほら、お兄さんもアタシのこと好きでしょ?じゃあ言っちゃいなって〜!自分の気持ちも素直に伝えられない〜……よわよわお兄さん〜?」

…………そして気づく。にやにやと笑っているが……明らかに顔が赤くなっていることを。冬の寒さでは言い訳出来ないような、頬の赤み。

……どうしてあげよう。このあまりにも可愛い担当ウマ娘を。


どうしてやろう。クリスマスに:安価直下
1 …………何も言えない。敗け。パピヨンが凄い調子に乗る。
2 誰にも聞こえないように、耳元でそっと。
3 その他行動(自由安価)
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/29(火) 08:41:23.47 ID:yUR1W9xyo
2
348 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/30(水) 01:23:32.96 ID:oP30TQ3I0
パピヨン「どうどう?今のうちにちゃんと好き〜って伝えておかないと、アタシがどっかに行っちゃう――――」

止まらないパピヨン。だと言うのなら――しっかりと伝えてあげよう。

『――――俺もキミのことが好きだよ。パピヨン』

そっと彼女の耳元で、誰にも聞こえない小さな声で囁いて。

紛れもない本心を、この特別な夜なのだから――伝えるべきだ。

パピヨン「――へぇぁ?」

その瞬間、パピヨンの顔が真っ赤に染めあがり。組んでいた腕を放して……ゆっくりよたよたと後方に下がる。

――まるで想像していなかったかのように自分を見つめ、言葉にならない声を漏らして。

パピヨン「なっ、はっ、ぇ……?ぁ、お、お兄さん、だって……それは――」

『……ああ、勿論卒業したらキミにはしっかりと想いを伝えるよ』

今の言葉よりももっと凄い言葉を、強い想いを、キミに知ってもらうから。

――――と、俺はパピヨンの綺麗な髪の毛を撫でながら、言った。

パピヨン「――――」

ぷひゅっ。とパピヨンの口から空気が漏れた音が聞こえ、ぱたんと自分の胸の中に顔を埋める。

『……覚悟しておいてくれよ。何倍も凄いからな、きっと。ちゃんと伝えてもらえるか不安みたいだから――今のうちにキミには言っておくよ』

パピヨン「ちょ、ちょっと、ちょっと待ってぇ……ムリ、ムリムリムリ……っ!」

青白いイルミネーションの光に、紅潮したパピヨンの顔が目立つ。クリスマスの寒さも気にならなくなって、自分もなんだが恥ずかしくなってきたが――顔は、背けなかった。

349 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/30(水) 01:24:01.72 ID:oP30TQ3I0
――――シルヴァーパピヨン以外のウマ娘も担当して欲しい、理事長にお願いされた言葉を思い出す。

理事長には申し訳ないが……今回は断らさせていただこう。

パピヨン「…………お兄さん、こんなんとか知らなかったんだけど。なに、あれぇ……言う感じのタイプ、じゃないえしょぉ……」

『……キミとずっと一緒に居たらあんなことも言えるようになるさ』

別に他のウマ娘以外担当したくないわけじゃない、シルヴァーパピヨンが引退したら一緒にトレーナーを辞めるつもりも、今のところない。

ただ、シルヴァーパピヨンがレースを走り続ける限り――自分は、その走りに夢中になっていたい。

……それにきっとパピヨンもそれは嫌がるだろう。

『……ははっ、顔が赤いな』

パピヨン「はっ!?いや、ちがっ……さ、寒いから!寒いから赤くなってるだけ!お兄さん!おーにーいーさーんー!」

――今日この聖夜を、自分は一生忘れないだろう。

350 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/30(水) 01:27:01.17 ID:oP30TQ3I0
こんな時間に更新で終わりです。おやすみなさい。

次、温泉旅行イベントです。
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/30(水) 07:32:16.86 ID:eo7Hdsi3o
ニヤニヤニヤニヤ
ごちそうさまです!
352 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/10/30(水) 21:15:34.11 ID:oP30TQ3Io
パピヨンがそろそろ終わることに耐えきれ無くなってきました。ずっとだらだらイチャついて欲しいです、コイツら。

想定してたIFとかそういうのは沢山ありますが、それはまあ書かない方が良いですよねとは思います。骨折してメンタルぐちゃぐちゃパピヨンとか、ライムの前でヒスっちゃってライムにぶちギレられるパピヨンとか…

今日深夜ちょっとだけ投下して、来週には完結予定です。よろしくお願いします。
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/30(水) 23:14:27.43 ID:eo7Hdsi3o
正史=今の物語が一番優れているからこそifルートが輝くのだ……

じゃあ海を渡って逃さないと追いかけてきた魔王と決戦とか、告白を突き放されてズタズタになったパピヨンは妄想で愉しむことにするから
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/31(木) 02:10:38.15 ID:cDb3R0Ha0
もっとマンティやシルフィとレースでバチバチするの見たかったけどこればかりはコンマのお導きだからしゃーない
355 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/11/02(土) 03:37:18.22 ID:lcqyPAtO0
シルヴァーパピヨンと共に駆け抜けたトゥインクル・リリーズでの3年間――彼女は色々なものを背負い抱えてここまで来た。

期待も想いも、信頼も本音も。全部全部投げ出さずに抱えたパピヨンの軌跡に……色々な人が魅了されていった。勿論、自分もその一人だ。

『…………』

机の引き出しを開けてそれを取り出す、去年商店街の福引で見事引き当てた温泉旅行券。3年間見事に戦い抜いた彼女、その一区切りの今の時期ならば……これも使えるだろう。

『実は期限も結構ギリギリだしな』

そう言えばパピヨンはいったい誰と温泉旅行に行くんだろうか。確かあの日は……友達を誘っていくんだったか。それとも親と水入らずの休養を……うーん、あまり覚えていない。

しょうがない、とりあえずこの温泉旅行券だけパピヨンに渡してあとは彼女に任せるか。レースもしばらくは入れていないし、いつでも練習休みは取れるスケジュールだ。

パピヨンが休んでいる間、自分も色々と休憩でもしようか……もちろん仕事は沢山あるが、少し休むくらいの時間はあるだろう。

『そろそろ練習だし来ると思うんだが――』

パピヨン「お兄さんどうも〜、あーさむさむ……」

とか噂してたら早速パピヨンが入ってきた、もう自分の家みたいに遠慮なくソファに腰を掛けて当然のようにお菓子を食べ始めたその姿は、今では何も珍しくない。

『パピヨンパピヨン、ちょっと話があるんだがいいか?』

パピヨン「え〜?んもー、なになに?」

寒そうにしながらこっちに近づいてくるパピヨン。そして、自分はその温泉旅行券をパピヨンに見せて…………。

356 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/11/02(土) 03:38:42.35 ID:lcqyPAtO0
――――――――――――――――

――――――――

――――

――

パピヨン「あ〜着いた〜!結構長かったね〜!」

『…………』

――温泉旅行の話をした次の日、自分とパピヨンは温泉旅館の前まで来ていた。

パピヨン「ほらほら早く部屋に行こ!荷物置いて、温泉街見て回ろ!」

『……あ、ああ』

手をぐいぐいと引っ張られて、パピヨンに引きずられるがまま旅館内に入る。

昨日パピヨンに温泉旅行の話をしたとき、誰と一緒に行くのかを訊ねた。ペアの旅行券なのだから一人で行くわけにもいかない。友人……ライムやシルフィーにマンティ、それかあの仲が良い親のどちらかと行くものだと――しかし。

パピヨン『――――お兄さんとに決まってるじゃん、むしろそれ以外にある?』

……と、断言されてしまっては何も言えなかった。パピヨンに告白されてからというもの、こういったところをストレートに伝えられてしまうので、少し恥ずかしい。

…………いや少し考えれば分かったことだ。パピヨンが一緒に温泉に行く相手に自分を指名することなんて。3年間二人三脚で共に歩み、クリスマスデートをして、あの告白に答えをハッキリすると誓い――ほとんど、トレーナーと担当ウマ娘という関係を越えている。

いや、温泉とかクリスマスデート自体は他のトレーナーも行ったことがあるという話は聞いたことがある。なんでも有名なトレーナーは毎回温泉旅行に行っているとか――。

パピヨン「……一緒に温泉とか入っちゃう?」

『……入るわけないだろ』

え〜、でもお兄さんも一緒に温泉入りたいでしょ?一応混浴とかもあるらしいよ?と、ニヤニヤと笑いながらこっちを見てくる。随分と慣れてきたつもりだが、今でも少しビックリしてしまう。

……というか混浴なんてあるのかこの温泉旅館。

パピヨン「ぷぷ、あーあ。お兄さんのお背中とか流してあげたかったのにな〜。お兄さんもったいなーい」

357 : ◆b0/EDFEyC136 [saga]:2024/11/02(土) 03:40:32.92 ID:lcqyPAtO0
――――温泉街を歩き、人気のある観光名所を巡り、そして旅館での料理に舌鼓を打つ。そして……。

『……ふぅ』

温泉に肩まで浸かり、体の芯までポカポカと温まる。今までの疲れがじんわりと溶けていく、そんな風に思えてしまう。

……これが温泉の効能って奴だろうか。トレーナーの間でも湯治でウマ娘のケアをするなんてのは聞かない話ではない。

『というか、本当に混浴あるんだなここ……』

時間帯で温泉が混浴に切り替わるらしい……今時あるのかそんな温泉が。いやまあ、今の時間から混浴の時間まではだいぶあるし関係ないか。

『……それにしても気持ちいいな』

体が温泉の温かさで、溶けて混ざり合っていく。はぁ、時間さえ忘れてしまいそうだ……。


混浴温泉:コンマ直下

コンマ5以上でパピヨン行ったー!
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/02(土) 06:02:08.83 ID:2lDoRVCUo
ヌッ
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/02(土) 11:42:04.99 ID:UrdJ1j5bo
ヘタれたー!
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