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くーちゃん「しょくぶつさんとおはなししてたらびょういんにつれていかれました」
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176 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2024/02/08(木) 21:59:14.08 ID:bEJFPFt/0
ハナ「ヒイッ!!!!!」
声の方には、髪の長い男の人がいました。
その髪は、肩よりさらに伸びてて、まるで女の人みたいでした。
あ、男の人でも髪伸ばす人はいますよね。失礼しました。
くーちゃん「大丈夫です。きっとあの人です」
くーちゃん「この山に受け入れられているような人です」
くーちゃん「きっと悪い人、ちがいます」
ハナ「…」コクリ
男「違うなあ、違うなあ」
男の人はくーちゃんたちに目もくれません。
その代わり、地面に落ちてる枝や棒を手にとっては、地面に捨てることをくりかえしてました。
177 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2024/02/08(木) 22:02:12.84 ID:bEJFPFt/0
ハナ「鹿さん!」
ダッ!
くーちゃん「ハナちゃん⁉ どうしました⁉」
くーちゃん「…あ…」
ハナちゃんの向かった先には、落ちている枝や葉っぱで作られた
鹿の大きな置物がありました。
しかも一頭じゃないです。たくさん、います。
数を数えるの、くーちゃんは苦手だったので、何頭か覚えてません。
ごめんなさい。でも、とても器用に組まれてて、
まるで最初からその形で、山から生えてるみたいでした。
178 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2024/02/08(木) 22:04:22.39 ID:bEJFPFt/0
男「なんだあんたら」
くーちゃん「旅の者です」
男「その年で旅か」
ハナ「……美しい……」
くーちゃん(ハナちゃん、ずっと鹿さん見てますね…)
179 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2024/02/08(木) 22:05:55.08 ID:bEJFPFt/0
男「なんだ、俺の作品が気に入ったか」
ハナ「」カアア
ハナ「」コクリ
男「ここの部分はこだわったんだよ。まず説明するとだな、この足なんだが」
くーちゃん「すいません! 喋りたいことがあります!」
男「なんだ! 俺の作品解説の邪魔をするのか!」
くーちゃん(いい人と思ってましたが、すこしめんどくさい人かもです)
180 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2024/02/08(木) 22:10:06.90 ID:bEJFPFt/0
TRACK7 お兄さん
くーちゃん「いえ! くーちゃんも素敵と思います! かわいいです!」
男「かわいいだと! 美しいの間違いだろう!」
くーちゃん「すいません! 美しいです!」
男「それでいい!」
くーちゃん「ありがとうございます!」
男「だがなあ! だがなあ!!」
ゴロンゴロンゴロン!!!
男「だめなんだああああ! 見つからないんだあああああ!」
くーちゃん(…トンネルで感じた人、この人なのでしょうか…)
181 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2024/02/08(木) 22:11:33.91 ID:bEJFPFt/0
男「みつからないいいい! みつからないいいい!!」ボリボリガリガリ
くーちゃん(顔、めちゃくちゃ掻いてます)
くーちゃん(お風呂に入らなさすぎると、ああなってしまうのですね)
男「こいつの、こいつの…」
ハナ「母…おや…?」
男「!!!!」
182 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2024/02/08(木) 22:15:30.43 ID:bEJFPFt/0
男「そう! 母親だよ! お前話がわかるな!」
男「だけどなあ…そこなんだよなあ…だからこそ困ってるんだよなあ」
くーちゃん「何に困っているですか?」
男「母親の体だよ! さっき言っただろうが!」
めんどくさい人です。
悪い人じゃないと思ったのは、見込み違いだったかもしれません。
すいません、嘘です。そんな顔しないでください。
誰だって見当はずれのことを言ったら、声を荒げたくもなりますよね。
くーちゃんも経験あるのでよくわかります。
183 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2024/02/08(木) 22:17:17.55 ID:bEJFPFt/0
男「すまん。取り乱した。まあとにかくだ」
男「あんたら、もしよかったら、一緒にこいつの母親の体の心当たりとか」
くーちゃん「きっと海に、あります!」
男「……は?」
くーちゃん(唐突なことを言われたら、人は戸惑います)
くーちゃん(大人たちを納得させるインタビューを、何度か受けてたくーちゃんからすれば)
くーちゃん(これくらい、どうってことないです)
くーちゃん(嘘は苦手ですけど、大げさに言うことは得意なんです)
くーちゃん(人生、多少大げさなくらいがちょうどよいんです)
184 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2024/02/08(木) 22:18:16.47 ID:bEJFPFt/0
くーちゃん「くーちゃんたちも探し物してます」
くーちゃん「そして、それは海にあると思ってます」
くーちゃん「もしかしたら、あなたが探してるのも、海にあるんじゃないですか?」
くーちゃん(別に嘘は吐いてません)
くーちゃん(同じとこを探し続けて見つからなければ、場所を変えるのは鉄則です)
男「海、海、海……なるほど、海、海かあ」
185 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2024/02/08(木) 22:21:13.74 ID:bEJFPFt/0
男「海、海。海…」
ぐるぐる
男の人は、鹿の置物に手を添えて、目を閉じました。
くーちゃんがトンネルの中でやってる、植物さんとの時間に、少しだけ似てました。
男「海、母なる海」
男「そうか、こいつは、きっと、離れ離れに、なっちまったんだな。海はすべての始まりだ」
男「そうだ。海だ、海しかねえ。今すぐ出発だ。今すぐだ‼」
くーちゃん「おお! そうですそうです! 出発です!」
くーちゃん「くーちゃんたちもいっしょに連れてってくれますか!」
男「断る!」
くーちゃん(まじめんどくさいですねこいつ)
186 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2024/02/08(木) 22:23:13.79 ID:bEJFPFt/0
くーちゃん「なぜでしょうか!」
男「あんたらにはあんたらの道があるだろう!」
男「俺には俺の道がある! それを交えるのはナンセンスだと思わんか!」
くーちゃん「一理あります! けれど、くーちゃんたちの目的地!」
くーちゃん「女子中学生二人じゃ大変です!」
男「知らねえよそんなこと!!」
くーちゃん「では」
くーちゃん「40万ほどお支払いします!」
くーちゃん「これで一緒に連れて行ってください」
男「誰が断るって言った!!」
くーちゃん「あなたです!」
交渉は成立しました
187 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2024/02/08(木) 22:28:09.04 ID:bEJFPFt/0
また明日ノシ
188 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/09(金) 12:26:05.17 ID:HvMkhSduO
お兄さん意外と現金で草
おつ
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/09(金) 16:11:56.34 ID:UE0pqEIDO
むしろ不審者…
190 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2024/02/09(金) 18:48:35.91 ID:iRS0hCSE0
TRACK8 軽トラ
くーちゃん「断られたと思いました!」
男「誰が断るか! あんたらみたいな若い子を導くのが、俺の役目さ!」
男「さあ来い! ふもとにある軽トラに乗せてやろう!」
くーちゃん「ありがとうございますおじさん!」
男「お兄さんだ!!!」
191 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/09(金) 18:51:52.51 ID:iRS0hCSE0
ふもと
くーちゃん「散らかりすぎです。座れません」
くーちゃん「工具に枝、薪だらけじゃないですかおじさん」
男「だからお兄さんだ。まだ俺は二十歳にもなっていない」
くーちゃん(不潔さを極めると、人は老けて見えるのですね)
男「荷台なら開いてるな。そこでもいいか?」
ハナ「」サーッ…
くーちゃん「ハナちゃんが青くなってます」
くーちゃん「こわいですか?」
ハナ「…ん」
くーちゃん「でも背に腹は代えられません」
くーちゃん「徒歩で海まで行っている間に、二人とも力尽きてしまったら無駄死にです」
くーちゃん「現世に未練はありませんが、そんな終わり方は嫌です」
ハナ「…わか、た」
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/09(金) 18:53:41.25 ID:iRS0hCSE0
くーちゃん「ところで、なんで、鹿、作ってるですか? おじさん」
男「お兄さんだ」
同じ失敗を繰り返すのは、よくないとわかるのですが。
習慣を変えるのは、結構大変なので、また間違えてしまいました。
反省してます。
お願いですから、そんな目でみないでください。照れてしまいます。
193 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/09(金) 18:54:37.14 ID:iRS0hCSE0
男「必要だからだよ。俺にはこれが必要なんだ」
くーちゃん「「ひつよう、ですか」
くーちゃん(どう必要なのでしょか)
男「ふふふっ」
くーちゃん(愛おしそうに木材を見つめています)
くーちゃん(まあよいでしょう。言葉にうまくできないこともあるのです)
194 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/09(金) 18:57:31.97 ID:iRS0hCSE0
道中
ブルルルル
くーちゃん「こわくないですか? ハナちゃん」
ハナ「…ん、きもちいい」
くーちゃん「そうですね、秋の風、きもちよいです」
ハナ「」ごそごぞ
ハナ「」さらさら
くーちゃん(また絵です)
くーちゃん(…生き物でしょか。腕が四本生えてて、赤や青や緑色。色の大洪水です)
くーちゃん「きれいですね」
ハナ「」
195 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/09(金) 18:59:51.88 ID:iRS0hCSE0
くーちゃん「あ、言ってしまいました」
くーちゃん「ごめんなさい。ハナちゃんの時間、じゃましたくなかったですけど」
くーちゃん「最高においしすぎる料理を食べたとき」
くーちゃん「シェフを呼んで、おいしかったと言いたくなるものじゃないですか?」
くーちゃん「くーちゃんは大人になっても、シェフを呼んで、おいしかったと言います」
ハナ「ふふっ」
くーちゃん「笑わないでください」
196 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/09(金) 19:01:27.30 ID:iRS0hCSE0
くーちゃん「ところで、この生き物は…一体」
ハナ「」すっ
くーちゃん「くーちゃん、指さしてます?」
くーちゃん「……くーちゃんが、どうかしましたか?」
ハナ「」サラサラ
くーちゃん「もしかして、くーちゃんを、描いてくれたですか?」
ハナ「」ピタッ
ハナ「・・・・・・・・・・・・・」
ハナ「ごめんなさい」
197 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/09(金) 19:03:19.35 ID:iRS0hCSE0
くーちゃん「なんであやまるですか?」
くーちゃん「くーちゃんは、ハナちゃんに、こんな風に見えてるですね」
くーちゃん「びっくりです。すてきです」
ハナ「///」
もしかしたら、ハナちゃんの見てる世界は、くーちゃんの見てる世界と、違うのかもしれません。
つまり、何が言いたいかとゆうと、
くーちゃんは後にも先にも、ハナちゃんみたいな絵を描く人に出会ったことはありませんし、
今でもハナちゃんはくーちゃんにとって世界一の絵描きさんです。
198 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/09(金) 19:04:41.53 ID:iRS0hCSE0
休憩中
くーちゃん「うんてんお疲れ様です」
くーちゃん「うんてん、大変ですか?」
男「免許とるのが大変だったけど、あとは楽勝よ」
男「ん? お前さん、それもしかして!」
男「俺の鹿! 描いてねえか!?」
ハナ「」ビクッ
199 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/09(金) 19:06:20.37 ID:iRS0hCSE0
男「すげえええええええええええええ!」
男「天才だ! こいつは天才だ!」
くーちゃん「くーちゃんのが先にハナちゃんのファンなりました」
くーちゃん「簡単に天才だなんて言葉使わないでほしいです」
男「天才は天才だろう! 後も先もない!」
男「お前みたいな古参ぶっているファンが、新規のファンを遠ざけるんだよ!」
ハナ「ふふふっ」
くーちゃん「ハナちゃん、笑った顔かわいいですね」
ハナ「///」
200 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/09(金) 19:07:27.19 ID:iRS0hCSE0
パラパラパラ
男「こんなにたくさん、すげえ絵が描けるのか」
男「ハナちゃんよ、あんたはすげえ」
男「ここからは俺の想像だ。もし違ってたら、謝らせてくれ」
男「もしかして、あんたはみんなと見えてる世界や色が違うんじゃねえか?」
男「それが怖くて、嫌で、悲しいこともあったんじゃねえか?」
201 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/09(金) 19:09:28.19 ID:iRS0hCSE0
くーちゃん(…その予想は、きっと当たってます)
くーちゃん(むしろ、くーちゃんが、勘違いしてたかもしれません)
くーちゃん(ハナちゃんの夜の底みたいな目には)
くーちゃん(恐れじゃなくて、悲しさが宿っていたのかもしれません)
男「でもな! それでいいんだ!」
男「あんたは違うから最高なんだ! そのことをわかってくれ!」
男「あんたは最高だ!」
ハナ「!!!!」コクコクコク
くーちゃん(きっと、誰かに言ってもらいたかった言葉なのかもしれません)
くーちゃん(誰だって、言ってほしい言葉があるものです)
202 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/09(金) 19:10:26.18 ID:iRS0hCSE0
お兄さんとの旅は、とても楽しかったです。
途中で見つけた駄菓子屋さんでおかしをまとめて買ってくれたり、
河原を見つけて、そこで水切りもやりました。
途中で調子に乗って崖から落ちそうになったり、
飛び去る鳥さんを追いかけて、転んでしまったり、
お兄さんが「眠い」と言い始めて、そのまま何時間もいびきをかきながらお昼寝したり。
まるで子どもみたいでした。
校長先生ほどではないですが、お兄さんのことをくーちゃんとハナちゃんは信頼していました。
格好つける大人より、格好悪いくらいの方が、くーちゃんにはちょうどいいんです。
203 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/09(金) 19:12:53.83 ID:iRS0hCSE0
夜
男「完成だ! 鹿の次男! ミニチュアバージョン!!」
ハナ「」キラキラキラ
くーちゃん「…なんか、いいですね。物が作れるって」
くーちゃん「…くーちゃんには、できません」
男「お前さんにしかできないこともあるんだろ?」
くーちゃん「お前さんじゃないです、くーちゃんです」
男「どっちでもいい。まあとにかくだ」
男「明日の昼過ぎくらいには、きっと海につく」
少しだけさみしそうに、お兄さんは言いました。
お気楽なお兄さんがくーちゃんにとって、見慣れた姿だったので、
少しだけ変な気分でした。
204 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/09(金) 19:14:10.97 ID:iRS0hCSE0
男「くーちゃん、ハナちゃんよ」
男「俺はあんたらを応援してるぜ」
くーちゃん(そういえば、くーちゃんたち、お兄さんにトンネルの話をし忘れてました)
くーちゃん(まあよいでしょう。お兄さんはそんなことを説明しなくても、気にする人じゃないです)
くーちゃん(それにお兄さんも、自分の話をあまりしたがりません)
くーちゃん(きっと同じようにお兄さんも、なにかを抱えてたのでしょう)
だから、くーちゃんは言いました。
くーちゃん「とても楽しかったです」
205 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/09(金) 19:14:58.63 ID:iRS0hCSE0
素直に感じたこと、そのまま伝えました。
男「俺もだよ。だからさ、あんたらさ」
そう言ってお兄さんは、くーちゃんとハナちゃんの頭にポンと触れます。
土で汚れた手でしたが、とても温かかったです。
くーちゃんも、たぶんハナちゃんも、お兄さんの手が好きでした。
運転する手、お菓子、食べる手、頭、撫でる手。
とても、優しい手です。
男「続けろよ」
206 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/09(金) 19:15:59.66 ID:iRS0hCSE0
くーちゃんとハナちゃんは頷きました。星と月がきれいな夜でした。
そして、お兄さんとの、最後の車中泊は終わりました。
207 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2024/02/09(金) 19:49:25.76 ID:iRS0hCSE0
また明日ノシ
208 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/09(金) 19:52:13.74 ID:oQb5ZmTSo
おつおつ
209 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 00:51:35.15 ID:IQVafa730
海
くーちゃん「うみの香りしてきました」
くーちゃん「お魚さんがくさったような、少し生臭い感じですね」
くーちゃん「この匂い、すきです」
くーちゃん「ハナちゃんは海、好きですか?」
ハナ「……うん」
くーちゃん「よいとこです。ここで、ハナちゃん、生まれ育ったですね」
ハナ「……うん」
210 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 00:53:35.77 ID:IQVafa730
男「すまねえな! だいぶ時間かかっちまった!」
くーちゃん「だいじょうぶです! 目立たない道ばかり走ってくれたので」
くーちゃん(それに、トンネルはきっと逃げません)
男「まあ長旅も疲れただろ。まとめ買いした駄菓子でも食って元気出せ!」
ハナ「・・・・・・・・・・・・・」ジーッ
くーちゃん「ハナちゃん、どしたですか?」
くーちゃん「ハナちゃん、気にせず食べるとよいです」
くーちゃん「くーちゃん、おなかへってないです」
211 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 00:55:48.05 ID:IQVafa730
砂浜
くーちゃん「つきましたね。ちょっとさむいです」
男「おお…海だ。母なる海。ここだ、ここなら、きっと」
男「うおおおおおおお!」ダッ
くーちゃん「走って行ってしまいました」
ハナ「…うん」
くーちゃん「まあ、さいごのあいさつ、昨日の夜にすませたので、べつによいでしょう」
くーちゃん「ここでさよならでも、お兄さんとくーちゃんたちらしくないですか?」
ハナ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
タッ
くーちゃん「ハナちゃん?」
くーちゃん「どこいくですか」
212 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 00:57:00.77 ID:IQVafa730
男「よし! ここの木材なら、母親の足に…」
ギュッ
男「ん?」
ハナ「…はあ…はあ…」
男「…どした?」
男「運転荒かったか? そのクレームか?」
ハナ「」ブンブン
213 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 00:58:21.32 ID:IQVafa730
くーちゃん(どしたのでしょう、ハナちゃん)
くーちゃん(…ハナちゃん、たしかにあのトンネルの絵、描いてました)
くーちゃん(くーちゃんの世界、きっと理解してます)
くーちゃん(だから、一緒にトンネルを探してほしかったです)
くーちゃん(でも、お兄さんとの時間が楽しかったのなら)
くーちゃん(お兄さんのところに行ってくれても、よいかもしれません)
214 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 00:59:04.74 ID:IQVafa730
ハナ「あ…え…あ…」
ポン
男「ありがとうな」
「ありがとうな」
ハナちゃんが何か言おうとする前に、お兄さんは言いました。
ハナちゃんの、何かを伝えたい気持ちは、くーちゃんの胸の奥に流れ込んでくる時があります。
トンネルでいるときの感覚に、少しだけ似てました。
お兄さんも、ハナちゃんの思いを。大きくて、温かくて、優しい何かを、受け取ったのかもしれません。
ハナちゃんも深く頷きます。時間が止まったみたいでした。
215 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 01:03:10.69 ID:IQVafa730
くーちゃん「お兄さん、今度こそいってしまいましたね」
くーちゃん「よかったですか? ここでさよならして」
ハナ「うん」コクリ
ハナ「続けるって、言ったから」
くーちゃん(ハナちゃんのことば、ゆっくりで、とても小さいです)
くーちゃん(でも、しっかりとくーちゃんの耳まで届きました)
くーちゃん(ハナちゃんなしの旅も覚悟してたのですが)
くーちゃん(やはり旅には頼もしいなかまが必要です)
216 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 01:04:37.30 ID:IQVafa730
くーちゃん「まあ、さみしくもなりましたが、センチメンタルになってばかりもいけません」
くーちゃん「くーちゃんたちの旅は、全然終わってないですから」
くーちゃん「さて、島は…多分地図だと…」
ハナ「あ」
くーちゃん「あ!!!!!!!」
くーちゃん「あれです! 名前のない島! 絶対あれです!!」
217 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 01:05:55.11 ID:IQVafa730
くーちゃん「あの大きさなら、きっと人もいないか、ほとんど住んでいないかのどちらかです」
くーちゃん「通報される心配もないでしょう。心置きなく、トンネルの向こう側が目指せます」
くーちゃん「ついにです」
くーちゃん「きっとハナちゃんが描いてくれたトンネルがあるのは、あの島なんです」
ハナ「」キョロキョロ
くーちゃん「どうしたですか、ハナちゃん。トイレですか?」
ハナ「ト、トイレも、だけど、それ、より」
ハナ「いきかた、ない、あの島…」
218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 01:07:33.38 ID:IQVafa730
くーちゃん「…たしかに、近くにフェリー乗り場らしきもの、ないですね」
くーちゃん「まあ、名前が地図にのってないんですから、当然かもしれませんが」
くーちゃん「でも、フェリーを選んでしまえば」
くーちゃん「お風呂に数日入ってないぼろぼろの女子中学生客が乗ることになるので」
くーちゃん「確実に通報案件です」
ハナ「…たしかに」
219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 01:09:34.02 ID:IQVafa730
くーちゃん「なので、ちょうどよかったかもしれません」
くーちゃん「くーちゃんたち、この旅を始めてからよいことづくめです」
くーちゃん「となると、ぷらんBですね…なにかいい方法は…」キョロキョロ
くーちゃん「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ」
ハナ「?」
くーちゃん「ハナちゃん、くーちゃんの天才的な頭脳に、降りてきました。ひらめきが」
ハナ「…?」
くーちゃん「あそこに」
くーちゃん「ちょうどよい流木があります」
ハナ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ハナ「え?」
220 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 01:10:27.58 ID:IQVafa730
海上
ハナ「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
ハナ「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
ザパーン! ザパーン!
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 01:11:35.50 ID:IQVafa730
また明日ノシ
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/11(日) 11:50:26.45 ID:je7B667bo
アグレッシブがすぎるw
おつ
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/11(日) 14:10:16.31 ID:wbWh4z17o
ハナちゃんでっかい声出せるんだ……
224 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 21:07:11.29 ID:IQVafa730
TRACK9 海の男
ハナ「いやああああああああ! ぎゃあああああああ!」
くーちゃん「だいじょぶですハナちゃん! 流木ちゃんと! 浮いてくれます!」
ハナ「ぎゃあああああああ!」
くーちゃん「だいじょぶです、ハナちゃん!」
バチャバチャ
くーちゃん「バタ足すれば! 少し早くなります!」
ハナ「いやああああああああああ!」
225 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 21:09:28.55 ID:IQVafa730
そんな、くーちゃんとハナちゃんが、たのしい海の旅をしている時でした
ブロロロロ
くーちゃん(…なんでしょう、なつかしい音です)
くーちゃん(たしか、これは)
?「おいなにしてんだお前ら!!」
?「はやくあがってこい!」
くーちゃん(ふねのおとです)
226 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 21:10:51.91 ID:IQVafa730
赤い船の上
ハナ「はあ…はあ…」
?「なにしてんだお前ら」
くーちゃん「お前らじゃないです、くーちゃんとハナちゃんです」
くーちゃん「おじさんはだれですか?」
?「…まあ、そうだな」」
?「俺は海の男だよ」
227 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 21:13:32.95 ID:IQVafa730
海の男「で、説明してもらおうか。なんであんなことしてたんだ?」
くーちゃん「あの島にいきたいのです」
くーちゃん「そのために、ハナちゃんのリュックもあったので」
くーちゃん「流木につかまったままなら、リュックを背負ってでもいけると考えました」
くーちゃん「くーちゃんの頭脳は天才的なのです」
海の男「溺れ死にてえのか」
くーちゃん「…いけると、おもったです」
海の男「無理に決まってるだろ」
くーちゃん「若さゆえの過ちです」
228 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 21:14:42.79 ID:IQVafa730
海の男「でだ、お前さんたちはどうしてあの島に」
くーちゃん「なんで船にギターおいてるですか? 弾くんですか?」
海の男「今それ関係ねえだろ」
カーカー
くーちゃん「カラスさんいるです! かわいいです!!」
海の男「聞けよ」
229 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 21:16:24.59 ID:IQVafa730
くーちゃん「あの島に、なまえがなかったので、いくのです」
くーちゃん「ハナちゃんのふるさと近くの島、探したです」
くーちゃん「そしたら、一つだけ、名前なかったからです。それが理由です。だから一つ目、あの島です」
海の男「一つ目?」
くーちゃん「はい。一つ目です。トンネル探すためです。呼ばれたので、向かってるです」
海の男「トンネル……ねえ」ジーッ
230 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 21:18:04.96 ID:IQVafa730
くーちゃん「わからなくてだいじょうぶです。とにかくあの島までくーちゃんたちは」
海の男「正解だ」
くーちゃん「?」
くーちゃん「なにがですか? くーちゃんたち、いつのまにクイズしてたのですか?」
海の男「クイズじゃねえよ」
海の男「トンネルだなんだっていうのは、俺にはわからねえが」
海の男「嬢ちゃんたちのゴールはあの島で正解だってことだよ」
くーちゃん「おじょうちゃんじゃないです。くーちゃんです」
くーちゃん「それに、なんでわかるですか?」
海の男「俺が海の男だからだ」
231 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 21:19:41.09 ID:IQVafa730
くーちゃん「いみわからないです」
海の男「とにかくだ」
海の男「嬢ちゃん、どこかで見たことあると思ったら」
海の男「植物と話ができる巫女さんじゃねえか」
くーちゃん「」
海の男「ずいぶんと髪を切ったんだな。テレビや雑誌にも取り上げられてただろ」
くーちゃん(いやな情報、もりだくさんです)
くーちゃん(それに、くーちゃんの変装、あっさりばれてるとゆうことです)
くーちゃん(ですが、海の男とここで敵対してしまっても、よいことはありません)
232 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 21:20:52.43 ID:IQVafa730
海の男「「そんでだ。なんでそのトンネルを目指しているのか、詳しく聞かせてくれ」
くーちゃん「海の男でもわからないですか?」
海の男「なんでもわかっちまえば、宝くじの当選番号や、競馬の勝つ馬がどれかなんてのもわかるだろ?」
海の男「つまり海の男にも限界があるんだよ。教えてくれ」
海の男とゆう言葉、あまり便利じゃなさそうです。
買いかぶりすぎてました。
そんな怖い顔しないでください。余計老けて見えますよ。
233 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 21:22:42.53 ID:IQVafa730
くーちゃん「ことばどおりです。トンネル探してるです」
くーちゃん「くーちゃんは、ハナちゃんが絵にかいた、トンネルに続いてる」
くーちゃん「植物さんの世界、行きたいです」
くーちゃん「呼ばれてるです。必要とされてるです」
くーちゃん「だからさがしてるです」
海の男「・・・・・・・ほう」ジー
ハナ「」ビクッ
くーちゃん「なんでハナちゃんのことみてるですか」
海の男「……どこかで見たことあると思えば」
海の男「お前さん、あいつの娘か」
ハナ「」
234 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 21:24:26.43 ID:IQVafa730
ハナ「かはっ、は、はあ…」
くーちゃん「海の男、ハナちゃんを、知ってるですか?」
海の男「知り合いの娘だ。何回かこの船にも乗せてたんだがな」
海の男「ずいぶんとでかくなったもんだ」
ハナ「」ガタガタ
くーちゃん「ハナちゃん、怖いですか? 寒いですか?」
ハナ「」
くーちゃん(…どっちにしろ楽しくお話できる状況ではなさそうですね)
235 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 21:28:14.62 ID:IQVafa730
海の男「で、こいつが描いたトンネルの絵とやらは、どんな絵なんだ。みせてみろ」
くーちゃん「こいつちがいます。ハナちゃんです」
くーちゃん「知り合いなら名前、呼んであげてください」
海の男「お前さんは初対面の人間に対して、ずいぶんと言うんだな」
くーちゃん「おたがい様です。あとお前ちがいます。くーちゃんです」
236 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 21:29:54.55 ID:IQVafa730
くーちゃん「とにかく、ハナちゃんの絵、すてきな絵です」
海の男「全然わからん」
くーちゃん「海の男でもわからないですか?」
海の男「言っただろ。同じことを何度も言わさないでくれ」
海の男「海の男もな、見たことがないものはわからねえんだよ」
ハナ「…はあ…はあ…」ごそごそ
くーちゃん「ハナちゃん、もうだいじょぶですか?」
ハナ「」バサッ
海の男「なるほど、こいつか」
くーちゃん(リュックの防水性、すばらしくてよかったです)
237 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 21:33:51.61 ID:IQVafa730
海の男「ふむ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
くーちゃん(ずいぶん考え込んでます(
くーちゃん(てっきり、絵についてわからないこと、ハナちゃんに尋ねると思ったのですが)
くーちゃん(もしかしたら海の男、ハナちゃんが気持ちを言葉にするの)
くーちゃん(苦手なこと、知ってたのかもです)
くーちゃん(海の男はそれくらいのはいりょ、できるということでしょう)
海の男「お嬢ちゃん」
くーちゃん「くーちゃんです」
238 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 21:38:07.40 ID:IQVafa730
くーちゃん「くーちゃん、おじょうちゃんなんて呼ばれるの、好きじゃありません」
くーちゃん「くーちゃんにはくーちゃんとゆう、かわいい名前があるですから」
海の男「さっきからいやにその名前にこだわるな」
くーちゃん「大切な名前です。だからちゃんと、くーちゃん、呼んでください」
海の男「クウ……クウ、か……ふむ」
海の男「もしかして、空のクウか?」
くーちゃん「なんでわかるですか?」
海の男「俺は海の男だからな」
くーちゃん「わかる範囲とわからない範囲がわからないです」
239 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 21:40:04.06 ID:IQVafa730
海の男「なあ、一つききたい」
くーちゃん「はい、なんですか?」
海の男「本気で行くのか?」
くーちゃん「……どういう意味ですか?」
海の男「この絵はすごい絵だ」
海の男「このトンネルの奥深さ。ハナの描いた世界を、俺は素直に尊敬する」
海の男「美しい」
海の男「だが、俺には荷が重い」
海の男「俺には、耐えられない」
240 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 21:41:21.54 ID:IQVafa730
くーちゃん「海の男でもですか?」
海の男「ああ、俺が海の男でもだ」
海の男「海の男にも、耐えがたいものだ」
くーちゃん「なんですか、それは。なにが、重たいですか?」
海の男「孤独だよ」
241 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 21:43:19.49 ID:IQVafa730
くーちゃん「こどく」
くーちゃん「くーちゃんはこのトンネルに少しだけ、つめたさ、かんじてました」
くーちゃん「けれども、感情より、居心地の良さがあったです」
海の男「あの島に行けば、きっとわかる」
海の男「ハナには、あの島のこと、伝えたことはないはずなんだがな。どこで知ったんだか…」
海の男「まあとにかくだ、それは俺が言葉でこうだって言ったところでわかるもんじゃねえし」
海の男「わかってもらいたいとも思わない」
242 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 21:44:49.65 ID:IQVafa730
くーちゃん「なるほど。よいことと思います」
海の男「なんだ。じれったいとか思わねえのか」
くーちゃん「いわないことば、大切な思いだったりします」
くーちゃん「大切なもの、しまっておくの、変なことじゃないです」
海の男「わかってくれて何よりだよ」
海の男「お前さんのことはむかつくガキだと思ってたが、案外筋は通ってるんだな」
くーちゃん「どもです」
海の男「だがな、お前さんの旅には、一つだけ大きな問題がある」
くーちゃん「問題、ですか?」
243 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 21:46:07.96 ID:IQVafa730
海の男「この旅は、ここいらで潮時ってことだよ」
海の男はお尻のポケットから、くしゃくしゃになった紙を取り出して、広げました。
そこには、行方不明の中学生、探してますと書かれてて
写真がプリントされていました。
そして、そこに写ってたのは、どうみてもくーちゃんとハナちゃんでした。
244 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/11(日) 21:46:46.46 ID:IQVafa730
また明日ノシ
245 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/12(月) 19:41:47.47 ID:VR/JrcnGo
おつー
246 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/12(月) 20:27:02.23 ID:yG3666Uy0
くーちゃん「…ずっと、気づいてたですか」
海の男「ご丁寧に経緯まで説明してくれたしな。もう自白も同然だ。誤魔化せねえだろ?」
海の男「なあクウ。そしてハナ」
くーちゃん「ちゃんをつけてください。くーちゃんの名前、ちゃん、つけてなんぼです」
くーちゃん「ちゃんがないの、かわいくないです」
海の男「海の男はな、ちゃんをつけて人を呼ばないんだよ」
くーちゃん「それなら海の男、やめて、ふつうの男になってください」
くーちゃん「くーちゃんはくーちゃんです」
海の男「海の男はそれほど簡単に辞められねえんだよ」
247 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/12(月) 20:29:35.52 ID:yG3666Uy0
海の男「ま、とにかくお前らの旅は、もうやめるべきだ」
海の男「ハナ、お前の親から連絡が入ってたんだよ」
海の男「だいぶ前に会ったきりで、お前さんは覚えてないかもしれねえが」
海の男「海の男の目は誤魔化せねえ」
海の男「まあとにかく、奇妙な偶然もあるもんだな…いや、必然か?」
海の男「子どものためなら、ここまでするのが親だわな」
くーちゃん(…さすがのハナちゃんも、遠く離れた地元に)
くーちゃん(手配書が配られてるなんて思わなかったのでしょう)
くーちゃん(ハナちゃんを責めるわけにはいきません)
くーちゃん(なんにせよこの旅は、そんな簡単にまとめられていいものじゃありません)
くーちゃん(こんなところで戻れるわけがないんです)
くーちゃん(となると、くーちゃんの必殺奥義しかありません)
248 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/12(月) 20:31:04.55 ID:yG3666Uy0
くーちゃん「このお金で、みのがしてください。100万円くらいあるとおもいます」
くしゃくしゃ
海の男「くしゃくしゃじゃねえか」
くーちゃん「海に入ったので許してください。乾けば使えます」
海の男「いや、中学生に買収されるような、馬鹿な大人だと思ったか?」
くーちゃん「買収させてくれたおじさん、いました」
失敬、お兄さんでした。ですがこの時訂正してくる本人はいなかったので、許してください。
くーちゃんは嘘、苦手なんです。
249 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/12(月) 20:32:14.24 ID:yG3666Uy0
海の男「そいつはたぶん馬鹿な大人だ」
怒らないでください。くーちゃんはお兄さんを馬鹿だと、思ったことありません。
だってくーちゃんたちを助けてくれたじゃないですか。
海の男「ふう」カチッ フーッ
くーちゃん「タバコ、からだにわるいです」
海の男「…喫煙者にしかわからない魅力があるんだよ」
250 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/12(月) 20:33:36.38 ID:yG3666Uy0
海の男「俺は海の男だ」
海の男「だけど、一人の大人でもある」
海の男「大人ってのは、子どもを守るのが仕事なんだよ」
くーちゃん「なら守ってください」
くーちゃん「くーちゃんを守るなら、島、連れてってください」
海の男「そういうわけにはいかないんだよ」
海の男「クウ。そしてハナ。お前さんたちは」
くーちゃん「ちゃん、つけてください」
海の男「お前さんたちは楽しいかもしれない」
くーちゃん「むししないでください」
海の男「大人っていうのは、お前さんたちが想像している以上に」
海の男「お前さんたちを大切に思っているもんなんだ」
251 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/12(月) 20:35:24.15 ID:yG3666Uy0
海の男「まあ、もちろん例外はあるが」
海の男「少なくとも、お前さんたちは大切に育てられているんじゃないか?」
くーちゃん「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんで」
くーちゃん「なんで、そんなことわかるですか」
くーちゃん「もちろん、ハナちゃんのご両親から連絡受けて」
くーちゃん「どれだけ心配しているか、聞いてたんでしょう」
くーちゃん「でも、くーちゃんのことも、ハナちゃんのことも」
くーちゃん「海の男は、何も知らないです」
海の男「わかるさ」
くーちゃん「なんでですか」
海の男「俺が海の男だからだよ」
くーちゃん「おわれないんです!!!!!!!!!!!!!!!!!」
252 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/12(月) 20:37:06.43 ID:yG3666Uy0
くーちゃん「くーちゃん、嘘、嫌いです!!」
くーちゃん「嘘だらけの毎日なんです!! ずっとずっとそんなまいにちでした!!」
くーちゃん「海の男に何がわかるですか!!!!!」
くーちゃん「くーちゃんの生き地獄を! なにもしらないのに!!」
くーちゃん「勝手なこと! いわないでください!」
海の男「勝手はどっちだこのクソガキ!」
くーちゃん「クソガキじゃないです! くーちゃんです!!」
253 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/12(月) 20:39:07.22 ID:yG3666Uy0
くーちゃん(もうよいです)
くーちゃん(今すぐ海に飛び込んで、バタ足で島まで行ってしまえば…)
ドン!
くーちゃん「え」
ハナ「」
海の男「ぬわあああああああああああああああああああああああああああああ!」
ザパーン!!!!
くーちゃん「・・・・・・・・・・・・・・・・・ハナちゃん?」
ハナ「…はあ…はあ…はあ…」
くーちゃん「…ないすきっく、です」
254 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/12(月) 20:42:06.26 ID:yG3666Uy0
海の男「おいこら! 何考えてる!!」バチャバチャ
くーちゃん「ハナちゃん、たしかにくーちゃんたちは逃亡の身です」
くーちゃん「なので軽犯罪の一つや二つ、重ねたところで特にくーちゃんは何も思いません」
くーちゃん「正しいことだけが人生のすべてじゃないですから」
くーちゃん「でも、どうやって島までいくですか?」
ブロロロロロ
ハナ「」
くーちゃん「…ハナちゃん」
くーちゃん「…うんてん、できるのですね」
ハナ「」こくり
255 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/12(月) 20:42:41.13 ID:yG3666Uy0
また明日ノシ
256 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/12(月) 23:02:28.32 ID:RCh8UAYv0
乙
257 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/12(月) 23:03:15.33 ID:VR/JrcnGo
おつー
258 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2024/02/13(火) 12:45:29.99 ID:fDCpKnGDO
見方を変えればいじめられてるでもなく恵まれてるのに自分で勝手に絶望して親不孝してる子供ってなるのかも
259 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/13(火) 18:50:53.37 ID:RYXcxsNH0
ブロロロロロ
くーちゃん「…うまいですね、うんてん」
ハナ「えへへ」
海の男「まてえええええ!」ばちゃばちゃばちゃ
くーちゃん「ハナちゃん、なんで運転できるですか?」
ハナ「…おぼえてた、から」
ハナ「あの人の、運転」
くーちゃん「すごすぎます、ハナちゃん」
260 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/13(火) 18:51:53.83 ID:RYXcxsNH0
ハナちゃんは、真剣な顔で船の舵を切って、前進してゆきます。
行き先の島までぐんぐん近づいていました。
途中、飛んでるカモメさんや、海を泳ぐ魚さんたちは、
まるでくーちゃんとハナちゃんを応援しているみたいでした。
縦にぐわんぐわん揺れる船は、空を飛んでるみたいでした。
261 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/13(火) 18:52:41.26 ID:RYXcxsNH0
くーちゃんは、船の先端部へ、好奇心で向かってみました。
揺れているので少し動きにくかったですが、島の方をよく見たかったので、足を止めませんでした。
不安定で、まっすぐ立つのは難しかったのですが、
勇気を出して、体を起こして、両手を思い切り広げました。
最高に気持ちのいい海風が、くーちゃんの体を吹き抜けていきました。
冷たかったですけど、それがくーちゃんの火照った体を優しく包んでくれたんです。
抱きしめられてるみたいでした。
くーちゃん「ハナちゃん! 最高です! 最高です! すごいですハナちゃん‼」
ハナ「///」
262 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/13(火) 18:58:59.91 ID:RYXcxsNH0
TRACK10 島
くーちゃん「ハナちゃん、島、みえてきましたけど」
くーちゃん「どこにとめるですか?」
ハナ「………砂」
くーちゃん「…すな?」
ザザザザザザザザーーーーーー!!
くーちゃん「…すな、はままで言ってください」
くーちゃん「さすがのくーちゃんでもおどろきました」
ハナ「ごめん」
263 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/13(火) 19:01:28.20 ID:RYXcxsNH0
くーちゃん「なにはともあれ、つきました」
くーちゃん「ここであってるのでしょか」
なんとなく、島とゆうのは、一つの生き物に近い感じがして、
どこからでもトンネルにつながってるような気がしたんです。
じゃりっとした、一粒一粒砂が、くーちゃんのほっぺにふれます。
生臭さや、お日さまの香りが混じった匂いでした。
くーちゃんの想像は当たりました。
目を閉じてると、トンネルを感じられました。
暗くて、深くて、風が遠くへ吸い込まれてるような暗いトンネルです。
264 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/13(火) 19:03:00.31 ID:RYXcxsNH0
ですが、ハナちゃんの描いたようなトンネルと、少し、違います。
とゆうより、まだ距離が空いているような、そんな感じです。
けれど、違うトンネルとも言いきれません。
砂浜から感じたトンネルの奥。
底の底から、微かに香りました。
ハナちゃんの絵から感じた少ししょっぱくて、冷たくも、
なにかを求めてるような、来てほしい、という
言葉に近い何かが。
くーちゃん「海の男の、言ってた通りです。ここです。この島です」
265 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/13(火) 19:04:22.15 ID:RYXcxsNH0
くーちゃんは目を開きます。
いつの間にか船から降りていたハナちゃんが、トンネルの絵を畳んで、手に持ったまま隣に立ってました。
くーちゃんは体を起こします。
ほっぺについていた砂が、ぱらぱらと落ちましたが、まだ何粒かくっついたままです。
でもかまいません。
ほっぺにいくら砂がついてようと、くーちゃんの目的に関係ありませんから。
そして、その小さな島の全貌を確認します。
驚きました。
島の中央から、大きな幹と葉が見えたんです。
枝葉は、島全体を覆うほど広がってました。
くーちゃん「きっとあります」
くーちゃん「この島の中央に、とても大きな木が」
くーちゃん「そこが、ごーるです」
266 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/13(火) 19:06:57.10 ID:RYXcxsNH0
くーちゃん「ハナちゃん、ききたいこと、あります」
くーちゃん「その絵、どうして描いたですか?」
くーちゃん「どうして、描けたですか?」
ハナ「・・・・・・・・・・・」
くーちゃん「大丈夫です。変なこと、ちがいます」
くーちゃん「ハナちゃん、にんげんじゃない存在の気持ち、わかる人なんですね」
くーちゃん「だからハナちゃん、この木の思い、受け取ったです」
くーちゃん「この島、見える町で住んでて」
くーちゃん「海の男の船に乗って、あの島、見て、受け取ったんじゃないですか?」
ハナ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
くーちゃん「ごめんなさいハナちゃん」
くーちゃん「無理に言葉、しなくて大丈夫です」
ハナ「」ぶんぶん
くーちゃん「じゃあ」
くーちゃん「行きましょう」
267 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/13(火) 19:10:01.17 ID:RYXcxsNH0
島の中
くーちゃん「しょくぶつ、ずいぶんのびてますね」
ペタペタ
くーちゃん「虫さんもたくさんです」
くーちゃん「秋にこれなら、夏はもっとすごそうです」
くーちゃん「…ハナちゃん?」
ハナ「はあ…はあ…」
くーちゃん(運転でくたくたになってしまったでしょか)
くーちゃん(さすがにペース、おそめです)
268 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/13(火) 19:11:17.29 ID:RYXcxsNH0
くーちゃん「ハナちゃん、だいじょぶですか!」
ハナ「…大丈夫、おい、つく」
くーちゃん(…ハナちゃんも、必死です)
くーちゃん(きっとハナちゃんも、くーちゃんと同じように、トンネルの呼び声に応えたいのでしょう)
くーちゃん(あの絵を描いて、ここまでついてきてくれたです)
くーちゃん(きっとこの旅の終着に、ハナちゃんは必要なのです)
くーちゃんはそう信じて、ハナちゃんに手を伸ばしました。
くーちゃん「行きましょう! 一緒に!」
269 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/13(火) 19:12:32.49 ID:RYXcxsNH0
ハナ「」プルプル
ガシッ
ハナちゃんを引っぱりながら、くーちゃんはずんずん、島の中を進んでゆきます。
途中でぼろぼろになった木造のお家や、昔使われた階段のようなものがありました。
もしかしたらこの島も、昔、人でにぎわってたのかもしれません。
小さなお墓みたいなものも、たくさん埋められてました。
くーちゃんもこの島で生まれて、生きて見たかったです。
そしたら、もっと早く、大きな植物さんの気持ちに、気づけたかもしれないのに。
270 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/13(火) 19:13:52.87 ID:RYXcxsNH0
一歩一歩、踏みしめてると、森の香りが強くなってきます。
時折、くーちゃんは地面にまた顔をすりつけ、トンネルの片鱗を感じました。
くーちゃん「もう、ちょっとです」
長い長い階段を登って、今度は下りに差し掛かりました。
階段を一段、一段と降りてると、違和感がありました。
あんなににぎわっていた植物さんたちの気配が、一気に消えてしまったんです。
まるで、人ごみから抜け出したような感覚で、とても心細くなりました。
ハナ「あ、あれ、?」
271 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/13(火) 19:14:28.12 ID:RYXcxsNH0
ハナちゃんが久しぶりに声をだして、指をさしました。その方向にそれはありました。
大きな木でした。ただ、大きいだけじゃありません
見上げると首が痛くなるほど、とても、とてもとてもとても
高く、静かに、そびえたっていました。
272 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/13(火) 19:15:59.21 ID:RYXcxsNH0
くーちゃん「…ハナちゃん、しゃべりたいこと、あります」
ハナ「」コクリ
くーちゃん「今までくーちゃんはいろいろな御神木さんで感じたことを、歌や舞にしてました」
くーちゃん「ですが、この木は、今までの御神木さんとは全く違います」
くーちゃん「楠だと思います。大きな楠なので、大楠さんです」
くーちゃん「この、方です。きっと、この方です」
273 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/13(火) 19:17:25.99 ID:RYXcxsNH0
くーちゃんは走って近づきました。
とても太い幹は、蜘蛛の足みたいに枝分かれしてます。
柔らかい地面には、深く深く、長い根っこが伸びていることでしょう。
大楠さんの伸びてしまった枝を支えるため、古びた鳥居が何個か作られています。
くーちゃん「…大楠さんだけで、体、支える、たいへんです」
くーちゃん「骨が弱くなったおじいちゃんやおばあちゃんが、杖や車いすを使うのと同じです。
土の奥から匂いがしました。
木の匂いです。大楠さんと似てますが、
少し違います。それに、たくさんです。
たくさんの木の香りがするんです。
もしかしたら、土の中には、大楠さん以外の誰か、まだいるのかもしれません。
274 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/13(火) 19:18:59.03 ID:RYXcxsNH0
ゴロゴロ
ポツンポツン
くーちゃん「…あめ、ですね」
くーちゃん「別にもう関係ありません」
くーちゃん「くーちゃんの目的に、天気なんてどうでもよいです」
くーちゃん「トンネルの中に、雨も晴れもありません。
くーちゃんは、幹を手で触れながら、ゆっくりとお腹を。頭を。ほっぺをぺたりと、くっつけます。
全身で、大楠さんの息吹を感じました。
大楠さんが、やさしいのか、さみしいのか、それもわかりません
目を閉じてくーちゃんは、いつものように、トンネルの中へ入ってゆきました。
275 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2024/02/13(火) 19:19:57.06 ID:RYXcxsNH0
じんわり、じんわり、暗闇だらけの瞼の裏に、うっすらと世界が広がってゆきます。
トンネル独特の風の音。土の香り。
トンネルの中のくーちゃんは、トンネルを見るために、ゆっくりと目を開きました。
そこは、ハナちゃんが描いていた世界に、とても似てました。
少しだけ違いはありますが、匂いや温度は、とても近いです。
そして、そこで感じたのは
確かな孤独でした。
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