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デジタルモンスター研究報告会 season2 後編

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702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/06(水) 19:34:44.70 ID:tRcqqePD0
敵にまで馴れ馴れしくニックネームで呼ばれるの腹立ちそうだなメガ
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/12/07(木) 05:37:35.99 ID:Yqc+0nEV0
つか、デジタマ盗っちゃってる時点で蛮族には大義名分出来ちゃってるくらな
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/07(木) 08:34:21.57 ID:54aDB5RL0
sageろよ
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/09(土) 16:35:14.04 ID:IXyA1fdfo
成長期成熟期でもひいひい言ってるのに完全体究極体が利用されることなったら人類滅びそう
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/09(土) 22:46:04.32 ID:QDYfCbTgo
土曜だし来ること期待してたがないか
707 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/10(日) 15:01:21.28 ID:FW7wa3IfO
クラッカーが不正に繋げてきたデジモン伝送路を遮断することには成功したので、物理的にネット回線を遮断する必要はなくなった。

AAAがデジドローンでデジタル空間内の状況を確認してクラッカーデジモンへ指示を出せるという弊害はあるが…
だからといって回線を切断するとこっちもデジクオリアのオンラインライセンス認証がエラーを吐いてデジドローンが緊急停止してしまい、パートナーデジモン達に指示を出せなくなってしまうので、切断はしない方が良さそうだ。

だが、こうしている今もクラッカーデジモン達は、デジタル空間を破壊しながら、重要な研究データを強奪している。
AAAが蛮族という物資強奪に特化したデジモンを育成して、農耕を教えなかったのは、彼らを強盗として利用するためだったのかもしれない。
このまま放置すればものの10分でシステムが破壊し尽くされてしまう…!

ん…?
よく見ると、僕達がデジモン伝送路を維持しているマルウェアを探している最中に、敵の数がさらに増えたようだ。
具体的に何がどれだけいるか…という差分についてはさすがに分からないけども、明らかにさっきはいなかった種類のデジモンがいる。

蟹型成長期デジモン、ガニモン。
それが3体いるようだ。

そんなばかな…!
ガニモンは人と意思疎通できるようなデジモンじゃなかったはずだ。
どうやって手懐けているんだ…!?

それだけじゃない。
プラチナスカモンもいる。
プラチナスカモンは、ジャングルモジャモンと並んでネット回線トンネルの前に陣取っている。

そしてもう一体。おかしなデジモンがいる。
一頭身体系のハゲオヤジ…とでもいう珍妙な姿のデジモンだ。
https://i.imgur.com/QjzJVxH.jpg
ハゲオヤジデジモンは、破壊活動に加わることなく、高い壁に登ってあぐらをかいて座りながら、ポヨモンの干物をかじっている。
とっくりから何かの液体を小さな器に注いで、気分良さそうに飲んでいる。

色からすると…おそらくアルコール飲料だ…!
ポヨモンの干物をつまみにして、果実酒かなんかを飲んでいる!
ふざけやがって!
708 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/10(日) 15:20:06.24 ID:FW7wa3IfO
今、バイオシミュレーション研究所のところにいる戦力は…
重機型成熟期のケンキモン(とその本体)。
植物型成長期のパルモン。
アテになるかならないか分からないファンビーモン。
ファイヤウォール破損中に次々と送り込まれてくるマルウェアの駆除に奔走しているチビマッシュモン軍団。

…フローティア島にいるトコモンと、ケンキモン(の本体)のデジタマ、ププモン達は戦力外だ。

使える武器は…
コマンドラモンの爆弾の予備が30発。
パルモンが貯蔵していた花粉を入れた袋が15袋。

あとは、鉄製の道具…ツルハシが2つ。
ショベルが2本ある。

「ツルハシやショベルって凶器としてもフツーに使えるよな。一応武装すりゃ武器の質ではこっちが上か」

「…カリアゲ、蛮族デジモン達の武器を良く見てみろ。骨棍棒じゃない」

「ん?武器っスかリーダー…。なんか光ってる…金属製かあれ!?」

「青銅の棒だ。銅とスズの合金。鉄には敵わないが、それでも強力な武器だ」

「銅…そーいやあいつら、なんか金属の精錬っぽいことやってたな…!」

…戦力差はあまりに絶望的だ。

「そ、そーだ!リーダー、外に助けを呼ぼうよ!パルタスさんとかスポンサーさんに!」

「そうだなクルエ。ジャスティファイヤとクロッソエレクトロニクスにグループ通話を繋ぐ!」
709 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/10(日) 15:30:42.20 ID:FW7wa3IfO
リーダーは、スポンサーさんとパルタス氏の二人に通話をした。
『ケン君が向かったニセ業者事件は罠だった…!?そっちの本丸が攻められているのか!我々が飼育している赤オタマモンを5匹ほど向かわせるかね?』

「それは助かるが…ネット回線トンネルの前に、プラチナスカモンとジャングルモジャモンが陣取って見張っている。外からの増援に対して出待ちをしているんだ。せっかくオタマモンを送り込んできてもらっても、おそらくトンネルを抜けた瞬間に青銅器の棍棒で叩き殺される」

『むぐ…うかつに増援も送れないのか』

「スポンサーさん。ケンキモンを防衛のために出動させたい。まだデジタマを一個しか産んでいないが構わないな?」

『勿論だ!「デジタマを2個産むまで出動禁止」と言ったのは、コマンドラモンを安全に殖やしてサービスの質と量を上げるためだ。その本拠地が攻め落とされたらサービス継続が不可能だ!ケンキモンを出撃させてくれ』

「わかった」

『だが…絶対に敵に鹵獲されてはいけない。理由は分かるね?』

…優秀なセキュリティデジモンは、優秀なクラッカーデジモンにも成り得る。
もしもコマンドラモンがクラッカーのもとで殖やされ、悪用されたらと思うと…気が気じゃない。

「…ああ。分かっている」

デジクオリアの画面から、ケンキモン(の本体)の声がした。

「敵には 決してつかまらない もし捕まったら その場で自爆する」

「気持ちは嬉しいが…自爆に使える火薬があるなら、敵にぶつけてやってくれ」

「わかった リーダー」
710 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/10(日) 15:34:32.68 ID:KkPwz/mPo
か、勝てるわけがないぃ
711 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/10(日) 15:41:42.63 ID:FW7wa3IfO
続いてパルタス氏から発言があった。
『状況は分かった!我々も至急増援を送ろう!どれだけ送れるかは上の許可次第になるがな!』

あれ。
トンネル前でジャングルモジャモンとプラチナスカモンが出待ちしてるから送れないって言ってなかったっけ。

『くだらん!トンネルから登場次第、その猿と大便どもをブチ殺してしまえばいい話だろう!』

それはそうだけど…
本当にできるなら助かるよ。

クルエがひょこっと顔を出した。
「スポンサーさん、ローグソフトウェア?ってところに救援は要請できないでしょーか?」

『…難しいだろうね。彼らの言うことは予想できる。「そんな契約はしていない」…その一言で終わりだろう』

カリアゲはそれを聞いて頭に血が登ったようだ。
「そりゃねえだろ!俺達が攻め落とされたら国内デジモンセキュリティ事業の一大事だぞ!協力してくれよ!」

『…彼らは今の状況を、「競合他社がひとつ潰れてくれるなら儲け物」と捉えるだろうねぇ』

「ウッソだろ…警察と提携してる会社がそんなんでいいのかよオイ…」

リーダーはため息をついた。
「…今挙げたものが集められる戦力のすべてか。この戦力差を埋めるには程遠そうだ」

いや。
まだ味方がいるよリーダー。

「なに?誰だ?」

僕だ!

「メガ…お前が?デジタルアソートは非戦闘用デジモンしかいないんじゃなかったのか?」
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/10(日) 15:44:00.83 ID:yMC032GAo
誰だ?
僕だ!ってかっこいいな
713 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/10(日) 15:55:07.99 ID:FW7wa3IfO
そうだ。
デジタルアソートの平和利用目的デジモンは、低コスト運用を前提にしているから、パワーもスピードも防御力も低い。

だけど、その力を戦いに活かせないわけじゃない。
さっきだってそうだったでしょ?

「確かに…仮称ガンマの検索能力のおかげで、チビマッシュモンの体内からマルウェアを発見できたな」

…『仮称デルタ』。
今のこの状況の数的不利を、わずかだけど誤魔化せる力を持つデジモンがいるんだ。

「なに!どこにいるんだ?」

今はケンといっしょにいる。
…デジヴァイスの中だよ。

「思い出した…仮称デルタは、デジヴァイスに搭載したデジクオリアシステムを管轄しているデジモンだな!…そいつが役に立つのか?」

確実に心強い味方になるはずだよ。
ただ…
呼べればの話だけど。

「ネット回線トンネルの前では敵が出待ちしているんだったな。すると、ネット回線を通らずに、直接パソコンにUSB接続して送り込む必要があるのか。今すぐにケンにここへ戻ってきてもらう必要があるな」

カリアゲは眉をしかめた。
「そういやケンは今どこにいるんだ?ちょっとケンに通話してみるか」

カリアゲはケンに電話をかけた。
「もしもしケン!こっちの本拠地がクラッカーに攻められてる!すぐに帰ってきてくれ!今どこにいるんだ!?」

早く戻ってきてケン…!

「何だって!?タクシーが渋滞に捕まって抜けれない!?」

えぇ!?
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/10(日) 16:03:26.15 ID:h74bn8I70
運にさえ見放された
715 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/10(日) 16:12:04.21 ID:FW7wa3IfO
〜ケン視点〜

今私はタクシーに乗り、帰路についているところだが…
長い渋滞に捕まっていて、車が進まない。

そんな状況で、カリアゲから電話が来た。
研究所が攻められているので、今すぐに帰ってきて欲しいとのことだ。

早く帰りたいのはやまやまだ。
タクシーが進まない以上…ここで降りて、徒歩で走って帰るか…!?

『どれくらいかかるんだ!?』

徒歩だったら…、どれだけ全力で走っても1時間はかかる。
途中で渋滞がない道路を見つけて、そこでタクシー呼んでも…10分20分じゃ着かなさそうだ。

『どうして今日に限ってそんな!俺が車で迎えに行ってもムリか!?』

街中の信号機が異常な挙動をしてるらしい。
赤と青が同時に灯ったり、黄色を飛ばして急に赤と青が切り替わったり…無茶苦茶だ。

『なんだよそりゃ…』

カリアゲの落胆した声に続いて、シンの声が聞こえた。

『デジヴァイスってwifi使えるんスよね?ケンさんのスマホのデザリング機能で、仮称デルタを俺のスマホに無線で送ってもらってから、それをUSB接続でパソコンに送り込めばいいんじゃないッスか?』

おお、そっか。
それでいくか!?

『…残念だけど、ケン、シン。今のデジヴァイスは正規品じゃなくて試作品なんだ。システム全体の機能うち、どの領域までを本体のハード・ソフト側に仕込み、どこからを仮称デルタに持たせるかのバランスも調整中なんだ』

そ…それで?今はどうなのメガ。

『wifiの無線機能は、本体側じゃなくて仮称デルタの力で実現しているんだ。だから無線通信でデルタが移動を始めた途端、無線接続が切断されてしまうんだ』

な…なんだって!?
結局無線じゃ送れないのか!
716 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/10(日) 16:25:11.27 ID:FW7wa3IfO
シンの声がした。
『USB接続でのデータ通信はできるんスか?そっちもデルタが管轄してたら、デルタはどうやってもデジヴァイスから出られないってことになるッスね』

リーダーの声がした。
『いや、USB接続ならできるはずだ。デジヴァイス本体にその機能がなかったら、そもそもデルタを最初にデジヴァイス内に入れることすらできなかっただろうからな』

『なるほど。じゃあケンさんのスマホにデルタを移動して、そっちから無線通信で送ったらどうッスか?』

『それは別の問題で難しいよ。今デジヴァイス内にモリシェルモンを閉じ込めてる隔離チェンバーと、ブイモン達がいる飼育室の境界を維持する機能は、仮称デルタの力で実現してるんだ。だからデルタが抜けたら、ブイモンとモリシェルモンが同じ部屋で鉢合わせになる』

それは絶対させられない…!
くそ…
クラッカーデジモンが研究所のシステムを破壊し尽くす前に、研究所に仮称デルタを送り込むのはどうやっても無理か…!?

『いや…大丈夫だよケン。タクシーの外を見て』

…?
どういうこと?メガ…

私がきょとんとしていると、デジヴァイスから懐かしい声がした。

『はっはっは むかえに きたでござるよ ケンどの』
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/10(日) 16:28:46.19 ID:NmhOv+aA0
おぉ再登場
718 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/10(日) 16:30:39.07 ID:FW7wa3IfO
私はタクシーの外を見た。
すると、そこには…

四つの回転翼でホバリングしている、空中バイクがあった。

こ、これは!?

『せっしゃにのって いっしょにとぶで ござる』

前にデジタルアソートのデモンストレーションのときに乗った…
『デジモンの力で自動運転する空中バイク』だ!

『これで ひとっとびで ござるよ』

私はタクシーの運転手に料金を払い、タクシーを降りて、渋滞している道路から離れた。
そして空中バイクに乗り込んだ。

『しっかり つかまるで ござる』

空中バイクは、凄まじいスピードで飛行した!
時速100kmは出ている…!

『けんきゅうじょまで いっちょくせんで ござる はっはっは』

で、でもこれ…大丈夫なの?
道路交通法とか。
警察に捕まったら面倒なことになるんじゃ…

『しんぱい ごむようで ござる』

な、なんで…?
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/10(日) 16:32:46.36 ID:h74bn8I7o
渋滞に捕まってる人達ビックリしちゃう…
SNSのトレンド1位になっちゃうよ
720 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/10(日) 16:35:49.78 ID:FW7wa3IfO
『なぜなら ガンマどのの けんさくのちからで けいさつのいちをさがし せっしゃの ナビゲートのちからで そこをさけて とんでるからで ござる』


す、すごい…凄すぎる。
デジタルアソートのデジモン達は、そこまで高度な機能を有してるのか。

それにしても…
仮称なんちゃらって呼び方は、流石に覚えづらい。
もう少し覚えやすい名前はないのだろうか?

君の名前なんだっけ?

『せっしゃは 仮称ニューでござるが… ふむ けんきゅうじょが こわれれば せっしゃたちも おしまい ケンどのと われわれは いちれんたくしょうで ござるな』

…そうなるね。

『ならば いずれ せっしゃにあたえられる デジモンとしてのなまえを なのらせてもらうで ござる』

助かるよ。

『せっしゃのなは…』

仮称ニューがそう言うと…
デジヴァイスの画面が起動し、見たことがないデジモンの姿が映し出された。
721 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/10(日) 16:37:33.22 ID:h74bn8I7o
一蓮托生なんて難しい言葉も覚えててえらいね
722 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/10(日) 16:40:00.30 ID:FW7wa3IfO
そこに映し出されたデジモンの姿は…
これまでに見たどのデジモンとも似ていなかった。

三頭身くらいの人型ではあるが…
全身が緑色で、薄い黄緑色のラインが入っている。

頭部には矢印のような形状の飾りがついていて…
両腕は、赤いマーカーの形状をしていた。

そう、例えるならば…
地図アプリで目的地を指し示すマーカーのような。

https://i.imgur.com/u8eA1Ba.jpg
『せっしゃの名は… アプリモンスターズ計画 試作ロット第二号 ナビモンでござる』
723 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/10(日) 16:40:27.57 ID:FW7wa3IfO
つづく
724 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/10(日) 16:42:42.12 ID:h74bn8I7o

まさかのアプモン
725 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/10(日) 16:43:38.67 ID:NmhOv+aA0

お前だったのか
726 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/10(日) 17:45:23.42 ID:/ERb11350
727 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/10(日) 18:49:13.88 ID:R5lrPih90

忍者のデジモンなのか……?と思ってたけどなるほど しっくり来るな
728 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/11(月) 19:12:07.27 ID:lQqz9GYEo
週一更新ペースだとするとAAAとの決戦リアルタイムで長丁場になりそうね
729 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/12(火) 20:59:12.30 ID:u0sxTrbTo
〜再び、メガ視点〜

ケンのことは仮称ニュー…ナビモンが迎えに行ってくれている。
5分もすればデジヴァイスの中にいる仮称デルタ、ドーガモンを連れてきてくれるはずだ。

だけど、それまでの間何もしなかったら、デジタル空間が破壊し尽くされてしまう!
今できることを、少しでもやろう!

シンがランドンシーフを持ってきた。
「ランドンシーフ起動しました!これでデジタル空間の好きなとこにいつでもデジタルゲート開けるッスよ!」

カリアゲがサムズアップした。
「ナイスだシン!あれ?どこにでも開けるってことはよ…蛮族デジモン達の足元に落とし穴みたいにゲートを開けば、全員デジタルワールドに追放できねえかな?」

残念だけどできないよ。
デジモンがゲートをくぐるかどうかは任意なんだ。
強制的にKICKすることはできない。

「うーんそっか…くっそ…」

リーダーがクルエの方を向いた。
「そうだ、デジタルワールドといえば…ベーダモンはどうだ!?ヤツの協力は得られないか!?」

「えっ…ベーダモンですか。いちおう声かけてみますね」

クルエはうちにある3機のデジドローンのうち2機目を起動し、ベーダモンへコンタクトを図った。

モニターにはベーダモンが寝床にしている樹が映る。

「ベーダモン様!聞こえる!?手を貸してほしいの!ピンチなんだ!」

すると木のうろからニュルニュルとベーダモンが出てきた。
ベーダモンはチャットを送ってきた。
『忙しいな 何事だ 余に何の用だ 研究者よ』

うおお、チャットを使いこなしている!
クルエとカリアゲはベーダモンに言葉を教えられたんだ。すごい。
730 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/12(火) 21:01:52.57 ID:r4FeTMSG0
様って…
様の概念教えれたのね
731 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/12(火) 21:05:29.39 ID:u0sxTrbTo
「うちのサーバー内に敵デジモンがたくさん侵入してきたの!このままじゃ私達みんなやられちゃう!お願いします、力を貸してくださいベーダモン様!」

『面白そうなことになっているな 様子を見せろ』

クルエはデジドローンのプロジェクターで、うちのデジタル空間内で暴れている蛮族たちの姿を見せた。

『これはこれは 愉快な祭ではないか』

「愉快じゃないです!このままじゃみんなやられちゃう!どうか、何卒お助けくださいベーダモン様!」

『余に何をしろと?』

「こいつらを洗脳光線で、ベーダモン様の手駒にしてやってください!」

『それで 汝らは 彼奴らとどう交戦したのだ』

「いえ、まだ…」

『つまらん 自ら戦いもせず 最初から余に助けを求めるか 恥を知れ痴れ者が』

痴れ者!?
クルエがデジモンから痴れ者って呼ばれた!
なんてボキャブラリーだ。

『愚図め 思っていた以上につまらんな汝らは そんなことで滅びるのならさっさと滅びてしまえ』

「そ、そこをなんとか…!何でもしますからああぁ!」

クルエは頭をペコペコ下げている。
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/12(火) 21:07:18.99 ID:hIEhZy0Zo
ん?今なんでもって
733 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/12(火) 21:21:49.03 ID:u0sxTrbTo
『何でもするだと ならば 汝らの滅びの悲鳴でも聞かせるがいい』

「そ、そんなあ!」

ベーダモンは笑っている。
性格悪くないか?こいつ…!?

カリアゲがマイクを握った。
「ベーダモン!敵の数は圧倒的だ。こっちの戦力は向こうよりうんと少ねえ…圧倒的不利だ!」

『そうらしいな カリアゲ』

「だけど!俺達は死にものぐるいで戦う!そして絶対に勝つ!」

『ほう』

「だから見ていてくれ!俺達がAAAをぶっ倒すところを!」

『それは面白い あの調子に乗っている生意気な小僧を 汝らが叩き伏せ 地に顔を擦り付けさせるとでもいうのか』

「おうよ!やったらぁ!」

『それは愉快だ 彼奴の無様な姿を余に曝け出させるというなら それほどおかしなことはない しばらく見物してやる』

「サンキュー!ベーダモン!」

『おや 余の力を借りたいと懇願していたのではないのか クルエはそうだったが』
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/12(火) 21:22:40.42 ID:hIEhZy0Zo
主人公みたいなメンタルしてんなカリアゲ
735 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/12(火) 21:25:02.48 ID:u0sxTrbTo
「自分達の身を護る戦いだからよ…最初からヨソを当てにするのはお門違いだろうよ」

『貴様はよく身の程をわきまえているな カリアゲ』

ベーダモンは腕を組んでいる。

『余の洗脳光線は 一度に2体も3体も同時に操ることはできぬ この数を相手にしても 余の下僕たちを繰り出せば勝てなくはないが つまらん しばらく戦って数を減らせ』

「ああ!」

『余を愉しませろ できなければ そのまま見殺しにする その方が愉快だ』

「オーケイ!なんとかしてみるさ!」

…いいの?
力を貸してもらえる感じじゃないけど。

リーダーは頷いている。
「これでいい。今大事なのは、ベーダモンをAAAの側につけないことだ。味方じゃなくても、敵でなければ十分だ」

いいんだこれで…
736 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/12(火) 21:34:02.94 ID:u0sxTrbTo
他にできることは…

「さて…パルモン。進化だ!」

ええっ!?
どういうことカリアゲ!?

「パルモンは今の俺達の仲間では一番…マッシュモンを除けば一番長い間成長期のままでいる。だけどパルモンは、十分な戦闘経験を積んで、獲物を狩ってきた!今なら進化できるはずだ!」

そんなに狩りしてたっけ?

「釣りだよ!プカモンやスイムモンをたくさん釣ったし、ガニモンも倒した!」

そうだったね。

「パルモン!分かるか?今俺達が大ピンチだってことが!サラがやられて…ワームモンもやられたんだ。俺の大好きなワームモンが…!」

パルモンはしょんぼりしている。
「ワームモン いなくなった かなしい」

「このままじゃみんなもいなくなっちまう…!だから、頼むパルモン!俺達を護ってくれ!一緒に奴らを倒そう!」

「わるもの!たおす!」

「いくぞ!なるんだ…成熟期に!今こそ進化だ!パルモン!」

「しんか…する! みんなを まもる!」

おお!?
いけるのか!?マジで!?

「ぱるもん… しんかぁーー!」

パルモンは全身に力を入れて踏ん張った。
いいぞ、いけ!パルモン!
737 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/12(火) 21:38:33.59 ID:u0sxTrbTo
「…かわんない」

…進化は起きなかった。
あれ。
なんかできそうなノリだったのに。

「なっ…!?くそ、行けると思ったのになー!何が足りないんだ!?」

「カリアゲパイセン…」

「シン!そんな目で俺を見るな!」

いや。
やれることは何でもやるべき状況だからいいと思うよ。
ナイストライ。

『プーックックックック…!フーッフフフフ…!』
ああっ!
ベーダモンが笑ってる!
ちくしょう…ウケを狙ってるわけじゃないのに。
738 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/12(火) 21:42:16.56 ID:cWTD845T0
カリアゲほど研究者みたいなインテリ職が似合わない人材は中々いまい
739 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/12(火) 21:44:54.17 ID:eiGfcAUe0
Brave Heartのイントロ掛かってる雰囲気だったのにな
740 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/12(火) 21:49:23.77 ID:u0sxTrbTo
「とはいえ…やれることはある。奴らの破壊を食い止めるために、今できることが!やるぞ、パルモン!」

「しんかを!?」

「そっちはいい!ゴニョゴニョ…」

「なるほど、わかった!じゅんびする!」

パルモンは何かの支度をし始めた。



デジタルゲートの中では、蛮族デジモン達がデジタル空間を破壊し、研究データを奪っている。

『くっくっく…どうした研究者ども!パルモンは?コマンドラモンは?ズバモンとルドモンはどうした?怖がって出てこれないか!くっくっく!臆病なセキュリティ共だ!とんだ看板倒れだなぁ?』

ね、ねえリーダー。
最悪の事態に備えて、研究データを予備の記憶装置にバックアップすべきじゃないかな?

「そうだな。できる限りリスクに備えよう。クラウドストレージへのデータ移送も始める!」

僕は最悪の事態に備えて、大事なデータのバックアップを始めた。
研究データで特に大事なものは、ネットワーク外部のクラウドストレージへ送ろう!

そして大容量データを転送すると…

デジクオリアの画面では、大容量データが光の塊として可視化され、ネット回線トンネルの方に向かって飛んでいくのが見えた。
741 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/12(火) 21:53:49.83 ID:u0sxTrbTo
だが…
ネット回線トンネルの前で陣取っているプラチナスカモンが立ちふさがった。

プラチナスカモンは大口を開けて、転送中のバックアップデータを食べた!

「うんみゃああァ〜〜〜い!もっと!美味いデータを食わせてくれよォ!ギャーッハッハッハ!」

だめだ…
外部ストレージへの大容量データ転送は妨害されてしまう!

バックアップは内部だけでやるしかない…!

「じゅんび!できた!」

おおっ、準備いいかパルモン!
それじゃあ…やるぞ!
742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/12(火) 21:55:49.46 ID:xgDrKbLso
ケンー!!!!はやくきてくれーっ!!!!
743 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/12(火) 21:59:52.18 ID:u0sxTrbTo
デジタル空間の天井から穴が空いた。

そこから、右手から蔓を伸ばしてロープ代わりにしたパルモンが降りてきて…

花粉の入った粉を、蛮族達の頭の上にぶちまけた!

そして、左手の蔓を大きく振り回して気流を作り、花粉を散布した!

蛮族デジモン達は、涙を流してくしゃみを始めた。
「ゲッホゲホ!オヴェ!オゲーッホゲホ!!」
「カユイイイイ!メガアアア!ハナガアアアア!」

シャーマモンやコエモン達は目を開けていられないようだ。
「ウホオォォオオオ!ゴッホゴッホ!」
ジャングルモジャモンも目を擦っている。
パルモンの花粉アレルギーは…成熟期にも通用する!

「キィイィイイ!」
怒ったセピックモンが、ブーメランを投げようとしてくるが…
パルモンはすぐにゲートへ引っ込み、ブーメランを回避した。

時間稼ぎにはなるはずだ!
頑張れパルモン!
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/12(火) 22:03:44.76 ID:IIX9hqIC0
この花粉と蔓が進化したら失くなるかもしれないと思うと
745 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/12(火) 22:04:49.83 ID:u0sxTrbTo
パルモンはあっちこっちから出ては逃げを繰り返し、ストックしていた花粉をあちこちの蛮族デジモン達へ浴びせて回った。

花粉が効かないプラチナスカモンや、必死に我慢して反撃しようとしているセピックモンは、飛び道具を投擲してパルモンを仕留めようとしている。

うお、危ない!
ブーメランが当たりそうになった。
大丈夫かいパルモン!

「へーき!」

その時。
「私が 出る!」

そう声がした。

次の瞬間。
大きなデジタルゲートが開き…

中から巨大なデジモンが出現した。
ケンキモンだ!

全高6mの巨大なマシーンの図体はやはりでかい!
746 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/12(火) 22:07:23.48 ID:PymN3XFjo
もはやロボットである
747 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/12(火) 22:16:46.24 ID:u0sxTrbTo
普段のケンキモンは、右手がフォークリフト、左手がパワーショベル、肩にクレーンがついており、とても戦闘向きには見えない。

しかし今出撃したケンキモンは、どうやら装備を換装しているらしい。

普段パワーショベルだった左手には、油圧鉄骨カッターがついている。
https://i.imgur.com/0tP5BBN.jpg

フォークリフトだった右手には、穴掘建柱車のドリルがついている。
https://i.imgur.com/megZv8u.jpg

クレーンには解体工事用の鉄球がついている。

おお…!?
解体工事仕様の装備だ!?

ケンキモンは、キャタピラー(クローラー)を唸らせて走行し…

一体のセピックモンの胴体を、鉄骨カッターのハサミで挟んだ!

「ウギ!?」
748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/12(火) 22:18:20.84 ID:r4FeTMSG0
特撮のロボットみたい
○○武装!とか出来るタイプの
749 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/12(火) 22:20:33.44 ID:u0sxTrbTo
「むぅん!」

そして、鉄骨カッターで…
バチンとセピックモンの胴体を両断した!

「グッギャアアアアアアア!!」

蛮族達は、突如響いた悲鳴に、目を擦りながら驚いた。

「花粉が 効いているうちに 強い敵から 倒す!」

ケンキモンは、ユニモンに乗ったフーガモンに突撃しながら、進路にいるシャーマモンやキャンドモンをクレーン鉄球でぶっ飛ばした!

「ギャアアオオオ!」

成長期程度は相手にならない!

「ゲッホ!ゴホ!」

フーガモンもユニモンも、まともに前が見えないようだ!
そのまま王手を取れ、ケンキモン!
750 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/12(火) 22:26:14.57 ID:u0sxTrbTo
『なんだ貴様ら、いつの間にそんな大型デジモンを!?面白い!迎え撃て、プラチナスカモン!』

AAAのデジドローンから指示が出た。

「ギャハーッハハッハ!俺様の出番だナ!?ギャハーッ!」

プラチナスカモンは、ケンキモンの顔面に目掛けて飛んできた。

ケンキモンは、それを鉄球で迎撃しようと試みた。

鉄球は空中でプラチナスカモンにヒットした!
プラチナスカモンはべちょっと潰れ、鉄球に張り付いた。

おお、やった!
そのままフーガモンにトドメをさせケンキモン!

ケンキモンは、フーガモンの首にめがけて鉄骨カッターを繰り出す!
751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/12(火) 22:27:49.66 ID:XuFWBPtJo
ケンキモンのことやズバモンルドモンとっくに移籍したことはまだ知られてないのね
752 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/12(火) 22:33:55.99 ID:u0sxTrbTo
その時…
ケンキモンのクレーンから鉄球がぼろりと外れ、ケンキモンの足元にずんと落ちた。

自身の鉄球に足をとられ、つまづきそうになるケンキモン。

必死にバランスを取って、なんとか転倒を回避した。

な…なんだ!?
なんで急に鉄球が外れた!?

鉄球の方を見ると…
なんと潰れて張り付いているプラチナスカモンが、ずるずると蠢き、ケンキモンの脚部にひっついた。

ケンキモンのクローラーは、次第に溶けていく!
な、なんだ!?どうなってるんだ!?

「スカーーッカッカッッカッカ!俺様を倒したと思ったか!?その慌てよう、スカっとするゾ!」

それを見たリーダーは、はっとした顔を見せた。
「AAA…これは…!火山地帯のズルモンの性質だな!」

『ほう?気づいたか!そうだ、火山地帯のズルモンがもつ、岩石や鉱石を溶かす性質だ!貴様らがプラチナスカモンと名付けたその個体には、その性質を与えた!』

「なん…だと…!だが、酸の反応にしては早すぎる…それだけじゃないな!」

『くっくっく…貴様らが名付ける前に、私がプラチナスカモンにつけていた名を教えてやろう。そいつの名は…「アマルガモン」』

アマルガモン…?

「アマルガム…。まさか…プラチナスカモンの正体は…!『水銀』か!」

「スカーーッカッカッッカッカ!その通り!俺様のボディは!金属を溶かして吸い取るキラッキラの水銀だァーー!スカーーッカッカッッカッカ!!」

や、やばい…!
そんなのに引っ付かれたら、ケンキモンは…!
753 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/12(火) 22:39:59.55 ID:u0sxTrbTo
その時。

デジタル空間に、大きなゲートが開いた。

そして、その中から大きなデジモンがのっしのっしと這い出てきた。

『ウバシャアアアアアアアア!!!』

そのデジモンは、超高圧の水流を噴射し、ケンキモンからプラチナスカモンを洗い流した。

「グヒャーーー!?」

水流で剥がれたプラチナスカモン。

「な、なんだ!?俺様の見せ場をよくも…!」

そのデジモンは…

「ンバアアァ」

大きな口で、プラチナスカモンをばくんと丸呑みにした。

『む…!?』

「水銀になろうと…粘菌デジモンは、こいつの大好物だ。指示がなくとも…最優先で狙う!」

そ…
その声は!
754 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/12(火) 22:42:04.63 ID:u0sxTrbTo
「お前が使った手に…今度はお前自身が苦しめられろ!AAA!」

け…ケン!
来てくれたんだな!

「お待たせメガ。連れてきたよ。ドーガモンを…そして、こいつを!」

『ウバシャアアアアアアアア!ゴアアアア!』

デジタル空間内に解き放たれたモリシェルモンは、周囲に蠢いている二足歩行の餌達を見て大喜びし、咆哮を上げた。
755 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/12(火) 22:42:32.80 ID:u0sxTrbTo
続く
756 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/12(火) 22:44:48.18 ID:wW2J4j/Bo

なるほどモリシェルモン問題をここで解決したか
757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/12(火) 22:47:18.69 ID:r4FeTMSG0

前回のピンチを逆に利用したか
758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/12(火) 22:47:59.91 ID:eiGfcAUe0

熾烈なMPK合戦だ
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/13(水) 00:03:27.66 ID:XAihZnZI0
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/16(土) 16:52:13.14 ID:gdqdyO2Jo
もうそろそろAAAにちゃんと勝てれば良いな
761 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 20:01:23.70 ID:QUG87C/oO
〜ケン視点〜

「ウシャバァアアア!!」
モリシェルモンは、貝殻に籠もると、回転して浮きながら、周囲の蛮族デジモン達へ突撃した。

シャーマモンやコエモン達が撥ね飛ばされている。
「ウギャァーーー!」

柔らかいワームモンへ一撃で致命傷を与えたモリシェルモンの回転タックル。
成長期の蛮族デジモン達は、その威力を一撃食らっただけで再起不能になっていた。

パルモンの花粉を、涙や鼻水で少しずつ洗い流している蛮族デジモン達は、視界がきくようになってきたのか、回避行動を取り始めた。

ドリモゲモンは、頭部のドリルでデジタル空間の地面に穴を掘って潜った。

目を擦りながら薄目を開けているフーガモンは、シマユニモンの手綱を引き、「とにかく離れろ」と言わんばかりに方向を指示をしたようだ。

フーガモンを乗せたシマユニモンは、その方向へ猛スピードで駆け出した。
どうやらシマユニモンには花粉があまり効いていないらしい。
https://i.imgur.com/9ZFlmF4.jpg
目がバイザーで覆われているため、鼻水は出るが涙で目が見えなくなることはないらしい。

モリシェルモンは、ケンキモンには攻撃してこない。
見るからに鉄の塊であり、食えそうにないからだろう。

…さて。
モリシェルモンは本命じゃない。
本当に連れてきたかったのは、デジヴァイスの制御システムを管轄してるドーガモンだったね、確か。

https://i.imgur.com/vtbqrA3.png
『お オレサマか』

ドーガモンがきょろきょろしているが、メガが答えた。
「そう。いずれパルモンの目潰しは効力を失う。そうしたら、このドーガモンが数の不利を補ってくれる。決定力はないけど、いるといないとでは絶対違うはずだよ、ケン」

分かった。
それで、そのドーガモン戦法はすぐにできるのか?

「いいや、デジモンの映像をドーガモンに視聴させて、それを教師データにして3分ほど深層学習させる必要がある。それまでは…モリシェルモンとケンキモンに時間を稼いでもらおう」

なるほど…!
ケンキモン、モリシェルモンと一緒にできるだけ蛮族デジモンを減らしてくれ!

すると、デジヴァイスからブイモンの声がした。
「お、おれも…いくよ! ワームモンの…か、かたきだ…!」

…無茶するなブイモン。
膝が震えてるよ。

それに今は、モリシェルモンが敵味方の区別なく暴れている。
ケンキモンみたいな明らかな無生物型デジモン以外は巻き添えを食らうよ。

「…そうかよ…」

君にはきっと然るべき出番で役割があるはずだ。

「…ねえんだろ、どうせ…オイラみたいに、バカであしひっぱってばかりのザコには…」

そ、そんなことないって…!
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 20:02:49.96 ID:W6ECuDjro
ブイモン…
763 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 20:13:10.19 ID:QUG87C/oO
「シャオオオォ!」
モリシェルモンは、キンカクモンに向かって水流とともに小さな貝殻の弾丸を発射した。

「チクショウガァ!」

仮面で素顔を覆い隠しているキンカクモンにも、花粉は効いているようだ。
だが、どうにかして金棒を振り、貝殻を打ち返そうとする。

貝殻に金棒がかすったようだ。
軌道を反らしはしたが、打ち返せてはいない。
貝殻の弾丸は、隣りにいたセピックモンの大きな仮面に当たった。

「ウキイィ!?」

貝殻はセピックモンの仮面に突き刺さり、びしびしとヒビを入れた。

凄まじい威力だ…!
キンカクモンとて、まともに食らったらただでは済まないだろう。


そこへ…
ケンキモンが突っ込んできた。
片方のキャタピラーがガタガタと不安定に揺れている。
プラチナスカモンの水銀ボディで若干溶かされたせいで、走行しづらくなっているらしい。

ケンキモンは、まだ花粉が効いているうちにキンカクモンを仕留める気だ!

右手の穴掘建柱ドリルを、キンカクモンに向かって突き出した!

キンカクモンはドリルを金棒でガードした。
「ヌウゥゥゥ!」

キンカクモンはケンキモンから距離を取る。
まだぶつかり合うのは不利だと悟ったようだ。
キンカクモンは仮面を外し、手で目を擦っている。

カリアゲがガタッと身を乗り出した。
「うおっ…美人さんだ…!敵じゃなけりゃあなぁ…!」

いや、おそらく蛮族デジモン達は、猿型デジモンがAAAからの影響を受けて人に似た姿に収斂進化したデジモンだ。
敵じゃなかったら人の姿に近付く機会すらなかったはずだ。

「おお、そっか…今はそんな解説してる場合じゃないと思うけどな!」

それはそう。
私の悪い癖だなぁ…
764 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 20:14:57.10 ID:W6ECuDjro
やはりある程度の言葉を覚えているか
765 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 20:25:36.91 ID:QUG87C/oO
ケンキモンは、巨大なボディで強力なパワーを発揮して戦っている。 

その動力源は、ケンキモンのコクピットに搭乗している「本体」が体内で発電した電気と、ケンキモンの予備バッテリーに充電していた電気の二つだ。
現在のケンキモンは、それら二系統の電力を同時に使ってオーバーロードしているから、本来のDPを超えたパワーを出せる。

だけど、いずれ予備バッテリーの電力は尽き、パワーが半減してしまうだろう。
そうなる前に、ケンキモンは短期決戦で強力な敵を仕留めようとしている。

距離を取ったキンカクモンに詰め寄ろうとして、脚部のキャタピラー(無限軌道)をぶん回そうとするケンキモン。
その時。

『今だ…やれ!』

突如、ケンキモンの脚部のキャタピラーの履帯がバチンと切れた。

な…なんだと!?
プラチナスカモンに溶かされたとはいえ、破断するほどのダメージは負っていなかったはずだ!
どうして!

ケンキモンの足元には何かがいた。
それは…

3体の、蟹型デジモン…ガニモンだった。
くそっ、こいつらがハサミで履帯を切断したのか…!

だけど、ガニモンはこんなに細かい命令を聞いて実行できるデジモンじゃないはずだ…!
なぜこんなに命令に従うんだ。

それに、花粉は効いていないのか…!?

…いや、効いてる!
目からドバドバ涙を流していて、目が真っ赤に痛々しく充血している!
物凄く辛そうだ!

フローティア島では、ガニモンは花粉をくらったら視界が効かなくなって海へ逃げていったはずだ。

このガニモン達、おかしいぞ…
蛮族デジモン達ですら耐え難い目の激痛と痒さに襲われているのに、なぜこんなロボットのように忠実に命令をこなせるんだ!?
766 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 20:26:29.03 ID:n0ifzAFQ0
かわいそ…
767 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 20:37:35.68 ID:QUG87C/oO
「どけ!」

ケンキモンは、鉄骨カッターを振ってガニモンを打ち払った。

ぶっ飛ばされたガニモンは仰向けにひっくり返る。

ん…?
ガニモンの腹部になにかついている…!

こ、これは…
ズルモン!

粘菌デジモンのズルモンが、ガニモンの腹部に潜り込んでいる…!
寄生してるのか!?

ガニモンは、あの寄生ズルモンに操られていた…!?

リーダーは驚いた。
「なんだと…!?今まで見てきた粘菌デジモンに、寄生する性質は無かったはずだ!どうやってあんなデジモンを作り出した!?」

クルエは寄生ズルモンにドン引きしながら答えた。
「どうって…どうにかしたんじゃないですか…?亀のデジモンを剣や盾への変形デジモンにできる奴らですよ、これくらいやってきそうですが…」

「だが…自然界にいるデジモンの中には、寄生性のデジモンは居ない。パッチ進化やジョグレス進化をしたとしても…、寄生して栄養を吸うだけならともかく、宿主を操る能力を獲得するように人工進化させるなど容易いことではないぞ…!」
768 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 20:40:13.56 ID:W6ECuDjro
数も多い上に何でもありかクラッカー側
769 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 20:51:28.87 ID:QUG87C/oO
リーダー。
心当たりがあります。

「フクロムシ」…という寄生虫を知っていますか?

「…ああ。知っている。カニに寄生して、体を乗っ取って操ってしまう生物だな。デジタルワールドでは、そのニッチに該当するデジモンは見つかっていなかったはずだが…」

そのフクロムシは…
フジツボの近縁種なんです。

「フジツボ…海岸の岩にくっついてるヤツらか」

はい。
フクロムシはフジツボと同系統の、蔓脚類という甲殻類です。

フジツボがカニの腹部にくっつくようになったものが、寄生能力を得るように進化した生物。それがフクロムシです。

そして、デジタルワールドにはフジツボによく似たデジモンがいます。

『フジツモン』…。
ピチモンから進化して、ガニモンへ進化する幼年期レベル2デジモンです。

「フジツモン…たしかタコ型デジモンのオクタモンの頭部にくっついてたり、岩にくっついたりして水中を漂う生ゴミの粒を食っている幼年期デジモンだな」

はい。
クラッカーはおそらく、粘菌デジモンのズルモンを、こともあろうにガニモンの進化前の姿であるフジツモンとジョグレス進化させたんです。

そうして、現実のフクロムシの進化を辿らせて、それに酷似した性質を持った寄生性ズルモンを作り上げたんです!

「…そうか…!『どんなデジモンにも寄生して操れるズルモン』を作ろうとした場合、寄生対象となる宿主デジモンの神経系統を乗っ取れるような遺伝子を作り上げなくてはならない…そんなことはとうてい不可能だ。だがいずれガニモンへ進化する遺伝子を持った幼年期のフジツモンをベースにして寄生デジモンを作ることで、ガニモンの神経系統を乗っ取れる遺伝子を獲得したということか!」

きっとそうです。
ガニモンの神経系統を乗っ取れるようにしたいなら、ガニモンの遺伝子を持った寄生デジモンを作ればいい…ということです。

「理屈は分かるけどよぉ…そんなことやるかフツー!?どんだけ性格悪いんだよAAAのヤツ!」
カリアゲは悪態を付いている。
気持ちは分かる。

…AAAのデジドローンから声がした。
『…何だ?今のお前…ガニモンの腹部を一目見ただけで、私が寄生ズルモンを作り上げた手段を一瞬で言い当てたのか?』

だったら何だ!

『…お前、私と手を組まないか?クラッカー側に来いよ』

行くわけ無いだろ!
770 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 21:03:12.92 ID:QUG87C/oO
『そうか…仕方ない。おい、もうそのデカブツは用済みだ。片付けろ』

ん…?
AAAのデジドローンが、なにかへ指示をした。

「ウシャアアアア!」
モリシェルモンは、多数の蛮族デジモンに対して数の不利など知ったことかと言わんばかりに圧倒している。

シャーマモンを叩き潰して殺し、食わずに捨てて、新たな獲物を仕留めにかかっている。

モリシェルモンはヌメモン系統なので、腐敗した死骸でも平然と食う。
そのため獲物を仕留め次第逐次食うのではなく、とにかく殺せるだけ殺してから、それを巣に持ち帰ってじっくり食べる習性がある。腐り始めたものから…。

そうだ…
ズルモンは粘菌デジモンだ!
モリシェルモンの大好物!

ケンキモンは、足下の小さなガニモン達を相手にするのを手こずっているが…
モリシェルモンの興味を引ければ、腹部のズルモンごとガニモンを優先的に食ってくれるかもしれない!

ケンキモン、モリシェルモンの意識を引け!

ケンキモンは私の指示を聞き、ガニモンを一体モリシェルモンの方へ弾き飛ばした。

モリシェルモンをおびき寄せる気だ!

その時…
「ガアアアアアァァァ!?」
突如、モリシェルモンが悲鳴を上げた。
771 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 21:09:52.90 ID:QUG87C/oO
どうしたんだ、モリシェルモン!?

「ガアアアアアァァァ!ァガアアアァァァ!ゴバアアア!」

モリシェルモンは吐血した。
物凄く痛がっているようだ。
な、なんだ!?

『くっくっく…このデカブツを繰り出して、一杯食わせたつもりか?だとしたら興醒めするほどつまらんな。この私が…自分が使う手への対抗策を何も用意していないと思ったか!』

モリシェルモンはグルンと白目を向いた。
するとモリシェルモンの頭部が、メキメキと裂けて…
血飛沫をあげ、頭の中から何かが突き出した。

それは…
回転するドリルだ。

「ウウゥゥゥウ〜〜!!」

モグラ型成熟期デジモンのドリモゲモンが、モリシェルモンの頭部を突き破り、引き裂いてモリシェルモンの体内から出てきた。

モリシェルモンは、力なくうつ伏せに倒れた。

「ウゥーーーーー!!」
ドリモゲモンは雄叫びをあげている。


…そんな…。
あんなに強いモリシェルモンが、こんなに一瞬であっさりと仕留められた!
772 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 21:14:38.12 ID:QUG87C/oO
ドリモゲモンのDPは、モリシェルモンに比べれば遥かに低い。
だが、ドリルで地中にトンネルを作って掘り進む力を持つドリモゲモンは、ある意味モリシェルモンにとって天敵なんだ…!

途中からモリシェルモンの腹部の下へ、そのまま『掘り進んで』しまえば、モリシェルモンの体内へそのまま『トンネル』を掘り、内部から破壊してしまうことができる。

くそ…!
そんな手があったなんて!

『ついでだドリモゲモン!そこのガラクタを解体してやれ!』

「ウゥゥ〜〜!」
モリシェルモンを仕留めたドリモゲモンは地中に潜った。

ま、まずい…!
ケンキモンは今、キャタピラーは破損していて移動できない!

血中からドリモゲモンに攻撃されたら、回避できない…!
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 21:17:13.06 ID:qrMvnQFJo
命運もここまでか!?
774 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 21:21:31.03 ID:QUG87C/oO
ケンキモンは慌てている。

そのとき…

『ケンキモン オレといっしょに ドリモゲモンを たおすぞ』

チャットの文章を読み上げたような合成音声が聞こえて来た。

声がした方を見ると…
一体のデジモンがいた。

そのデジモンは…
見たことがないデジモンだった。
https://i.imgur.com/MNNSRQX.jpg

赤い帽子を被った、二足歩行の獣形デジモンだ。
成長期だろうか。
あ…あれは!?

メガが口を開いた。
「仮称ガンマ。蟹を煮る鍋の位置を検索したり、さっきチビマッシュモンの体内からマルウェアを検索したのがこの個体だよ」

仮称は分かりづらい!
名称を教えてくれ!

『オレは アプリモンスターズ計画 試作ロット第2号 ガッチモンだ!なんていってる ばあいじゃねえ! やるぞケンキモン ドリモゲモンを…ふたりでたおす!』

し…勝算があるのか!?

『まかせろ ディープサーチ!』
ガッチモンは、両手を地面にかざした。
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 21:23:54.85 ID:uCjdMN4a0
感情は豊かなようだ
これでお喋り出来れば楽しい奴なんだけどな
776 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 21:26:20.07 ID:QUG87C/oO
ガッチモンは、デジタル空間地下の地図データを生成した。
『よっしゃ ケンキモン これを!』

ケンキモンは、地図データを見た。
地中のどこにドリモゲモンがいるか、はっきりと映し出されている!

蛮族デジモン達が、いっせいにケンキモンの方へ向かってきた。
モリシェルモンが倒れた今、倒すべき敵はケンキモンただ一体ということだ。
花粉のアレルギー症状が引いた個体から、飛びかかってくる…!

ドリモゲモンの居場所を示すマーカーが、ケンキモンの真下へ来る…!

「そこだ!」
ケンキモンは、マーカーの位置へ向かって、穴掘建柱ドリルを突き出した!

回転するドリルはデジタル空間の地面を突き破り、地中を抉る。

「ウウウゥゥウウギャアアアアアアアアア!!!」

血飛沫と共に、ドリモゲモンの悲鳴がこだました。
777 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 21:27:13.93 ID:QUG87C/oO
続く
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 21:29:07.11 ID:n0ifzAFQ0

メガは有能なデジモン作ったな
779 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/17(日) 21:29:52.74 ID:QUG87C/oO
>>774
間違えた
試作ロット第2号→第3号です
780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 21:32:07.10 ID:OS5USrQ2o
戦局は膠着ってとこか
781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 21:38:11.43 ID:sF9aBeuM0
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/17(日) 21:43:59.22 ID:NHUelWMX0

手札を出しまくる戦いだ
783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/18(月) 09:16:35.25 ID:UfnU4ilZ0
短いはずなのに長く感じる3分だ
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/18(月) 20:40:55.58 ID:bISmu9fZo
3分耐えれば勝てる保証があるわけでもないし辛い戦い
785 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 07:59:55.21 ID:ZRae2xG0o
ケンキモンが地面からドリルを引っこ抜くと…
ドリルには、胴体を貫通されているドリモゲモンがついてきた。

ケンキモンはドリモゲモンからドリルを引き抜き、ドリモゲモンを地面へ投げ捨てた。

『なんだと…!?貴様、どうやってドリモゲモンの位置を…!?』
AAAは予想外だったらしく慌てている様子だ。

「ウゥ…ゥウウ…!」
致命傷を受けたドリモゲモンは…
最期の力を振り絞って、デジタマを産んだ。

ドリモゲモンのデジタマか…
確保しておこう。
デジモンキャプチャーを使い、そのデジタマを隔離チェンバーへ送った。

だが、相変わらず敵は多い。
花粉アレルギーが治まった蛮族デジモン達が、ケンキモンに押し寄せてくる。

ズルモンに支配されたガニモン達も、再び脚部を狙ってくる。
四面楚歌だ…!

だが、ガニモン達は…
彼らのすぐそばに突如開いたデジタルゲートから伸びてきた、植物のツタのようなものに捕まった。
そして、デジタルゲートへと引きずり込まれた。

そのデジタルゲートの向こう側は…
懐かしのビオトープだった。

オタマモンがかまどに火をつけており、かまどでは大きな土鍋の中で熱湯が湧いていた。

ガニモン達を捕らえたパルモンは…
そのままガニモン達を、土鍋へ叩き込んだ!

熱湯がバシャンと音を立てる。

この土鍋は、ガニモンを茹でて蟹鍋にするためにブイモンが作った逸品だ。

ガニモン達は熱湯から脱出しようとするが…
パルモンとオタマモンは、蓋を閉めて上から押さえつけた。

…まさか蟹鍋を武器として使うとは。

やがて、全力で暴れたガニモンが蓋を払い除けた。
空中で宙返りして、地面へ着地するパルモン。

ガニモン達は土鍋から脱出してしまった。

熱湯の中には…
グツグツに茹でられて動かなくなったズルモン3体の姿があった。
786 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 08:10:54.44 ID:ZRae2xG0o
さて、ケンキモンとドリモゲモンが戦っていたとき…
同時並行で、マッシュモンとチビマッシュモンは別の作業をしていた。

モリシェルモンの巨大な死骸を、デジタル空間からどける作業だ。
メガ曰く、モリシェルモンの死骸はドーガモン作戦の妨げになるらしい。

モリシェルモンの直下に巨大なデジタルゲートが開いた。
その中からチビマッシュモン達が出てきて、モリシェルモンの死骸をゲートに引っ張り込もうとしている。

「マッシ!マッシ!マッシ!」

だが、チビマッシュモン達の小さな体では、モリシェルモンをデジタルゲートの中へ引きずり込むのが容易でないようだ…。

そこへ…
「オイラも…てつだう」

デジタルゲートの中からブイモンが現れた。
「こいつを…どかせば、いいんだろ!」

チビマッシュモンに、肉体労働が得意なブイモンが加わったことで、モリシェルモンの死骸をデジタルゲートを通してフローティア島へ放逐することに成功した。

よくやったブイモン!
偉いぞ!
「そ、そうかな…へへ…」
ブイモンは少し照れている。
「オイラ、これくらいしかできることないからよ…」
…自分を卑下するなよブイモン。
十分いい働きしてるんだから。
787 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 08:19:04.84 ID:ZRae2xG0o
ガニモンの排除と、モリシェルモンの放逐に完了したとき…

「ウホオォォ!」

ジャングルモジャモン2体がケンキモンに飛びかかってきた。

ケンキモンは先程、ガニモン達と格闘していたが、だいぶ脚部を破壊されてしまった。
この場から移動することは難しいだろう。

「ウホォァ!」
ジャングルモジャモン達は、青銅の棍棒でケンキモンのボディを叩いた!
ガキィンとすさまじい金属音が鳴り響いた。

「ウホ?」
殴られたケンキモンのボディは凹んでいたが…
青銅の棍棒はそれ以上に凹んでいた。

ケンキモンのボディは鉄製だ。
そう簡単に青銅に負けはしない。

…それを鑑みると、薄い板金とはいえ、鉄のキャタピラー履帯を切断したガニモンのハサミは本当に自分恐ろしい武器だったんだなと実感させられる。

パルモンが不意をついてガニモン達の腹部に寄生したズルモン達を茹で殺すことには成功したものの…
統率された行動を取るガニモン達は、下手な成熟期より恐ろしい敵だった。
788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 08:27:27.59 ID:RMabxayOo
こちらは各自の判断でみんなベストを尽くしているな
789 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 08:29:36.14 ID:ZRae2xG0o
ケンキモンは、クレーン鉄球をジャングルモジャモンへ振りかざす。

「ウホッ!」
だが、ジャングルモジャモン達はそれを軽快に回避した。

続いて、鉄骨カッターやドリルを繰り出すが…
「ウホハハハハ!」

ジャングルモジャモンはそれらの攻撃を、ひょいひょい飛び跳ねて回避する。

くっ…
スピードで完全に負けている…!

パルモンの花粉による弱体化が解けた蛮族デジモンが、こんなに手強いのか!

『金属のボディか…。フーガモン、やれ!』
AAAのデジドローンが指示を出した。

すると、フーガモンはシマユニモンの手綱を握って、シマユニモンに何かを指示した。

シマユニモンは、ケンキモンに角を向けると…
角から放電を放ち、ケンキモンへ電気ショックを浴びせた!

「ぐっ…があああああ!」
ケンキモンの中の本体が苦しそうな声を上げた。
電撃攻撃がケンキモンの金属ボディを伝い、中の本体にダメージを与えているのか!

や…やばい!
シマユニモンにそんな力があったなんて…!

このままではやられてしまう…!

「3分だ!いくぞ、ドーガモン!」
その時、メガの声がした。
790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 08:32:58.50 ID:JqwF3fs00
長い3分だった
791 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 08:39:31.33 ID:ZRae2xG0o
空中にデジタルゲートが空いた。

その中から飛び出てきたのは…
ファンビーモンだ。

ファンビーモンが…
なんと、2体、3体…4体…!
次々と飛び出してくる!

合計16体のファンビーモンが、デジタルゲートから出現した!

『なに!?バカな…これだけの短期間でファンビーモンをここまで殖やしたのか!?』

「ヒイィィィ!」
敵のキャンドモン達は、ファンビーモンの群れの姿を見てビビった。

群れのうちの一体が、尾から毒針を飛ばした。
「ウホォオ!?」

毒針は、ジャングルモジャモンの一体に当たった。

「ウホギャアァア!」
毒針から電気ショックが発せられ、ジャングルモジャモンが感染した。

え!?
ファンビーモンの毒針って電気も出せるの!?

私が驚くと、カリアゲが解説してくれた。
「毒針の中に電源が入っているみたいだぞ。すぐに引っこ抜かれないように、少しの時間だけ感電させて、毒が回る時間を稼げるようにしてるみたいだな」

カリアゲ…
随分ファンビーモンに詳しいな。

「まあ…俺はファンビーモンと仲間になろうとして、ずっとコンタクトを取り続けてきたからな。ガニモン鍋の残りとかあげたら、喜んで食ってたぜ」

それが今、活きたということかな。
「いや、あんま活きてないな!シマユニモンを狙えって言ったけど、やっぱ言葉は分かってねえみてえだ!」

確かに。
今はジャングルモジャモンより優先して、シマユニモンを狙って欲しい場面だ…!
792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 08:41:48.47 ID:C3Ln/pi0o
あんな奴と仲良くなるのまだ諦めてなかったのかカリアゲ
793 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 08:46:57.86 ID:ZRae2xG0o
そのままジャングルモジャモンは、麻痺毒で動かなくなった。

…成熟期相手をこんなあっけなく無力化するファンビーモンの猛毒。
やはり純粋な戦闘能力においては規格外だ。

ファンビーモンの毒針攻撃を見た蛮族デジモン達は、大層驚いている様子だ。

空中から即効性のある麻痺毒針を飛ばしてくる敵…
それが16体もいる。

その状況の恐ろしさに、蛮族デジモン達は気付いたようだ。

続いて、他のファンビーモン達も毒針を飛ばし始めた。
それらの毒針はすべて、命中するスレスレで外れてしまったが…
『自分に向かって毒針が飛んできた』というだけで、蛮族デジモン達はパニックになっているようだ。

「ウホオォォオオオ!!ホァアアア!!」
ケンキモンの取り囲んで青銅棍棒で叩いていた蛮族デジモン達は、一斉に逃げ惑う!

『くそ…戦え!逃げるな!』
AAAの言葉も、パニックの蛮族デジモン達には届いていないようだ。
794 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 08:50:51.16 ID:DW7YuOfCo
大局的にはまだ勝つ見込みあっても自分が死ぬ確率は高そうなら利害の一致しかない関係ならそら逃げる
795 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 08:54:56.41 ID:ZRae2xG0o
シマユニモンに電撃攻撃をさせていたフーガモンは…
「イッタン キョリヲ トレ!」

シマユニモンの手綱を引いて、電撃攻撃を止めさせた。
ファンビーモンの群れをケンキモン以上の脅威と見なし、距離を取ることにしたようだ。

「ブルッヒ!」
放電を止めたシマユニモンは、だいぶ疲れているようだ。

あの放電攻撃はなかなか体力を消耗するらしいな…。

シマユニモンは、再び駆け出そうとした。
…その時。

どこからともなく、高速回転する手裏剣のようなものが飛んできて…
シマユニモンの首の横側を切り裂いた。

「ブルヒヒイィィ!」
斬撃を首に食らったシマユニモン。
首の切り傷からボタボタと出血した。

飛んできたのは…
https://i.imgur.com/2o5Ko8A.jpg

…ティンクルスターモンだ!
796 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 08:56:55.15 ID:JqwF3fs00
来てくれたか戦闘力だけなら信頼できるやつら
797 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 09:00:55.04 ID:ZRae2xG0o
『ふはははは!手遅れになる前に間に合ったようだな!』

この声は…パルタスさん!?
そういやリーダーから救援要請をしてたんだっけ。

ティンクルスターモン!久しぶり!

『ヒサシブリ? オハツニ オメニ カカリヤッス!』

あれ。
前にティンクルスターモンとは話したことなかったっけ。

『そいつは前に見せたときは幼年期のピックモンだった個体だな!あのとき会わせたティンクルスターモンは、今はスターモンへ進化したぞ!』

おお、そうなんですか!

『上からの許可が通ったのはティンクルスターモンだけだった!スターモンとシューティングスターモン、ジオグレイモンは出撃許可が通らなかった。仕方あるまい、こちらをもぬけの殻にはできないからな!』

十分助かります!
798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 09:01:04.59 ID:HYI1xDmL0
ティンクルスターモンの形状
八つ裂き光輪みたいに投げたり持って斬りかかったりしたくなる
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 09:01:51.15 ID:gxUz7AgNo
…ジオ?
800 : ◆VLsOpQtFCs [saga]:2023/12/20(水) 09:15:19.24 ID:ZRae2xG0o
スポンサーさんから通信があった。

『諸君。今はあまり関係ない話だが…ローグ・ソフトウェアに連絡したところ、クラッカーデジモンの駆除に協力してくれるそうだ』

おお、なんと!?
で、ではそっちのセキュリティデジモンがここへ来てくれるんですか!?

『いや、ここには来ない。見守りマッシュモンとかいう詐偽は、学校だけでなく生徒の親達にも被害が拡大していたのを覚えているかね?』

あー、確かそうでしたね。
モリシェルモン乱入の有耶無耶で、そっちは放置して帰ってきちゃいましたけども。

『ローグ・ソフトウェアは、その親御さん達のとこにいるであろうクラッカーマッシュモンを駆除し、自分たちのところのセキュリティサービスの営業をかけるようだ』

それを聞いたカリアゲは前のめりになった。
「何だよそれ!?俺達が先に見つけた敵じゃねえか!横取りかよ!」

『君達が命がけで暴いた敵の手口だったが…。状況が状況なだけに、つい口を滑らせてしまった。すまないね』

「ずるいぞ畜生!」

いや…そうとも言えない。
一番大事なことは、セキュリティサービス同士での小競り合いに勝つことじゃない。
クラッカーデジモンの被害者が、一刻も早く被害から救われることだ。

今こうしてる間にも、生徒の親御さん達のパソコンやスマホから、クラッカーマッシュモンによって情報を抜き取られたりしているかもしれない。

それを…
『我々が行くまで待て』とは言えないよ。
ローグ・ソフトウェアがすぐ動いてクラッカーマッシュモン退治してくれるなら、それに越したことはない。

「おお、そりゃ…そっかぁ…。そうだな」

『…損な性格だね。だが、それが我々が君達を信頼している点でもある』

それはどうも。

『本当に今と関係ない話ですまないね!だが一応リアルタイムで伝えておくべきと思ったんだ』

…まあ、AAAがこちらへの攻撃に集中している間に、その手先を排除するのは悪くない判断です。
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/12/20(水) 09:18:03.72 ID:RzVVH3UDo
デジモンシリーズの主人公やれそうなくらいバカのつくほど善性お人好しと知性だ
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