【悲報】夢魔の集落に男一人で流れ着いてしまった【たすけて】【安価スレ】

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/07/03(月) 14:28:48.36 ID:jO1AKp7NO
終わらないと思っていた眠りから目覚めた時、視界に入ったのは見知らぬ天井だった。

恐る恐る左目に触れる。そこには潰れたはずの眼球があった。
今は光を宿していないが、確かにそれは存在している。

胸に手を当てると、当てた部分が激しく痛んだ。清潔な包帯が巻かれていたそこには、赤い染みができている。

目の再生を優先したばかりに胸の傷がそこまで癒えなかったのだと、目覚めたばかりの頭を働かせてどうにか結論へと辿り着く。
正しいのか分からないし分かったところでどうにかなるわけではないが、現状の把握には必要なことである。

何故自分が生きているのか。そんなの誰かが助けてくれたからに決まっている。
では誰が助けたのか。何故助けてくれたのか。そんなの実際に下手人に訊かねば分からないに決まっている。

真相を確かめようと寝床を立つ。すると、周囲からは気配が感じ取れた。
そこまで長くもないがとても濃密な人生の中で、一度たりとも感じたことのない無数の魔の気配を。

魔の一族と関わったことはそれなりにあるし、友好的な関係は築けているという自負はあるのだが、それにしたってこれはない。
両手足の指では到底数えきれない人数に囲まれるのは生まれて初めてだ。
それも、感じる気配全てが女性の魔族とは。夢ならばどれほど良かっただろう。
だが、悲しいことにこれは現実だ。頬を引っ叩こうが腹を切ろうが、身を取り巻く環境は変わらないだろう。

ああ、どうしてこんなことになってしまったのだろう。
そんな感情と共に、涙が溢れそうになった。

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