他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
わが友ヒトラー
Check
Tweet
100 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 19:54:04.37 ID:jiCWbLTH0
帰り道
(´・ω・`)「そういえば……」
(´・ω・`)「アドルフはステファニー以外に好きになった人っているの?」
彡(゚)(゚)「おらん ステファニー以外の女なんて眼中にもないで」
(´・ω・`) .。oO(あーなるほど)
一人の女性を愛し続けるジェントルマンだったんだアドルフは
これで謎が……
彡(-)(-)「ステファニーこそドイツ女性の理想像なんや…」
彡(゚)(゚)「ステファニー以外の女にうつつを抜かすなんてことは……」
彡(●)(●)「ドイツ民族に対する冒涜や!!!」
(;´・ω・` ) .。oO(ん?)
一人の女性を愛すとかそんな話じゃないぞ
もっと信念……いや…コレは……信仰だ……
ステファニーはアドルフの心の中で神格化、偶像化、聖人化されて
彼の道徳観の拠り所になっている
だからアドルフは他の女性に目もくれない
でも女性たちは女性たちで自分たちに素っ気ない態度をとるアドルフに……
女のプライドからつい試したくなってしまう
(;´・ω・` ) .。oO(これが答え…?)
彡(-)(-)「彼女がウィーンにいたなんて信じられんな」
彡(゚)(゚)「この都市は売春が蔓延るドイツ女性の敵や」
彡(•)(•)「全てはこの国の多民族性が悪いんや!」
彡(●)(●)「チェコ人、マジャール人、クロアチア人、イタリア人が〜!」
( ;´-ω-` ) .。oO(ま〜た始まった)
この話しになったらもうどうしようもないや
101 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 19:54:51.91 ID:jiCWbLTH0
交差点
彡(゚)(゚)「この都市の性は乱れきっとる! 例えばバ……」
(´・ω・`)「バ?」
彡(゚)(゚) (´・ω・`)?? (◦灬•)ピタっ
なんだ?急に前の男性が立ち止まったぞ
彡(-)(-)「…いや、お前は知らんでええ」
(´・ω・` )「え、そうなの…」
彡(゚)(゚) (´・ω・`)?? (◦灬⦿)ジー
紳士っぽい人がじっとボクたちを見ている
(◦灬•)「君たち、最近の暮らしぶりは如何かね?」
(´・ω・`) .。oO(おっ近くでみると、やっぱり身なりが上流階級のそれだ)
彡(゚)(゚)「いいとは言えませんな なにせ貧乏学生なもので」
(´・ω・`)「彼は建築を学び、ボクは音楽を学んでいます」
(◦灬•)「なるほど、ならば未来のオーストリアを担う若者という訳だ」
(◦灬¯)「……この近くにホテルがあるんだ」
(◦灬⦿)「どうだろう夕食を食べていかない……か?」
(´ᴖωᴖ`)「えっ、本当ですか!?」
彡(゚)(゚)「……」
(´・ω・`)「アドルフ、たまにはこういうのもいいんじゃない?」
彡(-)(-)……
(´・ω・`)「アドルフ?」
彡(゚)(゚)「……せやな」
ホテル前
(。゚ω゚)「うわぁ……大きいところですね 屋上があんなに高い」
彡(゚)(゚)「ほう、中々ええ建築やな」
(◦灬⦿)「……」
(´・ω・`; ) .。oO(なんだろうお尻を見られてる気がする……)
(◦灬¯)「おっと失礼 さあ、さっそく中にイこうか」
102 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 19:55:38.15 ID:jiCWbLTH0
ホテル内
(◦灬^)「さぁ、好きなものを注文するといい」
(*>ω<*)「じゃあボクは…」
彡(゚)(゚)「……」
(´ᴖωᴖ`)「ふふ、ボクこんなところに来たことないよ!」
(´・ω・`)「アドルフは何を食べる?」
彡(゚)(゚)「…………」
(´・ω・`)「さっきからどうしたの?」
彡(-)(-)「……まあ、気をつけてればええか」
彡(゚)(゚)「クビチェクも楽しんでるみたいやし」
(;´・ω・` )「お腹、痛いの?」
彡(^)(^)「なんでもないで…じゃあワイは」
食後
(´ᴖωᴖ`)「ああ〜美味しかった 本当に今日はありがとうございます」
(´・ω・`)「って、あの紳士の方は?」
彡(゚)(゚)「いつの間にかいなくなったな」
(◦灬^)「おまたせ デザートはケーキしかなかったんだけどいいかな」
(´^ω^`)「デザートまで!」
彡(>)(<)「おっ、甘い物はワイの好物や」バクバクバク
(;´・ω・` )「あっ!一人で全部、食べないでよ……」
( ;´-ω-` )「あー空っぽだ……もう……」
(◦灬^)「ははは、君はこっちのアイスティーでも飲みなさい」
( ;´-ω-` )「ありがとうございます」
103 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 19:56:32.61 ID:jiCWbLTH0
(´^ω^`)「ああ〜もうお腹いっぱいだ」
(`・ω・´)「すっかりご馳走になりました」
(◦灬¯)「いやいや、若者を応援することが大人の務めというものさ」
(◦灬⦿)「先程交差点で君たちの話を聞いたらイても立ってもいられずにね」
(◦灬•)「しかし、アドルフ君は最近の若者にしては鋭い考えを持っている…」
(´ᴖωᴖ`)「そうなんです!」
(´ᴖωᴖ`)「それにアドルフはすっごく女の人にモテるんですよ!!」
( ˘ω˘ ; )「でも、全然……女性に興味を示さないんです…」
彡(゚)(゚)「おいおい、よせって」
(◦灬⦿)「ほう…実に興味深いね」
(´-ω-`)「さっきだって女の人からお誘いのカードを貰ったのに」
(´・ω・`)「チラっと見ただけで それでお終いなんです」
彡;(゚)(゚)「クビチェク 本当にもうやめて」
(◦灬^)「ははは、君は私の若い頃にそっくりだね」
(◦灬•)「私はフェクラブルックの工場主をしていてね」
(◦灬¯)「最近は金目当ての婦人ばかりに寄られて 困っているんだ」
彡(-)(-)「最近のウィーンは欲にまみれてますからな」
彡(゚)(゚)「かつての英雄がいた時代が輝かしいばかりです」
(◦灬¯)「本当にね… 筋骨隆々の男達が戦場で合間見えていた時代は……」
(◦灬¯)「もう遠い昔だ……」
(◦灬^)「君の方は音楽を学んでいるんだってね」
(◦灬•)「私は最近、室内音楽に凝っているんだが」
(´ᴖωᴖ`)「本当ですか! 室内での音響は〜」
喋ること数分
(´-ω-`)「うーん、少し眠くなってきたかな……?Zzz」
彡(^)(^)「はは、彼は毎朝早いのでこの時間はもうベッドの上なんです」
彡(-)(-)「ではそろそろ、この辺で……」
(◦灬•)「ああ、今日は実に楽しかったよ」
(◦灬⦿)「ところで君……」
104 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 19:57:18.73 ID:jiCWbLTH0
彡(゚)(゚)「クビツェク、起きろや」
(っω-`)「うーん」
(´・ω・`)「あれ、ボクいつの間にか寝ちゃってた?」
彡(゚)(゚)「全く、お前を背負って来るのは大変やったで」
彡(゚)(゚)「ところでクビツェク、お前あの紳士を気に入ったか?」
(´^ω^`)「申し分ないよ! 芸術を好み、とても教養ある人だ」
彡(゚)(゚)「他には?」
(´・ω・`)「他に何があるんだい?」
彡(-)(-)「クビツェク、どうやらお前は肝心なことを何もわかっとらんな」
(´・ω・`)?
彡(゚)(゚)ノ「このカードを見てみいや」
(´・ω・`)「何のカード? 名刺?」
(◦灬•)『また、今日と同じホテルにおいで』
(´・ω・`)「これがどうしたの??」
彡(-)(-)「はぁ……」
彡(゚)(゚)「つまり、あいつはホモや」
(。゚ω゚)「ええ……!?」
(´•ω•)「何それ……?」
彡;(-)(-)「ノンケは知っといてホモは知らんのかい……」
彡;(゚)(゚)「ホモってのはな……」
・・・男と男でボーイミーツボーイになりチューすることである
:(´ºωº`):「ひええ……」
(;´・ω・` )「アドルフ、まさかまた行くの……?」
彡(●)(●)「行くわけないやろ、このドアホ!」
彡(゚)(゚)ノ「こんな名刺はストーブにポイーや」
アドルフが恋愛に消極的な理由
彼は大都市のさまざまな性的倒錯に強い嫌悪感をもって立ち向かっていた
( ;´-ω-` )「うう…なんかショックだよ」
彡(゚)(゚)「まだまだクビツェクは田舎もんやな」
堕落した都市ウィーンの真ん中で
アドルフは自身の周囲に堅固な防壁を築いていた
彡(-)(-)「…まあええ、これに関して悪いのはウィーンや」
彡(゚)(゚)「でもここきてだいぶ経つんやぞ」
彡(•)(•)「ええ加減に都会の怖さを知らんと痛い目あうから気いつけや」
だから周囲から独立して内面的自由の中に
自分の身を置くことができたのだ
彡;(゚)(゚)グーギュルギュル
(´ᴖωᴖ`)「はは、アドルフまた空腹でお腹が鳴ってるよ」
(´ᴖωᴖ`;)「……あれ? さっきご馳走食べたばかりなのになんで? 」
彡;(^)(^)「さ、さあ?なんでやろうな……」
彼は孤独であり続け、修道士のような禁欲生活の中で
自分の存在を守っていた
(。゚ω゚) .。oO(というか……)
アドルフがいなかったらボクどうなってたんだろ……
:(´ºωº`):アワワワワ
105 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 19:58:21.55 ID:jiCWbLTH0
一九〇八年四月
(´・ω・`)「あ!ボクに手紙が来てる」
(´・ω・`)「何かな」
(´・ω・`)ふむふむ……
( ;´-ω-` )
彡(゚)(゚)「どしたクビツェク」
( ;´-ω-` )つ「これ…よんでみて」
彡(゚)(゚)「どれどれ」
彡(゚)(゚)……
彡(●)(●)「はあああん!徴兵やと!ふざけんなや!!」
彡;(゚)(゚)「クビツェク、絶対に行ったら駄目や!」
彡;(゚)(゚)「もし行ったらおまえは……」
彡;(●)(●)「クソが!こんな令状、破り捨てたる!」
(;`・ω・´)「あっ、駄目だよ!」
バッと素早くアドルフから手紙を取り戻した
(;´・ω・` )「全く、ヒヤヒヤさせないでよ」
彡;(゚)(゚)「くそ、一体どうすれば……」
(;´・ω・` )「まだ適合になるとは決まってないよ 去年肺病になったし」
彡;(-)(-)「せやな、とにかく、リンツに戻って兵役検査は受けた方がええ」
彡;(゚)(゚)「でも、もし適合した場合はこっそり越境してドイツに行くんや」
彡;(•)(•)「絶対にハプスブルク家の兵隊になったらアカン!」
(;´・ω・` )「そんなことできるのかな…」
彡(-)(-)「もう少ししたらワイも二十や」
彡(゚)(゚)「その時がきたらワイはそうするで」
(;´・ω・` )「とにかく、音楽院の先生に相談してみるよ」
106 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 19:59:06.40 ID:jiCWbLTH0
音楽院
(◎෴◎)「君は音楽院生だから、1年志願兵になる資格がある」
(◎෴◎)「でも職人の息子である君は後備兵に志願したほうがいい」
(;´・ω・` )「兵役を逃れる為にドイツに行くという方法はどうでしょうか」
Σ(◎෴◎)「!?誰がそんなバカげたことを……」
(;◎෴◎)「悪いことは言わないからやめておきなさい……」
(◎෴◎)「とにかく、ご両親に手紙を出すんだ」
(;´・ω・` )「はい」
数日後
父から手紙が届いた
『徴兵のことは分かった。
だが、お前はなんてことを言い出すんだ!
国境越えなんてしてみろ、脱走とみなされ罰せられるぞ。
そしたらお前は二度と故郷に帰ることができなくなる。
もう私達と会うこともできなくなるのだぞ。
悪いことは言わない、校長先生の言う通りにしなさい。
母さんもそれを望んでいる。
父と母より( ¯灬¯ ) (∗ 'ω' ∗) 愛する息子へ』
107 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 19:59:44.74 ID:jiCWbLTH0
(;´・ω・` )「ということなんだよ」
(;`・ω・´)「だからボクは後備兵に志願する」
(;´・ω・` )「今期の授業と学期末コンクールが終わったら一旦リンツに帰るよ」
彡;(゚)(゚)「……たとえ数ヵ月といえどもハプスブルクの兵隊に……」
彡;(-)(-)……
彡(゚)(゚)「まっ、ワイと違ってお前は家族があるからしゃあないな」
(´・ω・` )「やっぱり自分の時はやるつもりなんだね……」
彡(゚)(゚)「それはそのときに考えるわ」
彡(゚)(゚)「それより、期末のコンサートが近いんやろ?」
彡(゚)(゚)「指揮者への進路が決まる大事なイベントや言うてたやないか」
彡(゚)(゚)「まずはそれに集中や!」
彡(^)(^)「兵役なんて忘れてまえ」
(´・ω・`)「うん そうするよ」
108 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 20:00:19.94 ID:jiCWbLTH0
期末コンサート本番
(`-ω-´)/♪〜♪〜♪〜
よし、カールもソリストも練習どうりにやれてる
簡単な演奏じゃないけど…このままミスなくいってくれ…!
パチパチパチパチ
(;´・ω・` ) .。oO(ふぅ、なんとか無事に終わった)
(`・ω・´;) .。oO(でも本当の難関は次…!)
ボクの作曲したオーケストラ曲がプロの宮廷歌手に歌われるんだ…!
これにボクの音楽家人生がかかっている…!
でもボクならやれる!!
これまで努力してきたんだ!
(;`・ω・´)やってやる!!!
( ´-ω-` )/♬〜♪〜♪〜
(`・ω・´)/♬〜♩〜♪〜
(`-ω-´)/♫〜♪〜♪〜
(`-ω-´)/……
お、終わった…
パチパチ
Σ(´・ω・`)!
パチパチパチパチ
Σ(´・ω・`)!!
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ
Σ(´・ω・`)!!!
(´^ω^`) .。oO(やった、拍手喝采。大成功だ!)
109 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 20:01:06.26 ID:jiCWbLTH0
楽屋
ガチャ
彡(^)(^)「おークビt」
(◎灬◎)「凄い反響だったぞ 指導したものとして鼻が高いぞ」
(´ᴖωᴖ`)「教授! ありがとうございます」
(◎෴◎)「いやー期待以上だ 主席卒業も夢じゃないよ」
(´ᴖωᴖ`;)「またまたそんな…」
(*´0`)´0`)。´0`)『おーいクビチェク!』
(´ᴖωᴖ`)「あ、みんな!」
ワイワイガヤガヤ ワイワイガヤガヤ
彡(゚)(゚) (*´0`)´0`)。´0`) (´ᴖωᴖ`) (◎灬◎) (◎෴◎)
(。´0`。)「とてもすごかったよ」
(´ᴖωᴖ`)「ありがとう」
(*´0`*)「私、感動して泣いちゃった…」
(。゚ω゚)「え、本当に!」
(´0`)「どうだいこの後、みんなで飲みにいかないかい?」
(´・ω・`; )「え、この後…」
ワイワイガヤガヤ ワイワイガヤガヤ
彡(゚)(゚) (*´0`)´0`)。´0`) (´・ω・`; ) (◎灬◎) (◎෴◎)
(;´ᴖωᴖ`)「ご、ごめん…この後は用があるんだ また今度」
(*´0`)´0`)。´0`)『えー主役が不在じゃ盛り上がらないじゃん』
(`・ω・´;)「ごめん、本当にごめんね」
彡(゚)(゚) (・ω・`)三3 (´0`(´0`(´0`*) (◎灬◎) (◎෴◎)
(;´・ω・` )「待たせてごめん アドルフ」
(´・ω・` )「ここじゃ騒がしいから外に行こうよ」
彡(゚)(゚)……
(´・ω・` )「アドルフ?」
彡(-)(-)「せやな」
110 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 20:02:00.57 ID:jiCWbLTH0
ほこりっぽい椅子張り職人見習いだったボクが…
都会のことを何も知らない田舎者だったボクが…
そしてなにより臆病なボクがここまでこれたのは
誰がなんと言おうとアドルフのおかげだ
感謝してもしたりないよ
彡(^)(^)「おめでとさん クビチェク」
(´^ω^`)「ありがとう!アドルフ!」
111 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 20:03:02.55 ID:jiCWbLTH0
(´・ω・`)「来週には、ボクはリンツに戻って兵役検査を受けるよ」
彡(゚)(゚)「久々の故郷や 休日と思って両親と過ごしてこいや」
(◦灬¯)「そうだよ 里帰りして親孝行しないと」
(´・ω・`) .。oO(なんでこの人がいるんだろう?)
(◦灬^)「ところで、君の指揮は迫真の出来だったらしいじゃないか」
(◦灬⦿)「どこかのオーケストラから推薦もウケたんじゃないのかね?」
彡(゚)(゚)「…そうなんか?」
(;´・ω・` )「えっと…まぁ紹介はされたけど」
(´・ω・` )「…………うん」
彡(゚)(゚)ノバシン!!
(。゚ω゚) .。oO(痛っ!)
強く背中を叩かれた
彡(゚)(゚)「何をためらっとるんや!」
彡(^)(^)「よかったなクビツェク、夢が叶ったんや!」
彡(^)(^)「やったやんけ!」
(◦灬¯)「で、これからどうするんだい?」
(´・ω・` )「どうするって… とりあえず故郷に帰って… 兵役をうけて…」
(`・ω・´)「いずれにせよ、ボクとアドルフはずっと一緒です」
(◦灬^)「ハッハッハ、君たちは本当に仲がいいんだね」
彡(゚)(゚)……
112 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 20:04:29.59 ID:jiCWbLTH0
コンサートも終わり、授業もなく、兵役検査の日までヒマだった
なのでボクは旅行を計画した
(´・ω・`)「ねえアドルフ、旅行に行こうよ」
彡(゚)(゚)「そんな金はない……」
(´・ω・`)「お金はボクが出すから大丈夫」
彡(゚)(゚)「……」
(´・ω・`)「こんな狭くて、かびてて、油臭い部屋に引き籠ってないでさ」
(´・ω・`)「柔らかい春の日差しが降り注ぐ、草原や森、山々に行こうよ」
彡(゚)(゚)「……そこまで言うならしゃーない、行ってやるわ」
(´ᴖωᴖ`)「うん、ありがとう」
(´・ω・`) .。oO(なんでお金を出すボクがお礼を言ってるんだろう?)
まあ、付いてきてくれるなら、それでいいや
第一関門は突破!
さっそくお弁当やその他諸々の準備に入ろう
113 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 20:05:05.06 ID:jiCWbLTH0
翌日
(´・ω・`)「うん!雲一つない快晴の旅行日和……」
(`・ω・´)「さあ!出発だ!」
彡()()Zzz…Zzz…
( ;´-ω-` ) .。oO(そして……第二関門)
旅行の計画は伝えていたのに
なにがあっても早起きだけはしたくないって豪語してたから
(;´・ω・` ) .。oO(やっぱり起きてこない……)
『寝ている子を起こすな!』じゃないけど
寝ているアドルフを起こすのはとても危険だ
彼を無理やり起こすと、とても不機嫌になる
でも、起こさないと旅行に行けない……
(;´・ω・` )つ「ねえ、アドルフ…起きてよ」ユサユサ
彡(•)(•)「なんや?」
彡(●)(●)「なんでこんな朝早くに起こすんや!!」
(;´・ω・` )「ほら、外を見てよ……もう陽は高いよ」
彡(-)(-)「そんなもん知らん。ワイは寝る」
(ꐦ^ω^)「……」
(`・ω・´)「くらえ!太陽の光!!」ピカー
彡;(-)(-)「ぐぬぬぬ……」
彡(-)(-)Zzz…
(ꐦ^ω^).。oO(この甲斐性なしの無職のゴミが!)
もういい、こうなったら最後の手段だ
ε=ε=彡;(゚)(゚)⊂(;`・ω・´)「力強くだ!!」
電車の中
彡(゚)(゚)「……」
(;´・ω・` ) .。oO(不機嫌そうに黙ってる……)
こんなんで旅行になるのかな……
ジーフェリング駅
(´^ω^`)「自然がいっぱいで気持ちいいね!」
彡(゚)(゚)「……」
( ;´-ω-` ) .。oO(どうしよう……まだ不機嫌みたいだ)
彡(゚)(゚)「いい景色や……」
彡(゚)(゚)「来てよかったわ」
(。゚ω゚)!
(´^ω^`)「うん!よかった!!」
┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`)┓三三3
それからボクたちは大自然の中を歩き回った
木々は花開き、ブドウ畑は新緑に覆われ、若葉が茂っていた
アドルフもウィーンの喧騒から解放され
彡(^)(^)(´^ω^`)
本当に喜んでいるようだ
彡(゚)(゚)「こうしとると……」
彡(-)(-)「リンツの頃を思い出すな……」
(´・ω・`)「なんだい、ホームシックになったのかい?」
彡(゚)(゚)「……そうかもしれんな」
こうして旅行初日は終わった
114 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 20:05:41.16 ID:jiCWbLTH0
二日目
彡(゚)(゚)「はえーこれがメルク修道院か……」
(´・ω・`)「すごいね……まるで、岩山から生えているみたい」
三時間後
彡(゚)(゚)「はえー」
( ;´-ω-` )「ねえ、そろそろ中に入ろうよ……」
彡(゚)(゚)「どうやったら、こんな断崖に修道院を建てれるんやろ」スタスタ
(。゚ω゚)「アドルフ、ダメだよ!」
(。゚ω゚)「危険だから立ち入り禁止って書いてあるじゃないか!!」
ε=ε=彡;(゚)(゚)⊂(;`・ω・´)「勝手にウロチョロしないの!!」
メルク修道院の中
彡(>)(<)「お!図書館があるやんけ!」
彡(゚)(゚)「ふむふむ……」
( ;´-ω-` )「旅行にきてまで読書ってどうなの……」
115 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 20:06:07.74 ID:jiCWbLTH0
三日目
彡(^)(^)「ひゃっほう!!」
(;´・ω・` )「アドルフ、はしゃぎすぎだよ…他のお客さんに迷惑だよ」
ボクたちは汽船に乗って、ドナウ川を下っていた
しばらくするとヴァッハウ渓谷にさしかかった
左側にヴァイテンエック城、右側にシェーンビュール城
さらに奥には険しい岩山の上にそびえるアックシュタイン城が見えた
彡;(゚)(゚)「スケッチが間に合わん!」
(´ᴖωᴖ`)「ははは、ホラホラ急いで!」
渓谷を抜けるとシュピッツとヴァイセンキルヒェンの町が見え
急斜面に植えられたブドウ畑の牧歌的な景色が広がっていた
(´・ω・`)「すごいロマンチック……」
(´・ω・`)「アドルフ……この風景を絵にしてよ」
・・・
(´・ω・`) .。oO(あれ??)
反応がないと思ったら
どこにもいない……
(・ω・`;≡;´・ω・)「また…勝手にウロチョロして……」
(。゚ω゚)「あ!あんな所に!!」
アドルフは船首に立ち、景色に見とれていた
(;´・ω・` )「なにやってるの!危ないからはやくこっちに」
彡(゚)(゚)「I’m the king of the world!」
(´・ω・`)「なにそれ?」
彡(゚)(゚)「なんか知らんが……叫びたくなった……」
それから船は東へと進路を変え工業地帯に入った
倉庫、製油所、資材置き場に粗末な小屋、放浪の民の集落もあった
(´・ω・`)「汚ったない所だな……」
(´・ω・`)「ボクたちの知るライン川とは思えないね」
彡(゚)(゚)「……」
(´・ω・`)「アドルフ?」
彡(゚)(゚)「……」
(´・ω・`) .。oO(どうしたんだろう?)
アドルフは黙ったまま物想いにふけっていた
116 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 20:07:02.85 ID:jiCWbLTH0
四日目
ボクたちは列車に乗って、山岳地帯に来た
(´・ω・`)「青い空、緑に輝く草原、雪をかぶった山々……」
(´・ω・`)「いい景色だね」
彡(゚)(゚)「さらに登ったら、もっとよく見えるんとちゃうか?」
(´・ω・`)「まあ、たしかに…そうだろうけど」
(´・ω・` )「登山の準備なんてしてきてないよ……」
彡(゚)(゚)「道はあるんやし、歩いていけばいいだけやろ」
彡(゚)(゚)「よし、いくで」
(。゚ω゚)「ちょっと、待ってよ!」
┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`; )┓三三3
ボクとアドルフはろくな準備もなく出発した
そしてしばらく行くと、頂上と思われる平地に到着した
彡(゚)(゚)「……」
(´・ω・`)「……」
(´・ω・`) .。oO(あまりの壮大な景色に言葉が出ない)
天国から見る地上ってこんな感じなんだろうな
人間がどれほど小さな存在かを、まざまざと見せつけられた気分だ
感激のあまり時間を忘れていた
すると太陽が黒雲に隠れ、霧が立ち昇り、雷雨が降り注いだ
急いで山道を下った
全身ずぶ濡れ、靴の中まで水浸し、冷たい風も吹いてきて
ボクはあまりの寒さに震えた
でも、どういう訳かアドルフは上機嫌だった
┗(^)(^)川┓┗:(´ºωº`):┓三3
(。゚ω゚)「あそこに小屋がある!」
(;`・ω・´)「ひとまず避難だ!」
117 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 20:07:47.08 ID:jiCWbLTH0
小屋の中
(;´・ω・` )「止みそうにない、一晩ここに泊まるしかなさそうだ」
川(゚)(゚)「干し草と亜麻布があったで」
(;´・ω・` )「二人で寝るにはそれで十分だね……」
(* >ω<)、;'.・くちゅん
川(゚)(゚)「濡れたままやと風邪ひくで」
:(´ºωº`):「そ、そうだね」
ボクたちは服を脱ぎ、亜麻布にくるまり、干し草をベットにした
(´・ω・`) .。oO(一時はどうなるかと思ったけど……)
二人だけ、暗闇の中、雨音だけが聞こえる小屋の中は……
とても神秘的な世界だった
でも……
(´・ω・`)「お腹が空いたね」グーギュルギュル
彡(゚)(゚)「せやな」グーギュルギュル
彡(-)(-)「……でも」
彡(゚)(゚)「苦しみも二人で分け合えば半分になるわ」
(´・ω・`)「これまでもそうだったよね……」
体も温まってきて、想いで話に花が咲いた
彡(゚)(゚)「クビチェク……」
(´・ω・`)「なんだい?」
彡(-)(-)「いや、なんでもないわ……」
(´・ω・`)「なんだよ……気になるじゃないか」
彡(-)(-)「なんや……その……」
彡(゚)(゚)「ありがとな……」
(´・ω・`)「旅行のお礼かい?」
(´・ω・`)「そんなのいいよ……ボクも楽しかったし」
(´・ω・`)「また来ようね」
彡(゚)(゚)「せやな……」
こうしてボクたちの旅行は幕を閉じた
118 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 20:08:40.62 ID:jiCWbLTH0
一九〇八年七月
駅
(´・ω・`)「じゃあ、暫くの間お別れだね」
(´・ω・`)ゞ「ステファニーのこと、ちゃんと調べておくよ」
彡(゚)(゚)「いや、ステファニーのことは調べんでもええ」
(;´・ω・` )「え、なんで……?」
彡(^)(^)「兵役で大変なのにそんなことさせれんわ」
(;´・ω・` )……
この時、ボクはどことなく違和感を覚えた
しかし、それが何を意味しているかを気付くことはできなかった
彡(゚)(゚)「お前は優しすぎるからな」
彡(゚)(゚)「軍隊でいじめられんよう気をつけるんやで」
彡(-)(-)「特に、ユダヤ人にはな」
『都会には卑怯者しかいない 英雄が生まれるのは田舎だ
そして、田舎にユダヤ人はいない』
後にアドルフが残すことになる言葉だ
119 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 20:10:03.72 ID:jiCWbLTH0
彡(゚)(゚)「じゃあなクビツェク」
ガシッ!
(´・ω・`)つ⊂(゚)(゚)ミ
アドルフは両手でボクの手をしっかり握りしめた
(´・ω・`) .。oO(あれ?)
アドルフは両手で握る握手を滅多にしない
なにか特別に感動を覚えたときぐらいにしかしないはずなのに
……たかだか数ヵ月の間いなくなるだけなのに大げさだよ
(´・ω・`)「うん、またね」
\( )ミ三三3
それからアドルフは回れ右して、一度も振り向かずに
少し早足で出口に向かった
(´・ω・`) .。oO(もう、少しは振り向いてくれてもいいのに……)
ま、アドルフらしいといえばらしいか
こうして、ボクはリンツへ帰郷した
120 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 20:10:46.84 ID:jiCWbLTH0
リンツ
(´・ω・`) ( ¯灬¯ ) (∗ 'ω' ∗)
両親は、ボクを快く迎えてくれた
久々の故郷はちっとも変わっていなかった
ドナウ川も、それに跨がる橋も、田舎の風景も
アドルフと歩いて回ったあの頃のままだ
(´・ω・`)「父さん、仕事を手伝うよ」
( ¯灬¯ )「すまないな」
(`・ω・´)「父さんは凄いよ たった一代でここまでの事業を築くなんて」
v( ¯灬¯ )「都会に染まらずにいい男に育ったな アドルフ君には感謝だ」
(´・ω・`) .。oO(アドルフはああ言ったけど)
どうせ後になって騒ぐんだからステファニーのことを調べておこう
(;´・ω・` ) .。oO(いないな…J(„❛⌄❛„))
一家全員ということは避暑にでも出掛けたのかな?
それからもアドルフとは何回か手紙のやり取りをした
兵役検査でボクは結膜炎にかかっているとわかったので
これから眼鏡(⁻◎ω◎⁻)をかけることになるかもしれないと書いた
アドルフから返信が届いた
『親切な手紙をありがとう。
君が失明するかもしれないと聞いて、僕は悲しみでいっぱいだ。
君は今よりもますます楽譜を読み間違えることになるのだからね(笑)。
君が盲目になったら、僕もだんだんと消えてなくなっていくのだろうか。
おぉ、なんて悲しいことだ!
それはともかく親愛なるご両親によろしく。
アドルフ・ヒトラー彡(゚)(゚)』
(´・ω・`)「もう、手紙でもボクのことをからかって……」
(´・ω・`)「あれ?この手紙の受付印の日付……四月二十日になってる」
(´・ω・`) .。oO(しまった!)
この日はアドルフの誕生日だ
すっかり忘れてた
(´ᴖωᴖ`;) .。oO(まあ、いいよね)
アドルフも誕生日のことにはなにも触れてないし
もしかしたら本人も忘れてるんじゃないのかな
それに、ウィーンに戻ってからお祝いすればいいんだ
とりあえず、帰る日が決まったよとだけ返信しておこう
121 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 20:12:34.31 ID:jiCWbLTH0
十一月二十日
ウィーン駅
(´・ω・`) ざわ…ー(⚭-⚭(⚭-⚭( ⚭-⚭ )⚭-⚭)⚭-⚭) ---ざわ… ┃柱┃
あの柱の下が、待ち合わせの場所なんだ
人混みは相変わらずだけど もう慣れたよ
テクテク┏(´・ω・`)┛
(´^ω^`)「あ、いた!」
(´・ω・`)「お待たせ アドルフ!」
(# ゚Д゚)「は?誰だよお前!」
(。゚ω゚)!!
( ;´-ω-` )「ご、ごめんなさい 人違いです…」
(# ゚Д゚)「ったく………気安く声をかけんな!」
アドルフによく似た青年
と言っても服装と背丈だけだけど、は悪態をついて去っていった
(;´・ω・` ) .。oO(はぁ、ビックリした)
あれ…でも、アドルフはいない?
さてはまた遅くまで起きてて寝坊したんだな…
( ;´-ω-` )「全く 手紙には今日のこの時間だって書いたのに…」
仕方ない、柱にもたれながら待つか
五分後
┃柱┃
(´・ω・`)
二十分後
┃柱┃
(´・ω・`) .。oO(……待合室にいるのかな?)
テクテク┏(´・ω・`)┛
(・ω・`;≡;´・ω・)
(´・ω・`)……
(´・ω・`) .。oO(戻ろう……)
┗(`・ω・´)┓テクテク
一時間後
┃柱┃
(;´・ω・` ) .。oO(おかしい…)
っていうかアドルフが時間を破るなんてありえない
(。゚ω゚)「まさか……病気!?」
そうだ、そうに違いない!
そういえば手紙にまた気管支カタルがぶり返してるって書いてた!
いそいで借家に行こう!
ε三三┏(;´・ω・` )┛
122 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 20:13:07.42 ID:jiCWbLTH0
借家
ガチャガチャ
(;´・ω・` )「あれ?鍵が閉まってる」
(;´・ω・` )っ「おーいアドルフ ボクだよ 開けてよ」ドンドン
(・∞・)「なんだい騒がしいね!」
Σ(・∞・)「あれ?クビチェク君じゃない」
(´ᴖωᴖ`;)「お久しぶりです すみませんちょっと鍵がかかってて…」
大家のツァクライス婦人は不思議そうな顔をしてる
(・∞・)「鍵がかかってるって当たり前じゃない…」
(・∞・)「だってその部屋は空き部屋ですもの」
(;´・ω・` )「え?何を言ってるんですか…」
(;`・ω・´)「ここはボクとアドルフの部屋ですよ!」
(;・∞・)「……もしかして何も知らないのかい?」
(;´・ω・` )「え?」
(;・∞・)(´・ω・`; )
ツァクライス婦人から次の三つのことを告げられた
アドルフは家賃を払うと姿を消したこと
別れの挨拶も何もなかったこと
手紙やメモも何も残さなかったこと
( ;´-ω-` ) .。oO(アドルフ…)
一体何があったんだ……
……
(`・ω・´) .。oO(そうだ!)
そもそもあの部屋はボクがピアノを弾くために借りたんだ
きっとアドルフは一人であの広い部屋を持て余したんだ
だから引っ越したんだ!
アドルフはせっかちで抜けている所があるから
いろいろ無作法なことをして……
……
(´・ω・`) .。oO(……アドルフがそんなことをする?)
急いで部屋を借り
知りうる限りの知人、考えられる限りの関係者のもとに走った
そしてボクの住所を教えた
アドルフを見かけたら知らせて欲しい、伝えて欲しいと言伝をして
しかし、一週間たっても、二週間たっても
なんの音沙汰もなかった……
123 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 20:14:03.18 ID:jiCWbLTH0
(´-ω-`) .。oO(そして一年がたった)
アドルフを貧民街で見たと目撃証言はあったけど、いなかった
もしかしたら兵役を逃れるためにドイツに行ったのかもしれないけど
確かめようがない……
(´・ω・`)……
(´・ω・`) .。oO(確かにアドルフは……)
口は悪いし、急に怒るし、仕事はしないし、外面だけはいいし、束縛するし
どこでもうろうろするし、突然演説を始めるし、色々と連れ回されるし
自分勝手だし、犯罪の片棒を担がせようとするし、誰にでも喧嘩は売るし
民族主義者だし、妄想癖がすごいし、唯我独尊だし、嫉妬深いし
気狂いだし、夢想家だし、すぐ反論してくるし、甲斐性なしだし
訳の分かんないことばかり言うし、頑固だし、我がままだし
読みたくもない本を読まされるし、自分だけモテてムカつくし
そのくせガードは堅いし、何も言わずどこかに行ってしまう
( ;´-ω-` ) .。oO(自分で言っててなんだけど……)
本当にひどい同居人だ……
こんな同居人なら、いない方がいいのかもしれない……
(;´・ω・` ) .。oO(でも、それじゃ駄目なんだ……)
アドルフがいなければボクの人生は平凡で退屈そのもの……
どんなにステキで優雅な芸術に触れても
一人だけじゃ感想を語り合うこともできない…
(´・ω・`) .。oO(楽しさも半減だ……)
124 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 20:14:53.97 ID:jiCWbLTH0
わが友ヒトラー ウィーン編 完
125 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 20:59:07.49 ID:jiCWbLTH0
一九一四年 第一次世界大戦勃発
戦争がすべてをぶち壊した
僕がレールから外れたのではない、レールそのものが吹き飛んだのだ
音楽家の道は途絶え、兵隊としての道が始まった
僕に兵士という役はふさわしくなかったと思う
けど、戦友たちと同様に自分の義務は果たそうと努力した
一九一八年 クビチェク父永眠
( ¯灬¯ )
┏┛墓┗┓
父は家具職人を辞め、郊外に畑を買い、ひっそりと過ごしていた
そして絶望と悲痛の中で亡くなったと戦場で伝えられた
父さんにはもっとよい晩年を送って欲しかった
一九一九年 第一次世界大戦終結
運よく生き残った
でも、どうやって生きていけばいいのか分からなかった
音楽を楽しむ余裕など誰も持っていない
僕があれほど努力して身につけた音楽は……
誰にも必要とされない無用の長物となっていた
もはや僕一人ではどうしようもなかった
そんな時だった母から手紙が届いたのは
『エフェーディングの役場で事務員を募集しています。
市長さんが言うには
これから採用する職員には戦争中に解散されたオーケストラを新しく設立し
指導する役割が期待されると。
クビチェク、あなたにピッタリの仕事だと思います。
よかったら考えてみてください。
母より。愛する息子へ』
母が気をつかっているのは明らかだ
仕事内容を見ても、給料は少なく、芸術的な業務なんてほとんどなかった
でも他に選択肢はなかった
なによりこれ以上、母を心配させたくなかった
そして僕は役人となった
126 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:00:02.36 ID:jiCWbLTH0
一九二〇年 アドルフ・ヒトラー ナチス党結成
一九二三年 ミュンヘン一揆 アドルフ・ヒトラー逮捕
一九二五年 アドルフ・ヒトラー ナチス党を再結成
時が過ぎるのは早いものだ
役人になってからもう十年は経とうとしていた
生活は楽ではなかったが、子供もできた
趣味…音楽に捧げる時間も少しずつだが持てるようになっていた
そしてアドルフの生存も知ることができた…
一九二八年 ナチス党 十二の国会議席を獲得
新聞を見て一目ですぐに彼だと分かった
青白くひっそりとした彼は何も変わらない大きな目を輝かせて演説していた
とても残念だった
彼も僕と同じく芸術の道を歩めなかったのだと
芸術活動を断念することが彼にとって何を意味するかを考えると
胸が苦しくなった
この間、僕は不思議とアドルフに連絡を取る気にはなれなかった
なぜだろうか…
仕事や生活が多忙であったからだろうか
それも理由になるだろう
……でもやはり、僕と彼を繋いでいたのは芸術だったのだ
このとき、僕と彼は芸術とはあまりに疎遠だった
127 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:00:57.12 ID:jiCWbLTH0
一九三二年 ナチス党 選挙で大勝
一九三三年 アドルフ・ヒトラー 首相に就任
「お前たち あまり遠くに行ってはダメだぞ!」
『は〜い』
我が子ながら素直なものだ
それにしても子供がこれほど愛おしい存在だとは……
お父さん、お母さん…
そして…クララおばさんもこんな気持ちだったのかもしれない
おっと、感傷に浸ってばかりもいられない
握りしめていた新聞の一面には次の記事が大々的に書かれていた
『アドルフ・ヒトラー 帝国宰相に就任』
今や彼の聴衆は僕だけでなく、何万、何十万……何百万人となろうとしている
まさか彼がここまで上り詰めるなんて誰が予想しただろう
僕も大人も教授も誰もできなかった
…いや、リンツの少年時代からもしかしたらアドルフだけは
こうなることを予感していたのかもしれない
そう考えると不思議と納得がいった
また、感傷的になっている
やることがあるのに…
納屋をあさってようやく
鍵がかかっている古びれたトランクを見つけた
確か、鍵はコレで開くはずだ
ガチャ
トランクの中には大きな青い封筒があった
そして僕の筆跡で
アドルフ・ヒトラーと書かれていた
128 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:01:54.99 ID:jiCWbLTH0
封筒の中には手紙、絵はがき、スケッチが入っていた
どれもアドルフから貰ったものだ
大人びた文字で所々綴りを間違えている手紙が数点
出来の悪い水彩画が数枚
押し付けられた邸宅の設計図も入っている
そして、一番底にあったスケッチには
若かりし僕が羽飾りの着いた軍帽をかぶっていた
彡(゚)(゚)(おいクビチェク 見てみいや!)
彡(゚)(゚)(まるで古参兵のようや)
彡(^)(^)(お前はまだ新兵ですらないのに!)
(´・ω・` )(また そうやってボクをからかって…)
フフッ…
(´-ω-`) .。oO(あの頃の記憶が湧き出てきた)
…どうして忘れていたんだろう
恐ろしい戦争の出来事や戦後の悲惨な状況が蓋をしていたのかな?
(´・ω・`) .。oO(まあ、いいや)
さて、掘り出したはいいが
どうしたものか?
今ならきっと高値で売れるだろうけど
思い出を売り払うようなことはしたくない
(´・ω・` ) .。oO(…でも、持っていてもしょうがないしな)
なんだったら本人に送るか?
いまさら?
帝国宰相の彼に…?
僕のことを覚えているかも分からないのに…?
(´・ω・`) .。oO(……よし!)
とりあえず、一筆書いて聞いてみよう
返事がくるとは思えないけど…
129 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:02:39.02 ID:jiCWbLTH0
(;;;゚Д゚;)「ク、クビツェクさんお、お、お便りです…」
(´・ω・`)「はーい」
(;;;゚Д゚;)「こ、これを ででは失礼します」
(´・ω・`)?
なにをそんなに怯えているんだろう
それで、差出人は?
『アドルフ・ヒトラー』
(。゚ω゚)!!!
『親愛なるクビツェク!
今日やっと君の手紙を見た。
就任以来、膨大な量の手紙を見るので、こういうことは珍しくないないのだ。
それだけに、長い年月の末に初めて君の消息と居場所がわかって、とても嬉しい。
困難な闘争の日々が終われば
僕は喜んで我が人生最良の日々の思い出にまた浸りたい。
君が僕のところに来ることは可能だろうか?
旧友を想いながら、君と君の母上にご多幸をお祈りします
アドルフ・ヒトラー彡(゚)(゚)』
(。゚ω゚) .。oO(アドルフは僕のことを覚えていた……!!)
(;´・ω・` ) .。oO(…でも)
『我が人生最良の日々』は言い過ぎだと思う
あの貧しくて困窮していた日々を……
ブンブン
(-ω-`;≡;´-ω-)
アドルフの想いを僕が否定していいはずがない
(´・ω・`) .。oO(それにしても…)
『君が僕のところに来ることは可能だろうか?』だって?
( ;´-ω-` ) .。oO(無理に決まってるじゃないか……)
僕はただの小役人、アドルフは帝国宰相
どの面下げて会いにいけばいいのさ…
それに僕にはもう家庭がある
仕事をほっぽり出すこともできない……
(;`・ω・´) .。oO(って何を真に受けてるのさ!)
こんなのただの社交辞令じゃないか
僕はもう子供じゃない大人だ
社交辞令を真に受けるなんてどうかしてる
(´・ω・`) .。oO(そうだよ………)
ほんとうにどうかしてる
130 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:03:27.73 ID:jiCWbLTH0
役所
ザワザワ…ザワザワ ザワザワ…ザワザワ
(´0`)´0`)´0`) (´0`(´0`(´0`*)(´・ω・`)
職場ではある話題でもちきりだった
(*´0`)´0`)´0`)『帝国宰相がリンツを訪問するんだって』
(´・ω・`)……
彼がわざわざボクに会いに来たのではない
その証拠にアドルフが故郷リンツを訪れるなんてボクも初耳だった
何のめぐり合わせか分からないが
たまたまアドルフから手紙が来た後に
たまたまアドルフがリンツを訪れ
たまたまボクも足を運んだ
ただそれだけのことだ
131 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:04:13.49 ID:jiCWbLTH0
リンツのホテル前
ザワザワ ハイル! ザワザワ ハイル! ザワザワ
…ー╲(⚭-⚭╲(⚭-⚭( ⚭-⚭ )⚭-⚭)/⚭-⚭)/ ---
(。゚ω゚) .。oO(うわっ、すごい人だ)
ウィーンの駅を思いだすよ
こんな中をかき分けて行くなんて至難の業だ
…でも
(`・ω・´) .。oO(これでもあの大都会で揉まれてきたんだ)
負けないぞ!
┗(`・ω・´)┓三三3
( ;´-ω-` ) .。oO(ふぅ、やっと前までこれた……)
(⌐■_■)⌐■_■)⌐■_■)『なんだお前は!!』
:(´ºωº`): .。oO(ひぃ、怖い顔!)
きっとアドルフの親衛隊だ
屈強な彼らに不審者だと思われたら
僕なんて成す術もなく取り押さえられるに違いない
……でも
(`・ω・´) .。oO(僕だって戦場を生き抜いて来たんだ)
負けない!
(´・ω・`)「ア、いや違う」
(;`・ω・´)「ヒトラー総統閣下に会わせてください」
(;⌐■_■) ;⌐■_■) ;⌐■_■)『なに言ってんだ お前??正気か?』
( ;´-ω-` ) .。oO(まあ、そうなるよね)
後ろからの視線も痛いし……
ソウトウニアワセテダッテヨ プーナニアノオヤジ ヤマダタロウオツ
(´-ω-`) .。oO(…聞こえない聞こえない)
(;´・ω・` )つ「えっと…これを見てください」
(⌐■_■)⌐■_■)⌐■_■)「なんだ……ん!!!」
親衛隊の男は手紙と僕を交互に何度も見比べた
そばにいた同僚と何度も顔を合わせ不振がった
そして、上官を呼んだ
(*■_■)「なんだいったい?」
(;⌐■_■) ;⌐■_■) ;⌐■_■)つ「これを……」
Σ(*■_■)「……!!」
(*■_■)「部下が失礼しました。どうぞこちらへ」
ウオオ!トオサレタゾ イッタイナニモノナンダ!
…ー╲(⚭-⚭╲(⚭-⚭( ⚭-⚭ )⚭-⚭)/⚭-⚭)/ ---
132 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:04:50.00 ID:jiCWbLTH0
ホテルの中
(。゚ω゚) .。oO(うわぁ!)
新聞で見るような有名人ばっかりだ
大臣、高官、将軍……
この人たちが今のアドルフの……
それにしてもすごい慌ただしさだ!
( ;´-ω-` ) .。oO(頭がクラクラしてきた)
人が多いのもそうだけど
僕はこれから彼らを率いる帝国宰相に会うんだ…
今さらだけどとんでもないことをしようとしてるんじゃないかな?
アドルフと別れてからもう三十年と経とうとしてるんだよ!
……それなのに今さら会おうなんて
………
(;´・ω・` ) .。oO(やっちゃったかな……)
どうしよう…もう帰りたい……
( ´_ゝ`)「クビチェクさんですね?どうぞこちらへ」
(;´・ω・` )「は、はい…」
(;´・ω・` ) .。oO(どうしよう…)
胸がドキドキだ
偉くもないし、立派でもない
そんな僕が……
帝国宰相に会うなんて……
アドルフなんて呼んだら…駄目だよね
礼儀正しくしないと
彼もそういう無礼なのが嫌いだったし…
133 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:06:53.57 ID:jiCWbLTH0
案内され少し歩いた
すると突然ガチャっと、とある一室のドアが開き
質素なフィールドグリーンの上着を着た見知った男が出てきた
彡(゚)(゚)「ん?」
彡(^)(^)「お、クビツェクやんけ!」
(。゚ω゚) .。oO(ええええええええええ)
アドルフが出てくるの!!??
てっきり僕が部屋に入っていくものとばかり!??!?
彡(^)(^)「いや〜ホンマ 久しぶりやな〜!」
ガシッ!
(。゚ω゚)つ⊂(^)(^)ミ
と彼は僕の右手を両手でしっかりと握りしめ
昔と同じ明るく大きな目で見つめてきた
(。゚ω゚) .。oO(あっわわわわわわわ)
(。゚ω゚)「お、お久しぶりです総統閣下…」
(。゚ω゚)「この度は急に押し掛けてしまい申し分ありません」
(;´・ω・` )「今日のお日柄もよく…えと…」
彡(゚)(゚)……
彡(^)(^)「上出来や、クビツェク! 」
彡(゚)(゚)「ついにお前も他の連中と同じことを言うようになったな」
(´ᴖωᴖ`;)「あ、あはは…は…」
彡(゚)(゚)「まあええ、ついて来いや!」
(゚)(゚)ミ(‘・ω・`; )三三3 (´<_`)三3
とアドルフは前を歩いていった
チーン 上に参ります
(´・ω・`) .。oO(え?)
エレベーターに乗るの?
ボクとアドルフと偉そうな人……の三人
シーン
(;´・ω・` ) .。oO(き、気まずい……)
なにか話した方が……
いや、ダメだ。ちゃんとしないと
チーン 三階です
テクテク…ガチャ
( ´_ゝ`)「どうぞお入りください」
物腰の柔らかい彼に促され、とある一室に通された
( ´_ゝ`)「ではごゆるりと」
ガチャ
(。゚ω゚) .。oO(え、アドルフと二人っきり!!!)
(´・ω・`)いや、まあ別にいいんだけど……
134 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:07:42.16 ID:jiCWbLTH0
通された場所は、バルコニーからリンツが一望できる部屋だった
彡(゚)(゚)「クビツェク、お前は本当にあの頃のままや」
彡(゚)(゚)「お前がどこにいても、ワイならすぐに見分けられたで」
彡(-)(-)「お前は何も変わっとらん」
彡(゚)(゚)「ただ年をとっただけや!」
彡(^)(^)「こうして再会できてホンマ嬉しいで!」
(;´・ω・` )「あ、ありがとうございます」
彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)「スマンな 本当は会いに行きたかったんやが…」
彡(-)(-)「今のワイにプライベートはないんや……」
彡(-)(-)「普通の人みたいに振る舞うこともできないんや……」
(´・ω・`) .。oO(なに言ってんだい)
もとから普通ではないし
アドルフこそ昔とまったく変わらないじゃないか
( ;´-ω-` ) .。oO(……なんて言えないや)
(;´・ω・` )「はい、理解できています」
彡(゚)(゚)「……見ろや、ドナウ川に架かるあの橋を」
彡(゚)(゚)「まだ架かっとるで 昔と変わらんボロいままやな!」
(;´・ω・` )「そうですね」
彡(゚)(゚)「ワイは断言するで! あの橋をあのままにはせん」
彡(゚)(゚)「橋だけやない、リンツの街そのものを根底から変えたる!!」
彡(-)(-)「でもな……街を作り変える前に……」
彡(゚)(゚)「ワイはまたお前とあのボロ橋を渡ってブラブラ歩きたいんや」
彡(-)(-)「だがそれは無理や…… ワイが現れれば、皆がついてまわる」
彡(゚)(゚)「しかしなクビツェク、信じてくれや 」
彡(゚)(゚)「ワイは故郷にたくさんのことをしてやるつもりや」
(´・ω・` )「あ、あの頃の計画ですね」
彡(^)(^)「せや! 覚えとったか!!」
彡(•)(•)「お前はワイの計画を実現不可能やと疑っとったが……」
彡(^)(^)「今こそあれを実現するで!」
彡(^)(^)「まずはどでかいオーケストラからや!」
アドルフは青春時代に企てたすべての計画を再び披露した
まるであの頃から三十年ではなく
せいぜい三年しか経っていないかのようだった
135 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:08:09.37 ID:jiCWbLTH0
彡(゚)(゚)「ところで、お前は何になったんや?」
(´・ω・`)「私は地方官司になり、助役になりました」
彡(゚)(゚)「助役とはどういうもんや?」
(;´・ω・` )「え、ええと…つまり、役人です」
(;´・ω・` ) .。oO(し、しまった!)
役人は禁句だ!!
これだけは口にしちゃいけないと決めていたのに!
つい口が滑った
( ; ›ω‹ ) .。oO(くるか来るか!?)
彡(゚)(゚)「そか、役人か……そか」
(´・ω・`) .。oO(あれ……?)
彡(゚)(゚)「せやけど、お前には合わんやろ」
彡(゚)(゚)「お前の音楽的才能はどこにいったんや?」
(;´・ω・` )「えーと…」
僕はありのままを話した
戦争によって僕の音楽家の道は途絶えたこと
飢え死にしたくなかったこと
母の勧めから役人になったこと
彡(゚)(゚)「……」
彡(゚)(゚)「せや、戦争のせいや」
136 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:08:58.16 ID:jiCWbLTH0
それからもアドルフは僕のプライベートを聞きたがった
正直に話した
今は家庭を持って大変ながらも落ち着いていること
そして規模は小さいがオーケストラを作ったことを
彡(-)(-)「……町で小さなオーケストラを…」
彡(゚)(゚)「素晴らしいことや」
彡(^)(^)「さすがやクビチェク」
彡(゚)(゚)「で?どんな交響曲を演奏しとるんや?」
(´・ω・`)「シューベルトの『未完成』」
(´・ω・`)「ベートーヴェンの『英雄』『運命』」
(´・ω・`)「モーツァルトの『ジュピター』などです」
彡(-)(-)「そかそか……ワイも直接 聞きに行きたいで…」
(。゚ω゚)「本気ですか?」
彡(•)(•)「もちろん本気や!」
彡(^)(^)「あれからどんだけ上手くなったか楽しみやわ!」
彡(-)(-)「……まあ、さっきも言ったが無理なんやけどな……」
(;´・ω・` )「そうですよね…」
彡(゚)(゚)「よっしゃ決めたで! ワイが援助したる!」
彡(゚)(゚)「報告書を作って送ってくれや」
彡(゚)(゚)「それと、何か悩んだでることはないか?」
彡(^)(^)「ワイがパパーッと解決したるで!」
(;´・ω・` )「い、いえ…つつましながらも十分生活は出来てるので……」
(´・ω・`)「特に希望はありません」
彡;(゚)(゚)「ファ!?大抵の奴は喜んで頷くんやで!」
(´・ω・`)「そうですか…」
137 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:09:45.05 ID:jiCWbLTH0
彡;(゚)(゚)「だったら…」
彡(゚)(゚)「せや!クビツェク、子供がおる言うとったやろ?」
(´・ω・`)「ええ、3人います」
彡(•)(•)「3人もか!」
彡(-)(-)「ええな……ワイには家族がおらん…」
彡(゚)(゚)「一人ぼっちや……」
(´・ω・`) .。oO(あれ?)
アドルフには長年付き合っている恋人がいるって週刊誌で……
でも、それはステファニーではない
彼女は別の人と結婚したはずだ
もしかしてまだステファニーを引きづっているなんてことはないよね?
それだと、あまりに交際相手が可哀そうだよ……
彡(-)(-)「未来ある子供にはワイらみたいに貧困で苦しんでほしくないんや」
彡(゚)(゚)「お前と別れてから、ワイは最悪の日々を送った」
彡(゚)(゚)「若い才能が困窮のために破壊されるようなことがあってはならんのや」
彡(•)(•)「だからクビチェクの子に援助させてくれや!」
彡(^)(^)「リンツのブルックナー学院に入れさせたるで」
僕は断った
でも、彼はそれでも食い下がった
彡;(゚)(゚)「頼むわ、それくらいはさせてくれや!」
彡;(゚)(゚)「他ならぬ、クビツェクの子や 遠慮するなや…」
彡(-)(-)「このとおりや」
(;´・ω・` )「えと…やはりそういう訳には…」
彡(•)(•)「頑固やな……まあ、ええ ちょっと待っとれ」
アドルフは立ち上がるとドアに向かって歩いて行った
そして偉そうな人( ´_ゝ`)を呼び寄せ何か話していた
きっと子供の援助についてだろう
(´・ω・`) .。oO(どっちが頑固なんだか……)
138 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:10:31.29 ID:jiCWbLTH0
僕とアドルフは気づけば一時間以上も話し込んでいた
( ´_ゝ`)「総統、そろそろ時間が……」
彡;(゚)(゚)「ファ!? もうこんな時間か!」
(´・ω・`) .。oO(あ、忘れてた!)
アドルフに手紙やスケッチを返さなくちゃ!
(´・ω・`)「そうでした! これを!」
彡(゚)(゚)「これは…ワイが贈った画材や絵葉書…」
彡(゚)(゚)「そして、ワイが設計した邸宅か………」
彡(゚)(゚)………
彡(゚)(゚)「クビツェク、これらはお前だけの物や…」
彡(゚)(゚)「これをどうしようとワイは一切関与する気はあらへん」
彡(゚)(゚)「最近になってワイの作品は脚光を浴びるようになった」
彡(•)(•)「ワイが書いた絵だと言って高値で贋作を売るアホまで出る始末」
(´・ω・`)……
彡(•)(•)「覚えとるか!?ワイが学生時代に肖像画のペアを組まされたやつを!」
彡(•)(•)「あのドアホ、ワイとほとんど喋ったこともない癖に…」
彡(•)(•)「ワイの伝記を書きよったんやで!!」
彡(゚)(゚)「そういうものはワイのことを本当に知っとる人物が書くべきや」
彡(-)(-)「もし…そういう人物がいるとすれば……」
彡(゚)(゚)「それはお前や、クビツェク」
彡(゚)(゚)「ヘス副総統、このことを直ちに記録しておくように」
( ´_ゝ`)「はい総統」
(´・ω・`) .。oO(僕に伝記を…?)
嫌だよ面倒くさい
彼はヘスって言うんだ…落ち着いてていい人そうだな
……え、副総統って言わなかった?
もしかして僕はこの国のトップ二人と一緒にいるの?
(。゚ω゚) .。oO(はえー)
彡(゚)(゚)「ほなまた会おうな、クビツェク」
こうして会見は終了した
どうやって帰ったかまったく覚えていない
139 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:11:11.19 ID:jiCWbLTH0
あれから、僕の静かで目立たない生活は急に騒がしくなった
アドルフの作品を狙う不良隊員や欲深な連中がよく家にきた
こういった輩にはこう言って追い返した
(´・ω・`)「それについてはヒトラー閣下と個人的に話したいと思います」
(´・ω・`)「ところであなたのお名前は?」
効果はてきめんだった、誰もがこの一言で黙って帰った
役所
(;;;゚Д゚;)「あの、この書類についてなんですが」
(´・ω・`)「はい…なんでしょうか…」
明らかに怖がられてる…たまにそうでない人がいてもコネ狙い…
でも新たな知り合いもできた
副総統のヘス( ´_ゝ`)だ
彼は他の隊員や高官と違い
興味深そうにアドルフのことについて聞きたがった
(´ᴖωᴖ`)「そこで彼は言ったんですよ『彼女と一緒にドナウ川に飛び込む』って」
( ´_ゝ`)「ははは、女性に対しては昔からそうだったんですねぇ…実は…」
(´ᴖωᴖ`;)「あはは、付き合った女性3人が自殺未遂……!ははは……は…」
140 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:12:42.30 ID:jiCWbLTH0
ある日、アドルフから招待状が送られてきた
リヒャルト・ワーグナーの祝賀劇の招待状だ!
その公演は見たい!見たい!!どうしても見たいと
夢に見ていた公演だった!
でも経済的な理由で…ってこんなことを言うのは無粋だよね
数日後 ヴァンフリート館
(´-ω-`) .。oO(とても素晴らしい演劇だった)
まるで魔法にかけられたようだった
美しい名曲、夢にまで見たワーグナーの息吹!
まさか夢が現実になるなんて…!
ありがとう!神様、仏様……アドルフ様!!
なんてね!
(´・ω・`) .。oO(でも……)
アドルフはいなかった……
彼は多忙だった
噂では、大きな戦争がまた始まるのではないかとさえ言われている……
( ;´-ω-` ) .。oO(……昔のように起きっこないなんてもう言えない)
(´・ω・`)……
あーあ、夢は叶ったけど…なんだかな……
どんなに素晴らしい芸術もアドルフがいない溝を埋めることはできなかった
このまま残っていても不完全燃焼なもどかしい気持ちが積もるだけだ
家族のもとに帰ろう
(´・ω・`) .。oO(でも、どうなんだろう?)
アドルフがそばにいてもあの頃のように語れたのかな……
( ;´-ω-` ) .。oO(うーん…無理だろうなぁ)
(´・ω・`)「今日はありがとうございます。とても素晴らしい演奏でした!」
( ´_ゝ`)「もう帰られるのですか?」
( ´_ゝ`)「あと一日いると、よいことがあるかもしれませんよ」
(´・ω・`)「へ?」
翌日
⊂(゚)(゚)ミ⊃三三3ブーンキキッー
彡(゚)(゚)/「待たせたなクビチェク!!」
アドルフは遠方からわざわざ飛行機に乗ってやってきた
彡;(゚)(゚)「すまん、時間がないんや!」
アドルフはボクの腕をつかむと歩き出した
彡(゚)(゚)っ(´・ω・`)「え…え?」 三三3
彡(●)(●)「お前らはええ 付いてくんなや!」
(;*■_■) (;⌐■_■) ;⌐■_■) ;⌐■_■)ザワザワザワ
ああ、皆、動揺しちゃって…なんというか…御愁傷様…
141 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:13:31.62 ID:jiCWbLTH0
アドルフは庭に通じるドアを開け、石段を下った
手入れの行き届いた小路を抜け、鉄柵のドアが開かれた
するとそこにはリヒャルト・ワーグナーの墓があった
(´・ω・`)人(゚)(゚)ミ
アドルフは僕の手を握った
彼の感動がひしひしと伝わってくる
彡(-)(-)「ワイらにとってここは最も神聖な場所や……」
彡(゚)(゚)「あの頃に語り合った夢がこうして叶って……」
彡(^)(^)「ワイは満足や!!」
ボクの隣には頬のこけた青白い大きく特徴的な目をした
あの頃のアドルフがいた
142 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:14:31.77 ID:jiCWbLTH0
その後、僕たちは劇場に向け歩き出した
だが、階段の所までくるとアドルフは止まった
(´・ω・`)??
彡(-)(-)「すまんな」
彡(゚)(゚)「ワイは他にやることがあるから一緒に見れへんのや…」
(´・ω・`; )「え…」
彡;(゚)(゚)「そんな顔すんなや……でもな…」
彡(゚)(゚)「若いワイらがあれだけ熱狂したワーグナーの劇や!」
彡(^)(^)「ちゃんと楽しむんやでクビチェク」
ガシッ!
(´・ω・`)つ⊂(゚)(゚)ミ
アドルフは両手でボクの手をしっかり握りしめた
\( )ミ
そして回れ右して、振り向かずに、少し早足で出口に向かおうとした
(´・ω・`)「ア……」
彡(゚)(゚)「ん、なんや?」
(;´・ω・` )「あ、え、えーと…」
彡(゚)(゚)「……」
(´・ω・`)「もしかして戦争の……こと?」
彡(゚)(゚)「お!」
彡(^)(^)「せや お前も少しは政治に関心を持つようになったんやな!」
彡(゚)(゚)「クビツェク、お前も知っとるやろ」
彡(゚)(゚)「どれ程ワイに建設したいものがあるかを」
彡(●)(●)「戦争なんて糞や!」
彡(●)(●)「ワイの建築計画を邪魔しおってからに……」
彡(-)(-)「この戦争のせいで……」
彡(゚)(゚)「ワイの建設事業は何年も後戻りしてしまったんや」
彡(-)(-)「残念や」
彡(-)(-)「ワイは戦争をするために帝国宰相になったんやない…」
(´・ω・`)……
彡(゚)(゚)「闘争の日々が終わったら、ワイはお前を呼ぶ」
彡(゚)(゚)「そしたらまた……」
彡(^)(^)「芸術について語ろうや」
彡(^)(^)「お前はずっとワイのそばにおらなアカンのやからな!」
143 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:16:48.11 ID:jiCWbLTH0
ヴー
解放者リエンツィは高らかに宣言した
トランペットの響きが
長く鳴り響くのを聞いたら
起き上がって駆けつけるのだ
そのとき私は諸君に自由を宣言する
貴族マドリアーノが問う
リエンツィ、君は何をする気だ?
君は強大だ。言ってくれ、
権力をどこに向けて使う気なのだ?
リエンツィは答える
私はこの国を偉大で自由にする
……
私はそのために法を作りたいだけだ
その法に民衆も貴族も従うのだ!
民衆は狂喜する
彼こそ、我ら民衆のためにいるのだ
それゆえ、我らの言うこと聞いて、賛成してくれ
我らは彼の民衆、彼は我らの王だ!
リエンツィは叫んだ
私は王ではない!
だが、諸君らは私を守護者に選んだ
民衆に法を知らしめる守護者
諸君らの先祖に倣って
護民官と私は名乗ろう!
民衆は歓喜して答える
ハイル リエンツィ、我らの護民官!
貴族ステファノは吐き捨てる
奴は民衆の偶像だ
民衆を欺瞞している
・・・
貴族に扇動された民衆がわめく
裏切り者!俺たちは奴に尽くした
奴の功名心のために、俺たちの血が犠牲になった
奴は俺たちを破滅に追い込んだ
復讐だ!
リエンツィは嘆く
……私が引き上げてやった民衆たちも
私を見捨てた
私の幸運に集まってきた友たちも
私を見捨てた……
貴族は嘲笑する
しょせん、愚かな暴徒どもだ!
リエンツィが奴らを騎士にしたのだ
リエンツィを奴らから奪えば、奴らは本来の群衆に戻る!
民衆は怒り狂う
集まれ!集まれ!急いでこっちに来い!
石を持って来い!たいまつを持って来い!
リエンツィは呪われた。奴は破門された!
奴は俺たちを裏切った!!
リエンツィは問いかける
言ってくれ、誰が諸君らを偉大で自由にしたか?
私が自由と平和を与えたとき
諸君らは私に歓喜して挨拶してくれたではないか
あの歓喜のことをもう思い出してくれないのか?
もう私の名を呼んではくれないのか?
誰もリエンツィに耳を傾けようとしない
……何ということだ!これが人間なのか?
人間とは、これほど惨めで無価値なのか?
私はお前たちを呪うぞ!
こんな世界は呪われ、破滅するがよい!
腐敗し、干からびた世界!
お前たちがそれを望んだのだ!
144 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:17:31.04 ID:jiCWbLTH0
パチパチパチパチパチパチパチパチ
彡(゚)(゚)/「ワイのすべてはここから始まったんや!」
(´・ω・`)「…うん、初めてリンツでこの劇を見た時も……」
(´・ω・`)「君はそう叫んだよね」
(。゚ω゚)「え!?アドルフ?」
慌てて横を振り向くと怪訝そうな顔をした老年の紳士が
(◦灬⦿)ジトォーと僕のことを凝視していた
(;´・ω・` ) .。oO(あれ?この人…)
どこかで見たことがあるような気が……
(◦灬¯)「ゴホン!」
(;´・ω・` )「す、すみません!」
(;´・ω・` )「あまりに感銘を受けてしまってその一人ごとを……」
(;´・ω・` )「……本当にすみません」
なんだ空耳か…
145 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:18:24.12 ID:jiCWbLTH0
演目がすべて終わり僕は見送りの最前列に立っていた
眼の前には黒光りのベンツがゆっくり通りすぎようとしている
こんな車に乗れるのは要人に決まっている
そしてそれがアドルフ・ヒトラーだと誰でも知っている
誰もが歓声を上げて彼を送り出そうとしていた
僕も皆と同じように手を振った
すると、アドルフがきづいたようだ
運転手に何か合図をだしている
キキッ
車が止まった
ウィーン
窓が開いた
彡(^)(^)つスッ
微笑んだアドルフが握手を求めてきた
つ⊂
彡(^)(^)「ほななクビチェク、また!」
(´・ω・`) .。oO(うん、またね アドルフ)
つ ⊂
ウィーン
窓が閉まった
一九三九年 第二次世界大戦勃発
一九四〇年 ドイツ・イタリア・日本三国同盟締結
一九四一年 ドイツ ソ連に宣戦布告
一九四三年 スターリングラードの戦い ドイツ敗北
一九四四年 連合国軍 ドイツに侵攻
一九四五年 アドルフ・ヒトラー自殺
彡(゚)(゚)
┏┛墓┗┓
第二次世界大戦終結
146 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:21:11.51 ID:jiCWbLTH0
終戦後、僕はアドルフ・ヒトラーの関係者として逮捕された
「あなたはヒトラーから何かもらいましたか?」
(´・ω・`)「いいえ」
「何も?」
(´・ω・`)「はい」
「お金も?」
(´・ω・`)「はい」
「食糧などは?」
(´・ω・`)「もらってません」
「車は?家は?」
(´・ω・`)「もらってません」
「美女を紹介されたりは?」
(`・ω・´)「ありえません」
「何かに招待されたことは?」
(´・ω・`)「ワーグナーの祝賀劇に招待されました」
「ヒトラーはあなたを歓迎しましたか?」
(´・ω・`)「はい」
「よく会いましたか?」
(´・ω・`)「ほんの数回です」
「どうやって彼に会ったのですか?」
(´・ω・`)「僕から会いに行きました」
「その時、ヒトラーはあなたのそばにいましたか?」
(´・ω・`)「はい、すぐそばにいました」
「二人だけで?」
(´・ω・`)「二人だけです」
「警護もなしで?」
(´・ω・`)「警護もなしです」
「それならあなたはヒトラーを殺すこともできたでしょう?」
(;´・ω・` )「…はい、できたと思います」
147 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:23:07.91 ID:jiCWbLTH0
「最後にひとつ聞きます」
ではなぜ、あなたはヒトラーを殺さなかったのですか?
彼を殺していれば…あなたは英雄になれたのに
それは…
僕とアドルフは友人だから
でも…こんなこと言えるわけがない……
彼は戦勝国の人々から
そして……
あんなに熱狂していた国民からも
史上最悪の独裁者と称される極悪人となっていた
そんな男を友だなどと口が裂けても言えるはずがない
………
………
……でも
あの時、いやあの時、それともあの時
それとも……あの時
アドルフにちゃんと向き合っていたら
アドルフに君は間違っているって言えたなら
激怒するアドルフに言い返してたら
そしてとことんアドルフと言い争ってたら
どうなってたんだろう…
二人がおじいちゃんになっても一緒に劇場に足を運んでいたのかな?
そして芸術について語り合うんだ!
ボクが聞き役でアドルフが話す役なのはきっと変わらないんだろうけど
……
まあでも、そんなことできるわけないんだけどね
言えるわけないじゃん!
だって、あのアドルフ・ヒトラーにだよ!!
だから何を思ったって
過去は変わらないし、未来も変えられない
彼が許されない罪を犯したことも変わらないし、変えられない
……
でも……
ボクとアドルフが友達だってことも変わらないし、変えられない
それに……アドルフと比べたら目の前にいるこいつなんて
全然、怖くない!
だからアドルフには言えなかったけど
今ならはっきりと言える
(´・ω・`)「そんなの決まってるだろ」
(´・ω・`)「ヒトラーはボクの友達だからさ」
148 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:24:14.86 ID:jiCWbLTH0
わが友ヒトラー 帝国宰相編 完
149 :
nanashi
◆tr.t4dJfuU
[sage saga]:2023/07/04(火) 21:29:04.92 ID:jiCWbLTH0
わが友ヒトラーはこれで終了です
読んで頂きありがとうございました
211.55 KB
Speed:0.2
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
新着レスを表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)