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王子『はちじょうひとまのワンルーム?』
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/07(水) 01:16:18.72 ID:1yPuA9ut0
書き溜めがないのでゆっくりと書きます。
誰も覚えていないと思いますが、7年前に書いたSSの続きになります。
以前のものは、https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455015928/、です。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1686068178
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/07(水) 01:20:01.15 ID:1yPuA9ut0
王子『なんなのそれ? おかあさん』
魔王『そうだな。んー、どう説明すればいいのだろうか……』
王子『おおきいの? ちいさいの?』
魔王『小さいな。この魔王城の寝室に比べれば』
王子『どのぐらい?』
魔王『どのぐらいだろう? 今、私たちがいるこのベッドよりも……んー、難しいな』
王子『……むずかしいの?』ウルウル
魔王『ううっ、そんな目で私を見るな。えーっと、待てよ、確か八畳は縦横360センチと360センチだから』
王子『360せんちと360せんち?』
魔王『うむ。一畳あたりの広さは1.62平方メートルだから、そこに八掛けして12.96平米。つまりは縦横約360センチと360センチだ。正確に言えば352センチなのだが』
王子『?』チンプンカンプン
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/07(水) 01:20:43.82 ID:1yPuA9ut0
勇者『……相変わらず難しい言葉を使ってんなあ』
魔王『むっ、ゆうしゃ――お父さん。王女は眠ったのか?』
勇者『ああ、ぐっすりだ。見てみろよ、この寝顔』
王女『』スピースピー
魔王『ふふっ。お父さんの腕の中で熟睡中だな』
勇者『ああ、まさに天使だ……ってかな、まお――母さん。そんな説明じゃ王子が理解できるわけないだろ』
魔王『むっ、ならお主は分かるように説明できるのか?』
勇者『もちろんだ。なあ、王子』
王子『うん』
勇者『八畳ってのはここから……』テクテク
勇者『ここまでが縦の長さで、横にも同じぐらいの広さの部屋だ』
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/07(水) 01:21:21.36 ID:1yPuA9ut0
王子『ちいさーい』
魔王『むっ』
勇者『』ドヤァ
王女『』ムニャムニャ
王子『ほかは?』
勇者『ほか?』
王子『うん。ひろさいがい』
勇者『……うーん。広さ以外のこと、ねぇ』
魔王『!』
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/07(水) 01:21:58.73 ID:1yPuA9ut0
魔王『なっ、なあ、王子。私たちが住むこの魔王城は誰のものだ?』
王子『ぼくたち』
魔王『そうだ。この城は、我が魔王の一族に代々引き継がれる、私たち家族の大切なお家だ』
王子『うん』
魔王『けれど、その八畳一間のワンルームは私のものではなく、お父さんのものでもなくてな。他の人にお金を払って貸してもらっていたんだ』
王子『そうなの?』
魔王『ああ。家賃は3万円で――といっても、日本円の価値は王子には分からないか。まあ、当時の私たちにとって決して高くはないが安くもないお金を払って貸してもらっていたんだよ』
王子『どうして?』
魔王『当時はそうする必要があったんだ。私たちが日本という国で生きるために』
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/07(水) 01:22:25.97 ID:1yPuA9ut0
王子『……にほん?』
魔王『ああ。素晴らしい国だぞ』ニコッ
魔王『王子は、私とお父さんが若い頃、異世界に飛ばされた話を知っているか?』
王子『すこしだけ』
魔王『そうか。なら、改めて話をしよう。大事なことだからな』
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/07(水) 01:23:02.11 ID:1yPuA9ut0
魔王『あれはまだ魔界と人間界が戦争してたころ。私とお父さんはこの魔王城で戦ったのだ。魔王と勇者としてな』
魔王『けれど、お互いの魔法がぶつかり合ったとき、空間に大きな歪みが現れて私たちは吸い込まれてしまった。そして、異世界である日本という国に飛ばされたのだ』
魔王『その世界にはマギカが存在しなかった。ゼロではないのだが、こちらの世界のように満ち溢れてはいなかった』
魔王『おかげで魔法は使えないし、勇者の武器も防具も機能しない。そのせいで常軌を逸した身体能力もない』
魔王『私たちは、ただの一般人になったのだ』
魔王『おかげでたくさんのことを知れたよ。私はそれまで魔王城から一歩も出たことがなかったから、全てが新鮮で。日本で教わったことを挙げればキリがないほどだ』
魔王『生活することの大変さ。人の強さに温かさ。種の垣根など些細なこと』
魔王『そして、なにより――』
王子『』スピースピー
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/07(水) 01:23:28.85 ID:1yPuA9ut0
魔王『……なんだ、眠ってしまったか』
勇者『途中からな。まあ結構早い段階でウトウトしてたけど』
魔王『話の途中で眠るのは父親そっくりだ』フフッ
勇者『お前の話が長いんだよ、っと』コトッ
王女『』ムニャムニャ
魔王『相変わらず、子供を起こさないままベッドに降ろすのは天才的だな』
勇者『だろ? これに関しては俺の右に出るやつはいねーぜ』
王子『』スピースピー
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/07(水) 01:24:16.29 ID:1yPuA9ut0
魔王『ふふ。私の可愛い天使たち。起きているときは怪獣の如くだが』
勇者『元気な証拠だろ? 確か日本のことわざでも言うじゃねーか。子供は火の子、って』
魔王『……それは大人だ。子供は風の子、だろう』
勇者『あれ、そうだったっけ?』
魔王『そうだ。子供は寒い風が吹く中でも元気に外で遊びまわるが、大人は寒がって火のそばから離れない。だから生まれたことわざで――』
勇者『』ウトウト
魔王『寝るなあっ』
勇者『……ハッ。いやぁ、すまんすまん』
魔王『まったく……』
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/07(水) 01:24:50.19 ID:1yPuA9ut0
勇者『けどな、久しぶりに魔王から日本の話を聞いたぜ』
魔王『……そうだったか? 確かに、ここ最近は忙しかったからな』
勇者『今でも日本語喋れたりするか?』
魔王「当たり前だ。魔王の一族を舐めるなよ」
勇者『おっ、やるな』
魔王『ふふん。お主はどうなのだ?』
勇者『俺はもうあんまりだな。聞き取りならまだ自信あるけど』
魔王『そうか。まあ、こちらの世界に戻ってきてから大分経つからな』
勇者『……ほんと、時間ってのはあっという間だよなあ』
魔王『ああ。出来ることなら、もう一度みなに会いたいな』
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/07(水) 01:25:19.67 ID:1yPuA9ut0
勇者『だな。ホーリーとナイトメア、もう一度ぶつけ合ってみるか?』フフッ
魔王『バカを言うな。それに、もう一線を退いているんだぞ。あれほどの魔法はお互いにもう打てないだろう』フフッ
勇者『ははっ、それもそうだな』
魔王『そうだ。何年も実戦から離れて魔法を好きに操れる者など賢者ぐらいさ』
勇者『……あの人は規格外中の規格外だからなあ』ブルッ
魔王『そういえば、勇者は賢者の子供に会ったのか?』
勇者『ああ。お前は会ってないんだっけ?』
魔王『うむ。私が戻る直前はまだ賢者のお腹の中にいたからな』
勇者『そっか。俺のほうがこっちの世界に戻ってくるのが1年遅かったもんな』
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/07(水) 01:25:45.07 ID:1yPuA9ut0
勇者『可愛いかったぜ。女の子でな。どことなく賢者さんに似てるんだけど、旦那さんにもちょっと似てて』
魔王『そうか。抱っこしてみたかった』
勇者『俺も抱っこはしてない。賢者さんに勧められたけど、首がすわってないから怖くてな』
魔王『ふふっ。赤子を抱くのが怖いとは、あの魔王軍を蹴散らしていた勇者の発言とは思えないな』
勇者『それとこれとは話が別だろ』
魔王『かもな』フフッ
勇者『賢者さんの子供はうちの王子とちょうど……3歳差ぐらいか。ますます賢者さんに似てきているんだろうなあ』
魔王『ということはとびきりの美人か。賢者は息を呑むほど美しいからな』
勇者『……うちの王女だって負けてねえぞ』ニッ
魔王『……知ってる』ニッ
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/07(水) 01:26:17.97 ID:1yPuA9ut0
魔王『職場のみんなも元気だろうか?』
勇者『コロッケが絶品だった商店街の惣菜屋さんな』
魔王『ああ。未だにあそこのコロッケが夢に出てくるときがあるよ』
勇者『お前の魔界芋のコロッケも負けてねえよ』
魔王『いいや、まだまださ。お店の味には到底及ばない。サクッ、フワッ、ジュワ〜感がまだ足りないのだ』
勇者『そうか?』
魔王『そうだ。女は今も職場で頑張っているのだろうなあ』
勇者『そろそろ、跡を継いでるかもしれないな』フフッ
魔王『かもな。あり得ない話ではない』フフッ
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/07(水) 01:26:54.10 ID:1yPuA9ut0
勇者『だな。せっかく俺がこっちに帰る直前に付き合ったってのに、すれ違ってなければいいんだけど――』
魔王『えっ』
勇者『えっ、どうした突然』
魔王『待て待て待てっ。えーっと、勇者が帰る直前に女と男が付き合った?』
勇者『おう』
魔王『ええっ!?』
勇者『ば、ばかっ。声が大きいって』
魔王『仕方あるまいっ! あの2人が付き合っているなどと初耳なのだから――』
王女『うっ、うっ』ムクリ
魔王『……あっ』
勇者『……ほら』ハァー
王女『ほぎゃああああああああああっ!!』
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/07(水) 01:27:22.11 ID:1yPuA9ut0
王子『……うるさいなあ』
そのときの僕は、後ろで泣き叫ぶ王女と、妹を必死にあやす母と父の声を聞きながら再び眠りに落ちていった。
いつもとそう変わらない平和な一日だったのに、10年後になった今でも僕がこの日のことを妙にはっきりと覚えているのは、初めて母が日本という国の話をしてくれたからだろう。
当時3歳だった僕は母が話した日本の話のほとんどは理解できなかったが、母と父にとってその国での出来事がとても大切なことだったのだとはなんとなく分かった。
だからこそ、その時。漠然としたものだったけど。
僕もこの日本という国に行ってみたいと思ったのだ。
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/07(水) 01:27:54.69 ID:1yPuA9ut0
今日はここまでです。
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/07(水) 01:40:13.55 ID:ufG5CXqa0
▼おまじない1
翡翠 熊のプーさん 天安門虐殺 通州虐殺 フリーチベット 天安門事件 通州事件 武漢ウイルス 原発爆発 武漢コロナ ウイグル虐殺 六四天安門事件 習近平 北京大洪水 野獣先輩 ネオナチスアゾフ
▼おまじない2
翡翠 小熊维尼 小熊维尼 習維尼 盗贼共产党 共匪 唐州大屠杀 自由西藏 天安门广场大屠杀 六四天安門事件 通州事件 武汉病毒 武汉科罗娜 维吾尔族大屠杀 核爆炸 习近平 刘建超 中国共产党中央对外联络办公室 中国共产党 北京大水 兽前辈 新纳粹分子亚速 台湾独立 NHK 打倒共产党 共狗治党 中共K幕 建立台湾国 大纪元时报 天安门屠杀 89暴乱 专业帮忙复仇 办理假学位证 在线身份证生成 腐败中国领导人京阿尼纵火案 前首相安倍晋三的枪击暗杀事件
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/08(木) 04:09:23.80 ID:4h3Y+qvno
まとめで見て凄い好きになったので嬉しい
支援
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/06/08(木) 22:27:10.83 ID:d1dzO/NC0
sageつけ忘れてるし自演かな?
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/08(木) 23:35:20.76 ID:dr7q0Gdl0
そして、10年後――
その日の朝は、人間界の王様が魔王城に来城する特別な日ということもあり、給仕や兵士たちが城内をめまぐるしく行き交っていた。
給仕『あー、もう忙しいったらありゃしない!』バタバタ
兵士『給仕。これはどこに持っていったらいいんだ?』
給仕『それは調理場! それにこっちの荷物も一緒に持って行って!』バタバタ
兵士『持って行って、って。そんな大きな荷物もう持てねぇよ』
給仕『お願いね!』ダッ
兵士『……相変わらず人使いの荒い奴』
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/08(木) 23:36:11.38 ID:dr7q0Gdl0
魔王『まあ、そうボヤくな。綺麗な魔王城を見てもらうことも立派な外交だ』
兵士『ま、魔王様!?』
魔王『どれ、私も手伝おう。この荷物を持っていけばいいのか?』
兵士『いっ、いえ、やりますやります! 置いておいてください!』
魔王『なに、遠慮しなくてもよい。まだ早いからな。エントランスでただぼーっと王を待つのも苦痛なのだ』
兵士『……い、いいのでしょうか?』
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/08(木) 23:36:38.94 ID:dr7q0Gdl0
魔王『もちろんだ。それに』
兵士『それに?』
魔王『私だって魔王城の一員なのだ。こんな時ぐらいは手伝わせてくれ』ニッ
兵士『〜〜っ! おっ、俺、一生、魔王様についていきます!』
魔王『フフ。お主は相変わらず大げさな奴だなあ』クスクス
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/08(木) 23:37:14.84 ID:dr7q0Gdl0
魔王が兵士をねぎらうと、2人の足音をかき消すかのごとく大きな声が城内に響き渡った。
巨人『おぉぉぉぉうぅぅぅぅじぃぃぃぃさぁぁぁぁまぁぁぁぁっ!!』
王女『お・に・い・ちゃああああんっ!!』
声の主は、天井に頭をぶつけそうなほど大きい巨人と、その肩にちょこんと座る王女だった。
魔王『どうした? 騒がしい』
巨人『ああぁ、魔王様ぁ。どうしてかぁぁ、王子様の姿が見当たらなくてぇぇ』
魔王『……またか。今年に入って何回目だ? 王子が姿をくらますのは』ハァー
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/08(木) 23:37:40.97 ID:dr7q0Gdl0
巨人『えぇーっとぉ、いちぃ、にぃ、さんぅ、よんぅ、ごぉ、ろくぅ――』
魔王『……数えなくてもよい。巨人族の英雄よ』
巨人『はいぃぃぃ』
魔王『王女を下に降ろしてもらえるか?』
巨人『かしこまりましたぁぁぁ。王女様ぁ、わしの手にぃ、乗ってくださいぃ』
王女『はーい』ヒョイ
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/08(木) 23:38:07.73 ID:dr7q0Gdl0
魔王『ありがとう。さて、王女』
王女『なにー?』
魔王『巨人族の英雄にはやってもらうことがたくさんある。だから、ひとりで王子を探してくれるか?』
王女『えー。こんなに広いのに1人じゃ探しきれないよ〜』
魔王『大丈夫だ。そのための魔法を教えよう。特別だぞ』
王女『え、やった!』
魔王『ふふ。喜び過ぎだ』
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/08(木) 23:38:45.22 ID:dr7q0Gdl0
魔王は床に手を当て、両目をつむる。
魔王『――隠れる者を嗅ぎ出せ。探知魔法サーチ』
王女『』ジー
魔王『という風に、この魔法を使えば自分を中心に半径20〜30メートルぐらいの人の位置を把握できる』
王女『うん』
魔王『これを上手く使って王子を探してほしいのだが……一発で覚えられたか?』
王女『もちろん!』
魔王『そうか。話が早くて助かる』ナデナデ
王女『えへへっ』
魔王『では、お昼の会食までには王子を見つけてきておくれ。約束だぞ』
王女『うん、約束。分かった〜』ダッ
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/08(木) 23:39:28.23 ID:dr7q0Gdl0
巨人『はははぁぁっ。王女様を見てるとぉ、幼い頃の魔王様をぉ、思い出しますねぇぇ』
魔王『……そうか?』
巨人『はいぃ。魔法に対する天才的なまでの才はぁ、魔王様ゆずりでしょうぅぅ』
魔王『褒め過ぎだ』
巨人『いいえぇ。人様の魔法を見てぇ、すぐにそれを使えるようになる者などぉ、まずおりませぬぅぅ』
魔王『……まあ、それは確かにな』
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/08(木) 23:39:55.58 ID:dr7q0Gdl0
魔王『一度見た魔法をすぐに使えるようになるなんて芸当、普通は出来やしない。私でも無理だ』
巨人『普通はぁ、学校で何日も学んでぇ、やっと使えるようになるものですからねぇぇ』
魔王『我が娘ながら末恐ろしいよ』
巨人『血は争えませんねぇ』ニコニコ
魔王『そうかもしれないな。けれど、だからこそ――』
巨人『だからこそぉぉ?』
魔王『……いいや、なんでもない。忘れてくれ』ブンブン
巨人『??』
魔王(だからこそ、危うさも感じてしまう。まだ小さな王女が危険な魔法を目にしてしまったときのことを考えると)
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/08(木) 23:40:42.32 ID:dr7q0Gdl0
王女は階段を駆け上がり、魔王城の中心部――玉座のある謁見の間に入ると、ふーっと息を吐き出した。
きらびやかな絨毯が敷かれた床に両手を当て、両目をつむる。
王女『――隠れる者を嗅ぎ出せ』
空気中にふんだんに含まれるマギカというエネルギーに、自らの強大すぎる精神エネルギーを合わせる。
王女『探知魔法サーチ』
そして発生した魔法は常人のそれを遥かに凌駕していて。
常人なら半径20〜30メートルぐらいの人の位置を把握できる魔法は、彼女の手にかかれば魔王城全体の人の位置を把握できる魔法へと昇華した。
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/08(木) 23:41:15.34 ID:dr7q0Gdl0
王女(城内にいるのはひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ――)
王女(うーん。多すぎて数えきれないや。でも、みんな忙しく動き回っているし、給仕さんか兵士さんかな?)
王女(お兄ちゃんならきっと、見つからないようにどっかでジッとしてるはず)
王女(どこにいるだろー、っと!?)
王女(魔王の一族にだけ伝わる秘密の小部屋に人影あり!)
王女(お母さんはお手伝いしてるし、お父さんは王様を迎えに行ってるから城内にはいないし)
王女(みーつけた!)
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2023/06/08(木) 23:41:43.47 ID:dr7q0Gdl0
今日はここまでです
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