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【シャニマス×ダンガンロンパ】シャイニーダンガンロンパv3 空を知らぬヒナたちよ【安価進行】Part.1

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1 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2023/05/27(土) 21:12:50.14 ID:UjM5Y6Sh0
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※注意

・本作は「ダンガンロンパ」シリーズのコロシアイをシャニマスのアイドルで行うSSです。
その特性上アイドルがアイドルを殺害する描写などが登場します。苦手な方はブラウザバックを推奨します。
・キャラ崩壊・自己解釈要素が含まれます。
・ダンガンロンパシリーズのネタバレを一部含みます。
・舞台はニューダンガンロンパv3の才囚学園となっております。マップ・校則も原則共有しております。
・越境会話の呼称などにミスが含まれる場合は指摘いただけると助かります。修正いたします。

※過去シリーズ
【シャニマス】灯織「それは違います!」【ダンガンロンパ】
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1613563407/
【シャニマス×ダンガンロンパ】灯織「その矛盾、撃ち抜きます!」【安価進行】
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1616846296/
【シャニマス×ダンガンロンパ】灯織「私はこの絆を諦めません」【安価進行】
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1622871300/
【シャニマス×ダンガンロンパ】灯織「これが私たちの答えです」【安価進行】
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1633427478/

【シャニマス×ダンガンロンパ】にちか「それは違くないですかー!?」【安価進行】
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1637235296/
【シャニマス×ダンロン】にちか「それは違くないですかー!?」【安価進行】 Part.2
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1642918605/
【シャニマス×ダンロン】にちか「それは違くないですかー!?」【安価進行】 Part.3
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1649764817/
【シャニマス×ダンロン】にちか「それは違くないですかー!?」【安価進行】 Part.4
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1655983861/
【シャニマス×ダンロン】にちか「それは違くないですかー!?」【安価進行】 Part.5
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1669646236/

以上のほどよろしくお願いいたします。

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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1685189569
2 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2023/05/27(土) 21:16:11.99 ID:UjM5Y6Sh0





_____私はまだ、何者でもない。





3 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2023/05/27(土) 21:17:23.69 ID:UjM5Y6Sh0

これから、何者かになって、階段を駆け上がって、光を浴びて、

そこでようやっと名前をもらう。

他の誰かに認識される。
他の誰かに記憶される。
アイデンティティとは、そうやって生み出されるものだ。
個人を決定づけるはずのものなのに、単独では完成し得ない矛盾を孕んだ要素こそがアイデンティティなのだ。

だから私は、必死に手を伸ばした。
この手の中に自分自身のアイデンティティがほしくて。
誰かにこの手を握ってほしくて。

でも、その手は宙で何も掴むこともなく、ただ真っ黒な闇にぶつかった。
闇は平坦で、反り立っていて……




私自身を飲み込んでいる。




「……え?」



______いつから、閉じ込められていた?



4 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2023/05/27(土) 21:18:09.82 ID:UjM5Y6Sh0

私はそこでようやっと置かれている状況に気づいた。肌から伝わってくるひんやりとした感覚、息を吸うたびに喉にまとわりつく埃。
そして何より、手も足も曲げ伸ばしが自由にできないほどに窮屈であるということ。

「な、なんで……?!」

壁を壊そうと握り込んでハンマーのように何度もぶつける。
ゴンゴンと大きな音が響き渡り、そしてやがて……


バーン!


やっと、外に出た。
5 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2023/05/27(土) 21:19:40.64 ID:UjM5Y6Sh0

「……痛た」

突然に解放されたことで、体重と勢いそのままに床に倒れ込んだ。

このお間抜け丸出しのちんちくりんが私。
下手すれば、そこらの街中で紛れ込んでしまいそうな凡庸な見た目だけど……
【アイドルである】という大きな個性がなんとかそれを食い止めてくれている……
そんな、ごくごく普通とはちょっとだけ違う女子高生。



七草にちか、16歳……アイドル。



こんにちは、私。
この滑稽で物哀しい物語の、お粗末な主人公さん。
6 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2023/05/27(土) 21:20:58.52 ID:UjM5Y6Sh0

「なにこれ、監禁……?! 私なんか拉致ってもビタ一文出ないだろうに……」

落ち着きを徐々に取り戻した私は、打ち付けた肘をさすりながら立ち上がった。
自分が監禁されていたのは金属製のロッカー。
あまり使われていないのか埃が溜まっている様子。
幸い、中に雑巾付きの箒なんかはなかった。
ばっちいじゃなくて、薄汚い止まりだったことにわずかに感謝をしつつ、視線を周囲に移す。

……机が群生している。
机が生えてくる畑でもあればまさにこんな光景なんだろうなというぐらいに机が並んでいる。
それと向き合うようにして壁に取り付けられた黒板。その上には太陽のような顔してスピーカーが取り付けられている。

ああ、ここは教室なんだなと理解した。
自分の通っている学校よりはいささか設備が綺麗で、ちょっとばかしモヤモヤする。

でも、なんで教室に?

近くにあった椅子に腰掛けて、ロダンの考える人みたいな格好しながら、記憶を必死に呼び覚ました。
私がここに監禁される前の、確かな記憶……
7 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2023/05/27(土) 21:21:59.94 ID:UjM5Y6Sh0
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

確か、バイト帰りじゃなかったっけ。
店でポップ作りに勤しんでて、知らず知らずのうちに随分と熱中。遅くまで残っていた。
ああ、明日はダンスレッスンだし早く帰らなきゃなとか、昨日のバラエティで芸人さんのいじり酷かったなとか、そんなことを考えながら、ぼーっと道を歩いていた。
うら若き乙女なんだし、多少警戒とかした方が良かったんだろうけど……安全に飼い慣らされていた私はそんなこともせず。

ただぼーっと、歩いていた。

そしたら突然後ろの方から急ブレーキの音が聞こえて、慌てて振り返ったら

「〜〜〜〜〜っ?!」

口に布を当てられて、あれよあれよと車に押し込まれて……

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
8 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2023/05/27(土) 21:23:36.12 ID:UjM5Y6Sh0

ああ、だめだ。結局なにも思い出せてないのと変わりない。
自分の記憶をいくら掘り起こしても出てくるのは使い物にならないものばかり。
私がここにいる理由、そしていつからここにくるのか。
その答えはいくら考えても出てきそうになさそうだ。

「はぁ……」

自分の無力さを噛み締め、あまりの使い物にならなさを嘆いていてため息をついた。



その時だった。



ガタガタッ

「……え?」

私が入っていたのとはまた別のロッカーが揺れ始めたのだ。
強風に煽られているように右に左に大きな音を立てながら。中に入っている住人はよっぽどの大暴れをしているらしい。

「や、やば……」

鬼が出るか蛇が出るか。なにが出てくるのか皆目見当もつかないロッカーに思わず後退り。
そんな私の恐怖はつい知らず、ロッカーのガタガタは扉のドンドンへと変わっていき、目的のない乱暴は脱出を目指した手段へと変わっていき、



やがてその扉は開かれた。
9 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2023/05/27(土) 21:25:10.03 ID:UjM5Y6Sh0

ダンッ!

ロッカーから吐き出されたその人物には見覚えがあった。
まんまるな頭に黒い髪、その中にはアクセントとして黄色いラインが走っている。
忘れたくても忘れられず、いつからか悪夢のように付き纏うようになって、視界にこびりついていた彼女。

「一体どうなってんだよ……痛た……」

【斑鳩ルカ】、美琴さんの元相方さんだ。

「……あ?」

痛みに悶えるのも束の間。顔を上げてすぐ、私の存在を認める女その表情を一変させた。
困惑に狼狽えていた口元はへの字に固く閉ざされ、扉を開けるための拳はより強くその指先を内側へと巻き込んだ。
そして吐き出される言葉はもちろん。

「オマエ……なんでこんなところにいやがる……!」

こんなところも何も、ここが何処だか知りたいんだけど。
10 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2023/05/27(土) 21:26:33.33 ID:UjM5Y6Sh0


ルカ「オマエか、オマエがやったのか……?!」

にちか「は、はぁ……?! 常識で考えてくださいよ、そんなわけないじゃないですか!」

ルカ「じゃあ事務所で、事務所単位で嵌めたのか?!」

にちか「いやいや……ちょっと落ち着いてください。私も斑鳩さんと同じで……今目を覚ましたところなんですよ」

ルカ「あ……? じゃ、オマエも私と同じで拉致されてたってのか?」

にちか「普通考えたらそうでしょ……なんで同じ事務所のアイドルを拉致するんですか」

ルカ「……」

にちか「ほら、とりあえず深呼吸でもします? 異常事態でパニックになるのはわかりますけど……」

斑鳩さんは私の呼びかけに背を向けると、急に調査を始めた。
机を動かしてみたり、中を漁ってみたり……何か目的があるというよりは、私の言葉に耳を貸すのが嫌で、仕方なくといったところなのだろう。
随分と嫌われてしまっている。
11 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2023/05/27(土) 21:28:01.83 ID:UjM5Y6Sh0

ルカ「……ん、なんだこれ」

すると、机の棚に手を突っ込んだ斑鳩さんが何かを引っ張り出す。
ハガキ代ほどの大きさの紙にはデカデカと何か書かれているのが距離をとっていても確認できる。
近くに駆け寄り、肩の向こうから覗き見る。

にちか「『入学式のおしらせ』……?」

学校からの案内というにはあまりにもお粗末すぎる。
パンフレットというよりは子供の落書き。クレヨンで殴り書きしたかのような書体に、会場までの案内図は線がガタガタ。
かろうじてその会場が体育館であることだけが読み取れる程度の情報量。
あまりにも適当すぎる代物に、違和感を通り越して呆れすら覚えた。

ルカ「……!? 勝手に見てんじゃねえよッ!」

私が覗き見ていたことに気づいた斑鳩さんは、自分に宛てられたラブレターでもないのに、大袈裟なモーションと共にそれを隠した。

12 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2023/05/27(土) 21:29:36.33 ID:UjM5Y6Sh0

にちか「や、別に良くないです? 私だって今の状況知りたいんですよ」

ルカ「……」

にちか「ちょっと〜……」

こっちの言葉は聞く気なし。どこまでも非協力的な姿勢を貫きたいらしい。
普段なら、別に見逃していた。自分だって、この人の存在をできる限り視界に入れたくはないし、仕事をする上での厄介者同士だと思っている。

でも、今は状況が状況だ。
全てが未知と不可解で囲われた中で、唯一この人の存在が既知の存在。地獄に垂らされた蜘蛛の糸のようなものと言ってもいい。
ここで決別なんかしたところで、お互いにメリットなんてないのは分かりきっているだろうに。

にちか「……あの、よく思われてないのは知ってるので。態度をどうとか言う気はないですけど、今の状況、協力しないとやばくないですか?」

ルカ「……」

にちか「ここが何処なにかも、いつから監禁されてるのかも、何の目的でこんなことになってるのかも何一つわからない。状況を一人で打開するの、めちゃくちゃきついと思いますけど」

斑鳩さんはそれでも顔をそっぽ向けたまま。
反抗期の子を持つ親とはこういう気持ちなのだろう。
いくら正論で説き伏せようとも、屈する気が微塵もないのでは甲斐がない。対話に応じない時点で暖簾に腕押しというやつだ。
13 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2023/05/27(土) 21:30:50.36 ID:UjM5Y6Sh0

にちか「……はぁ、もう」

それならもういっそ、無理矢理にでもこっちを向けてやるしかない。
幸い、そういう経験は事務所で何回も積んでいる。デスクワークにお熱なあの人に、世話を焼かせるたびに何でもやった常套手段。
ここでやらなきゃ、何処でやる……?!

にちか「むきむきにちか〜!」

ルカ「……」

斑鳩さんは確かにこっちを向いた。
注意関心を引くという一点に於いては作戦は見事成功。
その他のマイナス要素に目を瞑れば。

ルカ「オマエ、それ面白いと思ってやってるの?」

にちか「そ、そういうんじゃないんで……」

ルカ「……」

冬場の廊下みたいな冷ややかな視線で私を窘めると、斑鳩さんは分かりやすく大きなため息をついた。
侮蔑、落胆……いろんなものが透けて見えた。どうやら私はいろんなものをこの一瞬に失ってしまったらしい。

ルカ「……こいつじゃなきゃなぁ」

ぼそっと悪態をつきながらこちらに向き直る。
こっちだって願い下げだ。でも、こんな相方でも背に腹は変えられないのが今の状況だ。

14 : ◆vqFdMa6h2. [saga]:2023/05/27(土) 21:32:05.79 ID:UjM5Y6Sh0

ルカ「……とりあえず、ここから出るぞ。ここが学校にせよ、何にせよ。全貌を掴まないことには何もできないからね」

にちか「そうですね……さっきの紙に従うなら体育館に行ったほうがよさそうですけど」

ルカ「はぁ? ンなもん、罠に決まってんだろ」

にちか「……でも、こんなよくわかんない監禁をしてきた相手ですよ。下手に歯向かうと何されるか分からなくないです?」

ルカ「……チッ、じゃ、とりあえずは体育館目指すか」

斑鳩さんは私の誘導に一応納得してくれた様子。こちらに目を貸そうとはしないが、行動は共にしてくれるらしい。
斑鳩さんが先行して教室の扉を開け、廊下に出る。



_____その瞬間。




『グヘヘへへ! ミーが体育館まで直接案内してやるぜ!』

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