「今日からあなたは、仮面ライダーです」 せつ菜「へ?」

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34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/24(水) 21:48:47.04 ID:9gkPBj8d0
ツムリ「西野 冬樹様。あなたはこれ以上の参加は危険とみなし、ドクターストップ……すなわち脱落となります。よろしいでしょうか?」

冬樹「……あぁ、ドクターストップってあるんだ。このゲーム。これなら、元の生活にも戻れるの?」

ツムリ「はい。この場合脱落扱いとさせていただきますので、あなたは元の生活に戻れます」

せつ菜「そんな……西野さん。私の変身の時間稼ぎのために戦って、それで終わりだなんて……どうにかならないんですか!? こんなに戦えるバックルがあるなら、傷を治すのだって……!」

冬樹「いいんだよ。君の活躍が見れて、君に肩借りれて、いい思い出になったし……それに。ここで終わるなら、僕の理想に対する思いがこれだけだったってことなんだ。今も残ってる皆は、きっと理想を願う心が僕なんかよりもずっと強かった……そう思えば、ここを降りるのも納得できるよ……正直、気張って疲れちゃったし、いいんだよ」

秀秋「フン……俺の理想の世界が叶ったら、次はお前が叶えることだって出来るだろうよ」

冬樹「ははっ……まぁ、皆。頑張ってね、世界救って、神様になって……理想の世界、今まで脱落していった人たちや……僕に見せてよ」

千春「西野くん……」

夏雄「冬樹……」

冬樹「それから、皆。一回戦の時はごめん。皆僕と同じで、理想の世界のために必死に戦ってたのに狂ってる、なんて言って……」

夏雄「気にするなよ。冬樹は間違ってない、冬樹は……立派な人間だよ。デザグラで見てきた人間で、冬樹みたいに他の参加者を守ってやれる優しさを持ってるプレイヤーは珍しかった」

冬樹「そっかぁ……僕、まともで優しい人間かぁ」

千春「……うん。私たちが保証するよ。西野くんは、凄い立派だった。西野くんは自分を誇っていいんだよ」

せつ菜「はい。西野さんは、西野さん自身が思っている以上に凄い人です。私は、あなたのその優しさに助けられましたから……!」

冬樹「……そう、保証されたことも忘れちゃいそうだけど……でも、君たちに出会えてよかった。この気持ちだけは確かだ……じゃあ、ね」

『RETIRE』シュンッ……カランッ

ツムリ「彼は、仮面ライダー失格となりました」

せつ菜「……ですが、立派な仮面ライダーでした。ここにいる、誰よりも優しくて……立派な仮面ライダーです」

夏雄「そうだな……理想を願って、他人を蹴落としてでも進みたがるこのデザイアグランプリで、アイツは異端だよ。でも、人間の鑑だった」

ツムリ「……それでは皆さん、第2ウェーブまでご休憩ください!」

秀秋「さてと。今度はビートゾンビで頑張るか」スッ

千春「……一応、ドリル。使います?」スッ

夏雄「……うん、助かる」

夏雄(いい空気に浸ってたら大型バックル取られちゃった……秀秋の野郎……!)

せつ菜(……西野さんが作ってくれたチャンスと、くれたこのバックル……これを大事にして、戦わないと。今度は私一人で……東雲学院のライブを、守るんだ)

秀秋「棚ぼただなぁ、大型バックル2個持ちなんて俺にも運が巡って来たか」

夏雄「……まぁ、ないよりかはマシか、ないよりかは」

千春「大型バックル2個持っててもあれだけ怪我しちゃうって考えたら、西野くんのアドバイスは正しかったんだよね……ちゃんと、コレ大事にしないと」

ツムリ「それでは、第2ウェーブ開始となります! 皆さん、ご武運を!」シュンッ
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/24(水) 21:50:45.75 ID:9gkPBj8d0
せつ菜「……今度は、私一人でもやり抜きます。西野さんのためにも……!」セット!

秀秋「キモオタ共はまとめて駆除してやる……」セット!

夏雄「それじゃ、さっきと同じ方向よろしく頼むよ、千春ちゃん」セット!

千春「はいっ、 東条さんも、よろしくお願いします」セット!

3人「変身!」

千春「シッ!」

シュバババ……ニンジャァ!

デュアルオン! ビィート! ゾンビィ……

デュアルオン! ヤッ! モンスタァー! マグナム!バァン!

デュアルオン! アームドハンマー! アームドドリル!

『READY……FIGHT!』



厄介オタクジャマト「ジャッジャッジャ〜(今度は大軍だぞ〜)」ザッザッ

せつ菜「数はさっきよりも多い……けれど、残念でしたね。ジャマトたち……今の私は、数が相手でも怖くないです!」シュバババ……!

せつ菜「分身の術っ! ドローンッ!」ボンッ、ボボボボボンッ

せつ菜の分身×7「皆ーっ、会いたかったよー!!!!!!!」

厄介オタクジャマトたち「ジャジャ(ジャマト倒すってレベルじゃねえぞその人数)」ガタガタ

せつ菜「行きます! うおおおおおっ!」ダダダダダダダダダ

厄介オタクジャマト「ジャアアアアアアアアアア!(うわあああああああああ!)」※恐怖心の顔
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/24(水) 21:57:31.08 ID:9gkPBj8d0
秀秋「お? なんだよ。俺んとこにボスがお出ましってわけかよ。見る目のねえっ、馬鹿なジャマトだなぁ! オォイ!」ガキンッ、ドゴォッ、ドグシャァッ

厄介オタクジャマト「ジャジャ、ジャジャジャジャ(へいオヤビン、このやたら強いゾンビ野郎をボコしてください)」スッ

違反オタクジャマト「ジャジャジャ(任せろ、コイツ一人だしなんか赤いの着てないから弱そうだし)」チャキッ

秀秋「何言ってるか知らねえが、なんだか俺に舐めた口利いてるのだけはわかるぜ。駆除してやるよ、キモオタの親玉野郎が」キッ

違反オタクジャマト「ジャジャ!(いざ尋常に勝負! 正々堂々多対一だ!)」バッ

秀秋(無駄に数が多い……だったら、まずは一対一に持ち込んで、確実にぶった斬る!)

違反オタクジャマト「ジャッ、ジャッ!(そら、それ!)」ブンッ、ブンッ

秀秋「っと、はっ……集まって……砕け散りやがれ!」タクティカルブリザード!

厄介オタクジャマト「ジャ〜!?(えっ、体が引きずられる!)」ビュゥゥゥ

厄介オタクジャマト「ジャジャ〜!?(しかも体が凍る〜!)」ピキピキ

秀秋「まとめて……消し飛べぇぇぇっ!」GRAB! ZOMBIE STRIKE!

厄介オタクジャマト「ジャーッ!(ぎえーっ!)」チュドーンッ

秀秋「あとはお前だけだな。キモオタ親分野郎」リボルブオン! チャキッ

違反オタクジャマト「ジャジャ、ジャジャジャ……(舐めるなよ……数に頼れなきゃ何も出来ないってワケじゃないぞ)」グッ

秀秋「だから……何言ってるかわかんねえつってんだろ!」ダッ、ドゴォッ

違反オタクジャマト「ジャ〜ッ!(いきなり蹴られた! 痛い!)」ブンッ

秀秋「ぐっ! 中々重い攻撃じゃねえか……もっと寄越せよ! オラァッ! オッラァッ!」ブゥン、ギィンッ

違反オタクジャマト「ジャッ!ジャジャジャジャ……(こいつ、やっぱり強いなぁ……けど、こっそり潜ませた厄介オタクジャマトがこいつの後ろを取れば……その隙にやれる!)」キンッ、ドカッ、ギンッ
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/24(水) 21:59:01.29 ID:9gkPBj8d0
夏雄「っと! うーん……ドリルとハンマーなら、まぁさっきよりかはマシか。千春ちゃんの頑張り込みで」ドカッ、バゴンッ、ドリリリ

千春「それは、ありがとうございますっ!」バンバンッ、ボコッ

夏雄「……けど、さっきよりも数が増えてる分、他の方角を心配せざるを得ないね……せいやっ」スパコーンッ

千春「じゃあ、東条さんが菜々ちゃんか佐藤さんの方に行きますか? 私は今大丈夫ですよ!」ビシュビシュ、スパンッ

夏雄「いや。秀秋とはソリが合わないし、菜々ちゃんは心配することないと思うよ。だから、俺たちは俺たちでやろう」カンッ、シュッ

千春「わかり、ました! せいやぁっ!」リボルブオン! ヤッ! モンスターストライク!

夏雄「うっほ、すげえ流れるような必殺技。上手くなってきたじゃん」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/24(水) 22:00:22.98 ID:9gkPBj8d0
せつ菜「ふぅ……無事片付きましたね。西野さんの残してくれたバックルのおかげで……ですが」ハーッ

せつ菜「……他の方角も見に行きましょう。丁度、手が空いてますし」ザッ……タッタッタッタッ

厄介オタクジャマト「ジャ? ジャジャ(な? ちょっと隠れてれば狙い通りどっか行ったぜ)」

厄介オタクジャマト「ジャジャ!(お前スゲーじゃん! 天才じゃん! 流石IQ20は伊達じゃないな!)」

厄介オタクジャマト「ジャジャジャ!(これなら俺たち三兄弟で東雲のライブ見れるな!)」ワイワイ

せつ菜「な〜んて……私がどこかに行くフリをすれば、堂々と出てきてくれると思いましたよ」ザッ

厄介オタクジャマト「ジャ〜……(あら〜……)」

厄介オタクジャマト「ジャジャジャ?(許してくれる?)」ペコリ

厄介オタクジャマト「ジャジャジャ(俺たちライブが見たいだけなんだ、あわよくばそこに集まってる女の子と出会いたいだけで)」ペラペラ

せつ菜「……何言ってるか、わかりませぇぇぇんっ!!!!!」タクティカルスラァッシュ! ニンジャストライク!

厄介オタクジャマト×3「ジャーーーーーッ!(ギャーーーッ!)」ドカーーーンッ
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/24(水) 22:20:32.76 ID:9gkPBj8d0
秀秋「フッ! オラァッ!」ガキンッ、キンッ

違反オタクジャマト「ジャジャジャ……(どうしよう、逃げようかな……)」キンッ、キンッ

秀秋(逃げの姿勢を見せたら速攻で潰す! ビートの属性及び範囲攻撃、ゾンビの拘束力とパワーがある今なら、やれなくはねえ……こいつは、絶対に逃がさねえで、俺が仕留める!)

違反オタクジャマト「ジャジャッ(にーげよっ)」バッ、ダダダ

秀秋「逃がすかよ!」ダッ

違反オタクジャマト「ジャ〜ジャジャッ(な〜んてね)」クルッ ブンッ

秀秋「しまっ──ぐあっ!」バシィッ、ゴロゴロ

違反オタクジャマト「ジャ〜ッジャッジャッジャッ(ぷーくくく、引っかかってやんの、ぶーざーまぶーざーま、に〜んげんってぶーざーまー)」ゲラゲラ

秀秋「この野郎……舐めた態度取りやがって!」GRAB! ZOMBIE STRIKE!

違反オタクジャマト「ジャッジャ(おっと、危ない危ない)」スカッ

秀秋「ムカつく野郎だぜ……! ならコイツだ!」リボルブオン! タクティカルファイア!

違反オタクジャマト「ジャッジャッジャ(おっとっと)」スカッ

秀秋「チィッ! この野郎……! ちょこまかしやがって!」

違反オタクジャマト「ジャジャジャ〜(当たらなければどうということはないのだよ)」チョロチョロ、チョロチョロ

秀秋「ビートとゾンビじゃ捉えきれねえ……せめて、ニンジャか”アレ”があったら、こんな奴大したことねえはずなのに……!」ギリギリギリギリ
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/24(水) 22:23:38.68 ID:9gkPBj8d0
せつ菜「……誰かが、このバックルを求めてる?」

せつ菜(杞憂……な気はしますが、なんだか、ソレを思いっきり投げろ! と誰かが頭の中に問いかけて来るような……)

せつ菜「……ええい、杞憂でもなんでも……そうしたいと心で思ったのなら、それに従うのみです! せいやぁぁぁっ!」ブンッ、キラーンッ

ニンジャバックル「ほなさいならー」ビューンッ

夏雄「ん? 今なんか空を何かが通ったような……」

千春「UFOか何かかな……?」

夏雄「ま、気のせいか」

ニンジャバックル「よろしくやでー」ビューンッ

秀秋「あ? なんだ?」パシッ

違反オタクジャマト「ジャッ(えっ)」

秀秋「……へぇ、またもや俺に、運が巡って来たってワケか!」ガシュッ、スチャッ セット! シュバババ……ニンジャァ!

違反オタクジャマト「ジャジャ(ゆるして)」ガタガタ

秀秋「じゃあ今までの仕返しを、たっぷりとさせて貰おうじゃねえか。このクソキモオタ野郎が」シュバババババ……

秀秋の分身×4「本体合わせて5人がかりだ、10倍返しにさせて貰うぜ」

違反オタクジャマト「ジャ、ジャッジャジャ! ジャジャジャジャ!(ちょ、ちょちょちょ待ってください! 待って! 助けて! お願いします!)」ガタガタ

秀秋×5「さっきから何言ってんだかわかんねえつってんだろ、バーカ」リボルブオン! シュバババ……ニンジャストライク! ポイズンチャージ! タクティカルブレイク!

違反オタクジャマト「ジャバババーッ!(うわあああ! うわっ、うわあああ……うわらば!)」ボーンッ

ツムリ『ミッションコンプリートです! 無事、ジャマト一匹ライブの会場に入れることなく決着がつきました! 仮面ライダーの皆さんの大勝利でーす!』

せつ菜「無事、守りきれたみたいで良かったです……はぁ、とっても疲れました」

秀秋「ふん。ザコばっかだったからな。これくらい当然だろ」

夏雄「俺は千春ちゃんに助けられたよ、ありがとう」

千春「でも、私も東条さんのアドバイスのおかげで効率的に戦えましたから、おあいこです!」

ツムリ『それでは皆さん、次のゲームは追ってお知らせいたします。それでは、次のゲームまで平和なひと時をお過ごしください!』

せつ菜「……平和なひと時、ですか……ひと時……」

秀秋「今日はたこ焼きでも買って帰るか……」

夏雄「じゃ、俺はもんじゃでも食べに行こっかな」

千春「じゃあ、私はコッペパンにしよ〜っと……」

ツムリ『皆さまお疲れさまでしたー』シュンッ
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/25(木) 05:50:25.54 ID:9EEUcMjc0
彼方「くぅ〜……遥ちゃんのライブ、最高だったぁ……彼方ちゃん、感動で涙が3Lも出ちゃったぜ〜」

かすみ「大洪水……まぁ、確かにはる子のライブパフォーマンスは凄かったです、かすみんも負けてられない、って感じました!」

しずく「これなら、ラブライブの優勝も目指すのも絵空事なんかじゃない、ってクオリティでしたね」

エマ「ファンサービスも出来てて、È stato fantastico! って感じだったよ〜!」

璃奈「最高だった。璃奈ちゃんボード、『アァァァメイジィィィングッ!!!(CV濱尾ノリタカ)』」

侑「うーん……」

歩夢「侑ちゃん、どうかしたの?」

侑「ライブが終わる直前くらい、どこかからせつ菜ちゃんの叫び声が聞こえたんだよね……せいやぁぁぁっ! って」

しずく「でも、今日はせつ菜さん、『どうしても外せない用事があったんです、ごめんなさい』って、どこか出かけてしまったはずですよね?」

ミア「せつ菜のことが大好きすぎるベイビーちゃんの幻聴だったんじゃないか? ボクには聞こえなかったしね」

ランジュ「あら、ミアは聞こえなかったの? ランジュにはハッキリ聞こえたわよ! せつ菜が気合を入れた叫び声が、今も頭の中に残ってるわ!」

栞子「私にもハッキリと聞こえました。ミアさんは、ペンライトを健気に振っていた璃奈さんと、ファンサービスをする遥さんに夢中で聞こえなかったようですが」

彼方「えぇ〜? ミアちゃん、遥ちゃんに夢中で応援してくれたの〜? 嬉しいことしてくれるぜ〜」ウリウリ

ミア「なっ、べ、別になんだっていいだろ! そもそもライブを見に来たんだから、そっちに注目して何が悪いのさ!」

栞子「カマをかけたつもりでしたが、本当だったんですね」

ミア「なっ! し、栞子……ボクをハメたな……」

愛「ま〜ま〜い〜じゃん! しおってぃーが冗談言えたんだから〜、めでたいじゃ〜ん!」

ミア「ボクはめでたくないー!」

愛「なんでさー、いーじゃーん!」

ランジュ「照れるミアも可愛いわねー」ツンツン

かすみ「フッ。ミア子にもいじられキャラが定着しましたねぇ。これからは、かすみんの代わりにいじられキャラをやって貰いましょう。かすみんは、可愛いキャラでのびのびと……」

璃奈「ミアちゃんがいじられても、かすみちゃんがこれからもいじられ続けるのは変わらないよ。璃奈ちゃんボード『かすみんに相応しいエンディングを見せてやる』」

かすみ「えっ」

しずく「ふふっ。かすみさん、いじられキャラから逃げられると思わないでね?」

かすみ「そ、そんな゛ぁ〜……」

果林「ふふっ。全力で応援した後だって言うのに、皆元気ね」

侑「そうですね〜。でも、大好きなスクールアイドルの後の応援なら、疲れるどころかトキメキで元気出ちゃうから、わかるかも」

歩夢「そうだね。私も、侑ちゃんがピアノ弾いた時は元気出るもん」

侑「えへへ、ありがと歩夢……」

歩夢「侑ちゃん……」

果林(ここだけは二人の世界ね)



せつ菜(皆さんは、ライブを楽しめたみたいですね……私は見に行けませんでしたが、感想を聞いて、皆さんの『大好き』を感じましょう。その分、私は皆さんが『大好き』を感じていられる時間と平和を、守りますから……退場、脱落していった方たちのためにも……!)

せつ菜「はしーりだしーたー、おもーいは強くすーるーよー……」スタスタ
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/25(木) 05:53:47.30 ID:9EEUcMjc0
侑「いやぁ〜、昨日の東雲のライブの余韻がまだ体から抜けないよ〜!」

せつ菜「それは凄いですね。行けなかったのが残念です!」

栞子「生で見る迫力には敵いませんが、ネット配信も行っていたみたいなので、そちらの映像なら見られますよ」

せつ菜「おぉ! ありがとうございます! 栞子さん!」

栞子「い、いえ。私は彼方さんから教えてもらっただけですので……」

せつ菜「では彼方さんもありがとうございます!!!」

彼方「お礼を言ってくれるのは嬉しいけど、もうちょい声を抑えて欲しいぜ〜。彼方ちゃんの頭壊れちゃうよ〜」

せつ菜「はっ、あ……すみません、ついテンションが上がってました……」

歩夢「でも、良かったね。せつ菜ちゃん、これで皆でライブの感想が言い合えるよ」

ランジュ「あのライブを見られないのは損だと思ってたから、見られてよかったわね、せつ菜!」

せつ菜「はい! 帰ったら見させていただきます! そうと決まったからには、今日の練習はそれを楽しみの全力で頑張りましょう! えいえいおー!」

璃奈「凄い熱気を感じる……璃奈ちゃんボード、アツアツ!」

愛「せっつーのやる気、ブチ上がってるねぇ。愛さんも負けてられないよー!」

果林「トバしすぎて、序盤でバテないようにね」

しずく「あはは、せつ菜さんと愛さんの体力なら、最初から全力を出しててもきっちり完遂しそうですけど……」

かすみ「これはかすみんも負けていられませんねぇ。部長としての威厳を示しますよ!」

ミア「はぁ……子犬ちゃんがせつ菜について行けると思わないけど」

ランジュ「あら。かすみはやる時はやる子よ? ランジュと同じくらいのガッツがあって、全力のせつ菜にだってついていけるわ!」

栞子「それは凄いですね。かすみさん、期待してます」

かすみ「うっ、ぷ、プレッシャー……」

歩夢「もう。かすみちゃんにあんまりプレッシャーかけちゃったら可哀想だよぉ」

アハハハハハ……

せつ菜(皆さん幸せそうに笑ってます……この平和、必ず守り抜かなくては……!)

エマ(せつ菜ちゃん、何か思い詰めてるみたい……大丈夫かな?)
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/25(木) 05:54:18.13 ID:9EEUcMjc0
練習終了後〜〜

エマ「ねぇ、せつ菜ちゃん」

せつ菜「はい。エマさん、どうしました?」

エマ「最近悩んでることとか、ない? 東雲のライブに行けなかった時のこととか」

せつ菜「いえ。特にはないですよ、大丈夫です!」ペカー

エマ「そっかぁ。さっき、部室で思い詰めてるみたいだったから、心配だったんだぁ。何もないならよかったぁ。何かあったら、いつでも相談してね!」

せつ菜「はい。エマさんはとっても頼りになりますから、いざそういう悩みが出来た時は、相談させていただきます!」ペカー

エマ「うん。やっぱりせつ菜ちゃんには笑顔が似合うねぇ」プニプニツンツン

せつ菜「うひゃぁ! もー! そこは突っつかないでくださいー!」

アハハハハハ……




せつ菜「……大丈夫。私は仮面ライダーになったんだから、きっとやれる……この先だって、ジャマトから皆を守ってみせます。
いつだって、自分たちの『大好き』を守るために戦って、勝って、生きて帰る……それが、私の知る格好良いヒーローですから」

せつ菜「そうたーかくー……果てーなくー……明日へと導く……」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/25(木) 05:56:10.26 ID:9EEUcMjc0
副会長「会長。窓を眺めてどうしたんですか?」

せつ菜「いえ。部活動をしている生徒たちを見て……私の活動は、この一年を通してとっても有意義だったんだな……と」

副会長「……そうですね。私も、会長のおかげで色んなものに目覚められましたから! 主にスクールアイドル関連!」

せつ菜「あ、あはは……その節はどうも……」

せつ菜(そういえば、最初は副会長とも会話することがあんまりなかったのですが……私が優木せつ菜になって、彼女の心を鷲掴みにした時、生徒会の業務に関すること以外でも多く喋るようになったんでしたっけ……)

副会長「また何かライブとかの予定があれば、必ず駆けつけて、全力で応援しますね。私、せつ菜ちゃんのファンになったのは遅くても、応援する気持ちなら負けてませんから!」

せつ菜「……ありがとうございます。でも、今の私は中川菜々で、優木せつ菜ではないですから……その発言はあまりよろしくないですよ」

副会長「わ、あぁっ、失礼いたしました!」ペコーッ

せつ菜「あぁ、別に頭とか下げなくたっていいですから。あくまでからかっただけですから! 冗談です!」

副会長「よ、よかったぁ……嫌われちゃったら、って思って焦りました……」

せつ菜「はは……大丈夫です。健全な『大好き』をぶつけてくれるのなら、私は喜んでお返しいたしますから!」ニコッ

副会長「きゅぅ……反則的笑顔ぉ……」ウルウル

せつ菜(喜んでいただいて何よりです。こうして身近なファンがいて、また『頑張ろう』と思えるのはとっても幸せなことですね……)
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/25(木) 06:02:16.33 ID:kAyM2hpYO
7人の分身とか戦闘力強すぎる
せつ菜の戦闘能力がグングン上がってきたな…
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/25(木) 07:23:22.97 ID:cSuM4JVAO
朝晩書いてくれてありがたい…
ヒーロー像を模索する姿も良いし読んでて楽しい
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/25(木) 19:24:43.71 ID:9EEUcMjc0
翌日

ツムリ「皆さん、お待たせいたしました。少々早いですが……最終戦となります」

夏雄「確かに前回より早いし、人数もちょっとだけ多いな。前回は俺と秀秋と……あと、アイツだったか。警察官の奴」

秀秋「あぁ、人命救助が最優先とか言ってたな、助けたと思ったやつ皆食われてたけど」

千春「最終戦って、どんなゲームになるんですか? また、街を守るとかそういうのですか?」

ツムリ「いえ。今回はラスボスジャマトの討伐です。題して『ロボ討滅ゲーム』です」

せつ菜「ロボ? ロボって、お台場とかにあるような……?」

ツムリ「はい。前回のゲーム……ライブ防衛ゲームで半身を吹き飛ばされたジャマトが、なんとお台場にあった巨大ロボに寄生し、近隣の人を栄養源に成長を始めてしまいました」

夏雄「なるほどなぁ……前回の城に比べたら倒せそうな分、何とかなりそうだけど……骨が折れそうだな」

秀秋「ま、デザ神様でもバックルがそれだけじゃあなぁ」

夏雄「ラスボス相手じゃ、ゾンビとビートだけじゃ無理があるだろ」

秀秋「残念、コイツもあるんだな」スッ

夏雄「ニンジャ……お前それ菜々ちゃんのだろ。返してやれよ」

秀秋「本人が返せって言えば、な」フリフリ

千春「菜々ちゃん? あれ、菜々ちゃんのバックルだよね? 佐藤さんに持たせっぱなしでいいの?」

せつ菜「……」

秀秋「いいです、ってよ」フリフリ

せつ菜(……前回私が中途半端に傷をつけたジャマトが、成長して人を栄養源にしてる……つまり、私のせい。私がちゃんと倒していれば……!)

夏雄「……あんまりキバるなよ。力が入りすぎると、うっかりミスを招くぜ」

せつ菜「……はい。そうですよね、すみません……ちょっと、最終戦だからと緊張しちゃってました」

千春「ははっ、菜々ちゃんでも緊張するんだね。最初のゲームの時は自信満々だったのに」

秀秋「そういうお前は、1回戦じゃガタガタ震えてるだけの奴だったのに今じゃ普通に戦ってんじゃねえか」

千春「うーん、慣れ……なのかなぁ? あと、デザイアグランプリの合間合間に東条さんと会ったりして、仲良くご飯食べたりして距離感掴めたからかなぁ?」

夏雄「秀秋だって、割と丸くなってるしな。前のゲームじゃルール違反だって言われてても俺のこと殴りに来たし」

秀秋「俺は変わってねえよ。いつだって俺は俺だ、世界を救うのも、デザ神になるのも、今回は今までずっと変わらねえ俺自身がやるだけだ」

せつ菜「皆で……頑張って、世界を救いましょうか」

夏雄「あぁ。デザ神を目指すのも大切だけど、まずはゲームクリアが最優先だな」

ツムリ「それでは最終戦! ロボ討滅ゲームのスタートです!」シュンッ

48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/25(木) 19:26:35.52 ID:9EEUcMjc0
せつ菜「……これが最後。なら、やれる限りのことをやって……勝つ!」シュルッ、スチャッ

夏雄「お、髪型変えたんだ。いいね」

せつ菜「はい。自分のやらかしに清算をつけるためには、こっちの方が性に合うんです」

夏雄「なんだかよくわからない理由だけど、そっちも似合ってるよ。むしろ、俺好みだ」

秀秋「参加者ナンパしてんじゃねーよ、バカ丸出しか」

千春「うーん? 菜々ちゃん、どっかで見たような……まいいか」

ポーンジャマト「ジャッジャッジャ〜(進め、我らには巨大なロボットが味方にあり)」スタスタ

秀秋「来たか……さっさと終わらせるぞ、変身」ビート! ゾンビィ……

夏雄「おう。二連覇は俺のもんだ」デュアルオン! アームドドリル! アームドハンマー!

千春「スクールアイドルが皆に知られるように……頑張る!」ヤッ! モンスタァー! マグナム!

せつ菜「……皆の『大好き』を守るためにも、ここで勝ち切ります!」セット! フィーバー! ヒット! モンスター!
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/25(木) 19:29:52.34 ID:9EEUcMjc0
夏雄「あれがラスボスか……」

ロボットジャマト「ジャ〜(疲れた体に人間の味が染みわたるわ〜)」ムッシャムッシャ

せつ菜「あれを倒せば終わるなら、速攻で終わらせます! 先手必勝! うおおおおっ!」ダッ

夏雄「待て! もっと様子見をしてからでも……」

秀秋「うるせえな、じれったいんだよ!」ダッ

夏雄「くっ、あの二人がラスボスの方に向かうなら、俺たちは雑魚ジャマトの方をやるぞ! 先にこっちを殲滅しないと、ラスボスに捧げられる養分が増える!」ダッ

千春「わ、わかりましたっ! じゃあ、早速……!」リボルブオン! ダッ

ポーンジャマト「ジャッジャッジャ〜(ロボットに養分捧げるために頑張るぞ〜)」ワーワー

夏雄「させるかぁっ!」ドリルストライク!

ポーンジャマト「ジャーッ!(ぎえー!)」チュドーンッ

キャーキャーワーワー

千春「大丈夫ですか! 逃げてください!」ライフルモード! ビシュビシュ!

ダレカキタゾー! ミンナニゲテー!

千春「人命救助もしなきゃいけなきゃいけない……これが、最終戦……!」ビッシュッ、バシュッ

夏雄「今までがイージーすぎたんだよ。デザイアグランプリってのは本来こういうミッションが多いんだ!」ドガッ、ボゴッ
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/25(木) 19:32:59.97 ID:9EEUcMjc0
副会長「なんだか凄い騒ぎ……いったい何が起きてるんですか……!?」

侑「よくわからないけれど、離れた方がいいよ。皆も心配だし、副会長だって危ないよ」

副会長「うぅ……次のせつ菜ちゃんのライブについて打ち合わせする予定だったのに……こんなことが起きるなんて……!」

ポーンジャマト「ジャッジャッジャ〜(養分みーっけ)」

侑「わぁっ!? 副会長逃げて! なんか来た!」グイッ、ダダダ

ポーンジャマト「ジャ〜(待て〜)」ダッ

ポーンジャマト「ジャジャ〜(俺もいるぞ〜)」ダダッ

副会長「ま、前からも!? だ、誰か──」

愛「よいっしょーっ!」ドカッ

ポーンジャマト「ジャバッ!(たわば!)」ドサー

愛「ごめんゆうゆ! コイツら学校の方にも、来ててっ、手間取って、すっかり遅れちゃったっ!」ドカッ、ドゴォッ

侑「愛ちゃん……助かったー! ってか戦えたんだ!」

愛「んっ! しずくの演劇部に助っ人で駆り出された時っ! こういう、タテっ! 教わった、からっ! せいっ! どんなもん、じゃいっ!」ドカッ、シュッ、バキッ、スパコォン

副会長「あ、ありがとうございます!」

愛「早く学校まで逃げよ! 愛さんも、流石にっ、何体も相手にするとっ! キツい、しっ!」バキッ、ドガッ、ドゴォッ

ポーンジャマト「ジャジャジャ(コイツ生身のくせに強すぎだろ、逃げよ)」スタター

副会長「でも、会長は……!」

愛「せっつーは……学校内じゃ見てないけど、多分大丈夫だと思う! それよりせっつーだったら、ゆうゆや副会長のことを心配するだろうっ、ふっ! から……全員無事でないと! そっちの方が、せっつーのこと傷つけちゃうよ!」

侑「……そうだね。副会長、学校に戻ろう!」

副会長「はい……っ、あ──」
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/25(木) 19:38:02.70 ID:9EEUcMjc0
せつ菜「先手必勝です! うおおおおっ!」フィーバービクトリー! モンスターストライク!

ロボジャマト「ジャジャ〜(そんな小さい攻撃でどうにかなるわけないだろ)」ブンッ

せつ菜「モンスターフォームのパワーなら……多分、いけます! せいやぁぁぁっ!」ドカァン

ロボジャマト「ジャ……ジャジャッ……ジャーッ!(ぐ……すげえパワー……ぐわぁっ! 腕吹っ飛んだーっ!)」ドガァン、ガラガラ……

せつ菜「やりました! 片腕破壊です! この調子でもう片方も……」

夏雄「油断するな! それは”外装を壊した”だけだ!」

せつ菜「ッ──あ」

せつ菜(私が拳の打ち合いで壊した腕から……沢山の木々やツルが生えて……!)

ロボジャマト「ジャッ(お返しだ)」ボッ

せつ菜「あ──きゃあっ!」ドカァン! ボゴォン、シュンッ

秀秋「ッ……マジか、モンスターの防御力でも一撃かよ」

夏雄(大型バックル、それもパワータイプのモンスターでも一撃で変身解除……となると、小型しか持ってない俺じゃあいつは絶対倒せない。
それに、奴自身がデカすぎてモンスターの火力でも外側のロボット部分しか壊せなくて、中身にダメージとして届いてない。だったら……)

秀秋(こりゃ、俺のゾンビでも中身をぶった斬るのは無理っぽいな。そうなると……)

二人「狙うのは、一つか!」

千春「っ、東条さん……?」

秀秋(賭けだが、やってみるしかねえ! 俺のガラじゃねえが……勝つためだ!)リボルブオン! シュッ、セット! ニンジャァ!

夏雄(俺に出来る内容なら、こっちだ! アレを引き当てない限り、勝機は来ない……!)

ロボジャマト「ジャッジャッジャ〜(いただきまーす)」ブンッ

せつ菜「あ──」

秀秋「オラァァァッ!」ポイズンチャージ! タクティカルブレイク! ガキィィィンッ!

せつ菜「佐藤、さん……?」

秀秋「勘違いすんな……お前のためじゃなく、アレのためだぁぁぁ!」ドガッシャーン、バァン

ロボジャマト「ジャジャ……(コイツ、チェーンソー一本で俺の拳を弾いた……ナニコレ化け物かよ)」ジンジン

秀秋「……チッ。こっちはシークレットミッションじゃねえのか……!」

せつ菜「……助けてくれて、ありがとうございます……」フラフラ

秀秋「うるせえ。お前の為じゃねえ、あくまでシークレットミッション探しのためだ。それと、あのラスボスは俺がやる。デザ神になるのは俺だ」ダッ

せつ菜(体のあちこちが痛い……頭から血も出てるからか、少し意識がぼーっとする……立っていられないかも……でも、立たなきゃ……人を……街を……守らなきゃ……!)

──ちゃん……! 菜ちゃん……!

せつ菜(誰かが、私を呼んでる……? こっちに、走ってきてる……?)

副会長「せつ菜ちゃん!」

せつ菜「副、会長……?」

せつ菜(どうして彼女がここに……? あ、ここ、お台場……学園が、近い……んだった……)

秀秋「オラァッ! ハァッ!」ガァン! ズバァッ!ニンジャストライク!

秀秋×5「くれてやるよ! 5連撃ッ!」ポイズンチャージ! タクティカルブレイク!×5

ロボジャマト「ジャ〜♡(効かねえよざ〜こ♡)」ブンッ、ビュルンッ ドゴォッ!

秀秋「っ、ぐわあああっ!」バシュゥッ、ドガァン、ガラガラガッシャーンッ

副会長「わっ……! 瓦礫が飛んできて……危ない……! せつ菜ちゃん! 今そっちに行くから!」

せつ菜「っ、あ……! 来ちゃ、ダメです……! 逃げ、て、副会長!」

ロボジャマト「ジャジャッ(美味そうなのみ〜っけ)」ブンッ

副会長「っ──! せつ菜ちゃぁんっ!」ガバッ

せつ菜「わぷっ──」ドサッ
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/25(木) 19:42:40.87 ID:9EEUcMjc0
突然のことで、何が起きたのかが分からなかった。
 ただ、眩暈がするほどに朦朧としていた意識がはっきりとするくらいの衝撃が突然やって来た。
 あちこちが痛んだ体は、突然硬い地面に倒れて更に痛みを訴えてたけど。
 何故か、私の顔やお腹は柔らかいものに守られていて、目を開けても、暗くて何も見えなかった。

副会長「っ、あ……は、は……ごほっ、ぅ、ぁっ……」ドプッ

せつ菜「え……? ふ、ふく、会長……? そ、それ……なん、で……」

副会長「ぁ……生きて、る……は、ははっ、せつ菜ちゃん、を……守れ、て……よかっ、た……」

 私を守ろうと、生身のまま飛び込んできてくれた、ひ弱な彼女は。
 背中からお腹までを、ロボジャマトの太い触手に貫かれていて……制服も、白い肌も、真っ赤に染められていた。
 ぽたぽたと垂れる血が、私の服にかかるたびに「これは現実だ」と無情に教えてくる。

副会長「……逃げ、て……せつ菜、ちゃん……」グッ、ガクッ

せつ菜「あ、あぁ……ヤだ……そんなの、ヤだ……! 副会長……! ふくかいちょぉ……!」

副会長「……」

ロボジャマト「ジャジャ〜(いっただきまーす)」シュンッ、パクーッ

 私を、命がけで守ってくれた彼女は。ひと呼吸の間に目の前からいなくなっていて。
 彼女がそうせざるを得なかった状態を作った元凶の、栄養源にされてしまった。

せつ菜「あぁ……あああああ……! 嫌……いやっ……! いやあああああああっ!」

 仮面ライダーなのに、正義のヒーローなのに、戦わなきゃいけないはずなのに。
 私の体は動いてくれなくて、無力な子供みたいに、頭を抱えてその場に蹲ることしか出来ない。
 私の知っている仮面ライダーだったら戦うことが出来た、辛さを堪えて、マスクで覆って、戦えるハズだった。
 けれど、私にそんなことは出来なかった、未熟な子供でしかない、弱くてちっぽけで、友達一人守れないような、弱い私には。

夏雄「っ……秀秋、菜々ちゃんもボロボロか……! いったん退くぞ!」ブーストライカー!

せつ菜「あ──」ガシッ、ビューンッ

 目の前で人々を蹂躙しているロボジャマトの攻撃を潜り抜けてきた赤いバイクに乗った東条さんが、動けない私と佐藤さんを拾い上げて走り出す。
 いつもの私なら、バイクに引っ張られれば声を上げていただろうけれど、今はそんなことすら出来ずに放心していた。
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/25(木) 19:53:46.12 ID:IgqoMx05o
頑張れ…
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/25(木) 23:37:08.03 ID:Jr35s40G0
ポケモンクロスといい妙に流血に縁のあるせつ菜
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/26(金) 04:42:04.82 ID:D4E0iWxj0
〜サロン

秀秋「クソッ……あのロボ野郎……ムカつくくらい強いな」

夏雄「あぁ。シークレットミッションでこいつを引き当てたけど、正直……コレ単品でも勝てるかどうかわからないな」スッ

秀秋「……ブーストバックルか。俺のゾンビなら、奴をぶった斬れる可能性があるけどな」

夏雄「けど、ブーストタイムを使えるのは一度きりだ。ミスったらそれこそ詰む」

千春「なら、一番火力がある私のモンスターバックルと使えば!」

秀秋「それで、確実に外装まるごとあいつを倒せんのか」 

千春「……いや、どう、なんでしょう」

夏雄「そう考えると……一番可能性がありそうなのは、菜々ちゃんか。博打に近いけど、ソレがあるなら」

せつ菜「……」

 会話が、頭に入ってこない。
 気付けばサロンで、力なくソファに倒れこむばかりで、視界は涙で濡れっぱなしだった。

秀秋「おい、聞いてんのかよ」

夏雄「……戦う気がないなら、そのバックルは貰ってくよ」スッ、ガチャッ

千春「ちょ、勝手に持ってっちゃ……!」

せつ菜「……」

 私の腰から何か外れる感覚がした……誰かが、私のバックルを外したんだろう。
 
秀秋「……戦う気がねえ奴は、デザイアグランプリに必要ねえ。その金キラは俺が使う、寄越せ」バッ

夏雄「そうだな……二人がかりでブーストフォームになった方が、可能性は高いかもしれないな」

千春「……菜々ちゃん。いいの? あの二人に任せっぱなしで、手柄取られちゃっていいの!?」

せつ菜「……手柄を挙げて、何になるんですか。目の前で、友達が食べられて……動けなくなって……こんな、仮面ライダーに相応しくないような、私が……いたところで……!」

夏雄「……菜々ちゃん、冬樹の奴がなんて理想を叶えようとしてたか、知ってるか?」

せつ菜「……」

夏雄「アイツ……『世界中の人に余裕があって、優しくなる世界』って願ってたんだよ。誰もが平和に暮らせる、優しい世界を」

せつ菜「そう、なんですか……」

夏雄「そんな凄い願いを持ったアイツが、君のために命をかけるつもりで戦って、脱落して、君に後を託した。そんなアイツの思いを、君が裏切るのか」

せつ菜「裏切るも、何も……私じゃ、背負いきれない重さだったんです……彼の掲げた理想は、私に背負えないものだったんです」

夏雄「……誰だって、辛いことや泣きたくなるようなことはある。理想の世界を叶えるデザ神になるためなら、当然のことだ」

せつ菜「っ! ……こんな辛い思いをしてまで! 理想の世界を叶えるくらいなら! 最初から……参加しない方がずっと良かったです……!」

 大切な友達を失うくらいなら、こんなに心に苦しい思いを背負うくらいなら。
 元の生活で、楽しくスクールアイドル活動をやっていたかった、仮面ライダーになんてならなきゃよかった。

夏雄「だったら! もう二度と零すな!」

せつ菜「……え?」

夏雄「大切な友達を失う瞬間ってのは確かに辛い、俺だって前回のデザイアグランプリで、友達が目の前で退場する瞬間を見た。
けれど、俺は今仮面ライダーとして戦っている! もう二度と、大切なものを手から零さないように、守るためにだ!」

せつ菜「大切なものを……手から、零さない……」

夏雄「それに。君の友達は仮面ライダーじゃない。だから……まだ助かる見込みはある」

せつ菜「助かる、見込み……」

夏雄「……俺の言えることはソレ限りだ。秀秋、行くぞ」タッタッ

秀秋「うるせ、命令すんな」スタスタ
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/26(金) 04:44:55.64 ID:D4E0iWxj0
千春「二人は、あぁ言ってたけど。私は、わがまま言わせてもらうね」

せつ菜「……はい」

千春「私ね、菜々ちゃんの戦ってる姿が好きなんだ。菜々ちゃんが私を助けてくれた時……すっごくカッコ良くて、その……なんて言うか……そう、ときめいた!」

せつ菜「とき、めいた……?」

千春「うん。とっても可愛かった菜々ちゃんがカッコ良くなってて、私に勇気をくれた! だから、私は”変身”出来たの! 菜々ちゃんが、私にとってのヒーローだから!」

せつ菜「……いいんですか? 私が、あなたのヒーローなんかで……街も、人も守れなくて……弱くて、泣いちゃって、何もできない、私が」

千春「……うん。菜々ちゃんがいいの。菜々ちゃんは立派なヒーローで、菜々ちゃんは何もできないわけじゃない。だから、私は菜々ちゃんがあのジャマトたちと雄々しく戦ってるところを、また見たい。菜々ちゃんの変身を見たい!」

せつ菜「……私、負けちゃうかもしれませんよ? また、泣き出しちゃうかもしれないですし、世界を守るって言っても出来ないかもしれません」

千春「いいんだよ。菜々ちゃんだって、ヒーローである前に一人の女の子だもん。辛いことだって、泣きたいことだって、出来ないことだってある……けど、そんな菜々ちゃんを支えるために、私がいる! なんて……月並みなことしか言えないけど、私は、菜々ちゃんにまた立って、戦って欲しい!」

せつ菜「渡辺さん、ありがとうございます……あなたは、自分で思っている以上に凄いことを言いましたよ」ギュッ

千春「わぁっ! な、菜々ちゃん!?」

せつ菜「……渡辺さん。すみませんが、バックルを一つ借りてもいいですか?」

千春「……うん。なら、これ! 菜々ちゃんに使って欲しい!」

せつ菜「マグナム……ありがとうございます! これで……戦えます!」

千春「うん。私は精一杯、菜々ちゃんのサポートを頑張るね」

せつ菜「はい。皆で、世界を救いましょう! サポート、期待してますね!」

千春「はは……私にやれる限りのことなら、ね!」
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/26(金) 06:00:50.33 ID:D4E0iWxj0
夏雄「女の子たちを、こんな野蛮なところに巻き込むわけにはいかないよな」セット!

秀秋「うるせえ。仮面ライダーに男女なんて関係ねえだろ」セット! フィーバー! デケデケッ、テレレレレッ セット!

夏雄「そうは言っても、仮面ライダー以前に人間だろ? 変身」ブゥンッ! ブースト!

秀秋「フン……んなこたどうでもいいだろ。どうせ、今世界を救うのは俺かお前だ」クルクルクルクルクルクル……ゴールデンフィーバー! ブースト! GRAB! ZOMBIE……!

夏雄「さぁ、超協力で、超強力なブーストタイムだ! 盛大にやろうぜ! ギンッギラギンにな!」

秀秋「ハァ……お前、大型バックルでアホみたいにテンション上がるよな」

夏雄「いいだろ、下がるよりかは」

ロボジャマト「ジャ〜?(お、なんか強そうだな〜?)」

夏雄「……俺が注意を引き付ける、お前が隙を突いて斬ってくれ!」ブーストライカー! ブゥンッ!

秀秋「あぁ。任せとけよ」リボルブオン! ダッ

ロボジャマト「ジャジャ〜(何をしたところで、今の俺には無駄さ〜)」ブンッ

夏雄「うおっ! スゲー速いな……けど、ブーストライカーなら抜けられないことはないか! ハァッ!」ブゥンッ、ギュンッ

秀秋「隙ってのは自分から作るもんだ……なるべく早くな!」GRAB! ZOMBIE STRIKE!

ロボジャマト「ジャジャッ!?(お!? なんか足にいっぱい出てきた……)」ワシャワシャ、ガシッガシッ

秀秋「そこ、動くんじゃねえぞッ!」ブゥゥゥンッ! ダダダダダ……

夏雄「流石だな、秀秋! ハァッ!」ドゴォッ!

ロボジャマト「ジャッ!(しまったこっちにもいた! でもまずはバイクの方を倒さないと!)」ブンッ

夏雄「確かに速いし重い攻撃だけど……それ以上の速度で動いて、当たらなければ怖くないな!」ブゥンッ

秀秋「全力で……ブッ潰す! うおっらあああああっ!」ポイズンチャージ! タクティカルブレイク!

ロボジャマト「ジャジャ〜!?(顔の方の外装がっ! なんて威力だ!)」バギィッ

秀秋「ハッ。不細工なツラが丸出しになって、いい感じじゃねえか! もう一発浴びせてやるよ!」ポイズンチャージ!

ロボジャマト「ジャジャジャ!(舐めんな!)」シュルッ、ブンッ!

秀秋「オラァッ!」タクティカルブレイク! ガキィンッ!

秀秋(こいつっ……! 土壇場のくせに、パワーが……!)

ロボジャマト「ジャジャ〜ッ!(せいやぁっ!)」ブンッ

秀秋「ぐわあああああっ!」ズドーンッ、ドッゴォン

夏雄「秀秋っ!」リボルブオン! ブゥーンッ!
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/26(金) 06:01:25.50 ID:D4E0iWxj0
秀秋「あっ、ぐ……がぁっ……」

夏雄「大丈夫か、秀秋……!」

秀秋「うる、せえ……まだ、平気、だ……!」キンッ、フラフラ

夏雄「無茶するな! 武器を杖代わりにするくらいボロボロだってんなら、その金キラ俺に貸せ!」

秀秋「黙って、ろ……! 俺は、負けねえ……俺は! お前にも、あんなジャマトにも……勝って、理想を……! 叶えるんだ……!」フラフラッ

夏雄「なんでそこまでする!」

秀秋「俺は……金持ちンなって……家族も、俺も……腹ァいっぱい飯食えるように……幸せに、なりてえっ、だけ……だ……! 俺の、家族の……幸せ、のため、なら……! どんな奴の、願いだろうが……思いだろう、が……! 知った、こっちゃ……ねえ!」ダンッ

夏雄「秀秋……お前……!」

ロボジャマト「ジャジャ〜ッ(トドメだ〜)」ブンッ

秀秋「──ッ」

秀秋(多分、この一撃で俺はもう息の根止められるんだろうな……。散々、好き勝手やって、人に迷惑かけたバカの末路にはピッタリじゃねえか……いいぜ、来いよ。ただ……俺の家族は、こんな命がけのゲームと無縁な人生、送ってくれたらいいなぁ……)

夏雄「ぐっ……! あ、あぁぁっ……!」ビシビシビシッ、バシッ、バシュゥッ

秀秋「なっ……と、東条……!? おい! しっかりしろ! おい、東条!」ドサッ

夏雄「ぐ……は、ハハッ。なんだ、よ……秀秋。嫌い、だった……元デザ神様がくたばって……嬉しく、ねえのかよ……」

秀秋「お前、なん、で……!」

夏雄「……知らねえよ。けど……今は、ただ、お前も……大切、だったから……」

ロボジャマト「ジャ〜(邪魔が入って潰し損ねたな。今度こそまとめて潰してやろう)」シュルルル
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/26(金) 06:05:34.81 ID:D4E0iWxj0
せつ菜「うおおおおっ!」バンッ、バンッ、ビシュッ、ズババッ

ロボジャマト「ジャッ!?(剝き出しの顔面、それも目に弾丸が……! いてえっ!)」フラッ

夏雄「菜々ちゃん……よかっ、た……戦う、気に……なれた、か……」

せつ菜「東条さん! 佐藤さん! ご無事でしっ……あっ……その、傷……!」

秀秋「うるせえ……ただのかすり傷だ……」

夏雄「……菜々ちゃん、ここで、俺が退場……するのは、気にする、な。これは……バトンタッチ、みたいな……もんだから……」スッ

せつ菜「赤いバックル……東条さん、退場するって……!」

夏雄「俺は……一度、願いを叶えて……もう、それで満足、だったん、だ……今、ここで、戦うのは……ただ、デザ神になった責任、で……皆、を……守り、続ける……ために……」

せつ菜「東条さん……あなたは……!」

夏雄「俺、は……身の程、知らずで……無責任に、消えちまう、けど……君は、やり切れる……はず、だ。俺が、守って……愛した、世界を……頼、む……」

『MISSION・FAILED』

秀秋「この、野郎……カッコ、つけて……くたばりやがって……」

せつ菜「……佐藤さん、そのバックル返してもらえますか」

秀秋「……チッ、持って、けよ」スッ

せつ菜「これ以上……もう、私の手から……何も零さない!」セット!フィーバー! セット!

ロボジャマト「ジャジャジャ……ジャジャ〜?(いてて……ん? なんだぁ? 今更何をする気だ〜?)」

せつ菜「皆が私を優木せつ菜でいさせてくれて……私を仮面ライダーにしてくれた……だから、皆! 見ていてください! 私のっ……! 変、身ッ!」ブゥンッ! ブゥンッ! クルクルクルクルクルクル……ゴールデンフィーバー! ブースト!

秀秋「全身、ブースト……すげぇな、オイ……」

せつ菜「……覚悟しなさい、ロボジャマト。あなたは、一片たりともこの世に残しません!」ブゥンッ!

ロボジャマト「ジャッ!?(消えたッ!?)」

せつ菜「どこ見てるんですか……! この、デカブツッ!」ドゴォォォンッ

ロボジャマト「ジャァッ!?(い、一撃で……俺が寄生したロボットを……!)」ドガッシャーンッ

秀秋「っ、お、おい……! 俺まで巻き込む気かよ……!」

千春「わ、危なーいっ!」バババババ……

秀秋「あ? お、お前、来てたのか……」

千春「逃げますよ! 取り巻きは私が粗方片づけましたから、あとは巻き込まれないように逃げるだけです!」バババババ……

秀秋(プロペラ……こう言うのにも使えるのか……)

千春(持っててよかった。プロペラ……)
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/26(金) 06:06:14.50 ID:D4E0iWxj0
せつ菜「私の友達を食って、皆を傷つけ……街や物を滅茶苦茶にした罪! その命を持って、償いなさいっ!」ドガァンッ、ドゴォッ、ブゥゥゥンッ!

巨大ルークジャマト「ジャッ、ジャアアッ!(コイツッ、スピードもパワーも、さっきとは桁違いすぎる……!)」ドゴ、バギィ、ドカァッ

せつ菜「ハァァァッ!」ズドガァンッ

巨大ルークジャマト「ジャッ、ジャジャ……(逃げなければ……逃げないと、確実に──)」ドタドタ

せつ菜「今度は……絶対に、逃がしませんっ!」ブゥンッ!ブゥンッブゥンッ! ブーストタァイムッ!

せつ菜「人を傷つけ、ヒーローの前に立ちふさがった怪人に……相応しい末路を見せてやりますっ! はぁぁぁ……うおりゃあああああああっ!」ボッ

巨大ルークジャマト「ジャ、ジャジャ──(ひ、やめ──)」

せつ菜「ライダァァァ……キィィィーーックッ!」ブゥゥゥンッ!

巨大ルークジャマト「ジャ、ジャァァァッ!(うっ、うわあああああっ!)」ズドォォォォンッ

せつ菜「……っと。同じバックルの効果のフォームというだけあって、流石の──ん?」

ブーストバックル「もうブーストタイム終わりやで」バシュッ、ピューンッ

せつ菜「っ! 待ちなさぁぁぁい!」ブゥゥゥンッ! ガシッ
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/26(金) 06:06:53.31 ID:D4E0iWxj0
ギロリ(GM)『……なんということだ、飛んでいくブーストバックルを掴んだだと……?』

ツムリ「彼女は、とても規格外のプレイヤーのようですね」



せつ菜「ゲームが終わってないということは……まだ、生きている! なら! 徹底的に、倒しきる……までっ、です!」グググ……メキメキ……セット! ブゥンッ! ブゥンッ! ブーストッ!

せつ菜「隠れてるような卑怯者は……! 徹底的に! お仕置きですっ!」ブーストライカー!

ルークジャマト「ジャッ!?(な、なんでバレた!? 本体を切り離してたことが!)」

せつ菜「うおおおおおっ!」ブゥーンッ!

ルークジャマト「ジャバァーッ!(おばぁーっ! またバイクで轢かれるなんてっ!)」ドガァッ

せつ菜「これで終わらせます……! 地獄で、100万年悔いなさいっ! ハァァァッ!」ブゥンッ! ブゥンッ! ブーストタァイムッ! 

せつ菜「うおおおおおおお……! これ、で……! バイクごと! 宇宙まで、飛んでいけーっ!」スッパァァァンッ!

ルークジャマト「ジャアアアアアアアアアアアアアアアアッ!(ぐああああああああああああっ!)」ドッカーーンッ

せつ菜「……ふぅ。今度こそ、終わり……ですよね」バシュッ……ピューンッ!

ツムリ『ゲームクリア! デザ神、降臨でーすっ!』

千春「……終わったみたい、ですね」

秀秋「……あぁ。俺は、またデザ神になれなかったみたいだけどよ」

千春「でも。命あって帰れるなら、それでいいんじゃないんですか?」

秀秋「……そう、だな」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/26(金) 06:18:27.72 ID:ViA3XZDqO
待ってた
挫折から這い上がったヒーローって本当にかっこいいよ…!
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/26(金) 06:30:13.99 ID:D4E0iWxj0
ギロリ(GM)『おめでとう、中川菜々。君は見事デザイアグランプリを勝ち抜き、デザ神となった。その栄誉を称え、君の願いを叶えよう』

せつ菜「……ありがとうございます。けど、世界を救ったのは私だけの力じゃありません。皆さんがいたおかげで、たまたま私がトドメを刺しただけです」

ギロリ(GM)『そうか……だがあのジャマトにトドメを刺したのは紛れもなく君であり、デザ神たる証だ。願いを叶える権利は君にある……が、その前に君に聞きたいことがある』

せつ菜「はい。なんですか?」

ギロリ(GM)『君は、次に開催されるデザイアグランプリに参加する意思はあるか』

せつ菜「……いえ。少なくとも、今はないです。やっぱり、私は仮面ライダーに変身するよりも、仮面ライダーを見る方が合ってますし……私は、私のやり方で、デザ神になった後の平和を守ります」

ギロリ(GM)『そうか……では、願いを叶えよう。君の望む願い……「平和を守るための力」を』

ギロリ(GM)『それにしても……前回は「仮面ライダーであり続ける」、今回は「平和を守るための力」か……随分と、願いを有意義に使う者がいるな』パァァァ……

千春「世界が、作り変えられていく……」

秀秋「世界の創造が始まるのか……おい渡辺」

千春「あ、はい!」

秀秋「……悪かった。色々、迷惑とかかけて」

千春「……もう、気にしてないですよ。それより、またどこかで出会えたら……その時は」

秀秋「お前の好きなスクールアイドルのライブでも見に行って、帰りに美味い飯でも食える間柄になろうぜ」

千春「あぁ、言われちゃった……でもまさにその通り。そういう仲になれたら、いいですねっ」シュンッ

秀秋「……次は、必ず俺がデザ神になってやる」シュンッ

『RETIRE』
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/26(金) 06:34:06.77 ID:D4E0iWxj0

 私がデザ神になったことで、世界は作り変えられて……退場した仮面ライダー以外は、全てが元に戻った。
 ジャマトに襲われて命を落とした人たちも復活して、何もかも忘れて平和に過ごしていた。
 そして。

副会長「せつ菜ちゃーんっ!」

せつ菜「ヤダ! ヤダ! これもヤダ! ヤダ! ねぇ、君の前では──」

 私自身も、スクールアイドルとしての活動に励む日々を送っていた。

侑「くぅ〜っ、最ッ高だったよ! せつ菜ちゃん!」

せつ菜「ありがとうございます。魂を振り絞るつもりで歌ったので、響いてくれたならよかったです!」

歩夢「私たちも負けてられないね、しずくちゃん!」

しずく「えぇ。同じユニットであるからには、私たちもせつ菜さんに追随するほどに、場を盛り上げないとですね!」

 同じユニットである歩夢さんと、しずくさんとのライブ。
 こんなにも盛り上がって……命がけで戦ってきた後だからか、こうして私の『大好き』を伝えるのが、とても久しぶりに感じた。
 楽しく、熱く、皆で感動できる、私が守った楽しい日々。

せつ菜「あなたにも、届いてますか──東条さん」

侑「せつ菜ちゃん、何か言った?」

せつ菜「いえ。特に何も。ただ……すっごく楽しい、と思いまして!」

歩夢「そうだね。私も、なんだかせつ菜ちゃんと一緒にライブするのすっごい久しぶりな気がしたから!」

しずく「なんだか、ちょっと前までのせつ菜さんは思い詰めてるように感じましたし、楽しんでライブが出来るならよかったです」

せつ菜「あはは……その時は失礼しました、生徒会のお仕事なども色々と立て込んでましたから」

 誰もデザイアグランプリのことや、ジャマトのことなんて覚えてない。
 けれど、私のことはしっかりと覚えてたみたいなので──取り繕うのも、かーなーり大変でした。
 何せ、同好会の皆さん相手にも隠さなければならないことでしたし。

 そして──

せつ菜「……まさか、こういう形で叶うとは」
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/26(金) 06:36:10.97 ID:D4E0iWxj0

せつ菜「……まさか、こういう形で届くとは」

 私がデザイアカードに書いて、叶えた願い……『平和を守るための力』。
 世界が作り変えられてすぐの時は特に力が湧き上がってくるような感覚などもありませんでした。
 が、数日経って私の部屋の勉強机には一枚の手紙と共に一つのボックスが置かれていて……これが、私の願いに対する運営からの回答なのでしょう。

せつ菜「何が入ってるんでしょうか」ガチャッ

せつ菜「これは……デザイアドライバーと、IDコアに……赤いバックルに、私が使ってた金キラ……ん? 説明書?」ピラッ

『このバックルは本来ゲームで使われない特別仕様です。
フィーバースロットレイズバックル:好きなバックルを引き当てられるようになっています。
ブーストレイズバックル:ブーストタイムを使用してもバックルが自動で飛んでいくことはありません』

せつ菜「とんだチートですね……ですが、平和を守るために必要な力ならば、まぁいいでしょう。これからも私は、仮面ライダーであり続けて……大切な物を、何一つと零さないために戦い続けますから」



おしまい
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/26(金) 07:10:21.30 ID:ViA3XZDqO
おつおつ
理想のために戦い続ける姿はヒーローでありアイドルだな
書き方上手いし読みやすかったよ
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/26(金) 07:24:26.14 ID:VCWmO96pO
良い文体だった
このあと理想のために戦う余韻を残すのも良いね
また書いてほしい
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/26(金) 07:48:59.61 ID:D4E0iWxj0
おまけ

せつ菜「生徒会の引継ぎが終わりそうだからと、すっかり遅くなってしまいました……」タッタッタッ……ポロッ

「そこのあんた、コレ落としたぜ」

せつ菜「はい? あっ、私のお財布……! すみません、ありがとうございます! 何かお礼を……」ガサゴソ

「そうだなぁ。じゃ、サインでも書いてもらおうかな」

せつ菜「サインですか。私物ですか? 色紙ですか?」

「じゃ、色紙で頼むよ。丁度沢山買ったところだったからな」

せつ菜「はい。えーと……お名前をお伺いしてもよろしいですか?」キュポッ

「……英寿。浮世英寿だ。浮世絵の浮世に、英国の英に、寿」

せつ菜「浮世、英寿さん……ですね、良いお名前です! はいっ、どうぞ!」キュッキュッキュッ、スッ

『浮世英寿さんへ 優木せつ菜』

英寿「ありがとな。同年代のスター・優木せつ菜にサインを貰えるなんてツイてる。こりゃあ……俺の運勢は、大吉だな」ハハッ

せつ菜「喜んでいただけたなら何よりです!」ペカー

英寿「あぁ、これからも頑張れよ。スクールアイドル、優木せつ菜」コンッ

せつ菜「はい。応援ありがとうございますっ! それでは、失礼します!」タッタッタッ

英寿「あぁ、またな」

英寿「……あれが、前回のデザ神か。いつかデザグラで巡り会えたら、強敵になりそうだ」ザッザッ
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/26(金) 08:04:25.55 ID:D4E0iWxj0
あとがき

虹ssは初めてでしたが、完結させることが出来て良かったです。

元々ラブライダーネタをやりたいな、と思ってあれこれ考えていましたが、中々形に出来ず悩んでいました。

なんだかんだ悩んだところで、自分が他のジャンルでも二次創作を書くときによくやっていた『本編の前の時系列にして本家キャラクターを出さずして世界観だけ借りる』という形で仮面ライダーギーツの世界観を借り、今回のssを書くに至りました。

ここまで読んでいただき、応援してくださった皆様方のおかげで書ききれたことをありがたく思います。

おまけのおまけとして、タイトルや展開は浮かんだけれども形に出来なかった虹×仮面ライダーネタをここで供養します。



或人「このもんじゃ、ただもんじゃないっ! はいっ、アルトじゃ〜ないと!」 愛「あっははははは!」
 
 社長がもんじゃ宮下に来て食事しての第一声から始まるゼロワン×虹ネタ。
 ほぼ出オチでした。



愛「アタシたちは二人で一人のアイドル!」 果林「そして、探偵よ」

 Eternal Lightのジャケットを見たら皆が絶対考えただろうな、というネタ。
 この場合適合率の高いメモリがルナトリガーとかかなぁ、とか妄想したのですが、上手いことWに落とし込む方法が見つからず断念しました。



永夢「見せてやる。天才ゲーマーMの力を」 璃奈・歩夢「ごくり……」

 色々構想こそ練りましたが、エグゼイドへの解像度が低かったのであきらめたネタです。
 ムテキゲーマーを縛る方法が思い浮かばなかった……
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/26(金) 08:06:48.40 ID:5oAhZaWUO
>>69
どれも面白そうだったしいつか見てみたい
もっと書いてくれても…
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/26(金) 08:12:18.17 ID:ViA3XZDqO
世界観を活かすって難しいからこそ考えて書いてるのがわかって良い作品だったよ
短編ならではの起承転結って感じ
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/26(金) 08:21:58.06 ID:Vf36KFQr0
>>69

飛羽真「物語の結末は」しずく「私達が決めます!」

ってのもいいかな。物語のネタ探しで出会う2人…とか
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/26(金) 08:30:12.13 ID:yIZA1wjcO
とても読みやすかったし次のSSもつい期待しちゃう
ありがとう
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/26(金) 19:57:51.71 ID:2ww501uLO
>>1が誰か何となく察したけど元気そうで安心した
あなたのSS好きだから前のジャンルでも虹でも違うジャンルでもまた書いてくれると嬉しい
読むのが本当に生きがいだったから
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/26(金) 20:11:40.95 ID:MCJYwfXa0
某メイドラゴンスレで見たことある言い回しだな
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/26(金) 23:35:35.19 ID:D4E0iWxj0
>>74

これを書く前で、最後にここを利用したのは三年以上前だと思うので申し訳ないことに別人だと思います……
あとメイドラゴンは見たことないので、多分ホントに別人だと思います
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/27(土) 09:11:44.27 ID:RhZNFyz10
虹ヶ咲の安価SSを書こうと思いましたが、スレッドが立てられなくなってしまいました(理由はわからないです)。
もしよろしければ、代行してくださる方がいると助かります。
タイトルは
【安価】【虹ヶ咲学園】せつ菜「あなたは確か、>>3同好会の」 ???「……」

です
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/27(土) 09:12:49.72 ID:RhZNFyz10
なんかID変わってますが>>1です
トリップとかつけた方が良かったかな……
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/27(土) 12:01:38.81 ID:ZvuELJFVO
代行っていいんだっけ?
立ててよければ建てるけど
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/27(土) 13:04:09.70 ID:RhZNFyz10
>>79

やって悪いことではないと思うので、もしよろしければお願いいたします!
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/27(土) 13:10:43.85 ID:s1h3V/d+o
>>80
【安価】【虹ヶ咲学園】せつ菜「あなたは確か、>>3同好会の」 ???「……」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1685160590/

これでいいかな
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/27(土) 13:23:49.77 ID:RhZNFyz10
>>81
うおおおおお! ありがとうございます!!!
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/27(土) 21:54:40.60 ID:k1xSb2Uu0
>>76
紛らわしくてすんません、>>1じゃなくて野次に対して書き込んだつもりでした
酒に酔ってんのか自分に酔ってんのか、誰に対して向けてるか分からない思わせ振りなレスが印象的だったもので……
新スレ頑張って下さい
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