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【リコリス・リコイル】千束「……本気で言ってるの、それ」
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63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 19:18:12.94 ID:m5lu7S3d0
1階ロビー
千束「予定時刻前に銃声……!」
たきな「ねえ僕、また後でご本読んであげるからね!」
子ども「え、うん……」
母親「さ、ママのところにおいで!」ダキッ
たきな「あ、テロリストの半分近くが移動を開始しました!」
千束「フキ達との間に、何かあったんだよ!!」
たきな「でも、うまい具合に敵が分断されました!!人質たちも伏せてくれてます!!」
ブォオオ……
たきな「!!」
たきな「SATの車輌が突入してきます!もうやるしかありません!」チャッ!
千束「分かった。スタングレネードを投げるよ!」
たきな「人質の皆さん、耳を塞いで下さい!」
千束「うりゃ!」ブン
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 19:20:04.53 ID:m5lu7S3d0
バンッ……!!
千束「いっくよ!!」ダッ
副リーダー「い、今の音響閃光弾はどこから飛んで来やがった……!?」
テロリスト「くそっ……敵の車輌だ!RPG―っ!!」ジャキン!
千束「RPGはそこかっ!!」ダッ
テロリスト「なっ……人質の女……?」
千束「ふっ!」シュバッ!
テロリスト「うわっ!跳んだ……高っ……!!」
千束「喰らえっ!!」パン
テロリスト「がぁっ!!」ドサッ
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 19:21:39.49 ID:m5lu7S3d0
SAT隊長「全員降車―っ!!突入っ!!」
SAT隊員「ああっ!!屋上の敵二名が、こちらへRPG-7を指向っ!!」
SAT隊長「何だと!屋上にもRPGを配していたのか!!」
パパパパン ギャァーッ
SAT隊員「あれ?……敵二名、沈黙!」
ブーン……
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 19:22:52.05 ID:m5lu7S3d0
K医大病院 新棟 駐車場
クルミ「やっぱり、武装ドローンを飛ばしといて正解だったね」
ミカ「でかしたぞ、クルミ」
ミズキ「私らにできることはここまでね。あとは、千束達とSATに任せるしか……」
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 19:25:16.31 ID:m5lu7S3d0
たきな(……現時点で千束が敵五名を無力化。残るは五名、遮蔽物に身を隠しているが戦闘力は健在、だけど音響閃光弾のお陰で視・聴力は回復しきれていない……今だっ!!)
たきな「皆さん立ってください!!頭を低くして、駐車場の大型車輌の陰まで走って下さい!!」
テロリスト「この……させるかっ!!」チャッ
たきな(くっ……敵一名が立ち直った!)
たきな(落ち着いて非致死的部位を狙ってる余裕は……ない!)
たきな「っ!」パァン
テロリスト「ぐぁっ……」ドサッ
子ども「……ひっ!」
たきな「早く!走って!!」
子ども「わぁっ!!」ステーン
母親「あっ!!」
SAT隊員「奥さん!早くこっちへ!!」ガシッ
母親「離して!!子どもが……!!」
子ども「うぅ……うわぁ〜ん!!」
たきな「ほら、いい子だから立って!!お姉ちゃんと一緒にあそこまで走るの!!」ギュッ
子ども「う……うぅ……」ヨロヨロ
たきな「ね、もう大丈夫よ!はやく向こうのおじさんのところに……」
子ども「やだぁ!」ドン!
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 19:26:48.00 ID:m5lu7S3d0
たきな「あっ……」ヨロ……
子ども「おねえちゃん……お顔、怖いよ……」ブルブル
たきな「……っ!」
たきな「……ごめん、ね」スッ……
SAT隊員「君!!ロビーの人質は、この子で最後か!?」
たきな「……はい、医療関係者以外はこれで全員です!敵一個小隊が1階ロビー反対側の救急外来へ移動しました!残りは依然ロビーで抵抗中!私は戻ります!」
SAT隊員「了解した!君の銃はグロックか!?予備弾倉は要るか!?」
たきな「大丈夫です!」ダッ!
たきな(やっぱり……私の……私の居場所は……)ジャキン!
たきな(硝煙の中にしか……ないんだ……!!)チャッ!
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 19:28:10.87 ID:m5lu7S3d0
千束「ふぅ……ふぅ……」
千束(ちょっと、無理しすぎたかな……)ハァハァ
たきな「千束っ!戻りました!」ハァハァ
千束「ロビーの敵は一掃したよ!!たきな、フキ達の援護に行こう!」
たきな「はいっ!!」
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 19:30:54.44 ID:m5lu7S3d0
救急外来 処置室
テロリスト「小隊、参りました!」ザッ
リーダー「おい小娘ども、人質がどうなってもいいのか!?」チャッ
看護師「きゃあ!」
外科医「畜生……!」
フキ「くっ……いったん処置室から退却!」ダッ
サクラ「は、はい!」ダッ
フキ「サクラ、怪我はないか!?」
サクラ「大丈夫っす!!」
フキ「くそっ……こっち側でも人質を取られちまった……畜生!」
サクラ「ど、どうします!?」
フキ「……私が単独で突入して敵を掻き回す。その間に千束たちやSATと連携して、お前が二人を救出しろ」
サクラ「それ……先輩、死ぬつもりじゃないっすか……?」
フキ「……簡単にはやられねえよ。私の超低姿勢による高速移動を舐めるなってんだ」
千束「そうそう。あのちょこまかした動きは本当に厄介なんだよねー」
フキ「千束!ロビーは制圧できたのか!?」
たきな「はい。向こうの人質は保護完了です!」
千束「こっちは手こずってるようだねー。仕方ないなぁ、ここは私が一人で……」
千束「」ズキン
千束(くっ……また胸が……!)
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 19:32:56.40 ID:m5lu7S3d0
フキ「ぁあ!?また独断専行しようってか?お前は旧日本陸軍か!」
千束「……じょーだん。フキ、一緒に突入しよ」
フキ「あ、ああ!」
千束「たきなとサクラは、私達が暴れてる間に、人質をとってる敵を無力化して!」
たきな・サクラ「は、はいっ!」
千束「SATもそれでいいですね?」
SAT隊長「状況は分かった。救急外来の内部の詳細は我々も分からん、ここで援護する」
フキ「サクラ、私の銃、預かっといてくれ」スッ
サクラ「嘘っしょ!?素手で行くんすか!?」
フキ「限られた空間で揉み合うんだ、同士撃ちの可能性がある。いいか、頼んだぞ!」
千束「いい判断だねぃ、フキ!」
フキ「ふん……てめぇの弾なら、当たったところでどうってことはねえからな!」
たきな「スタングレネード!!」ブン
バッ……!
千束「行くよフキ!」
フキ「おっしゃ!」
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 19:37:32.38 ID:m5lu7S3d0
テロリスト「敵二名、吶喊してきます!」
テロリスト「くそ、撃ち殺してやる!」チャッ
リーダー「視力が完全に戻ってない状態で無闇に撃つな!味方に当たる!!」
テロリスト「このチビ、AKの銃剣を喰らえ!」ブン
フキ「はっ……遅ぇよ!」ヒョイ
テロリスト「あ!?どこに消え……」
フキ「下だよ!」ブン ボグッ
テロリスト「ぐほぁ!」
千束「一人目っ……」パパン
テロリスト「ぎゃあ!」ドサッ
千束「二人目っ……!」パパパン
テロリスト「うげっ!」ドサッ
千束「っ……!弾切れ!」
千束(余計に撃ちすぎた……!やっぱり身体の動きが悪い……!リロードを……)
テロリスト「弾切れか、残念だな!くたばれ!」チャッ
パパパパン
千束「……ぐっ!」ヒョイヒョイ
テロリスト「あ、当たらねえ!?これだけ至近距離のフルオートで……」
フキ「この野郎!」ゴン
テロリスト「」ドサ
千束「フキ……めんごめんご」
フキ「千束てめぇ、後方に下がってろ!!」グッ
千束「な、何でよ!」ドサッ
フキ「一体どうしたんだ!今日のお前、動きがメチャクチャ悪ぃぞ!!」
千束(やっぱり……フキの眼は誤魔化せないか……)
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 19:39:40.55 ID:m5lu7S3d0
フキ「いったん退け!あとは私らとSATに任せろ!!」
リーダー「くそ、瞬く間に四人がやられた……!」
リーダー「おい警察!人質がどうなってもいいのか!?……よし、一人血祭りに上げてやる。まずは女の方からだ!」チャッ
看護師「ひぃっ……!」
外科医「や、やめろ!」
たきな「させないっ!」パァン
リーダー「ぐぁっ!右肩が!!」ガシャッ
たきな「早く人質を!」
サクラ「了解!」ダッ
サクラ「先生、看護師さん、頭を低くしてロビーに走って!」
外科医「あ、ああ!」ダッ
看護師「はい!」ダッ
SAT隊長「残りの人質確保っ!数人でカバーして駐車場へ!」
SAT隊員「はっ!」
リーダー「くそ、このままじゃ全滅だ……!」
リーダー「動ける奴はついて来い、ナースステーションまで撤退する!やられた奴の弾倉も忘れるな!!」
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 19:41:52.11 ID:m5lu7S3d0
ダダダダダダッ!パパパパン チューン!バキッ!!
SAT隊員「敵残党数名がナースステーションに立て籠もりました!!」
SAT隊長「日本赤色解放戦線に告ぐ!!諦めて投降しろ!!」
リーダー「うるせぇ!誰が投降するか!!」
リーダー「医療用酸素ボンベをありったけ転がせ!!」
ガランゴロン
SAT隊員「何か転がってきます!!」
リーダー「あのボンベを撃て!」
パーン
ドゴォォオオオオン!!バラバラ
SAT隊員「くそっ!諦めの悪い奴らめ!」
SAT隊長「……説得は無駄なようだな」
SAT隊長(……三人、ナースステーションの裏側に回れ。こちらの射撃開始を合図に、挟撃する)クイッ
SAT隊員(了解!)バッ
サクラ「先輩、お疲れ様っした。銃、お返しします!」
フキ「ああ、悪ぃ」チャッ
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 19:44:17.56 ID:m5lu7S3d0
千束(SATは敵を殲滅する気だ……!)
千束(その前に……多少無理してでも、私が敵を無力化する!)
千束「フキごめーん!!独断専行しま〜す!!」ダッ
SAT隊長「あっ……」
たきな「ち、千束!!」
フキ「おいこら千束!!やめろ、今のお前の動きじゃ……」
リーダー「撃て撃てっ!!弾幕を張れっ!」
タタタタタタタタタタタッ!!!!
フキ「〜〜っ畜生!!援護射撃っ!」パンッ
サクラ「はい!」タタタタタタタッ
たきな「千束っ!一人だけで無茶をっ……!!」パンッ
千束「……よっと!!」クルン
リーダー「くそ、一人ナースステーションに入り込んだ!向こうのデスクの裏に隠れたぞ!」
千束「胸が……痛い!」ズキズキッ
千束「こんな時に……!!もうちょっと頑張って、私の心臓・・・・・・!!」
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 19:47:55.29 ID:m5lu7S3d0
テロリスト「何なんですかあの金髪の女は!こっちの弾丸が、ことごとく避けられてます!!」
リーダー「……恐らく、眼と洞察力が恐ろしく良いんだろう。それでこっちの射線を見切って弾丸を避けている」
テロリスト「そ、そんな化け物が……?」
リーダー「他に可能性はない、そうとしか考えられん」
テロリスト「そ、そんなの無理だ!と、投降しましょう!」
リーダー「ふざけるな!形ばかりの裁判で死刑になりてえのか!」
リーダー「奴はまた必ず出てくる!その時は奴本体ではなく、奴の足元手前の床や柱を狙え!」
テロリスト「床と柱……ですか?」
リーダー「こちらの射線を見切れるといっても、さすがに無軌道の跳弾までは見切れまい!」
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 19:48:47.29 ID:m5lu7S3d0
SAT隊員「隊長、我々はどうしますか?」
SAT隊長「もう人質も救出した。何の憂いもない。あとは……思う存分潰し合ってもらうしかない」
SAT隊長(……せめて、我々の手で彼女らを葬るのだけは避けたい)
SAT隊員「了解!」
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 19:51:33.20 ID:m5lu7S3d0
千束「よし……行くよ!」ダッ
リーダー「撃て撃て!足元だ!!」
ダダダダダダダダダッ!!チューン!
千束「わぁっ!!ちょっ待ってうわぁああああああ!!」ピョンピョン
リーダー「ははは、見ろ!手も足も出ずに隠れたぞ!!」
千束「悪知恵ばっかり回って……!もうお姉さん怒ったつーの!」
千束「この消火器をぶん投げてやる……どっせーい!!」ブン
ヒュルヒュル
千束(お願い、たきな、気づいて!!私のフランジブル弾じゃ、消火器は撃ち抜けない!)
テロリスト「消火器が飛んできます!」チャッ
リーダー「ま、待て撃つな!やめろ!」
たきな「っ!」パン!パン!
バァアアアアン!!
リーダー「ぐわっ!消火剤が宙に舞って、視界が……」ゲホゲホ
千束「ありがと、たきな!!」
たきな「フキさん、今です!ナースステーションを制圧しましょう!」
フキ「待て!消火剤が晴れてからだ!」
たきな「ですが!!」
フキ「視界の効かない状況下で私達と千束が挟撃する形になっちまうのは危険だ!それが分かってるから、千束もまだ動いてねえんだよ……!」
たきな「……」
フキ「どうせ、じきに視界は晴れる!そうなったら思う存分やるぞ!その間に私らは、五メートル先の遮蔽物まで前進っ!!」
たきな「はい……!」
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 19:55:19.87 ID:m5lu7S3d0
リーダー「まだ奥の手がある……最後の切り札代わりに隠してたが……俺の右手は効かん!お前がこいつであの女を倒せ!」ヒョイ
テロリスト「は、はいっ!」ジャコン!
フキ「ま、まずい!あれは……ソードオフした散弾銃だ!」
フキ「いくら千束でも、間合いを空けてあれを使われたらもう避けられねえ!!!」
たきな「っ!!もう視界はあらかた戻ってますから、私、出ます!!」
フキ「ダメだ!たきな、伏せろ!」ガッ
リーダー「敵に援護をさせるな!AKを持ってる奴は撃ちまくれ!」
ダダダダダダダダダッ!!
フキ「くそ、頭が上げられねえ!」
たきな「千束っ!千束っ……!!」
サクラ「……ファーストの危機を救ったとあれば、手柄になって私もファーストになれる!」
サクラ「先輩、私が出ますっ!うおおおっ!!!」ダッ
フキ「ば、バカ!戻れサクラ!お前もか!」
サクラ「防御エアバッグ、解放!」バッ!
リーダー「なんだあれは!?弾丸が弾かれてるぞ!」
千束「この隙にっ……!」ダッ
テロリスト「はははは!出たな化け物!喰らえ!!」ジャキ!
千束「くっ……!二連発の散弾銃……!バ、バッグで防御……」
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 19:57:03.41 ID:m5lu7S3d0
ドゴォォオオオオン!
千束「ぐぁっ!痛っ……!!!」
バサッ
テロリスト「防弾の鞄か!!だがその鞄も吹っ飛んだ!!あとはもう一発、とどめだ!!」
千束「ま、まずっ……!銃もどこか飛んじゃった……!」
テロリスト「あばよ!」ジャコン!
サクラ「させっかよ!!」パン!
テロリスト「ぐぁ!」ドサ
千束「サクラ、ナーイス!」
リーダー「あっ!畜生、こうなったら俺が散弾銃を、もう一発……!」ガッ
リーダー「喰らえ、化け物……!」チャッ
ドゴォォオオオオン!
千束「……」ヒョイ
リーダー「は、外された……!」
千束「……ふふ、左腕じゃまともに狙えやしなかったね。あ、私の銃あった」ニヒヒ
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 19:59:11.59 ID:m5lu7S3d0
サクラ「ふん、右腕を撃たれてちゃざまぁねぇってんだ。ほら、他の奴はダウンしちまったぞ!さあ立て、悪の親玉野郎!」グイッ
リーダー(まだ…………マカロフがある……!)
リーダー「せめてお前は……道連れだ……!!」スッ…
サクラ「あ……」
パン
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 20:01:42.20 ID:m5lu7S3d0
サクラ「うがっ……ああああああああああああああああ!!!」ヨロッ ドサッ
フキ「サクラぁっ!!!!」
たきな「ああっ……至近距離から腹部に……!」
千束「し、しまった……!!!!このっ!」パァン
リーダー「」ドサッ
SAT隊長「……隊長より各員へ。敵武装組織員は全員無力化を確認。これより最終フェーズに移行する。自分の装備は使うな、敵の遺棄したAK74をとれ」ピッ
フキ「こっちです、早く!!銃創を受けたんです!!」
看護師「何てこと……早くこの子を側臥位にっ!!」グイッ
サクラ「ひぎっ……!!」ゴロン
看護師「ハサミかナイフ、誰か持ってませんか!?」
フキ「あ、アーミーナイフならここに!」スッ
看護師「ごめんなさい、この服切るわね!!ってなんなのこの制服、中々切れない……!」
フキ「これ、防刃布なんです!貸して!」ビリーッ バッ
看護師「……!!弾が腹部の真ん中に当たってる……!!腸管は出てないけど、出血がひどい……!」
サクラ「痛ぇ……くそっ……ぐぅぁあっ!!!」ジタバタ
看護師「暴れないで!!血が止まらない……!!」ググッ
看護師「あなたたち、この子の手足を押さえて!!」
たきな「は、はい……!!」ガシッ
フキ「くっ……落ち着け、サクラ・・・・・・!」ガシッ
看護師「腹圧を上げるから、この子の膝を伸ばして、膝と足首を何かで縛って!」
たきな「はい!えっと……何か縛るもの……」
フキ「制服のリボンがあんだろ!これ使うぞ!」シュルッ
たきな「あ、はい!」シュルッ
MSW「私、先生探してきます!」ダッ
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 20:03:44.19 ID:m5lu7S3d0
サクラ「」ゴボッ
千束「あ!口から血が……」
看護師「吐血……」
看護師(……当たり所が悪すぎる。腹部が硬くなってきてる。急性腹膜炎……胃酸が他の内臓を溶かし始めてるとしたら、オペをしないと、もう10分も保たないかも……)
サクラ「……、……て」ボソッ
フキ「何だ!?何が言いたい!?」
サクラ「……いっ…………こ、ころして……」ヒュー…
フキ「ばっ……バカ野郎!!」
SAT隊長「看護師さん。その子から離れて下さい」チャッ
看護師「な、何ですって……」
SAT隊長「……君らには済まないと思うが、どうか許してほしい」チャ
SAT隊員達「」ズラッ
たきな「何の……真似ですか?私達に銃を……向けるなんて……」
外科医「呼ばれて来てみれば、いったい何だ、この状況は……」ハァハァ
SAT隊長「ここに君らは居なかった。事件を解決したのは、あくまで我々警察SATだ」
千束「……本気で言ってるの、それ」
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 20:08:47.00 ID:m5lu7S3d0
SAT隊長「本官の意思じゃない!……これは命令なんだ」
千束(嫌な予感の正体は、これだったんだ……!)
たきな「私達、この現場にいたリコリスを……ここで消そうと言うんですか。この戦闘で、敵弾を受けて死んだ……そう見せかけるために敵のAKを使うんですか!」
千束「やってみる?さっき見てたでしょ、私、弾道読めるんだよ?」
SAT隊長「……君が伝説のリコリスとやらか。だったら猶更……」チャッ
たきな「……国はリコリスを潰すのを、まだあきらめてなかったんですね」
千束(たきな……私が援護するから、サクラを連れてフキと二人で逃げて……!)チラ
たきな(何でですか……一緒に戦いましょう!)ブンブン
千束(……ダメ。今の私の身体じゃ、もうそんな動きは出来ない……!)フルフル
たきな(え……?)
フキ「……」チャッ
SAT隊長「銃を下ろせ!」
フキ「……」カシャ
たきな「フキさん……弾倉を抜いた?」
千束「ちょ、ちょっとフキ!!諦めんの!?」
フキ「……一発だけでいい」チャッ
SAT隊長「え?」
フキ「一発だけ、私に使わせてください」
たきな「な、何言って……」
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 20:11:01.68 ID:m5lu7S3d0
SAT隊長「自殺したいのか?」
フキ「……こいつを、サクラを楽にしてやります」チャッ
千束「!!!」
たきな「え……」
フキ「……私もサクラも、リコリスとして、曲がりなりにも一所懸命に戦ってきた」
フキ「……他に、居場所なんてなかったから」
フキ「はっ……思えば私ら、つまんねえ人生だったよな?」
千束「フキ……」
たきな「……」
フキ「親に棄てられ……社会に棄てられ……DAには拾われたけどさ、ただがむしゃらに戦わされて……最後は私達が守っていたはずの国そのものに棄てられたんだぜ?」
フキ「何のために……生まれてきたんだよって……話だよな……」
サクラ「……、……」
看護師「この子、何か言ってる……」
サクラ「……」ボソッ
看護師「……ありがとうございます、先輩……って……」
たきな「そんな……」
千束「っ……!」
フキ「こいつは妹みたいな、家族みたいなもんなんだ!!生き延びることが許されないってのなら、せめて私の手で終わりを迎えさせてやってくれ!!それから私を殺してくれ!!」
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 20:12:46.85 ID:m5lu7S3d0
千束「やだよ……そんなの……」
外科医「……」
千束「そ、そうだ……ねえ先生、サクラを、この子を助けてよ!」
たきな「千束……」
外科医「……」
外科医「……乙女サクラの緊急オペを開始する。輸血も含め準備を」
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 20:14:31.02 ID:m5lu7S3d0
看護師「は、はい!!ストレッチャーを準備します!」ダッ
SAT隊長「せ、先生、勝手な真似をされては困ります」
外科医「勝手ではありません。彼女は僕の患者です。この病院内で勝手なことをしているのはあなた方のほうだ」
SAT隊長「ここにいたリコリスには永遠に口を噤んでもらわないと困るんです!」
外科医「リコリス……というんですね。警察官じゃなかったんですね、彼女らは」
SAT隊長「……」
外科医「医師には応召義務があります。拒否することは出来ません。ましてや乙女サクラはステりそうになっている。そしてここは設備の整った医療機関だ。いま医療者が動かなくてどうしますか」
SAT隊長「しかし……」
外科医「僕を撃ちたいなら撃ってください。その場合、日本医師会と厚生労働省を敵にしても構わなければ、の話ですが」
SAT隊長「待ってくださいよ……彼女らリコリスは、医療保険証はおろか戸籍すらないんです!!いわば消耗品として生まれ、死ぬだけの存在だ!」
外科医「戸籍がない……?そうか、そんな存在だからこそ、彼女らは銃を持たされていたということか……」
SAT隊長「処分しても罪には問われないような存在なんです!どうしてそこまでされるんですか!」
外科医「言ったでしょう、僕の患者だからです。我々人質を、身を挺して守った……ね」
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 20:15:58.73 ID:m5lu7S3d0
外科医「……君の銃、実弾が入ってるんだろ?」
フキ「え……はい」
外科医「オペが終わるまで、手術室の前で待っていて欲しい。邪魔が入らないようにするために」
フキ「は、はい!」
MSW「先生、先生の今の体力では、オペはきついのでは……」
外科医「1時間が限度だろう。新棟の外科ドクターとナースにも応援に来てもらってくれ!」
MSW「承りました!」
千束「よ、良かった……」
千束「良かった…………………」フラ ドサッ
たきな「……千束!?」
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 20:21:00.54 ID:m5lu7S3d0
千束「む……胸が……く、苦しいよ……!!」ハァハァ
たきな「千束!!しっかりして!!」ユサユサ
フキ「千束のやつ、調子が出てねえと思ったら、心臓がおかしかったのか……!」
看護師「揺らさないで!!……体熱感が……恐らく熱発してます!!」
たきな「ど、どうして、定期健診では何もなかったのに……!?」
千束「お薬……切れてなくなっちゃってたから……」
たきな「あっ……!!!!」ハッ
たきな「ど……どうして言ってくれなかったんですか!!」
千束「こんな時に……心配なんかさせたくなかったから……」
たきな「私のバカ……どうして千束の服薬が滞ってることに気づかなかったの……!!」
フキ「千束のバカ野郎!DAに報告しといて、私らが潜入する時に持ち込むようにすればよかったじゃねえか!」
千束「へへっ……だって処方箋は私が持ってたもん……処方箋がないとお薬もらえないでしょ……」
フキ「律儀なのかバカなのか分かんねえよ、こいつ……!」
看護師「ねえ、処方箋かいつも飲んでいるお薬のカラかお薬手帳とかないの!?」
千束「こ、これ、処方箋……です……」スッ
看護師「先生、これは……」スッ
外科医「……やっぱり免疫抑制剤か。専門外だからよく分からないが、恐らくそれが切れたのが胸痛と熱発の原因だろう。いま、ウチには担当医の二人がいない……他の設備が整った医療機関に搬送するしかないな……」
MSW「急搬ですか!?」
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 20:25:05.60 ID:m5lu7S3d0
たきな「ちょっと待ってください……ここで診てはもらえないんですか……!?千束、山岸先生以外だと、ここしか診てもらえる病院がないって話なのに……!」
外科医「言っただろう、専門医である担当医の先生が今居ないんだ。非常勤の先生方だからな……」
たきな「さっき話に出たでしょう!?私達、戸籍も医療保険証もないんです……!」
たきな「そんな私達を、他にどこの病院が受け入れてくれるって言うんですか……!?」
看護師「先生、そろそろオペに……」ハラハラ
外科医「……僕の名前で紹介状を書こう。診療情報提供書があれば、受け入れを拒否する医療機関はないだろう。内容は、えっと……くそっ……普段自分で書かないからな……
御担当医 先生 御待史……=v
MSW「そ、その子のカルテなら私、見覚えがあります!えっと……
平素より大変お世話になっております。当院にてフォローしております17歳女性を紹介させて頂きます。
先天性心疾患(DCM)にて201●年◆月に無拍動完全置換型人工心臓移植術施行、202●年冬に同心臓交換術施行、その後当院フォローにて在宅生活継続できておりましたが、諸事情により免疫抑制剤の内服が数日滞り、本日202●年▼月▼日に胸痛と熱発が見られております。
当院担当医が不在であり、小職も専門外でありましたので、今回救急搬送のオーダーと致しました。
なお、薬情・サマリー・採血結果・その他画像結果は別添させて頂きます。
ご不明な点等ございましたら、ご遠慮なく当院地域連携室までご連絡賜れれば幸いです。
ご多忙のところ恐れ入りますが、貴科的御高診のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
……これでよろしいでしょうか!?」
外科医「十分だ、一字一句それでいい!」
MSW「ありがとうございます!出力して救急隊を呼ばなきゃ!」ダッ
看護師「先生、こちらへ!」ダッ
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 20:27:14.57 ID:m5lu7S3d0
SAT隊長「……」ポカーン
たきな「……」
たきな「私達、人を[
ピーーー
]ことしかできないのに……」
フキ「……人を生かすことのできる人たちもいるんだな」
たきな「……」グスッ
フキ「……何泣いてやがる!それより、千束の付き添いに行ってこい!グズグズしてっと、SATのおっさん達に撃たれっぞ!」
たきな「は、はい!」
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 20:32:52.98 ID:m5lu7S3d0
その後
警察庁 長官室
楠木「入るぞ、長官!!」バターン
楠木「K医大病院の要員から報告を受けた……本当にあんたは……私達をどこまでも潰したいようだな……!!」
警察庁長官「……」
楠木「さんざん私達の世話になっておきながら、よくも私のリコリスを処分しようとしてくれたな……!」
警察庁長官「……本来、治安の担い手は我々警察だ。そろそろ、その役割を我々に返してほしかった。それだけだ。……局長である君なら分かってくれるはずだ」
楠木「ほう。では、今後銃器で武装した凶悪犯に対して、警察はこれまで通り警棒と回転式拳銃と、がんじがらめの法規制だけに頼って正面から対峙するというのか?」
警察庁長官「……少しづつだが、改善には動き始めている。凶悪犯に対しても、何とか向かい合えるように……」
楠木「警察にその勇気があるか!?公務員にその気概があるか!?リコリスのように最前線で命を張り、どんなに傷ついても、どんなに後ろ指を指されても、凶悪な殺意を全身に受けつつ、実弾を薬室に装填した銃とともに駆け抜ける覚悟が、今の警察にあるのかと聞いているんだ!!」
警察庁長官「……、……」
楠木「……何と言われても構わない。人道?倫理?法律?知った事か。社会秩序の維持という目的達成のためには、安穏とした建前と組織と装備だけでは限界がある。それはあんたらが一番よく知っているだろう!」
警察庁長官「……」
楠木「それに、いくら人の道に反していると言われようと、親から棄てられた子は年々増え続けている。そんな被害児に、政府は満足な受け入れ先を準備できているか?現状の施策は、不幸の再生産にしかなっていないじゃないか!!」
警察庁長官「それを貴様らDAが言えるのか!?現代の十字軍を気取り、自分らを正当化する気か!?」
楠木「黙れ!そんなリコリスを処分しようとしたあんたが、人道や倫理を語れるか!?……最善の揺籠と言えなくても、私達DAは彼女らを受け入れ続ける。それを貴様ら警察に否定される筋合いはない!!」
警察庁長官「……」
楠木「私達は存在し続ける。いいか、日本という国家が存在を望むのであれば、私達はどんなに陽の当たらない地獄でも存在し続けるぞ……!!」
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 20:36:05.92 ID:m5lu7S3d0
首相官邸 総理執務室
首相秘書官「総理、お忙しいところ申し訳ございません」
首相「なんだ。後にしろ。これから会見だ」
首相秘書官「それが……」
厚労相「失礼します、総理」スッ
首相「どうして君がここに……」
厚労相「あの現場にいたリコリスの口封じを命じられたそうですな」
首相「……いかにも、私の指示だ」
厚労相「申し訳ありません、私はそれに反する指示を出しました」
首相「なに?」
厚労相「作戦で重傷を負ったリコリスを、いまK医大病院の外科医が執刀しています。また、心疾患を発症した別のリコリスを、T大病院に受け入れさせました」
首相「なんだと!?何を勝手なことを……」
厚労相「医師会を経由して私に報告がありました」
首相「それで……私の指示を知っていながら、君は救命を追認したのか。戸籍もない、あの使い捨ての小娘どもの……」
厚労相「はい。情において忍び難いものでしたので。医療費は公費で賄うよう、私が特別に指示しました。国保連も了承済みです」
首相「バカなことを……!」
厚労相「彼女らは見舞客として人質となり、不幸にも銃撃戦に巻き込まれたが、治療し事なきを得た。そのシナリオでよろしいではありませんか。何も口封じにする必要などない」
首相「そうする場合、マスコミ対策やら何やらでかなりの手間がかかるのだ!」
厚労相「本音は、この機にDAを潰すか規模を縮小させたかった……そうではありませんか?」
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 20:40:39.19 ID:m5lu7S3d0
首相「……」
厚労相「私の専門外ですが、聞くところによれば、警察内部にはDAを危険視し、解体するか傘下に置くかという議論が未だにあるようですな」
首相「……」
厚労相「総理は内務官僚のご出身でいらっしゃるがゆえに、そうした声を無視することができなくなっていた……と。それでも、私に事前にご相談は頂きたかったです」
首相「……そうか。DAの運営予算の一部は、厚労省から出ていたんだったな」
厚労相「この事件解決の立役者は、私が見る限りDA……リコリスです。違いますか?」
首相「……」
厚労相「倫理上の問題はどうあれ、リコリスは必要悪でしょう。それは私のような医師をはじめとした医療者も、それに警察官も同じです。社会秩序を、ひいては国を守るために戦っている者を蔑ろにする……そんな政権なら、倒れて然るべきだと私は思います」
首相「……私が泥をかぶる事すら、君は許してくれんのか」
厚労相「次の選挙では覚悟しております。ですが、任期中はしっかり仕事はさせて頂きます。リコリスとならざるを得ない孤児がこれ以上増えないような施策が残せれば……その後は故郷の地元で小さな診療所でもやりますかな……では、失礼しました」カチャ バタン
首相「……」カチャ ピポパ
首相「……私だ。警察庁長官に繋いでくれ。官房長官を呼べ。会見が始まるまでにだ」
95 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 21:03:47.65 ID:m5lu7S3d0
それからしばらく経ち
K医大病院 新棟のとある病室
コンコンコン
ミカ「千束、邪魔するぞ。退院……ではないか、転院おめでとう」ガラガラ
千束「あ〜先生!!たきな!!来てくれたの!」パァア
たきな「千束!!……今回は病院から逃げ出してなくて、良かったです」
千束「うっ……あはは……」
ミカ「ミズキ達は店があるからな、私とたきなが見舞いの代表だ」
ミカ「それよりも、まずは元気そうで何よりだ、良かった、良かった……」
千束「えへへ……ご心配おかけしまして……」
ミカ「……それでな……たきなから、千束に話があるそうだ」
たきな「……」ジッ
千束「う……たきな、さん?」ビクビク
たきな「〜〜っ!」ガバッ
千束「ひ、ひぃっ!?」
たきな「……」ダキッ
千束「た……たき、な?」
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 21:05:53.95 ID:m5lu7S3d0
たきな「……ぅして」
千束「え……?」
たきな「どうしていつも、一人で勝手に突っ走って、勝手に傷ついて、私の前から消えてしまうんですか!?どうしてですか!?そんなに私のことが嫌なんですか!?」
千束「……ごめんね。たきなを大事に想ってるつもりが、逆にたきなを傷つけちゃったね……」
たきな「私のことはもういいんですっ!!」
千束「たきな……」
たきな「もう……いいんです。ですけど一つだけ、約束してください。……二度と自分を蔑ろにしないで、大切にして下さい!これから、ずっと、永遠にっ!!!!」
千束「……うん、分かった。分かったよ、たきな……」
たきな「……本当に?」
千束「うん」コクン
たきな「……絶対にですか?」
千束「うん!」
たきな「約束して、くれますか?」
千束「うん!!」
たきな「……じゃあ、これ、してください」スッ
千束「これは……」
たきな「指きり、げんまん……嘘、ついたら……」
千束「嘘……ついたら?」
たきな「……9ミリパラベラム弾、撃ち込みます」
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 21:10:06.18 ID:m5lu7S3d0
ミカ「はははっ!!!」ケラケラ
千束「ちょっ……笑い事じゃないよ先生!何爆笑してるの!?」
たきな「私ならやりかねない……ですか……?」
千束「そ、そそそんなことも言ってないけどさぁ!?」
たきな「……嘘です。そんな事しません。しませんから……」
たきな「私を、ずっと千束のそばに居させてください」ポス
千束「ん〜……仕方ないなぁ!この可愛いやつめ!!」ナデナデ
たきな「きゃっ!くすぐったい……!」
千束「うら!このこのっ!」
たきな「ちょ……やめて……あははっ!!」
ミカ「こらこら、あまり騒がしくしては迷惑だぞ」
たきな「あははっ……ははっ……は……」
たきな「……」
たきな「…………」
千束「たきな……?どうかしたの?……まだ、怒ってる?」
98 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 21:12:05.92 ID:m5lu7S3d0
たきな「ち、違うんです!さっきのことは……もういいんです。そうじゃなくて……」
ひっ……!!おねえちゃん、お顔、怖いよ……!
たきな「……」
千束「……そっか……」
たきな「……私、やっぱり居場所はDAにしかないんだなって思っちゃいました」
千束「そんなことないって。リコリコだってあるし……」
たきな「でも不安になったんです。いつかDAを去るときが来たとして、社会が私を受け入れてくれるのかなぁって……」
千束「たきな……」
ミカ「……」
ミカ「……そうそう。お前達に預かってたものがあるんだ」
たきな「え?」
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 21:14:15.22 ID:m5lu7S3d0
ミカ「今の今まで忘れてたよ。警察に届いて、巡り巡ってここに来たって訳だ」
ミカ「警察庁長官から伝言だ……市民からのありがたいメッセージだから大切にしろ≠ニさ」スッ……
たきな「誰からだろう?」
千束「たきな、開けてみてよ」
ガサ……
「けいさつのおねえちゃん ごめんなさい そして ありがとう」
たきな(……あの子だ!!)
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 21:15:06.67 ID:m5lu7S3d0
たきな「〜〜っ!!」ブワッ
千束「よかったじゃん、たきな!」
ミカ「似顔絵を見てみろ、こっちの髪の黒いのがたきなで、金髪なのが千束だ。これは二人に宛てたメッセージだよ」
千束「あ、そっか!うわぁ、可愛く描けてる!んじゃ、このお礼状は私がもらうね!」
たきな「ダメですっ……!!これは私が厳重に保管しますっ……!!」ボロボロ
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 21:19:57.96 ID:m5lu7S3d0
ミカ「……安心してくれ。今後、警察がお前達に手出しをする事は一切ない。もしそうなったら、私が警察トップの息の根を止めてやるからな」
千束「あ、あはは……」
たきな「当然ですっ……」グシッ
千束「はぁー……良かったよかった!んじゃ、先生、たきな、ちょっと散歩に付き合っておくんなまし!」
ミカ「散歩……?」
たきな「む、無理はしないでくださいよ……?」ハラハラ
千束「そう遠くへ行くわけじゃないよ。ほら、二人とも来て!」ガラッ
102 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 21:23:20.63 ID:m5lu7S3d0
K医大病院 新棟のとある病室
フキ「邪魔するぜ」ガラガラ
サクラ「あ……先輩!」パァア
フキ「何だ、仔犬みてぇに喜びやがって。すっかり元気そうじゃねえか」
サクラ「そりゃそうっすよー!だってドクターと看護師以外、誰とも会えなかったんすから!」
フキ「当たり前だ。……でもまぁ、集中治療室を出られるようになって、本当に良かったな。さすがに二回目ともなりゃあ、もう懲りただろ?」
サクラ「先輩……その、私がまたヘマやって迷惑かけちまって、本当にすいませんでした!」
フキ「……こっちこそ、土壇場のところでお前を止められなかった。はっ……ファーストが聞いて呆れるよな……今回、結局、指揮もクソもない、行き当たりばったりの現場だった。悔しいが、千束とたきなには世話になりっぱなしだ。……私って本当、何なのかな」
サクラ「先輩……」
フキ「……あ?」
サクラ「私らセカンドもサードも、千束・たきなコンビみたいな規格外なんかじゃなくて、先輩みたいな常識的なファーストがいてくれて、本当に救われてるんっすよ。先輩、真面目っすから、しんどいだろうなって思いますけど」
フキ「……そっかよ」
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 21:27:36.37 ID:m5lu7S3d0
フキ「にしても、お前、髪伸びたな……」
サクラ「すんません、ムサいっすよね」
フキ「いや、伸びてるのも女子らしくていいと思うぜ」
サクラ「……///」カァ
フキ「そうそう、これは土産替わりだ」
ポン
サクラ「あ……これ……」
フキ「お前の銃だ。点滴が外れたら、分解と組み立てのトレーニング、それに照準訓練くらいは出来んだろ。誰にも見つからないようにやれよ」
サクラ「あざっす、先輩」
サクラ「はー……。早く口から栄養摂りたいなぁ……。先生んとこのパフェ、腹一杯食べたいなぁ……」
フキ「そのうち食えるようになるってドクターも言ってんだろうが。もうちょっと我慢しろ。くたばっちゃいねえんだから、上出来だろ……今度、連れてってやるよ」
サクラ「まぁじっすか!?やった!」
フキ「おいおい、暴れんな。傷に障んだろうが……」
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 21:28:37.95 ID:m5lu7S3d0
サクラ「はっ……でも……そうっすね……」
サクラ「生きてて……良かったっす……」ブワッ
フキ「ふん……何泣いてやがる。らしくねぇ」
サクラ「だって……妹みたいな……家族みたいなもんって……言ってもらえて……///」カァ
フキ「ばっ……///……あの時の……聞こえてたのかよ!!」カァ
105 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 21:48:30.07 ID:m5lu7S3d0
ガラガラガラ
千束「おっ邪魔するぜぃー!!」
ミカ「サクラ、お邪魔するよ」
フキ「あ……せ、先生っ!」
千束「なぁんだよー、フキも来てたのかよー」
フキ「ああ!?悪いかぁー!?」
サクラ「ふっ……相変わらずっすね」
たきな「本当ですね。……サクラ、生還おめでとうございます」
ミカ「サクラ、お前も無事で良かったな。本当に何よりだ。私も嬉しいよ」
サクラ「あざーっす!」
フキ「おいサクラ、先生に対して……ありがとうございます、だろうが!」ポカッ
サクラ「痛ぇ!先輩、怪我人にそりゃないっすよー!」
千束「あははっ!」ケラケラ
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 21:52:47.01 ID:m5lu7S3d0
サクラ「……?たきなさん、目ぇ赤いっすよ。泣いてたんすか?」
たきな「なっ……?あ、あなたこそ、目が腫れてるでしょ……」ゴシゴシ
サクラ「……ちっ違!これはあれっす、花粉のせいですって……」ゴシゴシ
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 21:55:53.30 ID:m5lu7S3d0
千束「ねぇ……サクラんぼ……ちゃん」
サクラ「はい……?」
千束「……」ダキッ
サクラ「え……あ、ちょっと千束さんっ!?」アタフタ
千束「私、サクラのおかげで生き延びることが出来たんだよ?」ギュッ……
サクラ「え……あ、あの散弾銃の時っすか……?」
千束「あの時、散弾銃の二発目をまともに受けてたら、私もただじゃ済まなかったんだから……ありがとね!」
サクラ「べ……別に、仲間のピンチだったんすから……それに、私……そもそも功を焦って無茶しただけだったっすし……」
千束「で〜も!私は生き延びられた!それがうれしい!!」ギュー
サクラ「ちょ、苦しい……」
千束「うれしい、うれしい!!」モフモフ
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 21:58:14.21 ID:m5lu7S3d0
サクラ「苦しぃ、くるしぃ……ってフキ先輩、見てないで助けて下さいよぉ!」ジタバタ
フキ「ちっ……んだよ、そんなに千束がいいんなら、これからはパートナー解消だ!」プンスカ
サクラ「な、そんなっ!!誤解っすよぉ!!」ガーン
千束「ぷはぁー……ってあれ、たきな……さん?」
たきな「……そうですか。私はもう千束には不要ということですね。そうなんですね」プンスカ
千束「そ、そんなぁ〜!だぎなぁ〜!!私はたきなが一番だよぉ〜!!」
109 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 22:00:49.70 ID:m5lu7S3d0
ミカ「ははははっ!!お前たちは本当に、いいリコリスだな!!」
フキ「ふん……」フフ
サクラ「へへっ……」イヒヒ
たきな「……」クスッ
千束「あはは!!」
「「「「ありがとうございます、先生!!」」」」
おわり
110 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/20(木) 22:01:55.82 ID:m5lu7S3d0
長文すみません、ありがとうございました。
過去作
サシャ「大切な人に」
提督「鎮守府一般公開?」
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/21(金) 13:41:45.84 ID:6i4BWZaJ0
リコリスで本編並みにアクションするSS初めて読んだけど面白かった
また書いてちょ
112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/04/24(月) 00:09:45.76 ID:RLn53zOl0
>>111
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