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【シャニマス×ダンロン】にちか「それは違くないですかー!?」【安価進行】 Part.5
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64 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/02(金) 23:03:53.66 ID:2TO5gjwT0
自分の終末を、彼女の終焉を『人生』という言葉で飾り付けたのは私たちへの愛着なのか、それとも自己の倒錯への苛みからか。
実体を持たない存在にしては壮大すぎるほどの遺言を並べ立てた。
本来なら、こんな感情の起こりはエラーとして切り捨てられるもの。
正しい動作の阻害要因として排他されていたかもしれない。
優秀が過ぎるが故に生まれてしまったAIの、流すはずのない涙。
頬に一筋ばかり伝わせ、それを口角で拾い上げるようにして笑顔を作った。
雛菜「……あは〜」
雛菜「透先輩はそんな風に笑わないって〜……」
その笑顔の不出来さに、市川雛菜は心の底から歓喜した。
彼女がこの島の生活で見出した、もう一人の浅倉透への感情。
それに間違いはなかったのだと改めて確認できたからだ。
65 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/02(金) 23:05:55.78 ID:2TO5gjwT0
ルカ「……オマエが何を言おうとも、きっと無駄なんだと思う。私はともかく、283プロの連中は誰かを喪失することになれちゃいない。忘れろと言えば言うほどにその記憶は濃くなる」
透「あちゃー、困った」
ルカ「だから、背負わせてやってくれ。どうやらこいつらは、ちょっとぐらい重たい荷物を背負ってる方が好きらしい」
にちか「浅倉さん。最後に言わせてください、ごめんなさい。私ずっと……最悪の勘違いをしてました。浅倉さんは私たちのこともあって本当のことが言えなかったのに……」
透「しゃーないって、それは」
美琴「……本当に、ごめんなさい。あなたは私のステージもずっと守り続けてくれてたんだね」
透「踊って。外に出てからも」
AIの消滅を目前に控え、送別会の様相を為してきた学級裁判。
努「そこまでだ」
そんなの、奴からすれば面白いわけもない。
66 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/02(金) 23:06:47.45 ID:2TO5gjwT0
努「なるほど、『卒業』でもなく『留年』でもない強制シャットダウンか。変わったことを考えるな。しかし、そんなことを私が黙って許すと思っているのか?」
摩美々「何、ここに来てルール変えるとかはなしですよー?」
努「ふん、そんなことをする必要はない。お前たちの強制シャットダウンは私と浅倉透の同時消滅という要素が不可欠……つまり私を殺せなくてはな」
にちか「だからー、殺す覚悟ならとっくに決まって____」
「これでもか?」
私たちの決起に水を差した男は、その場で手を天に掲げた。
その行為自体に意味はない。
私たちの会話を遮るというのを体現する仕切りを立ち上げただけのこと。
やけに伸び切った指先に私たちの視線はなぜか引き付けられ、気がつけば天井の姿は視界の外へ。
外れてから、ものの数秒。
指先の根本を辿って行く。
そこにあるのは、初老の男の皺がれた額……そのはずだった。
にちか「……は?」
67 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/02(金) 23:07:35.24 ID:2TO5gjwT0
「もう、お姉ちゃんを殺そうだなんて。そんな反抗期はカンベン願いたいな〜」
そこにいたのは、283プロダクションの事務員・七草はづきだった。
68 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/02(金) 23:08:28.63 ID:2TO5gjwT0
(なんだと……?!)
はづき?「社長を殺そうだなんて、そんなの私が黙っていると思いますか〜?」
夏葉「ど、どういうこと……? はづき、あなたも……チーム・ダンガンロンパの……社長の仲間だったの……?」
はづき?「さあ、どうでしょう〜?」
千雪「……はづき、本当にはづきなの?」
はづき?「もう、千雪。何度も飲み交わした仲なのにつれないこと言わないでよ〜」
美琴「……にちかちゃん」
にちか「見た目はお姉ちゃんそのもの……話してる感じも、お姉ちゃんのそれです。裁判前の捜査で見た資料とは……大違い」
あさひ「でも、違うっすよね?」
にちか「芹沢さん……」
あさひ「もうそのトリックは何度も見たっすよ。このはづきさんもさっきの社長と同じ、人格と記憶に基づいて作ったコピーっす」
はづき?「……」
冬優子「ええ、苦し紛れの擬態でしかない。振り回される必要はないわ」
はづき?「……でも、そう分かっていてもあなたたちは私を殺せない……そうでしょう?」
にちか「……最悪」
69 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/02(金) 23:09:22.99 ID:2TO5gjwT0
努?「お前たちが私を殺そうというのなら」
はづき?「皆さんの大切な存在の姿を借りて立ち塞がります」
真乃?「姿だけじゃありません……っ」
めぐる?「記憶と人格を完全に再現した、ほとんど本物なんだよ!」
霧子?「あなたは……殺せますか……?」
咲耶?「同じ時間を過ごし友愛を育んだ相手を」
樹里?「同じ舞台を目指して努力してきた仲間を」
凛世?「共に青春を過ごした、学友を……」
甘奈?「同じ屋根の下で暮らしてきた大切な家族を」
甜花?「あ、頭では別物と分かってても……」
小糸?「こ、心はそうじゃありません……!」
円香?「頭と心が分断され、自己意識の瓦解が起きるかもしれませんね」
「それでも」
プロデューサー?「みんなは、俺のことを殺すのか……?」
70 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/02(金) 23:10:23.25 ID:2TO5gjwT0
(……まずい)
AIが命乞いをするという非現実。
本来なら鼻で笑って捨てるほどのSFなのに、死の間際に見せたその曲芸が、あまりにも出来が良すぎた。
この島にいる人間は、全員この島以外に大切な誰かを置いてきている。
精神の支えともいうべき存在の姿を借りて、その声そのもので呼びかけられれば誰でも揺らぐ。
この裁判で何度も押し寄せた困惑と躊躇。
そのいずれも比べ物にならないほどの波が、一瞬でわたしたちを飲み込んだ。
真乃?「それに……わたしを殺そうとしても……全力でみんなが守ってくれます……っ!」
AIが懐から取り出したリモコン。
ボタンを一つ押したかと思うと天井の窓ガラスが一瞬にして砕け散り、見慣れた存在が落下した。
ルカ「エグイサル……っ!」
甜花?「にへへ……みんなで“守護”してくれるから……先にこっちを倒さないと、甜花に刃は届かない……」
小糸?「こ、こんなのでどうやってわたしを殺すんですか……!」
(こ、こんなの……)
(こんなの、どうしようもない……)
そもそもが間違っていたのだ。
私たちはあくまでゲームの中の登場キャラクター。
思考や行動はゲームのルール内に制約されているし、そのルールを書き換える力など私たちにはない。
そんなことができるのはゲームを作った製作者か、せいぜい……
71 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/02(金) 23:11:22.96 ID:2TO5gjwT0
『……ザ……な……』
プレイヤーくらいだ。
72 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/02(金) 23:12:36.00 ID:2TO5gjwT0
円香?「……は? ここに来て、なんです?」
『……ザザ……んな、無……か……』
その声は、これまでに聞いたことのない声。
高さやトーンという声の性質の話だけではなく、その発生元。
私たち生きた人間の発するそれや、スピーカーから流れる音としてのそれとも異なる。
神の視点から降ってくるような、そんな不思議な声に思わず辺りを見渡す。
しかしながら、そんな振る舞いをしていたのは私だけ。
他の連中は片手を片手で握り込んで、震えさせている。
その手の空洞に揉み込まれているのは、歓喜だ。
声の主に懐く心当たり、それが力となって伝播し、身を震わせているのである。
智代子「こ、この声……」
果穂「ぷ、プロデューサーさんです……!」
ルカ「マジか……?! ど、どこから……?!」
73 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/02(金) 23:13:43.06 ID:2TO5gjwT0
樹里?「んなわけねー! 外部からのアクセスは完全にシャットアウトしてるはずだろ?!」
透「外部からは、ね」
咲耶?「ま、まさか……内側からこじ開けたというのかい……? でも、そんなの……どうやって」
透「どうやったと思う?」
イレギュラーは起こりうる。
人の努力や思いを嘲笑うように。
そして時に、それらに呼応するように。
運命とはいたずらなもので、どちらに転ぶのかは最後の最後、その瞬間までわからない。
今回ばかりは、私たちの粘り勝ちらしい。
『……みんな、無事か?!』
美琴「プロデューサー……今、外にいるのかな」
『ああ、待たせてしまってすまない。セキュリティとそのエラーを解消するのにかなりの時間がかかってしまって……』
結華「すごい……こっち側の声も聞こえてるよ」
74 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/02(金) 23:15:19.33 ID:2TO5gjwT0
千雪「プロデューサーさんは中の状況をどこまで把握しているんですか?」
『透を通じて、部分的にな。……みんな、『卒業』を選ばないでいてくれてありがとう』
にちか「別に、感謝なんかされる謂れはないんですけど」
摩美々「みんなを説得したのはルカだしねー」
ルカ「……」
『……え? 斑鳩さん、君が……』
ルカ「んなことはどうだっていい。話はわかってんだろ、さっさとここから出しな」
『あ、ああ……そうしたいのは山々なんだが……すまない、俺たちの力が及ばず、この裁判が終わるまでとなると難しそうだ』
愛依「そ、そーなん……じゃ、うちらは結局あのAIをどうにかしないといけないんだよね……?」
『……すまない。だが、そのためのサポートなら俺がしよう』
カタカタ……ッターン!
75 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/02(金) 23:17:10.49 ID:2TO5gjwT0
ボシュゥゥゥゥゥ……
努?「な……ば、バカな……?!」
果穂「え、エグイサルが消えちゃいました……!」
『システムに干渉し続けることはできる……大丈夫だ、隙ならば俺が作る。そして、未来を切り開くための武器も俺が用意する』
『だからみんなは……未来を選んでくれ』
『他の誰かに与えられたものじゃない、自分自身で切り開く……自分だけの未来を』
灯織「プロデューサー……ありがとうございます」
奴の示した方針は偶然にも私と合致していた。
この裁判で卒業を提示された時から感じていた不愉快は、まさにそこにあったのだ。
他の何者かによって用意された選択肢、そこに在る希望なんて所詮は他人の尺度で作られた偽物でしかない。
希望も絶望も、とある人間にとって絶対的なもの。
他の誰かが定義できるものでしかない。
自分自身で歩み、切り開いて行く未来の中で、路傍に横たわっているのが希望と絶望なのだ。
そんなものに目を奪われるほど、私たちは酔狂な存在ではない。
私たちはもっと眩く、華々しい……あのステージの光に、ずっと夢中だからだ。
76 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/02(金) 23:17:56.43 ID:2TO5gjwT0
ルカ「……ハッ、ここに来て状況は完全にこっちの目みたいだな」
ルカ「もうオマエを守るものは何もない。私たちで浅倉透をクロに祭り上げ、そしてオマエも同時に消滅させる」
ルカ「それでこの世界は完全におしまい。強制シャットダウンだ」
円香?「いいんですか? そんなことをすればあなた方も身の保証はできないんですよ」
あさひ「いいじゃないっすか! どうなるか分からない選択の方が面白そうっす!」
摩美々「そのぐらいの賭けに怯えてたらアイドルなんかやってられないですってー」
結華「失うことを恐れてばかりじゃ、前に進めないんだよ」
もう誰も揺らがない。
私たちには未来が見えている。
まだそれは確かな形を持ってはいない。
朧げで儚い、霞のようなものかもしれない。
例えそうだとしても、私たちは自信を持って言える。
透明から鮮明に、不可能から可能性に。
私たちならその霞に形を持たせることができる。
____さあ、これが本当の本当に、最後の戦いだ。
77 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/02(金) 23:18:48.50 ID:2TO5gjwT0
真乃?「違う……違う……っ!」
にちか「あなたを殺す……この世界を終わらせる準備は着々と進んでいます。もう観念したらどうですか!」
めぐる?「認めない……認めないよ……!」
美琴「もう、終わりにしよう。スポットライトはあなたに当たっていないよ」
努?「黙れ黙れ黙れ! 私は……私は……!」
「こんな終わり方なんて……認めたくない……!!」
78 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/02(金) 23:23:29.13 ID:2TO5gjwT0
-------------------------------------------------
【議論スクラム FINAL 開始!】
『偽物の希望』vs【本物の未来】
発言力:♡×9
集中力:☆×5.5
真乃?「みんなは希望の象徴なんだよ……っ! ちゃんと生き残る道を選ばなきゃ……っ!」
めぐる?「前回のコロシアイでわたしたちは生き残れなかった……わたしたちの分までちゃんと生きて!」
霧子?「人格をもらっても……その人がいなくなるわけじゃ、ないから……」
咲耶?「私たちはもう死んでいる……元の世界に戻っても元通りの活動はできないんだよ、残念ながら」
樹里?「強制シャットダウンなんかしたら、まともに生き残れるかも怪しいんだぞ!」
凛世?「この島で過ごした記憶も……なくなってしまうやもしれません……」
甘奈?「ルカちゃんはコロシアイの黒幕だった頃に戻っちゃうかもしれないね☆」
甜花?「せっかくこの島で仲直りできたのに……それも、なくなっちゃうんだね……」
小糸?「この島での成長も葛藤も、全部なくなっちゃうんですよ……?」
円香?「現実なんかより、この島にいる方がまだマシかもしれませんよ」
はづき?「ちゃんと『卒業』すれば私たちが守ってあげられるのに……」
プロデューサー?「アイドルとしての在り方も、立つべきステージも、俺なら分かるんだ……!」
努?「どうしてもというなら島での暮らしをもう一周したっていい」
努?「ダンガンロンパの素晴らしさを諸君らに教授したっていい」
努?「だから、私の夢を……悲願を……否定しないでくれ……!」
(くだらないね……全部全部)
(そんな偽物で、私たちを止められるなんて舐めやがって!)
-------------------------------------------------
【意見スロット】
【プロデュース】
【成長】
【元通り】
【おじさん臭い】
【友情】
【生きる】
【人格】
【記憶】
【未知】
【可能性】
【制止】
【エゴ】
【強さ】
【輝き】
【ステージ】
-------------------------------------------------
【意見スロットを正しい順番に並び替え、敵スクラムを向かい討て!】
1.スクラムを指示する(解答)
2.集中力を使う(一部スロットが自動で正答位置に並び代わる)
3.アイテムを使う
【プロデュース手帳】×1
↓1
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/02(金) 23:33:08.73 ID:VZfLFOKk0
【輝き】
【生きる】
【人格】
【元通り】
【可能性】
【記憶】
【強さ】
【友情】
【成長】
【ステージ】
【制止】
【プロデュース】
【未知】
【エゴ】
【おじさん臭い】
80 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/02(金) 23:38:19.10 ID:2TO5gjwT0
【発言力:♡×9→♡×6】
真乃?「私たちの夢を……奪わないでください……っ!」
小糸?「な、なんとしても……譲れません……!」
(なんつー気迫だ……いや、AI相手に気迫もクソもないんだろうが……)
(これは未来をかけた戦い……お互い、これが本当の本当に、最後のチャンスなんだ……!)
-------------------------------------------------
【議論スクラム FINAL 開始!】
『偽物の希望』vs【本物の未来】
発言力:♡×6
集中力:☆×5.5
真乃?「みんなは希望の象徴なんだよ……っ! ちゃんと生き残る道を選ばなきゃ……っ!」
めぐる?「前回のコロシアイでわたしたちは生き残れなかった……わたしたちの分までちゃんと生きて!」
霧子?「人格をもらっても……その人がいなくなるわけじゃ、ないから……」
咲耶?「私たちはもう死んでいる……元の世界に戻っても元通りの活動はできないんだよ、残念ながら」
樹里?「強制シャットダウンなんかしたら、まともに生き残れるかも怪しいんだぞ!」
凛世?「この島で過ごした記憶も……なくなってしまうやもしれません……」
甘奈?「ルカちゃんはコロシアイの黒幕だった頃に戻っちゃうかもしれないね☆」
甜花?「せっかくこの島で仲直りできたのに……それも、なくなっちゃうんだね……」
小糸?「この島での成長も葛藤も、全部なくなっちゃうんですよ……?」
円香?「現実なんかより、この島にいる方がまだマシかもしれませんよ」
はづき?「ちゃんと『卒業』すれば私たちが守ってあげられるのに……」
プロデューサー?「アイドルとしての在り方も、立つべきステージも、俺なら分かるんだ……!」
努?「どうしてもというなら島での暮らしをもう一周したっていい」
努?「ダンガンロンパの素晴らしさを諸君らに教授したっていい」
努?「だから、私の夢を……悲願を……否定しないでくれ……!」
(くだらないね……全部全部)
(そんな偽物で、私たちを止められるなんて舐めやがって!)
-------------------------------------------------
【意見スロット】
【プロデュース】
【成長】
【元通り】
【おじさん臭い】
【友情】
【生きる】
【人格】
【記憶】
【未知】
【可能性】
【制止】
【エゴ】
【強さ】
【輝き】
【ステージ】
-------------------------------------------------
【意見スロットを正しい順番に並び替え、敵スクラムを向かい討て!】
1.スクラムを指示する(解答)
2.集中力を使う(一部スロットが自動で正答位置に並び代わる)
3.アイテムを使う
【プロデュース手帳】×1
↓1
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/02(金) 23:39:37.74 ID:SAD0j/9V0
集中力
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/02(金) 23:39:51.92 ID:N20xF4+50
集中力
83 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/02(金) 23:43:34.13 ID:2TO5gjwT0
【集中力:☆×5.5→4.5】
【集中力を使用しました】
【類まれなる集中力とともに、星をめざして二段飛び!】
【清らかなる星の流れが私たちを導く……】
【発言力:♡×6→7】
【一部スクラムが正答位置に並びました】
【正答位置にあるものには▹がついています】
-------------------------------------------------
【議論スクラム FINAL 開始!】
『偽物の希望』vs【本物の未来】
発言力:♡×6
集中力:☆×5.5
▹真乃?「みんなは希望の象徴なんだよ……っ! ちゃんと生き残る道を選ばなきゃ……っ!」
めぐる?「前回のコロシアイでわたしたちは生き残れなかった……わたしたちの分までちゃんと生きて!」
霧子?「人格をもらっても……その人がいなくなるわけじゃ、ないから……」
咲耶?「私たちはもう死んでいる……元の世界に戻っても元通りの活動はできないんだよ、残念ながら」
▹樹里?「強制シャットダウンなんかしたら、まともに生き残れるかも怪しいんだぞ!」
凛世?「この島で過ごした記憶も……なくなってしまうやもしれません……」
甘奈?「ルカちゃんはコロシアイの黒幕だった頃に戻っちゃうかもしれないね☆」
甜花?「せっかくこの島で仲直りできたのに……それも、なくなっちゃうんだね……」
小糸?「この島での成長も葛藤も、全部なくなっちゃうんですよ……?」
円香?「現実なんかより、この島にいる方がまだマシかもしれませんよ」
はづき?「ちゃんと『卒業』すれば私たちが守ってあげられるのに……」
プロデューサー?「アイドルとしての在り方も、立つべきステージも、俺なら分かるんだ……!」
努?「どうしてもというなら島での暮らしをもう一周したっていい」
▹努?「ダンガンロンパの素晴らしさを諸君らに教授したっていい」
努?「だから、私の夢を……悲願を……否定しないでくれ……!」
(くだらないね……全部全部)
(そんな偽物で、私たちを止められるなんて舐めやがって!)
-------------------------------------------------
【意見スロット】
▹【輝き】
【プロデュース】
【成長】
【元通り】
▹【可能性】
【友情】
【生きる】
【人格】
【記憶】
【未知】
【制止】
【エゴ】
【強さ】
▹【おじさん臭い】
【ステージ】
-------------------------------------------------
【意見スロットを正しい順番に並び替え、敵スクラムを向かい討て!】
1.スクラムを指示する(解答)
2.集中力を使う(一部スロットが自動で正答位置に並び代わる)
3.アイテムを使う
【プロデュース手帳】×1
↓1
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/02(金) 23:48:17.41 ID:SAD0j/9V0
輝き
生きる
人格
元通り
可能性
記憶
強さ
友情
成長
未知
制止
プロデュース
ステージ
おじさん臭い
エゴ
85 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/02(金) 23:51:54.51 ID:2TO5gjwT0
【発言力:♡×7→♡×4】
はづき?「まだ皆さんは弱く、か細い光なんです」
プロデューサー?「どうして、俺たちに守らせてくれないんだ……!?」
(舐めんなよ、いつまでも誰かに守られてる私たちじゃない)
(自分の手で未来を掴めるぐらいの弱さは……私だって手にしてんだよ……!)
-------------------------------------------------
【議論スクラム FINAL 開始!】
『偽物の希望』vs【本物の未来】
発言力:♡×4
集中力:☆×5.5
▹真乃?「みんなは希望の象徴なんだよ……っ! ちゃんと生き残る道を選ばなきゃ……っ!」
めぐる?「前回のコロシアイでわたしたちは生き残れなかった……わたしたちの分までちゃんと生きて!」
霧子?「人格をもらっても……その人がいなくなるわけじゃ、ないから……」
咲耶?「私たちはもう死んでいる……元の世界に戻っても元通りの活動はできないんだよ、残念ながら」
▹樹里?「強制シャットダウンなんかしたら、まともに生き残れるかも怪しいんだぞ!」
凛世?「この島で過ごした記憶も……なくなってしまうやもしれません……」
甘奈?「ルカちゃんはコロシアイの黒幕だった頃に戻っちゃうかもしれないね☆」
甜花?「せっかくこの島で仲直りできたのに……それも、なくなっちゃうんだね……」
小糸?「この島での成長も葛藤も、全部なくなっちゃうんですよ……?」
円香?「現実なんかより、この島にいる方がまだマシかもしれませんよ」
はづき?「ちゃんと『卒業』すれば私たちが守ってあげられるのに……」
プロデューサー?「アイドルとしての在り方も、立つべきステージも、俺なら分かるんだ……!」
努?「どうしてもというなら島での暮らしをもう一周したっていい」
▹努?「ダンガンロンパの素晴らしさを諸君らに教授したっていい」
努?「だから、私の夢を……悲願を……否定しないでくれ……!」
(くだらないね……全部全部)
(そんな偽物で、私たちを止められるなんて舐めやがって!)
-------------------------------------------------
【意見スロット】
▹【輝き】
【プロデュース】
【成長】
【元通り】
▹【可能性】
【友情】
【生きる】
【人格】
【記憶】
【未知】
【制止】
【エゴ】
【強さ】
▹【おじさん臭い】
【ステージ】
-------------------------------------------------
【意見スロットを正しい順番に並び替え、敵スクラムを向かい討て!】
1.スクラムを指示する(解答)
2.集中力を使う(一部スロットが自動で正答位置に並び代わる)
3.アイテムを使う
【プロデュース手帳】×1
↓1
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/02(金) 23:55:53.84 ID:N20xF4+50
もう一度集中力
87 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/02(金) 23:59:55.94 ID:2TO5gjwT0
【集中力:☆×4.5→3.5】
【集中力を使用しました】
【類まれなる集中力とともに、星をめざして二段飛び!】
【清らかなる星の流れが私たちを導く……】
【発言力:♡×4→5】
【一部スクラムが正答位置に並びました】
【正答位置にあるものには▹がついています】
-------------------------------------------------
【議論スクラム FINAL 開始!】
『偽物の希望』vs【本物の未来】
発言力:♡×5
集中力:☆×3.5
▹真乃?「みんなは希望の象徴なんだよ……っ! ちゃんと生き残る道を選ばなきゃ……っ!」
▹めぐる?「前回のコロシアイでわたしたちは生き残れなかった……わたしたちの分までちゃんと生きて!」
霧子?「人格をもらっても……その人がいなくなるわけじゃ、ないから……」
咲耶?「私たちはもう死んでいる……元の世界に戻っても元通りの活動はできないんだよ、残念ながら」
▹樹里?「強制シャットダウンなんかしたら、まともに生き残れるかも怪しいんだぞ!」
凛世?「この島で過ごした記憶も……なくなってしまうやもしれません……」
甘奈?「ルカちゃんはコロシアイの黒幕だった頃に戻っちゃうかもしれないね☆」
甜花?「せっかくこの島で仲直りできたのに……それも、なくなっちゃうんだね……」
小糸?「この島での成長も葛藤も、全部なくなっちゃうんですよ……?」
円香?「現実なんかより、この島にいる方がまだマシかもしれませんよ」
▹はづき?「ちゃんと『卒業』すれば私たちが守ってあげられるのに……」
▹プロデューサー?「アイドルとしての在り方も、立つべきステージも、俺なら分かるんだ……!」
努?「どうしてもというなら島での暮らしをもう一周したっていい」
▹努?「ダンガンロンパの素晴らしさを諸君らに教授したっていい」
努?「だから、私の夢を……悲願を……否定しないでくれ……!」
(くだらないね……全部全部)
(そんな偽物で、私たちを止められるなんて舐めやがって!)
-------------------------------------------------
【意見スロット】
▹【輝き】
▹【生きる】
【成長】
【元通り】
▹【可能性】
【友情】
【人格】
【未知】
【制止】
【エゴ】
▹【強さ】
▹【プロデュース】
【記憶】
▹【おじさん臭い】
【ステージ】
-------------------------------------------------
【意見スロットを正しい順番に並び替え、敵スクラムを向かい討て!】
1.スクラムを指示する(解答)
2.集中力を使う(一部スロットが自動で正答位置に並び代わる)
3.アイテムを使う
【プロデュース手帳】×1
↓1
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/03(土) 00:02:04.67 ID:PmpRUrqb0
輝き
生きる
元通り
可能性
記憶
制止
友情
成長
未知
強さ
プロデュース
ステージ
おじさん臭い
エゴ
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/03(土) 00:05:44.14 ID:PmpRUrqb0
>>88
生きる と 元通り の間に人格です…ごめんなさい…
90 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 00:11:24.20 ID:ZSVkFOz00
【PERFECT!】
【ルカ「ただ進み続けるだけだ!」】
真乃?「みんなは希望の象徴なんだよ……っ! ちゃんと生き残る道を選ばなきゃ……っ!」
【ルカ「風野灯織!」
灯織「私たちに求められている希望は、私たち自身の輝き……誰にも決めつけられるものじゃない!」】
めぐる?「前回のコロシアイでわたしたちは生き残れなかった……わたしたちの分までちゃんと生きて!」
【ルカ「和泉愛依!」
愛依「モチ! だからそのために……うちらはうちらのままで、生きて帰んなきゃ……!」】
霧子?「人格をもらっても……その人がいなくなるわけじゃ、ないから……」
【ルカ「月岡恋鐘!」
恋鐘「元の人格が残っても、大きく捻じ曲げられてしまうばい。うちはうちの苦しみを……みんなに背負わせたくはなか!」】
咲耶?「私たちはもう死んでいる……元の世界に戻っても元通りの活動はできないんだよ、残念ながら」
【ルカ「三峰結華!」
結華「元の鞘に収まることに拘ってるわけじゃない。千変万化のアンティーカ……そうでしょ?」】
樹里?「強制シャットダウンなんかしたら、まともに生き残れるかも怪しいんだぞ!」
【ルカ「小宮果穂!」
果穂「可能性は無限大、です! あきらめなければ、きっといい結果になるはずです!」】
凛世?「この島で過ごした記憶も……なくなってしまうやもしれません……」
【ルカ「園田智代子!」
智代子「たとえ記憶を失っても、そこからまた歩き出せばいい。過去が全てじゃないんだよ!」】
91 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 00:12:02.65 ID:ZSVkFOz00
甘奈?「ルカちゃんはコロシアイの黒幕だった頃に戻っちゃうかもしれないね☆」
【ルカ「冬優子!」
冬優子「もしそうなったらふゆたちが全力で止めてみせる。この癇癪持ちの扱いなら心得てんのよ」】
甜花?「せっかくこの島で仲直りできたのに……それも、なくなっちゃうんだね……」
【ルカ「千雪!」
千雪「この島で出来たなら、元の世界でもできる……何も失ってはいないわ」】
小糸?「この島での成長も葛藤も、全部なくなっちゃうんですよ……?」
【ルカ「市川雛菜!」
雛菜「じゃあそこで負った傷もなくなるよね〜? もう一度戦える元気復活〜!」】
円香?「現実なんかより、この島にいる方がまだマシかもしれませんよ」
【ルカ「あさひ!」
あさひ「そんなの出てみないと分からないっすよ。それに、楽しいことは外の方がいっぱいのはずっす!」】
はづき?「ちゃんと『卒業』すれば私たちが守ってあげられるのに……」
【ルカ「有栖川夏葉!」
夏葉「守られてばかりの私たちじゃないわ。もう私たちは自分自身を守れるだけの強さを手にしているもの」】
プロデューサー?「アイドルとしての在り方も、立つべきステージも、俺なら分かるんだ……!」
【ルカ「田中摩美々!」
摩美々「押し付けがましいプロデュース、偽物丸出しじゃないですかぁ」】
努?「どうしてもというなら島での暮らしをもう一周したっていい」
【ルカ「美琴!」
美琴「遠慮させてもらうよ。この島には、私たちの立つべきステージはないから」】
努?「ダンガンロンパの素晴らしさを諸君らに教授したっていい」
【ルカ「にちか!」
にちか「うーわ、そうやって『お前らのためを思って言ってる』的なスタンスおじさんっぽくてやばいですよ!」】
努?「だから、私の夢を……悲願を……否定しないでくれ……!」
【ルカ「ここは私が!」
ルカ「オマエのそれは夢なんかじゃない……他人を無理やり巻き込むだけのエゴイズムだ!」】
-------------------------------------------------
【CROUCH BIND】
【SET!】
【ぞろ目を3回以上出して相手のスクラムを打ち破れ!】
↓直下より15回連続でコンマ判定
※プロデュース手帳はここでも使用可能です(残り1個)
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/03(土) 00:17:21.13 ID:zoeW8Acf0
あ
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/03(土) 00:18:09.71 ID:PmpRUrqb0
頼む
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/03(土) 00:18:42.42 ID:QH732L050
あ
95 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/03(土) 00:19:57.51 ID:QH732L050
あ
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/03(土) 00:20:34.48 ID:PmpRUrqb0
あ
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/03(土) 00:21:12.50 ID:k/047f4Y0
10回目ぐらいまでにぞろ目1個以下とかなら手帳でいい気がします
98 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/03(土) 00:21:39.73 ID:QH732L050
3分の1までで成功せずか・・・厳しいなぁ
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/03(土) 00:22:04.57 ID:zoeW8Acf0
あ
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/03(土) 00:22:24.24 ID:QH732L050
あ
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/03(土) 00:22:31.31 ID:PmpRUrqb0
もう手帳でいいんじゃないかな?
102 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/03(土) 00:23:18.61 ID:QH732L050
ですな
手帳で
103 :
流石に条件がハードすぎましたね、お疲れさまでした。
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 00:24:48.16 ID:ZSVkFOz00
【プロデュース手帳を使用しました】
【彼がアイドルたちと紡いできた日々が蘇る……】
【過去の記憶は裏切らない、確かな思い出の数々が行くべき道を指し示してくれた……!】
-------------------------------------------------
「「「「「「「「「「「「「「「これが私たちの選んだ未来だ!」」」」」」」」」」」」」」」
【BREAAAAAAAAAAAK!!!!!!!!】
ルカ「私たちの未来は、私たち自身で決める。余計な口出しは不要だ」
にちか「阻もうとしたってもう無駄ですからー! 強制シャットダウンを起こして、この世界を閉ざしちゃいますよー」
灯織「もう、終わりにしましょう。あなたの目論みも、それにまつわる悲しみの連鎖も」
努?「……勝手に終わらせるな、まだ私の宿願は……途絶えてなどいない」
美琴「ステージの終わりを決めるのはパフォーマーじゃない。あくまでそれを見ているオーディエンス」
美琴「たとえあなたがどれほど終わりじゃないと嘆こうとも、事はもう決していると思うの」
突きつけられた終了通告に、AIに過ぎない存在のそれはさも人間らしくガックリと肩を落とした。
きっとこれもたくさんの人間の記憶と人格から集積された反応に過ぎない、ただの『再現』なのだろう。
だが、練度の高い再現は私たちに勝利を実感させるには十分だった。
証言台に並び立つ16人は何度も顔を見合わせるようにして、長い裁判の行き着いた結末を確かめていた。
104 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 00:25:55.97 ID:ZSVkFOz00
愛依「これで……いーんだよね……全部、終わったんだよね……」
冬優子「裁判はこれで終わり。この後は強制シャットダウンっていう人生を賭けた大博打が待ってるわよ」
恋鐘「結果がどうなるのかは、まだ分からんとやろ……?」
果穂「大丈夫です! あたしたちなら、ぜったい負けません!」
摩美々「や、勝ちっていうか、負けっていうか……そういうんじゃ……」
摩美々「……ま、勝ちは勝ちかもねー」
透「みんな、後は任せたから」
雛菜「任された〜!」
夏葉「透、あなたの覚悟……しかと受け止めたわ」
智代子「透ちゃん……ごめんね、こんな終わり方で」
透「ノープロブレム。これが本望ってやつ」
ルカ「……さ、腹を括れ。もうこれ以上この裁判で話すことはないはずだ。散り際を惨めにするのも、堂々とした幕引きにするのも、オマエ次第だ」
105 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 00:26:57.61 ID:ZSVkFOz00
はづき?「……それでは、お手元の投票ボタンでクロだと思う人に投票をお願いします〜」
はづき?「今回は特殊な裁判のため、一番票を多く獲得した人が無条件に正しいクロとなります。くれぐれも投票先を間違わないように注意してくださいね〜」
はづき?「投票の結果クロとなるのは一体? そしてこの南国生活の行く末は?」
はづき?「……」
はづき?「もう、どっちでもいいですけどね〜……」
106 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 00:27:54.14 ID:ZSVkFOz00
-------------------------------------------------
【VOTE】
〔透〕〔透〕〔透〕
CONGRATULATIONS!!!!
パッパラー!!!
-------------------------------------------------
107 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 00:28:51.11 ID:ZSVkFOz00
【学級裁判 閉廷!】
108 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 00:35:01.63 ID:ZSVkFOz00
最後の学級裁判が終わったところでここまで。
議論スクラムも最後になるとだいぶ意地悪でしたね…
少し難易度調整をミスった気がする、お付き合いいただきありがとうございました。
そしていよいよ次回更新で最終回となります。
裁判終了パートからエピローグまで。
昨年より続いたシリーズもこれで幕引きです。
また、延期の連絡後に全編更新終了後の質問の問い合わせがありましたが、私としてもぜひ聞かせてもらえればと思っています。
そう練り込まれたお話ではないので期待にどこまでお応えできるかは分かりませんが、
作品を書いている中で色々と考えることはありましたし、質問や感想は大歓迎です。
最終回の更新は12/4(土)20:30前後予定。
安価はありませんが、最後まで見届けていただけましたら幸いです。
109 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/03(土) 00:51:59.56 ID:DN8CMUKc0
お疲れさまでした
最後のスクラムの15回中3回ぞろ目のやつ、期待値的には18%ぐらいの確率で成功するみたいですね
さすがに分が悪いけど、手帳の力で実質イベント戦闘みたいになってたのである意味演出点になった気もします
というか最終的にアイテムは全部使い果たして発言力も集中力もボロボロになってるけど、ノーコンでクリアしたわけだから
結果的に裁判前の買い物の内容がちょうどよかったのか
金の鍵ガチャで引いた灯織と愛依のスキルもめっちゃ仕事してたし、特に灯織の回復
110 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/03(土) 00:55:09.44 ID:PmpRUrqb0
>>1
乙
学級裁判では振り回され続けましたが、とても楽しかったです。
ところで次の更新日ですが、正しいのは曜日ですか?それとも日付ですか?
111 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 01:19:31.64 ID:ZSVkFOz00
>>110
失礼しました、12/3(土)でお願いします
気が付いたら日付が変わってしまっていたのでカレンダーを読み違えました……
112 :
それでは更新していきます
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:02:10.36 ID:ZSVkFOz00
-------------------------------------------------
CHAPTER 06
絶望、あるいは逃げられぬ希望
裁判終了
-------------------------------------------------
113 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:03:51.07 ID:ZSVkFOz00
努?「こんな……こんな結末があっていいはずがない……」
最後の投票を終えた私たち。
結果は浅倉透が最多の得票数。
この裁判の最後には彼女がおしおきを受け、その死をトリガーに世界が幕を下ろすことが確定した。
彼女は、あくまで偽物だ。
私たちの仲間の姿を借りただけで、与えられた役目を果たすためだけに行動するAIでしかない。
その意味では、幾度と私たちを脅かしたモノクマやモノミとなんら変わりはない。
だのに、その存在が消え失せようとしているこの局面で何故か連中は鎮痛な表情を並べていた。
親の都合で引っ越す同級生、老衰で自我も見失った年寄り、事故に遭って片足を失った野良犬……
そういうどうしようもないものを見つめるときによく似た表情だ。
AIなんて無機質を見つめるには、あまりに多くのものを含み過ぎた有機的な視線が向けられていた。
114 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:06:07.81 ID:ZSVkFOz00
透「さんきゅ、みんな」
投票を先導したのは私。
元々の役割に回帰させただけとはいえ、この場に居合わせた全員の命とその未来をただの一人に背負わせた自覚に言葉に詰まる。
『……透、君に幕引きを託してもいいか』
最初に口を開いたのは、外の世界の彼。
空間を切り取ったような形で姿を覗かせている彼もまた、暗い表情をしていた。
それは別れを惜しむと言うよりも、罪の意識。
自分の選択への躊躇いが見てとれた。
透「やっぱり、本物のアイドルには手を汚させられない?」
『……すまない』
アイドルがアイドルなら、それを育てる方も育てる方だ。
あまりにも出来すぎた偽善に舌を巻いた。
透「いいって、誰も責めない」
外の世界の男が落としたトーンで詫びるとすぐに、浅倉透の手には一丁の拳銃が産み落とされた。
透「おー、いいじゃん。これなら簡単だ」
これ見よがしに、項垂れる“紛い物”に銃口を向けた。
努?「……」
しかし、奴が反応を返すことはなかった。
つい先ほどまで必死に生きる者を真似ていた存在は一転、無機質に立ち尽くすだけのカカシになってしまっていた。
115 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:08:04.41 ID:ZSVkFOz00
千雪「もう、抵抗する気もないのかしら……」
結華「いくら護衛を生み出そうとも、外の世界のPたんがそれをかき消す。AIなら三峰たちよりもよっぽど早く、よっぽどはっきりとその敗北を計算できそうだもんね」
愛依「は〜、そっか……スパコンとかってなんかすごいっていうもんね」
灯織「というよりも、ショートしているのではないでしょうか?」
にちか「って言うとなんです?」
灯織「私たちが選んだのは本来AIの計算にはあり得なかった選択肢です。全員生存でもない、犠牲を生まないわけでもない……合理性からはかけ離れた賭けの選択肢。そんな非合理を理解しようとしたところで、AIには到達できない境地にエラーを起こして止まってしまった」
摩美々「ちょっとそれ、自己陶酔入りすぎじゃないー? 自分たちがすごいっていう驕りが見え見えっていうかぁ」
灯織「そ、そんなつもりは……」
『……いや、俺もそう思うよ。未来を切り開こうとするみんなの勇気、そんなものはいくら計算したところで測りきれないだろうからな』
(……勇気、ねえ)
本当に最後の最後まで恥ずかしげもなくそんなことが言えるものだ。
全員が全員美談に酔いしれ、そこに宝石のように下品に輝く理想を思い描く。
私のような人間からすれば、到底直視に耐え難い光景だ。
116 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:12:40.62 ID:ZSVkFOz00
ルカ「言っとくけど、私はそんな絵空事の夢にかけたわけじゃない。ただ他人に未来を決めつけられるのが不愉快だっただけだからな」
冬優子「はいはい、いちいち表明しなくたって誰も気にしないわよー」
ルカ「てめ……」
『……本来なら、あなたも同じ考えだったんだと思うんです』
努?「……」
あさひ「プロデューサーさん、この人はあくまでAIっす。社長さんの考え方を完璧に真似ているっすけど、それは物真似の域を出ないっす」
『……信じるという行為は、真似の範疇を冒していたんだろうな』
努?「……」
まるで私たちに反応を示さなくなった管理AI。
次第に勝利の余韻も薄れ、現実が湧き上がる。
胸と喉の間に霧がかかってきたような息苦しさ。
それを一言で言うならば“不安”だ。
未確定な未来が空を埋め尽くそうとしていることを自覚した時、膝の震えは始まる。
117 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:13:50.57 ID:ZSVkFOz00
にちか「それよりも、これからのことを話しませんかー? おしおきまでの時間もそうないですし……」
夏葉「ええ、そうね。何度も確認しているけれどこの先の私たちに保証は何もない。今ある記憶や経験が残ることも、それを持ち帰る明日があることも」
果穂「この世界でしんじゃったあたしたちはもちろん……いきのこってたみなさんも、目を覚ますかどうかはいいきれないんですね……」
結華「こうやってみんなで掴み取った選択肢も、忘れてしまうのかもしれない」
美琴「この島で生活することで見つけられたもの、気づくことができたもの……その存在の否定はできないから」
美琴「……失ってしまうのは、少し寂しいね」
千雪「うん……この島での暮らしは勿論辛いことが多かったけれど、それが全て記憶からなくなってしまうのは違うわ」
千雪「そうよね、ルカちゃん」
ここで私に同意を促すか、と悪態でもついてやりたい気になったが、その言葉には賛同をする他なかった。
この島で無理やり顔を付き合わされたことで、美琴とはようやっと和解をすることができたわけだし、そういう機会は日常に転がっている物でもない。
それに、283の他の連中との交流も否定はしない。
事務所に対する憎しみの色眼鏡が常にあった私が、283に好意的な感情を抱くことなどなかったろう。
記憶を失うということは、この変化を全て無に帰すということなのだ。
118 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:14:52.90 ID:ZSVkFOz00
思えば、この島での暮らしにも色々あった。
にちか「……なんなんですか、人の顔をジロジロ見ないでもらえますー?」
美琴を奪い取った仇と思っていたこいつから頼られて、生き抜いていくことを誓い、美琴の命を背負い込むことになるとは。
千雪「ルカちゃん、あの時のお酒の味……一生忘れないわ」
私としたことが図々しくもパーソナルスペースに侵入していくことを許し、挙句そいつと交わした約束を守り続けることになるとは。
冬優子「……やめて、こっちも整理つかないんだからあんまり見ないでよ」
似た物同士の並ならぬ間柄の相手がこんなところで生まれ、最終的にはそいつに今際の際に大切なものを託されるまでになるとは。
あさひ「ルカさん? あんまり見たことない顔っすね、それ」
託されたものを几帳面にも守り続け、最後の最後まで真実を追い求めることになろうとは。
_______そして、
119 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:16:50.06 ID:ZSVkFOz00
「……ルカ」
「……んだよ」
「この島でやっと、初めて気づけた。私の横に立って一緒にステージを作ってくれる人の存在に。その存在のかけがえのなさに」
「きっと、記憶を失ってしまえば私は以前と同じ盲目になってしまうんだと思う。私は本当に視野が狭くて、スポットライトで照らされているその足元しか見ていなかったから」
「……失いたくないね、この気持ち」
一度完全に取りこぼしてしまったものを、拾い上げることが叶おうとは。
この手に掴んだものを思うと、それを手放してしまうことには恐怖を抱かずにはいられない。名残惜しさは飲み下すには大きすぎる塊だ。
120 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:17:46.61 ID:ZSVkFOz00
「らしくないこと言ってんなよ」
「……えっ」
「失うことを恐れて進めなくなるようなタマじゃないだろ、美琴は。そんなヤワな女だったら、私は切り捨てられてなんかない」
だからといって甘えるわけには行かないと思った。
世界がここで完結するのなら、この夢のような体験と記憶を一生啜っていてもよかったかもしれない。
されど、この世界は世界であって、現実ではない。
夢は必ず終わらせなければならない、浸り心地の良い夢は厳しい壁に現実でぶつかるための原動力に過ぎない。
それに依存するだけなら、飼い潰されるだけの家畜と何ら変わりない。
捨てさらねば、腐り落ちていくのは私たちなのだ。
121 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:18:56.40 ID:ZSVkFOz00
「それに、また取り零すなら何度だって拾い直せばいい。一度出来たことが、次に出来なくなるなんてことはないはずだろ」
「……」
「だー……オマエがそんな顔してると調子狂うんだよ、いつも通り仏頂面して我が道をゴーイングしとけばいいんだ、美琴は」
ただ一つ好都合なのは、この世界は再現度のあまりにも高すぎるだけの仮想現実であると言うこと。
ここで引き起こされた感情の起伏は、現実でも起こりうるだろうことの予測。
この島で砂浜に刻まれた足跡は、現実世界でコンクリート にだって刻むことのできるものだ。
この世界で掴めるものなら、現実世界でだって手にすることができるはず。
私たちは、囀るだけのカナリアじゃない。
その嘴で鳥籠をこじ開けることができる。
122 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:20:06.28 ID:ZSVkFOz00
「私が絶対、追いついてみせるから」
他の誰かに生きる世界を制限などされてたまるか。
それが私の原動力だった。
123 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:21:22.70 ID:ZSVkFOz00
千雪「ルカちゃん、いつのまにか私より大きくなっちゃったみたい」
果穂「ルカさん……千雪さんより、年下ですよね……?」
千雪「ふふっ、そうね。でも、私より今のルカちゃんはちょっとだけお姉さんなの」
冬優子「なんか同類で括るの、不適切な気がしてきたわ」
結華「ありゃりゃ、その心は?」
冬優子「ふゆはあんなくっさい説得は御免被りたいから」
結華「あはは、ふゆゆは手厳しいですなぁ」
外野がとやかく言うのは全面的に無視をした。
この時の羞恥もどうせ外の世界に持ち越せるかどうかもわからぬもの。
恥はかき捨てというやつだ。
124 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:23:30.52 ID:ZSVkFOz00
雛菜「……」
そして、恥は恥だけに留まらなかった辺り、悪手というわけでもない。
私と美琴を遠巻きに見ていた市川雛菜は、横をスッと抜けるようにして、奴の前に立った。
雛菜「透ちゃん、お別れの前にちょっと時間もらってもいい〜?」
透「あー、そこら辺、いける? どう?」
努?「……」
透「……黙ってるってことは、イエスってことだ」
私たちが挑んだ最後の事件。
それはあまりにも唐突なもので、私たちの思惑の悉くはその混迷の渦に呑み込まれ、別離にあたって餞の言葉を用意することも叶わなかった。
市川雛菜がこの浅倉透に向けた感情は並ならぬものだと全員が理解していながら、それを整理するための時間はもらうこともできず、凄惨なる末路を迎えた。
125 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:24:30.86 ID:ZSVkFOz00
透「じゃあ、市川さん。回答をどうぞー」
そんな二人が、また分たれようとしている。
前回とは次元が違う話での離別。
どれほどの奇跡が起きようとも、仮想現実の中の存在が現実にその姿を表すことはない。
データと実体が肩を並べるなど、今この時にしか起き得ない現象。
それを締め括るための言葉など、どこにもあるはずもない。
ありものの言葉で、彼女らが救われるはずもない。
雛菜「透ちゃんは今、どう感じてるのか教えて」
透「うお、一転攻勢」
雛菜「雛菜は知りたいから。透ちゃんが最後に何を考えて、何を思ったのか」
透「……」
並ならぬ様子に、軽薄そうな口ぶりも流石に控えた。
面と向かって話をしている相手の感情も察知できないほど出来の悪いAIではない。
126 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:26:54.47 ID:ZSVkFOz00
とはいえ、AIに求めるには複雑すぎる要求であることも確かだ。
以前とある学者がふんぞりかえって人間とアンドロイドの違いを『心の有無』で表現していた。
その言葉が正しいなら、市川雛菜の要求は無に有を求めるもの。
それこそエラーを起こしてショートしてしまってもおかしくないのだ。
透「あー、うん……えっとさ」
案の定、浅倉透は言葉が出てこずに苦心している様子だった。
感情という曖昧な概念を表すものを深層に探し求め、必死に悶え、喘いでやっと掬い上げたものは
透「本当に、みんなを守れるのは嬉しくて、さ」
雛菜「違う」
一瞬で切り捨てられた。
127 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:28:16.94 ID:ZSVkFOz00
雛菜「そんな用意された言葉じゃない。透ちゃんの中にある、透ちゃんだけが持っている言葉で教えてほしいって言ってるの」
透「……」
雛菜「『雛菜たちを救いにきた浅倉透』じゃなくていいの、本当の透ちゃんの言葉が知りたいから」
浅倉透は初めからずっと自分の背負った義務に準じてきたし、正体を明らかにしてからも浅倉透のコピーとして生きてきた。
そのことを隠さなくなってから、私たちの目にはしがらみを振り払っているように見えていた。
見えて『は』いた、でも実際は違った。
私たちの誰よりも近い場所で見つめてきた市川雛菜にはずっと見えていたのだ。
義務や役割という蛹の中で確かに脈打つ、存在としての核の存在が。
与えられた演算を精巧に行うだけのはずのAIがなぜか持ってしまった、たった一つの虚数解が。
128 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:29:38.44 ID:ZSVkFOz00
透「……困るって。そんなこと言われても」
とはいえ、それはひどく奥底に眠る。
AIという最適解を導き出す機構には無自覚な回答なのだ。
透「そんなの、プログラミングされてない。学習してないんだって」
技術革新が起こる時代の中で、人の役割はどんどん剥奪されていく。
単純作業から創造的な活動まで、人の行き場はドンドン追いやられてしまう。
では、人はどうやって生きていけば良いのか。
雛菜「……前例の中には透ちゃんはいないでしょ?」
透「……わかんない、わかんないって」
129 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:31:43.17 ID:ZSVkFOz00
______共生。
果穂「透さん! しんこきゅうしてみてください!」
透「……え?」
果穂「のどからむねがスゥッとして気持ちよくなりませんか! 体に、力を感じませんか!」
あさひ「透ちゃんが人間の精巧なコピーなら、生命活動だってちゃんとされてるはずっすよね。心臓が動いて、体に血液が回る」
あさひ「そしたら、なんだかポカポカしてくるんっすよ。そのポカポカが、言葉になるんっすよ」
透「いや、よくわかんないや」
人はAIよりも数千年ばかり先輩だ。
その一日の長が、わずかな経験の勝りが、ほんの僅かにだけ優位を示す場所がある。
自分たちはこうだったが、君たちの世代はどうだ。
散々口を酸っぱくして言われてきた、聞き飽きた大人の口舌。
人生の先輩である私たちが、示さなくてはならないらしい。
130 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:33:11.50 ID:ZSVkFOz00
夏葉「私も一度人間をやめた。それでも、私は感情に曇りができたとは、鈍りが生じたとはわずかにも思わなかったわ」
夏葉「心というものは実体ではないのよ。そして生命活動そのものでもない。そこから生まれる……概念的な力ともいうべきなのかしら」
千雪「コンピューターは計算や分析が得意なのよね。それなら、今の自分自身のことを解き明かしてみて。どうするべきなのか、導き出す答えは……きっとあなただけのものよ」
【透「心、って」】
愛依「うちもあんまりうまく言えないタチだから、アドバイスとか出来ないけど……雛菜ちゃんを見てる時に、いっつも何を言ってたか、考えてみるといいんかも!」
結華「自分でもわかんない気持ちに気付かれちゃうことってあってさ、それはまあちょっとムカついたりもするけど……なによりも迎える準備を向こうがしてくれてるってことだから」
【透「何、それ」】
131 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:35:16.12 ID:ZSVkFOz00
恋鐘「透は作り物なんかじゃなか、混じりっけのない透たい」
冬優子「ふゆから言えるのは……あんまり気持ちは溜め込みすぎても、隠しすぎても双方メリットなしってことぐらい」
【透「知らない、気持ちとか。わかんないって」】
美琴「……あなたが私に向けていたものは、計算の答えだけ?」
にちか「……がんばれ、私が言えたことじゃないですけど」
【透「うるさい」】
摩美々「答えが導き出せないなら導き出せないでいいんじゃないですかぁ? そのエラーでも報告すれば、多分見えるものもありますよー?」
灯織「……あなたを生み出した私たちだからこそ言えます。あなたは普通のAIじゃない、その壁を越えられる」
智代子「私たちは知ってるよ、透ちゃんには立派な心がある。気持ちがある。ぶつけられるものがあるって!」
【透「うるさいって」】
132 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:36:28.19 ID:ZSVkFOz00
【透「でてけ、私の中から」】
ルカ「さっさと吐いて楽になりな」
【透「……知らないって!」】
133 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:37:24.15 ID:ZSVkFOz00
小さい時に、近くの公園に変わった遊具があった。
四角形を積み重ねたみたいな形で、その割に中はスカスカで、夕陽の光がその合間から抜け出ていた。
オレンジの光が、その遊具を象った影を生み出して、私自身の影をその中に囲っていた。
でも、時間が経つと影は移りいく。
遊具の影は横倒しになっていき、私の影だけがその場に取り残される。
いらない皮を拭い去ったように残ったそれが、なんだか不気味なようで親しくも思えた。
そんな記憶がある。
透「あー、わかんない。わかんないってやっぱ」
ようやっと、浅倉透の影が、囲いの中から見えてきた。
お節介の奔流に飲まれてから、水面にやっと見えた右手。
それは確かに彼女自身が伸ばして、世界を繋ぎ止めようと伸ばした右手なのだ。
透「もう死んでもいいって、別れも辛くないって。そう思ってたのに」
134 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:38:31.47 ID:ZSVkFOz00
透「なんか、勿体無いかもね。ここで死ぬの」
135 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:40:14.47 ID:ZSVkFOz00
透「マジでわからん、これ」
ルカ「お、おい……」
透「いや、覆したりはしないけど。死ぬって、死ぬ死ぬ」
透「だけどさ、ちょっと寂しいかも。うちはここで完全に終わっちゃうしさ」
雛菜「……忘れないよ」
雛菜「この島での暮らしも、雛菜が一度死んだこともぜんぶぜ〜んぶ忘れても! 透ちゃんって言う友達がいたことだけは何があってもぜったいぜ〜ったい忘れないから〜!」
愛依「うん……うちも絶対忘れない。透ちゃんがうちらのことを守り続けてくれたこと、忘れないから」
結華「とおるんはオリジナルのとおるんには替われないけどさ、それは逆も然りってことで。とおるんと過ごした時間はここにしかないもん!」
美琴「あなたの存在は絶対に残してみせる。それが私の責任だから」
透「あー、ちょっ。やめてって、そういうの」
透「来るから」
人とアンドロイドの違いを「心」で説いた学者が、今ここにいたなら私は迷うことなくその左頬を引っ叩く。
目の前に立つ彼女は心と呼ばれるものは確かに持ち合わせてはいないかもしれない。
自立した思考に見えるものも、緻密な計算の集合体であることは間違いない。
されど、そこに何もないかと言われればそれは違う。
浅倉透はよく出来たアンドロイドだ。
結果を導き出せないことを結果として飲み込むことができる。
虚数解を虚数解として定義できる。
私は、本来彼女に見るはずのないものを見た。
天井の照明を反射して、一筋の流星を描いた水滴は、人間のこぼす涙とは全くの別物。
都合や利益に濁りを受けた涙なんかと同じにしてはならない、ただ混じりっけのない純粋な一雫。
「心」なんて言葉で飾ろうものなら、その輝きが曇ってしまうだろう。
136 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:41:46.87 ID:ZSVkFOz00
シンギュラリティの壁にひとしきり落書きをし終えたところで、その時がやってくる。
私たちの感情と事情を幾度となく嘲笑い踏み潰してきた凄惨なるショータイム。
その幕開けが目の前に迫っていた。
透「もうこれ以上やっても渋りたくなるだけだしさ、終わらせようよ。そろそろ」
雛菜「……透ちゃんがそう言うなら、そうかも〜」
にちか「おしおきタイム……これ次第で私たちがどうなるのか決まるんですね」
これまでの虐殺に意味はなかった。
ただルールに則って命を奪い去るだけの調停の儀式のようなもの。
黒幕連中の描いたシナリオを飾り立てるだけのアクセントに過ぎなかった。
しかしながら今回ばかりはそうではない。
このおしおきは私たち自身にとっていちばん大きな意味を持つ賭けなのだ。
ベットにかけられているのは命と、それよりも大切な存在理由。
私たちが私たちのまま生きると言う権利を掴み取るために、自分達の命を危険に晒す。
流石に肌がひりついて仕方がない。
137 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:43:12.89 ID:ZSVkFOz00
愛依「……これ、失敗したらどーなんだろ」
冬優子「ちょっと……ここに来てそんな震えてんじゃないわよ、不安がりすぎ」
あさひ「なるようにしかならないっすよ、愛依ちゃん」
愛依「で、でも……」
一度は覚悟で蓋をしたはずの悪魔が、わずかに顔を覗かせる。
人の判断を鈍らせて、メデューサの呪いのように足を硬直させてしまう、その悪魔の名は恐怖。
悪魔の存在を智覚したとき、既にその悪魔には魅入られている。
努?「……待て」
しかし、躙り寄る終わりを制したのは、悪魔に魅入られた人間ではなかった。
その悪魔を飼い慣らして、恣にしてきたはずの存在が、掌を私たちに向けていた。
138 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:46:51.98 ID:ZSVkFOz00
真乃?「本当に、こんなところで終わりにするつもりなんですか……? こんな、中途半端なところで……」
甘奈?「方舟計画がこんな半ばで頓挫しちゃうなんて……そんなの、甘奈は嫌だよ……」
摩美々「ちょっと、ここに来てゴネ出すとか往生際悪すぎじゃないですかぁ?」
咲耶?「好きに言ってくれればいいさ。夢は全ての原動力、それを奪い取ろうとする者がいるなら私は再び武器をとろう」
何人もの姿を借りて私たちの説得にかかるAI。
私たちが生存理由を浅倉透に託したのと同様に、こいつも方舟計画に全てを託しているのだ。
ここで再び立ち塞がるのは納得はいく。
ただその説得は、これまでの強敵のイメージとは遠くかけ離れていて、精巧なコピーというよりは粗悪な模造品といったイメージを抱かせた。
139 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:48:50.82 ID:ZSVkFOz00
霧子?「透ちゃんもこんなところで死にたくないよね……命が、もったいないもんね……」
小糸?「し、死んじゃうのってすごく辛いんですよ……そ、そんなの嫌ですよね……!」
透「……」
私たちの覚悟が並のものでないと悟ったからなのだろうか。
浅倉透に縋り付くようにして、必死に死の恐ろしさを説いた。
誰もそんなものに耳を貸すはずもないのに。
凛世?「死ねば、空虚な時に呑まれるばかり……孤独に耐えながら、無数の時を送る……その覚悟はおありですか……?」
何度も命を奪い去ってきた存在が、生きろ、生き残れとあれこれ手を尽くす。
それに耳をかさずに死に向かってまっすぐ進んでいく浅倉透。
生と死が入れ替わったような倒錯状態に、いよいよAiは目に見えてふらつき出す。
140 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:49:47.72 ID:ZSVkFOz00
めぐる?「死なないで! 死んじゃダメだよー!」
透「……死ぬとか、そういうのじゃない」
めぐる?「人間でも機械でも死は死だよ! 救済なんかない、ただ周りの人間にいいように使われて終わるだけの、見せ物になっちゃうのが死なんだよ!」
透「だから、そういうんじゃないって」
透「私はみんなのためにバトンを繋ぐだけ。生きるためのバトンを、みんなに渡すって」
エゴイズムに偏るたびに、私たちのイメージから乖離していく。
もはや粘土細工の方がマシとすら思えるほどの、騙りに堕ちていくAIを、浅倉透は悠然と突っ撥ねた。
円香?「……は?」
それがよほど癇に障ったのか、AIは真似る体裁すらも捨て去り始めた。
ただ悪態をつくだけ、不平不満を吐きつけるだけ。
そこにアイドルの面影などどこにもない、醜く膨らんだ不出来な人形に、もはや情など寄せられない。
141 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:51:12.55 ID:ZSVkFOz00
甜花?「え、えっと……人がこんなにお願いしてるのに……それ、無視しちゃうんだ……」
樹里?「じゃあもう知らねーよ、ぜってー許さねえから」
結華「別にあなたに許されなくたっていいよ。誰も求めてないから」
めぐる?「そもそもダンガンロンパ の人格を入れ込むには元の出来が悪かったんだよ! 友情とか絆とか、そんなものを連呼するような弱者は器に似合わないもん!」
甘奈?「もうみんなの方が用済み☆ 失敗しちゃえ☆ 世界に裏切られちゃえ☆ 消滅しちゃえ☆」
夏葉「……酷いものね、直視に耐えないわ」
愛依「こんなの、みんなが言うはずないのに……」
小糸?「何をわかった気になってるんですか? ぴぇっ……」
透「もう、これ以上はダメ。これ以上姿を真似させて、穢させるわけにいかないから」
場を荒らすだけに堕ちてしまったそれに剛を煮やした浅倉透は、ついにそのスイッチを手に取った。
押した瞬間に舞台の幕が開け、ギロチンが持ち上がる処刑台の電源ボタン。
その時が、来る。
142 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:52:15.64 ID:ZSVkFOz00
透「はじめるよ、そして……終わりにするよ」
この島の生活の全てを終わらせる時が。
透「今回も、超高校級のAIである浅倉透さんのためにすぺしゃるなおしおきを用意しました」
かつての私の思惑を粉々に砕く時が。
透「それでは張り切っていきましょう」
この記憶と感情を、無に帰す時が。
143 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:53:27.72 ID:ZSVkFOz00
透「おしおきターイム」
友にすべてを託して、祈る時が。
プロデューサー?「やめろ、やめてくれええええええ!!!!!」
144 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:56:19.54 ID:ZSVkFOz00
-----------------------------------------------
CONGRATULATIONS!!
アサクラさんがクロにきまりました。
おしおきをかいしします。
-----------------------------------------------
145 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:57:37.86 ID:ZSVkFOz00
元々、彼女は彼女ですらありませんでした。
0と1の組み合わせによって定義される、仮想現実の中にしか存在し得ない、実態を持たない存在。
あったのは、目的だけ。
283プロの人間を守るという目的のためだけに生み出されたそれが、名を持つようになったのは擬態という手段が付け加えられたから。
それでも彼女は目的を入れ込むだけの箱に過ぎず、ずっと空虚な存在であり続けました。
プログラムされた行動を、忠実に再現するだけのカラクリ。
そんな透明で偽りだらけの存在が、群青の月夜に溶け込んで……いよいよここまで来ました。
さあ、始めましょう。
そして、終わりにしましょう。
この透明な世界を_______
-----------------------------------------------
さよなら 透明だった僕たち
超高校級のAI 浅倉透処刑執行
-----------------------------------------------
146 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 21:59:23.44 ID:ZSVkFOz00
裁判上の床が抜け、浅倉さんは真っ逆さま。
地下の奥底の裁判場、さらにその床下に眠っていたのは見渡せないほどの広大で終わりのない空。
パラシュートも何もないスカイダイビングに、体はどんどん加速しながら降下していきます。
そんな彼女を待ち受けていたのは、大きな大きな虹のアーチ。
七層に分かれた光の海、浅倉さんは頭から突っ込んでいきました。
最初の層は赤の層。
人々に情熱を抱かせるような猛り燃え盛る光は、マグマに由来していたもの。
光を突き抜けたかと思うと、浅倉さんはマグマに真っ逆さま。
美しいその白肌は灼熱に焼かれて爛れていきます。
2つ目の層は橙の層。
人々を元気づけてくれるポカポカと温かい光は、太陽のコロナ、その残像。
ただでさえ爛れていた肌は、丸焦げになってしまい血が流れることもありません。
147 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 22:00:39.63 ID:ZSVkFOz00
3つ目の層は黄色の層。
幸せを象徴するようなその光は、雷が走らせた閃光。
浅倉さんの頭から足先にまで、超強力な電流が走り、その筋繊維を破壊しました。
4つ目の層は緑の層。
目に優しく、心にも安らぎを与えてくれる光はレーザーライトから。
鋭利な光は、肌に明確な傷をつけながらその体を通過していきます。
5つ目の層は青色の層。
澄んだ心を取り戻させるその色は彼女にとってもホームグラウンド。
極寒の大気に飲み込まれた指先は裂傷を引き起こし、いつもなら飄々としている表情を苦痛に歪めました。
6つ目の層は藍色の層。
冷静さの象徴とも言うべき、深い海のような色はプロジェクターのスクリーン。
浅倉さんの影が藍に落ちると、すぐにその影を槍の影が貫きました。
ポタポタと滴り落ちる液体まで、しっかりと投影されて臨場感も抜群です。
148 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 22:01:21.68 ID:ZSVkFOz00
長いレインボークルーズもいよいよ終着点。
最後の深層に待ち受けていたのは紫の層。
赤と青が入り混じる混沌とも言うべきその色は、ぐつぐつと煮えたぎる毒沼が発していた異常光。
これまで6つの層を通過して、その体に鮮やかな色を受けてきた浅倉さんでもここに堕ちてしまうのは不本意でしょう。
だってここまで強い色なら、他の全てを飲み込んでしまうのだから。
浅倉さんは決して透明ではなかった。
繊細で淡い色を、確かにそこに宿していた。
その微かな色合いが人々を惹きつけてならないのです。
……だから
彼の精巧なコピーであったもう一つのAIが、その本懐に目覚めて、再び穴を覗き込んだとしても何らおかしなことではないのです。
「バーン」
天井努の幻影が顔を覗かせたその瞬間を浅倉さんは逃しませんでした。
弾丸は深層から表層に向かって一直線に突き抜けて、その額を貫通。
眉間に穴が開くとすぐに天井努の幻影は目ん玉をぐるんとひん剥いて、力なく穴から落下。
すぐに浅倉さんと共に毒沼の底へと沈んで行きました。
透明な存在であり続けようとした浅倉透のコピー。
その最後に手にした色は、あまりにも毒々しく、そして野暮ったい色合いだったとさ。
149 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 22:09:07.75 ID:ZSVkFOz00
「……終わった、な」
浅倉透と天井努の末路を見届けた私たちの胸中は自分達でも意外な心持ちだった。
別離に悲観するでもなく、天井努の亡霊を葬り去ることができた達成感でもなく、まるで他人事のようにフワフワと実感がない。
「透ちゃん、ちゃんと決めてくれたね」
「AIの眉間に一発、すごいコントロールじゃーん」
「透さん……すっごくかっこよかったです!」
どちらかといえば晴れやかな感情なのだろうが、プラスに振り切れているかと言われればそうでもない。
「……本当に、これで透ちゃんとお別れなんだ」
長い時間を共に過ごした相手の消滅に、少しも消沈がないのでは見合わないだろう。
150 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 22:10:43.91 ID:ZSVkFOz00
『……みんな、彼女のことを大切に思ってくれてありがとう。俺が言うのもおかしな話だが、透は最後の最後まで幸せだったと思う』
事の顛末、それに伴う私たちの反応を観客席で眺めていた男はそう投げかけた。
奴からすれば、浅倉透がここまでの存在に化けたのはさぞ意外だったろう。
私たちを掬い上げる救世主は、いつしか世界の命運をも背負い込み、見事その期待に応えてみせたのだから。
「……しかし、こうなるといよいよ猶予は無くなりましたね」
風野灯織の指摘通り、奴ら二人の消滅からすぐに、世界のあちこちに綻びのようなものが見え始めた。
描画されている背景の一部が切り取られたように剥がれ落ちたり、動いていたものが慣性を無視して急速に止まってみせたり。
私たちの知る秩序というものに悉く反し始めた世界は、その終焉が近づいていることを声高に主張してくれた。
「うわっ! すごいっすよ、手! わたしたちも、世界と一緒に消えちゃうんっすね!」
ふと視線を手元に移せば、手の甲に浮かび上がる0と1の数列の鎖。筋繊維が本来あるところには複雑なプログラムコード。
そう、あくまで私たちはこの世界におけるアバターにすぎない。
待ち受けているのは、この世界の末路と同じ。
違うのは、ここで書き換えられたプログラムコードは現実でも復旧ができるかもしれないということ。
その保証はないので、あってないような差異ではあるのだが。
151 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 22:12:11.06 ID:ZSVkFOz00
「……いよいよ、腹を括らなきゃいけないんだね」
「……おう」
隣に立つ美琴が私に話しかけた。
流石にこの局面には美琴も思うところがあるらしい、いつもの感情を悟らせない表情とは違ったものを浮かべている。
「まあ、大丈夫だ。美琴は結果がどうあれ変わりゃしないって」
「……でも、ルカは」
「……まあ、それは、な」
それは名残惜しさに近かった。
人の縁というのは、最初に結ぶ時よりも、改めて結び直す時の方が難しいとはよく言うもので、私と美琴の仲を補修する機会は現実では永い間無かった。
それがこの島で漸く叶った。
一度解けたものを結び直すのに手こずるなら、二度解けたものを結び直す手間は言うまでもないだろう。
152 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 22:13:31.56 ID:ZSVkFOz00
「オマエが一番よく知ってるだろ」
それでももう私たちはその手間を厭わない。
手間は時間の浪費ではなく、余白のある長旅だ。
何度も結び直すのは追体験であり、やり直しではない。
「何度も何度も繰り返して練習するうちに、脳で考えるよりも体が覚えてくる。体のメモリーは何があってもなくならないんだからな」
「……そうだね、振りは覚えるんじゃなくて、体に憶えさせるものだから」
「それと同じだ。何度だってやり直せばいい」
それに、同じ出来事は繰り返せば繰り返すほど、身に染みて馴染んでいく。
さもそれが自然であるかのように、無自覚に体は学習していく。二人が並んだその場所こそが安息地なのだと本能が学習する。
考えるまでもなくその場所にたどり着けるまで繰り返せばいい。
私たちの葛藤を徒労だなんて誰にも言わせない。
153 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 22:18:45.25 ID:ZSVkFOz00
「ま、最悪の場合でも美琴さんは私がいただいていっちゃうのでご心配なさらずにー」
「……ハッ、言ってろ」
それにモチベーションの点は心配いらない。
私を無駄に煽り、焚きつける存在がいる。
この島に来る前の苛立ちを思えば、衝突は嫌でも起こる必然なのだろう。
「……さあ、いよいよだ」
世界の崩落がいよいよ目の前にまで波及し出した。
私の今立っている証言台も端から光の粒子になって周りと混ざり始め、私の体も徐々にコントロールできなくなってきた。
きっとこのまま、ドロドロに蕩けて全ては一つになる。膨大な情報の渦は全てを巻き込んで一点に固まって終わるのだ。
154 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 22:20:25.66 ID:ZSVkFOz00
「次に目覚めた時の挨拶、考えておいた方がいいかもね」
「……んだそれ、何か変わんのか?」
「察し悪いですねー、戻った後で私たちの関係性はどうなってるかわからないんですよ?」
私たちは前に進む。
その手に未来を掴み取るために。
自分たちで選んだ未来を掴み取るためには、その未来に近づくための一歩が必要だから。
「んなことは分かってる。でも、だからって……何も変わりゃしねえよ」
私たちは前に進む。
そうじゃなきゃ前に進むと決めた以前の自分に嘘をつくことになる。
一度決めたからには貫き通さなければ不義理だから。
「私たちは仲良しこよしのお友達じゃない。同じステージに立つ仲間でもない。ただ同じ時代を生きて、たまたま巡り合っただけの仲なんだから」
「記憶の有無なんかで左右されるほどしっかりした結びつきなんかじゃねえだろ」
「……ふふ、そうだね」
「まあ、確かにそうですね。ルカさんの口が悪いうちは変わらないですねー」
155 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 22:22:05.46 ID:ZSVkFOz00
私たちは前に進む。
他の誰かに、追い越されないように。
進んだ先で、待っている奴がいるから。
「それじゃあ、また後で。ルカ、にちかちゃん」
「おう、寝坊すんなよ」
「はい! 待ってます!」
156 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 22:23:09.39 ID:ZSVkFOz00
予期せぬエラーが発生しました
強制的にシャットダウンします
エラーコードA-0000000000000045
「新世界プログラム」の継続に負荷がかかっています
Code:reproduce…………interrupt.
user>command>shutdown
1291021483471834819483742157356
1910431048934819473195748190533
8882147936493271042894613912213
4241542656434213214254346578462
71309148031214039584102153201032
シャイニーダンガンロンパ2 ゼツボウノアイドルトキボウノシマ…………end
157 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 22:25:25.49 ID:ZSVkFOz00
-------------------------------------------------
CHAPTER 06
絶望、あるいは逃げられぬ希望
END
残り生存者数 ???人
-------------------------------------------------
158 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 22:27:18.17 ID:ZSVkFOz00
【CHAPTER 06をクリアしました!】
【クリア報酬としてモノクマメダル160枚を手に入れました!】
【アイテム:データの残滓を手に入れた!】
〔283の人間を騙っていたプログラムの残滓。エラーを吞み込んだコードには異物が混じり、再現することは適わない。そこに眠る想いも、在ったはずの野望も区別はつかない〕
159 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 22:28:29.67 ID:ZSVkFOz00
------------------------------------------------
EPILOGUE
神様は死んだ、って
------------------------------------------------
160 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 22:30:41.39 ID:ZSVkFOz00
コンクリートと鉄板で打ちっぱなしになった空間に張り巡らされるケーブルは、部屋の中央に鎮座する巨大な装置に集うようにして点滅する。
部屋には常に排気の轟音がしており、部屋の室温も他の部屋に比べると少しだけ高くなる。
優れた装置を扱うことの代償は、目に見えて大きい。
「……やはり、全員がすぐには……難しい、みたいだな」
男は透明な強化プラスチックで蓋をされたポッドを撫でながらそう呟いた。
視線の先には、呼吸器をつけられた少女が横たわり、瞳を閉じている。
規則的に鳴る電子音だけが、彼女の生を語る。
「すぐには……ですか」
その副詞には、これから先には必ず、という意味が見え隠れしていた。
彼女たち自身が選んだ未来を信じて疑わない、彼の職責とその自負が見て取れる。
横に立った女性はそんな彼の心構えに微笑みを添えた。
161 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 22:32:00.30 ID:ZSVkFOz00
「……これもあの人から見て学んだ、プロデューサーとしての気構えですよ」
彼は、憎き仇に思いを馳せていた。
自分の目の前で昏睡する少女たち、彼女らを追い込んだのは間違いなくその男なのだが、彼は男を恨みきれずにいた。
師事を仰ぎ、背中を追い、横に立とうと努力をしてきた。
そのために注いだ己の心血は間違いなく本物であり、それを否定することは彼女たちへ捧げてきたものの否定にもなるからだ。
「ご立派です、プロデューサーさん」
「いや、何も……俺は結局、あの人のことも守れなかったんですから」
「……肩を落とさないでください、確かに私たちはプロデューサーに救われたんです」
謙遜が自虐に変りかけたところで、別な少女が背後から声をかけてきた。
振り返るとそこには、口元に魅力的なほくろを携える黒髪の少女。
彼女は、彼がプロデュースしてきたアイドル、その張本人だ。
162 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 22:33:01.33 ID:ZSVkFOz00
「1回目のコロシアイも、今回のコロシアイも、すんでのところでプロデューサーは掬い上げてくれました。プロデューサーが確かに守ったものがあるんです」
「ありがとう、灯織たちの方がもっと不安なのに心配かけちゃ悪いよな」
「いえ、お気になさらないでください……」
彼女は完全に一度死んだ。
仮想空間の中での死亡とはいえ、脳自体も己の死を自覚し、完全な脳死にまで陥った。
それでも今こうして立つことができているのは、装置に備え付けられた生体保存の機能、そして彼女が命を落とした世界そのものが消滅したことに由来する。
肉体と死の間の紐付けがなくなった、と表現するのがいいだろうか。
「他の方々は、まだ……」
「これであの裁判からもう1週間になる……まだ意識を取り戻している方が少ないな」
「……」
大きな災害があった直後や戦争の最中、夥しいほどの犠牲に収容できる場所が間に合わず、
ブルーシートで覆うだけした蛹が並べ立てられているのを見たことがある。
それと現状は大差ない。
目を覚ますこともなく、反応も示さない。希望も絶望も在るのか分からない棺が並んでいるだけだ。
163 :
◆vqFdMa6h2.
[saga]:2022/12/03(土) 22:34:27.82 ID:ZSVkFOz00
「新世界プログラムの方はどうなっているんですか?」
「ああ、はづきさんと一緒に解析を進めているけど……プログラムを書き換えたのは相当な手練れらしい、難儀しているよ」
「それに加えて強制シャットダウンで予期せぬダウンが起きてますから、エラーにエラーが重なってるイメージですね〜」
「……そうですか」
はじめに彼らがこの島に上陸した時には、こんな展開が待っているとは思いもしなかった。
コロシアイの最中、消息を絶った仲間たち。
その所在がわかってすぐに飛びつけば、そこにいたのは意識を失い仮想空間でのコロシアイに挑まされている非常事態。
冷静な判断など下せるはずもなく、今に至る。
まして、その参加者の中に首謀者がいるなんて思いもしなかった。
「灯織、記憶はどうなってるんだ」
「この島に来る以前の記憶も、今ははっきりとしています。対照的に、新世界プログラムの中で起きた出来事はどこか朧げというか……」
「やっぱり、強制シャットダウンの影響は出てしまうんだな……」
あのシャットダウンから、何人か目を覚ました人間はいる。
こうして今立って会話をしている風野灯織はその中でも最も良い形での復帰をした例。
自立した思考に、ちゃんとした受け答え、記憶にこそ障害は残っているが、基本的には元通りだ。
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