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【安価スレ】堕ち行く光
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/07/31(日) 23:26:38.97 ID:DydsF5+UO
生きるということは、背負うということ。
道半ばに斃れた仲間の想い、願いを背負い、進むということ。
生きるということは、苦しむということ。
生きている限り、離別と喪失の苦しみは際限なく襲ってくる。
理不尽や不条理の苦しみも、生きている限りは決して終わらない。
生きるということは、奪うということ。
進む道を阻む者の命、希望、心を踏み躙り、断ち切る。
この世に生きる者は皆何かしらを奪い、骸の上に生きている。
苦しむ心を。責任を。全てをかなぐり捨てることが出来たら、どれだけ楽だっただろう。
何も感じない心を持っていれば、どれだけ楽だっただろう。
今までに、どれだけ苦しんだだろう。
これから、どれだけ苦しむのだろう。
そんなことを考えながら、俺は目を閉じた。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1659277598
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/07/31(日) 23:27:31.09 ID:oe7E69neO
曇天の空から降り注ぐ豪雨が、乾いた大地を潤す。その中を、一人の青年が歩いていた。
精気の抜けた顔は雨とも涙ともつかぬ液体で濡れ、その眼差しは深淵のごとき闇を湛えている。
誰の目に見ても悲惨な出来事があったのだと想像させる姿であり、事実、彼にとっては世界に絶望するに足る悲劇があった。
麻布に覆われた『何か』を大事そうに抱き抱え、当もなく彷徨う旅人は、この世界に希望など抱いてはいなかった。
「…滑稽だな。俺も、貴女も」
人のために戦い、傷つき、癒し。その結果が護りたかった人々からの痛罵とは。
端から見返りなど求めていなかったが、こうも堂々と非難され、手のひらを返されては呆れることすら出来なかった。
寧ろ、その結末を見抜けなかった自分の眼の節穴具合に嘆息するばかりだ。
「貴女は良かったのか?こんな終わり方で」
麻布を捲り、顔を露出させる。その表情からは、彼女の後悔がありありと感じられる。
「俺は…嫌だな…」
勇者は聖女の亡骸を強く抱きしめ、声無き嘆きを上げた。
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/07/31(日) 23:27:58.70 ID:Zpw2gTweO
血に染まった晩餐会は、主催者の悲鳴を以って幕を閉じる。穢された思い出は消えることなく、記憶を蝕み続ける。
「なんでだよ…クソッ…。なんで、アンタたちは…」
過去に裏切られた勇者は、両の手に握られた剣を持つことを忘れ地面に蹲る。
ズキズキと痛む頭を抱えながら、眼前の地獄を記憶に残す。
物言わぬ肉塊となった王と宰相らが、この国の運命を告げている。動乱に呻く時代を示している。が、そんなことはどうでもよかった。
ただただ苦しかった。あれほど輝かしかった思い出は、どす黒い悪意に塗れて心を蚕食していく。
目の前の光景が現実なのだという事実が、どうしようもなく辛かった。
「…はは…はははははは…!」
その現実から逃れるべく、勇者はひたすらに笑う。世界に翻弄される愚者たる自身を嘲る。
もう、勇者は既に死んでいた。その抜け殻たる虚ろなる者、幽者だけがそこにいた。
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/07/31(日) 23:28:31.39 ID:tPwhg3wRO
懐かしい夢から目覚め、自室を出る。右腕の包帯を外すと、昨日負ったはずの傷は跡形も無くなっていた。
「…ぷはぁ」
戦利品のワインをラッパ飲みで一息に飲み干す。葡萄が有名な村の名産品なだけあって、下手な酒場で味わったものよりも数段美味だった。
ここまで美味いなら一気飲みするのはもったいないかもしれない、と若干の後悔が生まれたが気にしないことにする。
欲しいならまた奪えば良い。今までそうやってきたのだから、躊躇う必要は無い。
「non dubitabis(汝、躊躇うべからず)…。先人は良い名言を残してくれたものだよ」
jus rem agis(正しい行いをする者よ)、という枕言葉が前にあったはずだが、別に無視していいだろう。人のやりたいことを妨げるのなら、馬に蹴られて死んでも仕方ないものだ。
どうしても妨げたいのなら、力で捻じ伏せるしかあるまい。
そんな思考をしつつ空になったワイン瓶を机に置き、作り置きされていたパンを片手に家を出た。
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/07/31(日) 23:29:31.21 ID:1tIcqOPCO
【名前】リヒト・ブラウダ
【人種】人間
【性別】男性
【魔法】光魔法及び冥光魔法
碧眼のみが産まれるブラウダ家に突如産まれた紅眼の忌み子。
『自由の身となる代わりに金輪際家名を使わない』という誓約を結んだため他人は彼の姓を知らないが、家名を持たない人は割といるので特に気にされていない。
愛されたことがないので愛し方を知らず、故に愛に飢えている哀しき人間。
根は善人なのだが、目的のためなら非道を厭わない黒い部分がある。
現在は特級指名手配されているため、偽名である『リュクス』という名を使っている。
【どういうスレなの?】
このスレはリヒトが自分を信じてくれる人のために、そして誰にも裏切られたくないリヒト自身のために国を作るスレです。
それまでに何をするかは自由です。
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/07/31(日) 23:33:21.18 ID:Vu/EZF18O
というわけでスタートです。現在のリヒトに同行してくれている仲間を計2名募集します。内訳は下記の通りです。テンプレートも併記しております。
必要数:1 指名手配直後からの仲間 性別不問
必要数:1 壊滅させたキャラバンから強奪した仲間(奴隷) 性別不問
【テンプレート】
【名前】その名の通り。
【人種】その名の通り。
【性別】その名の通り。
【魔法】どんな魔法を得意とするか。全く使えない人もいます。
魔法から下は自由記入欄となります。来歴や特徴などご自由にお書きください。
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/01(月) 04:16:23.88 ID:ZNyStH1No
【名前】マナ
【人種】妖精
【性別】女
【魔法】祝福魔法
故郷を焼かれ、帰る場所を失った妖精の子
かつては同種の仲間に囲まれて幸せに暮らし、生命を愛する心を持っていた。しかし今は生命の存在、活動にやや否定的
特に今後の目的や展望があるわけではなく、故郷を焼いた者に復讐するほどの熱意もなく、日々無気力に過ごしている
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/01(月) 08:33:49.19 ID:OIJ2a2Ke0
【名前】シルヴィア・レイナス
【人種】人間
【性別】女
【魔法】全属性が使用できるが、後述の腕輪のせいで魔翌力のほとんどが封じられている
美しい銀髪と抜群のスタイルを持つ妖艶な美女
絶大な魔翌力と全ての属性の魔法を使いこなすという類い稀な魔法の才能を持ち、賢者として崇められていた
しかし彼女の非凡すぎる才能を次第に危険視したり嫉妬する者達が出始め、ついには騙されて魔翌力を抑制する腕輪をはめられた挙句殺害されそうになってしまう
辛くも逃げ出せたものの、その事については強い恨みを持っており、自分を殺そうとした者達への復讐、
ひいては才能ある者達が生まれや性別などに囚われず、正しく評価される世界を作る事を目指している
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/01(月) 19:27:33.92 ID:9/m36iXY0
【名前】ウルトラレイン
【人種】女性型のウルトラマン
【性別】女性
【魔法】ウルトラマンに変身出来る、格闘技や光線を出して怪獣と戦う
力自体は非常に強力だがウルトラマンの宿命で地球状では3分間しか地球状では戦えない、
【その他】 変身した姿は長い銀髪と青い瞳を持った美しい戦乙女、体のデザインは青色がメイン
【性格」正義感がとても強く、お嬢様言葉を喋る
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/02(火) 09:41:28.27 ID:m+wh6UcvO
爛々と照り付ける太陽が眩しい。天気が良いのはいいことだが、限度というものがあるだろう。
未だに散乱したままの瓦礫を破壊しつつ、天気に対する愚痴を漏らす。それで何かが変わるわけではないが、気休めにはなるものだ。
「おはようリヒトくん。私お手製のロイヤルなブレッドのお味はいかがかな?」
「普通。パン窯とかないから最初から味に期待してなかったが」
「お世辞でもいいから褒めてもらいたかったねぇ」
「そこまで俺は気が利かないものでね」
切り株に腰掛けてロイヤルなブレッドを頬張っている、美貌が台無しになっている女性。
彼女の名は『シルヴィア・レイナス』と言う。
流行に疎いリヒトでもその名を知っていたほどに著名な人物で、並び立つ者はいない、と断言されていた大賢者"だった"。
その才故に尊敬を集め、その才故に嫉妬に塗れた。
そして、人の悪意によって、自身を支えていた大いなる翼は奪われた。
今の彼女は、知識だけが取り柄の無力な人間と化している。過去の面影はその姿しか残っていない。
翼を失った大賢者は幽者に救われ、希望を無くした幽者は大賢者に救われた。
その関係とある種のシンパシーが、彼らを繋ぎ留めている。
「アレはどうだ?」
「意気消沈…というか、無気力状態だね。完全にやる気なし子ちゃんだよ」
リヒトがアレと呼ぶ、偶然幽者の目の前を通りがかってしまった不運なキャラバンから強奪した戦利品。人の悪意に故郷を奪われた人ならざる者。
それは、苦しみから逃れるべく心の檻に閉じこもっていた。
「…そうか。ま、しゃーないよな。ちと様子を見てくるわ」
「行ってらっしゃい」
勝手に死なれては大損だと、リヒトはわざとらしく口にしてアレの元に向かった。
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/02(火) 09:41:58.38 ID:m+wh6UcvO
「−−−−」
鬱蒼と繁る森の中、それはいた。背中から水晶のような羽を生やし、虚ろな表情で空中を漂っている。
その姿からは生きる気力を感じられず、漏れ出すように紡がれる歌は人には理解出来ず、ただ脳を蝕む。
「んな顔するなよ。生きてたら俺みたいにいいことがあるって」
喉元まで込み上げている嘔気を押し留め、平静を装い声を掛ける。歌は止まり、不快感も治まった。
「…どんないいことがあったの?」
「…まぁ、色々ですね」
いいことなぞ全く無かったので、追及されるのは困りものだ。そんなリヒトの心情を察したのか、それとも興味が無かったのか。
妖精は目を閉じ、後ろを向いた。
嘗て昏迷の森と呼ばれる地域に暮らしていた、という『マナ』と名乗った妖精は、自宅に連れ帰ったや否や近隣の森に逃げ込んだ。
逃げ込んだというよりは、こちらの方が居心地が良い、と言った方が正しいのかもしれない。
彼女ら妖精は、本来人の世に出てこない存在だ。森の奥で、自然と共に在るのが妖精というものだ。
そんな存在であるマナが、人の暮らす家を拒絶するのは道理と言えよう。
空に浮かび、瞑目しているマナを見たリヒトは踵を返す。
何かあったら助けを呼ぶように伝えると、妖精は小さく頷いた。
『なぜ、わたしをたすけたの?』
帰りの道すがら、救出されたマナに問われた言葉を思い出す。頭をガジガジと掻きながら、リヒトは声を漏らした。
「…言えるわけねぇだろ、クソ…」
あんな悲しそうな顔をされたら、目を背けることなんて出来なかった。そんなこと、本人には言えなかった。
自分を誤魔化すように頭を振った後、リヒトは足速に駆けていった。
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/02(火) 09:42:32.92 ID:m+wh6UcvO
「さて、ゴミ掃除ついでに作戦会議といこうか」
「ああ」
数百年前に定住を試みた先人が残した家屋。その全ては自然に呑まれて廃墟と化した。
人が文明を築いてから日が浅い現代では未開拓の領域はあまりにも広く、故にこうしてリヒトたちが隠伏生活を行えている。
「私たちの最終目標は何か。はいお答えくださいリヒトくん」
「自分の国を作って皆から愛されたい」
「うんうん。馬鹿正直に自分の願望を言ってくれてありがとう」
くつくつと笑うシルヴィアは揶揄っているのか、リヒトの頬をペチペチと叩く。これっぽっちも痛くないが、気恥ずかしいのでリヒトはそっぽを向いた。
「君は自分の国を作る。私は出生や性差等に囚われない、正しく才能や努力を評価される世界を作る。あとついでに私をこうした奴らを地獄に叩き落とす。という遠大な目標を掲げているわけだ」
人に話せば爆笑の後軽蔑が待っていること確実の、子供でも人に言わないほどの馬鹿馬鹿しい夢を、彼らは本気で、大真面目に成そうとしている。
一人は忌み子である自分でも、愛される権利を持っていることを信じるために。
一人は自身のような者を二度と生まないために。
「で、その過程に何が必要か話し合おうじゃないか。どうせ私が一方的に言うだけだろうけど」
どこから取り出したのか。スリムな眼鏡を付けたシルヴィアは、羊皮紙と羽ペンを片手に瓦礫に座った。
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/02(火) 09:43:18.53 ID:m+wh6UcvO
「まず私たちに足りない物は何だと思う?」
「人員。物資。領地。その他諸々」
「つまり全部足りないってわけだ。人手不足なのもそうだけど、物資が足りないのは痛いね。今有る物資も、私たちが数週間食い繋ぐのがやっとの量しかないからね」
「でもさぁ、物資を強奪(うば)っても運ぶ手段が無いじゃん。馬さえいないから俺が全部担ぐしかないし」
「だから、輸送手段が欲しいところだね。龍騎兵(ドラグーン)がベスト…次点で空騎兵(エアライダー)かな」
「最悪騎兵(ライダー)がいれば良いだろ。高望みしたってしょうがない」
「強欲じゃないのは偉いぞリヒトくん。愛されるために国を作ろうとしてる輩とは思えない!」
「忌み子が愛されるのを望んだって別に良いだろ!」
その後、あーでもないこーでもないと議論と言う名の談笑をする二人がいた。
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/02(火) 09:43:50.51 ID:m+wh6UcvO
何をするかを↓1にどうぞ。
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/02(火) 10:16:25.44 ID:uS8tcFE80
仲間を探す
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/02(火) 10:50:21.95 ID:uh0k/OhuO
「んじゃ、行きますか」
普段着から軽装に着替え、荷物を整理する。シルヴィアも同じく軽装に着替えて準備を済ませた。
「………」
マナ、ひいては妖精には着替えという概念がない。故に準備するものもなかったし、彼女にはそもそもする気が無い。
現在のパーティ構成は近接1、遠隔(笑)1、無職1という割り当てだ。つまり、リヒトが頑張らなければ全員死ぬ。
責任重大だが、勇者と呼ばれた彼の実力は伊達じゃない。並大抵の脅威であれば千切っては投げ千切っては投げである。
「頑張れリヒトくん。今の私は人喰いネズミにすら簡単に殺されちゃうからね!」
「自慢して言うことじゃねぇ!」
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/02(火) 10:56:45.88 ID:ctuF+rjyO
目的地を↓2にどうぞ。
A:賊のアジト 道中イベント:0
B:荒廃した街 ソルド 道中イベント:2
C:王亡き都 レムカーナ 道中イベント:4
D:普遍の町 アリフ 道中イベント:0
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/02(火) 11:12:17.29 ID:50IrCxfRo
踏み
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/02(火) 11:33:57.61 ID:mZq0QmmDO
C
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/02(火) 13:24:27.42 ID:JBqdiSZ8O
「いやーすまないね!勇者にすら打ち勝てる自分の才能が恐ろしいよ!!!」
「帰ったら許さねぇ」
どこに向かうかを決める一世一代の大博打。即ちじゃんけんに大敗を喫したリヒトは、シルヴィアを抱えたまま獣道を駆けていた。ちなみに、マナはリヒトの頭にしがみ付いている。
「俺の事情を知ってるくせにレムカーナを選ぶか普通!特級指名手配犯だぞ俺!?」
「大丈夫大丈夫。いざとなったら飛んで逃げられるでしょ君」
「精神衛生上非常によろしくない!あっ」
長い獣道を抜け出すと、そこは崖っぷちだった。勢いのまま飛び出した三人組は、重力に従い落ちていく。
一瞬焦った顔を見せたリヒトだったが、すぐに表情を元に戻し、意識を集中させた。
溢れ出す光が身を包み、光の翼を現出させる。飛竜の翼もかくや、というほどの雄大な翼を広げ、勢いよく滑空する。
「快適快適。私を落とさないよう気をつけておくれよ?」
「すぴーどさげて」
「注文が多い奴らだなったく!!!」
ぶつくさ文句を垂れているが、要望通りに快適なスピードを維持するリヒトだった。
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/02(火) 13:28:31.99 ID:T8j5xHVvO
道中イベント 判定↓1コンマ
01〜15:魔物の群れが現れた!
16〜30:ならず者が現れた!
31〜70:何も起きなかった!
71〜85:行商人が現れた!
86〜99:何かが起きた!(自由枠)
00:???
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/02(火) 14:48:53.70 ID:yi8LVW/DO
はい
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/02(火) 21:30:27.28 ID:EX6KTASnO
煌々たる星空が見える夜、川の近くでは小さな焚き火が燃えていた。パチパチと音を立てて燃え、風に揺れる炎は儚くも美しい。
「はふ…」
リヒトが設置した光源頼りに読書をしていたシルヴィアは、襲う眠気を誤魔化すことなく欠伸で示した。戦力の99.9%を占める要であるリヒトはここにいない。いる必要が無い。
「流石私。魔力を封じられても、叡智一つで問題を容易く解決出来てしまうなんて…。と、自画自賛しても、反応してくれる人がいないと存外つまらないものだね」
「………」
膝下に丸まって眠るマナの頭を撫でる。マナはじっとりとした視線を向けた後に、また目を閉じた。
退屈しのぎに、シルヴィアは小石を拾って軽く放り投げる。一定の距離を進むと、不快な音と共に塵と化した。
「…ちょっと出力上げすぎたかな。後で術式を調整しようそうしよう」
リヒトとシルヴィアの共同作業で構築された結界は、小規模な軍勢が匙を投げて不貞寝する程度には強固だった。
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/02(火) 21:31:17.00 ID:otp0XyTyO
野営地から少し離れた森の中。一人の青年が夜空を眺めていた。無数の魔物が跳梁跋扈しているが、怯えてはいない。
寧ろ、魔物側が怯えている。こっち来んなあっち行け。どこかに行ってくださいお願いします!と涙ながらに念じている気さえしてきた。
リヒトは星空に手を伸ばす。無数の星が手のひらに隠れるが、触れることはない。
「星に手を伸ばしても、決して届きはしない。俺の夢も、同じものかもしれない」
それでも。
「俺は絶対に、夢を諦めない」
決意を確かめるように、星を握りしめた。
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/02(火) 21:32:59.80 ID:Z3vjnK0VO
道中イベント 判定↓1コンマ
01〜15:魔物の群れが現れた!
16〜30:ならず者が現れた!
31〜70:何も起きなかった!
71〜85:行商人が現れた!
86〜99:何かが起きた!(自由枠)
00:???
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/02(火) 21:34:51.35 ID:dmml45dE0
あ
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/02(火) 21:45:31.37 ID:RcGmexNjO
「はい終わり」
最後の一匹を始末したリヒトは、剣に付いた血を拭う。光を湛えた聖剣は、ふわりと浮いて虚空に消えた。
慈悲を以って命を絶つ。一息に殺めるのはリヒトなりの慈悲であり、配慮だった。
一撃で絶滅しなければ、その分苦しみが続く。逃れ得ぬ死であるのなら、少しでも楽に逝かせてやろう、という優しさだ。
無論、それが自己満足であることは自覚している。殺しているのに何が優しさだ、との非難は甘んじて受け入れよう。
だが、この戦い方を辞めるつもりはない。迅速に、確実に殺めることは、自身の安全にも関わるからだ。
生き延びるから、禍根が生まれる。ならば、殺し尽くせば禍根など生まれない。
それは、度重なる激戦で得てしまった、常人とは異なる価値観だった。
「にんげんはなぜ、ほかのいのちをうばうの?」
不意に口を開くマナ。その問いに、リヒトは答えられなかった。
殺すことだけを求められた勇者には、正しい答えが分からなかった。
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/02(火) 21:46:18.65 ID:3gHmBlN4O
道中イベント 判定↓1コンマ
01〜15:魔物の群れが現れた!
16〜30:ならず者が現れた!
31〜70:何も起きなかった!
71〜85:行商人が現れた!
86〜99:何かが起きた!(自由枠)
00:???
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/02(火) 22:04:14.94 ID:50IrCxfRo
あ
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/02(火) 22:05:57.77 ID:Y5zXCckqO
どんなことがあったかを↓1に。話の流れにそぐわないもの、あり得ないものなどは下に流れます。
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/02(火) 22:11:11.76 ID:Ty+u76J0O
草木の生い茂る廃城を見つける
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/02(火) 23:22:21.37 ID:+TIyWFxxO
リヒトはシルヴィアたちより先行し、周囲に危険が無いか偵察していた。
しかし、目ぼしいものは何も見つからない。魔物もいなければ、賊らしき人影や馬車の痕跡すらも見えない。
「もう少し高度を上げるか」
光の玉を二発打ち上げた後に、さらに上へと飛翔する。合図を送ったから、二人もすぐ駆けつけるだろう。
「…む?」
リヒトから見て二時の方向。方角で言えば北西の先に、人工的な何かが一瞬見えた。
好奇心を抑えるつもりは端から無いので、仔細が判明する距離まで接近する。
ある程度近づいてから解ったことなのだが、人工的な何かとは『廃城を構成する見張り塔』だった。放置されて長いのか草木が生い茂り、蔦が表面を覆っていた。
我ながら良く見つけられた、と感心するほどに、風景に同化して分かりにくい。
鬼が出るか蛇が出るか。心躍る廃城探索の始まりだ。
口角を吊り上げたリヒトは、光を三度放った。
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/02(火) 23:22:59.54 ID:+TIyWFxxO
廃城前の石碑で合流した幽者御一行はまず、この城がどういうものなのかを調べることにした。
現代では使われていない文字に加えて経年による風化のせいで文字は全く読めなかったが、天才は格が違った。
「『ヴォルグス城』…で間違いないね」
文字を丸写しした羊皮紙を見て、シルヴィアは満足気に頷く。解読に成功したらしい。
「まぁ、私にかかればこんなものさ。早く中を調べようか。どんな書物が遺っているか楽しみでしょうがないよ!」
「わーってる。露払いはお任せあれってな」
聖剣を肩に担ぎ、リヒトは閉ざされた扉に触れる。鉄製の扉は錆び付いており、ビクともしなかった。
立ち塞がる困難は全て、この聖剣たちと共に乗り越えてきた。ならば、今回も同じようにするだけだ。
「…ぉらっ!」
リヒトは、全身全霊の蹴りを叩き込んだ。
「いや斬り捨てなさいよ。聖剣たちがかわいそうじゃないか」
「腕が痺れるからやだ」
轟音を立てて闇へと消えた扉をよそに、シルヴィアは呆れたように頭を抱えた。
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/02(火) 23:23:27.26 ID:+TIyWFxxO
『わたしはねてる』
とだけ言い残して木に寄りかかったマナを除いた、リヒトとシルヴィアコンビは意気揚々と廃城を探索する。
長い間人の手が加わっていなかったので内部は荒廃しており、触れただけで崩れ落ちるほど脆い足場もあった。
「………」
虫に食われ、カビが生えてマトモに読めない書物も散乱していた。なんとか読めそうな部分を見つけ出し、シルヴィアに解読を頼むが、溜め息ばかりが返ってくる。
「落書きでも書かれてたのか?」
「住人…正しくは衛兵の手記さ。この城が滅ぶまでの顛末が記されててね」
「へー。普通に重要な情報の気がするが」
「主観の…それも一つの視点で見た情報だけ手に入れても、という話さ。同じ筆者の手記だけを見たって何も得られやしないよ」
シルヴィアは不満そうに本を直し、自身の持つ羊皮紙を取り出した。そして、勢いよくペンを走らせた。
「とはいえ、数少ない情報だ。目に見える形として残せば、筆者も報われるだろう。興味があるなら、何が書かれていたか教えてあげるよ?」
「またの機会で頼む」
興味なさげにリヒトは答え、保存食の干し肉を齧った。
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/02(火) 23:26:47.13 ID:+TIyWFxxO
廃城探索 判定↓1コンマ
01〜30:宝箱を一つ発見。(安価一回)
31〜60:宝箱と新しい手記を一つずつ発見。(安価一回と情報を獲得)
61〜99:宝物庫を発見。(安価複数回)
00:???
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/03(水) 00:12:35.90 ID:SAvywdSDO
ん
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/08/03(水) 01:01:22.18 ID:OZv5ZrZgo
きたい
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/03(水) 01:14:17.85 ID:2kEEnaFQO
「お待たせしたね。さて、お次は君の番だよリヒトくん」
「ああ。頭を使う作業は任せた」
「任されたよ」
城内の廊下を歩きつつ、城中に巣食っていた魔物を一掃していく。所々腐敗している魔物が多いが、ゾンビの類ではなさそうだ。
「…この城が無人になった元凶だよ。その腐りかけのネズミや犬に噛まれたら、そこから疫病に感染して死に至るんだ」
「えっ」
「外に疫病が広まっていない理由は単純明快。この病気に罹った生き物は、日の光や水を極度に嫌うんだ。意志に関係なくね」
「つまり、この城から外に出られないんだ。一度出てしまえば、拒絶反応でたちまち息絶えてしまうだろう」
「…治療法は?」
「ない!」
なるほど。クソみたいな病気だ。二人は顔を見合わせて、冷や汗を流した。こんな病気に罹って死ぬなど、死んでもごめんである。
「見敵必殺だ。怪しい奴がいたら片っ端から教えてくれよ!」
「死にたくないから死ぬ気で探すよー!」
半ば自棄になった二人組は、お宝目指して城内を走り回った。
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/03(水) 01:14:54.70 ID:2kEEnaFQO
「…これで、粗方探し終わったかな」
宝箱がありそうな場所を調べ回ったが、どこもかしこももぬけの殻だった。見つかったものといえば、先人の遺骸くらいだ。
鎧と白骨が散乱した無惨な光景。嘗てはここが人でいっぱいだったと考えると、無性に悲しくなる。
今二人がいるのは、城主が利用していたであろう寝室だ。人が数人寝られるほどに大きなベッドと、埃を被った鏡台が特徴的な、しかしどの城でもよく見られる様式の部屋だった。
「…こりゃ期待外れだな。一休みしたらレムカーナに行こうぜ」
「ちょっと待っておくれよ…」
そう言って、シルヴィアは羊皮紙に図面を書き殴る。知識不足のため確証は無いが、ヴォルグス城の間取りに見える。
周囲を見渡し、独り言を溢し。正直関わりたくない行動をするシルヴィアから、リヒトは数歩後ずさる。
特に気にする様子もなく、シルヴィアは作業を続けた。
「解った!」
待つこと数分。突如、賢者が口を開いた。珍しく大きな声を出すものだから、リヒトは少し驚き、シルヴィアの方へ振り返った。
「解ったって、何が?」
「リヒトくん。そのベッドを壊すかどかしておくれ」
「ん」
指示を疑問に思いつつ、リヒトは剣を抜いた。光を纏った聖剣が振るわれ、光の奔流が壁ごとベッドを吹き飛ばした。
「やりすぎだけどまぁいいか。次は、そこにある瓦礫を取っ払って」
「了解。…おぉ?」
不自然に積み重なった瓦礫を排除すると、石製の梯子が目に映った。
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/03(水) 01:15:36.94 ID:2kEEnaFQO
リヒトは梯子を降りつつ、今の位置をシルヴィアに確認する。
「ここは、裏手のバルコニーから見えていた壁の出っ張りの部分だよ。てっきり、構造上作らざるを得なかった、補強用の部分だと思ってたんだけど」
「城内を調べて不思議に思ったんだ。ここには、貴重品を隠す領域が無いことにね。王権を象徴する宝具とかを、略奪者に奪われないように隠す秘密の部屋が普通はあるはずなんだ」
だが、そのような怪しい場所は見つからなかった。隠し通路や隠し扉も、床をいくつか破壊までして調べたが存在しなかった。
一階から最上階まで間取り図を書き出し、唯一そういった通路が隠せそうな場所がここだったらしい。
「最深部に到着…。何がありますことやら」
長い梯子を降り終えると、今度は石で作られた扉が目に映る。外気に晒されていなかったからなのか、新品同然の外見をしていた。
「それでは御開帳だ。3…2…1…0!」
力を込め、扉を押す。地響きと共に、ゆっくりと扉が動いた。
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/08/03(水) 01:18:53.93 ID:dx3FJKYUO
戦利品 判定↓3までのコンマ 最低2つ保証
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