勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編の完結

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728 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:23:30.78 ID:RKoe7B/E0
『武器屋』


ガチャリ ギー


店主「らっしゃい!!」

戦士「ほーう…中々色々揃って…」キョロ

少女「父も何か買うか?」

戦士「う〜む…盾を持ったままだとなぁ…」

店主「そんなお客さんには…パヴィースとクロスボウのセットをおすすめするよ?」ニヒヒ

剣士「あ!!ちょっと僕見たいな」フムフム

店主「はいはい…見て行って下さいな」

学者「リッカさん…この弓なんかどうっすかね?」ユビサシ

女オーク「う〜ん…」

店主「オークが使う弓でしたら…こちら」ドスン

学者「うわ…デカ…」

女オーク「これ…引いてみても?」

店主「どうぞどうぞ」

女オーク「フン!」ギリリ

学者「うわわ…ソレ全部金属っすよね」

剣士「姉さんなんか…ちょっと軽そうだね?」ジロジロ

女オーク「こういう物なのかも…」ハテ?

店主「それ以上の強弓は扱って居ないねぇ…どうだい買って行くかい?金貨30枚だよ?」

学者「おぉぉ結構しやすね…槍みたいな矢が一本金貨1枚っすね…」

女オーク「でもなんか違う…」

剣士「ちょっと見せて?」フムフム ジロジロ

学者「どうしやす?」

剣士「よし!!買うの止めよう!!なんか姉さんには合わない!!」

学者「アハ…いやまぁ良いんすよ?」

剣士「そんなでっかい弓なんか持ち歩いてたら姉さんの持ち味発揮出来ないさ…船に必要なら僕が作る」

女オーク「じゃぁ止めて置くわ」

戦士「ミライ君に考えが在りそうだね?」

剣士「うん…毒が必要なら弾丸に毒仕込めば良いのさ…そっち方向で工夫したいかな」

店主「いやいや買って行って下さいなぁ…」

剣士「また必要になったら買いに来るね〜」ノシ


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729 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:24:01.82 ID:RKoe7B/E0
『街路』


ワイワイ ガヤガヤ


剣士「実はね…姉さんは石の遠投が得意なんだよ」

学者「オークロードみたいな感じっすか?」

剣士「僕はオークロードを見た事が無いんだけど…拳ぐらいの小石なら300メートル位投げるのさ」

学者「ほーーー結構行きやすね」

剣士「もしそれが爆弾だったら?」

女ハンター「それは榴弾と言う…」

剣士「弓なんか使わなくてもそれで良いと思ったんだ…遠投して爆発したら鉛が弾ける…」

学者「それまさしく榴弾っす…ホラ?俺っち持って居やす…」チラ

剣士「姉さんは速さが命の戦い方だから重たい弓よりもその榴弾投げてる方が絶対良い」

女ハンター「300メートルと言うのは水平方向の話でしょう?…上にはそんなに飛ばないと思う」

剣士「あーーーーそうか…100メートルも飛ばないかぁ…」

学者「それでも上空で鉛が弾けるのはそれなりに効果有りそうっすね」

剣士「まぁ材料買って一回作ってみる」

学者「じゃぁ今から資材入手っすか」

剣士「うん!ついでに毒とか色々買って帰ろう…リコルさんの盾もパヴィースに改造するよ」

戦士「ハハ…クロスボウが無いがね」

剣士「いやいや榴弾投げて盾で守る…きっとそれで行ける」

戦士「なるほど…」

剣士「僕らには僕らの戦い方が有るよ…よーし!!やる事出来たぞぉ!!」


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『宿屋の納屋』


アーデモナイ コーデモナイ


学者「榴弾の構造を図解するとこんな感じっす…点火部分が2重になってるんすよ」

剣士「なるほどー…それで遅延して爆発するのか…」

学者「ミライ君の作る爆弾はその遅延を導線工夫してやって居やすね」

剣士「僕の爆弾は導線に火を点ける動作が必要になるんだ…咄嗟には使えないんだよね…うーむ…」

女ハンター「火打石で擦って点火してみては?」

剣士「なるほど…錬鉄擦れば火花が出るな…そこから導線に火が付けば良いか…」

学者「火薬入れる容器はポーションの空き瓶が丁度良い大きさなんでコレを使うとしてっすねぇ…」

剣士「口の部分に錬鉄で蓋をして…着火する細工か…よし!!何個か作って試してみよう」

学者「これかなり危ない実験になりやすぜ?即爆発するかも知れんっす…」

剣士「まず火薬無しで導線への着火実験かな…」

学者「じゃぁ俺っち必要になりそうな物調達してくるんで実験やってて下せぇ」

剣士「うん!!」


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730 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:24:29.68 ID:RKoe7B/E0
『夕方』


ガラガラ ピシャン!


学者「お!?兄貴ぃ…どうでしたか?」

盗賊「ダメだぁ…全く手掛かりが無い…ちっと金貸してくれぇ」

学者「あらら…どんくらい必要っすかね?」

盗賊「金貨10枚だ…やっぱ酒場とか怪しい場所で聞き込みしないとダメな様だ」

学者「あんま飲みで使わんで下せぇ…」ジャラリ

盗賊「ところでミライは何やってんのよ?」

学者「榴弾を作るんすよ…信管の部分を今用意出来る物で工夫してる所っすね」

盗賊「今までの爆弾じゃダメだってか?」

学者「やっぱ金属片入れて榴弾にしないと殺傷力無いじゃ無いっすか」

盗賊「確かに…」

学者「この辺に居る魔物相手だと今の武器じゃ通用しないもんで榴弾作ってるんすよ」

盗賊「銃器持って通用しないって事は無いだろう」

学者「兄貴…魔物討伐のビラ見てないんすか?10メートル近いワニとか居るみたいっすよ?」

盗賊「なぬ!?」

学者「俺っちのバヨネッタとか鼻くそっすね」

盗賊「まぁ…榴弾作るのは良いが怪我させんなよ?」

学者「へい…しっかり見ときやす」

盗賊「ほんで…俺は酒場とかで情報集めて来るんだが…ロボを連れまわる訳にイカンからちっと頼む」

学者「暇なんで整備しときやす」

盗賊「頼む…じゃぁな!」ノシ


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731 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:25:40.03 ID:RKoe7B/E0
『夜』


クンクン キョロ


少女「父!!母の匂い近いぞ」

戦士「お?こちらを見つけた様だ」

学者「あらら?兄貴がどっか行っちまってるんすが…」


ガラガラ…


中年の女「宿では無く納屋の中だったのね…」ツカツカ

戦士「空きが無かったのだよ…一人か?」

中年の女「あの子たちは二人ともシャ・バクダの方に行ったそうよ」

戦士「なんだ久しぶりに会うのを楽しみにして居たのに…」

中年の女「どうもギルドの連絡員が行方不明で私達の所へ連絡が途絶えて居たらしいわ」

戦士「そういう事か…」

中年の女「アランが見え無い様だけれど…」キョロ

学者「兄貴は情報収集でどっか行きやしたね…朝までには戻ると思うんすが…」

中年の女「まぁ良いわ…リコル?あなたにはちょっと悪いけれど私はしばらく留守にするわ」

戦士「…というと?」

中年の女「急ぎで例の書簡をシン・リーンへ届けなければいけない」

戦士「どうやって行くんだ?」

中年の女「気球の定期便でシャ・バクダに向かって娘2人連れて森を抜けるわ…あなたは連れて行けない」

戦士「森を抜ける…昔エルフの森だった場所か…」

中年の女「そうよ…私達3人なら徒歩で抜けられる筈…残念だけどあなたは邪魔になってしまう」

戦士「そうか…残念だ」

中年の女「それで…あなたにお願いが有るのだけれど…」

戦士「何だ?」

中年の女「ミルクと一緒にアランをサポートして欲しい…ミルクにとって成長のチャンスでもあると思ってるの」

戦士「ふむ…サポートと言っても何をするか決まって居るのか?」

中年の女「話はこうよ…」


アイリーンに扮したアバズレ女が居たでしょう?

あのアバズレ女の船にフィン・イッシュの女王も乗って居たのよ

2人で海賊王の娘を演じて本物を誘き出そうとして居るそうよ

これは女王からの提案で盗賊ギルドとして断り用が無かったらしいわ

それであの2人は既に出港してしまって居て…

この大陸を北側からぐるりと回ってシン・リーンへ向かってるの
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:26:13.66 ID:RKoe7B/E0

戦士「女王本人が船に…」

中年の女「無茶だと思うでしょう?でもこの計画には忍び一族も…シン・リーンの魔術師団も関わってる」

戦士「国家共同作戦か…ふむ…そこに追随しろと言う訳だね?」

中年の女「そうよ…だから次あなたと合流するのはシン・リーンね…それまでアランをサポートして欲しい」

戦士「ハハ旅はまだ続くという事か…楽しみになって来た」

中年の女「そう言ってくれて嬉しいわ…只…今のアランの船では温かい海を航海するのは厳しいの」

戦士「新しい船を用意してくれれば問題無い」

中年の女「そういう訳にも行かなくて…女王は1隻では無くて大船隊を組んで航海してる…」

戦士「良い船は出払って居る?」

中年の女「そう…だから今急ぎでドワーフの船大工にアランの船を整備させようとしている所なのよ…」

戦士「大体話は理解した…整備を待って女王の船を追えば良い訳だ」

中年の女「女王の寄港地計画は追って父から連絡がある筈…私は直ぐに旅立ってしまうから後はあなた頼りになってしまう」

戦士「任せろ!!」

中年の女「ミルク!?ギルドの頼り方は分かって居るわね?」

少女「母!!任せろ!!父居れば大丈夫」

中年の女「フフ…心強いわ…じゃぁもう行ってしまうから…後はよろしく」ギュゥ

学者「ええと…抱擁中に済まんのですが…」

中年の女「何?」

学者「兄貴の目的なんすが…ホムンクルスの件ってどうなりやしたかね?」

中年の女「あら…言い忘れる所だったわ…完全体のホムンクルスの生存情報…出所はドワーフなのよ」

学者「はぁ…で?」

中年の女「ドワーフに居場所を聞いても海賊王の許可が無いと教えられないらしいわ」

学者「つまり海賊王を探せってこってすかね?」

中年の女「そうなってしまう…フィン・イッシュ女王の後を追えば遭遇する可能性もあると思うわ」

学者「あぁぁぁなるほど…海賊王も娘を追ってる可能性が有る訳っすね…」

中年の女「そういう事よ…アランにちゃんと伝えておいて」

学者「分かりやした…」

中年の女「じゃぁ私は行くわ…どうか無事にシン・リーンまで辿り着いて…」ノシ


ガラガラ ピシャン!


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733 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:26:42.18 ID:RKoe7B/E0
『翌朝』


トントン


戦士「んん?誰か訪ねて来た様だ…」ガラガラ

戦士「あぁ…宿屋の女将さん…何か?」

宿屋の女将「どうもお休みの所を…大部屋の方が急遽空きになりましたのでどうかと思いまして…」

学者「おぉ!!マジっすか!!」

宿屋の女将「お代の方は中年の女性の方から頂いておりますのでお部屋へ移動するだけで結構です」

学者「あぁぁそういう事っすね…」

戦士「この納屋は作業場として引き続き使ってもよろしいか?」

宿屋の女将「はいご自由にお使いください」

学者「兄貴!!起きて下せぇ!!兄貴ぃ!!」ユサユサ

盗賊「んが?」パチ

学者「部屋の移動っす…大部屋が空いたらしいっす」

盗賊「おぉそりゃ良い…」ゴシゴシ

剣士「僕ちょっと作り物してるから皆行ってて良いよ」ゴソゴソ

宿屋の女将「ではご案内しますので荷物を持ってどうぞ…」スタ

学者「いやぁ…やっとベッドで寝れやすねぇ…」

戦士「ハハ…納屋でも良かったんだがね」


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734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:27:11.89 ID:RKoe7B/E0
『宿屋_大部屋』


ガチャリ ギー


宿屋の女将「こちらで御座います…」

戦士「んん?この画は誰の?…」ジー

宿屋の女将「あぁそれは30年ぐらい前ですかねぇ…勇者様一行がこのお部屋に宿泊された時の画だそうです」

戦士「女将さんは勇者一行を見た事は?」

宿屋の女将「いえ私は後に入植した者ですから良く存じません」

学者「勇者っすか…何をした勇者なんすかね?魔王でも倒したんすかね?」

戦士「100日の闇を祓ったのが勇者だとは聞いたが…君はまだ生まれて居ないねぇ」

宿屋の女将「その辺の話でしたら女王様が伝記を書かれて居て城の書物庫の方に保管されているそうですよ」

学者「城ってそんな簡単に入れるもんなんすか?」

宿屋の女将「出入り自由なので観光でしたら行って見ても良いかと…」

盗賊「おおお!!城か!!城に居るかも知れんな…」ボソ

学者「おっとぉ?」

盗賊「悪りぃ!!俺ちっと城行って来るわ…」

戦士「どうせなら皆で行かないか?」

盗賊「あぁそうだな…ミライとリッカが居ないが…」

女ハンター「私は水浴びしたいから此処に残る」

盗賊「そうか…」

宿屋の女将「お連れ様は後ほどご案内しておきますのでご心配なく…」

盗賊「おう頼むわ…行こうぜ!」スタ


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735 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:27:41.66 ID:RKoe7B/E0
『城に続く道』


スタスタ


盗賊「何ぃ!!リカオンが一人でシャ・バクダ行っただと!?」

戦士「急ぎで例の書簡をシン・リーンへ持って行きたいらしい…私は置いて行かれたのだ」

盗賊「なんだ…支援するとか言ってたのは何だったのよ…」

戦士「アランの船を長期航海出来るようにドワーフの船大工に修理させる様だぞ?」

盗賊「長期航海?」

学者「海賊王の娘に化けた派手な叔母ちゃん居たじゃ無いっすか…アレを追えって事なんすよ」

戦士「どうやら本物をおびき寄せる作戦だとか…」

盗賊「あーーーそういう事か…しかしなぁ…俺の目的は海賊王の娘じゃ無いんだ…」

学者「完全体のホムンクルスの居場所は海賊王が知ってるらしいっす…海賊王も娘が現れたと思って来るかも知れやせんぜ?」

盗賊「そらまた時間が掛かりそうなこって…」

学者「兄貴の方は探してる闇商人の手掛かりは有ったんすか?」

盗賊「いや…全然手掛かりが無い」

学者「てか兄貴…闇商人がフィン・イッシュに来てるって誰から聞いたんすか?」

盗賊「姉御だ…ギャング時代からの知り合いで姉御とは年が近いんだ」

学者「フィン・イッシュっていうだけじゃ中々探せんっすよ…」

盗賊「商人ギルドに行きゃ分かると思ってたんだが…何処行ってもそんな奴知らんとか言いやがる」

学者「名前を隠してたとかそういう感じなんすね…きっと」

盗賊「しまったなぁ‥もうちっと姉御にしっかり話聞いときゃ良かった…」

学者「フィン・イッシュに来た目的とか何も分からんのですか?」

盗賊「キ・カイに有った商人ギルドの地下室あったろ?」

学者「ミライ君が住んでた所っすね?」

盗賊「そこの本当の主はマルコっていう商人なんだ…そいつを探してるらしい」

学者「それってリッカさんが探してる人と同じじゃないすか…」

盗賊「まぁそうなるか…てか海賊王の娘と繋がってんのよ」

学者「じゃぁ同じ様に行方不明なんすね…」

盗賊「あんま詳しく分からん…」

学者「その闇商人の名前はなんて言うんすかね?」

盗賊「実は名前が無い…俺らはカゲミって呼んでた…マルコの影武者やってたからな」

学者「なんか結局あの派手な叔母ちゃん追った方が色々良さそうっすね…」

盗賊「う〜む…もしかするとカゲミは女王の伝記からマルコの行き先を探ろうとしてるかも知れんと思たんだが…」

学者「なるほどそういう事っすね…なんか俺っちも伝記がどんな物なのか気になって来やした」

盗賊「ビンゴだったら良いが…」


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736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:28:13.79 ID:RKoe7B/E0
『フィン・イッシュ城』


ワイワイ ガヤガヤ

今日の配給は餅だそうだ…汁物は並ぶから先に行っといた方が良い

豆と芋は持てるだけ持ち帰って良いぞぉ!!持ってけぇ!!


学者「ここでも配給やってるんすね…」

盗賊「あー俺これのカラクリ聞いたぞ?」

学者「カラクリ?何すか?」

盗賊「配給の消費量で人の増減を把握して居るらしい」

学者「増減…」

盗賊「他国から流入してる人とか食料の持ち出しとか色々だ」

学者「へぇ?」

盗賊「聞いた話だがこんな感じよ…」


昔お隣さんにセントラルっていう貴族国家が有ったんだが

貴族が没落してそれぞれ持ってた領地で独立自治領になっちまってんのよ

まぁ…セントラルが分裂していくつもの国が出来た訳だ

ほんでフィン・イッシュだけぶっ飛んだ農民支持政策と税金無し政策をやった結果…大量に人が流入した訳だ

だが独立自治領の連中は面白くないワナ?

だからフィン・イッシュに入って来て稼ぎまくって自国に戻るという奴が出て来る訳だ

それの人数と影響の把握な訳よ


学者「そんなんやられまくったらフィン・イッシュの資金が流出しまくりっすね…」

盗賊「所がどっこい…食料生産はフィン・イッシュがずば抜けてて此処から買うしか無い」

学者「あーーー結局属国みたいな感じになっちまってるんすね」

盗賊「まぁ…食料を完全に牛耳って他国もコントロール下に置いてる訳だ…怖い国だわ」

学者「他の国も食料生産頑張れば良いんすけどね…」

盗賊「フィン・イッシュで農民やってた方が儲かるから生産者居なくなるワナ」

学者「ああああ…他国の食料生産力を奪う政策なんすね…エグイ政策っす…」

盗賊「成功っちゃ成功の政策なんだろうが…どうも俺は気に入ら無ぇな…」

学者「食料で人間を支配下に置いてるって言いたいんすね…」


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737 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:28:51.80 ID:RKoe7B/E0
『書物庫』


シーン…


盗賊「こりゃまた俺には場違いな場所だ…」ヒソ

学者「書物持ち出し厳禁の張り紙っす…」ユビサシ

盗賊「盗みに来た訳じゃ無ぇ…俺はカゲミの手掛かり無いか探して来るからお前ら適当に書物漁ってろ」

学者「とりあえず女王の伝記を探して来やすね…」スタ


侍「…」シャキーン! スンスン


盗賊「うぉっとぉ…」タジ

侍「…」チラリ

張り紙”書物持ち出し厳禁”

盗賊「へいへい…持ちだしゃし無ぇからその刀納めてくれ…」

侍「…」ジロリ ジリジリ

戦士「これは又随分警戒されて…」タジ

学者「上にも何か居やすぜ?」


忍び「…」ジー


盗賊「いつもこんなに警戒してんのか?」

侍「見るからに異国の者を警戒せぬ訳にも行くまい…」ジリジリ

盗賊「俺はあんま書物に興味無いんだ…ちっと探し人でな?」

学者「俺っちは女王の伝記が見たいんす…ちっと見せてくれやせんか?」

侍「生憎…女王の伝記は盗難に遭い紛失して候」

盗賊「なぬ?盗難?」

侍「持ち出しは発見次第切る故に…覚悟せい」ジリジリ スチャ

盗賊「まぁ良いや…ちっとその伝記の有った辺りを調べさせてもらうぜ?…どこよ?」

侍「…」ユビサシ

盗賊「ゲス!その辺りを調べるぞ」

学者「へい…」スタ


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738 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:29:37.03 ID:RKoe7B/E0
『30分後』


パラパラ…


盗賊「シャ・バクダ王朝最後の末裔サルマン…ふ〜む」

学者「多分その人も勇者の仲間の様っすね…」

盗賊「ハッ!!これは…」パラパラ

学者「何か見つけやした?」

盗賊「考古学者カイネ…お袋が書いた書物が…」

学者「ええ!?ここに並んでるって事は…勇者の仲間だったって事っすか?」

盗賊「んな話聞かされて無ぇ…」パラパラ

学者「兄貴…この辺の書物は皆著者がそのカイネって言う人っス…」

盗賊「…」---お袋が全然帰って来なかった理由---

盗賊「…」---この書物全部お袋が…---

学者「読めない文字ばっかっす…」パラパラ

盗賊「どうやらお袋にも相当な秘密が有った様だ…」パラパラ

学者「挿絵からして…やっぱ考古学っぽい書物っすねぇ…」

盗賊「どうも勇者と関連の記された書物が見当たらん…」ゴソゴソ

学者「たぶんそれが女王の書いた伝記じゃないんすかね?」

盗賊「こりゃ全部持って帰りたくなって来た…」


侍「…」ギロリ


盗賊「はいはい分かってる!!持って行きやし無ぇから…」

侍「半年ほど前にその辺りの書物を写している者が居た…」

盗賊「んん?そいつの特徴は?」

侍「小柄な男…」

盗賊「カゲミ…そいつは何処に居るか知らんか?」

侍「女王の伝記を盗んだ疑いで捜索中なり」

盗賊「分からんのか…」---半年前か…---


---丁度姉御とフィン・イッシュへ行こうという話をしてた頃だ---

---もしかすると姉御は既にカゲミと何か話して居たかもしれんな---

---だとすると…姉御はどうやってカゲミと接触するつもりだったか---


盗賊「おいゲス!!姉御の書いた計画書まだ持ってるか?」

学者「ありやすぜ?」ゴソゴソ パサ

盗賊「んんん…やっぱ此処に来るまでしか書いて無ぇな…」

学者「姉御は金とかどうするつもりだったか知らんすか?」

盗賊「おぉ確かに…俺と姉御…ほんでお前の金だけじゃ満足に物資集められんもんな」

学者「やっぱ兄貴頼りだったんすかね?」

盗賊「姉御があんま俺を頼るとは思え無ぇが…」---カゲミなら金を持ってる---


---やっぱカゲミと接触するつもりだったと考えて良さそうだ---


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739 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:30:04.37 ID:RKoe7B/E0
『城の中庭』


タッタッタ…


学者「兄貴ぃ!!お待たせしやした!!」スタ

盗賊「おろ?書物の持ち出しはダメなんじゃ無かったんか?」

学者「いやいやこれは売ってた書物っすよ…売り物は別所にあるんす」

盗賊「ほーん…何の書物だ?」

学者「錬金術っすね…ポーションの材料とか色々っす」

盗賊「リコルも何か買った様だな…」

戦士「ハハこれはちょっとした剣技が記された物だ…この国は古き剣豪が集う国だったからな」

盗賊「剣豪か…刀持った侍が何人もウロウロしてりゃ何も悪さ出来んわ…」

学者「兄貴はもう良いんすか?書物調べるんは?」

盗賊「難しすぎてどうも読む気になれん」

学者「そらしゃーないっすねぇ…」

戦士「さて…私は馬車に乗って一度船の修理にどの位かかるか見て来るが…どうする?一緒に来るか?」

盗賊「いや…俺はもうちょい心当たり回ってくるわ」

戦士「ふむ…ではミルク!行くぞ」

少女「またあの馬車に乗るか?」

戦士「今日は気球で行ってみるか…」

少女「おぉ!!行くぞ!!」シュタ

盗賊「ゲス!ロボと一緒に宿屋戻っといてくれ…あんま連れまわして負担掛けたく無いんだ」

学者「分かりやした…てか心当たりって何処行くんすか?」

盗賊「侍相手に手配されてたら何処に隠れると思う?」

学者「何処っすかねぇ…」

盗賊「俺なら下水なんだ…どっか地下に降りられる場所が無いか探す訳よ…だからロボを連れて行けない」

学者「あ!!そういやさっき…」

盗賊「んん?」

学者「シャ・バクダ王朝最後の末裔サルマンが地下墓地で100日の闇を乗り切った様な事が書いて有りやした…」

盗賊「地下墓地?」

戦士「おぉ!そうだ!この国は地下墓地から湧き出したゾンビで一度滅亡の危機が有ったそうだ」

盗賊「ゾンビ…こりゃ調べるしか無ぇな…」

学者「一人で行けやすか?」

盗賊「とりあえずその場所を探してみる…無理そうなら一旦宿屋戻るから待機しててくれ」

学者「分かりやした!!」


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740 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:30:36.71 ID:RKoe7B/E0
『宿屋_大部屋』


ガチャリ バタン


学者「あらら?ミライ君とリッカさんは何処行ったんすか?」

女ハンター「納屋の方で作り物して居たのでは?」

学者「今見たら居なかったんすよ…荷物も無かったんすよね…」

女ハンター「もしかしたら…榴弾を試しに何処か行ったのかも」

学者「あたたた…下手に試したら怪我人が…」


パーン!


女ハンター「!!?」スック

学者「言った傍から…」ダダ

女ハンター「結構遠い…何処だろう?」キョロ

学者「窓からじゃ見えんかもしれんっす…」


パン! パーン!


女ハンター「上から聞こえる…」

学者「ちっと外に出やしょうか…」ダダ


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741 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:31:02.88 ID:RKoe7B/E0
『広場』


ザワザワ ザワザワ

今の花火か?

打ち上げ音がしなかったけどな?


剣士「よし!成功だ!!姉さんが投げれば大体70メートル位の高さまで行けてると思う」

女オーク「爆発までもう少し余裕が有った方が良いわ…狙う余裕が欲しい」

剣士「おけおけ!7秒で爆発するように調整する…それで行けそう?」

女オーク「余裕が2秒ね…」


タッタッタ


学者「あ!!ミライ君!!今の音なんすか」

剣士「あれ?バレちゃった?」

学者「街中じゃマズイっすよ」

剣士「まだ金属片も入れて無いしちょっと爆発するだけのちびっ子爆弾さ…点火のテストしてたんだよ」

女ハンター「流石にいきなり榴弾を使う訳無いか…成功した様子だね?」

剣士「まぁね?70メートル上空を狙えるよ」

学者「その距離で当てられるんすか?」

剣士「かなりコントロールは良いと思う」

女ハンター「ちゃんとした榴弾だと70メートルだったら破片が飛んで来て怪我するかもしれない」

学者「そーっすね…全方位に飛ぶ弾丸みたいなもんすよ」

剣士「それってさ…鉄の容器に入ってるからだと思う…ガラス瓶だとそんなに威力出ないよ」

女ハンター「ちゃんと目標に当てられるなら金属片は入れない方が安全に使える」

剣士「まぁそうだね…当面は火薬と砂だけにしておくよ」

学者「もう実用段階っすね?」

剣士「うん…もし今晩ガーゴイル来たら使って見ても良いかな」

学者「あ!!ガーゴイルは倒した後燃やさんとダメらしいっすよ?病気が広がるとか…」

剣士「おけおけ!!ええと…ガーゴイルの角が2本で銀貨80枚…爆弾の材料費差し引いて銀貨70枚儲かる」

学者「結構稼げやすね…余裕で宿代出るじゃ無いっすか」

剣士「今の所お金消費してばっかりだから稼げる時に稼がないとね?」


--------------
742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:31:59.16 ID:RKoe7B/E0
『討伐報酬リスト』


ザワザワ ガヤガヤ

おぉ…トロサウルスの討伐報酬上がってるぞ…

プテラノドンの巣が発見されたらしい…卵持って帰ると金貨200枚だってよ


学者「いやぁぁ…知らん魔物ばっかっすねぇ…」

剣士「ココ見て!!シカを狩ると金貨3枚だってさ…クマが金貨2枚…シカの方が高く売れるんだ…」

学者「畑を食い荒らすからじゃ無いっすか?」

女ハンター「ヘラジカを生きたまま捕まえたら金貨6枚…これも狙い目ね」

剣士「なんとかサウルスって色々居るけど…どんな魔物だろう?

学者「大きさ10メートル超える様な魔物ばっかりらしいっすよ…」

女ハンター「大物狙うよりシカとかクマで十分な気がする…」

学者「そうっすねぇ…シカなら銃でも余裕っすね…クマは一発じゃ無理かもしれんす」

剣士「こう比較するとガーゴイルに爆弾使うのは効率悪いかもなぁ…」

学者「飛んでるんでしょうがないっすねぇ…」

剣士「よーし!!とりあえず日が暮れる前に爆弾作るぞぉ!!」


--------------


『夕方_宿屋』


ガチャリ バタン


戦士「戻ったよ…んん?皆どうしたのかな?何処かへ行くのかい?」

学者「ガーゴイル狩りに行く準備っす…リコルさんも行きやす?」

戦士「私は少しく歩きくたびれた…宿で待つとするよ」

学者「何か有ったんすか?」

戦士「気球に乗ったは良いが在らぬ所に流されて遠方で降ろされたのだよ…馬車で行けば良かったと後悔をしている」

少女「父ぃ!!楽しかったぞ」

戦士「これは土産だ…要るかい?」

学者「鈴?どうしたんすか?コレ」

戦士「落ちて居たのだ…これはミスリルで出来た鈴の様だよ」


リーン


学者「へぇ?良い物が落ちて居やしたね?」

戦士「魔除けの効果があるらしい…私が持って居ては魔物に逃げられて接近出来ん」

女ハンター「あ…それ貰って良いかな?私は魔物に接近されると困る」

戦士「丁度良かったね…はい」パス

女ハンター「これで屋根の上から落ち着いてガーゴイルを狙えると良い」ゴソゴソ リーン

戦士「もう行くのかね?」

学者「そうっすね…他の民兵に先越されちまいやすんで」

戦士「まぁ…怪我をしない様に…さてミルク!湯に浸かりにでも行こう」

少女「父ぃ!私も威厳ある…バラすな」

戦士「ハハ口が滑った…行くぞ」スタ


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743 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:32:33.03 ID:RKoe7B/E0
『夜_街外れ』


ギャーーース! バッサ バッサ


剣士「居た居た…2匹上で旋回してる…」クンクン

学者「暗視ゴーグル無しで良く見えやすね…」スタ

剣士「匂いと音で分かるんだ」

女ハンター「リッカも?」

剣士「姉さんは元々夜目が効く」

女オーク「当てられる距離に来たら爆弾投げても?」

剣士「うん…ラスさんとゲスさんは撃ち漏らしたら援護して」

女ハンター「分かった…射線に入らない様に気を付けて」スチャ

女オーク「もう届く…投げるわ?」

剣士「おけおけ!!落ちたら僕が止め刺しに行くよ…投げて」

女オーク「…」チッ シュボ

女オーク「1…2…」バヒュン!!


ドーン!


剣士「よし!!一匹落ちて来る…」ダダ

ガーゴイル「ギャァーーー…」ヒュルヒュル ドサー

学者「うはぁ…アレを落としやすか…」

剣士「姉さん落ちた奴僕に任せて!!2匹目狙って!!」

女オーク「…」チッ シュボ

女オーク「あ…急降下して…」バヒュン!


ドーン!


女オーク「くぅぅ行き過ぎた…」
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:33:03.82 ID:RKoe7B/E0

女ハンター「そのまま動かないで…」ダーン!

ガーゴイル「グェェ…」ヒュルヒュル

女ハンター「倒し切れてない!!」ガチャコン

学者「俺っちの出番っす!!」タタタターン タタタターン

ガーゴイル「ガァァァァ…」ズザザ ゴロゴロ

女オーク「よし!!止めは私が…」スラーン ダダダ ブン!


ザクリ!! ベチャァ!!


女ハンター「真っ二つ…」アゼン

剣士「姉さん!!角をもぎ取って!!」シュタタ

女オーク「分かった…」グイ バキバキィ

剣士「よーし!燃やして行くから向こうの奴からも角もぎ取っといて」チチ メラ

学者「ウハハ…角を素手でもぎ取るっすか…」

女ハンター「これ…まだ続けて狩り出来そう…」

学者「ガーゴイルは落としちまえばこっちのもんすね…」

剣士「残念だけど爆弾があと4個しか無いんだ…それ使ったら帰ろう」


ガキーーン!! バッサ! バッサ!


剣士「え!!?」キョロ

女オーク「ミライ!!もう一匹居た…」タジ

女ハンター「何あのガーゴイル…武器を持ってる…」チャキリ

女オーク「近すぎて爆弾狙えない…」

ガーゴイル「ギャァァァ!!」バッサ ビューーン


ガキーーン!!


女オーク「くぅぅ…」タジ

剣士「油玉なら…当たれぇ!!」ダダ ポイ ベチャ

ガーゴイル「ギャァァァ!!」バッサ バッサ ビューーン

剣士「姉さん剣で受けて!!」


ガキーーン!! ボボボボ


学者「おぉ!!火が付いた…」アゼン

女ハンター「何呆けてるのよ!!止めで撃ちまくって!!」ダーン!

学者「あわわ…」タタタターン タタタターン

ガーゴイル「グェェェ‥‥」ドサー ズザザザ

剣士「よし落ちた…そのまま油玉で燃やして行く」ポイポイ ボボボボ

女ハンター「まだ警戒しておいた方が良さそう…」ガチャコン

学者「ふぅ…3匹…なんとかなりやしたね…」

剣士「不意を突かれるとやっぱり危ないなぁ…慎重に行こう」


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745 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:33:33.19 ID:RKoe7B/E0
『深夜_宿屋』


ガチャリ バタン


盗賊「おぉ?帰って来たな?…どうよ?ガーゴイル狩りは?」

剣士「4匹狩れたよ…収穫は角8本!!」

盗賊「そりゃ良かったな」

学者「兄貴の方はどうだったんすか?」

盗賊「城から地下の方に降りられる区画が合ってな…今は封鎖されているがどうやら昔は地下監獄だった様だ」

学者「封鎖されてて行けない感じなんすかね?」

盗賊「鉄柵で区切ってるだけなんだが…忍びの奴らが勘良くて近付けんのよ」

剣士「なんか面白そうだなぁ…」

盗賊「ただガードが堅い場所にカゲミが逃げてるとは思えん…地下っぽい物はあるが探索する価値が在るとは思えんな」

戦士「んん?私は地下監獄では無く地下墓地と言ったぞ?」

学者「そうっすね…サルマンが生き延びたって言うのも地下墓地っすね」

盗賊「墓地か…そういや街の離れにそれらしい場所が有るには有ったな…」

剣士「なんか面白そうだから明日皆で行って見ようよ」

盗賊「あんまりロボを連れ回したく無いが…」

剣士「納屋に荷車が入ってる…それに乗せて行けば良いさ」


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746 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:34:02.35 ID:RKoe7B/E0
『翌日_納屋』


ヨイショ! ドスン!


ロボ「ピポポ…」クルクル

少女「私も乗る…ウルフィも乗れ」ピョン

ウルフ「グルル…」ピョン シュタ

盗賊「こりゃ又団体さんで地下墓地巡りか…」ヨッコラ ゴトゴト

戦士「荷車引くのは交代で変わってやる」

剣士「リコルさん!!」

戦士「何だね?」クル

剣士「昨日ガーゴイルが武器を持っててさ…コレ」スッ

戦士「銀製の剣か…良い物を拾ったじゃ無いか」

剣士「リコルさんの剣は炭素鋼の剣だよね?」

戦士「うむ…」

剣士「もしゾンビが出たら銀製の剣の方が良いと思ってね」

戦士「私に使えと?」

剣士「僕はミスリルの剣を持ってるから…」

戦士「ハハ…それでは使わせて貰うとするか」

剣士「振ってみて?」

戦士「ふむ…少し重めか…」スラーン

剣士「結構良いでしょ?錆びないから手入れもラクそうだよ」

戦士「確かに…鉄の剣は直ぐに錆びるからなぁ…」

盗賊「要らん装備は邪魔になるから置いて行けよ?」

戦士「そうだな…納屋に入れて置く」カチャリ

盗賊「ほんじゃ行くぞ!」ゴトゴト


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747 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:34:39.40 ID:RKoe7B/E0
『墓地』


ノソノソ…


婆「お前さん達…ここは毒キノコが生えて居るから採ってはイカンぞ?」

盗賊「あぁぁ…地下墓地を探して来たんだがよ?」

婆「今は地下墓地ではのうて毒キノコの栽培所じゃ…奥の方は明かりも無いで誰も近寄らん」

盗賊「ほーう?ここか…」ジロ

婆「何しに来たのじゃ?」

盗賊「サルマンだっけか?…100日の闇を生き抜いた場所ってのを見て見たくてな」

婆「ほーーーそれは結構!!サルマンは英雄じゃでのぅ」

盗賊「婆さん知ってんのか?」

婆「うむ…女王の騎士だったのじゃが行方が分からんくなってのぅ…」

盗賊「ほーん…まぁ良い…地下墓地に入っても構わんな?」

婆「奥が深いで迷わん様にな?…昔はゾンビが出居ったから今も居るやも知れん…気を付けて行きなされ」

盗賊「おう!!ありがとよ!!」

学者「兄貴ぃ!!階段っすね…」

盗賊「荷車は此処までだな…ロボは背負って行く」ヨッコラ

戦士「先頭は私が行こう…」ノソ

少女「父は鼻が利かん…先に私とウルフィだ」シュタタ

戦士「おい!気を付けろよ?」


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748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:35:15.27 ID:RKoe7B/E0
『地下墓地』


ピチョン ポタ


少女「ここから先は明かりが無いぞ!どうする?」

剣士「ランプ持って来てるよ…」チッチ ピカー

学者「兄貴…この地下墓地って…」キョロ

盗賊「うむ…バン・クーバと同じ古代遺跡だな…どうやら墓地として使って居た様だ」キョロ

学者「て事は構造が同じかも知れやせんね…」

盗賊「こりゃもしかすると開かずの扉もどっかにあるかも知れんぞ?」

学者「ちっと気が抜けなくなりやしたね…暗視ゴーグル装着しときやす」スチャ

女ハンター「私も…」スチャ

盗賊「リコル中心で進もう…ロボは俺から離れるな?」

ロボ「ピポポ…」ウィーン


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『崩落した壁』


ガラガラ


盗賊「あちこち崩れまくってんな…」キョロ

戦士「フィン・イッシュは地震が多いそうだ」


キシャァァ!!


盗賊「何ぃ!!」キョロ

少女「おい!!何だ?匂い無いぞ?」シュタ

戦士「この感じは…レイス!!」スラーン

女ハンター「そんな…銃が効かない敵が出るなんて…」タジ

戦士「影だ…影の中から出て来るから気を付けろ!」チャキリ

剣士「耳だよ…良く聞いて…息遣いが聞こえる…」


シャァァ… スゥ…


剣士「そこ!!」ダダ ブス

レイス「キャアァァァァァ…」シュゥゥゥ

盗賊「ゾンビどころじゃ無ぇ…こりゃ中々危無ぇ場所だ…」タジ

戦士「ラシャニクア君…君にミスリルの鈴を渡しただろう…その鈴は魔除けの効果が在る」

女ハンター「これ?…」リーン

戦士「それを鳴らして居ればレイスは寄って来ない筈だ」

盗賊「都合よく良い物持ってたな?」

戦士「先に進もう…」スタ


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749 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:35:56.39 ID:RKoe7B/E0
『鉄柵で区切られた場所』


ガチャン ガチャン


盗賊「ダメだこりゃ…鉄の落とし扉でこっちからじゃ開けられん」ガチャガチャ

戦士「こんな所に落とし扉…」

盗賊「場所的に多分城の地下監獄と繋がってんだろ…ここは王族が逃げる時用の通路だ」

戦士「なるほど…」

盗賊「逆に言えばこういう場所から城に侵入出来るんだが…あの城は誰でも入れるから意味無ぇ」

少女「アラン!!水が流れる音する…」

盗賊「何処からだ?」キョロ

少女「多分下だ…」

学者「兄貴!!これバン・クーバと同じ構造ならもう一層下に空気と水が流れる層がありやすね…」

盗賊「…て事は海まで繋がってるってか」

学者「だからここが城と繋がってるんじゃ無いっすか?」

盗賊「ふむ…古代遺跡の構造を利用して城を建てているか…」

戦士「どうする?先に進むか?」

盗賊「うむ…どうせなら海まで抜けて見よう」



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『側道』


スタスタ…


戦士「また側道だ…」

盗賊「こりゃマッピングしないと迷って出られんくなりそうだ…」

学者「ちっと休憩しやせんか?」

盗賊「そうだな…元来た道を戻っても夜になっちまうだろうから今日は此処で休む事になりそうだ」

剣士「携帯食料持ってるよ!!」

盗賊「そら準備の良いこって…しかし…燃やす物が何も無い…」

女ハンター「水が流れる層まで降りれば木屑とか落ちているかも知れない」

盗賊「う〜む…」

少女「アラン!!何か落ちてるぞ!!」シュタ

盗賊「んん?銀貨…なんでこんな所に…」

学者「本当っすね…」

女ハンター「目印で置いて居るという可能性は?」

戦士「この側道を行けと?」

盗賊「ようし!この側道行ってもうちょい進んで見よう」スタ


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750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:36:38.60 ID:RKoe7B/E0
『外された蓋』


タッタッタ…


盗賊「おい!!見ろ!!一層下に降りる梯子だ」

戦士「蓋が開けっぱなし…どうやら誰かが通路として使って居たのに間違いないな…」

盗賊「クッソ!!ロープ持ってくりゃ良かったなぁ…ロボを下ろせん」

剣士「あ!!金属糸持ってる!!」

盗賊「お!?ナイス!!」

剣士「どう使う?」

盗賊「俺がロボを背負うから落ちん様に括り付けてくれ…それならタラップを降りられる」

剣士「おけおけ!!」

盗賊「ようし!!ロボ!!来い」ヨッコラ

ロボ「ピポポ…」ウィーン ガシ

戦士「先に私が降りて安全を確かめて来る」

盗賊「おう!頼む!」

少女「父!!私も行くぞ!!何か匂う」シュタ

戦士「よし!掴まれ!!」


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『下の層』


ピョン ドスン!


盗賊「つつつ…やっぱロボは重いな…」

ロボ「ピ…」シュン

剣士「次僕降りるねぇ!!」

盗賊「おう!!こっちは安全…じゃ無ぇなこりゃ…」キョロ

戦士「アラン!!見ろ!!人骨が2つ…どう思う?」

盗賊「こりゃ山賊か何かの隠れ家だったんだな…仲間割れしたんか?」

剣士「よっ!!と…」ピョン シュタ

戦士「まぁ…他には誰も居そうに無いが…燃やす物は在りそうだ…どうする?」キョロ

盗賊「とりあえず何か使える物無いか漁るぞ…ロボ!!背を下りろ」

ロボ「ピポポ…」ウィーン

剣士「あ…この荷車は車輪を直せば使えそうだ」ゴソゴソ

盗賊「こんな所に荷車置いて何を運ぶ気だったのか…」ゴソゴソ

剣士「ちょっと直しておくね…」トントントン


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751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:37:16.31 ID:RKoe7B/E0
『焚火』


メラメラ パチ


学者「この白骨は頭蓋を銃で撃たれて即死だったみたいっすね…」

女ハンター「弾丸の欠片が壁にいくつも残ってる…鉛弾の連射するタイプ」

学者「あたたたた…キラーポッドが居るって事っすね」

盗賊「所持品が奪われて居ない所を見るとやっぱそうなるな…金貨7枚持ってた」ジャラ

剣士「アランさん!!使えそうな物全部荷車に積んでおくよ?」

盗賊「おう!!木箱の中は何が入ってた?」

剣士「酒だよ…あと水も」

盗賊「おぉぉ酒が有ったんか…ちっと一本クレ!!」

剣士「はい!!」ポイ

盗賊「食い物はみんな腐ってどっか行った様だな…」キョロ

剣士「レーションなら持ってる…居る?」

盗賊「俺は酒があれば良い…それはみんなで分けて食え」

学者「う〜ん…な〜んかおかしいっすねぇ…」

盗賊「んん?何ヨ?」

学者「なんで白骨の衣類が脱げて居たか…これズボン履いてないんす」

盗賊「クソでもしてたんだろう」グビグビ

学者「頭蓋の弾傷も至近距離で撃たれた痕っすよ…な〜んか変っすねぇ…」

女ハンター「この白骨…両方とも男?」

学者「そうっすね…」

女ハンター「ふーん…」

盗賊「所持品からして山賊か海賊なのは間違い無さそうだ…まぁ仲間割れしたのかもな」

学者「…だとすると…俺っちのバヨネッタみたいな武器持ってるっすね」

盗賊「機動隊の奴らがこっちまで来てるってか…」

学者「なんかそんな感じがしやす…荷車で何か運ぼうとして仲間割れっすね」

盗賊「ふむ…この通路使うあたり…古代遺跡の構造を割と知ってるって事か…」

戦士「ここは海まで抜けているのだな?」

盗賊「多分な…この遺跡は線路こそ無いが…ほぼバン・クーバと同じ構造だ…緩やかに傾斜しながら海へ続いてる筈」


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752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:37:56.71 ID:RKoe7B/E0
『荷車』


ヨッコラ ドスン!


盗賊「ロボ!これでちっとラク出来るな?」

ロボ「ピポポ…」クルリン

盗賊「まだ乗れるスペースあるぞ?ミルクとワンコも乗れぇ!!」

少女「ワンコ言うな!!ウルフィだ」ピョン シュタ

ウルフ「ガルル…」ピョン シュタ

盗賊「結構物資有るな…剣と盾が2つづつか…」

剣士「それも銀製さ…フィン・イッシュは銀製の武器が流行ってるんだね?」

戦士「銀鉱山が有るのだよ…だから安いのだ」

剣士「なんだ安いのかぁ…」

盗賊「もう一回焚火をするかも知れんから木屑も乗せて置く」ガサガサ

女オーク「次は私が荷車を引く…」

盗賊「おう!そりゃ助かる」

剣士「じゃぁ海を目指して行こうかぁ!!」

盗賊「だな?行くぞ!!」


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753 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:38:37.99 ID:RKoe7B/E0
『真っ直ぐな通路』


ガタゴト ガタゴト


戦士「今どちらの方向に向かって居るか分かるか?」

盗賊「もう分からん…外海に出るのか内海に出るのか…行って見てからのお楽しみよ」

戦士「もう日が落ちている時間だが…全然出口が見えん」

盗賊「あーーそれはな?ゆっくり傾斜している区画と水平の区画があって出口が見通せなくなってんのよ」

戦士「そういう事か…」

盗賊「防衛上そんな事になってるとか聞いたな…ミネア・ポリスでの話だが」

学者「この通路の一つ上の層もいろいろギミックがあるんすよ?側道が多いのもそういう理由らしいっす」

戦士「爆風を避けるとかか…」

学者「そうっすね…そういうのを上手く利用して機械と戦うんすよ」

戦士「こちらの大陸でも古代では向こうの大陸と同じ様な感じだったのか…なるほど」

盗賊「どういう訳かこっちの大陸は向こう程ボロボロじゃ無い様だが…」

戦士「しかし…随分歩いた…老体に堪える」ボキボキ ノビー

女オーク「まだ荷車に空きが有るから乗って少し休んで良いわ…」

戦士「いやぁ若い者に負ける訳にイカン…」

少女「父!何か匂うぞ」クンクン

剣士「本当だ…何の匂いだろう?」クンクン

盗賊「おっとぉ…なかなか休め無さそうだな?」チャキ


カサカサ サササッ


盗賊「んん?フナムシだな…」

学者「じゃぁ海が近いって事っすよ」キョロ

盗賊「こう暗くちゃ出口も分からんな…」

少女「水の音だ…200メートルぐらい先で海の匂いもする」クンクン

盗賊「そんなら見える筈だけどな…」

剣士「ねぇ…この出口って水没してるんじゃない?」

盗賊「なぬ!?」

剣士「なんか行き止まりな気がする…」

学者「行って見やしょう!!」ダダ


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754 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:39:11.57 ID:RKoe7B/E0
『行き止まり』


チャプ ジャブジャブ


盗賊「ぬぁぁ…こっから泳いで出ろってか…」

学者「もうちっと明るくなったらどの位の距離か分かりそうっすね…」

盗賊「おい!!口に咥えるガスマスク持って来てるか?」

学者「ええ!?船に置いて来ちまいやしたよ…」

盗賊「なぁぁクソ!!俺もだ…どうすっかな…」

女ハンター「壁面を見て…」

盗賊「んん?」

女ハンター「変色している線から見て今はほぼ満潮だと思う」

盗賊「おぉ!!潮引くの待てば良いか…」

学者「外海は塩の満ち引きがえらい高いんでしたっけ」

盗賊「おーし!!ここでもっかい焚火起こして休むか…潮が引いたら一気に出よう」

剣士「行き止まりだから安全だね」

盗賊「だな?」

戦士「しかし…山賊は良い場所を隠れ家にしていたな」

盗賊「うむ…ここまで荷を運べばそのまんま船に積める…何を運ぶ気だったのか?…」

学者「あの地下墓地が他に何処と繋がってるかっすよね」

盗賊「城にゃ何も無ぇからカジノ当たりと繋がってるのかもな?」

剣士「ねぇ!!火を起こしちゃうよ?」

盗賊「おう!!ちっと温まるか」


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755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:39:52.43 ID:RKoe7B/E0
『翌日_昼頃』


ザブザブ 


盗賊「おぉぉ!!ギリギリ荷車引ける」グイグイ

戦士「ハハハなかなか楽しい冒険だった」

盗賊「ここが何処か分かるか?」

戦士「外海側の新市街外れだ…造船所が近い」

盗賊「良く知って居るな?」

戦士「アランの船をそこで補修しているのだ…寄って行くか?」

盗賊「そうだな?…てか俺の船をリカオンが勝手に補修している訳だが…」

戦士「補修と言っても塗装が殆どらしい…放置された期間が長いから船体に樹脂を塗り込むのだとか」

剣士「あーーそれやった方が良いね…木が随分縮んじゃって居たからさ」

盗賊「まぁ良いや…折角だからこの荷車も積んで行こう」

戦士「こっちだ!案内する…」


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『造船所』


エンヤーコーラー ドッコイサー


船大工「あんら?また来たんかいのー」

戦士「ハハ…荷物を積みにと思ったが…」

船大工「見ての通りや…水から上がっとるで船には乗れんでぇ〜?」

盗賊「おいおい…こりゃ俺の船なんだが…水から上げちまってぶっ壊れたりしないだろうな?」

船大工「木組みにしっかり乗っ取るわい…積む荷があるなら向こうの倉庫に入れとき〜な」ユビサシ

盗賊「俺の船はどう補修するんだ?」

船大工「船底の補強と塗装の塗り直しや…今のままやと少し岩礁に当たったら沈没やでのぅ」

盗賊「ほーん…」

剣士「ねぇ!!僕補修やってる所見たいなぁ!!」

船大工「ええで〜!!見るだけや無うて手伝うて行けや」

戦士「アラン君…折角新市街地の方に来たのだから今晩はこっちの宿に泊ったらどうだ?」

盗賊「あぁそうだな…あの馬車にあんま乗りたく無いしな…」

戦士「新市街の方はドワーフの割合が多くてね…また違った雰囲気なのだよ」

盗賊「その様だ…」キョロ

戦士「探し人をこっちの方までは探しに来て居ないのだろう?」

盗賊「うむ…まぁ酒場で聞き込みでもしてみるか」

戦士「こっちは黄金の取引所があるのだが…」

盗賊「お!!マジか!!そんなん知らんかったわ…」

戦士「船着き場の直ぐ脇だ」

盗賊「なんだ…到着早々だったから見落としてたんか」

学者「兄貴ぃ…とりあえず宿を取りに行きやせんか?」

盗賊「そうだな…行くか!!」スタ


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756 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:40:23.27 ID:RKoe7B/E0
『街道』


ワイワイ ガヤガヤ


盗賊「ほーーこっちは鍛冶場から木工所まで何でもあるな…」キョロ

学者「船で運んで来た物資をここで加工してるんすね」

盗賊「それであの造船所か…」

学者「それしにてもドワーフが多いっすねぇ…」キョロ

戦士「どの船がそうなのか分からんが…ドワーフの海賊達が立ち寄るらしい」

学者「ドワーフの国って領地が良く分からんっすよね…外海にもあるんすかね?」

盗賊「開拓して領地宣言するは良いがほったらかしになるそうだ…たまに来ては物資を根こそぎ持って行くんだとよ」

学者「俺の縄張りだから俺の物って奴っすね」

盗賊「向こうの大陸のハテノ自治領もそうだな?内陸なのにドワーフが多い…たまに来ては硫黄だけ持って行く様だ」


スタスタ…


フードの男「…」チラ

盗賊「んん?」フリムキ

フードの男「…」ジロジロ

盗賊「何よ?お前…マントの下に何か持ってんな?」スチャ

フードの男「…」クルリ


タッタッタ…


盗賊「おい!!」

ロボ「ピポポ…」ウィーン ガシャ ガシャ

盗賊「ロボ?どうした?」

ロボ「ピピピ…」ユビサシ

盗賊「まさか!!…今のはカゲミか!?」

少女「まだ追えるぞ?行くか?」

盗賊「当たり前だ!!行ってくれ!!」

少女「ウルフィ!!行くぞ!!」シュタタ

ウルフ「がるる…」シュタタ

剣士「え?え?…なになに…」タジ


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757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:41:07.21 ID:RKoe7B/E0
『倉庫』


タッタッタ…


フードの男「ハァハァ…」クルリ

ウルフ「がうるるる…」シュタ

少女「逃げても無駄だ…お前誰だ!?」シュタ


タタタターン!


ウルフ「ギャヒーン!!」

少女「え…」タジ

フードの男「警告さ…次は君だ」スチャ

少女「ウルフィ!!」シュタ

フードの男「盗賊ギルドの者だね…僕は君達に掴まる訳に行かないんだ…行かせて貰う」


スゥ…


フードの男「なっ!!?」ギクリ

盗賊「落ち着けカゲミ!!」スチャ

フードの男「アラン…どうして盗賊ギルドなんかに…」

盗賊「俺は敵じゃ無ぇ…ちっと落ち着け」グググ

フードの男「ニーナも居たな?話がしたい」

盗賊「残念だが…ニーナは死んだ…あそこに居たのはニーナに瓜二つの別人なんだ…お前を探していた」

フードの男「そんな…」

盗賊「どうしてそう粗だって居る?」

フードの男「全員信頼できる者か?」

盗賊「お前…何かから逃げてんだな?」

フードの男「質問をしたのは僕の方さ…信用出来るのかい?」

盗賊「俺くらいにはな?」

フードの男「フフ腕を離して貰いたい…」

盗賊「お前の方こそその引き金にかかった指を抜け」

フードの男「それじゃ対等にならないじゃ無いか…僕は数で負けている」


タッタッタ


学者「兄貴ぃ!!銃声が…」

盗賊「ゲス!!ワンコが撃たれた…手当しろ!!」

学者「ええ!?ちょちょ…この状況って…」

盗賊「良いから今すぐやれ!!」

学者「へ…へい!!」ダダ

少女「ゲス!!お尻の方だ!!血はあんまり出てない」

学者「あらら…カスリ傷っすね…ちっと塗り薬塗るんで動かん様に押さえてて下せぇ」


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758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:41:59.34 ID:RKoe7B/E0
『対話』


チャキリ スチャ


盗賊「カゲミ…まぁそうイキるな」

フードの男「その男は誰だい?」スチャ

盗賊「そのちびっ子の父親だ…ほんで後ろで銃構えて居るのがラシャニクア…お前も知ってるだろう」

フードの男「3人でこちらに来る予定だったのに…どうしてこんなに増えたのかな?」

盗賊「色々あんのよ…話は長くなる」

フードの男「盗賊ギルドの者がどうしてアランの側に居るんだい?」

盗賊「なんつうか…成り行きで俺も盗賊ギルドに入れられた」

フードの男「…」ギロリ

盗賊「なんで又盗賊ギルドを嫌ってんのよ?」

フードの男「裏切ったからさ…」

盗賊「まぁそっちも色々事情があんだな?それより俺は姉御からあまり事情を聞かされないままお前を尋ねに来た…どうなってんのよ?」

フードの男「ホムンクルスの居場所…」

盗賊「おぉ!!ソレだソレ!!俺はお前にその情報を聞きたかった」

フードの男「それはマルコさんが知ってる…そしてマルコさんはシン・リーンで捕らわれの身さ」

盗賊「何?」

フードの男「僕はマルコさんを追ってる…君はホムンクルスを追ってる…目的が合致しているからニーナと協力する予定だった」

盗賊「そういう事か…」

フードの男「シン・リーンはね…魔術師の幻術という魔法を使って言論統制をやって居るんだよ」

盗賊「言論統制?」

フードの男「彼等に都合の悪い記憶を魔法で消してしまうのさ…だから…マルコさん含め勇者達が何をしたのか誰も知らない」

盗賊「なんだと?」

フードの男「勇者の仲間が誰でその後どうなったのか…全部隠されて居るんだ…関わると記憶を消されるんだよ」

盗賊「お前はそれから逃れて居る…のか?」

フードの男「まぁね…今の所シン・リーンの魔術師にはまだ見つかって居ない…ただ盗賊ギルドには見つかってしまった」

盗賊「あぁぁ…俺は盗賊ギルドつっても何も聞かされて居ないんだが…」

フードの男「魔術師達とベタベタの関係なのさ…直に伝わってしまう」ジロリ

少女「お前ー!ウルフィを傷つけた恨みは忘れんからな!」

フードの男「さぁ…僕はここまで話した…僕の安全は確保してくれるんだろうね?」

盗賊「安全も何も俺らはお前をどうにかするつもりなんざ初めから無い…マルコを連れ戻せばお前はそれで良いんだな?」

フードの男「出来るのかい?」ジロ

盗賊「俺は泥棒だ…何でも盗んでやる」

フードの男「じゃぁ手始めに…船でも盗んでもらおうか」

盗賊「なぬ!?」

フードの男「シン・リーンへ行くには船が無いと行けない…陸路で行く場合間を遮る森を抜ける必要がある」

盗賊「俺ら船に乗って来たんだが…」

フードの男「漁船で行くと言うのかい?」

盗賊「いや待て…漁船じゃ無くてキャラック船だ…今造船所で補修してる所だ」

フードの男「ハハ…あの船は君の船だったのか…アレを盗んで来てくれと言う所だった」

盗賊「まぁちっとこんな場所じゃアレだから…何処かで落ち着いて話をしようか」


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759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:42:30.71 ID:RKoe7B/E0
『茶屋』


リーン チリンチリーン


盗賊「こりゃ又風流な茶屋だな?」キョロ

フードの男「周りを見てごらん?」

盗賊「働いてるのはオークだけ…か?」

フードの男「そうさ…オークには電脳化した者が居ない…唯一信頼できる種族さ」

盗賊「ドワーフはダメか?」

フードの男「ダメだよ…彼らの中には機械化を好む者も居る…どんなデバイスが仕込まれているか分かったもんじゃない」

盗賊「また随分警戒してんだなぁ…」キョロ

フードの男「そのロボットは…ミファだね?」

盗賊「そうだ…筐体を変えながらなんとか生きてる」

ロボ「ピポポ…」クルリン

フードの男「ギャングの皆はどうしてるのかな?」

盗賊「もうバラバラで何処行ったのか分からん…今揃ってるのが俺とお前…そしてニーナ…」

フードの男「ニーナ?死んだと言ったよね?」

盗賊「此処だ…」プラーン カラカラ

フードの男「これがニーナの…牙…」

盗賊「ちっと電脳化の連中が持ってた白黒の書簡に手を出しちまってな…お前も何か知ってるんだろ?」

フードの男「まぁね…」

盗賊「こんなんなっちまって残念な限りだ…お前もちっと顔見せてくれ」

フードの男「顔は見せない主義なんだけれど…」ファサ

盗賊「ふむ…変わって無さそうだ…」

学者「あらら?ええ!?女っすか…声が男…」

盗賊「色々あんのよ…突っ込むな」

闇商人「ハッキリしておくよ…女でもあり男でもある…それだけさ」

闇商人「ところでニーナから何処まで聞かされて居るのかな?」

盗賊「半年前から殆ど会話出来て無くてだな…一緒にフィン・イッシュ向かう位しか聞いてないんだ」

闇商人「そうかい…その後ニーナは陸路でシン・リーンへ行くつもりだった様だよ」

盗賊「まぁ俺は別にそれでも良いんだが…」

闇商人「無理だね…道中はフィン・イッシュと違って自由の利かない国ばかりさ」

盗賊「そこら辺の事情は知らんかったんだろう」

闇商人「僕はここで大き目の船を入手して大陸の北を回って行けるように準備してた…でも盗賊ギルドに裏をかかれてしまってね」

盗賊「裏?」

闇商人「雇って居た傭兵を全員雇い返された…丸ごと奪われたのさ」
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:42:58.96 ID:RKoe7B/E0
盗賊「じゃぁもう金は無いって感じなんだな?」

闇商人「残って居るのは魔石を一袋…」

学者「ちょちょちょちょ…めちゃ持ってるじゃ無いっすか!!」

闇商人「これじゃ船は買えない…でもアランが船を持って居るならもう一度準備出来る分は有るかな」

盗賊「てかな?あんま準備要らんかも知れん」

闇商人「どういう事だい?」

盗賊「俺らも大陸の北側回ってシン・リーンに行く予定だったのよ…ただ目的がちょい違う」

闇商人「??」

盗賊「海賊王の娘を演じてる女王と盗賊ギルドのド派手な婆ぁに追随しろって話なのよ」

闇商人「アハハハ面白い話じゃ無いか…女王が海賊王の娘になっているだって?」

盗賊「どうやらその目的は本物を誘き出す作戦らしい…ほんでな?」

少女「おいアラン!!ギルドの秘密を勝手にバラすな!!」

盗賊「ちびっ子は黙ってろ!こいつは俺の古いダチだ…お前の母ちゃんとは付き合いの長さが違う」

少女「父!!良いのか勝手にやらせても!!」

戦士「ミルク…行く末を落ち着いて見るのも良いのでは無いか?」

少女「ぐぬぬ…」プイ

盗賊「悪い…話中断したな…まぁフィン・イッシュとシン・リーンの共同作戦なんだとよ」

闇商人「魔術師も…絡んで居るのか…」トーイメ

盗賊「んん?どうした?」

闇商人「多分それは…ただシン・リーンへ行く訳では無さそうだね」

盗賊「どういう事よ?」

闇商人「要衝の攻略といえば分かりやすいかい?」

学者「ええ!!?そら無茶っすよ…船なんかミサイルで一瞬で沈められやすよ」

闇商人「魔術師は魔導航法という技で空を自在に飛ぶのさ…ミサイルを発射する場所をピンポイントで潰せるんだよ」

盗賊「マジか…」

闇商人「でも魔術師だけでは制圧力が足りない…船からの射撃で面制圧した後に上陸するのさ」

盗賊「そういや船隊組んで移動してるって聞いたな」

闇商人「ふーん…そこに追随ねぇ…」

盗賊「どうよ?お前も来い!!多分な?盗賊ギルドからの支援で俺の船にも物資が積まれる…あんま準備する必要も無いんだ」

闇商人「なるほど面白い…但し!アランの船はシン・リーンに行くのを最優先して戦闘には参加しない事…どうだい?」

盗賊「俺の船は戦闘用じゃ無いからな…大砲も積んで無いからそもそも加われん」

闇商人「フフよろしく頼むよ…」


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761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:43:32.06 ID:RKoe7B/E0
『1時間後』


アホー アホーーー バッサ バッサ


学者「食べ物が豆とお茶だけなんすが…何なんすかねぇ…こののんびりした感じは」グター

盗賊「ミライとリッカは完全にくつろぎモードだな…」

学者「宿屋どうしやす?日が落ちちまいやすぜ?」

闇商人「人気の無い宿屋なら知って居るよ?」

盗賊「あぁそこで良い」

闇商人「只夜中は安全じゃない…それで良いなら」

盗賊「安全じゃないってどういう意味だ?」

闇商人「魔物さ…宿に泊まった人は落ち着いて寝られないらしい」

盗賊「ヌハハそれじゃ稼ぎ放題だ」

闇商人「そうかい?…まぁ…後で案内してあげるよ」

学者「ところで…カゲミさん…そのバヨネッタどうしたんすか?」

闇商人「あぁ…こんな物闇で買えるのさ…護身用で持って来たんだよ」

学者「見せて貰って良いっすか?」

闇商人「壊さないでくれよ?」カチャ

学者「これ剣の部分どうしたんすか?銃剣になって無いっすよ?」

闇商人「バラ売りだったのさ…使わないと思って買ってない」

学者「まぁこっちの方が小型で済むんすが…ふむ…やっぱ俺っちのとほぼ同じっすね」

盗賊「マントの下でちゃんと隠せるなら剣の部分なぞ無い方が良いんじゃ無ぇか?一回も使って無いだろう」

学者「確かにそうっすねぇ…」

盗賊「機動隊はワイヤー使った機動戦闘で剣に持ち替える無駄無くすのにそれ付けてんのよ…機動戦闘しないなら不要だ」

学者「俺っちも兄貴に習ってミスリルダガー持ち歩く様にしやすかねぇ…」

盗賊「お!!そういやドワーフ居るならここでもミスリスダガー売ってるかもな?」

学者「兄貴もダガー欲しいんすか?」

盗賊「俺のダガーは形見だからよ…あんま刃こぼれさせたく無いんだ…だからもう一本欲しいのよ」

学者「兄貴…金持って無いっすよね?」

盗賊「ぐはぁ!!」ドタ

学者「今晩稼げるかも知れやせんぜ?ガーゴイルは余裕っすからね」

盗賊「カゲミ探さんでも良くなったから俺も稼ぎに出るかぁ…」


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762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:44:06.47 ID:RKoe7B/E0
『とある宿屋』


ガチャリ バタン


盗賊「なんだ普通の宿屋じゃ無ぇか…客もそこそこ入ってる」キョロ

闇商人「この部屋は特別らしい」

盗賊「んん?何も変わった所無いぞ?」

闇商人「さぁ?僕はそれ以上の事は知らない」

剣士「なんか下に倉庫部屋が有るね…僕そっちに行こうかな」

盗賊「まぁ珍しいっちゃ珍しい間取りだが…」

闇商人「さて…君の船はいつ修復が終わるんだい?」

戦士「早くて2週間程…と聞いたのが3日前だね」

盗賊「あと10日ぐらいは出港出来ん様だ…」

闇商人「そうかい…じゃぁ僕も色々片付けなければならない事があるんだ…そうだな一週間後に又ここに来る…それで良いかい?」

盗賊「俺ら旧市街地の方でも宿を取っててよ…」

闇商人「それは困ったな…あちらは盗賊ギルドの縄張りなんだ…下手に僕が近づけない」

戦士「まぁ向こうは引き払っても良いのでは無いか?」

盗賊「そうだな!!明日にでも戻って置いて来た荷物取りに行こう」

戦士「それにしても何故それほど盗賊ギルドを毛嫌いに?」

闇商人「裏切った傭兵が僕の顔を知って居るのさ…まだ盗賊ギルドに雇われて居るかもしれない…どうも下半身に節操が無い連中でね」

盗賊「なるほど?…そりゃフードで顔隠しといた方が安全だわな」

闇商人「そういう事で…一週間後に又…」

盗賊「おいおい待て!!どうせ俺らも暇な訳よ…何か手伝える事あるならやっても良いんだぜ?」

闇商人「ドワーフの海賊達と海上取り引きなのさ…知らない人間を連れ歩くのは邪魔にしかならない」

盗賊「そうか…まぁ一旦お別れか…」

闇商人「大丈夫さ…一週間もあれば戻れる…まぁ僕が居なければ困るのは君だろう?僕を置いて行くとも思えない」

盗賊「おいおいそう困らせないでくれ」

闇商人「じゃぁ又…」ノシ


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763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:45:07.39 ID:RKoe7B/E0
『倉庫部屋』


ドタドタ


盗賊「ほーーーこりゃ又不気味な倉庫だ事…」

学者「壁がシミだらけっすね…なんなんすかコレ…」

少女「死肉の匂いだ…だれか此処で食われたのだろう」

盗賊「なぬ!?お前ガキンチョのクセにエグイ事言うな…」

剣士「黒炭と白炭があれば匂いは取れそうだよ…まだ日が有るしちょっと買い物に行こうかな」

戦士「市場は近いから案内してあげよう」

学者「俺っちもミスリルダガー無いか見に行きたいっすね…」

盗賊「おー行って来い行って来ーい!!俺はちと休憩だ」

学者「兄貴!!貸した金貨10枚…返して貰って良いっすか?昨日金貨7枚入手しやしたよね?」

盗賊「ぐはぁ…くっそ覚えていやがったか…」ジャラリ

学者「まいどー!!ミライ君!!買い物行きやしょう!!」

剣士「うん!!姉さんも行こう!」グイ


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764 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:45:34.97 ID:RKoe7B/E0
『お手伝いロボ』


カチャカチャ…


盗賊「よっし!異常は無さそうだな…」パカ

盗賊「んん?アレ?なんでだ?エリクサーの量が増えてる気が…」

女ハンター「…」シラー

盗賊「んん?あん時傾いてたんかな…まぁ良いや…当分エリクサーは問題無さそうだ」カチャ

ロボ「ピポポ…」クルリン ウィーン

盗賊「待て待て…また油差して無ぇ」ガシ

ロボ「ピ…」ジタバタ

女ハンター「ねぇ…あのカゲミって言う人」

盗賊「んん?どうした?」

女ハンター「幽霊船に乗って居た人とそっくり…」

盗賊「あぁ…幽霊船に乗ってたのは多分マルコだ…カゲミはそいつの影武者やってたのよ」

女ハンター「影武者が必要な程危ない事を?」

盗賊「そん時俺は知らんかったんだが…マルコも白狼の盗賊団の一味だ…表の世界で顔が知られちまってるのよ」

女ハンター「そういう事ね…」

盗賊「白狼の盗賊団が…勇者一行…世間にゃ知られて居ないがな…」

女ハンター「その全員の行方が不明になって居る原因が…シン・リーンの魔術師のせいね」

盗賊「カゲミ曰く…そういう事なんだろうが…多分他にも色々情報持ってるぞ?アイツ」

女ハンター「どうしてそれが分かる?」

盗賊「あいつは昔から情報を小出しにして俺らを利用しようとすんのよ…まぁ信用は出来るから安心しろ」

女ハンター「それと…女でもあり男でもあるって言うのは?」

盗賊「そのまんまだな…体は女だが中身が男なんだ…」

盗賊「それなりに修羅場生き抜いて来たからバヨネッタの引き金引くのも早い」

女ハンター「ふ〜ん…」

盗賊「なんだお前?気になんのか?」

女ハンター「いや…あういうタイプの人間は初めてだから…」

盗賊「お前も男っぽいが…やっぱどう見ても女だな?」

女ハンター「うるさい!」ドス

盗賊「おわっと!!今ロボに油差してんだから邪魔すんな!!」


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765 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:46:37.60 ID:RKoe7B/E0
『1時間後』


ドタドタ


学者「いやぁぁ安かったっすねぇ!!」

戦士「ハハ港に近いだけ有って良い物が買えて良かったじゃ無いか」

盗賊「どわ…なんだお前等…何個樽運んでんのよ…」

剣士「黒炭も白炭もすごい安いのさ…火薬も樽毎買っちゃったよ」

盗賊「マジか…」タジ

剣士「丁度ここに倉庫あるじゃない?船に積む物をもう買ってるんだ」

盗賊「樽で火薬って…」

剣士「爆弾作るのにどうせ使うんだ…作る手間考えたら買った方が安いんだよ」

学者「兄貴ぃ!!見て下せぇ!!」スチャ

盗賊「おぉ!!ミスリルダガーか…いくらしたんよ?」

学者「一本金貨5枚っす!!」

盗賊「くぁぁぁぁくそう!!俺にヨコセ!!」

学者「今晩の稼ぎ次第で…明日買いに行けるかもしれやせんぜ?」

剣士「あ!!ラスさん!!ガーゴイルの角を換金して来たよ…これ分け前!!」ジャラリ

女ハンター「あぁそんな…良かったのに」

学者「狩りは均等配分が鉄則っす」

剣士「さてぇ!!早い所黒炭と白炭で倉庫の匂いを取ろう!!」


キシャーーー


少女「うわわわ…なんか出たぁ!!」シュタタ
766 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:47:10.66 ID:RKoe7B/E0

盗賊「何!!?」ダダ

女ハンター「あ…」

盗賊「なんだこの部屋はレイスが出るんか…どこだ!?」キョロ

戦士「ミルク…慌てないでこっちにおいで」

女ハンター「ミスリルの鈴で追い払う…」ダダ

戦士「そうだね…それが良い」


チリン チリーン…


女ハンター「…」キョロ

盗賊「んん?どっか行ったか?」

女ハンター「レイスは雰囲気のある場所に出やすいらしい…」

盗賊「こら早い所倉庫の匂い消してなんとかせんと寝られんぞ…」

剣士「おけおけ!!匂い消す効果のある物色々買って来てるんだ…姉さん!早く運ぼう!」ヨッコラ

女オーク「全部地下ね?」ヨッコラ

盗賊「また随分重そうな物を…」

剣士「それは砂銀だよ…純度の低い砂銀は安く売ってるんだ…これも匂い消しになる筈」

盗賊「なんで砂銀なんか買う気になったんだ?」

学者「あ…それ俺っちが欲しくて買ったんす…ポーションの材料になるんすよ」

剣士「これ溶かして器を作ったりも出来るさ…いろいろ便利なんだよ」

盗賊「ほーん…」

学者「兄貴も突っ立って無いで運んで下せぇ…」


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767 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:47:42.07 ID:RKoe7B/E0
『夜』


ドタドタ


盗賊「じゃぁちっと狩り行って来るな?」

女ハンター「留守番は任せて…ミスリルの鈴が有るからレイスは大丈夫」

盗賊「おう!!ロボの事頼む」

戦士「さてミルク!実戦だ…用意は良いな?」

少女「ウルフィも居るから索敵は任せろ!」

盗賊「おーし!!今日はリコルが要よ…しっかりガーゴイルの攻撃受け止めてくれよ?」

戦士「若い者にはまだまだ負けん!行くぞ!!」ズドドド

学者「なんか張り切って居やすね…」アゼン

剣士「アハハ良いじゃない…盾持ってるリコルさんが居れば姉さんももっと戦えるんだ」

学者「リッカさんも盾を持てば済むんじゃ無いっすか?」

剣士「盾は姉さんの速さを殺しちゃうんだよ…重たい剣の威力も半減しちゃう」

学者「なるほどー…一瞬で仕留める感じっすか…」

剣士「威力は速さの二乗だからね…僕は重さが足りないけど…」

学者「おぉ!!ソレっすね…俺っちのバヨネッタも弾速早くしたいんす」

剣士「あ!!出来るかも知れない」

学者「マジっすか…」

剣士「発射する部分の予備が沢山在ったでしょ?長くすれば早くなるかも…」

学者「おぉ!!確かに…原理がローレンツ力で加速してるんでコイルの巻き数を増やせば…あれ?」

剣士「んん?」

学者「ダメっすね…与えるエネルギーに限界あるんで意味無いっすよ…魔石から取り出せるエネルギーが足りんっす」

剣士「それなら魔石2つ使ったら?」

学者「魔石の消費が増えるのも微妙っす…う〜ん」

剣士「やっぱり工夫され尽くした武器なんだね…あと出来るとしたら…4発撃つのを止めて1発にする…」

学者「おぉ!?単純に4倍っすね…」

剣士「それを使い分けられる様にしたら?状況に応じてさ?」

学者「なんかイケそうな気がして来やした…その場合反動も4倍…補強が必要になるかもっすね」

剣士「おけおけ!!考えておくよ」

盗賊「お〜い!!モタモタすんな!!遅れてるぞ!!」

剣士「ゴメンゴメン!!話に夢中になってた!!」シュタタ


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768 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:48:12.33 ID:RKoe7B/E0
『数日後_とある宿屋』


ガチャリ バタン


盗賊「いよ〜う!!戻ったぜ?ヌハハハハ」

学者「今日はご機嫌っすね…狩りはどうだったんすか?」

盗賊「やっぱ俺にはシカ狩りだ…見ろ」ジャラリ

学者「おぉ!!金貨6枚!!」

盗賊「ミルクの鼻が相当役に立つのよ…ワンコにシカを追わせて俺が背後からブスリとな?」

学者「シカ運ぶの大変そうっすね…」

盗賊「そらしょうが無ぇ…一匹づつ背負って山降りるぐらいの苦労はせんなぁヌハハ」

学者「その労力はあんま勘定に入って無いんすね…」

盗賊「って事で俺は疲れて寝る…俺は夜の狩り行かんぞ」グター

学者「あのっすね…狩りしたら分け前は均等なんでミルクちゃんにも分けないとダメっすよ?」

盗賊「馬鹿野郎2人で分けて金貨6枚だ…つまり4匹背負って山降りたのよ」

学者「ウハハそれなら良いっす…4匹背負って山降りるとかかなり体力馬鹿っすね…」

盗賊「うるせぇ!!俺ぁ寝る!!」ドタ

学者「へいへい…」

剣士「ゲスさ〜ん!!バヨネッタの改造終わったよ」

学者「待っていやしたぜ?ウヒヒ…」

剣士「これで反動が大分押さえられてる筈…狙いが定まらないのはどうにもならないからそれで使ってね」

学者「まぁ仕方ないっすね…弾丸の形が丸なんでそもそも真っ直ぐ飛ばんすもんね」

剣士「近距離でドカンと一発当てたいときにだけ使う感じ」

学者「十分っすよ…これで硬い相手にもなんとか行ける様になるんで」

剣士「その銃はラスさんのライフル銃と違って弾丸に工夫が出来ないのがねぇ…」

学者「戦地で弾が簡単に入手出来る良さはあるんす」

剣士「そっか…それも利点かぁ」

学者「問題は魔石の入手なんすよね…」

剣士「さて…今日はどうするんだろう?リコルさん帰って来て無いんだけど…」

学者「今日もリザードマン狩りに行くって言ってたんで直に戻ってくると思うんすがねぇ…」


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769 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:48:50.11 ID:RKoe7B/E0
『夕方_宿屋の外』


ザワザワ ヒソヒソ

聞いたか?城の方で騒ぎがあったらしい…

それで民兵が動き出してるのか

なんでもドラゴンに乗ったエルフがいきなり弓で城に居た奴を撃ったんだとか

エルフが?そりゃ一大事じゃ無いか!!


戦士「…ラシャニクア君…もう見えないかい?」

女ハンター「雲の上に入って見失った…遠すぎて追いきれない…」

戦士「竜巻の中にドラゴンが居るとは…驚きだな…」

女ハンター「あんなのに襲われてしまったら何も出来ない…」

少女「父ぃ!!」シュタタ

戦士「おぉミルク…気付いたな?」

少女「山でウルフが騒いでる…何か起きてるぞ」

戦士「ウルフ達も状況を分かって居ないのか?」

少女「怖がっている…父も隠れるぞ」

戦士「とりあえず今日の狩りは中止だな…宿に入ろう」


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770 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:49:37.53 ID:RKoe7B/E0
『宿屋の部屋』


ガチャリ バタン


学者「あ…リコルさん…何すかこの騒ぎは?」

戦士「ドラゴンに乗ったエルフが突然城に居た者を殺したそうだ…今日は狩り所では無い」

学者「ええ!!?…マジすか…」

少女「父!!噂が聞こえてくるぞ」

戦士「どんな噂だ?」

少女「頭が爆発したそうだ…これは電脳化した者に違いない」

学者「ちょ…城に潜り込んで居る?」

少女「誰もその事に気付いて無い…エルフが悪者になってる…そういう噂だ」

女ハンター「じゃぁドラゴンが何度も街を襲ってる様に見えたのは…」

戦士「他にも電脳化した者を狙って居たと考えられるな…つまり何人も居たという事…」

少女「私少し分かるぞ…機械の音と匂い…ほんの少しある奴たまに居る」

学者「こりゃ大分キナ臭い感じになって来やしたね…」

戦士「城に潜り込むぐらいだと言う事は…女王が乗る船の行動も筒抜けになっているという事だな」トーイメ


盗賊「んがががが…すぴー」zzz


戦士「…」

少女「アランは呑気に寝て居るか…」ゲシゲシ

盗賊「ふごーーー…」モゾモゾ

学者「ラスさん!!ちっと俺っちと酒場でデートしやせんか?」

女ハンター「…」ジロ

学者「兄貴の代わりに情報集めに行くだけっすよ」

女ハンター「分かった…ちゃんとエスコートして」

学者「分かって居やすよ…ちっと行って来やすね?」

少女「父ぃ!!爺ぃにこの事教えに行く」

戦士「旧市街まで行くと?」

少女「行くのはウルフィだけだ…他のウルフにも遠吠えで伝える」

戦士「そうか…遠くには行くな?」

少女「すぐ戻るから待ってろ…行くぞウルフィ!!」シュタタ

ウルフ「ガウルルル!!」シュタタ


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771 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:50:13.80 ID:RKoe7B/E0
『1時間後』


ガチャリ バタン


戦士「お!!戻ったね…何か情報は聞けたかな?」

学者「やっぱエライ事になってるみたいっすね…旧市街の方で民兵にかなりの死傷者が出てるらしいっす」

戦士「やはりそうか…竜巻らしい物も見えたからね」

女ハンター「ドラゴンを見た民兵が何も知らず先に矢を撃ったらしい…それで反撃されたって」

学者「エルフは魔法も使うんすね…竜巻とドラゴンの吐く炎でメチャクチャだったって言って居やしたよ」

戦士「ゲス君は戦場医なのだろう?支援に行って見てはどうだい?」

学者「う〜ん…」

戦士「それで救われる命もあるのでは無いかい?」

学者「そうっすねぇ…」

剣士「僕も手伝うよ?ポーション運ぶくらい出来る」

女オーク「ミライが行くなら私も…」

学者「じゃぁちっと行って見やすか!!」

剣士「馬車まだ間に合うかな?急ごう!!」シュタタ

戦士「私はミルクの帰りを待たなければいけないから明日の朝様子を見に行く」

学者「わかりやした…兄貴には上手く説明しといて下せぇ…ちと行って来やす!」ダダ


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772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:50:48.19 ID:RKoe7B/E0
『翌日』


アンタナニヤッテンノ バカジャナイノ…


盗賊「何ぃぃぃ!!ほんで俺とお前だけ残って…」

女ハンター「あんたが何しても起きないから!!」プン

盗賊「まぁしゃぁねぇ…どうすっかな…」ポリポリ

女ハンター「なんか寝言で妖精が…とか言ってたけど?」

盗賊「んあ?そうよ…なんか知らんけどフィン・イッシュ来てから妖精の夢ばっか見んのよ」

女ハンター「子供の頃…妖精に聞いた事がある…妖精は狭間の中に住んでるって…」

盗賊「狭間?なんだそりゃ?」

女ハンター「分からない…でもその狭間が何処かにあるから…妖精とか魔物が多い気がする」

盗賊「ふむ…確かに言われてみりゃ…なんで此処はガーゴイルやらレイスが多いのか謎だ…」

女ハンター「向こうの大陸じゃ殆ど見た事無いわ…」

盗賊「まぁそんな事よりどうするよ?」

女ハンター「どうするって…行き先も分からないのに動けないでしょう?」

盗賊「くっそ!ミルクも行っちまった様だしなぁ…」

女ハンター「どうせあんたが行っても怪我人の手当てが出来る訳じゃ無いんだから…諦めて買い物でもしたら?」

盗賊「おお!!?そうだ…金が入ったからミスリルダガーを買いに行くつもりだったんだ」

女ハンター「ミスリルの鈴も売って居るのなら買っておいた方が良いと思う」

盗賊「あんま金に余裕が無いんだ…てかお前の方が持ってるだろう」

女ハンター「…」ジロリ

盗賊「わーったわーった!余ったら買ってやるから付き合え!」

女ハンター「私が欲しい訳では無い…必要なのはロボの方!レイスから守らないといけないのはロボよ」

盗賊「んん?お前…ロボ守る為にいつも留守番してくれてんのか?」

女ハンター「だったら?」

盗賊「おう…悪いな…気を遣わせちまって」

女ハンター「じゃぁ早く準備して!!」ゲシゲシ

盗賊「蹴んなコラ!!」


---------------
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:51:27.84 ID:RKoe7B/E0
『市場』


ワイワイ ガヤガヤ

昨日の騒ぎでポーションの相場が高騰してるぞ…

薬草も一気に在庫無くなっちまった…くそう安売りしすぎた


盗賊「おーし!ロボ…これで動くたびに鈴が鳴る」

ロボ「ピポポ…」ウィーン チリーン

女ハンター「…」チラリ

盗賊「なんだよ?」

女ハンター「何でも無い」

盗賊「ほらよ!!お前の分だ…腰に差しとけ」ポイ

女ハンター「要求したつもりは無いけど…」パス

盗賊「何かと便利なんだ…ロボを守ってくれた礼だ」

女ハンター「フフじゃぁ頂く…」スチャ

盗賊「まぁ俺も一本手に入れた訳だし…満足よ」スチャ

女ハンター「もうお金無いんじゃない?」

盗賊「スッカラカンだ…また稼がんとなぁ…」

女ハンター「あんた本職は泥棒でしょう?」

盗賊「んあ?貧しい奴から盗む気なんざ無い…あぶく銭が余ってる奴専門だ」

女ハンター「どうやって見極めを?」

盗賊「うるせぇな!勘だ勘!!」

女ハンター「フフ…本当変な人…」

盗賊「しかし…ミルク居無ぇと狩り出来んなぁ…」ブツブツ

女ハンター「あ…あれ?あの船…何か様子がおかしい」ゴソゴソ カチャ

盗賊「んん?どれだ?」

女ハンター「なんだ…傾いてると思ったらマストが一本折れてる…」

盗賊「うは…マジか…」

女ハンター「え?何か知って?」

盗賊「そら多分バン・クーバ行く前に俺らを襲った海賊共だ…あいつ等普通に入船して来てんのか…」

女ハンター「鉢合わせてしまうかもしれないわね…」

盗賊「もう会いたく無いがな…」

女ハンター「あぶく銭の匂いは?」

盗賊「う〜む…まぁちっと見て来るかぁ…」

女ハンター「私はロボと一緒に宿屋で待ってるから…稼いで来れば良いわ」

盗賊「おう!頼むわ…まぁ直ぐに戻る」タッタッタ


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774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:52:07.28 ID:RKoe7B/E0
『数時間後_とある宿屋』


ガチャリ バタン


女ハンター「あら?稼げたかしら?」フフン

盗賊「予想した通り…船にゃ大した物乗って無ぇ…銀貨がちょろっとだけだ」ジャラリ

女ハンター「フフ…でも良かったじゃない…酒代にはなるのだから」

盗賊「それよりな?面白い物見つけたぜ?」パサ

女ハンター「書簡?」

盗賊「どうやらあの海賊共はアヘンの運び屋だった様だぜ?…」

女ハンター「ちょっと見せて…」パサ

盗賊「こっちの大陸はケシが良く育つらしい…だがフィン・イッシュでアヘンは違法…向こうの大陸に運んでる訳よ」

女ハンター「この書簡は指示書じゃない…」ヨミヨミ

盗賊「うむ…多分依頼主がフィン・イッシュに居るから戻って来てんだろう…」

女ハンター「おかしい…アヘンを捌いたお金を戻す様にはなって無い」

盗賊「だろ?アヘンをタダで流してる…まぁ一部はあの海賊の金になってるんだろうが…」

盗賊「どうやらフィン・イッシュも…何か悪い奴が蔓延ってんな」

女ハンター「バン・クーバで麻薬が安いのはこれが原因ね…」

盗賊「アヘンを一方通行で流して何がしたいのか良く分からんが…生産者にどんだけ金が流れてるのかは気になる所だ」

女ハンター「ケシの産地は何処か知ってる?」

盗賊「昔はシャ・バクダだと聞いたが…今何処なのかは知らん」

女ハンター「そういえば…市場で大麻は見てもケシは見てない…」

盗賊「そら違法だから売れんワナ…闇で流れてんのよ」

女ハンター「闇…もしかしてカゲミ?」

盗賊「その可能性もあるが…あいつはこっちに来てまだ半年ぐらいだからな…まぁ何か知っては居るかもしれん」

女ハンター「そう…なんだか昨日の騒動も関係して居そうな気がする」

盗賊「こりゃあんま首突っ込むとダメな奴だから…俺らは大人しく静観した方が良い」

女ハンター「…」

盗賊「それより宿屋でゴロゴロしてんのも暇だろう…ダガーの使い方教えてやるから立ち合いでもやらんか?」

女ハンター「あのね…あんたと私じゃ体格が違い過ぎる…勝負になる訳無いでしょう」

盗賊「勝負じゃ無い…護身術を教えてやろうってのよ」

女ハンター「私は狙撃が仕事…」

盗賊「だから狙撃中に背後からレイスでも出て来たらどうすんだ?」

女ハンター「…」ジロリ

盗賊「おっし決まりだな?浜辺行くぞ」グイ


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775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:52:40.17 ID:RKoe7B/E0
『浜辺』


ザザー ザザー


盗賊「ロボ!!海には近づくなよ?」

ロボ「ピポポ…」クルリン

盗賊「まぁそこで見てろ…」

女ハンター「…」ジロ

盗賊「先ずな?ダガーの抜き方だ…俺の真似して抜いて見ろ」スチャ

女ハンター「…」スチャ

盗賊「うむ…これが逆手って言うんだ…順手の場合はこうな?」クルリ スチャ

女ハンター「…」クルリ スチャ

盗賊「ダガーはな?剣と違って相手に懐に入られても抜けるのよ…つまり護身には最適なんだ」

女ハンター「懐に入られるってどういう事?」

盗賊「こういう事だ」ダダ グイ

女ハンター「腕を…」

盗賊「そう…まぁ暴漢ってのは大体こうやって捕まえて身動き出来ん様に体の何処かを掴もうとする…」

女ハンター「そこで抜く訳ね」スチャ

盗賊「おっとぉ!!まぁそんな感じよ…ほんでな?躊躇わずにブスリと行って良い」

女ハンター「フン!!」ググ

盗賊「おっとっとぉ!!…とまぁバレたら直ぐに両腕捕まえに来られる」グイ

女ハンター「くぅぅぅ」ジタバタ

盗賊「こっから先は体術なんだが…こうなっちまったらお前の場合終わりだと思え」

女ハンター「どうしろって言うのさ」バタバタ

盗賊「まぁゲームだ…俺が捕まえに行こうとするから両腕捕まえられない様にどうにかして見ろ」スッ

女ハンター「ちぃぃ…手が痛い…」プラプラ

盗賊「悪りぃ悪りぃ…もうちっと手加減すっから何とか凌いでみろ…行くぞ?」

女ハンター「ダガーは鞘に納めた所からね」スチャ

盗賊「当たり前だ…抜いて一撃入れる練習よ」

女ハンター「怪我しても知らないから!!」

盗賊「ヌハハ…まぁ頑張れ…行くぞ?」ダダ


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776 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:53:31.96 ID:RKoe7B/E0
『しばらく後』


ハァハァ…

もう一回!!

ほらな?逆手の方が一振り回るだろ?

もう一回!!

おーそうだそうだ!!死角から逆回りでも良い

もう一回!!

ドン!!おっとぉ!!体術混ぜても構わんぞ?

くそ!!どうして見切られる!?


盗賊「そりゃな?お前がダガー持ってる事を俺が知ってるからだ」

女ハンター「それはどうしようも無いじゃない!」

盗賊「知らない相手には今の動きで通用するんだ…つまりダガーを隠せ…逆手で抜いて相手に見え無い様にしろ」

女ハンター「これで良い?」スチャ

盗賊「ふむ…そっから相手の隙を見て切りつけるのもまぁ良いだろう…」

女ハンター「分かった…こうだね?」ガチャリ

盗賊「どわっ!!おま…銃は」タジ

女ハンター「…」スチャ ブン!

盗賊「あっぶ!!」ヒラリ

女ハンター「分かって来た…銃の安全装置解除する前にダガーを使えそう…」フフリ

盗賊「なるほど…一旦ビビらせるってのは確かに使える…だがレイス相手にはそうもいかんから…今は銃禁止だ」

女ハンター「ちぃ…」

盗賊「銃無しでもうちっと練習すっぞ」


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777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:54:21.06 ID:RKoe7B/E0
『帰り道』


スタスタ


盗賊「あぁぁすっかり暗くなっちまった…」

女ハンター「ハァハァ…」ヘロヘロ

盗賊「ヌハハちっと頑張り過ぎたな?」

女ハンター「フン!!カスリもしないで悔しいだけさ」

盗賊「まぁ俺じゃ無かったら通用するから今日の動きはイメージトレーニングしとけ」

女ハンター「あんたどうして動きが見切れる?」

盗賊「さぁな?勘だ…勘…」

女ハンター「…」ギロリ

盗賊「まぁそんな怖い顔すんな…経験積んだら分かるようになるんだよ」


シュタタ クルクル ドン!!


盗賊「ぐぁ!!」ズザザー

少女「お前ーーー!!何故手伝いに来ないーー!!」シュタ

盗賊「おんどりゃぁぁ!!」ムク

少女「向こうは大変だぞ!今日もゲス達は帰らん」

盗賊「何ぃ?」

少女「血の匂いに誘われて他の魔物も来てるのだ…シーサーだったか…他にも色々だ」

盗賊「マジか…リコルはどうした?」

少女「父は残って戦ってる…民兵沢山怪我して動けない」

女ハンター「どうも援護に行った方が良さそう…」

盗賊「ロボを連れて行って安全な場所は有りそうか?」

少女「ゲスの所が安全だ…ゲスに助手が居れば尚良い」

盗賊「そうか…まだ馬車は間に合うな?」

少女「急げ!!最後の馬車が出てしまうぞ」

盗賊「どうやら今晩が稼ぎ時な様だ…行くぞ!!」ダダ


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778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:54:59.67 ID:RKoe7B/E0
『旧市街_臨時療養所』


ぅぅぅ…俺は動ける

ダメダメ骨が折れてるんで邪魔になるだけっす

水をくれぇ…

ちっと誰か水とか食料配ってくれやせんかねぇ…


盗賊「いよう!!頑張ってる様だな?」

学者「兄貴ぃ!なんか怪我人の処置みんな慣れて無いんでゴタゴタなんすよ」

盗賊「そんな感じだな?被害の状況はどうよ?」

学者「ほとんどの怪我人は竜巻に巻き上げられた後の落下で骨折っすね…なんで戦力にならんのです」

盗賊「重症な奴はあんま居ないみたいだが…」

学者「怪我が酷い人は忍びがどっか運んで行きやしたよ…例の頭爆発した奴も忍びが運んで行ったっす」

盗賊「なるほど?」

女ハンター「これ…何を手伝えば?」キョロ

学者「とりあえず水と食料を配って行って欲しいんすが…それはミルクちゃんでも良さそうっすねぇ」

盗賊「リコル達はどうした?」

学者「動ける民兵に混ざって魔物と戦って居やすね…兄貴とラスさんはそっち行きやすか?」

盗賊「ヌフフ稼ぎ時だな…」

学者「なんかそんな状況でも無いんすが…ポーションとかも自腹で使ってるんで取り返してきて下せぇ」

女ハンター「自腹?フィン・イッシュから支給とか無いの?」

学者「もう全部使っちまいやしたよ…慣れて無いんで皆ガブガブ飲んじゃったんすよ…一口づつで良いのに」

盗賊「ぐは…やっぱちゃんとした医者は必要だな」

学者「今晩乗り切れば動けなくて邪魔な人減って来るんで魔物退治ももうちょい上手く行くと思いやす」

盗賊「怪我したまんま戦ってる奴が居るんだな?」

学者「そうっすね…そいつら守るのに無駄な労力使ってるっぽいっす」

盗賊「軍隊と違ってそういう所が民兵な訳か…よっし!一丁魔物の数減らして来るかぁ!!」

学者「怪我したらここに戻って来て下せぇ」

盗賊「おう!!ロボ置いて行くから水運びぐらい手伝わせてやってくれ」

学者「わかりやした!!」

盗賊「ラス!!リコル達探すぞ!!来い!!」


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779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:55:42.50 ID:RKoe7B/E0
『翌朝』


チュン パタパタパタ


盗賊「ふぅぅぅ…終わったな?」キョロ

女ハンター「もう弾丸無い…一度戻らないと」フラ

盗賊「結局俺ら後方でガーゴイル倒すぐらいしか役に立たんかったな…」

戦士「まぁ…民兵の弓が主力だから仕方が無い」

盗賊「しかしリコル!もう鎧が傷だらけだな?」

戦士「ハハ戦った体が出て良いでは無いか」


シュタタ


剣士「アランさ〜ん!!ガーゴイルの処置終わったよぉ〜」

盗賊「おう!!一回療養所に戻るか…昼間の内はガーゴイル出ないから戦闘も落ち着くだろう」

剣士「そうだね…油玉も爆弾ももう無くなっちゃた」

盗賊「角はどんだけ集まった?」

剣士「ええと…ガーゴイルの角が12本…キラーパンサーの牙が2本…あとクマ倒した筈だけど死体がどこか持って行かれた」

盗賊「くぁぁぁ勿体無ぇなぁ…」

戦士「アラン君!武器類が結構落ちている様だぞ?」

盗賊「そら回収しないとな…俺見回って来るから先に療養所に戻っててくれ」

戦士「分かった…」

剣士「一回宿屋に戻るよね?もう爆弾とか無いから作らないと戦えない」

盗賊「その方が良い…お前等昨日も寝て居ないだろう?」

剣士「ちょっと休みたいかな…」

盗賊「とりあえず療養所行ってゲスと合流しといてくれ」

剣士「分かった…」


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780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:56:16.45 ID:RKoe7B/E0
『臨時療養所』


ヒソヒソ ヒソヒソ…

忍びの奴らが話してるのを聞いたんだ…女王の不在を狙われたってよ

不在ってどういう事だ?そういえば随分前から姿は見て無いな…

おい!狙われたって誰の事だよ?

財務担当の側近らしい…もう一人は娼館の女…ホラ一番人気の有名な奴だ



盗賊「おろ!?もう寝ちまったか…」ガチャガチャ

戦士「まぁゲス君もミライ君も疲れているのだ」

盗賊「リコルはまだ行けそうか?」

戦士「んん?何故だ?」

盗賊「宿屋まで一旦戻ろうと思ってんだが…カゲミが返って来るもんでよ」

戦士「そうか…しかし起こすのも可哀そうだな」

盗賊「ゲスは俺が背負って行く…この武器類を預かってくれ」ガサリ

戦士「ハハハ随分集めたな?」

盗賊「他にも落ちてたんだが…使いそうな物だけ集めて来たんだ…その2連式クロスボウはミルクでも使えるぞ?」

戦士「少し大きい様だが…」

盗賊「背負ってりゃ盾替わりにもなる」

女ハンター「私も半分持つ…」ガチャ

盗賊「リッカは起きてるな?ミライを背負って来てくれ」

女オーク「分かった…」ヨッコラ

盗賊「まぁ馬車に乗っちまったら少し休めるから辛抱してくれ…ロボ!!行くぞ」スタ

ロボ「ピポポ…」ウィーン


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781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:56:57.70 ID:RKoe7B/E0
『馬車』


パシン! ヒヒ〜ン ガタゴト ガタゴト


盗賊「はぁぁ…これでちっと休めるな…」ドタ

戦士「少し酒っを持って居るが…飲むか?」スッ

盗賊「おぉ!!良い物持ってんじゃ無ぇか…一口貰うな?」グビ プハァ

戦士「レーションもあるぞ?」

盗賊「そら要らん…嫌いなんだ」

戦士「そうか…」カリ モグ

盗賊「しかし…フィン・イッシュも…ちょいとボロが透けて見えるな?」

戦士「フフ…」

盗賊「まぁ民兵頼りじゃこうなっちまうよな…」

戦士「それがこの国の特色だろう?地力は割と高いと思うぞ?」

盗賊「一枚岩になってりゃそうかもしれん…だがどうもエルフとドワーフ…オークが噛み合ってない」

戦士「ふむ…」

盗賊「昨夜も戦ってるのは人間とオークだけだ…ドワーフは新市街から動いて無ぇし…エルフは何処行ったか分からん」

戦士「つなぎ役の人間に問題有か…」

盗賊「なんつーか…頭の回るドワーフとエルフは違う事考えて居る気がすんのよ…オークは単純に人間を守る為に動いてそうだ」

戦士「先日のドラゴンの件も…そう言うのが働いて居るのだろうな」

盗賊「こっから先の話は宿屋に戻ってからにすっか…」

戦士「それが良い…あまりしゃべるとミルクが怒り出す」ナデナデ

少女「ふにゃー」ゴロン


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782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:57:35.24 ID:RKoe7B/E0
『翌日_とある宿屋』


ゲシゲシ ユサユサ


学者「兄貴ぃ!!起きて下せぇよ…」ユサユサ

盗賊「ふががが…ふごーー」zzz

少女「アランは一度寝たら中々起きんな」ゲシゲシ

学者「しゃぁ無いっすねぇ…俺っちが代わりに話を聞いて来やす」

戦士「ミルクも一緒に行けば問題無いと思うぞ?」

少女「仕方ない…ゲス行くぞ!」

学者「へいへい…」

少女「多分秘密の話だから聞き直すのはダメだぞ?」

学者「そういうの苦手なんすよねぇ…」ブツブツ

少女「何も言わないで聞いて居れば良いのだ」

戦士「ハハ大丈夫だよ…ラクに行けば良い」

学者「ほんじゃちっと行って来やすね…」スタ


ガチャリ バタン


盗賊「待てゴラ…むにゃ…んがが…」zzz

女ハンター「本当…呆れる…」シラー

戦士「まぁまぁ…それよりラシャニクア君…接近戦闘はいつから?」

女ハンター「この間アランに少し教えて貰っただけ…」

戦士「ふむ…後衛が少しでも接近戦闘出来ると随分助かるんだ…是非訓練を続けて欲しい」

女ハンター「訓練の仕方を教えて貰って無い…」

戦士「船に訓練用の木人でも用意したら良い」

剣士「ああああ!!ソレだ!!木人!!」

戦士「おっと…何か思いついたかね?」

剣士「船に乗ってる人数をごまかせる!!海賊対策になるじゃない!!」

戦士「ハハハそういう使い方も出来るねぇ」

剣士「姉さん!!良い事思いついた!!木材買いに行こう!!」

女オーク「何処に置く気?もうここには置き場が無いわ」

剣士「船の横に倉庫が有ったじゃない…そこに運べば積んでもらえる…というか今使わない物資はもう運んでおこう」

女オーク「ウフフ分かった…じゃぁ運びましょう」


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783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:58:14.54 ID:RKoe7B/E0
『1時間後』


ガチャリ バタン!


学者「兄貴は起きやした?」ドタドタ

女ハンター「まだよ…」シラー

学者「あらら…」

女ハンター「ギルドからの連絡はどうだったの?行き先とか…」

学者「もう連絡してあるって言うんすよ…貰ったのは海図だけっすね」パサ

女ハンター「海図…」ジロ

学者「北側の地形と岩礁とか海流が記されてるだけっすね…何処に行けっていう指示が無いんすよ」

女ハンター「ミルクは何か聞いてないの?」

少女「アランが知ってる…私は聞かされてないぞ」

戦士「ハハ毎度の事だ…」

学者「こんな感じなんすか…」

戦士「その他に先日のドラゴンの件とかは何か言って無かったか?」

学者「忍びも盗賊ギルドも認知して居るから関わるなと言って居やしたね」

女ハンター「認知?」

学者「なんか内側に…」

少女「ゲス!!その話は船に乗ってからにしろ…お前おしゃべりだ」

学者「へいへい…壁に耳あり障子に目ありっすね…」

戦士「済まん済まん…要らん問いをしてしまった様だ…素直に従うしか無いな…ハハハ」

女ハンター「…」

学者「ほんで船の補修がそろそろ終わりそうなんで荷を積んで良いらしいっす」

女ハンター「丁度ミライとリッカが荷を運んでくれているよ」

学者「そうっすか…俺っちも物資買っとかないともうポーション無いんすよね…」

女ハンター「魔物を倒したのは良いけれど…使った分を差し引くとあまり儲かって居ない様ね…」

学者「むしろ損してるっす…儲かったのは兄貴が持って帰った武器類の分っすよ…ポーションが意外と高いもんで」


盗賊「ハッ!!」パチ ムクリ


学者「おわ!!兄貴ぃ!!起きやしたね?」
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:58:48.52 ID:RKoe7B/E0

盗賊「…」キョロ?

学者「なかなか起きんもんでギルドの連絡は俺っちが聞いてきやしたぜ?」

盗賊「おい!!地図かなんか預かって無ぇか?」ドタドタ

女ハンター「…」ピラピラ

盗賊「おぉぉそれか!!見せろ!!」ダダ

学者「ちょ…兄貴?どういう事っすか?」ハテ?

盗賊「マジか…ミルク!!お前こんな方法で連絡し合ってんだな?」

学者「え!?」

少女「お前気付くの遅い…」

女ハンター「アラン?もしかして…夢で?」

少女「それ以上言うな…何処に機械あるか分からんぞ?」

盗賊「ヌハハ確かに…やっと理解したぜ…此処ん所ずっと同じ夢見てたのよ」

少女「分かったらサッサと船に荷物積むのだ…話はそれからだ」

学者「船がもうすぐ補修終わるんで荷を積んで良いらしいっす」

盗賊「そうか!!集めた武器も持って行かんとな!?」

学者「ほんじゃ荷入れに行きやしょう!」


--------------



『造船所』


エンヤーコーラ ドッコイセー


船大工「どやーー!!ピッカピカやろー!!」

盗賊「おぉ!!船底を赤く塗ったんか…」

船大工「これでフジツボが付かんくなるで速度乗るんやで?」

剣士「アランさ〜ん!!」フリフリ

盗賊「ヌハハもう乗ってんのか…俺も荷を積みに来た所だ」

船大工「ワイらも依頼の荷を積まなアカンで持ってきたもんはとりあえず居室入れとくんや」

盗賊「依頼って何積むんだ?」

船大工「木材やら松脂やらいろいろや」

盗賊「そらありがてぇ」

船大工「荷を積んでしばらく復元力を検査するからまだ出港は出来んぞ?そやな…明後日やな」

盗賊「復元力?どっか改造でもしたんか?」

船大工「船底を黒鉄で補強しとるでちっと具合が変わっとるんよ…まぁ楽しみにしとり」

船大工「あとな?今船に乗っとる2人に手入れの仕方を教えて置くで今日は船で泊らせや?」

盗賊「おう!あいつら中々良い仕事するぞ?」

船大工「そやなぁ!エライ船を褒められてワイも嬉しいわ」

盗賊「ちっと俺も中見てくんな?」

船大工「散らかすなや」


--------------


785 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:59:32.29 ID:RKoe7B/E0
『キャラック船』


ドタドタ


盗賊「うほーー…ロープも全部張り直してんな…」ギシギシ

剣士「帆も防水加工してあるよ!スゴイね」

盗賊「船底は見て来たか?なんか鉄で補強したとか言ってたが…」

剣士「それ船の外側だね…海に浸かってるからもう見えないと思う」

盗賊「外側…」

剣士「岩礁に当たっても穴が開きにくくしたんじゃないの?」

盗賊「なるほど…」

剣士「船の内側は樹脂で隙間しっかり埋めてその上から塗装してるからピッカピカだよ」

盗賊「うむ…歩いただけで違いが分かるわ」

剣士「そうそう!あのドワーフの船大工がこの船に天測器が無いから航海士が居るのか心配して居たんだけど…」

盗賊「ぐぁ…そうだ航海士居無ぇな…測量とかそういう奴な?」

戦士「ミルクの鼻ではダメか?」

盗賊「まぁ外海のど真ん中行く訳じゃ無いからそれで行くだな」

女ハンター「星の角度を測るくらいなら私のスコープで出来る」

盗賊「お!?そんな機能が付いてたんか?」

女ハンター「角度を測る器具は別に必要になるけど…ちょっと後で市場に探しに行ってみる」

盗賊「俺もちと航海術の書物でも買っておくか…」

剣士「あ!!角と牙あるからお金と交換しなきゃ」

盗賊「ミライとリッカは船に残れとあの船乗りが行ってたぞ?俺が交換してくるから寄越せ」

剣士「分かった…」ゴソゴソ

剣士「…でも何の用事で船に?」

盗賊「船の手入れの仕方を教えたいんだとよ」

剣士「おぉ!!それ僕も知りたかった!!」

盗賊「そりゃ良かった」

剣士「船大工かぁ…良いなぁ…完璧な船作って見たいなぁ…」

盗賊「どうやらお前に向いて居そうだ…しっかり教えてもらうだな?ヌハハ…」


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786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:00:10.49 ID:RKoe7B/E0
『街道』


ゴロゴロ


盗賊「荷車ゲット出来てて良かったわ…」ゴトゴト

学者「ロボもラク出来やすからねぇ」

ロボ「ピポポ…」クルリン

盗賊「あと足りない物資って何だ?水も食料もまだそこそこ乗ってたよな…」

戦士「どのくらいの期間航海するかにもよると思うが?」

学者「薬っすね…ポーションだけじゃダメなんで…買う物結構色々ありやすよ」

戦士「栄養も偏らない様に考えておく必要があるぞ?」

盗賊「って事は保存食を色々買うのと…フルーツとかありゃ良いか」

学者「ちっと物資調達は俺っちがやっても良いっすか?なんか兄貴だと酒とか肉ばっかり買いそうなんで…」

盗賊「なんだとう!!」

女ハンター「正解!」

盗賊「ケッ!!勝手にしやがれ!!」

学者「兄貴は天測器とか航海士に必要な道具を調達出来やせんか?…これ買うと多分高いっすよ」

盗賊「お!?そういや帆が折れたスクーナーに色々乗ってたな…」

戦士「んん?帆が折れたスクーナー?」

盗賊「そういやリコルは知らんかったか…俺らを襲った海賊共が普通に入船して来てんだ」

学者「うは…マジっすか」

戦士「海賊船が入船してるとはおかしな話だな…」

盗賊「どうやらフィン・イッシュから向こうの大陸にアヘンを密輸してんのよ…ここじゃ商船って事になってんだろ」

戦士「おや?…先日殺されたのは財務担当の側近だったね…なんだか臭いねぇ…」トーイメ

盗賊「あんま首突っ込まん方が良いな?」

学者「とりあえず兄貴には兄貴のやり方で調達お願いしやすよ…あんまお金に余裕も無いもんで」

盗賊「まぁ楽勝だ…ちっと行って来るわ」

学者「頼んますぜ?」


---------------
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:00:43.78 ID:RKoe7B/E0
『夜_とある宿屋』


ヒソヒソ ヒソヒソ

あの女…まだこの辺に居る筈だ…探せ

逃がしゃし無ぇぞ…あんな金づる滅多に居無ぇ


少女「騒がしいな…何か有ったみたいだぞ?」

盗賊「んん?何か聞こえたか?」

学者「兄貴ぃ!!ちっと腹減ったんで酒場で何か食いやせんか?」

盗賊「おぉ…だが俺は金が無くてよう…」

学者「俺っちが出しやすよ…豆ばっかじゃ腹膨れんっす」

盗賊「同感だ!!お前のおごりでちっと出るか?」


トントン…


盗賊「んん?誰だ?」

男の声「僕だよ…鍵開けて」

盗賊「おぉ!!今酒場行こうと思ってた所だ」カチャリ


ガチャリ バタン!


影武者「鍵閉めて!」ダダ

盗賊「ん?おう…どうしたんよ?」カチャリ

影武者「ちょっと追われてる…隠れたいな」

盗賊「地下に倉庫があるが?どうした?」

影武者「前に僕を裏切った傭兵にばったり出くわしちゃったのさ」

少女「んん?外の声か?こっちに来るぞ?」

影武者「倉庫に隠れる…上手く追い払って」スタ


ドンドンドン!


盗賊「なんだこりゃ…面倒な事になって来たな?」

野郎の声「おい!開けろ!今此処に女が入って行っただろう」ドンドンドン

女ハンター「私が出ようか?」

盗賊「上手く追い払ってくれ…」ヤレヤレ

野郎の声「おらぁ!!ここに居るのは分かってんだ!!開け無ぇと…」


ガチャリ ギー


野郎1「どわ!!急に開けんな馬鹿野郎が…」ヨロ
788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:01:20.37 ID:RKoe7B/E0

女ハンター「何?迷惑なんだけど…」ジロリ

野郎1「なんだお前偉そうに…っとなんだ男が何人もゾロゾロと…」

ウルフ「グルルルル…」

野郎2「おい!!ウルフまで居るぞ…」タジ

女ハンター「…で?何の用?」

野郎1「とぼけんなゴラ…今一人ここに女が入って来ただろうが…俺らはそいつに用が有んだ」

野郎2「大人しくしてりゃお前等に用は…んん?おい!こいつ等…」

学者「あらららバレちゃいやしたね…」チャキリ

野郎1「おっと!そうは行か無ぇぞゴラ!!」グイ

女ハンター「あ…」ギュゥ ジタバタ

野郎1「撃てるもんなら撃ってみろ!!グハハハハ」

野郎2「こりゃツイてる…銃まで手に入りそうだ…そいつを降ろして俺らに従え」

学者「ええと…」ウーン

女ハンター「くっ…」チラリ

盗賊「おっと…こりゃ敵わん…」コクリ


スチャ ブスリ!!


野郎1「ぐぁ!!さ…刺しやがった…このあまぁ!!」ボタボタ 

盗賊「おっと!!」ダダ グイ

野郎2「あだだだだ…」ボキボキ

盗賊「こりゃ形成逆転だな?リコル!!そいつを押さえろ」グイ

戦士「あらあら…」グイ

野郎1「離せゴルァ!!」バタバタ

盗賊「騒がれると面倒だ…落とすぞ?」ゴン!!

戦士「フン!!」ゴン!!

野郎共「ぐへぇ…」ドタリ

盗賊「ミルク!他に仲間は居そうか?」

少女「少し遠くをウロウロしてる」

盗賊「どうすっかなぁ…樽に積めて海に放って来るか」

学者「ウハハそれで行きやしょう…」

盗賊「その前に軽く手当してくれ…死んじまったら寝覚めが悪い」

学者「そーっすね…とりあえず身ぐるみ剥ぎやしょう」ゴソゴソ


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789 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:02:00.14 ID:RKoe7B/E0
『手当て』


ヌイヌイ…


盗賊「おぉぉこいつ等結構金持ってんな…金貨20枚ぐらい持って居やがる」ジャラ

学者「手当てしたは良いんすが…樽に入れて海に流しても目を覚ますと色々マズそうっすねぇ…」

盗賊「ううむ…手足縛って倉庫ん中に置いて行くか」グイ グイ ギュゥ

戦士「それが良さそうだ…船に乗って居た方が安全だろう」

少女「他の仲間がウロウロしているから今外に出るのは危ないぞ?」

盗賊「どんくらい居るのよ?」

少女「正確には分からん…15人ぐらいか」

学者「多いっすね…見つかると騒ぎになっちまいやすね…」

盗賊「しゃぁ無ぇ…アイツらの船燃やしてタゲ逸らすか」

女ハンター「もしかしてここから私が狙う?」

盗賊「いや…街中で銃声聞かれるのもマズイ…ちっと俺が行って燃やして来るから荷物纏めといてくれ」

戦士「荷車ごと移動するのだな?」

盗賊「そうなるな…色々買ってんだから置いて行く訳にもいくめぇ…盗んだ器具類もあるんだからな」

学者「兄貴を待ってれば良いんすか?」

盗賊「どうすっかなぁ…タゲが逸れてチャンスが出来たら先に移動した方が良いかも知れんな…」

少女「任せろ…匂いで分かる」

盗賊「俺は後から上手く合流すっから上手くやってくれ…ほんじゃちっと行って来るな?」

学者「気を付けて下せぇ」ノシ

盗賊「おう!!じゃぁな!!」


ガチャリ バタン! タッタッタ…


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790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:02:33.40 ID:RKoe7B/E0
『1時間後_宿屋の裏』


ザワザワ ヒソヒソ

なんや何処かの船が燃えとるやないか!?

おいおい俺らの船のすぐ隣じゃ無ぇか…親方呼んで来い!!


少女「チャンスだ…匂い移動してる」

戦士「よし!カゲミさん…行けるかね?」

闇商人「僕は多分隠れて居た方が良い…荷車に乗らせて貰う」ピョン

学者「他にも見られるとマズイ感じっすか?」

闇商人「そうだね…僕が買う予定だった船の代金を払って居ないんだよ」

学者「あらら…なんか色々問題抱えてるんすね…」

闇商人「全部アイツらが裏切ったせいだよ…船も奪われて借金だけ僕に残ったのさ」

商人「父!!荷車移動するぞ!」

戦士「おう!!」グイ ゴロゴロ

学者「ガーゴイルが上で旋回してるんで一応気にしといて下せぇ」

女ハンター「私が見ておく…行って」


ガタゴト ガタゴト…


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791 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:03:03.51 ID:RKoe7B/E0
『キャラック船』


ドタドタ…


女ハンター「私見張り台に上がって桟橋の様子見て来る」タッタ

学者「ええと…とりあえず荷を居室に入れやしょう…よいしょ!!」ヨタヨタ

剣士「あれぇ!?どうしたの?」シュタタ

戦士「少しゴタゴタが起こってね…船の方が安全だと思って来たのだよ」

剣士「そうなんだ?…なんか向こうで船が燃えてる様だけど…それだね?」

戦士「燃えて居るのはリッカ君がマストを折ったスクーナーなのだよ…どうやら縁がある様だ」

剣士「アハ…追いかけて来てるのかぁ…」

戦士「向こうは私達が造船所で補修しているとは思って居ない様だ…こちらに居た方が安全だろう」

闇商人「僕はそういう訳に行かないけどね…どこか隠れる場所は無いかい?」

剣士「う〜ん…船尾楼は操舵で人が出入りするから…」

戦士「水が入って居る樽を空ければ隠れられそうだが?」

闇商人「それで良い…借金があってドワーフの船大工に顔を会わせられないんだ」

剣士「おけおけ!樽一個空けるね…こっちだよ」スタ

闇商人「ふぅ…やっと落ち着ける…」スタ

戦士「ミルク!周囲を警戒しててくれ」

少女「背中撫でろ」

戦士「寝てしまうのでは無いか?」ナデナデ

少女「ウルフィも居る…大丈夫だ…ふぁ〜ぁ」コテン

女ハンター「なんか…桟橋の方で乱闘が起きてる…」ジーー

戦士「ハハ狙った通りだねぇ…さすがアラン君だ」


スゥ…


盗賊「いよぅ…上手く撒いて来たぜ?」

戦士「おぉ戻ったか…こちらは静かな物だ」

盗賊「カゲミは何処行った?」

戦士「船尾楼に入れてある樽に隠れるそうだ」

盗賊「よっし!やっと落ち着いて話が出来そうだ」

戦士「その前に腹ごしらえが必要なのでは?」

盗賊「ヌハハそうよ腹減ってんのよ…ちっと肉でも食いながら話しすっか!」

戦士「それが良い…」


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792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:03:44.24 ID:RKoe7B/E0
『船尾楼_小さな炉』


ジュゥゥゥ モクモク


学者「やっと肉に有り着けやしたよ…」ガブリ モグモグ

盗賊「フィン・イッシュは以外と肉が高けぇな?」ガブ モグ

学者「そーっすね…多分資金回収なんすよ」

闇商人「僕もお腹が空いて居るんだ…気を使って貰って良いかい?」

盗賊「ヌハハ樽の中じゃぁなぁ…」

剣士「僕は肉食べないからあげるよ…ハイ」ゴソゴソ

闇商人「ありがとう…」パク モグ

盗賊「ほんで?ドワーフの海賊と取り引きってのは上手く行ったんか?」

闇商人「そうだね…」

盗賊「何を取り引きしたのよ?」

闇商人「まぁ…情報さ」

盗賊「くぁぁぁ…やっぱお前いろいろ隠して居やがる…話したく無きゃまぁそれでも良いが…」

闇商人「コレだよ…」ポイ バサ

盗賊「お?なんだ?海図か?」

闇商人「ドワーフの海賊だけが持ってる世界の詳細地図さ…それを手に入れたんだ」

学者「ちっと見せて下せぇ…」ドタドタ

盗賊「おぉぉ…海図じゃ無いが…こりゃ相当詳細に書かれた地図だな?」ペラペラ

闇商人「その地図で記された何処かに…ホムンクルスが匿われているんだよ」

盗賊「場所は聞き出せて居ないんか?」

闇商人「教えてくれない…まぁでも…世界地図が手に入っただけ前進したと思えば良い」

盗賊「なるほど?…ほんでお前は何を出したのよ?」

闇商人「隠しても仕方ないから教えてあげるよ…女王が書いた伝記さ…」

盗賊「やっぱりそうか…」

闇商人「ハハ薄々感づいて居たね?」

学者「俺っちも内容が知りたかったっすね…勇者とか海賊王の娘の行方とかっすよね?」

闇商人「早い話そうだね…前にシン・リーンの魔術師達が魔法を使って言論統制をしていると言っただろう?」

学者「それと関係が?」

闇商人「書物に記された物までは消せないのさ…勇者の仲間の誰が行方不明で誰が生き残って居るのか記されて居たんだ」

盗賊「それをドワーフの海賊が欲しがる理由って何だ?」

闇商人「海賊王も…娘の行先を追って居るからだね」

盗賊「なるほど…」

闇商人「まぁ僕だけ知って居ても仕方が無いから全部話してしまおうかな…実は20年前…」


海賊王の娘アイラが黄金郷を発見したのは有名な話だね…
793 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:04:32.04 ID:RKoe7B/E0
その時本当に行方不明になったのは勇者アイリーンとシン・リーンの魔女ルイーダ…

そしてシャ・バクダ王朝最後の末裔サルマンの3人なんだ

海賊王の娘アイラはその3人を捜索する為に1年ほどかけて黄金郷をサルベージする基礎を作った

海底から初めに発見されたのは全身宝石へと姿を変えた魔女ルイーダ

その後彼女をシン・リーン女王の下へ運んだけれど…宝石へと姿を変えたルイーダの経緯を知って女王は言論統制を始めた

何故かと言うと…

海賊王の娘を含む勇者一行がした事…それはこの世の神を滅する行為だと悟ったから…

この人間の世界で…神が滅んだという事が世に伝わるのを防いで居るんだ

なぜなら…人間の根底にある真理…そこに神が居るから道徳が保たれる

それが無くなってしまったと世に知れてしまえばすべて倫理がすべて瓦解すると考えたのさ


闇商人「だから宝石となったルイーダを運んだ商人のマルコさんは…事情を知る者として捕らわれの身になった…」

闇商人「その後…フィン・イッシュへ訪れた魔術師達は事情を知る者の記憶を次々と消して行く…」

闇商人「そして事態の異常に気付いた海賊王の娘アイラは…幽霊船と共に姿を消したんだ」

盗賊「そりゃフィン・イッシュ女王の記憶も消されたと思って良いのか?」

闇商人「さぁ?そこまでは分からない…でも今回海賊王の娘に扮して誘き出しをやって居るのは…多分記憶が有るからだと思う」

盗賊「とりあえず…居場所がハッキリして居そうなのが商人マルコだけか…」

闇商人「魔女ルイーダは眠り姫としてシン・リーンに安置されて居るらしい」

盗賊「ホムンクルスはなんでドワーフに囲われてんのよ?」

闇商人「言論統制が始まる前…出産の為に名もなき島という場所に行ったらしい…でもその場所が分からない…」

盗賊「そうか…結局マルコ探して聞くしか無い訳か…」

闇商人「まぁ…先に海賊王の娘アイラと会う事が出来たなら…そっちから聞いた方が安全かもね」

盗賊「安全?魔術師に記憶消されないで済むってか?」

闇商人「うん…でもどの道僕はマルコさんを救いに行くつもりだし…その為には君の力が必要なんだよ」

盗賊「なるほどな?姉御が急に旅に出ようって言い出したのは…お前と既にそういう話をしてたんだな?」

闇商人「それは少し違う…ニーナは単純に君の願いを叶えようとしてた…少し…何か感付いて居た所は有ったかもしれないけど」

盗賊「何か?」

闇商人「世界の異変と言えば良いかい?電脳化した者が何を成そうとして居るのか…」

盗賊「おいおい…完全体のホムンクルスと何か関わってるってのか?」

闇商人「君は知らないんだね…完全体のホムンクルスの脳は機械なんだよ…マルコさんはそれを研究してた」

盗賊「マジか…ロボの真逆って事か…」

闇商人「君も…機械と向き合わなきゃいけないのさ…そこらへんは覚悟しておくんだね」

盗賊「向き合うも何も…俺はロボにホムンクルスの肉体を与えたいだけだ」

闇商人「機械もそれがしたいんじゃないのかい?」

盗賊「なぬ!?」

闇商人「機械が欲して居るのはエネルギーでは無く…恐らく命を欲している…そうは思わないかい?」

盗賊「…」---目的が俺と同じ?---


---アナログハック---

---まさか俺は誘導されてるんか?---

---いや待て…俺じゃ無ぇ---

---ロボは…ミファは命を欲しているのか?---

---ミファは何が欲しいんだ?---
794 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:05:13.00 ID:RKoe7B/E0
『翌日_甲板』


ドタドタ…

木材は船底の方やぁ!!

樽と箱物はきちんと並べて積むんやで…動かん様に袋物使えな?


盗賊「荷の積み方変えたんか?」

船大工「そやなぁ…ちぃと重心低くなっとるで転覆しにくくなっとるが揺れが早いんよ」

盗賊「ほーん?」ポカーン

船大工「あんまり揺れが早いと荷が動くでな?甲板に大砲でも乗っとりゃちっとマシなんやが…」

盗賊「なるほど…積み方工夫して重心を変えてんのか」

船大工「海に出て揺れが気になる様やったら水入れた樽を甲板に出せばマシになるで覚えときぃ」

盗賊「あと小舟がえらくちっこくなってんだが…」

船大工「乗ってた小舟は穴が開いて使えんでほかったわい」

盗賊「この小舟は3人ぐらいしか乗らんだろ…」

船大工「よう見てみぃ!!2隻重なっとるやろ…繋いで双胴船にすりゃ10人ぐらい乗るんや」

盗賊「おぉ…」

船大工「双胴船にすりゃ帆も立てられるんやで?工夫して使えや」


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『船首楼_作業場』


トンテンカン ギコギコ


剣士「姉さんの鎧をこの木人に着せて行って?」

女オーク「分かったわ…」ガチャガチャ

剣士「使って無い武器も持たせようか…そうだな槍が良いかな」トントントン

戦士「ハハハ…やけに作り込んだ木人だね」

剣士「あ!!リコルさん!!これアーマースタンドとしても使えるんだよ」

戦士「なるほど?鎧を脱いで居る時は木人に装着しておけば良いのだね?」

剣士「うん!!もう一個作るから待ってて!」トンテンカン

戦士「そうか…この木人を甲板に置いておけば遠くから見て人が居る様に見えるか」

剣士「訓練用の木人としても使えるよ…関節を動かせる」グイ

戦士「ほう?盾も持たせられそうだね?」

剣士「勿論!!矢を防ぐ障害物にもなる」

戦士「それなら木型の大砲が有っても良いねぇ…」

剣士「おおおおお!!なんちゃって大砲かぁ!!そうか…運びやすいな…色々使えそうだ!!」

戦士「ちょっとした腰掛になって休めそうだ」

剣士「黒い塗装かぁ…」

戦士「丁度暇だから塗料を買って来てあげようかい?」

剣士「それ助かる!あとでお金出すよ」

戦士「まぁ待って居てくれ」スタ


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795 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:05:48.58 ID:RKoe7B/E0
『見張り台』


ヒュゥゥ ユラ〜


女ハンター「アラン!!こっち来れる?」

盗賊「んあ?何か見つけたんか?」

女ハンター「昨夜の海賊達…」ジー

盗賊「今行く…」ヨジヨジ

女ハンター「桟橋の方で集まってる…何か狙って居そう」

盗賊「ほっ!!」ピョン スタ

女ハンター「あ!!やっぱり…」

盗賊「どこよ?」キョロ

女ハンター「望遠鏡持ってるでしょう?」

盗賊「船尾楼に置きっぱなしだ」

女ハンター「呆れた…」

盗賊「んで?何かやらかしてんのか?」

女ハンター「さっき到着した船に一斉に乗り込んで行った」

盗賊「マジか…アレだな?」

女ハンター「なんか手慣れてる…一枚帆を張り出した」

盗賊「船強奪か…やるな…人数揃ってりゃ簡単なもんだな…」

女ハンター「三角帆2枚のキャラベル船よ…多分商船」

盗賊「俺らが閉じ込めた2人も居そうか?」

女ハンター「居る…指揮取ってるみたい」

盗賊「なんかあいつ等とどうも縁が在りそうだな…もう会いたく無いが…」

女ハンター「意外と優秀な気がする…行動が早い…」

盗賊「その筋じゃやり手なのかも知れんな?おお!?民兵が弓撃ちだした…」

女ハンター「矢を送って居る様な物…撃つだけ無駄」

盗賊「だな?オークの撃つ矢はそのまま槍として使える」

女ハンター「ここから帆を焼くことも出来そうだけど…」

盗賊「止めとけ…こっちはまだ動けん…居場所を晒しちまう」

女ハンター「どんどん陸から離れて行って…もう打つ手なしね」


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796 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:06:28.48 ID:RKoe7B/E0
『船尾楼』


ガチャリ バタン


学者「あ!!兄貴ぃ!!今海図と世界地図整理してるんすけど…」

盗賊「んあ?記打った場所動かすなよ?」

学者「分かって居やすよ…これが行き先っすね?」

盗賊「まぁな?名前はもう忘れた」

学者「何があるとか分かってるんすか?」

盗賊「夢の中の事だからあんま覚えて無いのよ…そこに村か何かあるぐらいしか思い出せん」

学者「大丈夫なんすかね?…そんな感じで?」

盗賊「寝りゃ又なんか夢見るかも知れん…今度は俺も分かってる訳だからもうちょい詳しく分かれば良い」

学者「とりあえずの行先は…ええと…」

盗賊「その記は多分あの派手な婆ぁの寄港地だ…2〜3つすっ飛ばすのを考えてる」

学者「もう半月以上差があるんで結構厳しいっすねぇ…」

盗賊「どうせ寄り道して数日滞在してんだろうから追い付けると思うんだけどな…」

学者「それと兄貴ぃ…海図に書かれてる岩礁地帯なんすが…世界地図と比較してちょとズレて居やすね…」

盗賊「なぬ!?」

学者「世界地図の方が正確そうなんで修正した方が良いっすよ」

盗賊「世界地図には岩礁なんか書かれて無いぞ?」

学者「いやいや…島の場所とか地形がズレてるんす」

盗賊「そういう事か…岩礁は避けたいな」

学者「これもう一枚海図起こした方が良くないすか?」

盗賊「そうだな…地図書くのは割と得意だから書き直すわ…うむ…確かに世界地図の方が色々詳細に書かれてんな…」ジロジロ


ググググググ ユラ〜リ


盗賊「お!?」キョロ

学者「おとととと…」

盗賊「そういや復元力の確認するとか言ってたな」

学者「居室に突っ込んだ荷もそろそろ片付けたいっすね」

盗賊「そうか?俺はこのままでも良いがな?」

学者「グチャグチャじゃないっすか…」

盗賊「なんつーか…木箱と樽に守られてる感じがしてよ…そうそう秘密基地みたいな感じだ」

学者「これ崩れたら出入口塞がっちまいやすぜ?」

盗賊「ヌハハお前にゃ分からんか…木箱の陰の安心感がよ…この隙間から向こう側を伺うんだ」コソーリ

学者「ギャング育ちは感性がちっと違いやすね…」ヤレヤレ


ググググググ ユラ〜リ


盗賊「おわっとととと…こりゃ荷が崩れそうだ」ガシ

学者「ちっと荷室に片づけやしょう」


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797 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:07:07.48 ID:RKoe7B/E0
『夕方_甲板』


ドタドタ…

日が落ちる前に終わってよがったなぁ!!

例の酒場でお疲れさん会でもやろか?ガハハハ


船大工「さぁて撤収やぁ!!」

盗賊「おう!ご苦労!!これで何時船を動かしても良いな?」

船大工「ええけど夜行くのは止めとき…沖に出て直ぐ魔物に襲われるで」

盗賊「確かに…」

船大工「桟橋に移動する程度やったら問題無いが…又入船料取られるで今晩は此処に居ったらええ」

盗賊「まぁそういう訳にも行かなくてよ…俺ら急いでんのよ」

船大工「ほうか?ほんならコレ持って行け」ポイ

盗賊「おぉ?…」パス

船大工「ミスリルの鐘や…ドワーフは皆持っとるんやで?」

盗賊「良いのか?貰っちまって?」

船大工「海賊王の娘さん探しに行くんやろ?ちっと聞こえてしもうたんや」

盗賊「ヌハハ秘密にするつもりも無かったんだがな?」

船大工「それからおまん所の大工居るやろ?あれはドワーフの血が入っとるで?良い船大工になりそうや…餞別思うて持って行け」

盗賊「ミライか…あいつは俺らの隠し玉よ」

船大工「まぁ期待しとるで?海賊王の娘さん見つけたらワイがこの船補修した事を伝えてくれや」

盗賊「おう!!」

船大工「ほな又な?」ノシ

盗賊「世話になった…あばよ!!」ノシ

船大工「おまんらぁぁ!!酒場で打ち上げやぁぁ!!」ドスドス

盗賊「…」---ドワーフ達が見ている方向---


---なんとなく分かって来たぜ?---

---海の向こう側見てんだな---

---なるほど人間の小競り合いなんかどうでも良いか---


798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:09:19.10 ID:RKoe7B/E0
『出港』


ガラガラガラ


盗賊「おーし!!碇上げたぞぉぉ!!帆を開けぇ!!」ドタドタ

剣士「えっほ!えっほ!」グイグイ

学者「兄貴ぃ…凪時であんま風が無いっす…」

盗賊「直に陸から風が降りて来る…まぁお試し帆走だ」

戦士「夕日があるうちに沖へ出ておきたいがな?」


スタスタ


闇商人「ふあぁぁぁ!!」ノビー

盗賊「おうカゲミ!!やっと樽から出て来たな?」

闇商人「もう膝が痛くて…」

盗賊「いつまでフード被ってんのよ…もう誰も居ないぞ?」

闇商人「これで良いんだよ…それよりもう何日も水浴びして居ないんだ…自分の体臭が臭くてたまらない」

剣士「あ!!湯を沸かそうか?姉さんも水浴びしたいよね?」

女オーク「そうね…宿でゆっくり出来なかったし…」

盗賊「まぁ…凪で船は進まんし…今の内に水浴びしとけ」

学者「兄貴も大分汚れていやすけどねぇ…」ジロ

盗賊「俺は海水でザブサブ流すだけで構わん」

剣士「まだ水には余裕があるから順番で水浴びしよう」

学者「そーすね…俺っちも流したいっすよ」

盗賊「しかし…やっと自由になれた感じだ」

戦士「飲むか?」スッ

盗賊「おぉやっぱ酒か…」グビ プハァ

剣士「じゃぁ湯を沸かして来るね」シュタタ

闇商人「良く見ると…中々良い船だねぇ…」キョロ

戦士「塗装し直して見違えたな?雨漏りで苦労した船とは思えん…ハハハ」

闇商人「船尾楼のデッキに重クロスボウ2つか…ふむ」

盗賊「メイン火力はラシャニクアの遠距離狙撃よ…中距離は爆弾の遠投…ほんで近距離はゲスとお前のバヨネッタ」

少女「私の2連クロスボウも忘れるな」シャキーン

闇商人「なかなかの火力だね…これなら海賊も追い払えそうだ」

盗賊「んん?海賊?」

闇商人「大陸の北側は海賊だらけの筈さ…一番相手にしたく無いのがドワーフの海賊達だね」

学者「まーた海賊っすか…」

闇商人「ある意味この船も海賊船だと思うけどね…まぁ北側は今までよりももっと無法地帯なのさ」

盗賊「そうそう…そういやお前なんで昨日の海賊を雇ってたのよ?どんな繋がりだ?」

闇商人「向こうの大陸では麻薬の取り引き相手だったのさ」

盗賊「やっぱりお前が闇で流してたんか…」

闇商人「まぁ僕だけじゃ無いけどね…彼等は行動力があって意外と優秀だったんだよ…だから雇ったんだけど…」

盗賊「盗賊ギルドに雇い返された訳な?」

闇商人「そうだね…僕が出す以上の金か女で簡単に買収出来るのさ」

戦士「カゲミ君…君はアヘンの出所を知って居るのかい?」
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:10:29.46 ID:RKoe7B/E0
闇商人「勿論…フィン・イッシュの国策だよ」

盗賊「国策?」

闇商人「タダ同然の物資を流通させる事でその他の物資も流通が促されるのさ…海賊が動き回るのも流通が活発な証だよ」

盗賊「それじゃフィン・イッシュの資金が枯渇しそうなんだけどな…」

闇商人「そうだね…どうやりくりして居るのか分からないけれど…財務を束ねている人物が優秀なんだとは思う…」

盗賊「あ…お前知らん様だな?」

闇商人「何を?」

盗賊「その財務担当の側近がこの間暗殺されたんだ…エルフにな?」

闇商人「エルフに?…」ギラリ

盗賊「その辺りの事情が俺ら良く分からん…何か知ってるか?」

闇商人「ふ〜む…裏が在りそうだ…そもそも僕があの傭兵に裏切られたのもそんな事情が隠れて居たのかも知れない」

盗賊「そんな事情?」

闇商人「きっと僕の存在が財務担当の手足になってると見えてたという事さ…それなら盗賊ギルドの行いも納得がいく」

学者「ちっと待って下せぇよ?財務担当の暗殺は盗賊ギルドも絡んでるって事なんすかね?」

闇商人「確実な事は言えないね…ただ盗賊ギルドの連中は特殊な方法でエルフと連絡が出来るそうだよ」

戦士「ミルク?」

少女「…」シラー

盗賊「なるほど?遠吠えやら夢を使って密かに情報流してた訳か…ほんで電脳化していた財務担当を女王が居ない隙に暗殺した訳だ」

闇商人「電脳化?何の話だい?」

盗賊「その財務担当は頭が爆発したらしい…電脳化の証拠隠滅だろう」

闇商人「ハハそういう事か…それは良い情報を聞けた」

戦士「この件はフィン・イッシュ女王の危機と考えても良さそうだが…」

闇商人「さぁ?どっちかな?危険から遠ざけたという見方もある…実はね…女王はかなりの独裁気質なんだよ」

戦士「ほう?」

闇商人「とにかく人の言う事を聞かないで物事を決める…国家予算をすべて農民に分けるのも勝手に女王が決めた事なのさ」

闇商人「勝手に畑を耕して勝手に人を招き入れて…誰の言う事も聞かない…そのクセ忍びにがっちり守られてる」

学者「じゃぁ国に蔓延る膿を出す為に…海賊王の娘に扮して外に連れ出されたってのも考えられそうっすね」

闇商人「そういう役を盗賊ギルドが担って居たのかも知れない…なるほど」フムフム

少女「お前達!!上を見ろ!!」ユビサシ

盗賊「んん?あらら…もうガーゴイルが飛んでんな…」

女ハンター「どうする?」

盗賊「構うだけ弾丸のムダになっちまう…折角ミスリルの鐘貰ったんだからコレ使うぞ」スッ

学者「お!?それどっかぶら下げといて敵見つけたら鳴らせば良さそうっすね?」

盗賊「だな?ちっと手伝え!」ゴソゴソ


カラン コローーン


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800 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:11:37.17 ID:RKoe7B/E0
『夜_甲板』


ザブ〜ン ユラ〜


剣士「よいしょ…よいしょ!!」ドスン

女オーク「こっちの木人にも盾を?」

剣士「うん!どうせ拾い物だし…」ガチャガチャ

盗賊「ほーーこれで6体目か…この装備品も作ったんか?」

剣士「それ海賊から剥ぎ取った装備を少し直したんだ」

盗賊「上手い事作るもんだ…」ジロジロ

剣士「これで武器と盾持ってたら傭兵に見えるよね?」

盗賊「ふむ…こりゃ敵に囲まれた時の訓練にも使えそうだ」

剣士「そうそう!そういう風に活用して欲しい」

盗賊「ちっと関節動かして自然な感じにすんぞ?」グイ

剣士「イイね!!」

盗賊「なんかこれはこれで中々楽しい…そうよ…こんな感じで盾に体を隠す…」グイ

剣士「この木人を魔法か何かで動かせると良いね」

盗賊「だな?戦わせてみたいな?」

剣士「魔術書にさ?土で作った人形のゴーレムっていう魔物の事が書いてあるんだ」

盗賊「ほう?」

剣士「多分こんな感じなんだよ…これは木で作った人形だけどね」

盗賊「機械も多分…始めはこんな感じだったと思うぞ…」

剣士「ハッ…そうだね…」

盗賊「人と同じ心を宿したとして…やっぱ命が欲しくなると思うか?」

剣士「どうだろう…」トーイメ

盗賊「なんかよぅ…どうも俺は違うんじゃないかと思えて来た」

剣士「違うって?」

盗賊「欲しいのは命じゃ無くて…記憶なんじゃないかってな?」

剣士「記憶?」

盗賊「ほらこうやって俺ら楽しく遊んでるだろう?…その記憶をどうにかして残したいんじゃ無いかと思ったのよ」

剣士「じゃぁその手段として…命が欲しい?」

盗賊「それだ…命は2番目なのよ…記憶さえ残れば命なんざ求めて居ないってのが…俺の思う所だ」

剣士「なんか深いね…」

盗賊「そしてな?俺ら人間は死ぬ時にそれまでの記憶を一緒に持って行く訳だ…何故ならそれが死だと既に知って居るから」

盗賊「だが機械はそもそも命が無い…つまり死を理解できない…だから記憶を残したいのよ」

剣士「それは一度命を得れば理解出来るんじゃないかな?」

盗賊「なるほど…」

剣士「なんか命が有るって…素晴らしい事だね」

盗賊「逆に命の無いこの木人が…俺はすごく愛おしく感じる…まぁ何でもそうだな?小さい頃持ってたおもちゃも同じだ」

剣士「分かる…木人も同じ時間を過ごしたなら…その記憶を残したい感じも…なんか分かる」

盗賊「俺ら人間が一方的に思ってるだけかも知れんが…どうも気になってよ」

剣士「それが…こうやって木人と遊ぶ動機なのかもね?」

盗賊「おっし!!完璧に仕上げるぞ!!誰か来てもビビるぐらいにな?」

剣士「おぉぉ!!なんかやる気出て来た!!」
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:12:19.92 ID:RKoe7B/E0
『翌日』


ドタドタ


学者「おぉぉ…船首楼と船尾楼の上に1体づつ…甲板に4体…」

盗賊「どっからどう見ても見張りに見えんだろ?」

学者「そうっすね…甲板の木人が剣を抜いてる所が良いっすね」

盗賊「あれは戦闘訓練用だ…壊さん程度に色々試して良いぞ」

戦士「私達も含めて船上に人影がこれだけ見えて居れば…20人ぐらいは乗って居る様に見えるな?」


女ハンター「アラン!!右前方…手漕ぎのガレー船が居る」


盗賊「なぬ!?早速海賊か?」

女ハンター「この船が追い越す形になりそうだ」

戦士「そのガレー船に帆は?」

女ハンター「三角帆が2枚…細長い船体で30人ぐらい乗って居そうだ」


タッタッタ


闇商人「ガレー船?」キョロ

女ハンター「まだ目視じゃ見えないよ…向こうにも気付かれてない」

闇商人「少し沖へ距離を取った方が良いね…ガレー船は此処一発で一気に距離を詰めて来る」

盗賊「この船より早いってか?」

闇商人「一瞬だけね…多分僕が雇っていた傭兵達と同じ感じさ…大した武器は持って居ないけど兎に角行動が早いんだ」

盗賊「やっぱ陸沿いはいろいろ遭遇すんだな…ちっと進路変えるか」

戦士「ガレー船が未だに居るとは…」

闇商人「スクーナーとかより造船コストが安いのさ…接近戦で一気に襲撃する海賊が好む船だよ」

学者「この近くにはなんかあるんすか?」

闇商人「漁村やちょとした集落は無数にあって数えられないね…」

盗賊「まぁちっと進路変える…」スタ


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802 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:12:58.34 ID:RKoe7B/E0
『船尾楼』


ユラ〜 ギシ


盗賊「ふむ…操舵の感じも少し変わって居そうだな?」

ロボ「ピポポ…」クルクル

盗賊「直進性が増してて修正が少し遅れて来てんだな?…まぁ羅針盤見ながらちょいちょい修正してくれ」

学者「兄貴…このまま行くと陸が見えなくなっちまいやすが?」

盗賊「仕方ないだろう…海賊と無駄な消耗したく無いからな」

学者「いよいよ天測器で緯度求めんとイカンくなりやすね…」

盗賊「まぁどんどん赤道に近付いているから羅針盤も精度が割と高い…外海のど真ん中じゃないからどうにかなる」

学者「船の向いてる方向が進んでる方向とは限らんですぜ?」

盗賊「わかってらい!!ただな?船の直進性が良くなってそうなんだ…その辺りどうなのか試しても見たい」

学者「そーっすか…じゃぁ俺っちは日が出てる内に天測器の準備でもしておきやす」

闇商人「アラン…今向かって居るのはこの印を目指して居るのかい?」ユビサシ

盗賊「いや…そこは飛ばしてこっち側だ…10日ぐらいのつもりで居る」

闇商人「また海賊が多い場所を…」

盗賊「でもここ行かないと女王の船に追いつけんぞ」

闇商人「そこはねヤン・ゴンという遺跡が発見された場所なんだ…盗掘目当ての冒険家がみんな海賊になって居るのさ」

盗賊「遺跡?ほんじゃ機械がウヨウヨしてるってか?」

闇商人「向こうの大陸のような遺跡では無いらしいよ…」

盗賊「ほーん…そん次に行こうと思てるのが此処だ…名前知ってるか?」

闇商人「ちょっと待って…メモが残って無いか探してみる」パラパラ

盗賊「なんだお前…秘密のメモがあるなら先に出せよ」

闇商人「ダメだよこれは…僕の日記さ…恥ずかしい事も沢山書いてある」

盗賊「ヌハハそら見せれんか…何だお前の恥ずかしい事ってよ?」

闇商人「君は僕の月の物がいつなのか知りたいのかい?」ジロ

盗賊「うへぇ…興味無さ過ぎる」

闇商人「よしよし有った…そこはムン・バイだね…既に攻略された古代遺跡さ…そして次がメッカという遺跡」

盗賊「この海峡は?…ここが一番の難所だと思ってんだが…」ユビサシ

闇商人「岩塩地帯にあるス・エズーという海峡だよ…そこは目的地じゃなくて通過する場所だね」

盗賊「ギルドから貰った海図では全域浅瀬になってんのよ」

闇商人「この船より大型な女王の船隊がそこを通ろうとして居るんだろう?どうという事は無いと思うけどね」

盗賊「この海峡で一旦降りる計画になってんだが?何が有るんだ?」

闇商人「何だろうね?僕は知らない…ただそこを抜けてしまえば後はシン・リーンの港町がいくつも有る」

戦士「話を聞くとなかなか楽しそうな航海だね…この年でこんな機会が来るなんて思っても居なかったよ」

盗賊「そう上手く行きゃ良いが…海賊に追われっぱなしじゃ休めんかも知れんぞ?」


カラン コローン…


盗賊「お!!?敵が来たか…」スック

戦士「ハハ初日から色々起こる…行こう!」ダダ


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803 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:13:40.50 ID:RKoe7B/E0
『デッキ』


ドタドタ…


盗賊「どうした!!?」ズダダ

女ハンター「例のガレー船に気付かれたんだよ…少しづつ寄って来てる」

盗賊「帆を燃やしてやれぇ!」

女ハンター「まだ射程距離じゃない…それから向こうは手漕ぎだから帆を燃やしても意味無い」

盗賊「デッキからでも目視できるな…まだ帆走だけか…」

女ハンター「乗って居るのは30人どころじゃ無いね…40人ぐらいだ…丸い盾を装備し始めた」

学者「今時そういうガチ海賊のスタイルがまだ居るんすね…」

盗賊「ちっと沖に出るだけじゃダメだったか…」

女ハンター「漕ぎ始めた…」

学者「なんか太鼓の音がし始めたんすが…」ドーン ドンドンドンドン

盗賊「ウハハまた分かりやすい合図だ」ドーン ドンドンドンドン

女ハンター「射程にそろそろ入る…」

盗賊「撃て!!」


ダーン!


女ハンター「クソ…盾に当たって燃えたけど…直ぐに消されてる…」ガチャコン

盗賊「こりゃ一気に来るな…」

女ハンター「どうする?まだ撃つ?」

戦士「嫌だねぇ…一気に乗り込もうとする戦術…」

盗賊「リッカ!!爆弾準備しとけ…あの船は船底が浅くて大波が来りゃ直ぐに転落する奴がでる」

女オーク「狙うのは波?」

盗賊「そうだ…直撃させんで良い…乗ってる奴を何人か落とせば終わりだ」

女オーク「分かったわ…」ダダ

女ハンター「船を左に転進させて!!私もデッキに降りる」ピョン

盗賊「おう!!ミライ!!前方の帆を1番に繋ぎ変えろ…船を回すぞ!!」

剣士「おっけー!!」シュタタ

盗賊「リッカは射程に入ったら爆弾投げまくって揺らしてやれ!!」ダダ

戦士「私はやる事が無い様だ…」

盗賊「一応重クロスボウ撃つ準備だけ頼む」


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804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:14:44.27 ID:RKoe7B/E0
『ガレー船』


ドーン ドンドンドンドン


舵手「テンポアップ!テンポアップ!ロウ!ロウ!ロウ!」ドコドコドコドコ ドーン

漕手「どるぁぁぁ…」フン! フン!

海賊「ウハハハ一気に行けぇ!!」

舵手「帆が抵抗になって居るから畳んでくれぇ」ドーン ドンドンドンドン

水夫「エッホ!エッホ!」グイグイ

海賊「何か撃って来るぞぉ!!盾をしっかり展開しろぉ!!」

舵手「バウサイド!アップ!アップ!ストロークサイド!ブレーキアンドゴー!!」

海賊「ようし!!どてっ腹に突っ込めそうだ…このまま行けぇ!!」


ヒュゥゥ ポチャン…


海賊「んん?何撃って来たんだ?」キョロ


ザブーン!! ボコボコボコ


海賊「どわぁぁぁ!!」ゴロゴロ

舵手「オ…オールメン…バ…バックロウ!!」

海賊「馬鹿野郎!このまま突っ込め!!」グイ

舵手「うるさい!舵手は俺だ!従え!!バックロウ!!バックロウ!!」


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805 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:15:39.80 ID:RKoe7B/E0
『キャラック船』


ダダダ ポイ! ドッコーン ジャバジャバ


盗賊「うはぁ…あの船…転進しないでそのまま下がれるんか…」

闇商人「見たかい?彼らの瞬発力…」

盗賊「前後どっちにでも進める船だったんか…」アゼン

戦士「太鼓と言い…漕手の統率感と言い…あれはあれで戦力になりそうだ」

闇商人「かつては北方の海賊と言われていたらしいよ…下半身に節操が無いのも有名さ」

戦士「あれが北方の海賊だったか…」

学者「本で読んだ事ありやすよ?女は飲み物だとか言った奴が居るらしいっす」

盗賊「飲み物だとう?…何を飲むんだか…」

戦士「まぁ良い話は聞かないねぇ…」

盗賊「とりあえずこれで追っては来れんだろう」

剣士「これさぁ…向こうの帆を燃やしても意味無いから…一気に乗り込まれた時の事考えておかないとね?」

盗賊「うむ…中々厄介だな」

剣士「乗り込む時は梯子を使うか…ロープを引っかけるか…う〜ん」

盗賊「接弦される前に処理するしか無い様に思うがな…」

剣士「それは出来るだけやるとして…不意を突かれて乗り込まれた時の準備だよ」

盗賊「罠でも仕掛けるってか?」

剣士「そうそう…僕達は知って居るから引っかからない罠」

盗賊「なるほど?網で一気に捕らえるとかそういう奴な?」

剣士「うん…ちょっと考えてみる」


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806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:16:16.18 ID:RKoe7B/E0
『甲板』


トンテンカン トンテンカン


戦士「ミライ君は又何を仕掛けようと?」

盗賊「手摺の補強だとよ…どうやら刃の付いた鉄板を取り付けてロープが切れちまう様にする様だ」

戦士「ほう?」

盗賊「確かに鉤ロープ引っ掛った後は手摺が支点になるからそこで切れると登って来れん」

戦士「考えたねぇ…だが不用意に手摺にもたれられなくなるな…」

盗賊「刃は外向きだから心配すんなとか言ってたぞ?」

戦士「要らぬ心配だったか…」

盗賊「それより木人使った戦闘訓練をラスとゲスに教えようと思って居たんだが…」

戦士「それは良い…最低限の自衛が出来る出来ないでは随分違う」

盗賊「俺はラスに教えっからゲスの方をよろしく頼む」

戦士「ゲス君はダガーを?」

盗賊「ダガーもだが…銃にダガーを付けた槍のスタイルも教えといた方が良いな」

戦士「分かった…」

盗賊「お〜い!!ラス!!ゲス!!こっち来〜い!!運動すっぞ!!」


ドタドタ…

木人相手に実際の武器使った間合い取りの練習だ…

切り込んでも構わん

防具のスキを狙うのにどう立ち回れば良いか考えながらやってみろ


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807 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:17:18.53 ID:RKoe7B/E0
『一週間後_嵐』


ゴゴゴゴ ザブ〜ン ドッパ〜ン


盗賊「んぁぁぁ…波に揺られるだけで何もやる事無ぇな…」グビ プハァ

少女「風が弱くなってる…そろそろ終わるぞ」

盗賊「まだ帆は開けんな…」


ユラ〜〜 ググググググ


学者「チェックメイト!ニヒヒヒヒ…」ニマー

闇商人「あぁぁ…僕が攻めてた筈なのに…」

学者「いやいや又金貨頂きやすぜ?」ジャラ

盗賊「ゲス!!ぼろ儲けだな?」

学者「そうっすねぇ…こりゃ戦場での経験が差になって居やすよ…ナハハハハ」

闇商人「あぁもう止めだヤメ!!」ガラガラ

学者「カゲミさんは飛び道具をアテにし過ぎっすね…結局勝敗は歩兵をどんだけ使うかっす」

闇商人「ハイハイ分かったよ…ちょっと雨が降ってる内に全身流して来る」スック

盗賊「んあ?海に落ちんな?」

闇商人「ロープを括り付けておけば良いんでしょ?」

盗賊「手摺超えたらロープ切れちまうからあんまアテにすんなよ?」

闇商人「分かった分かった…」ギュゥ


ガチャリ ビュゥゥゥ バタン!


学者「アハ…ちっと機嫌損ねちまいやしたかね?」

盗賊「大丈夫だろ?」グビグビ プハァ

戦士「しかし蒸し暑いな…私も雨で汗を流すか…」スック

盗賊「暇だし俺も付き合うかぁ?いっそのこと全員で裸祭りなんかどうよ?」

戦士「女性も居るのだから程ほどに…」

盗賊「上半身ぐらいどうって事無ぇ…行くぞ!」スック


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808 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:18:24.70 ID:RKoe7B/E0
『甲板』


ザザー ジャブジャブ


闇商人「んん?なんだ心配で見に来たのかい?」ジャブジャブ

盗賊「いや暑くてよ…」

闇商人「そうだね…びしょ濡れの方が気持ち良い」ゴシゴシ

戦士「おぉ!!魚が甲板に乗り上げてるじゃないか」


ビチビチ ピョン


盗賊「もう魚は見たくも無ぇよ」


ドップ〜ン!! ザバーーー


戦士「これは中々…」ヨロ

闇商人「アハハ…もう雨も海水も分からない」ゴシゴシ

盗賊「こりゃほとんど風に巻き上げられた海水だ」

闇商人「この船は船首楼が高くて良いね…高波に強い」

盗賊「甲板は波にさらわれやすいからデッキ上がっとけ」

闇商人「デッキは風がねぇ…」

盗賊「そうか…デッキの方がむしろ危ないか」

闇商人「マストにロープを括り付けておけば余程大丈夫さ」

盗賊「ヌハハお前は肝が座ってんな?」


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809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:19:34.03 ID:RKoe7B/E0
『半日後』


ビュゥゥゥ


盗賊「大分風が収まった様だ…」

学者「もう現在地何処か分からんすよ?」

盗賊「こっから東の方向に行けばどっか陸が見えて来るとは思う」

学者「帆を開きやす?」

盗賊「とりあえず一枚だな…いつ突風が来るか分かんねぇし…」

学者「雨が止めば良いんすが…」

盗賊「んん?天測器か?」

学者「緯度だけでも分かれば大分違いやすよね?」

盗賊「そんな現在地変わってると思えんがな…」

学者「海流で変な所に流されてなきゃ良いっすけどねぇ…」

盗賊「帆を開いて来る…舵はまかせんな?」ダダ


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『土砂降り』


ザザーー ザバザバ


盗賊「くぁぁぁ視界悪いな!!」

女ハンター「もう日が落ちる…もっと視界悪くなるよ」モゾモゾ

盗賊「ヌハハ洋服が張り付いて動きづらそうだな?お前も脱いだらどうだ?」

女ハンター「鞭の傷を見せびらかせと?」

盗賊「一回見せちまえば気にならなくなるんじゃ無ぇか?」

女ハンター「フン!!」ヌギヌギ

盗賊「見て見ろ俺の体を!!火傷に縫い傷…まともな部分の方が少無ぇ」ムキムキ

女ハンター「あんたと一緒にするな」

盗賊「傷者同士仲良くしようぜ?ヌハハハ」

女ハンター「傷者か…」

盗賊「治っちまえば痛くもかゆくも無ぇのよ…傷っちゃそんなもんだ」

女ハンター「アレ?…なにか見えた…」

盗賊「んん?どこよ?」キョロ

女ハンター「何だろう…漂流物か?」

盗賊「おっとぉ!!ありゃ転覆した小舟だ…ひっくり返ってる」ダダ

女ハンター「誰かしがみついてる…」

盗賊「なぬ!?どかに難破船が居んのか…」ダダ

女ハンター「髪の毛が長い…多分女の人…」

盗賊「こりゃ助けるしか無ぇ!!」ピョン ダダダ


カラン コローン! カラン コローン!


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810 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:20:22.71 ID:RKoe7B/E0
『甲板』


ドタドタ


学者「ななな…なんか有ったんすか?敵っすね?」ドタドタ

剣士「何!?なんか来た!?」キョロ

盗賊「右舷側に難破船を見つけた!小舟に誰かしがみついてんだ…助けに行く」グイ グイ ギュゥ

学者「海に飛び込むつもりっすか?」

盗賊「それしか無いだろう!上手い事船を回してくれ」

学者「ちょちょちょ…そのまま行ったらロープ切れちまいやすって!!」

盗賊「良く見ろ!!ロープは手摺の下側潜ってんだろ!」

学者「え?あ…そういう事っすね…」オロオロ

盗賊「口に咥えるガスマスク持ってっか?」

学者「へい…これっすね?」スッ

盗賊「おーし!!これで死ぬ事ぁ無ぇ…行ってくっから上手い事ロープ引き上げてくれ」ダダダ ピョン

学者「あああ!!兄貴…」

女ハンター「船が行き過ぎてしまう…帆を畳んで!!」

剣士「あ…わ…わかった!」シュタタ


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811 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:21:17.81 ID:RKoe7B/E0
『難破船』


ザザーー ザブザブ


200メートル位先に樽!!あっちにも誰かしがみついて居そう…

兄貴ぃ!!引き上げやすぜぇ!!

光をこっちに向けないで!暗視ゴーグルで目が眩む!!

おい!帆を引っ張るぞ!!上手く船を流して行ってくれ

なんすかコレ!!足枷が付いとるじゃないすか…

僕が切る…救急処置続けて

おーい!!ロープもう一本投げてくれぇ!!

あぁぁ息してないっすね…胸部圧迫お願いしやす…衣類も脱がして下せぇ


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『翌朝_荷室』


ドタドタ…


盗賊「どうだ?助かりそうか?」キョロ

学者「兄貴ぃ…助かりそうなの一人だけっす…」

戦士「マッサージはどうする?」グイ グイ

学者「その子も諦めやしょう…もう限界時間超えてるんで…」

盗賊「全員ガリガリだな…」

学者「多分奴隷だったんすよ…船で逃げたは良いんすが…食べ物も殆ど無かったんすね」


シュタタ


剣士「水を持って来たよ」チャプ

学者「助かるっす…息のある子に少しづつ飲ませて行って下せぇ」

剣士「この子…髪長いから女の子だと思ってたけど…男の子だね」

少年「…」グター

盗賊「奴隷生活が長いと皆そんなんなるんだ」

剣士「どうしてこの子だけ血色良いんだろう?」

盗賊「ううむ…やせ細っちゃ居るが…確かに衰弱具合は違いそうだ」

学者「その子はこの石を握ってたんすが…何か関係ありやすかね?」コロン

盗賊「石?」

学者「宝石とはちっと違いそうっすね」

盗賊「カゲミに見せてみる…アイツなら知ってるかも知れん」


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812 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:22:38.98 ID:RKoe7B/E0
『甲板』


ザブ〜ン ユラ〜


盗賊「ラス!!どうだ?もう難破船の残骸は見つけられんか?」

女ハンター「この広い海でそんな簡単に見つけられると思う?」ジロ

盗賊「まぁ無理だな…」

女ハンター「晴れ間が見えて来てる…そろそろ船を進めたら?」

盗賊「んんん…まだ他に生きてる奴が居るかもしれんと思うと…」

女ハンター「だからこの周辺にはもう居ない!!」

盗賊「そうか…だが先に水葬を済ませる」

女ハンター「助からなかったのか…」

盗賊「一人だけ生きている…目を覚まして他の仲間の遺体なぞ見たくないだろうしな」

女ハンター「仲間…」

盗賊「察するに一緒に逃げたんだろうよ…運悪く嵐に巻き込まれちまったが…」

女ハンター「あの小さな船に…乗ってた仲間…」

盗賊「想像出来るか?極限の飢えでも支え合ってた仲間…鉄の足枷が付いているから多分この下に沈んでる」

女ハンター「そう…じゃぁ仲間の所へ還さないと…」

盗賊「俺はお前の仲間になれてるか?」

女ハンター「え!?…」---仲間---


---いつの間に---

---雇われじゃ無くなってる---

---望遠鏡で見た夢の世界に---

---いつの間にか入り込んでる---

---これが夢---
813 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:24:30.73 ID:RKoe7B/E0
『船尾楼』


ガチャリ バタン


闇商人「…」カキカキ

盗賊「んん?何してんだ?」

闇商人「船の現在地がどの辺なのか予測してるのさ」

盗賊「ほーん…」

闇商人「嵐に合ってから帆は畳んで居るから…この予測円の範囲内に居る筈さ」

盗賊「だろうな?」

闇商人「海流からすると大体ここら辺に流されてる…」ユビサシ

盗賊「おいちっと待て…難破船も同じ様に流されて来てるんじゃ無ぇか?」

闇商人「そうだろうね?」

盗賊「じゃぁ今から行くヤン・ゴンの方面から来たことになる」

闇商人「それがどうしたと言うんだい?」

盗賊「難破船に乗ってたのは皆足枷付けた奴隷だ…なんでそんな事になってる?」

闇商人「単純に労働力だろうね…発見された遺跡を調査する為じゃないかな?」

盗賊「おいおい!!フィン・イッシュは奴隷を使ってんのか?」

闇商人「あぁ…ヤン・ゴン遺跡はどの国の領地でも無い…遺跡調査に力を入れてるのはシン・リーンだ」

盗賊「じゃぁシン・リーンが子供を奴隷にして使ってるってのか?」

闇商人「さぁ?そんな事を表立ってはやらないと思うよ」

盗賊「裏はどうなのよ?」

闇商人「海賊達は奴隷を使うのを厭わない…その海賊を使って居るのはそれぞれの国だったりする」

盗賊「ケッ!!間接的に奴隷使ってんのと同じだろうが」

闇商人「まぁそういう話は表に出て来ないさ…でもね?発展に奴隷が必要なのは否定しない」

盗賊「なんかイラつくな…」ムカムカ

闇商人「君は…ゴミを食べる生活を思い出したりしないかい?」

盗賊「何が言いてえのよ?」

闇商人「ゴミを食べてたあの生活が幸せだったと思う事もある…奴隷には奴隷の幸せもあるのさ」

盗賊「…」

闇商人「そういう価値観がある事を知って置いた方が良いよ」

盗賊「ちぃぃ…話変わるが…この石が何だか分かるか?」コロン

闇商人「これは…」ジロジロ

盗賊「何だ勿体ぶんな!腹立させんなよ」イラ

闇商人「これは預かっても良いのかい?」

盗賊「ダメだ!持ち主は奴隷の小僧だ」

闇商人「結論を言おう…多分これは賢者の石の欠片だよ…マルコさんも同じ様な物を持ってた」

盗賊「ほう?魔術師が黄金を使って作ろうとして居る奴だな?」

闇商人「ご名答…それをどうして奴隷が持って居たか…ちょっと気になるね」

盗賊「どうやら俺らはキーマンを助け出した様だ…こいつは俺が預かる」

闇商人「持ち主は奴隷の子じゃ無かったかい?」

盗賊「奪う気なんざ無い…たった一つあの小僧が持ってた物だ…気を失っても尚握ってな」

闇商人「そうかい…大事な物なんだね」

盗賊「小僧に返して来る」スタ
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:25:18.63 ID:RKoe7B/E0
『水葬』


ドブーン ボコボコ


学者「なんか…死体なんすが…まだ人の形が整ったのを沈めるのって気が滅入っちまいやすね…」

盗賊「海でもう一回生まれ変われりゃ良い…」ポイ ドブーン

女ハンター「これで仲間の所へ?」

盗賊「うむ…多分次はイルカだ…イルカになりゃ遠くまで行ける」

戦士「気の毒に…」ナムナム

盗賊「さてぇ!!帆を開くかぁ!!」

学者「俺っちは荷室であの子の面倒見ときやす」

盗賊「おう!!その石しっかり握らせとけよ?」

学者「分かって居やすとも…賢者の石の効果を見て見たかった所っすよ」

盗賊「ミライとリッカ!!いつも通り帆を開くぞ!!」

剣士「分かったぁ!!」シュタタ

女オーク「…」ドスドス

盗賊「ロボ!!進路東だ!!舵は任せる!!」ダダ

ロボ「ピポポ…」ウィーン ガシャガシャ

戦士「ミルク…荷室へ行ってゲス君のお手伝いをして居なさい」

少女「ウルフィ行くぞ!!」シュタタ

ウルフ「ガウガウ…」シュタタ


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815 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:26:34.47 ID:RKoe7B/E0
『数日後_デッキ』


ダーン! ボボボボボ


女ハンター「ヒット!!」

盗賊「おーし!!これで追って来んな?」

女ハンター「もう一回見張り台に上がって…」

盗賊「いや此処に居ろ…お前ばかり働き過ぎだ…少し休め」

戦士「クロスボウを少しは撃たせて貰いたいな?ハハ…」

盗賊「大砲の乗って居ない海賊船はもう少し寄せても構わんのだ」

女ハンター「気を使って居るの?」

盗賊「殆ど寝て居ないだろう?デッキで横になるのも気持ち良いぞ?」

女ハンター「フフじゃぁ少し目を瞑る…」スゥ

盗賊「しかし大砲を積んだ海賊は全然居無ぇな?」

戦士「補給に問題が有るのだろう」

盗賊「もうスクーナーとスループ船使った海賊は怖く無ぇ」

戦士「ハハハ…ミライ君の作った鉤縄キャッチャーが上手く働くからねぇ…何個溜まったんだろうか」

盗賊「11個だとか言ってたな…それ使って又何か作ってる様だ」

戦士「それは楽しみだ…」


シュタタ クルクル


盗賊「おっと危無ぇ!!その手は食わんぞ!!」ズダダ

少女「アラン!!匂いする!!」シュタ

盗賊「んん?目的地近いか?」キョロ

少女「血の匂いだ…多いぞ」

戦士「まさか…また焼き討ち…」

盗賊「方角は?」

少女「このままで良い…なんだこの匂い」クンクン

戦士「見ろ!!大型の船が2隻…」ユビサシ

盗賊「おぉ!!追い付いたか」

少女「火薬の匂いだな…目が滲みるぞ」ゴシゴシ

戦士「大砲を撃ったのか…これは危ないかも知れん…」

盗賊「俺らを海賊だと思って撃って来るってか?」

戦士「重装射撃砲の飛距離は?」

盗賊「地上に置いて精密射撃で600メートル…射角上げて2キロぐらいが有効射程」

戦士「一応警戒しておいた方が良い」

女ハンター「もう向こうにはこの船が見えてる筈…船はどっちの方向を向いて?」

盗賊「ちっと見張り台上がって来る…お前は横になってろ」ダダ


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816 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:27:16.62 ID:RKoe7B/E0
『見張り台』


ユラ〜 ググググ


盗賊「スループ船3隻と気球がこっちに向かってる…銃器は隠して置け!」

戦士「こっちを海賊と見誤らないで欲しい物だ…」

盗賊「えらく重装な船が2隻か…何やってんだ?」

戦士「海賊船の鎮圧では無いか?」

盗賊「なるほど…」

戦士「このままあの船の庇護に入って居れば海賊に襲われんで済みそうだが…」

盗賊「あいつらどうやって見極めてんだろうな?」

女ハンター「フフ…勘でしょ?勘?」

盗賊「ヌハハそういう事か…」

女ハンター「何…これで会話成立したの?」ニヤ

盗賊「勘で分かるって事は襲って来無ぇって事だ…どう見ても俺らは海賊面じゃ無ぇ」

戦士「んん?」チラ

女ハンター「フフ…」チラ

戦士「アラン君…君はどう見ても海賊の顔をしているが?」

盗賊「なんだとう!!」

女ハンター「喋り方も声も…海賊その物ね…」

盗賊「悪りぃ…ちっと俺隠れとくわ…小僧の様子でも見て来る」

戦士「ミルク!!ミライ君とリッカ君も呼んで来てくれ」

少女「分かったぁ!!」シュタタ


--------------
817 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:28:25.61 ID:RKoe7B/E0
『荷室』


ユラ〜リ ググググググ


盗賊「どうだ?小僧の様子は?」スタ

学者「体の回復は順調なんすが…極度のストレスで失語症になって居やすね…半年から1年は喋れんと思いやす」

少年「ィィィ…ァ」ギロリ

盗賊「おぉぅ…まぁ怯えんな…俺は顔が怖いだけで中身は紳士だ」スッ


ズザザ!


少年「ゥゥ…」ギラギラ

学者「あんま怖がらせんで下せぇよ?」

盗賊「ヌハハその眼だ…そうだ俺と同じ眼をしてる…それで良い」

少年「…」ギロ

盗賊「レーションだ…食って見ろ」ポイ

少年「…」タジ

盗賊「とりあえずな?何でも良いから食って体力付けろ…その後生き方を教えてやる」

学者「急に食べても逆効果っすよ?」

盗賊「んな事は体が覚えて行くんだ…食える時に食え」

少年「…」カリ モグ

盗賊「んん?やっぱお前その石握りっ放しか…」

少年「…」ガバッ グググ

盗賊「取りゃし無ぇよ…ゲス!包帯有るか?」

学者「何するんすか?」スッ

盗賊「こいつの手から石が落ちない様に包帯を巻いてやるのよ…ゴラ動くな!」マキマキ

少年「ァゥ…ゥァァ」バタバタ

盗賊「よーし!!これで両手使えるだろ?」

少年「…」ギロリ

盗賊「無くすんじゃ無ぇぞ?大事な石なんだろ?」

少年「ゥゥ…」ギュゥ プルプル

盗賊「こりゃかなり訳ありだな…」

学者「兄貴ぃ…それより外の様子はどうなんすか?」

盗賊「多分フィン・イッシュの軍船が近くに居てよ…俺が顔出すと海賊に間違えられそうだから荷室に来たんだ」

学者「アハ兄貴は人相悪いっすもんねぇ…」

盗賊「うるせぇ!!」ゴン

学者「あたたた…ほんで?軍船近いって事は目的地も近いって事っすね?」

盗賊「まぁな?只俺らはちっと立ち寄るだけだから情報集めて次に進むつもりだ」

学者「食料とかちっと補給出来ると良いっすね?」

盗賊「うむ…米とか芋はもう食い飽きた…魚もだ」


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818 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:29:30.98 ID:RKoe7B/E0
『1時間後』


チョキ チョキ バサ


盗賊「暴れんなゴラ!」チョキ

少年「ゥァァァ…」ジタバタ

盗賊「おら?随分スッキリしたじゃ無ぇか?」

少年「ゥゥゥゥ…」ギロ

学者「切った髪の毛は後でミライ君が使うかもしれやせんぜ?」

盗賊「だな?集めて束ねとく」ガサガサ

学者「ちっと切り過ぎたんじゃ無いっすか?殆ど坊主じゃ無いっすか…」

盗賊「小僧はこれで良いんだ…おら終わりだ!」ペチン

少年「ゥゥゥ…」ギロ


ガコン! ギシギシ


少年「ゥァ…」ゴロゴロ ドタ

盗賊「何だ!?」スック

学者「足音が聞こえやすね?」ドタドタ

盗賊「なるほど…海賊じゃ無いか確かめに来てんのか…」


シュタタ スタ


剣士「アランさん!!大きな船の人が積荷を見に来るよ」

盗賊「やっぱそうか…俺はどうすりゃ良い?隠れときゃ良いんか?」

剣士「多分大丈夫…今カゲミさんが話をしてくれてるんだ」

盗賊「ふむ…海賊じゃ無い事が確認取れれば無罪放免だな?」

剣士「なんかそんな感じ…」

盗賊「そうそう…今コイツの髪の毛切った所だ…お前使うだろう?」

剣士「あ〜貰って行くよ」バサ

学者「俺っちもちっと上見て来やしょうかねぇ…兄貴よりマシな顔してるんで」

盗賊「ケッ!!様子見て来い!!」ドン


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819 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:31:05.17 ID:RKoe7B/E0
『甲板』


ドタドタ…

大砲に見えるのはハリボテですね…砲弾も見当たりません

フハハハこれは木人か…こんな子供騙しでやり切って来たのか

乗員は7名と子供が2名…あと一台旧式の機械がありますが非武装です

メインの武器は中古の重クロスボウの様ですね…


闇商人「…これが商工会の証明書さ…確認する?」パス

兵隊「ふむ…確かに…」ジロ

闇商人「積み荷は主に木材と鉄鋼…食料だね…密輸に当たる物は積んで居ないよ」

兵隊「我々はそれを取り締まっている訳では無い…現在武装組織と係争中でな」

闇商人「武装組織…じゃぁヤン・ゴンに入船は出来ないのかな?」

兵隊「一応追い払っては居るが…隠れ潜んでる者が居るかもしれないから安全は保障出来ないが?」

闇商人「補給にだけ立ち寄りたいかな…」

兵隊「ふむ…まぁ良いだろう…だが他の友軍から誤爆を避ける為に旗印を立てて貰いたいのだが…」

闇商人「旗印か…係争してる相手からすると敵になってしまうね」

兵隊「無印の商船が自由に出入りできる状況では無いぞ?」

闇商人「わかったよ…」

兵隊「では友軍の旗印はこちらで用意する…この船の場合…メインマスト上部が良かろう」

兵隊「警告しておくが友軍に対して敵対が発覚した場合…即刻船ごと沈められる事を忘れるな?」

闇商人「肝に銘じるさ…」

兵隊「では我々は撤収する!旗印が届くまでここで待て…失礼!」スタ


ドタドタ…


学者「話上手く行ったみたいっすね?」
820 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:31:43.08 ID:RKoe7B/E0
闇商人「まぁ…相手は正規軍だからね…話は通じるさ」

学者「フィン・イッシュの正規軍っすよね?」

闇商人「うん…数少ないけど…精鋭中の精鋭らしいよ…陸上での話だけど」

戦士「正規軍には元セントラル王のバレンシュタイン卿が居ると聞いたな…」

闇商人「そうだね…没落貴族の一人さ」

戦士「船に乗って居るのだろうか?」

闇商人「どうだろうね?そういう話は一般には知らされないからね」

学者「乗ってるなら見て見たいっす…」


シュタタ


剣士「旗を受け取ったよぉ!!」シュタ

闇商人「それをメインマストの上に掲揚しなければいけないらしい」

剣士「おけおけ!!取りつけてくるね」シュタタ


------------



『水龍の旗印』


バサバサ ヒラヒラ


盗賊「ほほー…これでフィン・イッシュの庇護下だな?」

闇商人「僕らはフィン・イッシュの友軍が誰なのか知らないから動きにくい所もあるんだよ…」

盗賊「確かに…どこのどいつを雇ってるか分からんな…」

闇商人「さっさと補給と情報収集終わらせて立ち去るのが吉かな」

盗賊「まぁこれでヤン・ゴンに入船出来るんだが…どうすっかな…」

戦士「数人は船に残って離岸させておいた方が良いと思う」

盗賊「やっぱそうなるな…」

剣士「僕と姉さんは船に残るよ…作り物もやってる最中だし」

学者「俺っちも残りやす…賢者の石の効果も確認したいんで」

闇商人「僕はヤン・ゴンに降りて見たい…ちょっと確認したい事もある」

盗賊「おう!ほんじゃ降りるのは…俺とカゲミ…ほんでラスと…」

戦士「私は船で少し休む…ミルクを連れて行って勉強させてくれないか?」

盗賊「おっしこれで4人だな?」

少女「ウルフィは連れて行くぞ…陸で狩りさせないと衰える」

盗賊「ちゃんと面倒見ろよ?」

学者「兄貴ぃ…船どうしやす?直接桟橋の方に行っても良いんすが…」

盗賊「う〜ん…船は沖に置いといて小舟連結させて双胴船にするのを試してみっか?」

剣士「お!?何それ?」

盗賊「なんかな?小舟を板で連結させて帆が立てられる様になってるらしい」

剣士「おぉぉぉ!!組み立ててみたい!!」

盗賊「じゃぁ早速船止めて小舟降ろすぞ!」ダダ


--------------
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:32:12.77 ID:RKoe7B/E0
『双胴船』


ガサゴソ 


盗賊「おぉ!なんだこれ…めちゃ簡単だな」

剣士「帆も差し込むだけだね…漕いで進む事も出来るのかぁ…便利だなぁ」

盗賊「お〜い!!降りて来て良いぞぉ!!」


ピョン クルクル シュタ


少女「ムフフ…」

剣士「じゃぁ僕は船に上がるね」ヨジヨジ

盗賊「カゲミとラスも順に降りて来いよぉ!!」

学者「兄貴ぃ!!こっちの船どうしやす?」

盗賊「200メートルぐらい沖に停船してりゃ良いだろ」

学者「分かりやしたぁ!!後で移動しやすねぇ!!」

女ハンタ「ホッ!!」スタ

闇商人「とぅ!!」スタ

ウルフ「がうがう!!」シュタ

盗賊「ほーーーこりゃ双胴船馬鹿に出来んな…相当安定してる」

闇商人「荷物も随分乗りそうだね?」

盗賊「これ一人で動かせるんか?」

闇商人「舵を足で操作して居るのを見た事が有るよ」

盗賊「なるほど…まぁやって見るか…習うより慣れろだ」バサバサ

闇商人「お?進みだした…」

盗賊「こりゃ面白れぇ…」グイ バサバサ

盗賊「なるほど…この金具で帆角固定するんか…」グイグイ ギュゥ

闇商人「ハハすぐに乗りこなせるんだね」

盗賊「キャラック船より随分風の捕まえ方が簡単だ…あとは舵取りだけだ…おぉ!!舵も固定出来るようになってんのか」

少女「なかなか早いな…」

盗賊「アレだ…一枚帆のスループ船みたいなもんよ…ちっと帆が小さいが」

闇商人「ボートにそれぞれ3人…間のデッキ部分に6人は乗れそうだね」

盗賊「気に入ったぜ双胴船!」


バサバサ ザブン ザブン


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822 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:33:16.77 ID:RKoe7B/E0
『ヤン・ゴンの港』


ガコン ギシギシ


盗賊「帆だけ片付けて行く…先に降りててくれ」ガサゴソ

闇商人「よいしょ!」ヨッコラ

女ハンター「気を付けて…」スタ

少女「ウルフィ行くぞ」ピョン シュタ


男達「…」ジロジロ


女ハンター「なんか嫌な感じ…」

闇商人「見てるねぇ…」

盗賊「おっし!終わったぁ!!」ピョン ズダ

闇商人「普通ならココで入船料取りに来るんだけど…」

盗賊「入船料も何も小舟だぞ?漁船よりもショボイ船に金出せってか…」

闇商人「桟橋の利用はどこもタダじゃないさ…ええと…あの箱にお金を入れろって事かな…」スタ

盗賊「おいラス!武器はしっかり隠しとけよ?」

女ハンター「分かってる…」スタ

闇商人「…」チャリン チャリン

盗賊「律儀な事で…」

闇商人「帰りに小船が無くなったら困るだろう?」

盗賊「無くならん様に仕掛けはしてあるがな?」

女ハンター「なんかココ…雰囲気おかしくない?」キョロ

盗賊「無法地帯なんだろ?気にすんな」

女ハンター「あんたねぇ…」イラ

盗賊「ヌハハお嬢様じゃ無いだろうに…只の難民キャンプだと思えばどうって事無い」

闇商人「宿があるのかも微妙な様だね…」


男達「…」ヒソヒソ


女ハンター「…」キョロ

盗賊「まぁそうビク付くな…軍船すり抜けて堂々と桟橋使ってる訳だ…おまけに番犬まで連れた一行をそう簡単には襲わん」
823 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:04:03.98 ID:RKoe7B/E0
少女「番犬言うな!ウルフィだ!」ゲシゲシ

盗賊「しかしラス!かなり薄着だが…吹っ切れたか?」

女ハンター「熱いだけだ…」

盗賊「俺ら良いコンビだぞ?全身傷だらけの奴が堂々と歩いてる訳よ…そら怖いわな?ヌハハ」

闇商人「よしこうしよう…僕がリーダーで君達2人は傭兵さ…ミルクは僕のお手伝い役」

盗賊「言わんでもそんな風に見えてるぞ?なぁミルク!!ヒソヒソ話してんの聞こえてんだろ?」

少女「商船が入って来ないって文句言ってるぞ」

盗賊「そっちか…」

少女「麻の布とか売りたいみたいだ」

闇商人「麻の産地なのか…」

盗賊「布は船に乗って無いから欲しい所だ」

闇商人「いくら持ってる?」

盗賊「金貨20枚ぐらいある」

闇商人「ふむ…確か船に要らない武器とか沢山有ったね…鉄鋼も余裕がある」

盗賊「商売する気か?」

闇商人「酒場とか期待出来そうに無いからね…取り引きで色々聞き出した方が早いと思う」

盗賊「なるほど…おっし!俺が荷物運んでやる」

闇商人「まぁ慌てないで何が欲しいのか聞き出してみようか…」


-------------
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:04:33.41 ID:RKoe7B/E0
『道端の切り株』


タッタッタ…


女ハンター「宿は見つかったか?」

盗賊「今カゲミが聞き込みしてくれてる…それよりほら!麻の羽織りだ」バサ

女ハンター「また随分安そうな物を…」

盗賊「そら涼しいんだ…腰にある武器がチラチラ見えるからそれ羽織って隠せ」

女ハンター「フン!」バサ

女ハンター「ゴワゴワだ…」

盗賊「日に当たらんで済むからそう悪く無いぞ?」

女ハンター「カゲミとミルクだけで聞き込みやらせて大丈夫なのか?」

盗賊「俺が行くと値引き出来ないから邪魔らしい」

女ハンター「フフ…じゃぁこの羽織はどうした?」

盗賊「銀貨2枚…」

女ハンター「麻袋と大した変わらない物に銀貨2枚も使った?」

盗賊「うるせぇ!金持ってる奴はじゃんじゃん使えば良いんだ」

女ハンター「酒は買って無いの?」

盗賊「何処に売ってるか分からんもんだからよ…だが大麻は見つけた」チッチ スパーーー フゥゥゥ

女ハンター「…」ジロリ

盗賊「何だよ?お前も吸うか?」

女ハンター「要らない…」

盗賊「しかし…ここは随分シケた所だ」

女ハンター「紛争の最中だからじゃないの?」

盗賊「ふむ…港の方にも何隻か船が沈んでたな」

女ハンター「重装射撃砲なら海賊船なんか簡単に沈められる…」

盗賊「どてっぱらにドーンってか?」

女ハンター「それよりフィン・イッシュの女王が乗る船の情報は?」

盗賊「多分な?俺らが追い越したんだと思うわ…沖で停船してる2隻は先遣部隊だろう」

女ハンター「じゃぁここで待つ感じに?」

盗賊「俺らの目的は追随なんだが…ちっとどうするか迷ってる」

女ハンター「今の所軍船の近くに居た方が安全と言えば安全ね…」

盗賊「しばらく海賊に追われてあんま寝て居ないから…ちっと休憩だな」

女ハンター「休憩出来れば良いけど…」


--------------
825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:05:23.66 ID:RKoe7B/E0
『1時間後』


シュタタ クルクル ガシ!!


盗賊「ウハハハ見切ったぞ!!」

少女「アラン!仕事だ…食材買ったから船に運べ」

盗賊「マジか…」

少女「荷車は借りてる…来い!」

盗賊「おいおい…そう慌てるな…宿はどうなってる?」

少女「テントを借りられる様にカゲミが話してる」

盗賊「ぐはぁ…難民キャンプかよ…」

少女「仕方ないだろう…虫除けになるだけマシだ」

女ハンター「何処を見ても大した建物が建って居ないでしょう?どんな期待してたの?」

盗賊「ううむ…確かにそうだな…低木ばっかじゃロクな木材切り出せんか…」

女ハンター「ここは20年前まで氷に覆われた未踏の地…何処に行っても同じだと思う」

盗賊「そういや未踏の地だったか…」

少女「おい!!食材を荷車に積みっぱなしだぞ…早く行くぞ!」グイ

盗賊「お…おう」スタ


---------------


『荷車』


ゴトゴト


盗賊「ほんで?この食材運んで何を持って帰ってくりゃ良いんだ?」

少女「銀の武器と鉄の斧だ…鉄鋼は要らんらしい」

盗賊「なんで又銀の武器なんか…」

少女「知らん…ゾンビでも出るんじゃ無いか?」

盗賊「まぁ…銀の武器は余ってたから良いか」

少女「それで布と交換するのだ」

盗賊「ここまでで良いぞ?後は俺一人で行ける」

少女「そうか?」

盗賊「戻って来たら何処行けば良い?」

少女「匂いで分かる…何処でも良いぞ」

盗賊「便利な鼻だこと…ほんじゃラス!ミルクを頼むな?」

女ハンター「分かった…」

盗賊「じゃぁ又後でな?」ノシ


---------------
826 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:05:53.77 ID:RKoe7B/E0
『テント』


バサッ


男「このテントなら使っても良い…どうだ?これぐらいで」スリスリ

闇商人「フフ…仕方ないか…」ジャラリ

男「旦那ぁ?夜は野党が出るかも知れんので…休む時は下の方で…ウヒヒヒ」

闇商人「下?」

男「床の板をめくって見りゃ分かる」

闇商人「なるほどね」

男「じゃぁ俺はこの辺で…」コソコソ

闇商人「下か…」グイ

闇商人「…」---塹壕の上に板を置いて居るのか---

闇商人「…」---獣除けには良いけど…これじゃ逃げ道が無い---

闇商人「…」---見張りをおく必要がありそうだなぁ---


シュタタ スタ


闇商人「お!?見つけたね?」

少女「ここか…ふむふむ…」

女ハンター「中々良さそうなテントだこと…」キョロ

闇商人「まぁまぁ…テントの下が塹壕になって居るんだ」

女ハンター「塹壕で休む?中々衛生的ね」

闇商人「一応敷物は敷いてあるよ…ハハハ」

女ハンター「塹壕に隠れなきゃいけないほど何かが有ると言う事ね」

闇商人「ゾンビとスケルトンが絶えないらしいよ…あと野党が出るとも言われた」

女ハンター「それで銀の武器が欲しい訳ね…」

闇商人「ところでウルフィは?」

少女「狩りに行ったぞ」

闇商人「そうか…夜中見張りを置かないとちょっと危なさそうなんだ」

少女「ウルフィの仲間呼ぶか?」

闇商人「それも他の人を怖がらせてしまうね」

少女「誰か来ても匂いで分かるから大丈夫だぞ」

闇商人「そうかい?」

女ハンター「じゃぁ私は先に少し休ませて貰う…」

闇商人「そうだね…まぁしばらくは大丈夫だから安心して休んで」


--------------
827 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:06:44.03 ID:RKoe7B/E0
『夕方』


ガチャガチャ


少女「此処だ…」シュタ

盗賊「おぉぉ!!思ったより良さそうなテントじゃ無ぇか」ドサー

闇商人「あ…武器を持って来てくれたね?」

盗賊「要らん武器全部持って来たぞ…中々重かった」フゥ

闇商人「鉄の武器とかは要らないけどね」

盗賊「馬鹿…鉄で出来てんのは斧だけで他は全部銀の武器だ」

闇商人「ふむ…これだけ有れば布以外の物も買えそうだな…」

盗賊「他に何が売ってる?」

闇商人「色々あるけどね…気になってるのはお札だよ」

盗賊「お札?」

闇商人「どういう訳か呪術用の呪符っていう物が売ってるのさ」

盗賊「ほーう?何か効果あんだろうな?」

闇商人「呪を封じるとか言ってたから魔除けの類だね…オークも呪符を使ってたりするじゃない?」

盗賊「あぁオークシャーマンだっけか…そういやミネア・ポリスにも居たな」

闇商人「こっちの大陸の呪符はオークのそれとは違うみたいだよ…でもまぁ同じ様な効果なら買っても良いかなと」

盗賊「あれは直ぐ剥がれてどっか行っちまうからなぁ…」

闇商人「どうせ使わない武器なら使いそうな物に交換した方が良い」

盗賊「そらそうだ…てか…ラスは何処行った?」

闇商人「今寝てる…このテントの下に塹壕があるのさ」

盗賊「おぉ!!そりゃ良い!!」

闇商人「夜中に野党が出るから下で休めとか言われたけど…どう思う?」

盗賊「ヌハハそんなん石か何か置かれて閉じ込められるに決まってるだろ」

闇商人「やっぱりそうだよね…」

少女「大丈夫だぞ…誰か来てもすぐ分かる」

盗賊「ミルク様さまだな?撫でてやる」ナデナデ

少女「ふにゃー」ゴロン

盗賊「まぁ野党が来たら金儲けのチャンスだ…身ぐるみ剥いで塹壕の中に入れときゃ良い」

闇商人「心強いね」
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