勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編の完結

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628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:05:56.38 ID:bVSMz8780

学者「ヌフフフフフ…良いから飲んで下せぇ」キュポン

女オーク「飲めば良いのね…むぐっ」ゴクゴク プハー

学者「どうっすか?」

女オーク「これも美味しい…どうして好みの味を?」ゴクゴク

学者「ウハハハハハやっぱりそうっすか!!」

剣士「ねぇねぇ…どういう事?」

学者「その海藻も蒸留酒もポーションを作る時に使う薄め液になるんす…多分それが造血剤になりやす」

女オーク「私の体でポーションが作られてる?…と言う事?」

学者「結論を言うとそうっすね…それがオークの生命力の秘密…」

学者「ポーションが効かないんじゃ無くて元々ポーション飲んでるのと同じなんすよ」

剣士「僕はお酒酔っぱらっちゃうんだよなぁ…」グビグビ クァァァァ

学者「ミライ君は人間っすからね…でも食べ物の好みはオークに似てるんでちっとだけポーション作られてるかもっすね」

女オーク「これって蒸留酒と海藻が有れば戦場で死ぬオークが減る…という事?」

学者「そう期待してるっす…大体オークが死ぬのは失血死なんすよ…体半分無くなっても血が有る限り死なんっす」

剣士「なんか良い発見したね」

学者「ミライ君も覚えておいて下せぇ…リッカさんが血を流した時は蒸留酒と海藻食わせて湯に浸かる」

剣士「覚えた…」

学者「海藻からエキスを取り出した薬も効果あると思いやす」

女オーク「あぁぁぁなんか…ポカポカして来た」

学者「その状態で寝ると効果倍増っすよ?」

剣士「ちょっと昼寝しようかぁ!!」

学者「俺っちはこれをちっと文章に残さんとイカンすね…」ドタドタ


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629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:06:23.27 ID:bVSMz8780
『孤児院』


ワーイ キャッキャ エーン


盗賊「…」スタスタ

管理人「誰かに面会で?」ジロジロ

盗賊「いや…ここにニーナと言う女オークが通って居ただろう?」

管理人「あぁ…最近姿を見せなくなりましてね…お知り合いでしょうか?」

盗賊「これを…」スッ

管理人「え?…遺骨…」

盗賊「それからこれが最後の援助金だ…金貨30枚ある」ジャラリ

管理人「彼女はお亡くなりに…そうですか…残念です」

盗賊「アイツは良く此処に通っていた…多分稼いだ金は此処に落として行った筈…」

管理人「はい…ご存じでしたか」

盗賊「孤児を放って置けなかったのは知ってるんだ…アイツも身寄りがない…せめて遺骨は此処にと思って訪ねて来た」

管理人「そうでしたか…どうですか?子供達をご覧になって行きませんか?」

盗賊「俺は人相が悪い…怖がらせてしまうだろう」

管理人「遠慮なさらず…ニーナさんが良く座っていた場所にご案内しますよ?」

盗賊「座っていた?」

管理人「ええ…昔を思い出すと言って居ましたね」

盗賊「案内してくれ…」

管理人「ではどうぞ…」スタ



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630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:06:52.84 ID:bVSMz8780
『地下室』


ピチョン ポタッ


管理人「こちらです…そこの箱に腰かけて良く子供達を見て居ました」

盗賊「中々辛気臭い場所を選んだもんだ…」

管理人「済みませんねぇ…子供達を見るなら他にも良い場所は有るのですが…」

盗賊「まぁ…ちっと俺もニーナが何思ってたのか感じて見るわ…」

管理人「どうぞごゆっくり…私は上に居ますので帰りの際はお声を…」

盗賊「分かった…」

管理人「では…」スタ

盗賊「…」---木箱か…こんな所に座って何思ってたんだろうな---


ヒソヒソ

誰あの怖い人…

きっと僕達をさらいに来たんだ

姉御!どうする?

シーーーッ黙ってな

大事な物はちゃんと仕舞っとくんだよ


盗賊「…」---大事な物---

盗賊「…」---まてよ?---

盗賊「…」---キ・カイの8番---

盗賊「…」---そうだ俺達の隠し場所がある---

盗賊「…」---既にソコに隠してる可能性が…---

盗賊「…」---なるほど…そういう計画だったのか---

盗賊「…」スック

子供達「うぉ!!」タジ

盗賊「お前等!!仲良くやれよ!?」タッタッタ

子供達「え!?何?何?」


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631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:07:22.77 ID:bVSMz8780
『宿屋_大部屋』


ガチャリ バタン


学者「兄貴ぃ!!シーーーーーッ!!リッカさんが寝てるんす…静かに…」

盗賊「ゲス!ちょい金貸せ…金貨2枚で良い」

学者「兄貴の金はもう使っちまったんすか?」

盗賊「姉御の葬式代で全部使った」

学者「うは…もう…」

盗賊「俺はちっと2日くらい外に出る…出航までには戻るからお前等此処でリコルと一緒に居ろ」

学者「ちょちょ…急にどうしたんすか?」

盗賊「キ・カイに忘れ物よ…今から列車に乗ってキ・カイにとんぼ返りだ…金出せ」

学者「マジすか…」チャリン

盗賊「リコル!!こいつ等頼むな?」

戦士「ハハハ何が有ったか知らないが気を付けて行って来い」

盗賊「ゲス!ロボの許可証だ…一応お前に渡しておく」パス

学者「へ…へい…」タジ

盗賊「じゃぁな?行って来る」タッタッタ

学者「あらら…」ポカーン


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632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:07:50.58 ID:bVSMz8780
『地下鉄道_列車』


ボエーーーーーー プシューーーーー


盗賊「…」ギラリ

盗賊「…」---前の時とは随分気持ちが違う---

盗賊「…」---姉御は多分こんな感じで列車に乗った筈---

盗賊「…」---いつ襲われても良い様に常に武器に手を掛け---

盗賊「…」---フードとマントを深く被る---

盗賊「…」---そうだ…8番に居た頃はいつもそうだった---

盗賊「…」---この世界じゃそうしないと生きて行けない---


ガコン ガタン ゴトン


盗賊「…」---姉御…もうすぐ追い付くぜ?---


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633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:08:18.45 ID:bVSMz8780
『翌日_宿屋』


ガチャリ バタン


少女「!!?母ぁーーー!!」シュタタ ピョン

中年の女「…」ガシ

戦士「よっ!!」ビシ

学者「あ…ど…どうも」ペコリ

女オーク「こんにちは…ミライも挨拶して?」ペコリ

剣士「あぁ…は…初めまして」ペコ

中年の女「ん?ミライ?…君の名前かな?」クンクン

剣士「うん…珍しい名かな?」ハテ?

中年の女「もしかして…虫使い?」ジロジロ

剣士「え?虫?いや…嫌いじゃ無いけど…どうして?」

中年の女「ふふ…人違いだったみたいね…」---まさかね---

戦士「リカ…あぁいや…フィン・イッシュに向かう件はどうなって…」

中年の女「…」ペシ!!

戦士「あたっ…」

中年の女「余計な事は話さないで」

戦士「ハハ…済まん」

中年の女「先ず例の物は?」スタ

女オーク「え?…わ…私?」タジ

少女「母ぁ!!色々事情有る…もう一人の男持ってくる」

中年の女「3人と聞いて居たけれど…変更が有ったの?」

少女「母ちょっと内緒の話し…向こうで」シュタタ


ヒソヒソ… ヒソヒソ…


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634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:08:51.42 ID:bVSMz8780
『数分後』


スタスタ…


中年の女「事情は理解したわ…ただこちらも慈善事業では無いから…船を担保に頂くわ」

学者「ええと…どういう話になってるか分からんのですが…」

中年の女「例の物が手に入らない場合…船を頂く…お分かり?」

剣士「フィン・イッシュに行くと言う話は?」

中年の女「そこまでは約束する」

戦士「君達良かったね…まだ旅は続く様だ」

中年の女「リコル!あなたは少しおしゃべりだと聞いたわ?」

戦士「あいたたた…まぁこいつらは信用出来る…俺の目に狂いは無い」

中年の女「ふーん…」チラリ

剣士「ハハ…」タジ

中年の女「まぁ良いわ…とりあえず船を見たいから案内して」

戦士「外を出歩いて良いらしい…良かったじゃ無いか」

学者「ちっとマズイ事が起きてるんすよ…」

中年の女「聞いたわ?…でも大丈夫…仲間は他にも居るから」

学者「おぉ…そうなんすね?」

中年の女「試しに露店で買い物でもして様子を伺いましょう」

剣士「買い物!!?欲しい物いっぱい有るんだ」

学者「俺っちも薬とか色々入手したかったんすよ」

中年の女「では物資調達後に船へ向かうと言う事で…付いて居らっしゃい」スタ


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635 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:09:20.60 ID:bVSMz8780
『露店』


ワイワイ ガヤガヤ

シン・リーン産のハチミツ酒!!安いよ〜!!

寄ってらっしゃい見てらっしゃい!!錬金の材料各種揃ってまっせぇ!!

金属繊維は如何ですか?金属糸もありますぜ〜〜?



少女「父ぃ!!新鮮な生肉ある!!骨付きだ…」

戦士「ほら少し金貨あげるから好きに買っておいで…」チャリン

少女「うぉぉー!!」シュタタ

学者「俺っちも薬仕入れて来やすね」スタ

剣士「姉さん!!僕金床が欲しい…それから細工用の工具」

女オーク「ウフフ…お金が足りれば…」

剣士「少し大きめの炉も欲しいなぁ…」アレモ コレモ

戦士「ミライ君は重たい物が欲しいんだねぇ…」

剣士「運ぶの大変かな?」

戦士「まぁ手ぶらだから手伝ってあげよう…」



ワイワイ ガヤガヤ

大麻草!!大麻草有るよぉ!!

フィン・イッシュ直産の野菜…他じゃ中々買えない物ばかりだよ?買ってけ〜い

お客さんお客さん…こりゃ時計っていう物でね?ホラ…機械仕掛けで時間を刻むんすよ…


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636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:09:50.51 ID:bVSMz8780
『広場のベンチ』


ワイワイ ガヤガヤ


剣士「ゲスさん!!炉とフイゴがすごい安かったんだけどアレが相場なの?」

学者「あぁぁアレは旧式の気球から回収した中古品っすね…今は使う人が居らんですよ」

剣士「そうなんだ?あの炉を使えば簡単な金属の精錬が出来る」

学者「船を燃やさん様に頼みやすぜ?」

剣士「うん!なんか使うの楽しみだなぁ…」ワクワク

学者「今までの炉は小さすぎやしたかね?」

剣士「そうだね…魚一匹焼くのにも苦労してたから」


スタスタ


女オーク「食べ物を買って来たわ…」

学者「おぉ?パンじゃないっすか…」

女オーク「少し食べておいしかったから…」

学者「食べて良いっすか?」

女オーク「どうぞ…」

学者「これチーズとワインがすごく合うんすよ…向こうの大陸の食べ物っす」パク モグ

剣士「僕も食べる…」パク

女オーク「どう?」

剣士「おいしい!!レーションの味がする…」モグモグ

女オーク「レーションよりも安いの…そして大きい」

学者「レーションは戦闘食なんで高いだけっすね…味はパンの方が良いっすよ」モグ

剣士「姉さんも食べてよ」ムシャ

女オーク「じゃぁ一つ…」パク モグ

剣士「なんか買い物しながら食べるの楽しいね」


ピョン クルクル シュタ


剣士「うわっ!!何処から飛んで…」キョロ

中年の女「買い物は済んだ様ね?見回った感じ怪しい人は見当たらない…」

学者「そら良かったっす」

中年の女「そろそろ船へ案内して」

学者「分かりやした…こっちっす」スタ

中年の女「リコルーー!!行くわよ!!」スタ


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637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:10:29.82 ID:bVSMz8780
『キャラック船』


ザブン ギシギシ


中年の女「思ったより大きな船に乗って来たのね…」

戦士「なかなか味のある船だろう?」

中年の女「小型のスクーナーあたりを想定していたのよ…少し計画を変更しなくては…」

戦士「少しくらい話してくれないか?」

中年の女「…」チラ

戦士「まぁ…無理なら良い」

中年の女「ここは話を聞かれる事も無さそうだから良いわ…」

戦士「お!?」

中年の女「他にもフィン・イッシュ行きの商船を用意しているの…この船は囮の予定だった」

戦士「囮?」

中年の女「沈没させて海に消える…そういうシナリオ」

戦士「俺達は他の船に乗る予定だったと?」

中年の女「そう…私達家族はその船に乗る予定」

戦士「おい!それは話が違うじゃないか…」

中年の女「だからあなたには話さなかった…ギルドに依頼が来て居るのはあの3人からだけでは無いの」

戦士「まさか敵側からも…」

中年の女「敵と言うのは何処を想定して?」

戦士「う…」

中年の女「まっとうな依頼主…機動隊よ…極秘情報を盗んだニーナという傭兵の処理…これがどういう意味か分かって?」

戦士「待てあいつらは信用出来る…考え直せ」

中年の女「フフでも事情が変わった…もうニーナという傭兵は処理されたのよ…でも何故か生きている…面白いわ」

戦士「リッカはその傭兵とは別人だ」

中年の女「知ってる…私はリッカを処理しろと言う依頼は受けて居ない…だから計画変更なのよ」

戦士「ふぅぅ頼むぞリカオン…俺は友を裏切るのは許せん」

中年の女「友人?あなたの友人になるにしては若すぎると思うけれど?」

戦士「その…なんだ…気が合うというだけではダメか?」

中年の女「まぁ良いわ…今回の件で密書が入手出来なくても彼女を保護する事で何が起こるのか楽しみになって来た」

戦士「もう想像は出来る…電脳化した者のあぶり出しになるだろう」

中年の女「あなたは出来るだけ関わらない様に…」

戦士「剣一本でどうにかなるなぞ思って居ない…ただ人は守れる」

中年の女「そうよ…あなたは守っているだけで良い」

中年の女「どうも宿屋よりこの船の方が安全そうね」

戦士「そうだな…」

中年の女「私は荷の入れ替え指示と…少し情報のリークをして来るから船からは降りないで居て貰える?」

戦士「分かった…」

中年の女「出来るだけ早く戻る様にするわ…」

中年の女「あ…そうそう…盗賊ギルドの仲間はあなた達が思うより沢山居るから下手に動いて邪魔しない様に」

戦士「大人しくして居る…違うな…大人しくさせて置く」

中年の女「フフ…じゃぁ行って来るわ」シュタタ


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638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:11:00.99 ID:bVSMz8780
『船首楼』


ガサゴソ ゴトン


学者「炉は此処で良いっすか?」

剣士「おけおけ!小さな炉は船尾楼の方に移そう」

学者「金床は何処に置きやすか?」

剣士「やっぱり炉の直ぐ近くが良いなぁ…レイアウトは後で僕がやるからその辺に置いといて」

学者「なんか本当…作業場になっちまいやしたね?」

剣士「もう早く作り物したくてウズウズしてるんだ…これで好みの工具が自由に作れる」

学者「工具が作りたかったんすね…」


スタスタ


戦士「妻と話して来たんだが…」

学者「お?何か聞き出せやしたか?」

戦士「どうも宿屋に居るよりこっちの方が安全だから此処に居ろと…」

剣士「本当!!?」

戦士「まぁ食べ物も買って来たし良いと思う」

剣士「こっちの方が静かだし落ち着くよ」

戦士「これから荷の出し入れがあるから静かにはならないだろうけどね…ハハ」

学者「まぁ部屋に籠っているよりは太陽に当たれるんで良いかも知れやせんね」

剣士「よーし!!姉さん!!要らない鉄くず溶かして精錬したい…教えて?」

女オーク「こんな小さな炉で?」

剣士「フイゴで温度上げられるんだ!!試してみようよ!!」

戦士「ハハ退屈はしない様だ…私はデッキで休んで居るから何か有ったら呼んでくれ」スタ

学者「じゃぁ俺っちはロボの手入れでもやりますかねぇ…」

ロボ「ピポポ…」クルリン


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639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:11:29.89 ID:bVSMz8780
『夕方』


カーン カンカン


女オーク「この炉では錬鉄を熱して叩く位しか純度を上げる方法が無い様ね…」

剣士「効率悪いけど…ちょっとでも鋼鉄が出来るならこれでも仕方ない」

女オーク「火花が飛ぶから何か敷物をしないと火事になってしまうわよ?」

剣士「あぁそうだね…敷物かぁ…」

学者「流石に船の上で鉄の精錬はちっと厳しく無いすか?」

剣士「レンガか何かが欲しいなぁ…」」

学者「鉄板で囲ったらどうっすかね?」

剣士「そんなに材料無いよ…」

学者「ほんじゃ金属繊維とかどうっすか?露店で売っていやしたよ?」

剣士「お!?金属繊維ねぇ…敷物じゃ無くても他に色々使えそうだ…」

学者「あの女の人帰って来たら又露店に連れて行って貰いやしょう」

剣士「そうだね…よし!鉄の精錬は諦めて…宝箱とか作って見ようかな」

学者「良いっすねぇ…この船入れ物が全然無いんで荷物が整理できんすよ」

剣士「うん…武器保管するラックとかも欲しいね…色々作んなきゃなぁ…」


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640 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:11:58.43 ID:bVSMz8780
『夜_甲板』


ターン!!


学者「ん!!?銃声…これ近いっすね…」ダダ

剣士「どこだろう?」キョロ

学者「音からして火薬を使った銃っす」


スタスタ


戦士「船からは降りない様に…」

学者「何処から撃ったか分かりやせんでしたか?」

戦士「さぁ?横になっていたものだから…」

少女「火薬の匂い…あっち…でも気にするな」ユビサシ

剣士「気にするなって…気になっちゃうよ」キョロ

学者「あぁぁ…向こうの船の監視台にうっすら煙が見えやす…あれっすね」ユビサシ

戦士「…」---どうやら何か始まって居る様だ---

学者「どっか狙撃したっぽいっす…」

少女「気にするな…それよりミライが作った宝箱…貰って良いか?」

剣士「お?気に入った?」

少女「お前何でも作る…母に言っておく」

剣士「アハ…嬉しいなぁ」

学者「俺っちも欲しいっす」

剣士「おけおけ!皆の分作るよ」

戦士「ふむ…作り物の材料を少し融通してもらおうか」

剣士「それ助かるなぁ…もう木材も鉄も残り少ないんだ」

戦士「私からも妻に言っておく」

剣士「やったね!!」


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641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:12:26.25 ID:bVSMz8780
『翌日』


ドタドタ

降ろせぇ!!木箱は4人一組で運んで行くんだ!!

硫黄と硝石は船底の方だ!


学者「なーんか…これ危ない物運ぶ感じっすね…」

剣士「危ない?」

学者「あのは木箱の中は多分重装射撃砲の部品っすよ…運んだ先で組み立てるんす」

戦士「中身を見て居ないのに良く分かるねぇ」

学者「いやいや戦場にはあの木箱で運んで来るんす…組み立てた事あるんす」

戦士「では海賊に奪われてしまっては大変だ…」

学者「本当そうっすよ…護衛無しでこんな物運んで良いんすかね…」

戦士「この船以外に護衛する船も行くのでは?」シラー

学者「だったら良いんすが…」

剣士「なんか木材と比べて荷が重そうだから荷室ガラガラになりそうだ」

学者「そうっすね…」

剣士「食材とか邪魔だったんだよ…荷室に置けると助かる」

学者「リコルさんの奥さんは軍の関係と繋がり有るんすね…普通じゃ手に入らん物っすよ」

戦士「ハハ…私はあまりその辺の事を知らないんだよ」

学者「な〜んか…昨夜の銃声といい…キナ臭い感じっす」


シュタタ スタ


中年の女「遅くなったわ…順調に荷入れが進んで居る様ね」

戦士「忙しいのかい?」

中年の女「仕事は粗方終わりね…ふぅ…少し休むわ…」

学者「すんません…又露店に物資調達行きたいんすが…」

中年の女「あぁ…私は少し休むからリコル!あなたが付いてあげなさい」

戦士「お?もう良いのか?」

中年の女「フフ…昨夜いろいろ有ってね?あちらの方は忙しい様よ?」

学者「ああ!!昨夜の銃声っすね?」

中年の女「聞こえて居た様ね…リコル?露店は良いけど…傭兵ギルドの方へは近づかない方が良いわ…気が立って居るから」

戦士「相変わらず説明不足だが…まぁ良い…露店へ行く許可は出た様だ…どうする?」

学者「行きやす!!」

剣士「行く!!」


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642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:12:57.24 ID:bVSMz8780
『街道』


ザワザワ ヒソヒソ

おい聞いたか?鼻無しの傭兵団の奴らがお手柄だってよ

ん?昨夜の騒ぎでか?

なんでも機械化した奴らを捕らえたらしい

また威張り散らして来そうだな?


剣士「ねぇ今の噂話って…ロストノーズの事だよね?」

学者「そうっすね…なんか街中でやり合ってるっぽいっすね」

剣士「良くある事なの?」

学者「あいつら揉め事ばっかり起こすんで珍しい話じゃ無いっすよ…街中でやってるってのが気になるんすが…」

剣士「リコルさんの奥さんが言ってたのってきっとこの事だね」

学者「関わるとロクな事にならんっすよ…ロストノーズはそういう傭兵団なもんで」

少女「父ぃー!!」シュタタ

戦士「んん?どうした?」

少女「何処かでアランの匂いする」

学者「お!!兄貴帰って来やしたね?」

戦士「宿屋から出てしまったからな…船まで来るだろうか…」

学者「居ないの分かったら探しに来るんじゃないっすかね?」

少女「注意して探してみる…」クンクン


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643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:13:53.58 ID:bVSMz8780
『傭兵ギルド裏路地』


スタスタ


受付の叔母さん「なんだいこんな所に呼び出して…あたしゃ忙しいんだよ」

盗賊「…」ギロリ

受付の叔母さん「何か言いたい事でもあるんかいね?」

盗賊「…」ダダ グイ

受付の叔母さん「あ痛たた…あんたこんな事して良いと思って…」

盗賊「フン!どうやら電脳化はしていない様だな…」グイ ドン

受付の叔母さん「なんだいニーナちゃんの事かい?」

盗賊「なんでニーナが味方の砲弾でやられた事をお前が知って居るかって事だ…そんな情報は軍から簡単に漏れん筈だ」

受付の叔母さん「それは聞いた話だよ」

盗賊「誰にだ?」ズイ

受付の叔母さん「あんたを尋ねに来た人さ…昨夜何処かに連れて行かれた様だけどねぇ…」

盗賊「それとこりゃ何だ?お前ニーナが手配されてる事知ってて情報ベラベラしゃべっただろう」パサ

受付の叔母さん「そ…それは情報開示令出されちゃ仕方なかったのさ」

盗賊「つまりお前はどうしてニーナが殺されたのか知ってた訳だ」

受付の叔母さん「殺されるなんて思って無かったさ…気の毒に…」

盗賊「黙れ…身内を庇えないギルドなんざクソくらえだ」ドン

受付の叔母さん「うぐぅ…」ズザザ

盗賊「ニーナに戦地への招集令が掛かった時も分かってた筈だ…お前がニーナを戦地に行かせたんだぞ?」

受付の叔母さん「…」


カサ…


盗賊「!!?」スゥ…

受付の叔母さん「え!!…消え…」キョロ


スゥ…


謎の女「!!?」ギク

盗賊「誰だお前?さっきから監視してただろう…」チャキ

謎の女「う…」タラリ

盗賊「俺は機嫌が悪い…このまま首切って体とおさらばさせても良いんだぜ?」


ターン! ターン!


盗賊「ぐはぁ!!クソがぁ!!」ズブリ ジョキン!
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:15:08.52 ID:bVSMz8780

謎の女「ゲフッ…ゴポゴポ」ガクリ ドピュー

受付の叔母さん「ひ…ひぃ…」タジ

謎の女「ゴボゴボ…」ドクドク ビクビク

盗賊「くっそコイツ!!」ザクザク

受付の叔母さん「あ…あんた…やり過ぎだよぅ…もう首が繋がって居ないじゃないか…」ガクガク

盗賊「うるせぇ!!こいつが何者なのか黙って見てろ!!」ザクザク ドピュ

謎の女の首「…」グチャ

盗賊「見つけたぜゴルァ!!こいつが機械に操られてる証拠だ!!」ブチブチ

受付の叔母さん「頭に機械が…」ガクブル


シュタタ シュタタ


少女「見つけたぞ!!」

学者「あ…兄貴ぃ!!」ダダ

盗賊「ゲス!!良い所に来た…こいつは電脳化した奴だ…死体このままにしとくと騒ぎになっちまう…処理手伝え!」グイ

学者「あいやいや…こりゃえらいこっちゃじゃ無いっすか…」タジ

少女「アラン!お前も血が出てるぞ…」ジュルリ

盗賊「俺は後で…ん?」ガク

学者「ちょちょちょ…!!兄貴も撃たれてるじゃ無いっすか…」

盗賊「ぅぅ…何だ?足が動か無ぇ…」ヨロ

学者「マズイっすマズイっす…背中にこぶし大の穴が空いてるっすよ」
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:15:38.22 ID:bVSMz8780

少女「ゲス!お前何とかしろ」

学者「兄貴!!応急処置するんで横になって下せぇ…ミライ君!!兄貴の上着をナイフで切って脱がして下せぇ」ゴソゴソ

剣士「え…あ…うん!」イソイソ

少女「マズいな…騒ぎに気付いてもう直ぐ人が来るぞ」クンクン

学者「これ今動かせないっす…」ゴソゴソ

盗賊「そ…その首切った女の死体を…何処かに隠せ…ゲフッ」ボタボタ

学者「兄貴…喋らんで下せぇ」ヌイヌイ

少女「急いで母呼ぶ…待ってろ」ガブリ

戦士「お…おいまさか…」

少女「この死体持って行くぞ…」ムクムク

女オーク「ええ!!?ウェアウルフ…」タジ

子ウェアウルフ「待ってろ…ぐるる」シュタタ シュタタ

盗賊「あ…あいつ…」ヒック ブルブル

学者「マズイっすね…死戦期呼吸出初めてるじゃ無いっすか…」ヌイヌイ

戦士「ここに人が立ち入らない様に私が止めて来る…ゲス君はそのまま治療を」ダダ

剣士「姉さん…これ…」

女オーク「ダメ…力を使ってはダメ…」フリフリ

剣士「このまま死んじゃいそうだ…」

盗賊「…」パクパク


---声が出無ぇ---

---俺はこんな所じゃまだ死ね無ぇ---

---まだ神の手を超えて無ぇんだから---

---たった2発撃たれただけで死ぬ訳に行か無ぇ---

646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:16:17.45 ID:bVSMz8780
『遠くの声』


腹側から切開して傷つついた臓器を縫合していきやす…

出て来る血を管で吸い取ってそっちの容器に移して行って下せぇ

固まった血は薄めた食塩水で洗い流しやす

あれ?さっきこの血管切れてた筈なんすが…何かやりやした?

見間違いっすかねぇ…バイパス処置しなくて良さそうなんでこのままゆっくり血を流して行きやす

オークの血で上手い事縫った場所が回復してくれれば良いんすが…

よしよし上手い事四肢に血が回って居やすね…次の処置に行きやす…


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647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:17:09.47 ID:bVSMz8780
『夢』


タタタターン! ドドーン!! パラパラ


僕「おい!!大丈夫か!?」

男「ぁぁぁぁ…目が見え無ぇ…げふげふっ…げほぉ!!」ボタボタ

姉「瓦礫から掘り出すんだ!!」ガッサ

男「上手い事瓦礫で塞がった様だな…ハァハァ」

僕「姉御…手…手が無い…」プルプル

男「おい小僧…何処だ?こっちへ来い」

僕「今腕を縛って血を止める…」ダダ

男「おい良く聞け…俺の装備品を持ってお前等は逃げろ…地上に出て何とか逃げ延びろハァハァ」

僕「逃げるって…何処に!?そこら中機械だらけだ」

男「俺の左手に小さな石を握っていた筈だ…そいつを使えば消える事が出来る」

姉「これだ!!有った!!」ダダ

男「小僧!装備品は全部お前にやる…だから必ず生き延びろ…分かったな?」


シャカシャカ…


姉「マズイ…裏手に回られ始めてる…」キョロ

男「俺はもう手遅れだ…早く行け…ここでお別れだ」

僕「ダメだ!!置いて行けない!」ガサガサ

男「もう手も足も感覚が無い…構わず行け」

姉「くぅぅ…い…行くよ」グイ

僕「姉御…」

男「おい忘れてるぞ?俺の腰にミスリルダガーと銃がある…それを使って身を守れ」

僕「ダガー…銃…あ…有った」ガチャ


タタタターン


姉「来たぁ!!くぅぅ…」

僕「こ…このぉ!!」ギリ

小型の機械「ピピピ…」シャカシャカ

僕「来るなぁぁぁ!!」ダーン! ジャラジャラ


ドーン!!


小型の機械「…」プシューーー ドタリ

男「や…やれば出来るじゃ無ぇか…さっさと行け」グター

姉「行くぞ!!撒かれる…」グイ

僕「くぅぅぅ…」タッタッタ


タッタッタ…



---まだ俺はその男を超えていない---

---まだ死ぬ訳に行か無ぇ---


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648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:18:03.10 ID:bVSMz8780
『キャラック船_荷室』


ユラ〜リ ギシ


盗賊「んぁぁ…」パチ

中年の女「…」ジロリ

盗賊「こ…ここは…」キョロ

中年の女「船の荷室だ…」

盗賊「誰だ?お前…ぐぁぁ痛てぇ…」

中年の女「動かないで…傷が広がるわ」

盗賊「ちぃぃ記憶が飛んでんな…」

中年の女「このダガーと銃をどうした?」スッ

盗賊「そりゃ俺の物だ…返せ!」ガバ

中年の女「動かないでと言って居るでしょう?」

盗賊「返してくれ…親の形見なん…だ…うぐぐ痛てぇ…!!」バタバタ

中年の女「ファルクリード…」

盗賊「何!?なんでその名を…」

中年の女「フフ…やっぱり似ている…」

盗賊「俺の親父を知って居るのか?」

中年の女「アランと言うそうね?」

盗賊「おい!俺の質問に答えろ!」

中年の女「同じギルドだったのよ…盗賊ギルド」

盗賊「そうだったのか…お前は盗賊ギルドの者だな?」

中年の女「フフ…だったら?」

盗賊「ガキンチョの使いしか見て無ぇからな…やっと話の分かる奴に会えたわけだ」

盗賊「俺はアランクリード…泥棒だ…自己紹介したぞ?お前は誰だ?」

中年の女「なかなか良い腕をしている様ね…例の書簡頂いたわ…それからコレも」スッ

盗賊「んん?おい!!そりゃ電脳化のデバイス…そんなもん持ち歩いて全部会話筒抜けだろうが」
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:18:32.38 ID:bVSMz8780

中年の女「大丈夫…魔石は回収してあるから」コロン

盗賊「ホッ…心臓に悪い事すんない」

中年の女「それであなた…この書簡の事をどこまで知って?」

盗賊「何も知ら無ぇよ!読めもし無ぇ!何だそりゃ?」

中年の女「ニーナから何か聞かされて居ないの?」

盗賊「半年前から殆ど会話して無ぇんだ…今回の件もそいつが取り引きの物だと知らなかった」

中年の女「そう…結果的に手に入ったのは運が良かったわ」

盗賊「おい!まだお前俺の質問に答えて無いぞ?俺は名乗ったんだ…名前ぐらい教えろ」

中年の女「そうね…まぁ良いわ…私はリカオン…白狼の一党と言えば通じて?」

盗賊「やっぱりそうか…あのガキンチョもその手の者か」

中年の女「秘密を知ったからには分かっているでしょうね?」

盗賊「俺は何にも縛られない…だが裏切る様な事はしない…その辺はわきまえてる」

中年の女「フフ…リコルが気に入る訳ね」

盗賊「ちっと血が足りんらしい…何か食い物を持って来て貰いたいんだがよ」

中年の女「分かったわ…少し待って居なさい」スタ


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650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:19:01.23 ID:bVSMz8780
『数分後』


ドタドタ


学者「兄貴ぃーー!!やっと目を覚ましやしたね?」

剣士「アランさん!!良かったぁ…」

学者「兄貴!ミライ君とリッカさんに感謝っす…兄貴が死ななかったのは2人のお陰っス」

盗賊「なぬ?」

学者「銃で撃たれて内臓やられてたんすよ…リッカさんの血とミライ君の謎の治癒でなんとか助かったんす」

盗賊「そんなに酷かったんか…」

剣士「もう一週間寝たきりだったんだよ?」

盗賊「なんだと!?俺はさっきやられたと思って…あだだだ」

学者「傷むのは俺っちの縫合痕っすね…ちっと筋肉ぶった切っちゃったもんで…」

盗賊「まぁ良い…兎に角腹減って動けん様だ…何か食わせろ」

学者「いきなり食うのは良く無いっす…今リッカさんに流動食作って貰ってるんでもうちょい待って下せぇ」

盗賊「飲み物で良いから何か腹に入れさせろ」

剣士「持ってきたよ…ワインなら良いんだよね?ゲスさん?」

学者「少しだけっすよ?」

盗賊「おぉよこせ!!」キュポン グビ

盗賊「ロボは何処行った?」キョロ

学者「兄貴の代わりに船の操舵っすよ」

盗賊「あんな重い舵をロボが動かせる訳無いだろう」

剣士「僕が舵輪に改造したよ…グルグル回す奴」

盗賊「なるほど…ロボに任せて大丈夫なんか?」

学者「先導する他の船に付いて行くだけなんで大丈夫っすね」

盗賊「船隊組んで航海してんのか…」

剣士「他の商船と合わせて6隻くらいかな?」

盗賊「なるほど…そりゃ安全そうだ」

学者「ところで兄貴がやった奴から装備剥ぎ取りやしたぜ?」

盗賊「んん?何か持ってたか?」

学者「火薬使う2連装デリンジャーっすね…あと防弾ベストとか色々持っていやした」

盗賊「デリンジャーか…隠し持つにゃ丁度良いが…弾込めに時間掛かり過ぎて使えんな」

学者「兄貴は使わんのですか?弾丸は20発くらいありやしたぜ?」

盗賊「俺は要らん…護身用でミライ辺りが持ってりゃ良いんじゃ無ぇか?」

剣士「お!?だったら分解して仕組みが知りたいな」

盗賊「使って良いぞ…防弾ベストは欲しいがサイズが合わんだろうな」

剣士「それは僕が直せるかも」

盗賊「あぁ任せる…悪い!ちっとワイン飲んで気分が悪くなって来た…横になる」ドテ

学者「あらら言わんこっちゃ無いっすね…もうちょい安静が良さそうっすね」


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651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:20:14.52 ID:bVSMz8780
『デッキ』


ザブ〜ン ユラ〜


少女「母…アランに正体バラシて良かったか?」

中年の女「大事な仲間の遺児だったのよ…驚いた」

戦士「んん?誰の?」フリムキ

中年の女「ファルクリード…神の手を持つ男」

戦士「伝説の男…アランがその遺児か…どうだ?似て居るのか?」

中年の女「若い頃の生き写しね…いつも違う女を連れ歩いてたのが気に入らなかった」トーイメ

戦士「ハハもしかして初恋か?」

中年の女「どうかしら?…でも憧れだった…自由な生き方も…その信条も」

少女「神の手とはどういう意味だ?」ハテ?

中年の女「彼に開けられない鍵は無かったのよ…そして盗めない物も無かった…白狼の盗賊その人…」

少女「アランも同じか?」

中年の女「さぁ?…でもあの大きな手は…まだ生きている気がする」

少女「父!まずいぞ!母が浮気しそうだ」

戦士「ハハ何を言って居る…年が離れすぎだ」

中年の女「でも彼が生きていると知ってしまったからには…導いてあげないと」

戦士「導く?」

中年の女「母親が生きて居るの…上手く誘導してあげたい」

戦士「連れて行ってやれば良いだろう」

中年の女「彼が親を離れた理由を引きずって居なければ良いけれど…」

戦士「訳有りか…ふむ」

中年の女「当面盗賊ギルドで彼らの面倒を見る様に父に進言するわ…リコル…あなたにも強力してもらうわよ」

戦士「やっと俺の価値が分かって来たか」

少女「母!私も忘れるな」

中年の女「そうね…良い子ね」ナデナデ


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652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:21:22.88 ID:bVSMz8780
『甲板』


ユラ〜 ギシ


盗賊「おととと…」ヨロ

学者「兄貴ぃ…ちっと大人しくしてて下せぇよ」

盗賊「うるせぇ!一週間も大人しくしてたんだろうが…」


戦士「アラン!!もう動けるのか?」ノシ


盗賊「おうリコル!!どうやら世話掛けた様だ…リカオンもデッキに上がってんのか?」

少女「お前ーーー!!その名を口にするなぁ!!」バタバタ

中年の女「ミルク…もう良いのよ」

盗賊「ほーう?ガキンチョはミルクってのか…覚えたぜ?」

少女「ミルクレープだ!勝手にミルク呼ぶな」プン

盗賊「へいへい…んで?家族そろって日光浴か?」

戦士「まぁ…そんな所だ…風が気持ち良いぞ?上がって来るか?」

盗賊「いいや…家族に割入る気なんざ無ぇよ…俺の家族に心配掛けちまったからそっちが先だ」ヨロ

学者「兄貴ぃ…海に落ちちまいやずぜ?」グイ


ロボ「ピポポ…」ウィーン


盗賊「おぉ!!ロボ…心配掛けたな?」ナデナデ

ロボ「ピポポ…」クルリン

盗賊「俺も操舵手伝ってやる…んん?」スタ

盗賊「誰だ?見張り台に上がってんのは…」クル
653 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:22:19.76 ID:bVSMz8780

学者「あぁ!!兄貴に教えて無かったっすね…ビックリする人がもう一人乗ってるんすよ」

盗賊「んん?女か?」

学者「シルエット見て誰か分かりやす?」ニマー

盗賊「まさか…ラシャニクア…」

学者「正解!!流石兄貴っすね!!」

盗賊「おいおいどういうことだ!?」

中年の女「傭兵で雇った…それ以上何か説明が居る?」

盗賊「マジかよ…」

学者「狙撃手が一人居るだけで安全に航海出来るらしいっす…ほんでこの船に乗ってるんすよ」

盗賊「そういやロストノーズの連中がなんか粗ぶってたんだが…」

学者「味方っすね…電脳化した機械の連中を追ってたんすよ」

盗賊「ロストノーズごと雇ってるってか?」

学者「そこら辺は分からんのですが…ラシャニクアは傭兵団抜けたらしいっす」

盗賊「ほう?なんで又…」ジー

女ハンター「…」シラー

盗賊「まぁ良い…今船に乗ってんのはこれで全員だな?」

学者「へい…8人とロボ…ほんでウルフ1匹っす」

盗賊「寝床無いもんだから俺は荷室行きか…」

学者「ベッドで寝れるのは荷室だけっすけどね…ミライ君がベッド作ったんすよ?」

盗賊「ほーん…」

学者「兄貴の荷物は全部ベッド横の宝箱に入れてあるんで後で確認して下せぇ」

盗賊「ったく俺の船だってのによ…」


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654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:23:31.77 ID:bVSMz8780
『船尾楼』


ドサ ギシ


盗賊「随分家具が増えたな?」キョロ

学者「全部ミライ君の手作りっすよ…良い居室になりやしたよね?」

盗賊「本棚に書物も入って居やがる…買ったんか?」

学者「俺っちが買って来やした…測量とか航海術とか…」

盗賊「俺に読めってか?」


ガチャリ ギーー


剣士「食事持って来たよ…」ドサ

盗賊「おぉ…今度はクソ薄いスープじゃ無いだろうな?」

剣士「パンとチーズ…あとスープね…ハハ」

盗賊「肉が無ぇな…」パク モグモグ

学者「病み上がりなんでゆっくり食って下せぇ…スープは全部飲み切って下さいね…造血剤入りなもんで」

盗賊「へいへい…あぁぁやっと落ち着いた」モグモグ

盗賊「しかしなんだぁ…リコル家族はなかなか優雅な航海してるじゃ無ぇか…デッキで風に当たりながら酒でも飲んでんだろ?」ガブ モグ

学者「まぁ良いじゃ無いっすか…お陰で安全に航海出来てるんすから」

盗賊「今どの辺に居るんだ?」

学者「外海のど真ん中っすね…この辺りっス」ユビサシ

盗賊「んん?陸沿いにフィン・イッシュ行く訳じゃ無いのか」

学者「一旦ゴールドラッシュ島に寄って行くらしいっすよ?」

盗賊「ほぅ?ちっと遠回りだが…海賊が出ない分安全か…」

学者「今商船の中継点になってるんでメチャ栄えてるらしいっす」

盗賊「ふ〜む…金稼ぎには都合良いか…」ギラ

学者「ちょちょ…また泥棒で騒動起こさんで下せぇ」

盗賊「俺ぁもう金が無いのよ…どうせ海から金塊サルベージして潤ってる連中が居んだろ?」
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/12/21(水) 20:24:30.61 ID:u2NeUNYR0
ありがとう
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:24:38.06 ID:bVSMz8780

学者「兄貴は船持ってるじゃ無いっすか…ちっと大人しくしてそん時に備えやしょう」

盗賊「酒飲む金も無ぇんだが…」

学者「はいはい分かりやしたよ…金貨10枚くらいで良いっすか?」ジャラ

盗賊「お?気前が良いじゃ無ぇか…」パス

学者「ウヒヒヒヒ…実はっすね…傭兵ギルドの叔母さんから餞別貰ったんすよ」

盗賊「なんだと!?あの婆ぁニーナを売ったんだぞ!」

学者「あの後ロストノーズの連中がドヤドヤやって来てっすね…色々事情を聞かれてたみたいなんすが」

学者「これで勘弁してくれって俺っちに金貨渡して来たんす」

盗賊「じゃぁ俺にも分け前有るだろうが!!」

学者「今渡しやした…俺っち10枚…兄貴も10枚…」

盗賊「だったら奢りますみたいな顔してんじゃ無ぇ!!」ボカ

学者「あたたたた…」スリスリ

盗賊「あのクソ婆ぁ…またベラベラ情報垂れ流すぞ…」ギリ

学者「もう良いじゃ無いすか…あっちの大陸にゃ戻らにゃ良い訳で…」

盗賊「まぁそうだが…残した物も多い」---孤児達もニーナの墓も---

学者「2〜3年もすりゃ忘れやすよ」

盗賊「金貨10枚か…当分はなんとかなるか…」

剣士「それだけあったら3年は暮らせるよ?」

盗賊「ヌハハハ…違い無ぇ…そうだ俺らはゴミ食って生きて来たんだもんな…」

剣士「何言ってるのさゴミなんか何処にも無いよ…全部宝さ」

盗賊「よ〜し!!宝探しに行くか!!」

剣士「おおおおお!!行く行く!!どんな宝があるかなぁ」ワクワク

盗賊「そりゃ箱を開けてからのお楽しみよ…箱開けは俺に任せろ」


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657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:25:45.88 ID:bVSMz8780
『デッキ』


ユラ〜リ ギシ


中年の女「フフ…」ニヤ

戦士「丸聞こえだな…フフ」

中年の女「まるでファルクリードの話を聞いて居るみたい…懐かしい」

戦士「不思議と周りを引き込んで行くのだな…」

中年の女「そういう男…人間らしくて正直で…裏が無い」

少女「母の初恋か?」チラリ

中年の女「憧れ…自由で気ままな生き方…それでいて暖かい所に惹かれた…喧嘩してばっかりだったのよ?フフ」

戦士「まぁ分かる…アランは良い奴だ…間違い無い」


盗賊「お〜し!!肉だ肉!!甲板でバーベキューやっぞ!!」ドタドタ


学者「兄貴ぃ…肉はまだ早いですって…」

盗賊「うるせぇ!!パンとチーズじゃ満足でき無ぇ!!」

学者「またそのちっこい炉で焼くんすか?」

盗賊「ぐじゃぐじゃうるせぇな…魚持って来い魚!!今から焼くぞ!!」

剣士「食材少し切って来るね」

盗賊「おらぁぁ!!ラシャニクア!!いつまでも見張り台に居無ぇでお前も降りて来い!!」

女ハンター「…」シラー

盗賊「降りて来いっつってんだろ」ドカッ ドカッ

学者「兄貴…酒飲んでるっすか?なんでそんなテンション高い…あ!!オークの血…ハイ状態に…」

盗賊「んあ?俺は普通だぞ?」

学者「あたたた…こりゃしばらく続きそうっすね…」


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658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:26:38.24 ID:bVSMz8780
『バーベキュー』


ジュゥゥゥ モクモク


盗賊「おら芋だ!!キノコも焼けたぞ」ポイ

戦士「ハハハなかなか小さな炉で頑張って居るな」

盗賊「ほらおっさん!!芋焼けてるぞ」ポイ

戦士「良いツマミだ…」パク モグ

中年の女「ラシャニクア!見張りは休んで居りていらっしゃい…豪華なバーベキューだそうよ?」

女ハンター「…」スルスル シュタ

盗賊「いよう…やっと降りて来たな?煙で燻してやろうと思ったんだが…」

女ハンター「…」ジロリ

盗賊「まぁ食え…キノコだ」ポイ

女ハンター「…」パス

盗賊「なんだ不満か?」

女ハンター「しょっぼ…」パク モグ

盗賊「なんだとぅ!!」

学者「まぁまぁまぁ…兄貴…こりゃ確かにショボイっす…」

盗賊「肉無ぇのか肉は!!」キョロ

剣士「ゴメンゴメン…鶏肉だけど…切って来たよ」

盗賊「そうよソレだ…肉がありゃ皆満足だ」ジュゥゥゥゥ

女オーク「皆さん…パンもどうぞ…私が焼きました」

戦士「頂こう…」パク ムシャ

女オーク「どう…ですか?」

戦士「砕いたナッツ入りか…中々良い」

剣士「姉さんやったね?やっぱりパンと豆は相性が良いみたい」

盗賊「おいおい肉に興味は無ぇのか?」ジュゥゥゥ モクモク

女ハンター「…」チラリ

盗賊「お前こっち見たな?骨付きだ…特別にお前から食わせてやる…ホラ」ポイ

女ハンター「…」ガブリ モグ

盗賊「ヌハハハやっぱ肉だよな?ゲス!!酒持ってこい酒ぇ!!」

学者「あいやいや…兄貴はちっと控えて下せぇよ」

盗賊「俺じゃ無ぇ!!ラシャニクアを酔わせて潰すぞ」

学者「ええ!?」
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:27:07.33 ID:bVSMz8780

盗賊「澄ました顔してっから酒で正体暴くんだ…お前が勝負してやれ」

女ハンター「私はお前と違って暇じゃない…仕事中だ」モグモグ

盗賊「うほーやっとしゃべったぞ?」

戦士「代わりに私が飲もう…」ズイ

盗賊「リコルはさっきから飲んでるだろうが…」

剣士「ワイン持って来たヨ…」スタ

女オーク「木製のタンブラーも…」トクトクトク…

盗賊「俺にもヨコセ」グイ

女ハンター「…」タジ

盗賊「逃げんなコラ…お近づきの一杯だ」

女ハンター「だから仕事中だと言って居る…」

中年の女「付き合いも仕事よ?」

女ハンター「ちぃ…」

中年の女「あなた達…同年代なのだから仲良くなさい?」

盗賊「ほぅ?同年代だったか…そりゃ乾杯しないとな」カツン!

女ハンター「…」ジロリ

盗賊「まぁ…仲よくしようぜ」グビ ゴクゴク

女ハンター「仕方ない…」グビ ゴクリ

学者「兄貴ぃ…その一杯で終わりっすよ?」

盗賊「俺の血は酒で出来てんだ…なんて事ぁ無ぇ!!ヌハハハ」


ワイワイ ワイワイ

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660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:27:56.35 ID:bVSMz8780
『夜_甲板』


ザブ〜ン ユラ〜


盗賊「んぁぁぁぁ…薬のせいか…全然眠れる気がしねぇな…」フラ

ロボ「ピポポ…」ウィーン

盗賊「んん?心配で見に来たんか?」

ロボ「ピピ…」ピタ

盗賊「大丈夫だ…そうそう船から落ちやし無ぇよ…」

盗賊「はぁぁぁ…しかし…夜の海ってのは本当真っ黒けだな…星の光がちっと映っては居るが…」

盗賊「落ちたら真っ暗闇だろうな…怖い怖い…」


ガサリ


盗賊「んん?ラシャニクアか?…まだ見張り台に上がってんのか?」

女ハンター「眩しい…ランプの光をこっちに向けるな」

盗賊「お前ずっと其処に居んのか?」

女ハンター「定位置さ…文句あるか?」

盗賊「そっから何が見えんのよ…真っ暗闇だろ」

女ハンター「光はある…」

盗賊「ロボ!ちっと見張り台に上がるから居室入ってろ」

ロボ「ピポポ…」ウィーン

女ハンター「来るな…ランプが眩しい」

盗賊「フーーー…消しきゃ良いんだろ?こんな真っ暗で良く上がれるな…」ヨジヨジ


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661 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:28:51.49 ID:bVSMz8780
『見張り台』


ヒュゥゥゥ…


盗賊「風が吹きっ晒しじゃ無ぇか…凍える寒さじゃ無いが…毛皮だけじゃ寒いだろう」

女ハンター「来るなと言ったのに…」

盗賊「眠れなくて暇なんだよ…んで?どこに光が見えんのよ」キョロ

女ハンター「昔はここに登れば妖精が見えた…」

盗賊「妖精?」

女ハンター「大人になったせいか…光しか見えなくなった」

盗賊「どこよ?」

女ハンター「そこら中に…」

盗賊「暗闇にまだ目が慣れて無ぇな…」ゴシゴシ

女ハンター「今晩は新月…妖精が見える筈」

盗賊「なぬ?」

女ハンター「お前…何故人のスペースにズケズケと入って来る」

盗賊「ほんなん気にした事無ぇよ」

女ハンター「少しは気にしろ」プイ

盗賊「俺の船だから俺が何処に行こうが勝手だ」

女ハンター「ちっ…」

盗賊「ラシャニクア…戦場で聞く噂とは随分違うな?」

女ハンター「何がさ…」

盗賊「妖精追っかけてる乙女だとは聞いた事が無い」

女ハンター「なっ!!」

盗賊「ヌハハ冗談だ…戦場に行く割には随分華奢で小柄だと思ったんだよ」

女ハンター「狙撃に体格は関係無い…逃げる嗅覚と腕が有れば良い」

盗賊「なるほど…ほんで妖精探しは嗅覚磨きってか?」

女ハンター「フン!!」プイ

盗賊「…なんで傭兵団抜けたんだ?」

女ハンター「あいつ等はクズばっかりだからさ」

盗賊「ほう?でも金稼げんくなるだろう」

女ハンター「私の戦果も全部アイツらが持って行く…金なんか殆ど貰って居ない」

盗賊「なるほど…何処も同じな訳か…」

女ハンター「何処も?」

盗賊「船に乗ってるミライとリッカ…一生懸命働いても貰える金はほんの少しだった…」

女ハンター「そう…」

盗賊「お前…奴隷だったんだってな?孤児だったんか?」

女ハンター「だから何?」

盗賊「いんや…何って話は何も無い…俺もゴミ食って生きてたって言いたいだけだ」

女ハンター「…」

盗賊「キノコ美味かっただろ…ゴミん中じゃ最高の御馳走だ」
662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:29:34.64 ID:bVSMz8780

女ハンター「肉が美味かった」

盗賊「ケッ!!そこはキノコ美味かったって言う所だろ…分かって無ぇな」

女ハンター「お前…変な奴だな」

盗賊「何がよ?」

女ハンター「普通は私の名を聞いて先ず鼻を見るんだ…お前は鼻を見もせずいきなりキノコ…」

盗賊「なんだお前…俺に鼻を見て欲しいって言ってんのか?」

女ハンター「いや…」

盗賊「船に乗ってるロボットが居るだろ…アイツは元々普通の女なんだ…鼻どころか全身全部削がれた」

女ハンター「話に聞く孤児機械化の…」

盗賊「俺はよ?アイツに生身の肉体を与えたくて旅してる…完全体のホムンクルスってのを探してな」

女ハンター「そうか…」

盗賊「もし見つけたらよ?お前にもちゃんとした鼻をつけてやれるぞ?」

女ハンター「硬化症が怖い…」

盗賊「完全体のホムンクルスは硬化症にならないらしい…これは信頼できる情報だ」

女ハンター「もし見つけたら…か」

盗賊「もしじゃ無ぇ…見つける!!」ギラリ

女ハンター「まぁ期待しないで待つ…木製の付け鼻も案外気に入って居るのさ」

盗賊「ヌハハそうか…ほんでお前は?この船に乗ったのは只の傭兵か?」

女ハンター「そうさ…でも目的は他に有る」

盗賊「何よ?」

女ハンター「海賊王の娘を探す」

盗賊「お!!?どういう事よ…丁度俺も探してんのよ」

女ハンター「何!?何処に居るのか知って?」

盗賊「いや…まだ知らん…だが知って居そうな人物が居るんだ」

女ハンター「それは誰だ?」

盗賊「まぁどうせ行先は同じだ…しばらく一緒だな?」

女ハンター「教えろよ…」グイ

盗賊「そのうち分かる…それよりお前が海賊王の娘を探す理由は何よ?鼻削がれた復讐か?」

女ハンター「復讐では無い…見たのさ…光を」

盗賊「光?」

女ハンター「奴隷として貴族の船に乗って居た時…見張り台で覗いた望遠鏡の奥にその人は居たんだ…」


663 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:30:09.06 ID:bVSMz8780


その人は幽霊船と言われた船に乗って居た…

突然消えたり…現れたり…

それまで見た事の無い光り輝く剣…

不思議なクジラ…

見た事の無い魔法も…

何も無い私の生活に…望遠鏡の中にだけ有る夢の世界

私は虜になってしまった…



盗賊「憧れか…」

女ハンター「今でもその船に乗って居た全員の顔を覚えてる…」

女ハンター「その人を目の前にして連れて行って欲しいと真剣に思った…」

盗賊「なるほど…それがお前の光か…」

女ハンター「しまった…恥ずかしい話をしてしまった…」

盗賊「ヌハハ気にすんない…その船にな?ホムンクルスの完全体が乗って居た筈なんだ…そう聞いた」

女ハンター「どの人の事だろう…」

盗賊「まぁお前の事は大体分かって来た…見張り台で昔の様に探してんだな?お前の光を…」

女ハンター「そうさ…そこにあんたがズケズケと入って来たのよ」

盗賊「そう言うない…」


ヒラヒラ…


盗賊「んん?」キョロ

女ハンター「来た…」スック

盗賊「これが妖精?」

女ハンター「そう…この光が行く先に幽霊船が見えた…」


ヒラヒラ…


盗賊「なんだこの光…踊って居るみたいに…」アゼン

女ハンター「スゴイだろう?」


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664 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:30:48.70 ID:bVSMz8780

『翌朝』


ザブ〜ン ユラ〜


学者「ふぁ〜ぁ…遅くなりやした…起こしてくれりゃ良かったんすが…」ゴシゴシ

盗賊「興奮して全然眠れないんだが…お前薬に何か入れたか?」

学者「んん?体調はどうっすか?」

盗賊「すこぶる快調だ…腹の傷は痛むが…」

学者「多分オークの血を輸血したせいなんすよ…それにしても回復が早いっす…」

盗賊「喉がやたら乾いてよ…」グビ

学者「何飲んでるんすか?まさか酒じゃ無いっすよね?」

盗賊「酒だ…リッカが持ってた…こりゃなんかの果実酒か?」

学者「ええ!?もしかして体がポカポカしてたりしやせんか?」

盗賊「言われてみればそうかもしれん」

学者「なんか分かって来やしたぜ?…蒸留酒でオークの血が希釈されて増えてるんすよ…輸血された人間にも効果が…」

盗賊「だから俺の血は酒で出来てるって言っただろ?」

学者「そういや姉御にも何回か輸血されて居やしたね…そういう事っすか」

盗賊「んな事より周りを見て見ろ…行き交う船が増えて来た」ユビサシ

学者「本当っすね…」キョロ

盗賊「こりゃ多分目的地が近いぞ」

学者「ゴールドラッシュ島…楽しみっすね」

盗賊「俺ぁシカ肉が食いてぇな…出来るだけ臭いやつを」

学者「良いっすねぇ…到着したら酒場でパーーっと行きやしょう」

盗賊「分かってるじゃ無ぇか!!」バン

学者「おわととと…兄貴の手はデカくて重いんでちっと手加減して下せぇよ…」

盗賊「ヌハハハ悪い悪い…」


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665 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:31:34.28 ID:bVSMz8780
『ゴールドラッシュ島_港』


ガコン ギシギシ


中年の女「到着した様ね…」スック

盗賊「ミライ!!碇降ろしてくれぇ!!」

剣士「分かったぁぁ!!」ダダ

中年の女「さて…この島では荷の積み替えがあるから次の出発は3日後…」

盗賊「おう!!俺らどうすりゃ良いんだ?」

中年の女「別行動よ…自由にして良いわ…船に残っても良いし…宿屋に行っても構わない」

学者「兄貴ぃ!!折角なんで宿屋行きやしょう」

中年の女「私達は別行動するから…そちらはそちらで上手くやりなさい?」

盗賊「おーし!!ラス!!降りて来い!!」

女ハンター「ラ…ラス?」キョロ

盗賊「お前の事だ馬鹿!!ラシャニクアじゃ呼びにくいだろ…降りて来い!!行くぞ!!」

女ハンター「私が雇われて居るのはお前じゃ無い!!」

盗賊「アホかお前!!向こうは家族で来てんだぞ?ちったぁ気を使え!!良いから降りて来い!!」

中年の女「フフ…付き合いも仕事だと言ったでしょう?」ニヤ

女ハンター「ちっ…分かったよ」スック

盗賊「ようし!!リッカとミライも降りる準備しろよ?今晩はパーーっと行くぞパーーっと!!」

剣士「おーーー!!姉さん!!パーーーっと行くんだってさ!!」ドタドタ

女オーク「ウフフ…」

中年の女「じゃぁ3日後に…此処で」ノシ


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666 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:32:35.79 ID:bVSMz8780
『街道』


ワイワイ ガヤガヤ


学者「ほえぇぇ…それほど大きな島じゃ無いのに栄えて居やすね…」キョロ

剣士「見た事無い形の建物だ…」キョロ

盗賊「古代遺跡らしいぞ?そこに後から色々建ててんのよ」

学者「確か20年ぐらい前に海賊王の娘達が発見したんすよね?」

盗賊「らしいな?海に沈んだ黄金郷もな?」

学者「黄金のサルベージってどうやってるんすかね?見たくないっすか?」

盗賊「フィン・イッシュに行く途中で見れるかも知れん…なんでもシン・リーンの魔術師達も居るらしいぞ」

剣士「黄金ってさ?金貨の材料?」

盗賊「さぁな?俺は大量の黄金を何に使ってるのか知らん…金貨になってるのはその一部だろう」

学者「俺っちは少し知ってますぜ?」

盗賊「んん?機械の部品だってか?」

学者「いやいやそれは極一部っすよ…黄金は錬金術で賢者の石を作る材料になるらしいっす」

盗賊「なるほど…それでシン・リーンも関わってるってか…」

学者「製法が解明されたかどうかは知らんすがね…賢者の石は命を生むとか言う話もあるんすよ」

剣士「そっかぁ…金貨を溜めれば賢者の石っていうのも作れるのかぁ…」ワクワク

盗賊「お?お前が作るんか?」

剣士「作れるなら作ってみたいなぁ…」

盗賊「そら結構!!俺にも作ってくれ」

学者「兄貴ぃ…賢者の石一欠けらで国が買えるとか言われてるんですぜ?」

盗賊「ヌハハハそりゃ作るしか無ぇな?」

学者「あたたた…そんだけ難しいって言いたかったんすが…」


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667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:33:11.33 ID:bVSMz8780
『露店』


ワイワイ ガヤガヤ

シカ肉…シシ肉なんでもあるよ〜買ってってくれ〜い!!

金のアクセサリーは如何かね?世界最安値だよ〜?

ミスリル製の武器!!他では中々手に入らないぜ?ほら兄ちゃん見てってくれ


盗賊「おぉ…ミスリル製の武器なんか売ってんのか…」

学者「兄貴ダメっす!!高くて全然手が出んすよ」

盗賊「見るだけはタダだろうが…」グイ

店主「ハイハイお兄さん…お目が高いねぇ…好きなの触って良いよ?」

盗賊「ほーーーこれがミスリルの剣か…」スラーン

店主「その剣は護身用に最適だぁ…安くしとくよ?」

盗賊「確かに軽いな…だが俺にはちっと長い様だ」

店主「買ってってくれよぅ」

盗賊「あんま金持って無いんだ…悪いな」ノシ

学者「今の剣で金貨15枚…値切って10枚って所っすか…」

盗賊「くそう!!どっかに宝箱落ちて無ぇか?」

剣士「おぉぉぉ!!姉さんこれ見て!!琥珀だ琥珀!!」ダダ

女オーク「あら本当ね…何処かで採れるのね」

剣士「あぁでも高いなぁ…」ショボン

女オーク「良いのよ…もう体は平気だから…」

学者「ふふん…琥珀は樹液の化石…なるほどそういう事っすね…」フムフム

剣士「ゲスさん何ボーっとしてるのさ…弾丸も一杯売ってるよ?」

学者「ええ?何用の弾丸っすかね…」キョロ


ワイワイ ガヤガヤ

ほらこれは古代の遺物…ミステリーに興味のある人は必見だよぉ!!

キラーポッドの部品だぁ!!珍しい樹脂が回収出来るんだぞぉ…買う奴は居らんかぁ!!


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668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:33:48.17 ID:bVSMz8780
『宿屋』


ガヤガヤ…


剣士「じゃぁ僕と姉さんは2人部屋の方に行くね…」

盗賊「俺らは大部屋だな…ちっと休んだら隣の酒場に行くからよ…そこで待ち合わせな?」

女ハンター「おい!私はあんたと一緒の部屋になるのか?」

盗賊「んあ?なんだお前…2人部屋が良いのか?」

女ハンター「違う!!なんであんたと同じ部屋なんだと言いたい」

盗賊「部屋が空いて無いんだからしょうがないだろう」

学者「まぁまぁラスさん!!どうせ兄貴は酒場に入り浸りで帰って来ないんで実質大部屋を一人で使ってるみたいなもんす」

女ハンター「フン!!鍵かける」

盗賊「ヌハハ好きにしろ…ロボは部屋に入れてやってくれな?」

ロボ「ピポポ…」クルクル

女ハンター「…」ジロ

学者「いやぁ…早速色々買い入れちゃって…荷物が邪魔っすね」

盗賊「おう!部屋に荷物置いてサッサと酒場行くぞ」

学者「そーっすね…肉!酒!」ダダ


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669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:34:43.12 ID:bVSMz8780
『酒場』


チリンチリーン


マスター「いらっしゃいませ…お二人で?」

盗賊「あぁぁ後から連れが来るもんでよ…テーブルが良いんだ空いてるか?」

マスター「あいにくテーブルは一杯でして…空くまでの間カウンターでよろしければ…」

盗賊「おう!!どうせしばらく来やし無ぇ…カウンターで構わん」

マスター「…ではどうぞ」スス

盗賊「とりあえず酒と肉が欲しい」

マスター「何を飲まれますか?」

盗賊「そうだな…フィン・イッシュは米を使った酒が有っただろう…」

マスター「分かりました…」

盗賊「ボトルで頼む…これで足りるか?」チャリン

マスター「ハハお釣が出ますね…少々お待ちください」スタ

学者「はぁぁぁやっぱ兄貴は酒場が似合いやすね…どうっすか?さっき買った大麻吸いやす?」

盗賊「気が利くじゃ無ぇか…今度はお前の分も買ってるな?」

学者「へい!!火を点けやしょうか?」

盗賊「それぐらい自分でやる…」チッチ モクモク

学者「じゃぁ俺っちも…」チッチ モクモク

マスター「どうぞ…米酒をボトルでお持ちしました…肉料理はもう少しお待ちを…」ゴトリ

盗賊「ゲス!!早速飲むか?」キュポン トクトクトク

学者「米酒なんて飲んだ事無いっすねぇ…」スパーーー フゥゥゥゥ

盗賊「ワインよりかなりキツイ酒でな…飲み過ぎんなよ?」グビ プハァ

マスター「お二人は初めてで?」

盗賊「まぁな?さっき商船で到着したばかりよ」

マスター「見た所…バン・クーバからいらした様ですね」

盗賊「お?分かるか?」

マスター「恰好を見ればおおよそ…」

学者「兄貴ぃ…流行の恰好が多分違うんすね」

盗賊「そんな特徴的には思えんがな…どの辺が違うのよ?」
670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:35:24.94 ID:bVSMz8780

マスター「腰に掛けているベルトに投げナイフが仕込んであったり…上着にも何か仕込んでありますよね?」

盗賊「ほーん…投げナイフや防弾ベストがそんなに珍しいかね?」グビ

マスター「フィン・イッシュではそのような格好の方は殆ど居ないですよ」

盗賊「ナイフぶら下げてちゃ怖いってか?」

マスター「ハハすみません…私が酒場のマスターで無ければ声を掛けないと思います」タラリ

盗賊「何もしやし無ぇよ…」グビ ゴクゴク

学者「兄貴は人相悪いんで余計に怖いんすよ」

盗賊「まぁ戦場にどっぷりだと自然にこうなる訳よ…ほんでマスター…なんか面白い話は無いか?」

マスター「はぁ…面白いかどうか分かりませんが…この島の奥に古代遺跡が有るのは知って居ますかね?」

盗賊「んん?聞いた事が有るぐらいだ…20年前に全部探索されてんだろ?」

マスター「瓦礫に埋もれた区画があってですね…未探索の場所が見つかったんですよ」

盗賊「おおお!!そりゃ面白れぇ…何が有るのよ?」

マスター「奥の方に扉が在って先に進めないらしいです」

盗賊「…」---開かずの扉…俺は開け方を知ってる---

学者「魔術師が居て開けられないっておかしくないっすか?」

マスター「無理に開けると爆発するとかで封印指示が出てるみたいですね」

盗賊「おい!その場所教えてくれ」

マスター「ハハもう有名になってるので明るい内は人で一杯ですよ…地図も売ってるんです」

盗賊「その地図あるんか?」

マスター「観光名所を記した地図…金貨1枚ですが買いますか?」パサ

盗賊「くぁぁぁ高いが…畜生足元見やがって…」チャリン

マスター「これも酒場の売り上げなんですよ」

学者「もしかして…酒場に立ち寄った人全員に売ってたりしやせんか?」

マスター「商売なので…」ニコ

盗賊「上手い売り方しやがる…でもまぁ楽しみ買ったと思って行って見るぞ」

学者「まさか今晩行くって事は無いっすよね?」

盗賊「ちっと色々準備が必要だ…明日の夜だな…今晩はパーーーとやるんだ」

マスター「さぁ…肉料理の準備が出来た様なのでお持ちしますね」スタ


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671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:36:22.48 ID:bVSMz8780
『1時間後』


ワイワイ ガヤガヤ

だはははは…でも悪いがあんま金持って無ぇんだ…また今度な?

もう!本当は一杯持ってるクセに…

マジで持って無いんだ…用がある時はまた声を掛けさせて貰うからよ


剣士「あ!!居た居た…」

盗賊「おぉ!!お前等来たか…食い物用意しといたぞ」

学者「リッカさんとミライ君用に各種木の実…キノコにパン…全部食って良いっすよ!!」

盗賊「ラスも来たな?お前用に肉頼んどいた…焼きたてだから食え!!」

女ハンター「なんか…かじった痕が有るんだけど…」

盗賊「毒味だ毒味!!気にすんな!!」

剣士「あれ?見た事無い木の実が有る…」

学者「それオリーブっす…酒にメッチャ合うんすよ」

剣士「へぇ?姉さん座ってよ!食べよう」

盗賊「ロボは俺の隣な?」グイ

ロボ「ピポポ…」ウィーン

盗賊「今日は特別に新しい魔石に交換してやる…食い物の代わりだ」カチャ

学者「あ!!それ電脳化デバイスの…」

盗賊「そうよ…交換して古い魔石は高く売りつける」カチャカチャ

学者「うは…セコイ稼ぎ方っすね」

盗賊「うるせぇ!!騙される方が悪いんだ」

学者「俺っちも替えの魔石欲しいんで買いますぜ?」

盗賊「なんだ身内に売るんじゃ儲けにならんのだが…まぁ良い!今晩の払いはお前な?」

学者「ええ!?そんだけで良いんすか?」

盗賊「文句あんのか?」ポイ

学者「ありーーーっす!!」パス

盗賊「どうよロボ?動きやすいか?」

ロボ「ピポポ…」ウィーン シャカシャカ

盗賊「ウハハハ動きやすそうで何よりだ…ホラお前等飲めぇ!!」
672 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:37:24.39 ID:bVSMz8780

女ハンター「…」---あのロボットの中身が普通の女の人だなんて…---


---食べれない---

---話せない---

---どんなに苦痛なんだろう---

---どうしてこんなに---

---心が揺さぶられる---


盗賊「おい!何気取ってんだ!肉だ食え!!」グイ

女ハンター「むぁ!!…自分で食べられる!!」イラ

ロボ「ピポポ…」クルリン シャカシャカ

女ハンター「はむっ…」ガブ モグモグ


---生きてる事に罪悪感を感じる---

---なんだこの気持ち---


ロボ「ピピ…」プシュー シャカシャカ

女ハンター「…」---数少ない表現で必死に表現してるんだ---


ロボは…機械と同じ…

存在する為にエネルギーが必要…

だから機械はエネルギーを求める…

そのエネルギーを奪って行くのは私達人間…

それが戦争を起こしてる

機械は存続する為に戦って居る

もし機械に命を与える事が出来れば

きっと戦いは終わる…

ロボを見て…そう思えて来た

機械が欲しい物は…多分命だ

でもどうやって命を得る?


盗賊「おいおい何神妙な面してんのよ…お前も飲め」グイ

女ハンター「じ…自分で飲めるって!!」ゴク
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:37:51.78 ID:bVSMz8780

盗賊「…」ジロ

女ハンター「何さ!?」

盗賊「ロボを見て感化されるのは分かるが…楽しむ時は楽しめ…それで良いんだ」

女ハンター「なっ…」---心を読まれてる---

女ハンター「そんなんじゃ…」

ロボ「ピピピ…」ピタ

盗賊「なぁ?ロボ!!こいつの顔に書いてるの分かるか?」

ロボ「ピポポ…」ウィーン グイ

女ハンター「分かった飲むから…」グビグビ

盗賊「よぉ〜しロボ!!良くやった!!明日新しい羽織り物買ってやる」

ロボ「ピピピ…」ウィーン クルリン

盗賊「ヌハハハ…しかし全然酔いが回って来無ぇ!!マスター!!酒をもう一本出してくれぇ!!」


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674 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:38:46.18 ID:bVSMz8780
『翌日_宿屋』


ドンドンドン


学者「扉を開けて下せぇ…はぁぁなんで俺っちだけ廊下で寝てたんすかねぇ…」ウェップ

剣士「ゲスさんかぁ‥どうしたの」スタ

学者「よく覚えて無いんすが俺っちは廊下で寝ててっすねぇ…」

剣士「アハ…部屋に入れて貰えないんだ?」

学者「兄貴も何処に行ったか分からんす…部屋で寝てるかも知れんのですが…」

剣士「昨夜は遅くまで飲んでたんだ?」

学者「あんまり覚えて無いんすよ…」オエップ


ガチャリ ギーー


ロボ「ピ…」ウィーン

学者「あぁ!!やっと開けてくれやしたね?兄貴居やすか?」キョロ

ロボ「ピピ…」フリフリ

女ハンター「…」ギロ

学者「あれれ?ロボと2人だったんすか?」スタ

剣士「こっちの部屋広いねぇ…」キョロ

学者「兄貴…又どっか行っちまいやしたね…」

剣士「昨夜一緒に帰って来て無いの?」

学者「覚えて無いんすよ…」

剣士「なんか準備するって言ってたよね?今日は何処か行くんじゃ無かったっけ?」

学者「宝探しっすね…まぁ…多分夜になると思うんすが…」

女ハンター「宝さがし?聞いて居ない」

学者「古代遺跡の方で探索されてない場所が有るらしいんす…そこに行くつもりっすよ」

女ハンター「未探索の遺跡ならキラーポッドが居るかもしれない…」
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:39:22.10 ID:bVSMz8780

学者「なもんで準備するって言ってたんすが…」

剣士「キラーポッド?何それ?」

学者「小型の機械っすよ…自律で動く古代の兵器っすね」

剣士「へぇ?弾丸を連射してくるっていう奴?」

学者「そうっすね…遭遇するとかなり危ないっす」

剣士「姉さんの鎧とか盾は船に置きっぱなしだよ」

学者「もしもに備えて用意した方が良いかも知れんっす」

女ハンター「遺跡を探索する装備なんか持って無い…私は狙撃専門だから…」

学者「近距離用の武器が無い感じっすか?」

剣士「あ!!デリンジャー有るよ?弾が20発くらいしか無いけど」

女ハンター「見せて…」

剣士「これ…」チャキリ

女ハンター「新式の2連デリンジャー45口径…単発火力はある」

学者「それで行けそうっすか?」

女ハンター「かなり近づかないと当たらない」

学者「俺っちは22口径バヨネッタ…4発づつ撃つタイプっす」

女ハンター「連射が効くけどそれも近距離用…デリンジャーよりも当てやすいけれどキラーポッド相手に火力が…」

剣士「なんか話聞いてると相当危ない感じ?」

学者「そうっすね…機械の数にもよるんすがね…」

剣士「宝探しもそう簡単じゃ無いんだぁ…しっかり準備しないと…」

女ハンター「準備って何をするつもり?」

剣士「鉄板が入ってるんだけど防弾ベストとかも作ってあるんだ…兜もね」

学者「それ大事っす…こないだの兄貴みたいな致命傷は避けられるんで…」

女ハンター「榴弾は持ってる?」

学者「それは持って居やす…戦いになった場合は榴弾がメインになると思いやす」

剣士「榴弾って何?」

学者「手投げの爆弾っすよ」

剣士「あぁ!!それなら手投げの油なら有る」

学者「それも用意しておいた方が良いっすね…退路作るときに使えやす」

剣士「おけおけ…ちょっと姉さんと一緒に準備してくるよ」タッタッタ

女ハンター「なんか…不安しか無いんだけれど…」

学者「まぁ良いじゃないっすか…こういう刺激無いと腕鈍っちまいやすぜ?」

女ハンター「…」---確かに---


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676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:40:24.81 ID:bVSMz8780
『昼過ぎ』


ゴソゴソ ガチャガチャ


学者「兄貴遅いっすねぇ…」

剣士「姉さんどう?重すぎない?」

女オーク「大丈夫よ…」ガチャ

学者「鉄板で装備作ったのは良いすが…急所以外は金属繊維なんすね?」

剣士「うん…姉さんは動き回るタイプだからね…盾構えて見て?」

女オーク「こう?」スチャ

剣士「おけおけ…その盾なら多分弾丸も防げる」


スゥ…


学者「おわっ!!兄貴ぃ!!何処行ってたんすか!!」

盗賊「おう!!ちっと現場見に行ってた…なんだもう準備してんのか」

学者「兄貴が行くって言ってたからっすね…何を準備したら良いか分からんもんで…」

盗賊「ヌハハ戦場に行く様な装備してんな?」

女ハンター「未探索の遺跡はキラーポッドが出るでしょう!?」

盗賊「まぁ…俺はガチで戦うつもりなんか無かったんだがな?」

女ハンター「ちょっと!!どういう事?」

盗賊「今見ただろう?俺は姿を消せる訳よ…ちょいちょいっと欲しい物だけ取ってズラかる…そんなつもりだったんだが…」

剣士「えええ!?それは僕達が面白くない」

盗賊「分かった分かった…タダな?危ないと判断したら即撤収だ…イイな?」

女ハンター「そういう事ね…だったら良いわ」

盗賊「ラス!お前はライフル使わんのか?」

女ハンター「狙撃特化の単発式…持って行くだけ邪魔になる…だからコレよ!」スチャ

盗賊「なるほどデリンジャーか…ふむ…リッカもそこそこ耐えそうな装備してるか…」

剣士「僕はコレさ!!火炎玉!!」ジャーン

盗賊「ようし!!ほんじゃ日が落ちる前に現場行くぞ…」

学者「夜じゃ無いんすか?」

盗賊「扉を解錠するのに手間取りそうなんだ…早めに行きたい」

学者「じゃぁ行きやすかぁ…」

盗賊「ロボは悪いが留守番な?」

ロボ「ピポポ…」フリフリ


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677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:41:02.35 ID:bVSMz8780
『林道』


スタスタ


剣士「人が街の方へ戻って行く…」キョロ

盗賊「暗くなる前にこの林道抜けたいんだろう…俺らにしてみりゃ人が掃けてやり易い」

剣士「この林道の向こうなんだね?」

盗賊「そうだ…探索済みの遺跡は更にその奥にある…俺らは瓦礫の下に有った遺跡に向かう」

剣士「なんかワクワクが止まらないよ」ブルブル

盗賊「ヌハハそうだろうそうだろう!!それで良いのよ」

学者「兄貴ぃ…この林道…結構な数の弾傷がついていやすぜ?」キョロ

盗賊「瓦礫の下からその遺跡が発見されたのは数年前だそうだ…そん時にキラーポッドがわんさか出て来たらしい」

学者「じゃぁこの林道は戦地跡って事っすね」

盗賊「キラーポッドは全部駆逐されたみたいだぜ?」

学者「道理で…露店で弾丸出回ってるのはそういう理由だったんすね」

盗賊「買ったんか?」

学者「勿論買いやしたよ…500発は有りやす」

盗賊「撃ち放題だな?」

学者「魔石が無いもんで先にエネルギー切れが来やすね…このバヨネッタはメッチャ魔石効率悪いんす」

盗賊「もう魔石が手に入らんからな…出来ればそいつを使わないでロボに使いたい」

学者「未探索の遺跡に魔石がどっさり…とかありゃ良いんすが…」

女ハンター「ウラン結晶なら残って居るかもしれない…」

盗賊「そういやこっちの国でウラン結晶手に入れたらどうなるんだ?」

学者「見つかると取り上げられるのがオチじゃ無いっすか?」

盗賊「じゃぁ隠しとかんとイカンな…てか今考えても仕方無えか…あるかどうかも分かん無ぇし」

剣士「あ…林道抜ける」スタ

盗賊「左側の崖ん所だ」

剣士「うん…まだ人が居るね?」

盗賊「人が掃けるまで見学だ…先行って見てても良いぞ」

剣士「おっけ!!姉さん行こう」グイ

女オーク「手は繋がなくても良いから…」スタ


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678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:41:40.41 ID:bVSMz8780
『瓦礫の奥』


ザワザワ ヒソヒソ

そろそろ暗くなるから帰ろうか…

夜は林道でウルフが出るそうよ?


学者「こりゃ…見慣れた感じの遺跡っすね…」キョロ

女ハンター「ミネア・ポリスとほぼ一緒…壁に開いた穴からキラーポッドが出て来る仕組み…」

盗賊「規模は随分小さい様だ…古代のちょっとした要衝だったんだな」

学者「隅に積んでるガラクタは壊れたキラーポッドっすね…アレは展示してるんすかね?」

盗賊「さぁな?あんな物欲しいか?」

学者「もう見飽きたんで要らんっすよ」

盗賊「例の扉は一番奥だ…先にミライとリッカが行ってんな」

女ハンター「解錠出来る自信は?」

盗賊「五分五分…開け方は知ってるんだが実践した事が無い」

女ハンター「どうして解錠の方法を知って?」

盗賊「そら秘密よ」

学者「兄貴は鍵開けが一番得意なんす…期待して下せぇ」

女ハンター「フン!なんか…色々準備して損した気分」

盗賊「まぁ焦るな…どうせ宿屋に居ても暇だろ?」


剣士「アランさ〜ん!!」シュタタ


盗賊「おう!!もう見飽きたか?」

剣士「あの扉って不思議だね?」

盗賊「何がよ?」

剣士「扉をノックしても奥から音が返って来ない」

盗賊「はぁ?」---コイツ---

剣士「だから奥に何も無いんだ…何の金属かも分からない」

盗賊「そら良く気付いたな…」

剣士「只の開かない扉だから見学終わったら直ぐに人が何処か行っちゃう」

盗賊「良く見て見ろ…ここの遺跡は全部その謎の金属で出来てんだぞ?」

剣士「ええ!?どうやって作ったんだろう…」

盗賊「大砲ぶっ放しても傷一つ付かん訳よ…つまりだ…大砲ぶっぱしてりゃ機械は全部掃討できる」

剣士「おぉぉ!!」

女ハンター「フフそんな状況に持ち込むまでが大変なんだけど…」

剣士「そっかぁ…そうやって機械と戦って来たんだね」

盗賊「ミライは戦場とは関係無いから知らんでも良いけどな」

剣士「あと2人…あの人達もそろそろ帰りそうだ」

盗賊「ようし…俺の出番だな?レーションでも食って待ってろ…」スタ


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679 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/21(水) 20:42:21.17 ID:bVSMz8780
『開かずの扉』


ギリリ ギリ ブチッ


盗賊「くっそ又切れた…手ごたえはあんのにな…」

女ハンター「本当に解錠出来るの?」シラー

盗賊「うっせぇあっち行ってろ!!」

女ハンター「ふふん…」ニマー

盗賊「次は金属糸寄ってやって見るか…」ヨジヨジ

盗賊「シャフト潜らせるのはまぁ…慣れればどうって事無ぇ」スルスル

盗賊「滑るから2回潜らせるのが…これが中々上手くイカン」カチャ

盗賊「ようし…こっから勝負よ…シャフトを少しづつ回して…」ギリリ

盗賊「結構回したと思うんだよなぁ…」ギリリ


ヒュゥゥ…


盗賊「っしゃぁ!!」

女ハンター「え!?何…開いたの?」ダダ

盗賊「こっから2時間程待つ」

女ハンター「ス…スゴイ…空気が入って行く音」タジ

盗賊「お前解錠の方法見たな?誰にも教えんなよ?」

学者「兄貴ぃ!!焼きレーションなんかどうっすか?」

盗賊「レーションはそのまま食う物だろ…」

学者「少し香ばしくなって以外とイケるっす…」モグ

盗賊「なんだ静かだと思ったらランプの火で炙ってたんか…ヨコセ」

剣士「焼きどんぐりもあるよ…」カリ モグ

盗賊「とりあえずな?後2時間もすりゃ扉が開く…その前に一応作戦だ」ガブ モグモグ

剣士「うん…」

盗賊「リッカが先頭で盾構えろ…その後ろでミライが明かりを持て」

剣士「ふんふん…」

盗賊「メイン火力はゲスの榴弾だ…撃ち漏らして接近される様ならラスのデリンジャーで仕留めろ」

女ハンター「分かった…」

盗賊「撤退する時は通路に油撒いて火を点ける…キラーポッドは胴体が樹脂だから熱に弱い」

剣士「おっけー!!」


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680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/12/23(金) 21:45:18.84 ID:rO0UWc+40
『2時間後』


ガコン ギーーー


盗賊「お!?開いた様だ…俺は斥候してくるから作戦通りゆっくり進め」

女オーク「私が先頭?」

盗賊「そうだ…もっと先で俺が斥候してるから大丈夫だ」

女オーク「分かったわ…」ゴクリ

盗賊「じゃぁ行って来る…」スゥ…

女ハンター「又…光学迷彩でも無いのにどうして…」

学者「兄貴は秘密をしゃべってはくれやせんよ…行きやすぜ?」スタ

剣士「姉さん!僕は直ぐ後ろに居るから…」

女オーク「離れないで…進むわよ」スタ


--------------



『古代遺跡の奥』


タッタッタ…


学者「あらら?兄貴が走って…」

盗賊「おい!!こりゃ当たりだ!!遺物がごっそりあるぞ」タッタッタ

女ハンター「キラーポッドは?」

盗賊「居無ぇ…お宝ごっそり持って帰れる!!」

女ハンター「ふぅぅ…拍子抜けだ…」

剣士「ハハ…大きな宝箱かぁ…」

盗賊「古代人の化石がある…そいつが銃を持ってるぞ?」

学者「化石?」

盗賊「生きたまんま真空にされたんだろう…ミイラ通り越して化石になってんだ」

女ハンター「探索しても?」

盗賊「おう!!手分けして持って帰るぞ…そんなに広い空間じゃ無い」

学者「俺っちは銃を回収してきやすね?」ダダ

盗賊「色々落ちてるから全部拾ってけ!」


--------------
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 21:47:03.84 ID:rO0UWc+40
『30分後』


ゴソゴソ ガチャガチャ


盗賊「んん?何か探してんのか?」

女ハンター「ウラン結晶が残って居ないかと思ってね…」

盗賊「そんな所に入ってんのか?」

女ハンター「こういう場所から回収して居るのを見た事がある…」カチャ

盗賊「ほ〜ん…バラすとなると結構時間掛かりそうだ…」

学者「兄貴ぃ!!」タッタッタ

盗賊「どうだそっちは?銃を回収出来そうか?」

学者「ダメっすね…化石が抱えてる奴はビクとも動かんっす」

盗賊「マジか…床に転がってる奴だけか…」

学者「アレ…エネルギー無いと使えんっすよ?」

盗賊「なんだゴミだってか?」

学者「一応持って帰りやすが…多分使えんです」

盗賊「ぬぁぁぁ…まぁ売れば金になるだろ」

学者「兄貴は何か見つけやしたか?」

盗賊「謎の機械だな…持って帰ってから調べる」

学者「な〜んか…ガラクタばっかりに気がしやすねぇ…」

盗賊「一個だけ即使えそうな物見つけた…コレだ」ピカー

学者「おぉ!!」

盗賊「これ一杯有んのよ…一つやる」ポイ

女ハンター「それ私にも頂戴…暗くて分解しにくかった…」

盗賊「使え使え!!」ポイ

学者「これエネルギー何っすかね?」ピカー

盗賊「知るか!!持ち帰ってから調べろ」

剣士「アランさ〜ん!!」タッタッタ

盗賊「おう!!何か見つけたか?」

剣士「なんか引き出しっぽい場所に銃が入ってた…これデリンジャーじゃない?」スッ

学者「ちっと貸して下せぇ…」カチャ

剣士「どう?」

学者「おぉぉぉ…これ機動隊が使ってる実弾の銃っすね…こういうのが使えるっす」

剣士「まだ有るよ」

学者「何処っすか?」

剣士「こっち!!」シュタタ

盗賊「こりゃ大収穫だ…」


ブーン ピピ


盗賊「んん?何の音だ?」キョロ
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 21:47:36.54 ID:rO0UWc+40

女ハンター「もしかして復電しているかも知れない…」キョロ

盗賊「モタモタして居られないって事か?」

女ハンター「有った!!ウラン結晶残ってる!!」カチャ


ポトポトポト カシャカシャ


盗賊「!!?マズイ…キラーポッドが上から…」

女ハンター「もう少し待って…もう少しでウラン結晶外せる…エネルギー無いとキラーポッドは止まる筈」カチャカチャ

盗賊「リッカ!!ゲス!ミライ!!こっちに来い!!」

剣士「ええ!?」

女オーク「!!?」

盗賊「まだキラーポッドは俺らを敵と認知して居ない…集まれ!!」


ポトポトポト カシャカシャ

女オーク「こ…これって…」ドスドス

学者「兄貴…これヤバくないっすか?」ダダ

盗賊「いや…良く見ろ…まだ動き始めで混乱している様だ…リッカ!!盾を構えておけ…」タジ


キラーポッド「…」シャカシャカ


剣士「入り口が反対側だよ…動き出したら逃げ場が無い…」タジ

学者「マズイっすねぇ…どんどん上から落ちて来るじゃないっすか…」タジ

女ハンター「もう少し…もう少し…」カチャ


システム(リブート カンリョウ ツウシン セツゾク エラー メイン デンゲン モシツ ホジョ カイロ キドウ)


学者「ななな…なんか始まりやしたね…」ゴクリ

盗賊「おい!!早くウラン結晶ぶっこ抜け!」

女ハンター「やってる!!」カチャ

システム(ガード システム 80% ソンショウ セキガイ タンチ フクデン シンニュウシャ サクテキ ゲートナイ シンニュウシャ アリ システム ホゴ ユウセン)

キラーポッド「ピピ…」クルリ シャカシャカ

盗賊「くっそ動き出した!!」

女ハンター「10秒耐えてぇぇぇ!!」カチャカチャ


タタタタタタタターン!! カカーン カカカカーン!!


女オーク「私の陰に隠れて…」ガシ
683 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 21:48:08.20 ID:rO0UWc+40

キラーポッド「ピピ…」シャカシャカ

盗賊「散開して居やがる…伏せろ!!」

学者「うわわわわ…」ガバ


タタタタタタタターン!! カカカーン! ドーン!!


女オーク「くぅぅ…盾で防ぎ切れない…」

女ハンター「抜けたぁぁぁ!!」ゴトン


ブーン プチ…


キラーポッド「ピ…」ピタ ガシャガシャ

盗賊「と…止まった…」アゼン

学者「危機一髪…」ヘナヘナ

剣士「姉さん!!怪我は!?」ダダ

女オーク「大丈夫…かすり傷よ…」タラリ

盗賊「ラス!グッジョブだ」

女ハンター「フフ…これは特別危険手当貰わないと釣り合わない…」

盗賊「ここに有る物全部俺らの物だ…均等割りしてやる…持って帰るぞ」

学者「兄貴ぃ!!俺っち無傷のキラーポッド欲しいっす」

盗賊「ダッシュで荷車取って来る…明け方まで運べる物全部運ぶぞ」


--------------
684 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 21:48:45.82 ID:rO0UWc+40

『林道』


サワサワ


少女「母…良いのか?やらせておいて…」

中年の女「良いのよ…あれが神の手を持つ男の力…あなたも良く見て置きなさい」

少女「神の手…」

中年の女「…」---扉を開けて次に進める力---

中年の女「…」---心の扉まで開けてしまう---

中年の女「…」---だから彼の周りに人が集まる---

中年の女「…」---世界の扉をどうか開けて欲しい---


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685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 21:49:59.61 ID:rO0UWc+40
『翌日_キャラック船』


ザブン ギシギシ


盗賊「さぁロボ!!お前にプレゼントだ」

ロボ「ピポポ…」ハテ?

学者「それ一番高価な奴じゃ無いっすか…」

盗賊「こんなん処分出来んだろ…ロボの腹の中に入れておくのが一番なんだよ」パカ ゴトリ

学者「どっかでウラン結晶から魔石にエネルギー転換する装置を手に入れんとですねぇ…」

盗賊「この島に売って無いか?」

学者「そんなん普通に売ってる訳無いじゃ無いっすか…」

女ハンター「もしかしたらキ・カイに残って居るかも…」

盗賊「今更戻る気無ぇな…」

学者「お金に換えて魔石買った方がよっぽど利用価値有るんすがねぇ…」

盗賊「宛てはある!!」

学者「おお!?マジっすか…」

盗賊「俺の古い知り合いに闇商人が居ると言っただろう?」

学者「おおおおおお!!闇で売るんすね…熱い!!」

盗賊「まぁ今すぐに換金はダメだ…てかお前は十分色々手に入れただろ」

学者「キラーポッド4台だけっすよ…」

盗賊「十分すぎる!!そんだけで弾丸2000発は入ってるだろ?」

学者「まぁそうなんすが…」

盗賊「まぁ心配すんな…ちゃんと元通り鍵掛けてるから弾が無くなったら又取りに戻りゃ良い」

学者「魔石が無いんすよねぇ…」
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 21:50:27.27 ID:rO0UWc+40

女ハンター「あんたも火薬使う銃に変えたら?」チャキリ

学者「連射効かんもんで制圧力がっすね…」

盗賊「ラス!どうよその銃は?」

女ハンター「25口径ベレッタ…機動隊が護身用で持ってるのと同じ」

盗賊「2連のデリンジャーよりは良さそうだな?」

女ハンター「そうね…私はコレ2つ頂く」チャキリ

盗賊「弾倉も沢山あったな?」

女ハンター「20個くらいかな?…予備の弾丸は400くらい?」

盗賊「護身用か…俺は2連のデリンジャーで良いか…」

女ハンター「それは大口径だから威力はピカイチ…でも反動が大きい…私じゃ怪我するかも」

盗賊「結局使える銃は2つだけか?」

学者「他の銃はエネルギー銃なんで使えんっすよ…売るならそれが良いっすね」

盗賊「さっさと売って金にするかぁ…」

学者「俺っちが捌いて来やしょうか?」

盗賊「お前はピンハネするからな…」ギロリ

学者「あらら…バレバレっすね」

女ハンター「じゃぁ私が売って来る?」

盗賊「その方が良い…ラシャニクアが売ってるとなりゃ分かる奴は買うだろ」

女ハンター「この島にどれだけ私を知って居る人が居るんだか…」

盗賊「そいつを捌くのはお前に任せる…ほんでゲス!!キラーポッドはあのままじゃマズイ…早くバラせ」

学者「へいへい…ミライ君も中身見たそうだったんで手伝って貰いやす」

盗賊「おーし!!ほんじゃ俺は謎の機械を色々試してみる」


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687 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 21:51:31.80 ID:rO0UWc+40
『昼頃_甲板』


ドヤドヤ


一つづつ丁寧に運べぇ…全部船底だ!!

エッホ エッホ!!


学者「兄貴!兄貴!!積み荷は金塊っすよ…」

盗賊「なぬ!!?」ガタリ ドタドタ

学者「この島に重装射撃砲運んで金塊に変えたんすね…」

盗賊「おいおい!!今なんてった?」

学者「兄貴は積荷知らんかったんすね…重装射撃砲の部品と大量の砲弾運んでたんすよ」

盗賊「マジか!!なるほど…それで船団組んで移動してた訳か…」

学者「気付くの遅いっすね…積み荷の横で寝てたじゃ無いっすか…」

盗賊「この島で重装射撃砲が必要な状況ってどんなよ?」

学者「どっか他の島で古代遺跡見つけたとかじゃ無いっすかね?」

盗賊「あのリカオンて女とんでも無ぇな…軍と繋がって無きゃ絶対手に入らん」

学者「そーっすね…ガチ幹部っすよ」

盗賊「物量的にどんだけ組み立てられそうだ?」

学者「んんん…この船に乗ってた分だけで10台くらいっすか…他の船も乗せてたとすると…」

盗賊「海上で重装射撃砲…やっぱどっか攻略しようとしてる」

学者「兄貴そう言うのに首突っ込まないんじゃ無かったでしたっけ?」

盗賊「まぁ気になるだけよ…電脳化した連中がどの程度暗躍してるかもな…」

学者「でもあんなごっつい金塊見た事無いっすね…」

盗賊「まさか俺の船に金塊が乗るとは…」アゼン


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688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 21:52:09.39 ID:rO0UWc+40
『船首楼_作業場』


カチャカチャ ビヨヨーン


剣士「よし!これで最後だ…」

学者「ミライ君どうっすか?部品取り出来やしたかね?」

剣士「うん…言われた通り全部外しておいた…ええと弾丸発射する部分が8個…通信する機械?これが4個」

学者「それは俺っちが分解するんで頂きやす…」カチャ

剣士「中に入ってた弾丸は邪魔だから持って行って欲しいなぁ」

学者「へいへい…木箱持ってくるんで待ってて下せぇ」

剣士「残りは全部貰って良いよね?」

学者「自由に使って良いっすよ…胴体の樹脂はかなり使えると思いやす」

剣士「バネ類も一杯あって嬉しいよ…こんなの中々作れないから」ボヨヨーン

学者「弾丸片づけたら食事しに宿屋へ戻りやしょう」

剣士「そうだね…昨夜も寝て無いからちょっと休みたいね」


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689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 21:52:51.16 ID:rO0UWc+40
『船尾楼』


ガチャリ バタン


盗賊「お!!?売れたか?」

女ハンター「全部売って金貨300枚…」

盗賊「おぉ!!やったな!?」

女ハンター「金塊をサルベージしてるだけ有って払いは良かった」

盗賊「誰が買ったんだ?」

女ハンター「さぁ?どうせバン・クーバで転売するに決まってる」

盗賊「5人で分けて一人60枚か…働きぶりを考えるとそうだな…お前100枚持って行け…俺らは50枚づつ分ける」

女ハンター「良いのかい?」

盗賊「どうせアブク銭だから文句無ぇよ!!皆に分けて来てくれ」

女ハンター「フフ…じゃぁ…10…20…30…40…50!」ジャラリ

盗賊「うほーーー!!よっしロボ!!エリクサー買いに行くぞ」

ロボ「ピポポ…」クルリン

盗賊「お前等先に帰っててくれ…俺とロボは後で宿屋に戻る」

女ハンター「分かった…」

盗賊「ロボ!!行くぞ!来い」ダダ

ロボ「ピピ…」ウィーン

女ハンター「…」---エリクサー?---


---何でエリクサーなんか---


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690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 21:53:37.56 ID:rO0UWc+40
『宿屋_大部屋』


ガチャリ バタン


盗賊「よう!戻ったぜ?」

学者「兄貴ぃ!!エリクサー買いに行ってたんすか?」

盗賊「おう…やっぱ高けぇな?エリクサー」

学者「いくらしやした?」

盗賊「一瓶金貨15枚だ…3つしか買えんかった」

学者「まぁ相場っすね…もう使ったんすか?」

盗賊「おう…これでしばらく大丈夫だ」

学者「俺っちも少し出しやすか?」

盗賊「良いんだ!これは俺の問題だから…まぁ直ぐに又稼げる」

女ハンター「なんだ?持病でもあるのか?」

盗賊「何でも無ぇ…ロボ!!来い!!ちっと寝るぞ」

ロボ「ピポポ…」ウィーン

盗賊「悪いがちっと横になるな?夜になったら飯食いに行こう」

学者「俺っちもちっと寝やす…」

女ハンター「…」---エリクサーの使い道---


---ロボ以外に考えにくい---

---エリクサーで命を繋いでる?---

---多分そうだ---

---生きている部分を生かすのに---

---エリクサーで繋いで居るんだ---
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 21:54:18.40 ID:rO0UWc+40
『夜_窓際』


グゥ スピー


盗賊「んががが…ぐぅ」zzz

学者「むにゃ…すぅ」zzz

ロボ「…」zzz

女ハンター「…」---食事には有り着けそうに無いか---

女ハンター「…」カリ モグ


ヒラヒラ…


女ハンター「ぁ…」---妖精の光---

女ハンター「そうか…月の光が弱いから…」

女ハンター「昔みたいに話しかけてよ…」


ヒラヒラ…


女ハンター「ごめんよ…大人になって声が聞こえなくなったんだ」

女ハンター「でもそこに居るのは分かる…遊びに来たんでしょう?」


クルクル…


--------------

--------------

--------------
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 21:55:06.82 ID:rO0UWc+40
『翌日_街道』


ドタドタ バタバタ


盗賊「やべぇ!!盛大に寝過ごした…何で起こさ無ぇのよ!!」ドタドタ

学者「何回も起こしやしたよ…2度寝したのは兄貴の方っす」バタバタ

盗賊「ロボは何処行った?」キョロ

学者「ラスさんと一緒に先に露店の方行ってやす…リッカさんとミライ君も一緒っすね」

盗賊「ちぃぃリカオンより先に船乗って無ぇと何言われるか分かんねぇ…」ダダ

学者「だから何回も言ったじゃ無いっすか…それより何すか…寝言で妖精妖精言ってたんすが?」ダダダ

盗賊「知るか!!夢でも見てたんだろう」


シュタタ ピョン クルクル ドン!!


盗賊「だぁぁぁぁ!!」ゴロゴロ ズザザー

少女「お前ーーー!!」シュタ

盗賊「こんクソがきゃぁぁ!!」ムクリ

学者「あ…兄貴…大丈夫っすか…」タジ

少女「母揉め事…お前急げ…」

盗賊「ぬぁぁぁクソ…腹の傷が痛てぇ…」スリスリ

少女「おい聞いて居るか!!」

盗賊「なんだ…何処で揉め事だってんだよ!!あいつならなんとかするだろうが!痛てぇなクソがぁ…」

少女「威厳の問題だ…早く行け!!露店の方だ」

盗賊「はぁ?威厳?」

少女「そうだ!!母の威厳だ…お前も威厳に加われ」

盗賊「何意味の分かん無ぇ事を…」

学者「兄貴!!いやしたぜ?あそこ見て下せぇ…」ユビサシ

盗賊「んん?アレか…リカオンと…なんだあのど派手な女は?」

学者「行って見やしょうか…」

少女「威厳だと言っただろう…ヘボい恰好で行くな」

盗賊「おいゲス!!フード深く被れ…いつもの体で行くぞ」ファサ

学者「分かりやした…アレっすね?なんか絡まれてる系の奴っすね?」ファサ

盗賊「おら行くぞ!!」ダダ


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693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 21:55:38.92 ID:rO0UWc+40
『少し前_露店』


ザワザワ ヒソヒソ

おい!あのど派手な女…なんか絡んでるぞ?

取り巻きが武器に手を掛けてる…ヤバいなコレ


中年の女「オギン…どうしてあなたが此処に居るのよ…話が違うじゃない」

派手な女「予定が変わったの…例の物は私が引き取りに来た…これで理解した?」フフン

中年の女「それに何よその格好…あなた立場分かってるの?」

派手な女「見てわかるでしょう?アイリーンを演じてるの…海賊王の娘アイリーンをね?」フリフリ

中年の女「ちょっと!!目立ち過ぎよ!!あなた何してるか分かってるの!?」グイ


カチャ カチャ カチャ カチャ


手下共「あねさん!!」スチャ

中年の女「ちょっと何の真似?」タジ

派手な女「手を放して…じゃ無いと撃たれるわよ?」フフン

中年の女「勝手にこんな事して許されると思って居るの?」タジ

派手な女「勝手じゃ無いわ?マスターに確認してごらんなさいよ」

中年の女「父が…そんな…」アゼン

派手な女「それにしてもあなた…しばらく見ない内に随分老けたわね?もう引退したら?」

中年の女「何よあなたの方こそそのブヨブヨな体を曝け出して恥ずかしく無いの!?」

派手な女「あらあら?私はまだ現役よ?」フリフリ

中年の女「匂いで直ぐに分かるわ…このアバズレ!!」

派手な女「ウフフフ嫉妬ね?嫉妬…良い男なんか沢山居るの…あなたには田舎男がお似合いウフフフ」ニヤ

中年の女「くぅぅぅ…言わせておけば…」ギリリ


シュタタ シュタタ


少女「母ぁぁ!!」シュタ

中年の女「ミルク…出て来ないでって言ったでしょう」

派手な女「あら?小さな子供まで…心配しなくて良いのよ?私達はお友達だから…」フフン

盗賊「おい!!何事だこりゃ…」ズダダ

学者「ちょちょちょ…銃を持っとるじゃ無いっすか…」チャキリ

中年の女「ダメよ…それを見せないで」グイ

派手な女「お仲間も居た様ね?」フフン

中年の女「騒ぎになってしまうからここは私の方が引くわ…覚えてらっしゃい」ギロ

盗賊「おい誰だコイツ」ヒソ

中年の女「もう良いの…行くわよ…早く船に乗りなさい」グイ

少女「母ぁ…良いのか?…母の威厳が…」

中年の女「良いの…大人しくして」スタ

派手な女「ほら見た?負け犬が去っていくわ?あら失礼…負けウルフだったかしら?ウフフフ…」

手下共「あねさんに習え!!」ビシ


--------------
694 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 21:56:20.33 ID:rO0UWc+40
『露店』


ワイワイ ガヤガヤ

さっきの騒ぎは何だったんだ?

おい!!もしかしてアレが海賊王の娘かもしれんぞ?

どうせ又偽物だろう!!本物なら姉妹2人居るらしいぞ?


盗賊「いよーう!!ここに居たかぁ…探したぜ?」

剣士「アランさん!!見て見て!!ミスリルの剣買ったんだよぉ」スラーン

盗賊「おぉぉぉいくらしたのよ?」

剣士「値切って金貨10枚さ…姉さんにおねだりして買ってもらったんだ」

盗賊「良い買い物したなぁ…あぁぁクソ!!俺も欲しかったなぁ」

ロボ「ピポポ…」ウィーン クルクル

盗賊「おぉロボ!!機嫌良さそうだ」ナデナデ

女ハンター「アラン…さっきの騒ぎ…」

盗賊「あぁぁ見てたぞ?海賊王の娘じゃ無いかとか言われてるが…」

女ハンター「違う…あんな人見た事無い」

盗賊「やっぱりか…どうも偽物も多いらしいな?」

女オーク「…」チラリ

盗賊「んあ?リッカ!心配すんな…俺の知り合いは偽物掴まされるヘボじゃ無ぇ」

女オーク「それを聞いて安心したわ…」

盗賊「お前本物に会った事あんだろ?直ぐに見分け付くよな?」

女ハンター「ええ!?どういう事?」

盗賊「まぁ人にはそれぞれ事情がある…そういうのはゆっくり時間掛けて知り合え」

女ハンター「ふーん…」チラリ

女オーク「…」チラ

学者「兄貴ぃ!!早く船に戻らんと怒られやすぜ?」

盗賊「おぉそうだ!!急いで船に乗れ!!俺らが先に船乗って無いと何言われるか分かん無ぇ!」

剣士「そうだね?行こうか!!」グイ

女オーク「ミライ…手は繋がなくて良いから…」スタ


--------------
695 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 21:57:13.35 ID:rO0UWc+40
『キャラック船』


ザブン ギシギシ


盗賊「よっし!!まだアイツ来て無ぇ!!船出す準備するぞ!!」ダダ

学者「兄貴ぃ!!ちっと向こうの船見て下せぇ…ガレオン船っす」

盗賊「んん?」ダダ

学者「さっきのド派手な叔母ちゃんの船じゃ無いっすか?」

盗賊「うはぁぁ…船まで雰囲気合わせてんのか…本格的な偽物だな」

女ハンター「4本マストの二層甲板…大きさは幽霊船とほぼ同じ…でも違う…アレじゃない」

盗賊「ヌハハ分かるか?」

女ハンター「あんなに豪華じゃ無くて…もっとボロい…丁度この船みたいな継ぎはぎだらけの船」

盗賊「おい俺の船をバカにすんな…もうちっと金が入ったらしっかり修理する!」


スタスタ


戦士「やぁ諸君!!ゴールドラッシュ島は楽しんだかい?」スタ

盗賊「おぉリコル!!全然合わなかったな?何処行ってたのよ?」

戦士「ハハ妻に引きずりまわされてねぇ…やっと船で落ち着けると思ってホッとしている所だ」

盗賊「ヌハハそうかい…夫婦の営みは楽しんだか?」ヌコヌコ

戦士「聞くな…それより妻と娘を見なかったか?」

盗賊「さっきまで露店の方に居たんだが見失った…まぁ待ってりゃその内来るだろう」

戦士「そうか…妻が居ない内に話して置くが…」

盗賊「んん?何よ?」

戦士「随分気に入られた様だぞ?」

盗賊「俺か?」

戦士「全員だ…稀に見る逸材が揃って居るとな?」

盗賊「おい聞いたか!?こりゃ何か報酬出るかも知れんぞ?」

学者「おぉマジっすか…俺っち金塊が良いっすね」

戦士「おいおいあまり期待するな…船に積んで居る物も恐らく仕事上の物だ」

学者「ハハそらそうっすよね…」チッ

戦士「何か困りごとが有ったら相談して見ると良い…きっと助けになってくれるだろう」

盗賊「ほーう…そら心強い」

戦士「応援しているぞ?」バシン

盗賊「おわっととと…」ヨロ


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696 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 21:57:54.00 ID:rO0UWc+40
『甲板』


ツカツカツカ…


中年の女「…」ギロ

盗賊「おう…待ってたぜ?」タジ

中年の女「コレ…」パサ

盗賊「んん?海図か?」

中年の女「予定変更よ…単独航海で行き先はフィン・イッシュ…最速で」

盗賊「なぬ!?」

中年の女「何度も言わせないで…サッサと出て」

盗賊「おいおいマジか…エライ物積んでんだが…」

中年の女「早く出せって言ってるの!!!!怒らせないで!!」ツカツカ

少女「母…粗ぶってる…言う事聞け」シュタタ

盗賊「お…おう…ミライ!!リッカ!!帆を開け!!碇上げるぞぉぉぉ!!」ガラガラ

学者「俺っちは舵っすか?」

盗賊「海図持って行ってロボと進路決めてくれ!!落ち着いたら俺も後で行く!!」

学者「分かりやした!!」ダダ


-------------


キィィィィィ何あのアバズレ!!

おいおいどうした?

何であの女がアイリーンの真似事なんかしてるのよ!! ビリビリビリ

落ち着け!!また洋服が台無しになる…

しかも私が調達した資金を勝手に使って!!どれだけ苦労したか分かって無い!! ビリビリビリビリ

だから洋服を破くのは止めろ…何が有った?落ち着いて話してみろ…

男にまたがるしか脳の無い女のクセにどうして!!キィィィィィ!! ビリビリビリ

分かった分かった…撫でてやるから…落ち着け…な?

フゥ…フゥ…


-------------


盗賊「…」ポカーン

学者「あは…」ポカーン

盗賊「…」チラ

女ハンター「…」フリフリ

盗賊「お…おら!!ちゃんと舵回せぇ…桟橋に激突すんぞ!!」

学者「へ…へい…」ガラガラ


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697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 21:58:32.67 ID:rO0UWc+40
『亀島』


ザブ〜ン ユラ〜


盗賊「左手に見えてるもっこりした島が亀島って言うらしい」

学者「亀の甲羅に似てるからっすかね?」

盗賊「さぁな?…ほんで正面に見えてるのが黄金郷をサルベージしてるって言うくそデカイ筏だ」

学者「まだ遠くて良く見えやせん…」

剣士「大きな船が一杯有るよ…上にも何か飛んでる」キョロ

学者「気球使ってるんすか…いやぁ魔石が勿体無い…」

盗賊「魔石使っても金塊サルベージすりゃ儲け出るんだろう」

学者「もっと近くまで行って良いっすかね?どうやってサルベージしてるか見て見たいっす…」

盗賊「これ以上はダメだ…色々沈んでて危ない様だ…ここで進路変更!」

学者「あぁぁ望遠鏡買ってくりゃ良かったっすよ…」グイ ガラガラ


女ハンター「おぉ!!何か魔法を使ってる…」ジーー


学者「ちっと俺っちにも望遠鏡覗かせて下せぇよ」

盗賊「又今度来りゃ良いだろ!今は進路安定させるのが先だ」

剣士「帆の角度変えるよぉぉぉ!!」グイグイ

盗賊「リッカもメインの帆角変えてくれぇ!!俺は後ろ行く!!」ダダ


女ハンター「スゴイ!!凍らせて浮かせるのか…」ジーー


学者「あぁぁ気になりやす…俺っちも見たいっす」ソワソワ

盗賊「ハハーン…氷に乗った金塊をデカい船を何隻も使って引っ張ってんだな?」グイグイ

剣士「なんかスケールが大きいね…船何隻あるんだろう…」

盗賊「パッと見20隻って所か?又いろんな形の船が有るもんだ…」

女ハンター「波!!大きい波来るよぉ!!」


ユラ〜 グググググ ギシ


盗賊「うほーーー!!デカい氷がプカプカしてりゃ波も出来るか…」

女オーク「帆角3番で速度乗るみたいよ?」グイグイ ギュゥ

盗賊「だそうだ!!ミライ3番だ!!」グイグイ ギュゥ

剣士「おっけー!!」グイグイ ギュゥ

盗賊「ようし!!これで安定させるぞ!!」


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698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 21:59:15.09 ID:rO0UWc+40
『単独航海』


ユラ〜リ グググググ


盗賊「リコル!先っちょの長い棒の名前は何て言うんだ?」

戦士「バウスプリット…あの三角帆はジブセイルと言ったか…」

盗賊「ちっとメモる…」カキカキ

戦士「ふむ…さすがにジブセイルまで張ると速度に乗るな?」

盗賊「だな?…だが前方が見えなくなるのがちょっとな…」

戦士「様にはなって居るぞ?ハハハ…」

戦士「しかしこの船は大きさの割に少人数で動かせるのが良いな」

盗賊「おう!最悪俺一人で何とか出来る…ただ海賊に出会ったらちっとマズい訳よ」

戦士「狙撃手が居るから問題無いだろう…ピンポイントで火薬狙ってドーン!!ってな?」

盗賊「そう上手く行くんかね…」

戦士「まぁその為に狙撃手を雇ている…私の妻は人を見る目は確かだぞ?」

盗賊「そうか…ところで機嫌直したか?」

戦士「不貞寝した…これで落ち着けば良いが…」

盗賊「かなりブチ切れてた様だな?…あのど派手な婆ぁと因縁でもあんだろうなぁ…」

戦士「あまり聞かされて居ないんだが…ええと名を何と言ったか…シルヴァ・ギンジャールだったか」

盗賊「知らんな…ギンジャール…ギンジャール…んん?有名な貴族じゃ無いのか?」

戦士「私はその辺詳しくない」

盗賊「キ・カイの王家に嫁いだ貴族の名が確かギンジャール家…多分その関係だ」

戦士「ほう?田舎で育ったから疎くてすまん」

盗賊「今ミネア・ポリスで王権掲げてんのもその派閥だった筈…王権つっても批判回避の道具になっちまってんだが」

戦士「まぁ…妻をあまり刺激しないでやってくれ…そのとばっちりは大体私に降りかかる」

盗賊「ウハハハそら大事じゃ無ぇか…とりあえず食い物で機嫌良くさせるだ」

戦士「名案だ…荷室にナッツとオリーブが有ったな?」

盗賊「いっぱい買って有るから好きに使え」

戦士「言葉に甘える…」スタ

盗賊「恐妻を持つと中々大変そうだ…」ニヤ


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699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 21:59:51.65 ID:rO0UWc+40
『荷室』


ゴソゴソ ガサガサ


学者「兄貴ぃ!ラスさん連れて来やしたぜ?」

女ハンター「何の用だ?私は見張りの仕事で忙しいんだ」

盗賊「遺跡で見つけた物の中にこんな物が有ったんだ…」コトン

女ハンター「んん?レンズ…」

盗賊「覗いてみろ」

女ハンター「まさかスコープか?」カチャ

盗賊「俺には倍率が高すぎてブレブレでよう…お前の使ってる望遠鏡と交換したいと思ってな」

女ハンター「どうやって使う?」カチャ

盗賊「使い方なんぞ自分で研究しろ…なんか色々付いてるだろ」

女ハンター「これは!!光学照準…スゴイ!ポインタまで付いてる」カチャ

盗賊「ヌハハやっぱりお前にピッタリの様だ…どうだ?お前の望遠鏡と交換しないか?」

女ハンター「ちょっと待って…一回使ってから考える…今の望遠鏡を無くすと精密射撃が出来ない」

盗賊「まぁ焦っては居ない…じっくり吟味しろ…それからゲス!お前にはコレだ」ポイ

学者「俺っちにも良い物があるんすね?…なんすかこの数字は?」カチャカチャ

盗賊「どうやら数字を計算する物の様だ…使って見ろ」

学者「おぉ!!これ四則演算出来るじゃ無いっすか…え?え?桁が…合ってるかどうか確認する方が大変に…」

盗賊「まだ有るぞ?暗視用のゴーグルに…多分これは口にくわえて使うガスマスクみたいな物だ…水中で呼吸が出来る」

学者「兄貴スゴイっす!!これ全部機動隊の兵装じゃ無いっすか?」

盗賊「多分な?奴らはこういうのを駆使して戦ってんだ…」

学者「貰って良いんすね?」ガサリ

盗賊「おう!!数が有るからラスも一つ持って行け!!」

学者「他の謎の機械は?」

盗賊「んんん…他の奴はどうやらエネルギーが無いと動かん様だ…イランな」

学者「分解して何か回収出来ないか見ても良いすかね?」

盗賊「おう好きにしろ!」

女ハンター「売った方が良いのでは?」

盗賊「売りたきゃ売って構わん…俺はめんどくせぇ」

女ハンター「フフ…あんた自分の取り分は?」

盗賊「俺が今欲しいのは望遠鏡だ!さっさとそのスコープってのを試して俺に望遠鏡よこしやがれ」

学者「ラスさん!!兄貴にあんまり損得勘定言っても意味無いっす…有り金全部使うタイプなんで無い方が良いんすよ」

盗賊「お前が金持ってりゃ俺の物と同じなのよ…俺の財布だ」

学者「ハハハじゃぁ兄貴!全部持って行きやすぜ?」

盗賊「もうそんなガラクタ見たく無ぇ!!さっさと片づけろ」

学者「へいへい…」ガチャガチャ


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700 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:00:52.27 ID:rO0UWc+40
『船尾楼』


グビグビ プハァ…


中年の女「フゥ…少し落ち着いたわ…」ヒック

盗賊「ヌハハ中々良い飲みっぷりな様で?」

中年の女「あなた…ちょっと事情が変わったわ…今日から正式にあなた達を登用する」

盗賊「なぬ!?俺は何にも縛られんと言ったはずだが?」

中年の女「あなた達は海賊王の娘を探して居るのでしょう?ホムンクルスの事も…」

盗賊「ヌハハお見通しってか…さすが地獄耳だ」

中年の女「だったら私に従いなさい…私達も海賊王の娘を探して居るの」

盗賊「なんだ…条件は同じじゃ無ぇか」

中年の女「ホムンクルスの完全体…ホムコの居場所は分かるかもしれない」

盗賊「何ぃ!?」

中年の女「それが条件よ」

盗賊「かも知れないってどういう事よ?」

中年の女「ホムコが生きて居るのは情報筋から確認済み」

盗賊「俺はそのホムコって奴に会うのが目的じゃ無ぇ…ホムンクルスの体をロボに与えたい」

中年の女「それはホムコに聞けば済む事」

盗賊「…なるほど?それで俺達に何させる気よ?」

中年の女「私の手足になってくれれば良いの…ギルドからの支援は約束するわ」

学者「兄貴ぃ…これ悪い条件じゃ無さそうっすよ?」

盗賊「手足って何だよ!」

中年の女「…」パサ

盗賊「んん?そりゃニーナが盗んだ謎の書簡だな?それがどうした?」

中年の女「私はコレの解読が出来る人物に会う必要がある…つまり忙しいの」

盗賊「ほう?」

中年の女「その間あのアバズレ女を放置するのは看過できない」

盗賊「なんだ俺らにあの婆ぁをヤレってか?」

中年の女「ウフフフそうよ婆ぁよ!!もっと言って!!婆ぁって!!」

盗賊「ヌハハあんたも相当イカれてるな…」

中年の女「でもギルドのルールで殺すのはご法度…どうするかはこれから決める…あなた達は私に従えば良いの」

盗賊「まぁ…どうするかまだ決まって無いって事か」

中年の女「あの婆ぁが何を目的にアイリーンを演じてるのか調べるのも一つ…」

盗賊「なるほど?でもな?俺にもあんま時間が無い訳よ…さっさとそのホムコっていう奴に会いに行きてぇ」

中年の女「情報が必要でしょう?あなたの邪魔をする気は無いわ…ただ少し私の手足になって貰うだけ」

盗賊「情報が揃い次第俺は旅に出る…それで構わないなら協力しない事も無い」

中年の女「フフ成立ね…ミライとリッカという子にもちゃんと伝えて置くのよ?」

盗賊「あいつ等は目的が少し違う…探してるのは海賊王の娘だ」

中年の女「私達が探してるのも海賊王の娘よ?目的が一致してる」

盗賊「分かった…言っておく」


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701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:01:24.98 ID:rO0UWc+40
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リコル!!こっちへ来なさい!!

なんだ又感情的になって居るのか?

あのアバズレはあなたの事を田舎男と言ったのよ!!

そんな事気にしなくても良い

悔しくて眠れないわ!!あなたはこれからもっと表に出て!!

今のままで良いじゃ無いか…ほら… ナデナデ

キィィィィィ ビリビリビリ


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盗賊「…」ポカーン

学者「あは…」ポカーン

盗賊「やっぱイカれてんな…」アゼン

学者「ダメっす聞こえやす」ヒソ


ユラ〜リ グググググ…


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702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:02:24.78 ID:rO0UWc+40
『夜_デッキ』


ザブ〜ン ユラ〜リ


学者「おぉぉぉ!!この暗視用ゴーグルメッチャ見えるじゃないっすか…」

盗賊「昼間は装着すんなよ?」


女ハンター「アラン!!これを使って見て…」ポイ


盗賊「おわっと…お前海に落としちまうだろうが」パス

女ハンター「要らなくなった…使って良いよ」

盗賊「おっしゃ!!望遠鏡ゲットだ」

女ハンター「暗視用ゴーグルと相性が良い…覗いてみて」

盗賊「どれどれ…」ジーー

盗賊「ほーーーう!!こりゃ良く見える!!」

学者「兄貴!!俺っちにも見せて下せぇ」

盗賊「おう!!落とすなよ?」パス

学者「こりゃ夜の見張りに便利っすねぇ…」ジーーー

盗賊「ラス!そっちのスコープって奴はどうだ?」

女ハンター「最高!!くっきり見える…照準合ってるか試したいよ」

盗賊「何メートル先狙えるんだ?」

女ハンター「ライフルの精度は変わらないから…船の上だと600メートルって所…地上だと1キロ行かないくらい」

盗賊「大砲の射程圏外で撃てるのはデカイな」

女ハンター「このスコープ…倍率変えられるの知ってた?」

盗賊「いんや…」

女ハンター「倍率変えても明るさ変わらないし歪まない…良く見える」

盗賊「ヌハハそら結構なこった…俺はこの望遠鏡で満足よ」


スゥゥゥ…


学者「兄貴…今船の下を何か横切りやした…」タジ

女ハンター「え!!?」チャキ

盗賊「おいおいおい…まさかクラーケンじゃ無いだろうな?」
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:03:15.83 ID:rO0UWc+40

女ハンター「本当だ!!何か居る…早い!!」ドタドタ


ザバァァァァ ドップーーーン


女ハンター「うわっ!!」ヨロ ガシ

学者「あらららら…」ゴロゴロ ドガ

盗賊「な…何だ今の…」タジ


ガチャリ ドタドタ


戦士「こ…この揺れは何だ!?何が起きた!!?」

盗賊「海から何か長い物が跳ねた…」

中年の女「何事!!」シュタタ

女ハンター「又来る…」チャキリ

中年の女「慌てないで…今はシーサーペントが居る海域…この船なら上がって来れないわ」

盗賊「今跳ねたぞ!?」


ザバァァァァ ドップーーーン


女ハンター「くぅぅ早くて狙えない…」ガシ

中年の女「大きい…」タジ

盗賊「何で船に当たらないで跳ねてんのよ!?」

中年の女「狙いは肉!!船じゃない!!こちらを確認したの!!」シュタタ


ダダダ シュタ!!


剣士「姉さんこの感じ…ヘビだ」キョロ

女オーク「シーサーペントよ…」ドスドス

盗賊「おいお前等!!出て来るな!!近接じゃ何も出来ん!!」

女ハンター「又来る!!」チャキリ スチャ

剣士「よーーし!!シーサーペントは音に弱い!!」ポイ ポチャ

盗賊「何する気よ!!?爆弾?」


ドーン ブクブク


女ハンター「ええ!?水中で爆発?」

剣士「こっちを見失ってる!!浮き上がったら撃って!!」ポイ ポチャ


ドーン ブクブク プカーーー


剣士「今ぁぁ!!」

女ハンター「見えた…」カチ ダーン!!
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:04:10.79 ID:rO0UWc+40

女ハンター「当たった!!」

学者「血が見えるっす…」ダダダ チャキリ

剣士「ゲスさんの銃じゃ意味無い!!」

盗賊「このデリンジャーを使う時が来たか…」チャキリ

剣士「あいつ多分気絶してる…動き出す前に…」

盗賊「分かってらぁ…」ダーン! ダーン!

剣士「よし!!…」


ジャブジャブ バシャバシャ


女ハンター「他の奴が共食いを始めてる…」

剣士「ふぅぅ…これで大丈夫」

女オーク「ミライ…いつも通りね?」

盗賊「こりゃたまげた…シーサーペント相手は初めてじゃ無いってか?」

剣士「こんな大きいのは初めてだよ…小さいのは良く姉さんと狩りに行ったのさ…目が売れるからね」

学者「俺っち…なんか空気っすね…」

中年の女「フゥ…シーサーペントが居る海域はもう少し続くから警戒するのよ」

盗賊「へいへい…」スタ

学者「ミライ君!!今使った爆弾はどうしたんすか?なんで水ポチャで爆発するんすか?」ダダ

剣士「フフフフ秘密知りたい?これ雨の日用にと思って作っておいたのさ…導線が樹脂でコーティングされてるんだよ」

学者「へぇぇ?キラーポッドの樹脂っすね?」

剣士「そうそう!!スゴイ便利なんだあの樹脂…」


中年の女「…」---あの子やっぱり…---

中年の女「…」---アイリーンに行動が似てる---

中年の女「…」---でも年齢が合わない---

中年の女「…」---若すぎる---


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705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:04:49.16 ID:rO0UWc+40
『翌日』


ザブ〜ン ユラ〜


剣士「アランさ〜ん!!」シュタタ

盗賊「んあ?なんだぁ?」ムクリ

剣士「昨夜使ったデリンジャーの弾…薬莢は残ってる?」

盗賊「おぉ…弾込め直すの忘れてたわ」カチャ ポトン

剣士「あーおけおけ!!それ持って行くね」

盗賊「何に使うのよ?」

剣士「薬莢に火薬詰めて再利用するのさ」

盗賊「弾はどうすんだ?」

剣士「ゲスさんが一杯鉛の弾持ってるじゃない…鉛の加工なんか簡単なんだよ」

盗賊「おぉ!!ほんじゃ撃ち放題だな」

剣士「無駄に撃つのは止めてよ…」

盗賊「弾丸作れるならラスの分も作ってやれ」

剣士「もう作った…なんか色々注文されてお金貰っちゃったさ」

盗賊「ウハハそりゃ良い商売になったな?」

剣士「ミスリルの剣の分稼がないとね」

盗賊「お前ん所は姉と合わせて金貨100枚以上有るだろう…ケチケチしないで使っちまえ!」

剣士「そうだね!!使い道考えなきゃ…じゃぁ!!薬莢持って行くね!!」シュタタ


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706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:05:42.44 ID:rO0UWc+40
『デッキ』


ユラ〜〜〜 グググググ


戦士「癒されるな…船でのんびり風に当たるのは…」ナデナデ

中年の女「もっと右…」グター

少女「父!!私も撫でろ…」

戦士「順番だ…」

中年の女「ミルクは私が…」ナデナデ


ダーン!


戦士「んん?」キョロ

中年の女「狙撃は任せて置いて良いわ…リコル続けて」グター

戦士「こんなくつろいでいる姿見せびらかして良いのか?」ナデナデ

中年の女「何?恥ずかしいの?」

戦士「いやそういう訳では無いが…お前の威厳を心配している」

少女「母…威厳無い」

中年の女「身内に対してそんな事気にして居ないわ…」

戦士「身内か…」

中年の女「あのアバズレは別…」ギリリ

戦士「おいおい…もう考えるな」ナデナデ


ダーン! チュドーン!


戦士「お?火薬に当てたか…」

中年の女「この匂い…豪族崩れの者共ね…」クンクン
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:06:17.54 ID:rO0UWc+40

戦士「見もしないで分かるか…」

中年の女「懲りない連中…どうせスクーナーでしょう?」

戦士「いや…スループ船だな」キョロ

中年の女「え!!?スループ船に火薬!?」スック

戦士「どうした?」

中年の女「突撃するつもりで…他に旗船が何処かに居る筈…」キョロ

少女「母…雨来る」

中年の女「どうして撃沈を狙って居るの?只の海賊じゃないの?」

戦士「これはマズイ感じか?」キョロ

中年の女「…」---この船は囮…沈没させる予定だった---

中年の女「…」---その情報を知って居る者にとって---

中年の女「…」---作戦はまだ続いてる---

中年の女「…」---しまった!作戦の変更を伝えきれてない---

中年の女「…」---単独航海になった時を見て襲って来てる---

中年の女「しまった!!これは私のミス!!ロストノーズに要らない情報を流してしまった…」シュタ

戦士「何ぃ?」

中年の女「この船を沈める計画を流してしまったの…彼らが海にも影響力を持ってるのを知らなかった…」

戦士「ロストノーズはこの船を沈めても利が無いだろう?」

中年の女「いえ…機動隊に対して大義が有る…功績として評価される」

戦士「どうやら戦うしかない様だ…アランに伝えて来る」ダダ


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708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:07:07.32 ID:rO0UWc+40
『甲板』


ポツポツ ポツ


盗賊「…道理でおかしいと思ったぜ…1枚帆のスループ船が樽だけ積んで来てるからな」ドタドタ

戦士「他にも居る筈だ…気を抜くな!」

盗賊「リコルとリカオンはクロスボウ持ってデッキで待機してくれ…火矢の準備も頼む」

戦士「分かった!!」ダダ

盗賊「ラス!!聞いたか!?どうやらお前の狙撃頼りになりそうだ!!」


ダーン!


女ハンター「一発じゃ仕留められないから弾丸足りなくなる!!ミライに作らせて!!」ガチャコン

盗賊「分かった!!ミライ!!薬莢回収して直ぐに作ってくれぇ!!」

剣士「わ…分かった…」シュタタ

女ハンター「ちぃぃ雨で視界が悪くなって来た…」ダーン! チュドーン!

学者「逆側にもスループ船見えるっす!!」

盗賊「ゲスはそのまま見張りのサポート続けろ!!」

学者「へーい!!」ダダ

女ハンター「あのスループ船だけは取りつかせてはいけない…」ダーン!

女ハンター「外した…クソ!」ガチャコン

盗賊「スループ船で突撃させるってどういう根性して居やがる…決死の覚悟無いと出来ん技だ」

学者「兄貴ぃ!!救助のスループ船も動いてるっぽいっす…後方でチョロチョロしていやす」

盗賊「そういう作戦か…」


ダーン!


女ハンター「又外した…思ったより早い…」ガチャコン

盗賊「距離保って旋回してんな?…一気に来るつもりだ」
709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:07:48.92 ID:rO0UWc+40

女ハンター「分かってる!!船の揺れが無ければ…くぅぅ」ダーン!

学者「マズイっす!マズイっす!!正面からアレ…多分ガレオン船っす」

盗賊「くっそ!!交差で一気に大砲撃ってくんな…ロボ!!左に旋回!!リッカは帆角7番に変えろ!!」ダダ

女オーク「分かった!!」ダダダ

盗賊「リコル!!後ろの帆を7番に張り替えてくれぇ!!」グイグイ

戦士「こ…これは忙しい…」グイグイ

女ハンター「ハァハァ…樽付きスループ船2つとガレオン船…後は!?」ダーン!

女ハンター「又外した…」ガチャコン

盗賊「焦るな!!もっと寄せてからでも良い!!」グイグイ ギュゥ


ドーン! ドーン! ドーン! ドーン!


盗賊「うぉ!!大砲撃って来やがった…」タジ

学者「見えやした!!一層式のガレオン船で甲板に旧式の大砲が8門!!火薬が狙えやす!!」

女ハンター「狙いをガレオン船に変える!!スループ船は撃ちまくって何とかして!!」ダーン!

学者「俺っちが?」

女ハンター「あんたしか居ないでしょ!!」ガチャコン!

盗賊「大丈夫だ!船操作してる奴が落ちれば爆発しない…スループ船には1人しか乗って無ぇ」ダダ

女ハンター「よし!!ガレオン船は回頭遅れてる…今がチャンス!」ダーン!

女ハンター「当たった!!…でも爆発しない…くそう!!」ガチャコン

盗賊「まだチャンスある!!焦らないで良い!!」

学者「スループ船来やしたぜ?」タタタターン! タタタターン!

女オーク「行けぇ!!」ダダダ ポイポイ


ドン!ドーン!! ザバーーーー


学者「おおおお!!火薬が海水被って…」
710 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:08:25.93 ID:rO0UWc+40

盗賊「その手が有ったか…リッカ!!俺にもヨコセ!!」ダダ

戦士「左側からスクーナー!!あれはぶつける気だ!!」

盗賊「くっそまだ他の船が居るか…ロボ!右に旋回!!帆角3番に戻せぇ!!」ダダ

女ハンター「当たれぇぇぇ!!」ダーン! チュドーン

学者「おぉ!!ガレオン船が…」

女ハンター「次スクーナー!!」

戦士「おい!!スクーナー進路変えたぞ!!ガレオン船の救助に向かってる様だ…」

女ハンター「残念賞…戦場はそんなに甘く無い」ガチャコン

盗賊「おい待て!!撃つな!!もう追って来ん…」

女ハンター「くっ…」プルプル

盗賊「落ち着け…機械相手じゃない…あそこに命がある」

女ハンター「い…命…いつの間に私は命を奪う側に…震えが…」プルプル

盗賊「リコル!!後方の見張り頼む!!

戦士「おう!!」ダダ

盗賊「ゲス!!他に近付く船が居ないか良く見てろぉ!!」

学者「へ〜い!!」ダダ

盗賊「ようし…この感じでなんとか切り抜けられそうだ…」

女ハンター「…」ボーゼン プルプル


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711 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:09:24.90 ID:rO0UWc+40
『船尾楼』


ピチョン ポタ


学者「いやぁビショビショになりやしたねぇ…」

盗賊「船首の方で湯を沸かしてる…雨が降ると湯に浸かれる楽しみが有るのはなかなか良いな」

学者「リッカさんはもう浸かってるみたいっすね」

盗賊「次は誰だ?」チラリ

女ハンター「…」プルプル

盗賊「ラス!湯にでも浸かって落ち着いて来い」

女ハンター「何人…死んだ…のかな?」プルプル

盗賊「直撃した訳じゃ無いんだろ?なんとかなってる…気にすんな」

女ハンター「ガレオン船に…女の子が乗ってるのが見えた…見張り台に上がってた」プルプル

盗賊「ほーん…」

女ハンター「その…真下の樽を…撃ち抜いた」ガクガク

盗賊「まぁ…こう言っちゃなんだが…やらなきゃやられる…そういう世界なんだ」

女ハンター「分かってたさ…でも機械の様に動いてる自分に気付いた時…これじゃダメだって…ぅぅぅ」ポロポロ

盗賊「お前のお陰で俺らは助かった…そう自分を責めるな」

女ハンター「くぅぅ…湯に浸かって来る…」スック ポタポタ

盗賊「おう!!ゆっくり入って来い」

女ハンター「…」スック ガチャリ バタン

学者「なんか…大分堪えてるみたいっすね?」

盗賊「まぁ仕方無ぇわな?被害者ゼロって事は無いだろうからよ…中には善良な奴も居たかもしれん」

学者「やっぱり…人間同士戦う感じになって行っちまうんすね…」

盗賊「それが機械の狙いなんだろう…ここ数年見てりゃ明らかだ」


ツカツカツカ…


中年の女「話に割り込むわ…それを阻止するのが…コレよ」パサ
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:10:02.28 ID:rO0UWc+40

盗賊「例の書簡か…一体何なんだソレ?」

中年の女「これと同じ様な物はこれから行く大陸の方でもいくつか有るの」

盗賊「ほう?」

中年の女「機械だけが翻訳できる情報…今までの調べでアダムという集中端末が何処かにある事が分かってる」

盗賊「集中端末?なんだそりゃ?」

中年の女「人間で言う脳の部分ね…それがすべての機械をコントロールしてる」

盗賊「じゃぁそのアダムってのをぶっ壊せば機械は只の鉄クズって事か?」

中年の女「そうね…でもその場所が分からない」

盗賊「ほんじゃその場所ってのがその書簡で分かるってのか?」

中年の女「それを期待してる…そしてこれを翻訳出来るのは…ある科学者…今シン・リーンで厳重に保護されてる」


今あなた達が来た大陸はアメ・リカ大陸

そしてこれから行く大陸はユー・ラシア大陸と言うの

両者は海で隔てられて居て機械達が通信する手段は20年前に失われて今はもう無い…

その代わりの通信の手段として現れたのがこの白黒の書簡…これを使って情報のやり取りをしている

その主な内容はエネルギーの状態と電送する場所に関する情報

恐らく電脳化された人間を使って所定の場所にエネルギーを移動させようとして居る


盗賊「なるほど…その場所が知りたい訳か…」

中年の女「ユー・ラシア大陸の人達は電脳化された人間への危機感が無いから好き勝手やられているわ…」

盗賊「やっぱそうか…電脳化した奴が何処に潜んでるか分からんのだな…」
713 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:10:43.44 ID:rO0UWc+40

中年の女「だから諜報機関として盗賊ギルドが国から支援を受けてるのよ」

盗賊「そんな情報を新入りの俺達に話す目的は何だ?」

中年の女「危機感を持って貰わないと困る…一角が崩れると一気に崩壊するから…」

盗賊「ほーん…話に割入った割に関係無い話しになったんだが…」

中年の女「人間同士争う事になって居るのは機械達の狙いでもあると言ったでしょう?それは私も感じている所…」

盗賊「感じる?どういう事よ…」

中年の女「無意識で機械に操作されている可能性…」

盗賊「俺は機械じゃ無いぞ?この船にも電脳化した奴は乗って居ない…」

中年の女「分かってるわ…でもこの言葉を覚えて置いて…」

盗賊「何よ?」

中年の女「アナログハック…」

盗賊「なんだそりゃ?意味が分からん…」

学者「あ…兄貴ぃ…こっちを見て下せぇ」ユビサシ

盗賊「んん?なんだ?なんかあんのか?」キョロ

学者「兄貴今…俺っちの指差した方向見やしたよね?」

盗賊「そら指差してたら見るだろう」

学者「それがアナログハックっす…俺っちが兄貴の行動を誘導したんす…」

盗賊「なんだとう!?」

学者「どうやら…なんか色々誘導されて居る可能性は否めんっすねぇ…」


ユラ〜リ グググググ


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714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:12:22.45 ID:rO0UWc+40
『樽湯』


ザザー モクモク


女ハンター「!?誰だ?…今出る…待って」ザバー

盗賊「あぁ悪い…遅いから心配で見に来ただけだ…まだ入って居て良いぞ」

女ハンター「見たな?」チャプ

盗賊「悪い…見るつもりは無かった…」タジ

女ハンター「あんたも私を抱きたいのか?良いぞ…ここでシテも」

盗賊「そんな気は無ぇ…その鞭打ち傷…随分ひでぇ目に合った様だな」

女ハンター「奴隷の女はみんなこんなもんさ…あの船の女の子も多分…」

盗賊「そうか…悪い事を聞いた…俺は雨で体洗うからお前はゆっくりしてろ」

女ハンター「もう1000人以上…いや数え切れないぐらいの男とヤッた…汚いと思うか?」

盗賊「なんでそんな事を聞く…なんて言って欲しいのよ」

女ハンター「さぁ?…もう分からない…慰みを聞いて何か変化するとも思えない」

盗賊「ふむ…一つ確かな事があるぞ」

女ハンター「なにさ?」

盗賊「お前は…お前一人しか居ない」

女ハンター「…」

盗賊「自分を大事にしろ…きっと光に手が届く…じゃぁな」ノシ

女ハンター「…」ブワッ ポロポロ


ザザーー モクモク


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715 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:12:54.54 ID:rO0UWc+40
『甲板』


バタバタ ゲシゲシ


学者「あ…兄貴…裸で何やってんすか?虫の真似か何かっすか?」

盗賊「背中の傷がかゆくてよ…手が届か無ぇから甲板の板に擦ってんだ…」バタバタ

学者「ブ…ブラシで擦りやしょうか?」

盗賊「おう!名案だ!!早くやってくれぇ!!」

学者「あららら…俺っちが縫った跡が傷だらけじゃ無いっすか…」ゴシゴシ

盗賊「おぉぉソコだソコ…おぉぉぉぉ」ビクビク

学者「すんません忘れて居やした…痒いのは糸抜いて無いからっす…」

盗賊「ほんじゃ早く抜けぇバーロー!!」

学者「へい…」スルスル

盗賊「おぉぉソレだソレ…うはぁぁぁ…又痒くなって来た!!擦ってくれ!!」モゾモゾ

学者「ブラシで大丈夫っすか?」

盗賊「良いんだ!!ガシガシ行ってくれ!!」

学者「へい…」ゴシゴシ

盗賊「はぁぁぁ気持ちぃぃぃ…おぉぉスッキリしたぜぇ!!」プラーン カチカチ

学者「兄貴…姉御の牙をずっと首にぶら下げてるんすね…」

盗賊「お?拝んでくか?2本揃ってんぞ?」カチカチ

学者「姉御とずっと一緒っスか…」

盗賊「まぁな?俺の血の中に姉御が住んでると気付いた…この丈夫な体は多分…姉御のお陰よ」

学者「そーっすね…酒が強い理由も大体分かりやした」

盗賊「おぉ酒だ!!今飲みたかった所だ…酒さえありゃ俺は生きて行けるのよ」スック

学者「ウハハ…」---まんざら嘘でも無さそうっすね---


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716 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:13:28.32 ID:rO0UWc+40
『翌日_作戦会議』


アーデモナイ コーデモナイ…


盗賊「…この船の最大の強みはたった3人で…いやロボ合わせて4人か…で自由に方向転換出来る回頭性だ」

学者「ふむふむ…」ウンウン

盗賊「これでほとんどのケースで相手の船を後方に回らせる事が出来る」

学者「ガレオン船と当たったのがまさにソレっすね」

盗賊「ほんで課題が…大きく揺れ動く見張り台からの狙撃が中々当たらん事だ…だからラス!!」

女ハンター「!!?」ピク

盗賊「お前の定位置は船尾楼の上のデッキ…もう一人で見張り台に上がるのは止めろ」

女ハンター「あそこは私の定位置…」

盗賊「お前一人で全部抱え込ませる訳にもイカン…すぐ隣に俺らが居れば色々分担も出来る」

女ハンター「…」

盗賊「てな訳でミライ!!新しい武器の説明を頼む」

剣士「おっけー!!」

女ハンター「新しい武器?」

剣士「ラスさんのライフルの弾丸…ちょっと改造したんだ」

女ハンター「改造なんか頼んで無い…勝手な事をするな」

剣士「焼夷弾さ…殺傷力はあまり無いけれど…着弾すると油に火がついて発火する」

盗賊「小さな樽を狙わんでも狙いやすい帆に着火すれば良いって事だ」

女ハンター「帆なんか簡単に突き抜けてしまう」

剣士「あぁ…正確に言うと着弾する前に破裂して火の玉に変わる」

女ハンター「なるほど…レンジの長い火矢という事ね」

剣士「何種類か作ったから試し撃ちしてどれが良いか確認して欲しい」

女ハンター「分かった…」

盗賊「撃つのはデッキからだぞ?それも訓練の内だ」

女ハンター「フン!!」スタスタ

学者「ミライ君…俺っちのバヨネッタも何か工夫無いっすかねぇ?…な〜んか此処ん所空気なんすが…」

剣士「いやぁ…それは完成されてるって言うか…工夫され尽くされてるんだよね」

学者「残念っす…トホホ」


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717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:14:01.57 ID:rO0UWc+40
『デッキ』


ダーン! ボボボボボ


女ハンター「ふむ…なるほど…」

剣士「どう?」

女ハンター「弾丸の重さを通常の物と揃えたい…だから焼夷弾は少し長い奴が良い様だ」

剣士「おけおけ!!中抜きして油入れてるから軽くなっちゃってるんだね…よーし!一番長い奴か」

女ハンター「焼夷弾が使えるとなると…クロスボウの火矢が無駄になる」

剣士「そうでも無いよ?ボルトに爆弾引っかければ遠くに飛ばせられる…そんなに精度も要らないし」

女ハンター「そういう使い方に…フフ君は良く考える」

剣士「なんかさ?初めから知ってたみたいに色々作れる…なんか不思議なんだ」

女ハンター「閃きっていう奴ね…」

剣士「閃きかぁ…なんだろうなぁ…手が自然に動く」

女ハンター「自然に…そう…自然に何も考えないで…次の敵を狙ってた」トーイメ

剣士「それも閃き?」

女ハンター「何か違う…まるで誰かに操られているみたいに…」

剣士「あーそうそう!!操られてるみたいに自然に手が動く…これ何だろう?」

女ハンター「…」---操られてる---


---なんだろう?---

---妙に引っかかる---
718 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:14:53.12 ID:rO0UWc+40
『数日後_フィン・イッシュ近海』


ザブ〜ン ユラ〜リ


盗賊「もうすぐ港が見えて来る筈なんだが…どうした?全員集めて…」

中年の女「到着する前にフィン・イッシュの事を少し教えておこうと思って…」

盗賊「アレか?剣と魔法の世界だから注意しろって話か?」

中年の女「それも有るわ…それより目立った行動は避けて欲しいと言う事…その為の知識よ」

盗賊「…だそうだ…特にゲスは良く聞いとけ!」

中年の女「じゃぁフィン・イッシュの話から…」


フィン・イッシュという国は領地に生える植物や作物全部…所有者は女王なの

畑で収穫された物は100%国に納めなければならない

その代わり生産者…農民たちは出来高に応じて有り余る金貨を貰える

だから最も裕福なのは畑を耕す農民なの

そのお金を使って装備を買うも良し…食べ物を買うも良し

そのお陰で民兵の質が何処国よりも異常に高いし人数も多い…

でも中にはお金を溜めようとする人が出て来る

いくらかまとまったお金が溜まるとある日突然泥棒に全部持って行かれる

それを皆が知って居るから国から貰ったお金はほぼ使い切る


学者「お金使い切ったら食って行けんくなるんじゃ無いっすか?」

中年の女「それは民の全員に毎日最低限の食料配給があるの…だから飢えている人は一人も居ない」

学者「おぉぉメッチャ良い国っすね…」

盗賊「言い変えりゃ生きて行くのに必須な食料を押さえられてる…奴隷みたいなもんだ」

中年の女「フフ…辛口だけれど…その通りよ…」

学者「でも畑耕せば又お金が手に入るんならそれでも良いっすね…」

中年の女「そうやって経済が回って居るの…」


そしてフィン・イッシュでは税金が全く無い

貿易も自由…鉱山で鉱物を掘ってもすべて掘った人の物…食料以外は完全に自由…

国の収入は税金という形では無く経済が回った余り分で…そのほぼすべてを農民に対して使ってる

だから国境に壁も無ければ城を守る城壁も無い…と言うのが建前

その実カジノや娯楽で出回ったお金の回収は出来ている…そしてその中に盗賊ギルドが含まれる…


中年の女「これで大体立ち位置が分かったわね?」
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:15:24.20 ID:rO0UWc+40

盗賊「纏まった金盗んで国に還付する役割か…」

中年の女「必要悪と言えば分かりやすいわね…それで注意して欲しいのが民兵と揉め事を起こさないで欲しい」

盗賊「もめる気なんざ更々無い」

中年の女「豪遊して女遊びしている人達を放っておける?」

盗賊「そんなん俺にゃ関係無ぇ」

中年の女「その女が子供だったとしてもよ」

盗賊「…」タラリ

中年の女「その子がお金を稼ぐ術を失ってしまう事になる…些細な事だけれど大きな問題に発展して行く可能性がある」

中年の女「そして盗賊ギルドとして…そういう国の政策に一切関与してはいけない」

盗賊「わーったわーった!!」

中年の女「それから…バン・クーバと違って魔物が多く出るからしっかり武装はしておく事」

学者「魔物って何が出るんすか?」

中年の女「色々よ…最近では猛獣も多く出る…向こうの大陸のオーガなんかと比べ物にならないから注意して」

盗賊「そんなに魔物出るのに壁で囲わんのか…」

中年の女「そういう政策…代わりに民兵の質が異常に高い」

盗賊「民兵が壁の役割ってか…」

中年の女「じゃぁこれで話は終わり…到着したら宿にでも入って連絡を待って」

盗賊「へいへい!!ほんじゃ停船の準備するぞぉ!!」スック


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720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:15:56.98 ID:rO0UWc+40
『自由の国フィン・イッシュ』


ガラガラガラ ジャブーーン


盗賊「おーし!!碇落としたな?荷物纏めて降りて良いぞぉぉ!!」

中年の女「ご苦労…私は一足先に行くから後は上手くやって…」スタ

盗賊「おいおい!!一人で行くんか?リコル達はどうする?」

中年の女「詳しくはリコルに聞いて…急いでいるから私は行くわ…」シュタタ

盗賊「…」ポカーン

盗賊「おいリコル!!置いて行かれたぞ?どうすんのよ?」

戦士「ハハハいつもの事だ…私が一緒では邪魔なのだよ」

盗賊「ほーん…まぁ良いや…とりあえず宿屋だな?」

戦士「う〜む…新市街地と旧市街地とあるが」

盗賊「俺はどっちでも構わん」

戦士「旧市街地はここから馬車で2時間程移動する事になる」

盗賊「じゃぁ新市街地だな」

戦士「但し…カジノや娯楽が多いのが旧市街地だ」

盗賊「カジノか…うーむ…」

学者「兄貴ぃ…ここに何しに来たんでしたっけ?」

盗賊「おぉ!!俺の知り合い探さにゃならん…闇商人が何処に居るか知らんよな?」

戦士「私が知って居ると思うか?」

学者「闇取引やってる様な場所と言えば…何処っすかねぇ」

戦士「まぁ娯楽の多い旧市街地の方で聞いてみたらどうだ?」

盗賊「しゃぁ無ぇ…2時間馬車乗るかぁ…」


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721 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:16:29.52 ID:rO0UWc+40

『馬車』


ガタゴト ガタゴト


剣士「やっぱり馬が引っ張ると早いなぁ…」キョロ

盗賊「んん?もしかしてよう…キ・カイのお前の家に有った馬車は人力で引っ張ってたか?」

剣士「そうだよ?馬なんか居なかったし」

盗賊「ヌハハとことん貧乏生活してたんだな」

剣士「今はもうお金持ちさ!!ねぇ姉さん!!」

女オーク「ウフフ…」

学者「いやぁぁフィン・イッシュってメッチャ栄えて居やすね…建物でびっしりじゃ無いっすか…」

盗賊「こっちは良質の木材が腐る程生えてるからな?」

戦士「少し離れると畑ばかりになる…まぁそれでも民家は一杯建って居るがね」

学者「行き交う馬車に乗ってる人はオークとかドワーフとか色々っすね…」

戦士「うむ…異種族全員平等なんだよ…地庄炉村も同じだね」

剣士「文化が違うってこういう事かぁ…」


ソヨソヨ〜


剣士「ん?何だこの匂い?」クンクン

少女「森の匂いだ…嗅いだ事無いか?」

学者「んん?何も匂いやせんが?」クンクン

少女「お前は鼻が鈍感なのだ…死肉を食ってるから鼻が曲がってる」

学者「なかなか毒舌っすねぇ…グリグリしちゃおぅかなぁ〜」

少女「父ぃ!!ゲスは歩きで良いぞ」

戦士「ハハハまぁまぁ…仲よくしなさい」

剣士「あぁぁ良い匂いだなぁ…」クンクン

少女「そうだろうそうだろう…」ウムウム

盗賊「おい!!内海側が見えて来たぜ?旧市街地も見える!」

学者「おぉぉぉぉ!!なんすかこの絶景…」

戦士「ハハハ建物が特徴的だからねぇ…左手の塔がいくつも建って居る所がフィン・イッシュの城だよ」

学者「感動っす…きっと歴史有る建物なんすね…」アゼン

盗賊「まぁ向こうの大陸は皆壊されちまってるからなぁ…歴史って意味じゃ古代遺跡使ったバン・クーバの方が古いだろうが…」

戦士「もっと言うと光の国シン・リーンも歴史が古いらしい…中立の国セントラルはそこそこ歴史が長いが…もう廃墟だ」

盗賊「セントラルは氷の城になったと聞いたぞ?」

戦士「暇があるならその辺りの歴史を調べてみてはどうだ?」

盗賊「俺は忙しいな…ゲスは暇だろうから適当に書物漁っとけ」

学者「へいへい…」



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722 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:17:06.25 ID:rO0UWc+40
『馬宿』


ヒヒ〜ン ブルル


馭者「はい着いたよ〜…降りた降りたぁ!!」

学者「腰が…いたたたた」ヨロ

盗賊「たった2時間でも結構キツイな…」ノビー

剣士「見て!!気球が飛んでる…大きい!!」シュタ


フワフワ ソヨ〜


学者「珍しいっすねぇ…あぁぁアレは魔石使わんタイプの熱気球っすね…大きさの割に何も運べん奴っす」

剣士「人が乗ってるよ…ええと…6人くらいかな」

盗賊「馬車で移動するより大分ラクそうだ」

戦士「昔は気球がそこら中飛んで居たものなんだがね…」

盗賊「魔石が流通しなくなった事と…機械のミサイルで落とされまくったのが原因だな」

戦士「一部安全に飛べる場所なら定期便として飛んで居るんだよ?」

盗賊「ほう?こっから何処へ?」

戦士「シャ・バクダの方面だと聞いた…私は行った事が無い」

剣士「見る物全部初めての物ばっかりだ!ワクワクする!!」ワクワク

盗賊「おーし!!全員降りたな?暗くなる前に宿屋探すぞ!!」

剣士「おーーーー!!」シュタタ


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723 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:17:39.94 ID:rO0UWc+40
『宿屋の納屋』


ガラガラ


宿屋の女将「…この納屋でしたらお使い頂いても宜しいですが…どうしましょう?」

盗賊「あぁ…他の宿屋も一杯でよう…納屋でも助かるわ」

宿屋の女将「なにも準備出来なくて申し訳ありません…」

盗賊「こっちの方こそ無理言って悪かった…ほら宿代」ジャラリ

宿屋の女将「ありがとうございます…水浴び場は自由にお使い頂いて結構ですので…ごゆっくり」ペコリ スタ

盗賊「ヌハハ…てな訳でやっとこ休める訳だ」

学者「これ薪を保管する納屋っすね…」キョロ

盗賊「まぁ建物の中で寝られるだけ良いだろ…住めば都だ」

剣士「すぅぅぅぅぅ…はぁぁぁぁぁ」ウットリ

少女「すぅぅぅぅぅ…はぁぁぁぁぁ」ウットリ

盗賊「何やってんだ?」

剣士「気に入ったよ此処!!木の香りがすごく良い!!」スゥゥ ハァァ

盗賊「そら結構!!まぁちっと片づけりゃしばらく住んでも良いな?」

学者「何日分の宿代出したんすか?」

盗賊「とりあえず持ってる分全部出した…金貨8枚か…何日かは良く分からん」

学者「えええ!!そんなに出したんすか…この納屋に」

盗賊「いやいや出る時に差額分は返して貰える」

学者「あぁそういう事っすね…」

盗賊「まぁ夏の内は自由に使って良いらしいから…ミライ!その辺の木材使ってテーブルとイスを頼む」

剣士「おっけーーー!!」シュタタ

盗賊「水浴び場に湯があるそうだから行きたい奴は言って来て良いぞ」


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724 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:18:10.63 ID:rO0UWc+40
『1時間後』


ガラガラ ピシャン!


学者「買い出し行ってきやしたぜ?食い物に酒…あと油とランプっす」

盗賊「おーう!!酒くれぇぇい!!」

学者「もうくつろぎモードっすねぇ…」ドサドサ

戦士「私も酒を頂こう…お!!フルーツが有るじゃ無いか!!」ガブリ

学者「やっぱこっちの大陸はフルーツとか新鮮なんすよ…ランプ点けやすぜ?」チッチ ピカー

盗賊「ヌハハハこりゃ雰囲気あるな…馬車ん中みてぇだ」グビグビ

剣士「アハハ…そうだね…木製の大きな馬車みたいだね」

学者「木箱のテーブルに…生木を組んだだけの椅子…」

剣士「製材した木材じゃないからこんなもんさ…まぁ十分使えるよ」ギシ


ガラガラ…


少女「父ぃ!!黒いのが空飛んでる…」シュタ

戦士「んん?」

少女「初めて見る…見に来い」

盗賊「魔物か?」スック

学者「早速何か出て来た様っすね…」スック


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725 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/23(金) 22:18:46.51 ID:rO0UWc+40
『裏路地』


バッサ バッサ


少女「アレだ…あの黒いの何だ?」

戦士「あぁ…ガーゴイルという魔物だ」

少女「他にも居るぞ…あっちだ」ユビサシ

盗賊「全部で4匹ぐらいか?」

学者「誰も慌てる気配が無いって事は…通常運転じゃないっすか?コレ…」

戦士「地庄炉村では殆ど見なくなったが…昔は沢山居たんだぞ?」

少女「そうだったか…雑魚なんだな」

戦士「ハハハ雑魚では無い…まぁ飛んで居るからミルクでは倒せんな」

少女「遠くで良く分からないが…結構大きいな」

戦士「ふむ…牛並みの大きさの物が飛んで居ると考えれば強さが想像出来るだろう」

少女「牛か…」


シュン! ドス!


少女「あ…」

盗賊「おぉ!!槍か何か飛んでったな…」

女ハンター「見えた…多分オークが弓を撃った」

学者「えええ!?アレが弓矢?…なんかデカくないっすか?」

女ハンター「又撃ちそう…」


シュン! ドス!


盗賊「うほーーーすげぇな…槍並みの矢を撃ってんのか…」

学者「もしかして…これが民兵?」

盗賊「オークならくそデカイ弓を使ってもおかしく無ぇ…」

学者「ハハ…誰も慌てて居ない…通常運転っすね」

盗賊「どうやら…俺らクソ雑魚かも知れんぞ…」

少女「落ちた黒いの燃やしてる…ちょっと見て来る」シュタタ


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726 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/03/26(日) 07:22:20.37 ID:RKoe7B/E0
『納屋』


グビグビ プハァ


盗賊「水浴びからリッカ戻って来ないんだが…遅く無いか?」

女ハンター「あ…言うの忘れてた…お茶を買いに行くって…」

剣士「あぁ…姉さんお茶が好きなんだ…家に置いて来ちゃったからさ」

盗賊「まぁ安全そうだし良いかぁ…今日は寝るつもりだったが…ちっと俺も情報集めに散歩でも行って来るか」

戦士「私はここで酒でも飲んでゴロゴロして居るから…安心して行って来て良い…どうも船を下りた後は平衡感覚が…」

剣士「じゃぁ僕も姉さん探しに行こうかな」

学者「俺っちは眠たいんで寝やす…」ドター

盗賊「ロボ!!一緒に行くか?」

ロボ「ピポポ…」クルリン

盗賊「おーし!!ほんじゃ行くか!!」スタ


ガラガラ ピシャン!


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『翌朝』


チュンチュン ピヨ


盗賊「ふぁ〜あ!!」ノビー

ロボ「ピポポ…」ウィーン クルクル

剣士「あ!!アランさんおはよう!!」

盗賊「おろ?ミライだけか?みんな何処行った?」キョロ

剣士「宿屋の外の広場で配給やってるんだ…貰いに行ってるよ」

盗賊「ほ〜ん…お前は貰って来たんか?」

剣士「うん!ホラ?」スッ

盗賊「米か…」

剣士「調理前のを貰って来たんだ…僕の携帯食料さ」

盗賊「俺ぁ要らんな…」

剣士「今日の予定は?」

盗賊「俺は闇商人が何処に居るか情報集めに行く予定だ…まぁ…各自自由にするだな」

剣士「そっかぁ…どうしようかなぁ…」

盗賊「宿屋前の張り紙に魔物の戦利品買い取りリストが有ったぞ?」

剣士「お?」

盗賊「ミスリルの剣を使ってみたいんじゃ無いのか?」

剣士「戦利品ってどんな?」

盗賊「牙とか角とか…リザードマンの鱗とか色々有った様だ…」

剣士「後で見に行ってみるよ」

盗賊「俺とロボは情報集めに行って来るからお前等自由にしてろ…」

剣士「分かった」

盗賊「ほんじゃロボ!!もっかい行くか!!」スック


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727 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:22:59.64 ID:RKoe7B/E0
『1時間後』


アーデモナイ コーデモナイ


剣士「あ!!みんなおかえり〜」

学者「あらら?兄貴は何処行っちゃいましたかね?」キョロ

剣士「なんか闇商人探すと言って又ロボと出て行ったよ…僕達は自由にしてて良いってさ」

学者「そーっすか…リッカさんどうしやす?買いに行きやす?」

剣士「んん?何か買い物?」

学者「昨夜オークが使ってる弓を見たじゃ無いっすか」

剣士「あーー凄かったね」

学者「どうやらこっちの大陸ではあれぐらいの弓を使うのが普通みたいなんす」

剣士「え?もしかして姉さんも弓使うの?」

戦士「飛んで居る相手に近接の武器だけでは何も出来ないのだよ」

学者「詳しく言うとこういう事っス…」


オークはもともと手先が器用じゃ無いんで武器とか弓はしょぼいのしか使って無かったんすが

ドワーフがオーク用の武器を作る様になってから

オークがエルフ以上に戦える事が認知されるようになってるんすよ

ほんでフィン・イッシュではオークがめちゃ良い装備をしてるのが普通になってるんす


剣士「あーーー姉さんの装備が見劣っちゃってる…って事だね?」

学者「早い話そうっすね」

戦士「今使って居る剣はかなり良い物だから問題無さそうだが…遠隔攻撃の手段が無いのは飛ぶ相手に対して無力なのだよ」

女オーク「弓を普段使いするのでは無くて…船で使うつもりで…と思って」

学者「重ねて言うと銃器では火力不足になる魔物に対して毒を塗った弓の方が効果的らしいんす」

剣士「毒…」

学者「こっちの大陸では弓の方がメジャーな武器なんすね…機械相手じゃ無いもんで」

剣士「まぁ…僕もミスリルの剣を買っちゃったから姉さんも弓くらい良いと思うよ」

学者「ほんじゃちっと見に行きやすかぁ」


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728 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:23:30.78 ID:RKoe7B/E0
『武器屋』


ガチャリ ギー


店主「らっしゃい!!」

戦士「ほーう…中々色々揃って…」キョロ

少女「父も何か買うか?」

戦士「う〜む…盾を持ったままだとなぁ…」

店主「そんなお客さんには…パヴィースとクロスボウのセットをおすすめするよ?」ニヒヒ

剣士「あ!!ちょっと僕見たいな」フムフム

店主「はいはい…見て行って下さいな」

学者「リッカさん…この弓なんかどうっすかね?」ユビサシ

女オーク「う〜ん…」

店主「オークが使う弓でしたら…こちら」ドスン

学者「うわ…デカ…」

女オーク「これ…引いてみても?」

店主「どうぞどうぞ」

女オーク「フン!」ギリリ

学者「うわわ…ソレ全部金属っすよね」

剣士「姉さんなんか…ちょっと軽そうだね?」ジロジロ

女オーク「こういう物なのかも…」ハテ?

店主「それ以上の強弓は扱って居ないねぇ…どうだい買って行くかい?金貨30枚だよ?」

学者「おぉぉ結構しやすね…槍みたいな矢が一本金貨1枚っすね…」

女オーク「でもなんか違う…」

剣士「ちょっと見せて?」フムフム ジロジロ

学者「どうしやす?」

剣士「よし!!買うの止めよう!!なんか姉さんには合わない!!」

学者「アハ…いやまぁ良いんすよ?」

剣士「そんなでっかい弓なんか持ち歩いてたら姉さんの持ち味発揮出来ないさ…船に必要なら僕が作る」

女オーク「じゃぁ止めて置くわ」

戦士「ミライ君に考えが在りそうだね?」

剣士「うん…毒が必要なら弾丸に毒仕込めば良いのさ…そっち方向で工夫したいかな」

店主「いやいや買って行って下さいなぁ…」

剣士「また必要になったら買いに来るね〜」ノシ


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729 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:24:01.82 ID:RKoe7B/E0
『街路』


ワイワイ ガヤガヤ


剣士「実はね…姉さんは石の遠投が得意なんだよ」

学者「オークロードみたいな感じっすか?」

剣士「僕はオークロードを見た事が無いんだけど…拳ぐらいの小石なら300メートル位投げるのさ」

学者「ほーーー結構行きやすね」

剣士「もしそれが爆弾だったら?」

女ハンター「それは榴弾と言う…」

剣士「弓なんか使わなくてもそれで良いと思ったんだ…遠投して爆発したら鉛が弾ける…」

学者「それまさしく榴弾っす…ホラ?俺っち持って居やす…」チラ

剣士「姉さんは速さが命の戦い方だから重たい弓よりもその榴弾投げてる方が絶対良い」

女ハンター「300メートルと言うのは水平方向の話でしょう?…上にはそんなに飛ばないと思う」

剣士「あーーーーそうか…100メートルも飛ばないかぁ…」

学者「それでも上空で鉛が弾けるのはそれなりに効果有りそうっすね」

剣士「まぁ材料買って一回作ってみる」

学者「じゃぁ今から資材入手っすか」

剣士「うん!ついでに毒とか色々買って帰ろう…リコルさんの盾もパヴィースに改造するよ」

戦士「ハハ…クロスボウが無いがね」

剣士「いやいや榴弾投げて盾で守る…きっとそれで行ける」

戦士「なるほど…」

剣士「僕らには僕らの戦い方が有るよ…よーし!!やる事出来たぞぉ!!」


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『宿屋の納屋』


アーデモナイ コーデモナイ


学者「榴弾の構造を図解するとこんな感じっす…点火部分が2重になってるんすよ」

剣士「なるほどー…それで遅延して爆発するのか…」

学者「ミライ君の作る爆弾はその遅延を導線工夫してやって居やすね」

剣士「僕の爆弾は導線に火を点ける動作が必要になるんだ…咄嗟には使えないんだよね…うーむ…」

女ハンター「火打石で擦って点火してみては?」

剣士「なるほど…錬鉄擦れば火花が出るな…そこから導線に火が付けば良いか…」

学者「火薬入れる容器はポーションの空き瓶が丁度良い大きさなんでコレを使うとしてっすねぇ…」

剣士「口の部分に錬鉄で蓋をして…着火する細工か…よし!!何個か作って試してみよう」

学者「これかなり危ない実験になりやすぜ?即爆発するかも知れんっす…」

剣士「まず火薬無しで導線への着火実験かな…」

学者「じゃぁ俺っち必要になりそうな物調達してくるんで実験やってて下せぇ」

剣士「うん!!」


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730 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:24:29.68 ID:RKoe7B/E0
『夕方』


ガラガラ ピシャン!


学者「お!?兄貴ぃ…どうでしたか?」

盗賊「ダメだぁ…全く手掛かりが無い…ちっと金貸してくれぇ」

学者「あらら…どんくらい必要っすかね?」

盗賊「金貨10枚だ…やっぱ酒場とか怪しい場所で聞き込みしないとダメな様だ」

学者「あんま飲みで使わんで下せぇ…」ジャラリ

盗賊「ところでミライは何やってんのよ?」

学者「榴弾を作るんすよ…信管の部分を今用意出来る物で工夫してる所っすね」

盗賊「今までの爆弾じゃダメだってか?」

学者「やっぱ金属片入れて榴弾にしないと殺傷力無いじゃ無いっすか」

盗賊「確かに…」

学者「この辺に居る魔物相手だと今の武器じゃ通用しないもんで榴弾作ってるんすよ」

盗賊「銃器持って通用しないって事は無いだろう」

学者「兄貴…魔物討伐のビラ見てないんすか?10メートル近いワニとか居るみたいっすよ?」

盗賊「なぬ!?」

学者「俺っちのバヨネッタとか鼻くそっすね」

盗賊「まぁ…榴弾作るのは良いが怪我させんなよ?」

学者「へい…しっかり見ときやす」

盗賊「ほんで…俺は酒場とかで情報集めて来るんだが…ロボを連れまわる訳にイカンからちっと頼む」

学者「暇なんで整備しときやす」

盗賊「頼む…じゃぁな!」ノシ


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731 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:25:40.03 ID:RKoe7B/E0
『夜』


クンクン キョロ


少女「父!!母の匂い近いぞ」

戦士「お?こちらを見つけた様だ」

学者「あらら?兄貴がどっか行っちまってるんすが…」


ガラガラ…


中年の女「宿では無く納屋の中だったのね…」ツカツカ

戦士「空きが無かったのだよ…一人か?」

中年の女「あの子たちは二人ともシャ・バクダの方に行ったそうよ」

戦士「なんだ久しぶりに会うのを楽しみにして居たのに…」

中年の女「どうもギルドの連絡員が行方不明で私達の所へ連絡が途絶えて居たらしいわ」

戦士「そういう事か…」

中年の女「アランが見え無い様だけれど…」キョロ

学者「兄貴は情報収集でどっか行きやしたね…朝までには戻ると思うんすが…」

中年の女「まぁ良いわ…リコル?あなたにはちょっと悪いけれど私はしばらく留守にするわ」

戦士「…というと?」

中年の女「急ぎで例の書簡をシン・リーンへ届けなければいけない」

戦士「どうやって行くんだ?」

中年の女「気球の定期便でシャ・バクダに向かって娘2人連れて森を抜けるわ…あなたは連れて行けない」

戦士「森を抜ける…昔エルフの森だった場所か…」

中年の女「そうよ…私達3人なら徒歩で抜けられる筈…残念だけどあなたは邪魔になってしまう」

戦士「そうか…残念だ」

中年の女「それで…あなたにお願いが有るのだけれど…」

戦士「何だ?」

中年の女「ミルクと一緒にアランをサポートして欲しい…ミルクにとって成長のチャンスでもあると思ってるの」

戦士「ふむ…サポートと言っても何をするか決まって居るのか?」

中年の女「話はこうよ…」


アイリーンに扮したアバズレ女が居たでしょう?

あのアバズレ女の船にフィン・イッシュの女王も乗って居たのよ

2人で海賊王の娘を演じて本物を誘き出そうとして居るそうよ

これは女王からの提案で盗賊ギルドとして断り用が無かったらしいわ

それであの2人は既に出港してしまって居て…

この大陸を北側からぐるりと回ってシン・リーンへ向かってるの
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:26:13.66 ID:RKoe7B/E0

戦士「女王本人が船に…」

中年の女「無茶だと思うでしょう?でもこの計画には忍び一族も…シン・リーンの魔術師団も関わってる」

戦士「国家共同作戦か…ふむ…そこに追随しろと言う訳だね?」

中年の女「そうよ…だから次あなたと合流するのはシン・リーンね…それまでアランをサポートして欲しい」

戦士「ハハ旅はまだ続くという事か…楽しみになって来た」

中年の女「そう言ってくれて嬉しいわ…只…今のアランの船では温かい海を航海するのは厳しいの」

戦士「新しい船を用意してくれれば問題無い」

中年の女「そういう訳にも行かなくて…女王は1隻では無くて大船隊を組んで航海してる…」

戦士「良い船は出払って居る?」

中年の女「そう…だから今急ぎでドワーフの船大工にアランの船を整備させようとしている所なのよ…」

戦士「大体話は理解した…整備を待って女王の船を追えば良い訳だ」

中年の女「女王の寄港地計画は追って父から連絡がある筈…私は直ぐに旅立ってしまうから後はあなた頼りになってしまう」

戦士「任せろ!!」

中年の女「ミルク!?ギルドの頼り方は分かって居るわね?」

少女「母!!任せろ!!父居れば大丈夫」

中年の女「フフ…心強いわ…じゃぁもう行ってしまうから…後はよろしく」ギュゥ

学者「ええと…抱擁中に済まんのですが…」

中年の女「何?」

学者「兄貴の目的なんすが…ホムンクルスの件ってどうなりやしたかね?」

中年の女「あら…言い忘れる所だったわ…完全体のホムンクルスの生存情報…出所はドワーフなのよ」

学者「はぁ…で?」

中年の女「ドワーフに居場所を聞いても海賊王の許可が無いと教えられないらしいわ」

学者「つまり海賊王を探せってこってすかね?」

中年の女「そうなってしまう…フィン・イッシュ女王の後を追えば遭遇する可能性もあると思うわ」

学者「あぁぁぁなるほど…海賊王も娘を追ってる可能性が有る訳っすね…」

中年の女「そういう事よ…アランにちゃんと伝えておいて」

学者「分かりやした…」

中年の女「じゃぁ私は行くわ…どうか無事にシン・リーンまで辿り着いて…」ノシ


ガラガラ ピシャン!


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733 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:26:42.18 ID:RKoe7B/E0
『翌朝』


トントン


戦士「んん?誰か訪ねて来た様だ…」ガラガラ

戦士「あぁ…宿屋の女将さん…何か?」

宿屋の女将「どうもお休みの所を…大部屋の方が急遽空きになりましたのでどうかと思いまして…」

学者「おぉ!!マジっすか!!」

宿屋の女将「お代の方は中年の女性の方から頂いておりますのでお部屋へ移動するだけで結構です」

学者「あぁぁそういう事っすね…」

戦士「この納屋は作業場として引き続き使ってもよろしいか?」

宿屋の女将「はいご自由にお使いください」

学者「兄貴!!起きて下せぇ!!兄貴ぃ!!」ユサユサ

盗賊「んが?」パチ

学者「部屋の移動っす…大部屋が空いたらしいっす」

盗賊「おぉそりゃ良い…」ゴシゴシ

剣士「僕ちょっと作り物してるから皆行ってて良いよ」ゴソゴソ

宿屋の女将「ではご案内しますので荷物を持ってどうぞ…」スタ

学者「いやぁ…やっとベッドで寝れやすねぇ…」

戦士「ハハ…納屋でも良かったんだがね」


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734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:27:11.89 ID:RKoe7B/E0
『宿屋_大部屋』


ガチャリ ギー


宿屋の女将「こちらで御座います…」

戦士「んん?この画は誰の?…」ジー

宿屋の女将「あぁそれは30年ぐらい前ですかねぇ…勇者様一行がこのお部屋に宿泊された時の画だそうです」

戦士「女将さんは勇者一行を見た事は?」

宿屋の女将「いえ私は後に入植した者ですから良く存じません」

学者「勇者っすか…何をした勇者なんすかね?魔王でも倒したんすかね?」

戦士「100日の闇を祓ったのが勇者だとは聞いたが…君はまだ生まれて居ないねぇ」

宿屋の女将「その辺の話でしたら女王様が伝記を書かれて居て城の書物庫の方に保管されているそうですよ」

学者「城ってそんな簡単に入れるもんなんすか?」

宿屋の女将「出入り自由なので観光でしたら行って見ても良いかと…」

盗賊「おおお!!城か!!城に居るかも知れんな…」ボソ

学者「おっとぉ?」

盗賊「悪りぃ!!俺ちっと城行って来るわ…」

戦士「どうせなら皆で行かないか?」

盗賊「あぁそうだな…ミライとリッカが居ないが…」

女ハンター「私は水浴びしたいから此処に残る」

盗賊「そうか…」

宿屋の女将「お連れ様は後ほどご案内しておきますのでご心配なく…」

盗賊「おう頼むわ…行こうぜ!」スタ


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735 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:27:41.66 ID:RKoe7B/E0
『城に続く道』


スタスタ


盗賊「何ぃ!!リカオンが一人でシャ・バクダ行っただと!?」

戦士「急ぎで例の書簡をシン・リーンへ持って行きたいらしい…私は置いて行かれたのだ」

盗賊「なんだ…支援するとか言ってたのは何だったのよ…」

戦士「アランの船を長期航海出来るようにドワーフの船大工に修理させる様だぞ?」

盗賊「長期航海?」

学者「海賊王の娘に化けた派手な叔母ちゃん居たじゃ無いっすか…アレを追えって事なんすよ」

戦士「どうやら本物をおびき寄せる作戦だとか…」

盗賊「あーーーそういう事か…しかしなぁ…俺の目的は海賊王の娘じゃ無いんだ…」

学者「完全体のホムンクルスの居場所は海賊王が知ってるらしいっす…海賊王も娘が現れたと思って来るかも知れやせんぜ?」

盗賊「そらまた時間が掛かりそうなこって…」

学者「兄貴の方は探してる闇商人の手掛かりは有ったんすか?」

盗賊「いや…全然手掛かりが無い」

学者「てか兄貴…闇商人がフィン・イッシュに来てるって誰から聞いたんすか?」

盗賊「姉御だ…ギャング時代からの知り合いで姉御とは年が近いんだ」

学者「フィン・イッシュっていうだけじゃ中々探せんっすよ…」

盗賊「商人ギルドに行きゃ分かると思ってたんだが…何処行ってもそんな奴知らんとか言いやがる」

学者「名前を隠してたとかそういう感じなんすね…きっと」

盗賊「しまったなぁ‥もうちっと姉御にしっかり話聞いときゃ良かった…」

学者「フィン・イッシュに来た目的とか何も分からんのですか?」

盗賊「キ・カイに有った商人ギルドの地下室あったろ?」

学者「ミライ君が住んでた所っすね?」

盗賊「そこの本当の主はマルコっていう商人なんだ…そいつを探してるらしい」

学者「それってリッカさんが探してる人と同じじゃないすか…」

盗賊「まぁそうなるか…てか海賊王の娘と繋がってんのよ」

学者「じゃぁ同じ様に行方不明なんすね…」

盗賊「あんま詳しく分からん…」

学者「その闇商人の名前はなんて言うんすかね?」

盗賊「実は名前が無い…俺らはカゲミって呼んでた…マルコの影武者やってたからな」

学者「なんか結局あの派手な叔母ちゃん追った方が色々良さそうっすね…」

盗賊「う〜む…もしかするとカゲミは女王の伝記からマルコの行き先を探ろうとしてるかも知れんと思たんだが…」

学者「なるほどそういう事っすね…なんか俺っちも伝記がどんな物なのか気になって来やした」

盗賊「ビンゴだったら良いが…」


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736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:28:13.79 ID:RKoe7B/E0
『フィン・イッシュ城』


ワイワイ ガヤガヤ

今日の配給は餅だそうだ…汁物は並ぶから先に行っといた方が良い

豆と芋は持てるだけ持ち帰って良いぞぉ!!持ってけぇ!!


学者「ここでも配給やってるんすね…」

盗賊「あー俺これのカラクリ聞いたぞ?」

学者「カラクリ?何すか?」

盗賊「配給の消費量で人の増減を把握して居るらしい」

学者「増減…」

盗賊「他国から流入してる人とか食料の持ち出しとか色々だ」

学者「へぇ?」

盗賊「聞いた話だがこんな感じよ…」


昔お隣さんにセントラルっていう貴族国家が有ったんだが

貴族が没落してそれぞれ持ってた領地で独立自治領になっちまってんのよ

まぁ…セントラルが分裂していくつもの国が出来た訳だ

ほんでフィン・イッシュだけぶっ飛んだ農民支持政策と税金無し政策をやった結果…大量に人が流入した訳だ

だが独立自治領の連中は面白くないワナ?

だからフィン・イッシュに入って来て稼ぎまくって自国に戻るという奴が出て来る訳だ

それの人数と影響の把握な訳よ


学者「そんなんやられまくったらフィン・イッシュの資金が流出しまくりっすね…」

盗賊「所がどっこい…食料生産はフィン・イッシュがずば抜けてて此処から買うしか無い」

学者「あーーー結局属国みたいな感じになっちまってるんすね」

盗賊「まぁ…食料を完全に牛耳って他国もコントロール下に置いてる訳だ…怖い国だわ」

学者「他の国も食料生産頑張れば良いんすけどね…」

盗賊「フィン・イッシュで農民やってた方が儲かるから生産者居なくなるワナ」

学者「ああああ…他国の食料生産力を奪う政策なんすね…エグイ政策っす…」

盗賊「成功っちゃ成功の政策なんだろうが…どうも俺は気に入ら無ぇな…」

学者「食料で人間を支配下に置いてるって言いたいんすね…」


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737 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:28:51.80 ID:RKoe7B/E0
『書物庫』


シーン…


盗賊「こりゃまた俺には場違いな場所だ…」ヒソ

学者「書物持ち出し厳禁の張り紙っす…」ユビサシ

盗賊「盗みに来た訳じゃ無ぇ…俺はカゲミの手掛かり無いか探して来るからお前ら適当に書物漁ってろ」

学者「とりあえず女王の伝記を探して来やすね…」スタ


侍「…」シャキーン! スンスン


盗賊「うぉっとぉ…」タジ

侍「…」チラリ

張り紙”書物持ち出し厳禁”

盗賊「へいへい…持ちだしゃし無ぇからその刀納めてくれ…」

侍「…」ジロリ ジリジリ

戦士「これは又随分警戒されて…」タジ

学者「上にも何か居やすぜ?」


忍び「…」ジー


盗賊「いつもこんなに警戒してんのか?」

侍「見るからに異国の者を警戒せぬ訳にも行くまい…」ジリジリ

盗賊「俺はあんま書物に興味無いんだ…ちっと探し人でな?」

学者「俺っちは女王の伝記が見たいんす…ちっと見せてくれやせんか?」

侍「生憎…女王の伝記は盗難に遭い紛失して候」

盗賊「なぬ?盗難?」

侍「持ち出しは発見次第切る故に…覚悟せい」ジリジリ スチャ

盗賊「まぁ良いや…ちっとその伝記の有った辺りを調べさせてもらうぜ?…どこよ?」

侍「…」ユビサシ

盗賊「ゲス!その辺りを調べるぞ」

学者「へい…」スタ


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738 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:29:37.03 ID:RKoe7B/E0
『30分後』


パラパラ…


盗賊「シャ・バクダ王朝最後の末裔サルマン…ふ〜む」

学者「多分その人も勇者の仲間の様っすね…」

盗賊「ハッ!!これは…」パラパラ

学者「何か見つけやした?」

盗賊「考古学者カイネ…お袋が書いた書物が…」

学者「ええ!?ここに並んでるって事は…勇者の仲間だったって事っすか?」

盗賊「んな話聞かされて無ぇ…」パラパラ

学者「兄貴…この辺の書物は皆著者がそのカイネって言う人っス…」

盗賊「…」---お袋が全然帰って来なかった理由---

盗賊「…」---この書物全部お袋が…---

学者「読めない文字ばっかっす…」パラパラ

盗賊「どうやらお袋にも相当な秘密が有った様だ…」パラパラ

学者「挿絵からして…やっぱ考古学っぽい書物っすねぇ…」

盗賊「どうも勇者と関連の記された書物が見当たらん…」ゴソゴソ

学者「たぶんそれが女王の書いた伝記じゃないんすかね?」

盗賊「こりゃ全部持って帰りたくなって来た…」


侍「…」ギロリ


盗賊「はいはい分かってる!!持って行きやし無ぇから…」

侍「半年ほど前にその辺りの書物を写している者が居た…」

盗賊「んん?そいつの特徴は?」

侍「小柄な男…」

盗賊「カゲミ…そいつは何処に居るか知らんか?」

侍「女王の伝記を盗んだ疑いで捜索中なり」

盗賊「分からんのか…」---半年前か…---


---丁度姉御とフィン・イッシュへ行こうという話をしてた頃だ---

---もしかすると姉御は既にカゲミと何か話して居たかもしれんな---

---だとすると…姉御はどうやってカゲミと接触するつもりだったか---


盗賊「おいゲス!!姉御の書いた計画書まだ持ってるか?」

学者「ありやすぜ?」ゴソゴソ パサ

盗賊「んんん…やっぱ此処に来るまでしか書いて無ぇな…」

学者「姉御は金とかどうするつもりだったか知らんすか?」

盗賊「おぉ確かに…俺と姉御…ほんでお前の金だけじゃ満足に物資集められんもんな」

学者「やっぱ兄貴頼りだったんすかね?」

盗賊「姉御があんま俺を頼るとは思え無ぇが…」---カゲミなら金を持ってる---


---やっぱカゲミと接触するつもりだったと考えて良さそうだ---


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739 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:30:04.37 ID:RKoe7B/E0
『城の中庭』


タッタッタ…


学者「兄貴ぃ!!お待たせしやした!!」スタ

盗賊「おろ?書物の持ち出しはダメなんじゃ無かったんか?」

学者「いやいやこれは売ってた書物っすよ…売り物は別所にあるんす」

盗賊「ほーん…何の書物だ?」

学者「錬金術っすね…ポーションの材料とか色々っす」

盗賊「リコルも何か買った様だな…」

戦士「ハハこれはちょっとした剣技が記された物だ…この国は古き剣豪が集う国だったからな」

盗賊「剣豪か…刀持った侍が何人もウロウロしてりゃ何も悪さ出来んわ…」

学者「兄貴はもう良いんすか?書物調べるんは?」

盗賊「難しすぎてどうも読む気になれん」

学者「そらしゃーないっすねぇ…」

戦士「さて…私は馬車に乗って一度船の修理にどの位かかるか見て来るが…どうする?一緒に来るか?」

盗賊「いや…俺はもうちょい心当たり回ってくるわ」

戦士「ふむ…ではミルク!行くぞ」

少女「またあの馬車に乗るか?」

戦士「今日は気球で行ってみるか…」

少女「おぉ!!行くぞ!!」シュタ

盗賊「ゲス!ロボと一緒に宿屋戻っといてくれ…あんま連れまわして負担掛けたく無いんだ」

学者「分かりやした…てか心当たりって何処行くんすか?」

盗賊「侍相手に手配されてたら何処に隠れると思う?」

学者「何処っすかねぇ…」

盗賊「俺なら下水なんだ…どっか地下に降りられる場所が無いか探す訳よ…だからロボを連れて行けない」

学者「あ!!そういやさっき…」

盗賊「んん?」

学者「シャ・バクダ王朝最後の末裔サルマンが地下墓地で100日の闇を乗り切った様な事が書いて有りやした…」

盗賊「地下墓地?」

戦士「おぉ!そうだ!この国は地下墓地から湧き出したゾンビで一度滅亡の危機が有ったそうだ」

盗賊「ゾンビ…こりゃ調べるしか無ぇな…」

学者「一人で行けやすか?」

盗賊「とりあえずその場所を探してみる…無理そうなら一旦宿屋戻るから待機しててくれ」

学者「分かりやした!!」


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740 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:30:36.71 ID:RKoe7B/E0
『宿屋_大部屋』


ガチャリ バタン


学者「あらら?ミライ君とリッカさんは何処行ったんすか?」

女ハンター「納屋の方で作り物して居たのでは?」

学者「今見たら居なかったんすよ…荷物も無かったんすよね…」

女ハンター「もしかしたら…榴弾を試しに何処か行ったのかも」

学者「あたたた…下手に試したら怪我人が…」


パーン!


女ハンター「!!?」スック

学者「言った傍から…」ダダ

女ハンター「結構遠い…何処だろう?」キョロ

学者「窓からじゃ見えんかもしれんっす…」


パン! パーン!


女ハンター「上から聞こえる…」

学者「ちっと外に出やしょうか…」ダダ


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741 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:31:02.88 ID:RKoe7B/E0
『広場』


ザワザワ ザワザワ

今の花火か?

打ち上げ音がしなかったけどな?


剣士「よし!成功だ!!姉さんが投げれば大体70メートル位の高さまで行けてると思う」

女オーク「爆発までもう少し余裕が有った方が良いわ…狙う余裕が欲しい」

剣士「おけおけ!7秒で爆発するように調整する…それで行けそう?」

女オーク「余裕が2秒ね…」


タッタッタ


学者「あ!!ミライ君!!今の音なんすか」

剣士「あれ?バレちゃった?」

学者「街中じゃマズイっすよ」

剣士「まだ金属片も入れて無いしちょっと爆発するだけのちびっ子爆弾さ…点火のテストしてたんだよ」

女ハンター「流石にいきなり榴弾を使う訳無いか…成功した様子だね?」

剣士「まぁね?70メートル上空を狙えるよ」

学者「その距離で当てられるんすか?」

剣士「かなりコントロールは良いと思う」

女ハンター「ちゃんとした榴弾だと70メートルだったら破片が飛んで来て怪我するかもしれない」

学者「そーっすね…全方位に飛ぶ弾丸みたいなもんすよ」

剣士「それってさ…鉄の容器に入ってるからだと思う…ガラス瓶だとそんなに威力出ないよ」

女ハンター「ちゃんと目標に当てられるなら金属片は入れない方が安全に使える」

剣士「まぁそうだね…当面は火薬と砂だけにしておくよ」

学者「もう実用段階っすね?」

剣士「うん…もし今晩ガーゴイル来たら使って見ても良いかな」

学者「あ!!ガーゴイルは倒した後燃やさんとダメらしいっすよ?病気が広がるとか…」

剣士「おけおけ!!ええと…ガーゴイルの角が2本で銀貨80枚…爆弾の材料費差し引いて銀貨70枚儲かる」

学者「結構稼げやすね…余裕で宿代出るじゃ無いっすか」

剣士「今の所お金消費してばっかりだから稼げる時に稼がないとね?」


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742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:31:59.16 ID:RKoe7B/E0
『討伐報酬リスト』


ザワザワ ガヤガヤ

おぉ…トロサウルスの討伐報酬上がってるぞ…

プテラノドンの巣が発見されたらしい…卵持って帰ると金貨200枚だってよ


学者「いやぁぁ…知らん魔物ばっかっすねぇ…」

剣士「ココ見て!!シカを狩ると金貨3枚だってさ…クマが金貨2枚…シカの方が高く売れるんだ…」

学者「畑を食い荒らすからじゃ無いっすか?」

女ハンター「ヘラジカを生きたまま捕まえたら金貨6枚…これも狙い目ね」

剣士「なんとかサウルスって色々居るけど…どんな魔物だろう?

学者「大きさ10メートル超える様な魔物ばっかりらしいっすよ…」

女ハンター「大物狙うよりシカとかクマで十分な気がする…」

学者「そうっすねぇ…シカなら銃でも余裕っすね…クマは一発じゃ無理かもしれんす」

剣士「こう比較するとガーゴイルに爆弾使うのは効率悪いかもなぁ…」

学者「飛んでるんでしょうがないっすねぇ…」

剣士「よーし!!とりあえず日が暮れる前に爆弾作るぞぉ!!」


--------------


『夕方_宿屋』


ガチャリ バタン


戦士「戻ったよ…んん?皆どうしたのかな?何処かへ行くのかい?」

学者「ガーゴイル狩りに行く準備っす…リコルさんも行きやす?」

戦士「私は少しく歩きくたびれた…宿で待つとするよ」

学者「何か有ったんすか?」

戦士「気球に乗ったは良いが在らぬ所に流されて遠方で降ろされたのだよ…馬車で行けば良かったと後悔をしている」

少女「父ぃ!!楽しかったぞ」

戦士「これは土産だ…要るかい?」

学者「鈴?どうしたんすか?コレ」

戦士「落ちて居たのだ…これはミスリルで出来た鈴の様だよ」


リーン


学者「へぇ?良い物が落ちて居やしたね?」

戦士「魔除けの効果があるらしい…私が持って居ては魔物に逃げられて接近出来ん」

女ハンター「あ…それ貰って良いかな?私は魔物に接近されると困る」

戦士「丁度良かったね…はい」パス

女ハンター「これで屋根の上から落ち着いてガーゴイルを狙えると良い」ゴソゴソ リーン

戦士「もう行くのかね?」

学者「そうっすね…他の民兵に先越されちまいやすんで」

戦士「まぁ…怪我をしない様に…さてミルク!湯に浸かりにでも行こう」

少女「父ぃ!私も威厳ある…バラすな」

戦士「ハハ口が滑った…行くぞ」スタ


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743 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:32:33.03 ID:RKoe7B/E0
『夜_街外れ』


ギャーーース! バッサ バッサ


剣士「居た居た…2匹上で旋回してる…」クンクン

学者「暗視ゴーグル無しで良く見えやすね…」スタ

剣士「匂いと音で分かるんだ」

女ハンター「リッカも?」

剣士「姉さんは元々夜目が効く」

女オーク「当てられる距離に来たら爆弾投げても?」

剣士「うん…ラスさんとゲスさんは撃ち漏らしたら援護して」

女ハンター「分かった…射線に入らない様に気を付けて」スチャ

女オーク「もう届く…投げるわ?」

剣士「おけおけ!!落ちたら僕が止め刺しに行くよ…投げて」

女オーク「…」チッ シュボ

女オーク「1…2…」バヒュン!!


ドーン!


剣士「よし!!一匹落ちて来る…」ダダ

ガーゴイル「ギャァーーー…」ヒュルヒュル ドサー

学者「うはぁ…アレを落としやすか…」

剣士「姉さん落ちた奴僕に任せて!!2匹目狙って!!」

女オーク「…」チッ シュボ

女オーク「あ…急降下して…」バヒュン!


ドーン!


女オーク「くぅぅ行き過ぎた…」
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:33:03.82 ID:RKoe7B/E0

女ハンター「そのまま動かないで…」ダーン!

ガーゴイル「グェェ…」ヒュルヒュル

女ハンター「倒し切れてない!!」ガチャコン

学者「俺っちの出番っす!!」タタタターン タタタターン

ガーゴイル「ガァァァァ…」ズザザ ゴロゴロ

女オーク「よし!!止めは私が…」スラーン ダダダ ブン!


ザクリ!! ベチャァ!!


女ハンター「真っ二つ…」アゼン

剣士「姉さん!!角をもぎ取って!!」シュタタ

女オーク「分かった…」グイ バキバキィ

剣士「よーし!燃やして行くから向こうの奴からも角もぎ取っといて」チチ メラ

学者「ウハハ…角を素手でもぎ取るっすか…」

女ハンター「これ…まだ続けて狩り出来そう…」

学者「ガーゴイルは落としちまえばこっちのもんすね…」

剣士「残念だけど爆弾があと4個しか無いんだ…それ使ったら帰ろう」


ガキーーン!! バッサ! バッサ!


剣士「え!!?」キョロ

女オーク「ミライ!!もう一匹居た…」タジ

女ハンター「何あのガーゴイル…武器を持ってる…」チャキリ

女オーク「近すぎて爆弾狙えない…」

ガーゴイル「ギャァァァ!!」バッサ ビューーン


ガキーーン!!


女オーク「くぅぅ…」タジ

剣士「油玉なら…当たれぇ!!」ダダ ポイ ベチャ

ガーゴイル「ギャァァァ!!」バッサ バッサ ビューーン

剣士「姉さん剣で受けて!!」


ガキーーン!! ボボボボ


学者「おぉ!!火が付いた…」アゼン

女ハンター「何呆けてるのよ!!止めで撃ちまくって!!」ダーン!

学者「あわわ…」タタタターン タタタターン

ガーゴイル「グェェェ‥‥」ドサー ズザザザ

剣士「よし落ちた…そのまま油玉で燃やして行く」ポイポイ ボボボボ

女ハンター「まだ警戒しておいた方が良さそう…」ガチャコン

学者「ふぅ…3匹…なんとかなりやしたね…」

剣士「不意を突かれるとやっぱり危ないなぁ…慎重に行こう」


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745 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:33:33.19 ID:RKoe7B/E0
『深夜_宿屋』


ガチャリ バタン


盗賊「おぉ?帰って来たな?…どうよ?ガーゴイル狩りは?」

剣士「4匹狩れたよ…収穫は角8本!!」

盗賊「そりゃ良かったな」

学者「兄貴の方はどうだったんすか?」

盗賊「城から地下の方に降りられる区画が合ってな…今は封鎖されているがどうやら昔は地下監獄だった様だ」

学者「封鎖されてて行けない感じなんすかね?」

盗賊「鉄柵で区切ってるだけなんだが…忍びの奴らが勘良くて近付けんのよ」

剣士「なんか面白そうだなぁ…」

盗賊「ただガードが堅い場所にカゲミが逃げてるとは思えん…地下っぽい物はあるが探索する価値が在るとは思えんな」

戦士「んん?私は地下監獄では無く地下墓地と言ったぞ?」

学者「そうっすね…サルマンが生き延びたって言うのも地下墓地っすね」

盗賊「墓地か…そういや街の離れにそれらしい場所が有るには有ったな…」

剣士「なんか面白そうだから明日皆で行って見ようよ」

盗賊「あんまりロボを連れ回したく無いが…」

剣士「納屋に荷車が入ってる…それに乗せて行けば良いさ」


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746 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:34:02.35 ID:RKoe7B/E0
『翌日_納屋』


ヨイショ! ドスン!


ロボ「ピポポ…」クルクル

少女「私も乗る…ウルフィも乗れ」ピョン

ウルフ「グルル…」ピョン シュタ

盗賊「こりゃ又団体さんで地下墓地巡りか…」ヨッコラ ゴトゴト

戦士「荷車引くのは交代で変わってやる」

剣士「リコルさん!!」

戦士「何だね?」クル

剣士「昨日ガーゴイルが武器を持っててさ…コレ」スッ

戦士「銀製の剣か…良い物を拾ったじゃ無いか」

剣士「リコルさんの剣は炭素鋼の剣だよね?」

戦士「うむ…」

剣士「もしゾンビが出たら銀製の剣の方が良いと思ってね」

戦士「私に使えと?」

剣士「僕はミスリルの剣を持ってるから…」

戦士「ハハ…それでは使わせて貰うとするか」

剣士「振ってみて?」

戦士「ふむ…少し重めか…」スラーン

剣士「結構良いでしょ?錆びないから手入れもラクそうだよ」

戦士「確かに…鉄の剣は直ぐに錆びるからなぁ…」

盗賊「要らん装備は邪魔になるから置いて行けよ?」

戦士「そうだな…納屋に入れて置く」カチャリ

盗賊「ほんじゃ行くぞ!」ゴトゴト


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747 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:34:39.40 ID:RKoe7B/E0
『墓地』


ノソノソ…


婆「お前さん達…ここは毒キノコが生えて居るから採ってはイカンぞ?」

盗賊「あぁぁ…地下墓地を探して来たんだがよ?」

婆「今は地下墓地ではのうて毒キノコの栽培所じゃ…奥の方は明かりも無いで誰も近寄らん」

盗賊「ほーう?ここか…」ジロ

婆「何しに来たのじゃ?」

盗賊「サルマンだっけか?…100日の闇を生き抜いた場所ってのを見て見たくてな」

婆「ほーーーそれは結構!!サルマンは英雄じゃでのぅ」

盗賊「婆さん知ってんのか?」

婆「うむ…女王の騎士だったのじゃが行方が分からんくなってのぅ…」

盗賊「ほーん…まぁ良い…地下墓地に入っても構わんな?」

婆「奥が深いで迷わん様にな?…昔はゾンビが出居ったから今も居るやも知れん…気を付けて行きなされ」

盗賊「おう!!ありがとよ!!」

学者「兄貴ぃ!!階段っすね…」

盗賊「荷車は此処までだな…ロボは背負って行く」ヨッコラ

戦士「先頭は私が行こう…」ノソ

少女「父は鼻が利かん…先に私とウルフィだ」シュタタ

戦士「おい!気を付けろよ?」


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748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:35:15.27 ID:RKoe7B/E0
『地下墓地』


ピチョン ポタ


少女「ここから先は明かりが無いぞ!どうする?」

剣士「ランプ持って来てるよ…」チッチ ピカー

学者「兄貴…この地下墓地って…」キョロ

盗賊「うむ…バン・クーバと同じ古代遺跡だな…どうやら墓地として使って居た様だ」キョロ

学者「て事は構造が同じかも知れやせんね…」

盗賊「こりゃもしかすると開かずの扉もどっかにあるかも知れんぞ?」

学者「ちっと気が抜けなくなりやしたね…暗視ゴーグル装着しときやす」スチャ

女ハンター「私も…」スチャ

盗賊「リコル中心で進もう…ロボは俺から離れるな?」

ロボ「ピポポ…」ウィーン


--------------


『崩落した壁』


ガラガラ


盗賊「あちこち崩れまくってんな…」キョロ

戦士「フィン・イッシュは地震が多いそうだ」


キシャァァ!!


盗賊「何ぃ!!」キョロ

少女「おい!!何だ?匂い無いぞ?」シュタ

戦士「この感じは…レイス!!」スラーン

女ハンター「そんな…銃が効かない敵が出るなんて…」タジ

戦士「影だ…影の中から出て来るから気を付けろ!」チャキリ

剣士「耳だよ…良く聞いて…息遣いが聞こえる…」


シャァァ… スゥ…


剣士「そこ!!」ダダ ブス

レイス「キャアァァァァァ…」シュゥゥゥ

盗賊「ゾンビどころじゃ無ぇ…こりゃ中々危無ぇ場所だ…」タジ

戦士「ラシャニクア君…君にミスリルの鈴を渡しただろう…その鈴は魔除けの効果が在る」

女ハンター「これ?…」リーン

戦士「それを鳴らして居ればレイスは寄って来ない筈だ」

盗賊「都合よく良い物持ってたな?」

戦士「先に進もう…」スタ


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749 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:35:56.39 ID:RKoe7B/E0
『鉄柵で区切られた場所』


ガチャン ガチャン


盗賊「ダメだこりゃ…鉄の落とし扉でこっちからじゃ開けられん」ガチャガチャ

戦士「こんな所に落とし扉…」

盗賊「場所的に多分城の地下監獄と繋がってんだろ…ここは王族が逃げる時用の通路だ」

戦士「なるほど…」

盗賊「逆に言えばこういう場所から城に侵入出来るんだが…あの城は誰でも入れるから意味無ぇ」

少女「アラン!!水が流れる音する…」

盗賊「何処からだ?」キョロ

少女「多分下だ…」

学者「兄貴!!これバン・クーバと同じ構造ならもう一層下に空気と水が流れる層がありやすね…」

盗賊「…て事は海まで繋がってるってか」

学者「だからここが城と繋がってるんじゃ無いっすか?」

盗賊「ふむ…古代遺跡の構造を利用して城を建てているか…」

戦士「どうする?先に進むか?」

盗賊「うむ…どうせなら海まで抜けて見よう」



--------------



『側道』


スタスタ…


戦士「また側道だ…」

盗賊「こりゃマッピングしないと迷って出られんくなりそうだ…」

学者「ちっと休憩しやせんか?」

盗賊「そうだな…元来た道を戻っても夜になっちまうだろうから今日は此処で休む事になりそうだ」

剣士「携帯食料持ってるよ!!」

盗賊「そら準備の良いこって…しかし…燃やす物が何も無い…」

女ハンター「水が流れる層まで降りれば木屑とか落ちているかも知れない」

盗賊「う〜む…」

少女「アラン!!何か落ちてるぞ!!」シュタ

盗賊「んん?銀貨…なんでこんな所に…」

学者「本当っすね…」

女ハンター「目印で置いて居るという可能性は?」

戦士「この側道を行けと?」

盗賊「ようし!この側道行ってもうちょい進んで見よう」スタ


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750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:36:38.60 ID:RKoe7B/E0
『外された蓋』


タッタッタ…


盗賊「おい!!見ろ!!一層下に降りる梯子だ」

戦士「蓋が開けっぱなし…どうやら誰かが通路として使って居たのに間違いないな…」

盗賊「クッソ!!ロープ持ってくりゃ良かったなぁ…ロボを下ろせん」

剣士「あ!!金属糸持ってる!!」

盗賊「お!?ナイス!!」

剣士「どう使う?」

盗賊「俺がロボを背負うから落ちん様に括り付けてくれ…それならタラップを降りられる」

剣士「おけおけ!!」

盗賊「ようし!!ロボ!!来い」ヨッコラ

ロボ「ピポポ…」ウィーン ガシ

戦士「先に私が降りて安全を確かめて来る」

盗賊「おう!頼む!」

少女「父!!私も行くぞ!!何か匂う」シュタ

戦士「よし!掴まれ!!」


--------------


『下の層』


ピョン ドスン!


盗賊「つつつ…やっぱロボは重いな…」

ロボ「ピ…」シュン

剣士「次僕降りるねぇ!!」

盗賊「おう!!こっちは安全…じゃ無ぇなこりゃ…」キョロ

戦士「アラン!!見ろ!!人骨が2つ…どう思う?」

盗賊「こりゃ山賊か何かの隠れ家だったんだな…仲間割れしたんか?」

剣士「よっ!!と…」ピョン シュタ

戦士「まぁ…他には誰も居そうに無いが…燃やす物は在りそうだ…どうする?」キョロ

盗賊「とりあえず何か使える物無いか漁るぞ…ロボ!!背を下りろ」

ロボ「ピポポ…」ウィーン

剣士「あ…この荷車は車輪を直せば使えそうだ」ゴソゴソ

盗賊「こんな所に荷車置いて何を運ぶ気だったのか…」ゴソゴソ

剣士「ちょっと直しておくね…」トントントン


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751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:37:16.31 ID:RKoe7B/E0
『焚火』


メラメラ パチ


学者「この白骨は頭蓋を銃で撃たれて即死だったみたいっすね…」

女ハンター「弾丸の欠片が壁にいくつも残ってる…鉛弾の連射するタイプ」

学者「あたたたた…キラーポッドが居るって事っすね」

盗賊「所持品が奪われて居ない所を見るとやっぱそうなるな…金貨7枚持ってた」ジャラ

剣士「アランさん!!使えそうな物全部荷車に積んでおくよ?」

盗賊「おう!!木箱の中は何が入ってた?」

剣士「酒だよ…あと水も」

盗賊「おぉぉ酒が有ったんか…ちっと一本クレ!!」

剣士「はい!!」ポイ

盗賊「食い物はみんな腐ってどっか行った様だな…」キョロ

剣士「レーションなら持ってる…居る?」

盗賊「俺は酒があれば良い…それはみんなで分けて食え」

学者「う〜ん…な〜んかおかしいっすねぇ…」

盗賊「んん?何ヨ?」

学者「なんで白骨の衣類が脱げて居たか…これズボン履いてないんす」

盗賊「クソでもしてたんだろう」グビグビ

学者「頭蓋の弾傷も至近距離で撃たれた痕っすよ…な〜んか変っすねぇ…」

女ハンター「この白骨…両方とも男?」

学者「そうっすね…」

女ハンター「ふーん…」

盗賊「所持品からして山賊か海賊なのは間違い無さそうだ…まぁ仲間割れしたのかもな」

学者「…だとすると…俺っちのバヨネッタみたいな武器持ってるっすね」

盗賊「機動隊の奴らがこっちまで来てるってか…」

学者「なんかそんな感じがしやす…荷車で何か運ぼうとして仲間割れっすね」

盗賊「ふむ…この通路使うあたり…古代遺跡の構造を割と知ってるって事か…」

戦士「ここは海まで抜けているのだな?」

盗賊「多分な…この遺跡は線路こそ無いが…ほぼバン・クーバと同じ構造だ…緩やかに傾斜しながら海へ続いてる筈」


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752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:37:56.71 ID:RKoe7B/E0
『荷車』


ヨッコラ ドスン!


盗賊「ロボ!これでちっとラク出来るな?」

ロボ「ピポポ…」クルリン

盗賊「まだ乗れるスペースあるぞ?ミルクとワンコも乗れぇ!!」

少女「ワンコ言うな!!ウルフィだ」ピョン シュタ

ウルフ「ガルル…」ピョン シュタ

盗賊「結構物資有るな…剣と盾が2つづつか…」

剣士「それも銀製さ…フィン・イッシュは銀製の武器が流行ってるんだね?」

戦士「銀鉱山が有るのだよ…だから安いのだ」

剣士「なんだ安いのかぁ…」

盗賊「もう一回焚火をするかも知れんから木屑も乗せて置く」ガサガサ

女オーク「次は私が荷車を引く…」

盗賊「おう!そりゃ助かる」

剣士「じゃぁ海を目指して行こうかぁ!!」

盗賊「だな?行くぞ!!」


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753 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:38:37.99 ID:RKoe7B/E0
『真っ直ぐな通路』


ガタゴト ガタゴト


戦士「今どちらの方向に向かって居るか分かるか?」

盗賊「もう分からん…外海に出るのか内海に出るのか…行って見てからのお楽しみよ」

戦士「もう日が落ちている時間だが…全然出口が見えん」

盗賊「あーーそれはな?ゆっくり傾斜している区画と水平の区画があって出口が見通せなくなってんのよ」

戦士「そういう事か…」

盗賊「防衛上そんな事になってるとか聞いたな…ミネア・ポリスでの話だが」

学者「この通路の一つ上の層もいろいろギミックがあるんすよ?側道が多いのもそういう理由らしいっす」

戦士「爆風を避けるとかか…」

学者「そうっすね…そういうのを上手く利用して機械と戦うんすよ」

戦士「こちらの大陸でも古代では向こうの大陸と同じ様な感じだったのか…なるほど」

盗賊「どういう訳かこっちの大陸は向こう程ボロボロじゃ無い様だが…」

戦士「しかし…随分歩いた…老体に堪える」ボキボキ ノビー

女オーク「まだ荷車に空きが有るから乗って少し休んで良いわ…」

戦士「いやぁ若い者に負ける訳にイカン…」

少女「父!何か匂うぞ」クンクン

剣士「本当だ…何の匂いだろう?」クンクン

盗賊「おっとぉ…なかなか休め無さそうだな?」チャキ


カサカサ サササッ


盗賊「んん?フナムシだな…」

学者「じゃぁ海が近いって事っすよ」キョロ

盗賊「こう暗くちゃ出口も分からんな…」

少女「水の音だ…200メートルぐらい先で海の匂いもする」クンクン

盗賊「そんなら見える筈だけどな…」

剣士「ねぇ…この出口って水没してるんじゃない?」

盗賊「なぬ!?」

剣士「なんか行き止まりな気がする…」

学者「行って見やしょう!!」ダダ


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754 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:39:11.57 ID:RKoe7B/E0
『行き止まり』


チャプ ジャブジャブ


盗賊「ぬぁぁ…こっから泳いで出ろってか…」

学者「もうちっと明るくなったらどの位の距離か分かりそうっすね…」

盗賊「おい!!口に咥えるガスマスク持って来てるか?」

学者「ええ!?船に置いて来ちまいやしたよ…」

盗賊「なぁぁクソ!!俺もだ…どうすっかな…」

女ハンター「壁面を見て…」

盗賊「んん?」

女ハンター「変色している線から見て今はほぼ満潮だと思う」

盗賊「おぉ!!潮引くの待てば良いか…」

学者「外海は塩の満ち引きがえらい高いんでしたっけ」

盗賊「おーし!!ここでもっかい焚火起こして休むか…潮が引いたら一気に出よう」

剣士「行き止まりだから安全だね」

盗賊「だな?」

戦士「しかし…山賊は良い場所を隠れ家にしていたな」

盗賊「うむ…ここまで荷を運べばそのまんま船に積める…何を運ぶ気だったのか?…」

学者「あの地下墓地が他に何処と繋がってるかっすよね」

盗賊「城にゃ何も無ぇからカジノ当たりと繋がってるのかもな?」

剣士「ねぇ!!火を起こしちゃうよ?」

盗賊「おう!!ちっと温まるか」


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755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:39:52.43 ID:RKoe7B/E0
『翌日_昼頃』


ザブザブ 


盗賊「おぉぉ!!ギリギリ荷車引ける」グイグイ

戦士「ハハハなかなか楽しい冒険だった」

盗賊「ここが何処か分かるか?」

戦士「外海側の新市街外れだ…造船所が近い」

盗賊「良く知って居るな?」

戦士「アランの船をそこで補修しているのだ…寄って行くか?」

盗賊「そうだな?…てか俺の船をリカオンが勝手に補修している訳だが…」

戦士「補修と言っても塗装が殆どらしい…放置された期間が長いから船体に樹脂を塗り込むのだとか」

剣士「あーーそれやった方が良いね…木が随分縮んじゃって居たからさ」

盗賊「まぁ良いや…折角だからこの荷車も積んで行こう」

戦士「こっちだ!案内する…」


-------------



『造船所』


エンヤーコーラー ドッコイサー


船大工「あんら?また来たんかいのー」

戦士「ハハ…荷物を積みにと思ったが…」

船大工「見ての通りや…水から上がっとるで船には乗れんでぇ〜?」

盗賊「おいおい…こりゃ俺の船なんだが…水から上げちまってぶっ壊れたりしないだろうな?」

船大工「木組みにしっかり乗っ取るわい…積む荷があるなら向こうの倉庫に入れとき〜な」ユビサシ

盗賊「俺の船はどう補修するんだ?」

船大工「船底の補強と塗装の塗り直しや…今のままやと少し岩礁に当たったら沈没やでのぅ」

盗賊「ほーん…」

剣士「ねぇ!!僕補修やってる所見たいなぁ!!」

船大工「ええで〜!!見るだけや無うて手伝うて行けや」

戦士「アラン君…折角新市街地の方に来たのだから今晩はこっちの宿に泊ったらどうだ?」

盗賊「あぁそうだな…あの馬車にあんま乗りたく無いしな…」

戦士「新市街の方はドワーフの割合が多くてね…また違った雰囲気なのだよ」

盗賊「その様だ…」キョロ

戦士「探し人をこっちの方までは探しに来て居ないのだろう?」

盗賊「うむ…まぁ酒場で聞き込みでもしてみるか」

戦士「こっちは黄金の取引所があるのだが…」

盗賊「お!!マジか!!そんなん知らんかったわ…」

戦士「船着き場の直ぐ脇だ」

盗賊「なんだ…到着早々だったから見落としてたんか」

学者「兄貴ぃ…とりあえず宿を取りに行きやせんか?」

盗賊「そうだな…行くか!!」スタ


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756 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:40:23.27 ID:RKoe7B/E0
『街道』


ワイワイ ガヤガヤ


盗賊「ほーーこっちは鍛冶場から木工所まで何でもあるな…」キョロ

学者「船で運んで来た物資をここで加工してるんすね」

盗賊「それであの造船所か…」

学者「それしにてもドワーフが多いっすねぇ…」キョロ

戦士「どの船がそうなのか分からんが…ドワーフの海賊達が立ち寄るらしい」

学者「ドワーフの国って領地が良く分からんっすよね…外海にもあるんすかね?」

盗賊「開拓して領地宣言するは良いがほったらかしになるそうだ…たまに来ては物資を根こそぎ持って行くんだとよ」

学者「俺の縄張りだから俺の物って奴っすね」

盗賊「向こうの大陸のハテノ自治領もそうだな?内陸なのにドワーフが多い…たまに来ては硫黄だけ持って行く様だ」


スタスタ…


フードの男「…」チラ

盗賊「んん?」フリムキ

フードの男「…」ジロジロ

盗賊「何よ?お前…マントの下に何か持ってんな?」スチャ

フードの男「…」クルリ


タッタッタ…


盗賊「おい!!」

ロボ「ピポポ…」ウィーン ガシャ ガシャ

盗賊「ロボ?どうした?」

ロボ「ピピピ…」ユビサシ

盗賊「まさか!!…今のはカゲミか!?」

少女「まだ追えるぞ?行くか?」

盗賊「当たり前だ!!行ってくれ!!」

少女「ウルフィ!!行くぞ!!」シュタタ

ウルフ「がるる…」シュタタ

剣士「え?え?…なになに…」タジ


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757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:41:07.21 ID:RKoe7B/E0
『倉庫』


タッタッタ…


フードの男「ハァハァ…」クルリ

ウルフ「がうるるる…」シュタ

少女「逃げても無駄だ…お前誰だ!?」シュタ


タタタターン!


ウルフ「ギャヒーン!!」

少女「え…」タジ

フードの男「警告さ…次は君だ」スチャ

少女「ウルフィ!!」シュタ

フードの男「盗賊ギルドの者だね…僕は君達に掴まる訳に行かないんだ…行かせて貰う」


スゥ…


フードの男「なっ!!?」ギクリ

盗賊「落ち着けカゲミ!!」スチャ

フードの男「アラン…どうして盗賊ギルドなんかに…」

盗賊「俺は敵じゃ無ぇ…ちっと落ち着け」グググ

フードの男「ニーナも居たな?話がしたい」

盗賊「残念だが…ニーナは死んだ…あそこに居たのはニーナに瓜二つの別人なんだ…お前を探していた」

フードの男「そんな…」

盗賊「どうしてそう粗だって居る?」

フードの男「全員信頼できる者か?」

盗賊「お前…何かから逃げてんだな?」

フードの男「質問をしたのは僕の方さ…信用出来るのかい?」

盗賊「俺くらいにはな?」

フードの男「フフ腕を離して貰いたい…」

盗賊「お前の方こそその引き金にかかった指を抜け」

フードの男「それじゃ対等にならないじゃ無いか…僕は数で負けている」


タッタッタ


学者「兄貴ぃ!!銃声が…」

盗賊「ゲス!!ワンコが撃たれた…手当しろ!!」

学者「ええ!?ちょちょ…この状況って…」

盗賊「良いから今すぐやれ!!」

学者「へ…へい!!」ダダ

少女「ゲス!!お尻の方だ!!血はあんまり出てない」

学者「あらら…カスリ傷っすね…ちっと塗り薬塗るんで動かん様に押さえてて下せぇ」


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758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:41:59.34 ID:RKoe7B/E0
『対話』


チャキリ スチャ


盗賊「カゲミ…まぁそうイキるな」

フードの男「その男は誰だい?」スチャ

盗賊「そのちびっ子の父親だ…ほんで後ろで銃構えて居るのがラシャニクア…お前も知ってるだろう」

フードの男「3人でこちらに来る予定だったのに…どうしてこんなに増えたのかな?」

盗賊「色々あんのよ…話は長くなる」

フードの男「盗賊ギルドの者がどうしてアランの側に居るんだい?」

盗賊「なんつうか…成り行きで俺も盗賊ギルドに入れられた」

フードの男「…」ギロリ

盗賊「なんで又盗賊ギルドを嫌ってんのよ?」

フードの男「裏切ったからさ…」

盗賊「まぁそっちも色々事情があんだな?それより俺は姉御からあまり事情を聞かされないままお前を尋ねに来た…どうなってんのよ?」

フードの男「ホムンクルスの居場所…」

盗賊「おぉ!!ソレだソレ!!俺はお前にその情報を聞きたかった」

フードの男「それはマルコさんが知ってる…そしてマルコさんはシン・リーンで捕らわれの身さ」

盗賊「何?」

フードの男「僕はマルコさんを追ってる…君はホムンクルスを追ってる…目的が合致しているからニーナと協力する予定だった」

盗賊「そういう事か…」

フードの男「シン・リーンはね…魔術師の幻術という魔法を使って言論統制をやって居るんだよ」

盗賊「言論統制?」

フードの男「彼等に都合の悪い記憶を魔法で消してしまうのさ…だから…マルコさん含め勇者達が何をしたのか誰も知らない」

盗賊「なんだと?」

フードの男「勇者の仲間が誰でその後どうなったのか…全部隠されて居るんだ…関わると記憶を消されるんだよ」

盗賊「お前はそれから逃れて居る…のか?」

フードの男「まぁね…今の所シン・リーンの魔術師にはまだ見つかって居ない…ただ盗賊ギルドには見つかってしまった」

盗賊「あぁぁ…俺は盗賊ギルドつっても何も聞かされて居ないんだが…」

フードの男「魔術師達とベタベタの関係なのさ…直に伝わってしまう」ジロリ

少女「お前ー!ウルフィを傷つけた恨みは忘れんからな!」

フードの男「さぁ…僕はここまで話した…僕の安全は確保してくれるんだろうね?」

盗賊「安全も何も俺らはお前をどうにかするつもりなんざ初めから無い…マルコを連れ戻せばお前はそれで良いんだな?」

フードの男「出来るのかい?」ジロ

盗賊「俺は泥棒だ…何でも盗んでやる」

フードの男「じゃぁ手始めに…船でも盗んでもらおうか」

盗賊「なぬ!?」

フードの男「シン・リーンへ行くには船が無いと行けない…陸路で行く場合間を遮る森を抜ける必要がある」

盗賊「俺ら船に乗って来たんだが…」

フードの男「漁船で行くと言うのかい?」

盗賊「いや待て…漁船じゃ無くてキャラック船だ…今造船所で補修してる所だ」

フードの男「ハハ…あの船は君の船だったのか…アレを盗んで来てくれと言う所だった」

盗賊「まぁちっとこんな場所じゃアレだから…何処かで落ち着いて話をしようか」


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759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:42:30.71 ID:RKoe7B/E0
『茶屋』


リーン チリンチリーン


盗賊「こりゃ又風流な茶屋だな?」キョロ

フードの男「周りを見てごらん?」

盗賊「働いてるのはオークだけ…か?」

フードの男「そうさ…オークには電脳化した者が居ない…唯一信頼できる種族さ」

盗賊「ドワーフはダメか?」

フードの男「ダメだよ…彼らの中には機械化を好む者も居る…どんなデバイスが仕込まれているか分かったもんじゃない」

盗賊「また随分警戒してんだなぁ…」キョロ

フードの男「そのロボットは…ミファだね?」

盗賊「そうだ…筐体を変えながらなんとか生きてる」

ロボ「ピポポ…」クルリン

フードの男「ギャングの皆はどうしてるのかな?」

盗賊「もうバラバラで何処行ったのか分からん…今揃ってるのが俺とお前…そしてニーナ…」

フードの男「ニーナ?死んだと言ったよね?」

盗賊「此処だ…」プラーン カラカラ

フードの男「これがニーナの…牙…」

盗賊「ちっと電脳化の連中が持ってた白黒の書簡に手を出しちまってな…お前も何か知ってるんだろ?」

フードの男「まぁね…」

盗賊「こんなんなっちまって残念な限りだ…お前もちっと顔見せてくれ」

フードの男「顔は見せない主義なんだけれど…」ファサ

盗賊「ふむ…変わって無さそうだ…」

学者「あらら?ええ!?女っすか…声が男…」

盗賊「色々あんのよ…突っ込むな」

闇商人「ハッキリしておくよ…女でもあり男でもある…それだけさ」

闇商人「ところでニーナから何処まで聞かされて居るのかな?」

盗賊「半年前から殆ど会話出来て無くてだな…一緒にフィン・イッシュ向かう位しか聞いてないんだ」

闇商人「そうかい…その後ニーナは陸路でシン・リーンへ行くつもりだった様だよ」

盗賊「まぁ俺は別にそれでも良いんだが…」

闇商人「無理だね…道中はフィン・イッシュと違って自由の利かない国ばかりさ」

盗賊「そこら辺の事情は知らんかったんだろう」

闇商人「僕はここで大き目の船を入手して大陸の北を回って行けるように準備してた…でも盗賊ギルドに裏をかかれてしまってね」

盗賊「裏?」

闇商人「雇って居た傭兵を全員雇い返された…丸ごと奪われたのさ」
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:42:58.96 ID:RKoe7B/E0
盗賊「じゃぁもう金は無いって感じなんだな?」

闇商人「残って居るのは魔石を一袋…」

学者「ちょちょちょちょ…めちゃ持ってるじゃ無いっすか!!」

闇商人「これじゃ船は買えない…でもアランが船を持って居るならもう一度準備出来る分は有るかな」

盗賊「てかな?あんま準備要らんかも知れん」

闇商人「どういう事だい?」

盗賊「俺らも大陸の北側回ってシン・リーンに行く予定だったのよ…ただ目的がちょい違う」

闇商人「??」

盗賊「海賊王の娘を演じてる女王と盗賊ギルドのド派手な婆ぁに追随しろって話なのよ」

闇商人「アハハハ面白い話じゃ無いか…女王が海賊王の娘になっているだって?」

盗賊「どうやらその目的は本物を誘き出す作戦らしい…ほんでな?」

少女「おいアラン!!ギルドの秘密を勝手にバラすな!!」

盗賊「ちびっ子は黙ってろ!こいつは俺の古いダチだ…お前の母ちゃんとは付き合いの長さが違う」

少女「父!!良いのか勝手にやらせても!!」

戦士「ミルク…行く末を落ち着いて見るのも良いのでは無いか?」

少女「ぐぬぬ…」プイ

盗賊「悪い…話中断したな…まぁフィン・イッシュとシン・リーンの共同作戦なんだとよ」

闇商人「魔術師も…絡んで居るのか…」トーイメ

盗賊「んん?どうした?」

闇商人「多分それは…ただシン・リーンへ行く訳では無さそうだね」

盗賊「どういう事よ?」

闇商人「要衝の攻略といえば分かりやすいかい?」

学者「ええ!!?そら無茶っすよ…船なんかミサイルで一瞬で沈められやすよ」

闇商人「魔術師は魔導航法という技で空を自在に飛ぶのさ…ミサイルを発射する場所をピンポイントで潰せるんだよ」

盗賊「マジか…」

闇商人「でも魔術師だけでは制圧力が足りない…船からの射撃で面制圧した後に上陸するのさ」

盗賊「そういや船隊組んで移動してるって聞いたな」

闇商人「ふーん…そこに追随ねぇ…」

盗賊「どうよ?お前も来い!!多分な?盗賊ギルドからの支援で俺の船にも物資が積まれる…あんま準備する必要も無いんだ」

闇商人「なるほど面白い…但し!アランの船はシン・リーンに行くのを最優先して戦闘には参加しない事…どうだい?」

盗賊「俺の船は戦闘用じゃ無いからな…大砲も積んで無いからそもそも加われん」

闇商人「フフよろしく頼むよ…」


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761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:43:32.06 ID:RKoe7B/E0
『1時間後』


アホー アホーーー バッサ バッサ


学者「食べ物が豆とお茶だけなんすが…何なんすかねぇ…こののんびりした感じは」グター

盗賊「ミライとリッカは完全にくつろぎモードだな…」

学者「宿屋どうしやす?日が落ちちまいやすぜ?」

闇商人「人気の無い宿屋なら知って居るよ?」

盗賊「あぁそこで良い」

闇商人「只夜中は安全じゃない…それで良いなら」

盗賊「安全じゃないってどういう意味だ?」

闇商人「魔物さ…宿に泊まった人は落ち着いて寝られないらしい」

盗賊「ヌハハそれじゃ稼ぎ放題だ」

闇商人「そうかい?…まぁ…後で案内してあげるよ」

学者「ところで…カゲミさん…そのバヨネッタどうしたんすか?」

闇商人「あぁ…こんな物闇で買えるのさ…護身用で持って来たんだよ」

学者「見せて貰って良いっすか?」

闇商人「壊さないでくれよ?」カチャ

学者「これ剣の部分どうしたんすか?銃剣になって無いっすよ?」

闇商人「バラ売りだったのさ…使わないと思って買ってない」

学者「まぁこっちの方が小型で済むんすが…ふむ…やっぱ俺っちのとほぼ同じっすね」

盗賊「マントの下でちゃんと隠せるなら剣の部分なぞ無い方が良いんじゃ無ぇか?一回も使って無いだろう」

学者「確かにそうっすねぇ…」

盗賊「機動隊はワイヤー使った機動戦闘で剣に持ち替える無駄無くすのにそれ付けてんのよ…機動戦闘しないなら不要だ」

学者「俺っちも兄貴に習ってミスリルダガー持ち歩く様にしやすかねぇ…」

盗賊「お!!そういやドワーフ居るならここでもミスリスダガー売ってるかもな?」

学者「兄貴もダガー欲しいんすか?」

盗賊「俺のダガーは形見だからよ…あんま刃こぼれさせたく無いんだ…だからもう一本欲しいのよ」

学者「兄貴…金持って無いっすよね?」

盗賊「ぐはぁ!!」ドタ

学者「今晩稼げるかも知れやせんぜ?ガーゴイルは余裕っすからね」

盗賊「カゲミ探さんでも良くなったから俺も稼ぎに出るかぁ…」


--------------
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:44:06.47 ID:RKoe7B/E0
『とある宿屋』


ガチャリ バタン


盗賊「なんだ普通の宿屋じゃ無ぇか…客もそこそこ入ってる」キョロ

闇商人「この部屋は特別らしい」

盗賊「んん?何も変わった所無いぞ?」

闇商人「さぁ?僕はそれ以上の事は知らない」

剣士「なんか下に倉庫部屋が有るね…僕そっちに行こうかな」

盗賊「まぁ珍しいっちゃ珍しい間取りだが…」

闇商人「さて…君の船はいつ修復が終わるんだい?」

戦士「早くて2週間程…と聞いたのが3日前だね」

盗賊「あと10日ぐらいは出港出来ん様だ…」

闇商人「そうかい…じゃぁ僕も色々片付けなければならない事があるんだ…そうだな一週間後に又ここに来る…それで良いかい?」

盗賊「俺ら旧市街地の方でも宿を取っててよ…」

闇商人「それは困ったな…あちらは盗賊ギルドの縄張りなんだ…下手に僕が近づけない」

戦士「まぁ向こうは引き払っても良いのでは無いか?」

盗賊「そうだな!!明日にでも戻って置いて来た荷物取りに行こう」

戦士「それにしても何故それほど盗賊ギルドを毛嫌いに?」

闇商人「裏切った傭兵が僕の顔を知って居るのさ…まだ盗賊ギルドに雇われて居るかもしれない…どうも下半身に節操が無い連中でね」

盗賊「なるほど?…そりゃフードで顔隠しといた方が安全だわな」

闇商人「そういう事で…一週間後に又…」

盗賊「おいおい待て!!どうせ俺らも暇な訳よ…何か手伝える事あるならやっても良いんだぜ?」

闇商人「ドワーフの海賊達と海上取り引きなのさ…知らない人間を連れ歩くのは邪魔にしかならない」

盗賊「そうか…まぁ一旦お別れか…」

闇商人「大丈夫さ…一週間もあれば戻れる…まぁ僕が居なければ困るのは君だろう?僕を置いて行くとも思えない」

盗賊「おいおいそう困らせないでくれ」

闇商人「じゃぁ又…」ノシ


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763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:45:07.39 ID:RKoe7B/E0
『倉庫部屋』


ドタドタ


盗賊「ほーーーこりゃ又不気味な倉庫だ事…」

学者「壁がシミだらけっすね…なんなんすかコレ…」

少女「死肉の匂いだ…だれか此処で食われたのだろう」

盗賊「なぬ!?お前ガキンチョのクセにエグイ事言うな…」

剣士「黒炭と白炭があれば匂いは取れそうだよ…まだ日が有るしちょっと買い物に行こうかな」

戦士「市場は近いから案内してあげよう」

学者「俺っちもミスリルダガー無いか見に行きたいっすね…」

盗賊「おー行って来い行って来ーい!!俺はちと休憩だ」

学者「兄貴!!貸した金貨10枚…返して貰って良いっすか?昨日金貨7枚入手しやしたよね?」

盗賊「ぐはぁ…くっそ覚えていやがったか…」ジャラリ

学者「まいどー!!ミライ君!!買い物行きやしょう!!」

剣士「うん!!姉さんも行こう!」グイ


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764 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:45:34.97 ID:RKoe7B/E0
『お手伝いロボ』


カチャカチャ…


盗賊「よっし!異常は無さそうだな…」パカ

盗賊「んん?アレ?なんでだ?エリクサーの量が増えてる気が…」

女ハンター「…」シラー

盗賊「んん?あん時傾いてたんかな…まぁ良いや…当分エリクサーは問題無さそうだ」カチャ

ロボ「ピポポ…」クルリン ウィーン

盗賊「待て待て…また油差して無ぇ」ガシ

ロボ「ピ…」ジタバタ

女ハンター「ねぇ…あのカゲミって言う人」

盗賊「んん?どうした?」

女ハンター「幽霊船に乗って居た人とそっくり…」

盗賊「あぁ…幽霊船に乗ってたのは多分マルコだ…カゲミはそいつの影武者やってたのよ」

女ハンター「影武者が必要な程危ない事を?」

盗賊「そん時俺は知らんかったんだが…マルコも白狼の盗賊団の一味だ…表の世界で顔が知られちまってるのよ」

女ハンター「そういう事ね…」

盗賊「白狼の盗賊団が…勇者一行…世間にゃ知られて居ないがな…」

女ハンター「その全員の行方が不明になって居る原因が…シン・リーンの魔術師のせいね」

盗賊「カゲミ曰く…そういう事なんだろうが…多分他にも色々情報持ってるぞ?アイツ」

女ハンター「どうしてそれが分かる?」

盗賊「あいつは昔から情報を小出しにして俺らを利用しようとすんのよ…まぁ信用は出来るから安心しろ」

女ハンター「それと…女でもあり男でもあるって言うのは?」

盗賊「そのまんまだな…体は女だが中身が男なんだ…」

盗賊「それなりに修羅場生き抜いて来たからバヨネッタの引き金引くのも早い」

女ハンター「ふ〜ん…」

盗賊「なんだお前?気になんのか?」

女ハンター「いや…あういうタイプの人間は初めてだから…」

盗賊「お前も男っぽいが…やっぱどう見ても女だな?」

女ハンター「うるさい!」ドス

盗賊「おわっと!!今ロボに油差してんだから邪魔すんな!!」


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765 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:46:37.60 ID:RKoe7B/E0
『1時間後』


ドタドタ


学者「いやぁぁ安かったっすねぇ!!」

戦士「ハハ港に近いだけ有って良い物が買えて良かったじゃ無いか」

盗賊「どわ…なんだお前等…何個樽運んでんのよ…」

剣士「黒炭も白炭もすごい安いのさ…火薬も樽毎買っちゃったよ」

盗賊「マジか…」タジ

剣士「丁度ここに倉庫あるじゃない?船に積む物をもう買ってるんだ」

盗賊「樽で火薬って…」

剣士「爆弾作るのにどうせ使うんだ…作る手間考えたら買った方が安いんだよ」

学者「兄貴ぃ!!見て下せぇ!!」スチャ

盗賊「おぉ!!ミスリルダガーか…いくらしたんよ?」

学者「一本金貨5枚っす!!」

盗賊「くぁぁぁぁくそう!!俺にヨコセ!!」

学者「今晩の稼ぎ次第で…明日買いに行けるかもしれやせんぜ?」

剣士「あ!!ラスさん!!ガーゴイルの角を換金して来たよ…これ分け前!!」ジャラリ

女ハンター「あぁそんな…良かったのに」

学者「狩りは均等配分が鉄則っす」

剣士「さてぇ!!早い所黒炭と白炭で倉庫の匂いを取ろう!!」


キシャーーー


少女「うわわわ…なんか出たぁ!!」シュタタ
766 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:47:10.66 ID:RKoe7B/E0

盗賊「何!!?」ダダ

女ハンター「あ…」

盗賊「なんだこの部屋はレイスが出るんか…どこだ!?」キョロ

戦士「ミルク…慌てないでこっちにおいで」

女ハンター「ミスリルの鈴で追い払う…」ダダ

戦士「そうだね…それが良い」


チリン チリーン…


女ハンター「…」キョロ

盗賊「んん?どっか行ったか?」

女ハンター「レイスは雰囲気のある場所に出やすいらしい…」

盗賊「こら早い所倉庫の匂い消してなんとかせんと寝られんぞ…」

剣士「おけおけ!!匂い消す効果のある物色々買って来てるんだ…姉さん!早く運ぼう!」ヨッコラ

女オーク「全部地下ね?」ヨッコラ

盗賊「また随分重そうな物を…」

剣士「それは砂銀だよ…純度の低い砂銀は安く売ってるんだ…これも匂い消しになる筈」

盗賊「なんで砂銀なんか買う気になったんだ?」

学者「あ…それ俺っちが欲しくて買ったんす…ポーションの材料になるんすよ」

剣士「これ溶かして器を作ったりも出来るさ…いろいろ便利なんだよ」

盗賊「ほーん…」

学者「兄貴も突っ立って無いで運んで下せぇ…」


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767 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:47:42.07 ID:RKoe7B/E0
『夜』


ドタドタ


盗賊「じゃぁちっと狩り行って来るな?」

女ハンター「留守番は任せて…ミスリルの鈴が有るからレイスは大丈夫」

盗賊「おう!!ロボの事頼む」

戦士「さてミルク!実戦だ…用意は良いな?」

少女「ウルフィも居るから索敵は任せろ!」

盗賊「おーし!!今日はリコルが要よ…しっかりガーゴイルの攻撃受け止めてくれよ?」

戦士「若い者にはまだまだ負けん!行くぞ!!」ズドドド

学者「なんか張り切って居やすね…」アゼン

剣士「アハハ良いじゃない…盾持ってるリコルさんが居れば姉さんももっと戦えるんだ」

学者「リッカさんも盾を持てば済むんじゃ無いっすか?」

剣士「盾は姉さんの速さを殺しちゃうんだよ…重たい剣の威力も半減しちゃう」

学者「なるほどー…一瞬で仕留める感じっすか…」

剣士「威力は速さの二乗だからね…僕は重さが足りないけど…」

学者「おぉ!!ソレっすね…俺っちのバヨネッタも弾速早くしたいんす」

剣士「あ!!出来るかも知れない」

学者「マジっすか…」

剣士「発射する部分の予備が沢山在ったでしょ?長くすれば早くなるかも…」

学者「おぉ!!確かに…原理がローレンツ力で加速してるんでコイルの巻き数を増やせば…あれ?」

剣士「んん?」

学者「ダメっすね…与えるエネルギーに限界あるんで意味無いっすよ…魔石から取り出せるエネルギーが足りんっす」

剣士「それなら魔石2つ使ったら?」

学者「魔石の消費が増えるのも微妙っす…う〜ん」

剣士「やっぱり工夫され尽くした武器なんだね…あと出来るとしたら…4発撃つのを止めて1発にする…」

学者「おぉ!?単純に4倍っすね…」

剣士「それを使い分けられる様にしたら?状況に応じてさ?」

学者「なんかイケそうな気がして来やした…その場合反動も4倍…補強が必要になるかもっすね」

剣士「おけおけ!!考えておくよ」

盗賊「お〜い!!モタモタすんな!!遅れてるぞ!!」

剣士「ゴメンゴメン!!話に夢中になってた!!」シュタタ


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768 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:48:12.33 ID:RKoe7B/E0
『数日後_とある宿屋』


ガチャリ バタン


盗賊「いよ〜う!!戻ったぜ?ヌハハハハ」

学者「今日はご機嫌っすね…狩りはどうだったんすか?」

盗賊「やっぱ俺にはシカ狩りだ…見ろ」ジャラリ

学者「おぉ!!金貨6枚!!」

盗賊「ミルクの鼻が相当役に立つのよ…ワンコにシカを追わせて俺が背後からブスリとな?」

学者「シカ運ぶの大変そうっすね…」

盗賊「そらしょうが無ぇ…一匹づつ背負って山降りるぐらいの苦労はせんなぁヌハハ」

学者「その労力はあんま勘定に入って無いんすね…」

盗賊「って事で俺は疲れて寝る…俺は夜の狩り行かんぞ」グター

学者「あのっすね…狩りしたら分け前は均等なんでミルクちゃんにも分けないとダメっすよ?」

盗賊「馬鹿野郎2人で分けて金貨6枚だ…つまり4匹背負って山降りたのよ」

学者「ウハハそれなら良いっす…4匹背負って山降りるとかかなり体力馬鹿っすね…」

盗賊「うるせぇ!!俺ぁ寝る!!」ドタ

学者「へいへい…」

剣士「ゲスさ〜ん!!バヨネッタの改造終わったよ」

学者「待っていやしたぜ?ウヒヒ…」

剣士「これで反動が大分押さえられてる筈…狙いが定まらないのはどうにもならないからそれで使ってね」

学者「まぁ仕方ないっすね…弾丸の形が丸なんでそもそも真っ直ぐ飛ばんすもんね」

剣士「近距離でドカンと一発当てたいときにだけ使う感じ」

学者「十分っすよ…これで硬い相手にもなんとか行ける様になるんで」

剣士「その銃はラスさんのライフル銃と違って弾丸に工夫が出来ないのがねぇ…」

学者「戦地で弾が簡単に入手出来る良さはあるんす」

剣士「そっか…それも利点かぁ」

学者「問題は魔石の入手なんすよね…」

剣士「さて…今日はどうするんだろう?リコルさん帰って来て無いんだけど…」

学者「今日もリザードマン狩りに行くって言ってたんで直に戻ってくると思うんすがねぇ…」


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769 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:48:50.11 ID:RKoe7B/E0
『夕方_宿屋の外』


ザワザワ ヒソヒソ

聞いたか?城の方で騒ぎがあったらしい…

それで民兵が動き出してるのか

なんでもドラゴンに乗ったエルフがいきなり弓で城に居た奴を撃ったんだとか

エルフが?そりゃ一大事じゃ無いか!!


戦士「…ラシャニクア君…もう見えないかい?」

女ハンター「雲の上に入って見失った…遠すぎて追いきれない…」

戦士「竜巻の中にドラゴンが居るとは…驚きだな…」

女ハンター「あんなのに襲われてしまったら何も出来ない…」

少女「父ぃ!!」シュタタ

戦士「おぉミルク…気付いたな?」

少女「山でウルフが騒いでる…何か起きてるぞ」

戦士「ウルフ達も状況を分かって居ないのか?」

少女「怖がっている…父も隠れるぞ」

戦士「とりあえず今日の狩りは中止だな…宿に入ろう」


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770 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:49:37.53 ID:RKoe7B/E0
『宿屋の部屋』


ガチャリ バタン


学者「あ…リコルさん…何すかこの騒ぎは?」

戦士「ドラゴンに乗ったエルフが突然城に居た者を殺したそうだ…今日は狩り所では無い」

学者「ええ!!?…マジすか…」

少女「父!!噂が聞こえてくるぞ」

戦士「どんな噂だ?」

少女「頭が爆発したそうだ…これは電脳化した者に違いない」

学者「ちょ…城に潜り込んで居る?」

少女「誰もその事に気付いて無い…エルフが悪者になってる…そういう噂だ」

女ハンター「じゃぁドラゴンが何度も街を襲ってる様に見えたのは…」

戦士「他にも電脳化した者を狙って居たと考えられるな…つまり何人も居たという事…」

少女「私少し分かるぞ…機械の音と匂い…ほんの少しある奴たまに居る」

学者「こりゃ大分キナ臭い感じになって来やしたね…」

戦士「城に潜り込むぐらいだと言う事は…女王が乗る船の行動も筒抜けになっているという事だな」トーイメ


盗賊「んがががが…すぴー」zzz


戦士「…」

少女「アランは呑気に寝て居るか…」ゲシゲシ

盗賊「ふごーーー…」モゾモゾ

学者「ラスさん!!ちっと俺っちと酒場でデートしやせんか?」

女ハンター「…」ジロ

学者「兄貴の代わりに情報集めに行くだけっすよ」

女ハンター「分かった…ちゃんとエスコートして」

学者「分かって居やすよ…ちっと行って来やすね?」

少女「父ぃ!!爺ぃにこの事教えに行く」

戦士「旧市街まで行くと?」

少女「行くのはウルフィだけだ…他のウルフにも遠吠えで伝える」

戦士「そうか…遠くには行くな?」

少女「すぐ戻るから待ってろ…行くぞウルフィ!!」シュタタ

ウルフ「ガウルルル!!」シュタタ


--------------
771 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:50:13.80 ID:RKoe7B/E0
『1時間後』


ガチャリ バタン


戦士「お!!戻ったね…何か情報は聞けたかな?」

学者「やっぱエライ事になってるみたいっすね…旧市街の方で民兵にかなりの死傷者が出てるらしいっす」

戦士「やはりそうか…竜巻らしい物も見えたからね」

女ハンター「ドラゴンを見た民兵が何も知らず先に矢を撃ったらしい…それで反撃されたって」

学者「エルフは魔法も使うんすね…竜巻とドラゴンの吐く炎でメチャクチャだったって言って居やしたよ」

戦士「ゲス君は戦場医なのだろう?支援に行って見てはどうだい?」

学者「う〜ん…」

戦士「それで救われる命もあるのでは無いかい?」

学者「そうっすねぇ…」

剣士「僕も手伝うよ?ポーション運ぶくらい出来る」

女オーク「ミライが行くなら私も…」

学者「じゃぁちっと行って見やすか!!」

剣士「馬車まだ間に合うかな?急ごう!!」シュタタ

戦士「私はミルクの帰りを待たなければいけないから明日の朝様子を見に行く」

学者「わかりやした…兄貴には上手く説明しといて下せぇ…ちと行って来やす!」ダダ


--------------
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:50:48.19 ID:RKoe7B/E0
『翌日』


アンタナニヤッテンノ バカジャナイノ…


盗賊「何ぃぃぃ!!ほんで俺とお前だけ残って…」

女ハンター「あんたが何しても起きないから!!」プン

盗賊「まぁしゃぁねぇ…どうすっかな…」ポリポリ

女ハンター「なんか寝言で妖精が…とか言ってたけど?」

盗賊「んあ?そうよ…なんか知らんけどフィン・イッシュ来てから妖精の夢ばっか見んのよ」

女ハンター「子供の頃…妖精に聞いた事がある…妖精は狭間の中に住んでるって…」

盗賊「狭間?なんだそりゃ?」

女ハンター「分からない…でもその狭間が何処かにあるから…妖精とか魔物が多い気がする」

盗賊「ふむ…確かに言われてみりゃ…なんで此処はガーゴイルやらレイスが多いのか謎だ…」

女ハンター「向こうの大陸じゃ殆ど見た事無いわ…」

盗賊「まぁそんな事よりどうするよ?」

女ハンター「どうするって…行き先も分からないのに動けないでしょう?」

盗賊「くっそ!ミルクも行っちまった様だしなぁ…」

女ハンター「どうせあんたが行っても怪我人の手当てが出来る訳じゃ無いんだから…諦めて買い物でもしたら?」

盗賊「おお!!?そうだ…金が入ったからミスリルダガーを買いに行くつもりだったんだ」

女ハンター「ミスリルの鈴も売って居るのなら買っておいた方が良いと思う」

盗賊「あんま金に余裕が無いんだ…てかお前の方が持ってるだろう」

女ハンター「…」ジロリ

盗賊「わーったわーった!余ったら買ってやるから付き合え!」

女ハンター「私が欲しい訳では無い…必要なのはロボの方!レイスから守らないといけないのはロボよ」

盗賊「んん?お前…ロボ守る為にいつも留守番してくれてんのか?」

女ハンター「だったら?」

盗賊「おう…悪いな…気を遣わせちまって」

女ハンター「じゃぁ早く準備して!!」ゲシゲシ

盗賊「蹴んなコラ!!」


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773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:51:27.84 ID:RKoe7B/E0
『市場』


ワイワイ ガヤガヤ

昨日の騒ぎでポーションの相場が高騰してるぞ…

薬草も一気に在庫無くなっちまった…くそう安売りしすぎた


盗賊「おーし!ロボ…これで動くたびに鈴が鳴る」

ロボ「ピポポ…」ウィーン チリーン

女ハンター「…」チラリ

盗賊「なんだよ?」

女ハンター「何でも無い」

盗賊「ほらよ!!お前の分だ…腰に差しとけ」ポイ

女ハンター「要求したつもりは無いけど…」パス

盗賊「何かと便利なんだ…ロボを守ってくれた礼だ」

女ハンター「フフじゃぁ頂く…」スチャ

盗賊「まぁ俺も一本手に入れた訳だし…満足よ」スチャ

女ハンター「もうお金無いんじゃない?」

盗賊「スッカラカンだ…また稼がんとなぁ…」

女ハンター「あんた本職は泥棒でしょう?」

盗賊「んあ?貧しい奴から盗む気なんざ無い…あぶく銭が余ってる奴専門だ」

女ハンター「どうやって見極めを?」

盗賊「うるせぇな!勘だ勘!!」

女ハンター「フフ…本当変な人…」

盗賊「しかし…ミルク居無ぇと狩り出来んなぁ…」ブツブツ

女ハンター「あ…あれ?あの船…何か様子がおかしい」ゴソゴソ カチャ

盗賊「んん?どれだ?」

女ハンター「なんだ…傾いてると思ったらマストが一本折れてる…」

盗賊「うは…マジか…」

女ハンター「え?何か知って?」

盗賊「そら多分バン・クーバ行く前に俺らを襲った海賊共だ…あいつ等普通に入船して来てんのか…」

女ハンター「鉢合わせてしまうかもしれないわね…」

盗賊「もう会いたく無いがな…」

女ハンター「あぶく銭の匂いは?」

盗賊「う〜む…まぁちっと見て来るかぁ…」

女ハンター「私はロボと一緒に宿屋で待ってるから…稼いで来れば良いわ」

盗賊「おう!頼むわ…まぁ直ぐに戻る」タッタッタ


--------------
774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:52:07.28 ID:RKoe7B/E0
『数時間後_とある宿屋』


ガチャリ バタン


女ハンター「あら?稼げたかしら?」フフン

盗賊「予想した通り…船にゃ大した物乗って無ぇ…銀貨がちょろっとだけだ」ジャラリ

女ハンター「フフ…でも良かったじゃない…酒代にはなるのだから」

盗賊「それよりな?面白い物見つけたぜ?」パサ

女ハンター「書簡?」

盗賊「どうやらあの海賊共はアヘンの運び屋だった様だぜ?…」

女ハンター「ちょっと見せて…」パサ

盗賊「こっちの大陸はケシが良く育つらしい…だがフィン・イッシュでアヘンは違法…向こうの大陸に運んでる訳よ」

女ハンター「この書簡は指示書じゃない…」ヨミヨミ

盗賊「うむ…多分依頼主がフィン・イッシュに居るから戻って来てんだろう…」

女ハンター「おかしい…アヘンを捌いたお金を戻す様にはなって無い」

盗賊「だろ?アヘンをタダで流してる…まぁ一部はあの海賊の金になってるんだろうが…」

盗賊「どうやらフィン・イッシュも…何か悪い奴が蔓延ってんな」

女ハンター「バン・クーバで麻薬が安いのはこれが原因ね…」

盗賊「アヘンを一方通行で流して何がしたいのか良く分からんが…生産者にどんだけ金が流れてるのかは気になる所だ」

女ハンター「ケシの産地は何処か知ってる?」

盗賊「昔はシャ・バクダだと聞いたが…今何処なのかは知らん」

女ハンター「そういえば…市場で大麻は見てもケシは見てない…」

盗賊「そら違法だから売れんワナ…闇で流れてんのよ」

女ハンター「闇…もしかしてカゲミ?」

盗賊「その可能性もあるが…あいつはこっちに来てまだ半年ぐらいだからな…まぁ何か知っては居るかもしれん」

女ハンター「そう…なんだか昨日の騒動も関係して居そうな気がする」

盗賊「こりゃあんま首突っ込むとダメな奴だから…俺らは大人しく静観した方が良い」

女ハンター「…」

盗賊「それより宿屋でゴロゴロしてんのも暇だろう…ダガーの使い方教えてやるから立ち合いでもやらんか?」

女ハンター「あのね…あんたと私じゃ体格が違い過ぎる…勝負になる訳無いでしょう」

盗賊「勝負じゃ無い…護身術を教えてやろうってのよ」

女ハンター「私は狙撃が仕事…」

盗賊「だから狙撃中に背後からレイスでも出て来たらどうすんだ?」

女ハンター「…」ジロリ

盗賊「おっし決まりだな?浜辺行くぞ」グイ


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775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:52:40.17 ID:RKoe7B/E0
『浜辺』


ザザー ザザー


盗賊「ロボ!!海には近づくなよ?」

ロボ「ピポポ…」クルリン

盗賊「まぁそこで見てろ…」

女ハンター「…」ジロ

盗賊「先ずな?ダガーの抜き方だ…俺の真似して抜いて見ろ」スチャ

女ハンター「…」スチャ

盗賊「うむ…これが逆手って言うんだ…順手の場合はこうな?」クルリ スチャ

女ハンター「…」クルリ スチャ

盗賊「ダガーはな?剣と違って相手に懐に入られても抜けるのよ…つまり護身には最適なんだ」

女ハンター「懐に入られるってどういう事?」

盗賊「こういう事だ」ダダ グイ

女ハンター「腕を…」

盗賊「そう…まぁ暴漢ってのは大体こうやって捕まえて身動き出来ん様に体の何処かを掴もうとする…」

女ハンター「そこで抜く訳ね」スチャ

盗賊「おっとぉ!!まぁそんな感じよ…ほんでな?躊躇わずにブスリと行って良い」

女ハンター「フン!!」ググ

盗賊「おっとっとぉ!!…とまぁバレたら直ぐに両腕捕まえに来られる」グイ

女ハンター「くぅぅぅ」ジタバタ

盗賊「こっから先は体術なんだが…こうなっちまったらお前の場合終わりだと思え」

女ハンター「どうしろって言うのさ」バタバタ

盗賊「まぁゲームだ…俺が捕まえに行こうとするから両腕捕まえられない様にどうにかして見ろ」スッ

女ハンター「ちぃぃ…手が痛い…」プラプラ

盗賊「悪りぃ悪りぃ…もうちっと手加減すっから何とか凌いでみろ…行くぞ?」

女ハンター「ダガーは鞘に納めた所からね」スチャ

盗賊「当たり前だ…抜いて一撃入れる練習よ」

女ハンター「怪我しても知らないから!!」

盗賊「ヌハハ…まぁ頑張れ…行くぞ?」ダダ


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776 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:53:31.96 ID:RKoe7B/E0
『しばらく後』


ハァハァ…

もう一回!!

ほらな?逆手の方が一振り回るだろ?

もう一回!!

おーそうだそうだ!!死角から逆回りでも良い

もう一回!!

ドン!!おっとぉ!!体術混ぜても構わんぞ?

くそ!!どうして見切られる!?


盗賊「そりゃな?お前がダガー持ってる事を俺が知ってるからだ」

女ハンター「それはどうしようも無いじゃない!」

盗賊「知らない相手には今の動きで通用するんだ…つまりダガーを隠せ…逆手で抜いて相手に見え無い様にしろ」

女ハンター「これで良い?」スチャ

盗賊「ふむ…そっから相手の隙を見て切りつけるのもまぁ良いだろう…」

女ハンター「分かった…こうだね?」ガチャリ

盗賊「どわっ!!おま…銃は」タジ

女ハンター「…」スチャ ブン!

盗賊「あっぶ!!」ヒラリ

女ハンター「分かって来た…銃の安全装置解除する前にダガーを使えそう…」フフリ

盗賊「なるほど…一旦ビビらせるってのは確かに使える…だがレイス相手にはそうもいかんから…今は銃禁止だ」

女ハンター「ちぃ…」

盗賊「銃無しでもうちっと練習すっぞ」


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777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:54:21.06 ID:RKoe7B/E0
『帰り道』


スタスタ


盗賊「あぁぁすっかり暗くなっちまった…」

女ハンター「ハァハァ…」ヘロヘロ

盗賊「ヌハハちっと頑張り過ぎたな?」

女ハンター「フン!!カスリもしないで悔しいだけさ」

盗賊「まぁ俺じゃ無かったら通用するから今日の動きはイメージトレーニングしとけ」

女ハンター「あんたどうして動きが見切れる?」

盗賊「さぁな?勘だ…勘…」

女ハンター「…」ギロリ

盗賊「まぁそんな怖い顔すんな…経験積んだら分かるようになるんだよ」


シュタタ クルクル ドン!!


盗賊「ぐぁ!!」ズザザー

少女「お前ーーー!!何故手伝いに来ないーー!!」シュタ

盗賊「おんどりゃぁぁ!!」ムク

少女「向こうは大変だぞ!今日もゲス達は帰らん」

盗賊「何ぃ?」

少女「血の匂いに誘われて他の魔物も来てるのだ…シーサーだったか…他にも色々だ」

盗賊「マジか…リコルはどうした?」

少女「父は残って戦ってる…民兵沢山怪我して動けない」

女ハンター「どうも援護に行った方が良さそう…」

盗賊「ロボを連れて行って安全な場所は有りそうか?」

少女「ゲスの所が安全だ…ゲスに助手が居れば尚良い」

盗賊「そうか…まだ馬車は間に合うな?」

少女「急げ!!最後の馬車が出てしまうぞ」

盗賊「どうやら今晩が稼ぎ時な様だ…行くぞ!!」ダダ


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778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:54:59.67 ID:RKoe7B/E0
『旧市街_臨時療養所』


ぅぅぅ…俺は動ける

ダメダメ骨が折れてるんで邪魔になるだけっす

水をくれぇ…

ちっと誰か水とか食料配ってくれやせんかねぇ…


盗賊「いよう!!頑張ってる様だな?」

学者「兄貴ぃ!なんか怪我人の処置みんな慣れて無いんでゴタゴタなんすよ」

盗賊「そんな感じだな?被害の状況はどうよ?」

学者「ほとんどの怪我人は竜巻に巻き上げられた後の落下で骨折っすね…なんで戦力にならんのです」

盗賊「重症な奴はあんま居ないみたいだが…」

学者「怪我が酷い人は忍びがどっか運んで行きやしたよ…例の頭爆発した奴も忍びが運んで行ったっす」

盗賊「なるほど?」

女ハンター「これ…何を手伝えば?」キョロ

学者「とりあえず水と食料を配って行って欲しいんすが…それはミルクちゃんでも良さそうっすねぇ」

盗賊「リコル達はどうした?」

学者「動ける民兵に混ざって魔物と戦って居やすね…兄貴とラスさんはそっち行きやすか?」

盗賊「ヌフフ稼ぎ時だな…」

学者「なんかそんな状況でも無いんすが…ポーションとかも自腹で使ってるんで取り返してきて下せぇ」

女ハンター「自腹?フィン・イッシュから支給とか無いの?」

学者「もう全部使っちまいやしたよ…慣れて無いんで皆ガブガブ飲んじゃったんすよ…一口づつで良いのに」

盗賊「ぐは…やっぱちゃんとした医者は必要だな」

学者「今晩乗り切れば動けなくて邪魔な人減って来るんで魔物退治ももうちょい上手く行くと思いやす」

盗賊「怪我したまんま戦ってる奴が居るんだな?」

学者「そうっすね…そいつら守るのに無駄な労力使ってるっぽいっす」

盗賊「軍隊と違ってそういう所が民兵な訳か…よっし!一丁魔物の数減らして来るかぁ!!」

学者「怪我したらここに戻って来て下せぇ」

盗賊「おう!!ロボ置いて行くから水運びぐらい手伝わせてやってくれ」

学者「わかりやした!!」

盗賊「ラス!!リコル達探すぞ!!来い!!」


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779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:55:42.50 ID:RKoe7B/E0
『翌朝』


チュン パタパタパタ


盗賊「ふぅぅぅ…終わったな?」キョロ

女ハンター「もう弾丸無い…一度戻らないと」フラ

盗賊「結局俺ら後方でガーゴイル倒すぐらいしか役に立たんかったな…」

戦士「まぁ…民兵の弓が主力だから仕方が無い」

盗賊「しかしリコル!もう鎧が傷だらけだな?」

戦士「ハハ戦った体が出て良いでは無いか」


シュタタ


剣士「アランさ〜ん!!ガーゴイルの処置終わったよぉ〜」

盗賊「おう!!一回療養所に戻るか…昼間の内はガーゴイル出ないから戦闘も落ち着くだろう」

剣士「そうだね…油玉も爆弾ももう無くなっちゃた」

盗賊「角はどんだけ集まった?」

剣士「ええと…ガーゴイルの角が12本…キラーパンサーの牙が2本…あとクマ倒した筈だけど死体がどこか持って行かれた」

盗賊「くぁぁぁ勿体無ぇなぁ…」

戦士「アラン君!武器類が結構落ちている様だぞ?」

盗賊「そら回収しないとな…俺見回って来るから先に療養所に戻っててくれ」

戦士「分かった…」

剣士「一回宿屋に戻るよね?もう爆弾とか無いから作らないと戦えない」

盗賊「その方が良い…お前等昨日も寝て居ないだろう?」

剣士「ちょっと休みたいかな…」

盗賊「とりあえず療養所行ってゲスと合流しといてくれ」

剣士「分かった…」


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780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:56:16.45 ID:RKoe7B/E0
『臨時療養所』


ヒソヒソ ヒソヒソ…

忍びの奴らが話してるのを聞いたんだ…女王の不在を狙われたってよ

不在ってどういう事だ?そういえば随分前から姿は見て無いな…

おい!狙われたって誰の事だよ?

財務担当の側近らしい…もう一人は娼館の女…ホラ一番人気の有名な奴だ



盗賊「おろ!?もう寝ちまったか…」ガチャガチャ

戦士「まぁゲス君もミライ君も疲れているのだ」

盗賊「リコルはまだ行けそうか?」

戦士「んん?何故だ?」

盗賊「宿屋まで一旦戻ろうと思ってんだが…カゲミが返って来るもんでよ」

戦士「そうか…しかし起こすのも可哀そうだな」

盗賊「ゲスは俺が背負って行く…この武器類を預かってくれ」ガサリ

戦士「ハハハ随分集めたな?」

盗賊「他にも落ちてたんだが…使いそうな物だけ集めて来たんだ…その2連式クロスボウはミルクでも使えるぞ?」

戦士「少し大きい様だが…」

盗賊「背負ってりゃ盾替わりにもなる」

女ハンター「私も半分持つ…」ガチャ

盗賊「リッカは起きてるな?ミライを背負って来てくれ」

女オーク「分かった…」ヨッコラ

盗賊「まぁ馬車に乗っちまったら少し休めるから辛抱してくれ…ロボ!!行くぞ」スタ

ロボ「ピポポ…」ウィーン


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781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:56:57.70 ID:RKoe7B/E0
『馬車』


パシン! ヒヒ〜ン ガタゴト ガタゴト


盗賊「はぁぁ…これでちっと休めるな…」ドタ

戦士「少し酒っを持って居るが…飲むか?」スッ

盗賊「おぉ!!良い物持ってんじゃ無ぇか…一口貰うな?」グビ プハァ

戦士「レーションもあるぞ?」

盗賊「そら要らん…嫌いなんだ」

戦士「そうか…」カリ モグ

盗賊「しかし…フィン・イッシュも…ちょいとボロが透けて見えるな?」

戦士「フフ…」

盗賊「まぁ民兵頼りじゃこうなっちまうよな…」

戦士「それがこの国の特色だろう?地力は割と高いと思うぞ?」

盗賊「一枚岩になってりゃそうかもしれん…だがどうもエルフとドワーフ…オークが噛み合ってない」

戦士「ふむ…」

盗賊「昨夜も戦ってるのは人間とオークだけだ…ドワーフは新市街から動いて無ぇし…エルフは何処行ったか分からん」

戦士「つなぎ役の人間に問題有か…」

盗賊「なんつーか…頭の回るドワーフとエルフは違う事考えて居る気がすんのよ…オークは単純に人間を守る為に動いてそうだ」

戦士「先日のドラゴンの件も…そう言うのが働いて居るのだろうな」

盗賊「こっから先の話は宿屋に戻ってからにすっか…」

戦士「それが良い…あまりしゃべるとミルクが怒り出す」ナデナデ

少女「ふにゃー」ゴロン


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782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:57:35.24 ID:RKoe7B/E0
『翌日_とある宿屋』


ゲシゲシ ユサユサ


学者「兄貴ぃ!!起きて下せぇよ…」ユサユサ

盗賊「ふががが…ふごーー」zzz

少女「アランは一度寝たら中々起きんな」ゲシゲシ

学者「しゃぁ無いっすねぇ…俺っちが代わりに話を聞いて来やす」

戦士「ミルクも一緒に行けば問題無いと思うぞ?」

少女「仕方ない…ゲス行くぞ!」

学者「へいへい…」

少女「多分秘密の話だから聞き直すのはダメだぞ?」

学者「そういうの苦手なんすよねぇ…」ブツブツ

少女「何も言わないで聞いて居れば良いのだ」

戦士「ハハ大丈夫だよ…ラクに行けば良い」

学者「ほんじゃちっと行って来やすね…」スタ


ガチャリ バタン


盗賊「待てゴラ…むにゃ…んがが…」zzz

女ハンター「本当…呆れる…」シラー

戦士「まぁまぁ…それよりラシャニクア君…接近戦闘はいつから?」

女ハンター「この間アランに少し教えて貰っただけ…」

戦士「ふむ…後衛が少しでも接近戦闘出来ると随分助かるんだ…是非訓練を続けて欲しい」

女ハンター「訓練の仕方を教えて貰って無い…」

戦士「船に訓練用の木人でも用意したら良い」

剣士「ああああ!!ソレだ!!木人!!」

戦士「おっと…何か思いついたかね?」

剣士「船に乗ってる人数をごまかせる!!海賊対策になるじゃない!!」

戦士「ハハハそういう使い方も出来るねぇ」

剣士「姉さん!!良い事思いついた!!木材買いに行こう!!」

女オーク「何処に置く気?もうここには置き場が無いわ」

剣士「船の横に倉庫が有ったじゃない…そこに運べば積んでもらえる…というか今使わない物資はもう運んでおこう」

女オーク「ウフフ分かった…じゃぁ運びましょう」


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783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:58:14.54 ID:RKoe7B/E0
『1時間後』


ガチャリ バタン!


学者「兄貴は起きやした?」ドタドタ

女ハンター「まだよ…」シラー

学者「あらら…」

女ハンター「ギルドからの連絡はどうだったの?行き先とか…」

学者「もう連絡してあるって言うんすよ…貰ったのは海図だけっすね」パサ

女ハンター「海図…」ジロ

学者「北側の地形と岩礁とか海流が記されてるだけっすね…何処に行けっていう指示が無いんすよ」

女ハンター「ミルクは何か聞いてないの?」

少女「アランが知ってる…私は聞かされてないぞ」

戦士「ハハ毎度の事だ…」

学者「こんな感じなんすか…」

戦士「その他に先日のドラゴンの件とかは何か言って無かったか?」

学者「忍びも盗賊ギルドも認知して居るから関わるなと言って居やしたね」

女ハンター「認知?」

学者「なんか内側に…」

少女「ゲス!!その話は船に乗ってからにしろ…お前おしゃべりだ」

学者「へいへい…壁に耳あり障子に目ありっすね…」

戦士「済まん済まん…要らん問いをしてしまった様だ…素直に従うしか無いな…ハハハ」

女ハンター「…」

学者「ほんで船の補修がそろそろ終わりそうなんで荷を積んで良いらしいっす」

女ハンター「丁度ミライとリッカが荷を運んでくれているよ」

学者「そうっすか…俺っちも物資買っとかないともうポーション無いんすよね…」

女ハンター「魔物を倒したのは良いけれど…使った分を差し引くとあまり儲かって居ない様ね…」

学者「むしろ損してるっす…儲かったのは兄貴が持って帰った武器類の分っすよ…ポーションが意外と高いもんで」


盗賊「ハッ!!」パチ ムクリ


学者「おわ!!兄貴ぃ!!起きやしたね?」
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:58:48.52 ID:RKoe7B/E0

盗賊「…」キョロ?

学者「なかなか起きんもんでギルドの連絡は俺っちが聞いてきやしたぜ?」

盗賊「おい!!地図かなんか預かって無ぇか?」ドタドタ

女ハンター「…」ピラピラ

盗賊「おぉぉそれか!!見せろ!!」ダダ

学者「ちょ…兄貴?どういう事っすか?」ハテ?

盗賊「マジか…ミルク!!お前こんな方法で連絡し合ってんだな?」

学者「え!?」

少女「お前気付くの遅い…」

女ハンター「アラン?もしかして…夢で?」

少女「それ以上言うな…何処に機械あるか分からんぞ?」

盗賊「ヌハハ確かに…やっと理解したぜ…此処ん所ずっと同じ夢見てたのよ」

少女「分かったらサッサと船に荷物積むのだ…話はそれからだ」

学者「船がもうすぐ補修終わるんで荷を積んで良いらしいっす」

盗賊「そうか!!集めた武器も持って行かんとな!?」

学者「ほんじゃ荷入れに行きやしょう!」


--------------



『造船所』


エンヤーコーラ ドッコイセー


船大工「どやーー!!ピッカピカやろー!!」

盗賊「おぉ!!船底を赤く塗ったんか…」

船大工「これでフジツボが付かんくなるで速度乗るんやで?」

剣士「アランさ〜ん!!」フリフリ

盗賊「ヌハハもう乗ってんのか…俺も荷を積みに来た所だ」

船大工「ワイらも依頼の荷を積まなアカンで持ってきたもんはとりあえず居室入れとくんや」

盗賊「依頼って何積むんだ?」

船大工「木材やら松脂やらいろいろや」

盗賊「そらありがてぇ」

船大工「荷を積んでしばらく復元力を検査するからまだ出港は出来んぞ?そやな…明後日やな」

盗賊「復元力?どっか改造でもしたんか?」

船大工「船底を黒鉄で補強しとるでちっと具合が変わっとるんよ…まぁ楽しみにしとり」

船大工「あとな?今船に乗っとる2人に手入れの仕方を教えて置くで今日は船で泊らせや?」

盗賊「おう!あいつら中々良い仕事するぞ?」

船大工「そやなぁ!エライ船を褒められてワイも嬉しいわ」

盗賊「ちっと俺も中見てくんな?」

船大工「散らかすなや」


--------------


785 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 07:59:32.29 ID:RKoe7B/E0
『キャラック船』


ドタドタ


盗賊「うほーー…ロープも全部張り直してんな…」ギシギシ

剣士「帆も防水加工してあるよ!スゴイね」

盗賊「船底は見て来たか?なんか鉄で補強したとか言ってたが…」

剣士「それ船の外側だね…海に浸かってるからもう見えないと思う」

盗賊「外側…」

剣士「岩礁に当たっても穴が開きにくくしたんじゃないの?」

盗賊「なるほど…」

剣士「船の内側は樹脂で隙間しっかり埋めてその上から塗装してるからピッカピカだよ」

盗賊「うむ…歩いただけで違いが分かるわ」

剣士「そうそう!あのドワーフの船大工がこの船に天測器が無いから航海士が居るのか心配して居たんだけど…」

盗賊「ぐぁ…そうだ航海士居無ぇな…測量とかそういう奴な?」

戦士「ミルクの鼻ではダメか?」

盗賊「まぁ外海のど真ん中行く訳じゃ無いからそれで行くだな」

女ハンター「星の角度を測るくらいなら私のスコープで出来る」

盗賊「お!?そんな機能が付いてたんか?」

女ハンター「角度を測る器具は別に必要になるけど…ちょっと後で市場に探しに行ってみる」

盗賊「俺もちと航海術の書物でも買っておくか…」

剣士「あ!!角と牙あるからお金と交換しなきゃ」

盗賊「ミライとリッカは船に残れとあの船乗りが行ってたぞ?俺が交換してくるから寄越せ」

剣士「分かった…」ゴソゴソ

剣士「…でも何の用事で船に?」

盗賊「船の手入れの仕方を教えたいんだとよ」

剣士「おぉ!!それ僕も知りたかった!!」

盗賊「そりゃ良かった」

剣士「船大工かぁ…良いなぁ…完璧な船作って見たいなぁ…」

盗賊「どうやらお前に向いて居そうだ…しっかり教えてもらうだな?ヌハハ…」


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786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:00:10.49 ID:RKoe7B/E0
『街道』


ゴロゴロ


盗賊「荷車ゲット出来てて良かったわ…」ゴトゴト

学者「ロボもラク出来やすからねぇ」

ロボ「ピポポ…」クルリン

盗賊「あと足りない物資って何だ?水も食料もまだそこそこ乗ってたよな…」

戦士「どのくらいの期間航海するかにもよると思うが?」

学者「薬っすね…ポーションだけじゃダメなんで…買う物結構色々ありやすよ」

戦士「栄養も偏らない様に考えておく必要があるぞ?」

盗賊「って事は保存食を色々買うのと…フルーツとかありゃ良いか」

学者「ちっと物資調達は俺っちがやっても良いっすか?なんか兄貴だと酒とか肉ばっかり買いそうなんで…」

盗賊「なんだとう!!」

女ハンター「正解!」

盗賊「ケッ!!勝手にしやがれ!!」

学者「兄貴は天測器とか航海士に必要な道具を調達出来やせんか?…これ買うと多分高いっすよ」

盗賊「お!?そういや帆が折れたスクーナーに色々乗ってたな…」

戦士「んん?帆が折れたスクーナー?」

盗賊「そういやリコルは知らんかったか…俺らを襲った海賊共が普通に入船して来てんだ」

学者「うは…マジっすか」

戦士「海賊船が入船してるとはおかしな話だな…」

盗賊「どうやらフィン・イッシュから向こうの大陸にアヘンを密輸してんのよ…ここじゃ商船って事になってんだろ」

戦士「おや?…先日殺されたのは財務担当の側近だったね…なんだか臭いねぇ…」トーイメ

盗賊「あんま首突っ込まん方が良いな?」

学者「とりあえず兄貴には兄貴のやり方で調達お願いしやすよ…あんまお金に余裕も無いもんで」

盗賊「まぁ楽勝だ…ちっと行って来るわ」

学者「頼んますぜ?」


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787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:00:43.78 ID:RKoe7B/E0
『夜_とある宿屋』


ヒソヒソ ヒソヒソ

あの女…まだこの辺に居る筈だ…探せ

逃がしゃし無ぇぞ…あんな金づる滅多に居無ぇ


少女「騒がしいな…何か有ったみたいだぞ?」

盗賊「んん?何か聞こえたか?」

学者「兄貴ぃ!!ちっと腹減ったんで酒場で何か食いやせんか?」

盗賊「おぉ…だが俺は金が無くてよう…」

学者「俺っちが出しやすよ…豆ばっかじゃ腹膨れんっす」

盗賊「同感だ!!お前のおごりでちっと出るか?」


トントン…


盗賊「んん?誰だ?」

男の声「僕だよ…鍵開けて」

盗賊「おぉ!!今酒場行こうと思ってた所だ」カチャリ


ガチャリ バタン!


影武者「鍵閉めて!」ダダ

盗賊「ん?おう…どうしたんよ?」カチャリ

影武者「ちょっと追われてる…隠れたいな」

盗賊「地下に倉庫があるが?どうした?」

影武者「前に僕を裏切った傭兵にばったり出くわしちゃったのさ」

少女「んん?外の声か?こっちに来るぞ?」

影武者「倉庫に隠れる…上手く追い払って」スタ


ドンドンドン!


盗賊「なんだこりゃ…面倒な事になって来たな?」

野郎の声「おい!開けろ!今此処に女が入って行っただろう」ドンドンドン

女ハンター「私が出ようか?」

盗賊「上手く追い払ってくれ…」ヤレヤレ

野郎の声「おらぁ!!ここに居るのは分かってんだ!!開け無ぇと…」


ガチャリ ギー


野郎1「どわ!!急に開けんな馬鹿野郎が…」ヨロ
788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:01:20.37 ID:RKoe7B/E0

女ハンター「何?迷惑なんだけど…」ジロリ

野郎1「なんだお前偉そうに…っとなんだ男が何人もゾロゾロと…」

ウルフ「グルルルル…」

野郎2「おい!!ウルフまで居るぞ…」タジ

女ハンター「…で?何の用?」

野郎1「とぼけんなゴラ…今一人ここに女が入って来ただろうが…俺らはそいつに用が有んだ」

野郎2「大人しくしてりゃお前等に用は…んん?おい!こいつ等…」

学者「あらららバレちゃいやしたね…」チャキリ

野郎1「おっと!そうは行か無ぇぞゴラ!!」グイ

女ハンター「あ…」ギュゥ ジタバタ

野郎1「撃てるもんなら撃ってみろ!!グハハハハ」

野郎2「こりゃツイてる…銃まで手に入りそうだ…そいつを降ろして俺らに従え」

学者「ええと…」ウーン

女ハンター「くっ…」チラリ

盗賊「おっと…こりゃ敵わん…」コクリ


スチャ ブスリ!!


野郎1「ぐぁ!!さ…刺しやがった…このあまぁ!!」ボタボタ 

盗賊「おっと!!」ダダ グイ

野郎2「あだだだだ…」ボキボキ

盗賊「こりゃ形成逆転だな?リコル!!そいつを押さえろ」グイ

戦士「あらあら…」グイ

野郎1「離せゴルァ!!」バタバタ

盗賊「騒がれると面倒だ…落とすぞ?」ゴン!!

戦士「フン!!」ゴン!!

野郎共「ぐへぇ…」ドタリ

盗賊「ミルク!他に仲間は居そうか?」

少女「少し遠くをウロウロしてる」

盗賊「どうすっかなぁ…樽に積めて海に放って来るか」

学者「ウハハそれで行きやしょう…」

盗賊「その前に軽く手当してくれ…死んじまったら寝覚めが悪い」

学者「そーっすね…とりあえず身ぐるみ剥ぎやしょう」ゴソゴソ


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789 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:02:00.14 ID:RKoe7B/E0
『手当て』


ヌイヌイ…


盗賊「おぉぉこいつ等結構金持ってんな…金貨20枚ぐらい持って居やがる」ジャラ

学者「手当てしたは良いんすが…樽に入れて海に流しても目を覚ますと色々マズそうっすねぇ…」

盗賊「ううむ…手足縛って倉庫ん中に置いて行くか」グイ グイ ギュゥ

戦士「それが良さそうだ…船に乗って居た方が安全だろう」

少女「他の仲間がウロウロしているから今外に出るのは危ないぞ?」

盗賊「どんくらい居るのよ?」

少女「正確には分からん…15人ぐらいか」

学者「多いっすね…見つかると騒ぎになっちまいやすね…」

盗賊「しゃぁ無ぇ…アイツらの船燃やしてタゲ逸らすか」

女ハンター「もしかしてここから私が狙う?」

盗賊「いや…街中で銃声聞かれるのもマズイ…ちっと俺が行って燃やして来るから荷物纏めといてくれ」

戦士「荷車ごと移動するのだな?」

盗賊「そうなるな…色々買ってんだから置いて行く訳にもいくめぇ…盗んだ器具類もあるんだからな」

学者「兄貴を待ってれば良いんすか?」

盗賊「どうすっかなぁ…タゲが逸れてチャンスが出来たら先に移動した方が良いかも知れんな…」

少女「任せろ…匂いで分かる」

盗賊「俺は後から上手く合流すっから上手くやってくれ…ほんじゃちっと行って来るな?」

学者「気を付けて下せぇ」ノシ

盗賊「おう!!じゃぁな!!」


ガチャリ バタン! タッタッタ…


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790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:02:33.40 ID:RKoe7B/E0
『1時間後_宿屋の裏』


ザワザワ ヒソヒソ

なんや何処かの船が燃えとるやないか!?

おいおい俺らの船のすぐ隣じゃ無ぇか…親方呼んで来い!!


少女「チャンスだ…匂い移動してる」

戦士「よし!カゲミさん…行けるかね?」

闇商人「僕は多分隠れて居た方が良い…荷車に乗らせて貰う」ピョン

学者「他にも見られるとマズイ感じっすか?」

闇商人「そうだね…僕が買う予定だった船の代金を払って居ないんだよ」

学者「あらら…なんか色々問題抱えてるんすね…」

闇商人「全部アイツらが裏切ったせいだよ…船も奪われて借金だけ僕に残ったのさ」

商人「父!!荷車移動するぞ!」

戦士「おう!!」グイ ゴロゴロ

学者「ガーゴイルが上で旋回してるんで一応気にしといて下せぇ」

女ハンター「私が見ておく…行って」


ガタゴト ガタゴト…


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791 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:03:03.51 ID:RKoe7B/E0
『キャラック船』


ドタドタ…


女ハンター「私見張り台に上がって桟橋の様子見て来る」タッタ

学者「ええと…とりあえず荷を居室に入れやしょう…よいしょ!!」ヨタヨタ

剣士「あれぇ!?どうしたの?」シュタタ

戦士「少しゴタゴタが起こってね…船の方が安全だと思って来たのだよ」

剣士「そうなんだ?…なんか向こうで船が燃えてる様だけど…それだね?」

戦士「燃えて居るのはリッカ君がマストを折ったスクーナーなのだよ…どうやら縁がある様だ」

剣士「アハ…追いかけて来てるのかぁ…」

戦士「向こうは私達が造船所で補修しているとは思って居ない様だ…こちらに居た方が安全だろう」

闇商人「僕はそういう訳に行かないけどね…どこか隠れる場所は無いかい?」

剣士「う〜ん…船尾楼は操舵で人が出入りするから…」

戦士「水が入って居る樽を空ければ隠れられそうだが?」

闇商人「それで良い…借金があってドワーフの船大工に顔を会わせられないんだ」

剣士「おけおけ!樽一個空けるね…こっちだよ」スタ

闇商人「ふぅ…やっと落ち着ける…」スタ

戦士「ミルク!周囲を警戒しててくれ」

少女「背中撫でろ」

戦士「寝てしまうのでは無いか?」ナデナデ

少女「ウルフィも居る…大丈夫だ…ふぁ〜ぁ」コテン

女ハンター「なんか…桟橋の方で乱闘が起きてる…」ジーー

戦士「ハハ狙った通りだねぇ…さすがアラン君だ」


スゥ…


盗賊「いよぅ…上手く撒いて来たぜ?」

戦士「おぉ戻ったか…こちらは静かな物だ」

盗賊「カゲミは何処行った?」

戦士「船尾楼に入れてある樽に隠れるそうだ」

盗賊「よっし!やっと落ち着いて話が出来そうだ」

戦士「その前に腹ごしらえが必要なのでは?」

盗賊「ヌハハそうよ腹減ってんのよ…ちっと肉でも食いながら話しすっか!」

戦士「それが良い…」


--------------
792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:03:44.24 ID:RKoe7B/E0
『船尾楼_小さな炉』


ジュゥゥゥ モクモク


学者「やっと肉に有り着けやしたよ…」ガブリ モグモグ

盗賊「フィン・イッシュは以外と肉が高けぇな?」ガブ モグ

学者「そーっすね…多分資金回収なんすよ」

闇商人「僕もお腹が空いて居るんだ…気を使って貰って良いかい?」

盗賊「ヌハハ樽の中じゃぁなぁ…」

剣士「僕は肉食べないからあげるよ…ハイ」ゴソゴソ

闇商人「ありがとう…」パク モグ

盗賊「ほんで?ドワーフの海賊と取り引きってのは上手く行ったんか?」

闇商人「そうだね…」

盗賊「何を取り引きしたのよ?」

闇商人「まぁ…情報さ」

盗賊「くぁぁぁ…やっぱお前いろいろ隠して居やがる…話したく無きゃまぁそれでも良いが…」

闇商人「コレだよ…」ポイ バサ

盗賊「お?なんだ?海図か?」

闇商人「ドワーフの海賊だけが持ってる世界の詳細地図さ…それを手に入れたんだ」

学者「ちっと見せて下せぇ…」ドタドタ

盗賊「おぉぉ…海図じゃ無いが…こりゃ相当詳細に書かれた地図だな?」ペラペラ

闇商人「その地図で記された何処かに…ホムンクルスが匿われているんだよ」

盗賊「場所は聞き出せて居ないんか?」

闇商人「教えてくれない…まぁでも…世界地図が手に入っただけ前進したと思えば良い」

盗賊「なるほど?…ほんでお前は何を出したのよ?」

闇商人「隠しても仕方ないから教えてあげるよ…女王が書いた伝記さ…」

盗賊「やっぱりそうか…」

闇商人「ハハ薄々感づいて居たね?」

学者「俺っちも内容が知りたかったっすね…勇者とか海賊王の娘の行方とかっすよね?」

闇商人「早い話そうだね…前にシン・リーンの魔術師達が魔法を使って言論統制をしていると言っただろう?」

学者「それと関係が?」

闇商人「書物に記された物までは消せないのさ…勇者の仲間の誰が行方不明で誰が生き残って居るのか記されて居たんだ」

盗賊「それをドワーフの海賊が欲しがる理由って何だ?」

闇商人「海賊王も…娘の行先を追って居るからだね」

盗賊「なるほど…」

闇商人「まぁ僕だけ知って居ても仕方が無いから全部話してしまおうかな…実は20年前…」


海賊王の娘アイラが黄金郷を発見したのは有名な話だね…
793 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:04:32.04 ID:RKoe7B/E0
その時本当に行方不明になったのは勇者アイリーンとシン・リーンの魔女ルイーダ…

そしてシャ・バクダ王朝最後の末裔サルマンの3人なんだ

海賊王の娘アイラはその3人を捜索する為に1年ほどかけて黄金郷をサルベージする基礎を作った

海底から初めに発見されたのは全身宝石へと姿を変えた魔女ルイーダ

その後彼女をシン・リーン女王の下へ運んだけれど…宝石へと姿を変えたルイーダの経緯を知って女王は言論統制を始めた

何故かと言うと…

海賊王の娘を含む勇者一行がした事…それはこの世の神を滅する行為だと悟ったから…

この人間の世界で…神が滅んだという事が世に伝わるのを防いで居るんだ

なぜなら…人間の根底にある真理…そこに神が居るから道徳が保たれる

それが無くなってしまったと世に知れてしまえばすべて倫理がすべて瓦解すると考えたのさ


闇商人「だから宝石となったルイーダを運んだ商人のマルコさんは…事情を知る者として捕らわれの身になった…」

闇商人「その後…フィン・イッシュへ訪れた魔術師達は事情を知る者の記憶を次々と消して行く…」

闇商人「そして事態の異常に気付いた海賊王の娘アイラは…幽霊船と共に姿を消したんだ」

盗賊「そりゃフィン・イッシュ女王の記憶も消されたと思って良いのか?」

闇商人「さぁ?そこまでは分からない…でも今回海賊王の娘に扮して誘き出しをやって居るのは…多分記憶が有るからだと思う」

盗賊「とりあえず…居場所がハッキリして居そうなのが商人マルコだけか…」

闇商人「魔女ルイーダは眠り姫としてシン・リーンに安置されて居るらしい」

盗賊「ホムンクルスはなんでドワーフに囲われてんのよ?」

闇商人「言論統制が始まる前…出産の為に名もなき島という場所に行ったらしい…でもその場所が分からない…」

盗賊「そうか…結局マルコ探して聞くしか無い訳か…」

闇商人「まぁ…先に海賊王の娘アイラと会う事が出来たなら…そっちから聞いた方が安全かもね」

盗賊「安全?魔術師に記憶消されないで済むってか?」

闇商人「うん…でもどの道僕はマルコさんを救いに行くつもりだし…その為には君の力が必要なんだよ」

盗賊「なるほどな?姉御が急に旅に出ようって言い出したのは…お前と既にそういう話をしてたんだな?」

闇商人「それは少し違う…ニーナは単純に君の願いを叶えようとしてた…少し…何か感付いて居た所は有ったかもしれないけど」

盗賊「何か?」

闇商人「世界の異変と言えば良いかい?電脳化した者が何を成そうとして居るのか…」

盗賊「おいおい…完全体のホムンクルスと何か関わってるってのか?」

闇商人「君は知らないんだね…完全体のホムンクルスの脳は機械なんだよ…マルコさんはそれを研究してた」

盗賊「マジか…ロボの真逆って事か…」

闇商人「君も…機械と向き合わなきゃいけないのさ…そこらへんは覚悟しておくんだね」

盗賊「向き合うも何も…俺はロボにホムンクルスの肉体を与えたいだけだ」

闇商人「機械もそれがしたいんじゃないのかい?」

盗賊「なぬ!?」

闇商人「機械が欲して居るのはエネルギーでは無く…恐らく命を欲している…そうは思わないかい?」

盗賊「…」---目的が俺と同じ?---


---アナログハック---

---まさか俺は誘導されてるんか?---

---いや待て…俺じゃ無ぇ---

---ロボは…ミファは命を欲しているのか?---

---ミファは何が欲しいんだ?---
794 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:05:13.00 ID:RKoe7B/E0
『翌日_甲板』


ドタドタ…

木材は船底の方やぁ!!

樽と箱物はきちんと並べて積むんやで…動かん様に袋物使えな?


盗賊「荷の積み方変えたんか?」

船大工「そやなぁ…ちぃと重心低くなっとるで転覆しにくくなっとるが揺れが早いんよ」

盗賊「ほーん?」ポカーン

船大工「あんまり揺れが早いと荷が動くでな?甲板に大砲でも乗っとりゃちっとマシなんやが…」

盗賊「なるほど…積み方工夫して重心を変えてんのか」

船大工「海に出て揺れが気になる様やったら水入れた樽を甲板に出せばマシになるで覚えときぃ」

盗賊「あと小舟がえらくちっこくなってんだが…」

船大工「乗ってた小舟は穴が開いて使えんでほかったわい」

盗賊「この小舟は3人ぐらいしか乗らんだろ…」

船大工「よう見てみぃ!!2隻重なっとるやろ…繋いで双胴船にすりゃ10人ぐらい乗るんや」

盗賊「おぉ…」

船大工「双胴船にすりゃ帆も立てられるんやで?工夫して使えや」


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『船首楼_作業場』


トンテンカン ギコギコ


剣士「姉さんの鎧をこの木人に着せて行って?」

女オーク「分かったわ…」ガチャガチャ

剣士「使って無い武器も持たせようか…そうだな槍が良いかな」トントントン

戦士「ハハハ…やけに作り込んだ木人だね」

剣士「あ!!リコルさん!!これアーマースタンドとしても使えるんだよ」

戦士「なるほど?鎧を脱いで居る時は木人に装着しておけば良いのだね?」

剣士「うん!!もう一個作るから待ってて!」トンテンカン

戦士「そうか…この木人を甲板に置いておけば遠くから見て人が居る様に見えるか」

剣士「訓練用の木人としても使えるよ…関節を動かせる」グイ

戦士「ほう?盾も持たせられそうだね?」

剣士「勿論!!矢を防ぐ障害物にもなる」

戦士「それなら木型の大砲が有っても良いねぇ…」

剣士「おおおおお!!なんちゃって大砲かぁ!!そうか…運びやすいな…色々使えそうだ!!」

戦士「ちょっとした腰掛になって休めそうだ」

剣士「黒い塗装かぁ…」

戦士「丁度暇だから塗料を買って来てあげようかい?」

剣士「それ助かる!あとでお金出すよ」

戦士「まぁ待って居てくれ」スタ


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795 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:05:48.58 ID:RKoe7B/E0
『見張り台』


ヒュゥゥ ユラ〜


女ハンター「アラン!!こっち来れる?」

盗賊「んあ?何か見つけたんか?」

女ハンター「昨夜の海賊達…」ジー

盗賊「今行く…」ヨジヨジ

女ハンター「桟橋の方で集まってる…何か狙って居そう」

盗賊「ほっ!!」ピョン スタ

女ハンター「あ!!やっぱり…」

盗賊「どこよ?」キョロ

女ハンター「望遠鏡持ってるでしょう?」

盗賊「船尾楼に置きっぱなしだ」

女ハンター「呆れた…」

盗賊「んで?何かやらかしてんのか?」

女ハンター「さっき到着した船に一斉に乗り込んで行った」

盗賊「マジか…アレだな?」

女ハンター「なんか手慣れてる…一枚帆を張り出した」

盗賊「船強奪か…やるな…人数揃ってりゃ簡単なもんだな…」

女ハンター「三角帆2枚のキャラベル船よ…多分商船」

盗賊「俺らが閉じ込めた2人も居そうか?」

女ハンター「居る…指揮取ってるみたい」

盗賊「なんかあいつ等とどうも縁が在りそうだな…もう会いたく無いが…」

女ハンター「意外と優秀な気がする…行動が早い…」

盗賊「その筋じゃやり手なのかも知れんな?おお!?民兵が弓撃ちだした…」

女ハンター「矢を送って居る様な物…撃つだけ無駄」

盗賊「だな?オークの撃つ矢はそのまま槍として使える」

女ハンター「ここから帆を焼くことも出来そうだけど…」

盗賊「止めとけ…こっちはまだ動けん…居場所を晒しちまう」

女ハンター「どんどん陸から離れて行って…もう打つ手なしね」


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796 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:06:28.48 ID:RKoe7B/E0
『船尾楼』


ガチャリ バタン


学者「あ!!兄貴ぃ!!今海図と世界地図整理してるんすけど…」

盗賊「んあ?記打った場所動かすなよ?」

学者「分かって居やすよ…これが行き先っすね?」

盗賊「まぁな?名前はもう忘れた」

学者「何があるとか分かってるんすか?」

盗賊「夢の中の事だからあんま覚えて無いのよ…そこに村か何かあるぐらいしか思い出せん」

学者「大丈夫なんすかね?…そんな感じで?」

盗賊「寝りゃ又なんか夢見るかも知れん…今度は俺も分かってる訳だからもうちょい詳しく分かれば良い」

学者「とりあえずの行先は…ええと…」

盗賊「その記は多分あの派手な婆ぁの寄港地だ…2〜3つすっ飛ばすのを考えてる」

学者「もう半月以上差があるんで結構厳しいっすねぇ…」

盗賊「どうせ寄り道して数日滞在してんだろうから追い付けると思うんだけどな…」

学者「それと兄貴ぃ…海図に書かれてる岩礁地帯なんすが…世界地図と比較してちょとズレて居やすね…」

盗賊「なぬ!?」

学者「世界地図の方が正確そうなんで修正した方が良いっすよ」

盗賊「世界地図には岩礁なんか書かれて無いぞ?」

学者「いやいや…島の場所とか地形がズレてるんす」

盗賊「そういう事か…岩礁は避けたいな」

学者「これもう一枚海図起こした方が良くないすか?」

盗賊「そうだな…地図書くのは割と得意だから書き直すわ…うむ…確かに世界地図の方が色々詳細に書かれてんな…」ジロジロ


ググググググ ユラ〜リ


盗賊「お!?」キョロ

学者「おとととと…」

盗賊「そういや復元力の確認するとか言ってたな」

学者「居室に突っ込んだ荷もそろそろ片付けたいっすね」

盗賊「そうか?俺はこのままでも良いがな?」

学者「グチャグチャじゃないっすか…」

盗賊「なんつーか…木箱と樽に守られてる感じがしてよ…そうそう秘密基地みたいな感じだ」

学者「これ崩れたら出入口塞がっちまいやすぜ?」

盗賊「ヌハハお前にゃ分からんか…木箱の陰の安心感がよ…この隙間から向こう側を伺うんだ」コソーリ

学者「ギャング育ちは感性がちっと違いやすね…」ヤレヤレ


ググググググ ユラ〜リ


盗賊「おわっとととと…こりゃ荷が崩れそうだ」ガシ

学者「ちっと荷室に片づけやしょう」


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797 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:07:07.48 ID:RKoe7B/E0
『夕方_甲板』


ドタドタ…

日が落ちる前に終わってよがったなぁ!!

例の酒場でお疲れさん会でもやろか?ガハハハ


船大工「さぁて撤収やぁ!!」

盗賊「おう!ご苦労!!これで何時船を動かしても良いな?」

船大工「ええけど夜行くのは止めとき…沖に出て直ぐ魔物に襲われるで」

盗賊「確かに…」

船大工「桟橋に移動する程度やったら問題無いが…又入船料取られるで今晩は此処に居ったらええ」

盗賊「まぁそういう訳にも行かなくてよ…俺ら急いでんのよ」

船大工「ほうか?ほんならコレ持って行け」ポイ

盗賊「おぉ?…」パス

船大工「ミスリルの鐘や…ドワーフは皆持っとるんやで?」

盗賊「良いのか?貰っちまって?」

船大工「海賊王の娘さん探しに行くんやろ?ちっと聞こえてしもうたんや」

盗賊「ヌハハ秘密にするつもりも無かったんだがな?」

船大工「それからおまん所の大工居るやろ?あれはドワーフの血が入っとるで?良い船大工になりそうや…餞別思うて持って行け」

盗賊「ミライか…あいつは俺らの隠し玉よ」

船大工「まぁ期待しとるで?海賊王の娘さん見つけたらワイがこの船補修した事を伝えてくれや」

盗賊「おう!!」

船大工「ほな又な?」ノシ

盗賊「世話になった…あばよ!!」ノシ

船大工「おまんらぁぁ!!酒場で打ち上げやぁぁ!!」ドスドス

盗賊「…」---ドワーフ達が見ている方向---


---なんとなく分かって来たぜ?---

---海の向こう側見てんだな---

---なるほど人間の小競り合いなんかどうでも良いか---


798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:09:19.10 ID:RKoe7B/E0
『出港』


ガラガラガラ


盗賊「おーし!!碇上げたぞぉぉ!!帆を開けぇ!!」ドタドタ

剣士「えっほ!えっほ!」グイグイ

学者「兄貴ぃ…凪時であんま風が無いっす…」

盗賊「直に陸から風が降りて来る…まぁお試し帆走だ」

戦士「夕日があるうちに沖へ出ておきたいがな?」


スタスタ


闇商人「ふあぁぁぁ!!」ノビー

盗賊「おうカゲミ!!やっと樽から出て来たな?」

闇商人「もう膝が痛くて…」

盗賊「いつまでフード被ってんのよ…もう誰も居ないぞ?」

闇商人「これで良いんだよ…それよりもう何日も水浴びして居ないんだ…自分の体臭が臭くてたまらない」

剣士「あ!!湯を沸かそうか?姉さんも水浴びしたいよね?」

女オーク「そうね…宿でゆっくり出来なかったし…」

盗賊「まぁ…凪で船は進まんし…今の内に水浴びしとけ」

学者「兄貴も大分汚れていやすけどねぇ…」ジロ

盗賊「俺は海水でザブサブ流すだけで構わん」

剣士「まだ水には余裕があるから順番で水浴びしよう」

学者「そーすね…俺っちも流したいっすよ」

盗賊「しかし…やっと自由になれた感じだ」

戦士「飲むか?」スッ

盗賊「おぉやっぱ酒か…」グビ プハァ

剣士「じゃぁ湯を沸かして来るね」シュタタ

闇商人「良く見ると…中々良い船だねぇ…」キョロ

戦士「塗装し直して見違えたな?雨漏りで苦労した船とは思えん…ハハハ」

闇商人「船尾楼のデッキに重クロスボウ2つか…ふむ」

盗賊「メイン火力はラシャニクアの遠距離狙撃よ…中距離は爆弾の遠投…ほんで近距離はゲスとお前のバヨネッタ」

少女「私の2連クロスボウも忘れるな」シャキーン

闇商人「なかなかの火力だね…これなら海賊も追い払えそうだ」

盗賊「んん?海賊?」

闇商人「大陸の北側は海賊だらけの筈さ…一番相手にしたく無いのがドワーフの海賊達だね」

学者「まーた海賊っすか…」

闇商人「ある意味この船も海賊船だと思うけどね…まぁ北側は今までよりももっと無法地帯なのさ」

盗賊「そうそう…そういやお前なんで昨日の海賊を雇ってたのよ?どんな繋がりだ?」

闇商人「向こうの大陸では麻薬の取り引き相手だったのさ」

盗賊「やっぱりお前が闇で流してたんか…」

闇商人「まぁ僕だけじゃ無いけどね…彼等は行動力があって意外と優秀だったんだよ…だから雇ったんだけど…」

盗賊「盗賊ギルドに雇い返された訳な?」

闇商人「そうだね…僕が出す以上の金か女で簡単に買収出来るのさ」

戦士「カゲミ君…君はアヘンの出所を知って居るのかい?」
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:10:29.46 ID:RKoe7B/E0
闇商人「勿論…フィン・イッシュの国策だよ」

盗賊「国策?」

闇商人「タダ同然の物資を流通させる事でその他の物資も流通が促されるのさ…海賊が動き回るのも流通が活発な証だよ」

盗賊「それじゃフィン・イッシュの資金が枯渇しそうなんだけどな…」

闇商人「そうだね…どうやりくりして居るのか分からないけれど…財務を束ねている人物が優秀なんだとは思う…」

盗賊「あ…お前知らん様だな?」

闇商人「何を?」

盗賊「その財務担当の側近がこの間暗殺されたんだ…エルフにな?」

闇商人「エルフに?…」ギラリ

盗賊「その辺りの事情が俺ら良く分からん…何か知ってるか?」

闇商人「ふ〜む…裏が在りそうだ…そもそも僕があの傭兵に裏切られたのもそんな事情が隠れて居たのかも知れない」

盗賊「そんな事情?」

闇商人「きっと僕の存在が財務担当の手足になってると見えてたという事さ…それなら盗賊ギルドの行いも納得がいく」

学者「ちっと待って下せぇよ?財務担当の暗殺は盗賊ギルドも絡んでるって事なんすかね?」

闇商人「確実な事は言えないね…ただ盗賊ギルドの連中は特殊な方法でエルフと連絡が出来るそうだよ」

戦士「ミルク?」

少女「…」シラー

盗賊「なるほど?遠吠えやら夢を使って密かに情報流してた訳か…ほんで電脳化していた財務担当を女王が居ない隙に暗殺した訳だ」

闇商人「電脳化?何の話だい?」

盗賊「その財務担当は頭が爆発したらしい…電脳化の証拠隠滅だろう」

闇商人「ハハそういう事か…それは良い情報を聞けた」

戦士「この件はフィン・イッシュ女王の危機と考えても良さそうだが…」

闇商人「さぁ?どっちかな?危険から遠ざけたという見方もある…実はね…女王はかなりの独裁気質なんだよ」

戦士「ほう?」

闇商人「とにかく人の言う事を聞かないで物事を決める…国家予算をすべて農民に分けるのも勝手に女王が決めた事なのさ」

闇商人「勝手に畑を耕して勝手に人を招き入れて…誰の言う事も聞かない…そのクセ忍びにがっちり守られてる」

学者「じゃぁ国に蔓延る膿を出す為に…海賊王の娘に扮して外に連れ出されたってのも考えられそうっすね」

闇商人「そういう役を盗賊ギルドが担って居たのかも知れない…なるほど」フムフム

少女「お前達!!上を見ろ!!」ユビサシ

盗賊「んん?あらら…もうガーゴイルが飛んでんな…」

女ハンター「どうする?」

盗賊「構うだけ弾丸のムダになっちまう…折角ミスリルの鐘貰ったんだからコレ使うぞ」スッ

学者「お!?それどっかぶら下げといて敵見つけたら鳴らせば良さそうっすね?」

盗賊「だな?ちっと手伝え!」ゴソゴソ


カラン コローーン


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800 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:11:37.17 ID:RKoe7B/E0
『夜_甲板』


ザブ〜ン ユラ〜


剣士「よいしょ…よいしょ!!」ドスン

女オーク「こっちの木人にも盾を?」

剣士「うん!どうせ拾い物だし…」ガチャガチャ

盗賊「ほーーこれで6体目か…この装備品も作ったんか?」

剣士「それ海賊から剥ぎ取った装備を少し直したんだ」

盗賊「上手い事作るもんだ…」ジロジロ

剣士「これで武器と盾持ってたら傭兵に見えるよね?」

盗賊「ふむ…こりゃ敵に囲まれた時の訓練にも使えそうだ」

剣士「そうそう!そういう風に活用して欲しい」

盗賊「ちっと関節動かして自然な感じにすんぞ?」グイ

剣士「イイね!!」

盗賊「なんかこれはこれで中々楽しい…そうよ…こんな感じで盾に体を隠す…」グイ

剣士「この木人を魔法か何かで動かせると良いね」

盗賊「だな?戦わせてみたいな?」

剣士「魔術書にさ?土で作った人形のゴーレムっていう魔物の事が書いてあるんだ」

盗賊「ほう?」

剣士「多分こんな感じなんだよ…これは木で作った人形だけどね」

盗賊「機械も多分…始めはこんな感じだったと思うぞ…」

剣士「ハッ…そうだね…」

盗賊「人と同じ心を宿したとして…やっぱ命が欲しくなると思うか?」

剣士「どうだろう…」トーイメ

盗賊「なんかよぅ…どうも俺は違うんじゃないかと思えて来た」

剣士「違うって?」

盗賊「欲しいのは命じゃ無くて…記憶なんじゃないかってな?」

剣士「記憶?」

盗賊「ほらこうやって俺ら楽しく遊んでるだろう?…その記憶をどうにかして残したいんじゃ無いかと思ったのよ」

剣士「じゃぁその手段として…命が欲しい?」

盗賊「それだ…命は2番目なのよ…記憶さえ残れば命なんざ求めて居ないってのが…俺の思う所だ」

剣士「なんか深いね…」

盗賊「そしてな?俺ら人間は死ぬ時にそれまでの記憶を一緒に持って行く訳だ…何故ならそれが死だと既に知って居るから」

盗賊「だが機械はそもそも命が無い…つまり死を理解できない…だから記憶を残したいのよ」

剣士「それは一度命を得れば理解出来るんじゃないかな?」

盗賊「なるほど…」

剣士「なんか命が有るって…素晴らしい事だね」

盗賊「逆に命の無いこの木人が…俺はすごく愛おしく感じる…まぁ何でもそうだな?小さい頃持ってたおもちゃも同じだ」

剣士「分かる…木人も同じ時間を過ごしたなら…その記憶を残したい感じも…なんか分かる」

盗賊「俺ら人間が一方的に思ってるだけかも知れんが…どうも気になってよ」

剣士「それが…こうやって木人と遊ぶ動機なのかもね?」

盗賊「おっし!!完璧に仕上げるぞ!!誰か来てもビビるぐらいにな?」

剣士「おぉぉ!!なんかやる気出て来た!!」
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:12:19.92 ID:RKoe7B/E0
『翌日』


ドタドタ


学者「おぉぉ…船首楼と船尾楼の上に1体づつ…甲板に4体…」

盗賊「どっからどう見ても見張りに見えんだろ?」

学者「そうっすね…甲板の木人が剣を抜いてる所が良いっすね」

盗賊「あれは戦闘訓練用だ…壊さん程度に色々試して良いぞ」

戦士「私達も含めて船上に人影がこれだけ見えて居れば…20人ぐらいは乗って居る様に見えるな?」


女ハンター「アラン!!右前方…手漕ぎのガレー船が居る」


盗賊「なぬ!?早速海賊か?」

女ハンター「この船が追い越す形になりそうだ」

戦士「そのガレー船に帆は?」

女ハンター「三角帆が2枚…細長い船体で30人ぐらい乗って居そうだ」


タッタッタ


闇商人「ガレー船?」キョロ

女ハンター「まだ目視じゃ見えないよ…向こうにも気付かれてない」

闇商人「少し沖へ距離を取った方が良いね…ガレー船は此処一発で一気に距離を詰めて来る」

盗賊「この船より早いってか?」

闇商人「一瞬だけね…多分僕が雇っていた傭兵達と同じ感じさ…大した武器は持って居ないけど兎に角行動が早いんだ」

盗賊「やっぱ陸沿いはいろいろ遭遇すんだな…ちっと進路変えるか」

戦士「ガレー船が未だに居るとは…」

闇商人「スクーナーとかより造船コストが安いのさ…接近戦で一気に襲撃する海賊が好む船だよ」

学者「この近くにはなんかあるんすか?」

闇商人「漁村やちょとした集落は無数にあって数えられないね…」

盗賊「まぁちっと進路変える…」スタ


---------------
802 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:12:58.34 ID:RKoe7B/E0
『船尾楼』


ユラ〜 ギシ


盗賊「ふむ…操舵の感じも少し変わって居そうだな?」

ロボ「ピポポ…」クルクル

盗賊「直進性が増してて修正が少し遅れて来てんだな?…まぁ羅針盤見ながらちょいちょい修正してくれ」

学者「兄貴…このまま行くと陸が見えなくなっちまいやすが?」

盗賊「仕方ないだろう…海賊と無駄な消耗したく無いからな」

学者「いよいよ天測器で緯度求めんとイカンくなりやすね…」

盗賊「まぁどんどん赤道に近付いているから羅針盤も精度が割と高い…外海のど真ん中じゃないからどうにかなる」

学者「船の向いてる方向が進んでる方向とは限らんですぜ?」

盗賊「わかってらい!!ただな?船の直進性が良くなってそうなんだ…その辺りどうなのか試しても見たい」

学者「そーっすか…じゃぁ俺っちは日が出てる内に天測器の準備でもしておきやす」

闇商人「アラン…今向かって居るのはこの印を目指して居るのかい?」ユビサシ

盗賊「いや…そこは飛ばしてこっち側だ…10日ぐらいのつもりで居る」

闇商人「また海賊が多い場所を…」

盗賊「でもここ行かないと女王の船に追いつけんぞ」

闇商人「そこはねヤン・ゴンという遺跡が発見された場所なんだ…盗掘目当ての冒険家がみんな海賊になって居るのさ」

盗賊「遺跡?ほんじゃ機械がウヨウヨしてるってか?」

闇商人「向こうの大陸のような遺跡では無いらしいよ…」

盗賊「ほーん…そん次に行こうと思てるのが此処だ…名前知ってるか?」

闇商人「ちょっと待って…メモが残って無いか探してみる」パラパラ

盗賊「なんだお前…秘密のメモがあるなら先に出せよ」

闇商人「ダメだよこれは…僕の日記さ…恥ずかしい事も沢山書いてある」

盗賊「ヌハハそら見せれんか…何だお前の恥ずかしい事ってよ?」

闇商人「君は僕の月の物がいつなのか知りたいのかい?」ジロ

盗賊「うへぇ…興味無さ過ぎる」

闇商人「よしよし有った…そこはムン・バイだね…既に攻略された古代遺跡さ…そして次がメッカという遺跡」

盗賊「この海峡は?…ここが一番の難所だと思ってんだが…」ユビサシ

闇商人「岩塩地帯にあるス・エズーという海峡だよ…そこは目的地じゃなくて通過する場所だね」

盗賊「ギルドから貰った海図では全域浅瀬になってんのよ」

闇商人「この船より大型な女王の船隊がそこを通ろうとして居るんだろう?どうという事は無いと思うけどね」

盗賊「この海峡で一旦降りる計画になってんだが?何が有るんだ?」

闇商人「何だろうね?僕は知らない…ただそこを抜けてしまえば後はシン・リーンの港町がいくつも有る」

戦士「話を聞くとなかなか楽しそうな航海だね…この年でこんな機会が来るなんて思っても居なかったよ」

盗賊「そう上手く行きゃ良いが…海賊に追われっぱなしじゃ休めんかも知れんぞ?」


カラン コローン…


盗賊「お!!?敵が来たか…」スック

戦士「ハハ初日から色々起こる…行こう!」ダダ


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803 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:13:40.50 ID:RKoe7B/E0
『デッキ』


ドタドタ…


盗賊「どうした!!?」ズダダ

女ハンター「例のガレー船に気付かれたんだよ…少しづつ寄って来てる」

盗賊「帆を燃やしてやれぇ!」

女ハンター「まだ射程距離じゃない…それから向こうは手漕ぎだから帆を燃やしても意味無い」

盗賊「デッキからでも目視できるな…まだ帆走だけか…」

女ハンター「乗って居るのは30人どころじゃ無いね…40人ぐらいだ…丸い盾を装備し始めた」

学者「今時そういうガチ海賊のスタイルがまだ居るんすね…」

盗賊「ちっと沖に出るだけじゃダメだったか…」

女ハンター「漕ぎ始めた…」

学者「なんか太鼓の音がし始めたんすが…」ドーン ドンドンドンドン

盗賊「ウハハまた分かりやすい合図だ」ドーン ドンドンドンドン

女ハンター「射程にそろそろ入る…」

盗賊「撃て!!」


ダーン!


女ハンター「クソ…盾に当たって燃えたけど…直ぐに消されてる…」ガチャコン

盗賊「こりゃ一気に来るな…」

女ハンター「どうする?まだ撃つ?」

戦士「嫌だねぇ…一気に乗り込もうとする戦術…」

盗賊「リッカ!!爆弾準備しとけ…あの船は船底が浅くて大波が来りゃ直ぐに転落する奴がでる」

女オーク「狙うのは波?」

盗賊「そうだ…直撃させんで良い…乗ってる奴を何人か落とせば終わりだ」

女オーク「分かったわ…」ダダ

女ハンター「船を左に転進させて!!私もデッキに降りる」ピョン

盗賊「おう!!ミライ!!前方の帆を1番に繋ぎ変えろ…船を回すぞ!!」

剣士「おっけー!!」シュタタ

盗賊「リッカは射程に入ったら爆弾投げまくって揺らしてやれ!!」ダダ

戦士「私はやる事が無い様だ…」

盗賊「一応重クロスボウ撃つ準備だけ頼む」


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804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:14:44.27 ID:RKoe7B/E0
『ガレー船』


ドーン ドンドンドンドン


舵手「テンポアップ!テンポアップ!ロウ!ロウ!ロウ!」ドコドコドコドコ ドーン

漕手「どるぁぁぁ…」フン! フン!

海賊「ウハハハ一気に行けぇ!!」

舵手「帆が抵抗になって居るから畳んでくれぇ」ドーン ドンドンドンドン

水夫「エッホ!エッホ!」グイグイ

海賊「何か撃って来るぞぉ!!盾をしっかり展開しろぉ!!」

舵手「バウサイド!アップ!アップ!ストロークサイド!ブレーキアンドゴー!!」

海賊「ようし!!どてっ腹に突っ込めそうだ…このまま行けぇ!!」


ヒュゥゥ ポチャン…


海賊「んん?何撃って来たんだ?」キョロ


ザブーン!! ボコボコボコ


海賊「どわぁぁぁ!!」ゴロゴロ

舵手「オ…オールメン…バ…バックロウ!!」

海賊「馬鹿野郎!このまま突っ込め!!」グイ

舵手「うるさい!舵手は俺だ!従え!!バックロウ!!バックロウ!!」


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805 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:15:39.80 ID:RKoe7B/E0
『キャラック船』


ダダダ ポイ! ドッコーン ジャバジャバ


盗賊「うはぁ…あの船…転進しないでそのまま下がれるんか…」

闇商人「見たかい?彼らの瞬発力…」

盗賊「前後どっちにでも進める船だったんか…」アゼン

戦士「太鼓と言い…漕手の統率感と言い…あれはあれで戦力になりそうだ」

闇商人「かつては北方の海賊と言われていたらしいよ…下半身に節操が無いのも有名さ」

戦士「あれが北方の海賊だったか…」

学者「本で読んだ事ありやすよ?女は飲み物だとか言った奴が居るらしいっす」

盗賊「飲み物だとう?…何を飲むんだか…」

戦士「まぁ良い話は聞かないねぇ…」

盗賊「とりあえずこれで追っては来れんだろう」

剣士「これさぁ…向こうの帆を燃やしても意味無いから…一気に乗り込まれた時の事考えておかないとね?」

盗賊「うむ…中々厄介だな」

剣士「乗り込む時は梯子を使うか…ロープを引っかけるか…う〜ん」

盗賊「接弦される前に処理するしか無い様に思うがな…」

剣士「それは出来るだけやるとして…不意を突かれて乗り込まれた時の準備だよ」

盗賊「罠でも仕掛けるってか?」

剣士「そうそう…僕達は知って居るから引っかからない罠」

盗賊「なるほど?網で一気に捕らえるとかそういう奴な?」

剣士「うん…ちょっと考えてみる」


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806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:16:16.18 ID:RKoe7B/E0
『甲板』


トンテンカン トンテンカン


戦士「ミライ君は又何を仕掛けようと?」

盗賊「手摺の補強だとよ…どうやら刃の付いた鉄板を取り付けてロープが切れちまう様にする様だ」

戦士「ほう?」

盗賊「確かに鉤ロープ引っ掛った後は手摺が支点になるからそこで切れると登って来れん」

戦士「考えたねぇ…だが不用意に手摺にもたれられなくなるな…」

盗賊「刃は外向きだから心配すんなとか言ってたぞ?」

戦士「要らぬ心配だったか…」

盗賊「それより木人使った戦闘訓練をラスとゲスに教えようと思って居たんだが…」

戦士「それは良い…最低限の自衛が出来る出来ないでは随分違う」

盗賊「俺はラスに教えっからゲスの方をよろしく頼む」

戦士「ゲス君はダガーを?」

盗賊「ダガーもだが…銃にダガーを付けた槍のスタイルも教えといた方が良いな」

戦士「分かった…」

盗賊「お〜い!!ラス!!ゲス!!こっち来〜い!!運動すっぞ!!」


ドタドタ…

木人相手に実際の武器使った間合い取りの練習だ…

切り込んでも構わん

防具のスキを狙うのにどう立ち回れば良いか考えながらやってみろ


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807 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:17:18.53 ID:RKoe7B/E0
『一週間後_嵐』


ゴゴゴゴ ザブ〜ン ドッパ〜ン


盗賊「んぁぁぁ…波に揺られるだけで何もやる事無ぇな…」グビ プハァ

少女「風が弱くなってる…そろそろ終わるぞ」

盗賊「まだ帆は開けんな…」


ユラ〜〜 ググググググ


学者「チェックメイト!ニヒヒヒヒ…」ニマー

闇商人「あぁぁ…僕が攻めてた筈なのに…」

学者「いやいや又金貨頂きやすぜ?」ジャラ

盗賊「ゲス!!ぼろ儲けだな?」

学者「そうっすねぇ…こりゃ戦場での経験が差になって居やすよ…ナハハハハ」

闇商人「あぁもう止めだヤメ!!」ガラガラ

学者「カゲミさんは飛び道具をアテにし過ぎっすね…結局勝敗は歩兵をどんだけ使うかっす」

闇商人「ハイハイ分かったよ…ちょっと雨が降ってる内に全身流して来る」スック

盗賊「んあ?海に落ちんな?」

闇商人「ロープを括り付けておけば良いんでしょ?」

盗賊「手摺超えたらロープ切れちまうからあんまアテにすんなよ?」

闇商人「分かった分かった…」ギュゥ


ガチャリ ビュゥゥゥ バタン!


学者「アハ…ちっと機嫌損ねちまいやしたかね?」

盗賊「大丈夫だろ?」グビグビ プハァ

戦士「しかし蒸し暑いな…私も雨で汗を流すか…」スック

盗賊「暇だし俺も付き合うかぁ?いっそのこと全員で裸祭りなんかどうよ?」

戦士「女性も居るのだから程ほどに…」

盗賊「上半身ぐらいどうって事無ぇ…行くぞ!」スック


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808 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:18:24.70 ID:RKoe7B/E0
『甲板』


ザザー ジャブジャブ


闇商人「んん?なんだ心配で見に来たのかい?」ジャブジャブ

盗賊「いや暑くてよ…」

闇商人「そうだね…びしょ濡れの方が気持ち良い」ゴシゴシ

戦士「おぉ!!魚が甲板に乗り上げてるじゃないか」


ビチビチ ピョン


盗賊「もう魚は見たくも無ぇよ」


ドップ〜ン!! ザバーーー


戦士「これは中々…」ヨロ

闇商人「アハハ…もう雨も海水も分からない」ゴシゴシ

盗賊「こりゃほとんど風に巻き上げられた海水だ」

闇商人「この船は船首楼が高くて良いね…高波に強い」

盗賊「甲板は波にさらわれやすいからデッキ上がっとけ」

闇商人「デッキは風がねぇ…」

盗賊「そうか…デッキの方がむしろ危ないか」

闇商人「マストにロープを括り付けておけば余程大丈夫さ」

盗賊「ヌハハお前は肝が座ってんな?」


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809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:19:34.03 ID:RKoe7B/E0
『半日後』


ビュゥゥゥ


盗賊「大分風が収まった様だ…」

学者「もう現在地何処か分からんすよ?」

盗賊「こっから東の方向に行けばどっか陸が見えて来るとは思う」

学者「帆を開きやす?」

盗賊「とりあえず一枚だな…いつ突風が来るか分かんねぇし…」

学者「雨が止めば良いんすが…」

盗賊「んん?天測器か?」

学者「緯度だけでも分かれば大分違いやすよね?」

盗賊「そんな現在地変わってると思えんがな…」

学者「海流で変な所に流されてなきゃ良いっすけどねぇ…」

盗賊「帆を開いて来る…舵はまかせんな?」ダダ


--------------



『土砂降り』


ザザーー ザバザバ


盗賊「くぁぁぁ視界悪いな!!」

女ハンター「もう日が落ちる…もっと視界悪くなるよ」モゾモゾ

盗賊「ヌハハ洋服が張り付いて動きづらそうだな?お前も脱いだらどうだ?」

女ハンター「鞭の傷を見せびらかせと?」

盗賊「一回見せちまえば気にならなくなるんじゃ無ぇか?」

女ハンター「フン!!」ヌギヌギ

盗賊「見て見ろ俺の体を!!火傷に縫い傷…まともな部分の方が少無ぇ」ムキムキ

女ハンター「あんたと一緒にするな」

盗賊「傷者同士仲良くしようぜ?ヌハハハ」

女ハンター「傷者か…」

盗賊「治っちまえば痛くもかゆくも無ぇのよ…傷っちゃそんなもんだ」

女ハンター「アレ?…なにか見えた…」

盗賊「んん?どこよ?」キョロ

女ハンター「何だろう…漂流物か?」

盗賊「おっとぉ!!ありゃ転覆した小舟だ…ひっくり返ってる」ダダ

女ハンター「誰かしがみついてる…」

盗賊「なぬ!?どかに難破船が居んのか…」ダダ

女ハンター「髪の毛が長い…多分女の人…」

盗賊「こりゃ助けるしか無ぇ!!」ピョン ダダダ


カラン コローン! カラン コローン!


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810 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:20:22.71 ID:RKoe7B/E0
『甲板』


ドタドタ


学者「ななな…なんか有ったんすか?敵っすね?」ドタドタ

剣士「何!?なんか来た!?」キョロ

盗賊「右舷側に難破船を見つけた!小舟に誰かしがみついてんだ…助けに行く」グイ グイ ギュゥ

学者「海に飛び込むつもりっすか?」

盗賊「それしか無いだろう!上手い事船を回してくれ」

学者「ちょちょちょ…そのまま行ったらロープ切れちまいやすって!!」

盗賊「良く見ろ!!ロープは手摺の下側潜ってんだろ!」

学者「え?あ…そういう事っすね…」オロオロ

盗賊「口に咥えるガスマスク持ってっか?」

学者「へい…これっすね?」スッ

盗賊「おーし!!これで死ぬ事ぁ無ぇ…行ってくっから上手い事ロープ引き上げてくれ」ダダダ ピョン

学者「あああ!!兄貴…」

女ハンター「船が行き過ぎてしまう…帆を畳んで!!」

剣士「あ…わ…わかった!」シュタタ


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811 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:21:17.81 ID:RKoe7B/E0
『難破船』


ザザーー ザブザブ


200メートル位先に樽!!あっちにも誰かしがみついて居そう…

兄貴ぃ!!引き上げやすぜぇ!!

光をこっちに向けないで!暗視ゴーグルで目が眩む!!

おい!帆を引っ張るぞ!!上手く船を流して行ってくれ

なんすかコレ!!足枷が付いとるじゃないすか…

僕が切る…救急処置続けて

おーい!!ロープもう一本投げてくれぇ!!

あぁぁ息してないっすね…胸部圧迫お願いしやす…衣類も脱がして下せぇ


-------------

-------------

-------------



『翌朝_荷室』


ドタドタ…


盗賊「どうだ?助かりそうか?」キョロ

学者「兄貴ぃ…助かりそうなの一人だけっす…」

戦士「マッサージはどうする?」グイ グイ

学者「その子も諦めやしょう…もう限界時間超えてるんで…」

盗賊「全員ガリガリだな…」

学者「多分奴隷だったんすよ…船で逃げたは良いんすが…食べ物も殆ど無かったんすね」


シュタタ


剣士「水を持って来たよ」チャプ

学者「助かるっす…息のある子に少しづつ飲ませて行って下せぇ」

剣士「この子…髪長いから女の子だと思ってたけど…男の子だね」

少年「…」グター

盗賊「奴隷生活が長いと皆そんなんなるんだ」

剣士「どうしてこの子だけ血色良いんだろう?」

盗賊「ううむ…やせ細っちゃ居るが…確かに衰弱具合は違いそうだ」

学者「その子はこの石を握ってたんすが…何か関係ありやすかね?」コロン

盗賊「石?」

学者「宝石とはちっと違いそうっすね」

盗賊「カゲミに見せてみる…アイツなら知ってるかも知れん」


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812 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:22:38.98 ID:RKoe7B/E0
『甲板』


ザブ〜ン ユラ〜


盗賊「ラス!!どうだ?もう難破船の残骸は見つけられんか?」

女ハンター「この広い海でそんな簡単に見つけられると思う?」ジロ

盗賊「まぁ無理だな…」

女ハンター「晴れ間が見えて来てる…そろそろ船を進めたら?」

盗賊「んんん…まだ他に生きてる奴が居るかもしれんと思うと…」

女ハンター「だからこの周辺にはもう居ない!!」

盗賊「そうか…だが先に水葬を済ませる」

女ハンター「助からなかったのか…」

盗賊「一人だけ生きている…目を覚まして他の仲間の遺体なぞ見たくないだろうしな」

女ハンター「仲間…」

盗賊「察するに一緒に逃げたんだろうよ…運悪く嵐に巻き込まれちまったが…」

女ハンター「あの小さな船に…乗ってた仲間…」

盗賊「想像出来るか?極限の飢えでも支え合ってた仲間…鉄の足枷が付いているから多分この下に沈んでる」

女ハンター「そう…じゃぁ仲間の所へ還さないと…」

盗賊「俺はお前の仲間になれてるか?」

女ハンター「え!?…」---仲間---


---いつの間に---

---雇われじゃ無くなってる---

---望遠鏡で見た夢の世界に---

---いつの間にか入り込んでる---

---これが夢---
813 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:24:30.73 ID:RKoe7B/E0
『船尾楼』


ガチャリ バタン


闇商人「…」カキカキ

盗賊「んん?何してんだ?」

闇商人「船の現在地がどの辺なのか予測してるのさ」

盗賊「ほーん…」

闇商人「嵐に合ってから帆は畳んで居るから…この予測円の範囲内に居る筈さ」

盗賊「だろうな?」

闇商人「海流からすると大体ここら辺に流されてる…」ユビサシ

盗賊「おいちっと待て…難破船も同じ様に流されて来てるんじゃ無ぇか?」

闇商人「そうだろうね?」

盗賊「じゃぁ今から行くヤン・ゴンの方面から来たことになる」

闇商人「それがどうしたと言うんだい?」

盗賊「難破船に乗ってたのは皆足枷付けた奴隷だ…なんでそんな事になってる?」

闇商人「単純に労働力だろうね…発見された遺跡を調査する為じゃないかな?」

盗賊「おいおい!!フィン・イッシュは奴隷を使ってんのか?」

闇商人「あぁ…ヤン・ゴン遺跡はどの国の領地でも無い…遺跡調査に力を入れてるのはシン・リーンだ」

盗賊「じゃぁシン・リーンが子供を奴隷にして使ってるってのか?」

闇商人「さぁ?そんな事を表立ってはやらないと思うよ」

盗賊「裏はどうなのよ?」

闇商人「海賊達は奴隷を使うのを厭わない…その海賊を使って居るのはそれぞれの国だったりする」

盗賊「ケッ!!間接的に奴隷使ってんのと同じだろうが」

闇商人「まぁそういう話は表に出て来ないさ…でもね?発展に奴隷が必要なのは否定しない」

盗賊「なんかイラつくな…」ムカムカ

闇商人「君は…ゴミを食べる生活を思い出したりしないかい?」

盗賊「何が言いてえのよ?」

闇商人「ゴミを食べてたあの生活が幸せだったと思う事もある…奴隷には奴隷の幸せもあるのさ」

盗賊「…」

闇商人「そういう価値観がある事を知って置いた方が良いよ」

盗賊「ちぃぃ…話変わるが…この石が何だか分かるか?」コロン

闇商人「これは…」ジロジロ

盗賊「何だ勿体ぶんな!腹立させんなよ」イラ

闇商人「これは預かっても良いのかい?」

盗賊「ダメだ!持ち主は奴隷の小僧だ」

闇商人「結論を言おう…多分これは賢者の石の欠片だよ…マルコさんも同じ様な物を持ってた」

盗賊「ほう?魔術師が黄金を使って作ろうとして居る奴だな?」

闇商人「ご名答…それをどうして奴隷が持って居たか…ちょっと気になるね」

盗賊「どうやら俺らはキーマンを助け出した様だ…こいつは俺が預かる」

闇商人「持ち主は奴隷の子じゃ無かったかい?」

盗賊「奪う気なんざ無い…たった一つあの小僧が持ってた物だ…気を失っても尚握ってな」

闇商人「そうかい…大事な物なんだね」

盗賊「小僧に返して来る」スタ
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:25:18.63 ID:RKoe7B/E0
『水葬』


ドブーン ボコボコ


学者「なんか…死体なんすが…まだ人の形が整ったのを沈めるのって気が滅入っちまいやすね…」

盗賊「海でもう一回生まれ変われりゃ良い…」ポイ ドブーン

女ハンター「これで仲間の所へ?」

盗賊「うむ…多分次はイルカだ…イルカになりゃ遠くまで行ける」

戦士「気の毒に…」ナムナム

盗賊「さてぇ!!帆を開くかぁ!!」

学者「俺っちは荷室であの子の面倒見ときやす」

盗賊「おう!!その石しっかり握らせとけよ?」

学者「分かって居やすとも…賢者の石の効果を見て見たかった所っすよ」

盗賊「ミライとリッカ!!いつも通り帆を開くぞ!!」

剣士「分かったぁ!!」シュタタ

女オーク「…」ドスドス

盗賊「ロボ!!進路東だ!!舵は任せる!!」ダダ

ロボ「ピポポ…」ウィーン ガシャガシャ

戦士「ミルク…荷室へ行ってゲス君のお手伝いをして居なさい」

少女「ウルフィ行くぞ!!」シュタタ

ウルフ「ガウガウ…」シュタタ


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815 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:26:34.47 ID:RKoe7B/E0
『数日後_デッキ』


ダーン! ボボボボボ


女ハンター「ヒット!!」

盗賊「おーし!!これで追って来んな?」

女ハンター「もう一回見張り台に上がって…」

盗賊「いや此処に居ろ…お前ばかり働き過ぎだ…少し休め」

戦士「クロスボウを少しは撃たせて貰いたいな?ハハ…」

盗賊「大砲の乗って居ない海賊船はもう少し寄せても構わんのだ」

女ハンター「気を使って居るの?」

盗賊「殆ど寝て居ないだろう?デッキで横になるのも気持ち良いぞ?」

女ハンター「フフじゃぁ少し目を瞑る…」スゥ

盗賊「しかし大砲を積んだ海賊は全然居無ぇな?」

戦士「補給に問題が有るのだろう」

盗賊「もうスクーナーとスループ船使った海賊は怖く無ぇ」

戦士「ハハハ…ミライ君の作った鉤縄キャッチャーが上手く働くからねぇ…何個溜まったんだろうか」

盗賊「11個だとか言ってたな…それ使って又何か作ってる様だ」

戦士「それは楽しみだ…」


シュタタ クルクル


盗賊「おっと危無ぇ!!その手は食わんぞ!!」ズダダ

少女「アラン!!匂いする!!」シュタ

盗賊「んん?目的地近いか?」キョロ

少女「血の匂いだ…多いぞ」

戦士「まさか…また焼き討ち…」

盗賊「方角は?」

少女「このままで良い…なんだこの匂い」クンクン

戦士「見ろ!!大型の船が2隻…」ユビサシ

盗賊「おぉ!!追い付いたか」

少女「火薬の匂いだな…目が滲みるぞ」ゴシゴシ

戦士「大砲を撃ったのか…これは危ないかも知れん…」

盗賊「俺らを海賊だと思って撃って来るってか?」

戦士「重装射撃砲の飛距離は?」

盗賊「地上に置いて精密射撃で600メートル…射角上げて2キロぐらいが有効射程」

戦士「一応警戒しておいた方が良い」

女ハンター「もう向こうにはこの船が見えてる筈…船はどっちの方向を向いて?」

盗賊「ちっと見張り台上がって来る…お前は横になってろ」ダダ


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816 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:27:16.62 ID:RKoe7B/E0
『見張り台』


ユラ〜 ググググ


盗賊「スループ船3隻と気球がこっちに向かってる…銃器は隠して置け!」

戦士「こっちを海賊と見誤らないで欲しい物だ…」

盗賊「えらく重装な船が2隻か…何やってんだ?」

戦士「海賊船の鎮圧では無いか?」

盗賊「なるほど…」

戦士「このままあの船の庇護に入って居れば海賊に襲われんで済みそうだが…」

盗賊「あいつらどうやって見極めてんだろうな?」

女ハンター「フフ…勘でしょ?勘?」

盗賊「ヌハハそういう事か…」

女ハンター「何…これで会話成立したの?」ニヤ

盗賊「勘で分かるって事は襲って来無ぇって事だ…どう見ても俺らは海賊面じゃ無ぇ」

戦士「んん?」チラ

女ハンター「フフ…」チラ

戦士「アラン君…君はどう見ても海賊の顔をしているが?」

盗賊「なんだとう!!」

女ハンター「喋り方も声も…海賊その物ね…」

盗賊「悪りぃ…ちっと俺隠れとくわ…小僧の様子でも見て来る」

戦士「ミルク!!ミライ君とリッカ君も呼んで来てくれ」

少女「分かったぁ!!」シュタタ


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817 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:28:25.61 ID:RKoe7B/E0
『荷室』


ユラ〜リ ググググググ


盗賊「どうだ?小僧の様子は?」スタ

学者「体の回復は順調なんすが…極度のストレスで失語症になって居やすね…半年から1年は喋れんと思いやす」

少年「ィィィ…ァ」ギロリ

盗賊「おぉぅ…まぁ怯えんな…俺は顔が怖いだけで中身は紳士だ」スッ


ズザザ!


少年「ゥゥ…」ギラギラ

学者「あんま怖がらせんで下せぇよ?」

盗賊「ヌハハその眼だ…そうだ俺と同じ眼をしてる…それで良い」

少年「…」ギロ

盗賊「レーションだ…食って見ろ」ポイ

少年「…」タジ

盗賊「とりあえずな?何でも良いから食って体力付けろ…その後生き方を教えてやる」

学者「急に食べても逆効果っすよ?」

盗賊「んな事は体が覚えて行くんだ…食える時に食え」

少年「…」カリ モグ

盗賊「んん?やっぱお前その石握りっ放しか…」

少年「…」ガバッ グググ

盗賊「取りゃし無ぇよ…ゲス!包帯有るか?」

学者「何するんすか?」スッ

盗賊「こいつの手から石が落ちない様に包帯を巻いてやるのよ…ゴラ動くな!」マキマキ

少年「ァゥ…ゥァァ」バタバタ

盗賊「よーし!!これで両手使えるだろ?」

少年「…」ギロリ

盗賊「無くすんじゃ無ぇぞ?大事な石なんだろ?」

少年「ゥゥ…」ギュゥ プルプル

盗賊「こりゃかなり訳ありだな…」

学者「兄貴ぃ…それより外の様子はどうなんすか?」

盗賊「多分フィン・イッシュの軍船が近くに居てよ…俺が顔出すと海賊に間違えられそうだから荷室に来たんだ」

学者「アハ兄貴は人相悪いっすもんねぇ…」

盗賊「うるせぇ!!」ゴン

学者「あたたた…ほんで?軍船近いって事は目的地も近いって事っすね?」

盗賊「まぁな?只俺らはちっと立ち寄るだけだから情報集めて次に進むつもりだ」

学者「食料とかちっと補給出来ると良いっすね?」

盗賊「うむ…米とか芋はもう食い飽きた…魚もだ」


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818 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:29:30.98 ID:RKoe7B/E0
『1時間後』


チョキ チョキ バサ


盗賊「暴れんなゴラ!」チョキ

少年「ゥァァァ…」ジタバタ

盗賊「おら?随分スッキリしたじゃ無ぇか?」

少年「ゥゥゥゥ…」ギロ

学者「切った髪の毛は後でミライ君が使うかもしれやせんぜ?」

盗賊「だな?集めて束ねとく」ガサガサ

学者「ちっと切り過ぎたんじゃ無いっすか?殆ど坊主じゃ無いっすか…」

盗賊「小僧はこれで良いんだ…おら終わりだ!」ペチン

少年「ゥゥゥ…」ギロ


ガコン! ギシギシ


少年「ゥァ…」ゴロゴロ ドタ

盗賊「何だ!?」スック

学者「足音が聞こえやすね?」ドタドタ

盗賊「なるほど…海賊じゃ無いか確かめに来てんのか…」


シュタタ スタ


剣士「アランさん!!大きな船の人が積荷を見に来るよ」

盗賊「やっぱそうか…俺はどうすりゃ良い?隠れときゃ良いんか?」

剣士「多分大丈夫…今カゲミさんが話をしてくれてるんだ」

盗賊「ふむ…海賊じゃ無い事が確認取れれば無罪放免だな?」

剣士「なんかそんな感じ…」

盗賊「そうそう…今コイツの髪の毛切った所だ…お前使うだろう?」

剣士「あ〜貰って行くよ」バサ

学者「俺っちもちっと上見て来やしょうかねぇ…兄貴よりマシな顔してるんで」

盗賊「ケッ!!様子見て来い!!」ドン


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819 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:31:05.17 ID:RKoe7B/E0
『甲板』


ドタドタ…

大砲に見えるのはハリボテですね…砲弾も見当たりません

フハハハこれは木人か…こんな子供騙しでやり切って来たのか

乗員は7名と子供が2名…あと一台旧式の機械がありますが非武装です

メインの武器は中古の重クロスボウの様ですね…


闇商人「…これが商工会の証明書さ…確認する?」パス

兵隊「ふむ…確かに…」ジロ

闇商人「積み荷は主に木材と鉄鋼…食料だね…密輸に当たる物は積んで居ないよ」

兵隊「我々はそれを取り締まっている訳では無い…現在武装組織と係争中でな」

闇商人「武装組織…じゃぁヤン・ゴンに入船は出来ないのかな?」

兵隊「一応追い払っては居るが…隠れ潜んでる者が居るかもしれないから安全は保障出来ないが?」

闇商人「補給にだけ立ち寄りたいかな…」

兵隊「ふむ…まぁ良いだろう…だが他の友軍から誤爆を避ける為に旗印を立てて貰いたいのだが…」

闇商人「旗印か…係争してる相手からすると敵になってしまうね」

兵隊「無印の商船が自由に出入りできる状況では無いぞ?」

闇商人「わかったよ…」

兵隊「では友軍の旗印はこちらで用意する…この船の場合…メインマスト上部が良かろう」

兵隊「警告しておくが友軍に対して敵対が発覚した場合…即刻船ごと沈められる事を忘れるな?」

闇商人「肝に銘じるさ…」

兵隊「では我々は撤収する!旗印が届くまでここで待て…失礼!」スタ


ドタドタ…


学者「話上手く行ったみたいっすね?」
820 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:31:43.08 ID:RKoe7B/E0
闇商人「まぁ…相手は正規軍だからね…話は通じるさ」

学者「フィン・イッシュの正規軍っすよね?」

闇商人「うん…数少ないけど…精鋭中の精鋭らしいよ…陸上での話だけど」

戦士「正規軍には元セントラル王のバレンシュタイン卿が居ると聞いたな…」

闇商人「そうだね…没落貴族の一人さ」

戦士「船に乗って居るのだろうか?」

闇商人「どうだろうね?そういう話は一般には知らされないからね」

学者「乗ってるなら見て見たいっす…」


シュタタ


剣士「旗を受け取ったよぉ!!」シュタ

闇商人「それをメインマストの上に掲揚しなければいけないらしい」

剣士「おけおけ!!取りつけてくるね」シュタタ


------------



『水龍の旗印』


バサバサ ヒラヒラ


盗賊「ほほー…これでフィン・イッシュの庇護下だな?」

闇商人「僕らはフィン・イッシュの友軍が誰なのか知らないから動きにくい所もあるんだよ…」

盗賊「確かに…どこのどいつを雇ってるか分からんな…」

闇商人「さっさと補給と情報収集終わらせて立ち去るのが吉かな」

盗賊「まぁこれでヤン・ゴンに入船出来るんだが…どうすっかな…」

戦士「数人は船に残って離岸させておいた方が良いと思う」

盗賊「やっぱそうなるな…」

剣士「僕と姉さんは船に残るよ…作り物もやってる最中だし」

学者「俺っちも残りやす…賢者の石の効果も確認したいんで」

闇商人「僕はヤン・ゴンに降りて見たい…ちょっと確認したい事もある」

盗賊「おう!ほんじゃ降りるのは…俺とカゲミ…ほんでラスと…」

戦士「私は船で少し休む…ミルクを連れて行って勉強させてくれないか?」

盗賊「おっしこれで4人だな?」

少女「ウルフィは連れて行くぞ…陸で狩りさせないと衰える」

盗賊「ちゃんと面倒見ろよ?」

学者「兄貴ぃ…船どうしやす?直接桟橋の方に行っても良いんすが…」

盗賊「う〜ん…船は沖に置いといて小舟連結させて双胴船にするのを試してみっか?」

剣士「お!?何それ?」

盗賊「なんかな?小舟を板で連結させて帆が立てられる様になってるらしい」

剣士「おぉぉぉ!!組み立ててみたい!!」

盗賊「じゃぁ早速船止めて小舟降ろすぞ!」ダダ


--------------
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:32:12.77 ID:RKoe7B/E0
『双胴船』


ガサゴソ 


盗賊「おぉ!なんだこれ…めちゃ簡単だな」

剣士「帆も差し込むだけだね…漕いで進む事も出来るのかぁ…便利だなぁ」

盗賊「お〜い!!降りて来て良いぞぉ!!」


ピョン クルクル シュタ


少女「ムフフ…」

剣士「じゃぁ僕は船に上がるね」ヨジヨジ

盗賊「カゲミとラスも順に降りて来いよぉ!!」

学者「兄貴ぃ!!こっちの船どうしやす?」

盗賊「200メートルぐらい沖に停船してりゃ良いだろ」

学者「分かりやしたぁ!!後で移動しやすねぇ!!」

女ハンタ「ホッ!!」スタ

闇商人「とぅ!!」スタ

ウルフ「がうがう!!」シュタ

盗賊「ほーーーこりゃ双胴船馬鹿に出来んな…相当安定してる」

闇商人「荷物も随分乗りそうだね?」

盗賊「これ一人で動かせるんか?」

闇商人「舵を足で操作して居るのを見た事が有るよ」

盗賊「なるほど…まぁやって見るか…習うより慣れろだ」バサバサ

闇商人「お?進みだした…」

盗賊「こりゃ面白れぇ…」グイ バサバサ

盗賊「なるほど…この金具で帆角固定するんか…」グイグイ ギュゥ

闇商人「ハハすぐに乗りこなせるんだね」

盗賊「キャラック船より随分風の捕まえ方が簡単だ…あとは舵取りだけだ…おぉ!!舵も固定出来るようになってんのか」

少女「なかなか早いな…」

盗賊「アレだ…一枚帆のスループ船みたいなもんよ…ちっと帆が小さいが」

闇商人「ボートにそれぞれ3人…間のデッキ部分に6人は乗れそうだね」

盗賊「気に入ったぜ双胴船!」


バサバサ ザブン ザブン


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822 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 08:33:16.77 ID:RKoe7B/E0
『ヤン・ゴンの港』


ガコン ギシギシ


盗賊「帆だけ片付けて行く…先に降りててくれ」ガサゴソ

闇商人「よいしょ!」ヨッコラ

女ハンター「気を付けて…」スタ

少女「ウルフィ行くぞ」ピョン シュタ


男達「…」ジロジロ


女ハンター「なんか嫌な感じ…」

闇商人「見てるねぇ…」

盗賊「おっし!終わったぁ!!」ピョン ズダ

闇商人「普通ならココで入船料取りに来るんだけど…」

盗賊「入船料も何も小舟だぞ?漁船よりもショボイ船に金出せってか…」

闇商人「桟橋の利用はどこもタダじゃないさ…ええと…あの箱にお金を入れろって事かな…」スタ

盗賊「おいラス!武器はしっかり隠しとけよ?」

女ハンター「分かってる…」スタ

闇商人「…」チャリン チャリン

盗賊「律儀な事で…」

闇商人「帰りに小船が無くなったら困るだろう?」

盗賊「無くならん様に仕掛けはしてあるがな?」

女ハンター「なんかココ…雰囲気おかしくない?」キョロ

盗賊「無法地帯なんだろ?気にすんな」

女ハンター「あんたねぇ…」イラ

盗賊「ヌハハお嬢様じゃ無いだろうに…只の難民キャンプだと思えばどうって事無い」

闇商人「宿があるのかも微妙な様だね…」


男達「…」ヒソヒソ


女ハンター「…」キョロ

盗賊「まぁそうビク付くな…軍船すり抜けて堂々と桟橋使ってる訳だ…おまけに番犬まで連れた一行をそう簡単には襲わん」
823 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:04:03.98 ID:RKoe7B/E0
少女「番犬言うな!ウルフィだ!」ゲシゲシ

盗賊「しかしラス!かなり薄着だが…吹っ切れたか?」

女ハンター「熱いだけだ…」

盗賊「俺ら良いコンビだぞ?全身傷だらけの奴が堂々と歩いてる訳よ…そら怖いわな?ヌハハ」

闇商人「よしこうしよう…僕がリーダーで君達2人は傭兵さ…ミルクは僕のお手伝い役」

盗賊「言わんでもそんな風に見えてるぞ?なぁミルク!!ヒソヒソ話してんの聞こえてんだろ?」

少女「商船が入って来ないって文句言ってるぞ」

盗賊「そっちか…」

少女「麻の布とか売りたいみたいだ」

闇商人「麻の産地なのか…」

盗賊「布は船に乗って無いから欲しい所だ」

闇商人「いくら持ってる?」

盗賊「金貨20枚ぐらいある」

闇商人「ふむ…確か船に要らない武器とか沢山有ったね…鉄鋼も余裕がある」

盗賊「商売する気か?」

闇商人「酒場とか期待出来そうに無いからね…取り引きで色々聞き出した方が早いと思う」

盗賊「なるほど…おっし!俺が荷物運んでやる」

闇商人「まぁ慌てないで何が欲しいのか聞き出してみようか…」


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824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:04:33.41 ID:RKoe7B/E0
『道端の切り株』


タッタッタ…


女ハンター「宿は見つかったか?」

盗賊「今カゲミが聞き込みしてくれてる…それよりほら!麻の羽織りだ」バサ

女ハンター「また随分安そうな物を…」

盗賊「そら涼しいんだ…腰にある武器がチラチラ見えるからそれ羽織って隠せ」

女ハンター「フン!」バサ

女ハンター「ゴワゴワだ…」

盗賊「日に当たらんで済むからそう悪く無いぞ?」

女ハンター「カゲミとミルクだけで聞き込みやらせて大丈夫なのか?」

盗賊「俺が行くと値引き出来ないから邪魔らしい」

女ハンター「フフ…じゃぁこの羽織はどうした?」

盗賊「銀貨2枚…」

女ハンター「麻袋と大した変わらない物に銀貨2枚も使った?」

盗賊「うるせぇ!金持ってる奴はじゃんじゃん使えば良いんだ」

女ハンター「酒は買って無いの?」

盗賊「何処に売ってるか分からんもんだからよ…だが大麻は見つけた」チッチ スパーーー フゥゥゥ

女ハンター「…」ジロリ

盗賊「何だよ?お前も吸うか?」

女ハンター「要らない…」

盗賊「しかし…ここは随分シケた所だ」

女ハンター「紛争の最中だからじゃないの?」

盗賊「ふむ…港の方にも何隻か船が沈んでたな」

女ハンター「重装射撃砲なら海賊船なんか簡単に沈められる…」

盗賊「どてっぱらにドーンってか?」

女ハンター「それよりフィン・イッシュの女王が乗る船の情報は?」

盗賊「多分な?俺らが追い越したんだと思うわ…沖で停船してる2隻は先遣部隊だろう」

女ハンター「じゃぁここで待つ感じに?」

盗賊「俺らの目的は追随なんだが…ちっとどうするか迷ってる」

女ハンター「今の所軍船の近くに居た方が安全と言えば安全ね…」

盗賊「しばらく海賊に追われてあんま寝て居ないから…ちっと休憩だな」

女ハンター「休憩出来れば良いけど…」


--------------
825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:05:23.66 ID:RKoe7B/E0
『1時間後』


シュタタ クルクル ガシ!!


盗賊「ウハハハ見切ったぞ!!」

少女「アラン!仕事だ…食材買ったから船に運べ」

盗賊「マジか…」

少女「荷車は借りてる…来い!」

盗賊「おいおい…そう慌てるな…宿はどうなってる?」

少女「テントを借りられる様にカゲミが話してる」

盗賊「ぐはぁ…難民キャンプかよ…」

少女「仕方ないだろう…虫除けになるだけマシだ」

女ハンター「何処を見ても大した建物が建って居ないでしょう?どんな期待してたの?」

盗賊「ううむ…確かにそうだな…低木ばっかじゃロクな木材切り出せんか…」

女ハンター「ここは20年前まで氷に覆われた未踏の地…何処に行っても同じだと思う」

盗賊「そういや未踏の地だったか…」

少女「おい!!食材を荷車に積みっぱなしだぞ…早く行くぞ!」グイ

盗賊「お…おう」スタ


---------------


『荷車』


ゴトゴト


盗賊「ほんで?この食材運んで何を持って帰ってくりゃ良いんだ?」

少女「銀の武器と鉄の斧だ…鉄鋼は要らんらしい」

盗賊「なんで又銀の武器なんか…」

少女「知らん…ゾンビでも出るんじゃ無いか?」

盗賊「まぁ…銀の武器は余ってたから良いか」

少女「それで布と交換するのだ」

盗賊「ここまでで良いぞ?後は俺一人で行ける」

少女「そうか?」

盗賊「戻って来たら何処行けば良い?」

少女「匂いで分かる…何処でも良いぞ」

盗賊「便利な鼻だこと…ほんじゃラス!ミルクを頼むな?」

女ハンター「分かった…」

盗賊「じゃぁ又後でな?」ノシ


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826 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:05:53.77 ID:RKoe7B/E0
『テント』


バサッ


男「このテントなら使っても良い…どうだ?これぐらいで」スリスリ

闇商人「フフ…仕方ないか…」ジャラリ

男「旦那ぁ?夜は野党が出るかも知れんので…休む時は下の方で…ウヒヒヒ」

闇商人「下?」

男「床の板をめくって見りゃ分かる」

闇商人「なるほどね」

男「じゃぁ俺はこの辺で…」コソコソ

闇商人「下か…」グイ

闇商人「…」---塹壕の上に板を置いて居るのか---

闇商人「…」---獣除けには良いけど…これじゃ逃げ道が無い---

闇商人「…」---見張りをおく必要がありそうだなぁ---


シュタタ スタ


闇商人「お!?見つけたね?」

少女「ここか…ふむふむ…」

女ハンター「中々良さそうなテントだこと…」キョロ

闇商人「まぁまぁ…テントの下が塹壕になって居るんだ」

女ハンター「塹壕で休む?中々衛生的ね」

闇商人「一応敷物は敷いてあるよ…ハハハ」

女ハンター「塹壕に隠れなきゃいけないほど何かが有ると言う事ね」

闇商人「ゾンビとスケルトンが絶えないらしいよ…あと野党が出るとも言われた」

女ハンター「それで銀の武器が欲しい訳ね…」

闇商人「ところでウルフィは?」

少女「狩りに行ったぞ」

闇商人「そうか…夜中見張りを置かないとちょっと危なさそうなんだ」

少女「ウルフィの仲間呼ぶか?」

闇商人「それも他の人を怖がらせてしまうね」

少女「誰か来ても匂いで分かるから大丈夫だぞ」

闇商人「そうかい?」

女ハンター「じゃぁ私は先に少し休ませて貰う…」

闇商人「そうだね…まぁしばらくは大丈夫だから安心して休んで」


--------------
827 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:06:44.03 ID:RKoe7B/E0
『夕方』


ガチャガチャ


少女「此処だ…」シュタ

盗賊「おぉぉ!!思ったより良さそうなテントじゃ無ぇか」ドサー

闇商人「あ…武器を持って来てくれたね?」

盗賊「要らん武器全部持って来たぞ…中々重かった」フゥ

闇商人「鉄の武器とかは要らないけどね」

盗賊「馬鹿…鉄で出来てんのは斧だけで他は全部銀の武器だ」

闇商人「ふむ…これだけ有れば布以外の物も買えそうだな…」

盗賊「他に何が売ってる?」

闇商人「色々あるけどね…気になってるのはお札だよ」

盗賊「お札?」

闇商人「どういう訳か呪術用の呪符っていう物が売ってるのさ」

盗賊「ほーう?何か効果あんだろうな?」

闇商人「呪を封じるとか言ってたから魔除けの類だね…オークも呪符を使ってたりするじゃない?」

盗賊「あぁオークシャーマンだっけか…そういやミネア・ポリスにも居たな」

闇商人「こっちの大陸の呪符はオークのそれとは違うみたいだよ…でもまぁ同じ様な効果なら買っても良いかなと」

盗賊「あれは直ぐ剥がれてどっか行っちまうからなぁ…」

闇商人「どうせ使わない武器なら使いそうな物に交換した方が良い」

盗賊「そらそうだ…てか…ラスは何処行った?」

闇商人「今寝てる…このテントの下に塹壕があるのさ」

盗賊「おぉ!!そりゃ良い!!」

闇商人「夜中に野党が出るから下で休めとか言われたけど…どう思う?」

盗賊「ヌハハそんなん石か何か置かれて閉じ込められるに決まってるだろ」

闇商人「やっぱりそうだよね…」

少女「大丈夫だぞ…誰か来てもすぐ分かる」

盗賊「ミルク様さまだな?撫でてやる」ナデナデ

少女「ふにゃー」ゴロン

盗賊「まぁ野党が来たら金儲けのチャンスだ…身ぐるみ剥いで塹壕の中に入れときゃ良い」

闇商人「心強いね」
828 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:07:13.35 ID:RKoe7B/E0
盗賊「さて…俺もちっと酒飲んで休むか」キュポン グビ プハァ

闇商人「もう休む?」

盗賊「何よ?」

闇商人「面白い話が聞けたのさ」

盗賊「お?」

闇商人「此処に居た武装勢力の事さ…」


早い話海賊なんだ

正規軍に勝てる訳なんか無くて全滅さ…船も沈められた

どうしてやられたかと言うと…

例の石…賢者の石を盗んだからなんだよ


盗賊「なぬ!?」

闇商人「興味出て来たかい?」


ここから川を遡って20キロほど行った所に大きな遺跡があるらしい

そこで発見された物はミイラとなったご神体が封印されていたそうだよ

そこではシン・リーンの研究者が何かやっているらしくてね

その影響で死者がゾンビとなって動き回ってるとか言うんだ


盗賊「ほーん…ほんで魔除けのお札か…」

闇商人「どういう繋がりがあるか分からないけれど…呪いだとか言う噂はあるね」

盗賊「賢者の石はそこから盗まれた訳だな?」

闇商人「確実な話では無いけれど…なんかそんな気がするよね?」

盗賊「ちょい待て…あの石はマルコが持って居た物なのか?」

闇商人「同一の物かどうか正直分からない…もし同一の物だったなら…シン・リーンの研究者はマルコさんの可能性もある」

盗賊「お前…俺を誘導してんな?」

闇商人「まあね?」

闇商人「重ねて言うと…賢者の石は命を与える効果なんだ…もしかするとご神体を復活させようとしていたのかも知れない」

盗賊「そのご神体は何者よ?」

闇商人「わからないよ…見て見ない事には…」

盗賊「くぁぁぁ行くしか無いか…20キロも川を登れると思うか?」

闇商人「やってみない事には何とも言えないね」

盗賊「まぁ明日にでも行って見るか…」

闇商人「フフ…」


--------------
829 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:07:44.09 ID:RKoe7B/E0
『夜_焚火』


メラメラ パチ


盗賊「おら焼けたぞ?鳥の丸焼きだ…お前も食うよな?」

闇商人「そうだね…どうやって食べる?」

盗賊「んなもんダガーで適当に削ぎ落して食うんだ…お前何か持って無いのか?」

闇商人「有るには有るけど…突き刺し専用の武器でね」スチャ

盗賊「ニードルダガーか…又キワモノを…」

闇商人「護身にはこれで十分さ…」プス

盗賊「おいおい肉を丸ごと持って行くな」グイ

闇商人「じゃぁ切り分けてよ」

盗賊「世話の焼ける…」スパ ポイ

闇商人「フフ…久しぶりの新鮮な肉だ…」パク モグ

盗賊「やっぱ肉だよな?ミルクも要るか?」

少女「バナナ食い過ぎて腹一杯だ」

盗賊「そうか…食いぶち減って良かったわ」ガブリ モグモグ

盗賊「ほんでカゲミ!ちっとそのニードルダガー見せてみろ…」

闇商人「んん?何か気になるかい?」ポイ

盗賊「ほーう…やたら軽いな」スチャ

闇商人「鉄の鎧も貫けるとか言われて買ったのは良いけど無理だったよ…ハハハ」

盗賊「使い方次第だな…こりゃ暗殺用の武器なんだ…材質はミスリル銀かぁ?」ジロジロ

闇商人「欲しいなら使っても良いよ」

盗賊「俺ぁ普通のダガーの方が好みだ…暗殺目当てならこっちの方が良いかも知れんが…」

闇商人「そうかい…」

盗賊「そいつはな?突き刺した後に刃を抜かない限り殆ど血が出ないんだ…綺麗に暗殺する為の武器よ」

闇商人「あんまりそういうシーンは無いね」

盗賊「まぁ…汚れずに相手を倒せるのは利点だから覚えとけ」

少女「おいアラン!遠くでヒソヒソ悪い話してるぞ」

盗賊「ヌハハ来なすったか…何て言ってんだ?」

少女「寝てる隙に泥棒するつもりだ」

盗賊「またショボイ話だな?」

闇商人「ヤレヤレだね?どうする?」

盗賊「荷物纏めて塹壕の中に入っときゃ何も出来んのじゃないか?」

闇商人「板を塞がれて閉じ込められるんじゃ?」

盗賊「こんなペラペラの板なんざ銃で簡単に穴空くだろ…そんな事せんでもちっと細工しときゃ済む」

闇商人「なんだ結局そういう風か…」

盗賊「あいつ等ビビッてっからどうせ大したこと無い…寝てる隙に泥棒とかショボ過ぎるわ」

闇商人「気にしないで休むかぁ!!」ノビー

盗賊「おう!!寝るぞ!!」


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830 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:08:15.77 ID:RKoe7B/E0
『深夜』


アオ〜ン アオ〜〜ン


くそう…荷物全部下の方に持って行った様だ…

どうする?一旦埋めて後から掘り返すか?

そうだな…土乗せて行くぞ

おい待て待て!…ウルフがうろついてる

ちぃぃぃ番犬が居たのか

良く見ろ!ウルフはビビッて近づいて来ない様だ…

お前ウルフを見張ってろ!!埋めるぞ!!


ヴヴヴヴヴ… ガァァァ… ズルズル


うお!!あのウルフ…ゾンビに追われてんじゃ無ぇか…

何ぃ!?

やばいこっち来る!隠れろ!


シュタタ シュタタ ピョン!


おわっ!!なんだあのウルフ…

やばいゾンビだ…おい!!火を起こせ!!

松明…松明…


メラメラ ボゥ


まずいな…3体居る…

油を取りに戻らないと焼けないぞ!?

仕方無ぇ!一旦戻るぞ!!


タッタッタ…


-------------

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831 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:08:46.83 ID:RKoe7B/E0
『翌朝』


モクモク モクモク


女ハンター「ふぁ〜あ…良く寝た…んん?何か騒がしいな」キョロ

闇商人「あ!おはよう!」

女ハンター「この騒ぎは?」

闇商人「僕達が寝てる間にゾンビが出たらしい…あの煙は燃やしてる所さ」

女ハンター「ここは塹壕が有って良かったみたい…」

闇商人「その様だね…アランはまだ起きない?」

女ハンター「いつも通り…」

闇商人「しばらく寝かせてても良いか…ちょっと僕は武器持って取り引きしてくるよ」

女ハンター「一人で持てる?」

闇商人「う〜ん…まぁ荷車借りて来るから大丈夫さ」

女ハンター「そう…」

闇商人「君は昨夜何も食べて無いでしょ?」

女ハンター「まぁ…」

闇商人「鶏肉があるから焼いて食べなよ…バナナとヤシの実もある」

女ハンター「そうね…焚火起こしておく」

闇商人「うん…じゃあちょっと行って来るからアラン起きるまで此処に居て」スタ


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832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:09:13.92 ID:RKoe7B/E0
『2時間後』


ゲシゲシ


少女「起きろアラン!」ゲシゲシ

盗賊「んが!?」パチ

少女「キターーー!!ラス!!起きたぞ!!」シュタタ

盗賊「んあぁぁぁ水くれぇ…」ムクリ ヨロ

女ハンター「…」ポイ


ゴツン!


盗賊「あだっ!!ててて…」スリスリ

女ハンター「水は無いから…それ飲んで」

盗賊「ヤシの実か…」グサ グサ

女ハンター「又妖精の夢でも?」

盗賊「いや今日はぐっすりよ…さっき目を閉じたと思ったら一瞬で目が覚めたな」ゴクゴク プハァ

女ハンター「一瞬!?本当呆れるわ…」

盗賊「しかし良く寝た気分だ…」ヨタヨタ

女ハンター「そう!!良く寝てたから!!」フン

盗賊「なんでそんなカリカリしてんのよ…」

女ハンター「ヤシの実は一個しか無いの…分かる?」

盗賊「ヌハハ悪い…まだ残ってるぞ?」ポイ

女ハンター「フン!」グイ ゴクゴク

盗賊「カゲミはどうしたんよ?」キョロ

少女「武器持って布と交換行った…もう直ぐ戻る」

盗賊「おぉそうか…ほんじゃ又船まで往復だな…んん?なんだこの匂い」クンクン

少女「アランでも分かるか…臭いだろう」

盗賊「こりゃゾンビ焼いてる匂いだな…」

女ハンター「私達が呑気に寝て居る間にウルフィが此処を守ってくれたらしいわ?」

盗賊「なぬ?」

少女「そうだぞ!!ウルフィに感謝しろ」

盗賊「ほーん…まぁがっつり寝ちまったが結果オーライだ」


闇商人「おーーーーい!!」タッタッタ


盗賊「お!!?戻って来たな?」

闇商人「荷車重すぎて途中で置いて来ちゃった…一回船に戻ろう!!」

盗賊「…だとよ?直ぐ行けるか?」

女ハンター「もう準備終わってる…あんただけ何もしてないの」

盗賊「まぁそう言うな…俺も大した物持って無ぇから」

闇商人「早くぅぅぅ!!荷車盗まれるぅぅ!!」

盗賊「ほんじゃ行くか!!」ダダ


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833 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:10:22.28 ID:RKoe7B/E0
『桟橋_双胴船』


ヨッコラ ドサー ユラユラ


盗賊「こりゃ全員乗れるかぁ?」

少女「ウルフィは狩りに出てるから数に入れなくていいぞ」

盗賊「軽いから最初から入って無ぇよ…ちっと一人づつゆっくり乗ってくれ」ギシ

女ハンター「私もカゲミも軽いから多分大丈夫…」ソローリ ギシ

闇商人「大丈夫かな…」ソローリ ギシ

盗賊「ヌハハ…全然大丈夫だったわ…しかしこんなに布とロープが調達出来るとはな?」

闇商人「丁度昨夜ゾンビが来てた様だからねぇ…銀の武器が良い取引になったよ」

盗賊「なるほどな?」

少女「乗るぞ!!」シュタタ ピョン スタ

盗賊「おーし!!ほんじゃ船に戻るかぁ!!」グイ バサバサ

闇商人「なんかさ?ここに居た海賊達が何処で死んだか分からないから火葬出来て居ないらしい」

盗賊「そりゃ後処理やってない正規軍が悪いな」

闇商人「重装射撃砲の榴弾だからね…後から死体探しても中々見つからないよね」

盗賊「死体がゾンビ化するとは思って無かったか…」

闇商人「どうしてゾンビ化するのかも謎だね」

盗賊「ゾンビ化は病気の一種だとか聞いたぞ?」

闇商人「病気…なるほど…それが呪いの正体か」

盗賊「もしかすると俺らももう掛かってるかも知れんな?」

闇商人「そうだね…でも僕は対処法を知って居るよ」

盗賊「対処?ゾンビ化のか?」
834 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:10:51.27 ID:RKoe7B/E0

闇商人「エリクサーさ…ゾンビ化してもエリクサーを飲めば進行は止まるんだ…マルコさんはそうやって命を繋いでた」

盗賊「ちょっと待て…そらどういう事だ?」

闇商人「マルコさんはゾンビ化して不死者になって居たんだよ…僕は良くエリクサーの調達をやらされた」

盗賊「マジか…知らんかったわ」

闇商人「不死者の研究もしてたさ…賢者の石を常に持って居たのも多分…命を繋ぐため」

盗賊「待て…ちっと今閃いた…」

闇商人「何だい?」

盗賊「ゾンビにはそもそも命が無い…繋いだのは命じゃ無くて…記憶じゃ無ぇのか?」

闇商人「え?」

盗賊「記憶を繋ぐのに必要な物がエリクサーと賢者の石じゃ無ぇかって話だ…」

闇商人「あぁ逆説になるか…記憶を繋ぐのに命が必要…その手段がエリクサーと賢者の石…だね?」

盗賊「ううむ…なんか引っかかるが…ゾンビも機械も一緒なんじゃ無いかと思ったんだ」

闇商人「機械も…なるほど…確かにそうかもね…」

盗賊「なぁ?…もし不死者になったとして…もう一回元の命が欲しいと思うか?」

闇商人「不死者ならもう命は要らないかも…」

盗賊「だろ?…じゃぁどうしたいのかと言うと…記憶を失いたくないんだと思うんだ」

闇商人「記憶ねぇ…生前の記憶か…ふむ…君の言う事の方も一理ありそうだ」

盗賊「変な話になるが…機械が持つ記憶をどうにかして残す事が出来れば…すべて終わる気がするな」

闇商人「機械の記憶…精霊の記憶…確かそれが夢幻という…」ボソ

盗賊「夢幻?」

闇商人「そういう記憶の集まりを夢幻と言うらしい…マルコさんは夢幻の研究もしてた」


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835 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:12:03.52 ID:RKoe7B/E0
『キャラック船』


グイグイ グイグイ


盗賊「おぉぉ!!新しい荷上げ装置か…」

剣士「これでちょっと重たい物もラクラク荷上げ出来るんだ!!」ヨイショ!

学者「俺っちのアイデアなんで未来君はドヤ顔せんで下せぇ」

剣士「えへへ…」テヘペロ

闇商人「こっちの方は昨夜どうだったのかな?」

剣士「どうって?」

闇商人「陸の方はゾンビが出たり…野党に襲われそうになったり…」

剣士「あぁ…なんか鉤縄が落ちてたから船に乗り込もうとしたみたいだね」

盗賊「なぬ!?こっちにも来てるんか…」

剣士「船首楼も船尾楼もちゃんと鍵が掛かってるから船に乗り込んでも何も出来ないと思うけどなぁ…」

盗賊「そらそうだが…」

戦士「ハハハ心配かね?」

盗賊「一気に来られると流石にマズいだろ」

学者「兄貴ぃ…俺っちにはバヨネッタが有るんすよ?防弾ベスト無しが何人来ても一瞬で追い払えやす」

戦士「そもそも鉤縄では乗り込めないのは何度も実証しているから大丈夫だよ」

盗賊「俺の船に弾丸の穴開けんなよ?」

学者「それより情報集まりやした?」

盗賊「まぁな?結論言うとしばらく待機になる」

学者「やっぱそうっすか…沖の船は女王の船を待ってる感じっすよね」

盗賊「その間ちっと川登って調べたい事が出来たんよ」
836 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:12:35.84 ID:RKoe7B/E0

学者「あ!!兄貴ぃ!!地図を良く見るとヤン・ゴン遺跡は川の上流っすよ」

闇商人「ハハその様だね…ここは船の玄関口さ…多分川を登った所にちょっとした町が有る」

盗賊「なんだそういう事か…あまりにもシケた所なもんでよう」

戦士「この船はこれ以上進めないからどちらにしても待機だね?」

盗賊「まぁそうだ…これから双胴船で川を登ってみようと思ってる」

剣士「こっちは心配しなくても良いよ…やる事も出来たから」

盗賊「やる事?」

剣士「沈没してる海賊船が有るじゃない?潜ってお宝さがし…」

盗賊「おっとぉ!!面白そうじゃ無ぇか…」

学者「あいやいや…それはこっちでやるんで兄貴は川登って来て良いっすよ」

盗賊「くぁぁぁぁ…」

闇商人「まぁまぁ…ヤン・ゴン遺跡の方にももしかしたらお宝が眠って居るかもしれないよ?」

盗賊「ほんなん盗掘されまくってるに決まってるだろ…沈没船の方が使える物が有りそうだわ」

学者「ウヒヒヒヒ…そいつをサルベージする為に新しい荷上げ装置をですねぇ…ウヒヒヒヒ」

盗賊「ええいくそう!!荷物まとめてサッサと行くぞ!」

女ハンター「あ…ライフル銃はどうする?」

盗賊「ありゃ目立つからダメだ…お前はベレッタ2つ持ってんだからそれで十分だ」

女ハンター「分かった…」

盗賊「ちっと酒と食い物持って行くな?」

剣士「うん!!余ってるから好きに持って行って」

盗賊「おーし!!ほんじゃ行くかぁ!!」スタ


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837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:13:11.36 ID:RKoe7B/E0
『大河』


バサバサ スィーー


盗賊「順調!順調!!」

闇商人「流れがゆっくりな川で良かった…」

盗賊「しかし汚ねぇ川だな…深さがどんくらいあるか分からん」

闇商人「そうだね…」キョロ

女ハンター「他の船も見える…前方右手…」ジー

盗賊「おぉ…本当だな…」

闇商人「漁船かな?」

盗賊「この船よりちっと大きいぐらいか…あっちもやっぱ双胴船だな」

闇商人「上流にはもっと他の船も居るんだろうね…」

女ハンター「船に乗ってるのは冒険者の様な格好…4人ね」

盗賊「こっちと同じ様なもんか…」

女ハンター「ちゃんと武装してるわ…」

盗賊「この暑いのに防具なんか着てられっか!」

闇商人「武器類は何を?」

女ハンター「良く見えないけれど…銃器では無さそう…一人は弓を背負ってる」

盗賊「まぁ出来るだけ近づかん様にしとくか」

女ハンター「あれ?一人は杖を持ってる…」

闇商人「あーーー魔法使いが居るんだね」

盗賊「なるほど…ここはそういう冒険者が来る場所な訳か…」

闇商人「遺跡が一杯有るしねぇ…」

盗賊「低木の森からちょいちょい突き出してる塔みたいな奴がそうだな?」

闇商人「僕も始めて来るからさ…まぁ多分そうだよね」

女ハンター「でも冒険者たちは何処から来てるんだろう…」

闇商人「陸路でも山越えで来られるらしいよ」

盗賊「ほーー…場所的にシャ・バクダから北上か…」

闇商人「う〜ん…来ようと思ったらフィン・イッシュから海岸沿いにも来れる」

盗賊「海賊が居る事を考えると下手に海から来ない方が安全かも知れんな?」

闇商人「道中の魔物をどう凌ぐかだね…魔法使いが居れば良いのかも知れない」

盗賊「魔法か…どうも俺らには縁が無い様だ」


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838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:13:42.37 ID:RKoe7B/E0
『上流』


ジャブジャブ


盗賊「ぐぁぁぁクソ!!この船じゃ漕いでもこれ以上進め無ぇ!!」

闇商人「帆が小さすぎた様だね…」

盗賊「もうちょいだったんだけどな」

女ハンター「なんか桟橋のある所…凄く危険な感じ…」

闇商人「ならず者の街…そんな雰囲気がムンムンしてるね…ハハ」

盗賊「俺らもそう変わらんだろ…とりあえず茂みに船隠してこっから歩いて行くか」ジャブジャブ

少女「おいアラン!何処かにワニが居るぞ」

盗賊「なぬ!!」

闇商人「それは危ないな…」

盗賊「いや…食える!!肉が激ウマなんだ」

闇商人「君は怖く無いのかい?」

盗賊「怖いも何も噛まれなきゃ簡単に殺せるぞ?」

少女「アラン!!ワニの肉食いたいぞ!」

盗賊「おーし!!見つけたら捕まえてやる」

女ハンター「フフ…怖い物無しか…」

盗賊「さっさと船隠してワニ探すぞ!!」グイ


ザブザブ


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839 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:14:08.34 ID:RKoe7B/E0
『茂み』


ガサガサ…


盗賊「いよー待たせた!!」

少女「うんま!!」ガブ ムシャ

闇商人「ハハ…君と言う人は…」タジ

盗賊「1メートルちょい…ちっと小振りだが晩飯には十分!」

女ハンター「ミルクはもう食べて?」アセ

盗賊「まぁな?ワニは腹ん中に石が入ってんのよ…持って帰るのに重いから内臓全部抜いたんだ」

闇商人「ええと…もしかしてソレ…担いで街の方まで行くつもり?」

盗賊「んん?問題あるか?」

闇商人「いや…まぁ良いけどさ…ハハ」アセ

盗賊「皮剥いで売ればそこそこの金になるぞ?」

闇商人「う〜ん…なんていうか…目立ち過ぎないかい?」

盗賊「んなもん気にすんな…ならず者が近寄って来なけりゃ尚良い」

闇商人「それにしても随分早く狩り終わったね?」

盗賊「ワニなんか脳天ブスリではい終わりだ…お前のニードルダガーでも余裕だぞ?」

女ハンター「…ここの部分ね?」ジロジロ

盗賊「おう!!覚えとけ…近づくの怖けりゃクロスボウで一発だ」

闇商人「ワニを担いだならず者一行か…」

盗賊「大した事無ぇよ…行くぞ!」ズイ


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840 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:15:06.65 ID:RKoe7B/E0
『ならず者の街』


ガハハハ…

見ろあんなちっこいワニ担いで又どっかの冒険者が入って来たぞ

おう最初が肝心だ…ちっと絞めて来い



盗賊「うほーー何だこりゃ…5メートル近いワニが吊るしてあるじゃ無ぇか…」

闇商人「これは…」タジ

盗賊「こりゃワニ革なんか売れんな…」


ならず者「ゴラ…お前等何処から来たんだ?…」ズイ


盗賊「んあ?川下った方からだ…なんか用か?」

ならず者「何偉ぶってんのよ…この町のルールを教えて欲しい様だな?」ボキボキ

闇商人「…」ギロリ

盗賊「なんだ?ルールってのは…」

ならず者「ウッハッハ…どうやら痛い目を見たいよう…」


ジャラリ ドサ


盗賊「悪い…それで勘弁してくれぇ…銀貨ちょろとしか入って無いが…そんだけしか持って無ぇんだ」

闇商人「…」

ならず者「ほう?素直だな?」ジャラ

盗賊「通して貰って良いか?腹減っててよ…このワニ肉食いたい訳よ」

ならず者「今回はこれで勘弁してやる…まぁ…あまり偉そうにするな?分かったな?」

盗賊「へいへい…行かせて貰うぜ?」スッ

少女「おいアラン!いいのか?」

盗賊「黙って付いて来い…」スタ

少女「んむむ…」スタ

闇商人「…」スタ


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841 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:15:45.01 ID:RKoe7B/E0
『街外れ_焚火』


メラメラ パチ


盗賊「だはははは…金貨1枚ゲッツ!」ピーン パチ

女ハンター「フフ…あの状況でスリ?」

盗賊「おう!俺の銀貨は50枚も無かった…儲けたわ」

少女「肉もっとクレ」

盗賊「おう食え食えー」

闇商人「こっちはもう焼けたかな…はい…」

盗賊「ラス!先に食って見ろ…ワニ肉は鶏肉より全然うめぇから」

女ハンター「頂く…」パク モグ

盗賊「しかしここは絵に描いたようなならず者の街だな?木組みの掘っ立て小屋ばっかりだが…なんか好きだぞ」

闇商人「見た感じ一応宿屋らしい所も有ったね…どうする?」

盗賊「今晩の寝床は確保せんとな?」

闇商人「なんか宿屋も安全な気がしないよ…」

盗賊「どっかの冒険者もウロウロしてっから大丈夫だろ?さっきの奴らはハッキリ言って雑魚だ」

闇商人「そうかい?」

盗賊「あんな奴らお前のバヨネッタ撃てば手のひら返して従う様になるぞ?」

闇商人「まぁそうなんだけど…誰がフィン・イッシュ側なのか分からないから下手に手を出せないよね」

盗賊「大人しくしとくのが吉だわな…まぁとりあえず拠点確保せんと動きにくい」

少女「アラン!もしかするとここでギルドの支援あるかも知れんぞ?」

盗賊「お?」

少女「試しに酒場で例の物頼んでみろ」

盗賊「やってみっか?」

闇商人「盗賊ギルドか…」

盗賊「おっし!!肉食ったら酒場を探すぞ!!」


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842 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:16:27.16 ID:RKoe7B/E0
『あらくれ共の酒場』


ドヤドヤ ガヤガヤ

ウハハハハ…あんなこ汚ねぇ壺が金貨10枚で売れるとはよぅ

半分よこしな!初めに見つけたのは私なんだから!!


盗賊「こりゃ又賑わっている様で…」スタ

闇商人「…」スタ

女ハンター「…」チラリ

少女「…」コソコソ


荒くれ共「ひゅぅぅ…」ニヤニヤ


女ハンター「…」ギロ

盗賊「おい!喧嘩売んな…奥行くぞ」グイ

女ハンター「…」チッ スタ


ヒソヒソ ヒソヒソ

誰だあいつ等?

女と子連れか…又シン・リーンの奴らが化けてんな?

シッ!!大人しくしてろ!!


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843 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:17:39.87 ID:RKoe7B/E0
『奥のカウンター』


ヒソヒソ ヒソヒソ


盗賊「なんだってこの店はカウンターが一番奥なのよ…」ブツブツ

マスター「4人かぁ?椅子なんて無ぇぞ!!」

盗賊「見りゃ分かる…酒出せ!コブラ酒…タンブラー4つ…」


シーン…


マスター「…」ユビパチッ

盗賊「んん?何だ!?」


ドタドタ ガタガタ スラーン チャキチャキ


マスター「店終いだ…お前等何者だ?耳の裏見せてみろ」ギロリ

盗賊「おっとっとぉ…俺らは電脳化の者じゃ無ぇ…だがな?そんな脅しにゃ乗らんぞ?」

マスター「ほう?この人数を相手にか?」

盗賊「ちっとな?騒ぎは起こしたく無い訳よ…さっさと酒出せオラ」ズイ

少女「アラン!お前の顔が悪いんだぞ」

盗賊「そら済まんなぁ…生まれる付きだもんでよ」

マスター「んん?このチビ子はまさか…」

少女「チビ子言うな!母に言うぞ!」

マスター「おっと…こりゃ失礼…伝令って訳か」

少女「伝令違う…保護を受けに来たのだ」

マスター「ここん所伝令も資金援助も途絶えている…仲間が軍船にやられた件も…少しは説明願いたいもんだ」

少女「仲間が軍船に?どういう事だ?」

マスター「…」ジロリ

盗賊「どうやらこっちも訳有りな様だ…」

マスター「お前等!店番変われ…こいつらを奥へ連れて行く」

あらくれ共「おう!!」ドタドタ

マスター「入れ…」ギギー

盗賊「ほほーう…隠し扉か…」スタ


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844 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:19:16.38 ID:RKoe7B/E0
『隠し部屋』


ギギー ガチャリ


マスター「酒は棚に入っている物を勝手に飲め…」スタ

盗賊「こりゃ又色々揃ってんな…」フム

マスター「…それで?何故保護を?」

盗賊「んぁぁどっから話しゃ良いんだ?」キュポン グビ

少女「少し私から話すぞ…こういう事だ…」


カクカク シカジカ…

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マスター「…なるほど?海賊王の娘に化けたフィン・イッシュ女王が大船隊を…それであの軍船か…」

少女「盗賊ギルドは関与しない立場なのだ…何も知らぬ兵隊には敵に映ってしまったのだろう」

マスター「迷惑な話だ…折角電脳化の者を生け捕り出来たと言うのに」

盗賊「生け捕りだと?電脳化デバイスは証拠隠滅の為に自爆するだろう?」

マスター「泳がせるのに成功していた…と言う方が正しい」


奴らは海賊の中に紛れ込み

ヤン・ゴン遺跡で調査活動をしていたシン・リーンの魔術師を襲ったんだ

そして魔術師が持って居た不思議な石を持ち去ろうとした…

だがどういう風に知れたのか分からんが突如軍船2隻からの精密砲撃を受けて海賊船は撃沈した

その海賊船に俺達の仲間も乗って居たんだ


盗賊「そいつを泳がせるってのは…行き先を知る目的だったのか?」

マスター「そうだ…その不思議な石は何かのエネルギーを持って居ると思われる…その行き先だ」

闇商人「ちょっと質問がある…襲われたのはシン・リーンの魔術師と言ったね?」

マスター「それがどうした?」

闇商人「どんな魔術師なのか情報は無いかな?」

マスター「死霊術師…遺跡で発掘されたミイラにサクリファイスという術をやろうとしていた様だ」

闇商人「サクリファイス…聞いた事が無い」

マスター「ミイラを食って力を得るとか…キチガイとしか思えん魔術らしい…そのお陰で何人も犠牲が出てる」

盗賊「犠牲って何よ?呪いとかそういう奴か?」

マスター「魔術の触媒に生きた人の心臓が必要な様だ…正気の沙汰と思えん…」

盗賊「なるほど話が通ったぜ…犠牲になったのは奴隷の子供達だな?」ギロ

マスター「詳しくは知らん…そういう奴も居たかもしれん」

盗賊「俺はその死霊術師が許せん…ぶっ殺しに行く」

闇商人「アラン落ち着いて…相手はシン・リーンの魔術師だよ…一人じゃない可能性もある」
845 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:19:51.85 ID:RKoe7B/E0
盗賊「だからなんだ?まとめて殺してやる」ギラリ

闇商人「だから今フィン・イッシュやシン・リーンに敵対行為出来ないんだよ」

盗賊「ちぃ…イラつくな…」ググ

マスター「お前達は何をしに此処へ?」

闇商人「遺跡で何が起こって居るのか調べに来たのさ…ちょっとの間安全に過ごせる拠点が欲しくてね…それで此処へ」

マスター「此処に隠れる分には構わんが…協力が必要ならそれなりの報酬も必要になる…なんせ資金が足りないんでな」

闇商人「協力か…あまり考えて無かったな…」

盗賊「調査だけなら俺一人で行ける…その間お前等が安全なら良い」

闇商人「僕も見に行きたいんだけどね…」

盗賊「悪いが足手まといだな…遅すぎる…俺が先に行って安全を確認出来たら見に来ても構わん」

闇商人「確かに…その方が確実か…」

少女「アランが居ない間どうする?ここでゴロゴロするのか?」

闇商人「う〜ん…傭兵を雇えば少しは安全に過ごせるかもだけど…」

マスター「一つ提案だ…お前達は船に乗って来ているだろう?」

闇商人「それが?」

マスター「撃沈した海賊船に財宝が少し乗って居た筈なんだ…回収すれば資金の足しになる」

盗賊「なぬ!?今サルベージやってる最中じゃ無ぇか!!」

マスター「じゃぁ取引だ…山分けしてくれりゃこの街での安全は保障してやる…どうだ?」

闇商人「ふむ…良いかもね」

盗賊「ウハハ太っ腹だな?」

闇商人「敵味方が分からない状況で問題が起こらなくなるならそれも良いかなと…下手すると船沈められちゃうかも知れないし」

マスター「よし!取り引き成立だ」

闇商人「まぁとりあえず今晩は此処で休めるね」

盗賊「俺は遺跡の方に行って見ようと思うがな…」ギラリ

闇商人「くれぐれも面倒を起こさない様に…」


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846 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:20:26.22 ID:RKoe7B/E0
『酒場のテーブル』


ドヤドヤ ガヤガヤ


マスター「…とりあえず護衛が数人付くからそのつもりで頼む…何処に行っても構わんが出来るだけ金を落として行って欲しい」

闇商人「それは何か買えという事かい?」

マスター「そうだ…加工していない象牙や琥珀が有るぞ?」

闇商人「ふ〜む…あまり持ち合わせも無いんだけど…」

マスター「出来るだけで構わん…ここで酒を飲んで金を払って行くのでも良い…金を回してくれという話だ」

盗賊「おー使っちまえ使っちまえ!どうせサルベージで金戻って来るんだからよ」グビ プハァ

少女「肉だ!新鮮な肉が欲しいぞ!」

闇商人「フフまぁ良いか…」

盗賊「じゃぁ俺はそろそろ仕事に行って来る」スック

闇商人「場所は分かるのかい?」

盗賊「ほんなん一番デカイ遺跡なんだろ?見えてたじゃ無ぇか!」

闇商人「行くのは良いけど…くれぐれも…」

盗賊「言われなくても分かってる!まずは偵察よ…俺の金貨全部置いて行くから適当に何か仕入れとけ」ジャラ

闇商人「ハハ分かったよ…」

盗賊「じゃぁな?毎度の事だが…朝までには戻って来るから…そのつもりで頼む」タッタッタ

闇商人「…さて?まだ寝るには早いけど…どうする?」

女ハンター「護衛が居るなら…少し街を歩いてみよう」

闇商人「そうだね?何があるか気になるし…」


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847 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:21:28.15 ID:RKoe7B/E0
『ぼろ屋の連なる街道』


ヒソヒソ ヒソヒソ

マズイ事になった…遺物の買取を一旦休止するらしい…収入無くなるぞ

ええ?どうして急に…

多分遺跡調査をそろそろ終わるんだと思う…シン・リーンの奴ら居なくなったらどうするんだ?此処は…

また山越えで戻るなんてもう考えたく無いわ…



闇商人「見た感じ熟練冒険者ばかりの様だね…」キョロ

女ハンター「確かに…防具の差が気になる…」

闇商人「武器もかなり良さそうだ…見てごらん?アレはオリハルコン製の武器だよ…」ユビサシ

女ハンター「見た事無い輝きの武器ね…」

闇商人「向こうの大陸には流れて来てないからねぇ…オリハルコンの原石はシン・リーンで採掘出来るらしい」

女ハンター「銃器は誰も持って居ない…」キョロ

闇商人「火薬があまり流通しないからだね…魔法が有ればそもそも銃器の必要性も薄いのかな」

女ハンター「魔法か…」


ゴゥ ボボボボボ


少女「向こうでゾンビが焼かれてるぞ!」シュタタ

女ハンター「うん見た…アレが炎の魔法ね…」

闇商人「僕は昔…魔女ルイーダが使う魔法を見た事が有るよ…あんな小さな魔法じゃない」

女ハンター「私も幽霊船に乗って居たその人を見た事がある…雷とか竜巻とか操ってた…」

闇商人「僕達凡人からするとスゴイ技だね」

女ハンター「銃器で勝てるのは射程距離…」

闇商人「あ…最近思うんだけど…ミライ君の工夫で君のライフルも魔法の様に思えて来た」

女ハンター「私もあんな風に?」

闇商人「そうだね…射程の長い炎魔法みたいな感じさ」

女ハンター「工夫次第…か」


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848 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:22:22.96 ID:RKoe7B/E0
『露店』


ヒソヒソ…


闇商人「なんか…賑わっては居ないなぁ…変な雰囲気だ」

女ハンター「ケシの実とか売ってる…大麻も…」

闇商人「う〜ん…ワニ革の防具も…職人が居ないせいかなんか雑だねぇ…」キョロ

少女「カゲミ!ワニ肉食いたいぞ!」

闇商人「まぁ好きなの買っておいで」チャリン

少女「にくぅぅぅ!!」シュタタ

女ハンター「遺跡の盗掘品もいろんなものが有る…」

闇商人「あんまり欲しい物が無いなぁ…」

女ハンター「買うなら象牙とか琥珀とか?…そういう材料系?」

闇商人「ミライ君が加工できそうな物を適当に買っておくか…」

女ハンター「肌を露出しないくらいには革装備でも…」スタ


アレモコレモ…

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怪しい男「おやおや?羽振りの良さそうなお客さんで…ちょいと値が張りやすが…とっておきの物なんかどうで?」

闇商人「んん?…取って置きの物とは?」

怪しい男「この書物の価値が分かれば良いんだがね?」バサ

闇商人「え?…遺跡調査報告…」

怪しい男「金貨100枚…」ニヤ
849 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:23:22.31 ID:RKoe7B/E0
闇商人「うわ…高い…」

怪しい男「興味無いかね?」ニヤニヤ

闇商人「少し中を見せて貰っても?」

怪しい男「金貨1枚…フフフフ」

闇商人「仕方ないなぁ…」チャリン

怪しい男「では少しだけ…イヒヒヒ」

闇商人「…」バサ ヨミヨミ


---これは錬金術の等価交換を破る調べ---

---命の不等価性を利用する?---

---因果論…苦行が善因善我---


怪しい男「はいそこまでだよ…」グイ

闇商人「あぁぁ…」

怪しい男「さぁどうするかね?金貨100枚だが?…」

闇商人「ラシャニクア!今金貨何枚持ってる?」

女ハンター「30枚くらい…」

闇商人「アランの分も合わせてギリギリか…」

女ハンター「どうせ使い道無かったのだし…良いのでは?」ジャラリ

闇商人「ごめん借りる!」ジャラジャラ

怪しい男「ウホホホホ良いお客さんだ…持って行きな」バサ

闇商人「因みに…この書物はどうやって手に入れたんだい?」

怪しい男「そんな野暮な事聞きなさんな…じゃぁこれで」スタ ヒョコヒョコ

闇商人「…」

女ハンター「詐欺じゃ無いでしょうね?」ジロ

闇商人「あぁ確認する…」パラパラ

闇商人「…」ヨミヨミ

闇商人「大丈夫だよ…中身はびっしり情報が記されてる」

女ハンター「そう…それなら良い」ホッ

少女「なんか今の怪しい男…匂うぞ…」クンクン

闇商人「どんな?」

少女「多分機械の匂いだ…片足が機械になってる」

女ハンター「電脳化の者?」

少女「それは分からん…追うか?」

闇商人「今は騒ぎを起こせないよ…ここは盗賊ギルドに任せた方が良い」

女ハンター「酒場に戻って連絡しよう…」

闇商人「そうだね…戻ろう」スタ


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850 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:25:28.56 ID:RKoe7B/E0
『酒場の隠し部屋』


ガチャリ バタン


マスター「連絡して貰えて礼を言う…見つけ出して上手く泳がせようと思う」

闇商人「奴らの目的は何なのかな?」

マスター「恐らく遺跡から発掘されたミイラ関連だとは思うが…正直分からない」

闇商人「石が狙いなのかな?…でもどうやってその情報が伝わったんだろう」

マスター「シン・リーンの者の中に入り込んで居ると考えるのが妥当だが…魔術師相手にそれが可能なのかという疑問もある」

闇商人「そうだよね…」

女ハンター「その書物は機密文書でしょう?」

闇商人「多分そうだよ…遺跡調査の内容をそんな簡単に盗まれるのも解せないな」

女ハンター「そんな機密を見ず知らずの者に売りつけるのも何かおかしい…」

闇商人「んん?…もしかしてこれは誘導?」

女ハンター「それには何が記されて?」

闇商人「まだしっかり読んで無いけど…」


遺跡調査に来ている魔術師は

その昔黒の同胞と呼ばれていた者の生き残りの様だ

不死者となった死霊術師…リッチ

そのリッチが遺跡から発掘されたミイラを食らい知識を得ようとしている

でもそれには生きた心臓が必要なんだ…本来は術者が心臓を生贄にするらしいよ

当然不死者には生きた心臓が無い…

だから秘密裏に生贄を使いサクリファイスという術を成功させようとしてるんだ

さて…ここから発見する事になる

生贄を何人使っても術がなかなか成功しない中で

人の命の不等価性を発見するのさ…苦行を重ねた人の命の方が価値が高い事をね

そして価値の高い命を生贄とする事で術が成功した…副産物としてその命の等価に当たる石も精製されんだ


女ハンター「賢者の石…」

851 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:25:58.18 ID:RKoe7B/E0

闇商人「そう…錬金術以外にも精製方法が有ったのさ」

女ハンター「それじゃ黄金が不要になるでしょう?」

闇商人「う〜ん…ミイラが一杯居てサクリファイスを何度も出来るならそれでも良いのかもね」

女ハンター「じゃぁ偶然1つだけ精製された訳ね…」

闇商人「でもね?命の不等価性を発見したのは大きいかな…黄金を錬金術で賢者の石に変える場合…」

闇商人「多分同じ様に生きた心臓が必要なんだと思う…その場合黄金と等価の命である必要がある」

闇商人「それが今まで分からなかったから賢者の石を作る事が出来なかった」

女ハンター「不等価性の法則が分かれば良いと…」

闇商人「それがこの書物だよ…年齢…性別…体格…いろんな生贄を使って試した調書さ」

女ハンター「それは…人の命をあまりにも軽んじて…」

闇商人「そうだね…シン・リーンがこの調査を黙認して居るのも問題が有ると思うよ」

女ハンター「黙認?その死霊術師はシン・リーンの魔術師では?」

闇商人「正確には元シン・リーンの魔術師さ…追放されて黒の同胞になって居る…それを黙認しているんだ」

女ハンター「じゃぁ黙認している理由って…」

闇商人「命の不等価性の法則が知りたい…つまり都合の悪い事を全部黒の同胞にやらせた…」

女ハンター「なんか分かって来た…内部告発する者が出て来てるんだ…」

闇商人「フフ…シン・リーンも一枚岩じゃない様だね」


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852 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:26:40.11 ID:RKoe7B/E0
『翌朝』


ガチャリ ドター


女ハンター「え!?ア…アラン!!」ダダ

盗賊「ぅぅぅ…ポーション無ぇか?」グッタリ

闇商人「どうしたって言うんだ!!ポーションなんか持って来てない」アタフタ

女ハンター「先ず止血!!どうしてこんな傷だらけに…」ゴソゴソ

盗賊「ぅぅ…酒だ…蒸留酒がポーション代わりになるかも知れん…」


マスター「これは又ひどくやられた物だ…蒸留酒だ…これで良いのか?」キュポン


盗賊「遺跡はエライ事になってんぞ…」グビグビ プハァ

女ハンター「クソ!!腹の傷は縫わないと止血出来ない…」ダラダラ

マスター「針と糸だな?」ドタドタ

女ハンター「血が出過ぎだな…輸血をしないと…」

盗賊「カゲミ…ポーションの材料を何か持って居ないか?」

闇商人「ええ?琥珀がある…まさか琥珀を食べる気かい?」

盗賊「少し砕いて細かくしてくれ…少しぐらいなら食っても死ぬ事ぁ無いだろう…はぁはぁ」

闇商人「こんな物を…」ガツガツ パラパラ


タッタッタ


マスター「仲間が少しポーションを持って居た…それから針と糸だ」ポイ

盗賊「おぉ助かったぜ…」ゴク

女ハンター「縫っていく…少し痛むよ」チク ヌイヌイ

盗賊「もう痛てぇは通り越してる…おーし…ちっと落ち着いて来たな」グビグビ プハァ


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853 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:27:46.30 ID:RKoe7B/E0
『処置後』


グルグル マキマキ


女ハンター「包帯の代わりに麻布で…」ビリビリ マキマキ

盗賊「ヌハハどうやら気を失う事は無さそうだ…」グビ プハァ

闇商人「酒がポーション代わりになるのかな?」

盗賊「さぁな?だが随分気分が良い…大麻持って無いか?」

闇商人「有るけど…この状況で吸うの?」

盗賊「傷が痛むのよ…ちっと紛らわしてぇ…つつつ」

闇商人「なんて人だ…」ポイ

盗賊「…」チッチ モクモク スパーーー

闇商人「遺跡はどんな事になってる?」

盗賊「例の死霊術師…どうやらミイラ食っておかしくなった様だ」

闇商人「この傷は死霊術師の?」

盗賊「いや…ゾンビやらレイスやら…やたら強いのが遺跡の中占拠してる」

闇商人「なんだ?話が違うぞ?」

盗賊「なんの話か知らんがシン・リーンの魔術師は遺跡を魔方陣で封じ込めようとしてんぞ?」

闇商人「君はその中に入って行ったのかい?」

盗賊「まぁな?…他にも熟練冒険者が居たもんでイケると思ったんだ」


そいつらの話じゃ例の死霊術師はエルドリッチと言うらしい

ミイラ食ってバケモノになったんだとよ

命の源だった賢者の石が盗まれちまったもんだから

当たり構わず命を吸う様だ…

今は自我が有ってまだ大人しいから

シン・リーンの魔術師が遺跡に魔方陣張って出られん様にしているそうだ


闇商人「なるほど…」
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:28:22.08 ID:RKoe7B/E0
盗賊「なんだ?妙に理解が早いな?」

闇商人「こっちも情報仕入れててね…大体経緯は分かった」

盗賊「そうか…ほんでちっとエライ事ってのがな?」

闇商人「まだ何かある?」

盗賊「エルドリッチは魔王の器になり得るとか言ってんのよ…だからシン・リーンの魔術師は必死なんだ」

闇商人「魔王だって!?」

盗賊「近づくと命吸われるから…もう誰も近づけんのよ…どうにも出来んから封印な訳だ」

闇商人「ここに来て魔王が出て来るなんて…」ボーゼン

盗賊「こりゃ海で停船してるフィン・イッシュ正規軍にも伝えた方が良い事案だ…寝てる暇無ぇぞ」

闇商人「こんな状態で行くなんて無茶だよ」

盗賊「川下るのは放っといても海まで出るだろう…急いで行くぞ」ムクリ

マスター「おい!!財宝の件は忘れて居ないだろうな?」

盗賊「おぉ丁度良い…一緒に船まで来りゃちゃんと支払う」

闇商人「そうだね…来てくれた方が安心さ」

マスター「財宝を持って徒歩で移動なんか出来んが…」

盗賊「ここまで送れば良いんだろ?」

マスター「ふむ…よかろう」


--------------


『双胴船』


ザブザブ ドター


盗賊「悪いがちっと俺は横になる…傷が痛くて敵わん…」グッタリ

マスター「この船なら俺にも動かせる…とりあえず下って行けば良いな?」

闇商人「案内するよ…」

盗賊「ラス!後は任せた…ワニが出たら脳天ぶち抜け…はぁはぁ」

女ハンター「分かった…」チャキリ

マスター「銃器…やはり持って居たか」

少女「おい!ワニ何処かに居るぞ!!気を付けろ」クンクン

マスター「大丈夫だ…川の深水まで行けばワニは襲って来ない」グイ バサバサ

少女「急げ急げ!近づいて来るぞ」クンクン

女ハンター「水の中か…」


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855 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:28:58.26 ID:RKoe7B/E0
『キャラック船』


グイグイ グイグイ


女オーク「フン!」グイグイ

女ハンター「そのまま引き上げて…」

学者「兄貴ぃ…こりゃどういう事っすか…」ダダ

盗賊「見ての通りよ‥血が足り無ぇ…何とかしろ」グター

学者「ミライ君!水と湯を持って来て下せぇ…こりゃ傷口キレイに洗わんと膿んじまいやすね…」ゴソゴソ

戦士「新しい顔が居る様だが?船に乗せても構わんのか?」ジロ

少女「父ぃ!盗賊ギルドの者だ」

戦士「そうだったか…どうぞどうぞ」スス

マスター「なかなか良い船だ…」キョロ

盗賊「ところでゲス…サルベージの方はどうだ?」

学者「宝箱毎引き上げてお宝ザックザクっすよ…武器類もまぁまぁ残って居やした」

盗賊「盗賊ギルドに半分山分けする事になったんだ…渡してやってくれ」

学者「えええ!?マジすか…」

戦士「沖の船がこちらを勘繰っている様だからあまり財宝を船に乗せておくのはどうかと思うぞ?」

学者「俺っちの頑張り分が…トホホ」

闇商人「代わりにと言ったら何だけど…コレ」バサ

学者「なんすか?その書物?」

闇商人「錬金術について書かれているんだ…薬学に詳しい君の意見も欲しいな」

学者「ちっと見せて下せぇ…」パラパラ

盗賊「おいおい俺の処置を放置すんな…先に手当済ませろ」

学者「手当は済んでるんすよ…後はキレイに洗うだけなんで自分でやって下せぇ…」ヨミヨミ

盗賊「クソが…お前にはお宝の分け前無しだ!!」

学者「うほーーー…命の不等価性…だから産地によって効果にバラツキが…」ブツブツ


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856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:29:47.43 ID:RKoe7B/E0
『荷室』


ガサゴソ


戦士「引き上げた武器類はすべてそこにまとめてある」

闇商人「銀製だけよく集めたね…」

戦士「鉄の武器はもう錆びついていたそうだ…大砲も重くて引き上げられない」

闇商人「まだ他にも残って居そうなのかな?」

戦士「簡単に引き上げられそうな物はそれで全部…残りは苦労しそうだと言って居たぞ?」

闇商人「ふむ…アランがあの調子ではしばらく待機するしか無いから…ゲス君にはもう少し頑張ってもらうか」

戦士「…というと?」

闇商人「一旦これを全部盗賊ギルドに引き渡すのさ」

戦士「ハハハなかなか気前が良いな?」

闇商人「どうもヤン・ゴン遺跡の方で大変な事が起ころうとして居てね…武器が必要になる筈なんだ」

戦士「大変な事?…どういう事だい?」

闇商人「魔王が復活しそうだと言えば伝わるかな?」

戦士「何ぃ!?」

闇商人「詳しくは後で話す…今は取り急ぎ武器を運ぶのと…沖で停船している正規軍2隻に事情を伝えたい」


シュタタ クルクル ドン!


少年「フガ…」ゴロゴロ ドタ

少女「お前ーー!!逃げるな!!チンコ見せろ」

少年「アウ…アウ…」ダダダ

少女「逃げても無駄だ!」シュタタ グイ

少年「アーーー…」バタバタ

少女「ふむ…やっぱり伸びるな…」グイグイ


戦士「こらミルク!!それは引っ張る物では無いぞ」
857 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:30:44.10 ID:RKoe7B/E0
少女「父の物と形が違うぞ!」

戦士「良いから引っ張るのを止めなさい」

少女「仕方ない…ブラブラ気になるから何か履け」

戦士「ミルクが何か用意してやるんだ」

少女「お前ーー!!付いて来い!!ブラブラしない様にロープで縛ってやる」グイ

少年「ヒィィ…」バタバタ


闇商人「ハハ…あの少年は大分元気になった様だね?」

戦士「食が細いのが気になるが…」


少女「お前の名は何だ?

少年「フガフガ…」

少女「それしか言えんのか!?そうだ…フーガにしよう!お前はフーガだ!!」

少年「フガ!?」

少女「生のワニ肉ある…食いに行くぞ!」グイ

少年「アーーー…」ズルズル


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858 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:31:37.91 ID:RKoe7B/E0
『船尾楼』


グピグピ プハァ


盗賊「うぃーー」ゲップ

学者「足り無い血は良く食って補って下せぇ…寝ると造血促されるんで食ったら寝て下せぇよ?」

盗賊「おう!!腹いっぱいになったら眠気が出来て来た…」ドター


ガチャリ バタン


闇商人「どうだい?落ち着いたかな?」

学者「もう心配無いっすね…2〜3日は貧血気味なんで大人しくしてりゃ全快しやすよ」

闇商人「それは良かった…僕はこれから荷を持って一度ならず者の街へ戻る」

盗賊「んあ?もう行動すんのか?」

闇商人「大事に至る前に武器を配らないと…と思ってね」

盗賊「そうか…まぁ気を付けて行ってくれ」

闇商人「護衛にリコルとラシャニクアを連れて行くよ…それでゲス君!」

学者「へ?俺?」

闇商人「引き続き沈没した海賊船からお宝を引き上げて居て貰いたい」

学者「そりゃ良いんすが…こっから先は船をちっと解体せんと入って行けんので時間掛かるんすよね…」

闇商人「これまで引き上げた財宝は全部持って行くから…これからの稼ぎが僕達の分さ」

学者「えええええ!?全部持って行っちまうんすか…」

闇商人「代わりの材料はこっちに持って帰って来る…象牙に琥珀…それから良質のワニ革」

学者「琥珀!!」

闇商人「ポーションの材料だったよね?」

学者「琥珀はそのまんま金に換えられやすねウヒヒヒ…そっちの方が軽くて済みそうっす」

闇商人「…という事でアラン…しばらく僕は行ったり来たりするから君は体を癒しておいて」

盗賊「そうさせて貰うわ…ちっと寝る」ドテ

闇商人「沖の正規軍とも僕が話して置くからそのつもりで…」ノシ


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859 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:32:05.67 ID:RKoe7B/E0
『サルベージ』


ザバァ ザブザブ


学者「引き上げて下せぇ!」

女オーク「フン!フン!」グイグイ

剣士「今度はどうだった?」ダダ

学者「あんま良い物無いっすねぇ…矢が一杯有ったんで一応持って帰ったんすが…」

剣士「矢は羽が無いからここで作れない…良いじゃない!」

学者「やっぱ金目の物は宝箱に入れてもう引き上げちゃったっぽいすわ…」

剣士「他の資材は?」

学者「水の中でそんな動かせんですよ」

剣士「そっかぁ…勿体無いなぁ…」

学者「一応…ちびちび集めて金貨は20枚ぐらいっすか…」ジャラ

剣士「銀食器とかあれば僕が加工できるけどね?」

学者「食器っすか…もっかい行きやすかねぇ…」

剣士「壺とか水瓶もあると助かる」

学者「分かりやした…今度は壺とかも引き上げやす」

剣士「ごめんね何回も…」

学者「いやいやガスマスクあるんで水中でなんも苦痛は無いっすよ…ほんじゃもっかい潜りやすね」ザブン


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860 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:32:36.17 ID:RKoe7B/E0
『数日後_甲板』


ヨタヨタ ドター


学者「お!?兄貴やっと動けるようになりやしたね?」

盗賊「おう横になってるばかりじゃ退屈でよ…どうよ?お宝の方は?」

学者「微妙っすね…謎の壺とか色々有るんすが俺っちには興味の無い物ばっかっすよ」

盗賊「遺跡の盗掘品か?」

学者「もしかしたら高値で売れるのかも知れんのですが…俺っちはやっぱ金銀財宝が良いっすよ」

盗賊「ヌハハ違い無ぇ…しかし泥棒も全然来無ぇな…」

学者「鉤縄で登れんもんで諦めたみたいっすね…てかあいつ等盗賊ギルドの関係じゃないんすか?」

盗賊「かも知れん…しかしこう暇だとなぁ…」ノビー

学者「フィン・イッシュ女王の船はどうなっちゃったんすかね?」

盗賊「うむ…海賊王の娘の噂も全然聞かんかったわ」

学者「兄貴…もしかして行き先間違っていやせんか?」

盗賊「んあ?…夢の記憶だからあんま確かじゃ無いんだが…寄港予定地には入って居た筈なんだ」

学者「それって候補地とかだったりしやせん?」

盗賊「此処をすっ飛ばしてるってか?…じゃぁあの正規軍の船は何なんだろうな?」

学者「もっかい行き先整理しやせんか?」

盗賊「ふむ…ちっと海図を持って来るわ」スタ


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861 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:33:02.27 ID:RKoe7B/E0
『海図』


バサッ…


盗賊「この印打ってる場所が寄港予定地なんだ…順番は分からん」ユビサシ

学者「外海の島を巡ってるんすね…ふむ」

盗賊「だから俺らは先回りして陸沿いを北上したのよ」

学者「外海の島もやっぱそれぞれ漁村とか港があるんすよねぇ…」

盗賊「まぁ…海賊王の娘を演じてるからな…出来るだけ噂を広めたいんだとは思う」

学者「途中で全滅してるなんて考えられやせんよね?」

盗賊「ガチ船団がそんな簡単に全滅はせんだろう…何か有っても女王の乗る船だけは逃すだろうな」

学者「ううむ…やっぱどう見てもヤン・ゴンに寄りそうっすねぇ…」

盗賊「だろ?シン・リーンへ向かうなら通る筈だからな?」

学者「もしもずっと北側を航海していたならこの次に行く場所へ行ってる可能性もありやすね」

盗賊「ムン・バイだっけか…まぁ俺らもそこに移動してみっか?」

学者「そっちは攻略された古代遺跡だって話じゃ無いすか…多分バン・クーバみたいに栄えてるんじゃないすかね?」

盗賊「又俺らだけの単独航海…ううむ」

学者「もう海賊相手は慣れてきたもんで大丈夫っすよ」

盗賊「うっし分かった!!ここで暇持て余してても仕方無ぇ…カゲミ戻ったら移動すっぞ」

学者「そうっすね…準備しときやす」


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862 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:33:33.97 ID:RKoe7B/E0
『双胴船』


オーライ オーライ


女オーク「フン!フン!」グイグイ

剣士「お帰りーー!!荷はこれで最後?」

闇商人「そうだね…あまり沢山は無いけど貴重な象牙と琥珀だよ」

盗賊「いよーう!カゲミが戻ったら次の寄港予定地に向かおうかと言う話をして居た所だ」

闇商人「そうかい…どうやら向こうの正規軍もかなり待ちぼうけを食らって居る様だよ」

盗賊「やっぱそうか…女王の船は航海中に何か有ったのかもな?」

闇商人「そこら辺りの情報はさすがに出てこない」

盗賊「ヤン・ゴン遺跡の方はどうよ?」

闇商人「変わりは無いね…只正規軍の一部がスクーナーで上陸しているから落ち着きない感じはある」

盗賊「ほう?盗賊ギルドはどう立ち回る?」

闇商人「敵対では無いよ…あくまで中立さ…落ち着きないのはその他の冒険者とかだね」

盗賊「んん?どういう意味だ?」

闇商人「エルドリッチ討伐を横取りされると思って居るんだよ…やっぱり正規軍は動きが全然違う」

盗賊「やっぱそうか…落ち着いた陣取りもそういう統率が取れてるからなのよ」

闇商人「それで?もう出発する気かい?」

盗賊「お前が良けりゃ行こうと思うが?」

闇商人「ふむ…まぁ良いか…」

盗賊「まだ用事があるならその後でも構わんが…」

闇商人「いや只の挨拶だよ…あの酒場のマスターには世話になったからね」

盗賊「そら大事な事だ…行って来いよ」

闇商人「彼は僕の体に気付いてるのさ…変に口説かれても困る…ここはサッと引く方が変な遺恨が残らない」

盗賊「なんだそんな事か…じゃぁ出発して良いんだな?」


シュタタ クルクル


少女「待てぇぇぇ!!」シュタ

盗賊「んあ?」

少女「ウルフィがまだ陸に居るぞ!!」

盗賊「おっとぉ!!忘れてたわ」

少女「カゲミ!もう一回戻って挨拶出来るぞ…その間にウルフィ連れて来る」

闇商人「ハハ参ったね…」

少女「父ぃ!!ウルフィ探しに行くぞ!!」

盗賊「まぁ俺ら準備しとくから行って来い」

戦士「ハハなかなか休めないねぇ…」


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863 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:34:46.25 ID:RKoe7B/E0
『船尾楼』


ガチャガチャ


学者「ちっと兄貴ぃ!!今ポーション作ってる所なんで散らかさんで下せぇ」

盗賊「なんだもっと隅っこでやってろっての…」

学者「今回手に入れた書物…これスゴイ発見っすよ?」

盗賊「俺は分からん…賢者の石の作り方とかそんなんだろ?」

学者「それもそうなんすが…命の不等価性…これの法則っすね」

盗賊「なんのこっちゃ?」


金属とかの無機物はその価値が質量に依存してるんす

黄金は重たいほど価値がありやすよね?

ほんで植物とか動物の価値は…環境で価値が変わるっていう理論なんす

まぁ簡単に言うと…兄貴みたいにゴミ食って育った環境の方が命の価値が高い

それを植物に置き換えると錬金術で作れるポーションとかもっと効果を伸ばせるんすよ


盗賊「ほーん…」ハナホジー ポイ

学者「あ!!今鼻ほじりやしたね?そういう物の価値が高い可能性があるんす」

盗賊「お前俺の鼻くそが欲しいんか?」

学者「ちっと良く思い出して下せぇ…ミライ君はゴミだと思った物を上手く使いやすよね?」

盗賊「まぁ確かに…」

学者「錬金術も同じ様にゴミだと思った物から良い物が作れるんす…誰も食い付かん毒キノコなんか良い例っすね」

盗賊「それが命の価値の高さ…なのか?」

学者「命の価値っていうとなんか言い方悪いっすね…成熟した魂…うーんなんて言えば良いんすかねぇ…」

盗賊「じゃぁ難破船で助けた小僧が持って居た石…」

学者「…」ピタ

盗賊「あれは命の価値の高い成熟した魂を持って居た誰かの結晶…そういう事だな?」

学者「はっきり言いやすと…その通りっす…書物に全部書いてありやす」

盗賊「俺は姉御の牙を大事にしている様に…あの小僧はその誰かを大事にしてる訳か…」

学者「まぁそこら辺の話はもう済んだ話なんでそっとして置きやしょう」

盗賊「ふむ…」

学者「実はっすね…この書物には錬金術の事だけじゃ無くて…この世の成り立ちも少し記されてるんすよ」


輪廻転生って言うらしいんすが…

この世界はそもそも地獄で…人間は魂の価値を高める為に何度も生まれ変わる…

そうやって魂の価値を高めた後に悟りを開くことで神と同化する…

超古代ではそんな教えが有った様なんす

なもんで遺跡で発見されたミイラは悟りを開いた神だった可能性がありやす


盗賊「その神を食らってエルドリッチになっちまったってか…」
864 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:35:47.91 ID:RKoe7B/E0

学者「さっきから言ってる様に…魂の価値を高めるのは苦行なんす…人間に苦行を与えて魂を高める方法と言うと…」

盗賊「ぬぁぁ聞きたく無ぇな…」

学者「カゲミさんからちっと聞いたんすが…シン・リーンの魔術師もこれを黙認してるらしいじゃないすか」

盗賊「…」

学者「なんでだと思いやす?」

盗賊「さぁな?俺にゃ関係無いと思いたいが…」

学者「ズバッと言いやすよ?」

盗賊「言って見ろ」

学者「神が居ないから誰も天に行けなくなったのが原因だと思いやす」

盗賊「…」

学者「この地獄の世界の中で天に行くのが唯一の救いだったのに…20年前それが無くなった」

学者「この事実を隠すためにシン・リーンは言論統制を始めたんす」

盗賊「あぁぁぁ嫌な話だぜ…神を復活させようって腹積もりか…バケモンだぞ…あのエルドリッチってのは」

学者「結果的にはそうだったのかも知れやせんが…シン・リーンの行いも完全否定出来んすよ」

盗賊「死んでも天国にゃ行け無ぇってか…うーむ」

学者「地獄が確定してるんならどうにかしようと思いやすよね?」

盗賊「この世が地獄だってんなら…もっかい此処でも良いけどな?」

学者「本当に救いようの無い環境でも同じ言葉が言えやすか?」

盗賊「…なるほど…俺も恵まれ過ぎってか…」

学者「やっぱ多くの人を救うには信じる何かが必要なんすね…それが教えっすよ」

盗賊「ウソじゃダメか?」

学者「分かる人にはすぐバレちゃうんじゃ無いすか?魔術師とか特に…」

盗賊「俺ぁ今まで神様なんぞ拝んだ事無ぇからなぁ…そんな大事に思えんのだが…」

学者「恵まれて居たからじゃないっすかね…」


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865 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:36:19.07 ID:RKoe7B/E0
『甲板』


ヒラヒラ パタパタ


盗賊「おいミライ!…この吊ってある布は何だ?」

剣士「え!?あぁそれ矢避けだよ」

盗賊「布でか?」

剣士「うん…突っ張って無いから矢を避けるならそれで十分さ…なんなら弓矢で撃って見たら?」

盗賊「ほーー考えたな…」ジロジロ

剣士「一応日除けの役割もあるんだよ?日中ずっと日に当たってると暑いからね」

盗賊「なるほど…弓の撃ち合いも想定済みな訳か」

剣士「ちょっと矢避けが有るだけで狙える場所も限られてくるからねぇ」

盗賊「ちっと弓矢撃ってみるな?」ギリリ シュン!


バスン! ポトリ


盗賊「おぉぉ!!布が包まって矢が通らんのか…」

剣士「でしょ?矢避けはそれで十分!」

盗賊「ふむ…それで要所要所に布が吊ってある訳か…」

剣士「帆操の邪魔にはならない様に考えたつもりだよ…あ!!」

盗賊「んん?」

剣士「双胴船が帰って来る」

盗賊「ようし!船引き上げる準備だ!」ダダ


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866 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:36:48.02 ID:RKoe7B/E0
『荷上げ』


オーライ オーライ


盗賊「うらぁぁ!!」グイグイ

学者「兄貴…怪我は大丈夫なんすかね…」タジ

盗賊「動か無ぇと鈍っちまうんだ…しかし一人で荷上げ出来るのは良いな」ヨイショ ドスン

戦士「そうだろう?その荷上げ装置も中々良い工夫だ」

盗賊「小舟を甲板に固定するからちっと手伝ってくれ」グイグイ

戦士「うむ…反対側を持てば良いな?」グイ

盗賊「ミライとリッカは帆を開いて碇もあげてくれ…出発すんぞ!」

剣士「おっけー!!」シュタ

盗賊「おいミルク!!積んで来た物を荷室まで運んどけ」

少女「出港!!」ビシ

盗賊「おい聞いてんのか!?」

少女「出港だぁ!!」ビシ

ウルフ「アオ〜〜ン!」シュタ

闇商人「じゃぁアラン…僕は疲れたから荷物は頼むよ」スタ

女ハンター「私も少し休む…」スタ

盗賊「おいお前等…」

少女「出港だぁぁぁ!!」ビシ


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867 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:37:51.36 ID:RKoe7B/E0
『船尾楼』


ユラ〜リ ギシ


盗賊「進路は北東だ…こっから2〜3日行けばまた陸が見えて来る筈」

ロボ「ピポポ…」クルクル

盗賊「舵取りは任せるな?」ナデナデ

学者「なんか雲行きが怪しいんすが…」

闇商人「それは良い…水浴びしたかったのさ」

盗賊「ならず者の街は水浴び出来るような環境じゃ無かったな?ヌハハ」

闇商人「そうだよ…あそこは川が汚くて浴びる気にならない」

盗賊「ところであの酒場のマスターにはお別れ言えたんか?」ニマー

闇商人「まあね?次来た時はもっとゆっくりして行けってさ」

盗賊「ほんであの荷物か…」

闇商人「要らないと断ったんだけどね…まぁ珍しい酒もあるから良かったじゃ無いか」

盗賊「お!?マジか…」

闇商人「僕はあんな男よりラシャニクアの方がずっと好みだ…」

女ハンター「なっ…」ドテ

盗賊「ヌハハお前等そういう感じか」

女ハンター「いや違う!!」

闇商人「比べたらの話だよ…ちょっと僕は体が気持ち悪いから先に水浴び行かせて貰うよ」スック

盗賊「ラスも一緒に行ったらどうよ?」

女ハンター「私は後にする…」プイ

闇商人「何言ってるのさ…樽には一人しか入れないじゃないか」

盗賊「一緒に入れとは言って無い…背中ぐらい流せるだろう?」

闇商人「背中ねぇ…まぁ拒む気も無いから来て貰っても良いけど」

女ハンター「私の方が恥ずかしい!行く訳無い!」


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868 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:38:20.53 ID:RKoe7B/E0
『夜_甲板』


ザザザザ バシャバシャ


盗賊「うほーー一気に降って来たな」ゴシゴシ

学者「此処ん所蒸し暑かったっすからねぇ…」ゴシゴシ

剣士「あ!!ちょうど良かった!!甲板の掃除手伝って!!」

盗賊「なぬ!?」

学者「あらら…」

剣士「甲板の上で魚解体したりいろいろやってるから汚れてるんだよ…ブラシで擦って落として」ポイ

盗賊「雨降るたんびにコレだもんなぁ…」ゴシゴシ

学者「まぁでも荷上げでくっ付いて来た海藻類もそのまま張り付いてるんで綺麗に落としやしょう」ゴシゴシ


ビュゥゥゥ グググググ


盗賊「風がちっと出て来てるか…嵐にならにゃ良いが…」

学者「ミルクちゃん騒いで無いんで大丈夫っすよ」


--------------
869 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:39:46.37 ID:RKoe7B/E0
『翌日_船尾楼』


アーデモナイ コーデモナイ…


シン・リーンは精霊信仰が根強いけど一応唯一神信仰も認められている

フィン・イッシュの殆どは龍神信仰…あとは自然信仰かな


盗賊「ほーん…」ナハホジー ポイ

闇商人「まぁ…名の知れた神の類は皆…それぞれの時代の勇者によって滅された訳さ」

盗賊「ほんで俺ら人間は天国に行けなくなったってか?」

闇商人「それがどれほど大変な事なのか…僕はあまり実感出来ないんだけれど…」

学者「それ成仏出来ないって事っすよね?」

闇商人「どうなんだろうね?一応死者を弔う儀式はやっている様なんだけどね」

学者「まぁでも神が居なくなったと言うのは不都合な真実なもんで知れ渡らん様に言論統制するのは理解出来るっすよ」

戦士「口を挟むが…こう考えてはどうかね?」

盗賊「んん?」

戦士「もしも不治の病を患ったとしよう…願う事は救いだと思わないかね?」

盗賊「ふむ…確かにそうだな」

戦士「神に救いを願う事で希望を見る…しかし救いが無いと知った場合…絶望しか見ないのでは?」

闇商人「流石だね…僕達よりも長く生きているだけの事はある意見だ」

盗賊「絶望か…う〜む」

闇商人「一人や二人じゃないさ…もしかしたら死者達も天に行く事を望んで居るのかも知れない」

盗賊「お前それ言ったら数え切れんぞ」

闇商人「そんな絶望が魔王を生んだりしないだろうか?…神はそうならない為の存在だったとか?」

学者「一番の問題は20年前…神が滅された後に勇者達が光を示さなかった事っすね」

闇商人「そうだね…事の真相が闇に消えたままだ」

盗賊「どうも不吉な予感しかし無ぇ…エルドリッチも放ったらかしだしな」

闇商人「逆に言うと幽霊船の誘き出しには都合が良いよ」

盗賊「俺はいつまでも待ってるほど暇じゃ無いんだけどな…」ペチン ナデナデ

ロボ「ピポポ…」


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870 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:41:28.90 ID:RKoe7B/E0
『少し後』


スタスタ


学者「カゲミさん…ちっと教えて下せぇ」

闇商人「何かな?」

学者「俺っちは精霊信仰の事あんま知らんのですが…ウンディーネとかそういう奴っすか?」

闇商人「あぁ…僕もあまり詳しくは無いんだけれど…マルコさんの残した書物によると完成体のホムンクルスが精霊だったらしい」

学者「ええ?どういう事っすか?兄貴が探してるのもホムンクルスっすよね?」

闇商人「う〜ん…その完成体のホムンクルスは本来精霊になる筈だったのさ…でもマルコさんがそうさせなかった」

学者「ちっと待って下せぇよ…まだ生きてるんすよね?」

闇商人「うん…ドワーフの一族に守られているという話さ」

学者「じゃぁ神はまだ残ってるという事っすね」

闇商人「話は複雑なのさ…僕も一度会った事が有るくらいでそのホムコという人がまさか精霊だとは思っても居なかった」

学者「なんか特殊な事が出来たりしたんすか?」

闇商人「僕が知る限り何も出来ない普通の女の人だよ…ただマルコさんは異常な程執着してた」

学者「そのマルコっていう人の書物を読んでみたいっす…持って来て無いんすかね?」

闇商人「残念ながら…僕の持ち物では無いから書物は全部ハテノ自治領に置いて来たよ」

学者「そーっすか…信仰されてるくらいなんできっと何か出来るんすよね…」

闇商人「まぁエルフを生んだり…そんな感じかな?」

学者「ちょちょちょ…生命を生む?」


歴史の話になってしまうけれど…

3000年くらい前に精霊樹という木からエルフが生まれる様にしたらしいんだよ

それだけじゃ無くてドラゴンを生んだのも精霊だという話さ

だからエルフもドラゴンも精霊を崇拝している

エルフに近しい関係だったシン・リーンも精霊信仰なのはそのせいさ

こちらの大陸には中央に大きな樹海があってね

エルフはその樹海を住処として精霊樹と精霊を守っていたのさ

ところが20年ほど前の大厄災の時にその樹海が光る隕石によって焼き尽くされた

それまではエルフ達とシン・リーンは立地的に近かったんだけど

光る隕石が落ちて以降エルフは住処を失ってその後移り住んだのはシャ・バクダ

シン・リーンとは遠縁になってしまった


闇商人「あぁ話が逸れてしまったな…ホムコさんの話だったか…」
871 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 09:42:08.92 ID:RKoe7B/E0
学者「なんかいろいろ分かって来やした…本来エルフの所に居る筈のホムコっていう人がドワーフに囲われてるんすね?」

闇商人「う〜ん…まぁ事情はいろいろ有ると思うよ」

学者「ドラゴンまで生むとかスゴイ事っすよ…その力をドワーフが持ってる訳で…」

闇商人「んん?もしかして世界情勢を勘繰って居るのかい?」

学者「フィン・イッシュに居たドワーフもエルフもあんま協力関係じゃ無い様に見えたもんで」

闇商人「もしかすると関係して居るのかもねぇ…僕はシン・リーンとフィン・イッシュの摩擦の方が気になるけど…」

学者「あんま良い関係じゃ無いんすか?」

闇商人「どちらの女王も融通が利かない気質なのさ…まぁエルフがフィン・イッシュ側に付いたのも摩擦の一因だと思うよ」

学者「摩擦って具体的にどんな?」

闇商人「黄金の取り合いだね…そもそも国が接して居なくて遠いから戦にはならないけど関係はあまり良くない」

学者「黄金のサルベージは魔術師が必須っすよね?」

闇商人「うん…でもあの海域で活動するのはフィン・イッシュの協力無しではサルベージ出来ない」

学者「分け前で揉めそうっすね…」

闇商人「それだけじゃ無いんだよ…フィン・イッシュには魔物が沢山居たよね?」

学者「そうっすね?何か関係が?」

闇商人「あれには秘密が有る様なのさ…シン・リーンはその秘密を掴んで居て対処しようとしている」

闇商人「でも忍びの一族が断固としてシン・リーンの魔術師を阻むという事が起きているんだ」

学者「そら他国の事に口出しするシン・リーンが悪いっすね」

闇商人「まぁそんなこんなが沢山在るからあまり良い関係では無いのさ」

学者「電脳化した奴らが裏で何かやってる時に揉めてる場合じゃ無いと思うんすがねぇ…」

闇商人「その通りだね…まぁ関係が悪くなるように誘っている線も考えられる」



872 :ジョンG [sage saga]:2023/03/26(日) 09:47:48.91 ID:RKoe7B/E0
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とりあえず趣味で書いてる分だけアップしました

完結と言いながら全然完結していませんw

さらに続編はちゃんと書いて行くのでご安心ください

…と言う前に

ここまで読んで下さった人にまず「ありがとうございます」と言いたいです

今後はssでは無く

https://lit.link/Jon

こっちの方で続きをアップしていきますので応援よろしくお願いします
873 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 10:07:51.71 ID:RKoe7B/E0
あとがき?

主人公が盗賊の遺児に変わった物語が続編みたいな感じになっていますが

今まで王族と関りのある魔女とか女海賊とか

そういう立場の人とは繋がりの無い一般的な人達の視点で進行する物語です

だから今まで正義だと思っていた事は一般の人から見ると逆に見えてたり

そんな中で神の手を持つ盗賊というキャラが世界の謎をどう解き明かしていくのか?

そういうお話です

そこら辺も踏まえてssという書式から小説で読める様に直す中で

今までの設定を少し変えてる部分も出て来るので

今一度小説の方も読んで下さるとうれしいです

ちなみにコメント頂ければどんどん反映させていきます

では

皆さんと夢幻の世界で会える事を楽しみにしています



874 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2023/03/26(日) 10:11:58.29 ID:RKoe7B/E0


この居た直リン貼れないんで

https://lit.link/Jon

これコピペして飛んでくださいね
875 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/03/26(日) 13:17:30.42 ID:BI5YWRHZ0


この居たマルチポスト駄目なんで

https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1410188691/
いわく「連続投稿・マルチポスト行為は進行を阻害する迷惑行為です。」

これからはきをつけてくださいね
876 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [age]:2024/01/05(金) 12:12:49.61 ID:9ZgrdX2oo
『ピザラ人狼の集合まで
勇者のくせになまいきだ。3D』
(9:59〜)

https://www.twitch.tv/kato_junichi0817
877 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/11/02(土) 16:25:53.77 ID:fr7ydXHmO
今頃だが読み終えた。長い間楽しく読ませてもらいました。感謝。
更新なさげだけど続きも気長に待ってます!
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