勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編の完結

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478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/20(日) 12:20:37.15 ID:ZniVZVNC0
『無人島』


ドドドド


女海賊「おぉぉぉ!!これお姉ぇの船の帆下駄だ…帆付きで流れて来てる」

小さなゴーレム「!!?」ドスドス

女海賊「ちょいこれ持って帰るぞ…木材と布があったら小舟作れる」グイ

女海賊「うわ…重いな」

女海賊「ここで切り分けるからあんたは寝どこまで運んどいて」スラーン スパ

小さなゴーレム「…」グイ ドスドス

女海賊「てかこれメインマストの縦帆だな…これ無くなったら帆走出来ないんじゃね?」スパ

女海賊「なーんか嫌な予感して来た…あの瓦礫落ちて幽霊船ぶっ壊れたかもな…」

女海賊「そういや楽園で降りたっきり飛空艇も見てない…」

女海賊「そうだ水も食料も無かった筈…あ…でも商人は食料イランか」

女海賊「マテマテ商人は上まで登って来てた…落ちた可能性ある」

女海賊「ヤバいな…よくよく考えたら無事な方がおかしいわ…」スパ

小さなゴーレム「…」ドスドス

女海賊「ゴレキチ!!切り分けた奴全部運んどいて!!私他に流れ着いて無いか見て来る」スタタタ ピューー

小さなゴーレム「…」ガッサー ドスドス


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479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/20(日) 12:21:14.31 ID:ZniVZVNC0
『双胴船』


トントントン


女海賊「よし!木組みだけで船組むの結構難易度高いな…」トントントン

女海賊「ゴレキチ!!流れて来た樽にあんたが入ってどんだけ沈むか試してみてる」

女海賊「ほい…こん中入って!!」

小さなゴーレム「??」ドスドス スポ

女海賊「おけおけ…ちょいこのまま転がして行くぞ?」コロコロ


ドブン! ブクブク


女海賊「ふむ…8割沈むか…でも一応浮くな」

女海賊「よーし…カウンターウエイトとしては十分だ…転覆防止に丁度良いや」

女海賊「おけおけ出て来て良いよ」

小さなゴーレム「…」ザブザブ

女海賊「暗くなって来たから今日はこん位で終わろうか」

女海賊「食事にすっから3匹連れて来て…今日は花の蜜あるからアラクネー喜ぶ」

小さなゴーレム「…」ドスドス

女海賊「ゴレキチの食事は何が良いんだろうなぁ…魔石か?」


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480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/20(日) 12:21:53.11 ID:ZniVZVNC0
『浜辺』


ザザー ザブン


女海賊「はぁぁぁ…このまま大の字で寝ても大丈夫そうだな…」ドター

女海賊「もう今日はなんもやる事無いから3匹とも自由にしてて良いぞ」

アラクネー「…」カサカサ モソモソ

女海賊「あんたはやっぱ髪の毛の中が好きか」ポリポリ

女海賊「ん?もしかして何か食い物あんの?」

女海賊「まぁ良いか…」

ダンゴムシ「…」クルリン

女海賊「あんたの定位置はおっぱいの間ね…そこ暖かいし湿ってるし」

女海賊「ワームはへそとか耳の穴が好きなんだろ?分かってるって!!」

女海賊「今日も星がキレイだねぇ…」ボー

女海賊「ん?なんだアレ?」

女海賊「…」

女海賊「あの星だけなんか動き早いな…」

女海賊「んん?」


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481 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/20(日) 12:22:44.82 ID:ZniVZVNC0
『30分後』

 
ザブン ザザー


女海賊「やっぱあの星だけメッチャ移動してるわ…なんだアレ?」ゴソゴソ

女海賊「望遠鏡で見えっかな…」カチャ

女海賊「んぁぁ…星はやっぱ星か…ちっこく光ってるだけだな」

女海賊「アイツだけ動いてる方向も違うんだよなぁ…」

女海賊「もしかしてアレがホムちゃんの言ってる衛星ってやつかな?」

女海賊「…」


世界の果てってこんな感じなのかもなぁ…

誰も居なくて…

ずっと一人事しゃべって…

全部食い物食い尽くしたらひっそり死ぬ…

まぁ今はゴレキチも居るし

3匹の虫連れてるからそんな寂しく無いけど

これ一人だったらキツイだろうなぁ…

ドラゴンも飼い主居なくなって寂しかっただろうなぁ…

ゴレキチも一緒か…


プチプチ…


貝の子供が呼吸する音だ

よく耳を済ませたら命の音が沢山する

分かって来た…

これが生きてるって事なんだ…

これが命を感じるって言う事…

剣士は目が見えなくても感じていた世界…

分かる…

そこで生きてるのが分かる…


女海賊「ごめんよ…いっつも美味しく食べちゃって…」

女海賊「女エルフが生き物食べる前にお祈りしてた意味…やっと理解したわ」


ザザー ザブン


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482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/20(日) 12:23:22.42 ID:ZniVZVNC0
『翌朝』


シュパパパパーン


女海賊「!!?」ガバ キョロ

女海賊「なんだ?」

女海賊「インドラの光が通った後か…」キョロ

女海賊「何処?」ドタドタ

女海賊「分かった!!うっすら筋が出来てる…南西の方角か」

女海賊「あっちだな?良し…誰か生きてるんだ」

女海賊「急いで船作んないと…」アセアセ

女海賊「もう何日経ったか分かんなくなって来た」

女海賊「おいゴレキチ!!もっと木材探して拾って来て!!また流れて来てるかも知んない」

小さなゴーレム「??」キョトン

女海賊「ダンゴムシ!!あんたの方が賢いんだから一緒に行ってあげて」

ダンゴムシ「…」カサカサ

女海賊「おっし!!今日中に仕上げるぞ!!」ドドドド


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483 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/20(日) 12:24:33.87 ID:ZniVZVNC0
『幽霊船』


ゾロゾロ ゾロゾロ

おぉ…魔導船とは原理が違うのか

どうやって風の精を導いて居るんだ?

どこかにイリジウムを仕込んで居るのだろう


ローグ「ウハハ…何の話なんすかねぇ…」

情報屋「私達とは文明が異なるのよ…古代遺跡の動力を私達が理解出来ないのと同じね」

ローグ「当たり前の事が違うって事っすか…」

情報屋「彼らが滅んだ原因は祈りの指輪の乱用だったらしいわ」

ローグ「次元の崩壊って奴っすね?」

情報屋「そこら辺は良く分からない…でも何かの原因で知識を失った…魔王が奪ったと言うのが定説だけど」

ローグ「なーんか分かりやすぜ?未来君が記憶を失うのと同じじゃないんすか?」

情報屋「そうね…そういう事が起きて居たのかも知れない」


ツカツカ


女戦士「皆の者…私が船長の女戦士だ」

女戦士「メデューサの石化が解け2000年の時を超えて混乱している者も多いだろう」

女戦士「どうか状況をしっかり理解出来るまで争いごとにならない様に願いたい」

女戦士「まず!この船にはオークも乗船している」

女戦士「しかしこの船に乗っている者は敵では無く同じ船に乗る仲間だと思って欲しい」

女戦士「文化も文明も異なる者同士…どうか上手く交流してくれ」

女戦士「先ずは…食事と酒!!ローグと情報屋!!振舞ってやってくれ」

ローグ「へい!!はいはい皆さん!!この樽!!この中にワインが入って居やす」

情報屋「器は此処よ?」

ローグ「自由に飲んで下せぇ…早い者勝ちなんで勝手にやって欲しいでやんす」

情報屋「食事は順に配って行くので少し待って」

ローグ「はい!開始!!」


ドヨドヨ ザワザワ

どうも衛生的には思えんが…

腹に何も入れないよりは良いんじゃないか?

錬成の物以外を口にして魔力低下のリスクをどうする…
484 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/20(日) 12:25:23.92 ID:ZniVZVNC0
『2時間後』


ガヤガヤ ウハハハ


女戦士「どうやら食文化が違う様だな…口に合わんらしい」

情報屋「オークが種子とか骨を食するのと同じ感じなのね…」

女戦士「まぁ…ワインは好評そうだ…」


スタスタ


魔剣士「魔導士は錬成したレーションという物しか口にしないのだ」

女戦士「ほう?何故?」

魔剣士「不浄の物を食すると属性低下を及ぼすのでな」

女戦士「良く分からん」

魔剣士「種子が有ればレーションを自前で錬成出来る…骨も良い材料だ」

女戦士「フフ…オークと同じと言う訳か…ではキノコも好むのだな?」

魔剣士「キノコは特効がある」

女戦士「荷室に沢山積んで有る…好きに使って良い」

魔剣士「それは皆喜ぶ」

女戦士「ローグ!!用意してやってくれ」

ローグ「へい!!」ダダ

情報屋「なんかオークとかエルフがどうして肉を食さないのか分かって来た気がする」

女戦士「うむ…自然と魔力をエネルギーに変えて居るのだろう」

情報屋「魔女がフルーツを好んで居たのはそういう所ね」

女戦士「さて私は不浄の物を少し食べるか」

魔剣士「う…済まない…嫌味で言った訳では無い」

女戦士「構わんよ…」ツカツカ


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485 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/20(日) 12:25:53.13 ID:ZniVZVNC0
『デッキ』


カクカク シカジカ


魔剣士「…なるほど…この魔王島の地下には古代遺跡が有ったと…」

情報屋「今動いて居る小型の機械が目覚めたのは最近の事…魔王が古代の遺物を目覚めさせてしまった訳」

魔剣士「ふむ…アレは一定以上追って来ないのだがどういう理由なのだ?」

情報屋「さぁ?古代遺跡を守っているだけなのかも知れない」

魔剣士「奥に何があるのかまだ分からないのだな?」

情報屋「そうよ…出来る事なら私も調べてみたいわ」

魔剣士「ここを要衝として利用するのであればアレを掃討する必要がある」

情報屋「数がどの位居るのか分からないから慎重にやるべきね」

魔剣士「確かに…」

情報屋「ところで昨日話した千里眼という魔法の件…」

魔剣士「あぁ…皆に聞いてみたが誰もその様な魔法の存在を知らない」

情報屋「そう…残念だわ」

魔剣士「似た様な効果でインセプトという術はある」

情報屋「それは?」

魔剣士「感覚共有で相手の能力を盗み見る」

情報屋「感覚共有…それは視覚も?」

魔剣士「視覚も含む…すべての感覚を霊的に感知するのだ」

情報屋「遠く離れた人でも?」
486 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/20(日) 12:26:22.62 ID:ZniVZVNC0
魔剣士「記憶を共有している者…つまり会った事が有る人物」

情報屋「理解したわ…多分その術の事ね…それを今の時代では千里眼と呼んでる」

魔剣士「察するに私どもでは力になれそうに無い…不明になっている者を探したいのだろう?」

情報屋「そう…でもありがとう…色々勉強になったわ」

魔剣士「それはどうも…」

情報屋「私も察しが付いた」

魔剣士「んん?」

情報屋「そのインセプトを使っても家族や友人と感覚共有が出来ないのでしょう?」

魔剣士「…」

情報屋「だから私達に接触してる…軍人がそう簡単に誰とも分からない者と関わると思えないわ」

魔剣士「フフさすが見通されているか…その通り…時を超えて孤立しているのを既に実感しているのだ」

情報屋「なら私達の側…いえ…現実に合わせるという事も必要よ?」

魔剣士「食事に口を付けなかった事を言って居るのなら済まないと思って居る…慣れるには時間が必要なのだ」

情報屋「ウフフ…ただの軍人だと思って居たら違った様ね…こういう話が出来て少し嬉しい」

魔剣士「我らは時の旅人…絶望している者も居る」

情報屋「分かるわ…愛した家族ともう会えない…国も無い…文化も無い…時空を超えるとはそういう事よね」

魔剣士「…」グビ ゴク

魔剣士「ワインは我らの時代と同じ味…ふぅ」トーイメ

情報屋「…」


祈りの指輪の乱用

こういうことがその時代にも起きて居たのね

不明になった人を求めて次元を飛んでしまった人達…

そうやって次元を歪めた歴史なんだ…

だから記録に残らなかった

夢幻の住人達…


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487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/20(日) 12:26:55.78 ID:ZniVZVNC0
『数日後_船長室』


ガチャリ バタン


商人「呼んだかい?」

女戦士「やっと来たな…」

商人「どうしたの?」

女戦士「妹と魔女の捜索に成果が出て居ない…」

商人「う…ごめんよ」

女戦士「いや仕方の無い事だと理解している…だから大事な事をお前に頼みたい」

商人「え?」

女戦士「フィン・イッシュとシン・リーンに協力を仰ぎたいのだ…急ぎで飛んでくれ」

商人「どういう事かな?」

女戦士「まずフィン・イッシュ女王に事情を話して人員の確保を願いたい…例のキャラック船をこちらに回して欲しいのだ」

商人「なるほどね…それなら盗賊ギルドにもお願いしないとね」

女戦士「うむ…アサシンが不明になってしまったから代理のアヌビスに言えば良い」

女戦士「それからシン・リーンへは魔剣士を連れて行って女王に事情を話してくれ」

商人「シン・リーンはこっちに来れるかな?」

女戦士「魔術師が数名来るだけで捜索は捗る筈」

商人「そういう感じね」

女戦士「今回の石化が解けた件はこの場所だけでは納まって居ない筈…恐らく世界的に影響が大きいと思う」

商人「うん…」

女戦士「機械が目覚めて大変な時期かもしれないがこの件も捨て置けない…そう伝えて欲しい」

商人「わかったよ…そうだなぁ…狭間使って移動して最速で往復4日という所か…」

女戦士「出来るだけ急いでほしい…特にキャラック船だな」

商人「僕とホムンクルス…あと魔剣士の3人で行けば良いね?」

女戦士「うむ…こちらも人員を裂けない…済まないな」

商人「まぁ…捜索がうまく行かないから仕方ないね…直ぐに移動するよ」

女戦士「頼む…無事を祈る」


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488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/20(日) 12:27:23.98 ID:ZniVZVNC0
『デッキ』


ドタドタ


ローグ「頭ぁ!!小型の機械討伐はシン・リーンの兵隊に任せて良いんすか?」

女戦士「奴らの方が隊行動のプロだ…私達は桟橋の設置に注力して良い」

ローグ「木材を沈没船に取りに行かにゃならんすね…」

女戦士「小舟で往復してくれ…幽霊船は固定砲台としてここを動かす訳にいかん」

ローグ「分かりやした!!忙しくなりやすねぇ」

女戦士「動けるオークが徐々に増えているからまだマシだ…手先が不器用なのがアレだが…」

ローグ「じゃぁちゃっちゃと行って来やす…日が落ちる前には戻るでやんす」タッタッタ

女戦士「頼む…」

情報屋「本当…人手不足ね」

女戦士「まさかこんな展開になるとは思って居なかったからな…」

情報屋「技術持ってるのが海賊2人しか居ないと言うのがね…オーバーワークになって居ないかしら?」

女戦士「そうだな…小舟も増やしたいし…作りたい物が沢山ある…」

情報屋「わたしはせめて美味しい食事を用意するくらいね」

女戦士「世話を掛けるな…」

情報屋「さて…わたしも働こう!」スタ


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489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/20(日) 12:27:58.86 ID:ZniVZVNC0
『鯨型飛空艇』


シュゴーーーーーーー


魔剣士「…これはスゴイな…魔導航法で移動できるとは…」

商人「へぇ?ハイディングの事を魔道航法と言うんだ?」

魔剣士「熟練した魔導士は単独で同じ様に飛翔するのだ…これは魔導士で無くとも飛べる…しかも物資運搬まで」

商人「君は飛べるのかい?」

魔剣士「私は歩兵だ…専門が錬成術で魔法陣の敷設が主な任務なのだ…結界を増やして行く役割と言えば分かるか?」

商人「なんか良く分からないけれど…陣地構築な訳ね?」

魔剣士「ここで休息を取る事も出来る…これが有ればもっと早期に魔王軍を追い詰められただろうに…」

商人「ハハ…なんか話が読み取り難いなぁ…」

ホムンクルス「予測ですとあと3時間程でフィン・イッシュに到着します」

商人「よしよし…いつも通り墓地に隠して城へ行こう」

ホムンクルス「はい…」

魔剣士「気になって居たのだが…君はエルフか?」

ホムンクルス「違います…私は人間です」

魔剣士「そうか…まぁ確かに体は小さいな」

商人「どうしてエルフだと思うんだい?」

魔剣士「エルフの中に君の様なたたずまいの者が居ると聞いた事が有る」

商人「なるほどね…それ精霊シルフかな?」

魔剣士「シルフ?」

商人「なんか話が噛み合わないねぇ…時の王はまだ出会って無いのかな…」

ホムンクルス「私達が知って居る歴史と実際とは少し違って居るのかもしれませんね」

商人「そんな感じだね…まぁこれから色々分かって行くだろうね」

ホムンクルス「歴史をお話頂ければ…あ…」ピタ

商人「ん?」

ホムンクルス「一度リリースします…少し確認したい事があります」

商人「構わないよ」

ホムンクルス「リリース…」スゥ
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/20(日) 12:28:27.86 ID:ZniVZVNC0
商人「順調だね…まだ海の上さ…羅針盤の方向も大丈夫」

ホムンクルス「いえ…上空です」

商人「え?」スタ キョロ

ホムンクルス「大型の船が見えませんか?」

商人「あああああ!!なんだアレ?」

ホムンクルス「信号をキャッチ…識別コードOV-277機…以前エネルギー供給をした未確認機です」

商人「早いぞ!!通り過ぎて行く…」

ホムンクルス「こちらを補足した模様…暗号を送信してきています」

商人「暗号?」

ホムンクルス「分かりました…着陸要求ですね」

商人「アレが着陸するんだ…どこに行くんだろう?」

ホムンクルス「どうしましょう?なにか情報を送信しましょうか?」

商人「何かって?」

ホムンクルス「現在の地球の状況ですとか…歴史ですとか…恐らく情報収集の為に地球を周回していると思われます」

商人「そうなんだ?当たり障りの無い程度に教えてあげたら?」

ホムンクルス「送信完了…返答がありました…自動返信です…コードネーム…ホワイトフォックス」

商人「意味が分からない…」

ホムンクルス「白狼…剣士さんが搭乗している可能性があります」

商人「ええええええええええ!!ちょ…」

ホムンクルス「機体の詳細が分かりました…兵器非搭載の民間シャトル…生命維持装置は2台稼働中…」ペチャクチャ…

商人「そうか…石化が解けるのと同じ理屈か…もっと大昔から現代まで来る事が出来たんだ…」ボーゼン

ホムンクルス「相対距離が開いたため通信が途切れました…ハイディングします」スゥ

商人「あんなのが急に降りて来たら皆びっくりするだろうな…」

魔剣士「話に割り込んで悪いが…今のは古代文明の何かだな?」

商人「そうだよ…」

魔剣士「魔王が古代の機械を目覚めさせた…それと関係する訳か」

商人「う〜ん…そこまでは分からない…ただ…」

魔剣士「んん?」

商人「勇者が帰還した可能性がある」

魔剣士「天から勇者が降りて来る…予言の者…この時代でも…」

商人「なんか話が噛み合わないけど…まぁそんな感じかな」

ホムンクルス「商人さん…恐らく先ほどのシャトルは地球を周回していますので又通信出来るかも知れません」

商人「それは良い…剣士が乗っているかも知れないなら幽霊船の居場所を教えてあげると良いね」

ホムンクルス「では次に通信が入った場合双方向通信をトライしてみます」

商人「うん…任せる」


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491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/20(日) 12:29:03.44 ID:ZniVZVNC0
『無人島_双胴船』


ズズズ ズズズズ


女海賊「んむむむ…もうちょい!」ググ

小さなゴーレム「…」ググ


ザブーン プカプカ


女海賊「おっしゃぁぁぁぁ!!はぁはぁ…」

女海賊「諸君!!見たまえ!!これが新しい船…ゴレキチ号だ!!」ジャーン

女海賊「ゴレキチ!!あんた乗る場所はそっちのちっこい方ね…樽に収まるようになってるから乗ってみて!!」

小さなゴーレム「…」ドスドス スポ


グラー ユラリ


女海賊「おぉ!!完璧…」

女海賊「ほんでこっちの大きな船体が私の乗る場所…」ギシギシ

女海賊「板で繋いで渡してあるから結構広いっしょ…ほい3匹は遊んでて良いぞ!!」

アラクネー「…」カサカサ

ワーム「…」ニョロ

ダンゴムシ「…」モソモソ

女海賊「こんだけ広いとやっぱ安定してて良いわ…」ピョン ユラユラ

女海賊「ゴレキチ!!荷物全部積むぞ!!雑草とか籠とか全部運んで!!」

小さなゴーレム「…」ドスドス

女海賊「土が入った籠も忘れないで乗せてね…私は樽に水汲んでくるわ」スタタタ ピューーー


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492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/20(日) 12:29:38.56 ID:ZniVZVNC0
『1時間後』


ヨッコラ ドスン!!


女海賊「水こんだけ乗せても余裕だな…ヌフフ」プカプカ

女海賊「おーゴレキチ!!私の寝床作ってくれたんか!!良いね…そうそうコレで良いのさ」ガサガサ

女海賊「ちっと荷物整理したら出発しよっか…」ゴソゴソ

小さなゴーレム「…」ヨイヨイ

女海賊「喜んでる?ちょい今は止めて…つられて踊っちゃう」ゴソゴソ

女海賊「お!!そうだそうだ…ダンゴムシ?望遠鏡をいつでも覗ける様に設置しといたぞ…あんたが見やすい高さになってる…覗いてみ?」

ダンゴムシ「!!?」カサカサ

女海賊「えーと…もう忘れ物無いかなぁ…」キョロ

女海賊「貝殻はもうイランな…謎の木の実も全部乗せた…塩もあるな?」

女海賊「あ!!イカンイカン…石をちょっと持って行かないと石焼出来んくなる…」ダダ

女海賊「おーーい!!ゴレキチも石運ぶの手伝ってぇぇ!!」


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493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/20(日) 12:30:41.11 ID:ZniVZVNC0
『船出』


ザブン ギシ


女海賊「オホン!!それでは諸君!!海の向こうを目指して進むぞ!!」

女海賊「準備は良いか!?

小さなゴーレム「…」フリフリ ヨイヨイ

ダンゴムシ「…」フリフリ ヨイヨイ

アラクネー「…」フリフリ ヨイヨイ

ワーム「…」フリフリ ヨイヨイ

女海賊「よ〜し!!三角帆開くぞぉぉ」バサ バサバサ


グイグイ ググググ スィーーーー


女海賊「おおおおおおおお!!早い早いぃ!!」

女海賊「やっぱこんだけデッカイ三角帆だと違うな…双胴船にして正解だわ」

女海賊「これ川でもスイスイ登っていくぞ?」

女海賊「しかも傾かないからメチャ安定して風捕まえられる…ヤバイ!!ワクワクしてきた!!」

女海賊「ええと…進路は…南西だったな…多分あっち」グイ バサバサ

女海賊「よしよし舵もちゃんと機能する…この位置にロープで固定しよう」グイグイ ギュゥ

女海賊「ウハハ楽ちんだ!!」

女海賊「ちっと私がマストに上がっても大丈夫かチェックするかな…」ヨジヨジ

女海賊「ふむ…不安定にはなって無い…嵐じゃなきゃ大丈夫そうだ」

女海賊「見晴らし良いぞぉ!!3匹とも登ってコーイ!!」キョロ
494 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/20(日) 12:31:30.48 ID:ZniVZVNC0
女海賊「あ…なんだアレ?何か飛んでる…」ピタ

女海賊「早い!雲の筋が形成されてる…」

女海賊「私の飛空艇だな?そうか…ハイディングして飛んでるとこんな風に見えるんか…」

女海賊「ちょい望遠鏡で確認しよう」ピョン ギシギシ

女海賊「どれどれ…」カチャ

女海賊「くそう見え無いな…てかハイディングしてるなら見える訳無いか…」

女海賊「かなりの高高度を移動してる…行き先はもうちょい左ね」

女海賊「自分の現在地分かんないから何処に向かってるのかも分かんないなぁ…」

女海賊「まぁ良いや!!あの雲の筋に進路合わせよう」ダダ グイ


バサバサ ギシ


女海賊「さてぇ!!ちっと体洗うかな…おいワーム!!海水で流す前に体掃除しなくて良いか?」

女海賊「アソコの掃除もやって良いぞ」ヌギヌギ

ワーム「!!?」ニョロ モソモソ

女海賊「穴の中には入るなよ?」

女海賊「あーー髪の毛も洗った方が良いなメチャ絡まっとるわ…」

女海賊「アラクネー!!髪の毛もうちょい何とかしてぇ!!」

アラクネー「!!」カサカサ

女海賊「ダンゴムシ!!おっぱい吸っても良いぞ…特別に両方だ」ボヨヨン

ダンゴムシ「…」タジ

女海賊「あぁぁぁ素っ裸で船の上ってメチャ気持ち良いな…ちっと寝るから掃除やっといて」ドター


バサバサ バサバサ


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495 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/20(日) 12:32:18.62 ID:ZniVZVNC0
『半月後_無人島』


フワフワ ドッスン


商人「ここだよ…降りて確認して」

女戦士「…」ツカツカ キョロ

ローグ「本当っすね…新しい焚火の跡が有りやすね…貝殻も散らかっていやす」

商人「向こうの岩場に寝床と思われる洞穴もあるんだ…多分破壊の剣でくり抜いた痕跡さ」

女戦士「砂場に大きな足跡が有るな…何だと思う?」

商人「多分楽園に居た小さなゴーレムだよ…一緒に行動してるんだ」

女戦士「妹の無事が確認出来ただけでも心が落ち着いた」プルプル

ローグ「頭ぁ!!浜辺に船を引きずった跡が残って居やす!!」ダダ

女戦士「流れて来た物なのか…自分で作ったのか…どちらにせよここから出て行ったのは間違いない様だ」

商人「ここは幽霊船からかなり離れて居るからインドラの光は見えなかった様だね」

女戦士「私ならどちらに向かうか…」トーイメ

商人「僕はこう思う…例の未確認機を追った…気付いて居ればだけど」

女戦士「やはりそう思うか…」

ローグ「どうしやす?あっしらも探しに行きやすか?」

女戦士「いや…今は行けないな…もう少し体制を安定させなければならない」

商人「飛空艇での捜索は引き続き続けられるけどね…」

女戦士「それは続けて良い…海図の精度を上げて行くという意味でもな」

商人「剣士が本当に乗っているか分からないけど…もう一度あの二人には出会って貰いたいよ」

女戦士「妹は未来に向かって進み始めたのだ…」トーイメ

商人「そうだね…」

女戦士「妖精が導いて居る…だからきっと…めぐり逢える」

商人「妖精か…」

女戦士「さて…ここも要衝の候補地として加えよう…行くぞ」スタ

ローグ「あらら?もっと見て行かんで良いんすか?」

女戦士「もう私の気は済んだ…私は私の未来へ行く」

商人「じゃぁ戻ろうか…乗って」

女戦士「…」トーイメ


---妹よ---

---進め---

---未来へ---



--------------

--------------

--------------


 めぐり逢い編

   完
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/20(日) 12:33:44.98 ID:ZniVZVNC0



============ Fin ==============



497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/20(日) 12:45:54.49 ID:ZniVZVNC0
エンドロール

作者:Kashmir

もしDiscordとかで見かけたらよろしくね

最後まで読んでくれた人は本当にありがとうございます

498 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/11/20(日) 12:49:52.04 ID:ZniVZVNC0
続きでは無いですが

別の作品も書いてみたいと思って

伏線を大量に残した感じにしました

あれ?なんで盗賊外れちゃったの?…とか色々あると思います

足の不自由な子…何だったの?

機動隊って何?…みたいな

はい。僕は盗賊が一番好きなんです

以上!!

ではまたどこかで ノシ
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/11/20(日) 14:49:19.04 ID:OuW/L7cTo
気長に待ってた戻ってきてくれてありがとう!
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/11/20(日) 22:08:44.25 ID:+MDziL6d0
乙!
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/12/11(日) 12:06:17.50 ID:ckhR7HQw0
以下

いつ終わるか分からない「おまけ」


勇者「魔王は一体何処にいる?」のおまけ








502 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/12/11(日) 12:07:01.53 ID:ckhR7HQw0
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地震…津波…噴火…寒冷化

落雷…隕石…洪水…日蝕

飢餓…疫病…地殻変動

あらゆる天変地異で世界は疲弊していた

地球を襲った地軸の移動

太陽と月が喧嘩をしてしまったかのように

違う方向から登り

世界は混乱を極めた

あれから数十年…

安住の地を探し人々はそれぞれの営みを

それぞれの場所で始めようとしている…


再建都市バン・クーバ


そこにかつて神の手と知られた男の遺児がいる

少年は大人になり…

世界の秘密へと歩み始めようとしていた
503 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:08:01.27 ID:ckhR7HQw0
『地下鉄道_列車』


プシューー モクモク


盗賊「姉御はまだ来ねぇのか…遅せぇ」イラ ウロウロ

ロボ「ピポポ…」ウィーン

盗賊「ちぃぃ…とりあえず先に乗って場所だけ抑える…逸れるな?」スタ

ロボ「ピピ…」ウィーン


おい押すな!!後ろの列車に移ってくれ

ちょっと…そこは私が座っていたの!!

はいはい席ありやすぜ?2人?では2銀貨で…ウヒヒ


ドヤドヤ…


盗賊「ちぃぃ…こんなつまらん事に2銀貨使っちまった…ロボ!席取られるから動くなよ?」

ロボ「ピピピ…」キョロ ウィーン

盗賊「こりゃ姉御達来たら立ち乗りになんな…」


ボエーーーーーー プシューーーーー


盗賊「マズい…出発の警笛だ…」

学者「兄貴ぃぃぃ!!」タッタッタ

盗賊「おう!!間に合ったか!!早く乗れ!!」グイ

学者「はぁはぁ…大変っす…姉御は来れんらしいっす!!」

盗賊「なんだとぉ!!?どういう事だ!!」

学者「前回の機械化兵団との戦闘で負傷していたらしいっす…まだミネア・ポリスに居るとか」

盗賊「なんで連絡が来ないんだ!!」バン

学者「俺っちも迎えに行ってさっき知ったんすよ…はぁはぁ」

盗賊「くそう!!姉御抜きで作戦実行か…」

学者「兄貴なら大丈夫っすよ」

盗賊「それで…姉御の容態とかは聞いて居ないのか?」

学者「結構な大怪我だとか…」

盗賊「だろうな…少々の事じゃ我慢していつも来るからな…」

盗賊「う〜む…ミネア・ポリスに見舞いに行った所で治る訳でも無ぇし…」

学者「この季節逃したら船手に入らんすよね」

盗賊「仕方無ぇ…俺らだけで盗んで来るぞ」

学者「そう言うと思って居やした…」パサ

盗賊「んん?何だそりゃ?」

学者「姉御が残した作戦計画っす…ギルド宿舎の部屋の方に置いてあったんで持って来やした」

盗賊「おぉ…見せてみろ」バサ
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:08:53.14 ID:ckhR7HQw0


ふむ…

船を奪った後は地庄炉村まで自力で行って…

なるほど…向こうの大陸の盗賊ギルドとコネクションが有るのか


盗賊「おい!!姉御が盗賊ギルドと接触してたのは知って居たか?」

学者「知らんっす…今知りやした」

盗賊「そういや前に誰か知らん奴らと組んでた事が有ったな…アイツ等か…」トーイメ

学者「その盗賊ギルドに手を借りる感じなんすか?」

盗賊「結果的にそうなるんだろうな…どうも荷を運ぶ必要があるらしい」ヨミヨミ

学者「ちょっと心配なのが…2人で船を動かせるか…っすね」

盗賊「そんなもんやってみるしか無ぇだろ」


ガコン!! カタンカタン…


盗賊「お…動き出したな」

学者「兄貴はいつもロボと一緒っすね…」ナデナデ

ロボ「ピポポ…」クルリン

盗賊「まぁな?俺の一部だ…勝手に触わんな」

学者「維持費大丈夫なんすか?特に魔石…」

盗賊「今ん所はな?まぁ…魔石よりもボロくなった本体の方が問題なんだ」

学者「俺っちが整備しやしょうか?」

盗賊「そら助かる…ちっと落ち着いたら頼むわ」


--------------
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:09:25.06 ID:ckhR7HQw0
『蒸気機関列車』


ガタン ゴトン ガタン ゴトン…


ロボの本体は…まぁメンテナンスしてりゃなんとか永らえるんだが…

脳と連結しているなんとかユニットってのがもう替えが無いんだ

後3年もすりゃ使えなくなるらしい…


学者「…なるほど…それは俺っちでもダメかも知れんっす」

盗賊「まぁ…しょうが無ぇ話よ」

盗賊「だがな?世界の何処かにはホムンクルスというのが合ってな…」

学者「知って居やすよ?お金さえ払えば闇で入手はできるらしいっすね…」

盗賊「いや…それとは違う…完全なホムンクスルと言えば良いのか?それならロボに肉体を与えられるんだ」

学者「部分的なホムンクルスじゃないって事っすね?」

盗賊「全身だな…俺はロボに体を与えたい訳よ…そんで姉御はその話に乗った」

学者「それで船を盗みに行くんすね?」

盗賊「まぁ…船を手に入れたら何処へ行けば良いかまだ分かって居ない…ただ俺にはちょっとしたアテがあるんだ」

学者「宛て?」

盗賊「その内話してやる…今は目の前の課題だけ考えろ」


そう…アテが有る

神の手…俺の父が仲間だった奴ら

アイツ等なら必ず何か知ってる筈…
506 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:10:01.07 ID:ckhR7HQw0
『夢』


ドカーン!! タタタタタン


僕「くそぅ…囲まれてる…」

男「おい小僧!そこを動くな?今から何が起こるか良く見てろ」

僕「どうするんだよ!?」

男「こういう世界が有ると言う事を先ず知れ…動くなよ?」スゥ…

僕「え!!?…き…消えた…」


スパ! スパ! ガチャーン ドカーン!


僕「何だ?何が起こってる!?」キョロ

僕「見えない…どうしてキラーマシンが壊れて行く?」タジ


リリース! スゥ…


男「小僧!!行くぞ!!来い!!」グイ

僕「え…ぁ…」スタ


その男が父だと知って居た…

なのに言いだせなかった…

言えないまま…失った…


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--------------
507 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:10:37.33 ID:ckhR7HQw0
『要衝エド・モント』


プシューーーーー ガコン


学者「兄貴!兄貴!」ユサユサ

盗賊「んぁ…あぁ…」パチ

学者「ここで1時間止まるんで少し降りられるっす」

盗賊「降りたら又席取られちまうだろ…」モゾモゾ

学者「じゃぁ兄貴が席を取っといて下せぇ…俺っちはここで少し買い物したいんす」

盗賊「んあ?バン・クーバより良い物売ってるとは思えんが…」

学者「ほら小型の機械…キラーポッドが使う弾…あれが買えるんす」

盗賊「なんだと?…てことはお前は銃を買ったのか?」

学者「譲り受けたと言った方が良いっすね」

盗賊「お前兵隊でも無いのにそんな物持ち歩いて見つかったら只じゃ済まんぞ」

学者「兄貴もラッパ銃持ってるじゃないっすか」

盗賊「こりゃ形見だ」

学者「いやいやそういう問題じゃ無くてっすね…見つかったらマズいのは兄貴も同じっすよね?」

盗賊「俺ぁ特別よ…逃げる自信がある」

学者「見つかったら見つかったでその時は…」

盗賊「ダメだ貸せ!!今見つかったら作戦が台無しになる…俺が預かる」

学者「う〜ん…じゃぁ隠し持ってて下せぇ…」スッ カチャ

盗賊「…」ギロリ

学者「機動隊が使うバヨネッタっす」

盗賊「お前…こりゃ普通じゃ手に入らん代物だぞ?殺したな?」ギロ

学者「勘違いし無ぇで下せぇ…殺したのは機械化兵団の奴らなもんで…」

盗賊「機動隊が行く激戦地にお前が行くとは思えんが?」

学者「正確に言うと運ばれて来た機動隊の人を看取った…そのままにしておくと誰に取られるか分からんもんで…」

盗賊「フン…まぁ良い…早く行って来い」

学者「食事も入手してくるんで楽しみに待って居て下せぇ」タッタ

盗賊「…」---アイツ---


こいつには連番が振ってあるんだ…

しかも特殊な発信機まで付いてる

ん?なるほど発信機はさすがに外したか

他の兵装をどうしたのか問い詰める必要があるな…
508 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:11:32.65 ID:ckhR7HQw0
『1時間後』


ボエーーーーーー プシューーーーー


学者「兄貴ぃぃぃ!!戻りやしたぁぁ」ダダ

盗賊「…」シラー

学者「あら?相席の人が変わりやしたね…どうも」ペコリ

青年「こんにちは…キ・カイまで失礼します」ペコ

学者「君は一人なんすか?」

青年「はい…」

学者「良く此処に座る気になれたね?兄貴に近寄る人は中々居ないんすよ?」

盗賊「おい!!ベラベラしゃべるな」ドス

学者「あたたた…済まんっす…まぁこんな感じなんすが気にしないで下せぇ」

青年「ハハ気にしてなんか無いよ」

盗賊「…」ギロリ

学者「なーんか…堂々とした青年っすねぇ…兄貴ぃ…レーション買って来やした」スッ

盗賊「ふんっ」モグ

学者「酒も仕入れて着やしたぜ?」

盗賊「よこせ…」グイ キュポン グビ

学者「良かったら君もレーションどうっすか?」スッ

青年「え?あぁ…じゃぁ遠慮なく…」スカ

学者「あらら?君は目が不自由なんすかねぇ…目隠しなんかして…」パス

青年「ま…まぁ…頂きます」ハム モグ

学者「俺っちは医術も学んで居るんす…少し見てあげても良いっすよ?」

青年「いえ…目は大丈夫です」

学者「な〜んか…怪しい感じっすねぇ…目隠しにフード…」

青年「ハハ…どうかお構いなく」パク モグ

盗賊「おい!!困ってるだろう…良い加減にしておけ」ゴン

学者「あたたた…話題変えやしょうか…キ・カイへは何をしに?」

青年「キ・カイに帰る所なんだ…食料を買いにエド・モントまで来たのさ…」

盗賊「ほう?キ・カイに住んで居るのか…」ジロ

青年「珍しい…よね…ハハ」

盗賊「まぁ事情は色々有るだろうからな…住んで居るなら少し聞きたい事がある」

青年「何でも答えるよ?何かな?」

盗賊「俺は昔キ・カイに住んでた事が有るんだがもう何年も戻って無くてな」

青年「僕は生まれも育ちもキ・カイだよ」
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:13:00.58 ID:ckhR7HQw0
盗賊「今外の市街地はどうなって居るんだ?人は住んで居るのか?」

青年「一応人は少し住んでるよ…殆どの人はバン・クーバに移住したみたいだけど」

盗賊「そうか…まだ残って居るのか…」トーイメ

青年「皆さんがキ・カイに行く理由は漁業関係?それとも鉱山関係?」

盗賊「どちらでも無いが…しいて言えば漁業か」

青年「今時期は珍しい魚の収穫期だからね…沢山捕れると良いね」

盗賊「孤児院は残って居るか?」

青年「孤児院?知らないなぁ…」

盗賊「そうか…もう無いのだろうな…」

ロボ「ピピ…」シュン

盗賊「まぁ…自分の目で確かめる」

青年「このロボは皆さんと一緒に?」

盗賊「まぁそうだが?」

青年「キ・カイでは機械化してる人の検査が厳しいんだ…大丈夫かな?」

盗賊「許可証はちゃんと持ってる」

青年「そう…なら大丈夫か」

盗賊「う〜む…お前…本当はが見えて居るな?」ジロ

青年「え…いや…目が見えない訳では無くて…人に見せられない訳で」

盗賊「なるほど…火傷とかそういう類か…イラン詮索して済まなかった」

青年「なんか久しぶりに他人とちゃんとした話が出来て嬉しい」

盗賊「そうか?」グビ

学者「レーションのお代わりありやすぜ?」ガブ モグ

青年「いやそんな…それは高価な事知って居るから貰えないよ」

学者「俺っちは傭兵で結構稼いだんで割とお金あるんす」

盗賊「…」ギロリ
510 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:13:36.01 ID:ckhR7HQw0
学者「ちょちょ…兄貴そんな怖い顔で見んで下せぇ…」タジ

青年「ハハ…」

盗賊「ところでそのくそデカイ袋が買い物した食料か?」

青年「はい…どんぐりとかキノコとか…キ・カイでは中々買えないんだ」ガサリ

盗賊「どんぐりが食料…やはり辺境に住むと貧しい訳か…レーション美味かったか?」

青年「なんかこういう言い方すると卑しいって思うかも知れないけど…こんなに美味しい物食べた事無かったよ」

盗賊「そりゃ結構!全部持って行け」グイ ドサ

学者「なぁぁああああ!!兄貴ぃ…」

盗賊「お前にゃちっと問い詰めなきゃならん事が有る!!」

学者「なななな…なんすか?」

盗賊「他の兵装を何処やった?」グイ

学者「え…あ…アハハハ」タジ

盗賊「アハハじゃ済まん事をお前はやっているんだぞ?必ず内ゲバが始まるんだ」

学者「すすす…済まんっす…」

盗賊「まぁ此処で言ってもしょうがねぇ…落ち着いたら覚悟しとけ」

学者「あたたた…」

青年「フフなんか楽しそうだ…」

盗賊「悪いな…話は聞かなかった事にしてくれ」ゴン

学者「あ痛ぁ!!」ナデナデ


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511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:14:15.15 ID:ckhR7HQw0
『廃都キ・カイ_地下鉄道』


キキーーーーー ガコン プシューーーー


盗賊「おっし到着だ…忘れもんすんなよ?」

学者「へいへい…」ゴソゴソ

青年「じゃぁ僕は此処で…」ヨッコラ セ

盗賊「よう…縁が有ったら又な?」ノシ

青年「はい…ではさようなら」スタ

盗賊「なかなか感じの良い奴だったな…」ボソ

学者「ここは地下鉄道の何番なんすかね?」キョロ

盗賊「8番だったか…ガキの頃はこの辺で悪さしたもんだ」ゴソゴソ

学者「なんかそこら中崩れてボロボロっすね…」

盗賊「キラーマシンの反乱時はここからエド・モントまでが激戦区だったらしい…俺らは上手く逃げられた」

学者「へぇ?」

盗賊「ロボ!!俺から離れるんじゃ無ぇぞ?…」スタ

ロボ「ピポポ…」ウィーン

学者「兄貴ぃ!!待って下せぇ…」タッタ

盗賊「モタモタすんなバーロー」


衛兵「おいお前達!!何だその機械は!!」ダダ


盗賊「はいはい衛兵さんよ…これが許可証…脳の機械化はやっていない…見てくれ」パカ

ロボ「ピピピ…」ピタ

衛兵「脳…」タジ

盗賊「これで満足か?」カパ

ロボ「ピポポ…」プシュー

衛兵「た…確かに…話に聞く孤児機械化事件の…」

盗賊「そうだ…珍しいか?」

衛兵「あぁ済まない…特例の件は承知している…通って良いが…あまり目立たん様に頼む」

盗賊「分かって居るよ…お勤めご苦労さん」ノシ


-------------
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:14:47.28 ID:ckhR7HQw0
『地下街道』


ピチョン ポタン


盗賊「ロボ…済まなかったな…毎度毎度見せたく無い物を曝ける事になっちまってよ」ナデナデ

ロボ「ピ…」ウィーン

盗賊「まぁそのお陰で銃器を持ち込んでも怪しまれないんだが…」

学者「兄貴ぃ…これからどうするんで?」

盗賊「どこかで一泊して明日の夜に決行するつもりだが…」

学者「ちっと情報集めた方が良くないっすか?」

盗賊「うむ…流氷の具合も確認しておきたい」

学者「先に流氷見に行きやせんか?外に出りゃ港も見れやすよね?」

盗賊「そうだな…ちょいと防寒着を調達して外に行くか」

学者「ええと…全然人が居ないんすが…」キョロ

盗賊「この先にホームっていう場所が有るんだ…そこが中心になって居る筈」

学者「買い物は任せて下せぇ…」

盗賊「当たり前だろう…払いもお前だ」

学者「ハハ…」

盗賊「ロボに被せる防寒着もちゃんと用意しろよ」

学者「分かっていやすとも…」


--------------
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:15:27.13 ID:ckhR7HQw0
『ホーム』


ヒソヒソ ヒソヒソ

今年も出稼ぎ労働者が入って来出したね

稼ぎ時だからちゃんと売るのよ?


盗賊「分かっちゃ居たが寂れ具合が半端無ぇな…」

学者「昔は世界一の人口を抱える都市だったんすよね?」

盗賊「天変地異以前はな?俺が居た頃は既に落ち目だった様だがそれでも人でごった返してたもんだ」

学者「軍の施設とかどうなってるんすかね?」

盗賊「殆ど空らしい…港は軍港跡地を使って居ると聞いた」

学者「宿泊する場所が有るのか心配になって来やしたよ」

盗賊「路地裏で十分だろう…心配なのは食い物だ」

学者「あたたた…」

盗賊「おい!!あそこで毛皮のフードが売って居そうだ…仕入れて来い」ユビサシ

学者「ちっと待ってて下せぇ…」」タッタ



---------------



『30分後』


タッタッタ


学者「待たせたっす…」ドサ

盗賊「遅かったじゃ無ぇか…どれどれ」ファサ

学者「すんごい高くてですねぇ…ちっとも値下げしてくれやせんでした」

盗賊「どうせアブク銭だろうが!そういうのは全部使っちまえば良い…これがロボの分だな?」ファサ

ロボ「ピポポ」クルクル

盗賊「おぉ!!喜んでるぞ?うむ…なかなか似合う」

学者「分かるんすか?」

盗賊「ピポポが肯定…ピ…これが否定だ…まぁ他にも色々ある」

学者「じゃぁ行きやしょうか…」スタ


--------------
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:15:59.92 ID:ckhR7HQw0
『旧市街地』


ヒュゥゥゥ…


盗賊「ふぅぅやっと外に出られた…」

学者「その許可証便利っすねぇ…持ち物見られんで済むんすね」

盗賊「まぁな?それが特例処置になってる…一応幹部扱いな訳よ」

学者「俺っちはあまり知らんのですが孤児機械化事件はそんなスゴイ事件だったんすか?」

盗賊「国家反逆…って所か?まぁ歴史に残る事件だな…俺はそのど真ん中で生き抜いた…まだガキだったんだが」

学者「スゴイっすねぇ…」

盗賊「機動隊が今の地位に登り詰めたきっかけだった…だから幹部の様な特例が許されてるんだ」

学者「それが今は泥棒をする立場ってなんかおかしいっすね」

盗賊「こいつの為なんだ…」ポン

ロボ「ピピ…」プシュー

学者「そういう事っすね…」

盗賊「今回の件で俺に手配書が回るかも知れ無ぇ…でも姉御は俺の話に乗ってくれた…姉御には感謝してる」

学者「じゃぁ俺っちも危ないっすね…」

盗賊「何言ってんだアホが!…機動隊の兵装を闇で捌いてタダで済むと思ってんのかボケが!」

学者「ええ!?」

盗賊「そんな甘く無ぇんだよ!!俺よりお前の方が危険だ…ちったぁ自覚しろ!!」ドス

学者「あたたた…」

盗賊「だからフードは深く被れ…顔は極力見せるな…そこら辺徹底しろ!!」

学者「へい…」ファサ

盗賊「よし…じゃぁ行くぞ」スタ



--------------
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:16:55.03 ID:ckhR7HQw0
『雪に埋もれた瓦礫の山』


ズボ ズボ ズズズ


盗賊「何処に穴空いてるか分かん無ぇから気を付けて歩け…ロボは無理して付いて来なくて良い」

ロボ「ピポポ…」プシュー

学者「これで夏っすか…」アゼン

盗賊「よし…流氷が漂っては居るが船が動かせん訳では無いな」

学者「これ昔はずっと向こう側まで海だったんすよね?」

盗賊「あぁ…俺が住んで居た頃は海だった…灰色の海で俺は嫌いだったが…」

学者「切り立った氷山…なんでこんなんなっちゃうんすかね」

盗賊「知るか!」

学者「これ向こうの大陸まで徒歩で行った人居ないんすかね…」

盗賊「なんでそんな事が気になるんだ?」

学者「向こうの大陸に行った事無いんで…夢っすよ夢」

盗賊「アホか…バン・クーバから商船が出てんだろうが…金払えばいつだって行ける」

学者「徒歩ならお金掛からんじゃ無いっすか」

盗賊「お前学者なんだろ?気候の事とか勉強して来たんじゃ無いのか?」

学者「俺っちは医術と機械工学しか学んで無いんすよ…」

盗賊「じゃぁ今お勉強だな…こっから先は寒すぎて立ち入る事が出来ん未踏の地だ…覚えておけ」

学者「確かに寒すぎっすねぇ…」ブルル

盗賊「まぁしかし…ここも変わり果てた…見た所孤児院の建屋も無くなってる」

学者「行かなくて良いんすか?」

盗賊「良い思い出は無い…ただお袋が居た場所は見て置きたいな」

学者「お袋?初耳っす…お袋が居て孤児院に入ってたんすか?」

盗賊「俺が孤児院に通い詰めてたって感じだ…お袋は忙しくて殆ど帰って来なかった」

学者「そういう事っすか…」

盗賊「お袋とは生き別れてもう何処に居るのかも分からん…激動の時代に飲み込まれた結果だ」

学者「そのお袋さんが居た場所って何処なんすか?近いなら行って見やしょう…もしかしたら待ってたり…」

盗賊「まぁそのつもりだ…ここから近いから行って見る…」スタ


--------------
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:17:39.50 ID:ckhR7HQw0
『旧商人ギルド跡地』


ザック ザック


盗賊「…ここだ」

学者「瓦礫の山っすね…なんか小さな小屋が建ってる」

盗賊「誰か住んでる感じは無いな…ちっと覗いて来る」タッタ

学者「どうっすか?」キョロ

盗賊「う〜む…人が住む小屋では無い…中に馬車が入っているな」

学者「ええ?ソリじゃなくて馬車?」

盗賊「まぁ…使えなくなって放置された馬車だろう…もうボロボロだ」

学者「はぁぁ…ハズレっすね」

盗賊「ここには良く連れて来られたんだが…もう見る影も無ぇな」ウロウロ

学者「そうそう…そういやさっき大麻売ってたんで買ったんす…一服どうっすか?」

盗賊「お?気が利くじゃ無ぇか…ヨコセ」チッチ モクモク

学者「兄貴は大麻吸ってさまになりやすねぇ…」

盗賊「ただガラが悪いだけだ…真似しようと思うな?」スパー フゥゥゥ

学者「俺っちにも吸わせて貰って良いっすか?」

盗賊「なぬ?お前もしかして一本しか買って無かったのか?」

学者「一本しか売って無かったんすよ…」

盗賊「なんだ早く言え馬鹿が…ホラ」ボキ

学者「アララ…折らんでも良かったんすが…」チッチ モクモク

盗賊「ガラの悪いのが2人揃って大麻吸ってりゃ誰も近づかんな…ヌハハ」スパーーー フゥゥゥ


サクサクサク…


青年「あれ?どうも…なんか縁が有るみたいだね」スタ
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:18:19.97 ID:ckhR7HQw0
盗賊「お?誰かと思えば列車の…どうした?お前の家が近いのか?」

青年「いや…そこが僕の家だよ」

盗賊「ぶっ!!マジか…今何も無ぇなぁとかボロクソ言ってた所だ」

青年「ハハまぁ…そこは昔使ってた家なんだ…今はここの地下に住んでる」

盗賊「何だと?」ギラリ

青年「え?何か悪い事言ったかな?」タジ

盗賊「お前は誰だ?」

青年「ええと…どう答えれば良いのかな…」ドギマギ

盗賊「あぁぁ悪い…脅してるつもりじゃ無い」

青年「良かったらお茶でもどう?貰ったレーションのお礼に…」

盗賊「お…おぅ…そりゃ願っても無ぇ…寒かった所だ」

青年「姉と一緒に住んでるんだ…姉と言っても腹違いなんだけど…先に言っておかないと驚いちゃうから…」

盗賊「そういう事情は誰にでもあるわな?」

青年「此処へは何か用事で?」

盗賊「ふむ…まぁ信用出来そうだから言うが…俺は此処で一時住んでたんだ…知った人間が誰か居ないかと思ってよ」

青年「えええええええ!!?」

盗賊「おっと!!何だ急に…」

青年「姉が待って居る人かも知れない…」

盗賊「何?」

青年「姉はずっと此処で誰かを待ってるんだ」

盗賊「ほう?会ってみたいな…誰だ?」ハテ?

青年「こっちだよ…下にもう一つ入り口が有るんだ」スタ

盗賊「…」---あぁ知ってるとも---


--------------
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:18:56.14 ID:ckhR7HQw0
『隠れ家』


ガチャリ バタン


青年「姉さん!!帰ったよ!!お客さんを連れて来た」

女の声「おかえり…お客さんって誰?」

青年「ここを訪ねて来た人だよ…もしかしてと思って案内したんだ」

女の声「え!!?」ドスドス


盗賊「うぉ!!あ…姉御?いや…なんで姉御が此処に…」タジ


青年「やっぱり知り合い?」

女オーク「違うみたい…ごめんなさい…人違いの様です」

青年「そうか…あぁ…まぁとりあえず奥でお茶でも…」

盗賊「おう…邪魔するぜ?悪いな…」---姉御じゃ無ぇのか---

青年「さっき持って帰ったレーションをくれた人たちなんだ」

女オーク「そう…どうぞ奥へ」ササ

学者「びっくりしやしたね…姉御に瓜二つっすね…」ヒソ

盗賊「だな?正直俺もビビった」ヒソ

女オーク「お茶を入れて来るのでどうぞご自由に…」スタ

盗賊「ようお前…腹違いも良い所だな…姉がオークとはなかなか無い組み合わせだ」

青年「血は繋がって居ないんだ…」

盗賊「ヌハハそんな事気にするな…オークが身内に居るのは良いぞ?」ニヤ クイックイッ

青年「ハハ…余計な詮索しないでよ」


---------------
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:19:39.06 ID:ckhR7HQw0
『お茶』


チョロチョロ モクモク…


盗賊「ほう?煎茶という奴か…これは向こうの大陸で飲まれる物だ…体に良いらしい」ズズズ

青年「姉は昔向こうの大陸に居た事があるんだよ」

盗賊「なるほどな?」ゴク

青年「やっぱり2人は知り合いでは無いのかな?」

盗賊「う〜む…似た人物を知っては居るが…残念だが初対面な様だ」

青年「ここに住んで居たという話は?」

女オーク「ええ!!?ここに住んで?どういう事?」ズイ

盗賊「あぁ…まぁ一時だけだけどな…この部屋の中に有る物は大体見た事がある…それも…これも」

女オーク「他の人は?他の人は何処へ?」

盗賊「おっとっと…待て…お前は誰だ?俺はお前を知らん」

女オーク「私もここに居たのは短い期間なの…でもここに住んで居た人をどうしても探したい」

盗賊「なるほど…お互いすれ違って居た訳か…」

女オーク「知って居る事をどうか教えて…」

盗賊「んんん…まぁ昔の事だから話して問題無いか…」


カクカク シカジカ…

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520 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:20:12.35 ID:ckhR7HQw0
盗賊「…とまぁ…誰か居るんじゃ無いかと思って訪ねて来た訳よ」

学者「兄貴忘れてますぜ?お袋さんが居ないか見に来たんすよね?」

盗賊「お前は黙ってろ!」ゴン

学者「あたたた…」スリスリ

女オーク「もう10年以上此処で待ってても元の住人は帰って来なかった…」

盗賊「お互い同じな訳だ…ほんでお前はどうして待ってるんだ?」

女オーク「それは…」

青年「僕の本当の両親を探してるのさ…姉さんは僕の為にずっと苦労してるんだ」

盗賊「なるほど…う〜む…」トーイメ

女オーク「他に何か手掛かりになる事は無いですか?」

盗賊「有るっちゃ有るんだが…」

女オーク「どうか教えて欲しい…」

盗賊「まぁ良いか…お前海賊王の娘を知ってるか?」

女オーク「いえ…」

学者「うお!!知らない人の方が少ないんすよ?あんな有名人を知らないって…」

青年「姉さんはキ・カイの人達と殆ど付き合いが無いんだ…差別されて外を出歩けないんだよ」

盗賊「そうだったのか…外の市街地に住んでるのもそういう理由か…」

青年「本当はずっと馬車に住んでたんだ…キ・カイの壁の外でね…人が少なくなってようやく此処に入れた」

盗賊「壁の外はオーガやら魔物がウヨウヨ居るのにか?マジか…」

青年「オーガの牙をほんの少しのお金と交換してどうにか凌いで来たんだ…」

女オーク「もうそんな話は良いの…それよりもその海賊王の娘は何処へ?」

盗賊「残念だが分からん…ただ昔の俺の知り合いで情報のやり取りをしてる闇商人がいるんだ…そいつなら知って居るかも知れん」

女オーク「その人は何処に?」

盗賊「世界中転々として居てな…今はフィン・イッシュに居るらしい」

女オーク「フィン・イッシュ…向こうの大陸…」

青年「姉さん…向こうの大陸は遠いよ…もう無理して稼ぐ事なんかしなくて良い」

盗賊「んんん…なんつうか…俺はそういう話に弱いんだ…この話はここで切り上げるか」

青年「うん…そうだね」

学者「俺っちから提案なんすが…今晩此処に泊めてくれたらお金払いやすぜ?」

盗賊「あぁ悪く無ぇな」

青年「僕は歓迎だけど…姉さん」チラ

女オーク「え…ええ…でも食事も出せないし…なんだか悪い気が…」

盗賊「俺らにしてみりゃ寒さ凌げるだけで十分な訳よ…そっちが良けりゃ世話になる」

女オーク「ではご自由に…私はこれから仕事に行って来るので」

盗賊「おぉ悪いな…早速だが俺らはちっと港を見に行きたいんだが…ここに勝手に出入りさせて貰うぜ?」

女オーク「どうぞ…」

青年「僕は暇だから案内しようか?」

盗賊「そら助かる…おい学者!くつろいでる暇は無ぇぞ!!」

学者「すんません…」スック


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521 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:21:00.16 ID:ckhR7HQw0
『港へ続く街道』


サクサク サクサク


盗賊「ところで自己紹介して居なかったな?」

青年「そうだね?お互い名前も知らないで変な感じだね」

盗賊「俺の名はアラン…職業は傭兵だ…まぁ本職は泥棒なんだがな」

青年「僕はミライ…ええと職業なんか無いんだけど…そうだなぁ…剣を使うから剣士かな」

盗賊「ほう?誰に教えて貰ったんだ?」

青年「姉さんだよ…姉さんの名はリッカ…剣を使うのが上手い」

盗賊「なんだ…戦えるなら傭兵でもやりゃ良いのに…ほんでこいつの名はお手伝いロボ…本当は別の名があるんだがロボで良い」

ロボ「ピポポ…」クルリン

青年「どうもよろしくロボ」ペコリ

盗賊「ほんでこいつがゲシュタルト…ゲスと呼べば良い…こいつがまぁ問題児なんだ」

学者「兄貴そら無いっすよ…」

盗賊「良い所出のお坊ちゃんだったんだが素行が悪すぎて追い出された挙句…俺にボコられたヘタレ学者だ」

青年「どうも…」ペコリ

盗賊「先に警告しておくが物が無くなったらまずコイツを疑え」

学者「兄貴ぃ!!勘弁して下せぇ」

青年「アハハ…僕達は何も持って居ないけどね」

盗賊「いや…お前の家の中に有る物はかなり価値の高い物ばかりだ…古代の遺物と言えば分かるか?」

青年「そうだったんだ…姉さんは元の住人がそれを取りに戻るんじゃ無いかって大事に保管してた」

盗賊「そうか…まぁ正しいやり方かも知れん」

盗賊「ほんでお前の姉は何処で働いてんだ?」

青年「炭坑だよ…鉄鉱石とか石炭とか掘ってる…あと錬鉄もやってるかな」

盗賊「まぁ…オークはそうなるわな…どうせ死ぬほど安く雇われてんだろ?」

青年「その通りさ…何でもお見通しなんだね」

盗賊「お前は働かんのか?」

青年「働く気はあるんだけど姉さんが人の前に出るのはダメだって…」

盗賊「…」ジロ
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:21:39.23 ID:ckhR7HQw0
青年「そう…察しの通り…僕の顔の事さ」

盗賊「訳アリか…まぁ良い…ほんでだ…」

青年「ん?」

盗賊「俺らが自己紹介した意味なんだが…」

青年「意味?」ハテ?

盗賊「俺らは職業柄知らん人間に容易く名乗る事なんかしないんだ」

青年「えーと…意図が読み取れない」

盗賊「フィン・イッシュまで連れて行ってやるから手伝えって話だ…お前に姉を説得出来るか?」

青年「えええ!?」

学者「兄貴ぃ…良いんすか?」

盗賊「2人で船動かせると思うか?」

学者「あぁぁ…確かにそうっすね」

盗賊「元々姉御ありきの作戦だったんだ…丁度姉御並みに働けそうなのを偶然見つけた…しかもタダで雇えそうだ」

学者「さすが兄貴…」

盗賊「…で?どうよ?」

青年「姉さんに相談してみる」

盗賊「明日の夜までに決めてくれ…まぁ1日ありゃ何とかなるな?」

青年「姉さん次第だね…僕も姉さんに苦労ばっかり掛けたく無いんだ…ここに居ても苦労ばっかりだから」

盗賊「よし!商談成立だな!期待してるぜ?」


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523 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:22:16.20 ID:ckhR7HQw0
『旧軍港』


ザザー ザブン


盗賊「ほぉ…結構漁船が動いてんな」

剣士「今時期は地引網漁をやって居るんだ…この時期で1年分の魚が収獲出来るみたいだよ」

盗賊「お前はあの漁船に乗った事有るか?」

剣士「うん…姉さんと一緒に一時働いた事が有るんだけど…ちょっと問題が起きちゃってね」

盗賊「問題とは?」

剣士「海に出ると逃げ場が無くなるじゃない?姉さんが襲われそうになったんだ」

盗賊「なるほど…強姦されそうになったか」

剣士「そういうのが有ったからそれ以来炭坑で働く様になった」

学者「兄貴ぃ!動いてないキャラック船があるっすね」ユビサシ

剣士「あの船は漁に適さないみたいだよ?漁で使うのは船底の浅いキャラベル船なんだってさ」

盗賊「ほう?良く知って居るな」

剣士「それからあの船はすごいお金持ちの所有物らしいよ…ええと…名前忘れちゃったなぁ」

盗賊「金持ちにしちゃショボイ船な様だが…」

剣士「ええ?そうなの?」

盗賊「金持ちはアレの10倍ぐらいデカい船を持ってる…アレは精々10人程度しか乗らんな」

剣士「あぁぁバン・クーバーで少し見た事有るなぁ」

盗賊「ソレだソレ」

剣士「そんな船はキ・カイで見た事無いよ」

盗賊「まぁ…港の見学はこんなもんか」チラ クイ

学者「じゃぁ戻りやしょうか…ちっと寒いんで戻りたいっす」コクリ

剣士「そうだね」

学者「俺っちはちっと古代の遺物に興味があるんすよ…見せて貰って良いっすか?」

剣士「盗まないなら…」

学者「あいたたたた…盗みやしやせんよ」

盗賊「悪いが先に戻っててくれ…俺は酒を買い付けてから戻る」

剣士「うん…気を付けて」

盗賊「ロボの事も頼む…ここからなら衛兵に止められる事も無いだろう」

学者「分かりやした…行きやしょう!」スタ

盗賊「…」---さぁて仕事だ---


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524 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:23:14.58 ID:ckhR7HQw0
『夜_隠れ家』


ガサゴソ ガサゴソ


学者「おぉぉこんな物まで…」ブツブツ

剣士「壊さない様に…」ソワソワ

学者「これは古代遺跡の盗掘品なんすよ?」

剣士「へぇ?」

学者「これなんで魔術書が何冊もあるんすかね?」

剣士「さぁ?…でも僕はそれを読んで勉強したんだ」

学者「読めるんすか?謎の文字が並んでるんすが…」

剣士「ルーン文字というらしいよ…ルーン文字の解読は他の書物に有るんだ」

学者「もしかして魔法を使えたりするんすか?」

剣士「残念ながら使えない…なんか血の契約が必要だとか…良く分からないんだ」

学者「じゃぁ何を勉強したんすか?」

剣士「う〜ん…魔導って何なの?とか…魔方陣って何?とか…」

学者「ふむふむ…医術とは…生命とは…そういう感じっすね…確かにそれだけ覚えても治療は出来ない…なるほどぉ」

剣士「アランさん戻るの遅いなぁ…」

学者「兄貴は多分酒場じゃないっすかね…いつもの事なんす…心配しなくても帰って来やすよ」

剣士「聞きたい事が有ったのになぁ…」

学者「俺っちが分かる事なら答えやすよ?」

剣士「ええと…海賊王の娘の事…僕は噂なら聞いた事有るんだ」

学者「何が知りたいんすか?」

剣士「名前とか…年齢とか…それから指名手配されてる理由とか」

学者「名前は姉の方がアイリーンで妹がアイラっすね…逆かも知れやせんが…」

学者「年齢は不詳なんすが噂では当時姉が30歳…妹は25歳くらいらしいっす」

学者「指名手配された理由はなんか色々噂が有るんすが…白狼の盗賊団の一味だったとか」

剣士「白狼の盗賊団…それも聞いた事が有る…」

学者「もう伝説っすよね…貴族達から財宝を奪って庶民にばら撒いたんすよ…だから貴族達に指名手配されたんす」

学者「今となっては捕まえても懸賞金を払う貴族が居ないんで意味の無い手配書っすね…ビラだけが出回ってるんすよ」

剣士「そうだったんだ…そんな人たちが此処に出入りしてたのか…」

学者「う〜ん…出入りしてたかどうかは知らんすが…兄貴は手掛かりだと言って居やしたね?」

剣士「あぁ…そうだったか…」
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:23:50.73 ID:ckhR7HQw0
学者「何か事情を知ってるとは思いやす」

剣士「じゃぁやっぱりアランさんに聞くしか無いね」

学者「俺っちにも教えてくれないんで厳しいかも知れんすよ?」

剣士「そうなんだ…」

学者「うほーーー!!これ相当値打ち物の剣っすね…」スラーン

剣士「あ…それは姉さんの剣だよ…重いでしょ」

学者「確かにちょいと重いっすねぇ…錆一つ無い…材質何なんすかね?」ジロジロ

剣士「コバルト合金だよ」

学者「へぇ…こんな良い剣を何処で手に入れたんすかね?」

剣士「教えてくれないんだ…多分姉さんが待って居る人に関係する物なんだよ」

学者「じゃぁ勝手に触ってたら怒られそうっすね」

剣士「うん…元有った場所に返しておいて」

学者「へいへい…」

剣士「…」

学者「何すか…盗みやしやせんよ!!」

剣士「ふーん…」


ガタン! ゴトゴト!


学者「んん?上から何やら音がするっすね…」

剣士「あぁぁ…又来たか…危ないから外に出ない様に」

学者「どういう事っすか?」

剣士「多分オーガがお腹を空かせて市街地に入って来てるんだ…たまに来るんだよ」

学者「そら大変じゃないっすか…兄貴が帰って来て無いっすよ」

剣士「うん…でも姉さんが居ない時に戦うと怒られるんだ…しばらくすると何処かに行くよ」

学者「いやぁ…ここに住むのも生きた心地がせんっすね…」

剣士「もう慣れっこだよ…此処に居れば安全さ」


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526 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:24:42.98 ID:ckhR7HQw0
『深夜』


ガチャリ バタン


女オーク「…」スタスタ

剣士「あ…お帰り姉さん」

女オーク「あら?まだ起きて居たのね…先に寝てて良かったのに」

剣士「うん…なんだか興奮しちゃってさ」

女オーク「これ今日の稼ぎ…」チャリン

剣士「銀貨2枚か…」

女オーク「お客さんはお休み?」

剣士「うん…もう一人はまだ帰って無いけど」

女オーク「オーガの足跡が有ったわ…何も無ければ良いけれど…」

剣士「ちょっと心配だね…それで姉さんにちょっと相談なんだけどさ」

女オーク「どうしたの?」

剣士「お客さんがフィン・イッシュまで連れて行っても良いと言ってるんだ」

女オーク「それは本当?…でもどうやって…」

剣士「船で行くらしい…なんか船を動かす人が足りないから手伝って欲しいって…」

女オーク「船…」

剣士「姉さんが船に乗りたく無いのは分かるよ…でもあの2人はなんかそんな事しない気がするんだ」

女オーク「やっと見つけた手掛かり…どうしよう…」

剣士「船…やっぱり怖い?」

女オーク「船は嫌な思い出しか無いから…でもこれを逃したら次は無いかも知れない…」

剣士「嫌なら無理に行く必要も無いんだよ?僕は此処でも満足しているから」

女オーク「ミライ…」グイ ギュゥゥ

527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:25:18.98 ID:ckhR7HQw0



---違うの---

---あなたの両親を探す理由は---

---本当は私の為なの---

---気持ちに整理を付けたいの---

---私はあなたの母なのか…姉なのか…それとも恋人なのか---

---あなたは一体誰?私から生まれて…一体誰になったの?---

---私の気持ちは誰が受け止めるの?---


剣士「どうしたのさ急に?」

女オーク「何でもない…ごめんね」

剣士「ううん…姉さん何か思い詰めてるね?話してよ…」

女オーク「何でも無いわ…」---私はこのまま姉で良いのか分からないの…そんな事言えない---

剣士「そう…今日はもう遅いから寝ようか」

女オーク「まだ一人帰って来て居ない様だから少し待つわ…」

剣士「じゃぁ僕も待つよ」

女オーク「分かったわ…こっちにいらっしゃい…私も寒いからヒザを温めて?」

剣士「なんか他の人が居ると恥ずかしいなぁ…」ストン

女オーク「…」ギュゥ


---こんなに愛しいのに---

---どうして気持ちが落ち着かないの---



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528 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:26:02.96 ID:ckhR7HQw0
『明け方』


ギギギー バタン


盗賊「…」コソコソ

女オーク「すぅ…」zzz

剣士「すや…」zzz

盗賊「…」---なるほどな---

盗賊「…」---この2人はこんな風に極寒を生きて来たか---

盗賊「…」---わかるぜ?---

盗賊「…」---馬車の中でそうやって温め合ってたんだろ?---

盗賊「…」---俺も姉御に温めて貰った事がある---

盗賊「…」---姉御は俺だけの物じゃ無かったけどな---

盗賊「…」---まぁ羨ましい限りよ---

盗賊「…」---しかしまぁ…---

盗賊「…」---貧しく育った方が愛は育むな---

盗賊「…」---俺はロボを温めてやらんとイカンな---

盗賊「…」コソーリ ギュゥ

ロボ「…」クルリ

盗賊「動くんじゃ無ぇ」ヒソ

ロボ「…」ピタ

盗賊「ちっと寝る…」ヒソ

ロボ「…」

盗賊「暖かいか?」ヒソ

ロボ「…」

盗賊「…」---待ってろ---


---お前に命を与えてやる---


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529 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:26:42.99 ID:ckhR7HQw0
『昼前』


ユサユサ ユサユサ


学者「兄貴!そろそろ起きて下せぇ!」

盗賊「んが?」パチ

剣士「あ!!起きた?」

盗賊「やべぇ…がっつり寝ちまった…」ゴシゴシ

学者「昨夜は遅かったんすか?」

盗賊「まぁな?繋いである鎖を切るのに手こずってよ…」

学者「そら大変でしたねぇ…」

盗賊「寒くて死ぬかと思ったわ」

剣士「鎖?」

盗賊「あぁ気にするな…こっちの話だ」

剣士「そう…ねぇ朗報だよ!姉さんが船動かすの手伝っても良いと言ってるよ」

盗賊「おぉ!!説得成功か」

剣士「それで?これからどうすれば良い?持って行く物とか準備しないと…」

盗賊「う〜ん…お前等剣を使うと言ってたな?」

剣士「あるよ!!」

盗賊「なら最低限戦える準備だけしてくれ」

剣士「それだけ?」

盗賊「まぁ特に何か持って行く事も無いんだが…そうだ!今からソリを調達してくるからそこに荷物をまとめてくれ」

剣士「分かった!」

盗賊「おいゲス!!」

学者「へい!!」

盗賊「お前魚を買い付けて来い…あと塩とか適当に食料買ってソリに積んでくれ」

学者「分かりやした」

盗賊「そうだミライ!そこにある小さな炉を持って行って構わんか?それから石炭も欲しいな」

剣士「家に有るだけ持って行けるよ…石炭は樽に一杯分有るかな」

盗賊「まぁ何とかなるか…早速俺はソリ調達行って来るから荷物のまとめはやっといてくれ」

剣士「うん…姉さんにも伝えて置く」

盗賊「姉は何処行ったんだ?」

剣士「炭坑の方さ…向こうに色々荷物を残してるから取りに行った」

盗賊「そうか…出発は夜だから準備はゆっくりで良いぞ」

学者「じゃぁ兄貴!!買い付け行って来やす」タッタ


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530 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:27:13.61 ID:ckhR7HQw0
『夕方』


ヨッコラ ドサリ


盗賊「ようし!これで一通り荷物は乗ったな?」

剣士「姉さん遅いなぁ…」オロオロ

盗賊「炭坑は遠いのか?」

剣士「そんなに遠くない…何か有ったのかな?」

学者「ハハーン…兄貴!これ手切れ金を要求されてるパターンじゃ無いっすかね?」

剣士「手切れ金?」

盗賊「まぁ良くある事なんだ…仕事を辞めると言ったら金を要求されるのよ」

剣士「そんな事が…」

盗賊「ミライ!お前炭坑の場所は知ってるんだな?」

剣士「うん…」

盗賊「ゲス!お前一緒に行ってやれ…得意なやつだろ」

学者「良いんすか?又怪我人が出ちまいやすが?」

盗賊「ほどほどにだ…ついでにピンハネした分も取り返して来い」

学者「ウヒヒヒ腕がなりやすねぇ…」ボキボキ

盗賊「さて俺はもう一度港を見て来る…夜には戻って来いよ」

学者「分かりやした…ミライ君…案内して下せぇ」

剣士「うん…行こう!」スタ

盗賊「じゃぁロボ!付いて来い」

ロボ「ピポポ…」プシュー


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531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:27:49.10 ID:ckhR7HQw0
『旧軍港』


ヨイショー ドスン


盗賊「ようし!!ロボはこの樽の中で見張りをしていてくれ」

ロボ「ピポポ…」プシュー

盗賊「魚を降ろした漁船は桟橋を離れて向こう側に船を移動するんだ…」

盗賊「そのタイミングでいつも通り光で知らせて欲しい」

盗賊「光を見て俺らは一気にあのキャラック船に乗り込む」

盗賊「まぁ…夜になったら殆ど人は居ないからそんなに難しい仕事じゃない」

盗賊「出来るな?」

ロボ「ピポポ…」クルリン

盗賊「ようし!ちっとの間一人になるが…孤独死すんなよ?」

盗賊「じゃぁ上手くやれ…俺は一旦戻る」ダダ



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532 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:28:26.67 ID:ckhR7HQw0
『その夜』


ゴソゴソ ゴソゴソ


学者「いやぁぁ随分あいつ等貯め込んで居やしたねぇ…」スタ

盗賊「おぉ!!戻ったか!!」

学者「へい!やっぱり手切れ金で揉めて居やしたよ」

盗賊「怪我は無いか?」

女オーク「お陰様で…」

盗賊「なんだ元気無ぇな」

剣士「ショック受けてるんだ…一生賢明働いたのに騙されて居たのを知ってさ」

盗賊「まぁなんだ…そういう輩は多い」

学者「でもピンハネされた分は大分取り返して来たと思うんすがね…」ジャラリ

盗賊「そりゃお前の取り分じゃ無いだろ」

女オーク「いえ…私が要らないと言ったから…」

盗賊「マジか…まぁ良い!!おいゲス!!今度レーションたっぷりおごってやれ!!」

学者「へいへい…ウヒヒヒ」

盗賊「そろそろ出発だから急いで準備しろ!」

剣士「姉さんの分はもう全部積んで有る…もう体一つで良いよ」

盗賊「そうか…ほんじゃ俺とリッカでソリを引くぞ」

女オーク「え!?どうして私の名を…」

剣士「あ…教えちゃった…ダメだった?」

女オーク「その名で呼ばれた事が無いから…」

剣士「あぁ…僕も名前では呼ばないね」

盗賊「なんだ呼ばれて気持ち悪いのか?何て呼べば良いんだ?」

女オーク「リッカ…」

剣士「僕もそう呼んだ方が良い?」

女オーク「…」

剣士「ねぇリッカ!…なんか恥ずかしいなぁ」

盗賊「何言ってんだ馬鹿!リッカで良いだろ…てかそろそろ出発の筈なんだ…ソリ引くの手伝え」

女オーク「え…あ…うん」スタ

盗賊「ミライとゲスはソリに乗れ…チョロチョロすると邪魔だ」

剣士「ロボは?」

盗賊「もう先に行ってる…」


ピカーーーー


盗賊「お!!合図だ!!行くぞ乗れ!!」グイ

学者「どんぴしゃでしたねぇ…」ピョン

剣士「あわわ…」ピョン

女オーク「ど…何処へ?」グイ

盗賊「港に決まってんだろ…急ぐぞ」



ススススー ズリズリ


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533 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:29:09.53 ID:ckhR7HQw0
『港の桟橋』


ドタドタ


剣士「えええ!!?こ…この船!?」

盗賊「大きな声出すな!!黙って荷物を放り込め!!」

学者「ロボは向こうの樽っすね?回収して来るっす」

盗賊「樽ごと頼む…樽はその内必要になる」ワッセ ワッセ

学者「転がしても構わんすか?」

盗賊「背負ってこいアホが!!ロボは俺の一部だと言っただろう!!」ワッセ ワッセ

学者「わ…分かって居やすとも…トホホ」ダダ

女オーク「こ…これって…」ヨッコラ ドスン

剣士「まさかこんな方法で…」ワッセ ワッセ

盗賊「ようし!!ソリもこっから投げ入れるぞ!!リッカそっち持て!!」グイ

女オーク「フン!!」グイ

盗賊「さすが力持ちだな…いくぞ!?わっせぇぇぇ!!」


ドスーン!


盗賊「ようし乗って良いぞ!!」

剣士「ほ…本当に?」

盗賊「ビビるな!周りにゃ誰も居無ぇ!!」

剣士「あわわ…」ピョン ヨジヨジ

盗賊「リッカも乗って直ぐに帆を開いてくれ…」

女オーク「え…あ…ええと」ピョン ヨジヨジ

学者「兄貴ぃぃ…重いっす」ヨタヨタ

盗賊「ヘタレがぁ!!」グイ ドスン

学者「ひぃひぃ…」

盗賊「ようし!!桟橋のフックからロープ抜くぞ?飛び乗れ!!」スポ

学者「へい!!」ピョン スタ

盗賊「ヌハハ楽勝だ楽勝!!」ピョン スタ



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534 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:30:28.86 ID:ckhR7HQw0
『船出』


ユラ〜リ グググ


盗賊「桟橋から離れりゃこっちのもんよ」

学者「やりやしたね?」ガッツ

盗賊「ゲス!!とりあえずお前が舵やれ!!船尾楼の内側にある」

学者「舵が楼の内側にあるタイプなんすね?」

盗賊「おう!!もう扉の錠は開けてある…あとは何とかして慣れろ」

学者「分かりやしたぁ!!」ダダ

盗賊「リッカとミライ!!帆の開き方は分かるか?」

剣士「何とか…ロープが凍ってて硬い…うぬぬぬ」グイグイ

盗賊「まぁ…ここまで来たら誰も追っては来れんから落ち着いてヤレ…俺は船首側の縦帆を開いて来る」ダダ

女オーク「ミライ!?そこは私がやるから…あなたは下に降りてロープを引っかける役をお願い」

剣士「分かったよ…」ピョン スタ

女オーク「よし!!」グイ シュルシュル


バサバサ


剣士「これ…漁船の時と一緒かな?」

女オーク「多分…私もそっちに降りる」ピョン ドスン

剣士「確か…この引っかけにグルグル回して…」グルグル

学者「お?お?お?…横に流れて…」

盗賊「おいゲス!!動き始めたから舵切って上手い事進めろ!!」

学者「へ…へい!!」グイ


ユラ〜リ グググ


盗賊「縦帆開くぞ!!」バサ

女オーク「ミライ!!今度は後ろの三角の帆を!!」ダダ

学者「おぉ…どんどん陸から離れて行くっすね…」

盗賊「ふぅぅぅ…後は慣れだな…しかし雪に月が反射して夜でも明るいのが救いだ」

学者「兄貴ぃ…これ2人じゃやっぱきつかったっすね?」

盗賊「だな?丁度良く人員を確保出来て良かった」


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535 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:31:10.21 ID:ckhR7HQw0
『氷河の壁』


ズドドドドド ザブーーーン


盗賊「またクソでかいのが崩れたな…波が来るぞ!!何かに掴まって置け!!」

学者「氷河の壁からは離れた方が良いっすね…」グイ

盗賊「だな?…しかしやはり夜は暗い…このまま進めて良いのかどうか…」


グラ〜リ ユラ〜 ギシ


剣士「甲板に置きっぱなしの荷が動いてる!!」

盗賊「波が収まるまで甲板には出るな…波を被って落ちたら死ぬと思え」

剣士「石炭の入った樽が動いてて落ちちゃいそうだよ…」

盗賊「しゃぁ無ぇ…俺が行って来る!!炉で火を起こす準備しとけ」

剣士「うん…気を付けて」


ユラ〜リ ググググ


盗賊「うぉととととと…確かにこりゃ樽がどっか行っちまいそうだ」ダダ


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536 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:31:42.87 ID:ckhR7HQw0
『小型の炉』


ボゥ… メラメラ


盗賊「よし…これで船尾楼の中だけはちったぁ温かくなる…」

剣士「4人共ここで寝泊まり?」

盗賊「炉が一つしか無いからそうなるな…持って来た毛皮を広げて寝床を確保して良いぞ」

学者「この船はな〜んも乗って無いんすね…」

盗賊「確認したが荷室の方に木材が少し乗ってるだけだな…あと腐った水が入った樽がいくつか有る」

剣士「あ!!そういえば水を持って来てない!!」

盗賊「おう心配すんな…空の樽があるからそいつに雪を突っ込んどきゃその内溶ける」

学者「さすが兄貴ぃ!!計算済みなんすね!!」

盗賊「まぁ…そういうのは夜が明けてからで良いだろう…喉が渇くなら雪食っとけ」

剣士「アハハそっかぁ…」

盗賊「んん?どうしたリッカ!にやけてるぞ?」

女オーク「何でも無いわ…ミライが楽しそうだから」

剣士「楽しいというか…まさか船を盗んでこんな事になると思って無かったからさ…ドキドキしてる」

盗賊「俺はちゃんと自己紹介したぜ?本職は泥棒だってな」

剣士「でも大丈夫?…この船はどこかのお金持ちの物だよ?」

盗賊「そんなん知らん!今は俺の物だ」

学者「まぁまぁミライ君!行動しないと何も手に入らないんす」ズイ

盗賊「そら俺が言った言葉だ!!ヘタレが言って良い言葉じゃ無ぇ!」

学者「兄貴ぃ…俺っちもたまには良い台詞言わせて下せぇ」

盗賊「さて!!…波も落ち着いた様だし荷物を此処に入れるぞ」スタ

剣士「そうだね…」スタ


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537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:32:14.93 ID:ckhR7HQw0
『翌朝』


ユラ〜リ ギシ


盗賊「風に乗ってるつもりだったがあまり速度出て居なさそうだ…」

学者「そうっすねぇ…流氷と一緒に流れてるって感じっすね」

盗賊「帆の塩梅はこれから慣れて行く必要がありそうだ…進んでない原因は多分帆の使い方がマズい」

女オーク「あまり速度を出すと逆に危ないらしいわ」

盗賊「流氷とぶつかるってか?」

女オーク「そう…氷は船よりも硬いから簡単に沈没してしまうそうよ」

盗賊「なるほど…まぁ昼間は帆走に慣れて夜はゆっくり行く感じにするか…」

剣士「ところでこれから何処へ?」

盗賊「このまま陸と氷河の間を抜けて地庄炉村という所に行く…5日くらいを見込んでたが…もっと掛かりそうだな」

剣士「地図とかある?」

盗賊「無い…だから陸を見失わない様に進める」

剣士「暖を取る石炭足りるだろうか…」

盗賊「船尾楼の隙間風をどうにかして節約するだな…まぁ今日はとりあえず船の掃除だ」

剣士「あ!!ちょっと探検して見たかったんだ」

盗賊「おう掃除ついでに行って来い!!良い物見つけたら持って来いよ?」

剣士「うん!!姉さん!!…ちが…リッカさ〜ん…う〜んなんか呼びにくいなぁ…」

盗賊「何言ってんだお前…」

女オーク「呼んだ?」ドスドス

剣士「船の掃除がてら探検に行こうよ…自由にして良いみたいだ」

盗賊「行って来い行って来い!!俺らは帆の使い方研究しとるわ…」

剣士「行こう!」グイ

女オーク「ウフフ…」スタ


ドタドタ


学者「な〜んかあの二人ぎこちないっすねぇ…」

盗賊「色々有んだろう…ほっとけ!」


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538 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:33:03.80 ID:ckhR7HQw0
『甲板』


ドルァァァァ フン!!


盗賊「…しかしロープがカチカチになってて巻き取りシンドイな…ハァハァ」

学者「お?お?…おぉ…兄貴ぃ!!やっぱり横帆は追い風無い時は畳んだ方が速度出るみたいっす」

盗賊「なるほどな?だが頻繁に出し入れすんのはキツイわ…」

学者「夜の内は追い風だったんすけどねぇ…」

盗賊「どうせ昼と夜で向きが変わるんだろ…まぁ昼間だけ進めるなら前後の縦帆で進めって事だ」

学者「夜が追い風なんで上手く乗りたいっすねぇ…」

盗賊「氷山が無くなりゃそれでも良いだろうな…まぁ一応は進んでる訳だ…ゆっくり行くぞ」


ドタドタ


盗賊「よう!!何か見つけたか?」

剣士「掃除して火山灰を集めたんだ」

盗賊「そんなもん海に捨てておけ」

剣士「これ水と骨粉まぜて練れば粘土替わりに出来るよ…船尾楼の隙間風対策さ」

盗賊「骨粉なんか持って来て無いだろうが」

剣士「何かの骨が転がってたよ?炙って砕けば骨粉に出来る」

盗賊「骨?そんなん有ったか?」

剣士「一番下の船底って言うのかな?そこがゴミ捨て場になってたみたい…貝殻とかもあるよ」

盗賊「ヌハハそんな所まで見てないわな」

剣士「骨粉にしたら食料にもなるんだ」

盗賊「そうか…」---こいつ…骨を食って飢えを凌いできた訳か---

盗賊「…」---そうだ忘れてた…本来俺もそっち側の人間だったんだ---

剣士「自由にやってて構わないよね?」

盗賊「おう任せた!!こりゃ報酬払わんとな」

剣士「なんか新しい家が出来たみたいで楽しいよ…いっぱい工夫が出来そう」

盗賊「そりゃ結構!!」---見習わんとな---


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539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:33:40.04 ID:ckhR7HQw0
『船首』


バサバサ


盗賊「こんなもんか?」エッホ エッホ

学者「ひぃひぃ…帆の張り替えはしんどいっすねぇ…」

盗賊「動いてりゃ寒くも無ぇ!!慣れろ!!」グイ グイ

学者「ふぅぅぅ…やっぱ縦帆は横風受けて進むようになってるっすね…」

盗賊「その様だ…ちっと進む方角考えながら張り替えする必要がありそうだ」

学者「縦帆だけで大分速度出るみたいっすね…」

盗賊「うむ…夜の内は後方の縦帆だけで十分だな」

学者「そろそろ休憩しやせんか?」

盗賊「そうだな…魚仕入れて来ただろ?一匹焼いて食うか…」

学者「良いっすねぇ…リッカさんとミライ君も呼んで来るっす」

盗賊「おう!!俺は火を起こして置く」ダダ


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540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:34:24.94 ID:ckhR7HQw0
『小さな炉』


メラ パチパチ


学者「なんかちっこい炉を囲って食事するのも良い感じっすね…」モグ

盗賊「ほら干し芋焼けたぞ…食え」ポイ

女オーク「ありがとう…」ハム

盗賊「ミライは魚食うか?」

剣士「う〜ん…僕は芋が良いかな」

盗賊「なんだ魚が新鮮で美味いんだがな…」

剣士「僕は木の実とか根が好みなんだ…姉さんも同じ」

盗賊「そうか…まぁ良い…こりゃ魚が余りそうだ」ガブ モグ

剣士「レーション一杯あるけど?」

盗賊「そりゃ保存食だから残しとけ…どうしても食い物が足りない時に一口食えば良い」

剣士「そうだったんだ…」

盗賊「ほんで?掃除の方はどうよ?」

剣士「殆ど終わった…あぁそうそう!!荷室にあった樽に入った水…あれ水じゃ無くて油だよ」

盗賊「なぬ!?」

剣士「水なら凍るでしょ?」

盗賊「おぉ!!そういやそうだったな…油が残ってたのか」

学者「あ!!ロボに少し油をさした方が良いっすね…ここは海の上なんで錆びちまいやす」

盗賊「そりゃラッキーだ…そうか油が有るとなりゃ明かりにも困らんな」

学者「ランプ持って来て無いじゃないっすか…」

剣士「銅貨を叩いて延ばせば簡単な器は作れるよ…心材にロープの屑を入れればちょっとしたランプになる」

盗賊「お前作れるんか?」

剣士「僕は手先が器用で細工が得意なんだ…直ぐに出来るよ?」

盗賊「そりゃ助かるな…明かりが有ると無いとじゃ随分違う」

剣士「じゃぁ直ぐに作って来る…姉さんハンマー借りるね」スック

盗賊「銅貨ならたらふく持ってるぜ?」ジャラリ

剣士「あ!!それ使わせて貰うね」スタ

学者「いやぁ稀に見る良い人材を雇ったみたいっすねぇ…」

盗賊「だな?正直ここまで働けるとは思って居なかった…リッカは何か出来るんか?」

女オーク「え…私はミライの様に器用じゃないの…力仕事なら出来る」

盗賊「まぁそれで十分っちゃ十分だ」


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541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:34:58.53 ID:ckhR7HQw0
『お手伝いロボ』


カチャカチャ…


学者「大分ボロが来てるっすねぇ…軸受けを交換しないと直に壊れそうっす」

盗賊「やっぱりそうか…ここん所動きがおかしいと思ってたんだ」

学者「油差して少しは長持ちするとは思うんすが…そろそろ交換を考えた方が良いっすね」カチャ

盗賊「部品は手に入りそうか?」

学者「軸受けはジャンク屋を回って探せば見つかると思いやす…それよりも…」

盗賊「何だ?」

学者「人口筋肉の替えが見つからんかも知れんっす…もう作って無いんすよ」

盗賊「どの部分よ?」

学者「これ小動力化の為にモーターは使わないで人口筋肉で動いてるんす…耐用年数はとっくに超えてるっすね」

盗賊「そんな事前の整備時には言われなかったぞ?」

学者「まだ壊れて無いから言わなかっただけっすね…人口筋肉は寒さに弱いんであんま無理すると切れちまいやす」

盗賊「こいつも温めてやる必要が有るってか…」

学者「大事にするならそうっすね…切れたら替えが無いのは覚えて置いて下せぇ」

盗賊「ちぃぃ…そうだ!!キラーマシンの中にも同じような物が有るだろう…それで代替効かんのか?」

学者「キラーマシンの人口筋肉も同じ様に耐用年数超えてる筈っス…問題はもう作って無い事なんす」

盗賊「そういう事か…」

学者「キラーマシンから人口筋肉だけ取り外してストックしておくのは良さそうなんすが…考える事は皆同じなんすよ」

盗賊「そう簡単に見つからん訳だな?」

学者「そうっすね…さて可動部への油差しは終わりっす…ちっと動いて見て下せぇ」

ロボ「ピポポ…」ウィーン

学者「ロボの筐体に入れっぱなしの俺っちのバヨネッタ…回収しときやす」

盗賊「あぁ忘れてた…俺のラッパ銃も入ってるだろ」

学者「そのラッパ銃も手入れしやしょうか?」

盗賊「これは自分でやる」カチャ


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542 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:35:37.53 ID:ckhR7HQw0
『船尾楼』


ユラ〜リ ギシ


盗賊「ロボ…お前はしばらくこの部屋からは出ない方が良さそうだ…ここならそれほど寒くない」

ロボ「ピピ…」シュン

盗賊「どうも無理させてた様だ…悪かったな?」

盗賊「お前用の毛皮が有るのは良いが…自分で発熱しないから保温になって無いのがなぁ…」

学者「ああ!!」

盗賊「何だ急に?」

学者「ソレっすね…発熱させれば良いっすね」

盗賊「何か案が有るのか?」

学者「白金…プラチナっす…プラチナは油と反応して発熱するんす」

盗賊「んなもんそうそう手に入らん…」

学者「機械の中に色々使ってるんすよ…ガラクタでも集めればいくらか回収できるんす」

盗賊「ふむ…地庄炉村でガラクタ探してみるか…10年前はあの辺もいくらか戦地になってた筈…」

学者「姉御の計画では地庄炉村の後は何処に行く感じなんすか?」

盗賊「盗賊ギルドから支援を得て荷を運ぶ先がフィン・イッシュなんだが…詳細が書かれていない」

学者「信用できるんすかね?」

盗賊「確かに…用心はしておかないと足物見られそうだな」

学者「どうやって接触するんすか?」

盗賊「酒場でコブラ酒を注文するらしい…その後向こうからアクションが有るんだとよ」

学者「うほーなんか楽しみっすね」

盗賊「俺は気に入ら無ぇがな…どうせ見定められてるんだろう…」---姉御抜きで話が通るんだろうか---


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543 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:36:07.79 ID:ckhR7HQw0
『オイルランプ』


ユラユラ ピカー


盗賊「おぉぉ!!良いランプが出来たじゃ無ぇか…」

剣士「一人一個づつだよ…油は一杯あるからずっと点けて居ても良いね」

盗賊「おい!!このランプの上で湯を沸かせそうだな?」

剣士「そうだね?」

盗賊「おーし!!これでロボを温められるぞ…」

学者「あいやいやダメっす…暖め過ぎると脳が死んじまいます」

盗賊「んな事は分かってる!部屋を暖めりゃロボも温まるって話だ」

学者「ロボの筐体に入れちまうかと思いやした」

盗賊「そんな危ない事する訳無いだろう」

剣士「火山灰と骨粉で簡単なモルタル作るから炉を使わせて貰うよ」ゴソゴソ

盗賊「ほぉ?お前何でも作るんだな?」

剣士「うん…こういうの好きなんだ…今日は部屋を暖かくして休めるよ」

盗賊「そうか…ほんじゃこっちはミライに任せて俺らはそろそろ帆を畳みに行くぞ!」スック

学者「あぁぁぁ…寒いんすよねぇ…手が痛くなるんすよねぇ…」

盗賊「何ヘタレた事言ってんだ!行くぞ」グイ


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544 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:36:40.33 ID:ckhR7HQw0
『夜』


ガチャリ バタン


盗賊「うぅぅぅ寒ぶっ…」スリスリ

学者「あぅぅぅ…」ガクガク ブルブル

女オーク「湯が沸いてるけど?」

盗賊「おう!ちっと飲むわ…」

剣士「もう帆は畳んだの?」

盗賊「うむ…夜は氷山との激突が怖いからあまり動かん事にした…まぁ…海流が丁度向こうに行ってるから流れに任せる」

剣士「なんか楽しいなぁ…」ワクワク

盗賊「そりゃ結構!もうモルタルで隙間は埋めたんか?」

剣士「うん!大分暖かくなったよ…壁の木材が冷たくなってるのはもう仕方ないね」

盗賊「布か何かで一枚仕切が出来りゃ良いんだがな…」

剣士「今はランプだけで部屋を暖めてるからね…限界な気がするなぁ…」

盗賊「なぬ!?炉は使って無いのか!」

剣士「隙間風が入って来なくなったからさ…下手に炉を使うと危ないかなと思って」

盗賊「炉は石炭2〜3個で良いんだ…空気が入らんほどここも機密が高い訳じゃ無いぞ?」

学者「空気が無くなるなら先にランプが消えるんでランプが点いてる内は大丈夫っすよ」

剣士「お!?そういう事か…」

盗賊「しかしこれで炉無しか…こりゃ快適に寝られそうだ…今晩は交代で睡眠な?」

剣士「じゃぁ先に寝て良いよ…僕は興奮して今全然眠れない」

盗賊「もうちっと暖かくなってからな?ふぅぅぅ…しかし外は死ぬほど寒いな…こりゃ船も放置するわ…」


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545 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:37:12.01 ID:ckhR7HQw0
『数日後_昼間』


ザブ〜ン ユラ〜リ


剣士「大分海氷が減って来たね」

盗賊「だな?太陽で船に乗ってる雪が解けちまうから飲料用の水は急いで確保しとかんとイカン」

剣士「空いてる樽が1個しか無いね」

盗賊「う〜む…油が入った樽を開ける訳にもイカンしなぁ…」

剣士「そうだ!木材が少し乗ってたから木箱を作ろう…そしたら石炭を入れてる樽が1個空く」

盗賊「湯を沸かしてるから結構水を使うんだよな…まぁ樽2つありゃ何とか足りるか…」

剣士「あと何日掛かるのかな?」

盗賊「正直分からん…キ・カイを出て5日ぐらいのつもりだったんだが…」

剣士「通り越しちゃったって事は無いよね?」

盗賊「それは無いと思う…灯台を一度も見て居ないだろう?」

剣士「へぇ?灯台があるんだ…」

盗賊「地庄炉村は10年ぐらい前までフィン・イッシュとの貿易港だったのよ…今じゃ廃れた様だが…」

剣士「僕初めて行くんだ…何があるんだろう?」

盗賊「亜麻の生産地だ…他にも少し硫黄と金が掘れるらしい…そうそう…後木材だな」

剣士「キ・カイでは木は全然生えない…」

盗賊「大分温いから針葉樹が生えるんだ…何つたっけな…スプルースだっけな」

剣士「木が有ると言う事は実も生ってるよね?」

盗賊「お前は木の実が好きだったな?…もう一個忘れてたんだが地庄炉村はナッツが有名だ」

剣士「おぉぉ!!姉さんは色んな食べ物ガマンするから食べさせてあげたい」

盗賊「ガマン?何でよ?」

剣士「貧しいから僕の分を残す為にガマンしちゃうんだよ…貰ったレーションも食べてない」

盗賊「おっとヤメロヤメロ…俺はその手の話に弱い…話題変えるぞ?」

剣士「あぁゴメン…同情を買うつもりは無かった」

盗賊「お前剣を使うと言っただろう?」

剣士「うん…どうして?」

盗賊「ちっと俺と立ち回って見るか?まぁ…チャンバラよ」

剣士「ええと…良いのかな?姉さんに許可貰わないと…」

盗賊「武器は使わん…凍った魚でチャンバラするだけだ」

剣士「魚?アハハハ…面白そう」

盗賊「ようし!ほんじゃ好きな魚を選べ」


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546 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:37:53.72 ID:ckhR7HQw0
『立ち合い』


コン コン ビシ!


盗賊「…にゃろう!!」ダダ ビシ

剣士「あたっ…」ズダダ

盗賊「なるほど…体のバネは一級品だな…これならオーガ相手でも良さそうだ」

剣士「ちょっとこの魚重いし握り難い…」

盗賊「そりゃ俺も同じ条件よ…お前の姉はもっと強いのか?」

剣士「うん…速さは僕と同じくらいだけど力が全然違う」

盗賊「…って事は俺でも敵わんか…」


ドタドタ


学者「あらら?又やってるんすね?」

盗賊「お前もやって見るか?」

学者「俺っちは接近戦はやらんっす…射撃一本なんで…」

盗賊「けっ!!そういう所がヘタレなんだ」

剣士「姉さんともやってみる?強いよぉ?」

盗賊「まぁ実力は大体分かった…魔物相手なら十分だってな?」

学者「戦場じゃ全然通用しないっすけどね…」

盗賊「おいおい…こいつらは傭兵じゃ無ぇんだから仕方無ぇ」

剣士「それってどういう事?姉さんでもダメ?」

盗賊「昔なら通用したかもしれんな?…でも今の戦場は剣を使うような戦い方にはならん…コレだ!銃器」チャキリ

剣士「そうなんだ…」

盗賊「魔物を追い払うのは剣でも良いだろう…機械相手の戦場は銃の撃ち合いなんだ…接近する前にやられる」

剣士「魔法は?」

盗賊「向こうの大陸じゃ魔法も使って居るとは聞くな…だが魔法も射程が短いからやっぱり銃器頼りだろう」

学者「ミライ君も戦場に出るつもりなら銃の使い方を勉強した方が良いっすね」

盗賊「そうはやし立てるな…折角戦場とは無縁の生活してんだから…」

剣士「銃か…なんか興味出て来たなぁ…それ僕に見せてくれないかな?」

盗賊「これか?…見る分には構わんが壊すなよ?」ポイ

学者「素人に渡して危なくないっすか?」

盗賊「火薬も弾も入っちゃ居無ぇ…形見だから持ち歩いてるだけだ」

学者「な〜んだそうだったんすね…俺っちのバヨネッタも弾は入って無いんで見ても良いっすよ」ポイ

剣士「おぉ!!ありがとう」パス

学者「それは銃剣って奴なんす…一応接近戦も想定された銃なんす」

剣士「へぇ…スゴイな」ジロジロ


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547 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:38:49.41 ID:ckhR7HQw0
『デッキ』


ユラ〜リ ギシ


盗賊「おう…どうした?黄昏てんのか?」

女オーク「違うの…ミライが楽しそうにしているから…」

盗賊「まぁそんな感じだな?」

女オーク「ミライを閉じ込めすぎていたかも知れないって反省してる…」

盗賊「お前…ミライの本当の姉では無いのだろう?」

女オーク「…」ウツムキ

盗賊「まぁ…それぞれ事情が有るだろうからあまり聞く気は無いんだが…俺にも血の繋がって居ない姉が居るんだ」

女オーク「そう…」

盗賊「お前と同じハーフオークな訳よ…その…なんだ…同じ様な境遇で少し気になっただけだ」

女オーク「私とミライの関係は少し違うと思う」

盗賊「そうか?まぁあまり詮索はしない方が良さそうだな?…そうそう思い出した…食って見ろ」スッ

女オーク「これは…」

盗賊「俺が持ってるレーションだ…食え」

女オーク「あ…ありがとう」パク

盗賊「うまいか?」

女オーク「美味しい…」モグ

盗賊「ミライがな?お前を心配して居たんだ…自分の為に食べ物をガマンしてるってな?」

女オーク「ミライが私を…」

盗賊「健気なこった…ミライを想うならお前ももう少し我を出した方が良い」

女オーク「…」ポロリ ツツー

盗賊「おいおい…俺ぁ泣かすつもりで言った訳じゃ無えぞ?」アタフタ

女オーク「ごめんなさい…何でも無いの」フキフキ

盗賊「レーション全部食えよ!?その後ちっと運動だ」スタ


---こりゃケアが必要なのは姉の方だな---

---何か抱えて居やがる---
548 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:39:20.29 ID:ckhR7HQw0
『地庄炉村_近海?』


ザブ〜ン ユラ〜リ


学者「陸の方は雪が無い場所が増えてきやしたね?」

盗賊「そら今は真夏だからな…しかし現在地が全然分からん」

学者「ちょいちょい小さな漁村があるんすが…」

盗賊「う〜む…寄って行っても良いんだが…漁村に寄って何する訳でも無いしなぁ…」

学者「この辺りはどこの領地なんすかね?」

盗賊「分からん…だが地庄炉村がフィン・イッシュ領なのは間違いない」

学者「地図だけでも入手しに行きやせんか?」

盗賊「お前…小さな漁港に地図が売ってると思うか?」

学者「確かにそうっすね…」


剣士「アランさ〜ん!!正面に島が見えて来たよ〜」


盗賊「そらマズイな…浅瀬に乗り上げちまうかもしれん」

学者「ちっと進路修正して来るっす」

盗賊「島か…急いでる訳でも無ぇから停船出来る場所が有るなら一晩寄って見ても良いな」

学者「いやいやそれなら漁村の方に…」

盗賊「馬鹿!変なトラブルに巻き込まれたくない…無人島なら貝とかカニとか他の食い物も探せるだろう」

学者「そういう事っすね?…確かに魚ばっかりは飽きやした」

盗賊「シカ肉が食いてぇな…」

学者「おぉぉぉ!!良いっすね!!」

盗賊「お前の銃もまだ試し撃ちして居ないんだろ?」

学者「島に行きやしょう!!」


---------------
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:39:50.77 ID:ckhR7HQw0
『無人島_崖』


ユラー ギシ


盗賊「よし!!ここなら向こうの崖に飛び移れそうだな?」

学者「碇を降ろしやす!!リッカさん手伝ってくだせぇ」ガラガラ

女オーク「これを回すのね?」ガラガラ

盗賊「ロープ持って先に飛び移る!!」ダダ ピョン

学者「もうちっと船を手繰り寄せられやせんか?」

盗賊「んむむ…やってるが…こりゃ無理だな…ふんがぁぁ!!」グイグイ

学者「これじゃロボが船から降りられんっすね…」

女オーク「私が背負って飛び移るわ」

盗賊「おぉ!!頼む!!」


--------------


『浜辺』


ザザー ザザー


盗賊「ここだな…崖を背にして丁度良い…今晩はここで休む」

剣士「火を焚かないとね」

盗賊「リッカと一緒に薪を集めて来てくれ…ついでに何か食い物も探してこい」

学者「俺っちは銃の試し撃ちついでに何か居たら狩って来やす」

盗賊「おう!!寝床作っといてやる」

学者「じゃぁ行って来るっす」

盗賊「日が落ちる前に戻って来いよ」

学者「分かって居やすとも」タッタッタ

剣士「あぁぁぁ!!木の芽だ!!姉さん!!一杯ある!!」

女オーク「じゃぁミライは芽を摘んでおいて?薪は私が切って来るから」

盗賊「日が暮れるぞ!!じゃんじゃん獲りまくれ」


--------------

550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:40:59.95 ID:ckhR7HQw0
『焚火』


メラメラ パチ


盗賊「やっぱこんだけ火が強いと暖かいな…」ふぅぅぅ

女オーク「薪はこれぐらいで一晩持つ?」

盗賊「十分だ…こりゃ倒木でも有ったのか?」

女オーク「沈没船の残骸が崖の向こうに有ったのよ」

盗賊「なぬ!?他には何か無いのか?」

女オーク「残骸だけ…使えそうな物は何も無かった」


タッタッタ


剣士「大漁大漁!」ドサドサ

盗賊「おいおい…こんなに沢山食い切れんが…」

剣士「持って帰るに決まってるじゃない…もう一回獲って来るぅぅ!!」タッタッタ

盗賊「ヤレヤレ…これどうやって食うんだ?」

女オーク「大き目の葉に包んで焼くの…ミライの大好物」

盗賊「ほう?ってことはお前も大好物だな?」

女オーク「私は…」

盗賊「こんだけ沢山あるんだ…腹いっぱい食うぞ…ええと?どうやるんだ?どの葉に包むのよ?」ガサガサ

女オーク「私がやるわ…」テキパキ

盗賊「そういや姉御も同じ様な物作ってたな…葉に芋を包んで土の中に埋めるんだ」

女オーク「そういうやり方も有る…木の芽は直ぐに柔らかくなるから焚火の近くに置くだけ」


タタタターン!


551 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:41:29.64 ID:ckhR7HQw0

盗賊「お!?ゲスが何か狩ってんな…こりゃ肉に有り着けそうだ」

女オーク「肉はどうやって?」

盗賊「剣にぶっ刺して海水で洗うだろ?…その後直火でこんがりよ」

女オーク「あまり美味しそうに思えない…」

盗賊「ヌハハ…食い物はオークと喧嘩しないで済むな…まぁ俺は芋も好きだけどな?」

女オーク「木の芽…焼けたからどうぞ」スッ

盗賊「おぉ!!どれどれ」パク モグ

女オーク「どう?」

盗賊「ふむ…独特の苦みがあるな…こりゃ酒が欲しい」モグ

女オーク「苦み?」

盗賊「あぁそうか…オークは味覚が少し違うんだったな…まぁ中々美味い…お前も食え!」

女オーク「私は後で…」

盗賊「良いから食え!!ミライが沢山木の芽を摘んでるのはお前に食わせる為だ…その辺察してやれ」

女オーク「…じゃぁ…少し」パク モグ

盗賊「うまいか?」

女オーク「美味しい…」モグモグ

盗賊「おう…それで良いんだ…美味い物は美味い!欲しい物は欲しい!…な?」


---まいったな---

---どうも俺は貧しい奴に弱い---

---傷を負った奴に弱い---
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:42:00.52 ID:ckhR7HQw0
『バーベキュー』


ジュゥゥゥ


盗賊「ウサギ相手に銃を使うたぁ恐れ入る…」ガブ モグ

学者「兄貴ぃ…他に居なかったんすよ…俺っちにも肉をっすねぇ…」

盗賊「しかも4発撃ったな?オーバーキルだ」モグモグ

学者「試し撃ちだったんすよ…」

盗賊「カニ食うか?」

学者「お!?兄貴カニ捕まえたんすか?」

盗賊「軍隊ガニが居てな?蹴とばしたら泡拭いた…銃なんぞ使わんでもな?」

学者「兄貴ぃぃ勘弁して下せぇ…」

女オーク「木の芽の香葉焼きをどうぞ…」スッ

学者「リッカさんありっすー」パク モグ

剣士「姉さん!!根も少し掘って来たんだ…これ洗ってそのままの方が良いよね?」

女オーク「そうね…」

剣士「半分こしよう!はい…」ブチ

盗賊「おぉ食え食えぇ!!おーし!!次カニ焼くぞ!!」

学者「待っていやした!!」

盗賊「いやぁしかし…この島に来て正解だわ…なんつうか旅ってこういう感じなのよ」

剣士「すごく楽しい…焚火も暖かいし」

盗賊「お!!貝も焼けた様だ…ゲス!!先に食って良いぞ!!」

学者「うっしゃぁぁ!!あつつつ…」パク モグ

剣士「貝かぁ…僕も食べて見ようかな?」

盗賊「おぅ!!食え食え!!俺はもう腹いっぱいだ」

女オーク「ウフフ…」

学者「カニの頭は俺っちがもらいやすウヒヒ…」


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553 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:42:51.26 ID:ckhR7HQw0
『談話』


メラメラ パチ


ウサギの毛皮…そろそろ乾いたかな…

何か作るんすか?

軍隊ガニの甲羅と組み合わせてちょっとした肩当だよ

ほえ〜…上手い事作るんすね

こういうの作って売ればお金が手に入るのさ…今度は幾らで売れるかな〜?



盗賊「ミライは細工の才能が有りそうだ…アレでそこそこの稼ぎになるだろう?」

女オーク「そうね…いつも何か拾って来ては工夫して作ってる…」

盗賊「まぁ…辺境に居てはそれほど稼げるとは思えんが…良い才能だな」

女オーク「…」

盗賊「アレは俺が買い取ってやる…」ピーン

女オーク「え!?…金貨…こんなに?」パス

盗賊「船の掃除代も込みだ…地庄炉村に着いたら多少の買い物も出来るから足しにしろ」

女オーク「ありがとう…」

盗賊「しかし…酒でも無いと時間が潰せんな…」

女オーク「先に休んでもらって良いわ…多分ミライはまだ寝ないから」

盗賊「ヌハハその様だ…ほんじゃ先に横になる…薪はケチらんで全部使えよ?」

女オーク「ウフフ…分かった」



今度は何作るんすか?

貝殻を細かく砕いて粉にするんだ…これも食料だよ

えええ?そんなもん食えるなんて初耳っすね

他にも色々使い道が有るんだよ?顔料にしたり金属を磨いたりね?魔法の粉さ…


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554 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:43:20.10 ID:ckhR7HQw0
『数日後_キャラック船』


ザブ〜ン ユラ〜


学者「兄貴ぃぃ!!多分アレっすね!!」

盗賊「おぉぉやっと見つけたか…」

学者「良かったっす…やっと宿に泊まれそうっすね」

盗賊「やっぱ海図も羅針盤も無しじゃダメだな…地庄炉村に着いたら最優先で探すわ」

学者「これ勝手に入船出来るんすか?」

盗賊「知らん!!行ってみるしか無いだろ」

学者「そこらへん知ってる水夫も雇った方が良さそうっす」

盗賊「だな?お前金はどの位持ってる?」

学者「銀貨で400枚ぐらいと…金貨20枚って感じっす」

盗賊「結構持ってんな…俺は金貨15枚だ」

学者「もしかして俺っちの金をアテにして居やす?」

盗賊「帆が傷んでんだろ?張り替えにどんだけ掛かるか相場観が無いんだ…足りんかった場合はアテにする」

学者「盗賊ギルドの支援ってどんな感じか分からんのですか?」

盗賊「分からん…てか俺は姉御とあんま話せて居ないのよ」

学者「盗賊ギルドにどんな利が有るのか分からんすね…」

盗賊「ソレだソレ…どういう話になってるのかさっぱりな訳よ」

学者「もしかすると盛大に空ブルかも知れやせんね?」

盗賊「その場合は自力でフィン・イッシュまで行くだな」

学者「…この船で行けると思いやす?」

盗賊「まぁ海図と羅針盤がありゃ何とかなんだろ」

学者「雇う水夫次第になりそうっすね…」

盗賊「とりあえずだな…ここは布の産地で安く買える筈なんだ…ボロキレの帆を何とかすりゃ多分行ける」

学者「そんな簡単に思えんのですが…」

盗賊「おーし!!桟橋のど真ん中行くぞ!!降りる準備しとけ!!」


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555 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:43:55.73 ID:ckhR7HQw0
『地庄炉村』


ザワザワ

ありゃ何処の商船かいな?

久しぶりに大きな船が入って来た思うたら荷を積んどらんらしいで?


学者「兄貴遅いっすねぇ…」

剣士「なにかトラブル有ったのかな?」

学者「船を調べられてるっすね…あ!!出て来やした」

剣士「なんか怒ってるね…大丈夫かな?」


タッタッタ


盗賊「クソがぁ!!要らん金取られちまった…」ブツブツ

学者「兄貴ぃ!何か有ったんすか?」

盗賊「商工会に入って居ない船は停泊するのに1日金貨2枚なんだとよ!!ほんなん知らんわ!!」

学者「うはぁ…高いっすね」

盗賊「おまけに空の荷室見て苦笑いしやがった…くそう!!」

学者「でも船を盗まれんで済みやすよね?」

盗賊「ううむ…傭兵雇ったと思えってか…にしちゃ1日金貨2枚は高い!」

学者「そうっすねぇ…長居出来んすねぇ」

盗賊「そうだ!!さっさと用を済ませて出て行くぞ」

学者「とりあえず今日は宿に入りやすよね?」

盗賊「悪いがお前の払いで頼む…俺はこの後海図と羅針盤買いに行かなきゃならん」

学者「宿は任せて下せぇ…そんで集合はどうしやす?」

盗賊「リコリコって言う酒場があるらしいんだが…そこで集合だな…適当に夕飯食っとけ」

学者「分かったっす…リッカさんとミライくんは俺っちと一緒で良いっすね?」

盗賊「おう!!ロボは俺と一緒だ」

学者「じゃぁ2人共一緒に行きやしょう…」スタ


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556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:44:41.25 ID:ckhR7HQw0
『宿屋』


ガチャリ ギーー


女将「あら?定期便が飛んで行ったばかりなのにお客さん?」

学者「どもども…部屋空いてるっすか?5人なんすけど…」

女将「丁度空いたばかりの部屋がありますよ…2人部屋が2つですがよろしい?」

学者「それで良いっす…一泊いくらっすか?」

女将「一部屋銀貨5枚なので合わせて10枚です…食事はどうされますか?」

学者「他で食べるんで要らんっす」

女将「ええと…少し片づけるので待って貰ってもよろしい?」

学者「分かりやした…銀貨10枚…ここに置きやすぜ?」ジャラリ

女将「水浴びは自由ですのでお待ちの間にどうぞ…湯がありますよ」

学者「おおぉぉ!!そら良いっすね」

剣士「姉さん!湯に入れるんだって!一緒に入ろう!」

学者「ええ!?良い年して一緒に入るんすか?」ジロ

剣士「なんで?ダメなの?」

学者「いやいや…別に良いんすが…」

剣士「先に入って来て良いかな?」

学者「まぁ好きにして良いっすよ…次俺っちも入るんで早くお願いしやす」

剣士「よし!行こう!」グイ


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557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:45:18.64 ID:ckhR7HQw0
『30分後』


ホクホク


剣士「はぁぁぁ…久しぶりに湯に浸かったよ」

学者「もどって来やしたね?部屋の準備が出来たみたいなんで休んでて良いっす」

剣士「何処かな?」

女将「ご案内します…こちらです」スタ

学者「後で呼びに行くんでゆっくりしてて下せぇ」

剣士「うん…姉さん!!宿屋なんて初めてだね…2人部屋だってさ」

女オーク「そうね…」

剣士「あぁぁワクワクするなぁ…」

女将「…こちらです…ではごゆっくり」スタ


ガチャリ バタン


剣士「へぇ?こんな風になってるんだ…ベッド…2つだね?」

女オーク「どっちが良いの?」

剣士「そんな…1つで良いに決まってるじゃない」ドサ

女オーク「ふぅぅぅ…気持ち良かった」ドサ

剣士「まだ時間が有るからあとで買い物に行こうよ…アランさんに金貨1枚貰ったんだよね?」

女オーク「無駄遣いはダメよ?」

剣士「分かってるさ…ここは布の産地だから姉さんの着替えを選んであげる」

女オーク「今ので十分よ」

剣士「ダメだよ…僕も姉さんを自慢したいのさ」

女オーク「人に見せられる姿では無いって自覚してる…」

剣士「そんな事無い…まぁ僕が選ぶから楽しみにしておいて」

女オーク「分かったわ…」

剣士「なんか落ち着かないなぁ…」ソワソワ

女オーク「抱っこして欲しいの?」

剣士「いつものして良い?」

女オーク「ダメよ直ぐにゲスさんが来るから…」

剣士「まだ来ないよ…」グイ

女オーク「もう…」


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558 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:45:52.06 ID:ckhR7HQw0
『酒場リコリコ』


ワイワイ ガヤガヤ

金の鉱脈…そろそろ枯渇してるかも知れんなぁ…

硫黄がまだ少し掘れるだけ良いべ!!

錬金術師が居らんくなったで鉱石から金を抽出も出来んしなぁ…



盗賊「いよう!待ったか?」

ロボ「ピポポ…」ウィーン

学者「あ!!遅かったっすね…もう食事食い終わっちまいやしたよ」

盗賊「俺は酒が有れば文句無ぇ…お!?リッカどうしたその格好!!」

学者「なんかミライ君に買って貰ったらしいっす」

盗賊「良いじゃ無ぇか…ミライ!良い着替え選んだな?」

剣士「ここは布だけじゃ無くて染料も有名だったんだね…」ガブ モグモグ

盗賊「お…おぅ…それより何だ?ナッツ食ってんのか?」

剣士「ナッツはタダで食べられるんだってさ」ガブ モグモグ

女オーク「…」パクパク

盗賊「ヌハハハ!タダと聞いて食いまくってる訳か」

学者「タダっちゅうか…酒を注文したらの話なんすが…」

盗賊「何飲んでんのよ?」

学者「コブラ酒…頼んじまいやしたぜ?」

盗賊「何だ俺抜きで頼んだのか…ほんで?何かアクセス有ったか?」

学者「無いっすね…」キョロ

盗賊「まぁ良い!俺もそれ頼むわ」

学者「マスター!!コブラ酒追加っす」

マスター「あいにく3人分で終わりですね…珍しい酒なもんで」チラリ

盗賊「ぬぁぁぁ…じゃぁ他におすすめは何だ?」

マスター「芋酒…」

盗賊「まぁそれで良い!ボトルで頼む…いくらよ?」ジャラリ

マスター「これくらいで…」スッ

盗賊「ほぉ?割と安いな…ようし!やっと酒に有り着けた…早くクレ!」

マスター「どうぞ…」ゴトン
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:46:23.12 ID:ckhR7HQw0
学者「ところで海図は調達出来やしたかね?」

盗賊「こっちの大陸の分はな?フィン・イッシュまでの海図はここじゃ手に入らん様だ」グビ プハァ

学者「それじゃ行けんじゃ無いっすか…」

盗賊「まぁ金が無くなりそうだから一度船でバン・クーバーまで戻っても良いけどな」グビグビ

学者「それが手堅いっすね…姉御と合流出来やすしね?」

盗賊「となると…手ぶらで戻るのも勿体無ぇから商船もどきの買い付けをしなきゃいけない訳だが…」

学者「地庄炉村で安い物と言うと…布と金鉱石…あと何っすかね?」

盗賊「う〜む…ナッツか?…てか金鉱石を買ったら他に何も買えん気もするな」

マスター「お客さんは何処からこちらへお見えで?」チラ

盗賊「キ・カイから船で来たのよ…ちょっとした用事でな?」

マスター「ハハあの氷山を抜けて来たと?」

盗賊「まぁな?ここはキ・カイに比べりゃ天国よ…酒も飲めるしな?」グビ プハァ

マスター「今地庄炉村では大き目の商船がなかなか入って来ないので木材が掃けないで困ってるんですよ」

盗賊「おぉそういや切り揃えた木材が山積みになってたな?」

マスター「もしかして波戸場に停泊してる大き目の商船はお客さん達の船で?」

盗賊「そうだ…俺らに木材を運んで欲しいってか?」

マスター「いやいや…私は只の酒場のマスター…運んで欲しい人を知って居るだけですよ」

盗賊「そりゃ儲かる話なんか?」

マスター「なんとも言えませんねぇ…一応話を通してみましょうか?」

学者「兄貴ぃ…目的が逸れちまいやせんか?」

盗賊「まぁどうせバン・クーバーに戻るなら荷物満載で戻るのが良いだろう…話だけは聞いても良い気がするな」

マスター「宿泊している宿をお教え頂ければ使いを向かわせても良いですが?」

盗賊「ゲス!!説明しておけ!!ちっと俺はその辺の他の店で噂話でも聞いて来るわ…ロボ!行くぞ」スック

学者「分かりやした…俺っちはこの後どうしやす?」

盗賊「久しぶりに酒場に来てるんだ…自由にして良い!一応遊女も居る様だ」

学者「そうっすね!!リッカさんとミライ君も自由にしてて良いっすよ」


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560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:47:22.53 ID:ckhR7HQw0
『村道』


スタスタ…


盗賊「ふむ…今のが盗賊ギルドからの接触だな…」

ロボ「ピポ?」

盗賊「俺が来る前から監視されてんのよ…確かに他の客には気付かれん様にして居る」

盗賊「まぁ大体話は読めて来た…運びたいのは木材…ほんでどうせ監視役で商人に化けた誰かが同行する」

盗賊「だが…向こうにどんだけ利が有るのかイマイチ分からん」

盗賊「その辺の話は多分これからだな…さてどう来る?」

盗賊「宿屋で待って居た方が良いか…」

盗賊「ううむ…使いを夜間に寄越すとは考えにくい…もう一日待つのは金が勿体無いしなぁ…」

ロボ「ピピピ…」プシュー バタバタ

盗賊「んん?どうした?」

ロボ「ピピ…」ウィーン ユビサシ

盗賊「お?ヌハハなんだありゃ…仁王立ちしてんじゃ無ぇか…」


少女「おい!!お前!!」ズイ


盗賊「おっとぉ?…嬢ちゃん何か用か?」

少女「例の手紙は持って来ているか?」

盗賊「何の話よ?」

少女「とぼけるな!手紙を交換すると言ったのはお前達だろう?」

盗賊「ええと…悪りぃ!何の話か分からん」

少女「じゃぁ援助しないぞ」

盗賊「誰と援助交際する約束したが知らんが俺は人違いだ…」

少女「ニーナ…」

盗賊「何!?姉御と?って事はお前が…」

少女「手紙を渡せ!」

盗賊「ちっと待て…声がデカい…手紙の話は聞いて居ない…てか姉御は戦場で負傷してここに来れなかったんだ」

少女「ちっ…先にやられたか…」

盗賊「おいおいどういう話か分からんのだが…もう少し分かる様に教えてくれ」

少女「秘密の手紙だ…それを持って居たからやられたんだ」

盗賊「なんだと!?姉御は今ミネア・ポリスで療養している筈だ…直にバン・クーバに戻って来るだろう」

少女「それは本当か?」

盗賊「間違い無ぇ…姉御は必ず帰って来る」

少女「明日の朝もう一度ここに来い…帰って相談してくる」

盗賊「お…おう…」---まさかこんなガキが盗賊ギルドに居るのか?---

少女「約束は守れよ!!」ピョン クルクル シュタ

盗賊「うぉ!!飛んだ…マジか…」アゼン

ロボ「ピポポ…」アゼン

盗賊「…なんか気のせいか濡れた犬の匂いが…」クンクン

盗賊「しかし…秘密の手紙か…気になる話だ」


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561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:48:20.72 ID:ckhR7HQw0
『宿屋_2人部屋』


ガチャリ バタン


学者「あら?兄貴もう帰ってたんすね…何してるんすか?」

盗賊「姉御の作った計画書を読み直してんだ…くそう!日付が無ぇ…」

学者「どうしたんすか急に?」

盗賊「盗賊ギルドから接触が有ったのよ…どうや姉御が持ってる秘密の手紙というのが支援の条件らしい」

学者「手紙…」トーイメ

盗賊「お前何か知ってんのか?」

学者「あのっすねぇ…半年前の出来事なんすが…負傷した機動隊が持ってた白黒の書簡を姉御が持って行ったんす」

盗賊「なんだと!?詳しく話せ」


ニュー・ヤーク要衝攻略作戦の時っす…俺っちはかなり後方の衛生部隊に居たんすよ

すこし前方の砲兵部隊に居た姉御がっすね…負傷したその機動隊員を担いで俺っちの所に来たんす

左側頭部に銃創があって瀕死でした

俺っちは装着している兵装を全部脱がせて救急の処置をしてんすが

所持品の中に白黒の縞々が掛かれた書簡らしい物があったんすよ

姉御はそれを見てその書簡と機動隊員のドッグタグを持って行ったんす


学者「その後医療部隊の精鋭達が俺っちに変わってその機動隊員を何処かに連れて行きやした」

盗賊「…」

学者「兵装だけ残ったもんでこっそり頂いた訳なんす…」

盗賊「左側頭部というのは耳の後ろか?」

学者「そうっすね…多分アレっすよ…噂になってる電脳化した奴っす」

盗賊「ちぃぃぃ…機動隊の中に紛れ込んでる証拠を姉御が掴んだ訳だ…お前それが分かってて姉御をほったらかしにしたのか!」

学者「いやいや姉御はそれを上層に報告に行くのだとばっかり思って居やした」

盗賊「上層の何処に電脳化した奴が紛れてるか分からん!!だから組織と関係の無い盗賊ギルドに情報を渡そうとした…」

学者「そうも考えられやすね…今となってはなんすが…」

盗賊「くそう!今姉御が行った戦線は先月特別招集が掛かったやつだ…狙って招集掛けられたな」

学者「もしかしてとっくの昔にやられて…」

盗賊「まさか姉御が内ゲバに巻き込まれちまったとはよう!!」ドン!!

学者「まだ死んだと決まった訳じゃ無いっす…傭兵ギルド宿舎の叔母ちゃんは療養してるって…」

盗賊「そこに望みを掛けるしか無ぇ…くそ!!イライラすんぜ!!」


---頼む!!生きててくれ---


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562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:49:32.31 ID:ckhR7HQw0
『翌朝_村道』


シュタタタ ドン!


盗賊「どわっ!!」ドテ

少女「お前!!スキが多い!!」

盗賊「なんだこのクソガキ!!背骨折れたらどうすんだ!!たたたた…」スリスリ

ウルフ「がうるるる…」

盗賊「おいおいなんだこのワンコ…そうかこのワンコの匂いか…」

少女「ワンコ言うな…超ウルフだ」

盗賊「ふん!!どっちでも良い!!…ほんで昨日の話はどうなったのよ?」

少女「お前!約束守れ…もう色々動き出してる…キャンセル出来ない」

盗賊「俺が約束を守れない場合は?」

少女「超ウルフの餌になる」

盗賊「ぶはははは…このワンコのか?」

少女「超・超ウルフも居る」

盗賊「あのな?こっちぁ真面目に話してんのよ…もうちっと大人と話がしたい」

少女「船に荷を積む…出発は明日の昼だ…遅れるな?」

盗賊「おい!!話聞いてんのか?」

少女「お前の船を見ろ…もう荷を積み始めてる」

盗賊「な…なんだとぅ!!うお!!何勝手な事やってんだ!!」キョロ

少女「お前いろいろ遅い…ノロマ!!」

盗賊「にゃろう!黙って聞いてりゃガキのクセに…」ダダ

少女「遅い!」ヒョイ クルクル シュタ

盗賊「分かった分かった…俺の負けだ…だから大人と話をさせてくれ」

少女「じゃぁ家の婆ちゃんと話せば良い」

盗賊「婆ちゃんだと?」

少女「婆ちゃん何でも知ってる」

盗賊「なるほど?ようし…その婆ちゃんの所まで連れて行け」

少女「お前追い付けるか?」シュタタ

盗賊「待てゴラ!!」ダダ


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563 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:50:19.84 ID:ckhR7HQw0
『宿屋』


ガチャリ バタン


学者「兄貴ぃ…何処行ってたんすか!!もう出発の準備整っていやすぜ?」

盗賊「悪い…モウロク婆ぁの長い話に付き合わされてだな…ったく無駄に時間使っちまった」

学者「どうするんすか?そろそろ宿屋出ないと迷惑かけちまいやす」

盗賊「ミライとリッカも居るな?…ちっと予定変更でもう一泊する」

学者「お?どういう事なんすかね…」

盗賊「どうやら盗賊ギルドの方は既に色々動き出しててな…もう船に荷入れしてんのよ」

学者「ええ!?急展開っすね…」

盗賊「なんか強引に動かれてて俺も訳分からん…成すがままって感じだ」

学者「そうすか…じゃぁもう一日ゆっくり出来るならガラクタ探しに行きやせんか?」

盗賊「俺はそういう訳にもイカンのだ…リッカとミライ!!」

剣士「え?僕?」

女オーク「!?」

盗賊「急ぎで船の横帆を張り替える…今日中に終わらせたいから手伝ってくれ」

剣士「うん…良いけど僕が役に立つかな?」

盗賊「お前は手先が器用だろ?布を縫い合わせて欲しいんだ」

剣士「あーーーおっけおっけ!!」

盗賊「…という訳でガラクタ探しはゲスだけで行ってくれ…俺よりお前の方が目利きだからな」

学者「分かりやした!!」

盗賊「ロボは俺と一緒な?」

ロボ「ピポポ…」クルリン

盗賊「じゃぁ夕方には宿に戻るつもりだからよろしく頼む!」


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564 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:50:53.02 ID:ckhR7HQw0
『キャラック船』


ガヤガヤ ドタドタ

木材は荷室に隙間なく積めぇ!!

残りの物資は船底だ!表示を忘れるな!?



剣士「これ…昨日の今日でどういう事かな?」タジ

盗賊「半ば強制的にこういう事になってんのよ…詳しい話は誰に聞いても分からんだとよ」

剣士「まぁ…荷室は空だったから良いんだけどさ…」

盗賊「兎に角責任持って荷を運ばにゃならんくなった…今までみたいにチンタラ出来なくなった訳よ」

剣士「チンタラって…」

盗賊「このメインマストの横帆が全然意味無くてな…速度が出なかったんだ」

剣士「そうだったんだね」

盗賊「後ろの三角帆と同じ様にしたい訳だ…帆下駄も吊り変える必要がある」

剣士「そっか!!でっかい三角帆にしたいんだね?」

盗賊「そういう事だ…ほんでリッカにはかなり重労働をしてもらう事になる…大丈夫だな?」

女オーク「丁度体を動かしたかった所…狭い部屋で縮こまって居たから…」

盗賊「ようし!!そうと決まったらやるぞ!!」

剣士「僕は布を縫い合わせて行けば良いね?」

盗賊「うむ…船尾楼の中に買い付けた布と糸を入れてある…沢山は無いから無駄の無い様にな?」

剣士「おっけ!!」

盗賊「ほんでな?外した横帆…ぼろ布なんだが手が空いたらハンモックでも作ってくれ」

剣士「おぉ!!工夫し甲斐があるなぁ…」

盗賊「任せた…じゃぁリッカ!!帆下駄に上がるぞ!来い!!」スルスル


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565 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:51:52.39 ID:ckhR7HQw0
『メインマスト』


グイ グイ ギリギリ


盗賊「ロープワークは俺がやるからリッカはしっかり帆下駄を支えて居てくれ」ギュッ

剣士「縫い合わせた布って帆下駄に取り付けて行って良い?」

盗賊「やり方分かるか?」

剣士「後ろの三角帆と同じでしょ?」

盗賊「まぁやってみろ」

剣士「大丈夫さ!ロープワークも得意なんだ」グイ グイ ギュゥ

女オーク「だんだん重たくなって来た…」グググ

盗賊「ちっと待ってくれ…反対側をロープで引っ張ってやる」ダダ

女オーク「船を作るのって中々大変なのね…むむむ!!」グググ


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566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:52:22.93 ID:ckhR7HQw0
『夕方』


ぶはぁぁぁ ドタ


盗賊「やっと終わった…もうクタクタだわ」グター

女オーク「ふぅ…良い運動だった」

盗賊「さすがオークだ…豆しか食わんのになんでそんなに体力あんのよ…」

女オーク「イヤミ?」

盗賊「あぁ悪い…嫌味のつもりは無い…ミライは何処行った?」キョロ

女オーク「木材を持ってウロウロして居たから何か作ってると思う」


トンテンカン トントン


盗賊「その様だ…そろそろ宿屋へ戻るから呼んで来てくれ」

女オーク「分かったわ…」スタ

盗賊「ロボ!こっち来い…もうフラフラでよう…お前にもたれ掛からんと転びそうだ」

ロボ「ピポポ…」ウィーン ピタ

盗賊「どうよ?俺達の新しい家がどんどん出来上がっていくのは?」

ロボ「ピポポ…」クルクル

盗賊「そうか嬉しいか!!この船で向こう側に連れて行ってやる」ペチン

ロボ「ピピ…」ピタ

盗賊「…夕日が眩しいな?…」トーイメ

ロボ「…」ジー

盗賊「そういや孤児院からも夕日が良く見えたな?」

ロボ「…」

盗賊「俺はよう…あん時と同じ様な空気と同じ様な夕日を見るたび…もう一回まぶた閉じたら戻れる気がしてなぁ…」

盗賊「周りは色々変わっちまったが…頭ん中何も変わん無ぇ…なんだろうな?この虚しい感じ」

盗賊「お前はどう思うんだ?」

ロボ「ピポポ…」

盗賊「そうか…」トーイメ


---もっかいやり直せるなら…---

---いつもそう思うんだ---
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:53:16.20 ID:ckhR7HQw0
『酒場リコリコ』


ワイワイ ガヤガヤ


盗賊「いよーう!やっぱ此処に居たか…」

学者「兄貴ぃ!!待っていやしたぜ?」

盗賊「今日も席が一杯だな?」

マスター「ハハお陰様で…何を飲まれますか?」

盗賊「昨日と同じ奴で良い…」ジャラリ

マスター「どうぞ…」ゴトン

盗賊「ふぅぅ…働いた後はやっぱ酒だな…」キュポン グビ

学者「リッカさんとミライ君はどうしたんすか?」

盗賊「まだ船で木材加工やってる…終わったら此処に来る筈だ」

学者「何作ってるんすか?」

盗賊「椅子やらテーブルやら…まぁ…何も無かったから丁度良い」

学者「そら快適になりやすね」

盗賊「それよりガラクタ漁りはどうなった?」

学者「一杯有りやしたよ…ボロッボロの錆び錆びだったんすが使えそうな物は回収してきやした」

盗賊「…で?プラチナは?」

学者「ウヒヒヒ…どうも機械の基板の中にプラチナが使われてる事知らんかったみたいっすね…ウハハハ」

盗賊「よし!でかした!!…それでロボを温める装置作れる訳だ」

学者「今は油が無いんで船に戻ったら作りやす…楽しみにしてて下せぇ」

盗賊「良かったなぁ?」ペチン

ロボ「ピポポ…」クルクル

学者「それで…この村回ってて思ったんすが…この村かなり良い村っすね?」

盗賊「んん?何がだ?」

学者「何て言うんすかね…あんまり差別が無いんすよ…人間以外の種族が多いんす」

盗賊「ふむ…そういやそうだな…ギスギスして無ぇ」

学者「オークも居るしドワーフも居やすね…あと尻尾生えたエルフ?みたいのも居るんす」

盗賊「まぁフィン・イッシュ領だからな…」

学者「俺っち此処に住んでも良いかなと思いやした」

盗賊「お前はダメだ…手癖が悪くて折角の良い雰囲気を台無しにしちまう…内ゲバに巻き込まれる様な事をな」

学者「兄貴ぃ…俺っちも改心しやすよ…」


ガチャリ ゴトン


盗賊「んん?何だソレ?」
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:53:42.52 ID:ckhR7HQw0
学者「あぁコレ…ガラクタの中で発掘したクロスボウっすね…2つあるっす」

盗賊「錆びっ錆びじゃ無ぇか…」

学者「錆び落としたら使えやすぜ?…一世代前の武器なんで微妙なんすが無いよりマシっす」

盗賊「ボルトは?」

学者「探したんすが無かったっすね…使えそうな鋼材も少し拾って来たんで誰かに作って貰いやしょう」

盗賊「ほぅ?鋼材なんか落ちてたんか」

学者「いやいやキラーマシンの一部っす…宿屋に置いてあるんで明日船に運びやしょう」

盗賊「収穫上々か…」

学者「兄貴は何か物資調達して無いんすか?」

盗賊「俺はもう金が無ぇ…帆の材料を買って終わりよ」

学者「あららら…ちっと食料買っといた方が良いんすが…」

盗賊「お前金有るだろう…任せた」

学者「やっぱそうなりやすよねぇ…トホホ」

盗賊「バン・クーバに戻ったら返してやる」

学者「本当っすよ?」


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569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:54:27.53 ID:ckhR7HQw0
『深夜_村道』


アオ〜〜〜ン アオ〜〜〜ン


盗賊「今晩はヤケにウルフが騒がしいな?」

学者「月のせいじゃ無いっすか?」

盗賊「満月か…なるほど…」

剣士「これさ…ウルフ同士何かお話してるんじゃないかな?」

盗賊「なんだお前?ウルフの言葉が分かるってか?」

剣士「分からないけど…なんかそんな気がするなぁ…てさ?」

盗賊「そんな事よりちっと俺は仕事に行って来る」

学者「マジすか…」

盗賊「盗賊ギルドからの接触がガキんちょだけだったもんだからよ…指示してるのが何処のどいつか知りたい訳よ」

剣士「あ!!もしかして小さな女の子?」

盗賊「お!?お前の所にも行ってたんか?」

剣士「お前ーーって言いながら追いかけて来るんだ」

盗賊「ソレだソレ!!そいつからの接触しか無いんだ」

剣士「すごいすばしっこい子でさ…ビックリだよ」

盗賊「何か言ってたか?」

剣士「背中を撫でろって…」

盗賊「なぬ!?」

学者「ウハハハハなんで急に撫でろって言うんすかね?」

剣士「分からないよ…撫でてあげたら喜んで返ったよ」

盗賊「まぁ…行動が意味不明なんだ…俺はそのガキんちょの家を知ってるから今からちっと偵察よ」

学者「そういう事っすね」

盗賊「俺一人で行って来るからロボの事を頼む」

学者「分かりやした」

盗賊「先に寝ててくれ…じゃぁな!」スタ


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570 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:55:17.83 ID:ckhR7HQw0
『民家』


ヌキアシ… サシアシ…


盗賊「…」コソーリ

盗賊「…」---しかし盗賊ギルドのアジトが何処なのかさっぱり分からんとはな---

盗賊「…」---連絡手段も何もかも分からん---


アオ〜〜〜ン ワンワン


盗賊「…」ビク

盗賊「…」---ちぃぃウルフが近いぞ?どこだ?---

少女「お前ーー!!」ダダ ユビサシ

盗賊「どわっ…」タジ

盗賊「…」---くっそあいつ何で起きてんのよ---

盗賊「…」---こりゃハイディングするしか無ぇ---


スゥ…


盗賊「…」---なんで俺の居場所が分かったんだ?---

盗賊「…」---アイツ…ウルフと通じてんな?---

盗賊「…」---ガキと思って舐めてたらダメな様だ---

盗賊「…」---今度は風下から行ってやる---


タッタッタ


盗賊「…」---ようし!この場所なら---


スゥ…


盗賊「…」キョロ
571 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:55:47.49 ID:ckhR7HQw0
少女「あれ?」キョロ

盗賊「…」ニマー

少女「あれあれあれ?」ウロウロ

少女「ちちーー匂い消えたぁ」

男の声「んぁぁ…もう遅いから早く寝ろぉ」

少女「多分どこかに隠れてる」

男の声「ほら撫でてやるから…寝るんだ」


盗賊「…」---父親が居たか---

盗賊「…」---声は覚えたぜ?---


ワンワン ガウルルル シュタタ


盗賊「…」---くっそウルフが邪魔過ぎる---

盗賊「…」---まぁ良い退散する---


スゥ…


盗賊「…」---こりゃ正体暴くの難義しそうだ---

盗賊「…」---もうちっと他当たって見るか---


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572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:56:25.95 ID:ckhR7HQw0
『翌朝_宿屋』


グゥゥ スピーー


学者「兄貴ぃ!!起きて下せぇ」ユサユサ

盗賊「んが?」パチ キョロ

学者「昨夜も遅かったんすね?買い出しに行きやすよ?」

盗賊「あぁ悪い…リッカとミライはどうした?」ゴシゴシ

学者「ガラクタを船に運んで貰いやした…そのまま船に乗ってる筈っす」

盗賊「そうか…ええと…何すんだっけな…」

学者「食料とか必要な物の買い出しっすよ…早く行かんと明るい内に出港出来やせんぜ?」

盗賊「そうだっけか…なんか夢見てて混乱しててよ…」スック

学者「なんか寝言を呟いていやしたね…聞き取れんかったんすが」

盗賊「ガキの頃の夢だ…」

学者「とりあえず食料調達っすね」

盗賊「運ぶのシンドイな…」

学者「宿屋で荷車借りられるっす」

盗賊「おぉ!そりゃ良い!」

学者「ええと酒と香辛料も必要になりやすよね…あと薬」

盗賊「そうだな…樽を多めに仕入れんとイカンな」

学者「そうっすね…水も汲む必要がありやすね」

盗賊「ヤバいな…急ぐか!」

学者「へい!!」


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573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:57:28.58 ID:ckhR7HQw0
『キャラック船』


ザブン ギシギシ


剣士「荷を積み終わって今日は誰も居ないね…」ポカーン

女オーク「そうね?どうなって居るのかしら…」

剣士「昨日の続きやろうか」

女オーク「まだ作るの?」

剣士「おが屑とボロキレが余ってて勿体無いじゃない」

女オーク「ボロキレの袋におが屑を詰めて行けば良いのね?」ガッサ

剣士「うん…あとは僕が縫って行く…今晩寝るのが楽しみだね…」ヌイヌイ

女オーク「このおが屑…良い匂いがする」クン

剣士「スプルースって言ったけ?柔らかい木で香りも良いし好きだよ」


シュタタタ スタ


剣士「あ!!あの子又来た…」

少女「おいお前!!この船どうやって動かす?」

剣士「ええと…帆を張って動かすんだけど…」

少女「帆?これか?」ピョン ピョン シュタ

剣士「危ないよ!!…それに君じゃ多分広げられない」

少女「ふぬぬぬぬ!!」グイ グイ

剣士「ええと…もしかして君もこの船に乗る…のかな?」

少女「当たり前だ」

剣士「まさか君一人って事は無いよね?」

少女「ちちが来る…それと超ウルフも来る」

剣士「そうか…安心したよ」

女オーク「超ウルフって?」

少女「名は他に有る…でも明かせない」
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:58:13.84 ID:ckhR7HQw0
剣士「ハハ…ええと君の名は何て言うのかな?」

少女「お前ー!!人に名を聞く時は先ず名乗れ」

剣士「あぁゴメン…僕はミライ…そして彼女がリッカ」

少女「ミライ…リッカ…覚えた」

剣士「君は?」

少女「明かせない…そういう決まり」

剣士「アハハハやられたなぁ…まぁ良いや…どうだい?こっちでちょっと手伝わないかい?」

少女「ミライ…お前何作る?」

剣士「う〜ん…これ何て言うんだ?おが屑のクッション?布団かなぁ…やわらかくて気持ち良いんだよ」


ピョン ボフッ


剣士「ちょちょ…まだ早い」アセ

少女「おぉぉ!!何だコレ」ゴロン ゴロン

剣士「今ね?これを沢山作ってるんだ…手伝ってくれたら君にもあげるよ」

少女「何する?」

剣士「おが屑を集めて欲しい…沢山必要なんだ」

少女「何処に有る?」

剣士「船の荷室に木材が一杯積んで有るんだけどおが屑も一緒に落ちてるのさ」

少女「分かった…でも一番大きいのを貰う…良いか?」

剣士「おけおけ!ちょっと大きいのも作るよ」

少女「待ってろ!」シュタタタ

女オーク「ウフフ…上手く言い包めたわね?」

剣士「そんなつもり無いけどね?早く仕上げたいだけだよ」

女オーク「じゃぁ急いで作りましょう…」ガッサ


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575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:59:07.01 ID:ckhR7HQw0
『昼頃』


ザブン ギシ


盗賊「よっこらぁ!!」ドスン

剣士「樽?」

盗賊「水汲んで来たんだ…甲板の上で良いから適当に並べて置いてくれ」

剣士「あ…うん…よいしょ!!」ヨッコラ ヨッコラ

盗賊「リッカ!!まだ有るから運ぶの手伝ってくれぇ!!」ダダ

女オーク「分かったわ…」スタ

少女「お前ーーー!!」ヒョコ

盗賊「どわっ…なんでそこに居るのよ…」タジ

少女「お前!!昨日何した!?」

盗賊「な…何の事だ?」

少女「お前来た事知ってる…お前の匂い分かる」

盗賊「知ら無ぇなぁ…何の事だ?」

少女「とぼけるな!!どうやって消えた?」

盗賊「ガキに付き合ってる暇無ぇんだ!!俺は忙しいからサッサと其処を下りろ!!」

剣士「あ!!アランさん…この子も船に乗るんだってさ」

盗賊「何!?マジか…」

少女「当たり前だ!!さっさと秘密教えろ」

盗賊「いやぁ…どうもお前苦手だ…乗るなら乗るで大人しくしてろ!!」

少女「あ!!ちちーーー」ノシ

盗賊「ナヌ!?」キョロ


中年の男「これはどうも…」ペコリ


盗賊「あ…あぁ…どうも」---こいつが盗賊ギルドの奴か?---
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 12:59:51.45 ID:ckhR7HQw0
中年の男「娘が迷惑をかけて居ませんか?」

盗賊「大迷惑なんだがよう…」

少女「お前ーーー!!」バタバタ

中年の男「アッハッハ…騒々しい娘で済みません」ペコリ

少女「ちちーーー!!早く乗れ!!」

盗賊「ええと…話が俺にあんま伝わって来て居ないんだが…」

中年の男「どうかお察しを…因みに私はその手の者ではありません」

盗賊「んん?…と言うと?」---こいつもしらばっくれる気か?---

中年の男「私はこの村の自警団の者で名をリコルと言います…娘の護衛に雇われたと言えば通じますかね?」

盗賊「雇われ…つまり雇い主は明かせないと言いたいのか?」

中年の男「いえいえ娘に雇われた…」

盗賊「ヌハハハ…そらちびっ子一人船に乗せる訳にもイカンだろうな?そらそうだ」

中年の男「重ねて言いますが…私はその手の者では無いので事情は殆ど知りません…娘に雇われた傭兵だと思って下さい」

盗賊「ケッ!!まぁ良く分からんが船に乗るんだな?勝手にシロい!!」

中年の男「ご理解頂けた様で…あともう一匹乗りますのでよろしくお願いします」ペコリ

盗賊「一匹?」


シュタタ シュタタ


盗賊「くぁぁぁ…あのワンコか…」

ウルフ「ガウルルル…」フリフリ

盗賊「もう良い!!おいリッカ!!急いで荷を積んでくれ…俺はもう一回荷を運ばなきゃならん」

女オーク「分かったわ…」

盗賊「ミライ!!他に乗る奴が居たら話を聞いといてくれぇ」

剣士「おっけー!!」

盗賊「じゃぁ次で最後だから出港の準備も頼むな?行って来る」ダダ



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577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/12/11(日) 13:00:45.80 ID:ckhR7HQw0
『出港』


ドタドタ


盗賊「何だ結局船に乗るのはちびっ子と旦那の2人だけか?」

少女「超ウルフも忘れるな?」ズイ

中年の男「私は他に誰が乗るとか聞かされて居ません」

盗賊「おいおいどうなってんのよ…ちったぁ俺にも情報欲しいもんだ…」

学者「兄貴ぃ!!これで全員揃ってるみたいっすね…見回した感じ隠れて乗ってる奴も居ない様っス」

盗賊「まぁ良いか…おい嬢ちゃんよ!出港させて良いんだな?」

少女「さっさと出ろ!お前色々遅い」

盗賊「行先はバン・クーバで良いんだな?」

少女「何度も言わせるな」

盗賊「くぁぁぁぁ生意気なクソガキだ…リッカとミライ!!帆を広げてくれぇ!ゲスは舵を頼む」

学者「へいへい!!」ダダダ

盗賊「碇上げるぞぉぉ!!」ガラガラ


ユラ〜 グググググ


少女「おぉぉぉ…出航!出港!行けぇぇ!!」ユビサシ

盗賊「こっちは重労働やってんのに気楽なもんだ…」エッホ エッホ


バッサーーー バサバサバサ


盗賊「おぉぉぉ…やっぱデカい縦帆有ると違うじゃ無ぇか…」

剣士「帆は全部開くよね?」ドタドタ

盗賊「勿論だ!!全速力試すぞ!!」ドタドタ

中年の男「ほぉ?帆装が変わりましたな?縦帆3枚…」

盗賊「小さいの合わせたら6枚だ…手隙なら手伝って貰って良いか?」

中年の男「いやぁ久しぶりですな…」

盗賊「んん?もしかして船乗りだったか?」

中年の男「まぁ少しだけ…」

盗賊「じゃぁ心強えぇ…航海中はどうせ暇になるから色々聞きたい事もある」

中年の男「ハハハ…知って居る事なら何なりと」

盗賊「俺の名はアランだ…職業は泥棒さんよ」

中年の男「私はリコル…自警団では戦士役を務めています」

盗賊「よろしくな?リコル!」スッ

戦士「こちらこそ!!」ガシ


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