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勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編の完結
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428 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:37:56.89 ID:ZniVZVNC0
『理想郷』
ヒィヒィ…
魔女「もっと早う走れ…事が始まって居るぞ」
ローグ「分かって居やすとも…ハァハァ」
魔女「なんじゃこのザワツキは…」
ローグ「魔女さん聞こえやしたか?これ妖精の声なんすかね?」
魔女「分かっとるわい!!今からなにやら始まる直前じゃ」
ローグ「虫が一気に舞い上がってるのも関係ありやすよね?どっから飛んで来たんすかね?」
魔女「狭間じゃ…これはダイダラボッチの直前じゃぞ」
ローグ「千里眼でどうなってるのか見通せやせんか?」
魔女「見て居る!!世界中で同じ事が起こって居る」
ローグ「ええ!?」
魔女「母上の眼も…盗賊の眼も…同時に何かを察知して居る」
ローグ「地球の反対側じゃないすか…」
魔女「神が何か起こしよる…早う走れ!!」
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429 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:38:47.46 ID:ZniVZVNC0
『生贄の祭壇』
ビシビシ ドキューーーン!!
小さなゴーレム「…」パラパラ ドサリ
女海賊「もう止めろぉぉぉ!!」ダン!!ダン!!
オークシャーマン(グラビティ…)グググ
女海賊「くそう!!特殊弾を握り潰すって…マジか…」タジ
アサシン「ヴヴ…うぐぐ…」ズルズル
女海賊「アサシン!!あんた動けるんだね!?」ダダ
アサシン「ダンゴムシを連れ戻して…一旦引け…」ヨロ
女海賊「お姉ぇがやられて…」
アサシン「お前までやられてどうする…言う事を聞くのだ」
オークシャーマン(不死者か…忌々しい…浄化してくれよう…)
ドスドスドス ブン!! スパーーーー
オークシャーマンの首「ウゴ…」クルクル ボトン コロコロ
オークシャーマンの体「…」ブシュー ドタリ ピクピク
女オーク「フーーーッ…フーーーッ」
女海賊「え!!?」
アサシン「な…に?」
女オーク「シト…サクリファイス…オナカ…ヤドル…オマエ…シト…ハハ…ワタシ…ワカル」
女海賊「何言ってるか分かんない…何々?どうすりゃ良い?」
女オーク「オークシャーマン…ノロイ…ソクシスル…オマエ…ニゲロ」
女海賊「やっぱお姉ぇ死んだの?」ダダ
女海賊「お姉ぇ!!起きて!!」ユサユサ
アサシン「今の内に一旦引くぞ」ヨロ
女海賊「お姉ぇを置いて行けない!!」
アサシン「ちぃぃ…早く担いで行け」グイ
430 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:39:31.29 ID:ZniVZVNC0
オークシャーマンの首(蒼眼の者よ…それは我が器…契約を履行せよ)
女海賊「ちょ…首を落とされてまだ死んで無いんか!!お姉ぇやられて契約なんか知らねぇよ!!すっこんでろ!!」ドカ
オークシャーマンの首「ウゴ…」コロコロ ベチャ
アサシン「早く行け!!私が時間を稼ぐ」ドン
女海賊「あんたどうすんのさ!!」
アサシン「戻って一旦立て直せ…私はどうやら中々死なん…時間を稼いでやる」スチャ
オークシャーマンの首(行かせはせん…裁きだ…キール・ザラー!!)
ビシビシ ドキューーーン!!
小さなゴーレム「…」パラパラ ドタ
女海賊「あぁぁ…又身代わりに…」
アサシン「お前がモタモタしているからだ!!アレを黙らせれば良いのだな?」ヨロリ スラーン ダダダ ブスリ
オークシャーマンの首「ウガ…」ピキピキ
女海賊「石化!!?」
パリーン サラサラサラ…
アサシン「クックック…灰になったか…これで大人しくなっただろう」
声(魔性の者共に鉄槌を下せ…目覚めよゴーレム)
ゴゴゴゴゴゴ ドカン ドカーーン!!
ズズズズズ ズーン
アサシン「これは…」タジ
女海賊「くっそ!!オークシャーマン倒しても意味無い…」
アサシン「相手が悪い!!引くぞ!!来い!!」グイ
女海賊「待って…お姉ぇ重いんだから…」ヨタヨタ
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431 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:40:19.24 ID:ZniVZVNC0
『知恵の実が生る木』
パシュ シュルシュル スタ
女海賊「大きな木が有って良かった…」
アサシン「まだ目を覚まさんか?」
女海賊「ヤバイ…息して無い…心臓も動いてる感じしない」
アサシン「心臓のマッサージは分かるな?」
女海賊「お姉ぇ!!お願いだから目を覚ましてよぅ…」グイグイ
アサシン「マズいなこれは…この数のゴーレムはどうにも出来ん」
女海賊「線虫!!癒せ!!お姉ぇ!!お願い…死なないで」グッグッグ
女戦士「…」グッタリ
アサシン「…」
女海賊「くっそ祈りの指輪を魔女に渡したままだった…お願い!!生き返って…」プルプル
ドコーーン!! グラグラ
アサシン「囲まれて居るな…放り投げる物が無いのが幸いか…さてどうしたものか」
女海賊「魔女はまだ来ない感じ?」
アサシン「見当たらん…ちぃぃ…ゴーレムが一体よじ登って来るぞ」
ズズーン ミシミシ… バキバキ…
女海賊「私がゴーレム全部引き付ける…お姉ぇを背負って急いで魔女の所に行って」
アサシン「なに?」
女海賊「どうにかしてお姉ぇを助けて…お姉ぇ居ないと私生きて行けない」
アサシン「フフ…お前にあの大軍を引き付けられるか?」
女海賊「ヌルヌルを全身に塗って飛び回る…やれる!」ヌリヌリ ドプ ヌパー
アサシン「よし分かった…私は女戦士を担いで一旦魔女と合流する…お前は死ぬな?」
女海賊「私がゴーレムのタゲ引いたら一気に走って!!」
アサシン「分かった…よし行け!!」
女海賊「あとお願い!!」ピョン
パシュ シュルシュル ヒュン
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432 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:41:10.39 ID:ZniVZVNC0
『魂の神殿』
ドーン ドカーン
商人「やっぱり始まった…ゴレームが動き出した…僕はどうしろって言うんだ」
ローグ「商人さーーーん!!ハァハァ…」タッタッタ
商人「ローグ!!魔女も来たね…あ!!ホムンクルスまで…」
魔女「これはどうなって居るのじゃ?」
商人「見ての通りだ…メチャクチャだよ」
魔女「戦って居るのは誰じゃ?」
商人「女海賊が飛び回って凌いでるっぽい…あと小さなゴーレムと…ロック鳥も戦ってるの…か?」
魔女「ゴーレムは隕石を落とさんと倒せんぞ…」
商人「やるしか無いよね…まだ一体も倒せてない」
魔女「詠唱に1時間以上掛かるのじゃ…時間が無い」
商人「凍らせる魔法は?」
魔女「イカン…皆を巻き込んでしまう」
ローグ「さっき大きな黄金が有りやしたよね?アレなら直ぐそこに有るでやんす!ぶつけられんっすか?」
魔女「むむ!それじゃ!!10分間を持たせよ…天から加速させるにはその位の時間が必要じゃ」アブラカタブラ…
ローグ「頼んます!!あっしは助太刀に行って来るでやんす…ってあああ!!こっちにもゴレーム走って…」タジ
商人「もう2人で何とかするしか無い!!僕が囮になるからハイディングから一気に倒して」チャキリ
ローグ「ハイディング!!その手が有りやした…」
商人「来るよ!!」カチ
ピカーーーーーー チュドーーーーーン!
ローグ「ハイディング!!」スゥ…
ゴーレム「ヴォオオオオオオオオ…」ドスドスドス
433 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:41:46.99 ID:ZniVZVNC0
商人「来てみろ!!破壊の剣でその拳ごと真っ二つに…」スラーン
ローグ「リリース!!バックスタブ!!」スパスパ スパー!!
ゴーレム「ガァァァァ…」ドスーン ゴロゴロ…
ローグ「商人さん!!足を切り落として下せぇ!!」ダダ スパ
商人「このぉ!!」ダダ スパ
ゴーレム「ヴァアアアアアア…」ドタバタ
商人「うわぁぁぁ…」ゴロゴロゴロ ズザザー
ローグ「このままあっしはバラバラにして行きやす」スパ スパ スパ スパ
商人「なんだこのゴーレム…切っても切っても動きを止めない…」スパ
ゴーレム「ヴォーーーー」ブン ドガァ
商人「ぐぅぅぅ…」ゴロゴロ ズザザー
アサシン「ヴヴヴ…そのまま続けて…ゴーレムをなんとかしろ…」ズルズル
商人「アサシン!!どうして此処へ!?女戦士はどうしたの?」ヨロ
アサシン「オークシャーマンにやられた…クックック私は2度死んだと言えば良いか…」ズルズル
商人「足は動かないのか?」ダダ
アサシン「私に構うな…それより女戦士が死んだ…どうにかして生き返らせられないか?」
魔女「な…なんじゃと!!?ええい詠唱が止まってしもうたわ!!」
ローグ「か…頭が…死んだ?」ピタ
アサシン「ローグはゴーレムに集中しておけ!!」
魔女「死んだとはどういう事じゃ?」
アサシン「即死する魔法を使われた様だ…もう息もしていないし心臓も動いて居ない…私には効果が無かったようだが…」
魔女「呪術…即死魔法か…魂の分離…何処ぞで彷徨って居る筈じゃ…妖精に連れ戻して貰えば良い」
アサシン「出来るか?」
魔女「わらわはその術を知らぬ…妖精を見て居らぬか?」
ホムンクルス「妖精さんにお願いすれば良いのですね?」
魔女「何処に居るか分からんのじゃが…」
ホムンクルス「夢の中で会う事が出来ます」
アサシン「時間が無い…直ぐにやれるか?」
ホムンクルス「やります…スリープモードに移行…ノンレム睡眠導入…」スヤ zzz
434 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:42:38.41 ID:ZniVZVNC0
商人「こんな時に寝るとは…」
ズズーーーーン グラグラ
アサシン「何ぃ…足場が傾いて…何が起きてる!?」ヨロ
魔女「ダイダラボッチじゃ…纏まり始めた様じゃ」
アサシン「ダイダラボッチだと!?ドリアードを食らったと言う伝説の…」
魔女「うむ…オークシャーマンが呼び寄せたのじゃろう…わらわ達ではどうにも出来んくなるで引くべきじゃ」
アサシン「こんな大量の虫が何処から飛んで来るの…だ?」タジ
商人「下だぁ!!また大きいのが来る!!」
魔女「なぬ?空では無く下からとな?」
ズモモモモモ ズズーーーーーン!! グラグラ
アサシン「あ…ありえん…ここは遥か上空だぞ」
商人「来たぁぁぁ!!退避!!退避!!」
ズモモモモモ ニョロニョロ ゾワワワワ ズズーーーーーン!!
ローグ「ちょちょちょちょ…何なんすかこの大量の虫は…」ダダ
アサシン「これはゲームオーバーだ…逃げるぞ!!魔女!!貝殻で女海賊に連絡しろ」
商人「上からも何か降って来る…」アゼン
魔女「海虫が天空まで這い上がって来ておるか…スケールが違い過ぎる…」ボーゼン
アサシン「商人!!ホムンクルスを背負って今すぐ飛空艇まで戻れ!!ローグは女戦士を頼む」
商人「わ‥分かった!」
ローグ「分かって居やすとも!!」ヨッコラ
アサシン「魔女…最後にやって置きたい事が有るのだ」
魔女「うむ…命の水が入った器じゃな?」
アサシン「そうだ…あそこに妹が居る…水を海に巻いた後器を消し去りたい…量子転移の魔法が必要だ」
魔女「やはりな…覚悟は出来て居る」
アサシン「もう話して居る余裕も無い!!行くぞ!!」ヨロ ズルズル
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435 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:43:18.40 ID:ZniVZVNC0
『魂のゴブレット』
キラキラ チャプン
アサシン「やはり光がこの器に吸い込まれて行って居る…これはアヌに渡してはいけない物だ」
魔女「無駄口は良い…一人で持てるかいな?」
アサシン「足が不自由だ…回復魔法を頼む」
魔女「早よう言えタワケ!回復魔法!」ボワー
アサシン「フンッ!!!」ムムム
魔女「無理そうじゃな」
アサシン「ちぃぃ…仕方が無い…ここでひっくり返す」グイ
魔女「非力じゃのぅ…重力魔法!」グググ
ゴロン!! ジャバーーーー
アサシン「その様な魔法が使えるなら初めから言って欲しい物だ」
魔女「この器は内側がどこぞの時空に通じとる…すべて流れ出るまで時間が掛かるぞい」ジャバー ザブザブ
アサシン「どれだけの人の魂が水になったのか…」
魔女「人だけでは無いじゃろう…すべての生物じゃ」
ズズーーーーン グラグラ
アサシン「又…」ヨロ
436 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:43:49.74 ID:ZniVZVNC0
魔女「随分陸地が傾いたのぅ…」
アサシン「見ろ…下の層にも虫の大群が這い上がって来ている…直にここは落ちるな…」
魔女「飛空艇は何処に行ったか…」キョロ
アサシン「すべての虫が一塊になったらどれ程の大きさになる?」
魔女「伝説では山を踏み潰すそうじゃ…まさか実話だとは思わなんだわい」
アサシン「しかし私達に襲い掛かって来る気配が無いのだが…」
魔女「うむ何故じゃろうのぅ…そうじゃ命の水がすべて流れるまで待って居るのは時間が勿体無い」
アサシン「どうしろと?」
魔女「主は暗殺者じゃろう…背後からオークシャーマンを討ち取りダイダラボッチを収めよ」
アサシン「なに?既にオークシャーマンは討ち取ったのだが?千里眼で見て居なかったのか?」
魔女「なんじゃとぅ!!常に千里眼を使って居る訳では無いわ!!」アゼン
アサシン「だがアヌは声となって何処かに存在している…そいつを暗殺するのはちと無理がある」
魔女「術者が居らぬ…何故ダイダラボッチが収まらんのじゃ?」
アサシン「魔女が分からん事は私にも分からん…何か問題でもあるか?」
魔女「リリスの石化はリリスが滅すれば直ぐに解けたじゃろう…魔法とはそういう物じゃ」
アサシン「私は確かにクサナギの剣でオークシャーマンを貫いた…その後灰になったのは間違いない」
魔女「つまりオークシャーマンの術は解ける筈じゃ」
アサシン「この楽園もまだ宙に浮いているな?」
魔女「いや…わらわが黄金に変性させたで術者はわらわに変わって居る…わらわが死ねば落ちるじゃろうな」
アサシン「魔法の事は分からん!!どうするか早く決めてくれ」
魔女「まさかとは思うが女海賊が知らぬ内にダイダラボッチを起こして居らんじゃろうか…」
アサシン「む!!わかったぞ!!ダンゴムシだ!!アレには未来の魂が入っている…ドリアードを食らったのも未来がやったのだろう」
魔女「オークシャーマンの術では無かったと…」ボーゼン
アサシン「今が勝機か…行くぞ魔女!!」ダダ
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437 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:44:36.44 ID:ZniVZVNC0
『鯨型飛空艇』
フワフワ フワフワ
情報屋「あれ?勝手に飛空艇が高度を上げて…」アタフタ
ホムンクルス「…」パチ キョロ
商人「目を覚ましたね?」
ホムンクルス「生体安定…脳波正常…」
商人「どうだい?妖精とは話せたかい?」
ホムンクルス「はい…探して下さるそうです」
ローグ「頭は生き返るんすね?」
情報屋「ローグ!!心臓マッサージは止めたらダメよ!!魂が戻っても肉体が死んでては意味が無いわ」
ローグ「わ…わかりやした…」グイグイ
女戦士「…」クター
ホムンクルス「…」スック スタ キョロ
情報屋「ホムンクルス…扉を開けてはいけないわ」
ホムンクルス「今どういう状況なのでしょう?」
商人「虫の大群に埋め尽くされてる…幸運にも飛空艇には興味が無いらしい」
ホムンクルス「外が暗いのは虫のせいですね?」
商人「そうだね…何処を見ても虫だらけさ」
情報屋「ねぇ…徐々に飛空艇の高度が上がってるのは…もしかして楽園が落下してる?」
ホムンクルス「その様ですね…水銀柱を見る限り気圧の変化はありませんので飛空艇の高度は維持している筈です」
商人「虫が重いのか…」
情報屋「魔女達が戻って来るのが遅いわね…」イラ
ズズーーーン ゴゴゴゴゴ
商人「又あの音だ…どれだけ這い上がって来るんだろう…」
ホムンクルス「このまま行けば上層まで飛空艇で届きそうですね」
商人「うまくあの3人を回収出来れば良いけれど…」
情報屋「ホムンクルス?海からこの高度まで虫が這い上がって来るのは物理的に可能な事?」
ホムンクルス「海と言いますか海底に足を付けながら上に押し上げるのは不可能では無いですね」
438 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:45:13.86 ID:ZniVZVNC0
商人「高度6000メートル以上あったよね…」
ホムンクルス「土をそれだけ積み上げれば山となります」
商人「なるほどそういう事か…それだけの量の虫が一斉に動いてるのか」
情報屋「ちょっと想像を超え過ぎてて言葉が無いわ…」
商人「海の魔物の中に海坊主っていうのも居たよね…もしかしてダイダラボッチの事か?」
情報屋「こんな事出来るのはやっぱり神の御業…私達ではとてもオークシャーマンに太刀打ち出来ると思えない」
ホムンクルス「あの…虫を導いて居るのは妖精さんです」
商人「ん?どういう事?オークシャーマンの仕業では無いのかい?」
ホムンクルス「皆さんが耳にした声は妖精さんの声なのです」
情報屋「あの声…」
ホムンクルス「はい」
商人「…という事は…これはダンゴムシの中に居る未来君の意思…そう言いたいんだね?」
ホムンクルス「恐らく…」
ローグ「ちょ…それ熱いっす!!熱いっすねぇ!!」グイグイ
商人「そうか…アヌはこの力が欲しいのか」
ホムンクルス「地球上で最も質量が多い生物は虫ですね…すべての人間を集めてもアリの質量に遠く及びません」
商人「そうだよ…いつだったか地球の支配者は虫だって未来君は息巻いてた事が有る」
ホムンクルス「その通りです」
商人「だからアヌは虫を進化させて究極生物を作ろうとしてたのか…その種子がダンゴムシな訳だ」
情報屋「だとしたらアヌに器を渡す訳に行かない…」
商人「うん…未来君がダンゴムシになった強い動機だね」
ホムンクルス「妖精さんが呼んで居ます…私達も未来君を助けに行きましょう」
情報屋「もう少し高度が上がればこのまま飛空艇で…」
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439 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:46:07.14 ID:ZniVZVNC0
『激戦』
ニョロニョロ ゾワワワ…
アサシン「これは虫の大群を掻い潜って行くのは無理だ…近付けん」
魔女「見て見よ!!飛び回る女海賊の動きに虫達が同期し始めとるぞよ」
アサシン「ゴーレムに憑りついた虫はどの位で食らい尽くすと思う?」
魔女「さぁのぅ…」
アサシン「よし…魔女は私の背に乗れ」ヨッコラ グイ
魔女「黄金を落とせば良いか?」ノソリ
アサシン「そうだ…出来るだけ早く頼む」
魔女「承知じゃ…わらわの詠唱を途切らせるで無いぞ?」アブラカタブラ…
アサシン「さて私は着弾に備えて木の陰に隠れるか…」タッタッタ
パシュ シュルシュル ヒュン!!
女海賊「魔女ぉぉぉぉ!!!ゴーレムどうにかしてぇぇぇ!!」ヒュン
アサシン「今魔法の詠唱中だ!!もう少し待て」タッタ
女海賊「もう特殊弾撃ち尽くして逃げ回るしか出来ない…てか何この虫の大群!!」
アサシン「お前は自覚無しで虫を使役して居るのか?」
女海賊「追い付かれるから止まれないんだって!!」パシュン シュルシュル
アサシン「もう直ぐ隕石が降って来るから凌げ」
女海賊「マジ早く頼むぅぅ!!」ヒュン
ゴーレム「ヴォォォォォ!!」ブン
ヌルリン!
女海賊「あっぶ!!」パシュ シュルシュル
440 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:47:04.67 ID:ZniVZVNC0
アサシン「虫をもっと上手くけしかけられんのか!?」
女海賊「ほんなん知るか!!逃げるのに必死なんだよ!!」ヒュン
アサシン「下層からありえん虫の大群が這い上がって来るぞ…隕石が落ちたスキに逃げるつもりで居ろ」
女海賊「ええ!?マジ?」
アサシン「もう一人のオークは何処に行った?」
女海賊「あそこで立ちんぼだよ!!祭壇の所!!ちっこいゴーレムとダンゴムシもそこに居る」ユビサシ
アサシン「アレには事情を聞き出さねばならん…」
女海賊「ほんなん分かってるって!!ゴーレムを何とかして!!」ヒュン
ヒュルルル ドコーーーーーン!!
女海賊「うお!!なんか来た!!」
魔女「外してしもうた…続けて落ちて来るでアサシン止まれい!!狙いが逸れる!!」
アサシン「目視で当てて居るのか…」ピタ
女海賊「うほーーーーー地面に穴空いて一匹ゴーレム落ちた…イケイケー!!」
アサシン「今の内にあのオークを連れ戻して来い!!」
女海賊「おっけ!!ゴーレム任せたぁぁぁぁ!!」パシュ シュルシュル スタ
魔女「次が落ちるぞよ!!」
ヒュルルル ドコーーーーーン!! パラパラ
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--------------
--------------
441 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:48:24.53 ID:ZniVZVNC0
『鯨型飛空艇』
ヒュルルル ドコーーーーーン!!
商人「落ちて来た!!」
ホムンクルス「東の方からですね…速度からして隕石では無いようですが…」
商人「魔女が黄金をどうにかして落としてるのさ」
情報屋「ねぇ!!今ので一気に楽園の高度が下がっているわ」
ホムンクルス「この飛空艇は一時的に退避した方が良いかと…」
情報屋「ここを離れると言う事?」
ホムンクルス「ハイディングして少し場所を移すだけです…今のままだと黄金と接触する危険があります」
情報屋「分かったわ…」スック
ホムンクルス「操舵は私にお任せください…先ほどの軌道の邪魔にならない位置へ移動させます」
情報屋「じゃぁお願い」
商人「ちょっと!!早くしないとどんどん高度が上がって…違うな…楽園が落ちてる」
ホムンクルス「危ないですね…ハイディングします」スゥ
シュゴーーーーーー
ホムンクルス「リリース…」スゥ
商人「ああああ!!離れ過ぎだ!!楽園が落下して行ってる!!」
442 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:48:59.09 ID:ZniVZVNC0
ホムンクルス「落下速度が早くなっているのですね…高度を下げて行きます」グイ
商人「追い付けるかな…」
ホムンクルス「旋回させながら追います…船体が傾きますのでご注意を」グイ シュゴーーーー
ローグ「ちょちょちょちょ…心臓マッサージががが…」ヨロ
情報屋「女戦士にチアノーゼの症状が…」
ホムンクルス「マッサージと人工呼吸を休みなく続けて下さい」
ローグ「分かっていやすとも…ふぅぅぅぅぅぅ」
商人「僕も手伝うよ…温めて手足のマッサージすれば良かったんだっけ?」
ホムンクルス「はい…血流を促すように擦るのです」
ローグ「水がもう無いでやんす…湯が沸かせないっすね」
商人「まだ僕のエリクサーが残ってる…これをウラン結晶に垂らして船内を温めよう」
ホムンクルス「良い提案ですね」
ローグ「おぉ…」グイグイ
商人「じゃぁ行くよ…」ポタポタ
モクモクモク
情報屋「…」
一つの命を救うのはこんなに難しい…
その命を掛けて…あそこでは今も戦ってる…
どうか…
早くこの戦いを終わらせて…
--------------
--------------
--------------
443 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:49:50.59 ID:ZniVZVNC0
『生贄の祭壇』
ズドーーーン! ズドーーーン!
女海賊「ちょいアンタ!!突っ立って無いでもう行くよ!!ほらダンゴムシもちっこいゴーレムも早く行くぞ!!」
女オーク「ウゴ…」ポロポロ
女海賊「なんだよ何泣いてんだよ!!もうこれ超ヤバイ状況だから…てか言葉通じてる?」
女オーク「シト…キオク…ワタシ…ヤドル」
女海賊「分かった分かった!!後で聞くから今はとりあえず此処を離れる」グイ
女オーク「ワタシ…ドウスル」
女海賊「ゴーレムの脇抜けて向こうに走るから付いて来て」
ゾワワワワ…
女海賊「ほら行くよ!!ダンゴムシもこっち来い」
女オーク「…」ブルブル
ダンゴムシ「!!?」カサカサ アタフタ
女海賊「何やってんだ!早く…」
ブン ザクリ!!
女海賊「いっ痛ぁぁぁぁ!!」ボタボタ
444 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:52:17.31 ID:ZniVZVNC0
女オーク(行かせぬ…行かせぬぞ…)スチャ
女海賊「くっそ!!まだ居たんか」---やべぇ!もうダガーしか武器が無い---
女オーク(この体内に生まれた新たな器に早く乗り換えよ…)ズイ
ダンゴムシ「…」タジ
女海賊「おいおい何勝手な事言ってんだよ…」スラリ
女オーク(蒼眼の者…器を置いて去れ…汝にもう用は無い)
女海賊「…」---どうする?どうする?---
ダンゴムシ「…」フリフリ
女海賊「どうしたん?あんたはどうしたいの?」
ダンゴムシ「…」カサカサ
女海賊「おっけ!!私と一緒に行くんだね…よーしおっぱいに挟まってな」グイ スポ
女オーク(天誅!)ダダ ブン
ザクリ!!
女海賊「痛ったぁぁ…」ブシュー ズザザ
女オーク(行かせぬ…」ギロリ
女海賊「ヌルヌル塗ってんのに何で切られるんだよ…くっそ手が…」ボタボタ
女オーク(悪魔の子リリンめ…神を冒涜せしめしその罪を思い知るが良い…)
女海賊「お腹に未来が生まれてんだよね?そんなん私が攻撃出来る訳無いじゃん卑怯だぞ!!」タジ
女オーク(契約を守れぬ者が戯言を…我の名は裁きの神アヌ…鉄槌を受けよ」ダダ ブン
ゴツン!!
女海賊「うがぁ!!なんで当たんのさ…」クラクラ
女オーク(この器は重い…鈍い…)ダダダ ドスン!
女海賊「だぁぁぁ…」ゴロゴロゴロ
女海賊「ハァハァ…体格負けで息も続かない…逃げ…」パシュ シュルシュル
コロン… コロコロ
女オーク(行かせぬ…)ドスドス
女海賊「あぁぁ壺落とした…!!?ああああああ…壺!!そうだその手が有った」スタタタ ヒョイ
女オーク(我から逃れられると思ったかリリンめ)ドドド
女海賊「分かった分かった…ちょい待ち…その約束果たしてやんよ」ピタリ
445 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:52:55.97 ID:ZniVZVNC0
ダンゴムシ「!!?」クルリン
女海賊「裁きの神アヌ!!壺に入れ!!」ビシッ
シュゥゥゥ スポン!!
女オーク「ウゴ…」ヘナヘナ ドタリ
女海賊「よっしゃぁ!!」
シュゴーーーーーー ズドーーーン!
シュゴーーーーーー ズドーーーン!
シュゴーーーーーー ズドーーーン!
シュゴーーーーーー ズドーーーン!
女海賊「どわあぁぁぁぁ…」ゴロゴロゴロ ズザザー
アサシン「女海賊!!限界だ…戻るぞ!!」ダダ
女海賊「アサシン!!魔女も居んね?この壺を量子転移で消してぇ!!!」ポイ
アサシン「なに!?」パス
女海賊「そん中にアヌが入ってる!!今すぐ消してぇぇぇぇ!!あああああ足元が崩れ…」ヒューー
魔女「アサシン!!貸せい!!」グイ
アサシン「背中から降りるな!!」
魔女「じゃかましい!!主は離れて置くのじゃ!!次元に迷うぞ!!」スタタタ
アサシン「待て…ええい!!魔女まで勝手な事を!!」
魔女「量子転移!」シュン!
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446 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:54:39.32 ID:ZniVZVNC0
『落下する瓦礫』
ピョン シュルシュル スタ
女海賊「はぁはぁ…これヤバいなぁ…頭もクラクラする」
アサシン「女海賊!!こっちだ!!まだ飛び移れる大き目の瓦礫が残って居る」
女海賊「魔女は何処行ったん?」
アサシン「目の前で消えた」
女海賊「マジか…祈りの指輪は効果無かったんか…」
アサシン「魔女は石にでも姿を変えて落下はなんとかなるだろう…それよりもお前だ」
女海賊「ロック鳥が飛んでた筈なのさ…肝心な時に見当たんない」パシュ シュルシュル スタ
アサシン「よし来たな?あそこに見える瓦礫が元来た階段の付近だ…あそこまで行けば飛空艇が近い筈…行くぞ」パシュ シュルシュル
女海賊「あれ?…クラクラする…これヤバイ感じかも」
アサシン「何をしている早く来い!!」
女海賊「今行く…」パシュ シュルシュル スタ
アサシン「失血している様だな?エリクサーを飲んでおけ」
女海賊「壺の中だよ…もう何も持って無い」
アサシン「ええい…お前を背負って瓦礫を渡るなぞ出来んぞ…」
女海賊「線虫は掛けてあるんだ…多分まだ行ける」
アサシン「お前は飛空艇を探せ」
女海賊「アサシンはどうすんの?」
アサシン「私はまだやり残した事がある…命の水が入っていた器を破壊するのだ」
女海賊「ほんなん逃げ遅れるじゃん」
アサシン「海に落ちてしまっては探しようが無くなるのでな…お前は上手く生きろ」
女海賊「ちょ…こっから私一人?」
アサシン「フフ…独り立ちしたのだろう?ここで道が分かれるだけの事…去らば友よ」パシュ シュルシュル
女海賊「ぬぁぁぁアサシン…」
女海賊「てかどうすんだコレ…おい出て来い妖精!!ロック鳥呼んで来い!!」
ヒュゥゥゥゥ…
女海賊「なんで肝心な時に居ないんだよ!!」キョロ
女海賊「くそう地面に足も付かないな…完全に落下してんぞ…」パシュ シュルシュル スタ
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447 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:55:18.40 ID:ZniVZVNC0
『鯨型飛空艇』
フワフワ ヒュゥゥゥ
商人「もっと落下の速度上げられないかい!?」
ホムンクルス「限界です…空気抵抗でこれ以上の速さは出せません」
商人「ハイディングで加速は?」
情報屋「障害物が多すぎるわ…球皮が虫と結合して何が起きるか分からない」
商人「そんな事言ってる場合じゃ無い!!目の前で女海賊達が落下してるんだ…海に落ちたら生きて居られる訳無い」
ホムンクルス「リスク回避で一度虫の居ない方向で加速しましょう…十分高度を下げてから向かえば間に合うかもしれません」
情報屋「そ…そうね」
商人「ホムンクルス頼む」
ホムンクルス「はい…転進します」グイ シュゴーーーーー
ハイディング… スゥ…
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448 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:56:22.29 ID:ZniVZVNC0
『魂のゴブレット』
ヒュゥゥゥ クルクル
アサシン「よし見つけたぞ…これが私の最後の仕事」パシュ カン
アサシン「やはりアンカーは刺さらんか…このまま風を利用して近づくしか無いか…」ヒュゥゥゥ バサバサ
アサシン「しかし落下が随分ゆっくりに見えるものだ…瓦礫も同じ速度だからか?」
クエーーーーーーーッ
アサシン「んん?ロック鳥…どこだ?」キョロ
アサシン「まぁ良い…今はそれどころでは無い…もう少し…届け…届け…」
アサシン「つ…捕まえたぞ!魂の器め!!」グイ
アサシン「クックック…フハハハハハ」
アサシン「ようし!!破壊の剣よ!!最後に一仕事だ」スラーン
アサシン「これで終わりだ!!」ブン スパー
パリーン!!
アサシン「アッハッハッハ…最後にふさわしく見事に砕けたな」
アサシン「これで魂の牢獄はもう存在しない…」
アサシン「妹よ…やったぞ…私はやり遂げた」
アサシン「友よ…新しい世界でもう一度生まれて来い」
アサシン「私は海で待って居る…フハハハハハ」
ヒュゥゥゥゥゥ…
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449 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:57:01.16 ID:ZniVZVNC0
『魔女』
ヒューーーー バサバサ
魔女「落ちて居る様じゃが何も見えんのぅ」
魔女「どうなって居るんか…」
魔女「さて…鉄に変性すれば生き延びれるやも知れぬが…」
魔女「深海まで落ちて誰か助けに来るじゃろうか…」
魔女「まぁ考えるだけ無駄じゃな…」
魔女「しかし気持ち良いのぅ…」
魔女「最後に神を葬ったのはわらわじゃったか…」
魔女「もう何も考えたく無いわい…」
魔女「んん?待てよ?自分に重力魔法を掛ければ良いかも知れんな…」
魔女「金貨は持って居る…よしよし試してみようぞ」
アブラカタブラ…
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450 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:57:48.65 ID:ZniVZVNC0
『女海賊』
ピョン シュルシュル スタ
女海賊「ぬぁぁぁ…もう飛び移れる瓦礫が無い…ここまでか」
女海賊「飛空艇見えてんのに…くっそあっちが私を見つけらんないんだ」
クエーーーーーー バッサ バッサ
女海賊「おおおおロック鳥!!よしよし妖精に言われて来てくれたんだね?」
ロック鳥「クエックエ」ガシッ
ツルン!
女海賊「ちょ!!」
ロック鳥「クエーーーーーーー!!」ガシッ
ツルリン!!
女海賊「おいおいちゃんと捕まえて…」
女海賊「飛び乗りゃ良いか…」ピョン
ロック鳥「クエーーーーーーー!!」バッサ バッサ
女海賊「行けぇ!!」ピョン
ツルツル ヌルリン!!
女海賊「だぁぁぁ!!ここまでか…」
ドップーーーーーーン ゴボゴボ
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451 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 11:58:49.93 ID:ZniVZVNC0
『鯨型飛空艇』
フワフワ フワフワ
商人「ぁぁぁ…全部海の中へ消えて行った…」ボーゼン
ローグ「姉さんが何処に行っちまったか分からんっすか?」キョロ
商人「ダメだ…完全に見失ってる…」
ホムンクルス「ロック鳥が何か捕まえかけて海に落ちた様ですので探しに向かいます…」グイ シュゴーーーー
商人「幽霊船も見当たらない…どこで逸れてしまったか…」
ローグ「望遠鏡は何処に行きやしたかね?」ゴソゴソ
商人「荷は全部幽霊船に降ろしてあるよ…目視で探すしかない」
ローグ「マズいっすねぇ…マズいっすねぇ…あっしだけ生き残っちゃ幽霊船にも戻れんでやんす」
商人「死ぬ気で探そう…」
ローグ「へい!!早い所高度下げて下せぇ」
情報屋「ところで女戦士の具合は?」
ローグ「浅い呼吸してるんで最悪の事態は免れたっぽいでやんす」
情報屋「ほっ…」
ローグ「心臓マッサージやり過ぎで多分あばら骨何本か折っちまいやした」
452 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:00:37.51 ID:ZniVZVNC0
『数時間後』
シュゴーーーーー ヒュゥゥ
情報屋「見つけたわ!!…北の方向!!亀の甲羅が見える!!」
商人「良かったぁぁ…よし!!幽霊船もある!!」
ローグ「まだ姉さんが見つかって居やせん…」
商人「まず一回船に戻って補給しよう…水無しじゃ流石にキツイでしょ」
情報屋「そうね…もう喉がカラカラよ」
ローグ「へい…」ショボン
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453 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:01:11.77 ID:ZniVZVNC0
『幽霊船』
トンテンカン トンテンカン
オークは浸水した海水を樽で運び出すでがんす!!
修復用の木材切り出し急ぐでごわす!!
フワフワ ドッスン
ローグ「あららららら…こっちもエライことになってるでやんすね」
商人「帆が無くなってる…」アゼン
海賊「頭ぁぁぁぁ!!」ドスドス
ローグ「ちっと色々有ってでやんすね…頭は絶対安静な状態っす」
商人「運ぶの手伝ってもらって良いかな?ヨイショ!!」ヨッコラ
海賊「がってん!!」
ローグ「とりあえず頭を横にさせたらあっしらは姉さんを探しに出かけやす」
海賊「姉さんはどちらへ?」
商人「海に落ちた…」
海賊「えええええ!!?」
商人「分かってるさドワーフは沈んじゃうよね…何かに掴まってなんとか凌いでるさ…きっと」ググ
ローグ「急いで下せぇ」
商人「こっちはどうしてこんな事に?」
海賊「大波と渦に何度も飲まれてこの有様でがんす」
商人「帆が破れてどこかに流されたのか」
海賊「へい…修理に10日ぐらい掛かるでがんす」
商人「仕方ないね…こっちも女海賊達の捜索をしなくちゃいけない」
海賊「1人では無いという事でがんすか?」
ローグ「3人不明になってるんす」
情報屋「…やっぱり貝殻で魔女と通信出来ないわ」トボトボ
商人「そうか…」トーイメ
ホムンクルス「水と食料を少し飛空艇に運んでおきますね」スタ
商人「うん…お願い…直ぐに探しに出かけよう」
ホムンクルス「はい…」
--------------
454 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:01:53.60 ID:ZniVZVNC0
『船長室』
ユラ ギシ
ローグ「頭はあばらの骨が折れてるんで目を覚ましても無理はさせんで下せぇ」
海賊「がってん承知の助!」
情報屋「ローグ?私が船に残って見ていてあげるわ」
ローグ「そーっすね…」
情報屋「実は調べたい事もあるのよ」
商人「ん?それは?」
情報屋「あまり口に出したく無いけれど…急に楽園が落下した事と貝殻が通じない事を鑑みると…魔女はもう…」
商人「ハハ…やっぱり君もそう思うか」
情報屋「未来君達と同じ事が起きてるかも知れないと思って…」
商人「確かに…フィン・イッシュの古代遺跡で退魔の方陣があった説明が付くようになるね」
情報屋「そういう事よ…剣士と未来君の2人じゃなくてそこに魔女が同伴してたかも知れない…それでいろいろ説明が付くから」
商人「分かった!その線は君に任せるよ…僕達は不明になった女海賊を第一に捜索する」
情報屋「アサシンは?」
商人「う〜ん…アサシンは死に場所を探して居たからねぇ…無事ならそれで良いけど…僕はもうアサシンは心配してない」
情報屋「そう…」
ローグ「商人さんそろそろ行きやしょうか」
商人「うん!行こう!蒼い瞳の勇者が居ないとこの次元も無いに等しいんだから」
ローグ「それそれ!それっす!!姉さんがすべてなんす」
商人「じゃぁ行って来るね…あとよろしく」スタ
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455 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:02:36.09 ID:ZniVZVNC0
『海底』
ブクブク ゴボゴボ
女海賊「…」---ヌルヌルのお陰で着水はなんとかなった---
女海賊「…」---でもダメだ…右も左も分かんない---
女海賊「…」---息止めるのは3分くらいが限界---
女海賊「…」---3分で寝れるかなぁ…---
女海賊「…」---苦しくなる前に寝ちゃいたいなぁ---
女海賊「…」---てか妖精何処行ったんだよ!!---
女海賊「…」---あ…海の中は狭間から遠いんだっけ---
女海賊「…」---出てくる訳無いか---
女海賊「…」---お姉ぇどうなったかな---
女海賊「…」---やべ…苦しくなって来た---
女海賊「…」---寝る!寝る寝る寝る!---
--------------
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--------------
456 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:03:12.55 ID:ZniVZVNC0
『夢』
サブ〜ン ギシ
私「あんたさぁ…なんでいっつもそんなボーっとしてんの?」
君「聞こえるんだ…」
私「何?波の音?」
君「波の音も…風の音も…命の音も」
私「何それ?ヤッた後の賢者タイム?」
君「君も良く耳を澄ませてごらんよ」
私「…」グゥゥゥ キュルル
君「ハハ…良く聞こえる」
私「これも命の音なん?」
君「そうだね」
私「はぁぁお腹空いたなぁ…」
君「寝れば忘れられるかもね」
私「このまま寝て良い?素っ裸だけど」
君「良いよ…」
私「ちょい寒いな…背中貸して」
君「フフ…」
私「あ…良い事思いついた」
君「今度は何?」
私「人工呼吸を交互にやったら一生息続くんじゃね?」
君「え…本当?」
私「ちょい試してみようよ…私が先にあんたに息入れるから次はそのまま返して」
君「君は変な事考えるんだね…」
私「はいこっち向いて…いくよ」チュゥ
フーーーーーーー
君「むぐぐ…」すぅぅぅぅ
フーーーーーーー
私「すぅぅぅぅ…ホラ!!これ一生続けられるぞ?」
君「どこまで続くか試してみようか…」
フーーーーーーー
スゥーーーーーー
フーーーーーーー
スゥーーーーーー
---あの時に戻りたい---
---このままあの時に行けるかな---
457 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:03:55.00 ID:ZniVZVNC0
こうして人知れず神々の戦いは終わりを告げた…
そしてその日…殆ど誰にも気付かれる事無く
月は退魔の輝きを発し始めた…
その夜…
458 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:04:36.67 ID:ZniVZVNC0
『鯨型飛空艇』
フワフワ スィーーーー
ローグ「光の石をもう少し下げて下せぇ!!」
商人「どう?」
ローグ「ダメっすね…どっかから漂流してきた空の樽でやんす」
商人「くそう!!一応持って帰ろうか」
ローグ「夜は捜索がやっぱ厳しいっすね…」シュルシュル
商人「うん…無人島がちらちらあるからそっちも回った方が良さそうだ」
ローグ「よいしょぉ!!」ドスン
商人「どこから流れて来るんだ?そんなに古い樽じゃないな…」
ローグ「アレっすよ…オークが乗って来たガレオン級の船…近くで沈没していやすよね」
商人「あぁぁそんなの有ったな」
ローグ「帆はアレから外して持ってくると良さそうでやんす」
商人「そうか…夜間はそういう作業した方が良いな」
ローグ「う〜ん…帆もかなり重いんで飛空艇で運ぶのはちっと無理だと思いやす」
商人「小舟使うしか無いか」
ローグ「そーっすね…場所だけしっかり分かるようにすれば良いっすね」
商人「一回戻って作戦練り直そうか…暗い中闇雲に探しても効率が悪すぎる」
ローグ「そうしやしょう…頭の事も気になりやす」
商人「ホムンクルス!一旦休憩する」
ホムンクルス「はい…幽霊船はエクスカリバーの光で遠くからでも分かりやすいですね」
商人「うん…向こうからもこっちの光が見えてる筈」
ホムンクルス「貝殻の通信が無いので簡単な光での情報伝達も必要になりそうですね」
商人「そうだね…そういうのも練り直さないといけない」
ホムンクルス「では戻ります」グイ シュゴーーーーー
--------------
459 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:05:23.26 ID:ZniVZVNC0
『幽霊船』
トントントン ギコギコ
かしらは横になってて良いでがんす
私の体は私が一番知って居る…このような状況で落ち着いて寝て居られるものか
船体が傾いているのは右舷側の居室が水に浸かっているせいだけか?
そうでがんす…窓から海水が入って来て排水が間に合いやせん
荷が重すぎた訳か…一度降ろすにしても亀の背ではそう上手くいかんな…
窓を一度全部木材で打ち付けてしまえばなんとか排水出来るでがんす
動けるオークはどの位だ?
まともに働けるのは6人っすね…出来れば今晩中に排水を終わらせたいでがんす
おお?かしらぁ…飛空艇が戻って来る様ですぜ?
話を聞いて来る…作業を続けていてくれ
がってん!!
フワフワ フワフワ
ローグ「着座しにくいんでロープでくくり着けときやしょう…先に居りやすぜ?」ピョン
商人「拾った資材を降ろしたいな…放り投げて良いかい」
ローグ「バッチコーイ!!でやんす」
商人「ヨッ!!」ポイ ドサー
ツカツカ…
女戦士「妹は見つかったか?」
ローグ「うぉ!!か…かしらぁぁ!!目を覚ましたんすね!!もう動いて大丈夫なんすか?」
商人「あぁ…君が無事で何よりだ」
460 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:06:23.39 ID:ZniVZVNC0
女戦士「一番に降りて来ん所をみると…まだ見つかって居ないのだな?」
ローグ「残念ながらそうでやんす…夜の海を捜索するのは無理があるんで一度戻ってきやした」
女戦士「…」トーイメ
商人「まぁ…女海賊なら上手く乗り切ってるさ…もう少し明るくなったらすこし捜索範囲広げようと思う」
女戦士「まぁ仕方が無い…お前は良いとしてホムンクルスは少し休ませてやるのだ」
ホムンクルス「お気遣い無く…私も飛び移ります」ピョン スタ
女戦士「情報屋が食事を用意してくれている…食べて来て良いぞ…左舷側の居室だ」
ホムンクルス「分かりました」
商人「ところで君は何も体に不調は無いかい?」
女戦士「有るには有るが辛抱出来ん訳では無い」
商人「記憶とかは?」
女戦士「自分では自覚出来ん…ただ夢をずっと見て居た様に感じる」
商人「夢?夢幻を見たかな?」
女戦士「いや…私はオークシャーマンに何かやられたのに気付かずずっと事の行方を見て居たのだ」
商人「ん?それが夢?」
女戦士「今となっては夢だった様に感じる…妹が言う事を聞かないのが腹立たしくてな…ずっと死んだ事に気付いて居なかった」
女戦士「後に妖精が目の前に現れてやっと理解した…死んで居ると」
商人「事の行方を見ていたというのは?僕達は女海賊達に何が起きて居たのか知らないんだよ」
女戦士「アヌを封印の壺に封じて魔女の魔法で消し去った…直後に足元が崩落して行ったのだが私は宙に浮いたままだった」
商人「やっぱりそうだったか」
女戦士「フフ混乱したぞ?これもエクスカリバーの効果なのかと思ってな」
商人「その時点でもまだ死んでる事に気付いて無い訳か」
女戦士「慢心だったな…時の王と同じく不滅の肉体を得たと勘違えていたのだ…不滅を得たのはエクスカリバーだけだった様だ」
商人「それでどうやって生き返った?」
女戦士「何も無い宙に浮いたままの状態が不思議でな…」
周りを見回して急に孤独と恐怖が沸き上がって来た
どちらの方向に歩いても動いてる感じがしない
そこで手を引っ張てくれたのは何処からか現れた妖精だった
妖精の後を付いて行く間に色々話を聞いた
君は死んだんだよ…狭間に迷ってるから僕が案内してあげるね…
その他にはいつもの様にどうでも良い話…
そんな話の中で気付いたのは…私の事をいつの間にビッグママと呼んで居た事だ
461 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:07:55.00 ID:ZniVZVNC0
商人「それって…」
女戦士「ただそれは夢だったのかも知れない…ふと目を開けたら私はベッドに横たわっていたのだ」
商人「スゴイな…臨死体験か…そんな風に導かれるのか」
女戦士「妖精が居ると思うともう何も怖い物が無くなった…恐怖も孤独も憎悪も何もかもすっかり消えている」
商人「分かるよ…妖精の笛で眠ってしまった後もそんな感じさ」
女戦士「だから妹も無事で居ると信じられる」
商人「今の話を聞いて僕も安心したよ」
女戦士「だからと言って捜索を止める訳では無いぞ?」
商人「ハハ分かって居るさ…でもそうか…未来君はそういう存在になったのか…」
女戦士「さて商人!お前にはまだ働いて貰わないといけない事が有る」
商人「はいはい…何かな?」
女戦士「夜が明けたら妹を捜索しながら付近の島々の場所を海図に記して欲しいのだ」
商人「あーーその必要性を僕も言いたかったのさ…」
女戦士「休憩が済んだら後で船長室まで来てくれ」
商人「分かったよ…ちょっとワインを探して来るね」スタ
女戦士「それからローグ!!話は聞いたぞ?お前が私を救ったとな?」
ローグ「ヌフフフ待って居やしたぜその台詞…ヌフフフ」
女戦士「私の体を好きな様に触ったそうだな?」
ローグ「あイヤイヤそういうイヤらしい感じは無かったでやんす」
女戦士「まぁ良い…褒美だ」
ローグ「何をしてくれやすか?」ニヒヒヒ
女戦士「私は未来の様な子供が欲しくなった…あとは分かるな?」
ローグ「ちょ…ままままマジっすか…い…いつ入用でやんすか?」
女戦士「出来るだけ早く欲しい…準備しておけ」
ローグ「へい!!急ぎで準備しやす!!」ズダダ ヒャッホー
-------------
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462 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:10:01.44 ID:ZniVZVNC0
『見張り台』
ギシギシ…
商人「ホムンクルス!!そこで何してるんだい?」
ホムンクルス「妖精さんを探して居るのです」キョロ
商人「高い場所の方が見つかりやすいのか…」
ホムンクルス「どこにも見当たりません」シュン
商人「アレ?君が持ってる明かりはランタンじゃないね…それどうしたの?」
ホムンクルス「砂銀に照明魔法を掛けているのです」
商人「ええええええ!?なんで?君が魔法を使う?」
ホムンクルス「魔術書に手順が記されています…光魔法の基本だそうです」
商人「驚いたな…他にも何か使えるのかい?」
ホムンクルス「色々試しましたがこれしか使えませんね…適正があると書かれています」
商人「それでもスゴイ事だ…その魔法で簡単な灯台が作れる」
ホムンクルス「直ぐに消えてしまいますが?」
商人「魔女が魔力と質量に依存するとか言ってたじゃない…砂銀じゃなくて銀貨とか銀塊使えば良い」
ホムンクルス「反作用のリスクが有るので乱用は禁止ですよ」
商人「反作用なんてあるのか…」
ホムンクルス「闇の作用で毒が発生したりするらしいです」
商人「なるほど…ちゃんと学ばないと危ないんだ」
ホムンクルス「はい…」
スゥ…
ホムンクルス「あ…消えてしまいました」
463 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:10:32.37 ID:ZniVZVNC0
商人「危ないから降りておいでよ」
ホムンクルス「分かりました…」ピョン ピョン スルスル
商人「身軽になったねぇ」
ホムンクルス「憧れて居たのです…ロープを渡る練習もしていますよ」
商人「憧れか…良いね…そういうの」
ホムンクルス「私も海賊の一員ですから」
商人「そうそう…気になってたんだけどさぁ…亀って全然動かないじゃない?君は亀と話せないのかい?」
ホムンクルス「妖精さんが仲介役なのです…直接お話は出来ません」
商人「なるほどね…でもクジラとは話が通じるよね?」
ホムンクルス「少しでしたら…」
商人「クジラにも女海賊知らないか聞いてみてくれないかい?」
ホムンクルス「分かりました…ただ妖精さんが居ないとクジラを呼べないかもしれません」
商人「あああああ…やっぱり妖精が仲介役か…」
ホムンクルス「月に退魔が宿ったので狭間が遠ざかってしまいましたね…」ショボン
商人「探すのは月の無い時だね」
ホムンクルス「その様です…」
商人「まぁ今日はもう休みなよ…夜が明けたら忙しくなる」
ホムンクルス「はい…夢で妖精さんとお話をしてきます」
商人「じゃぁ僕は女戦士に呼ばれてるから行って来る…又明日」ノシ
ホムンクルス「はい…おやすみなさい」ノシ
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464 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:11:15.41 ID:ZniVZVNC0
『船長室』
ガチャリ バタン
女戦士「…浮島の進行方向は海図でいうこちらの方向だ…動いて居るから基準として使うのは望ましくない」
情報屋「あ…商人やっと来たわね」
商人「んん?何の話かな?」
女戦士「この海域で拠点を作りたいという話だ」
商人「ここに留まるのかい?」
女戦士「魔女の行方が分かるまではな…不明になったまま放置ではシン・リーンへ顔向けも出来ん」
商人「というか魔女はもう…」
情報屋「過去の記録を探しても魔女が居たという痕跡が見当たらないのよ」
商人「記録って?」
情報屋「まぁ壁画の写しなんだけれど…同年代の他の伝承でもそれらしき人物が居ない」
商人「不確定すぎるなぁ…」
情報屋「今までの未来君達の事から量子転移で次元を飛んだ場合…その場所を維持したまま過去に遡るのよ」
商人「…という事は海に落下した可能性が高い訳か…」
情報屋「そう…魔女なら石とか鉄に変性して海底で眠ってる可能性があるの」
商人「なるほど…」
女戦士「それにだ…大漁の金塊が沈んでいる事が分かって居るのだ…放置するのも勿体無い」
商人「あぁ…拠点を作って金塊のサルベージか…」
女戦士「そういう事だ…恐らく将来的にフィン・イッシュは貿易港になるだろう…ここに海士島の様な拠点があれば尚良い訳だ」
商人「じゃぁ君はここに定住するのかい?」
女戦士「いや…そのつもりは無い…足掛かりを作って外海を巡る…海賊なのだから」
商人「フフ…それで良いよ」
465 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:11:46.57 ID:ZniVZVNC0
女戦士「…それでだ…周辺の島々で拠点にするのに良い場所を探したい」
商人「そうだね…亀はいつ動くか分からないしね」
女戦士「まず飛空艇で周辺の島々を探して海図に加えるのと…妹の捜索だ」
商人「おけおけ…僕とホムンクルス…それからローグを連れて行って良いね?」
女戦士「ローグは残して欲しい…お前とホムンクルスの2人で捜索してくれ」
商人「う〜ん…まぁ何とかなるかぁ…」
ローグ「あっしは何するんすか?」
女戦士「小舟を使って沈没船から物資移送だ…帆が無いと船を動かせんからな」
ローグ「うは…めちゃ大変な役じゃないっすか…シーサーペントがうじゃうじゃいやすぜ?」
女戦士「食料には困らんと思ってヤレ…褒美は弾む」
ローグ「ウハハあっしに任せて下せぇ!!」
女戦士「船大工の海賊2人は動かせん…オークから誰か選んで連れて行くのだ」
ローグ「へい!!」
女戦士「それから飛空艇はこまめに戻って状況を報告してくれ…そうだな…4時間おきだ」
情報屋「なんか大変そうね…私も飛空艇に乗ろうかしら?」
女戦士「いや…情報屋は食事とオーク達の手当てを頼む…それから通訳…他に適任が居ない」
商人「飛空艇は2人で大丈夫さ…ホムンクルスが意外と動ける」
情報屋「そ…そうね…確かに人員が不足ね」
女戦士「もうすぐ夜明けだ…今の内に仮眠しておくのだ」
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466 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:12:28.03 ID:ZniVZVNC0
『日の出』
ザザー ザザザ…
ドス ドス ドス ドス ゴトン
カサカサ カサカサ カサカサカサ…
女海賊「…」パチ ムクリ
ダンゴムシ「!!?」カサカサ
女海賊「あれ?ここ何処?」キョロ
女海賊「んがぁ…口の中砂だらけだ…」ペッ ペッ
小さなゴーレム「…」ヨイヨイ
女海賊「私死んで無いっぽい?あんたが助けてくれたん?」キョロ
小さなゴーレム「…」フリフリ
女海賊「何コレ積んでる石…もしかしてコレ私の墓?」
カサカサ カサカサ
女海賊「おぉアラクネー!!あんたも無事か!!ワームは何処行った?」
女海賊「あぁ居た居た!良かったみんな無事だったかぁ…ヨシヨシおいで」
ワーム「プギャー」モソモソ
アラクネー「…」カサカサ
ダンゴムシ「…」カサカサ
小さなゴーレム「…」ボー
女海賊「ほんでここ何処だ?…私寝ちゃったからどうなったか覚えて無いなぁ…」ポリポリ
女海賊「…まてよ?もしかしたら次元飛んだかも…」スック ヨロ
女海賊「おととと…ふらつく」フラフラ
女海賊「これ失血だな…もっかい寝るか」
グゥゥゥゥ キュルルル
女海賊「あぁそうだ…お腹空いた夢見たんだ…そうそう人口呼吸でお腹膨らませたんだ」
467 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:13:05.81 ID:ZniVZVNC0
女海賊「最悪の夢だったなぁ…眼を開けたら人工呼吸した相手が女エルフだった…」
女海賊「なんか食い物持って無かったっけ…」ゴソゴソ
革袋に種類が少し…こんなんじゃ腹の足しにならん
えーっと持ってる物は…ミスリルナイフと短い破壊の剣…あと望遠鏡か…
特殊クロスボウはどっかに落としたなこりゃ…
まぁ弾無いから持ってても意味無いか…
ワイヤー装置は腰にくっ付いたまんまだ…とりあえずこれでクロスボウの代わりにはなるな
んぁぁぁ後全部封印の壺の中だ…全部どっか行ったわコレ
あ!!そうそう笛だ…笛だけ取り出しやすい様にしといたんだ
有った有った…よしよしこれで妖精呼べる
女海賊「ハム…」ピーヒャララ
女海賊「おい!!妖精出て来い!!おっぱいに挟まってんだろ?」モミモミ
女海賊「…」
女海賊「……」
女海賊「………」
女海賊「くっそ日の出か…多分今狭間遠いんだな…」
小さなゴーレム「…」zzz
女海賊「あぁゴメン…寝ちゃったか…」
女海賊「しゃー無い…なんか食い物探すかぁ…ん?あれ?」
女海賊「なんだでっかい貝が落ちてんじゃん!!お!!あっちにも一杯」スタタ
女海賊「そうだよ失血には貝が一番良いのさ…てかもしかしてちっこいゴーレムが集めたんか?」キョロ
女海賊「おぉ!!良く見たら流木とか集めてんじゃん」ガッサ ガッサ
女海賊「えーと…どうやって火ぃ起す?」キョロ
女海賊「よし望遠鏡から一個レンズ外そう…」カチャカチャ
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468 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:14:03.22 ID:ZniVZVNC0
『焚火』
メラメラ パチ
女海賊「ハフハフ…ホフ…うんま!!」モグモグ
女海賊「あちちち…これ汁も美味いんだ…」ズズズ
女海賊「これあんま飲むと喉渇くな…水探しに行かないとな」
女海賊「おいダンゴムシ!!食料だぞ!!種食って良いぞ」パラパラ
ダンゴムシ「…」パク モグ
バシャーン ジャブ
女海賊「んん?なんだぁ?」キョロ
女海賊「岩場の方か…」スタタタ ピュー
女海賊「おぉ!!くそデッカイ魚が泳いでんじゃん」
ザバァァーー
女海賊「うわわわ…何々!!」タジ
女海賊「え?え?え?なんで女エルフ居んのよ…ちょちょちょ…ちょい待って!」
人魚「ウフフフ…」ピョン ドボーン
女海賊「おぉぉぉ…人魚か…」アゼン
女海賊「あれ?…」
女海賊「もしかして人工呼吸したのは人魚か?」
女海賊「アレは夢じゃ無かったんか…」
女海賊「そうか…人魚に助けられたんだ…」
女海賊「貝も人魚が持って来たんだ…」
女海賊「おーーーーーい!!」フリフリ
ピョン バシャーン
女海賊「なーんか女エルフみたいで腹立つなぁ…」イラ
女海賊「話しかけてくれりゃ良いのにさ…」
女海賊「あぁぁどっか行っちゃったな…そういう所なんだよ」
女海賊「でもなんか元気出て来たぞぉ!!」ムン!
女海賊「おっし!!探検すっかぁ!!」スタタタ ピューー
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469 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:14:41.82 ID:ZniVZVNC0
『無人島探索』
ガッサ ガッサ
女海賊「雑草はいっぱい有る…持って帰るのシンドイな」ワッサ ワサ
女海賊「謎の種が生る低木…食えれば当分食料困んない…これで船作るのは厳しそう」
女海賊「雨除けが出来る洞窟は見当たらない…まぁ海辺の岩場をくり抜けばなんとかなるか」
女海賊「飲み水は岩場に溜まった雨水でどうにかなる」
女海賊「動物は鳥とヘビだ…鳥捕まえるのムリっぽいから食うのはヘビが良いか」
ドサーーー
女海賊「おい!!まだ寝てんのかよ!!お前も手伝えよ」キック
小さなゴーレム「…」ゴロン ドスン
女海賊「あぁ疲れた…」ドター
女海賊「こりゃ今日は寝床作って終わっちゃいそうだ…まぁ一人分なら直ぐ終わるか…」
女海賊「話し相手が居ないのがなぁ…おい妖精!!早く出て来い!!」シーン
女海賊「やっぱ昼間は出て来ないよねぇ…」ショボン
女海賊「ちっと雑草の上で昼寝でもすっかな…」ゴロン
女海賊「ふぅぅぅ…なんか久しぶりにダラダラしてる気がする…こういうのも悪く無いな」
女海賊「とりあえず今日の食い物はなんとかなってるし…さぁ寝る!!」グゥ
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470 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:15:19.44 ID:ZniVZVNC0
『黄昏時』
ザザー ザブン
女海賊「ふごーー」zzz
小さなゴーレム「!!?」ムクリ キョロ
ドス ドス ドス ドス
女海賊「ふが?」パチ
小さなゴーレム「…」フリフリ
女海賊「や…やば…寝すぎた」ゴシゴシ
女海賊「寝床作る計画ががが…」
女海賊「体疲れてたんだな…んむむむむ」ノビー
女海賊「ちっこいゴーレム起きたな?ちっと岩場に穴掘るからそこの雑草を運んで欲しいんだ」
小さなゴーレム「…」ハテ? キョトン
女海賊「まぁ良いや…風避け無いと夜中寒い訳よ…寝床移すから付いて来て」スック スタ
小さなゴーレム「…」ドスドスドス
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471 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:15:50.44 ID:ZniVZVNC0
『岩場の洞穴』
スパ スパ ゴロゴロ
女海賊「まぁこんなもんで良いか…切り出した石を横に積んどいてよ…あんた得意でしょ?」
小さなゴーレム「…」ムイムイ
女海賊「ちっと雑草入れて寝床作るわ…」ガッサ ガッサ
小さなゴーレム「…」ドスドス ゴトン
女海賊「そうそうそんな感じ…ちゃんと言葉通じてるじゃん」ワッセ ワッセ
女海賊「ちっと雑草結って籠でも作るかな…」ゴソゴソ
流木切り出してお皿とコップも作ろう…
あと明かりが欲しいなぁ…油が無いから焚火するしか無いかぁ…
木材が全然足りない…焚火で速攻無くなっちゃうぞ…どうしよう
調理する以外は焚火しない方が良いな
明かり…明かり…夜光虫居ないかな?
女海賊「おいオマイ達!!夜光虫探して連れて来るんだ!!」
ダンゴムシ「??」
アラクネー「??」
ワーム「…」ケッ
ダンゴムシ「…」クルリン
アラクネー「…」zzz
ワーム「…」グター
女海賊「うは…分かりやすwやる気無し男かよ…うーん…まぁ確かに綺麗な水辺じゃないと居ないか…」
女海賊「ちっこい釜戸作って節約しながら火を起こすか…石は余ってるし」
女海賊「そうだそうしよう…」ゴソゴソ
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472 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:16:28.27 ID:ZniVZVNC0
『釜戸』
メラメラ パチ
女海賊「すっかり日が落ちちゃった…下手に出歩くと海に落ちそうだ」
女海賊「昼間寝すぎたからこりゃ夜眠れないな…」
女海賊「あ…そうだ南極星観測して方角を確定させよう…てか今日は月明かりで結構明るいじゃん」
女海賊「お〜い!!妖精そろそろ出てこ〜い!!」
シーン…
女海賊「…」ショボン
女海賊「まぁ良いや…星の観測行くよ!!おいで!!」
ダンゴムシ「…」カサカサ
女海賊「ほら3匹とも行くぞ!!おっぱいの中は暖かいぞ!」グイ
女海賊「アラクネーは最近髪の毛の中が良いんだっけ?入ってろ!」
アラクネー「…」カサカサ
女海賊「ほらワーム!!早くしな!!へそのゴマ食って良いから」
ワーム「!!?」ニョロ モソモソ
女海賊「おーし!!ちっこいゴーレム!!…なんか呼びにくいなゴレキチ行くよ!!」
小さなゴーレム「!!!」ドスドス
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473 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:17:08.04 ID:ZniVZVNC0
『星空』
キラキラ キラキラ
女海賊「久しぶりだなぁ…こんな満点の星空!!」
女海賊「ふむ南極星が低い位置だから赤道に近いんだ…ほんで今の時間でサソリ座が出てる…」
女海賊「もうすぐ夏が終わるって事か?なんか良く分かんないなぁ…」
女海賊「月は十三夜月っていう形だよ…丁度望遠鏡で見やすいんだ」ゴソゴソ
女海賊「おぉぉ良く見える…あ!!退魔の方陣が完成してるっぽい」
女海賊「そうか…そう言う事か…だから妖精が見え無いのか…」
女海賊「…」
女海賊「でもいつもおっぱいに挟まってるんだろ?ちゃんと声を聞いてるんだろ?」
女海賊「…」
女海賊「……」
女海賊「………」
女海賊「そっか…なんか寂しいけど…しょうがないね」
ダンゴムシ「…」モジモジ
女海賊「んん?あー…あんたも望遠鏡で月を見たいんだね…おけおけ…私が持っててあげる」スッ
女海賊「ホラ?」
ダンゴムシ「…」ジー
女海賊「おっきく見えるだろぉ?…月に行ったみたいだろぉ?」ポロ
女海賊「アレ?なんか涙出て来た…」プルプル
ダンゴムシ「…」ジー
女海賊「ごめんよ…月に連れて行けなくてさ…」ポロポロ
女海賊「今回はこれで勘弁して…また作戦考えるから」プルプル
女海賊「分かってるよ…あんたが色んな事我慢して妖精になってるってさ…」
女海賊「もうちょい我慢して…そうだ!!次はもうちょい大きな望遠鏡で月を見よう」
ダンゴムシ「マ…」
女海賊「え!?」ビク
ダンゴムシ「マ…」
女海賊「ちょ…あんたの鳴き声って…マジか…ダンゴムシって鳴くんか?」
マ…
マ…
女海賊「ぶわぁぁ…未来…未来ぃぃ…」ポロポロ
女海賊「ごべんよ未来ぃうぅぅぅぅ…うわぁぁん」ポロポロ
マ…
マ…
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474 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:17:59.81 ID:ZniVZVNC0
『数日後_幽霊船』
トントントン ギュギュッ
女戦士「よし…これで帆走出来るだろう」
ローグ「良かったっすねぇ…沈没船の帆がそのまま使えて」
女戦士「うむ…これで捜索範囲がもう少し自由利く」
ローグ「沈没船からもう少し木材取れそうなんすが…どうしやす?」
女戦士「程度にもよるが…」
ローグ「ミズンマストが折れて無いんで太くて長い木材が一本取れそうでやんす」
女戦士「う〜む…欲しいには欲しいが乗せられんのがな…」
ローグ「あ…飛空艇が戻って来やすぜ?」
女戦士「早いな…何か見つけたか」
ローグ「姉さんだと良いんすが…」
シュゴーーーーー フワフワ
女戦士「どうした!?飛空艇は降ろさんのか?」
商人「生きている人間を見つけたんだ…一人そっちに乗せても良いかい?」
女戦士「なに?」
商人「例の浮島で石化していた人達だよ…沢山居るんだ…事情を聞くために一人連れて来た」
女戦士「そういう事か…信用出来そうか?」
商人「さぁどうかな?本人は時の王の配下だと言ってる」
女戦士「また飛んだ人物を連れて来たな…武器は持って居ないな?」
商人「大丈夫!!争う気は無いよ」
女戦士「よし降ろせ!!」
商人「僕は探索に戻るからあとはお願い…きっと情報屋が知りたい情報が聞けるよ」
女戦士「フフそれは楽しみだ」
商人「さぁ飛び乗って!!」
謎の男「あぁ…」ピョン ドスン
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475 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:18:41.93 ID:ZniVZVNC0
『甲板』
ユラ〜 ギシ
女戦士「散らかった船で済まんな…私が船長の女戦士だ」ツカツカ
謎の男「シン・リーン魔道旅団付き赤の分隊長…名は魔剣士だ」
女戦士「フフ…まぁ堅いのは抜きだ…もう事情は聞いて居るか?」
魔剣士「にわか信じられない…2000年以上も時が経って居るなどとは…」
女戦士「これが何か分かるか?」スラリ ピカー
魔剣士「む…その輝き…我らが王の物…エクスカリバー」
女戦士「そうだ…今の時代では時の王と呼ばれている…違うな…呼ばれていた」
魔剣士「やはり過去の事だと…」
女戦士「こう言えば理解出来そうか?ほんの10年前まで不滅の肉体で生きていた」
魔剣士「おぉぉ!!ではメデューサを無事討伐し魔王も…」
女戦士「これは話が長くなりそうだな」
魔剣士「私も聞きたい事が沢山あるのだ…」
女戦士「まぁそう焦るな…とりあえず直近の話からだ…その赤の分隊だったか?見方は何名ほど残って居る?」
魔剣士「正確にはまだ把握していない…眼を覚ましていきなり戦闘になってしまった」
女戦士「んん?小型の機械か?」
魔剣士「機械?良く分からんが物理系の魔法の様だ」
女戦士「フフ…まぁそう思うだろうな」
魔剣士「確認出来た味方は15名程…魔法の触媒が乏しく隠れ潜んで居る」
女戦士「なるほど…では取り引きだな…武器と触媒を提供する代わりに一時的に私達に協力して貰いたい」
魔剣士「協力?」
女戦士「今シン・リーンの姫君を捜索している所なのだ…そうだな…お前達の王の子孫と言えば良いか」
魔剣士「なんと!!」
女戦士「無事に見つける事が出来たならお前達をシン・リーンへ送り届ける事を約束する」
魔剣士「フフフ…ハハハハ…断る理由が無い」
女戦士「取り引き成立だな?」
魔剣士「これからどうすれば?」
女戦士「万全では無いが丁度船を動かす事が出来るようになった所だ…まず味方の確保だな」
魔剣士「私は案内出来ない…周辺の事情が分からなさすぎる」
女戦士「分かっている…現地でこちらを敵と認識しない様にだけ振舞って欲しい」
魔剣士「なるほど…了解した」
女戦士「よし早速移動を始める…ローグ!居室に案内して情報屋と引き合わせてくれ」
ローグ「分かりやした…ワクワクしてきやしたねぇ!こっちでやんす…付いて来て下せぇ」スタ
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476 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:19:19.91 ID:ZniVZVNC0
『帆走』
バサバサ ザブ〜ン
女戦士「メインマストの横帆がまだ広げられんがなんとか進む様だ…」
海賊「修理にはもう少し時間がかかるでがんす」
女戦士「人駆が足りんのは分かっている…焦る必要は無い」
海賊「へい!!」
ローグ「頭ぁ!!沈没船の周辺は岩礁がある様なんで迂回した方が良いっす」
女戦士「そうだな…海図を商人が持って行ったままだから帰りを待つ」
スタスタ
情報屋「やっと動き出してこれで一安心ね」
女戦士「む…情報屋か…どうだ?例の男から何か聞き出せたか?」
情報屋「私の方が聞かれてばっかりよ…書物を渡して逃げて来た所なの」
女戦士「そうか…」
情報屋「でも当時の魔法は今と比べられないくらい進んで居たのは良く分かった」
女戦士「それは?」
情報屋「本物の魔術師は飛ぶのだそうよ?魔道航空連隊だったかしら…それが主力だとか」
女戦士「良く分からんな…空から魔法を撃つのだろう」
情報屋「面制圧がどうのこうのとかそういう話ばっかり…彼は知識人では無くて軍人ね」
女戦士「まぁゆっくり話すのだな…あの男からしてみれば2000年未来に飛んだ訳だから」
情報屋「そうね…私よりも魔女に引き合わせたかったわね」
女戦士「うむ…」
情報屋「それで…今は何処へ?」
女戦士「浮島だ…仲間が数十名残って居るそうだ…この船に退避させた方が良い」
情報屋「なるほどね…という事は他の小島にも人が流れ着いてるかも知れないわ」
女戦士「確かに…石になった魔物も復活しているかも知れんと言う事だ」
情報屋「う…もうしばらく魔物とは会いたく無い」
女戦士「同感だ…お?飛空艇が戻って来るな」
情報屋「もう日が暮れるから今日はこれで捜索は終わりね」
女戦士「…」
情報屋「女海賊が気にかかる?」
女戦士「まぁ…そうだ…気持ちは落ち着かん」
情報屋「そうだ!!彼らなら千里眼で探せるかも知れない!!」
女戦士「知らん人を探す事は出来んと魔女は言って居たぞ?」
情報屋「この周辺に居る人間はそんなに多く無いでしょう?全員の眼を見てもらうとか…」
女戦士「なるほど…数を撃てばなんとかという奴か」
情報屋「ちょっと聞いてみて来る」タッタ
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477 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:20:03.59 ID:ZniVZVNC0
『船尾』
フワフワ ドッスン
商人「よし!金具引っかけて来る…ホムンクルスは先に降りて良いよ」
ホムンクルス「海図を持って行きますね?」
商人「あぁお願い!女戦士に渡しておいて」
ツカツカ
女戦士「私の方から来たぞ」ズイ
商人「あぁ…残念ながら女海賊はまだ見つかって無い」
女戦士「そうか…」ウツムキ
商人「周辺の島は全部海図に記したよ…拠点に出来そうな湾のある島も一つあった」
女戦士「ほう?」
商人「ただ近寄ってはみたけど残念ながら女海賊の痕跡みたいなのは見つからない」
女戦士「まぁ仕方が無い…」
商人「後ね…浮島なんだけど浅い海域で座礁してるというか引っかかって止まってる」
女戦士「この船で近付けそうか?」
商人「行ける行ける…多分楽園が落ちた時の大波で浅い所に乗り上げたんじゃ無いかと思う」
女戦士「なるほど…ではそこも拠点に出来る可能性があるな」
商人「う〜ん…津波で流されなきゃ良いんだけど…」
女戦士「建物が有るか無いかで初動が全然違う」
商人「まぁそうだね…考え様によっては巨大な船っていう見方もあるかぁ…」
女戦士「まだあの浮島は殆ど探索出来ていないしな」
商人「じゃぁ当面は浮島だね」
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478 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:20:37.15 ID:ZniVZVNC0
『無人島』
ドドドド
女海賊「おぉぉぉ!!これお姉ぇの船の帆下駄だ…帆付きで流れて来てる」
小さなゴーレム「!!?」ドスドス
女海賊「ちょいこれ持って帰るぞ…木材と布があったら小舟作れる」グイ
女海賊「うわ…重いな」
女海賊「ここで切り分けるからあんたは寝どこまで運んどいて」スラーン スパ
小さなゴーレム「…」グイ ドスドス
女海賊「てかこれメインマストの縦帆だな…これ無くなったら帆走出来ないんじゃね?」スパ
女海賊「なーんか嫌な予感して来た…あの瓦礫落ちて幽霊船ぶっ壊れたかもな…」
女海賊「そういや楽園で降りたっきり飛空艇も見てない…」
女海賊「そうだ水も食料も無かった筈…あ…でも商人は食料イランか」
女海賊「マテマテ商人は上まで登って来てた…落ちた可能性ある」
女海賊「ヤバいな…よくよく考えたら無事な方がおかしいわ…」スパ
小さなゴーレム「…」ドスドス
女海賊「ゴレキチ!!切り分けた奴全部運んどいて!!私他に流れ着いて無いか見て来る」スタタタ ピューー
小さなゴーレム「…」ガッサー ドスドス
--------------
479 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:21:14.31 ID:ZniVZVNC0
『双胴船』
トントントン
女海賊「よし!木組みだけで船組むの結構難易度高いな…」トントントン
女海賊「ゴレキチ!!流れて来た樽にあんたが入ってどんだけ沈むか試してみてる」
女海賊「ほい…こん中入って!!」
小さなゴーレム「??」ドスドス スポ
女海賊「おけおけ…ちょいこのまま転がして行くぞ?」コロコロ
ドブン! ブクブク
女海賊「ふむ…8割沈むか…でも一応浮くな」
女海賊「よーし…カウンターウエイトとしては十分だ…転覆防止に丁度良いや」
女海賊「おけおけ出て来て良いよ」
小さなゴーレム「…」ザブザブ
女海賊「暗くなって来たから今日はこん位で終わろうか」
女海賊「食事にすっから3匹連れて来て…今日は花の蜜あるからアラクネー喜ぶ」
小さなゴーレム「…」ドスドス
女海賊「ゴレキチの食事は何が良いんだろうなぁ…魔石か?」
-------------
480 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:21:53.11 ID:ZniVZVNC0
『浜辺』
ザザー ザブン
女海賊「はぁぁぁ…このまま大の字で寝ても大丈夫そうだな…」ドター
女海賊「もう今日はなんもやる事無いから3匹とも自由にしてて良いぞ」
アラクネー「…」カサカサ モソモソ
女海賊「あんたはやっぱ髪の毛の中が好きか」ポリポリ
女海賊「ん?もしかして何か食い物あんの?」
女海賊「まぁ良いか…」
ダンゴムシ「…」クルリン
女海賊「あんたの定位置はおっぱいの間ね…そこ暖かいし湿ってるし」
女海賊「ワームはへそとか耳の穴が好きなんだろ?分かってるって!!」
女海賊「今日も星がキレイだねぇ…」ボー
女海賊「ん?なんだアレ?」
女海賊「…」
女海賊「あの星だけなんか動き早いな…」
女海賊「んん?」
-------------
481 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:22:44.82 ID:ZniVZVNC0
『30分後』
ザブン ザザー
女海賊「やっぱあの星だけメッチャ移動してるわ…なんだアレ?」ゴソゴソ
女海賊「望遠鏡で見えっかな…」カチャ
女海賊「んぁぁ…星はやっぱ星か…ちっこく光ってるだけだな」
女海賊「アイツだけ動いてる方向も違うんだよなぁ…」
女海賊「もしかしてアレがホムちゃんの言ってる衛星ってやつかな?」
女海賊「…」
世界の果てってこんな感じなのかもなぁ…
誰も居なくて…
ずっと一人事しゃべって…
全部食い物食い尽くしたらひっそり死ぬ…
まぁ今はゴレキチも居るし
3匹の虫連れてるからそんな寂しく無いけど
これ一人だったらキツイだろうなぁ…
ドラゴンも飼い主居なくなって寂しかっただろうなぁ…
ゴレキチも一緒か…
プチプチ…
貝の子供が呼吸する音だ
よく耳を済ませたら命の音が沢山する
分かって来た…
これが生きてるって事なんだ…
これが命を感じるって言う事…
剣士は目が見えなくても感じていた世界…
分かる…
そこで生きてるのが分かる…
女海賊「ごめんよ…いっつも美味しく食べちゃって…」
女海賊「女エルフが生き物食べる前にお祈りしてた意味…やっと理解したわ」
ザザー ザブン
--------------
--------------
--------------
482 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:23:22.42 ID:ZniVZVNC0
『翌朝』
シュパパパパーン
女海賊「!!?」ガバ キョロ
女海賊「なんだ?」
女海賊「インドラの光が通った後か…」キョロ
女海賊「何処?」ドタドタ
女海賊「分かった!!うっすら筋が出来てる…南西の方角か」
女海賊「あっちだな?良し…誰か生きてるんだ」
女海賊「急いで船作んないと…」アセアセ
女海賊「もう何日経ったか分かんなくなって来た」
女海賊「おいゴレキチ!!もっと木材探して拾って来て!!また流れて来てるかも知んない」
小さなゴーレム「??」キョトン
女海賊「ダンゴムシ!!あんたの方が賢いんだから一緒に行ってあげて」
ダンゴムシ「…」カサカサ
女海賊「おっし!!今日中に仕上げるぞ!!」ドドドド
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483 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:24:33.87 ID:ZniVZVNC0
『幽霊船』
ゾロゾロ ゾロゾロ
おぉ…魔導船とは原理が違うのか
どうやって風の精を導いて居るんだ?
どこかにイリジウムを仕込んで居るのだろう
ローグ「ウハハ…何の話なんすかねぇ…」
情報屋「私達とは文明が異なるのよ…古代遺跡の動力を私達が理解出来ないのと同じね」
ローグ「当たり前の事が違うって事っすか…」
情報屋「彼らが滅んだ原因は祈りの指輪の乱用だったらしいわ」
ローグ「次元の崩壊って奴っすね?」
情報屋「そこら辺は良く分からない…でも何かの原因で知識を失った…魔王が奪ったと言うのが定説だけど」
ローグ「なーんか分かりやすぜ?未来君が記憶を失うのと同じじゃないんすか?」
情報屋「そうね…そういう事が起きて居たのかも知れない」
ツカツカ
女戦士「皆の者…私が船長の女戦士だ」
女戦士「メデューサの石化が解け2000年の時を超えて混乱している者も多いだろう」
女戦士「どうか状況をしっかり理解出来るまで争いごとにならない様に願いたい」
女戦士「まず!この船にはオークも乗船している」
女戦士「しかしこの船に乗っている者は敵では無く同じ船に乗る仲間だと思って欲しい」
女戦士「文化も文明も異なる者同士…どうか上手く交流してくれ」
女戦士「先ずは…食事と酒!!ローグと情報屋!!振舞ってやってくれ」
ローグ「へい!!はいはい皆さん!!この樽!!この中にワインが入って居やす」
情報屋「器は此処よ?」
ローグ「自由に飲んで下せぇ…早い者勝ちなんで勝手にやって欲しいでやんす」
情報屋「食事は順に配って行くので少し待って」
ローグ「はい!開始!!」
ドヨドヨ ザワザワ
どうも衛生的には思えんが…
腹に何も入れないよりは良いんじゃないか?
錬成の物以外を口にして魔力低下のリスクをどうする…
484 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:25:23.92 ID:ZniVZVNC0
『2時間後』
ガヤガヤ ウハハハ
女戦士「どうやら食文化が違う様だな…口に合わんらしい」
情報屋「オークが種子とか骨を食するのと同じ感じなのね…」
女戦士「まぁ…ワインは好評そうだ…」
スタスタ
魔剣士「魔導士は錬成したレーションという物しか口にしないのだ」
女戦士「ほう?何故?」
魔剣士「不浄の物を食すると属性低下を及ぼすのでな」
女戦士「良く分からん」
魔剣士「種子が有ればレーションを自前で錬成出来る…骨も良い材料だ」
女戦士「フフ…オークと同じと言う訳か…ではキノコも好むのだな?」
魔剣士「キノコは特効がある」
女戦士「荷室に沢山積んで有る…好きに使って良い」
魔剣士「それは皆喜ぶ」
女戦士「ローグ!!用意してやってくれ」
ローグ「へい!!」ダダ
情報屋「なんかオークとかエルフがどうして肉を食さないのか分かって来た気がする」
女戦士「うむ…自然と魔力をエネルギーに変えて居るのだろう」
情報屋「魔女がフルーツを好んで居たのはそういう所ね」
女戦士「さて私は不浄の物を少し食べるか」
魔剣士「う…済まない…嫌味で言った訳では無い」
女戦士「構わんよ…」ツカツカ
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485 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:25:53.13 ID:ZniVZVNC0
『デッキ』
カクカク シカジカ
魔剣士「…なるほど…この魔王島の地下には古代遺跡が有ったと…」
情報屋「今動いて居る小型の機械が目覚めたのは最近の事…魔王が古代の遺物を目覚めさせてしまった訳」
魔剣士「ふむ…アレは一定以上追って来ないのだがどういう理由なのだ?」
情報屋「さぁ?古代遺跡を守っているだけなのかも知れない」
魔剣士「奥に何があるのかまだ分からないのだな?」
情報屋「そうよ…出来る事なら私も調べてみたいわ」
魔剣士「ここを要衝として利用するのであればアレを掃討する必要がある」
情報屋「数がどの位居るのか分からないから慎重にやるべきね」
魔剣士「確かに…」
情報屋「ところで昨日話した千里眼という魔法の件…」
魔剣士「あぁ…皆に聞いてみたが誰もその様な魔法の存在を知らない」
情報屋「そう…残念だわ」
魔剣士「似た様な効果でインセプトという術はある」
情報屋「それは?」
魔剣士「感覚共有で相手の能力を盗み見る」
情報屋「感覚共有…それは視覚も?」
魔剣士「視覚も含む…すべての感覚を霊的に感知するのだ」
情報屋「遠く離れた人でも?」
486 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:26:22.62 ID:ZniVZVNC0
魔剣士「記憶を共有している者…つまり会った事が有る人物」
情報屋「理解したわ…多分その術の事ね…それを今の時代では千里眼と呼んでる」
魔剣士「察するに私どもでは力になれそうに無い…不明になっている者を探したいのだろう?」
情報屋「そう…でもありがとう…色々勉強になったわ」
魔剣士「それはどうも…」
情報屋「私も察しが付いた」
魔剣士「んん?」
情報屋「そのインセプトを使っても家族や友人と感覚共有が出来ないのでしょう?」
魔剣士「…」
情報屋「だから私達に接触してる…軍人がそう簡単に誰とも分からない者と関わると思えないわ」
魔剣士「フフさすが見通されているか…その通り…時を超えて孤立しているのを既に実感しているのだ」
情報屋「なら私達の側…いえ…現実に合わせるという事も必要よ?」
魔剣士「食事に口を付けなかった事を言って居るのなら済まないと思って居る…慣れるには時間が必要なのだ」
情報屋「ウフフ…ただの軍人だと思って居たら違った様ね…こういう話が出来て少し嬉しい」
魔剣士「我らは時の旅人…絶望している者も居る」
情報屋「分かるわ…愛した家族ともう会えない…国も無い…文化も無い…時空を超えるとはそういう事よね」
魔剣士「…」グビ ゴク
魔剣士「ワインは我らの時代と同じ味…ふぅ」トーイメ
情報屋「…」
祈りの指輪の乱用
こういうことがその時代にも起きて居たのね
不明になった人を求めて次元を飛んでしまった人達…
そうやって次元を歪めた歴史なんだ…
だから記録に残らなかった
夢幻の住人達…
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487 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:26:55.78 ID:ZniVZVNC0
『数日後_船長室』
ガチャリ バタン
商人「呼んだかい?」
女戦士「やっと来たな…」
商人「どうしたの?」
女戦士「妹と魔女の捜索に成果が出て居ない…」
商人「う…ごめんよ」
女戦士「いや仕方の無い事だと理解している…だから大事な事をお前に頼みたい」
商人「え?」
女戦士「フィン・イッシュとシン・リーンに協力を仰ぎたいのだ…急ぎで飛んでくれ」
商人「どういう事かな?」
女戦士「まずフィン・イッシュ女王に事情を話して人員の確保を願いたい…例のキャラック船をこちらに回して欲しいのだ」
商人「なるほどね…それなら盗賊ギルドにもお願いしないとね」
女戦士「うむ…アサシンが不明になってしまったから代理のアヌビスに言えば良い」
女戦士「それからシン・リーンへは魔剣士を連れて行って女王に事情を話してくれ」
商人「シン・リーンはこっちに来れるかな?」
女戦士「魔術師が数名来るだけで捜索は捗る筈」
商人「そういう感じね」
女戦士「今回の石化が解けた件はこの場所だけでは納まって居ない筈…恐らく世界的に影響が大きいと思う」
商人「うん…」
女戦士「機械が目覚めて大変な時期かもしれないがこの件も捨て置けない…そう伝えて欲しい」
商人「わかったよ…そうだなぁ…狭間使って移動して最速で往復4日という所か…」
女戦士「出来るだけ急いでほしい…特にキャラック船だな」
商人「僕とホムンクルス…あと魔剣士の3人で行けば良いね?」
女戦士「うむ…こちらも人員を裂けない…済まないな」
商人「まぁ…捜索がうまく行かないから仕方ないね…直ぐに移動するよ」
女戦士「頼む…無事を祈る」
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488 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:27:23.98 ID:ZniVZVNC0
『デッキ』
ドタドタ
ローグ「頭ぁ!!小型の機械討伐はシン・リーンの兵隊に任せて良いんすか?」
女戦士「奴らの方が隊行動のプロだ…私達は桟橋の設置に注力して良い」
ローグ「木材を沈没船に取りに行かにゃならんすね…」
女戦士「小舟で往復してくれ…幽霊船は固定砲台としてここを動かす訳にいかん」
ローグ「分かりやした!!忙しくなりやすねぇ」
女戦士「動けるオークが徐々に増えているからまだマシだ…手先が不器用なのがアレだが…」
ローグ「じゃぁちゃっちゃと行って来やす…日が落ちる前には戻るでやんす」タッタッタ
女戦士「頼む…」
情報屋「本当…人手不足ね」
女戦士「まさかこんな展開になるとは思って居なかったからな…」
情報屋「技術持ってるのが海賊2人しか居ないと言うのがね…オーバーワークになって居ないかしら?」
女戦士「そうだな…小舟も増やしたいし…作りたい物が沢山ある…」
情報屋「わたしはせめて美味しい食事を用意するくらいね」
女戦士「世話を掛けるな…」
情報屋「さて…わたしも働こう!」スタ
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489 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:27:58.86 ID:ZniVZVNC0
『鯨型飛空艇』
シュゴーーーーーーー
魔剣士「…これはスゴイな…魔導航法で移動できるとは…」
商人「へぇ?ハイディングの事を魔道航法と言うんだ?」
魔剣士「熟練した魔導士は単独で同じ様に飛翔するのだ…これは魔導士で無くとも飛べる…しかも物資運搬まで」
商人「君は飛べるのかい?」
魔剣士「私は歩兵だ…専門が錬成術で魔法陣の敷設が主な任務なのだ…結界を増やして行く役割と言えば分かるか?」
商人「なんか良く分からないけれど…陣地構築な訳ね?」
魔剣士「ここで休息を取る事も出来る…これが有ればもっと早期に魔王軍を追い詰められただろうに…」
商人「ハハ…なんか話が読み取り難いなぁ…」
ホムンクルス「予測ですとあと3時間程でフィン・イッシュに到着します」
商人「よしよし…いつも通り墓地に隠して城へ行こう」
ホムンクルス「はい…」
魔剣士「気になって居たのだが…君はエルフか?」
ホムンクルス「違います…私は人間です」
魔剣士「そうか…まぁ確かに体は小さいな」
商人「どうしてエルフだと思うんだい?」
魔剣士「エルフの中に君の様なたたずまいの者が居ると聞いた事が有る」
商人「なるほどね…それ精霊シルフかな?」
魔剣士「シルフ?」
商人「なんか話が噛み合わないねぇ…時の王はまだ出会って無いのかな…」
ホムンクルス「私達が知って居る歴史と実際とは少し違って居るのかもしれませんね」
商人「そんな感じだね…まぁこれから色々分かって行くだろうね」
ホムンクルス「歴史をお話頂ければ…あ…」ピタ
商人「ん?」
ホムンクルス「一度リリースします…少し確認したい事があります」
商人「構わないよ」
ホムンクルス「リリース…」スゥ
490 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:28:27.86 ID:ZniVZVNC0
商人「順調だね…まだ海の上さ…羅針盤の方向も大丈夫」
ホムンクルス「いえ…上空です」
商人「え?」スタ キョロ
ホムンクルス「大型の船が見えませんか?」
商人「あああああ!!なんだアレ?」
ホムンクルス「信号をキャッチ…識別コードOV-277機…以前エネルギー供給をした未確認機です」
商人「早いぞ!!通り過ぎて行く…」
ホムンクルス「こちらを補足した模様…暗号を送信してきています」
商人「暗号?」
ホムンクルス「分かりました…着陸要求ですね」
商人「アレが着陸するんだ…どこに行くんだろう?」
ホムンクルス「どうしましょう?なにか情報を送信しましょうか?」
商人「何かって?」
ホムンクルス「現在の地球の状況ですとか…歴史ですとか…恐らく情報収集の為に地球を周回していると思われます」
商人「そうなんだ?当たり障りの無い程度に教えてあげたら?」
ホムンクルス「送信完了…返答がありました…自動返信です…コードネーム…ホワイトフォックス」
商人「意味が分からない…」
ホムンクルス「白狼…剣士さんが搭乗している可能性があります」
商人「ええええええええええ!!ちょ…」
ホムンクルス「機体の詳細が分かりました…兵器非搭載の民間シャトル…生命維持装置は2台稼働中…」ペチャクチャ…
商人「そうか…石化が解けるのと同じ理屈か…もっと大昔から現代まで来る事が出来たんだ…」ボーゼン
ホムンクルス「相対距離が開いたため通信が途切れました…ハイディングします」スゥ
商人「あんなのが急に降りて来たら皆びっくりするだろうな…」
魔剣士「話に割り込んで悪いが…今のは古代文明の何かだな?」
商人「そうだよ…」
魔剣士「魔王が古代の機械を目覚めさせた…それと関係する訳か」
商人「う〜ん…そこまでは分からない…ただ…」
魔剣士「んん?」
商人「勇者が帰還した可能性がある」
魔剣士「天から勇者が降りて来る…予言の者…この時代でも…」
商人「なんか話が噛み合わないけど…まぁそんな感じかな」
ホムンクルス「商人さん…恐らく先ほどのシャトルは地球を周回していますので又通信出来るかも知れません」
商人「それは良い…剣士が乗っているかも知れないなら幽霊船の居場所を教えてあげると良いね」
ホムンクルス「では次に通信が入った場合双方向通信をトライしてみます」
商人「うん…任せる」
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491 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:29:03.44 ID:ZniVZVNC0
『無人島_双胴船』
ズズズ ズズズズ
女海賊「んむむむ…もうちょい!」ググ
小さなゴーレム「…」ググ
ザブーン プカプカ
女海賊「おっしゃぁぁぁぁ!!はぁはぁ…」
女海賊「諸君!!見たまえ!!これが新しい船…ゴレキチ号だ!!」ジャーン
女海賊「ゴレキチ!!あんた乗る場所はそっちのちっこい方ね…樽に収まるようになってるから乗ってみて!!」
小さなゴーレム「…」ドスドス スポ
グラー ユラリ
女海賊「おぉ!!完璧…」
女海賊「ほんでこっちの大きな船体が私の乗る場所…」ギシギシ
女海賊「板で繋いで渡してあるから結構広いっしょ…ほい3匹は遊んでて良いぞ!!」
アラクネー「…」カサカサ
ワーム「…」ニョロ
ダンゴムシ「…」モソモソ
女海賊「こんだけ広いとやっぱ安定してて良いわ…」ピョン ユラユラ
女海賊「ゴレキチ!!荷物全部積むぞ!!雑草とか籠とか全部運んで!!」
小さなゴーレム「…」ドスドス
女海賊「土が入った籠も忘れないで乗せてね…私は樽に水汲んでくるわ」スタタタ ピューーー
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492 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:29:38.56 ID:ZniVZVNC0
『1時間後』
ヨッコラ ドスン!!
女海賊「水こんだけ乗せても余裕だな…ヌフフ」プカプカ
女海賊「おーゴレキチ!!私の寝床作ってくれたんか!!良いね…そうそうコレで良いのさ」ガサガサ
女海賊「ちっと荷物整理したら出発しよっか…」ゴソゴソ
小さなゴーレム「…」ヨイヨイ
女海賊「喜んでる?ちょい今は止めて…つられて踊っちゃう」ゴソゴソ
女海賊「お!!そうだそうだ…ダンゴムシ?望遠鏡をいつでも覗ける様に設置しといたぞ…あんたが見やすい高さになってる…覗いてみ?」
ダンゴムシ「!!?」カサカサ
女海賊「えーと…もう忘れ物無いかなぁ…」キョロ
女海賊「貝殻はもうイランな…謎の木の実も全部乗せた…塩もあるな?」
女海賊「あ!!イカンイカン…石をちょっと持って行かないと石焼出来んくなる…」ダダ
女海賊「おーーい!!ゴレキチも石運ぶの手伝ってぇぇ!!」
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493 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:30:41.11 ID:ZniVZVNC0
『船出』
ザブン ギシ
女海賊「オホン!!それでは諸君!!海の向こうを目指して進むぞ!!」
女海賊「準備は良いか!?
小さなゴーレム「…」フリフリ ヨイヨイ
ダンゴムシ「…」フリフリ ヨイヨイ
アラクネー「…」フリフリ ヨイヨイ
ワーム「…」フリフリ ヨイヨイ
女海賊「よ〜し!!三角帆開くぞぉぉ」バサ バサバサ
グイグイ ググググ スィーーーー
女海賊「おおおおおおおお!!早い早いぃ!!」
女海賊「やっぱこんだけデッカイ三角帆だと違うな…双胴船にして正解だわ」
女海賊「これ川でもスイスイ登っていくぞ?」
女海賊「しかも傾かないからメチャ安定して風捕まえられる…ヤバイ!!ワクワクしてきた!!」
女海賊「ええと…進路は…南西だったな…多分あっち」グイ バサバサ
女海賊「よしよし舵もちゃんと機能する…この位置にロープで固定しよう」グイグイ ギュゥ
女海賊「ウハハ楽ちんだ!!」
女海賊「ちっと私がマストに上がっても大丈夫かチェックするかな…」ヨジヨジ
女海賊「ふむ…不安定にはなって無い…嵐じゃなきゃ大丈夫そうだ」
女海賊「見晴らし良いぞぉ!!3匹とも登ってコーイ!!」キョロ
494 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:31:30.48 ID:ZniVZVNC0
女海賊「あ…なんだアレ?何か飛んでる…」ピタ
女海賊「早い!雲の筋が形成されてる…」
女海賊「私の飛空艇だな?そうか…ハイディングして飛んでるとこんな風に見えるんか…」
女海賊「ちょい望遠鏡で確認しよう」ピョン ギシギシ
女海賊「どれどれ…」カチャ
女海賊「くそう見え無いな…てかハイディングしてるなら見える訳無いか…」
女海賊「かなりの高高度を移動してる…行き先はもうちょい左ね」
女海賊「自分の現在地分かんないから何処に向かってるのかも分かんないなぁ…」
女海賊「まぁ良いや!!あの雲の筋に進路合わせよう」ダダ グイ
バサバサ ギシ
女海賊「さてぇ!!ちっと体洗うかな…おいワーム!!海水で流す前に体掃除しなくて良いか?」
女海賊「アソコの掃除もやって良いぞ」ヌギヌギ
ワーム「!!?」ニョロ モソモソ
女海賊「穴の中には入るなよ?」
女海賊「あーー髪の毛も洗った方が良いなメチャ絡まっとるわ…」
女海賊「アラクネー!!髪の毛もうちょい何とかしてぇ!!」
アラクネー「!!」カサカサ
女海賊「ダンゴムシ!!おっぱい吸っても良いぞ…特別に両方だ」ボヨヨン
ダンゴムシ「…」タジ
女海賊「あぁぁぁ素っ裸で船の上ってメチャ気持ち良いな…ちっと寝るから掃除やっといて」ドター
バサバサ バサバサ
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495 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:32:18.62 ID:ZniVZVNC0
『半月後_無人島』
フワフワ ドッスン
商人「ここだよ…降りて確認して」
女戦士「…」ツカツカ キョロ
ローグ「本当っすね…新しい焚火の跡が有りやすね…貝殻も散らかっていやす」
商人「向こうの岩場に寝床と思われる洞穴もあるんだ…多分破壊の剣でくり抜いた痕跡さ」
女戦士「砂場に大きな足跡が有るな…何だと思う?」
商人「多分楽園に居た小さなゴーレムだよ…一緒に行動してるんだ」
女戦士「妹の無事が確認出来ただけでも心が落ち着いた」プルプル
ローグ「頭ぁ!!浜辺に船を引きずった跡が残って居やす!!」ダダ
女戦士「流れて来た物なのか…自分で作ったのか…どちらにせよここから出て行ったのは間違いない様だ」
商人「ここは幽霊船からかなり離れて居るからインドラの光は見えなかった様だね」
女戦士「私ならどちらに向かうか…」トーイメ
商人「僕はこう思う…例の未確認機を追った…気付いて居ればだけど」
女戦士「やはりそう思うか…」
ローグ「どうしやす?あっしらも探しに行きやすか?」
女戦士「いや…今は行けないな…もう少し体制を安定させなければならない」
商人「飛空艇での捜索は引き続き続けられるけどね…」
女戦士「それは続けて良い…海図の精度を上げて行くという意味でもな」
商人「剣士が本当に乗っているか分からないけど…もう一度あの二人には出会って貰いたいよ」
女戦士「妹は未来に向かって進み始めたのだ…」トーイメ
商人「そうだね…」
女戦士「妖精が導いて居る…だからきっと…めぐり逢える」
商人「妖精か…」
女戦士「さて…ここも要衝の候補地として加えよう…行くぞ」スタ
ローグ「あらら?もっと見て行かんで良いんすか?」
女戦士「もう私の気は済んだ…私は私の未来へ行く」
商人「じゃぁ戻ろうか…乗って」
女戦士「…」トーイメ
---妹よ---
---進め---
---未来へ---
--------------
--------------
--------------
めぐり逢い編
完
496 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:33:44.98 ID:ZniVZVNC0
============ Fin ==============
497 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:45:54.49 ID:ZniVZVNC0
エンドロール
作者:Kashmir
もしDiscordとかで見かけたらよろしくね
最後まで読んでくれた人は本当にありがとうございます
498 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/11/20(日) 12:49:52.04 ID:ZniVZVNC0
続きでは無いですが
別の作品も書いてみたいと思って
伏線を大量に残した感じにしました
あれ?なんで盗賊外れちゃったの?…とか色々あると思います
足の不自由な子…何だったの?
機動隊って何?…みたいな
はい。僕は盗賊が一番好きなんです
以上!!
ではまたどこかで ノシ
499 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/11/20(日) 14:49:19.04 ID:OuW/L7cTo
気長に待ってた戻ってきてくれてありがとう!
500 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/11/20(日) 22:08:44.25 ID:+MDziL6d0
乙!
501 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/12/11(日) 12:06:17.50 ID:ckhR7HQw0
以下
いつ終わるか分からない「おまけ」
勇者「魔王は一体何処にいる?」のおまけ
502 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/12/11(日) 12:07:01.53 ID:ckhR7HQw0
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地震…津波…噴火…寒冷化
落雷…隕石…洪水…日蝕
飢餓…疫病…地殻変動
あらゆる天変地異で世界は疲弊していた
地球を襲った地軸の移動
太陽と月が喧嘩をしてしまったかのように
違う方向から登り
世界は混乱を極めた
あれから数十年…
安住の地を探し人々はそれぞれの営みを
それぞれの場所で始めようとしている…
再建都市バン・クーバ
そこにかつて神の手と知られた男の遺児がいる
少年は大人になり…
世界の秘密へと歩み始めようとしていた
503 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:08:01.27 ID:ckhR7HQw0
『地下鉄道_列車』
プシューー モクモク
盗賊「姉御はまだ来ねぇのか…遅せぇ」イラ ウロウロ
ロボ「ピポポ…」ウィーン
盗賊「ちぃぃ…とりあえず先に乗って場所だけ抑える…逸れるな?」スタ
ロボ「ピピ…」ウィーン
おい押すな!!後ろの列車に移ってくれ
ちょっと…そこは私が座っていたの!!
はいはい席ありやすぜ?2人?では2銀貨で…ウヒヒ
ドヤドヤ…
盗賊「ちぃぃ…こんなつまらん事に2銀貨使っちまった…ロボ!席取られるから動くなよ?」
ロボ「ピピピ…」キョロ ウィーン
盗賊「こりゃ姉御達来たら立ち乗りになんな…」
ボエーーーーーー プシューーーーー
盗賊「マズい…出発の警笛だ…」
学者「兄貴ぃぃぃ!!」タッタッタ
盗賊「おう!!間に合ったか!!早く乗れ!!」グイ
学者「はぁはぁ…大変っす…姉御は来れんらしいっす!!」
盗賊「なんだとぉ!!?どういう事だ!!」
学者「前回の機械化兵団との戦闘で負傷していたらしいっす…まだミネア・ポリスに居るとか」
盗賊「なんで連絡が来ないんだ!!」バン
学者「俺っちも迎えに行ってさっき知ったんすよ…はぁはぁ」
盗賊「くそう!!姉御抜きで作戦実行か…」
学者「兄貴なら大丈夫っすよ」
盗賊「それで…姉御の容態とかは聞いて居ないのか?」
学者「結構な大怪我だとか…」
盗賊「だろうな…少々の事じゃ我慢していつも来るからな…」
盗賊「う〜む…ミネア・ポリスに見舞いに行った所で治る訳でも無ぇし…」
学者「この季節逃したら船手に入らんすよね」
盗賊「仕方無ぇ…俺らだけで盗んで来るぞ」
学者「そう言うと思って居やした…」パサ
盗賊「んん?何だそりゃ?」
学者「姉御が残した作戦計画っす…ギルド宿舎の部屋の方に置いてあったんで持って来やした」
盗賊「おぉ…見せてみろ」バサ
504 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:08:53.14 ID:ckhR7HQw0
ふむ…
船を奪った後は地庄炉村まで自力で行って…
なるほど…向こうの大陸の盗賊ギルドとコネクションが有るのか
盗賊「おい!!姉御が盗賊ギルドと接触してたのは知って居たか?」
学者「知らんっす…今知りやした」
盗賊「そういや前に誰か知らん奴らと組んでた事が有ったな…アイツ等か…」トーイメ
学者「その盗賊ギルドに手を借りる感じなんすか?」
盗賊「結果的にそうなるんだろうな…どうも荷を運ぶ必要があるらしい」ヨミヨミ
学者「ちょっと心配なのが…2人で船を動かせるか…っすね」
盗賊「そんなもんやってみるしか無ぇだろ」
ガコン!! カタンカタン…
盗賊「お…動き出したな」
学者「兄貴はいつもロボと一緒っすね…」ナデナデ
ロボ「ピポポ…」クルリン
盗賊「まぁな?俺の一部だ…勝手に触わんな」
学者「維持費大丈夫なんすか?特に魔石…」
盗賊「今ん所はな?まぁ…魔石よりもボロくなった本体の方が問題なんだ」
学者「俺っちが整備しやしょうか?」
盗賊「そら助かる…ちっと落ち着いたら頼むわ」
--------------
505 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:09:25.06 ID:ckhR7HQw0
『蒸気機関列車』
ガタン ゴトン ガタン ゴトン…
ロボの本体は…まぁメンテナンスしてりゃなんとか永らえるんだが…
脳と連結しているなんとかユニットってのがもう替えが無いんだ
後3年もすりゃ使えなくなるらしい…
学者「…なるほど…それは俺っちでもダメかも知れんっす」
盗賊「まぁ…しょうが無ぇ話よ」
盗賊「だがな?世界の何処かにはホムンクルスというのが合ってな…」
学者「知って居やすよ?お金さえ払えば闇で入手はできるらしいっすね…」
盗賊「いや…それとは違う…完全なホムンクスルと言えば良いのか?それならロボに肉体を与えられるんだ」
学者「部分的なホムンクルスじゃないって事っすね?」
盗賊「全身だな…俺はロボに体を与えたい訳よ…そんで姉御はその話に乗った」
学者「それで船を盗みに行くんすね?」
盗賊「まぁ…船を手に入れたら何処へ行けば良いかまだ分かって居ない…ただ俺にはちょっとしたアテがあるんだ」
学者「宛て?」
盗賊「その内話してやる…今は目の前の課題だけ考えろ」
そう…アテが有る
神の手…俺の父が仲間だった奴ら
アイツ等なら必ず何か知ってる筈…
506 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:10:01.07 ID:ckhR7HQw0
『夢』
ドカーン!! タタタタタン
僕「くそぅ…囲まれてる…」
男「おい小僧!そこを動くな?今から何が起こるか良く見てろ」
僕「どうするんだよ!?」
男「こういう世界が有ると言う事を先ず知れ…動くなよ?」スゥ…
僕「え!!?…き…消えた…」
スパ! スパ! ガチャーン ドカーン!
僕「何だ?何が起こってる!?」キョロ
僕「見えない…どうしてキラーマシンが壊れて行く?」タジ
リリース! スゥ…
男「小僧!!行くぞ!!来い!!」グイ
僕「え…ぁ…」スタ
その男が父だと知って居た…
なのに言いだせなかった…
言えないまま…失った…
--------------
--------------
--------------
507 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:10:37.33 ID:ckhR7HQw0
『要衝エド・モント』
プシューーーーー ガコン
学者「兄貴!兄貴!」ユサユサ
盗賊「んぁ…あぁ…」パチ
学者「ここで1時間止まるんで少し降りられるっす」
盗賊「降りたら又席取られちまうだろ…」モゾモゾ
学者「じゃぁ兄貴が席を取っといて下せぇ…俺っちはここで少し買い物したいんす」
盗賊「んあ?バン・クーバより良い物売ってるとは思えんが…」
学者「ほら小型の機械…キラーポッドが使う弾…あれが買えるんす」
盗賊「なんだと?…てことはお前は銃を買ったのか?」
学者「譲り受けたと言った方が良いっすね」
盗賊「お前兵隊でも無いのにそんな物持ち歩いて見つかったら只じゃ済まんぞ」
学者「兄貴もラッパ銃持ってるじゃないっすか」
盗賊「こりゃ形見だ」
学者「いやいやそういう問題じゃ無くてっすね…見つかったらマズいのは兄貴も同じっすよね?」
盗賊「俺ぁ特別よ…逃げる自信がある」
学者「見つかったら見つかったでその時は…」
盗賊「ダメだ貸せ!!今見つかったら作戦が台無しになる…俺が預かる」
学者「う〜ん…じゃぁ隠し持ってて下せぇ…」スッ カチャ
盗賊「…」ギロリ
学者「機動隊が使うバヨネッタっす」
盗賊「お前…こりゃ普通じゃ手に入らん代物だぞ?殺したな?」ギロ
学者「勘違いし無ぇで下せぇ…殺したのは機械化兵団の奴らなもんで…」
盗賊「機動隊が行く激戦地にお前が行くとは思えんが?」
学者「正確に言うと運ばれて来た機動隊の人を看取った…そのままにしておくと誰に取られるか分からんもんで…」
盗賊「フン…まぁ良い…早く行って来い」
学者「食事も入手してくるんで楽しみに待って居て下せぇ」タッタ
盗賊「…」---アイツ---
こいつには連番が振ってあるんだ…
しかも特殊な発信機まで付いてる
ん?なるほど発信機はさすがに外したか
他の兵装をどうしたのか問い詰める必要があるな…
508 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:11:32.65 ID:ckhR7HQw0
『1時間後』
ボエーーーーーー プシューーーーー
学者「兄貴ぃぃぃ!!戻りやしたぁぁ」ダダ
盗賊「…」シラー
学者「あら?相席の人が変わりやしたね…どうも」ペコリ
青年「こんにちは…キ・カイまで失礼します」ペコ
学者「君は一人なんすか?」
青年「はい…」
学者「良く此処に座る気になれたね?兄貴に近寄る人は中々居ないんすよ?」
盗賊「おい!!ベラベラしゃべるな」ドス
学者「あたたた…済まんっす…まぁこんな感じなんすが気にしないで下せぇ」
青年「ハハ気にしてなんか無いよ」
盗賊「…」ギロリ
学者「なーんか…堂々とした青年っすねぇ…兄貴ぃ…レーション買って来やした」スッ
盗賊「ふんっ」モグ
学者「酒も仕入れて着やしたぜ?」
盗賊「よこせ…」グイ キュポン グビ
学者「良かったら君もレーションどうっすか?」スッ
青年「え?あぁ…じゃぁ遠慮なく…」スカ
学者「あらら?君は目が不自由なんすかねぇ…目隠しなんかして…」パス
青年「ま…まぁ…頂きます」ハム モグ
学者「俺っちは医術も学んで居るんす…少し見てあげても良いっすよ?」
青年「いえ…目は大丈夫です」
学者「な〜んか…怪しい感じっすねぇ…目隠しにフード…」
青年「ハハ…どうかお構いなく」パク モグ
盗賊「おい!!困ってるだろう…良い加減にしておけ」ゴン
学者「あたたた…話題変えやしょうか…キ・カイへは何をしに?」
青年「キ・カイに帰る所なんだ…食料を買いにエド・モントまで来たのさ…」
盗賊「ほう?キ・カイに住んで居るのか…」ジロ
青年「珍しい…よね…ハハ」
盗賊「まぁ事情は色々有るだろうからな…住んで居るなら少し聞きたい事がある」
青年「何でも答えるよ?何かな?」
盗賊「俺は昔キ・カイに住んでた事が有るんだがもう何年も戻って無くてな」
青年「僕は生まれも育ちもキ・カイだよ」
509 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:13:00.58 ID:ckhR7HQw0
盗賊「今外の市街地はどうなって居るんだ?人は住んで居るのか?」
青年「一応人は少し住んでるよ…殆どの人はバン・クーバに移住したみたいだけど」
盗賊「そうか…まだ残って居るのか…」トーイメ
青年「皆さんがキ・カイに行く理由は漁業関係?それとも鉱山関係?」
盗賊「どちらでも無いが…しいて言えば漁業か」
青年「今時期は珍しい魚の収穫期だからね…沢山捕れると良いね」
盗賊「孤児院は残って居るか?」
青年「孤児院?知らないなぁ…」
盗賊「そうか…もう無いのだろうな…」
ロボ「ピピ…」シュン
盗賊「まぁ…自分の目で確かめる」
青年「このロボは皆さんと一緒に?」
盗賊「まぁそうだが?」
青年「キ・カイでは機械化してる人の検査が厳しいんだ…大丈夫かな?」
盗賊「許可証はちゃんと持ってる」
青年「そう…なら大丈夫か」
盗賊「う〜む…お前…本当はが見えて居るな?」ジロ
青年「え…いや…目が見えない訳では無くて…人に見せられない訳で」
盗賊「なるほど…火傷とかそういう類か…イラン詮索して済まなかった」
青年「なんか久しぶりに他人とちゃんとした話が出来て嬉しい」
盗賊「そうか?」グビ
学者「レーションのお代わりありやすぜ?」ガブ モグ
青年「いやそんな…それは高価な事知って居るから貰えないよ」
学者「俺っちは傭兵で結構稼いだんで割とお金あるんす」
盗賊「…」ギロリ
510 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:13:36.01 ID:ckhR7HQw0
学者「ちょちょ…兄貴そんな怖い顔で見んで下せぇ…」タジ
青年「ハハ…」
盗賊「ところでそのくそデカイ袋が買い物した食料か?」
青年「はい…どんぐりとかキノコとか…キ・カイでは中々買えないんだ」ガサリ
盗賊「どんぐりが食料…やはり辺境に住むと貧しい訳か…レーション美味かったか?」
青年「なんかこういう言い方すると卑しいって思うかも知れないけど…こんなに美味しい物食べた事無かったよ」
盗賊「そりゃ結構!全部持って行け」グイ ドサ
学者「なぁぁああああ!!兄貴ぃ…」
盗賊「お前にゃちっと問い詰めなきゃならん事が有る!!」
学者「なななな…なんすか?」
盗賊「他の兵装を何処やった?」グイ
学者「え…あ…アハハハ」タジ
盗賊「アハハじゃ済まん事をお前はやっているんだぞ?必ず内ゲバが始まるんだ」
学者「すすす…済まんっす…」
盗賊「まぁ此処で言ってもしょうがねぇ…落ち着いたら覚悟しとけ」
学者「あたたた…」
青年「フフなんか楽しそうだ…」
盗賊「悪いな…話は聞かなかった事にしてくれ」ゴン
学者「あ痛ぁ!!」ナデナデ
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511 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:14:15.15 ID:ckhR7HQw0
『廃都キ・カイ_地下鉄道』
キキーーーーー ガコン プシューーーー
盗賊「おっし到着だ…忘れもんすんなよ?」
学者「へいへい…」ゴソゴソ
青年「じゃぁ僕は此処で…」ヨッコラ セ
盗賊「よう…縁が有ったら又な?」ノシ
青年「はい…ではさようなら」スタ
盗賊「なかなか感じの良い奴だったな…」ボソ
学者「ここは地下鉄道の何番なんすかね?」キョロ
盗賊「8番だったか…ガキの頃はこの辺で悪さしたもんだ」ゴソゴソ
学者「なんかそこら中崩れてボロボロっすね…」
盗賊「キラーマシンの反乱時はここからエド・モントまでが激戦区だったらしい…俺らは上手く逃げられた」
学者「へぇ?」
盗賊「ロボ!!俺から離れるんじゃ無ぇぞ?…」スタ
ロボ「ピポポ…」ウィーン
学者「兄貴ぃ!!待って下せぇ…」タッタ
盗賊「モタモタすんなバーロー」
衛兵「おいお前達!!何だその機械は!!」ダダ
盗賊「はいはい衛兵さんよ…これが許可証…脳の機械化はやっていない…見てくれ」パカ
ロボ「ピピピ…」ピタ
衛兵「脳…」タジ
盗賊「これで満足か?」カパ
ロボ「ピポポ…」プシュー
衛兵「た…確かに…話に聞く孤児機械化事件の…」
盗賊「そうだ…珍しいか?」
衛兵「あぁ済まない…特例の件は承知している…通って良いが…あまり目立たん様に頼む」
盗賊「分かって居るよ…お勤めご苦労さん」ノシ
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512 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:14:47.28 ID:ckhR7HQw0
『地下街道』
ピチョン ポタン
盗賊「ロボ…済まなかったな…毎度毎度見せたく無い物を曝ける事になっちまってよ」ナデナデ
ロボ「ピ…」ウィーン
盗賊「まぁそのお陰で銃器を持ち込んでも怪しまれないんだが…」
学者「兄貴ぃ…これからどうするんで?」
盗賊「どこかで一泊して明日の夜に決行するつもりだが…」
学者「ちっと情報集めた方が良くないっすか?」
盗賊「うむ…流氷の具合も確認しておきたい」
学者「先に流氷見に行きやせんか?外に出りゃ港も見れやすよね?」
盗賊「そうだな…ちょいと防寒着を調達して外に行くか」
学者「ええと…全然人が居ないんすが…」キョロ
盗賊「この先にホームっていう場所が有るんだ…そこが中心になって居る筈」
学者「買い物は任せて下せぇ…」
盗賊「当たり前だろう…払いもお前だ」
学者「ハハ…」
盗賊「ロボに被せる防寒着もちゃんと用意しろよ」
学者「分かっていやすとも…」
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513 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:15:27.13 ID:ckhR7HQw0
『ホーム』
ヒソヒソ ヒソヒソ
今年も出稼ぎ労働者が入って来出したね
稼ぎ時だからちゃんと売るのよ?
盗賊「分かっちゃ居たが寂れ具合が半端無ぇな…」
学者「昔は世界一の人口を抱える都市だったんすよね?」
盗賊「天変地異以前はな?俺が居た頃は既に落ち目だった様だがそれでも人でごった返してたもんだ」
学者「軍の施設とかどうなってるんすかね?」
盗賊「殆ど空らしい…港は軍港跡地を使って居ると聞いた」
学者「宿泊する場所が有るのか心配になって来やしたよ」
盗賊「路地裏で十分だろう…心配なのは食い物だ」
学者「あたたた…」
盗賊「おい!!あそこで毛皮のフードが売って居そうだ…仕入れて来い」ユビサシ
学者「ちっと待ってて下せぇ…」」タッタ
---------------
『30分後』
タッタッタ
学者「待たせたっす…」ドサ
盗賊「遅かったじゃ無ぇか…どれどれ」ファサ
学者「すんごい高くてですねぇ…ちっとも値下げしてくれやせんでした」
盗賊「どうせアブク銭だろうが!そういうのは全部使っちまえば良い…これがロボの分だな?」ファサ
ロボ「ピポポ」クルクル
盗賊「おぉ!!喜んでるぞ?うむ…なかなか似合う」
学者「分かるんすか?」
盗賊「ピポポが肯定…ピ…これが否定だ…まぁ他にも色々ある」
学者「じゃぁ行きやしょうか…」スタ
--------------
514 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:15:59.92 ID:ckhR7HQw0
『旧市街地』
ヒュゥゥゥ…
盗賊「ふぅぅやっと外に出られた…」
学者「その許可証便利っすねぇ…持ち物見られんで済むんすね」
盗賊「まぁな?それが特例処置になってる…一応幹部扱いな訳よ」
学者「俺っちはあまり知らんのですが孤児機械化事件はそんなスゴイ事件だったんすか?」
盗賊「国家反逆…って所か?まぁ歴史に残る事件だな…俺はそのど真ん中で生き抜いた…まだガキだったんだが」
学者「スゴイっすねぇ…」
盗賊「機動隊が今の地位に登り詰めたきっかけだった…だから幹部の様な特例が許されてるんだ」
学者「それが今は泥棒をする立場ってなんかおかしいっすね」
盗賊「こいつの為なんだ…」ポン
ロボ「ピピ…」プシュー
学者「そういう事っすね…」
盗賊「今回の件で俺に手配書が回るかも知れ無ぇ…でも姉御は俺の話に乗ってくれた…姉御には感謝してる」
学者「じゃぁ俺っちも危ないっすね…」
盗賊「何言ってんだアホが!…機動隊の兵装を闇で捌いてタダで済むと思ってんのかボケが!」
学者「ええ!?」
盗賊「そんな甘く無ぇんだよ!!俺よりお前の方が危険だ…ちったぁ自覚しろ!!」ドス
学者「あたたた…」
盗賊「だからフードは深く被れ…顔は極力見せるな…そこら辺徹底しろ!!」
学者「へい…」ファサ
盗賊「よし…じゃぁ行くぞ」スタ
--------------
515 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:16:55.03 ID:ckhR7HQw0
『雪に埋もれた瓦礫の山』
ズボ ズボ ズズズ
盗賊「何処に穴空いてるか分かん無ぇから気を付けて歩け…ロボは無理して付いて来なくて良い」
ロボ「ピポポ…」プシュー
学者「これで夏っすか…」アゼン
盗賊「よし…流氷が漂っては居るが船が動かせん訳では無いな」
学者「これ昔はずっと向こう側まで海だったんすよね?」
盗賊「あぁ…俺が住んで居た頃は海だった…灰色の海で俺は嫌いだったが…」
学者「切り立った氷山…なんでこんなんなっちゃうんすかね」
盗賊「知るか!」
学者「これ向こうの大陸まで徒歩で行った人居ないんすかね…」
盗賊「なんでそんな事が気になるんだ?」
学者「向こうの大陸に行った事無いんで…夢っすよ夢」
盗賊「アホか…バン・クーバから商船が出てんだろうが…金払えばいつだって行ける」
学者「徒歩ならお金掛からんじゃ無いっすか」
盗賊「お前学者なんだろ?気候の事とか勉強して来たんじゃ無いのか?」
学者「俺っちは医術と機械工学しか学んで無いんすよ…」
盗賊「じゃぁ今お勉強だな…こっから先は寒すぎて立ち入る事が出来ん未踏の地だ…覚えておけ」
学者「確かに寒すぎっすねぇ…」ブルル
盗賊「まぁしかし…ここも変わり果てた…見た所孤児院の建屋も無くなってる」
学者「行かなくて良いんすか?」
盗賊「良い思い出は無い…ただお袋が居た場所は見て置きたいな」
学者「お袋?初耳っす…お袋が居て孤児院に入ってたんすか?」
盗賊「俺が孤児院に通い詰めてたって感じだ…お袋は忙しくて殆ど帰って来なかった」
学者「そういう事っすか…」
盗賊「お袋とは生き別れてもう何処に居るのかも分からん…激動の時代に飲み込まれた結果だ」
学者「そのお袋さんが居た場所って何処なんすか?近いなら行って見やしょう…もしかしたら待ってたり…」
盗賊「まぁそのつもりだ…ここから近いから行って見る…」スタ
--------------
516 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:17:39.50 ID:ckhR7HQw0
『旧商人ギルド跡地』
ザック ザック
盗賊「…ここだ」
学者「瓦礫の山っすね…なんか小さな小屋が建ってる」
盗賊「誰か住んでる感じは無いな…ちっと覗いて来る」タッタ
学者「どうっすか?」キョロ
盗賊「う〜む…人が住む小屋では無い…中に馬車が入っているな」
学者「ええ?ソリじゃなくて馬車?」
盗賊「まぁ…使えなくなって放置された馬車だろう…もうボロボロだ」
学者「はぁぁ…ハズレっすね」
盗賊「ここには良く連れて来られたんだが…もう見る影も無ぇな」ウロウロ
学者「そうそう…そういやさっき大麻売ってたんで買ったんす…一服どうっすか?」
盗賊「お?気が利くじゃ無ぇか…ヨコセ」チッチ モクモク
学者「兄貴は大麻吸ってさまになりやすねぇ…」
盗賊「ただガラが悪いだけだ…真似しようと思うな?」スパー フゥゥゥ
学者「俺っちにも吸わせて貰って良いっすか?」
盗賊「なぬ?お前もしかして一本しか買って無かったのか?」
学者「一本しか売って無かったんすよ…」
盗賊「なんだ早く言え馬鹿が…ホラ」ボキ
学者「アララ…折らんでも良かったんすが…」チッチ モクモク
盗賊「ガラの悪いのが2人揃って大麻吸ってりゃ誰も近づかんな…ヌハハ」スパーーー フゥゥゥ
サクサクサク…
青年「あれ?どうも…なんか縁が有るみたいだね」スタ
517 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:18:19.97 ID:ckhR7HQw0
盗賊「お?誰かと思えば列車の…どうした?お前の家が近いのか?」
青年「いや…そこが僕の家だよ」
盗賊「ぶっ!!マジか…今何も無ぇなぁとかボロクソ言ってた所だ」
青年「ハハまぁ…そこは昔使ってた家なんだ…今はここの地下に住んでる」
盗賊「何だと?」ギラリ
青年「え?何か悪い事言ったかな?」タジ
盗賊「お前は誰だ?」
青年「ええと…どう答えれば良いのかな…」ドギマギ
盗賊「あぁぁ悪い…脅してるつもりじゃ無い」
青年「良かったらお茶でもどう?貰ったレーションのお礼に…」
盗賊「お…おぅ…そりゃ願っても無ぇ…寒かった所だ」
青年「姉と一緒に住んでるんだ…姉と言っても腹違いなんだけど…先に言っておかないと驚いちゃうから…」
盗賊「そういう事情は誰にでもあるわな?」
青年「此処へは何か用事で?」
盗賊「ふむ…まぁ信用出来そうだから言うが…俺は此処で一時住んでたんだ…知った人間が誰か居ないかと思ってよ」
青年「えええええええ!!?」
盗賊「おっと!!何だ急に…」
青年「姉が待って居る人かも知れない…」
盗賊「何?」
青年「姉はずっと此処で誰かを待ってるんだ」
盗賊「ほう?会ってみたいな…誰だ?」ハテ?
青年「こっちだよ…下にもう一つ入り口が有るんだ」スタ
盗賊「…」---あぁ知ってるとも---
--------------
518 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:18:56.14 ID:ckhR7HQw0
『隠れ家』
ガチャリ バタン
青年「姉さん!!帰ったよ!!お客さんを連れて来た」
女の声「おかえり…お客さんって誰?」
青年「ここを訪ねて来た人だよ…もしかしてと思って案内したんだ」
女の声「え!!?」ドスドス
盗賊「うぉ!!あ…姉御?いや…なんで姉御が此処に…」タジ
青年「やっぱり知り合い?」
女オーク「違うみたい…ごめんなさい…人違いの様です」
青年「そうか…あぁ…まぁとりあえず奥でお茶でも…」
盗賊「おう…邪魔するぜ?悪いな…」---姉御じゃ無ぇのか---
青年「さっき持って帰ったレーションをくれた人たちなんだ」
女オーク「そう…どうぞ奥へ」ササ
学者「びっくりしやしたね…姉御に瓜二つっすね…」ヒソ
盗賊「だな?正直俺もビビった」ヒソ
女オーク「お茶を入れて来るのでどうぞご自由に…」スタ
盗賊「ようお前…腹違いも良い所だな…姉がオークとはなかなか無い組み合わせだ」
青年「血は繋がって居ないんだ…」
盗賊「ヌハハそんな事気にするな…オークが身内に居るのは良いぞ?」ニヤ クイックイッ
青年「ハハ…余計な詮索しないでよ」
---------------
519 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:19:39.06 ID:ckhR7HQw0
『お茶』
チョロチョロ モクモク…
盗賊「ほう?煎茶という奴か…これは向こうの大陸で飲まれる物だ…体に良いらしい」ズズズ
青年「姉は昔向こうの大陸に居た事があるんだよ」
盗賊「なるほどな?」ゴク
青年「やっぱり2人は知り合いでは無いのかな?」
盗賊「う〜む…似た人物を知っては居るが…残念だが初対面な様だ」
青年「ここに住んで居たという話は?」
女オーク「ええ!!?ここに住んで?どういう事?」ズイ
盗賊「あぁ…まぁ一時だけだけどな…この部屋の中に有る物は大体見た事がある…それも…これも」
女オーク「他の人は?他の人は何処へ?」
盗賊「おっとっと…待て…お前は誰だ?俺はお前を知らん」
女オーク「私もここに居たのは短い期間なの…でもここに住んで居た人をどうしても探したい」
盗賊「なるほど…お互いすれ違って居た訳か…」
女オーク「知って居る事をどうか教えて…」
盗賊「んんん…まぁ昔の事だから話して問題無いか…」
カクカク シカジカ…
-------------
-------------
520 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:20:12.35 ID:ckhR7HQw0
盗賊「…とまぁ…誰か居るんじゃ無いかと思って訪ねて来た訳よ」
学者「兄貴忘れてますぜ?お袋さんが居ないか見に来たんすよね?」
盗賊「お前は黙ってろ!」ゴン
学者「あたたた…」スリスリ
女オーク「もう10年以上此処で待ってても元の住人は帰って来なかった…」
盗賊「お互い同じな訳だ…ほんでお前はどうして待ってるんだ?」
女オーク「それは…」
青年「僕の本当の両親を探してるのさ…姉さんは僕の為にずっと苦労してるんだ」
盗賊「なるほど…う〜む…」トーイメ
女オーク「他に何か手掛かりになる事は無いですか?」
盗賊「有るっちゃ有るんだが…」
女オーク「どうか教えて欲しい…」
盗賊「まぁ良いか…お前海賊王の娘を知ってるか?」
女オーク「いえ…」
学者「うお!!知らない人の方が少ないんすよ?あんな有名人を知らないって…」
青年「姉さんはキ・カイの人達と殆ど付き合いが無いんだ…差別されて外を出歩けないんだよ」
盗賊「そうだったのか…外の市街地に住んでるのもそういう理由か…」
青年「本当はずっと馬車に住んでたんだ…キ・カイの壁の外でね…人が少なくなってようやく此処に入れた」
盗賊「壁の外はオーガやら魔物がウヨウヨ居るのにか?マジか…」
青年「オーガの牙をほんの少しのお金と交換してどうにか凌いで来たんだ…」
女オーク「もうそんな話は良いの…それよりもその海賊王の娘は何処へ?」
盗賊「残念だが分からん…ただ昔の俺の知り合いで情報のやり取りをしてる闇商人がいるんだ…そいつなら知って居るかも知れん」
女オーク「その人は何処に?」
盗賊「世界中転々として居てな…今はフィン・イッシュに居るらしい」
女オーク「フィン・イッシュ…向こうの大陸…」
青年「姉さん…向こうの大陸は遠いよ…もう無理して稼ぐ事なんかしなくて良い」
盗賊「んんん…なんつうか…俺はそういう話に弱いんだ…この話はここで切り上げるか」
青年「うん…そうだね」
学者「俺っちから提案なんすが…今晩此処に泊めてくれたらお金払いやすぜ?」
盗賊「あぁ悪く無ぇな」
青年「僕は歓迎だけど…姉さん」チラ
女オーク「え…ええ…でも食事も出せないし…なんだか悪い気が…」
盗賊「俺らにしてみりゃ寒さ凌げるだけで十分な訳よ…そっちが良けりゃ世話になる」
女オーク「ではご自由に…私はこれから仕事に行って来るので」
盗賊「おぉ悪いな…早速だが俺らはちっと港を見に行きたいんだが…ここに勝手に出入りさせて貰うぜ?」
女オーク「どうぞ…」
青年「僕は暇だから案内しようか?」
盗賊「そら助かる…おい学者!くつろいでる暇は無ぇぞ!!」
学者「すんません…」スック
---------------
521 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:21:00.16 ID:ckhR7HQw0
『港へ続く街道』
サクサク サクサク
盗賊「ところで自己紹介して居なかったな?」
青年「そうだね?お互い名前も知らないで変な感じだね」
盗賊「俺の名はアラン…職業は傭兵だ…まぁ本職は泥棒なんだがな」
青年「僕はミライ…ええと職業なんか無いんだけど…そうだなぁ…剣を使うから剣士かな」
盗賊「ほう?誰に教えて貰ったんだ?」
青年「姉さんだよ…姉さんの名はリッカ…剣を使うのが上手い」
盗賊「なんだ…戦えるなら傭兵でもやりゃ良いのに…ほんでこいつの名はお手伝いロボ…本当は別の名があるんだがロボで良い」
ロボ「ピポポ…」クルリン
青年「どうもよろしくロボ」ペコリ
盗賊「ほんでこいつがゲシュタルト…ゲスと呼べば良い…こいつがまぁ問題児なんだ」
学者「兄貴そら無いっすよ…」
盗賊「良い所出のお坊ちゃんだったんだが素行が悪すぎて追い出された挙句…俺にボコられたヘタレ学者だ」
青年「どうも…」ペコリ
盗賊「先に警告しておくが物が無くなったらまずコイツを疑え」
学者「兄貴ぃ!!勘弁して下せぇ」
青年「アハハ…僕達は何も持って居ないけどね」
盗賊「いや…お前の家の中に有る物はかなり価値の高い物ばかりだ…古代の遺物と言えば分かるか?」
青年「そうだったんだ…姉さんは元の住人がそれを取りに戻るんじゃ無いかって大事に保管してた」
盗賊「そうか…まぁ正しいやり方かも知れん」
盗賊「ほんでお前の姉は何処で働いてんだ?」
青年「炭坑だよ…鉄鉱石とか石炭とか掘ってる…あと錬鉄もやってるかな」
盗賊「まぁ…オークはそうなるわな…どうせ死ぬほど安く雇われてんだろ?」
青年「その通りさ…何でもお見通しなんだね」
盗賊「お前は働かんのか?」
青年「働く気はあるんだけど姉さんが人の前に出るのはダメだって…」
盗賊「…」ジロ
522 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:21:39.23 ID:ckhR7HQw0
青年「そう…察しの通り…僕の顔の事さ」
盗賊「訳アリか…まぁ良い…ほんでだ…」
青年「ん?」
盗賊「俺らが自己紹介した意味なんだが…」
青年「意味?」ハテ?
盗賊「俺らは職業柄知らん人間に容易く名乗る事なんかしないんだ」
青年「えーと…意図が読み取れない」
盗賊「フィン・イッシュまで連れて行ってやるから手伝えって話だ…お前に姉を説得出来るか?」
青年「えええ!?」
学者「兄貴ぃ…良いんすか?」
盗賊「2人で船動かせると思うか?」
学者「あぁぁ…確かにそうっすね」
盗賊「元々姉御ありきの作戦だったんだ…丁度姉御並みに働けそうなのを偶然見つけた…しかもタダで雇えそうだ」
学者「さすが兄貴…」
盗賊「…で?どうよ?」
青年「姉さんに相談してみる」
盗賊「明日の夜までに決めてくれ…まぁ1日ありゃ何とかなるな?」
青年「姉さん次第だね…僕も姉さんに苦労ばっかり掛けたく無いんだ…ここに居ても苦労ばっかりだから」
盗賊「よし!商談成立だな!期待してるぜ?」
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523 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:22:16.20 ID:ckhR7HQw0
『旧軍港』
ザザー ザブン
盗賊「ほぉ…結構漁船が動いてんな」
剣士「今時期は地引網漁をやって居るんだ…この時期で1年分の魚が収獲出来るみたいだよ」
盗賊「お前はあの漁船に乗った事有るか?」
剣士「うん…姉さんと一緒に一時働いた事が有るんだけど…ちょっと問題が起きちゃってね」
盗賊「問題とは?」
剣士「海に出ると逃げ場が無くなるじゃない?姉さんが襲われそうになったんだ」
盗賊「なるほど…強姦されそうになったか」
剣士「そういうのが有ったからそれ以来炭坑で働く様になった」
学者「兄貴ぃ!動いてないキャラック船があるっすね」ユビサシ
剣士「あの船は漁に適さないみたいだよ?漁で使うのは船底の浅いキャラベル船なんだってさ」
盗賊「ほう?良く知って居るな」
剣士「それからあの船はすごいお金持ちの所有物らしいよ…ええと…名前忘れちゃったなぁ」
盗賊「金持ちにしちゃショボイ船な様だが…」
剣士「ええ?そうなの?」
盗賊「金持ちはアレの10倍ぐらいデカい船を持ってる…アレは精々10人程度しか乗らんな」
剣士「あぁぁバン・クーバーで少し見た事有るなぁ」
盗賊「ソレだソレ」
剣士「そんな船はキ・カイで見た事無いよ」
盗賊「まぁ…港の見学はこんなもんか」チラ クイ
学者「じゃぁ戻りやしょうか…ちっと寒いんで戻りたいっす」コクリ
剣士「そうだね」
学者「俺っちはちっと古代の遺物に興味があるんすよ…見せて貰って良いっすか?」
剣士「盗まないなら…」
学者「あいたたたた…盗みやしやせんよ」
盗賊「悪いが先に戻っててくれ…俺は酒を買い付けてから戻る」
剣士「うん…気を付けて」
盗賊「ロボの事も頼む…ここからなら衛兵に止められる事も無いだろう」
学者「分かりやした…行きやしょう!」スタ
盗賊「…」---さぁて仕事だ---
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524 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:23:14.58 ID:ckhR7HQw0
『夜_隠れ家』
ガサゴソ ガサゴソ
学者「おぉぉこんな物まで…」ブツブツ
剣士「壊さない様に…」ソワソワ
学者「これは古代遺跡の盗掘品なんすよ?」
剣士「へぇ?」
学者「これなんで魔術書が何冊もあるんすかね?」
剣士「さぁ?…でも僕はそれを読んで勉強したんだ」
学者「読めるんすか?謎の文字が並んでるんすが…」
剣士「ルーン文字というらしいよ…ルーン文字の解読は他の書物に有るんだ」
学者「もしかして魔法を使えたりするんすか?」
剣士「残念ながら使えない…なんか血の契約が必要だとか…良く分からないんだ」
学者「じゃぁ何を勉強したんすか?」
剣士「う〜ん…魔導って何なの?とか…魔方陣って何?とか…」
学者「ふむふむ…医術とは…生命とは…そういう感じっすね…確かにそれだけ覚えても治療は出来ない…なるほどぉ」
剣士「アランさん戻るの遅いなぁ…」
学者「兄貴は多分酒場じゃないっすかね…いつもの事なんす…心配しなくても帰って来やすよ」
剣士「聞きたい事が有ったのになぁ…」
学者「俺っちが分かる事なら答えやすよ?」
剣士「ええと…海賊王の娘の事…僕は噂なら聞いた事有るんだ」
学者「何が知りたいんすか?」
剣士「名前とか…年齢とか…それから指名手配されてる理由とか」
学者「名前は姉の方がアイリーンで妹がアイラっすね…逆かも知れやせんが…」
学者「年齢は不詳なんすが噂では当時姉が30歳…妹は25歳くらいらしいっす」
学者「指名手配された理由はなんか色々噂が有るんすが…白狼の盗賊団の一味だったとか」
剣士「白狼の盗賊団…それも聞いた事が有る…」
学者「もう伝説っすよね…貴族達から財宝を奪って庶民にばら撒いたんすよ…だから貴族達に指名手配されたんす」
学者「今となっては捕まえても懸賞金を払う貴族が居ないんで意味の無い手配書っすね…ビラだけが出回ってるんすよ」
剣士「そうだったんだ…そんな人たちが此処に出入りしてたのか…」
学者「う〜ん…出入りしてたかどうかは知らんすが…兄貴は手掛かりだと言って居やしたね?」
剣士「あぁ…そうだったか…」
525 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:23:50.73 ID:ckhR7HQw0
学者「何か事情を知ってるとは思いやす」
剣士「じゃぁやっぱりアランさんに聞くしか無いね」
学者「俺っちにも教えてくれないんで厳しいかも知れんすよ?」
剣士「そうなんだ…」
学者「うほーーー!!これ相当値打ち物の剣っすね…」スラーン
剣士「あ…それは姉さんの剣だよ…重いでしょ」
学者「確かにちょいと重いっすねぇ…錆一つ無い…材質何なんすかね?」ジロジロ
剣士「コバルト合金だよ」
学者「へぇ…こんな良い剣を何処で手に入れたんすかね?」
剣士「教えてくれないんだ…多分姉さんが待って居る人に関係する物なんだよ」
学者「じゃぁ勝手に触ってたら怒られそうっすね」
剣士「うん…元有った場所に返しておいて」
学者「へいへい…」
剣士「…」
学者「何すか…盗みやしやせんよ!!」
剣士「ふーん…」
ガタン! ゴトゴト!
学者「んん?上から何やら音がするっすね…」
剣士「あぁぁ…又来たか…危ないから外に出ない様に」
学者「どういう事っすか?」
剣士「多分オーガがお腹を空かせて市街地に入って来てるんだ…たまに来るんだよ」
学者「そら大変じゃないっすか…兄貴が帰って来て無いっすよ」
剣士「うん…でも姉さんが居ない時に戦うと怒られるんだ…しばらくすると何処かに行くよ」
学者「いやぁ…ここに住むのも生きた心地がせんっすね…」
剣士「もう慣れっこだよ…此処に居れば安全さ」
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526 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:24:42.98 ID:ckhR7HQw0
『深夜』
ガチャリ バタン
女オーク「…」スタスタ
剣士「あ…お帰り姉さん」
女オーク「あら?まだ起きて居たのね…先に寝てて良かったのに」
剣士「うん…なんだか興奮しちゃってさ」
女オーク「これ今日の稼ぎ…」チャリン
剣士「銀貨2枚か…」
女オーク「お客さんはお休み?」
剣士「うん…もう一人はまだ帰って無いけど」
女オーク「オーガの足跡が有ったわ…何も無ければ良いけれど…」
剣士「ちょっと心配だね…それで姉さんにちょっと相談なんだけどさ」
女オーク「どうしたの?」
剣士「お客さんがフィン・イッシュまで連れて行っても良いと言ってるんだ」
女オーク「それは本当?…でもどうやって…」
剣士「船で行くらしい…なんか船を動かす人が足りないから手伝って欲しいって…」
女オーク「船…」
剣士「姉さんが船に乗りたく無いのは分かるよ…でもあの2人はなんかそんな事しない気がするんだ」
女オーク「やっと見つけた手掛かり…どうしよう…」
剣士「船…やっぱり怖い?」
女オーク「船は嫌な思い出しか無いから…でもこれを逃したら次は無いかも知れない…」
剣士「嫌なら無理に行く必要も無いんだよ?僕は此処でも満足しているから」
女オーク「ミライ…」グイ ギュゥゥ
527 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/12/11(日) 12:25:18.98 ID:ckhR7HQw0
---違うの---
---あなたの両親を探す理由は---
---本当は私の為なの---
---気持ちに整理を付けたいの---
---私はあなたの母なのか…姉なのか…それとも恋人なのか---
---あなたは一体誰?私から生まれて…一体誰になったの?---
---私の気持ちは誰が受け止めるの?---
剣士「どうしたのさ急に?」
女オーク「何でもない…ごめんね」
剣士「ううん…姉さん何か思い詰めてるね?話してよ…」
女オーク「何でも無いわ…」---私はこのまま姉で良いのか分からないの…そんな事言えない---
剣士「そう…今日はもう遅いから寝ようか」
女オーク「まだ一人帰って来て居ない様だから少し待つわ…」
剣士「じゃぁ僕も待つよ」
女オーク「分かったわ…こっちにいらっしゃい…私も寒いからヒザを温めて?」
剣士「なんか他の人が居ると恥ずかしいなぁ…」ストン
女オーク「…」ギュゥ
---こんなに愛しいのに---
---どうして気持ちが落ち着かないの---
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