安価でSSを書かせて頂きます

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45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/04/10(日) 11:04:23.16 ID:ZA+dgqe50
回想始め__

蘭子「ところで、守護天使としての権能を与えたとのことですけれども。なんなのでしょう」

崇高なる宣告者「それはな、異なる次元から霊獣を召喚し、差し向ける絶技よ」

蘭子「技なんですか!?」

崇高なる宣告者「おうともさ。俺がこうして加護らなくとも、飛び立とうとする燕を斬るため技を開発したら誰でも扱える」

蘭子「絶対無理でしょ!!??!????!」

蘭子「……しかし、どうしたら使えるんです?」

崇高なる宣告者「え? 分かんない?」

蘭子「分かんない? じゃないですよ。もう何が何だか」

崇高なる宣告者「う、うむ。まあいつだか扱えるようになるであろう。なむ」

蘭子「うおおおおおまじか

回想終わり__

蘭子は遅くなった世界で自らの首へと差し向けられる白刀を見ている。あの大樹を切り倒した刃のことだ。私の頸椎など豆腐でも切るように跳ね飛ばしてしまうに違いない。

蘭子(こ、ここで私は死んでしまうのか……)

彼女を底知れない死の絶望が襲った。目を瞑る蘭子。その瞬間__
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/04/10(日) 11:24:24.11 ID:ZA+dgqe50
ボルメテウスホワイトドラゴン「フン。そんなことでお前は終わるのか。現代の聖人。どんなものかと見に来てみれば、拍子抜けも甚だしい」

ブラスターブレード「全クデアル」

ブレイドラ「チェゲプリイイィィィ(獣の声

蘭子「……っ!?!?!?!??!?!??!ふっ!???!?!」

蘭子は白く、宏大無辺の地平に気付けば佇んでいた。

ボルメテウスホワイトドラゴン「ここはお前の精神世界。人の生涯。その集大成である」

ブラスターブレード「現代ノ聖人ヨ。虚シサガ顕著ナ生ヲ送ッテキタヨウダナ」

蘭子は困惑していたが、もういい加減奇妙には慣れっこなので適応して、疑問はそのまま尋ねることにきめた。

蘭子「あなた方は……?」

ボルメテウスホワイトドラゴン「言うならば崇高なる宣告者と同族と言えようぞ」

蘭子「すうこ……なんです?」

ブラスターブレード「何ダ。マダ名を教ワッテイナイノカ」

ボルメテウスホワイトドラゴン「あの機械的な天使の名を、崇高なる宣告者と言うのだよ」

ブレイドラ「クッソ長くて打ちずらい名前ばっかだな」

蘭子「そうなのですか……初めて聞いた……」

トニカク、と、ブラスターブレードは仕切りなおした。

ブラスターブレード「お前に力を貸してやろうと思ってな」

蘭子「な__」

蘭子は驚愕に目を見開く。千人力である。

蘭子「そ、それは皆様方も同様なのでございますか!?」

ボルメテウスホワイトドラゴン「フン。見てわからんか。これだから最近の若者は……」ブツクサ

ブラスターブレード「ソウイウ訳ダ。デハ、何時マデモダラダラシテオクニモイカン。早速舞イ戻ルトシヨウゾ」シュン

……

蘭子「はっ!?」

47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/04/10(日) 11:39:31.84 ID:ZA+dgqe50
黒き影は大いなる魔神ユダの手先であった。彼は同族の誰より暗殺がうまく、怪力で、そして光の力にも耐えうる驚異的な耐性で尊敬を一手に買っていた。

この任はユダ様直々に下された詔令である。それゆえに、失敗は許されざる大過だ。だから、万全の準備を期してやってきたのに……!

(なんなんだこれは……!)

巌のような大古龍、世界観を誤った珪素生命体、レックウザを前にしている。そんなこと、全然聞いていなかったのに……

__そのプレッシャーに、歴戦の勇者であるはずの彼は。早々に節を屈し、恐懼に囚われずにはいられなかった。

「うおおおおおおこええ!!!!!! 蘭子がこええ

黒革の外套をはためかせ疾駆する暗殺者。見目こそ様になっているが彼は尻尾を巻いて逃げている途中なのである。そうして森を脱し、生還の確信に胸をなでおろすのもつかの間、彼はどこからともなく飛来した白刃に敗れた。

「な、なにやつ……」

まだ言い終わらぬ内に、その刃は彼の首を跳ね飛ばした。彼が蘭子にしようとしたように……

崇高なる宣告者「……俺に速度で勝てるとは思わないことだな……」

彼が利用したのは右目に内臓された熱感知サーマルアイ。そう、彼とて世界観を誤ったSF天使だったのである。

48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/04/11(月) 08:44:51.55 ID:nHO2SOop0
崇高なる宣告者は戻ってくると、ばつが悪そうにへどもどし、昼であるというのに失態を演じた旨を謝罪した。

蘭子「そんな、言いっこありませんって」

崇高なる宣告者「見たところ、力の使い方を見出したようだね……」

そして彼は佇む三匹を睥睨すると、「君らは協力者と見て問題ないかな」

と言う。

ボルメテウスホワイトドラゴン「見てわからぬかたわけ」

ブラスターブレード「……ウム。コノ若キ聖人ノ看ツケ役を勤メヨウ所存デアル」

ブレイドラ「チェゲプリイイィィィ(獣

蘭子「お前もう船降りろ」ブレイドラ「え?」

蘭子「お前旅路の道中もずっと黙ってるじゃねぇか 本当は楽しくないんだろ?」

ブレイドラ「そ、そんな事は..」

蘭子「崇高なる宣告者やボルメテウスホワイトドラゴンからも苦情が来てんだ、お前がいやらしい目つきで見てくるってな」

プレイドラ「イヤ、ソレハソノ…」モニョモニョ

ルフィ「大体お前は何ができるんだ?喋らないから分からねぇぞ」

プレイドラ「…..」

49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/04/11(月) 08:51:56.58 ID:nHO2SOop0
プレイドラ「でもブラスターブレードさんは何言ってるか分からないじゃないですか!それにボルメテウスホワイトドラゴンだって、崇高なる宣告者だって…!」

蘭子「ブラスターボレードはキャラが立ってるぞ?ボルメテウスホワイトドラゴンは格好いい。崇高なる宣告者は…これまで私を護ってくれた!」

プレイドラ「ハハ..護ってくれたって」

蘭子「まともに話せないやつよりはよっぽどいいぞ?」

ワイ「…」
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/04/11(月) 08:53:48.33 ID:nHO2SOop0
蘭子「明日廣建イリナメラ庵に着くからそこで荷物まとめて降りろ、あとみんなに挨拶しとくんだぞ」

プレイドラ「はい….」

ーーーー次の日ーーーー
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/04/11(月) 08:57:30.40 ID:nHO2SOop0
チョッパー「なんだ?おれ今薬調合するのに忙しいんだ」

崇高なる宣告者「そうか、お疲れさん」

ブラスターブレード「マァソノ方ガ良イダロウナ」

ボルメテウスホワイトドラゴン「……フン。船降りても精々頑張るがいい」

ロビン「そう、達者でね」

ブルック「あら、クビになっちゃったんですかぁ?それはどうもお疲れ様ですぅ」
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/04/12(火) 20:39:08.06 ID:7CFKnxlH0
その日は驟雨が酷かった。
篠突く氷雨が樫の木々に降りかかった、そういう雨音を、時おり、すぐ近くに鳴ったろう雷が真白に打ち消すのだった。
急き立つ我々が防風林を抜けると、小高い丘陵の頂点、厚い鼠色の雲を後景に、明治に公設されたような洋風の邸宅が一軒、孤立しており、そこが廣建イリナメラ庵なのだ、と崇高なる宣告者は言った。
そこは余りにも異国的で、妖しく、恐怖譚のくすんだ暗い挿絵に似ていた。ボルメテウスホワイトドラゴンは、これは不吉の相がある、と断じ、一人事情を知っていそうな崇高なる宣告者は、一人意地が悪い笑みを浮かべてあれこれ尋ねる蘭子を躱す。
初めに出迎えたのは大層なロートアイアンの門扉で、次に格子向かいから老紳士風の男が歩いて来た。召使であるらしい。彼は我々を庭内へ招き入れると、「崇高なる宣告者様よりお話は伺っております」と言った。

「そろそろ話を聞かせて頂こうか」
通された客室のベッドに腰掛けて、蘭子は宣告者に憤然とした面立ちで話しかけた。ボルメテウスホワイトドラゴンとブラスターブレードは大きく、嵩張るので、元の異空間に戻してある。
「これは一体どういう趣向なのかな?」
「端的に言えばある教授に師事してほしいのさ」
「そうならそうと言ってくれれば!」
蘭子は頬を膨らませそう言った。
「……それについてだがね」
宣告者は豁然と紫檀のカクトアールから立ち上がると、蘭子の額に寄せ、「ブラスターブレードは信用できないかも知れない」
と言った。



53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/04/12(火) 20:55:24.71 ID:7CFKnxlH0
「信用ならないって……」
「悪評があると言っているのさ」
「俺がもといたのは天界で、そこでは当然苦患とは無縁だったんだが、ある日脳神経痛を訴えた者が出たんだ。これは明らかに妙だから、3人の機敏な人が天文庁に駆り出された。その内の一人が俺でね。

「さんざ殺されたよ。犯人はパンドラの鍵を弄った大罪人でね。無論開けるまでには至らなかったから復活は叶ったが、絶望の魔力で正体を隠してたのさ。だから逃げられた」
「それって、大変じゃないですか」

宣告者は渋い顔をした。

「そうだ。大事だ。大事だったがありゃ手練れだった。パンドラの魔力があるとはいえ、三聖全員を相手に生き延びるのは素人の体運びじゃできない」
「それがブラスターブレードに似てたのさ」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/12(火) 21:10:28.92 ID:QQ3RKNYL0
自分でも何書いてるか分からなくなってきてるだろ
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/04/12(火) 21:22:24.92 ID:7CFKnxlH0
「そういうわけで、当時は随分と取りざたされたものだよ。なんせ三聖の全員が口をそろえたんだからね。でも髪の毛一本の証拠も見つからなかった。挙句の果ては黒を前提とした魔法捜査で確たるアリバイを掘り出す始末。だからブラスターブレードは無罪放免、三聖はその強権に危機感を抱かれ解散、今やブラスターブレードは教区長を務める大出世だ」
「へえ、そんなことが」
「あったんだよ」
「しかし今の言い分だと螻蛄の落ち度が分かりませんよ」
「え?」
「いや、ですから、そうした事情なら螻蛄さんが特別悪党とは思えないんです」
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/04/12(火) 21:23:09.34 ID:7CFKnxlH0
訂正 ×螻蛄 〇ブラスターブレード
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/04/13(水) 11:45:09.96 ID:JSzS0ytI0
宣告者が何事かを言おうと口を開いた瞬間、喨喨たるノックの音が高く木魂する。
「なんです」
宣告者は心なし不機嫌な声色でドアを開けた。
「どうも」
そう言って部屋に入って来たのはイリナメラ庵のメイガス、イリナメラであった。加湿器のように色気が吹き立つ美女であった。豊満で肌理細やかな肢体を、ドレープのついたナイトドレスで装っている。
「うおおおおエロ書きたいいいいい」
「はっ!!?!??!?!?!??!?!っ!?!?!?!っ!!?!??!??!」
「すみません。霊感体質すぎて時たま邪神の夢を受信してしまうのです」
「そうですか」
「よもや初対面で炸裂するとは……ドン引かないでください……」

閑話休題であった。

「宣告者様よりは己の加護を最大限発揮できるようにアストラル投射を見てやってくれと仰せつかっております」
「おおよそそのようにして構わない」
「では蘭子さん」

イリナメラは颯爽に立ち上がり、「こちらへ」と手を差し出した。色気が噴出した蘭子は女性で、異性愛者であるのにドギマギさせられた。
「あ、わかわかりました」
導かれ、蘭子は部屋の外へ出るのだが……
「あれ? 宣告者さんは同行しないんですね」
「そういう訳だ」
宣告者は平素通りベッドの上で寛いでいる。悉皆リラックスした調子である。

かくしてドアは閉ざされ、蘭子とイリナメラの二人きりとなった。
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/04/13(水) 11:48:46.71 ID:JSzS0ytI0
訂正 ×手を差し出した。色気が噴出した蘭子は 〇手を差し出すと、そういう性別を超脱した、ぞっとするほど整った肉体美に蘭子はドギマギさせられる。
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/04/13(水) 11:50:50.70 ID:JSzS0ytI0
安価>>60 蘭子はイリナメラに何をされる?
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/04/14(木) 14:31:44.71 ID:MGFedzGj0
蘭子がイリナメラに連れられてやってきたのは赤いビロードがかかった神秘的な部屋であった。薄暗かったので香炉の沈香が焚かれているのがよく見えた。部屋の中央ではあらゆる儀式に流用可能な円卓があり、これを囲むのは“サターンの椅子”のような黒檀で、あたかもここだけ近世ヨーロッパの王族の家であるかのようだった。

イリナメラがその一脚に座る。そして彼女は別の一脚に彼女の着席を促した。

蘭子は恐縮しながら腰を埋める。イリナメラが口を開いた。

「まずは本魔導院におけるニオファイト相当の技術の習得に向けて監督してゆくのですが、その前に、殆ど初めて神秘に触れる者に教えねばならぬ連願があります。いいですね?」
「は、はい」

蘭子は緊張してこわばった面持ちで返す。

「一つ、埋蔵金発掘や個人的な復讐など俗世の欲に基づく低俗な目的で魔術は使わないこと。二つ、魔術師は常に知識や技術を習得する事での全能感、己の心と戦い続けながら清廉に生きること」

「紀元前28年ダッジャールはこれを破ったものに逃れえぬ破滅が訪れることを予言し、以降そのようになりました。そういうわけで、この二つの諫言は遍く神秘主義の法となり、それは魔術界で最も高位と考えられているイプシシマスの行使者も例外ではない」


61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/04/15(金) 09:05:08.69 ID:9kzymQHQ0
その後、蘭子は多神教価値観とは趣を異にするキリスト教価値観と、それに依拠する秘教哲学、イリナメラ庵の教義について触れ、最後に初歩的な魔術儀式についての実践作法を教えた。

「すっごーい! これがイリナメラ錬金法なんだー!」

蘭子は4時間の学習を終え、与えられた自室に帰っていた。蘭子は風呂から上がり、肢体を緩やかなバスローブで覆い隠している。そういう血色のいい悩ましげな風体で、窓際に敷設された木曽檜のロッキングチェアに腰掛け子供のようにはしゃいでいる。彼女は真鍮の大釜を庵祖イリナメラから預かっており、これを使用してアルカナ生成の力量を流出させているのだった。

「ははは。嬉しいだろう」

宣告者は張り出しのバルコニーから言ちた。

「ええ! 嬉しくてなりません!」

「……そういえば、イリナメラさんはどういう素性があるんですか?」

「イリナメラには何の特別な属性はない。イングランド西南部コーンウォール州で生を受け、14歳の夏に認識フィルターを打ち破る。それからの20年をイスラム系魔術結社“知恵の館”の探求に費やし、38歳で全849ページにおけるヘルメス文書の独自解釈を修了、正統修正儀礼会から“マジスター・テンプリ”の皆伝を得、イリナメラ庵を開く。62歳で準奇跡級儀礼魔術“小召喚”を成功させ、19〜24歳相当の女性の肉体を召喚させる。イリナメラはこれに憑依、メイガスとなり、現在に至る」

「つまり、神に属する聖人であり、正真の守護天使である君とは及びつかん卑小ということだ。ゆくゆくはイリナメラなど比にもならない神秘を扱えるようになるだろう」

「その時が楽しみであります!」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/04/19(火) 17:56:15.70 ID:Bp+rozXx0
次の日、蘭子は一人の部屋で目を覚ました。
元から一人であった訳ではない。
確かに昨夜、おおよそ十時を回ったころ、蘭子は宣告者と閨を共にしたのである。
それがいない。
寝過ごしたのかも知れなかった。

宣告者は、行きさしに「この館には古い契約で宿泊するんだ」と言った。
それ以外頑として語ろうとしない。
蘭子は豁然と不安に襲われる。
彼がいなければ私は何もやっていけない。
するとマホガニーの掛け時計は七時を指示しているのだった。
つまり寝過ごしていないのだった。

……崇高なる宣告者Side

彼は時刻にして六時には起きて庵長イリナメラと話し込んでいた。やはり一連の現象は天岩戸伝説の再演で解決する他ないとの意見で合一した。要するに高天原の天石窟に立ちこうして常世に光を注ぐことで禍を一気呵成に祓おうとのことである。そういう意見で固まったので蘭子にも「南極に行く」などと偽らずして良くなったと胸をなでおろすのだった。

かくして彼は自室に戻る。
道中かれは議論に熱中するあまり蘭子を蚊帳の外にしたと思った。
かれは旅の始まりから蘭子を傍から離したことがなかったのである。
彼が部屋に戻った時蘭子は膝を抱えて泣いていた。

「うおお、どうしたというのかね」
「せ、宣告者様は私をお見捨てになるのですか」
「まさか、誰がそんなことを言ったのかね」
「ううう!」

宣告者は泣きじゃくる蘭子の肩を掴むと、懐に描き抱いた。

「大丈夫だよ。聖人だから、いいんだよ」
「う、う、聖人だからなんですか」

蘭子はしゃくりあげ訥々と言った。

「……」


63 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2022/04/20(水) 02:29:57.29 ID:Me7TaxP90
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64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/21(木) 15:33:04.48 ID:7xyORHV70
高天原に行こうという試みが恐ろしく困難であることは論を俟たない。その点に立脚すれば南極観測の道程すら霞むだろう。例えば歴々たる“ローマ信条”にはイエスの陰府下りの祈祷が記されているが、これは西暦で最も著名な“死後の世界”に対する言及であり、こうした聖なる神秘の持ち主さえ死せずして陰府に訪れない旨を示している。

高天原はそうした霊的な空間なので、霊的なアプローチを用いるしかないのだが、生きてそこに至ろうというのはダンテの“神曲”どころではない。
しかし聖人と天使なら叶うのだった。

……そういう度外れたことを思いながら、宣告者は蘭子を胸に抱くのだった。

この女に、私は何をしてやればいいのだろうか。
何がよいのだろうか。
そんな行き場のない疑問が衷心に木魂する。

「何かしてほしいことがあれば、遠慮せず言いなさい」

こうした経緯がありながら、かねて宣告者は紋切り型の同情を以て遇する他方法を知らないのだった。
それを声色を優しくして言うばかりなのだった。

「……じゃあ、私にキスしてよ」

そういう無力に対する忸怩たる情念が深甚と渦巻いていたので、かれは躊躇うことなく接吻を見舞った。蘭子の上気した豊頬に向けてである。
壊れ物にするような、それでいて、一切の躊躇が感じられない、しかしあらゆる劣情からも解放されたそれは、正しく聖なる接吻であった。

だから、その一瞬間が絵画のように美しくなったのは全く必然のことで、何ら驚くに値しない期待といってしかるべきだった。
かくして、主によってその御業は保障された。

幸福の奔流に耽溺する蘭子に霊的な予感が啓く。それは己が真に神に属したという確信であった。
彼女の神秘はこれまでにないほど高まって、魂は更なる階梯に呼び起される。
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/04/21(木) 15:37:28.65 ID:7xyORHV70
ばこおおおおおおおおおおおおおん!!!!!!!!!??!??!?wwwwww!!??!?!?w??!?!?!?!!?!?!??

部屋に爆音と共に白煙が逆流し何が何だか分からなくなるwwwwwwww

宣告者「うおっ敵」

蘭子「さっき唐突に閃いた新能力をお披露目する」

新能力とは>>66wwwwwwww!!?!?!?!??!!WWW!ww!!!?!?・・・っっっっつ!!・wwww?!???W?
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/06(金) 17:54:33.20 ID:rYV+b3N9O
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