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やよい「うっうー!樹海に潜って一攫千金ですー!」【ミリマス】
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 16:51:22.28 ID:tCqf3dxT0
ここはハイ・ラガード公国。
この国の中心に古よりそびえ立つ世界樹には、未だかつて誰も踏破したことのない迷宮がある。
世界樹の迷宮___
その広大な迷宮に挑む少女達の冒険が、今始まる___
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1648713081
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 16:53:35.68 ID:tCqf3dxT0
やよい「えっと、ここがこの街で一番冒険者が集まる……」
やよい「鉄……じゃなくて……は、鋼の?えっと……た、たばたば?うお……亭……」
やよい「うー……漢字が読めません……」
やよい「でも、最初の関門の仲間集め、頑張りますー!」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 16:55:12.53 ID:tCqf3dxT0
鋼の棘魚亭
やよい「強そうな人たちがたくさんいます!声をかけてみましょう!」
やよい「あのー、すいません!」
……
「嬢ちゃん悪いな。俺たちのギルドに今、欠員はないんだ」
「メディックかドクトルマグスならちょうど歓迎するんだけど……貴女はどちらでもないみたいね」
「残念だが、ウチのギルドに足手まといの子供を連れて行ける余裕はない」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 16:56:24.84 ID:tCqf3dxT0
……
やよい「うー、一緒に冒険してくれる人がなかなか見つかりません……」
やよい「一人で樹海を探索するのは無理ですよね……」
やよい「そうだ、私みたいに仲間集めに苦労してる人なら仲間になってくれるかも?」
やよい「あ、あの女の子……」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 16:57:43.74 ID:tCqf3dxT0
百合子「仲間を求めてここに来たはいいものの、声をかける勇気が……」ソワソワ
百合子「あの屈強な男の人、強いんだろうな……でもすでに仲間がたくさんいるみたい……」
百合子「あっちの若い男の人は仲間募集中かな?話しかけてみようかな……」
百合子「その前にシミュレーションをしておかないと……!」
やよい「あのー」
百合子「わ、私と一緒に冒険してください!」
やよい「いいんですかー!?うっうー!ありがとうございますー!」ガルーン
百合子「こちらこそ……ってあれ?」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 16:58:51.39 ID:tCqf3dxT0
やよい「私、高槻やよいっていいます!よろしくお願いします!」
百合子「わわわ私は、ななこぷりこ!?」
やよい「7個?」
百合子「こほん……七尾百合子です!よろしくお願いします!」
百合子「(シミュレーションだったはずが、本当に仲間ができちゃった……!)」
百合子「(でも私よりも年下っぽいし、大丈夫かな……)」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 17:00:15.86 ID:tCqf3dxT0
やよい「百合子さんはソードマンですね?」
百合子「はい!本で読んだ、剣を手に旅をする勇者に憧れて剣の修行を積んできたんです!」
百合子「そして世界樹の迷宮はまだ誰も踏破していない……つまり、まだ誰も知らない物語があるはずです!」
百合子「まだ誰も読んだことのない物語を紡ぎたくて、私は剣の腕を磨き、冒険者になったんです!」シャキーン
やよい「わー、カッコイイですー!でも、お店の中で剣を抜くのは危ないかなーって」
百合子「はっ、すいません……」カチャ
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 17:01:51.59 ID:tCqf3dxT0
百合子「やよいさんは何のクラスですか?」
やよい「私はバードです!」
やよい「家で弟達のために子守唄とか歌ったりするし、歌は好きなんです!」
百合子「弟さんが何人かいるんですね?」
やよい「はい!弟が4人と妹が1人います!」
百合子「だ、大家族ですね……」
やよい「はい!家族を養うために、私は冒険者になったんです!」
やよい「世界樹の迷宮でしか手に入らない貴重な物品があるって聞きました!」
やよい「それを手に入れてお金に換えれば、家計が楽になるなーって思ったんです!」
百合子「家族のためにだなんて、立派です……!私なんかより随分しっかりしてますね……」
やよい「そ、そんなことないですよー」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 17:03:39.18 ID:tCqf3dxT0
やよい「百合子さん、これから一緒に頑張りましょう!」
百合子「はい!」
やよい「でももう少し仲間を集めたいですね」
百合子「どこかに仲間を探している人は……」
やよい「うーん、見当たらないですね……」
百合子「他のギルドに入れてもらおうにも、2人同時に入れてもらえるでしょうか……」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 17:04:42.14 ID:tCqf3dxT0
百合子「となると、私達だけで冒険するしかないです!」
やよい「えー!?2人だけじゃ危ないんじゃ……」
百合子「勇者も最初から仲間がたくさんいたわけじゃないんです!」
百合子「旅の途中でいろんな人との出会いを通じて成長していくものなんです!」
やよい「そうなんですか」
百合子「迷宮の中でも浅い階層なら、2人でもなんとかなるんじゃないですか?」
百合子「ということで、ちょっと迷宮に入ってみましょう!」ワクワク
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 17:05:55.25 ID:tCqf3dxT0
樹海入り口
百合子「いよいよ来ましたね……一体何が待ち受けているんでしょう……」
やよい「どんなお宝が眠ってるんだろう……」
やよい「あれ?あの人どうしたのかな?」
百合子「あの丈夫そうな鎧と盾の男の人ですか?クラスはパラディンかな」
やよい「泣いてます……何があったのかな」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 17:07:06.14 ID:tCqf3dxT0
男A「っ……」グスッ
やよい「あのーどうしたんですか?」
男A「私の所属していたギルドが……解散になったのだ……」
やよい「はわわ、そうなんですね……」
百合子「やよいさん、私達のギルドに勧誘してみたらどうです?」ヒソヒソ
やよい「え?」
百合子「ほら、パラディンの人がいれば探索が安定するっていいますし」ヒソヒソ
やよい「でも……この人すごく悲しそうです……」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 17:08:25.42 ID:tCqf3dxT0
やよい「もしかしたら仲間が迷宮で、その……酷い目に遭ってギルドが解散になったとかじゃ……」
百合子「た、確かに……そっとしておいた方がいいですね……」
百合子「(そうだ、世界樹の迷宮には無数の危険な動植物が生息する)」
百合子「(甘く見ていると……そう、命を落とすことだって珍しくない)」
百合子「私、本当に大丈夫かな……?」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 17:09:15.27 ID:tCqf3dxT0
第1階層 古跡ノ樹海
1F 天に挑みし冒険者が歩みを進める場所
やよい「うわー、緑の葉っぱがとっても綺麗ですー!」
百合子「ついに足を踏み入れてしまいました……ここが、世界樹の迷宮……!」ドキドキ
やよい「百合子さん、安全に気をつけて探索しましょう!」
百合子「は、はい!」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 17:10:09.54 ID:tCqf3dxT0
……
やよい「百合子さん、これ見てください!」
百合子「わあ、可愛い花ですね♪」
やよい「この小さな花は、薬の原料になるらしいですよ!」
百合子「そうなんですか?」
やよい「はい!お店の人から教えてもらいました!」
百合子「(さすがのコミュ力だなあ)」
やよい「地図にこの採取ポイントをちゃんと記しておきましょー!」
百合子「はい!」カキカキ
百合子「(私、本当に樹海を冒険してるんだ……!)」
やよい「他にも採取ポイントが見つかれば、たくさんお金が稼げます!」
百合子「そうですね!」
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 17:11:47.27 ID:tCqf3dxT0
……
ガサガサッ
やよい「!」
やよい「百合子さん、敵です!」
百合子「は、はい!」
針ネズミ(魔物)「〜〜!」ダッ
やよい「こっちに来る……!」
ドゴッ
やよい「うっ……!」
針ネズミは小柄な体を生かし、やよい目掛け素早く体当たりを繰り出す。
やよい「えいっ!」ブン
ザクッ
針ネズミ「……!」
やよいも負けじと装備している剣でやり返す。
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 17:12:52.13 ID:tCqf3dxT0
百合子「はっ!」ブン
ズバッ
やよいの攻撃を受け怯んだ針ネズミに対し百合子も攻撃を加える。
針ネズミ「……」
針ネズミ「!」ダッ
やよい・百合子「……!」
傷を負いつつも、針ネズミは臆することなく2人に向かってくる。
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 17:14:14.96 ID:tCqf3dxT0
針ネズミの堅い針と2人の剣がぶつかり合う音が数回響く。
そして___
針ネズミ「」
やよい「や、やっつけました!」
百合子「やった!」
やよい「針ネズミさん、針貰っていきますね」ゴソゴソ
百合子「この針も、何かの素材になるんですよね」
やよい「はい!長い針だと高く売れるみたいですけど、戦ってるうちに折れちゃいました」
百合子「もっと素早く倒せるようにならなくちゃ」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 17:16:02.02 ID:tCqf3dxT0
百合子「植物を採取したり、魔物を討伐したり、私達ちゃんと冒険者やれてますね!」
百合子「このままどんどん先に進んでみてもいいんじゃないですか?」
やよい「うーん……」
百合子「どうしました?」
やよい「2人がかりで1匹の魔物といい勝負なんじゃ、この先不安かなーって」
百合子「言われてみれば……」
やよい「やっぱりもっと仲間がいた方がいいと思います!」
百合子「そうですね」
やよい「街まで一旦引き返しましょう!」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 17:17:10.47 ID:tCqf3dxT0
百合子「ん?こんな所に穴が……何だろう」
やよい「本当ですね」
百合子「もしかしたら中にお宝が……?」
やよい「……あ、ダメです!離れてください!」
百合子「え!?」
やよい「モグラの魔物がいるって聞いたことがあるので!」
ひっかきモグラ「!」ピョン
百合子「わ!」サッ
ひっかきモグラが勢いよく飛び出したが、やよいの忠告のおかげで間一髪回避に成功した百合子。
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 17:18:10.97 ID:tCqf3dxT0
やよい「やあっ!」ザクッ
ひっかきモグラ「!?」
百合子「はあっ!」ズババッ
ひっかきモグラ「……!」
やよいと百合子の連携攻撃がひっかきモグラを追い詰める。
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 17:19:29.10 ID:tCqf3dxT0
ひっかきモグラ「!!!」ダッ
百合子「(来る!)」
斬撃の威力から、百合子がより危険な存在であると判断し狙いを定めたひっかきモグラ。
それに対し百合子も体の正面に盾を構え守りを固める。
ひっかきモグラ「ッ!」ブン
ズバッ
百合子「うあっ!」
バタン
体勢を低くしたひっかきモグラが鋭利な爪を振り回し、百合子は脚に裂傷を負いそのまま倒れ込む。
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 17:20:09.42 ID:tCqf3dxT0
やよい「(今!)」ブン
ズバッ
ひっかきモグラ「」
やよいからの斬撃を急所に受け、ひっかきモグラは絶命
やよい「百合子さん!」タッタッ
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 17:20:56.80 ID:tCqf3dxT0
やよい「大丈夫ですか!?」
百合子「はあっ……はあっ……!」
やよい「早く戻って治療してもらいましょう!」
百合子「……」
やよい「歩けますか!?」
百合子「……」フルフル
やよい「え……」
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 17:22:10.23 ID:tCqf3dxT0
やよい「どうしよう……治療のしかたなんてわかんないし……」
百合子「私のことはいいから……やよいさんだけでも……街に……」
やよい「そんなのダメです!私がおぶっていきます!」
百合子「私の方が大きいのに無理だよ……それで魔物に出くわしたら、やよいさんも襲われちゃう」
やよい「……」
やよい「近くに他の冒険者もいるかもしれません!私、助けてくれる人を探してみます!」
やよい「百合子さんはそこの草むらに隠れていてください!幸い今は魔物の気配がありませんから!」
やよい「待っててください!」ダッ
百合子「……」
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 17:23:58.68 ID:tCqf3dxT0
百合子「(私は勇者なんかじゃないんだ……)」
百合子「(多くの冒険者が樹海で命を落としているのに、なんで自分は大丈夫だなんて思っちゃったんだろう……)」
百合子「(私の物語はこれで終わり……)」
百合子「(やよいさん……私のことは忘れて……強い人のギルドに入って、安全に冒険してね……)」グスッ
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2022/03/31(木) 17:24:41.70 ID:tCqf3dxT0
百合子「(私は勇者なんかじゃないんだ……)」
百合子「(多くの冒険者が樹海で命を落としているのに、なんで自分は大丈夫だなんて思っちゃったんだろう……)」
百合子「(私の物語はこれで終わり……)」
百合子「(やよいさん……私のことは忘れて……強い人のギルドに入って、安全に冒険してね……)」グスッ
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