真・恋姫夢想【凡将伝Re】5

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357 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2023/08/14(月) 22:22:25.55 ID:x8Kt1Aqa0
「で、民のためにお前はそこに立ってるのだったか。
 それが本当ならば、さっさと降るんだな。抵抗は無意味だ」

「この身を替えても!私は民を守ると誓ったのだ!死など恐れない!」

その言葉にニヤリ、と笑う。

「じゃあ、関羽よこうしよう。お前が降ればここで軍を引こう。民も手にかけない。どうだね」
「な!」

言葉を失う関羽。

「主、それは……!」

なに、本拠を喪った蜀軍がどう動くか。それが分からんかったからこうしてえんやこらと足を延ばしているのだ。目的は達せられたと言っていい。これ以上は無駄無駄。
匈奴なり近隣の村落やらで戦力拡充させて逆撃もあると思っていたんだが、それがないならもうどうでもいい。
天の国、ということは日本に向かったということであろう。そこらへんは俺の関知するとこじゃない。もう、好きにすればいいのさ。無事に海を渡れるとも思わんがね。

「そ、それが本当ならば……。本当に、民に手をかけないならば……」

「阿呆。誰が好きで民を手にかけるかよ。ああ、時間稼ぎは通用しないぜ?既に技術部は橋の建造に動いてるからな」

そして、がくり、と関羽は項垂れて俺の軍門に降ったのである。
勝利……圧倒的勝利……!

「アニキー。でもこいつ、降ったにしてもどうせ死罪だろ?いまここでやっちゃってもいいんじゃねーの?」

「そうですね。文ちゃんに私も賛成です。降ったからといって死一等を減じられることもないでしょうし。いっそここで派手に討死させてあげた方が温情かもしれませんよ?」

猪々子と斗詩の物言いもごもっとも。
私たち不満です、という複数の視線を受けてにへらと笑う。

「そして関羽への沙汰は今下す」

更に視線が俺に集まる。

「関羽。字を雲長。真名を――愛紗」

ざわ、とその場がざわつく。許されてもいない真名を呼ぶのはこの中華において絶対的な禁忌。思わず抗議の声を上げようとした誰より先に。

「沙汰を下す。漢朝に叛旗を翻した不逞の輩。関羽と名乗っていた匹夫。そのすべての名を剥奪する。これが征夷大将軍たる俺の下す沙汰である。
 以降、貴様は字伏(あざふせ)と名乗れ」

 これが俺の下した処分である。
 
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