渋谷凛「アイドルで」北条加蓮「大河ドラマ」神谷奈緒「源平物語!」

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157 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:04:14.52 ID:wJoYvkKh0
乃々「始まったんですけど、新中納言様の言う通り、源氏はなんの策もないみたいなんですけど」

雫「珍しいですねー。源氏が、というより義経が私たちの攻撃をただ待ちかまえているなんてー」

くるみ「総大将の知盛しゃん、進軍の下知を!」

加蓮「……」

くるみ「知盛しゃん?」

加蓮「あ、ご、ごめん兄上。全船、源氏方に向けて進軍。私の合図で矢を射て」

加蓮(どうしたの義経。本当に無策で戦うの? あなたらしくないけど……もう盤外の一手はないの?)


未央「へ、平家の勢いもの凄いんだけど!」

みりあ「平家からは乗り潮、こちらは受け潮なのはわかってるけど、それにしてもすごい攻撃! 矢が雨みたいに降ってくる!」

みりあ「きゃああああああ!!!」

未央「こんなのまともに受けられないよ。とりあえず、撤退を」

莉嘉「与一くーん」

舞「はい」

莉嘉「例の策、お願い☆」

舞「は、わかり……ました。いきます! ひい、ふっ!!」

未央「与一くん? あ、あの人が、あの扇の的を射たっていう那須与一? でも今はなにを射るつもりなの?」
158 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:04:50.31 ID:wJoYvkKh0
保奈美「与一の射た矢は、真っ直ぐに飛ぶと平家水軍先頭の船の水手(かこ)の胸を貫きます」

美由紀「水手のみんな、流れ矢に気をつけてよ! 戦いに加わらない水手を攻撃しないのは武家の習わしだけど、流れ矢に当たることはあるからね」

ひゆっ!

鷹富士茄子「む、胸に矢が……」

美由紀「言ってるそばから……もう、誰なの下手な矢で水手に当たっちゃったこの矢を射たのは……あ、矢に名が記してある。えっと……那須? 那須……なすって言ったら……」

茄子「なすじゃなくて、私は水手(かこ)ですよ〜……」ガクッ

美由紀「な、那須与一宗隆……屋島の扇の的で、神業を披露した源氏の弓矢の名手……」

「お、おい聞いたか」「あの那須与一が水手を射殺したんだってよ」「神弓の使い手が、狙いを外すはずがねえ!」「源氏は俺たち水手を狙ってるんだ!!」「俺たち、殺されちまう!!!」


加蓮「船の動きが……止まった!?」

雫「前の方の船、どうなってるんですかー!?」

乃々「あわわ……平家側の船が、どんどん動かなくなっていってるんですけど、いったい何が……」

加蓮「まさかまた……義経なの!?」


未央「止まっ……た? 平家の船が止まっていく……」

みりあ「なにを……なにをしたの義経ちゃん!」

莉嘉「えっへん! さあさあ、これで一刻の間耐えられるよ」
159 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:05:33.65 ID:wJoYvkKh0
加蓮「水手を……しかも一矢、一人だけを射抜いて、平家の水手全員に恐慌を引き起こして、全部の船を止めた……!?」

乃々「水手が恐れをなして、なだめてもすかしても、櫓を漕がないんですけど。船の中に入っちゃってるんですけど」

くるみ「那須与一の名は、今や"武士(ギャル)"の間で知らぬ者はいましぇんから! その名人が水手を狙ってるとわかったら……」

保奈美「そして時は無情にも、一刻が過ぎます」

莉嘉「さあ、潮の流れが逆になったよ! アタシ達の反撃かーいし☆」

加蓮「敵の船がものすごい勢いで襲来……矢も雨のように降ってくる。ここまでか……最後まで義経に……盤外の一手にやられちゃったな……」

雫「まだあきらめませんよー! えーい!!」

文香「あれは……能登守、平教経! あの巨躯でこちらの船に“跳躍(ジャンプ)”を。まずい……!!」

ガッ

雫「その“出で立ち(コーデ)”、武蔵坊弁慶さんですねー?」

文香「……いかにも」

雫「ということは、側にいるのが源義経で間違いないですねー!? ええーーいいっ!!」

莉嘉「! はっ……と!」

雫「一跳びで、あんな遠くの船まで……残念ですが、義経は討ち取れませんでしたー。私はここまでのようですが、せめて源氏を道連れにー!」

保奈美「そう叫ぶと、教経は源氏の武将を両脇に1名ずつ抱えると、そのまま海へと飛び込み沈んでいきます……」
160 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:07:58.42 ID:wJoYvkKh0
https://i.imgur.com/dXEwIYQ.jpg
平教経(能登守)
161 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:08:55.25 ID:wJoYvkKh0
乃々「二位の尼様、もはやこれまでなんですけど。お……お覚悟を……お願い……いたしますけど!」


凛「……乃々、がんばったよ。乃々は……」

加蓮「え? この最後の時に、まだ登場していなかった人がいるの? 二位の尼?」

奈緒「二位の尼は、清盛の正妻だった人で、平家一門にとってのお母さんみたいな存在なんだよ」

P「この二位の尼が、清盛亡き後は一門の精神的支柱だったんだ。当然、平家一門と共に彦島まで落ち延びており、安徳天皇を祖母として育てていた」

凛「安徳天皇……ああ、後白河法皇がほったらかしちゃったあの幼い天皇だ」

加蓮「清盛の孫の天皇なんだよね」

奈緒「そう。そしてあの後白河法皇がなんとしても欲しがっていた、三種の神器も二位の尼や安徳天皇と共にあった」
162 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:09:28.09 ID:wJoYvkKh0
持田亜里沙「……わかりました。平家もこれで最期。せめて見苦しくないよう、その時を迎えましょう。ね、帝」

浅利七海「なんれすか〜? おばあさま。これからどこかへ行くのれすか〜?」

亜里沙「そうですよ。これから都へ参りますからね」

七海「都、れすか〜? でもここは、海の上れすよ〜?」

亜里沙「心配は要りませんよ。さあ、みんなも一緒に参りましょうね〜私といっしょに、はい続いてね!」

保奈美「二位の尼の声に、場にいた女御達は涙を流しながら立ち上がります」

亜里沙「さあさあ。帝、みんなが一緒です。なにも怖くはありませんよ。海の……海の底にも、都はございます!!!」

保奈美「二位の尼は、そう言うと。走り出し、船の外へと駆け出ると、そのまま海の中へと落ちていきました。飛び込んだのではありません、落ちたのです。すべては幼い安徳帝を怖がらせまいとする心遣いでした」

くるみ「ぴ、ぴええ。み。みんないくんでしゅか? う、海の底に……い、いくんでしゅか?」

保奈美「女御達は、口々に『みなさまお先に』と言うと、二位の尼と安徳帝を追うように海に飛び込んでいきます」

くるみ「む、宗盛も……平家のみんなと一緒に……えいっ!」ドボン
163 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:10:08.76 ID:wJoYvkKh0
加蓮「負けた……負けちゃった。義経……あなたの勝ちだよ。平家はこれで……お終い。知章……ゴメンね」

莉嘉「うーんと、弁慶くん。あそこにいるのが総大将なんじゃない? 新中華一番の」

文香「新中華一番ではなく、新中納言……平知盛です。はい、間違いないでしょう……おや、こちらを見ました。向こうも私たちに気づいたようです……」

加蓮「あなたが義経……だよね。アタシの負け。でも、なんでかな、不思議とあなたのこと憎くない。平家一門滅亡はあなたの戦での活躍によるもの……なのに、ね」

莉嘉「なんか笑ってる……笑ってるよね? 弁慶くん」

文香「はい……なぜでしょうか……」

加蓮「義経、これからきっと大変だよ。あなたの本当の敵は、私たち……平家なんかじゃないんだから。負けないでよね、私たちに勝ったんだから……って、聞こえないか。遠すぎるし、波の音で」

莉嘉「何か言ってる……なんて言ってるの?」

文香「さすがにここからでは……おや、あれは何を……」

保奈美「平知盛は、腰に差していた刀をなんと両手に持つと膝に当てて折ってしまいます。握る刀が両掌から血を流します。しかし知盛はそれにも構わず、両手に持った刀を頭上で打ち鳴らします」

加蓮「わかったー!? あなたの本当の敵、そしてやってることが!?」

莉嘉「なんだろう……自分で自分の刀を二つに折って、それを両手に持って打ち合って」

文香「あの様子、何か意味があるとは思いますが……はて」

加蓮「さて。形見代わりにずっと持ってきていたけど、一緒にいこうか。知章」

莉嘉「今度は鎧の上にもうひとつ鎧を着てる」

文香「覚悟を決めたのですね。平知盛。立派な“武士(ギャル)”でした」

莉嘉「え?」

ドボン

莉嘉「……海に飛び込んだ……さようなら。アタシの宿敵。忘れないよ、新中納言平知盛……」

保奈美「戦いに打ち破れる者、自ら命を絶つ者、壇ノ浦の海は平家の赤い旗が波間に流されていき、まるで川に流れる紅葉のようであったと伝えられます。ひと時代の栄華を極めた平家の最期でした」
164 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:10:56.42 ID:wJoYvkKh0
凛「負けちゃったね、平家。加蓮お疲れ様」

加蓮「大変だったんだから。本当に海に飛び込んだんだよ、スキューバつけてその上から鎧着て」

奈緒「あたし達もナレ死ではあったけど、平家側だったからなんか感慨深いな」

加蓮「栄華を誇った平家一門も、この壇ノ浦で1人残らずいなくなっちゃったんだね……」

P「いいや」

加蓮「え?」

奈緒「平家という家格としては滅亡したけど、1人残らずいなくなったわけじゃないんだ」

凛「え?」

保奈美「ではここでクイズです」デデン

加蓮「え? なんで保奈美ちゃんいつもの琵琶法師じゃなくて、司会者みたいな衣装になってんの?」

凛「え? スタッフさんが回答ボタンとハットを持ってきてくれたけど……」

保奈美「平家一門生き残ったのは誰だクーイズ」パチパチパチパチ

凛「え?」

保奈美「問題」デデン

加蓮「え?」
165 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:11:32.30 ID:wJoYvkKh0
保奈美「今回のドラマ、壇ノ浦のシーンに登場したけれど『確実に』生き残った人がいます。さて……誰でしょうか?」

凛「えっと、はい!」ポーン

保奈美「凛さん」

凛「乃々」

ブー!

加蓮「わかった!」ポーン

保奈美「加蓮さん」

加蓮「雫と私は体を重くして海に飛び込んだから確実に生きてないし、乃々ちゃんじゃないとすると残るは……くるみちゃんこと宗盛兄様!」

ピンポンピンポンピンポーン♪

奈緒「やっぱり現場にいた加蓮は、よくわかってるよな」

凛「待って。今、私が誤答したから加蓮もわかったんでしょ?」

保奈美「第2問」デデン

凛「え? え? え?」

保奈美「今回のドラマ、壇ノ浦でのシーンで登場したけれど生き残ったかも知れないなー生き残ってるんじゃないかなー生き残ってるといいなーという人がいます。……誰でしょうか?」

凛「はいはいはい!!!」ポーンポーンポーン

保奈美「凛さん」

凛「乃々!」

ピンポンピンポンピンポーン♪

凛「やっぱり生きてるんだ! 乃々!!」

奈緒「というか、どこでどう亡くなったかっていう正確な記録がないんだよな」

加蓮「乃々ちゃんの維盛って、ドラマ内で何度も『都1のイケメン』って呼ばれてたけど、そういう有名な人でもそういうことあるんだ」

P「一ノ谷の戦いの後で、戦線から離脱したという記録もあるし、壇ノ浦の合戦にも参加したという資料もあり、定かではないんだ」

凛「大丈夫、きっと乃々は生きているよ。生き延びて、平家は続いている」

P「というか、逆に」

加蓮「え?」
166 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:12:46.20 ID:wJoYvkKh0
奈緒「平家一門でも壇ノ浦以降も、堂々と生き続けた人物もいる」

凛「それって平家の人なのに、頼朝に許されたの?」

奈緒「ああ。頼朝っていう人は、自分自身の経験から生き残った敵の大将には厳しい人だったんだけどさ」

加蓮「同じ源氏なのに、義仲を討ち取ったり、その子供の義高も討ったりしてたよね」

奈緒「それはやっばり、生き残りが力をつけて復讐してくることの強さ、怖さをよくわかってたんだと思うんだ」

P「それに頼朝は御家人、つまり自分に忠誠を誓う武士でも反抗したりする人には容赦がなかった」

加蓮「えー、なんか美嘉ちゃんのイメージと違う」

奈緒「だけどその一方で、受けた恩とか気持ちは絶対に忘れない人でもあったんだよ」

加蓮「へえ」

奈緒「さっきあたしが、平家でも壇ノ浦以降も堂々と生き続けた人物もいるって言っただろ?」

凛「うん。あれって誰のこと?」

若林智香「それは、アタシですっ☆」ジャーン

凛「え……誰?」

智香「凛ちゃーん。アタシですよっ、若林智香ですよっ!」

凛「いや、それはわかってるけどさ……」

加蓮「誰の役なの? 智香は?」

智香「アタシの演じる役は、平頼盛(よりもり)ですっ!」

加蓮「平……って、平家一門なの!? ここまで登場してなかった平家の人間が、平家が滅亡した今から出番があるの!?」

P「この頼盛という人は、平忠盛……つまり清盛の父親の五男にあたる人だ」

加蓮「ということは……父上である清盛の弟だから……え? アタシからは叔父さんになるの?」

凛「一門の中でも、めちゃくちゃ清盛に近い人じゃない!」

保奈美「それではここで、第3問!」デデン

凛・加蓮「「えっ!?」」
167 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:13:58.67 ID:wJoYvkKh0
P「ちなみにこのクイズ、2ポイント先取した方が来年の大河ドラマの主役に抜擢されるからな」

凛「ちょっとお」(1ポイント)

加蓮「そういうの、先に言ってよ」(1ポイント)

保奈美「智香さん演じる平頼盛は、平家一門でありながら命を奪われず、逆に領地まで頼朝からもらい子孫も続いてくのですが、それはなぜだったのでしょうか?」

凛「はい!」ポーン

保奈美「凛さん」

凛「平家のお宝とか財宝を、美嘉に献上したから」

ブー!

加蓮「はい!」ポーン

保奈美「加蓮さん」

加蓮「えっと、ものすごいお世辞が上手で、美嘉ちゃんのことをほめちぎったから」

ブー!

凛「はい!」ポーン

保奈美「凛さん」

凛「舞が演じた那須与一みたいに、何か武芸で優秀な腕前があって、それで許されたとか」

ブー!

加蓮「はい!」ポーン

保見「加蓮さん」

加蓮「平家と争っている最中から、こう……平家の情報とかを美嘉ちゃんに教えてたから」

ブー!

凛「智香ー! ヒントちょうだい、ヒント!」

加蓮「ヒント、プリーズ」
168 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:15:00.77 ID:wJoYvkKh0
智香「それじゃあ……えっとですね、アタシ自身は実はなーんにもしてません」

凛「えっ!?」

智香「アタシはなんにもしてないんだけど、頼朝こと美嘉ちゃんはアタシの命を助けてくれましたっ☆」

加蓮「はい!」ポーン

保奈美「加蓮さん」

加蓮「名前が頼盛で、頼朝と同じ『頼』っていう字が入ってたから頼朝も嬉しくて許してくれた!」

ブー!

凛「はい!」ポーン

保奈美「凛さん」

凛「顔が良かったから……美形だから許してもらえた!」

智香「えへへっ☆ ありがとうございますっ!」

凛「智香じゃなくて、平頼盛がね」

智香「……」ポチッ

ブー!

凛「今の私情が入ってない!?」

加蓮「はい!」

保奈美「加蓮さん」

加蓮「えっと……じゃあ……あ、本人じゃなくて、お父さんとかお母さんが世の中の為になる、いいコトをしたから」

……ブッブッ

凛「え?」
169 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:16:35.75 ID:wJoYvkKh0
保奈美「いいコト……具体的には?」

加蓮「え? えっと……都の困っている人にお米とか分けてあげたり?」

ブー!

保奈美「不正解ですが、惜しいというか近いです」

智香「アタシのお母さんが、何かをしたことでアタシは許されましたっ☆」

加蓮「もうちょっとヒント!」

凛「ヒントお願い!」

智香「それじゃあ……今回のドラマ、お2人はずっと見たり演じたりしてたとおもうんだけどっ、アタシのお母さんがしたその何か……実は、ここまでのどこかのシーンで出てきてますっ☆」

加蓮「えっ?」

凛「わかったあっ!」ポーン

保奈美「凛さん!」
170 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:17:09.74 ID:wJoYvkKh0
凛「智香のお母さんが、美嘉の命を助けるようつかさに頼んでくれたから!」

ピンポンピンポンピンポーン♪

凛「やった!」

加蓮「あー……そうか、あれかあ。池禅尼の、ハラペコクラリスさんかあ……」
 
智香「そうでーすっ☆ アタシのお母さん池禅尼が、断食をしてまで頼朝の助命をして助けてくれたこと、頼朝さんは忘れずにいてくれて、アタシの命を助けてくれたんですっ!」

加蓮「そうか。そうなんだ、頼朝は……美嘉ちゃんは命を助けてもらった恩を忘れていなかったんだ」

奈緒「これも頼朝という人物の人柄を伝えるエピソードだよな」

保奈美「さて、平家が滅亡した壇ノ浦。その報を頼朝は鎌倉で聞きます」ベベン
171 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:17:42.65 ID:wJoYvkKh0
美嘉「義時、範頼、壇ノ浦の合戦は大勝利だったってまずは早馬からの報告を聞いてるよ。よくやってくれたね★」

未央「えっと、あの……その……」

忍「なんと言いますか……」

美嘉「どうしたの? 大勝利とは聞いているけれど、詳しい戦果はどうだったのかを聞かせてよ」

未央「も、申し上げます!」

美嘉「え?」

忍「去る3月24日、長門国壇ノ浦にて我が軍は平家との合戦におよび、大勝利。平家は……め」

美嘉「め?」

未央「め」

美嘉「め?」

未央「滅亡いたしました!」

美嘉「そう。平家は滅亡……め、滅亡!? 滅亡ってどういうこと!? アタシ言ったよね、負けちゃダメだけど必要以上に追いつめるなって」

未央「それがその……九郎がまたも大活躍して……」

美嘉「義経が? あのね範頼、アタシがなんて言ったか……」

忍「平家は負けを認めて潔く、自刃や海へと投身沈におよび、一門は全滅。なお……」

美嘉「なに? まさかと思うけど……」

忍「三種の神器のうち、草薙の剣は海へと沈んでしまいました!」

美嘉「……義経ーーー!!!」
172 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:20:11.34 ID:wJoYvkKh0
くるみ「あ、あの、このあとどうなるんでしゅか?」

未央「まあたぶん、斬首だと思うよ」

忍「そもそもなんで他の一門の人みたいに、海に飛び込まなかったの?」

くるみ「飛び込んだんでしゅけど、胸が浮いて沈めなかったんでしゅ……」

未央「それはまた、なんというか……」

忍「うらやまご愁傷様……」

くるみ「びえーん」


保奈美「そして遅れて鎌倉に戻ろうとした義経は」ベベン

莉嘉「腰越から先に来ちゃダメ? なんで?」

みりあ「御所様からのめーれーだもん」

莉嘉「ごしょさま、ってなに? お姉ちゃんでしょ?」

みりあ「そうやって御所様の弟だからって好き勝手してるから、来るなっ言われちゃうんだからね」

莉嘉「なにそれー!」


文香「義経様……」

莉嘉「なんでお姉ちゃんはアタシに会ってくれないの? アタシ、がんばったのに……平家だって倒してお姉ちゃんやお父さんの敵もとったのに……ほめてもらえると思ってたのに」

文香(そう、義経様は軍神とも言える活躍をされた。しかしそれは……)

莉嘉「そうだ!」

文香「はい……?」

莉嘉「会ってくれないなら、そうだ手紙書いたらいいじゃん。アタシ天才☆」

文香「それは良い考えです……すぐに、文を」

莉嘉「うん! えっと……」


美嘉「文? 義経から?」

忍「うん。会ってもらえないなら、って」

美嘉「……背景。ふふっ」

忍「え?」

美嘉「やだもう。背景じゃなくて拝啓でしょ。まったく、文の書き方も……」

忍「どうしたの?」

美嘉「誰にも……ううん、そういうことを教えてくれる人が、義経にはいなかったんだろうね」

忍「お母さんと平家に捕らわれ、寺に送られて、それからは奥州で武芸を修めて……だもんね」

美嘉「……今回のこと、許すわけにはいかないけど、さ」

忍「うん」

美嘉「しばらく大人しくしてくれてたら、また鎌倉で一緒に話したりできるよね。きっと」

忍「そうだね」
173 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:20:48.38 ID:wJoYvkKh0
フレデリカ「なるほどなるほど。結局、文を書いても会ってはもらえなかったってわけだネー」

志希「それは義経クン、危ないよ〜」

莉嘉「そうなんだよー……え?」

志希「頼朝クンはさ、刃向かった人を絶対に許さないじゃナイ」

莉嘉「そうだっけ?」

志希「古くは大庭景親、木曽義仲にその息子の義時、平家一門ことに平宗盛」

莉嘉「うん……みんな殺されちゃったね」

志希「次は義経クンかも知れないよ〜」

莉嘉「そんな! まさかお姉ちゃんがアタシを殺すわけないよ!」

志希「頼朝クンに殺された人はみんなそう言ってたよ〜。あたし、全員とつき合いがあったから知ってるんだよね」

莉嘉「そんなあ……」

フレデリカ「そんな義経ちゃんに、これをあげちゃう。これでもう安心だからね」

莉嘉「なにこれ?」

フレデリカ「ミーからのありがたい院宣」

莉嘉「院宣?」

志希「頼朝を討て、という院宣ダヨ〜」

莉嘉「いやあっ! い、要らない!! こんなのアタシ要らない!!!」

志希「もう。義経クンはウブだなあ、本気にしなくてもいいんだよ」

莉嘉「えっ?」

志希「このままだと、義経クンは頼朝クンに殺されるじゃない? でもほら、こうして頼朝クンを討てという院宣がある限り、義経クンは官軍で頼朝クンは賊軍ってワケ」

フレデリカ「なにも本当に頼朝ちゃんを討たなくていいんだよ? でもこれを持っていれば、頼朝ちゃんは義経ちゃんに手を出せないという最強の護符になるから」

莉嘉「……ほんっとーに、お姉ちゃんと戦わなくてもいいんだよね? 持ってるだけでいいんだよね?」

志希「もちのろんだよ〜。さ、受け取って受け取って」

莉嘉「じゃあ……うん」
174 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:21:23.84 ID:wJoYvkKh0
美嘉「後白河法皇が、義経にアタシを討てという院宣を出したぁ!?」

未央「義経もそれをおしいただいた、って報告が景時からあって。なんかその場には行家もいたとかなんとか……」

美嘉「……」

忍「ま、待って。あの義経さんのことだからさ、きっとまたうまいこと言われて騙されてるんだよきっと」

美嘉「あの子は……今度は……今度という今度はもう許せない……ゆるさないから!!!」

忍「御所様、恐れながら申し上げますが!」

美嘉「そっちがその気ならこっちも本気出すから! 義経追討の兵を出すから!!」

忍「御所様、待ってくださいって!!」

美嘉「大将はアタシ。アタシ自らが、討って出る!!!」

忍「御所様!!!」
175 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:22:06.24 ID:wJoYvkKh0
凛「え、待って。別にこれ、お互い戦うほどのことじゃないんじゃないの?」

加蓮「そうだよ。ちょっと前まで、時間がたてば仲直りできそうな雰囲気だったじゃない?」

奈緒「このあたり、色んな説とか研究があるんだけど、結果として義経と頼朝は戦う事態になったんだ」

P「義経は平家との戦いで一世を風靡して、全国の武士の間や都の人々からヒーローとして認識されてたし、頼朝は鎌倉で政権を作ろうとしていたし、本当に両雄が同時に立つのは難しかったんだろうな、とは思う」

加蓮「というか」

P「ん?」

加蓮「アタシ、演じてる時から思ってたけど、この後白河って法皇がすべての元凶なんじゃない?」

奈緒「そうなんだよ」

凛「やっぱり」

P「義朝が頼朝に言っていたこと、覚えているか?」

加蓮「えっと、朝廷じゃない武士による政を目指す……とか」

P「あのシーンでも触れられていたが、この時代まで政は朝廷が行うものだった。だがその仕組みそのものが時代に合わず、破綻してきてこの源平の時代にはそれが限界に達していた」

奈緒「朝廷から派遣されてくる受領と呼ばれる国司は、税金を搾り取るだけの存在。それから逃れるには荘園という税を払わなくていい存在にみんながなろうとして荘園が増える。荘園は寺社や有力貴族の私物だったからそれが増えると国の税収が減る。このサイクルを破ろうと、武士は立ち上がったんだ」

凛「そっか。だから朝廷のトップの後白河法皇は、武士と武士を戦わせて勢力を削いだりして保身してたんだ」

加蓮「武士と武士との争いだと思っていたけど、武力の争いじゃなくてどういう政治をするかの戦いでもあったんだ」

奈緒「だから平家は福原に遷都したり宋と貿易をしたし、源氏は東国で武家政権を作ろうとしたんだな」

P「さあ、それじゃあこの頼朝と義経の戦いがどうなっていくのかを見ていこう。舞台は駿河国だ」

保奈美「ウォウォウヤァアヤァア、ヨォ〜ゥイェ〜ェ♪ ウォワォオイェ〜ェ、ヨォ〜ゥイェ〜ェ♪」ベンベン

加蓮「久々に聞いた。このいい声」
176 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:22:42.91 ID:wJoYvkKh0
保奈美「頼朝は駿河の国、今の静岡県の黄瀬川に陣を張ります」

未央「兵はすべて、かねて仰せの通りの陣に配しました」

美嘉「そう……」

忍「糧秣の運搬も終了しました」

美嘉「そう……」

未央「あ、あの、御所さ……兄上」

美嘉「……なに?」

未央「思い出すよね。この黄瀬川で、あの九郎と最初に会ったんだよね」

忍「そうそう。奥州からわずかな手勢で駆けつけてくれて。私は、お供の人を義経さんだと間違えちゃってさ」

美嘉「ふふっ……そんなこと、あったね」


未央「ここまで来たはいいけど、きっと兄上は後悔してるんだよ」

忍「私もそう思う。これでさ、義経さんが頭を下げたりでもしたら、丸く収まるんじゃないかなあ」

未央「ほんとに……義経、どうしてるんだろう」

忍「今が最後のチャンスかも知れないんだけどねえ……」
177 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:23:15.43 ID:wJoYvkKh0


美嘉「義経……なんで来ないの。来て、一言いいわけをすれば……頭を下げればアタシは許すのに……アタシは弟を許すのに……」


178 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:23:47.40 ID:wJoYvkKh0
保奈美「一方その頃、義経は」

文香「兵が集まりません。御所である頼朝様直々このご出陣に、各地の武士はみな恐れをなしたようです……」

莉嘉「戦う前から、アタシの負けだね。ううん、アタシそもそもお姉ちゃんとは戦いたくないよ」

文香「……」

莉嘉「お姉ちゃんが、鎌倉から動かなかったわけがようやくアタシわかった。武家をまとめて政をしたり、兵を動かして運用したり、今みたいに命令を行き渡らせる組織をずっとお姉ちゃんは作ってたんだ」

文香「そうですね……」

莉嘉「お姉ちゃんが、官位を勝手に受けちゃダメだって言ったわけもわかった。それを許すと鎌倉のお姉ちゃんの権威に関わるからなんだ。お姉ちゃんが官位を決めなきゃダメなんだ」

文香「そうですね……」

莉嘉「お姉ちゃんが、三種の神器を平家から奪うことを第一にしてたのは、朝廷に対抗する力を得るためだったんだ。今の後鳥羽天皇は、神器がないのに即位して肩身が狭いから……」

文香「はい……」

莉嘉「アタシわかった。新中納言が、平知盛が最後に見せたあの仕草の意味」

文香「! なんだったのですか、あれは……?」
179 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:24:24.84 ID:wJoYvkKh0
莉嘉「あれはアタシに、アタシの本当の敵を教えてくれてたんだ。武士の象徴である刀、それをふたつに分けてぶつけ合っている者がいる。気をつけるんだよ……って」

文香「あっ! そうだったのですか……清盛と義朝様を、義仲と平家を、義仲と頼朝様を、そして頼朝様と義経様を……その黒幕の存在を……そう……だったの……」

莉嘉「アタシわかった。今になってわかった。アタシはアタシの本当の敵に、いいように動かされてた。お姉ちゃんの邪魔するためにアタシは使われてたんだ」

文香「なんということ……私は義経様の家来失格です。あの新中納言の真意を……助言にあの時に気づけなかったなんて……」

莉嘉「弁慶くん……アタシわかったよ。お姉ちゃんに負けて、初めて戦で負けて、負けたら……急に色々わかるようになったよ」

文香「義経様……」

莉嘉「負けるって大事だね。こんなに色んなことがわかるようになるなら……アタシ……アダジね、弁慶ぐん」

文香「……」

莉嘉「もっど早ぐ、誰がに負げでればよがったのがな……うえええええええええん」

文香「義経様! お許しください……事ここに至るのを防げなかった愚かな家臣を、どうかお許しください……」

保奈美「主従は共に涙を流しながら抱き合います。完敗でした。義経主従の初めての敗北は、矢の一本刀の一合を交わすこともない。静かな、そして完膚なきまでの敗北であったのです……」
180 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:25:09.60 ID:wJoYvkKh0
莉嘉「……弁慶くん、アタシもうひとつわかったことがある」

文香「なんでしょうか……?」

莉嘉「木曽義仲が負けた時、北陸に向かおうとしてたじゃない」

文香「……? はい」

莉嘉「平家は一ノ谷で負けたら屋島に船で向かった。屋島で負けたら彦島に向かった」

文香「そうでしたね」

莉嘉「みんな負けたら、生まれ育ったところに、仲間のところに、自分の拠り所に逃げるんだ」

文香「なるほど……」

莉嘉「アタシにはないんだ。生まれ育ったところも、仲間のいるところも、自分の拠り所も……」

文香「ああ……そうなのでした。義経様は、生まれてすぐ戦乱で京に……」

莉嘉「お姉ちゃんだってそれは同じなのに、生涯で二度も負けたのに……自分で作ったんだよね。負けても戻れる場所を」

文香「それが、あの方が鎌倉から動かなかった、もうひとつの理由かも知れませんね」

莉嘉「アタシにはないんだ……逃げる故郷が……」

文香「……お待ちください。あります……! 逃げる場が、義経様にも!」
181 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:25:47.04 ID:wJoYvkKh0
美嘉「義経は、我が鎌倉軍に恐れをなし敗走した。これ以上の滞陣は無用。鎌倉に引き上げる」

未央「……来なかったか、義経」

忍「良かったのか悪かったのか……どうなのかな」

美嘉「今頃きっと、あの子も気づいているよね。源氏の嫡流として生まれたアタシたちには、負けたら落ち延びる故郷がないってことに……」

未央「え?」

忍「御所様、今なにか……」

美嘉「……なんでもない」
182 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:26:26.79 ID:wJoYvkKh0
保奈美「鎌倉に戻った頼朝でしたが、そこに意外な人物が京の都から送られてきます」

美嘉「白拍子?」

まゆ「義経さんの、お手つきだそうですよぉ」

美嘉「義経が!? 白拍子に手を出してたの!?」

忍「しかもお腹には、ややこが……」

美嘉「えええええっ!? じゃあ義経の子供……が?」

未央「どうなさいます?」

美嘉「ど、どう……って。どうしよう?」

忍「……とりあえず、その白拍子が鎌倉を、御所様をどう思っているのか確かめたらどうです?」

未央「どうやって?」

忍「近く、鶴岡八幡宮で祭事があります。そこで舞を舞わせてみたらどうかな。ちゃんと寿ぎ(ことほぎ)の舞を舞うようなら、それは心底鎌倉に忠誠の気持ちがあるってことで」

美嘉「そうか。そうだね、じゃあそうしよう」


奈緒「さてついに、義経の側室で美人で舞の名人だった静御前の登場だな」

加蓮「思い出した。都で莉嘉ちゃんが都で検非違使やってる時に、白拍子の所に通ってたっけ」

凛「そういえば……そんなことあったね」

P「ドラマ内でも言われてたが、白拍子っていうのは歌舞をする人でで静御前はその達人と呼ばれていたんだ」

奈緒「あの後白河法皇が京で日照りが続くので白拍子に雨乞いの舞を踊らせたんだけど、99人の白拍子が舞っても雨は降らなかったのに、最後の100人目の静午前が雨乞いの舞を踊るとたちまち雨が降った、という伝説のある人でさ」

P「後白河法皇はその時『かの者は神の子か』と驚いて、日本一の称号を授けたんだ」

加蓮「なんかものすごい人だね」

凛「誰がその役、演じるのかな?」

奈緒「いや、誰だろうな!? 楽しみだな!? ワクワクしてくるよな!!」
183 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:29:19.00 ID:wJoYvkKh0
美嘉「では静よ、寿ぎの舞を舞ってみよ。見事舞えたなら、その命助けてもいいから」

ヘレン「助命でもダンサブル!」ヘーイ!
184 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:30:44.63 ID:wJoYvkKh0
https://i.imgur.com/3CtK3iP.jpg
静御前
185 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:31:20.67 ID:wJoYvkKh0
奈緒「ぶっ!」

加蓮「いやまあヘレンさんのダンスはすごいけど」

凛「白拍子の舞って、そんなんじゃないんじゃないの?」

P「まあまあ、鬼気迫るヘレン渾身のダンスを見てくれ」


ヘレン「吉野山♪ 峰の白雪ふみわけて♪ 姿を隠していったあの人のあとが恋しい♪」ヘーイ!!

未央「あわわわわ……」

忍「どうしたの? 蒲殿」

未央「あの静って白拍子が歌って舞っているのは、恋しい人への想いを込めた歌と舞なんだよ」ヒソヒソ

忍「へえー……え? 寿ぎの歌と舞は?」

未央「だから、そういうんじゃないのを演ってるうえに、あの静の想う人っていうのは……」ヒソヒソ

忍「えっと……あ、義経さんか!」

未央「シーっ!!!」
 
美嘉「……」

まゆ「頼朝様ぁ」

美嘉「……なに?」

まゆ「あの方、許してあげてくださいませんかぁ」

美嘉「え?」

まゆ「命だけは、どうか……この通りですからぁ」

美嘉「まさか政子が、そんなことを言うなんて……ちょっと意外だったな」

まゆ「そんなことありませんよぉ。恋しい方を想う気持ち、まゆだってよぉくわかりますからねぇ」

美嘉「……そっか」

まゆ「まゆだって、必死で嵐の夜に灯りのない山中を歩いたんですもの。あの方の気持ちも、よぉくわかりますよお」

美嘉「そんことも……あったね」

まゆ「この通りです、頼朝様ぁ」

美嘉「政子がそこまで言うなら、助けないといけないね」

まゆ「まあ。ありがとうございますねぇ」

美嘉「ただし」

まゆ「えぇ?」

美嘉「お腹の子は……お腹の子が男の子だったらその時、その子は覚悟してもらうよ」

まゆ「そんな……」

ヘレン「妊婦でもダンサブル!」ヘーイ!!!
186 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:31:55.90 ID:wJoYvkKh0
保奈美「それからしばらく後、生まれた子は果たして……男の子でした」

美嘉「……そう。じゃあその子は由比ヶ浜の浜辺の砂の中に埋めて」

忍「え?」

美嘉「聞こえなかった? 由比ヶ浜の浜辺の砂の中に埋めてね」

忍「……わかりました。御所様」


まゆ「義時ぃ」ポン

忍「姉上。言いたいことはわかりますが、まずは私の話を聞いてよ」

まゆ「なんですかぁ? 義時は、まさか姉の夫の弟の子をあやめたりはしませんよねえ……?」ニコォ

忍「あのさ姉上。御所様はさ、目の前でこの子をどうしろとは言わなかったんだよ」

まゆ「え?」

忍「首を切れとか刀で刺せとかなんにも。ただ、由比ヶ浜に埋めろ、って。私だけに」

まゆ「?」

忍「由比ヶ浜の波と砂浜の音で、この子を埋めたなんて誰も気づかないだろうし、どこに埋められたかもわからないんだよ? 後から聞かれても私も広い由比ヶ浜のどこに埋めたのかなんて覚えてないしね」

まゆ「まあ!」

忍「ちゃんと報告状には記しておきますよ。由比ヶ浜のどこかに、義経の子供は埋められた、ってね」

まゆ「義時ぃ。あなた、やる時はやるんですねえ。お姉さん、見直しちゃいましたよぉ」

忍「まあ私も、都の貴人とひょんな事から義兄弟になって、平家を倒すなんて大それた事をして、鎌倉の武家政権で重職を担うようになったらそりゃあね」

まゆ「うふふ。じゃあこの子を、頼みましたよぉ」

忍「うん」
187 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:32:27.27 ID:wJoYvkKh0
莉嘉「そっか奥州か。そうだね、あそこはアタシの故郷みたいな気がするね」

文香「しかし奥州にたどり着くには安宅の関を超えねばなりません……私たちは山伏で、焼け落ちた東大寺の勧進の為に通る……ということにします」

莉嘉「わかった」

文香「さあ……見えました。あれが安宅の関です」


凛「安宅の関って今のどのあたり?」

奈緒「石川県だよ。ここを通って北陸から奥州に入るつもりなんだよ義経と弁慶は」

加蓮「勧進、ってなに?」

P「寺社に対する寄進……寄付を募ることを勧進と言う。そしてこの勧進をする人たちは、勧進帳という勧進をする証明証みたいなものを持っている」

加蓮「2人はその勧進帳を持っているの?」

奈緒「いいや持ってないんだ」

凛「え? じゃあどうするの?」

奈緒「さあ、それを見ていこうか」
188 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:33:02.15 ID:wJoYvkKh0
松尾千鶴「私は関守の富樫左衛門。勧進のためここを通りたいの?」

文香「はい……その通りです」

千鶴「このような大乱の後、まだ各地が騒然としている中を勧進に回るとは変じゃないかしら」

文香「失礼ながら、世が騒然としているからこそ、み仏の慈悲にすがろうと、勧進に努める次第です……」

千鶴「なるほど道理ですね。では、勧進帳を読み上げてくださいますか?」

莉嘉「弁慶くん弁慶くん」ヒソヒソ

文香「なんですか……?」ヒソヒソ

莉嘉「持ってるの? その勧進帳」ヒソヒソ

文香「いいえ」ヒソヒソ

莉嘉「えー!? じゃあどうするの?」ヒソヒソ

文香「どうぞ私に……お任せを」ヒソヒソ

痔ル「どうしたの?」

文香「いいえ。読み上げます……この巻物に記してあるので読み上げます。大恩教主の秋の月は、涅槃)の雲に隠れ生死長夜の長き夢、驚かすべき人もなし……」

保奈美「弁慶、何も書かれていない巻物を、天も響けと朗々と読み上げます。さしもの関守もその堂々とした読み上げに感じ入ります」

文香「……敬ってもうす。いかがですか?」

千鶴「確かに内容の確かな勧進帳」

文香「では……通していただけますか?」

千鶴「今ひとつ」

文香「は……?」

千鶴「近頃、都で噂のマルセル・プルーストの『失われた時を求めて』。もしお持ちならそれを読み上げそうらえば、必ずお2人をお通しするものを」

文香「そのようなことは、いと容易きこと。よみあげます」
189 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:33:35.42 ID:wJoYvkKh0
保奈美「弁慶は、かのフランスの大長編、マルセル・プルーストの失われた時を求めてを、3日3晩かけて、真っ白な巻物を広げつつ朗々と読み上げます」

文香「……した。いかが」

千鶴「これはお見事。疑うべきもないわ。ささ、どうぞお通りを」

文香「では……」

莉嘉「……」

千鶴「……しばらくお待ちを」

ふみか「何か?」

千鶴「そちらの小柄な方、前にちらりと見た……源九郎義経に似ているような……」

バッ

千鶴「な、なにを……」

文香「ええい! あなたがあの罪人、義経に似ているばかりに足止めを食らったではありませんか……この! この!」

保奈美「弁慶は手にした錫杖で、いやとばかりに義経を打ち据えます。その強さ、勢いにさしもの関守も慌てます」

千鶴「お待ちあれ! こちらが余計なことを申したばかりにご迷惑をおかけした。この上は是非もなし、お通りあれお通りあれ」

文香「左様か。ではまかり通る……ごめん」

保奈美「関を超え、しばらく後に弁慶はその場に土下座をします」

莉嘉「え? どうしたの弁慶くん」

文香「関を超えるためとはいえ、とんでもない無礼を主君に対しいたしました。家来として不相応。お詫びする言葉もありません」

莉嘉「もー弁慶くんってば、アタシ最初に言ったじゃない」

文香「は……?」

莉嘉「弁慶くんは家来なんかじゃないよ。アタシ家来なんて要らないもん。弁慶くんは仲間☆ アタシの仲間だからいいんだよ」

文香「もったいないお言葉……」

莉嘉「さあさあ行こうよ。ううん、帰ろう。奥州平泉へ」

比奈「ちょっと待つっス」
190 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:35:09.26 ID:wJoYvkKh0
莉嘉「天狗さん! うわあ懐かしい☆ もしかしてアタシを迎えに来てくれたの?」

比奈「そうでもあり、そうでもないとも言えるっス」

莉嘉「え?」

鞍馬天狗「情勢は、奥州にも伝わっているっス。秀衡様は、牛若……失礼。義経さんが帰ってくるのを待ってるっス」

莉嘉「……帰ってくる、か。嬉しい。そう思われるの」

比奈「しかし秀衡様は今、病気っス。それももう、長くはないという医師の見立てっス。そして藤原家の中には、義経さんが奥州に帰るのを快く思わない者もいるっス」

文香「頼朝に……鎌倉殿に目をつけられるわけですものね」

比奈「正直、今の平泉に義経さんをお迎えしていいものか判断に迷うっス。藤原氏がいつ義経さんを討とうとするか、わからないっス」

莉嘉「いいよ。別に」

文香「義経様……」

莉嘉「別にアタシ、“自棄(ヤケ)”になってるわけじゃないよ? アタシは帰りたいんだ。“武士(ギャル)”が負けたら帰るとこが自分にもある、それを確かめに」

文香「……鞍馬天狗さん。お聞きの通りです。奥州に行き……いえ、帰ります。我々は」

比奈「わかったっス。じゃあ向かいますっスかね。懐かしの奥州平泉へ」

莉嘉「懐かしいな。みんな元気?」

比奈「日本中、飢饉が続いてたっスけど奥州は豊作だったから、お米がたくさん食べられるっスよ」

文香「それは……嬉しいですね」

莉嘉「帰ったら、また藤原家のみんなと遊びたい。山へさ、おっきなカブトムシ探しに行こうよ」

文香「……面白そうですね。お供いたします……」
191 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:36:07.51 ID:wJoYvkKh0
保奈美「義経が平泉に帰ってからしばらくして、藤原秀衡は死去。掌を返したように義経は討たれました。抵抗することなく、主従は潔い最期を迎えたと伝えられています。一代を風靡した、戦の申し子の儚い最期でした」ベン


奈緒「え?」

凛「なんで奈緒が驚いてるの?」

加蓮「この物語をよく知ってる奈緒にしては珍しいよね」

奈緒「義経の最期って、これで終わりなのかよ!?」

凛「みたいだね」

加蓮「でもまあ私たちアイドルだし、凄惨な描写よりナレ死の方がいいじゃない」

奈緒「そうじゃなくてさ! ジンギスカン伝説は!? やらないのかよPさん!?」

凛「ジンギスカン? お腹空いたの? 奈緒」

奈緒「あのさ、源義経は実は平泉では死んでなくて、蝦夷に落ち延びてそこから大陸に渡り、ジンギスカン……あの蒙古のチンギス・ハーンになったって伝説があるんだよ!」

加蓮「奈緒」ユサユサ

奈緒「え?」

加蓮「しっかりして! そんなことあるわけないじゃない。義経がチンギス・ハーン? やだもう、ふふふっ」

凛「そういう同人誌でもあるの?」

奈緒「いや真偽はともかく、メチャクチャ有名な説なんだよ! 悲劇の英雄が実は生きていたっていう浪漫なんだよ!! ドラマなんだからやってもいいんじゃないかなPさん!!!」

P「では頼朝がどうなったのかも、見ていこう」

奈緒「おおーーーい!!! あたしを無視するなよ!!! ジンギスカン伝説やろうよってばーーー!!!」
192 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:37:10.72 ID:wJoYvkKh0
フレデリカ「官位の斡旋に、宮中の行事に、全国の土地の差配権に……こんなに要求してくるのー? ミーこれはちょっと承服しかねないかなー」

智香「では、鎌倉殿にそのように伝えますっ!」

フレデリカ「平頼盛ちゃーん。頼盛ちゃんも、かつてはミーに仕えていたわけじゃない。そこんとこ斟酌とか伸縮しようヨー。ネ?」

智香「もうアタシは平頼盛じゃあありませんからっ!」

フレデリカ「え?」

智香「頼朝様、鎌倉殿に仕える御家人、池頼盛ですっ☆」

フレデリカ「池? 池ってもしかして、池禅尼の……」

智香「ふさわしい姓だよね、って鎌倉殿が。そして後白河法皇様に仕えたことがあるから、アタシを交渉係にされましたっ!」

フレデリカ「うえ〜ん。頼朝ちゃんは都には出てこないし、"武家(ギャルサー)"を全部配下としてまとめちゃったからミーの手駒で動く"武士(ギャル)"はいなくなっちゃったし、もうミー手詰まり」

智香「その代わり、三種の神器はお渡しするそうです」

フレデリカ「ホント? やった!」

智香(三種のうち、剣は“模造(レプリカ)”ですけどねっw)

フレデリカ「天皇の正統性が戻るなら……そだ。まだミーには、戦の力は弱いけどあっちこっちに顔が利いて、扇動の上手い行家ちゃんが……」

智香「あ、新宮十郎なら討たれましたよっ☆」

フレデリカ「え?」

智香「先日、山城国で」

フレデリカ「そんな……あの逃げるのだけは名人芸の行家ちゃんが……もうホントにミー手詰まり」ガクッ
193 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:37:42.41 ID:wJoYvkKh0
美嘉「そう。会ったこともないけど、あの法皇がそんなに落ち込んでたの★」

智香「さすがにもう打つ手がなくなりましたからねっ!」

美嘉「アタシは動かない。京の都は、公家の都。アタシは ここ鎌倉に"武士(ギャル)"の都を作るよ。ここから“武家(ギャルサー)”の政治をしていく」

忍「ついに頼朝さん……御所様は征夷大将軍に任じられましたし。その地位は揺るぎないよね」

智香「それから、ひとつ法皇様から提案がありましてっ」

美嘉「提案?」
194 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:38:14.08 ID:wJoYvkKh0
まゆ「大姫を入内!? じゅ、入内って天皇の奥さんにするってことですかぁ?」

美嘉「そう! 朝廷に政治はさせないけど、国の象徴としてはこれからも大事にするつもり。だからこの話は願ってもないよ。それを向こうの方から頼んでくるとはね」

まゆ「頼朝様ぁ?」

美嘉「ん? なに、政子」

まゆ「大姫は、まだ……義高殿を想って……それでもようやく心の傷が少しずつ癒え始めているところなんですよぉ? それを入内だなんてぇ……」

美嘉「義高のことはもう13年も前のことじゃない! 大姫だってもう20歳だよ? 恋の傷は新しい恋をすれば癒えるかもしれないじゃない!」

まゆ「でもぉ……」

美嘉「とにかく大姫は後鳥羽天皇に入内させるからね!」


まゆ「……大姫?」

日菜子「あ、お母様」

まゆ「身体の調子はどうですかぁ?」

日菜子「最近は少し、気分がいいです……む」

まゆ「少し、お話があるんですけど、いいですかぁ」

日菜子「はい。お母様……むふ」

まゆ「実は大姫に入内のお話があるんですよぉ」

日菜子「入内? え?」

まゆ「後鳥羽天皇に嫁ぐ……という……大姫?」

日菜子「むふ。むふふ。むふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」バターン

まゆ「大姫ぇ!!!」
195 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:38:48.69 ID:wJoYvkKh0
日菜子「あ」

まゆ「気がつきましたか、大姫ぇ」

日菜子「義高様」

まゆ「え?」

日菜子「義高様がそこに……お、お懐かしゅうございます。大姫です」

晴「誰だ? オレを呼ぶのは

まゆ「大姫? 義高殿はおられませんよ。義高殿は既に……」

日菜子「大姫です! 大姫ですよ!! あなたの大姫です!!」

晴「そうだ……オレは義高……源義高……そのように呼ばれていた……大姫……そうだ、その名にも覚えがある……いつもオレの側にいてくれた……小さな、可愛らしい姫だった……」

まゆ「大ひ

日菜子「そうです。それがこの私です! 大姫ですよ!」

まゆ「

晴「黙れ! 大姫ならここにいる! 小さな、まだ七つの可愛らしい幼い姫……お前なんか知るもんか!」

日菜子「大姫です! ここにいる私が大姫ですよ!!」

まゆ

晴「ええい! 知らぬと言ったら知らねえ! 大姫はここにいる! お前なんか大姫じゃない!」

日菜子「義高様! 義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様義高様」
196 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:39:31.03 ID:wJoYvkKh0
美嘉「大姫が……昏睡?」

まゆ「髪が伸びたから義高様にわからないんだ……と叫んで鋏で自分の髪を切り始めたかと思うと突然倒れてそれきりにぃ……」

美嘉「そんな……大姫!」


保奈美「そのまま目覚めず、大姫は亡くなりました。愛娘の死にさすがの頼朝も涙し、しばらくは政務も滞ったと伝えられています。大姫、享年20歳。せめてあの世では、木曽義高と結ばれているといいと願わずにはいられません」ベベベン


凛「ちょっとお!」

加蓮「なんてもの……なんてもの見せてくれてるの!」

奈緒「だから言っただろ! やらない方がいいって!」

凛「可哀想じゃない! 大姫!」

加蓮「これならまだ、奈緒の食べたがってたジンギスカンの話の方が良かったよ!」

奈緒「食べ物のジンギスカンじゃないけど、そうだろ!?」
197 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:40:03.74 ID:wJoYvkKh0
P「この後頼朝は、馬から落ちて亡くなる」

加蓮「え?」

凛「馬から落ちて、って……それだけ?」

P「そう記録されているな。馬から落ちて病を得たのか、病を患ったから馬から落ちたのかははっきりしないが、頼朝の最期だ」

奈緒「ちょっとあっけないよな」

加蓮「アタシたち平家を滅ぼして、割とすぐに亡くなったのか頼朝。まあでも鎌倉幕府は作って亡くなったんだから、この後は源氏の世の中になったんだよね」

奈緒「あ、いいや」

加蓮「え?」

奈緒「頼朝の後は、息子の頼家が鎌倉幕府2代目将軍になったんだけど、色々素行に問題ある人で、政務上の決定権を取り上げられる」

凛「将軍でしょ!? 誰に取り上げられたの? 決定権」

P「鎌倉幕府の重臣⒔人にって取り上げられ、ここから鎌倉幕府の13人の合議制という政権運営が始まる」

奈緒「将軍は事実上飾り物になって、13人の騙し騙されの陰惨な政治闘争や争いが繰り広げられる。政治と戦のバトルロワイヤルが始まるんだよな」

加蓮「ま、まあ飾り物でも源氏の幕府としては続くんなら、いいか」

奈緒「ところがこの頼家も、そして3代将軍となる実朝もさっき言った闘争に巻き込まれて暗殺され、頼朝の系譜はここで途絶えちゃうんだよ」

加蓮「ええっ!? 平家に続いて源氏も?」

P「付け加えると、実朝を暗殺したのは頼家の息子だったんだけど、その息子も嗾されただけで暗殺後に暗殺される」

凛「なにそれ」

P「13人と源氏によるドロドロの政治劇の末、最期に勝ち残るのは……」

加蓮「誰なの? 平家も源氏もいなくなった世で勝ち残ったのは」
198 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:41:16.61 ID:wJoYvkKh0
奈緒「北条義時だよ」

凛「義時……え、忍?」

奈緒「義時は13人の中では最年少だったんだけど、最期まで生き残り、後鳥羽天皇からの政治介入も退けて鎌倉幕府の執権……実質的な支配者になる」

加蓮「なんか意外だけど、色々翻弄されて大変だったもんね忍ちゃん」

凛「一番成長して、一番強くなったのは忍だったってことなんだ」

保奈美「さて、長き渡ってこのお楽しみいただきましたこのドラマ。これにて終了です。名残惜しき限りではありますが。お別れです」

加蓮「楽しかったよね。現場も面白かったし」

奈緒「次はあたしも、ちゃんと誰か演じたいな」

凛「私も」

P「あー、凛。それで希望があるなら、早めに教えてくれよな」

凛「え? なんの希望?」

奈緒「忘れたのかよ。来年の大河、凛は主役だろ?」

加蓮「クイズで私に勝ったじゃない」

凛「あ! そうだった!!」

P「誰がいい? どの物語をやる?」

凛「え? そんなこと言われても……えっと。ええと……」

加蓮「あれがいいんじゃない? 幕末とか」

奈緒「戦国時代もいいんじゃないか?」

P「時代的に連続して、次は太平記の物語とかどうだ? 鎌倉幕府滅亡と室町幕府の成立だ」

凛「ま、待っていっぺん言わないで……な、なににしよう!? そ、相談に乗ってよ!! みんなーーー!!!」



199 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:45:20.75 ID:wJoYvkKh0
https://i.imgur.com/nn768tX.jpg
池(平)頼盛
200 : ◆hhWakiPNok [saga]:2022/01/09(日) 11:47:35.45 ID:wJoYvkKh0
以上で終わりです。おつき合いいただきまして。本当にありがとうございました。
大河ドラマ大好きで、歴史特に平安後期鎌倉室町時代と大好きなので楽しんで書かせていただきました。
今年の大河ドラマも期待して楽しみにしています。
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2022/01/09(日) 12:24:22.85 ID:Pb20PcbDO
乙でした

結局、平家物語と吾妻鏡に玉葉は今でいう歴史小説だからね……



つか、みりあと莉嘉がもっと喧嘩すると思った(逆櫓のアレとか)けどな
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/09(日) 23:07:17.43 ID:jcYYrJhu0
配役がうまいと思いました
面白かったです
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/01/10(月) 16:56:39.12 ID:5mq8ULSw0
長かったけど読んでしまった
すごく面白かった
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/10(月) 19:38:29.93 ID:mkFSTVeO0
乙でした。一気に読み切ってしまいました
この頃の武士はマジで仁義なき戦いレベルw
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/10(月) 21:56:54.93 ID:oWzMDk8v0
乙乙。めっちゃ対策でびっくりした。
タイムリーなのでよかった。
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [age]:2024/06/10(月) 14:54:04.88 ID:bB2pobbRo
【30周年記念再放送】
古畑任三郎 Season.2 第8話『魔術師の選択』
VSマジシャン/南大門昌男(故・山城真伍)
第9話『間違われた男』(再放送版権解禁回)
VS雑誌編集者/若林仁(風間杜夫)★3
https://sora.5ch.net/test/read.cgi/livecx/1717997102/

番組ch(フジ)
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