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研究員「安価でデジモンを進化させる」

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651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/10(日) 16:11:01.58 ID:o0u75C3Eo
おいおいおい
悪意ある奴が何かやらかしてデジモンが人間に敵意持ったら人間勝ち目無いぞ
652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/10(日) 16:28:01.19 ID:UQfGQe4K0
コレはアレか、デジタルペットの方の奴を不正に手に入れた連中の仕業か
653 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/10(日) 16:29:38.48 ID:UQfGQe4K0
這いずる全身ドロドロのデジモンだしレアモンになってるのかな?
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 16:45:05.19 ID:vkPQKBGYO
このレポートを書いた研究員は、このとき空いたデジタルゲートを分析し、特有の信号パターンを記録した。

もしも今後、同じデジタルゲートを目撃したときは、照合することができるだろう。


…さて。
ティラノモンを助けた者は、何が目的なのだろうか?

憐れみからきたものなのか。
研究対象とするためなのか。
あるいは…。
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 16:54:27.69 ID:vkPQKBGYO
…レポートには、2つめの映像が添付されていた。
再生してみよう。

時期的には、グレイモンがタマゴを産み、それらが成長期まで育った頃のことだ。

ブロッサモンの死骸があった場所。
既に死骸はヌメモン達によって食い尽くされており何もなくなっていた。

その場に、例の信号パターンを示すデジタルゲートが開いた。

やがて、ゲートの中から何かが出てきた…。


https://i.imgur.com/2ObcB3n.jpg

こ…これは!?
おぞましい姿のデジモンが、ゲートから這い出てきたのである。
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 16:59:23.90 ID:vkPQKBGYO
腐りかけたおぞましい姿。
下半身を失ったまま、腕だけでズルズルと這い回っている。

どうやら、機械のようなものが体に埋め込まれているようだ…。

まさか、これはティラノモンの成れの果てなのだろうか?

やがて、ゲートからはデジドローンが飛んできて、死にかけのデジモンを観察し始めた。

我々は、このデジモンをレアモンと名付けた。

レアとは、rare…『希薄な』を意味する単語に由来している。
途絶えかけた希薄な命を表す名である。
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 17:03:32.72 ID:vkPQKBGYO
レアモンの周りに、ヌメモンやゴキモン等のスカベンジャーデジモンが寄ってきたが…

レアモンは、それらにガスを吹きかけた。

するとヌメモン達は、体の表面が焼けただれていき、苦しんだ。

どうやらあのガスは、かつて炎を吐く力だったものの名残りのようだ。

硫酸かなにかだろうか…。

そしてレアモンは、己の肉片を千切ってヌメモンへ投げつけて攻撃した。

そして弱ったヌメモンを、己の肉片ごと食べた。


…おぞましい。
それ以外に、形容する言葉が見つからなかった。
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 17:10:06.78 ID:vkPQKBGYO
そのうち、ウッドモンやスナイモンが、レアモンを発見したが…

彼らはあまりの悪臭に耐えきれず、その場から離れた。

「あんなものを食ったら病気になる」と思ったのだろうか。
実際そうなるだろうな…。

そうしてレアモンは、悪臭によって外敵を退けながら、悪臭に惹かれてきたスカベンジャーデジモン達を捕食し続けた…。


果たして、こんな姿になったティラノモンは、今に満足しているのだろうか。

生き続けていて、辛くないのだろうか。

…その答えは。
あんな姿になっても尚、必死に生きようと足掻き続ける様が、全てだと言えるだろう…。
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 17:11:09.06 ID:vkPQKBGYO
…以上が、レポート「ブロッサモンの死骸の観察」である。

なんということであろうか…
この先レアモンは、どうなるのであろうか。
全く予想がつかない…。
660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 17:11:35.96 ID:vkPQKBGYO
つづく
661 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/10(日) 17:14:15.88 ID:bUUlan5do
人間の手を加えられてデジタルワールドに放たれてしまったデジモンか
662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/10(日) 17:39:36.99 ID:UQfGQe4K0

謎の連中はいったい何が目的なのか
663 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/10(日) 18:46:46.97 ID:OAwxYHTuO

獲物を引き寄せて外敵を遠ざける臭いって厄介なもんだ……
664 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/10(日) 19:21:41.39 ID:UQfGQe4K0
でも嗅覚のないデジモン相手だと動きの遅い獲物かもしれんね、硫酸は厄介だけど距離とれば問題なさそうだし
665 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/11(月) 00:38:22.60 ID:dzyYCH8m0
ネトウヨ・保守(笑)・右翼(笑)・老害右派の大嘘

「太平洋戦争は白人に対するアジア解放の戦いだった」
↑これ大嘘です
news.yahoo.co.jp/byline/furuyatsunehira/20200815-00193356
すべての侵略戦争にあった「大義名分」

「アメリカの経済制裁が気にくわないから」という理由だけでは対米開戦としての大義は弱いので、 日本は対米開戦にあたり「アジア解放(大東亜戦争)」をスローガンに掲げたのである。

当時アメリカの自治国であったフィリピンは アメリカ議会からすでに1945年の独立を約束されており、 日本軍の侵攻による「アジア解放」というスローガンは全く無意味として映った。 よって南方作戦で日本軍に占領されたフィリピンでは、そもそも日本の戦争大義が受け入れられず、 またアメリカの庇護下のもと自由と民主主義、そして部分的には日本より高い国民所得を謳歌していたフィリピン人は、 日本の占領統治に懐疑的で、すぐさまゲリラ的抵抗や抗日活動が起こった。
日本は、アメリカとの戦争の際「アジア解放」を掲げていたが、それよりさらに前の段階で、 同じアジア人に対し攻撃を加えていたのであった。よって多くのアジア地域では日本の戦争大義「アジア解放」は、美辞麗句で空疎なものと映った。 「アジア解放」を謳いながら、片方で同じアジア人である中国を侵略するのは完全な矛盾である。

「日本のおかげでアジア諸国は戦後独立した」
↑これも大嘘です。大日本帝国と関わりない中東やアフリカも独立してます。

「人種的差別撤廃提案で日本は唯一差別と戦った。白人は人種差別を支持した」
↑これも大嘘です。フランスやイタリアも日本に賛成してます。
https://w.wiki/4i4Q
日本国民自らが中国人を差別していることを思い起こすべきと主張し、吉野作造も日本が中国人移民を認めるだろうかという問いかけを行った。 事実、賛成しているのはどちらかと言うと移民を送り出す側の国であり、反対しているのが移民を受け入れる側の国である(イギリスも本国としては賛成だったが、オーストラリアの意向をくんで反対に回っている)。

「アメリカはドイツは人間として扱い、日本人を人種差別で猿や化け物扱いし、それが理由で原爆投下をした」
↑これも大嘘です。ドイツはアメリカに騙し討ちをしてませんから当然です。 開戦前に真珠湾騙し討ちで多くのアメリカ人を無差別攻撃した日本のイメージが最悪だっただけです。

https://w.wiki/4i4Z
原爆投下前に日本の風船爆弾でアメリカの民間人妊婦が殺害されています。ドイツより日本を恨むのは当然です。
「1945年5月5日、オレゴン州ブライで木に引っかかっていた風船爆弾の不発弾に触れたピクニック中の民間人6人(妊娠中の女性教師1人と生徒5人)が爆死した」

原爆投下は、本土決戦のアメリカ側の死者数(日本兵が降伏しないから)やソ連との日本占領競争が主な原因です。人種差別が理由ではありません。 アメリカは投下前に、原爆という新兵器の危険性のビラを撒き日本に降伏を勧めています(日本側は無視)。投下後の人体実験はしないよりする方が良いからついでに検査をしただけでしょう。

そもそも日本側も、アメリカ人やイギリス人だけを鬼のように扱っていました(鬼畜米英)。日本と開戦した連合国国家(オランダ等)は他にもあります。(自分らの差別は棚に上げる)

日本の戦争犯罪は戦場経験者でもある水木しげるさんが証言して漫画にしてます。 詳しくは「水木しげる 姑娘」「水木しげる 従軍慰安婦」で検索してください。 他には「スマラン慰安所事件」「バンカ島事件」で検索。
666 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/06(金) 17:57:36.70 ID:rYV+b3N9O
SS避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/
667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/07/12(火) 15:00:47.31 ID:30QtnqJLo
やっぱエタったかな
668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 21:06:45.63 ID:tDniYEo4O
ハリモグモンは海辺に沿って進みながら、寒冷な気候の土地へ向かって旅をした。
やがて、3個のデジタマを産み、幼年期デジモンが生まれた。

https://i.imgur.com/1Mf8HT6.jpg

四足歩行の哺乳類型デジモン。トコモンと命名された。
女性研究者達に大変人気である。

ハリモグモンは、海でプカモンなどの水棲小型デジモンを捕獲し、親子で分け合って食べた。

やがて、雪が降り積もる寒冷地帯へ移り住んだ頃に、トコモン達はレベル3へ進化した。
https://i.imgur.com/LfIxdqg.jpg

これまたアザラシのような姿。
ゴマモンと名付けられた。
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/29(月) 21:08:03.14 ID:SuSrkFRNo
ファッ!?!?
復活した!?
670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 21:15:54.25 ID:tDniYEo4O
その愛くるしい姿は、研究所の中で大人気であった。

ゴマモン親子は、その強い防寒能力によって、寒冷地帯で生息域を広げることに成功した。

しばらくの間、敵無しで暮らしていたのだが…
やがて、そんなオアシスに外敵が侵入してきた。

https://i.imgur.com/nPLg0XG.jpg
https://i.imgur.com/qpLnttg.jpg
氷雪系のレベル4デジモン。
アイスモンとユキダルモンである。

おそらくゴツモン系統から進化したのだろう。


彼らは、ヒヤリモンと名付けられた幼年期デジモンの群れを連れていた。
https://i.imgur.com/MI42SRK.jpg
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 21:34:14.84 ID:dBhuTsBvo
アイスモン軍勢と、ハリモグモン軍勢は、出会ってしまった。
食糧がそう多くない、極寒地帯で。

どうやら、どちらの軍勢も争いは嫌いなようだ。
だからこそ、こんな局地へ適応する進化をしてまで、外敵のいない環境を選んだのだろう。

両軍勢は、できるだけ互いに関わらないようにしていた。
海で小魚デジモンを捕りながら、慎ましく暮らしていれば、争わずに済むだろうと…
その場の皆が信じていた。



…しかし、狩られる魚型デジモン達とて馬鹿ではない。
プカモンの数が減ったことで、彼らは「海の中から」発見されてしまったのである。
672 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 21:43:00.63 ID:dBhuTsBvo
やがて、ヒヤリモン達は進化した。
成長期デジモン、チクリモンである。
https://i.imgur.com/70zmHcs.jpg

たくさんのヒヤリモン達が皆成長期になったのだから、さらに多くの食糧が必要になった。
チクリモン達も、海に飛び込んで、プカモンを狩るようになった。


ある日のこと。
ゴマモン一匹と、チクリモン数匹は、いつものように海岸でプカモンを獲ろうとしていた。

そこへ、突然…
水面から何かが飛び出してきた。
https://i.imgur.com/Vw7HNtZ.jpg
https://i.imgur.com/0pxex1L.jpg
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 21:47:06.44 ID:dBhuTsBvo
一瞬のことであった。

水中から出現したレベル4デジモン、シードラモンとトビウモン。

彼らは、ゴマモンとチクリモンを丸呑みにすると、そのまま水中へと潜っていった。


…その様を見ていたユキダルモンとハリモグモンは、あ然としていた。
自分の子供が、一瞬で海に飲み込まれていったのだ。

それ以降も、群れがプカモン狩りをしていると、騒ぎを聞きつけてシードラモン達が飛び出してくるようになったのである。

…ふたつの群れは、完全にマークされていた。
674 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/29(月) 21:51:30.89 ID:qyt+O7xfo
帰還に感謝!
圧倒的感謝!!!
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 21:53:34.37 ID:dBhuTsBvo
このままではいけない。
協力して海の敵と戦おう。
そう決心した、ユキダルモン、アイスモン、ハリモグモン。

彼らは、大きな音を立ててシードラモンとトビウモンをわざとおびき出し、そして戦った。

戦いは熾烈を極めた。
戦いを避けてきたユキダルモン・アイスモン・ハリモグモンよりも、海の中で捕食者として暴れ回っていたシードラモン、トビウモンの方が、単独での戦闘力は高い。

それでも、陸上に陣取っているハリモグモン陣営は、地の利を活かして戦い、優勢に立ち回っていた。

もしかしたら、このまま押し切れば勝てるかもしれない!
アイスモンは氷の拳をトビウモンに叩きつけながら、そう思っていただろう。

…だが。
戦場に突如、ラッパのような音が鳴り響いた。

水中から顔を出したレベル4デジモン、シーホモンが雄叫びをあげたのである。
https://i.imgur.com/LRpH0KB.jpg
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 21:59:12.20 ID:dBhuTsBvo
シーホモンは、ラッパを吹き終えると、海に潜っていった。

…その数秒後。
海の中から、シードラモンが追加で5匹出現した。

これはまずい、とビビったハリモグモン陣営は、その場から一目散に逃げ出した。

6体のシードラモンから一斉に噴出された氷の矢によって、ユキダルモンは粉々に消し飛んだ。




…それ以来、海岸からはいつもシーホモンが顔を出していた。
ゴマモンがプカモンを狩るために海辺へ近づくと、シーホモンはすぐにラッパを吹いた。

シードラモンがやってくるのを恐れて、すぐに逃げた。



…そうして、局面は膠着した。
アイスモンやハリモグモン、その子供達は、まともに餌がとれなくなってしまったのだ。
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 22:22:37.07 ID:dBhuTsBvo
ハリモグモンは、それでも子供達のために餌をとろうとした。

シーホモンが見ていない隙を狙って、海に潜るハリモグモン。

だが、海の中では…
既にトビウモン数匹に待ち伏せされていた。

トビウモンのタックルを全身に浴びるハリモグモン。
背中を氷で防護しているハリモグモンといえど、これを受け続けたらやばい。
氷で身を包み、防御を試みた。

だが、トビウモン達は、氷の鎧で身を包んだハリモグモンを、水中へ引きずり込もうとした。

さすがに呼吸が続かないハリモグモンは、氷を融かし、泳いで水中から脱出した。

陸に上がったハリモグモンは、口を大きく開けて息を吸い込んだ。

その瞬間。

シーホモンのラッパが鳴った。





ハリモグモンが大きく開けた口の中に。
シードラモンが発射した氷の矢が、深々と突き刺さった。




ハリモグモンは口と後頭部から大量に出血し、倒れた。
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 22:23:19.80 ID:dBhuTsBvo
続く
679 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/29(月) 22:32:41.65 ID:qyt+O7xfo
おつおつ!
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/29(月) 22:36:54.07 ID:SuSrkFRNo
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 22:53:33.68 ID:dBhuTsBvo
〜オマケ〜

ところで、海にたくさんいる大量のプカモン達。
これらを見て、疑問に思わないだろうか。
「このプカモン達はなぜ、幼年期のままこんなにたくさんいるのだろうか」と。


プカモン達とて、食われるのは嫌なはずだ。
ならばさっさと成長期ヘ進化してしまったほうが、個体の生存率はぐんと上がるだろう。

しかし、プカモン達は進化せず、幼年期のままあちこち泳ぎ回って暮らしている。

…どことなく奇妙である。
我々はプカモンについて観察し、研究した。
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 22:58:31.30 ID:dBhuTsBvo
プカモン達の生活を見ていると…

プカモンの主食は、海藻であったり、水棲デジモンの死骸であったりするが…

プカモンよりさらに小型の幼年期デジモンである、ピチモンやポヨモンを食べる事もあった。
https://i.imgur.com/NrUhXcR.jpg
https://i.imgur.com/ZoXVNs8.jpg


…そしてプカモンは、なんと小粒のデジタマを大量に産んだ。

そして、プカモンが産んだデジタマからは、稚魚のようなデジモンが産まれた後、プカモンへ成長した。


…これは驚いた。
なんとプカモンは、幼年期のままデジタマを産むのである。


プカモンの餌となるピチモンやポヨモンも、プカモン同様に、幼年期のまま大量にデジタマを産み、親と同じ姿の子が孵化することが確認された。
683 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 23:04:30.94 ID:dBhuTsBvo
謎が解けた。
弱い被捕食者であるプカモンや、さらにその餌となるピチモン達が、なぜ幼年期のままあちこちにいるのか。


彼らは、幼年期を最終進化形態として、ハイペースで殖えることによって生存する種だということだ。

我々は仰天した。
陸上のデジモン達は、皆レベル4になって初めてデジタマを産んでいたからだ。


低レベルデジモンが、高レベルデジモンに勝る点…
それは「代謝量が極めて少ない」ことである。

消費カロリーが少ないから、僅かな餌だけで生き延びられる。
外敵に捕食されようが構わない。それら外敵の死骸が、増えたプカモンやピチモン達の餌となるから。

…そうした生活環を獲得したデジモンもいるということだ。
684 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 23:08:15.14 ID:dBhuTsBvo
もっとも、ピチモンやプカモンポヨモンの中には、成長期や成熟期へ進化をする個体もいるようだ。

彼らのDNAを調べたところ、幼年期のまま殖える個体群とは、大きく遺伝子配列が異なっていた。

同じ外観でも、DNAがぜんぜん違う。
だから生活環や成長の方向、デジタマを産むようになる年齢にも差異が出てくるのである。


水棲デジモンは、この傾向がかなり多い。
魚型デジモンであるスイムモンも、成長期のままデジタマを産むことが確認されている。
https://i.imgur.com/Ih3rbOG.jpg
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 23:10:24.06 ID:dBhuTsBvo
つまり、デジモンは。
産もうと思えばどんなレベルでも、デジタマを産めるのである。

それでも、陸上のデジモンはレベル4になるまでデジタマを産もうとしないことが多い。

これは、恐らくだが…
DNAに秘められた「強くなろうとする意思」が、陸上デジモンの方が強いのかもしれない。
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 23:10:59.18 ID:dBhuTsBvo
〜つづく〜
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/29(月) 23:11:35.73 ID:SuSrkFRNo
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/29(月) 23:20:43.80 ID:dBhuTsBvo
ところで、これまでの報告を聞いてくれた皆様には、今まで出現した中で好きなデジモン、もっと観察したいデジモンはいるだろうか。

もしも挙げてもらえるならば、そのデジモンにフォーカスしてさらなる観察をしたいと考えている。
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/29(月) 23:32:47.40 ID:QPZgrHajo

コマンドラモン
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/30(火) 00:12:00.08 ID:dDXhyRG20
まさか復活するだと……!?乙

手持ちデジモンがやっぱ気になるけど、それ以外だとジャガモン、グレイモンの子、農園、マッシュモンかな
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/30(火) 00:24:17.06 ID:KvfhLROEo

グレイモン
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/30(火) 01:13:19.15 ID:9UjmJCQIo
おつ
ジャガモンを
693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/30(火) 23:28:50.12 ID:zm1NUAgko


ハリモグモンの兄弟であるボアモンもまた、デジタマを4個産んだ。

そこから産まれたトコモンは、やがて4匹とも、レベル3へ進化した。
https://i.imgur.com/afT1gum.jpg

4匹の哺乳類型デジモン…バクモンは、森の中で草を食べながら生きた。


やがて4匹のバクモンは、それぞれ異なる姿のレベル4デジモンへ進化した。

牛型デジモン、ブルモン。
https://i.imgur.com/NVoWcCH.jpg

シマウマ型デジモン、シマユニモン。
https://i.imgur.com/aEtYNQ3.jpg

ヤギ型デジモン、ゴートモン。
https://i.imgur.com/YK9hxcl.jpg

ヒツジ型デジモン、シープモン。
https://i.imgur.com/G3YI28G.jpg


子供達の共通点は、親譲りの硬い蹄である。
走行に適した脚部を活かして、これら偶蹄類型デジモン達は、大地を駆け巡った。


…彼らについて特筆すべき点はない。
足が速ければ、生存に有利に決まっているからだ。


偶蹄類デジモン達は、森やサバンナ、山岳地帯、平原へ、それぞれ住処を移していった…。
694 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/30(火) 23:31:57.09 ID:zm1NUAgko
…さて。
ブロッサモンを倒した、竜人型デジモン…エクスブイモンと、蜂人型デジモン…スティングモン。

彼らは、ブロッサモンの頭部を運び、サバンナの方へ向かった。

そこには、大きな集落があった。
ディノヒューモン農園を中心として、原始的な文明ができていたのである。

爬虫類型デジモンと、蜂型デジモンか共生し、農作物を育成する巨大農園。
エクスブイモンとスティングモンは、ブロッサモンの頭をそこへ持ち帰ったのであった。
695 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/30(火) 23:36:43.65 ID:zm1NUAgko
エクスブイモンは、村の長であるディノヒューモンのもとへブロッサモンの頭部を届けた。

ディノヒューモンは、ブロッサモンの頭部を何度も切断し、細切れにした。
おおよそ500ピースほどに分離された。

それを乾燥させた後、石をくり抜いて作った容器の中へ入れて貯蔵した。

ディノヒューモンは、この乾燥ブロッサモンを何に使うのであろうか…。
696 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/30(火) 23:43:21.61 ID:zm1NUAgko

数日後。
ディノヒューモンは、群れのデジモン達に何かを指示した。

すると群れのデジモン達は、いっせいに森へ向かった。
そして木々を伐採し、材木にして、サバンナの集落へ持ち帰ったのである。

木材の有用性に気付いたということだろうか。

次々に木を切り倒していく集落のデジモン達。
怒ったレッドベジーモンが攻撃を仕掛けたが、フライビーモンやモスモンの集中攻撃を受けて倒された。


もしかしたら彼らは、ブロッサモンが倒れ、材木を収集しやすくなる機会を伺っていたのかもしれない…。
697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/30(火) 23:46:46.63 ID:zm1NUAgko


その頃。

森の中では、ジャガモンとウッドモンが向かい合っていた。

ジャガモンは、自分の体の中から、大きな芋を取り出し、ウッドモンへ差し出した。

ウッドモンはその芋を食べた。


すると、ウッドモンの肉体は、急激に巨大化を始めた。


https://i.imgur.com/ydN30Hu.jpg

枯れ木そのものであったウッドモンは、青々と生い茂る葉に包まれた。
698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/30(火) 23:51:27.05 ID:zm1NUAgko
その進化を見届けたジャガモンは、深くうなずくと…

体表を構成する岩石のような装甲が、ボロボロと剥がれ落ちていった。

ジャガモンの肉体はどんどん崩れていく。


やがて、ジャガモンはこぢんまりとした姿となった。
頭部から、根っこと枝、葉が生えた姿だ。
サイズは小さめの成熟期程度だ。


その小さな体になったジャガモンは、目を瞑り…
そのまま眠った。




しばらく観察したが、ジャガモンは目を覚まさなかった。
間違いなく生きてはいるが、太陽光を浴びてわずかに光合成するだけであり、動き回ったりはしないようだ。
699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/30(火) 23:52:22.85 ID:zm1NUAgko
大木へ進化したウッドモンこと、ジュレイモンは…
休眠状態のジャガモンを一瞥すると、森の中心へと進んでいった。
700 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 00:10:44.43 ID:LRT6okKKo
…ときに。

現在のデジタルワールドは、成熟期…レベル4デジモンを頂点とした生態系ではあるものの、個体数では成長期…レベル3デジモンの方が多い。

それは何故なのだろうか?
なぜデジタルワールドは、レベル4デジモンで埋め尽くされていないのだろうか。


デジモンはレベル4になれば格段に戦闘能力が増す。
それならば、どいつもこいつも成長期で留まっておらずに、みんなグレイモンやスターモン、モノクロモンといった戦闘能力の高いレベル4や…あるいはスコピオモンのようなレベル5になってしまった方が、個体の生存率は上がるはずだ。

しかしながら、デジモン達は誰も彼もが戦闘能力の高い姿を手にしたわけではない。
プカモンやヌメモン、ベジーモンのように、あえて弱い姿を選んで進化する個体も大勢いるのである。


それは一体、なぜなのか…?
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 00:17:26.29 ID:LRT6okKKo
それは、高い戦闘能力をもつ肉体を維持するには、莫大な消費カロリーを必要とするからだ。

かつて出現したレベル5デジモン、スコピオモンを覚えているだろうか。
スコピオモンは、その強靭な肉体を維持するために、森林に住むデジモン達を乱獲した。

あのときは森林のデジモンの10〜20%が消え、生態系のバランスが変わったともいわれる。

もしもあのままスコピオモンを止めるものがいなかったら、どうなっていただろうか?
森林のデジモン達は絶滅していたかもしれない。
そうなれば、スコピオモンは間違いなく餓死していたことであろう。

故に、スコピオモンは。
圧倒的な強さを持ってはいたが、生存に有利かというと全くそんなことはなく、むしろとても脆い存在だったといえる。
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 00:23:49.89 ID:LRT6okKKo
かつて我々の世界は、巨大生物であふれていた。
トンボの祖先は体長が30cmもあったといわれているし、全長20mを超える恐竜が陸上を闊歩していたこともあった。


しかしながら現在では、そんな巨大生物はほぼ存在しない。
トンボは小さくなり、恐竜は小鳥になった。

皆あえて大きさと強さというアドバンテージを捨て、小型化したのである。


そう、つまり。
大きく強くなることだけが進化ではない。
小型化し、弱くなることで、環境に適応しやすくなることもあるのだ。

それがデジモン達の進化の方向性のひとつだということである。
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 00:26:46.28 ID:LRT6okKKo
では、デジモンにとってレベル5への進化は、死の病なのであろうか?

過剰なパワーと引き換えに強い空腹に襲われるだけの、誤った進化なのだろうか。


…そうとは言い切れない。
ひとつ、レベル5に到達しても、安定して生きていける系統がある。


それは、光合成によって体内で栄養を合成できる、植物型デジモンだ。

ジャガモンやブロッサモンがそうだ。
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 00:31:40.09 ID:LRT6okKKo
あのブロッサモンは一体何者だったのであろうか。
ジャガモンとの関係は一体なんだったのだろうか。

我々の研究所は、ブロッサモンは『ジャガモンの後継者である』と仮説を立てた。


ジャガモンは、スコピオモンに対抗するために、スターモンとウッドモン、大勢のゴツモン達が融合して進化したレベル5デジモンである。
その戦闘能力は、これまで見てきたデジモン達の中で群を抜いて最強であった。
ジャガモンならば、グレイモン・ティラノモン・グラウモンの3体と戦っても、大してダメージを受けずに勝っていただろう。


だが、ジャガモンは戦闘能力が高すぎるあまり、消費カロリーが高く、『森の守護者』を担うにはオーバースペックだった。

単独の戦士として最強であっても、守護者としての役割に向いた肉体をであるかというと、そうとは言えないのだ。

だからジャガモンは、デジタマを産み、後継者であるブロッサモンを育てたのだ。





…だが。
そのブロッサモンは死んだ。
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 00:33:46.01 ID:LRT6okKKo
そして今、ジャガモンは体内のエネルギーをウッドモンへ渡し、ジュレイモンへと進化させた。


ジャガモンのような、動物型と植物型のハーフではなく。
完全な植物型のレベル5デジモンに、守護者の座を譲ったのである。
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 00:35:44.03 ID:LRT6okKKo
ジュレイモンは、さくらんぼのような赤い果実を実らせた。

甘い香りに誘われ、動物型デジモン達がジュレイモンの周囲に集まり、果実を食べていく。

ジュレイモンはそれを眺めながら…
にっこりと笑っていた。
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 01:19:50.59 ID:S+vp7nWso
ジャガモンも現役引退か
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 03:59:15.35 ID:YFi/b0Ak0
現実で一番大きい生物って言ったら確かに木だもんなあ……
709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 13:21:45.98 ID:WJ2eg3gB0
どこの世界も飯の確保は死活問題だ
710 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 16:35:56.09 ID:8gtM5zKKo
草食以外は誰かが餌にならんと食物連鎖できないしな…
可哀想だけど小さい子たちはたくさん産んで食われるしかない
711 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 17:10:08.09 ID:f1VzQWCpo
デジタルなモンスターだけど自然の摂理には逆らえない
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 22:33:03.26 ID:UY437IRqo
我々は、レベル5デジモンについての研究をレポートにまとめた。
そして講演会で発表した。

デジモン研究の講演会には、学者のみならず一般の方々もよく来てくれる。
小さな男の子もちらほら散見される。

一通りの発表が終わり、質疑応答の時間に入った。
様々な人々からの質問が行われる中、小学生とみられる男子から、思いもしなかった質問が飛んできた。


「レベル5デジモンはなんでそんなに強いんですか?」


…我々は答えを持ち合わせていなかった。
というより、考えたこともなかったのだ。
「なぜレベル5デジモンがそんなに強いのか」などと。


かつて出現した暴虐の王、スコピオモンは、体のサイズはスナイモンと同程度だったはずだ。
だが、パワーもスピードも体力も、レベル4とは比較にならないほど向上していた。


少なくとも現実の動物なら、体のサイズが変わらないなら、筋繊維の密度もそう大きく変わらないはずだ。
体内に蓄えられるエネルギー量もそう大きな違いはないはずだ。


それなのに、スコピオモンはなぜあんなに強かったのか?

…我々はその理由を調査しようとした。

だが、断念した。
サンプルが少なすぎるためだ。

今後、レベル5デジモンからデータ計測できる機会はあるのだろうか…。
713 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 22:45:18.52 ID:UY437IRqo


デジモン達は、デジタルワールドでどんどん生息分布を広げていく。

森林やサバンナ、密林、寒冷地帯、湿地帯など…。


やがてデジモンは、険しい山岳地帯へと進出しようとしていた。

山の麓には森林が生い茂っているが、高度が増すにつれ、ゴツゴツとした岩肌が露出している。
大地が大きく傾き、デコボコしている。

それ故か、モノクロモンのように重い体を持つデジモンは、この環境に不向きなようだ。

既に植物型デジモンや、テントモン等の羽をもつ昆虫型デジモン達は、この環境に適応していた。

そんな中に、グレイモンの子供の一体…
ファルコモンがやってきた。
https://i.imgur.com/7OIywm2.jpg
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 22:53:35.81 ID:UY437IRqo
ファルコモンは、小型恐竜デジモン、アグモンに近い種である。

鋭い爪をもち、地面をどしどしと直立二足歩行するという共通点がある。

アグモンとの大きな違いは、硬い嘴と羽毛を持つことだ。

その嘴は、地面をつついて植物を掘り起こして食べたり、攻撃に使ったり、巣材を折ったり…様々な用途があった。

その羽毛は、体温を維持するのに役立った。羽毛の中に空気を含んでいるため、体温を奪われにくい。また、撥水性をもつため、雨にぬれても強い。
ときに巣材になったりもする。

ファルコモンは、アグモンより確実に進化した種であった。


やがてファルコモンは、レベル4へ進化し、さらに強靭な肉体を手に入れた。


https://i.imgur.com/kkHmLhU.jpg
ニワトリに似た姿のデジモン、コカトリモン。
だがその暴れっぷりは、ニワトリというより恐鳥類に近かった。
715 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:01:46.93 ID:UY437IRqo
これまで、デジモンはただひたすらデカくて強ければよい、というわけではないことが、繰り返し語られてきた。

だが、レベル4としての強さの極限を攻めた、巨躯をもつグレイモン。
その子供であるコカトリモンもまた、親同様に、強さと狂暴さを極めようとしていた。

コカトリモンは極めて獰猛であり、直系の祖先であるタスクモンを彷彿とさせる暴れっぷりを見せた。

あるとき、コカトリモンは、山岳地帯で他のデジモンを発見した。

テントモンに近い種とみられる、レベル3デジモン…
コカブテリモンである。
https://i.imgur.com/cros2MF.jpg
716 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:04:05.74 ID:UY437IRqo
コカトリモンは、コカブテリモンに襲いかかると、鋭いクチバシをコカブテリモンの頭部に力強く打ち付けた。

コカブテリモンの頭部は、アイスピックを振り下ろされた氷のように粉砕された。

コカトリモンは鋭い爪とクチバシで、コカブテリモンを八つ裂きにし、バラバラにして食べた。
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:16:16.94 ID:UY437IRqo
食事の最中に、コカトリモンは、新たなデジモンを発見した。
https://i.imgur.com/53z6JEM.jpg

昆虫族の中でも上位の強さを誇る、スナイモンである。
かのスターモンと互角の戦闘力を持つ種だ。戦いは避けた方がよいだろう。


だが、コカトリモンは雄叫びをあげ、スナイモンに襲いかかった。

スナイモンの鋭い刃がコカトリモンに振りかざされる。
凄まじいスピードだ。


だが、コカトリモンは口から炎のようなものを吐き、スナイモンの刃に浴びせた。


スナイモンの刃は、石…もといセメントのような物質で覆われた。
これでは自慢の切れ味が活かせない。

コカトリモンは、スナイモンの関節部へ、この炎を吐きつけた。
スナイモンの関節部はどんどんセメントで固められ、動きが鈍っていった。

やがてコカトリモンは、スナイモンの首に噛みつくと…
頭部を噛みちぎって切断した。


我々は驚いた。
あのスナイモンを、ここまで圧倒するとは。
さすがはグレイモンの子孫…。


コカトリモンは、スナイモンを解体して捕食した。
718 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 23:21:53.45 ID:YFi/b0Ak0
コカトリモン、あんまり強いイメージはなかったけど石化能力はそりゃまあ強いわな……
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:23:41.78 ID:UY437IRqo
コカトリモンは、スナイモンを食っている最中に、また新たなデジモンを発見した。
https://i.imgur.com/8biGpQL.jpg

カラツキヌメモンの子孫とみられる、モリシェルモンである。

スナイモンの死骸を放置して、雄叫びをあげてモリシェルモンへ襲いかかるコカトリモン。
モリシェルモンは、固い殻の中に隠れた。


だがコカトリモンは、鋭いクチバシを、モリシェルモンの殻へ打ち付け続けた。

やがてモリシェルモンの殻は、アイスピックを突き立てられた氷のように砕けた。

そうしてコカトリモンは、モリシェルモンの軟らかい体を食い千切って捕食した。

暴れて抵抗するモリシェルモンであったが…
コカトリモンは、モリシェルモンの頭部へクチバシを突き刺し、脳を引きずり出して食った。


なんという獰猛さであろうか…。
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:26:46.00 ID:UY437IRqo
翌日、再びデジモン狩りをするコカトリモン。
新たな獲物はすぐに見つかった。


https://i.imgur.com/YK9hxcl.jpg
ヤギ型デジモン…ゴートモン。
ボアモンの子供だ。

コカトリモンはニタリと笑うと、食いかけのコカブテリモンを捨て置き、ゴートモンの方へ駆け出した。

ゴートモンは、蹄のある自慢の脚で逃げ出した。
さすが走ることが得意なボアモンの子だけあって、走行スピードは速い。
木々の間を縫うように、機敏な走りを見せた。


だが、コカトリモンも猛スピードで爆走し、ゴートモンを追いかけた。
凄まじいパワーのクチバシで木々をへし折ってなぎ倒しながら追跡する。
721 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 23:27:46.46 ID:FfYDiL2+o
グレイモンの子孫つっよ…
こんなの余裕で天下統一じゃないですか…
722 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:29:58.78 ID:UY437IRqo
やがてゴートモンは、険しい崖へと追い詰められた。

コカトリモンは、ゴートモンを崖へ追いやってていく。

するとゴートモンはなんと、崖の下に飛び降りた。
そして崖の僅かな突起に蹄をひっかけて、切り立った崖を登り始めたのである。

驚くコカトリモン。
だが、美味そうな獲物を目の前にして、このままおめおめと似がせるわけがない。
コカトリモンもまた、崖の下に飛び降り、ゴートモンのように崖にしがみつこうとした。
723 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 23:32:25.03 ID:tecEvoFk0
あれ?アグモン今まで出たっけ?
724 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:32:52.52 ID:UY437IRqo
だが、無理だった。

足を滑らせたコカトリモンは、200mの高さの崖から転落した。

必死に翼をバタつかせたが、飛ぶ機能は備わっていない。

どんどん遠ざかっていくゴートモンを睨みながら、コケエエエエと大声で叫んだ。





…そのままコカトリモンは、激しく地面に体を打ち付けた。

バーーーーンという大きな音が、30秒ほど山々に木霊した。
725 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:38:16.26 ID:UY437IRqo
やがて砂埃が消えると、地面に倒れ伏しているコカトリモンの姿が現れた。

全身を複雑骨折し、内臓も破裂しているとみえる。

なんとも痛ましい姿だ。



目玉が飛び出ているコカトリモンは、絞り出すように鳴き声を発しようとするが…
気嚢が破れており、声を発することができないようだ。


死に瀕して悔しそうな表情をするコカトリモン。
己こそが最強だったはずだ。間違いなく山の生態系の頂点だったはずだ。
その自分が、あんな弱そうな奴を捕食できず、こんな無惨な最期を遂げるだなんて。

最強であるはずの自分に、こんなことがあっていいはずがない…!


…そんなことを考えているのが、コカトリモンの全身からありありと伝わってきた。
726 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:40:37.45 ID:UY437IRqo
コカトリモンは、最期の力を振り絞り、デジタマを産んだ。
そして徐々に冷えていくぬくもりで、デジタマを温めた。





コカトリモンの死骸が、ヌメモンやゴキモンに食い尽くされた頃…

その遺骨の下の地面が、モコモコと盛り上がった。
727 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 23:40:38.32 ID:YFi/b0Ak0
過剰な攻撃性は自滅に繋がるってことだなあ
728 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:49:14.66 ID:UY437IRqo
地面から出てきたのは、なんとも可愛らしい姿の幼年期デジモンであった。
https://i.imgur.com/jiHyVLF.jpg

草の実などを食べて成長し、一回り大きくなった。
https://i.imgur.com/aSMy2Mq.jpg


やがてレベル3になると…
親よりも、さらに鳥に近い姿となった。
https://i.imgur.com/j3KPXqT.jpg


鳥型デジモン…ピヨモンは、未発達な翼で、ばたばたと飛んだ。

地上から飛び上がるのは得意じゃないらしい。
たった一世代で、大空を舞う力が備わるわけではないようだ。


だが、それでも…
崖から飛び降りても、ゆるやかに着地することはできるようだ。
729 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:53:56.41 ID:UY437IRqo
ピヨモンは、崖から飛び立って地面を目指しているときに、何かが目に入った。

それは、ピヨモンの親…コカトリモンのように、ゴートモンを追いかけている、恐鳥型デジモン。ディアトリモンの姿であった。
https://i.imgur.com/TJasJB7.jpg


ディアトリモンは、崖を登るゴートモンを追いかけ…
そして、足を滑らせて転落した。



あのショッキングな音が、再び山々の間に木霊した。
730 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/31(水) 23:55:20.82 ID:UY437IRqo
つづく
731 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/05/31(水) 23:59:00.19 ID:YFi/b0Ak0

山岳のヤギ、強い
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 00:05:17.97 ID:oDW6wgJ0o
〜オマケ〜

紹介するのが遅れていた。これがアグモンである。
https://i.imgur.com/atrQ69D.jpg

タスクモンが産んだ卵から産まれたレベル3デジモンであり、これらがグレイモン、グラウモン、ティラノモンへと進化したのだ。

口から炎を吐くことができ、レベル3の中では最強クラスといわれる戦闘力をもつ。
レベル4デジモンのヌメモンやベジーモンと互角の力を持つとさえいわれる。

強さを突き詰めようとするアグモンの遺伝子は、強大なレベル4デジモンに進化し得るポテンシャルを持っているのである。
733 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 00:08:34.38 ID:ofigKZ2Uo
鳥なのに飛べない奴等は悲惨だ
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 08:52:11.40 ID:KsWPbD8E0
ピヨモンはまだ落ち着きありそう
735 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 10:40:44.76 ID:aVrFe9B/o
飛べないにしても滑空くらいできたら良かったのにね
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 20:35:01.52 ID:lWoanl7ko
戦闘だけなら天下だなアグモン→グレイモン一族
737 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 22:24:59.26 ID:dAo3F5IXo
デジタルワールドのエネルギー循環、栄養循環は、どのような仕組みになっているのだろうか?

一見すると、太陽光を使って成長した植物が、草食デジモンの餌となり、それが肉食デジモンの餌となり、死んだデジモンが分解されて植物の栄養になる…という、現実の生態系と同じシステムに思える。


しかしながら。
デジモンというものを詳しく調べていくと、「ん?」と疑問点が湧いてくる。

第一に…
デジモンは「データ」を食べる生き物であることが分かっている。
ただし、デジモンはサイズがでかいだけのランダムノイズなどは食べない。
価値のある情報を選り好みして食べるのだ。
我々が、コマンドラモンやマッシュモン、フローラモンの餌を、データのコピペではなく、データマイニングによって計算コストと時間コストをかけて都度生成していることからも、それは明らかだ。

しかしながら、「データを食べる」ということが具体的にどういうことなのか、よく分かっていないのだ。

食べたデータが分解され、デジモンの体内で消えたことで、代わりに何のエネルギーが生まれるのか?

分からないことだらけではあるが…
デジモンの代謝系は、我々人間が、糖と酸素からATPを合成して、細胞内で分解してエネルギーにする仕組みとは、根本的に異なるシステムであることは間違いない。


すると、そのエネルギーの源となっている、デジタルワールドにおける「太陽」とは何なのであろうか?


デジクオリアが我々に「太陽」として見せているコレは一体何なのであろうか?
738 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 22:35:51.76 ID:dAo3F5IXo
そもそもデジタルワールドとは何なのか。

デジタルネットワーク上に存在している世界…というと、なんとなくわかったような気にはなる。

だが、現実のデジタルネットワークは、世界各地のサーバーや端末内の様々なシステムによって極めて精巧に作られている。

コンピューターウィルスは世界中に蔓延してはいるが、各種セキュリティソフトによって逐次駆除されている。

こんな精巧なモンスター型のボットを構成している巨大なデータが、あちこちのサーバーやパソコンのディスク上の領域に丸ごと入っているかというと…
現実のデジタルワールドを見る限り、あまりそうとは考えられない。


しかしながら。
フローラモンやマッシュモン達は、確実に我々のサーバー内に「いる」こともまた事実なのだ。


我々人間は、原子や分子の構造体という形で、現実世界に『いる』。


ではデジモンは、どんな形で、どこに『いる』のだろうか。
739 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 22:53:30.04 ID:dAo3F5IXo
様々な研究によって、少しずつ、それが分かり始めてきた。

デジモンが存在する「デジタルワールド」…
その媒体となっている「デジタルネットワーク」とは、ノイマン型コンピュータ端末同士の相互通信ネットワークや、それを構成する磁気テープ上のゼロイチのデータ情報のことだけを指しているのではないのだ。

それらの端末を利用している、我々人間の脳もまた、「デジタルネットワーク」を構成する一部分なのだ。

人間だけではない。
地球上の様々な動物の思考回路…脳も、デジタルネットワークを構成する要素となっている。

動物だけでもない。
近年の研究によって、森林を構成する植物同士は、菌根菌の菌糸を回線としたネットワークを構成し、相互に情報交換をして協調して活動していることが明らかになっているのだが…
そのような植物同士の情報ネットワークもまた、デジタルワールドを構成する「デジタルネットワーク」の一端であることが、いくつかの研究によって示唆されている。
740 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 23:03:17.64 ID:dAo3F5IXo
植物や人間の思考回路はアナログではないか?それではアナログワールドにいるアナログモンスターではないか?と言われることもある。

それは、まあ…今更といえば今更というか。
最初にそう名付けられてしまったから、今もそう呼ばれているということだ。

電流の向きがマイナスのベクトルとして決まっているように。

自然界を支配するといわれる4つの力…
重力と電磁気力に続く「弱い力」と「強い力」が、仮称のまま正式名称になってしまったように。


通称として広く知れ渡り、様々な論文で使われてしまった以上、今更名称を変えるわけにもいかなくなった、ということだ。

もっとも、変えるべきだなんて意見は一度たりとも聞いたことはないが。
741 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 23:14:27.69 ID:dAo3F5IXo
あまりこのあたりを詳しく説明してもドツボにはまるので、詳しくは我々が出している論文を見て欲しい。
きっと理解の助けになるはずだ。


近年では、「現実世界とデジタルワールドの間で、物体の転送ができないか?」という研究を行っている機関もあるらしい。

もしもそうなれば、人類にとって大きな恩恵となることは間違いない。
ゴミ処理問題や農地開発など、「土地が足りない」ことによる問題の解決の糸口になるかもしれない。

また、化石燃料の代替となるエネルギー源を得られるかもしれない。

もっとも、そんなことが本当に可能となるかどうかは怪しいが…

我々がデジタルワールドを観測する技術「デジクオリア」は、その領域に至るための足がかりであることは間違いない。
742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 23:23:37.60 ID:9B9kfaSu0
読ませてくれ……論文!!

今のデジタルワールドは全然原始的だし
本格的に人間の手が加えられるようになったら荒らされそうだなあ
743 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 23:31:32.07 ID:dAo3F5IXo
話がそれてしまって申し訳ない。
元々は、デジタルワールドの栄養循環がどうなっているか、デジモンは食べたデータをどのように生体エネルギーへ変換しているのかという話だった。

しかしながら、それをきちんと論理的に納得できるように説明するには、どうしても複雑な話に言及せざるを得ないのだ。


抽象的、オカルト的な話に喩えるのは苦手なのだ。
うまく簡潔に説明できずに申し訳ない。


ともあれ、私の同僚の言葉を借りるならば…
『エネルギー保存則がこの世に存在するように、情報もまた完全に消滅することはない』という法則が、この世には存在するらしい。


たとえば、純水と乾燥した土がそれぞれ独立で保管されていたとして…
それを混ぜて泥水にしてしまえば、それが元々は純水と乾燥した土だったという情報は、我々からすると消えてしまったように見える。

しかし実際は、その結果が観測されることにより、「乾燥した土がどのような過程で水に溶けていくのか?」という知識や、泥水そのものが持つコロイド溶液の性質に関する科学的知見など、新たな情報が生み出される。


デジタルワールドの栄養循環や、デジタルモンスターのエネルギー代謝とは、この概念に近いのだそうだ。


『情報が消えることで、新たな情報が生まれる』…。

その連鎖によって、デジモンは活動している、ということらしい。

そして、デジタルワールドにおける太陽とは、この概念でいうところの『巨大な情報源』…

いわば「我々の認識できる世界から失われていった情報」が、何らかの方法でデジタルワールドへ送られ、日光のように降り注いでいる…ということのようだ。


ぼやっとした説明になってしまったが、なんとなくイメージは分かってもらえたことだろう。
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 23:34:31.34 ID:vUTbkIeto
人間のいらないものがデジモンにとってのいるものになってるんだな
745 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/01(木) 23:44:38.66 ID:dAo3F5IXo
人間のデジタルネットワークには、コンピュータのデータを破壊するプログラムが多数存在している。

我々はそれをワームやウィルスに喩え、「データを食べて殖える生命のようだ」と比喩したことがあった。

しかしながら、その比喩は一見合っているようで、実は誤りがある。
なぜならウィルスやワームは、自己増殖することとデータを破壊することの間に、機能的な繋がりがないからだ。

殖えようと思えば、データを破壊せずともいくらでも殖えることができる。
かつて流行したことのあった「チェーンメール」のように。

つまり、ワームやコンピュータウィルスは、別に「データを栄養にしているわけではない」のである。


だが、コンピュータウィルスの流行をきっかけとして、デジタルワールドの存在が我々の技術で観測できるほど顕現できるようになったことは、決して偶然ではない。


デジタルネットワークが肥大化し、それを構成する情報を破壊する悪質なプログラムが増えたことで、「我々の世界から失われる情報」の量が爆発的に増加したのである。

つまり、それと対になるように、我々の世界からデジタルワールドへ送られる情報量もまた、爆発的に増加したのだ。
746 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 23:56:48.82 ID:9B9kfaSu0
世のハードディスクが削除されたり暗号化されたりする度にデジタルワールドが富んで来たんだな……
747 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/01(木) 23:59:39.22 ID:pTAUatDf0
デジタルが喋れればデジタルワールドのこと分かるのになあ
748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/02(金) 00:05:40.34 ID:VkqQSjxro
デジモンは、コンピュータウィルスが進化して産まれたデジタル生命体…という通説は、合っているようでもあり、そうでもないといえる。

これは、動物の進化のイメージが近いといえる。

動物は、細胞内のミトコンドリアによって酸素と糖分から莫大なエネルギーを得る力…「好気呼吸の力」を獲得した生物群だ。
好気呼吸によって得られる活動エネルギーは、メタン細菌のような他の代謝システムをもつ生物が生み出す活動エネルギーよりも遥かに大きい。

そのミトコンドリアの起源は、αプロテオバクテリアと呼ばれる好気性細菌だったといわれている。

しかしながら、動物はαプロテオバクテリアそのものが直接進化して誕生した生物というわけではない。

原始的な真核生物が、αプロテオバクテリアを取り込んで、細胞内共生することで進化した種だ。


デジモンもまた、ウィルスそのものから直接進化した存在というよりは、データを分解・吸収するための手段として、ウィルスを利用するようになった生物、ではないかと予想されている。


デジタルワールドには、『デジモン以外のデジタル生命体』も存在している。
たとえば微生物や細菌、植物に近い生命が確認されている。

それらデジタル生命体の中のひとつであり、最も強力に進化した系統が「デジタルモンスター」なのだ。
749 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/06/02(金) 00:09:14.42 ID:Bt3c95Ulo
ウイルスではないけどウイルスと似た能力も使える生き物か
750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/06/02(金) 00:12:55.73 ID:VkqQSjxro
かつて我々の研究所で発生した「ゴミ箱マッシュモン事件」を覚えているだろうか。

ゴミ箱の中にあるデータが、どんどん消えていき、マッシュモンの餌となっていた事件である。

あのときは、コンピュータをスキャンしてもコンピュータウィルスは見つからなかった。

それはそうだ。ウィルスセキュリティソフトは、コンピュータに有害なプログラムをなんでも除去してくれる魔法のソフトではない。
ウィルス定義ファイルに基づいて、ウィルスとみなされたプログラムを除去しているにすぎない。


あの時、研究所のパソコンに巣食っていたプログラムは、ウィルス定義ファイルで引っ掛けることができなかったのだ。

マッシュモン…
「分解者」の姿と力を得たそのデジモンは、データを分解するプログラム…デジタルワールド製のコンピュータウィルスを菌糸のように操り、ゴミ箱の中のデータを破壊し、吸収しやすいように加工していたということだ。


つまり、マッシュモンは…
デジモンの起源を解き明かすことにおいて、重要な意味を持つデジモンなのかもしれない。
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