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研究員「安価でデジモンを進化させる」

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551 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/28(月) 23:06:39.41 ID:cKAKP2IDO
2
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/28(月) 23:06:55.41 ID:vvcbjI760
@
553 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/28(月) 23:15:51.11 ID:2/8COuwoo
エレキモンのうち一匹は、川の近くで暮らすようになった。

エレキモンの電撃攻撃は、水中の獲物を仕留めるのに便利だったからだ。

やがてエレキモンは、川を下っていき、水中に適応していった。

https://dotup.org/uploda/dotup.org2736574.jpg

…河口や海を自在に泳げるように進化したエレキモン。
その姿は、イルカによく似ていた。

エレキモン改めルカモンは、放電能力を応用して超音波を発生させ、水中の獲物を仕留めることができるようになった。

ゲソモンやティロモン、エビドラモンといった、既存の水中デジモンは、この突如現れた存在に大いに驚いたようだ。

陸上だけでなく、水中の環境も、どんどん変化していく…。
554 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/28(月) 23:19:07.65 ID:AjpH9pmZo
イルカは頭良いからな
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/28(月) 23:25:17.08 ID:2/8COuwoo
もう二匹目のエレキモンは、大型草食デジモンとなる道を選んだ。

だが、ただの草食獣ではない。
エレキモンという、発電能力を持ったデジモンは、己の発電能力を、炎を発する力へと変えた。

そうしてエレキモンは、熱く、力強い進化を遂げた。

https://dotup.org/uploda/dotup.org2736588.jpg

燃える体を持つ、イノシシ型デジモン…ボアモン。

その突進攻撃は、かつてのタスクモンを彷彿とさせる。
違うところは、体当たりの威力そのもので敵を仕留めることではなく、敵を追いかけてから頭突きを放って牙を突き刺すことでダメージを与えるという点である。

タスクモンほどの威力は発揮できないが、森林の中をジグザグに走りながらでも威力を維持できる、環境に適した進化である。

それだけではない。
鼻から炎を噴射して、植物型デジモンを丸焼きにしてしまうこともできた。

ボアモンは、モノクロモンとはまた別の方向性で、攻防一体の力を持つ強豪となったのであった。
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/28(月) 23:27:38.60 ID:5wn6h6tpO
森林で炎使い、脅威だな……火事にならなければ……
557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/28(月) 23:37:50.55 ID:2/8COuwoo
そして最後の一匹のエレキモンは…
驚くべき進化をした。

このエレキモンはおそらく、昆虫型や爬虫類型のデジモンが、冬の間は活動が鈍ることを知っていたのだろう。

エレキモン自身の記憶か、親から受け継いだ遺伝子か、その両方か…。

炎を身に纏ったボアモンとは対象的に…
3匹目のエレキモンは、「氷」を身に纏った。

https://dotup.org/uploda/dotup.org2736600.jpg

透き通った水晶を背負った、ハリモグラのようなデジモン…トゲモグモン。
それが3匹目のエレキモンが辿り着いた姿であった。

トゲモグモンの背中に触れたデジモンは、瞬く間に触れたところから凍りついてしまう。

変温動物のデジモン達は、体温を自力で上げることが不得意であるため、触り続けていればどんどん末端から凍っていき、あるいは凍傷で身体組織が損傷していく。

ひとたび身を丸めれば、トゲモグモンの防御を崩せる肉食デジモンはいなかった。
スナイモンの鎌も、ゴーレモンの拳も防いでみせた。

鉄壁の防御力を身に着けた草食デジモン、トゲモグモン…
彼は無敵となったのであろうか?

…否。トゲモグモンにも嫌がる相手がいる。
野生のマッシュモンである。


並の植物デジモンならば敵ではないが、マッシュモンをうっかり食べてしまったときは、苦しそうに嘔吐していた。

…デジモンは、攻撃手段だけでなく、身を護る手段もバラエティに富んでいる。
558 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/28(月) 23:43:00.28 ID:2/8COuwoo
森から川や海へと移り住んだルカモンは置いといて…

森林では、ボアモンとトゲモグモンという、2体の哺乳類型成熟期デジモンが進化に成功した。

優秀な戦闘能力と生存能力持ったボアモンとトゲモグモンは、これからデジタマを産み、子孫を残していくであろう…。


…だが、その頃。
森の中では、もうひとつの大きな存在が、息吹を上げていた。


…自身の生命すらも擲って、強大な敵を打ち倒す、狂暴な破壊者の子孫が、覚醒したのである。
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/28(月) 23:50:49.98 ID:2/8COuwoo
トゲモグモンが、植物をバリバリムシャムシャと食べていると…

突如、森の奥から、恐ろしい咆哮が響いてきた。

驚いたトゲモグモンが、反射的に飛び退くと…

森の奥から凄まじい勢いの火炎放射が飛んできた。

火炎放射は、先程までトゲモグモンがいた場所を通過した。

…火が消えると、遠くから一直線に木々が焼き払われ、灰と化していた。

やがて、火炎放射が飛んできた方から、ズシン、ズシン…と、地響きのような足音が近付いてくる。
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/28(月) 23:56:54.90 ID:2/8COuwoo
やがて、何事かと驚いたスターモンが飛んできた。

空中を飛びながら、様子を伺うスターモン。

スターモンが見たものは…

https://dotup.org/uploda/dotup.org2736610.jpg

https://dotup.org/uploda/dotup.org2736612.jpg

https://dotup.org/uploda/dotup.org2736618.jpg

…3体の巨大なデジモン達が、スターモンの方を向き、火炎放射を放つ瞬間であった。
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/02/28(月) 23:57:32.02 ID:2/8COuwoo
続く
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/28(月) 23:58:23.31 ID:AjpH9pmZo
有名なデジモン達のウイルス種バージョン
563 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/01(火) 00:09:28.62 ID:LsqmIUFEO
乙 再開ありがとう、やっぱりこの目まぐるしく変わる生態系の描き方が面白いぜ……
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/01(火) 16:23:14.41 ID:FNJENKL/o
エタったと思ったからびっくり
565 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 20:35:28.89 ID:Oh6zRpbdO
これら3体の恐竜型デジモンは、口から炎を吐いて森林を焼き払った。

そして火から逃げ出したデジモン達へ、追い打ちのように火炎放射を浴びせた。

そうやって大勢のデジモン達を焼き殺し、その死骸を貪り食った。

…デジモンは、消費カロリーの多さに比例して強くなる傾向がある。

森林を焼き尽くし、暴食を続けるこれらのデジモン達…
ティラノモン、グラウモン、グレイモン達は、恐るべき強さであった。

スターモンは、ゴーレモンとモノクロモンを引き連れて、恐竜デジモン達へ立ち向かった。

3対3の熾烈な戦いが繰り広げられたが…
やがてゴーレモンとモノクロモンは、劣勢となり逃走した。

足止めのためか、スターモンは最後まで立ち向かったが…
3体全員からの火炎放射を浴び、焼き尽くされた。
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/25(金) 20:41:02.02 ID:4k7ZFe/+o
復活してたマジか
スターモンあっけなく
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 20:43:56.38 ID:B/oiwRAyO
我々は、ジャガモンの様子を観察した。

https://i.imgur.com/NI4NgHf.jpg

ジャガモンの体長は、かつてスコピオモンと戦ったときよりも、倍近く大きくなっていた。

なんということであろうか。
このレベル5のデジモンは、現在なお成長し続けているのである。
戦闘能力においても、スコピオモン戦のときより大きく向上していることだろう。

普段は寝てばかりいるジャガモンは…
珍しく起きていた。

そして、炎に包まれている木々の方をじっと眺めていた。

やがてジャガモンは、その巨大な体をゆっくりと身を起こし、四本脚で立ち上がった。

だが…ジャガモンは、恐竜デジモン達の方を向いてはいない。

…むしろ、彼らのすぐ近くにある、何か別のものを、見ているように思えた。


やがてジャガモンは、森林の中を徘徊し始めた。

ベジーモンや、テントモン、マッシュモン等、大勢のデジモンがジャガモンの方へ駆け寄ってきた。

そしてジャガモンの足を登り、岩のような体の隙間へ、次々と隠れていった。
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/25(金) 20:49:01.78 ID:4k7ZFe/+o
闘争本能より弱い者の保護が優先されるタイプの子か
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 20:51:13.84 ID:B/oiwRAyO
やがてスターモンの体を食らい付くしたグレイモン達が、ジャガモンの方へ駆け寄ってきた。

そしてジャガモンへ、火炎放射を浴びせた。

ジャガモンは、体内へ大勢の森のデジモン達を収納し、岩の隙間を閉じて丸まった。

十数秒の火炎放射が続いた。

やがて火炎放射が止まると…
ジャガモンの体表は、火鉢に放り込まれた石のように、赤熱していた。

グレイモンは、ジャガモンを尻尾で叩いた。

グラウモンは、腕の刃でジャガモンの岩を剥がそうとした。

ティラノモンは、ジャガモンの岩を噛んで剥がそうとした。

…だが、ジャガモンはびくともしない。

グレイモン達は、繰り返しジャガモンへ火炎放射と打撃を浴びせ続けた。

熱で脆くなったジャガモンの岩は、さすがにヒビが入る。
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 20:55:36.42 ID:B/oiwRAyO
…そのとき。

突如、地面の土が盛り上がり、地中から何か巨大なものが出現した。

ジャガモンをタコ殴りにしていたグレイモン達は、突然の轟音に驚いた。

その巨大な何者かは、素早く蔓を伸ばし、ティラノモンの首を絞め、持ち上げた。

https://i.imgur.com/QuXp90F.jpg

…巨大な植物型デジモンだ。
ジャガモン程のサイズではないが、グレイモン達3体を横に並べても尚、一回りほど上回るサイズであった。

植物型デジモンは、ティラノモンの頭を勢いよく地面へ叩きつけた。

頭部を強打したティラノモンは、うめき声を上げた。
571 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/25(金) 21:01:56.97 ID:/waNF5Mqo
もう一匹完全体来ちゃった
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 21:56:15.28 ID:a5jYl5HfO
グレイモンとグラウモンは、巨大植物デジモン…ブロッサモンへ火炎放射を浴びせた。

ブロッサモンは、怒号をあげながら、それを無数の蔓で防御する。

火炎放射が止まると、防御に使った蔓が焼け落ちて、ちょっと表面が焦げたブロッサモンの顔が現れた。

…蔓を何本も犠牲にしたとはいえ、スターモンさえ葬った最強クラスの2体の恐竜デジモンの強力な火炎放射を耐えきるとは、このデジモンは何者であろうか。

最強クラスのレベル4…成熟期である恐竜デジモン達よりも、さらに一回り強力なレベル4か?

あるいは、ジャガモンと同じくレベル5に到達しているのか…?


ジャガモンが一歩前に踏み出し、グレイモン達へ近づこうとした。

加勢しようとしているのだろうか?

だが、ブロッサモンはジャガモンを睨んで吠えた。

それを見たジャガモンは、一歩下がって元の位置へ戻った。

ブロッサモンは、ジャガモンからグレイモン達の方へ、視線を移した。
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 22:16:35.76 ID:a5jYl5HfO
戦いは熾烈を極めた。

ブロッサモンは、鋭い蔓の鞭でグレイモン達へ攻撃を仕掛けた。

蔓の先端に生えている花弁は、刃物のように鋭利だ。

グレイモンの右腕に、鞭が直撃した。
腕には深い切り傷がつき、どくどくと出血している。

これを恐れたグレイモン達は、3体で代わる代わる火炎放射をすることで、蔓の攻撃を牽制した。

恐竜デジモン達は、火炎放射の後にしばらくインターバルが必要なようだ。

一体が火炎放射をブロッサモンへ浴びせる。

炎が止んだら、ブロッサモンが蔓攻撃を仕掛けてくる前に、すかさず二体目が火炎放射を浴びせる。

そうやってローテーションを組み、ブロッサモンの蔓攻撃を封じつつ、火炎放射の防御のために蔓を消費させ続けた。

それが続いたせいか、ブロッサモンの蔓の再生スピードはだんだん遅くなっていった。
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 22:23:06.04 ID:a5jYl5HfO
だが、ブロッサモンも負けていない。

火炎放射を大量の蔓で防御しながら、蔓の壁の内側に攻撃翌用の蔓を仕込んでいたのだ。

火炎放射が止んだ瞬間、防御に使った蔓の壁の中から、攻撃翌用の蔓を伸ばし、恐竜デジモン達の隙をついて攻撃した。

しばらくの間、戦況は五分五分だったが…
ブロッサモンが放った蔓の攻撃が、ティラノモンの喉を真横に切り裂いた。

ティラノモンは、喉の裂け目から夥しい量の血飛沫と火炎を噴射しながら、ブロッサモンの上に倒れ込んだ。

恐竜デジモン達は、だんだん火炎放射の威力が衰えてきている。

炎を吐くのに必要なエネルギーが尽きかけているようだ。

それに加えて、ティラノモンは喉を切り裂かれて倒れた。

ゆえに波状攻撃のペースは遅くならざるを得ない。

不動のジャガモンの目前で戦うブロッサモンは、己の優勢を悟ったのか、口を歪ませて笑みを浮かべた。
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/25(金) 22:25:08.68 ID:q47WERm+o
守護神だ
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 22:29:34.20 ID:a5jYl5HfO
戦いの前は、青々とした森林が生い茂っていたというのに。
周囲は既に炎に包まれ、燃えた木と灰に覆われていた。


恐竜デジモン達が捕食活動のために突き進んできた進路は、上空から見るとはっきりとした黒い線となっていた。

燃え尽きた木々が、黒い線を引いていたのである。

もうすぐこの戦いは終わるだろうか…
そんな気持ちで眺めていた我々は、不思議なものを見た。

恐竜デジモン達が突き進んできた黒い線が…
猛烈な勢いで灰煙を立て始めたのである。

まるで、燃え尽きた木々と灰の中を、何かが突き進んでいるかのように…。
577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/25(金) 22:30:22.82 ID:aVg1OFrYO
これだけじゃ終わらんよなあ……
578 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 22:35:24.96 ID:a5jYl5HfO
グラウモンが、ブロッサモンに火炎放射を吹きかけようとしたが…

ブロッサモンは蔓を伸ばし、強引にグラウモンの口を閉じさせた。

炎を吐き出せなくなったグラウモン。
ブロッサモンは火傷だらけの痛々しく満身創痍な肉体を大きく震わせて、グラウモンの心臓をめがけて、蔓を突き刺そうとした。

…その時。



一瞬だった。

燃えた木々の中から、凄まじい勢いをつけた二体の巨大な影が飛び出してきたのである。


あまりに突然の出来事だったため、反応できなかったブロッサモンは…


飛び出してきた『何者か』の体当たりをまともに食らい、太い茎の中心へ、巨大な角を深々と突き刺された。

絶叫を上げるブロッサモン。
傷口から、夥しい量の体液が噴出した。


ブロッサモンを突き刺した、二体のデジモン達は…こいつだった。
https://i.imgur.com/FFww9UD.jpg
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 22:41:04.15 ID:a5jYl5HfO
…タスクモン。

森に適応できず、すごすごと逃げ帰っていったはずの彼らが、何故ここにいるのか。

何故このタイミングで、突撃を仕掛けてきたのだろうか。

タスクモン達の体当たり攻撃は、ブロッサモンに深い深いダメージを与えたようだ。

ブロッサモンは、己の茎に突き刺さったタスクモン達へ蔓を巻き付け、死にものぐるいで引き剥がそうとした。

そうして無防備になった顔面に…
グラウモンは火炎放射を浴びせかけた。

これまでは、苦手な火炎放射を蔓で防御することで凌いできたブロッサモン。

まともに顔面に火炎放射を浴びたブロッサモンは、断末魔のような叫びを上げながら、燃える頭をぶんぶんと震わせた。

そこへ、グレイモンが追い打ちでトドメの火炎放射を浴びせようとした。

…ジャガモンが間に割って入り、頑丈な甲殻で炎を防いだ。
ブロッサモンを庇ったのである。
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/25(金) 22:43:44.69 ID:q47WERm+o
形勢逆転かー
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 22:50:34.10 ID:a5jYl5HfO
タスクモン達は、ブロッサモンの蔓から脱出すると、再び焼けた助走路の向こうヘと走り去っていった。

睨み合うジャガモンと、グレイモン&グラウモン。

だが、瀕死のブロッサモンは自身の上に倒れかかったティラノモンをどけると、ジャガモンを睨んで吠えた。

ジャガモンは、訝しげな表情をブロッサモンへ向けたが…
ブロッサモンに二回ほど吠えられると、グレイモン達とブロッサモンの間から体をどけた。

…ブロッサモンはどういうつもりなのか?
こんな死にかけの体で、多勢に無勢の戦況で。
尚、一体で戦おうというのか?

…合理的ではない。
レベル5のジャガモンの助力を得れば、これらの敵を撃退できる可能性は大きく上がるはずだ。

…ブロッサモンの行動原理を、私は理解できない。
なぜわざわざ自分を不利な状況へ追い込むのか。
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/25(金) 22:55:15.05 ID:q47WERm+o
プライドか?
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 23:03:52.02 ID:a5jYl5HfO
我々は、一連の出来事に呆気にとられていた。

なぜここに、タスクモンがいるのか?
なぜこのタイミングで、突然襲いかかってきたのか。

やがて、研究員の一人は、恐るべき仮説を提唱した。

曰く…

あれら2体のタスクモン達は、かつて森林に適応できず、森にタマゴを残してサバンナへ退却していったタスクモン達と同一個体である。

だが、それが不自然だった。
自分の死すら恐れずにモノクロモンを仕留めようとする、あの異常な攻撃本能を持ったタスクモン達がだ。
木々が邪魔で体当たりがうまくできなかった…というだけで、おめおめとサバンナへ逃げ帰るものだろうか。

…いや、逃げたのではない。
タスクモンは、機が熟すのを待っていたのだ。
森林の環境へ適応するために。


タスクモン達は…


グレイモン、グラウモン、ティラノモンの卵を森林へ産み落とし、成長した彼らによって森林を焼き払わせた。

そうして森林を焼け野原にし、平原にすることで…
体当たり攻撃を存分に使える環境へ作り変えようとしたのだ。

この森林のあった場所へ適応し、この地の支配者となるために。
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/25(金) 23:06:37.42 ID:aVg1OFrYO
環境が合わないなら環境を変えればいい、成程な……
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 23:06:45.52 ID:a5jYl5HfO
我々はその説を聞いて、恐怖で身を震わせた。
ゾッとした。

そんな恐ろしい生き物がいてたまるか…と思わずにはいられなかった。

だが、そう考えると辻褄が合ってしまうのである。

突如、火炎放射で全てを薙ぎ払う恐獣の出現、そしてこの場にタスクモンが現れたことの辻褄が。

なんという恐ろしい執念であろうか…。
586 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/25(金) 23:09:27.98 ID:q47WERm+o
知能高い
587 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 23:29:38.42 ID:a5jYl5HfO
ブロッサモンは、満身創痍ながらも戦おうとする。
これだけの体力…おそらくジャガモンと同じく、レベル5に到達したデジモンなのだろう。

だが、どう見てもブロッサモンは限界だ。
レベル4デジモン5体による巧みな連携攻撃で、戦闘不能のダメージを受けてしまったとしか言えない。

次にタスクモン達が突っ込んできたら、完全なトドメを刺されてしまうはずだ。

…構えるブロッサモンに、グレイモンは火炎放射を放った。
最初に見たときよりも、威力は著しく減衰している。

だが、全身大火傷な上に、蔓を再生する体力も尽きかけているブロッサモンには、それでも大ダメージであった。
残り少ない蔓で防御するも、蔓の壁は長くはもたなかった。

グレイモンの火炎放射が止まった。

反撃のチャンスがブロッサモンに訪れたが…
ブロッサモンは、攻撃翌用の蔓の用意が間に合わなかった。

やがてグラウモンが、波状攻撃を狙って炎をチャージした。

戦いを見守るジャガモンの目の前で、ブロッサモンは必死で蔓を再生しているが…

生えかかった蔓を、グレイモンが食いちぎった。

…これではもう、防御は間に合わない。


最早、ブロッサモンに、グラウモンの火炎放射を止める術はない。
588 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 23:33:50.71 ID:a5jYl5HfO
グラウモンが火炎放射を浴びせようとしたその時…

何者かの影が、木々の間をくぐり抜けて、グラウモンの足へと突進してきた。

グラウモンは、首の向きを突っ込んできた影の方へ向けた。
そしてその影へ、火炎放射を放った。


威力が衰えたとはいえ、レベル4の中でも上位の強さを持つスターモンを安々と仕留め、レベル5のブロッサモン相手ですらダメージを与える火炎放射だ。
並大抵のデジモンでは耐えられまい。


だが、その突っ込んできた影は…

炎に包まれても尚、平然としていた。

それはそうだろう。
その肉体は、元から炎に包まれているのだから。

https://dotup.org/uploda/dotup.org2736588.jpg
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/25(金) 23:35:58.16 ID:NOE2gnDEo
おお懐かしい
590 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 23:41:09.51 ID:a5jYl5HfO
エレキモンから進化した哺乳類型デジモン、ボアモン。

ボアモンは火炎放射を突っ切って、グラウモンの足へ突進攻撃を浴びせた。

グラウモンは、ブロッサモンとの取っ組み合いでダメージが蓄積していたのだろう。
足が歪な形に折れ曲がり、その場に転倒した。

相方が急に襲われて驚いたグレイモン。
だがグレイモンは、ボアモンと戦う前に、ブロッサモンを確実に仕留めるべきだと考えたのだろう。

火炎放射のチャージが間に合っていないためか、強靭なアゴでブロッサモンの頭を食いちぎろうとした。

…その時。
グレイモンは、足元に弱そうでちっこいデジモンがいることに気付いた。

そのデジモンは背中がややトゲトゲしているが、見るからに弱そうだ。

邪魔に思ったグレイモンは、そのデジモンを右足で踏み潰そうとして踏みつけた。


…グレイモンの右足の裏に、硬いトゲが突き刺さった。
そして刺さったトゲによって、体内から血液を急速に冷やされていった。
右足は足元からどんどん凍っていく。

https://dotup.org/uploda/dotup.org2736600.jpg
591 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/25(金) 23:52:11.76 ID:a5jYl5HfO
グレイモンは悲鳴を上げた。
中途半端なチャージで微妙な火力の火炎放射を、自分の右足に突き刺さったハリモグモンへ浴びせた。

だが、ハリモグモンは極めて高い防御力を持つ。
火炎放射を浴びても、己の冷気で相殺してダメージを抑えた。

ハリモグモンの水晶が突き刺さった右足は、脛から下が完全に凍ってしまった。

凍った右足から上ってきた、冷された血液が、グレイモンの体内を巡った。

なんとかしてハリモグモンを引き剥がそうとして、右足を地面へ叩きつけるグレイモン。

さすがにグレイモンの足のパワーは凄まじい。
やがて凍った右足が割れて、ハリモグモンを足の裏の皮膚ごと引き剥がした。

地面に叩きつけられた衝撃で吹っ飛び、そのまま燃えかけた木に引っかかったハリモグモン。

しばらくの間は、グレイモンのところへ戻ってはこないだろう。

グレイモンはショックを受けているようだ。
こんなわけのわからないチビのせいで、右足に甚大なダメージを負わされたのだから。
592 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 00:02:26.06 ID:uBzwq81XO
グラウモンは、折れた足を庇いながら、なんとか強靭な腕の刃でボアモンの腹へ斬撃を叩き込んだ。

致命傷には至らずとも、大ダメージを受けて出血したボアモン。
これ以上は危険と考えたのか、ハリモグモンが飛んでいった木の方へ逃げていった。


思わぬ邪魔者のせいで、チャージした火炎放射を消費させられたグレイモンとグラウモン。

その隙を、ブロッサモンは見逃さなかった。
ボアモンとハリモグモンが時間を稼いだ間に、なんとか再生が間に合った僅かな蔓で、グラウモンを縛り上げた。

そしてブロッサモンは、暴れるグラウモンの首へ噛みついた。

このまま頸動脈を噛み千切って致命傷を与えるつもりだ…!
593 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 00:13:17.69 ID:uBzwq81XO
…ブロッサモンは、見逃さなかった。

再び、燃え尽きた木々が埃を巻き上げ、タスクモン達が突進してくるのを。

ブロッサモンは、地面に横たわっているティラノモンを掴み上げると、グラウモンとともにタスクモン達の方へ投げ飛ばした。




自分の子供達を投げ飛ばされたタスクモン達は…



無意識に、足にブレーキをかけてしまった。




突進攻撃をくらったティラノモンは真っ二つに千切れ飛んだ。

グラウモンは、タスクモンの頭突きを背中にくらい、背骨をへし折られた。




体当たりがブロッサモンに当たった頃には、その衝撃は大分相殺されていた。
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 00:24:49.77 ID:uBzwq81XO
とはいえ、ブレーキをかけ、グラウモン達を跳ね飛ばして尚、タスクモン達の突進攻撃は強烈だった。

特に、ブロッサモンのように、移動が苦手な植物型デジモンには、突進攻撃は効果的だった。

攻撃をくらい、倒れるブロッサモン。

タスクモン達は、ブロッサモンを仕留めようとする。

…彼らの前に、ジャガモンが立ち塞がった。

先程ジャガモンが体内に収納していた避難デジモン達は、ジャガモンの中から出て森のむこうへ逃げていった。

火炎放射を吐く恐獣達がもはや戦闘不能になったことを察したためであろう。

ブロッサモンは、ジャガモンを睨んで吠える。
邪魔をするなとでも言いたいのだろうか…。

だがジャガモンは、ブロッサモンの声を無視した。
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 00:30:00.12 ID:uBzwq81XO
タスクモン達が、ジャガモンと取っ組み合った。

ジャガモンは、頭突き攻撃をしたり、岩を飛ばしたりして、タスクモンを攻撃した。

右足に酷い凍傷を負ったグレイモンは、タスクモンに加勢しようとする。

背骨が折れたグラウモンもまた、上半身だけで地面を這い、ジャガモンにどうにか攻撃しようとする。

だが、タスクモン達は、グレイモンとグラウモンを睨むと、吠えた。
先程ブロッサモンがジャガモンに吠えたのと同じように。

…グレイモンは、右足を引きずりながら逃走した。
グラウモンもまた、腕だけで這ってその場から逃げ出した。
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 00:33:04.95 ID:uBzwq81XO
ジャガモンの張り手を食らい、吹き飛んだタスクモン達。

ジャガモンとの力量差を感じ取りながらも、尚もジャガモンへ襲いかかる。

ジャガモンは、タスクモンのうち一体を地面にうつ伏せに突っ伏させると、前足で思い切り頭を踏みつけた。

タスクモンの硬い頭蓋骨に、ヒビが入った。

ジャガモンは、何度もタスクモンの頭を踏みつける。

やがて、そのタスクモンの頭は潰れた。
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 00:38:37.65 ID:uBzwq81XO


グラウモンとグレイモンは、その場から逃げていた。

だが、右足だけが駄目になったグレイモンと違い、グラウモンは背骨が折れている。

なんとかして這って逃げ延びようとしたが…

途中、グラウモンの目の前に、スナイモン、ゴーレモン、ウッドモン、ドクグモンが現れた。

ブロッサモン戦で火炎放射のエネルギーを使い果たしたグラウモンは、もはやまともに戦える状態ではなかった。

ドクグモンに麻痺毒を注入され。
スナイモンに切り刻まれ。
ゴーレモンに叩きのめされ。
ウッドモンに体液を吸いつくされた。


…そうして、グラウモンの肉体は、森の養分へと還っていった。


そんな相方の無残な最期を横目に、グレイモンは山岳地帯の方へと走り去っていった…。
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 00:42:59.52 ID:uBzwq81XO


地面に倒れ伏し、ジャガモンを睨む、二体目のタスクモン。

ジャガモンは、その首を踏みつけると、足から伸ばした根を首へ突き刺し、血液を吸い上げた。

やがてタスクモンは動かなくなった。
…逃げ延びたグレイモン一体を除き、敵は全滅したのである。

…タスクモンは、足の速さではジャガモンより上だ。
立ち向かうのを諦めて、逃げてしまえば、生き延びることができたはずだ。

一体なぜ、そうしなかったのだろうか…。

…死人に口なしである。
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 00:48:52.92 ID:uBzwq81XO


ジャガモンは、タスクモンのうち一体を捕食した。

レベル5のデジモンは、ただ生きているだけで、莫大なカロリーを基礎代謝として消費する。

戦いを終えたジャガモンは、タスクモンから栄養を取らなくてはならなかった。

傷付いて戦闘不能となったブロッサモンは、やがて体を起こした。

ジャガモンは、真っ二つになったティラノモンの死骸を、ブロッサモンに与えた。

ブロッサモンは、落ち込んだような表情をしていたが、腹の虫には逆らえないのか、ティラノモンを食って栄養補給をした。
600 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 00:52:43.96 ID:uBzwq81XO
ブロッサモンは、傷ついた体を癒やすためか、地中へと潜っていった。

ジャガモンは、焼け野原となった森林を眺めていた。

だが、消耗した体力を回復するためか、ひとまず急速を取ることにしたようだ。


…結局、ブロッサモンはなぜ、一人で戦うことに拘ったのだろうか。

最初からジャガモンの力を借りていれば、これほど瀕死に追い込まれることもなかったというのに。

…理由は不明である。
601 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 00:58:19.95 ID:uBzwq81XO
それにしても…

このタスクモン達は、引き下がらずに命を落としこそしたが、恐ろしく狡猾な手段で森林地域の支配を試みた。

己が環境に適応するのでなく、環境を己に合わせるという発想…。

この恐るべき知能と発想は、どこから来たのであろうか。

そして、タスクモン達のこの作戦は、「火」の性質と利用法を知っていなければできなかったことだ。

タスクモン達は、どこで火の使い方を学んだのだろうか…。



…心当たりが。

ひとつだけ、あった。
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:00:34.71 ID:uBzwq81XO


地中へと、潜っていくブロッサモン。

やがて頭といくつかの葉だけが地面から出た状態となった。

このまま、地面から栄養を吸収しながら光合成を行い、体力を回復するのだろうか…。



そうして休もうとしているブロッサモンの顔面に。


突如、空中から放たれたビーム攻撃が直撃した。

叫び声をあげるブロッサモン。

ジャガモンは、何事かと振り返った。
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:04:12.30 ID:uBzwq81XO
ブロッサモンは、ビームが飛んできた方を振り向いた…。

その直後。

空中から奇襲してきた何者かが、鋭い針の攻撃で、ブロッサモンの右目を貫いた。

そして、そのまま右目をくり抜いてしまった。
604 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:10:15.78 ID:uBzwq81XO
https://i.imgur.com/AbzDcgm.jpg

…針で攻撃したのは、蜂のような姿をした昆虫型デジモンであった。

そして、昆虫型デジモンの隣に、空中からビームを放ったデジモンが降りてきた。

https://i.imgur.com/x8a4jG0.jpg

…そのデジモンは、なんと呼ぶべきだろうか…
グレイモンのような恐竜型デジモンとはちょっと違う。

あえて言うなら、爬虫類型…

ニ本足で立つ、爬虫類型デジモンだ。



その面影は、どこか見覚えがある。
このデジモンととてもよく似た姿を、どこかで我々は見たことがあった。

「蜂型デジモンと共生しながら暮らす、爬虫類型デジモン」

「火の扱いに長けたデジモン」

…そんなデジモン達の集団を、どこかで見た覚えがある。



ジャガモンは、最早ブロッサモンには戦う力も、自力で身を隠す力もないと察したのだろうか。

これまで聞いたことのない咆哮を上げて、二体のデジモンへ襲いかかった。
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:16:51.49 ID:uBzwq81XO
ジャガモンは、2体のレベル4デジモンが融合して生まれたレベル5デジモンである。

目の前の敵デジモンは、技の威力を見るにレベル4相当であろう。

単純な実力では、負けることはないだろう。

だが、二体のデジモンは、予想外のことをしでかした。

なんと蜂型デジモンは、己の肉体をバラバラにして、竜人型デジモンへ鎧のようにくっついたのである。

https://i.imgur.com/yvPyxCG.jpg

…我々は言葉を失った。
いったいどんな肉体構造をしていれば、こんなことができるのだろうか。

合体したデジモンは、空中へ飛び上がると、腰にぶらさがった銃のような器官から凄まじい勢いで弾丸を連射した。

ジャガモンの甲殻が、激しい金属音を立てている。
あの丈夫な装甲から、少しずつ破片が散っている。
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:21:44.60 ID:uBzwq81XO
あの丈夫な装甲を傷付けるとは…
まさか、あの合体デジモンもレベル5相当の実力を持っているのだろうか?

ただ蜂型デジモンを装甲として身に纏っているだけではないのだろうか。

ジャガモンは、空中の合体デジモンへ向かって、隕石のような勢いで岩を打ち込んだ。

ジャガモンは、こう見えて飛び道具は得意な方である。

合体デジモンには、ジャガモンの岩がいくらか当たっており、ダメージを与えることができているようだ。

合体デジモンは、撃ち合いでは分が悪いと判断したのだろうか…
空中で、いったん合体を解除した。

そして再び、蜂型デジモンを身に纏った。
今度は、竜人型デジモンよりも、蜂型デジモンの要素が強い姿となった。
https://i.imgur.com/f0HX7oN.jpg
607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:26:37.32 ID:uBzwq81XO
ジャガモンは、それがどうしたと言わんばかりに、合体デジモンへ岩を打ち込み続けた。

だが、新たな姿となった合体デジモンは、先程よりもはるかに素早かった。

空中を高速で飛び回る合体デジモンは、すべての岩をことごとく回避し続けた。

そうして合体デジモンは、目にも止まらぬ速さで地上に降り立つと…



…ブロッサモンの首へ、深々と腕を突き刺した。


一瞬の早業であった。
鈍重なジャガモンには、止める術はなかった。

ブロッサモンは、弱々しくも蔓を使って合体デジモンの腕を締め付け、腕を首から引き抜こうとする。

どうやら、合体デジモンのこの形態は、スピードがある代わりにパワーはそれほど強くないらしい。
合体デジモンの腕は、徐々にブロッサモンの首から引き抜かれていく。
608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:30:39.66 ID:uBzwq81XO
だが、合体デジモンはその場で蜂型デジモンの装甲を瞬時に組み換え、シームレスに別の姿へ変形した。

https://i.imgur.com/yvPyxCG.jpg

我々が最初に見た姿である。

合体デジモンは、恐ろしい怪力によって、一気に右腕をブロッサモンの首へ突き刺した。

先程までの姿と違い、凄まじい怪力を発揮した合体デジモンは、ブロッサモンの蔓を難なく引き千切った。

ジャガモンは合体デジモンのところへ駆け寄ろうとする。

何発も岩を飛ばす。

だが、合体デジモンは空いた左手で岩を防御すると…

右腕でブロッサモンの頭を、首から引き千切った。
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:33:07.11 ID:uBzwq81XO
合体デジモンは、ブロッサモンの頭を持ち上げると、瞬時にスピード特化形態へ変形した。

https://i.imgur.com/f0HX7oN.jpg

そして瞬く間に飛翔し、ジャガモンの岩が届かない高さの上空まで飛んでいき、そのままブロッサモンの頭を奪い去っていった。
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:38:56.62 ID:uBzwq81XO


合体デジモンは、やがて遠く離れた地へ降り立つと、合体を解除した。

竜人型デジモンと蜂型デジモンの二体へ分離したのである。

そして、表情一つ変えなくなったブロッサモンの頭を引きずり、どこかへ去っていった。


…先程ジャガモンと交戦した際の戦力は、間違いなくレベル5相当であった。

2体のレベル4デジモンがただ力を合わせただけでは、決して届かない戦闘力。

それを、この2体は、間違いなく戦闘中という一瞬だけ獲得していた。


信じ難い光景であった。
彼らは何故今、消耗したブロッサモンのところへ襲来し、その命を奪ったのであろうか…。

一体どこから来たのか。
目的は何なのか…。

全てはまだ不明である。
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:41:53.87 ID:uBzwq81XO


ジャガモンは、辺り一面焼け野原となった真っ黒な森の真ん中で、首のないブロッサモンの肉体を悲しそうな目で眺めていた。

だがしばらくすると、その場にうずくまり…
再び休眠に入った。

やがて、小さな草食デジモン達がやってきて、ブロッサモンの死骸を食い尽くした。

…ジャガモンは、今自分がやるべきことは…
とにかく体力を回復することだと考えたのだろうか…。
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:46:25.23 ID:uBzwq81XO


ボアモンは、木に引っかかっているハリモグモンを見つけると、木に頭突きをした。

枝が揺れ、ハリモグモンは地面に落ちてきた。

やがて二匹は一緒に歩き始めた。

散歩でもしているのだろうか。



歩いている途中で、二匹は大きな骨を見つけた。
先程食われたグラウモンの骨だ。
幼年期デジモンやゴキモン、ヌメモンが群がっている。

二匹はそのうち、肉の切れ端が少し残った骨をいくらか口に咥えて持ち上げると、それぞれの巣へと持ち帰った。

自分達の子供に与えるのだろうか…?
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/03/26(土) 01:49:46.21 ID:uBzwq81XO
続く
614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/26(土) 01:57:41.36 ID:xqKlK4V+o


次々に強いヤツが出てきてデジモン世界が地獄すぎる
弱い子は生き延びるの大変だろうな
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/26(土) 02:09:47.10 ID:cXJ/h8NgO


このエクスブイモンは>>140で出たブイモンってことか……?
ウィルス種集団とは協力関係にあったのか、それとも敵対してたのか……
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/26(土) 07:19:52.91 ID:sZfhxTnoo
仲間を守れなかったジャガモン悲しい…
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/26(土) 20:28:06.79 ID:HQnhhyMqo
続き待ってるぞ
618 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 15:03:35.26 ID:qH74J3v0O


四つん這いになって移動する、グレイモンの姿があった。

https://dotup.org/uploda/dotup.org2736618.jpg

グレイモンは、レベル5のブロッサモンとの戦いで全身にダメージを負い、ボアモンの頭突きによって脚を骨折している。
加えて炎を吐くエネルギーは枯渇してしまった。
まさに満身創痍といった状態だ。

グレイモンは山岳地帯へ向かって這いずっている。
こんな状態では移動することすら一苦労であろうに、わざわざ標高の高い山岳地帯へ移動するのは何故なのだろうか…。

グレイモンは、移動中に見つけた植物型の幼年期デジモンや、動きの遅いヌメモンを食って栄養補給している。
だが、腹はあまり膨れていないようだ…。

そこへ、ふたつの巨影が迫ってきた。
https://dotup.org/uploda/dotup.org2736560.jpg
https://i.imgur.com/fvX8kVi.jpg

大型岩石デジモン、ゴーレモン。
そして甲虫型デジモン、カブテリモンである。
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 15:24:52.35 ID:qH74J3v0O
ゴーレモンの体はボロボロに傷付いている。

このゴーレモンは、かつてモノクロモン及びスターモンと共に、グレイモン達3体の恐竜型デジモンに戦いを挑んだ個体である。

前回の戦いでは、こっぴどくやられてしまい、スターモンが時間稼ぎをしたおかげで逃げ延びることができたようだ。

一度力の差を思い知らされたゴーレモン。
普通ならば、生き延びられたのが幸運と思い、二度とグレイモン達に挑もうとは思わないはずだ。

だが、ゴーレモンはヒビの入った拳を握りしめ、グレイモンを殴りつけた。

腹部を打たれて、叫ぶグレイモン。

続いてカブテリモンが、プラズマの球体を発生させ、それをグレイモンの腹へ放った。

グレイモンは、転がってプラズマ弾を躱した。


…ゴーレモンとカブテリモンは、どうやらグレイモンを仕留めにきたようだ。
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 15:30:00.63 ID:qH74J3v0O
炎を吐く体力がなく、片脚がへし折れている満身創痍のグレイモンでは、これら2体のデジモンと戦うのは圧倒的に不利だろう。

なすすべなく倒されるだろう…。
そう思っていた。

だが。
グレイモンは恐ろしいくらい粘った。

ゴーレモンの強靭なパンチを、腕で受け止めて、尻尾攻撃でカウンターを決めた。

カブテリモンの突進攻撃を受け止め、そのまま持ち上げて地面に叩きつけた。


なんということであろうか。
グレイモンは、片脚が折れ全身に深い傷を負っても尚、純粋な格闘能力だけで2体のデジモン達と互角に渡り合っていた。

…いや。
ゴーレモンとの格闘戦に限って言えば、完全にグレイモンが上回っている。

グレイモンは、炎を吐けずとも、純粋な格闘戦能力だけでゴーレモンを遥かに上回っているのである。
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 15:33:18.09 ID:qH74J3v0O
グレイモンは、カブテリモンの羽や右腕を噛み千切った。

ゴーレモンの左腕を尻尾攻撃で粉々に打ち砕いた。

恐るべき戦闘能力だ。

…だが、深いダメージを負って尚、カブテリモンとゴーレモンは、怯まずにグレイモンへ猛攻を続ける。

カブテリモンのプラズマ弾がグレイモンの頭部に当たったことで、戦況は徐々にカブテリモン&ゴーレモン側に傾き始めた。

とうとう持久力の差が出てきたようだ。

ゴーレモンとカブテリモンが、これだけ傷付きながらも戦いを続けるのは何故だろうか。
622 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 15:41:27.82 ID:qH74J3v0O
これは予想だが…
2体はスターモンの仇討に来たのだと、私は思う。

今はジャガモンの一部となっている、元祖スターモン…
その子供が、恐竜型デジモンとの戦いで火炎放射に身を焼かれて命を落とした、スターモン二世である。

このゴーレモンには、ゴツモンの面影がある。
おそらく、スターモン二世の子供か兄弟であろう。

そしてカブテリモンには、スターモンと共生して暮らすテントモンの面影がある。

スターモン二世は、ゴツモン達やテントモンを護りながら共に暮らしていたデジモンである。

グレイモンがその命を奪った代償は、あまりにも大きかった。


捕食や生存のためではない。
「義」と「復讐」のために、我が身を捨ててこの2体は戦いを挑んできたのだ。


グレイモンは狡猾な戦い方をしていた。
カブテリモンやゴーレモンの身体を欠損させることで、心を折って短期戦で追い払おうとしたのであろう。
合理的な戦い方である。


だが、理を超えた概念に基づく、捨て身の攻撃。
悪く言えば無謀や蛮勇とさえいえる精神が、グレイモンの力を超えたのだった。
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 15:45:14.83 ID:qH74J3v0O
地に伏したグレイモン。

かつてグレイモン達が焼き尽くした、黒焦げの木々の中に手を突っ込んでいる。

カブテリモンは、とどめの一撃といわんばかりに、プラズマ弾を放った。


…グレイモンは、木々の燃えカスの中から何かを掴み、目の前に掲げた。

それは、モノクロモンのものと思われる甲殻であった。

モノクロモンの甲殻は、プラズマ弾を防ぎ、粉々に飛び散った。

おそらく、ここはかつてモノクロモンのいち個体が、ある恐竜型デジモンと死闘を繰り広げ、差し違えた場所だ。

消化しきれなかった残骸の甲殻を、グレイモンは咄嗟に拾って防御に使ったのだ。
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/09(土) 15:58:59.82 ID:HAbQ4K6ho
グレイモンの戦闘センスやべえ
625 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 16:05:38.60 ID:qH74J3v0O
カブテリモンのプラズマ弾は、再び撃てるようになるまでのクールタイムがかなり長いようだ。

それまでの間、ボロボロのゴーレモンが持ち堪えられるかは怪しい。

カブテリモンは、トドメを刺すために、グレイモンへと駆け寄った。

片腕を破壊されたゴーレモンは、残った方の腕でグレイモンを地面へ押さえつけた。

グレイモンは、焼け焦げた森の中に仰向けに押さえつけられる。

そして2体は、口を大きく開けた。
グレイモンへ致命傷を与えるために、首へ噛み付こうとしているのだ。

ゴーレモンとカブテリモンは、強靭な顎と鋭い牙で、グレイモンの首へトドメの一撃を放つ…!
626 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 16:12:16.43 ID:qH74J3v0O
…グレイモンは…

黒焦げの木々の中から、両手でそれぞれ、何かを掴んだ。


それは…

かつてこの場で、モノクロモンと死闘を繰り広げて散った、タスクモンの長い角だった。


グレイモンは、二本の鋭い角を掴み上げると、噛みつき攻撃を放っているカブテリモンとゴーレモンの口の中へ突き刺した。


ゴーレモンは、タスクモンの角によって頸椎を貫かれ、倒れ伏した。

カブテリモンは、刺された角が口を貫通して後頭部から突き出ていた。

夥しい量の体液が噴出し、絶叫するカブテリモン。

グレイモンは、ゴーレモンの口から角を引き抜くと、カブテリモンの脳天ど真ん中へ突き刺した。

カブテリモンは、地面に倒れて、ジタバタと暴れまわった。

後頭部と脳天を角で貫通されたカブテリモンは、方向感覚を失ったのであろうか。
空中へ何度もパンチやキックを繰り出している。
627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/09(土) 16:14:07.91 ID:G1vg9Bw+o
戦闘力も知能も高い
628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 16:18:49.77 ID:qH74J3v0O
グレイモンは、カブテリモンの頭部を尻尾で滅多打ちにする。
首と頭の傷を広げようとしているようだ。

だが、ピクリとも動かなくなったゴーレモンと違って、カブテリモンは頭部を破壊されてもなかなか死なない。

昆虫型デジモンは、思考中枢が脳だけに集中しているわけではなく、脊椎全体に神経系が分散しているようだ。

だが、方向感覚を失っている状態では、もはや勝機がないと察したのだろう。
羽を一本失ったカブテリモンは、残った三本の羽をばたつかせて体を浮かせながら、地面を這って遠くへ逃げていった。

満身創痍になりながらも、追っ手を撃退したグレイモン。

グレイモンは、ゴーレモンの岩のような硬い甲殻を剥ぎ取り、内部の筋肉や内臓などの軟組織を食った。
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 16:28:08.73 ID:qH74J3v0O


夜になった。

ゴーレモンを貪り食って、空腹を満たしたグレイモンは、折れた片足を引きずりながら、先程よりもハイペースで山岳地帯へと移動していた。

拾ったタスクモンの角を、登山用ピッケルのように使うことで、匍匐のスピードを上げているようだ。

なにせ、カブテリモンを取り逃がしてしまったのである。
頭部を滅茶苦茶に破壊されたカブテリモンにどこまでやれるかは不明だが、助けを呼ばれたら危険だ。
そのため、一刻も早くこの場を去ろうと焦っているのだろう。

グレイモンは、両手に握っているタスクモンの角を見つめている。

もしも、モノクロモンとタスクモンの残骸がこの場に落ちていなかったら…
グレイモンは自力では対処しきれず、ゴーレモン達によって確実に仕留められていたであろう。

そして、それ以前に…
ブロッサモンとの戦いでは、親であるタスクモン達が、グレイモン達のために命を賭して時間稼ぎをしてくれなければ、その場から逃げ切ることができず、ブロッサモンに倒されていたはずだ。

…かつてこの場で、モノクロモンへ異常な闘争本能をもって戦いを挑み、散っていったタスクモン。

そして、ブロッサモンとの戦いでグレイモンを逃したタスクモン。

それらの死が、今グレイモンを生かしているのである。
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/09(土) 16:32:03.15 ID:G1vg9Bw+o
そういう思考をグレイモンもしているのか
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 16:32:07.82 ID:qH74J3v0O
グレイモンは、山の麓へ辿り着くと、やがて睡眠を取った。



朝になると、やや脚の痛みが引き、体力が回復してきたようだ。

餌を探して、グレイモンはその場を徘徊し始めた。



…すると、聞き覚えのある羽音が、グレイモンへと近付いてきた。

頭と首に痛々しい傷痕が残ったままのカブテリモンが、追ってきたのである。

どうやら、方向感覚を取り戻したようだ。
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 16:38:23.53 ID:qH74J3v0O
カブテリモンは、プラズマ弾をチャージし、グレイモンへ向かって放った。

それに対して、グレイモンは…
火炎放射で迎え撃った。

グレイモンの火炎放射は、カブテリモンのプラズマ弾を飲み込み、そのままカブテリモンの身を焼いた。

熱さに絶叫するカブテリモン。

グレイモンは、カブテリモンへタックルを放ち、地面に押し倒した。

そして二本のタスクモンの角を掴み、カブテリモンの首へ両方突き刺した。

カブテリモンは、首へ突き刺されたタスクモンの角を、4本の腕で引き抜こうとしている。

グレイモンは、タスクモンの角から手を離した。

カブテリモンは、虫ピンで刺された昆虫標本のように、地面に留められている。

必死に起き上がろうとするカブテリモン。
だが、首へ突き刺された角はなかなか抜けない。
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 16:44:33.27 ID:qH74J3v0O
グレイモンは、再びカブテリモンへ火炎放射を放った。
頭部へ向かって、集中的に。

…その一撃で、カブテリモンの頭部は炎に包まれて焼き尽くされ、完全に機能を失った。

カブテリモンの首に突き刺さったタスクモンの角は、グレイモンの火炎放射で焼かれ、ボロボロになっていた。

グレイモンは、カブテリモンを捕食しようとした。

だがカブテリモンは、なんと無理矢理起き上がった。

頭部を完全に失い、首が千切れたカブテリモン。
視聴覚を失い、もはや五里霧中となったようであり、あらぬ方向感覚へプラズマ弾を放っている。

グレイモンは、カブテリモンを尻尾で殴りつけて地面に倒すと、全身を食い千切って咀嚼した。



グレイモンは去った。
その場には、食い散らかされたカブテリモンの残骸と、燃え尽きたタスクモンの角が残っていた。
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 16:50:27.21 ID:qH74J3v0O
グレイモンは、脚の傷が癒えてきたようであり、身を起こして歩き始めた。

極めて強い、生への執着である。

そしてグレイモンは、山の麓でタマゴを3個産んだ。

タマゴから産まれたデジモンは、やがて進化して成長期デジモンとなった。


https://i.imgur.com/ysZftoi.jpg
翼竜型デジモン、ヴォーボモン。

https://i.imgur.com/iKwsl0I.jpg
ドラゴン型デジモン、ドラコモン。

https://i.imgur.com/7OIywm2.jpg
そして、鳥型デジモン、ファルコモンである。

635 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 16:51:52.44 ID:qH74J3v0O
強力無比な破壊者、グレイモンの遺伝子を継いだこれら3体の成長期デジモンは、これからどのように環境へ適応していくのであろうか。

そしてそれらの親である、グレイモン自身は…。
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/09(土) 16:52:35.34 ID:G1vg9Bw+o
こんな化け物染みた強さのデジモンがどんどん増えてくかもしれないってこっわ
637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 16:57:17.31 ID:qH74J3v0O


私はグレイモンの観察レポートをまとめ、研究チームへ提出した。

そして、チーム内でレポートを共有することにした。

どうやら、私以外にも、「あの戦いの後」についてレポートをまとめていた研究員がいたようだ。

私のレポート「グレイモン観察」。
その他に提出されたレポートは…

@ボアモンの観察
Aブロッサモンの死骸の観察
Bブロッサモンを倒した謎の合体デジモンの観察

この3つだ。
どの順番で見ていくか…?↓
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/09(土) 17:01:28.14 ID:G1vg9Bw+o
2
1
3
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 17:04:17.40 ID:qH74J3v0O
次回は、ワタシがグレイモンを観察しているときに同時並行で起こった出来事を、A→@→Bの順で確認していくことにしよう。
640 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/09(土) 17:04:44.27 ID:qH74J3v0O
続く
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/09(土) 17:05:57.20 ID:2t+4JeyVo
いつなんだろう次回
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/09(土) 17:06:18.07 ID:G1vg9Bw+o
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/09(土) 17:45:55.40 ID:Y35jLN4Go
おつ
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/09(土) 18:15:27.43 ID:yv7TlCmgO
来てた 乙
群像劇だな……
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/10(日) 10:47:57.38 ID:E5yuUg1W0
来てたのか、乙
かたき討ちはできなんだか、仕方ないけどコレも弱肉強食のデジタルワールドの日常なのよね
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 15:50:40.62 ID:vkPQKBGYO
リーダーは私へ、至急レポート「ブロッサモンの死骸の観察」を閲覧するように指示した。

デジモンの死骸がどうしたというのだろうか…?

レポートは、ドキュメントと映像記録の2つで構成されている。
私はまず映像記録を確認した。




映像に映ったのは、ブロッサモンの死骸だ。
謎の合体デジモンに首を千切られて持っていかれてしまい、胴体が半分地面に埋まった状態である。

これがどうしたというのだろうか…?


…しばらく観察していると、ブロッサモンの胴体が蠢き始めた。

まさか、生き返るのか…?

次の瞬間、全く予想していなかったことが起こった。

ブロッサモンの胴体が引き裂かれ、中から何かが出てきたのである。

現れたのは…
上半身だけで地面を這いずる、全身ドロドロのデジモンである。

これは、既に面影がないが…
おそらく、>>599でブロッサモンに丸飲みにされたはずのティラノモンである。

私は目を疑った。
ばかな。
ティラノモンは死んだはずでは…!?
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/04/10(日) 15:57:30.14 ID:+C87Jszfo
おや?今日も来たか!
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 15:58:32.19 ID:vkPQKBGYO
私はいったん映像を止め、レポートに目を通した。

なぜ、死んだはずのティラノモンが蘇生したのか…?

…いや。そもそも、死んだはずという前提が間違っていた。
我々は、ティラノモンが明確に「死んだ」ことを見届けていないのである。

改めて、ティラノモンが負ったダメージを再確認しよう。

>>574では、ブロッサモンの花弁の刃では首を真横に切り裂かれ、夥しい出血をしながら倒れ、それっきり動かなくなった。

>>593では、タスクモンの突進攻撃をくらい、
真っ二つに千切れ飛んだ。

そして、>>599ではブロッサモンに丸呑みにされた。


…これで死んだと思わない方がおかしいだろう!
頸動脈を切断されて、下半身が千切れ飛んで、何故死なないんだ!?

…いや、「まだ死んでいない」というだけのようだ。

胴体の傷から臓物を晒しながら、上半身だけで地を這い、胃液で溶かされた痛々しい姿を晒すティラノモン。
首からの出血は未だに止まっていない。

生への執着はすさまじいが、あのままでは…
やがて死ぬだろう。
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 16:04:27.82 ID:vkPQKBGYO
ティラノモンは、弱々しく地面を這っているが…
やがて、その力は弱くなっていった。

ついに、その場から一歩も動けなくなり、腕を動かすことが精一杯になった。

…ティラノモンはここまでだろう。
そう思った、その時。

ティラノモンの前に、大きなデジタルゲートがほど開いた。

…デジタルゲートとは、我々が研究室のサーバーからデジタルワールドへ、デジドローンを転送するときに空けるゲートだ。

ティラノモンは、最後の力を振り絞り、そのデジタルゲートへ入った。

ティラノモンが入ったデジタルゲートは、やがて閉じられた。

…以上が、1つめの映像ファイルである。
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 16:09:15.78 ID:vkPQKBGYO
これは…どういうことだ?
デジタルゲートを通じて、瀕死のティラノモンを我々のサーバーに連れ込んだということだろうか?

リーダーに確認したところ、なんと「あのゲートについては何も知らない」とのことである。

ばかな…
するとあのゲートは、我々が全く知らない、何者かによって空けられたということだろうか。

そして、その何者かは、瀕死のティラノモンを捕獲した…?


つまり、我々以外にも、誰かがデジタルワールドに干渉し始めたということだろうか…。
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