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研究員「安価でデジモンを進化させる」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 08:44:40.77 ID:3k7rsqzTo
我々のいる世界は、素粒子というエネルギーの塊を最小単位とした、アナログ情報の世界といえる。

だが、もうひとつの世界…「デジタル世界」が存在する可能性が示唆された。
我々は研究によって、人類の築き上げたコンピュータネットワーク上の情報が反映される、「デジタルワールド」を発見し、観測に成功した。

私はこの世界の海の底で、タマゴらしき物体を発見した。

どういうわけか、我々の世界に蔓延しているコンピュータウイルスの一部がデジタルワールドへ逃走し、そこでタマゴへと変質したようだ。

…タマゴは今、海底の熱水噴出孔近くにある。
煮えたぎる硫化水素と共に、アミノ酸が吹き出ている、生と死が隣り合わせの過酷な環境だ。

さて、このタマゴをどうするべきか…?↓
@放置して観察する
A穏やかな環境へ移動させる

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1639266280
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/12(日) 09:11:43.56 ID:n6t+aaCP0
A穏やかな環境へ移動させる
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 09:44:38.03 ID:Z7xH1WndO
このまま放置してみるのもよいが…
どうやら、タマゴはこの熱水噴出孔周辺に多数存在しているようだ。

私はそのうちの一つを、穏やかな環境へ移動させることにした。

この物体は、本当にタマゴなのだろうか?
だとすれば、その性質を解き明かすために、異なる環境に置いて観察することは科学的なアプローチとして間違ってはいないはずだ。

やがて、タマゴにヒビが入り…
中から何かが出てきた。

https://i.imgur.com/CXDeTwM.jpg
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 10:03:59.95 ID:Z7xH1WndO
このクラゲのようなオブジェクトは、海中をふわふわと漂い始めた。

そして海中で何か小さなものを食べている。

どうやら餌は、タマゴと同じくコンピュータウイルスを起源にしつつも、タマゴにはならず、シアノバクテリアに似た光合成プランクトンの姿へと形を変えた存在のようだ。

これは生命なのだろうか…?

しばらく観察していると、突如クラゲは変態した。

https://i.imgur.com/NI9tvFJ.jpg

目が大きくなり、触手のようなものが生えた。

これはクラゲと呼んでよいのだろうか…?
クラゲには眼球などないはずだ。

この生物は、さらに活発に植物プランクトンを摂取し始めた。
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 10:11:46.40 ID:Z7xH1WndO
海底に目をやると、二本足をもつ石のような生物が海底を歩いている。

https://i.imgur.com/yvBaZSi.jpg

どうやら、熱水噴出孔付近で孵化したタマゴから産まれた個体も、孵化・変態したようだ。

我々が観察しているクラゲ型生物も、あのまま熱水噴出孔付近にいたら、あの姿になっていたのだろうか…。

さて。
我々は仮称として、クラゲ型生物にプヨヨモンと名付けた。

プヨヨモンは海中を漂っているが…
この辺りの環境は、どんな状態であろうか。↓
@小型プランクトンが海中に多く漂っている
A岩場にたくさんの海藻が生えている
B獰猛な捕食者が暴れている
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/12(日) 10:13:43.03 ID:dv0K6gvPO
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 10:22:53.96 ID:Z7xH1WndO
周囲を観察すると、プランクトンに似た生物が多く漂っていたが…
そのうちの数匹は、突如としてやってきた捕食者に飲み込まれてしまった。

https://i.imgur.com/Ih3rbOG.jpg

捕食者は、魚のような姿をしている。
この種をスイムモンと呼称しよう。

このままでは、プヨヨモンのいずれスイムモンに捕食されてしまう…。

だがプヨヨモンは、小さな体を活かして岩の隙間へ隠れた。

スイムモンはプヨヨモンを追跡したが、岩の隙間が狭くて通れないようだ。
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 10:26:21.33 ID:Z7xH1WndO
だがスイムモンは、ヒレで岩をどかし、口から水流を噴射してそれを砕いた。

驚くべき攻撃性能である。
同じ隠れ方をしてきたプランクトンを、この手段で捕食してきたのだろうか…。

プヨヨモンが隠れた岩はどかされてしまった。
もはや逃げ場はないだろう。

だが、岩場の影にいたのは…
既にプヨヨモンではなかった。

プヨヨモンは、捕食者のいる環境に適応し、変態したのであった。

https://i.imgur.com/VdL4I2n.jpg
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 10:31:10.93 ID:Z7xH1WndO
二枚貝のような姿へと変態したプヨヨモンを、我々はシャコモンと名付けた。

スイムモンは、シャコモンをヒレで攻撃しようとしたが…
シャコモンはその攻撃を硬い殻で防御した。

スイムモンは、ヒレや水流でシャコモンの殻を滅多打ちにしている。
若干、シャコモンの殻に傷が付き始めた。

スイムモンは、疲労し始めたのだろうか…
シャコモンを捕食するのを諦め、背を向けた。

その隙を狙ったシャコモンは、高速で真珠を放った。

真珠はスイムモンの腹に命中した。

スイムモンは大きなダメージを受けたらしく、吐血した。
そして、ふらふらと逃げていった。
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 10:37:45.18 ID:Z7xH1WndO
なんということであろうか。

プヨヨモンはこの短期間のうちに、環境に適応し、捕食者を撃退してのけたのである。

最早これは、個体の成長というレベルではない。
種そのものの進化…そう、「進化」と呼ぶべき現象だ。

我々はこの生物の総称を、デジタルモンスター…デジモンと名付けた。




…さて。
シャコモンは海底をゆっくりと移動し、海藻を食べている。

スイムモンが度々襲ってくるが、そのたびにパールを放って追い払っている。

守りは硬いが、積極的に攻めていくタイプではないようだ。

…だが。
スイムモンとは別のデジモンが、シャコモンに近寄ってきた。

https://i.imgur.com/6vyldZV.jpg
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 10:41:53.38 ID:Z7xH1WndO
蟹のような姿をしたこのデジモンを、我々はガニモンと名付けた。

ガニモンは、シャコモンに近寄ると、その大きなハサミでシャコモンの殻を殴った。

シャコモンの殻にヒビが入った。
シャコモンも、真珠を放ってガニモンを攻撃した。

ガニモンの足が、一本へし折れた。

怒ったガニモンは、ハサミでシャコモンの殻をはさみ、力を込めた。
すると殻はめきめきと音を立ててきしみ始めた。

このままでは、シャコモンは殻を砕かれ、捕食されてしまうだろう。
どうするか…↓
@このまま戦いを見届け、観察対象をガニモンに変える
A大量のゴミデータをこの場へ送りつけて、シャコモンを救出する
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/12(日) 11:01:48.62 ID:X8koFkJlo
2
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 11:06:48.50 ID:Z7xH1WndO
研究者として、最善の選択であるかは分からないが…
私はとっさに、大量のゴミデータをこの場へ送りつけた。

ゴミデータは、墨のように海中に広がり、周囲を黒く染めた。

ガニモンは驚いて飛び退いた。
シャコモンは、素早く砂の中へ潜り、この場から脱出した。

…ガニモンが去った後、少し離れた場の砂の中から、シャコモンが顔を出した。

助かったようだ…私はほっとした。
私はシャコモンに…いや、シャコモンという種ではなく、この『個体』に。
愛着を持ってしまったようだ。
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 11:10:45.74 ID:Z7xH1WndO
危機を脱したシャコモンは、環境への適応始めた。

現在のシャコモンは、海底や岩場で生活し、海藻を食べて生きている。

スイムモンに襲われても、追い払うことはできるが、倒して食べたりはできない。

ガニモンに襲われたら、次こそ命はないだろう。

この環境へ適応するために、シャコモンは…↓
@水中を素早く遊泳できるようになる
Aゴミデータをばらまく性質を模倣し、知能を発達させる
B今のままとにかく体を大きくして、パワーで外敵をねじ伏せる
C陸上への進出を試みる
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/12(日) 11:12:49.16 ID:uSKNXvtm0
4
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 11:20:18.80 ID:Z7xH1WndO
シャコモンは、高い方へと移動をし始めた。
ガニモンに襲われないように、陸上へ進出する気のようだ。

シャコモンは、少しずつ、少しずつ…河口へ近づいていった。
真水へと体を慣らしながら。

周囲を警戒し、ガニモンの姿を見かけたら、砂に潜って隠れてやり過ごした…。

やがて、とうとうシャコモンは川を登った。
川に住み着くようになったのである。

そして、川から陸上へ出た。
陸上の植物は、どれくらい発達していたであろうか?

陸上当時の環境は…↓

@藻やシダ植物が、ちまちまと生えている程度
A生い茂った草を、小さな昆虫型デジモンが食べている
B植物型デジモンが生息している
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/12(日) 11:23:58.37 ID:SsVFmZR9o
2
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 11:32:56.12 ID:Z7xH1WndO
陸上には、既に草が生い茂っていた。
そして、草を食べたり、花の蜜を吸って生きるデジモンがいた。

https://i.imgur.com/CFY4VXg.jpg
https://i.imgur.com/3x7Geqj.jpg

昆虫のような姿をしているデジモン。
おそらく、ガニモン達が陸上へ進出したのであろうか…?

シャコモンは、これらの昆虫デジモンを餌にすることに決めたようだ。

シャコモンはなんと、重くて大きな殻を捨て去り…
捕食に向いた肉体へと進化した。

https://i.imgur.com/iBdLo6w.jpg
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 11:36:23.67 ID:Z7xH1WndO
我々は、進化したシャコモンをヌメモンと名付けた。

ヌメモンは、昆虫型デジモンのうち一体に狙いを定めると…
泥の塊を発射した。

泥は幼虫型デジモン…ワームモンの体に当たると、すぐに硬化した。

ワームモンは、固まった泥のせいで身動きが取れない。

そこへ、びょいんびょいんとヌメモンが跳ねて近寄り…
その強靭な顎で、一気にワームモンの頭を食いちぎった。

なんと、おぞましく…そして強靭な進化であろうか。
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 11:42:25.22 ID:Z7xH1WndO
ヌメモンは高い生存能力を持っていた。

普段は川のそばに住み、藻や苔を舐め取って食べている。

デジモンの死骸を見つけると、それを貪って分解している。

小さな昆虫型デジモンを見つけると、泥を投げて動きを止め、捕食するのである。


大型のデジモンが近寄ってくると、ヌメモンは沼の中に沈んで隠れ、ぎょろっと目玉だけを出して外敵を観察した。


雑食かつ悪食であり、隠れるのも得意なヌメモンは、とても合理的な進化を遂げたようだ。
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 11:48:21.53 ID:Z7xH1WndO
だが、やがて陸上には、ヌメモンと同じかそれ以上の力を持ったデジモンが現れ始めた。

昆虫型デジモンが進化したのである。
https://i.imgur.com/IkHd8Ew.jpg
https://i.imgur.com/53z6JEM.jpg

クワガタやカマキリの姿をしたそれらは、白兵戦の力ではヌメモンを遥かに上回る。

ヌメモンは、自身が進化の袋小路に至りつるあることを感じているようだ…。

やがて、ヌメモンは沼地にタマゴを産んだ。
単為生殖である。

どうやらデジモンは、交尾を必要とせずに単為生殖ができるようだ。

さて、卵を産んだヌメモンだが。
我々はどうするか…↓
@観察対象を、ヌメモンが産んだタマゴに変える
Aこのままヌメモンを観察する
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/12(日) 12:01:57.98 ID:V/Zw5v1no
1
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 13:27:39.45 ID:Z7xH1WndO
ヌメモンはいくつかタマゴを産んだ。
それらからは、やがて幼年期のデジモンが産まれ、プヨヨモンへと成長した。

湿地帯に巣を作ったヌメモンの周りには、プヨヨモン、シャコモン、ヌメモンが暮らしており、生活圏を広げていた。

カマキリの姿をしたスナイモンでは、沼までは攻めてこれないため、沼は安全なコロニーだったのである。

だが、その巣の中心へ、トンボの姿をした肉食昆虫デジモン…ヤンマモンが現れた。

https://i.imgur.com/wRqaWbZ.jpg

我々が観察してきた個体…ヌメモンは、コロニーの子供達を逃がすために、自ら足止めのために、ヤンマモンに立ち向かった。
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 13:35:38.51 ID:Z7xH1WndO
ヌメモンは、ヤンマモンの羽を狙って泥を投擲した。

だが、素早く飛び回るヤンマモンは泥を難なく躱し、ヌメモンの首へ噛み付いた。

ヤンマモンの牙は、ヌメモンの神経を、血管を、引きちぎっていく。
傷からはおびただしい量の体液が流れ出ている。

ヌメモンは最後の力を振り絞り、ヤンマモンの羽に泥をぶつけることに成功した。

これにより、ヤンマモンは一時的に飛行能力を失うこととなった。

…だが、それがヌメモンの最後の抵抗であった。
ヤンマモンはヌメモンの首の傷に頭を突っ込むと、心臓を引きずり出し、それを食いちぎった。

ヌメモンの体から力が抜け、沼に倒れた。



ヌメモンを食い尽くしたヤンマモンは、何度か羽をばたつかせたが、硬化した泥はとれない。

ヤンマモンは清流の方へと歩いていった。
きれいな川の水で羽の泥を洗い流すため、逃げていったヌメモンの子供達から離れざるを得なかったのだ。




…ヌメモンの子供達は、無事にヤンマモンから逃げ切れたようだ。
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 13:40:06.00 ID:Z7xH1WndO
なんのことはない、ただの食物連鎖の一貫である。
今捕食された個体のことは、やがて誰もが忘れ去っていくであろう。

だが、この湿地帯に、貝類の姿をしたデジモンが繁栄しているという事実が…
かつて海から上陸した、ひとつの軟体動物型デジモンの個体の存在を、誰にも知られずに語り継いでいくのである。
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/12(日) 13:41:25.35 ID:Z7xH1WndO
つづく
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/12(日) 13:57:17.10 ID:V/Zw5v1no
たんおつー
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/12(日) 23:44:29.00 ID:SsVFmZR9o
どんな弱そうなデジモンも超ゴツい究極態になれる可能性があると思うと何か面白いなデジモンの進化
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 08:32:19.81 ID:glagszZPo
次の観察個体は…↓
@プヨヨモン(ヌメモンが産んだタマゴ)
Aプヨヨモン(海中のタマゴ)
B???(熱水噴出孔周辺のタマゴ)
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 08:45:49.95 ID:lVG8Nwt3o
3
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 14:10:52.91 ID:K+T//R5qO
硫化水素とアミノ酸が吹き出る熱水噴出孔。
その付近にあるタマゴから、デジモンが産まれた。

https://i.imgur.com/f5KklKj.jpg

このスライム状の幼いデジモンは、やがて熱水噴出孔から離れ、海底をズルズルと這い始めた。

我々はこのデジモンを「ズルモン」と命名した。

さて、このズルモンだが、スイムモンやガニモンに見つかっても、一向に捕食される様子がない。

時折スイムモンが飲み込もうとするが、すぐに吐き出してしまう。

どうやら毒素を含む肉体を持っているようだ。
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 14:13:00.27 ID:K+T//R5qO
ズルモンの周囲には、石のようなデジモン…ゴロモンが歩き回っている。

https://i.imgur.com/yvBaZSi.jpg

おそらくズルモンは、しばらく放置すればゴロモンへと進化するだろう。

さて、どうするか…↓
@放置する
A陸上へ移動させてみる
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 14:14:42.81 ID:hk9CMfCPo
1
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 14:24:29.02 ID:K+T//R5qO
しばらく放置すると、ズルモンはやがてゴロモンへと進化した。

ゴロモンは二本足で海底を歩き回り、海藻や砂を食べている。

排泄物は、そのほとんどが砂を占める。

おそらく、砂の中から微生物やミネラル、死んだデジモンの残骸などをより分けて吸収しているのであろう。

そして、食べた砂のいくらかを外殻の生成に利用している。

この外殻はとても硬い。
そして何よりも、石に擬態することで捕食者から身を護るのに役立っているようだ。
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 14:30:24.81 ID:K+T//R5qO
スイムモンやガニモンは、擬態中のゴロモンを見かけても、特に反応を示さない。

だが、ゴロモン達にも天敵はいるようだ。
シャコモンがそれだ。

シャコモンの中には、ゴロモンを殻の中へ閉じ込め、じわじわと消化することを覚えた個体もいるようだ…。

さて、今我々が観察しているゴロモンには、シャコモンという天敵が存在することになる。

この環境下で、ゴロモンはどう生きようとするか…↓
@地上へ進出する
A熱水噴出孔付近に戻る
B単純に強くなる
C我々研究員の最新ツールで捕獲してみる
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 14:32:16.17 ID:tZuuaESDO
1
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 14:38:04.52 ID:K+T//R5qO
ゴロモンは、のっしのっしと河口へ向かい、上陸を試みた。

途中、天敵のシャコモンと出くわし、真珠を撃ち出されることがあったものの、幸運にも生き延びた。

やがてゴロモンは、シャコモンが苦手とする酸性の強い水域を歩くようになった。

活火山から流れてきた溶岩が、硫化水素を水に溶かし、硫酸で海水を毒化させているのだ。

ゴロモンはズルモン時代の毒素は失ったが、毒への耐性は持ったままらしい。

そのままゴロモンは、活火山の見える浜辺へと上陸した。

このあたりの環境は…↓
@自然あふれる山岳地帯
Aサバンナのような荒野
B植物があまり見えない極限環境
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 14:38:50.64 ID:VVApl306o
3
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 14:41:58.27 ID:K+T//R5qO
ゴロモンがたどり着いた陸地は、植物がほとんど見当たらなかった。

それもそのはずだ。
活火山から流れ出る溶岩や火山灰が、常に大地へ降り注いでいるからだ。

流石に火山から数十キロ離れれば、緑地も見えてくるが…
こんなところでゴロモンは生き延びられるのだろうか?

ゴロモンは…↓
@緑地へ移動する
Aあえてこの辺への適応を試みる
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 14:43:07.89 ID:tZuuaESDO
1
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 14:47:31.26 ID:K+T//R5qO
ゴロモンは緑地への移動を開始した。
個体によってはここへ住み着く者もいるかもしれないが…
この個体はそうではなかったようだ。

やがてゴロモンは、より陸上での活動に適した姿へと進化した。

https://i.imgur.com/cPrLUTf.jpg

我々はこの種をゴツモンと名付けた。

ゴツモンはゴロモンの頃よりも歩くスピードが早く、餌を食べる量も多い。

やがてゴツモンは緑地へと辿り着いた。
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 14:48:12.58 ID:hk9CMfCPo
おお手足が生えた
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 14:48:54.62 ID:K+T//R5qO
この辺りの環境は…↓
@湿地帯。ヌメモンやヤンマモンが生息している。
A草原。昆虫型デジモンが生息している。
B山岳地帯。未調査の地域。
C森林。未調査の地域。
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 14:49:21.54 ID:hk9CMfCPo
4
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 14:56:46.55 ID:K+T//R5qO
ゴツモンが辿り着いたのは、植物が生い茂る森林であった。
この付近は未調査エリアである。

このゴツモンは、時折石や土を口にすることもあるが、基本は草食のデジモンのようだ。

ゴツモンは食べやすそうな植物を探している。

あまり硬い草は消化に適さないと判断し、柔らかい草を食べている。

やがてそんなゴツモンは、地面から奇妙な草花が生えているのを見つけた。

草花であるにも関わらず、稀にぴょこぴょこ動くのである。

さらに、その周囲には、土が掘り返されたような痕跡がある。

ゴツモンは…↓
@草花の部分を食べた
A地面から引っこ抜いた
Bそれらはスルーし、樹木の果実を食べた
C花の蜜を吸う昆虫型デジモンを狙った
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 15:13:47.07 ID:cgX2IdYNo
1
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 15:23:42.40 ID:K+T//R5qO
ゴツモンは、それらの草花の部分だけを食べた。

草花を食いちぎられた植物は、茎をぶんぶんと震わせたが、やがて動きが止まった。

ゴツモンが去ってから一時間後に、草花は徐々に再生を始めた。

…もしかしたら、これもデジモンなのかもしれない。

ゴツモンはそれからも、動く植物の草花の部分だけを食べ続けた。
掘り返して根っこまで食えばさらに栄養を補給できるであろうに、その選択はしないようだ。


そんなゴツモンは、しばらくの間、捕食者に狙われることが無かった。
なにせ見た目が岩なのである。岩に擬態すれば、スナイモンに襲われることは無かった。

だがある日…ゴツモンは、枯れ木に襲われた。
いや、正確には、枯れ木に擬態するデジモンである。
https://i.imgur.com/kHbxRaZ.jpg
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 15:29:09.79 ID:K+T//R5qO
枯れ木に擬態するデジモン…ウッドモンは、無防備なゴツモンへ襲いかかった。

ゴツモンは驚いて逃げようとした。

だがウッドモンが伸ばした根は、ゴツモンの右腕に絡みつく。

ゴツモンは、己の右腕を切り離して逃げた。

ウッドモンは、切り離されたゴツモンの右腕へ職種を突き刺し、エネルギーを吸い取った。


驚いた。こんなデジモンがいるとは…。
現実世界にも食虫植物などはあるが、植物の体を持ちながら、ここまでアグレッシブに捕食活動をする植物など存在しない。


…右腕を失ったゴツモン。
彼は不幸なのであろうか?

否、幸運である。
あれだけ獰猛な捕食者に襲われながら、失ったのが右腕一本で済んだのだから。
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 15:35:23.35 ID:K+T//R5qO
これまで天敵知らずでのんびり暮らしていたゴツモンであったが…ウッドモンという天敵が現れた。

「枯れ木に近寄らなければいい」と思うかもしれないが、ウッドモンには歩行能力がある。

擬態などせずとも、飛行できないデジモン…ゴツモンやワームモン、ヌメモン等に対しては、普通に歩いて襲いかかるだけでも捕食できるのである。

ゴツモンは、この環境にいかにして適応するか…↓
@植物の種を身体に植え付け、植物型デジモンへ擬態する
A単純に格闘能力を上げてパワーで対処する
B肉体から炎を噴出して外敵を追い払う
C走行スピードを上げ、空を飛べるようにする
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 15:37:13.17 ID:cgX2IdYNo
4
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 15:42:03.98 ID:K+T//R5qO
ゴツモンはウッドモンに襲われないように、山岳地帯へ移動した。

ウッドモンは平地を走るのは得意だが、高所への登り下りがニガテ打という弱点を発見したためだ。

しかし山岳地帯には、栄養価のある植物は多くはない。

この環境に適応するために…
ゴツモンは驚くべき進化を遂げた。

https://i.imgur.com/f8SODHJ.jpg

高い移動能力を獲得した。
走るスピードが早くなっただけではなく、原理不明の飛行能力を獲得したのである。
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 15:47:29.54 ID:K+T//R5qO
流れ星のように高速で移動するこのデジモンを、我々はスターモンと名付けた。

スターモンは常に飛行し続けているわけではなく、普段は地上を歩いて移動する。

ある日スターモンは、ウッドモンに襲われた。

だがスターモンは、素早い動きでウッドモンを翻弄し、背後に回った。

そしてパンチを放って反撃した。

ウッドモンは、負けじとスターモンに根を伸ばして絡め取った。

このままでは、根を突き刺されて体液を吸われてしまう…!
だが、スターモンはとんでもない方法でこの窮地を脱した。

なんとスターモンは、高速パンチのラッシュを放ち、体液を吸われる前にウッドモンを滅多打ちにしたのである。

ウッドモンは昏倒し、スターモンに背を向けて逃走しようとする。

だが、スピードではスターモンの方が遥かに上だ。
ウッドモンの後頭部をスターモンのパンチが叩き割り、ウッドモンは地に倒れ伏した。
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 15:53:23.97 ID:K+T//R5qO
スターモンは、ウッドモンの死骸を捕食した。

たくさんのデジモンから栄養を吸い取っていたウッドモンの肉体は、豊富な養分を持っていたようだ。

そうしてスターモンは、ウッドモンを見つけては、それに自ら挑んで殴り倒し、捕食するようになった。

いつしかスターモンの巣の周りには、ワームモンやテントモンといった、弱くてウッドモンに食われやすいデジモンが住み着くようになった。

彼らの目には、スターモンは天敵を打ち倒してくれるヒーローのように映っているのかもしれない…。
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 16:02:08.64 ID:K+T//R5qO
やがてスターモンは、巣の中でいくつかタマゴを産んだ。

産んだタマゴからは、ズルモンではなく、砂に似たデジモンが産まれた。

https://i.imgur.com/0My6GVR.jpg
我々はこのデジモンを、スナモンと名付けた。
我々は驚かされた。てっきりズルモンが産まれるものとばかり考えていたからだ。

デジモンという生物は、我々の世界の生物とは成長の仕方が大きく異なるようだ。

デジモンは成長するに従って、自らの遺伝子そのものを大きく変化させていく。

そしてタマゴを産んだとき、己の最新の遺伝子をそのタマゴへ受け継がせるのである。

このスナモンは、親と同じスターモンへと成長するのであろうか?
それとも…
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 16:03:03.94 ID:K+T//R5qO
我々はどうするか…↓
@引き続きスターモンを観察する
A観察対象を変更する
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 16:03:47.74 ID:vGfZV6ut0
1
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 16:07:48.43 ID:K+T//R5qO
前回観察対象としていたヌメモンは、ヤンマモンに捕食されてしまったため、観察対象の変更を余儀なくされた。

だが、今回のスターモンは、未だ負け知らずである。
親となったデジモンが、これから先どうなっていくのか…
引き続き観察を続ける。
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/13(月) 16:09:56.92 ID:K+T//R5qO
つづく
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 16:21:04.41 ID:vGfZV6ut0
ちょっと閃いたらすぐ進化する生き物って怖いな
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 17:37:23.15 ID:O56268E3o
おつおつ
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 23:47:29.59 ID:sL6Ukdi9o
面白いし絵も上手い。期待
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 10:19:19.23 ID:Uki0mIelO
>>59
個体レベルで種の進化をできるとなると、環境の変動はかなりでかそうですよね

>>60
どうもです

>>61
ありがとうございます
絵は公式のデジモン図鑑から拝借してます
アメコミチックな絵柄がナイスだと思います
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 10:49:01.89 ID:Uki0mIelO


我々は、これまでにふたつの個体の成長と進化を見届けてきた。

その中で、デジモンの進化には「レベル」があることが確認された。

【レベル1】…幼年期T
ポヨモン、ズルモン、スナモンがこれに該当する。
同じタマゴでも、熱水噴出孔付近と穏やかな水域とでは、産まれる種が異なる。
さらに、スターモンはズルモンから成長したが、スターモンのタマゴからはスナモンが産まれた。
このことから、タマゴは親の遺伝子を引き継ぎつつ、ある程度周囲の環境に応じて産まれる姿が変化するといえる。
つまり、進化はタマゴの中で既に始まっているのである。
故にデジモンのタマゴ…デジタマは、レベル0のデジモンといえるだろう。

【レベル2】…幼年期U
プヨヨモン、ゴロモンがこれに該当する。
活発に動き回れるようになり、さらなる進化のために餌を探し回る。
だが、レベル3の肉食デジモンにとっては、弱くて捕食しやすい格好の餌となる。
体の小ささを活かして隠れたり逃げたりして、外敵をやりすごさなければ、この時点で息途絶えることになるだろう。

【レベル3】…成長期
シャコモン、ゴツモン、スイムモン、ガニモンなどがこれに該当する。
身体機能が一気に発達し、戦闘能力を獲得する。捕食や自己防衛のために戦いの日々に明け暮れることであろう。
戦闘能力ではレベル4には敵わないことが多いが、基礎代謝がレベル4よりは低めであるため、環境が激変しても進化による適応の余地があることがこの世代の強みといえる。

【レベル4】…成熟期
ヌメモン、スターモン、ウッドモン、ヤンマモン、スナイモンなどがこれに該当する。
戦闘能力はさらに強大になり、成長期デジモン程度ならば造作もなく打ち倒せる。
そして、レベル4から単為生殖による産卵が可能となる。

レベル4デジモンは、基礎代謝カロリーの多さと戦闘能力の強さが比例する傾向が見られる。
スナイモンは、高い戦闘能力を持つが、その分多くの食事を必要とする。
ヌメモンは、他の成熟期に比べ戦闘能力ははるかに劣るが、基礎代謝量が少なく、様々な環境に適応可能だ。

デジモンの強さは、単に戦闘能力だけで決まるものではない。ヌメモンはヌメモンで、スナイモンにはない強さを持っているのである。



…現在、レベル5のデジモンは見つかっていない。
成熟期がデジモンの最終形態なのであろうか。
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 11:01:14.32 ID:Uki0mIelO


スターモンは、デジモンを食べない。
通常の植物だけを食べて生活している。

そのため、一日に摂取が必要な餌の量が多くなってしまう。

いつもあちこちで餌を探し回っている。

…ある日、てんとう虫の姿をした成長期デジモン、テントモンが、花の蜜から作ったであろうハチミツのような食物を、スターモンへ差し出した。

スターモンは、これを受け取って食べた。
その対価故か、スターモンはテントモンと共に行動するようになった。

ある日、テントモンがスターモンと共に森を歩いていると、なにか甘い香りのする植物を見つけた。

テントモンが植物の方へ飛んでいくと…
なんと、植物は蔓を伸ばし、テントモンを捕らえた。

この植物は、食虫植物型のデジモンであった。

https://i.imgur.com/IWNHiQR.jpg
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 11:07:14.69 ID:Uki0mIelO
今回から、私もデジモンの名前を考えるチームに加わった。

私はこの食虫植物型デジモンの名前として、ウツボカズラに似ていることからカズラモンはどうか、と提案した。

だが、女性研究員が提案したベジーモンという名称が採用された。
ベジタブル…野菜?野菜に見えるか!?あれが!?どう見ても食虫植物だろう!
納得いかないが…まあいい。

さて、ベジーモンは、テントモンを捕食しようとしたが…
スターモンはベジーモンへパンチの連打を浴びせ、テントモンを救出した。


この日がテントモンはいつもより多く花の蜜を集め、スターモンに渡した。

やがて、スターモンの周りに集まるテントモンの数は増えていき…
スターモンは、テントモンから与えられる蜜だけで栄養を賄えるようになった。

さながら用心棒といったところであろうか。
デジモン同士で共生関係を結ぶこともあるようだ。
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 11:12:19.17 ID:Uki0mIelO
ある日、スターモンがテントモン達とともに森を歩いていると…

ベジーモンの亜種であろう、赤い植物型デジモンの群れが、スターモン一向に襲いかかってきた。

https://i.imgur.com/GDrZ5Ic.jpg

これはレッドベジーモンと命名された。
レッドベジーモンは、5匹がかりでスターモンやテントモン達へ襲いかかった。

スターモンは、テントモン達を抱えると、空を飛んで一目散に逃走した。

レッドベジーモンは、スターモンの後を追うが…
空を飛ぶスターモンのスピードには追いつけなかった。

多数のテントモンを抱えながら、これほどのスピードで飛行できるのは、驚異的と言わざるを得ない。


それまで戦闘では無敵の実力を誇っていたスターモンであったが…
この時、スターモンは初めて逃走を選んだ。

このレッドベジーモンの群れは、それだけ強大な戦闘能力を有しているということであろうか…?
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 11:21:42.36 ID:Uki0mIelO
巣に戻ったスターモンは、彼が以前産んだデジタマから産まれ育ったゴツモン達に、戦闘のトレーニングを施した。

テントモンを連れて森の中を歩き回り、ウッドモンやベジーモンが襲ってきたら、それと集団で戦う…という、過酷な鍛錬であった。

ウッドモンやベジーモンは成熟期である。
成長期のテントモンやゴツモンよりも強い。

レッドベジーモンとの戦闘中、スターモンの子であるゴツモンの一匹がレッドベジーモンに飲み込まれた。

親であるスターモンは、手を貸さずゴツモン達に自力での解決をさせるつもりのようだ。

だが、レッドベジーモンは強い。
ゴツモン達がどれだけ体当たりをしても、まるで応えていない。

もはや、胃袋の中のゴツモンは消化され始めてしまう…
その寸前で、とうとうスターモンは、ゴツモンへ力を貸した。
なんと上空から隕石を降らせ、それをレッドベジーモンへ直撃させたのである。

隕石を腹部にくらったレッドベジーモンは、腹の内容物を全て吐き出した。
飲み込まれていたゴツモンは救出された。

苦しむレッドベジーモンを、ゴツモン達は集団で叩き…ついにこれを打倒した。
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 11:32:26.58 ID:Uki0mIelO
やがて厳しい戦闘訓練を積んだこれらのゴツモン達は、親同様にテントモンの警護をしながら、蜜を貰うという共生関係を築くようになった。

興味深いことに、鍛錬を積んだゴツモン達は、並の成長期よりもはるかに戦闘能力が増していた。
なんと成長期でありながら、ベジーモン程度の成熟期なら一人で打ち倒せるほどにまで至っていたのである。

デジモンの個体の強さは、トレーニングによって大きく伸びるようだ。

だが、このゴツモン達は、ベジーモンやウッドモンには対処できても…
肉食昆虫型デジモンのスナイモンには、あっという間にバラバラに切り刻まれてしまった。
https://i.imgur.com/53z6JEM.jpg

スナイモンは、成熟期の中でもスターモンに並ぶ実力を持った強豪である。
いくらゴツモンが過酷なトレーニングを積んでも、スナイモンとの実力差を埋めるには至らなかった。
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 11:35:39.36 ID:0G8K6Uhuo
遂に訓練という概念まで得たのか
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 11:35:55.26 ID:RwjOqwd+0
面白そうなの発見
このスレだと環境適応で色々派生するけど、スターモンなら順調に行くとスーパースターモンになるかな?.
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 11:39:29.37 ID:cM5UiKW40
人間とパートナーになるようなデジモンは戦闘力向上だけを考えた進化で良いけど一般的なデジモンは普段の生活考えないといけないから大変だな
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 11:42:16.55 ID:Uki0mIelO
スナイモンは、ゴツモンを優先的に探して捕食するようになった。

我が子をこれ以上好きなように貪らせるわけにはいかない…そう考えたであろうスターモンは、スナイモンの討伐に挑んだ。

スターモンとスナイモンの死闘は、熾烈を極めた。
互いに拮抗した実力の持ち主。
守護者と捕食者、ふたつの頂点が、激しい戦いを繰り広げた。

スターモンは格闘中に、ひそかに上空から隕石を降らせていた。
隕石の直撃をくらったスナイモンは、地面に倒れ伏した。

スターモンが、とどめの一撃を繰り出そうとした時…
スナイモンの体は光に包まれた。

光が消えた時…そこには、新たな姿へと進化したスナイモンの姿があった。

https://i.imgur.com/mraQ3w7.jpg

サソリのような形態のデジモン…スコピオモン。
この土壇場でスナイモンはついに、未踏の領域であるレベル5へ到達したのである。
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 11:47:01.83 ID:RwjOqwd+0
スコピオモンか、隕石の直撃はヤバいと感じて飛行能力は捨てて外殻と毒に特化した進化って感じかな?
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 11:57:54.17 ID:Uki0mIelO
スターモンは、ダメージを負った肉体でありつつも、今更引き下がれないとばかりにスコピオモンへ立ち向かった。

だが、スコピオモンの戦闘能力は、成熟期のスナイモンとは比較にならないほど向上していた。

スコピオモンはスターモンの目へ毒霧を噴射した。
視界を封じられたスターモンは、もはや勝機がないと察したのか、空中へ飛び去ろうとした。

だが、スターモンが離陸するよりも先に、スコピオモンの尻尾の針がスターモンの装甲を突き破った。
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 12:04:37.49 ID:0G8K6Uhuo
デジタルワールドも弱肉強食が自然の摂理か
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 12:17:34.95 ID:Uki0mIelO
スターモンは、それでも飛行体制に入っていたおかげで、突き刺された尻尾を引っこ抜いて飛び立つことができた。

スコピオモンは、高い戦闘能力と引き換えに飛行能力を失っていたため、スターモンを追いかけることはできなかった。

だが、巣を目指して飛行中のスターモンは、次第にふらふらと動きがぶれていき…

どんどん高度が下がっていき…

やがて、森の中へ墜落した。


しばらく経つと、ここを通りかかったテントモン達が、木の枝に引っかかったスターモンを発見した。

テントモン達は、スターモンを担ぎ上げると、自らの巣へと運搬した。
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 12:21:13.55 ID:RwjOqwd+0
何とか生き残ったかな?
毒で死ぬかテントモン達の看病で生き残るか微妙なところだけど
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 12:23:32.36 ID:gNFu2P1oo
これでどんな進化をしていくのか見物だね
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 12:32:40.01 ID:Uki0mIelO
テントモンの巣へ運ばれたスターモンは、弱々しく呼吸をするものの、立ち上がることができず、どんどん弱っていった。

どうやら、一瞬毒針を突き刺された際に、スコピオモンの尻尾から神経毒を少量注入されたようだ。

テントモン達は、スターモンの口元へと蜜を運ぶ。

だが毒で身体が麻痺しているスターモンは、それを飲み込むことさえできなかった。



昆虫成長期デジモンの守護者であるスターモンが倒れた今、森はどうなったであろうか。

スターモンが育てたゴツモン軍団が、彼の代わりに昆虫成長期デジモンのボディーガードを引き受け、食虫植物デジモンと戦っていた…?


…否、そんな生易しい状況ではなかった。
テントモン達も、ゴツモン達も、食虫植物デジモン達でさえも。
次々とスコピオモンの餌食となっていったのである。

スコピオモンの闘争欲求は異常なほど強かった。
腹が減っていないときでさえも、動くデジモンを見つけ次第襲いかかり、麻痺毒を注入。
そして巣へと運び、貯蔵したのである。

スコピオモンの巣には、明らかに食べ切れずに持て余している、大量の獲物が転がっていた。

ゴツモン、テントモン、ワームモン、ベジーモン…。
麻痺させられ保存食と化したそれらのデジモン達を、スコピオモンは時折まるで自慢のコレクションかのように眺めていた。
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 12:33:36.59 ID:gNFu2P1oo
おいおい生態系乱れるぞ
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 12:38:47.56 ID:RwjOqwd+0
本来のテリトリーじゃないから待ち戦法は使えないけど普通に世代差と素早い動きと毒で無理か
飛行能力はないからテントモンは逃げ切れるかと思ったけどコレはあかんわ
スターモンが進化して復活しないとマジでこの辺滅びそう
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 12:42:54.85 ID:Uki0mIelO
スコピオモンはやがて、巣で産卵した。
麻痺している保存食デジモンの腹部へ毒針を突き刺し、それを産卵管として使い、体内へデジタマを産み付けたのである。

やがて、デジタマは保存食デジモンの体内で孵化した。
そして生命維持に必要最低限の心肺機能などの器官を後回しにし、消化器官、筋肉、骨などを体内で貪り食っていく。

やがて、体内で成長期まで育ってから…腹を食い破り、スコピオモンの子供は顔を出した。
https://i.imgur.com/sIRdvv9.jpg

これは…ワームモンによく似ているが、顔や体つきが微妙に異なる。
私はポイズンワームモンという名称を提案したが、女性研究員が提案したドクネモンという名称がカワイイとチーム内で評判になり、そのまま採用された。
…何が悪かったのであろうか。


しかし、盲点であった。
捕食されやすい幼年期を、どのように生き延びるかは、デジモン達の最大の課題ともいえる問題だったが…
スコピオモンは、寄生バチのように他デジモンの体内で幼年期を成長させるという生存戦略をとったのである。

これは危険だ。
成長期まで育ってしまえば、デジモンはかなり活動能力が増す。
スコピオモンの子供達は、きっとスコピオモンのコレクションを食べて成長し、外敵に襲われることなく成熟期まで育つのであろう。

…スコピオモンの巣へ侵入し、ドクネモンを狙う度胸のある捕食者などいるであろうか。

並大抵のデジモンであれば、自分と同じ姿のデジモンが食い散らかされた残骸の転がる巣を見た時点で、戦意を喪失することであろう。
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 12:45:07.93 ID:VRyngZwT0
ヒエッ
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 12:50:01.52 ID:Uki0mIelO
だが…。

無謀にも、スコピオモンの巣へと侵入し、ドクネモンを捕食する命知らずのデジモンがいた。

https://i.imgur.com/kHbxRaZ.jpg

ご存知、ウッドモンである。

ウッドモンは、枯れ木に完璧に擬態してしまうため、スコピオモンをやり過ごすことができた。

そしてあろうことか、枯れ木に擬態したまま、少しずつスコピオモンが留守中の巣へと近寄り…
ドクネモン達にすら枯れ木だと勘違いされたまま…
ドクネモン達に根を伸ばし、体液を吸ってのけたのである。

コレクションを持ち帰ったスコピオモンは仰天した。
自分の子供達が、巣で干からびているのだから。

スコピオモンは、子供達の仇を探したが、視界内にあるのは地面に転がった枯れ木のみ。

怒り狂ったスコピオモンは、コレクションの山をハサミでズタズタに引き裂き、それらを生き残った数匹のドクネモンと共にヤケ食いした。


ウッドモンという、己の弱さと強さの両方を知る捕食者だからこそ可能な荒業である。
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 12:52:17.54 ID:RwjOqwd+0
ワロタ
ちゃんと弱者は弱者の戦い方してるわ、その内ウッドモンも進化してスコピオモンに奇襲かけるんかね?
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 13:00:48.12 ID:Uki0mIelO
スコピオモンは、枯れ木にも八つ当たりのハサミ攻撃を放った。

すると、枯れ木はその苦痛で苦しんだ。

スコピオモンは驚いた。
完全に枯れ木だと思っていた物体が、生きたデジモンだったのだから。

身を起こすウッドモンの姿を見たドクネモン達は、怯えてスコピオモンの後ろに隠れた。

我が子の怯えようを見て、スコピオモンは確信した。
このウッドモンこそが、我が子達をミイラにした張本人なのだと。

スコピオモンは、ウッドモン目掛けて怒りの突進をした。

そして、毒針による一撃をウッドモンへ放った。

だがウッドモンは、根を伸ばしてスコピオモンの尾へ絡みつかせ、この一撃を回避した。

ウッドモンはスコピオモンの尾へ根を食い込ませ、体液を吸い始める。

予想外の反撃を受けたスコピオモンは、ウッドモンの根をハサミで切断しようとした。
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 13:03:13.24 ID:Uki0mIelO
ウッドモンの根を断ち切ろうとしたハサミに…

…空から飛来した隕石が直撃し、ヒビが入った。
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 13:08:20.71 ID:Uki0mIelO
スコピオモンは周囲を見回した。
この厭らしく強力な攻撃を仕掛けてくるヤツの姿を探した。

…宿敵スターモンが、ふらふらとよろめきながら、巣に乗り込んできたのである。

どうやら注入された毒が少量だったため、テントモン達の看病により息を吹き返したようである。

私には、スコピオモンが笑ったように見えた。
スコピオモンの最大のライバルが、今再び姿を現したのだから。

スコピオモンの巣には、一箇所不自然に土が盛り上がった台座のような部分があった。

これまでは、あの台座が何なのか分からなかったが…
今ならば分かる。あの台座は、スターモンをコレクションとして飾るために作った特別席なのだと。
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 13:11:36.42 ID:WTA7jOs/0
生物としての本能とは違う感情らしきもの芽生えてる?
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 13:14:04.11 ID:Uki0mIelO
さて、スターモンはどうする気なのであろうか?

スコピオモンの手が届かない空中を飛行しながら、隕石を降らせ続ける作戦であろうか?

否、それは不可能だろう。
スターモンは長い間飛び続けていることはできないし、隕石も連発はできない。
弱ったスターモンでは、やがてスタミナが尽きて墜落し、今度こそ神経毒を回復不可能なほど多量に注入されてしまうことだろう。

研究員としての私見を述べるなら…スターモン取るべき最善の選択肢は、飛行能力を活かして逃げることだ。

スターモンはズルモンから進化したため、毒に対する耐性がある。(今考えれば、そのおかげでスコピオモンの毒を解毒できたのかもしれない)

だから、ゴツモン達もテントモン達も忘れて、以前見かけた活火山の周辺に逃げ延びればよい。

そうすれば、スコピオモンは追ってくることができない。

仮に活火山周辺まで追いかけて来ようものなら、スコピオモンが食えるものが殆ど無い環境であるため、スコピオモンは飢えて弱ってしまうことであろう。

森を離れ、逃げ去ることが、スターモンが取るべき最善の生存戦略といえる。
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 13:15:12.97 ID:RwjOqwd+0
宿敵として認めてて専用のコレクション台用意してたのはもはや愛だよ
しかしこれウッドモンも一緒に戦ってるけど厳しいとしか言えない
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 13:19:02.51 ID:Uki0mIelO
だが、スターモンは逃げなかった。

あろうことか、ウッドモンと取っ組み合っているスコピオモン目掛けて突進し、スコピオモンの顔面へパンチを放ったのである。

スコピオモンは一瞬よろめき、即座に尻尾の毒針での反撃を試みた。

だが、ウッドモンはさらに深くスコピオモンの尾へ根を食い込ませ、体液を吸いながら毒針攻撃を封じる。

スコピオモンが根を切断しようとウッドモンへハサミを振りかざすと、スターモンはすかさずそのハサミの付け根を殴りつけた。

かつて宿敵同士として争った、スターモンとウッドモンの、奇妙な連携攻撃が、意外にもスコピオモンに効果を発揮していた。

だが、スコピオモンは成熟期を超えたレベル5の存在。
スターモンに対して、ハサミによるパンチ攻撃を繰り出した。

スターモンの硬い外殻にヒビが入る。
負けじとスターモンもパンチを繰り出し、スコピオモンのハサミの付け根を殴りつける。
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 13:21:59.97 ID:WTA7jOs/0
厄介な共通の敵いたらそりゃ共闘するよね
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/14(火) 13:25:45.56 ID:RwjOqwd+0
しかしこれどうなるか
敵の敵だから共闘してるけど、味方じゃないからなぁ……
スターモンが勝っても疲弊したところを捕食される可能性もあるし、はたまた負けるか
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 13:27:41.23 ID:Uki0mIelO
激しく殴り合う、スコピオモンとスターモン。
そのダメージは、やはり成熟期であるスターモンの方が大きく、スターモンの外殻はどんどん砕けていく。

だが、スコピオモンはだんだんバテて来ているように見える。
ウッドモンにどんどん体液を吸われ、ブドウ糖や酸素が足りなくなってきているのだ。

スコピオモンは、再度ウッドモンの根を切断しようとハサミを繰り出すが…
「それだけはさせない」と言わんばかりに、ボロボロのスターモンがハサミを払いのける。

このまま戦えば、スターモンはもたないかもしれないが…
ウッドモンが、スコピオモンを仕留めるかもしれない。

レベル4の2体のデジモンが、下剋上を成し遂げ、レベル5のスコピオモンを仕留めるかもしれない。

そう思った矢先…突如、ウッドモンが吐血した。
そして、よろよろと体をふらつかせた。


…ウッドモンの足元に、大量のドクネモンが群がり、親譲りの毒針を突き刺していたのである。

兄弟を殺された怒りのこもった毒針は、ウッドモンへ麻痺毒を注入し、体を痺れさせた。

先に下剋上を成し遂げたのは、ドクネモン達だったのである。
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/12/14(火) 13:33:53.33 ID:Uki0mIelO
ウッドモンが弱ったのを察したスコピオモンは、体液を大量に吸われて痩せこけた尾に力を込めて、ウッドモンを持ち上げ、それをスターモンへハンマーのように叩き付けた。

その衝撃で、ウッドモンの根は外れた。


怒ったスコピオモンは、麻痺したウッドモンをハサミでズタズタに切り裂いた。

トドメの毒針攻撃で、ウッドモンを仕留めようとしたとき…

スコピオモンの毒針に、スターモンの繰り出した隕石攻撃が直撃した。

体液をさんざん吸われた尾は、先端が脆くなっていたらしく、毒針がばきりと折れた。

苦痛と怒りで、恐ろしい咆哮を上げるスコピオモン。
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