長門有希「私たちだけの、音色だから」キョン「ああ……そうだな」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/12/08(水) 23:10:09.92 ID:6M8v8nm7O
「長門……」

その日、いつものようにSOS団の生産性皆無で不毛な活動の後、帰り道で元文芸部室にスマホを忘れたことに気がついた俺は近頃めっきり寒くなってきた北高までの坂道をとぼとぼ歩き、部室に舞い戻ると長門有希が居た。

「まだ帰ってなかったのか? だいぶ日が短くなってきたから、早く帰ったほうがいいぞ」

たしか借りていた本を図書室へ返すと言って途中で別れたっけ。しかしよもやまだ学校に居残っているとは。ひとまず忘れ物であるスマホを手に取り、イヤホンを装着して、さて再び帰路に着こうとして、呼び留められた。

「なに、聴いてるの?」
「え?」

丁度、音楽を再生したところだったので長門の声が聞き取れなかった俺は、スマホと耳を指差すジェスチャーで質問内容を理解した。

「久石譲の『Summer』って曲だ」
「そう」

果たして長門はスタジオジブリの楽曲を手がける著名な作曲家の名前を知っているのか。
そんな疑念は失礼とばかりにスマホを操作。

「この曲?」
「マジか……」

アプリによって画面に表示された鍵盤を流暢に弾いて長門はSummerを演奏してみせた。

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