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勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編の続編の続編

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 09:34:29.08 ID:KbfSVIxh0
勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編のつづきの更に又つづきです

続編なので前作読まないと分からない事が多々あるかと思いますのでご注意ください

非常に長いですごめんなさい

1作目
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1600089742/

2作目
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1605497940/

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1637368468
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 09:43:36.01 ID:KbfSVIxh0
再び10年後…

魔女の下で修行を終えた僕は

一人旅に出る

始めの目的地はシャ・バクダ遺跡

遠回りをしながらも

幼き頃の友と再会を果たし

今やっと目的地へ辿り着こうとしていた

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3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 09:44:27.41 ID:KbfSVIxh0
『オアシス砦』


おい!誰か来たぞ

監視所の奴らじゃないか?


衛兵「止まれ!!お前達は何者か?」

剣士「監視所から書簡を届けに…これを」パサ

衛兵「ふむふむ…なるほど怪我人が出て人員が居ないのか…それで代わりに来たと…」

剣士「僕達は情報屋という人を尋ねに来たんだけどここに居るかな?」

衛兵「一先ず門の中に入れ…話は中で聞く」

剣士「うん…ありがとう」グイ 


ドスドス


女オーク「中は小さな町なんだ…」

衛兵「…えーそれで…情報屋を尋ねに来たと言う事だが…まずお前達は誰だ?」

剣士「えーと…どう伝えれば良いかな…シン・リーンの魔女の使いだと言えば信じて貰える?」

衛兵「おおお!!ではお前は魔術師か?」

剣士「うん…照明魔法!」ピカー

衛兵「やっとか!!やっとシン・リーンが要請に応じた訳か…ササこちらへ」

剣士「要請?何の話だろう?」

衛兵「聞いて居ないか?魔物が増えて対処し切れなくなっているのだ」

剣士「ゴメン何も聞かされて居ない」

衛兵「怪我人の治癒だけでも随分助かる」

剣士「それなら簡単だよ…どうすれば?」

衛兵「兵舎に怪我人が居る…流行り病も多い」

剣士「おっけ!任せて」

衛兵「案内する」スタ
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 09:45:06.34 ID:KbfSVIxh0
『兵舎』


ぅぅぅぅ…治療師はまだか

毒消しがもう無い…辛抱しろ


衛兵「おい!喜べ!魔術師が来たぞ!」

剣士「うわ…皆毒に掛かってるのか…どうして?」

衛兵「スプリガンとスライムだ…加えて最近はマンイーターという植物の魔物も発生している」

剣士「まとめて一気に治療するよ?驚かない様に?」

衛兵「回復魔法に驚くも何も…」

剣士「線虫!毒を食らえ!」ザワザワ ニョロリ


ワサワサワサ ニョロニョロ


衛兵「虫!!うわぁぁ」タジ

剣士「大丈夫…虫が全部毒を食べて体も癒すから」

衛兵「こ…これで治療は終わりか?」

剣士「うん!直ぐに良くなるから安心して?」


ぎゃぁぁぁ助けてくれぇぇ

ひぃぃぃ虫が…虫がぁぁぁ


衛兵「シン・リーンもまた特殊な魔術師を送って来る…」

剣士「ところで情報屋さんは何処に?」

衛兵「あぁそうだったな…残念だが入れ違いになっている」

剣士「ええ!!もしかして居ない?」

衛兵「随分前にシン・リーンの気球に乗って何処かへ向かった様だ…至急の事で行き先はわからん」

剣士「なんだ無駄足だったかぁ…困ったなぁ」

衛兵「なんなら砦に身を置いて戦力になって貰えると助かるのだが…」

剣士「用事があっていつまでも居る訳には行かないんだ」

衛兵「情報屋を訪ねる以外に用事があると?」

剣士「精霊樹に行きたいんだよ…場所が分からない…情報屋さんに聞こうと思ってたのさ」

衛兵「この辺りの事情を知らない様だな?」

剣士「事情というと?」

衛兵「精霊樹は遺跡の北西に位置するがエルフの許可が無いと立ち入れないのだ」

剣士「遺跡の北西ね…おけおけ」

衛兵「聞いて居るのか?エルフの許可が…ん?まさか魔女様の許可を得ていると?」

剣士「ハハ…まぁそんな感じかな」

衛兵「許可を得ているなら行っても構わんがくれぐれもエルフと揉め事だけは起こさない様に」

剣士「大丈夫だよ」

衛兵「森で野生の動物を倒すのは厳禁だ…クマが相手でも手を出さない様に」


ピーーーーーー ピーーーーーー


衛兵「敵襲だと!?まだ昼間だぞ!!話はここまでだ」ダダダ
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 09:45:41.02 ID:KbfSVIxh0
『中庭』


ガヤガヤ ドタドタ

閉門!!閉門!!

ダメだぁ!!撃つな!!


門番「北側にウルフ20頭…西側にも20頭ほどに囲まれてる」

衛兵「松明を用意しろ!!火で寄せ付けるな」ドタドタ


剣士「…参ったな門を閉じられちゃった」

女オーク「足止めね…」

剣士「今から精霊樹に行っても夜になるだろうから一晩待とうか」

女オーク「上…」

剣士「ドラゴンずっと旋回してるね…なんか思ったより慌ただしいなぁ」

女オーク「夏なのに雪も少しチラついてる」

剣士「寒くなりそうだね…宿はあるんだろうか?」

女オーク「寒さ凌ぐのは兵舎で良いのでは?」

剣士「折角だしベッドで寝たいよね」

女オーク「シたいの?」

剣士「ハハずっとシテ無いしね」

女オーク「ウフフ…」

剣士「あ!そうだ…どうして君が金貨持ってる?」

女オーク「剣士はお金に無頓着だからって商人が私に渡したの」

剣士「なんだ…そういう風に見られてたのか」

女オーク「お金ある?」

剣士「全部飛空艇に置いてきた」

女オーク「ほらね?」

剣士「ハハまさかお金が必要になるとは思ってなかったさ」

女オーク「私はお金の相場が分からないから心配…」

剣士「シカ一匹金貨2枚はちょっと高いかな…でもあの場合は仕方ない」

剣士「それで商人さんから幾ら貰った?」

女オーク「金貨10枚よ…残り6枚ね」

剣士「なんだケチだなぁ…色々協力した割に…」

女オーク「代わりに地図とか羅針盤を貰ったでしょう?」

剣士「まぁ良いや!宿を探そう」スタ
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 09:46:14.21 ID:KbfSVIxh0
『宿屋』


オンギャー オンギャー


婆「おやおや…定期便が来ていないのにお客とは珍しい…おぉよしよし」ユラユラ

女オーク「赤ちゃん?珍しい…」

剣士「本当だね…」

婆「騒がしくて済まないねぇ」オーヨシヨシ

剣士「宿空いてる?」

婆「食事の用意は無いが良いかね?」

剣士「寒さ凌げれば良い…一晩いくら?」

婆「一人銀貨5枚だよ」

女オーク「はい…」コロン

婆「あらま?金貨かね…お釣りが用意出来んのだがどこぞで銀貨に変えて来れんか?」

剣士「露店も商人も居なかったんだ…どうしようかな」

女オーク「もう良いじゃない?どうせ使い道無いのだし」

剣士「ハハお金に無頓着は君も同じじゃ無いか」

婆「釣りを用意出来んのは悪いでせめてコレを持ってお行き」ジャラリ ドスン

剣士「銀貨50とお酒かぁ…このお酒は?」

婆「サボテン酒だで?昔はサボテンが沢山あったのだが今はもう無いで貴重な酒なんよ」

剣士「おけおけ!思わぬ楽しみが増えたよ」

婆「ゆっくり休んで行きーな」

赤ちゃん「オギャーオギャー」ヒック


---子供は生まれる所では生まれるんだ---
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 09:46:45.57 ID:KbfSVIxh0
『部屋』


ガチャリ バタン


女オーク「質素なお部屋…」

剣士「さて!どっちが強いか勝負しようか」

女オーク「もう?ウフフ良いわ」


ドタン バタン ドスドス

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剣士「フフフ僕の勝ちだ!」

女オーク「ま…まだ…」ビク ビク


ザワザワ ザワザワ


剣士「外が騒がしいな…」

女オーク「逃げる気?」ガクガク

剣士「ちょっと様子見て来る…君は休んでて良い」ゴソゴソ

女オーク「まだ負けてないから…」グッタリ

剣士「行って来る!」スタタ
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 09:47:12.95 ID:KbfSVIxh0
『中庭』


ザワザワ ザワザワ

スライムが入り込んでる!

ダメだここで倒すな!毒が広がる

門が閉まってるんだどうしろってんだ

魔術師が居た筈だ探して来い


剣士「スライム…たった一匹でこの騒ぎか」

衛兵「居た!!良かった…我々ではスライムを焼けない!なんとかしてくれ」

剣士「分かった…火炎魔法!」ボボボボボ


スライム「プギャァァ…」メラメラ


衛兵「破裂するぞ?」

剣士「サンドワーム!従え!スライムを食らえ!」


モゾモゾ ズドーン バクリ


衛兵「サンドワーム…」タジ

剣士「大丈夫!驚かないで…サンドワームを操って居るから」

衛兵「そ…そうか…撃つなぁ!!サンドワームを撃つなぁ!!」

剣士「サンドワーム!地中に潜れ!」


モゾモゾ モゾモゾ


剣士「あと穴を埋めておけばもう戻って来ないよ」

衛兵「助かった…さすがシン・リーンの魔術師」

剣士「北の空で炎が…」

衛兵「アレはドラゴンのブレスだ…精霊樹に近付くスライムを焼いて居る」

剣士「エルフとドラゴンが戦って居る敵がスライム?」

衛兵「そうだ…エルフとドラゴンは精霊樹を守って居るのだ…敵はスライムにスプリガン…そしてマンイーター」

剣士「なるほど事情が読めて来た…この砦はサンドワームに守らせるから安心して」

衛兵「助かる…しかしサンドワームは我々の主食だ…どうすれば?」

剣士「好きにしたら良い…サンドワームは沢山居るから」

衛兵「ハハ良く分からんが兎に角感謝する」


分かって来たぞ

エルフとドラゴンはドリアードの浸食から精霊樹を守って居るんだ

彼らもドリアードと戦っている

そしてウルフは多分僕を迎えに来てるんだ

行かなきゃ
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 09:47:45.12 ID:KbfSVIxh0
『宿屋』


ガチャリ バタン


女オーク「聞こえていたわ?魔物が進入して来たのね?」

剣士「うん…女オーク聞いて?僕の友達が砦の外で僕を待って居る様なんだ」

女オーク「友達?こんな所で?」

剣士「君には言ってなかったけど…ずっと一緒に過ごして来たウルフが居るんだよ」

女オーク「ウルフ…それで砦が包囲されて居るのね?」

剣士「多分ね」

女オーク「迎えに行くのね?」

剣士「うん…少し離れて待っている様に話してくる」

女オーク「一人で平気?」

剣士「大丈夫…その方が動きやすい」

女オーク「分かったわ…」

剣士「ゴメンね?続きはまた今度」

女オーク「…いいわ」

剣士「じゃぁ行って来る」タッタ


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アオーーーン アオーーーーン
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 09:48:17.95 ID:KbfSVIxh0
『翌日』


チュン チュン


剣士「よし!行こう…遺跡でウルフが待ってる」

女オーク「うん…昨夜は寝て居ないのでしょう?大丈夫?」

剣士「平気さ…君も寝ていない顔をしているよ」

女オーク「平気…癒されたから」

剣士「どんぐり食べる?」ポイ

女オーク「…」モグ


---------------


門番「開門!!開門!!」ガラガラガラ ガシャーン

衛兵「昨夜は世話になった…獣道から逸れると危ないから気を付けて」

剣士「もうウルフが来る事は無いから安心して良いよ?」

衛兵「ウルフも使役するのか?」

剣士「まぁね?」

衛兵「フフさすがシン・リーンの魔術師…協力に感謝する」ビシ

剣士「シカさん行くよ?お願い…」


ドスドスドス  
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 09:48:52.74 ID:KbfSVIxh0
『獣道』


チュンチュン ピヨ


剣士「昼間はうって変わって良い雰囲気の森だ」

女オーク「鳥が沢山…」

剣士「えとね?秘密があるんだよ?あの鳥たちは本当はトロールなのさ」

女オーク「本当に?」

剣士「パパに教えて貰った…トロールっていつも肩に鳥を乗せてるんだって」

女オーク「へぇ?トロールは見た事無いわ」

剣士「南の大陸には居ないもんね…そして夜にしか動かない」

女オーク「じゃぁ森の中にある大きな石は…」

剣士「多分トロールだよ…僕らの話声は全部聞こえてると思う」

女オーク「変なお話出来ないわね?」


グルルル ガウ


女オーク「え!?ウルフ?」

剣士「あぁぁコラコラ!遺跡で待っててって言ったじゃない」

ウルフ「ガウルルルル…」

剣士「え?あぁ僕の奴隷の女オークさ」

女オーク「剣士は私の奴隷よ…」

剣士「まぁどっちでも良いや…彼女強いんだよ?」

ウルフ「ウゥゥゥゥ…」

剣士「大丈夫だって!威嚇しないで?」

女オーク「ウルフとお話出来るんだ…」

剣士「付き合い長いからね…え?毒?そうか…みんな線虫欲しいんだね?おけおけ…向こうに着いたらやってあげる」

女オーク「ウルフたちも毒に?」

剣士「そうらしい…薬草を探すのに随分遠くまで行く必要があるみたい」

女オーク「ウルフも私達と同じなのね」

剣士「そうだよ?言葉が通じないだけで人間と仲良く出来ない…オークと同じだね」

女オーク「私がオークだって分かってる?」

剣士「匂いですぐに分かるさ…ウルフは人間よりずっと鼻が利く」

女オーク「それで直ぐに剣士を見つけたのね」

剣士「いづれこの森に来ると思って待ってたんだって」

女オーク「賢いわね」

剣士「人間と同じくらいにはね?…でもね?物を投げられると反射的に拾いに行く癖がある」

女オーク「フフ…」

剣士「あんまり遊ぶと噛まれるけどねw」

ウルフ「ガウルルルル…」ガブガブ

剣士「分かった分かった秘密にしとくから…」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 09:49:19.98 ID:KbfSVIxh0
『シャ・バクダ遺跡』


ウゥゥゥ ガルルルル


剣士「線虫!癒せ!」ザワザワ ニョロリ

ウルフ「ワオーーーン!」パタパタ

女オーク「喜んでるw」

剣士「さて…折角遺跡に来たからパパとママを最後に見た場所に行って見よう」

女オーク「この遺跡で最後を?…」

剣士「直ぐ近くなんだ…どこだっけな」

ウルフ「ガウガウ…」シュタタ

剣士「そっちか!全然景色が変わってる…」

ウルフ「ガウ…」ココホレワン

剣士「ここだ…この場所だ…」

女オーク「…」

剣士「…」スゥ


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13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 09:50:00.95 ID:KbfSVIxh0
『あの時』


僕「パパ?どうする気?」

パパ「未来…自分の次元を強く持て」

僕「え?どういう事?」

パパ「見ていれば分かる…言う事聞けるな?」

僕「ママも一緒に行っちゃうの?」

ママ「一緒に魔王を倒すからちゃんと見ていなさい」

僕「…うん」

パパ「女戦士!後は頼んだ…エルフ達!援護を頼む!行くぞ」シュタタ

ビッグママ「未来…意味がわかるか?」

僕「…」

ビッグママ「最後まで良く見て置け…勇者の宿命だ」

僕「パパ…ママ…」



パパとママが魔王を封じるのを

ほとんどの人が見ていなかった

こんなにもあっさりと物事が終わって

僕の心にポカンと穴が開いた

大きな変化は何も無いのに

只…目の前から消え去った

その後に光る夜が来た

その時

僕が始まった

僕の物語


---なんだろうこの違和感---
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 09:51:04.76 ID:KbfSVIxh0
『シャ・バクダ遺跡_地下』


学者「見学ですかね?」

剣士「昔ここに避難してた事があってね…近くまで来たから気になったんだ」

学者「ほう…そうでしたか…散らかって居ますが遺物には触らない様にお願いします」

剣士「うん…書物は読んでも?」

学者「考古学に興味がおありで?」

剣士「僕はシン・リーンの魔術師さ」

学者「これは失礼しました…ご自由にお読みください」

剣士「ありがとう…汚さない様にするよ」


-------------


女オーク「ここも思い出の場所なのね?」

剣士「あんまり良い思い出は無い…情報屋さんの行先が分からないかと思ってさ」

女オーク「難しそうな資料ばかりなのね…分かるの?」

剣士「ハハ全然分からない…」パラパラ


超古代史とウンディーネ伝説との関連

古代史と自転の変化による文明の崩壊と再構築

近代史における魔術介在による文明の変遷

人類行動の進化過程

食料生産と放牧の傾向

超高度AIの発見と発祥の考察


剣士「あれ?ホム姉ちゃんの事が書かれてる…こんな事まで研究してるんだ…へぇぇすごいな」


パサ ヒラヒラ


女オーク「何か紙が落ちたわ?」

剣士「この書物からだ…あ!!これ情報屋さんの日記だ」ヨミヨミ

女オーク「何の絵かしら…」

剣士「あ!!僕が書いた地図…そうだドリアード遺跡に行くつもりだった」


---慌てて地図を置き忘れた---

---その後どうしたんだっけ---


女オーク「あまり他人のプライベートを見ない方が良いのでは?」

剣士「…」ヨミヨミ

女オーク「ダメよそれ以上見たら」グイ

剣士「ちょっと待って大事な事が書いてある」


---おかしい---

---僕の記憶と日記に記された事実が噛み合わない---
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 09:51:41.26 ID:KbfSVIxh0
『勇者の像』


剣士「…」ボーーー

女オーク「どうしたの?さっきから顔色悪いわ?」

剣士「ううん…何でも無いよ」


スタスタ


剣士「誰か来る…」スチャ

女オーク「え!?」

エルフゾンビ「此処に居たか…勇者の子だな?」

剣士「エ…エルフゾンビさん?」

エルフゾンビ「如何にも…お前を数度しか見たことが無かったが…勇者に瓜二つだな」

剣士「ホッ…良かった…探さないで済んだ」

エルフゾンビ「精霊樹が呼んで居る…付いて来い」

剣士「え!?…精霊樹が僕を?」

エルフゾンビ「精霊樹に呼ばれる意味は分かるか?」

剣士「まさか…僕を勇者にするつもりだったり?」

エルフゾンビ「すでに勇者だ…導きを受けるのだ」

剣士「僕の勇者の眼はママが…」

エルフゾンビ「青い瞳の宿命はお前の母が背負った…それだけだ」

剣士「え?それだけって…」

エルフゾンビ「来い…」スタスタ

剣士「あ…女オーク!見学は終わりだ…付いて行こう」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 09:52:22.18 ID:KbfSVIxh0
『精霊樹』


サラサラ サラサラ


剣士「沢山のエルフに囲まれてる…」

エルフ「…」ジーーーー

剣士「!!?」

エルフ「…」ピク

剣士「君は…僕の夢に何度も…顔を良く見せて」ジロ

エルフ「…」ジーーーー

剣士「やっぱり…どこかで僕と会ってるよね?」

エルフゾンビ「ん?どうした?エルフの戦士と面識が有ったのか?」

エルフの戦士(お前があの時の蟲使いか?)

剣士「そうだよ僕は蟲使いだ…夢じゃ無かった…本当の出来事だったんだ」

エルフの戦士(元気そうで何より…額の傷はすっかり良くなった様だな?)

剣士「ずっと夢だと思ってた」

エルフの戦士(例の金属を取りに来たのか?)

剣士「金属?覚えていない…」

エルフゾンビ「再会して話をしたいだろうが時間が無い…先に精霊樹の導きを受けろ」

剣士「え…あぁそうだった…どうやって声を聞けば良いの?」

エルフゾンビ「目を閉じて感じろ…」

剣士「瞑想か…」スゥ


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17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 09:53:53.05 ID:KbfSVIxh0
『数分後』


剣士「…」パチ

エルフゾンビ「導きを聞いたな?」

剣士「ぁ…こ…これはどういう事だ?思い出せって何の事だろう…」

エルフゾンビ「混乱して居るのか?」

剣士「僕には森を統べる力が有ると…導きを思い出せって…何の導きなのか…」

エルフゾンビ「白狼の血脈も受け継いでいるのだ…その記憶の事では無いのか?」

剣士「僕が森を守るという事?」

エルフゾンビ「精霊樹は助けを求めているのだ…恐らくお前にしか出来ない」

剣士「命の種子は夜に運ばれる…闇に光を照らしてって…意味が分からない…どうすれば良いの?」

エルフゾンビ「それはお前が答えを見つける事だ…一つ分かるのは命の種子と言うのは精霊樹の花粉の事」

剣士「花粉は夜に運ばれる…闇に光…月の事か?」

女オーク「剣士?エリクサーの事は伝えた?」

剣士「うん伝えたよ…でも返事が無い」

エルフゾンビ「ほう?…察するにエリクサーを求めに来たな?」

剣士「うん…ホム姉ちゃんを蘇らせる為にエリクサーが樽で4〜5杯必要なんだ」

エルフゾンビ「なんだと?今何と言った!?ホムンクルスが蘇るだと…時代の節目はまだ先だと言うか!!」

剣士「えーと話しが掴めない…時代の節目って何?」

エルフゾンビ「お前はアダムという神が復活したのは知って居るな?」

剣士「うん…」


我々エルフはアダムと決別し精霊樹を主として生き永らえている

アダムは新たな森を構築し始め我々エルフは追い出されたのだ

精霊シルフが滅び新たなアダムという神の下

新時代を受け入れたつもりだがアダムはそれを許さなかった

精霊樹の森を侵食し始め我々は窮地に立って居る

その最中お前がこの森へ訪れ…今…精霊を蘇らせると言う


エルフゾンビ「分かるか?我々の敵はアダムだ…新時代はまだ来ていない」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 09:54:29.32 ID:KbfSVIxh0
剣士「僕が思って居る事と同じだ…やっぱりそういう事なんだね…」

エルフゾンビ「お前はそれを知りながらここに訪れたと?」

剣士「今は時期尚早だって僕の爺いじが言ってる」

エルフゾンビ「尚早?何故?」

剣士「あの光る隕石だよ…ミサイルって言ったっけ…あれを封じる事が出来るのはホム姉ちゃんだけ…あれ?違う」

エルフゾンビ「どうした?何が違う?」

剣士「違う違う!!思い出せってこういう事か…」

エルフゾンビ「一人で解決するな…話せ」

剣士「僕は光る隕石を回避する術をもう打ってる…その為に10年前に森に入った」チラ

エルフの戦士「…」ジーーーー


ズゴゴゴゴ ドーン


エルフゾンビ「むむ!!御所への通路を精霊樹が開いた…エリクサーの許可が出たらしい」

剣士「ああ…それは良かった」

エルフゾンビ「樽は持って来ているか?」

剣士「飛空艇に乗せてある…ここまで乗って来ても良い?」

エルフゾンビ「急げ…日が暮れると森の浸食が始まる」

剣士「女オーク!ここで待ってて?僕一人で走った方が早い」

女オーク「分かったわ…気を付けて」


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19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 09:55:47.96 ID:KbfSVIxh0
『1時間後』


フワリ ドッスン


剣士「飛空艇持って来たよ…」タッタッタ

エルフゾンビ「もうすぐ日暮れだ…今日はもう飛空艇で飛べないと思え」

剣士「戦いが始まるんだね?」

エルフゾンビ「この場所は比較的安全だから今晩はここに置いておくのだ」

剣士「分かった…急いでエリクサーを積む…女オーク!樽2つお願い」

エルフゾンビ「御所まで案内する」

剣士「エルフの戦士と話がしたい…案内は彼女にお願いしても良いかな?」

エルフゾンビ「そうか?エルフの戦士…案内をご指名だが行ってもらえるか?」

エルフの戦士(付いて来い…)スタ



『御所までの通路』


スタスタ スタスタ


剣士「記憶が確かじゃないけど…あの時はありがとう」

エルフの戦士(フフ…頭蓋が割れて良く助かった物だ…記憶の喪失は仕方あるまい)

剣士「ずっと夢の出来事だと思って居たんだ…君に再会出来て記憶が蘇ってきた」

エルフの戦士(お前はエルフの森で虫に命令を与えると言って居たな?)

剣士「うっすら覚えてる…」

エルフの戦士(お前のお陰で私達は今日まで生き永らえたとも言い換えられる)

剣士「どういう事?」

エルフの戦士(お前と別れてしばらくしてから虫達の行動が変化したのだ)

剣士「それは良かった」

エルフの戦士(それまでは虫も敵だったのが一転して虫はエルフを襲わなくなった…私はお前の力に震えたよ)

エルフの戦士(だがドリアードの浸食は想像を絶する速さで進行し…この有様だ…最後の砦の精霊樹をどうか守って欲しい)

剣士「なんか色々思い出して来たぞ…僕は記憶を無くしたんじゃなくて夢の中に仕舞っていた様だ」

エルフの戦士(精霊樹から導きを受けると言う事は何か託された筈…どうか実らせて欲しい…勇者殿)

剣士「うん…今導きを理解したさ」

エルフの戦士(さぁ到着だ…)
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 09:57:05.72 ID:KbfSVIxh0
『精霊の御所』


シーーン


エルフの戦士(エリクサーは中央の器の中だ…そこに例の金属も沈んで居る筈)

剣士「あ!!わすれてた…ソレだよソレ」

エルフの戦士(お前は生き絶え絶えでその金属をここに持ってくる様に私に伝えたのだ…何なのだ?)

剣士「有った…超高度AIユニット…そうだ僕が掘り起こしたんだ…これも現実だったか」

エルフの戦士(超高度AIユニット?)

剣士「分かって来たぞ…この森は森の声が聞こえるね?」

エルフの戦士(聞こえる)

剣士「精霊はこの森で生きてる…そうか…そういう事だったのか」


エルフの森で声が聞こえなくなったのは

声の役割をしていた精霊の伴侶という超高度AIユニットが停止したからなんだ

ホム姉ちゃんは今も森の声を使って上手に動物を導いてる

超高度AIユニットのあるべき場所は此処だ

これでドリアードの中に居るアダムと同じ条件…対等になってるんだ


エルフの戦士(導きの声だ…)

剣士「え?聞こえない…」

エルフの戦士(感じろ)

剣士「あぁそうか…え?母からの贈り物?なんでママから…」

エルフの戦士(私は体の震えが止まらない…精霊樹がお前に祈りの指輪を授けた…私はハイエルフに報告に行かねばならない)

剣士「いのりの指輪…あ!これか…」スッ

エルフの戦士(これから何が起こる?…いや私からでは差し出がましい)

剣士「これは僕を守る物…これが精霊の加護なのかな?…」

エルフの戦士(済まない…失礼する)シュタタタ


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21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 09:58:30.40 ID:KbfSVIxh0
『帰路』


ヨッコラ ヨッコラ


剣士「エリクサー満タンの樽2個背負うのはさすがに重いね」ヨイショ ヨイショ

女オーク「私の勝ちね?」ドスドス

剣士「体力はいつも君の勝ちさ」

女オーク「ところで…私はエルフの使う言葉が理解出来なくて話の全容が分からないのだけれど…」

剣士「話が長くなっちゃうんだけどさ…」


何処から話そうかな…

10年前にシャ・バクダの遺跡で冒険の書っていう書物を読んだんだ

そこに描かれて居たのは未来の予言…

僕はそれを変える為にエルフの森に行ったんだよ

そこで出会ったのがさっき居たエルフの戦士

まぁ色々あって僕は記憶を無くしたみたいでさ

今まで何かおかしいなぁって思いながら過ごして来たんだ

でも今日ここに来てエルフの戦士に再会したら色々思い出した

未来の予言を変えるのは多分まだ間に合う

何故なら変えるための仕掛けを10年前に終わらせてたからさ

そしてさっき精霊樹からいのりの指輪を授かった

この指輪はね…量子転移っていう魔法が封じられてるんだ

普通はその魔法を使ってこの世の理を超えた事をすると次元の狭間っていう所に迷ってしまう

でもこの指輪を使って同じ事をすると身代わりに砕け散ってくれる

つまり持って居る人を守るんだよ


剣士「理解できる?」

女オーク「…なんとなく」

剣士「簡単に言うと未来を無理やり変えると僕は次元の狭間に迷う…でもこの指輪が身代わりになって僕を守ってくれる」

女オーク「変えたい未来が何なのか分からないから…」

剣士「そうだろうね…僕も記憶が少し曖昧になってる…一つ言えるのは僕がこの世の理を破っても無事で居られるという事」

女オーク「そう…それなら安心した」

剣士「本当はね…勇者の青い瞳を持って居れば良かったんだ…でもそれはママが持って行っちゃった」


---だから指輪を残してくれたのかな---
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 10:00:18.47 ID:KbfSVIxh0
『精霊樹』


サラサラ サラサラ


エルフゾンビ「聞いたぞ?いのりの指輪を授かったそうな」

剣士「うん…大丈夫かな?エルフの秘宝だよね?」

エルフゾンビ「精霊樹の導きはエルフにとって絶対なのだ…問題無い」

剣士「ねぇエルフゾンビさん…戦いまで後どれくらい?」

エルフゾンビ「1時間程か…お前にも強力して欲しいと思って居た所だ」

剣士「それは良いけど…もし僕が今晩アダムを破壊すると言ったらどうする?」

エルフゾンビ「又突拍子の無い事を言う…そんな事が可能なのか?」

剣士「僕を信じてくれるかな?」

エルフゾンビ「まずどうやるのか話せ」

剣士「エルフ全員とドラゴンにも聞いて欲しい…そうだトロールにも」

エルフゾンビ「問題ない…森の声で全員に伝わる」

剣士「そっか…じゃぁ話すね」


僕は蟲使いだ…森に居るすべての蟲を使役する事が出来る

この蟲達に命令してドリアードを攻撃しようとすると

多分10年前と同じ光る隕石が飛んできてすべて焼かれてしまう

でも地面の中からだとどうだろう?光る隕石を自分には落とせない筈

僕は10年前…ワーム等の地生昆虫にドリアードの根を住処にする様に命令した

ダンゴムシにはドリアード内部で繁殖する様に命令して

今は大量の虫の巣窟になって居る筈

その蟲達を一斉に爆発させる…その威力は想像できない

それだけだと内部のアダムを破壊出来ない可能性があるから

僕はドリアード内部に侵入して直接アダムを破壊する準備もある

ママが作ったウラン結晶の爆弾

アダムさえ破壊してしまえばその他の蟲達を使ってダイダラボッチを起こせる

そしてすべてを食らい尽くす


エルフゾンビ「ドリアードに侵入するのはお前だけでは危険過ぎる」

剣士「そうだね…だからこうして話してるのさ…ドリアードの中での抵抗がどのくらいか分からない」

エルフゾンビ「今晩の戦いから人員を裂けと言って居るか?それは厳しい」

剣士「あと2人居れば良い…大勢だとかえって邪魔になる」

エルフゾンビ「2人か…」


エルフの戦士(私が行こう)ズイ
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 10:00:55.68 ID:KbfSVIxh0
エルフゾンビ「ではもう一人は私という事になるか…しかし私達もギリギリの戦い」

剣士「あ!そうだ思い出した…マンイーターに苦戦しているよね?」

エルフゾンビ「う…うむ」

剣士「攻略法を教えるよ…弓矢でどんぐりを撃ち込んで成長魔法…これだけで干からびる」

エルフゾンビ「木にするのか…それは本当か?」

剣士「うん…これで地上戦は問題無い筈…2人の人員不足は補える」

エルフゾンビ「そうか…試してみる価値はありそうだな」

剣士「実はね…僕すごく自信がある…他にも色々出来るんだ」


サラサラサラ サラサラサラ


剣士「ほら?精霊樹は穏やかだよ?」

24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 10:07:07.36 ID:KbfSVIxh0
『飛空艇』


剣士「乗って!直ぐに出る」

エルフゾンビ「フフ即行動か…詳しく聞く間もないな」スタ

エルフの戦士(…)キョロ

女オーク「扉閉めるわ」バタン


フワフワ シュゴーーーーー


剣士「シャ・バクダの廃墟の少し北から徒歩で行く…エルフゾンビさんドリアードの場所分かるかな?」

エルフゾンビ「おおよその位置は知って居るが詳しくは知らん」

剣士「おおよそで問題無いかな…現地の蟲達に案内させるから」

エルフゾンビ「それは結構…お前は初めて行くのだな?周辺は死の森となって居るが問題無いか?」

剣士「あー僕の情報が古いか…ケシの花が沢山咲く場所だと聞いてた」

エルフゾンビ「10年前の話だ…今は死の森に飲まれて毒の湿地帯になっている」

剣士「シャ・バクダ北から徒歩でどのくらいで行けそう?」

エルフゾンビ「私達の足で直線4時間という所だ…湿地を迂回して6時間だな」

剣士「…という事は攻略の開始は深夜…朝日が昇る頃には終わる筈」

エルフゾンビ「上手く行けば良いがな…」

剣士「内部での抵抗がどれだけあるか分からないんだけど何か知らない?」

エルフゾンビ「さぁな?誰も行った事が無い」

剣士「まぁなんとかなるか…エルフゾンビさんはパパと同じくらい強いって聞いたし」

エルフゾンビ「買い被るな…私は不死者で打たれ強いだけだ」

剣士「エルフの戦士さんは弓使いだったね?」

エルフの戦士(そうだ)

剣士「おけおけ…回復役は僕が出来るから余程行ける」

エルフの戦士(触媒は十分あるか?)ニヤ

剣士「アハハそういえば昔触媒無くてすごく困った気がする…今は沢山持ってるさ」

エルフゾンビ「しかし早いなこの飛空艇は…もうシャ・バクダの廃墟か」

剣士「うん…もう降りるよ…死の森の少し手前に降ろす」グイ


シュゴーーーー バサバサ
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 10:07:44.46 ID:KbfSVIxh0
『死の森_手前』


フワリ ドッスン


剣士「降りて…ウルフは飛空艇で留守番だよ…しっかり守ってね」

ウルフ「ガウガウ…」

エルフゾンビ「嫌な匂いだ…」プーン

剣士「もう線虫を掛けて置いた方が良さそうだ…線虫!」ザワザワ ニョロリ

エルフゾンビ「む…この虫は私にも効果が在るのか?」

剣士「毒を食らうんだけど…どうなんだろ?」

エルフゾンビ「腐敗は毒か?」

剣士「もしかすると腐敗が止まるかもしれない」

エルフゾンビ「エリクサー漬けが改善出来るなら大した発見になる」

剣士「効果はエリクサー飲むのとほぼ同じかな」

エルフゾンビ「フフ期待している」

剣士「よし!皆降りたね?飛空艇を狭間に隠す…」スゥ

エルフゾンビ「では私が先行する…付いて来い」シュタタ

剣士「ウルフ!留守番頼んだよ!!」シュタタ

ウルフ「ガウガウ…」フリフリ


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26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 10:08:26.97 ID:KbfSVIxh0
『死の森』


ポコポコ プシューー


剣士「見た事無い植物ばかりだ…いやキノコなのかな…」

エルフゾンビ「よそ見して居ると遅れるぞ」シュタタ

剣士「ニョロニョロの先っぽに目が在る…なんだアレ」シュタタ

女オーク「右前方に何か複数居るわ」ドスドス

エルフゾンビ「スプリガンだ…構ってる暇は無い…走れ」

剣士「お!!蝿虫!従え!」ブーン ブン ブン

エルフゾンビ「!!?使役か…フフそれは良い」

エルフの戦士(フフ…)

剣士「蝿虫!ドリアードまで案内しろ!」ブーン

エルフゾンビ「なるほど…私の案内より確実そうだ」


プシュー


エルフの戦士(胞子の散布が始まった…視界が悪くなるぞ)

剣士「…これは」

エルフゾンビ「見とれて居るのか?雪の様に見えるが猛毒の胞子だ…それが森まで飛来する」

剣士「こんなに多いのか…これを全部焼くんだ?」

エルフゾンビ「全部が飛来する訳では無い…ただ一つでも逃すとそこで発芽して浸食される…あっという間にな」

エルフの戦士(上空でアルラウネが南下を始めてる…始まるぞ)

エルフゾンビ「下を行く私達には見向きもせん様だ…このまま進め」シュタタ


--------------


エルフゾンビ「ドラゴンライダーが出張っているな…私達を見て居るか」

エルフの戦士(戦線が伸びると胞子を焼き逃すと言うのに…)

エルフゾンビ「ハイエルフはいのりの指輪の行方を気にしているのだ…仕方が無い」

剣士「そうか…アダムの懐だもんね」

エルフの戦士(…)ジロリ

剣士「なるほどね…君が同行を志願したのも同じ理由なんだね」

エルフの戦士(信用していない訳では無い…悪く思うな)

女オーク「前方左に見た事無い敵!!複数いるわ…何?」

エルフゾンビ「異形のスライムだ…触手を持って居る…多いな」

エルフの戦士(私に任せろ…先に行け)シュタ クルクル ピョン

エルフゾンビ「こっちだ!私に続け」シュタタ
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 10:09:18.65 ID:KbfSVIxh0
『死の森_深部』


ブーン ブンブン


剣士「爆ぜろ!」パーン ベチャ

異形のスライム「プギャーー」ドロドロ

女オーク「フゥ…フゥ…」

エルフゾンビ「直線で4時間と言ったが撤回する…この調子では6時間だ」

エルフの戦士(後方の敵は処理した…進め!)

剣士「蝿虫!先行しろ!」ブーン

エルフゾンビ「蝿が随分集まったな?」

剣士「スライムは蝿虫で処理するから進んで」

エルフゾンビ「そうだな…行くぞ!」シュタタ

女オーク「まだ居るわ!」

剣士「おけおけ!蝿虫行け!…爆ぜろ!」パーン ベチャ

エルフの戦士「続け!!」シュタタ


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28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 10:10:03.89 ID:KbfSVIxh0
『毒霧』


モクモク シュゥゥゥ


エルフゾンビ「この辺りの筈だ…しかしこの毒霧では視界が…」

剣士「毒霧で蝿虫が全部やられた…」

女オーク「他の敵が居ない…この毒霧はドリアードが?」

エルフゾンビ「恐らくな?」

剣士「狭間で隠してるらしいから毒霧も併せて誰も近づけない様にしてるんだね」

エルフゾンビ「どうする?狭間に隠れて居るものを探すのは虫の案内が無いと厳しい」

剣士「地中にワームが居る…ちょっと動かすよ…出でよワーム!我をドリアードへ導け!」


ドドドドド ズドーン


剣士「一匹動かした」

エルフゾンビ「この大きさのワームが無数に潜んで居るのか?」

剣士「そうだね…何匹居るのか見当もつかない」

エルフの戦士(フフ…10年の仕込みか)

剣士「ドリアードに気付かれたく無いから静かに行こう…進めワーム!」


モソモソ ズズズ


剣士「あっちだ…この辺は静かだね」スタスタ

女オーク「視界が悪いし不気味だわ…」キョロ

エルフゾンビ「深夜を回った…恐らく丑三つ時」

剣士「少し遅れたけど時間は十分さ…みんな覚悟は良いかな?」

エルフゾンビ「何を今更…」

剣士「ワームが狭間に消えた…ドリアードはすぐ其処だよ…行くよ?」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 10:11:23.55 ID:KbfSVIxh0
『食虫生物ドリアード』


アーングリ…


剣士「うわぁでか!!…派手な花だなぁ」

エルフゾンビ「情報屋から聞いた話と随分違うが…」

剣士「これ入り口って花びらの真ん中…かな?」

エルフゾンビ「中に入るには食われる必要があるのだな」

エルフの戦士(くぅぅ…臭い…燃やしてしまいたい)クラクラ

剣士「地面から出てるニョロニョロは触手かな?」

女オーク「この花…向こうの方にもあるわ」

エルフゾンビ「入り口は複数ある訳か…どうする?この大きさでは茎を切断するには無理がある」

剣士「まったく動く気配が無いから僕達に気付いて居ないんだろうね…どうしよっかなぁ」


プシューーー モクモクモク


エルフの戦士(うぅぅ…この匂いが…)クラクラ

剣士「アハハこいつゲップした」

女オーク「私達を虫だと思って匂いで誘って居るのよ」

剣士「それなら好都合…行って見よう」

エルフゾンビ「思い切りの良い選択だ…帰りはお前次第だぞ?」

剣士「大丈夫!!自信がある!!」

エルフの戦士(フフ…)

剣士「4人同時に花の真ん中に飛び込もう…多分ただの食虫植物だ」

エルフゾンビ「お前が合図しろ」

剣士「おっけ!!3…2…1…飛んで!!」ピョン


バクッ


剣士「アハハハ…想像通りでバカみたい…ドリアードって相当頭悪い」

エルフゾンビ「退路は無いぞ?」

剣士「こんなの爆弾で直ぐに穴開くよ…これ多分ね…今まで外敵に入られた事無いんだよ…だから守備がザルなんだ」

エルフゾンビ「なるほど…」


精霊樹はさぁ?外敵から身を守る為に森の声を使って動物たちやエルフに守って貰ってるのさ

ドリアードは毒の沼とか毒の霧で身を守った結果外敵が進入した事が無い

だから守りに工夫が無いんだよ

精霊樹と違う点は触手を使って能動的に動けるくらいなんじゃ無いかな?


剣士「これ思ったより簡単に攻略出来るぞ?」

エルフゾンビ「そうか?なら急ぐぞ」

剣士「明かりを付ける…照明魔法!」ピカー


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30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 10:12:30.90 ID:KbfSVIxh0
『喉部』


スタスタ


エルフゾンビ「壁面に小さな虫が大量に…」ワサワサ

剣士「ここで繁殖してるのさ…そういう場所は多分安全…ドリアードは大きな虫だけ捕食する感じだね」

女オーク「随分長い下り坂ね」

剣士「地図通りだよ…500メートルくらいの長い下り坂…その奥に胃部だ」

エルフゾンビ「抵抗が無いが…一応抜刀しておく」スラリ

剣士「僕達を虫だと思ってるだろうからしばらく何も起きないと思うよ」

剣士「この喉部を通過すると多分退路が次々閉じて行く仕組みさ…虫が戻って行かない様にね」

剣士「きっと感覚は足元にある」

女オーク「剣士の言うとおりね…後方の壁面が押し出して来てる」

剣士「胃部は何も無い広い空間…そこにもしかすると大型の虫が捕食されてるかもしれない」

エルフゾンビ「では胃液で浸されているかも知れんな」

剣士「うん…強い酸だろうから気を付けないとね」

エルフゾンビ「浸されている酸をどう気を付ける?」

剣士「あああ心配しなくて良い…変性魔法で酸の物質変換が出来るから問題ない…むしろ触媒が増えて嬉しい」

女オーク「なんかすべて剣士に良い条件になって来て居るわね」

剣士「そう思うよ…10年も待つ必要なんか無かった様に思う」

女オーク「奥が開けて来たわ…向こうが胃部ね?」

剣士「大きな虫が居るかもしれないから一応注意して」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 10:13:41.02 ID:KbfSVIxh0
『胃部』


ジャバジャバ シュゥゥゥ


剣士「思った通りだ…大きな虫が沢山」

エルフゾンビ「待て…何故虫の体が損傷しているのだ?バラバラになるまで虫同志が戦っているとでも?」

剣士「あれ?本当だね…なんでだろう?」


ググググ


女オーク「今来た道が塞がった…」

剣士「何か仕掛けが有るかもしれない…」キョロ

エルフの戦士(上だ…ひだ状の物が伸びて来る)

エルフゾンビ「あれに刻まれるか…」スチャ

剣士「消化の前に嚙み潰す器官ががあるのか…これマズいな」

エルフゾンビ「どうする?」

女オーク「身を隠す場所が無い!!今の内に先に進め無いの?」

剣士「核の有る場所はこの次の心臓に当たる部分…探す必要がある」

エルフの戦士(ひだが次々降りて来るぞ…)

剣士「どうするどうする?…ここで蟲を破裂させると巻き添え食らう…どうする?」

エルフゾンビ「戦うしかあるまい」スチャ

剣士「待って…どんぐりでクヌギの木を成長させられる…木の陰に隠れて!虫を爆発させる」

女オーク「ひだが動き始めたわ!」

エルフゾンビ「あれは触手だ!!目を持って居るぞ」

剣士「木に隠れて!!」チャキリ ターン ターン ターン ターン

剣士「成長魔法!」グングングン ワサワサワサ

剣士「木の陰に!!」

エルフゾンビ「回避!」シュタタ

エルフの戦士(…)シュタタ

女オーク「…」ダッ

剣士「ダンゴムシ!!爆ぜろ!!」パーン!

剣士「火炎魔法!」ゴゥ


チュドーーーーーーン  ドサドサドサ


エルフゾンビ「うぐぅ…木が持たん!!」ミシミシ


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32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 10:14:39.57 ID:KbfSVIxh0
『胃部_爆発後』


剣士「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

エルフの戦士(つつつ…)

エルフゾンビ「爆発の程度は調整出来んのか!」

剣士「ゴメンこんなに破裂すると思って無かった」

剣士「皆耳は聞こえる?」

エルフの戦士(もう一度回復を…目がやられている)

剣士「回復魔法!」ボワー

女オーク「私も…耳がおかしい」

剣士「回復魔法!」ボワー

エルフゾンビ「これで内部に外敵が進入したと気付いた筈だ…何が来るか分からんぞ」

剣士「うん…急ごう…地図だと左奥の方だった…照明魔法で行き先を記すから走って」

エルフの戦士(何かの気配!!私は援護に回るから行って)

剣士「こっちだ!照明魔法!」ピカー

エルフゾンビ「なんだアレは…敵か?異形の生物…」

エルフの戦士(行って!!私が射撃する)ギリリ シュン


異形の生物「ジュルルル…」ピョン クルクル シュタ


エルフの戦士(早い…あの動きはエルフ!!どうして…)

エルフゾンビ「剣士!先に行け!!あの異形を足止めする」シュタタ

剣士「女オークこっちだ!!」グイ シュタタ
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 10:16:23.43 ID:KbfSVIxh0
『胃部_隔壁』


剣士「多分ここだ…どんぐりで無理やりこじ開ける」ツメツメ

女オーク「あの異形の生物…壁面から湧き出て来る…」

剣士「成長魔法!」グングングン メキメキ

剣士「開いた!!ぬぁぁ…又隔壁だ…」ツメツメ

女オーク「私も異形の足止めで戦う!!」ダダッ

剣士「成長魔法!」グングングン メキメキ

剣士「ぐぁぁぁ又隔壁…」ツメツメ


タッタッタ


エルフゾンビ「あの異形は手強い…武器は持って居ないが壁面からどんどん湧いて増える」

剣士「分かった…睡眠魔法を使う…エルフの戦士と女オークをお願い」

エルフゾンビ「寝たら起こせば良いのか?」

剣士「チチンプイプイ アブラカタブラ メスメライズ…広範囲睡眠魔法!」


モクモクモク


女オーク「ぁぁぁ…」フラフラ

エルフの戦士(ん!?)ボーー

剣士「2人を連れて来て守って…僕は隔壁こじ開ける…成長魔法!」グングングン メキメキ

剣士「くそぅ!!何枚あるのか…」

エルフゾンビ「エルフの戦士!しっかりしろ!…女オーク来い!」グイ

女オーク「…」フラフラ

エルフの戦士(…)ボー

エルフゾンビ「次の異形が壁から出て来る…キリが無いぞ?」

剣士「2人を隔壁の中に…爆弾を使うから耐えて」

エルフゾンビ「女海賊の爆弾だな?」

剣士「うん…さっきよりは小さいと思う…早く隠れて」

エルフゾンビ「想定外に抵抗が有ったな?」

剣士「やっぱり只の食虫植物じゃなかったね…ちょっと焦ってる」

エルフゾンビ「まだ手は残って居るな?」

剣士「有る…でも破壊力が今までの比じゃ無いから最後の手段にしてる」

エルフゾンビ「そうか…早い所後ろの奴を吹き飛ばして奥へ進もう」

剣士「よし隠れたね?行くよ?火魔法!」チリチリ ポイ


ピカーーーーー チュドーーーーーン パラパラ
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 10:17:26.45 ID:KbfSVIxh0
『隔壁の通路』


ペシペシ

エルフゾンビ「起きろ!!おい!!」ペシペシ

エルフの戦士(ハッ!!何が起きた?)

エルフゾンビ「睡眠魔法だ…オークの女を起こすのを手伝ってくれ」

エルフの戦士(私が眠るとは…今どうなって居る?)

エルフゾンビ「爆弾を使って異形の生物を倒したのは良いが土砂が入って退路が断たれた」

エルフの戦士(崩れたのか…)

エルフゾンビ「どうやらドリアードは爆発よりも高熱に弱い様だ」

エルフの戦士(この通路はこじ開けた隔壁だな?)

エルフゾンビ「クヌギの成長がねじ曲がって狭い通路になっているが身を隠すのに丁度良い」


メキメキメキ


剣士「やったぁ!!開けたぁぁ!!」

エルフゾンビ「女オーク!起きろ!」ユサユサ

女オーク「すぅ…」zzz

エルフゾンビ「仕方ない…背負うか」グイ
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 10:18:52.08 ID:KbfSVIxh0
『核部』


剣士「見つけた!!アレだ…あのエリクサーの下に遣ってる機械がアダムだ」

エルフゾンビ「ここには敵が居ない様だ…どうなっているのか」スタスタ

剣士「きっと外敵を排除する為の守りは消化器官にあるんだよ…崩落したのが逆に良かった」

エルフゾンビ「私とエルフの戦士で見張りをやる…直ぐにアダムを破壊しろ」

剣士「そうだね…今すぐにやる…ああああああ!ここにはダンゴムシが入って来て無い」

エルフゾンビ「例の爆弾でやれば良いだろう」

剣士「エリクサーが邪魔だ」

エルフゾンビ「何とかしろ!他の出入り口が無いか見回って来る」シュタタ


えーとエリクサーは何に変性出来るんだ?

材料は何だっけ…クヌギの樹液と蒸留酒…松脂と…骨粉か

他の転換物…えーと…えーと物性値が分からない…計算すると時間が掛かる

だぁぁぁ液体にしかなりそうにない…まてまて…凍らせられれば個体になる

いや無理だアルコール値が高い…絶対零度なんか使えないし…どうするどうする?


剣士「そうだ!燃焼させれば良い…気化させる熱量をどうする?僕の魔法じゃあの量を気化させるのは無理…」

剣士「爆弾を使って散らす…これもダメだ…あの量を吹き飛ばすのは感覚的に無理だ」

剣士「くそう!これしか無いか…こんな所で量子転移なんか使いたく無かったけどコレしかない」


エルフゾンビ「剣士!奥にも何処かに繋がって居そうな通路がある…敵が来る前に早く破壊しろ!」


剣士「分かったよ…そこの通路に居て…僕もそっちに逃げるから」タッタッタ

エルフゾンビ「エルフの戦士!壁面から離れるんだ…微妙に動いている」

エルフの戦士「!!?」ズザザ

エルフゾンビ「剣士!!何をしている!!早くしろ」

剣士「いのりの指輪…どうか僕を守って!!量子転移!!」シュン


ザバァァァァ 


剣士「よしよし壁に穴が開いて液面が下がってる…機械が露出するぞ」

剣士「エルフゾンビさん通路の奥に走って!!爆破する!!火魔法!」チリチリ ポイ

剣士「走ってぇぇぇ!!3…2…1」


---未来---


剣士「え?」


ピカーーーーーー チュドーーーーーン


剣士「どわぁぁぁぁ…」ゴロゴロ


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36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 10:20:30.93 ID:KbfSVIxh0
『爆破後』


ズドドドドド


剣士「…」

剣士「……」

剣士「………」


エルフゾンビ「何をしている!!崩落に巻き込まれる…来い!」グイ

剣士「…」---今の声は…---

エルフの戦士(行き止まりだ…隔壁で閉じている)

エルフゾンビ「又閉じ込められたか…ええい!重い女め!!」ヨッコラ

女オーク「う〜ん…」パチ ムクリ

エルフゾンビ「剣士!又隔壁だ…こじ開けろ」

剣士「…」---パパだ---

エルフゾンビ「何を呆けている!」

エルフの戦士(見て!!隔壁が動いてる…これは開くぞ?)

エルフゾンビ「剣士!しっかりしろ!脱出だ…今は呆けている場合では無い」

剣士「え…あぁ…動転してた」

女オーク「何が起きているの?」

エルフゾンビ「お前は剣士の魔法で寝ていたのだ…説明している暇は無い…武器を持て」

女オーク「は…はい」スラーン

エルフの戦士(この通路…さっきの隔壁と同じ構造だ…全部開こうとしてる)

エルフゾンビ「…という事は別の胃部に繋がっている可能性がある」

エルフの戦士(正解…向こう側に異形の生物が見える)

剣士「見せて…本当だ…奥に見える」

エルフゾンビ「突っ切るか?」

剣士「そうだね…別の入り口があるならそこから上を目指そう…でも待って!ダンゴムシを破裂させるなら今がチャンス」

エルフゾンビ「入り口がまた崩壊しないか?」

剣士「隔壁が開き切ると身を隠す場所が無い…また爆破に巻き込まれたい?」

エルフゾンビ「なら早くやれ」

剣士「うん…すべてのダンゴムシ!爆ぜろ!」パパパパーン

剣士「火炎魔法!」ゴゥ


チュドーーーーン

チュドーーーーン

チュドーーーーン


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


剣士「すべてのワームに命ずる!ドリアードの根を食らい尽くせ!」


ズズーン グラグラグラ
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 10:21:20.47 ID:KbfSVIxh0
『隔壁の通路』


モクモクモク


剣士「煙が収まった…行けそうだ」

エルフゾンビ「走る!来い」

剣士「待って…まだ何か動いてる」クンクン

エルフの戦士(気配が増える…20以上…もっと居るかもしれない)

剣士「壁面から湧いてくるあの異形の生物はドリアード化した人たちかも知れない」

エルフゾンビ「アダムが居なくなりドリアード化で夢を見る意味が無くなったか…笑止千万」

剣士「ダンゴムシはもう使えない…爆弾は壁が崩落するから突破するしか無いね」


ズゴーーーン ズズズ


剣士「ワームが暴れてる…行けそうだよ!突破しよう」

エルフゾンビ「出るぞ…先行する!付いて来い!」シュタタ


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38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 10:22:40.79 ID:KbfSVIxh0
『胃部』


異形の生物「ぎょぎょぎょ…ぴょるぁぁ」ヨタヨタ

エルフゾンビ「さっきの異形とも違う…これは貴族が戻った姿だな?」ブン スパ

剣士「素早いのも居る…気を抜かないで」シュタタ スパ

異形の生物「きゃぁぁぁぁ…」ドタリ

剣士「ここダメだ…入り口が真上にある…天井から落ちるタイプだ」

エルフゾンビ「ええい!囲まれるぞ!!」

剣士「逆側だ!!排泄する器官から出られるかもしれない」

エルフの戦士(触手が伸びて来て居る…どうする?)

剣士「どうしても脱出が困難な場合はワームを使って突破する案がある…今は排泄器官に行って見よう」

エルフゾンビ「しかしどの方向か?」

剣士「消化液の流れて行く方向だよ…あっちだ!!付いて来て」ダダ


異形の生物「うぐぅぅ…居た…あれか…」ズルズル


エルフゾンビ「剣士!先に行け…私が時間を稼ぐ」

剣士「気を付けて!!」シュタタ

異形の生物「あ…兄者…何事かと思えば…又兄者が何かをしたね?…」

エルフゾンビ「何!?お前は…」

異形の生物「これは…どういう事なんだい?…ぐぅぅぅ何かしたよね?…兄者だよね?」

エルフゾンビ「私に弟は居ない…」スタ

異形の生物「又…僕を…置いて行く…どうして僕の前を行こうとするのさ…」

エルフゾンビ「人違いだ…私に構うな」---お前を救ってやりたかった…これが成れの果てか---

異形の生物「兄者!!兄者!!」ズルズル

エルフゾンビ「…お前はどうにか生きろ…さらば」シュタタ


異形の生物「ぅぅぅ何故…ドリアード化が解かれたんだ?…寒い…寒いぃぃ!!」


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39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 10:24:05.08 ID:KbfSVIxh0
『腸部』


ブシュ! ザクリ!


異形の生物「ほげぇぇぇ…いでぇぇぇ」バタバタ

エルフゾンビ「追っ手はこれで最後か?しかしキリが無い…」フゥ

エルフの戦士(更に地下深くに進んで居るが…これで出られると思うか?)

エルフゾンビ「厳しいだろう…だが異形が増え過ぎて居る…もう戻れん」

剣士「分かって来たよ…この器官は消化液を吸収する器官だ…虫の死骸は胃で全部吸収するんだ」

エルフゾンビ「…という事は行き止まりだな?」

剣士「恐らく…さて困ったなぁ」

エルフゾンビ「ワームを使った突破案はどうした?」

剣士「この辺はワームが入って来て居ない…つまり外側は土じゃ無くて岩盤だよ」

エルフゾンビ「引き返すしか無いと…」

エルフの戦士(ここを見ろ…床面の傷んだ部分へ消化液が流れて行っている)

剣士「ダンゴムシを爆発させて入った亀裂だろうね」

女オーク「そこに消火液が流れて行くだけの空間があると言う事だわ」

剣士「あと一個…爆弾がある…亀裂を広げて見ようか?」

エルフゾンビ「やるしか無いだろう…今更戻れん」

剣士「わかった…亀裂に爆弾を落としてみる…離れて伏せてて」

剣士「行くよ?火魔法!」チリチリ コロン


コロン コトン ヒュゥゥ チュドーーーーン


エルフゾンビ「うぉ!!足場が…」


ガラガラガラ ドサドサドサ


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40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 10:25:28.30 ID:KbfSVIxh0
『地下水脈』


サラサラサラ 


剣士「うぅぅ…回復魔法!」ボワー

剣士「皆どこ!?声を出して!!」

女オーク「こ…ここよ」ガラガラ

剣士「回復魔法!」ボワー

女オーク「ありがとう…無事でよかった」

剣士「エルフゾンビさんとエルフの戦士は何処だろう?」

女オーク「上ね…亀裂の中腹で引っかかってるみたい」

剣士「照明魔法!」ピカー


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エルフゾンビ「光だ…あそこだな…エルフの戦士!背に乗れ」

エルフの戦士(済まない…腕の怪我が酷い様だ…早く回復魔法が欲しい)ドクドク

エルフゾンビ「私も足を損傷した様だ…もう一度落下するから私をクッションにしろ」

エルフの戦士(急いでくれ…押さえても血が止まらない)ボタボタ

エルフゾンビ「行くぞ」ズルズル



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ヒュゥゥゥ ドサリ
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 10:26:29.13 ID:KbfSVIxh0
エルフゾンビ「ヴヴヴ…エルフの戦士に回復魔法を…失血死する」

剣士「あ!うん…回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

エルフの戦士「ハァハァ…」グター

剣士「エルフゾンビさんも…回復魔法!」ボワー

エルフゾンビ「フフフフ…ハハハハハ…なんとかなったな?」

剣士「まだやらなきゃいけない事がある…森の虫達に命令をしなきゃいけない」

エルフゾンビ「そうか…中々に忙しい」

剣士「僕が想像していたよりもドリアードは大きくて頑丈だったんだ…ワームだけじゃ食い尽くせない」

エルフゾンビ「エルフの戦士…立てるな?」

エルフの戦士(なんとか…)ヨロ

エルフゾンビ「私の常備薬を一口飲め…精霊樹のエリクサーだ」

エルフの戦士(…)クイ ゴク

エルフゾンビ「この地下水脈の行先は想像つくか?」

剣士「エルフの森…」

エルフゾンビ「恐らくな?随分安全に行けそうでは無いか…直に夜明けだ…水脈を下るぞ」

剣士「女オーク…行こうか」スタ


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その夜

死の森の浸食が収まるかと思いきや

状況は一向に変化する事無く

むしろ異形の生物が徘徊するようになった

更には大人しかったドリアードが暴れ出し

無数の触手がうねり狂うその姿は

精霊樹の森から視認できるほど巨大であった

まだ戦いは終わらない…
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