高木さん「黒より黒く。闇より昏き漆黒に……」西片「えっ……?」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/19(火) 21:00:53.55 ID:w5FrF77LO
「今日はこれで勝負だ!」
「トランプ?」

日も短くなり徐々に肌寒くなってきた秋口。
衣替えも終わってオレは着慣れた学ランに袖を通して、隣の席の高木さんもまた冬服姿。
薄手の生地の夏服の季節は目のやり場に困ってしまうこともあったが、もうひと安心だ。

「ふっふっふっ……まあ、見ててよ」
「もしかして、マジックをするの?」

そう。実は密かにマジックを練習していた。
全ては今日、この時のため。高木さんの驚いた表情を見たいがため。今日こそは勝つぞ。

「さあ! どれでもいいから選んでごらん!」
「じゃあ、これ」

裏返しにして扇状に広げたカードの中から1枚選んで貰う。ここまでは種も仕掛けもない。

「絶対に忘れないように覚えておいて」
「うん、覚えたよ」
「じゃあ、そのトランプをこの上に置いて」

山札を半分に分けて適当に二等分してから。
下半分のカードの1番上にカードを置かせる。
さあ早く、そのカードを置くんだ高木さん。

「これでいい?」

ここだ! カードを置くために高木さんが目を伏せた一瞬の隙。その隙に上半分のカードの1番下を盗み見ておく。完璧だ。自分が怖い。

「じゃあ、シャッフルするよ」

何食わぬ顔をしてオレが覚えたカードを下にして高木さんが選んだカードを挟み込む。
シュッシュッとカードをシャッフルする。
もちろん高木さんの選んだカードとオレが選んだカードの位置関係が変わらないように細心の注意を払いながら。ここが難しい所だ。

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