このスレッドは950レスを超えています。そろそろ次スレを建てないと書き込みができなくなりますよ。

【安価・コンマ 】ロボットのパイロットとして生きる【オリジナル】

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450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/08(月) 20:22:17.48 ID:/sMOoB9Z0
あー!やっぱり同じ人か、あのスレも好きだった。堅実で、なんというか展開に地に足がついてて、安心して読めた
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/08(月) 20:26:25.13 ID:V2hf4nYH0
アルジオット・バウエル
74歳 男
厳格でやや怒りっぽい。狡猾な知恵者
痩せこけたミイラのような老人だが未だ覇気に満ちており眼光鋭い。裏で悪どい事もやってはいたが兵器産業だけを重視しない安定した経営を行っていた
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/08(月) 20:50:28.94 ID:vltBWIjl0
>>450
ありがとうございます。よければ今回もお付き合い下さい。


「うーん、綺麗な海!」

カズミは照りつけるような陽射しの中、真っ白な砂浜に水着姿でいた。

「うみはいってもいい?」

エヴァがカズミにそう尋ねた。

「もちろん!」

何故カズミ達がこんなところにいるのかと言うと、そのきっかけは数日前に遡る。

とある日のこと、大統領から特務機関に任せたい人物がいると告げられ、シエラ=レオネはその人物と話も兼ねてブルトニア国内でも屈指の高級レストランでディナーを摂っていた。

「君がシエラ=レオネさんか?」

大して子供と背丈も変わらない、しかし胸元まで伸びた髭を蓄えたその老人は遅れてやってきたことを謝りながら席に着いた。

「はい。あなたは...パウエル・インダストリの前社長、グラジオラ・パウエルさんでよろしいですか?」

「ああ。君は世間話は好きかな?」

「いえ」

「ハハハ、正直じゃな。では本題に入ろう。君と会う機会を設けてもらったのは他でもない、特務機関に頼みたいことがあるのじゃ」

目の前の老人が不用意に特務機関の名を口にした事に驚きながら、シエラ=レオネは周りを見渡す。

「安心しなさい、ここはパウエル・インダストリ傘下の会社が経営している。ここで話されたことが外に漏れることはない」

「...人の口に戸は立てられませんので」

「慎重なんじゃな、それも当然か、まあよい。それで頼み事なんじゃが」

すると老人は一枚の写真を取り出した。

そこにはメガネをかけ、マスカット色の髪を後ろで一つにまとめた20歳ほどの女性が写っていた。顔立ちは端正でどこか近寄りがたさも感じられる。

「ご息女のミツキ=パウエルさんですね」

「知っとるか」

「ええ、色々とお噂は伺っております。コストや採算を度外視した兵器をよく開発しているとか」

「うむ、ワシの血の影響が色濃く出ているようじゃな。その点に関しては別に気にしておらんのだが、問題は若さも相まってかあの娘は中途半端に有能なのじゃよ」

「中途半端、ですか?」

「うむ。例えば有能な経営者は既存の市場に変化を加えるときや、新たな販路を確保する際には関係各所に対する根回しは欠かさないものだ。むしろそうしないと不可能とも言える」

するとグラジオラはため息をついた、それもかなり深く。

「じゃがミツキはその自信家な性格も相まって、根回しなしに交渉を取り付けることができる。それはそれでいいんじゃが、しかし根回しがないと競合会社や関係者は不満を抱く事になる」

「関係者の協力や同意を取り付けることの重要性に関しては私もよく存じています」

「そうか。まぁ、つまり、娘はなまじ有能が故に強引に交渉を成立させ、周りのものから恨みを買ったということじゃ」

「よく聞く話ではありますね。それでその相手というのは?」

「それなんじゃが──」

ミツキが恨みを買ったのは?国あるいは組織を挙げてください。既存のものでなくてもいいですが、その場合は簡単な解説をお願いします。
↓1
453 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/08(月) 20:57:11.07 ID:/sMOoB9Z0
トバルカイン・テクノロジー
バウエル・インダストリの下請け企業の中でも最大の会社。無茶な兵器生産のしわ寄せを受け続けた
似た境遇の企業を抱き込んで反バウエル連合を秘密裏に結成している
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/08(月) 21:01:37.75 ID:V2hf4nYH0
>>188のスパイヤーズ開発チーム。ビーム兵装に対応した発展機を開発していたのだが全然予算が回されず冷遇されてキレた
ハイオネル・ファミリー(>>306)に引き抜かれてスパイヤーズの事実上の後継機を開発したらしい
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/08(月) 21:45:57.41 ID:13xprpCvo
(>>86バウエルでしたねお名前。見間違えすまん)
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/08(月) 21:53:50.39 ID:vltBWIjl0
自分もパウエルと間違えてました、すいません。

「トバルカイン・テクノロジーじゃよ」

「御社の下請け企業ですね」

「うむ。ワシの時代も相当苦労をかけたが、ワシ以上に娘が新しい契約を取ってきては受注数や仕様を変えるもんだから、もう耐えられんと怒り心頭のようじゃ」

「ですが下請けと親会社の対立など我々を呼ぶほどのことではないと思いますが」

「通常ならな。ワシにもいくつか情報の伝手があるのじゃが今回はどうもそう甘くないようで、他の下請けや孫請けも巻き込んで、ミツキを暗殺し、自分達に有利な新体制を作り上げるつもりのようじゃ」

「獅子身中の虫ということですね、それも1匹だけではないと」

「そういう事じゃ。警察に頼れと言ったんじゃが耳を貸さなくてな。かといって本人の要請なしに警察が動くとは考えられないし、どうしようかと悩んでおったら、大統領が紹介してくれたというわけじゃ」

「なるほど...ではご息女の護衛をお引き受けしましょう。報酬についてはよろしくお願いしますよ」

「もちろんじゃ。バウエル家の名にかけて、恩人に無礼な真似はせん」

その後シエラ=レオネはグラジオラと雑談を交えながら食事をとり、レストランを後にした。

そして車で特務機関の基地に戻っている際に、更に数日前のアルジオット大統領との会話を思い出していた。

「どうやらガーディアンオブエデンはとある記者を追っているようです」

「...記者、か?」

「はい。何でもその記者はソラ・テックを探っているようです」

「とっくにこの地上から消え失せたソラ・テックをか?確かにあの会社については色々と謎が多いが...」

ソラ・テック──初めてメルクリウスを発見した会社であり、一時は惑星エデンを統一しかねないほどの影響力を持っていた。しかしその力を恐れた数多の国家、組織や会社によって襲撃され惑星エデンから姿を消した。かの有名な『バニシング・インシデント』だが、その際に襲われたはずの本社は今も見つかっていないらしい。

「一体何が目的だ、『ソラの遺産』か?だがそんなものあるかどうかも疑わしい」

「そこまでは何とも。ただ言えるのは我々も奴らを追うべきだという事です。しかし...」

大統領が言葉に詰まったシエラ=レオネを睨む。顔は痩せこけているが、それに反して眼光は鋭く、数々の政争を生き抜いてきたことを窺わせる。

「何だ」

「記者の居所が掴めず...何でもソラ・テックの本社を見つけたと会社に伝えてから連絡がないそうです。...申し訳ない事にソラ・テック本社がかつて位置していた場所は掴めておりません」

その言葉を聞いて大統領は歪んだ笑みを浮かべた。

「ふっ、それなら丁度いい相手がいる。あのメカニック馬鹿なら少しくらい何か知っているだろう。アイツに貸しを作るのも悪くない」

と、このように複雑な経緯のもと特務機関はミツキ=バウエルの護衛を務める事になった。

そして彼女が特務機関の助言も聞かず、息抜きと称してリゾート国家のヒューシャルに赴いたため、カズミを含めた特務機関の人員も南国の島にいるという訳である。
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/08(月) 22:26:12.16 ID:vltBWIjl0
海に入っていくエヴァを見ながら、カズミはビーチパラソルの下でくつろいでいるミツキに声をかけた。

「あのー、ホントにこんな事してていいんですか?」

「いいに決まってます。何せ私は一仕事やり終えたんですから。暗殺だか何だか知りませんが、とにかく私の邪魔はしないで欲しいものですね」

辺りの売店で買ったココナッツジュースを飲みながら発したその言葉に、カズミは苦笑いで答えることしかできなかった。

そしてミツキに呆れているのはカズミだけではなかった。

「こちらとしては辛い状況だな。守るべき対象に、守られる気がないとは」

離れたところで周囲の安全を確保しているオルデンリッジが無線越しに呟いた。

「まったくだ。親の忠言さえも無視するとは生意気な娘だと言わざるを得ない。そう思わんかね、ガルー」

「バーネットの言うことも分かるけどよ、俺はあの自信に満ちた態度はいいと思うぜ」

「ハッ、あれは自信ではなく虚勢というのだよ。全く、長官がこの場にいればガツンと言ってくれたであろうに」

遠くにいるのでバーネットの表情はカズミには見えないが、不機嫌な様子が口調から十分窺える。

「愚痴を言っても仕方ない、長官は本部で仕事だ。とにかく、俺たちの任務は彼女を守ることだ。気を引き締めておけ」

「「「了解」」」


ヒューシャルにいる間に起きた出来事を安価で募集します。
些細なこと(どんな会話をしたとか)でもガッツリ物語に関わるものでもいいですが、敵の襲撃だけはなしでお願いします。

↓3までで1番コンマの値が高いもの(可能そうであれば他のものも組み合わせます)

短いけど今日はここまで。
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/08(月) 22:34:24.74 ID:/sMOoB9Z0
乙でした
ミツキさんのPEMトーク、アブマットシリーズをこき下ろす
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/08(月) 22:41:08.94 ID:EpkyPpS80
地元のヤンキーに挑発されたガルーがビーチボールバレーに挑む
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/08(月) 22:49:37.45 ID:EpkyPpS80
あっ乙忘れ失礼しました
安価下
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/08(月) 22:50:09.74 ID:AR+8a7GZ0
決まりそうだけど

エヴァと海に関する話し合い
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/08(月) 22:54:45.64 ID:vblHpPgU0

ライ・サンダー、休暇で海に来る。カズミとニアミスし他の機関メンバーと友好的接触する珍事
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/08(月) 23:50:21.04 ID:13xprpCvo
おつー
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/09(火) 23:31:15.38 ID:D3zvrrWN0
質問、メルクリウスが発見されてからどれくらい経ってる設定?
PEMの開発が数十年前の話なのか百年以上前の話なのか知りたい
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/11(木) 19:56:46.17 ID:yJ1UrYoW0
メルクリウス発見の歴史は150年ほど、PEMの歴史は大体100年ちょっとだと考えてます。大まかには
第一世代:殆どパワードスーツで、単に人間に強化外骨格を装着しただけに近い
第二世代:少しロボット型に近づき、操縦者と外界は装甲によって隔てられている。操縦に関してはパイロットの手足の動きと同期しており、着ぐるみの中に入っているような感じ。大きさは2〜3m程度
第三世代:現在使われているPEMの標準型となった世代。サイズは10m程度まで巨大化し、同時に操縦はレバー等による操作に変化。
第四世代:フライングボードの発明によって空中機動が可能になった

こんな感じで、今はさまざまな改良等が進んでおり4.5世代といった感じですかね。ちなみにフライングボードの発明は60〜70年程前です。

>>459と、組み合わせられそうなので>>462も入れます。他のものも後々入れられそうなら入れます。


「何か騒がしいな...」

見張りを続けていたガルーだったが、何やら近くのビーチで口論している男女がいるらしい。

「少し様子を見てくるぜ」

通信越しにオルデンリッジの返答が聞こえたのを確認して、ガルーは声の聞こえてくる方に移動した。

「だから、何回も言ってますよね?私、今日は1人で過ごす予定なんです」

「エェー、そんなこと言わずにさぁ」

「そうだよ。ちょっとご飯一緒に食べるだけじゃん」

そこでは1人の女性が、サングラスをかけた男と派手な赤髪の男に絡まれていた。

「こりゃ見るからにナンパだな。...見過ごすのも何だし、助けてやるか!」

するとガルーは女性と男性たちの間に割って入った。

「お前ら、相手が困ってんだろ」

見るからにサングラスの男が不機嫌になる。

「ちょちょ、あんた誰よ?」

「別にそれは今問題じゃねえだろ。それよりさっさとどっか違うとこに行け」

すると赤髪の男がニヤリと笑った。

「わかった!この娘のこと、お前も狙ってんだな?けどそうはいかねえぞ、俺達が先に話しかけたんだ」

その言葉にサングラスの男も、そうだそうだ、と声をだす。

「そう言う訳じゃねえって...ったく」

「まだ言い訳すんのか!お姉さんもこんな奴より俺たちの方がいいよね!」

突然話を振られた女性は驚いたのか、それとも呆れたのか、何も言わなかった。

「こうなったら...」

そう呟いた赤髪の男が突然鞄に手を入れた。

何か武器を取り出すのかと警戒したガルーは素早く拳を構える。

「これで勝負だ!」

何と赤髪の男が取り出したのはビーチボールだった。

「これで勝った方がお姉さんとデートだ!」

ガルーは呆れて物も言えなかったが、しかし、ここで引き下がっては声をかけた意味もないと考えた。

「分かった。けど俺が勝ったら素直に諦めろよ?」

「おうよ!男に二言はない!なあ、相棒?」

「そうだ!」

↓1ヤンキー2人のビーチボールバレーの腕前は?
01〜60 素人
61〜90 そこそこ上手い
91〜 何故かプロ級だった
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/11(木) 20:01:49.19 ID:jaHty+oW0
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/11(木) 20:08:11.86 ID:yJ1UrYoW0
19 ヤンキー2人は素人

↓1
01〜20 ガルーの負け
21〜 ガルーの勝ち
468 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/11(木) 20:14:30.72 ID:p+dNHgqr0
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/11(木) 20:15:53.21 ID:xFm+WyuK0
>>465 ありがとうございます
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/11(木) 21:08:30.42 ID:yJ1UrYoW0
72 ガルーの勝ち

「っし、やったぜ!ヘルプありがとな、バーネット!」

ガルーはすっかり当初の目的を忘れて、素直に試合に勝利したことを喜んでいた。

「全く、何故私がこんな事に付き合うハメに...」

「まあまあ、いいじゃねえか。それより、これで文句ないな?」

息を切らしながら座り込む2人の男は首を縦に振った。

試合が終わったのを見て、女性がガルー達に声をかけてきた。

「助け舟を出していただき、ありがとうございました」

「いいって事よ。それよりアンタ...えーと」

「私はラ...いえ、ロイと言います」

ライは助けてくれた目の前の男性に悪いとは思いつつも、念の為に偽名を告げた。

「ロイさんか。厄介な奴らだったな?それにしてもアイツらが素直に従ってくれるとは、てっきり文句を言われるかと思ったぜ」

「ヒューシャルのビーチボールバレーの歴史は深く、かつては決闘の役割を果たしていたとか。だから勝敗は地元の人には絶対らしいですよ。多分彼らも地元の人なんでしょうね」

「そうなのか。ま、勝てたから何でいいけどよ」

「そうだ、助けてくれたお礼と言っては何ですが、飲み物でも奢りますよ」

「本当か!丁度喉が乾いてたんだよ」

するとバーネットがガルーに耳打ちした。

「今は任務中だぞ、さっさと持ち場に戻れ」

「分かってるよ、飲み物を受け取るだけだ」

「私は先に戻る。お前も直ぐに戻ってこい。ああ、それと、私の分も頼む」

「分かったよ」

そうしてバーネットは持ち場に戻った。

「それじゃあ、近くに売店があるのでそこでいいですか?」

「ああ。また誰かにちょっかいかけられても面倒だろうし飲み物を受け取るまで付き添うぜ」

2人は売店までの道のりを歩きながら、他愛もない雑談をかわす。

「それにしても、1人で南国とはめずらしいな?」

「...少し考え事をしたかったんです。自分の行いは正しいのかどうか」

「...大変そうだな」

2人の間に沈黙が流れる。

「...よく分かんねぇけど、自分のしたいことをすればいいんじゃねえか?」

「したい事、ですか?」

「ああ。正しさなんて誰も決められねえ。けどやりたいことは、少なくとも自分にならハッキリと分かるだろ」

しばらく考え込んだ後、ライは口を開いた。

「それもいいかもしれませんね。色々考えてみる事にします。それより売店に着きましたよ、どれがいいですか?」

「そうだなぁ...」

そうしてガルーは自分とバーネットの分の飲み物を受け取るとライに別れを告げ、持ち場に戻った。

そしてその日は何事もなく1日が終わった。
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/11(木) 21:09:07.73 ID:yJ1UrYoW0
その後も特に事件は起きず、気づけばミツキの休暇は最終日になっていた。

「ここがシーパークですか...」

カズミは周りにごった返している人の波を見ながら呟いた。

「ええ。私が1番楽しみにしていた場所です」

そう言うとミツキはいつもより足早に奥へと進んでいく。

そして何事もなく時間が過ぎ、そろそろ昼食の時間となった。するとそばに居たオルデンリッジから声をかけられた。

「カズミ、エヴァを連れて何かに乗ってきたらどうだ?一つだけなら構わんぞ」

「本当ですか!?でも...」

「昼食中は対象も動かないし、護衛も俺たち3人だけで十分だ」

「そうですか?うーん...」

↓1
1 エヴァを遊びに連れて行く
2 護衛を続ける
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/11(木) 21:12:25.18 ID:xFm+WyuK0
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/11(木) 21:37:37.01 ID:yJ1UrYoW0
1 エヴァを遊びに連れて行く

「ではお言葉に甘えて行ってきます!」

「ああ。楽しませてやってこい」

カズミはアイスを食べていたエヴァに近づいた。

「ねえ、エヴァ、何か乗りたい物ある?」

「にんむちゅうでしょ?」

「許可はちゃんともらったよ!」

「ふーん...じゃあ──」

エヴァは辺りをぐるりと見渡すと観覧車を指差した。

「あれがいい!」

「観覧車かぁ。よし、行こう!」

カズミはエヴァの手を引いて観覧車に向かった。

「2名様ですね、お楽しみ下さーい」

係員が観覧車の扉を開けると、2人はそこに乗り込んだ。

観覧車がゆっくりと上がっていく。

「たかいねー」

「だね!」

しばらくすると観覧車が頂上付近に達した。

「ほらほら、あれ見て!」

カズミの指差した方向は、日光でキラキラと輝く海が水平線まで続いている。

「ふおお...!キレイだね!」

「うん!そういえば海は楽しかった?」

「たのしかったよ〜。いつもはおよげないから」

(いつもは泳げない?)

カズミはエヴァの妙な言い回しに引っかかりながらも、特に口を挟まなかった。

「けど泳ぐの上手だったよ!」

「えへへ...でもお姉ちゃんもはやかった。こんどおしえてね?」

「勿論!」

「つぎはみんながのってたいたにものってみたい」

「サーフィンのこと?うーん、それは教えられないなぁ。ところで、観覧車はどう?」

「きにいったよ!アダムにもみせてあげたいなー」

「じゃあ写真撮ろっか!そしたら見せられるよ!」

そう言ってカズミは海を背景にエヴァの写真を撮った。

好感度
エヴァ 3 2/4→3/4

↓1
01〜40 異変に気づかなかった
41〜 異変に気づいた
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/11(木) 21:45:54.84 ID:0sxuNtQk0
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/11(木) 22:26:23.55 ID:yJ1UrYoW0
84 異変に気づいた

「うん、よく撮れてる!」

カズミは撮影した写真をチェックしていた。

するとその時、カズミの直感が突然働いた。
慌てて昼食を食べているミツキ達の方を見ると、レストランに何人か怪しい人物が集まってきている。

「こちらカズミ、不審な人物を数名確認しました。対象のいるレストランを取り囲むように動いています」

無線を聞いてオルデンリッジは周囲を見渡す。

「確認した。これから──」

その時突如銃撃が始まった。蜘蛛の子を散らすように人々が逃げ惑う。

「まずい、早く下に降りないと!」

観覧車が下に着くまでの間、オルデンリッジ達は無事なのかカズミは気が気じゃなかった。観覧車から降りると、エヴァに絶対に離れないように言いつけてから、レストランへと向かった。

カズミがレストランの近くに到達した時、銃撃は終わっておらず、弾丸が飛び交っていた。

「少なくとも誰かは生きてるってことだね、よし!」

その時オルデンリッジから通信が入った。

「カズミ、無事か!?」

「はい!そちらの状況は!?」

「全員無事だ、だがかなりの数に包囲されている!そっちは!?」

「丁度敵の背後に位置してます!」

「分かった!奴らに奇襲を仕掛けてくれ!それに合わせて我々も包囲を脱し、合流する!」

「了解!」

今日はここまで。

それとハイオネル・ファミリー(>>306)のフロント企業を募集します。名前をお願いします。概要はあってもなくてもどっちでもオッケーです。
↓1
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/11(木) 22:43:42.19 ID:xFm+WyuK0

【名前】グラディウスグループ
【概要】貿易業を中心に金融業・重化学事業を担う。最近はバウエル社の低迷を見て中央大陸のPEMシェアに食い込もうとするなど、とても野心的な動きを見せる
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/11(木) 22:50:36.11 ID:t4KBHNpj0
乙でした
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/11(木) 23:02:42.44 ID:83d7kaxR0
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/12(金) 00:29:17.11 ID:54GN3IsKo
おつおつ
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/12(金) 19:27:02.30 ID:AgZrwRfA0
↓1 敵の白兵戦の腕前は?
01〜20素人
21〜60 兵卒
61〜90 熟練
91〜 エース
481 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/12(金) 19:29:09.25 ID:D1Kz9/3Vo
ヌッ
482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/12(金) 19:32:53.34 ID:AgZrwRfA0
↓1
01〜20カズミ負傷
21〜50 拮抗
51〜 撃破
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/12(金) 19:37:51.91 ID:mmz7Hf/H0
484 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/12(金) 20:07:13.25 ID:AgZrwRfA0
91 撃破

カズミは近くにあったスタンドの陰に隠れると、ホルスターから拳銃を取り出した。そのまま、敵に気取られないように様子を窺う。

「自動小銃なんていつの間に持ち込んだんだろ...」

レストランを包囲している襲撃者たちは格好だけなら観光客と何ら変わらないが、全員がアサルトライフルやサブマシンガンで武装していた。カズミのそばだけでも敵の数は4、5人は居る。

「拳銃じゃ少し心もとないけど、奇襲で混乱させるぐらいは何とかなる!」

カズミはレストランに向けてアサルトライフルを乱射している敵に照準を合わせると、深呼吸をしてから引き金をひいた。

「グハッ!」

うめき声と同時に撃たれた相手が地面に倒れ込む。

「何だ!?」

「トミーがやられたぞ!」

混乱している隙をついて、カズミは更にもう一人に鉛玉をお見舞いした。

「マイク!?」

真横に居た仲間が倒れた事に気づいた相手は弾の飛んできた方向に視線を移し、カズミを発見した。

「後ろだ、あそこにいるぞ!」

男の声に合わせて、彼の仲間たちが一斉にカズミの方を向く。

「うう、まずい!」

直ぐに銃弾の雨がカズミ目がけて飛んできた。

「絶対に顔を出しちゃ駄目だよ!」

「はーい」

スタンドは何とか銃弾を防いでいるが、そう長くは持たなそうだ。
しかしその時レストランの方で動きがあった。

「まずい、奴らが動くぞ!ここから──」

そう仲間に忠告していた男は、オルデンリッジによってピストルで頭を撃ち抜かれた。

続けて周囲にいた襲撃者たちもバーネットやガルーによって射殺された。

「大丈夫でしたか!?」

カズミのもとまでやってきたオルデンリッジ達に声をかける。
幸いにも見たところ誰にも目立った外傷は無く、ミツキも無事のようだ。

「何とかな。とにかく今はシーパークから抜け出すとしよう」

「しかし奴らがそう易々と逃してくれるだろうか?この人数、恐らく出口は固められているぞ、オルデンリッジ」

「おいおいバーネット、弱気になってんじゃねえぞ」

3人の会話をよそに、ミツキは1人でブツブツと呟いていた。

「まさか本当に殺し屋を送ってくるなんて...。決めました、戻ったらトバルカイン・テクノロジー含め下請け共に誰が支配者か思い出させてあげましょう」

白兵戦技能
カズミ 兵卒 2/3→熟練
485 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/12(金) 20:10:08.08 ID:mmz7Hf/H0
>>戻ったらトバルカイン・テクノロジー含め下請け共に誰が支配者か思い出させてあげましょう

この件を乗り越えてもまた何かやらかしそうですね……
486 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/12(金) 20:13:59.87 ID:WTBaVUFd0
下請けおじさん「わからせなきゃ…(使命感)」
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/12(金) 20:14:26.56 ID:ERjNZGqX0
>>下請け共<<
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/12(金) 20:45:33.21 ID:AgZrwRfA0
カズミ達は追手から逃れる為にシーパーク内を移動しながら会話を交わしていた。

「ちなみに襲撃してきたのは一体?」

カズミの疑問に、周囲を見渡していたオルデンリッジが答えた。

「恐らくはハイオネル・ファミリーだな。何人か資料で見た顔が居た。おおかた金で雇われたんだろう」

それを聞いたミツキが呟く。

「ハイオネル・ファミリー...確か──」

と、その時、轟音と共にシーパークの外壁が崩れたかと思うとアブマットが目の前に現れた。

「武装したPEMだと!?どうやって持ち込んだ!」

「まずいぜオルデンリッジ!後ろから歩兵も来てる!」

「全く、どちらか片方だけならまだ何とかなったものを!」

バーネットはそう悪態をつきながら拳銃の弾倉を装填した。

そして何故かミツキも憤慨していた。

「何ですかアレは!アブマットじゃないですか!あんなものを私の目に入れないでくださいよ!」

「なんでおこってるの?」

「何って...あのシリーズ、コストやら運用の簡単さから随分と評価されてるみたいですが、私に言わせればゴミです、ゴミ!」

ミツキの口は全く止まる気配がない。

「ありとあらゆる設計が安定志向で、ロマンのかけらもあったもんじゃありません!PEM開発者ならもっと追い求めるべきものがあるでしょう!アブマットシリーズの設計者を目の前に連れてきてくれたら私がこの手でブチコロ──」

ミツキはハッとした表情になると、咳払いをした。

「...私としたことが、取り乱しましたね。とにかくあの機体は好きではありません」

そんなエヴァとミツキのやり取りをよそに、カズミは現在の状況が非常にまずいことを理解していた。

(このままじゃ絶体絶命...!)

その時カズミの目に入ったものがあった。

「オルデンリッジ先輩、私に考えがあります!」

「何だ!?」

「私がアレに乗って注意を引きつけます!」

カズミが指をさしたのはシーパークのアトラクション用のPEM、レインボーバードだ。

「確かに注意は引けるだろうが、アレは殆ど非武装だぞ!」

オルデンリッジの言う通り、レインボーバードの装備はごく簡素なブレードどペイントガンのみだ。

「でも機動性は抜群です、時間稼ぎなら!」

「本当にそれでいいんだな?もちろん対象を安全な場所に移したらすぐ援護に向かうが、それまで耐えられるか?」

「それは──」

↓1
1 レインボーバードに乗る
2 オルデンリッジ達と行動を共にする
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/12(金) 21:04:04.22 ID:WTBaVUFd0
1
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/12(金) 21:39:43.06 ID:AgZrwRfA0
「もちろんです!」

カズミは笑顔で答えた。

「分かった。俺たちが援護するから、合図をしたら走れ」

首を縦に振ったカズミはエヴァに視線を移す。

「みんなから絶対に離れたら駄目だよ!」

「うん。すぐアダムといっしょにもどるね」

カズミはエヴァの頭を軽く撫でると、オルデンリッジに準備が整った事を伝えた。

「よし...今だ、行け!」

そう叫ぶと共にオルデンリッジ達はそれぞれ歩兵とアブマットに銃撃を加え始めた。
それに呼応して、カズミは姿勢を低くしながらレインボーバードへと走っていった。

その背中を眺めながらバーネットが呟く。

「後輩、死ぬなよ」

「カズミならきっと大丈夫だぜ!」

↓1 敵パイロットの腕前は?
01〜20 素人
21〜60 兵卒
61〜90 熟練
91〜 エース
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/12(金) 21:40:36.37 ID:42Hwc8hk0
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/12(金) 21:55:55.81 ID:AgZrwRfA0
レインボーバードのもとにたどり着いたカズミは素早くコックピットに乗り込んだ。

「無事起動できた!特に不具合も...なし!」

アブマットは突撃銃を今にもミツキたちに放とうとしていた。PEM用の武器が人間に当たればミンチどころの話ではない。

しかしレインボーバードが起動した事に気づいたのか、カズミの方を振り返った。

「持ち堪えてみせる!」

視界の端にその場から去っていくエヴァ達をおさめながら、カズミは意気込んだ。

カズミ 熟練
敵 兵卒
援護が来るまで残り4ターン
↓1
01〜20 被弾
21〜70 膠着
71〜 敵にダメージを与えた
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/12(金) 21:56:14.50 ID:mmz7Hf/H0
a
494 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/12(金) 22:12:40.73 ID:AgZrwRfA0
50 膠着

アブマットがこちらに突撃銃を構えたのを見て、カズミはすぐに行動を開始した。

(きっとフライングボードで銃撃を防げるのは一回が限界...。ここぞと言うときに取っておかないと)

そう考えたカズミは建物の陰に隠れて銃撃をやり過ごした。
そのままアブマットが弾を交換している隙に接近し、攻撃を加える。

ブレードもここぞと言うときに温存しておこうと考え、カズミはアブマットに向けて右ストレートを繰り出した。

「防がれた...!」

しかしアブマットはフライングボードでそれを受け流した。

カズミ 熟練
敵 兵卒
援護が来るまで残り3ターン
↓1
01〜20 被弾
21〜80 膠着
81〜 敵にダメージを与えた

今日はここまで。
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/12(金) 22:15:25.97 ID:PI/2ldEVO
ほい
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/12(金) 22:16:27.16 ID:WTBaVUFd0
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/12(金) 22:16:34.16 ID:mmz7Hf/H0
乙でした
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/12(金) 23:33:37.89 ID:54GN3IsKo

強くなってるカズミ……!
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/14(日) 20:03:23.49 ID:2Vu4kzjH0
97 敵にダメージを与えた

アブマットはいつの間にか突撃銃をアックスに持ち替えており、振り上げた右腕をレインボーバードの頭めがけて振り下ろした。

「このくらいっ!」

カズミはステップで左に避けると、アブマットの右側頭部目掛けて左フックを繰り出そうとする。相手はそれに応じて防御態勢をとった。

「なーんてね!」

しかしカズミは拳を当てる事なく、右腰に提げられていたペイントガンに手を伸ばした。
そしてアブマットのカメラ部分はピンク色のペイントで染まった。

「今だ!」

ADMは左手にペイントガンを持ったまま右手でブレードを掴むと、狼狽えるアブマットの脇腹にそれを振るった。

通常のプレードならそのまま断ち切れたが、アトラクション用という事もあってかダメージを与えるにとどまった。

カズミ 熟練
敵 兵卒
援護が来るまで残り2ターン
↓1
01〜20 被弾
21〜70 膠着
71〜90 敵にダメージを与えた
91〜 撃破
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/14(日) 20:03:39.17 ID:rsaBg+7xo
ぬん
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/14(日) 20:24:48.82 ID:2Vu4kzjH0
17 被弾

ペイントで視界が塞がれたアブマットはアックスをひたすら振り回していた。
カズミが距離を取ったのと同時に、アブマットのカメラはウォッシャー液とワイパーによって元通りになってしまった。

すると敵は突撃銃で制圧射撃を加えながらフライングボードを展開し始めた。

「空に行かれると攻撃手段が...!」

しかし薄い装甲で近づくわけにも行かず、そのまま敵の滑空を許してしまったカズミは唇を噛んだ。
急いでフライングボードで後を追うが、アブマットは急旋回するとADMの方に進路を変え、銃弾を放ってきた。

「大丈夫、避けれる!」

そう思っていたカズミだったが、やがて異変に気づいた。

(機体がイメージ通りに動かない!?)

確かにレインボーバードは通常の軍用PEMよりは速い。しかしカズミはそれ以上の機動性を誇るADMの操縦感覚にすっかり慣れてしまっていた。

「駄目、直撃する!」

すれ違いざまに数発の銃弾をもらったレインボーバードの装甲はすっかりボロボロになっていた。

カズミ 熟練
敵 兵卒
援護が来るまで残り1ターン
↓1
01〜10 撃破された
11〜30 被弾
31〜70 膠着
71〜90 敵にダメージを与えた
91〜 撃破
502 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/14(日) 20:27:00.41 ID:gK40UfA50
a
503 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/14(日) 21:29:50.54 ID:2Vu4kzjH0
41 膠着

「空は駄目だ...!」

そう考えたカズミは、アブマットが再び戻ってくる前に地上に戻った。

「けど状況はかなり不味いまんまだよ!」

カズミが悪態をつきながら空を見上げると、旋回を終えたアブマットが彼女を狙っていた。

上空からとなると建物の陰に隠れるわけにも行かない。使いたくはなかったが、カズミはフライングボードを構えた。

レインボーバードの頭上を通り過ぎる際に放たれた弾は全てフライングボードが防いでくれたものの、もはや滑空もできないほどの状態になっていた。

再び突撃銃の銃口がレインボーバードを捉える。

「絶体絶命...!」

その時、突如アブマットの進行方向を塞ぐかのように複数の光線が奔ったかと思うと、そのうちの一本が胴体を貫いた。

そこにはカズミにとっては馴染み深い機体、ナルカミの姿があった。

「待たせたな、カズミ!」

「ガルー先輩!」

少し遅れて、クラックロードとダートの姿も見えた。

「流石は私たちの後輩だな」

「助かりました、間一髪でしたよ。ミツキさんは無事ですか?」

カズミの質問にオルデンリッジが答える。

「彼女なら特務機関が確保したセーフルームにいる、安全だ」

「よかった...」

そして何よりカズミを安堵させたのはADMも共に来ていた事。つまり、エヴァが無事だということだ。

「むかえにきたよ〜」

「いやー、間に合って本当によかった。僕の知らないところで死ぬなんて御免だからね、もう他の機体には乗らないよう頼むよ。さ、早くこっちに!」

アダムの言葉に従い、カズミはレインボーバードからADMに乗り移った。

「いやー、役人に賄賂を渡してPEMを持ち込んどいてよかったぜ」

「やったのはオルデンリッジだぞ。お前は何もしてないだろ」

「あはは...。でも、もう終わりですね」

「そうだな、そろそろ──」

すると、オルデンリッジの言葉を遮るように銃声が響いた。

「敵か!?」

銃弾が飛んできた方向にはアブマットの性能を全般的に高めた後継機であるカタラと、見慣れない黒塗りの機体がいた。

カズミは先手を打たれる前に黒い機体に向けてレーザーライフルを発射した。

「やった、直撃!」

レーザーは確かにコックピット部分の胴体に直撃した。

「...な、何で」

しかし傷一つとまでは行かないが、殆ど効いていなかった。

「何なんだあの機体は...どこかスパイヤーズに似ているが」

スパイヤーズと言えばバウエル・インダストリが開発した名機だ。総合的に優れており長年ブルトニア軍の主力として活用されていた。指向性エネルギー兵器の台頭により廃れた旧世代機ではあるものの、未だに使用されている。

「あれは...何処かの資料で見たことがありますね」

すると突然無線にミツキが割り込んできた。

「ミツキさん、どうやって!?」

「何やら見慣れない機体があったので、ドローンでその性能でも拝見しようかと。ああ、無線は暗号化されてましたが私にかかればないも同然ですね」

ミツキはさも当然と言った口ぶりだった。

「ああ、思い出しました。我が社のある開発チームがスパイヤーズの新型を作ろうとしていたんでした。ですがおかしいですね...確かにエネルギー兵器に対する防御を引き上げるとはされていましたが、あそこまでのものではなかったはず」
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/14(日) 21:43:26.55 ID:2Vu4kzjH0
「まあ、誰でも思いつきそうなそんな面白味のない機体だったので開発費用を削ったんですが。そもそもPEMの開発というのは──」

「ごめんなさいミツキさん!こっちは戦闘中なんです!」

「ああ、失礼。それでは私は空から眺めているので、どうぞお構いなく」

↓1 敵パイロットの腕前は?
01〜10 素人
11〜50 兵卒
51〜90 熟練
91〜 エース
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/14(日) 21:45:48.86 ID:9CtmM6ht0
506 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/14(日) 21:55:27.84 ID:2Vu4kzjH0
86 熟練

(近接→滑空→遠距離→近接...)
↓1 カズミ 熟練
1近接
2滑空
3遠距離(レーザー兵器のためコンマ判定時に−5の補正)

コンマ下1桁 敵 熟練
1〜3 近接
4〜6 遠距離
7〜9 滑空
0なら10の桁を参照、00ならもう一度
507 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/14(日) 21:57:36.39 ID:1/cQ+Vx2o
2
508 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/14(日) 21:57:45.80 ID:gK40UfA50
1
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/14(日) 22:07:14.02 ID:2Vu4kzjH0
カズミ 3/3 滑空
敵 3/3 滑空

↓1
01〜10 カズミ−2
11〜30 カズミ −1
31〜40 拮抗
41〜70 敵 −1
71〜90 敵 −2
91〜 敵 −3

短いけど今日は終わり。
510 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/14(日) 22:08:15.33 ID:rsaBg+7xo
ぬん
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/14(日) 22:09:19.89 ID:gK40UfA50
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/14(日) 22:14:48.19 ID:xaT4+Un/0

今や熟練に遭遇しても怖くないレベルになれたのだなあ
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/14(日) 22:29:03.33 ID:1/cQ+Vx2o
おつおつ
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/17(水) 20:26:27.80 ID:V3g53V0q0
33 ゾロ目ボーナスで繰り上げ 敵 −1

(ライフルの攻撃は殆ど意味がない...)

そう考えたカズミは機動力で敵を圧倒しながら近接戦に持ち込もうと考えた。

「うん、やっぱりADMの方が動かしやすい!」

みるみるうちにADMは上空へと飛翔した。

「カズミ、試作機が追いかけてきてるよ」

「オーケー、狙い通り」

ADMの後を追う試作機はマシンガンから銃弾を放ってきたが、カズミは全てを回避した。

「今!」

カズミは装填をしていた試作機に接近しレーザーブレードの放出口を密着させると、そのまま起動させた。

火花が散ったかと思うと、試作機の装甲をブレードが貫通していた。

「やった!予想通り、この出力なら流石に防げないみたい!」

(近接→滑空→遠距離→近接...)
↓1 カズミ 熟練
1近接
2滑空
3遠距離(レーザー兵器のためコンマ判定時に−5の補正)

コンマ下1桁 敵 熟練
1〜3 近接
4〜6 遠距離
7〜9 滑空
0なら10の桁を参照、00ならもう一度
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/17(水) 20:26:47.81 ID:+2PtvDaAo
1
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/17(水) 20:32:40.27 ID:V3g53V0q0
カズミ 3/3 近接
敵 2/3 近接

↓1
01〜10 カズミ−2
11〜30 カズミ −1
31〜40 拮抗
41〜70 敵 −1
71〜90 敵 −2
91〜 敵 −3
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/17(水) 20:36:30.79 ID:OQb8LFJVo
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/17(水) 20:57:43.49 ID:A5/Kt1mH0
いつも結構な割合で泥試合だったが今日はコンマが良い
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/17(水) 21:03:22.12 ID:V3g53V0q0
コンマ79 敵−2

レーザーブレードが胴体部分を貫通しているという惨状にも関わらず、敵は動くことができなかった。

というのもレーザーに耐性があるのは装甲の表面部分のみの為、下手に動けば内部の機関が損傷してしまうからだ。

「あれ、動かないな?」

カズミはそこまで考えていたわけではないが、今の状況になった時点で彼女の勝ちは確定したようなものだった。

とはいえ相手も無抵抗ではやられまいと左手にアックスを持った。

「カズミ!」

「分かってる!」

カズミはレーザーブレードの出力を停止すると同時に試作機を蹴り飛ばした。

そのままフライングボードから落下していった試作機は、国旗を掲揚するポールにコックピットを貫かれた。

操縦技能
カズミ 熟練 1/4→2/4


↓1 オルデンリッジ達と戦っている敵の腕前は?
01〜10 素人
11〜60 兵卒
61〜90 熟練
91〜 エース
520 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/17(水) 21:04:12.33 ID:5xnt0ob70
521 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/17(水) 21:10:51.67 ID:V3g53V0q0
33 ゾロ目ボーナスで素人判定だけど勝てば技能アップ

↓1 オルデンリッジ達は?
01〜10 敗北
11〜30 苦戦中
30〜 勝利
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/17(水) 21:12:23.37 ID:OQb8LFJVo
ボーナスゲット!
523 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/17(水) 21:19:20.24 ID:V3g53V0q0
37 勝利

どうやら敵パイロットは碌な訓練もしていなかったらしく、オルデンリッジ達は既に制圧を終えていた。

操縦技能
オルデンリッジ 兵卒 1.5/3→2.5/3
バーネット 兵卒 2.5/3→熟練 0.5/4
ガルー 兵卒1/3→2/3
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/17(水) 21:57:59.74 ID:V3g53V0q0
「もうおわりかなー?」

「だと良いけど...」

幸い増援がくる気配はない。

その時ミツキがカズミ達を呼んだ。どうやら怪しげな人物を見つけたらしい。その怪しげな人物はミツキが飛ばしている武装したドローンに銃を突きつけられていた。

「あなた...どこかで見た顔ですね」

男はドローンから発せられたミツキの声に最初は驚いた表情だったが、すぐに怒りが表れた。

「あなたの"元"社員ですよ!」

「ああ、例の試作型スパイヤーズの開発チームに居た人ですか。何故こんな真似を?」

ミツキの言葉を聞いて、男の表情はまるで般若のように変化した。

「何故!?それを聞きたいのはこっちですよ!真面目に仕事をしていただけなのに、どうして予算を減らされないといけないんですか!?おかげでろくに事情も知らない他の部署の連中には無能だと冷たい目で見られましたよ!」

「だってしょうもなかったですし」

「あっ...あなたって人は...!」

男は今にもドローンに殴りかかりそうだ。

「そんな事よりあの試作機は何ですか?資料で見た時はあそこまで対エネルギー性能は高くなかったと記憶していますが」

「ハハハハ...!あなたに不当な目に遭わされて腐っていたところをグラディウスグループに拾って頂いたんですよ!」

グラディウスグループ── 西大陸における巨大企業であり、貿易業を中心に金融や重化学事業を担っている。一般人には知られていないが、業界人の間ではハイオネル・ファミリーのフロント企業である事は周知の事実である。

「彼らは私に自由にやってくれと言いました。だからあなたへの復讐も込めてコスト度外視でハイグレードの対エネルギー装甲を備えたスパイヤーズの後継機を開発したんですよ!」

カズミはどう考えてもミツキが悪いような気がしていたが、口を挟むのはやめておいた。

「それで彼らが私の開発した試作機を使ってあなたを殺すと聞いて、この目で見にきたんですよ!...まぁ、失敗したようですがね」

男はそう皮肉げに笑った。
対してミツキは理解できないと言った感じでため息をついた。

「それなら最初からその試作機をウチで作ればよかったじゃないですか。エネルギー兵器を完全に無効にするPEM、夢があります!」

その言葉を聞いて男は怒りと呆れが混ざった複雑な表情になった。

「まぁ、終わった事はもう良いです。私は自分に逆らった人間を受け入れるほど心は広くないので。この人の処理はあなた達に任せます」

それよりも、とミツキは続ける。

「グラディウスグループと言いましたね...。成程、大体今回の事件の概要がわかりました。大方下請け共を焚き付けたのもグラディウスでしょうね」

グラディウスグループは近年、西大陸だけでなく中央大陸のPEM製造のシェアをも狙っている。その事もあってか以前から何回か、彼らからバウエル・インダストリに対する揺さぶりはあった。
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/17(水) 22:11:15.80 ID:V3g53V0q0
今回の件はいよいよグラディウスグループ、そしてハイオネル・ファミリーが中央大陸に本格的に進出する意思を見せたという事だろう、というのがミツキの推測である。

「グラディウスグループに対する対処は考えておくとしましょう。それよりも更に興味深いのはあなたの機体です」

「ADMの事ですか?」

「ええ。明らかに現存しているどのPEMのスペックをほぼ上回っています。それに加えて──」

興奮気味に語り出したミツキをオルデンリッジが遮った。

「そこまでにしてくれますか、ミツキさん。厄介な事になる前にここから離れます。彼はこちらで身柄を確保します」

「分かりました。では貴方たちが戻ってきたら父から言われていた報酬を渡す事にしますね」

そうしてカズミ達、特務機関はミツキ=バウエルの護衛を無事終えた。
今回の件で彼女も考えを改めたのか警察や軍に連絡し、傭兵も含め護衛を増やす事にしたようだ。

そしてシエラ=レオネは特務機関の自室で、ミツキから報酬としてもらった一つの座標を見ていた。

↓3まででコンマ が1番高いものを採用
ソラ・テックの本社の位置は?
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/17(水) 22:17:55.04 ID:A5/Kt1mH0
南極
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/17(水) 22:18:49.20 ID:+2PtvDaAo
空中メガプラットフォーム
528 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/17(水) 22:29:57.71 ID:LB/CpZf00
空中都市空母、しかし東方大陸付近の海中に沈んでいる
529 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/17(水) 22:46:51.18 ID:V3g53V0q0
「これは...東方轟海か」

東方轟海とは東方大陸と中央大陸を挟む海の中でも東方大陸に近い方を指している。1年中嵐が吹き荒れている過酷な場所だ。

シエラ=レオネは暫く考え込んでいた。

オルデンリッジがミツキからこの座標を知らされた時に言われた事を信じるのであれば、過去にバウエル・インダストリも調査を行ったが何も見つからなかったらしい。

「...実際に赴かなければ分からないな」

今日はここまで。
530 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/17(水) 22:47:09.46 ID:A5/Kt1mH0
乙でした
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/17(水) 22:48:51.08 ID:OQb8LFJVo
おつー
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/17(水) 22:59:20.96 ID:LB/CpZf00
乙でした
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 18:41:09.81 ID:cJlSlNkm0
カズミ・アーディガン
白兵戦能力 熟練
操縦技能 熟練 2/4

操縦技能(ポイントの獲得は同格以上の相手との訓練及び実戦での勝利、昇格に必要な最後のポイントは実戦のみ)
シエラ=レオネ エース
オルデンリッジ 兵卒 2.5/3
バーネット 熟練 0.5/4
ガルー 兵卒 2/3

白兵戦能力(同上)
シエラ=レオネ エース
オルデンリッジ 熟練 0.5/4
バーネット 熟練0.5/4
ガルー 熟練

好感度 (MAXは6)
エヴァ 3 3/4(やっぱり頼りになるかも?)
アダム 4 2/5(お気に入りのパイロット!)
バーネット 5 1/6(期待の後輩だ!)
ガルー 5 1/6(カズミになら背中を任せられるぜ!)
オルデンリッジ 4 1/5(真っ直ぐで良い娘だ)
シエラ=レオネ 3 3/4(素質は悪くないな)

自由行動残り3回
↓1
1操縦技能の訓練(〇〇と〇〇という風に名前をお願いします)
2白兵戦の訓練(同上)
3コミュニケーションをとる(相手の名前と、指定があるならどんな会話をしたか、あるいはどんな事があったかもどうぞ)
4特に何もしない
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/20(土) 18:59:02.99 ID:1vjqdimA0
3 エヴァ バーネット たまにはカズミ以外の面子との絡みを
535 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 20:02:32.81 ID:cJlSlNkm0
その日、バーネットは特に予定もなく共用ルームでテレビを見ていた。

『続いてのニュースです。バウエル・インダストリが大規模な人事異動を含めた改革を行うと発表しました。代表のミツキ氏は──』

「...逆らったもの達の、体の良い厄介払いというわけか」

バーネット自身の意見としてはむしろ反旗を翻した下請けの会社達に同情的だった。
勿論上が指揮を取り下が働くというのは彼にも納得できるが、それはあくまで各々が各自の責任を果たしている場合に限られる。

「あの小娘はそこがなっていないと言わざるを得ないな」

「こむすめ?」

すると、いつの間にか横にいたエヴァが口を開いた。

「じゃあわたしはなにむすめ?」

「むむ...何と言えば良いか」

実のところバーネットは子供と接するのが得意ではない。彼自身は上下関係を気にするタイプだが、子供は勿論そんな事気にしない。
バーネットもそれは一種の子供らしさだと理解しているから怒りはしないが、しかし子供の相手が得意とは言えない。

「ところで後輩はどうした?いつも一緒にいると思っていたが」

「お姉ちゃんならべんきょうちゅうだよ。だいじなことだって、すごいうなりながらいってた」

おそらくは今度開かれる戦術に関する勉強会の課題だろう、とバーネットは考えた。

「確かにそれは大事だな。何せ不備があれば長官の教育が待っている。...エヴァは学校に行きたいか?」

エヴァは暫く目を瞑りながら腕を組み、首を傾げた。

「んー、いったことないしわかんない」

「それもそうか。だがまあ、学校というものは良いところだぞ。マナーや社交性も備わるし、何かを学ぶというのは良い事だ」

「ふーん。バーネットは学校に行ったことあるんでしょ?」

「当然だ」

「じゃあこんどなにかおしえてよ」

「む...考えておこう。何せ準備が必要だ。やるならきっちりやりたい性分なのだよ」

「わかったー」

『続いてのニュースです。国内の人気アイドルグループの──』

するとエヴァの視線がテレビの方に移った。

「アイドルに興味があるのか?」

「ちがう、うただよ」

「歌か...好きなのか?」

「うーん、なんていうか、とくべつ?」

「特別?ふむ...そうだ、歌ってみてくれないか?」

「いや」

バーネットなりにエヴァの事を知ろうと思い提案したのに、明らかな拒絶に彼は若干ショックを受けた。

「なら、今度勉強を教えたら歌ってくれるか?」

「うーん、かんがえとくね」

「ははは、そうか。是非、期待しておくとする」

するとエヴァは何処かへと去って行った。

「ふむ。今度、学生時代の教科書を探してみるとするか」
536 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 20:03:16.35 ID:cJlSlNkm0
カズミ・アーディガン
白兵戦能力 熟練
操縦技能 熟練 2/4

操縦技能(ポイントの獲得は同格以上の相手との訓練及び実戦での勝利、昇格に必要な最後のポイントは実戦のみ)
シエラ=レオネ エース
オルデンリッジ 兵卒 2.5/3
バーネット 熟練 0.5/4
ガルー 兵卒 2/3

白兵戦能力
シエラ=レオネ エース
オルデンリッジ 熟練 0.5/4
バーネット 熟練0.5/4
ガルー 熟練

好感度 (MAXは6)
エヴァ 3 3/4(やっぱり頼りになるかも?)
アダム 4 2/5(お気に入りのパイロット!)
バーネット 5 1/6(期待の後輩だ!)
ガルー 5 1/6(カズミになら背中を任せられるぜ!)
オルデンリッジ 4 1/5(真っ直ぐで良い娘だ)
シエラ=レオネ 3 3/4(素質は悪くないな)

自由行動残り2回
↓1
1操縦技能の訓練(〇〇と〇〇という風に名前をお願いします)
2白兵戦の訓練(同上)
3コミュニケーションをとる(相手の名前と、指定があるならどんな会話をしたか、あるいはどんな事があったかもどうぞ)
4特に何もしない
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/20(土) 20:16:08.44 ID:ZCnFcGUbo
3長官とアダム
カズミの他続行
内容はカズミの成長について
538 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 20:54:04.07 ID:cJlSlNkm0
「...こんなところか」

時刻は深夜を回っているが、シエラ=レオネは自室で書類仕事を片付けていた。

「アダム、コーヒーを頼む」

「承知しました〜っと」

アダムの声と同時にコーヒーメーカーが起動する。

アダムも含め、特務機関がPEMに搭載しているAIは基地内の施設や備品にネットワークを介しての接続が可能である。

「ふぅ...」

出来上がったコーヒーを手に取ると、シエラ=レオネは香りを楽しむようにカップを顔に近づけた。

「悪くない。リリスが作るより深みのある香りだ」

「うへー、あんな真面目ちゃんと一緒にしないでくださいよ」

「普段は忙しいからな。効率性で言えば彼女が最適だ」

「かわりに遊び心はありませんけどね」

シエラ=レオネは微笑を浮かべながらカップに口をつけた。

「ところで、カズミの様子はどうだ」

「最高ですよ、最高!」

高揚気味のアダムに呆れながら、シエラ=レオネが口を開いた。

「...主観抜きで頼む」

するとアダムの口調は先ほどまでとは打って変わって冷静になった。

「そうですね...悪くないと思います。カズミが来てからADMの出力は右肩上がり、エヴァとの関係も良好ですよ」

「なるほど」

「それに彼女自身も操縦技術は上昇してます。もしかしたらいつか長官を追い越すかもしれませんよ?」

「ふっ、だといいが」

「カズミには元々才能があったんでしょうか?」

「どうかな。私には才能がないから、分からないな」

「またまたー。努力も才能のうちって言葉知ってますか?」

「努力は当然のことだ。それで、メンタル面はどうだ?」

「うーん、メンタル面は僕達AIの苦手分野ですから、正直なところ僕には分かりかねますね。今の所は大丈夫そうですが」

そうか、とシエラ=レオネは呟いた。

「成長といえば、カズミはまた胸が大きく──」

「それはどうでもいい」

コーヒーを飲み終えたシエラ=レオネは椅子に座ると、再び仕事の用意を始めた。

「それにしてもどうしてそこまで気にするんですか?勿論、2人は特別ですけど...」

「別に2人だけを気にしているわけではない。全ての部下に気を配るのは上司の仕事だ。とにかく、カズミとエヴァのことは任せるぞ。何かあればすぐに知らせろ」

「大船に乗ったつもりでいてください。それよりも少しは休んだらどうですか?」

「それなら私の代わりに仕事をしてくれるか?」

「あはは...体がないので無理ですね」
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 20:55:13.71 ID:cJlSlNkm0
カズミ・アーディガン
白兵戦能力 熟練
操縦技能 熟練 2/4

操縦技能(ポイントの獲得は同格以上の相手との訓練及び実戦での勝利、昇格に必要な最後のポイントは実戦のみ)
シエラ=レオネ エース
オルデンリッジ 兵卒 2.5/3
バーネット 熟練 0.5/4
ガルー 兵卒 2/3

白兵戦能力(同上)
シエラ=レオネ エース
オルデンリッジ 熟練 0.5/4
バーネット 熟練0.5/4
ガルー 熟練

好感度 (MAXは6)
エヴァ 3 3/4(やっぱり頼りになるかも?)
アダム 4 2/5(お気に入りのパイロット!)
バーネット 5 1/6(期待の後輩だ!)
ガルー 5 1/6(カズミになら背中を任せられるぜ!)
オルデンリッジ 4 1/5(真っ直ぐで良い娘だ)
シエラ=レオネ 3 3/4(素質は悪くないな)

自由行動残り1回
↓1
1操縦技能の訓練(〇〇と〇〇という風に名前をお願いします)
2白兵戦の訓練(同上)
3コミュニケーションをとる(相手の名前と、指定があるならどんな会話をしたか、あるいはどんな事があったかもどうぞ)
4特に何もしない
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/20(土) 21:07:47.08 ID:ZASHiCd6o
リリスおるんけ!
3カズミとリリスで
アダムから妙な事言われたりされたりしてないか心配してくれるリリスさん
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/20(土) 21:10:26.37 ID:cCcsNqVP0
ああ、募集してない時に投げられたやつか、あんまそういうの採用すると味を占められてよくないと思うが……
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/20(土) 21:18:21.61 ID:1vjqdimA0
>>540は投げた人と同一人物か?募集されてない時に投げたくせに温情で採用された途端表にもないのに取りに行くのか……
543 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 21:32:02.44 ID:cJlSlNkm0
>>541
投げられた案は出来るだけ採用したいと思っちゃうんですよね。でも確かにその通りなので、以後は募集してない時に投げられたものは採用しないと、宣言しておきます。

「ふー、さっぱりした!」

訓練でかいた汗を流し終えたカズミは自室のベッドに腰掛けながら、ジュースを口に運んだ。

「運動の後はジュースではなくスポーツドリンクを推奨します。失った水分やミネラルの補給を行うべきです」

「ななな、なにっ!?」

突然部屋に響いた声に驚いたカズミは思わずジュースをこぼしそうになったが、何とか落とさずに済んだ。

「ワタシはリリスと申します」

「リリス?確か長官のPEMに搭載されたAIだよね?」

「はい」

「えと...何のようですか?」

「先日、アダムと長官の間でかわされた話の中に気になる点がありました」

「はぁ...」

「アダムから何か嫌がらせ等は受けていませんか?」

「アダムから?」

全く予想していない名前が出てきて、カズミは少し面食らった。

「ああ、言い忘れていました。"性的"なものです」

カズミは思わず飲んでいたジュースを口から吐き出しそうになった。

確かにアダムの性的な言動は思い当たる節があるが、そこまで酷くもないのでカズミは気にしていなかった。

「えーと、まあ、ありますけど、嫌がらせってほどじゃあ...」

「やはり、ありましたか。さすが欠陥だらけのド変態AIですね」

「い、言いすぎじゃ〜?」

「いえ、アダムはどうしようもない低脳です。彼にはワタシからキツく言い付けておきます。以後は安心してください」

「え、えと──」

「それでは、さようなら」

「...えーと、何だったんだろう?」

嵐のように現れては去っていったAIに、カズミは困惑せざるを得なかった。

↓1 リリスの好感度
01〜20 1
21〜40 2
41〜60 3
61〜80 4
81〜 5
544 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/20(土) 21:37:32.28 ID:ZCnFcGUbo
545 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 22:19:14.24 ID:cJlSlNkm0
28 2(ただのパイロット)



──東方轟海、海上──

「艦長、どうだ」

シエラ=レオネの言葉に軽空母の艦長が答える。

「はっ、ソナーでの探知をかけていますが海中での反応はありません」

「そうか...」

座標は確かにここであっている。にも関わらず何も見つからないとはどういうことなのか、シエラ=レオネは頭を悩ませていた。

「恐れ入りますが、巨大な嵐が近づいています。数時間後には海域から一時離脱する必要があるかと」

「分かった。海中の様子は落ち着いているのか?」

「今の所は、はい。PEMも潜航可能な程度です」

「分かった。ではPEMで海中の探索を行う、配置につかせろ」

「はっ!」

敬礼を終えると、艦長はマイクに向かって話し始めた。

そしてその艦内放送をカズミとエヴァも割り当てられた部屋で聞いていた。

「捜索班は配置につけ、か」

カズミはエヴァの方を見る。

「本当にADMって水中に入れるの?」

「もちろん!お姉ちゃんがくるまえにじっけんしたよ!」

そっか、とカズミは呟く。彼女自身は水中でPEMの操作などしたことがないので不安を隠しきれていない。

「とりあえず、ADMのとこに行こう」

2人は部屋を出ると格納庫へと向かった。

格納庫では命令を受けた特務機関の水兵達が慌ただしく動いていた。

2人がADMに乗り込むと、シエラ=レオネから通信が入った。

「カズミ、ブリーフィング通り海中の探索を行え。なお2時間後には巨大な嵐が到来する。諸々の準備も含め探索のリミットは1時間だ」

「はい!」

「そう気負わなくても良い。嵐が去ればまた探索は再開できるからな。とにかく、注意して臨め」

「了解です!」

すると格納庫のハッチが開いた。水兵達が出撃の合図を送っている。

「じゃあいくよ、エヴァ」

「うん!」

ADMと、潜水仕様のスパイヤーズが海へとダイブしていく。

「すごい、本当に水の中にいる!」

「だからいったでしょ?」

「じゃあ、カズミ、探索を始めてもいいよ」

アダムの言葉を皮切りにカズミは海中を移動し始めた。
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/20(土) 22:22:26.67 ID:cJlSlNkm0
このあたりは比較的水深が浅く、太陽の光が海中にまで届いている。岩がちな地形に注意しながらカズミは歩みを進める。

「さめだ!」

目の前を泳ぐ3mほどのサメをエヴァが指さした。

「大きいね...」

ADMのライトに照らされるとサメは素早く何処かへと行ってしまった。

「海中観光もいいけど、任務を忘れないようにねー」

「分かってるよ、アダム」

その後も魚やクラゲの大群には遭遇したが、ソラ・テックの本社跡らしきものは全く見当たらない。

そうこうしているうちに40分程経過し、そろそろリミットが迫っていた。

「見つからないな〜。アダム、本当にここであってるんだよね?」

「座標は間違いないよ」

「うーん...」

その時突然辺りの視界が悪くなった。

「くらーい」

「どうやら、海流の流れが急に強くなったせいで海中の砂が巻き上がってるみたいだね」

「このままじゃ周りから逸れちゃうって!」

カズミの心配も虚しく、砂煙がさった時には既に特務機関の仲間から逸れていた。

それと同時に気づかない間に水深がかなり深くなったのか、周りは真っ暗だ。

「取り敢えず隊に合流しよう。うーん、こっちかな?」

「止まって!」

アダムの大声に驚きながらも、カズミは必死に操縦桿を動かす。

「ど、どうしたの?」

「これは...」

「お姉ちゃん、ほら」

気がつけばADMは断崖絶壁に立っていた。
そして崖の先は巨大な窪地になっており、そこには複雑に組み合わさった船の集合体が、半分地面に埋もれながら鎮座していた。

「間違いない...これだよ、カズミ」

「だ、だろうね」

「すっごーい、おおきいよー!」

その船の集合体の大きさは、小島程度なら軽く超えてるほどの規模だ。

「タイムリミットまで後5分、どうする、カズミ?」

「通信は駄目、か。...今戻ってもきっと合流できない。このままアレを調べよう!」

今日はここまで。
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/20(土) 22:25:56.92 ID:4pXxLAM30

何が出るかな
548 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/20(土) 22:27:20.98 ID:1vjqdimA0
乙でした
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/20(土) 22:29:35.68 ID:ZCnFcGUbo
おつおつ
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