あの日出会ったメイドに自分の人生を歩く勇気をもらいました

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5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/09/18(土) 00:29:35.19 ID:megjFbtHO
「それでは、初めてのお帰りの方向けのコースなので、まずは手のマッサージから始めますね」
 カーディガンの袖を肘まで捲るように言われてそれに従う。オイルとクリームのどちらかを選べと言われたので、あまり分からないままクリームを選ぶと、失礼しますと口にして彼女はクリームを広げた手で僕に触れた。
 悪いことをしているわけじゃないんだろうけど、何となくの後ろめたさが残った。
「ご主人様は、何で今日お帰りになったんですか?」
「ああ、いや、買い物しに着たら皆巫女さんで可愛いなぁって。和装が好きなんです、僕」
「えべっさんの期間はこういう感じになるお店が多いみたいですよ。私もまだ働き始めて短いので、聞いた話なんですけど」
「えべっさん?」
 鸚鵡返しをしたところで、十日戎のことだと彼女が教えてくれた。十日戎自体も何なのかはあまりわかっていなかったが、とりあえず商売繁盛を祈念しているということだけは説明から汲み取った。
「そういえば、お名前は何てお呼びすれば良いですか? 偽名でもあだ名でも構いませんよ!」
 少し慣れてきてくれたのか、サムズアップのポーズでにこっと笑いかけられた。どうやらこっちが素らしい。
「あ、じゃあ……タイユウでお願いします」
 完全に偽名ではあったわけだけど。本名を伝えるのは何となく恥ずかしくて、好きなバンドのメンバーの名前を引っ張りだしてそう伝えた。
「タイユウ様ですね! かしこまりました!」
 それからは、彼女は意識的にだろうと分かる程度には名前を付けて僕に話しかけるようになった。覚えるようにそうしているのか、親近感を覚えさせるためのマニュアルなのか分からないけど、嫌な感じはしなかった。
「オタロードに来てるってことは、結構オタクだったりするんですか?」
「ああ、はい。オタクかは分からないけど、結構漫画読んだりはしますね。アニメはそんなになんですけど」
「えー、漫画! 良いじゃないですか。どんなの読んでるんですか?」
「結構何でも……少女漫画とか好きですね。あと自分がやってるからサッカー漫画は多いかも。バトル系とかファンタジーは逆にあんまり」
「少女漫画お好きなんですか! 男性でお好きな方って珍しいですねぇ。私は最近少女漫画だと○○とか××とか読んでます」
 
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