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【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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165 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 01:01:48.17 ID:+3/PprsU0
「……その人は、君にとってとても大事な人だったんだな」
「うん! でも、誰か解らないんだ」
普段なら”わかっちゃう”のにね。
マヤノトップガンは小さくつぶやいた。
その記憶が誰から教わったものなのか判然としないが、しかし何となく……それはもしかしたら、俺のことなのではないか、と思えた。
……それを言ってしまうべきなのだろうか。君のその記憶は、俺から与えられたものだと。
ループのなんて知らない、マヤノトップガンに……?
訳の分からない好意を唐突に向けられて、心持ち穏やかに過ごせる人間は大人ですら少ない。特に、ループしていて、その時に君とは浅からぬ仲だったなどと言われたらどう思うだろうか。
俺がマヤノトップガンだったら、困惑の極みに至るだろう。
だから、言えない。曖昧に、誤魔化すしかない。
「いつか見つかるといいな」
「うん!」
きらきらと輝く瞳で頷かれるのが、痛かった。
「……ん? ねぇキミ、そのケーキどうするの?」
「え? あぁ……一つ余分に買っちゃってね」
「へぇ〜」
まじまじと卓上のケーキを見つめるマヤノトップガン。
……なんとなくだけど、ケーキを食べたいのかな、なんて思って。
俺は思わず、口を動かしていた。
「良かったら食べるか?」
「え、いいの?」
「……ああ。俺は甘いものあまり好きじゃないし、ケーキだって自分を美味しく食べてくれる子に食べてほしいはずだろうしな」
俺の言葉に、マヤノトップガンはキョトンとしていた。
いつもの調子で比喩なんか使っていては、奇妙な顔をされてしまうだろう。
やってしまったな、困惑させたかな。
そんなことを考えていたら、不意にマヤノトップガンが笑い出した。
「面白いこと言うね、キミ。ケーキが話し出すって、そんなことあるはずないよ〜!」
「……悪い」
「え、謝らなくていいよ! 面白い例え方だなって思ったし――なんだか、ホッとした!」
「……ホッとした?」
問えば、マヤノトップガンは少し考えこむように顎に手をやり、そして話す。
「なんだか、とんちんかんな言葉を聞いてると、胸がほわっとなるんだ。それが何でかはわからないけど……」
「……」
「もしかしたら、マヤとキミ、波長が合うのかも!」
冗談めかすような笑顔。何度もそれを見てきたけど、今ほどその笑顔を見たくない瞬間はなかった。
同じ顔、同じ声音で、明確に「私は貴方の思う私ではない」と告げられたようなものだから。
「そう言えばキミ、会長さんのチームのトレーナーさんでしょ?」
「……ああ、そうだ」
「もし機会があったら、マヤも入ってみたいな〜って思うんだけど……」
「機会があれば、考えてみよう」
心の中の暗澹に目を向けられないように、咄嗟に出まかせの言葉を吐く。
その言葉にすら、マヤノトップガンは喜ぶように微笑みを浮かべていた。
166 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 01:22:36.71 ID:+3/PprsU0
「――そう言えば、なんだか前にもこんな風にケーキを分けてもらった気がするな〜」
ケーキを食べるマヤノトップガンを傍目に、紅茶を淹れていると、ふとそんな風に言い始めた。
彼女のような愛嬌のあるウマ娘であるならば、そのような経験もたくさんあるのだろうか。
「……随分と愛されてるんだな」
「愛されてる、か。マヤ、モテモテなのかな」
「さぁな。でも、君のことを好きな人もいるんじゃないか?」
そう答えると、うーん、とかなんとか唸り始めるマヤノトップガン。
少し時間が経てば、彼女なりの答えが”わかる”はずだ。
茶葉を蒸らす時間の静寂を噛み締めて、俺は息を吐く。
「……ねぇ、キミ。もしかしてだけど――マヤと前に会ったこと、ある?」
「――。いや、ない」
「うーん、ごめんね。マヤ、キミが嘘ついてるってわかっちゃうんだ……」
……マヤノトップガンの前では、嘘は通用しない。
これまで三年ほど彼女との日々を過ごしてきたが、共依存に陥ったあの数か月以外、俺の嘘は全て見抜かれてしまっていた。
「嘘をついてるってことは、キミはどこかでマヤと会ったことがある。そうでしょ?」
「……まぁ、そうかもしれないけど。それがどうした?」
「なんだかね、こうしてケーキを食べさせて貰ったのが、初めてじゃない気がするんだ」
そう言うと、マヤノトップガンはフォークを皿に一旦置いて、こちらをじっと見つめてくる。
二つの瞳が、俺のことを上から下まで、一つも逃さずに捉えんと流れる。
そして見つめ終えたマヤノトップガンは――頭に手をやって、悩むようなそぶりを見せた。
「でも、キミみたいな人にケーキを食べさせてもらったら、絶対に覚えてるはずなんだけどな」
「……俺みたいな人に?」
「うん。キミは……いろんなことに真面目な人だってマヤは思うから、”この人にレースに出してもらいたいな”って思うはずなんだよ」
ふと、三年前の記憶がよみがえる。
――あのね、マヤをレースに出してほしいの。
確かに、マヤノトップガンは、出会って一時間も経過していない俺にそう言った。
その判断基準について聞いたことはなかったが、なるほどどうしてマヤノトップガンらしい、と。俺も納得してしまう。
でも、だとしたら。彼女のその記憶は……。
「あ〜! もう門限かなり過ぎちゃってる……!」
「……ケーキだったら包むから、残りは持っていくといい」
「いいの……?」
「ああ、元はと言えば君に……なんでもない。とにかく包むからそこで待っててくれ」
え、ちょ、と。マヤノトップガンが声をあげるのも構わずに、俺は皿を下げて、ケーキを小さい袋に詰め直す。
先ほどまでマヤノトップガンが使っていたフォークは廃棄して、予備のフォークを入れて、それを突き返す。
「礼はいい。中に入ってるフォークも、使ったら捨ててくれていい」
「……ねぇ、キミはどうして、マヤにここまでしてくれるの?」
「……。ヒトメボレ、かな」
目を見開いて驚きを露わにするマヤノトップガンの背を押して、トレーナー室から強引に退去させる。
しばらくトレーナー室の前に立つマヤノトップガンの気配があったが、数分もすれば去っていく。
本当にこれでよかったのだろうか、もっとやりたいことがあったはずだ。
なんてことを考えている自分が居て、諫めるように膝を叩いた。
あのマヤノトップガンは、俺の知るマヤノじゃない。
167 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 01:36:00.41 ID:+3/PprsU0
「……そう言えば、精神世界のルナが言ってたよな」
”トレーナーくん、君がもしそれを望むのであれば、会いたい人の下に出向いてたった一言、こう言えば良い――おはよう、とね。”
あの日、ルナの事情について理解した森の中。俺の精神世界の内側にいたルナはそう言った。
もし、さっきマヤノトップガンにそう告げていたのなら、何かが変わっていたのだろうか。
伝える必要性は、今のところないようにも思える。URAに優勝さえすれば、何かが変わるんだから。
でも、もし。伝えて何かが変わるのであれば――。
「……伝えてみるのも、ありかもしれない」
この世界のマヤノトップガンが俺の知るマヤノではなかったとしても。
もしこの思いの身勝手さを俺が容認することが出来るのであれば。
結論は出せない。窓の外にちらちらと見えてきた雪に助けを求めるように視線を送ってみても、何も帰ってくるはずもなく。
ただただ、悶々とした気持ちのまま、クリスマスは過ぎた。
168 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 01:46:33.49 ID:+3/PprsU0
リョテイ「明けましておめでとう。で、トレーナー。浮かない顔してどうしたんだよ」
トレーナー「……そんなに変な顔してたか?」
リョテイ「なんて言うか、アンタの顔……落ち武者みたいになってるぜ」
トレーナー「そんなにか……」
リョテイ「何かあったんなら相談してくれよ。ネイチャも同じことを言うはずだぜ?」
トレーナー「……詰まったら相談する。でも、今はまだ自分で考えることだと思っているから」
リョテイ「そうか。なら、いいんだけどさ。いつでも私たちは相談に応じてやるからな」
トレーナー「ありがとう。ちなみにナイスネイチャを勝手に巻き込んでるようだけど大丈夫か?」
リョテイ「あ? ネイチャもアンタのことはそこまで悪く思ってないからな」
トレーナー「……それ、ほんとに俺が聞いてよかったことなんだろうか」
リョテイ「見てりゃわかることだし、大丈夫なんじゃないか?」
トレーナー「だったらいいんだけど。……で、呼び出した理由は?」
リョテイ「そりゃアンタ、正月って言ったら初詣だろ? どうせ行ってないんだろうなって思ったから誘ったんだ、ありがたく思えよ」
トレーナー「……なんとはた迷惑な」
リョテイ「ま、トレーナーはどうやら巻き込んでやる方がいいっぽいからな。これからもいろんなことに巻き込んでやるよ」
トレーナー「勘弁してくれないか?」
リョテイ「考えておく。……お、おみくじだ、トレーナー、一緒に引こうぜ!」
トレーナー「ここまで来たら乗っかるしかない、か。はいはい」
―――――――――――――――――――――――――――――――
下1(コンマ) おみくじの結果
01-16 大吉
17-32 中吉
33-48 小吉
49-64 末吉
65-80 吉
80-96 凶
97-99 大凶
ゾロ目 何かが起こる……?
169 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 01:47:32.12 ID:geeABqi10
ん
170 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 02:11:49.02 ID:+3/PprsU0
カランカラン……
リョテイ「うおぉ!」
トレーナー「いきなりどうした……」
リョテイ「トレーナー、大吉だってよ、大吉!」
トレーナー「ほぉ。幸先がいいじゃないか」
リョテイ「何々……? 物事は円滑に進み、万事快調。へぇ、流石は大吉なだけはあるな」
トレーナー「こんな結果を貰えたんだ、簡単には負けられないな?」
リョテイ「ああ。まぁ、結果がどうであれ――アタシが目指すのはURA優勝だ!」
トレーナー「……なぁ、キンイロリョテイ。一つ聞いていいか?」
リョテイ「ん、どうしたんだよ、改まって」
トレーナー「キンイロリョテイって、私とアタシを使い分ける時があるよな、あれってどういう理由があるんだ?」
リョテイ「あ? ああ、あれね。純粋に、常日頃使ってる一人称がアタシで、私を使ってる時は割とフォーマルな時なんだよ」
トレーナー「……あれで?」
リョテイ「あれでとはなんだ、あれでとは……。まぁ、そんな感じだけど……それがどうかしたのか?」
トレーナー「いや、純粋に気になってな。それだけの話だ」
リョテイ「……なぁトレーナー、提案なんだが」
トレーナー「?」
リョテイ「この際だから、お互いもっとフランクに接しようぜ」
トレーナー「フランクに……?」
リョテイ「アンタが皇帝サンをルナって呼ぶみたいに、アタシのこともリョテイって呼んでくれよ」
トレーナー「……少し気恥しいけど、わかった。これからは君のことをリョテイと呼ぼう」
リョテイ「……。むず痒いな」
トレーナー「元に戻すか」
リョテイ「そのままでいいよ、これからはアタシもアタシで行くし、アンタのことも好きに呼ばせてもらう」
トレーナー「お手柔らかにな」
リョテイ「……ちなみに、ネイチャのことは多分ネイチャでいいぜ」
リョテイ「今度そんな風に呼んでみろよ、案外仲が縮まるかもだぜ?」
トレーナー「……」
トレーナー「……まぁ、考えておく」
―――――――――――――――――――――――――――――――
▼キンイロリョテイの能力値が上昇した。
[黄金探しの放浪者]キンイロリョテイ
スピード:600(B)+10=610(B)
スタミナ:327(D)+10=337(D)
パワー :340(D)+10=350(D+)
根性 :296(E+)+10=306(D)
賢さ :593(C+)+10=603(B)
やる気 :絶好調
171 :
◆FaqptSLluw
[sage saga]:2021/09/27(月) 02:15:08.42 ID:+3/PprsU0
今日の更新はここまでです。
最近少し迷走中で、上手く文章を書けない日が続いています。
もしかすると更新に少しお時間をいただくかもしれません。ご了承ください。
172 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 07:10:01.50 ID:bW/bj0tCo
マイペースでOKですよ楽しみに待ってます
173 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 09:03:37.54 ID:DrhBwwuw0
乙
>訳の分からない好意を唐突に向けられて、心持ち穏やかに過ごせる人間は大人ですら少ない。特に、ループしていて、その時に君とは浅からぬ仲だったなどと言われたらどう思うだろうか。
>俺がマヤノトップガンだったら、困惑の極みに至るだろう。
ここちょっと笑った
ルナはループの事は知ってたとはいえ、記憶の無いトレーナー自身ルナの事をさらっと受け入れてるやんっていう
174 :
◆FaqptSLluw
[sage saga]:2021/09/27(月) 16:57:00.94 ID:+3/PprsU0
トレーナー「ちなみに、俺のおみくじは末吉だった。良くも悪くもなくって感じだな」
トレーナー「できれば大吉を引きたかった気持ちはあるにはあるが、まぁ……過ぎたるは身を亡ぼすからな」
トレーナー「ほどほどが一番いい」
トレーナー「さて、今日は何をしようか」
―――――――――――――――――――――――――――――――
[黄金探しの放浪者]キンイロリョテイ
スピード:610(B)
スタミナ:337(D)
パワー :350(D+)
根性 :306(D)
賢さ :603(B)
―――――――――――――――――――――――――――――――
下1
トレーニング/お出かけ/休憩/メインイベント進行
スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/その他(良識の範囲内で自由に)
※日本ダービーまであと14ターン(当該ターン含む)。
―――――――――――――――――――――――――――――――
【現在立っているフラグ】
■エクストライベント
・「祈りは力に、願いは形に」/特定の時期に、ある場所を訪ねる
・「地を支え、海を拝せよ」/探索の進捗を終了させる
―――――――――――――――――――――――――――
■メインイベント
・[地に閃く黄金の旅程]/開始中 2/5
―――――――――――――――――――――――――――
■メジャーイベント
なし
―――――――――――――――――――――――――――
■サブイベント
・[全てはこの一杯の為に――!]/担当ウマ娘とラーメンを食べに行く
―――――――――――――――――――――――――――
■プチイベント
なし
―――――――――――――――――――――――――――
■リミテッドイベント
・回顧/かつての担当ウマ娘と出会う
―――――――――――――――――――――――――――――――
175 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 17:02:33.51 ID:DrhBwwuw0
トレーニング
176 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 17:10:32.26 ID:+3/PprsU0
トレーナー「新年早々だが、トレーニングだ」
ルドルフ「しっかりと体は休めてきただろう、君たち二人は、今年から本格的にレースに臨むことになる」
ルドルフ「チームメンバーとして、君たちの夢が叶うことを祈るばかりだが……君たちと同じように、夢を持つものはこの世界の何処にもいる」
ルドルフ「力添えはするが、君たちの夢の結末を決めるのは――他でもない、君たちだ」
トレーナー「……こちらも精一杯バックアップを行う。君たちが至らんとする場所への最適な道のりを提示しよう」
トレーナー「特に二人にとって、今年は重要なレースが目白押しだ。練習中の気のゆるみは許されない、心してかかるように!」
リョテイ「おう、んなこと百も承知だぜ!」
ネイチャ「まぁ、出来るところまでやって見せますよ……!」
トレーナー「……よし。じゃあ今日のトレーニングは、そうだな」
―――――――――――――――――――――――――――――――
[黄金探しの放浪者]キンイロリョテイ
スピード:610(B)
スタミナ:337(D)
パワー :350(D+)
根性 :306(D)
賢さ :603(B)
―――――――――――――――――――――――――――――――
下1 トレーニングの内容
スピード/スタミナ/パワー/根性/賢さ
※サポートカード[スペシャルウィーク]アクティブ。根性に固定の上昇値を追加。
下2 トレーニングの効果量
※ゾロ目は追加ロール。
177 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 17:46:14.49 ID:DrhBwwuw0
人いないし取っちゃうね
かしこさ
178 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 17:46:44.53 ID:DrhBwwuw0
はい
179 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 19:13:24.89 ID:+3/PprsU0
トレーナー「賢さだ」
リョテイ「……またか?」
トレーナー「やっぱりほら、知識は力なりって言うじゃないか」
リョテイ「それにしても多くないか? ひょっとしてアンタ、アタシのことバカだと思ってないか……?」
トレーナー「いえいえ、滅相もない……」
リョテイ「……眼を見て話そうぜ?」
トレーナー「あはは……」
ネイチャ「まぁまぁ。知識があったほうがいいのはリョテイさんも理解してるでしょ?」
リョテイ「理解してるけどさ。なんかトレーナーが悪ノリし始めたからノってやっただけっていうか」
トレーナー「なんか情けかけられてる感じになってる……?」
トレーナー「まあいいか、じゃあトレーニングを始めよう――!」
―――――――――――――――――――――――――――――――
▼キンイロリョテイの賢さが上昇した。
賢さ :603(B)+(53×1.50×1.1)=691(B)
―――――――――――――――――――――――――――――――
180 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 19:18:29.44 ID:+3/PprsU0
トレーナー「季節の変遷と言うのは、いつ感じても美しいものだ」
トレーナー「春から夏、夏から秋、秋から冬、そして冬から春へと――」
トレーナー「一つとして同じ表情がない。いつ見ても、それらは違った表情を見せてくれる」
トレーナー「一番好きなものが何かと聞かれれば、俺は即座に返事を返すことが出来ないけれど……」
トレーナー「多分、思い出深いのは冬で、好きなのは夏なんだろうな、って思う」
トレーナー「やっぱり大きな経験をしたからだろうか? 何となく、どの季節が好きなのかという質問は、どの季節に、その人にとって重大なことが起きやすいか、という指標に繋がる気がするな」
トレーナー「……まぁ、その季節以外にもいろいろあるんだろうけど。俺の場合は春とか秋にもあるかもしれないし」
トレーナー「あ、こたつの電源切っとかないとな……」
―――――――――――――――――――――――――――――――
[黄金探しの放浪者]キンイロリョテイ
スピード:610(B)
スタミナ:337(D)
パワー :350(D+)
根性 :306(D)
賢さ :691(B)
―――――――――――――――――――――――――――――――
下1
トレーニング/お出かけ/休憩/メインイベント進行
スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/ライバル研究/その他(良識の範囲内で自由に)
※日本ダービーまであと13ターン(当該ターン含む)。
―――――――――――――――――――――――――――――――
【現在立っているフラグ】
■エクストライベント
・「祈りは力に、願いは形に」/特定の時期に、ある場所を訪ねる
・「地を支え、海を拝せよ」/探索の進捗を終了させる
―――――――――――――――――――――――――――
■メインイベント
・[地に閃く黄金の旅程]/開始中 2/5
―――――――――――――――――――――――――――
■メジャーイベント
なし
―――――――――――――――――――――――――――
■サブイベント
・[全てはこの一杯の為に――!]/担当ウマ娘とラーメンを食べに行く
―――――――――――――――――――――――――――
■プチイベント
なし
―――――――――――――――――――――――――――
■リミテッドイベント
・回顧/かつての担当ウマ娘と出会う
―――――――――――――――――――――――――――――――
181 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 19:20:09.03 ID:0FUAX2Sho
スタミナ休憩しようず
182 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 19:20:43.38 ID:0FUAX2Sho
何故か変換誤爆した
休憩です
183 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 19:20:52.58 ID:C3bv8Ku50
キンイロリョテイとお出かけしましょ
184 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 19:27:56.64 ID:+3/PprsU0
トレーナー「というわけで、今日じゃトレーニングはお休みだ」
リョテイ「ふぅん。まぁいいけど」
トレーナー「好きに過ごすことをお勧めする」
ルドルフ「ほう」
トレーナー「久しぶりの自由な時間だからな」
ネイチャ「へえ〜」
トレーナー「……」
トレーナー「……何故君たちはそろいもそろって此処に居座るんだ?」
リョテイ「トレーナー、アンタは一つ、見落としてることがあるぜ」
トレーナー「見落としていること……?」
リョテイ「アンタは知らないかもしれないが……」
リョテイ「――トレーナー室は、ひどく居心地がいい」
トレーナー「……は?」
ネイチャ「ある程度広さが確保されていて、かつ使用者がトレーナーさんとチーム・エルタニンの面々しかいない……」
ネイチャ「その上こたつもあって、みかんもあって、ちょいと足を延ばせばお茶も淹れられる」
ネイチャ「……こうなるのは当然では?」
トレーナー「……まぁ、理解はするが」
ルドルフ「ふふ、トレーナーくんの仕事の邪魔をする気はないから、勘弁してくれ」
トレーナー「……」
トレーナー「あんまり騒がしくするなよ」
■
トレーナー「結局一緒になって人生ゲームに興じてしまった、俺は仕事人失格だ……」
―――――――――――――――――――――――――――――――
▼休憩を行った。次回トレーニング効果2倍
185 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 19:33:24.74 ID:+3/PprsU0
トレーナー「学園中から甘い香りが漂う気がする今日この頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか」
トレーナー「バレンタインデーが近付くと、なんとなく学園中が甘い香りに包まれる気がするんだよな……」
トレーナー「いや、それが悪いこととか、そう言う風に言いたいんじゃない。ただ、少しそわっとしてしまうわけで……」
トレーナー「俺だっていっぱしの男で、見目麗しいウマ娘たちが在籍するトレセン学園のトレーナーで……」
トレーナー「……そりゃ、特定の誰かから貰えればそれで十分だとは思う。でも……なんか、その」
トレーナー「希望を抱くのは悪いことじゃない、そうだろ……?」
―――――――――――――――――――――――――――――――
[黄金探しの放浪者]キンイロリョテイ
スピード:610(B)
スタミナ:337(D)
パワー :350(D+)
根性 :306(D)
賢さ :691(B)
―――――――――――――――――――――――――――――――
下1
トレーニング/お出かけ/休憩/メインイベント進行
スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/ライバル研究/その他(良識の範囲内で自由に)
※日本ダービーまであと12ターン(当該ターン含む)。
※休憩効果発動中。次回トレーニング効果2倍
―――――――――――――――――――――――――――――――
【現在立っているフラグ】
■エクストライベント
・「祈りは力に、願いは形に」/特定の時期に、ある場所を訪ねる
・「地を支え、海を拝せよ」/探索の進捗を終了させる
―――――――――――――――――――――――――――
■メインイベント
・[地に閃く黄金の旅程]/開始中 2/5
―――――――――――――――――――――――――――
■メジャーイベント
なし
―――――――――――――――――――――――――――
■サブイベント
・[全てはこの一杯の為に――!]/担当ウマ娘とラーメンを食べに行く
―――――――――――――――――――――――――――
■プチイベント
なし
―――――――――――――――――――――――――――
■リミテッドイベント
・回顧/かつての担当ウマ娘と出会う
―――――――――――――――――――――――――――――――
186 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 19:34:24.87 ID:C3bv8Ku50
根性トレーニング
187 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 19:42:04.33 ID:lt04SCmUO
トレーニングの種類決めるのはこの後の安価定期
188 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 19:54:04.88 ID:+3/PprsU0
トレーナー「今日はトレーニングだ」
リョテイ「ま、最近休みがちだったしな」
トレーナー「リョテイは日本ダービーが近くなってきたし、ネイチャもオークスが近付いてきた以上、な」
ネイチャ「そうですね……って、え、トレーナーさ――」
リョテイ「そうだな。さすがにGTを練習もなしに勝ち抜けるなんて思ってねーよ」
ネイチャ「あの、お二人さん……?」
トレーナー「というわけで、トレーニングに入ろうと思う」
ネイチャ「お二人さーん?!」
ルドルフ「諦めろ、ナイスネイチャ……」
―――――――――――――――――――――――――――――――
[黄金探しの放浪者]キンイロリョテイ
スピード:610(B)
スタミナ:337(D)
パワー :350(D+)
根性 :306(D)
賢さ :691(B)
―――――――――――――――――――――――――――――――
下1 トレーニングの内容
スピード/スタミナ/パワー/根性/賢さ
※サポートカード[スペシャルウィーク]アクティブ。根性に固定の上昇値を追加。
下2 トレーニングの効果量
※ゾロ目は追加ロール。
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 20:10:57.11 ID:m8HwUbYEo
パワー
190 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 20:12:22.69 ID:C3bv8Ku50
はあっ
191 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 20:57:58.81 ID:+3/PprsU0
トレーナー「キンイロリョテイ、君の最大の持ち味はパワーだ」
リョテイ「ん? そうなのか?」
トレーナー「自覚がなかったのか……。リョテイの体躯にしては、パワーがかなり強い。それこそ……ルナにはまだ及ばないものの、ナリタブライアンに並ぶほどの才能を感じる」
リョテイ「……”シャドーロールの怪物”か。比べられて悪い気持ちにはならねぇな」
トレーナー「ああ、だから今日はパワーを増強していくぞ」
リョテイ「おう、ちなみに何するんだ?」
トレーナー「そりゃパワーといったらウェイトリフティングだろ」
リョテイ「……あれ、手が鉄臭くなるからあまり好きじゃないんだよなぁ」
トレーナー「文句言わない、それとも別のトレーニングの方がいいか?」
リョテイ「……いや、トレーナーがアタシの為に考えてくれたメニューなんだろ? 無得にするのも違うだろ」
トレーナー「そうか。ありがとな」
リョテイ「むしろこっちが言うセリフだよ、ありがとな」
―――――――――――――――――――――――――――――――
▼キンイロリョテイのパワーが上昇した
パワー:350(D+)+(69×1.50×1.2)=475(C+)
―――――――――――――――――――――――――――――――
192 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/28(火) 22:44:15.05 ID:PDKVOA//0
トレーナー「春の足音が聞こえてきた」
トレーナー「いや、実際にそんな音が聞こえてきたわけではないんだけど、なんというか……気温が上がってくると、そんな気持ちになる」
トレーナー「春眠暁を覚えずとはよく耳にする言葉だが、確かに気温が上がると眠くなってくるよな」
トレーナー「……顔を洗ってからトレーナー室に行くか」
―――――――――――――――――――――――――――――――
[黄金探しの放浪者]キンイロリョテイ
スピード:610(B)
スタミナ:337(D)
パワー :475(C+)
根性 :306(D)
賢さ :691(B)
―――――――――――――――――――――――――――――――
下1
トレーニング/お出かけ/休憩/メインイベント進行
スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/ライバル研究/その他(良識の範囲内で自由に)
※日本ダービーまであと12ターン(当該ターン含む)。
※休憩効果発動中。次回トレーニング効果2倍
―――――――――――――――――――――――――――――――
【現在立っているフラグ】
■エクストライベント
・「祈りは力に、願いは形に」/特定の時期に、ある場所を訪ねる
・「地を支え、海を拝せよ」/探索の進捗を終了させる
―――――――――――――――――――――――――――
■メインイベント
・[地に閃く黄金の旅程]/開始中 2/5
―――――――――――――――――――――――――――
■メジャーイベント
なし
―――――――――――――――――――――――――――
■サブイベント
・[全てはこの一杯の為に――!]/担当ウマ娘とラーメンを食べに行く
―――――――――――――――――――――――――――
■プチイベント
なし
―――――――――――――――――――――――――――
■リミテッドイベント
・回顧/かつての担当ウマ娘と出会う
―――――――――――――――――――――――――――――――
193 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/28(火) 23:00:15.78 ID:OJmNcz8Wo
スペちゃんの部屋に行っておはようと言いたい
けど怖くもあるのでこのレスのコンマが偶数だったら死にそうな顔しているトレーナーを囲んでだべるチームメンバー(休憩)で
194 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/28(火) 23:17:41.88 ID:QPuZIrj50
何故いらん予防線張ってしまったんだお前はァ!
195 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/29(水) 00:52:47.45 ID:E1r5mHuK0
リョテイ「……おい、トレーナー」
トレーナー「ん、どうした?」
リョテイ「なんかアンタ……最近思いつめてないか?」
トレーナー「……思い詰めてなんかない、とは思うが」
ルドルフ「私から見ても、君はここのところ根を詰めているようにも見える。少しは休んではどうだ?」
ネイチャ「トレーナーさんがいなくてもトレーニングは出来ますし、ね?」
トレーナー「いや、君たちにとって大事な時期だ。これくらい……っと」
リョテイ「おっと。アンタ、やっぱり結構疲れてんじゃねーか」
ルドルフ「トレーナーくん、トレーナーとしてチームメンバーの面倒を見るのは職務だ。だが、遂行に走るあまり、体を壊しては元も子もないだろう?」
ルドルフ「それに理事長からも聞いているぞ。夜遅くまで仕事をしているそうだな?」
リョテイ「……アンタが大切にするように、アタシたちもアンタのことを大事にしたいんだよ」
リョテイ「だからここは休んでくれ」
トレーナー「でも……」
ネイチャ「……」
ネイチャ「トレーナーさん、知ってます?」
トレーナー「ネイチャ……?」
ネイチャ「ウマ娘に、人間は勝てない」
トレーナー「おい、何を――おい、お姫様抱っこは違うだろ! おい!」
ネイチャ「聞きませーん。今のネイチャさんはアドレナリン倍プッシュでーす」
トレーナー「リョテイ……」
リョテイ「ま、ゆっくり休めよ」
トレーナー「……ルナ」
ルドルフ「俵抱きの方がお好みかな?」
トレーナー「取りつく島もねぇ……」
ネイチャ「というわけで、トレーナー室にGO!」
トレーナー「せめて……せめて人目につかないように……」
トレーナー「後生だから……後生だから……」
―――――――――――――――――――――――――――――――
▼休憩効果発動、次回トレーニング効果2倍
196 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/29(水) 00:57:24.12 ID:E1r5mHuK0
トレーナー「無事に見られました、終わりです」
トレーナー「桜が散るころには、忘れ去られていることを願います」
トレーナー「切に……」
―――――――――――――――――――――――――――――――
[黄金探しの放浪者]キンイロリョテイ
スピード:610(B)
スタミナ:337(D)
パワー :475(C+)
根性 :306(D)
賢さ :691(B)
―――――――――――――――――――――――――――――――
下1
トレーニング/お出かけ/休憩/メインイベント進行
スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/ライバル研究/その他(良識の範囲内で自由に)
※日本ダービーまであと11ターン(当該ターン含む)。
※休憩効果発動中。次回トレーニング効果2倍
―――――――――――――――――――――――――――――――
【現在立っているフラグ】
■エクストライベント
・「祈りは力に、願いは形に」/特定の時期に、ある場所を訪ねる
・「地を支え、海を拝せよ」/探索の進捗を終了させる
―――――――――――――――――――――――――――
■メインイベント
・[地に閃く黄金の旅程]/開始中 2/5
―――――――――――――――――――――――――――
■メジャーイベント
なし
―――――――――――――――――――――――――――
■サブイベント
・[全てはこの一杯の為に――!]/担当ウマ娘とラーメンを食べに行く
―――――――――――――――――――――――――――
■プチイベント
なし
―――――――――――――――――――――――――――
■リミテッドイベント
・回顧/かつての担当ウマ娘と出会う
―――――――――――――――――――――――――――――――
197 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/29(水) 01:12:51.54 ID:88Bmnm8Uo
じゃあここで今やってやろうじゃないか!
ターボ!「おはよう」だ!
198 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/29(水) 01:43:27.15 ID:E1r5mHuK0
真実ほど、人を魅了するものはない。
真実ほど、人を脅かすものはない。
知ってしまえば全てが狂う、悪性の異分子。
世界のオートファジーは、しかしそれを食むことはなく。
たった一つ起きた"変革"は、穏やかに、しかしどこまでも苛烈に。
穏やかな日常を、砕く。
やがてヒトは顧みる。自らの悪食を。
そして理解する。自らの過ちを。
これは、言うなればほんの序章。
物語の壱ページ目。
日記の書きだし。
あるいは終わり。
やがてヒトは回顧する。
在りし日を。
無知であることの、その由を。
――リミテッドイベント:回顧、開始。
199 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/29(水) 01:53:41.85 ID:E1r5mHuK0
【アナウンス】
リミテッドイベント「回顧」開始に先立ちまして、アナウンスです。
このスレッドをここまで見ていただいている方がどこまでいらっしゃるかわかりませんが、今からトレーナーが体験している「ループ」という現象について、伏線を回収していくことになります。言うなれば、このイベントはターニングポイントです。
ですが、当スレッドは一種の読者参加型――安価スレッド。皆様に支えられてきて成り立っているスレッドでございます。
なので、こちらから皆様に、ちょっとした余興をご用意いたしました。皆様の興が乗りましたら是非、皆様の思う「ループ」という現象についての見解をレス……述べていただきたく思います。
正解に近い回答が得られる、もしくはこのリミテッドイベント「回顧」が終了しフラグが立てられた場合、追加のイベント「例えば幾星霜が過ぎたとして。」を開始します。
ヒントは様々なところに散らしております。
正直なところ、この余興を用意するかも迷いました。ですが、せっかく見て頂けているのですから、もっと楽しんでいただく努力をこちらがするべきだと思い、その試みの一環として、この余興を用意させていただきました。
皆様のご回答を、お待ちしております。
次回更新はそこまで遠くならないと思います。よろしくお願いいたします。
200 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/29(水) 07:30:52.43 ID:u/rJtEatO
やっと1000スレターボの話きた
考察
ネイチャ→ルナ程では無いがループはわかっているはず、会話などでその事を確認すべきか?
理事長→あそこまですんなりいくのだから、ループの恩恵を受けてれいるとは思えないがはたして?
PS、万が一考察間違い選択してもトレーナーがループするような罰則は無いですよね?
201 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/29(水) 08:35:26.73 ID:PbPi1C9v0
これまで何度もループしているにも関わらず、何故1周目の担当であるルナがループ後もずっと記憶を保持していられるのかが謎だな
考えられるとすれば、実はルナがトレーナーをループさせている張本人だからとか?
目的はまぁ自殺してしまったトレーナーを救うためとか、その悲劇に自らが折り合いをつけるためとかかね
202 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/29(水) 09:20:13.90 ID:tl4JS5o7O
考察続き
マヤノ、スペ、→現時点ではループ前の記憶がなんとなく残っている状態
ループに関してはいまだ認識できていない部分があると思われる
ターボ、→スレ書き込み待ち状態これでなんらかのヒントつかめるといいなー
203 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/29(水) 09:45:40.73 ID:SLjWlxa3o
・ループ開始前に桐生○の話題になるとループ管理者?が明らかに悪反応した
・自殺したのでそれ以前のループの記憶はない、と会長は示す
・いつの間にか習得している技術、所作(会長撫で、紅茶の所)
なーんかしっとりを感じるんですが
カイチョー信じていいよね?ループ突破したらトレーナー君は無事だよね?
204 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/29(水) 12:18:01.24 ID:FXs7lQ3yO
ループの原因になっているのは他でもないルナの祈り、願いである可能性はかなり高いけど
意図的に引き起こしたものなのか偶然の産物なのかはわからない
205 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/29(水) 13:06:31.05 ID:PbPi1C9v0
VRウマレーター内かなとも思ったけど、このSSの開始はVRイベより前みたいだから違うよね多分
しかしこの流れは某古典部を思い出すな
推理物を途中まで見せて、犯人予想という体で無自覚にコンペをさせて、良さそうな案を募ってましたっていうアレ
206 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/29(水) 13:27:28.59 ID:xT7vHo2w0
いっそ「ウマ娘プリティーダービー」というゲームの中の世界で、ループするのが”仕様”であるが故にループすることに『理由など存在しない』ッ!
え?だめ?
207 :
◆FaqptSLluw
[sage saga]:2021/09/29(水) 13:33:22.80 ID:hhQA1gqA0
>>200
余興なので、間違っていても特に何も起こりません。正解してたら追加イベントが発生します。
>>205
愚者のエンドロールは割とすきなお話しでした。ただ、もう既にヒントを仕込んでいるので、その手は使えませんね……
208 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/29(水) 14:34:49.24 ID:FXs7lQ3yO
ループの概念においてどういったことを的中させるのが正解に当たるのかも気になる
例えばループそのものの仕組み自体を当てるのか、ループの原因、きっかけ、或いは黒幕を当てるのか
209 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/29(水) 18:14:10.28 ID:hhQA1gqA0
>>208
・ループと呼称されている現象について
・ループと呼称されている現象が開始した根本的な理由
以上二点の回答のどちらかに、皆様の考察が的中したのであれば……といった感じです。
黒幕はいるかもしれないしいないかもしれません、黒幕の正体を当てろ、という質問をこちらからしていないのは、皆様の想像の幅を狭めないためでもあります。
210 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2021/09/29(水) 20:57:34.24 ID:axWzkGizO
とりあえず、該当するうま娘達に過去の事完全に思いださせる
後、ループに関しても認識をしてもらう感じでいけば
なんとかなるようなならないような
211 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/29(水) 21:46:14.24 ID:FXs7lQ3yO
神様出てきてたあたり三女神の像がループの明確な原因になっててもおかしくない
212 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/30(木) 00:58:13.51 ID:eWaIY+vG0
短絡的だが、シンボリルドルフが関係してるんじゃないのか。
213 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/30(木) 20:01:44.43 ID:koMxHesJo
基本的にはゲームのシステムに準じてる気がする。
ループと呼称される現象
→ループじゃなくて別世界?での育成。
ミッション失敗の場合、トレーナーの記憶が保持されて、トレーナーを介してウマ娘のスキルを引き継げる。ウマ娘は記憶がなくなるが、関係があると多少記憶が継承されてしまう。
ゲームでいう、あきらめる=スレだとトレーナーの死?だと、育成ウマ娘の記憶が継承され、トレーナーは忘れる。
根本的な原因
→ルドルフ育成時のトレーナー。何かに気づいて自[
ピーーー
]ることでこの現象を産んだとか?
214 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/30(木) 20:21:51.06 ID:0vz5gBiiO
やり直しのアイテムが目覚まし時計…
これはつまりトレーナーは夢を見ている事を意味している
すなわち、現実のトレーナーはタキオンの実験の失敗で、脳味噌だけになって水槽に浮かんでいる
215 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/30(木) 20:50:48.27 ID:Oy9zraxI0
キーワードも「おはよう」だし夢は絶対考えるよな
自殺したとカイチョーは言ってたけど、実際には自殺未遂の昏睡状態で、
何らかの技術、または生きたいというトレーナーの願望か何かで夢を見ている説とか提唱してみる
216 :
◆FaqptSLluw
[sage saga]:2021/09/30(木) 21:44:47.91 ID:vhWGVaUw0
人間案外凄いんだな、と一種超然とした心持ちで見ています。多分今日更新します。
217 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/30(木) 21:48:40.79 ID:qfp0lLGD0
このセリフで
>>1
ウマ娘説出てきたな
218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/30(木) 21:51:24.27 ID:1O8H0J4lO
説得力あるレスが何個もあるのスゴい
219 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/10/01(金) 00:00:42.45 ID:53k8qWyp0
「……おい、トレーナー」
トレーナー室に入るなり、リョテイに詰め寄られた。
いつもの飄々とした雰囲気ではなく、どことなく真剣さを感じさせる雰囲気。
俺は思わず背筋を伸ばして、リョテイと相対する。
「……どうかしたのか、リョテイ」
「どうかしたのか、じゃないんだよな。アンタ、自分でわかってないんだろうけど……最近ホントに疲れてないか?」
「この前も休ませてもらったし、そんなことはないはず……だけどな」
寮までお姫様抱っこされて運搬されたのは、今となってはいい思い出だ。……いや、別にいい思い出もないな。
あの日、俺は確かにそこそこ充実した休暇を取ったはずだ。疲れも特に残っていないし、考えられる原因が一切ない。
……いや、待てよ、そう言えば一つだけある。
「……なぁリョテイ、会いたい人がいて、その人と会うことが出来るならリョテイはどうする?」
「は? んなもん会うに決まってんだろ」
「まぁ、そうだよな。……じゃあさ」
「――要するに、アンタのその顔は、"ループ"からくるモンなんだな」
たとえ話を続けようとする俺を、リョテイはバッサリと切り捨てる。
一瞬驚きに思考がフリーズしたが、しかしこれはこれでありがたい。
ここまで来て回りくどい手段をとろうとする俺自身に若干呆れながら、とりあえずは腰を落ち着けようとソファに座り込む。
リョテイもついてきて、対面のソファに腰かけた。それから俺は腕を組んで、口を開く。
「ご明察、ってまずは言おうかな」
「わかりやすすぎんだよ、アンタは」
小さく笑い、同じく腕を組むリョテイ。
そんなにわかりやすいだろうか。俺は自分の顔をもんだ。
「そういう所作するところも、な」
「……本題に入るぞ」
「へいへい、膨れるなって」
茶化しながらも、リョテイのまなざしは真剣だ。
これが口を滑らせるためのジョークであることを、本人も理解して発言していることが見て取れる一幕。
小さな気遣いに感謝しながらも、しかし俺は――次の句を継ぐのを躊躇った。
理由は……。
「……あれ、なんで躊躇ったんだっけ?」
「どうしたんだよ、いきなり」
「いや、本題に入ろうと思ったんだけどさ。なんか次の言葉を言うの、凄く躊躇ってさ」
首をかしげるリョテイ。俺も同じ気持ちである。
何故そんな気持ちになるのかわからない。
……そう言えば、最近こんなことが多い気がする。
紅茶の時もそうだし、ルナの頭を撫でた時もそう。
夏、精神世界に送られて、あちらのルナと会話した時からずっとこうだ。
まるで、何か俺に塗布されていたメッキが剥がれ落ちていくような、そんな薄気味悪さを感じて。
「トレーナー」
「……どうした、リョテイ?」
「アンタが何をやりたいか、手に取るようにわかるぜ」
220 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/10/01(金) 00:01:09.18 ID:53k8qWyp0
そう言いながら、気持ちのいい笑みを浮かべて、俺の手を取るリョテイ。
何を、と口に出す暇もなく、俺は彼女に連れ出される。
教室を、ジムを通り過ぎて――まるで何かを探すかのように、ぐるぐると学園内を回るリョテイ。
いや、確かにこれは何かを……もっと言えば誰かを探している。
「リョテイ」
「ん、何だよトレーナー」
「……俺を誰に会わせようとしてる?」
「そりゃお前、昔の担当ウマ娘に決まってんだろ」
まるで挨拶でもするような気軽さで、リョテイはそう言った。
「……会って何をさせようと?」
「会長さんから聞いてんだろ、おまじない」
"トレーナーくん、君がもしそれを望むのであれば、会いたい人の下に出向いてたった一言、こう言えば良い――おはよう、とね。"
あちらのルナは、確かにそう言った。その発言の意図はわからないが、しかし言う通りに出向き、挨拶したら……俺にとって望ましい何かが起きることは明確に理解できていた。
でも、望ましい何かが起きることは理解しているが……怖い。
「怖いって顔してんな、トレーナー」
「……そうだよ、怖いんだ」
「何が怖いのか、どうしてそう思うのかはわかんねぇよ。でも、それをやらずに、アンタは前に進めんのかよ?」
進めるか、と問われて、俺は真っ先に「進めない」と思った。
多分、どれだけ恐ろしくても、どれだけ怖くても、今の俺なら前に進んでいけるんだろう。
でも何故か、この心のもやもやは晴らさなければ動けない気がして。
「進めねぇんだろ。わかるぜ」
「……」
「それに、そのおまじないは……一回きりしか使えないのか?」
「恐らくだけど……そんなことはないと思う。多分、何度でも使える」
だったら、と。リョテイはこぶしを握って力説する。
「アンタにとって大事なウマ娘なのはわかる。そのおまじないが何か……途轍もない変化をもたらすのもなんとなくな。でも、一度くらい試したって誰も文句は言わねぇよ。それに……」
「それに……?」
考えこむように、俯くリョテイ。
小さく漏れた息は、彼女の中に沸き上がるやるせなさのような、厚ぼったい感情を吐き出すようにも聞こえた。
……少しして、言葉が決まったのか顔をあげるリョテイ。そこには、淡い笑みが浮かべられていた。
「――アンタも、少しは報われていいって、アタシは思ってるんだよ」
221 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/10/01(金) 00:32:05.75 ID:53k8qWyp0
あまりにも眠いので今日はここで終わりです。引き続き皆様の見解については募集しておりますので、ぜひお寄せください。
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/01(金) 00:51:03.30 ID:lfzLSTBto
おつおつ
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/01(金) 01:39:52.31 ID:G6SviYWY0
そういやマヤノの時なぜネイチャもトレーナーのこと覚えてたんだ?
あとルナが言った
君にはもう負けているんだよ、トレーナーくん
何を負けたんだろう
224 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/01(金) 05:48:43.72 ID:RAwDRLv8O
うま娘達とは言ってないからターボのみ会うんだろうな
ネイチャはともかく、マヤノはループ理解しているのか?演技してるだけかもしれないが
PS
マヤノまで記憶取り戻して前みたくイチャイチャしたら、
リョティ拗ねないですかね?
225 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/01(金) 07:45:47.76 ID:Gag7noaw0
会長とトレーナーがかつてどれほどの仲だったのかわからないけどマヤノと同じかそれ以上の仲だったら残酷な現実だな
226 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/01(金) 07:57:36.16 ID:W3yST3ds0
フフフ…うまぴょい!うまぴょい!みんなうまぴょいし続けろ!
激しく!もっと激しく!!
227 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/10/03(日) 01:27:35.34 ID:hz0YCbH10
「……お、噂をすればってやつだな」
リョテイがそう言って、目線を送る。俺もそちらに目線を送ると――そこには、鮮烈なマリンブルーの髪の毛を夕陽にたなびかせる、ツインターボの姿があった。
なるほど、どうしてここまでリョテイが探し回っていたのか、ようやく理解できた。
ツインターボ、俺が担当していた時もそうだが、かなり奔放なウマ娘だと言える。彼女がその時どの場所にいるかなんて、少なくとも俺たちの周辺でわかる者はいない。
……ナイスネイチャに聞けば、おおよその推測くらいは立つだろうが。
思考という体のいい逃避に浸っていた俺は、しかしリョテイが背中を軽く叩く衝撃で現実に戻る。ツインターボは、今にでも建物の影に隠れようとしていた。
「ほら、行って来いよ」
「……本当にいいんだろうか」
「んなのわからねぇよ。でもな、トレーナー。担当トレーナーってのは、ウマ娘にとって――唯一無二の味方なんだぜ」
アンタが悪意を持って接しようとしているわけじゃない以上、それはきっと、アイツらにとっては喜ばしい行為なんだって、アタシは思う。
静かに、けれど力強くつぶやいたリョテイ。その言葉を噛み締めるのもつかの間、不意に俺の体はツインターボの視界の中へ躍り出る。
何があったのかわからない。振り向けばサムズアップするリョテイ。……突き飛ばされたのだ、と理解した。
その瞬間の出来事だった。前方にいたツインターボがこちらに気付いたようで、「あーっ!」と声を上げた。
「オマエ、あのレースの……!」
蘇るあの時の記憶。走っていたツインターボに轢かれて気を失った後、こんな感じで声を掛けられたことがあったっけ。
雲のように移ろいそうな思考を元に戻して、今何をすべきか――肝に銘じ、改めてツインターボをまっすぐ見据える。
夕焼けに照らされた相貌は、突然こちらをまっすぐ見てきた俺に一瞬たじろぐ様子を鮮明に映し出した。
……やっぱり、俺の知るツインターボではない。俺が担当した彼女であれば、俺の顔にたじろいだりすることはない。
ツインターボたちにとって、喜ばしい行為、か。
「……な、なんだよぅ。いきなりジッと見られると、ターボ、少し怖いよ」
「すまない。少し考え事をしていてね」
「へー。やっぱり会長が参加してるチームのトレーナーだから、いろいろ考えることがあるってことね」
「……そうとも限らないけどな」
素直に君のことで悩んでいる、なんて言えないから。俺は彼女の邪推に乗っかってはぐらかす。
ツインターボは純粋なウマ娘だ。俺が嘘をついてしまえば、カラスが黒になったりするかもしれない。
その純真さを利用するようで、少しちくりと胸が痛んだ。
「それで、ターボに何か用か?」
「……」
たった一言。たった一言"おはよう"と言うだけなのに、口が鉛のように重い。
羞恥や躊躇いなんかじゃない、そんなものとは比較しようがない何か重大な意味がこの言葉には含まれているような気がして。
世間話で誤魔化すのもアリだと思った。でも、そんなことをしてしまえば、(多少強引にではあるが)信じて送り出してくれたリョテイに合わせる顔がないのも事実で。
乾く唇をかるく湿らせて、まずは小さく口だけ開く。……問題ない、話すことは出来そうだ。
声が出るか、小さく声を出す。……こちらも問題ない、声を出すことも出来そうだ。
自分の意思の薄弱さが、余りに露骨に出てしまう。ありあわせの勇気の大半は、リョテイから受け取ったものだった。
でも、それでいいとも思えた。俺はきっと、彼女たちの力を借りなければ、この世界でちっぽけに生きることしかできないのだから。
正しい選択なのだろう、と。薄弱な意思とは裏腹に、確信できた。
228 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/10/03(日) 01:29:21.88 ID:hz0YCbH10
「ツインターボ、君に言いたいことがある」
正しく口は回り、声が出る。
目を瞬かせるツインターボ。一種無垢さすら感じるその表情に向けて、俺はたった一言。
さながら、銃のトリガーを引くように――。
229 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/10/03(日) 01:29:48.64 ID:hz0YCbH10
「"おはよう"」
――言い放つ。
230 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/10/03(日) 05:35:08.40 ID:/KpXAdnoo
さてどんな反応が
231 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/10/03(日) 10:58:42.27 ID:hz0YCbH10
瞬間の出来事だった。
呆けたような表情のツインターボ。
風が吹き、一瞬の間に。
つう、と。ツインターボの鼻から血が流れだした。
驚いたツインターボは自らの鼻を拭うそぶりを見せるが、止まる気配がない。
「大丈夫か!?」
急いで駆け寄って、ハンカチを手渡すが反応がない。
まるで魂がすっぽりと抜け落ちてしまったかのように、そこに意思というものが見受けられない。
相反するように流れ出ていく血液はとどまることを知らず、俺が彼女の鼻にあてているハンカチはその大半が赤黒く染まっていた。
「トレーナー、とりあえず医務室に――」
慌てて出てきたリョテイに頷こうとした、その時だった。
不意にターボの瞳の焦点が、戻った。
鼻から流出する血液は止まることはなく、ツインターボはそれに驚いた様子を見せた。
「ターボ、なんでマチタンみたいに……?」
「大丈夫か、ツインターボ。気分は悪くないか?」
「……え?」
俺の声が聞こえていなかったのだろうか。気分はどうだ、と繰り返そうとしたとき。
「これ、夢……?」
小さく、小さくツインターボは呟いた。
その声があまりにか細くて、今にも消えそうで。
声の様子に、二の句を継ぐことは憚られた。
ツインターボはぱちりと目を瞬かせて、両腕を動かし、手を握ったり開いたりする。そして自らの頬を強く引き――。
これが、現実だと認識するように、改めて俺を見た。
「トレーナー……?」
確認するような声音だった。そこに俺がいることを疑うような。
瞳の不思議な虹彩は、昏く何をも見通していなかった。いつもの彼女のような、透明で、透き通っているそれは、此処にない。
……なんとなく、瞳に湛えられた感情は絶望なんじゃないか、と思えた。
「トレーナーだよね……?」
そうであってほしい。ツインターボはまるで願うように、問いかける。
俺が突然消えて、どれだけ苦しい思いをしたのだろう。どれだけ悲しい思いをしたのだろう。
ツインターボが背負った苦難の道のりは、想像できないほどに険しいもので。
「――俺なんかが君のトレーナーであり続けていいのなら、俺は君のトレーナーのままだ、ツインターボ」
果たして俺にツインターボのトレーナーたる資格があるのかすらも、疑問に思えた。
俺自身はツインターボのトレーナーでありたいとは思っている。過去に担当していたウマ娘だからって、俺はそのウマ娘たちの担当トレーナーではなくなったという認識を抱けない。
でも、突然俺が消えた世界で孤独に戦っていたツインターボは、果たして俺のことをトレーナーだと思ってくれているのだろうか。
……浅ましいまでの確認の言葉だった。
232 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/10/03(日) 11:20:40.51 ID:hz0YCbH10
「……」
静かな、何処までも静かな沈黙が横たわった。
風の音しか聞こえない。草木が揺れる音すら聞こえない。
数分の間の後、「トレーナー」とツインターボは静かに言った。
「ターボ、今までたくさん良いことしてきたよ。ほかの子たちが困ってたら力を貸してあげたり、外で困ってる人がいたら助けたり」
何の話だろうと、首を傾げる。
しかし、ツインターボの話はとどまることはない。
彼女はまるで――もと来た道のりを辿るかのように、訥々と言葉を連ねていく。
「レースだってたくさん勝った! 負けたレースもあったけど……」
「べんきょーも出来る範囲で頑張った! でもやっぱり、上手くいかなくて……」
「ターボ、ずっと頑張ったよ。頑張り続けたら、いつかトレーナーが迎えに来てくれるって思ってたから」
静かに、ツインターボが連ねていく言葉を受け止める。
それが俺がやらなければならないことだと、確信した。
233 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/10/03(日) 11:22:07.30 ID:hz0YCbH10
「ずーっと、ずっと頑張ってきたよ、トレーナー。だから、これはご褒美なのかな?」
「……トレーナー。ターボはずっと待ってたよ」
「オールカマーでも、菊花賞でも、有馬でも――」
「春も、夏も、秋も、冬も、朝も、夜も、いつだって……」
「競争バを引退して、お仕事してる間も」
「歳を取って、おばあちゃんになっても」
「出来るだけ泣かないように、笑顔でいるようにって」
「だから、死ぬ時も――笑顔でいたよ、トレーナー」
「いい子で待ててたから、死んでからもっかい会えたのかな……?」
234 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/10/03(日) 11:29:10.33 ID:AMcFmwsRO
トレーナーがいた世界の記憶と今いる世界の記憶が同時に存在するのかな
おばあちゃんになったって事は前の世界でしっかり生きてたんだなって感動
235 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/03(日) 11:43:06.02 ID:BU3Tv1eM0
スペ(1代目)が有馬獲った場面とか見せられてたしな
世界がリセットされるんじゃなくて並行世界にTだけスライドしてるんやな
236 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/10/03(日) 11:54:13.20 ID:hz0YCbH10
「――っ」
その場に立ち尽くすことしか、出来なかった。
俺がループした後のことは、考えていたつもりだった。
どれだけ苦しい思いをして競争バとして過ごしてきただろう、とか。
どれだけ悲しい思いをしてこれからを過ごすのだろう、とか。
違う――そんな甘いものじゃなかった。
一生だ。一生俺が与えた傷が、彼女たちには残り続ける。
永遠に訪れない再会の機会を待ち望んで、望み半ばで死んでいく。
どれだけ会いたいと思っても、絶対に会うことは出来ない。どれだけ絶望したくても――俺が会いに来るかもしれないという希望が、彼女たちに絶望を許さない。
いっそ俺の記憶が彼女たちから消えてしまっていたほうが、救いがあった。
でも記憶は消えることはない。どれだけ忘れたくても、消失なんて鮮烈な記憶がなくなるはずがない!
地獄だ。周囲に分かち合える人がいないのであれば、猶更……!
「ねぇ、トレーナー……。ターボ、トレーナーにもう一回会ったら言ってほしいことがあったんだ」
ツインターボはゆっくりと、こちらに歩み寄ってくる。
その歩みに、どう相対していいのか、俺にはわからない。
ツインターボの抱える気持ちと俺の覚悟は、明らかに釣り合っていないというのに。
「――トレーナー、ターボ、がんばった?」
ああ、と答えかけた口は閉ざされた。その言葉は、俺が簡単に言っていい言葉じゃなかった。
俺がツインターボを、こんな表情にしてしまった。不可避の現象があったとはいえ、俺は、ツインターボを孤独にしてしまった。
それも一生!
自らの命を捧げても、きっと足りない程の罪科。どれだけ赦しを乞うても、もう二度と巻き戻らない時。
俺は、本当に、言葉を返してもいいんだろうか……?
「……おい、トレーナー」
「……リョテイ?」
「――不相応でもいい。アンタが何を感じてるか何となくはわかる。とにかく応えろ」
胸倉をつかまれ、耳元にささやかれた言葉。嘘でも何でもいいから、言葉を返せ、と。
どうせ罪を背負うなら、背負わせたものは降ろせと。
贖罪なんてない、死を以て贖ってもなお深い、いわば冒涜とも呼べる仕打ちを行った俺に取れる責任は、確かにそれくらいなのかもしれない、と思える。
「ターボ……」
「……トレーナー」
「――ターボ、よく頑張ったな」
恐る恐る手を伸ばして、ツインターボの頭を優しく撫でる。
心が軋む音がして、でもどこか安心した。
明確に拒絶されたら、もう俺はトレーナーとして立ち直れなかったはずだから。
だから、伸ばした手が弾かれなくて、本当に良かった、と。
どこか安心している俺がいた。
237 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/03(日) 12:18:02.98 ID:c+9CAJv30
鼻血のせいで脳にものすごい負担がかかってそうな感じがして怖いな…
ターボ死んだりしないよね…?もしそうなったらトレーナーも最悪自[
ピーーー
]るか良くてまた自閉モードに入りそう
238 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/10/03(日) 12:46:46.86 ID:hz0YCbH10
しばらく撫でていると、ツインターボはついに堪えきれなくなったのか、俺の胴に顔をうずめてきた。
じんわりと腹部が温まっていく。……ツインターボは、泣いていた。
悲しみを俺が全て感じ取ることは出来ない。その涙の本当の意味を、俺はよく知らない。知れない。
いつか、その悲しみの総てを汲み取ることが出来る日が来るまでは、この心の痛みを抱えて生きるのが、俺に課せられた罪。
静かに、宥めるように、ツインターボの頭を撫で続け――気が付けば、辺りはとっぷりと暮れていた。
「……もう夜だな、送ろう」
俺がそう言えば、ツインターボは服を握る力を強くした。……言葉に出さないまでも、この所作が意味するところは理解できる。
つい、とリョテイに視線を向ければ「従っとけ」と言わんばかりに顎をしゃくられた。
……つまり、ツインターボが満足するまで一緒に居てやれ、という事らしい。
多少の叱責はこの際覚悟するとして、問題は寮長……つまりヒシアマゾンへの説明だが。
「担当トレーナーが別のウマ娘とイチャコラしてるのは、正直妙な気持ちだが、まぁ事情が事情だしな」
……と、リョテイが説明してくれることになった。こうなれば憂いはない。……いや、あるにはあるが。
こんな憂いなんて、ツインターボのそれと比べたらなんてことないものだ。今は、彼女のしたいようにさせたい。
「ねぇ、トレーナー」
「……どうした?」
「ターボのこと、ターボって呼んでほしいんだ!」
突然の申し出だった。でも言われてみれば、担当ウマ娘なのに他人行儀だったのかもしれない。
ターボ、と口に出して反芻すれば、ターボも満足したようで、ふんすと鼻を鳴らした。
瞳は若干暗いままだけど、変わっていない態度に安堵する。
「なぁターボ、一つ聞いていいか」
「ん、どうしたの、トレーナー?」
「ターボはさ、俺が突然消えても……それでも俺のことを信じてたのか?」
かねてから聞いてみたかったことだ。
"だって、一番の味方だよ……? 何か理由があっていなくなったんだ、って思う。"
"――そしてそれが多分、自分のせいなんだろうなって思う。"
……マヤノから聞いた言葉がずっと引っかかっていた。あの場では納得していたけれど、やっぱり本人に聞いてみないと本当のところはわからない。
ターボはきょとんとした表情で俺のことを見て――そして、いつもの、見る者に元気を与える笑顔を浮かべて、言った。
「――信じてた! じゃなかったら頑張ってなんかない!」
何処までも眩しい笑顔に、俺はこの日初めて、なんだか救われるような気がした。
自分勝手な思いなのかもしれないけれど、でも、ターボと話せてよかった、と。
手を差し出せば、それを握るターボ。正眼に彼女のことを捉えて。
「――ッ?!」
妙な気配が奔った気がした。
しかし、ぐるりと見渡しても、それらしいナニカはそこにない。
ターボもこちらのことを心配そうに見つめていて……。
粗方眺めて何もなかったので、気のせいだと判断することにした。これ以上ターボを不安にさせてはいけないだろうし。
(……だけど、なんだか胸騒ぎがするな)
ふと見やった三女神像の方から、カラスが一斉に飛び立っていた。
239 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/10/03(日) 12:48:19.65 ID:hz0YCbH10
―――――――――――――――――――――――――――――――
▼リミテッドイベント「回顧」が終了した。
▼トレーナーの"現象"に対する理解が深まった。
リミテッドイベント「例えば幾星霜が過ぎたとして。」が追加で発生します。
▼過去の担当ウマ娘の記憶を呼び覚ました。
サポートカード[ツインターボ]を入手しました。
サポートカード[ツインターボ]がアクティブ化しました。
リミテッドイベント「夢千夜」のフラグが立ちました。
▼ツインターボから受け継いだ因子が強化された。
スピード★☆☆→★★☆
先手必勝★☆☆→★★☆
逃げ★☆☆→★★☆
これが諦めないってことだァ!★★☆→★★★
―――――――――――――――――――――――――――――――
【アナウンス】
現時点で考察の的中度が一定以上に達しているため、リミテッドイベント「回顧」の追加イベント、[例えば幾星霜が過ぎたとして。]が発生します。
これからも考察などは受け付けてまいりますので、皆様の自由な発想をぜひお聞かせください。
―――――――――――――――――――――――――――――――
240 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/03(日) 15:35:39.46 ID:Xm1Qs/9Qo
曇りターボ→復活ターボはあーだめだめ涙腺に来ます
>「オールカマーでも、菊花賞でも、有馬でも――」
ここ、師匠成し遂げたんやろうか…アカン少しなk
241 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/03(日) 17:32:17.35 ID:mWg39hOIO
前
>>1000
はその辺のこと語られる話ですね間違いない
少し泣く
242 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/10/03(日) 18:58:14.47 ID:hz0YCbH10
>>1
より
243 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/10/03(日) 18:59:40.18 ID:hz0YCbH10
読んでいただける皆様へ、信愛を込めて。
https://imgur.com/Moufv17
(文字無し)
https://imgur.com/TolO6zD
244 :
◆FaqptSLluw
[sage saga]:2021/10/03(日) 19:04:35.76 ID:hz0YCbH10
あ、多分今日はもう1、2回くらい更新します。よろしくお願いいたします。
245 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/03(日) 19:19:41.38 ID:xRdcyno7O
リョテイなかなかクールな感じですね
これからも楽しみに読ませてもらいます
246 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/03(日) 19:21:10.25 ID:kOF/jrkDo
ターボでこれならマヤやんがどれほどの反動になるか怖い
247 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/03(日) 19:28:12.81 ID:/J6CkVAgo
ネイチャ(マヤちん周)の頑張りに掛かっている…!
248 :
◆FaqptSLluw
[sage saga]:2021/10/03(日) 21:03:49.80 ID:hz0YCbH10
■リミテッドイベント[例えば幾星霜が過ぎたとして。]
……ツインターボに、前ループの記憶を取り戻させてから、数日が経過した。
相変わらずターボは俺にべったりで、離れようとしない。あまりにべったり過ぎるせいで、トレーニングも俺たちチームと一緒に行っている程だ。
リョテイは面白そうに、ネイチャは不思議そうに、ルナは苦笑を浮かべて、それぞれターボが元気にトレーニングに励む姿を見ている。
これで何か問題が発生するのであれば何か策を講じなければならなかったが、ネイチャはターボとそれなりに仲が良いし、ルナは生徒会長である為、問題を起こすはずもなく。
そんなわけで、ターボは実質チームメンバーのように扱われている。お節介かもしれないが、ターボの練習メニューを纏めてみようかな。
「……とはいえ、こんな時間か」
時刻は既に0時過ぎ。中天に月が昇り、静穏たる光を優しく降らせていた。
軽く伸びをして、明日に備えようと着替えて寝よう。そう考えた時だった。
こんな時間だというのに、携帯が震えだす。
何か起こったのだろうかと、少しだけ不安になりながら携帯を掬いあげる。液晶には、ルナからの着信を示す文字列が並んでいた。
ルナから電話がかかってくるとは珍しい。よっぽどのことがなければメッセージで送ってくるはずだけど……。
少しだけ気構えをしたうえで、電話を取る。
『……もしもし?』
『夜分遅くに申し訳ないね、トレーナーくん。今、大丈夫か?』
『ああ、今しがたやらなきゃいけないことが終わったところだ』
『いつもお疲れ様、あまり無理はしないようにな――って、今から呼び出す私が言っても説得力がないな』
ふむ、呼び出す。
こんな夜も遅い時間に呼び出しを行うという事は、それなりに重要度が高くて、誰にも聞かれたくない話なのだろう。
案の定そうらしく、ルドルフは小さく笑いながら、声を潜めて話を続ける。
『今から……そうだな、校門前に来てくれないか?』
『校門前か。分かった、準備したらそちらに向かうよ』
随分と急な提案だが、何か急いで伝えなければならないことがあったのだろうか。
電話を切って、とにかく急いで校門前に向かうことにしよう。早急に対処しなければならない事項なら、時間は命であるとも言えるし。
俺は急いで身支度して、玄関から外に出ようとした時だった。ふと、前回のループでマヤノが見つけた、古い日記らしき何かのことを思い出した。
急ぐ必要がある上で、あえてそれを見る必要性はないと思われたけれど、何故か無性にそれを見つけておかなくてはならない気がして。
小走りでベッドに向かって、下を覗き込む。
すると、そこには――マヤノが見つけた時よりもなおボロボロになった、日記が存在した。
「……これは一体何なんだろうな」
疑問に思うが、今はとにかくルナとの用事だ。
俺は急ぎ足で校門へと向かうのだった――。
249 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/10/04(月) 01:31:04.85 ID:y4Erd8qR0
「……やぁ、トレーナーくん。いきなり呼び出してすまないね」
校門前にたどり着くと、そこには既にルナが立っていた。
いつもの制服姿ではなく、黒を基調としたラフなルームウェア。少し新鮮さを感じるが――気にしなければならないのはそこではない。
「何かあったのか?」
「……少し、話したいことがあってね」
ルナは言うと、近くに設置されている遊歩道へと俺を手招きした。
確かに校門前ではそれなりに目立つし、人が通りかかる可能性もある。
俺は素直に、ルナの招きに追随することにした。
■
夜の遊歩道は、夜だというのにそれなりに明るい。月の光が街灯代わりになっているようだ。
虫と風の音を聞きながら、静かに遊歩道を歩く。
こうして夜のトレセン学園をゆっくり歩くのも久しぶりだ。大体はトレーナー室で仕事を終えたら、そのまま職員寮へ直帰するからなぁ。
たまにはこうして散歩することも必要なのかもしれないな、とふと思う。
「……ふふ、ようやく元の君に戻ったようだ、トレーナーくん」
「元々の俺?」
「ああ。私が大事な話をするかも、と思っていたのだろう? 緊張しているように見えたからね」
小さくルナが笑う。その笑みを見て、確かに余裕がなかったな、と思った。
まぁ余裕がなくなっていたのも元はと言えばこの連絡のせいで――。
「まぁまぁ、そう怒らないでくれ。話をしなければならなかったのは本当なのだから」
「……で、その話って?」
「――君のループについての話だよ、トレーナーくん」
その一言で、俺の中に潜んでいた小狡い怒りは直ぐに霧散した。
確かに、俺はツインターボとのやり取りの中で少し疑問に思っていたことがある。
近々話すべきかと思っていたところだったから、まさしくクリティカルヒットと言うべきだろう。
……ルナは、どうやら俺のそんな思惑も読めていたらしい。いつもの微笑みを浮かべて、「何から話そうか」と一瞬逡巡した。
「そうだな、話すことが多いから――トレーナーくん、君のこのループという現象についての見解を聞かせてくれるか?」
「……ループについての見解、ねぇ」
静かに考える。ターボと話したとき、感じた疑問点。
それは――ループ後は一体どこに"ループ"しているのか。
何となくだが、平行世界のような場所に移されている、と考えていた。でもターボと話した後、なんとなくその答えに違和感を感じた。
適宜的に平行世界とするが、平行世界に俺がループしたとする。であれば、奇妙な点が一つ発生する。
……過去に関わったウマ娘たちが、ほんのわずかだが俺との記憶を保持していること。
平行世界にループしたのであれば、過去に育成したウマ娘とこの世界に居る同名のウマ娘は別の存在。俺の考え得る限りでは、記憶を継承する要素は皆無だ。
そのことを考えれば――ある程度の推察は立つ。
「……同じ世界線をループしてる、とか」
「……ふむ、詳しく聞かせてもらえるか?」
「ルナをはじめとして、過去に担当したウマ娘には大なり小なり記憶の継承が行われる。継承が行われるという事は、この世界が"前回ループした世界"と地続きであることが予測できる。逆説的に、記憶の継承が行われるという事は、平行世界への移動などは考えづらい」
なるほどな、と頷くルナ。瞳に輝く知性の色が、ことさらに濃くなったように見える。
「これは仮にそうなのかもしれない、という話だが――紙の中央に一本線を引いて、丸めて端と端をくっつけた自称じゃないんだろうか、このループという現象は」
「……そこまで考えが及んでいるのであれば、大丈夫だな」
250 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/10/04(月) 01:53:20.97 ID:y4Erd8qR0
何が、と問う前に、ルナは淡く微笑んだ。月の光に照らされた、彼女のアメジストの瞳が、妖しく、昏く、輝く。
「トレーナーくん、私は一つ思っていることがあるんだよ」
一歩、俺より先にルナが踏み出した。そのまま軽く勢いをつけて、踵を軸にして体を一回転させる。
改めて向き直るように顔を合わせる俺とルナ。遅れて体の動きに散らばった髪の毛がふわりと元に戻った。
その所作に、懐かしさを感じて。でも、その懐かしさがなんだかとても切ないものである気がして。
俺は思わず、胸に手を当てた。
「君は知るべきだ」
さぁ、と。風が吹いて頬を叩く。
月の光が舞い踊る木々によって塞がれて、不思議な煌めきを持ったアメジストの瞳だけが、まるで暗中に浮くように輝いた。
真っすぐ、そしてしっかりと。俺のことを見据えた両の瞳の真意は――俺には読めない。
ただただ、まるでそこに元々ある景色であるかのように、無色。そこには何の感慨もなくて、感情がない。そんな気さえする。
「なぁ、トレーナーくん。不思議には思わなかったか?」
「……何を?」
聞き返す俺に、ルナは少し考えて――そして口を開く。
「いろいろあるが、一番は――なんで約5年も待たされたのに、私が君に強く何かを求めないか、とか」
「……」
確かに。ルナは約5年の間、俺のことを待ち続けてきたと考えられる。
彼女の会話の節々からは、俺と彼女がそれなりに親密な仲であったことがうかがえる。そんな相手を目の前に5年も待つことが出来るのだろうか。
……俺であれば、否だ。現に、ループが開始してまだ一年も経っていないのに、ターボの記憶を呼び覚ましている。
理解は出来る。だけど、何故それを今話始めるのかがわからない。
「……理解はできるが、何故その話をしたのかがわからない、という顔だな、トレーナーくん」
「ああ。最初はマヤノに遠慮して、とか、そう言う話かと思ったけど――違うみたいだしな」
「そうだ。私は元から、君のことを唯一無二のパートナーだと信じてやまない一人のウマ娘だ。遠慮する理由などない」
確実に、しっかりと、言い切った。生徒会長――"皇帝"シンボリルドルフの姿はそこに無く、ただただ一人のウマ娘、シンボリルドルフがいた。
彼女はどこか切なそうに息を吐いて、でも瞳はしっかりと無を湛えて、俺に相対している。
等身大の彼女と、等身大の俺とで。
何故か、そこに、埋まらない感情の壁があるような。
「例えばの話だ」
待ってくれ、その先を言わないでくれ。
「君が私だとして――」
いくら願っても、言葉にしなければ始まらない。
止まることはない。
251 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/10/04(月) 01:55:55.22 ID:y4Erd8qR0
「――250年待たされるのを、都度4回繰り返されたら、どう思う?」
252 :
◆FaqptSLluw
[sage saga]:2021/10/04(月) 01:59:49.91 ID:y4Erd8qR0
今日の更新はここまでです。
253 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/04(月) 02:47:17.84 ID:X43EKYdt0
エンドレスエイトかなにか?
254 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/04(月) 06:09:59.46 ID:EUc3hOtS0
精神が老化してしまってるのかな
その結果欲求も少なくなり悟りの境地か
255 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/04(月) 08:13:22.43 ID:fKR+pih4o
おおう…
い、いきなりしっとりルナはなさそうですね!(現実逃避)
つらい……
256 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/04(月) 08:41:56.11 ID:nuc2BPs+O
一番かわいそうなのは今回主人公のリョティだと思うんですが、
完全に空気だぞ
257 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/04(月) 09:10:22.63 ID:2zZ3gnOG0
せめてマヤノルートくらい、あるいはそれ以上長い事カイチョールートをやってきたならまだしも、
読者的にはカイチョールートは一切やってない事だからなぁ
トレーナーは受け入れてるけど、何の積み重ねも無く「元パートナーでした」とか「1000年待ちました」とか言われても
数字がデカすぎるのも相まってへーそうなんだくらいにしか感じねぇ…
258 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/10/04(月) 11:53:37.23 ID:Dtb1SR7q0
あえて言うのであれば、その困惑こそ意図するところです。
トレーナー自身も、漠然と「親しかったような……?」と思ってるくらいですし。
「ループの記憶が無く、なぜ好意を寄せられているのか分からないトレーナー」と、「マヤノみたいに描写されてない記憶を主張する展開に困惑する皆様」で、ある程度共通する項が生まれたのではないか、と邪推します。
さて、あえてこうして説明したのには理由があります。
つまり……。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
下8 トレーナーはこの言葉にどう返す?
259 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/04(月) 12:11:17.60 ID:IUNfNEwvo
↓8までをまとめた感じになる?
取り敢えず一番引っかかる所聞く
「250年ってどういう事だ……?」
260 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/04(月) 12:45:07.81 ID:EUc3hOtS0
1000年か。俺ならその間に悲しみ、嫉妬し、恨んで……
そのうちそういった執着心もなくなってしまうんだろうな
261 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/04(月) 13:18:14.15 ID:YftUnn9Jo
加速がてら
瞬間トレーナーの脳内に溢れ出した、存在しない記憶
262 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2021/10/04(月) 13:51:58.16 ID:ldU1nru2O
もう君が過ごした果てしない時を取り消す事は出来ないだろう
だがこれ以上君にはループさせないよう全力を尽くさなきゃいけないな
263 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/10/04(月) 14:18:09.98 ID:RPDl20glo
報復を望み、君が救われるのなら
何でも受け入れよう
264 :
◆FaqptSLluw
[sage saga]:2021/10/04(月) 14:54:22.65 ID:Dtb1SR7q0
下8つめのレスをトレーナーのセリフないし指針とします。
遠目に設けているのは、少しだけ考える余地を設けたかったからです。いざとなればこちらでkskもします。
よろしくお願いいたします。
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