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【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」ターボ「3スレ目だ!」【安価】
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105 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/12(日) 23:53:35.22 ID:rWgXFW140
「ステーキよろしくな」
「帰ってくるなりそれか……」
控室に意気揚々と戻ってきたキンイロリョテイは、開口一番にそう言い放った。
あまりにも食い気が勝っている態度に、俺は思わずため息をついた。どんだけ肉が好きなんだろうか、彼女は――。
兎にも角にも、勝利したことには変わりない。お祝いの気持ちも込めて、今日はそこそこ高いステーキ屋に連れていくとして……。
「……誰を連れてきてるんだ、君は」
「見りゃわかんだろ、まさかこのお人を知らないとは言わせないぜ?」
差し出されるようにして前に出てきたのは、いつかマヤノと共に戦った最強格の逃げウマ娘――サイレンススズカだった。
どのようにして連れてこられたのか、その困惑する表情を見ていれば察しが付く。恐らく彼女の強引極まりない牽引があったのだろう。
「……世話を掛けたな」
「……いえ」
今日はレースに出走していなかったが、敵情視察という事で訪れていたのだろうか。
いつものフォルムが美しい勝負服ではなく――冬らしく暖色系でまとめられた、ふんわりとしたコーデの普段服で訪れていた。
寒さによる間接へのダメージをケアするために、かなり厚ぼったく着られたその服で客席からここまでくる苦労は――うん、ひとまず。
「お詫びに、君も食事の席にどうだ?」
「え、私もですか……?」
「ああ。……どうやらキンイロリョテイが迷惑を掛けたみたいだし」
「でも、私もレースが控えてるので……。ありがたいですが、お断りします」
なるほどな、と思う。
確かに、走ることを至上とするサイレンススズカらしい断り方だ。
「飯の話なんてどうでもいいんだよ、どうでも」
「……少しは反省するそぶりを見せたらどうなんだ?」
「でも、ここでしなきゃダメな話だ。万が一……クラシック路線のホープ、サイレンススズカに宣戦布告、なんて見出しが描かれた日にゃ……」
「書かれた日にゃ……?」
「いいな、それ」
二転三転とするキンイロリョテイの話にずっこけながら、俺はある程度この話の落としどころを見つけていた。
「つまり、君は――サイレンススズカと同じレースを走りたい、と」
「ああ! ようやく理解してくれたか、トレーナー!」
「まぁ、な。……で、君はどうなんだ、サイレンススズカ」
「ええ……」
困惑気味に呟くサイレンススズカ。さすがにいきなり過ぎただろうか――などと思っていると、彼女はふと、いつもの様子を取り戻して顔を上げる。
「私は別に……。と、いいますか――どちらにしても、先頭の景色を譲るつもりはありませんから」
「へぇ、かかってくるなら勝手に、ってことか」
「……」
無言の肯定。サイレンススズカの体から、何か闘気めいたオーラが漂う。
「いいじゃねぇか。で、スズカはどのレース出るんだよ」
「私は――」
―――――――――――――――――――――――――――――――
106 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/12(日) 23:54:04.90 ID:rWgXFW140
下1 目標設定
――――――――――――
・桜花賞(マイル:適性B)
ターン数:10
難易度:高
報酬:高
――――――――――――
・日本ダービー(中距離:適性A)
ターン数:15
難易度:特高
報酬:特高
――――――――――――
・天皇賞秋(中距離:適性A)
ターン数:20
難易度:極高
報酬:極高
――――――――――――
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/13(月) 00:16:53.92 ID:KuPPPNqZ0
ここは華のダービーでいこうか
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/13(月) 00:25:25.77 ID:Iem24DS4o
妙に存在感のあるススズパイセン、ここに来て初台詞
いや以前の周とは違うとは分かっているが春天ぶっちぎりやSS×2のインパクトはヤバかった
109 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/13(月) 22:28:27.23 ID:RCFJOhnJ0
「――ダービーかしら」
「随分と……妙な出走をするんだな、アンタにしちゃ」
キンイロリョテイの言う通り、妙なチョイスだな、と思う。
サイレンススズカの適性などを鑑みると、クラシック三冠路線ではなくティアラ路線に進むのが普通だ。
何か特別な理由があるのだろうか、と思った時だった。サイレンススズカは……静かにキンイロリョテイに視線を向けた。
「そちらの方が、”浪漫がある”――。そうでしょう」
「――ッ! はは、いいね、いいねェ……!」
猛禽のような瞳。矮躯に纏う捕食者としての空気が、一瞬にして濃厚な威圧を周辺に振りまく。
その気配は――皇帝にも負けず劣らず。
サイレンススズカも思わず息を呑んで――しかししっかりと、キンイロリョテイをみすえていた。
「じゃあ、日本ダービーでまた会おうぜ」
「ええ」
小さくそれだけ呟いて、サイレンススズカは控室を去った。
「……大丈夫か?」
「ああ。アンタのほうこそ、大丈夫だったか?」
「……俺?」
「予定とか、そう言うアレだよ。問題はなかったか?」
ああ、と一つ手を打つ。
「そろそろ目標レースを決めなければならない時期だったし、問題はないぞ」
「そっか、じゃあ――よろしくな、トレーナー」
「おう」
110 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/13(月) 22:38:54.29 ID:KOxlQlEV0
ヤンデレかポンコツかストイックかイケメンか先頭民族かポンコツかどのスズカなんだ
111 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/13(月) 22:57:10.71 ID:RCFJOhnJ0
■リミテッドイベント:常識とは破られるために存在する。
「――なるほど。論旨は理解したぞ」
ぱちりと扇子が開かれ、理事長の眼のみがこちらから伺うことのできる唯一の感情となる。
そこに浮かぶのは、歓喜か、あるいは……悲哀か。
読み取ることは出来ない。それを見越して彼女も扇子を開いたのだろうから、当然だと言える。
見定めるように細める瞳が、こちらのことを透かし見るような気がして。
思わず手を握ったところで。彼女はようやく口を開いた。
「肯定ッ、素晴らしい心意気だと思う」
「では……」
「――だが、条件がある」
扇子を閉じ、先端をぴしゃりとこちらに指す。
やがてそれを口元に持っていき――にやりと、人の悪い笑みを浮かべた彼女は、嘯くように述べた。
「”皇帝”シンボリルドルフをチームに加えることを、全校生徒に認めさせる――」
扇子を懐にしまって、仁王立ちする理事長。そして、声高らかに、条件は述べられる。
「――つまり、君のチームで”皇帝”を超えて見せろ!」
……こうして、現状明らかに超えられない壁が設定されたのだった。
112 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/13(月) 23:26:57.76 ID:RCFJOhnJ0
■
「面倒なことになったな」
「まさか、私とトレーナーくんのチームメンバーが競うことになるとは思っていなかった」
ホープフルステークス終了後、理事長室に直談判に行った結果はあまりにも無謀すぎた。
”皇帝”シンボリルドルフの存在は、学園の内外に広く知られており、実力も指折りだ。
逆立ちしても、今の俺たちではルナに勝つことは出来ない。
「……とはいえ、手加減してもらうわけにもいかないしなぁ」
「そうだな、私が手加減してしまえば忖度を疑われる。それに――君たちチームメンバーの為にもならないだろう」
確かに、と俺は頷いた。
広く知られている以上、ルナが出し惜しみしてしまえばそれだけでバレるリスクがある。
いやリスクと言うか、モロバレする。それはひとえに実力が違いすぎるためだ。
カメとウサギが真面目に戦えば、必ずウサギが勝つ。それは必然だ。
「うーむ……どうしたものか」
「まぁ、直ぐに、という話でもないし――一度持ち帰って話し合ってみてはどうだろう?」
「……そうだな」
確かに、俺とルナ二人だけの問題ではない以上、キンイロリョテイもナイスネイチャも巻き込むのが筋だろう。
早速伝えに行こうと席を立ったところで――ふと、服の裾を掴まれる。
「……どうした?」
「……いや、なんでもない」
ぱ、と離された手。表情や耳、尻尾などに特に変化はないけれど――なんだか寂しそうに見えたので。
「ルナ」
「――!」
「いつもお疲れ様。今日も気にかけてくれてありがとね」
これでいいのだろうか、なんて思いながら、ルナの頭を小さく撫でる。
一瞬ルナの体が震えて――そしてぱた、と一瞬だけ尻尾が揺れた。
「もう少ししたら、迎えに行くから」
「……ああ、待っている。いつまででも、幾星霜の時が過ぎようと待っている――!」
「そんなに待たせるつもりはないさ。だから――負ける準備をしておいてくれよ、”皇帝”さん?」
ぽんぽん、と。頭を最後に撫でて、俺は席を立つ。
今度は裾を引かれることはなかったが――ルナが、何かを小さくつぶやいた。
声が小さすぎて良く解らなかったが、表情を見るに――気にすることもないだろう。いつもの独り言だ。
じゃあな、と手を振って、俺は生徒会室を後にした。
「……君にはもう負けているんだよ、トレーナーくん」
113 :
◆FaqptSLluw
[sage saga]:2021/09/13(月) 23:30:28.12 ID:RCFJOhnJ0
今日はここまでです。
最近いろいろとやることが増えてきたせいか、更新が遅くなってしまい申し訳ございません。
時期に解消するとは思いますが、しばらくは今日のような短文更新が多くなると思います。
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/13(月) 23:43:01.06 ID:NeYEV1350
乙
シンボリに勝つことが本人の意向よりも大事か
仲良しこよしとかどうでもいいからとりあえず最強チーム作りたいんかな
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/14(火) 00:10:04.54 ID:LVDCQc4ro
おつ
速攻ルナ化で駄々こねるカイチョーはいなかった……!
ちょい残念()
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/14(火) 01:09:08.45 ID:hCHRAkia0
激ムズミッションで草
会長には幸せになってもらいたい
117 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/14(火) 03:04:23.39 ID:k2cynWht0
実際ぽっと出トレーナーの新設チームに皇帝が参加したら???ってなるからしょうがないね
118 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/15(水) 22:30:58.89 ID:2nxh5HsD0
「――んで、モテるトレーナーはついに皇帝にまで手を出した、と」
ところは変わってファミレス。キンイロリョテイはサイコロステーキをつまみながら、意地が悪そうに顔をゆがめた。
何故ファミレスに来たかというと、「チームでの話し合いはファミレスだろ、それが浪漫だ」と主張するキンイロリョテイの要望に沿ったからである。
さて、当のキンイロリョテイは話だけ聞く態度である。特に意見などはなさそうで……というか、仲間が増えるなら賛成と手放しに認めている節がある。
諦めて視線をナイスネイチャへ動かせば、彼女はストローから口を離して気まずそうに笑った。
「まー、何を考えているか、大体わかりますけど……」
「そう言うことだ。頼れるのは君しかいない、ナイスネイチャ」
「へぇ、アタシしか、ねぇ」
髪をくるくると弄ぶナイスネイチャ。つい、と顔を逸らされたせいで表情が見えないが――なんだか、機嫌が良い感じがする。
ともかく、話は聞いてくれそうな気配だ。
「シンボリルドルフのチーム・エルタニン加入に際して、条件が設けられた」
「……その条件とは?」
「――シンボリルドルフとの勝負、そして勝利だ」
ぴた、と。
キンイロリョテイがその場に制止する。
「……理由は?」
「まあ、恐らくだけど――発生しうる非難への正当性を作るためだと思う」
「なるほど。確かに会長さんが、いきなり聞いたこともないようなチームに加入する……ってなったら、何かしら波紋を呼びそうですしねぇ」
そう、シンボリルドルフは、文字通り頭一つ抜けた実力を持つウマ娘。
どこかのチームに所属すれば、その実力を以て確実な栄光をもたらすだろう。
「でもよ、チーム加入はウマ娘の意思が尊重されるべきだろ? だったら、皇帝サンがどこのチームに加入しようと勝手だろ」
「ま、本当ならそうなんだろうな。ただ、今回は――そもそも俺が無理を通した形だ。こんな形でも認めてくれる秋川理事長に感謝しないとな」
「ふーん、そんなもんか」
「……それで、チーム・エルタニンで会長さんに勝てるの、トレーナーさん?」
ふむ、と一つ考える振り。だが、答えは既に決まっていた。
「ムリだよ」
「……ですよねえ」
百人いたら百人が皇帝の勝利にベットする。
別に俺たちが弱いわけではない。ルナが強すぎるだけなのだ。
「ただ、そこは理事長も十分に承知している。だからこそ――付け入る隙を作ってくれたんだよ」
「隙、ねぇ」
そう、秋川理事長の言葉を振り返れば――俺たちにはとある抜け道が用意されている。
ルナを超え、それでいて大衆を納得させるための抜け道が。
「俺に秘策がある。大船に乗ったつもりでいてくれ」
「……まぁ、トレーナーさんがそう言うなら」
「ま、アンタがそう言うんなら勝てるだろ」
信頼が温かい。
俺は二人の言葉に大きく頷いて、早速作戦の立案を行うために席を立ったのだった――。
119 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/15(水) 22:47:43.51 ID:2nxh5HsD0
――勝負に際して設けられた詳細な条件は3つだ。
ひとつ、レースに関連する勝負であること。種目は秋川理事長の判断で可否が決定する。
ひとつ、人数差による有利があまりにも働きすぎない勝負であること。
ひとつ、八百長は許されない。その他の不正行為も認められない。
至極当然の条件設定だと言える。当然でベーシックな条件が設けられた以上、そこから抜け道を探すのは難しいこと……のように見えて、実はそうではない。
人数差による有利が働きにくく、かつレースに関連する勝負であること。
そう考えると、俺の頭にはある種目が浮かんできていた。
これであれば、ルナに勝つことも出来る。
「……そしてついでに、チーム・エルタニンの強化も出来る」
一石二鳥。
俺はルナとの対戦を通じて、チーム・エルタニンの能力を高める方策を練っていた。
……やがて、俺の出した提案に、秋川理事長の正式な認可が下りる。
こうして、”皇帝”シンボリルドルフのチーム・エルタニン加入への戦いが始まった――!
120 :
◆FaqptSLluw
[sage saga]:2021/09/15(水) 22:48:26.07 ID:2nxh5HsD0
今日はここまでです……!
多分次の更新でリミテッドイベントが終わります……!多分……、
121 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/15(水) 22:49:55.00 ID:8/cOFKO+0
おつ
想像力足りないから何するか全然わかんねー
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/15(水) 22:53:42.87 ID:vdJyVJCP0
レースに関する勝負、かつ人数差で有利が出にくい…
つまりこれは…勝ウマ投票券…!
123 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/17(金) 08:21:10.15 ID:6kU1IAqHO
人数差とかかいてるから、こっちはうま娘二人のリレー方式が予想されるが
後はわからない
124 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/20(月) 15:25:46.62 ID:jvIMOsaq0
「……なあ、本当にこんな競技で勝てるのかよ」
「ああ、勝てるよ」
自信たっぷりに頷けば、懐疑的な表情を浮かべたキンイロリョテイは「はぁ」と答える。
……俺たちの目の前には、今日の会場となる山が広がっている。
「山登りの経験なんて数えるほどしかねーぞ?」
「アタシも。本当に大丈夫なんですかねえ」
「まぁ、正直に言えば……五分五分かな」
どれだけ策を練ったとしても、覆される想像がぬぐえない。
それがルナの凄まじい所だ。フィジカルだけではなく、思考力や観察力なども軒並み頭一つ抜けている。
しかし、彼女には明確に弱点と言うか――皇帝が皇帝であるが故の隙がある。
それを加味するのであれば、勝率は八割ほど、だろうか。
「まぁ、何にせよ――油断は出来ない相手ってことだな」
「ああ、その通りだ。気を引き締めて掛かってほしい。……作戦について、もう一回確認するぞ」
「はーい」
観客が集まる中、俺たちは作戦会議に打ち込むのだった――。
125 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/20(月) 15:46:49.87 ID:jvIMOsaq0
「ルール説明だッ!」
開会式、口上もそこそこに、理事長によるルール説明が行われる。
この競技の名前は――フット・オリエンテーリング。
軍事教練を起源とする、山野で行われる競技だ。
誰が最も早く、山に設置されている構造物を巡り終えることが出来るか競う、という競技だ。
それらすべてを巡り終えて、設置されたゴールに一番に到着した者が勝者となる。
通常のレースと大きく異なる点として、ルートがあらかじめ決められていない。
事前に配られる地図を上手に把握することが出来る能力と、山野を駆け巡ることが出来るスタミナ、そして時には悪路を走破するパワーが要求される、かなりハードな競技である。
「――以上ッ! 参加選手は今から十分以内に準備を整えてほしいッ!」
いつもの高笑いを残して、秋川理事長は段上から降りる。
その後、たづなさんからのアナウンスで、俺たちチーム・エルタニンとルナは、その場から離れることとなる。
が、離れようとしたとき、ルナがこちらに近寄ってきたので俺は立ち止まった。
「……シンボリルドルフ」
「まさか、君と戦う時が来るとは思わなかった」
「俺も。君とは戦いたくなかった」
「ふふ、そう言ってくれるな。こちらは手舞足踏の心持ちなのだから」
確かに、尻尾や耳はいつもより気迫満点で、やる気にあふれているのが見える。
「ま、今日は胸を借りることにするよ、シンボリルドルフ」
「今日だけとは言わず、いつでも借りてくれていいんだがね」
「そうはいかんだろ。あ、でも……これからは、否が応でも借りることになるかもな?」
言外に”今日は勝つ”と含めれば、ルナの気迫が膨れ上がる。
背筋が泡立つ感覚を覚えながら、しかし笑みを浮かべたルナから視線を外さない。
「勝負の場だ、これ以上の言葉は必要あるまい」
「ああ、そうだな」
「……では、次は表彰台で」
「先に待ってるよ」
126 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/20(月) 15:51:45.38 ID:WyrPrqXXo
ふむふむ
127 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/20(月) 17:05:24.20 ID:L0mjGq7Ro
更新やったぜ
128 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/20(月) 22:39:24.54 ID:jvIMOsaq0
「では、銃声と共にスタートです。出走予定のウマ娘は、所定の位置についてください」
「……よし、行ってくるぜ、トレーナー」
「バッチシ勝ってきますからね〜」
スタートラインへと歩きだす二人は、今から最強の”皇帝”に挑むというのに怖気づいていなくて。
俺は彼女たちの表情に、その言葉に頼もしさを感じる。
もとより負ける想定なんてしていないが、それでも。
「勝ってこい」
おうとも、と二人からの返事を受け取り、俺はトレーナー用に設けられた中継室へと戻る。
画面には、様々なところに設置されたカメラによって各地点の様子が映し出されている。
「……さて、スタートでどれだけ食らいつけるかが勝負だぞ、二人とも……!」
祈るように手を組んだ時――たづなさんがゆっくりとその手に持つスターターピストルを掲げた。
周囲のざわめきが消えていき。
「スタートッ!」
乾いた銃声が晴天に響き、レースが始まった――!
129 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/20(月) 22:54:12.22 ID:jvIMOsaq0
「ふッ……!」
スターターピストルの乾いた音とともに、弾かれるように飛び出るキンイロリョテイ。
ここでどれだけ差を詰められるかが勝負のカギ。出来る限りの踏み込みで前を狙うが――。
(追いつけない、な)
さすがは”皇帝”と言うべきか、シンボリルドルフの走りは圧倒的だった。
その驚異的な踏み込み、スムーズな運脚。超前景のストライドだが、そこに疲労やダメージの蓄積など感じさせない。
キンイロリョテイは改めて、目の前の敵が明らかに自身のレベルを超えていることを思い知らされる。
だが、これくらいでへこたれるわけにもいかない。
トレーナーの為にも……何よりも、他ならぬシンボリルドルフの為にも。
この勝負には勝たなければならない。
「……案外着いてくるじゃないか」
「はッ、余裕出せるのも今のうちだッ!」
山中へ駆け込む三名のウマ娘。彼女たちの差は先頭から殿までおよそ2バ身。
……そこまで離れていない。キンイロリョテイは心の中でひとまず安どした。
だが、ここからだ。
「リョテイさん、作戦通り……っ!」
「ああ!」
トレーナーの秘策。必ず勝てるわけではないがそれでももともと低い確率を五分以上に跳ね上げるそれを、今実行する。
ナイスネイチャはそのまま外周を回る進路を取り、キンイロリョテイは内側を通る進路をとった。
「あんまり飛ばしてへばんなよ?」
「そちらこそ!」
130 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/20(月) 23:27:18.95 ID:jvIMOsaq0
「こりゃ、やっぱり応えますなぁ……っ!」
外周を回るコースをとったナイスネイチャは、一人ごちった。
外周……つまり、山の中で最も範囲が広い場所を走る。それはつまり、スタミナとの勝負であるといえた。
ナイスネイチャに無尽蔵のスタミナがあるかと言われれば、そうではない。
中長距離を走るステイヤーではあるが、例えばメジロマックイーンやスーパークリークのようにスタミナが抜きんでているというわけではない。
彼女の実力の本懐とは、遠く離れた環境。言うなれば、自分との戦い。
だから、負けられない。ここで負けてしまえば、それはトレーナーのことを――ようやく認めることが出来そうな自分を否定することになる。
「まず一つ――ッ!」
大きく声を張り上げ、一つ目のポイントにたどり着く。
所持している記録紙に、備え付けのパンチで穴を開け、間隙を置かず走り出す。
重い土砂に足を掬われそうになるが、しかしそれでも彼女の歩みは止まらない。
時にはペースを落としながらも、外周に設置されているポイントを全て回り切ったナイスネイチャ。
息も絶え絶えだが……それでも、後に繋ぐことが出来たはずで。
「……あとは任せましたよ、リョテイさん……ッ!」
131 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/21(火) 00:20:19.94 ID:QJHp7uUco
(やはりチームメイト視点の話も挟まるのでチーム作れるようになったのすきー)
132 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/21(火) 00:43:33.08 ID:dT3BXBOE0
「まさか君と肩を並べて走る羽目になるとはね」
「遠慮したかったけどな……ッ!」
肩を並べながら、同じ方向に走るキンイロリョテイ。ただプライドに任せて走っているように見えるが――。
キンイロリョテイの脳裏には、トレーナーから授けられた秘策が浮かんでいた。
「やっぱり遠慮するわ」
「……へぇ」
あからさまに笑みを浮かべて、キンイロリョテイは速度を下げ――シンボリルドルフの後ろにつく。
それを見てシンボリルドルフはなるほどな、と息を吐いた。
「スリップストリーム……それだけではないな」
「……多くは語らないぜ?」
にやりとそれらしく微笑むキンイロリョテイ。
誰が見ても、スリップストリーム……空気抵抗をシンボリルドルフの後ろを走ることによって減らすこと以上に、障害物排除の手間を省こうとしていることは明白だった。
事実、シンボリルドルフの後をぴったりとくっついて走るキンイロリョテイは疲労の色が見られない。
「姑息とは言わない、だろ?」
「ああ、それも作戦だ――だが、いいのかな?」
「あ――?」
聞き返した直後、キンイロリョテイはシンボリルドルフが口を弓なりに逸らしたのを見て。
咄嗟にサイドステップを踏む。
瞬間、先ほどまでキンイロリョテイが居た位置に、強力無比な踏み込みで巻き上げられた土砂が猛烈に飛来する。
「皇帝さんがダーティープレイたぁ、随分と見上げた根性だなぁ、オイ……!」
「回避できて何よりだ。では、精一杯着いてくるといい」
「クソが……」
悪態を吐きながら、しかし懸命に食らいつこうと脚の回転を速めるキンイロリョテイ。
シンボリルドルフは感嘆の息を吐いて、思わず満足げに笑みを漏らした。
しかし、その笑みこそキンイロリョテイにとって苛立たしいものであり。
「いいぜ皇帝サン……アンタのその顔、必死なモンに変えてやるッ!」
喉元に食らいつかんとする獰猛な瞳が、シンボリルドルフの背を捉えて離すことはない。
負け必至の勝負はしかし、ここにきてその雲行きを妖しくしながらも進むのであった。
133 :
◆FaqptSLluw
[sage saga]:2021/09/21(火) 00:45:55.90 ID:dT3BXBOE0
今日はここまでです。
更新が滞っていてすみません……!
ヴァルゴ杯に向けてウマ娘を育成しまくってたらいつの間にか何日間も更新していませんでした……。
今回の更新で終わるなんて言ってましたが、終わりませんでした。
近いうちに終わります。
134 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/21(火) 00:49:09.62 ID:QJHp7uUco
おつおつ
デジたんもきたししゃーない
135 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/22(水) 03:50:37.50 ID:INFKIfsI0
過去スレから追いついた、応援してます
136 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/23(木) 14:31:25.53 ID:snrHRKre0
「……良く着いてくるな」
「はッ、アンタにゃ負けられないんでね……!」
「志操堅固。心持ちが優れていることは結構だ」
キンイロリョテイが速度を上げるも、シンボリルドルフは突き放す。
……繰り返しの最中、シンボリルドルフは微笑んでそう言った。
何処か諧謔を弄するような言葉の調子には、明らかに「だがそれだけで何を為せるのか」と彼女なりに問うニュアンスが含まれている。
言葉をなぞるように、なおも加速してシンボリルドルフは続ける。
「君は何故勝ちたい。自分の為か、それとも君のトレーナーのためか?」
「そりゃアンタ、決まってるさ――自分の為だ!」
「……トレーナー君に似て嘘が下手だな、君も」
ふ、とほほ笑むシンボリルドルフ。折り返しとなるポイントにたどり着いた彼女は脚をいったん止め、余興とばかりにキンイロリョテイに話しかけた。
「本当のことを言おうか」
「あ?」
「――君たちの作戦には気付いている。というか、彼のことだから……私が気付くことすらも作戦のうちなんだろう?」
ま、さすがに解るか、と。キンイロリョテイは思う。
全てのウマ娘の上に立つ”皇帝”。彼女の強さはフィジカルだけではない。
そしてそのことは、全てのウマ娘の知るところにあり、トレーナーの知るところでもあった。
だからこそ、見抜かれるのは承知の上。
「でも、君たちの作戦を理解していても、私は止められない。それを逆手に取ることも出来ない」
「そうだろうな、それが我らがトレーナーの策略だ」
「――私が”皇帝”であることをこうも利用されるとは思わなかったな」
”この作戦はそもそもバレる前提のもとに成り立っている”。
トレーナーから聞かされていた言葉が、キンイロリョテイの脳内を奔った。
「先ほどから聞こえる歓声に交じって、ナイスネイチャの声が聞えた。恐らくは、声を発した場所がポイントの在りか。そうだろう?」
「……へっ」
「君は私と競り合ってポイントを取り終えた段階で、ナイスネイチャがもたらした情報をもとに最速でポイントを獲得する。だが、私はその方法を使えない」
「名声に足を引っ張られたな」
「ああ、まったくもってそうだ――”皇帝”たる私は、誰かが残した轍を辿ることは許されない。常に誰かの前に立ち続ける必要がある」
……トレーナーの考えた作戦は、酷く簡単なものだ。
一定以上のスタミナが備わっているナイスネイチャに外周を、天性のパワーが備わっているキンイロリョテイに内周を担当させる。
ナイスネイチャはポイントに到達するたびに声をあげ、その位置をキンイロリョテイに知らせる。
キンイロリョテイが内周を回り終えたら、ナイスネイチャのもたらした情報をもとに、最短距離でポイントを獲得。
ここで問題となるのは、シンボリルドルフに作戦を察知されることだが――それも彼女が”皇帝”であるが為に特に問題にはならない。
即ち、シンボリルドルフは大衆からの名声……常にウマ娘の前を往く存在であるという評価の為、ナイスネイチャの後を追い掛けるような真似は出来ない。
彼女は自分で道を切り開くことを望まれており、仮にナイスネイチャのヒントを用いた戦術に乗るのであれば、その評価は地に落ちることになる。
……盤外戦術。それがどの要素でも負けることを悟ったトレーナーが取れる、最善の一手だった。
137 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/23(木) 14:49:13.68 ID:snrHRKre0
「でも、まぁ。それでもトレーナー曰く”勝率は五分”らしいからな」
「……へぇ」
シンボリルドルフは一瞬考え、そして理解した。……トレーナーが勝率を低めにウマ娘たちに伝えていることを。
その理由は、もはやシンボリルドルフにとって明白。
(なるほど、つまりトレーナーくんは――この機会を使って、彼女たちと私を本格的に競り合わせようという肚か)
理解したら、話は早い。
シンボリルドルフは軽くストレッチをして、キンイロリョテイに背を向ける。
「勝負の世界とは、最後まで何があるかわからない」
「んなこと百も承知だ」
「ああ、そうだろうな。――だから、死に物狂いで向かってくるといい」
全員等しく、撫で切ってやる。
瞳に鬼が宿り、気迫が天を衝かんとばかりに立ちあがる。
実際にそれが目に見えているわけではないが、キンイロリョテイは、何かしらオーラめいたものが彼女から立ち上ったことを認識する。
そして同時に理解した。――シンボリルドルフは、”皇帝”は、今まで本気を出していなかった、という事に。
「……滾るなぁ」
「勇往邁進。私の前に道は出来ず、私の後にのみ轍は残る。――さぁ、キンイロリョテイ。君は……私の前に道を作ることが出来るかな?」
「できるさ。やって見せるぜ、私は――!」
意気軒昂たる咆哮と共に、両者はスタートの態勢を取る。
静寂、そして呼吸。
木の葉が落ち、それが地面に触れたその時――。
「「勝つッ!」」
裂帛の気迫と風が、木々を強く震わせた。
138 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/23(木) 15:33:12.40 ID:snrHRKre0
肩で風を切り、景色を置き去りにする。
落葉を巻き上げる土砂で叩き落し、地に這う根は大きくストライドで乗り越える。
景色は色褪せ、音は失せる。
限りなく意識を尖らせて、思考と身体制御をリンクする。
ただひたすらに、相手に勝つために。
(掴めたぜ、これが――これが、アタシの景色!)
湿る土砂を強く踏みしめて、加速。
肩で切る風の強まりを感じたら態勢を変え、自身の理想へ近づける。
本来であれば数か月を掛けて理想化されるそれを、キンイロリョテイは”皇帝”との戦いで急激に進化させていた。
彼女の持ち味――鬼神の如き膂力を余すことなく使い、無双の壁をも打ち壊す、限界スレスレのストライド。
飛び跳ねるように駆ける彼女のそれは、さながら獲物を捉えた猛禽の如く、シンボリルドルフの背中へと迫っていた。
「来たか……!」
「漸く笑顔が無くなったな、皇帝サンよォ……ッ!」
余裕がない訳ではない。余裕とは常に持つべきもので、なくすものではない。
だが、笑顔を浮かべるリソースを割く余裕は、こと此処に至ってシンボリルドルフにはなくなっていた。
凶悪なまでの笑みを浮かべるキンイロリョテイ。
思わず振り向いた先に移る彼女の走りに、背筋に走る恐怖めいた感情を覚えたシンボリルドルフは、しかし怖気づくことなく、さらなる加速を試みる。
浅かった踏み込みを強くし、腕の振りをより強くする。体を前へ押し出せば、彼女の体はいとも簡単に、矢の如く風を切る。
雑草を踏み鳴らし、石を蹴り砕き。
彼女たちは、遂に最後のポイントを発見する。
傾斜25度の坂。100m進めば25mの高低差が発生するほどの急傾斜。
今までは総合力が問われてきた。スピードにスタミナ、根性に賢さ。だが、ことここに至って問われるのは――。
「パワー勝負だな、キンイロリョテイ……ッ!」
「受けて立つぜ、シンボリルドルフッ!」
両者ともに長所とする、パワー。
実質的に、ここでキンイロリョテイが勝利することが出来れば勝利である。
まさに、天下分け目の天王山。両者ともに負けられない戦い。
負けられない。勝ちたい。強大すぎるが故、呼吸にすら現れそうな感情を強く吐き出すように、両者は強く地面を踏みしめる!
「はあああぁぁぁッ……!」
「うおおぉぉお……らあぁぁぁぁぁッ!!」
踏み込みごとに土が抉れ。
その声ごとに木が揺れ。
蹴り上げごとに地が震える。
重力が中心に集約するように、彼女たちの総力はポイントに注がれ、それ以外は何も見えなくなる。
相手も、自分も。空気も匂いも何もかも。
ただ、誰よりも――光よりも速く駆けるウマの本能がそこにあるだけ。
本能と本能の鬩ぎ合いを、誰もが見守った。
甚大に立ち込める土煙の中、誰かがパンチを切る音が聞こえて、会場は静寂に包まれる。
やがて土煙が晴れて、その先に見えた影は――。
139 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/23(木) 15:36:35.28 ID:snrHRKre0
「――汝、皇帝の神威を見よ」
全てを圧倒する雰囲気が、世界を征服する。
彼女の先に道は無く。
故にこそ彼女は――皇帝だった。
140 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/23(木) 15:46:25.95 ID:52u338/XO
マジルドルフの固有イケメン
141 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/24(金) 19:37:36.21 ID:On5GL/zV0
時は過ぎ、夕方へ。
レースは既に終了し、観客も解散して久しかった。
帰還の準備を済ませたチーム・エルタニンの面々を、俺はスマートフォンを開きながら待っていた。
ウマッター……SNSには、今日のことで話題が持ち切りだった。それもそのはずだ。
――皇帝、チーム・エルタニンに敗れるも善戦。
……そう、最終的に俺たちは勝つことが出来た。
最後、誰の目で見ても本気を出したとわかるルナは、圧倒的な末脚でキンイロリョテイから逃げ切った。
だが、後に外周が控えており、更には協力も得られず一人でのポイント探索。スタミナを使い切るような真似は愚策だったと言える。
無理があった……はずなのだが。それでもルナは俺たちチーム・エルタニンに食いついてきた。
最終直線……ゴールへの直線、残り100m付近でルナの影が見えた時は思わず震えた。あれが最強のウマ娘の姿なのだと、信じて疑うことはない。
その凄まじいまでの走りは、俺たちの勝利を差し置いてSNSを騒がせていた。……無理もない話だ。
「……さて、そろそろか」
スマートフォンをポケットにしまい、二人の到着を待つ。
日が落ちてきて、少し寒さを感じ始めるころ、ようやく二人は出てきた。
「待たせたか、トレーナー?」
「まぁな」
「そこは嘘でも”今来たところだ”って言うとこだろ……?」
「無理があるだろ。それに……俺の為に走ってくれたようなもんだ、出迎えるのは当然のことだろ?」
チーム・エルタニンの結束力の向上、各個人のステータスの増強、強敵との鎬の削り合い。
どんな言葉を並べたところで、そもそもの目的がルナのチーム加入であるならば、二人は俺の為に戦ってくれたと言える。
感謝以外の言葉はない。
「まぁ、私たちにとってもいいトレーニングになったので?」
「それでもだ。ありがとう、キンイロリョテイ、ナイスネイチャ」
頭を下げると、声にならない声がナイスネイチャから漏れた。
あまり感謝されたことがないのだろうか。顔をあげれば赤面し、指をつんつんとくっつけているナイスネイチャの姿が見えた。
そんな光景にほっこりとしていると、ふと人影が俺たちの後ろから現れた。
「随分と仲が良いことで結構ッ!」
「……理事長」
なー、と猫が鳴く声がして、俺たちは振りかえる。
そこには秋川理事長が満面の笑みで立っていた。
「重畳ッ! 勝利できたようで何よりだッ!」
「ありがとうございます。ウマ娘たちが頑張ってくれました」
「うむ! 二人とも素晴らしい走りだったッ!」
扇子を畳み、手を組みながら満悦の表情を浮かべる理事長。
フット・オリエンテーリングの展開や結果にも満足したようで、両者の健闘を称える言葉を閉会式で賜っていた。
そこでふと、俺は”あること”を思い出して、理事長へ聞くことにした。
「あの、理事長……」
「む、どうした?」
「――理事長、もしチーム・エルタニンが勝たなくても、シンボリルドルフを加入させてましたよね?」
142 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/24(金) 19:59:38.48 ID:On5GL/zV0
俺の言葉に、理事長は静かにほほ笑んだ。
「――つまり、君のチームで”皇帝”を超えて見せろ。それが私の出した条件だ」
一週間ほど前の話だ。確かに俺は、一言一句違わない条件を、理事長に出された。
この時はてっきり、俺たちはルナに勝たなければならない……と考えていたが。
「君たちが勝つとは思えなかった。シンボリルドルフはそれほどに強力なウマ娘であるが故ッ!」
「私も同意見でした。だからこそ、あんな戦術を使う必要があった」
「権謀術数、謀りは決して忌むべきものではないッ! その勝利は紛れもなく君たちのものだッ!」
話がそれたとばかりに、理事長は一つ「こほん」と咳をして、仕切り直す。
「勝つとは思えなかった故……良い勝負を行えばそれで認めるつもりだったッ!」
「……ですよね。勝負に勝たなければ、ウマ娘をチームに加入させない……とは、私の無理な要望という要素があっても、理事長らしくない」
ウマ娘を愛する者はこの世界にごまんといる。
しかし、ことこの日本において、その愛が最も深い存在は誰かと問われれば、間違いなくその名が上がる。
秋川やよいとは、そのような人物だ。
だからこそ、ウマ娘の意向に反するような行為は行わない。たとえそれが、不平不満の声に対する対策だったとしても。
つまり、この勝負は……。
「折衷案、ってことですか」
「うむ! ウマ娘と大衆の感情の平均値、その結果がこの勝負だッ!」
満足げに扇を広げる理事長に、俺はようやく得心した。
「とはいえ、君たちには少々酷な言葉だったかもしれない……ッ!」
「いえ、最大限考えていただいた結果であることは理解しています。感謝こそすれ、恨むことなんてしませんよ」
「そう言ってもらえると助かるッ! それに、な。実はトレーナーには期待している……ッ」
期待?
俺が首をかしげると、理事長はちょいちょいと屈むようにジェスチャーした。
俺が屈むと、周囲を見て……そして、耳にささやいてきた。
「彼女は、今まで何か酷く重いものを抱えているようだった。しかし、君と関わってから……その重さが取り払われたと感じた……ッ」
「……なるほど」
夏合宿の、あの日。
確かに俺は、シンボリルドルフが抱えるものの一端を知った。
それが彼女の抱えるものを軽くしたとは思えないけれど……それでも、その苦難を分かち合うことが出来るようにはなったと思う。
「……だから、感謝しているし、期待しているッ」
「そう、ですか」
「これからも奮励努力するべしッ!」
そう言うと、理事長は口を離し、屈む俺の頭に手を乗せる。
そしてわしゃわしゃ、と。俺の頭を撫でた。
不思議と、温かい気持ちになった。
「君の道は長く辛いものになるッ! だが、忘れるな――」
きっと俺には成し遂げられない。そう思っていた時期もあった。
でも、今は違う。こんなにも、俺のことを支えてくれる人がいる。
だから、今まで俺の抱えていたそれは――。
143 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/24(金) 20:00:50.97 ID:On5GL/zV0
「常識とはッ! 破られるために存在するッ!」
――今から、壊していくんだ。
144 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/24(金) 20:06:03.24 ID:RsT5lrcPo
皇帝がチームに入ったのすごすぎる
145 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/24(金) 20:19:43.03 ID:On5GL/zV0
▼シンボリルドルフがチームに加入します。
▼シンボリルドルフのチーム加入により、トレーナースキル[烈日に身焦がし、月に翳ろうとも。]を獲得しました。
▼シンボリルドルフのチーム加入により、トレーナースキル[俯瞰・解]が進化しました。
―――――――――――――――――――――――――――――――
・[烈日に身焦がし、月に翳ろうとも。]
空を求める者は地に堕ちる。知を求めたものは毒に伏せる。
過ぎたるを諫める意志。世界。あるいは遍く悪意。
それらを淘汰し、あるいは束ね、世界を切り開く者への加護。
ウマ娘が敗北し、ループが確定した場合発動する。
一時的に、全ての能力値を飛躍的に上昇させ、再度レースを行う。
この効果は1ループにつき1度使用することが出来る。
シンボリルドルフとの関係が[対立]にある場合、このスキルは発動しない。
―――――――――――――――――――――――――――
・[俯瞰・乖]
仮に、現在の総てを見通すことが出来る瞳があったとして。
それは、果たして――ヒトの瞳と呼ぶことが出来るのだろうか。
■[俯瞰]
・第一段階
様々なデータを数値的に見ることができる。
ラウンド数の認識、レース時の達成着順の確認が可能。
・第二段階/俯瞰・解
スキルを視覚的に把握可能になる。
レース時、同一段階でのスキル同時発動が可能になる。
通常見えないものが少し見えるようになる。
・第三段階(最終段階)/俯瞰・乖
イベントのフラグを視覚的に把握可能になる。
担当ウマ娘を含む、全ての登場人物との関係性を視覚的に把握可能になる。
通常見えないものが全て見えるようになる。
―――――――――――――――――――――――――――――――
146 :
◆FaqptSLluw
[sage saga]:2021/09/24(金) 20:21:40.39 ID:On5GL/zV0
というわけで、少し長くなりましたが――リミテッドイベントが終了しました。
長々と失礼いたしました。引き続きよろしくお願いいたします!
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/24(金) 20:27:34.70 ID:rZAxq7dRo
おつおつこれからもよろしくお願いします
会長加入スキル強い
これでメイクデビューでループがなくなったぜ!
そこで発動させてしまうのは負け?しらん
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/24(金) 20:32:20.80 ID:RsT5lrcPo
おつ
敗け回避スキルありがたい
149 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/24(金) 20:35:52.08 ID:On5GL/zV0
トレーナー「……なんかいろいろあったな」
リョテイ「な。ところでトレーナー、ネイチャの予定ってどうなってんだ?」
トレーナー「ああ、ナイスネイチャの予定か。初出走自体は既に済んでいるし……順当にいけば、こんな感じになるかな」
―――――――――――――――――――――――――――――――
下1 ナイスネイチャの目標設定
ナイスネイチャの好感度:★★★/★★☆☆☆☆☆☆(好感度:+2/好感)
―――――――――――――――――――――――――――
・弥生賞(中距離:適性A)
ターン数:10
難易度:普
報酬:普
トレーナーの所感
「順当にいけば勝てそうだ」
―――――――――――――――――――――――――――
・皐月賞(中距離:適性A)
ターン数:12
難易度:高
報酬:高
トレーナーの所感
「少し厳しいが、これからの成長次第で勝利できる可能性も上がるだろう」
―――――――――――――――――――――――――――
・オークス(中距離:適性A)
ターン数:15
難易度:特高
報酬:特高
トレーナーの所感
「チャレンジだな。これに勝つことができれば、間違いなく本人の努力が◎ってことだ」
―――――――――――――――――――――――――――
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/24(金) 20:37:34.13 ID:rZAxq7dRo
オークス挑戦!
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/24(金) 20:37:34.51 ID:y6Vlr10U0
皐月賞
152 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/25(土) 07:50:14.95 ID:A5uA1leWO
過去とはいえ、皇帝ですら負けているんだからどんだけステータスあげしなきゃならないのか?
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/25(土) 09:00:05.99 ID:3wJqiL/90
そういや自殺しとったな。担当外されたくらいで自[
ピーーー
]るのか?とも思ったが
NTR耐性皆無だったから理事長「代わりに新しいトレーナーあてるわww」で頭おかしくなったのかね
154 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/25(土) 09:57:06.38 ID:0P0lgosC0
リョテイ「へぇ、オークスか」
トレーナー「ああ、かなり背伸びした提案をしたが……ルナとの勝負で見せたポテンシャルは、強敵ぞろいのオークスでも十分に通用するものだと俺は思っている」
リョテイ「ルナ?」
トレーナー「……」
トレーナー「ナイスネイチャならしっかりやってくれるだろうと思ってる」
リョテイ「ルナ?」
トレーナー「……というわけで、トレーニングに移るぞ」
リョテイ「ルナ?」
トレーナー「…………」
トレーナー「……」
トレーナー「もう聞かないでくれ……」
リョテイ「ルナ?」
トレーナー「聞かないでって言ったでしょ!」
―――――――――――――――――――――――――――――――
▼ナイスネイチャの目標レースが[オークス]に設定された。
155 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/25(土) 10:08:20.12 ID:0P0lgosC0
トレーナー「ホープフルステークスも終わったし、年末も近くなってきたな」
トレーナー「今年は何事もなく年末を迎えることができればいいんだけどな……」
トレーナー「……いや、なんというか。マヤノとは別のベクトルで何かありそうな気がするからな、キンイロリョテイは」
トレーナー「何かやらかさないか、心配だ……」
―――――――――――――――――――――――――――――――
[黄金探しの放浪者]キンイロリョテイ
スピード:600(B)
スタミナ:327(D)
パワー :340(D)
根性 :296(E+)
賢さ :474(C)
やる気 :絶好調
―――――――――――――――――――――――――――――――
下1
トレーニング/お出かけ/休憩/メインイベント進行
スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/その他(良識の範囲内で自由に)
※日本ダービーまであと15ターン(当該ターン含む)。
―――――――――――――――――――――――――――――――
【現在立っているフラグ】
■エクストライベント
・「祈りは力に、願いは形に」/特定の時期に、ある場所を訪ねる
・「地を支え、海を拝せよ」/探索の進捗を終了させる
―――――――――――――――――――――――――――
■メインイベント
・[地に閃く黄金の旅程]/開始中
―――――――――――――――――――――――――――
■メジャーイベント
なし
―――――――――――――――――――――――――――
■サブイベント
・[全てはこの一杯の為に――!]/担当ウマ娘とラーメンを食べに行く
―――――――――――――――――――――――――――
■プチイベント
なし
―――――――――――――――――――――――――――
■リミテッドイベント
・回顧/かつての担当ウマ娘と出会う
―――――――――――――――――――――――――――――――
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/25(土) 10:13:32.44 ID:NH0btyE50
ナイスネイチャと一緒にトレーニング
出来ればネイチャのステータスも開示して欲しい
157 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/25(土) 10:32:23.89 ID:0P0lgosC0
ナイスネイチャの現時点でのステータスは、現時点でこんな感じです。
好感度が上がるたびにステータスは上昇します。
スピード:300(D)
スタミナ:300(D)
パワー :400(C)
根性 :300(D)
賢さ :350(D+)
―――――――――――――――――――――――――――――――
トレーナー「というわけで、トレーニングだ」
リョテイ「ルナ?」
トレーナー「もうそのネタ擦るのやめないか?」
リョテイ「いや、純粋に気になってるだけなんだよな〜?」
トレーナー「黙秘権を行使させていただきたく……」
ルドルフ「ふむ……。なんだ、トレーナーくん。もう私との仲を周囲に喧伝しているのか?」
トレーナー「口が滑っただけだよ」
ネイチャ「因縁浅からぬ仲だとは思ってたけど……こりゃまた……」
トレーナー「……いっそ殺してくれ」
ルドルフ「ふふ。まぁ、怪我の功名と言うべきか、このチーム内では”そう”呼んでも差し支えはなくなったわけだ、トレーナーくん」
ルドルフ「今日からはそう呼んでくれ」
トレーナー「……」
トレーナー「まぁ、うん。そうしようかな……」
リョテイ「今でもやけに素直なトレーナー見るとなんだかなぁ、変な気持ちになるんだよな……」
リョテイ「居心地が悪いって言うか」
トレーナー「いつでも元に戻していいんだぞ。機械的に接してやろうか? ん?」
リョテイ「……アンタはアンタのままでいてくれよ、トレーナー」
―――――――――――――――――――――――――――――――
[黄金探しの放浪者]キンイロリョテイ
スピード:600(B)
スタミナ:327(D)
パワー :340(D)
根性 :296(E+)
賢さ :474(C)
やる気 :絶好調
―――――――――――――――――――――――――――――――
トレーニングの内容 下1
スピード/スタミナ/パワー/根性/賢さ
※サポートカード[スペシャルウィーク]アクティブ。根性の上昇量に固定値を追加。
トレーニングの効果量 下2
※ゾロ目の場合は追加ロール
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/25(土) 11:08:36.52 ID:6DvSfNsV0
かしこさ
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/25(土) 11:12:29.72 ID:K/n+AWA50
おりゃ
160 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/25(土) 11:57:26.41 ID:0P0lgosC0
トレーナー「……こほん。とりあえず今日は――レースの知識を身に着けていくぞ」
ルドルフ「ふむ、確かに”人間の知識と力は一致する”とも言う。知ることは即ち勝利への近道だ」
リョテイ「とは言ってもなあ、やっぱりバ場とかはその時に応じて表情を変えるワケだろ?」
トレーナー「だとして、表情を変えるであろうバ場の、それぞれの特徴を踏まえなかったらどうなると思う?」
リョテイ「まぁコケるだろうな……」
リョテイ「――なるほど、つまり……知識を付けることは、対応力を広げることにもつながるわけか」
トレーナー「その通りだ。それ以外にも様々な利点がある。咄嗟の出来事にも対応しやすくなったりな」
トレーナー「君の浪漫を果たすには必須の事項だ。さぁ、トレーニングを始めようか――」
―――――――――――――――――――――――――――――――
▼キンイロリョテイの賢さが上昇した。
賢さ :474(C)+(72×1.50×1.1)=593(C+)
―――――――――――――――――――――――――――――――
161 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/25(土) 17:51:46.77 ID:0P0lgosC0
午後六時半。トレーニングも早々に切り上げ、俺は市街地に出ていた。
やはりと言うべきか、とても寒い。手袋やマフラー、イヤーカフなどを身に付けてはいるが……それでも隙間から入り込む冬の空気は、体温を容易に奪っていく。
暖かい飲み物をしばきながら、ゆっくりと買い物をしたい気持ちにも駆られた。だが、トレーナー室に待たせているチーム・エルタニンの面々のことを思えばそんなことはしていられない。
――12月は25日。今日はクリスマスだった。
キラキラと輝くイルミネーションに、方々から聞こえてくる客引きの声。五感全てを騒がせる空間は、不思議と不快感を感じさせることなく、俺のことも迎え入れてくれるような気がした。
物事の捉えようは自分次第なのだな、とふと思った。
マヤノと過ごしていた時期は、こんな事を思わなかった。――それはきっと、俺がマヤノに支えられなければ立てないほどに弱かったからなのだろう。
もし、次マヤノと共に歩くことが出来るのならば。
その時は、もっと楽しく、共に歩きたい。
「一つ余分に、ケーキを買っていくか」
小さくつぶやいて、甘い香りに誘われるように、店へと足を進めた――。
―――――――――――――――――――――――――――――――
「遅い」
トレーナー室に戻るなり、キンイロリョテイは腕を組んでこちらを睨んでいた。
これでもそれなりに急いだつもりだったが、どうやらキンイロリョテイにとってはかなり待たされた判定になっているらしい。
「これでもそれなりに急いだつもりなんだけどな」
「あ? 私ならもっと早く行きかえり出来たけど?」
「ウマ娘の身体能力基準で考えないでくれ……」
持久力、膂力、走力、それらすべてが人間に勝るウマ娘。
体のつくり自体は人間のそれと大きく変わらないため、歩行の速度は人間と同等。だが、走るとなるとその差は歴然だ。
人類最速の二倍以上の速度がウマ娘の標準だ。その凄まじい速さから、最近はウマ娘走行専用レーンが公道に設けられるなどするほどである。
「まぁまぁお二人さん。扉を開けたままじゃ、せっかくの暖房代がもったいないですよ」
「……なんか実家の母を思い出した」
「誰がオカンじゃ〜!」
頬を膨らませながら憤る様子のナイスネイチャを傍目に、俺は買ってきたケーキを部屋中央の机に置く。
さて、紅茶でも淹れようか――と思っていたところで、ふとトレーナー室の扉が開いた。
そこにはトレイの上にティーポットとティーカップを持ったルナが立っていた。
「トレーナーくん」
「ルナ、紅茶淹れてきてくれたのか?」
「ああ、必要になると思ってね」
小さくウインクするルナ。
生徒会長という肩書のせいでお堅い人物だと思われがちだが、割とおちゃめな性格をしている。それがシンボリルドルフというウマ娘である。
まぁそれ以上に気が回るし頭もさえるし、走りもかっこいい。だからこそ生徒全員の羨望を集める存在となっているわけだが……。
感謝の言葉を述べながら、ルナの手からトレイを受け取る。
トレーナー室に備え付けの給湯器からお湯を出して、ティーカップを温めて……そのカップに紅茶を注ぐ。
162 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/25(土) 18:11:45.22 ID:0P0lgosC0
「……ん?」
流れるように行ったそれに、俺は思わず首をかしげた。
そんな所作なんて習ったはずもないので、どうしてそんなことをしたのだろう、と。
いつかどこかで見たことがあって、それを無意識になぞっているのかも、とか。
判然とはしないが、特に影響もない。人間無意識中に学習し、成長するものだという事は、大人になるまで生きていれば疑う余地もない。
「どうしたんだよ、ぼーっとして」
「ああいや、何でもない。ちょっと考え事をね」
「んなことより早くしてくれよ、こちとら夕食を抜いてきてるんだ」
時刻も夕方から夜に差し掛かるころ。確かに食べ盛りの子にとって、この時間まで夕食を食べることが出来ないのは拷問に等しい苦痛なのかもしれない。
はいはい、と軽めに挨拶して、購入してきたケーキを開封し皿に取り分ける。
「……ん、何か一つ余ってねーか?」
「ああ、これは……ちょっとね」
キンイロリョテイに指摘されて、俺は小さく笑みを漏らす。
ここに来るはずがない彼女のことを想ったら、なんだか買わずにはいられなかった。
馬鹿だなぁ、と自分でも思う。甘いものがそこまで好きなわけでもないのに、あとで自分一人で食べる必要性を作ってしまうなんて。
「アンタ、顔……」
「む、なんかおかしかったか?」
「……なんでもねーよ。だらしないから直しとけよな」
163 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/25(土) 18:46:02.83 ID:0P0lgosC0
それからは、つつましくもチーム・エルタニンの面々でクリスマスパーティーを楽しんだ。
ただケーキを食べるだけの場だったが、それでも……誰かと一緒にクリスマスを過ごすというのは、心が浮きたつ。
とても楽しい空間だった、願わくば来年も、再来年も……その先も。こんな楽しくて、穏やかな日常を過ごせることを願いたくなった。
……ちなみに、メンバーについては夜も遅い時間になったので全員寮に返した。ナイスネイチャとルナはそれぞれ片づけを手伝うことを申し出たが、俺はそれを固辞した。
キンイロリョテイはそのまま帰った。そのままの君でいてくれ。
とまぁ、そんなわけで。俺は一人でトレーナー室の片づけをしていた。
その時だった。扉が何故か開いて。
「……あれ、なんで?」
鈴を転がすような声が聞こえてきて、俺は思わず振り返った。
夕焼けにを溶かし込んだようなオレンジの髪の毛。実った小麦のようにキラキラと輝く、黄金の瞳。
うっすらと香る、少し甘い匂い。
ここに来るはずのない、彼女の姿。それが、今。
何故か目の前にあって。
「マヤノ……?」
思わず、そうつぶやいてしまった。
にんじん色の少女――マヤノは、俺の吐き出した言葉に、驚きと懐疑の視線を浮かべる。
「……えーっと、キミは……?」
「……。済まない、資料で君のことをよく見ていたものだから」
「え、マヤのことを?」
ぱちくりと、大きな瞳を瞬かせて、マヤノは言った。
そうすると、途端に頬を緩ませてにへら、と崩れた笑みを浮かべ始めた。
「えへへ〜……キミも、マヤの魅力にあてられちゃった人……ってコト?」
「まあ、そうなのかもな」
「えっ?! ……でも不思議、なんだかキミに言われると、恥ずかしいって気持ちより、嬉しいって気持ちが先に出てきちゃうな〜」
呼び名も違うし、態度も少し違う。
それでも、目の前にいるのはマヤノで。
だけど、マヤノだけど、マヤノではなくて。
今すぐにでも抱きしめたい気持ちが駆けだしそうで、俺はそれを必死につなぎとめた。
「……どうしたの? なんだかすごく辛そうなカオしてるよ?」
「……。ああ、少し思い出して」
「ふーん……。あ、そうだ!」
何かを思いついたかのように手を叩くと、マヤノトップガンはこちらへと近づいてくる。
俺の前に立ったマヤノトップガンは、ちょいちょいと招くように手を振る。かがめという事だろうか。
これ以上何も起きませんように。気持ちが表に出ることがありませんように。
何度も何度も祈って……俺は地面に膝をついた。
するとマヤノトップガンは――俺の頭に手を伸ばしてきて、くしゃりと撫でた。
驚きのあまり固まる俺。そんな俺を意も介さずに、マヤノトップガンは撫で続ける。
「……なに、を」
「辛い時、こうすると安心するって誰かから教えてもらったんだ」
「誰か……って」
「んー……わからない。でも、とっても大事な人だったってことは覚えてるよ!」
164 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/25(土) 18:54:19.52 ID:3XqlS7AOO
嬉しいようなもどかしいような
165 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 01:01:48.17 ID:+3/PprsU0
「……その人は、君にとってとても大事な人だったんだな」
「うん! でも、誰か解らないんだ」
普段なら”わかっちゃう”のにね。
マヤノトップガンは小さくつぶやいた。
その記憶が誰から教わったものなのか判然としないが、しかし何となく……それはもしかしたら、俺のことなのではないか、と思えた。
……それを言ってしまうべきなのだろうか。君のその記憶は、俺から与えられたものだと。
ループのなんて知らない、マヤノトップガンに……?
訳の分からない好意を唐突に向けられて、心持ち穏やかに過ごせる人間は大人ですら少ない。特に、ループしていて、その時に君とは浅からぬ仲だったなどと言われたらどう思うだろうか。
俺がマヤノトップガンだったら、困惑の極みに至るだろう。
だから、言えない。曖昧に、誤魔化すしかない。
「いつか見つかるといいな」
「うん!」
きらきらと輝く瞳で頷かれるのが、痛かった。
「……ん? ねぇキミ、そのケーキどうするの?」
「え? あぁ……一つ余分に買っちゃってね」
「へぇ〜」
まじまじと卓上のケーキを見つめるマヤノトップガン。
……なんとなくだけど、ケーキを食べたいのかな、なんて思って。
俺は思わず、口を動かしていた。
「良かったら食べるか?」
「え、いいの?」
「……ああ。俺は甘いものあまり好きじゃないし、ケーキだって自分を美味しく食べてくれる子に食べてほしいはずだろうしな」
俺の言葉に、マヤノトップガンはキョトンとしていた。
いつもの調子で比喩なんか使っていては、奇妙な顔をされてしまうだろう。
やってしまったな、困惑させたかな。
そんなことを考えていたら、不意にマヤノトップガンが笑い出した。
「面白いこと言うね、キミ。ケーキが話し出すって、そんなことあるはずないよ〜!」
「……悪い」
「え、謝らなくていいよ! 面白い例え方だなって思ったし――なんだか、ホッとした!」
「……ホッとした?」
問えば、マヤノトップガンは少し考えこむように顎に手をやり、そして話す。
「なんだか、とんちんかんな言葉を聞いてると、胸がほわっとなるんだ。それが何でかはわからないけど……」
「……」
「もしかしたら、マヤとキミ、波長が合うのかも!」
冗談めかすような笑顔。何度もそれを見てきたけど、今ほどその笑顔を見たくない瞬間はなかった。
同じ顔、同じ声音で、明確に「私は貴方の思う私ではない」と告げられたようなものだから。
「そう言えばキミ、会長さんのチームのトレーナーさんでしょ?」
「……ああ、そうだ」
「もし機会があったら、マヤも入ってみたいな〜って思うんだけど……」
「機会があれば、考えてみよう」
心の中の暗澹に目を向けられないように、咄嗟に出まかせの言葉を吐く。
その言葉にすら、マヤノトップガンは喜ぶように微笑みを浮かべていた。
166 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 01:22:36.71 ID:+3/PprsU0
「――そう言えば、なんだか前にもこんな風にケーキを分けてもらった気がするな〜」
ケーキを食べるマヤノトップガンを傍目に、紅茶を淹れていると、ふとそんな風に言い始めた。
彼女のような愛嬌のあるウマ娘であるならば、そのような経験もたくさんあるのだろうか。
「……随分と愛されてるんだな」
「愛されてる、か。マヤ、モテモテなのかな」
「さぁな。でも、君のことを好きな人もいるんじゃないか?」
そう答えると、うーん、とかなんとか唸り始めるマヤノトップガン。
少し時間が経てば、彼女なりの答えが”わかる”はずだ。
茶葉を蒸らす時間の静寂を噛み締めて、俺は息を吐く。
「……ねぇ、キミ。もしかしてだけど――マヤと前に会ったこと、ある?」
「――。いや、ない」
「うーん、ごめんね。マヤ、キミが嘘ついてるってわかっちゃうんだ……」
……マヤノトップガンの前では、嘘は通用しない。
これまで三年ほど彼女との日々を過ごしてきたが、共依存に陥ったあの数か月以外、俺の嘘は全て見抜かれてしまっていた。
「嘘をついてるってことは、キミはどこかでマヤと会ったことがある。そうでしょ?」
「……まぁ、そうかもしれないけど。それがどうした?」
「なんだかね、こうしてケーキを食べさせて貰ったのが、初めてじゃない気がするんだ」
そう言うと、マヤノトップガンはフォークを皿に一旦置いて、こちらをじっと見つめてくる。
二つの瞳が、俺のことを上から下まで、一つも逃さずに捉えんと流れる。
そして見つめ終えたマヤノトップガンは――頭に手をやって、悩むようなそぶりを見せた。
「でも、キミみたいな人にケーキを食べさせてもらったら、絶対に覚えてるはずなんだけどな」
「……俺みたいな人に?」
「うん。キミは……いろんなことに真面目な人だってマヤは思うから、”この人にレースに出してもらいたいな”って思うはずなんだよ」
ふと、三年前の記憶がよみがえる。
――あのね、マヤをレースに出してほしいの。
確かに、マヤノトップガンは、出会って一時間も経過していない俺にそう言った。
その判断基準について聞いたことはなかったが、なるほどどうしてマヤノトップガンらしい、と。俺も納得してしまう。
でも、だとしたら。彼女のその記憶は……。
「あ〜! もう門限かなり過ぎちゃってる……!」
「……ケーキだったら包むから、残りは持っていくといい」
「いいの……?」
「ああ、元はと言えば君に……なんでもない。とにかく包むからそこで待っててくれ」
え、ちょ、と。マヤノトップガンが声をあげるのも構わずに、俺は皿を下げて、ケーキを小さい袋に詰め直す。
先ほどまでマヤノトップガンが使っていたフォークは廃棄して、予備のフォークを入れて、それを突き返す。
「礼はいい。中に入ってるフォークも、使ったら捨ててくれていい」
「……ねぇ、キミはどうして、マヤにここまでしてくれるの?」
「……。ヒトメボレ、かな」
目を見開いて驚きを露わにするマヤノトップガンの背を押して、トレーナー室から強引に退去させる。
しばらくトレーナー室の前に立つマヤノトップガンの気配があったが、数分もすれば去っていく。
本当にこれでよかったのだろうか、もっとやりたいことがあったはずだ。
なんてことを考えている自分が居て、諫めるように膝を叩いた。
あのマヤノトップガンは、俺の知るマヤノじゃない。
167 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 01:36:00.41 ID:+3/PprsU0
「……そう言えば、精神世界のルナが言ってたよな」
”トレーナーくん、君がもしそれを望むのであれば、会いたい人の下に出向いてたった一言、こう言えば良い――おはよう、とね。”
あの日、ルナの事情について理解した森の中。俺の精神世界の内側にいたルナはそう言った。
もし、さっきマヤノトップガンにそう告げていたのなら、何かが変わっていたのだろうか。
伝える必要性は、今のところないようにも思える。URAに優勝さえすれば、何かが変わるんだから。
でも、もし。伝えて何かが変わるのであれば――。
「……伝えてみるのも、ありかもしれない」
この世界のマヤノトップガンが俺の知るマヤノではなかったとしても。
もしこの思いの身勝手さを俺が容認することが出来るのであれば。
結論は出せない。窓の外にちらちらと見えてきた雪に助けを求めるように視線を送ってみても、何も帰ってくるはずもなく。
ただただ、悶々とした気持ちのまま、クリスマスは過ぎた。
168 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 01:46:33.49 ID:+3/PprsU0
リョテイ「明けましておめでとう。で、トレーナー。浮かない顔してどうしたんだよ」
トレーナー「……そんなに変な顔してたか?」
リョテイ「なんて言うか、アンタの顔……落ち武者みたいになってるぜ」
トレーナー「そんなにか……」
リョテイ「何かあったんなら相談してくれよ。ネイチャも同じことを言うはずだぜ?」
トレーナー「……詰まったら相談する。でも、今はまだ自分で考えることだと思っているから」
リョテイ「そうか。なら、いいんだけどさ。いつでも私たちは相談に応じてやるからな」
トレーナー「ありがとう。ちなみにナイスネイチャを勝手に巻き込んでるようだけど大丈夫か?」
リョテイ「あ? ネイチャもアンタのことはそこまで悪く思ってないからな」
トレーナー「……それ、ほんとに俺が聞いてよかったことなんだろうか」
リョテイ「見てりゃわかることだし、大丈夫なんじゃないか?」
トレーナー「だったらいいんだけど。……で、呼び出した理由は?」
リョテイ「そりゃアンタ、正月って言ったら初詣だろ? どうせ行ってないんだろうなって思ったから誘ったんだ、ありがたく思えよ」
トレーナー「……なんとはた迷惑な」
リョテイ「ま、トレーナーはどうやら巻き込んでやる方がいいっぽいからな。これからもいろんなことに巻き込んでやるよ」
トレーナー「勘弁してくれないか?」
リョテイ「考えておく。……お、おみくじだ、トレーナー、一緒に引こうぜ!」
トレーナー「ここまで来たら乗っかるしかない、か。はいはい」
―――――――――――――――――――――――――――――――
下1(コンマ) おみくじの結果
01-16 大吉
17-32 中吉
33-48 小吉
49-64 末吉
65-80 吉
80-96 凶
97-99 大凶
ゾロ目 何かが起こる……?
169 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 01:47:32.12 ID:geeABqi10
ん
170 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 02:11:49.02 ID:+3/PprsU0
カランカラン……
リョテイ「うおぉ!」
トレーナー「いきなりどうした……」
リョテイ「トレーナー、大吉だってよ、大吉!」
トレーナー「ほぉ。幸先がいいじゃないか」
リョテイ「何々……? 物事は円滑に進み、万事快調。へぇ、流石は大吉なだけはあるな」
トレーナー「こんな結果を貰えたんだ、簡単には負けられないな?」
リョテイ「ああ。まぁ、結果がどうであれ――アタシが目指すのはURA優勝だ!」
トレーナー「……なぁ、キンイロリョテイ。一つ聞いていいか?」
リョテイ「ん、どうしたんだよ、改まって」
トレーナー「キンイロリョテイって、私とアタシを使い分ける時があるよな、あれってどういう理由があるんだ?」
リョテイ「あ? ああ、あれね。純粋に、常日頃使ってる一人称がアタシで、私を使ってる時は割とフォーマルな時なんだよ」
トレーナー「……あれで?」
リョテイ「あれでとはなんだ、あれでとは……。まぁ、そんな感じだけど……それがどうかしたのか?」
トレーナー「いや、純粋に気になってな。それだけの話だ」
リョテイ「……なぁトレーナー、提案なんだが」
トレーナー「?」
リョテイ「この際だから、お互いもっとフランクに接しようぜ」
トレーナー「フランクに……?」
リョテイ「アンタが皇帝サンをルナって呼ぶみたいに、アタシのこともリョテイって呼んでくれよ」
トレーナー「……少し気恥しいけど、わかった。これからは君のことをリョテイと呼ぼう」
リョテイ「……。むず痒いな」
トレーナー「元に戻すか」
リョテイ「そのままでいいよ、これからはアタシもアタシで行くし、アンタのことも好きに呼ばせてもらう」
トレーナー「お手柔らかにな」
リョテイ「……ちなみに、ネイチャのことは多分ネイチャでいいぜ」
リョテイ「今度そんな風に呼んでみろよ、案外仲が縮まるかもだぜ?」
トレーナー「……」
トレーナー「……まぁ、考えておく」
―――――――――――――――――――――――――――――――
▼キンイロリョテイの能力値が上昇した。
[黄金探しの放浪者]キンイロリョテイ
スピード:600(B)+10=610(B)
スタミナ:327(D)+10=337(D)
パワー :340(D)+10=350(D+)
根性 :296(E+)+10=306(D)
賢さ :593(C+)+10=603(B)
やる気 :絶好調
171 :
◆FaqptSLluw
[sage saga]:2021/09/27(月) 02:15:08.42 ID:+3/PprsU0
今日の更新はここまでです。
最近少し迷走中で、上手く文章を書けない日が続いています。
もしかすると更新に少しお時間をいただくかもしれません。ご了承ください。
172 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 07:10:01.50 ID:bW/bj0tCo
マイペースでOKですよ楽しみに待ってます
173 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 09:03:37.54 ID:DrhBwwuw0
乙
>訳の分からない好意を唐突に向けられて、心持ち穏やかに過ごせる人間は大人ですら少ない。特に、ループしていて、その時に君とは浅からぬ仲だったなどと言われたらどう思うだろうか。
>俺がマヤノトップガンだったら、困惑の極みに至るだろう。
ここちょっと笑った
ルナはループの事は知ってたとはいえ、記憶の無いトレーナー自身ルナの事をさらっと受け入れてるやんっていう
174 :
◆FaqptSLluw
[sage saga]:2021/09/27(月) 16:57:00.94 ID:+3/PprsU0
トレーナー「ちなみに、俺のおみくじは末吉だった。良くも悪くもなくって感じだな」
トレーナー「できれば大吉を引きたかった気持ちはあるにはあるが、まぁ……過ぎたるは身を亡ぼすからな」
トレーナー「ほどほどが一番いい」
トレーナー「さて、今日は何をしようか」
―――――――――――――――――――――――――――――――
[黄金探しの放浪者]キンイロリョテイ
スピード:610(B)
スタミナ:337(D)
パワー :350(D+)
根性 :306(D)
賢さ :603(B)
―――――――――――――――――――――――――――――――
下1
トレーニング/お出かけ/休憩/メインイベント進行
スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/その他(良識の範囲内で自由に)
※日本ダービーまであと14ターン(当該ターン含む)。
―――――――――――――――――――――――――――――――
【現在立っているフラグ】
■エクストライベント
・「祈りは力に、願いは形に」/特定の時期に、ある場所を訪ねる
・「地を支え、海を拝せよ」/探索の進捗を終了させる
―――――――――――――――――――――――――――
■メインイベント
・[地に閃く黄金の旅程]/開始中 2/5
―――――――――――――――――――――――――――
■メジャーイベント
なし
―――――――――――――――――――――――――――
■サブイベント
・[全てはこの一杯の為に――!]/担当ウマ娘とラーメンを食べに行く
―――――――――――――――――――――――――――
■プチイベント
なし
―――――――――――――――――――――――――――
■リミテッドイベント
・回顧/かつての担当ウマ娘と出会う
―――――――――――――――――――――――――――――――
175 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 17:02:33.51 ID:DrhBwwuw0
トレーニング
176 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 17:10:32.26 ID:+3/PprsU0
トレーナー「新年早々だが、トレーニングだ」
ルドルフ「しっかりと体は休めてきただろう、君たち二人は、今年から本格的にレースに臨むことになる」
ルドルフ「チームメンバーとして、君たちの夢が叶うことを祈るばかりだが……君たちと同じように、夢を持つものはこの世界の何処にもいる」
ルドルフ「力添えはするが、君たちの夢の結末を決めるのは――他でもない、君たちだ」
トレーナー「……こちらも精一杯バックアップを行う。君たちが至らんとする場所への最適な道のりを提示しよう」
トレーナー「特に二人にとって、今年は重要なレースが目白押しだ。練習中の気のゆるみは許されない、心してかかるように!」
リョテイ「おう、んなこと百も承知だぜ!」
ネイチャ「まぁ、出来るところまでやって見せますよ……!」
トレーナー「……よし。じゃあ今日のトレーニングは、そうだな」
―――――――――――――――――――――――――――――――
[黄金探しの放浪者]キンイロリョテイ
スピード:610(B)
スタミナ:337(D)
パワー :350(D+)
根性 :306(D)
賢さ :603(B)
―――――――――――――――――――――――――――――――
下1 トレーニングの内容
スピード/スタミナ/パワー/根性/賢さ
※サポートカード[スペシャルウィーク]アクティブ。根性に固定の上昇値を追加。
下2 トレーニングの効果量
※ゾロ目は追加ロール。
177 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 17:46:14.49 ID:DrhBwwuw0
人いないし取っちゃうね
かしこさ
178 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 17:46:44.53 ID:DrhBwwuw0
はい
179 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 19:13:24.89 ID:+3/PprsU0
トレーナー「賢さだ」
リョテイ「……またか?」
トレーナー「やっぱりほら、知識は力なりって言うじゃないか」
リョテイ「それにしても多くないか? ひょっとしてアンタ、アタシのことバカだと思ってないか……?」
トレーナー「いえいえ、滅相もない……」
リョテイ「……眼を見て話そうぜ?」
トレーナー「あはは……」
ネイチャ「まぁまぁ。知識があったほうがいいのはリョテイさんも理解してるでしょ?」
リョテイ「理解してるけどさ。なんかトレーナーが悪ノリし始めたからノってやっただけっていうか」
トレーナー「なんか情けかけられてる感じになってる……?」
トレーナー「まあいいか、じゃあトレーニングを始めよう――!」
―――――――――――――――――――――――――――――――
▼キンイロリョテイの賢さが上昇した。
賢さ :603(B)+(53×1.50×1.1)=691(B)
―――――――――――――――――――――――――――――――
180 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 19:18:29.44 ID:+3/PprsU0
トレーナー「季節の変遷と言うのは、いつ感じても美しいものだ」
トレーナー「春から夏、夏から秋、秋から冬、そして冬から春へと――」
トレーナー「一つとして同じ表情がない。いつ見ても、それらは違った表情を見せてくれる」
トレーナー「一番好きなものが何かと聞かれれば、俺は即座に返事を返すことが出来ないけれど……」
トレーナー「多分、思い出深いのは冬で、好きなのは夏なんだろうな、って思う」
トレーナー「やっぱり大きな経験をしたからだろうか? 何となく、どの季節が好きなのかという質問は、どの季節に、その人にとって重大なことが起きやすいか、という指標に繋がる気がするな」
トレーナー「……まぁ、その季節以外にもいろいろあるんだろうけど。俺の場合は春とか秋にもあるかもしれないし」
トレーナー「あ、こたつの電源切っとかないとな……」
―――――――――――――――――――――――――――――――
[黄金探しの放浪者]キンイロリョテイ
スピード:610(B)
スタミナ:337(D)
パワー :350(D+)
根性 :306(D)
賢さ :691(B)
―――――――――――――――――――――――――――――――
下1
トレーニング/お出かけ/休憩/メインイベント進行
スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/ライバル研究/その他(良識の範囲内で自由に)
※日本ダービーまであと13ターン(当該ターン含む)。
―――――――――――――――――――――――――――――――
【現在立っているフラグ】
■エクストライベント
・「祈りは力に、願いは形に」/特定の時期に、ある場所を訪ねる
・「地を支え、海を拝せよ」/探索の進捗を終了させる
―――――――――――――――――――――――――――
■メインイベント
・[地に閃く黄金の旅程]/開始中 2/5
―――――――――――――――――――――――――――
■メジャーイベント
なし
―――――――――――――――――――――――――――
■サブイベント
・[全てはこの一杯の為に――!]/担当ウマ娘とラーメンを食べに行く
―――――――――――――――――――――――――――
■プチイベント
なし
―――――――――――――――――――――――――――
■リミテッドイベント
・回顧/かつての担当ウマ娘と出会う
―――――――――――――――――――――――――――――――
181 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 19:20:09.03 ID:0FUAX2Sho
スタミナ休憩しようず
182 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 19:20:43.38 ID:0FUAX2Sho
何故か変換誤爆した
休憩です
183 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 19:20:52.58 ID:C3bv8Ku50
キンイロリョテイとお出かけしましょ
184 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 19:27:56.64 ID:+3/PprsU0
トレーナー「というわけで、今日じゃトレーニングはお休みだ」
リョテイ「ふぅん。まぁいいけど」
トレーナー「好きに過ごすことをお勧めする」
ルドルフ「ほう」
トレーナー「久しぶりの自由な時間だからな」
ネイチャ「へえ〜」
トレーナー「……」
トレーナー「……何故君たちはそろいもそろって此処に居座るんだ?」
リョテイ「トレーナー、アンタは一つ、見落としてることがあるぜ」
トレーナー「見落としていること……?」
リョテイ「アンタは知らないかもしれないが……」
リョテイ「――トレーナー室は、ひどく居心地がいい」
トレーナー「……は?」
ネイチャ「ある程度広さが確保されていて、かつ使用者がトレーナーさんとチーム・エルタニンの面々しかいない……」
ネイチャ「その上こたつもあって、みかんもあって、ちょいと足を延ばせばお茶も淹れられる」
ネイチャ「……こうなるのは当然では?」
トレーナー「……まぁ、理解はするが」
ルドルフ「ふふ、トレーナーくんの仕事の邪魔をする気はないから、勘弁してくれ」
トレーナー「……」
トレーナー「あんまり騒がしくするなよ」
■
トレーナー「結局一緒になって人生ゲームに興じてしまった、俺は仕事人失格だ……」
―――――――――――――――――――――――――――――――
▼休憩を行った。次回トレーニング効果2倍
185 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 19:33:24.74 ID:+3/PprsU0
トレーナー「学園中から甘い香りが漂う気がする今日この頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか」
トレーナー「バレンタインデーが近付くと、なんとなく学園中が甘い香りに包まれる気がするんだよな……」
トレーナー「いや、それが悪いこととか、そう言う風に言いたいんじゃない。ただ、少しそわっとしてしまうわけで……」
トレーナー「俺だっていっぱしの男で、見目麗しいウマ娘たちが在籍するトレセン学園のトレーナーで……」
トレーナー「……そりゃ、特定の誰かから貰えればそれで十分だとは思う。でも……なんか、その」
トレーナー「希望を抱くのは悪いことじゃない、そうだろ……?」
―――――――――――――――――――――――――――――――
[黄金探しの放浪者]キンイロリョテイ
スピード:610(B)
スタミナ:337(D)
パワー :350(D+)
根性 :306(D)
賢さ :691(B)
―――――――――――――――――――――――――――――――
下1
トレーニング/お出かけ/休憩/メインイベント進行
スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/ライバル研究/その他(良識の範囲内で自由に)
※日本ダービーまであと12ターン(当該ターン含む)。
※休憩効果発動中。次回トレーニング効果2倍
―――――――――――――――――――――――――――――――
【現在立っているフラグ】
■エクストライベント
・「祈りは力に、願いは形に」/特定の時期に、ある場所を訪ねる
・「地を支え、海を拝せよ」/探索の進捗を終了させる
―――――――――――――――――――――――――――
■メインイベント
・[地に閃く黄金の旅程]/開始中 2/5
―――――――――――――――――――――――――――
■メジャーイベント
なし
―――――――――――――――――――――――――――
■サブイベント
・[全てはこの一杯の為に――!]/担当ウマ娘とラーメンを食べに行く
―――――――――――――――――――――――――――
■プチイベント
なし
―――――――――――――――――――――――――――
■リミテッドイベント
・回顧/かつての担当ウマ娘と出会う
―――――――――――――――――――――――――――――――
186 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 19:34:24.87 ID:C3bv8Ku50
根性トレーニング
187 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 19:42:04.33 ID:lt04SCmUO
トレーニングの種類決めるのはこの後の安価定期
188 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 19:54:04.88 ID:+3/PprsU0
トレーナー「今日はトレーニングだ」
リョテイ「ま、最近休みがちだったしな」
トレーナー「リョテイは日本ダービーが近くなってきたし、ネイチャもオークスが近付いてきた以上、な」
ネイチャ「そうですね……って、え、トレーナーさ――」
リョテイ「そうだな。さすがにGTを練習もなしに勝ち抜けるなんて思ってねーよ」
ネイチャ「あの、お二人さん……?」
トレーナー「というわけで、トレーニングに入ろうと思う」
ネイチャ「お二人さーん?!」
ルドルフ「諦めろ、ナイスネイチャ……」
―――――――――――――――――――――――――――――――
[黄金探しの放浪者]キンイロリョテイ
スピード:610(B)
スタミナ:337(D)
パワー :350(D+)
根性 :306(D)
賢さ :691(B)
―――――――――――――――――――――――――――――――
下1 トレーニングの内容
スピード/スタミナ/パワー/根性/賢さ
※サポートカード[スペシャルウィーク]アクティブ。根性に固定の上昇値を追加。
下2 トレーニングの効果量
※ゾロ目は追加ロール。
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 20:10:57.11 ID:m8HwUbYEo
パワー
190 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/27(月) 20:12:22.69 ID:C3bv8Ku50
はあっ
191 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/27(月) 20:57:58.81 ID:+3/PprsU0
トレーナー「キンイロリョテイ、君の最大の持ち味はパワーだ」
リョテイ「ん? そうなのか?」
トレーナー「自覚がなかったのか……。リョテイの体躯にしては、パワーがかなり強い。それこそ……ルナにはまだ及ばないものの、ナリタブライアンに並ぶほどの才能を感じる」
リョテイ「……”シャドーロールの怪物”か。比べられて悪い気持ちにはならねぇな」
トレーナー「ああ、だから今日はパワーを増強していくぞ」
リョテイ「おう、ちなみに何するんだ?」
トレーナー「そりゃパワーといったらウェイトリフティングだろ」
リョテイ「……あれ、手が鉄臭くなるからあまり好きじゃないんだよなぁ」
トレーナー「文句言わない、それとも別のトレーニングの方がいいか?」
リョテイ「……いや、トレーナーがアタシの為に考えてくれたメニューなんだろ? 無得にするのも違うだろ」
トレーナー「そうか。ありがとな」
リョテイ「むしろこっちが言うセリフだよ、ありがとな」
―――――――――――――――――――――――――――――――
▼キンイロリョテイのパワーが上昇した
パワー:350(D+)+(69×1.50×1.2)=475(C+)
―――――――――――――――――――――――――――――――
192 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/28(火) 22:44:15.05 ID:PDKVOA//0
トレーナー「春の足音が聞こえてきた」
トレーナー「いや、実際にそんな音が聞こえてきたわけではないんだけど、なんというか……気温が上がってくると、そんな気持ちになる」
トレーナー「春眠暁を覚えずとはよく耳にする言葉だが、確かに気温が上がると眠くなってくるよな」
トレーナー「……顔を洗ってからトレーナー室に行くか」
―――――――――――――――――――――――――――――――
[黄金探しの放浪者]キンイロリョテイ
スピード:610(B)
スタミナ:337(D)
パワー :475(C+)
根性 :306(D)
賢さ :691(B)
―――――――――――――――――――――――――――――――
下1
トレーニング/お出かけ/休憩/メインイベント進行
スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/ライバル研究/その他(良識の範囲内で自由に)
※日本ダービーまであと12ターン(当該ターン含む)。
※休憩効果発動中。次回トレーニング効果2倍
―――――――――――――――――――――――――――――――
【現在立っているフラグ】
■エクストライベント
・「祈りは力に、願いは形に」/特定の時期に、ある場所を訪ねる
・「地を支え、海を拝せよ」/探索の進捗を終了させる
―――――――――――――――――――――――――――
■メインイベント
・[地に閃く黄金の旅程]/開始中 2/5
―――――――――――――――――――――――――――
■メジャーイベント
なし
―――――――――――――――――――――――――――
■サブイベント
・[全てはこの一杯の為に――!]/担当ウマ娘とラーメンを食べに行く
―――――――――――――――――――――――――――
■プチイベント
なし
―――――――――――――――――――――――――――
■リミテッドイベント
・回顧/かつての担当ウマ娘と出会う
―――――――――――――――――――――――――――――――
193 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/28(火) 23:00:15.78 ID:OJmNcz8Wo
スペちゃんの部屋に行っておはようと言いたい
けど怖くもあるのでこのレスのコンマが偶数だったら死にそうな顔しているトレーナーを囲んでだべるチームメンバー(休憩)で
194 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/28(火) 23:17:41.88 ID:QPuZIrj50
何故いらん予防線張ってしまったんだお前はァ!
195 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/29(水) 00:52:47.45 ID:E1r5mHuK0
リョテイ「……おい、トレーナー」
トレーナー「ん、どうした?」
リョテイ「なんかアンタ……最近思いつめてないか?」
トレーナー「……思い詰めてなんかない、とは思うが」
ルドルフ「私から見ても、君はここのところ根を詰めているようにも見える。少しは休んではどうだ?」
ネイチャ「トレーナーさんがいなくてもトレーニングは出来ますし、ね?」
トレーナー「いや、君たちにとって大事な時期だ。これくらい……っと」
リョテイ「おっと。アンタ、やっぱり結構疲れてんじゃねーか」
ルドルフ「トレーナーくん、トレーナーとしてチームメンバーの面倒を見るのは職務だ。だが、遂行に走るあまり、体を壊しては元も子もないだろう?」
ルドルフ「それに理事長からも聞いているぞ。夜遅くまで仕事をしているそうだな?」
リョテイ「……アンタが大切にするように、アタシたちもアンタのことを大事にしたいんだよ」
リョテイ「だからここは休んでくれ」
トレーナー「でも……」
ネイチャ「……」
ネイチャ「トレーナーさん、知ってます?」
トレーナー「ネイチャ……?」
ネイチャ「ウマ娘に、人間は勝てない」
トレーナー「おい、何を――おい、お姫様抱っこは違うだろ! おい!」
ネイチャ「聞きませーん。今のネイチャさんはアドレナリン倍プッシュでーす」
トレーナー「リョテイ……」
リョテイ「ま、ゆっくり休めよ」
トレーナー「……ルナ」
ルドルフ「俵抱きの方がお好みかな?」
トレーナー「取りつく島もねぇ……」
ネイチャ「というわけで、トレーナー室にGO!」
トレーナー「せめて……せめて人目につかないように……」
トレーナー「後生だから……後生だから……」
―――――――――――――――――――――――――――――――
▼休憩効果発動、次回トレーニング効果2倍
196 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/29(水) 00:57:24.12 ID:E1r5mHuK0
トレーナー「無事に見られました、終わりです」
トレーナー「桜が散るころには、忘れ去られていることを願います」
トレーナー「切に……」
―――――――――――――――――――――――――――――――
[黄金探しの放浪者]キンイロリョテイ
スピード:610(B)
スタミナ:337(D)
パワー :475(C+)
根性 :306(D)
賢さ :691(B)
―――――――――――――――――――――――――――――――
下1
トレーニング/お出かけ/休憩/メインイベント進行
スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/ライバル研究/その他(良識の範囲内で自由に)
※日本ダービーまであと11ターン(当該ターン含む)。
※休憩効果発動中。次回トレーニング効果2倍
―――――――――――――――――――――――――――――――
【現在立っているフラグ】
■エクストライベント
・「祈りは力に、願いは形に」/特定の時期に、ある場所を訪ねる
・「地を支え、海を拝せよ」/探索の進捗を終了させる
―――――――――――――――――――――――――――
■メインイベント
・[地に閃く黄金の旅程]/開始中 2/5
―――――――――――――――――――――――――――
■メジャーイベント
なし
―――――――――――――――――――――――――――
■サブイベント
・[全てはこの一杯の為に――!]/担当ウマ娘とラーメンを食べに行く
―――――――――――――――――――――――――――
■プチイベント
なし
―――――――――――――――――――――――――――
■リミテッドイベント
・回顧/かつての担当ウマ娘と出会う
―――――――――――――――――――――――――――――――
197 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/29(水) 01:12:51.54 ID:88Bmnm8Uo
じゃあここで今やってやろうじゃないか!
ターボ!「おはよう」だ!
198 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/29(水) 01:43:27.15 ID:E1r5mHuK0
真実ほど、人を魅了するものはない。
真実ほど、人を脅かすものはない。
知ってしまえば全てが狂う、悪性の異分子。
世界のオートファジーは、しかしそれを食むことはなく。
たった一つ起きた"変革"は、穏やかに、しかしどこまでも苛烈に。
穏やかな日常を、砕く。
やがてヒトは顧みる。自らの悪食を。
そして理解する。自らの過ちを。
これは、言うなればほんの序章。
物語の壱ページ目。
日記の書きだし。
あるいは終わり。
やがてヒトは回顧する。
在りし日を。
無知であることの、その由を。
――リミテッドイベント:回顧、開始。
199 :
◆FaqptSLluw
[saga]:2021/09/29(水) 01:53:41.85 ID:E1r5mHuK0
【アナウンス】
リミテッドイベント「回顧」開始に先立ちまして、アナウンスです。
このスレッドをここまで見ていただいている方がどこまでいらっしゃるかわかりませんが、今からトレーナーが体験している「ループ」という現象について、伏線を回収していくことになります。言うなれば、このイベントはターニングポイントです。
ですが、当スレッドは一種の読者参加型――安価スレッド。皆様に支えられてきて成り立っているスレッドでございます。
なので、こちらから皆様に、ちょっとした余興をご用意いたしました。皆様の興が乗りましたら是非、皆様の思う「ループ」という現象についての見解をレス……述べていただきたく思います。
正解に近い回答が得られる、もしくはこのリミテッドイベント「回顧」が終了しフラグが立てられた場合、追加のイベント「例えば幾星霜が過ぎたとして。」を開始します。
ヒントは様々なところに散らしております。
正直なところ、この余興を用意するかも迷いました。ですが、せっかく見て頂けているのですから、もっと楽しんでいただく努力をこちらがするべきだと思い、その試みの一環として、この余興を用意させていただきました。
皆様のご回答を、お待ちしております。
次回更新はそこまで遠くならないと思います。よろしくお願いいたします。
200 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/29(水) 07:30:52.43 ID:u/rJtEatO
やっと1000スレターボの話きた
考察
ネイチャ→ルナ程では無いがループはわかっているはず、会話などでその事を確認すべきか?
理事長→あそこまですんなりいくのだから、ループの恩恵を受けてれいるとは思えないがはたして?
PS、万が一考察間違い選択してもトレーナーがループするような罰則は無いですよね?
201 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/29(水) 08:35:26.73 ID:PbPi1C9v0
これまで何度もループしているにも関わらず、何故1周目の担当であるルナがループ後もずっと記憶を保持していられるのかが謎だな
考えられるとすれば、実はルナがトレーナーをループさせている張本人だからとか?
目的はまぁ自殺してしまったトレーナーを救うためとか、その悲劇に自らが折り合いをつけるためとかかね
202 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/29(水) 09:20:13.90 ID:tl4JS5o7O
考察続き
マヤノ、スペ、→現時点ではループ前の記憶がなんとなく残っている状態
ループに関してはいまだ認識できていない部分があると思われる
ターボ、→スレ書き込み待ち状態これでなんらかのヒントつかめるといいなー
203 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/29(水) 09:45:40.73 ID:SLjWlxa3o
・ループ開始前に桐生○の話題になるとループ管理者?が明らかに悪反応した
・自殺したのでそれ以前のループの記憶はない、と会長は示す
・いつの間にか習得している技術、所作(会長撫で、紅茶の所)
なーんかしっとりを感じるんですが
カイチョー信じていいよね?ループ突破したらトレーナー君は無事だよね?
204 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/09/29(水) 12:18:01.24 ID:FXs7lQ3yO
ループの原因になっているのは他でもないルナの祈り、願いである可能性はかなり高いけど
意図的に引き起こしたものなのか偶然の産物なのかはわからない
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