【まどマギ】小巻「見滝原中に転入したわ」【安価あり】

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536 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/29(水) 23:43:36.81 ID:Q6sH27gI0


 そろそろ待ち合わせの時間も近い。あたしたちは駅へと向かって歩いていた。


キリカ「駅前ついたらちょっとエネルギー補給していい?」

小巻「別にいいけど、アンタのそれは本当に補給なの? エネルギーすでに溢れてない?」

キリカ「なんでそういうこと言うんだ! もうシェアしてあげないぞ!」

小巻「はいはい、悪かったわよ。……まあ一戦したんだしあたしも少しくらい良いわよね」


 そんなこんなで、駅前で買い食い。

 前だったらこんなふうに適当な場所で食べるってなかっただけど……行儀悪いかしら。


小糸「お姉ちゃん!」


 待っていると、小糸があたしを見つけて駆け寄ってきた。


小糸「何か食べてる」

キリカ「小糸もエネルギー補給する?」

小巻「小糸は動く前でしょ。大丈夫?」

小糸「これから動くから!」



 ――腹ごしらえが終わると、いよいよ三人で歩き始めた。



 下1レスコンマ判定 2/3
0~20 使い魔
21~40 魔女
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/30(木) 00:19:44.24 ID:mbykjm/jO
538 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/09/30(木) 00:36:30.73 ID:9+t9TvZf0
---------------------
今回更新はここまで
次回は2日(土)20時くらいからの予定
539 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/02(土) 19:00:47.34 ID:sHYRF9G10


―委員長の魔女結界



小巻「うわああっ、なにこの結界! もうヤダ! もう本当ヤダ!」

キリカ「同感!」

小糸「こんな結界もあるんだ……!」


 小さい路地の隅から気づけば青空の中へ放り出される。

 結界に足を踏み入れた途端、眼前には不安定な糸の足場とそこを器用に渡り歩く使い魔たちが広がっていた。


キリカ「むやみに斧振り回して足場切っちゃわないでよ? 落ちたらどうなるかわかんないんだから!」

小巻「それはこっちのセリフよ」


 こんな結界ではあたしも重く重心の崩れやすい斧は安易に持てない。

 いつもと同じ戦い方はできない。魔女の姿を遠くに捉えつつ、どう責めるか思案する。


小巻「魔女はアレ……か」

小糸「その前に使い魔きてるっ!」



小巻 魔力[97/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


仲間:
キリカ 状態:正常
小糸 状態:正常

敵:魔女Patricia
  使い魔Mathieu ×5
  使い魔teacher ×3



1逆に足場切れば使い魔も倒せる?
2攻撃は他に任せてサポートに集中
3一か八か遠距離から武器を投げる
4指示を出す(自由安価)

 下2レス
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/02(土) 20:34:39.57 ID:r9q6wVYr0
4
小糸に何が出来るか聞いてまずは使い魔から小糸を守る。
大丈夫そうなら2人にガードを頼んで3
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/02(土) 20:57:44.41 ID:y91JJv7AO

追加で戦いのあと小糸の能力について本人から詳しく聞いて戦いかたを考える
もしきゅうべぇがいたらきゅうべぇにも感想を聞く
542 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/02(土) 21:41:17.21 ID:sHYRF9G10


小巻「小糸、戦える?」

小糸「迫ってくる使い魔だけなら……!」

小巻「わかった、あたしもサポートはするから無理はすんな!」


 戦いづらいが、協力すれば防戦だけならなんとかなる。

 とはいえ追い詰められたままの状況は勘弁だ。


小巻「……どうにかこっから攻撃を届かせられないかしら」

キリカ「え? どうやって?」

小巻「そりゃもちろん、投げるのよ。外したらどっか変なとこが切れるかもしれないけど……そん時はそん時よっ!」

キリカ「ええええっ」



 武器を手にして足元を踏ん張ろうとすると、さらに足場がたわんだ。

 地面にいる時と違ってうまく力が入らず、狙いがつけづらい。


小巻「ええい、ままよッ!」



 下1レスコンマ1桁
0or1 成功
543 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/02(土) 21:47:38.85 ID:ZInXQHwt0
あたれ
544 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/02(土) 21:53:54.97 ID:r9q6wVYr0
さすがに5/1はキツいか・・・
545 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/02(土) 22:48:54.99 ID:sHYRF9G10


 投げた斧は魔女の近くに張られた足場までを使い魔ごとぶち破りながら飛んでいった。

 それと同時に、こっちも足元にぐらつきが伝わる。しかし魔女は蜘蛛のような腕を器用に動かし、まだ足場の上を渡っていた。


小糸「うわわっ」

小巻「くっ、ダメか!」

キリカ「もーどーすんのー!」


 今ので魔女に近づくための足場をいくつか失った。

 まともに伝っていくのがますます難しくなった……かも。


キリカ「普段勉強教えてもらってるんだけどなぁ。クラスの優等生とは思えない脳筋っぷりだよ」

小巻「じゃあ他に考えがあるわけ?」

キリカ「ないけど……」

小巻「下がどうなってるかなんて知らないけど、あたしのバリアがあるんだから、最悪落ちて地面に激突したって怪我はさせないわよ」

小巻「その時には魔女も引きずり落としてやるし」

小糸「ちょっ、本当にこの下に落ちるの? 魔女と一緒に?」

小巻「最終手段よ! この下がどうなってるかはわからないんだから!」



1逆に足場切れば使い魔も倒せる?
2攻撃は他に任せてサポートに集中
3届くまで投げてやる!
4指示を出す(自由安価)

※このスレにおける小糸の設定はあとで安価で決めますが、
使える魔法が回復なのでこの戦況に大きく優位に立てる力は持ち合わせてません

 下2レス
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/03(日) 00:25:14.48 ID:Rjqbyoah0
2+3
斧投げでサポートしながらキリカに前へ出てもらう
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/03(日) 05:52:26.60 ID:+q67oc3YO
1
548 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/05(火) 23:22:11.24 ID:EbvabYZl0
---------------------------
今週は忙しいので更新はお休みさせてください。
日曜は夜なら顔出せるかも。
549 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/16(土) 21:51:18.62 ID:nWDpmfLl0


 ……ただでさえ武器が扱いづらいのにここからってのは無謀だ。

 ひとまずは限られた足場を渡ってなんとか近づいていくしかない。最終手段とは言ったけど、できるだけ心臓に悪いことはしたくないし。


 しかし、青空の結界に残っているのはあたしたちを囲むかのように張り巡らされた足場ばかり。

 考えてるうちにも、糸の上をスケートを滑るようにして自由に走る使い魔たちが迫ってきていた。


小糸「わあああっ、また来てるよ」

キリカ「ちょっと伏せて!」


 キリカが袖から魔力の刃を出して軽く腕を振るうと、手元を離れて飛んでいき、使い魔のいる糸を切り落とした。

 あたしの武器は手斧のような投げやすい形状のものとは違う。そういう使い方ならキリカのほうが向いてるんだろう。


小糸「あ、こうやって敵の足場も落としていけば……!」

小巻「あたしたちが使える足場も限られるけど、魔女や使い魔の移動手段も限られるわね」


 周りを囲む糸を落とし、手分けして使い魔を倒しながら進んでいく。

 そうして少しずつ近づくと魔女は新しく足場の糸を吐いた。けど、それもその傍から落としてやった。

 魔女へとつながる糸はもう一本のみとなった。


キリカ「今だよ!」

小糸「はい!」


 小糸が魔女に向かって飛びつく。

 ……この戦いではあたしもサポートしてたけど、結局二人がよく頑張ってた。

550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/16(土) 22:13:23.76 ID:ckw3UxDH0
お、ほぼ2週間ぶりの更新来た!
お待ちしておりました!
551 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/16(土) 23:04:06.47 ID:nWDpmfLl0


 「わあああああああああっ!!」


 感心したのも束の間。絶叫マシンにでも乗った時みたいな声が響く。

 魔女が消えれば今度はなにもない場所へと投げ出されたわけだ。底の見えない場所に落ちるよりはマシか。

 すかさずバリアで包み込んだ。


小巻「言ったでしょ? 落ちても激突はさせないって」

小糸「倒したあとも気が抜けないんだね……」

キリカ「お疲れさま。ちょっと休む?」

小巻「それアンタが休みたいだけでしょ?」

キリカ「まあね。あんな変な結界いたら疲れるって」

小糸「私も疲れたなぁ」

小巻「あたしは休むよりとっとと終わらせたいけど……ちょっとだけね」


 近くの公園で少しだけ休んでからパトロールを再開した。


小巻(てかまた食べてるし……)


 キリカの鞄にはいつでもお菓子が入ってるらしい。



小巻 魔力[84/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]



 下1レスコンマ判定 3/3
0~20 使い魔
21~40 魔女
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/16(土) 23:09:43.07 ID:ckw3UxDH0
ほいさ!
553 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/17(日) 00:01:55.22 ID:HOvXbFWi0


小巻「――――とりゃっ!」


 魔力を感じて立ち寄った駐車場の片隅、回転するマネキンのようなものを薙ぎ払う。

 ちらつくように中途半端に侵食する結界は使い魔のものだ。


小糸「これでおしまい?」

キリカ「もういないみたいだよ」

小巻「じゃあこれくらいにしときますか」



 逃げることも立ち向かうこともしなかったそれを三人で壊し尽くすと、元来た表通りに戻っていった。

 パトロールを終えてからも帰りはまだ少し一緒だ。

 帰り道を歩く途中、小糸がキリカに問いかける。



小糸「ところで、お姉ちゃんって優等生なんですか? さっき、空中の結界の時に言ってた……!」


 まるで信じられないみたいな顔だった。


キリカ「それはもう、転入初日から小巻は優等生で通ってるよ。何の教科やらせても完璧にこなすし」

小糸「ええぇー」

小巻「何よその反応は」

小糸「だってお姉ちゃんって見ての通り脳筋でしょ? そんなキャラじゃないし、今まで一度もそんな話聞いたことない……」

小巻「失礼な。まあでも、小糸が聞いたことないのは当然でしょうね。白女じゃたいして優れてたわけでもなかったから」

小巻「優等生といえば……白女だと美国がまさにそのイメージだったわ。何やらせても完璧にこなして、誰からも一目置かれて。ムカつくわよね!」

小糸「だからなんでそうなるのっ!?」


 別に僻んでるわけじゃない。ただ、何かが気に入らない。

 どんな時にもあの涼しい顔を崩さず、優等生で、絵に書いたような完璧であり続ける。そんな姿が。

554 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/17(日) 00:29:49.59 ID:HOvXbFWi0


 けど同時に、昨日見た美国の表情も脳裏に浮かんだ。怒ってた、ような気がした。何にかはわからない。


小巻「……今は周りの評価は変わってしまったけれど、それで美国のなにかが下がるわけじゃないわ」

小巻「今でもあいつには敵わないのよ。別にあたしは競う気もないけど」

小糸「競ったところでお姉ちゃんじゃ勝てないでしょ……」

小巻「一言余計よっ」

小糸「あいたっ」


 げんこつを落とすと、小糸はマンガじみた大げさなリアクションをとる。

 キリカは不思議そうな顔をしていた。


キリカ「……そうなんだ」

小巻「ようするに『優等生』なんて相対評価なのよ! アンタは幼稚園児の中に混じって一番になって嬉しいの!?」

キリカ「え、それ私たち幼稚園児扱い?」

小巻「あーもう、なんでこんなとこでまで美国の話してんだ! この話はおしまいよ!」

キリカ「話し始めたのはそっちじゃん。ふーん、あの人ってそんなにすごいんだね」


 そんな雑談を交わしながら三人で歩いていたが、キリカは急に何かが足を止めた。


キリカ「……あれ、転校初日? 初日って私、小巻となんか話したっけ?」

小巻「何、どうしたわけ?」

キリカ「いや、なんでもない」

小巻「……?」


 何を気にしたというんだろう。

 ――――そうしているうちに岐路が見えて、キリカとは別れる。小糸と二人の帰り道になった。


 そう思ったのだが、すぐにもう一人、いや、『もう一匹』の声がした。


QB「今日は仲間と一緒だったけど、小糸もよく戦えていたね」

小巻「キュゥべえ、着いてきてたの?」

QB「戦いを見させてもらっていたよ。僕のアドバイスなんていらなかったみたいだけど」

小糸「そうだったかな」

555 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/17(日) 00:45:46.97 ID:HOvXbFWi0
---------------------------
ここまで
次回は17日(日)20時くらいからの予定、多分安価からはじまります
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 14:35:48.36 ID:K7uUsKfTO
あ、復活してる
557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 17:47:19.18 ID:w1QRIpnR0
なんかキリカが不穏なフラグ立ててるような……
558 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/17(日) 20:38:59.93 ID:HOvXbFWi0


小巻「ラクショーだったとは言わないけど、できるだけ自分たちのことは自分たちでなんとかするわよ」

小巻「……けどまあ、自分の力について小糸も気づいてないことがあるなら聞かせてあげてほしいわね」

QB「小糸の願いから考えれば、癒やしの魔法の効果は人一倍に発揮できるはずだよ。ゆまとも同系統だね」

小巻「ゆま……か。なるほどね」


 佐倉と一緒にいた女の子。

 たしか、『キョーコを助けた』とか言ってたっけ。



・小糸の魔法少女としての武器/ギミックみたいなものとか

 下4レス中多数決
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/17(日) 21:24:22.86 ID:n8ETmE8c0
ヴァイオリンのような弦楽器を模した攻守一体の武装。
渦巻きやベグの部位を引き抜くと、弓のような形の片刃の剣が現れ残りの部分はそのまま盾となる。
盾のまま突撃したり不意打ちにも使える、引き抜くのと逆の方(チェロで言うとエンドピンのある方)からパイルバンカーのごとく杭も出せる。
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 21:35:03.18 ID:Pm/OxGEzO
本当は銃とか弓みたいなのが良かったけど委員長の魔女戦でそういう描写なかったから安価↑
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/17(日) 23:16:05.14 ID:Pm/OxGEzO
なんか安価来ないからもう一度↑↑
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/18(月) 00:50:50.11 ID:GNANNwJHO
559で
563 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/22(金) 23:04:29.15 ID:GLHlngAW0


QB「とはいっても、小糸ならではの戦い方は武器の応用でいくらでも編み出せるだろう。思いついたことは色々試してみるといいよ」

小糸「うん……頑張ってみる!」

小巻「あれバイオリンでしょ? なんか使いづらそうだなって思ってたけど。憧れでもあったの?」

小糸「ま、まあ、少しね?」


 小糸はちょっと照れくさそうに言った。

 習い事は小さい頃から色々やってたけど、音楽にそんな思い入れがあったなんて知らなかった。


小巻「そっかそっか。いいんじゃない? 悪くないと思うわよ。将来は音楽家でも目指す?」

小糸「さすがにそこまで考えてないよ。もーいいでしょ? その話は」


 契約してなかった時は他人事のように言ってたけど、今はあたしの気持ちも少しはわかっただろうか。

 あの恥ずかしい衣装も武器も内面から出たものって言うんだから、自分を見透かされるような恥ずかしさがある。


小巻「とにかく、契約しちゃったものはしょうがないものね。これからはあたしもついてられるときは一緒に戦うわよ」


 不安はあるけど、やることは今までと変わらない。小糸のこともあたしが守る。……前は助けられたけど、今度こそ。

 こうして同じ目線でものが見えるようになったのは悪くない気分だった。


 その後も会話を交わしながら小糸との帰り道を歩いていった。



―25日目終了―


小巻 魔力[84/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]
564 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/23(土) 00:05:49.09 ID:VdH6uQW10
――――――
――――――
美国邸



マミ「――――なるほどね。でも、暁美さんは学校でも厳重に見守ってるわ」

マミ「強力な魔法を持っているんでしょう? 不用意に近付こうものなら警戒されるし、それこそ殺されかねない勢いよ」

織莉子「標的に近づけないなら、守護者の魔法のことだけでも探れないかしら」

マミ「……」



――――


――――――
――――――
26日目



 登校して教室に向かおうとする途中、階段の途中で立ち尽くしているマミの姿が見えた。


小巻「おはよう、マミ。どうしたの? 遅刻するわよ」

マミ「……え、ええ。そうね」


 マミの態度はやっぱりおかしい。キリカにも同じことを思われてたんだから、相当に重症だ。

 今日はマミと話し合おうと思っていたしいい機会だ。


小巻「ねえ、最近なんかあったんでしょ? その前にさ、何に悩んでるのか聞かせてよ」

マミ「別になんでもないわよ。話し込んでたら遅刻してしまうわ。行きましょう」

小巻「時間がかかるなら後でもいいから。なんでもないって態度じゃないでしょ」

マミ「……本当になにもないわよ」

小巻「もう、くどい! いいから話しなさいよ! 話したら楽になるって言うでしょ!」


 逃げ腰なマミにイラッときて、人前だが大声を出した。すれ違う生徒の視線がこっちを向く。


マミ「ちょ、ちょっと、浅古さん」

小巻「キリカも気づいてあたしに話してたのよ。ぜんっぜん何もなかったようには見えてないから!」

マミ「……ごめんなさい。私にだって言いたくないことくらいあるの」


 それでもマミはあたしを拒んで逃げていった。

 ――――逃げるようにして、階段を早足で駆けていった。

565 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/23(土) 19:31:25.16 ID:VdH6uQW10


小巻(なんなのよまったく……)


 マミは意地でも話したくないようだった。

 ああなったのはあたしが怪我で倒れてた時かららしいけど、その間に何があったっていうの?

 ハッキリしないことがあるともやもやする。こうなればこっちも意地を張ってやろうか。


小巻(とはいっても、それなりに込み入った話になるなら朝はあんまり時間がないわね)


 放課後じゃまた逃げられるかもしれないから、昼になったらまた声をかけに行ってみよう。

 教室に行けばいつものようにクラスメイトが出迎えて、授業を受けて、午前が過ぎていく。



 それから、決めてた通り休み時間になると早速マミのクラスに直行した。



マミ「……浅古さん」


 マミはあたしを見るとぎょっとしたような顔をする。会いたくなかったみたいな態度。


小巻「マミ、ちょっと来てよ。いつもの場所で話しましょう」

マミ「朝のことなら本当に気にしないでいいから。それとも……他のこと?」


 適当に嘘でもつけば乗ってくれるのかもしれない。

 でも、小細工なんて性に合わない。変にごまかすようなことはしたくない。


小巻「ええ、朝のことよ」

マミ「……話したくないって言ったでしょう。どうしてわかってくれないの?」



 マミとの間には今までになかったようなギクシャクとした空気が漂っている。



1あたしたち友達よね?
2仲間として心配なのよ
3自由安価

 下2レス
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/23(土) 21:48:47.79 ID:iM2ikcIR0
2+3
マミの態度に怒りと苛立ちを持つが逆に冷静な口調になる。
最後にマミの態度が織莉子の態度と重なりカマをかける様な事を言う。

話したくない?
ならもう良いわ、仲間なのに話さないというならこっちも考えがあるから。

今のあんた、美国みたいね。会わせるんじゃなかったわ。
せいぜいそうやって自分を取り繕っていなさいよ。
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/23(土) 22:18:23.42 ID:Ne03xlF6O

追加で昼休みにほむらに会いに行く。
マミが変になったけど何か心辺りある?

568 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/24(日) 00:06:25.92 ID:hJia5anP0


小巻「仲間として心配なのよ。同じ街のね。マミだって立場とか大事にしてるんでしょ」

マミ「そう…… 縄張りのことね」

小巻「プライベートな悩みだとしても、そんな状態でもし何かあったらこっちだって関係大アリよ! だからほっとけないし、話を聞いてやろうって言ってるの!」

小巻「ねえ、あたしの言ってることなんか間違ってる? 間違ってるっていうなら教えてくれない?」


 相変わらずマミの態度には苛立ってる。けど、朝とは違って少しだけ冷静な口調で詰め寄った。

 今度こそ逃げるなんて許さないっていうように。

 こんな風に思うのはマミが嫌いだからってわけじゃない。そんなことくらいは、マミだってわかってくれてると思ってた。


マミ「浅古さんは間違ってはいないわよ」

マミ「だから嫌になるの。そうやって正しさを盾にして押し付けられると」

マミ「私が間違ってるって言いたいの? あなたは何も知らないくせに……!」


 でもマミから返ってきた言葉は、予想もしてなかったことだった。


小巻「は……? だ、だから何をよ!」

マミ「浅古さんは正しいけど、みんながそんなに強いわけじゃない」


 マミは少しの間、どこか言いづらそうに視線をそらして落とした。

 まるでここじゃない、今じゃないどこかを見つめたように。


マミ「……戦いのことならあなたに心配してもらうようなことじゃないわよ。たとえ万全じゃないとしても、あなたより慣れてるもの。悪いけど今はほっといて」

小巻「そ…… そう! どうしても話したくないってんなら、こっちも考えがあるから!」

小巻「今のアンタ、美国みたいね。マミまでそんなんじゃ、アイツもどう思うのかしら。会わせるんじゃなかったかもね」

マミ「……あなたは随分美国さんのこと信頼してるのね」

小巻「はあ? そんなんじゃないから!」


 結局喧嘩腰に吐き捨てて、自分の教室へと戻っていった。

 周りはざわめいてた。何か揉めてたってのは気にされてるみたい。

569 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/24(日) 00:35:40.91 ID:hJia5anP0


*「なんかあったの? 巴さんとなんか言い合ってたって聞いたよ?」

小巻「……少しね。わかんないわよ。あたしだって何があったか知らないもの」

*「??」


 様子を見てた生徒が駆け寄ってくる。こっちはこっちで、あたしも心配されてるってことなんだろう。

 ……けど、どうしてだろう。こうして詰め寄られる側になるといい気はしなかった。マミに言われたことは理解できないし受け止めきれてもいない。

 わかることといったら、あたしはこのくらいのことしか言えないし。


キリカ「いったいどうしたのさ? 過去最高の不機嫌記録更新してるよ?」

小巻「マミに何かあったのかって聞いてきた」

キリカ「聞けたの?」

小巻「いーえ。何が何でも言いたくないってさ」


 マミのことは、キリカもあたしも知らないところで何か起きたんだろう。

 マミには家族はいない。あとあたしの当たれる範囲でいくと、ダメ元ではあるけど一人が頭に浮かんで立ち上がった。なにより今はじっとしてたくない気分だった。


小巻「二年のほうにも聞きに行ってくる」

キリカ「え、それってあの暁美とかいう?」


 久しぶりに直接会いに行く。

 教室の外から目が合うと、暁美は変わらずの剣幕で鋭い視線を向けてきた。


ほむら「用件があるならメールでと言ったでしょう」

小巻「……アンタはマミに何があったかって、知らないのよね?」

ほむら「巴マミのこと? 私の知ったことじゃないわ。関わってもいない」

小巻「あっそう!」


 こいつと話すのはやっぱりイライラしてくる。相手も同じ気持ちみたいだし、今のところ長いこと話してても良いことはなさそうだ。

 ……そうしているうちにチャイムが鳴って、もう一度自分の教室へと戻っていった。

570 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/24(日) 00:38:44.16 ID:hJia5anP0
-----------------
ここまで
次回は24日(日)18時くらいからの予定
571 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/24(日) 19:58:03.46 ID:hJia5anP0



 午後の授業もこなせば学校での一日も終わり。放課後だ。

 マミとは拗れたままだし、こっちまで暗い気持ちになる。


小巻(元はと言えばマミの相談に乗ろうとしてたのに、どうしてあたしまでこんなこと考えてるのよ……)

小巻(いや。今日はまだプライベートのこともやらなきゃいけないことがあるんだから!)


 鞄の中身を整理して、嫌な気持ちを振り切るように立ち上がった。

 このあとは習い事だ。それに明日からは休日。

 せっかく優木のことも気にしなくてよくなったんだし、この土日は小糸とパトロールもかねて外出しに行こう。


 これからの予定に思考を巡らせる。

 美国のことも頭に浮かんだ。アイツもいつから契約してたのかは知らないけど、抱えてる問題はそのままだし、状態はいいとは言えない。

 アイツは一体、何のために願ったんだ。契約すれば何でも叶うってのにあんな状況で。


小巻(……アイツにも、声をかけてみようかしら)


 美国には後で連絡を入れよう。学校を出て、校舎から離れて目的地に歩いていく。


 ――でも、マミのことは本当にこのままにしといてもいいの?

 このままじゃ、仲間としても友達としても離れていってしまうかもしれない。



―26日目終了―


小巻 魔力[84/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]
572 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/24(日) 23:06:02.49 ID:hJia5anP0
――――――
27日目



小糸「あっ、この映画もう公開してたんだ。今度見にいこうよ!」

小巻「そうね。今度はパトロールじゃなくてまた遊びに行ってもいいかもね」


 昼過ぎになって家を出て、まずは二人だけの道中。小糸は街に大きく貼られたポスターを見て言った。

 魔女が出てないときはただの散歩と変わらない。とくにずっと一緒にいた家族だからだろうか。

 今は魔法少女としての義務感よりも妹と出かけてるって感覚のが大きかった。


小糸「今日は美国さんも一緒なんでしょ? ついに仲直りしたの?」

小巻「仲直りもなにもアイツとは一度もケンカなんかしてないわよ。ケンカ売ったって勝ってもくれない腰抜けなんだから」

小糸「それって腰抜けじゃなくて、『大人』って言うんじゃない?」

小巻「何が『大人』よ! 痩せ我慢のことでしょ? そんな言葉だいっきらいだわ!」


 そう言って、昨日のマミとのことを思い出す。……マミとのことは、あれこそケンカだ。

 待ち合わせの場所につくと、美国はひと足早くそこに来て待っていた。


織莉子「ごきげんよう」

小巻「……ごきげんよー。なんだ、もう来てたの」

織莉子「ええ」


 白女にいる時にも飽きるほど聞いたお上品な挨拶を真似してみる。

 美国は気に留めた様子もなくいつもの調子だ。


小巻「さっそく行きましょ! グズグズしてたら置いてくからね」

小糸「もう、誘っておいてその態度はないでしょー? 美国さん、今日はよろしくおねがいしますねっ。私も契約したてなので心強いですっ!」



 下1レスコンマ判定 1/2
0~20 使い魔
21~40 魔女
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/24(日) 23:18:20.90 ID:4lLG/BiO0
ほい!
574 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/24(日) 23:41:51.75 ID:hJia5anP0


小巻「小糸はそりゃ契約したてだけど、そもそもアンタはどのくらいなのよ? 頼りにできるほど強いわけ?」


 美国を誘ったのは、パトロールが目的っていうよりも色々と話しておきたいことがあるからだった。

 どんな戦い方をするのかも、どれだけ強いのかも、魔法少女としてことはあたしはほとんど知らない。


織莉子「私もあまり長くはないわよ。小巻さんから聞くよりも少し前だったから……」

小巻「ふーん、あたしの忠告はちょっとだけ遅かったのか」

織莉子「ま、まあ、そう言うこともできるかしら……?」

小巻「ってことは、あの事件があった後なのね」


 そう言うと、美国は言いづらそうに黙ってしまった。それを見た小糸が慌て出す。

 心が不安定な方が付け入られやすいのは、魔女や使い魔だけじゃなくきっと契約を迫られる時も一緒。そのほうが願いがあるってことだから。

 でもそれを知ると、ますます美国が何を叶えたのか疑問だった。


小糸「もう、お姉ちゃんったらデリカシーなさすぎるよ……! なんか本当ごめんなさい!」

織莉子「いいの。でも、せっかくのご忠告なのだけど、私は契約して後悔はしてないわ。貴女たちも、そうなのでしょう?」

小巻「……まあ、あたしはそうね」

小糸「あ、はい。私も……」



 歩き始めて、どんどんと街の中心からは離れていく。

 休日で賑わう人混みから遠ざかり、周囲の空気が静かになるのを感じた。



 下1レスコンマ判定 2/2
0~20 使い魔
21~40 魔女
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/24(日) 23:47:27.84 ID:4lLG/BiO0
今度こそ!
576 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/25(月) 00:08:37.67 ID:xbqX96XQ0


小巻「魔力の反応、ないわね……」

小糸「この前はわりとすぐに見つけられたけど、なかなか会えない時もあるんだね」


 魔女にも使い魔にも会えないまま足を進める。

 小糸の言うとおり、狙った場所に魔女がいるかは運頼みだ。もう結構歩いた気がしていた。


「あっ、おねえちゃんたち!」


 人気がないと思っていた景色の中、あたしたちに声がかけられる。聞き覚えのある女の子の声だ。


小巻「アンタはたしか、ゆま。 ……と、佐倉」

ゆま「こんにちは!」

小糸「こんにちは」


 ゆまは可愛げがあるが、ゆまの隣にはもれなく嫌なものまでついてる。

 絶対小さい子の教育にはよくないヤツだけど、少しは絆されて改心してたりするのだろうか?


小巻「そういえばこのあたりはもう街外れね。一旦引き返すかー。言っとくけど、別に縄張り越えようとか思ったわけじゃないから」

杏子「……あっそ。それならいいけど」

ゆま「ねえ、ゆまたちはもう見滝原にはいかないの?」

杏子「行く必要がないだろ。優木ももうぶっ倒したんだし……あっちにはムカつくもんしかない」

577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/25(月) 00:16:17.86 ID:lvr2zq570
ここで杏子にマミが最近おかしいことを伝えたいけど、今織莉子も一緒なんだよなぁ・・・
578 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/25(月) 00:40:33.03 ID:xbqX96XQ0


ゆま「コマキやマミとけんかしてるから? だったら仲直りしよーよ! みんな仲いいほうがいいよ!」

ゆま「ね! おねえちゃんたちも……――――」

杏子「……そんなの簡単に言うな! 何も知らないくせに」

ゆま「ご、ごめんなさいっ」


 ゆまはこっちにも話をふろうとしたが、あたしが何か言う暇もないうちに佐倉が言葉を遮った。


 自分の発言で怒らせてしまったと思ったからか、ゆまは素直に謝っていた。

 幼いながらに人一倍敏感に怒気に反応してて、そんなところを見ると代わりに口を挟んでやりたくもなる。そもそも何に怒ってんの?

 ……でも、そんな時浮かんだのも昨日言われたことだった。あたしはともかく、マミも今は仲直りとか考えられるような余裕はないだろう。


杏子「あたしだってもうゆまを置いてまで誰彼構わずにケンカ売りにいったりはしないさ。でも今更仲良くなんてのはできっこないんだよ」

杏子「だからこれでいいんだ。魔法少女には縄張りってもんがあんの」

杏子「結局優木からは何も聞けなかったのは心残りだけどさ。アンタはあれから何か思い出してない?」


 佐倉の目が美国のほうに向けられる。すると、今まで口数の少なかった美国が口を開いた。


織莉子「いえ、何も」

杏子「そうか。期待はしてなかったよ」

579 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/25(月) 00:44:31.12 ID:xbqX96XQ0
-------------------
今回更新はここまで
次回は25日(月)20時くらいからの予定
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/25(月) 00:48:31.49 ID:lvr2zq570
乙です。

うーん、ギクシャクしてますねぇ・・・
マミは織莉子の口車に乗せらてるし、ほむらは相変わらずだしこのままだと原作通りになりそうだけど・・・
581 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/25(月) 23:43:31.98 ID:xbqX96XQ0


杏子「ゆま、もう行くぞ」


 佐倉が去っていって、ゆまもそれについていく。

 初対面よりは少しだけ落ち着いたのはゆまの影響なんだろうけど、変わったというにはまだまだだ。


小糸「巴さんとなにかあったのかな……?」

小巻「あたしも何があったのかは詳しく知らないけど、マミと佐倉って昔組んでたらしいのよ」

小糸「そうなの? あの人が? そういえばそれっぽいことは言ってたけど」

小巻「多分、アイツも昔はあんな感じじゃなかったんでしょ」

小糸「私、あの人のこと苦手だって思ってた。口は悪いし、願いのこともバカにされたし」

小糸「でも元はそうじゃなかったなら、どうにかできればいいのにね」

小巻「……」

小糸「お姉ちゃん?」


 たしかに、なにを意地張ってんのかは知らないけど、さっさとどうにかしてくりゃいいって思う。

 でも今はあたしもマミと拗れてる。人のこと言えたもんじゃない。


小巻「どうにかするにしても今はどうでしょうね」

小糸「どういうこと?」

小巻「佐倉のほうがあんな態度だってのもあるけど、マミだって今は」

582 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/26(火) 00:38:42.43 ID:OgOZvxFY0

小糸「お姉ちゃん……巴さんとケンカでもしたの?」


 そういえばあの時美国のことも引き合いに出したっけ。

 うじうじ悩んでるヤツ同士が一緒にいたらろくでもないほうに悪化するに決まってる。


織莉子「……マミさんに何か?」

小巻「アンタは知らないでいいのよ! 人のこと心配する暇があるなら自分のことをなんとかしなさいよね!」

織莉子「……」

小巻「アンタは最近どうなのよ? まだ前と変わらずなの?」

織莉子「周りの状況は変わってないけれど、前に比べたらそう辛いわけでもないわよ。『味方』も増えたもの」

小巻「それってマミのこと?」

織莉子「えぇ、そうね」


 結局美国の支えはマミしかいないんだ。そう思うと、マミに対してもじれったさが募った。


小巻「味方増やすのもいいけど、まずは元凶をどうにかしたほうがいいんじゃないの」

小巻「ていうか気になってたんだけど……どうして契約の力でどうしてそうしなかったのよ」


 美国にとって、核心を突く問いではあったようだ。表情が変わったのが見て取れた。


織莉子「……どうしてそう言えるの」

小巻「そんなの考えなくてもわかるわ。だってアンタはまだ悩んでるし、理不尽なヤツも周りにわんさかいるんだから。何にも変わってないじゃない」

織莉子「そんなことはないわ。私は――そうね、この力を手に入れたことで『生きる意味』を手に入れられたもの」

織莉子「この力で人を救えるんだものね。その使命を持てたのは、私にとっては大きな違いよ。きっと私を見て喜んでいるはずよ……お父様だって」

小巻「なんか大層なこと言ってるけど、本当にそんなことで満足できてるって? そう思ってんの?」

織莉子「私の話はもういいでしょう?」

小糸「お、お姉ちゃんっ、だからデリカシーないって! 行こう!」



 逃げるように話を切り上げようとしている。……まるで昨日みたいに。



1全然そう思えない
2本当は後悔してるんじゃないの?
3自由安価

 下2レス
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/26(火) 21:33:37.65 ID:wu5EGq3g0
1+3織莉子の露骨な態度に昨日のマミの事もあって不満が爆発する。

生きる意味を見つけた?その割には何も変わってないわよね。
あんたって前からそう、見栄かプライドだかしらないけどそうやって『美国』って家に縛られてる。
契約で何を願ったか知らないけど、どうせ本心からの願いでなくて自分取りつくろうような願いだったんでしょ?
だから前と何も変わってないのよ!いい加減『美国織莉子』じゃなくて『織莉子』としての本心を出しなさいよ!
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/26(火) 21:47:57.36 ID:c5X3r2v+O
ケンカ売ってるなぁ
織莉子がぶちギレないか心配だけど↑
585 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/27(水) 21:04:18.84 ID:7NQbM8Da0


小巻「アンタを見てたら全然そうは思えないわ。ごまかしてるだけじゃないの?」

織莉子「……」

小巻「……何よ。言い返したいなら言い返せばいいじゃない」


 周囲の空気も、聞こえていたはずの木々のざわめきも、シンと静まり返っていた。

 美国の口から言葉が返ってくる気配はない。ただいつもと違って、表情の消えた碧の瞳はいくらも冷たい色に映った。


小巻「そう思わないとやってられないだけでしょ」

小巻「何がお父様よ。ソイツは美国を裏切るようなことしたのよ。アンタと親は別でしょ? もう居もしないソイツのためにいい子ぶって何になるってわけ」


 さすがにあたしも、今回ばかりは珍しく美国が怒ってるのはわかる。

 それでもあたしの口は止まることはなかった。


 ……美国はずっと怒ってた。

 あんなふうに澄ました顔で、なんともないかのようにふわふわと躱しておきながらも、中身のほうではずっと恨みが蓄積されてたんだろう。

 そう考えたらふと、この前から抱いていた違和感にも納得がいった。


小糸「お姉ちゃん! いい加減にしなよ! 人には触れられたくないものってのがあるんだよ!」

小糸「悪気がなくても、正しいと思っていても、土足で踏み込んだら相手を傷つけちゃうこともあるの!」

小糸「巴さんともそうやってケンカしちゃったんじゃないの?」

小巻「え……?」


 見かねたように小糸が慌てた口調で割り込んだ。

 心当たりがズキリと鼓動を揺らした。さすがにまずいことを言ったと思った。


 それでも美国はこう言った。


織莉子「…………いいの。いいから」

586 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/27(水) 22:33:19.61 ID:7NQbM8Da0

小巻「……い、今のはさすがに悪かったわよ」

織莉子「そんなことより、パトロールを続けるんじゃないの?」


 怒ったのなんかわかってる。だからあたしも悪いと思って謝ったし、簡単には許されなくても仕方ないとも思う。

 なのにここまでしても言い返すこともしなかった。

 今までは苛立ってたけど、今は無理やり鎮めたみたいな態度がひどく不気味に感じられた。


小糸「で、でも……」

小巻「アンタは本当にそれでいいの?」

織莉子「貴女は私に何と言って欲しかったの? それで貴女が満たされるならそうしてあげてもいいけれど、無駄な時間になると思うわよ」

小巻「……ふーん、言うじゃない。それって結局、許す気がないってことでしょ?」

織莉子「……」


 なんてねちっこいヤツだ。あたしには真似できそうにない。あたしならたとえ許す気でも一発ぶん殴らせろって言ってるとこ。

 それからも美国から言葉はなく、いよいよパトロールを再開して歩き出す。


 そんな時、後ろから魔力が沸き起こった。


小糸「えっ……、お姉ちゃん!?」


 小糸の呼びかけが聞こえてから“その攻撃”に気づく。

 これは、前の時と同じだ。ただ、今は小糸がそばにいるから助かった。


小糸「ちょっ、そんな!? どうして……こんなところで仲間割れなんか」

織莉子「私の邪魔をするな!」

小糸「ひっ……?」

小巻「なによ……やっぱ怒ってるんじゃない。でも、背後から殴るのはやることが卑怯よ。やり返すならさっきにしておきなさいよね!」

織莉子「もう何を言われたところで許す気は無いと、解ってもらえてたんじゃなかったの?」


 美国から感じるのは純粋な『怒り』。それが剥き出しになって見えると、その圧はさっきとは比べ物にならないくらいだった。

 ……でも、少しだけ安心した。美国もあたしと遠い存在ではなかったんだって。

587 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/27(水) 22:38:05.83 ID:06LJMs0nO
織莉子ぶちギレ、とうとう化けの皮が剥がれたか
588 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/27(水) 23:24:33.24 ID:7NQbM8Da0


 立ち上がると同時に、瞬時に変身する。

 飛んできた水晶のような珠を斧の刃で受け止めた。


小巻「やっとまともに喧嘩買う気になったんなら受けて立ってやろうじゃない……!」

小糸「お、お姉ちゃんもやめてよ!? 危ないって!」

小巻「大丈夫よ小糸、こんなチンケな玉なんか全部弾いてやるんだから。あたしだってアンタのこと見てるとイライラしてたのよ!」

織莉子「ええ……私もよ。貴女のおせっかい、そろそろ鬱陶しいと思っていたところだった」




小巻 魔力[84/100]  状態:正常
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]


仲間:
小糸 状態:怯み(行動は回復のみ)

敵:美国織莉子


1破壊的斬撃 :近接武器戦闘・斧(魔力-0)まともにヒットすれば必殺技レベルの威力を誇る
2両斧斬撃 :近接武器戦闘・両斧(魔力-5/1ターン)単純に手数を二倍にする。相当なパワーが必要になるため、長くは使えない。
3投刃(魔力-5) :遠心力をつけて武器をぶん投げる。繰り出すのと武器再装備には時間がかかる。
4ガード(魔力-3〜5/1ターン) :攻撃に対処するための盾。格闘中の判定結果によって自動使用する
5バリアバインド(魔力-10) :敵をバリアに閉じ込める
・自分の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】
・他人の負傷を回復(部位・範囲によって消費変動) 【回復:B】

 下2レス
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/27(水) 23:27:05.23 ID:06LJMs0nO
4+1
590 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/27(水) 23:36:22.28 ID:eNjiHPNE0
↑+織莉子を罵倒。

あんたのそのすまし顔、前から気に入らなかったのよ!
バカにされてるの気にしながら、外面だけで『私は気にしてません』ってお高くとまって取り繕って内心気に病んでたんじゃない!
図星を差されたから逆ギレで殺人未遂とか、親が親ならこも子も子ね!まぁ、あんたの方が子供染みててタチが悪いけどね!

591 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/28(木) 00:02:49.64 ID:8OfLE10l0


 斧を構え、水晶を砕きながら突っ切っていく。


小巻「はぁっ!」


 振り下ろした斧を美国はひらりと躱していった。

 外したとわかっていても勢いが止められない。死角から来た攻撃をなんとか盾で防ぐが、全ては捌けなかった。

 当たった分には大した威力はなかったのが救いか。


小巻「全然痛くないし! やっぱりこんな玉チンケよ……!」


 相手を捉え直し、再び斧を振るいに向かう。



 下1レスコンマ判定 戦況
0〜(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3
592 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/28(木) 02:03:12.71 ID:5u8Aq4Qe0
593 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/28(木) 21:51:58.92 ID:8OfLE10l0
77


 いつもまっすぐに敵を裂く刃は、服についた装飾一つ傷つけずに空を斬り続ける。

 今度こそ近づいたと思ったらまた離れていってしまう。バリアでの拘束もこいつには意味がない。

 決して相手に押し負けてるわけじゃないはずなのに、こっちは近づくこともできなくて負けてる気分。


 段々腹が立ってきた。


小巻「〜〜っ、ホント逃げてばっか! 戦い方までこうだとは思わなかったけど、お似合いよね!」

織莉子「貴女の言う事はいつも的外れよ。私が何から逃げてると言ってるの?」


 避けきれない数の水晶が襲う。

 一発一発は大したことないと思っていた水晶の打撃も当たれば体勢が崩れる。

 どこまで狙ってたのか、その拍子に重心が安定を失って武器が手から離れた。


小巻「くっ……!」

小糸「きゃあ!」


 しかし、ヘタ打ったと思った瞬間に代わりに上がったのは駆け寄ろうとした小糸の悲鳴だった。

 頭から一筋血を流してぐったりと力が抜けている。それを見たら背筋が凍った。


小巻「なにやってるのよ! 小糸は関係ないでしょ!」

織莉子「無関係だと言うのなら手助けなどせずに見捨てればいいだけよ。といっても、どちらももう許す気はないわ」

小巻「アンタ……っ! マジで痛い目見させるわよ! 大体さっきもアンタはやりすぎなのよ! 小糸の回復魔法がなかったらどうなってたと思ってんの!」

織莉子「さあ。考えてみたらいいんじゃないかしら?」


 美国は黒の溜まった胸元の宝石をグリーフシードで浄化する。

 ゾッとするような怒りとも笑みともつかない表情を浮かべていた。

594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/28(木) 22:04:22.85 ID:C/4au+DgO
あれ?状況不利?
595 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/28(木) 22:50:59.31 ID:8OfLE10l0


小巻「何を、言ってるのよ……?」

織莉子「貴女、これをただの喧嘩だとでもまだ思っているの?」

織莉子「私は最初から貴女たちを殺す気だったのよ。私は“今回も”ちゃんと心臓を貫いた」

織莉子「……何故まだ生きていられるのか不思議ではない?」


 何を言ってるのか理解できない。

 心臓を? 言われてとっさに自分の胸のあたりを掴む。今はなんともないけど、さっき痛んだ箇所を思い出す。


 たしか、そういえば優木もそんなことを言っていた。 


小巻「……今回もですって?」


 気になることはまだあるけど、一番に耳に引っかかって無視できないのはそこだった。


織莉子「ええ。貴女が生きてたと知った時には驚いたけど、この期に及んで私を信じてたのは別の意味で驚いたわよ」

織莉子「どこまで愚かなのだろう、とね」

小巻「アンタ……優木なんかとつながってたの?」

織莉子「あんなクズとは一緒にしないで欲しいわね。あれは駒。私は利用しただけ。でも少々、出来損ないだったわ」


 優木は自分さえ良ければって考えで、散々好き放題してたようなヤツだ。

 美国はそんな嫌なヤツとは違うって思ってたのに。

596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/28(木) 23:10:53.23 ID:T+pynNeIO
まだ目的を果たしてないのに自分からばらしたか
あすみが見たらバカじゃねーの、こいつって酷評するな
597 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/28(木) 23:24:44.13 ID:8OfLE10l0


小巻「なんであんなヤツなんかと! アンタはそんな……っ!」

織莉子「だから、勝手に決めつけないで。貴女の考えは的外れだと言ったはずよ」

織莉子「頼んでもいないのに見当違いな心配を押し付けて、勝手なことをして、それが受け入れられなければ『ムカつく』ですって?」

織莉子「いい加減に迷惑だわ。私の邪魔をする貴女たちは“要らない”。生きていれば確実に邪魔するであろう貴女の妹も含めてね」


 美国が手をかざす。

 怒りと冷たさに満ちた目の前の姿は、あたしの知っている美国織莉子ではなかった。


 ……知った気になってた。ある程度わかってるつもりだった。でも違った。――どうしてこんなことになった?


 あたしのやってたことはまるで意味がなかった。


織莉子「……私は周りで陰口を叩く人たちなんてどうでも良かったのよ。私とはもう立場が違うのだから」

織莉子「私のためというのなら死になさい。私の正義のために。この世界の為に!」

小巻「っ……!」


 飛んできた水晶をとっさに盾で防ぐ。美国は本気で殺しにかかっている。

 ひとまず小糸のことは守らないといけない。小糸をバリアで包んで、走り出すと斧の柄を掴んだ。


 頭の中がぐるぐるしてる。


 ……斧を両手で構えた。



 下1レスコンマ判定 戦況
0〜(劣勢) < 99(優勢)

+一桁0クリティカル(相手魔法効果:優勢時のクリティカル無効)
+補正 自[格闘Lv3]*3
+補正 相手[魔力コントロールLv1]*-3
+補正 心理状態-20
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/28(木) 23:29:40.72 ID:T+pynNeIO
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/28(木) 23:30:23.00 ID:YCoSacvV0
どうだ?
600 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/28(木) 23:31:50.71 ID:YCoSacvV0
うわっ、00だった・・・当たらなくて良かった・・・
もし自分のレスだったら即死してたかも・・・(汗
601 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/29(金) 00:22:37.01 ID:owg+F9HS0
58



 あたしの一撃は重い。刃が入ればほとんどの魔女は引き裂ける。

 きっと、だからこそ――。


 半端な覚悟では攻撃を当てることすら出来ないんだ。迷ったらむしろそこが隙になる。

 かたや、相手は殺す気で来てる。


 直感的に悟った。この戦い、このまま続けていても勝てない。実力が足りないんじゃなくて、心の問題だ。……それに加えて。


織莉子「一度死んだとき、貴女が持っていたグリーフシードも私が回収したわ。今の私は惜しむことなく魔法を使える」

織莉子「諦めなさい。魔力も少ない貴女じゃ私には勝てないわよ」



小巻(それでも小糸だけは守らなくちゃ。……小糸は本当になにも悪くないんだから!)



 そう思うと、ピンときた。あたしの願い。自分の魔法で何が出来るかは自分がわかっている。


 『守る』ことに特化したあたしの魔法なら、守りに徹していれば逃げることくらいはできそうだ。

 らしくないのはわかってる。さっきは逃げてばっかだってバカにしたけど。


 ここは街外れといっても外。走り続ければ人通りのある道には出られる。



 もう一度小糸を掴んで、走り出した。



織莉子「待ちなさい! まさか逃げる気じゃないでしょうね! おとなしく私に殺されていろッ!」



 声に聞こえないフリして走り続ける。もうこうなったらプライドなんて気にしてる場合じゃない。仮面を取っ払った美国がこんなのだなんて知りたくもなかった。

 いつも恥ずかしいって思ってた衣装のことも気にせずに駆け抜けて、道の真ん中でへたりこんだ。


 ……今は逃げた。でも、あたしはいつになったら向き合えるだろうか。



―27日目終了―



小巻 魔力[44/100]  状態:傷心
GS:1個
・落書き[100/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]
602 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/29(金) 00:34:27.97 ID:owg+F9HS0
----------------
今回更新はここまで
>>596 ???「余裕こいてベラベラ話した挙げ句逃げられるとか、ホント三流悪役だよねー」

ブチ切れて台無しにしなかったらもう主人公関われないまま計画完遂になりそうなとこでしたけどね。
まあ今まで溜め込んだ分、一発大きく爆発したということで…。
あとは原作で描かれなかった小巻の葛藤とかを描きたいってのもあります

次回は30日(土)18時くらいからの予定
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/10/29(金) 02:29:40.66 ID:EuStPG2u0
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604 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/29(金) 19:52:35.82 ID:x8Jg6WBS0

やっぱりあすみに酷評されてるなw
605 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/30(土) 21:03:02.28 ID:8sw4wMDF0
――――――


小糸「お姉ちゃん! ごはんできたってさ! 呼ばれてるよ」

小糸「今日は私も一緒に作ったの。自信作なんだからね!」

小巻「本当に? また塩と砂糖間違えてたりしない?」

小糸「そんな初歩的な間違えそうそう何度もしないよっ! ……たぶん。ちゃんと味見もしたもん」

小巻「冗談よ。今いくから」


 怪我は負ったけど、魔法のおかげで私達はこうして変わりない日々を遅れている。

 ……でもやっぱ、お姉ちゃんはいつもより元気がないように見えた。


小糸(……あれから美国さんのことも話さないし、珍しく凹んでる)

小糸(これを機に少しは丸くなってくれるならいいけど、調子狂うなぁ)


 でも、あの美国さんに命を狙われてたって、私も今でも信じられない。


――――――
――――――
606 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/30(土) 22:05:47.76 ID:8sw4wMDF0
29日目



 放っときゃいい、関わらないほうがいいってのはさんざん言われた。

 好きかって言われたらむしろ逆。気に食わなくて仕方がなかった。

 ……でも、なんだかんだで信じてたんだ。


 『いい加減に迷惑だわ。私の邪魔をする貴女たちは“要らない”』

 『おとなしく私に殺されていろッ!」』


 あたしのやってきたことだって、あたしはそれが正しいって信じてきたから――――。


 でもその結果がこれじゃあ、今までのあたしの行動はなんだったの。

 これじゃバカみたいだ。


 ――――チャイムが鳴る。家も学校も何か起きたとこ以外は普段と変わらないし、いつもどおりはやってくる。

 忘れたふりをしてそこに浸かっていれば楽なんだろう。嫌なことを隠そうとするマミや美国みたいに。



 いつのまにか時刻は昼になっていた。あたしは一人教室を抜け出して廊下に出ていた。



小巻「……ねえ、あんたならわかるんでしょ」

小巻「“心臓を貫かれたのにも関わらず死ななかった意味”……って、なんなのよ」


QB「ソウルジェムの身体の関係だね」



 無感情な声が響く。

607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/30(土) 22:27:56.02 ID:7025/mCT0
出たなきゅうべぇ。
ここでようやく小巻が魔法少女の真実を知るのか・・・
608 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/30(土) 23:35:03.51 ID:8sw4wMDF0

QB「魔法少女の契約って、どういうものだと思う?」

小巻「は……? それはだから、魔法を使えるように?」

QB「そう。“君たちの身体の中から魂を特殊な力として活動できる形に取り出してあげているんだよ”。それが魔力と呼ばれるものだ」

QB「普段戦う時も、今こうして息をしたり喋ったりして動いているのだって、魂が身体に命令を出して動かしてる」

QB「君たちの場合は魂は身体から切り離されているんだから、もちろん身体が致命傷を負っても魔力を使えば生きられるよね」


 わけわかんないと思ったけど、結局最後まで聞いても意味がわからなかった。


小巻「何がもちろんよ……! わけわかんないわよ! そんなの一度もアンタから聞いてない!」

QB「難しい話はしてないはずだよ。僕からしたら君の反応のほうがわからないよ」

小巻「なにを言ってんだって、言ってるのよっ!」


 キュゥべえを力任せにつかもうとして、やめる。

 こんなことしたってなんにもならない。


QB「……いたた、君は力が強いんだから。頭が引き裂けるかと思った」

小巻「聞いておくけど、アンタはちゃんと死んだら死ぬの?」

QB「それも君たちにとっての身体のことかい? もちろん僕は死ぬよ。代わりはあるけど、あまり無意味に傷つけられたくはないんだ」

小巻「代わりですって……」

QB「聞きたいことがそれだけなら僕はもう行かせてもらうよ」


 キュゥべえは猫のような仕草で身軽に高所へと飛び乗った。


小巻「待ちなさい! 本当にそれだけ……?」

QB「……そう言われてもわからないな。まあ聞かれたことには答えるつもりだよ。またわからないことがあったら呼ぶといいさ」



 なんなのよ、これは。

 とりあえずわかるのは、キュゥべえまであたしの知らないことを黙ってたってこと。



「ねえ、ちょっといい?」



 ……屋上まで行くと、鞄片手に声をかけられた。

609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/30(土) 23:47:33.36 ID:7025/mCT0
む、誰だろ?口調からしてほむらかな?
610 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/10/31(日) 23:31:20.81 ID:hSwhX+M00


キリカ「昼、一緒に食べようと思ってさ」

小巻「別にいいけど」



 どうしてこんなとこまで。そう思ったけど、ついてきたわけではないらしい。あたしがここに来たのも思いつきだ。

 キュゥべえとの会話も……聞こえてたならこんなテンションじゃないだろう。


キリカ「小巻もどっかいっちゃったし、私もたまには違うとこで食べてみようかなあって思ってたら行き先にキミがいてびっくりだよ」

キリカ「たまには屋上でってのもいいよね! なんか開放感があってさ」


 そう言ってキリカがフェンスのほうに近づいていく。


キリカ「人は少ないし、景色も見下ろせるし、高いとこにいると特別な存在になった気になる。気がする!」

小巻「はあ…… そうかしら?」


 ……のうてんきだ。正直あまり理解できないけど。


 すぐに見飽きたのかそれから適当に腰を下ろして、鞄の中から弁当を取り出す。

 出てくるのは弁当だけじゃない。お菓子まで並べている。

 あたしも同じように腰を下ろした。


キリカ「たしか前も行き先に迷ったらここにきてたと思う。一人でなにかを考えたいとか」

611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/10/31(日) 23:36:06.74 ID:z8u8iY190
キリカだったか。
612 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/01(月) 01:12:47.50 ID:fb34IcqE0


小巻「それって、思い出せたの?」

キリカ「全部じゃないけど、どんなこと考えてたかくらいは。契約したときも屋上にいたっていうのは聞いてたし」


 ああ、そういえばキリカを最初に見かけたのは屋上だった。

 もうそれもずいぶんと前のことに思えた。あの頃のキリカは何かに悩んでいたんだ。


 あたしもなんとなくここにきたけど、無意識でもそういう思いがあったのかもしれない。


小巻「アンタはさ、あたしは普通じゃない、自分とは違うって言ったわよね」

小巻「もし、自分がよかれと思ってやってきたことが逆効果だったらどうする?」

小巻「全然受け入れてもらえなくて、本当は迷惑だって思われてて、相手は裏で予想もしなかったようなことやってて」


 ……屋上は考えるのにいい場所だなんていうからあたしもこんなことを話し始めたんだろう。

 キリカがお菓子を漁る手を止めた。


キリカ「どうするかって言われたら、落ち込むかなあ。もう無理って思ったら離れちゃうかも」

キリカ「……でも、もしその人とまだ仲良くしたいって思うならとりあえず謝ってみるかな」

小巻「自分は間違ったことはしてないのに?」

キリカ「そうだとしても、正論って弱ってる時には耳に痛かったりするし。そういうときは何かあるんだろうから、正しいだけじゃ簡単に受け入れられないこともあると思う」

小巻「そもそも迷惑ならそうと言えばいいでしょ。どうしてそんなことまで隠すのよ」

キリカ「……なんていうのかな、誰かとぶつかるのって疲れるでしょ。傷つけないようにとか考えたらなかなか言えないんじゃないかな」

キリカ「だから、まずは傷つけちゃったのはゴメンって。……相手の気持ちをわかってあげたら、いつかは受け入れてくれることもあるんじゃないかな?」

小巻「そういうものかしら……」

キリカ「か、考えてみただけだから私だって実際にちゃんと謝れるかはわかんないけどさ。うん、まあそうだと思う」


 マミにも小糸にも、似たようなことは言われてた。でもあのときは聞こうともしてなかった。

 ……相手の気持ち、か。 今までのあたしが理解しようとしてなかった? ただ押し付けようとしていた?

613 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/01(月) 22:22:50.28 ID:fb34IcqE0


キリカ「もちろん相手だって悪いよ。もし謝ってもダメでひどいことしてくるようなら怒っていいと思うし」

小巻「そ、それは当然よ!」


 美国はあたしだけじゃなく小糸まで殺す気だ。一度は……殺されたも同然。

 それに優木とつるんで悪事を働いてたんだ。あれはもう許していい範疇じゃない。


 でも、おかげで少しは気持ちの整理ができた。まずはマミとのことをなんとかしないと。


キリカ「でもやっぱ、そういうことがあって落ち込んでる時でもふさぎこまないでられるのが小巻の強いところだよ」

小巻「……なんでそうなるのよ。こんな話、ただのものの例えじゃない」

キリカ「いや…… 妙に具体的だし、そんなことホントになかったら絶対言ってないじゃん」

小巻「……もう、あたしってそんなにごまかすのが下手?」


 やっぱり慣れないことはするものじゃない。


 キリカはもうひとつお菓子を取り出すと、封をあけて中身をひとつつまむ。

 それを指でもてあそびながら、話し始めた。


キリカ「ちょっと、私の話もしてもいい?」

小巻「……聞くわよ」

キリカ「契約する前のことなんだけど、私が小巻に最初に抱いた印象はただの優等生ってだけだったんだ。正直たいして気に留めてもいなかったと思う」

キリカ「でも、それからほんの小さなきっかけがあって見方が変わって…… 私は小巻を恨むようになった」

小巻「え」


 思わず声を上げた。なにそれ。逆恨みにもほどがある。

 小さなきっかけって。


キリカ「私もそのきっかけまではよく覚えてないんだけど」

614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/01(月) 22:46:22.40 ID:RkoOvamY0
キリカの悩みを「くだらないこと」って言ったことかな?
615 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/01(月) 23:05:21.00 ID:fb34IcqE0

キリカ「嫉妬してたんだ。小巻は強くて堂々としてて、なんでも言えて、おまけに勉強や運動まで出来るクラスの人気者」

キリカ「どうでもいいって思ってたくせに、目を向けてみたら私には眩しすぎて、こういう人には絶対に私の気持ちなんてわかんないんだろうなあって。考える資格もないのに比べてはさらに落ち込んで」

キリカ「そんな醜い自分が嫌になって契約した……んだと思う」

小巻「……なによそれ。私のせいでそんなくっだらない理由で契約したってこと?」

小巻「あたしは覚えてるわよ。転入してからあの日までのアンタとたいして接点もないんだから。たかが小銭拾ったくらいで……」

キリカ「たぶんそれだけじゃなくて、小さなきっかけからそんなこと考えるようになった私にも元から問題はあったんだろうけど」


 卑屈さとか、そもそもの自己評価の低さとか、たしかに端々から伝わってくるものはある。

 あたしがきっかけになったひと押しがなかったとしても、遅かれ早かれ…… だったのかもしれない。


キリカ「契約してからは小巻に対しての印象も『ただの優等生』に戻ってたんだ。ヘンな意味じゃなくて単純にすごいなぁって感じ」

キリカ「でも、仲間とか友達として接するうちにまた同じようなことを思いはじめて、そうしてるうちに思い出したんだ」

小巻「嫉妬…… ってやつ? 今も?」

キリカ「……そうだね。羨ましいと思う。私は契約してからイライラして周りに当たっちゃったし、今でもなかなか前向きになんてなれないからさ」

キリカ「結局、本当はそこまで変わってなかったんだよ。喜んでいいのかわかんないけど、ちょっと安心した気分っていうのかな?」

小巻「あのね、みんなあたしのこと強い強いって言うし確かにそうなのかもしれないけど、とりあえずあたしはちょっと今傷ついたわよ! そんな風に思われてたなんて」


 なんでどいつもこいつも思ってることを隠すのか。面倒くさいったらありゃしない。

 溜め込むからどんどん膨らんでそのうち大変なことになるんだ。


キリカ「ご、ゴメンって。ほらいっこあげるから! 今ならお弁当のおかずもひとつつけちゃう!」

小巻「じゃあ許してあげるから、好きなの選ばせなさいよ?」


 お話をそこそこに、弁当を広げて食べ始める。昼休みもあまりゆったりしてると時間がなくなってしまう。


キリカ「今は少し前向きになれたよ。キミが言ったとおり、残りの記憶もなんかきっかけがあればそのうち思い出せそうだよね」

小巻「……それならよかったわね」



 あたしだって落ち込んでるわけにもいかない、か。


616 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/02(火) 00:02:18.78 ID:P5tv3Xsx0


 ――――屋上から戻ると、マミにテレパシーを送った。放課後になったら話そうって。

 案の定返事はかえってこなかった。会っても無視して逃げようとするかもしれない。

 それでも、テレパシーだったら一方的にでも送ることは出来る。


 今度こそちゃんとマミとも話す。まずは謝るだけでも、聞いてさえいてくれれば。

 ……この前は意地を張ったけど、あたしはマミとの関係はこれで終わりにしたくないから。


 ガラス張りの壁越し、教室の外に鞄を持ったマミの姿が見えた。

 もうチャイムも鳴ってしばらく経つ教室は静かだ。こっちに来るわけではない。

 それどころか教室の前を横切って遠ざかっていく。帰る気だ。早退までして逃げる気だろう。


 もともとろくに聞いてなかった授業をすっぽかしてあたしも追った。


 あたしはやっぱり優等生なんかじゃない。美国じゃないんだから、そんな称号は似合わないみたい。


小巻「待ちなさいよ!」

小巻「あたしは違うけど、アンタは優等生なんでしょ」

マミ「……」

617 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/02(火) 00:13:20.85 ID:P5tv3Xsx0


小巻「テレパシーじゃ言った気がしないからもう一度言うわ。この前は悪かったわよ。あたし、マミの気持ちを考えてなかった」

マミ「どうしてあなたが謝るのよ」

小巻「あたしだって素直じゃなかったからよ。自分は間違ってないからって、考えを押し付けることしかしてなかった」

小巻「今思えば、それだって正しいとはいえないわよね。それで傷つけてるんだから」

マミ「……もういいわ。私だって今までは似たようなことしてきたもの」

マミ「自分が間違ってないからって、それを盾にして人に押し付けてきた」

マミ「それなのに、いざ自分が困ったらこれだものね。気づいたのはこの前、浅古さんと話した時よ。……私も佐倉さんに言われたのと同じ言葉を言ってたの」


 佐倉との間にあったこと。この前もその片鱗には触れた。

 ……あたしは詳しくは知らないけど。


マミ「気づいたら私は一人になっていた。同じ考えを持って友達になれたのは浅古さんだけだったのに」

小巻「……それならどうしてまだ逃げようとするのよ」


 マミはまだこっちに顔を合わせようとはしない。このまま一人で去ろうとするつもりだ。


小巻「ねえ、もう問い詰めないけどさ。マミが知ってることって、身体とソウルジェムのことなの?」

618 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/02(火) 00:16:06.94 ID:P5tv3Xsx0
-----------------------
今回更新はここまで
次回は3日(水)20時くらいからの予定
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/02(火) 00:19:26.58 ID:TlPfvRNB0
乙です。

とうとうその話が来ますか・・・
マミは織莉子から聞いて魔女化のことは知ってそうだけど。
620 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/03(水) 21:19:15.31 ID:xw+75fck0

マミ「なんで、どこでそれを知って……――」


 やっとあたしのほうを向いた。マミこそこんなのどこで知ったんだろう。


小巻「このまえ美国と揉めちゃってね。その時に知ることになったのよ」

マミ「そう…… 美国さんと」

小巻「アイツもこのこと知ってたみたいだった。アイツはあたしと小糸を殺そうとしたの。まだ、狙ってると思う」

マミ「……!」



 マミの顔はまだ思いつめた顔のまま。でも、予想もしなかったものに驚くって反応ではなかった。

 ――――……今日はこのまま学校を早退して、久しぶりにマミの家に行くことになった。


 ……そこであたしは、さらに知らなかった話を聞くことになった。



小巻「……まさか、キュゥべえはそんなことまで隠してたの」

マミ「……ええ」

小巻「確かにあたしもまだ何かあるんじゃないかとは思ってたけど……!」

小巻「それって、つまり、ソウルジェムが濁りきればあたしたちは魔女になるってことでしょう?」


 マミは静かに頷く。

 あたしは激情を隠せない。そんなこと簡単に受け入れられない。マミはもう受け入れちゃったってこと?


 そこからは、今まで貯めてたものを吐き出すように淡々とした話が続けられた。

621 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/03(水) 22:00:51.01 ID:xw+75fck0


マミ「魔法少女は危険を産む。美国さんは最悪の事態を防ぐために行動しているの」

マミ「これから先の未来に世界を滅ぼす魔女となる少女がいるんですって。美国さんの魔法は未来を視ることができるのよ」

マミ「その少女と、その子を護る存在を消すことが美国さんの計画……キュゥべえに気づかせないために、『目を引く』事件も利用したわ」

小巻「……優木のこと?」

マミ「ええ。それが優木さんと組んだ理由ですって。魔法を使うのにグリーフシードが不足しがちだというのもあったようだけどね」


 確かに美国は『計画』だとか『世界のため』とか言っていた。

 あのときは余裕もなくて気にしてなかったけど。


 ……ひととおり吐き出すと、マミは力なく沈黙してしまった。


小巻「マミはそれに協力してんの?」

マミ「ええ。だって、世界の危機ですもの」

小巻「そのために人を殺すの? 魔女になるって人だけじゃなく、なんの関係もない人たちまで大勢巻き込んだのよ」

小巻「アンタは街の平和を守るために魔法少女やってたんじゃなかったの?」

マミ「そんなのまやかしよ」

マミ「私は何も知らなかった。でも、魔法少女が魔女になるなら。……それに、街よりも世界の平和のほうが大きいじゃない」

小巻「だから仕方なかったって言いたいわけ……?」



1目を覚ましなさいよ
2そんなこと考えて苦しんでるの?
3自由安価

 下2レス
622 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/03(水) 22:40:40.24 ID:aW4FpeAo0
1+3
まずは魔法少女の真実を話してくれた事に礼を言う。
そのあと怒るがマミに落ち着いてもらおうとこれからの事を話す。

真実を話してくれた事には礼を言うわ、キュウベェを許す気はないし魔法少女の真実にしても色々とショックなのは事実よ。
でもね、だからと言って人殺しをするなんて同意は出来ない。
私たちはまだ人間なのよ!?なのに自分から呪いを振りまいてどうするのよ!それこそ魔女そのものじゃない!

だいたい美国の言う未来予知だなんて不確定なものでしょ!
私と小糸を殺そうとしたくせに失敗して今こうして私とマミが話してる事自体おかしいし!
また正論でだとか言うつもりはないけど、魔法少女の使命だとか魔法に振り回されて自分を見失ってどうするのよ!

正直私だって不安よ。考えなきゃいけないことがありすぎて頭がパンクしそうよ。
だから一緒に考えていきましょうよ、悩んで泣きそうになったら私やみんなを頼ってよ、友達なんだから。
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/03(水) 22:52:16.64 ID:SuNZXvJ8O

追加でマミが賛同してくれたらキリカや杏子達も呼んで事情を話して強力を要請する
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/03(水) 23:42:18.27 ID:SuNZXvJ8O
あ、強力じゃなくて協力だった
625 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/03(水) 23:55:10.63 ID:xw+75fck0


 ソウルジェムのことにも驚いたけど、マミから聞いた話は予想の斜め上をいっていた。

 美国もマミもそんなことで悩んでたんだ。


 もう自分の考えを押し付けることはやめる。

 それでも、あたしはこれからも自分が正しいと思ったことは大事にしたい。自分をごまかして納得させたくはない。


小巻「目を覚ましなさいよ! 本当に本心からそう思ってるの? あたしは仕方ないって言葉が一番キライなの」

マミ「正しいとは思わないわ。最低よ。でも優木さんのことはもう過ぎたことよ」

小巻「それだけじゃない。魔女になる少女のことだって。ソイツもあたしたちもまだ人間なのよ」

小巻「話してくれたことはありがとう。でもあたしは協力する気はないわ。人殺しなんて賛同できない」

マミ「……それなら、世界が滅んでもいいというの?」


 マミの目は暗く、しかし覚悟を決めた目をしていた。


マミ「綺麗事でどうにかなることじゃない。もう時間もあまりないの」

小巻「でも……あたしはやりたくない」

マミ「……わかったわ。それがあなたの考えね。それならもう何も言わないわ。私が話したのは、ただ、吐き出したかっただけだから」


 マミの考えが変わることはなかった。

 最悪美国みたいに敵対するのかもしれない。ショックだけど、今はこれしか道はないのだろう。

626 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/05(金) 21:13:34.69 ID:AH3Zwdu+0


 予知が使えるとはいえ、美国が予想してなかったことはいくらでもある。


 何もしなくても世界が滅ぶって決まったわけじゃないが、その素質があることは確定事項だ。

 逆に早まることだってありえるんだから、殺すよりも確実な方法を考えなきゃきっと納得はさせられない。


マミ「……今日はありがとう。少しだけ、話せたおかげで吹っ切れたわ」

小巻「それはお互い様よ」

マミ「私、佐倉さんにも今までのこと謝ってくる。今ならできる気がするの」


 そう言うマミの顔は、まだ影があるものの少しだけ晴れやかな表情をしていた。

 でも、それが良い意味なのかがわからない。今のうちに未練をなくして、どこかへ行こうとしているようにも見えて。


小巻「……ねえ、私は美国と戦うわ。もしあたしが勝って、マミがまだ悩んでるならあたしにも協力してよ」

マミ「え?」

小巻「一人じゃ頭がパンクしそうだし、一緒に考えてほしいのよ。殺さなくて世界も救える他の方法、ってやつを」

マミ「そんな方法……」

小巻「やっぱり綺麗事、だと思う? でもそれって、美国から聞いてその覚悟を決めたからでしょ?」

小巻「もしマミが一人で考えたとしたら、他のことも考えたんじゃない?」

マミ「……」


 マミは答えなかった。ただ、思いもしなかったことを聞いたような顔をしていた。

 殺せば確実に世界は救える。それはそうなのかもしれない。



 でも、その考えを突き進んで暴走した結果があの美国だとしたら。成功してもやっぱり悪い方向にしかいかないような気がして。



 ――――帰宅すると、自分のソウルジェムを確認する。

 ……あんなこと聞いて、あたしだって動揺してる。それに美国とのことも覚悟を固めなきゃいけない。



 すでに魔力の残りは少なくなっていた。さほど気にしていなかったが、この宝石が濁り切れば今度こそ本当に死ぬ。魔女になる……。

 そう思うとゾッとした感覚が沸き起こった。


 グリーフシードを手に取り、浄化して指に戻した。



―29日目終了―



小巻 魔力[100/100]  状態:動揺
GS:1個
・落書き[40/100]

◆ステータス
[魔力コントロールLv3] [格闘Lv3]
627 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/05(金) 22:17:50.94 ID:AH3Zwdu+0
――――――
30日目



小巻「行ってくるわね」


 朝、小糸に見送られながら家を出る。


 一人の時に狙われたら困るから、小糸には昨日から学校を休ませてた。

 でも、こんな状態を長く続けるわけにはいかない。……向こうはまだ相変わらずいつもどおりの生活を送ってるんだろうか。



 登校してみると、いつもより少し廊下が騒がしいことに気づいた。

 その中心に目を向けてみる。すると、そこにはずっと考えてた姿があった。


 周りの生徒からは浮いた赤い制服。まるで転入したての頃のあたしみたいに。



美国「おはよう、小巻さん」


 美国はあたしに気づくとなんでもなさそうに挨拶をしてきた。


小巻「アンタ、なんでここに!」

美国「もう向こうへ行く必要が無くなったから、貴女のお勧めどおりにしてみたのだけど」



 次会う時はまたこの前みたいな殺し合いになるもんだと思ってたから、こんなところで普通に話しかけられるなんて思ってなかった。

 あたしが勧めた時はあんなに渋ってたのに。


 ……『必要がなくなった』? それってどういう意味なのか。

628 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/05(金) 22:20:58.83 ID:AH3Zwdu+0
---------------------------------------------------
どうでもいいけどなぜかここだけ名字表記になっとる…
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/05(金) 22:31:09.11 ID:jnITK1w+0
まさか織莉子は2人いたとか?
メガほむ編の時みたいに盾の中に入れてきたとかw
630 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/05(金) 22:40:47.05 ID:AH3Zwdu+0


小巻「アンタ……まさかとは思うけど、この前のこと忘れたとか言わないわよね」

織莉子「ええ、覚えてるわよ」


 怒気をにじませる。

 何も知らなかったときからすればあたしの思い通りになったはずだけど、こんなんじゃ納得がいかない。


織莉子「……でも今ここで戦うわけにはいかないでしょう? 教室へお行きになったら?」


 美国はあたしの怒りを手慣れたようにふわりと躱す。しかしもう怒りの気配すら隠さなくなっていた。


 何考えてるんだかわからないけど、どうやら心の準備をする暇すらくれなかったらしい。

 コイツとは今度こそ、殺してでも正面から向き合って決着つけてやるって決めてた。


 ……それをこんなわけのわからない鉢合わせ方して、普段どおりに教室に行けって?



1逃げる気なの?
2放課後は待ってなさい
3アンタの考えてたことはもう知ってるのよ
4自由安価

 下2レス
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/11/05(金) 22:51:54.66 ID:jnITK1w+0
4あえて織莉子を無視してマミが言ってた『世界を滅ぼす魔女となる少女』と『その子を護る存在』について考える。

あれだけの事をしていながら何よあの余裕ぶった態度・・・
今見滝原に転校してきたって事は例の少女とその守護者ってのがここに居るってことかしら?
マミとキリカ以外の魔法少女といったら暁美しかいないじゃない・・・
すぐに暁美に警告のメールして連絡が来たらキリカと情報を共有しないと。
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/05(金) 22:57:47.68 ID:7ww2EuXVO

追加でマミが登校してるかどうかを確認
ほむらと連絡が取れたらその時GSに余裕がないかどうか聞く
633 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/05(金) 23:21:52.04 ID:AH3Zwdu+0


小巻「仕方ないから今はそうするわよ」


 納得はいかないが、ここで戦うわけにはいかないのは事実だ。

 コイツのことは見なかったことにして教室に向かおうとする。そこで、すれ違いざまに美国が言った。


織莉子「……それと、マミに余計なことを吹き込んで惑わせないで。マミは私の友達よ」


 いったんは視界から消すことに決めた美国を一瞬見やると、鋭い眼光がこちらを睨んでいた。

 どっちのセリフだ。

 ムッとしたものの、今はそれも無視することにした。決着をつけるなら後。


 教室の自分の席につくと、そこでも美国は話題になっていた。


*「ねえ今朝さ、前の小巻と同じ制服着てる人いたよ。同じ学校から来たんだよね? 見た?」

*「小巻と知り合い?」

小巻「ええ。……会いたくなかったわ」

*「え? 仲悪いの?」

小巻「悪いけど、この話はここまでにしてくれる?」


 そう言うと、質問攻めにしてた子たちも何かを感じ取ったのかあっさり引いてった。


 ……いつのまにかあたしにも踏み込まれたくない領域ができてることに気づく。

 争いに関わらせたくないからってのもあるけど、知らない人にあたしたちの問題について触れられたくない。

634 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/05(金) 23:45:06.10 ID:AH3Zwdu+0


 考え事の世界に没頭していく。


 なんで美国は今更。内心煮えたぎってるくせに余裕ぶった態度してるし。

 ……昨日言ってた人たちを狙って?


 マミの話を聞いてから“少女”と“守る存在”とやらのことは考えたなかったわけじゃない。

 あたしたち以外の魔法少女っていったら一人しか浮かばない。


 教室を見回すとキリカの姿は見えた。ちょうど今来たとこみたいだった。それとマミは?


キリカ「おはよー」

小巻「おはよう。マミってもう来てるかしら?」

キリカ「え? わかんないけど、見に行く?」

小巻「ええ」


 もう一度席を立ち上がる。

 事情を知らないキリカは少し不思議そうな顔をしてるものの付き合ってくれた。


 二人でマミの教室の前まで行くが、そこに姿はなかった。

 ……何かまずい予感がする。どうして美国が今になって渋ってた行動を起こしたのか。

 それってつまり、渋る要因がなくなったってことだ。


 暁美にも連絡しないと。

635 : ◆xjSC8AOvWI [saga]:2021/11/05(金) 23:56:37.17 ID:AH3Zwdu+0


キリカ「どうかしたの?」


 マミが来てないことを確かめて、暁美にメールを送ったところでキリカが聞いてきた。

 キリカにも少しは事情を話したほうがいいかもしれない。でも、どこまで。



1美国がおそらくこの学校の生徒を狙ってる、ということだけ
2ソウルジェムの真実から全部話す
3自由安価

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