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【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」【安価】

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696 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/10(土) 22:35:45.80 ID:ya4cvXhh0
※研究成果によるマイナス補正はレース中のコンマ判定によるマイナス補正ではないので、最後の判定には含まれません。
697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/10(土) 22:38:30.15 ID:yHtvM3SFo
互いをマークしてたせいで飛ばし漁夫られたパターン
698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/10(土) 22:44:05.39 ID:8UrBCfVt0
ライバル戦だと研究めっちゃ大事だったんだな……コンマにも相当救われてるけど
699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/10(土) 22:48:34.00 ID:yHtvM3SFo
こっちゾロ込み絶好調、向こう一桁連発でここまで迫られてるから先が少し不安
700 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/10(土) 22:51:38.19 ID:oHXK9bsb0
ネイチャには勝てた…けど、2着でいいんだっけ?結局ループ?
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/10(土) 22:53:29.08 ID:lPeM1bjk0
イッチ的にまだループ繰り返さないとクリアできない想定っぽいし結構キツそうやな
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/10(土) 22:54:25.69 ID:yHtvM3SFo
>>700
3着以内かつネイチャに勝利だから継続よ
703 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/10(土) 22:54:33.88 ID:ya4cvXhh0

 ゲートに入ったウマ娘たちの表情は十人十色だ。

 緊張する者、闘気を身に滾らせる者、涼しげな顔をして勝利を確信している者――。

 マヤノトップガンは、ナイスネイチャは……しかしそのどれにも当てはまらなかった。

 まるでお互いがお互いを見つめているような。まるで熱に浮いた乙女が、意中の人を見つめているかのような蕩けるような熱狂がそこにあった。

 当然だが、マヤノトップガンとナイスネイチャの一騎打ちを期待していた観客が、両名の様子に興奮しないはずがない。

 会場は、彼女たちの甘やかで、しかし華やぐ香りを感じる程の熱狂に飲み込まれるように、歓声をさらに大きくした――。


―――


「全く――嘗められたものだ」


 そんな熱狂の影で、誰かがぼそりと呟いた。

 実況ですら彼女たちの直接対決を期待するような口調の中――しかし彼女たちはそれぞれ2番人気と3番人気に過ぎない。

 故に、対決する二人がこのターフの主役であるかと言われれば、そうではない。

 ただ、彼女……そのウマ娘がゲートに立てば、もはや誰もが勝利を疑わないが故――言わば期待値からの無関心が観客の総意であると言えた。

 だからこそ、誰もが実況の高らかな声を無視してしまう。それが、彼女の闘志に火をつけることもわからずに――。


「――1番人気、シンボリルドルフ。”皇帝”が駆けるターフには、何人たりともを寄せ付けない結果だけが残る――ッ!」


 小さく、ゲートに潜む最大最強の威圧が、それを放つ瞬間を今か今かと待ち、その余波を零す。


「勇猛、精進――推して参る」
704 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/10(土) 22:56:39.36 ID:ya4cvXhh0
※正直マヤノの走る時期にルドルフが皐月賞を走るのかどうのとか良く解ってないままなので、もしあり得ないとかだったらそれはすみません。小さな嘘として許容していただければ……。
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/10(土) 22:58:03.25 ID:Pt6bGj/3O
ゴルシとマックイーンが同時に走る世界だから多少はね?
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/10(土) 23:02:38.87 ID:xF4V+SLwO
よりによって皇帝がいたのか…
宣戦布告されたとはいえネイチャ研究してる場合じゃなかったなこりゃ
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/10(土) 23:02:48.18 ID:vSIGsd2+0
>マヤノトップガンとナイスネイチャの一騎打ちを期待していた観客が、両名の様子に興奮しないはずがない
デジたん、ステイ

まあ違和感はあるけど学年設定とかガバガバだしセーフ
アニメでも高等部のライスシャワーがクラシック走ってる時に中等部のマックイーンがシニア走ってるしな
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/10(土) 23:06:04.04 ID:Gjhl730yo
ここのループを抜けるには最適解だったとは思われる多分
差しSネイチャの土俵に乗って差し切ったのオイシイし……
709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/10(土) 23:08:05.77 ID:lPeM1bjk0
一回のトレーニングで100上がらんし、コンマ次第でスキルヒントももらえるからライバルおったら研究した方がいいと思うぞ
710 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/10(土) 23:10:00.07 ID:tnMBGJFYO
差しS相手に差しBで勝ったの敢えて相手の領域に入り込んだ感じがあって心がアグネスデジタルになる
711 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/10(土) 23:25:16.35 ID:ya4cvXhh0
もうこうなったら学年とか気にしないほうがいいかもな、と思ったので今後は学年とかの隔たりは(ある程度は意識しますが)考えないことにしました。
二次創作なので、多少の違和感には目を瞑っていただけると幸いです。いやループ自体が違和感の塊ではあるんですけど。


―――

 ゲートが開かれ、まず飛び出したのはセイウンスカイだった。

 無二の逃げ脚は、蒼天に流れる雲のように滑らかに、それが当然であるかのように後続との距離を離していく。

 辣腕を振るうターフの奇術師は、その変幻自在のステップと作戦で他のウマ娘を翻弄する。中盤に差し掛かる頃には、後続とのバ身は8ほど開いており、彼女の逃げこそこの場を支配する法則であると認識する客もいた。

 だが、観客の大半はそのように考えてはいない。彼女の逃げ足は素晴らしいものだが――風は、光には追い付けない。


(たはー……。冗談キツいなぁ……)


 一瞬振り返った瞬間、”そうしなければよかった”とセイウンスカイの脳裏は埋め尽くされた。

 平静を保つ振りをするが、しかし脚の回転は速くなり、息も上がる。

 四対の視線――マヤノトップガンとナイスネイチャの視線は確かに恐ろしい。だがそれよりも――怜悧で、残酷な視線が彼女の心臓を鷲掴みにする。


(逃げられ……ないか)

 
 思わずそう判断してしまうほどの、圧倒的な存在感――威圧感がそこにある。

 ここがレース場でなければ跪いてしまいそうなほどの、征服者としての威圧が。

 第四コーナーに差し掛かり、スパートをかける頃合い。セイウンスカイは逃げ切ろうと脚の回転数を上げる。が、同時に自信が差し切られてしまうことを、その賢さゆえに理解してしまっていた。

 知能ある生物の最大の弱点は、恐怖である――。辣腕を振るうターフの奇術師だからこそ、その存在があまりに甚大であることを疾く理解してしまった。


(……あの二人が、果たしてあの”皇帝”陛下の差し脚に追いつけますかねぇ)


 ふと過った夕陽を混ぜ込んだようなオレンジと、払暁を漉きこんだような赤茶色。

 青空のような自分とは少し違うが、しかしそれだけの魅力を持った2人が、あの皇帝に勝利する姿を目に浮かべて。


(……いけませんなぁ。勝負は終るまで――何があるかわからないんだから……!)


 ゴールの先で待つ割れんばかりの声援を譲るわけにはいかない、と。全身全霊をかけての先頭争いに身を投じた――。
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/10(土) 23:25:17.62 ID:lPeM1bjk0
そこらじゅうにアグネスの死体が転がっている…
713 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/10(土) 23:29:00.11 ID:Pt6bGj/3O
ラヴかね?
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/10(土) 23:33:51.86 ID:Gjhl730yo
ウッッッ!(最近ようやく(引けて)魅力に気付いたウンス視点が差し込まれて心のアグネスが爆発する音を聞き)
715 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/10(土) 23:52:49.72 ID:ya4cvXhh0
(……強い)


 マヤノトップガンは、周囲を冷静に観察し、適切なコースを取っていた。

 ちら、と後ろを見ればナイスネイチャも観察眼を巡らせ、適切な位置についている。

 スリップストリーム分、あちらの方が少しだけスタミナを保ちやすいか、とマヤノトップガンは内心で分析結果をごちる。

 作戦から考えるなら、マヤノトップガンの旗色は僅かに悪い。マヤノトップガンはオールラウンダーで、差しもある程度は熟せるが――ナイスネイチャのそれは天性の素質に、さらに磨きをかけたものだ。

 これは挑戦であるともいえるし、敬意であるとも言えた。逃げたほうが確実にいい勝負になることは間違いない。だが――何故か、ナイスネイチャに対する闘志がそうさせた。

 正解か、不正解か――。それはマヤノトップガンにはわからない。まして誰にも。

 だが、こうしてよかったんだ、と。体に受ける風に心地よさを感じて、強くそう思う。

 擦り減るスタミナ。並み居るウマ娘たちはその誰もが強者で、無用に焦りそうになってしまう。でも、そうはならない。……そう、なってはいけない。

 たった一つの強い意思が、マヤノトップガンの強靭なまでに安定した精神を支える。即ち――。


(勝ちたい――!)


 勝利の意思。ナイスネイチャに勝ちたい。トレーナーに勝利を贈りたい。

 自分が好きな走り方で、輝きたい――。

 願いは形となり、祈りは強さとなる――そして、意志は結果を齎す。

 第四コーナーを回り、ぐんぐんと加速する。声や音を置き去りに、体は貪欲に勝利を求めて前に出る。

 ふと、鋭い踏み込みが耳朶に届き、マヤノトップガンは振り返る。そこには朝焼けのような鋭くも見るものを魅了する踏み込みで加速するナイスネイチャの姿があった。


(――来た!)


 確信めいた予感がマヤノトップガンを襲う。

 負けられない勝負の時間が、きっと今だ――と。回転数を上げる。脈動を轟かせる。

 たったそれだけで世界が変わる。色鮮やかだったターフが一気に色褪せて、その瞳にはナイスネイチャしか映らない。

 一瞬で肩を並べてきたナイスネイチャ。前傾姿勢を取り、風の抵抗を下げたうえで――足の回転数を上げる。

 以前はこんな走り方をしていなかった。ドキドキが、ワクワクが――ナイスネイチャから痛いほどに伝わってきて、マヤノトップガンも脚を強く踏み込んで、大きく飛ぶように走る。


「……は、は。お嬢さん、随分と派手な走り方をされますね――ッ!」
「ネイチャちゃんこそ……! 見ない内に、すっごい走り方をしちゃって……!」
「負けませんよ、何せ――トレーナーさんが待ってくれてますんで……ねッ!」
「マヤも、負けないよ……!」


 風を抜き去る、光のような加速。

 最終直線に入り、輝くような二人の競り合いは、観客を大いに沸かせた。

 そう、だからこそ訪れ得る”それ”が始まった時、観客は落胆の息を漏らすことはない。

 何故なら、それはこのレースを見に来た観客にとって、決まりきった”事実”であったからだ。

 
716 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/10(土) 23:55:15.01 ID:ya4cvXhh0

        なめ

「――残念だが、無礼てもらっては困る」


717 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/11(日) 00:07:15.14 ID:enp2fy890

 風は光に追いつけないように、光は――それに勝つことができない。

 重力。その場に縛り付けるような、圧倒的な存在感と被征服感。

 光は捻じ曲げられ、地に叩きつけられる。

 その声が耳朶に響いた時、マヤノトップガンは思わず後ろを振り向いた。


――恐怖が、そこにあった。


 意地を、矜持を、誇りを、自信を、羨望を、憧憬を、願いを、祈りを、期待を、絶望を、暗澹を――意思を、目に、背に、マントに宿し、彼女は邁進する。

 ちら、と見やった視線に、幾万の人が見えてしまう。そのどれもが怒り、悲しみ、喜び、楽しみ――喜怒哀楽の形相を呈しているように、見えてしまう。

 それらは彼女が背負う全ての感情だ。ターフを駆る皇帝が背負うものだ。重ねて、マヤノトップガンは恐怖した。 

 ナイスネイチャは良きライバルだ。だが……これは一体何だ?

 目線が合えば、微笑みすらする彼女は、まるで赤子をあやしている最中のような慈愛すら感じる。

 そんなはずはないのに。まるで、地を這うような劣等を一瞬感じる。

 色彩が全て失せ、スローモートになった視線が悠々とマヤノトップガンを抜き去る姿を追い掛ける。彼女の翻した燃えるような赤色のマントだけが、視界に映る唯一の色。

 爆発的――否、もはや壊滅的な加速を見せる彼女に追いつけるウマ娘など、この中山競馬場に存在しなかった。

 権威を示すように、史上最強のウマ娘――シンボリルドルフは、6バ身もの差をつけてゴールした。
718 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 00:29:24.50 ID:/ACfL9ELo
皇帝はまだ遠いか
719 :いぬ ◆FaqptSLluw [saga]:2021/07/11(日) 00:30:52.32 ID:enp2fy890
■下1〜6 リザルト
※コンマの分だけ数値が上昇します。
※今回負けイベントの為補正が存在します。
※ゾロ目の場合は追加ロール

―――

スピード :下1 +20
スタミナ :下2 +20
パワー  :下3 +20
根性   :下4 +20
知識   :下5 +20
習得コンマ:下6 +20
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 00:33:16.59 ID:4kLoJWQx0
ふぅん
721 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 00:33:55.15 ID:4foN+BgXO
たかく
722 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 00:38:04.13 ID:b7v+FrG/0
負けイベ?ってことは理論上3500は届かんかったってことけ?
723 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 00:41:18.05 ID:/ACfL9ELo
ほいほい
724 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 00:43:09.09 ID:svktkSzso
アカン消沈しとる
725 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 00:50:35.87 ID:ElV68esHO
せめてスキルだけでもなんとか
726 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/11(日) 00:57:38.91 ID:enp2fy890
>>722
理論上取得可能な数値ですが、今回1着となる数値を獲得しても2着となる仕様だったので、2着の場合はどうなっても補正が付く感じです。
727 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 01:02:52.63 ID:b7v+FrG/0
なるほど、どんだけ良コンマ取ってもハナ差負けか大差負けの差でしかないってことね
しかし今回コンマが何とも……悲しいな……
728 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 01:10:31.18 ID:/ACfL9ELo
きっとラスボスなんだから沈んでる場合じゃないほらほらトレーナーちゃん出番だぞ
729 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/11(日) 02:30:54.04 ID:enp2fy890
■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:356(D+) +79=435(C)
スタミナ:366(D+) +35=401(C)
パワー:635(B) +33=668(B+)
根性:947(A+) +25=972(A+)
賢さ:235(E) +29=264(E+)
やる気:絶好調

▼習得コンマ
・ささやきを習得した。
730 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 05:09:04.51 ID:Bn0VouiIO
ダービー菊花賞もルドルフにぶつかるのかな
731 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/11(日) 07:47:46.45 ID:enp2fy890
「一着はシンボリルドルフ! 絶対的な走りーッ! 皇帝たる所以を此処に轟かせたーッ!!」


 実況の声がどこまでも響き、観客はゴールインと共に手を振るシンボリルドルフを拍手と歓声で受け入れた。

 ……悔しいが、俺もその姿が当然だ、と。そう思ってしまった。

 それほどに彼女の走りは圧倒的で――あのナリタブライアンですら彼女に敵うビジョンが見つからない。それほどに絶対的なオーラが、シンボリルドルフにはあった。

 トレセン学園生徒会長の名は伊達ではない。だからこそ――君のその結果は決して悪くなくて。

 だから泣かなくていいんだよ、マヤノ……。
732 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/11(日) 08:25:31.00 ID:enp2fy890

 がちゃり、と。控室のドアが控えめに開かれた。


「あ……」


 俺が此処に居ると分かっていたはずなのに、まるで此処に居ることに驚いているかのようなマヤノ。

 何か声をかけなければ――そうは思うが、マヤノの纏う雰囲気が、簡単に声をかけることを躊躇させた。

 静かに部屋に入って、椅子に座るマヤノ。うつむき加減の表情は、見えない。

 その後、しばらくは静かな空気が控室に広がる。やがて、観客の声が遠のいて――そうなってようやく、マヤノが口を開く。


「と……。――っ! トレーナー、ちゃん!」


 ぐし、と一度目元をこすって。

 マヤノは――作り物の満面の笑みを作って、声を張り上げる。


「マヤ、マヤ……。……っ。マヤね……っ」
「マヤノッ! もういい、もういいんだよ……。君は十二分に頑張った! ナイスネイチャにも勝ったっ! 俺も此処に居る……!」


 マヤノの前に立って、ぐ、と握られた手のひらを包み込む。

 でも、マヤノの手のひらから伝わってくる震えは止まらない。

 思わず、マヤノのことを抱きしめていた。……その体は、手のひらよりも震えていた。


「トレーナー、ちゃん……。マヤね、マヤね……負けちゃったぁ……っ」


 小さくつぶやくマヤノ。震えている手のひらがもっときつく握られて、口元は一文字に結ばれた。

 じくり、じくりと。シャツに悲しみがにじみだす。


「消えちゃうかと思った……! 負けられないって、そうおもって! でも……マヤは……!」
「……。もういい、もういいんだ。今日はちょっと調子が悪かっただけだよ」
「ちがうもん……っ! あの人は、あの人は強かった……。 マヤじゃ絶対に届かない、遠いとこに居たんだもんっ! 負けた! マヤは! 負けたんだよ……トレーナーちゃん……」


 何も言えずに、俺はマヤノのことを抱きしめることしかできなかった。

 自分の非力を悔やむ声。自分の不出来を悔やむ声。恐怖。絶望。

 マヤノが呟くたび、シャツのシミは増えていく。

 それらすべてが、俺が彼女に背負わせてしまった重さだった。


「ごめんな……」
「……っ。うぁ、あ、あ、ああ、うあぁ……」


 一度切られた堰が止まることはない。

 マヤノから嗚咽が漏れ、俺はそれを受け止めることしかできない。

 慰めることなんてできなかった。俺がこんな変な運命を背負ったトレーナーでなければ、こんな思いさせずに済んだ。

 彼女の苦しみは、俺の存在があって助長されていた。そう考えるからこそ、慰めることは、なんとなく憚られた。

 ただただ、俺はマヤノの背中を撫でて、涙が枯れるまでを待つしかできずにいた――。
733 :いぬ ◆FaqptSLluw [saga]:2021/07/11(日) 08:37:39.05 ID:enp2fy890
トレーナー「……落ち着いた?」

マヤノ「……ぅん。ごめんね、トレーナーちゃん」

トレーナー「こちらこそ、ごめんな。ロクに言葉も掛けられなくて……」

マヤノ「ううん。……辛い時に傍に居てくれるだけで、嬉しいよ……」

トレーナー「そっか……」

マヤノ「……。ねぇ、トレーナーちゃん」

トレーナー「……どうした?」

マヤノ「マヤ、もう負けたくないよ。負けるのが怖い……」

トレーナー「……」

マヤノ「トレーナーちゃん、マヤはどうしたらいい? トレーナーちゃんと一緒にいるためには、マヤが勝ち続けなきゃいけなくて……。でも、マヤより強い人はもっといて……。怖いよ、マヤが負けちゃうと、トレーナーちゃんがいなくなるかもしれないって……」

トレーナー「そう、だよな……」

マヤノ「……ねぇトレーナーちゃん。答えが、わからないよ……。どうしたらいいのか、マヤにはわからない……」

トレーナー「……俺にも、解らない。だから――少し、考えないでいようか」

マヤノ「考えないで……?」

トレーナー「色々ありすぎたんだ。俺も、マヤノも。だから、ちょっとの間考えないくらいが……その、ちょうどいいと思うんだ」

マヤノ「……。わからないけど、トレーナーちゃんがそういうんだったら、きっとそうなんだって思う」

トレーナー「じゃあ、決まりだな……。しばらくは目標を決めずに進もう」

―――

トレーナー「悔しいな……」

トレーナー「どれだけマヤノが苦しんでいたって、俺は何もしてあげられない」

トレーナー「マヤノは戦ってくれているっていうのにな……」

トレーナー「何か、何か俺にもできることはないだろうか――?」

―――

下1 トレーナーは夜どうする?
※自由にどうぞ。
※モノによっては何かを得ることができるかもしれません。
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 08:45:33.44 ID:RVjmKsnVO
気分転換に新しい勝負服デザインを考える
735 :いぬ ◆FaqptSLluw [saga]:2021/07/11(日) 09:31:26.74 ID:enp2fy890
トレーナー「……根を詰めすぎるのもよくないか。できることを一歩ずつやっていく、俺に出来ることといえばそれくらいだ」

トレーナー「とりあえずマヤノが喜びそうなことをやってあげたいな。今日明日でどうにかなる問題でもないだろうし、少しでも、マヤノのことに寄り添えるような……」

トレーナー「……そうだ、新しい勝負服デザインを考えてみるか。オシャレ好きのマヤノだったら、きっと喜んでくれるものが作れそうだしな……」

トレーナー「とはいえ、デザインなんてしたことないからなぁ……。世界のブランドとかを参考にして描きだしてみるか」

―――

下1 どんなデザインの勝負服を描き起こす?

下2 出来栄え(コンマ)
※ゾロ目だと補正が入ります
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 09:41:38.66 ID:G+QuHlxWO
機長の制服をコスプレぽくした感じ
https://i.imgur.com/iwbjYof.jpg
737 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 09:47:13.50 ID:ThtzR+E90
ゾロそっちでひくんかーい
738 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 09:50:25.49 ID:RVjmKsnVO
素人にしちゃ頑張ったか?
739 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/11(日) 11:13:44.91 ID:enp2fy890
https://imgur.com/a/s9pCs8B.png

ラクガキですがこんな感じでしょうか。デザインセンスがないので、それこそ素人っぽくなったかなぁと思ったりしなかったりしています。
740 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 11:19:20.82 ID:G+QuHlxWO
>>739
謙遜してますがセンスいいじゃないですかスゴイです
741 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/11(日) 11:30:10.32 ID:enp2fy890
感謝ッ……!

―――

下1 固有スキルの名前
下2 固有スキルの効果(コンマ)
※ゾロ目で補正 
742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 11:30:46.25 ID:RVjmKsnVO
これなら喜んでくれるかも
743 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 11:33:38.89 ID:ThtzR+E90
そいやっ
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 11:42:09.04 ID:RVjmKsnVO
名前はスカイハイ☆ランデヴーで
下1で変に安価取ってすまない
745 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 12:30:48.17 ID:ZLz0uV+Mo
戦闘機から民間機かな?
746 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 13:27:32.60 ID:TjUYDvySo
溢れるセンス
747 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 15:39:03.47 ID:x2or6OMyO
落ち込んでる子励ますためにノウハウもわからん勝負服を作ってくれるトレーナー聖人かよ、ウマ娘になるわこんなん
748 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/11(日) 16:13:02.77 ID:enp2fy890
▼スキルヒント[スカイハイ☆ランデヴーLv2] Lv1を習得しました。

▼フォームチェンジが可能になりました。

▼マヤノトップガンはフォームチェンジ先[おんたいむ☆オブセッション]を獲得しました。

※[おんたいむ☆オブセッション]へのフォームチェンジはレース前に可能です。
※[おんたいむ☆オブセッション]へのフォームチェンジには[スカイハイ☆ランデヴー]の習得が必要です。
※フォームチェンジにより、固有スキルが変化します。

―――

■[おんたいむ☆オブセッション]マヤノトップガン
・スカイハイ☆ランデヴー Lv2[作戦:逃げ]
(序盤に選択肢追加:ゴール時のコンマ判定に+200の補正)
749 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 16:16:41.05 ID:G+QuHlxWO
逃げ限定だからかひらめきより補正は強いな
750 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/11(日) 16:21:00.89 ID:enp2fy890
トレーナー「あれ以来、マヤノは少し落ち込んでしまっているようだ」

トレーナー「あれでは張り合いがない、とナイスネイチャをはじめとしていつもの面々が訴えかけては来ているが……俺にはどうしようもない」

トレーナー「マヤノは強い子だ。問題は自分で解決できるかもしれない。だが同時に、マヤノはまだ子供だ。いざというときに俺たちみたいな大人がいることを、しっかりと理解してくれていればいいんだが――」

トレーナー「夜なべして作ったアレもあることだし、元気出してくれると嬉しいな……」

―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/会話(秋川理事長)/その他(良識の範囲内で自由に)
※■■■まであとXターン(当ターン含む)
751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 16:24:25.32 ID:G+QuHlxWO
スキル習得(ウマ娘)
752 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/11(日) 17:01:08.40 ID:enp2fy890
トレーナー「技術を身に付ければおのずと自信が出てくる――かもしれない」

トレーナー「マヤノに眠る才能は、シンボリルドルフに比肩しうる。そのことに気付いてくれれば――」

トレーナー「……とはいえ、あれだけ圧倒的な走りを見せつけられたら、折れそうになってしまうのも理解できるし……」

トレーナー「……弱気になるな。俺が弱気になれば、マヤノにもそれは伝播する」

トレーナー「気合い入れろ! 俺!」


―――
下1
どのスキルを習得する?

[スキルヒント:ウマ娘]
・好転一息 Lv1[汎用]
(序盤に選択肢追加:中盤のコンマ判定を2段階上のものに上げる)
・読解力 Lv1[作戦:差し]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・大局観 Lv1[作戦:差し]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・食いしん坊 Lv1[作戦:先行]
(中盤に選択肢追加:終盤のコンマ判定を2段階上のものに上げる)
・ささやき Lv1[距離:中距離]
(中盤:ライバルウマ娘のコンマ判定を1段階下のものに下げる)
・魅惑のささやき Lv1[距離:中距離]
(中盤:ライバルウマ娘のコンマ判定を2段階下のものに下げる)
・スカイハイ☆ランデヴーLv2 Lv1[作戦:逃げ] ※フォームチェンジ権
(序盤に選択肢追加:ゴール時のコンマ判定に+200の補正)
753 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 17:02:22.97 ID:yRcIbVGho
スカイハイ☆ランデヴー
754 :いぬ ◆FaqptSLluw [saga]:2021/07/11(日) 21:26:11.94 ID:enp2fy890
トレーナー「……マヤノ、今日のトレーニングだが」

マヤノ「……うん」

トレーナー「今日のトレーニングは中止だ!」

マヤノ「……え? マヤ、どこも悪くないよ?」

トレーナー「そうじゃなくて、今日はマヤに渡したいものがあってだな――」

マヤノ「これ……。開けていい?」

トレーナー「おうともさ!」

マヤノ「……これって、ひょっとして――勝負服?」

トレーナー「まぁ、下手の横好きだけどな」

トレーナー「普段マヤノが着てるようなオーダーメイドの勝負服のような豪華さとか質の良さとかはないけど、俺なりに作ってみたんだ。着る着ないはともかく、マヤノが喜んでくれるかなって」

マヤノ「……トレーナー、ちゃん」

トレーナー「なんだ。最近いろいろあって落ち込み気味だったからさ。心配だったっていうか……」

トレーナー「ああもう纏まんねーな! うん、プレゼントだ! 受け取ってほしい!」

マヤノ「え、と。その……すごく、すっごくうれしい……!」

マヤノ「ね、これ今から着てもいい……?」

トレーナー「ああ、いいぞ――」

トレーナー(元気が戻ってきたようだ。やっぱりマヤノは笑っている姿が一番だな!)

―――

下1 習得コンマ
50以上で習得
50以下でヒントレベルアップ
755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 21:28:08.05 ID:TjUYDvySo
アイ・コピー!
756 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/11(日) 22:02:59.24 ID:enp2fy890
マヤノ「トレーナーちゃん、これ……なんかちょっと大きいかも……?」

トレーナー「……下手の横好きだからしょうがない――と思う」

マヤノ「えへへ。でも、トレーナーちゃんが心を込めて作ってくれたんだーって思ったらずっと着たくなっちゃうな〜」

トレーナー「……次までには仕立て直しておくから、あとできちんと返してくれよ?」

マヤノ「……! トレーナーちゃん、ひょっとしてマヤの脱ぎたて勝負服が欲しいの〜? てれてれ〜」

トレーナー「良かった、いつものマヤノに戻ったな」

マヤノ「いつまでもどんよりしてちゃ、ブライアンさんに追いつけないからね!」

トレーナー「立ち直ってくれたなら何よりだ。ちなみに脱ぎたての勝負服が嫌なら洗濯してから返してくれてもいいんだぞ」

マヤノ「それはそれでフクザツー……」

トレーナー「何が複雑かは分からないけど、俺はそんな変態じゃないからな……。汗をかく姿は好きだけど、汗そのものが好きってわけじゃないし」

マヤノ「んー……。なんかずれてる気がする〜」

トレーナー「そうか……?」

―――

▼スキルヒント[スカイハイ☆ランデヴーLv2]のスキルヒントレベルが上昇した。

▼イベントが発生します
757 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/11(日) 22:55:49.38 ID:enp2fy890
■櫛風沐雨・嵐へ立ち向かうこと

―――

 それはトレーニングが終わったある日のことだった。

 俺たちの練習を眺めていたらしいたづなさんが、終わり際を見計らって近づいてきた。


「お疲れ様です。今日も精が出ますね」
「ええ、マヤノのおかげで……」
「それは……とても良かったです。先日の皐月賞はショッキングな負け方をしてしまいましたし……」


 たづなさんは遠くを見て、そのように呟いた。

 重ねて言うが、マヤノの負け方は心を折りかねないものだった。特に、ウマ娘を間近で見てきたたづなさんにとっては、見慣れている光景だったのかもしれない。

 だからこそ心配してくれているのだ。その気持ちに素直に頭が下がる。

 ありがとうございます、と礼をすれば、たづなさんも手を振ることで応答する。


「……そういえば、何か御用だったんじゃないんですか?」
「そうでした。実は言伝を受けてきたんです!」
「――言伝?」


 聞き返すと、たづなさんは頷いて肯定する。


「――理事長室にて、待つ……と」


 その言葉を聞いて、背筋がぴしりとした。

 ……いつか話していた、あの話し合いを今こそやる時なのだろう。

 俺はたづなさんに頷き返して、理事長室へと向かう準備をするのだった。
758 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/11(日) 23:13:51.61 ID:enp2fy890
ちょっとあまりにも眠すぎるので今日の更新はここまでにさせてください。
続きは明日更新します…!
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/11(日) 23:32:38.97 ID:TjUYDvySo
おつおつー
次回、皇帝謁見か
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/12(月) 14:56:10.45 ID:bOZCc1ESO
ループの事で理事長と話するん
だろうけど、今まで育成失敗したうま娘まで連れてこられたら鬱でしかないな

761 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/12(月) 16:27:03.33 ID:pOcJTj9c0
>>760 
最初そうしようかなぁと思っていたんですけど、クリスマス→正月イベントで思った以上にトレーナー君の精神性が発達してしまったのでボツにしました。発達してなかったらボコボコにしたかったですね。
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/12(月) 17:35:25.89 ID:D6mQTPOrO
皐月賞前はそうでもなかったけど皐月賞の結果をいざ見てからシンボリルドルフと話し合いとなるとトレーナー的には思うところがありそう
763 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/12(月) 22:14:14.09 ID:pOcJTj9c0
「歓迎ッ! 待っていたぞ、トレーナー!」


 扉を開くなり飛んでくるのは、秋川理事長の大きな声だった。夕方も遅い時刻で、静まり返っている校舎に、まるで沁み込むように響いた。


「着席ッ! とりあえず座りたまえ!」
「……では、失礼して」


 マヤノと共に、来客の用の椅子に身を沈ませる。……やはり、日本有数の学園に置いてある調度品はかなり質がいいらしく、身を沈めているだけで疲れが取れてしまいそうなほどだ。

 ふとマヤノの方向を見ると、何故ここに連れてこられたかわかっていない様子で、少し緊張気味のようだ。軽く頭を撫でると、わ、と声を漏らしてこちらを見つめる。

 少しの間撫で続けると、緊張がほぐれてきたのか、いつも通りの朗らかな笑みを浮かべ始めた。……いや、いつものというには少しふやけ過ぎているかも。

 ごほん、と。ふと理事長の咳払いが響き、俺はその手を止める。不満げなマヤノのことはちょっと見ないふりをして、秋川理事長へと視線を注ぐ。


「傾注ッ! 今日は二人と――主にトレーナー君関連のことで話し合いがしたい!」
「……トレーナーちゃん関連で?」
「肯定ッ! マヤノトップガン、君も知るところにあるのではないか?! 彼の事情について……」


 そういわれて、マヤノははっとした表情になって、俺の方を見る。

 驚きを露わにしている表情を読み取るに――話したの? と伝えたいらしい。

 俺がこくりと頷くと、マヤノは一つ頷いて、秋川理事長の方へ向き直る。


「継続ッ。どうやら君たちの中でも共通認識であるようだ。みんなも知っての通り、トレーナーくんはとある事象に巻き込まれているッ!」
「……ループ、だね」
「そうだ。俺は”達成目標”をクリアできないと五月――メイクデビュー手前まで時間が巻き戻る」


 秋川理事長は頷いて、扇を閉じる。その先端を唇に当てて、憂うように眉を下げた。
764 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/13(火) 00:05:21.85 ID:M5vaZgf60

「思案っ……。助けてあげたいし、そのループから君たちを解き放つ方法を探してみたが――終ぞ思いつかなかった。それこそ、他のウマ娘たちを押しのけURAの頂点に立つくらいしか――」
「……なんとなく、俺もそんな気がしています」
「肯定。こちら側も同一の見解だ。だからといって、URAを無条件で優勝させるわけにもいかない……!」


 当然の話だ。そもそも俺がループしているかどうかなんて、俺以外に認識できない。

 真実か嘘かわからない。秋川理事長だって、俺のあんな様子を見ているからこそ信じてくれているだけで、何も知らない人間が「ループしてるので勝ちを譲ってください!」と頼まれたところで疑問符で返されるのがオチだ。

 そのことはマヤノも十分に理解しているのか、秋川理事長の言葉に頷きを返している。


「無力……ッ! だから、とりあえず我々から何かを行うことはできないッ!」
「まぁ……理解していました。それで、えっと……確かケアの話でしたっけ?」
「肯定ッ! 例えばトレーナー君がループしたとして、そのあとの処理をどうするか……という話だッ!」


 ……皐月賞の前に、すでに話を聞いてたので心構え自体は出来ていた。

 これからレースの難易度はもっと高くなっていく。そう考えると、その先の想定をしないのは……何というか、あまりに楽観的に過ぎる。

 ごくり、と生唾を飲む。


「決定ッ……! ウマ娘のケアは、我々にも出来ないことはない……! だが、国や文化などによってカウンセラーを変える必要性があるように、ウマ娘のケアにはウマ娘こそが適切だッ……」
「だからこその”皇帝”シンボリルドルフ、というわけですか――」
「肯定ッ。特に差し支えなければ、呼びたいと思っている。どうだろうか?」


 正直に言えば、複雑だ。あれほどの大敗を喫していながら、シンボリルドルフにまともに対面できる気がしない。……俺もそうなんだから、マヤノはもっとそうだろう。

 とはいえ、シンボリルドルフに面倒を見てもらう環境とは、ウマ娘にとってこれ以上ない良好な環境だ。生徒会長を務めているだけあって、その実力は折り紙付きだ。

 メンタルケアについても、シンボリルドルフやエアグルーヴ等、人心掌握に長けるウマ娘がいるのであれば完全と言っても差し支えない。

 ……少し怖いところはあるが、秋川理事長に頷きで返す。


「では、呼んできますね――」


 たづなさんがいったん外に出て――しばらく後。

 扉を叩く音がした。


「……理事長、何か御用――」
「用があるのは俺たちだよ、シンボリルドルフ――」


――こうして、面談が始まった。
 
765 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/13(火) 19:55:23.71 ID:M5vaZgf60
「――初めまして。学園では生徒会長を務めさせていただいています、シンボリルドルフです」
「初めまして。おおよそ理解してもらっているとは思うが、マヤノトップガンのトレーナーをやらせてもらっている者だ」


 席を立ちあがり、シンボリルドルフに握手を求める。

 すると、彼女は少しだけ表情をほぐして、差し出された手を握り返してくる。……さすがは生徒会長か、受け答えは洗練されている。


「……さて、おおよその事情は理事長から聞いております。何でも、ループと思わしき現象に巻き込まれているとか」
「その通りだ。……と言っても、信じられる話ではないかもしれないが」
「いえ……。職務上様々な申請などに目を通す機会がありますが――貴方の職務に対する姿勢は評価されるに相応しいものだと考えております」


 そういわれると、少し恥ずかしい気持ちになる。こうして、ウマ娘の育成以外の業務について触れられる機会はほぼほぼ無いし。

 頬をかけば、シンボリルドルフからくすりと、笑い声が漏れた。


「……失礼。これから真剣な話になるので、もう少し緊張した雰囲気になると思っていたもので……。ループという不明な出来事の前で――どうやら貴方は怯んでいないようだ」
「違うな、怯んではいる。……けど、怯んでいては勝てるものも勝てないと思っている」
「……。おっしゃる通りかと」
「賛同に感謝するよ――」


 そこで、ふとシンボリルドルフの目つきが鋭くなる。……恐らくは、ここまでの会話は本題へ至るための前座に過ぎない。いわゆるウォームアップだろう。

 俺の予想は合致していたらしく、「さて」と一言呟いたシンボリルドルフの目は鋭くなる。


「……恐らくご理解いただいているものかと思いますが、念のために――。先ほど秋川理事長からもご連絡いただいたこととは存じますが……不明な現象のために、他のウマ娘の夢を奪うわけにもいきません」
「むろん承知しているよ。――そして、多分俺もマヤノも、それは望まない」
「……そうですか。とりあえず、詳細を煮詰めるのはこちらにお任せいただけますか?」
「ああ、俺たちではわからないこともあるだろうしな」


 そう答えると、シンボリルドルフは軽く頭を下げる。


「では――後日副会長であるエアグルーヴともご挨拶していただければ、と」
「訓練後に時間を取りたいと思っている。頼めるか?」
「ええ、こちらもトレーニングを行う必要があるので、トレーニング後であればかえって好都合でしょう」
「助かる。――話はこれくらいか?」


 ええ、とシンボリルドルフは頷いた。……考えれば考えるほど、何故ここにシンボリルドルフが呼ばれたのか不明だが、こうして顔合わせをすることで円滑に進むこともあるのだろう。

 そう考えた時だ。ふと、シンボリルドルフが声をかけてきた。


「……マヤノトップガンと少し話がしたいのです、良いでしょうか?」
「……。マヤノは、どうだ?」
「マヤは――。マヤは、話してみたい、話す必要があるって、そう思うな……」
「マヤがそういってるなら、俺としては止める理由がない。……席を外したほうがいいか?」
「はい、少しの間――。お願いできますか?」


 頷くなり、俺はたづなさんと理事長と連れ立って部屋から出ていく。理事長室なのに理事長が席を外すのは――なんとなく、織り込み済みである雰囲気を感じるが……。


「これも、想定済みでした?」
「……不明。敢えて答えを言う必要もなかろうッ!」
「それ、もう答えてるような気が――」
766 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/13(火) 20:35:29.92 ID:M5vaZgf60
――マヤノトップガンにとって、シンボリルドルフとは”越え難い壁”だった。

 皐月賞での敗北以前に、シンボリルドルフは絶対的な勝者の象徴だった。

 非常に高い実力、怜悧な判断力――それに、ウマ娘の未来を想い行動する、気高いまでの理想。

 それらを兼ね備えるシンボリルドルフは、本質的に強者なのだ。

 だから、シンボリルドルフと一人で対面したマヤノトップガンは、わずかな恐怖に身を震わせそうになっていた。だが、それでは自分を信じて席を外してくれたトレーナーに示しがつかないと考え、きつく両手を握ることで自信を律していた。

 方やシンボリルドルフは、そんなマヤノの調子に気付いていた。そもそも観察眼にも長けるシンボリルドルフが、マヤノトップガンが抱く畏怖に対して気付いていないわけがない。それに、畏怖とはシンボリルドルフが最も受け慣れている感情の一つであるからにして。


「緊張しているようだな。もっと落ち着け。おちおち着けもできん」
「……そう、ですね」
「……。おちおち、着けは少しこじ付けに過ぎたか」


 場を和ませるためのジョークだったが、マヤノトップガンにそれを咀嚼する余裕はない。ましてそれがわかりづらいジョークであるならばなおさらだ。

 シンボリルドルフは心のノートに、要改善とメモを書き足し――マヤノトップガンの対面に腰を下ろす。


「冗談は置いておこう。マヤノトップガン――君と話してみたかった」
「……。そうかも、しれません」
「いつもの話し方でいいぞ。――それに、こうして君と話しているのは……先ほども言ったが、純粋に君と話してみたかったからだ」
「……なら、いつもの喋り方で」


 マヤノがぎこちないながらも元の口調で話し始めると、シンボリルドルフは表情に微笑を浮かべた。


「……マヤノトップガン、君は随分と――大きな”想い”を背負って走っているんだな」
「そうかも……。トレーナーちゃんがループするって聞いて、負けられないな、って」
「……私も、担当トレーナーがそうなると聞いては余計な力が入りかねない。君の心中は察するに余りあるよ、マヤノトップガン」


 安い同情だ、とはマヤノトップガンは思わない。マヤノトップガンの背負う思いが大きいものであるのならば、シンボリルドルフのそれは非常に”多い”。

 質と量という違いはあるが、背負って走るときの負担は勝るとも劣らない。――端的に言えば、二人は似た者同士であるとも言えた。

 だからといって、傷を舐めあうことはしない。出来ない。それはシンボリルドルフが皇帝であるから、それはマヤノトップガンが信頼の上で此処に居るから。
767 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/13(火) 20:40:51.26 ID:M5vaZgf60
「……で、かいちょーさん。マヤと何を話したいの?」
「ふむ。君は――非常に難しい場所に立っている。このままいけば、君にとっての最終目標――有馬記念では、ナリタブライアンとかちあうことになるだろう」
「……そして、ブライアンさんと今のマヤが戦えば」
「――九割九分九厘。奇跡がない限り勝つことは出来ないだろう」


 わかっていた事実。だが、それを明確に示されてしまうと、悔しさが溢れてくる。

 ナリタブライアンに勝ちたい気持ちに変わりはない。でも、勝てるビジョンも見つかっていない。それはマヤノトップガンにとってとても歯がゆくて、とても悔しい事実だった。


「だが、それは現状の話であって、将来にわたっての話ではない。君のやる気次第では、ナリタブライアンと互角の勝負を繰り広げることもできるかもしれない」
「……やる気次第?」


 その奇妙な言い回しに、マヤノトップガンは違和感を覚えた。

 まるで、やる気を出せば――シンボリルドルフがナリタブライアンに勝つ策を与えてくれる、とでも言っているような――。

 そしてマヤノトップガンは、シンボリルドルフが続けた言葉に、その予想が的中したことを理解した。


「もし君が望むのであれば――僭越ではあるが、私が、君に手ほどきをしてもいい」
「――ッ!」


 それは前代未聞の提案だ。

 ウマ娘にとって、他者に自らが築き上げたノウハウを教えることは、そうない話ではない。トレーニング中のウマ娘たちを観察するのであれば、それなりの割合で見受けられる。

 だが、ことシンボリルドルフにおいてはそうではない。彼女のノウハウは盗み取るのが常であり、彼女が誰かに教えたことは――少なくとも、マヤノトップガンの記憶の記憶の中ではなかった。


「……君たちの運命は、例えるのであれば嵐だ。険しく、ひどく冷たい道のりだ。仮に中央――目に到達できたとて、それは一時の安寧に過ぎない。……理事長もトレーナーも、URAに優勝できればクリアである、と考えているようだが、そうとも限らない」
「……。確かに、そうかも」
「仮にURAの優勝が”目”であるとしたら? そこで立ち止まっていては、また雨風に飲まれることになる。君たちが見据えるべきなのは、嵐本体であり、その先でもある」


 一つ、シンボリルドルフが息をする。
 
 それだけでマヤノトップガンの視線は彼女に釘付けになった。


「櫛風沐雨。苦労することは必至。だが、そこに手伝いがあってはならない――そうは思わないか?」
「思わないし、利用できるものは利用するって――勝つってトレーナーちゃんに誓ったもん。だったら……なんでも、なんでも利用して勝ちあがる……!」
「いい目だ。その目を待っていた――! 用事があるときは……そうだな、ウマスタのDMなり、電話なりをかけるといい。時間を作ろう」

 
 シンボリルドルフはそういうなり立ち上がり、マヤノトップガンに微笑みかける。


「君以外のウマ娘の幸運を祈るように、君の幸運を私は祈っている。どうか君の道のりが、輝かしい未来へつながていますように」


 それだけ言うと、シンボリルドルフは歩み去っていく。その背中に宿る数多の思いにマヤノトップガンは畏怖しつつ――しかし、それが畏怖される理由も明確に理解した。

 だからこそ、彼女の言葉に動かされる。


「いつか絶対……ぜーったい、会長さんを超えてみせるんだから――ッ!」


 そうして、二人の対談は終了した。

 あとには、嵐の後のような静けさだけが、横たわっていた――。


―――

▼行動に[秘密の特訓]が追加されます。

※[秘密の特訓]とは
シンボリルドルフと秘密の特訓を行います。
能力値を上げながら、有用なスキルを獲得できる可能性もある一石二鳥な行動です。
しかし、行うとやる気の減少などにつながる可能性があります。
また、能力値が一定の数値以上になっていないと効果を十全に得られない可能性もあります。
(詳細は選択時に記載します)
768 :いぬ ◆FaqptSLluw [saga]:2021/07/13(火) 20:44:01.99 ID:M5vaZgf60
トレーナー「あの後、シンボリルドルフとの仲が良くなったのか、シンボリルドルフとしきりに連絡を取るマヤノの姿が見受けられるようになった」

トレーナー「やはり、人心掌握に長けているだけはある。このままマヤノに蔓延っている恐怖を取り除いてくれるといいのだが……」

トレーナー「いや、はき違えるな。それは俺の仕事だ――」

トレーナー「彼女を十全に育成するのは俺の責務であって、シンボリルドルフに任せていいものではない――!」

トレーナー「……。にしても、妙だな。なんだか少し寂しい気がするぞ……」

トレーナー「……! これがひょっとして、嫉妬ってやつなのだろうか?!」

―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/会話(秋川理事長)/秘密の特訓/その他(良識の範囲内で自由に)
※■■■まであとXターン(当ターン含む)
769 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/13(火) 20:56:21.77 ID:1a1HLyG10
秘密の特訓
770 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/15(木) 08:15:03.86 ID:s4x4Kszro
初めは二人きりでもマヤちゃんに触るの躊躇ってたトレーナーさんが今じゃ理事長の前でもナチュラルに頭ナデナデできるのめっちゃエモくないですか???
じゃ向こうで尊死してきますね
771 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/15(木) 09:07:24.20 ID:53bO/OtDO
まーたデジタル殿が尊死してる…
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/15(木) 10:40:37.94 ID:2grCZ9lv0
デジタル殿じゃなくても浄化されるでしょこんなん…
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/15(木) 11:21:01.20 ID:IKys8eejO
濃厚なトレマヤを摂取して心のアグネスデジタルが抑え切れない
774 :いぬ ◆FaqptSLluw [saga]:2021/07/15(木) 19:55:48.27 ID:VMNnLksB0
トレーナー「よし、今日はこれでトレーニングは終了だ。お疲れ、マヤノ」

マヤノ「トレーナーちゃんもお疲れ様!」

トレーナー「おう。……そうだ、マヤノ。近場のスイーツ店のクーポン券をもらったんだけど、今日行かないか?」

マヤノ「……! ホントは行きたいけど……今日は用事があるの! だからまた今度、一緒に行きたいなー。ダメ?」

トレーナー「……? あ、い、いいぞ。都合がいい日に行こうな」

マヤノ「うん! じゃあね、また明日、トレーナーちゃん!」

トレーナー(マヤノが……俺の誘いを断った……だと?!)

トレーナー(珍しいこともあったもんだ……)


―――


ルドルフ「……来たか」

マヤノ「うん! 今日もよろしくお願いしまーす☆」

ルドルフ「意気軒昂、やる気があることは非常にいいことだ」

ルドルフ「さて、今日は――このトレーニングを行っていこうと思う。体力の残量に余裕はあるんだろう?」

マヤノ「もっちろん!」

ルドルフ「ふふ、根を上げるなよ?」


―――

▼秘密の特訓について
シンボリルドルフと秘密の特訓を行います。
能力値を上昇させながら有用なスキルを獲得することも可能ですが、難易度が高く、失敗する可能性がある行動です。

どのようなトレーニングを行うかはコンマによる判定を行います。
トレーニングにより、要求されるステータスが異なります。
基本的には賢さを含む全ステータスを参照しますが、ゾロ目のみ判定が少し異なります。

トレーニング決定後は成功判定のためのコンマ判定を行います。
基本的に[コンマ値+能力値]の合計が、設けられた要求能力値を超過していれば成功となります。ゾロ目の場合は判定が異なります。

トレーニング終了後は成長のためのコンマ判定と、習得スキルについての判定を行います。
習得できるスキルはトレーニングにより異なります。場合によっては使用できないスキルが得られる可能性もあります。

また、秘密の特訓を行うと何かが起こる可能性があります。

―――

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:435(C)
スタミナ:401(C)
パワー:668(B+)
根性:972(A+)
賢さ:264(E+)
やる気:絶好調

―――

下1 トレーニングの内容(コンマ)
01〜20:スピード
21〜40:スタミナ
41〜60:パワー
61〜80:根性
81〜00:知識
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/15(木) 19:59:49.82 ID:uD/+uB5k0
せいや
776 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/15(木) 20:07:23.67 ID:VMNnLksB0
ルドルフ「洽覧深識。見聞を広め、博識とならん――。これもまた、強者になるために必要な過程の一つだ」

マヤノ「こうらん、しんしき」

ルドルフ「そうだ。というわけで、そうだな……。ここに学園が収集した過去のウマ娘のレースデータがまとめてある。特にマヤノトップガンに近い走り方をするウマ娘をピックアップして、私と共に見ていこう」

マヤノ「うーん、全部は解らなかったけど――でも、映像を見たらいいんでしょ?」

ルドルフ「そうだな。その上で技術を盗んでみよう」

マヤノ「アイ・コピー!」


―――


下1 秘密の特訓1回目:達成判定
[賢さ:264]+[下1コンマ値]>[1回目判定値:300]の場合成功

ゾロ目の場合は判定の可否に関わらず成功。
成功するコンマ値でありかつゾロ目の場合は成長コンマに固定値追加。


777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/15(木) 20:09:17.93 ID:v9K/UomLo
ふん
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/15(木) 20:10:16.11 ID:ycNc+v67O
素晴らしい
779 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/15(木) 20:22:11.55 ID:VMNnLksB0
マヤノ「あ、この子の走り方凄くいい……かも」

ルドルフ「今の君の走りは、ピッチ寄りの走法だからな。脚へかかるダメージが少ない分、速度の上昇率はストライド寄りに比べるとあまり高くはない」

マヤノ「ピッチ? ストライド?」

ルドルフ「ピッチ走法。簡単に言えば、歩幅を小さくして、足の回転で速度を稼ぐ走法だ」

ルドルフ「逆にストライド走法は、歩幅を大きくして速度を稼ぐ走法だ。こちらの方が速度は出るが、その分脚へ来るダメージが大きいので、スタミナを付けたウマ娘向きの走法だ」

マヤノ「……ということは、中距離はストライド走法で走って、長距離はピッチ走法で走れば……!」

ルドルフ「残念だがそう簡単な話ではないんだ。変に走法を変えると、癖が残る――。最初は気にならなくとも、後々に大きな爆弾を残す可能性がある。それが原因で脚を故障し、レースからドロップアウトしたウマ娘もいるくらいだ」

マヤノ「そうなんだ……」

ルドルフ「だからこそ、知識としてそういう走法があることを知っておくくらいにとどめておくといい。走法については……君のトレーナーがきちんと管理をしている。走り方は君に合ったものに調整されているようだ」

マヤノ「トレーナーちゃん、そんな細かなところまでマヤのことを見てくれてたんだ……」

ルドルフ「トレーナーは、ウマ娘にとって一心同体ともいえる存在だ。……君が思っている以上に、彼は君のことを見ているはずだ」

マヤノ「てれてれ〜……」

ルドルフ「ふふ、信頼関係があるのはいいことだな。今日はここ辺りにしておこう。君のトレーナーもあまり遅くなると心配するだろうし」

マヤノ「! 今日はありがとう、会長さん!」

ルドルフ「ああ。君に教えるとこちらも実力が増していく気がする。またよろしく頼むよ」


―――

下1 トレーニングの効果量(コンマ)
※ゾロ目の場合は追加ロール

下2 スキル習得(コンマ) 
80以上で習得
50以上でスキルヒント
※ゾロ目の場合は追加ロール
780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/15(木) 20:22:43.32 ID:ycNc+v67O
ゾロ目こい
781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/15(木) 20:24:01.46 ID:uD/+uB5k0
たあっ
782 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/15(木) 20:26:30.34 ID:VMNnLksB0
▼マヤノトップガンの賢さが上昇した。
賢さ:264(E+)+32→296(E+)

▼スキルを習得できなかった……。
783 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/15(木) 20:27:24.76 ID:VMNnLksB0
▼マヤノトップガンの賢さが上昇した。
賢さ:264(E+)+32→296(E+)

▼スキルを習得できなかった……。
784 :いぬ ◆FaqptSLluw [saga]:2021/07/15(木) 20:32:10.44 ID:VMNnLksB0
トレーナー「最近やけにマヤノが生き生きしている気がする」

トレーナー「レースで負けてからというもの、ふさぎ込んでいたマヤノを心配していたが……。今はもう、心配する必要ないぜ! ってマヤノがブイサインを決めている……気がした」

トレーナー「そういえば、あれからナイスネイチャとは話をしたんだろうか。お互いに思うところもたくさんあるだろうし、たくさんお話をして、たくさん想いを交わしてほしいな」

トレーナー「その記憶が、いつかマヤノを導く光とならんことを――」

―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/会話(秋川理事長)/秘密の特訓/その他(良識の範囲内で自由に)
※■■■まであとXターン(当ターン含む)
785 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/15(木) 20:33:43.44 ID:uD/+uB5k0
スキル習得(ウマ娘)
786 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/15(木) 20:38:04.97 ID:VMNnLksB0
トレーナー「マヤノ、君に出来ることは無限にある――そうは思わないか」

マヤノ「えっ? どうしたのトレーナーちゃん、急に……」

トレーナー「元気になれば何でもできるッ! お米食べろお米ッ!」

マヤノ「良く解らないけど、良く解らないことはわかったよ……トレーナーちゃん」

トレーナー「冗談はさておいて、君に出来ることは多分俺の想定よりもはるかに多い。その影を踏みに行こうじゃないか」

マヤノ「? レースのコツをつかみに行くってこと?」

トレーナー「そういうことだ」

マヤノ「アイ・コピー! 次からはもっとわかりやすく言ってほしいかも……」

トレーナー「……すまん」

―――

下1
どのスキルを習得する?

[スキルヒント:ウマ娘]
・好転一息 Lv1[汎用]
(序盤に選択肢追加:中盤のコンマ判定を2段階上のものに上げる)
・読解力 Lv1[作戦:差し]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+50の補正)
・大局観 Lv1[作戦:差し]
(中盤に選択肢追加:ゴールのコンマ判定に+100の補正)
・食いしん坊 Lv1[作戦:先行]
(中盤に選択肢追加:終盤のコンマ判定を2段階上のものに上げる)
・ささやき Lv1[距離:中距離]
(中盤:ライバルウマ娘のコンマ判定を1段階下のものに下げる)
・魅惑のささやき Lv1[距離:中距離]
(中盤:ライバルウマ娘のコンマ判定を2段階下のものに下げる)
・スカイハイ☆ランデヴーLv2 Lv1[作戦:逃げ] ※フォームチェンジ権
(序盤に選択肢追加:ゴール時のコンマ判定に+200の補正)
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/15(木) 20:39:47.01 ID:ycNc+v67O
スカイハイ☆ランデヴー
788 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/15(木) 20:44:17.30 ID:VMNnLksB0
トレーナー「そういえばマヤノ、この前の勝負服モドキだが、サイズ合わせてきたんだよ、どうだ?」

マヤノ「そんな、ニンジンジュースいっぱいどう? みたいな聞き方しなくても……。あ、もちろん着てみたいよ〜!」

トレーナー「よし! じゃあちょっと待っててくれ――」


―――


トレーナー「勝負服モドキ、初心者にしてはなかなかの出来栄えだと思ているんだが、やっぱりほかの勝負服とか見てるとデザインの拙さが出てくるな――」

トレーナー「餅は餅屋、か。手を出さないほうがいいとは思わないけど、出すなら出すでプロと比較される、比較することを覚悟して手を出さなきゃいけないよな」

トレーナー「想いだけはどんなプロよりも強い! がな!」


―――


下1 習得コンマ
70以上で習得
70以下でヒントレベルアップ
789 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/15(木) 20:45:00.13 ID:112HRXWNo
うおおお
790 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/15(木) 20:53:07.19 ID:VMNnLksB0

マヤノ「お待たせ、トレーナーちゃん」

トレーナー「お――って、どうした、そんなにもじもじして」

マヤノ「あのね、トレーナーちゃん……」

トレーナー「耳を寄せろって? どうしたんだ、本当に……」

マヤノ「スカートのひもが解れそう……」

トレーナー「えっ。え、大丈夫か……?」

マヤノ「……今は大丈夫じゃない、かも」

トレーナー「……。ひょっとして、スカートを手で押さえてるのって」

マヤノ「……ぅん」

トレーナー「……。とりあえず、対処療法になるけど……俺のジャージを羽織っててくれ。動けそうか?」

マヤノ「難しい……かも」

トレーナー「しょうがない、ちょっと我慢してくれよ!」

マヤノ「と、トレーナーちゃん?! いきなりお姫様抱っこは聞いてない――」

トレーナー「とりあえず更衣室まで連れていく! ジャージに着替えてからもう一度ここに来てくれ……。あと、それはまた縫い直すから持って来てくれ」

マヤノ「ひゃぃ……」

トレーナー「……? マヤノ?」

トレーナー「…………あ」

トレーナー(ここトレーニング場だったわ……。そりゃみられるよな……)

トレーナー「すまん、マヤノ……」

―――

▼スキルヒント[スカイハイ☆ランデヴーLv2]のスキルヒントレベルが上昇した。
791 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/15(木) 21:01:48.86 ID:VMNnLksB0
トレーナー「アレから、俺たちの行動が話題になっているらしい。校内SNSはそれはもう……何というか、酷い様子だ」

トレーナー「だがしかし、俺は思う」

トレーナー「確かに行動は軽率だったかもしれない。でも、ウマ娘のことを真に思うのであれば、あれくらいは恥ずかしさを覚えることなく行動することがトレーナーとしての役目ではないのだろうか」

トレーナー「……まぁ、空虚な自己正当化であることはもう承知しているので、これ以上は言葉を重ねないんだけど」

トレーナー「それに、余りやらかしてると呼び出しが――」

たづな「トレーナーさん、少しお話が――」

トレーナー「呼び出しですか?!」

たづな「……? 予算についてのご相談ですが」

トレーナー「なんだ……呼び出しじゃないのか」

たづな「呼び出されてほしかったんですか?」

トレーナー「そんなことは断じて!」

たづな「そう、ですか。あ、こちら資料となりますので目を通してください」

トレーナー「はい……」

―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/会話(秋川理事長)/秘密の特訓/その他(良識の範囲内で自由に)
※■■■まであとXターン(当ターン含む)
792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/15(木) 21:04:02.44 ID:uD/+uB5k0
秘密の特訓
793 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/15(木) 21:12:22.53 ID:VMNnLksB0
トレーナー「ひぃ、仕事が終わらん……!」

マヤノ「……トレーナーちゃん、だいじょうぶ……?」

トレーナー「あ、ああ。トレーニングをお休みにしてもらったおかげで助かってるよ、ありがとうな」

マヤノ「えへへ……。ね、トレーナーちゃん。マヤノが出来ること、何かない……?」

トレーナー「ああ……。ここからはパソコン作業だし、そう大きな仕事じゃないから大丈夫だ。マヤノも好きなところに行っていいんだぞ」

マヤノ「んー……。わかった、じゃあまた明日ね!」

―――

マヤノ「……ってことがあったの!」

ルドルフ「トレーナーに課された仕事量はかなりのものだと聞くからな……」

マヤノ「ね、会長さん! マヤも仕事をお手伝いしたいんだけど、何かできることってあるかな……?」

ルドルフ「うーむ。それよりも、君は強くなることを考えたほうがいい」

マヤノ「えー? トレーナーちゃんの力になりたいよ、マヤ……」

ルドルフ「君が力をつければ、それだけトレーナー君の心理的な負担は減る。それに、君の実力が付けばつくほどに査定が良くなるはずだから、給料も出てくるはずだ」

マヤノ「……給料がたくさんだと、トレーナーちゃんは凄く助かる?」

ルドルフ「お金があるという事は余裕が生まれるという事でもある。クオリティ・オブ・ライフの発展維持にはお金が必要不可欠だからな」

マヤノ「くおりてぃ……?」

ルドルフ「……。とにかく、トレーニングを重ねて実力をつければ、回り回ってトレーナー君のためになる。トレーニングに入ろうか」

マヤノ「……! アイ・コピー!」

―――

■[すくらんぶる☆ゾーン]マヤノトップガン
スピード:435(C)
スタミナ:401(C)
パワー:668(B+)
根性:972(A+)
賢さ:296(E+)
やる気:絶好調

―――

下1 トレーニングの内容(コンマ)
01〜20:スピード
21〜40:スタミナ
41〜60:パワー
61〜80:根性
81〜00:賢さ
794 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/15(木) 21:15:26.01 ID:1Ee+WzcF0
スペード
795 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/15(木) 21:23:52.47 ID:VMNnLksB0
ルドルフ「スピードはすべてにおいて重要視される」

マヤノ「うん、早ければ早いほど、前に出やすい!」

ルドルフ「力強さも重要なファクターだが、スピードも同等程度には重要なファクターだ。これがあるとないとでは、レースでの着順にも影響してくる」

ルドルフ「故にこそ、スピードを鍛えなければならない。ただ、スピードといっても大別して二種類ある。何かわかるか?」

マヤノ「んー……。えっと、ふつーの時と、すばッと行くとき?」

ルドルフ「おおむね正解だ。通常時――適宜的に非スパート時と呼ぼう。非スパート時におけるスピードはイコール持久力と言っても差し支えない。だがこれもスピードだ。スパートまでに大きく離されていては意味がないし、逆に大きく離していたらそれだけの有利を築ける」

ルドルフ「対照的に、スパート時の速度は純粋な速度だ。最終コーナーから最終直線へ至り、ゴールへ……。そんな過程でどれだけの速度を出せるか。こればかりは体格の問題や生来の気質などの要素もある――が、君はそれなりに素質があるようだ」

ルドルフ「故にこそ、君に課すべきトレーニングはこのスパート時のスピードだ。言い換えれば末脚の醸成、ともいえるだろうな」

マヤノ「……ふんふん。アイ・コピー! 最後に走り抜ける力を育てるんだね」

ルドルフ「そうだ。というわけで――ハロン走だ。並走は私が務めよう」


―――

下1 秘密の特訓2回目:達成判定
[スピード:435]+[下1コンマ値]>[1回目判定値:400]の場合成功

※今回自動成功
※ゾロ目の場合は判定の可否に関わらず成功。
※成功するコンマ値でありかつゾロ目の場合は成長コンマに固定値追加。
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