このスレッドは1000レスを超えています。もう書き込みはできません。次スレを建ててください
【シャニマス×ダンガンロンパ】灯織「私はこの絆を諦めません」【安価進行】
- 103 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:32:43.11 ID:a3uHmeLX0
- 戻りました、それでは4章裁判終了パート〜完結まで更新します。
- 104 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:34:19.24 ID:a3uHmeLX0
-
モノクマ「あっぱれ!オマエラの推理は大正解!裏切り者の白瀬さんを殺害したのは同じく裏切り者の杜野さんだったのです!」
凛世「……」
モノクマ「いやはや、今回の仕込みはみんなびっくりしてくれたみたいだね!裏切り者が二人いるとは思わなかったんじゃないかな!」
灯織「どうして……どうして、こんなことを……!」
モノクマ「どうして?それって杜野さんがオマエラを裏切った理由?それともボクが杜野さんを選んで裏切らせた理由?」
モノクマ「なんであれ深い理由はないよ!まあ強いていうなら、ユニットのメンバーを人質にする仕掛け上、高校生以外のメンバーがいるユニットを選んだってぐらいかな?」
モノクマ「あとは西城さんはお構いなしに歯向かって来そうだし、園田さんはアホっぽいし、田中さんは頭がよく働くし、幽谷さんは例外だし!消去法的なところかな!」
愛依「……許せない」
智代子「モノクマ……絶対に許せないよ……!凛世ちゃんが、モノクマと内通して……毎日どれだけ苦しんでいたか……!」
凛世「智代子さん……」
智代子「凛世ちゃんは悪くないよ!果穂と夏葉ちゃんが人質に取られてたなんて……そんな人間として最低の行為、絶対に許すわけにはいかないよ!」
モノクマ「ぶひゃひゃひゃひゃ!ボクはクマなんだけど!園田さん、視力矯正した方がいいんじゃない?」
灯織「ちがう……チョコの怒りはモノクマの後ろにいる黒幕……あなたに向けられているんだよ」
モノクマ「はぁ……そんなこと言われなくてもわかってるよ。冗談が通じないなぁ」
灯織「冗談だなんて……!人の心をどこまで踏みにじれば気が済むんですか……!」
モノクマ「ぼろきれになるぐらい擦り切れるまでは踏みにじりたいと思う所存です、はい」
めぐる「ひどすぎるよ……!」
めぐる「無理やり裏切らせた上に、関わった人たちの苦しみまで嘲笑うなんて……そんなの!」
- 105 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:35:59.16 ID:a3uHmeLX0
-
摩美々「……!!」
摩美々「もしかして、咲耶の遺書もモノクマの差し金だったんですかー?」
灯織「えっ……?」
摩美々「あの遺書の内容を鵜呑みにしてしまったからこそ、私は議論を間違った方向に導こうとしてしまった……それがモノクマの狙いだったんじゃないですかー?」
(そうだ……咲耶さんが自殺でなかった以上、摩美々さんの懐に仕込まれていたあの遺書は偽物ということになる)
(そんな非道な偽装工作……モノクマがやったに違いない……!)
モノクマ「いしょ……?」
めぐる「とぼけないでよ!裁判中も議論に出てきてたでしょ!」
モノクマ「んーと……ああ、あれか。あれのことね!」
モノクマ「多分それは杜野さんの方が詳しいんじゃないかな?」
凛世「……っ!」
智代子「そ、そんな……嘘だよ、ね……?凛世ちゃんが、あれを書いたの……?」
凛世「……はい」
灯織「り、凛世が……」
雛菜「ねえ、さっき……自分の心は雛菜たちと常に共にあって、裏切るつもりはなかったって言ってましたよね〜」
凛世「……」
雛菜「でも、遺書の偽造はそれに思いっきり矛盾してませんか〜?」
雛菜「アンティーカのアイドルが、勝手に勘違いして暴走するように仕向けた……明確に裁判に勝ちに来てるじゃないですか〜」
(……!!)
(確かに、そうなる……あれは完全なミスリード……そんな証拠品をでっち上げた時点で凛世は、私たちを欺こうとしていたことになる……)
- 106 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:37:06.62 ID:a3uHmeLX0
-
智代子「で、でも……生き残るためには、凛世ちゃんも仕方なかったことだし……」
雛菜「雛菜たちと協力するっていう意思表示をしてきたのに〜、ここに来て雛菜たちは生きてても死んでてもいいってそれなんかおかしくないですか〜?」
智代子「もうやめてよ!」
雛菜「え〜?」
智代子「これ以上……凛世ちゃんを苦しめないであげてよ……!」
愛依「チョコちゃん……」
雛菜「……確かに、お友達からすれば雛菜がいじめてるように見えるのかもしれないですけど……ここを明らかにしないのは違うと思うんですよね〜」
雛菜「別に雛菜もいじめてるつもりじゃないんです、ただ真実を明らかにしたいのは雛菜も同じなんですよ〜」
智代子「で、でも……」
凛世「智代子さん、いいんです……凛世の口から、語らせてください……」
灯織「それって裁判の最後に語ろうとしていた……『コロシアイ合宿生活を続けようとした』ことと関係してるの?」
凛世「……はい」
めぐる「コロシアイ合宿生活を続けたかったってこと……なんだよね?どうして……?」
めぐる「わたしたちと同じ気持ちだったら、むしろ全員生き残ることを目指したかったんじゃないの……?」
凛世「凛世の気持ちが、みなさんと共にあることと……生還を望む気持ちとは、必ずしも同じでないのです……」
円香「……それ、どういう意味?」
凛世「この学園から、生きて出ていくこと……それは死するよりも、残酷なことなのでございます……」
灯織「……え?それってどういう意味……!?」
凛世「……詳しくは、語れません」
凛世はちらりとモノクマの方を見やる。
ということは、核心的なことを話すのは人質のお二人に危害が及ぶ可能性があるということなんだろう。
- 107 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:38:25.85 ID:a3uHmeLX0
-
凛世「ただ、今コロシアイ合宿生活が終われば……これまでのみなさんの苦しみ、そして想いが……泡沫に散り果てることとなってしまうのです……」
凛世「ここで生活が終わるくらいなら、みなさんをここで……凛世の手で弔いたく、この裁判を起こさせていただいたのです……」
(死以上に苦しむことになる生還……?)
灯織「……凛世は、凛世なりに考えてこの事件を起こしたってことだったんだね」
凛世「……左様です」
めぐる「だとしてもだよ!」
凛世「……めぐるさん?」
めぐる「だとしても……なんで、なんで……わたしたちのことを頼ってくれなかったの!?」
(めぐる……)
めぐるの目からは大粒の涙が流れ落ちていた。
前回の裁判で、私たちは周りのみんなと助け合い、前に進むことを誓い合った。
それに強く賛同してくれた凛世は、私たちを頼らず抱え込んで……そして、この事件を起こしてしまった。
裏切り者であることを打ち明けることは高い高いハードルだ。
でも、もしも……私たちが凛世のことをもっと知っていれば……この事件は防ぐこともできたのかもしれない。
凛世「申し訳、ございません……」
めぐる「……うぅ」
でも、めぐるもわかっている。
人質を取られて、こんなわけのわからない事態に巻き込まれて……
人を信用していても、それを打ち明けるには勇気が……命を投げ出す覚悟も必要になる。
自分の命だけじゃない、他の人の命、大事な人の命だってかかわる問題だ。
凛世を責めることは、できない。
- 108 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:40:18.98 ID:a3uHmeLX0
-
摩美々「ねえ、円香は今回の事件どこまで知ってたのー?」
円香「……はい?」
摩美々「凛世も言ってたけど、今回の事件にも関与してたんでしょー?」
円香「……ええ、まあ。といっても今回は大したことは。せいぜい音楽室の扉に接着剤を注入したぐらいのもので」
円香「凛世が裏切り者だとは聞いていましたけど、私が頼まれたのはそれくらいでした」
(そう、樋口さんと凛世は……コロシアイを続けるという目的が合致したがゆえに手を結んでいた)
(それなのに、今回の樋口さんの事件へのかかわり方は……思っていたより希薄だ)
灯織「凛世……もしかして、ずっと迷ってたんじゃないかな」
凛世「灯織さん……?」
灯織「というよりも、今も迷ってる……自分の選んだ道について、自分の決断について……その善悪の判断をしかねている。そんな風に見えるんだ」
凛世「……」
凛世「それは、買い被りです……凛世は、醜悪に生に縋っただけ……それ以外でも、それ以下でもございません……」
(凛世はきっとどれだけ言っても認めないだろう。彼女はそういう奥ゆかしい女の子だから)
(だから、このことは胸に刻み付けておこう。凛世がそれを望むのなら、私たちはあえて口には出さない)
(それが凛世を、私たちが信じることになるから)
- 109 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:43:11.60 ID:a3uHmeLX0
-
モノクマ「さてと、もうそろそろいいですか?他に何か話したいことは?」
智代子「も、モノクマ!ちょっと待ってよ……まだ、まだ!話し足りないよ!」
凛世「智代子さん……」
智代子「凛世ちゃん、一緒に帰ろうって誓ったよね?!樹里ちゃんの気持ちを、命を受け継いで……一緒に生きていこうって言ったよね?!」
智代子「それで、一緒に日常に戻って……また一緒に買い物に行って、おいしいお菓子を食べて……また同じステージに立つって……!」
智代子「こんなお別れなんて……絶対嫌だよ!」
凛世「智代子さん……!」
凛世「凛世も、凛世も……一緒にこれからの時を過ごしたかった……!」
灯織「凛世……」
凛世「ですが、それは叶わない……凛世が、愚かにも……咲耶さんを手にかけてしまったから……」
智代子「……うぅ、そんなの、そんなのって……」
凛世「智代子さん……こんな凛世がお申し付けするのは、道理に沿わぬことですが……一つだけ、お聞き入れいただいても……よろしいでしょうか……」
智代子「……え?」
凛世「断じて行えば鬼神も之を避く……その心を、不惑のままでいれば……智代子さんの行く道に、障害などありません……」
凛世「どうか、うつけの凛世のように……どっちつかずの判断となるのではなく……」
凛世「皆さんを信じ、共に生きていく……その信念を、最後まで通してくださいませ……」
智代子「凛世ちゃん……!」
凛世「そして、摩美々さん……」
摩美々「……何―?」
凛世「摩美々さんにお渡しした咲耶さんの遺書、あれは完全な偽造ではございません……」
摩美々「……え」
凛世「あれは、凛世が新たに別紙に書き写したもの……遺書の原本は、こちらに……」
摩美々「な、なんで凛世が……」
凛世「咲耶さんと凛世は、双方ともに裏切り者であることを承知の上でした……」
凛世「そして、かくれんぼのルール提示のあの日……摩美々さんのもとを訪ねるより先に、咲耶さんは凛世の部屋に……」
- 110 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:44:20.07 ID:a3uHmeLX0
- ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【凛世の部屋】
ピンポーン
凛世「もし……咲耶さん……?」
咲耶「……凛世、話があるんだ」
凛世「……お入りください」
~~~~~~~~~
咲耶「凛世……同じ十字架を背負ったキミにだからこそ、この話をさせてもらうよ」
凛世「【かくれんぼ】について、でございますね……」
咲耶「……モノクマはもう手段を択ばないところまで来ている。摩美々や灯織の活躍もあって、私たちの団結力はすさまじいものになっているからね」
凛世「はい……霧子さんの裁判では……胸打たれる演説を……」
咲耶「だからこそ、脱出という餌をつるして無理やり事件を起こそうとさせている」
凛世「はい、脱出などと……モノクマさまの策謀が」
咲耶「私もできることならみんなを脱出させてあげたい」
凛世「……っ?」
(このとき、凛世は悟りました……コロシアイ合宿生活【終了の意図】は、咲耶さんには伝えられていないということに)
- 111 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:45:17.11 ID:a3uHmeLX0
-
咲耶「でも、彼女たちの手を汚すわけにはいかない……ここを出た後の人生に大きく影を落とすことになってしまう」
(ですが、そのことを咲耶さんに伝えることはできず……モノクマさまに、口止めをされていましたから……)
咲耶「だから私は……自らその命を絶とうと思っている」
凛世「じ、自害……ということですか……」
咲耶「ああ、私が自分の命を懸ければ……自分で自分を殺害すれば、裏切り者を殺害するという条件を満たすことができるはず、そう思ってね。なんたって理屈っぽいモノクマのことだ、押し切れなくはない」
咲耶「もし失敗したとしても、この動機は流れて……彼女たちが殺人に手を染める可能性は再び下げることができるはずだ」
(凛世は咲耶さんの話を聞きながら思考をしておりました……)
(咲耶さんの意志は固い、しかし……このままコロシアイ合宿生活を終わらせてしまえば、それは咲耶さんも望まない結末を迎えてしまう……)
(凛世のなすべきことは、なんなのか……)
咲耶「だから凛世、キミにこれを託したい」
凛世「こちらの書状は……」
咲耶「私の遺書だ。私が自殺を終えたその時、みんなの前で読み上げてほしい。中には私が裏切り者であったこと、そして私からみんなに伝えたいメッセージがかかれている」
咲耶「同じく裏切り者のキミにこれを託すのは、少々ずるいことだとは思うんだけどね」
(最後に見せた咲耶さんの笑顔は、もの悲しく……)
(そして、とても美しく、凛世の瞳には映りました……)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
- 112 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:46:13.90 ID:a3uHmeLX0
-
凛世「ですから、あの遺書に書かれていたのは咲耶さんの真意でございます……」
凛世「咲耶さんは、最後までみなさんのことを……愛しておりました……」
(……咲耶さん)
摩美々「凛世……それでも私は、咲耶を手にかけた凛世のことは許せない」
凛世「摩美々さん……」
摩美々「でもきっと、天国の咲耶は今頃退屈にしてるだろうから……あっちに行ったら、仲良くしてあげてほしいかなー」
凛世「……!!」
凛世「お心遣い、感謝します……」
摩美々「多分咲耶は、気にしてないと思うからさー」
摩美々さんは、そう言って笑った。
泣きながら笑っている。摩美々さんらしい……別れ文句だと思った。
- 113 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:47:53.64 ID:a3uHmeLX0
-
モノクマ「はいはい、これで話もひと段落かな!」
モノクマ「ふぅ〜……ちょっと話させてやろうと思ったらまあまあ長話するんだもん、困っちゃうよね」
智代子「……うっ……うっ」
摩美々「……」
モノクマ「というわけで、お待ちかねのおしおきタイムだよー!」
凛世「牽衣頓足ではございますが……お別れの時です……」
灯織「凛世……」
モノクマ「今回も、超高校級の日本舞踊家である杜野凛世さんのために、スペシャルなおしおきを用意させていただきましたぞ!」
凛世「本当に、申し訳ございませんでした……」
凛世「ですが、うつけ者の凛世に……最後に一つだけ我儘を言わせてもらえないでしょうか……」
モノクマ「それでは張り切って参りましょう!」
凛世「叶うのなら、凛世の墓前には……紫苑の花を……」
- 114 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:49:27.82 ID:a3uHmeLX0
-
モノクマ「おしおきターイム!」
凛世「紫苑の花言葉は、『あなたを忘れない』ですから……」
- 115 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:50:45.06 ID:a3uHmeLX0
- -------------------------------------------------
GAMEOVER
モリノさんがクロにきまりました。
おしおきをかいしします。
-------------------------------------------------
- 116 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:52:29.59 ID:a3uHmeLX0
-
夜桜……この国が世界に誇る自然の芸術ですね。
人々が篝火を焚き、暖かな光が花弁を照らす。
月明かりの下散りゆく桜色の雪は、いつの時代も私たちの心を掴んで離しません。
しかし、桜の花が散りゆく中で、今にも散り行かんとする命が一つ。
白装束に身を包むのは杜野凛世。
目の前には台の上に置かれた短刀。
殺人という罪に手を染めた彼女、その幕引きは自分の手で引かねばなりません。
古くからこの国に伝わる、【切腹】という作法で。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
凛として散る花の如く
超高校級の日本舞踊家 杜野凛世 処刑執行
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
切腹とは文字通り自分の手で腹を掻っ捌く行為。
並大抵の覚悟では行えません。
____大きく息を吸う。
杜野さんの呼吸に合わせるように脇に控える見届け人モノクマたちが鼓を打ちます。
どうせ見送るなら盛大に。
太鼓を乱れ打ち、盆踊りを踊って、神楽の龍も空に舞う。
杜野さんを和の文化で盛大に見送りましょう。
- 117 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:54:36.03 ID:a3uHmeLX0
-
_____頬を汗が伝う。
もう逃げ場などありません。
杜野さんの後ろには介錯人が控えています。
下手な気を起こせば即座に首を跳ねられて終わり。
震える体、浅くなる呼吸。
ギュッと目を閉じる。
_____覚悟を、せねばなりません
短刀をその手に持った!そして刃先を自らに向け……
最後に一度、深呼吸。
さらば、現世よ!
ええい、ままよ!
杜野さんがその刃を自分の腹に突き立てようとしたその時でした。
外野の見届け人モノクマたちは盛り上がり過ぎてしまったようです。
いつのまにか酔いも回ってへべれけ状態。
おっと、危ねえ危ねえ転んじまうとこだった。
どうも暗くていけねえなあ、もっと明るくしとくれや。
〽️灯りをつけましょ爆弾に
ドカンと一発 爆殺だ
五人囃子の笛太鼓
今日は楽しい おしおきだ
あーあ、せっかく覚悟を決めたのに……
杜野さんどころか桜の木まで木っ端微塵。
風流もクソもあったもんじゃないね。
-------------------------------------------------
- 118 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:55:40.05 ID:a3uHmeLX0
-
モノクマ「ひゃっほーーーーう!エクストリーム!」
モノクマ「杜野さんみたいな物静かなインキャも、散り際ぐらいは華々しく!いやぁ、おしおきっていい文化ですね!」
智代子「……りんぜ、ちゃん」
凛世が、処刑された。
目の前で起きた凄惨で衝撃的な光景が目に焼き付いている。
彼女は死の間際、その瞬間まで裏切り者となってしまった自分のことについて責任を感じ、その想いのまま亡くなってしまった。
なんて言葉をかけるべきだったんだろうか。彼女を許してあげるべきだったんだろうか。
そこに正解なんてない。それはわかっているけど、私たちはそのループする思考を止めることができずにいた。
モノクマ「あ、そうだ!一応言っておくと【かくれんぼ】は今回の事件でもうおしまいだからね!」
モノクマ「まぁそもそも裏切り者が残ってないからそれ以前の問題なんですけどね!」
円香「……ふぅん、それ言っちゃっていいんですね」
モノクマ「別に隠すもんでもないでしょ、このコロシアイもそろそろ終盤だしね!」
めぐる「一体いつまで続けるつもりなの……?」
モノクマ「正直いつ終わってもいいっちゃいいんだけどさ……どうせならもうちょっと数を絞ろうかなーって」
灯織「……数を絞る……?」
モノクマ「それにさ、ボクは樋口さんに期待してるんだよ」
円香「……」
- 119 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:56:35.82 ID:a3uHmeLX0
-
モノクマ「いい加減見せてくれるんだよね?キミの考える【絶望計画】をさ!」
- 120 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 21:57:32.04 ID:a3uHmeLX0
-
灯織「絶望、計画……?」
モノクマ「オマエラのことを殺したくて殺したくて仕方ない樋口さんが考えた……オマエラを絶望の渦に落とし込むための計画なんだって!」
めぐる「な、なにそれ……!円香!?」
円香「……ご心配には及びません」
円香「私の方ももうすぐ準備が整いますから」
灯織「樋口さん……どういうおつもりなんですか……!?」
円香「……ふふ、焦らなくてもわかるから」
摩美々「よくこんな状況で笑えますねー……」
円香「とっくの前に宣言したはず、灯織にはね」
灯織「……!!」
円香「私は必ず誰かを殺す、その時は……もうすぐ」
愛依「そ、そんなんって……!」
円香「あなたたちの仲良しごっこも、どこまで続くのか見物ですね」
樋口さんはそうやってモノクマと二人でほくそ笑むと、また我先にと裁判場を後にしてしまった。
残されたのは凛世の死の絶望と、樋口さんの言う計画に対する不安にどっぷりと浸かってしまっている私たち。
- 121 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:00:02.58 ID:a3uHmeLX0
-
めぐる「円香……どうして、なの……咲耶と凛世の想いも円香には届かなかったの……!?」
灯織「……本格的に、樋口さんは対策を講じなくてはいけませんね」
雛菜「……」
めぐる「……これから、どうすればいいんだろう」
この合宿生活は終わらない。コロシアイは終わらない。
そして、どうしても凛世の犯行理由も気にかかる。
ここでの生活を終わらせることもまた絶望であるのならば、私たちはどこに向かっていけばいいの?
灯織「……」
めぐる「……」
摩美々「……」
もう空元気でどうにかなる話でもなかった。
前まではこんな時に率先して導いてくれた咲耶さんももういない。
……この空気は、覆らない。
そこから、何を話して、何をして、自分の部屋に戻ったのかわからない。
気が付けば私は自分の部屋のベッドに横になっていた。
もういっそ明日なんか来なければいいと思った。
生きても死んでも絶望、そんな生活ならば時計が進まないままでいい。
一生私は今だけのこの空虚な時間で、空気を吸って埃を食べて……人とも言えない状態になり果てる方がましだ。
- 122 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:00:48.49 ID:a3uHmeLX0
-
「もう……いいよ」
- 123 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:01:43.17 ID:a3uHmeLX0
- -------------------------------------------------
【???】
智代子「もう、わたしだけになっちゃった……」
智代子「樹里ちゃん、凛世ちゃん……放クラ、もうわたしだけだよ……?」
智代子「どうして、こんなことになっちゃったんだろう……」
智代子「……」カサッ
智代子「……全然、味がしないや」
智代子「みんなで一緒に食べたお菓子なのに……あんなに大好きだったお菓子なのに……」
智代子「……おいしくない」
-------------------------------------------------
- 124 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:02:31.42 ID:a3uHmeLX0
- -------------------------------------------------
【???】
愛依「凛世ちゃんと、咲耶ちゃん……二人は裏切り者だった……」
愛依「二人とも、キョーハクされて、無理やり……」
愛依「でも、それって……人質は無事ってことじゃん……」
愛依「うちらが動機で見せられたビデオの二人も……」
愛依「あさひちゃんと、冬優子ちゃんも……きっと……」
愛依「なら、うちは……うちは……」
-------------------------------------------------
- 125 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:04:18.24 ID:a3uHmeLX0
- -------------------------------------------------
【???】
摩美々「……ああ、咲耶の字じゃんこれー」
摩美々「凛世、必死にまねて書いたみたいだけどこうして比較すると全然違うし……」
摩美々「……」
摩美々「ホント、咲耶もバカだよねー……摩美々に託すには荷が重すぎますってー……」
摩美々「はぁ、摩美々は悪い子だからしっかり咲耶のお願い聞くとは限らないのにねー」
摩美々「……」
摩美々「やれるだけのことはやってみてもいいかもねー……」
-------------------------------------------------
- 126 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:05:26.52 ID:a3uHmeLX0
- -------------------------------------------------
【???】
雛菜「……雛菜が、やらないと」
雛菜「円香先輩の暴走を止められるのは、雛菜だけ」
雛菜「だって、幼馴染なんだもんね……」
雛菜「他のみんなには、円香先輩のことはきっと……わからないから」
雛菜「雛菜がみんなを守らないと……雛菜が、ケリをつけないと……」
雛菜「雛菜は雛菜のやりたいことだけをやるから」
雛菜「見てて、透先輩、小糸ちゃん」
-------------------------------------------------
- 127 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:06:22.06 ID:a3uHmeLX0
- -------------------------------------------------
【???】
円香「……ふふ」
円香「結局あの『コトキレルX』の所在を特定せずに裁判は終わった……」
円香「……やっと、透と小糸のために……私も」
円香「この時を、待ち望んでいた」
円香「煮えたぎるような、溶岩のような……そんな感情をもう押さえつける必要はない」
円香「想いに、殺意に身をゆだねて」
円香「_______ただ私は、獣になり果てる」
-------------------------------------------------
- 128 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:07:24.88 ID:a3uHmeLX0
- 【???】
「……行こう」
「わたしは灯織みたいに推理したり、難しいことを考えたりはできない」
「でも、きっとそんなわたしでも……わたしだからこそ、出来ることがあるんだよね」
「……うん、決めたよ」
「少しでも悩んだり、苦しんだり、脚を止めたりしている時間があるなら……わたしはその時間で一歩を踏み出す」
「全力で動いて、全力で抗って、全力で立ち向かうんだ……!」
- 129 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:08:37.83 ID:a3uHmeLX0
-
「それが残ったわたしにできること、なんだよね……真乃」
- 130 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:09:45.00 ID:a3uHmeLX0
- -------------------------------------------------
【CHAPTER 04 Marionetteは絶望と眠る】
END
残り生存者数 7人
To be continued...
-------------------------------------------------
- 131 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:10:57.52 ID:a3uHmeLX0
-
【CHAPTER04をクリアしました!】
【学級裁判クリア報酬としてモノクマメダル52枚を入手しました!】
【CHAPTER04クリア報酬としてアイテム『藁人形』を手に入れました!】
〔CHAPTER04を生き抜いた証。凛世がかつて想い人を投影していた人形は、解れてしまって見る影もない〕
【CHAPTER04クリア報酬としてスキル『水色感情』を習得しました!】
〔学級裁判で不正解時コトダマが減少して正解が導きやすくなる〕
- 132 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/06/08(火) 22:12:54.70 ID:a3uHmeLX0
-
というわけで4章完結したところでここまで。
いよいよストーリーは終盤も終盤、5章へと突入します。
現状5章はまだ書き溜めもないので、またしばらくの間お休みをいただきます。
一応ストーリーの終わりまでは考えてあるので、エタることの無いよう完走まで頑張る所存です。
それでは4章もお付き合いいただきありがとうございました。
また5章更新時にお会いしましょう。
- 133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/08(火) 22:15:52.01 ID:7GUyyRdW0
- 乙です
- 134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/08(火) 22:17:57.00 ID:Y76/pixg0
- お疲れ様でした
- 135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/08(火) 22:21:23.37 ID:ln/SFvEe0
- 乙です!
円香は原作2-5っぽくなりそう…
- 136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/09(水) 01:13:07.43 ID:m294cVro0
- 乙です。
円香がどう動くのか期待
- 137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/11(金) 01:14:06.25 ID:zXS+LiuU0
- 乙です。二転三転して面白かったー
クライマックス推理 act.1、灯織が裏切り者の1人って発言したからまさかと思ったけど本当に複数いるとは…
- 138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/06/12(土) 10:22:25.93 ID:5BnH461X0
- Chapter1とEX以外のタイトルはパロディ?
Chapter2→デレステ「共鳴世界の存在論」の歌詞
Chapter3→平松愛理「部屋とYシャツと私」
Chapter4→ミリシタ「Marionetteは眠らない」
- 139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/06/19(土) 00:43:31.01 ID:iESGqDgr0
- 乙です すげぇ面白くて楽しみな気持ちと放クラ担当として辛くなる気持ちで続きが気になって仕方ないです、期待してます
- 140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/30(水) 00:29:51.69 ID:fOXUMQkZ0
- 乙です pixivの方から一気読みで追いついた…
次で5章だから円香が何かやらかしそうだし、舞台設定も原作に近そうではあるけどそれだけではなさそうだし、先が楽しみだ
- 141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/30(水) 02:26:22.19 ID:VwBp/BEK0
- 一気読みした
滅茶苦茶面白いし続きも期待
- 142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/02(金) 18:18:11.97 ID:pqILlQRK0
- 続き待ってます!
- 143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/21(水) 01:28:42.56 ID:h7KIJ8D50
- 続きのんびり待っとるで〜
- 144 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/21(水) 21:04:32.62 ID:2fsxRw+e0
- -------------------------------------------------
GAMEOVER
シラセさんがクロにきまりました。
おしおきをかいしします。
-------------------------------------------------
- 145 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/21(水) 21:05:31.75 ID:2fsxRw+e0
-
さあさあ、今年も始まりました!
モノクマガールズコレクション!
全国の女子高生が注目するこのファッションショーに、なんと!ななななんと!
あの伝説的カリスマモデル、白瀬咲耶が戻ってきたァーーーーーーッ!!!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
殲夜アリア
超高校級のモデル 白瀬咲耶 処刑執行
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
流石は白瀬さん、抜群のスタイルに誰もを唸らせるクールな表情で魅せてくれますね。
ファーストルックからクールにスーツスタイルでキメッ☆
観客の女子高生たちも黄色い歓声をあげます!
- 146 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/21(水) 21:06:29.53 ID:2fsxRw+e0
-
このファッションショーは白瀬さんの独壇場、次々から次へとスタイルチェンジしては何度もランウェイへ。
赤に緑に青に黄、スパンコールにドレスにワンピース。
意匠を凝らした色鮮やかな美しい衣装に身を包み、回転寿司のレーンのように出ては入って出ては入ってを繰り返します。
過酷ですがこれがモデル業!
白鳥が水面下でバタ足をするように、華々しい世界の裏には弛まぬ努力があるのです!
白瀬さんも疲れが溜まってきてはいますが、表情は鉄仮面をつけたかのように崩しません。
ランウェイで表情を崩すのはタブー。笑うなんて持ってのほか。
それがモデルとしての義務であり矜持なのです!
しかし、芸能業界には大きな闇があります。
_______それは『嫉妬』。
堂々とライトを集めれば集めるほどそのライトの下にいない、暗中の少女たちは嫉妬の炎を燃やしてしまうのです。
- 147 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/21(水) 21:08:09.99 ID:2fsxRw+e0
-
ああ、可哀想に寸胴体系に生まれてしまったばかりにモデルモノクマはライトを浴びることはできません。
それなら嫉妬に走っても仕方ないですよね。
白瀬さんもトップモデルですしヒールに細工をされたぐらいじゃ大丈夫なはず……
……あれ?
あらら、ブッサイクに転んじゃってますね。ドレスも破けちゃってあれまあ!
そりゃ観客たちも怒り狂いますよ!
彼女たちが見たかったのはクールビューティ白瀬咲耶。こんな新喜劇みたいなのはお呼びじゃない!
白瀬さんの全身を包み込むのはランウェイのライトなんかではなく、カメラのフラッシュの好奇の光。
光の合間を縫って投げ込まれる観客からの罵声とゴミ。
埋もれるような失望に飲み込まれ、飲み込まれ……
ごみ山の中で誰にも見られることなく、
ボロ切れみたいなドレスを着たままひっそりとスーパーモデルは息を引き取りましたとさ。
- 148 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/21(水) 21:08:52.15 ID:2fsxRw+e0
-
というわけで大体一か月半ぶりですね。
- 149 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/21(水) 21:14:43.52 ID:2fsxRw+e0
-
というわけで大体一か月半ぶりですね。
久しぶりで改行の使用を忘れてShiftキーを押したまま改行してしまった……
お待たせしました、なんとか5章再開の準備ができて来たので近いうちに再開予定です。
5章書き溜めを点検などして問題なければ今週末からでも。
現状では7/22(土)21:00〜を予定しています。
物語も終盤に差し掛かります、どうかお付き合いいただければ〜!
>>138
章のタイトルでパロディするならするで
もっと早くからちゃんとアイマスになぞらえてやっときゃよかったですね…
1章とか3章とか浮きすぎている……
一応各章のタイトルは章の中身のニュアンスをふんわりと表している(つもり)
- 150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/21(水) 21:17:20.36 ID:eSBFK2LRo
- 久々に乙
- 151 : ◆zbOQ645F4s [sage saga]:2021/07/21(水) 21:51:31.11 ID:2fsxRw+e0
- >>148
滅茶苦茶ガバってますね…
× 使用 →〇 仕様
× 7/22(土)→7/24(土)
- 152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/24(土) 17:36:32.30 ID:3McXtLMe0
- たのしみ
- 153 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 20:55:20.58 ID:W2C/KaPl0
- 予定通り5章より再開いたします。
学級裁判を跨ぎ一か月以上空いたので改めて主人公周りの情報を整理しておきます。
なお、今回の更新では自由行動まで進むことはないと思うので予めご了承を。
-------------------------------------------------
【5章現在での主人公の情報】
・習得スキル
【一番星の魔法】
〔自由行動二回目終了時にモノクマメダル10枚を消費することで、その日の自由行動を一回プラスすることができる〕
【ポシェットの中には】
〔自由行動のある日に限り一日の終わりにコンマ判定を行い、末尾の数字の枚数分だけのモノクマメダルを獲得できる〕
【意地っ張りサンセット】
〔反論ショーダウン・PTAのコンマ値の基礎値が+10される〕
【包・帯・組・曲】
〔学級裁判で不正解時のペナルティを三回まで無効化する〕
【HAPPY-!NG】
〔交流による親愛度上昇が+0.5される〕
【摩的・アンチテーゼ】
〔反論ショーダウン・PTAでコンマ値の基礎値が+15される〕
【水色感情】
〔学級裁判で不正解時コトダマが減少して正解が導きやすくなる〕
・現在のモノクマメダル枚数…123枚
- 154 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 20:56:42.37 ID:W2C/KaPl0
- ・現在の所持品
【ミネラルウォーター】
【虹色の乾パン】
【色恋沙汰リング】×2
【スカラベのブローチ】×3
【あしたのグローブ】×2
【おでこのメガネ】×2
【はっぱふんどし】×2
【白うさぎの耳あて】
【もちプリのフィギュア】×2
【ラジオ君人形】
【残鉄剣】
【狂戦士の鎧】
【毛虫くん】
【昭和ラジオ】
【黄金のスペースシャトル】
【聖徳太子の地球儀】
【ミレニアム懸賞問題】
【携帯ゲーム機】
【プロジェクトゾンビ】
【動くこけし】
【オブラート】
【スモールライト】
【古代ツアーチケット】×2
【もしもFAX】
【隕石の矢】
【アゴドリル】×2
【みどりの着ぐるみ】
【あかの着ぐるみ】
【EYE GRASS】
【ジャスティスV変身ベルト】
【ログインボーナス】
- 155 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 20:58:48.16 ID:W2C/KaPl0
- 【ここまでの親愛度】
・【超高校級の飼育委員】櫻木真乃……1.0【DEAD】
・【超高校級の占い師】風野灯織……(主人公)
・【超高校級の助っ人】八宮めぐる……0
・【超高校級の保健委員】幽谷霧子……0【DEAD】
・【超高校級のモデル】白瀬咲耶……3.5【DEAD】
・【超高校級の服飾委員】田中摩美々……12.0
・【超高校級の幸運】園田智代子……3.0
・【超高校級の応援団長】西城樹里……3.0【DEAD】
・【超高校級の日本舞踊家】杜野凛世……2.0【DEAD】
・【超高校級のゲーマー】大崎甜花……3.0【DEAD】
・【超高校級のスタイリスト】大崎甘奈……1.0【DEAD】
・【超高校級のギャル】和泉愛依……2.0
・【超高校級の???】浅倉透……0【DEAD】
・【超高校級のディベート部】樋口円香……6.0
・【超高校級の帰宅部】市川雛菜……12.0
・【超高校級の学級委員】福丸小糸……12.0【DEAD】
-------------------------------------------------
以上です、それでは第5章開始いたします。
- 156 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:00:21.72 ID:W2C/KaPl0
-
___________一人目は不運に巻き込まれて。
- 157 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:02:41.65 ID:W2C/KaPl0
-
一人目は不運に巻き込まれて。
突然放り込まれた状況を理解も出来ず、ただわめくうちに仲間を手にかけてしまいました。
まさかそれが、この長い長い物語の始まりになるとも思わずに。
二人目は強さに憧れて。
強さの象徴と弱さの象徴が巡り合ったのは運命のいたずらか。
不思議と引き付けられた二人はみんなが寝静まった夜中に秘密の会合。
二人で強さを語らいます。その結果、二人は強さの倒錯を知り、本当の強き者は本当の弱き者の前に散り果てました。
三人目はエゴイズムに飲まれて。
ただ己が欲求を満たすためだけに二人もの人間を手に駆けました。
想いを同じくした二人の仲を引き裂いて、わざわざ不審者の存在を作り出してまで。
混迷で煙に巻こうとするのは人間の浅ましさか。
四人目は仲間のため。
裏切り続けた罪悪感と自己嫌悪。
自分の心に打ち込まれた楔は日を重ねるごとに大きくなり、やがて心臓もろとも突き破りました。
その結果の選択は仲間を救うと信じて、大きな決断に踏み切ったのです。
五人目は……………………
………………………
………………………
………………………
………………………
………………………
………………………
………………………
- 158 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:03:23.77 ID:W2C/KaPl0
-
………………………五人目なんか、いたか?
- 159 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:04:22.95 ID:W2C/KaPl0
- -------------------------------------------------
CHAPTER05
Die the sky.
(非)日常編
-------------------------------------------------
- 160 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:06:04.25 ID:W2C/KaPl0
-
…………
……………………
…………………………………………
…………………………………………
…………………………………………
…………………………………………
…………………………………………ダメ。
- 161 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:06:46.88 ID:W2C/KaPl0
-
灯織「……はぁ」
裁判を終えて、もう動く気力も湧かず。
樋口さんの殺意を食い止める術を考えても、答えが出るはずもなく。
思考の堂々巡りがより一層靄を濃くするばかり。
ただひたすらに夢の世界に篭りたい一心で瞳を閉じ続けてきたけどこれ以上は眠れないらしい。
灯織「……なんだか、お腹が空いたな」
動きたくもないのに、誰かと話したくもないのに。
体は私の意思とは無関係に栄養を欲する。
別に何もいらないけど、眠ることもできそうにない。
むしろ眠るためには何かを口に入れて血糖値をあげたほうがいいかもしれない。
灯織「そういえば今、何時なんだろう」
睡眠も食事もいつのまにか疎かになっていた、モノクマのアナウンスも聞いていないしこの部屋には窓一つない。
もしかしたら夜時間真っ只中なのかもしれない。
……一応、出歩きは禁止だけど。
灯織「……行こうか」
- 162 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:08:42.76 ID:W2C/KaPl0
- -------------------------------------------------
【寄宿舎エリア 廊下】
廊下に出ても人の気配はない。みんな寝ているのか、それとも学校エリアにいるのか。
……まあ、いいか。
食堂に行こう。夜時間なら閉鎖されてるだろうから、ダメだった時は倉庫かな。
-------------------------------------------------
【食堂】
ガチャガチャ
ダメ、閉まってる……
やっぱり今は夜時間なんだ。あの事件から、咲耶さんと凛世の死から数えて……何日めなんだろう。
……寝過ぎて頭痛すらする。
考えがまとまらない。
とりあえず、倉庫に行こうかな。
-------------------------------------------------
- 163 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:10:01.89 ID:W2C/KaPl0
- 【倉庫】
倉庫には生活用品以外にも豊富な食料が保管されている……小糸やチョコとの交流でも確認した通り。
お菓子でもなんでも口に入れるだけならなんとかなるだろう。
大きなあくびをしながら扉を開けた。
……何も考えずに。
愛依「……えっ?!灯織ちゃん?!」
灯織「め、愛依さん?!」
倉庫の扉を開けるとそこには蹲み込んで段ボールの箱を漁る愛依さんの背中があった。
愛依「え、ひ、灯織ちゃん大丈夫なん?!病気とかじゃ……」
私の姿を確認するなり、飛びつかんばかりの勢いで側にやってきて私の手を取った。
寝起きそのままの形で出てきてしまったのに愛依さんが顔をマジマジと見てくるのでよろけてしまった。
愛依「わ、灯織ちゃん?!やっぱチョーシ悪い系?!保健室行く?!」
灯織「い、いえ!そういうわけではないので……」
愛依「そ、そうなん?でも久しぶりに灯織ちゃんの姿見れてマジでよかった〜〜〜!うちらみんな心配してたんだかんね!」
灯織「そ、そうなんですか……?」
愛依「うん!裁判の後から部屋から出なくなっちゃったから……めぐるちゃんとか毎日部屋のインターホンも鳴らしてたと思うんだけど」
そういえば何回か部屋のインターホンが鳴らされていたような気もする。
私はそれにすら耳を閉ざしてしまっていたけれど……あれはめぐるだったんだ。
- 164 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:11:29.29 ID:W2C/KaPl0
-
愛依「ご飯とかちゃんと食べてる?!睡眠はとってる?!」
灯織「め、愛依さん……ありがとうございます、ご心配をおかけしました」
塞ぎ込んでいたのは……私だけだったみたいだ。
あれだけ周りに希望だなんだの強いて来たのに、結局足を引っ張ってしまっている。情けない限りだ。
灯織「……立ち止まってるだけじゃダメだって、みなさんに偉ぶって伝えてきたのに私が一番できてなかったですね」
愛依「灯織ちゃん……うちが言うのもおかしな話だけどさ、弱い気持ちを隠したり意地張ったりする必要って無いと思う」
灯織「愛依さん……」
愛依「うちらは友達じゃん?」
灯織「はい……すみません、友達……を裏切ってしまうような真似を……」
愛依「いや、それも違う!」
灯織「愛依さん……?」
愛依「灯織ちゃんはうちらのことを考えて考えて……その結果パンクしちゃっただけなんだから何も悪くない!自分のせいだとか考えなくてマジでいいから!」
愛依「灯織ちゃんがしょげてるなら、その分うちらが頑張る!応援するし、支えるから!」
愛依「……ね?ちょっとずつ頑張れれば、それでいいじゃん!」
愛依さんは胸を張ってそう答えた。弱り切った今の私には何より頼もしくて、なによりも嬉しい言葉だ。
ガチガチになっていた心の凝りがほぐれて、モチモチになっていくのを感じる……
私の中で大きな峠を一つ越えたんだろう。
- 165 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:12:37.08 ID:W2C/KaPl0
-
灯織「愛依さん、私がいなかった間のことを詳しく教えてもらえないでしょうか。……許されるなら、今からでも皆さんと共に前を向いて行きたいですから」
愛依「モチ!……てゆーか、もう来てもらったほうが早いかな」
灯織「……え?」
愛依「今、みんなで体育館にいるんだよね。灯織ちゃんも来てもらったほうが早いかも?」
夜時間に体育館に集まってる……?
なんのために……?
灯織「わ、わかりました……体育館、ですね」
愛依「大丈夫?一緒に行く?」
灯織「い、いえ……大丈夫です!お手数をおかけするわけには……!」
愛依「いやいや、遠慮しなくていいから!うちもどうせ行くんだし!」
灯織「あ、あの……その……」
愛依「?」
灯織「シャワー、浴びてから行ってもいいでしょうか……?」
愛依「あっ……」
- 166 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:14:03.99 ID:W2C/KaPl0
- -------------------------------------------------
【体育館】
愛依さんと一旦分かれ、シャワーを浴びてから体育館の扉を開く。
何日も扉を開けていなかった右腕にはその扉は重厚に、そして威圧感を持って感じられた。
中から差してくる光の中に見たのは……
_______モノクマを解体している皆さんの姿?!?!
めぐる「灯織〜〜〜〜〜!!」
驚くのも束の間、正面から抱きついてきためぐるで遮られる。
灯織「め、めぐる……苦しいってば……」
摩美々「お熱いですねー」
めぐる「灯織、大丈夫なの?!心配したよ〜〜!!」
灯織「ご、ごめん……めぐる、もう大丈夫だから。心配かけてごめんね」
めぐる「病気はしてない?!怪我はしてない?!」
灯織「うん、そういうのとはまた違うの……ちょっとだけ、元気がなくなってたけどもう大丈夫だから」
めぐる「本当に?!無理してない?!」
灯織「してない、してないから」
めぐるの目元には涙が携えられていて、私を抱きしめる力も強く。
感情を真正面からぶつけられたような感覚だ。その両腕からじんわりと優しいものが広がるのを感じる。
私はめぐるの頭にそっと右の掌を添えて、撫で下ろした。
- 167 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:15:29.34 ID:W2C/KaPl0
-
摩美々「ご堪能のところ申し訳ないですケド、灯織にも今の状況を説明したいんだよねー」
灯織「あ、はい!むしろこちらからお願いしたいぐらいで……このモノクマは一体?」
雛菜「あは〜?でも正直雛菜たちにもよくわかってないよね〜?」
灯織「えっ……?」
智代子「うん……凛世ちゃんの裁判が終わった後のことなんだけどね……」
摩美々「いつもと同じように、エリアの開放があってー。その探索をした後はまたいつもと変わらず生活を続けてたんだケド、今朝になって愛依がこの状態のモノクマを発見したんだよねー」
雛菜「もともとアナウンスも流れなくなってておかしいなとは思ってたんだよね〜」
愛依「うちが校内で適当に散策してるとポツンってモノクマがいてさ!マジでビビったんだよね!」
そういえば、今日は朝と晩のアナウンスを聞いてないような気がする。
モノクマがここで動かなくなっていることと無関係なわけ、ないよね……
摩美々「あ、灯織これ渡しとくねー」
灯織「え?これは……?」
摩美々「モノクマの体に入ってた爆弾だよー」
灯織「ば、ばく……?!」
摩美々「ふふー、スイッチは切ってるから大丈夫だよー」
摩美々さんのからかいを受けるのも数日ぶりだな……
それにしても爆弾がモノクマの中に……何を目的として……
- 168 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:16:42.85 ID:W2C/KaPl0
-
……いや、目的なら知ってる。
実際私も目にしたじゃないか……この学園に来た初日、樹里が単身モノクマに抵抗したあの時。
____もう、そんな樹里はこの世にはいないんだけど。
摩美々「爆弾は置いとくにしても、モノクマの体はかなり緻密な機械設計みたいだよー。詳しいことはわからないけど、運動性能は信じられないほど高いと思う」
智代子「まあ実際あのおしおきをやってるぐらいだもんね……」
灯織「開発費用なんかもかなりかかってそうですね……」
雛菜「その結果やってるのがコロシアイの強要ってわけわかんない〜〜〜!」
摩美々「……まぁ、せっかく灯織に来てもらったことだし5階の調査報告をしとこうかぁ。モノクマに関しては摩美々たちもさっぱりですしー」
灯織「……あ、助かります」
めぐる「はいはい!それじゃあわたしが灯織に教えてあげるね!灯織のために一生懸命調べたんだよ!」
灯織「めぐる……うん、ありがとう」
モノクマのことは気にかかるけど、今はそれよりみなさんに追いつくことが先だよね。
ひとまずめぐるの報告に集中しよう。
灯織「じゃあ、聴かせてもらえる?」
めぐる「うん……あのね!」
______________
__________
______
- 169 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:18:08.71 ID:W2C/KaPl0
- -------------------------------------------------
【めぐるの部屋】
キーン、コーン…カーン、コーン
モノクマ『オマエラ、おはようございます!朝です、7時になりました!起床時間ですよ〜!さぁて、今日も張り切っていきましょう〜!』
朝が来た……
凛世の事件の直後、円香の言い残した絶望計画。
それが頭から離れなくていても経ってもいられず、学校中を夜中は駆け回ってたけど円香の姿は見えず。
わたしが寝不足になっただけで終わっちゃった。
うぅ……わたしは灯織みたいに推理したりできないから、こういう時こそ力にならなきゃなのに……
ううん!だからってへこたれないよ!
諦めない限り、希望はあるって学んだから!
真乃から、みんなから受けついだ絆を果たすんだ!
とりあえずは灯織を起こすところから!
- 170 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:20:17.42 ID:W2C/KaPl0
- -------------------------------------------------
【廊下 灯織の部屋前】
めぐる「おはよーーーーーー!!灯織ーーーーーー!!」
インターホンを何度も鳴らしてるのに灯織からの反応はない。
こんなの初めてだよ……灯織はいつも早起きで、わたしと一緒に食堂に行ってるのに……
めぐる「まさか……事件が……!?」
ガチャガチャ!ガチャガチャ!
何度もドアノブを下ろすけど、内側からかけられた鍵が外れることはない。
廊下にはわたしのあくせくと漏らす声と耳障りな音だけが響く。
めぐる「灯織!!返事してーーー!!」
モノクマ「あーもう!ストップ、ストップだよ八宮さん!」
めぐる「モノクマ?!この扉を開けてくれる?!灯織が……灯織が中で……!」
モノクマ「はいはい分かった、分かったから!いったん落ち着いてみよっか!ほら、1から素数を数える!」
めぐる「そ、素数……?えっと、3.141592……」
モノクマ「それは円周率!全然違うよ、せめて自然数とか無理数とかでボケてよ!」
- 171 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:21:44.70 ID:W2C/KaPl0
-
モノクマ「とにかく落ち着いてボクの話を聞くんだ、ベイビー。いい知らせと悪い知らせ、二つある。どちらから聞きたい?」
めぐる「え……?そ、それじゃあ悪い知らせ……?」
モノクマ「今日のボクは便秘なんだ、というかここ1週間ほどずっとご無沙汰でね。今朝なんか腸の働きを促進にする薬を飲んでみたんだけ_____」
めぐる「で?!?!いい知らせって?!?!」
モノクマ「圧がすごいよ圧が……入社4年目が新卒に説教するときぐらい圧を感じるよ……」
モノクマ「風野さんは無事!何も起きてないから!だからそのドアノブガチャるのやめてくれるよね?!」
めぐる「そ、そうなんだ……」
モノクマ「まあ、メンタルが無事とは限らないけどね?今みたいにガチャガチャすると逆に彼女にとって負担になっちゃうかもしれないから」
めぐる「……!?」
モノクマ「ボクとしては鍵が摩耗するような真似はやめて欲しいってだけだから!風野さんを部屋から出したいなら別の方法でも考えるんだね!」
モノクマはわたしにそれだけ注意を伝えると何処かに行っちゃった。
灯織は昨日の事件で閉じこもっちゃったってことだよね……
これまでわたしたちを引っ張ってくれてた分、やっぱり負担をかけちゃってたんだ……
灯織、ごめんね……
めぐる「……うぅ、灯織」
ドアの向こうにはきっと落ち込んじゃってる灯織がいて……体を震わせてるかもしれない。
ギュゥって抱きしめてあげて、これまでの分もいっぱい「ありがとう」って伝えたい。
でも、それをするには遅すぎたみたい。
扉は、わたしの力じゃ開けられない。
扉に沿わせた掌が無気力にずるずると落ちていく。
めぐる「……でも、わたしは……円香を止めないと」
灯織が動けないのなら、それは今わたしの役目。
灯織の想いを、願いを引き継いで……わたしがみんなを守る!
だから、今はちょっとだけ灯織のそばを離れないといけない。
めぐる「灯織、待っててね。わたしが灯織の分まで、頑張ってくる!」
わたしは最後に灯織のネームプレートにタッチした。
- 172 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:23:05.24 ID:W2C/KaPl0
- -------------------------------------------------
【食堂】
みんなが集まったけど、やっぱり灯織はやってこなかった。円香も変わらず。
昨日の事件で二人を失っただけでなく、中心核だった灯織がいなくなったことでいつもよりも食堂はしんみりしちゃってる。
愛依「灯織ちゃん……やっぱ抱え込んでたんだね」
智代子「……灯織ちゃんに、応援の言葉をかけて欲しかったな」
雛菜「……どんよりした空気、雛菜きらい〜」
摩美々「……」
でも、だからこそ。
今はわたしが頑張らないとダメなんだ……
この嫌な空気も丸ごとギュッと抱きしめて、大丈夫にしてあげないとダメなんだ……!
めぐる「みんな、灯織がいっつもなんて言ってたか忘れてない?!」
愛依「えっ?……ひ、灯織ちゃんが言ってたこと……?」
雛菜「……絆、ですか〜?」
めぐる「雛菜正解!そう、わたしたちが大事にしなくちゃなのは絆……それは今でも変わらないよ!」
めぐる「灯織がいないからこそ、灯織との絆を大事にしないと……ダメなんじゃないかな?!」
摩美々「なんかふんわりしすぎてよくわかんないケド」
摩美々「要は『灯織がここにいれば何をしてたか』『私たちは灯織のためにも何をすべきか』ってことだよねー?」
めぐる「えっと……うん!多分!」
智代子「灯織ちゃんのために……」
愛依「……止まってる時間はないってことだよね」
雛菜「それに、円香先輩を止めないといけないですね〜」
摩美々「まあ、そんなのめぐるにわざわざ言われなくてもでしたケド」
めぐる「……ありゃ?」
摩美々「でも、摩美々のキャラ的に言いづらい話だったのでー……頑張り賞ぐらいはあげましょうかねー」
- 173 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:25:17.39 ID:W2C/KaPl0
-
モノクマ「はい!お話はまとまりましたでしょうか!」
雛菜「あ、来た〜!」
モノクマ「まあ、一応これもお約束というやつなのでアナウンスはしとくね?」
モノクマ「おめでとう!そなたたちはついに第四の壁を乗り越えた!その努力と成果を称えて新しき世界の扉を開こうではないか!」
愛依「5階……ってことだよね?」
モノクマ「そして大事なことなので、これも」
モノクマ「今そなたらの開いた扉は、この世界における最後の扉である!」
智代子「最後の……扉……?」
モノクマ「はやい話がこの学園は5階建てってこと!これ以上はもう無いってことだね!」
摩美々「……なるほどぉ」
5階が最後のフロア……ってことは、これが最後の手がかりってこと?
なら、なんとしても探索で成果を上げなきゃだよね!
モノクマ「それと合わせて、4階の学園長室も開放しておいたから探索はご自由に!」
モノクマ「きっと……オマエラの知りたい真相に近づくヒントが隠されてるはずだよ」
めぐる「……!!」
モノクマはそう言ってほくそ笑むと姿を消しちゃった。残されたわたしたちは、迷うこともなく一気にお互いを見合わせた。
摩美々「最後のフロアなら、気合入れなきゃですねー」
めぐる「うん!絶対に手がかりを見つけ出してみせるよ!」
智代子「……そうだね、頑張らないと」
愛依「おしっ!気合入れた!うちも本気で、死ぬ気で頑張るから!」
雛菜「円香先輩もきっともう探索してるよね……よし」
その一歩は力強く。
食堂を後にした。
- 174 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:26:47.81 ID:W2C/KaPl0
- -------------------------------------------------
さて、新しく開かれた五階にあるのは……武道場に植物庭園、生物室。それと教室みたい。
あとモノクマの話だと学園長室の扉も解放されたんだっけ?
灯織がいない分、いつも以上に気合を入れないと!
めぐる「よーし、がんばるぞー!」
-------------------------------------------------
【探索について】
場所指定の安価と同時にコンマを判定し、末尾の数字と同じ枚数だけモノクマメダルが獲得できます。
※めぐるの獲得したモノクマメダルがそのまま灯織の枚数に加算されます
-------------------------------------------------
めぐる「どこから探索しようかな……?」
1.学校エリア5F 武道場
2.学校エリア5F 植物庭園
3.学校エリア5F 生物室
4.学校エリア4F 学園長室
↓1
- 175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/07/24(土) 21:39:32.81 ID:K+gajc9v0
- 4
- 176 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:41:41.94 ID:W2C/KaPl0
- 4 選択
-------------------------------------------------
【学園長室】
4階の閉ざされていたはずの部屋。観音開きの重厚な扉は意外なほどにすんなりと開いた。
中はいかにもと言った感じな厳かな空間。
樫の木のデスクは威圧感を放っていて、壁にかけられた歴代の学園長の肖像画はわたしたちを睨みつける。
本当に通っている学園ではないのに、背筋をついつい正しちゃう。そんな雰囲気が漂っている。
摩美々「この部屋、ここまで隠してただけあって、結構色々あるねー」
めぐる「うん……摩美々は何か気になったものとかある?」
摩美々「とりあえずはあれかなー」
摩美々が指差した先にあったのは……ショーケース?中にはファイルホルダーといくつかの小物が見える。
摩美々はその一冊を手に取ると、わたしの目の前でパラパラとめくった。
摩美々「『コロシアイ合宿生活動機概要』……なんだか見覚えないー?」
目の前の書類には、見覚えどころか実際にわたしたち自身が経験したあの残酷な動機について手段からその狙いまで細かに記されている。
- 177 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:42:32.55 ID:W2C/KaPl0
-
めぐる『一つ目の動機は【疑心暗鬼】、あえて黒幕との接点を公開することにより必要のない疑いあいに持ち込む。お互いがお互いを信じ合えない状況下でアイドルたちは信頼をどんな形で発揮してくれるのか』
摩美々「透と真乃の事件……黒幕の目論見通り、真乃が疑心暗鬼の果てに透を手にかけた」
めぐる『二つ目の動機は【焦燥】、フェイク映像による近縁者の危機を告示する。この学園から出たいという意思を一層駆り立てた上で、真のアイドルになるための決断力を養成する』
摩美々「小糸は脱出しようと意思が強まった結果、殺害以外の方法を見つけるために樹里を頼って……事故に巻き込まれた」
めぐる『三つ目の動機は【才能】、各人の才能を伸ばすためのヒントを授ける。柔軟な思考力のもと、与えられた道具をどう活用するかに着目したい。
備考:当初の予定と異なり、コロシアイがそこまで精力的に行われなかったため一部変更。後の計画の予備実験としての役割も兼ね、被験体Aに人格の移植を行う』
摩美々「霧子はモノクマに人格を植え付けられて、自我の崩壊を起こして凶行に及んだ……」
めぐる『4つ目の動機は【犠牲】、集団としての生存のために1人を切り捨てる決断を迫る。損得勘定と個人の感情との間のすり合わせを適正化し、これから先生き残っていく上での野心を研ぎ澄ますのも狙いの一つである』
摩美々「私たちに紛れた裏切り者、咲耶と凛世はそれぞれ考えを別にして……凛世は私たちのために、咲耶を殺害した」
めぐる「ここまでのわたしたちと完全に一致してるね……」
摩美々「まぁ学園長室ってだけあってモノクマの書類なんだろうねー」
- 178 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:44:25.83 ID:W2C/KaPl0
-
めぐる「……あれ?第3の動機のところはもっと続きがあるみたいだよ?」
摩美々「……ああ、それは渡されたプレゼントの詳細についてみたい。見てみるー?」
数ページめくると、わたしたちに渡されたプレゼントが私たちの名前と才能、そしてそのプレゼントの写真付きで記されていた。
『八宮めぐる【超高校級の助っ人】ゼッケン』
『風野灯織【超高校級の占い師】水晶玉』
今生き残っているわたしたちの分は当然として、すでにあの動機が配られた段階で犠牲になっていたみんなの分も。一応用意はされていたらしい。
『櫻木真乃【超高校級の飼育委員】止まり木』
めぐる「……真乃の分」
摩美々「……ショーケースの中に入ってるケド、めぐる持って帰る?」
めぐる「うーん、流石にちょっと手で持って帰るにはおっきすぎるかな」
摩美々「……そうだねー」
『浅倉透【超高校級のカリスマ】テープレコーダー』
めぐる「あれ、透の才能ってこれ……」
摩美々「見るのは初めて……だけどある程度納得はいくよねー、カリスマってそれっぽいじゃーん」
透自身も才能のことは明かされてなかったらしいし、電子生徒手帳にも記載はなかった……
その才能が、カリスマ……
- 179 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:45:20.46 ID:W2C/KaPl0
-
『福丸小糸【超高校級の学級委員】タスキ』
摩美々「実用性のなさそうなプレゼント、私たちの中にも渡されてる人はいたけど小糸もそのパターンだったみたいだねー」
めぐる「『あんたが主役』……パーティとかで使うやつ?」
摩美々「つくづくモノクマって悪趣味だよねー」
と、亡くなった三人のリストを見た後パージをめくって……その手が止まった。
そこにあるはずの部分が、樹里の項目がまるまるバッサリと切り取られていたから。
めぐる「あれ?!樹里のページは?!」
摩美々「落丁ってわけでもなさそうだねー……もしかして、円香……?」
めぐる「えー?!もう先に来てたのー?!」
摩美々「かもね、モノクマにも円香が気に入られてるみたいだし……その程度の加担はしててもおかしくないでしょー」
めぐる「でも、なんで樹里のページが……?」
摩美々「……樹里の、プレゼント……?」
円香の行動の意図はわからないけど、今手元にない限りは諦めるしかない……
この謎は解消しようにもできない謎だ。
- 180 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:46:53.67 ID:W2C/KaPl0
- 【額縁】
学園長室の壁にはあんまり見慣れないおじいさんたちの肖像画。
うーん、下のプレートをよく見てみると……『希望ヶ峰学園歴代学園長』……?
ってことはこのおじいさんたちはみんな校長先生、だったのかな。
一番古いのは、これみたい。
『初代学園長・神座出流』……?
何て読むんだろう、『かみ、ざ、で、る』……?
人の名前、なんだよね……?
-------------------------------------------------
【コンマ判定81】
【末尾1】
【モノクマメダル1枚を手に入れました!】
1.学校エリア5F 武道場
2.学校エリア5F 植物庭園
3.学校エリア5F 生物室
↓1
- 181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/24(土) 21:48:06.64 ID:Qqvqa1iu0
- 1
- 182 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:50:55.27 ID:W2C/KaPl0
- 1 選択
-------------------------------------------------
【武道場】
これは……弓道場?
人工で植えられてる桜が綺麗、その向こうには弓道の的が並んでる。
結構な奥行きはありそうだな、練習にはちょうどいいかも?
愛依「わー……すっご、マジで和風系じゃん」
めぐる「愛依!そういえば愛依は小さい頃から書道をやってたんだっけ?」
愛依「まーね♪ばーちゃんに教えてもらって、それなりには書けるんだけどさ、なんかこの武道場の雰囲気は懐かしい感じがすんね」
めぐる「そうだね、ザ・ジャパニーズスタイルって感じがするよ!」
弓道だけじゃなく鎧甲冑や掛け軸もあるし、モノクマが意匠を凝らして作ったのかな?
……とと、何か使える手がかりを見つけないと。
愛依「この部屋で気になるのは、このロッカーぐらい?」
めぐる「ロッカー……木の札を差し込んで開閉するタイプか……」
愛依「うん、それぞれのロッカーに対応した番号の札があるから……替は効かないっぽいね」
ロッカーを一つ一つ開けてみると、その一つに書類が無造作に押し込められているのを見つけた。書面には『塔和シティ大規模暴動事件』と書いてある。
- 183 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:52:10.89 ID:W2C/KaPl0
-
めぐる「塔和シティ……?なんだろう、愛依は聞いたことある?」
愛依「いや、うちもピンとこない……どっか有名なとこなのかな?」
『この暴動は国内有数の財閥グループ、塔和グループの管理する大規模埋立居住区・東和シティで起きた子供による大人に対する反乱である』
めぐる「そもそもこの塔和グループ、って聞いたことがないんだよね……」
愛依「めっちゃ有名なカイシャみたいに書いてるけど、聞いたことなくね?」
めぐる「うん……それに子供による大人に対する反乱って……?」
『未来機関は即座に事態の沈静化のため、14支部支部長の十神白夜を中心とした部隊を派遣。その際に新開発兵器・メガホン型ハッキング銃を隊員たちには所持させた。これは新開発された兵器の実用性を試験する意味合いもあった』
愛依「み、未来機関……?なんかよくわかんない言葉ばっかで……頭こんがらがってくるんだけど?!」
めぐる「……あれ?この十神白夜って名前、どこかで……」
-------------------------------------------------
『十神財閥の御曹司も確か高校生でしたよね?彼も今年デイトレードでかなり有名になりましたが』
-------------------------------------------------
めぐる「……そうだ!あの時のテレビで見た第78期生の名前だよ!希望ヶ峰学園の新入生徒!」
愛依「確かにそうじゃん!なんか聞いたことあると思ったら!……あれ?でもだとしたらおかしくない?なんで十神って人は希望ヶ峰学園じゃなくて未来機関って方にいるの?」
そう、明らかにこれはおかしい……
わたしの知らない情報が多すぎる……
- 184 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:53:53.48 ID:W2C/KaPl0
-
『メガホン型ハッキング銃にはいくつかの機能を搭載している。
専用の特殊な弾薬を使い分けることで、電子機器類を『破壊』『燃焼』『噴出』『操作』『麻痺』などさせることができる』
めぐる「なんかすごい機械だったんだね」
愛依「てかなんでメガホン型なんだろう……普通に銃じゃダメだったん?」
めぐる「でもすごい技術だよね、銃で撃つことで機械を破壊したりできるなんて!」
愛依「ハッキングってマジすごいね!」
『未来機関とレジスタンスとの攻防は長期にわたり、多くの犠牲を伴った。都市機能は完全に停止し、生き残るために暴徒化した大人たちを新たに鎮静する必要も生じ事態は混迷を極める。その際に鎮静に一役買ったのは他でもないあの【超高校級の希望】の妹の……』
めぐる「あれ?これで終っちゃってる……」
愛依「え〜?!ここからがめちゃくちゃ気になるところじゃん!」
めぐる「この暴動がどう治ったのか、きっとモノクマにとって秘密にしたいことなんだね」
愛依「う〜ん、わっかんないね……そもそもこの超高校級の希望ってなんなん?」
めぐる「希望ヶ峰学園の生徒に、そんな称号の生徒って今までいなかったよね?」
愛依「だと思う……うちも割と毎年生徒の発表は見てたけど、聞き覚えない系」
めぐる「この情報、どこかで活きてくるのかな」
武道場で得られた情報はこれぐらい。
聞き覚えのない場所で起きた聞き覚えのない事件。それを鎮静化したのもまた聞き覚えのない組織。
これって本当にあったことなの……?
-------------------------------------------------
【コンマ判定64】
【末尾4】
【モノクマメダル4枚を手に入れました!】
【現在のモノクマメダル…128枚】
1.学校エリア5F 植物庭園
2.学校エリア5F 生物室
↓1
- 185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/24(土) 21:54:19.13 ID:aY7QKwEW0
- 1
- 186 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:57:09.97 ID:W2C/KaPl0
- 1 選択
-------------------------------------------------
【植物庭園】
すごい……入った瞬間おっきな花が目に入る。
思わず目を奪われ、近づいていくと……
モノクマ「あっぶなーーーーーい!!」
めぐる「うわぁっ?!も、モノクマ?!なになに、どうしたの?!」
モノクマ「八宮さん、迂闊に近づいちゃダメだよ!それはモノクマフラワー、雑食性の食虫植物だよ!」
めぐる「ざ、ざっしょく……?!」
モノクマ「超高校級の植物学者が開発した植物でね、プラスチックだろうと鉄だろうと人だろうと、なんでもお構いなしに溶かしちゃうんだから!」
めぐる「え、えぇ?!」
モノクマ「うおォン!さながら植物火力発電所だね!」
めぐる「そ、そんな植物あり……?」
モノクマ「まあ肝心の開発者の色葉田田田くんはそのモノクマフラワーの餌z……ゲフンゲフン」
めぐる「よ、よくわからないけど近寄ると危ないんだね……?」
モノクマ「そういうこと、まあ太陽の光が出てる時だけ活性化してそうなるんだけどさ。夜時間は静かなもんだよ」
めぐる「え?た、太陽……?でもこの学園じゃ太陽なんてどこも……」
モノクマ「今まではそうでした!が!熱い要望にお応えして!ついに!」
モノクマ「この植物庭園では人工太陽を導入しているのですーーーーー!!」
めぐる「じんこうたいよう……?」
モノクマ「紫外線を含む光を放つ、文字通りの太陽だよ!植物の生育のためには暖かい太陽光が不可欠だからね!」
確かにモノクマの言う通り、植物庭園自体は他の部屋同様窓も何もない部屋だけど天井には他の部屋とは表情の違う照明がついている。
この光が多分人工太陽ってことなんだよね。
灯りだけでも外の環境を再現してるってことなんだ……
- 187 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:58:10.49 ID:W2C/KaPl0
- -------------------------------------------------
【智代子に話しかける】
智代子「……」
めぐる「……チョコ」
チョコは咲耶の裁判で、凛世を失った。
この生活が始まった時には放クラは三人いたのに、もう2人は……
明らかにチョコの元気は無くなっている。
智代子「めぐるちゃん……ごめんね、心配してもらっちゃって。大丈夫、ちょっとだけ時間をもらえれば……立ち直れるから」
それに凛世の死を前にしてなお犯行の意思を変えようとしない円香の存在。
灯織と同じく、抱えているものは多分わたし以上……
めぐる「……」
人と人はみんな違う。似てはいても、絶対に同じものは一つとしてない。
だから不用意に踏み込むようなことをすれば、かえってチョコを傷つけちゃう。
……こんな時、真乃や灯織ならどうするのかな。
なにかわたしが、チョコのためにしてあげられることは……
- 188 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 21:59:59.63 ID:W2C/KaPl0
-
智代子「……凛世ちゃんも、わたしに裏切り者だったって話はしてくれなかったし……やっぱり頼りなかったのかな」
めぐる「……チョコ!そんな風に、自分を責めちゃダメだよ!」
智代子「……でも、私がもっとちゃんとしてたらこうはならなかったんじゃないかなって……」
めぐる「チョコ……気持ちはわかるけど、それはチョコ自身が凛世の思いを反故にしてることになるんじゃないかな」
智代子「……え?」
めぐる「凛世は、最後のその瞬間までチョコのことを想ってた。わたしたちにその真意まではわからないけど、そのために事件を起こしたんだよね?」
智代子「確かに、そう言ってたけど……それは逆に私たちが凛世ちゃんを追い詰めたことになるし……」
めぐる「ちがう!追い詰めたのはモノクマの方だよ!チョコが責任に感じることじゃ……」
智代子「……」
めぐる「それに、凛世が最後にチョコに託した言葉……えっと、断じて行えば……ええっと……」
智代子「断じて行えば鬼神もこれを避く……だった、かな。信念を強く持てば、どんな障害も乗り越えられる……そういう言葉、なんだよね」
めぐる「チョコ……」
智代子「……うん、私の中でもきっと答えはもう出てるんだ。それなのに、その一歩を踏み出す勇気を寂しさが、孤独感が邪魔しちゃってたんだ……」
智代子「ごめんね、めぐるちゃん。なんだか吹っ切れたよ!泣くのはいつでもできるけど、前を向けるのは、向くべきなのは今だけだもんね!」
めぐる「……うん、頑張ろうチョコ!一緒にこの難局を乗り越えるんだよ!そのための応援なら、いつでもわたしが頑張るから!」
智代子「えへへ、そうだね!よし、それじゃあ意気込む意味も込めて……これを!」
めぐる「……?それって?」
智代子「凛世ちゃんの好きだったお菓子、なんだかもったいなくて食べれずにいたんだけど……はむっ!」
智代子「おいひ〜〜〜!!」
智代子「よーし!力が湧いてきちゃった!ここからまた、園田智代子再始動だよ!」
チョコはまだ少しだけ不安げだけど、元気を取り戻した。
無理をしているように見えるけど、今は無理をしてでも前を向くべきだってそう感じるから……それを指摘することはできなかった。
それに、チョコの意思を何よりも尊重すべき。
わたしはその側でチョコを支えることで、答えていかないと。
- 189 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:02:29.38 ID:W2C/KaPl0
- -------------------------------------------------
【鶏小屋】
こんなところに鶏が……1、2、3、4ちょうど4羽だね。真乃がいればすごく喜んだと思うんだけど……
【倉庫】
ここには園芸用品がいっぱい詰め込まれてる。
肥料にブルーシート、芝刈り機に……ツルハシ?
ツルハシって園芸に使うのかな……?
【スプリンクラー】
入り口付近にはスプリンクラーを制御する装置。
でも管理者権限はモノクマにしかないみたい。
【毎朝7時半】に水やりをするように設定されてる。その時間に植物庭園にいると水を浴びちゃうから気をつけないとだね!
-------------------------------------------------
【コンマ判定13】
【末尾3】
【モノクマメダル3枚を獲得しました!】
【現在のモノクマメダル…131枚】
-------------------------------------------------
【残り選択肢が1つとなったので自動進行します】
【獲得モノクマメダル枚数の判定のため直下のレスでコンマ判定を行います】
↓1
- 190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/07/24(土) 22:12:47.37 ID:W/OQ59zX0
- わくわくぅ!
- 191 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:15:06.62 ID:W2C/KaPl0
- 【生物室】
5階廊下の最奥部、のっぺりとしたグレーの扉が生物室みたい。
ゆっくりとその扉を開け……開け……
めぐる「開かない!」
結局まだ全部の部屋に行けるようになったわけじゃないんだ……がっくし。
雛菜「あ〜、やっぱりそこって入れないんですね〜」
めぐる「あ、雛菜!お疲れ様、探索は進んでる?」
雛菜「ん〜、まずまずですかね〜。この部屋も中を見てみたかったんですけど、開きませんし〜」
これまでにも閉鎖されてる部屋はあったけど、なんで生物室が?
学園長室とか情報処理室とかは重要そうなのも納得がいくけど生物室ってそこまで重要にも感じないような……
雛菜「この部屋、なんだか不気味ですよね〜……最上階のこんな一番奥でまるで隠すみたいに存在してる部屋ですし」
めぐる「うん……なんだか、他の部屋とも空気感が違うよね……」
空気感が違う、その言葉は部屋の見た目から発したものだったんだけど……
どうやら当たらずも遠からずだったみたい。
雛菜「ていうか……なんだか部屋の下から冷気が漏れ出てませんか〜?」
めぐる「え?……わっ、ホントだ!なんだか寒いと思ったら!」
雛菜「この中で何やってるんですかね〜」
めぐる「うーん……検討もつかないや……」
-------------------------------------------------
【コンマ判定37】
【末尾7】
【モノクマメダル7枚を獲得しました!】
【現在のモノクマメダル…138枚】
- 192 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:17:09.37 ID:W2C/KaPl0
-
……さて、残すところはあと一つ。
入る前から異様な雰囲気を感じ取り、何故か先回し先回しにしてしまった教室。
_______意を決してその扉を開けた。
-------------------------------------------------
【教室】
めぐる「……っ!」
明らかに異様だった。
部屋に入った瞬間鼻を刺す刺激的な匂い。
それはここでの生活を送るうちに、嗅ぎ慣れてしまった匂い。
人の命を凝縮した、想いや感情を詰め込んだものが、無残にも散り果てた時の匂い。
血の匂い……人がそこで、死んだ時の匂いだった。
円香「……」
赤黒く染め上げられた教室は机や椅子も無残に破壊されており、その退廃的な光景の中心に円香は立っている。
わたしの入室に気づくと、そっとわたしの近くに寄った。
円香「……この教室にいると、思い出すでしょ?」
めぐる「お、思い出す……?」
円香「最初の事件……透も教室で、真乃に殺された」
めぐる「……っ!」
円香「……まあ、ここまでの惨状ではなかったけど。この教室はもっと遥かに凄惨な現場のようだから」
- 193 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:18:12.85 ID:W2C/KaPl0
- 円香はわたしの返答も待たずつらつらと言葉を綴る。
円香「殺人が起きたの事態は遥か前……それこそ私たちがここでの生活を始める前だったりするのかもしれないけど。それでもこの様子だと、死んだのは1人や2人じゃないんだろうね」
円香「……人の熱気を今でも感じるようじゃない?机に、椅子に、血痕に。手を触れただけで阿鼻叫喚の声が浮かび上がってくるみたい」
円香の言葉のままの想像が次々に浮かび上がり、胸のあたりがキュゥっとし始める。口のあたりに胃酸のような香りもする。
円香「でも、足りない」
めぐる「……え?」
円香「こんなものじゃ、私は満足しない。ただあなたたちを殺すだけじゃ満足しない。命を散らすだけじゃなく、そこに絶望を……生きる希望の一切を奪うだけの『最悪』をぶつける」
円香「灯織もめぐるも摩美々さんも愛依さんも智代子も……その瞳から希望の一切を失わせて見せる」
円香はその言葉とともに、私の胸に手を当てた。奥歯を噛みしめ、睨みつけ、そのドスの効いた声を上げる。
円香「その心臓を、潰す」
めぐる「……円香!」
わたしの制止に耳をかすはずもなく、円香は最悪の所信表明を下すとそのまま教室を後にした。
残されたのは地獄のような惨状となっている教室とわたし。
- 194 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:19:48.51 ID:W2C/KaPl0
-
モノクマ「ふぅ〜〜〜、樋口さんたら殺気放ちすぎだよ!怖くて出てくるタイミングを逃しちゃったじゃん!」
めぐる「わ?!モノクマ?!」
モノクマ「ボクは空気が読めるクマなので!シリアスムードの時にはROM専なんだよね!だってほら、ボクってば口を開けば口説き文句が出るじゃない?」
めぐる「よ、よくわからないけど……この教室ってなんなの?!円香が言ってたみたいに、何かの事件現場なの?!」
モノクマ「良い質問ですねぇ、全くもってその通り!」
モノクマ「この部屋は、とある凄惨な殺人事件の現場そのままなのです!死体は避けてるけど、他は一切手を加えてないそのままの形だね!」
うっ……やっぱりそうなんだ。
この匂いも、熱も……全てが本物。
これなら紛い物の方がよかったよ……
モノクマ「まあこれもオマエラの知りたがってる真実の一部だったりして?」
めぐる「えっ……それってどういう」
モノクマ「はいはい!これ以上は教えないよ!お母さんにネタバレする大人にだけはなるなって育てられたからね!」
めぐる「モノクマのお母さん……?」
モノクマ「まあ、手掛かりになりそうなものも残ってたりするし……結局オマエたち次第だよね!」
モノクマがそう言って目を向けたのは、机に突き立てられたままになっているナイフ。
あれも、その事件とやらで使われたものなのかな。
モノクマ「じゃ、頑張ってその足りない脳味噌で考えるんだね!ファイト〜〜〜!」
めぐる「……行っちゃった」
結局モノクマはまだ断片的な情報しか教えてくれない。
……この合宿生活の真実に、わたしたちは本当に近づいているんだよね……?
ひとまず、モノクマも気にかけていたあのナイフが気になるな。机に突き立てられていたナイフを引き抜く。刃渡りは10cm程度で、特殊な形状。
柄の部分にはモノクマの目元みたいな装飾。
これだけじゃ何にもわからないけど……ナイフをこのままにしておくわけにはいかない、よね。
いったんわたしで回収しておこう。
- 195 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:21:24.11 ID:W2C/KaPl0
- ------------------------------------------------
【食堂】
探索を終えたわたしたちは再度食堂に集まっていた。
目立った成果はないものの、徐々にこの学園の真相に近づくヒントが集まっていることで落胆はあまりなく、むしろ真剣な表情が並んでいる。
摩美々「この学園の全貌、少しずつ見えてきたって感じだよねー」
智代子「うん……希望ヶ峰学園、まだまだわたしたちの知らない秘密がいっぱいあったんだね!」
雛菜「というか、雛菜たちの知ってる希望ヶ峰学園と食い違う点が所々にあるような気がするんですよね〜……」
雛菜と同じ違和感をわたしも感じている。
希望ヶ峰学園の存在はずっと知っていた。日本中の憧れの学園、それは間違いないんだけど……
合宿前の記憶との矛盾も解決してないし、5階の疑問点の数々もこれと関係あるのかな……
めぐる「そうだ!探索中に円香に会ったよ!」
雛菜「……!!円香先輩は、なんて言ってました……?」
めぐる「……気持ちは変わらないみたいだよ」
愛依「……円香ちゃん、マジでうちらの誰かを殺すつもりなんかな」
智代子「め、愛依ちゃん……」
摩美々「間違いないだろうねー……」
雛菜「……」
摩美々「……でも、円香と単身交渉なんて真似はやめてよねー。誰かが相討ちなんか、そんなの望んでないので」
雛菜「……それ雛菜に言ってますー?」
摩美々「ここにいる全員だケド」
でも、これまでとは円香の話題になったときのみんなの顔は違った。
戸惑い、怯えるような顔じゃなくて……食い止めるという強い意志。
そして、それはわたしも同じ。真乃と灯織、この場にいない二人の気持ちも同じはずだから。
__________
________
______
- 196 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:22:45.22 ID:W2C/KaPl0
-
めぐる「……って感じかな!」
めぐるの報告を聞いた一通り聞き終わった私は、まずみなさんに改めて頭を下げた。
めぐる「ひ、灯織?!」
愛依「あ、謝られるようなことじゃないって!さっきも言ったじゃん?うちらは友達だから気を使わなくても……」
灯織「いえ……これは、謝罪だけでなく感謝の意味も込めた礼なので。受け取ってもらえませんか」
雛菜「灯織ちゃん、相変わらず義理堅いよね〜」
摩美々「まぁ、灯織はこうでもしないと気が済まないんだろうし気持ちは受け取ってあげようよー。お互いに負い目とか蟠りとかない状態じゃないと結束はできないしー」
灯織「……すみません」
めぐる「灯織、大丈夫!わたしたちも灯織にはずっと感謝してるんだから!」
めぐるは私の手を取ると、そのまま上体を引き起こしてみなさんを見るように顎で指示した。
めぐる「大事なのはこれから!でしょ!」
灯織「うん……」
- 197 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:24:21.12 ID:W2C/KaPl0
-
摩美々「じゃあこれからの話をしよっかー」
めぐる「うんうん!これからどうするかを決めなくっちゃだね!」
摩美々「灯織に渡した爆弾、これを使って情報処理室の扉を破壊しにいこっかー」
智代子「うん!そうだね!扉を破壊しにいこー!」
智代子「……え?!は、破壊?!」
愛依「ま、摩美々ちゃん?!そんなことしたら校則違反でおしおきされちゃうよ?!」
摩美々「コロシアイの首謀者……が操ってるモノクマが機能してない状態で誰が摩美々たちにおしおきを加えるわけー?」
灯織「……!!」
摩美々「今が絶好のチャンスだよー。円香が動いていない、こちらには灯織も帰ってきた。……脱出のためのヒントを得るための決死の作戦が今なら結構できるんじゃないー?」
愛依「た、たしかにそうかもだけど……」
めぐる「ひ、灯織……どう思う?」
灯織「え?」
めぐる「摩美々の言う通り、多分大きな意味がある作戦なんだと思うんだ。でも、灯織がやめておくべきだって思うなら……それにみんな従うよ」
ふと周りを見ると、みなさんが私のことを見つめている。
それは期待の視線ではなく、まして好奇の視線なんかでもない……信頼の視線。
一度逃げ出した私を、再び代表として迎え入れてくれる温かい視線だった。
- 198 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:25:26.39 ID:W2C/KaPl0
-
摩美々「灯織はどう思うか聴かせてもらってもいいー?」
灯織「摩美々さん……」
灯織「……」
灯織「行きましょう」
めぐる「灯織……!」
灯織「もう、逃げません。足踏みもしません。目の前に進むべき道があるのなら、それが悪路だろうと、危険な道だろうと、私は絆という指針がある限り折れはしません」
雛菜「やは〜〜〜!!」
愛依「そうだよね……やっぱ、ここまできたらもう進むしかないよね!」
智代子「……よし!わたしも一緒に行くよ!勇気と一握りのお菓子を持って!」
摩美々「ふふー、そう言ってくれると思ってたケドねー」
先程摩美々さんが私に爆弾を手渡したのは、ただのからかいだけではなかった。私に戦う覚悟があるかどうかを試したんだ。私にもう一度みなさんとの絆を背負う力があるかどうかを。
なら、それに答えないと。
恐怖なんか感じている時間が勿体無い。
前へ、前へ、前へ……!!
______行くしかないんだ……!!
- 199 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:26:04.50 ID:W2C/KaPl0
-
と、我武者羅に踏み出したのに。
__________絶望は私たちを簡単に逃そうとはしなかった。
- 200 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:27:23.69 ID:W2C/KaPl0
- -------------------------------------------------
【情報処理室前】
灯織「なん、で……」
めぐる「うぅ……」
摩美々「……最悪」
愛依「ど、どうなってんの……!?」
智代子「そ、そんなぁ……」
雛菜「……」
モノクマ「みなさんお揃いでお散歩とは健康的ですね!新しい生活様式でもやっていけそうで何より何より!」
体育館で解体されていたはずのモノクマが私たちを待ち構えていた。
体表の毛皮には僅かなほつれもなく、挙動にもなんら不自然な点はない。完全体のモノクマだ。
摩美々「ちょっとぉ……下で解体したはずなんですケド……」
モノクマ「あー、あれね!第162代モノクマことモノトトスの死は何とも痛ましいものでした……」
モノクマ「動けなくなった隙を狙って、オマエラの手でバラバラに……小学生が蝶の羽を毟るようにそれはそれはバラバラに……」
モノクマ「そうかいそうかい!オマエラはそういう奴だったんだな!」
めぐる「な、なんで?!モノクマは、黒幕はいま動けないんじゃなかったの?!」
モノクマ「はぁ……いつの話してるのさ、確かに諸事情で動けなくなった瞬間はあったし、うっかりモノトトスはそこで手放したけどさ」
モノクマ「もう用件は済んじゃったし、普通に通常制御で元どおりなんだよね!うぷぷぷぷ!」
考えてみればそうだ。モノクマは複数体、しかもこちらで把握しきれないほどの台数がいるなんてわかり切ってたことだった。
一瞬の隙があったからって、こちらの思い通りになんか進むはずなかった。
- 201 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:28:17.92 ID:W2C/KaPl0
-
モノクマ「それよりオマエラ何しに来たわけ?この部屋の扉は閉め切ってるので入室できませんが?」
摩美々「……」
モノクマ「ねえ、黙ってないで教えてよ!喋らないならその体に聞いちゃうよ?ぐへへへ」
雛菜「うわ〜……」
灯織「そ、それはその……」
摩美々「……別にぃ?雑談しながら校舎散歩してただけなのでー、もう帰りまぁす」
モノクマ「ん?そうなの?センブリ茶くらいなら出しておもてなしするけど?」
摩美々「結構でーす」
口籠る私を他所に、摩美々さんはまともな言い訳すらせずに踵を返してしまった。慌てて後を追う私たち。
灯織「ま、摩美々さん!?諦めるんですか?!」
摩美々「トーゼンでしょー?モノクマがいるんじゃ、扉を破壊なんかしても無駄死にだしー……」
めぐる「で、でも……!」
摩美々「まぁ収穫はあったし、とりあえず今は撤退でいいんじゃなーい?」
愛依「しゅ、シューカク?なんもなくない?」
戸惑う私たちに、摩美々さんは声を潜めてその答えを返した。
- 202 : ◆zbOQ645F4s [saga]:2021/07/24(土) 22:30:00.94 ID:W2C/KaPl0
-
摩美々「第一に灯織が今隠し持ってる爆弾。モノクマに対しても、円香に対しても対抗策になり得るでしょー」
灯織「……!!」
摩美々「危機に迫られた時、使い道によっては状況を打破できる可能性のある代物だよねー。流石に玄関のあの重厚な扉は破壊できなくても、他の学園内設備を破壊することは容易なはずだよー」
思わずポケットに仕舞い込んでいる爆弾を強く握り込む。
そうだ、これは私たちの今持てる最高武力。これは抑止力にも、最終兵器にもなり得る。
摩美々「そして今モノクマが言った通り、モノクマには動けない瞬間が存在するっていう事実。この事実の裏を解明することができればぁ、自然とチャンスはまたやってくるんじゃないかなー」
確かにそうだ。モノクマは先程確かに、動けない瞬間があったことを認めた。
つまり摩美々さんたちで解体していたモノクマは何らかの意図があって停止していたわけではない、イレギュラーの産物だったということ。
愛依「なんか理由があって止まってたってことなんだよね?」
智代子「食事とか、トイレとか睡眠とか?」
摩美々「そこら辺をどうやってるのかはわからないケド、これまでの生活で目立ったボロはなかったからそういう整理的な要因ではないと思うんだよねー……もっと何か、別な理由が」
灯織「そうですよね……モノクマが停止するなんてこれまでになかった事態、ですもんね」
摩美々「……この学園の外で何かが起きた、とか」
智代子「け、警察が来たのかな?!」
雛菜「だとしたら遅すぎないですか〜?そろそろ雛菜たち、一ヶ月ぐらいここで住んでると思うんですよね〜」
愛依「うーわ、そういやもうそんなになんの……?」
めぐる「うーん、でも一ヶ月経ってやっと見つかったのかもしれないし可能性はないってことじゃないよね?!」
灯織「うん……それはそうだと思う、けど」
(コロシアイが始まった当初に言っていたあの言葉……モノクマは警察を恐れてすらいない様子だった)
(だとすると、警察が来たからってモノクマが離席することもないんじゃ……)
749.86 KB Speed:0.7
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
スポンサードリンク
Check
荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)