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北条加蓮「藍子と」高森藍子「表情を見てくれるカフェで」
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17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:48:00.30 ID:NAfswMO00
>>16
1行目誤字
「離さないって言った」→「話さないって言った」
加蓮「そんなことするなら、藍子の望む酷い人間に成りきってやるからね。私」
藍子「望んでなんてないですっ」
加蓮「どーだか。思えば藍子、よく目でも口でも私にいじってーからかってーって言ってるとこあるし」
藍子「言ってません! 目は……無意識なところがあるって否定できませんけど、口で言ったことは絶対ないです!」
加蓮「そだっけ。なんか、からかってくるかと思ったら何もしてこないから調子狂う、みたいなこと言われたことあるけど」
藍子「……そ、そういえば、そんなお話をしたことも。でもそれも、加蓮ちゃんがいじわるを言ったからです」
加蓮「そんなことしたっけなー。覚えてないやー」
藍子「都合のいいところだけ覚えているのは、ズルっ」
加蓮「ホント、都合のいいとこだけしか見せないでいる大人って最悪だよねー……っと、藍子につられて私までネガティブモードに」
藍子「ネガティブだったんですか?」
加蓮「こーいう話をする私はネガティブモードかな? って、思ってみたりっ」
藍子「……あぁ、昔のお話」
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:48:33.26 ID:NAfswMO00
加蓮「認めるところは認めて、そうじゃないとこはバッサリ切り落とさなきゃ……って、これも都合のいいところだけ見せてる嫌な大人?」
藍子「じゃあ……いつもみたいに、考えを変えてみましょう。みんなに見せてあげたいところや、見せると喜ぶところを見せてあげてる、優しい人ってことで♪」
加蓮「お、調子戻ってきたね。……なんかその言い方だと、少しいやらしい感じもしちゃうけど」
藍子「へ?」
加蓮「さて、藍子のことは誰に聞いてみよっかな。藍子、誰がいいと思う? ちなみに未央と茜はパス。なんとなくね」
藍子「あの……それ、私に聞くんですか。私も、加蓮ちゃんに相談しているのに」
加蓮「その方が藍子も安心できるでしょ? まかり間違って菜々さんなんて選んだら、明日から藍子の元に大量の心配メッセージが届いちゃうよ」
藍子「…………あぁ〜……」
加蓮「ね」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:49:31.98 ID:NAfswMO00
藍子「でも、菜々さんはこういう時、とても頼りになりますよ」
加蓮「相談が終わった瞬間記憶を吹っ飛ばせる装置があれば、ね」
藍子「……志希さんや晶葉ちゃんに頼んで、作ってもらいましょうか」
加蓮「いやいいから……。そもそも他に頼むし」
藍子「菜々さん、ごめんなさいっ。今度また、別のことで相談させてもらいます」
加蓮「ふふっ、変な言い方。相談って、例えば?」
藍子「…………おいしいご飯の炊き方?」
加蓮「せめてウサミン星関係の何かにしてあげなさい……。宇宙を旅する方法とか」
藍子「でも、それを聞いたら菜々さん、きっと慌ててしまいます」
加蓮「ダメだあの人とことん相談に向いてない。ま、菜々さんだって絶対秘密にしてって言ったら大丈夫でしょ、多分」
藍子「そうですよ。菜々さんは、優しい大人なんですからっ」
加蓮「…………17歳だからね?」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:49:59.13 ID:NAfswMO00
藍子「あっ。え、えっと……今のは、こんなに優しい大人もいるんだよって、加蓮ちゃんに教えてあげたかったからで」
加蓮「Pさんがいるので間に合ってまーす」
藍子「……くすっ」
加蓮「?」
藍子「ううん。Pさんも、優しい大人ですよね……でも、この間Pさんに叱られちゃっていた加蓮ちゃんが、そう言うのが少しだけおかしくって♪」
加蓮「あれは、まぁ……。私が悪かったことだし」
藍子「そうなんですか? そういえば、あの時の原因って結局――」
加蓮「はいはい今は藍子ちゃんの相談コーナー。加蓮ちゃんのお悩み相談回はまた今度」
藍子「次回は、ゲストと司会が逆になっちゃうんですね」
加蓮「なんないわよ……って、言い切れないのが藍子だね。そして、Pさんもだ」
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:51:33.04 ID:NAfswMO00
藍子「交代した後は、どうしましょうか。新しいゲストの方に来てもらって、私と加蓮ちゃんで、お悩みを聞いてあげますか?」
加蓮「お悩み相談室かぁ。Pさんに言えば企画してもらえるかな」
藍子「たくさんのお客さんのお悩みを、解決してあげたいな……。もしかしたら、私のファンになってくださるかもっ。そうしたら、今度は握手会とか、ファンレターのお返事で別のお話をするんです。お悩みとかじゃなくて、とりとめのないお話も――」
加蓮「……うん?」
藍子「?」
加蓮「あぁ、うん。そうだね。……気が進まないけど、ここにでも相談してみよっかな」
藍子「誰に送ってみることにしたんですか?」
加蓮「ん」
藍子「……そろそろ、名前くらい呼んであげればいいのに」
加蓮「藍子の前じゃやだー」
藍子「えぇ……」
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:51:59.63 ID:NAfswMO00
……。
…………。
加蓮「とりあえず送信、っと。……そういえば、撮影とかは大丈夫なの?」
藍子「?」
加蓮「や、距離を感じるって言うならぎくしゃくしたり、気まずかったりしないかなって……。なんて、藍子の活躍を見てれば分かるか」
藍子「はい。お仕事は、いつも順調にやらせてもらっています。それどころか、最近は撮影にかかる時間や、打ち合わせの時間が短くなったくらいなんですよ」
加蓮「そうなの?」
藍子「Pさんがてきぱきとしてくださって、スタッフさんもすぐに頷いてくれるんですっ。その後で、私へしてくださる指示もとても分かりやすくて……」
藍子「あと、最近NGがほとんどなくなったような気がしますっ」
藍子「……この前、1回でOKって言われた時は、大丈夫なんですか? って、私から聞いちゃって、みなさんに笑われちゃったり……恥ずかしかったなぁ」
加蓮「ぷぷっ」
藍子「加蓮ちゃんまで〜っ」
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:52:59.08 ID:NAfswMO00
加蓮「その時の藍子、絶対きょとんとしてたんだろうなって思い浮かべたら……くくくっ。それは笑う、笑っちゃうってっ」
藍子「もう。そんなこと言うなら、この前のオフショット、見せてあげませんよ?」
加蓮「おっ、なになに?」
藍子「実は、まだ誰にも公開していない写真があるんです。……じゃん♪」
加蓮「へぇー、これが秘密の写……普通の1枚じゃない?」
藍子「そ、そうですか? ちょっとぎこちない顔になっちゃって、カメラマンさんからも、もっとリラックスしてって言われるくらいの……」
加蓮「普通に藍子が笑顔でいる写真だと思うけど……」
藍子「ちなみに、最後に決まった写真は……ええと……あった。これですよ、はい」
加蓮「……見せていいヤツなの?」
藍子「大丈夫っ」
加蓮「ならいいや。おー、確かにこっちの方がいい顔してるね!」
藍子「でしょ? って、自分で言うのはヘンなのかな……? でも私も、こっちの方がアイドルらしい自分って感じがして、好きなんです!」
加蓮「なんていうか、目の輝きとか表情が違うよね。キラキラしてるアイドルだ……」
藍子「加蓮ちゃん、Pさんと同じこと言ってる♪」
加蓮「だってそう見えるもん!」
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:53:59.60 ID:NAfswMO00
加蓮「アイドルの顔かぁ……。ふふっ、そっか……」
藍子「……あ、あの、加蓮ちゃん。さすがに、ずっと見続けられるのは、ちょっと……」
加蓮「っと、ごめんね? なんか感慨深くなっちゃって」
藍子「感慨……?」
加蓮「私って、もともとアイドルに憧れてアイドルになった身だもん」
加蓮「普段はもう意識していないっていうか、いちいち言いふらしたら軽くなって重たくなるだけだし、そのためにもできるだけ気にしないようにしてるけど……」
加蓮「言っちゃえば、最初はアイドルを見たところから始まったんだよね。だから、アイドルの煌めきを見たら……つい、色々思っちゃって」
藍子「アイドルそのものの、ファンってことですね♪」
加蓮「そう言われると……少し違うかも?」
藍子「くすっ」
加蓮「でも悔しいなー。藍子の写真を見て、そう思わせられるなんて」
藍子「む……。加蓮ちゃんから見たら、私はまだまだかもしれませんけどでもっ」
加蓮「たはは、ごめんごめん。いつもの意地っ張りだと思って?」
藍子「……それこそ、加蓮ちゃんが言うとヘンな感じがしますね」
加蓮「藍子に言われる前に言った方がムカつき度も減るかなって」
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:54:30.50 ID:NAfswMO00
加蓮「藍子ってさ――」
藍子「?」
加蓮「……ゆっくりでも良いから坂道を登り続けるって言って、結構経つじゃん。もちろん、前からアイドルだったけど……なんかすごく、アイドルらしくなったよね」
藍子「そ、そうでしょうか……。今でもまだ、ときどき自信をなくしちゃうくらいなのに」
加蓮「それはアンタが、ポジティブなのにネガティブなだけ」
藍子「うぐ」
加蓮「っていうか、普段ポジティブだからこそネガティブになった時の落差がひどいってヤツなのかもね。ま、それはいいけど」
加蓮「さっきからちょっと話す度にアイドルの考えとか、顔になってるなって思って。……みんなが距離を置いちゃうのも、そういうところがあるからじゃない?」
藍子「えっ……?」
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:54:59.43 ID:NAfswMO00
加蓮「藍子が、いつの間にかすごくアイドルらしい顔つきになったから、どう接すればいいか分からなくなっちゃった――」
加蓮「なんてことなのかもねっ。どう? パッと思いついただけだけど、意外と自信あるんだー♪」
藍子「私が、アイドルらしくなったから……」
加蓮「藍子にわかりやすく例えるなら、連休明けに急にナチュラルメイクで可愛くなったクラスメイトの顔を見た時のリアクション」
藍子「……、」
藍子「……!」
藍子「なるほど、それならわかりやすいですっ」
藍子「……え、それが私?」
加蓮「それが藍子」
藍子「……?」
加蓮「ピンと来ない?」
藍子「正直に言えば……。それに」
加蓮「それに」
藍子「私……今日、ちょっぴり怖かったんですよ。もしかしたら、加蓮ちゃんからも距離を置かれちゃうのかも? って、不安になって――」
加蓮「なんで昔の私みたいにまでなってんの、アンタは……」
藍子「それくらい、不安だったってことですから」
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:55:30.18 ID:NAfswMO00
藍子「でも、加蓮ちゃんはいつもの顔で、私の正面に座ってくれました」
藍子「さっきのお話って、加蓮ちゃんは私のことを、ほめてくれているんですよね」
藍子「……ずっと、何か悪いことをしたり、何か良くないことを言っちゃったかな、って思っていたから……」
藍子「でも、ううんっ。加蓮ちゃんの言葉が、やっと入ってきました。……うんっ♪」
加蓮「な、なんかすごく遠回りして悩んでた気がするけど……。ま、いつもの藍子の顔になってよかった」
藍子「そっか、ふふ……。私、思っていたよりもうちょっとだけ、早歩きで進めてるのかも!」
加蓮「そうそう。自己評価が低いと、自分がどこに立ってるかすら分からなくなりがちって言うからね。Pさんからの受け売りだけど」
藍子「そうなのかもしれません。Pさんにも、今の私がどれくらいか聞いてみることにしますっ」
加蓮「あ、それなら私も付き合うー。今の藍子がPさんから見てどれくらいなのか、興味あるし?」
藍子「……聞いてみるのも、任せちゃっていいですか?」
加蓮「はー?」
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:56:59.33 ID:NAfswMO00
藍子「落ち着いて考えてみたら、今の自分のすごさを聞くのって……」
加蓮「藍子はそれくらい、もうちょっと自分を認めていいと思うけど。そういう事なら貸し1つね」
藍子「今度、オススメのカフェをまた紹介しますねっ」
加蓮「それで手を打とう」キリッ
藍子「……加蓮ちゃん、口元が緩んでる」
加蓮「気のせい気のせい。……ん?」
藍子「?」
加蓮「いや、スマフォが。そういえばさっきメッセ送ったんだっけ……」
藍子「解決しちゃったので、もう忘れちゃっていましたね。なんて送られてきたんですか? 加蓮ちゃん以外の考えも、聞いてみたいな」
加蓮「……解決したし既読無視でいい?」
藍子「駄目です」
加蓮「じゃあ未読無視」
藍子「加蓮ちゃん。スマートフォン、貸して」
加蓮「ああもう、なんで私あいつに相談したの。どう考えても違うじゃん!」
藍子「相談したんだから、仕方ありませんよ。なんて返事をくださったんですか?」
加蓮「はぁ、開いてみ……どうしよう藍子。10行くらいのガチ返事が来た」
藍子「加蓮ちゃんの相談だから、仕方ありませんね……」
加蓮「藍子の相談でしょうが!」
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:57:38.98 ID:NAfswMO00
加蓮「しかも初っ端なんか私が不安がってることにされてるし……『最近大活躍だよね、ぼやぼやしてたら加蓮も負けちゃうんじゃないの?』」
加蓮「はあぁ!? 藍子、ちょっと事務所に乗り込むよ! アンタのすごさを見せつけて凹ませてやるんだから!」
藍子「あの、そういうことなら加蓮ちゃんがやった方が――」
加蓮「店員さん、会計!」
藍子「……あっ。もしかして、実際にやってみたらもっと自信につながるから……とか」
加蓮「うん?」
藍子「そういうことなら、Pさんにも今の私を見てもらいたいな……。それから、加蓮ちゃんのことも見てもらうんです。みんなで、私たちはもっと頑張れるよって、教えてあげちゃいましょう!」
加蓮「え、ちょっと待ってなんで燃えて……。さっきまで散々ネガティブだったから、ぶり返しが来たとか?」
藍子「店員さん、ごちそうさまでした。加蓮ちゃん、行きましょうっ」
加蓮「……はは。いいや、振り回されてあげよっと。でも貸し2つだからね?」
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