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北条加蓮「藍子と」高森藍子「表情を見てくれるカフェで」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:37:55.28 ID:NAfswMO00
――おしゃれなカフェ――
北条加蓮「やっほ。急に相談って……どしたの? なんか珍しいっ」
高森藍子「うん……。ありがとう、加蓮ちゃん」
加蓮「それは終わった後に言いなよー」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1614501474
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:38:30.78 ID:NAfswMO00
レンアイカフェテラスシリーズ第150話です。
<過去作一覧>
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「膝の上で」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「最初にカフェで会った時のこと」
〜中略〜
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「昼下がりのカフェで」
・高森藍子「加蓮ちゃんたちと」北条加蓮「生まれたてのカフェで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「熱量の残るカフェで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「ほどほどに賑やかなカフェで」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:38:59.03 ID:NAfswMO00
藍子「そうでしたね……」
加蓮「……?」
藍子「ううんっ。それで、相談っていうのは」
加蓮「うん」
藍子「その……」
藍子「……」
藍子「……も、もうちょっと後でもいいですか?」
加蓮「は? やだ」
藍子「うぅ、ばっさり」
加蓮「何その素人の番組構成みたいなの。CM明けすぐ! って何回も言うヤツ。私そーいうの結構嫌いなんだけど」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:39:31.68 ID:NAfswMO00
藍子「そういえば、モバP(以下「P」)さんも、同じことを言っていたような?」
加蓮「そなの?」
藍子「はい。といっても、休憩時間に見ていたテレビを、じっと見ていただけですよ」
藍子「自分が番組の担当なら、絶対こんなことしないのに」
藍子「いや……今から偉くなって、新しい風潮を作ってやれば――」
藍子「なんて、言っていました」
加蓮「へぇ、Pさんがそんなことを……」
藍子「私に聞かれている、って気がついた時には、ものすごくびっくりしていたみたい」
加蓮「藍子に気付かないくらい夢中になってたのかな。それとも、藍子が新しく暗殺者に目覚めたとか……」
藍子「そうかもしれませ……。……あ、あんさつしゃ?」
加蓮「よくマンガやゲームにいるじゃん。気配を消して忍び寄って……グサッ! みたいなキャラクター」
藍子「そうなんでしょうか。でも、私は違いますよ〜」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:39:59.12 ID:NAfswMO00
加蓮「言われてみればそうかもね。藍子は常にそこにいて、所構わずゆるふわを撒き散らし――」
藍子「もうちょっと、他の言い方にしてくださいっ」
加蓮「じゃあみんなを時間の狭間に閉じ込める魔女」
藍子「……いまいちよく分かりませんけれど、なんだか、もっとひどく言われていることは分かります」
加蓮「たははっ」
藍子「そういう、ファンタジーの世界にハマっているんですか?」
加蓮「どうだろ。っていうか、ファンタジーっていうなら藍子の方が詳しくない? ほら、かつて異世界に迷い込んだ癒やしの魔法使いさん?」
藍子「ふふ、懐かしい♪ そんなこともありましたね」
加蓮「別にハマってるとかじゃないよー。たださ、最初に浮かんだのが「泥棒」か「暗殺者」だったんだ」
藍子「どういう2択……?」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:40:30.64 ID:NAfswMO00
加蓮「いつまでも泥棒ネタばっかり引きずるのもって思って。そろそろ藍子にも、新境地みたいなのがあってもいいでしょ?」
藍子「そうですね。行き慣れた公園にお散歩に行くのも、いつもの事務所で時間を過ごすのも、私は好きです。でも……時には、知らない道を歩いてみるのもいいかも?」
加蓮「トップアイドルを目指すなら、それくらいしなきゃっ」
藍子「……トップアイドルを目指すためには、暗殺者にならなければいけないんですか?」
加蓮「…………闇に紛れてライバルを仕留めるアイドル?」
藍子「そんな怖いことしません」
加蓮「だよね……。っていうか暗殺者……ヒットマンだっけ。ならあのバカがやってるから新しくもないかぁ。何かないかな、新しいこと……」
藍子「……新しいこと探しもいいですけれど、やっぱり、近くにある幸せを見つけるのが大切ですよねっ」
加蓮「ふふっ。そっか。やっぱり藍子らしいなぁ」
藍子「あはは……」
加蓮「?」
藍子「いえ、その……。加蓮ちゃん、うしろ……」
加蓮「……あー、店員さん。やっほー。注文取りに来てくれたの? 私は――え。なんでそんな悲しそうな顔してんの……」
藍子「加蓮ちゃんが、新しいことを見つけたり、新しい場所を探すってお話をしていたから、店員さんも勘違いしちゃったのではないでしょうか」
加蓮「勘違い」
藍子「どこか、新しいカフェを見つけたのかな……って、思っちゃったのかも?」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:41:02.22 ID:NAfswMO00
加蓮「藍子が近くにある幸せを見つけたいって言ったでしょ。私もそう思うから……そういうことっ」
藍子「だそうですよ、店員さんっ」
加蓮「……誤解が解けたっぽいのはよかったけど、もともとは藍子が言い出したのに。なんか納得いかないんだけどー」
藍子「まあまあ。私は、軽く何かを食べたいから……。なににしようかな〜……?」
加蓮「サンドイッチ2人分ー。と、ハーブティーと……私は普通のお茶でいいや。よろしくねっ」
藍子「ああっ。まだ決めていないのに」
加蓮「藍子がゆっくり選んでたら、店員さんずっとここにいなくちゃいけなくなるでしょ?」
藍子「う」
加蓮「今日は他にもお客さんがいるんだし。ま、今日は加蓮ちゃんの食べたい物に付き合ってよっ」
藍子「……そういうことなら、しょうがありませんねっ」
加蓮「うんうん。しょうがないしょうがない」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:41:31.68 ID:NAfswMO00
加蓮「で」
藍子「?」
加蓮「相談とやらはどうなったの」
藍子「あっ……」
加蓮「なんか、このままいつも通り駄弁ってたらそれでいい気もしてきたんだけど……。藍子、なんか落ち込んでたっぽいし」
藍子「……やっぱり、分かっちゃうんですね。加蓮ちゃんの目にかかれば」
加蓮「私じゃなくても誰でも分かると思うけど――って言うとムカつくから……うん。加蓮ちゃんの目にかかれば、一発だよ!」
藍子「あ、あははは……」
加蓮「……せめて茶化してくれないかなぁ。今の藍子に要求した私が馬鹿だったのかもね」
加蓮「で、どしたの? 今ならほら、スマフォの電源もこの通り、落としてあげるし。藍子が誰にも言うなって言うなら絶対バラさないよ?」
藍子「加蓮ちゃん、そういうところは真面目ですよね」
加蓮「誰かさんが加蓮ちゃんのことをべらべら喋りまくるからねー。こういう時は、私がやられてるポジションをキープしとかなきゃ」
藍子「……やっぱり、加蓮ちゃんは加蓮ちゃんでした」
加蓮「最初からそうでしょ?」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:42:00.14 ID:NAfswMO00
藍子「相談なんですけれど……」
加蓮「うん」
藍子「実は……」
加蓮「ん」
藍子「……加蓮ちゃんは――」
加蓮「うん?」
藍子「加蓮ちゃんは、周りの人から、もしかしたら嫌われているのかも……とか、もしかしたら嫌がられているのかも……って思った時、どうしていますか?」
加蓮「……はい???」
藍子「…………」
加蓮「や、ちょっと待って」
藍子「だめです、答えてくださいっ」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:42:33.02 ID:NAfswMO00
加蓮「えー……。じゃあ答えるけど……嫌われてるかも、嫌がられてるかもって思った時?」
藍子「うん……」
加蓮「……私だったら距離を置くし、関わろうともしないけど」
藍子「やっぱり、そうですよね――」
加蓮「うん、そうだよね」
藍子「……、え?」
加蓮「藍子はきっと、そんな答えを望んでないよね」
藍子「っ」
加蓮「……無自覚に自分勝手なのに、変なところで優しいんだから。ま、それくらいの方が好きだけどね」
藍子「……私、どうしたらいいと思いますか?」
加蓮「んー……。とりあえず……詳しいことを教えてくれる?」
藍子「詳しいこと……」
加蓮「こういうのって勘違いだの思い込みとか、一方的な感情が積み重なってる場合が多いの。藍子を疑うとかじゃないんだけど……こういう相談を受ける時は、きっちり公平に物事を見なきゃね」
藍子「……やっぱり、加蓮ちゃんに相談して正解でした」
加蓮「うわ。相当重症」
藍子「?」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:42:59.16 ID:NAfswMO00
加蓮「ううん。ま、詳しいことはハーブティーでも飲みながらにしようよ」
藍子「あっ、店員さん。サンドイッチも、美味しそう……♪」
加蓮「……大丈夫。私がちゃんと、店員さんの大好きな藍子ちゃんの問題は解決してあげるから」
藍子「ふふ。私は、大丈夫ですよ。加蓮ちゃんとお話しているうちに……もう、心が軽くなっちゃいましたからっ」
加蓮「ね。私じゃなくても見抜けるじゃん」
藍子「うっ。そうみたいですね……。でも、楽になるだけじゃなくて、ちゃんと解決しなきゃ」
加蓮「その意気、その意気。じゃ、私は先にサンドイッチを食べてるから、詳しいことを教えてね」
藍子「……加蓮ちゃん?」
加蓮「うんっ、やっぱり美味しい! 家で食べるお母さんの卵焼きもいいけど、ここのサンドイッチの卵もホント美味しいよねー」
藍子「……そういうの、ずるいです!」
加蓮「あはははっ」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:43:30.14 ID:NAfswMO00
……。
…………。
「「ごちそうさまでした。」」
加蓮「結局普通に食べるー」
藍子「加蓮ちゃんがおいしそうに食べるから、お話するよりも先にって思っちゃうんですよ!」
加蓮「そう? ……そんなに美味しそうに食べてた?」
藍子「はい。途中で、もしかしたらカメラが入っているの? って、辺りを確認してしまうくらいには」
加蓮「なんかキョロキョロしてると思ったらそういうことだったんだ。……って、入ってるワケないじゃん。いつものカフェなんだよ?」
藍子「分かってますけれど〜……」
藍子「相談の詳しいこと、ですよね。その……。最近、なんだか色んな方と、距離が空いてしまっているように感じるんです」
加蓮「ふうん? ……色んなって、事務所の?」
藍子「ううん。事務所では、いつも通り……。みんなと写真を撮ったり、レッスンしたり。あと、学校の話もしました」
加蓮「そろそろ3学期も終わりだもんね。テストに卒業式、ちょっと早いけど来年の入学式……。学校ネタには困らないよね」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:44:28.91 ID:NAfswMO00
加蓮「事務所じゃないってことは……それこそ学校?」
藍子「ううん。学校も、少しありますけれど……」
加蓮「じゃあ、現場のスタッフとかメイクさんとか」
藍子「はい……」
加蓮「…………藍子が?」
藍子「はい」
加蓮「距離を感じる……ってことは、藍子が離れてるんじゃなくて、藍子からみんなが離れてんの?」
藍子「……気のせいかもしれません。今までのように、みなさん優しくしてくださってはいるんです。私が分からないことや、戸惑った時にも、優しく教えてくれて――」
加蓮「ん……」
藍子「でも、ふとした時……。休憩時間にお菓子を頂いた時や、調子を聞かれた時とか、メイクのできあがりを鏡でチェックする時に、なんだか少しだけ……独りだな、って感じるんです。なんでなのかは、分からないけれど……それが、相談です」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:45:05.54 ID:NAfswMO00
加蓮「んー……。ぶっちゃけ言っていい?」
藍子「はい。思った通りに、言ってください。厳しい言葉でも、覚悟はできています」
加蓮(……?)
加蓮「正直、藍子が距離を取られるのって全く想像がつかないし、なんなら普段から距離近いなーって思うくらいなんだけど」
藍子「それって……。私、加蓮ちゃんの邪魔になっていたってことですか? そう言うなら、もうちょっと離れた方がいいのかな。今日も、私から誘うのは迷惑でし――」
加蓮「あああ、もう! こら!!」ベチッ
藍子「ひゃっ」
加蓮「私も言い方悪かったけど、そんな急にネガティブにならないの! すごくやりにくいでしょっ」
藍子「ご、ごめんなさ――あ、えっと。は、はいっ」
加蓮「ったく、もう。打たれ強いんだか打たれ弱いんだか……」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:46:00.73 ID:NAfswMO00
□ ■ □ ■ □
藍子「最初は、あれ? って思って……そういう日もあるのかな、ってくらいでした」
加蓮「男の人も女性も同じ?」
藍子「う〜ん……。たぶん?」
加蓮「んー」
藍子「でも、同じように感じることが何度もあって……そのうち、気のせいではないのかもって思ったんです。そうしたら、寂しいなって思って」
加蓮「うん」
藍子「いろいろ考えているうちに、距離を置かれているような気が――」
加蓮「ホント、そーいうとこ。でもなんだろうねー……」
藍子「加蓮ちゃんは……」
加蓮「うん。私から見ても、藍子に変わったところがあるとは思えないよ。やたら落ち込み気味だし、ネガティブだなーとは思うけど、それは今回のことがあってでしょ?」
藍子「…………」コクン
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/02/28(日) 17:46:31.88 ID:NAfswMO00
加蓮「……さっきは離さないって言ったけどちょっと誰かにヘルプ出していい? もちろんダメならダメで、もっとよく考えてみるから……」
藍子「ううん。大丈夫。こういう時の加蓮ちゃんが、いたずらで言いふらしたりしないことは知ってますから」
加蓮「もちろん。そこは加蓮ちゃんだよ? 代わりに別の藍子の秘密を言いふらすだけだから♪」
藍子「…………」
加蓮「……調子狂うんですけどー」
加蓮「スマフォの電源入れて、っと。こういう時に相談できて、うっかり言いふらしたりしない相手って言えば――」
藍子「本当に、電源を切っていたんですね」
加蓮「ん? さっき見せたじゃん」
藍子「加蓮ちゃんのことだから、どこかでこっそり電源を入れていたかもしれない、って思っていました」
加蓮「……やる意味なくない?」
藍子「あ、確かに。……会話を録音するため、とか」
加蓮「そこまで酷い人間になったつもりないんだけど……。ネガティブになりすぎて、ちょっと人を酷い目で見すぎ」
藍子「……そうかもしれませんね。気をつけなきゃ」
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