【シンフォギア】少女「転生したから安価とコンマで月を破壊する」 女神「CBA」

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664 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/02/22(木) 04:53:10.34 ID:c5gblili0
皆さんも早く元の時間軸に戻りたいでしょうし、響さんの無事も気になります
それとちゃっちゃとこの時間軸を去れればお説教もキャンセル出来るかも...いえこれはあくまでおまけですが

翠「やり残したこと...あれ以降アルカノイズや荒魂が出たとかそういう目撃情報があったりとか、ありますか?」

この時間軸に思い入れがないわけではありません、それなりの期間を過ごしたわけですし
ですが、役割を終えたのであれば長居するのは私達にとってもこの時間軸にとっても良いこととは言えないでしょう
なので跡を濁さぬよう...


コンマ下
奇数 出現有り
偶数 現状無し
665 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/02/22(木) 10:49:54.22 ID:PsFt10Ip0
はい
666 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/03/06(水) 04:03:31.15 ID:LBUegDr20
翠(未来)「いいえ、それらの発生は貴女達が対処して以降確認されてませんよ」

翠「そうですか」

翠(未来)「今後出ないという保証は出来ませんがその時は別の要因で、でしょう...貴女達の時間と繋がったことによる影響はこちら側は収束に向かっているはずです」

翠「時間...時間軸、ではなく、ですか?」

翠(未来)「いいえ、だからこそ収束したんですよ」

この時間軸の私も『翠』もその言い方を、言い換えを強調しているのは薄々気付いていましたが、やはりハッキリと説明する気はなさそうですね
こうやって匂わせておいてボカすやり方はあまり好きではありませんが、そうせざるを得ない理由があることだけはハッキリしたので仕方がないと今では思えます

翠「仕方がないと思えていますが...」

翠(未来)「収穫が少ない、ですか?」

翠「まぁ、何をすれば正解なのかよくわからないままこの時間軸での生活を終えてしまいそうですからね」

翠(未来)「隠しませんね」

翠「私相手に取り繕っても恥ずかしいだけでしょう...」

いずれ辿る...かもしれない...未来のことを知れるというのはかなりの収穫だと思う人もいるでしょうが、その内容が身近であればあるほど過程を知らなければ近付くことも避けることも出来ません
それに『時間』ではなく『時間軸』であるのならなおのこと...

翠「何か助言...のようなものはありませんか?未来の私」

翠(未来)「ふむ、そうですね...過去の私に出来る助言ですか」

翠(未来)ちゃんの助言安価下
667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/06(水) 12:41:21.44 ID:Bhj0NDrS0
未来の翠ちゃん、「響さんがシェム・ハやタギツヒメに勝った以上もう身体も精神も乗っ取られる事は無いだろうけど、近くに現れる荒魂にシェム・ハやタギツヒメの意識が宿ってる可能性がある」と告げる
668 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/03/17(日) 05:44:39.98 ID:waVaCZA+0
既に異なる歴史を歩み始めているということを踏まえた上で、と前置きした未来の私は

翠(未来)「響さんがシェム・ハやタギツヒメに勝ち、主導権を奪...い切れずとも不動まで持っていけている以上、もう身体も精神も乗っ取られる事は無いでしょうけど...」

翠「そこは信じて良いんですね?」

翠(未来)「一度吹っ切れた響さんはすごいですからね、それに友奈もいますし...それはともかく」

こほんとわざとらしく咳払いをし、話を続けました

翠(未来)「ここからの戦いにおいて、近くに現れる荒魂にはシェム・ハさんやタギツヒメの意識が宿ってる可能性があります」

翠「近くに現れる...?」

翠(未来)「雑魚敵のようなものです、もっともその表現はあくまで俯瞰した見方であって厳密には尻尾切りしているだけでしょうが...いえ、あるいはもっと単純に量や面積の問題で?まぁ過ぎた話なので今更わかりませんが」

翠「私それ過ぎてない話なんですが」

しかしあの巨人響さんをどうにか元に戻すだけでは終われないことがわかったのは行幸です
シェム・ハさんが入ってる荒魂は私達が、タギツヒメが入ってる荒魂は刀使の皆さんに頼むべきでしょうか...その辺も元の時間軸に戻る時に相談しておきましょう
669 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/03/17(日) 05:45:19.31 ID:waVaCZA+0
・・・

翠「では行きましょうか!向こうではエルフナインちゃんというかキャロルちゃんが頑張ってくれてます!急ぎましょう!」

クリス「怒られたくなくて急いでるのバレてるぞ」

未来「でも、急ぎたいのは同じだよね」

今一番飛び出したいであろう未来さんが冷静であることで、私も身が引き締まる感じがしました

調「先にこの後戦いが待ってるのがわかったのは良かった」

切歌「この大所帯なら負ける気がしないのデス!」

翼「あぁ、それに私達は希望をこの目で確かめたのだ」

マリア「やってやれないことはないわ、響を助けて明日を掴むわよっ!」

こうして私達は改めて、全員で、元の時間軸へ...


コンマ下
奇数 響さん起きてる
偶数 響さん起きてない
670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/03/17(日) 11:09:55.96 ID:TbuO7XJG0
はい
671 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/04/06(土) 03:22:33.27 ID:QiMbzZWc0
・・・

大所帯ながらも誰一人欠けることなく、無事に、この世界...元の時間軸の装者の世界まで戻ってくることが出来ました
ここまでは順調です

未来「響は...止まってる?」

『翠』「巨人響さんは停止中、その周りを付かず離れず飛んでるのはエルフナインちゃん...いやキャロルちゃん?どっちも?」

翠「一応どっちものはずです」

どちらかといえば今はキャロルちゃんが主に表に出ているはずですが、シームレスに入れ替われていたのでどちらがという区別は必要ないでしょう
強いていえばどっちも、というのがやはりしっくり来ます
キャロルちゃん達は私達に気付いたのかこちらを一瞥すると、巨人響さんから距離を取り始めました

翠「巨人響さんが完全に停止したままということは、響さんが主導権を奪い返したまま眠りについている可能性が高いです、そっちの作戦でいきましょう」

未来「私と翠ちゃん達で響を起こしに行く...だよね?」

『翠』「夢の中、というより深層世界に行ってね」

外から声をかけるというやり方でも出来なくはないでしょうが、それでまかり間違ってシェム・ハさんやタギツヒメの方が目を覚ましてしまうと詰みです
内側から直接確実に響さんを起こし、表では目を覚ました響さんにシェム・ハさんの腕輪を外してもらう、これです

翠「というわけで皆さん、お願いします」

この作戦は具体的には私と『翠』と未来さんで一度それぞれ深層世界に行き、そこから響さんの深層世界へ行くというもの...つまりその間表では眠っている私達の身体が(ギアを纏っているとはいえ)無防備になってしまいます
響さんが起きるまで巨人響さんも動かず他に何も起こらないならともかく、どうやら荒魂が現れるようなので皆さんに守ってもらおうという話になりました

友奈(赤嶺)「申し訳ないけど私は戦闘に参加出来ない、ごめんね」

可奈美「大丈夫だよ!バッチリ守るから!」

夏菜「そっちで何か不足の事態が起きたら教えてください」

『翠』「頼りにしてるよ」

翠「行ってきます!」

未来「行こう!響が待ってる...!」
672 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/04/06(土) 03:23:32.77 ID:QiMbzZWc0
・・・

戦場のど真ん中...ではなく端の方で眠りについた私は、早速深層世界へ

園子「じゃあ出発なんよ!」

翠「2人も来てくれるんです?」

若葉「人手はあった方がいいからな、戦闘では手を出せないのが歯痒いが」

園子「多分ちーちゃんも来てくれるんじゃないかな、それにもしかしたら...」

しばらく深層世界を進んでいると、遠くの方に『翠』と千景ちゃん、別の方向に未来さんの姿が見えてきました
どうやら深層世界の交わるところまで来たようです

『翠』「いつもここってこんな距離なくなかった?」

千景「勝手が違うのよ、小日向さんをパーティに加えて結城さんと立花さんの深層世界に行くには樹海からではなく遠回りが必要なの」

未来「えっと...その娘達は」

園子「はい!そのこです!」

若葉「ややこしくするな!...あー、私達は助っ人だ、いや大した手助けも出来ない今は助っ人ですらないのか?」

『翠』「この娘は千景、あっちは園子と若葉、今は力を借りれないから妖精さんみたいなものと思って」

千景「は?」

未来「なるほど...?」

妖精さんて...


コンマ下
奇数 立ちはだかる影
偶数 順調に
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/06(土) 04:03:44.76 ID:n+VfXQUD0
偶数のコンマ判定こい!
674 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/04/21(日) 02:38:29.41 ID:3+MmWeBJ0
・・・

未来「いた!響っ!」

響「未来...?」

進み続けてどれ程経ったのか、ようやく響さんの深層世界までやって来られました
ここまでに何らかの障害が立ちはだかるかと身構えていましたが杞憂でしたね

響「本当に、未来だ」

未来「響!良かった...ただいま、響」

響「うん...おかえり、未来」

響さんの方も、特に問題はなさそうです

『翠』「眠ってる、なんていうからどんなもんかと思ったけど」

翠「実際ここは寝てる間のある種の夢の中ですからね、起きてはいるでしょう...しかしそれなら現実で起きられないのはいったい」

響「あ、それは...」

響さんが何かを言い終わる前に、置くの方から人影が...結城の友奈ちゃんが駆け寄ってきました

友奈「完全に閉じ込められちゃってるらしいんだよね、ここに」

翠「あーそういう...でも私達は来られましたが」

園子「来るもの拒まず去るもの逃がさず、なのかな?」

響「どうにか友奈ちゃんと一緒にシェム・ハさんとタギツヒメの拘束を解いたんだけど、そしたらどっちも居なくなっちゃって」

若葉「より範囲の広く協力な結界に捕まった、か...」

さっきまで友奈ちゃんは結界に出口がないか探し回っていたそうです
その途中私達がここに来たのを感じ取り戻ってきたとか

千景「ありがちな解決法としては結界を張った張本人を改めて倒すか、結界を破壊するか、かしら」


安価下
1 結界破壊を試みる
2 深層世界内でシェム・ハさんとタギツヒメを探す
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/21(日) 12:14:24.06 ID:JUESLIzOO
1
676 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/04/30(火) 02:58:29.11 ID:1Z3ssLBs0
若葉「探すにしても手掛かりもなければ倒せる保証もない、となれば」

翠「結界とやらを破壊して響さんに目覚めてもらうのが先ですね」

私達は響さんの深層世界の端...結界の外と内の境界線を探すため移動することに

『翠』「この場に東郷ちゃんがいないのが惜しいね、こういうのは専売特許なのに」

翠「酷い風評被害...一回だけでしょ?」

千景「他人の黒歴史を笑うと後で痛い目を見るわよ」

しばらく進んでいくと、突然周りの風景が変化しました
何もない真っ暗な空間だったのが、見覚えのある昼間の街へ

未来「えっ、外に出たの!?」

園子「ううん、まだここは深層世界の中なんよ」

パッと見は私達の元の世界そのもの...ですが建物や看板が懐かしい、あるいは私は見たことがないものになっています
つまりここは、響さんの記憶の世界

響「えへへ、何だか恥ずかしいね」

友奈「いつのどの記憶が反映されるかはランダムだから、どこが世界の端なのかも毎回変わっちゃうんだよ」

園子「実際は変わってなくても体感として同じ範囲に感じ取れないのかもしれないね」

つまるところ記憶の世界の端とは五感で認識している範囲の限界のこと
響さんが知らない部分は世界の構築がされない...と、そんな簡単な話でもなく

園子「例えば自分の真後ろは自分では見えなくても、鏡とか映像越しとか、真後ろの風景がどんなだったかっていう記憶から想像が出来る、想像出来る部分までは構築されるのが記憶の世界なんよ」

翠「極端な話、この頃の響さんが知ってる場所は再現されてるけど知らない街は存在しない、みたいなことですね?」

響「この頃...いつの記憶だろう...」


いつの記憶?安価下
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/04/30(火) 11:53:30.34 ID:0ZoL1Wtp0
全ての始まりであるツヴァイウィングのライブの日
678 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/05/13(月) 04:51:49.37 ID:19mUsutF0
私達は今いる記憶の世界の詳細な日付を把握するため、大通り...人で賑わっている場所を目指し歩き始め
そしてその目的はあっさりと、一瞬で果たされました

響「そっか...この日は」

通りに添うように建てられた電灯に設置されたホログラムの広告
そのどれもが同じ内容を宣伝しています


『ZWEI WING』


翼さんと奏さん、2人の歌姫の姿が写し出されたそれは時間経過と共に自動で表示が切り替わり、それがライブの宣伝であること、そしてこの世界の今日がライブ当日であることを周知させていました

未来「翼さんと奏さんの、ツヴァイウィングのライブ...」

響「私の、始まりの日...」

進めば進むほど人は増え、賑わい、ツヴァイウィングに関する高揚した話し声も多く聞こえてくるように
どこか見覚えがある、しかし馴染みがあるほどではないこの大通りは、現実世界の今は無き...正確には跡地ですが...あの惨劇が起きたツヴァイウィングのライブ会場へと続く道だったようです

響「うん、間違いないよ、この先にこの時間の私がいるはず」

園子「想像力は広がるし逆に狭まることもある、視野が狭くなるなんて言い方もあるけど...とにかくこの記憶の世界は印象が強いところが一番濃くて境界も曖昧になるはず」
679 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/05/13(月) 04:53:00.48 ID:19mUsutF0
『翠』「でもこの時間の響さんが知らない場所は存在してないんでしょ?そこに向かった方が外に近くない?」

園子「知らない場所には行けない、行くための道を知らないから、知らないと想像出来ないから...簡単に言うとそのやり方だと迷子になるんよ」

『翠』「じゃあやめよっか!」

ここは響さんの深層世界、迷子になっても現実の響さんが無事なら少なくともここにいるという事実は変わりませんが、そこから探し出すのは響さんが過去にたった一度見かけた物をノーヒントでいつどこでどんな物だったかを正確に思い出すくらいの難易度になるそうです

未来「ここで何かを変えても、現実には影響しないんだよね...?」

翠「えぇ、ここは記憶の世界であって現実の過去でもなければ分岐した過去の世界でもありません、全ては響さんの記憶が作り出した夢のようなもの...例えば物を動かしたりここにいる人に話しかけたりは出来るでしょうが、それが現実の現在に作用することも響さんの記憶が改竄されることもないはずです」

友奈「話しかけた相手の返答もこの深層世界の主の響さんが「この人ならこう返すだろうな」って無意識に考えたものが反映される...だよね?」

園子「そうなんよ」

未来「そう、だよね」

ふっと視線を落とす未来さん
この時間に思うところは...沢山あるでしょう
私も、もし可能なら...と思うことはいくつもあります

全てはこの日から始まった、戦姫絶唱シンフォギアという物語の最初の1ページ

その物語を否定することも、原作とは乖離してしまった元の世界の私達のこれまでも否定する気はありませんが
それでもこの日に起こることは間違いなく悲劇です
たとえ命を落とした歌姫が幽霊となって昔の話だと笑って過ごせていても
託された歌を胸に生きることを諦めなかった少女が紆余曲折の末に友や仲間に囲まれていても
680 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/05/13(月) 04:54:12.01 ID:19mUsutF0
その『昔の話』が、『紆余曲折』がここかは始まるのだから


「未来〜、今どこ?私もう会場だよ?」


その時、人混みの向こうから聞こえてきたその声は不思議とはっきりと聞き取ることが出来ました
聞き取れたのは私だけではなかったようで、私と『翠』、響さんと未来さんは思わず顔を見合わせます

未来「今の声、響だよね?」

響「うん、覚えてる、未来と電話してた時の私だ」

翠「どうします?近付きます?」


安価下
1 合流し記憶の世界の境界を探る
2 合流はせず記憶の世界の境界を探る
3 その他(記述)
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/13(月) 11:04:24.77 ID:OCz6XeBE0
2
記憶の世界でも過去を変えるような行動は控えよう
682 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/05/28(火) 05:02:54.19 ID:L6b87rHZ0
声のする方向に目を向けると、ライブ会場に続く長蛇の列の中にこの記憶の響さんの姿が見えました
ガラケーを片手に大きな声を出してしまい、若干周りから注目を集めてしまっています

園子「ダメとは言わないけど、メリットは少ないかな〜」

翠「デメリットならある、と」

園子「さっき話していた通り現実や夢の主に影響は出ない、影響が出るのは今私達が見て体験している夢の世界だけ...でもここから早く出るためには少しでもこの夢の世界、深層世界の端がどこなのかを探さなきゃいけない...夢の輪郭を大きく変えてしまうのは上手くいけば早く夢を終わらせられるけど、下手をするとより長く広くなってしまうかもしれない」

今のままでも端がどこなのかははっきりとはしていませんが、確かにそれでも推測すら出来なくなるよりは今の方がマシなのかもしれません
それとなく幼い響さんの姿を視線で追いつつ、私達はこの世界の端の探し方について今一度作戦を練ることにしました

『翠』「えっと、その『端』が実はよくわからないんだけど...」

未来「目で見える境界なの?」

園子「基本的には少し違うんよ...本人の認識している範囲の限界というのは1つは想像の限界...さっきも言った通り想像出来るものは例え正しくなくともその通りに構築されるし、想像出来ないものは構築されない、そこの境界は本人にもわからない」
683 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/05/28(火) 05:03:25.80 ID:L6b87rHZ0
園子「眠った時や意識が完全に他のものに移った時かなぁ、連想出来る意識同士や次にこれが来ると予めわかってる意識だとそうでもないかもしれないけど」

千景「結局虱潰しをしながらいつ来るかわからない時間切れを待つしかない、ということね...厄介な所に閉じ込められたものだわ」

ざっくりとわかりやすく千景ちゃんがまとめたその一言に私達は揃って肩を落としてしまいます
効果的な脱出の仕方は存在しない...いえ、だからこそシェム・ハさんはこのやり方を実行したのかもしれませんが
その時、ここまでほとんど会話に参加していなかった響さんと友奈ちゃんがより一層困った顔をして目配せしていることに気付きました

友奈「あはは...その虱潰しも私が結構やってみて失敗続きだったりするよ...」

あっ...それはそうですよね
ここまでの会話、私達はともかく響さんと友奈ちゃんはずっとここから出ようと実践してきたはずです
言われるまでもなく、やるまでもなく何が上手くいかないのかも知っているはず
あれ?でもそれなら

翠「記憶の終わりの方はどうだったんですか?この記憶以外も体験したんですよね?」

響「うん...何度か記憶の終わり...景色がガラッと変わって別の世界になるのは体験したよ」

未来「その時境界から出ようとはしなかったの?」

響「ううん、そこから本当に世界から出られるっていうのは知らなかったけど、何となくそんな気はしたから出ようとはしたんだ!したんだけど...」
684 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/05/28(火) 05:04:32.43 ID:L6b87rHZ0
友奈「その度にどこからともなく荒魂が道を塞いで来るんだよ...」

・・・

詰んだ

またしても思ったことが一致してしまった私達は、こうしていても仕方がないととりあえずこの世界の端を探すことにしました

翠「時間切れの際に道を塞ぐ荒魂は恐らくタギツヒメかそれを操るシェム・ハさんの仕業...姿を隠していながらこちらのことは監視しているということでしょうが...」

友奈ちゃんが境界となる世界の端を探している最中は出てこなかったそうですが、それはシェム・ハさんも世界の端がどこあるいはどれなのか知らないのか、正解とは程遠かったのか

『翠』「...この人数で団体行動してもアレだし、『私』は別行動するね!」

翠「へ?あっちょっと」

『翠』「端見付けたら念話するから!じゃ!」

言うが早いか突然走り出してしまう『翠』
確かに虱潰しなら別行動は効果的ですし、時間切れの場合でも恐らく戦場で再会出来るとはいえ
この状況で勝手に...こういう時に説明を省くのを私が好んでいないことは『翠』も『私』なのだからわかっているはずですが

若葉「追うか?あの様子、ただ手分けするのが目的ではなさそうだが」

翠「私なら何かしら考えあっての行動だと思いたいですが、うーん...」

千景「いいえ、そっとしておいてあげなさい」

既に動こうとしていた若葉ちゃんととりあえず追い付いてから考えようかと思っていた私を制止したのは、意外にも千景ちゃん
685 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/05/28(火) 05:05:31.37 ID:L6b87rHZ0
千景「何となく察しが付くわ、例えここが過去ではなく記憶の世界だとしても、それが自分勝手な動きだとしても、そこまで大人になれないものよ」

未来「うん...私も、わかる気がする...『翠』ちゃんのことは、多分大丈夫だよ」

千景ちゃんに続き未来さんによる援護射撃とは

翠「まぁ...後で問い詰めるので許しますか」

千景「ふふっ、貴女は大人になれるのかしら?」

翠「多くを聞かずに察したつもりになってる大人にはなるつもりがないだけですよ」


コンマ下
ゾロ目 境界発見
ゾロ目以外 時間切れ
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/05/28(火) 12:47:16.45 ID:g/qeA/4I0
ゾロ目来てくれ
687 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/06/11(火) 03:58:30.88 ID:Oj2DnIlY0
・・・

至る所...それこそ見知らぬ他人の家であろうと躊躇なくお邪魔する勢いで虱潰した私達でしたが
日が傾き始めてもこの世界の端は見付けられずにいました

未来「はぁ、暑くなってきちゃった」

響「休まず動きっぱなしだもんね」

じんわりと滲む汗を服の襟元で拭いながらその場に座り込む私達
ここまでどん詰まりだと流石に滅入ってきます

友奈「それにしても、こんなに一つの記憶がずっと続くなんて珍しいかも...いつもはもっと早く色々変わるのに」

翠「それだけこの時間の響さんが何かに熱中し続けていたということでしょうかね?」

ふと視界に入ったのは、件のこの時間の響さんがいるライブ会場
これほど熱中しているのですからあっちはさぞ盛り上がっていることでしょう

千景「それにしても本当に暑いわね、もう夕方だというのに」

若葉「あぁ、まるで真夏の昼間のようだ」

翠「確かに日差しのせいというよりは、ムシムシするというか、熱気に包まれているような暑さですね」

園子「熱気に...っ、まずいかも知れないんよ!」

突然立ち上がった園子ちゃんはライブ会場をキッと睨み付け、そのまままっすぐ走り出してしまいました

翠「園子ちゃん!?」

未来「え、走るの!?」

響「私達も行こう未来!ってあぁっ未来足速い!」

走りながら勇者服に変化していた園子ちゃんを追いながら私もアメノムラクモのギアを纏い、浮遊と走りを交えてどうにか横に並び声を投げ掛けます
688 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/06/11(火) 03:59:00.40 ID:Oj2DnIlY0
翠「どうしたんですか急に!」

園子「この季節のこの時間、こうして走って風を浴びてもなお変わらない熱気、どう考えてもおかしいんよ」

翠「それは...そうですか?」

園子「考えられる可能性は1つ、私達の精神体の感覚がこの時間の夢の主とリンクしてる」

翠「感覚が...ッ、つまりこの熱気は、周囲が熱気で包まれているのは私達じゃなく!」

園子「そう、そして確かこの後起きるのは...」

その時、視界の向こうから爆発音が響き渡ってきました
発信源はライブ会場...あの惨劇が始まった瞬間です
そして同時に、ライブ会場の周囲の景色がバグのように輪郭を不安定になり始めていて

・・・

それぞれがここに来るまでに装者、あるいは勇者の姿になっていた私達が開けた上部から会場に乗り込むと、そこにあったのは既に阿鼻叫喚の地獄絵図と化していました
観客達が我先にと出口に殺到し、所々その途中でノイズに触れられ炭化していく人達の姿もあります

友奈「見て!記憶が終わろうとしてる!このままじゃ荒魂も来るよ!」

友奈ちゃんが指差す先では空間が歪み、ちらりちらりとオレンジ色の光が何もない空間に浮かんでいました
否、浮いているのではなくあの場にいる荒魂がこちらからは一部分しか見えていないということ
こちらに出てくるのも時間の問題です
689 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/06/11(火) 03:59:38.90 ID:Oj2DnIlY0
未来「一応聞くけど、ここで死ぬとどうなるの?」

園子「運が良くて夢の主の精神と同化、けれどそのまま死んでしまう可能性が高いね、荒魂に殺されたとしてもノイズに殺されたとしても」

若葉「夢に殺される場合も、か...よもや改変がどうのとは」

千景「言ってられないでしょうね、どうせ出口は見えてることだし今更よ」

響「ノイズも荒魂も倒して、あの変になってる所...世界の端から外に出る、だよね!」

言ってる側から荒魂達は姿を完全に現し
向こうの方では丁度この時間の奏さんと翼さんがギアを纏いノイズを相手し始めたところでした

翠「行きましょう!また別の記憶の世界ではじめからやり直しなんて勘弁です!」


コンマ下
奇数 いい調子
偶数 生きるのを諦めるな
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/11(火) 10:23:07.31 ID:b1cJtLCJ0
はい
691 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/06/23(日) 04:40:02.72 ID:RcX5hpmn0
最初から心の準備が出来ていたこともあり、押し寄せる荒魂を難なく倒し着実に前へ進めている私達
記憶のノイズもせいぜい記憶の奏さん達に向かう途中どういう作用か私達の方に方向転換してくる個体がいる程度、数もたかが知れています

翠「来た時は大往生なんて思いましたが...」

ある意味数でゴリ押しな戦法が続いている今、なるべくしてなった人数だったのかもしれません

未来「ここで暴れても響の頭に影響は出ないんだよね!?」

園子「本人が知らない間に、だとわからないけど...今回は本人も認識してるから無問題なんよ」

いつもと違い周り...ライブ会場の被害も気にせずただ前に進むことだけを考えて戦い続けてきたのでふと思うところがあったらしい未来さんと園子ちゃんがそんなやり取りをしている間に、いよいよ歪みが目前に迫ってきました
すごくいい調子です

翠「よしっ、ここまで来れば...あっ」

体感にして数時間ほど街を虱潰しに散策し、続けてぶっ通しの特効
文字通り『前へ』進むことばかりに注力していた為か、ギリギリになってから思い出しました

翠「『翠』まだ帰ってきてない!?」


安価下
1 脱出優先
2 留まって念話
3 探しに引き返す
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/06/23(日) 11:45:20.64 ID:XjZ3PGOh0
2
693 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/07/12(金) 03:10:05.16 ID:mshWOlv40
今は手が離せません
とはいえこの世界に残していくのは色々と問題が...
こんなことなら別行動を取ろうとする『翠』をもっと強く留めるかせめてどこに行くつもりなのか聞き出すべきでした
とにもかくにも先に呼び出すべきですね

翠《『翠』ー!帰りますよー!?『翠』さーん!『蒼井翠』ー!ライブ会場ですよーッ!聞いてますか聞いてますよねーッ!》

無限(かどうかはわかりませんが)に湧いてくる荒魂を切り刻みながら半ば焦り気味なのが自覚出来てしまう私の念話は『翠』に


コンマ下
奇数 届いた
偶数 届いてる?
ゾロ目 届かない
694 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/07/12(金) 03:43:48.31 ID:fv6/2cyS0
はい
695 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/08/09(金) 04:50:24.83 ID:jmoZiwBm0
『天叢雲剣ノ雨』


次の瞬間、上空から降り注ぐ無数の刀が荒魂達を貫きました
一気に全体の9割程の数が削れ、歪みへの道がハッキリと切り開かれています

『翠』「待たせた分はこれでチャラかな」

どこから跳躍したのか隣に着地した『翠』
その横顔は申し訳なさを含みつつもどこか晴々としたような

翠「...ほとんど説明もせずに個人行動した分含めてまだ足りませんが、いい顔してるから許しましょう」

散々心配とやきもきをさせられただけのメリットがあったと思いたいですね
とはいえこれで心置きなくこの場を去ることが出来ます
こうしている間にも開かれた道が着実に狭まっていくのを理解していた私達は誰からともなく走り出し...


・・・


翠「...はっ!」

仰向けの状態からガバッと起き上がり周りを見渡した私は、そこが深層世界に潜る前の場所...外の世界であることを確認しました
隣に横たわっていた『翠』と未来さんも目が覚めたようで、同じように周りを見渡しています

翠「戻ってきた...響さんの夢の世界から出てこれた、ということですね」

『翠』「それどころか深層世界すっ飛ばして外まで戻ってきたね」

本来なら響さんの深層世界、そこから更に各々の深層世界に戻り外の世界に、となると思うのですが...
外部から張られた結界を破ったこと等が関係しているのでしょうか


ヴァァァァァァァ!!!!!!!


その時、巨人となった響さんが...否、そこに重なるように滲み出た人型のモヤのような何かがけたましい雄叫びを上げ、続けてパキンと音を立て砕けるように爆散
696 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/08/09(金) 04:50:56.19 ID:jmoZiwBm0
未来「響...」

そして巨人の身体もサラサラと崩壊していき、中から人...響さんの姿が現れます

未来「響ッ!」

ギアも纏わず自由落下を始める響さん
その事を理解するよりもずっと早く飛び出した未来さんはただの神獣鏡にも関わらずエクスドライブもかくやというスピードを出し
瞬く間にお姫様抱っこで受け止め

響「...えへへ、ただいま、未来」

未来「...うん、おかえり、響」

そのまま空中で強く抱き締め合っていました


コンマ下
奇数 砕けて散ってそれから
偶数 枷がなくなって
ゾロ目 両方
697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/08/09(金) 08:55:07.34 ID:eCPYNOSc0
はい
698 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/09/08(日) 05:59:13.80 ID:P74nRYyk0
私と『翠』、それに私達が深層世界にいた間ずっと表で戦ってくれていた皆さんはそれぞれ、未来さんに抱き抱えられて地上に戻ってきた響のもとに駆け寄りました
正確には駆け寄ってから、皆さんが今まで表で戦ってくれていたことを知ったわけですが

翠「やはり荒魂が」

友奈(赤嶺)「わんさか溢れて押し寄せてたよ」

未来の時間軸の私が言っていたのはこの事...なのか、もしくはさっきまで私達が響さんの深層世界で戦っていた荒魂のことか、あるいは両方ともそうなのか

友奈(赤嶺)「それより重要なのはシェム・ハのこと...腕輪は破壊出来たってことでいいんだよね?」

赤嶺ちゃんは私から響さんに視線を移しながらそう尋ねます
響さんはそれに困ったような顔を返し

響「壊した...というか、壊れたというか」

切歌「何もしてないのに壊れたってやつデスか!?」

クリス「何かしたやつだそれは」

響「そうじゃなくって!その、未来達と別れて...目が覚めて...そしたら、腕輪がパキッて真っ二つに...そして、そのまま...」

響さんが結界から出た直後シェム・ハさんの腕輪が自壊した...
ふと思い出したのは、雄叫びを挙げながら爆散した人型のモヤ
あれは依り代を失くし消滅したシェム・ハさん...だったのでしょうか

『翠』「ともあれこれで事件は全部解決!...だよね?」

翠「だといいんですけど...」
699 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/09/08(日) 06:00:12.55 ID:P74nRYyk0
・・・

あれから数日、いくつかのことが判明しました
まず響さんに取り憑きシェム・ハさんに乗っ取られたタギツヒメですが...

翠「皆さんの世界に?」

姫和「あぁ、私達の世界でそれらしき姿が目撃された、大方こっちの世界でシェム・ハが倒されたどさくさに紛れて戻ったのだろう...という見解だ」

可奈美「というわけで私達は帰るね!今度は普通に遊びに来るよ!」

こちらの世界に出現した御刀もワープゲートもS.O.N.G.が...刀使の世界では折神家が...管理したまま、すなわち2つの世界は繋がったままです
かといってそんな簡単に利用許可が降りるとは思えませんが...
しかし実際未来の時間軸でも両世界の繋がりは途絶えていませんでしたし、なるようになるでしょう

・・・

シェム・ハさんの腕輪を破壊するためにやって来ていた赤嶺ちゃんは

友奈(赤嶺)「私は元々一時的に身体を与えられただけだから...シェム・ハが倒されたからお役目はおしまい、そのうち元いた所に帰るんじゃないかな?それまではまぁ...気ままにこの世界をまわってるよ」

翠「元いた所、ですか?」

友奈(赤嶺)「そ、元いた所」

それ以上は詮索してくれるなと言われた気がします
なので、ここは深くは尋ねず笑顔で見送るのがお互いの為でしょう

響「じゃあこの辺は私が案内するよ!私だけこっちの友奈ちゃんとほとんど話したり出来てないしね!」

友奈(赤嶺)「え、いやそういう話じゃ」

響「まずはふらわーは欠かせないよね!それから...」

有無を言わさず響さんに手を引かれ本部の外に連れ出されていく赤嶺ちゃん
あの有無を言わさないムーヴは恐らくわざとでしょうし

翠「笑顔で見送るのはもう少し後になりそうですね」
700 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/09/08(日) 06:01:08.46 ID:P74nRYyk0
・・・

巨人響さん、というかシェム・ハさんによって全世界が静止していた間、その世界にいた人達もまた静止し、その精神は1つに繋がっていたらしいです
ただし調査の結果その時のことを覚えている人は確認出来ませんでした

ベル(フィーネ)「響ちゃんが強引にシェム・ハを引き剥がしたからか、シェム・ハ自身がそうなるように細工したか、あるいは響ちゃんの深層世界の結界とやらを壊した時の『世界の主である響ちゃんを除いた人数』が関係してるのか...良くない後遺症が出たという報告も上がってないのが幸いね」

翠「ですね...」

良くない後遺症は、です
逆に良い...私にとっては良いと思える後遺症の報告はありました

ベル(フィーネ)「表に出てこれるようになった凜音ちゃんも経過は良好、と言ってもずっと意識は起きていたしもう一人の自分とも対話していた、ただ自分で作ってしまった心の壁が思いの外頑丈で」

翠「固さを意識する度に克服出来てないんじゃないかと不安になり、その不安が壁をより頑丈にしていた、ですよね...凜音ちゃんと『凜音』ちゃんに聞きました」

詰まるところ、新しい人格を生み出すほど精神的に引きこもったのが初めてだったせいで勝手がわからなかったという自己解釈らしいです
その壁もシェム・ハさんの全人類に対する洗脳が行われた際に弱まり、『凜音』ちゃんが強引に破壊してしまったのだとか
シェム・ハさんの洗脳下のはずなのに動けて、響さんの深層世界の結界の破壊に近いことを...それも私達ですらあの大所帯で、裏技のような方法で成したそれを、正面からやり遂げた『凜音』ちゃん

ベル(フィーネ)「貴女と違ってあの『凜音』ちゃんは紛れもなく無から生まれた人格...根底が本来の人格を助けることに特化していて色々な制約を無視出来た...のかもしれないわね」
701 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/09/08(日) 06:02:56.21 ID:P74nRYyk0
undefined
702 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/09/08(日) 06:03:55.33 ID:P74nRYyk0
翠「フィーネさんにしてはやけにふわっとしたというか、理想論というか」

ベル(フィーネ)「恋する乙女ですもの、甘ったるくて夢見がちなことだって言うわよ、翠お姉ちゃん♪」

ここぞとばかりに、それこそ甘ったるい萌え声と称するべき声で、見た目に沿った幼女ムーヴでウインクをかますフィーネさん、もといベルちゃん
彼女のこれは別の人格ではなくフィーネさんによるベルちゃんごっこだとわかっているので私に出来るのは思わず浮かべそうになる苦笑いを堪えることだけですが

翠「こっちで活動する時はずっとそのベルちゃんのボディにするんですか?」

ベル(フィーネ)「えぇ、何かと便利よ、大抵のことは子供だからと許されるし多少のフォニックゲインも発生...発声させられるから実験には便利だし」

フィーネさんの活動範囲はほとんど本部内のみ
ししょー達がフィーネさんのいたずらややらかしに甘いのは中身がフィーネさん...了子さんだとすでに明かされているからなのと、ラスボスムーヴされるよりは痛々しい幼女ムーヴされる方がマシなのが理由だと思います
勿論それは本人には言いませんが
703 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/09/08(日) 06:04:22.18 ID:P74nRYyk0
・・・

別の世界、別の時間軸をも巻き込んだ事件は連日のように色々と対策を考え動いた割には、あっさりと終結に向かったような気がします
いえ、対策というのはあらゆる可能性を考慮するものであって、実際に起きるのは無数の可能性の中からたった1つ
それ以外の可能性の為の対策は無駄に終わること前提ではあったのですが

翠「もっとこう、大きな戦いになるのかと」

翠(未来)「そういうの、フラグになるから自重するのが私じゃないですか?」

自室のベッドに腰掛けぼんやりとこれまでを振り返っていると、音もなく未来の時間軸の私が隣に座っていました
かけている眼鏡型の装置をわざとらしくカチャカチャと上下させる未来の時間軸の私
察するに今のは、部屋の外から来たのではなく直接部屋の中に時間軸を越えて転移してきた故の動きということでしょう

翠「その装置、他にもあったんですね」

同じ装置...未来の時間軸の『翠』に渡されたものは未だ返すこともなく、私の机の上に置かれています
というのも、あの日以来どういうわけか起動しなくなってしまったから
私や他の皆さんと共にこちらの時間軸に来たときの時空の歪みは消えてしまった為、返しようがなかったから


何か話す?安価下
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/09/08(日) 10:49:36.77 ID:Sedirtje0
シェム・ハは本当にこれで終わりなのか、8年後の世界に飛んでくる翠ちゃん達の為に今からでも何か準備をするべきか、未来の翠ちゃんに聞いてみる
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/09/18(水) 14:26:26.47 ID:IeKWH8ie0
今の翠ちゃんが気にしてる二つの事について
・未来の世界だとノーブルレッドは解放されてるけど大丈夫?(ティキがデュランダルを持ってたのを思い出しながら)
・キャロルちゃんがエルフナインの記憶から記念品の花の秘密を知った事
706 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/10/20(日) 06:52:59.49 ID:CnMga0hC0
翠「フラグを自重するのが私というのならあえて聞かないなんてことはせず聞くだけ聞くのも私です、なので単刀直入に聞きます...シェム・ハさんの件、本当にこれで全て終わったんですか?」

わざわざ用もないのに遊びに...は来るかもしれませんが私の場合そうならそうと言いますし、隣に座ったということはそれなりに話す時間はあるということ
話す時間があるということは、この場で話せることや話したいことがあるということ
相手が自分だからこそその行動の一つ一つの意味がわかります

翠(未来)「私の行動の一つ一つの意味がわかります、なんて思っているでしょう」

翠「まさしくそうでしたが」

翠(未来)「そこで照れや戸惑い的な反応すらしないのも相手が自分...『翠』ですらなく私だから、等と言い始めれば話が逸れますね」

こほんと咳払いをし、未来の私は装置を外し手元で遊ばせながら続けます

翠(未来)「結論から言えばわかりません、どこまでいっても推測は推測、この世は必然の他に偶然や運命、奇跡なんてものもゴロゴロしていますから」

翠「けれどその当たらないかもしれない推測を聞こうとしている、というのもわかってますよね」

翠(未来)「まぁ...けれど本当にあてになりませんよ?あてにならないように動いたんですからそうでないと困ります」
707 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/10/20(日) 06:53:48.75 ID:CnMga0hC0
未来の私にとって今の私にこれから起こる出来事は未来の私が経験済みの出来事...かと問われればそうではありません
薄々気付いてはいましたが、それは意図的に未来の翠や未来の『翠』が...あるいは他にも協力者がいたかもしれませんが...そうなるように私達を誘導した結果です

翠「『時間』と『時間軸』」

翠(未来)「あえてこれ以上ないほどわかりやすく与えたヒントは当然わかっていますね」

翠「貴女や未来の『翠』が『時間』と言っていたタイミングまでは今と貴女達の未来が同一の時間軸になる可能性があった、『時間軸』と言い始めたタイミングからは別の時間軸に変わった...そういうことですよね?」

何が決め手だったのかまではわかりません、しかし未来の私や未来の『翠』が私達に出した指示のいずれかが明確に私の時間軸と未来の私の時間軸とを分岐させた
それが正解であると示すように未来の私は首を縦に振りました

翠(未来)「私達は決して特別ではありません、改変を改変と認識出来ていたとして、全ての改変を認識出来たと言い切ることは出来ませんからね、認識出来ない改変はそもそも覚えていられないわけですし」

翠「AIさんは?」

翠(未来)「こういう言い方は失礼ですけど意図的に書き換えることは不可能ではないので...それすらブラックボックスに隔離して防ぐのかもしれませんが結局確認することは出来ませんし...とまぁお察しの通り私達は認識出来る範囲で時間軸の分離を確認する必要があったわけです」
708 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/10/20(日) 06:54:48.81 ID:CnMga0hC0
つまり、未来の私の視点では今回の件において無事時間軸は分岐し、その為私の時間軸の未来については未知である、と

翠「そもそもどうして時間軸を分岐させる必要があったんですか?見た限り多少バタバタはしてましたがどうしても避けさせたい未来の世界になってるようには見えませんでしたが」

翠(未来)「自分が行方不明になってるのを多少バタバタで済ませるのもどうかと」

翠「だってそれこそどうせ時間軸を分岐させる為に色々根回しした結果の行方不明でしょう?」

時間軸を分岐させようとしなければ行方不明になんてならなかったはず...というのは完全に想像ですが、否定されないので図星だったのでしょう
神の力を内包したノイズを人知れず倒していたとも前に言っていましたが、恐らくそれも根回しの一つということでしょうか

翠(未来)「けれど私ならわかるでしょう?必要だから時間軸を分岐させた、それは決して貴女達の為だけではない、と」

翠「まぁ...そうですね」

私は例えば何か失敗して、自分の現在は変わらないが過去を分岐させて失敗しなかった時間軸を生み出せるという場面に立ち会った時
自分の苦しみは変わらないけれど苦しんでいない自分がどこかにいると知っているから心が救われた!なんて殊勝な考えは出来ません
失敗しなかった時間軸が生まれたことは喜ばしいですがそれはそれとして自分の失敗も巻き返したいと思ってしまいます
という考え方が未来の私にもあるとすれば

翠「時間軸を分岐させたのは、貴女達の未来を良くする為でもあった...と?」

翠(未来)「そこで最初の疑問に繋がるわけですよ...シェム・ハさんの件は本当にこれで全て終わったのか、と」
709 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/10/20(日) 06:55:45.35 ID:CnMga0hC0
・・・

ある時世界中...恐らく人類が認識出来る範囲においては宇宙も含め...至るところで神の存在が不安定になりました

神を五感で認識出来る人間にとっては感覚が、知識として知っている人間にとっては記憶が、神自身にとっては自らを構成する全てが

その際いわゆる怪異だとか霊だとか宇宙人だとか、そういったオカルトと括られるようなものにまで少なからず同じような現象が起きていたのは人によって神の定義が曖昧だったからかもしれませんが置いておくとして
とにもかくにも神の存在が不安定になったとしか言い様がない現象が突如として起きたわけです
これは何も宗教云々の話ではなく、神が神であると忘れてしまうような...えぇそうですね、常識改変とかそういう言い方も出来るかもしれません

こうなった理由は明白で、未来の時間から戻った私達はシェム・ハさんを倒す際に錬金術を用いたんです

『人の概念以外の不純物を神と定めて分解する』

対象は巨人と化した響さん
この錬金術は問題なく発動し巨人からシェム・ハさんもタギツヒメも消し去り響さんを救い出しました
しかしシェム・ハさんが世界中の人達と意識を共有していたことが仇となり、不完全ながらも錬金術の効果範囲が響さんと術を発動させていた私達以外の全人類にも広がってしまっていたのです

神が存在しなければ神の力も存在しない

術の対象から外れていた私達は不安定になった神の存在もこの事象そのものも認識出来ていましたが、不完全だったからかあるいは同調圧力のような意思の力が働いたのかあるいは人間の精神、霊体が変質したのか、私達にも少しずつ術の効果が出始めていました
710 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/10/20(日) 06:56:37.12 ID:CnMga0hC0
『神の存在を元に戻すには、分解した神の定義を再構築する』

紆余曲折の末シンプルな結論を出した私達...もはやまともに神の存在を覚えていられたのは私と『翠』だけでしたが...は分解した神の定義を、すなわち神の力を集め始めます
しかし如何に神の力といえど定義を分解されては私達人類が認識出来る状態で残り続けることは容易ではなかったのか、認識出来ない形に変化してしまったのか
神の力を神の力として維持していた一部のノイズ等は特殊な例で、大部分の神の力は地球上から確認することが出来なくなっていました

ならばどうするか

「そうだ、神の定義が分解されていない世界から分けてもらおう」


・・・

翠(未来)「そういうわけで、この時間軸で倒され爆発四散したシェム・ハさんだったものは私の時間軸で再利用されています」

翠「何かそれは...大丈夫なんですか!?色々と!?」

気にはなっていたんです未来の時間軸について神の存在が不安定云々が結局どうにも出来なかったことは
でもそれはいずれ私も辿る道で、その時自力で解決出来たらなぁと、そういうのだと

翠(未来)「倫理的にはちょっとアレですけどそういうのを気にしすぎないのも私でしょう?」

翠「そうですけれども!」

翠(未来)「この時代だとこういうのSDGsとか言うんでしたっけ?もう少し先の時代でしたっけ?まぁとにかくリサイクルですよ」

翠「いやっうーん...」
711 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/10/20(日) 06:57:29.62 ID:CnMga0hC0
敵とはいえ手を伸ばしたい分かり合いたい、という響さんのようなことは言いませんが、とはいえなんとも言えない気持ちになります
ラスボスを倒して食材にして料理にしたどころか材料にしてホムンクルス作ったようなものです

翠(未来)「とまぁ冗談はこれくらいにして」

翠「冗談...?」

翠(未来)「いえいえほとんど本当ですよ?こっちで倒されたシェム・ハさんの定義も神の力もエネルギーも全てあの日繋いだ時空の歪みを通じて私の時間軸で回収、神の定義の再構築も無事成功しました、ただ...精神というのは面白いもので、いわゆる精神体とか霊体とかを構築するのもまた神の力だと思っていたんですが、シェム・ハさんの人格そのものは神の力とは別に存在していたんですよ」

翠「どういう...?」

翠(未来)「それこそ意思の力は物理とは違ったたころにあるのかもしれませんね」

えーっと、幽霊が成仏したっぽい演出したのに後で普通に復活した的なことでしょうか
定義は肉体やら魂やらがなくなっても消えないという

翠(未来)「認識出来ないだけでそこに在り続けるらしく...いえまた話が逸れてますね、つまり」

未来の私はバッと仰々しく両手を広げ天を仰ぎ

翠(未来)「シェム・ハさんは生きていた!ついでに生きてる!」

それほど大きくない声でそう告げました
712 : ◆BT63SEH4KsDo [saga]:2024/10/20(日) 06:58:22.28 ID:CnMga0hC0
翠「...ん?生きててついでに生きてる?」

翠(未来)「私の時間軸のシェム・ハさんの人格は世界にまだ残ってて、こっちの時間軸から連れ帰ったシェム・ハさんの人格もあって、統合されました」

翠「過去と未来のシェム・ハさんが一つに!?」

翠(未来)「シェム・ハさんにとっては時間とか時間軸とかを別個体として認識することに重きは置かないらしくてあっさりと...まぁどうもこっちのシェム・ハさんは手出し出来ないまま人類の歩みを見守り続けて改心、そっちのシェム・ハさんは響さんの心の強さを見た直後なので改心したて、足して2で割らなかった結果随分と取っ付きやすくなってましたよ」

今や新しく自力で生成した神様としての肉体で当たり前のように本部に居座ったり響さん達の身体を乗っ取って遊んだり
つい先日まで命のやり取りをしていた相手が日常に溶け込むのは中々慣れませんが、自分の目で見てない分シェム・ハさんの話は余計に理解に時間を要します

翠「しかしまぁ...面倒事を起こされないのならそれでいいですかね、今は...」

翠(未来)「ついでに言えばこっちでは少なくともシェム・ハさん関連で神の存在が不安定になることもありませんし一石二鳥ですよ...まぁ私が断ち切ったループとは別のループが始まるんですが」

翠「ループ?」

翠(未来)「貴女達が...というか過去の自分達が時空震に巻き込まれるのは変わりませんからね」

翠「...あ!あぁ...そうですねそうでした...」


8年後に過去の自分達が来た時に備えるべきこと安価下
(特になければ会話続行)
713 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2024/10/20(日) 11:06:29.53 ID:U7eURQZ60
過去の翠ちゃん達が現れる一年前ぐらいまで待ってて問題なし
強いて言うなら鍛錬を怠らない事ぐらい?
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