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みほ「ガールズ&ライスカレー?」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 19:53:15.55 ID:+gLJjSpd0
――大洗女子学園 生徒会室
華「生徒会の引継ぎということで、呼ばれましたが」
沙織「さすが学園艦。資料が多いね〜っ!」
優花里「生徒だけでなく、私の家みたいな学園艦居住者のリストもあるんですねえ」
杏「大変だろうけど、ま、よろしく〜」
桃「これが寄港の手続きに関する書面」
柚子「これが緊急時の避難用経路の図面」
杏「そんでこれが、学食のカレーのレシピ」
みほ「?」
沙織「なんでそれが引継ぎの資料に?」
桃「学園艦のカレーの味は、生徒会が決める。それが習わしだからだ」
みほ「!?」
優花里「初耳です!!」
杏「学園艦も海上自衛隊みたいに、艦ごとに個性のあるカレーを作るのが伝統みたいでさ」
杏「カレーに関しては味つけとか隠し味とか、自由がきくようになってるんだよねえ」
みほ「黒森峰とは味が違うとおもってましたけど、そんな事情が……」
杏「ま、あんまり高級すぎたり貴重すぎるものは通らないけどね。予算とか物流の都合で」
柚子「杏はあんこうの身をカレーに入れたかったみたいなんだけど、さばくのが難しい魚だからって理由で却下されちゃったよね」
華「そのお話は本当ですか……!? ではわたくしの権限で、量も辛さも思いのままということ……!?」ドキドキ
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1610707995
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 19:55:37.31 ID:+gLJjSpd0
優花里「五十鈴殿っ!?」
沙織「華がいつになく興奮している!?」
杏「それに、おいしいカレーを作ることは乙女のたしなみだからね」
みほ「?」
優花里「どういう意味ですか?」
杏「ほら、カレーって誰からも好かれる食べ物なわけでしょ? その点では理想の女性像といえるんじゃない?」
柚子「それに家ごとに作り方も味つけも全然ちがうし、家庭料理の代表よね」
桃「オリジナルの味を生み出せれば、主婦として一人前といったところか」
沙織「そういえばゆかりんの好物は『お母さんのカレーライス』だったね」
華「これが挙げられるのは優花里さんならではですね。うらやましいです」
優花里「ふえ?? どういう意味ですか?」
麻子「秋山さんは実家そのものが学園艦にあるだろう? つまり家族と暮らし、親の作った手料理を毎日食べていることになる数少ない生徒だ」
みほ「だから単なるカレーではなく『お母さんの』となるわけだよね」
麻子「多くの生徒は親元と離れた暮らしになる中で、家庭の味を味わえるというのはある意味恵まれた環境といえるんじゃないか?」
優花里「え、えへへ……そうですか? 考えたこともなかったです」
みほ「優花里さんの家のカレーって、どう作るの?」
華「何か隠し味があるんでしょうか?」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 19:56:41.37 ID:+gLJjSpd0
優花里「あるにはありますが、そんな大したものじゃないですよ? 材料だって普通ですし」
杏「カレーの隠し味ねえ。あたしもいまの学園艦カレーを作るにあたって、ずいぶん研究したなあ〜」
柚子「そのときの記録が残っているわ。これも参考にしてみてね」
沙織「へえ。隠し味にソースを入れてみたり、インスタントコーヒーを入れてみたり……」
麻子「しょうがやにんにくを入れるのはよく聞く。いい風味が出るそうだ」
みほ「複数のカレールーを組み合わせて、ベストの味を出す試行錯誤を繰り返してますね」
杏「そ〜いうわけで、五十鈴ちゃん率いる新生徒会が生み出した、次世代の学園艦カレーを期待してるよん♪」
華「それは責任重大ですね……。まさか皆さんの胃袋も預かる身になるとは思いませんでした」
沙織「そういえば、華ってお料理まるでダメじゃなかった?」
麻子「そーいやそうだったな。じゃがいもの皮をむけずに包丁で手を切ってたぞ」
華「はい……。死傷者が出ないことに定評のあるガルパンなのに、その中で唯一の流血シーンを作ってしまいました……」
優花里「そこを心配するんですか!?」
華「確かにお料理の腕前は未熟ですが、わたくしにはすぐれた嗅覚があります。これを生かし、絶対においしいカレーを作り上げてみせます」
杏「おっ、頼もしいこと言ってくれるじゃない。楽しみだねえ」
華「ではさっそく試作品に取り掛かるとしましょう。まず手始めにうちの学園艦カレーを詳しく調べ……」
ダダダダッ バン!
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 19:57:34.78 ID:+gLJjSpd0
梓「河嶋先輩ーっ!」
みほ「澤さん!?」ビクッ!
カエサル「これってどういうことなんだーーっ?」
優花里「カエサル殿!?」
ドタドタ ゾロゾロ
典子「河嶋先輩はどうなるんですか!?」
ぴよたん「一緒に卒業できるぴよ?」
沙織「何っ!? なんの騒ぎっ!?」
『号外ーーっ!』
『号外ーーっ!』
優花里「ああっ見てください窓の外を! 学級新聞が大量に!」
麻子「気球まで浮いてるぞ……いったい何が書いて……ん?」
< 『 大洗女子学園初の不名誉 』 >
< 『 河嶋桃さん 留年決定か!? 』 >
桃「」
沙織「河嶋先輩……」
華「ウソ……そんな……」
桃「ちがーう! 誤解だああっ!」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 19:58:33.12 ID:+gLJjSpd0
桃「単に入れる大学がないだけで、ちゃんと私は卒業するぞおっ!!」
みほ「でもそれって根本的な解決になってないような……」
柚子「わたしと杏はもう進路は決まってるんだけど……」
杏「河嶋はねえ……。まあ、もう1年あとから追いついてきなよ」
桃「そんな残酷な! 3人一緒に同じ大学へ行きましょうよおおっ!」
杏「あたしに言われても〜。本人の実力の問題だし」
桃「ううっ……」
華「あのう……ほんとうにもうダメなんですか?」
麻子「模試の判定を見る限りじゃ、合格する確率は昔の消費税よりも低いな」
杏「正攻法の受験じゃどうあがいても難しいね。何か別の手段をとらないと」
柚子「そういえばあそこの大学は……通常の試験日程のほかに、AO入試があったはずよ」
あや「えいおう?」
杏「いわゆる学科試験の成績じゃなくて、面接とか、小論文とか、そのほか生徒の実績で判断する制度だね」
桃「そ、それだっ! 私は大洗の副隊長として、戦車道の全国大会で優勝した実績があるぞ!」
柚子「確かにそれは使えそうね。だけど……もうひと押し何かが欲しいわ」
杏「じゃあさ、カレーのコンクールはどう?」
桃「へっ?」
華「これですね。全国学園艦カレーグランプリの大会です」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 19:59:22.54 ID:+gLJjSpd0
優花里「え〜となになに……年に1度、日本じゅうの学園艦が集まって腕を競い合う、カレーのオリンピック、ですか」
麻子「ここで優勝するということは、日本全国の学園艦カレーの頂点に立つ」
沙織「つまり、日本一のカレーを作る学園艦を決めるってことになるんだね!」
杏「優勝できれば、学校の宣伝としてこれ以上のものはないね」
杏「カレーは学園艦の名物。家庭料理の象徴でもある」
杏「そして言わずもがな戦車道も乙女のたしなみ。女子の教養なわけだ」
優花里「なるほど! その優勝の中心に河嶋先輩がいたということにすれば……!」
杏「なおかつ、河嶋は生徒会役員だったでしょ? 良妻賢母の育成に大きくかかわり、ひいては大洗女子学園の発展にこれ以上ないくらい貢献したってことになる」
柚子「うん、うん! いける! これだけ兼ね備えれば、十分な実績といえるわ!」
カエサル「おおっ! これなら河嶋先輩の留年は阻止できるかもしれない!」
優花里「そうと決まればさっそくカレー作りの研究に取りかかりましょう!」
麻子「だが全国のカレー好きたちを満足させる1杯だぞ。なかなかできるものじゃない」
華「はい。ですのでここは皆さんの力を貸していただきます!」
典子「いよ〜しっ! カレーで華麗に阻止!」
梓「華麗に阻止!」
あゆみ「カレーでAO入試!」
桂利奈「えい・えい・おーっ!」
あや「えい・えい・おーーっっ!!」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:00:32.71 ID:+gLJjSpd0
〜♪ 果てしなく遠い空へ〜 限りある青い春を〜〜♪
「 ガールズ&ライスカレー 最終章 」
みほ「!?」
沙織「えっ 何!? 何が始まったのっ!?」
優花里「『ガールズ&カレーライス』ではなく?」
華「声に出してみましたら響きがよかったので、こちらを採用しました」
沙織「何の話!?」
──大洗女子学園 食堂
ワイワイ ガヤガヤ
華「おいしいカレーを作るためには、多種多様なカレーを知らなければなりません」
沙織「というわけで、戦車道メンバー対抗のカレー発表会を始めるよ〜! みんなの家ではどんなカレーだった?」
柚子「うちはきょうだいが多かったから、大鍋で一度にたくさん作ってたなあ。そのせいかカレーのとろみが薄くて、さらさらしてたわ」
エルヴィン「うちはカレーのお肉は豚だったぞ」
桂利奈「はいはーい! 私の家では鶏肉でしたー!」
梓「辛すぎるのは、ちょっと苦手かなあ」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:01:25.60 ID:+gLJjSpd0
優季「だよねえ〜っ。甘口でもう十分だよう」
あゆみ「その点あやはすごいよね。激辛マニアって感じ。好きな食べ物がカレーっていうだけあるよ」
あや「へっへーん! 10倍だろうと30倍だろうとどんとこい! 戦車もカレーも『LEE』が大好きだよ!」
杏「おっ、うまいね座布団1枚〜」
典子「いやいやレトルトならなんといっても『ボンカレー』だね! バレー部ならコレ!」
華「なぜです?」
妙子「昔『アタックNO.1』っていうバレーのアニメがあって」
忍「そのスポンサーが大塚食品だったから、ボンカレーを食べるシーンがあるんです」
あけび「商品を直接出して宣伝させる、いまでいうプロダクトプレイスメントといったところでしょうか」
典子「強化合宿中の食事なのに『今夜は大塚食品のボンカレーよ!』とか『あーおいしかった! ボンカレーみたい!』とかいう不自然きわまるセリフはアニメの歴史に残る迷言だよ」
ねこにゃー「……フフフ、ボンカレーは どうつくっても うまいのだ」
ももがー「ブラックジャック先生のセリフだもも。そういえば先生も作中でよく食べてたし、カレーが好きなのかな?」
ぴよたん「北斗の拳のケンシロウも好物がカレーという謎の設定があるぴよ」
ワイワイ ガヤガヤ
沙織「すごい盛り上がりだね」
みほ「やっぱり皆さん誰しも、カレーに関して何かしらの思い出やこだわりがあるんですね」
華「それではみなさん。どうぞお入りになってください」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:02:39.69 ID:+gLJjSpd0
優花里「?」
麻子「もう全員いるはずだが……? 誰かまだいるのか?」
ガラリ
ダージリン「こんな言葉を知っている?『すべては愛のターメリック はらはらハラペーニョ』」
オレンジペコ「アニメの『みなみけ』から、保坂先輩のカレーの歌ですね」
みほ「ダージリンさん!?」
ケイ「あたしたちもやってきたわよ!」
アリサ「覚悟なさい!」
優花里「サンダースまで!?」
カチューシャ「もう! 一番乗り逃しちゃったじゃない!」
ノンナ「お寝坊したのは誰ですか?」
カチューシャ「ま、そう簡単にうちのカレーが負けるわけないけど!」
アンチョビ「待たせたな諸君! ノリと勢いと美食の国からやってきたぞっ!」
ペパロニ「カレー大会とかマジテンション上がる〜〜っ!」
アキ「皆さんこんにちは! 継続高校の地元にはおいしいカレー屋さんがたくさんあるんですよ!」
絹代「お待たせしました! カレーはわが知波単学園でも人気の一品! 勉強させていただきます!」
杏「全員そろったようだね」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:03:40.84 ID:+gLJjSpd0
みほ「あ、あの……これはいったいどういう……?」
杏「んっふっふ〜。単なる発表会じゃつまらないとおもってね〜」
華「ただいまより、大洗女子学園の戦車道チーム対、他校の学園艦などによるカレー対決を開催します!!」
『『 な、なんだってーーっ!!? 』』
華「ルールは簡単です。大洗の戦車道チームは9組。わたくしたちとご縁のあるチームも9組。すなわち9対9の団体戦」
華「それぞれが発表したカレーをほかのチームが試食。多数決で勝敗を決めます」
沙織「それでは先攻! 大洗のトップバッターはアヒルさんチーム!」
典子「はいよっ!」ダン!
みほ「大きなお皿……なのにそれに入りきらないくらいの大盛りです」
華「その上に揚げ物が積み重なっていますね……このカレーの解説をお願いします」
典子「カレーといえば、いろいろトッピングできるのがいいよね」
妙子「その中でも、カツカレーは特別な感じがしませんか?」
そど子「わかる! カツは庶民の味の王様よね!」(←好きな食べ物:とんかつ)
忍「そこで私たちは、戦車の形をしたカツカレーを作りました!」
あけび「まずとんかつを用意して、その上にコロッケをのせます」
典子「その間にアスパラを1本挟んで主砲を再現。さらにカレーをかけて……」
妙子「スライスしたゆでたまごを並べて車輪を作れば『戦車でかつ!カレー』の完成でーす!」
忍(声真似)『戦車に通れない道はありません。カレールーの中だって進むんです!』キリッ
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:04:26.68 ID:+gLJjSpd0
華「わあっ! あれ、みほさんのマネですよね!」
みほ「あ、あはは……わたしあんなこと言ったかなあ?」
優花里「……」ブツブツ
ケイ「あれ? どうしたのオッドボール?」
優花里「あ、いえ、この形に最もあてはまる戦車は何かを考えてたんです」
優花里「砲塔部分(コロッケ)の丸みからしてアメリカ戦車のようですが……パーシング……? いや、パットン……それもM60パットンのほうに近いような……?」
優花里「どうしましょう! パットン戦車は戦後以降の型ですから、戦車道レギュレーションからは外れてしまいます!」
ケイ「どうって……カレーなんだし、食べればいいんじゃない?」
ねこにゃー「あむ、むぐ……うぐう、すごいボリューム」
ぴよたん「ごはんも大盛りで、ガッツリ体育会系の味ぴよ」
ももがー「でも、食べると力がもりもり湧いてきそうなり」
典子「ちなみにこの戦車型とんかつは実在する!」
あけび「水戸市のレストラン『クック・ファン』の『ガルパンかつ』はなんと400グラムもの大とんかつを使用!」
妙子「食べきれなくても、持ち帰ることができるお店の心遣いも素敵です!」
忍「さらに! クック・ファンは大洗出張所という新店舗が2019年にオープン!」
典子「大洗から水戸市は聖地巡礼で立ち寄るには遠い……。その弱点を克服したの!」
優花里「そういえば『もっとらぶらぶ作戦です!』2巻に、そういう話がありましたね」
杏「新店舗には新しい戦車型とんかつも発売されてるからね。ぜひともよろしく〜」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:05:16.76 ID:+gLJjSpd0
沙織「えっ 誰に向けて言ってるの?」
麻子「気にしたら負けだ」
華「さて対するは……知波単学園!」
優花里「おおっ! 奇しくもかかわりの深い両チームがぶつかるとは!」
福田「アヒル殿の胸を借りるつもりで参ります!」
絹代「お待たせしました! さあどうぞ!」
みほ「これは……?」
華「ずいぶんと黒っぽいルーですね……それにこのお肉の量の多さはいったい?」
絹代「実はですね、この前わが学園艦が地元へ寄港しまして。そこでラーメンを食べていたときに考えたことがあるんです」
絹代「チャーシューメンはよくあるのに、チャーシューカレーって聞いたことないなあって」
絹代「というわけでですね! ここはひとつ名店の味をカレーにも導入してみようとおもいまして!」
絹代「肉の旨味が溶け込んだ特製しょうゆダレをルーに混ぜ、器が隠れるほどのチャーシューをずらりと並べました! 名づけて『竹岡式チャーシューカレー』です!」
ダージリン「竹岡式?」
絹代「竹岡式ラーメンのことですね。知波単の地元は千葉ですから、そこの土地名からとられた名前です!」
典子「あむ、んむ……このチャーシューのサイズっ!」
忍「ガツンときますね! それでいて柔らかで、カレーともごはんとも合う!」
あけび「カレーとチャーシューというまったく別の味を、しょうゆダレでうまくつないでいるんですね」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:06:10.34 ID:+gLJjSpd0
妙子「カレーにしょうゆ……誰でも思いつきそうな隠し味でありながら意外と……これは盲点でした」
華「1回戦はお互いに、ガッツリとしたお肉のトッピング勝負といったところでしょうか」
沙織「それじゃ、どっちが良かったか投票してね! それから開票だよ!」
華「1枚目。知波単学園」
華「2枚目。知波単学園」
華「3枚目、4枚目、5枚目……10枚目まで連続で、知波単とあります」
優花里「おっ! おおっ……これは圧倒的なのでは?」
カレー対抗戦 第1回戦
× アヒルさんチーム VS 知波単学園 ○
絹代「恐縮であります! しかし、いったいどういう理由なのでしょう?」
ケイ「チャーシューカレーっていう名前! インパクトがあるわよね!」
アンチョビ「うむ。名前だけでもうまそうじゃないか」
ダージリン「しょうゆの風味がカレーに加わり、好みの味わいでしたわ」
カチューシャ「バレー部のカレーは実在するクック・ファンの料理を再現したようだけど、あくまでとんかつの部分だけ。カレーのほうはなんの工夫もないままだったわ」
典子「うっ……!」
妙子「考えが及びませんでした……」
カチューシャ「その程度じゃ、とても勝利だなんて程遠いわ。勝負はそんなに甘くないのよ。カレーだけにね!」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:07:03.94 ID:+gLJjSpd0
ノンナ「……」
クラーラ「……」
カチューシャ「なんとか言いなさいよっ!!」
ケイ「ンフフッ……あたしはけっこう好きよ」
柚子「それじゃあ次は、ウサギさんチームにお願いしようかしら」
桂利奈「あーい! どーぞー!」
ナカジマ「おっ これは?」
ホシノ「やけに黄色いぞ……? なんのルーを使ってるんだ?」
梓「これは『カレーの王子さま』を使ったカレーです!」
優季「小さい子でも食べられるような、やさしい味わいですよ〜」
桃「あえてそういうカレーとは意外だな。もっとこう刺激的なのが来るとおもっていたが」
あや「最初は激辛でいこうとおもったんですけど、意外と激辛ってありふれてるなあって話になって」
梓「その逆で『激甘カレー』っていうのはあまり聞かないって気づいたんです」
ねこにゃー「確かに激甘って『ぷよぷよ』の難易度くらいでしか聞いたことないにゃあ」
ももがー「いまは『ぷよぷよ!!クエスト』にそういうアイテムがあるもも」
ぴよたん「説明文は『フルーティなあまさで だれでもたべられる』だったよ」
あゆみ「まさにそのとおり! カレーの王子さまは離乳食を終えた1歳ごろから食べられるし、アレルギー特定原材料にも配慮された安心・安全の味です!」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:07:57.22 ID:+gLJjSpd0
桂利奈「名付けて、チーム特製『あまあま一年生うさぎカレー』!」
エルヴィン「あむっ……うん、懐かしい感じがする」
カエサル「この味はアレだな……いまおもうと小学校の給食のカレーに似てるんだ」
アンチョビ「だがそれにしても、普通に作ってもここまで甘くはならないぞ?」
ペパロニ「あたしのカンではきっと果物の甘味ッスね」
桂里奈「当たりっ! フルーティな甘さを追求するために、ももの缶詰をペースト状にして入れてるんですよ!」
カルパッチョ「野菜もお肉も星形になっていて、かわいらしいですね」
おりょう「野菜はともかく肉が星形ってどういう……? あっ、この肉ってもしかして……缶詰のアレぜよ?」
桂里奈「そうでーす! ランチョンミート、いわゆるスパムです!」
あや「卵とスパ〜ム♪」
優季「卵とベーコンとスパ〜ム♪」
桂里奈「卵とベーコンとソーセージとスパ〜ム♪」
あゆみ「スパム!スパム!スパム!卵スパ〜ム♪」
『スパム♪ スパム♪ スパム♪ スパム♪ スパム♪ スパ〜ム♪』
『おいしいスパ〜ム♪』
『おいしいスパ〜〜〜ム♪♪』
梓「うるさーーいっ! うるさいっ!! うるさーーーいっ!!」
優花里「あの頃の、まだキャラが若干定まってないときも、いまみると味があるよね!」
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:08:47.02 ID:+gLJjSpd0
沙織「どうしたのゆかりんその口調」
優花里「……ゴホン! なんでもありません。ちょっと昔を思い出しまして」
華「対するは、プラウダ高校」
カチューシャ「フン。そんなふぬけた味付けなんてカレーじゃないわ」
カチューシャ「カレーはね、辛いからこそおいしいのよ! ニーナ! アリーナ!」
ニーナ「あ……あのうカチューシャ隊長……」
アリーナ「ほんとにコレ出すんですか……?」
グツグツ… ドロドロ…
みほ「な……なにこれ……!?」
沙織「紅(あか)い! 赤いじゃなくて紅い! 限りなくとうがらしの色に近いっ!!」
カチューシャ「んっふっふ〜。この色がいいでしょ? 激辛カレーの『LEE』30倍どころか、ココイチ10辛をもさらに上回るマジヤバ級の辛さ!」
カチューシャ「ひと口でどんな戦車もひっくり返るわよ! ……そうね、名前はあなたたちの言い方になぞらえて『重戦車キラーカレー』なんてどうかしら!」
桂利奈「あうう〜っ! 湯気だけでもう目につーんとしみるよ〜っ!」
優季「……これ、誰が味見するの?」
カチューシャ「そりゃ、まずはうちのノンナでしょ」
ノンナ「!?」
カチューシャ「だいじょ〜ぶこわくないこわくない♪」
ノンナ「あ、あああ……」ガタガタガタ
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:09:28.28 ID:+gLJjSpd0
カチューシャ「ささ、グイッとひと口♪」
ノンナ「むグッ!?」パクッ
カチューシャ「わくわく」
ノンナ「……」
ノンナ「…………」
ノンナ「」ブワッ!
みほ「!?」
ノンナ「あ゛っ! あ゛あ゛あ゛ッ!! ひぎィッ……痛いぃッ……!!(口の中が)」
梓「!?」
ノンナ「むり、むりです……むりですこんなの入らない……(胃袋に)」ポロポロ
ノンナ「あ゛あ゛っ……わたし、はじめてなのに……(カチューシャの手料理が)こんなのがはじめてなのはいやあ゛あ゛……」ポロポロ
ノンナ「(お腹が)こわれちゃう……。グスッ ヒック……わたし こわれちゃうよぉ……(お腹が)」ポロポロ
ノンナ「やっ やだあぁ……エグッ お、おかあさあん……ヒック……たすけてえ゛え゛え゛……」ポロポロ
梓「」
あや「」
あゆみ「」
優季「」
桂利奈「」
紗希「……」
カチューシャ「」
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:10:19.55 ID:+gLJjSpd0
優花里「衛生兵ーーッ!! 衛生兵ーーッ!!」
カレー対抗戦 第2回戦(不戦勝)
○ ウサギさんチーム VS プラウダ高校 ×
ノンナ「グス……ヒック……ウッ ウウウ……」ポロポロ
カチューシャ「ゴメン!!! ほんとゴメン!!!」
あや「あわ、あわわわ……」
あゆみ「……お医者さんに見せたほうがいい? 万が一ってこともあるし……」
優季「こういうときって、婦人科じゃなくて救急外来のほうに駆け込むのがいいんだってね」
桂利奈「何の話!??」
紗希「……」パサリ
梓「意味深に毛布をかけない!!!」
クラーラ「ロシアには唐辛子を使った伝統料理がありませんから、辛い味は苦手なのです」
ローズヒップ「あんなに寒いところでいらっしゃるのに?」
ルクリリ「意外な話だ」
杏「ちなみに世界一辛いカレーは、個人的に『少女革命ウテナ』に出てきたやつだとおもうよ」
優花里「そうなんですか?」
杏「うん。その名も『辛さ爆発こっぱみじん 幻の象がパオ〜ン超辛900,000,000,000倍カレー』」
みほ「!?」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/01/15(金) 20:10:38.22 ID:c0oK1/nDO
どんだけ……
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:11:09.66 ID:+gLJjSpd0
沙織「いち、じゅう……9000億倍!??」
杏「大爆発が周囲を巻き込み、ウテナとアンシーの人格が入れ替わるくらい辛いらしい」
麻子「意味が分からんぞ……」
優花里「ウテナってもっとまじめなアニメだとおもってましたが、そんなお話が」
華「あの絵柄と雰囲気からは想像できませんね」
柚子「気を取り直して次は、サンダース大付属」
ケイ「オーライ! 召し上がれ!」
オレンジペコ「これは……何かを食パンではさんで、油で揚げたもののようですね」
ダージリン「つまり手作りのカレーパン……ということでよいのかしら?」
ローズヒップ「おあちち……揚げたてはホットでございますわ」
アッサム「サク……ムグ……これはっ!」
ペパロニ「旨まっ! 中はエビ入りのシーフードカレーっスか!?」
アンチョビ「いや違う。むしろエビだけ……エビのすり身にカレー味がついたものだ! それがギッシリとパンにはさまっているぞ!」
カルパッチョ「こんなお料理、見たことがありません……」
カエサル「エビカツサンドならぬ、『エビサンドカツ』といったところか」
エルヴィン「衣はパン粉の代わりにパンそのものを使ってるところがダイナミックだ」
ケイ「えっ?」
アリサ「みんなコレ知らないの?」
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:12:19.87 ID:+gLJjSpd0
ナオミ「ハトシのちょっとしたアレンジのつもりで出したんだが……」
ザワ ザワ…?
ももがー「ハトシ?」
ねこにゃー「ポケモンの主人公かな?」
ケイ「ちょっとちょっと! みんなハトシっていう名前さえわからないわけ?」
みほ「は、はい……」
優花里「恥ずかしながら……」
ケイ「ほんまに知らんの!?」
みほ「ンフッwww」
優花里「ウフフンなんで急に方言をwww」
ケイ「こがん料理ば知らん!? サンダースん地元は長崎やけん、そこん街中で普通に売られとったし、ようあるもんと思よったばい!」
ダージリン「ンフウwwwケイさんwwwやめてwww」
エリカ「方言て……アンタのイメージがすごい勢いで崩れていくんだけど」
アンチョビ「それにしても新発見だ……ぜひ参考にしたいからレシピを教えてくれないか?」
カルパッチョ「これだけおいしいものですから、秘伝の味付けがあるのでしょうか?」
ケイ「そんなの、ないわよ?」
ペパロニ「へっ?」
ケイ「昔から作ってたハトシをちょっとカレー味にアレンジしただけだもの。細かい分量なんて気にせずいつものカンで仕上げただけ」
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:13:34.54 ID:+gLJjSpd0
ケイ「大まかな材料なら教えられるけど、スパイスは好みの量に調整してね」
沙織「おお〜っ! お料理上級者の発言だよう!」
ゴモヨ「レシピなし。計量する道具もなし。油で揚げるための温度計やタイマーもなし」
パゾ美「一発勝負でここまで味が決まるなんて……ケイさん流石です」
そど子「負けちゃダメよゴモヨ、パゾ美! カレーをおいしく作るにはカンよりも正しいマニュアルなの!」
ゴモヨ「は、はい。とある検証によると、各家庭それぞれのやり方よりもメーカーの『つくりかた』に書かれた作り方で作ったカレーが最も味が良いという結果になったそうです」
パゾ美「というわけで私たちはおいしいカレーを作るために、そのものズバリおいしいカレーの作り方という名前の料理本! これに書かれたとおりの材料と手順で作りました」
そど子「野菜やお肉はきちんと分量どおり量る! 炒める時間が書いてあったらそれも計ってそのとおりにする!」
そど子「玉ねぎをじっくり炒めて、スパイスを加え、それをスープで煮たててさらに市販のルーも入れる。インドカレーと日本のカレーの良いとこ取りの味わいになったわ」
そど子「基本に忠実! 完成された秩序! まさに『風紀委員カレー』といったところね!」
麻子「堅物のそど子らしいカレーだな。まあ、約束されたうまさとも言える。早速食べてみるか」
そど子「ああ冷泉さんちょっと待ちなさい。スプーンを置いて」
麻子「はあ? 何でだ」
そど子「このカレーはね……」
(ぐちゃあ……)
そど子「こうやって手づかみで食べるのよぉ……」ニタア
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:14:31.37 ID:+gLJjSpd0
麻子「!?」
そど子「世の中の決まりってのはね……破るためにあるの……ウフフ……」ニタア
ゴモヨ「フフ、フフフ……自ら作りあげた秩序をこの手で破壊する悦び……!」ニタア
パゾ美「あまつさえ素手での食事という、とびきりの禁忌……! 背徳感……!」ニタア
そど子「こんな姿、両親にはとても見せられない……! ああッこんな悪い私を許して……!」ゾクゾク
麻子「お前らは何になりたいんだ」
華「でもなんというかこう……いけないことをしている感じでゾクゾクしますね」ドキドキ
みほ「う、うん。こんな食事の仕方、実家じゃ絶対できないもん」ドキドキ
ダージリン「お米を素手でだなんて……わたくしとっても罪深いことを……ウフフ」ドキドキ
絹代「はい……味もさることながら、こんなの初めてです……」ドキドキ
沙織「意外と好評!??」
カレー対抗戦 第3回戦
△ カモさんチーム VS サンダース大付属高校 △
華「まさかの引き分けとは……」
杏「知らない土地の料理を初めて食べた新鮮さと、まさかの『食べ方』そのものを変えてきた奇策。それぞれのインパクトが激しくぶつかり合っていたね」
ダージリン「こんな言葉を知っている?『まったく……スプーンやフォークなんて まるで電気工事の道具だよな』」
オレンジペコ「『美味しんぼ』24巻で、カレーを手で食べたあとに近城さんが言い放った謎の暴論ですね」
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:15:15.31 ID:+gLJjSpd0
ナカジマ「いままでたくさんカレー食べてきたけど、手で食べたことはなかったなあ」
ツチヤ「うん、新鮮な気分〜」
華「なぜでしょう……? 自動車部のみなさん、カレーを食べている姿がとても似合うのですが」
スズキ「そりゃ、ツナギの色がカレーだからね」
ナカジマ「戦車に描いてあるレオポンのマークも黄色っぽいし、うちのチームを色で表現しようとしたら間違いなくイエローだね」
ホシノ「そうそう。それにスズキってさ、インドっぽい格好とかがすごく似合うとおもわない?」
スズキ「どーいう意味だよっ!」
ナカジマ「だってホラ……スズキがカレーを手で食べてると……なんていうかガチっぽい」
ツチヤ「確かに……まるで本物のインド人みたい……」
ホシノ「ちょっとさ、1回だけでいいから『ナマステ』って言ってみてくれない?」
スズキ「やだよっ!!」
ホシノ「じゃあ『ヨガフレイム』でもいいから」
スズキ「妥協になってないじゃん!!」
アハハ ワハハハ
ナカジマ「ま、冗談はこのへんにしといてレオポンのカレーはこれだよん」
典子「あれ、カレーがかかってなくて黄色いご飯だ」
妙子「もしかしてドライカレーだったりして?」
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:16:25.90 ID:+gLJjSpd0
忍「でもなんというかもったりとしていて……『カレーごはん』って感じ?」
スズキ「これはねー、カレーとごはんをフライパンで混ぜながら炒めたものだよ」
ホシノ「そしてこの黄色いカレーやきめしができたなら、中央をくぼませて、そこに生たまごを落とす」
ツチヤ「さらに、味を補うためにソースをかけます」
ナカジマ「ソースとたまごを混ぜながら召し上がれ! これは大阪の老舗の味を再現した、その名も『自由軒の名物カレー レオポン風』だよ!」
典子「おお〜っ、材料は同じはずなのにふしぎな味わいだあ〜っ」
妙子「でも、カレーに生たまごのトッピングなんてちょっと意外です」
ナカジマ「やっぱりそうおもう? 関西じゃありふれてるんだけど、大洗じゃあまりなじみがないみたいだね」
華「そういえばナカジマさんは、この中で唯一の関西生まれでしたね」
(※ナカジマは三重県鈴鹿市出身)
ナカジマ「せやねん。ま、ここはひとつ本場大阪の味ちゅうもんを皆はんに食べてもろて、いっちょ笑ろてもらお〜思いましてな〜」
ホシノ「お前は別に大阪の人間じゃないだろ」
みほ「このソースがいいですね。ちょっぴり酸味があって、全体が引き締まる感じです」
杏「そういえば昭和30年代までは、カレーにソースをかけるのが割と一般的だったらしいね」
柚子「カレー以外にも結構いろんなものにかけて食べてたらしくて、年配の方は洋食といえばソースの味っていうイメージが強いみたいですね」
ねこにゃー「カレーにソースといえば、漫画の『ガラスの仮面』の主人公がそうやって食べてたよね」
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:17:22.70 ID:+gLJjSpd0
ももがー「『小さいときからそうして食べてた』とか『お母さんもそうしてた』って言ってたけど、作者の実体験がこもってるのかな?」
ねこにゃー「ボ、ボクああいう漫画とかアニメに出てくる料理のひとコマ……好き」
ぴよたん「ああいうのって妙にうまそうにみえるぴよ」
ももがー「そうそう。グルメ漫画じゃなくっても、なにげない食事シーンが印象に残ることってあるもも」
カエサル「俗にいう『マンガ飯』というやつだな」
エルヴィン「わかるぞ。特にジブリ映画の食べ物描写はたまらん」
おりょう「『天空の城ラピュタ』の目玉焼きのせトーストに『ハウルの動く城』のベーコンエッグぜよ!」
左衛門佐「『紅の豚』の魚のソテー! 『崖の上のポニョ』のラーメン!」
カエサル「だが、カレーを食べる作品はなかったような……?」
エルヴィン「いや、ある! あるぞっ! カレーなら『ギブリーズ episode2』に出てくる激辛カレーだ!!」
『それだッ!!!』
沙織「ほんとうにそうなの!?」
麻子「ていうかまたマニアックなところを突いたな……」
華「みなさん、なぜそんなに詳しいのですか?」
エルヴィン「ギブリーズは当時『猫の恩返し』と同時上映だった。この名前は知っているだろう?」
華「はい。聞いたことがあります」
カエサル「そして猫の恩返しの脚本は、ガルパンと同じ吉田玲子さんだ」
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:18:27.63 ID:+gLJjSpd0
みほ「!?」
左衛門佐「話の中に難しいテーマとか主義主張がなく、シンプルに面白さを追求しているところは共通してるんじゃないか?」
華「はあ」
沙織「何の話!?」
オレンジペコ「こういう形で名店の味を再現するなんて、さすが大洗といったところですね」
ダージリン「そうね。それに、奇しくもわたくしたちのカレーと似た形になったわ」
優花里「ほほう? すると聖グロリアーナのカレーは、どういったものなのでしょう?」
ダージリン「わたくしの行きつけの喫茶店には、ドライカレーがメニューの中にあるの」
ダージリン「その作り方をマスターに特別に教えてもらって、再現したものがこれよ」
ナカジマ「なるほど〜っ。ひき肉のカレーがごはんと混ざってて、真ん中には温泉たまごが乗ってる!」
ホシノ「確かにうちのカレーと見た目が似ているね」
スズキ「……あれ? でもなんか……」
華「……あのう、なぜでしょう? このカレーから奇妙な香りがするのですが」
アッサム「……一応聞きますが、きちんとレシピどおりに作ったんですよね?」
ダージリン「もちろん。絶対アレンジをするなとあなたたちに何度も念を押されたのだから」
オレンジペコ「ではどうして、このお皿から化学薬品のような香りが……」
ローズヒップ「においの正体は、この温泉たまごからですわ!」
アッサム「……ダージリン?」
28 :
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[sage saga]:2021/01/15(金) 20:19:14.84 ID:+gLJjSpd0
ダージリン「だってレシピには『最後に温泉たまごをのせて完成』としか書いてなかったんですもの。わたくしが自分で用意するしかなかったわ」
ルクリリ「えっ」
アッサム「あっ」(察し)
ダージリン「温泉たまごというからには、温泉のお湯でゆでるのではなくって? ですからわたくし、いろんな香りがする温泉の素を取り寄せましたの」
オレンジペコ「」
ダージリン「たとえばみほさんの皿に乗っているのは、バラの香り」
みほ「」
ダージリン「そのほかにもラベンダー、ローズマリー、ミントの香りとバリエーション豊富にそろえてみたわ。さあ召し上がれ」
オレンジペコ「オエッ」
アッサム「オエエッ!!」
優花里「衛生兵ーーッ!! 衛生兵ーーッ!!」
ケイ(無言で十字を切る)スッ スッ
カレー対抗戦 第4回戦(不戦勝)
○ レオポンさんチーム VS 聖グロリアーナ女学院 ×
沙織「カレーの味ってふつう甘いとか辛いとかじゃん……」
麻子「……このカレーは、ひと言でいえば『くさい』」
オレンジペコ「ペルソナ4に出てきたカレーでも、似たようなセリフがありましたね……ウップ」
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:20:19.55 ID:+gLJjSpd0
ダージリン「ちなみに『メイドインアビス』の料理を再現してみた、わたくし特製の奈落シチューもあるわ。こちらもいかが?」
材料とつくりかた:単行本3巻のカバー裏を参照
見た目:粘りある泥
香り:妙に生臭い
味:度し難し
そど子(cv:井澤詩織)「んなあ〜っ」
ゴモヨ(cv:井澤詩織)「んなああ〜っ!」
パゾ美(cv:井澤詩織)「んなああ〜っっ!!」
ナオミ(cv:伊瀬茉莉也)「度し難い! 度し難いぞ!!」
ケイ「ナオミどうしたのその声」
ナオミ「……ゴホン! すまない。ちょっと前世の記憶を思い出して」
優花里「アニメ化された順番でいえば、ガルパンのほうが前世なんですけどね」
沙織「何の話!?」
華「カレー対抗戦もいよいよ折り返しです。気を取り直して5回戦目は、アリクイさんチーム」
ねこにゃー「さっきマンガ飯の話題になったけど、ゲームにも料理が出てくることってあるよね」
ももがー「回復アイテムが食べ物だったりすると、キャラの好物が出てきたりして面白いもも」
ぴよたん「というわけで私たちが発表するのはゲームの世界のカレーぴよ」
ねこにゃー「テイルズシリーズのレア料理『マーボーカレー』を作ってみた!」
30 :
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[sage saga]:2021/01/15(金) 20:21:14.82 ID:+gLJjSpd0
ぴよたん「なお、レシピは攻略本に書かれているとおりぴよ」
1.ふつうにカレーを作ります
2.ふつうに麻婆豆腐を作ります
3.1と2を混ぜます
4.ごはんの上に適量をかけます
5.食べます
6.「う、うまい!」
ねこにゃー「うまいって叫ぶところまでがデフォなんだよね。さあ皆さんご一緒に、せーのっ」
『『 う、うまい! 』』
紗希「……うまい」
ねこにゃー「シリーズごとにマーボーカレーの効果は違うけど、ボクはテイルズオブエターニアの『TPの上限が1増える』が特別感あって好き」
ぴよたん「でもこれを覚えるころにはレベルも上がっててTPに困ることはないから、特に意味はないんだけどね」
ももがー「だがそこがいい。そーいう無駄を楽しむのがゲーマーのたしなみだもも」
華「わたくし、このゲームは存じ上げませんでしたが、食べ物がたくさん出てくるのですか?」
優花里「はい。回復アイテムはグミやボトル(飲み物)ですし、これ以外にもたくさん料理のメニューがあるんですよ」
華「まあっ」
ねこにゃー「ちなみに実際に作ろうとすると、具を小さくしないと食べづらいから注意だよ。とくにお豆腐の存在感が大きいから」
ミカ(cv:能登麻美子)「マーボーカレーにはね、テイルズにとって大切なものが詰まっているのさ」
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/01/15(金) 20:21:30.95 ID:c0oK1/nDO
やめぃ
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:22:06.99 ID:+gLJjSpd0
ももがー(cv:倉田雅世)「まさかあなたは……マリン様っ!?」
ミカ(cv:能登麻美子)「その声……キャシティ!?」
ぴよたん「ていうかテイルズオブハーツにはお料理のシステムないぴよ」
ねこにゃー「でも、マーボーカレー自体は印象に残ってるにゃあ。ウィンダムがことあるごとに食べてたから」
沙織「何の話!?」
華「さて対するは継続高校ですが……」
ミカ「みなさん、この曲を知っているかい?」ポロローン
〜♪
〜〜♪
エリカ「知ってるも何も、劇場版であなたたちが弾いてたじゃない」
小梅「サッキヤルヴェン・ポルッカですよね」
アキ「この曲って、フィンランドの人ならだれでも知ってる有名なものなんだよね」
カチューシャ「それがどうしたっていうのよ」
ミッコ「それと同じく、うちの地元ならだれもが知っているカレーを紹介するぜ」
ミカ「名物、金沢カレーの筆頭『チャンカレ』さ」
華「これは……カツカレーのようですね」
沙織「付け合わせにキャベツの千切りがあるよ。珍しいね〜」
優花里「全体にカレーがかかっていて、ごはん部分が見えません」
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:22:54.82 ID:+gLJjSpd0
麻子「お皿が金属のプレートのような食器で……ずいぶん変わっているな」
みほ「でもどうして『チャンカレ』っていうんですか?」
ミカ「このカレーを出すところの名前が『カレーのチャンピオン』だからさ」
アキ「金沢カレーといえばここっていうくらいの代表的な老舗だよ」
ミッコ「でも本店は金沢じゃなくて野々市(ののいち)のほうなんだけどな」
ダージリン「これは……いままで食べたどのカレーよりも濃い味だわ」
ケイ「それに、この大きなカツがいいわね。ソースがかかってて、好みのタイプよ」
アンチョビ「うまいのはわかったが、それがさっきの歌とどういう関係があるんだ?」
ミカ「つまり、ふるさとの音を奏でるということ」
みほ「??」
ミッコ「あー……、要するにミカの言いたいことは、学園艦が寄港したときにその先々でよく行くお店ってあるよね?」
沙織「あるある! あたし、港々で彼氏がいて困っちゃう〜♪」
華「あれは行きつけのカレー屋さんってだけでしょう?」
優花里「アニメ本編の2話で、おふたりのそういう会話がありましたね」
アキ「継続高校の地元は石川ですから、寄港したら必ずここのカレーを食べるのが私たちの習慣なんです」
ミッコ「それから、あの歌は戦争で奪われたサッキヤルヴィの街のことを歌ってる。ふるさとは失われたがポルカは残った。だからこうして歌えばふるさとは胸によみがえるってね」
アキ「あのポルカのように、私たちにとってふるさとを思い起こさせるものといったらここの味しかないっておもったんです。そうだよねミカ?」
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:23:50.96 ID:+gLJjSpd0
ミカ「フフフ……さあね?」ポロローン
オオー パチパチパチ
桃「なんというか……意外だな。思った以上にまともな理由というか……」
杏「素直にちょっと感動しちゃったよ」
カレー対抗戦 第5回戦
× アリクイさんチーム VS 継続高校 ○
ねこにゃー「勝者(チャンピオン)のカレーに挑んだって時点で、フラグは立ってたにゃあ」
ももがー「無念なり……」
ぴよたん「でも、もうひとつの候補じゃ勝ち目はなさそうだったし、残念ながら当然の結果ぴよ」
沙織「もうひとつの候補?」
ねこにゃー「う、うん。ゲームに出てきたカレーはもうひとつ考えてたんだけど」
ももがー「ぜったい誰も知らないゲームだろうから、ボツにしたもも」
ぴよたん「カレーの味も地味にレオポンとかぶるところだったから、結果オーライぴよ」
ナカジマ「何のゲームに出てたカレーだったの?」
ねこにゃー「『ROOMMANIA#203』(ルーマニアにいまるさん)の主人公がネットで出会った『カレーにソースの会』のメンバーのカレーだよ」
ナカジマ「う〜ん初耳すぎ!」
ねこにゃー「といってもレトルトカレー作ってそこにウスターソースをかけるってだけなんだけど、そのメンバーの主張が面白くて」
35 :
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[sage saga]:2021/01/15(金) 20:24:47.45 ID:+gLJjSpd0
ねこにゃー「カレーじゃなくてごはんの部分にソースをかけるのがポイントで、そうするとソースがお米にしみて、カレーに負けないくらい濃い味になる」
ねこにゃー「すると『ごはんにカレーをかけたもの』であるはずのカレーが『カレーにソースのしみたごはんがかかる』という下剋上が起こる! っていう理屈」
ナカジマ「なるほど〜」
ねこにゃー「まあ実際にやってみると白いごはんがソースでびちゃびちゃになって、色合いとか見た目がアレすぎたから……」
華「お次は大本命ですね。アンツィオ高校の登場です」
アンチョビ「フフフ……召し上がれ」
ジュワアア…
典子「うまそうな音がきこえるっ!」
あけび「音からしてもうおいしそうです〜っ!」
みほ「これは……アンツィオの鉄板ナポリタンですか?」
華「ですが香ばしいスパイスのにおいが……これは一体?」
アンチョビ「カレーといってもカレー『ライス』とは限らない! 諸君はパスタソースの代わりにカレーを使った料理『インディアンスパゲッティ』を知っているか?」
左衛門佐「ゆでたパスタにレトルトカレーをかける、あれのことか?」
カエサル「あれってちゃんと料理名があるんだな」
おりょう「安上がりだし手軽にできるから、自炊の定番といっていいぜよ」
エルヴィン「ああ。金欠のときにはしょっちゅうお世話になっているしな」
そど子「いばって言うことじゃないわよ」
36 :
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[sage saga]:2021/01/15(金) 20:25:44.21 ID:+gLJjSpd0
アンチョビ「それをアンツィオ流に応用し、麺にしっかり絡ませナポリタン仕立てにしたものがこれだ!」
優季「わあ〜っ! チーズがとろけて伸びる〜っ!」
桂利奈「トマトたっぷりでおいしいね〜っ!」
紗希「……ッ!」モグモグ
ペパロニ「そうだろそうだろ。なんたってわが校秘伝のトマトペーストが入っているからな〜」
アンチョビ「さらに! このトマトペーストとカレーを混ぜ、オリジナルのピザソースも開発したぞっ! それを使ったピッツァも食べてくれ!」
ケイ「ワオ! 具のサラミがスパイシーでホット!」
アンチョビ「ノンノンそれはサラミじゃな〜い。特製のペパロニだっ!」
ペパロニ「ペパロニのピッツァだ〜っ! 激ウマだで〜っ!」
ミッコ「旨ま〜っ! 濃厚なのにいくらでも入る〜!」
カルパッチョ「ピッツァの生地ってある意味インドのナンに近いわけですから、ナンと一緒に供される北インドカレー風を意識し、クリーミーでコクのある味わいに仕上げました」
アンチョビ「ピッツァには2種類のチーズをブレンドしてある! カレーとチーズの組み合わせのすばらしさは知っているだろう?」
アキ「さっすがアンツィオ! 料理の味はバツグンだね〜っ!」
アンツィオ「ふっふっふ。美食に関してはどんな労力も惜しまない。うちと当たる大洗のチームは気の毒だな!」
オオー パチパチパチ
沙織「やっぱりすごいね! いままでのどのチームよりもすごいかも!」
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:26:33.78 ID:+gLJjSpd0
カエサル「確かにアンツィオは強い」
左衛門佐「ああ。2品も出してきたことからもその余裕がうかがえるな。味の上ではかなわぬかもしれない」
エルヴィン「だが、我々はアンツィオにはないもので勝負する」
おりょう「それはカレーにおける、歴史ぜよ!」
アンチョビ「むっ? 歴史とはどういう意味だ」
カエサル「カレー味のパスタに、カレー味のピッツァ。確かに素晴らしかったがどちらも最近になって発明された料理だ」
エルヴィン「そこでだ。皆さんにはこのカレーに歴史のロマンを感じてもらおう」
カルパッチョ「これは……見た目も香りも甘口のカレーに見えますね」
ペパロニ「あたしの見立てでは、カレー粉から作ったタイプのカレーッスね」
アンチョビ「だが具がちょっと変わっている。野菜はネギのみじん切りがかろうじて見えるだけで、あとは……やけに肉と魚が多い?」
華「カバさんチーム、これはいったい?」
おりょう「明治5年。日本で初めて西洋料理の本が出版されたぜよ」
左衛門佐「敬学堂主人(けいがくどうしゅじん)著の『西洋料理指南』だ。その中に日本最古のカレーのレシピが載っている。それを忠実に再現した」
カエサル「現在では一般的なにんじんも、ジャガイモも、玉ねぎも使われていない。いにしえの『ライスカレエ』をとくと召し上がれ」
ケイ「オウ! ファンタスティック!」
アリサ「とろみが少なくて、それほど辛くないわ」
38 :
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[sage saga]:2021/01/15(金) 20:27:23.64 ID:+gLJjSpd0
ナオミ「やや薄味っぽいが、それでもいまのカレーと大差ない味だ」
桃「思った以上に具だくさんなんだな……鶏肉に、白身の魚。エビに牡蠣まで入っている。ぜいたくだ」
杏「いかにもハイカラって感じ。初めて食べた明治の人たちは驚いただろうねえ」
絹代「これが我が国最初のカレーなのですね! 珍しいものをいただきました!」
ダージリン「素晴らしいわ。英国から渡ったカレー粉が、日本に根付いた歴史を感じます」
ワイワイ ガヤガヤ
ペパロニ「……ドゥーチェ、こりゃちょっと簡単には勝てなさそうッスよ」
アンチョビ「むむっ むうう〜〜っ! くやしいが裏をかかれた。そうきたかあ〜っ!」
カルパッチョ「審査員は、必ずしも純粋な味くらべでは選ばないということですね」
アンチョビ「だが、ただではやられないぞ。相手の良いところを吸収して、さらなる高みへとめざす! これがアンツィオ流だ」
ペパロニ「そうッスね! 料理人に敬意を! さっそく聞いてみましょう」
カルパッチョ「たかちゃん。そのカレーのレシピ、わたしたちにも教えてもらえるかな?」
カエサル「ああもちろん! このページなんだけどさ」
・ねぎ、しょうが、にんにくをみじん切りにして、バター1さじで炒める。
・水を加え鶏肉、エビ、牡蠣、鯛、赤ガエルなどを入れて煮たあとにカレー粉を1さじ入れる
・1時間ほど煮込んだら塩を加え、水溶き小麦粉を溶き入れたら完成
アンチョビ「ふんふんなるほど……ん?」
ペパロニ「か、カエル……!?」プルプルプル
ザワ…!?
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:28:12.49 ID:+gLJjSpd0
カルパッチョ「ま、まさか、入ってないよね……? そうよねたかちゃん……」ガタガタガタ
カエサル「……私もさんざん迷ったが、こういうものはほんとうに忠実に再現しなければ意味がないんだ」
おりょう「どうしようもないマニアの性(さが)ぜよ」
左衛門佐「ちなみに、ここでいう赤ガエルとは食用ガエル全般の意味だから、ふつうに中華食材ショップで売っているものを取り寄せたぞ」
エルヴィン「うむ。鶏肉に近い味という噂はよく聞くが、もっとさっぱりしていてスジもない。実際の経験に勝るものなし!」
みほ「」
ダージリン「」
ケイ「」
カチューシャ「」
エリカ「」
アンチョビ「」
ペパロニ「」
カルパッチョ「」
絹代「なるほど〜っ! 勉強になります!」
カレー対抗戦 第6回戦
× カバさんチーム VS アンツィオ高校 ○
エルヴィン「負けはしたが、悔いはない」
左衛門佐「うむ。あのアンツィオにここまで食い下がれたのだからな」
おりょう「負け戦が最も面白いものぜよ」
カエサル「分の悪い賭けは、嫌いじゃない……って、ひなちゃん痛い! 痛いっ!」
カルパッチョ「〜〜〜ッッ!!!」ポカポカポカ
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:29:08.75 ID:+gLJjSpd0
杏「そりゃ、鶏肉だとばっかりおもってたのがいきなりだまされたんだもん」
エリカ「味は良かったところがまた腹立つわね」
マリー「それほど驚くようなことかしら。ただのグルヌイユでしょ?」
みほ「グルヌイユ?」
押田「カエルのもも肉のことさ。フランス料理ではおなじみの食材だ。私たちは慣れている」
安藤「それはエスカレーター組だけだ! 私は認めないからな!」
押田「なにおうっ!?」
安藤「君が料理の当番のとき、さも当然のように食卓にあげないでくれっ! 変わった形の唐揚げだとおもって食べた後のショックがわかるか!?」
優花里「ん?」
押田「それだったら言わせてもらうが、君の手料理はデリカシーが足りない! レバニラ炒めなんて大盛りで食べたら、においが気になって気を使うだろっ!」
沙織「んん?」
華「……あのう、おふたりは一緒に住んでらっしゃるんですか?」
安藤「えっ」
押田「あっ」
マリー「それ私も知らないわ。もう少し詳しく聞かせてくれる?」
安藤「」(赤面)
押田「」(赤面)
ケイ「フウーッごちそうさま! 食べる前にお腹いっぱいになっちゃった♪」
アハハ ワハハハ
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:30:06.21 ID:+gLJjSpd0
マリー「ま、それは置いといて、うちはカレーのスープを用意したわ」
ノンナ「おやこれは……」
カチューシャ「なによこれ。カチューシャが知ってる北海道のスープカレーとはぜんぜんちがうじゃない」
クラーラ「スープなのに熱くありません。むしろ逆に、冷たいスープです」
ダージリン「この味と舌触り……ヴィシソワーズね」
マリー「そのとおり。要はジャガイモを使った冷製ポタージュだけど、それにスパイスを加えてカレー風味をととのえた特製のスープ。その名も『BCソワーズ』よ」
押田「マリー様は猫舌でいらっしゃる。それに、食事もゆっくりと楽しまれるお方だ」
安藤「なので熱いうちに食べきる必要がなく、かつ、お腹に重くたまらないカレー料理があみ出されたのだ」
梓「上品な味〜っ!」
あや「暑い夏に激辛カレーかっこむのもいいけど、これは涼しくなりそうな感じがするね!」
みほ「冷たいカレーなんて、生まれて初めてかも」
杏「こりゃ盲点だ。いままでだれもカレーの『温度』については触れてこなかったもんねえ」
華「ええ。それにジャガイモや玉ねぎなど、カレーの材料で作ってあるところが見事です」
押田「ちなみにジャガイモがフランスで料理に使われるようになったのは18世紀後半から。その際にルイ16世とマリー・アントワネットの国王夫妻がジャガイモの普及に一役買ったという話がある」
安藤「栄養学者のパルマンティエは飢饉の対策としてジャガイモの有用性を訴え、国王ルイ16世に協力を要請した」
押田「ルイ16世は手始めにヴェルサイユ宮殿の外にある畑にジャガイモを植えさせたのだが、そこである工夫をした」
42 :
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[sage saga]:2021/01/15(金) 20:31:03.58 ID:+gLJjSpd0
安藤「日中は見張りを置いていかにも貴重な作物であるとアピールしておいて、夜は手薄にしてあえてジャガイモを盗ませ、味を広めさせたという」
押田「一方マリー・アントワネットは貴族たちにも知ってもらおうと、夜会にはジャガイモの花を髪飾りにしたファッションを取り入れたそうだ」
安藤「野草が好きだったという、いかにも彼女らしいアイデアだな」
ヘエー スゴーイ
沙織「なんか思っていたよりいい人っぽいね。マリー・アントワネット」
カエサル「うむ。歴史を学べば、歴史上の人物の印象が変わる」
エルヴィン「一般的な風評とは違い、意外に高潔な面もあるのだ」
左衛門佐「だが、学べば学ぶほど時として教科書の裏側ものぞいてしまう」
おりょう「マリー・アントワネットの子供は……いや、ここではよしておくぜよ」
華「では後攻。大洗からは、同じく最終章からの登場となったサメさんチームです!」
お銀「待たせたね!」
ラム「うほっ!」
麻子「お前たちがカレー作りを? イメージがまったくできないぞ」
カトラス「……学年主席のわりに、にぶいのね」
麻子「?」
お銀「学園艦のカレーってことはさ、学食のカレーのことだろ?」
ムラカミ「じゃあ、その学食を作ってるのは誰なんだい?」
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:31:58.05 ID:+gLJjSpd0
みほ「そっか。うちのカレーって、実際には船舶科の人たちが作ってるんだ!」
お銀「そうとも。カレーの味が生徒会の伝統とやらは知らないが、実際の現場では、うちら船舶科の連中が日々の味付けに微妙な調整を行なっていて、毎日の味を保っているのさ」
優花里「なるほど! 学園艦のカレーの味比べということであれば、これは心強いですね!」
エルヴィン「ああ。これほど頼もしい助っ人もそうそうないだろう。さしずめヤクルトスワローズのバレンティン」
おりょう「阪神タイガースのランディ・バースぜよ」
左衛門佐「いや、阪急ブレーブスのブーマーだ!」
『それだッ!!!』
麻子「お前ら歳いくつだ」
沙織「……ゴホン! 気を取り直して、サメさんチームはカレーを発表してね!」
ラム「あたいらは手ごわいよ〜?」
フリント「なんたって、うちにはカトラスがいるからね!」
ムラカミ「おうおうカトラス、言ってやんな。あんたのご意見をさ」
カトラス「出場するのが全国の学園艦のカレー大会である以上、求められているのは『学園艦の特色あるカレー』ということ」
カトラス「桃さんをほんとうに優勝させたかったら、そのあたりを考えられたカレーを作らないといけない」
お銀「つまり、必ずしも美食を追求する必要はないってことさ!」
ラム「うほっ!」
オオー ナルホドー
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:32:48.50 ID:+gLJjSpd0
沙織「すっご〜い。プロの視点ってやつ?」
麻子「そこまで言うなら、お前たちはどういうカレーを用意したんだ」
カトラス「学園艦として、そして大洗女子学園らしさを追求したカレーがこれ」
麻子「とは言ったものの……これは?」
優花里「……何の変哲もないうちのカレー、ですよね……?」
エリカ「はあっ? 学食のカレーをフツーに出してきたってわけ?」
アッサム「データによると、それだけで優勝できる確率は絶望的ですが……」
ダージリン「サメさんたち一体どういうことでしょう?」
ムラカミ「ま、能書きはあとだ。まずは食ってみてくれ」
ムグムグ モグモグ
『ごちそうさまでした!』
お銀「うまかったかい?」
絹代「はいっ! これが大洗女子学園の、本来のカレーの味なのですね!」
ムラカミ「それじゃ、お次はこいつだ」
ラム「召し上がれ〜っ!」
みほ「ふえっ?」
華「これは……フルーツ? アイス? それからケーキやパフェでしょうか」
沙織「それもこんなに……どうしたの?」
お銀「その質問にこたえる前に、みんなに聞きたいことがある」
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:34:03.17 ID:+gLJjSpd0
お銀「どうして学園艦ではカレーが名物なんだい?」
華「それは……さかのぼれば、海軍カレーがルーツだからでしたっけ」
麻子「長い洋上生活では曜日感覚が薄れていく。それを呼び起こすために休みの前日にはすべての部署が一斉にカレーを食べる慣習になったといわれているな」
優花里「現在のカレー曜日は金曜ですが、昔の海軍は土曜日だったらしいですね」
ムラカミ「そうさ。それじゃあ、この学園艦の中でも特に曜日感覚がなくなるのはどういう人間だとおもう?」
華「それはやはり、窓もないようなエリアを担当する船舶科の……ハッ!?」
ムラカミ「わかってくれたかい? これはあたしたちが提案する、カレー曜日専用のデザートつきスペシャルセットメニューさ」
お銀「カレーだけなら学食で食べられるだろう? 何か曜日ごとに特別なメニューがあったらいいのに、という船舶科の子たちの願いが込められているのさ」
カトラス「『大洗女子学園のカレーは船舶科の子のために豪華なデザートがつくらしい』という噂は、ぜったいに全国の学園艦に広まるし、各地の船舶科たちが黙っちゃいない」
フリント「うちでも採用しろって声が多くあがるだろうね〜。そうすると船舶科だけでなく、学園艦ごとに金曜日には豪華なスペシャルカレーを出すブームが起こる」
ムラカミ「そのブームの火付け役は、カレー大会で優勝した桃さんだ。大きな実績ができる!」
お銀「まあ、まだ優勝はしてないんだけどね」
ラム「うほっ!」
桃「おおっ! お、お前たち……そこまで……!」プルプルプル
カレー対抗戦 第7回戦
○ サメさんチーム VS BC自由学園 ×
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:34:45.90 ID:+gLJjSpd0
マリー「この私が、まさかスイーツによって負けるだなんて……!」
オレンジペコ「マリーさん個人のために作られたカレーと、学園艦の多くの人たちのことを想って考えられたカレーの戦いでしたね」
ダージリン「今回は、公(おおやけ)の勝ちといったところかしら」
アッサム「これは意外な方向からのアプローチでした。船舶科、恐るべしです」
華「対抗戦も大詰めですね。それでは8チーム目、カメさんチーム」
柚子「いよいよだね桃ちゃん」
桃「会長、お願いします!」
杏「はいよ〜っ!」
パゾ美「あれ、これは……?」
そど子「見たことあるとおもったらこれも学食のカレーじゃない」
ゴモヨ「でも、普段とは違ういい香りが……これは一体?」
杏「学園艦のカレーはあたしが考えたレシピをもとにしてるんだけど、やっぱり削らざるを得ない材料とか手順がいくつかあるわけ」
杏「しか〜し、今回はその理想のレシピを忠実になぞった完全版!」
杏「いつものカレーにあたしが特別に調合したマル秘スパイスを加えることで一気にプロの仕事に!」
杏「さらには名物のあんこうを入れることで海のうま味が加わる!」
杏「胸をすく清冽(せいれつ)な香り! 生徒会に伝わる極上の味!」
杏「名付けて『極上生徒会あんこうカレー』だよ!」
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:35:50.18 ID:+gLJjSpd0
エリカ(cv:生天目仁美)「極上生徒会ですって!?」
小梅(cv:仙台エリ)「うぐっ……! 急に頭が……」
カエサル(cv:仙台エリ)「あぐっ……! わたしも……」
ケイ(cv:川澄綾子)「あたしも……メガネ……メガネ……」
桃(cv:植田佳奈)「……うッ……極上生徒会……なんだか頭が……!」
杏「前世の記憶(?)が濃いひとたちばっかりだね〜」
みほ「どこかでうっすら聞いたことがあるような……」
沙織「なんだっけ……思い出せないよう……」
麻子「無理もない。ずいぶん前のアニメだからな」
華「第5話でカレー対決やってましたね。そのときの『平凡カレー(並味)』はのちに商品化もされています」
みほ「!?」
優花里「ゲームは詳しくなかったのに何でこれは知ってるんですか!?」
華「生徒会長を拝命するにあたって、他にどんな生徒会の形があるのかアニメで勉強しようとおもいまして。とりあえず『生徒会』とついてる作品を片っ端から見てみました」
沙織「何でアニメで……絶対おかしな知識しか身につかないよう……」
梓「あふ、あむ……あんこうの入ったカレーなんて初めてです」
典子「う〜んおいしい〜っ!」
ナカジマ「本格的だね〜っ!」
みほ「辛さがきつくないのに、スパイスの香りが立っている……!」
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:36:51.67 ID:+gLJjSpd0
そど子「これはぜいたくな味だわ」
ねこにゃー「か、神作決定……!」
柚子「皆の反応は上々です。元生徒会の面目躍如といったところかしら」
杏「んっふっふ〜。ま、出し惜しみナシでいったからねえ」
華「対するは、黒森峰」
エリカ「極上生徒会の名前が出たからには、会長として(?)黙っていられないわ」
小梅「はい。私も桜梅 歩(おうめ あゆむ)ちゃんのこと、他人とはおもえません」
エリカ「さっきカレー対決の話があったけど、アニメを見たってことはあれの決着は知っているわよね?」
華「ええ。隠密部と遊撃部がお互いの活動予算をかけて、それぞれのカレーを生徒会長に試食してもらう決闘をするんです」
沙織「えっ 何でカレーで? それに隠密とか遊撃って何!?」
麻子「細かいことは心に棚を作れ。そういうアニメだ」
華「そこへ同じく審査員席にいた主人公が『混ぜたらもっとおいしい』と言って両者のカレーを混ぜてしまって勝負つかず。そういうオチでした」
優花里「えっ 予算の件は? 何も解決しないままなのにオチといえるのでしょうか……?」
麻子「そういうアニメだ」
エリカ「そうよ。混ぜたらもっとおいしい。それを体現したのがこのあいがけカレー!」
みほ「これは……ドイツの国旗!?」
エルヴィン「上から黒・赤・金色のカレーがごはんにかかっているぞ」
カエサル「金色?」
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:37:46.74 ID:+gLJjSpd0
エルヴィン「誤解されがちだが、ドイツ国旗のあの部分は黄色じゃない。だからこのカレーも金色だ」
エリカ「黒い色は玉ねぎをじっくり炒め、褐色のペースト状になるまで煮詰めたもの」
エリカ「金色はご存じターメリック。油を通すとさらに鮮やかな色が出る」
エリカ「赤はもちろん唐辛子。ここではパプリカで色をつけたわ」
小梅「パプリカといっても野菜のそれとは別物で、甘唐辛子(ベルペッパー)のことです」
エリカ「色が違うということは、使っているスパイスもそれぞれ異なっているということ」
エリカ「名づけて『三ツ星カレー』(ドライ・シュテアーヌ・カリー)! 3種類の味と香りの多段構造を楽しんでほしいわ」
ペパロニ「旨ま〜っ!!」
カルパッチョ「スパイスひとつひとつがはっきりとその形を示していながら、お互いと調和しています……!」
アンチョビ「赤いカレーが見た目に反してまったく辛くない……むしろ、ほかのカレーを引き立てさらなる旨味を呼んでいる」
典子「これはどっちだ〜っ! うう〜ん選べない!」
そど子「どちらもハイレベルね。これは迷うわ」
ケイ「どっちも勝たせてあげたいけど……」
絹代「これに投票せよとは酷な話ですが……ううっ」
華「では開票します!」
カレー対抗戦 第8回戦
△ カメさんチーム VS 黒森峰女学園 △
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:38:45.70 ID:+gLJjSpd0
安藤「ややっ! なんとっ!!」
華「評価は真っ二つ! 同数票によりこの勝負、引き分けです」
オオー パチパチパチ
アッサム「大洗は自由な発想で、あんこうの旨さをカレーに加えて私たちを満足させました」
オレンジペコ「黒森峰はスパイスを使いこなすことで、カレーの真髄を教えてくれましたね」
ダージリン「そしてこの決着。最初から最後まで、まるで『美味しんぼ』の究極のカレー対至高のカレーのようだったわ」
華「いよいよ最後の戦いとなりました。9組目は、わたくしたちあんこうチームの発表です」
沙織「……あれ?」
麻子「どうした」
優花里「9組目とのことですが、私たちの相手って、どの学校なんですか?」
みほ「ええっと……もう全員発表し終えてるよね?」
麻子「そういえば……劇場版で大洗に短期転校してきた学校が7つ。それにBC自由学園を加えて8校」
沙織「大洗と縁のある学園艦っていったら、これで全部じゃないの?」
華「いえ、実はもうひとつあるんです」
みほ「ふえっ?」
華「わたくし最初に開会宣言をしたとき、他校の学園艦『など』と申し上げました」
みほ「それってどういう……」
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:40:08.16 ID:+gLJjSpd0
『 待ったーーーーーーっっ!!!!! 』
みほ「ッ!??」ビクッ!
まほ「ニーダーザクセン大学から、西住まほ。カレー大会にはせ参じた」
みほ「お姉ちゃん!!?」
まほ「まったく、待ちわびたぞ。カレーの話題で私が出なくてどうする」
エリカ「た、隊長……いつからここへ……!?」
まほ「最初からいたさ。別室で全員分のカレーも試食している」
エリカ「で、では、私のカレーも召し上がったんですよね。それで、評価はっ!? 私のカレーはおいしかったですか!?」
まほ「その答えの前に、私のカレーを食べてもらいたい」
エリカ「こ、これは……」
小梅「きれいな緑色……。まるでカレーじゃないみたいです」
まほ「『サグ・パニール』という北インドカレーの一種だ」
まほ「多種のスパイスで基本の材料を炒め、そこへほうれん草をていねいに裏ごししたものと生クリームを加えて煮る」
まほ「今回はそこへ、私が独自にトッピングした具材を入れてみた。さあ召し上がれ」
アンチョビ「めちゃめちゃうまそうな香りがするぞっ!」
ペパロニ「スパイスのにおいの中に、なんつーか中華っぽい香ばしさが混ざってます!」
まほ「香りの正体は、揚げたカシューナッツだ。それを細かく砕き溶け込ませてある」
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2021/01/15(金) 20:41:39.85 ID:+gLJjSpd0
まほ「北インドカレーの特徴のひとつに、ナッツ類をふんだんに用いる点がある。そのためコク深くぜいたくな味に仕上がっているぞ」
杏「ヤバイ。旨まっ……ガチじゃんこれ」
柚子「トッピングのこれは、アボカドに衣をつけて揚げたものですか?」
桃「アボカドが口の中でとろける……まるで濃厚なクリームコロッケのようだ」
ケイ「具もリッチね! 焼肉用の牛肉かしら?」
まほ「焼肉店でのメニューで言う『ハラミ』の部位を使用してある。柔らかく旨味が強い」
ダージリン「……牛肉?」
オレンジペコ「どうしましたダージリン様?」
ダージリン「北インドは首都のある地域よ。インドのどこよりもヒンドゥー教徒が多いところ」
ダージリン「宗教の教えでは牛は神聖な生き物とされ、食べてはいけないといわれているわ」
ダージリン「つまり、このカレーの具に牛肉という組み合わせは、本来はあり得ないはずなのよ」
まほ「さすがダージリンよく知っている。この料理に牛肉を加えるということは、北インド料理の常識から外れる」
まほ「そしてアボカドも、もともとインドには存在しない。不釣り合いな代物だ」
ダージリン「ここまで本物のインドカレーを再現しておきながら、異質なものをわざわざ入れている……?」
まほ「理由は簡単。好物ばかりを取りそろえたかったから」
エリカ「好物?」
まほ「私の好物はカレー。誰もが知るところだ」
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