他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
シンジ「君が、葛城ミサトちゃんだね」
Check
Tweet
441 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:44:01.36 ID:48W6ECl6o
オペレータ「第二戦車小隊、配置完了」
オペレータ「了解、現在位置のまま待機」
オペレータ「サブレーザー、回線開きます。情報送る」
オペレータ「確認、C回線にて発信」
ケンスケ「国連軍の包囲、完了しました」
シンジ「影は?」
トウジ「動きなしや。直径600mを超えたところで停止したまま。……地上部隊なんて役に立つんか?」
ケンスケ「プレッシャーかけてるつもりなんだろ、俺たちに」
シンジ「……」
442 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:45:06.08 ID:48W6ECl6o
加持「俺が……あの時止めていれば……」
リツコ「結果は同じよ。立場が逆になるだけ」
リツコ「ミサトは自分で行くと言ったんだから…それはあの子の責任よ」
加持「だが…!」
リツコ「…もし落ちたのがあなただったら」
リツコ「ミサトはあなたを救う方法を考えたはずよ」
加持「………」
シンジ「その通りだよ…今はミサトちゃんを救う方法を考えよう」
シンジ「それに…ミサトちゃんに行けと言ったのは僕だ。責任は僕にある」
シンジ「だから、加持くんが自分を責める必要はないんだよ…」
加持「……」
シンジ「ミサトちゃんを助けて、またみんなでご飯を食べよう」
443 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:46:22.13 ID:48W6ECl6o
ミサト「眠る事がこんなに疲れるなんて、思わなかった…」
ミサト「やっぱり真っ白か…レーダーやソナーが返ってこない。空間が広すぎるんだわ…」
ミサト「生命維持モードに切り替えてから12時間…私の命も後4、5時間か…お腹空いたな…」
シンジ「じゃあ、あの影の部分が?」
レイ「そう、使徒の本体。直径680メートル、厚さ約3ナノメートルのね。その極薄の空間を、内向きA.T.フィールドで支え、内部はディラックの海と呼ばれる虚数空間」
レイ「多分、別の宇宙につながっているんじゃないかしら…」
シンジ「あの球体は?」
レイ「本体の虚数回路が閉じれば消えてしまう。上空の物体こそ、影に過ぎないわ」
シンジ「初号機を取り込んだ、黒い影が目標か…」
加持「そんな…どうすれば…」
444 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:47:04.96 ID:48W6ECl6o
ミサト「水が…!濁ってきてる……浄化能力が落ちてきてるんだわ…!」
ミサト「うっ!…生臭い!血?血の匂い…!」
ミサト「……嫌っ!ここは嫌!なんでロックが外れないのよっ!」
ミサト「開けて!ここから出して!シンジさん、どうなってるの…?シンジさん!加持くん!リツコ!…レイさん………お父さん…」
ミサト「お願い、誰か、助けて…」
445 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:48:27.67 ID:48W6ECl6o
シンジ「エヴァの強制サルベージ?」
レイ「現在、可能と思われる、唯一の方法よ」
レイ「992個、現存する全てのN2爆雷を、中心部に投下」
レイ「タイミングを合わせて残存するエヴァ2体のA.T.フィールドを使い、使徒の虚数回路に1000分の1秒だけ干渉するわ」
レイ「その瞬間に、爆発エネルギーを集中させて、使徒を形成するディラックの海ごと破壊する」
シンジ「でもそれじゃあエヴァの機体が…ミサトちゃんがどうなるか…!救出作戦とは言えないよ」
レイ「…作戦は初号機の機体回収を最優先とします。たとえボディーが大破したとしても」
シンジ「な…っ!」
シンジ「なに言ってるんだよ!綾波!」
レイ「……今初号機を失うわけにはいかないのよ、碇三佐」
シンジ「そんな…!ミサトちゃんだって!同じじゃないか、そんな作戦は認められない!」
レイ「…パイロットの補充はきくわ」
シンジ「……綾波…!」
446 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:49:03.36 ID:48W6ECl6o
レイ「あなたも分かってるはずよ…冷静になって」
シンジ「僕は……!冷静だよ、…綾波こそおかしいんじゃないのか!?」
シンジ「………そこまで初号機にこだわる理由って何、エヴァってなんなんだよ!」
レイ「…あなたに渡した資料が全てよ」
シンジ「嘘だ…!」
レイ「………」
レイ「…碇くん、私を信じて」
レイ「これ以降、本作戦についての一切の指揮は、私が執ります」
レイ「関空には便を廻すわ。航空管制と空自の戦略輸送団にも連絡を」
シンジ「………」
シンジ(セカンドインパクト。補完計画。まだ…まだ僕の知らない秘密があるんだ…)
447 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:50:01.71 ID:48W6ECl6o
ミサト「…誰?」
ミサト「誰?」
ミサト「…葛城ミサト」
ミサト「それは私よ!」
ミサト「あなたは私よ。人は自分の中にもう一人の自分を持っている。自分というのは常に2人でできているものなの」
ミサト「2人?」
ミサト「実際に見られる自分とそれを見つめている自分。葛城ミサトという人物だって何人もいる」
ミサト「私の心の中にいるもう一人の葛城ミサト、碇シンジの心の中にいる葛城ミサト、加持リョウジの中のミサト、赤木リツコの中のミサト…お父さんの中のミサト」
ミサト「みんなそれぞれ違う葛城ミサトだけど、どれも本物の葛城ミサト。あなたはその他人の中の葛城ミサトが恐いのよ」
ミサト「人から嫌われるのが恐いんでしょ?」
ミサト「弱い自分を見るのが恐いのよ」
448 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:51:00.81 ID:48W6ECl6o
ミサト「よい子にならなきゃいけないの」
ミサト「パパがいないから。ママを助けて私はよい子にならなきゃいけないの」
ミサト「でも、ママのようにはなりたくない。パパがいないとき、ママは泣いてばかりだもの」
ミサト「泣いちゃだめ、甘えちゃだめ。だから、よい子にならなきゃいけないの。そしてパパに嫌われないようにするの」
ミサト「……でも父はいなくなった。私を置いて」
ミサト「だから恨んだ。お母さんと同じに…」
ミサト「悪いのは誰?」
ミサト「悪いのはお父さんよ!私を捨てたお父さん!」
ミサト「悪いのは私よ!」
449 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:52:03.48 ID:48W6ECl6o
ミサト「疑問?」
シンジ「君たちをエヴァに乗せてること…」
ミサト「で、自分を大切にしろ、って言うんでしょう?」
ミサト「みんなそうなのよ。そうして、仕事に、自分の世界に行ってしまうんだわ。私を置き去りにしたまま」
ミサト「お父さんと同じなのよ」
ミサト「辛い現実から逃げてばかりなのよ」
ミサト「辛い現実?私のことか…」
ミサト「嘘よ!私は必要とされてる!」
450 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:53:02.82 ID:48W6ECl6o
日向「付き合ってくれないかな」
シンジ「僕も君が大切だよ」
加持「好きだから…キスしよう」
葛城「よくやったな、ミサト」
ミサト「お父さんが、私の名前を呼んだのよ。あのお父さんが誉めてくれたのよ!」
ミサト「みんなも優しくしてくれる。私が必要なのよ!」
ミサト「その喜びを反芻して、これから生きていくんだ?」
ミサト「その言葉を信じてれば、これからも生きていけるわ!」
ミサト「自分をだましつづけて?」
ミサト「みんなそうよ、誰だってそうやって生きてる」
ミサト「自分はこれでいいんだ、と思いつづけている。でなければ生きていけないのよ」
ミサト「私が生きていくには、この世界には辛い事が多すぎる」
ミサト「そう。辛かったら逃げてもいいのよ」
ミサト「そうよ。嫌なことから逃げ出して、何が悪いって言うのよ!」
451 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:54:02.07 ID:48W6ECl6o
日向「こないだの騒ぎで、妹が怪我しちゃって」
加持「両手に花とは、羨ましいよ」
葛城「ここにお前の居場所はない!」
ミサト「嫌!聞きたくない!」
ミサト「ほら、また逃げてる」
ミサト「楽しいことだけを数珠のように紡いで生きていられるはずが無いのよ、特に私はね」
ミサト「楽しいこと見つけたの。楽しいこと見つけて、そればっかりやってて、何が悪いのよ!」
ミサト「楽しいことだけ、やっていたいの」
452 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:55:04.27 ID:48W6ECl6o
トウジ「エントリープラグの予備電源、理論値ではそろそろ限界や」
ヒカリ「プラグスーツの生命維持システムも危険域に入ります」
レイ「12分予定を早めましょう」
レイ「…ミサトちゃんが生きている可能性が、まだあるうちに」
ミサト「お父さん、私はいらない子なの?お父さん!」
ミサト「自分が追い出したくせに」
女「父親の実験だか何かのせいで母親が犠牲になったっていうじゃない」
女「恐ろしいわよねえ、自分の奥さんを実験台にするなんて…」
ミサト「違う!お母さんは…笑ってた…」
453 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:56:31.42 ID:48W6ECl6o
シンジ「立派じゃなくてもいい」
加持「誰にでもできることじゃないさ」
シンジ「頑張ってね……応援してるよ」
葛城「お前の心と共にある」
ミサト「ここは嫌……一人はもう、嫌…!」
ミサト「保温も、酸素の循環も切れてる…寒い…だめだ……スーツも限界…ここまでね…。もう、疲れた…ぜんぶ…」
光が体を包む
ミサト「…、……!」
ミサト「お母さん…!?」
(ほら、こうするの…)
(あなたにもできるわ……)
454 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:57:05.08 ID:48W6ECl6o
ケンスケ「エヴァ両機、作戦位置」
ヒカリ「A.T.フィールド、発生準備よし」
レイ「了解」
トウジ「爆雷投下、60秒前」
使徒に亀裂。
加持「何が起こってるんだ!?」
シンジ「状況は?」
トウジ「分からん!」
ヒカリ「全てのメーターは、振り切られています!」
レイ「まだ何もしていないのに!」
シンジ「まさか、ミサトちゃんが!」
レイ「ありえないわ!初号機のエネルギーは、ゼロなのよ!」
影を突き破って現れる手
オペレータ「おおっ!」
455 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:58:01.89 ID:48W6ECl6o
咆哮する初号機
加持「……これが、エヴァなのか…?」
リツコ「……」
レイ「何て物を……何て物をコピーしたの?私たちは…」
シンジ(エヴァがただの第1使徒のコピーなんかじゃないのは分かる…)
シンジ(でも、ネルフは使徒をすべて倒した後、エヴァをどうするつもりなんだ…?)
降り立つ初号機
レイ「……!」
加持「……、…」
リツコ「……」
456 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 15:59:03.41 ID:48W6ECl6o
シンジ「ミサトちゃん…ミサトちゃん!ミサトちゃん!」
シンジ「ミサトちゃん、大丈夫!?ミサトちゃん!」
ミサト「…ただ会いたかったの、もう一度…」
加持「…はぁ」
加持「よかった……」
リツコ「…あなたもそんな顔、するのね」
加持「ん?はは…葛城には内緒で頼むよ」
リツコ「ええ…」
457 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 16:00:02.79 ID:48W6ECl6o
レイ「私は今日ほど、このエヴァが恐いと思ったことはありません」
レイ「本当にエヴァは私たちの手に負えるのでしょうか」
レイ「私たちは、憎まれているのかもしれません……エヴァに」
レイ「碇三佐の疑心も、そろそろ限界です」
葛城「そうか、今はいい…」
レイ「……彼らがコアの秘密を知ったら……許してもらえないでしょうね」
葛城「……」
458 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 16:01:02.10 ID:48W6ECl6o
リツコ「今日は寝ていて。後は私たちで処理するわ」
ミサト「うん…でも、もう大丈夫よ?ほら」ブンブン
ミサト「うっ…痛…!」
加持「強がるなよ、寝てろって」
リツコ「…あなたも、格好がつかないわね…」
ミサト「ぐっ…」
加持「? 何の話だ?」
ミサト「あっあんたには関係ない話よ!」
リツコ「ふふ…」
ミサト「…もうっ!分かったから、作業に行きなさいよ!」
加持「はいはい、お姫さま」
リツコ「また来るわ」
459 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 16:02:08.79 ID:48W6ECl6o
ドアが閉まる
ミサト「………もう。バカにして…」
ミサト「………」
ミサト「取れないわね…血の匂い」
拾六話分終わり
460 :
◆gcWj88zLkc
[sage sage]:2020/11/29(日) 16:03:08.31 ID:48W6ECl6o
続きは土曜
461 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[age]:2020/12/02(水) 20:41:51.75 ID:KaV0xIhhO
加藤純一(うんこちゃん) Youtubelive
リスナー制作
『アンダーテイル』リメイクゲーム
『加藤純一物語』配信
『視聴者が600時間かけて作りし
加藤純一TALEをやる』
(20:23〜放送開始)
https://youtube.com/watch?v=_OaV_qQsq0I
462 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/12/03(木) 01:50:29.02 ID:/sRc7TGbo
乙ー
463 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[age]:2020/12/04(金) 11:19:26.10 ID:KANWBNK5O
加藤純一(うんこちゃん) Twitch
APEX(PC) シーズン7
ランクマ Part24
『プラチナ1行きます』[プラチナU]
(7:10〜放送開始)
http://www.twitch.tv/kato_junichi0817
464 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/12/05(土) 07:40:18.01 ID:G4Ro6tBs0
期待
465 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:01:02.45 ID:bn13i2TRo
キール「今回の事件の唯一の当事者である初号機パイロットの直接尋問を拒否したそうだな、碇三佐」
シンジ「はい。彼女の情緒はとても不安定な状態です。今ここに立つことが良策とは思えません」
委員「では聞こう、代理人碇三佐」
委員「先の事件、使徒がわれわれ人類にコンタクトを試みたのではないのかね?」
シンジ「…分かりかねます。被験者の報告からはそれを感じ取れません。イレギュラーな事件だと推定されます」
委員「彼女の記憶が正しいとすればな」
シンジ「……記憶の外的操作は認められません」
委員「エヴァのACレコーダーは作動していなかった。確認はとれまい」
委員「使徒は人間の精神、心に興味を持ったのかね?」
シンジ「それは…。使徒に心の概念があるのか、人間の思考が理解できるのか、まったく不明ですので……返答できかねます」
466 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:02:07.42 ID:bn13i2TRo
委員「今回の事件には、使徒がエヴァを取り込もうとしたという新たな要素がある。これが予測されうる第13使徒以降とリンクする可能性は?」
シンジ「これまでの例から、使徒同士の組織的なつながりは否定されます」
委員「さよう。単独行動であることは明らかだ。これまではな」
シンジ「…それは、どういうことなのでしょうか?」
キール「君の質問は許されない」
シンジ「…はい」
キール「以上だ。下がりたまえ」
シンジ「はい」
キール「どう思うかね、葛城君?」
葛城「使徒は知恵を身につけ始めています。残された時間は…」
キール「後わずか、と言うことか」
467 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:03:16.44 ID:bn13i2TRo
看護師「12号室のクランケ?」
看護師「例のE事件の救急でしょ?ここに入院してからずいぶん経つわね」
看護師「なかなか難しいみたいよ、あの怪我」
看護師「まだ小学生なのに」
看護師「今日もきてるんでしょ、あの子」
看護師「そうそう。週2回は必ず顔出してるのよ、妹思いのいいお兄さんよねぇ」
看護師「ほんと?今時珍しいわね、あんな男の子」
468 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:04:05.38 ID:bn13i2TRo
葛城「リツコ、今日はいいのか?」
リツコ「はい。明日、綾波博士のところへ行きます。明後日は学校へ」
葛城「…学校はどうだ」
リツコ「問題ありません」
葛城「そうか…ならいい」
マヤ「起立、礼、着席!」
老教師「あ、ああ…今日の休みはいつもの赤木と、青葉か。後、今日は小池先生がお休みで、4時限目の現国が自習となります」
ミサト「青葉くん、どうかしたの?」
日向「さぁ…またどっかで路上ライブじゃないかな……あいつのことだし」
老教師「日向!」
日向「は、はい!」
老教師「後で、赤木にプリントを届けておくように」
日向「はい!」
469 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:05:19.06 ID:bn13i2TRo
トウジ「とにかく、第一支部の状況は、無事なんやな!?かまわん!計算式やデータ誤差はMAGIに判断させる!」
カヲル「消滅!?確かなのか!?第2支部が」
ケンスケ「はい、すべて確認しました。消滅です」
シンジ「…なんてこと……」
トウジ「上の管理部や調査部は大騒ぎ、総務部はパニックや!」
シンジ「それで、原因は?」
レイ「未だ分からず。手がかりはこの静止衛星からの映像だけで、後は何も残ってないの」
ヒカリ「10セコンド、8、7、6、5、4、3、2、1、コンタクト」
シンジ「……ひどい」
ヒカリ「エヴァンゲリオン四号機ならびに半径89キロ以内の関連研究施設はすべて消滅しました」
レイ「数千の人間を道連れにね」
シンジ「………」
470 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:06:12.30 ID:bn13i2TRo
ケンスケ「…タイムスケジュールから推測して、ドイツで修復したS2機関の搭載実験中の事故と思われます」
ヒカリ「予想される原因は、材質の強度不足から設計初期段階のミスまで、32768通りです」
シンジ「妨害工作の線も…あるか」
トウジ「せやけど爆発やなく消滅なんやろ?つまり、消えた、と」
レイ「多分、ディラックの海に飲み込まれたんでしょうね、先の初号機みたく」
シンジ「じゃあS2機関も?」
レイ「……夢は潰えたわね」
レイ「訳の分からないものを無理して使った…その報いね」
シンジ(…それはエヴァも同じだ……)
471 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:07:04.81 ID:bn13i2TRo
シンジ「…残った参号機はどうするの?」
レイ「ここで引き取ることになったわ。米国政府も第1支部までは失いたくないみたいね」
シンジ「そんな。参号機と四号機はあっちが建造権を主張して強引に作ってたんじゃないか!いまさら危ないところだけうちに押し付けるなんて、虫がよすぎるよ」
レイ「あの惨劇の後じゃ誰だって弱気になるわ…」
シンジ「…それじゃあ、起動試験はどうするの?例のダミーを?」
レイ「…これから決めるわ」
472 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:08:02.40 ID:bn13i2TRo
レイ「試作されたダミープラグです。赤木リツコのパーソナルが移植されています」
レイ「…ただ、人の心、魂のデジタル化はできません。あくまでフェイク、擬似的なものです」
レイ「パイロットの思考の真似をする、ただの機械です」
葛城「信号パターンをエヴァに送り込む。エヴァがそこにパイロットがいると思い込み、シンクロさえすればいい」
葛城「初号機と弐号機にはデータを入れておけ」
レイ「まだ問題が残っていますが」
葛城「…エヴァが動くことが先決だ」
レイ「はい…」
473 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:09:02.44 ID:bn13i2TRo
葛城「機体の運搬はUNに一任してある。週末には届くだろう」
葛城「後は君のほうでやってくれ」
レイ「はい。調整ならびに起動試験は、松代で行います」
葛城「…テストパイロットは?」
レイ「ダミープラグはまだ危険です。現候補者の中から、」
葛城「4人目を選ぶか……」
レイ「はい。一人、速やかに……コアの準備が可能な子供がいます」
葛城「…すまないな」
レイ「いいえ…」
レイ「……リツコちゃん?」
リツコ「…はい」
レイ「お疲れさま。もう上がっていいわよ」
リツコ「はい」
葛城「……」
474 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:10:02.45 ID:bn13i2TRo
マヤ「起立!礼!」
ミサト「さってぇと〜ご飯ご飯♪」
ミサト「…って、あら?」
マヤ「葛城さん……ずいぶん大きなお弁当ね」
ミサト「そ、そうよね、これは…」
加持「悪いな、葛城。玄関で取り違えちまったみたいだ」
ミサト「げっ」
加持「これで元通り、っと」
475 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:11:02.68 ID:bn13i2TRo
女子「お弁当の交換〜!?」
男子「イヤ〜ンな感じ〜!」
ミサト「ちっ、違うのよ!?これは…!」
女子「いいわよね〜、家ではシンジさん、学校では加持くん」
女子「どっちか譲りなさいよ〜!」
女子「どっちが本命なのよお!」
ミサト「やっ…やあねえ!そんなんじゃないわよ!」
日向「………」
476 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:12:03.26 ID:bn13i2TRo
シンジ「どうしたの?…改まって」
レイ「松代での参号機の起動実験、テストパイロットは4人目を使うわ」
シンジ「4人目?フォースチルドレンが見つかったの?」
レイ「昨日ね」
シンジ「…マルドゥック機関からの報告は受けてないよ」
レイ「正式な書類は明日届くわ」
シンジ「それで……選ばれた子って?」
レイ「……この子よ」
シンジ「……そんな、よりによって」
レイ「候補者を集めて保護してあるのだから…仕方ないわよ」
レイ「話しづらいでしょうけど……頼むわね」
477 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:13:03.31 ID:bn13i2TRo
シンジ「…加持くんや、リツコちゃんは大丈夫だと思う、エヴァに乗ることにプライドも持ってるし。でも…ミサトちゃんは…」
シンジ「加持くんやリツコちゃんとは、パイロットとして出会った、初めから戦闘員として。でも…今回は一般人…クラスメイトだ。今まで守っていた対象。それに…先の事件もある」
シンジ「一番エヴァに対する恐怖心が強いのはミサトちゃんだから……辛いんじゃないかな。誰かを巻き込むのは」
レイ「…これ以上辛い思いは、させたくない?」
シンジ「それは……もちろん」
レイ「でも、私たちにはそういう子供たちが必要なのよ、みんなで生き残るために」
シンジ「……分かってるよ」
レイ「あなたが弱気だと、全体の士気に関わるわ……頑張ってね、碇作戦部長」
シンジ「……」
シンジ「うん……」
478 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:14:02.53 ID:bn13i2TRo
男子「じゃぁな〜」
女子「明日ね〜」
マヤ「……日向くん、これ」
日向「? プリント?」
マヤ「赤木さんのよ。先生に頼まれてたでしょ?」
日向「ああ、赤木のか。ありがとう、わざわざ」
日向「……でも女の子の家に一人でってのは、ちょっとなぁ……」
マヤ「そ!それなら私が一緒に…!」
日向「葛城さん!…これから時間ある?」
マヤ「……」
ミサト「リツコの家?いいわよ」
479 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:15:03.28 ID:bn13i2TRo
ミサト「リツコ〜!入るわよぉ!」
日向「い、いいの? 黙って上がって…」
ミサト「いいのよぉリツコは。防犯意識ゼロなんだから」
日向「そ、そういう問題じゃ…」
ミサト「あら?リツコ?リツコ〜?いないみたいね…」
日向「なっ」
日向「なんだ、この部屋は!」
480 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:15:56.75 ID:bn13i2TRo
ミサト「……勝手にイジると、さすがのリツコも怒るんじゃない?」
日向「いいや。これは……放っておけないよ。ゴミだけでも片付ける…!」
ミサト「…マメねぇ……」
日向「……イメージと違ったよ。赤木って…もっと完ペキな奴かと」
ミサト「意外と抜けてるとこあるわよ?リツコって」
日向「へぇ…」
ミサト「…あら。噂をすれば」
リツコ「……何してるの?」
日向「ごめん、勝手に片づけたよ。ごみ以外は触ってない」
日向「それと、これ。休んでた間のプリント」
リツコ「あ…」
リツコ「ありがとう…」
481 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:17:15.86 ID:bn13i2TRo
ミサト「しっかし、意外だったわね〜。リツコが照れるなんて。珍しいもん見たわ」
日向「えっ?真顔じゃなかった?」
ミサト「チッチッチ〜よ!あの頬の赤みは照れよ、照れ!」
日向「そ、そうかな…」
ミサト「ま。私とリツコくらいの仲になんないと、分っかんないでしょおね〜」
日向「…葛城さん、変わったね。なんていうか…明るくなった」
ミサト「……」
ミサト「そうかもね。シンジさんや…みんなが支えてくれて。エバにも慣れてきたし…」
ミサト「ちょっとは変われた、かな…」
日向「……」
482 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:18:05.46 ID:bn13i2TRo
カヲル「街。人の作り出したパラダイスだね」
葛城「かつて楽園を追い出され、死と隣り合わせの地上と言う世界に逃げるしかなかった人類」
葛城「そのもっとも弱い生物が、弱さゆえ手に入れた知恵で作り出した自分達の楽園だ」
カヲル「自分を死の恐怖から守るため、自分の快楽を満足させるために自分達で作ったパラダイスか…」
カヲル「この街がまさにそれだね…自分達を守る、武装された街」
葛城「…敵だらけの外界から逃げ込んでいる臆病者の街だよ」
カヲル「臆病なほうが長生きできる。それでいいじゃないか」
カヲル「第三新東京市、ネルフの偽装迎撃要塞都市、遅れに遅れていた第7次建設も終わる。いよいよ、完成だね…」
483 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:18:59.16 ID:bn13i2TRo
カヲル「四号機の事故、委員会にどう報告するつもりだい?」
葛城「原因不明だ」
カヲル「事実の通り、か……。ここにきて、大きな損失だね…」
葛城「…S2機関のデータはドイツに残っている」
葛城「ここと初号機が残っていれば、ことは成せる…」
カヲル「どうかな…委員会は血相を変えていたよ」
葛城「……」
カヲル「死海文書にはない事件だ……ゼーレも、慌てて行動表を修正しているだろうね」
カヲル「……老人たちにはいい薬か…」
484 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:20:03.55 ID:bn13i2TRo
シンジ「アスカ!」
アスカ「あら、ネルフの作戦部長様が、息を切らしてなんのご用?」
シンジ「…地下のアダムとマルドゥック機関の秘密、教えてよ。…知ってるんでしょ?」
アスカ「……何の話よ?」
シンジ「とぼけないでよ!」
アスカ「…あんたバカ?ここをどこだと思ってんのよ…まず落ち着きなさい」
シンジ「…落ち着いてられないよ…!消滅した第2支部に、移設される参号機…」
シンジ「そして都合よくフォースチルドレンが見つかる……こんなのおかしいよ。誰かが、裏で…!」
アスカ「……」
アスカ「…これだけは言えるわ。マルドゥック機関は存在しない。影で操っているのは、ネルフそのものよ」
シンジ「ネルフそのもの…葛城司令が?」
アスカ「そ。…あとは自分でやんなさいよ。コード707」
シンジ「707…ミサトちゃんの学校?」
アスカ「ったく。こっちは命懸けだってのに…べらべら喋らせてくれちゃって」
アスカ「コーヒーくらい奢んなさいよね?」
485 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:21:00.98 ID:bn13i2TRo
ミサト「シンジさん…どこかしら。レイさんも携帯使えばいいのに……よりによって私に頼むなんて……」
ミサト「あれっ?加持くんと……リツコ…?」
アナウンス「第三管区の形態移行ならびに指向兵器試験は予定通り行われます。技術局3課のニシザイ博士、ニシザイ博士、至急開発2課までご連絡ください」
ミサト(……って、なんで隠れてるのよ私!!)
聞き耳を立てるミサト
486 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:22:02.72 ID:bn13i2TRo
加持「せっかくここの迎撃システムが完成するのに、祝賀パーティーの一つも予定されていないとは、ネルフってお堅い組織だねぇ」
リツコ「司令がああいう人だもの……」
加持「リッちゃんはどうなのかな?」
リツコ「私にそんな権限はないわ」
加持「君の気持ちが知りたいんだよ」
リツコ「人がたくさんいるのは…苦手」
加持「どうして?」
リツコ「分からないわ」
加持「人を寄せ付けないのは……悲しい恋をしたからかな?」
リツコ「なぜそう思うの」
加持「…涙の通り道にほくろのある人は…一生泣き続ける運命にあるからさ」
加持「ま…俺なら、そんな思いはさせないが」
487 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:23:02.45 ID:bn13i2TRo
ミサト「……………」
ミサト(なんだ…)
ミサト(私ばっかり本気だったのか………馬鹿みたい)
シンジ「あれ?ミサトちゃん」
ミサト「……シンジさん…」
シンジ「どうしたの?」
ミサト「あ……レイさんが…、明日からの出張の打ち合わせだって…シンジさんに」
シンジ「ああ…そっか。ありがとう」
ミサト「それじゃあ…」
シンジ「……?」
488 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:24:05.08 ID:bn13i2TRo
シンジ「ミサトちゃん、どうかしたのかな…」
アスカ「あんたホントに、鈍くてバカね」
アスカ「先いってなさいよ。こっちは私が渇入れとくから」
シンジ「ちょっと、あんまり手荒なマネは…」
アスカ「するわけないでしょ。いいから、行きなさいよ」
ミサト「……」
アスカ「ちょっとー!葛城ミサトっ!」
ミサト「…?」
アスカ「時間あるでしょ?付き合いなさいよ」
489 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:25:05.15 ID:bn13i2TRo
ミサト「……………」
アスカ「……ビクつくんじゃないわよ。取って食やしないわよ」
ミサト「…あの、どこ行くんですか……?」
アスカ「行けば分かるわ」
ミサト「……」
ミサト「なんですか?この、…草……?」
アスカ「ハーブよ!あんた何にも知らないのねぇ」
アスカ「シンジの作った料理に、時々乗ってるでしょ?パセリとかバジルとか」
ミサト「…シンジさんのために作ってるんですか?」
アスカ「べっつに。ただの趣味よ」
アスカ「でも…まぁそうね、あいつの料理、まあまあ悪くない味でしょ?こういうの持ってくと、喜ぶのよね…店で買ってるとバカにならないからって」
アスカ「だから!あたしはシンジに料理を作らせて、食べる!「自分のため」にやってんのよ!」
ミサト「自分の……ために」
490 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:26:02.21 ID:bn13i2TRo
アスカ「あんたはどうなのよ?」
ミサト「えっ」
アスカ「なんで乗ってるのよ?エヴァに」
アスカ「違うか。乗せられてんのね…あいつの口車に」
ミサト「そんな、シンジさんは!いつも優しくしてくれてます…!」
アスカ「あんたのためじゃないわよ?あいつは誰にでも優しいの、優しい自分が好きなのよ。「自分のため」にやってんのよ、あいつも」
アスカ「誰かのために…なんて思ってるなら、今すぐエヴァを降りるのね。押しつぶされて、その内自分を無くすわよ」
ミサト「私は……!」
ミサト「今いる場所を、失いたくないんです…シンジさんや、ネルフのみんな…加持くんや、リツコ…学校の友達も」
アスカ「………」
ミサト「エバに乗るのは恐い…だけど、みんなを…居場所を失いたくないから…!だから、誰かのためじゃない!…自分自身の望みのために、乗ってるんです…!」
アスカ「…上出来ね」
ミサト「え…?」
アスカ「誰かのためにやるってのは…聞こえはいいけど、心情的には見返りを求めるものよ。自分のためにやってることなら…やり遂げれば、それで満足できる」
491 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:27:01.94 ID:bn13i2TRo
アスカ「変なこと聞いて悪かったわね。…あんた向いてるわよ、エヴァのパイロットに」
ミサト「あ……」
ミサト「ありがとう、ございます…」
アスカ「バカ。お礼なんていらないのよ、こっちも「自分のために」やってんだから。あんたに潰れられたら後味悪いのよ」
ミサト「……ふふ、アスカさんって」
アスカ「なによ?」
ミサト「思ってたより、真面目ですね」
アスカ「……」
電話の音
アスカ「はい、もしもし」
アスカ「シンジからよ。今から、シンクロテストですって」
492 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:28:09.47 ID:bn13i2TRo
ヒカリ「プラグ深度は3.2で固定。L.C.L.濃度は現状を維持。ハーモニクスレベルはマイナス1.2、1.5、1.6、1.8、1.9、限界指数は0.2。 データはレベル3を消去。以下はMELCHIORに保存されます」
レイ「やはり間違いないわね…。ミサトちゃんのシンクロ率、落ちてきてる」
シンジ「どういう事?」
レイ「何とも言えないわ。ただ、先の事件のとき何かがあったんでしょうね。あるいは…精神的な問題が生じたか」
シンジ(アスカ…何か変なこと言ったのかな…?)
レイ「何か思い当たる?」
シンジ「いや……これでますます、参号機のパイロットの件、話しづらくなったなと思って…」
レイ「…本人には明日、正式に通達されるわよ」
シンジ「うん…」
493 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:29:02.10 ID:bn13i2TRo
マヤ「きりーつ、気を付け、礼!」
放送「2年Aクラスの日向マコト、日向マコト、至急、校長室まで」
日向「…何だ?」
青葉「なんかやったのか?お前」
日向「するわけないだろ」
ミサト「…?」
日向「日向マコト、入ります!」
レイ「……日向マコトくんね?」
494 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:30:02.33 ID:bn13i2TRo
マヤ「葛城さん、ちょっと…いい?」
ミサト「?」
ミサト「いいけど…」
マヤ「ごめんね。こんなとこに呼び出して。ちょっと気になることがあって…」
ミサト「気になることって?」
マヤ「エヴァ参号機のこと」
ミサト「……エバ参号機?」
マヤ「そう。アメリカで建造中だったっていう……完成したんでしょ?」
ミサト「…知らないわ。エバ参号機なんて…」
マヤ「…隠さなきゃならない事情も分かるけど、お願い、教えて!」
ミサト「ほんとに聞いてないのよ!」
495 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:31:02.79 ID:bn13i2TRo
マヤ「…じゃあ、松代の第2実験場で起動試験をやるって噂も知らないの……?」
ミサト「知らないわよ。何?松代でやるの?」
マヤ「そうらしいわ。…それでなんだけど、パイロットはまだ決まってないんでしょう?」
ミサト「分からないわよ、そんな…」
マヤ「私にやらせてほしいのよ!ねぇ、葛城さん。葛城さんからも頼んでくれない?シンジさんに。乗りたいのよ、エヴァに!赤木さんの…みんなの力になりたいの!」
ミサト「ほ、ほんとに知らないのよ…そんなこと言われても」
496 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:32:03.23 ID:bn13i2TRo
マヤ「じゃあ、四号機が欠番になったって言う話も?」
ミサト「何それ?」
マヤ「……ほんとにこれも知らないのね……。第2支部ごと消滅したって、母さんのところは大騒ぎだったのに」
ミサト「消滅…?」
マヤ「…跡形も残らなかったそうよ」
ミサト「…シンジさんからは、何も聞いてない…」
マヤ「……」
マヤ「ごめんね、変なこと聞いて。…でも、羨ましかったんだ……好きな人と、支え合えるのって…」
ミサト「好きな人?」
マヤ「な!なんでもない!それじゃ…!」
ミサト「………」
497 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:33:15.73 ID:bn13i2TRo
老教師「われわれはセカンドインパクトと言うこの世の地獄から再び立ち上がったのです。今、年々子供の数も減ってきています」
日向「遅れて、すいません…」
老教師「話は聞いてる。席に着きなさい。あー、これからの時代をになう君たち若い世代が…」
日向「………」
青葉「何だよ?そんなにこってり絞られたのか?」
日向「…別に。何でもない」
青葉「………?」
498 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:34:02.54 ID:bn13i2TRo
放送「下校の時刻です。教室に残っている生徒は、早く帰りましょう」
青葉「なんだ、帰らないのか?」
日向「当番だからな」
青葉「サボっちゃえよ。十分綺麗だろ?」
日向「お前じゃないんだよ…」
青葉「マメだねぇ…」
日向「……」
日向「…葛城さん、変わったよな」
青葉「ん?ああ…明るくなった」
日向「……」
青葉「おいおい、どうしたんだよ?」
日向「いや……最近、パイロット同士の絆…みたいなものを感じることがあってさ」
日向「加持……あいつも、いけすかないけど、葛城さんを支えてるんだよな…」
青葉「……」
499 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:35:03.42 ID:bn13i2TRo
青葉「なに弱気になってるんだよ、お前はお前だろ? そりゃ、赤木や加持みたいにはいかないさ」
青葉「お前のいいところで勝負していけよ。何を選ぶかは、葛城次第だろ?」
青葉「それに、だ」
日向「それに?」
青葉「諦めろったって、無理な話だろ?それなら無理矢理にでも、前向いて行くしかないじゃないか」
日向「……それも、そうだな…」
青葉「しっかりしろよ?」
日向「はは…まさかお前に説教される日がくるとはな」
青葉「…時々思うけど、お前って俺をなめてないか?」
日向「少しな」
青葉「おいおい」
日向「ははは」
500 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:36:02.60 ID:bn13i2TRo
加持「おっ…アスカ先輩」
アスカ「加持? 今忙しいから。用があるならそこで待ってて」
加持「…相変わらず仕事、仕事か。そんな調子で、シンジさんに愛想つかされないか心配だね…」
アスカ「馬鹿。子どもが大人の問題に首突っ込んでんじゃないわよ」
加持「どれどれ…」
アスカ「こら!」
加持「…………」
加持「…これは決定事項?」
アスカ「……明日、あんたたちにも正式に通達されるわ」
加持「…この人選の根拠は?」
アスカ「…根拠かどうかは知らないけど。こいつの妹が難しい怪我してて、その優先治療が約束されたそうよ、ネルフで…」
加持「……」
アスカ「ちょっと、加持!どこ行くのよ!」
501 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:37:02.79 ID:bn13i2TRo
ミサト「見返りを求めない、か……」
ミサト「私は…加持くんとどうなりたいのかしら…」
台所で奮闘するマヤ
マヤ「……、…!」
校庭で佇む日向
日向「……」
拾七話分終わり
502 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:41:02.26 ID:bn13i2TRo
加持「…よっ。ずいぶん早いな」
日向「……」
加持「時間はあるんだ…ちょっと遠回りしてかないか?」
日向「……」
日向「俺は男だぞ…?」
ミサト「あの、加持くんは…?」
シンジ「ああ、なんか用事があったみたいでね。朝早く出てったよ」
ミサト「…用事って?」
シンジ「さぁ…ミサトちゃんも聞いてないの?」
ミサト「いえ…」
シンジ「そうか…昨日帰ってきてからも元気なかったし…どうかしたのかな…」
ミサト(……リツコのとこかしら…)
503 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:42:02.70 ID:bn13i2TRo
ミサト「あの、」
シンジ「ところで、」
ミサト「あっ…」
シンジ「あはっ。いいよ先に」
ミサト「あの…四号機が欠番っていう噂、本当ですか?何か事故があって爆発したって」
シンジ「…うん、本当だよ。四号機はネルフ第二支部と共に消滅したんだ。S2機関の実験中に…」
ミサト「……」
シンジ「ごめんね。伝えるのが遅れて…でもここは大丈夫だよ?3体ともちゃんと動いてるし、パイロットもスタッフも優秀なんだから」
ミサト「…でも、アメリカから参号機が来るって。松代でやるって聞きました、起動実験」
シンジ「うん…ここは4日ほど留守にするけど、その間のことはアスカに頼んでるし、心配ないよ」
ミサト「でも実験は…」
シンジ「大丈夫だよ、ミサトちゃん。綾波も立ち会ってくれるんだし、それに…」
ミサト「パイロットは…?パイロットはどうなるんですか?」
シンジ「……」
504 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:43:02.70 ID:bn13i2TRo
シンジ「その、パイロットなんだけど…」
チャイムの音
ミサト「あっ、私がでます」
ミサト「えっ」
マヤ「おっおはようございます!今日は、シンジさんにお願いがあって来ました……!」
シンジ「えっ、え?」
マヤ「私を……私をエヴァンゲリオン参号機の、パイロットにしてください!」
シンジ「………」
505 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:44:02.09 ID:bn13i2TRo
レイ「じゃあまだミサトちゃんは知らないの?」
シンジ「なかなか言い出すきっかけがなかったんだよ…それに、最近なんだか少し暗いんだ、ミサトちゃん」
レイ「…父親役が板についてきたと思ったら、もう弱音?まだまだ先は長いのよ」
シンジ「それはそう…なんだけど…」
シンジ「それで……いつ呼ぶの?パイロット」
レイ「そうね…明日になるわ。準備もいろいろあるし」
シンジ「…日向くんが自分で言ってくれたりは、しないかな?」
レイ「……期待しないほうがいいわ。人に自慢するほど、喜んでなかったもの。入院中の妹を本部の医学部に転院させてくれっていうのが彼の出した例の条件だったのよ」
506 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:45:01.83 ID:bn13i2TRo
加持「……妹さんが、入院してるそうだな」
日向「……」
加持「良くないのか?」
日向「……関係ないだろ」
加持「…あるさ。これからはパイロット同士だ」
日向「!」
日向「知ってるのか……葛城さんは?」
加持「葛城はまだ知らない。恐らくな」
507 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:46:05.77 ID:bn13i2TRo
日向「……それで?降りろって言いに来たのか?悪いけど俺は…!」
加持「「覚悟はできてる」?」
日向「……! そうだよ」
加持「……」
加持「……はぁっ。どうにも……駄目だな。俺は」
日向「…?」
加持「いや……すまない。嫌味のつもりはないんだ、…ただ……」
加持「仲間が死ぬのは見たくない…」
日向「……!」
508 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:47:03.16 ID:bn13i2TRo
加持「パイロットになるかどうかは…それぞれが決めることだ。決めたんなら……俺にあれこれ言う資格はない」
加持「覚悟結構。死ぬ気でやらなきゃいけないのは事実だ…。全人類とパイロット、天秤はどうあっても人類に傾く」
加持「ただ俺個人としては……仲間に死なれると後味が悪い」
加持「それに……葛城も悲しむしな…」
日向「……!」
加持「それだけ、言いに来たんだ」
日向「……」
日向「…分かった」
加持「…ま。ただでさえ少ないパイロットだ、これからよろしく頼むよ」
日向「ああ…」
加持「……」
加持「…治るといいな、妹さんの怪我…」
日向「……?ああ…」
509 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:48:01.67 ID:bn13i2TRo
マヤ「あ〜!きっと変な子だと思われたわよね?でも、居ても立ってもいられなくて……シンジさん、上に掛け合ってくれると思う??」
ミサト「どうかしらねぇ…」
マヤ「予備としてでもいいから使ってくれないかしら。やる気ならあるのになぁ…」
ミサト「……あ、」
マヤ「ちょっと葛城さん、聞いてる?」
ミサト「聞いてる聞いてる」
ミサト(加持くん…私より先に出たはずなのに…)
教室の入口、笑いあう女子と加持
510 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:49:02.85 ID:bn13i2TRo
青葉「さーて、飯メシ…あれ?マコトは?」
男子「さっき出てったよ」
青葉「ふぅん……」
青葉(……)
リツコ「…日向くん」
日向「ああ……赤木か。どうしたんだ?こんなところで」
リツコ「……」
日向「……操縦のコツでも教えに来てくれたのか?…知ってるんだろ、俺が乗るって」
リツコ「ええ…」
日向「……知らないのは葛城さんだけか」
リツコ「そうなの?」
日向「たぶんな」
511 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:50:02.14 ID:bn13i2TRo
日向「……赤木ってさ」
日向「……死にそうになったことってあるか?エヴァに乗ってて」
リツコ「……」
日向「いや……ごめん、こんなこと聞いて。赤木ってパイロットになってもう長いんだろ?」
リツコ「ええ」
日向「……」
日向「加持にさ…言われたんだ、死ぬ覚悟はしていい……でも死ぬな、って……」
日向「無茶言うよな…赤木には分かるか?」
リツコ「……」
512 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:51:01.10 ID:bn13i2TRo
リツコ「……私が、死にそうになったとき、ミサトは泣いてたわ」
リツコ「……私は、人のために死ねればいいと、思ってたけど……」
リツコ「その時は、ミサトを悲しませたくないと思った」
リツコ「だから、加持くんの言ってることは…分かるわ」
日向「……」
日向「はは…葛城さんはみんなに愛されてるんだな…」
リツコ「? あなたもでしょ…?」
日向「…!」
日向「その通りだ…」
日向「よろしく頼むよ、これから」
教室の窓から、マヤ
マヤ「………」
513 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:52:02.09 ID:bn13i2TRo
レイ「遅れること2時間。ようやく到着ね」
シンジ「いくら慎重にって言っても限度があるよ…!こんなに待たせるなんて」
レイ「デートのときは黙って待ってたんでしょ?」
シンジ「……」
老教師「でありまして、これが世に言うセカンドインパクトであります」
老教師「私はそのころ根府川に住んでいたのですが、南極大陸の溶解に伴う水位の上昇により、今では海の底になってしまいました…」
(日向「付き合ってほしい…」)
(日向「葛城さんの支えになりたいんだ」)
日向「……」
514 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:53:03.80 ID:bn13i2TRo
マヤ「ごめんね葛城さん。いつもなら加持くんと一緒に帰ってるのに…」
ミサト「い…いいのよぉあんなやつ!どうせ帰ってもいるんだから。マヤちゃんとは外でしか話せないじゃない。…それで、何?悩み事って」
マヤ「……」
ミサト「……また、エバのこと?」
マヤ「ううん、それはもういいの…」
マヤ「いいえ…よくは、ないんだけど……今日は赤木さんのことで」
ミサト「リツコのこと?」
マヤ「うん…赤木さんと、日向くんって……付き合ってるのかな…?」
ミサト「ぶっ!!」
ミサト「は!?なんて?」
マヤ「二人、付き合ってるんじゃないかって。…だって、お昼休み、とっても仲良さそうにしてたのよ?」
マヤ「…日向くん、笑ってたし…」
ミサト「……」
515 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:54:02.77 ID:bn13i2TRo
マヤ「確証はないんだけど……日向くんって、赤木さんのことが好きなんじゃないかしら…」
ミサト「…う〜ん」
ミサト(これは…リツコの赤面事件は伏せといたほうがいいわね…)
ミサト(それに……日向くんが好きなのはたぶん、まだ私だし……)
ミサト「大丈夫よ!日向くんが好きなのはリツコじゃないって!」
マヤ「……どうしてそう言えるの?」
ミサト「う……ちょっとガサツで、ほんのちょっとズボラなくらいがタイプらしいから。リツコじゃないわよ」
マヤ「なんでそんなこと知ってるの?」
ミサト「かっ加持くんに聞いたのよ!」
マヤ「そっかぁ……加持くんか…」
ミサト「……」
516 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:55:04.02 ID:bn13i2TRo
マヤ「加持くん……家で、何か赤木さんのこと言ってない?」
ミサト「なんで?」
マヤ「だって……最近よく赤木さんに声かけてるのを見るから…」
ミサト「き…気にしすぎよぉ!同じエバのパイロットなんだし…それに、あいつは女の子なら誰彼かまわずじゃない」
マヤ「そうだけど…」
マヤ「赤木さんは、綺麗だし…何でもそつなくこなすし」
ミサト「……」
マヤ「優しいから…」
マヤ「加持くんも、本気になっちゃうんじゃないかと、思って……」
ミサト「……」
ミサト「…そうね…」
ミサト「リツコは、いい子よね…」
517 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:56:02.24 ID:bn13i2TRo
ミサト「ねぇ…加持くん」
加持「なんだ?」
ミサト「………」
(マヤ「赤木さんは、綺麗だし…」)
ミサト「…さ、参号機のことって聞いてる?新しいパイロットの話とか」
加持「…さぁ、どうだかね…」
加持「なんにせよ、少ないパイロットだ。仲良くやるさ…」
ミサト「…………」
加持「……ん?」
加持「葛城…?」
518 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:57:02.71 ID:bn13i2TRo
アスカ「ふーっ!さっぱりしたっ!お風呂、空いたわよ」
加持「あ……先輩」
アスカ「なによ、あんたたち…まだくっちゃべってんの?スッとろいわねぇ」
アスカ「さっさと片付けて、さっさと風呂入って、寝る!明日も早いんだから」
ミサト「か、加持くん、先に…」
アスカ「加持!あんたは最後!レディーファーストよ」
加持「へーいへい」
アスカ「ミサト!とっとと入っちゃいなさい!」
ミサト「はっはいっ!」
519 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:58:02.13 ID:bn13i2TRo
ミサト「……アスカさん、もう寝ました?」
アスカ「…まだ起きてるわよ」
ミサト「………」
アスカ「…なによ。言いたいことがあんなら言いなさいよ」
ミサト「……加持くん、って…どんな子でした?向こうで…」
アスカ「加持?唐突ね……あんたあいつが気になるの?」
ミサト「気になるっていうか…最近」
アスカ「……」
ミサト「よく…分からなくて」
アスカ「……あいつはあいつよ。私の口から言ったって、それは私の中の加持でしかない。気になるんなら、自分で見つけなさいよ……あいつがあんたにとっての、何なのか」
ミサト「そう……ですよね…やっぱり」
520 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 14:59:02.44 ID:bn13i2TRo
アスカ「それにしても…ふぅ〜ん?あんたがねぇ…」
ミサト「…な、なんですか……」
アスカ「べつに。聞かれるんだったらあんたの父親のことだと思ってたから。拍子抜けしたのよ」
ミサト「……お父さんのことは…いつか、聞きます…副司令とかに」
アスカ「ゲッ……あのホモに関わると、ロクなことないわよ…?」
ミサト「? ホモ?」
アスカ「いや……なんでもないわ」
ミサト「……」
ミサト「…アスカさんにとってのシンジさんって、何なんですか…?」
アスカ「……それが分かりゃあ、苦労しないわよ」
ミサト「ふふっ…同じですね」
アスカ「バーカ。こっちは腐れ縁。あんたたちなんてまだペーペーよ」
アスカ「…ほら、お喋りはおしまい。もう寝なさい」
ミサト「はーい」
521 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 15:00:01.88 ID:bn13i2TRo
アナウンス「参号機、起動実験まで、マイナス、300分です」
アナウンス「主電源、問題なし」
アナウンス「第二アポトーシス、異常無し」
アナウンス「各部、冷却システム、順調なり」
アナウンス「左腕圧着ロック、固定終了」
レイ「了解。Bチーム作業開始」
アナウンス「エヴァ初号機とのデータリンク、問題なし」
レイ「これだと即、実戦も可能だわ」
シンジ「そう……」
レイ「…複雑そうね」
522 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 15:01:01.57 ID:bn13i2TRo
シンジ「…この機体が納品されたら、エヴァは全部で4機になる…」
レイ「…その気になれば世界を滅ぼせる戦力ね……」
シンジ「……」
レイ「パイロットの件…ミサトちゃんには話したの?」
シンジ「実験が終わったら……話すよ」
アナウンス「フォースチルドレン、到着。第2班は、速やかにエントリー準備に入ってください」
523 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 15:02:02.81 ID:bn13i2TRo
マヤ「ねぇ……赤木さん、お弁当、一緒に食べない?ちょっと作りすぎちゃって…」
リツコ「…いただくわ」
マヤ「良かった!お肉は苦手だって聞いてたから、お野菜中心にしたのよ」
ミサト「あのぉ〜…私もいい?」
マヤ「葛城さん?…でもいつもは…」
ミサト「今日、シンジさんいなくて。お弁当…失敗しちゃったのよね」マルコゲ
リツコ「あきれた…」
マヤ「……」
マヤ「…参号機って、もう日本に到着したの?」
ミサト「うん…昨日着いたみたいよ」
マヤ「いいなぁ。誰が乗るのかしら…日向くんかな?今日休んでるし」
ミサト「まさかぁ!」
リツコ「………」
524 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 15:03:02.52 ID:bn13i2TRo
オペレータ「エントリープラグ、固定完了。第一次、接続開始」
オペレータ「パルス送信。グラフ正常位置。リスト、1350までクリア。初期コンタクト、問題なし」
レイ「了解。作業をフェイズ2へ移行」
オペレータ「オールナーブリンク、問題なし。リスト、2550までクリア。ハーモニクス、すべて正常位置」
オペレータ「絶対境界線、突破します」
突破直後、異変。
レイ「実験中止、回路切断!」
オペレータ「だめです、体内に高エネルギー反応!」
レイ「まさか…」
レイ「使徒!?」
525 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 15:04:02.30 ID:bn13i2TRo
ケンスケ「松代にて、爆発事故発生」
オペレータ「被害、不明!」
カヲル「救助、および第3部隊を直ちに派遣!戦自が介入する前にすべて処理するんだ」
トウジ「了解!」
ケンスケ「事故現場に未確認移動物体を発見」
トウジ「パターンオレンジ、使徒とは確認できん」
葛城「…第一種、戦闘配置」
ケンスケ「総員、第一種戦闘配置!」
トウジ「地、対地戦用意!」
ヒカリ「エヴァ全機、発進!迎撃地点へ緊急配置!」
オペレータ「空輸開始は20を予定」
526 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 15:05:01.54 ID:bn13i2TRo
ミサト「松代で事故?そんな、じゃあ、シンジさん達は!?」
リツコ「分からないわ。連絡が取れない」
ミサト「そんな、どうすれば…」
加持「……今俺らが心配したってしょうがない。無事を祈るしかない……まずは目先の問題だ」
ミサト「…でも…使徒相手に、私たちだけで…」
リツコ「今は葛城司令が、直接指揮を執っているわ」
ミサト「お父さんが?」
527 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 15:06:01.93 ID:bn13i2TRo
ケンスケ「野辺山で映像を捉えました。主モニターに廻します」
職員「おおっ…」
カヲル「…やはりこれか」
葛城「活動停止信号を発信。エントリープラグを強制射出」
ヒカリ「だめです、停止信号およびプラグ排出コード、認識しません」
葛城「パイロットは?」
トウジ「呼吸・心拍の反応はありますが、おそらく…」
葛城「…エヴァンゲリオン参号機は現時刻をもって破棄。目標を第拾参使徒と識別する」
トウジ「しかし!」
葛城「予定通り野辺山で戦線を展開、目標を撃破しろ」
528 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 15:07:03.23 ID:bn13i2TRo
ケンスケ「目標接近!」
トウジ「全機、地上戦用意!」
ミサト「えっ?まさか、使徒…?これが使徒なの?」
葛城「…そうだ。目標だ」
ミサト「目標って……これはエバじゃないの…」
加持「…乗っ取られたのか、使徒に……!」
ミサト「やっぱり、人が…子供が乗ってるんじゃ…!同い年の…」
加持「………っ」
加持「二人とも、下がれ!ここは俺がやる」
ミサト「加持くん!?」
加持「援護を頼む!」
加持(…足、動きを封じて、エントリープラグだけでも…!)
加持「だぁああっ!」
(アスカ「こいつの妹が、難しい怪我してて…」)
加持「くっ…!」
ミサト「加持くんッ!!」
529 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 15:08:03.53 ID:bn13i2TRo
トウジ「エヴァ弐号機完全に沈黙!」
ヒカリ「パイロットは脱出、回収班向かいます」
ケンスケ「目標移動、零号機へ」
葛城「リツコ、近接戦闘は避け、目標を足止めしろ。今初号機をまわす」
リツコ「了解」
リツコ(乗っているのは、彼…)
照準を合わせるリツコ
突如、襲いかかる参号機
リツコ「あぁ…っ!」
ヒカリ「零号機、左腕に使徒侵入!神経節が侵されて行きます!」
葛城「左腕部切断。急げ!」
ヒカリ「しかし、神経接続を解除しないと!」
葛城「切断だ!」
ヒカリ「…はい!」
リツコ「ひっ…!」
530 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 15:09:02.71 ID:bn13i2TRo
ヒカリ「零号機中破、パイロットは負傷」
ミサト「そんな…」
葛城「目標は進行中。後20で接触する。聞こえるな?…ミサト」
ミサト「……!」
葛城「お前がやるんだ」
ミサト「……でも」
ミサト「でも、目標って言ったって…!」
ミサト「人が乗ってるんじゃないの…?」
ミサト「同い年の子供が…!」
葛城「……」
咆哮する参号機
531 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 15:10:03.72 ID:bn13i2TRo
ミサト「エントリープラグ…やっぱり、人が乗ってる…!」
ミサト「あっ!」
初号機を締め上げる参号機
ミサト「はっ、ぁ、う…っ!」
トウジ「生命維持に支障発生!」
ヒカリ「パイロットが危険です!」
カヲル「いけない、シンクロ率を60%にカットだ!」
葛城「待て!」
カヲル「しかし!このままではパイロットが…!」
葛城「……ミサト、なぜ戦わない」
ミサト「……!」
532 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 15:11:02.60 ID:bn13i2TRo
ミサト「だって、だって人が乗ってるのよ、お父さん!!」
葛城「…そいつは使徒だ。われわれの敵なんだ」
ミサト「でも…そんなの、できないわよ…!…助けなきゃ…人殺しなんてできない!!」
葛城「お前が死ぬぞ!」
ミサト「…いいわよ、人を殺すよりはいい!死んだほうがマシよ!!」
葛城「………!」
葛城「パイロットと初号機のシンクロを全面カットしろ」
ヒカリ「カットですか?」
葛城「そうだ。回路をダミープラグに切り替えろ!」
マヤ「しかし、ダミーシステムはまだ問題も多く、…綾波博士の指示もなく!」
葛城「このままではパイロットが死ぬ!急ぐんだ!」
ヒカリ「はい…!」
533 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 15:12:01.83 ID:bn13i2TRo
ミサト「はぁっ、は…!」
ミサト「なに…? 何をしたの、お父さん!」
トウジ「信号、受信を確認」
ヒカリ「官制システム切り替え完了」
オペレータ「全神経、ダミーシステムへ直結完了」
オペレータ「感情素子の32.8%が不鮮明、モニターできません」
葛城「構うな…システム開放、攻撃開始」
534 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 15:13:02.59 ID:bn13i2TRo
参号機を捩じ伏せる初号機
ヒカリ「これが、ダミープラグの力なの…?」
オペレータ「システム正常!」
オペレータ「さらにゲインがあがります!」
参号機の頭部を踏み潰し、身体を抉る
ヒカリ「ひっ!」
ミサト「やめてよ!!!!!」
ミサト「お父さん、お願い、やめてよ、こんなのやめさせて!!!!!」
ミサト「嫌…!止まってよ、止まれ、止まれ、止まれ、止まれ!止まれ!」
エントリープラグが軋む
ミサト「はっ!これは…!」
ミサト「やめて!!!!嫌っ!やめてぇっ!!!!!!!!!!!!!!」
ケンスケ「エ、エヴァ参号機、あ、いえ、目標は、完全に、沈黙しました…」
535 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 15:14:03.28 ID:bn13i2TRo
男「こっちにもいたぞーっ!生存者だ!息はある!急いで救護を廻してくれ!」
男「そうだ。レコーダーのプラグは、ペースト作業終了後、すべて、焼却処分にしろ!」
シンジ「生きてる……。…アスカ?」
男「いいから!…の封鎖を解除しろ!」
アスカ「……良かったわね、命があって」
シンジ「綾波は…?」
アスカ「…あんたよりは軽傷よ。まったく…心配させんじゃないわよ、バカシンジ」
シンジ「…はっ!…エヴァ参号機は!?」
アスカ「……使徒、として処理されたそうよ。初号機に」
シンジ「そんな……」
男「……は破棄だ!ベークライトを注入してくれ」
男「地下800mの…」
シンジ「……僕、まだミサ
536 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 15:14:52.74 ID:bn13i2TRo
男「こっちにもいたぞーっ!生存者だ!息はある!急いで救護を廻してくれ!」
男「そうだ。レコーダーのプラグは、ペースト作業終了後、すべて、焼却処分にしろ!」
シンジ「生きてる……。…アスカ?」
男「いいから!…の封鎖を解除しろ!」
アスカ「……良かったわね、命があって」
シンジ「綾波は…?」
アスカ「…あんたよりは軽傷よ。まったく…心配させんじゃないわよ、バカシンジ」
シンジ「…はっ!…エヴァ参号機は!?」
アスカ「……使徒、として処理されたそうよ。初号機に」
シンジ「そんな……」
男「……は破棄だ!ベークライトを注入してくれ」
男「地下800mの…」
シンジ「……僕、まだミサトちゃんに何も話してない…」
537 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 15:16:02.96 ID:bn13i2TRo
(通信)
シンジ「ミサトちゃん…?」
ミサト「シンジさん…!良かった。無事だったんですね…?」
シンジ「ごめん……ミサトちゃん、僕は……君に伝えなきゃいけなかったのに、こんなことに…」
ミサト「シンジさん…私は…私は、人を…!お父さんが、私、嫌だって、…やめてって頼んだのに…!」
シンジ「ミサトちゃん、ごめん、本当に…」
ミサト「シンジさん……?」
ヒカリ「エントリープラグ回収班より連絡。パイロットの生存を確認」
ミサト「生きてる!?」
男「了解。変形部はレーザーで切断」
男「L.C.L.の変質サンプルは最優先で…」
538 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 15:17:02.39 ID:bn13i2TRo
シンジ「あの参号機のパイロットは…フォースチルドレンは…」
女「付着している生体部品は破棄処分、熱処理を準備!」
ミサト「え…?」
シンジ「…ミサトちゃん?…ミサトちゃん、ミサトちゃん…!ミサトちゃん!」
ミサト「嫌、」
(絶叫)
拾八話分終わり
539 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 15:21:01.69 ID:bn13i2TRo
ヒカリ「…初号機の連動回路、カットされました」
カヲル「射出信号は?」
ヒカリ「プラグ側からロックされています。受信しません」
トウジ「聞いとるか?…ああでもせなんだら、お前がやられとったんやぞ!」
ミサト「そんなの関係ない……」
トウジ「それでも、それが事実や」
ミサト「………」
ミサト「そんなこと言って…これ以上私を怒らせないでよ…」
ミサト「初号機に残されている後185秒、これだけあれば、本部の半分は壊せる…!」
540 :
◆gcWj88zLkc
[sage saga]:2020/12/05(土) 15:22:02.17 ID:bn13i2TRo
ケンスケ「今の彼女なら、やりかねませんね」
ヒカリ「ミサトちゃん、話を聞いて!」
ヒカリ「葛城司令の判断がなければ、みんな死んでいたかもしれないのよ!」
ミサト「関係ない、そんなの」
ヒカリ「ミサトちゃん……!」
ミサト「関係ないって言ってるでしょ……!」
ミサト「殺そうとしたのよ…!?日向くんを、初号機が……私の手が!!」
葛城「お前ではない」
ミサト「な……」
葛城「あの少年を殺そうとしたのは私だ」
ミサト「……っ」
499.98 KB
Speed:0.5
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)