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765楽園sideL最終話ルート桃子
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33 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:19:41.32 ID:2aSI5GVy0
そのまた後日
育「あっまたセリフつまっちゃったかも」
桃子「でもすっごく気持ちは伝わってきたよ」
育「ほんと? 学校でも先生に音読をほめられたんだ」
星梨花「セリフを覚えるって難しいんですね」
P「セリカのセリフ。逆から読んでもセリフのセリカ」
桃子「この人のことはほっといて練習しよ。星梨花は度胸が据わってていいね」
星梨花「ありがとうございます!」
環「たまきは難しいのは苦手だぞ〜」
桃子「環は強烈な個性があるから、何をやらしても環になるタイプだね。キムタクやエビスさんのような」
環「それっていいこと?」
桃子「もちろん。だからそれを磨いてこ」
環「わかった!」
このみ「お姉さんの演技はどうかしら?」
桃子「お姉ちゃんはなんでもそつなくこなすよね」
このみ「ふふ、私に任せなさい」
P「この感じなら俺がいなくても大丈夫だな。ちょっと出かけてくるわ」
34 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:20:17.85 ID:2aSI5GVy0
駅前
P「今度、劇場で演劇をやりまーす。よろしくお願いします。お兄さん、ビラです。受け取ってください」
サラリーマン「急いでるんで」
P「あはは、また今度お願いします。まぁみんながみんな受け取ってくれないわな」
幼女「ママーこれなあに」
ママ「劇をやるみたいね」
幼女「わたし見てみたい」
ママ「ふふっそうね。いってみようかしら」
P「ぜひお願いします」
婆さん「育ちゃんもでるのかい?」
P「育を知ってるんですか?」
婆さん「そりゃあね。いろいろ助けてもらってますから」
P「なるほど。ぜひ劇をみにきてください」
……
…
P「なんとかビラを配り終えたぞ」
35 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:21:03.97 ID:2aSI5GVy0
本番当日
育「わっお客さんがいっぱい。Pさんの宣伝ってすごいね」
P「育が人助けをがんばってるから、来てくれた人も多いよ」
育「そうなの? がんばっててよかった」
星梨花「ちょっと緊張しちゃいますね」
桃子「大丈夫だよ。こんなにお客さんがきてくれるなんて、逆にワクワクしなきゃ」
星梨花「えへへ、そうですね」
環「たまき、がんばるぞー!」
桃子「そうそうその意気だよ。このみお姉ちゃんも頼りにしているからね」
このみ「任せなさい」
社長「諸君そろそろ時間だ」
P「みんな、ちゃんと見守っているからな」
それぞれ元気よく返事をした。
36 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:21:51.41 ID:2aSI5GVy0
劇中
桃子「今日もまたサインを求められちゃったなー。まぁ今の日本に私を知らない人はいないよね。ちょっとテレビをつけるだけでもCMやドラマで私が映るほどの大女優だもの」
桃子「でも有名になることの引き換えに、青春時代は置いてきた。せめて1日だけでも子どもになれたらなあ」
社長の声「力が……欲しいかね……?」
桃子「だっだれ?」
桃子「ってここは小学校? それにランドセルに黄色い帽子。なにより体が縮んじゃってる」
環「ももこが変なことを言ってるー」
育「桃子ちゃん、そろそろ授業始まるよ」
星梨花「早く席についちゃいましょう」
このみ「授業を始めるわよーってこのみちゃん先生って呼ぶのはやめなさい」
桃子「小学生のころの親友たち! 桃子、小学生に戻れたんだ!」
37 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:22:21.42 ID:2aSI5GVy0
学校 日中
桃子は貴重なありふれた時間を過ごす。
桃子「はい! 答えは○○です。どうですか?」
桃子「ちょっと男子、ちゃんと掃除してよね」
桃子「育、給食おいしいね」
桃子「このみ先生……おこったら怖いかも」
38 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:23:15.35 ID:2aSI5GVy0
放課後
育「桃子ちゃん、今日もスポ小のバスケ参加できる? 今日は練習試合らしいから、桃子ちゃんは絶対きてほしいな」
桃子「もちろん行くよ」
育「やったあ」
39 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:23:57.49 ID:2aSI5GVy0
練習試合
環「たまきのスーパードリブル!」
星梨花「わっすごいです。でも囲まれちゃいました」
環「むう……このままじゃ取られちゃうぞ」
桃子「環! こっちこっち!」
環「ももこ! いいところに! パース!」
桃子「えいっシュート!」
育「やったあ、ゴール! これで逆転だよ! 桃子ちゃんすごいよ!」
桃子「ふふん、桃子ならトーゼンでしょ……って言いたいけど今日だけは褒めてもらおうかな」
環「すごいぞ桃子!」
桃子「環ったら背中叩かないでよもう」
星梨花「桃子ちゃんの活躍で勝利を収めました」
40 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:25:44.29 ID:2aSI5GVy0
放課後、帰り道
桃子「育と2人っきりで帰るなんて久しぶりだね」
育「そう? 昨日も一緒に帰ったような」
桃子「あっそうだったね」
育「桃子ちゃん変なこと聞いてもいい?」
桃子「うん? どうしたの?」
育「今日の桃子ちゃん、実はタイムスリップしてきた大人だったりしない?」
桃子「え……!? どうして、分かったの?」
育「ふんいきかな?」
桃子「やっぱり育にはかなわないや」
育「今日はどうだった?」
桃子「すっごく楽しかったよ。ありがとう」
育「もしよかったらね。この世界にずっと居続けない?」
41 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:26:41.80 ID:2aSI5GVy0
幕が下りても会場は大盛り上がりだった。
俺は胸を撫でおろす。
社長「お疲れ様。舞台は大成功だね」
P「桃子たちのおかげですよ」
社長「キミの台本あってこそ、とは思うよ。そしてこの劇場も最高の最後を迎えることができた」
人が集まったからこそ、取り壊しがキャンセルになる、というのはまぁ……無理だったか。
社長「それで桃子君に渡してほしいモノがあるんだけどね」
P「なんでしょう」
社長「私がツテのある事務所への紹介状だ。桃子君の才能を小さな劇場で終わらせるのはもったいない。この紹介状で桃子君の俳優としての道が開かれるだろう」
P「こ、これって超有名な事務所じゃないですか!?」
社長「今は一線を退いた身ではあるが、そこで社長業をやっていたんだよ。今は従弟の順二朗に任せてるがね」
P「す、すごい」
社長「この紹介状で桃子君の環境は大きく変わる。皮肉なことだが、今日の舞台で演じた普通の小学生にはもうなれないかもしれない。だからこれを桃子君に渡すか否かはキミに任せるよ」
P「わ、分かりました」
42 :
41と入れ替えて読んでください
[saga]:2020/10/23(金) 16:28:11.24 ID:2aSI5GVy0
桃子「……ううん、桃子は元の世界でがんばらないといけないから」
育「……桃子ちゃんならそう言うと思ってたよ」
桃子「もうっ育ってば桃子を試したの?」
育「えへへ、じゃあわたしはこっちの道だから、そろそろお別れだね」
桃子「……うん」
育「未来の世界でもわたしと仲良くしてね」
桃子「もちろん」
育「じゃあまたね!」
そこで桃子は元の世界に戻る。
あの頃の写真をみて、しんみりとした笑顔を浮かべ、明日からのより一層の努力を誓うのだった。
End
43 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:31:48.73 ID:2aSI5GVy0
帰り道
桃子「今日はさすがに疲れたよ」
P「……おつかれさま」
桃子「なんだかお兄ちゃん元気ないね」
P「そ、そうかな?」
桃子「お兄ちゃんの脚本は悪くなかったと思うよ」
P「……ああ、そりゃどーも」
桃子「やっぱりおかしい。お兄ちゃん……桃子に何か隠してるでしょ」
バレた。
俺は紹介状が入ってるバッグをチラリとみた。
これを渡せば桃子の夢は大きく前進する。
だけど桃子とありふれた日々を過ごすことはできなくなる。
一瞬、こっそり捨てるなんてことも頭をよぎった。
すべてをなかったことにして。
44 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:32:32.53 ID:2aSI5GVy0
でもそんなことできないよな。
P「これ、あの真っ黒な社長からもらった紹介状。これで桃子はデビューできるみたい」
桃子「……」
P「桃子?」
桃子「やったあ! お兄ちゃん、桃子とってもうれしいよ!」
P「……そっか」
なら渡して正解だったな。
桃子の夢が叶う瞬間だ。今は細かいことを気にするより、盛大に祝うべきかもしれない。
P「だよな! 桃子、おめでとう! 今日は打ち上げも兼ねたパーティにしよう!」
桃子は元気よくうなずいた。
45 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:33:39.52 ID:2aSI5GVy0
数日後
桃子はこのみ姉さんと話し合い、俳優への道をスタートすることにした。
もちろんこんな片田舎から通うことは不可能なので、わけあって東京で仕事をしている両親の家に住むらしい。
俺はここに残るので、桃子とはもう少しでお別れすることになる。
次に会うのはテレビの中かもしれない。
それと、俺にはある考えが浮かんでいた。
46 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:34:31.20 ID:2aSI5GVy0
このみ「はいこれで履歴書も完成。あとはポストに投函するだけね」
桃子「うん」
このみ「桃子ちゃん、向こうでもがんばるのよ」
桃子「うん」
このみ「どうしたの、元気ない?」
桃子「そんなことないよ」
桃子「あっそうだ。お兄ちゃん、ポストまで少し距離あるからついてきてもらってもいい?」
P「分かったよ。支度する」
桃子「今じゃなくていい。もう少し暗くなってから」
P「? わかった」
47 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:35:17.39 ID:2aSI5GVy0
夜
桃子「お兄ちゃん、そろそろ行こ」
P「わかった」
桃子は少し大きなバッグを持って、そう言った。
ポストへの道中はお互いだんまりだった。
どちらかが何か言っても、会話が「うん」とか「そうだね」で終わるから。
少し歩くとポストまでたどり着いた。
周囲には誰もいない。
当然かもしれない。もうこんな遅い時間だから。
ポストは妙な存在感があった。
桃子「はい、お兄ちゃんが投函して」
桃子から封筒を手渡される。
それとポストを見比べる。
桃子「なにしてるの? 早く投函しなよ」
P「……ああ」
48 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:36:12.70 ID:2aSI5GVy0
これを投函すると運命が変わる。
今からでもこれで破いてしまってもいい。
そうしたら桃子と一緒にいられる。
そんな未来を少し想像した。
どこかの世界でそういうルートもあったかもしれない。
俺はポストの前に立ち……
→投函する
目の前でそれを破く。
なんてゲームのような選択肢を両方選ばなかった!
49 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:36:55.72 ID:2aSI5GVy0
投函するフリをして振り返り、殴りかかってくる桃子の腕を受け止めたのだった。
50 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:38:00.71 ID:2aSI5GVy0
桃子「……え?」
桃子は目を見開く。
P「ようやく捕まえたよ。時間旅行者さん」
桃子の腕には広辞苑が握られていた。
P「それで殴るのがトリガーだったか。そういやこの世界での1話もそれで始まった気がするな」
桃子「何言っているのお兄ちゃん」
一瞬、動揺したもののすぐに、桃子は平静を取り戻していた。
いや、それすらも演技かもしれないな。
P「ポストへの投函を遅い時間に指定したのは、俺の視線をポストの投函口に集中させるためだったんだな。暗かったら、そこに集中せざるを得ないから。そしてそのバッグには広辞苑が入っていた」
桃子「だからさっきから何言ってるの」
桃子は心底困ったように言う。
その反応をみると、俺が的外れなことを指摘している気すらした。
大丈夫だ。考えはすでにまとめたハズだ。
相手の作戦に乗ってはいけない。
51 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:39:51.95 ID:2aSI5GVy0
P「なあ桃子、これまでこの世界で起きたことを推理してみせる。だからさ、もし正解したら本当のことを話してくれないか?」
桃子「まぁ一回だけなら聞いてあげる」
P「充分だ。まず違和感があったのは、俺がいくつか名を出した作品だ。俺妹、ハルヒ、それと満月大根斬りはドラベース、あとはリトルバスターズなんてのも言ったか」
桃子「はあ」
P「俺は765楽園に通う高校生という設定だ。なら普通に考えて15〜18歳。さっき出した作品はいずれも10年以上前だ。なぜ俺はそれらを知っている」
桃子「お兄ちゃんがアニメオタクだからでしょ。育もそういうの詳しいし」
P「じゃあ俺が星梨花と野球をしたとき、ツーストライク、ノーボールとカウントしたのはどう説明する? 今はノーボールツーストライクとカウントするハズだ」
桃子「さあ」
P「そして俺は学園に通った記憶がほぼないんだ。これらを統合するとある真実に辿り着く」
P「俺は本当はもっと年上で、この設定を作り替えた犯人は高校を知らない、通ったことがない人物……つまり小中学生だ」
52 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:41:04.91 ID:2aSI5GVy0
桃子「突飛なことを言うね。まさか犯人が小中学生だから桃子をそのまま結びつけたの? この世界に小中学生は何人いるの。それに中学を出て働く人もいるよ」
P「もちろんそう考えのは、理由がある。犯人は設定を改変しつつ、時間旅行ができるという前提で聞いてくれ。今思えば世界線旅行の方が表現は正しいかもしれない」
桃子「漫画やアニメの見すぎだよ」
P「生憎、魔法少女とアンドロイドに出会ってしまったものでね」
桃子「だったらその魔法少女さんとやらが犯人なんじゃない?」
P「この世界でおかしな行動をとっていた人物がいるんだよ」
桃子「桃子がそうって言いたいの?」
P「いや桃子は変なところがなかった。だからこそ、おかしな歪みが現れた」
桃子「?」
53 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:43:21.56 ID:2aSI5GVy0
P「魔法少女さん……もう育って言うよ。どうせ知ってるだろうし。育はあるおかしな行動をとった」
桃子「おかしな行動?」
P「俺にある魔法をかけたんだ。小さな女の子が好きになる魔法」
桃子「ふふっなにそれ」
P「育はよほどのことがない限り、人の気持ちを変える魔法を自発的にかけない。だとしたら、頼まれたんだよ。魔法をかけるようにと、大親友にね。では、育と仲が良くて、さらに俺が育と出会うように仕向けたのは」
桃子「桃子ってこと? じゃあ桃子はお兄ちゃんが小さな子が好きになってハーレムを作らせたかったって言いたいの?」
54 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:44:58.75 ID:2aSI5GVy0
P「それについては星梨花を思い出せばいい」
桃子「星梨花?」
P「星梨花が人間に戻りたかったのは、その、俺と同じ立場で向き合いたかったから。星梨花が考えていたことをそのまま使うなら、アンドロイドでは恋愛ができない。ロリハーレムとアンドロイド化は矛盾する」
桃子「へえ」
P「だったら桃子に願いを依頼された育が魔法をゆがめたんだよ。伝言ゲームが失敗するように。例えば……桃子は俺が桃子を好きになる魔法をかけるように依頼したけど、育はその対象が自分自身にもなるように、かつ桃子の願いも叶えるような両立する魔法をかけた。その結果が小さな女の子が好きになる魔法」
桃子「たいした自惚れだね」
P「なあに、今に始まったことじゃない。それで桃子は俺を揺さぶるために俳優になりたいと言った。俺が桃子と離れるような選択をとったら、広辞苑で殴って世界線旅行。俺が桃子をとったら、それで桃子にとってハッピーエンド。さてどうだろう」
55 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:47:35.30 ID:2aSI5GVy0
桃子「ふうん分かったよ。ご褒美に教えてあげる。お兄ちゃん大正解。ぜんぶ合ってるよ」
桃子「それにしても桃子の気持ちに応えるより先に世界の仕組みに気が付くとは驚いたよ」
P「そっか」
桃子「もちろん全然ほめてないよ。むしろあきれてる」
P「そりゃ残念。というか桃子自身が魔法少女になった方が早かったのでは?」
桃子「桃子は大きく設定を変えて時間旅行することはできないの。育はトゥインクルリズムがあったし、星梨花にはEscapeがあったから、その因子を利用して設定を塗り替えただけ。設定を変えて時間旅行はJelly PoP Beansのおかげかな」
P「……?」
56 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:48:52.97 ID:2aSI5GVy0
桃子「まぁいいよ。説明がめんどくさいし、ここまでバレちゃったから、記憶を全部戻してあげる。ちょっと身体に負担がいくだろうけど、耐えられるよね。桃子のお兄ちゃんなんだから」
桃子が俺の額を軽くこずく。
その瞬間、すべての記憶が濁流のように流れてきた。
P「ぐううう。こ、これは……?」
桃子「そう。桃子は元子役でアイドル、お兄ちゃんは桃子のプロデューサーさんだよ」
P「頭が……頭が痛い」
桃子「ひどいよね。桃子がお兄ちゃんへの気持ちを伝えたのに、お兄ちゃんはこう言ったの『桃子は寂しいから、身近な大人に恋してるように感じるだけ。それに担当アイドルと恋愛することはできない』って」
頭痛のせいで身を崩し、地面にへばりついてる中で思い出した。
たしかに俺はそう考える。育のルートでも同じことを言った。
桃子「桃子とお兄ちゃんがアイドルとそのプロデューサーという関係じゃなかったらいいの? 桃子のお家が円満だったらよかったの? これが運命なのって思った。気が付いたら桃子は世界を塗り替える力を手に入れていたんだ」
57 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:49:55.15 ID:2aSI5GVy0
桃子「だからこそ桃子はこの世界をつくったの。765プロダクションでもない、765学園でもない。お兄ちゃんと結ばれて幸せになる桃子にとっての楽園、765楽園を」
58 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:51:16.83 ID:2aSI5GVy0
P「桃子……お前は、間違っている」
桃子「お兄ちゃんと結ばれるために、何度も何度も世界を塗りなおしたよ。運命がお呼びじゃなくても、運命に蹴飛ばされても。運命自体を変えるためにね」
桃子「何度やってもお兄ちゃんは桃子のことを振り向いてくれないから、本当に困ったよ。でもお兄ちゃんに脚本を書かせることで分かった。桃子に普通の女の子で居てほしいだよね。だったら、次は桃子のクラスメイトなんてどう? 小学生に戻ったら世界の仕組みなんて気が付かないよね」
桃子は俺の頭めがけて広辞苑を振りかぶる。
59 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:52:33.32 ID:2aSI5GVy0
P「桃子! いい加減にしろ!」
俺の渾身の思いを込めた大声に桃子がひるむ。
頭痛がひどいがなんとか立ち上がって言う。
P「世界なんてな。なんて理不尽なモノなんだろうな。だからこそみんなは一生懸命生きてるんだよ! 育だって星梨花だってこの狂った世界の中でも、もがきながら進んだんだよ。もし育が魔法で危ない目にあったら、星梨花があのまま目覚めなかったら、どうするつもりだったんだよ!」
桃子「もう1回やりなおすだけだよ」
P「ああ。そんなチートで巨大な力を持ったらおかしくなるよな。だけれども! 人生はやり直しが効かない、たった一度だけのモノだ! 失敗したらやり直すだけ? そんなヤワな考えの奴になんて絶対惚れない! 何度世界をやり直してもな! 1回キリの人生を楽しめよ!」
桃子「そんな、桃子だって……!」
P「周防桃子はそんな人じゃなかった。過酷な運命の中でも諦めずに何度も立ち上がった! 子役として行き詰っても、アイドルとして再起した。こんな尊いことがあるか!」
桃子「……!」
60 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:55:05.01 ID:2aSI5GVy0
P「もちろん俺の告白の返事も悪かった。だけど、俺は桃子の生い立ちを利用して、恋愛に、もつれ込むようようなことはできなかった。騙すようなことはできなかった。俺は桃子を大事に思ってるんだよ。プロデューサーをやりながらでも、桃子にふつうの女の子としても青春を過ごしてほしいという矛盾した考えを持ちながらずっとずっとプロデュースし続けてるんだ」
桃子「お兄ちゃん……」
P「もう一回言う。元の世界に帰ろうぜ。さっき言ったとおり、やり直せる世界では俺は桃子に惚れない。でも元の世界ではもっともっと真剣に向き合ってやる。約束だ。」
倒れそうになりながらも、桃子の手を握る。
桃子の頬には涙がつたっていた。
桃子「そっか。やっと気が付いた。桃子、叱ってほしかったんだ」
P「?」
桃子「自分でも間違っていると思ってても、止められなくなっていた。だからこそ、お兄ちゃんに大人として叱ってほしかったんだよ」
P「ああ。元の世界に帰ろう」
そこで意識は途切れた。
61 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:55:56.01 ID:2aSI5GVy0
次に気が付くと、俺は俺自身の部屋のベッドの上だった。
元の世界に戻れたのか?
スマホを覗くと現代の日付だ。
記憶だってちゃんとある。
俺はアイドルのプロデューサーだ。
ふと鏡をみると10歳くらい老けていた。
……やっぱり向こうの世界の方がよかったかな?
62 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:56:53.93 ID:2aSI5GVy0
そこでもう1つの寝息が隣からすることに気が付く。
布団をめくると桃子が眠っていた。
とんだイタズラ少女だな。
P「おい桃子。そろそろ起きろ」
桃子「……うーん。ってなんで桃子、お兄ちゃんの布団で寝てるの? まさか……このヘンタイ!」
なんかあらぬ疑いをかけられている。
P「たぶん桃子がここにきたんだろ? 記憶ないのか?」
桃子の顔がぷしゅーっと赤くなる。
桃子「記憶……ないかも」
P「うそつけ!」
桃子「もう! 桃子がないって言ったらないの! お兄ちゃんってほんとに生意気。桃子の方が先輩なんだから!」
久しぶりの桃子節が愛おしく感じる。
63 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:58:03.27 ID:2aSI5GVy0
桃子「やっぱり桃子、お兄ちゃんのことなんか……」
P「嫌い?」
桃子「す、好きだけど……」
目をそらしながら、ぼそっと言う。
P「ちょっとは素直になったかな」
桃子「言ったんだからね! ちゃんと桃子の気持ちに応えてよね!」
P「おう。トップアイドルになったらな」
桃子「そうやってすぐ、はぐらかす」
P「桃子さんはプロなんだろ? だったら仕事に私情を交えちゃダメだよな」
桃子「そう言われたら……そう、だけど」
P「その意気だ」
そう言って頭を撫でる。
桃子「もう子ども扱いしないで! 桃子がトップアイドルになる前に他の女の子になびいたりしたら、またあの世界に連れて行くからね!」
口ではそう言いつつも、そんな気はないくせに。
P「ああ、ちゃんと待ってるよ」
桃子「もう!」
P「さてそろそろ支度しないとなー」
64 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:59:10.12 ID:2aSI5GVy0
ピンポーン
P「チャイムか……こんな朝っぱらから誰だよ」
P「はーい」
育「おはよう。プロデューサーさん!」
P「おー育か」
育「魔法は使えなくなっちゃったけど、ちゃんとわたしのこと見ててよね! なんといってもプロデューサーさんはわたしの未来の旦那さんなんだから」
P「お前、記憶あんのか。困ったなー。って星梨花もいるのか」
星梨花「はい、わたしはセリカ型……じゃなくて箱崎星梨花っていいます! 妹兼メイドとしてやってきました!」
P「名前はもう知ってるし、無駄にあの世界の設定を踏襲しなくていいよ! 星梨花は星梨花だろ」
星梨花「えへへ」
桃子「ちょっとお兄ちゃん! ちゃんと桃子のこと待ってくれるって約束したよね? なんでさっそく、他の女の子といちゃいちゃしてるの!」
65 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 17:01:09.36 ID:2aSI5GVy0
P「いやこれは不可抗力で。ってまた来客!?」
このみ「なんでお姉さんはサポートに徹してばかりなの? ちゃんとファンディスクでこのみルートを実装しなさい!」
P「またあの世界行くつもりなのか?」
環「たまき、おやぶんのことを考えると今夜も眠れないや……」
P「TInt Meのセリフ部分をとるんじゃない!」
このみ「環ちゃんルートも番外編で実装ね!」
P「乗っ取れTInt Me!?ああ! もうごちゃちゃだ!」
桃子「お 兄 ちゃ ん ?」
P「ひっ……!」
桃子「ちゃんと桃子のこと見ててねって言ったよね!!!」
桃子の声は辺り一面に響き渡る。俺は情けなく返事するしかなかった。
おわり
66 :
◆NdBxVzEDf6
[sage]:2020/10/23(金) 18:26:53.01 ID:iUNQy8k70
>>2
周防桃子(11)
http://i.imgur.com/TcDHeAk.jpg
http://i.imgur.com/PEjYBPq.jpg
http://i.imgur.com/3Gw96ND.jpg
>>3
馬場このみ(24)
http://i.imgur.com/FKjgCr1.png
http://i.imgur.com/C1tMNRZ.png
>>32
中谷育(10)
http://i.imgur.com/fQlgAYK.png
http://i.imgur.com/p64webr.png
箱崎星梨花(13)
http://i.imgur.com/8rCAWmV.jpg
http://i.imgur.com/kVtDItT.jpg
大神環(12)
http://i.imgur.com/tbXPtna.jpg
http://i.imgur.com/vXM3MSZ.png
タイトルそういうことだったか
あと設定を変えて時間旅行のとこでJelly PoP Bean由来は意外だったな
http://i.imgur.com/iqKF6eU.jpg
乙です
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/24(土) 03:40:44.54 ID:qNbe7Y/DO
乙
ラストは「お前達が俺の翼だ!」ってやるべきでしたな
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