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765楽園sideL最終話ルート桃子
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1 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 15:43:19.20 ID:2aSI5GVy0
注意
765楽園sideL、sideL2話、sideL3話から読んだ方がいいかも
当シリーズは 765学園物語シリーズ 様の三次創作、つまりファン作品
作者も当然違う
スレタイを被せずオリジナルの設定でやることも考えたが、どうしてもPが学生、兄妹がこのみと桃子という設定が外せなくなったので、そこまで同じなら堂々とファン作品として打ち出した
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1603435398
2 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 15:47:40.49 ID:2aSI5GVy0
桃子「桃子、女優になりたい」
このみ姉さん、俺、そして桃子で構成された家族会議で桃子は言った。
ちなみに星梨花は前回の件が落ち着いたので、住み込みは終わり、彼女のお家で家族と再び過ごすようになったのでこの場にはいない。
もちろんよく遊ぶ仲にはなっているのだが。
いろいろ問題が解決したので、あとは平穏に過ごすだけだって思ってたら、家族会議が開かれ、桃子嬢がこの発言。
俺が落ち着ける日々はいつ来るのか。
3 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 15:48:55.07 ID:2aSI5GVy0
P「女優ねえ……」
このみ姉さんの顔をうかがうも特に考えは読み取れない。
P「ふつうに考えて、なかなかなれるものじゃないだろう。そもそもなぜ女優なんかに」
桃子「誰かを演じることで人を感動させられたらいいなって」
なんかとってつけたような理由だなと思った。
最近、面白い映画でもみたのだろうか。
P「このみ姉さんはどう思う」
このみ「私は別にいいんじゃないかしらって」
P「え、ほんと?」
このみ「何か目標があって、それを目指せる人生ってステキじゃない?」
P「ステキか? 女優なんて一握り中の一握りだろ。テレビで見るような人らの足元には女優になれなかった人たちが何人いるかって話だ。それに万が一、そういう話が来たとして変なグラビアとかきわどい写真とか撮られたらどうするんだ」
4 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 15:50:35.84 ID:2aSI5GVy0
このみ「Pは深く考えすぎよ。心配してるのね」
P「心配というか、なんというか。それに目標が欲しいなら習い事でもやればいいじゃないか」
このみ「習い事?」
P「スイミングとかピアノとかさ」
このみ「スイミングを習う子が全員、水泳選手になるわけないわ。ピアノだってそう。全員がピアノ演奏者として大成するの?」
このみ姉さんの言い方が悪かったか、桃子が反応する。
桃子「ちょっとお姉ちゃん。桃子はホンキで……」
このみ「分かってるわ。でもここはPを納得させることが必要なの。分かってくれるかしら?」
このみ姉さんが今話題にしてるのは桃子が女優として成功するかうんぬんより、俺を納得させるための論理であると説明した。
この人の口喧嘩には敵うまい。
5 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 15:51:58.21 ID:2aSI5GVy0
P「このみ姉さんの説明は分かった。でもどうやって女優になんの? 俺がイメージするのはモデルが俳優としても活動し始めるパターンだが」
このみ「それをよく見るけど、まぁ難しいわね。だからこれ見て」
このみ姉さんはビラを取り出す。やたら準備がいいのは、この家族会議は俺を納得させるものであることを改めて認識させられた。
P「765劇団?」
このみ「ええ、知り合いの親戚が運営してる劇団よ」
P「劇団員から女優になるってことか。劇団員ってバイトで食いつないでやっと、というイメージがあるが」
このみ「だからそれは桃子ちゃんが大人になってから、という話でしょ」
P「うーん」
このみ「それに友だちだってできるかもしれないし、その友だちと何かを目指せるなんて良いと思わない?」
P「……分かったよ。じゃあ最初は俺も桃子とそこに同伴するよ。それで怪しくなかったら、やってみればいい」
桃子「お兄ちゃん、ホント?」
P「ああ。さっきからマイナスなことばっか言って悪かったな」
桃子「ううん、ありがとう」
そう言って桃子は笑顔をつくる。
俺はなぜそこまで反対するのかは、自分自身でも分からなかった。
たぶん、桃子が遠くに行ってしまう気がして。
なんというのは考えすぎだろうか。
6 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 15:52:54.62 ID:2aSI5GVy0
劇場
P「ここが劇団が活動している劇場か、なんだかボロいなあ。ここに人がいるのか」
社長「ボロいとはとんだ挨拶だね。キミィ」
P「わっ失礼しました」
桃子「もう、これからお世話になるかもしれないのに、桃子の立場を悪くしないでよね」
P「で、貴方は?」
社長「私はこの劇団と劇場を運営する高木という者だ。よろしく頼むよ」
P「はい、僕はPといいます。この子のまぁ保護者です。この子は桃子といって入団志望のため来ました」
社長「入団志望かね? 悪いがただここの劇団は人不足で私以外メンバーがおらず、劇場も取り壊しが決まってるんだよ」
P「」
社長「つい、このみ君には見栄をはってしまってね」
P「だってさ。なあ桃子、ここはやめて他を探そう」
7 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 15:53:39.38 ID:2aSI5GVy0
桃子「桃子、ここでやってみたい」
P「え?」
桃子「ここはもう取り壊し予定なんでしょ? だったら、最後の最後にどーんとお芝居をやろうよ。変な話、先輩もいないから妙なしがらみもないしね」
P「言っちゃ悪いが、こんなボロ劇場で何ができるんだ?」
桃子「できるよ」
P「だから無理だって」
桃子「無理じゃないよ。しょうがないなあ、じゃあ見てて、桃子がここを一面中お花畑に変えてあげるから」
P「何を言ってるんだ?」
8 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 15:54:36.83 ID:2aSI5GVy0
桃子は舞台に上がる。
桃子「ほらお兄ちゃん、いい匂いがするよ。それに向こうまでずっとお花畑が広がってる。遠くにあるのは菜の花かなあ」
P「……うん」
桃子「あっ足元にもお花が咲いてる」
桃子はそれを摘む仕草をする。
桃子「ちょっと子どもっぽいかもだけど、作ってあげるね。お兄ちゃんにお花でできたネックレス!」
桃子はボロ舞台で演技をしているだけだ。
なのに、この圧倒的な説得力。
まるで本当に花畑が眼前に広がってるような錯覚におちいった。
桃子「なんてね」
桃子が素に戻り、そう言うと花畑はボロ舞台に戻った。
9 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 15:55:28.05 ID:2aSI5GVy0
P「……すげえよ! 桃子! お前、こんな才能があったんだな」
社長「うむ、私もここまで演技に説得力を持つ人間を見たことがない」
桃子「桃子ならこのくらいトーゼンだよ」
桃子の女優志望にはどちらかというも反対だったが、ここまで圧倒的な才能を見せられると意見を翻さざるを得ない。
社長「よし、キミにはこの劇場の未来を託そう。ここの劇場を貸し出すから、ぜひ舞台をやってほしい」
P「だってさ、どうだ?」
桃子「うん、桃子もここでやってみたい」
社長「ぜひとも頼むよ。それと桃子君のお兄さんだったかな。キミも俳優志望かい?」
P「いや俺はちがくて」
社長「でもキミはあの子の兄だろう? きっと才能があるに違いない。さあどうだろう」
桃子「その人に俳優は無理だって思うよ」
P「桃子! 助かるよ」
10 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 15:56:44.40 ID:2aSI5GVy0
桃子「だってお兄ちゃんはプロの脚本家を目指してるんだから」
P「は?」
社長「そうだったのか。プロ顔負けの俳優と兄の脚本家志望……なんという才能に溢れた兄妹だ」
P「おい桃子、どういうことだ」コソコソ
桃子「だってせっかくやるなら、既成脚本より創作脚本の方が面白そうだから」
P「規制脚本ってえっちなやつ?」
桃子「もうバカ、何言ってるの! 既成脚本はすでにある演劇をやるの。例えばロミオとジュリエットぐらい知ってるでしょ」
P「どうしてアナタはロミオなの!?」
桃子「そうそれ。逆に言うとそこ以外知らなそうだけど」
P「ギクリ」
桃子「創作脚本はお兄ちゃんのオリジナル脚本だよ」
P「オ、オリジナル?」
桃子「そう。桃子の演技力は保証するから、お兄ちゃんに脚本をやってほしいの」
P「逆にいうと、桃子が好きなセリフを言ってくれるってことか」
桃子「も、桃子に何を言わせるつもり?」
P「う○ち」
桃子「発想が小学生以下」
P「冗談は置いといて、俺の負担がすごそう」
桃子「お兄ちゃんはこういうの得意なイメージあるけど。それに桃子はお兄ちゃんの脚本で演技をやりたい」
P「桃子がそう言うなら……やってみるよ」
桃子「ほんと? じゃあ決まり!」
11 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 15:57:34.39 ID:2aSI5GVy0
社長「相談は済んだかね」
P「ええ、まあ。やりますよ、脚本」
社長「それは心強い。なら照明だとか演出は主に私がやるから、キミらは好きにやってくれ。頼んだよ」
12 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 15:58:27.91 ID:2aSI5GVy0
帰り道
P「やっぱ創作脚本なんて、何も思いつかないぞ」
石を無意味に蹴りながら言う。
桃子「まぁ桃子が役者やったらある程度映えるから気軽にいきなよ」
P「そんなこと言える桃子がうらやましいよ」
桃子「そう? やっぱりお兄ちゃんは不安?」
P「そりゃあね。ただ、やると言ったからにはやるよ」
桃子「さすが桃子のお兄ちゃん」
P「そりゃどーも。それで脚本についてスマホで調べてるんだが、起承転結とか三幕構成とかピンとこなくて」
桃子「じゃあ桃子からお兄ちゃんに1つアドバイス。物語のコツは問題解決だよ」
P「問題解決?」
桃子「そう。もちろん何も起きない日常を描く作品もあるけど、あれはあれで日常を面白おかしく描くには才能がいるからね。例えば桃太郎」
桃子だから桃太郎?
桃子「桃が流れてきて桃太郎が生まれるのが導入。鬼の存在が問題提起、最後に鬼を倒して問題解決」
P「まあ言いたいことは分かる」
桃子「水戸黄門様一行の旅とその出会いが導入、苦しめられる悪人が問題提起、最後に成敗して解決。探偵物でも同じことがいえるかも」
P「まぁそれこそ長期シリーズだし、それに乗っ取れば無限に話が作れるってことか」
桃子「そういうこと。もちろんたくさん例外もあるけど、今のお兄ちゃんにアレコレ言っても混乱させるだけだしね」
P「アドバイスありがとう。それを参考してみるよ」
13 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 15:59:21.43 ID:2aSI5GVy0
自宅
自室に寝転がり、脚本を考える。
プロットっていうのか? 文字に起こした方が良いだろうと思って机に向かったけど、無いも浮かばないからやめた。
寝転がったけど、歩いた方が案外、自由に考えが浮かぶ。
桃子が言ってたのは問題解決。じゃあ問題ってなんだ。
今回の特異な点は桃子がそれをやってくれるということ。
だったら、桃子自身の問題に向き合った方が、あの子もやりやすいんじゃないか?
役をつくる手間が省けるだろうし。
それなら、桃子ともっと向き合う必要があるな。
14 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 15:59:58.76 ID:2aSI5GVy0
よし、それならと俺は部屋を出て、桃子の前に立った。
桃子「どうしたの?」
P「よしっ俺とデートしろ桃子」
桃子「は?」
そんなこんなで一緒に出掛けることになった。
15 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:01:15.24 ID:2aSI5GVy0
某所
P「なあデートと言ったハズだが」
桃子「うん。桃子、お兄ちゃんと一緒にお出掛けできてうれしいよ」
P「スーパーで荷物持ちさせてるからなあ!」
桃子「だって液体洗剤とかちょうど切れてたしね。ああいうの重くて」
買い物はもっぱら俺か桃子が当番である。
このみ姉さんは酒ばっか買ってくるから。
P「デートにスーパーは入りません」
桃子「でも新婚っぽいと思えば」
P「やっぱりスーパー最高」
桃子「扱いやすくて助かるよ。それでポイント溜まったからガラガラ回してきて。桃子はあんまり人ごみに行きたくない」
たしかに、あちらを見ると福引か何かやっていた。
P「どうせティッシュとかだろうけど」
桃子「別にそれでも助かるからいいよ」
P「さいで」
16 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:01:54.67 ID:2aSI5GVy0
福引コーナー
店員「へいらっしゃい。こうやってガラガラ回してね」
チラと後ろをみると、特等は旅行、一等や二等には食料品だった。
米とか当てれば桃子は喜んでくれるかな。
いや持って帰るのが重いか……なんて捕らぬ狸、ってやつだな。
ガラガラと福引を回す。
17 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:02:37.36 ID:2aSI5GVy0
出てきたのは黄金色の玉。
やけに派手なのが出てきたな。
店員「大当たりー!」
P「……え?」
店員が大きな音でベルを鳴らす。
慌てて桃子が寄ってくる。
桃子「ちょっとお兄ちゃん! なにやらかしたの? 不正?」
P「不正なんてやってねーよ。なんかいいやつが当たったみたいだ」
店員「特賞のペア1泊2日の旅行券です」
P・桃子「ええええええ!?」
18 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:03:30.97 ID:2aSI5GVy0
自宅
このみ「で、旅行券が当たったと。桃子ちゃん単独はまだ早いし、Pが行ってきたら?」
P「といっても、ペア旅行券だぞ? 誰と行くんだよ」
このみ「お友だちと行けばいいじゃない」
P「オデ、トモダチ、イク、セリカ、タマキ、シカイナイ」
このみ「急に口下手だけど心優しいモンスターになってもごまかせないわ」
P「小中学生の女の子しか友だちがいない事実に悲しくなってつい」
このみ「P、あなた本当に高校生なの?」
P「そういえば学園での記憶がねえな」
このみ「まぁいいけど。それで私も用事があっていけないのよね」
P「ようじなら俺にもあるよ」
このみ「貴方の場合、用事じゃなくて幼児」
P「よく考えたらそうだったわ」
このみ「こうなったら桃子ちゃんと2人で行ってきたら?」
P「いまさら妹と2人っきりで旅行なんてなあ」
でもよく考えたら、脚本の取材になるかもしれないし、いいかもしれない。
19 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:04:23.52 ID:2aSI5GVy0
新幹線内
桃子「で、なんで桃子はお兄ちゃんと旅行に来てるの」
P「今更そんなこと言うなよ」
桃子「まぁ……いいけど」
口でいうほど不機嫌そうには感じなかった。
20 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:04:55.33 ID:2aSI5GVy0
駅
P「やっと駅についたな。ここから少し歩くけど大丈夫か?」
俺は手を伸ばした。
桃子「その手はなに?」
P「いや、迷子になったら困るから」
桃子「……」
桃子は悩んでる様子だ。
P「ちょっとはレディー扱いさせてくれよ。ここは県外だから、知り合いに見つかって、からかわれることもないしな」
桃子「お兄ちゃんがそこまで言うなら」
そうやって手をつないだ。
小さな手。
守ってやらなきゃなと改めて思わされた。
21 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:05:42.57 ID:2aSI5GVy0
旅館
P「きれいなとこだなー」
桃子「たしかにそうかも」
女将「ご来店、ありがとうございます」
P「予約のPです」
女将「あーペアで予約の。かわいい彼女さんですね」
桃子「べっ別に桃子は彼女じゃなくて」
女将「ふふっ。お部屋ご案内しますね」
22 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:06:14.74 ID:2aSI5GVy0
部屋
ペアチケットなので、もちろん桃子とは同室だ。
まあ今更意識するものでもないか。
桃子「なんか、改めて2人って思うと変なかんじだね」
桃子は苦笑いする。
P「まあそうかもな」
桃子「桃子は移動で疲れたからちょっと休むね」
P「お茶でもいれようか?」
桃子「ううん、大丈夫。寝室の方にいるから、なんかあったら声かけてね」
23 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:07:06.49 ID:2aSI5GVy0
数時間後
P「そろそろこんな時間だし、風呂はいるかー」
桃子「あっお兄ちゃん! えっと、あの、」
P「まさか一緒に入りたいって? なんて」
桃子「……」コク
P「えっ」
桃子「ここ、貸し切りもあるみたいだし」
P「おお!」
桃子「あと水着も持ってきたよ」
P「……おお」
そんなこんなで風呂に入ることになった。
24 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:09:28.88 ID:2aSI5GVy0
風呂
P「水着とはいえ緊張するなあ」
桃子「もう、意識しすぎ。小さいころはよく一緒に入ってたでしょ」
P「まあそうなんだけど」
桃子「だからといってジロジロ見すぎるのもやめてよね」
P「へいへい」
俺が湯舟に入ると、桃子も俺に背中を預けるようにして湯舟に入った。
後頭部が目の前に来る。
改めてくせっ毛だなって思った。
わしゃわしゃとなでてやる。
桃子「もう、髪が乱れるでしょ」
P「どうせ風呂だからいいだろ」
桃子「乙女の髪は繊細なんだから」
P「えっ乙女ってどこ?」
桃子「ここにいるでしょ!」
そんな冗談に飛ばしつつはしゃぐ。
なんだか子どものころみたいに戻ったみたいうれしかった。
25 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:10:03.87 ID:2aSI5GVy0
お風呂にあがり食事に向かい部屋に帰ってくると、すでに布団が敷かれていた。
布団がぴったりとくっついていて一瞬ドキリとしたけど意識しすぎたと反省した。
桃子「つかれたかも……」
P「そうだな。寝るか」
歯磨きをする。
桃子「ちょっと歯ブラシくわえながら、寝転がらないで」
P「はいはい」
しっかりしている。
26 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:12:37.59 ID:2aSI5GVy0
布団に入る。
P「眠れない……」
桃子「うるさいなあ。眠れなくてもいいけど、しゃべらないで」
P「辛らつ」
桃子「そうでもないよ」
P「しりとりでもしよ」
桃子「子どもっぽいからヤダ」
P「大丈夫。縛りを設けるから」
桃子「誰を縛って儲けるの?」
P「人身売買的な話をしてねえ! 動物限定しりとりだ。どうだ?」
桃子「いぬ」
P「ぬ? しりとりにおいて強いぬで動物だと?」
桃子「早く言って」
P「ヌードの犬」
桃子「なにそれ。なら……ヌーベルトリコロールの犬」
P「濡れ場の犬」
桃子「さっきからなんで全体的にえっちなの? このヘンタイ!」
俺は黙るしかなかった。
27 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:13:52.11 ID:2aSI5GVy0
なんとなく沈黙のあと、桃子がこっちを向かないまま聞いてきた。
桃子「で、脚本は決まった?」
P「うーん……現実の桃子っぽい話がいいかなとはおぼろげながら考えてる」
桃子「当て書きね」
P「なにそれ」
桃子「役に寄った設定にすること」
P「そういや穴を掘る人の演劇もそうだったらしいな」
桃子「そうそうそんな感じ」
P「桃子に将来どうなってほしいかって考えたんだけど」
桃子「……うん」
P「ふつうの女の子になってほしいんだ」
桃子「どういうこと? 桃子はふつうの女の子だよ」
P「いやそうなんだけど、なんというか。普通の人生を歩んでほしいんだよ。ふつうに学校行って、悩みがあったとしても友だちのこととかありふれた悩みで、ふつうに中学高校いって、まあ行きたいなら大学行って就職して、ちょっと寂しいけど結婚して。なんて」
桃子「ふふっなにそれ」
P「割とホンキなんだけどな」
桃子「まあいいよ。お兄ちゃんの気持ちは分かったよ。それも聞けたしもう寝るね」
P「なんか恥ずかしくなってきた」
桃子「はいはい。じゃあおやすみ」
P「……おやすみ」
28 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:14:46.45 ID:2aSI5GVy0
次の朝
P「そろそろ朝か」
桃子「おはよ。思ってたより早く起きたね」
P「まあ旅館で熟睡はできんわな。桃子はまた風呂いったのか」
桃子「うん、朝風呂。お兄ちゃんも行ったら?」
P「なんか朝に風呂入るとだるいからいいや」
桃子「そう?」
P「と言っても朝食バイキングまで時間があるな」
桃子「そうだね」
P「ちょっと散歩いってくるわ」
桃子「桃子もいく」
P「はいよ」
29 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:15:47.56 ID:2aSI5GVy0
散歩道
P「朝の散歩もいいものだ。この冷たい空気と人のいない静けさ」
桃子は風呂上がりなので浴衣とサンダルだ。
桃子「お兄ちゃんも風情を感じるんだね」
P「そりゃたまにはな。まあ旅行券があたってよかったよ。昨日も桃子としっかりお話できたし」
桃子「そう?」
P「近すぎて遠い存在っていうのかな。桃子と向き合う機会が作れてなかったと気がついたよ。これからもぼちぼち遊びにいこうぜ」
桃子「ほんと? 楽しみにしてるね」
P「さすがにこんな遠いところは、来られないけどな」
桃子「だったら、このまま桃子と逃避行してみる?」
P「なにがだったら、だよ。でも楽しそうだなそれ」
桃子「お金はお兄ちゃんが稼ぐんだよ」
P「えー俺? 桃子も協力してくれよ」
桃子「ちょっとだけね。歌を歌ったりお芝居したりしてお金を儲けるの」
P「はは、桃子だったらできそうだなそれ」
学校も仕事も体裁も全部投げ捨てて桃子と逃避行。
楽しそうだ。
30 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:16:20.38 ID:2aSI5GVy0
P「それで見つけた小さな旅館で泊まってまた次の朝、旅にでて」
桃子「そうそう」
P「でもそのうち、捕まるわな。俺たち未成年だから」
桃子「……そうだね。じゃあ誰にも見つからない逃避行ならやってみたい?」
桃子はイタズラっぽい顔で言う。
どこまで本気なんだか。
P「いや、やめとくよ。現実はそんなにうまくいかない」
桃子「ふふ、だよね」
そんなこんなでうろうろしてたら、いい時間になったので飯を食ってチェックアウトして帰り路につく。
桃子はなんとなく上機嫌に感じた。
31 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:17:36.69 ID:2aSI5GVy0
後日 劇場
社長「どうやら台本が完成したらしいね」
P「まあなんとか」
社長「見せてくれるかい?」
P「……はい」
他人に自分の創作物をみせるのははじめてだ。
どうしても緊張する。
社長「どんなストーリーなのかね」
社長はパラパラと流し見しながら尋ねた。
P「この話はいわゆる当て書きです。主人公はほぼ等身大の未来の桃子です」
社長「ほう」
P「主人公桃子は知らない人はいないほどの大女優です。だけれども彼女は引き換えにしてました。普通の学校生活を。だからこそ、桃子は妖精に頼み、1日だけ小学生に戻り、普通の小学生をやるんです」
社長「なるほどね。どうしてそのようなストーリーになったんだい」
P「ただの俺の願いです。それを強調するなら最初から女優という設定がいいと思いまして」
社長「ティンときた! よしその設定でいこう」
P「ありがとうございます」
社長「ただこの台本だともう少し人数が必要そうだね」
P「そこは問題ありません。俺にはアテがあるので」
胸を張っていうが、浮かんだのは小中学生の女の子である。
社長「ほう。ぜひ頼むよ」
32 :
◆X0TyCi.5oo
[saga]:2020/10/23(金) 16:18:14.12 ID:2aSI5GVy0
後日
自宅
P「そういうわけで、みんなに演劇を頼みたいんだ。どうかな?」
環「くふふ、面白そうなことは好きだぞ」
育「わたしもやってみたい!」
星梨花「わたしもです!」
P「あと年長役が必要なんだけど、このみ姉さん頼めるか?」
このみ「ええ、セクシーな演技で観客をメロメロにしちゃってもいいならね」
P「いや、セクシーなシーンは全くないんだけど」
桃子「そうと決まればみんな練習だよ。桃子の指導は厳しいんだからちゃんとついてきてね」
みんな「はーい」
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