P「あいつらに会いたい」

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343 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 18:59:11.36 ID:VwwaHNdc0
杏「で、ほんとのところはどうなの、志希ちゃん」

志希「……えへ、なんであたしに聞くの」

杏「さっきの口ぶりからして本当は気づいてたんじゃないの。
  ナムコプロがあるってこと」

凛「……!」

杏「ずっと前から気になってた。
  志希ちゃん、プロデューサーの記憶障害の話題になると
  口数少なくなるし、敢えて避けてるように見えた」

杏「LiPPSへの参加をやめたのもそれと関係してんじゃないの」

美嘉「そうなの?」

志希「……」

志希「あたしはただ……、プロデューサーを信じただけ」
344 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 19:01:06.54 ID:VwwaHNdc0
志希「彼が現代科学では証明できない、
   特殊な状況下に置かれていることに関してはあたしも同意」

志希「ただ、本当のところはあたしにもわからない。
   こういうのあたしの専門じゃないし、なんの科学的根拠も示せない」

志希「だから今からいうことは、単なる憶測でしかないけれど……」

志希「おそらく、変わったのはプロデューサーではなく、あたしたちの方」

志希「プロデューサーが……便宜上、記憶障害というけど、
   それになったと思われる5月の朝もしくは前日の夜、
   ナムコプロはCGプロに造り変わった。プロデューサーだけを残して」

アーニャ「造り変わった……」

未央「それって杏ちゃんのいうパラレルワールドとは違うの?」

志希「二人のプロデューサーが互いの世界を入れ替えっこしたんじゃなくて、
   一つの世界がプロデューサーだけをそのままに他の全てを造り変えたの」

志希「つまり5月以前の世界にあたしたちは存在してなくて、
   それ以降にあたしたちが誕生したってこと」

美嘉「ま、待って。それパラレルワールドよりもありえなくない?
   アタシ5月前の記憶ちゃんとあるよ?
   ずっと昔の小っちゃかった頃の記憶だって」

志希「過去の記憶があるからとそれが過去の証明とはならない。
   なぜなら5月前の記憶があるように造り変えられたかもしれないから」

美嘉「そんな……」

蘭子「世界五分前説……!」ハッ

345 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 19:01:57.36 ID:VwwaHNdc0
凛「じゃぁ、なに、今までの私の人生なにもかもが嘘だったってこと?
  私の気持ちも? すべて?」

志希「そんな深刻に捉えないでよ。いったでしょ、憶測だって。
   それを観測する手段がないから、否定することも証明することもできない」

卯月「……どちらの説が正しいのか私にはわかりませんが、
   二人の話を聞いてようやく腑に落ちたような気がします」

卯月「プロデューサーさんが記憶を諦めた時どうして簡単に受け入れることができたのか、
   二度と過去を共有できなくなるのにどうして悲しくなかったのか」

卯月「きっと心の奥底では気づいていたんですね。
   プロデューサーさんが、私たちのプロデューサーさんではないことに」

凛「……」
346 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 19:02:39.72 ID:VwwaHNdc0
卯月「私、プロデューサーさんをナムコプロの人たちに会わせてあげたいです」

杏「どうやって?」

卯月「それは、わかりませんけど……、でもきっとなにか方法が」

美嘉「待って。もし志希ちゃんのいってることが正しければ、
   プロデューサーとナムコプロを引き合わせるには
   世界を元に戻さないといけないってことでしょ?」

美嘉「それってつまり、アタシたち消えるってことじゃ……」

未央「……!」ハッ

卯月「それでもやります。たとえ私が消えることになって、
   プロデューサーさんと二度と会えなくなっても、
   泣いている人がいたら、私は手をさし伸べてあげたい」
347 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 19:04:13.29 ID:VwwaHNdc0
未央「わかった。私、協力する。一緒にナムコプロ捜そ!」

卯月「未央ちゃん……!」

愛梨「私も協力する。あんな泣いてる姿見せられたら、
   なにがなんでも助けてあげたくなっちゃうよ」

アーニャ「あの泣き顔はずるいです」

莉嘉「アタシもやる!
   Pくんとナムコプロの人たちを会わせてアタシも消えないように頑張る!」

美嘉「頑張るって……、ま、やってみないことにはどうなるかわかんないか。
   それじゃぁ、アタシも消えないように頑張ってみよっかな」

幸子「そうですね、ボクたちなら絶対に消えることはありませんよ!
   根拠はないですけど!」

蘭子「ククク、面白い。ならば我も力を貸そう。
   どのような終局を迎えるか、この眼でしかと見届けさせてもらう!」バーン

杏「杏もやるよ。なにをどうすればいいのかさっぱりだけど、
  プロデューサーのためなら、たまにはやる気出す」

楓「それなら私もやるわ。杏ちゃんが自発的にやる気を出すなんて
  天地がひっくり返るよりありえないことが起きているんだから、
  きっとナムコプロは見つかるわ」

杏「あぁ、そういわれるとそんな気がしてきた。見つかるわ、ナムコプロ」

 アハハ
348 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 19:05:26.48 ID:VwwaHNdc0
凛「ち、ちょっと待ってよ、みんな本気?
  本気ででそんな話信じるわけ? 現実的に考えてありえないでしょ」

杏「じゃぁ他に説明つく? ナムコプロが見つからない理由」

凛「だから! なんでナムコプロがあるって信じられるの?
  見つからないのはプロデューサーの妄想だからでしょ!」

卯月「私は信じます、ナムコプロのこと。ハルカちゃんはきっといます」

凛「……ばかばかしい、話にならない。
  頭おかしくなってんの卯月の方なんじゃないの」

卯月「……!」

未央「しぶりん!」

凛「……とにかく、私は信じないし、協力もしない。
  ナムコプロ捜したければ勝手に捜せば?」スッ

まゆ「ごめんなさい、まゆもみなさんのいっていることが信じられない。
   たとえそれが本当だったとしても、協力できません」

まゆ「まゆは、プロデューサーさんと離れたくない」

まゆ「ナムコプロに、
   まゆのプロデューサーさんを返してあげないんだから……!」スッ

美嘉「あ……」



 ガチャッ バタン――



志希「……」
349 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 19:06:15.01 ID:VwwaHNdc0
未央「なんなのしぶりん、あのいいかた! ひどくない!?」プンスカ

卯月「未央ちゃん、私は気にしてませんから」

杏「まぁ、そう怒らさんな。
  杏だって正直、まだ半信半疑なところあるもん。
  二人の信じられない気持ちも理解できる」

楓「いいえ、“信じられない”のではなく“信じたくない”のよ。
  まゆちゃんのいっていたことがすべてだわ」

アーニャ「プロデューサーと離れたくない」

美嘉「そりゃ、アタシだって……」

幸子「でも離れるとまだ決まったわけじゃないですよね?
   もしかしたら杏さんの説が正しいのかもしれませんし」

愛梨「うん、やってみないことにはわからないよ」

志希(……)
350 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 19:07:23.75 ID:VwwaHNdc0
莉嘉「じゃぁ、これからどうする? 作戦会議?」

卯月「あの……」

卯月「私、凛ちゃんとまゆちゃんにも一緒にやってもらいたいです。
   私たち13人の力を合わせないと……」

卯月「そうしないと、いけない気がするんです」

愛梨「私も全員揃ってやった方がいいと思う。
   こういう時こそ全員が納得して全員で協力しないと」

未央「そうはいっても、愛の重いツートップだしなぁ」

美嘉「あの二人を説得するのはかなり……」

楓「骨が折れるわね」

杏「複雑骨折するよ。バッキバキに」

アーニャ「なら、みんなで骨折しましょう。
     骨折して繋ぎ合わせれば前より強度が増します。
     そう、私たちの絆も」

幸子(いいこといってるようなそうでもないような……)

蘭子「ではオペレーション“ボーン・ブレイク”を直ちに発動せよ!」ババーン

志希・莉嘉「ラジャー!」



…………………
………………
…………
……
351 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 19:08:12.28 ID:VwwaHNdc0


凛「は?」ギロリ

352 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 19:09:08.91 ID:VwwaHNdc0


まゆ「……」プイ

353 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 19:10:16.74 ID:VwwaHNdc0
未央「もうやだ! マジ無理! 私は死んだ!
   今のしぶりん狂犬だよ! あんなの説得できるわけない!」ウワーン!

杏「諦めるの早すぎでしょ」

卯月「まゆちゃんの方はどうでしたか」

美嘉「こっちも似たようなもん。聞く耳すら持ってくれない」ハァ

幸子「まぁ、昨日の今日ですし、少し冷静になる時間が必要かもしれませんね」

蘭子「しかし『鉄は熱いうちに打ち滅ぼせ!』ともいう」

杏「滅ぼしちゃいかんでしょ」

愛梨「そういえばプロデューサーさんって今どんな様子かな。誰か会った人いる?」

莉嘉「アタシ会ったよ。けっこーふつーだった。
   あと昨日はカッコ悪いとこ見せてゴメンって」

美嘉「莉嘉、プロデューサーにナムコプロのことは……」

莉嘉「大丈夫、聞いてない」

杏「……根気だ、根気。粘り強く二人と話そう。二人ならきっとわかってくれるよ」

楓「よもや、杏ちゃんから“根気”なんて言葉を聞ける日がくるなんて……」

志希「感慨深いわぁ」

アーニャ「生きていてよかったです」

杏「ねぇ、一周回って杏のことバカにしてない?」



…………………
………………
…………
……
354 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 19:11:51.00 ID:VwwaHNdc0







355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/31(土) 19:20:58.70 ID:TaxOhPWDO
うわぁ……伝家の宝刀を抜いちゃったよ



さよりなパラレルならともかく、転生したら剣でしたのアレみたいで収拾はつくのかしら?
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/31(土) 23:36:43.26 ID:je1kQGtvo

さてどうなることやら
二人の仮説が正しいとも限らないしな
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/01(日) 08:45:11.22 ID:iOnpmmBpo
あきえもん助けて
358 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:09:52.70 ID:f+TQKMdP0
 ――パシャッ パシャッ


 「いいよー、まゆちゃん。ノッてきたねぇ。
  もう何パターンか続けて撮ってみようか」



P「……」
359 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:10:39.96 ID:f+TQKMdP0
まゆ「あ、プロデューサーさん、おいでになられていたんですね」

P「お疲れ。どうだ、久しぶりのファッションモデルは」

まゆ「楽しいです。まるで昔に戻ったみたい――」ハッ



志希『つまり5月以前の世界にあたしたちは存在してなくて、
   それ以降にあたしたちが誕生したってこと』



P「どうした」

まゆ「い、いえ、なんでも」

 「まゆちゃん、そろそろ続き始めようか」

まゆ「は、はい」

P「まゆ、撮影終わったら一緒に帰ろう」

まゆ「……」コクッ
360 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:11:13.57 ID:f+TQKMdP0
まゆ「プロデューサーさん、お待たせしました」

P「じゃあ、行こうか」
361 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:12:18.71 ID:f+TQKMdP0
 ブウウゥゥン……


P「まだ昼とってないだろ。どこかで食事してから帰るか」

まゆ「でしたらまゆおススメのお店があります」



愛梨『つまり、CGプロが存在する世界とナムコプロが存在する世界があって、
   今私たちと一緒にいるプロデューサーさんはナムコプロの世界から来たってこと?』



まゆ(……この人が別人なわけない)

まゆ(ずっと見てきたのよ。この人のことならなんでも知ってる。
   私が好きな人を間違えるはず――)



志希『過去の記憶があるからとそれが過去の証明とはならない。
   なぜなら5月前の記憶があるように作り変えられたかもしれないから』



まゆ(……)

P「そうだ。食事の前に少し寄り道していいか」

まゆ「いいですけど、どこへ行かれるのですか」



……
362 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:12:55.28 ID:f+TQKMdP0
まゆ「ここって……」

P「ゲームセンターだな」

まゆ「……」

P「さあ、入ろう」
363 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:14:40.59 ID:f+TQKMdP0
まゆ「少し意外です。プロデューサーさんはゲームがお好きだったんですか」

P「まあ、人並みに。学生時代はよく友人と遊んでたよ。今はからきしだけど」

まゆ「では、なにをされに」

P「これだな」

まゆ「プリクラ……」

P「前に一緒に撮った時のことを覚えているか。
  あの時、ぎこちない笑顔で上手く笑えてなかったから、
  いつかまた撮り直したかったんだ」

まゆ「……」

P「一緒に撮ってくれるか」

まゆ「……ごめんなさい、今度は私が上手く笑えそうにありません……」

P「……」

P「この前のことを気にしてるなら謝るよ。すまなかった、取り乱して。
  まゆたちはなにも気にすることはないから」

まゆ「……わからないんです。
   ずっと貴方を見てきてなんでも知っているはずなのに、
   もし貴方が私の知っているプロデューサーさんではなかったなら」
   
まゆ「私が抱いているこの想いは、この気持ちは一体なに?」
364 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:16:01.00 ID:f+TQKMdP0
P「……俺は」

P「まゆの知っているプロデューサーじゃない」

P「おそらく5月以前の“俺”がまゆの知っている本物の“俺”だ。
  過去と現在の俺は容姿も性格もほぼ一緒みたいだから、
  まゆが間違えても仕方がなかったんだと思う」

まゆ「仕方なくなんかない。
   結局それを見抜くことができなかったんだから、
   私の気持ちなんて所詮その程度……」

まゆ「それとも、志希さんのいっていることが正しいのかしら」

P「志希?」

まゆ「志希さん曰く、変わってしまったのは貴方ではなく私たちの方。
   貴方だけを残し、他の全てが造り変わってしまった」

まゆ「私たちが誕生したのは5月以降で、5月前の記憶があるのは
   そのような記憶があるように作られたから、らしいです」

P「……」
365 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:17:53.82 ID:f+TQKMdP0
まゆ「貴方が決めてくれませんか」

P「……?」

まゆ「もう私にはなにが本当でどれが嘘なのかわかりません。
   結ばれたリボンの先に誰がいるのか。
   この想いに名前をつけてほしい。そうしたら私は……」

P「それはまゆが自分で決めることだ。自分の想いを他人に委ねてはいけない」

P「自分で考え、行動し、決断するんだ。そうして俺はまゆたちを選んだよ」

まゆ「え……」

P「765プロではなく、CGプロを選んだ……はずだった」

P「ずっと忘れていたはずなのに、
  あいつらの面影がふとした瞬間に重なって……」

P「忘れろ、765プロは俺の妄想なんだ、って必死に思い込もうとしたよ。
  未練がましい自分が嫌になった」

P「けど、それでようやく本当の自分の気持ちに気づいた」

P「俺はあいつらに会いたい。なにがなんでもだ。
  必ず、765プロのみんなを見つけ出す」

まゆ「……」

P「そして、まゆたちのプロデュースも続ける」

まゆ「……え」

P「俺はまゆやCGプロのみんなが好きだ。
  765プロのアイドルに負けない情熱と個性の塊のような面々。
  みんなのプロデュースが楽しくて仕方がなかった。
  それこそ765プロを忘れてしまうほどに。  
  その気持ちもまた本当なんだ」

P「だからもし、まゆたちの本物の“俺”がいたとしても、
  今さらそいつにみんなを返すつもりはない。
  こんな面白いやつらをみすみす手離してたまるか」

P「俺がこの手で必ずみんなをトップアイドルにしてみせる」

まゆ「……」
366 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:19:24.39 ID:f+TQKMdP0
まゆ「それってつまり、
   ナムコプロのアイドルの方々をCGプロに引き抜くということですか。
   それとも私たちがナムコプロへ?」

P「え……、あ、いや、それは多分無理だろうから、
  俺が独立してフリーになるしかないか……?」

まゆ「それにもし本物のプロデューサーさんがいたとして、
   私たちがそちらの元へ戻りたいといったらどうするんですか。
   私たちの意見は無視ですか」

P「えっ! そ、それは……、や、やっぱり戻りたいか?」

まゆ「…………ぷっ」

まゆ「あははははっ!」

P「え、ま、まゆ?」

まゆ「はぁ……、
   なんだか真剣に悩んでいたのがバカらしくなっちゃいました」

P「そんな風に笑えるんだな」

まゆ「そうですね、私もこんな風に笑うのは初めてかも」

まゆ「……プリクラ、撮りましょうか」

P「ああ。今なら飛び切りの笑顔で撮れる」

まゆ「ふふ……」

まゆ(……)



………
……
367 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:19:58.04 ID:f+TQKMdP0
卯月「――まゆちゃんが?」

美嘉「協力してくれるってさ」

未央「マジ!?」

杏「ほーれ、ちゃんと話せばわかるっていったじゃん」

美嘉「アタシはなにも話してないよ」

杏「へ?」

美嘉「なにがあって心境を変えたのかわからない。
   ただちょっと寂しそうだったかな」

卯月「……」

杏「まぁ、とりあえずは『よし』としようよ」

未央「残るは……」
368 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:21:43.76 ID:f+TQKMdP0
未央「しぶりん!」

凛「……」チラッ

未央「うっ……え、えーと、き、今日は大変お日柄もよく……」

凛「……」

未央「……」ダラダラ

卯月「凛ちゃん、お願いです。一緒に協力してくれまんせか。
   プロデューサーさんをナムコプロの人たちに会わせ――」

凛「いやだ」

凛「やりたければアンタたちだけでやってって前にもいったよね」

美嘉「ねぇ、凛だって今この状況のままでいいとは思ってないでしょ。
   ナムコプロを信じられない気持ちもわかるけど、とりあえず協力してくれない?
   なにか解決の糸口が掴めるかもしれないじゃん」

凛「解決って……、それ誰がなにに対しての解決?
  私の解決はプロデューサーをナムコプロって妄想から解放することなんだけど」

卯月「どうして妄想って決めつけるんですか。
   凛ちゃんはプロデューサーさんの涙を見てなにも感じなかったんですか」

凛「……っ」

卯月「大切な人と離れ離れになるのがどれだけ辛いことか、
   今の私たちならわかるはずです!」

凛「涙を流したからなんだっていうの!?
  それがナムコプロの存在証明にはならないでしょ!」

卯月「〜〜っ! どうして! 凛ちゃんは! いつも!
   いつも自分の気持ちばかり優先して!」

卯月「その頑な態度がプロデューサーさんを苦しめてるって
   どうしてわからないんですか!」

未央「し、しまむー……らさん?」

卯月「凛ちゃんだって本当は気づいてるんじゃないですか!?
   ナムコプロが本当はあるって! 私たちが――」


凛「やめてよ!!」


凛「やめて……。ナムコプロなんて知らない。
  お願いだから私を巻き込まないで……!」ダッ

美嘉「あ、凛!」



………
……
369 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:22:38.49 ID:f+TQKMdP0
卯月「ごめんなさい……。
   私のせいで凛ちゃんをさらに意固地にさせたかもしれません……」

未央「いえ……、島村さんの怒りはごもっともかと思われます」

卯月「み、未央ちゃん、いつもみたいに『しまむー』でいいですからね?」

美嘉「ってゆーか、どーする?
   あの様子じゃもうまともに聞き入れてくれないんじゃない」

卯月「……まゆちゃんに話してもらうのはどうでしょうか。
   自分の心境の変化を語ってもらえれば……」
370 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:23:17.42 ID:f+TQKMdP0
まゆ「――いえ、まゆでは凛ちゃんの気持ちを変えることはできないと思います」

まゆ「自分で考え、行動しなければ、自分の気持ちを変えることはできません」

未央「ううむ……、どうします? 島村さん」

卯月「……未央ちゃん、『しまむー』でお願いします」

まゆ「もっとも、そういうまゆは結局、
   プロデューサーさんの言葉に心を動かされましたけど」

未央「うぇ?」

まゆ「少し、待ちませんか」

まゆ「凛ちゃんの心を動かせるとしたらやはり……」



…………………
………………
…………
……
371 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:24:14.93 ID:f+TQKMdP0
かーっ! 続きは夜たい!
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/01(日) 13:56:24.09 ID:1I7bJ4XDO
きりりん!こがたんが暴れてるよ!



乙です
373 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 20:53:59.62 ID:f+TQKMdP0
P「参ったな。完全に渋滞にはまってしまったな。事故でもあったか」

凛「……」

P「凛、ここで車降りて、先に電車で事務所に戻るか」

凛「……いい。今変装グッズ持ってないし、私ってバレたら面倒だし」

P「そっか」

凛「……」






P「ごめんな、凛」
374 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 20:55:51.17 ID:f+TQKMdP0
凛「……え」

P「俺は……765プロを捜すよ。信じられないだろうけど本当にあるんだ。
  俺の妄想なんかじゃない。大切な仲間なんだ。必ず取り戻したい」

凛「……」

P「心配しなくていい。
  だからって凜たちのプロデュースを投げ出したりはしない。
  約束は守る。たとえ765プロを見つけても、
  みんなのプロデューサーとしてずっとそばにいるよ」

凛「……嘘」

P「ん?」

凛「約束を守るなんて嘘。
  ナムコプロ見つけたら私たち消えるかもしれないのに」

P「え……」

凛「もう、いいよ。
  プロデューサーにとってナムコプロが
  どれだけ大切な存在なのかよくわかった。
  私じゃプロデューサーの涙は流せない」
375 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 20:56:55.40 ID:f+TQKMdP0
凛「どっちか片方しか選べないならナムコプロを選ぶでしょ」

P「いや、凛たちを選ぶよ」

凛「…………え」

P「片方しか選べないのなら凛たちを選ぶ」

凛「なんで……、二度とナムコプロの人たちと会えなくていいの?」

P「ああ、構わないよ」

凛「…………嘘、絶対嘘。気休めでいってるならやめてよ。
  私たちを選んだらきっと後悔する」

P「765プロを選んだって後悔するさ。
  俺にとってCGプロのみんなも大切な仲間だ。
  大切な者を、二度も失いたくないんだ」

凛「……」
376 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 20:58:08.56 ID:f+TQKMdP0
P「それにあいつらなら俺がいなくても平気だ。
  どんな逆境も全員で力を合わせて乗り越えてきた」

凛(あぁ、やめてよ)

P「今頃どこでなにをしているのかわからないが、きっと元気でやってるさ」

凛(そんな風に笑わないで)

P「もっともっと、凛やみんなと一緒にいたいんだ」

凛(本当は辛いくせに)

P「もっと、みんなとの過去がほしいんだ」

凛(どうしてそんな風に優しく笑えるの)

P「凛の未来を見届けたいんだ」

凛「……」ジワッ

凛「うわああぁぁぁぁぁっ!」ポロ ポロ

P「り、凛!?」

凛「嘘なんかじゃないもん……、作りものなんかじゃないもん……!」ヒック ヒック

P「凛……」

凛(そうだ、嘘じゃない、作りものなんかじゃない、私の気持ちは)



凛(私は、この人のことが――)



……………
…………
………
……
377 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 20:58:49.10 ID:f+TQKMdP0
卯月「……」


未央「……」






凛「………………私も協力する」
378 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 20:59:22.19 ID:f+TQKMdP0
卯月(目、腫れてますね)ヒソヒソ

未央(明らかに泣いたあとだけど触れないでおこう)ヒソヒソ

凛「なに」

未央「なんでもない、なんでもない!」

凛「卯月、この間はごめん。いいすぎた」

卯月「いえ、そんな。全然気にしていません」

未央「よし、それじゃぁ……」
379 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 21:00:52.51 ID:f+TQKMdP0
P「――え、俺を765プロに?」

卯月「はい、私たちも協力します」

P「……信じてくれるのか、765プロのこと」

未央「うん、信じるよ」

杏「杏は正直半信半疑だけどー」

美嘉「ナムコプロのアイドルがどんな子たちか興味あるし」

P「しかし……」チラッ

凛「……」

まゆ「……」

P「765プロを見つけたらみんな消えてしまうかもしれないんだろ。
  それでも協力してくれるのか」

楓「それはあくまでも可能性の話です。
  CGプロもナムコプロも両方残るかもしれません」

志希「あるいはキミが消えるかも」

P「それじゃあ、捜す意味ないだろ……」

アーニャ「見つけてみないことにはわからない、ということです」

莉嘉「Pくん大丈夫。アタシ消えないから!」

幸子「ボクも消えませんよ。ボクが消える、それすなわち、
   世界から『カワイイ』の定義が失われると同義ですからね。
   それだけはなんとしても阻止ですよ!」

愛梨「一緒に見つけましょう、ナムコプロを」

P「みんな……ありがとう」

蘭子「ではこれより作戦会議を――!」

P「それよりまず仕事だ。ほら、支度」

蘭子「あ、はい」



……………
…………
………
……
380 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 21:01:52.33 ID:f+TQKMdP0
蘭子「――ではこれより作戦会議を始める!」

莉嘉「はーい」

蘭子「友よ、ナムコプロに関する情報の開示を要求する!」

P「ああ。簡単にだが資料を作ってきたから回してくれるか」


381 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 21:03:40.34 ID:f+TQKMdP0
未央「へー、『765』で『ナムコ』ね」

幸子「事務所は雑居ビルの3階……雑居ビル?」

美嘉「え、所属タレントたったの13人しかいないの?」

愛梨「あ、でも、契約予定のスクール生が39人いるって」

楓「従業員は事務員とプロデューサーの二人だけですか」

杏「……弱小事務所?」

P「そ、そんなことは……ない……」

卯月「社長を含めた上記の全員が消えてしまったんですね」

アーニャ「消えてしまった原因は一体なんなんでしょうか」

凛「神隠しにでもあったんじゃんない」

卯月「凛ちゃん……」

杏「いや、案外それ当たってるかも。
  この事象を常識の範疇で考えちゃだめだ。もっと発想を飛躍させないと」

未央「発想の飛躍ねぇ……、宇宙人にさらわれたー、とか?」

まゆ「ですが、まゆたちで解決できるとしたら、
   それは常識の範疇だけではないでしょうか」

まゆ「神隠しにしろ、宇宙人にしろ、消えた原因がそれなら、
   まゆたちが太刀打ちできる相手ではないんじゃ……」

未央「ううむ、確かに……」

幸子「これがもし神さまの仕業なら、どうしてこんなことをしたんでしょうね」

蘭子「こんなの神のすることじゃない、悪魔のすること!」

美嘉「いえてる」

凛「罰が当たったんでしょ。
  神の怒りを買うようなことでもしたんじゃない」

P「……かもな」

凛「え……」

P「消えた原因に心当たりがある」
382 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 21:05:09.34 ID:f+TQKMdP0
P「その日、事務所でミュージカルの企画説明をしていたんだ」

P「オリジナル脚本の、
  律子を抜かした765プロのアイドルとスクール生全員が出演する予定だった」

美嘉「その律子、さんはどうして出ないの」

P「律子はもともとマネジメントや経営に興味があって、
  プロデューサーへの転身を希望していたんだ」

P「俺の下でプロデュース業を学ぶ傍ら、
  アイドル業と並行して仕事をしていたんだが、
  今回は俺のサポート役に徹することにしたんだ」

未央「へー、765プロってそんなアイドルがいるんだ」

杏「杏には無ぅ理ぃ〜」

志希「そのミュージカルはどんな話なの」

P「……大切なものを失くしてしまう話だ」

愛梨「それって……」
383 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 21:06:49.06 ID:f+TQKMdP0
P「その時用意していた台本があったんだが、
  所々台詞が抜けていて後半は全て白紙だった」

P「印刷ミスかと思った。
  だが事前に目を通した時にはそんな箇所はなかったはずなんだ。
  チェック漏れだとしても、
  後半全て白紙なのにそれに気づかないはずがないだろ」

幸子「確かに」

P「なにを失くしてどんな結末を迎えるのか、
  その台本からでは読み取れなくなっていた」

P「あずささんになにを失くしたのかを聞かれ、俺は答えられなかった」

P「脚本の制作には俺と律子が携わっていた。
  何度も作家と打ち合わせをしたはずなのに、
  まるでそこの記憶だけがすっぽり抜けたように急に思い出せなくなった」

P「代わりに律子が答えたんだが、なぜかその声が聞こえなかった。
  律子だけじゃない、他のみんなの声も。
  失くしたものについて話しているのか、その声が一切聞こえない」

P「結局思い出せないまま、翌日には765プロが消え、現在に至る。
  思い出せたのはつい最近だ」

卯月「その大切なものって……」

P「仲間だ」



やよい『プロデューサーは大切なものってありますかー』



P「自分の大切なものがわからなかった。
  本当はずっと前から持っていたのに、ずっと前から傍にあったのに」

P「あまりにも近すぎて、気づけなかった」

凛「……」
384 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 21:08:12.36 ID:f+TQKMdP0
楓「物語の結末はどうなるんですか。大切な者は取り戻せるんですか」

P「いえ、失くした者は失くしたままです。
  最後は新しい仲間とともに生きていくんです」

杏「なんとまぁ、プロデューサーの未来を暗示するかのような」

美嘉「なんか怖い。あまりにもできすぎっていうか、
   マジで神が仕組んだことなんじゃ……」

蘭子「神の試練、というわけね」

凛「神でもなんでもいいけど、要するに、
  プロデューサーに大切な者の存在を気づかせるために、
  世界が変わっちゃったってこと?」

P「おそらく」

未央「スケールでかすぎー!」

アーニャ「どうやらプロデューサーは“神に選ばれし者”のようですね」

楓「この場合“神に恨まれし者”では?」

志希「上手い!」

まゆ「上手くありません」

愛梨「けど、それなら気づいた時点で世界は元に戻るものなんじゃないかな。
   それが果たされた今も状況が変わらないということは……」

卯月「まだ他に気づいてないことがある……?」
385 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 21:09:10.28 ID:f+TQKMdP0
莉嘉「わかった! Pくん本当は765プロの中に好きな人がいるんでしょ!」

凛「そうなの!?」

まゆ「そうなんですか!?」

P「765プロの大半は未成年だぞ。子どもは恋愛対象に入らない」

莉嘉・凛・まゆ・卯月・未央・美嘉・蘭子・幸子・アーニャ「え……」

楓「おっとここに素敵な成人女性がー?」

P「同じ業界人と恋愛するつもりもない」

楓「いなかった……」

未央「じゃぁ、他に気づいてないことって一体なんなんだー!」

杏「いやいやいやいや、もう答え出てるでしょうよ……」

未央「え?」

杏「ミュージカル! 765プロのアイドルが
『大切な者を失くす』話をやる予定だったんでしょ!」

杏「だったら、CGプロの杏たちが
『大切な者を取り戻す』話をやればいいんじゃないの!?」


一同「……」



一同「……!」ハッ



……………
…………
………
……
386 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 21:11:47.13 ID:f+TQKMdP0
ふふ、続き明日にするわ
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/11/01(日) 21:12:09.64 ID:bpbyW9T20
マジかよ……
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/01(日) 21:14:47.67 ID:GNdp/fwZo
シャニのライブ見てたので今北
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/11/01(日) 22:57:55.98 ID:SIFubaJX0
そんなに俺を焦らさないで
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/02(月) 08:30:17.98 ID:z3IdjQqeo

ああー面白い
391 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 16:48:06.44 ID:x9u+415j0
P「ミュージカルの脚本ができた」

莉嘉「おー!」

杏「年明けると思ったけど早かったね」

蘭子「ついに動き出すのね、禁断のプロジェクトが……!」ゴクリ

アーニャ「765プロが大切な者を取り戻す物語、ですね」

P「卯月、凛、未央、杏、楓さん、美嘉、莉嘉、
  蘭子、愛梨、まゆ、幸子、アーニャ、志希」

P「奇しくも律子を含めた765プロのアイドルと同じ13人。
  みんなには765プロのアイドルたちを演じてもらう」

幸子「まさかアイドルがアイドルを演じることになるなんて
   夢にも思っていませんでしたよ」

凛「ほんと、変な感じ」

P「台本と一緒に765プロのアイドルの特徴をまとめた資料を配るから、
  それを参考に配役を決めていこう」



392 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 16:49:38.16 ID:x9u+415j0
卯月「天海春香ちゃんには転ぶ癖があり、
   多い時には一日三回以上転んでしまうが、
   転ぶにつれ受け身が上手くなり、
   今では転んでケガをすることはない……」

莉嘉「双子の双海真美ちゃん・亜美ちゃんは
   時々内緒で入れ替わって仕事をすることがあり、
   未だそれに気づかれたことがない……」

杏「その手があったかー。杏にも生き別れの双子の姉妹いないかなー」

楓「水瀬って、あの水瀬財閥の? すごいところのお嬢さまがいるんですね」

まゆ「萩原雪歩ちゃんは落ち込んだり緊張したりすると
   穴を掘って埋まってしまう癖がある……」

愛梨「三浦あずささんは極度の方向音痴で
   忽然と姿を消してしまうことがありロケでは目が離せない……」

幸子「我那覇響さんは大の動物好きで……蛇に豚にワニを飼ってる!?」ギョッ

凛「……なんていうか765プロのアイドルって」

志希「個性的なアイドルが揃っていますなぁ」

P「いっておくがみんなも大概だからな?」
393 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 16:51:38.89 ID:x9u+415j0
未央「天海春香ちゃん役はしまむーがいいんじゃない。
   うちの正統派アイドルっていったらしまむーでしょ」

凛「私、如月千早さん役やりたいかな。歌に対する姿勢とか尊敬する」

美嘉「萩原雪歩ちゃんのキュートな感じはまゆちゃんっぽいね」

杏「三浦あずささん役は愛梨ちゃん一択でしょ」

幸子「双海姉妹はどうします?」

莉嘉「そりゃアタシとお姉ちゃんの城ヶ崎姉妹がやるっきゃないでしょ!」

美嘉「アタシとアンタじゃ双子には見えないでしょ」

杏「杏がやるよ。杏なら莉嘉ちゃんと同い年くらいには見えるし」

莉嘉「わぁ、よろしくね、杏ちゃん! 真美ちゃんと亜美ちゃんどっちやりたい?」

杏「どっちでもい……これどっちの方が省エネタイプ?」

P「どっちもアクティブだ」

杏「……どっちでもいいっすわ」

莉嘉「じゃぁ、アタシ、真美ちゃんやる」
394 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 16:53:08.03 ID:x9u+415j0
凛「ちょっと待って。そっちより杏にうってつけの子がいるんだけど」

杏「うってつけ?」

凛「星井美希」

凛「歌もダンスもそつなくこなす天才肌。
  しかし面倒くさがりで飽きっぽくマイペース。
  時間さえあればいつでもどこでも眠る、って」

未央「まんま杏ちゃんじゃん」

杏「だねぇ。自分のプロフィールが載ってるのかと思った」

楓「どうやら生き別れの妹は765プロにいたみたいね」

美嘉「けど替え玉は無理だね。
   中学生離れした抜群のプロポーションをしてるってさ」

杏「なにをーっ。杏だってある意味、高校生離れしたプロポーションしてるぞ」

杏「……ん」

美嘉「どした?」

杏「ねぇ、この子ってもしかしてさぁ、
  プロデューサーのこと『ハニー』って呼んでた?」

P「……っ」ギクッ

アーニャ「ハニー……」

P「俺がそう呼ばせてるわけじゃないからな。やめろといっても聞かないんだ」

莉嘉「どうしてPくんをハニーって呼ぶの」

P「……それは」

杏「ラブなんでしょ、プロデューサーに」

P「……」

志希「沈黙は肯定なりー」

莉嘉「えーっ!
   Pくん子どもは恋愛対象に入らないって前にいってたじゃん」

P「俺はちゃんと一線引いてるよ。
  けど美希がそれを問答無用で飛び越えてくるんだ」

莉嘉「どーする、お姉ちゃん! 765プロにもライバルいるって!」

美嘉「ななななんでアタシに振るのかなーっ!?」
395 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 16:54:13.30 ID:x9u+415j0
愛梨「杏ちゃんが美希ちゃん役となると双海姉妹のもう一人は誰がいいかな」

杏「いや、杏は美希ちゃん役やらないよ。『ハニー』呼びはもうこりごりだし。
  代わりにマジもんの天才に美希ちゃん役をやってもらおう」

志希「えーっ、それって誰のこと誰のことー?」

美嘉「あぁ、そだね。悔しいけど歌とダンスに関しても天才だし」

志希「そ、そんな天才がこの中にー? はっつみみー!」

凛「じゃ、志希で決まりで」

志希「って、あたしのことかー!」タハー!

まゆ「では次の役を決めましょう」

幸子(完全無視……)

志希「ねぇ、ハニー、シキとデートしよ?」

P「……!」ドキッ

美嘉・凛・まゆ「……!!」ガタッ

志希「どぉどぉ? 美希ちゃんに似てた?」

P「勘弁してくれ……」
396 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 16:54:50.11 ID:x9u+415j0
蘭子「……」

蘭子(四条貴音さん、ミステリアスで高貴……)

蘭子(この人がいい!)

まゆ「四条貴音さん役はどなたがいいでしょうか。
   ミステリアスで高貴な振舞い、古風な喋り方」

蘭子「わた――」

凛「アーニャはどう? 趣味が天体観測とか共通点あるし」

未央「いいんじゃない。
   映画の役のおかげで古い言葉遣いもできるようになったしね」

アーニャ「左様」

蘭子「……!」ガーン
397 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 16:55:50.58 ID:x9u+415j0
美嘉「ねぇ、見てよ、この高槻やよいちゃんって子。
   すごくいい子。アタシお友達になりたい……」

未央「ほんとだ。爪の垢を煎じて杏ちゃんに飲ませてあげたい」

杏「はっはっは、それを飲んだところで杏は変わらないぞ」

凛「で、誰がやるの。私たちの中にはいないタイプだけど」

未央「う〜ん……」



楓「私がやるしかなさそうね」



未央「楓さん!?」

杏「なんでそうなる」

P「いいんじゃないか」

未央「いいの!?」

P「別に年齢の近い者が演じる必要はないだろ」

凛「いやいやいや、それでも年齢開き過ぎてるし」

まゆ「精神年齢でいえば逆転してるかもしれませんけどね」
398 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 16:57:01.36 ID:x9u+415j0
楓「大丈夫、任せて。完璧にやよいちゃんを演じてみせるわ」

楓「コホン……」

楓「うっうー! お酒大好きですーっ!
  プロデューサー、一緒にビール祭りをしましょーっ!」

未央「やよいちゃん未成年! 飲酒できない!」

美嘉「やめてよ! 楓さんみたいな飲んだくれが演じたら
   やよいちゃんが穢れちゃうじゃない!」

幸子「穢れ……」
   
美嘉「そうだわ! やよいちゃんみたいな天使を演じられるのはみり――」

アーニャ「蘭子はどうですか。純粋で無垢なところは似ていると思います」

未央「あぁ、そうだね。らんらんだ。らんらんじゃん。らんらん以外ないでしょ」

凛「うん、楓さんより断然いい」

美嘉「……まぁ、蘭子ちゃんなら許す」

アーニャ「どうですか、蘭子」

蘭子「あ……う……」

未央「ほれほれ、『うっうー』っていってみ?」

蘭子「う……う……」プルプル

蘭子「うっうー! ///」

未央「最高」パチパチ

凛「最高」パチパチ

楓「最高」パチパチ

蘭子「ま、まぁ、よかろう。天使を演じるのもまた一興」
399 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 16:57:59.52 ID:x9u+415j0
アーニャ「それと四条貴音役はアーニャより楓の方があっていると思います。
     楓も黙ってさえいればミステリアスで高貴に見えます」

楓「ひとたび口を開けば?」

アーニャ「ジャールカ……残念です」

楓「……」ホクホク

未央「なんで嬉しそう?」

凛「まぁ、アーニャがいいっていうなら楓さんでいいんじゃない」

楓「では私、高垣楓が四条貴音ちゃん役を務めさせていただきます」

アーニャ「うむ。精進されよ」

美嘉「ねぇ、いないタイプがもう一人いるんだけど。秋月律子さん」

未央「いや、いるでしょ、ここに」スッ

美嘉「……え、アタシ?」

楓「これは美嘉ちゃん一択よね」

幸子「逆に美嘉さん以外の選択肢は考えられないですね」

卯月「はい、二人とも似ていると思います」

志希「似てる、似てる」

美嘉「え、そう? どのへんが似てる?」

一同「苦労人なところが」

美嘉「そこかい……」ガクッ

凛「面倒見のいい、しっかり者といったらやっぱり美嘉だよ」

美嘉「わかった。じゃぁ、アタシが律子さん役ね」
400 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 16:59:10.06 ID:x9u+415j0
凛「菊地真くん……さん役は幸子で決まりでしょ。
  一人称が『ボク』とか『カワイイ』に固執してるところとか
  共通点あるし」

幸子「いいかたぁっ! 固執なんて――」

凛「してないの?」

幸子「しぃぃぃてますけどそれがなにかぁっ!?」

まゆ「幸子ちゃんなら水瀬伊織ちゃん役もあっていると思います。
   自信家で負けず嫌いなところとか似ていますし」

愛梨「我那覇響ちゃん役もあってると思うよ」

楓「幸子ちゃん自身はどう? この中で演じるとしたら」

幸子「そうですね、ボク的には水瀬伊織さん役がいいかなって」

幸子「自信の裏に努力があるところとか、
   自分自身の力で切り開こうとする姿勢とか、
   そういうところにシンパシーを感じます」

卯月「確かに、そういうところは二人とも似ていますね」

アーニャ「では幸子は水瀬伊織役をお願いします。
     菊地真役はアーニャがやりましょう」

未央「じゃぁ、私が我那覇響ちゃん役だね。元気担当頑張るぞ!」
401 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 16:59:41.83 ID:x9u+415j0
P「これで全員役は決まったな」

P「これから年末に向けてライブやイベントで忙しくなる。
  本格的な稽古は年が明けてからだ」

P「公演は来年の5月を予定している」

一同「……」

P「いいミュージカルにしよう」
402 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 17:06:32.86 ID:x9u+415j0
未央「5月かぁ……。あと半年とちょっと」

愛梨「きっとあっという間に過ぎちゃうよね、半年なんて」

美嘉「自分で決めたことだけどやっぱ複雑。
   プロデューサーと別れるために頑張るなんてさ」

凛「ほんと腹が立つ。こんなことをした元凶に文句いいたい」

卯月「でも最後は笑顔で別れたいです。
   心残りがないよう、一日一日を無駄に過ごさないように」

幸子「みなさん、別れる前提で話していますけど、
   まだそうと決まったわけじゃないですからね?」

凛「幸子だってわかってるんでしょ。
  志希のいってることが正しいんだって妙な確信が私たちにはある」

凛「プロデューサーに協力すると決めたなら、ちゃんと覚悟しないと」

幸子「……」

杏「とかいって、これでなにもなかったらどうする?」

まゆ「その時はまゆたちのプロデューサーさんとして、
   これからも一緒にいてもらうだけです」

楓「でもプロデューサーは765プロを捜し続けるのでしょうね。
  見つかるまでずっと」

アーニャ「妬けてしまいますね。765プロに」



……………
…………
………
……
403 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 17:07:12.35 ID:x9u+415j0
プロデューサーさん! 続きは明日ですよ! 明日!
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/02(月) 20:34:49.49 ID:z3IdjQqeo
乙 また明日
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/02(月) 20:48:52.46 ID:W1t6lubco

さらっと流したがこっちにも水瀬財閥あるのね
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/02(月) 22:17:13.63 ID:Idih/d2Wo
天海家も同じ場所にあるみたいだったし本人たちだけが消えてるんじゃないかな
407 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/03(火) 19:37:56.31 ID:OdxR38lg0
ちひろ「これで全曲揃いましたね。
    プロデューサーさんが歌ったとはいえ、
    まさかたった一週間で3曲もできるなんて」

ちひろ「これが765プロの……」

P「元々は彼らが作った曲ですから。
  覚えていなくても、なにか感じるものがあったのかもしれません」

ちひろ「……」

P「やっぱり、信じられないですか」

ちひろ「……いいえ。私スタジオをおさえておきますので、また後ほど」
408 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/03(火) 19:39:17.56 ID:OdxR38lg0
愛梨「あれ、プロデューサーさん?」

未央「あ、ほんとだ。おーい、プロデューサー」

P「……見つかったか」

未央「なになにその恰好。なんでトレーニングウェア着てんの」

P「これからミュージカルで使用する楽曲の振り付けを
  トレーナーさんに教えるんだ」

愛梨「教える?」

P「ああ、使用する楽曲の中には765プロの曲もあるから。
  だからその、俺が踊って……」

未央「え、プロデューサーってダンスもできたの?」

P「みんなみたいにキレよく踊れるわけじゃないぞ。
  けど振り付けは全て覚えているから」

愛梨「全て、って……」

P「765プロの曲全て。みんなの曲も全て覚えているよ」

未央「マジっ!?」

P「プロデューサーなんだ。そのくらいは覚えないと」

未央「絶句ー」

P「そろそろ行っていいか。トレーナーさんを待たせているし」

愛梨「あ、待って、写真撮らせてください。
   プロデューサーさんのトレーニングウェア姿って貴重だし」

未央「いいね、いいね。三人で撮ろ。しぶりんたちに自慢しなきゃ」ウッシッシッ

P「この姿見られるの恥ずかしいんだけどな……」



……………
…………
………
……
409 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/03(火) 19:46:39.15 ID:OdxR38lg0
莉嘉「メリークリスマス!」

美嘉「なに急に。クリスマスは来週なんだけど」

莉嘉「そうだけど、アタシ24日仕事入ってるから、
   みんながいるうちにいっとこーかなーって」

未央「あぁ、そうだね。私もその日、仕事入ってるわ」

凛「未央、その写真送ってよ」

まゆ「まゆにもお願いします」

未央「ほんじゃ、ちょいと早めのクリスマスプレゼント」

杏「ていうか、その日は全員仕事入ってるでしょ。
  あーっ、クリスマスくらい仕事したくなーい!」

楓「メリー苦しみマス」

幸子「いいことじゃないですか。クリスマスに仕事があるなんて」

美嘉「むしろない方がアイドルとしてヤバいでしょ」

アーニャ「でも今年はなんとかしてみんなで集まりたいですね。
     アーニャたち最後のクリスマスになるんですから」

卯月「そうですね……」

未央「ね、プロデューサーにダメもとでお願いしてみようよ。
   その日空けられないか」
410 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/03(火) 19:48:02.53 ID:OdxR38lg0
P「無理だな」

P「愛梨と蘭子は24・5日の二日間クリスマスライブがあるし、
  志希は24日が舞台の最終公演だ」

杏「はい、かいさーん」

P「唯一空けられるとしたら29日だな。それも仕事終わりになるけど」

凛「それだとクリスマスっていうより年越しの準備になるじゃん」

莉嘉「じゃぁ、みんなで年越し準備パーティーだーっ!」

美嘉「意味わからん」

卯月「いいじゃないですか。
   みんなが集まれるなら年越し準備パーティーでも」

幸子「そうですね。この際贅沢はいってられません」

美嘉「名前に関しては再考の余地ありだけど」

まゆ「では、29日に年越し準備パーティー(仮)開催ですね」

アーニャ「ウダヴォーリストヴィイ。とても楽しみです」

楓「お酒、お酒」ウキウキ

未央「プロデューサーとちひろさんも時間空けといてね」

P「ああ、わかったよ」



…………
………
……
411 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/03(火) 19:48:38.39 ID:OdxR38lg0
志希「年越し準備パーティー?」

美嘉「名前は気にしないで。クリスマスパーティーの代わりと思って」

愛梨「年越しの代わりじゃないんだ」

蘭子「して、饗宴の場はどこに?」

美嘉「それなんだけどさ……」
412 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/03(火) 19:50:07.15 ID:OdxR38lg0



楓「やだやだっ! お酒飲みた〜いっ!」


413 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/03(火) 19:51:40.24 ID:OdxR38lg0
蘭子「……!」ビクッ



凛「わがままいうんじゃないの!
  予約取れないんだから仕方ないでしょ!」

楓「やっ! 絶対やっ! お酒飲むのっ!」

アーニャ「楓、我慢を覚えましょう。
     そうしないとダメな大人になってしまいます」

楓「お酒ーっ!」

杏「もう手遅れでしょ」

未央「いやー、まさか1軒も予約取れないとはねぇ」

幸子「忘年会シーズンですからね。
   予約するなら1か月前から動かないと」

卯月「未成年がいるとわかると途端に渋い声出されちゃいますね」

莉嘉「7時なんてまだ全然遅い時間じゃないのに」ブー

まゆ「事務所のバーとレストランもダメでしたし、
   このままお店の予約が取れないとなると……」



美嘉「――最有力候補がここってわけ」

蘭子「我らがサンクチュアリ……」
  (プロデューサーのオフィスルーム)

美嘉「なんだけど、ここで飲酒なんか当然ダメじゃん。
   だからあの駄々っ子(25歳)が猛反対してて」

愛梨「駄々っ子……」

美嘉「10軒以上断られてもうお手上げって感じ。
   誰かいい店知らない?」

志希「予約取れるかわかんないけど行ってみたいとこならあるよん」

美嘉「いいよいいよ、どこどこ?」




……………
…………
………
……
414 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/03(火) 19:53:22.17 ID:OdxR38lg0
未央「――それでは、幹事長・城ヶ崎莉嘉さまよりご挨拶をいただきます」

莉嘉「はいっ!」

 パチパチパチ……

莉嘉「みなさんお疲れさまです」ペコリ

 オツカレサマデース

莉嘉「お忙しい中集まっていただき、まことにありがとうございます。
   みなさんのご協力のもと、年越し準備パーティー(仮)の
   開催にこぎつけることができました」

美嘉「結局名前そのままなのね……」

莉嘉「また、お店を貸してくださった『たるき亭』のみなさまに
   厚くオンレー申し上げます」

莉嘉「今宵は沢山食べて飲んで
   お店に迷惑がかからないようセツドを守って楽しんでください」

楓「はーい」

莉嘉「かたくるしい挨拶は手短にといわれたので、
   早速乾杯に移らせていただきます。
   みなさんグラスをお取りください」

 アハハ

莉嘉「お取りになりましたか。では……」オホン


莉嘉「メリークリスマス!」


一同「……メ、メリークリスマス!」


美嘉「もうわけわからん」


 ワー パチパチパチ
415 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/03(火) 19:54:37.84 ID:OdxR38lg0
美嘉「はーい、お皿まわしてー」

まゆ「サラダ取り分けますね」

莉嘉「見て見て、串にお肉と玉ねぎとピーマンが刺さってる。
   バーベキューみたい!」

杏「バーベキューなんだよ」

未央「おっしゃー、じゃんじゃん焼いちゃうよー。
   肉投下、肉投下ー」

蘭子「ククク、我が贄となる最初の供物はどれだ……」

幸子「居酒屋なのに焼肉とはこれ如何に」

志希「細けーこたー気にするなー♪」

楓「さぁさぁ、ちひろさん、沢山飲んで」ウフフ

ちひろ「楓さんは自重してくださいね」オホホ

 キャッ キャッ

アーニャ「フフ、お店の予約取れてよかったですね。
     楓、お酒が飲めて嬉しそう」

凛「ほんと、幸せそうな顔しちゃって」
416 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/03(火) 19:55:24.45 ID:OdxR38lg0
愛梨「プロデューサーさん、ビール注ぎますね」

P「ありがとう」

卯月「ここが765プロの入っているビルなんですね」

P「まさかここを見つけてくるなんて思わなかったよ」

愛梨「志希ちゃんがここがいいって。ね?」

志希「ヤミィヤミィ」ムシャムシャ

P「ああ、そうだったな。あの時は偶然志希が通りかかったんだっけ」

幸子「あぁ、例の行き倒れの」
417 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/03(火) 19:57:56.72 ID:OdxR38lg0
小川「はーい、お肉の追加でーす」ゴトッ

P「今日はありがとうございます。店を貸し切らせていただいて」

小川「いえいえ、
   こっちもみなさんと写真を撮らせてもらえたうえ、
   サインまでいただけましたから。
   店長があんなに嬉しそうにするの初めて見ましたよ」

小川「まさかCGプロのプロデューサーさんだったなんてビックリです」

P「その節は申し訳ありませんでした。
  部屋を開けてもらっておきながら、なにもいわず飛び出して」

莉嘉「部屋ってなにー?」

P「前に3階の空き部屋を見させてもらったことがあるんだ」

莉嘉「それって765プロの? アタシも見たい!」

P「見たってなにもないぞ」

莉嘉「えー、あるでしょ。Pくんの過去が」

P「……」

凛「私も見てみたいな。プロデューサーの“元”職場」

P「なんで“元”を強調する」

まゆ「ではまゆがプロデューサーさんに相応しい職場環境かチェックします」

アーニャ「765プロへかちこみですか。アーニャもおともします」

杏「どんどん変な日本語覚えてくな」

蘭子「我も加勢しよう。我が友をかけた運命の戦いに!」デーン

志希「血がたぎるわー」

楓「者ども行くわよ!」

志希・莉嘉「おーっ!」

P「おーっ! じゃない。行かないからな。お店の迷惑だろ」

小川「別にいいですよ」

P「え……」
418 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/03(火) 19:59:27.66 ID:OdxR38lg0
 ゾロゾロ……

P「ほんとすみません……」

小川「いえいえ。けどナムコプロってなんなんです。
   確か前にもいってましたよね」

小川「どこかで聞いたことあるような懐かしい響きなんですよね」

P「……」

愛梨「きっと来年の5月になればわかりますよ」

P「そうだな……」

莉嘉「あれ、このエレベーター、ボタン利かないよ?」ポチポチ

P「ああ、それ故障してるんだ」

杏「えー、じゃぁ3階まで歩いて上るの? めんどー」

未央「いいじゃん。足腰鍛えられるよ」

杏「なら鍛えるついでに杏をおぶってってよ」

莉嘉「アタシがおぶってあげよっか!」

杏「コワいんでいいです」

P「……」



伊織『まったく、ここのエレベーターいつになったら直るのかしらね。
   この階段上るの地味に疲れるのよね』

真『いいじゃない。歩いた方が足腰鍛えられるし』

美希『真く〜ん、ミキを三階までおぶって〜』

真『うわっ、美希、ちょ、重いって』



P「……」フッ

幸子「どうしたんですか」

P「いや、なんでもない」
419 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/03(火) 20:00:28.90 ID:OdxR38lg0
 テクテク ゾロゾロ……

 カチッ ガチャッ


小川「どうぞ」

未央「へー、ここが765プロ。なんにもない」

P「だからそういったろ」

まゆ「これでは仕事ができる環境とはいえませんね。0点です」

凛「埃っぽい。ちゃんと掃除してるの」

杏「いじわる姑か」

蘭子「もぬけの殻とは。恐れをなして逃げ出したか」フッ

楓「戦いを放棄するとは憐れなものね」

アーニャ「やはりプロデューサーは我らのものです」

幸子「完全に悪役の台詞ですね」

P「お前ら……」
420 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/03(火) 20:03:30.60 ID:OdxR38lg0
志希「ねぇ、部屋のレイアウトはどんな感じ? キミのデスクはどこ?」

P「ああ、俺のデスクは窓際にあって、その向かいに音無さんのデスクが」


小鳥『“意中の男性を落とす5つのマル秘テク”!?
   ふむふむ、これでプロデューサーさんを……って、
   はっ、プ、プロデューサーさん!?
   し、書類のチェックお願いしますね? オホホホッ!』


P「隣には応接室兼休憩室があって、美希がよく昼寝に使っていて」


美希『あふぅ……。あ、ハニーおはようなの〜……zzz』スヤァ


P「そっちにテレビとソファーがあってここによくみんなが集まるんだ。
  雪歩の淹れてくれたお茶を飲みながらみんなで楽しそうに喋って」


雪歩『あ、プロデューサーもお茶飲みますか。すぐ淹れますね』


P「事務所を入ってすぐ左の部屋が社長室で、
  そういえば真美と亜美が聞き耳を立てて律子に怒られてたっけ」


律子『くぅおらっ! 真美! 亜美! またそんなことしてっ!』

真美・亜美『あわわわっ、助けて兄ちゃ〜ん!』


P「右は給湯室で、備え付けの棚の中には
  貴音が補充したカップラーメンがぎっしり詰まって……」


貴音『らぁめんは真に美味なる食べ物。あなた様もお一ついかがですか』


P「……」

莉嘉「Pくん?」

P「そうだな。今でも鮮明に思い出せる。ここには、俺の過去がちゃんとある」
421 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/03(火) 20:04:30.87 ID:OdxR38lg0
愛梨「なんだか賑やかで楽しそうな事務所ですね。
   765プロが戻ったら遊びにきてもいいですか」

P「ああ、もちろん。歓迎するよ」

卯月「……」

美嘉「卯月、どしたの」

卯月「……765プロのみなさんにお願いしていました」

卯月「もう少しだけ、プロデューサーさんを貸してくださいって」

卯月「きっと、プロデューサーさんと離れ離れになって
   寂しい思いをしているだろうから」

美嘉「そだね……」

未央「君たち、少しはしまむーを見習ったらどうかね」

凛「ふーん」

莉嘉「へくちっ。うー、さぶっ」

P「そろそろ戻るか」

P(次この部屋へ来るときには、きっと温かくなっている)



――――――――――――――――
――――――――――――
――――――――
――――
――
422 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/03(火) 20:05:38.02 ID:OdxR38lg0
続きは明日でごぜーます
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/03(火) 22:04:02.04 ID:HPdsaCcfo
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/03(火) 23:37:34.34 ID:kOyKwBks0
やばい、一気に見ちゃった。
早く続きを明日の夜なんてまてん
425 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/04(水) 19:40:47.16 ID:e8XA5lnt0
P「今日からミュージカルの稽古を始める。台詞は覚えてきたか」

幸子「完璧に覚えてきました!」

蘭子「呪文を覚えるよりも容易かったわ」

莉嘉「ばっちしーっ!」

未央「おっ、えらいね莉嘉ちゃん」

美嘉「アタシが無理くり覚えさせた」

杏「……」

楓「……」

志希「〜〜♪」ピュー ピュー

未央「先生ー、ここに覚えてきてなさそうな三人衆がいまーす」
426 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/04(水) 19:41:57.63 ID:e8XA5lnt0
杏「……仕事が忙しくてさぁ」

まゆ「杏ちゃんが仕事をいいわけにしても説得力皆無です」

楓「……痛風がひどくてさぁ」

卯月「えっ、楓さん痛風だったんですか?」

愛梨「やっぱりお酒の飲みすぎで……」

凛「楓さん、それリアリティーがありすぎて冗談で流せない」

志希「一度台本に目を通せば覚えられるからまだいいかなーって」

アーニャ「一度で覚えられるなんてさすがは志希です」

杏「ずるいぞギフテッド」

志希「えへっ」

P「まあ、しばらくは読み合わせがメインだから、
  志希はもとより楓さんと杏ならその間に覚えられるだろ」

杏「おっ、お咎めなし?」

P「演出家さんは俺のように甘やかしてくれないからな。
  それじゃあ、稽古場へ移動するぞ」

杏「杏は甘やかして伸びるタイプなのに」

楓「楓は酒を飲ませて伸びるタイプなのに」

志希「志希は好き勝手させて伸びるタイプなのに」

美嘉「全部人をダメにする要素じゃん」



………………
……………
…………
………
……
427 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/04(水) 19:42:48.67 ID:e8XA5lnt0
杏「えっ、兄ちゃんが迷子? あずさお姉ちゃんじゃなくて?」

楓「いえ、あずさはあずさで行方不明です」

志希「あずさはともかくプロデューサーが迷子って珍しいね」




愛梨「すごいなぁ、もう台本なしで台詞いえてる」

まゆ「一度スイッチが入るとまるで別人ですよね」

凛「普段はアレなのに」

幸子「いいかたー」

未央「そういえば志希にゃん、LiPPSに加入するって聞いたけど」

美嘉「あぁ、うん、そう」

愛梨「そうなんだぁ、よかったね」

美嘉(……)
428 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/04(水) 19:43:56.21 ID:e8XA5lnt0
 ――数日前――


美嘉「マジ!?」

志希「ごめんね、抜けたり入ったり勝手ばかり」

美嘉「そんな、全然いいって!
   アタシ嬉しい! 志希ちゃんと一緒にユニット組めて」

美嘉「いつから入れるの?」

志希「7月からだって」

美嘉「え……」

志希「7月に次の曲をリリースするから、そのタイミングで正式加入させるって」

美嘉「でもアタシたち、5月の――」

志希「それはミュージカルが終わってからのお楽しみ。
   どうなのるかは誰にもわからない。神のみぞ知る」

美嘉「……」

志希「プロデューサーはあたしたちが消えないことを願ってる。
   あたしもまだ消えたくないし、もうちょっとアイドル続けたい」

志希「美嘉ちゃんたちと……LiPPSやりたい」

美嘉「……ねぇ、どうして最初参加するの辞退したの」

志希「もう、ダメなんだろうなって」

志希「別れの時が近づいてる。
   だったらその時がくるまで少しでも長く、あの人のそばに……」




……
………
…………
429 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/04(水) 19:44:24.09 ID:e8XA5lnt0
美嘉「消えないように頑張る、か」

愛梨「え?」

美嘉「ううん、なんでも」



………………
……………
…………
………
……
430 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/04(水) 19:46:07.01 ID:e8XA5lnt0
P「全員揃ったな。今日から曲の練習を始める。
  台本の通り、劇中にはライブパートがある」

P「今から聴いてもらう曲は
  実際に765プロのアイドルたちが歌って踊っていたものだ」

未央「おぉ、なんかドキドキする……」

P「トレーナーさん」

トレーナー「はい。では一通り流しますね」


 〜〜♪


幸子「へぇ、これが765プロの」

莉嘉「アタシ2曲目好きー」

トレーナー「それじゃぁ、全体曲から練習始めるわよ」



………
……
431 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/04(水) 19:47:00.96 ID:e8XA5lnt0
トレーナー「――オッケー。次のグループと交代。同じところから始めるわよ」



凛「ふぅ……」

まゆ「こうして実際に踊ってみると765プロの実感が湧いてきますね」

凛「……まぁね」

まゆ「……」

まゆ「凛ちゃん、ごめんなさい」

凛「……?」

まゆ「ずっと謝りたかったの。
   去年、プロデューサーさんの記憶障害で
   担当アイドルを凛ちゃんだけにするって話があったでしょ」

まゆ「私その時、凛ちゃんに八つ当たりを……」

凛「あぁ……。別に、気にしてない。
  もし逆の立場だったら私の方がもっと口汚く罵ってた自信あるし」

まゆ(否定できない……)
432 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/04(水) 19:48:31.75 ID:e8XA5lnt0
志希「ふー、あつあつ、お水お水」

凛「ねぇ、志希はいつから気づいてたの。765プロのこと」

志希「んー、最初から」

凛「さ……」

志希「確信したのはもうちょい後だけど」

まゆ「どうしてそんなすぐに気づくことができたんですか」

志希「なんかこう……、ビビッときたみたいな。
   前もいったけどなんの科学的根拠もないただの“勘”。
   きっと765プロはあるんだろうなーって、ただそれだけ」

凛「なんか意外。志希ってそういう非科学的なこと信じないと思ってた」

志希「信じないよ」

凛「え?」

志希「けどプロデューサーのことは信じてる。
   だって、あの人があたしに嘘ついたこと一度もないもん」

凛「……悔しいな。
  私はプロデューサーのことなにも信じてあげられなかった。
  妄想だと決めつけて、ちゃんと話を聞こうとしなかった」

凛「自分のことしか、考えてなかった」

まゆ「……」

志希「あたしだって同じだよ。
   ずっと前から気づいていたのに、ただ黙って見てた」

志希「あの人と、離れたくなかったから……」

凛「……志希ってさ」

まゆ「重いですよね」

志希「二人には負けるかなーっ!」


………………
……………
…………
………
……
433 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/04(水) 19:49:09.02 ID:e8XA5lnt0
続きは明日なの
434 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/04(水) 20:09:37.38 ID:ZLhpK96DO
うわぁぁん

ちょい出しばっかで、精神的苦痛なりぃ!
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/04(水) 20:38:04.46 ID:ZfeVou8I0
酷いや!
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/04(水) 23:22:14.08 ID:zaTqT5XBo

346が消えて765が復活したらプロデューサーくんはどうするのっと
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/11/05(木) 00:36:59.60 ID:LN88WT6W0
>>436
第三部かな?
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/05(木) 12:42:02.36 ID:0k5/5UAUo
業の深いループが始まってしまう
439 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/05(木) 19:43:25.03 ID:H6IxBIZH0
まゆ「みなさん集まりましたねぇ」

未央「集まりましたぁ……」

蘭子「淀みを感じるわ……」

アーニャ「まゆ、大事な話とはなんですか」

杏「まゆちゃんが集合かける時なんて大抵プロデューサー絡みじゃん」

まゆ「みなさん覚えていますか。
   ひと月前、まゆたちはある誓いを立てましたね」

莉嘉「誓い?」
440 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/05(木) 19:45:13.34 ID:H6IxBIZH0
  ――1か月前――



幸子「みなさん、今年のバレンタインはどうします。
   去年は全員で一つのチョコをプロデューサーさんに贈りましたけど」

未央「そういえばもうそんな時期かぁ」

幸子「最後のバレンタインですし、個別に渡すのもありではないかと」

志希「いいと思ーう」

莉嘉「アタシもさんせー!」

まゆ「いえ、今年も全員で一つのものを贈りましょう。
   数が多いと却って迷惑になります」

莉嘉「えーっ! でもうちのクラスの男子、
   女子にチョコくれーって、ちょーアピールしてくるよ。
   Pくんもいっぱい貰えた方が嬉しいんじゃない?」

まゆ「大人と子どもを一緒くたに考えてはいけません。
   プロデューサーさんの場合、仕事付き合いのある女性から
   毎年沢山のチョコをいただいています。去年は54個でした」

未央「ひえーっ、54!」

杏「なんで数を把握してんの」

まゆ「そのうち26個が本命でした」

美嘉「なんで特定できてんの」

蘭子(こわい)

凛「でもそれって作られた過去での話でしょ。本当の過去じゃそんなに貰えて……」

凛「……もらえて」

楓「貰えてるわね、間違いなく」

杏「あの人、プロデューサーじゃなくてアイドルやった方がいいんじゃないの」
441 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/05(木) 19:47:22.36 ID:H6IxBIZH0
まゆ「想像してみてください。
   54個のチョコを一人で食べなければいけない日々を。
   毎日毎日、明くる日も明くる日も、チョコ・チョコ・チョコ……」

蘭子「うっ……」

まゆ「そしてホワイトデーにはお返しが必要です。
   プレゼントにかかる費用は当然自腹です」

楓「去年だと66人分かしら。えらい出費になってそうね」

愛梨「ちょっとプロデューサーさんが可哀想になってきちゃった」

アーニャ「アーニャたちにお返しはいらないと断らなければいけませんね」

杏「ていうか、そんな食べきれないほどのチョコ貰ってるなら、
  杏にいえば喜んで食べてあげたのに」

まゆ「ですから少しでもプロデューサーさんの負担を軽くしてあげるべきかと」

杏「なら贈らないのが一番いいんじゃないの」

まゆ「それは乙女的にNOです」

美嘉「そんな事情があるなら仕方ないか。
   じゃ、今年も全員で一つのものを贈るってことで」

卯月「そのかわり13人分のありったけの気持ちを込めてチョコを作りましょう」

莉嘉「はーい」

未央「愛梨先生、今年もチョコ作りの指導よろしくお願いします」

愛梨「いいよ〜。じゃぁまずはどんなチョコにするかみんなで決めよっか」

 キャッ キャッ



まゆ(うふ、これで誰も抜け駆けできなくなったわね)シメシメ

杏(……とか思ってそう)




……
………
…………
442 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/05(木) 19:48:33.79 ID:H6IxBIZH0
まゆ「――あの日、まゆたちは密約を交わしました。抜け駆けはしないと」

杏「やっぱり狙いはそれか」

幸子「誓いから密約になってるし」

まゆ「それなのに……それを……よくも……まゆだって本当は……!」ワナワナ

まゆ「……今年、プロデューサーさんに贈られたチョコの数は72個。
   そのうち本命は34個でした」

未央「大幅に記録更新してる……」

美嘉「なんで当然のように数を把握してんの……」

楓「結局出費が増えたわね。プロデューサーの台所は火の車ね」

杏「あの人高給取りだし大丈夫でしょ」

美嘉「そういう問題か」
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