P「あいつらに会いたい」

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306 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/29(木) 20:18:56.43 ID:ucTJmfQf0
幸子「そういえば、プロデューサーさんのストレッサーって結局なんなんでしょうね」

幸子「決して目を逸らしてきたわけじゃないですけど、
   こうなってくると結果的に問題を先送りにしただけでしたね」

杏「ストレスの原因なんてわかりっこないよ。
  それこそ記憶を取り戻さない限り」

卯月「……本当にストレスなんでしょうか」

卯月「ずっと気になっていたんです。
   記憶を改ざんするほどの深刻なストレスを抱えていたのなら、
   発症する前になにか前兆のようなものがあったと思うんです。
   たとえば表情が暗いとか、食欲がないとか、仕事でミスが続くとか」

卯月「でも、私が覚えている限りそんなことは全くなかったと思います」

美嘉「……いわれてみればそうだったかも」
307 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/29(木) 20:20:05.31 ID:ucTJmfQf0
未央「ねぇ、まゆちゃんって確か日記つけてたよね、プロデューサーの」

まゆ「ええ」

杏(マジかい……)

未央「記憶障害になる数日前のプロデューサーってどう書いてある?」

まゆ「お待ちください、確か5月のことだからVol.3の……」ゴソゴソ

杏(三冊目……)

まゆ「……」ペラ

まゆ「読み返す限り、前兆と思われるようなものはなにも」

幸子「……まさか、原因はストレスじゃなくて外傷?」

凛「それなら記憶の“改ざん”じゃなくて記憶“喪失”になるんじゃない」

蘭子「もしや洗脳!」ハッ

美嘉「あるいは別人、とか?」

杏「マンガやゲームじゃないんだから」

まゆ「卯月ちゃんはどう考えているんですか」

卯月「私は……本当は記憶障害ではないんじゃないかって」

凛「記憶障害じゃないならなんなの」

卯月「だからその、記憶障害の振りを……」

凛「振り? なんの意味があってそんな――」

杏「やめよ。ここであーだこーだいったってなにがわかるわけでもないんだし。
  今は経過観察に徹してプロデューサーの状態をちゃんと見極めようよ」

卯月「……」

凛「……」



…………………
………………
…………
……
308 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/29(木) 20:21:37.89 ID:ucTJmfQf0
 『こら、亜美! アンタでしょ、またこんなクモのおもちゃを扉に仕掛けて!』

 『ギクッ。な、なんのことでござんしょう? 亜美にはさっぱり……』

 『こんなイタズラ仕掛けるのアンタか真美以外ありえないでしょ!』

 『じ、じゃぁ、真美がやったんじゃない? とにかく亜美は知らな―ー』

 『あっ、亜美。このクモのおもちゃ亜美のでしょ。床に落ちてたよ』

 『や、やよいっち! シーッ!』

 『亜ぁ美ぃ〜……!』

 『うあうあ〜! 兄ちゃ〜ん、助けて〜! りっちゃんが――……




P「はっ!」ガバッ

凛「……!」ビクッ

P「……凛」

凛「ごめん、起こした?」

P「いや……、いいんだ」

凛「夢でも見てた?」

P「見てたような気がするが、どんな夢だったか思い出せない」

凛「あるよね、そういうこと。コーヒー淹れよっか」

P「ああ、ありがとう」



………
……
309 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/29(木) 20:22:29.03 ID:ucTJmfQf0
P「凛、いつまでここにいるつもりだ」

凛「んー、あと少し」

P「そういって30分が過ぎたぞ。
  用事がないなら帰るんだ。明日も学校だろ」

凛「……前にさ」

凛「仕事帰りによく連れてってくれた喫茶店あったじゃん。
  あそこ改装して綺麗になったんだって。また今度連れてってよ」

P「……いつの話だ。俺が喫茶店に連れて行ったことなんてあったか」

凛「……」

P「凛?」

凛「私、帰るね。お先です」

P「え、お、おい、凜」


 ガチャッ バタン


P「……?」
310 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/29(木) 20:23:33.74 ID:ucTJmfQf0
凛(……)ツカツカ

凛(喫茶店に行ったのはプロデューサーが記憶障害になる前)

凛(これに引っかからなかったってことは、
  振りとかじゃなく、本当に覚えてないってことでいいんだよね)

凛「……」

凛(ばかみたい。だからなんだっていうの、こんなわかりきったことを確かめて)



凛(結局、ナムコプロに囚われてんじゃん……)



…………………
………………
…………
……
311 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/29(木) 20:24:10.86 ID:ucTJmfQf0
      つ
     づ
    き
   は
  あ
 し
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/29(木) 20:24:47.08 ID:uh7mUNlfo
イイヨイイヨ
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/29(木) 20:26:58.31 ID:URUuBigvo
また明日 乙
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/29(木) 22:19:09.54 ID:yh9S9T3vo
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/10/30(金) 01:08:19.95 ID:GAE7Tk4N0
こういうの大好物です
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/10/30(金) 04:31:53.04 ID:Y/1uyk4c0
久々に名作に会ったわ
すっげー面白い!
317 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/30(金) 19:48:18.23 ID:Xx4eulTo0
愛梨「どうしてナムコプロなんだろ」

アーニャ「……?」

愛梨「ナムコプロってプロデューサーさんが
   現実逃避のために作り出した妄想の芸能プロダクションなんだよね」

愛梨「仮にストレスの原因がお仕事にあったとして、
   それならどうしてまた同じ職種である
   芸能プロダクションを現実逃避先にしたのかな」

アーニャ「……それは」

楓「仕事のなににストレスを感じていたのかにもよるわね。
  幸いなことに“アイドルをプロデュース”することに関して
  不満はないみたいだけれど」

アーニャ「愛梨、ストレスの原因はもう永遠にわかりません。
     プロデューサーは記憶を諦め、私たちもそれを受け入れたんですから」

愛梨「うん……、でもなんかさ、予感がするんだよね。なにかが変わりそうな」

愛梨「今の私たちではいられなくなるような……」



…………………
………………
…………
……
318 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/30(金) 19:49:55.94 ID:Xx4eulTo0
美嘉「クロウェ?」

P「ああ、美嘉ならいわなくてもわかるだろ。
  フランスの名門ファッションブランド」

P「先月のフランス出張で、
  クロウェのディレクターと偶然話す機会があって、
  その時俺のつけている香水に興味を持たれたんだ」

凛「え、プロデューサーって香水つけてたっけ」

P「ああ、普段はつけてないけど大事な時に」

志希「それってあたしがあげたやつ? 使ってくれてんだ、嬉しい!」

凛「……」

P「志希が作ったと話したらとても驚かれたよ。
  素人が作ったとは思えない繊細な香りだって」

P「それで来週そのディレクターが来日されるんだが、
  ぜひ志希と直接会って話がしたいってさ」

美嘉「マジ!? スゴイじゃん!
   クロウェと繋がりが持てるチャンスだよ!」ユサユサ

志希「……」ユラユラ
319 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/30(金) 19:51:15.17 ID:Xx4eulTo0
P「急な話だけどスケジュールの調整はできたから。
  志希はこれまでに作った香水をいくつか――」

志希「会わない」

P「――持って……え」

志希「クロウェなんて興味ない。あたしから話したいこともないし」

美嘉「えっ! なっ! えっ!? なんで!!?
   会いなよ! 絶対会った方がイイって! アタシ会いたい!」

幸子「いや、ご指名は志希さんですから」

P「相手はプロ中のプロだ。
  話せば香水作りに役立つ情報を引き出せるかもしれないぞ」

志希「ないない。あたしが知りたい情報なんて企業秘密レベルだし。
   そんな情報、一介の小娘に教えてくれるわけないじゃん」

P「しかし……」

志希「会うだけ時間のムダムダ。時間を空費するなかれ。
   つねに何か益あることに従うべーし」

美嘉「しょんにゃぁ……」グスッ

幸子「なんで美嘉さんが涙ぐむんですか……」

P「……わかった。そこまで気が進まな――」

 ガタッ
320 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/30(金) 19:52:25.22 ID:Xx4eulTo0
未央「ふあぁ……」

卯月「未央ちゃん、おはようございます」

未央「あ、おっはよー、しまむー。今日は朝から寒いねぇ」

卯月「はい、先週まで暑かったのに。もうすっかり秋ですね」

未央「秋用のコートが全然見当たらなくてさ、これ実は冬用のなんだよね。
   お母さんに聞いてみたらクリーニングに出してるって。
   今出すんかーい! って」

卯月「ふふ」

未央「そういえばさ、ミュージカル、なにするか考えた?」

卯月「……いえ」

未央「私も。なんかこの数日いろいろありすぎちゃって
   ミュージカルのこと自体忘れちゃってたよ……」

卯月「……」
321 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/30(金) 19:53:19.30 ID:Xx4eulTo0
 ガチャッ


未央・卯月「おはようござ――」


凛「いい加減にしなよ、志希! 勝手が過ぎるよ!」


未央・卯月「……!」 ビクッ


凛「偶然なわけないじゃん!
  プロデューサーが志希のためにクロウェに売り込んだことがわからない!?」

志希「……え」

凛「会うだけ無駄? 時間を空費するな?
  プロデューサーの苦労も知らずよくそんなことがいえるね?
  せっかくのチャンスを棒に振って自分が一番益のないことしてんじゃん!」

P「凛、落ち着け」

未央「なになに、なにがどうした?」

幸子「あ、未央さん、卯月さん……」

凛「私たちにとっても侮辱だよ!
  こっちはアンタみたいに遊びでやってんじゃないんだよ!」

P「凛、いいから。志希とは俺が話す。美嘉、凛を頼む。志希は応接室へ」

志希「……」
322 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/30(金) 19:54:38.33 ID:Xx4eulTo0
 ガチャッ バタン

志希「……凛ちゃんのいってたことほんと?」

P「……まあ」

志希「……………ごめんなさい」

P「次は志希が身を乗り出して面白がってくれるような話を持ってくるよ」

志希「え……、クロウェの人と会わなくていいの?」

P「いいよ。凛のいっていたことは本当だが、
  話はどう転んでもよかったんだ。
  歓談して終えてもそれはそれでよかったし」

P「ほら、趣味で香水を作る人なんて滅多にいないだろ。
  加えて志希のレベルに合わせるとなるとプロの方がいいかなって」

志希「そこまで考えてくれてたんだ……」

P「お前が一筋縄でいかないことは十分わかっていたはずなんだがな。
  昔の美希を思いだ……」ハッ

志希「……ミキ?」

P「あ、いや、そういえば昔の知り合いに志希みたいな子がいたなって、はは……」

志希「……」
323 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/30(金) 19:55:23.03 ID:Xx4eulTo0
 ――ガチャッ


P「凛は?」

幸子「美嘉さんに連れられて下のカフェに」

志希「あたし行ってくる」タッタッタッ
324 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/30(金) 19:57:30.67 ID:Xx4eulTo0
美嘉「どう? 少しは落ち着いた?」

凛「……」

美嘉「凛の気持ちもわかるけどさ、
   志希ちゃんだって遊びでアイドルやってるわけじゃないんだから」

凛「わかってる。いいすぎた」

美嘉「凛、志希ちゃんに対抗意識あるでしょ。
   二人だけだもんね、プロデューサーに直接スカウトされたの」

美嘉(ほんと羨ましい)

凛「……私じゃない」

美嘉「……?」

凛「プロデューサーが一番信頼してるのは、私じゃない……」

美嘉「……」

美嘉「そりゃそうでしょ」

凛「えっ!」

美嘉「えっ! って、自分でいっといてなんでそんな驚くの。
   否定してもらえるとでも思った?」

凛「え、だ、だって……」アタ フタ

美嘉「アタシよ、ア・タ・シ。プロデューサーが一番に信頼してるのは」フフン

凛「は?」

美嘉「実際今だってアタシを頼ってくれてるわけだし?
  『美嘉がいれば安心だ』っていつもいってくれるもん///」

凛「……は、はぁ!? なに急に惚気だしてんの?
  それってただいいように使われてるだけじゃん!
  プロデューサーの前だとすぐヘタれるくせに!」

美嘉「それ今カンケ―なくない!? ……って」

凛「……?」クルッ

凛「あ……」


志希「……」コソコソ


美嘉「あんなわかりやすく物陰に隠れてる人初めて見たわ」

美嘉「志希ちゃんと話せる? アタシいた方がいい?」

凛「……大丈夫。二人で話す。話して、ちゃんと謝る……」

美嘉「わかった。じゃぁ、アタシは先に戻るから」スッ

凛「あ、美嘉、その……ありがとう」

美嘉「いいよ」テクテク



志希「美嘉ちゃん……」

美嘉「もう大丈夫だから。凛とちゃんと話してきて」

志希「うん、ありがとう」テッテッテッ
325 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/30(金) 19:58:09.41 ID:Xx4eulTo0
 ――ガチャッ

美嘉「ふぅ……」

P「美嘉、二人は」

美嘉「大丈夫、今話し合ってる」

美嘉「凛、いいすぎた自覚あったみたい。
   最近その……色々あったし、溜め込んでたんじゃないかな。
   それがさっきの志希ちゃんの発言で爆発しちゃって……」

P「……そっか」



…………………
………………
…………
……
326 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/30(金) 19:58:44.82 ID:Xx4eulTo0
  「プロ――――」

  「――デューサー」

未央「プロデューサー、ねぇ、プロデューサーったら」

P「……え、あ、わるい、どうした」

未央「しまむーから電話。
   電車が止まっちゃってこっち来るの遅くなるってさ」

P「わかった。それなら先にミーティングを始めよう。みんな、席に着いてくれ」
327 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/30(金) 19:59:48.57 ID:Xx4eulTo0
P「――案は大方出尽くしたな。それじゃあ、ここから絞って――」


 ――ガチャツ


卯月「すみません、遅れっ、きゃっ!」ドテッ

P「大丈夫か」

卯月「う〜〜、いたたた……」

P「春香が転ぶところ久しぶりに見たな」

卯月「……え」

P「どうした、立てるか、はる、か……」



P「……あ」



 「………………」


328 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/30(金) 20:00:47.78 ID:Xx4eulTo0
志希(……)

凛「……プロデューサー、やっぱり――」

志希「ねぇ、プロデューサー、教えて。ナムコプロのこと」

凛「……!」

志希「ナムコプロにはどんなアイドルがいるの」

美嘉「ち、ちょっと志希ちゃん――」

志希「ハルカちゃんは? チハヤちゃんは? ミキちゃんは?」

まゆ「志希さん、なにをいって――」

志希「他にはどんな子たちがいるの」

アーニャ「志希」

志希「教えて」

凛「やめてよ志希! いたずらにプロデューサーを惑わせないで!」

凛「プロデューサー、志希のいうことに耳を貸さないで!」



凛「ナムコプロなんてないんだから!!」



志希「凛ちゃん」

凛「……っ!」ハッ

志希「……」
329 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/30(金) 20:01:43.60 ID:Xx4eulTo0


P「…………は、春香」


P「天海…春香は、リボンがチャームポイントの」


P「明るく、前向きな、時々ドジを踏んでしまう」


P「一番の、仲間思いなやつで」



P「如月千早は、歌うことがなによりも好きで」


 ツー…… ポタ


愛梨「……!」ハッ


P「ストイックな反面、脆い部分もあって」


 ポタ ポタ


莉嘉「あ……」


P「周囲と壁を作りがちだけど、本当は、素直な、優しい子で」


志希「うん……」



P「ほ、星井美希は……!」


330 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/30(金) 20:02:48.37 ID:Xx4eulTo0


真『律子はなにを失くしたのか知ってるの?』

律子『もちろんよ。失くしたものは……』



律子『“仲間”よ』



律子『これは出会いと別れの物語なの。
   強い絆で結ばれた仲間を失ってしまうの』

やよい『えーっ! そんな悲しい物語なんですかー!』

伊織『なるほどね。大切な“もの”ってそういう……』

真『ボク、この主人公にすごく感情移入しちゃうなぁ。
  ボクも765プロのみんなが大切だもん』

雪歩『私も。もしみんなを失くしてしまったら立ち直れないかもしれない』

響『ま、自分たちなら失くすことなんて絶対にありえないさー』

あずさ『そうね、私たちなら大丈夫。
    仲間の大切さをきちんとわかっているんだから』
331 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/30(金) 20:03:39.31 ID:Xx4eulTo0
P(ああ、そうだ)


P(夢でも妄想でもない)


P(彼女たちは確かに存在して)


P(絆を結んできた)


P(俺の、大切な者たち……!)



P「……お、俺は……俺は……」



凛「……」



 ――――俺は、あいつらに会いたい





…………
………
……
332 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/30(金) 20:04:14.99 ID:Xx4eulTo0
続きは明日かなーって
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/30(金) 20:12:02.69 ID:DD7SEoFVo

遂にどんなやつがいるか聞いたか
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/10/30(金) 21:14:09.12 ID:GAE7Tk4N0
作者は焦らし上手だな
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/30(金) 21:14:33.44 ID:9OoVrO7L0
続きが気になりすぎる。乙
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/30(金) 21:36:13.03 ID:6C036/Jco
ああ、箱マスを思い出していくようで辛いわね…
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/30(金) 22:11:28.66 ID:yMr0lSOMO
iの前奏聞くと胸が苦しくなるぜ…
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/31(土) 01:11:43.63 ID:GtmdKJouo
LOSTがずっと頭から離れない
339 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 18:54:19.70 ID:VwwaHNdc0
卯月「……」

凛「……」

未央「……」

杏「……」

楓「……」

美嘉「……」

莉嘉「……」

蘭子「……」

愛梨「……」

まゆ「……」

幸子「……」

アーニャ「……」

志希「……」
340 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 18:56:16.01 ID:VwwaHNdc0
未央「……ナムコプロって、きっとあるんだよね。
   プロデューサーの妄想なんかじゃなくて、現実に」

未央「あの涙が嘘だなんて思えないよ」

愛梨「私、男の人の涙って初めて見た……」

美嘉「……アタシも」

楓「正確には“ある”じゃなく“あった”のでしょうね。
  理由はわからないけれど突然ナムコプロが消えてしまい、
  プロデューサーが必死に捜したけれど見つからず――」

アーニャ「結果、諦めたんですね」

凛「……」

莉嘉「でもさ、なんでナムコプロ消えちゃったの?
   会社潰れちゃったってこと?」

楓「それならなにかしらの倒産情報が必ず出てくるはず。
  ナムコプロが法人登記されている企業ならばだけど」

蘭子「ふむ……」

蘭子(ほーじんとーきってなんだろう。後で調べなきゃ)

杏「重要なのはナムコプロという企業じゃなく、
  そこで活動していたアイドルたちなんじゃないかな」

杏「ナムコプロがどの程度の規模なのかはわからないけど、
  最低でも3人のアイドルが在籍していて、
  その担当をしていたと思われるプロデューサーが、
  彼女たちの個人情報、住所を知らないはずがない」

杏「にも関わらず捜し当てることができなかった。誰一人として。
  これってどういうことだと思う?」

幸子「ど、どういうことなんですか……」ゴクリ
341 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 18:56:47.66 ID:VwwaHNdc0



杏「プロデューサー、もしかしたらパラレルワールドから来た人かもしれない」



 「…………」


342 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 18:58:04.55 ID:VwwaHNdc0
杏「そんな痛い子を見るような目で杏を見ないでよ」

アーニャ「蘭子の目は輝いていますよ」

蘭子「並行宇宙……!」キラキラ

美嘉「パラレルワールドってよくSF映画とかでやってる
   別の世界がどうとかーとかいうアレ?」

杏「それ」

愛梨「つまり、CGプロが存在する世界とナムコプロが存在する世界があって、
   今私たちと一緒にいるプロデューサーさんはナムコプロの世界から来たってこと?」

杏「そう!」

楓「じゃぁ、CGプロの、私たちの本当のプロデューサーは別にいて、
  彼は今ナムコプロの世界にいるということ?」

杏「そゆこと!」

凛・まゆ「マンガの見過ぎ」

杏「いうと思ったー!」

杏「でもそうとしか考えられないよ。
  これがプロデューサーの妄想じゃないっていうなら」

杏「ナムコプロの人たちがある日突然消えたこと。
  プロデューサー以外誰もその存在を知らないこと。
  そしてプロデューサーがCGプロのことをなにも知らなかったこと」

杏「これ全部パラレルワールドくらいのぶっ飛び理論じゃなきゃ辻褄合わないでしょ」

凛・まゆ「……」
343 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 18:59:11.36 ID:VwwaHNdc0
杏「で、ほんとのところはどうなの、志希ちゃん」

志希「……えへ、なんであたしに聞くの」

杏「さっきの口ぶりからして本当は気づいてたんじゃないの。
  ナムコプロがあるってこと」

凛「……!」

杏「ずっと前から気になってた。
  志希ちゃん、プロデューサーの記憶障害の話題になると
  口数少なくなるし、敢えて避けてるように見えた」

杏「LiPPSへの参加をやめたのもそれと関係してんじゃないの」

美嘉「そうなの?」

志希「……」

志希「あたしはただ……、プロデューサーを信じただけ」
344 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 19:01:06.54 ID:VwwaHNdc0
志希「彼が現代科学では証明できない、
   特殊な状況下に置かれていることに関してはあたしも同意」

志希「ただ、本当のところはあたしにもわからない。
   こういうのあたしの専門じゃないし、なんの科学的根拠も示せない」

志希「だから今からいうことは、単なる憶測でしかないけれど……」

志希「おそらく、変わったのはプロデューサーではなく、あたしたちの方」

志希「プロデューサーが……便宜上、記憶障害というけど、
   それになったと思われる5月の朝もしくは前日の夜、
   ナムコプロはCGプロに造り変わった。プロデューサーだけを残して」

アーニャ「造り変わった……」

未央「それって杏ちゃんのいうパラレルワールドとは違うの?」

志希「二人のプロデューサーが互いの世界を入れ替えっこしたんじゃなくて、
   一つの世界がプロデューサーだけをそのままに他の全てを造り変えたの」

志希「つまり5月以前の世界にあたしたちは存在してなくて、
   それ以降にあたしたちが誕生したってこと」

美嘉「ま、待って。それパラレルワールドよりもありえなくない?
   アタシ5月前の記憶ちゃんとあるよ?
   ずっと昔の小っちゃかった頃の記憶だって」

志希「過去の記憶があるからとそれが過去の証明とはならない。
   なぜなら5月前の記憶があるように造り変えられたかもしれないから」

美嘉「そんな……」

蘭子「世界五分前説……!」ハッ

345 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 19:01:57.36 ID:VwwaHNdc0
凛「じゃぁ、なに、今までの私の人生なにもかもが嘘だったってこと?
  私の気持ちも? すべて?」

志希「そんな深刻に捉えないでよ。いったでしょ、憶測だって。
   それを観測する手段がないから、否定することも証明することもできない」

卯月「……どちらの説が正しいのか私にはわかりませんが、
   二人の話を聞いてようやく腑に落ちたような気がします」

卯月「プロデューサーさんが記憶を諦めた時どうして簡単に受け入れることができたのか、
   二度と過去を共有できなくなるのにどうして悲しくなかったのか」

卯月「きっと心の奥底では気づいていたんですね。
   プロデューサーさんが、私たちのプロデューサーさんではないことに」

凛「……」
346 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 19:02:39.72 ID:VwwaHNdc0
卯月「私、プロデューサーさんをナムコプロの人たちに会わせてあげたいです」

杏「どうやって?」

卯月「それは、わかりませんけど……、でもきっとなにか方法が」

美嘉「待って。もし志希ちゃんのいってることが正しければ、
   プロデューサーとナムコプロを引き合わせるには
   世界を元に戻さないといけないってことでしょ?」

美嘉「それってつまり、アタシたち消えるってことじゃ……」

未央「……!」ハッ

卯月「それでもやります。たとえ私が消えることになって、
   プロデューサーさんと二度と会えなくなっても、
   泣いている人がいたら、私は手をさし伸べてあげたい」
347 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 19:04:13.29 ID:VwwaHNdc0
未央「わかった。私、協力する。一緒にナムコプロ捜そ!」

卯月「未央ちゃん……!」

愛梨「私も協力する。あんな泣いてる姿見せられたら、
   なにがなんでも助けてあげたくなっちゃうよ」

アーニャ「あの泣き顔はずるいです」

莉嘉「アタシもやる!
   Pくんとナムコプロの人たちを会わせてアタシも消えないように頑張る!」

美嘉「頑張るって……、ま、やってみないことにはどうなるかわかんないか。
   それじゃぁ、アタシも消えないように頑張ってみよっかな」

幸子「そうですね、ボクたちなら絶対に消えることはありませんよ!
   根拠はないですけど!」

蘭子「ククク、面白い。ならば我も力を貸そう。
   どのような終局を迎えるか、この眼でしかと見届けさせてもらう!」バーン

杏「杏もやるよ。なにをどうすればいいのかさっぱりだけど、
  プロデューサーのためなら、たまにはやる気出す」

楓「それなら私もやるわ。杏ちゃんが自発的にやる気を出すなんて
  天地がひっくり返るよりありえないことが起きているんだから、
  きっとナムコプロは見つかるわ」

杏「あぁ、そういわれるとそんな気がしてきた。見つかるわ、ナムコプロ」

 アハハ
348 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 19:05:26.48 ID:VwwaHNdc0
凛「ち、ちょっと待ってよ、みんな本気?
  本気ででそんな話信じるわけ? 現実的に考えてありえないでしょ」

杏「じゃぁ他に説明つく? ナムコプロが見つからない理由」

凛「だから! なんでナムコプロがあるって信じられるの?
  見つからないのはプロデューサーの妄想だからでしょ!」

卯月「私は信じます、ナムコプロのこと。ハルカちゃんはきっといます」

凛「……ばかばかしい、話にならない。
  頭おかしくなってんの卯月の方なんじゃないの」

卯月「……!」

未央「しぶりん!」

凛「……とにかく、私は信じないし、協力もしない。
  ナムコプロ捜したければ勝手に捜せば?」スッ

まゆ「ごめんなさい、まゆもみなさんのいっていることが信じられない。
   たとえそれが本当だったとしても、協力できません」

まゆ「まゆは、プロデューサーさんと離れたくない」

まゆ「ナムコプロに、
   まゆのプロデューサーさんを返してあげないんだから……!」スッ

美嘉「あ……」



 ガチャッ バタン――



志希「……」
349 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 19:06:15.01 ID:VwwaHNdc0
未央「なんなのしぶりん、あのいいかた! ひどくない!?」プンスカ

卯月「未央ちゃん、私は気にしてませんから」

杏「まぁ、そう怒らさんな。
  杏だって正直、まだ半信半疑なところあるもん。
  二人の信じられない気持ちも理解できる」

楓「いいえ、“信じられない”のではなく“信じたくない”のよ。
  まゆちゃんのいっていたことがすべてだわ」

アーニャ「プロデューサーと離れたくない」

美嘉「そりゃ、アタシだって……」

幸子「でも離れるとまだ決まったわけじゃないですよね?
   もしかしたら杏さんの説が正しいのかもしれませんし」

愛梨「うん、やってみないことにはわからないよ」

志希(……)
350 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 19:07:23.75 ID:VwwaHNdc0
莉嘉「じゃぁ、これからどうする? 作戦会議?」

卯月「あの……」

卯月「私、凛ちゃんとまゆちゃんにも一緒にやってもらいたいです。
   私たち13人の力を合わせないと……」

卯月「そうしないと、いけない気がするんです」

愛梨「私も全員揃ってやった方がいいと思う。
   こういう時こそ全員が納得して全員で協力しないと」

未央「そうはいっても、愛の重いツートップだしなぁ」

美嘉「あの二人を説得するのはかなり……」

楓「骨が折れるわね」

杏「複雑骨折するよ。バッキバキに」

アーニャ「なら、みんなで骨折しましょう。
     骨折して繋ぎ合わせれば前より強度が増します。
     そう、私たちの絆も」

幸子(いいこといってるようなそうでもないような……)

蘭子「ではオペレーション“ボーン・ブレイク”を直ちに発動せよ!」ババーン

志希・莉嘉「ラジャー!」



…………………
………………
…………
……
351 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 19:08:12.28 ID:VwwaHNdc0


凛「は?」ギロリ

352 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 19:09:08.91 ID:VwwaHNdc0


まゆ「……」プイ

353 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 19:10:16.74 ID:VwwaHNdc0
未央「もうやだ! マジ無理! 私は死んだ!
   今のしぶりん狂犬だよ! あんなの説得できるわけない!」ウワーン!

杏「諦めるの早すぎでしょ」

卯月「まゆちゃんの方はどうでしたか」

美嘉「こっちも似たようなもん。聞く耳すら持ってくれない」ハァ

幸子「まぁ、昨日の今日ですし、少し冷静になる時間が必要かもしれませんね」

蘭子「しかし『鉄は熱いうちに打ち滅ぼせ!』ともいう」

杏「滅ぼしちゃいかんでしょ」

愛梨「そういえばプロデューサーさんって今どんな様子かな。誰か会った人いる?」

莉嘉「アタシ会ったよ。けっこーふつーだった。
   あと昨日はカッコ悪いとこ見せてゴメンって」

美嘉「莉嘉、プロデューサーにナムコプロのことは……」

莉嘉「大丈夫、聞いてない」

杏「……根気だ、根気。粘り強く二人と話そう。二人ならきっとわかってくれるよ」

楓「よもや、杏ちゃんから“根気”なんて言葉を聞ける日がくるなんて……」

志希「感慨深いわぁ」

アーニャ「生きていてよかったです」

杏「ねぇ、一周回って杏のことバカにしてない?」



…………………
………………
…………
……
354 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/10/31(土) 19:11:51.00 ID:VwwaHNdc0







355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/31(土) 19:20:58.70 ID:TaxOhPWDO
うわぁ……伝家の宝刀を抜いちゃったよ



さよりなパラレルならともかく、転生したら剣でしたのアレみたいで収拾はつくのかしら?
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/31(土) 23:36:43.26 ID:je1kQGtvo

さてどうなることやら
二人の仮説が正しいとも限らないしな
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/01(日) 08:45:11.22 ID:iOnpmmBpo
あきえもん助けて
358 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:09:52.70 ID:f+TQKMdP0
 ――パシャッ パシャッ


 「いいよー、まゆちゃん。ノッてきたねぇ。
  もう何パターンか続けて撮ってみようか」



P「……」
359 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:10:39.96 ID:f+TQKMdP0
まゆ「あ、プロデューサーさん、おいでになられていたんですね」

P「お疲れ。どうだ、久しぶりのファッションモデルは」

まゆ「楽しいです。まるで昔に戻ったみたい――」ハッ



志希『つまり5月以前の世界にあたしたちは存在してなくて、
   それ以降にあたしたちが誕生したってこと』



P「どうした」

まゆ「い、いえ、なんでも」

 「まゆちゃん、そろそろ続き始めようか」

まゆ「は、はい」

P「まゆ、撮影終わったら一緒に帰ろう」

まゆ「……」コクッ
360 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:11:13.57 ID:f+TQKMdP0
まゆ「プロデューサーさん、お待たせしました」

P「じゃあ、行こうか」
361 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:12:18.71 ID:f+TQKMdP0
 ブウウゥゥン……


P「まだ昼とってないだろ。どこかで食事してから帰るか」

まゆ「でしたらまゆおススメのお店があります」



愛梨『つまり、CGプロが存在する世界とナムコプロが存在する世界があって、
   今私たちと一緒にいるプロデューサーさんはナムコプロの世界から来たってこと?』



まゆ(……この人が別人なわけない)

まゆ(ずっと見てきたのよ。この人のことならなんでも知ってる。
   私が好きな人を間違えるはず――)



志希『過去の記憶があるからとそれが過去の証明とはならない。
   なぜなら5月前の記憶があるように作り変えられたかもしれないから』



まゆ(……)

P「そうだ。食事の前に少し寄り道していいか」

まゆ「いいですけど、どこへ行かれるのですか」



……
362 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:12:55.28 ID:f+TQKMdP0
まゆ「ここって……」

P「ゲームセンターだな」

まゆ「……」

P「さあ、入ろう」
363 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:14:40.59 ID:f+TQKMdP0
まゆ「少し意外です。プロデューサーさんはゲームがお好きだったんですか」

P「まあ、人並みに。学生時代はよく友人と遊んでたよ。今はからきしだけど」

まゆ「では、なにをされに」

P「これだな」

まゆ「プリクラ……」

P「前に一緒に撮った時のことを覚えているか。
  あの時、ぎこちない笑顔で上手く笑えてなかったから、
  いつかまた撮り直したかったんだ」

まゆ「……」

P「一緒に撮ってくれるか」

まゆ「……ごめんなさい、今度は私が上手く笑えそうにありません……」

P「……」

P「この前のことを気にしてるなら謝るよ。すまなかった、取り乱して。
  まゆたちはなにも気にすることはないから」

まゆ「……わからないんです。
   ずっと貴方を見てきてなんでも知っているはずなのに、
   もし貴方が私の知っているプロデューサーさんではなかったなら」
   
まゆ「私が抱いているこの想いは、この気持ちは一体なに?」
364 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:16:01.00 ID:f+TQKMdP0
P「……俺は」

P「まゆの知っているプロデューサーじゃない」

P「おそらく5月以前の“俺”がまゆの知っている本物の“俺”だ。
  過去と現在の俺は容姿も性格もほぼ一緒みたいだから、
  まゆが間違えても仕方がなかったんだと思う」

まゆ「仕方なくなんかない。
   結局それを見抜くことができなかったんだから、
   私の気持ちなんて所詮その程度……」

まゆ「それとも、志希さんのいっていることが正しいのかしら」

P「志希?」

まゆ「志希さん曰く、変わってしまったのは貴方ではなく私たちの方。
   貴方だけを残し、他の全てが造り変わってしまった」

まゆ「私たちが誕生したのは5月以降で、5月前の記憶があるのは
   そのような記憶があるように作られたから、らしいです」

P「……」
365 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:17:53.82 ID:f+TQKMdP0
まゆ「貴方が決めてくれませんか」

P「……?」

まゆ「もう私にはなにが本当でどれが嘘なのかわかりません。
   結ばれたリボンの先に誰がいるのか。
   この想いに名前をつけてほしい。そうしたら私は……」

P「それはまゆが自分で決めることだ。自分の想いを他人に委ねてはいけない」

P「自分で考え、行動し、決断するんだ。そうして俺はまゆたちを選んだよ」

まゆ「え……」

P「765プロではなく、CGプロを選んだ……はずだった」

P「ずっと忘れていたはずなのに、
  あいつらの面影がふとした瞬間に重なって……」

P「忘れろ、765プロは俺の妄想なんだ、って必死に思い込もうとしたよ。
  未練がましい自分が嫌になった」

P「けど、それでようやく本当の自分の気持ちに気づいた」

P「俺はあいつらに会いたい。なにがなんでもだ。
  必ず、765プロのみんなを見つけ出す」

まゆ「……」

P「そして、まゆたちのプロデュースも続ける」

まゆ「……え」

P「俺はまゆやCGプロのみんなが好きだ。
  765プロのアイドルに負けない情熱と個性の塊のような面々。
  みんなのプロデュースが楽しくて仕方がなかった。
  それこそ765プロを忘れてしまうほどに。  
  その気持ちもまた本当なんだ」

P「だからもし、まゆたちの本物の“俺”がいたとしても、
  今さらそいつにみんなを返すつもりはない。
  こんな面白いやつらをみすみす手離してたまるか」

P「俺がこの手で必ずみんなをトップアイドルにしてみせる」

まゆ「……」
366 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:19:24.39 ID:f+TQKMdP0
まゆ「それってつまり、
   ナムコプロのアイドルの方々をCGプロに引き抜くということですか。
   それとも私たちがナムコプロへ?」

P「え……、あ、いや、それは多分無理だろうから、
  俺が独立してフリーになるしかないか……?」

まゆ「それにもし本物のプロデューサーさんがいたとして、
   私たちがそちらの元へ戻りたいといったらどうするんですか。
   私たちの意見は無視ですか」

P「えっ! そ、それは……、や、やっぱり戻りたいか?」

まゆ「…………ぷっ」

まゆ「あははははっ!」

P「え、ま、まゆ?」

まゆ「はぁ……、
   なんだか真剣に悩んでいたのがバカらしくなっちゃいました」

P「そんな風に笑えるんだな」

まゆ「そうですね、私もこんな風に笑うのは初めてかも」

まゆ「……プリクラ、撮りましょうか」

P「ああ。今なら飛び切りの笑顔で撮れる」

まゆ「ふふ……」

まゆ(……)



………
……
367 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:19:58.04 ID:f+TQKMdP0
卯月「――まゆちゃんが?」

美嘉「協力してくれるってさ」

未央「マジ!?」

杏「ほーれ、ちゃんと話せばわかるっていったじゃん」

美嘉「アタシはなにも話してないよ」

杏「へ?」

美嘉「なにがあって心境を変えたのかわからない。
   ただちょっと寂しそうだったかな」

卯月「……」

杏「まぁ、とりあえずは『よし』としようよ」

未央「残るは……」
368 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:21:43.76 ID:f+TQKMdP0
未央「しぶりん!」

凛「……」チラッ

未央「うっ……え、えーと、き、今日は大変お日柄もよく……」

凛「……」

未央「……」ダラダラ

卯月「凛ちゃん、お願いです。一緒に協力してくれまんせか。
   プロデューサーさんをナムコプロの人たちに会わせ――」

凛「いやだ」

凛「やりたければアンタたちだけでやってって前にもいったよね」

美嘉「ねぇ、凛だって今この状況のままでいいとは思ってないでしょ。
   ナムコプロを信じられない気持ちもわかるけど、とりあえず協力してくれない?
   なにか解決の糸口が掴めるかもしれないじゃん」

凛「解決って……、それ誰がなにに対しての解決?
  私の解決はプロデューサーをナムコプロって妄想から解放することなんだけど」

卯月「どうして妄想って決めつけるんですか。
   凛ちゃんはプロデューサーさんの涙を見てなにも感じなかったんですか」

凛「……っ」

卯月「大切な人と離れ離れになるのがどれだけ辛いことか、
   今の私たちならわかるはずです!」

凛「涙を流したからなんだっていうの!?
  それがナムコプロの存在証明にはならないでしょ!」

卯月「〜〜っ! どうして! 凛ちゃんは! いつも!
   いつも自分の気持ちばかり優先して!」

卯月「その頑な態度がプロデューサーさんを苦しめてるって
   どうしてわからないんですか!」

未央「し、しまむー……らさん?」

卯月「凛ちゃんだって本当は気づいてるんじゃないですか!?
   ナムコプロが本当はあるって! 私たちが――」


凛「やめてよ!!」


凛「やめて……。ナムコプロなんて知らない。
  お願いだから私を巻き込まないで……!」ダッ

美嘉「あ、凛!」



………
……
369 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:22:38.49 ID:f+TQKMdP0
卯月「ごめんなさい……。
   私のせいで凛ちゃんをさらに意固地にさせたかもしれません……」

未央「いえ……、島村さんの怒りはごもっともかと思われます」

卯月「み、未央ちゃん、いつもみたいに『しまむー』でいいですからね?」

美嘉「ってゆーか、どーする?
   あの様子じゃもうまともに聞き入れてくれないんじゃない」

卯月「……まゆちゃんに話してもらうのはどうでしょうか。
   自分の心境の変化を語ってもらえれば……」
370 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:23:17.42 ID:f+TQKMdP0
まゆ「――いえ、まゆでは凛ちゃんの気持ちを変えることはできないと思います」

まゆ「自分で考え、行動しなければ、自分の気持ちを変えることはできません」

未央「ううむ……、どうします? 島村さん」

卯月「……未央ちゃん、『しまむー』でお願いします」

まゆ「もっとも、そういうまゆは結局、
   プロデューサーさんの言葉に心を動かされましたけど」

未央「うぇ?」

まゆ「少し、待ちませんか」

まゆ「凛ちゃんの心を動かせるとしたらやはり……」



…………………
………………
…………
……
371 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 11:24:14.93 ID:f+TQKMdP0
かーっ! 続きは夜たい!
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/01(日) 13:56:24.09 ID:1I7bJ4XDO
きりりん!こがたんが暴れてるよ!



乙です
373 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 20:53:59.62 ID:f+TQKMdP0
P「参ったな。完全に渋滞にはまってしまったな。事故でもあったか」

凛「……」

P「凛、ここで車降りて、先に電車で事務所に戻るか」

凛「……いい。今変装グッズ持ってないし、私ってバレたら面倒だし」

P「そっか」

凛「……」






P「ごめんな、凛」
374 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 20:55:51.17 ID:f+TQKMdP0
凛「……え」

P「俺は……765プロを捜すよ。信じられないだろうけど本当にあるんだ。
  俺の妄想なんかじゃない。大切な仲間なんだ。必ず取り戻したい」

凛「……」

P「心配しなくていい。
  だからって凜たちのプロデュースを投げ出したりはしない。
  約束は守る。たとえ765プロを見つけても、
  みんなのプロデューサーとしてずっとそばにいるよ」

凛「……嘘」

P「ん?」

凛「約束を守るなんて嘘。
  ナムコプロ見つけたら私たち消えるかもしれないのに」

P「え……」

凛「もう、いいよ。
  プロデューサーにとってナムコプロが
  どれだけ大切な存在なのかよくわかった。
  私じゃプロデューサーの涙は流せない」
375 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 20:56:55.40 ID:f+TQKMdP0
凛「どっちか片方しか選べないならナムコプロを選ぶでしょ」

P「いや、凛たちを選ぶよ」

凛「…………え」

P「片方しか選べないのなら凛たちを選ぶ」

凛「なんで……、二度とナムコプロの人たちと会えなくていいの?」

P「ああ、構わないよ」

凛「…………嘘、絶対嘘。気休めでいってるならやめてよ。
  私たちを選んだらきっと後悔する」

P「765プロを選んだって後悔するさ。
  俺にとってCGプロのみんなも大切な仲間だ。
  大切な者を、二度も失いたくないんだ」

凛「……」
376 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 20:58:08.56 ID:f+TQKMdP0
P「それにあいつらなら俺がいなくても平気だ。
  どんな逆境も全員で力を合わせて乗り越えてきた」

凛(あぁ、やめてよ)

P「今頃どこでなにをしているのかわからないが、きっと元気でやってるさ」

凛(そんな風に笑わないで)

P「もっともっと、凛やみんなと一緒にいたいんだ」

凛(本当は辛いくせに)

P「もっと、みんなとの過去がほしいんだ」

凛(どうしてそんな風に優しく笑えるの)

P「凛の未来を見届けたいんだ」

凛「……」ジワッ

凛「うわああぁぁぁぁぁっ!」ポロ ポロ

P「り、凛!?」

凛「嘘なんかじゃないもん……、作りものなんかじゃないもん……!」ヒック ヒック

P「凛……」

凛(そうだ、嘘じゃない、作りものなんかじゃない、私の気持ちは)



凛(私は、この人のことが――)



……………
…………
………
……
377 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 20:58:49.10 ID:f+TQKMdP0
卯月「……」


未央「……」






凛「………………私も協力する」
378 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 20:59:22.19 ID:f+TQKMdP0
卯月(目、腫れてますね)ヒソヒソ

未央(明らかに泣いたあとだけど触れないでおこう)ヒソヒソ

凛「なに」

未央「なんでもない、なんでもない!」

凛「卯月、この間はごめん。いいすぎた」

卯月「いえ、そんな。全然気にしていません」

未央「よし、それじゃぁ……」
379 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 21:00:52.51 ID:f+TQKMdP0
P「――え、俺を765プロに?」

卯月「はい、私たちも協力します」

P「……信じてくれるのか、765プロのこと」

未央「うん、信じるよ」

杏「杏は正直半信半疑だけどー」

美嘉「ナムコプロのアイドルがどんな子たちか興味あるし」

P「しかし……」チラッ

凛「……」

まゆ「……」

P「765プロを見つけたらみんな消えてしまうかもしれないんだろ。
  それでも協力してくれるのか」

楓「それはあくまでも可能性の話です。
  CGプロもナムコプロも両方残るかもしれません」

志希「あるいはキミが消えるかも」

P「それじゃあ、捜す意味ないだろ……」

アーニャ「見つけてみないことにはわからない、ということです」

莉嘉「Pくん大丈夫。アタシ消えないから!」

幸子「ボクも消えませんよ。ボクが消える、それすなわち、
   世界から『カワイイ』の定義が失われると同義ですからね。
   それだけはなんとしても阻止ですよ!」

愛梨「一緒に見つけましょう、ナムコプロを」

P「みんな……ありがとう」

蘭子「ではこれより作戦会議を――!」

P「それよりまず仕事だ。ほら、支度」

蘭子「あ、はい」



……………
…………
………
……
380 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 21:01:52.33 ID:f+TQKMdP0
蘭子「――ではこれより作戦会議を始める!」

莉嘉「はーい」

蘭子「友よ、ナムコプロに関する情報の開示を要求する!」

P「ああ。簡単にだが資料を作ってきたから回してくれるか」


381 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 21:03:40.34 ID:f+TQKMdP0
未央「へー、『765』で『ナムコ』ね」

幸子「事務所は雑居ビルの3階……雑居ビル?」

美嘉「え、所属タレントたったの13人しかいないの?」

愛梨「あ、でも、契約予定のスクール生が39人いるって」

楓「従業員は事務員とプロデューサーの二人だけですか」

杏「……弱小事務所?」

P「そ、そんなことは……ない……」

卯月「社長を含めた上記の全員が消えてしまったんですね」

アーニャ「消えてしまった原因は一体なんなんでしょうか」

凛「神隠しにでもあったんじゃんない」

卯月「凛ちゃん……」

杏「いや、案外それ当たってるかも。
  この事象を常識の範疇で考えちゃだめだ。もっと発想を飛躍させないと」

未央「発想の飛躍ねぇ……、宇宙人にさらわれたー、とか?」

まゆ「ですが、まゆたちで解決できるとしたら、
   それは常識の範疇だけではないでしょうか」

まゆ「神隠しにしろ、宇宙人にしろ、消えた原因がそれなら、
   まゆたちが太刀打ちできる相手ではないんじゃ……」

未央「ううむ、確かに……」

幸子「これがもし神さまの仕業なら、どうしてこんなことをしたんでしょうね」

蘭子「こんなの神のすることじゃない、悪魔のすること!」

美嘉「いえてる」

凛「罰が当たったんでしょ。
  神の怒りを買うようなことでもしたんじゃない」

P「……かもな」

凛「え……」

P「消えた原因に心当たりがある」
382 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 21:05:09.34 ID:f+TQKMdP0
P「その日、事務所でミュージカルの企画説明をしていたんだ」

P「オリジナル脚本の、
  律子を抜かした765プロのアイドルとスクール生全員が出演する予定だった」

美嘉「その律子、さんはどうして出ないの」

P「律子はもともとマネジメントや経営に興味があって、
  プロデューサーへの転身を希望していたんだ」

P「俺の下でプロデュース業を学ぶ傍ら、
  アイドル業と並行して仕事をしていたんだが、
  今回は俺のサポート役に徹することにしたんだ」

未央「へー、765プロってそんなアイドルがいるんだ」

杏「杏には無ぅ理ぃ〜」

志希「そのミュージカルはどんな話なの」

P「……大切なものを失くしてしまう話だ」

愛梨「それって……」
383 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 21:06:49.06 ID:f+TQKMdP0
P「その時用意していた台本があったんだが、
  所々台詞が抜けていて後半は全て白紙だった」

P「印刷ミスかと思った。
  だが事前に目を通した時にはそんな箇所はなかったはずなんだ。
  チェック漏れだとしても、
  後半全て白紙なのにそれに気づかないはずがないだろ」

幸子「確かに」

P「なにを失くしてどんな結末を迎えるのか、
  その台本からでは読み取れなくなっていた」

P「あずささんになにを失くしたのかを聞かれ、俺は答えられなかった」

P「脚本の制作には俺と律子が携わっていた。
  何度も作家と打ち合わせをしたはずなのに、
  まるでそこの記憶だけがすっぽり抜けたように急に思い出せなくなった」

P「代わりに律子が答えたんだが、なぜかその声が聞こえなかった。
  律子だけじゃない、他のみんなの声も。
  失くしたものについて話しているのか、その声が一切聞こえない」

P「結局思い出せないまま、翌日には765プロが消え、現在に至る。
  思い出せたのはつい最近だ」

卯月「その大切なものって……」

P「仲間だ」



やよい『プロデューサーは大切なものってありますかー』



P「自分の大切なものがわからなかった。
  本当はずっと前から持っていたのに、ずっと前から傍にあったのに」

P「あまりにも近すぎて、気づけなかった」

凛「……」
384 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 21:08:12.36 ID:f+TQKMdP0
楓「物語の結末はどうなるんですか。大切な者は取り戻せるんですか」

P「いえ、失くした者は失くしたままです。
  最後は新しい仲間とともに生きていくんです」

杏「なんとまぁ、プロデューサーの未来を暗示するかのような」

美嘉「なんか怖い。あまりにもできすぎっていうか、
   マジで神が仕組んだことなんじゃ……」

蘭子「神の試練、というわけね」

凛「神でもなんでもいいけど、要するに、
  プロデューサーに大切な者の存在を気づかせるために、
  世界が変わっちゃったってこと?」

P「おそらく」

未央「スケールでかすぎー!」

アーニャ「どうやらプロデューサーは“神に選ばれし者”のようですね」

楓「この場合“神に恨まれし者”では?」

志希「上手い!」

まゆ「上手くありません」

愛梨「けど、それなら気づいた時点で世界は元に戻るものなんじゃないかな。
   それが果たされた今も状況が変わらないということは……」

卯月「まだ他に気づいてないことがある……?」
385 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 21:09:10.28 ID:f+TQKMdP0
莉嘉「わかった! Pくん本当は765プロの中に好きな人がいるんでしょ!」

凛「そうなの!?」

まゆ「そうなんですか!?」

P「765プロの大半は未成年だぞ。子どもは恋愛対象に入らない」

莉嘉・凛・まゆ・卯月・未央・美嘉・蘭子・幸子・アーニャ「え……」

楓「おっとここに素敵な成人女性がー?」

P「同じ業界人と恋愛するつもりもない」

楓「いなかった……」

未央「じゃぁ、他に気づいてないことって一体なんなんだー!」

杏「いやいやいやいや、もう答え出てるでしょうよ……」

未央「え?」

杏「ミュージカル! 765プロのアイドルが
『大切な者を失くす』話をやる予定だったんでしょ!」

杏「だったら、CGプロの杏たちが
『大切な者を取り戻す』話をやればいいんじゃないの!?」


一同「……」



一同「……!」ハッ



……………
…………
………
……
386 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/01(日) 21:11:47.13 ID:f+TQKMdP0
ふふ、続き明日にするわ
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/11/01(日) 21:12:09.64 ID:bpbyW9T20
マジかよ……
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/01(日) 21:14:47.67 ID:GNdp/fwZo
シャニのライブ見てたので今北
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/11/01(日) 22:57:55.98 ID:SIFubaJX0
そんなに俺を焦らさないで
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/02(月) 08:30:17.98 ID:z3IdjQqeo

ああー面白い
391 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 16:48:06.44 ID:x9u+415j0
P「ミュージカルの脚本ができた」

莉嘉「おー!」

杏「年明けると思ったけど早かったね」

蘭子「ついに動き出すのね、禁断のプロジェクトが……!」ゴクリ

アーニャ「765プロが大切な者を取り戻す物語、ですね」

P「卯月、凛、未央、杏、楓さん、美嘉、莉嘉、
  蘭子、愛梨、まゆ、幸子、アーニャ、志希」

P「奇しくも律子を含めた765プロのアイドルと同じ13人。
  みんなには765プロのアイドルたちを演じてもらう」

幸子「まさかアイドルがアイドルを演じることになるなんて
   夢にも思っていませんでしたよ」

凛「ほんと、変な感じ」

P「台本と一緒に765プロのアイドルの特徴をまとめた資料を配るから、
  それを参考に配役を決めていこう」



392 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 16:49:38.16 ID:x9u+415j0
卯月「天海春香ちゃんには転ぶ癖があり、
   多い時には一日三回以上転んでしまうが、
   転ぶにつれ受け身が上手くなり、
   今では転んでケガをすることはない……」

莉嘉「双子の双海真美ちゃん・亜美ちゃんは
   時々内緒で入れ替わって仕事をすることがあり、
   未だそれに気づかれたことがない……」

杏「その手があったかー。杏にも生き別れの双子の姉妹いないかなー」

楓「水瀬って、あの水瀬財閥の? すごいところのお嬢さまがいるんですね」

まゆ「萩原雪歩ちゃんは落ち込んだり緊張したりすると
   穴を掘って埋まってしまう癖がある……」

愛梨「三浦あずささんは極度の方向音痴で
   忽然と姿を消してしまうことがありロケでは目が離せない……」

幸子「我那覇響さんは大の動物好きで……蛇に豚にワニを飼ってる!?」ギョッ

凛「……なんていうか765プロのアイドルって」

志希「個性的なアイドルが揃っていますなぁ」

P「いっておくがみんなも大概だからな?」
393 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 16:51:38.89 ID:x9u+415j0
未央「天海春香ちゃん役はしまむーがいいんじゃない。
   うちの正統派アイドルっていったらしまむーでしょ」

凛「私、如月千早さん役やりたいかな。歌に対する姿勢とか尊敬する」

美嘉「萩原雪歩ちゃんのキュートな感じはまゆちゃんっぽいね」

杏「三浦あずささん役は愛梨ちゃん一択でしょ」

幸子「双海姉妹はどうします?」

莉嘉「そりゃアタシとお姉ちゃんの城ヶ崎姉妹がやるっきゃないでしょ!」

美嘉「アタシとアンタじゃ双子には見えないでしょ」

杏「杏がやるよ。杏なら莉嘉ちゃんと同い年くらいには見えるし」

莉嘉「わぁ、よろしくね、杏ちゃん! 真美ちゃんと亜美ちゃんどっちやりたい?」

杏「どっちでもい……これどっちの方が省エネタイプ?」

P「どっちもアクティブだ」

杏「……どっちでもいいっすわ」

莉嘉「じゃぁ、アタシ、真美ちゃんやる」
394 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 16:53:08.03 ID:x9u+415j0
凛「ちょっと待って。そっちより杏にうってつけの子がいるんだけど」

杏「うってつけ?」

凛「星井美希」

凛「歌もダンスもそつなくこなす天才肌。
  しかし面倒くさがりで飽きっぽくマイペース。
  時間さえあればいつでもどこでも眠る、って」

未央「まんま杏ちゃんじゃん」

杏「だねぇ。自分のプロフィールが載ってるのかと思った」

楓「どうやら生き別れの妹は765プロにいたみたいね」

美嘉「けど替え玉は無理だね。
   中学生離れした抜群のプロポーションをしてるってさ」

杏「なにをーっ。杏だってある意味、高校生離れしたプロポーションしてるぞ」

杏「……ん」

美嘉「どした?」

杏「ねぇ、この子ってもしかしてさぁ、
  プロデューサーのこと『ハニー』って呼んでた?」

P「……っ」ギクッ

アーニャ「ハニー……」

P「俺がそう呼ばせてるわけじゃないからな。やめろといっても聞かないんだ」

莉嘉「どうしてPくんをハニーって呼ぶの」

P「……それは」

杏「ラブなんでしょ、プロデューサーに」

P「……」

志希「沈黙は肯定なりー」

莉嘉「えーっ!
   Pくん子どもは恋愛対象に入らないって前にいってたじゃん」

P「俺はちゃんと一線引いてるよ。
  けど美希がそれを問答無用で飛び越えてくるんだ」

莉嘉「どーする、お姉ちゃん! 765プロにもライバルいるって!」

美嘉「ななななんでアタシに振るのかなーっ!?」
395 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 16:54:13.30 ID:x9u+415j0
愛梨「杏ちゃんが美希ちゃん役となると双海姉妹のもう一人は誰がいいかな」

杏「いや、杏は美希ちゃん役やらないよ。『ハニー』呼びはもうこりごりだし。
  代わりにマジもんの天才に美希ちゃん役をやってもらおう」

志希「えーっ、それって誰のこと誰のことー?」

美嘉「あぁ、そだね。悔しいけど歌とダンスに関しても天才だし」

志希「そ、そんな天才がこの中にー? はっつみみー!」

凛「じゃ、志希で決まりで」

志希「って、あたしのことかー!」タハー!

まゆ「では次の役を決めましょう」

幸子(完全無視……)

志希「ねぇ、ハニー、シキとデートしよ?」

P「……!」ドキッ

美嘉・凛・まゆ「……!!」ガタッ

志希「どぉどぉ? 美希ちゃんに似てた?」

P「勘弁してくれ……」
396 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 16:54:50.11 ID:x9u+415j0
蘭子「……」

蘭子(四条貴音さん、ミステリアスで高貴……)

蘭子(この人がいい!)

まゆ「四条貴音さん役はどなたがいいでしょうか。
   ミステリアスで高貴な振舞い、古風な喋り方」

蘭子「わた――」

凛「アーニャはどう? 趣味が天体観測とか共通点あるし」

未央「いいんじゃない。
   映画の役のおかげで古い言葉遣いもできるようになったしね」

アーニャ「左様」

蘭子「……!」ガーン
397 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 16:55:50.58 ID:x9u+415j0
美嘉「ねぇ、見てよ、この高槻やよいちゃんって子。
   すごくいい子。アタシお友達になりたい……」

未央「ほんとだ。爪の垢を煎じて杏ちゃんに飲ませてあげたい」

杏「はっはっは、それを飲んだところで杏は変わらないぞ」

凛「で、誰がやるの。私たちの中にはいないタイプだけど」

未央「う〜ん……」



楓「私がやるしかなさそうね」



未央「楓さん!?」

杏「なんでそうなる」

P「いいんじゃないか」

未央「いいの!?」

P「別に年齢の近い者が演じる必要はないだろ」

凛「いやいやいや、それでも年齢開き過ぎてるし」

まゆ「精神年齢でいえば逆転してるかもしれませんけどね」
398 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 16:57:01.36 ID:x9u+415j0
楓「大丈夫、任せて。完璧にやよいちゃんを演じてみせるわ」

楓「コホン……」

楓「うっうー! お酒大好きですーっ!
  プロデューサー、一緒にビール祭りをしましょーっ!」

未央「やよいちゃん未成年! 飲酒できない!」

美嘉「やめてよ! 楓さんみたいな飲んだくれが演じたら
   やよいちゃんが穢れちゃうじゃない!」

幸子「穢れ……」
   
美嘉「そうだわ! やよいちゃんみたいな天使を演じられるのはみり――」

アーニャ「蘭子はどうですか。純粋で無垢なところは似ていると思います」

未央「あぁ、そうだね。らんらんだ。らんらんじゃん。らんらん以外ないでしょ」

凛「うん、楓さんより断然いい」

美嘉「……まぁ、蘭子ちゃんなら許す」

アーニャ「どうですか、蘭子」

蘭子「あ……う……」

未央「ほれほれ、『うっうー』っていってみ?」

蘭子「う……う……」プルプル

蘭子「うっうー! ///」

未央「最高」パチパチ

凛「最高」パチパチ

楓「最高」パチパチ

蘭子「ま、まぁ、よかろう。天使を演じるのもまた一興」
399 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 16:57:59.52 ID:x9u+415j0
アーニャ「それと四条貴音役はアーニャより楓の方があっていると思います。
     楓も黙ってさえいればミステリアスで高貴に見えます」

楓「ひとたび口を開けば?」

アーニャ「ジャールカ……残念です」

楓「……」ホクホク

未央「なんで嬉しそう?」

凛「まぁ、アーニャがいいっていうなら楓さんでいいんじゃない」

楓「では私、高垣楓が四条貴音ちゃん役を務めさせていただきます」

アーニャ「うむ。精進されよ」

美嘉「ねぇ、いないタイプがもう一人いるんだけど。秋月律子さん」

未央「いや、いるでしょ、ここに」スッ

美嘉「……え、アタシ?」

楓「これは美嘉ちゃん一択よね」

幸子「逆に美嘉さん以外の選択肢は考えられないですね」

卯月「はい、二人とも似ていると思います」

志希「似てる、似てる」

美嘉「え、そう? どのへんが似てる?」

一同「苦労人なところが」

美嘉「そこかい……」ガクッ

凛「面倒見のいい、しっかり者といったらやっぱり美嘉だよ」

美嘉「わかった。じゃぁ、アタシが律子さん役ね」
400 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 16:59:10.06 ID:x9u+415j0
凛「菊地真くん……さん役は幸子で決まりでしょ。
  一人称が『ボク』とか『カワイイ』に固執してるところとか
  共通点あるし」

幸子「いいかたぁっ! 固執なんて――」

凛「してないの?」

幸子「しぃぃぃてますけどそれがなにかぁっ!?」

まゆ「幸子ちゃんなら水瀬伊織ちゃん役もあっていると思います。
   自信家で負けず嫌いなところとか似ていますし」

愛梨「我那覇響ちゃん役もあってると思うよ」

楓「幸子ちゃん自身はどう? この中で演じるとしたら」

幸子「そうですね、ボク的には水瀬伊織さん役がいいかなって」

幸子「自信の裏に努力があるところとか、
   自分自身の力で切り開こうとする姿勢とか、
   そういうところにシンパシーを感じます」

卯月「確かに、そういうところは二人とも似ていますね」

アーニャ「では幸子は水瀬伊織役をお願いします。
     菊地真役はアーニャがやりましょう」

未央「じゃぁ、私が我那覇響ちゃん役だね。元気担当頑張るぞ!」
401 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 16:59:41.83 ID:x9u+415j0
P「これで全員役は決まったな」

P「これから年末に向けてライブやイベントで忙しくなる。
  本格的な稽古は年が明けてからだ」

P「公演は来年の5月を予定している」

一同「……」

P「いいミュージカルにしよう」
402 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 17:06:32.86 ID:x9u+415j0
未央「5月かぁ……。あと半年とちょっと」

愛梨「きっとあっという間に過ぎちゃうよね、半年なんて」

美嘉「自分で決めたことだけどやっぱ複雑。
   プロデューサーと別れるために頑張るなんてさ」

凛「ほんと腹が立つ。こんなことをした元凶に文句いいたい」

卯月「でも最後は笑顔で別れたいです。
   心残りがないよう、一日一日を無駄に過ごさないように」

幸子「みなさん、別れる前提で話していますけど、
   まだそうと決まったわけじゃないですからね?」

凛「幸子だってわかってるんでしょ。
  志希のいってることが正しいんだって妙な確信が私たちにはある」

凛「プロデューサーに協力すると決めたなら、ちゃんと覚悟しないと」

幸子「……」

杏「とかいって、これでなにもなかったらどうする?」

まゆ「その時はまゆたちのプロデューサーさんとして、
   これからも一緒にいてもらうだけです」

楓「でもプロデューサーは765プロを捜し続けるのでしょうね。
  見つかるまでずっと」

アーニャ「妬けてしまいますね。765プロに」



……………
…………
………
……
403 : ◆nx90flyJCa6p [sage saga]:2020/11/02(月) 17:07:12.35 ID:x9u+415j0
プロデューサーさん! 続きは明日ですよ! 明日!
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/02(月) 20:34:49.49 ID:z3IdjQqeo
乙 また明日
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/02(月) 20:48:52.46 ID:W1t6lubco

さらっと流したがこっちにも水瀬財閥あるのね
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