P「あいつらに会いたい」

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1 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/19(月) 23:51:19.57 ID:0wVWj0kD0
春香「ミュージカル?」

P「ああ。オリジナルストーリーで、
  765プロのアイドル全員とスクール生に出演してもらう」

響「スクール生も?」

P「みんな来月にはうちと契約して
  正式に765プロのアイドルとして活動していくことになる。
  最初の大舞台としてこのミュージカルに出演してもらう」

律子「とはいってもあの子たちに大役を任せるのはまだ荷が重いでしょうから、
   アンサンブルキャストとして出てもらうことになるわね」

亜美「あ、あんちゃん……」

真美「ぶるどっぐ……?」

伊織「アンサンブルキャスト! 役名のない登場人物ってことよ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1603119079
2 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/19(月) 23:53:27.94 ID:0wVWj0kD0
真「52人全員が出るのか〜。なんだか全然想像つかないや」

律子「私は出ないわよ」

真「えっ、律子出ないの?」

律子「今回は裏方に徹することにしたの。
   さすがにプロデューサー一人で52人をまとめ上げるのは困難でしょ」

P「俺としては律子にも出てほしいんだけどな」

亜美「え〜、律ちゃん出ないの〜?」

真美「出ようよ〜。律ちゃんのファンが悲しむよ〜?」

律子「それをいわれると弱いけど、
   プロデューサーとしての経験も徐々に積んでいかないと」

伊織「……律子、本当にアイドルを辞めてプロデューサーになるつもりなのね」

真「寂しくなるなぁ」

律子「ち、ちょっと、そんなしんみりしないでよ。別に765プロを辞めるわけじゃないんだから」

貴音「律子嬢が皆から愛されている証左ですよ」

律子「あ、愛されてるって……///」
3 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/19(月) 23:56:47.94 ID:0wVWj0kD0
雪歩「あのぉ、ミュージカルはどんなお話なんですか」

P「大切なものを失くしてしまう話なんだけど、これが台本」

千早「大切なもの、ですか」パラ……

美希「ねえ、配役は決まってるの? 主役は当然ミキって感じ?」

伊織「はぁっ? なにが当然よ。
   この大女優伊織ちゃんを差し置いてよくそんなことがいえるわね」

律子「役はオーディションで決めようと思ってるの。
   みんなの演技力は格段に上がってきているし、
   私とプロデューサーの独断で決めるよりも、その方がみんなも納得できるでしょ」

伊織「実力で主役の座をもぎ取れってことね。面白いじゃない」
4 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:01:47.96 ID:jb5TYrq40
千早「……あの、プロデューサー、この台本印刷ミスがあります。
   所々台詞が抜けているみたいなんですけど」

響「ほんとだ、後半なんか全部真っ白だぞ」

P「え、そんなはずは……、ちょっと見せてくれ」パラパラ

P(……あれ、おかしいな。
  さっき目を通した時はこんな印刷ミスなかった気がするんだけどな……)

貴音「予備の台本は他にないのですか」

P「すまない、今手元にあるのはこの一冊だけなんだ。
  明日、きちんと印刷されたものを人数分用意してくるよ」

響「う〜、いいところだったのに生殺しだぞ」

千早「主人公は一体なにを失くしたのかしら」
5 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:03:46.82 ID:jb5TYrq40
あずさ「プロデューサーさんは知っているんですか」

P「はい、それはですね……」



P「………………」



貴音「覚えておられないのですか」

P「め、面目ない……」

律子「……あんなに作家と打ち合わせしたのに本当に覚えてないんですか」

P「あ、ああ……」

亜美「兄ちゃん、ボケるにはまだ早過ぎるっしょー」

真美「一度、真美たちのパパに診てもらう?」

P「いや、大丈夫……」

伊織「本当に大丈夫なの?
   アンタ、前からワーカホリック気味なところがあるし、
   相当疲れが溜まってるんじゃ……」

P「大丈夫だよ、単にど忘れしただけさ。心配してくれてありがとな」

伊織「べ、別に心配してるわけじゃっ……」
6 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:04:49.37 ID:jb5TYrq40
真「律子はなにを失くしたのか知ってるの?」

律子「もちろんよ。失くしたものは……」


律子「――よ」


P(……?)


律子「これは―――と――の物語なの。
   ―――で――――――――を失ってしまうの」



P(なんだ? 律子の声がよく聴こえな――)



やよい「えーっ! そんな―――――なんですかー!」

伊織「なるほどね。―――――――ってそういう……」

真「ボク、この―――にすごく――――しちゃうなぁ。
  ボクも――――――が――だもん」

雪歩「私も。もし―――――――――――――――――――かもしれない」

響「ま、――――――――――――――――――――ないさー」

あずさ「そうね、――――――――。
    ――の―――をきちんと――――――んだから」



P(律子だけじゃない、他のみんなの声も……)
7 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:07:21.85 ID:jb5TYrq40
春香「プロデューサーさん? どうしました」

P「春香、みんなの声が……」



貴音「しかし、主役を演じるには相応の覚悟と決意が必要なようですね」

伊織「そうね、まったくプロデューサーも律子も人が悪いわ。
   よりによってこんな役を私たちにやらせようなんて」

律子「あらそう? 大切なものを知っているあなたたちだからこそ、
   ぴったりな役だと思うけど」

亜美「わー、りっちゃんがわっるい顔してる」

真美「そんな子に育てた覚えはないのにぃ……」



P「……聞こえる」

春香「はい、聞こえますけど?」

P(……本当に疲れているのか、俺……)

春香「プロデューサーさん?」

P「や、なんでもないんだ。気にしないでくれ」

春香「はあ……」
8 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:08:32.59 ID:jb5TYrq40
美希「あっ! いいこと思いついたの! ハニーが主役をやればいいって思うな!」

P「お、俺?」

伊織「なんでプロデューサーがミュージカルに出演するのよ! それも主役で!」

美希「主人公のハニーは愛するヒロインのミキと離れ離れになって、
   ミキの大切さをあらためて実感するの。
   そして再会した二人は永遠の愛を誓い合うの!」

雪歩「そ、それはちょっと……」

響「話はともかく、仮にプロデューサーが舞台に立ったらブーイング間違いなしだぞ」
9 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:10:04.39 ID:jb5TYrq40
春香「で、でも、プロデューサーさんが相手なら私もその話やってみたいな〜、なんて……」

あずさ「私もやってみたいわ〜。プロデューサーさんが相手なら熱演できちゃいそう」

真「ボ、ボクもプロデューサーとラブストーリーやってみたい!」

亜美「いやいや、まこちんの場合、男二人の友情物語になるっしょー」

真「なっ!」

伊織「わ、私も立候補してあげてもいいわよ! 
   別にプロデューサーとのラブストーリーなんてぜんっぜん興味ないけど?
   女優としての演技の幅は広げたいし?」

真美「ま、真美もやってみたい……」ゴニョゴニョ

美希「ち、ちょっと! これはミキとハニーのラブストーリーなの! 
   ヒロインはミキの指定席って決まってるんだから!」

千早(その前に、ミュージカルは
   プロデューサーとのラブストーリーではないのだけれど……)

貴音「ふふ、罪な方ですね、あなた様は。皆、あなた様をお慕いしているようですよ」

P「はは……」

やよい「プロデューサーは大切なものってありますかー」

P「俺? 俺の大切なものは……」

律子「ほうら、あなたたち、馬鹿なこといってないで、
   これからオーディションの説明するからちゃんと聞いてなさいよ」



………
……
10 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:13:06.59 ID:jb5TYrq40
高木「やあ諸君、お疲れ」

P「社長、お疲れさまです」

高木「アイドルたちは皆帰ったようだね。
   彼女たちがいなくなると祭りの後のように事務所が静まり返るなあ」

小鳥「そうですね、少し寂しいくらい」

律子「デスクワークをするにはこのくらい静かな方が捗りますけどね」

高木「そのデスクワークが終わるならこの後どうかね。
   ミュージカルの前途を祝して一杯でも。もちろん私が奢るよ」

小鳥「わあ、いいですね。お二人は終わりそうですか」

律子「私の方はもう。プロデューサーは?」

P「俺はまだ終われそうにないな。
  どうしても今日中に未来たちのプレゼン用の資料を作っておきたいんだ」

律子「でしたら私も手伝いますよ」

P「律子はまだ正式なプロデューサーじゃないだろ。
  これからミュージカルも重なってより忙しくなるだろうし、
  今日くらい思いっきり羽根を伸ばしてこいよ」

律子「でも……」

P「気持ちだけ受け取っておくよ。社長、折角ですが俺は事務所に残ります」

高木「そうか。では、キミとはまた違う日に一杯やろう」

P「はい、その時を楽しみにしています」

小鳥「それではプロデューサーさん、お先に上がらせてもらいますね。
   最後、戸締りよろしくお願いします」

律子「プロデューサーもあまり無理しないでくださいね。お先に失礼します」

P「ああ、お疲れ」


 ガチャッ バタン……


P「……さて、もうひと踏ん張り」



………
……
11 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:14:58.84 ID:jb5TYrq40
P「くあ、疲れたぁ……って、もうこんな時間か」

P(これは帰る頃には日を跨いでるな……)

P「ふぅ……」

P「……」

P(ミュージカルの台本……)パラパラ

P(……駄目だ、どうしても思い出せない。
  なにを失くしてどんな結末を迎えるんだっけ……)



やよい『プロデューサーは大切なものってありますかー』



P(俺の大切なもの……そんなもの、考えたこともなかったな)

P(たかが二十年あまりの人生だけど精一杯生きてきた)

P(辛いことも楽しいこともそれなりに経験してきたけれど、
  大切なものを見つけようだなんて、なに一つしてこなかった)

P(アイドルたちは皆、大切なものを共有しているみたいだけど、
  それは一体なんなんだろう……)

P「大切なものかぁ」

P(俺の大切なものってなんだろう……)

P「おれの、たいせつな……」ウトウト

P「……」スースー


……………………
………………

― ― ― 

…………
……
12 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:17:17.95 ID:jb5TYrq40
 「プロ―――」

 「――さん、プロデューサーさん、起きてください」

P「……ん」

 「もう、また徹夜したんですか」

P(……しまった、寝落ちしてしまったか。あと少しで資料ができたっていうのに)

 「駄目ですよ。無理が祟って身体を壊したら元も子もないですよ。
  ただでさえ不規則な業界なんですから、ちゃんと身体を休めてください」

P「はい、すみません、音無さ……」



P「…………」



 「ほら、顔を洗ってきてください。みんなもそろそろ来ますよ」

P「あ、あの……」

 「はい?」

P「どちらさまでしょうか」

 「……寝ぼけてるんですか」

P「い、いえ、本当にどなたなのか……」
13 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:18:20.21 ID:jb5TYrq40
 ガチャッ


 「おはようございます」

 「あら、おはよう、凛ちゃん。今日は早いのね」
14 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:20:17.94 ID:jb5TYrq40
凛「おはよう、ちひろさん。ちょっと卯月と未央と約束があってね」

凛「おはよう、プロデューサー」

P「……」

凛「プロデューサー? どうしたの」

ちひろ「プロデューサーさん、また徹夜してちょうど今目覚めたばかりなの。
    まだ頭が覚醒してないみたい。ただ今お寝ぼけ中なの」

凛「また?」

P「……」

凛「プロデューサー、私たちには体調管理を怠るなって口酸っぱくいうくせに、
  自分の体調には無頓着過ぎるよね。
  こういうのって人にとやかくいう前に、まず自分ができてからじゃないの」

ちひろ「凛ちゃんのいうとおりです、プロデューサーさん。肝に銘じてください」

P「……」

凛「プロデューサー?」
15 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:21:54.56 ID:jb5TYrq40
P(……なんなんだ、誰なんだこの二人は。ここは一体どこなんだ)

P(俺は765プロの事務所にいたはず。こんな所、俺は知らない)

P(なにが、一体なにがどうなっている……!?)
16 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:26:30.98 ID:jb5TYrq40
ちひろ「ちょっとプロデューサーさん、本当にどうしちゃったんですか。
    なにか様子が変ですよ」

P「……ドッキリですか」

凛「ドッキリ?」

P「そうか……、番組の企画かなにかでしょう。
  きっと、どこかに隠しカメラがあって……!」

ちひろ「ち、ちょっと、プロデューサーさん?」

P「なあ、そうなんだろ律子! どこかの部屋から見てるんだろ!  
  ああ、こんなイタズラ企画なんだから真美と亜美のコーナーか?
  二人がどこかに隠れてプラカードなんか持ってたりして!?」

凛「プロデューサー」

P「もうバレてるんだ、早く姿を見せてくれよ!!」

凛「プロデューサー!」

P「……!」ビクッ

凛「どうしちゃったのプロデューサー、なにを混乱してるの?
  さっきからプロデューサーがなにをいってるのか全然わからないよ……」

ちひろ「落ち着いてください、プロデューサーさん。深呼吸して。
今、お水をお持ちしますから」

P「……」ハァ ハァ
17 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:28:58.14 ID:jb5TYrq40
凛「リツコって誰のこと? それにマミ、アミって……」

P「……待ってくれ。その前に、君は一体誰なんだ」

凛「誰、って……」

P「きっとどこかのプロダクションのタレントなんだろうけど、
  そろそろ種明かしをしてくれないか」

凛「……本気でいってるの?」

P「すまない、ひどく混乱してて……。ええと、どこかで会ったことあるかな。
  それともうちのアイドルたちの知り合いとか……」

凛「……」

P「あ、あの……」

P(なんだ、どうしてそんな悲しそうな顔をする……?)
18 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:31:04.42 ID:jb5TYrq40
ちひろ「プロデューサーさん、水をお持ちしましたよ。さあ、飲んで……」

ちひろ「凛ちゃん? どうしたの」

凛「プロデューサー、私が誰だかわからないって……」

ちひろ「……」

ちひろ「それは本当なんですか、プロデューサーさん」

P「え……」

ちひろ「悪ふざけだったら怒りますよ」

P「わ、悪ふざけもなにもイタズラを仕掛けられているのは俺の方ですよね?
  とにかく、ここはどこで、あなた方は誰なのか、状況の説明がほしいのですが……」

ちひろ「……」

P(……なんなんだ、どうしてそんな目で俺を見る?)
19 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:33:06.25 ID:jb5TYrq40
ちひろ「……もう一度確認しますが、
    私のことも、凛ちゃんのことも、本当にわからないんですか」

P「は、はい」

ちひろ「……」

P「と、取り敢えず、765プロに連絡させてください! 話はそれから――」

凛「ナムコプロ?」

ちひろ「どこかの芸能プロダクションですか。
    そんなプロダクション聞いたことありませんけど……」

P「え……」

P「765プロですよ……! ほら、天海春香! 星井美希! 如月千早! それから――」

凛「知らない……」

P「……っ」

ちひろ「私もナムコプロなんて初耳です」

P(そんな馬鹿な……。765プロを知らないなんて今ではそうはいないはず……)
20 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:34:30.11 ID:jb5TYrq40
P「じ、冗談ですよね? お願いですから、本当に種明かしをしてくれませんか。
  このままじゃ埒が明かな――」

P(そうだ、携帯。律子に連絡を……)ピッ ピッ

P(あれ……、なんでだ、律子のアドレスがない? いつの間に消えたんだ)

P(音無さんのアドレスは……ない。社長は……アイドルたちのアドレスは……)

P(……ない! なんでだ? 事務所の電話番号も消えている……)

ちひろ「凛ちゃん、ちょっとプロデューサーさんを見ていてくれる?
    私、社長に連絡入れて、プロデューサーさんを病院に連れていくから」ヒソヒソ

凛「う、うん……」

P「くそっ!」ダッ

凛「あっ、待ってプロデューサー!」

ちひろ「プロデューサーさん!」
21 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:35:35.60 ID:jb5TYrq40
未央「でさでさー、そしたら美嘉ねえがさー、プクク」

卯月「未央ちゃん、いう前から自分で笑ってますよ」

未央「だ、だって、美嘉ねえったら……って、あれ、プロデューサー?」

卯月「おはようございます、プロデューサーさん」

未央「おっはよ〜! プロデューサー!」

P「……!」

卯月「どうしたんですか、血相変えて……」

未央「これこれ、廊下は走らないって学校で習わなかったかな、プロデューサーくん?」

P(また知らない……)

卯月「プロデューサーさん?」

凛「卯月! 未央! プロデューサーを捕まえて!」

卯月「凛ちゃん?」

未央「捕まえ……? あ」

凛「プロデューサー待って!」
22 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:36:56.52 ID:jb5TYrq40
P「はぁ……はぁ……」

P(取り敢えず、外に出た……)

P(大きなビルだ。うちの事務所が入っている雑居ビルとは比べものにならない)

P(『シンデレラガールズプロダクション』……。
  初めて聞くな。芸能プロダクションなのか?)

P(いや、それよりも携帯のGPS……現在地は……)

P(よし、765プロからそう遠くない。タクシーかなにか捕まえて……)



………
……
23 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:39:21.32 ID:jb5TYrq40
P「着いた……」

P「……」

P(あれ、うちの事務所が入ってる3階の窓の『765』の文字が消えている……?)

P(……考えるのは後だ。取り敢えず事務所の中へ)

 タッタッタッタッ……

P(入り口の社名まで消えている。どうして……)ガチャッ

P「あ、あれ? 開かない?」ガチャ ガチャ

P(合鍵は……今は持ってない)

P「誰か! 誰かいないか!」ドン ドン

P「律子! 音無さん! 社長! 春香!」


 ――――


P「くそっ」ドンッ!

P(誰もいないのか? まるで人の気配がない……)

P「…………」

P「たるき亭……!」
24 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:40:57.15 ID:jb5TYrq40
 タッタッタッタッ…… ガラッ

P「あの、すみません!」

小川「あら、お客さんですか。まだ開店時間では……」

P「小川さん、うちの事務所、今誰もいないみたいなんですけど、
  なにか俺宛に言伝とか預かってませんか」

小川「……」

小川「失礼ですが、どちらさまでしょうか。どうして私の名前を……」

P「え……」

P「俺ですよ! ほら、3階の! 765プロのプロデューサーの……!」

小川「ナムコプロ?」

P「お昼時にはよく音無さんと一緒に食べに来てるじゃないですか!」

小川「んー……、覚えがないなぁ」

小川「常連さんの顔は覚えてるはずなんですけど……、
   そのオトナシさんという方は男性ですか、女性ですか」

P「……」

小川「それに3階はもう何年も前から空き屋のはずですけど」

P「あ、空き屋?」

小川「はい。でしたら、部屋を開けて確かめてみますか。
   店長から3階の合鍵借りてきますけど、どうします?」
25 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:42:56.49 ID:jb5TYrq40
 カチッ ガチャッ

小川「どうぞ」

P「……な、なんだ、これ……」

P(空っぽだ)

P(俺のデスクも、スケジュールが書かれているホワイトボードも、
  アイドルたちがいつも座っているソファーも、雪歩の愛用の急須も、
  なにもかもがなくなっている……)

P(765プロが、なくなって……)



凛『ナムコプロ? 知らない……』



ちひろ『私もナムコプロなんて初耳です』



小川「あの、大丈夫ですか。顔真っ青ですけど……」

P「う、嘘だ……」フラッ

小川「あ、ちょっと! どこ行くんですか!」
26 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:44:52.61 ID:jb5TYrq40
 タッタッタッタッ……

P「はぁ、はぁ!」

P(嘘だ……嘘だ……!)

P「あの、すみません!」

 「はい?」

P「765プロという芸能プロダクションを知りませんか!?」

 「……さあ、知りませんけど」

P「秋月律子というアイドルに覚えは!?」

 「いいえ……」

P「じ、じゃあ、菊地真は!?」

P「萩原雪歩は!?」

P「高槻やよいは!?」

P「水瀬伊織は!?」

P「双海真美、亜美は!?」

P「三浦あずさは!?」

P「我那覇響は!?」

P「四条貴音は!!? 本当は知ってるんでしょ!!!」

 「し、知りませんってば! もうやめてください!」ドンッ

P「……っ」

 「なんなのあの人、気持ち悪い……」

 「関わらない方がいいよ」

 「頭イッちゃってんじゃないの」

P「…………」

P(どうして、どうして誰も765プロを知らない?)

P(みんなどこへ消えてしまったんだ。春香は? 千早は? 美希は?)

P「……は、はは、は、は……」

P(もう、なにがなんだかわからない。俺は夢でも見ているのか?)

P(夢なら覚めてくれ。こんな、こんな……)フラフラ

 ――バタッ

 「きゃー!」

 「人が倒れたぞ!」

 「おい君、大丈夫か!? 誰か、救急車!」
27 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:45:47.71 ID:jb5TYrq40
志希「ふっふ〜、いい薬品……もとい、いい香水の材料が手に入っちゃった! 
   早くガレージに戻って調合せねば……くふふ」
 
志希「んんっ? 前方に人混みゴミゴミ発見」

志希「……にゃはっ」

志希「はーい、ちょーっと失礼ー。どいてどいてー、ちょいちょい、ごめんねっと」

志希「なにかな、なにかなー。みんな、なににキョーミ深々なのかなー?」




志希「…………え」



………
……
28 : ◆nx90flyJCa6p [sage]:2020/10/20(火) 00:46:34.80 ID:jb5TYrq40
続き多分昼頃投稿
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/20(火) 08:20:10.27 ID:NDphlVnbO
おつ
続き気になるね
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/10/20(火) 09:17:59.32 ID:zYOs4Xd/0
おつ期待
31 : ◆f.u4U0IDAPaX [sage]:2020/10/20(火) 12:05:20.13 ID:sMbggPpm0
美嘉「プロデューサーが行方不明?」

卯月「はい、事務所を飛び出したきり連絡が取れなくて……」

莉嘉「Pくんのケータイは?」

未央「駄目。全然繋がらない」

アナスタシア「どうしたんでしょう、プロデューサー。とても心配です」

蘭子「我が友よ……」

楓「その、プロデューサーが凛ちゃんを覚えてないってどういう……」

凛「私にもよくわからない。プロデューサーすごく混乱してて、
  私のこともちひろさんのことも誰なのかわからないって」

愛梨「プロデューサーさんがそういったの?」

凛「うん……」

未央「私としまむーのことも困ったような顔で見てたよ。
   まるで初対面の人を見るような……」

美嘉「演技とかじゃなくて?」

凛「とてもそうは思えない。
  真に迫るものがあったというか、あんな怯えてるプロデューサー初めて見た」
32 : ◆f.u4U0IDAPaX [sage]:2020/10/20(火) 12:08:37.66 ID:sMbggPpm0
杏「ねえ、それって記憶喪失ってやつじゃない?」

卯月「記憶喪失? まさか……」

愛梨「記憶喪失って突発的になるものなの?」

杏「杏だって詳しくは知らないけど、凛ちゃんや未央の話を聞くに、
  記憶喪失の症状と似てるんじゃないの」

アナスタシア「確かに……」

杏「プロデューサー、一人事務所に残って徹夜してたんでしょ。
  その時にプロデューサーの身になにかあったんじゃ……」

莉嘉「Pくんの頭にでっかいたんこぶとかあった?」

未央「うーん、怪我とかは特にしてなかったと思うけど……」

まゆ「……」スッ

楓「まゆちゃん、どこへ行くの」

まゆ「プロデューサーさんを捜しに行きます」

美嘉「捜しに行くって、まゆちゃん、これから撮影があるんでしょ」

まゆ「そんなのどうだっていいわ。
   まゆにとってプロデューサーさん以上に優先すべきことなんて
   なに一つとしてないもの」

卯月「だ、駄目ですよそんな、お仕事にはちゃんといかないと……」

愛梨「どこか捜す当てでもあるの?」

まゆ「それは……ありませんけど」

美嘉「プロデューサーが心配なのはわかるけどさ、
   まゆちゃんが仕事にいかないと
   結果的にプロデューサーに迷惑かけることになるんじゃないの。
   それはまゆちゃんの本望じゃないでしょ」

まゆ「……でも、プロデューサーさんの身にもしものことがあったらまゆは……」

楓「事務所の人たちが総出でプロデューサーを捜してくれているのだし、すぐに見つかるわよ。
  大丈夫、私たちはいつも通り仕事をこなしましょう。
  プロデューサーもきっとそれを望んでいるはず」
33 : ◆f.u4U0IDAPaX [sage]:2020/10/20(火) 12:11:23.48 ID:sMbggPpm0
凛「ねえ、ナムコプロって聞いたことある?」

未央「ナムコプロ? なにそれ」

アナスタシア「ニェート、聞いたことないです。どこかの芸能プロダクションですか」

凛「プロデューサーがいってたの。ナムコプロに連絡させてほしいって」

愛梨「ナムコプロ……」

蘭子「そのような組織、我が記憶には存在しない……」

未央「うちと同じアイドルがいる事務所なのかな」

凛「多分。プロデューサー、女の子の名前を口にしてたし」

まゆ「……女?」

凛「リツコにマミ、アミ。それから……ハル…カ? だっけ」

卯月「その子たちがそのナムコプロ? というところのアイドルなんでしょうか」

莉嘉「じゃあ、Pくんはそのナムコプロってところに向かったってこと?」

まゆ「すぐにそこの住所を調べましょう! まゆが迎えに――」

凛「なかった」

杏「なかったって?」

凛「さっき、ネットで検索してみたけど、ナムコプロなんて一つも引っかからなかった」

美嘉「それってどういう……」
34 : ◆f.u4U0IDAPaX [sage]:2020/10/20(火) 12:13:35.54 ID:sMbggPpm0
 ガチャッ

幸子「おはようございまーす! カワイイボクがカワイく出社しましたよ!」

幸子「おや、みなさん、朝から神妙な顔をされてどうしたんですか。
   それにプロデューサーさんの姿が見えませんね。
   今日はプロデューサーさんが仕事に同伴してくれるから
   楽し……みになんかしていませんけどね!」


ちひろ「みんな、プロデューサーさんが見つかったそうよ!」


卯月「本当ですか!?」

幸子「え?」

ちひろ「たった今、志希ちゃんから連絡があったの。
    プロデューサーさんが道端で倒れていたところに偶然居合わせたらしくて、
    さっき病院に搬送されたって」

愛梨「倒れてた!?」

まゆ「どういうことですか!」

幸子「え? え?」

ちひろ「詳しいことはわからない。私はこれから社長と一緒に病院へ行って
    プロデューサーさんの容態を確認してくるわ」

まゆ「まゆも連れていってください!」

凛「私も行く」

莉嘉「アタシも行きたい!」

蘭子「わ、私もっ」

ちひろ「駄目よ。アイドルが大勢で病院に駆けつけるなんて、
    そんなことマスコミに嗅ぎ付けられでもしたら面倒なことになり兼ねない」

ちひろ「みんなはいつも通り仕事に行くこと、いいわね?」

 ガチャッ バタン……

まゆ「待つことしかできないなんて……!」

凛「……」

幸子「ちょっと、え? なにがあったんですか!? ボクだけ置いてけぼりなんですけど!!」



………
……
35 : ◆f.u4U0IDAPaX [sage]:2020/10/20(火) 12:16:47.09 ID:sMbggPpm0
 ガチャッ

志希「お疲れー」

美嘉「志希ちゃん!」

まゆ「志希さん、プロデューサーさんは大丈夫ですか!? ご容態は!?」

志希「ああ、うん。ただの貧血だって。倒れた拍子に軽い打撲と擦り傷を負った程度」

卯月「そ、そうですか。よかったぁ、大事なことにならなくて……」

志希「……」

アナスタシア「志希? どうしました」

志希「……それはあたしが聞きたい。プロデューサー、一体どうしちゃったの」

志希「あたしのこと、誰だかわからないって」

未央「それって……」

凛「……」

志希「最初、なにかの冗談かと思ったけど、会話がまるで噛み合わないし、
   プロデューサー、今にも泣き出しそうな顔をして――」



P『もうやめてくれ。俺は君のことなんて本当に知らないんだ。頼むから、もう……』



志希「――って、いわれちゃった」
36 : ◆f.u4U0IDAPaX [sage]:2020/10/20(火) 12:18:59.34 ID:sMbggPpm0
志希「いやはやぁ、
   プロデューサーから拒絶されることがこんなにもきっついとはねぇ」

蘭子「……」

志希「ちひろさんから聞いたけど朝からこんな調子だったって?
   もしかして記憶障害ってやつ? だとしたらなにが原因?」

凛「わからない。わからないけど一つ、プロデューサーが気になることをいってて」

志希「気になること?」

凛「ナムコプロって聞いたことある?」

志希「ナムコプロ? なにそれ、どっかの芸能プロダクション?」

凛「だと思う。けど、調べてみてもそんなプロダクションどこにも載ってなくて」

莉嘉「でも、Pくんいってたんだって。ナムコプロに連絡させてくれーって」

志希「……ふーん、ナムコプロ……」

未央「プロデューサーが倒れてた場所近くにそんな事務所はなかったの?」

志希「……さあ、居酒屋ならあったけど」
37 : ◆f.u4U0IDAPaX [sage]:2020/10/20(火) 12:21:00.93 ID:sMbggPpm0
楓「プロデューサーはまだ病院に?」

志希「うん、このまま検査入院するって」

幸子「え……」

志希「なので、しばらくは別のプロデューサーの元で仕事をすることになるから、
   各自そのつもりで」

幸子「えっ!」

志希「以上、ちひろさんからの伝言でしたー」

志希「ってことで、あたしは帰る。今日はもう色々ありすぎてにゃにがにゃんだか……」フラフラ

 ガチャッ バタン……

楓「志希ちゃん大丈夫かしら」

卯月「プロデューサーさんにいわれたこと、相当ショックだったんでしょうか」

愛梨「私も同じことをいわれたら立ち直れないかもしれない……」

美嘉「凛は大丈夫?」

凛「大……丈夫でもないかな。私も結構くるものがあった」

莉嘉「Pくん、本当に記憶失くしちゃったの?」

美嘉「わかんない……でも」

杏「凛ちゃんや志希ちゃんのことがわからないってことは、
  杏たちのことも多分……」

まゆ「……」

愛梨「これからどうなっちゃうのかな。私たちも、プロデューサーさんも……」

蘭子「まるで悪夢を見ているよう……」

アナスタシア「夢……。これが夢だとしたら、一体誰の夢なんでしょうか。
       アーニャたち? それとも……」

凛「……」



――――――――――――
――――――――
――――
――
38 : ◆f.u4U0IDAPaX [sage]:2020/10/20(火) 12:23:31.20 ID:sMbggPpm0
卯月「過度なストレスによる記憶の改ざん?」

ちひろ「ええ。主治医の先生がおっしゃるには一種の現実逃避だそうよ。
    現実と空想を入れ替えることでストレスから自分を守ろうとしているって」

ちひろ「プロデューサーさんの場合、架空のプロダクションを作り上げて
    そこで働いていると記憶をすり替えてしまっているの」

未央「架空のプロダクションって……、
   つまり、ナムコプロはプロデューサーの妄想だったってこと?」

楓「それじゃあ検索してもどこにも引っかからないわけね」

志希「……」

美嘉「ち、ちょっと待ってよ! 過度なストレスって……、
   プロデューサー、この仕事がそんなにも辛かったってこと?」

ちひろ「今となってはわからないわ。
    あんな状態のプロデューサーさんから聞き出すなんて到底不可能だもの」

アナスタシア「この事務所で10人以上のアイドルを担当しているのは
       私たちのプロデューサーだけです。
       13人ものアイドルを同時にプロデュースするのは
       とても大きなプレッシャーだったのかもしれません」

ちひろ「社長も反省されてたわ。彼一人に背負わせ過ぎたって」

卯月「そういえば、プロデューサーさんが弱音を吐いたり、
   辛そうにしてる素振りって一度も見たことない……」

未央「馬鹿だよプロデューサー! いっつも私たちの心配ばかりするくせに、
   自分がおかしくなってちゃ世話ないじゃん……」

幸子「プロデューサーさん、どうしてなにもいってくれなかったんでしょう。
   ボク、プロデューサーさんとは強い絆で結ばれてるってずっと思ってたのに、
   それってボクの勝手な思い込みだったんでしょうか……」

莉嘉「もしかしてPくん、アタシたちのこと嫌いだったのかな……」

まゆ「そんなこと!」

美嘉「ないって、今じゃ自信持っていいきれないよね」

まゆ「……」
39 : ◆f.u4U0IDAPaX [sage]:2020/10/20(火) 12:25:05.03 ID:sMbggPpm0
杏「……私のせいかな」

楓「杏ちゃん?」

杏「だって、この中でプロデューサーに一番迷惑かけてるの私だし、
  いっつも面倒くさい、働きたくないって駄々こねて、
  その都度プロデューサーを困らせて……」

杏「私のせいで、プロデューサーが……」ジワッ

楓「泣かないで杏ちゃん。杏ちゃんのせいじゃないわよ」

愛梨「そうだよ。杏ちゃん口ではいってもお仕事は人一倍頑張ってるじゃない」

蘭子「……わ、私も」

蘭子「私も痛いこととか意味不明なことばかりいってるから、
   プロデューサー、きっとそれが苦痛になって……!」

未央(い、痛いって自覚あったんだ……)
40 : ◆f.u4U0IDAPaX [sage]:2020/10/20(火) 12:27:23.06 ID:zqLOwnlh0
凛「違うって。二人のせいなんかじゃないよ」

杏「で、でも……!」

凛「ちひろさん、治療法は、プロデューサーの記憶を元に戻す方法はあるの?」

ちひろ「残念だけど、確実な治療法はないそうよ」

まゆ「そんな……」

凛「確実でなくても方法はあるんでしょ。それを教えて」

ちひろ「変わる前の記憶と同じ経験をさせることだと先生はおっしゃっていたわ。
    繰り返し同じ経験をさせ、繰り返し語りかけることで記憶を再統合させると」

楓「変わる前の記憶……私たちのプロデュース……?」

莉嘉「じゃあ、また一緒にお仕事すればいいってこと?
   ちょー簡単じゃん! きっとPくん、アタシたちのことすぐに思い出すよ!」

ちひろ「でも、それにはまず、現実を受け入れるだけの
    安定した精神状態を取り戻すことがなによりも大事なの」

ちひろ「だからもうしばらくの間、プロデューサーさんは休職させることになったわ」

アナスタシア「プロデューサーは今どちらに? まだ病院ですか」

ちひろ「今はもう自宅に戻られてるわ。どのみち長期休暇は避けられないし、
    普通に生活する分には支障ないから、自宅療養の方が本人も安心できるだろうって」

未央「でも、プロデューサーって一人暮らしでしょ。大丈夫なの? その、一人にして……」

ちひろ「心配ないわ。田舎の方からプロデューサーさんのお母さまが来てくださっているの」

まゆ「あのっ、プロデューサーさんのためにまゆにできることはありますか」

ちひろ「今はそっとしておいてあげて。
    なにもしないことが、一番プロデューサーさんのためになるの。
    復帰の目処が立つまでは接触や連絡は控えるようにしてね」

まゆ「……わかりました」

美嘉(復帰の目処……)

美嘉(もし、プロデューサーのストレスの原因がアタシたちにあるとしたら、
   記憶が戻ったその時、プロデューサーはアタシたちのプロデューサーとして復帰してくれるの?)

美嘉(それとも……)



……………………
………………
…………
……
41 : ◆f.u4U0IDAPaX [sage]:2020/10/20(火) 12:29:55.91 ID:zqLOwnlh0
P「確か、この近くに……」

P(……あった! 『天海』!)

 ピンポーン

 『はーい、どちらさまですかー』

P「私、765プロダクションの者ですが、春香さんはご在宅でしょうか」

 『ハルカ、ですか。うちにそのような名前の者はいませんけど……』

P「……」

P「そうですか。突然にすみませんでした、失礼します」



P(最後の望みも潰えたな……)

P(ここも同じ、天海家から春香という人間が消えている……)

P(残る訪問先は貴音の家だけだが、俺は貴音の現住所を知らない。
  トップシークレットだからと彼女は教えてくれなかった)

P(こんなことになるなら無理にでも聞き出せばよかった)

P(あいつなら俺の前にひょっこり現れて、
  この現状を打破してくれそうな気がするんだけどな)

P(貴音、俺は本当に面妖な事態に陥ってしまったよ)



………
……
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