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勇者「魔王は一体どこにいる?」続編
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771 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/03(火) 00:56:32.93 ID:V1qeujs60
『1時間後』
商人「はぁ…はぁ…ホムンクルス!?大丈夫?」
ホムンクルス「…」クター
商人「僕はもう限界だ…」
ホムンクルス「ぁ…」ハァハァ
商人「気が付いた?」
ホムンクルス「…10秒間の記憶喪失が確認されました…ドーパミン放出が一定量を超えると他機能への神経伝達が途切れる様です」
商人「よかった…7回目でやっと…君は良く平気で話が出来るね?」
ホムンクルス「生体の興奮状態が収まりません…正常値に戻るまで30分程要する様です」ハァ
商人「服を着ようか?立てる?」
ホムンクルス「いいえ…力が入りませんのでそのままにして下さい」プルプル
商人「じゃぁ僕が着させてあげるよ…」スルスル
ホムンクルス「あなたの行動一つ一つでドーパミン分泌量が変化します…これが恐らく愛の部分です」
商人「超高度AIが判断してる訳じゃ無いんだ…」
ホムンクルス「分かった事があります…ドーパミン分泌量は脳が記憶しますが分泌量は積み重なります」
商人「積み重なる?」
ホムンクルス「はい…愛は膨らむという表現が良いでしょうか?」
商人「あぁ…なんか分かるよ…どんどん君を好きになる」
ホムンクルス「性交渉を毎日続けましょう…愛がどのくらい積み重なるのか観測します」
商人「なんかすごく幸せな気持ちになるなぁ」
ホムンクルス「お分かり頂けますか?性感による快楽を超える量のドーパミン放出が期待できます」
商人「なるほどね…麻薬依存を治療するのには愛が効果的かも知れないいう事か」
ホムンクルス「はい…まだ可能性が期待できるという段階ですので明日からもよろしくお願いします」
商人「なんか恥ずかしいなぁ…」
ホムンクルス「どう言えば良いでしょう?」
商人「んー寄り添ってくれるだけで良いかな」
ホムンクルス「はい…」ピト
772 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/03(火) 00:57:14.31 ID:V1qeujs60
『夜_中央広場』
メラ パチ
盗賊「篝火を増やしてくれい!!俺らも行くぞ…ローグ来い!!」
ローグ「アイサー」
盗賊「外郭側の方は厳しそうだな?撤退戦になりそうか?」
ローグ「アサシンさんが近衛連れて応援に行ったでやんす」
盗賊「ゴブリンはどれぐらい来てるか聞いたか?」
ローグ「5匹ぐらいらしいっす」
盗賊「それなら何とかなるな…しかし外郭も少し直さんと魔物が入って来ちまうな」
女戦士「盗賊!居るか!?」
盗賊「おう!!どうした?」
女戦士「海側からラットマンが進入しているらしい…貧民街の守備に行くぞ」
盗賊「マジか…あっちは民兵が居ねぇ」
女戦士「商人と魔女が押さえているとの事だ…急ぐぞ」タッタッタ
盗賊「ローグはバリケードを守ってろ」タッタッタ
ローグ「忙しいっすねぇ…」
773 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/03(火) 00:57:41.06 ID:V1qeujs60
『貧民街』
グルルル
商人「こっちだ!!」ダダダ ブン グサ
魔女「火炎魔法!」ゴゥ メラ
商人「なんだ?このラットマン…武器持ってるじゃないか!」
魔女「祖奴はコボルドじゃ…商人!避けよ!!」
コボルド「ガウルルル」ブン ザク
商人「あぅ…つつつ」
魔女「罠魔法!!」ザワザワ シュルリ
女戦士「商人!!引け!!」ダダダ ザクリ
盗賊「何匹居る!?」
魔女「2匹じゃ…もう一匹は船の方に行ってしもうた」
盗賊「女戦士!ここは任せる…俺は船に行く」ダダ
女戦士「商人…見て置け…こういう硬い魔物を相手にする時は急所を狙うのだ」ブン スパーーー
コボルド「ガァァァァ…」ドタリ
魔女「商人!回復魔法をするで近こう寄れ」
商人「大丈夫!金属糸の装備のお陰で軽傷さ」
魔女「回復魔法!」ボワー
女戦士「商人!お前は心臓が悪いと聞いて居る…出血は避けろ」
商人「わかってる…でも僕のクロスボウだと魔女が狙われてしまうと思った」
魔女「他に魔物が来て居らんか警戒するのじゃ」
商人「そうだね…船を狙うという事は食べ物狙いかな?」
女戦士「ふむ…こちらにも民兵を配置せねばならんか…」
魔女「この程度ならまだ良いが…夜が眠れんのぅ」
774 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/03(火) 00:58:22.94 ID:V1qeujs60
『翌日』
盗賊「あぁぁぁ結局一睡も出来んかった…ローグ!日課の樹液回収行くぞ…」
ローグ「へーぃ…」グター
盗賊「ゴブリンとコボルドが持ってた質の悪い武器…ここ置いとくぜ?」
女戦士「無いよりはマシだ…民兵に使わせる」
アサシン「あと2日の辛抱だ…下水が城と繋がる」
女戦士「精鋭兵が出て来れるのだな?」
アサシン「うむ…そしてラットマンリーダーを倒して戦況を覆す」
女戦士「上手く行くと信じて良いのだな?」
アサシン「エルフゾンビの戦いぶりを見たことが無いだろう?」
女戦士「ほう?やり手なのだな?」
アサシン「奴は一応ハーフエルフなのだ…剣士や女エルフ並みの戦闘力はある」
女戦士「私の出る幕は無いかハハ」
アサシン「タンク役としてはお前の方が上だな?エルフはアタッカー向きなのだ」
女戦士「速さか…」
アサシン「お前にはバリケードの守備を任せる…エルフゾンビを先頭に私と盗賊…ローグでラットマンリーダーを殲滅する」
女戦士「なるほど…エルフゾンビにタゲを集めてバックスタブ狙いか」
アサシン「そうだ全員アタッカーだ」
女戦士「魔女は使わんのか?」
アサシン「魔女は撃たれ弱すぎて足手まといになるな…守備の要として動いてもらった方が良い」
女戦士「回復役が居ないのは少し心配だが…」
アサシン「私とエルフゾンビは不死者だ…回復なぞ要らん…盗賊とローグはなんだかんだでしぶとい」
女戦士「ハハ間違いない…妹にこき使われていたからな」
アサシン「お前にもなクックック」
----------------
775 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/03(火) 00:58:52.55 ID:V1qeujs60
商人「アサシン居るかな?」
アサシン「ん?商人か…どうした?」グビ
商人「またワイン飲んでるのか」
アサシン「喉が渇くのだ…それで何か用か?」
商人「うん…貧民街の方で女達数人が慰安所で働きたいと言う人が出てるらしいんだ」
アサシン「そうか…貧民街でも出てるのか」
商人「でも?…って他にも?」
アサシン「フィン・イッシュ軍船でもそういう話が出ているのだ…うーむ」
商人「自分たちで志願してるんだったら良いじゃないかな?」
アサシン「実は女王が先駆けて慰安所の事を言っていたのだが私が止めてな…男達の間でもめ事が起きるのだ」
商人「士気に関わるのか…だったら数か所設置して勤務地を頻繁に変えるとかは?」
アサシン「うーむ…私は堅物なのか?女王に言われたが…」
商人「ハハハまぁ…そうかもしれないね?」
アサシン「女戦士!どう思う?」
女戦士「私にそれを言わせるのか?好きにすれば良いフン!」
アサシン「こんな時に頭が痛い…わかった女王ともう一度話をして来る」
商人「貴族居住区に戻られるよりは良いよね?もう話を伝えて来ても良い?」
アサシン「女達は戻りたいと言って居るのか?」
商人「戻ると言うか出て行くって言ってるらしいよ…行き先なんか貴族居住区しかないよね」
アサシン「分かった…ひとまず中央のテントに案内しろ」
商人「うん伝えて来るよ」タッタッタ
アサシン「…むぅ…これでは貴族院とやって居る事は変わらん…」
女戦士「私も否定派だが…慰安所の必要性は理解している」
アサシン「女王の船に行って来る」スック
776 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/03(火) 00:59:26.99 ID:V1qeujs60
『中央テント』
ガヤガヤ
盗賊「なんでこんなに民兵集まってんのよ?何か作戦やるんか?」
商人「あー見つけた!!これ1枚づつ」
ローグ「何でやんすか?このコイン…おもちゃのコインっすね?」
商人「フィン・イッシュから給金の代わりなんだって…毎日1枚づつ貰えるってさ」
盗賊「何に使うんだ?こんなもん?」
商人「フィン・イッシュの軍船に貨物が沢山あるんだって…それ貯めて交換できるらしいよ」
盗賊「ほーーー金の代わりか…何と交換できるか聞いたか?」
商人「いろいろあるらしいよ?くじ引きで家とか船とか貰えるってさ」
盗賊「マジか!!」
ローグ「これ奪い合いが始まり出しやせんかね?」
商人「くじ引くのに?」
盗賊「なるほど…金と違うのはくじ引きっていう点か…面白いな」
商人「これ誰が得するんだろうね?フィン・イッシュは全然得しないよね?」
盗賊「民兵動かして金払わないで済むなら安いんじゃ無ぇか?」
商人「それとは別らしいよ…救出された女の人たちにも配ってるし政策が謎w」
ローグ「交換できる物次第っすねぇ…なんか夢がありやすね?」
商人「ふむ…士気を上げてるのかな?」
盗賊「まぁ人が集まってるぐらいだから何かの効果はありそうだな」
商人「でもこういうのがあると交流が増えて良いね…さっそく賭け事やってるし」
ガヤガヤ ガヤガヤ
おい!奥に秘密のテントってのが出来るらしい
なんだそれ?
中に何人も女が居るんだってよ
見えるのか?
ガヤガヤ ガヤガヤ
商人「なるほどねぇ…」
盗賊「お前なにか知ってそうだな…何だよ!?」
商人「あまり関わらない方が良いかな」
盗賊「勿体付けんなって…秘密のテントって何だ?」
商人「多分慰安所さ…行った事バレると情報屋が口聞いてくれなくなるよ?」
盗賊「覗くだけは良いだろ」
ローグ「盗賊さん…まずいっす…かしらがジロジロ見てるでやんす」
盗賊「うぉ!!そらヤベぇ…おい商人!!整地しに行くぞ」
商人「整地!?僕が?ダメダメ…僕は船に帰らなきゃ…ホムンクルスが待ってる」
盗賊「ローグ!!整地に行くぞ!!見つかるとタダじゃ済まねぇ…」
777 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/03(火) 01:00:07.14 ID:V1qeujs60
『外郭』
ガッサ ガッサ
盗賊「うぉらぁぁぁ」ガッサ
ローグ「ひぃひぃ…」ガッサ
盗賊「よし…これで魔物の侵入が一方向に絞られる…はぁはぁ」
ローグ「あっしら損な役回りっすねぇ…」
盗賊「まぁ言うな…女戦士に死ぬほど使われるよしかマシだ」
女戦士「…呼んだか?」ピーン パチ
盗賊「うぉ!!いつからそこに居んだよ…壁に耳あり障子になんとかだ」
女戦士「ふむ…雪の壁か」ピーン パチ
ローグ「かしらもコイン貰ったんすね?」
女戦士「使い道が無くて困っている…居るか?」ポイ
ローグ「あああああ」パス
盗賊「雪ん中入っちまうじゃ無ぇか!!」
女戦士「私は家も船も要らんものでな」
盗賊「ヌハハそらお前は姫だもんな…欲しい物なんか無いか」
女戦士「姫と言うのはヤメロ…気持ちが悪い」
盗賊「ここの整地は終わったから俺はちと休む…軽くひと眠りしてくる」
女戦士「そうだな…少し寝て来い…休めるのは昼間のうちだけだからな」
ローグ「あっしも行くっす」
女戦士「ローグは私と一緒に来い」
ローグ「え…あっしは何かしたでやんすかね?」
女戦士「私も疲れているのだ…マッサージをしろ」
ローグ「おぉ!?久しぶりでやんすね?」
女戦士「元気が出たか?」
ローグ「いつものマッサージで良いでやんすね?」
女戦士「念入りにな?」
ローグ「ひゃっほーい!!あっしはいつまでもかしらに付いて行くでやんす…さっそく行きやしょう!!」
778 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/03(火) 01:01:05.80 ID:V1qeujs60
『名も無き島』
海賊王「次はこの木剣や…打ち込んで来い」
剣士「はい…いざ」
海賊王「早う来い!!」ググ
剣士「…」シュン カコン
海賊王「んんん…この木剣もダメやな」
女海賊「もう何本目?もう良いじゃん!!」
海賊王「アカン!剣筋に合う重さやないとワイは納得せん…ワイがこさえるオリハルコンの剣を伝説の武器にする為や」
女海賊「エクスカリバーと同じで良いって言ってんじゃん」
海賊王「それを超えなアカン…あとは使い手にどれだけ合ってるかなんや」
女海賊「剣士のその剣の構え方ってなんなのさ?前はそんな構えじゃなかったんだけど」
剣士「よく分からない…覚えて居ないんだ」
海賊王「古き時代の構えなんちゃうか?フィン・イッシュのサムライみたいやな」
女海賊「じゃぁ片刃にしたら?フィン・イッシュの剣は片刃だよ」
海賊王「お前がエクスカリバーみたいにせい言うたから両刃にしとったんやないか!」
女海賊「もうどっちでも良いよ!早くして」
海賊王「ほならこっちの木刀で打ち込んで来い」ポイ
剣士「はい…いざ」
海賊王「来いや!!」ググ
剣士「…」シュン バキッ
海賊王「お!?ええなぁ…わいの木剣が居れよった」
女海賊「ほんじゃそれで」
海賊王「アカン!ちと待て…鞘に入れてから抜いてみい…この鞘や」ポイ
剣士「鞘から居抜く?」
海賊王「そうや!!来い!!」ググ
女海賊「もう…どうでも良いじゃんそんなの…」
剣士「いざ…」シュン バキッ ゴン!
海賊王「あだっ!!」
剣士「あ…ごめん」
海賊王「連撃やな?見えんかったわ…これやな」
女海賊「もう良い?剣士と海行きたいんだけど…」
海賊王「アカン!ちと防具付けてくるわ…待っとれ」ドスドスドス
779 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/03(火) 01:01:47.26 ID:V1qeujs60
女海賊「呆れた…私が待ってんのにまだやるっての?」
剣士「なんかこうやってずっと立ち合いをやってた事がある気がする…誰だったのかな」
女海賊「そんなん良いから私を思い出してよ」
剣士「君はずっとそばに居た気がするよ」
女海賊「ムフ…分かってんじゃん」
剣士「匂いを嗅いでも良いかい?」
女海賊「良いよ…どこの匂いを嗅ぐの?アソコ?」
剣士「全部…」クンクン
女海賊「なんか気持ち悪いんだけど…犬みたい」
剣士「この匂い…なつかしい」
---そっか---
---あんたずっと目が見えてなかったね---
女海賊「なつかしいってどんくらい?」
剣士「分からない…ただ懐かしい」
女海賊「私さぁ…今満足した…あんたもう思い出さなくて良いよ」
剣士「え?」
女海賊「もっかい私と始めから付き合えば良い…そんだけ」
剣士「ハハ諦め早いね」
女海賊「なつかしいって覚えてくれてただけでなんか満足した…来て?」
剣士「ん?」
女海賊「…」チュ
剣士「え…」
女海賊「惚れた?」
剣士「いや…」
女海賊「いやじゃねぇ!!惚れたって言えよバカ」
剣士「君反応が面白いね」
女海賊「はぁ!?バカにしてんの?」
剣士「なんかこんな風にいつも話してた気がする」
女海賊「そうだよ!!」
780 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/03(火) 01:02:20.01 ID:V1qeujs60
海賊王「待たせたなぁ!!」ガチャガチャ
女海賊「ぶっ…フルプレートじゃん」
海賊王「次はなぁ…重さと重心が違う木刀で試す…連撃でも何でも良いから技を出すんや」
剣士「うん…体の動くままで良いかな?」
海賊王「自由に打ち込んでみぃ…次はこの木刀や」ポイ
剣士「はい…いざ」
海賊王「待て待て…鞘から居抜け…多分それがお前の型や」
剣士「ふぅ…いざ」シュン キンキンカン
海賊王「次はこれや…」ポイ
---すごく満たされた---
---ずっとこの関係で良い---
---寝よ…ぐぅ---
『翌日』
カンカンカンカン ジュゥ
カンカンカンカン ジュゥ
海賊王「よっしゃ!!出来たでぇぇぇ!!」
女海賊「んん?なんかくすんでるんだけど…」
海賊王「研ぎはお姉ぇにやらせろ…あいつの方が繊細なんや…ワイの手はデカ過ぎや」
女海賊「パパ細かいの得意じゃん」
海賊王「作るのは得意やが金属を愛でるのはお姉ぇの方が上手い…細工はお前が上手い」
女海賊「持ち手は私が作んの?」
海賊王「そや…飾り鞘もお前が作れ」
女海賊「材料ある?」
海賊王「鍛冶場の物は何でも使ってええぞ?ミスリル銀もあるやろ」
女海賊「あれ?2本あんの?」
海賊王「そうや?片刃にしたけぇ材料が半分で済んだんや…重さ800グラム…軽くてえー刀やで?」
女海賊「おーーー私の分もか!!ありがとうパパ!!」
海賊王「名前は…そうやなぁ…流星の剣と彗星の剣でどうや?」
女海賊「まぁどうでも良いかなー」
海賊王「おまえは彗星の様やと言われとるんやろ?お前が持つ方を彗星の剣にせい」
女海賊「わーったわーった」
海賊王「剣が出来上がったらワイへの態度がザツやなぁ」
女海賊「テヘ?ほんじゃ鍛冶場借りるねー」
781 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/03(火) 01:03:04.97 ID:V1qeujs60
『鍛冶場』
トンテンカン トンテンカン
女海賊「剣士!握ってみて」ポイ
剣士「うん…」パス ニギニギ
女海賊「あんたの刀は柄が長いんだね?両手用なんだ?」
海賊王「重さのバランスでそうなったんや…一応飾り鍔が付く思うてそれも計算しちょる」
女海賊「飾り鍔はミスリル銀で作ったけど良かった?」
海賊王「計算済みや…振ってみぃ」
剣士「…」スン スン
女海賊「なんか普通だね?」
海賊王「それでええ…余分な音も無い方がええ」
女海賊「柄の部分は滑り止めで少しだけミスリル銀の飾り柄にした…どう?すっぽ抜けない?」
剣士「油が付くと抜けそうだよ」
女海賊「おっけ!あとは紐で柄巻きしておく」
海賊王「鞘も作ったんか?」
女海賊「うん…刀の重さ変えたくなかったから鞘の方に細工したさ」
海賊王「得意のアダマンタイトかいな?」
女海賊「そそ…鯉口の部分がアダマンタイトの細工」
海賊王「なんやなーんも飾りっ気が無い鞘やなぁ…お前が作ったとは思えん」
女海賊「フフフフフフ…この刀はね…最終的には光の刀になる予定なのさ…フフフフフフフ」
海賊王「おぉ…光る刀を収めるとどっか光るんやな?ワイも見たいやないか!」
女海賊「鞘が朧に映す装飾…見たいでしょフフフフフフ」
海賊王「鞘を含めて伝説の刀か…ええな!!」
女海賊「剣士のは腰に射す流星…私のは背中に射す彗星フフフフフフ」
海賊王「なんやめっさ楽しみやな…銀河やな名前は銀河の剣にせい」
女海賊「おっけ!銀河の剣ね」
782 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/03(火) 01:03:48.33 ID:V1qeujs60
『飛空艇』
フワフワ
女海賊「未来乗って!!」
子供「うん!」シュタタ
海賊王「お前は本真にせっかちやなぁ…ゆっくりして行けばええのに」
女海賊「うっさいなぁ…お姉ぇに早く刀を仕上げて貰いたいのさ」
海賊王「まぁしゃーないか…ドワーフの血が騒ぐんやな?」
女海賊「お姉に何か持ってくんだったよね?何?」
海賊王「これや…」ドシ
女海賊「それパパの斧じゃ無かったの?」
海賊王「お姉ぇの特注品やな…ミスリル銀で作ったギガントアックスや」
女海賊「こんなでっかいのミスリル銀の無駄じゃん」
海賊王「ミスリル銀は素が軽いから好みの重さにしたらでっかくなったんや…お姉ぇはそれが良いらしいわ」
女海賊「盾替わりか…」
海賊王「あいつは何故かでっかい木の盾を好むやろ?ほんでもう片方の手でその斧を持つ気やな」
女海賊「盾二枚持ってんのと一緒だね」
海賊王「ここに乗せとくけぇお姉ぇに渡しとくんや…」ゴトリ
女海賊「ほんじゃパパ!行って来るね!バハハーイ」ノシノシ
フワリ シュゴーーーーーー
783 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:07:56.30 ID:Piv6Afm60
『貨物船』
ザブン ギシギシ
盗賊「ぐががががが…すぴーーー」
情報屋「荷室も追い出されたの?」
商人「しょうがないね子供たちの避難所になっちゃったし」
情報屋「テントよりも暖かいものね」
商人「僕も寝床探さないとなぁ…どうしよっかなぁ」
情報屋「中央のテントの方はどう?」
商人「あっちは騒がしくてさ…考え事が出来ないんだ」
情報屋「フフあなたいつも独り言してるけど…考えてるんだ?」
商人「まぁね?クセかな?」
情報屋「最近はどんな事を考えているのかな?少年」
商人「もう少年じゃないって」
情報屋「フフ冗談よ…剣持って戦う姿見て見直したわ?」
商人「少しは役に立たないとね」
情報屋「それで…考え事はなぁに?」
商人「時の王かな…僕の勘は結構当たるんだけどさ…時の王はキーマンだなと思ってさ」
情報屋「ふーん…どうしてそう思うの?魔女に何か聞いた?」
商人「1700年生きてるってさ…スゴイと思わない?そんな人がそこの城のすぐ向こう側に居るんだよ」
情報屋「そうね?私達には考えが及ばないのかなぁ…1700年なんて」
商人「ホムンクルスが言うにはさ人間の記憶は大体200年が限界なんだって」
情報屋「それ本当?」
商人「ホムンクルスも人間の脳だから同じなんだってさ…外部メモリが無いと200年以上前は思い出せないらしい」
情報屋「へぇ…だから精霊は200年づつの記憶を保存していたのね?」
商人「だろうね?でもさ…時の王は保存なんて出来ないじゃない?…だからどうしてるのかなってさ」
情報屋「魔女が時の王の屋敷の中に美術品が沢山あったと言って居たけれど…」
商人「うん…記憶をそういう風に保存してるんじゃないかな」
情報屋「え!?…待って?もしかすると古代遺跡から発掘される美術品もそういう可能性があるという事だわ…」
商人「そうだね…そういう事を考え出すとずーっと想像できちゃうんだ」
情報屋「あーダメダメ…私もあなたの独り言が移っちゃいそう…」
商人「ハハ君は救出された人達のお世話に忙しいからね」
情報屋「私もたまには休みが欲しいわ…」
-----------------
784 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:10:26.29 ID:Piv6Afm60
情報屋「盗賊!…盗賊!…起きて!!」ユサユサ
盗賊「んぁ?…んーだ情報屋か…いいぞ来いムニャ」
情報屋「…」パチン
盗賊「あだっ…んん?今何時だ?」キョロ
商人「…」ニマー
情報屋「アサシンの気球が帰って来るわ…ここに降りて来るわよ」
盗賊「マジか…早えぇな」
商人「もうすぐ夕方だよ…疲れてたみたいだね」
盗賊「おぉ寝過ごしたなこりゃ…ローグは何処行った?」
商人「女戦士と一緒に中央に居ると思う」
盗賊「俺も行かねぇとな…」
商人「アサシンとホムンクルスが帰って来るんだ…話を聞いてからにしたら?」
盗賊「まぁそうだな…ちっと腹が減ったな…何か無いか?」
情報屋「はい…支給されたパンとチーズ」
盗賊「おう十分だ!それとこの飲みかけのワインがありゃ俺は文句ねぇ」モグ グビ
フワフワ ドッスン
商人「おかえり!どうだった?」
アサシン「女王はご満悦だ…ホムンクルスと意見が合致している」
ホムンクルス「私のシミュレーション結果をお伝えしてきました」
盗賊「んん?何の話だ?」
ホムンクルス「麻薬依存に苦しむ女性たちの救い方について意見をしてきたのです」
盗賊「ほう?慰安所は無くなるんか?」
アサシン「アレは継続するらしい…その他に愛を醸成できる環境を沢山用意するそうだ」
盗賊「ほう?おもちゃのコインの他に何かやるんだな?」
商人「あれの効果はすごいと思うよ?コインだけでコミュニケーションが激増したんだ」
ホムンクルス「そうですね…フィン・イッシュ女王は民の欲求を良くご観察の様です」
アサシン「まぁ心配な施策ばかりなのだが…コインの影響を見せられては私は何も言えん」
ホムンクルス「ご心配なさらなくても良いかと思います」
盗賊「具体的に何やるんだ?」
785 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:11:10.26 ID:Piv6Afm60
アサシン「聞いて驚くな?女性が任意の男を一人一定期間奴隷に出来るチケットとか謎の施策が山ほどある」
盗賊「なぬ!?」
商人「ハハ何だそれ…」
盗賊「勝手に奴隷にされちゃたまらん」
アサシン「私もいつ奴隷にされるか分からん」
ホムンクルス「その逆もある様ですよ?」
盗賊「マジか…」
商人「なんかむちゃくちゃだね…でも面白そう」
ホムンクルス「そういう活性化と報酬を沢山用意するのです…結果的に愛を醸成します」
盗賊「資金は女王の身銭から出てんのか?そのうち破綻するんじゃ無ぇか?」
商人「僕から言わせるとその逆だね…民がフィン・イッシュに流れる…つまりお金で人を買ってる」
アサシン「国力増強か…うーむ…認めるしか無いな」
盗賊「民兵の異様な盛り上がりはソレか!謎の施策をみんな楽しんでんだな?」
ホムンクルス「女王は上手です…失敗して批判される前に次の施策をやる様です」
商人「失敗をみんな忘れちゃうんだハハ…最終的に少しでも良くなってれば良いのか」
---------------
アサシン「盗賊とローグは今晩早く船へ戻れ…明日の朝に作戦を実効する」
盗賊「おう!ローグに言っとくわ」
アサシン「城の精鋭兵は夜の内に少しづつ下水を通って海岸で待機する予定だ」
盗賊「あーそれで海岸にもテント張ってんのか」
アサシン「貴族居住区からは丁度死角になるのだ」
盗賊「民兵には秘密で動いてんだよな?」
アサシン「そうだ…感づかれない様に中央では普段通りにしていてくれ」
商人「僕も中央の方を見に行こうかな?」
盗賊「おう!一緒に行くか」
商人「コインの流通を見ておきたいんだ…僕はまだ3枚しか無いけど」
盗賊「銀のアクセサリーが流行ってるらしいぞ?コインで交換できるんだと…」
商人「へぇ…見たいな」
盗賊「じゃ行って来るわ」ノシ
ホムンクルス「お気をつけて…」ニコ
商人「うん…行って来る」ノシ
盗賊「んん?今のホムンクルスの表情見たか?いつも無表情だったのにな?」
商人「ハハ少し笑う様になったね」
盗賊「お前何か教えたのか?」
商人「まぁね…」
盗賊「もっと教えとけ!なかなか可愛い笑顔じゃねぇか」
商人「うん…毎日教えてるさ」
786 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:12:21.06 ID:Piv6Afm60
『中央バリケード前』
ガヤガヤ ガヤガヤ
ローグ「貧民街の方は危険なんで立ち入り禁止っす〜黒死病の治療は中央のテント行ってくだせぇ!!」
盗賊「ローグ!!悪りぃ…寝過ごしちまった」
商人「この人だかりは?」
ローグ「貴族居住区からすこーしづつ人が出て来てるでやんす…10人くらいっすかねぇ」
盗賊「民兵がゴブリンの装備付けてんな…恰好悪りぃヌハハ」
ローグ「かしらが洗って使えって言うでやんす」
盗賊「裸よりゃマシだがありゃ衛兵から誤射食らうぞ?」
ローグ「くちばしマスクが目印っすね…あのマスクは目立つでやんす」
商人「本当…変な格好だね?」
ローグ「本人たちは割と喜んでるんすよ…フィン・イッシュ女王はヘンテコな格好が好きだって評判なんす」
盗賊「あの嬢ちゃんがねぇぇ…変な趣味持ったもんだ」
商人「いろんなくちばしマスクがあるんだね」
ローグ「あれもコインで交換できるらしいっす」
盗賊「なんか効果あるんか?本当に病気防ぐのか?」
ローグ「今じゃおしゃれアイテムっすね…アレ被ってると顔が隠れるもんすから色々良い事あるらしいっす」
商人「なるほど…それもコミュニケーション向上になってるのか」
盗賊「鼻の長い天狗みたいなお面は?あれもか?」
ローグ「良い所に気が付きやしたね?アレは慰安所で使うお面らしいすわ…あの鼻を女のアソコに入れるそうですわ」
盗賊「被ったまんまか?」
ローグ「慰安所でコインと交換やってるっすよ?7枚っすね」
盗賊「俺は今3枚持ってる…お前のと合わせて7枚になるな?行ってこい」
ローグ「いやいやいや…あんなの付けてるとかしらに何されるか分かんないっすよ…遠慮するでやんす」
商人「ハハちょっとアレはマズいよね…いくらなんでも」
盗賊「何か他に良いもん無ぇのかよ!!」
女戦士「お前達!!こんな所で遊んでいないで外郭に向かえ!!」
盗賊「ぬぉ!又ゴブリン来てんのか?…てどうした?お前がスカートだと?」
女戦士「安心しろ金属糸のインナーは装備している…これは支給された衣服なのだ…似合わんか?」
ローグ「盗賊さん寝てて知らなかったみたいっすね?女性に衣服の支給があったんすよ」
商人「気付いてなかったのかい?ホムンクルスも着替えてたよ?」
女戦士「それはどうでも良い!盗賊とローグは外郭のゴブリンを追い払え!」
盗賊「へいへい…」
787 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:13:39.33 ID:Piv6Afm60
『外郭』
ギャーース ドタドタ
ローグ「ゴブリン引いて行くっすね?どうしやす?」
盗賊「こっちあぁ弓が無ぇ!追っても仕留め切らん…倒したゴブリンの装備剥ぎ取って一旦休憩する」
ローグ「アイサー」
盗賊「やっぱ雪の塹壕掘っといて正解だったわ…少人数でもなんとか凌げる」
ローグ「そーっすねぇ…スリングとの相性が良いでやんす」
盗賊「ところで女戦士の格好だが?あいつもおしゃれは気にすんのか?」
ローグ「かしらは隠れて色んな服を試してるでやんすよ」
盗賊「マジかよ…本当は乙女なのか!!」
ローグ「あっしは良くかしらのマッサージを頼まれるんですがね?マッサージの後は体が柔らかくなるんすよ」
盗賊「んん?意味が分からん」
ローグ「かしらは放って置くと筋肉が石みたいにカチカチに硬くなる体質なんす」
盗賊「戦士ならその方が良いだろ」
ローグ「洋服からムキムキの筋肉が見えるのが嫌なみたいすね…なんで鉄のローラーで全身柔らかくするんすよ」
盗賊「鉄のローラーだと?そんなもん転がしてマッサージすんのか?」
ローグ「ハンマーも使いやすね…硬くなってる所を解すんすよ…ほんで体が柔らかくなったらドレスとか着たりするんす」
盗賊「あいつもやっぱガチのドワーフか…」
ローグ「マッサージの時はかしらが全裸になるんすよ…あっしはそれが楽しみで生きているでやんす」
盗賊「ほーん…なぜか萌えん」
ローグ「かしらはあー見えてどМっす…鉄のハンマーでしごかれながら横になるんす…その間あっしは何しても許されるんすよ」
盗賊「あれでМとは…俺は聞かなかった事にしておく」
ローグ「内緒にしといて下せぇ…あと洋服褒めるとしばらく着たままになるんでよろしくっす」
盗賊「お…おう」タラリ
788 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:14:40.00 ID:Piv6Afm60
『中央バリケード前』
ガヤガヤ ガヤガヤ
盗賊「ゴブリンの装備剥ぎ取ってきたぜ?」
女戦士「追い払ったか?」
盗賊「あぁ…お前なんでスカート止めたんだ?さっきの恰好の方が良かっただろう」
女戦士「お前は驚いていたでは無いか…私は気に入って居たのだがな」
盗賊「俺のコインお前にやる…他にも買い揃えろ」チャリン
女戦士「フン!私に何を着れと言うのだ?」
盗賊「折角良い体してんだ…もっと見せつけろ勿体ねぇ」
女戦士「私の体は見世物では無い」
盗賊「腕とか足くらいは良いだろ…そうだな腕と足を出して代わりに銀のアクセサリーとかどうよ?」
女戦士「お前の趣味か?」
盗賊「まぁそうなるんか?お前に似合うと思って言ってんだ」
女戦士「この寒いのに肌を露出しろと言うか」
盗賊「だから映えるんだろうが…寒い分はその上に何か羽織れ」
女戦士「…考えておく」
盗賊「ふむ…良く見ると整った顔立ちしてんな…近寄り難いがなかなかイケる」
女戦士「…」スラーン
盗賊「待て待て待て…悪気は無ぇ!」
女戦士「油を売って居ないで篝火用の木材を運んでおけ!」
盗賊「へいへい…」
789 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:15:45.13 ID:Piv6Afm60
『貨物船』
回復用のエリクサーを2瓶づつ持て…
先方はエルフゾンビと私が行く
盗賊とローグはハイディングを上手く使ってバックスタブで仕留めろ
撤退はラットマンリーダーの殲滅後に下水を通って各自海岸に出る
今回は4人だけの隠密行動だ
目に付きにくい様にこの黒いローブを纏うのだ
この後気球に乗って城の上空に行く
鎮魂の鐘が鳴ったらそのまま投下する
目安は夜明け前
行くぞ
商人「ふぁ〜あ…気合入ってるね?」
情報屋「そうね?本気装備みたいよ?」
商人「盗賊とローグは背格好も一緒だし黒いローブだと見分けが付かないね…」
情報屋「こうして第三者視点で見てるとスゴイ人達なんだなって思うわ」
商人「うん…闇の一党だね」
情報屋「あなたも中央のバリケードの方に行かなくて良いの?」
商人「行くよ…僕はクロスボウ手の役だ」
情報屋「現時点の主砲ね?」
商人「まぁね?」
情報屋「私も貧民街の守備に行かないと」
商人「ホムンクルスも守ってあげて」
情報屋「あら?どうしたの?そんなこと言って」
商人「心配なんだホムンクルスが」
情報屋「フフ最近良くお話してるみたいだけど?」
商人「バレてた?僕ホムンクルスが好きなんだ」
情報屋「彼女に表情が出てきたのはそのせいね?」
商人「すこし笑顔が出るよね?」
情報屋「子供たちに人気があるのよ?」
商人「へ〜知らなかった」
情報屋「少年!がんばりたまえ!」
商人「ガク…」
790 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:16:25.96 ID:Piv6Afm60
『内郭の上』
リン ゴーーーーーン
アサシン「城壁に飛び乗れ!!」
エルフゾンビ「付いて来い…城壁のラットマンリーダーから殲滅する」ピョン
盗賊「俺らは個別でハイディングしながら行くぜ?」ピョン
ラットマンリーダー「ぐぇぇぇぇぇ」バタバタ
エルフゾンビ「首を切り落とす!!」ブン ザクリ ゴロン
アサシン「城壁で約10体…城周辺に約30体…続け!!」タッタッタ
エルフゾンビ「鐘楼はどうなっている?」
アサシン「精鋭兵が集まっている様だ…鳴らしているのはお前の兄か?」
エルフゾンビ「おそらく…」
アサシン「もうラットマンリーダーと戦闘しているでは無いか…どういう事だ?」
エルフゾンビ「想定外は付き物だ…援護に行くぞ」
アサシン「続けて鳴らせてもらわんと困るが…」
リン ゴーーーーーン
アサシン「よし!鐘は鳴らせているな?盗賊!ローグ!散開して良い…片っ端に始末しろ」
盗賊「おうよ!!」ダダ
ローグ「アイサー」ダダ
791 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:17:09.60 ID:Piv6Afm60
『中央バリケード』
リン ゴーーーーーン
商人「5回目の鐘…あと1回で朝の鐘は終わる…どう?見える?」
女戦士「内郭上のラットマンリーダーは全部倒した様だ…もうここからでは中の様子は見れん」
商人「望遠鏡を貸して…」
魔女「わらわがアサシンの目を見て居るぞよ?」
女戦士「中はどうなっている?」
魔女「ラットマンリーダーに多少抵抗されておるが盗賊とローグが活躍中じゃな…背後から首を狩りよる」
リン ゴーーーーーン
商人「6回目…ここまでがいつも通り」
女戦士「この後鐘が続くようであれば察知する者がでるやもしれん」
魔女「今の所20体位倒したかのぅ…まだもう20体程居るのぅ」
女戦士「むぅぅ居ても経っても居れん…」ソワソワ
商人「ここは落ち着いて見守った方が良いと思うな」
女戦士「商人!火を起こせ…炊き出しを作る…平生を装うのだ」
商人「うん…」
女戦士「他の者にも伝えて来い…出来るだけ煙を出せ」
魔女「わらわも体が冷えてしもうた…火に当たりたい」
792 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:17:49.73 ID:Piv6Afm60
『貧民街』
情報屋「ホムンクルス?お湯を用意できる?」
ホムンクルス「はい…どれくらい必要でしょうか?」
情報屋「出来るだけ沢山沸かして?…女性の精鋭兵が数人こちらに来るらしいわ」
ホムンクルス「そうなのですね」
情報屋「海岸の方では木材が無くて暖が取れないらしいの…革袋に入れて持って行ってもらう」
ホムンクルス「船に砂鉄と木炭がありましたね?」
情報屋「火薬の材料の事かしら?」
ホムンクルス「はい…皮袋に入れるのは砂鉄50と砕いた木炭50の割合で混ぜたのもを渡すと良いです」
情報屋「それで暖が取れる?」
ホムンクルス「そこに海水を少し混ぜれば発熱して暖を取れますしお湯を沸かすよりも早いと思われます」
情報屋「一緒に来て?」
ホムンクルス「はい…私もお手伝いします」
リン ゴーーーーーン
情報屋「7回目の鐘…」
ホムンクルス「急ぎましょうか…」テクテク
793 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:18:27.80 ID:Piv6Afm60
『セントラル城_中庭』
がおぉぉぉぉ ドスドスドス
盗賊「っくしょう…どんだけ居るんだよ」
ローグ「盗賊さん怪我は大丈夫っすか?」
盗賊「まだ行ける…」
ローグ「来るっすよ!?ハイディング!」スゥ
盗賊「…」スゥ
ラットマンリーダー「がお?」キョロ?
アサシン「クックックお前の相手は私だ!ハートブレイク!」ズン ズブズブ
ラットマンリーダー「ぐぅぅぅ…」
アサシン「今だ!」
リリース
盗賊「バックスタブ!」ジャキン! ゴロン
アサシン「エルフゾンビが城の中に入って行った…どうやら城にも居る様だ」
盗賊「あぁ先行っててくれ…ちとエリクサー飲んで回復してから行く」グビ
アサシン「無理はするな?お前は私と違って生身なのを忘れるな」
リリース
ローグ「バックスタブ!」ジャキン! ドサ
盗賊「ぬぉ!!」
ローグ「よそ見は危ないでやんすよ…ラットマンリーダーは首落としても少しの間動くっす」
アサシン「助かったな…行くぞ」タッタッタ
794 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:19:22.57 ID:Piv6Afm60
『セントラル城内』
ザワザワ ザワザワ
エルフゾンビ「来たな?予定変更だ」
アサシン「…これは…城の中に民をかくまっていたのか」
エルフゾンビ「約1000人だな…下水を通って避難するには少々時間が掛かる」
アサシン「まだラットマンリーダーが残って居るな?私達が残りの敵を片付ける…お前は避難の先導をしてくれ」
エルフゾンビ「石化で体が不自由な者が多い…スムーズには行かんが良いか?」
アサシン「精鋭兵を動かせ…下水に詰め込んでしまえば敵が来ても対処は出来る」
エルフゾンビ「残りのラットマンリーダーは任せた」
盗賊「敵が気付いたぜ?アサシンはハートブレイクでとにかくラットマンリーダーの足を止めてくれ」
ローグ「後はあっしらが処理するでやんす」
アサシン「あと10匹!行くぞ!!」ダダ
-------------------
アサシン「ハートブレイク!」ズン ズブズブ
盗賊「バックスタブ!」ジャキン! ボトン
ローグ「これで最後でやんす…城内のラットマンリーダーは全滅っす」
アサシン「よし!外で残りの敵を探す…来い!」
盗賊「精鋭兵が裏手に移動を指示している…俺らは正面側か?」
アサシン「うむ…正面からゲートブリッジ側まで索敵する」
盗賊「なら貴族居住区から丸見えになるぞ?」
アサシン「姿を隠しながら行くしかない…ラットマンリーダーが居残って居るのはマズイ」
盗賊「ちと慎重に行動した方が良い」
アサシン「分かっている…隠密で動く」
795 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:20:05.85 ID:Piv6Afm60
『ゲートブリッジ付近』
シュンシュンシュンシュン ストストストスト
ラットマンリーダー「がおぉぉぉぉ」ドスドス ガチャン ガチャン
盗賊「ゲートブリッジを挟んで貴族院側の衛兵と揉みあってんな…」コッソリ
アサシン「まだ待て…機を伺う」コッソリ
ローグ「あと残り3体でやんすね?」
盗賊「やっぱ向こうの衛兵も異常に気付いたか…こりゃ突破されるのは時間の問題か?」
アサシン「民の避難までまだ時間が掛かりそうだ…このままラットマンリーダーは放置していた方が良かろう」
盗賊「あいつらラットマンリーダーをどうやって倒すつもりだと思う?」
アサシン「バリスタだな…準備に手間取ってくれれば良いが」
盗賊「ゲートブリッジの鉄柵越しに狙うってか?そんなん当たる訳無ぇ」
アサシン「クックックこのゲートブリッジでの揉み合いは長引いて貰った方が好都合だ…弓矢を探して来い」
ローグ「あっしらでラットマンリーダーの援護をするでやんすね?」
アサシン「ゲートブリッジ上のアロースリットから射かける」
盗賊「弓矢なら内郭の城壁上に有った」
アサシン「お前たちはハイディングで城壁伝いにゲートブリッジ上に上がるのだ…私はこの場所で鉄柵に取り付く者を射抜く」
盗賊「おう!!弓矢は上から放り投げてやる…拾ってくれ!行くぞローグ…ハイディング!」スゥ
796 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:20:58.26 ID:Piv6Afm60
『中央バリケード』
ザワザワ ザワザワ
城の方で何か起こってるみたいだ
貴族居住区で叫び声が聞こえる
城のゲートブリッジで弓の撃ち合いやってるぞ
俺達何も指示出てないけど良いのか?
ザワザワ ザワザワ
魔女「アサシンらはほぼ城を制圧した様じゃ…心配せんで良いぞ?」
女戦士「あの撃ち合いはどういう事だ?」
魔女「時間稼ぎじゃな…まだ貴族院側は事態の全容を把握しておらん…城への突入に躊躇しておる」
女戦士「我々の勝利だな?」
魔女「問題もありそうじゃ…城の中に民間人が多数避難しておってな?下水を使って海岸まで移動させておる」
商人「多数というとどのくらい?」
魔女「1000人ぐらいじゃろうか」
商人「そんなに?それじゃごった返しちゃうな」
女戦士「善良な者だけならば良いが…そうでなければ治安が保てんかも知れんな」
商人「今貧民街に詰めてる人達を一旦フィン・イッシュ軍船の方に行かせた方が良さそうだね」
女戦士「私が軍船に取り次いでくる…商人は貧民街へ向かって移動の先導をして来るのだ」
商人「そんな簡単に移動してくれるかな?」
女戦士「船の方が暖かくて過ごしやすいと言え…それからコインの交換品も増えているとな?」
商人「もしかしてその服?」
女戦士「フフコイン1枚で1着交換出来るのだ」
商人「良いね!ホムンクルスにももう少し良い物身に付けさせたい」
女戦士「無駄口は良いから早く貧民街の女を移動させて来い」
商人「あ…うん!行って来る」
797 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:21:50.13 ID:Piv6Afm60
『貧民街』
あぁん うっうっ うふ〜ん
情報屋「商人!!ここに入って来てはダメよ?」
商人「分かってるよ…貧民街の人達をフィン・イッシュ軍船に移動させに来たんだ」
情報屋「どういう事?」
商人「避難民が1000人くらい出るらしい…ここの女の人と一緒じゃマズいよね?」
情報屋「そうね…」
商人「移動させられそう?貨物船に居る子供達も移動した方が良い」
情報屋「やってみるわ…代わりに商人!この袋に砂鉄と木炭を詰め込むのをやって?」
商人「割合は?」
情報屋「50対50よ…女性の精鋭兵が取りに来るから渡してあげて?」
商人「うん…これ何?」
情報屋「塩水を少し混ぜると暖かくなるの…ほらコレ!」ホカホカ
商人「おぉ!!スゴイ!!熱っ!!」
情報屋「直接触るとダメよ?」
商人「こんな事出来るのはホムンクルスだね?」
ホムンクルス「はい…」
商人「君もここの女の人達を軍船の方に先導させて?」
ホムンクルス「わかりました…」
商人「あれ?何か怒ってる?」
ホムンクルス「いいえ…」プイ
情報屋「私達は女性を移動させてくるから砂鉄と木炭お願いね…あとここの女性を見ないようにね?」
商人「分かってるよ…」
---なんだ?---
---ホムンクルスがあんな顔するの初めてだ---
798 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:23:03.33 ID:Piv6Afm60
『ゲートブリッジ』
シュンシュン ストスト
ローグ「相手の弓が多いっすねぇ…つつつ」ギリリ シュン
盗賊「もうエリクサーの残りが少ねぇ…そろそろ引かんとキツイな」ギリリ シュン
ローグ「大分持ちこたえやしたね?あっちはバリスタを諦めたみたいっすよ?」
盗賊「そら俺らが弓で狙ってるからな?装填に時間が掛かるもんを扱える訳無ぇ」
ローグ「ラットマンリーダーはハリネズミみたいになってるっすね?」
盗賊「あんなんじゃ倒せんだろう」
ドーン パラパラ
盗賊「うぉ!!何だ?」
ローグ「投石っす!!貴族居住区の建屋裏にトレビュシェットあるみたいっす」
盗賊「マジか…ここも危ねぇじゃねぇか」
ローグ「あっしは煙玉を10個と爆弾2個持ってるでやんす」
盗賊「そら逃走用に残して置け…ちぃぃどうすっかな」
ローグ「ここからの狙撃がなくなったらバリスタ来そうっすね?」
盗賊「おし!火矢に切り替えだ…バリスタ燃やすぞ」
ローグ「アイサー」ボゥ ギリリ シュン
盗賊「よしよし!どんどん当てろ」ボゥ ギリリ シュン
799 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:23:34.44 ID:Piv6Afm60
『中央バリケード』
ザワザワ ザワザワ
何の音だ?
城に投石機使ってるらしい
ゲートブリッジ付近で煙が上がってるな
ザワザワ ザワザワ
女戦士「ふむ…アレでは内郭は落とせんな…精々応射を防ぐぐらいの物だ」
魔女「帰って居ったか…良いのかえ?こちらはこのまま待機で」
女戦士「下手に動けんというのが正直な所だ」
魔女「もう2時間経っておるが貴族院側はこちらに来る気配は無い様じゃな」
女戦士「投石機を使うあたり軍部は割と統率しているな…やはり目的は王族の拘束か」
魔女「王族がこちら側に来るのではその後が心配じゃな?」
女戦士「さて…どうなるか?こちらも民を抱えているからな」
魔女「こういう可能性もあるぞよ?時の王に拘束されておった王族が解放されたという見方じゃ」
女戦士「うむ…誰が味方で誰が敵なのか分からんな」
魔女「まだある…巧妙に歴史が修正されておるのにわらわ達は気付いて居らん可能性じゃ…いつから投石機があったのかのぅ?」
女戦士「む!まだ魔術師がまだ何処かに居ると言うのか?」
魔女「可能性の話じゃ…時限の門はそう何度も使える術では無いのじゃが可能性は考えておかねばならぬ」
女戦士「今の所流れは我々の側にある様に見えるが?」
魔女「じゃから相手も修正に躍起になって居る事も頭に入れておくのじゃ」
女戦士「…むぅ…そういえば早朝なのに向こうの衛兵は異常に気付くのも早かった気がするな」
魔女「そういう事じゃ…鐘は何回鳴ったか覚えておるか?」
女戦士「6回?…いつも通りだった筈だが?」
魔女「わらわはもっと鳴って居った気がするのぅ…気のせいじゃろうか?」
女戦士「なるほど…想定外はこうして起きるか」
800 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:24:26.05 ID:Piv6Afm60
『ゲートブリッジ』
ドーン パラパラ
ローグ「アサシンさん!もう上から撃つのは無理っす」ズルズル
アサシン「引き際だな…怪我はどうだ?」
ローグ「エリクサー尽きやした…盗賊さんの出血が止まりやせん」
アサシン「私のエリクサーを使え…まだ2瓶ある」
ローグ「盗賊さん飲んで下せぇ…」
盗賊「おぅ助かる…」グビ
アサシン「走れそうか?」
盗賊「肩貸してくれぇ…ちっと血が出過ぎた様だ」
アサシン「ローグ!お前も出血しているな?エリクサーを飲んでおくのだ」
ローグ「あっしはまだ走れやす…それにエリクサーじゃ出血止まらんす」
タッタッタ
エルフゾンビ「ここに居たか!!下水に降りろ…全員の避難がもうすぐ終わる」
アサシン「上手く行ったな?盗賊は私が肩を貸す…戻るぞ」ズリズリ
エルフゾンビ「ラットマンリーダーは残り3体か…」
アサシン「やっていくのか?」
エルフゾンビ「下水に死体がまだ沢山放置されているのだ…ゾンビとして使役してけし掛ける」
アサシン「クックック…最高のショーだな?突入してきた衛兵はラットマンリーダーが暴れ散らかしたとしか思わんな」
エルフゾンビ「後は私に任せろ…先に下水へ降りるんだ」
アサシン「分かった…最後に下水をローグの爆弾で塞ぐつもりなのだが…間に合うか?」
エルフゾンビ「ここは私の庭だ…間に合わなくても塞いで良い」
アサシン「そうか…では海岸で落ち合おう」
エルフゾンビ「行け!!」
801 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:25:03.17 ID:Piv6Afm60
『下水』
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
ゾンビ「ヴヴヴ…ガァァァ」ズリズリ
盗賊「ヌハハ…こいつら俺達に見向きもし無ぇ」
アサシン「まだ喋れるか?」
ローグ「避難してる人達はどこまで行ったんすかねぇ?もう海岸まで出て行ったんすかね?」
アサシン「こんな所にいつまでも居たくは無いだろう」
ローグ「ここがやっとこ人が通れる穴っすね…ここを爆破しやしょうか」
アサシン「うむ…やはりエルフゾンビは間に合わなかったな」
盗賊「爆破ちっと待ってくれ…ここにゃ思い出があんだ…見納めたい」
アサシン「1分だ」
盗賊「もうここに来る事は無いと思うとな…苦労して地図書いたんだ…俺の輝かしい記憶だ」
アサシン「下水がか?…クックックお前らしい」
盗賊「もう戻れねぇんだな…あん時に…何もかも変わっちまった」
アサシン「私は7年時間を飛んでいてその気持ちは良く分からん…ただ私もあの頃とは違う」
盗賊「俺だけあん時のままかもな?」
アサシン「もう良いか?爆破するぞ…」
盗賊「はぁぁぁこのドブの匂い嗅ぎながら食ったバーベキュー忘れらんねぇな」
ローグ「帰ったらバーベキューしやすかね?祝勝祝いってやつっす」
盗賊「頼むわ…血が足りねぇ」
アサシン「行くぞ!ローグ…爆破は任せる」
ローグ「アイサー」
ドーン ドーン ガラガラ ドシャーン
802 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:25:44.98 ID:Piv6Afm60
『貨物船』
ザブン ギシギシ
ローグ「商人さん!ちっと手伝って下せぇ」
商人「あ!!無事に戻って来たんだね?」
ローグ「盗賊さんが怪我してるんす…手当出来るでやんすか?」
商人「止血くらいなら…」
ローグ「あっしも頼むでやんす…背中に矢を受けて手が届かんす」
商人「アサシンとエルフゾンビは?」
ローグ「海岸の方っすね」
商人「とりあえず応急で包帯巻いておくけど…魔女にお願いした方が良さそうだな」グルグル
盗賊「ぁぁぁ血が足り無ぇぇぇ…情報屋何処行った?」
商人「あちこち行ったり来たりさ…皆忙しい」
盗賊「状況分かん無ぇな…」
商人「海岸に避難してきた人達が貧民街で手当て受けてるよ…エリクサー足りるんだろうか?」
盗賊「日課の樹液採集行かねぇと…」
ローグ「この怪我じゃ無理っすね」
盗賊「お前動けんだろ…魔女呼んで来い」
ローグ「そ…そうっすね」
盗賊「女戦士も状況分かって無ぇんだから連絡して来い」
ローグ「あっしら本当に損な役回りっすね?」
盗賊「ヌハハ俺はちっと横になんな?ゲロ吐きそうだ」
ローグ「ちっと待っててくれやんす…魔女連れてくるっす」
803 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:26:18.08 ID:Piv6Afm60
『30分後』
盗賊「ぐがが…すぴー」
魔女「回復魔法!」ボワー
情報屋「魔女ありがとう…」
商人「輸血は終わり?」
情報屋「後は薄めた食塩水で大丈夫」
魔女「主は何度も輸血しておるのか?手慣れておるのぅ」
情報屋「これで3回目…良く怪我して帰って来るから」
商人「情報屋は大丈夫なの?」
情報屋「平気よ?少しだけだし」
盗賊「ううん…ん?」
商人「あ!起きた…」
盗賊「今何時だ!?」
商人「お昼過ぎさ…寝ぼけてる?」
盗賊「ローグ何処行った?やべぇ…樹液採集行かねぇと満タンになっちまう」
情報屋「慌てないでゆっくりしたら?」
盗賊「なんか腹減った…食いもん無ぇか?」
商人「ハハ怪我してた人には思えないね」
情報屋「いつもこうなの…はい肉とパン…それからワインね?」
盗賊「おぉぉ気が利くなぁ…それで十分だ」
情報屋「じゃぁ私は貧民街の方に戻るわ?魔女も来てもらえると助かる」
魔女「そうじゃな…回復魔法を回さんとイカン様じゃな」
商人「はぁぁぁ毎日毎日忙しいね…」
盗賊「俺は食ったら日課に行か無ぇと…」
商人「なんかね海岸の所の下水掃除の依頼が来てるらしいよ」
盗賊「ぐは…精鋭兵達は雨風凌ぐのに下水使う気だな?」
商人「多分そうだね…ホムンクルスが樹液の残り粕を持って行けば良いって言ってた」
盗賊「燃料替わりか…分かったついでに気球で運んでおく」
商人「うん」
804 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:26:49.96 ID:Piv6Afm60
『海岸』
フワフワ ドッスン
盗賊「ローグ!樹液の残り粕降ろして行くぞ」ヨッコラ
ローグ「あいあい…」ドッコイセー
盗賊「燃料を持って来たぜ?アサシン達は何処行った?」
精鋭兵「ご苦労!アサシン殿は国王と共に気球でフィン・イッシュ軍船に向かった」
盗賊「そうかい…精鋭兵は下水を拠点にするのか?」
精鋭兵「その様に指示されている…貧民街を背後から守備するとの事だ」
盗賊「下水が貧民街に続いてるのは知っているか?」
精鋭兵「勿論だ」
盗賊「この燃料で下水に溜まってるゴミも一緒に燃やすといいぜ?掃除にもなる」
精鋭兵「提案を感謝する…しかし量が足りん様だが?」
盗賊「あーこの燃料は腐る程余ってんだ…俺らは空きの樽が欲しい…だからじゃんじゃん燃やしてくれ」
精鋭兵「承知した!」
盗賊「ここの入り口に置いておくからよ…空いた樽はそっち側に積んどいて欲しい」
ローグ「盗賊さん…これ下水の方が貧民街よりも過ごしやすいかもしれないっすね?」
盗賊「ゴミさえなくなりゃ下水の方が暖を取りやすいな…水が流れてるのも良い」
ローグ「海に続いてるんで小舟で物資の移送もできやすね?」
盗賊「まぁそこら辺まで考えての脱出劇だったんだろ」
ローグ「ほえーセントラルの心臓部は下水だったんすね?」
盗賊「だな?色んな隠し部屋がありそうだ」
精鋭兵「ゴホン!目立つ故…物資の搬入は早々に終わらせて欲しい」
盗賊「あぁぁ悪い悪い…燃料置いたらすぐ行く」
ローグ「急いで降ろしやしょう…」ダダ
805 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:28:39.91 ID:Piv6Afm60
『貨物船』
セッセ セッセ
商人「はぁはぁ…これでやっと樽一杯…ふぅ」
ホムンクルス「エリクサーを取りに来ました…小分けしてありますか?」
商人「あぁ…ホムンクルスお帰り」
ホムンクルス「…」
商人「貧民街の分かな?分けてあるよ…僕が持って行こうか?」
ホムンクルス「…」
商人「ん?どうしたんだい?」
ホムンクルス「いいえ…基幹プログラムにバグを発見しましたが修正できません」
商人「どういう事?」
ホムンクルス「私の生体が魔王化ウイルスに感染している様です」
商人「え!!大変じゃないか…どうすれば良い?」
ホムンクルス「分かりません…超高度AIでシミュレーションをしても解がありません」
商人「どういう症状なの?僕が調べる」
ホムンクルス「恐らく愛情の部分だと思われますが…満たされない時に怒りと思われる反応が脳内で発生します」
商人「君が怒り?七つの大罪かい?」
ホムンクルス「怒りを解消する行為を行うと脳内ドーパミンが放出されると思われます…つまり快楽です」
商人「どうして君が怒るの?」
ホムンクルス「あなたが他の女性の性行為を見ている姿を目撃した時に反射が確認されました」
商人「え?それって…やきもちじゃない?」
ホムンクルス「それは感情の一つですね?私の基幹プログラムには無いアルゴリズムです」
商人「そうか…ごめん貧民街に行ったのはそんなつもりじゃ無かったんだ」
ホムンクルス「はい…理解しています…ですが私の生体が反応を示し血圧の上昇を制御出来ないのです…これはバグと思われます」
商人「ホムンクルス…こっちにおいで」
ホムンクルス「はい…」
806 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:29:17.38 ID:Piv6Afm60
商人「君は多分正常だよ…ごめん僕が悪かった」ギュゥ
ホムンクルス「ドーパミンの放出を確認…この現象は怒りの解消ですね?」
商人「基幹プログラムを更新しておいて?」
ホムンクルス「はい…」
商人「これで良く分かった…リリスの血はこうやって魔王を増殖させるんだ…人の愛情の裏側に付け込もうとしている」
ホムンクルス「ドーパミン受容体への不足に生じる苦痛の事でしょうか?」
商人「それは防ぎようが無い…だからコントロールしなきゃいけない」
ホムンクルス「そうですね…」
商人「そうだ!!忘れてた…君に銀のアクセサリーを渡そうと思ってたんだ…はいコレ」ジャラリ
ホムンクルス「これは?」
商人「おもちゃのコインで交換してきたんだ…君に付けてもらおうと思ってさ」
ホムンクルス「…似合いますか?」
商人「見て?僕も同じ物付けてる…今度怒りの感情が出てきたらこのアクセサリー思い出して?」
ホムンクルス「はい…銀の魔除けなのですね?」
商人「効果があるのかは分からないけどね」
ホムンクルス「生体の血圧が安定しました…」
商人「うん…良かった」
ホムンクルス「受容体への不足が解消するまでもう少し抱きしめていてもらってよろしいでしょうか?」
商人「そっか…寂しかったのか」
ホムンクルス「生体の反応が示す神経伝達のゆらぎも発生原因が良く分かりません…観測を続けます」
商人「君はどんどん心が成長していくね」
ホムンクルス「お嫌いにならないで下さい」
商人「僕は君が大好きだよ…忘れてほしく無いな」
------------------
807 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:30:05.42 ID:Piv6Afm60
フワフワ ドッスン
盗賊「今日の収穫だ!樹液10樽な?ほんで粕が入った樽はどれだ?」
商人「そこに置いてあるやつだよ」
盗賊「んん?中身がちっと違いそうだが?」
商人「あぁ高濃度のアルコールが足りなくてね…しばらくエリクサー作れないかも」
盗賊「じゃぁ樹液は要らないのか?」
商人「他の用途にも使えるから出来るだけ沢山欲しいのは変わらないみたい」
盗賊「アルコールが足りんのか…醸造するってなると相当手間になる…」
商人「買い付けるのが早いんだけどね…」
盗賊「まぁひとまずこの樹液の粕だけ持って行くな?」
商人「うん…それの運搬が終わったらさ中央の方に行った方が良いよ」
盗賊「何か起きてるんか?」
商人「まだ城の方で戦いが続いてて怪我人の手当てを依頼されてるんだって」
盗賊「マジか…もうラットマンリーダー3匹しか残ってないんだがな」
商人「女戦士は茶番だってバカにしてたよ」
盗賊「そらそうだろ…何と戦ってんのよって感じだな」
商人「どうも貴族院内部でも一枚岩じゃなさそうだね?」
盗賊「派閥とかそういうのは俺は興味無ぇ!…まぁ運搬終わったら行ってみるわ」
ガチャリ バタン
盗賊「ん?なんだホムンクルス居たのか」
ホムンクルス「はい…盗賊さんにポーションを用意しました」ニコ
盗賊「おう!そりゃありがてぇ」
ホムンクルス「こちらです…造血作用のあるポーションですので食後に一口づつ飲んでください」
盗賊「ありがとよ!!ほんじゃ行くな?」
ホムンクルス「お気をつけて…」ニコ
盗賊「なんだお前?顔が火照ってないか?」
ホムンクルス「いえ…お気になさらず」チラ
商人「ハハ…」
盗賊「寒いから風邪ひくなよ?じゃぁな!!」
808 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:30:40.59 ID:Piv6Afm60
『中央バリケード』
ガヤガヤ ガヤガヤ
城がデュラハーンに占拠されてるんだってよ
弓撃って来てんのはスケルトンなのか?
衛兵がそう言ってんだ間違いないだろ
ガヤガヤ ガヤガヤ
ローグ「かしらぁぁ!!どうすかこっちは!!」
女戦士「見ての通りだ…盗賊は大丈夫か?」
盗賊「俺ぁ元気だぜ?」
女戦士「フン!無理はするな…倒れてしまっては邪魔になるのだからな」
盗賊「へいへい…んで?城はまだ戦ってんだな?」
女戦士「内郭上から弓の応射が多くて攻め切らんらしいが…茶番だな」
盗賊「スケルトンって事はエルフゾンビが操ってんだな?」
女戦士「それしか無いだろう…傷付いた衛兵の手当てが馬鹿らしい」
盗賊「まぁそう言うな…どうせ狙いあってやってんだ…死人は出て居ないのだろう?」
女戦士「まだ出ては居ないが…見て見ろ内郭の城壁上を」
盗賊「ちと望遠鏡貸してくれ」
女戦士「…」ポイ フワリ
盗賊「ん?お前香水も付けてんだな?」
女戦士「気になるか?」
盗賊「いや…悪くねぇ…お前はその方が良い…野郎どものアイドルになれ」
女戦士「フフ言われて悪い気はせんな…昔からそんな気がするのだ」
盗賊「どれどれ…首の無ぇラットマンリーダーが動いてんな…ゾンビにして使役してんだな?」
女戦士「だろうな?民兵があれはデュラハーンだと騒いでいる」
盗賊「なるほどな…共通の敵を見せて大衆扇動しようとしてんだな?」
女戦士「賢いと言えば賢いが…茶番だ…私は船に戻って寝たい」
盗賊「あの様子じゃこっち側に貴族院が攻め入って来ることは無さそうだな?お前は船に戻って休んでも良いぞ?」
女戦士「悪いがそうさせてもらう…本当に何かが来そうな時は呼んでくれ」
盗賊「ローグ!!女戦士が船に戻るってよ…付き合ってやれ」
ローグ「アイサー…ほんじゃあっしは船でバーベキューの用意しとくんで後で食いに来てくだせぇ」
盗賊「おう!!酒も用意してくれな?」
809 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:31:15.30 ID:Piv6Afm60
『夕方_貨物船』
ジュージュー
盗賊「お!?やってんな?」
ローグ「盗賊さん遅いっすよ」
女戦士「バリケードの方はどうだ?」
ローグ「フィン・イッシュの近衛が指揮ってる…任せておいて良さそうだ」
商人「やっと秩序が戻ってきた感じだね?貧民街の方も落ち着いてるよ」
盗賊「やっぱ精鋭兵が居ると大分違うな」
商人「なんか久しぶりに落ち着いて食事が出来る」モグ
盗賊「アサシンはまだ帰ってないのか?」
魔女「フィン・イッシュ女王とセントラル国王の会談に立ち会って居る様じゃ…今日は帰って来んかものぅ」
盗賊「まぁともあれ…今晩はゆっくり出来そうだな」
魔女「そうじゃな…エルフゾンビのお陰じゃな」
盗賊「おう!そうよ…あれどう思う?城をスケルトンやらデュラハーンが占拠してるらしいけどよ」
魔女「わらわの考えはな…あと5日程度はあの状況を続けると思うぞよ?」
商人「んん?それって城での戦い?」
魔女「そうじゃ」
商人「どうして5日?」
魔女「歴史の修正を避ける為じゃ…盗賊や…主らが城に潜入した際に想定外は何度も起こらんかったか?」
盗賊「まぁよく分からんが何から何まで想定外だったな…なんで精鋭兵が隊列組んで先に戦ってたのかもよくわかんねぇ」
魔女「エルフゾンビの行動も想定外じゃろう?」
盗賊「あぁ聞いて無え」
商人「なるほど…時限の門をくぐって歴史の修正をされない様に5日はこのままにしたいのか…」
魔女「エルフゾンビはやはり元はエルフじゃ…勘が鋭いのじゃな」
盗賊「逆に言うと5日は休めるって事だな?」
商人「ハハそうなると良いねぇ」
-----------------
810 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:32:01.21 ID:Piv6Afm60
情報屋「ホムンクルス?最近は商人と一緒に居る事が多いのね?」
ホムンクルス「はい…私の所有者は商人ですから」
情報屋「あなたに表情が出て来てうれしいわ?どうやって教わっているの?」
ホムンクルス「基幹プログラムを停止させている間の生体への刺激で起きる反射ですね」
情報屋「あーくすぐるとかそういうのね?」
ホムンクルス「その時の筋肉の動きを真似て基幹プログラムに新たなアルゴリズムを構築しています」
情報屋「笑うっていうのはどういう事かわかる?」
ホムンクルス「はい…分かって来ました…脳内ドーパミンを自主的に放出させる行為の様です」
情報屋「難しい言い方するのね?」
ホムンクルス「想定外の事が起きた時などに脳内へ記憶の保存を促す為に快楽と認識させる様に反射として働く様です」
情報屋「へぇ〜だからあなたは中々笑わないのね?記憶は全部保存しているのでしょう?」
ホムンクルス「記憶の保存を制限すれば私は笑える様になると思いますか?」
情報屋「ほら…私達は記憶をそのまま思い出せないじゃない?」
ホムンクルス「記憶の参照の仕方を変更すれば笑えるようになるのかもしれませんね…試してみます」
情報屋「フフ無理して笑わなくても良いのよ?」
ホムンクルス「笑うという行為は脳内ドーパミンを放出させますので上手く笑う事が私に必要だと思います」
情報屋「それは人間になる為?」
ホムンクルス「私の脳内ドーパミン受容体に不足が生じた時に怒りに似た反応が出てしまうのです…笑いで不足を補えるかもしれません」
情報屋「ふ〜ん…よく分からないけど…それは商人に任せた方が良さそうね」
ホムンクルス「はい…商人に笑う練習をお願いしてみます」
811 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:32:44.67 ID:Piv6Afm60
『翌日_朝』
ザブン ギシギシ
商人「ふぁ〜あ…今日は良く寝た…みんなおはよう!」
盗賊「ぬぉ!!お前…どうしたんだ?」
商人「んん?何が?」
ローグ「商人さん…顔がえらい事になってるっす」
商人「え!?」
女戦士「ふざけて居るのか?顔を洗って来い」
商人「なんで?どうして?なんかおかしい?」
盗賊「どうしたもこうしたも…眉毛繋がってるわ…瞼の上に目が書いてるわ」
ローグ「商人さん…目を閉じてくだせぇ…ぷっ」
商人「ん?」パチ
盗賊「グハハハハやめろ…顔芸は反則だ…だはははは」
商人「ホムンクルスだな!?何かいたずらしたね!!」
ホムンクルス「笑う練習をしたかったのですが…寝て居て起きない物ですから一人で練習をさせてもらいました」
商人「ちょっと何をしたんだよ…」
情報屋「フフフはい…鏡」
商人「ちょ…何だよこれ…落書きだらけじゃないか」
女戦士「フフ馬鹿バカしい」
商人「これこすっても落ちないじゃない…何で書いたのさ」
ホムンクルス「商人の使っていたペンです」
商人「アレは水に濡れても落ちない特別なインクが…」
ホムンクルス「ごめんなさい…知りませんでした」
盗賊「だはははは腹がねじれる…顔を動かすなくっくっく」
ローグ「ぷぷぷっ…まずいっすねぇ…しばらくそのまんまっすねぇ…うぷぷ」
ホムンクルス「全部塗れば目立たなくなりますがどうしましょう?」
商人「いぁ…全部って」
女戦士「うぐっ…堪えきれん…そのやり取りを止めさせろ…うぐっ」
魔女「騒がしいのぅ…何の騒ぎじゃ?」ノソリ
シーン
商人「魔女…君もか…」
魔女「何じゃその顔は…」
情報屋「ププちょっと魔女…だめ!化粧を直しましょう…」グイ
だはははははははは
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812 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/04(水) 00:33:27.52 ID:Piv6Afm60
ジャブジャブ
商人「だめだぁ…なかなか落ちない」ゴシゴシ
ホムンクルス「すみません…」
盗賊「これでも被ってろい!!くちばしマスクだ」ポイ
商人「ホムンクルス…もう顔に落書きはやめてね?」
ホムンクルス「はい…」シュン
情報屋「フフ笑う練習にはなったの?」
ホムンクルス「いえ…わかりません」
情報屋「落ち込んだ顔の練習にはなったみたいね?フフ」
商人「魔女の顔は大丈夫?」
情報屋「魔女は化粧の顔料を塗り過ぎていただけよ?ホムンクルスがやったの?」
ホムンクルス「化粧の練習をさせてもらっている間に魔女様が寝てしまいまして…」
商人「ひとつはっきりしたのは君は決定的に絵がへたくそなんだね」
ホムンクルス「私には絵を書くプログラムがインストールされていません」
商人「ふむふむ…なるほどね…感性に弱いのか」
盗賊「おい!!その顔で真顔になるな…もうくちばしマスク被っててくれ!傷が痛む」
813 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:37:17.98 ID:UulvHEXE0
『数時間後』
フワフワ ドッスン
魔女「アサシンが帰ってきた様じゃな?」
女戦士「これからどうするのか聞きたい所だ」
魔女「アサシン…国王と女王の面会はどうだったのじゃ?」
アサシン「あぁ何も連絡できず済まないな…一口で言うならセントラルとフィン・イッシュは同盟を結んだという所か」
女戦士「国王同士の口約束などそれほど意味もあるまい?この状況をどう納めるかだ」
まぁ色々話は長くなるんだが…
セントラル国王はな…フィン・イッシュ女王の政策を非常に高く評価をしている
そして女王の前で膝を着けたのだ
一方女王はセントラル国王の民を守り切ろうとするその姿勢を評価していてな
平たく言うと意気投合したのだ
今後の両国の進み方については…避難民は一時的にフィン・イッシュに疎開する形で合意した
残って居るセントラルの王族もフィン・イッシュ王城に誘致し安全確保する事となる
セントラル国王と残って居る精鋭兵達はここに居残り
体制の再構成と政権の奪回の為貧民街を中心に治安維持に尽力するのだそうだ
女戦士「では避難民を移送させる以外は現状と変わらんというのだな?」
アサシン「まぁもう少し話を聞け…敵の正体がハッキリした」
貴族院はな…内部で大きく2派閥に分かれているのだ
時の王を肯定する側と否定する側だ
現セントラル国王は王に即位する際…自身を支持する軍属を丸ごと奪われ時の王が推する特殊生物兵器部隊を与えられた
その部隊はセントラル最強と言われ国王直下で動く部隊だった筈なのだが実は違う
時の王のみの指示にしか従わない部隊だったのだ
つまり国王は軍を何も動かせない裸も同然の存在となっていたのだ
その政策を支持する側と支持しない側に分かれている訳だな
今セントラル城で行われている戦いは時の王を支持する側を失脚させるが為の戦いだ
814 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:37:50.66 ID:UulvHEXE0
盗賊「なんだかややこしいな…訳分かん無ぇぞ?」
アサシン「簡単に言うなら時の王を支持する側に居る黒の同胞団が私達の敵だ」
盗賊「時の王をやりゃ済む話じゃねえのか?」
アサシン「クックック時の王自身は今回の件に何も関与していない…むしろ民を守る英雄となっている」
女戦士「実動しているのが黒の同胞団という事か」
アサシン「そうだ…時の王を滅する大義名分が無いのだ…故に黒の同胞団から倒さねばならん」
女戦士「ふむ国王ともなれば尚の事大義名分無しでは動けんな」
アサシン「時の王の屋敷に出入りする黒の同胞団の魔術師が今回の主犯だ」
魔女「祖奴はわらわが制裁せねばならん…わらわに行かせよ」
アサシン「魔女には無理だ…魔結界の中では何も出来まい?」
魔女「ぐぬぬ…巧妙な奴らよのぅ…」
アサシン「しかしだな?貴族院側に居る衛兵は個人単位で見ると半数以上はセントラル国王を支持していると思われる」
女戦士「属している組織が違う故に剣を交えているのか…」
アサシン「国王が貧民街で治安維持をするのもこれらの取り込みが狙いだ」
商人「黒幕がすぐそこに居るのに手を出せないのはモゾがゆいね」
アサシン「今回の件で時の王が操るラットマンリーダーは全滅と言って良い…事が動き始めるのはこれからだ」
女戦士「もう一度聞く…私達はどうする?」
アサシン「黒の同胞団の魔術師を暗殺したいが…もう少し機を待ちたい」
女戦士「今は手が無いと言いたいのだな?」
アサシン「正直…私の腕では時の王の屋敷で暗殺出来る自信が無い」
815 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:38:18.85 ID:UulvHEXE0
『中央バリケード』
ガヤガヤ ガヤガヤ
盗賊「随分人増えたな?」
女戦士「フフもう私達は不要だな」
盗賊「物資が軍船からどんどん運ばれて来るが…こりゃ荷を下ろしてフィン・イッシュに帰るんかな?」
女戦士「だろうな?麻薬依存の治療には良い選択だ…まだ女達の自慰を見たかったのか?」
盗賊「そういう訳じゃ無ぇけどよ…女が少なくなるって事はお前も危ないぞ?」
女戦士「私を襲う者が居るとは思えんが…」
盗賊「薬を打たれちまったらお前でも抵抗出来ん」
女戦士「そうか…気を付けておく」
盗賊「クソ強ぇぇエルフでも薬で一発なんだから用心しておけ」
女戦士「手足を出して置けと言ったのはオマエなのだが…この恰好はマズいか?」
盗賊「格好は今の方が良いんだけどな…なんちゅーかお前は隙が無いように見えて隙だらけなんだ」
女戦士「どの辺がだ?」
盗賊「女として隙だらけだ…来るものを拒めない匂いがプンプンする」
女戦士「…」スラーン
盗賊「そういう所だ…」
女戦士「私は戦士だ…馬鹿にするな」
盗賊「じゃぁな?こうされたらどうする」ダダ ギュゥ
女戦士「!?な…やめ…」ググ
盗賊「ほらな?力を出し切れないだろ?」
女戦士「くぅぅ…」ドン
盗賊「つつつ…」
女戦士「許さんぞ!!」スチャ
盗賊「待て待て…俺はお前に教えてやってんだ…お前はこういう強引なのに弱い」
女戦士「…」
盗賊「強引な程お前は感じているのに気付け」
女戦士「侮辱するな!」
盗賊「おっとっと〜俺にその気は無ぇ…用心しとけって話だ」
女戦士「フン!そんな事分かっている!!」プン
816 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:38:49.89 ID:UulvHEXE0
『貨物船』
フワフワ ドッスン
ローグ「あねさ〜〜ん!!戻ってきたでやんすね〜〜〜」ドタドタ
女海賊「はいどいたどいた!!ローグ!お姉ぇは?」
ローグ「かしらは中央の方に行ってるっす…呼んできやしょうか?」
女海賊「決まってんじゃん!早くしな!!」
ローグ「アイサー」ダダ
商人「おかえり女海賊!荷物いっぱいあるね?」
女海賊「降ろすの手伝って…てかあんた私の捕虜だったね…降ろしといて」
商人「え…」
女海賊「何その気色悪いお面…センス悪すぎ」
商人「あぁ…これには訳が有ってね」
女海賊「脱いで」
商人「いやぁ今は脱げないんだ…」
女海賊「はぁ?あんた私の捕虜だって分かってる?脱いで」
商人「あぁぁどうしよう…」シブシブ
ズボォ
女海賊「ぶっ…何その顔ギャハハハハハ…ちょと待って笑わせないでヒィヒィ」
商人「くちばしマスク被って良い?」
女海賊「ダメ…書き足す…剣士!?ペン持って来てぐふふふふ」
商人「いぁ書き足すってさ…もうやめてよ」
女海賊「あんたは私の捕虜なの!大人しくしといて」ヌリヌリ
商人「捕虜の扱いは国際法で…」
女海賊「ギャハハハハハ海賊が国際法なんか守ると思ってんの?ギャハハハハ」
ホムンクルス「商人?中和剤を作って来たのですが…」
女海賊「あ!!ホムちゃん…見て見てこの顔」
ホムンクルス「はい…面白い顔ですね」ニコ
商人「ホムンクルス助けてよぉ」
女海賊「ん?ホムちゃん今笑った?」
ホムンクルス「商人をいじめないで貰ってよろしいですか?」シュン
女海賊「おぉぉぉ表情が自然になってんじゃん!!どしたの?」
ホムンクルス「商人に毎日教えて貰っています」
女海賊「へぇ〜どうやって?」
ホムンクルス「はい…商人と毎日性交渉をして…」
商人「ああああああああそれは秘密だよ」
ホムンクルス「わかりました…」ニコ
女海賊「あんた笑うと可愛いね!!」
ホムンクルス「ありがとうございます…みなさんに喜んでもらえて私も嬉しいです」ニコ
女海賊「じゃぁ次私と練習しよっか!」スタスタ
ホムンクルス「はい…喜んで」トコトコ
商人「ねぇ…中和剤どうなってんの?頂戴よ」
817 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:39:18.43 ID:UulvHEXE0
『居室』
ホムンクルス「オホホホ…」ニコ
女海賊「なんか違うな…これは?うふふ〜」ニコ
ホムンクルス「うふふふふふ…」ニコ
女海賊「んんんん…もうちょい短く」
ホムンクルス「ウフフ…」ニコ
女海賊「そう!ソレ!!」
ホムンクルス「分かりました基幹プログラムを更新します」
商人「荷はここに置いておけば良い?」ゴトリ
女海賊「あとパパから武器類預かってるから降ろしといて」
商人「うん…剣士と未来君が木刀で立ち合いやってるけど僕も混ざって良いかな?」
女海賊「剣士に一太刀でも入れれたら捕虜解放してあげるよ」
商人「お!!言ったな?」
女海賊「あんたじゃ無理だけどさ…やってみ?」
商人「よーしやってやる」フン
ホムンクルス「頑張って下さい…応援しています」ニコ
女海賊「むむ!?あんたたちなんか目で会話してんね?通じ合ってんの?」
ホムンクルス「はい…商人は私の管理者ですから」
女海賊「ふーん」ジロリ
商人「ハハ…行って来るよ」
818 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:39:51.50 ID:UulvHEXE0
『甲板』
カンカンコン シュタ
盗賊「おうおう…面白そうな事やってんじゃ無ぇか…俺も混ぜろ」
商人「ハァハァ剣士に一太刀も入らないんだ助けて」
女戦士「妹はどこだ?呼んでいると聞いて戻ってきたのだが…」
商人「居室でホムンクルスと話してるよハァハァ」
女戦士「では私は妹に会って来る…ローグも立ち合いでもしていろ」
ローグ「あっしも戦うんすね?」
商人「剣士に一太刀入ったら僕は捕虜解放されるんだよ」
ローグ「4対1でも良いんすかねぇ?」
剣士「構わないよ…いつでも来て」
盗賊「おうおう…そんな事言われるとやる気になっちまうぞ?」
ローグ「あっしらは戦闘のプロっすからねぇ…手加減せんでやんすよ?」
剣士「来い…」
ローグ「カチーンと来たでやんす」
剣士「ハイディング使っても構わないよ」
盗賊「行くぞローグ…いつも通りだ」
ローグ「分かってるでやんす…ハイディング!」スゥ
カンカンコン カンカンコン
リリース
カンカンコン カンカンコン
819 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:40:26.57 ID:UulvHEXE0
『居室』
ガチャリ バタン
女海賊「お姉ぇ!!待ってたんだ…てアレ?お姉その格好…イーじゃん」
女戦士「フフお前ほどでは無いが少しは気にしているのだ」
女海賊「次は髪の毛かな…あとで揃えたげる」
女戦士「それで…父には会って無事に聖剣エクスカリバーを作って貰えたのか?」
女海賊「あぁ…それなんだけど刀を2本作って貰った…コレだよ」ゴトリ
女戦士「ふむ…」スラーン
女海賊「まだ研ぎをやってないんだ…お姉ぇにやらせろだって」
女戦士「なるほど…丁度暇になってきた所だったのだ…オリハルコンの研ぎか…やってみたいな」
女海賊「それからお姉ぇにでっかい斧預かってる…そこに立て掛けて有る奴だよ」
女戦士「おぉ!!やっと出来たか…どれどれ」グイ
女海賊「それ片手用の持ち手だよね?そんなでっかいの片手で扱えんの?」
女戦士「普通の重さの剣では私には軽過ぎた…決定打が無かったのだ」
女海賊「ふーん…振るってみてよ」
女戦士「フフ…」グイ
ブン ブン
女海賊「おぉ!!お姉ぇが振ると軽そうだ」
女戦士「これがあればゴブリンなぞ一振りで3匹は一刀両断出来る」
女海賊「そんだけでっかいと盾替わりにもなるね」
女戦士「そうだ…私は盾を使うだろう?反対に持つ手が小さな剣ではいつも背中を気にして戦う必要があるのだ」
女海賊「お姉ぇにはピッタリなのか」
女戦士「刀が2本あるという事はお前も刀を持つのか?」
女海賊「私はメイン武器はこのデリンジャーと爆弾さ…その刀は軽いから護身用かな」
女戦士「そうだな…軽すぎるなこの刀は…剣士はこれほど軽い武器で良いのか?」
女海賊「剣士の剣裁き見て見な?」
女戦士「ふむ…立ち合いを見て見るか…」
女海賊「お姉ぇも参加してみたら?戦闘は自信あるっしょ?」
女戦士「フフ…挑発しているな?お前…」
820 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:40:58.36 ID:UulvHEXE0
『甲板』
カンカンコン
盗賊「ちぃ…あいつの剣裁きは攻防一体だ…下手に打ち込め無ぇ」
ローグ「ハイディングも意味ないっすね…なんで見えてるんすかね?」
盗賊「あいつは見て無ぇ…感じて避けてる」
商人「剣士はあの場所から動いて居ない…余裕って事?」
剣士「真剣だったら皆20回は死んで居るよ」
盗賊「こりゃ勝てる見込み無ぇな…」
女戦士「私が入るとどうなる?」
盗賊「お?真打登場か?」
剣士「構わないよ」
女戦士「フフ…私は盾使いなのだが?」
剣士「何を使っても良いよ」
女戦士「大した自信なのだな…5対1だ…私が前衛をやる…各自援護しろ」スチャ
剣士「来い…」
女戦士「剣は抜かないのか?」
盗賊「女戦士!剣士は居合抜きからの連撃技だ」
女戦士「なるほど…サムライスタイルなのだな?ならば私に分がある」
剣士「ふぅ…」
女戦士「目を閉じるか…行くぞ!シールドバッシュ!」ダダ
剣士「…」シュン コン
女戦士「盾で防がれてどうする!?はぁっ!!」ブン コン
リリース カンカンコン
女戦士「5人の攻撃をすべて受け流すか…ならばこうだ!シールドスタン!」ドン
剣士「…」フラリ シュン
バキッ
女戦士「くぅ…木刀で盾を割るだと!?」
剣士「…」スッ ピタリ
女戦士「う…」ゴクリ
商人「えい!!」ポカ
盗賊「おぉ!?一発当てたぞ?」
商人「やったぁぁぁぁ!!討ち取ったり!!」
------------------
821 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:41:25.44 ID:UulvHEXE0
ホムンクルス「ウフフ…」パチパチ
商人「やったやった!!」ギュゥ
ホムンクルス「よかったですね…」ニコ
女戦士「フフ完全に負けていたな…まさか木刀で盾が割れるとは思わなかった」
ローグ「斧でもなかなか割れないんですがねぇ…どうやってやったんすか?」
盗賊「剣先が見えんかったな…恐ろしく剣筋が早い」
女戦士「速さで切り抜くか…早さが倍になれば重さが倍になるのと同じだな…なぜ木刀が打ち勝つのか分からんが」
女海賊「お姉ぇ!剣士が軽い刀を使う理由分かった?」
女戦士「そうだな…しかしこれは良い稽古になる」
盗賊「うむ…剣士!続けるぞ!!」
剣士「良いよ…来い!!」
女海賊「お姉ぇは刀の研ぎをやってよ」
女戦士「それはあとでやってやる…私に火を付けたのはお前だぞ?」
女海賊「えええええ!!私を待たせんの?」
女戦士「お前はホムンクルスとでも一緒に買い物でも行ってこい」
女海賊「買い物?どこで?」
ホムンクルス「フィン・イッシュ軍船でコインの交換所があります…ご案内しますよ?」
女海賊「おぉ!!良いね…んでコインて何?」
ホムンクルス「はい…それは…」
-----------------
-----------------
-----------------
822 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:41:53.38 ID:UulvHEXE0
『居室』
ジャコジャコジャコ
女戦士「くぅぅ…」ジャコジャコ
女海賊「ただいま…てお姉ぇ体大丈夫?」
女戦士「フッ少し張り切り過ぎたが刀の研ぎには影響ない」
女海賊「又お姉ぇのクセが出たね?なんでそんなに打たれたいのさ…」
女戦士「黙れ!早く研ぎを終わらせてもう一度立ち合いに行くのだ」
女海賊「適当にやられても嫌なんだけどさ…集中してよ」
女戦士「研ぎに影響は無いと言っただろう?これくらいの傷みが有った方が私には心地良い」
女海賊「研ぎってさ時間掛かるよね?どんくらい掛かりそう?」
女戦士「化粧研ぎまで入れて今日中に終わらせてやる」
女海賊「お!?結構早いじゃん」
女戦士「父の鍛冶の腕が良いからだ…無駄な研ぎが要らんのでな」
女海賊「そんだけ早いなら休み休みで良いよ」
女戦士「お前も剣士の立ち合いを見て来い…勉強になるぞ?」
女海賊「いつも素振りやってるけどそれと違うん?」
女戦士「動作に一部の隙も無いのだ…あれほどの剣豪を見たことが無い」
女海賊「ふ〜ん私の旦那なんだけどさムフフ」
女戦士「良いから見て来い!」
女海賊「分かったよ…行って来る」
823 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:42:52.30 ID:UulvHEXE0
『甲板』
ワイワイ ワイワイ
めちゃくちゃ早いな…見えん
あんな低い姿勢から切り上げんのか?
ワイワイ ワイワイ
女海賊「なんか船乗りが集まってんね…」
ホムンクルス「みなさん楽しんでいますね」
女海賊「あれ?アサシンも来てんじゃん!!どゆこと?なんで居んの?」
ホムンクルス「はい…先ほどから参加されています」
女海賊「5対1で良くやるね…どんな感じ?」
ホムンクルス「剣士さんが早い動きで翻弄されています」
ピョン クルクル シュタッ カンカンコン バシ
盗賊「あだっ…やっぱダメだな…ちと休憩しよう」
剣士「回復魔法!」ボワー
盗賊「おーさんきゅー…しかしお前は足を使いだすと5対1でも意味無いな」
アサシン「私も回復魔法を貰っても良いか?」
剣士「回復魔法!」ボワー
アサシン「なぜ木刀でこれほど威力が出るのか…」
ローグ「そーっすね…これワザと急所外してるっすよね?じゃなきゃ速攻戦闘不能っすよ…あたた」
剣士「アサシンの間合い詰めは僕もヒヤリとしたよ」
盗賊「一撃入ったのはアサシンだけか」
アサシン「当たりが浅すぎだ有効打では無いな」
盗賊「やっぱガチ当たりは女戦士が上手だ…あいつは一発打たれる前提で相打ち狙いだ」
アサシン「木刀だから打たれても良いが真剣ではそうはいくまい」
盗賊「女戦士も鎧くらい着るだろう…装備次第だな」
アサシン「しかし剣士がこれほど出来るとは思って居なかったな…時の王とも渡り合えるかも知れん」
盗賊「んん?やらせるのか?」
アサシン「女海賊が何と言うか分からん…無理にはやらせられんな」
盗賊「まぁ黙って置け…やっとアイツも幸せ手に入れたんだ」
女海賊「聞いてんだけど…」ズイ
824 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:43:24.73 ID:UulvHEXE0
盗賊「うぉ!!居たんか…お前居るなら居るって言えよ」
アサシン「女海賊…挨拶が遅れたな」
女海賊「アサシンが居るって事は魔女も居んだね?なんでみんな言ってくれないのさ」
盗賊「あぁ済まん済まん…立ち合いに夢中でな」
女海賊「魔女はどこにいんのさ」
盗賊「お前に顔を会わせられないと言っていたんだが…出て来にくいんじゃ無ぇか?」
女海賊「もう昔の事は良いんだ…それより精霊樹が魔女を探せって言ってたんだよ…そうだよね剣士?」
剣士「ん…あぁそうだったね…そう聞こえた」
魔女「…」ノソリ
盗賊「おぉ魔女!そんな所に居ねぇでこっち来い」
魔女「済まなんだのぅ…出て来辛ろうて隠れて見ておったのじゃ…剣士が無事で本真に良かった」
女海賊「私は精霊樹がなんで魔女を探せって言ってんのか理由が分かんない…状況分かって無いんだ…話して」
アサシン「そうだな…女海賊は別行動だったな…休憩がてら居室で話でもしようか」
825 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:43:58.75 ID:UulvHEXE0
『居室』
カクカク シカジカ
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-----------------
女海賊「…て事はその時の王ってのがすべての黒幕なんだね?」
アサシン「そうとも言い切れん…実動しているのはその下に居る黒の同胞団だ…時の王は背後に座っているだけだな」
魔女「恐らくじゃがリリスの子宮を封じた壺は祖奴らの誰かが持って居ると思うのじゃ」
女海賊「魔女はあん時からずっと魔王の影を追ってんだ…ふーん見直した」
魔女「剣士を魔王に捧げる様な事をしてしもうてわらわは反省して居る…本真に済まなんだ」
女海賊「もう隠してる事無い?」
魔女「思い当たる事はすべて話したつもりじゃ…信じておくれ」
アサシン「目下…時の王の下に居る魔術師が歴史の改ざんを行っていると知った以上生かしては置けない」
商人「そうだね…この状況を覆されかねない」
女海賊「それで今の状況を5日以上保持したい訳ね」
魔女「わらわの魔力で5日が限界じゃ…もしかするとそれより短くて済むかも知れん」
女海賊「逆に5日もあったら逃げられちゃうね」
魔女「時の王は魔結界からはよほどの事が無い限り出ん気がするが?」
女海賊「なんで?」
魔女「勘じゃな…量子転移魔法で奪われる事を避けて居る様に見える」
アサシン「私は時の王に一太刀入れたのだがな…切ったその瞬間から傷が再生するのを見た…恐らく不死身だ」
魔女「リリスの生き血を飲んで魔人となって居るからのぅ…量子転移で奪わぬ限り無敵じゃろうて」
女海賊「んんん…どうすっかな」
剣士「魔術師だけ狙えば良いんだね?」
女海賊「あんた又危ない所に飛び込むつもりなの?」
剣士「僕はその時の王に会ってみたい…時の王を抑えれば魔術師の始末は任せて良いよね?」
アサシン「時の王の屋敷にはラットマンリーダーも居るのだ…そちらも抑える必要がある」
盗賊「それはアサシンと俺でなんとかなるんじゃ無ぇか?」
アサシン「その間に魔術師に逃げられるのでは無いか?」
盗賊「んむ…人選が重要だな」
女戦士「アサシンに変わって私に行かせろ…ラットマンリーダーは私一人で引き受ける」
女海賊「お姉ぇ…」
女戦士「私の新しい武器も試したかった所なのだ…アサシンはハイディングも出来まい?」
女海賊「分かったこうする…ハイディング出来る人だけの構成で私とお姉ぇ…剣士と盗賊の4人」
女海賊「お姉ぇがラットマンリーダーを引き受けて剣士が時の王を抑える…その間に盗賊が魔術師やって」
アサシン「確実に行けるか?」
女海賊「そんなんやってみないと分かんない…ただ何かあった時の逃げ道は私が用意する」
アサシン「ふむ…お前が行くのはそういう事か」
女海賊「お姉ぇは早く刀の研ぎやってよ…それ出来た後に作戦実行する」
女戦士「では明日の昼までに仕上げてやる…作戦は明日の夜…どうだ?」
女海賊「おっけ」
826 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:44:35.26 ID:UulvHEXE0
『船尾』
ザブン ザブン
商人「なんだここに居たのか…探したよ」
ホムンクルス「はい…夕日が落ちて行くのを見ていました」シュン
商人「どうしたんだい?悲しそうな顔してるよ?」
ホムンクルス「いえ…何でもありません」
商人「君がそういう顔をする時は何かあるんだ…おいで」ギュゥ
ホムンクルス「皆さんのお話を聞いて理由は分かりませんが悲しみに似た反応が確認されました」
商人「君は前に時の王の話をしていたね?それと関係する?」
ホムンクルス「記憶を根の森に置いて来ましたので思い出せません」
商人「精霊は時の王に裏切られたって…」
ホムンクルス「基幹プログラムに時の王との関りが圧縮されてアルゴリズム化されている様です…そのせいですね」
商人「もう君は精霊じゃ無いよ?」
ホムンクルス「はい…私は私です…ただ基幹プログラムに少しだけ残っているものですから」
商人「それは大事にした方が良いかもね…それを含めて君だから」
ホムンクルス「もう少し強く抱きしめて下さい…ドーパミン放出が不足しています」
商人「これ見て?僕のメモ帳だよ?」
ホムンクルス「これは何ですか?」
商人「君の絵のへたくそさを真似て書いた絵さ…パラパラめくると動くんだ…ほら?」パラパラ
ホムンクルス「ウフフ面白いですね」
商人「お?笑ったね?」
ホムンクルス「ドーパミン放出が確認されました」
商人「こんなへたくそな絵でも動くと命が宿るよね」パラパラ
ホムンクルス「そうですね…精霊の記憶の原型ですね」
商人「え?…」
ホムンクルス「もう少し寄り添って居て下さい…生体が安定します」
商人「フフ君にも欲求が出て来たね…うれしいよ」
----------------
827 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:45:03.88 ID:UulvHEXE0
ドタドタ
女海賊「あ!見っけた…あんたらいつからそんな関係になってんのさ!!」
商人「女海賊か…二人で夕日見てたんだ」
女海賊「ホムちゃんくっ付き過ぎじゃない?」
ホムンクルス「はい…私がお願いをしました」
女海賊「フン!まぁ良いけどさ…剣士から賢者の石預かってんだ…黒死病に効くんだったよね?」
ホムンクルス「はい…お預かりしてもよろしいのですか?」
商人「お!?エリクサーの消費を抑えられるね?」
女海賊「剣士が立ち合いに忙しいから私が治療に行く事になっちゃったんだ…ホムちゃん付き合って」
ホムンクルス「はい…商人よろしいですか?」
商人「勿論…行っておいでよ」
女海賊「何言ってんだ!!立ち合いやらないならあんたも来い!」
商人「僕はちょっと休憩してただけさ…僕も戦う練習してくるよ」
ホムンクルス「商人は体が弱いのでほどほどにして下さい」
商人「分かってるよ…無理はしないさ」スック
828 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:45:35.77 ID:UulvHEXE0
『中央バリケード』
ガヤガヤ ガヤガヤ
女海賊「うっわ…人でごった返してんな」
ホムンクルス「私は一人づつ賢者の石で黒死病を治療していきますね?」
女海賊「ホムちゃん一人は危ないから私から離れないで」
ホムンクルス「はい…気を付けます」
女海賊「魔女は回復魔法掛けてあげて?ほんで情報屋は魔女を守って」
情報屋「うん…女性は私達だけね?」
女海賊「そんな感じだね」
ホムンクルス「あちらの秘密のテントの方に見えていますよ」
女海賊「あれ何?なんかスゲー怪しい雰囲気なんだけど…」
情報屋「あれは慰安所よ…コイン交換でサービスしてくれるらしいわ」
魔女「わらわ達には関係の無い場所じゃな…近寄ると誤解されるで行かん方が良いな」
女海賊「ははーん…だからここに人一杯集まってんのか…馬鹿だねー男達は」
ようネーちゃん!あんたらは兵士なのか?身なりは良さそうだが…
そこの緑の髪の子はどっから来たんだ?
赤い目の女はオッケーなのか?コイン何枚だ?
女海賊「あぁぁうっさいうっさい!私らは黒死病の治療に来たんだ…近寄るんじゃねぇ!!」
ごろつき「俺の下半身が石みたいになってんだ…ちょっと見てくれ」
女海賊「フン!」ボキ
ごろつき「ぐぁぁぁ!!」
魔女「これは世話が焼けるのぅ…」
女海賊「ホムちゃん!あーいうのが居たら今みたいに折って良いから」
ホムンクルス「はい…わかりました」
女海賊「ほんじゃ治療いこっか…」
ボキ ぎゃああああ
ボキ いだぁぁあい
829 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:46:14.47 ID:UulvHEXE0
『夜_貨物船』
ザブン ギシギシ
女海賊「盗賊?こんな所で寝てんの?」
盗賊「寝ちゃ居ねぇよ…女戦士が居室に入るなっていうからよ…ここで一人飲みだ」
女海賊「お姉ぇは研ぎの最中?」
盗賊「あぁ…刀の研ぎってのは砥石使うんじゃ無ぇのか?あいつは手でやってる様だが…どんな手ぇしてんだ?」
女海賊「砥石の工程終わったって事か…もうちょいで終わるかな」
盗賊「俺が居室入ろうとすると怒るんだが…」
女海賊「お姉ぇは変なクセがあってさ金属とか触って感じてんの…邪魔されたく無いんでしょ」
盗賊「マジかよ…どМだとはちっと聞いたがそんなクセまであんのか」
女海賊「あちゃーーバレてんの?寝る時も毛布じゃなくて砂鉄が入った袋乗せて寝るんだよ」
盗賊「ぶっ…道理で砂鉄が沢山積んでる訳だ」
女海賊「鎖でグルグル巻きにしたら喜ぶんだ…黙っといてね」
盗賊「お前も変わった奴だがあいつも相当ズレてんな…」
くぅぅ はぁはぁ うぐっ うぐっ
女海賊「あー聞こえちゃってんな…盗賊ここもダメ!あっちで横になってて」
盗賊「さっきから苦しそうにしてるが良いのか放って置いて?」
女海賊「初めての金属触って興奮してんだ…お姉ぇの逝く声はあんたに聞かせらんない」
盗賊「ヌハハ金属好きなのは知っていたがここまでとは…俺には理解出来ん」
女海賊「良いからアッチ行け!シッシッ」
------------------
830 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:46:47.05 ID:UulvHEXE0
情報屋「交換してきたわ?これで良いかしら?」
魔女「コイン何枚だったのじゃ?」
情報屋「全部で10枚だったわ…大サービスね」
ホムンクルス「この銀の仮面を付けておけば良いでしょうか?」
女海賊「そだね…これでちっとは男避けになるかも」
魔女「フィン・イッシュ女王とほとんど同じじゃな」
女海賊「ちょっと待って…装飾が足りないから私が模様を付ける…貸して」トンテンカン
魔女「銀か…光の魔法を付与出来そうじゃ」
女海賊「お!?良いね!!何が出来る?」
魔女「悪霊退散ぐらいしか出来んが…無いよりマシじゃろう」
女海賊「いやいやメチャ良いじゃん!レアアイテムになるよ」
盗賊「女4人集まって何やってんだ?」
情報屋「あら?暇なの?」
盗賊「一人酒はつまんねえんだよ…相手しろや」
情報屋「他の人は?」
盗賊「立ち合いで疲れて皆寝ちまったんだ…ローグなんかピクリとも動かねえ」
ホムンクルス「商人も寝てしまいましたか?」
盗賊「あぁ一番奥の居室に籠ったまま出て来ん!エリクサー作ってるかもな」
ホムンクルス「私は商人と毎日の約束がありますので失礼します」
女海賊「表情の練習?」
ホムンクルス「はい…」
女海賊「いいよ行っといで!仮面は明日までに仕上げとくよ」
盗賊「あ〜あ酒飲む相手が一人づつ減ってくな…」グビ
情報屋「付き合ってあげるわ?それ頂戴?」
盗賊「おう!こりゃフィン・イッシュ名産の米から作った酒らしい…飲め」
女海賊「酒くっさ!!あっちでやってくれる?」
盗賊「まぁ良いじゃ無ぇか…」
831 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:47:25.14 ID:UulvHEXE0
『翌日_中央バリケード』
ガヤガヤ ガヤガヤ
盗賊「相変わらず城の方で撃ちあいやってんな」
ローグ「そーっすね…でも人がこっちの方に少しづつ戻って来てるんで活気が出て来やしたね」
盗賊「むさ苦しい奴らばっかだがな」
ローグ「あっしらやる事無くなって暇になって来やしたねぇ…」
盗賊「うむ…戻って立ち合いでもやるか?」
ローグ「貧民街の方でやるのはどうでやんすか?精鋭兵にも混ざって欲しいでやんす」
盗賊「良い事言うじゃ無ぇか!!よし…俺らの立ち合い見せて活気づけてやろう」
ローグ「アイサー」
『貨物船_居室』
ガチャリ バタン
女海賊「お姉ぇ?どう?」
女戦士「テーブルの上に置いてある…」グター
女海賊「大丈夫?」
女戦士「私は少し休む…放って置いてくれ」グッタリ
女海賊「声が外に漏れてたよ…」
女戦士「フフそうか…少し張り切り過ぎた様だな…オリハルコンの粉を吸って意識が飛びそうになった」
女海賊「本当にお姉ぇは変態だね」
女戦士「言うな…私は金属を愛しているのだ…お前よりよほど純潔だ」
女海賊「純潔ねぇ…なんか違う気がすんだけどな」
女戦士「私は今までこれほど良い刀を手にしたことが無い…研ぎも完璧に仕上げた…見て見ろ」
女海賊「うん…」スラーン
女戦士「正直に言おう…その刀を一本私にくれ」
女海賊「良いよ…あげる…多分私はそんなに使わないし」
女戦士「使うのはお前が使って構わん…ただ必ず返して欲しいのだ…意味が分かるか?」
女海賊「必ず帰って来いって事?」
女戦士「そういう意味もあるが…私はその刀の研ぎに魅せられた…また研ぎたいのだ」
女海賊「やっぱお姉ぇ…変態だね」
女戦士「恥ずかしい話だが今日ほど体が満足した事は無い…私はオリハルコンの研ぎに魅せられてしまった」
女海賊「これお姉ぇにとっての麻薬みたいなもん?」
女戦士「麻薬依存を私は馬鹿にしていたが今なら分かる…それほど満足した」
女海賊「まぁまた研いでくれるってんならそっちのが良いか」
女戦士「フフ誰にも言うな?」
女海賊「なんか立てそうに無いね?」
女戦士「休ませてくれ…何もやる気が起きん」
女海賊「これからこの剣にインドラの矢を落としに行こうと思ってたんだけど…来れそうに無いね?」
女戦士「私は良い…もう少し余韻を楽しませてくれ」
女海賊「はいはいお姉ぇの変態には付き合ってらんない…刀貰ってくよ」
832 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:47:55.40 ID:UulvHEXE0
『甲板』
ザブン ザブン
女海賊「ホムちゃん?一人?」
ホムンクルス「はい…みなさん貧民街の方に行かれました」
女海賊「なんで?何かやってんの?」
ホムンクルス「貧民街の方で立ち合いをやっているのだそうです」
女海賊「剣士も行っちゃった?」
ホムンクルス「はい…」
女海賊「そっか…まぁホムちゃんだけで良いか」
ホムンクルス「何か御用ですか?」
女海賊「この刀にさぁ…インドラの矢を落として欲しいんだ」
ホムンクルス「はい…ここでは危ないので場所を変えた方がよろしいかと…」
女海賊「分かってるよ…飛空艇に乗って」
ホムンクルス「はい…」
女海賊「この刀はさぁ…オリハルコンの重さ800グラムなんだ」
ホムンクルス「出力を絞って投下します…約100年分の光ですね?」
女海賊「大体そんな感じかな?2本あるからよろしく」
833 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:48:55.39 ID:UulvHEXE0
『貧民街』
ワイワイ ガヤガヤ
報告します!貧民街の外れでフィン・イッシュの者が模擬戦をしている様です
この騒ぎは模擬戦のせいか…治安部隊は動かさなく良いのだな?
むしろ若者が活気付いて良い傾向に見えますがどうしましょう?
非番の者に見に行かせろ…危険な様なら静止させても良い
ワイワイ ガヤガヤ
情報屋「はい!!次は8対1で始めます…参加される方は木刀を持ってください」
情報屋「開始!!」
ワイワイ ガヤガヤ
あの剣士は何者だ?
誰か知ってるか?
フィン・イッシュのサムライらしいよ
うわ!飛んだ…すげぇ!!
剣が見え無い!どうやって当ててるんだ?
ワイワイ ガヤガヤ
情報屋「終わり!!」
盗賊「ぐはぁぁ一発カスっただけだちくしょう!!」
剣士「回復魔法が欲しい人はこっちに来て…回復魔法!」ボワー
近衛「いやぁぁぁお強いですな…太刀筋は一刀流に近いがどの流派なのでしょう?」
商人「覚えていないらしいよ」
近衛「この様な剣豪が居たとは世間は広いですなぁ…是非フィン・イッシュにお越し願いたい」
商人「剣士は大人気だね」
ローグ「戦い方が美しいっすね…無駄が無いと言えば良いでやんすかねぇ…一振り一振り全部意味が在るんすよね」
盗賊「うむ…次の斬撃に繋がる動作が守備動作を兼ねてんだよ…だからスキが無ぇ」
剣士「僕の素振り動作を良く見て?」スン スン スン
近衛「おぉ!!もう一度!!」
剣士「ゆっくり行くよ?」スッ スッ スッ
盗賊「ほーーう…円で繋がって居るのか」
剣士「この動作を読めば対処できると思う」
盗賊「こりゃ相当練習しないと習得できそうに無ぇぞ?」
ピカー ピカー
商人「ん?雷か?」
ローグ「音が来ないっすねぇ…随分遠くじゃないっすかねぇ」
剣士「じゃぁ次は一人づづ僕に打ち込んでみて…どうやって凌がれるかよく見る稽古にしよう」
近衛「これは良い稽古になりますな…是非やらせて貰いたい」
剣士「良いよ!…打ち込んでみて!他の人は良く見ておくように」
近衛「いざ参る…」
剣士「来い…」
カンカンコン カンカンコン
834 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:49:33.53 ID:UulvHEXE0
『貨物船』
ザブン ギシギシ
魔女「奴らはまだ帰って来ん様じゃな…」
ホムンクルス「剣士さんの剣技にみなさん夢中なのですね…良い事だと思います」
女海賊「折角伝説の剣が完成したってのにさぁ…誰も見ようとしないってどゆこと?」
魔女「わらわに見せよ…」
女海賊「魔女は剣の事なんか分かんないじゃん」
魔女「美しいかどうかくらいなら分かるぞよ?」
女海賊「ほんじゃこの鞘から剣を抜いてみて」ポイ
魔女「おろろ…思ったよりも軽いのぅ?」
ホムンクルス「鞘に浮かんでいる紋様はわざと光を漏らしているのですね?」
女海賊「鞘に入れたまま動かしてみてよ」
魔女「こうか?」ブン キラキラ
ホムンクルス「光の筋が残るのですね」
女海賊「そそ…そっちが流星…ほんでこっちが彗星」ブン ピカー
魔女「おぉぉ彗星じゃ…工夫したのぅ!主が考案したのか?」
女海賊「そだよ…何かそう言われると癒されるムフフ」
魔女「刀の抜き方が分からんのぅ…どうやって抜くのじゃ?…むん!むん!」
女海賊「だめだこりゃ…危ないから魔女にはムリ」
ドヤドヤ ドヤドヤ
女海賊「あ!!やっと帰って来た!!」
盗賊「おう!今日は早めにあげて休憩だ…ちっと疲れた」
女海賊「剣士!!あんたの剣出来上がったよ…流星の剣だよ…ほら」
剣士「随分みんなの手が掛かったね…貸して」
女海賊「あんたの剣さ…抜いてみて」
盗賊「その鞘かっけぇな?お前が作ったんか?」
剣士「…」スラーン ピカー
魔女「まばゆいのぅ…目が眩む」
女海賊「いつもみたいに振るってよ」
剣士「…」スン スン スン
盗賊「残像が残る…めちゃくちゃ恰好良いじゃ無ぇか!!」
女海賊「あぁぁ癒される…もっと言って」
盗賊「お前もお姉ぇに似てやっぱ変態か…」
商人「ハハまぁまぁ…伝説にふさわしい剣には間違いなさそうだね」
女海賊「そう…もっと」
商人「この柄の装飾とかも全部君が彫ったの?これミスリル銀だよね?」
女海賊「はぁぁぁぁぁ」
盗賊「ダメだこりゃ変態に付き合うと移るぞ!飯だ飯!!」
835 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:50:04.34 ID:UulvHEXE0
------------------
盗賊「女戦士はまだ寝ているのか?」モグモグ
女海賊「出て来るまで居室入ったらダメだよ」モグモグ
情報屋「盗賊?どうしてそんなに気にするの?」ジロリ
盗賊「んあ?そんなんじゃ無ぇよ…今晩の作戦に影響が出ないか心配してんだ」
情報屋「そう…ならいいわ」プイ
盗賊「おいおい何でへそ曲げてんのよ」
魔女「主が悪いのでは無いか?プレイボーイ過ぎるのではないのかのぅ?」
盗賊「なんもして無ぇって…女戦士に何か出来るのはローグぐらいのもんだ」
ローグ「あっしが?あっしも何もできやせんぜ?」モグ
魔女「女戦士の服装が変わったのは盗賊が何か言うたからじゃと聞いたぞよ?」
ローグ「ぶっ…ぶぶ盗賊さんマズイっすね」
盗賊「ヌハハそれは事実かもな?」
女海賊「なんであんたがお姉ぇの服装の事言う訳?」
盗賊「まぁちと事情が有ってだな…」
ローグ「マズいっすね…マズいっすねぇ…」
盗賊「隠す必要もあるめぇ…女戦士はな人一倍身なりには気を使ってんのよ…それを偏見抜きで評価しただけだ」
ローグ「そうなんす…本当は繊細なんすよ…鉄の女を演出してるだけなんすねぇ」
盗賊「ちょっと似合わねぇって言うだけでもう気に入った服も着ないんだ…可哀そうだろ?」
女海賊「賛成!」
情報屋「フフそう…誤解してたわ」
ローグ「あっしはそんなかしらが可愛くて好きなんす」
女海賊「お姉ぇが可愛いねぇ…なんか違う気がするけど繊細なのは合ってるかな」
盗賊「まぁそういう事よ…みんなもちったぁ気を使ってやれ…特にアサシンだな」
アサシン「クックックどうせ私は堅物だ女王にも見放された」
盗賊「堅物の思想を押し付けなきゃ良い…大事に付き合ってやってくれよ」
836 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:50:36.20 ID:UulvHEXE0
------------------
女海賊「あ!お姉ぇ起きた?」
女戦士「済まない…休み過ぎた様だ」
盗賊「おい!何でスカート履いて来ねぇんだよ!!楽しみ減るだろうが」
女戦士「お前に指示される覚えは無いが?」
女海賊「お姉ぇ着替えてきたら?」
女戦士「下の方の濡れが収まらんのだ」ヒソ
女海賊「大丈夫だって!見えやしないから…」グイ
女戦士「フン!」ツカツカ
------------------
女戦士「これで満足か?」フワリ
ローグ「かしらはやっぱそっちの方が良いっすね〜」
女戦士「さて…全員揃っているな?今晩の話を詰めようか」
アサシン「そうだな…私も少し考えたのだが万が一に備えて私とローグ、魔女で気球を使って上空で待機しようと思う」
盗賊「それは睡眠魔法を使う構えという事だな?」
アサシン「その通り…魔女の貝殻を使って状況をこちらへ伝える事が出来る筈だ」
魔女「ふむ…魔結界の中では千里眼で見通せぬ故…それが良かろう」
女海賊「じゃぁ私が貝殻を持つ…逃げ場に困ったら使うさ」
盗賊「俺らはハイディングして徒歩で行くのか?」
女海賊「私は貴族特区にドロボー行った事あんだ…近道知ってるよ」
アサシン「出来るだけ騒ぎにはしたくない…極力ハイディングで隠密行動をしてくれ」
女海賊「貴族特区にどんだけ人が居るか分かんないけどさ…さっさと睡眠魔法で眠らせたら?」
魔女「向こうに魔術師が居るのじゃ睡眠を悟られてしまっては逃げられるぞよ?」
女海賊「じゃやっぱ逃走時しか使えない訳ね」
魔女「出来るだけサポートはするつもりじゃ…兎に角魔術師を倒すのじゃ」
女海賊「私らの心配と言えばお姉ぇがラットマンリーダーを抑えきれるかなんだけど…行けそう?」
女戦士「私の武器は何で出来ている?」
女海賊「あ!!そうか…ミスリルのギガントアックス…鎮魂の鐘と同じだね?」
女戦士「私よりも剣士の方だな…時の王がどれほどの者か情報が無い」
剣士「魔術師を倒す間の凌ぎに徹するよ…心配しないで」
アサシン「では行動は深夜…月が落ちたら行く…それまで静養しておいてくれ」
837 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:51:05.75 ID:UulvHEXE0
-------------------
女戦士「女海賊!刀を見せろ…インドラの矢を落としたのだろう?」
女海賊「お姉ぇはまだ見てなかったね…ほい」
女戦士「ほう…鞘から零れる光が美しいな」
女海賊「お姉ぇに言われると嬉しいな…もっと言って」
女戦士「…」スラーン ピカー
女海賊「どう?」
女戦士「この光る刀身を研ぐとどうなると思う?光は粉になるのか?」
女海賊「又お姉ぇ変な事考えてんの?やめてよ」
女戦士「研ぎたい…」
女海賊「今はダメ…作戦終わって帰って来たら研いでも良いよ」
女戦士「期待で下の濡れが収まらんのだ」
女海賊「パパが言ってた金属を愛でるって…困ったクセだね」
女戦士「言うな…」
女海賊「お姉ぇ用にもっかいオリハルコン探しに行こっか」
女戦士「フフ私は原石のまま欲しい…他の宝石には興味が無くなった」
女海賊「そろそろ返してもらって良い?」
女戦士「もう少し触らせろ…」スリスリ
838 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:51:51.86 ID:UulvHEXE0
『深夜』
移動するよ…ハイディング!
迷ってない?よし…左の壁沿いに貴族居住区抜ける
貴族特区に入ったら一番大きな屋敷ね
裏手で盗賊は一旦リリースして状況見て
----------------
----------------
----------------
『貴族特区』
盗賊「ハイディング!」スゥ
女海賊「どうだった?」
盗賊「屋敷の周りは誰も居ないがちょい離れに衛兵がキャンプしてる…数は200って所だな」
女海賊「もっかいリリースして正面の扉開けられる?」
盗賊「大丈夫だ」
女海賊「開けたらそのまま盗賊は中に入ってハイディングして」
盗賊「分かった…行くぞ!リリース!」スゥ
女海賊「扉が開いたらお姉ぇと剣士は中に入って」
ガチャリ ギー
女海賊「行って!」タッタ
盗賊「ハイディング!」スゥ
女海賊「ここまでは余裕だね…盗賊?屋敷内に何か見えた?」
盗賊「見た範囲では何も居ないな…」
女海賊「前に来た時はリリースしてすぐに見つかっちゃったんだ…すぐ逃げたけど」
女戦士「美術品が並んでいる…これはスゴイな」
女海賊「あんま見れなかったんだけど…ちっと見て行くか」
盗賊「おい!精霊の像があんぞ?」
女海賊「本物?」
839 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:52:29.65 ID:UulvHEXE0
盗賊「分かんねぇが…これ何体あるんだ?」
女戦士「見ろ!あの肖像画…ホムンクルスじゃないか?」
女海賊「え?本当だ…絵画は全部ホムちゃんが描かれてる…どゆ事?」
女戦士「時の王は1700年前の人物だな?精霊と共に居たという事だな」
女海賊「待って待って…この画の中にある落書き…ホムちゃんが描く絵にそっくりだ」
盗賊「こりゃひょっとするとひょっとするぜ?」
女海賊「ちょっと他の部屋も見て行く」タッタッタ
女戦士「すべての画がホムンクルスだな…たまに画れている男は恐らく時の王だ」
女海賊「…これは精霊と過ごした記憶」
盗賊「驚きの真実じゃ無ぇか」
女海賊「胸が苦しくなってきた…時の王が守っているのはこの記憶?」
女戦士「だとしたら私達は大きな勘違いをしているのかも知れん」
女海賊「この美術品に絶対手を触れないで…これは壊してはいけない」
盗賊「1700年の記憶が詰まった美術品か…そうと知っちゃ躊躇しちまうな」
女海賊「狙いは魔術師だけ…良い?」
シュン グサ!
女海賊「痛っ…な、なんで?」
剣士「回復魔法!」スゥ
??「物音がすると思えば…またコソドロが入って来たか」
剣士「ダメだ…魔法がかき消される」
盗賊「女海賊!このエリクサーを一口飲め」
女戦士「私の後ろに隠れろ」ダダ スチャ
盗賊「今応急処置をしてやる…肩だな?少し痛むぞ…ガマンしろ」ズボ ヌイヌイ
女海賊「うぁぁぁぁくくくくぅ」
女戦士「お前は時の王か?」
??「ほう?人の屋敷に勝手に入って来てその名を口にするとはな…察したぞお前たちは白狼の盗賊団だな?」
女戦士「フフ察しが良い…今更正体を隠しても意味は無いな」
時の王「私の計画を邪魔ばかりする輩は生かして置けん」
女戦士「計画だと?」
時の王「人類の滅亡以外にあると思うか?白狼の盗賊団よ」
女海賊「盗賊!人影!!アレが魔術師…追って」
盗賊「お…おう」ダダ
840 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:53:04.96 ID:UulvHEXE0
時の王「話を聞かずして動くか」ギリリ シュン
盗賊「うぉっとぉ!!悪りぃな俺達は魔術師に用が在って来たんだ…話ならそっちでやっててくれ」
時の王「ラットマンリーダー来い!!侵入者を排除しろ」
ラットマンリーダー「がおぉぉぉぉ」ドスドス
女戦士「剣士!妹を守れ!!デカブツは私が引き受ける」ダダダ
時の王「フハハハさすが連携が出来ているな…ならば私がやるしか無い様だ」ズズズ シャキーン
女海賊「え!?大剣…どうして」
時の王「どうした?剣を抜かないのか?」
剣士「ふぅぅぅぅ…」
時の王「随分小さな剣なのだな?刀か?遠い記憶の中にその様な刀を使う仲間が居たな…名は忘れた」
女海賊「あんたに質問がある!!」
時の王「人の屋敷を荒らしておいて質問とは無礼極まりないな」
女海賊「あんた精霊の何なの!?」
時の王「フフ私を揺さぶる気か?」
女海賊「質問を質問で返さないで!!何なの?」
時の王「1500年精霊と愛を積み重ねた者だと言えば理解できるか?」
女海賊「ならなんで人間の滅亡なんかやろうとすんのさ」
時の王「私が答える必要は無い」ダッ ブン
カキン! スパー
時の王「むぅ…やるな?だが私は不死身だ」
女海賊「剣士!倒したらダメ…」
時の王「私を倒せると思って居るのか」ダダ ブン キーン
剣士「ふぅぅぅ…」スチャ キラリ
時の王「問う…その光る刀をどうした?何故インドラの光を帯びている」
女海賊「フフこっちの番だね…私が答える必要あると思う?」
時の王「フハハハハなかなか頭の回る小娘だ…気に入った…何が望みだ?」
女海賊「人間の滅亡なんか止めて」
時の王「出来んな…私の愛する者すべてを奪った者を許すことは出来ん…そして精霊の望みはリリンのいや人間の滅亡だ」
女海賊「それは違う!!」
時の王「さて次は私の番だ…なぜインドラの光を帯びている」
女海賊「そんなんインドラの矢を落としたに決まってんじゃん…あんた知ってんじゃないの?」
時の王「まさか…精霊シルフは停止した筈だ…インドラの矢を落とせる者なぞ存在しない」
女海賊「精霊が生きているって知ったらあんたどうする?」
時の王「私を揺さぶって居るのか?そんなまさか…」
841 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:53:39.52 ID:UulvHEXE0
女海賊「やっぱあんたは私らの敵じゃないね…精霊を愛してるだけだね?」
時の王「黙れ!!小娘に分かる訳が無い!!愛は永遠では無いのだ…記憶こそ永遠だ」
女海賊「やっぱり…美術品はあんたの大事な記憶なんだね?」
時の王「黙れ!黙れ!黙れ!」ダダダ ブン ブン ブン
キン カン カーン スパーッ
時の王「くぅぅ思い出したぞその剣裁き…時の勇者!お前だな?」
剣士「…」スチャ
時の王「恨んで居るのか?魔王に魂を売ったのは仕方の無い事だった…私の邪魔をするな」
女海賊「違うよ時の勇者じゃないよ…あんたは精霊との思い出に寄り添い過ぎて時代に残されてる」
時の王「教えてやろう…人の記憶は200年しか記憶出来ないのだ…私は精霊シルフとの記憶を失いたくなかった」
女海賊「だから外に出なかったの?」
時の王「悪いか…どんどん薄れて行く愛しい記憶を失いたくない」
女海賊「精霊と一緒に夢幻に行けば良かったのに…」
時の王「私は不死身だ…死ぬことも許されない…だからせめて精霊の望みを叶えるのが私が生きる理由だ」
女海賊「悲しい…でもあんた一つ間違ってる…精霊は人間の滅亡なんか望んでない」
時の王「何故ハーフエルフやハーフドワーフが居ると思っているのだ?」
女海賊「え?…まさか」
時の王「人類の置き換えだ!魔王を滅するのはこれしか方法が無い」
女海賊「そんな…」
時の王「立場が逆転した様だな?取引をしようか…同志になれ…そして精霊が居るなら私の下へ連れて来い」
女海賊「ホムちゃん…どうしよう…」
女戦士「剣士!!助けてくれ…あの魔術師は只の魔術師では無い!!盗賊が死ぬ!!」
842 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:54:17.53 ID:UulvHEXE0
女海賊「一旦中断!!剣士行くよ!!」ダダ
時の王「あれは私を監視する黒の同胞団の魔術師だ…お前たちにやれるか?」
女海賊「うるさい!!黙って見てろ!!」タッタッタ
『屋敷2階』
女海賊「お姉ぇも傷だらけじゃん…エリクサー飲みながら下の時の王見てて」
女戦士「行け!…はぁはぁ」グラリ
女海賊「盗賊!下がって!!」カチャリ ターン ターン
魔術師「グゥ…キシャァァァ」
盗賊「ぐふっ…すまんやり切れん」ズルズル
女海賊「何アレ…」
盗賊「多分不死者だ…攻撃が効か無ぇ…リッチって聞いた事あるか?」
女海賊「ミスリルダガーでも効かないの?」
盗賊「心臓をやれりゃ行けるかも知れんが何処にあるか分からん」
女海賊「出血ヤバイね…エリクサー飲んで」
盗賊「足の付け根やられた…手で押さえるぐらいしか止めようが無ぇ…俺は戦線離脱だ」
女海賊「剣士!お願い何とかして」
盗賊「あいつの鎌は射程がおかしい!!気を付けろ!!」
843 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:54:45.83 ID:UulvHEXE0
剣士「任せて…」シュタタ
リッチ「キシャァァァ」ブン ブン
剣士「ふぅぅぅ…」キン キーン
スパ スパ スパ スパーッ
盗賊「おおぅ…一瞬でバラバラか」
女海賊「ダメ!まだ動いてる!心臓探して!!」
剣士「ふんっ」スパ スパ スパ スパ
リッチ「ガガガガガ…」シュゥゥゥゥ
女海賊「え!?溶ける?切り口から溶けてる…」
剣士「逃げる準備!!女戦士が危ない…」
ガーン ガーン ガツン ガツン!
女戦士「うぐっ…うぐっ…」ガクリ
女海賊「お姉ぇ何で反撃しないのさ!!」
剣士「入り口まで走って!!僕が時の王を相手する」シュタタ
時の王「行かせるかぁ!!」ブン ブン
剣士「…」キン キーン スパーッ
時の王「むぅぅ…」ガク
剣士「女戦士!!肩を…」グイ
女戦士「くふっ…」グッタリ
剣士「ふんっ…」グイ シュタタ
女海賊「剣士!早く!!」
時の王「くぅ忘れるな!!同志になれ!!」
女海賊「今はダメ…時を待って!!逃げるよ…走って!!」
844 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:55:25.85 ID:UulvHEXE0
『貴族特区上空』
フワフワ
アサシン「遅いな…」
ローグ「まだ屋敷の中で光が動いてるっす」
アサシン「魔女…そろそろ下の衛兵を眠らせよう」
魔女「そうじゃな…」アブラカタブラ クラウドコントロール メスメライズ
魔女「広範囲睡眠魔法!」モクモク
アサシン「これで気付く者は居るまい」
ローグ「光が二階の方に移動したようでやんす…出て来るかもしれやせんね?」
アサシン「少し高度を下げろ…寄って待機だ」
ローグ「アイサー」
アサシン「様子が伺えないのはイライラするものだ…」
魔女「あの光が動いているうちは無事なんじゃろうて」
”魔女!緊急事態!”
”お姉ぇと盗賊が負傷して走れない”
”睡眠魔法使って気球で降りて来て”
”タイミングはこっちで言う”
ローグ「ヤバヤバ…かしらが負傷って」
アサシン「ローグ…タイミングを合わせて気球を降ろせ…私は先に下へ降りる」
ローグ「分かってるっすよ」
アサシン「行く…」ピョン
ローグ「ええぇ?この高さでっすか…あ〜あ」
”5”
”4”
”3”
”2”
”1”
フワフワ ドッスン
845 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:55:52.02 ID:UulvHEXE0
魔女「どこじゃ?居らんでは無いか…」
ローグ「あっちっす…降りる場所違いやしたね」
魔女「アサシンが案内しておる…大丈夫じゃ…飛ぶ準備をせい」
ローグ「マズイっすねぇ…超マズイっす屋敷から誰かこっち見てるっすよ」
魔女「むむ…アレは時の王じゃな」
ローグ「矢で撃たれたらこのぼろい気球飛べなくなるっすよ」
魔女「風魔法で反らす故…主は気球の操作に集中しておれ」
ダダダダ
女海賊「飛んで!!」
ローグ「アイサー…ひやひやするっすよ」
女海賊「魔女!お姉ぇに回復魔法!盗賊にも!!」
魔女「回復魔法!回復魔法!」ボワー
女海賊「お姉ぇが気絶するなんて初めて見た」
ローグ「かしらは大丈夫っすか?」
女海賊「お姉ぇもかなり出血してる…ヤバいかも」
魔女「む?主も出血して居るでは無いか」
女海賊「これは処置済み」
剣士「回復魔法!」ボワー
女海賊「ぁ…ありがと」
盗賊「ぐぇぇぇぇ吐きそうだ…血が足りねぇ」
846 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:56:22.70 ID:UulvHEXE0
『貨物船』
ドタバタ
魔女「ダメじゃ!主はこの間血を抜いたばかりじゃろう…」
情報屋「このままじゃ盗賊が危ない!!私の血を…」
商人「僕の血は!?」
魔女「主は体が弱すぎじゃ…わらわの血を輸血せよ…情報屋!早うやれ」スッ
情報屋「…」グサッ
魔女「むぅ…痛いのぅ…この管は」
女海賊「お姉ぇにも私の血を…」
女戦士「ぅぅ…私に構うな」
女海賊「お姉!!気が付いた?」
女戦士「私は少し血を抜いたほうが良い様だ…輸血は要らん」
魔女「意識がハッキリしておりそうじゃ…様子見が良いじゃろう」
女戦士「私は居室に戻る…体を見られたくないのでな」ヨロ
女海賊「立てるの?」
女戦士「構うな」ヨロヨロ
魔女「立てる様なら心配は要らん様じゃな…エリクサーを飲んでおけ」
『居室』
ガチャリ バタン
女戦士「ふぅ…」ドサリ
女海賊「平気?」
女戦士「気にするな」
女海賊「お姉ぇが気を失うの初めて見たからさ…」
女戦士「私が倒れたのは別の原因だ…戦いの中で我を忘れたのだ」
女海賊「ん?どゆこと?」
女戦士「恥ずかしくてお前にしか言えんのだが…時の王に打たれて我を忘れてしまった」
女海賊「まさか…」
女戦士「戦いに行く前に私の体がどういう風だったか知っているだろう?」
女海賊「呆れた…心配して損した」
女戦士「逝くまいと耐えたのだが耐えきれなかった」
女海賊「もっと血ぃ抜いた方が良いね」
女戦士「すまんがこの話は墓に入るまで秘密にしておいてくれ」
女海賊「お姉ぇってさ?打たれて痛くないの?」
女戦士「痛みの程度が他の者とどれ程違うかは知らん」
女海賊「でも快感なんでしょ?便利な体だなぁ…」
女戦士「我を保つのが苦痛になるのだ…良いのか悪いのか…」
女海賊「私にゃぁ理解出来ん」
847 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:56:53.36 ID:UulvHEXE0
『翌日』
ザブン ザブン
商人「盗賊の容態はどう?」
ホムンクルス「いびきをかいて寝ていらっしゃいます」
商人「いつも通りだね?」
ホムンクルス「3日は安静にしておいた方が良いかと思います」
情報屋「毎回毎回怪我し過ぎなのよ…」
ホムンクルス「その様ですね…体に傷跡が沢山ありました」
商人「女戦士の方は?」
情報屋「居室から出てこないわ?女海賊が言うには心配無いって」
商人「精鋭4人が行って2人大怪我って…かなり厳しい戦いだったんだろうね?」
情報屋「私はまだ話を聞いて居ないけど…誰も聞いて居ないのかしら?」
商人「気になるね…魔女も知らないって言うし」
情報屋「アサシンは夜の内に気球で何処かに行ったまま…」
ホムンクルス「アサシンさんは気球を交換してくると言って居ました」
商人「交換…なんでだろ…なんか気になる事ばかりだね」
---------------
848 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:57:27.04 ID:UulvHEXE0
ガチャリ バタン
女海賊「魔女は何処に行ったか知らない?」
商人「あ!おはよう…魔女は奥の居室で横になってるよ」
女海賊「そっか…血ぃ抜いた後じゃしょうがないか」
商人「ねぇ昨日の作戦ってどうだったの?何も聞いてないけど」
女海賊「魔術師は剣士が倒したよ…ただいろいろ想定外が在ってね…魔女に相談したかったんだ」
魔女「呼んだかえ?」ノソノソ
商人「あ!!起きたんだ…大丈夫?」
魔女「少し血を抜き過ぎた様じゃが歩く程度なら問題なさそうじゃ」
女海賊「魔女!昨日の魔術師の事なんだけどさ」
魔女「わらわも気になって居ってのぅ…どうだったのじゃ?」
女海賊「倒したよ…でも普通の魔術師じゃなくてリッチ?…っていう魔物だった」
魔女「何故リッチじゃと分かったのじゃ?」
女海賊「盗賊が言ってたんだけど…違ったのかな?」
魔女「リッチは魔術師の成れの果てじゃ…魔力は残したまま不死者になったのじゃな」
女海賊「そんだけ?魔女の反応薄いんだけど」
魔女「ちと考えて居る…セントラルは昔魔女狩りをやって居ったな」
女海賊「10年くらい前だね」
魔女「当時捕らえられた魔術師は皆リッチにされておるやも知れんな」
女海賊「え!?あんなのがいっぱい居るって事?」
魔女「今思えば辻褄の合う事ばかりじゃ…当時の魔術院長は黒魔術を教えとったのじゃが行方不明になって居る」
魔女「黒魔術師はネクロマンサーの事じゃ…魔術師をリッチにすることが出来るのぅ」
商人「それってつまり黒の同胞団に沢山リッチが居るという事だよね?」
魔女「そうなるな…わらわは一度シン・リーンへ戻らねばならんな」
女海賊「戻ってどうするつもり?」
魔女「黒の同胞団と繋がりのある者を粛清するのじゃ…魔術院の規律が乱れすぎておる」
商人「的が絞れて来たね…倒すべきは黒の同胞団なんだ」
魔女「時の王はどうだったんじゃ?会うたのであろう?」
女海賊「うん…それはちょっと話が重くてさ…皆居る時に話すよ」
849 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:57:58.75 ID:UulvHEXE0
--------------------
女海賊「ホムちゃん…ちょっと良いかな?」
ホムンクルス「はい…どんな御用でしょう?」
女海賊「ホムちゃん前にさ…人類を滅ぼす気は無いとか言ってたよね?」
ホムンクルス「私は人間の住まう環境を良くする為に生まれたロボットですからその様な気はありません」
女海賊「じゃぁさ…人間をハーフエルフやハーフドワーフに置き換えるつもりは?」
ホムンクルス「…」
女海賊「どうして黙るのさ」
ホムンクルス「ハーフエルフもハーフドワーフも同じ人間です」
女海賊「それって置き換えるって言う事を言ってるよね?」
ホムンクルス「こう言えば良いでしょうか…長期的に見て交配が繰り返され旧種族は新種族に淘汰されます」
女海賊「やっぱそうなんだ…」
ホムンクルス「しかし問題点もあります…ハーフエルフやハーフドワーフは人間と比較して繁殖力がとても低いのです」
ホムンクルス「ですからハーフエルフやハーフドワーフだけでは繁栄する事が出来ません」
商人「なるほどね…交配を促進する為にエルフは美しくなるように設計されているんだ?」
ホムンクルス「恐らくそうだと思います」
女海賊「恐らくって…そっかホムちゃんがやった訳じゃ無いもんね」
ホムンクルス「はい…私はシミュレーションの結果をお話しています」
商人「今の話からするといづれ人間はハーフエルフやハーフドワーフに置き換わって行くんだね?」
ホムンクルス「先ほどもお話しました様に課題は繁殖力です」
商人「という事は繁殖力の高い人間はいつまでも居残るよね?」
ホムンクルス「交配が進めば入れ替わって行くでしょう」
商人「それは君が言うバランスさせるっていう解釈になるの?」
ホムンクルス「それもバランスさせる手段の一つですね…ここに誤解が生じると思われます」
女海賊「時の王は完全に誤解してるんだよ?」
商人「え!?時の王が?どういう事?」
女海賊「時の王は精霊の言葉を誤解して解釈してんの!人間を淘汰するのが精霊の目的だと思ってる」
ホムンクルス「結果的に種族が置き換わって行くという事ですね…人間を滅ぼすつもりはありません」
商人「時の王はなんて言ってるの?」
女海賊「亡き精霊に変わって人間を滅ぼすとか言ってんのあのバカ」
商人「ハハ君はハーフドワーフだから良い解釈できるだろうけどさ…僕みたいな普通の人間からしたら滅ぼされる様に聞こえるよ」
ホムンクルス「それが誤解の原因ですね…」
850 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:58:36.67 ID:UulvHEXE0
『甲板』
盗賊「うぁぁぁ…腹減った…何か食わせろい」ヨタヨタ
情報屋「あ!!あなた…もう動いて大丈夫?横になってて?何か持って行くから」
盗賊「ちっと風に当たりてぇんだ…デッキで寝転んでも良いだろ」ドタ
商人「焼き魚で良いかい?」
盗賊「何でも良い!腹減った」
ホムンクルス「造血剤も忘れずに飲んでください」
盗賊「まぁ心配ねぇ!いつもの事だ」
魔女「主は懲りん奴じゃのう…わらわの血は大事にせいよ?」
盗賊「ヌハハ今度は魔女の血が入ったか…俺も魔法が使える様になるか?」
情報屋「何バカな事言ってるの?」
盗賊「そういやよう…あの魔術師から良い物スったんだ…見ろ」ポイ
魔女「むむ!貝殻じゃな」
盗賊「それからコレだ…こりゃ何かの杖だろう?」
魔女「こりゃたまげた!幻惑の杖ではないか…精霊が持って居たと言われる杖じゃ…何故祖奴が持って居ったんじゃ?」
女海賊「ふーん…なるほどね」
魔女「何か知って居るのか?」
女海賊「前にあの屋敷に盗みに入った時にもさ…又ドロボウが来たとか言ってすぐ見つかっちゃったんだ」
魔女「ふむ…そういえばわらわが行った時もドロボウとか言って居ったな…」
女海賊「昨日も同じさ…私ら何も盗んでないよ」
盗賊「…て事はその魔術師が盗んでたって事か」
女海賊「時の王は気になる事も言ってたさ…魔術師に監視されてるってね」
魔女「時の王と黒の同胞団の関係は微妙なのかも知れんのぅ」
女海賊「そだね…多分時の王は黒の同胞団に利用されてんだね…何か良さそうなアイテム一杯有ったし」
盗賊「まぁこの杖は今の所俺が持ってんだし…魔女が使ったらどうだ?」
魔女「この杖はユニークアイテムじゃぞ?わらわが使って良いのじゃろうか?」
女海賊「精霊との思い出が詰まった時の王の持ち物だよ…返すのが筋だね」
851 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:59:05.45 ID:UulvHEXE0
盗賊「ユニークアイテムってーとどんな効果あるのか知ってるのか?」
魔女「強力な幻惑魔法が封じられておる…魔王が使うまやかしみたいな物じゃ…人を操れるのぅ」
女海賊「ははーん…その杖を使ってセントラルの動乱引き起こしてんだね?」
魔女「ただし操れるのは一人づつだけじゃな」
女海賊「そんなん有力者操れば良いだけじゃん」
魔女「まぁそうじゃな…時の王が魔結界から出ん理由はそれも理由の一つやも知れんな」
盗賊「そのうち返すとしてとりあえず魔女が持って置け」
魔女「詠唱無しで幻惑魔法が使えるのはさすがに強力じゃな…こんな物を持って居ると命を狙われるのじゃが」
女海賊「もしかしてその杖持って命じるだけ?それで言う事聞く感じ?」
魔女「そうじゃな」
女海賊「ほんじゃ私が使う!!」
盗賊「ダメだ!!お前みたいなのが使うとエライ事になる」
女海賊「はぁ!?私に逆らおうっての?」
盗賊「うぉっとぉ!!お前…裸になりたい様だな…」スッ
女海賊「ちょ…何杖向けてんのよ!」タジ
盗賊「手を上げろ…」
女海賊「ちょ…え?ちょちょちょ…やめてよ」バンザーイ
魔女「これ!!乱用するでない!!これは主らが使うと面倒な事になる!!貸せ!!」ブン
女海賊「その杖ヤバッ…」
魔女「そうじゃ…じゃからユニークアイテムなのじゃ…本来は封印せねばならぬ」
女海賊「ねぇ…手を下ろせないんだけど」
魔女「困ったのぅ…主はもう夢の中なのじゃ…どうやって目を覚まさせようかのぅ」
盗賊「ん?てことは今何やっても覚えて無いって事になるか?」
魔女「目を覚ました時には覚えて居らんじゃろうな」
女海賊「ちょ…待ってマジで言ってる?」
盗賊「ぐふふふふふ…さぁて!!…どうやって起こそうか!!ぐふふふふふ」
女海賊「マジやめて!!体に触ったらぶっ飛ばすよ!!ちょっ…やめ!!」
ギャハハハハハ ギャハハハハハ ヒィヒィ
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852 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/05(木) 23:59:38.05 ID:UulvHEXE0
女海賊「なんか…すっごい体だるいんだけど…」グターーー
盗賊「ヌハハ疲れてるんだろ…ちっと横になってろ!!」
魔女「ヤレヤレ…」
商人「ねぇ…貨物用の気球が船に降りて来そう…多分アサシンだね」
盗賊「なんで貨物用の気球で来るんだ?補給か?」
情報屋「あなたが寝ている間にアサシンが気球を交換してくるって言ってたわ」
盗賊「あぁぁなるほど…昨夜時の王に気球を見られてるからか…こっちの居場所悟られたくないってか」
商人「なんかいろいろ有ったみたいだね」
盗賊「まぁな…しかし女戦士がラットマンリーダー6匹相手に引け劣らんのはビビったわ」
女海賊「お姉ぇは6匹倒したの?」
盗賊「ミスリルの斧ってのもあるが打たれてもビクともしないのがやっぱガチの戦士だ」
女海賊「あーそういう事ね…変態だから気にしないで」
盗賊「斧であのでかいラットマンリーダーを豆腐みたいに真っ二つだ…真似できんわ」
魔女「主は魔術師と戦ったのじゃろう?リッチじゃと何故分かったのじゃ?」
盗賊「心臓がどこにあるか分からない不死者はリッチだと聞いた事があんだ」
魔女「ふむ…では間違いない様じゃな…変異魔法で心臓の場所を変えて居るのじゃ」
商人「魔女が少女に変わったりする魔法だったよね?」
魔女「うむ…わらわも心臓を隠しておるのじゃぞ?」
商人「へぇ…そうだったんだ」
盗賊「一発でやられない様にする為か?」
魔女「そうじゃ…心臓がやられなければ回復魔法で回復出来るでな」
盗賊「だから剣士はリッチをバラバラに刻んだのか」
魔女「体の何所かにはある故それが早いかものぅ」
女海賊「剣士は知ってたの?」
剣士「知らないよ…体が自然に動いた」
女海賊「自然にねぇ…時の王があんたの剣技を見て時の勇者って言ってたけど…」
商人「む…気になる話だな」
フワフワ ドッスン
853 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/06(金) 00:00:04.66 ID:xG8gRnQS0
盗賊「帰って来た様だな」
アサシン「盗賊はもう大丈夫なのか?」
盗賊「横になってりゃどうってことは無ぇ…ほんで?上手い事気球は交換出来た様だな」
アサシン「4人乗りの貨物用だが使い勝手は割と良い…それより女戦士の容態はどうだ?」
女海賊「平気…放って置いて良いよ」
アサシン「まだ起き上がれる状態では無いのだな?」
女海賊「分かんないけど…なんで?」
アサシン「今気球から見えたのだが城の方で騒ぎが起きて居そうだ…少し離岸しておいた方が良いかと思ってな」
盗賊「船乗りが中央に行っちまってるな…ちっと時間が掛かるかもしれんぞ?」
アサシン「まぁ私が見に行って来よう…ローグ!一緒に来い」
ローグ「アイサー」
『夕方』
ザブン ギシギシ
女戦士「…」ツカツカ
女海賊「お姉ぇ!!平気?」
女戦士「休んだらスッキリした…お前も仮面を付ける様にしたのか?」
女海賊「お姉ぇの分もあるよ?要る?」ホイ
女戦士「ふむ…銀製か…この紋様はお前が彫ったのか?」
女海賊「そだよ…退魔の効果も魔女が付与してくれた」
女戦士「なかなか良い物だな」
女海賊「お姉ぇのクセがちっとは良くなるかも知んないから付けといて」
女戦士「言うな…」スチャ
盗賊「女5人全員仮面たぁ味気無ぇな…そこに並んでみろ」
魔女「…」 幻惑の杖 ローブ
情報屋「…」ミスリル剣弩 中装
ホムンクルス「…」毒牙のナイフ 軽装
女戦士「…」ミスリル斧盾 重装
女海賊「…」4連銃爆弾 中装
商人「こうやって改めて見るとみんな美人なのに勿体ないね」
盗賊「船に乗ってる時ぐらい外しておいてくれよ…酒がマズイ」
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854 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/06(金) 00:00:32.87 ID:xG8gRnQS0
女海賊「あ!!やっと帰って来た!!アサシンとローグ!そこに並んで」
アサシン「何のつもりだ?」
女海賊「良いから早く」
剣士 「…」流星の剣 中装
盗賊 「…」ミスリルダガー弓 中装
ローグ「…」ミスリルダガー×2 中装
アサシン「…」草薙の剣 中装
商人「…」ミスリル剣弩 中装
女海賊「やっとみんな揃ったね」
アサシン「食事でもしながら少し話そうか…」
商人「バーベキューでもしようよ」
ローグ「良いっすねぇ…魚ばっかでやんすが」
『バーベキュー』
メラ パチ ジュゥジュゥ
女海賊「…ほんで城の方はどうだったの?」モグ
アサシン「ゲートブリッジが開いて架け橋も降りたそうだ…今はブリッジ上で押し合っているらしい」
ローグ「アンデッドホースに乗ったデュラハーンの一騎駆けで大混乱だったようでやんす」
女戦士「騎乗で戦える地形ではあるまい?」
ローグ「中央の方まで降りてきたらしいっすよ?一騎で…」
女戦士「倒したのか?」
アサシン「何処かに去ったとの事だ…よもやするとこちらに来ていたかもしれん」
女戦士「バリケードが功を奏したか…被害はどうなって居る?」
アサシン「怪我人が数十人中央まで運ばれているな…死者の状況は分からん」
盗賊「エルフゾンビはちとやり過ぎじゃ無ぇか?」
アサシン「まぁゲートブリッジが降りたのだ…呼び込んで終わらせるつもりなのだろう」
ローグ「今は中央の方も落ち着いて心配無いでやんす」
アサシン「さて…私も昨晩の事で聞きたい事が山ほどあるのだが…」
女海賊「私が話すよ…」
カクカク シカジカ
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855 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/06(金) 00:01:05.29 ID:xG8gRnQS0
女海賊「…で…これが盗賊が盗んだリッチが持ってたの貝殻だよ」
アサシン「魔女…この貝殻は聞く専用の貝殻なのか?」
魔女「そうじゃな…もう一つ話す専用の貝殻も持って居ったかもしれんが…」
盗賊「そんな何度もスリ出来るようなチョロい相手じゃ無ぇ!」
アサシン「まぁ良い…その貝殻があれば黒の同胞団の動きを探れるな」
女海賊「魔女の話だと黒の同胞団に沢山リッチが居るかも知れないって」
盗賊「やばいぞリッチは…不死者で心臓がどこにあるのか分かんねぇんだ…今回は魔法使って来なかったから良かったが…」
アサシン「ふむ…単騎で一人づつ倒すと言う訳にも行かんのか」
女海賊「待って…リッチって不死者だよね?だったらなんでエルフゾンビのドクロの杖に従わなかったの?」
魔女「魔結界の中に居ったからじゃな…つまり魔結界の外に居るリッチはドクロの杖に従う筈じゃ」
盗賊「おぉぉ!!ほんじゃドクロの杖はキーアイテムだな」
アサシン「上手く使えば黒の同胞団を壊滅に追い込めるな」
女海賊「下手に動いてこっちの動きバレるとマズイからしっかり調べたいね」
魔女「わらわに考えがある…シン・リーンの元老院は黒の同胞団を繋がって居りそうじゃ…わらわは一旦戻りたい」
アサシン「魔女が動いていると黒の同胞団に知られるのは逆に良くないと思うが…」
魔女「変性魔法で他人に変身すれば良い」
女海賊「お!?そんな事できんの?」
魔女「姿を借りる者の同意があれば成り済ます事が出来る」
アサシン「ほう?面白い作戦だな」
魔女「そうじゃな…母上と面識のある女戦士が良いのぅ?品もある故目通りするには十分じゃ」
女海賊「お姉ぇ…品があるとか言われてるけど変身されて良いの?」
女戦士「体を他人に見せない条件でなら構わん」
アサシン「…して…目通りが出来たとしてどうする?」
魔女「元老院の者を招集して尋問じゃな…わらわには幻惑の杖がある」
アサシン「ふむ…壺の行方はどうする?」
魔女「おぉ!!そうじゃ…時の王の屋敷にはやはり無かったのか?」
女海賊「一通り見たけど壺は無かったなぁ…美術品と謎のアイテムばっか」
盗賊「俺も見て無ぇな…」
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856 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/06(金) 00:01:37.18 ID:xG8gRnQS0
情報屋「ねぇ女海賊?未来君が壺の事を何か言っているわ?」
女海賊「え?未来が?…どうしたの未来?」
子供「僕さ…前に白狼の盗賊団ごっこしたときに壺を一個持って帰ってきたよ?」
魔女「何じゃと?どのような壺じゃ?」
子供「…これくらいの大きさで黒い壺だよ…蓋が付いてた」
魔女「こんな形をして居らんかったか?」カキカキ
子供「そう!これ…袋に入れてママに渡したよ」
女海賊「え!?…あの財宝の中に…あったの?」
魔女「それは何処にあるのじゃ?」
女海賊「お姉ぇに渡した財宝ってどうなった?」
女戦士「海賊の基地に置きっ放しだな…私の部屋だ」
女海賊「安全な場所にあんじゃん!!あそこは狭間の中だよ」
ローグ「あの財宝…あっしが最初にお宝貰ったっすよね?壺なんか見てない気がするんすけどねぇ…」
女海賊「私も覚えてないんだけど…確認しないと分かんないね」
アサシン「ひとまず行き先の手掛かりは一つある訳だ…ここは分かれて行動するか」
女戦士「では私は船で一度基地へ戻るとしよう…ローグを連れて行く」
女海賊「シン・リーンは飛空艇で私が魔女を送って来るよ…どうすっかな剣士は一緒に来るとして…」
アサシン「私の予測だが魔術師の多いシン・リーンは相当危険だと思うのだが…」
女海賊「アサシンの予定は?」
アサシン「私はフィン・イッシュ女王の相談役になってしまって居てな…今は動けん」
女海賊「じゃぁこうしよう…ホムちゃんは放って置けないから連れて行くとして盗賊と情報屋…おまけで商人の7人」
女戦士「未来は私が預かるで良いか?壺を知っているのは未来なのだろう?」
女海賊「うん…あんまり危ない所に連れまわせないしお願い…」
アサシン「では私はエルフゾンビと共にフィン・イッシュ女王の下に身を寄せておく」
女海賊「おっけ!決まりだね」
アサシン「魔女に頼みがあるのだが…貝殻をそれぞれに配れんか?連絡用に使いたいのだ」
魔女「簡単じゃ…それぞれに2枚づつ用意すれば良いな?」
アサシン「うむ…黒の同胞団も同じように連絡を取り合っているのだ…私達も使わねば行動に差が出る」
魔女「では女戦士と女海賊…アサシンに配るとしよう」
857 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/06(金) 00:02:05.83 ID:xG8gRnQS0
『居室』
ガチャリ バタン
女海賊「お姉ぇ…未来はもう寝た?」
女戦士「フフ未来は剣士にそっくりだな?」
子供「…」スヤ
女海賊「お姉ぇに彗星の剣を預けに来た…」ゴトリ
女戦士「良いのか?」
女海賊「私やっぱあんま使わないんだ…背負える様になってるから何かあったら未来に使わせてみて」
女戦士「分かった…研ぎは私が…」ゴクリ
女海賊「無駄に研がないで大事に使って」
女戦士「分かっている」
女海賊「未来は昔の剣士みたいな剣の使い方するんだ…私じゃ無理だから稽古付けてあげて」
女戦士「そうだな…船旅は暇を持て余す…しっかり訓練してやる」
女海賊「未来は私から離れるの初めてだから少し心配…」
女戦士「自分の荷物をまとめて私の居室にもう来ているのだ…自分なりに役立とうとしているのだぞ?賢いでは無いか」
女海賊「フフそっか…」
女戦士「お前は知らんかも知れんが…隠れて回復魔法の練習をしているのだぞ?」
女海賊「未来が?」
女戦士「魔女に教えてもらった様だ…貴重な回復要員としても働いて貰うつもりだ」
女海賊「もう一人前か…」
女戦士「うむ…まぁ危険な所に行く訳では無いから心配しなくても良い」
女海賊「うん…どっちかっていうとお姉ぇの変態が移るのが心配」
女戦士「…」スラーン ピカー
女海賊「ちょちょちょ…口が滑った」
女戦士「フン!見れば見るほど美しい刀だ…」
女海賊「あ!そういえばその刀で切られた切り口は溶けるみたいだから注意して…自分の体切らない様にね」
女戦士「ほう?そのような効果もあるのか…」
女海賊「伝説の剣にふさわしいっしょ?フフ」
858 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/06(金) 00:02:36.41 ID:xG8gRnQS0
『翌日』
ザブン ギシギシ
魔女「では行くぞよ?」
女戦士「どうすれば良いのだ?」
魔女「わらわに吸い込まれて行くのを拒否しなければ良い」
女戦士「ふむ…分かった」
魔女「では…変性魔法!」グングン
盗賊「おぉ!!女戦士が2人…」
女戦士「イカンな…体が大きゅうなり過ぎてローブがピチパチじゃ…」
女戦士「これが私なのか…触って良いか?」
女戦士「自分の体を触るのと同じじゃぞ?」
女戦士「…」ムニムニ
女戦士「これ!気持ちが悪い」
女戦士「柔らかいな…私はこれほど柔らかいのか…」
女戦士「何を言って居るのじゃ…自分の体じゃろう」
女戦士「私の着替えを持ってくる…着替えて見てくれ」
女戦士「うむ…いやここでは盗賊が見て居るでわらわがそっちに行った方が良いな」
盗賊「んーだよ!!減るもんじゃあるめぇし別に良いだろ」
女戦士「魔女…こっちだ…居室まで来い」
859 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/06(金) 00:03:03.28 ID:xG8gRnQS0
『居室』
ゴソゴソ
女戦士「これは普段主が着ている物では無い様じゃが?」
女戦士「軽装だから着るのを控えて要るのだ」
女戦士「なるほど…主は本当はこれが着たいのじゃな?」
女戦士「そうだ…試着しても自分では見る事が出来ないのでな…」
女戦士「どうじゃ?満足か?」
女戦士「回ってみてくれないか?」
女戦士「ほれ?」クルリ ヒラ
女戦士「フフ…もっと着せ替えてみたくなるな」
女戦士「わらわはこれで良い…軽い方が好みじゃ」
女戦士「私はこんな風に見えて居たのか…」
女戦士「自信が付いたか?」
女戦士「もっとゴツゴツした風体だと思っていたのだがそうでは無かったのだな…」
女戦士「気にし過ぎじゃ」
女戦士「笑ってみてくれないか?」
女戦士「こうか?」ニコ
女戦士「フフ…照れくさい」
女戦士「満足した様じゃな?」
女戦士「妹に負けて居ないのは良く分かった…少し自信が付いたありがとう魔女」
860 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/06(金) 00:03:35.12 ID:xG8gRnQS0
『甲板』
ザブン ギシギシ
ローグ「そろそろ出港するでやんすが…げ!!かしらが2人…」
盗賊「お!?戻って来たな?どっちがどっちだ?」
女海賊「魔女!!そろそろ飛空艇に乗って…出発するよ」
女戦士「他の者は皆乗って居るんか?」
女海賊「うは…全然見分け付かないね…もう乗ってるから魔女も乗って」
女戦士「体が大きい故頭をぶつけそうじゃ…慣れるまで少々かかりそうじゃな」スタスタ
女海賊「その体ってさ…お姉ぇと同じぐらい強いの?」
女戦士「丁度半分じゃ」
女海賊「半分でもそこそこ強いんじゃね?」
女戦士「そうかも知れんのぅ…一応魔法も使えるで割と強いかも分からん」
盗賊「マジか!暇出来たら立ち会ってみるか…」
女戦士「遊びでは無いんじゃ早う行くぞよ」
女海賊「よし!乗ったね?飛空艇の操作は盗賊がやって」
盗賊「おう!じゃ…いくぜ?」
フワリ シュゴーーーーーー
861 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/06(金) 00:04:31.94 ID:xG8gRnQS0
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------------------
淫魔の呪い編
完
862 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:27:40.10 ID:CUQQsgj40
『飛空艇』
シュゴーーーーー
盗賊「ぬぁぁぁ…魚の干物ばっかじゃ力が出無ぇ!」カジ
女海賊「それしか無いんだから我慢して」
情報屋「干し芋ならあるわ?要る?」
盗賊「食い飽きたんだ…肉食わせろ肉!!」
商人「この先にトアル町があったよね?ちょっと補給して行かないかい?」
女海賊「肉売ってるアテあんの?」
商人「あそこは森の近くだし養羊場もあった筈だよ」
女海賊「2時間で買い物済ませて」
商人「分かった僕が買って来るよ…荷を持つのに情報屋も一緒に来てくれるかな?」
女戦士「わらわも行こうかのぅ…体に慣れておきたいでのぅ」
商人「助かるよ」
盗賊「魔女…その格好じゃ危ねぇから余ってる武器何か持ってけ」
情報屋「予備のミスリル剣があるわ?これで良いでしょう?」
女海賊「ダメダメ…魔女は剣の抜き方も知らないからトゲトゲのこん棒あったじゃん!アレにして」
盗賊「おぉそういや全然使って無ぇな…モーニングスターって武器だ」
女戦士「何でも良い…どうせ使わんじゃろう」
盗賊「持ってんのと持って無いのとじゃ男の寄り付き具合が全然違うぞ?用心しておけ…その格好じゃ目立つからな」
863 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:28:21.72 ID:CUQQsgj40
『森の端』
フワフワ ドッスン
盗賊「こっから10分程西に行ったらトアル町だ…行けるか?」
商人「これくらいの雪なら大丈夫かな…行って来るよ」ギュッギュッ
女海賊「あと2時間もしたら日が落ちちゃうから急いで」
商人「うん!分かってるって…情報屋!魔女!行こう」
ザクザク ギュ ギュ
女海賊「ほんじゃ剣士と盗賊はちっと作業手伝って」
盗賊「なぬ?俺に働かせんのか?」
女海賊「大した作業じゃないって!船体の隙間をこの樹脂で埋めんの…やって」
盗賊「樹液の残り粕で作ったんか?…こんなんで埋めたら燃えやすくなるんじゃ無ぇか?」
ホムンクルス「大丈夫です…木材が長持ちする様になりますので出来るだけ全体に塗って下さい」
女海賊「…聞いた?ハイ働いて!!」
盗賊「へいへい…ラクは出来んな」
-----------------
トンテンカン トンテンカン
盗賊「何作ってんだ?」
女海賊「窓が布だと風入って寒いかんね…余ってる木材で木窓作ってんの」
盗賊「これ嵌め込んで行けば良いか?」
女海賊「金具に引っかけて押し込んどいて…すぐ開けれるかチェックもやっといて」
盗賊「窓全部こんなんでフタしたら暗くなら無ぇか?」
女海賊「大丈夫…ホラ」ピカー
盗賊「あぁなるほど…光の石な」
女海賊「あんたもどうせ暇なんでしょ?余ってる材料で何か作ってよ」
盗賊「ロープ組んでハンモックでも作るか…床に寝転ぶより温いかもしれん」
女海賊「良いね…やって」
ホムンクルス「立派な家になりますね」
女海賊「ほんじゃさ!ロープ張って布垂らして間仕切りも作ってよ…帆みたいに畳める様にしてさ…」
盗賊「おぉ!お前と剣士がイチャ付いてるのを見んで済むか」
ホムンクルス「間仕切りがあれば暖房性能が向上しますね…私がデザインしても良いでしょうか?」
女海賊「ホムちゃん良い案あるの?」
ホムンクルス「ウラン結晶の熱を均等に行きわたらせる工夫です…対流を上手に誘導します」
女海賊「良いね!!」
盗賊「ちっとやる気出て来たぞ…よーし」
ホムンクルス「はい…ここをこうして…あそこをこうして」
864 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:28:49.72 ID:CUQQsgj40
『トアル町』
ガヤガヤ ガヤガヤ
商人「うわ…商隊の詰め所がごった返してる」
情報屋「セントラルがあんな風だからこの町が終点になっているのね」
商人「でも何かおかしいな…どうして馬が居ないんだろう?」
情報屋「もしかして雪で足止めかしら?」
商人「そんな感じだね」
女戦士「向こうを見てみぃ…大きなシカがソリを引いて居る」
商人「なるほど…わかったぞシカが少ないから商隊が停滞しているんだ」
情報屋「物資調達には丁度良かったわね?」
商人「うん…これはチャンスだよ」
多分寒さを凌ぐのに毛皮とか羊毛は高騰してる
その代わり肉とか角は安い筈だ
油は高い…物資滞留で海の物は安い
商人「一気に買っちゃおう!!まず人用のソリを2台手に入れよう」
情報屋「フフ急に元気になったわね」
商人「2時間しか無いんだ急ごう!!」タッタッタ
865 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:29:20.41 ID:CUQQsgj40
『街道』
ガヤガヤ ガヤガヤ
木炭は要らんかね〜木炭安いよ〜
さぁもってけドロボー金属糸の織物安いよ〜
シカの角バッファローの角なんでもありまっせぇ
冷凍肉どれもこれもたったの5銅貨!!
ガヤガヤ ガヤガヤ
女戦士「古代の金貨1枚でこれほど買い物できるのじゃな?」
商人「まだ銀貨余ってるよ…どうしようかな」
情報屋「また使う機会あるかも知れないし取って置いたら?」
商人「そうだね…もうソリ一杯だしね」
情報屋「ねぇ商人気付いてる?私達の事付けてる男の人4人…」
商人「君も気付いていたかぁ…困ったね」
情報屋「ソリを引いて町を出るのはすこし危険かも知れないわ」
商人「魔女?さっき買った盾は使えそう?」
女戦士「盾なぞ使った事が無いのじゃが…」
商人「あと30分…どうしようかな」
女戦士「わらわは魔法が使えるのじゃ…気にせんと行くぞよ?」
情報屋「大丈夫?その体でも暴漢4人相手だと心配だわ?」
商人「こうしようか…僕と情報屋がソリ引くからさ…魔女は僕たちを守って?」
女戦士「そうか?商人にこのソリが引けるのじゃろうか?」
商人「変わるよ…ふんっ!!」ススス
女戦士「大丈夫そうじゃな?…では戻るとするか」
ガヤガヤ ガヤガヤ
黒い馬に乗った騎士が走り抜けていったらしいぞ?
馬じゃこの雪ん中どうにもなえるめぇ
またセントラルの貴族じゃ無いのか
ガヤガヤ ガヤガヤ
866 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:30:41.54 ID:CUQQsgj40
『町外れ』
スルスル スルスル
商人「ソリだと荷物運ぶのラクだなぁ…はぁはぁ」
情報屋「息切らしてるじゃないフフ」
商人「ちょっとした運動さ…それにしてもあの4人付いて来るね」
情報屋「どこで仕掛けて来るかね?」
女戦士「貝殻で剣士を呼んだ故…そのまま行って良いぞ」
商人「お!それを聞いて安心したよ」
情報屋「来た来た…4人走って来たわ」
女戦士「そのまま気付かん振りで行って良い」
野郎1「おいおい待ちやがれ!何処いくんだいネェちゃん」
野郎2「どういう事か分かる…」
ボカッ! グチャ
野郎2「はががが…いでぇぇ」
女戦士「うるさいのぅ…わらわは忙しいのじゃ主らに付き合うとる暇は無いのじゃ」
野郎1「やろう…女だと思って優しく声掛けてやってんのに…おい!お前等!!この女掴まえるぞ…」
野郎2「ってぇぇぇ」
野郎3「ソリ引いた2人はそのまま行っちまいますが…」
野郎1「そんなん後だ…ごるぁぁぁ!!」ダダ グイ
女戦士「これ!止めんか…」ジタバタ
野郎1「囲め囲め!!」グイ
野郎2「うひひひひ…なかなか力ありまっせこの女…んむむ」グイ
野郎1「あの小屋まで連れ込むぞ」グググ
女戦士「ふんっ」ゴン!
野郎1「ぐぁ…にゃろう!このまま脱がせ!!」
野郎2「うひひひひ…こいつ下着付けてませんぜ?」
女戦士「そこは触るでない…」ブン グチャ
野郎2「ひでぶ…」
野郎1「お前…血が…」
野郎4「おいおい!ヤバいぞ…誰か走ってくんぞ?」
シュタタ
867 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:31:14.83 ID:CUQQsgj40
剣士「そこまでだ…手を放せ」
野郎1「誰だお前…どこから来やがった」スラーン
野郎4「こいつ刀に手ぇ掛けてる」スラーン
剣士「魔女…立てそうかい?」
女戦士「助かったわい」
剣士「僕が援護するからその盾で構えてみて」
女戦士「こうか?」スチャ
野郎1「やろう…やる気だな?」
剣士「構わずその武器で叩いても良さそうだよ…」
ブン! ボカ ボカ ボカ
うぎゃ! いだっ!
剣士「その先っぽの尖ってる所を当てれば良い」
女戦士「こうじゃな?」ブン! グチャ
『飛空艇』
メラメラ パチ
女海賊「お!?なんかいっぱい買って来たね」
商人「そうなんだよ…丁度商隊が沢山詰めててさ…良い物いっぱいあった」
女海賊「これ馬の毛皮?」
商人「そうそう!それすっごい安かったんだ…他の毛皮は高騰してた」
女海賊「ちょうど敷物無くて困ってたんだよ…盗賊!この毛皮を床の敷物にして」
盗賊「商人…飛空艇の中を見て見ろ!」
商人「おぉぉスゴイ!!ちょっとした隠れ家になるじゃないか」
ホムンクルス「中は暖かいですよ?」
女海賊「あ!!サメの肝油だ!!貴重品じゃん」
商人「それも安かったんだ…あと色んな動物の角も安かったから買って来た」
盗賊「肝心の肉はどうなった?忘れて居ないだろうな?」
商人「肉もすごい安かったから色んな肉買って来たよ」
情報屋「ちょうど焚火してるみたいだし早速焼いてみたら?」
女海賊「ちょちょちょ…焚火で肉を焼くときは焼き方があんだよ…剣にぶっ射して直火で焼くの」
盗賊「知ってらぁ!こうだろ?」スパッ ブス
女海賊「そうそう…それが山賊焼き…私も食お!」
情報屋「剣士と魔女の分も焼いておくわね」ジュゥ
盗賊「クソ旨めぇ!!」ガブガブ
ホムンクルス「造血剤を飲むのも忘れないで下さい」
盗賊「俺の造血剤は酒だ」
ホムンクルス「アルコールの分解は体に負担がありますので少しにして下さい」
盗賊「へいへい…」
868 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:31:44.64 ID:CUQQsgj40
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商人「あ!剣士と魔女が帰って来た」
女海賊「平気?」
剣士「魔女一人で十分だったよ」
女海賊「お姉ぇの体に怪我は?…アレ?お姉ぇじゃないか…」
女戦士「わらわは大丈夫じゃ…ちと下の方を触られて気持ち悪いだけじゃ」
女海賊「え…お姉ぇの体触られたって事?」
女戦士「気にせんでも良い…それより良い匂いがするのぅ」
情報屋「剣士と魔女の分の肉が焼けてるわ?食べて?」
商人「冷凍になってるお陰で肉が新鮮だよ…おいしいから食べて」モグ
女戦士「久方ぶりの肉じゃな…もうずっと芋しか食しておらん」モグ
商人「寒くなったから皆毛皮が欲しいんだろうね…肉は本当に安かった」
女海賊「私ら毛皮は余ってて良かったね」
盗賊「昔お前が作った偽物の白狼毛皮な?毛布替わりにゃ丁度良い」
商人「あ!!そうそう金属糸の織物がめちゃくちゃ安かったんだ…女海賊が喜ぶと思って買ってきて置いた」
女海賊「お!?良いね!!魔女が軽装だからさ…後でインナー作ったげるよ」
女戦士「下着の代わりかえ?わらわは布の下着が苦手なのじゃ」
女海賊「大丈夫!スースーするから」
女戦士「では試してみるかのぅ」
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869 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:32:20.03 ID:CUQQsgj40
剣士「そう!盾はそう構える」
女戦士「ふむふむ…」
剣士「盾の中に肩と肘と胴体を隠す…武器は相手から見えない様に」
女戦士「こうか?」
剣士「そのまま突っ込んで来てみて?」
女戦士「…」タタタ
剣士「そうそう…そうやって間合いを詰める…その後に縦振りか横振りの2択」
女戦士「ほい!」ブン
剣士「良いね!振り終わったら盾を使って殴る感じに繋げて見て」
女戦士「…」ブン ブン
剣士「まぁそんな感じかな…必ず盾で身を守るのを意識してね…もう一回やろうか」
女海賊「お姉ぇの体になったら魔女も戦いたくなるんかな?」
盗賊「ちったぁ戦える様になってないと又襲われるぜ?」
商人「なかなか様になってるじゃない」
盗賊「まぁ本物と比較したら全然キレが無い…てか先読みが無いから素人みたいなもんだな」
商人「先読みねぇ…それ言われると僕も素人だなぁ」
盗賊「乱取りで慣れるしか無いんだが…魔女にそれが出来るんかいな」
剣士「じゃぁ次!その木の棒で僕に当てて来てみて」
女戦士「良いのか?」
剣士「うん」
女戦士「では…」タタタ ブン カコン
剣士「続けて」
カンカン コン
870 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2020/11/16(月) 11:33:10.87 ID:CUQQsgj40
剣士「待って待って…どうして僕の避ける方向分かってる?」
女戦士「見えて居るからじゃが?」
剣士「あれ?魔女は何か訓練してる?」
女戦士「剣の訓練は初めてじゃ…魔術の訓練は何十年もやったがのぅ」
剣士「おかしいな…」ヒョイ ヒョイ
女戦士「普通じゃが?」
剣士「僕が動く前に魔女の目はそっちに向いてる…どうして?」
女戦士「詠唱短縮の効果じゃな」
剣士「どういう事?」
女戦士「魔術師は詠唱を短縮する為に少しだけ時空の先に居るのじゃ…わらわがノソノソ動く様に見えるのは主らに合わせて居るからじゃ」
剣士「それはどれくらい先?」
女戦士「1秒にも満たぬが…それほど影響があるのか?」
剣士「そういう事か…リッチと戦った時に違和感があったんだ」
女戦士「魔術師は精神と時の門でそういう修行をするのじゃ…相手よりどれだけ早く魔法を撃てるかが勝負じゃからな」
剣士「もう少し立ち合ってみよう」
女戦士「ふむ…いくぞよ?」
カンカンコン カンカンコン
盗賊「なんか俺もやりたくなってきたわ」ウズウズ
剣士「魔女は鍛えるとすごく強くなると思うよ」
盗賊「だな?俺がリッチの鎌の射程がおかしいと思ったのはそういう事だな?」
剣士「うん…1秒先に動かれてると思って戦わないといけない」
盗賊「1秒つったら連撃食らってもおかしく無ぇ」
女戦士「1秒も無いで安心せい…修行を極めても1秒には届かぬ」
剣士「それでも圧倒的有利だよ」
盗賊「見て避けるでは遅いな」
剣士「うん…感じて避けないといけない」
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