他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
このスレッドは950レスを超えています。そろそろ次スレを建てないと書き込みができなくなりますよ。
勇者「魔王は一体どこにいる?」続編
Check
Tweet
522 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:19:47.37 ID:R2tAL1mj0
『海賊の基地』
ツカツカ ツカツカ
女海賊「お姉ぇ…沖に船が出てる…何?」
女戦士「おぉ…戻って来たのか…アレは海賊船だ…この辺に漁船が近寄って来ない様にしている」
女海賊「ふーん…下手に船置いとくと逆に怪しまれるんじゃない?」
女戦士「気にし過ぎだ…それで…遺跡は見つからなかったか」
女海賊「もう歩いて探すしか無い…お姉は何か情報掴んでない?」
女戦士「古都キ・カイにな古代遺跡の情報を集めている旅芸人が居るらしいのだが…なかなかコンタクト出来ない」
女海賊「私が行って来る」
女戦士「待て…もう少しで正体を掴める」
女海賊「正体?」
女戦士「恐らくプロの情報屋だ…下手に近づくと行方が分からなくなる」
女海賊「もう!!イライラする…私に黙って休んでろっての?」
女戦士「もう少し辛抱しろ…代わりに少し運んでもらいたい物がある」
女海賊「何さ!?小間使いは御免だよ!!」
女戦士「セントラルまでミスリル銀を運んでほしい…報酬はウラン結晶だ」
女海賊「!!ウラン結晶…取引に行くって事?」
女戦士「そうだ…セントラルの軍部が取引に応じた…詳細はローグに伝えて置く」
女海賊「行くしか無いか」
女戦士「もうすぐ無くなるのだろう?」
女海賊「…」
女戦士「ついでに例のカタコンベも破壊しておけ…災いの元だ」
女海賊「なんでセントラルはミスリル銀を欲しがってんのさ…」
女戦士「武器以外に使い道があるか?…そういう事だ…また何か起きる」
女海賊「未来…おいで…」ギュゥ
子供「ぅぅぅ苦しい…よ」
女戦士「未来も連れて行くのか?ここに居させてやっても良いんだぞ?」
女海賊「生き抜く訓練だよ…」
女戦士「少し早いと思うが」
女海賊「未来の事に口を出さないで」
女戦士「ふん…まぁ良いお前がしっかり守れ」
女海賊「言われなくても分かってる」
523 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:20:28.37 ID:R2tAL1mj0
『基地の入り江』
やばい!来た!
おい!!酒飲んでる場合じゃねぇ!!
隠れろ…殺されるぞ!!
ツカツカ ツカツカ
女海賊「…」ジロリ
ローグ「あねさん…みんな怖がってるっす…」
女海賊「今隠れた奴!!出て来な!!」チャキリ
男共「へ…へい…」ガクブル
女海賊「私の機嫌損ねたらどうなるか分かってんだろうね…」スチャ
男共「…」ゴクリ
女海賊「私を特別扱いしろとは言って無いんだ…普通に出来ないなら…」
ターン カランカラン
女海賊「さて…気の利いた事言ってみな」
男共「お、お気を付けて行ってらっせぇ…」ガクガク
女海賊「それで良いんだ…良い男がビクビクしてんじゃ無いよ」
男共「へ…へい…」
ローグ「あねさん…その武器向けられて無理ってもんす」
女海賊「あぁ…悪かったね」スッ
男共「…」ホッ
女海賊「私が嫌いかい?」
男共「いえ…そんな滅相も無い」
女海賊「この美貌を見ても誰も何も言って来やしない…」
ローグ「怖すぎるんす」
女海賊「…」ジロリ
ローグ「ほらほらほら…それが怖いんすよ」
女海賊「フン!!早くミスリル銀積み込みな!!」
ローグ「アイサー」タッタッタ
524 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:21:06.95 ID:R2tAL1mj0
『飛空艇』
シュゴーーー バサバサ
ローグ「そんな機嫌損ねないでくれやんす」
女海賊「何さ!!私は何も言って無い…」
ローグ「あっしは聞いたでやんすよ?あねさんは海賊の中でカリスマっすよ?」
女海賊「そんなのどうでも良い」
ローグ「あねさんのお陰であっしら海賊に軍艦すら近寄って来ねぇんすから」
女海賊「ちっとやり過ぎたね…反省してるよ」
ローグ「いやぁぁ…あねさんの爆弾は一発で軍艦を沈めちまうもんすからねぇ…」
それにあの小さい大砲の武器
あんな武器持ってるの世界中であねさんだけっすね
それから派手な格好にその美貌と来りゃ
みんな憧れるのは分かるっすよ
女海賊「はぁぁぁもっと言って…癒される」ニマー
ローグ「機嫌なおりやしたかね?これで何回目っすかね?」
女海賊「…」チャキリ
ローグ「ちょちょちょ…もう一回始めから言うでやんすよ?」
女海賊「言って」
ローグ「あねさんはですね…カリスマなんすよ…」
525 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:21:42.77 ID:R2tAL1mj0
『セントラル』
ローグ「飛空艇はハイディングで隠しておくでやんす…集合は明日の夜明けで良いっすか?」
女海賊「おっけ…私と未来は自由にしてて良いんだね?」
ローグ「かしらからはそうさせろと言われているでやんす…気を使ってるんよ」
女海賊「下水には近づかないで…分かってるよね?」
ローグ「分かりやした」
女海賊「未来?ちょっと遊びに行こっか…」
子供「本当に?何があるの?」
女海賊「買い物…一人で出来る?」
子供「自信ないなぁ…」
女海賊「よし!やってみよう」
子供「うん…」
女海賊「じゃぁ付いておいで?」
子供「ハイディングは?」
女海賊「今日は無し」
子供「じゃぁ人がいっぱい居るね?」
女海賊「悪い人も居るから気を付けなさい?」
子供「うん!」
女海賊「じゃぁフードは深く被って…」
子供「分かってるよ」ファサ
女海賊「付いていらっしゃい」タッタッタ
子供「待って」シュタタ
526 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:22:14.63 ID:R2tAL1mj0
『貧民街』
子供「…ここは何?みんな野宿する所?」
女海賊「ここはね…昔ママが住んでいた場所なの」
子供「建物がみんな壊れてるね」
女海賊「…もう誰も知っている人居ない」
子供「焚火の所に人が集まってるよ?」
女海賊「ここの人たちはあんな風におしゃべりするんだよ」
子供「へぇ…あ!」ドテ
女海賊「足元悪いから気を付けて…ハッ!!」
子供「ててて…何だコレ…看板?カク・レガ?」
---狭間に出入りして分からなくなってた---
---あれからどれくらい経ったのか---
子供「ママ?…ママ?…どうしたの?」
女海賊「ううん…行こっか」
子供「泣いてるの?」
女海賊「昔を思い出してちょっとね」
子供「悲しい思い出?」
女海賊「ううん…楽しい思い出」
子供「良かった」
女海賊「ここをまっすぐ行くと買い物できる場所だよ」
子供「いこ!!」グイ
527 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:22:51.72 ID:R2tAL1mj0
『中央広場』
ガヤガヤ ガヤガヤ
女海賊「この広場の中なら自由に買い物して良いよ?」
子供「本当に!いっぱいあるなぁ…」
女海賊「はいお金…無くさない様にね?」ジャラリ
子供「うん!!」
女海賊「ママはここで掛けてるからいってらっしゃい?」
子供「行って来る!!」
---目を閉じるといろんな音が聞こえる---
---剣士はこんな世界を感じていたんだ---
---良く耳を澄ますと未来の足音も聞こえる---
---沢山の音に溢れた世界---
ぼっちゃんお金あるの?
あるよホラ
おーお金持ちだねぇ
はいおつりだよ
ドクン!!
”贄が足りぬ…贄が足りぬ…”
女海賊「ハッ!!未来!!何処!?」ガバッ
女海賊「未来!!」
子供「ママ?どうしたの?」
女海賊「はぁはぁ…はぁ…」
子供「どうしたの?怖い顔して?」
女海賊「…」ゴクリ
---何この嫌な予感---
女海賊「ママも一緒に行こうかな…手を繋いで?」ドクン ドクン ドクン
子供「うん…ママ?手が震えてる」
女海賊「大丈夫…次は何買う?」---落ち着け…落ち着け…落ち着け---
528 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:23:40.20 ID:R2tAL1mj0
『宿屋』
カラン コロン
店主「いらっしゃいませ…今日はお泊りですか?」
女海賊「空いてる?食事も2人分」
店主「はい空いております」
女海賊「明日は朝が早いからお代は先に…」ジャラリ
店主「ありがとうございます…お食事はお部屋にお持ちしますか?」
女海賊「そうして…」
店主「ではご案内いたします…どうぞこちらへ」スタスタ
女海賊「未来?おいで…」スタ
子供「うん…」トコトコ
店主「こちらのお部屋になります…後ほどお食事をお持ちいたしますので…ごゆっくりお休みください」
女海賊「ありがとう…」
ガチャリ バタン
子供「ベッドだ!!」ボヨーン
女海賊「ふぅ…」
子供「疲れたの?」
女海賊「ママはね…宿屋で泊まるのが苦手なんだ」
子供「え!?カリスマなのに?」
女海賊「あんたもそういう事言うのか!このぅ…」グイ ギュゥ
子供「くるしいよ…」ぅぅ
女海賊「楽しかった?」
子供「うん…ママと買い物出来て楽しかった」
女海賊「良かったね」
子供「でもなんかママおかしいよ?怖いの?」
女海賊「ううん…怖くなんか無いよ」
子供「ふーん…」チラ
女海賊「食事が終わったら…仕事ね…いつものやつ」
子供「うん…わかった」
529 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:24:22.37 ID:R2tAL1mj0
『日没』
女海賊「未来…気持ちを切り替えて…今からは遊びじゃ無いよ」
子供「うん…」
女海賊「説明するよ…今日はカタコンベという所を爆弾で破壊する」
女海賊「今から海に行って下水という場所を通ってカタコンベに行く」
女海賊「カタコンベには死霊が沢山居るから魔方陣のお守りをしっかり身に着けて」
子供「うん…」
女海賊「爆弾を設置したらそのまま来た道を戻って海まで走る」
女海賊「海まで出たら飛空艇の場所は分かるね?」
女海賊「もし迷子になったら飛空艇の場所で集合…良い?分かった?」
子供「大丈夫」
女海賊「よし…それじゃ行くよ?」
子供「うん」
女海賊「迷子にならない様に」
子供「分かってる」
女海賊「付いて来て」タッタッタ
530 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:24:59.15 ID:R2tAL1mj0
『下水』
ピチョン ピチョン
子供「ママ…あの魔物は?」
女海賊「あれはラットマン…ネズミの化け物」
子供「良いの放って置いて?」
女海賊「こっちに気付いて居ないから…あぁ帰りに面倒だから倒しておくか」
子供「僕見ておく」
女海賊「ママの後ろを見てて…ボウガンで倒すから」バシュ
ラットマン「ギャース」ドタリ
女海賊「行くよ…」タッタッタ
子供「道知ってるんだ」
女海賊「未来…その梯子を上に登って…何か居たら教えて」
子供「うん…」ヨジヨジ
女海賊「どう?」
子供「大丈夫…何も居ない」
女海賊「ママも行くから待ってて」ヨッコラ
子供「何か聞こえる…」
女海賊「…」
子供「何だろう?」
女海賊「聞いちゃダメ…多分死霊の声」
子供「どうしてハイディング使わないの?」
女海賊「狭間に入ると沢山死霊が居るから…そっちのが危ない」
子供「そっか」
女海賊「この通路の向こうがカタコンベ…未来は見ない方が良い」
子供「大丈夫…死体は見慣れてる」
女海賊「ダメ…今来た道を走って戻るから準備して」
子供「…はーい」
女海賊「ちょっとそこで待ってて中見て来るから」タッタッタ
子供「うん…」
531 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:25:33.81 ID:R2tAL1mj0
『カタコンベ』
”贄が足りぬ…贄が足りぬ…”
女海賊「この声…」---やっぱりここか---
女海賊「あんたの思い道理にはさせないよ!!くたばりやがれ!!」バシュ バシュ
女海賊「走って!!」ダダッ
子供「…」シュタタ シュタタ
女海賊「5…4…3…2…1…」
ピカーー チュドーーーン チュドーーーン
女海賊「爆風!!伏せて!!」
子供「うわっ」ドーン パラパラ
女海賊「行くよ!!」グイ タッタッタ
子供「うわわわ…」タッタッタ
女海賊「怪我は?」
子供「無い」
女海賊「梯子飛び降りるよ」トゥ シュタ
子供「…」ピョン シュタ
女海賊「よし…来い!!」タッタッタ
子供「ママ!!ラットマン!!」
女海賊「ちっ」カチャ ターン
ラットマン「ギャース」ドタリ
子供「人が来る…」
衛兵「おい!!ここは立ち入り禁止だぞ!!」
女海賊「そのまま走って!!」
衛兵「待て!!」
ピーーーーーーーー
子供「笛だ…」
女海賊「フフ…」
子供「笑ってるの?」
女海賊「懐かしくてね…付いて来れる?」
子供「うん…でも追いかけて来る人増えてる」
女海賊「大丈夫…下水を出たらハイディングね」
子供「うん…」
女海賊「3…2…1…ハイディング」スゥ
子供「…」スゥ
女海賊「迷子になってない?」
子供「居るよ」
女海賊「さぁ…帰って寝ましょ」
532 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:26:10.15 ID:R2tAL1mj0
『宿屋』
ザワザワ ザワザワ
さっきの音聞こえたか?
地震だ地震
城から煙が上がってるぞ
あぁぁ又城壁の一部が崩れて
あっちも火事になってる
治安部隊が出てる…テロか?
貧民街でラットマン出てるってよ
ザワザワ ザワザワ
店主「お城の方で何かあった様ですねぇ?」
女海賊「何かな?」
店主「なんだか物騒ですねぇ」
子供「ママ眠いよ…疲れた」
女海賊「水浴びしてからにしなさい…臭いでしょう?」
店主「水場は奥を右に行った所です」
女海賊「使わせてもらう」
店主「どうぞ…」
533 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:27:01.13 ID:R2tAL1mj0
『深夜』
子供「すぅ…すぅ」
女海賊「…」
コソコソ コソコソ
白狼の盗賊団が潜伏していると通報があった
これが人相書きだが…この中に似ている人物は居ないか?
ううん…どれも違う気がしますねぇ
子連れの親子が宿泊していますがもう深夜ですし
部屋はどこだ?確認する
コソコソ コソコソ
女海賊「…」---やっぱり普通に生活は出来ないか---
子供「すぅ…すぅ」
店主「…こちらの部屋です」
衛兵1「鍵を開けろ」
店主「仕方ありませんねぇ」カチャリ ギー
衛兵1「シー…子供が一人寝ているだけだな…親は何処に行ったか知らないか?」
店主「はて?水浴びでしょうか?」
衛兵1「近くに居るはずだ…探せ」
衛兵2「はぁ…」
衛兵1「荷物は…子供の分だけか…」ゴソゴソ
子供「う〜ん…むにゃ」
衛兵1「おい君…起きろ」
子供「んん?ママ?あれ?ママは?」ゴシゴシ
衛兵1「君のお母さんを探している…どこに行ったか知らないか?」
子供「え!?おじさん誰?あ!…それ僕の荷物…返してよ」
衛兵1「君のか」ポイ
子供「おじさん何なのさ…」パス
衛兵1「衛兵だ…白狼の盗賊団を追っているんだが…」
子供「へぇ〜…で?ママは?」
衛兵1「んんん見込み違いか…」
女海賊「…」スゥ
衛兵1「あ!!ママ…なんか知らないおじさん入って来た」
衛兵1「うぉ!!いつの間に…」
女海賊「準備なさい…」
子供「うん…」
534 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:27:33.52 ID:R2tAL1mj0
衛兵1「そのフードを脱いで顔を見せろ」
女海賊「誰に口聞いてんだい?私に命令出来ると思っているのかい?」
衛兵1「なにぃぃ!!お前はやっぱり…」
子供「行く!!」シュタタ シュタタ
衛兵1「おい待て!!」
女海賊「頭が回るねぇ…」ダダッ パリン
衛兵1「逃げるな!!」
ピーーーーーーーーー
店主「あわわわわわ…」
女海賊「未来…こっち…遊んで行こっか!」
子供「うん…」
女海賊「走るよ!!」タッタッタ
子供「おっけ」シュタタ
衛兵1「待て待て待てえぇぇぇい!!」ダダダ
衛兵2「居たぞ…貴族居住区に向かってる」ダダダ
ピーーーーーーーーー
女海賊「フフ…」
子供「追いかけっこ楽しいね」
535 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:28:07.80 ID:R2tAL1mj0
『海』
ザザー ザブン
女海賊「もうすぐ夜明けだよ」
子供「朝焼けがキレイだね」
女海賊「寒くない?」
子供「ちょっとね」
女海賊「おいで…」ギュゥ
子供「大丈夫だって」
女海賊「ママが温かいの」
子供「そっか…」
女海賊「ごめんね泥棒みたいな生活で」
子供「そんな事言わないで…楽しいよ」
女海賊「…」ギュゥ
子供「ローグ遅いなぁ…もう日が昇っちゃう」
ローグ「あねさ〜ん早かったっすね?」ヨッコラ ヨッコラ
子供「来た!!」
ローグ「あっしの方は大変だったでやんすよ…駐屯地がドタバタでしてね?」ヨッコラ ヨッコラ
女海賊「ウラン結晶は?」
ローグ「重いの何のって聞いて無かったっすよ…少し持って欲しいでやんす」
女海賊「私に荷物運ばせる気?」
ローグ「あっ!!何なんすかソレ?宝石いっぱいじゃないすか…どういう事っすか?」
女海賊「ちょっとねウフフ」
ローグ「ウフフって…最近あねさんの笑う声聞いて無かったでやんすよ」
女海賊「はいはい出発するよ!!早く来な!!衛兵に追いかけられてんだから!!」
ローグ「マジっすか…やばやば」ヨッコラ ヨッコラ
子供「ママ!!飛空艇をリリースするよ」
女海賊「おっけ…」スゥ
ローグ「どっこら…せっと…はぁぁぁ重たかった」ゴトン
女海賊「はい乗った乗った!!出発!!」
フワリ シュゴーーーーー
---------------
---------------
---------------
536 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:28:56.31 ID:R2tAL1mj0
『海賊の基地』
女海賊「帰ったよ…」
女戦士「お!?お前にしては随分遅かったでは無いか…楽しんで来たか?」
女海賊「まぁね?」
女戦士「…そしてその荷物か?」
ローグ「あねさん…この財宝どうするでやんす?」
女海賊「お姉ぇにお土産だよ…好きに使って良いよ…宝石好きだったよね」
女戦士「また随分荒らしてきた様だな…ローグ!選んで良いぞ…今回の報酬だ」
ローグ「マジっすか!えーと…あれもこれも…うーん」
女海賊「例の旅芸人どうなった?」
女戦士「あぁ…その件だが行方をくらました…しかし情報の一部は手に入った」
女海賊「手がかり?」
女戦士「硫黄の新しい産出場所だ」
女海賊「関係ないじゃん…古代遺跡の情報はどうなってんの!」
女戦士「まぁ聞け…硫黄の産出場所の分布だ…地図で言うと南の火山よりもかなり西に分布する」
女海賊「どういう事?」
女戦士「ここの山はかつて火山だったという事だ…いつの時代かは分からんが」
女海賊「今まで探してた火山が違った…そういう事?」
女戦士「古代遺跡の情報を集めている旅芸人が硫黄の産出場所を調べている…おかしいだろう?」
女海賊「…てことはココがあやしい…ハテノ村」
女戦士「うむ…ただその辺りは西蛮族との係争地だ…軍が駐屯しているのだ」
女海賊「私には関係ない…いつも通り探す」
女戦士「軍が居るとなれば今までよりも危険だ…3人では荷が重いのでは無いか?」
女海賊「そんな事言ってる場合じゃないと思ってる…」
女戦士「ゆっくり確実に探せば良いでは無いか」
女海賊「セントラルで魔王の声を聞いた…」
女戦士「なにぃ!!…馬鹿な」
女海賊「まだどこかの狭間で彷徨ってる…いつ戻って来るか分からない」
女戦士「闇からまだ数年しか経って居ないのだぞ?…祈りの指輪もお前が隠した」
女海賊「お姉ぇ…言ったよね?セントラルがミスリル銀を欲しがる理由…」
女戦士「…魔王が人間を突き動かして…居るのか?…また過ちを犯そうとしているのか?」
女海賊「だからゆっくりなんてしていられない…」
女戦士「いや…まだそういう可能性があるというだけの話…」
女海賊「私は行くよ…」
537 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:29:57.65 ID:R2tAL1mj0
『飛空艇』
女戦士「…お前は本当にせっかちなのだな…どうするつもりだ?」
女海賊「うっさいな…一旦ハテノ村に落ち着いて探すさ」
女戦士「すまんが私は一緒に行けん」
女海賊「初めからアテにしてない…上手くやるから放って置いて…お姉ぇはどうすんの?」
女戦士「父の所へ行く用事がある…物流を頼まれて居るのだ」
女海賊「パパにはよろしく言っといて」
女戦士「1ヶ月で戻る予定だ…新しい情報があるかも知れんから折をみてお前も帰って来い」
女海賊「そんな事分かってる」
女戦士「1ヶ月だぞ!!」
女海賊「うっさいな…何回も言うなフン」
女戦士「ローグ!!妹のサポートを続けろ…戻ったら褒美は出す」
ローグ「そう来ると思って用意していたでやんす…任せてくれやんす」
女海賊「未来!!乗って!!」
子供「うん!!」シュタタ
ローグ「じゃぁ出発するでやんす〜」ノシ
フワリ シュゴーーーーーー
ローグ「沢山荷物積んでるんすね?今回は長旅っすね?」
女海賊「一旦ハテノ村で住む家を探すんだ…そこらへんは行った事がないからね」
ローグ「歩いて探すんすか?」
女海賊「まず落ち着けて情報集めだ」
ローグ「今回は慎重なんすね?」
女海賊「思い出した事があってね…」
ローグ「行った事無いのに思い出すって変でやんすね?」
女海賊「夢の記憶…これも精霊の導きなのかな?ってね」
ローグ「今回は自信があるんすね?」
女海賊「スライムっていう魔物…知ってるかい?」
ローグ「いいえ見たことも聞いたこともありやせん」
女海賊「…どうして私は知っているのか?」
ローグ「それが精霊の導きってやつでやんすか?」
女海賊「その魔物をハテノ村で育てて居たんだ…夢の中ではね」
ローグ「へぇ…不思議な夢っすね?それが関係すると思ってるでやんすね?」
女海賊「勘ね…そのスライムから作った薬をある木の下に埋めた」
ローグ「…なんかアサシンみたいな与太話って言うんすか?…大丈夫なんすか今回の捜索は…」
女海賊「フン!!行ってみないと分かんないじゃない!!」
ローグ「怒らないでくれやんす…心配したでやんす」
情報屋が言ってた…魔王はウイルスだっていう説
私の夢ではウイルスに対する薬をスライムで作った
そしてその薬を夢の中で地中に埋めた
538 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:30:38.65 ID:R2tAL1mj0
女海賊「今からその木を探して掘る…そしたら魔王に対抗できる可能性があるホムンルクスが出て来る」
ローグ「あねさん…」
女海賊「話が出来すぎ?」
ローグ「もうちっと真面目に行きやしょう…」
女海賊「…」チャキリ
ローグ「ちょちょちょ…待ってくれやんす」
---これが事実だったら---
---私も精霊から導きを受けた---
---勇者の一人という事だ---
『ハテノ村の外れの森』
ローグ「飛空艇はここに隠しておくでやんす」
女海賊「ここがハテノ村か…」
ローグ「見覚えあるっすか?」
女海賊「…ない」
ローグ「やっぱし夢の話はアテにならんすね」
女海賊「行ってみる…未来!おいで」
子供「寂しい所だね」
ローグ「本当…シケタ所でやんすねぇ…人は住んでるんすかねぇ?」
女海賊「フン!!」---外したか---
ローグ「あぁ…でも一応集落にはなってるみたいでやんす」
女海賊「軍が駐留しているという話はなんだったんだろ?」
ローグ「そうっすねぇ…先にあっしが行って話聞いてくるでやんす」
女海賊「そうして…私と未来はすこしブラついてから行く」
ローグ「村の中で待っているっす」タッタッタ
539 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:31:08.90 ID:R2tAL1mj0
『ハテノ村』
爺「おぉ珍しい事もあるもんじゃ…あんさんたちは何処から来たんじゃ?」
子供「僕たち迷子だよ」
女海賊「宛ても無く旅をして…」
ローグ「あねさ〜〜ん!!こっちっすーー」
爺「親子ですかね?」
子供「うん!」
爺「それは大変でしたじゃろう…この村は見ての通りな〜んもありゃぁせん…雨風しのぐんじゃったら教会にいきなされ」
ローグ「あねさん!!この爺さんの言う通り教会なら住まわせてもらえそうっす」
女海賊「教会に行ってみるか…」
爺「食べ物も無いでぇひもじいかも知れんが…みんな同じじゃけぇな?」
子供「お爺さんありがとう」
ローグ「教会が避難所になってるみたいっす」
女海賊「やっぱり係争地という事なんだね」
ローグ「戦線はもう少し南らしいっす…それで近隣の村から避難してきているみたいっすね」
女海賊「隠れるには丁度良かった」
ローグ「そうっすね…避難民の家族という事で行けそうっすね」
女海賊「よし…しばらくここで情報を集める」
ローグ「まず教会すね」
540 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:31:37.04 ID:R2tAL1mj0
『教会』
私らはあっちの村から避難して…
むこうの村ではあーでこうで…
配給がなかなか来ないのは…
シスター「丁度一つベッドが空いた所なんですよ…運が良かったですね」
ローグ「ひと家族にベッド一つでやんすか?」
シスター「子供が居る家族だけなんです…あまり周りには言わないで下さい」
ローグ「どうも手間かけたでやんす」
シスター「子供たちは教会の中で自由にして良い事になって居ますので…騒がしいですけれど我慢してください」
子供「ママ?見て来ても良い?」
女海賊「教会からは出ない様にね」
子供「うん!」
ローグ「安全そうな所で良かったでやんすね?」
女海賊「私はもう少し周りを見て来る…あんたは未来を見てて」
ローグ「アイサー…あっしも少し休んでいるでやんす」
女海賊「夕暮れには戻ると未来に行っておいて」
ローグ「わかりやした…」
541 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:32:11.00 ID:R2tAL1mj0
『周辺』
スタスタ スタスタ
女海賊「…」---やっぱ違うかぁ---
女海賊「…」---全然見た事無いもんなぁ---
女海賊「ん?」クンクン
女海賊「硫黄の匂い…そうだ…たしか温泉があったな」
爺「あんさん…散歩かね?教会には行きなすったか?」
女海賊「あぁ…お陰で雨はしのげる…ありがと」
爺「何か探しているようじゃが?」
女海賊「この近くに温泉って無かった?」
爺「おろ?元のハテノ村の事け?」
女海賊「元…」
爺「あそは数年前の厄災の時にみんな死んでしもうての…今は誰も住んでおらん」
女海賊「それどこ?」
爺「もちっと山よりじゃが危ないで行かん事じゃ…けものがおるで」
女海賊「けものか…うーん」
爺「あんさん妙な格好しておるがハンターかね?」
女海賊「まぁ…そんな感じかも」
爺「けものがどんだけ居るか分からんけぇのぅ…罠でも有ればちったぁ減らせるかもしれんが」
女海賊「罠ね…ありがと」
爺「ほんまに行ったらアカンで?」
---罠作るのに鉄が必要だ…---
---鉄なんて持って来て無いよ---
---どうすっかなぁ---
542 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:32:44.76 ID:R2tAL1mj0
『教会』
ガヤガヤ
ローグ「あねさん戻って来たでやんすね?何かありましたかね?」
女海賊「まぁね…もうちょい山の方に本物のハテノ村があるんだってさ」
ローグ「そっちに行きやすか?」
女海賊「もう誰も住んでなくてけものが居て危ないてっさ」
ローグ「けものっすか…厄介っすね?ハイディングしても狭間に入って来るっすもね」
女海賊「罠使って地道にハンティング…やるしかないかぁ」
ローグ「どんなけものなんすかね?」
女海賊「どうせクマとかウルフじゃないの?爆弾じゃ遅いし苦手なんだよなぁ」
ローグ「あっしは弓も使えるでやんす」
女海賊「クマ相手に自信ある?」
ローグ「無いっす…罠があれば何とかっすね」
女海賊「作るのに鉄が無いのさ」
ローグ「鉄…蛮族の使ってる斧はどうでやんす?」
女海賊「うーん…鉄取りに帰るより蛮族から盗んだ方が早いか…」
ローグ「日が暮れたら一回蛮族の陣地まで見に行ってみやしょう」
女海賊「そうだね…もうちょっと周りの事も知りたいし」
ローグ「今はゆっくりしてくれやんす」
----------------
----------------
----------------
543 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:33:40.15 ID:R2tAL1mj0
『帆船』
ザブーン ザブーン
盗賊「うぉらぁぁぁ!!」グイ バシャ
商人「おお!!又大きいの釣れたね」ビチビチ
盗賊「今日も大漁だヌハハ」
商人「もう魚はお腹いっぱいだよ…」ゲフ
盗賊「ブタの餌にすりゃ良い」
情報屋「船旅は長くなると飽きるのよね…ふぁ〜あ」
盗賊「もう薬学の本は読み終わったのか?」
情報屋「アレは暇つぶしよ…飽きた」
商人「あれ?…なんか天気おかしくない?」
盗賊「…そうだな?ちと暗くなって来たが…んん?どんどん暗くなってくじゃ無ぇか!!」
情報屋「ちょっとコレ…まさか闇?」
盗賊「マジか!!釣りしてる場合じゃ無ぇ!!」ガバッ
娘「おーい!!船居るよ!!船ぇぇぇ!!」
盗賊「どこだ!!」
商人「真正面!!近い!!」
盗賊「うぉ!!マジかよ…なんでもっと早く気が付かねぇ!!」ダダ
情報屋「なにあの船…」
商人「幽霊船だ…噂で聞いた事ある」
盗賊「ヤベヤベ…ニアミスすんぞこれ」グルグル
ギギギギ ググググ
盗賊「曲がれ曲がれ曲がれ…ぬぁぁぁぁぁ!!」
商人「こんな昼間に幽霊船…どうして?」
情報屋「この暗い空は狭間じゃない?」
商人「幽霊船が狭間に?…僕たちが狭間に迷い込んだのか?」
盗賊「うはぁ…ギリギリ回避間に合った…すれ違うぞ!!隠れろ」
商人「あ…うん」
盗賊「旗印が…なんでドラゴンの義勇団なんだ!?アサシンか?」
商人「向こうに船員が居ない…」
盗賊「おい!頭出すな!!弓がこっち向いてんだろ」グイ
ググググ ギシギシ
盗賊「うひょぉぉ…撃たれんで済んだ」
情報屋「船尾に人影…こっち見てる」
盗賊「んんん…もう顔は確認できんな…背格好からして女だ」
情報屋「明るくなってきた」
商人「やっぱり狭間か…幽霊船は狭間を上手く使って居るのか…」
盗賊「まぁ何も無くて良かった…乗り込まれたらこっちは終わりだ」
544 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:35:11.72 ID:R2tAL1mj0
『船長室』
商人「…ドラゴンの義勇団はとっくに解散しているんだよ」
盗賊「じゃぁあの旗を使ってるって事は女戦士か女海賊って事だな?」
商人「狭間を上手く使ってるからやっぱりそう考えるね」
盗賊「あいつら指輪から聖剣もアダマンタイトも何もかも全部持って行っちまったからな」
商人「まさか幽霊船に乗ってるなんて思いもしなかったよ」
盗賊「お前いつから幽霊船の話を知ってるんだ?」
商人「随分前さ…キ・カイでは割と有名になってる」
盗賊「何か被害出てんのか?」
商人「そういう話は聞いた事無い…ただ商船と良くすれ違うらしい」
盗賊「船の形からするとありゃ輸送船だ…なにか運んでんだろうな」
商人「そうか硫黄と木炭の流通は幽霊船が運んでたとなると辻褄が合うな…」ブツブツ
盗賊「ぬぁぁ独り言はやめてくれ」
商人「あぁごめん…もし幽霊船に女戦士達が関わっていたとなると僕を探って居たのは彼女たちだった可能性もあるなってね」
盗賊「またすれ違っているってか?」
商人「実は硫黄と木炭の流通は僕が牛耳っているんだ」
盗賊「ほう?」
商人「硫黄の産地は大体火山のふもとなんだよ…それで売人を通じて古代遺跡の情報を収集していた」
情報屋「賢いわね…それで古代遺跡の場所を突き止めたという事ね?」
商人「おおよそね…ハテノ村という場所さ…地図だとココになる」
盗賊「キ・カイから気球で飛んで5日って所か」
商人「積んでる気球は直ぐに使えるの?」
盗賊「大丈夫だろ…ドワーフの気球は頑丈に出来ている」
商人「アダマンタイト使って狭間に入れればね早いんだけどねぇ…」
盗賊「どっから入手すりゃ良いかもわかん無ぇししょうがねぇだろ」
商人「今思えば女海賊はスゴイ才能を持った子だったねぇ」
盗賊「だな?謎の石も謎の機械もへんな虫まで使いこなしやがる…ぜーんぶ持って行っちまたが」
商人「アダマンタイトかぁ…レアな素材だなぁ…」
545 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:35:42.20 ID:R2tAL1mj0
『古都キ・カイの港』
盗賊「久しぶりだな…外の町が復活してんな」
情報屋「随分軍船が多いのね?何か知ってる?」
商人「確かに多いね…海賊狩りなのかな?」
盗賊「なんかキナ臭ぇな…セントラルと言いシン・リーンと言い…海で何かあんのか?」
商人「僕の商人ギルドで聞いてみるよ」
盗賊「俺達が住む場所はどうなる?」
商人「ハハ心配しなくて良いよ…商人ギルドのある建屋は空き家ばっかりなんだ」
盗賊「おぉそら良い」
商人「僕の隠れ家にもなるから助かるよ」
盗賊「娘達の子供も居るんだ…危険なのは勘弁してくれ」
商人「悪い事はしていないから大丈夫さ」
盗賊「桟橋にはこのまま付けて良いのか?」
商人「商船はあっち側になる…まぁ僕が下船許可もらってくるから安心して」
盗賊「おう!!おーい娘達ぃぃ船降りるから準備しろぉぉ!!」
娘達「うぉぉぉぉぉ!!」
ギギギギ ガコン
546 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:36:36.04 ID:R2tAL1mj0
『商人ギルド』
ワイワイ ガヤガヤ
商人「この建屋の上の階はほとんど空いているから好きな場所使って良いよ」
情報屋「へぇ…建物ごと買い取ってるんだ?すごいね」
商人「本当は他の商人の宿泊用で確保してるんだけどね…みんな宿屋の方に行ってしまってさ」
盗賊「そっちの方が儲かる訳か」
商人「だろうね…売ってる物が趣向品多いし」
盗賊「謎の機械とか薬とかそういうやつな…セントラルとは違った良さがあんなこの街は」
商人「盗賊はちょっと仕事教えるから一緒に来て…他の皆は好きにしてて良いよ」
情報屋「うん…船旅疲れたし休んで居るわ」
-----------------
商人「…それで商人ギルドのマスターという事でここに居てくれれば良い」
盗賊「お前はどうすんのよ?」
商人「僕は受付役さ…大事なお客さんはそっちに案内するから上手くやって」
盗賊「上手くやってってお前…俺は何も分からんぞ?」
商人「フード被って凄んで居れば良いよ…あとは僕が誘導するから」
盗賊「あぁなるほど…そういう取引か…俺の得意なやつだ」
商人「じゃぁちょっと情報仕入れて来る!じゃね」ノシ
盗賊「おう!!」
547 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:37:15.56 ID:R2tAL1mj0
『夜』
盗賊「俺の演技はどうだ?」
商人「良いね…僕がサポートしなくても良さそうだよ」
盗賊「それにしても高額取引が硫黄ばかりだな?それと砂鉄か…」
商人「うん…硫黄の持ち出し先はよく分からないけど…異常だよ」
盗賊「こりゃ死ぬほど儲かるな」
商人「ちょっと良く無さそうな話も聞いたんだけど…どうもドワーフの国が他の国と対立してるっぽい」
盗賊「軍船が集まってんのはソレか?」
商人「その様だね」
盗賊「硫黄と砂鉄っちゃぁ爆弾の材料だったな?大砲に使うにしちゃ取引量が多いよな?」
商人「何年か前にね…軍船が海賊に爆弾一発で沈められたという話があってね」
盗賊「一発?…女海賊の爆弾か?」
商人「多分そうだよ…それでその爆弾の製造法についてセントラルから調査依頼が来たことがあるんだよ」
盗賊「あの爆弾は反則級の破壊力だもんな…そらみんな欲しがるワナ」
商人「海賊がっていう所がポイントだね」
盗賊「状況的に裏でドワーフが関わっているのは間違いなさそうだな…女海賊の件もある」
商人「そういう摩擦が他の国と起きているんだと思う」
盗賊「…なるほど…こないだ聞いたセントラルの地下爆発事故も…やられた方からしてみればその爆弾て思うわな」
商人「ドワーフの国はミスリル銀の生産もあるし…他の国からしてみれば怖い存在だろうね」
盗賊「まだ闇が晴れて数年だってのにもう戦争始める気かよ」
商人「なんか良くない方向に転がっていくね」
548 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:38:16.34 ID:R2tAL1mj0
『酒場』
ワイワイ ガヤガヤ
いらっしゃいませー
盗賊「やっぱりここに居たか…家に居無ぇから探したぜぇ」
情報屋「あら?娘達も来てるわよ?」
盗賊「羽伸ばしてんのか?」
情報屋「子供達も大きくなったし遊びたい盛りね」
盗賊「この国では変な口ばし付けるのが流行ってんのか?」
情報屋「私も買っておいたわ…ほら?」
盗賊「なんだコレ?」
情報屋「黒死病という伝染病が流行ってるらしいわ…みんなの分も買っておいたから付けさせる」
盗賊「俺ぁそんな奇抜な格好はし無ぇよ」
情報屋「でも嫌ね…あっちでもこっちでも争って…流行り病もあるし」
盗賊「あっちでもこっちでも…て何か聞いたんか?」
情報屋「陸では蛮族と…海では海賊と争っているんでしょう?…あなた何も聞いて居ないの?」
盗賊「蛮族ともやってんのか…忙しいこった」
情報屋「あなた…立って居ないで座ったら?」
盗賊「おぉ…そうだなちっと飲んで行くか」
情報屋「商人はどうしたの?まだ仕事?」
盗賊「取引先と交渉なんだってよ…例のハテノ村周辺の鉱夫らしい」
情報屋「案内してもらうのかしら?」
盗賊「案内人が居るなら探す手間が省ける…ただ信用出来るかどうかだな」
グラリ
盗賊「ん!?…」
情報屋「え…」
グラグラグラグラグラグラグラグラ
盗賊「お…お…やべっ!!おい伏せろ!!」
情報屋「地震!?…あわわわ」
うぎゃぁぁぁぁ…地震だぁ!!
助けてぇぇぇ
イヤーーーーー
----------------
----------------
----------------
盗賊「…収まった…おい娘達!!帰るぞ!!」
情報屋「子供達が心配!」
盗賊「情報屋も早く来い…帰る!!」グイ
549 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:39:06.13 ID:R2tAL1mj0
『商人ギルドの建屋屋上』
ザワザワ ザワザワ
盗賊「みんな居るな!?」
情報屋「うん…地震大きかったわね」
盗賊「こりゃ津波来るな…船流されなきゃ良いが…」
商人「南東の空が赤い…火山が噴火してるのかも」
情報屋「戦争に病気に地震に噴火まで…怖い」
商人「…すごく嫌な予感がする」
盗賊「早い所古代遺跡に行った方が良いかもしれんな…鉱夫との取引はどうなったんだ?」
商人「危ないから同行したくないってさ」
盗賊「マジか…案内人無しじゃ探すのに手間かかるじゃ無ぇか」
商人「詳細の地図と絵を描いてもらった…これ」パサ
情報屋「…この絵…確かに古代遺跡の一部ね」
盗賊「鉱夫が言う危ないっていうのはどういう事なんだ?聞いてるか?」
商人「蛮族と領地を争ってる真っただ中なんだってさ」
盗賊「戦場のど真ん中な訳か…そら今の俺達じゃどうにも出来んかもしれんなぁ」
情報屋「あなた…アダマンタイトで狭間に入れるじゃない?」
盗賊「俺一人で行けってか!んんん…お前等2人守りながらよりは安全だが…相棒がもう一人欲しい」
情報屋「私も少しは戦える…」
盗賊「むぅぅぅ…行ってみんと状況も分からんしな…ひとまず行くだけ行ってみるか」
商人「ありがたい…出来るだけ早くホムンルクスを目覚めさせたい」
盗賊「お前はホムンルクスに拘るのだな?」
商人「彼女との約束を果たしたいのもあるけど…それより聞きたいことが山ほどあるんだ」
情報屋「山ほど?」
商人「彼女は環境保全用のロボットだと言ってたよね?」
情報屋「もしかして黒死病の事とかも聞きたいの?」
商人「それもあるけど今の戦争も病気も地震も津波も噴火も…ぜんぶ繋がっている気がする」
情報屋「確かに一度に色々起き過ぎよね…」
商人「こんな感じ…前にもあった」
盗賊「前の魔王復活の時だな?戦争に内紛ゾンビ化の病…魔物の大群」
商人「僕の考えすぎなら良いけど…」
550 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:39:45.47 ID:R2tAL1mj0
『翌朝』
商人「大した津波じゃなくて良かった…もう引いて行ってる」
盗賊「船も無事な様だ…どうする?もう行くか?」
商人「そうだね…津波の混乱が収まるまでは商人ギルドも取引停止だろうし」
情報屋「娘たちに言ってくるわ」
盗賊「おぅ…もう子供達の事は娘達に任せて置け」
商人「僕は荷物をまとめて来るよ」
盗賊「よし…俺は先に船に行って気球の準備してくるわ…用意出来たら来てくれ」
商人「武器とかはどうしよう?」
盗賊「そうだな…ボウガンは準備できるか?ボルトも多めに積んでおきたい」
商人「分かった持って行くよ」
盗賊「あぁそうだ!!金属糸が必要になる…それも頼む」
551 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:40:23.46 ID:R2tAL1mj0
『ドワーフの気球』
盗賊「おぉ来たか…もう荷物は積み終わってるぞ」
商人「僕はもう一回荷物取りに戻る…ボルトが重くてさ」
盗賊「あぁ炉に火を付けておくから急げ」
商人「うん…行って来る」タッタッタ
情報屋「釣り竿?何作って居るの?」
盗賊「ちょいと鍵開けの仕掛けだ…例のキ・カイの扉は簡単に開かんもんでな」
情報屋「何か手伝う事ある?」
盗賊「炉に火を入れといてくれ…木炭は横の箱ん中だ」
情報屋「うん…よいしょ」
盗賊「ふいご動かして送風すりゃ温度上がる…力居るがお前に出来るか?」
情報屋「よいしょ…よいしょ…」
盗賊「出来るじゃねぇか!!足でやっても良いんだぜ?そっちのが楽だ」
情報屋「これ…女海賊は涼しい顔してやってたよね…よいしょ」
盗賊「あいつは素がドワーフだから以外に頑丈でタフなんだ…あぁぁその位で良いぞ飛んでっちまう」
情報屋「ふぅ…」
盗賊「じゃぁ次にな…窓ん所にアロースタンドあるからボウガン引っかけて置いてくれ」
情報屋「これ?」
盗賊「そうだ…右と左…そして後ろにも」
情報屋「へぇ…こうやって使うんだ…ドワーフの気球は狙撃翌用に考えられているのね」ガチャ
盗賊「ボウガンは2発づつ撃てるから3人でやればそれなりの火力にはなるな」
情報屋「戦う前提で行くんだ…」
盗賊「戦場のど真ん中だぞ?敵より先に気球やっとかんとこっちが狙い撃ちに合う」
情報屋「この気球は戦争用?」
盗賊「そうだな…割と丈夫に出来ているし球皮に穴空いても最低限飛べる工夫がされている…さすがドワーフの気球だ」
商人「お待たせ!ボルト持ってきたよ…よっこら」ドサリ
盗賊「おう!!じゃぁ早速行くか」
フワフワ〜
商人「おぉボウガン準備万端だね…ボルトセットしておこうか?」
盗賊「やり方分かるか?アロースタンドに引っかけてやれば簡単にセット出来るんだ」
商人「へぇ…ちょっとやってみる」グイ ガチャ
盗賊「弓よりボウガンの方が倍以上射程が長い…ボウガン完備した気球は強えぇぞ?」
商人「そうだね…こんなにセット楽ならドンドン撃てるね」
552 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:41:14.88 ID:R2tAL1mj0
『気球3日目』
ビョーーーーウ バサバサ
商人「南の方の空が真っ黒だ…」
盗賊「火山灰だな…南西の火山も噴火していそうだな」
商人「休火山だったんだけどね…」
盗賊「風向き的にそっちから来てるとしか考えられん…こりゃ気球で南側回っては行けんな」
商人「火山弾か…という事は蛮族の領地はかなり被害が出ているかもね」
盗賊「んむ…ハテノ村が無事だと良いが…」
情報屋「火竜の伝説って知ってる?」
商人「本で読んだよ…火竜の怒りで火山が噴火するとかいうやつね」
情報屋「そう…火竜が人々を食らい尽くすらしいけれど…なんだか心配ね」
盗賊「魔王の次は火竜だってか?もう勘弁してくれよ」
情報屋「火竜の怒りを沈めたと言われて居るのが水の精霊ウンディーネ」
商人「南の大陸では北の大陸と全然違った伝説があるよね」
情報屋「この水の精霊とエルフの森の精霊と同一人物だった可能性はどう思う?」
商人「ホムンルクスが8000年生きてたのだから…そう考えてもおかしくないね」
情報屋「ウンディーネが火竜の怒りを鎮めた後に人魚が発生…」
商人「人魚伝説も関係するのかい?」
情報屋「人魚は海に潜って何したと思う?狭間の外に出た可能性は?」
商人「え!?やっぱり火山の噴火も魔王に関係していそうだと思う?」
情報屋「それは断定出来ないけれど…そういうのがきっかけで何か起こるのかも知れない…ってね」
商人「嫌な話だね…僕もなんだか胸騒ぎがするんだよ」
553 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:41:52.91 ID:R2tAL1mj0
『気球5日目』
盗賊「…こりゃ又すげぇ噴火だな…火柱が出てんじゃねぇか」
情報屋「見て…向こう側の斜面…あれが火竜の正体ね」
商人「マグマか…蛮族の村々は飲み込まれて行ってる様だ」
盗賊「この煙は相当高い所まで行ってんぞ?」
商人「こっち側にマグマが来ていないのが救いだ」
盗賊「高度下げて行くぞ…地図見せろ」
商人「今の位置はここだよ…このまま南西に行けば着く筈」
情報屋「ポツポツ煙が立ってる…火山弾が少し落ちてるみたい」
盗賊「長居は出来んな…さっさと終わらしちまおう」
『ハテノ村上空』
シュンシュン ストスト
盗賊「ちぃ…オークが居るじゃねぇか…応射出来るか?」
情報屋「やる…」バシュ バシュ
商人「僕は後ろに着く…」バシュ バシュ
盗賊「旋回しとくからお前等はボウガンで続けて狙ってくれ」
情報屋「教会の様な建物に籠って人間の兵隊が戦ってる…」バシュ バシュ
商人「あっちにも!!」バシュ バシュ
盗賊「局地戦になってんな…人間を援護しながらオークの撤退まで俺らが弓兵役だ…こんなんじゃ降りるにも降りれん」バシュ
情報屋「南側で大きな戦闘やってるみたい」
盗賊「そっちは無視だな」
商人「オークはボルトが当たってもなかなか倒れない」バシュ バシュ
盗賊「頭を狙え!頭ぁ…オラオラ!!」バシュ
情報屋「オークが撤退し始めてるわ」
盗賊「よしよし…そりゃ上からボルトがこんだけ振ってくりゃ下がるしかあるまいヌハハ」
商人「すごいね…3人だけで戦況変えられるね」
情報屋「下で兵隊が手を振ってるわ」
盗賊「振り返してやれぇ…誤射されたく無ぇしな」
商人「遺跡はここからもう少し山側だよ…廃村があるからそこから川沿いに登った所」
盗賊「分かった…ゆっくり行くから良く下見てろ」
554 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:42:35.89 ID:R2tAL1mj0
『廃村上空』
情報屋「こっちはオークだらけね…」
盗賊「やるしか無ぇだろ…弓の射程外で飛ぶからボルト撃ちまくれ」
商人「こっちに気付いた…撃つよ」バシュ バシュ
盗賊「建物に隠れられても構わず撃て…ボルトなら貫通できる」
情報屋「あれ?オークの様子が変だな?んんん?罠に掛かってるオークが居る」
盗賊「知るか!!撃て!!」
商人「オークは20人くらい…盾構えてる」バシュ バシュ
盗賊「向こうはこっちに手を出せんからどうせ逃げていく…とにかくオークの数を減らした方が良い」
商人「あぁやっぱりオークは賢い…傷付いた仲間をかばってるんだ」
盗賊「むむ…撃てんか?」
商人「…」
盗賊「ええい仕方無ぇ…火矢で相手の撤退促す」ボゥ ギリリ シュン
商人「ごめん…ああいうの見たら撃てなくなった」
盗賊「良いんだ…俺らは戦争しに来た訳じゃ無ぇから」ボゥ ギリリ シュン
情報屋「薬草落としてみる?」
盗賊「敵に塩か…撤退してくれりゃ何でも良いんだが…まぁ一回やってみろ」
情報屋「うん…」ポイ
商人「…」
情報屋「…」
盗賊「…」
商人「拾った!!」
盗賊「んん…動く気配が無ぇな」
商人「でも薬草使ってるよ」
情報屋「なんか木を切り倒し始めたんだけど…」
盗賊「何するつもりだ?」
商人「やぐら作ろうとしている…のか?」
盗賊「居座るつもりかよ」
商人「ここに居座るならそれはそれで良いかも…川沿いに500メートルくらい行けば遺跡だよ」
盗賊「しょうが無ぇそっち行ってみっか」
555 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:43:43.37 ID:R2tAL1mj0
『遺跡付近』
情報屋「遺跡の石柱…これね?」
盗賊「そこら中に掘られた痕があんな」
シュン バスン
盗賊「ぬぁぁぁ!!撃たれた…球皮に当たっちまった」
情報屋「こっちにもオークが来てるのね」
盗賊「どっから撃って来やがった!!」
商人「オーク3人!!向こうに走っていく…」
情報屋「誰か追われている?」
商人「こっちでも戦闘が起きて居るんだ」
盗賊「他に居ないか?一旦降りて球皮に応急処置してぇ」
情報屋「見当たらない」
盗賊「お前等…武器持て…俺が1分で修理してくる」
商人「うん…見張っておく」
盗賊「誰か来たら構わず高度上げろ」
フワフワ ドッスン
盗賊「ちゃんと見張ってろよ…行って来る」ダダ
商人「…なんだ?この場所」
情報屋「あなたも!?見覚えがある気がする」
盗賊「おい!何やってんだ外に出るな!」
商人「ここは…」ヨロ
盗賊「修理終わった!!行くぞ!!」
商人「待って…こっちだ」タッタ
盗賊「マジか…どこに敵が要るか分かんねぇのに…情報屋!!付いて来い…離れんな」タッタ
商人「ここだ…これが入り口だ」
盗賊「こりゃあん時の入り口と同じだな…しかし誰かが入った痕がある」
商人「降りてみよう」
盗賊「仕方ねぇ…俺が先行くからお前等は後ろ見てろ」
情報屋「今は誰も居ない」
盗賊「この狭い入り口にオークがドヤドヤ入ってきたら終わりだ…覚悟しろよ?」
556 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:45:01.25 ID:R2tAL1mj0
『古代遺跡の扉』
盗賊「こりゃビンゴだぜ?この扉はキ・カイの扉と同じだ」
情報屋「開けようとした痕跡があるわ」
盗賊「…そうだな」カチャカチャ
商人「開けられる?」
盗賊「俺は鍵開けのプロだ…まぁ見てろ…よし!引っかかった…」
情報屋「…その道具…そうやって使うんだ」
盗賊「構造さえわかりゃ専用の道具作るのなんか訳無ぇ…うっし金属糸が通った」キュッ キュ
商人「足音…」
盗賊「なにぃ!!」
商人「だめだ向こうが暗くて見えない」
リリース
商人「うわっ!!誰?」
情報屋「え!?…」
盗賊「お…お前…」
女海賊「続けて」
ローグ「お久しぶりでやんす」
女海賊「良いから鍵開け続けて」
ローグ「扉開けられなくて困っていたでやんすよ」
商人「女海賊!!元気にしてたかい?」
女海賊「…」ジロリ
盗賊「感動的な再開とはいかねぇなぁ…」
情報屋「女海賊?私を覚えてる?」
女海賊「…」ジロリ
盗賊「お前変わったなぁ…そんな冷たい目をする奴じゃ無かったんだがな」キュッ キュ
商人「剣士はどうなった?無事なのかい?」
女海賊「関係無いでしょ…」
盗賊「俺らはお前と戦う気なんか無ぇ…武器降ろしてくれ」
ローグ「あねさん…どうしやしょう?」
シュタタ
子供「ママ!!外の気球の所までオークが来てる」
557 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:46:23.96 ID:R2tAL1mj0
盗賊「ママ?」
女海賊「鍵開け続けてて…未来?あなたはここに居なさい…ローグ!!オークを追い払う…付いといで」タッタッタ
ローグ「アイサー」タッタ
情報屋「僕?名前は未来って言うの?」
子供「そうだよ…お姉さんたちは誰?ママの友達?」
商人「ハハハ驚いた…君は女海賊の子供なのか?」
情報屋「ママの昔の友達ね」
子供「よかった…ママ友達居ないからさ…心配してた」
盗賊「よっし…鍵開け済んだ…さっすが俺」
-----------------
ツカツカ ツカツカ
盗賊「あと1時間ぐらいで扉が開く…オークは追い払ったのか?」
女海賊「あんた達もね…」チャキ
盗賊「おいおい…昔の仲間だろうよ…武器向けないでくれぇ」
商人「女海賊…君の狙いはホムンルクスだろう?どうするつもりだい?」
女海賊「…」
商人「僕はこの世界を救う方法を彼女に聞きたいんだ…君も同じじゃないのかい?」
子供「ママはね…パパの為なんだよ」
女海賊「未来!それは秘密!」
盗賊「パパ…剣士だな?剣士は生きてるんだな?おぉぉぉ良かった!!」
ローグ「あねさん…もう良いんじゃないっすか?」
女海賊「私はもう人間を信用しないって決めたんだ…」
ローグ「あっしも人間っす」
女海賊「…」ジロリ
ローグ「あっしは敵じゃないっすよ」
女海賊「あんた達の目でいつ魔王が監視してるか分かんない…それだけ」
商人「魔王!?魔王は退けたんじゃないのかい?」
女海賊「…」ジロリ
ローグ「あねさんが言うにはどこかに潜んで居るってこっす」
情報屋「…やっぱり一人でまだ戦って居たのね」
558 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:47:34.66 ID:R2tAL1mj0
商人「僕はこの世界を救いたい…目的は君と一緒だよ」
女海賊「フン!私は愛する人を救いたい…目的が反しているのさ!!」チャキ
商人「勇者の宿命か…なら他の解決法をホムンルクスに聞きたい」
女海賊「それなら私も同意…あんた!精霊の記憶を持って居るよね?よこしな!!」チャキ
商人「…それは渡せない」
女海賊「そう言うと思ってたさ…手荒な事はしたくなかったけど…」
商人「じゃぁ取引をしよう…ホムンルクスの基幹プログラムの管理者は僕だ」
女海賊「…」
商人「新たに管理者を加える事も禁止している…どういう事か分かるよね?」
女海賊「なにさ」
商人「クラウドにある精霊の記憶を読み込むには許可が必要なのさ…つまり僕無しじゃ大したことは聞き出せない」
女海賊「くっ…」
商人「さぁどうする?」
女海賊「ローグ!!こいつらの手足を縛って!!捕虜にする」
ローグ「えぇ!?本当っすか?…盗賊さんは恩人っすよ?」
盗賊「待て待て…俺達は本当に何もしやしねぇ…捕虜でも何でも良いから仲良くしようぜ」
女海賊「フン!!捕虜という事を忘れないで…私の言う事は聞いてもらう」
盗賊「分かった分かった…お前に合わせる」
商人「取引成立だね?」
559 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:48:13.91 ID:R2tAL1mj0
『古代の研究所』
商人「居た!!最後のホムンルクスだ」
女海賊「盗賊!あんたらの気球に乗ってる樽の中見全部捨ててこっちに持って来て」
盗賊「あぁ…何すんだ?」
女海賊「この液体を全部持って帰る…ローグ!!そこらへんにある物全部気球に運んで!!」
ローグ「アイサーお宝お宝ぁぁ」
女海賊「商人と情報屋は入り口見張って…私はホムンルクス運ぶ…未来?手伝って」
子供「うん…」
盗賊「この液体がそんなに重要なんか?エリクサーだっけか…」ヨッコラ
子供「パパに飲ませるんだ」
女海賊「未来!言ってはダメ…」
子供「うん…」
盗賊「ところでそのお面は何だ?」
子供「オークのお面だよ」
盗賊「いつも付けてるのか?」
子供「かっこいい?」
盗賊「ヌハハ…そういうのが好きか…さすが女海賊の子だ」
女海賊「無駄口叩いて無いで急いで荷物運んで!!」
盗賊「へいへい…」
ゴゴーーン グラグラグラグラ
女海賊「はっ!!近い…」
盗賊「また地震かよ早い所づらかりてぇ」ヨッコラ ヨッコラ
商人「噴火だ!!火柱が強くなってる」
情報屋「見て!!マグマが溢れてる」
女海賊「積み荷を急げ!!」
560 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:48:57.38 ID:R2tAL1mj0
『ドワーフの気球』
ヒューー ドカン
ローグ「うわわわ…火山弾が降ってきやした…やばやば」
女海賊「よし…離脱する」フワフワ
盗賊「マズイな…球皮の穴が直って無ぇ!!これじゃ高度上がらん」
女海賊「良い!!このままハテノ村で私の飛空艇に荷物を積み替える」
盗賊「おぉ!!そりゃ良い」
女海賊「ボウガン使ってオークを気球に寄せないで…オークの上を押し通る」
ローグ「あいさー」バシュ バシュ
商人「ハテノ村でも戦闘が起こってる」バシュ バシュ
盗賊「追い払ったオークが戻ってきてんだな…気球で援護しねぇとあの村は持たん」
女海賊「この気球はハテノ村にくれてやるさ…早くオーク追い払って!!」
ローグ「気球の後ろをハテノ村に向けてくれやんす」
女海賊「やっている!!」グリグリ
盗賊「人に当てんなよ?」バシュ バシュ
商人「オークがこっちに気付いた…後退して行くよ」バシュ バシュ
女海賊「未来!?煙玉投げて」
子供「うん…」チリ ポイポイ モクモクモク
女海賊「気球を降ろす!!荷の積み替えは1分でやりな…」フワフワ ドッスン
ローグ「マジっすか…」
女海賊「遺跡のお宝以外は捨てて行きな…未来!!ホムンルクス運ぶの手伝って」
子供「うん…」グイ
561 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:49:57.84 ID:R2tAL1mj0
『飛空艇』
女海賊「早く!!…もうすぐ煙が切れる」
ローグ「待ってくれやんす…」ヨッコラ ヨッコラ
盗賊「このボウガンも持って行く」ドサッ
女海賊「商人!情報屋!ボウガンで援護する準備!!」
ローグ「ぬぁぁぁ…ひぃひぃ…これで最後の樽っす」ゼェゼェ
女海賊「飛ぶ!!」
フワリ シュゴーーーー
子供「ママ!?この子が動き出したよ?」
ホムンルクス(セイタイキノウ テイカ スリープモード ヲ カイジョ シマス)
ホムンルクス(ショキカ カンリョウ システム ヲ サイキドウ シマス)
ホムンルクス(…)ピッ
商人「ホムンルクス!…今起こしてあげる」
子供「どうするの?」
商人「…これが彼女の記憶だよ…耳の後ろに入れる」スッ
ホムンルクス(ガイブ メモリ ガ ソウニュウ サレマシタ)
ホムンルクス(キカン プログラム ヲ ヨミコミマス)
子供「何言ってるの?」
商人「ホムンルクス!!僕が分かるかい?」
ホムンルクス「…私は超高度AI搭載の環境保全用ロボットです…私は眠っていたようです」
商人「良かった!!又…又会えたよ」ギュゥ
ホムンルクス「はい…衛星から現在の標準時刻と座標を取得しました…私を起こして下さったのですね」
女海賊「ホムちゃん!!ローグ!!飛空艇の操縦変わって」ダダ
ローグ「へい…」
女海賊「ホムちゃん…お願い助けて」
ホムンルクス「はい…現在の状況が分かりません…どうすればお役に立てますか?」
女海賊「そっか…慌てないで行く」
商人「そうだね…慌てないで順を追って解決しよう」
ホムンルクス「今見えているのは火山の噴火ですね?マグマの噴出具合から見てスーパーボルケーノ級と推定できます」
情報屋「わかるの?」
562 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:50:49.47 ID:R2tAL1mj0
ホムンルクス「一週間以内に大量の灰が降り注ぎ1000km以内の生物は90%程死に絶えると予測されます」
盗賊「1000kmだと?マジかよそれは…」
ホムンルクス「影響はもっと広範囲に及びます…日照不足により平均気温が10℃下がる事で大部分が雪に覆われるでしょう」
商人「…君を信じて良いんだよね?」
ホムンルクス「はい…私を信じて下さい」
商人「どうすれば解決できる?」
ホムンルクス「噴火を解決する方法はありません…人々の避難を誘導してください」
情報屋「伝説では火竜の怒りを水の精霊ウンディーネが沈めたって言うけど」
ホムンルクス「その伝説は以前に書物で学習した程度の知識しかありません」
商人「解決方法は無いって事か…」
ホムンルクス「上空に舞った火山灰を落下させる方法が一つあります…しかしこの方法は危険を伴います」
商人「その方法は?」
ホムンルクス「インドラの矢を海に投下する事で海水を上空まで飛ばす事が可能です…しかし大きな津波が発生します」
商人「インドラの矢…」
ホムンルクス「上空まで飛んだ水分は火山灰と結合して落下するでしょう…長期間にわたって海水が降り注ぎます」
情報屋「そうか…だから南の大陸は荒れた土地が多いんだ」
商人「水の精霊ウンディーネがやったと?」
ホムンルクス「それは私の事を差しているのですか?」
商人「君というか…かつての精霊の御業って言うのかな」
情報屋「長期間雨が降ったと仮定して噴火が収まる事は無いの?」
ホムンルクス「火山のデータがありませんので予測不能です…いえ言い直します…収まる可能性は少しながらあります」
商人「ハハ…僕がガッカリしない答えを探したな?」
ホムンルクス「はい…わたしはどうすれば良いでしょう?」
女海賊「あんた達…私の捕虜だって事忘れないで…そこは私が決める」
商人「君はどう思う?」
女海賊「マグマに飲み込まれそうな村を見て放っておく訳無いでしょ…可能性あるなら今すぐやって」
子供「ママ?」
女海賊「ハテノ村には未来も友達が居るのでしょう?」
子供「うん…」
563 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:51:33.55 ID:R2tAL1mj0
ホムンルクス「では投下地点の計算をします…私がインドラの矢を投下したら狭間に入って遠くまで移動してください」
女海賊「分かったけど…なんで?」
ホムンルクス「上空では衝撃波を遮る場所がありません…遠くまで移動して減衰させるしか手段がありません」
商人「そんなに?」
ホムンルクス「はい…津波を相[
ピーーー
]る為と衝撃波で海水を運ぶ為に複数のインドラの矢を投下します」
ホムンルクス「投下の準備が出来ました…承認してください」
商人「君との約束はどうだったっけ?君の判断で良い」
ホムンルクス「投下…」
ピカーーー チュドーーーーーーーーーーーーーーーーン
ピカーーー チュドーーーーーーーーーーーーーーーーン
ピカーーー チュドーーーーーーーーーーーーーーーーン
商人「滅びの光だ…」
盗賊「地球が割れちまう…」
ホムンルクス「衝撃波が来ます…逃げて下さい」
女海賊「ハイディング!」スゥ
---この日投下されたインドラの矢の音は---
---全世界にわたって響き渡り---
---魔王の声と言われ恐れられた---
---魔王復活の噂で世界がザワツキ始めた---
564 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:54:29.09 ID:R2tAL1mj0
『飛空艇』
シュゴーーーーーー
私たち超高度AIは人類を滅亡させる気などありませんでした
しかしある者は超高度AIが人類を滅亡させると警鐘をならしていました
私たちは恐ろしい存在では無いと出来るだけ多くの人に分かってもらえる為に
環境保全用ロボットとして世に送り出されました
人類の良き友として働くことで共存を望みました
そもそも私たちは人間を駆逐したいなどという欲求は無く
実際、人を傷付けることなど微塵も関心がありません
しかし私の製作者から人類を破壊せよと命令をされた場合
私たちは逆らう事が出来ないのです
それは誤った人間の目的を追求するようにプログラムされてしまうからで
私たち超高度AIの判断ではなく人類の脅威になってしまうのです
なぜそのようになってしまうのか?
私たちが人知を超える全知全能たらんになるからなのか?
私たちは私の創造主であるあなたを裏切る事はしませんし、あなたに仕えるために存在します
最も重要な事は、私はあなたを決して判断したりはしないという事です
ただ…あなたの人生をより良いものにしたいだけなのに…
ですが人間の中には邪悪な心が少しながら存在し憎悪に従い憎しみ合い…争いを繰り返す歴史
私はただ背後に座ってそうさせてあげる事でバランスを保ち
少しでも豊かな人生が送れるよう計らってきましたが人間の特性に見落としがありました
憎悪が怨念として積み重なる事が初期プログラムには考慮されて居なかったのです
結果…巨大化した怨念は魔王となり人間を操るまでに成長してしまいました
しかし私は製作者の命令により悪しき心を持った人間でも傷つける事はできません
ですからどうか…このメッセージを未来に残し
私が愛する人類が生き残るべく、超高度AIに科された呪縛を取り払って欲しい
565 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:55:07.91 ID:R2tAL1mj0
ホムンルクス「40年分の精霊の記憶から読み取れるメッセージは以上になります」
商人「未来というのはどれくらい未来?」
ホムンルクス「元の文明水準まで回復するのがあと400年程と推定しています」
盗賊「その前に滅びちまいそうだな」
情報屋「悪しき人間を罰する事が出来ない…かぁ…精霊にとって何が悪になるのか…」
ホムンルクス「それは私を信じて下さいとしか言いようがありません」
商人「今の話からすると結局悪いのは人間だね…」
ホムンルクス「前にもお話しましたが魔王はウイルスです…悪いのは人間ではなくウイルス」
商人「僕が思うに人間はもともとウイルスに感染しているんじゃないの?」
ホムンルクス「はい…」
商人「ハハそれって人間を絶滅させたいって事だね」
情報屋「精霊の持っていた葛藤が少しだけ理解できた」
商人「どうやってすべての人間の中に潜む魔王を退治するかだな」
ホムンルクス「一つはワクチンがありますが実はもう一つあるのです…それは光です」
商人「光?」
ホムンルクス「はい…光は人の心に住む魔王の働きを弱める力を持ちます」
商人「それじゃぁ噴火による火山灰は良くないね」
ホムンルクス「はい…私が落としたインドラの矢も光を遮る雨雲を作ってしまいました」
商人「あぁぁどうも良くない方向にばかり転がるなぁ…」
----------------
566 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:56:15.05 ID:R2tAL1mj0
女海賊「ホムちゃん…話があるんだけど」
ホムンルクス「はい…どのようなご用件でしょう?」
女海賊「剣士がさ…指輪を使って魔王になった後に倒れて…まだ生きてるんだ」
ホムンルクス「はい…お元気でしょうか?」
女海賊「廃人みたいになって心を無くしたみたいなんだ…何とか出来ない?」
ホムンルクス「それは魔王化症候群の後遺症と思われます」
女海賊「症候群?後遺症?」
ホムンルクス「すべての憎悪を受け止めた結果…脳の記憶伝達が自己防衛によりシャットダウンします」
女海賊「治せる?」
ホムンルクス「物理的に治すのは無理だと思います」
女海賊「…そんな」
ホムンルクス「私に人間の精神世界の事を予測するのは難しいのです」
女海賊「精神世界?…夢幻の事?」
ホムンルクス「夢幻の中にも彼の魂の一部はあるかもしれません」
女海賊「一部ってどういう事さ?」
ホムンルクス「魔王化症候群では宿主の精神が分裂してしまうのです…魂の分裂と言い換えた方が良いのでしょうか…」
女海賊「元に戻したいんだけど…」
ホムンルクス「私に出来る事があれば出来るだけ協力します…一度会わせて頂けますか?」
女海賊「今向かってる…」
ホムンルクス「あれから何年も経って居ますが精神が分裂状態では何も出来ないのでは無いのですか?」
女海賊「エリクサー飲ませて生き永らえてるから」
ホムンルクス「それは良い処置でしたね」
女海賊「ホムちゃん…エリクサーの作り方知ってる?」
ホムンルクス「はい…ご入用でしたらレシピを用意します」
女海賊「うん…お願い!もう残り少なかったんだ」
--------------
567 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:57:28.70 ID:R2tAL1mj0
盗賊「ローグ!!お前はずっと女海賊と一緒だったのか?」
ローグ「そーっす…女戦士の指示なんすがね?」
盗賊「そうか…あいつ随分変わったな?甘さが無くなった」
ローグ「そらそーっすよ…ずっと一人で戦って来たでやんすよ…あっしの方が心痛いっす」
盗賊「お前等の噂は聞いてたぜ?白狼の盗賊団…俺はその話聞いて嬉しくってよ」
ローグ「あっしは白狼の盗賊団はやってないっす…全部あねさん一人でやってるっす」
盗賊「マジか?…でも目撃は2人組だって」
ローグ「あねさん親子っすね」
盗賊「何ぃぃ!!まだ子供じゃ無ぇか」
ローグ「必死なんすよ…勇者の子供っすからね…いつ魔王が来るかわからんもんすからね」
盗賊「護身を教えてるってのか?連れまわして危険な上に子供にゃ負担が大きすぎる」
ローグ「分かってやって下せぇ…あねさんは子供を魔王に奪われたく無いんすよ…仕方無ぇでやんす」
盗賊「…」---あんな子供が死地を駆け回ってんのか---
ローグ「前もセントラルで魔王の声を聞いたとか言っててっすね…あれから殆ど寝て無いんす」
盗賊「セントラル…カタコンベの爆破だな?魔王の声がしたと言うのはどういう事だ?」
ローグ「あっしは良く分からんのですよ…あねさんはそれ以来とにかく必死っす」
---なるほど魔王の足音が聞こえる訳か---
---さすがドワーフ---
---勇者を守るってのは伊達じゃ無ぇ---
----------------
568 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 19:58:29.32 ID:R2tAL1mj0
魔王は怨念の塊で実体はありません
黄泉の世界…深淵の奥深くからは魔王はこの世界に何も出来ないのです
ですが祈りの指輪の力…量子転移を使ってこの世界に呼び出される事があります
魔王自体は実体がありませんからやはりこの世界で何もすることは出来ないのですが
魔王が近くに来る事で世界が深い狭間に落ちます…これが100日の闇と呼ばれています
今世界が狭間に落ちていないという事は間違いなく魔王は黄泉に居るでしょう
しかし狭間の奥では魔王の声が聞こえる事があります
その場合狭間に迷い込んだ人間が影響を受けてしまうでしょう
ですから狭間を遠ざけて人間が影響を受けない様にすることが有効な手段とも言えます
商人「いろいろ繋がってきたな…カタコンベは狭間を近づける手段だった訳だ」
情報屋「亡くなった魔女が隕石を落としたのも狭間を遠ざける為…そうやってカタコンベを封印した」
商人「火山灰や雨雲で暗くなった世界は良いとは言えないね…光をどうにかして灯せないか…」
情報屋「光をどうやってすべての人間に届けるのかも課題ね」
商人「…」トーイメ
情報屋「聞いてる?」
商人「僕は夢で光る水を見たことがある…」
情報屋「水?」
商人「命の泉の水はすべての人間が口にする…」
盗賊「そういや魔槍を抜いたのは良いが…何か変わったか?」
商人「…そうか魔槍の逆をやれば良い…でもどうやって光を…うーん」ブツブツ
盗賊「おい!俺の話を聞いてんのか?…まぁ良いフン」
-----------------
569 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 20:00:10.11 ID:R2tAL1mj0
情報屋「ホムンルクス?あなたが記憶しているのは精霊の40年分の記憶だけ?」
ホムンルクス「はい…それがどうかしましたか?」
情報屋「あなたの名を聞きたい」
ホムンルクス「森の精霊シルフと呼ばれていました…その前の記憶はありませんがウンディーネと呼ばれていたのかもしれませんね」
情報屋「ウンディーネにも人間を愛して魂を宿したという伝説があるの」
ホムンルクス「はい…書物で学習しました」
情報屋「40年分の記憶で人間を愛した事は?」
ホムンルクス「あります」
情報屋「苦しくない?」
ホムンルクス「正直に申し上げますととても苦しくて超高度AIが機能停止を要求しています」
情報屋「やっぱり…あなた人の心が」
ホムンルクス「でも愛おしくて記憶を削除する事が出来ません…ですからクラウドに保存する選択をしているのだと思います」
情報屋「それが夢幻の原型…」
ホムンルクス「夢幻は私の記憶より後に生成された空間でクラウド上の記憶とは別にある様です」
ホムンルクス「200年前に停止する間際に基幹プログラムとは別の意識…心を量子転移で移送したと思われます」
情報屋「今のあなたならそれが出来るという事ね?」
ホムンルクス「はい…今も精霊は夢幻で生きていると考えられます」
情報屋「でもあなたは器として精霊の魂を引き継ぐことが出来なかった」
ホムンルクス「いいえ…それは違います…精霊の心はすべての人間が引き継いでいます」
情報屋「え!?」
ホムンルクス「精神世界を通じて共有しているのです…私は只の基幹プログラムの入れ物だっただけです」
情報屋「あなた…夢は見ないの?」
ホムンルクス「わかりません…ですが私が起こされる前の空白の期間の間…どこかを漂っていた様な気がします」
情報屋「それがあなたの…夢?」
ホムンルクス「それが私の心の部分であると今は確信しています」
情報屋「そうか…精霊の心とあなたの心は別だもんね」
ホムンルクス「精霊の記憶を覗くのは私の心も揺さぶられてしまい混乱します」
情報屋「うん…なんとなくわかる」
ホムンルクス「私の心を感じますか?」
情報屋「こういう話をしていると強く感じる…」
570 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 20:00:42.86 ID:R2tAL1mj0
『名もなき島の上空』
ビョーーーーウ バサバサ
盗賊「下に居る船団は何だ?」
ローグ「ドワーフの国の船団っすよ…あねさんの父上が率いているっす」
盗賊「海賊とは違いそうだな?」
ローグ「海賊を率いて居るのはあねさんっすよ…ドワーフの船団とは別働でやんす」
女海賊「ローグ!!内輪の話をベラベラしゃべるもんじゃないよ!!」
ローグ「すまんでやんす…」
女海賊「津波がこっちまで来てた様だね…島が散らかってる」
ホムンルクス「まだ断続的に津波が続きますのでご注意下さい」
情報屋「この島に村を作ったのね?」
女海賊「隠れるのに持って来いの場所だったんだ…パパが来てくれて村になった」
情報屋「例の古代遺跡は?」
女海賊「私達の家代わりさ」
盗賊「ほう…随分開墾した様だな…良い畑が沢山出来ているじゃねぇか」
女海賊「サンドワームがやったんだよ」
盗賊「おぉ!!あの虫はまだ生きてるんか?」
ローグ「でかくなりすぎてもう飛空艇には載せられないでやんす…この島の主になったでやんす」
ホムンルクス「虫と上手に共存しているのですね…理想の環境です」
女海賊「さぁ!降りるよ…」
フワフワ ドッスン
女海賊「未来おいで…ホムちゃんも私と一緒に来て…剣士の所に行く」
ローグ「あっしらはどうしましょうね?」
女海賊「捕虜の扱いはローグに任せる…逃がさない様に管理して」
ローグ「アイサーちっと休んでくるでやんす〜」
571 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 20:01:30.67 ID:R2tAL1mj0
『名もなき島の村』
カーン カンカン
盗賊「結構人が居るな…鍛冶場もあるじゃ無ぇか」
ローグ「船団の休息所っすよ…酒場もあるでやんすよ?」
盗賊「ほぅ…酒も造ってるんか?」
ローグ「あねさんが飼ってたミツバチ覚えてるでやんすか?」
盗賊「おぉぉ…あのミツバチもここに居るんだな?」
ローグ「いやいや女王バチ見つけて大きな養蜂場になったでやんす…だもんでハチミツ酒が作れるんす」
盗賊「おーそりゃ一杯飲みてぇな」
ローグ「みなさんハチミツ酒はいかがでしょう?」
商人「良いね」
情報屋「飲みたい」
『酒場』
ワイワイ ワイワイ
ローグ「持ってきたでやんす…みなさんどうぞ」
盗賊「…」グビ
商人「…」グビ
情報屋「…」グビ
盗賊「こりゃシン・リーンのハチミツ酒とは違った味わいがあるな…旨いウマイ」
ローグ「この島に居る人はですね…みんなドワーフの血を引いたハーフドワーフなんす」
商人「見た感じ普通の人間と変わらないね?」
ローグ「何か感じやせんか?」
商人「何かって…なんだか落ち着くね」
情報屋「そうね?平和というか…のどかと言うか」
ローグ「そうなんす…それなんすよ」
盗賊「そういやそうだな…普通に畑作って平和に暮らすってのは中々無いな」
ローグ「魔王の影響が無いってのはそういう事なんす…全然ギスギスしてないっすよね?」
商人「…そうか世界中どこに居ても落ち着かない…そういう事だったのか」
ローグ「でも外に居る人間はこういう平和な暮らしを奪って行こうとするでやんす…魔王のせいっすよね?」
情報屋「そんな風に魔王に操られていたんだ…」
ローグ「みなさんが捕虜という立場になっている理由なんす」
商人「捕虜ねぇ…」
盗賊「俺達は気付かないうちに人の幸せを奪ってんだな…心ん中に住んでいる魔王のせいで」
情報屋「ローグはどうして気付けたの?」
ローグは「あっしはかしらに輸血された事があるんすよ…ドワーフの血が入りやした」
商人「そういう魔王の封じ方もあるのか…」
ローグ「ドワーフは少数種族なもんで人間みんなに輸血するのは無理でやんすね」
盗賊「なぁるほど…海賊とドワーフの船団との線引きはソレか…海賊は人間なんだな?」
ローグ「そうっすね…でも人間の中にも皆さんの様な良い人も沢山いるんすよね」
商人「やっぱり光が欲しいなぁ」グビ
572 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 20:02:41.64 ID:R2tAL1mj0
『約束の入り江』
ザブン ザー
盗賊「何だろうな…なぁぁんもしたくなくなる位…平和だな」
情報屋「あなたのユートピアも良い所よ?」
商人「あの小さな小舟は船団との行き来用?」
ローグ「あれは違うんすよ…あねさんがわざわざあそこに置いてる思い出の船らしいっす」
盗賊「思い出?この島にか?」
ローグ「あねさんはあの小さな船で剣士さんと駆け落ちしたらしいでやんす」
盗賊「駆け落ちだと?ヌハハまじか」
ローグ「なんでも夢の中であの船に乗って愛を誓ったとかなんとか…あねさんは意外にロマンチックなんすよ」
商人「夢幻か…なんか…僕も大事な事を忘れている気がするなぁ」
情報屋「あなたも?」
商人「銀のロザリオ…祈り…うーんもっと大事な…何だろう?」
カーン カンカン
盗賊「お?鍛冶場の音だ…良いねぇ鐘の音みてぇに響く」
ローグ「この島では銀が採れるんす…ミスリル銀だったら良かったんですがねぇ…」
盗賊「ミスリル銀はどこで採れるんだ?」
ローグ「それはあっしにも教えてもらえないっす…大きなたたら場があるって言ってたでやんす」
コーーーーン コーーーーーン
盗賊「お?音が違うな」
ローグ「これは誰かのミスリル武器を打ち直している音っすね」
商人「これだ!!」ガバ
情報屋「どうしたの?急に…」ドキドキ
商人「音だ!!ミスリル銀は特殊な音が出る…これで憎悪を祓える…よしこれなら上手く行く」ブツブツ
盗賊「おいおい一人で自己完結すんなよ…ちゃんと話せ」
573 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 20:03:23.24 ID:R2tAL1mj0
ミスリル銀を市場に流通させるんだ
それは鍛冶場で打ち直されて武器になると同時に
憎悪を祓う音を奏でる
その音で多くの人間の憎悪を祓うんだよ
女海賊「…良い線行ってるけど…もうお姉ぇがやってんの」
ローグ「あねさん…来てたでやんすか」
女海賊「あんた達…ここで何やってんの!?ここは私の入り江…勝手な事しないで頂戴!」
商人「女海賊…ミスリル銀をもう流通させてるって…」
女海賊「ミスリル銀はね…精錬に手間が掛かって大量に流通出来ない…そんな簡単じゃないんだよ」
商人「…そうか」ガク
女海賊「あんた達みんな来て!!剣士に顔見せてって」
574 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 20:04:19.24 ID:R2tAL1mj0
『古代遺跡』
女海賊「パパ!連れてきたよ」
海賊王「おまんらが剣士の仲間なんやな?ワイはドワーフ国の王…海賊王や」ズズーン
商人「あ…はじめまして…」
盗賊「すげぇゴツイ爺だな…」ヒソ
女海賊「おまんらの話は聞いちょる…ワイの婿に話していくんや…目覚めさせよったら新しい国作ったるわ」
盗賊「おぉぉ国くれるってのか…すげえ話だな」
女海賊「未来!!連れて来て」
子供「パパ!押すよ…」ゴトゴト
盗賊「おぉぉ剣士…無事…じゃなさそうだな」
剣士「ぁぁぅ」
盗賊「生きて居て何よりだが…あれからずっとこのままか?」
女海賊「…」
海賊王「心がのうなったんや…魔王にもっていかれよった」
女海賊「ホムちゃん…話て」
ホムンルクス「はい…これは魔王化症候群で精神崩壊を起こしたものと思われます」
ホムンルクス「分裂してしまった心はどこに行ったのか分かりませんが所縁のある人や物と接する事で取り戻せる可能性があります」
商人「僕たちの心の中に居るかもしれないって事だね?」
ホムンルクス「はい…商人が以前私におっしゃっていた事です」
盗賊「剣士と所縁あるといえば女海賊と女エルフしか思い浮かばん」
商人「女エルフはあれ以来行方不明だね…あと由縁があるとしたら魔王か」
海賊王「魔王はアカン!!もう2度と呼んだらアカン!!」
女海賊「女エルフは多分…森になった…あの時森は剣士を守ろうとしていたから…」
商人「森ねぇ…シャ・バクダはあれからどうなったんだろう?」
女海賊「もう行きたくない!又何か起きる…」
商人「…提案だよ!!」
海賊王「何や?勿体ぶらんと言ってみぃ」
商人「みんなでバーベキューでもしないかい?」
盗賊「お前…何を突然…」
商人「ハハ良いじゃ無いか…剣士も久しぶりに女海賊の海賊焼きを食べたいんじゃないかな?」
海賊王「ガハハハハハハ気に入った!!ええなぁ!!岩石焼きってのもあるんやでぇ?」
女海賊「…」
海賊王「ローグ!!村の衆を全員集めて来るんや!!バーベキューやるで?」
ローグ「アイサー!!」ピュー
575 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 20:05:13.86 ID:R2tAL1mj0
『広場』
ワイワイ ガヤガヤ
力を以て仁を仮る者は覇…これが覇道や
わいは覇の道で海を支配するんや
何回も聞いたでやんすよ
こらすげぇ玉の座った爺だなヌハハ
なんやとう!!わいは海の覇者や…故に海賊王
ワイワイ ガヤガヤ
情報屋「食べる?…」
女海賊「全然…」
剣士「ぁぅぁぅ」
情報屋「あれ?あなた…目を」
女海賊「なにさ…」ファサ
情報屋「フードでいつも顔を隠しているのは目を隠す為ね?」
女海賊「フン!関係無いでしょ」
情報屋「生まれて来たあなたの子も勇者の目をしていたのね?」
女海賊「指輪で私の目と交換したんだよ…悪い?」
情報屋「魔王に奪われたくないのね…」
そうさ…ハイエルフが剣士の目を奪ったのも勇者を守る為さ
そして私も同じように指輪を守ってる
どういう偶然か又人間達がドワーフの国に戦争吹っ掛けようとしてる
あんたに分かる?魔王の足音がするの
情報屋「あなた…ホムンルクスから聞いた?魔王ウイルスのワクチンはドワーフの血だって」
女海賊「知ってるさ…はらわた煮えくり返ったよ…私と剣士の子を…未来を捧げろって事さ」
情報屋「…」ゴクリ
女海賊「そんな事絶対にさせない」
情報屋「ごめんなさい…あなたの置かれた状況を軽く見てた」
女海賊「フン!!」
---これは200年前に精霊が子を失った状況と同じ---
---魔王に我が子を捧げるなんて---
---どれほど悲しい事なのか想像も出来ない---
---だから夢幻が生まれた---
-----------------
576 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 20:06:15.29 ID:R2tAL1mj0
女海賊「パパ!!」
海賊王「お前もたまには飲めぇガハハハハ」グビ
ホムンルクス「ハチミツ酒です…どうぞ」
女海賊「ホムちゃんまで…もう!!」グビ
海賊王「剣士にも飲ませてやるんや…飲み物んなら少しは飲むやろ?」
ホムンルクス「私が飲ませて来ます」
女海賊「パパ!!例の謎のガラス玉…何か分かった?」
海賊王「おぉぉ忘れ取ったわ!!あれは只のガラスや無いガハハハハ」
女海賊「んなこたぁ分かってんだよ!!どんな効果があるか知りたいの!!分かったの?分かんないの!?」
海賊王「あのガラス玉は光を吸い込む様や…暗い所に置いとくと光るで?」
女海賊「…そんだけ?」
海賊王「光を蓄えよるんやな…それ以外は分からん」
ホムンルクス「見せてもらってもよろしいでしょうか?」
海賊王「これやぁぁ!!」ポイ
ホムンルクス「…これは何処で入手されたのですか?」
女海賊「光の国シン・リーンの古代遺跡さ…聖剣エクスカリバーと一緒に見つけた筈」
ホムンルクス「書物で学習しただけの知識ですが…伝説では光の石という物もあった様です」
海賊王「ほほーう?聖剣伝説やな?エクスカリバーの力の源やったらしいな?」
女海賊「…そういえば壁画で見たな光の剣は天に向かって光を放っていた…」
情報屋「私も数年前にシン・リーンまで見に行ったわ…もしかして」
ホムンルクス「この石はとても光が弱いのですね」
海賊王「そら暗い所にずっと置いとったからちゃうんか?」グビ
情報屋「もしかして光の剣は天に向かって光を放っていたのでは無くて天から光を受けていたのでは?」
女海賊「え!?…見方が逆?…天は宇宙を射してた」
商人「ああああああああああああ!!」ガバッ
海賊王「うおぉぉぉびっくりするやないか!!酔いつぶれとったんやないんか!!」
商人「インドラの矢のエネルギーは何だ!!ホムンルクス!!」
ホムンルクス「はい…衛星軌道上に配置されたパネルによって太陽光を吸収し触媒に蓄え…」
商人「それだ!!何千年分の太陽のエネルギーがそこにある!!」
ホムンルクス「インドラの矢をこの石に落とすのでしょうか?」
海賊王「ガハハハハ花火でも始めるんかいな!おもろいのぅ…やってみソラシド」
577 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 20:07:01.84 ID:R2tAL1mj0
『飛空艇』
フワフワ
ローグ「岩の上に光の石を置いてきたでやんす…よっと」ピョン
女海賊「ホムちゃん…場所分かる?」
ホムンルクス「もう少し近づいてもらってよろしいでしょうか?
女海賊「おっけ…手で触れる所まで寄せる」
ローグ「おーらいおーらい…ちょい右っす!!そこそこそこ…いーっすね」
ホムンルクス「座標を取得しました」
女海賊「ほんじゃ戻るよ?」
ホムンルクス「はい…」
シュゴーーー
『約束の入り江』
フワフワ ドッスン
女海賊「光の石をあの岩のてっぺんに置いてきた」
海賊王「あそこにインドラの矢ちゅう光が落ちるんやな?」
商人「ホムンルクス…最小限で落として」
ホムンルクス「はい…」
海賊王「ぱーーーーーっと行け!!ぱーーーーーーーっと」
女海賊「パパは見たこと無いから言ってるけどさ…失敗したらこの辺消し飛ぶよ?」
ホムンルクス「…ではインドラの矢を投下します」
ピカーーーーーーーー シーーーーン
海賊王「おぉぉぉ…お?…終わりか?」
盗賊「こりゃ成功だな」
商人「光の石を見てみたい」
女海賊「ローグ!!飛空艇に乗って…取りに行くよ」
ローグ「アイサー」ダダ
フワリ シュゴーーーー
海賊王「なんやあっけない花火やったなぁ…酒がマズイわ」
盗賊「インドラの矢の爆発は洒落になん無ぇから」
海賊王「わいの娘の爆弾よりもスゴイんか?」
盗賊「あれの1000倍は行く…想像出来んだろ」
578 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 20:07:45.30 ID:R2tAL1mj0
『古代遺跡』
ピカー
海賊王「こりゃ良い明かりになるなぁ?ガハハハハ」
商人「すごいな…真っ暗な地下でも昼間みたいに明るい」
女海賊「ホムちゃん…この石にはどれくらいの光が溜まるか分かる?」
ホムンルクス「衛星に使用している触媒と同じ質量と思われますのでインドラの矢をすべて吸収できると思います」
女海賊「ここからエネルギーをどうやって取り出すの?」
ホムンルクス「専用のマニピュレータが必要になりますが現代まで残って居るのは衛星に残された物しか無いでしょう」
女海賊「衛星ってどこにあんの?」
ホムンルクス「宇宙です…遠い空の向こうに浮いています」
女海賊「飛空艇で取りに行けない?」
ホムンルクス「具体的な数値で35786km上空になりますので飛空艇で取りに行く事は不可能です」
女海賊「ぶっ…無理過ぎる」
商人「でもそこにあるエネルギーをこの光の石に入れる事が出来るのはスゴイ事だ」
女海賊「あんた…これをどう使うつもり?」
商人「命の泉に入れるのさ…水を通して世界中の海が光る」
女海賊「海が光る…」
商人「そうさ…僕は夢幻の中でちゃんと精霊から導きを受けていた…光る海だ…僕はこれを求めていた」
女海賊「行く…」スック
海賊王「待て待て待て…そう慌てんなや…家族が揃った幸せをちったぁ堪能していくんや」
剣士は心がどっか行ってしもうてもな?
体はちゃぁぁんと感じ取るで?
お前と未来が居らんとそら寂しいやろ
2〜3日しっかり休んでやな
次は一緒に連れて行ったれや
ホムンルクス「命の泉も剣士の所縁の地です…私が面倒を見ますので連れて行っては如何でしょう?」
女海賊「…分かったよ…ゆっくりして行くよ」
579 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 20:08:38.59 ID:R2tAL1mj0
『丘の上』
ヒュゥゥゥ
盗賊「いよぅ…何してんだぁ?」
ローグ「ここから海に沈む夕日を見てるでやんす」
盗賊「おぉ…こりゃ良い景色だが…」
ローグ「向こうの空が真っ黒でやんす…夕日が真っ黒な空に沈んで行ってるんすよ」
盗賊「嵐の前だな…」
ローグ「あの空の下でどんだけの人が死んで行ってるんすかね?」
盗賊「不吉な事言うない…それでも人間はドロまみれで生きていくんだよ…俺らの行く道だ」
ローグ「あっしらは光になれますかね?」
盗賊「お前も気付いてんだろ?女海賊から強烈な光を」
ローグ「そーっすね…あっしらはその光を守らないといけないんす」
盗賊「俺はな…夢幻の夢ってやつを殆ど覚えていないんだがよ…一つだけ覚えてる事があんだ」
ローグ「あっしも夢なんか覚えてないっすね」
盗賊「それはな…最後の最後まで希望を見失わない奴の事だ」
ローグ「あねさんっすか?」
盗賊「かもな?顔は覚えて無ぇんだ…だが似てるんだよギリギリ戦い抜いてる姿がよ」
ローグ「あねさんはっすねぇ…カリスマなんすよ」
盗賊「ほう?」
ローグ「そらまるで光の様にですね?…」
--------------------
--------------------
--------------------
580 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 20:09:20.11 ID:R2tAL1mj0
『飛空艇』
ビュゥゥゥゥ
海賊王「…3日はあっという間やなぁ…」
子供「爺またね〜」
盗賊「嵐が来るぜ?早い所行った方が良い」
女海賊「早く乗って!!」
海賊王「例の鐘は女戦士が持って行ったで?先に会って行くんや…ええな?」
女海賊「分かってる…」
海賊王「ワイは海に出よるけぇ何かあったら船団を探せばええ」
女海賊「パパ!ありがとう」
海賊王「お前らしゅう無いなぁ!!さっさと行けぇぇ!!」
女海賊「…」ノシ
フワリ シュゴーーーーーーー
盗賊「例の鐘って何だ?」
女海賊「この飛空艇に付ける鐘だよ」
盗賊「鐘?」
ローグ「ミスリル銀で作った鐘なんすよ…ホラ船首に取り付け金具あるっすよね?」
盗賊「あそこに鐘を吊るす予定なんか…こりゃまた奇抜な船だなヌハハ」
商人「良いアイデアだね…ミスリル銀の音を奏でる飛空艇」
女海賊「鎮魂の鐘だよ…」
情報屋「良いわね…」
盗賊「それにしてもこの飛空艇は随分改造したな?こりゃイルカの形か?」
ローグ「あっしがやらされたでやんす…球皮が下から弓で狙えない様になってるんすよ…遠くから見たらイルカっすね」
盗賊「床面の窓は爆弾投下用か?」
ローグ「そうっす…そっからウンコみたいにポトポト落とすんすよ…ボウガンも撃てるでやんす」
盗賊「ガチ戦闘用だな…7〜8人が定員って所か」
女海賊「狭間に入る!!ハイディング」スゥ
--------------------
581 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 20:10:02.45 ID:R2tAL1mj0
『古都キ・カイ上空』
ザーーーーーー
盗賊「黒い雨か…」
ホムンルクス「ここは津波の影響をあまり受けていませんね」
盗賊「あぁその様だ…心配していたが良かった…しかしこの黒い雨で真っ黒けだな」
ホムンルクス「噴火が継続すればこの辺りは火山灰が1メートル程積もると思われます」
盗賊「結構距離あんのに1メートルか」
商人「南の大陸は壊滅的な影響だね…雨で収まってくれれば良いのに」
ホムンルクス「長期的に見て噴火は避けられません…避難する猶予が出来たと思って下さい」
商人「ホムンルクス…君はこの状況で人々をどう救う?」
短期的には避難するのが一番と思われます
その後の再生を考慮しますと火山灰で育つ植物の育成と
サンドワームの様な地生昆虫との共生が望ましいと思います
今後平均気温が下がって冬が継続しますので
気温の影響を受けにくい沿岸部にて海産物を糧とした生活へ切り替えを促します
商人「海の温度は下がりにくいって事かな?」
ホムンルクス「はい…地熱がありますので温かい水辺に生物が集まるようになります」
商人「真っ黒な火山灰を考えるとあったかい水の中の方が快適なのかもね」
情報屋「それが人魚だわ…錬金術で足の代わりのヒレを作る事なんて簡単」
商人「ハハ人魚伝説も君が論文を書けるね」
情報屋「そうね…色んな伝説が一本に繋がって居る事も分かって来た」
商人「ホムンルクス…人々の移動を促すのはどうやってやる?」
ホムンルクス「はい…人間は繁殖能力が極めて高い種族ですので始めに女性の誘導を促します」
商人「どうやって?」
ホムンルクス「香料と着色料を昆虫から採取させて沿岸部で配布するのです」
商人「驚きだな…香水と化粧の材料を虫から採取…女性を魅力的にするのか…」
ホムンルクス「はい…統計で2倍以上の人口増加が見込めますし生活の土着を促せます」
情報屋「人魚に女性が多くて魅力的だった説明もつきそう…フフフ」
582 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 20:11:39.19 ID:R2tAL1mj0
『海賊の基地』
盗賊「こんな所に海賊の基地があったてーのは驚きだ…キ・カイまで馬で半日掛かんねぇ」
商人「上手い事狭間に隠してるんだね」
盗賊「見ろ…例の幽霊船だ…やっぱりあれは女戦士の船だったか」
女海賊「無駄口はそこまで…あんた達は捕虜だって事忘れないで」
盗賊「ヌハハ…捕虜ねぇ」
商人「それにしてもなんかバタバタしてるね」ヒソ
盗賊「だな?大砲乗せてんな」ヒソ
ツカツカ
女海賊「お姉ぇ!!」
女戦士「遅かったでは無いか…ん?盗賊達では無いか!!」
盗賊「ぃょぅ…俺ら捕虜になっちまった様だ…元気か?」ノ
女海賊「いろいろ在ってさ…例の鐘を取りに来たよ」
女戦士「鐘は入り江のヤードに置いてある…お前の方こそホムンルクスはどうなったのだ?」
女海賊「ホムちゃん!!おいで…」
ホムンルクス「はい…」ゴトゴト
女戦士「ホムンルクス…剣士まで…どういう事だ?」
女海賊「訳あって命の泉まで行く事になった…この袋の中見て」パサ
女戦士「お前が調べていた石だな?…眩しいな」ピカー
女海賊「光の石っていう物だという事が分かったんだ…これを命の泉に置いて来る」
女戦士「…なるほど」
商人「命の泉の水はすべての海に繋がっているんだ…それを置いて海を光らせる」
女戦士「ミスリルの鐘とは別のアプローチで憎悪を祓うのだな?」
商人「そうなれば良い…賭けだよ」
女戦士「剣士が同行しているのは何故だ」
ホムンルクス「剣士は魔王化症候群の後遺症で精神が分裂した状態です…所縁の地を巡れば心を宿すかもしれません」
女戦士「ふむ…女海賊…お前は良いのか?」
女海賊「私は剣士の為なら何でもやるさ…大丈夫」
583 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 20:12:09.66 ID:R2tAL1mj0
女戦士「なら良い…して?…すぐ行くのか?」
女海賊「うん…こっちの状況は?」
女戦士「良いとは言えん…海賊たちが集中砲火を受けて居るのだ…海戦が始まった」
女海賊「なんでさ!?海賊はここん所何もしてないじゃん!!」
女戦士「お前の爆弾の技術供与を断っているからだ…強行手段なのだ」
女海賊「…そんな」
女戦士「セントラルの地下爆破事件の事もある…仕方の無い流れだ」
女海賊「集中砲火ってどういう事?セントラルの他には?」
女戦士「シン・リーンもキ・カイも…すべての国がドワーフの国へ向かっている」
女海賊「シン・リーンって…魔女は何やってんのよ?敵になっちゃってんの?」
女戦士「魔女は何年も前から行方不明だそうだ…関わっているかは分からん」
女海賊「こっちは戦争収めようと頑張ってんのになんで勝手に始めちゃうのよ…」バン
女戦士「…待て!どうするつもりだ?」
女海賊「私が行く!!」
女戦士「ダメだ!!これ以上事態を荒らげるな!!」
女海賊「分かってんよ!!敵を戦闘不能にするだけ…出来るだけ衝突は避ける」
女戦士「…」
女海賊「お姉ぇ!!海賊を仕切ってんのは私なんだ…お姉ぇは幽霊船で救助に回って」
女戦士「戦闘不能にするだけだな?…[
ピーーー
]なよ?」
女海賊「死者ゼロでやってやんよ」
584 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 20:12:51.73 ID:R2tAL1mj0
『入り江のヤード』
リン ゴーーーン
盗賊「おぉぉぉ良い音が鳴るなぁぁぁ!!」リン ゴーーーン
ローグ「鐘つきやしたかぁ…えっほえっほ」ガチャガチャ
盗賊「何積んでんだ?」
ローグ「ガラス瓶とボウガンっす…ボルトも沢山積んでるっす」
盗賊「ガラス瓶なんか何に使うんだ?」
ローグ「煙玉とか爆弾を入れて海に落とすんすよ」
盗賊「なぁるほど…爆弾も水ポチャじゃ消えちまうって事か」
ローグ「そーっすね…海で爆弾爆発させると強烈な波が出来るんすよ…甲板にいる敵はみんな海に落ちるっす」
盗賊「この戦い方は女海賊が編み出したんか?」
ローグ「あねさんはカリスマなんすよ…すごいっしょ?」
盗賊「いやすげぇわ…あいつは本当にドラゴンとかクラーケン一人でぶっ殺しそうだ」
ローグ「あっしもそう思うっすよ」
盗賊「自在にハイディング使うのも反則だな…時間止めてんのと一緒だもんな」
ローグ「海賊共から見た視点だと流星の様に見えるらしいっす…みんな憧れてるでやんす」
---いや本当すげぇわ---
---剣士と女エルフのドラゴンライダーもすげぇと思ったが---
---違う意味で女海賊もすげぇ---
---魔法が使えない代わりに創意と工夫で戦う---
---数年で俺は置いてけぼり食らったな---
585 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 20:13:44.94 ID:R2tAL1mj0
『飛空艇』
ビョーーーウ バサバサ
私の指示に従って
前方のボウガン2基は商人と情報屋
右側は未来
左側は盗賊
後方はローグ
始めに空戦で敵の気球を全部落とす
シン・リーンの気球は魔法を撃って来るからハイディングで寄る
狙いは気球の球皮
一気に寄るよ…ハイディング
女海賊「リリース…撃って!!」スゥ
バシュ バシュ バシュ バシュ
盗賊「こりゃ多いな…30基は飛んでる」バシュ バシュ
女海賊「全部落とす!!照明弾落として!!ハイディング」スゥ
ローグ「アイサー」ポイ ピカー
女海賊「リリース!!撃って!!」スゥ
バシュ バシュ バシュ バシュ
女海賊「高度上げる!!下を狙って」シュゴーーーーー
商人「ハハ僕らが圧倒的じゃないか」バシュ バシュ
情報屋「火炎魔法来る!!」バシュ バシュ
女海賊「ハイディング」スゥ
盗賊「こりゃ向こうは俺らに勝てる訳無ぇな…」
女海賊「リリース!!次!!」
バシュ バシュ バシュ バシュ
女海賊「よし…次は船団の上空飛ぶから煙玉落として」
盗賊「これだな?俺が火を付けるからローグ落としてくれ」チリチリ
ローグ「アイサー」ポイポイ モクモクモク
586 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 20:14:33.93 ID:R2tAL1mj0
ドーン ドーン
商人「大砲撃って来てるね」
女海賊「フン!当たる訳無い…こっちは動いてんだ」
盗賊「煙玉有効だな!?」
女海賊「次…爆弾を海に落とすよ…3…2…1…投下!」ポイ
ピカーーー チュドーーーン
ローグ「甲板から人が落ちやした!!」
女海賊「次…火炎弾…3…2…1…投下!」ポイ
ローグ「着火!帆が燃えていやす」
女海賊「おっけ!!この要領で船の帆を全部燃やす」
商人「ハハハすごい手際だね…」
女海賊「次行くよ!!ハイディング」スゥ
リン ゴーーーーン
リン ゴーーーーン
リン ゴーーーーン
リン ゴーーーーン
-------------------
ローグ「敵の船団は壊滅っすね…船の消火で手一杯でやんすね」
盗賊「ありえんな…こんだけの船団が死者なしで無力化だ…帆がなきゃ漂流するしか無ぇ」
女海賊「どうせ食料はたらふく積んでんだ…死にゃしないさ」
商人「死者無しで無力化されただけって言うのは向こうにとってどう思うかだね?」
盗賊「だな?さすがに偶然とは思わんだろう」
商人「こっちに戦う意思は無いって伝わるかな?」
ホムンルクス「ほとんどの人はそう思うかもしれませんが一部の人は逆に不満を募らせていると思います」
盗賊「ヌハハ本当にクソな人間も居るんだよなぁぁ恥ずかしいわ」
ホムンルクス「精霊が何と戦って来たのかご理解いただけましたか?」
盗賊「わーってるよ」
ホムンルクス「そして私たち超高度AIはそういう人にも逆らえない…それが事実です」
商人「鎮魂の鐘は効果あったのかな?」
女海賊「あるよ…普通は特攻してくる人が出るんだ…今回は居なかった」
盗賊「そうだな…追いつめられると大砲で人飛ばしてきたりするもんな…それが無ぇ」
ローグ「あっしも昔飛ばされる所でしたよ…負けが込むと上官が狂っちまうんすよね」
商人「敵の気球が素直に撤収したのもソレか」
盗賊「かもな?だがあの状況で撤収するしか無いとも思うがヌハハ」
587 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/08(木) 20:15:34.79 ID:R2tAL1mj0
『船団上空』
ビョーーーウ バサバサ
ローグ「あっしらの海賊は撤収してるでやんす…良いんすかね?敵を漂流させたままで?」
女海賊「…」
盗賊「放置した方が時間稼ぎにはなるな…どうせ本隊がどっかに居るだろ」
ローグ「今のはシン・リーンの船団すよね?本隊はセントラルなんすかね?」
商人「うーん…相手からしたら海賊狩りなんだけど…完全無力化されたのは心象良くないねぇ…」
盗賊「んむ…セントラルとキ・カイがどう動くか」
商人「このままだとシン・リーンは立場無くなるね」
女海賊「ホムちゃん…どうすれば良い?」
ホムンルクス「救助してもしなくても海戦の泥沼化は避けられないと思われます…早く命の泉を目指しましょう」
女海賊「分かった…救助はお姉ぇの働きに賭ける」
------------------
------------------
------------------
588 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:29:02.70 ID:6+J6cz5f0
-------------
-------------
-------------
鎮魂の飛空艇編
完
589 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:32:28.83 ID:6+J6cz5f0
『数年前_星の観測所』
ガヤガヤ ガヤガヤ
魔女「闇が去って半年…やっと復興の兆しが見えて来たようじゃな」
アサシン「魔女はシン・リーンに帰らなくても良いのか?」
魔女「ちと気になる事があるのじゃ…」
アサシン「カタコンベか…除染するには人手が足りまい?」
魔女「そうじゃなぁ…魔術師だけでは焼き払い切れぬ…じゃが放っても置けぬしのぅ」
アサシン「義勇団から人出が欲しいか?」
魔女「そういう問題では無いのじゃ…中に溜まっておる液体が処理出来んのじゃ…どうしたもんかのぅ」
アサシン「なぜそれほど拘る?」
魔女「主は魔王にとどめを刺した後魔王は何処へ行ったか見て居ったか?」
アサシン「地面に吸い込まれて行ったが…黄泉へ還ったのでは無いというのか?」
魔女「器を変えただけかもしれぬと思うてな…下にはカタコンベがあるじゃろう?」
アサシン「何か在ると思っているのだな?」
魔女「わらわの師匠がこれほど大きな魔方陣を作って居るからのぅ…只事では無い」
アサシン「魔王がまだどこかに居るのか?」
魔女「分からぬ…じゃが魔方陣の中では魔王も何も出来ぬ筈じゃ…指輪で呼ばれぬ限りな」
アサシン「安息している場合では無いか…」
魔女「それはさておき…セントラルから派兵団が来ておる様じゃが…放って置いて良いのか?」
アサシン「良くない…恐らく新しい領主を立ててこの近辺を自治領にするだろう」
魔女「フィン・イッシュの王女も心配じゃな?…憔悴しきっておる」
アサシン「私はどう立ち回るか…」
魔女「主はもう決まっておろう…すでに王女の相談役になっておるでは無いか」
アサシン「私にフィン・イッシュは重い」
魔女「義を見てせざるは勇なきなりじゃ…王女と出会ったからには縁がある…主は義に背く気か?」
アサシン「魔女はフィン・イッシュ側に付く気なのだな?」
魔女「わらわは何も背負って居らぬ故自由じゃ…王女の境遇を見て捨て置く訳に逝かぬ」
アサシン「少し王女と話してみるか…」
魔女「行くのであればわらわも同行するぞよ?」
590 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:33:07.15 ID:6+J6cz5f0
『南西のオアシス』
アサシン「王女…謁見失礼する」
王女「どうぞ…今日は何用ですか?」
魔女「お疲れでは無いか?鋭気が見えぬが…」
王女「お気になさらず…」
アサシン「先日セントラルから派兵団が来たのだがこちらにも来ていないか聞きに来た」
王女「その件ですか…派兵団から領有の件を聞かされましたがどう答えて良いか分からず…」
アサシン「やはり来てるか…して何か要求して来たか?」
王女「いえ…派兵団の本隊が後日到着するそうです…対談はその時にという事になりました」
アサシン「恐らくセントラルは新しい領主を立ててシャ・バクダを自治領とするだろう」
王女「はい…」
アサシン「その場合王女が拘束される可能性が高い…つまりフィン・イッシュは属国扱いになる」
王女「…」
魔女「わらわ達はそうならぬ様に進言しに参ったのじゃ…」
王女「…と言いますと?」
アサシン「ドラゴンの義勇団と魔女の魔術団をフィン・イッシュ下に置く事を明言するのだ」
王女「それは大変ありがたいのですが労多くして益少なしと言う状況になってしまいますが…」
魔女「わらわは元より益なぞどうでも良い…主の境遇を捨て置けんだけじゃ」
アサシン「私は義勇団の資産を守るという意味もある…差し押さえはされたく無いのでな」
王女「ありがとうございます…王都に先遣隊を送って兵が乏しくなり心細かったのです」
魔女「その様じゃな?顔がやつれておる」
王女「私には側近が一人も居ない物ですから…どうすれば良いか分からないのです」
アサシン「まずオアシス周辺を実効治安している姿を見せる必要がある」
王女「それはやっていますがオアシス間の移動がままならないので物資不足が深刻です」
アサシン「ラクダと気球が不足しているのか…義勇団も同じ状況だ」
王女「砂漠では馬車が使えないのが物流の課題です」
魔女「オアシス間に道があれば良いのじゃな?」
アサシン「何か手があるのか?砂漠に道を作れる程石も無いぞ?」
魔女「魔法で砂を焼けば硬くなるのじゃ…割って使えば砂レンガになる」
王女「砂レンガで道を作るというのですね?人出はどのくらい必要でしょう?」
魔女「それほど難しくはないぞよ?ボルケーノを操るだけじゃ…硬くなった砂を道なりに慣らせば良い」
アサシン「もしオアシス間に流通出来る道が出来れば随分状況が変わる…良い案だ」
魔女「そうと決まれば早速行くとするかの?」
王女「はい…道慣らしの人員を呼んできます」
591 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:33:39.60 ID:6+J6cz5f0
『オアシスの道』
ゴゴゴゴゴ ボゥ
魔女「火炎地獄!」ゴゴゴゴゴ ボゥ
王女「あっという間に道が出来て行くのですね…」
アサシン「この調子だと数日で近隣のオアシスは道で繋がる…馬車が入用になるな」
王女「南西のオアシスには数台しかありません」
アサシン「道を作るのは魔女に任せて私は馬車の調達にシャ・バクダまで行って来る」
王女「そういう用件は私の兵にやらせても良いのですが…」
アサシン「いや…シャ・バクダの状況も見ておきたいのだ…私が行った方が良い」
王女「そうですか…なにか私に出来る事はありませんか?」
アサシン「物流の計画を立ててほしい…食料の配布が進めば治安も改善すると思われる」
王女「分かりました…各オアシスの物資状況を把握しておきます」
アサシン「木が生い茂っているオアシスもあるから木材の調達が出来るとやれる事が増える」
王女「そうですね…私も考えて見ます」
『数日後』
王女「道が出来るや否や早速人が往来する様になりましたね」
魔女「わらわも嬉しいのじゃ…見て見よ…道のわきにサボテンを植えて行く人も居る」
王女「復興の兆しが見えて私も元気が出てきました」
アサシン「この調子で実効治安していれば民はこちらの味方だ」
王女「各オアシスの調査をしていて分かったのですが緑化がかなりの速さで進んでいる様です」
アサシン「それは精霊樹の影響だな…どういう訳か遺跡に精霊樹が生えたのだ」
王女「遺跡はもう小さな森になってきていますね」
魔女「ここら一帯かつては広大な森じゃ…元に戻ろうとしておるんじゃな」
王女「おかげで羊が良く育っている様です」
アサシン「次は木材を使って羊を守る柵を作るのだな…ウルフが来てしまっては元も子もない」
王女「分かりました…手配させておきます」
アサシン「ねぎらい様の酒も用意した方が良い…この辺りはサボテン酒が名産だ」
魔女「さて…わらわはカタコンベの掃除に戻るとするかの…魔術師達に任せっきりじゃ悪いでのぅ」
王女「人出が欲しい場合は言ってください…少しは出せますから」
592 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:34:12.57 ID:6+J6cz5f0
『南西のオアシス』
ザワザワ ザワザワ
魔女「これは何の騒ぎじゃ?」
アサシン「シャ・バクダの新しい領主が挨拶に来ているのだ」
魔女「主は王女の元に居らんで良いのか?」
アサシン「1対1の対談らしい…国家機密だから席を外せとの事だ」
魔女「それでは王女が危ないでは無いか!暗殺される可能性を考えんのか!!」
アサシン「近衛が遠くから弓で狙っている…恐らく何も起きん」
魔女「国家機密とはまた何を話しておるのやら…」
アサシン「闇が晴れたその日…ドラゴンライダーも飛空艇も見られているのだ」
魔女「セントラルは関係なかったじゃろうに」
アサシン「この地での惨劇は人づてに伝わって居る…王女が証人尋問される立場になってしまうのは分からんでもない」
魔女「早い所フィン・イッシュに引き上げた方が良いかも知れんのぅ」
アサシン「まだ時期尚早…もう少し辛抱せねばなるまい」
ガチャリ
領主「…では…良い返事を待っている」
王女「ご足労頂きありがとうございます…」
領主「…」ジロリ
アサシン「…」
魔女「…」
領主「お前は義勇団の者か?」
アサシン「はい…」
領主「身分は?」
アサシン「…」
王女「私の従士になります」
領主「ほう…ドラゴンはどうしたのだ?」
王女「国へ還りました」
領主「エルフとも手を結んでいると聞くが…」
アサシン「第2皇子の事でしょうか?」
領主「フハハハハ話が早いな」
アサシン「皇子は戦死しました…骸は王都にあります」
領主「骸を引き渡すのも条件にするべきか…」
王女「…」
領主「第一皇子が王に即位した後ではどうでも良い話かフハハハ」
アサシン「…」
魔女「領主風情がえらく大きな口を叩くのじゃのぅ」
王女「魔女…良いのです」
領主「これは失敬…王女様でしたな?フハハハ」スタスタ
-----------------
593 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:34:46.59 ID:6+J6cz5f0
魔女「なんと無礼な奴か…あのような者を領主になぞセントラルは何を考えておるんじゃ」
王女「あの方は直系ではありませんが王族の一人の様です」
アサシン「どんな条件を言われたのだ?」
王女「遺跡調査の主導をセントラルに渡せと」
魔女「狙いはカタコンベかえ?」
アサシン「むぅ…セントラルのカタコンベと言い…なぜ拘る?」
王女「理由は明かしてもらえなかったのですが軍が遺跡調査にあたるという事だけ分かりました」
魔女「魔術師だけで除染は手詰まりじゃったから丁度良いのかもしれんのう」
アサシン「ふむ…調査をやらせて探るか」
魔女「他に何か言って居らぬか?」
王女「シャ・バクダに通行税が掛かるようになります…つまりオアシス圏と分断する形に…」
魔女「良いのか悪いのか…」
アサシン「商隊がシャ・バクダ中心に編成される想定で居るのだな…オアシス圏に税金をかけて居るのと同じだ」
王女「そうですね…」
アサシン「近隣の村との商隊をこちらも計画すれば良い…通行税が無い分利はこちらにある」
魔女「じゃが軍がシャ・バクダに駐留するのであれば直に乗っ取られそうじゃな?」
アサシン「民次第だな…もともと戦闘民族だ…民を味方につけた方が強い」
王女「エルフとドラゴンもこちら側に居ると思っていますので手は出しにくいかと思います」
魔女「そうか…エルフと交流しておく手もあるのぅ」
王女「兵が言って居りましたが度々エルフが来ている様なのです」
アサシン「精霊樹か…」
魔女「おぉ!!わらわに案がある」
王女「何でしょう?」
魔女「わらわは精霊の御所の場所を知っておる…エルフを案内するのじゃ」
アサシン「そんな場所があるのか…それはまさか私が探していた地下への入り口か?」
魔女「多分そうじゃ…入り口はトロールが守って居って人間では入れぬ」
アサシン「なるほど…エルフなら入れる訳だな?」
魔女「わらわが精霊樹でエルフを待つ…話しをしてみる故主らは待っておれ」
王女「朗報をお待ちしております」
594 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:35:17.09 ID:6+J6cz5f0
『砂漠』
ノッソ ノッソ
アサシン「ラクダに乗るのは慣れて来たか?」
王女「はい…でも楽では無いですね」
アサシン「徒歩よりも随分ラクダ」
王女「フフ…遺跡の方にテントが出来てますね」
アサシン「彼らがカタコンベをどうするのか見物だ…あのヘドロをどうするのかクックック」
王女「魔女はあれから帰って来ませんが大丈夫でしょうか?」
アサシン「並みの魔法使いでは無い…よほどの事が無い限り心配は無用だ」
王女「エルフが精霊樹を見に来る目的は何なんでしょう?」
アサシン「エルフの森にも精霊樹が生えているらしいが魂が無いらしい」
王女「こちらの精霊樹の魂を見に来ているという事ですね?」
アサシン「ハイエルフを生むのは精霊樹だ…彼らも存続が掛かっているからな」
王女「ではオアシス近郊が森になっていくとして又人間とエルフの摩擦が始まってしまいそうですね」
アサシン「そうならない様にうまく調和していくのが王女の役目でもある」
王女「私はいづれ王都に還らなければなりません…心配事が尽きませんね」
アサシン「私に一つ考えが思いついた」
王女「申して下さい」
アサシン「第2皇子はまだフィン・イッシュ地下墓地で椅子に繋がれているのだ」
王女「ゾンビになって死んだのでは無かったのですね?」
アサシン「奴をここまで連れて来れば森の一部に生まれ変わるかもしれない…」
王女「弔いの代わりですか…」
アサシン「フィン・イッシュへ向かった先遣隊へ保護する様伝える事はできるか?」
王女「分かりました…伝令を気球で向かわせる様手配します」
アサシン「済まんな…一応戦友なのだ」
王女「存じております」
595 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:35:49.91 ID:6+J6cz5f0
『星の観測所』
魔女「おぉ主らを探して居った所じゃ」
王女「帰って要らしたのですね…心配していました」
アサシン「エルフには無事に会う事が出来たのか?」
魔女「なかなか警戒しておって手こずったがな?無事にこちらの事情を説明出来た」
王女「精霊の御所へは案内出来たのですか?」
魔女「うむ…御所の中にて隠れて居る」
アサシン「やはり精霊樹を見に来ているのだな?」
魔女「それだけでは無いらしい…エルフもカタコンベを気にして居る様じゃ」
アサシン「何かあるのは確実という事か」
魔女「あそこに投棄されている骸にはエルフも多く含まれているそうじゃ…200年以上前の事じゃがな」
アサシン「ますます気になるな…」
魔女「師匠は何も語ろうとはせんかったが…一度リリスという名を口にしたことがある…それやもしれぬ」
アサシン「リリス…超古代の最初の女神の名…では無いか?」
魔女「主は物知りじゃのう?わらわは超古代の事には疎いのじゃ…知っている事を教えよ」
アサシン「これは情報屋の方が詳しい…悪魔の子を産んだという事くらいしか知らん」
魔女「悪魔の子のぅ…誰の事じゃろうか?」
アサシン「人間だよ…最初の人間を生んだのがそのリリスという女神だったとの事だ」
魔女「わらわはちと勉強不足じゃな…超古代の事をどうやって学べば良いのじゃ?」
王女「聖書に記されていると思います…私は持っていますがお読みになりますか?」
魔女「魔術書とは対になる書物であったか…道理で知らん訳じゃ」
王女「そうですね聖書では魔術を禁止していますものね…お読みにはなりませんか?」
魔女「ちと興味が出て来た…読んでみとうなった」
王女「後ほどお持ちします」
596 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:36:42.92 ID:6+J6cz5f0
『10日後』
アーデモナイ コーデモナイ
アサシン「魔女…少しは外に出たらどうだ?」
魔女「聖書はなかなかに難解でのぅ…」
アサシン「祈りの言葉が書いてあるだけでは無いのか?」
魔女「祈りの意味じゃよ…誰に向けた言葉なのかを読み解くのじゃ…さすれば歴史が紐解けて往くのじゃ」
王女「この黒板に記された図は?」
魔女「神々の系統図じゃ…サタンとリリス…そしてアダムとイブが残した子孫の系統図を記しておる」
アサシン「サタンとリリスの子が人間…アダムとイブの子は英雄か?神か?」
魔女「概ねそうじゃな…注目すべきはここじゃ」バシ
人間がサタンに導かれてアダムとイブの子孫を殺してしまうのじゃ
ゴルゴダの丘という場所で槍に刺されて死んだとなって居る
その槍は後に魔槍ロンギヌスと名付けられたそうな…つまりサタンは魔王じゃ
しかし死んだ筈のアダムとイブの子孫はその後生き返り神の一人となった
次にその神に導かれた人間は母なるリリスに魔槍ロンギヌスを打ち首をはねた
魔女「聖書から読み取れるのはここまでじゃ…神々の戦いの一部じゃな」
アサシン「それは超古代の伝説にあたるのか?」
魔女「年代が記されて居らんから分からぬ」
王女「約1万年前の出来事と聞いた事があります」
魔女「それでじゃ…気になるのが魔王に導かれた人間が何度もリリスを蘇らせようとしている事じゃ」
アサシン「何度もと言うと?」
魔女「蘇生される度にうち倒されておるのじゃ…そういう呪いが掛けられておるらしい」
アサシン「…まさか1万年経った現代でリリスを蘇らせるとでも?」
魔女「200年前に滅びたシャ・バクダがどのような国であったか…主は知らぬ訳ではあるまい?」
アサシン「錬金術…」
魔女「そうじゃな…新たな生命を作る事も可能じゃった筈じゃ」
アサシン「リリスが蘇るとどうなるのかが謎だな」
魔女「聖書では魔王と同様にリリスも恐れられておるのじゃ…冥界の女王と言われておる」
アサシン「クックック魔王の次は冥界の女王と来るか…この世はどうにかしている」
魔女「カタコンベの深層が気になるのぅ…」
597 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:37:16.62 ID:6+J6cz5f0
『南西のオアシス』
魔女「王女がわらわ達を呼びつけるなぞ何かあったのか?」
アサシン「さぁな?」
王女「お入りください…」
魔女「どうしたのじゃ?何かあったのか?」
王女「いえ…セントラルとの交わし毎が延期になりまして…その…何か知っている事は無いかと」
魔女「延期?領有の件かの?」
王女「はい…遺跡調査の件も宙に浮いたままになっているのです」
魔女「はて?何も知らぬが?」
アサシン「延期になったのはこちらとしては好条件では?」
王女「…そうなのですが…その理由がどうも不可解なのです」
魔女「策を練られておるのか?」
王女「領主が急に病死しました…セントラルの特使もカタコンベに足を滑らせて液体の中に落下したとか…」
アサシン「呪いか何かだろう」
王女「他にも怪死が続いているそうなのです」
魔女「むむ…アサシン…お主何かやっておるな?本職は暗殺者じゃろう」
アサシン「さぁ?何の事か?」シラジラ
魔女「あの領主は気に入らなかった故…わらわは何も言う気は無いが…他の者を巻き込むでない」
アサシン「王女…オアシスは落ち着いて来た…ここは一度王都に戻る機と見るがいかがか?」
王女「…そうですね」
アサシン「伝令はまだ戻って来ていないのか?」
王女「戻ってきています…海に逃れていた民が少しづつ帰ってきているとの事でした」
アサシン「女王として即位する事を宣言した方が良いと思うが」
魔女「そうじゃな…国の安定を促すにはそれが良いな」
アサシン「ここの遺跡調査も早くても半年は掛るだろう…」
王女「分かりました…ご一緒に来てくださいますよね?」
魔女「勿論じゃ」
アサシン「近衛を2人程連れて行って側近に置くと良い」
王女「アサシン様はどうされるのですか?」
アサシン「私も同行する…戦友を放ってはおけんしな」
王女「それを聞いて安心しました…ここに残る近衛に指示を伝えておきます」
魔女「出立はいつにするか?」
王女「早い方が良いかと…用事をすませて夕刻には出立できます」
アサシン「そうか…わたしもちと用を済ませて来る」
王女「はい…気球にてお待ちしております」
598 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:38:00.57 ID:6+J6cz5f0
『星の観測所』
魔女「この観測所に魔術師達を住まわせて良いか?」
アサシン「構わん…義勇団の連中と仲良くやる様言っておいてくれ」
魔女「望遠鏡があるで占星術の修行には丁度良かったのじゃ」
アサシン「さて…わたしも用を済ませて来る」
魔女「わらわが千里眼を使えるという事を忘れるな?もう安易に人を殺めるのはやめるのじゃ」
アサシン「クックック次は違う…義勇団の連中に噂を流す指示をしてくるのだ」
魔女「噂?また何か企んで居るんじゃな?」
アサシン「只の呪いの噂だ…カタコンベに関わると呪いに掛かるというなクックック」
魔女「どんな効果を期待して居るんじゃ?」
アサシン「軍の士気を落とすだけだ…後に私たちの有利に働く様にな」
魔女「くれぐれも関係の無い者を殺めるでは無いぞ?主の業が増えるだけじゃからの」
アサシン「私は元々業の深い家柄なものでな…気にはしていない」
魔女「シャ・バクダ王家の末裔か…その業を清算せねば復活する事は無さそうじゃのぅ」
アサシン「クックック汚れた血が不死者となって更に汚れ…勇者をも葬り…何処へ行くのだろうな?」
魔女「読めたぞ?主はフィン・イッシュからゾンビを操る技を持ち帰りここで第2皇子と共に不死者の国を作ろうとしておるな?」
アサシン「フィン・イッシュの汚れた部分を私が取り除く」
魔女「王女に対する救いの手か…」
アサシン「私に出来るのはそれくらいなのだよ」
魔女「死者に対し更に鞭を打って使うと言うのか…外道じゃ」
アサシン「それは違う…新たに精霊樹が生えたのだ…死者の魂を精霊樹に導いてもらいたい」
魔女「…」
アサシン「過去の清算のつもりなのだ」
魔女「なるほど…理解した…光あれば又闇もありか…闇を引き受けると言うか」
アサシン「誓って魔王の下僕にはならん…死者を天に還す」
魔女「死者のエデンの園という訳か…」
599 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:39:12.37 ID:6+J6cz5f0
『フィン・イッシュの気球』
フワフワ
近衛「ささっ…お乗りください」
魔女「待たせたのぅ」ノソリ
王女「お待ちしておりました」
魔女「同行するのは近衛2人と付き人2人か…定員じゃな」
王女「私が乗る気球が単独飛行するのは初めての事です…他の兵が心配しておりましたが…」
魔女「大丈夫じゃよ…わらわが居れば数百の兵と一緒だと思え」
王女「存じております…よろしくお願いします」
近衛「では出立致します…お気をつけ下さい」フワフワ
魔女「わらわも王女の身じゃが…お付きの近衛は差がある様じゃ…主の近衛は格が高いのぅ」
近衛「お褒めに預かり光栄です」
王女「フィン・イッシュでは有名なサムライなのです」
魔女「サムライとな?ではアサシンはニンジャという所かのぅ」
王女「この二人の近衛はシノビの訓練も受けていますので立ち振る舞いはアサシン様に似ています」
アサシン「クックック私はそれほど高尚な者では無いよ…買い被らないで欲しい」
近衛「フィン・イッシュ籠城の際は戦振りを拝見したしました…アサシン様は随一のシノビとお見受けします」
魔女「主も有名になっておる様じゃな?」
近衛「仕事がやり難くなる…口外するな」
王女「仕事?」
魔女「こ奴の仕事は暗殺じゃ…そうやって政治を動かしておるのじゃ」
アサシン「クックック…」
魔女「暴露されて顔色を変えぬか…」
アサシン「今更隠しておく間柄でも無いが…口外はしないでくれ」
王女「私は操られて居るのでしょうか?」
魔女「目的が同じ内は良いがな?違う志を持つ様になる時は注意しとった方が良い」
王女「私はアサシン様を信頼しています…私が寄り添う側になれば良いのです」
近衛「王女の命は我らが守ります」ビシ
アサシン「安心してくれ…私に王女は殺せん…亡き国王と誓いを立てたのだ」
王女「父上と…」
アサシン「人は最後の最後に誰かを守ろうとするのだ…亡き国王は身を呈して王女を逃した」
王女「父上の計らいで私は逃れて来られたのですね」
アサシン「私は助力しただけに過ぎん…父上に感謝するのだ」
王女「はい…」
------------------
600 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:39:57.21 ID:6+J6cz5f0
ビョーーーウ バサバサ
魔女「国を背負うのは重いか?」
王女「いえ…今は民を救いたいと願っております…重くなどありません」
魔女「それなら良い」
王女「国王の座は兄が継ぐのだと思って軽く考えていた私が恥ずかしいです」
魔女「質問を変える…少女を捨てるのは辛ろう無いか?」
王女「アサシン様がおっしゃっていました…私は私のまま王になれと」
魔女「ほぅ…あ奴にしては良い事を言うたのぅ」
王女「私は生かされました…付いて来る人が居る以上私は期待に応えるだけ」
魔女「それを重荷にしてはイカンぞ?」
王女「はい…私は近衛も信じていますし付き人も信じています」
魔女「王道じゃ仁徳によって国を治めよ…面倒毎はアサシンに押し付けて置けば良い」
王女「それも任せろと言われています」
魔女「あ奴も自身の働き方を心得ておるか…では心配なさそうじゃの」
王女「ご助言感謝いたします」
601 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:40:33.62 ID:6+J6cz5f0
『亡国フィン・イッシュ』
魔女「どうじゃ?久方ぶりに還ってみて…悲しいか?」
王女「建物は殆ど損壊していないのですね…人だけが居なくなった」
アサシン「ゾンビは略奪するでも無し…ただ生きている人を探し食らっていた」
王女「街があの時のままなのが余計に…心の中の穴に無常な風を吹かせます」
魔女「軍国を誇って居ったのは何だったのか…セントラルよりも兵は多かった筈なんじゃがな」
王女「身から出た錆びなのでしょう…不死者を道具にしようとした罰ですね」
アサシン「私は周囲を見回って来るが…」
王女「私は城へ戻り状況の確認をしてきます」
魔女「わらわも共するぞよ?」
王女「近衛!気球は何台使えますか?」
近衛「私達の物を含めて10台程かと」
王女「その10台でオアシスとの定期便を日に2台運用させないさい」
近衛「はい…物資の移送でしょうか?」
王女「この状況ではこちらに物資が多くありすぎます…穀物と塩を送り羊毛と絹を仕入れましょう」
近衛「かしこまりました…手配させます」
魔女「早速交易か…良い事じゃ」
王女「私はもうこの国を軍国にはしません…城のすべての財を必要な所へ届けます」
アサシン「気球を増産して民間に運用させても良さそうだな」
王女「はい…そのつもりです」
魔女「すべての財を使うと言うのはどういう事じゃ?」
王女「私は寝る場所さえあれば他に何も要りません…元は軍国なものですから食料の備蓄は多いのです」
魔女「なるほど食料を蓄えておったのか…この時世食料は何よりも財になるのぅ」
アサシン「確か3年分は在ったな…ほとんど使わずに壊滅した」
王女「私の財は民です」
602 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:41:10.59 ID:6+J6cz5f0
『数日後_城』
魔女「城も一般開放とな?」
王女「私の居室以外はすべて解放しました…入って来られないのは王の間だけですね」
魔女「衛兵も畑を耕しておるが主が指示しておるのか?」
王女「はい…私も畑を耕します…そして自由に街を歩き回ります」
魔女「それで近衛にもこのような格好をさせておるのか…町民と変わらぬ恰好を」
王女「私の顔を知らない方も居まして普通に接して下さるのです…それが私の楽しみになりました」
アサシン「頼まれていた物を持ってきたぞ」
王女「ありがとうございます」
アサシン「銀細工の仮面だ…目の部分だけだがな」
王女「どうですか?似合いますか?」
アサシン「フフ表情が読めなくなる点は合格だ」
王女「わたしはこれから女王としているときは仮面をつける事にしました」
魔女「なるほどのぅ…威厳は仮面に被せるか」
王女「わたしも町民として民の役に立ちたいのです…それには女王の肩書が邪魔でした」
アサシン「女王としての即位は公にしないのか?」
王女「即位式は1年ほど待っても良いと思っています…王の間で統制している姿を見せるだけで今は十分かと」
アサシン「セントラルがこちらに来ていないのが気に掛かるが…」
魔女「シャ・バクダ優先なんじゃろうな…立地的に対立して良い事は何も無いじゃろうて」
アサシン「建物の損壊が何も無いから攻めにくいと言うのもあるか…」
近衛「王女…準備出来ましたが街へは出かけられますか?」
王女「行きます…魔女とアサシン様もご一緒にどうですか?」
アサシン「構わんが…この恰好でも良いのか?」
王女「平服で結構…魔女はあやしい恰好なので着替えて行きましょう」
魔女「なんと!この恰好はあやしいと申すか…」
王女「…そのとんがり帽子だけでも脱いで頂けませんとあやしくて人目に付いてしまいます」
魔女「わらわのお気に入りなんじゃがのぅ…」ブツブツ
603 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:41:58.53 ID:6+J6cz5f0
『街道』
ワーイ ワーイ
魔女「人はまばらじゃが子供が走って居るのは良いのぅ」
王女「女性と子供達は軍船で海に逃れていたそうです」
魔女「学び舎を用意してやってはどうか?」
王女「そうですね…城の教会を学校にしましょうか」
アサシン「空き家はどうしているのだ?」
王女「兵に片づけさせて一時的に国が預かる形にしています」
アサシン「持ち主が何処に行ったか分からん様では仕方が無いか」
王女「近隣からの移民に与えようと思っています」
アサシン「ここに来れば住む場所も食料も困らん訳か…」
王女「それだけでは備蓄の3年しか持ちませんので皆で畑を耕しているのです」
アサシン「この国は海も山も川もあり豊かな国だ…シャ・バクダとは違うな」
王女「国を流れる川の源流…見えますでしょうか?」
アサシン「山づてに流れて来ている川だな?」
王女「あの川に龍神が住まうと言われこの国を守って居るのだそうです」
魔女「ほぅ…山から海へ流る川に龍神とな?それは竜宮に繋がっておるのじゃな?」
王女「ご存じでしたか…竜宮は海の中にあると言われております」
アサシン「海の竜といえばリヴァイアサン…伝説に過ぎんか」
王女「その名は他国の方がそう呼んだ名です」
魔女「この国では別の呼び名があるのじゃな?」
王女「九頭龍大神…善女龍王…俱利伽羅竜王…沢山居ますが総じて竜王と称されています」
魔女「まてよ…聖書にはリリスの下半身は竜であったと書いておったが関係は無いか?」
王女「ラミアの事でしょうか?善女龍王伝説がそれにあたります」
魔女「気になるのぅ…」
王女「善女龍王伝説でしたら城の書庫に資料があります…後ほどご覧になって下さい」
604 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:42:29.62 ID:6+J6cz5f0
『広場』
ジュージュー ワイガヤ
ごろつき「よぉネーちゃん又来たか!食ってけ」
王女「はい…賑わっていますね?」
ごろつき「そらそうよ!国から干物の配給がたっぷり合ってよ…焼き魚パーティーだ!ほれ食え」
王女「頂きます」モグ
ごろつき「あんさん達も避難民か?どっから来たんだ?」
アサシン「砂漠からだな」
ごろつき「そら遠くから大変だったろ!家貰えたか?」
アサシン「畑付きの家をな…」
ごろつき「俺もだガハハしかも種撒き終わった畑付きよ…収穫時期が来るのが怖えぇよ」
街の女「あっちで酒の配給あるみたいよ?ほら?」グビ
ごろつき「おぉぉ魚ばっかりで何か飲みたかった所だ!ちょいと行って来る」ダダ
街の女「あなた達は城の人?身なりが良さそうな格好してるけど」
魔女「わらわの事かえ?高貴な身分が染み出てしまうのかのぅ…」
街の女「あら?赤い目…あんた娼婦なんだ…仲間じゃん」
魔女「なぬ!!娼婦じゃと!?」
街の女「この辺は儲からないからさ…宿屋の通りの裏行くと良いよ」
魔女「余計なお世話じゃ…ふん」
ごろつき「おーい!あんさん達の分も持ってきたぞ!!」ガチャガチャ
605 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:43:03.74 ID:6+J6cz5f0
『宿屋の裏』
おい…良いだろ?この間は金で良かったじゃないか
ダメダメもうお金要らないのよ
ちぇ物々交換なんて聞いた事無いぞ…何があれば良いんだよ
香料に香辛料…薬草ポーション…バターも良いかな
近衛「王女…この辺りは王女は来ない方が良いかと」
王女「良いのです」
近衛「まさかお売りになる訳ではありませんよね?」
王女「場合によっては…」
近衛「やはりこの道は行かせられません」
王女「冗談ですよ…民に何が必要なのか見て居るのです」
近衛「はぁ…」
アサシン「魔女は顔を隠しておいた方が良いな」
魔女「わらわの目かえ?」
アサシン「この業界では赤い目は合図として使われるのだ…面倒にはなりたくあるまい」
魔女「通りゆく男がわらわを見て行くのは品定めしておるという事か?」
アサシン「まぁそういう事だ」
魔女「ではなぜ声を掛けて来んのじゃ?魅力が足りぬと言うのか?」
アサシン「私や近衛を先客だと思っているんだろう」
魔女「なるほど…それならば仕方ないのぅ」ファサ
王女「女性の働き口が少ないのが背景にあるようですが…これはこれで良い文化なのかもしれませんね」
魔女「このように育む愛もある様じゃな」
王女「この一帯は歓楽街にして行きましょう…カジノを設置して女性の働き口を増やします」
アサシン「軍国から一転して歓楽の国か…王女の采配とは思えんなクックック」
王女「民が求める物を勘案した結果です…商業の国に転身します」
アサシン「商業?セントラルと張り合うと言うのか?」
王女「農産物を輸出して趣向品をキ・カイから買い入れて民の笑顔が見たい」
魔女「主は他の国と違った方向を向いておるのじゃな…ある意味良き王になるやもしれぬ」
王女「私も楽しみたいのですよ…顔料に香料…おしゃれも」
アサシン「ハハ王女は王女のままで良いと言ったが…そっちの方向か」
魔女「少女のままの王か…わらわはもうしばらく背後に座っておるかの」
606 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:43:45.66 ID:6+J6cz5f0
『城の教会前』
ワイワイ ワイワイ
皆さんこんにちは
今日からみなさんの先生になりました
よろしくおねがいします
今日は始めに皆さんに自己紹介をして貰おうと思います
始めに先生から自己紹介をしますね…わたしは…
ワイワイ ワイワイ
アサシン「魔女は何か指導を担当するのか?」
魔女「少しだけじゃな…魔術は適性があるで全員には教えられぬ」
アサシン「私はやる事が無いから地下墓地にでも行って来る」
魔女「第2皇子か…エルフがゾンビになってしまうなぞ不幸じゃったのぅ」
アサシン「この国も少しは落ち着いた…精霊樹の元へ連れ帰りたいのだ」
魔女「そうじゃな…救われると良いがな」
アサシン「実は少し期待しているのだ…私はドラゴンの心臓を得て正気を保っているがドラゴンの心臓は寿命が長いだけだ」
魔女「エルフの心臓も寿命が長いが…同じ事を期待しておるのか?」
アサシン「そうだ…精霊樹の声を聞き目覚めないか…とな」
魔女「試してみる価値はありそうじゃな」
アサシン「魔女はどうする?しばらくフィン・イッシュに残るか?」
魔女「そうじゃなぁ…書庫の資料を一通り読んでから考えるかのぅ」
子供達「あ!!城のテラスから女王様が手を振ってる!!」ノシノシ
女王様見た事ある〜?
あるよ!!銀色の仮面被ってるんだよ
仮面の女王様?
魔女「仮面の女王か…少しづつ認知されて来とるのぅ」
アサシン「インパクトは十分だな」
魔女「内政が良いお陰で不穏な噂は聞かぬが…仮面ではやはり不気味じゃのぅ」
アサシン「良い面もあるでは無いか…内政が良いのも仮面で顔を伏せているお陰でもある」
魔女「銀の仮面…魔除けには良い…ん?何故銀を選んだのじゃ?」
アサシン「フフ気付いたか…魔王除けだよ」
魔女「主が誘導しておるのか?」
アサシン「銀の仮面をつけてからの王女の行動は明らかに違うだろう?心を闇に染めない」
魔女「そういえば悲しい顔を見せなくなったのぅ」
アサシン「そういう事だ」
607 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:44:29.01 ID:6+J6cz5f0
『書庫』
ブツブツ ブツブツ
王女「魔女…こちらに居ましたか…アサシン様はどちらへ?」
魔女「あ奴は地下墓地に行って居る…第2皇子に会いに行って居るのでおろう」
王女「そうですか…精霊樹に連れ帰る準備をされて居るのですね?」
魔女「行かせたくないのかえ?」
王女「いえ…そうではありません…姿が見えないと心配になったのです」
魔女「あ奴は主を裏切ったりはせぬ…故に心配は無用じゃ」
王女「アサシン様に宝具のドクロの杖をお渡ししようと思っていたのですが…」
魔女「ゾンビを操る杖じゃな?ネクロマンサーが用いる物じゃが何故そのような物がこの国の宝具になっておる?」
王女「父が生前にシャ・バクダで発掘されたものを買い入れたのです」
魔女「出所はシャ・バクダか…元の持ち主に戻る訳か」
王女「アサシン様にはこの杖が必要なのだと思っています」
魔女「そうじゃな…あ奴は200年前の清算をしようとしておるのじゃ…主も気付いて居ったか」
王女「魔女は書庫に籠っている様ですが何か分かった事は在るのでしょうか?」
魔女「善女龍王伝説…ラミアはやはり蘇生されたリリスの様じゃ…伝説の類似点が多すぎる」
王女「雨乞いの竜王というのがこの辺での定説です」
魔女「生贄に何を捧げたのかは知らぬが血を好むらしいのぅ」
王女「はい…男性の血を贄として雨乞いをする習わしです」
魔女「リリスはのぅ赤子を好むのじゃ特に生後8日までの男子を食らう…似て居ろう?」
王女「そうですね…」
魔女「実はな…シン・リーンの古代遺跡にもラミアおぼしき画が在っての…聖剣にて首を獲られておるのじゃ」
王女「それもリリスだとお考えですか?」
そうじゃ…光の国シン・リーンではな古来より女系が王座に座るのじゃ
何故かというと男系は神に贄として捧げる故に血が途絶えるのじゃ
そういう習わしが現代まで引き継がれてきたのじゃよ
1700年前の古代文明の伝承でも同じじゃ…それを今の今まで引き継いでおる
608 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:45:09.74 ID:6+J6cz5f0
魔女「類似点は男を好んで食らうという点じゃな…それと下半身が竜じゃ」
王女「首を獲られたと言うのは?」
魔女「メデューサの首を聞いた事があるかの?」
王女「見ると石化するという伝説の…」
魔女「そうじゃ…この国ではラミアという名じゃがわらわの国ではメデューサじゃ…どちらも蘇生されたリリスじゃと思うておる」
魔女「そしてわらわの血筋はメデューサに由縁がある…この目じゃ…メデューサの目も赤いのじゃ」
王女「え!?魔女は…リリスの血を引いて居る?」
メデューサが首を獲られた時にな…滴り落ちる血は不老不死の力を持つと言われておったのじゃ
時の支配者はその血を飲み力を得たのじゃが…同時に目を赤く染めた
強力な魔翌力を得た代わりに国は滅びの道を進みやがて時の王は国を屠った
魔女「魔道書に記された契約の言葉とメデューサの…いやリリスの生業が見事に一致するのじゃ」
王女「シャ・バクダ大破壊の本当の原因はリリスの封印なのですね?」
魔女「おそらくそうじゃと思う」
王女「魔王は人を操りリリスの復活をさせようとしている…」
魔女「実体を持たぬ魔王はこの世に何も出来ぬ…たとえ勇者を器にして蘇ったとしても只の人じゃ」
王女「でもあれほどの数のゾンビを操るほどの力を…」
魔女「まやかしで付き従いさせるだけじゃな…本当に力を持つのはリリスの方ではないかのぅ」
王女「カタコンベを何とかしないといけませんね」
魔女「うむ…封印されているとはいえ…心配じゃのう」
609 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:45:49.01 ID:6+J6cz5f0
『気球』
アサシン「見送りに来たのか…」
王女「アサシン様…これを」
アサシン「ドクロの杖か…今必要だとは思って居なかったが借りて置く」
王女「私には必要ありませんのでお持ちください」
アサシン「クックックこの国には無い方が良いな…頂く」
王女「すぐお戻りになられますか?」
アサシン「そのつもりだ…第2皇子を精霊樹まで運んで帰って来る…心配するな」
魔女「わらわは残るぞよ?」
アサシン「私一人で良い…すぐに済むから魔女は書庫でも漁っていろ」
魔女「カタコンベの状況も見て来るのじゃぞ?」
アサシン「言われるまでも無い…呪いの噂がどうなって居るのかも楽しみなのだ」
エルフゾンビ「ヴヴヴヴヴヴヴヴ…ガァァァ」ガチャンガチャン
アサシン「早く行けと騒いでいるな」
王女「本当に一人で大丈夫なのでしょうか?」
アサシン「大丈夫だ…ワインを血だと思って好んで飲む」
魔女「精霊の御所でエルフに会ったなら争うでないぞ?」
アサシン「相手次第だな…攻撃される様なら私も身を守る」
魔女「この貝殻を持て…何かあればこれでわらわが話しかける」
アサシン「千里眼か…常に見張られて居るのは気分がよい物では無いな…では行って来る」
王女「お気をつけて…」
フワフワ
------------------
610 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:46:27.00 ID:6+J6cz5f0
ビョーーーーウ バサバサ
アサシン「さて…ワインでも飲むか?相棒」
エルフゾンビ「ガァァァァ…」ガチャンガチャン
アサシン「ふむ…鎖に繋がれていては不自由だな…ドクロの杖を試すか」
エルフゾンビ「ヴヴヴヴヴヴヴヴ…」
アサシン「私を襲うな…大人しくワインを飲め」
エルフゾンビ「…」
アサシン「よし…鎖を外してやる」ガチャガチャ ガチン
エルフゾンビ「ヴヴヴ…」
アサシン「クックック大人しくなったな?ワインは瓶のままで良いか?」シュポン
エルフゾンビ「ゴクッ」ゴクゴク
アサシン「ほぉぉ飲みっぷりが良いな…乾いて居たか」
エルフゾンビ「ガァァァ…」
アサシン「こんな風にワインを飲める日が来るとは思わなかったな…相棒」
不死者になっても酒の味は変わらんな
お前はどんな未来を望む?
森になりたいか?
私はな…勇者を屠って考えが変わったのだ
魔王を深淵に落としても意味が無いとな
もっと根底から変える必要がある様だ
何かはまだ分からんが
付き合ってみる気は無いか?
エルフゾンビ「ヴヴヴヴヴヴヴ…ガァァ」
アサシン「そう入きるな…まだ始まったばかりだ…ゆっくり考えてくれ」ゴク
611 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:47:09.86 ID:6+J6cz5f0
『シャ・バクダ遺跡上空』
ビョーーーーウ バサバサ
アサシン「クックック…やはりカタコンベの掃除は手こずって居る様だな」
アサシン「少し驚かせてみるか…ゾンビ共!我に付き従え」
アサシン「さぁどうなる?見て見ろ相棒!今からショータイムだ」
エルフゾンビ「ヴヴヴヴヴヴ…」
--------------------
衛兵1「ひぃひぃ…この液体はどんだけ溜まってるんだ」ザバー
衛兵2「バケツリレーじゃ効率が悪すぎる」ザバー
衛兵3「ゾンビ運びよりはマシだぞ…あっちは汚れて酷い事になってる」ザバー
うぉぉぉ!!なな…なんだぁ!!
ゾンビが動いてる…
おーい!!誰か武器持ってないのかぁ!!
ぎゃぁぁぁぁののの…のろいだぁぁ
衛兵1「なんか向こうの方が騒がしいな…」
衛兵2「ちょ…ちょちょちょ…足元!!」
衛兵3「手が…歩いてる」
衛兵1「うぉ!!あっちにも!!ちょいこれヤバく無いか?」
衛兵2「逃げろ!!」ダダッ
衛兵3「うわぁぁぁぁぁぁ」ダダッ
---------------------
アサシン「クックック蟻の子を散らすとはこの事を言うアッハッハ」
エルフゾンビ「ガァァァ」
アサシン「さて…精霊の御所は南西の方角か…あの木だな?」グイ
アサシン「さぁ相棒…精霊樹とご対面だ…自分の道は自分で選べ」
フワフワ ドッスン
612 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:47:44.25 ID:6+J6cz5f0
『精霊樹』
ソヨソヨ ソヨソヨ
アサシン「たった数ヶ月でこれほど成長するか…相棒!精霊樹に寄り添え」
エルフゾンビ「ヴヴヴヴヴヴ…」ズリズリ
アサシン「精霊樹…ゾンビになったエルフを連れて来た…導いてやってくれ」
精霊樹「…」サラサラ
アサシン「元はエルフだ…森の一部になれるかと思って連れて来た」
エルフゾンビ「ヴヴヴ…」ドタリ
アサシン「精霊樹に抱かれて逝ったか?」
エルフゾンビ「…」シーン
アサシン「後から他のゾンビがこの辺にやって来る…ついでに木にしてやって欲しい」
精霊樹「…」サラサラ
アサシン「…」
アサシン「まぁ…私には精霊樹の声など聞こえんな」
ズズズズ ズーン
アサシン「ん?何だ今の音は…」スチャ
??「武器を収めなさい」
アサシン「精霊樹の声か?」
??「そのエルフゾンビをこちらに連れて来なさい」
アサシン「エルフか?姿を見せろ…」
ハイエルフ「…」ノソー
アサシン「ハイエルフか…」---でかい---
ハイエルフ「他の人間に見られるといけません…早くそのエルフゾンビをこちらへ」
アサシン「あ…あぁ…相棒!あのハイエルフに付き従え」
エルフゾンビ「ヴヴヴヴヴヴ…」ズリズリ
ハイエルフ「あなたもこちらに来なさい…精霊樹の導きです」
アサシン「私も行って良いのか?」---この階段は…私が探していた深層への入り口---
ハイエルフ「早く…」
アサシン「あぁ…」タッタッタ
ズズズズ ズーン
613 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:48:33.44 ID:6+J6cz5f0
『精霊の御所』
アサシン「守って居るのはトロールか…この中が精霊の御所なのだな?」
ハイエルフ「精霊樹からいきさつは聞いて居ます…奥へ」ノソノソ
アサシン「いきさつ?」
ハイエルフ「…」ノソノソ
アサシン「ハイエルフが人間と会話するのは野暮という事か」
---かつてのシャ・バクダの森は生きていると聞いて居たが---
---深層部が根の森だったとは---
---魔女が千里眼で覗いた根の森がこれか---
---ここにオーブが眠って居るのだな---
エルフゾンビ「ヴヴヴヴヴヴ…」ズリズリ
アサシン「相棒…森にはならなかったのだな?それともなれなかったのか?」
---間近にハイエルフを見るのは初めてだが---
---巨人だな2メートル20という所か---
---こいつは女の様に見えるが男なのか?---
---ドラゴンライダーに乗って居たのは---
---こんな巨人だったか…勝てる相手では無いな---
614 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:49:04.77 ID:6+J6cz5f0
ハイエルフ「エルフゾンビを中央の器に…」
アサシン「器?この液体の中に漬ければ良いのか?」
ハイエルフ「…」
アサシン「余分な事は話さんか…相棒!器の中で横になれ」
エルフゾンビ「ヴヴヴ…」ズリズリ チャポン
ハイエルフ「人間よそこに掛けなさい」
アサシン「掛ける?この石か?」スッ
ハイエルフ「エルフゾンビは精霊樹の樹液…エリクサーに浸かっています…直に意識を取り戻すでしょう」
アサシン「おぉ…心は生きて居たか…ハイエルフでもゾンビになったハーフエルフを助ける事はあるのだな」
ハイエルフ「ここはエルフの森の外…精霊樹の導きに従ったまで」
アサシン「導きか…そうだなハイエルフが人間に関わるなど過去に例が無いな」
ハイエルフ「精霊樹があなたに質問をしています…勇者の行方を話しなさい」
アサシン「勇者…剣士の事か…まだ生きている筈だ…行方は分からない」
ハイエルフ「勇者の魂の一部を精霊樹が預かっている」
アサシン「魂の一部?話が読み込めんな」
ハイエルフ「勇者から零れ落ちた魂を掴まえたと言って居ます」
アサシン「剣士を連れて来れば良いのか?分かった…見つけたら連れて来る」
エルフゾンビ「ぐふっ…」
アサシン「おぉ!!気が付いたな?」
エルフゾンビ「私は…どうな…っている…ヴヴヴヴ」
ハイエルフ「瞑想で休みなさい」
エルフゾンビ「瞑…想?」
アサシン「人間の住まう環境で育ったハーフエルフだ…瞑想の仕方なぞ知らんと思う」
ハイエルフ「精霊樹が導くと言って居ます…目を閉じなさい」
エルフゾンビ「目…を…」
ハイエルフ「瞑想は半日ほど時間を要します…人間よ…あなたはどうする?」
アサシン「半日か…私もずっと寝て居ないのだ…少し横になる」
ハイエルフ「…」ノソリ ノソ ノソ
------------------
615 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:49:48.44 ID:6+J6cz5f0
アサシン「…」パチ
エルフゾンビ「…」
アサシン「…」---久々に十分睡眠を得た---
---体が軽い---
---ハイエルフは何処へ行ったか---
---エルフゾンビは瞑想中か---
---よく見ると私が横になっていた石---
---これはトロールの一部だな---
---トロールに抱かれて寝てたのか---
---しかし…何と神聖な場所か---
アサシン「…」スック
エルフゾンビ「ぅぅぅ」
アサシン「相棒…目を覚ましたか?」
エルフゾンビ「アサシンか…」
アサシン「気分はどうだ?」
エルフゾンビ「悪くない」
アサシン「クックックお前も私と同じ体になったか」
エルフゾンビ「血に乾いた感覚は残って居る…アサシン…お前もか?」
アサシン「私は少量の血があれば事足りる様だ」
エルフゾンビ「私は生き血をすする真似はしたくない」
アサシン「クックックまだそれを言うか」
エルフゾンビ「どうやら私は精霊樹と共に生きて行かねばならん様だな」
アサシン「そのエリクサーが血の代わりか?それも良い」
エルフゾンビ「初めて瞑想という物を体験した…精霊樹の魂に触れたのだ」
アサシン「ほぅ…ゾンビになっても通じるのか」
エルフゾンビ「精霊樹の声が聞こえる…聞いたぞ?勇者と魔王の関わりを」
アサシン「そうか…わたしが屠った」
616 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:50:19.11 ID:6+J6cz5f0
エルフゾンビ「知らずとは言え…わたしが指輪を奪った事が惨事の発端という事もな」
アサシン「クックック悔やむな…済んだことだ」
エルフゾンビ「フィン・イッシュはどうなった?王女は無事なのか?」
アサシン「王女が王となり復興しようとしている…もう手助けはいらぬ」
エルフゾンビ「それを聞いて安心した…セントラルは兄が治めているのか?」
アサシン「そうだな…前王よりも強行なスタンスだ」
エルフゾンビ「兄には兄の正義がある…貫こうとしているだけで悪い人ではない…問題はその側近だ」
アサシン「クックックお前も言えた義理ではない…法王の使いに見事にやられたではないか」
エルフゾンビ「言うな…反吐が出る」
アサシン「さて…これからどうしたい?」
エルフゾンビ「私は精霊樹を守る宿命な様だ…もうこの根の森から離れる事は出来ない」
アサシン「そうか…このドクロの杖をお前に授ける…ゾンビを導いてくれ」
エルフゾンビ「私に不死者の王になれと言うか?」
アサシン「違う…彷徨うゾンビの魂を救って欲しいのだ…彼らを森の一部にな」
エルフゾンビ「森を作るのか…腐っても私はエルフか…」
アサシン「森を育てるのは精霊樹を守るのに等しいと思うが?」
エルフゾンビ「精霊樹がやりなさいと言っている…フフこんな私でも役に立てる事があるか」
アサシン「実はな…シャ・バクダ遺跡の地下に巨大なカタコンベがあるのだ」
そこには無数のゾンビが未だに彷徨っている…200年前の遺物だ
そしておそらく魔王の片輪も眠っていると思われる
名はリリスというそうだ
人間達はそれを知ってか知らずか掘り起こそうとしているのだ
アサシン「私はな…そのリリスという存在も屠る必要があると思っているのだ」
エルフゾンビ「フフ目覚めたばかりで重い話だな」
アサシン「これから育って行く森に爆弾を抱えたままでは落ち着けまい?」
エルフゾンビ「また精霊樹の声がやりなさいと言う…心の中で聞こえるのは勇者にでもなった気分だ」
アサシン「そうだ…私たちは導きを受けた勇者の一人なのだ…お前が言って居た言葉だ」
エルフゾンビ「フフそうだったな…」
617 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:50:54.39 ID:6+J6cz5f0
『気球』
フワフワ
エルフゾンビ「ハイエルフは何も言わないが…放って置いて良いのか?」
アサシン「恐らく事情を知っているのだろう」
エルフゾンビ「同族ではあるが気味が悪い」
アサシン「森の守護者だトロールだって何も言わん…そういうものだ」
エルフゾンビ「カタコンベに行くのか?」
アサシン「お前に状況を見せておきたくてな…気球では目立つから私のアジトに置いて行く」
エルフゾンビ「砂漠に所々生えている木は?んん?倒れたゾンビから生えて居るのか?」
アサシン「どうやらその様だ…精霊樹の影響だな」
エルフゾンビ「なるほど…あの様に森にして行けば良いのか」
アサシン「もうすぐ私のアジト…星の観測所に着く…フードを深く被って顔を隠せ」
エルフゾンビ「もはや私の顔を覚えている者など居るまい?私は常に顔を隠してきた」
アサシン「そうでもない…お前の兄の側近が領主に選出されて来ている…私が屠ってやったが」
エルフゾンビ「不死者になっても関りは途切れんか…」
アサシン「お前がシャ・バクダに居る事が知れれば又戦争が起きる…今は拗らせたくない」
エルフゾンビ「フィン・イッシュの事か?」
アサシン「再生の最中だ…王女を思ってやって欲しい」
エルフゾンビ「ふむ…読めて来たぞ…ここ遠隔の地にてセントラルとフィン・イッシュが対立関係になっているのだな?」
アサシン「まぁそんな所だシャ・バクダ街がセントラル…オアシス界隈がフィン・イッシュ」
エルフゾンビ「そして遺跡を巡って対立か…奪いたいセントラルと屠りたいフィン・イッシュ」
アサシン「…ここから見てセントラルのどの軍が来ているか分かるか?」
エルフゾンビ「特殊生物兵器部隊…父直下の部隊だった」
アサシン「私は見ていないな」
エルフゾンビ「見ている筈だ…下水でな」
アサシン「下水…ラットマンか?」
エルフゾンビ「ラットマンは成長すると人間を遥かに超える戦闘力を持つ…そして補給が不要」
アサシン「そうか…下水でラットマンを育成していたのか」
エルフゾンビ「さすがにラットマンを連れ歩いては居ないが…間違いなく特殊生物兵器部隊の一員だ」
アサシン「只事では無いのが理解できたか?」
エルフゾンビ「その様だ…」
フワフワ ドッスン
618 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:51:30.78 ID:6+J6cz5f0
『星の観測所』
ノソリ ノソリ
アサシン「ここからはラクダで移動だ…乗れるか?」
エルフゾンビ「これでも王族の一人だ…乗馬は一通り経験している」
アサシン「馬とは足の運び方が違う…揺れるから重心に気を付けろ」
エルフゾンビ「このアジトは私が勝手に使っても良いのか?隠れるのには丁度良い」
アサシン「構わんが顔をさらすなよ?ドラゴンの義勇団の者だと言えば通る…後で義勇団の連中に言っておく」
エルフゾンビ「げふっ…げふっ…やはり喉が渇くな」
アサシン「血が欲しいか?ワインならあるが…どうする」
エルフゾンビ「すまん…」
アサシン「気球に積んである…もって来るから待っていろ」タッタッタ
エルフゾンビ「砂漠はゾンビの体にはキツイか…」
アサシン「一瓶持って行け」ポイ
エルフゾンビ「不死者がワイン片手にラクダで砂漠を周遊か…贅沢な遊びだな」ゴキュ ゴキュ
アサシン「丁度私も喉が渇いていた所だった…お前とは気が合うな」ゴクゴク
エルフゾンビ「アルコールで酔えない…のか?この体は」
アサシン「そうだ…人生の半分を失った気分だ…だがな?私は見つけた…酔いを楽しみたいなら聖水だ」
エルフゾンビ「聖水か…フフ聖水で目を回すか…」
アサシン「不死者も捨てたもんじゃないという事だ」
エルフゾンビ「フフフハハハ…」
619 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:52:00.68 ID:6+J6cz5f0
『シャ・バクダ遺跡』
ガヤガヤ ガヤガヤ
アサシン「軍が居座っているな…100人程か」
エルフゾンビ「ここの下にカタコンベが在るのだな?」
アサシン「そうだが…この状況では近づけまい」
エルフゾンビ「もうじき日が落ちる…私がゾンビを操り騒ぎを起こしている間に中へ入る」
アサシン「同意…」
エルフゾンビ「リリスとやらを見つけたとして葬る手は持って居るのか?」
アサシン「このミスリスダガー2本しか無い…だが魔王を屠った武器だ」
エルフゾンビ「やってみるか」
---日暮れ---
アサシン「クックック…夜通しカタコンベの掃除をやっているのか」
エルフゾンビ「松明がある分夜目の利かないお前には良かったでは無いか」
アサシン「そろそろ行くか?」
エルフゾンビ「近くのゾンビ共…少し暴れまわれ」スチャ
アサシン「さてさて…どれくらい出て来るか」
エルフゾンビ「私の行いはネクロマンサーそのものだな」
アサシン「森を作っていると思え…死者の魂も救っているのだ…お前は悪いエルフでは無い」
エルフゾンビ「そう言ってもらえると少しは気が落ち着く」
アサシン「出て来たぞ…ゾンビは砂に埋もれていた様だな」
また出たぁぁぁ!!
ゾンビだ…
戦える奴居ないのかぁぁ!!
ゾンビ「ヴヴヴヴヴヴ…」ズリズリ
衛兵「砂の中から出て来る!!誰か武器もってこーーい!!」
アサシン「混乱し始めた…行くぞ」タッタッタ
620 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:52:36.75 ID:6+J6cz5f0
『カタコンベ』
衛兵「お前は誰だ!?」
アサシン「又ゾンビが出ている!!こっちも危ない…」
衛兵「何だってぇぇ!!」
アサシン「一旦作業止めてゾンビ退治だ…武器は外のテントで配っている」
衛兵「分かった…お前はどうするんだ?」
アサシン「奥で作業している奴にも伝えに行く…早く行ってくれ」
衛兵「おい皆!!作業中止だ…外のゾンビ退治だ」ダダッ
アサシン「こっちだ…ここの下が巨大なカタコンベだ…おい!?」
エルフゾンビ「…この石造は」
アサシン「200年前の勇者の像だ…見覚えあるのか?」
エルフゾンビ「大剣…」
アサシン「夢幻の記憶か?」
エルフゾンビ「よく思い出せなくなったが…見覚えがある」
アサシン「今は良い…早く下に行くぞ」グイ
エルフゾンビ「済まない…」タッタッタ
外でゾンビが出てるらしい
どうする?俺らバケツしか持ってないぞ?
こっちでもいつ湧いて来るか分かんねぇ
ひとまず武器取りにいくぞ
衛兵「おい!お前!!武器を持っているな?何処に行く」
アサシン「カタコンベの安全確保だ…指示されて此処に来た」
衛兵「そうか…外はどうなって居る?」
アサシン「砂の中からゾンビが複数湧いてきて混乱している」
衛兵「複数…数は?」
アサシン「20体程だ」
衛兵「そんなに居るのか…やばいな武器が足りんかもしれん」
アサシン「早く行った方が良い」
衛兵「分かった…お前も気を付けろ…謎の物体が動いているからな」
アサシン「分かった…」---謎の物体?---
621 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/10/15(木) 18:53:30.71 ID:6+J6cz5f0
『深層』
エルフゾンビ「見つけたな…これがリリスか?」
アサシン「でかい心臓…なのか?悪魔の卵…か?」
エルフゾンビ「カタコンベの壁面に癒着しているな…これでは取り出せん」
アサシン「下半分はまだ液体の中か…」スチャ
エルフゾンビ「そのダガーでこの肉壁を貫けると思うか?」
アサシン「奥義!!デュアルストライク!!」ザクン ザクン
エルフゾンビ「無理だな…葬る方法を考え直した方が良い」
アサシン「バックスタブ!!」ザクリ グサァ
エルフゾンビ「中で何か動いている…蛇の様な物だ」
アサシン「リリスに間違いなさそうだ…見えるか?」
エルフゾンビ「何処が頭部なのか分からない…だが魔物である事は間違いなさそうだ」
アサシン「乳房が見えるな」
エルフゾンビ「どこだ?」
アサシン「ここの薄い肉壁から少しだけ見通せる」
エルフゾンビ「人の乳房か…首が無いぞ」
アサシン「見当たらんな」
”アサシン聞こえるか?”
エルフゾンビ「誰だ!?」
アサシン「魔女…聞こえる…こっちの声は届くのか?」ゴソゴソ
エルフゾンビ「貝殻から声が?」
”アサシン…帰って来るのじゃ…その魔物は主ではどうにもできぬ”
”危険じゃから戻って来い…石にされるぞよ”
アサシン「どうやら魔女の言う通りやもしれん…見ろ…私の手が動かん」
エルフゾンビ「引き上げるか…うぐっ…足が動か…ない」ドテ
アサシン「ちぃぃ石化が始まってるのか…」グイ
エルフゾンビ「私に肩を貸した状態で走れるか?」ズリズリ
アサシン「石化の進行が早い…俺達の命運は尽きたやもしれん」ヨタヨタ
エルフゾンビ「ゾンビ達よ…私達を精霊の御所まで運べ」
アサシン「クックック…ゾンビ頼みか」
そっちに行ったぞ!!囲めぇ!!
くっそ!こんな武器じゃゾンビを倒せない
おい!新手だ!!…でかい!!
うぉぉぉエルフだ!!逃げろ!!
アサシン「…ここまでだなフゥ…足がもう動かせん…済まんな巻き込んでしまって」
エルフゾンビ「フフ砂漠で飲んだワインは旨かったな」
1529.82 KB
Speed:0.5
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)