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勇者「魔王は一体どこにいる?」続編
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222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:37:37.78 ID:s4Ww8Seh0
『桟橋』
ガコン ギシギシ
盗賊「よっし接弦!!碇降ろせえぇぇぇ!!」
船員「えっさほいさ」
盗賊「野郎共!!武器もって下船しろ!!許可取ってる場合じゃねぇからそのまま中央まで走れ!!」
船員「あいさー」
盗賊「アサシン!!衛兵が来るぞ…どうする」
アサシン「この惨事の中私たちをどうするという事もあるまい」
盗賊「…だな…にしてもどうなってんだこりゃ…陸でのたうち回ってんのはクラーケンか?」
アサシン「魔物の襲撃が市内まで及んでいる様だ…ラットマンとリザードマン」
盗賊「おい!上を見ろ…ドラゴンまで来てんぞ」
アサシン「全体の状況が見えないな…私たちも一旦中央まで行こう」
盗賊「俺たちの店が心配だぜ…火の手が上がってるじゃねぇか」
アサシン「これを持って行け」ポイ ポイ
盗賊「ミスリル武器の試し切りか」パス
アサシン「無くすなよ?」
盗賊「おい!来たぞ」
衛兵「おい!!お前等!!武器を持っているな?」
アサシン「この状況で武器の所持は許可願いたい」
衛兵「今は人手が足りん!!戦える者は魔物退治の要請をする」
盗賊「何に攻め入られてるんだ?」
衛兵「外郭の一部からリザードマンとゴブリンが入ってきているのだ…そちらに行ってもらえると助かる」
アサシン「内郭はどうなっている?」
衛兵「市民がそこに避難している。内郭壁の上には弓部隊が展開していてまだ無事だ」
盗賊「あんたペラペラそんな事しゃべって良いのか?」
衛兵「もうそんな事言ってる状況ではない…はやく応援に行ってくれぇ」
アサシン「よし!行こう!このまま貧民街を突っ切って一旦中央に出る」
盗賊「おい!ついでに店の前を通って行こう」
アサシン「そのつもりだ…行くぞ」タッタッタ
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:38:10.34 ID:s4Ww8Seh0
『桟橋』
ガコン ギシギシ
盗賊「よっし接弦!!碇降ろせえぇぇぇ!!」
船員「えっさほいさ」
盗賊「野郎共!!武器もって下船しろ!!許可取ってる場合じゃねぇからそのまま中央まで走れ!!」
船員「あいさー」
盗賊「アサシン!!衛兵が来るぞ…どうする」
アサシン「この惨事の中私たちをどうするという事もあるまい」
盗賊「…だな…にしてもどうなってんだこりゃ…陸でのたうち回ってんのはクラーケンか?」
アサシン「魔物の襲撃が市内まで及んでいる様だ…ラットマンとリザードマン」
盗賊「おい!上を見ろ…ドラゴンまで来てんぞ」
アサシン「全体の状況が見えないな…私たちも一旦中央まで行こう」
盗賊「俺たちの店が心配だぜ…火の手が上がってるじゃねぇか」
アサシン「これを持って行け」ポイ ポイ
盗賊「ミスリル武器の試し切りか」パス
アサシン「無くすなよ?」
盗賊「おい!来たぞ」
衛兵「おい!!お前等!!武器を持っているな?」
アサシン「この状況で武器の所持は許可願いたい」
衛兵「今は人手が足りん!!戦える者は魔物退治の要請をする」
盗賊「何に攻め入られてるんだ?」
衛兵「外郭の一部からリザードマンとゴブリンが入ってきているのだ…そちらに行ってもらえると助かる」
アサシン「内郭はどうなっている?」
衛兵「市民がそこに避難している。内郭壁の上には弓部隊が展開していてまだ無事だ」
盗賊「あんたペラペラそんな事しゃべって良いのか?」
衛兵「もうそんな事言ってる状況ではない…はやく応援に行ってくれぇ」
アサシン「よし!行こう!このまま貧民街を突っ切って一旦中央に出る」
盗賊「おい!ついでに店の前を通って行こう」
アサシン「そのつもりだ…行くぞ」タッタッタ
224 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:39:03.30 ID:s4Ww8Seh0
『貧民街』
盗賊「こりゃ芳しくねぇな…瓦礫の山じゃねぇか」
アサシン「位置的に軍船がクラーケンに撃った砲弾がここに着弾した」
盗賊「その様だ…避難は済んでるみたいだな」
アサシン「ラットマンの屍が多い…下水から出てきたか」
盗賊「…となると下水は使えないと見るか」
アサシン「高い所で全体が見たい」
盗賊「貴族居住区だな」
アサシン「いつもの屋根伝いルートで行こう」
盗賊「ちぃ…隠密用の道具を置いて来ちまった」
アサシン「何に使う?」
盗賊「どうせ最後の行先は法王庁だろうよ…貴族居住区から行くとなると壁を登る必要がある」
アサシン「私を誰だと思っているのだ?」
盗賊「ヌハハ…そうだな正面から行くか」
アサシン「まずは状況把握だ…その後に行きたい先の兵士になれば良い」
225 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:39:34.35 ID:s4Ww8Seh0
『中央広場』
ガヤガヤ ガヤガヤ
出兵してた兵隊さん戻ってきたみたい
これで魔物も引き返すと良い
外がどうなってるか誰か知らねぇか?
外郭に大砲運ばれてるよ
ガヤガヤ ガヤガヤ
---屋根の上---
盗賊「いつにもまして人がごった返してるな」
アサシン「第一皇子のご帰還という所か」
盗賊「ただの魔物討伐にしちゃ追って来る魔物が多すぎやしないか?」
アサシン「目視で見えるのはドラゴン2匹…恐らくもっと居るな」
盗賊「エルフ狩りだったのか?」
アサシン「さぁな?」
盗賊「盗賊ギルドの方で情報貰えないのか?」
アサシン「そうしたい所だが…アレを見ろ」
盗賊「城のゲートブリッジが開いている…アレの事か?」
アサシン「いや…その上だ」
盗賊「んんん?誰か居るな…弓を撃っているのか?」
アサシン「あそこで何か起こってる」
盗賊「あんなところまで魔物が行くとは思えんが」
アサシン「外郭側でもなにか起こりそうだ」
ドーーーーーン ドーーーーーン
盗賊「大砲の音!」
アサシン「外でも何か始まった…急ぐぞ」
盗賊「どっちに?」
アサシン「城に決まっている…来い」ダダッ
226 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:40:05.88 ID:s4Ww8Seh0
『貴族居住区』
ドーーーーーン ドーーーーーン
アサシン「ちぃぃ城の様子が此処からでは見えん」
盗賊「おい!!やべぇ!!ドラゴンが降下してきてる」
アサシン「なにぃ!?」
盗賊「真上だ…8匹」
アサシン「衛兵は気付いて居ないな…外郭攻めは囮だ…城の中核をドラゴンで一点攻め」
盗賊「城の裏手も様子がおかしいぜ?見ろ…なんだありゃ」
アサシン「あちらには陸に上がったクラーケンが居たな…まさかクラーケンも城を目指しているのか?」
バコーーン
盗賊「うぉ!!触手が塔をへし折りやがった…こりゃマジもんでヤバいぞ」
アサシン「ドラゴンが速い…」
盗賊「来る!!!伏せろ!!!」
ドラゴン「ギャーーーース」ゴゥ ドーーン
盗賊「うぉ!!ブレス吐きやがった」
アサシン「…8匹のドラゴン…いやアレは噂に聞くドラゴンライダー」
ドラゴン「ギャーーーース」ゴゥ ドーーン
盗賊「あ…圧倒的じゃねぇか…城の駐留兵が一瞬でやられていく」
アサシン「こ、これは…滅ぶ」ボーゼン
盗賊「おい!何ボケっとしてんだ!!又来るぞ」グイ
アサシン「…」ボーゼン
盗賊「伏せろ!!」グイ
アサシン「…空が」
ドラゴン「ギャーーーース」バサッ バサッ
アサシン「…」
エルフ「…」ギロリ
227 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:40:31.36 ID:s4Ww8Seh0
盗賊「うぁっ!!あぶねぇ!!」
アサシン「…」
盗賊「突っ立ってねぇでこっちに来い」
アサシン「ドラゴンライダーと目が合った…」
盗賊「良いから下に降りる…ぞ?…な、なんだ?空が落ちる?」
アサシン「…これは古文書にある100日の夜」
盗賊「なんだぁぁぁぁ!?いきなり夜だとぉぉぉ」
アサシン「間に合わなかった…」ガクリ
盗賊「ドラゴンが城に取り付いた…行くか?」
アサシン「あ…あぁ…すまない」
盗賊「こりゃ変装してる暇なんか無さそうだな」
アサシン「…」スラーン チャキ
盗賊「どうした?」
アサシン「悪霊が来る」
盗賊「レイスってやつか?」スラリ チャキ
アサシン「…」
盗賊「おい!!しっかりしてくれぇお前はギルマスだろうが…行って良いんだな?」
アサシン「悪い…古文書の通りだったから動転した」
盗賊「これが魔王復活なのか?」
アサシン「いや…ここは狭間の深い所だ…黄泉と繋がっている」
盗賊「三途の川の手前って事だな?」
アサシン「黄泉の一番奥に深淵があるらしい…魔王はそこに居る」
盗賊「ほう…そっから這い出て来る前にぶっ倒せば良い訳だな?」
アサシン「まぁ…そうなる」
盗賊「ほんじゃ行くぞ」
アサシン「ドラゴンライダーを目の当たりにして自分の小ささを思い知った」
盗賊「はぁ?どうしたんだよ大ぼら吹きのお前が言うセリフじゃねぇな」
アサシン「正直…力の差がありすぎて絶望している」
盗賊「今頃気付いたんか?おれぁ初めから絶望してんだよ!もう乗っちまった船だ諦めろ」
アサシン「…取り乱した」スック
盗賊「それで良い…ここまで来たんだ行く所まで行って真相を確かめる…だろ?」
アサシン「あぁ…すまんな…行こう」
228 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:41:03.11 ID:s4Ww8Seh0
『ゲートブリッジ』
ゴーン ゴーン ドカーン
盗賊「戦闘音がヤバイな」
アサシン「ゲートブリッジ上の衛兵は全滅した様だな」
盗賊「このまま走って行けそうだ…あそこの倒れてる衛兵の装備かっぱらって行くか?」
アサシン「自由に動くならその方が良いが…」
盗賊「こりゃ急がんと下から兵隊上がってくんぞ」
アサシン「この暗さ…隠れるなら装備は今のままの方が都合良い…ヘルムだけにしよう」
盗賊「賛成…ほれ!!」ポイ
アサシン「急ごう」パス
盗賊「はぐれたら船に戻るで良いな?」
アサシン「それで良い…状況からしてミスリル武器を配らなければセントラルは全滅する」
盗賊「レイスか」
アサシン「セントラルの兵隊がレイスを対処出来るとは思えん」
盗賊「いや…そうとも言い切れんぞ?あいつらの中にはエルフ狩りの専門も居る」
アサシン「狭間での戦い方もある程度知っている者が居ると…」
盗賊「そういうこった…侮れない奴も中には居る訳だ」
アサシン「今の状況が狭間の奥だと知っている者…エルフ…待てよ?」
盗賊「どうした?」
アサシン「エルフはレイスを対処する術を持っていない…つまりもう直ぐこの戦闘は終わる」
盗賊「銀の矢くらい持ってんだろ…ってマテ…レイスはエルフの敵か?魔物側じゃねぇのか?」
アサシン「レイスは命有る者の敵という位置…死霊だ…魂を刈り取る」
盗賊「って事は個体数の少ないエルフは引いた方が良いな」
アサシン「そういう事になる…そしてドラゴンはさらに少ない」
盗賊「あのドラゴンがレイスごときにやられるとは思えんが」
アサシン「違う…魂を奪われる…生きたまま死ぬ」
盗賊「生きたまま死ぬ…もしかしてお前が言う精霊はそうやって夢幻とやらに行ったのか?」
アサシン「分からんがそういう考え方も有りかもしれん」
229 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:41:41.93 ID:s4Ww8Seh0
『園庭』
ブン ザクリ
レイス「ンギャアアーーーー」
盗賊「どっから出て来るか分からんな」
アサシン「見ろ…やはり法王庁にドラゴンが集まっている」
盗賊「あんなところに突撃しろってのか?」
アサシン「無理だな…しかしドラゴンに乗っていたエルフが見当たらん」
盗賊「どうせ中に入って行ってるんだろ」
アサシン「1匹足りないな…城の方か?」
ゴゥ ドーン
盗賊「ドラゴンが暴れ始めたぞ…あっちにもレイスが行ってるな?」
アサシン「法王庁は後にして先に城へ回ろう」
盗賊「おい!!あんな所に黒い戦車置いてあるぞ…なんで使わねぇんだよアホ衛兵が」
アサシン「待て…足枷の付いたダークエルフが這って…なんでこんな所にダークエルフが居るんだ?」
盗賊「どうする?助けるのか?」
アサシン「これはダークエルフの救出劇?…まさか」
盗賊「足枷って事は捕虜だな…あ!!まずいレイスが行った」
アサシン「今は下手に接触しない方が良い…迂回して城の方へ向かう」
盗賊「ダークエルフが暴れ始めたぞ?」
アサシン「城の方で戦闘音がする…生き残りが居るな」
盗賊「うぉ!!おいおいおい…レイスの野郎鎌で魂を引っこ抜きやがった…あれが魂の形か」
アサシン「見とれている場合では無い!行くぞ…向こうに人の気配がある」
盗賊「お、おう…倒れてる衛兵は死んでるのか魂抜かれたのか見分け付かんな」
アサシン「後ろ!!」
盗賊「ん??下から上がってきた衛兵達だな…こりゃ混戦だ」
ドラゴン「ギャーーース」ゴゥ ドーン
衛兵「ブレーーース!!散開!!」
230 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:42:11.11 ID:s4Ww8Seh0
『王城前』
レイス「ンギャアアーーー」
近衛「はぁ!!」ザクリ
盗賊「あんなんじゃ効かんだろうが」ダッシュ ザク
近衛「助かる!!」
盗賊「ここはどうなってる?」
近衛「お前達は誰だ?なぜ簡単にこの魔物を倒せる?」
盗賊「先に質問してるのは俺だ!どうなってんだ?」
近衛「援軍が来たのだな?国王がダークエルフの裏切りによって崩御された…第一皇子に至急戻られよと伝令を頼みたい」
アサシン「武器庫に銀製の武器は無いのか?」
近衛「その武器は銀製だというのだな…情報感謝する」
アサシン「ドラゴンは何処へ?」
近衛「国王の亡骸を確認して何処かへ去った…外で何が起こっているのかこちらが聞きたい」
盗賊「俺達も混乱の真っただ中だ…同じだよ」
近衛「我々は王女以下王室を守るため此処を離れる訳に行かない…伝令と援軍の要請を頼む」
盗賊「分かったよ…最後に…あとどれくらい戦力残っている?」
近衛「精鋭が200名ほど」
アサシン「全員に銀製の武器を持たせると良い」
近衛「あいわかった」
アサシン「そうだ第二皇子はどうした?」
近衛「法王様の下でお隠れになられておる」
アサシン「ふむ…盗賊!!ここには用が無い様だ…戻ろう」
231 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:42:37.03 ID:s4Ww8Seh0
『法王庁』
レイス「ンギャアアーーー」
衛兵1「こいつ!!どうやって倒すんだ?」ブン ザク
衛兵2「ダメだ無理だ…ぐぁぁぁぁ」
アサシン「レイスに苦戦している様だな」ダッシュ ザクリ
レイス「ンギャアアアーーー」
アサシン「銀製の武器を持て!!銀で倒せる!!」
盗賊「ドラゴンは何処行った?」
衛兵1「上だ!!上で旋回している」
アサシン「見ているな?奴らは何を探しているというのだ」
盗賊「法王庁の中はどうなってる?」
衛兵1「一部隊強引に突入して行ったが代わりにエルフが中から出てきた」
盗賊「全滅か?」
衛兵1「内部の状況はよく分からん…部隊長も中に押入って行ってしまった」
アサシン「指示待ちの状況か…とにかく銀製の武器を集めてレイスの討伐に専念しろ」
衛兵1「お前たちは近衛か?」
アサシン「そうだ!!国王陛下崩御されたし!外に出ている第一皇子は至急帰還せよ…伝令だ」
衛兵1「国王陛下崩御…」
アサシン「師団も一旦戻した方が良いが…そこは皇子が判断すべき所」
盗賊「外からでもドラゴン襲撃は見えてんだろ」
アサシン「見えていても師団クラスはそんなに早く動けんよ…さて」
盗賊「俺らも突入すっか?」
アサシン「エルフも退散した様だし今なら安全だ」
盗賊「行くぞ」スタスタ
232 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:43:03.57 ID:s4Ww8Seh0
『礼拝堂』
衛兵「ぅぅぅ…」
盗賊「おい!生きているか」パン パン
アサシン「急所は外れているが止血しないとマズイ」
盗賊「えらくでかい矢だな…これじゃ槍と変わらん」
アサシン「ハイエルフが使う矢だ」
盗賊「全員これでやられている…おい!!生きてっか?」
アサシン「外の衛兵に応援呼んでもらってくれ」
盗賊「わかった…ちょい待ってろ」スタ
アサシン(…弓でこれほど爆発跡が残るか?おかしいな)
アサシン(ドラゴンが入った形跡は無い…魔法の跡だろうか)
アサシン(む…礼拝堂の下にはもう一つフロアがありそうだ)
アサシン(どうも…魔王が復活した雰囲気は無い)
アサシン(裏の方にも出入口があるのか…開きっぱなしだな)
盗賊「戻ったぞ…衛生兵がもう少しで来るそうだ」
アサシン「下にもう一つフロアがありそうだ」
盗賊「こんだけ荒れてるのに死体が少なくねぇか?」
アサシン「やはりそう思うか」
盗賊「下に行ってみよう」
233 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:43:43.34 ID:s4Ww8Seh0
『法王庁下層』
アサシン「アレは…法王の法衣」
盗賊「死んでるな…頭部が…こりゃ破裂したんか?」
アサシン「頭部だけじゃない全身破裂だ」
盗賊「ここも爆発跡が沢山あるな…なにかの実験でもやってたんかね」
アサシン「…どうも気分が悪い…なんだこの感覚」
盗賊「おい!!通路の奥の部屋…死臭がひでぇ」
アサシン「カタコンベ…ここの下は恐らくカタコンベだ」
盗賊「うわぁ…見たくねぇな…どうせ拷問器具だらけなんだろ」
アサシン「鍵がかかっている」ガチャガチャ
盗賊「開けるか?」
アサシン「いや…今は良い…鍵がかかっているという事は今回の騒動に恐らく関係していない」
盗賊「そうだなエルフがわざわざ鍵かけるとは思えんな」
アサシン「法王が変死している以外におかしな事は何か気付かないか?」
盗賊「魔王が復活したにしちゃ静かすぎるな」
アサシン「エルフはここで何をしたと思う?」
盗賊「法王を[
ピーーー
]としたらエルフは弓を使うよな?もう死んでたと考えた方が良い」
アサシン「エルフがはるか遠くの森からどうしてこんな所まで攻め立てて来るのか?」
盗賊「エルフの大事な物って何だ?」
アサシン「エルフの秘宝はいのりの指輪だと聞く」
盗賊「何だそれ」
アサシン「もしかするとここにいのりの指輪があったとすると…つじつまが合う」
アサシン「いや待て…エルフから秘宝を奪ってここまで持って帰って来た…魔物が大群で攻め入る理由が出来る」
盗賊「俺達が海の向こうに行っている間に起きたってか?」
アサシン「情報が足りない…盗賊ギルドに行くぞ」
盗賊「おい!焦るな…じゃぁそのいのりの指輪ってやつは何処に行った?」
アサシン「ドラゴンはまだ上空で旋回しているな?…という事はまだ手に入れていない」
アサシン「魔王の手に渡ってしまったと考えるのが普通だが…どうも魔王の気配を感じない」
盗賊「空が落ちたのは普通なら魔王の仕業と考えると思うがな」
アサシン「なにか違う…ほかに手掛かりは無いか?」
盗賊「裏口があったよな?そっちに行ってみよう」
234 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:44:18.10 ID:s4Ww8Seh0
『裏口の外』
盗賊「うおっとぅ!!こんな所に法王庁の衛兵の死体が…じゃまだな」
アサシン「2体…弓でのヘッドショットだ」
盗賊「こりゃエルフの矢じゃねぇ…なんでこんなところで流れ矢に当たってんだ?」
アサシン「流れ矢がヘッドショットにはならん…どこから撃たれたか」
盗賊「向こうの屋根上だな…しかしあんな遠くから狙えるか?」
アサシン「ひとまず行ってみよう」タッタッタ
盗賊「よっ…よっ…」ピョン ピョン
アサシン「この屋根に上がるのは素人には無理だな」ピョン ピョン
盗賊「うはぁ…中央広場がえらい事になっとる…暗くて見にくいが」
アサシン「ここはゲートブリッジの上だ…そういう事か」
盗賊「俺らが中央の屋根上から見た人影だな?そういや弓使ってたな」
アサシン「ドラゴンが来る前にそいつらが法王庁に入っていたという事だ」
盗賊「なるほどそいつらが法王ぶっ殺して逃げた線が出てきた訳か」
アサシン「私の先を行く者がまた現れた」
盗賊「おい!!それより中央の混乱収めないとお前の妹が危ないぜ?」
アサシン「そうだな…まず目の前の問題解決…だな」
盗賊「ここは別れよう…俺は下水通って船からミスリル武器持って配りながら中央に行く」
アサシン「分かった…私は屋根伝いで先に中央へ行っておく」
盗賊「無理すんなよ?合流の目安は1時間後だ…そうだな屋根に上がった建屋周辺だ」
アサシン「オーケーグッドラック」
235 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:44:49.12 ID:s4Ww8Seh0
『下水』
ピチョン ピチョン
盗賊(ラットマンとの戦闘跡があるな…)
盗賊(む…誰か居る)
衛兵「[
ピーーー
]ぇ!!」ブン グサ
ラットマン「ギャーース」ドタリ
盗賊「おっとー通るぜー」
衛兵「何処へ行く?海側は黒い魔物が出てきて危険だ!!」
盗賊「レイスの事か?」
衛兵「レイスと言うのか?奴らは普通の武器では倒せない」
盗賊「それで逃げ帰って来てるんだな?」
衛兵「撤退戦だ」
盗賊「今からレイスを倒せる武器を取りに行く所だ…お前も来るか?」
衛兵「それは本当か!?」
盗賊「見て見ろ…」スラーン
衛兵「それは?」
盗賊「特殊な銀の武器だ…これならレイスを簡単に倒せる」
衛兵「どこにあるんだ?」
盗賊「桟橋に停船しているサンタマリア型の帆船にある」
衛兵「一隻だけ船があったな…お前は海賊か何かか?」
盗賊「衛兵相手に私は海賊ですなんて言えると思うか?ただの魔物ハンターだよ」
衛兵「下水をうろついてる輩はどうせ賊くらいな者だが…今は信用しておく」
盗賊「ぬはは…そらそうだわな…こんな所うろつく一般市民なんて居らんな…ついて来い」
衛兵「先刻ここを通った者の仲間か?」
盗賊「知らんな…他にも不審者が居るという事か?」
衛兵「4人組の賊が走り去って行った…一人は怪我をしていた様だが」
盗賊「ほう…俺には関係ねぇな…こんな時に略奪なんざクソ野郎のやるこった」
衛兵「背格好からして白狼の盗賊団」
盗賊「んな訳ねぇだろ…」
---待てよ?法王を殺したやつは下水を通って逃げったって訳か---
盗賊「先刻と言ったな?どれくらい前だ?」
衛兵「1時間くらいか…お前…何か知っていそうだな」
盗賊「いやいや…俺を信用してくれ!!今は魔物を何とかしたい」
衛兵「同意だ…お前が悪人だったとしてももう顔を覚えた」
盗賊「へいへい…わたしゃー悪人じゃございやせん」
衛兵「見ろ!!前方にレイスらしき影」
盗賊「おっし!!この武器の性能を見てろ」ダダッ ブシュ
レイス「ンギャアアーーーーー」シュゥゥゥ
衛兵「おおおおぉ…倒せる」
236 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:45:20.90 ID:s4Ww8Seh0
『帆船』
盗賊「武器は後方の船長室に入れてある…鍵は開けておくから他の衛兵にも配ってくれ」
衛兵「この船はお前の船なのか?」
盗賊「俺の物ではないが俺達の物と言った方が良いか…」
衛兵「やはりお前は海賊だな?」
盗賊「待て待て…今はそういうのは無しで頼む…そして良く見て見ろ…戦略兵器は何も乗って無い」
衛兵「確かに…大砲類は無いな」
盗賊「おっし俺は持てるだけ武器抱えて中央方面に向かう」
衛兵「お前は名を何と言う?」
盗賊「名乗る名なんかねぇよ」
衛兵「武器の譲与感謝する…身元が分からんと謝礼が出来んぞ?」
盗賊「…」---どうする---
衛兵「おい!!聞いているのか?…私の名は戦士だ」
盗賊「謝礼なんかいらねぇよ…じゃぁな!!気合入れて戦え!!」ダッシュ
衛兵「…」
---あの後ろ姿---
---走り方---
---身のこなし---
---間違いない---
---白狼の盗賊団---
237 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:45:46.98 ID:s4Ww8Seh0
『中央広場』
ギャァァ助けてくれぇぇ
イヤー来ないでぇぇ
おい!しっかりしろぉ!
立て!走れぇぇ!
盗賊「にゃろぅ!!」ブン ザク
レイス「ンギャアアーーー」
盗賊「安全な場所は無ぇのかよ…おい!そこで倒れてる奴を引っ張って行けぇ!!」
市民「はひぃぃ」
盗賊「宿屋が比較的安全だ!!そこに置いとけ!!」
市民「ひぃひぃ」
アサシン「盗賊!!ここに居たか」
盗賊「おう!!やっと合流出来たな」
アサシン「武器は!?」
盗賊「まだあるぜ?ほれ」
アサシン「よし…それを持ってギルド支部に行こう」
盗賊「ここら辺はもう良いのか?」
アサシン「軍隊がレイスの対処をし始めてる…放っておいて良いだろう」
盗賊「セントラルの軍隊がか?」
アサシン「いやフィン・イッシュの方だ…軍国なだけあって手練れが多い」
盗賊「そりゃ良い」
アサシン「あちらの国ではゾンビが出るらしくてな…銀の武器を所持している」
盗賊「…てことはしばらく持ちこたえそうだな」
アサシン「かの軍隊は第二皇子の派閥だ…第一皇子派と揉めなければ良いが…」
盗賊「そういや第二皇子がどこに行ったか分からんな」
アサシン「まぁ今はそれどころではない…行くぞ」タッタッタ
238 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:46:19.48 ID:s4Ww8Seh0
『盗賊ギルド支部』
ガヤガヤ ガヤガヤ
盗賊「なんだよここも避難所になってんじゃねぇか」
アサシン「妙だな…どうしてここにはレイスが来ない?」
盗賊「たまたまだろ…気を抜くなよ?」
アサシン「地面に盛り塩がある…これのお陰か?」
少年「ああああああ!!触らないで!!」
盗賊「おお!!お前…生きていたか」
少年「その声は盗賊かい?良かった…戻って来たんだね」
盗賊「他の奴らは無事か?」
少年「母さんが…」
盗賊「女盗賊がどうした!?死んだのか?」
アサシン「なに!?妹がどうした」
少年「爆発に巻き込まれてしまって…」
アサシン「どこだ!?どこにいる!!」
少年「中で横になってる…こっちだよ」スタスタ
アサシン「生きているんだな…」ホッ
盗賊「こんなに人が出入りしてて盗賊ギルドだとバレたらどうすんだ?」
少年「看板は商人ギルドに挿げ替えてある…今は商人ギルドさ」
アサシン「少年…君がやったのか?」ジロ
少年「そんな目で見ないでよ…母さんがそうした方が良いって」
盗賊「お前心臓の方は大丈夫なのか?」
少年「最近は調子がいいさ…激しい運動しなければね」
盗賊「お!?娘たちも無事だな?」
アサシン「ギルドの連中が見当たらないのだが…」
少年「物資調達だってさ…外に出てるよ」
盗賊「略奪やってんだな?こんな時にいけすかねぇ」
アサシン「まぁそう言うな…私たちも同類だよ」
少年「母さん!!盗賊たちが帰って来たよ」
女盗賊「ぅぅん…ハァハァ」
アサシン「…これがあの美しかった私の妹か?…」
盗賊「ぉぃぉぃ…手足はどうなってる」
239 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:46:48.57 ID:s4Ww8Seh0
少年「潰れてしまっている…治るかどうか分からない」
盗賊「処置は終わってるんだな?…顔も随分腫れちまってるな」
少年「酸欠のチアノーゼ跡がしばらく消えないって」
盗賊「こんなんなるって事は瓦礫か何かに埋もれたな?」
少年「そう…戦士っていう衛兵が掘り出してくれた」
アサシン「衛生兵はもう居ないのか?」
少年「処置が終わったら出て行ったよ…走り回ってる」
女盗賊「に…ぃさ…ん」
アサシン「無理して声を出さなくて良い…自分でも状況は分かっているな?」
女盗賊「…」ポロリ
盗賊「回復魔法があればな…」
アサシン「魔法…そうだ魔法師はどこかに居ないのか?」
盗賊「この国のアホ共は魔法を使える奴をみんな焼き殺した…居る訳ねぇ」
少年「魔法書なら持っているよ」
盗賊「お前は魔法を使えるのか?」
少年「使えない…使ったこと無い」
盗賊「魔法書だけじゃ意味ねぇな」
少年「…でも魔方陣なら少し分かる」
アサシン「…ひょっとして外にあった盛り塩は君が?」
少年「そう…退魔の魔方陣」
盗賊「ここにレイスが来ないのはそういう事か?」
少年「悪霊退散の方法が記されていたんだ…本当に効果があるのかは賭けだった」
アサシン「少年!!詳しく話が聞きたい」
----カクカクシカジカ---
----------------
----------------
240 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:47:20.41 ID:s4Ww8Seh0
『個室』
盗賊「ったくあいつは何時まで話込んでるつもりなんだよ」
女盗賊「…」
盗賊「痛むか?」
女盗賊「…」コクリ
盗賊「あぁ動かんで良いぞ…目で意思疎通は出来そうだな」
盗賊「お前なら分かると思うが…このまま死にそうか?」
盗賊「んーその目は分からんという目だな…内臓の傷み具合が分からんか」
盗賊「その感じだと背骨も折れてるな」
盗賊「出血は大した事ない…やっぱり内臓次第だな」
盗賊「顔色からして痛んでそうなのは肝臓…肺って所だな」
盗賊「まぁ頭部が無事だっただけ幸いか」
盗賊「医者の判断として教えて欲しい…この状況で1か月生きたケースは」
盗賊「…無い…か」
盗賊「長く持って2〜3週間か?」
盗賊「もっと短い…そりゃ参ったな」
盗賊「ちと考えて来るわ…寝てろ」
ギー バタン
241 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:47:50.74 ID:s4Ww8Seh0
『別室』
ギー バタン
盗賊「おい!お前等いつまで話してんだ?」
アサシン「悪い…この少年…私が知らないことをいくつも知って居てな」
盗賊「お前の妹を放って置いて良いのか?」
アサシン「分かっている…が今は何もしてやれない」
盗賊「放って置いたらありゃ死ぬぞ?」
アサシン「それも分かる」
盗賊「だったら手ぇくらい握ってやれよ」
アサシン「まぁ聞いて欲しい…今後の事だ」
盗賊「ちぃ!!お前全然分かってねぇ!!」
少年「待って待って…この場合結論から言った方が良い」
盗賊「お前は黙ってろガキがぁ!!」
少年「違うんだ…母さんを救う作戦だよ」
盗賊「…言ってみろ」
少年「シン・リーンまで行って魔女に回復魔法をお願いする…出来るだけ早く」
盗賊「アホか!!どんだけ遠いと思ってるんだ…待てよ?…船に買って来た気球の材料が乗ってるな」
アサシン「それだよ…後は察しが付くな?」
盗賊「組み立てに大工が居ても2〜3日…いや…寝ないでやれば1日だ」
少年「僕も手伝うよ」
盗賊「いやお前は邪魔になる」
アサシン「退魔の魔方陣は少年が居ないと無理だ」
盗賊「…そうか…なら仕方ねぇな」
アサシン「組み立て1日…即出発して到着まで1週間…間に合うかどうかって感じだな」
盗賊「そんな簡単じゃねぇぞ?太陽か星が見えない様じゃ方向が定まらん」
少年「地形見ながら行くとかは?」
盗賊「んーむ…海よりはマシか…2週間だな…2週間も生きていられるか賭けだ」
アサシン「もう一つ秘密がある…今この世界は狭間の奥にいるのだとしたら時間がゆっくり流れている」
盗賊「意味が分からん」
少年「想定よりも長く生きている可能性が高いんだ」
盗賊「まぁ良い…その話はよく分からん…俺は今から人集めて気球を組み立てて来る」
アサシン「私は情報収集と物資の調達をしておく」
盗賊「おい!!まず初めに女盗賊の手を握ってこい!!」
アサシン「分かった分かった…」
少年「僕も母さんに作戦の事話してくる」
盗賊「直ぐに出発するから手短に済ませてこい…それから…もう母さんってのはヤメロ」
242 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:48:18.63 ID:s4Ww8Seh0
『帆船』
ギシ ギシ
盗賊「よし!飛び乗れ」
少年「ほっ…」ピョン
盗賊「他の奴が来ないようにすこしだけ離岸する…そこのロープほどいてくれぇ」
少年「これだね?あ…梯子もあげておくよ」
盗賊「ふぅ…魔方陣ってのはどの辺にやれば良いんだ?」
少年「広い場所かな?出来るだけ大きく作りたい」
盗賊「なら甲板しか無ぇな」
少年「マストが邪魔だなぁ…下の方は?」
盗賊「マストは下まで貫通してんだよ!そこより広い場所は無い」
少年「そっか…じゃぁ2つ作るかな」
盗賊「あぁ任せた…レイスが出たら落ち着いて教えてくれ」
少年「分かったよ」
盗賊「あと見張りも頼む」
少年「一人で大丈夫?」
盗賊「手が欲しい時は言うからしっかり見張っとけ」
少年「大工さん欲しかったね」
盗賊「まぁしょうがねぇ…そんなに都合よく居る訳も無いしな」
少年「ここから貧民街が見えるね」
盗賊「あんだけ壊れてちゃぁもう戻れんな」
少年「あの家の生活は楽しかった…バーベキューおいしかったなぁ」
盗賊「どうやら今は時代の潮目だ…その思い出はもう閉まっておけ」
少年「もう一回作ろうって言わないの?」
盗賊「お前はドラゴンを見たか?」
少年「見たよ」
盗賊「見ろ!あそこの城壁にへばりついてるクソでかいクラーケンを」
少年「もう死んでるみたいだね」
盗賊「俺達はあんなのを相手に戦ってんだ…安住の生活なんか今は考えられん」
少年「戦ってるって…盗賊は泥棒じゃないの?」
盗賊「ぬはは泥棒と声に出して言われて誇れる職業じゃねぇな…まぁ恥ずかしい事言わんでくれ」
盗賊「ただな?真っ暗闇に落ちたこの世界のど真ん中に俺達は居る…とにかく生き残るしかない」
少年「…知ってる…そう…同じような事を僕は誰かに言ったことがある」
盗賊「お?ガキのくせに一丁前な事を言った事があるか」
少年「僕は…僕は…誰だった?誰に言ったんだ?」
盗賊「なんだ?アサシンの影響か?あいつの話は半分で…いぁ十分の一で聞いておけ」
少年「違う…なんだろう?前世の記憶なんだろうか?」
盗賊「あああぁぁこれダメな流れ…もう良いそういう話はアサシンの与太話で聞き飽きた」
少年「なんだろう…すごく沢山覚えている…そうだ…僕は商人だ」
盗賊「もう良いから!!しっかり見張っとけ」
243 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:48:47.22 ID:s4Ww8Seh0
---おそらく翌日---
トンテンカン トンテンカン
少年「少し休んだら?」
盗賊「あぁぁしんど…球皮の縫い合わせは終わったのか?」
少年「まだ…もう手が痛くて」
盗賊「お前舐めてんだろ!!女盗賊の命が掛かってるんだぞ?あいつはもっと痛い思いしてるぞ?」
少年「分かってるよ…あ!誰か桟橋に来てる」
盗賊「んん?なんだアサシンじゃねぇか」
少年「どうする?」
盗賊「ちっと休憩するか…桟橋に付ける」
ガコン ギー
盗賊「よう!!様子見に来たんか?」
アサシン「状況が変わった30分後に出港する」
盗賊「おいおい…船で行くんか?」
アサシン「詳しい話は後でする…馬車を入れるから荷室を桟橋に付けておいてくれ」
盗賊「この人数でこの船動かすのは無理だ!!船乗りはどうする?」
アサシン「もうそんな事を言ってる余裕は無い…何とかしてくれ」
盗賊「女盗賊はどうする?置いていくってんなら俺は降りるぜ?」
アサシン「馬車に乗せて連れて来る」
盗賊「マジかよ…動かすだけで死ぬかもしれんぞ」
アサシン「黙れ…これを見ろ」パサ
盗賊「んん?人相書き…か?うぉ!!俺じゃねぇか」
アサシン「そういう事だ…この船も差し押さえ対象だ…馬車で飛び込むから即出港だ」
盗賊「少年!!荷室の左舷を開いて来い…俺は船を回頭させる」
少年「え!?分からないよ…」
盗賊「行って自分で考えろ!!10分でヤレ」
---ちぃぃあの衛兵に顔見せたのはマズかったか---
244 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:49:16.86 ID:s4Ww8Seh0
盗賊「えっさほいさ…えっさほいさ…ぐあああああああ一人で帆を広げるとか無理に決まってんだろ!!」
少年「荷室空いたぁぁ!!」
盗賊「桟橋にロープひっかけて船が流されない様にしてくれぇぇ」
少年「碇は降ろさないの?」
盗賊「そんな余裕は無ぇ!!ロープ掛けたら上に上がって帆を張るの手伝え」
少年「ハァハァ…」
盗賊「お前は縦帆広げる準備だ!!ロープ緩めてその辺に垂らしておけ」
少年「盗賊!!見て!!中央の方で煙が上がってる」
盗賊「…なるほどアサシンがやってんな?」
少年「馬車が見えた!!貧民街を突っ切って来る」
盗賊「マジかよ…早えぇな」エッサホイサ
---メインマストしか開いてねぇのに---
盗賊「おい少年お前が舵ヤレ!!右に2回転回して置け!!その後下行って桟橋のロープ切る準備だ」
少年「ひぃひぃ…」ヨタヨタ
盗賊「良いか!!馬車が入ったらロープを切れ…反動がでかいから海に落ちるなよ」
少年「わ、わかった」
盗賊「まずいな…馬車が追われているな…船に入られるのが厄介だ」
---即出港してもこのままだと4〜5人は入られる---
---桟橋を破壊するか…どうやって?---
---油がある…よし燃やす!!---
盗賊「どけぇ!!」ドブドブ
少年「その樽…どうするの?」
盗賊「桟橋を燃やす!!船長室の机の上に俺の道具箱があるから持ってきてくれ!!1分!!」
少年「行く!!」タッタッタ
盗賊「種火になるもん無ぇか?よし!!ロープのくずだな」ゴシゴシ
少年「道具持ってきたよハァハァ」ポイ
盗賊「そっから馬車見えるか?」パス
少年「見える!!あと3分」
盗賊「ギリギリだな…」チッチッ メラ
少年「ロープは?」
盗賊「予定通りお前が切れ!俺は甲板から弓を撃つ…お前の初仕事だ上手くやれよ」
少年「ハハ…ハハハ」
盗賊「笑うのが早えぇ…うまく行ったらバーベキューだ」
245 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:49:43.44 ID:s4Ww8Seh0
『馬車』
ガタガタ ガタガタ
アサシン「もっと早く走れないのかこの馬は!!」パシン パシン
娘1「追って来てるぅぅどうしよどうしよ」オロオロ
アサシン「何人だ?」
娘1「20人くらい」
アサシン「馬に乗って来るやつは居ないか?」
娘1「馬は居ない」
娘2「何か投げる?」
アサシン「無駄だな…大人しく掴まっているんだ」
情報屋「船の方で火があがり始めた…大丈夫?」
アサシン「分かってる…アレくらいなら突っ切れる」
娘1「あぁぁウチらの家がぁぁ」
娘2「潰れてんじゃん」
アサシン「見納めだ」
娘1「お姉ぇ見える?」
女盗賊「…」
娘2「なんかこの半年でさぁ…色々あったね」
アサシン「揺れるぞ…みんなしっかり掴まれ!!」
ガコン ガコン ガタガタ ヒヒ〜ン
娘1「熱っつ!!」
アサシン「娘達は馬車降りて幌に付いた火を消すんだ」
娘1「え?え?え?…」
娘2「イヤーー火事ぃぃ」
娘3「もう!!早く降りて!!熱い!!」アタフタ
娘4「水は!?どこ?」アタフタ
アサシン「水なんか要らん!!叩けば消える!!」
246 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:50:13.54 ID:s4Ww8Seh0
『甲板』
ガコン ガコン ガタガタ ヒヒ〜ン
盗賊「よし!!今だ!!ロープを切れ!!」
少年「切ったぁぁ!!」
盗賊「動け動け動け動け…」
グラリ ググググ ギー
盗賊「ぐぁぁぁ遅せぇ!!」ギリリ シュン
衛兵1「待てぇぇ…弓だと?」
衛兵2「ちぃぃぃ飛び移れ!!」
衛兵1「この火の中行けってのか?」
衛兵2「今ならまだ行ける」
衛兵1「ならお前が先に行け」
盗賊「アサシン!!飛び移って来る奴は処理頼む!!俺は縦帆張る」
アサシン「荷室の扉は馬車が邪魔で入って来れんよ…私たちの勝ちだ」
盗賊「そうか!そりゃ良い!!人手が欲しい!!動ける奴を甲板に回してくれぇ!!」
アサシン「…」
盗賊「おい!!聞いてんのか!?」
アサシン「…という事らしいが…娘達行けるか?」
娘1「え!?」
娘2「そんなん聞いてない」
娘3「ウチらはお姉ぇの看病役でしょ?」
娘4「マジで言ってる?」
盗賊「おーーーい!!誰か居ねぇのかぁぁ!?」
少年「ハハハ…アッハッハ…クックック」
アサシン「…はぁ…私が行ってくる」
少年「…母さん…無事かい?」
女盗賊「フフフ」
少年「痛くない?笑わない方が良いよ…ガマンして」
盗賊「おーーーい!!誰か手伝えって!!」
少年「さて…バーベキューの準備してくる」
女盗賊「…」ニコ
247 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:50:52.08 ID:s4Ww8Seh0
『居室』
ワイワイ ワイワイ
盗賊「はぁぁぁぁもう動けん」
アサシン「まぁ上手く逃げられたのだから良いでは無いか」
盗賊「俺たち以外に船に乗ってるのは女と子供だけ…なんでこうなった?」
少年「僕は人数に数えられて無いんだ?」
盗賊「半人前にもならん!子供と同じだ」
アサシン「なってしまった事は仕方がない」
盗賊「あのネーちゃんは誰だ?」
アサシン「情報屋でな…盗賊ギルドの幹部に当たる」
盗賊「そいつしか居なかったのか?」
アサシン「どうも私は嫌われている様でな…付いてきたのは情報屋だけという訳だ」
盗賊「…ま、そらそうだわな…お前の顔を見てギルマスだと知る者がどれくらい居るのか…」
アサシン「言うなよ」
盗賊「おい!情報屋!!何か言ってみろ」
情報屋「あんた…気安く物言いしないでくれる!?」
盗賊「ヌハハ悪い悪い…まぁ肉でも食って機嫌直せ…ほれ」ポイ
アサシン「二人とも口は悪いが信用出来る…仲良くやってほしい」
盗賊「…で?アサシンは粗方情報貰ってんだろ?」
アサシン「まずこれを見てくれ」パサ
盗賊「人相書きだな…俺のは見たが他にもあんのか?」
アサシン「剣士と女海賊…それからシャ・バクダに居るはずの女戦士ともう一人謎の女」
盗賊「ぬはは良く似てるな…この謎の女は見た事ねぇな」
アサシン「まだある…私と女盗賊…娘達まで…白狼の盗賊団一味という事で特定指名手配されているのだ」
盗賊「うはぁぁ…もうセントラルには行けねぇな」
アサシン「だから娘4人と子供たちを連れて来ざるを得なかった」
盗賊「なるほどな…共通するのは酒場のマスターだ…口は堅いと思っていたんだがな」
アサシン「本題はここからだ」
アサシン「魔物襲撃事件の当日…白狼の盗賊団を多数の人間が目撃しているのだ」
盗賊「…やっぱりそうか…俺もその噂は聞いたぞ」
アサシン「セントラルでは国王の崩御と法王の変死はまだ公開されていない」
アサシン「噂では白狼の盗賊団による暗殺という風になってしまっているのだ」
アサシン「さらに魔物襲撃も…空が落ちた件もすべて…白狼の盗賊団の仕業という事になっている」
盗賊「えらく有名になったもんだ…なにもしてないんだが」
アサシン「まぁ第一皇子と第二皇子の覇権争いの最中だ…当然の流れとも言える」
盗賊「ギルドの方には迷惑かかってないか?」
248 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:51:18.34 ID:s4Ww8Seh0
アサシン「今ここに来てるのが情報屋だけと言いうのが答えだ…皆薄々知っていて関わろうとしない」
盗賊「…俺が大工探しても出てこないのはそういう事か」
アサシン「そこら辺の裏の事情を教えてくれたのが情報屋って訳だ」
盗賊「おぉ!!やるなネーちゃん…で?情報屋だけ何でここに居る…俺らの行動監視か?」
アサシン「まぁ気にするな…彼女は私の腹心の部下だ…彼女ありきでギルドが成り立っている」
盗賊「ではセントラルのギルド支部はもう解散か?」
アサシン「セントラルの惨状では盗賊ギルドはもう意味をなさない…不要だ」
盗賊「お前がそう言うならそれで良いけどなハハ」
アサシン「それで…話を戻す…事件の日に白狼の盗賊団をやったのは誰かという事だ」
盗賊「ぁぁぁ…手口からして剣士と女海賊は間違いなく絡んでいるな」
アサシン「情報筋からすると逃走ルートは下水…そこを使ってさらりと逃げるのは経験のある2人しか考えられない」
盗賊「残りの2人は関わっている筈の無い女戦士ともう一人…合ってるか?」
アサシン「正解…では剣士たちは法王庁で何をしたか」
盗賊「ぬあぁぁ分かった分かった…アレだろ?指輪…盗んでさっさとトンズラ…剣士達なら出来る」
情報屋「ビンゴ!!」
盗賊「ネーちゃんそんな所まで知ってるんか?」
情報屋「指輪を盗まれたからセントラルで特定指名手配されて大変な事になっているの!お分かり?」
アサシン「それでここからは予測になるが…指輪を持って何処に向かうと思う?」
盗賊「んんん…エルフに返す?…待てよそれなら盗む必要が無いな…分からんな」
アサシン「女海賊の行動癖で考えると一旦ドワーフの国に帰るというのも可能性がある」
少年「剣士たちが指輪を盗む動機って何だろうね?」
アサシン「女戦士には指輪が魔王復活のカギになっていると話した事はあるが…」
盗賊「それなら単純だな…復活を阻止するために盗んだ…んんんん…やっぱり行き先が読めんな」
アサシン「シン・リーンの魔女なら千里眼で行き先を探せる筈」
盗賊「それならとりあえず行き先が一致してる…早い所気球を組み立てないとな」
少年「食事終わったら僕も手伝うよ」
盗賊「何言ってんだ!!お前だけじゃねぇ!!全員手伝え」
249 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:51:50.41 ID:s4Ww8Seh0
『甲板』
トンテンカン トンテンカン
盗賊「お?少年!!起きたか」
少年「その呼び名…何か気に入らないな」
盗賊「んあぁぁ!?なんだ今更…なら何て呼べば良いんだ?」
少年「僕は商人!昔から商人さ」
盗賊「ぬはは大した発音変わって無ぇじゃねえか…商人…これで良いんか?」
商人「イイね…すっぽり収まった感じだよ」
盗賊「ほんで…何か売りにでも来たんか?」
商人「勿論!興味あるかい?」
盗賊「何だよその言い回し…どっかで聞いた事あんな」
商人「まぁ良いじゃないか…やらせてくれよ」
盗賊「そうだな…そろそろ大人になっても良い頃だしな」
商人「…それで…買うかい?」
盗賊「おう!!買ってやる…何だ?」
商人「コレさ…」シャキーン
盗賊「…」ジロリ
商人「まぁ売るつもりは無いんだけどさ…」
盗賊「それは虹のしずくという物だ…何でお前が持ってる?」
商人「母さん…いや女盗賊が大事そうに持っていた物だよ…盗賊に渡してだってさ」
盗賊「悪い…それは買い取れねぇ…返してこい!」
商人「困ったなぁ…」
盗賊「良いから返してこい!!俺は忙しいんだ!!暇ならお前も手伝え!!」トンテンカン
商人「わ、わかったよ…でも盗賊も少し休んだ方が良いよ?」
盗賊「うるせぇ!!」トンテンカン トンテンカン
商人「居室で寝てる子供達もうるさくて眠れないってさ」
盗賊「お前はぶっ飛ばされないと分かんねぇ様だな!!」
商人「休んでよ…みんな心配しているんだ」
盗賊「クソがぁ!!アイツがソレを俺に渡すって事はいよいよヤバイって事だ!!」ボカッ
商人「痛っ!!分かったよ…僕も手伝う」
盗賊「死ぬ気でやれぇ!!」トンテンカン トンテンカン
トンテンカン トンテンカン
ギコギコギコ ギコギコギコ
------------------
------------------
------------------
------------------
250 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:52:18.89 ID:s4Ww8Seh0
『居室』
トンテンカン トンテンカン
ギコギコ ギコギコ
トンテンカン トンテンカン
ギコギコ ギコギコ
女盗賊「…」---馬鹿な人ね---
女盗賊「…」---私はもう良いの---
女盗賊「…」---十分幸せだったわ---
女盗賊「…」---子供達をお願いね---
娘1「お姉ぇ!!お姉ぇ!!」
娘2「ヤバイもう…息してない」
娘3「アサシン呼んできて!!」
娘4「うぇぇぇん;;」タッタッタ
商人「母さん…」
女盗賊「…」
アサシン「ハァハァ…女盗賊!!」
トンテンカン トンテンカン
ギコギコ ギコギコ
トンテンカン トンテンカン
ギコギコ ギコギコ
251 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:52:45.84 ID:s4Ww8Seh0
『甲板』
トンテンカン トンテンカン
ギコギコギコ ギコギコギコ
商人「盗賊!!…母さんが!!」
盗賊「んん?」
商人「母さんが死んだ…うぅぅ」
盗賊「…」
盗賊「……」
盗賊「………」
ザブーン ザブーン
ユッサー
ザブーン ザブーン
盗賊「…今か?」
商人「うん…」
盗賊「…」
商人「行かないの?」
盗賊「見たく…無ぇ」
商人「こんなに早く死ぬなんて…」
盗賊「魂は見たか?」
商人「いや…」
盗賊「まだ…そこに居るんだな?」
商人「魂?」
盗賊「よっこら…」テクテク
252 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:53:13.15 ID:s4Ww8Seh0
『居室』
シクシク シクシク
アサシン「盗賊…」
盗賊「ぃょう…女盗賊!…ラクになったか?」
女盗賊「…」
盗賊「悪りぃな…ちっと間に合わなんだ」
女盗賊「…」
盗賊「またお前の歌が聞きたかったんだが…まぁ…しょうがねぇな」
女盗賊「…」
盗賊「聞いてんだろ?…おい!娘ぇ!!そこの酒持ってこい!!」
娘1「え!?」シクシク
盗賊「早くしろやぁ!!」
娘1「う、うん」タッタッ
盗賊「今頃気付いちまったぁ…俺はなぁ…こうやってお前と酒を飲んでる時が一番落ち着くってな」グビ
女盗賊「…」
商人「盗賊…」
盗賊「で…これからどうすんだ?どっか行くのか?」
女盗賊「…」
盗賊「俺ぁよ…妖精も魂も見えねぇんだ…そこに居るんだろ?なんか言えよ」
アサシン「盗賊…よせ!」
盗賊「おい!!アサシン!!想定よりも長く生きるとか言ってただろ!!ありゃウソか!!?」
アサシン「すまない…」
盗賊「ちぃと外の風にでも当たるか…空は見えんが潮の香はするぜ?」グイ
アサシン「どうする気だ?」
盗賊「お前も付いて来い…酒飲むぞ」
女盗賊「…」グッタリ
盗賊「女盗賊よぅ…お前俺にタメ張っといてこんなに軽かったんだな」ヨッコラ ヨッコラ
女盗賊「…」
盗賊「覚えてんだぜ〜?お前の歌…ルル〜ルラ〜フフ〜ン♪」
ザブーン ザブーン
------------------
------------------
------------------
253 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:53:50.22 ID:s4Ww8Seh0
『デッキ』
それでよぅ…あん時は先にお前が行った方が良かったんだ
まぁ結果的になんとかなったんだがな
それが原因で…見て見ろ…まだ傷跡が消えねぇ
お前が無傷で居たのは救いっちゃ救いだが
やっぱどう考えても作戦が悪かった…まぁ儲かったから良いかヌハハ
商人「ずっとあんな感じだよ…放って置いて良いのかな?」
情報屋「見ていて痛い…」
アサシン「…」
商人「盗賊と女盗賊はいつから一緒に居たんだろう」
アサシン「17年くらいか…私よりも長い」
商人「僕が生まれるよりも前なんだ…」
アサシン「私にしてもたった一人の肉親だったのだが…失ってしまうと胸が張裂けそうだ」
商人「…なんか放って置けないな」
アサシン「商人…君は知っているか?かつて精霊は最愛の人…勇者を目の前で失ったという事を」
商人「こんな時にどうしてそんな話を?」
アサシン「最愛の人を目の前で失ったとき…もし祈りの指輪で何かを祈るとしたら何を祈る?」
商人「え?…生き返らせたい」
アサシン「祈っても生き返らない場合は?」
商人「また会える事を祈る」
アサシン「どうやって?」
商人「どうやってって…方法なんか分からない」
アサシン「心の中で会えるのだ…だから最後に心の中の永遠を祈る」
商人「それって…まさか…夢幻?」
アサシン「私は魔女に会ってそれを教えてもらった」
商人「伝説では魔王によって夢幻に閉じ込められたって…」
アサシン「それは解釈が少し違う…自ら夢幻に閉じこもったという方が正しい」
情報屋「今の盗賊がまさにその状態ね…」
アサシン「そう…そこから精霊を救い出すのが私たちの目的だったのだが…」
アサシン「正直…目の前の盗賊を救い出すのすらためらってしまう」
商人「救い出すって…」
情報屋「あの姿を見て…現実を認めろって君に言えて?」
商人「そうか…もう少しそっとしておこう」
情報屋「私も心が痛むわ…」
ザブーン ザブーン
254 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:54:24.45 ID:s4Ww8Seh0
『船首』
ユラーー ギシギシ
盗賊「なぁぁぁんも見えねぇなぁ…ルル〜ルラ〜♪」
女盗賊「…」
アサシン「…」
盗賊「お前も飲むか?ヒック」
アサシン「気が済んだか?」
盗賊「…ちいと考えたんだがよう…俺ぁもうお前とは組まねぇ」
アサシン「どうする気だ?」
盗賊「さぁな?なぁぁぁんも考えられねぇ…気ままにやるさ」
アサシン「巻き込んで悪かった…許してくれ」
盗賊「そんなこたぁ言ってねぇよ…只なんだ…俺が守りたかったものに気が付けなかった自分が許せねぇんだ」
アサシン「それは私も同じだ…」
盗賊「帰る所無くなっちまったんだ…どうすっかなぁぁ」
アサシン「女盗賊なら何て言うと思う?」
盗賊「何回も聞いてるんだけどよぅ…返事しねぇんだ」
アサシン「しっかりしてくれ!!盗賊らしくないぞ!?」
盗賊「黙れ!!お前に何が分かる!!妖精も魂も俺には見えなかった…どっか行っちまった…俺の魂もどこにあんのか分かんねぇ」
アサシン「良く聞け…女盗賊の魂はな…どこにも行っちゃいない!お前の中に居る!!」
盗賊「んぁ?分けわかんねぇ事言うな!!お前の与太話はもう聞き飽きたんだよ」
アサシン「正直…愛する人を目の前で失うのがこれほど辛いとは思わなかった…だから!!」
盗賊「だから何だよ」
アサシン「だからせめて夢の中だけでも会いたい!!それが夢幻なんだ」
盗賊「ケッ与太話かよ」
アサシン「与太話なんかではない!!目を閉じて思い出してくれ…掛け替えのない記憶を…そこに魂を感じてくれ」
盗賊「知ったような事を…俺ぁもう騙されねぇぞ」---知ってるさ…あいつならこう言う---
---なに渋い顔してるの?---
---私はもう良いのよ?---
---あの子たちを見捨てるつもり?---
---あとはお願いね---
アサシン「知ったような事を言ってしまって済まない…ただお前を突き動かすのは女盗賊の魂だ…信じてくれ」
盗賊「…一人にさせてくれ」
アサシン「あぁ…」
------------------
255 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:55:01.38 ID:s4Ww8Seh0
盗賊「はぁぁぁぁ…何だこんな所に居たのか…居るなら居るって言ってくれやぁ」
盗賊「分かってるって…やりゃ良いんだろ?」
盗賊「只よぅ…見返りが少くねぇっていうかな?俺ぁお前と酒が飲みてぇだけなんだ」
盗賊「分かった…ほんじゃ次は何欲しいんだ?何でも盗ってきてやる」
盗賊「お?そりゃ良いな…みんなでバーベキューかぁ」
盗賊「分かった用意するわ…そん時歌ってくれな?」
盗賊「おいおい…そりゃ無ぇぜ…じゃどうすりゃ良いのよ?寝ろってか?」
盗賊「そういや随分寝て無ぇな…わーったわーーったんじゃ少し休むわ…約束は守れよ?」
256 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:55:40.42 ID:s4Ww8Seh0
『デッキ』
ザブーン ギギギ ギギギ
商人「フンッ…」グルグル
情報屋「船の操作は初めてかしら?」
商人「うん…舵取りしか分からないよ…陸地を見失わないようにちょっとだけね」
情報屋「あと3日くらいで港町だと思うわ」
商人「へぇ…地理も詳しいんだ…アレ?…目をどうした?」
情報屋「もしかして腫れてるかな?」
商人「うん…泣いてたんだね」
情報屋「私とした事が…少し心揺さぶられちゃってね」
商人「盗賊の事か…」
情報屋「見直したわ…盗賊の事…彼って本当に不器用でひた向きで…まっすぐなんだなって」
商人「ハハ…やっぱり僕は子供だったよ」
情報屋「君は彼の養子…にあたるのかな?」
商人「んんん…どうなんだろう?孤児院から引き取られた…それって養子になるのかな」
情報屋「年齢的には親子でもおかしくないわね」
商人「君は?僕は君の事を何も知らないよ…見た感じ20台後半くらいかな」
情報屋「失礼ね!!って言いたいところだけど当たり」
商人「情報屋って言うくらいだから色んな事知ってるんでしょ?」
情報屋「まぁね…でももうコネクションは使えないし振り出しに戻ったかな」
商人「興味あるんだー情報屋っていう仕事に」
情報屋「今なら何でも教えてあげるぞ?少年」
商人「少年って言い方やめてよ…僕は商人だよ」
情報屋「こだわりあるんだね?どうして商人なのかな?少年」
商人「…あのね…まぁ良いや…実はね夢幻の記憶のほとんどを思い出したんだ」
情報屋「夢幻?…その情報が聞きたいの?」
商人「きっと僕の方が良く知ってると思う…今知りたいのはズバリ君は誰?」
257 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:56:11.70 ID:s4Ww8Seh0
情報屋「え…難しい質問…その情報は持ってないわ」
商人「ハハハ答えられないかwwww良いんだよ…そう言うと思ってたよ」
情報屋「私の方が聞きたいわ…その夢幻の記憶って言うのを」
商人「正直言うと僕も結構混乱しているんだ…どこからどこまでが正しいか分からないんだよ」
情報屋「アサシンが言うにはみんな同じ夢を見ているって言うけど…本当なの?」
商人「時間軸が違うだけだと思う…多分みんな同じさ」
情報屋「私は思い出せない…何かコツとかある?」
商人「そうだな…昨日見た夢は僕もなかなか思い出せない…そうじゃなくて生まれるよりももっと前を思い出す感じ」
情報屋「生まれた時の記憶も無いのにそんなことが出来るの?」
商人「記憶を探っているとある時…そういえば50年前にこんな事があったって急に思い出す」
情報屋「50年前…」
商人「その記憶に集中すると次々と色んな出来事を思い出す…すごく遠い記憶…でも覚えてる」
遠い記憶だから顔はうっすらとしか覚えていない
でもその時感じた感情や聞いた言葉はしっかり残ってる
僕が何をしたのかも…僕が誰だったのかも
ただ君が誰だったのかはなかなか思い出せないんだ
情報屋「君って…私のこと?」
商人「君もそうだし他の人もみんな…僕の記憶の中の誰だったのか中々紐づかないんだよ…不思議だよね?」
情報屋「そうね…その夢幻の記憶というのは幸せな記憶?」
商人「一言じゃ言えないかな…いつも苦しんでる…でもその中に幸せは確かに有った」
情報屋「そっか…私がいつも見る夢もそんな感じだった気がする」
商人「お?やっと自分の事を話し始めた…もっと教えて?」
情報屋「フフ情報ありがとう…とても興味深いお話だったわ」
商人「なんかズルいなぁ…結局君から何も聞き出せていない」
情報屋「じゃぁ一つだけ…私が生まれたのはずっと南の大陸にある古都キ・カイ」
商人「知ってる知ってる!超古代文明の遺跡がある所だね!!その話聞きたい!!もっとお話ししようよ」
情報屋「ウフフ…それじゃぁこれは知ってる?…」
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258 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:56:44.16 ID:s4Ww8Seh0
『荷室』
ゴソゴソ ゴソゴソ
商人「何の音かと思ったらアサシンだったのか」
アサシン「あぁ商人か」
商人「探し物?」
アサシン「物資の確認だ…どうやら水が不足している」
商人「もう無い?」
アサシン「樽に半分…ギリギリ3日という所か」
商人「港町まであと3日くらいだって情報屋が言ってたさ」
アサシン「下船出来るかが問題だ…レイスが沢山居るようでは子供達を連れて下船など出来ん」
商人「塩はどれくらいある?」
アサシン「塩は貴重品だから魔方陣を無駄に作るのは得策では無い」
商人「…そうか状況によっては塩が入手出来ないという事か」
アサシン「ほう…察しが早いな…なぜ分かった?」
商人「太陽が出ていないと塩の生産が出来ない…岩塩があるなら別だけど」
アサシン「ふむ…お前は商人の才があるようだ」
商人「この闇の世界では雨が降らないのも問題だね…穀物も家畜も死に絶える」
アサシン「そこまで読んでいるか…ではお前ならどう生き残る?」
商人「100日分の水と食料の備蓄は結構大変だねぇ…少人数なら良いけど」
アサシン「資金もあまり余裕が無いのだ」
商人「川に近い漁村でひっそり暮らすのが良いかもね…魚が十分獲れる前提だけど」
アサシン「やはり生き抜くのは厳しい環境と言わざるを得ない…か」
商人「僕の考えでは世界の人口は半分以下まで減ると思う」
アサシン「さらりと恐ろしい事を言うのだな」
商人「物流が完全停止してるんだから当然かな…今資金が無いのは僕たちには致命的だよ」
アサシン「一旦シャ・バクダまで戻らねばならんな…」
商人「魔女の所へは?」
アサシン「気球を使えばシン・リーンを経由してシャ・バクダまで1週間…それくらい持たせる資金はある」
商人「ジリ貧かな…早く行動しないと」
アサシン「耳が痛い…お前は16歳にしては良く考えているな」
商人「ハハまぁね…こういうのは得意なんだ」
259 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:57:10.38 ID:s4Ww8Seh0
トンテンカン トンテンカン
商人「!!?お?」
アサシン「盗賊…」
商人「良かった…立ち直ったみたい」
アサシン「すまんが私は盗賊に会わせる顔が無い…行ってやってくれんか?」
商人「分かったよ…きっと大丈夫さ」
アサシン「そうだと良い」
260 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:57:38.64 ID:s4Ww8Seh0
『甲板』
トンテンカン トンテンカン
商人「やぁ盗賊!!元気になったかい?」
盗賊「あぁぁぁ頭痛てぇ…飲み過ぎたらしい」
商人「手伝うかい?」
盗賊「あたりめぇだろ!!娘たちはどうした!?呼んで来い…俺ぁまだ横になりてぇんだ」
商人「呼んでくるよ」
盗賊「子供達も全員連れてこい!!ロープの縛り方やら何やら教える事がいっぱいあるんだ」
情報屋「私もやるよ!!」
盗賊「おぅ!ネーちゃん助かる!!んん?どうしたぁ!?乙女な顔すんじゃねぇ!!」
商人「ハハハ盗賊!!情報屋のヒミツを知りたくないかい?」
盗賊「おぉ…ガセネタじゃ無ぇだろうな?」
商人「確かな情報さ…フフフ古都キ・カイに行った事あるかい?」
盗賊「おう!!こないだ行って来たんだ…アサシンと一緒にな」
商人「へぇ…それは聞いて無かった」
盗賊「で…どんなヒミツなんだ?」
商人「ズバリ言うよ…ホムンルクス」
盗賊「おぉ…聞いた事ある…アレだ人口生命体ってやつだ…どっかに眠っているらしい」
商人「それを盗みに行かないかって言う話なんだ…」
盗賊「マジか!!ちょい待て…それと情報屋のネーちゃんとどういう関係があるんだ?」
情報屋「おいコラコラ…人に言って良い話じゃないぞ!!」
盗賊「俺は商人と話してんだ割って入ってくんな」
商人「続けるよ?…ホムンルクスを手に入れた報酬は情報屋を自由にして良いっていう条件さ…つまり体のすべてのヒミツが手に入る」
盗賊「奴隷になるってんだな?…よし乗った…只なぁちょい先約があるんだ」
商人「先約?」
盗賊「先に片づけねーといけねー問題があってな…その後で良いか?」
商人「構わないよ…行けるようになったら言って欲しい」
情報屋「あのね…」
盗賊「さぁ!!遊びはここまでだ…早く娘と子供たちを呼んで来い!!」
商人「行ってくる」タッタッタ
261 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:58:10.23 ID:s4Ww8Seh0
『港町の桟橋』
ザブーン ギシギシ
盗賊「こっちの方はレイスの被害があまり出ていないようだな」
アサシン「衛兵がこちらに気付いた様だ」
盗賊「接岸するぞ?」
アサシン「…なるほどアレは衛兵の恰好をしているが恐らく魔法師だ」
商人「見て!!あそこの光…光の魔法でレイスを焼き殺しているんだ」
盗賊「そりゃ頼もしいな…だが一般市民は見当たらんな」
商人「魔法師が居るとなると魔方陣での安全地帯も期待出来るね」
盗賊「碇降ろし始めてくれぇぇぇ!!接岸する」
ギギー ガコン
アサシン「衛兵と話をして来る…少し待っていてくれ」
------------------
------------------
------------------
------------------
アサシン「下船許可が出た…私は商人と一緒に物資調達に出たいのだが盗賊はどうしたい?」
盗賊「確か丘の上に教会があったはずだ…ちとそこまで行ってくる」
アサシン「一人で行くのか?」
盗賊「女盗賊を背負って行く…蘇生魔法があるなら生き返らせる」
アサシン「…」
商人「魔術書によると蘇生魔法は…」
盗賊「うるせぇ…こいつは俺の女だ…他の奴の指図は受けねぇ」
情報屋「私はどうしよう?」
アサシン「盗賊と一緒に行動してくれないか?人を背負った状態ではレイスと戦えまい」
盗賊「娘と子供たちは留守番だ…まぁ船の中なら安全だろ」
アサシン「決まりだな?情報屋…このミスリルダガーを持って行け…対レイス用の護身用だ」ポイ
盗賊「無理に宿をとるより船の方が安全だ…集合は半日後に船…良いか?」
アサシン「構わない」
盗賊「お〜い!!娘達!!土産買ってくるから子供達を頼んだ!!」
娘達「ムキーー」
262 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:58:40.24 ID:s4Ww8Seh0
『港町』
シーン
盗賊「こりゃ買い物は期待出来ねぇな…」
情報屋「丘の上の教会までどのくらいかしら?」
盗賊「すぐソコだ…もう見えてる」
情報屋「本当に蘇生出来ると思っているの?」
盗賊「出来る事を最後までやるだけだ…バカにすんな」
情報屋「この闇の世界は亡くなった人も傷んで行かない様ね」
盗賊「それが最後の望みだ…普通なら1日経たずに腐って行きやがる」
情報屋「あなたのやっている事は見ていて本当に美しくて痛い」
盗賊「そりゃありがとよ…只まぁ哀れな男の末路だ…恥ずかしくて見せれん」
情報屋「うらやましい…」
盗賊「悪りぃな…俺は恥ずかしい」
情報屋「そんな事言って良いの?…彼女聞いてるよ?」
盗賊「あぁそうだったな…やべぇな…もう知らないって怒り出す…いやもう怒ってる」
情報屋「フフフ」
盗賊「着いたぞ…こりゃ参ったな…死体だらけじゃねぇか」
情報屋「埋葬が間に合っていない様ね…蘇生出来るならこんな風には…」
盗賊「言うな…それでも良いんだ…行くぞ」
263 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:59:10.27 ID:s4Ww8Seh0
『丘の上の教会』
ガチャリ ギー
盗賊「誰か居るか〜?」
僧侶「はい…どのようなご用件でしょうか?」
盗賊「おぉ僧侶が居るのか…もう死んで5日程経ってるんだが…蘇生魔法で生き返らせれないか?」
僧侶「こちらのご婦人ですね?」
盗賊「そうだ…頼む!!」
僧侶「蘇生魔法は魂が肉体から離れてしまった後では遅いのです」
盗賊「こいつの魂は俺の中にある!!俺が抱いておくから…それでもダメか?」
僧侶「…」
盗賊「頼む!!」
僧侶「それは生きているという事です…蘇生魔法の必要はありません」
盗賊「生きて…居る…だと?」
僧侶「体は亡くなってしまいましたが…その魂は別の体と結合して生きているのです」
盗賊「なら元に戻してくれ」
僧侶「その様な魔法は有りません…ですが祝福をすることは出来ます」
盗賊「祝福するとどうなる?」
僧侶「魂の結合を祝福します」
盗賊「どういう事だか分からん」
僧侶「魂の結合は永遠…それを祝福するのです」
情報屋「…結婚」
僧侶「俗世ではそういう言い方をしますね」
盗賊「違う…そうじゃない…」
情報屋「盗賊!!否定しちゃダメ…彼女は聞いているよ?」
盗賊「…悪りぃ…俺は祝福されたいのか?…お前はどうしたいんだ…いや違う知ってる」
盗賊「お前ならこう言う…そんなの分かってるでしょ?…俺はお前なのか?」
僧侶「…どうされますか?」
盗賊「…頼む」
僧侶「立会人はあなたでよろしいですか?」
情報屋「はい…祝福します」
僧侶「分かりました…」
主があなたを祝福しあなたの魂を守られますように
主が御顔をあなたに照らしあなたの魂を恵まれますように
主が御顔をあなたに向けあなたの魂に平安を与えられますように
僧侶「あなた達の永遠を祝福します」
---どうしてこうなった?---
264 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 00:59:38.65 ID:s4Ww8Seh0
『海が見えるあばら家』
ヒュゥゥゥ
情報屋「ここは?」
盗賊「昔使ってた隠れ家だ…様子を見に来たがまだ使えそうだ」ガサガサ
情報屋「良い場所ね…」
盗賊「女盗賊…帰って来たぞ」ヨッコラ セト
女盗賊「…」
情報屋「彼女をどうするの?」
盗賊「教会の外で野ざらしには出来ねぇからしばらくここに居させてやるんだよ」
情報屋「埋葬しないんだ」
盗賊「落ち着いたら海が見える一等地に埋葬してやるよ…娘と子供達もここで生活できるようにする」
情報屋「それは良い考えね」
盗賊「只な?ここで泥棒稼業は稼ぎが少ねぇんだ…金持ちが居ねぇ」
情報屋「商人にでも転職したら?」
盗賊「その言い方…女盗賊にそっくりだよ…まぁそういう生き方も有りっちゃ有りだ」
盗賊「さて…ちぃとその辺片づけて必要な物盗んでくる…お前は女盗賊と一緒にここに居てくれ」
情報屋「分かったわ…家の中は少し掃除しておく」
盗賊「安全な場所じゃぁ無ぇからレイスには注意してくれ…じゃ行ってくるな」ダダッ
情報屋「いってらっしゃい…」
---2人はこういう風に生活していたんだ---
265 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 01:00:10.10 ID:s4Ww8Seh0
『数時間後』
ヨイショ ヨイショ
情報屋「あら?お帰りなさい…随分沢山盗んできたのね?」
盗賊「おぅ…ちょいと荷を引くの手伝ってくれ…クソおめぇ」
情報屋「押せば良い?」グイ
盗賊「空き家が沢山あってな…資材はこれで困らん」
情報屋「これって馬車よね?馬で引いて来れば良かったのに」
盗賊「逃げたか死んだか…どこにも居なかったんだ」
情報屋「馬車は何処に置くの?」
盗賊「裏の納屋に入れる…片づけは後にして一旦船に戻る」ヨッコラ
情報屋「戻る前に女盗賊に会って行って?」
盗賊「んぁ?何かあったのか?」
情報屋「部屋を片付けていたら多分彼女の昔の洋服が出て来てね…着替えさせてあげたの」
盗賊「おぉそりゃ良い!!着てた物が汚れっぱなしだったな…ふんっ!!」ヨッコラ セト
情報屋「お疲れ様…一人で馬車引っ張るなんて大変だったでしょう?」
盗賊「まぁな…さぁちぃとアイツに会って来るわ」タッタッタ
『部屋』
ギー バタン
盗賊「おぉ…綺麗になったじゃねぇか」
女盗賊「…」
盗賊「顔色も良くなったな」
情報屋「白粉と口紅をちょっとね」
盗賊「ありがとな…俺にはこんな事出来ねぇ」
情報屋「その胸につけてるネックレスは?」
盗賊「こりゃ俺がこいつにやった虹のしずくって言うレアアイテムだ…幸せを呼ぶ物らしい」
情報屋「本当に幸せを呼ぶのね」
盗賊「ヌハハそうだと良いな…さぁ船に戻るぞ…鍵掛けるから先に出ろ」
情報屋「うん」
盗賊「じゃぁ子供達連れて来るまでちぃと待ってろ…すぐ賑やかになるぞ?行ってくるな」ノシ
ガチャリ ガチャ
266 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 01:00:40.58 ID:s4Ww8Seh0
『船』
ギシギシ
盗賊「戻ったぞ!!」
娘1「お帰り〜〜お土産は?」
盗賊「すげぇ土産がある」
娘2「アレ?お姉ぇは?」
盗賊「まだ秘密だ」
娘3「土産って何さ!!手ぶらじゃん」
盗賊「見てからの楽しみだ…ところでアサシンは帰ってるか?」
娘4「船長室で地図眺めてる…それより土産早くヨコセ」
盗賊「分かってる!!お前等!!船降りるぞ…身支度しろ」
娘1「え!?マジマジマジ?」
盗賊「子供達も全員身支度させろ…10分でヤレ」
うおぉぉぉぉぉみなぎってキターーー
ムキーーーーーー
ドタバタ ドタバタ
『船長室』
盗賊「戻ったぜ…そっちは物資買い付け済んだのか?」
アサシン「あぁ十分では無いが30日程度の食料は確保した…そっちは用事済んだのか?」
盗賊「まぁな…で…昔使ってたあばら家を子供達が住めるようにしてきた」
アサシン「船から降ろすのか?…良い案だ」
盗賊「馬車に荷物積んでこれから出て行く」
アサシン「…お前はどうするつもりだ?」
盗賊「商人にちと頼みたいことが合ってな…あばら家を魔方陣で安全に守ることが出来たなら一旦船に戻って来る」
アサシン「盛り塩で作るなら直ぐに風化してしまうな…得策では無い」
盗賊「これだ…」ガチャリ
アサシン「それは?…ゾンビ退治用の銀の杭か?」
盗賊「そうだ…これを地面に打って魔方陣に出来るならあばら家は安全になる」
アサシン「なるほど試してみる価値ありだな」
盗賊「お前も来るか?」
アサシン「私は荷物の到着を待っている必要がある…お前達だけで行ってこい」
盗賊「そうか…みんなでバーベキューしたかったんだがな」
アサシン「肉はあるのか?」
盗賊「盗んできた食い物がある…荷物受け取ったらお前も来い」
アサシン「場所が分からんな」
盗賊「情報屋!!お前はあばら家の場所を覚えているな?後でアサシン連れて来い」
情報屋「分かったわ…おいしいごちそうを楽しみにしておく」
盗賊「じゃ…船に積んでる酒も持って行くぜ?もうこの船には必要無いだろうしな」
アサシン「もう魔方陣が上手く行く前提なのだな…」
盗賊「やってダメなら戻って来る…簡単だろ?」
267 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 01:01:11.20 ID:s4Ww8Seh0
『馬車』
ワイワイ ワイワイ
盗賊「よっし全員乗ったな!?」
娘「いえ〜〜〜い!!」
子供達「ワイワイ…キャッキャ」
盗賊「これからお前たちの新しい家に行く!!その名はユートピア」
娘「ゆーとぴあああああ!!」
盗賊「出発!!」パシン ヒヒ〜ン
商人「ハハハ良いのかい?こんなに期待させて…」
盗賊「お前の魔方陣次第だ…失敗はゆるさん」
商人「ハードル上げないでくれよ」
盗賊「塩の代わりに銀の杭…俺にしちゃナイスアイデアだろぅ?」
商人「まぁ退魔作用のある物なら何でも良いみたいだから…多分上手く行くね」
盗賊「どんだけ大きく作れるもんなんだ?」
商人「正確に測量出来れば大きさに制限は無いらしい…杭の数と質量次第かな」
盗賊「測量か…糸は10メートルくらいしか持ってないな」
商人「20メートル四方で作れば良いかな…十分でしょ」
盗賊「その銀の杭で数は足りるか?」
商人「…今計算してる…もっと入手出来るの?」
盗賊「出来るっちゃ出来るが…あまり盗んで足が付くのもイカン」
商人「ハハハ…全部盗んで来たんだ?」
盗賊「俺ぁドロボーだ…それしか能が無ぇ」
商人「今はね物価がものすごく上がっているんだ…今盗んだ物はとても貴重だと思うよ」
盗賊「そんな杭でもか?」
商人「この杭も武器になるよね?そのうち必ず価値が上がる」
盗賊「なら盗むなら今の内か」
商人「ハハハそうとも言うけど…ほどほどにね」
268 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 01:01:36.48 ID:s4Ww8Seh0
『あばら家』
もうちょっと右…そうソコ!!
次で最後…向こうの木の根元あたり
この辺か?
糸をちゃんと引っ張って…そうそうそう
あと2歩右…ソコソコソコ
盗賊「これで井戸も範囲に入ってるか?」
商人「多分イケてる」
盗賊「結構広いな…しかし…効果が出ているのか分からん」
商人「上を見て」
盗賊「お?…光か?ここだけ光が届くのか?」
商人「驚いた…退魔の魔方陣は工夫すれば闇を祓えるという事だ…どういう理屈なんだろう」ブツブツ
盗賊「なんだか分からんが最高のユートピアになったじゃねぇか」
商人「良かったね」
盗賊「おーい!!子供達!!出てきて良いぞーー!!」
子供達「わーい!!」ゾロゾロ
娘達「うぉぉぉぉーーー」ドタバタ
盗賊「納屋に家財道具が入った馬車がある!!好きな物出して好きな所に置けぇ!!」
商人「みんなあんまり遠くには行かないで!!」
うおぉぉぉぉーーー
ムキーーーー
テンヤ ワンヤ
-----------------
-----------------
-----------------
269 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 01:02:15.15 ID:s4Ww8Seh0
『庭』
ジュージュー
商人「やっぱりバーベキューは最高だね」パク モグ
盗賊「もうちっと旨い肉だと良かったんだがな」ガブガブ
娘1「お姉ぇにも持って行くね」
盗賊「そうしてやってくれぇ」
商人「アサシン達遅いね」
盗賊「噂をしてれば来るんじゃねぇか?ヌハハ」
商人「そういえば情報屋の事なんだけどさ」
盗賊「なんだ?」
商人「情報屋になったいきさつ…どうやら本気でホムンルクスを探しているらしいんだよ」
盗賊「あの話は冗談では無いのか?」
商人「聞いた話の受け売りなんだけど…ちょっと気になってね」
盗賊「なんで又お人形さんなんか欲しいんだ?」
商人「魂の器になってるとか…」
盗賊「ほう…てことは女盗賊の魂を入れれば動き出すって算段か?…それなら俺も関わらせろ」
商人「それが出来るかどうか分からないけど…彼女が言うには精霊の魂を入れる器になるらしい」
盗賊「…なるほどアサシンがあのネーちゃんを連れまわしてる理由がそれだな?」
商人「多分ね」
盗賊「でもそれじゃぁ情報屋がお人形さんを欲しがる理由の説明になって無ぇ」
商人「彼女の本当の職業は考古学者なんだよ」
盗賊「道理でお前等と話が合う訳だ」
商人「精霊起源説が専門なんだってさ…彼女はすごい詳しいよ」
盗賊「俺にゃあんまり興味のない話だな」
商人「あ!!噂をしてれば何とやら…」
アサシン「…これはどういう事だ?なぜ光が差す?」
情報屋「あらぁぁすごく良くなったじゃない」
商人「僕もビックリだよ…さぁさぁ2人ともそこに掛けて食べよう」
情報屋「じゃぁお言葉に甘えて…ウフフ」モグ
アサシン「…分かったぞ…これは魔女の所と同じ環境だ」
商人「へぇ〜〜そうなんだ…僕も行ってみたいな」
アサシン「食事が終わったら気球で向かう」
盗賊「今日くらいゆっくりして行けば良いじゃねぇか」
アサシン「そういう訳にも行かないのだ…港町の状況から推測してシャ・バクダの状況はもっと悪いと推測している」
商人「僕もそう思うよ…最悪全滅してる」
アサシン「シャ・バクダには銀も魔法も無い…戦う手段が無いうえに自給できる食料も乏しい」
商人「水も無いね」
アサシン「物流が商隊に依存しているのが致命的だ…逃げ場が何処にもないのだ」
270 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 01:02:45.01 ID:s4Ww8Seh0
盗賊「ちぃぃ…今から酒飲もうと思ってたのによ」
アサシン「酒なら気球の中でも飲めるでは無いか」
情報屋「この小さな家では子供たちが寝たら私達が横になる場所なんかないわ…」
盗賊「まぁそうなるな…しゃーねぇ行くか」
商人「魔方陣が上手く行って安全そうだから娘たちに任せてしまって良さそうだね」
盗賊「おい!娘1!!今日からお前が女盗賊の代わりをヤレ…みんなの母さん役だ…出来るな?」
娘1「またどっか行くの?」
盗賊「大丈夫だ…用が済んだらすぐ帰って来る」
娘1「誰か来たらどうすんのさ?」
盗賊「お前が判断しろ…このミスリルダガーを渡しておく…何かあったらコレで子供たちを守れ」ポイ
娘1「魔物と私が戦うの?マジで言ってる?」
盗賊「大丈夫だ…女盗賊はそうやってお前たちを守って来たんだ…今度はお前の番だ」
商人「何かあっても家の中に逃げれば魔物は追って来ないよ」
盗賊「食い物は納屋の中に入れてある…上手い事節約して食え」
娘1「…分かった」
盗賊「それから俺の持ち金を預けておく…少しづつ使うんだぞ?いいな?」
娘1「心配しなくて良いよ…お姉ぇにいろいろ教えてもらったからさ」
盗賊「…ちょっと待て…知らん男を家に連れ込むのだけはヤメロ…俺が帰れなくなる」
商人「アハハハ」
娘1「ちょ…そんな訳無いじゃん」
盗賊「女盗賊とはそれが原因で揉めたんだ…もうやめてくれ」
娘1「お姉ぇは仕事なんだからしょうがなかったんじゃないの!?」
盗賊「ああああもう良い!兎に角だ…家族だけしっかり守れ…いいな?」
娘1「分かってるってうっせーな」
情報屋「ウフフ家族って良いね…うらやましい」
盗賊「じゃ食ったら行くぞ!!」ガブガブ
271 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 01:03:19.01 ID:s4Ww8Seh0
『気球』
盗賊「よし…荷物これで全部だな?上げるぞ!!」
フワフワ
商人「初飛行…うまく飛びます様に」
情報屋「いきなり本番なんだ…怖いなぁ」
盗賊「テスト飛行なんかやってる暇無ぇんだよ…落ちるときゃゆっくり落ちるから安心しろ」
アサシン「私も気球の操作には慣れて置かないとな」
盗賊「気付くのが遅せぇんだよ…次から自分でやってみろ」
アサシン「縦帆の操作が分からん…どうやるのだ?」
盗賊「とにかく触って勘で掴め!風の受け方で進み具合に差がある…あとは風向きの先読み…これは経験だ」
商人「ちょっと!!マズイかも…レイスが飛んで来る」
盗賊「何ぃ!!飛ぶなんて聞いてねぇ!!アサシン!!俺は気球の操作で忙しい…なんとかしてくれ」
アサシン「分かっている…商人!!なんとか魔方陣を作れないか?」
商人「塩が足りない…銀が欲しい!!何か持ってない?」
盗賊「銀なんか持ち歩いてる訳無ぇだろ!!他に何か無いのか!!」
商人「銀砂とか水銀とか?」
盗賊「んなもん無ぇって…ん?銀貨!!ぬあぁぁぁぁぁ全部置いて来ちまった」
情報屋「私持ってる」ジャラリ
商人「ナイス!!って僕も持ってたよハハハ」
盗賊「ハンマーがある!!こいつで床に打ち込んどけ!!」ポイ ドサリ
商人「少し時間頂戴」
アサシン「来るな…ギリギリまで寄せて倒す…レイスが近くに来ても焦るな」
情報屋「私はどうすれば…」
アサシン「見張りだな…複数体来ると厄介だ」
盗賊「戦闘はアサシンに任せて良い…何も出来ん奴に見えるが戦闘だけは敵うやつが居ねぇ」
アサシン「一言多い」ダダッ サク
レイス「ンギャアアアーーー」シュゥゥゥ
272 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 01:03:48.76 ID:s4Ww8Seh0
情報屋「上の方に沢山居る…数え切れない」
盗賊「地上より空の方に多い訳か」
アサシン「考え方を間違っていたかもしれん…剣士達は気球を使っていない可能性も出てきたな」
盗賊「よそ事考えてないでしっかり戦えい!!」
アサシン「分かっている…お前たちにレイスは近づけさせん」ダダッ サク ンギャアーーー
盗賊「これ以上高度上げると陸地が見えなくなる…もう速度は上げれん」
アサシン「振りきれる速さでは無いな…商人!魔方陣はまだか?」
商人「もう出来るよ…これで最後」トントントン
商人「これで良い筈」
情報屋「レイスは一定の距離で集まってる」
商人「…これだけ集まってると気球から降りるに降りられなくなりそう」
アサシン「何故空の方にレイスが多いのか…」
商人「理由がありそうだね?」
アサシン「温度が高いのが苦手…いや気圧か?」
商人「空に居た方が良い理由がある…違うなそこじゃなきゃいけない…なんでだろう」
アサシン「地上には少ない…うーむ」
商人「もしかしたら地下には居ないのかもね」
情報屋「古代文明は必ず地下にあるの…それって安全だから…よね?」
商人「分かったよ…空に行くほど狭間が深い…地上に行くほど浅い…つまり地下は狭間から遠いっていう事だ」
アサシン「商人…君は賢いな」
情報屋「古代人は厄災の時に起きる闇から逃れる為に地下に都市を作った…謎が一つ解けた」
商人「みんなを避難させる場所は地下が良いね」
情報屋「進化論での人魚の発生も説明が付く…これは大発見よ」
アサシン「我々が生き延びるヒントがこんな所で分かるとは…」
商人「確かめるまではまだ断定出来ないよ…何か方法無い?」
アサシン「思い当たるのはシャ・バクダ遺跡しか無いな…しかし深部への入り口はまだ発見していない」
盗賊「おい!!そういう話は後にしてマズこの状況をどう乗り切るか相談してくれぇ!!」
商人「盗賊?多分僕たちは魔方陣の中に居る限り何処に居ても安全だよ」
盗賊「うじゃうじゃ居るレイスに囲まれて居てもか?見て見ろ!!100じゃ効かねぇぞこりゃ…」
商人「百でも千でも安全な所からやれば全部処理できると思うな…レイスはこっちに手を出せないんだし」
アサシン「ハハハ君はさらりとスゴイ事を言うね…君の言うとおりだ」
盗賊「なら気にせず普通に着陸すりゃ良いってか?マジで言ってんのか?」
商人「そうだね…囲まれていても安全に変わりはない」
盗賊「お前…女盗賊が死んでから人が変わったみてぇだな…俺にタメ張りやがる…あいつの影響か…」
商人「そうかい?昔からこういう風だよ…昔からね」
盗賊「わーったよ…もう俺は何も言わねぇ!!」
商人「じゃぁ続けようか…」
273 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 01:04:19.90 ID:s4Ww8Seh0
古代文明と言えば確か光の国シン・リーンの地下にもあった筈だよね?
良く勉強したのね?そうよ…ただし深部への扉を開く方法がまだ未発見なの
他には無いの?
古都キ・カイは深部へ入る事は出来るけれどここからは遠すぎる
そもそも地下深く穴を掘ると水で埋まってしまうなぁ…
人間の力だけでは20メートルも掘るのが限界ね
やっぱりシャ・バクダ遺跡が現実的だね
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274 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 01:04:46.08 ID:s4Ww8Seh0
『追憶の森上空』
フワフワ ビュゥゥゥ
盗賊「このまま高度下げていくぞ!」
商人「やっぱり仮説通りだ…レイスがこちらを見失って数が減り始めている」
盗賊「どういうこった?」
商人「アサシンが言うには狭間の深さで時間の流れが違うらしい…だから時間の向こう側が見えなくなる」
盗賊「空が黒い理由がそれだってか?」
商人「多分ね…このまま高度を下げればどんどんレイスは見えなくなっていくよ」
アサシン「魔女に教わったのだ…その原理を利用してエルフの森や魔女の住処を隠しているそうだ」
盗賊「魔女の住処の場所は分かってんのか?」
アサシン「一度行った事があるのだが妖精の案内無しでは迷うかもしれん」
盗賊「俺ぁ妖精が見えねぇんだけどよ…お前には見えてんだろ?今居ねぇのか?」
アサシン「空が落ちて以降一度も見ていない」
商人「そういえばそうだね…全然見なくなったなぁ」
盗賊「お前も見えてたんか!!」
商人「レイスに捕まらないように隠れて居るのかもね」
アサシン「まぁ心配するな大体の場所は覚えている」
盗賊「このまままっすぐ降りて良いのか?」
アサシン「もう直ぐ先に森の切れ目がある…草原に出るから適当な林を見つけてそこに降りてくれ」
275 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 01:05:19.77 ID:s4Ww8Seh0
『追憶の森』
フワフワ ドッスン
盗賊「なんだよレイス一匹しか居ねぇじゃねぇか…心配して損したぜ」
アサシン「私が倒してくる…魔女は北の方角だ…直ぐに出発するから準備してくれ」
盗賊「商人!!気球を隠すから手伝え…情報屋は適当に木材拾って集めてほしい」
ンギャアアアーーーー シュゥゥ
アサシン「この道をまっすぐ行って目印を見つけたら右に林を入っていく」
盗賊「この道は馬車が通った跡があるじゃねぇか」
アサシン「シン・リーンの王家が魔女と精通しているのだ」
盗賊「てことはハチ合わせる可能性もあるな」
アサシン「ハチ合わせてもどうという事は無い…私はすこし面識があってな」
盗賊「王家とか?マジかよ…」
アサシン「…と言っても子供なのだがな」
盗賊「面識があっても意味無ぇじゃねぇか」
アサシン「まぁそう言うな…体は子供でも精神年齢は私よりずっと上なのだ」
情報屋「シン・リーンの王家は魔術の修行で精神と時の門へ入ると聞きました…もしかして」
アサシン「そうだよシン・リーンの姫だ…40年ほど修行したと聞いた…あれから4年…」
盗賊「意味わかんねぇな…」
アサシン「ずっと修行を続けていれば80年程という事になるか」
盗賊「計算が全然合わんのだが…」
商人「木に御札が貼ってある…目印ってコレの事かい?」
アサシン「そうだ…そこを右に分け入って20歩ほど歩いた先に入り口がある」
商人「20歩…なんか細かいね」
アサシン「20歩以上歩いてしまったら迷っている…そういう事だ」
商人「へぇ面白いね」
アサシン「ここから先は一歩づつ離れない様に歩いてくれ…一歩間違うと迷う」
盗賊「へいへい…」
情報屋「不思議ね」
1歩 2歩 3歩…………20歩
276 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 01:05:52.80 ID:s4Ww8Seh0
『魔女の塔』
盗賊「うぉ!!なんだココ!!いきなり昼間…」
情報屋「お花畑と…塔!!これは遺跡の一部だわ!!」
アサシン「迷わず来れたな…しかし様子がおかしい」
盗賊「なんでだ?隠れるにゃ良い場所じゃねぇか」
アサシン「魔女からの挨拶が無い…ゴーレムも居ない…もしや」
情報屋「ここは火の光が差すのね…花を見て来て良いかしら?」
アサシン「待て…私から離れるな」
情報屋「あら?ミツバチ…」
盗賊「何か居る気配は無ぇぞ?」
アサシン「ゆっくり塔まで進む…私の後ろから離れるな」テクテク
商人「なんか安全そうだね…おかしな感じはしないけど」
アサシン「いや…やはりおかしい…妖精も居なければ鳥も居ない」キョロ
盗賊「静かっちゃ静かだが…あの塔に魔女が住んでるのか?」
アサシン「魔女!!私だ…アサシンが来た」
シーン…
盗賊「誰も居なさそうだな」
アサシン「私たちは案内されて居ないのだが…仕方あるまい行って見るか」
盗賊「そんなに気にする事か?」シュン スト!!
アサシン「!!!!」
盗賊「うぉ!!…矢だ」
??「動くな!!」
商人「女の声」
盗賊「にゃろう危ねぇじゃねぇか…」スラリ
アサシン「待て盗賊…武器を抜くな…相手がどれくらい居るのか分からん」
??「今のは警告だ…引き返せ」
アサシン「魔女に会いに来た…私は魔女に面識がある…お目通り願いたい」
??「魔女はもう居ない…亡くなった」
アサシン「それは本当か?」
??「繰り返す…引き返せ」
アサシン「お前は誰だ!?なぜここに居る…姿を現せ」
??「これ以上近づくと[
ピーーー
]事になる…引き返せ」チラリ
盗賊「エルフだ…やべぇな」
アサシン「エルフよ!!この場所をどうするつもりだ?」
シュン ザク
277 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 01:06:27.54 ID:s4Ww8Seh0
アサシン「ぐぁ!…」
盗賊「アサシン!!」
女エルフ「エルフと人間は戦争中だ…ここに近づくことは許さない」シュン ザク
盗賊「がぁ!!…腕やられた」
商人「まずいね…塔の上からだと一方的だ」
アサシン「相手がエルフでは部が悪いか…下がる」
商人「僕たちは引き返す!!もう撃たないでくれ」
アサシン「エルフよ…最後に一つだけ…器は古都キ・カイに在ると魔女に伝えてほしい」
女エルフ「魔女は…もう居ない…立ち去れ」
盗賊「1匹しか姿を見せなかったがどう思う?」
アサシン「アレは囮だな…おそらく他にも数匹隠れて居る…戻るしかない」
商人「対話しようとしたら撃って来るのって…なにか隠してる気がする」
盗賊「そうだな…俺らを生きて返すっていうのも解せん」
アサシン「もともとエルフは殺生を好まない…普通なら捕らえられる…返すという事は理由がある筈」
商人「魔女の塔には魔女が住んでる以外に何かある?」
アサシン「情報屋がアレは遺跡だと言ったな?」
情報屋「遺跡の一部よ…もしかすると地下への入り口があるかもしれない」
商人「なにか不可解だなぁ…」
盗賊「ひとまず気球に戻って怪我の手当てが先だ…アサシンは腹に矢を食らっている」
アサシン「急所は外れている…死にはせん…それより魔女が居ないとなると…手詰まり」
盗賊「一旦シャ・バクダへ戻るのか?」
アサシン「そうなるな…剣士達はそちらへ戻っている可能性もある」
盗賊「俺ぁちと考えたんだがよう…ここで降りる」
アサシン「…どうするつもりなんだ?」
盗賊「港町に残した子供たちが心配なんだ…あいつらを放っておけん」
アサシン「ううむ…」
盗賊「こんな状況じゃ泥棒やってる場合でもねぇし商人でもやって子供達を守ってやりてぇ」
アサシン「盗賊ギルドを抜けるのか?」
盗賊「抜けるって訳じゃねぇが今は協力出来ねぇ…女亡くして心の整理もつかねぇし」
アサシン「分かった…私は一旦本部へ戻って体制づくりをやる…盗賊は港町に残した船の管理を頼む」
盗賊「あの船は俺が自由に使わせてもらうぜ?まぁ…港町に来たら又寄ってくれぇ」
アサシン「商人!お前はどうする?」
商人「僕は元々盗賊の養子さ…僕も港町に戻って商人をやるよ」
アサシン「そうか…残念だが仕方あるまい」
盗賊「そうだな…100日経って闇の世界が開けたら又連絡する…それで良いか?」
アサシン「こちらからも連絡を送る…話は決まったな?」
盗賊「よう情報屋のネーちゃん…いろいろありがとよ…恰好悪い所を見せちまった
278 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/15(火) 01:07:03.37 ID:s4Ww8Seh0
情報屋「こちらこそ…家族の絆を見せてもらって良い経験をしたわ」
盗賊「まぁ…アサシンの事頼むわ…俺には手に負えんかった」
アサシン「おいおい…」
盗賊「んじゃここで分かれよう…おい商人!!今から馬盗みに行くぞ…付いてコイ」
商人「え?今?レイス来たらどうするの?」
アサシン「盗賊!!ミスリルダガー持っていくか?」
盗賊「要らねぇよ…俺にぁ銀の杭がある!これで十分だ…さぁ付いてコイ」
商人「ちょっと待ってよ…僕あんまり走れないからさぁ…」
盗賊「2Kmくらい東に小さな村があんだ…まずそこまで行くぞ」タッタッタ
商人「おーい!!待って」タッタ
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アサシン「さぁ…私たちは気球で本部へ戻るぞ…」
情報屋「一人で気球の操作は大丈夫かしら?」
アサシン「やってみる他にあるまい」
情報屋「私も手伝うわ」
アサシン「ハハハ当然じゃないか…君は私の助手だ」
情報屋「矢の傷は大丈夫?」
アサシン「これくらいはどうという事は無い…さて…行こうか」
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白狼の盗賊団編
完
279 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:12:14.99 ID:JyBdSu8i0
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280 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:13:00.75 ID:JyBdSu8i0
『セントラル』
---事件当日---
ドーーーーン ドーーーーーン
女戦士「外郭で大砲を撃っているのか…外で戦闘が始まったか…」
女エルフ「ドラゴンが居ない…」
女戦士「恐らく雲の上だな」
女海賊「戻りぃぃ!!…マントとフード持ってきたよ」
女戦士「よし…戻ったか」
女海賊「早く羽織って…女エルフもほら」ファサ
女戦士「似合うか?」ファサ
女海賊「超かっけー…んで…こっちはどうなってる?」
女海賊「今しがた第二皇子とダークエルフが戻った」
女海賊「指輪は?」
女戦士「恐らくダークエルフが所持していると思われる…そうだな?女エルフ」
女エルフ「左手に握ってる」
女戦士「剣士!!準備しておけ」
剣士「分かってる…もう姿を消しておいた方が良い?」
女戦士「そうだな…私達にも見えなくなってしまうから立ち位置に注意してくれ」
女エルフ「ダークエルフの会話…様子がおかしい」
女海賊「え…この距離で聞こえてんの?」
女エルフ「約束が違うって…」
女海賊「なんかヤバそうだね…話してるのは王様かなぁ?」
女戦士「そうだ…国王を囲んでいるのが近衛…アレが近くに居る間は手を出さん方が良い」
女海賊「近衛が武器構えだしたって事は…女エルフ!!会話聞こえてるんでしょ?何言ってんの?」
女エルフ「指輪の破壊をダークエルフがやる条件だったのに渡せって言われて…」
女海賊「あ!!!王様が…倒れた」
女戦士「ダークエルフに首をはねられた様だ…やはり今は状況を見ているしかないな…」
女海賊「やっぱ近衛に取り押さえられるね」
女エルフ「左手を切り落とされた…指輪はあそこ」
女戦士「まだ待て」
女戦士「衛兵が集まって来出したな…ん?あれは…あれは法王だな」
女エルフ「国王への手当てを指示してる…まだ死んで居ない様子」
女海賊「お…法王が指輪を拾った」
女戦士「よし…チャンスが来るぞ…剣士!!法王の後を付けてチャンスを見て指輪を奪え」
剣士「分かった」
女戦士「奪った後は姿を消して下水まで直行しろ…女エルフは剣士の姿が見えなくても気配で追えるな?」
女エルフ「うん」
女戦士「では剣士!!行ってこい」
剣士「…」シュタ シュタッ
281 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:13:42.11 ID:JyBdSu8i0
『法王庁』
女戦士「よし…法王は一人で法王庁へ戻って行くな?」
女海賊「法王庁の裏に衛兵2人…あそこは逃走に使える」
女戦士「女エルフ!!あの二人を弓で狙えるか?」
女エルフ「大丈夫…でも…」
女戦士「今は情けを考えるな…ヘッドショットで即死させろ」
女エルフ「…」
女海賊「法王が正面の扉から中に入って行った」
女戦士「よし…付いて行ってるな?そろそろ動き出すぞ」
女エルフ「私…」
女海賊「ねぇ!!法王庁の中で光!!何か起こってる」
女戦士「ちぃぃぃ…穏便には行かんか…女エルフ早くヤレ!!剣士が危険だ」
女エルフ「ごめんなさい…」ギリリ シュン シュン
女海賊「他の衛兵はまだ気づいてない…どうしよ?」
女戦士「女エルフと女海賊は法王庁の裏口で中の様子を探れ…私は逃走ルートを確保しておく」
女海賊「らじゃり!!…女エルフ行くよ」タッ
女エルフ「う、うん」タッ
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----------------
女戦士(よし…定位置に付いたな?)
ゴゥ ドーーーーーーン
女戦士(外郭か…ん!!?上か!!)
女戦士「なにぃ!!!ドラゴンライダーだ…と?」
ゴゥ ドーーーーーーン
282 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:14:26.51 ID:JyBdSu8i0
敵襲!!敵襲!!
ドラゴンライダー複数!!
戦闘態勢いそげぇぇぇ
弓だ!!弓で近づけるなぁあああ
信号弾撃てぇぇぇ!!
ゴゥ ドーーーーーーン
女戦士「ライダー8匹…圧倒的では無いか…」ボーゼン
女戦士「はっ!!見とれている場合では無い…」ダダッ
女戦士「女海賊!!撤収だ!!」
女海賊「ヤバイヤバイヤバイヤバイ…」
女戦士「女エルフはどうした!!中か!?」
女海賊「ああああああ魔王が!!魔王が!!」
女戦士「!!?こ、これは!!空が落ちる!!」
女海賊「ヤバイ剣士が狂ってる…」
女戦士「伏せろ!!ブレーーース」
ゴゥ ドーーーーーーン パラパラ
女海賊「剣士が死ぬ!!私も行ってくる!!」ダダダッ
女戦士「待て…ちぃぃ三人とも中か…私はここで動けんでは無いか」
---冷静になれ---
---中の衛兵は全員倒れている---
---中央に居るのが法王---
---奴に流れ込んでいる影…アレが魔王か?---
---女エルフは光の矢をつがえて…---
---剣士はどこだ?…法王の足元…倒れている---
---待て…法王の腕が無い---
---シュン! バシュ!---
283 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:14:55.46 ID:JyBdSu8i0
---法王を光の矢が貫いた---
法王「うがぁぁぁぁぁ」ヒデブ
女エルフ「剣士!!」グイ
女海賊「女エルフ!!剣士背負って5秒で裏口!!爆弾点火」
女エルフ「…」ヨッコラ
女海賊「5」
女エルフ「くぅぅぅ」ダッ
女海賊「4」
女戦士「私が盾になる!!」ダダッ
女海賊「3」
女戦士「早く行け!!」
女海賊「2…お姉ぇ耐えて!!」
女海賊「1」
ドコン!ドコン!ドコン!ドーーーン!
女海賊「ギリセーフ!!女エルフこっち!!」グイ
女エルフ「ハァハァ…」タッタッタ
女海賊「お姉ぇ!!先行くネ!!しんがりヨロ…あと3秒で煙幕」
女戦士「ぐふっ…つぅぅ」---盾が無ければ死んで居るな---
女海賊「お姉ぇ!!聞いてんの!?」
女戦士「今行く…」
女海賊「煙幕!!早く下水まで!!」モクモクモク
284 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:15:25.41 ID:JyBdSu8i0
『下水』
ゴゥ ドーーーーン
女海賊「はぁぁぁギリ間に合った…お姉ぇわ何やってんの?」
女戦士「下水の蓋を開けられん様に細工だ…先に行け…直ぐに済む」ガチャガチャ
女海賊「女エルフ!?剣士は大丈夫そう?」
女エルフ「死んでは居ないと思う」
剣士「…」グッタリ
女海賊「早く帰ろ…ここはヤバイ」
女戦士「指輪はどうなった?」
女エルフ「私が持ってる」
女戦士「よし…無くすなよ?」
女海賊「急にいろいろ始まって何が何だか…」
女戦士「混乱している今が撤収チャンスだ…走れ!!」
女海賊「お姉ぇ!!怪我は?」
女戦士「回復魔法をもらわないと直に死ぬレベルと言えば分かるか?」
女海賊「ヤバ…」
女戦士「今は無駄口叩いていないで走れ…」
女エルフ「前にラットマンと人間…ハァハァ」
女戦士「走り抜けろ」
女海賊「そういえば剣士ってクッソ重いんだよなぁ」
女エルフ「うん…重い」
女戦士「回復魔法をもらえれば私が背負う…出来るか?」
女エルフ「お願い…回復魔法!」ボワー
女戦士「ふぅぅ…助かった…な」ヨッコラ
女海賊「お姉ぇやせ我慢してたな?」
女戦士「なるほど…剣士は重いな」タッタッタ
女海賊「んん?正面!!衛兵がなんか黒いのと戦ってる」
女エルフ「レイス…」
女海賊「なんでレイスが居る訳?…まって出口がなんか暗い!!」
女戦士「女エルフ!!光の矢を準備しておいた方が良い」
女エルフ「わかった…照明魔法!」ピカー
女海賊「外の気球飛ばすのに5分は掛かる…女エルフ!足止め5分お願い」
女エルフ「うん…やってみる」
285 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:15:56.29 ID:JyBdSu8i0
『下水出口』
女海賊「ちょ…マジか…陸に上がってたクラーケンが城まで登って行ってる」
女戦士「ライダー8匹とクラーケン…これは地獄だ」
女海賊「これさぁ…女盗賊探す余裕なくね?」
女戦士「無事を祈れ…この状況では無理だ…想定外が過ぎる」
女海賊「そこら中で戦闘になってる…」
女戦士「見ろ!!ドラゴンライダーが城に取り付いたぞ」
女海賊「早すぎる…こっちに気付く前に離脱しないと」
女戦士「こちらも無事では済まんぞ…レイスが来た」
女エルフ「早く気球へ行って…ここは私が食い止める」ギリリ シュン!
女海賊「5分稼いで!!」
女戦士「走るぞ!!」タッタッタ
レイス「ンギャアアアーーーー」
女エルフ(分かってる…ここは狭間の奥)ギリリ シュン!
女エルフ「照明魔法!」ピカー
女エルフ(そしてこれは100日の闇)ギリリ シュン!
女エルフ「照明魔法!」ピカー
女エルフ(調和の時が来る…)ギリリ シュン!
女エルフ「照明魔法!」ピカー
女エルフ(ハイエルフが恐れていた事が…始まってしまった)ギリリ シュン!
レイス「ンギャアアアーーー」シュゥゥ
286 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:16:28.66 ID:JyBdSu8i0
『気球』
フワフワ
女戦士「女エルフ!!飛び乗れ!!」
女エルフ「…」ピョン
女海賊「おっけ!!一旦海風に乗る…女エルフ!!風魔法で援護ヨロ」
女エルフ「風魔法!」ヒュゥー
女戦士「よし西方面から回り込んで北に行け…砂漠を中央突破してシャ・バクダへ戻る」
女海賊「りょ…ところで今ずっと狭間に居るっぽいけどどうなっちゃってんの?」
女エルフ「…これは」
女戦士「お前は剣士と法王のやり取りを見たな?話せ」
法王は祈りの指輪を使って神に助けを求めたの
そして何処からか声が聞こえてきた
「汝は調和を望むのか?ならば名を呼べ」
次に法王は名を訪ねた
その声はこう答えた
「我は調和の神…名を魔王」
法王は不思議そうに「…魔王?」と呟いた
その声は「器はどこだ?」と答えたその瞬間
剣士が法王の腕を切り落として指輪を奪った…
声は続けて「汝が器か?我来たれり…」と言い
黒い影が剣士に流れ込んだ
剣士は狂ったように暴れた後に倒れた直後
魔方陣のペンダントが光り始めて
その影は剣士から溢れ出てきた
行き場を失った影は近くに居た法王に入ろうとした
そこで私は光の矢を撃ち法王と一緒に影を倒した
287 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:17:02.10 ID:JyBdSu8i0
女エルフ「多分…魔王の復活は阻止できた…でも調和の闇は来てしまった」
女戦士「ではやはりこの闇は200年前に起きた100日の闇だと言うのだな?」
女エルフ「…」コクリ
女海賊「これってさぁ誰の目から見ても魔王復活に見えると思うんだ」
女戦士「その通りだ…事態は深刻だ」
女海賊「世界全体が狭間に落ちたって事はレイスがヤバイね…みんなやられる」
女エルフ「ハイエルフが恐れていた事…」
女海賊「アダマンタイトで反転出来ないかなぁ?」
女戦士「巨大なアダマンタイトが何処にある?」
女海賊「重力魔法のメテオストライクでさぁ…」
女戦士「それがいわゆるかつての大破壊なのではないか?」
女海賊「むむ!!て事はシャ・バクダ遺跡の魔方陣は…」
女戦士「恐らく魔女様が作った安全地帯…そこに人を避難させる必要がある」
女海賊「超急いだほうが良いね…女エルフって剣士みたいにこの闇でも方向わかったりしない?」
女エルフ「私は千里眼の使い方が分からないの…」
女海賊「んんんん困ったなぁ…砂漠の上じゃ目標物も無いしなぁ」
女エルフ「妖精が居れば…」
女海賊「お!?虫は?…ハチミツ用にって思ってハチの巣が少しある…幼虫なら居るかも」
女戦士「何故ハチミツなんぞ必要と思った?」
女海賊「違うって…木材にくっ付いてたんだよ…ハチの幼虫は妖精になんない?」
女エルフ「お話してみる…成長魔法で今育てる」
----------------------
----------------------
----------------------
女海賊「…あのね…コレ本当に妖精?」ブーン
女エルフ「妖精の一種…花のある方向が分かるの」
女海賊「砂漠に花ねぇ…オアシスのサボテンとアロエくらいか」
女エルフ「向いている方向に花があるって言ってる」
女戦士「概ね方向は合って居そうだし信じる他あるまい…オアシスにあるヤシの木も花を付けるぞ」
女海賊「このミツバチはどれくらい生きる?」
女エルフ「狭間の中に居れば何年も…どうして?」
女海賊「このミツバチ欲しくなった最強ミツバチに育てたい」
女エルフ「ウフフあなたって変わった人ね…話しておいてあげる」
288 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:17:30.14 ID:JyBdSu8i0
『オアシス上空』
ビョーーーウ
女戦士「よし…狭間を抜けた…やはりここは安全だ」
女海賊「こっちの方まで逃げて来てる人がもう居るね」
女戦士「一旦星の観測所まで行って若い衆に指示を出しておきたい」
女海賊「それにしても剣士はずっと寝っぱなしだけど大丈夫かな?」
女エルフ「…」
女海賊「前にもこんな事あったんだ…セントラルの地下カタコンベ行って剣士が狂った」
女エルフ「剣士の魂を感じないの…どこに居るのか分からない」
女海賊「それって結構ヤバイ事?」
女エルフ「もしかすると魔王の影に連れていかれたのかもしれない」
女海賊「だったとしたらあんたが剣士やっちゃったってことになるじゃん」
女エルフ「ごめんなさい…」
女海賊「あの後魔王の影は何処に行ったのさ?あんた見て無かったの?」
女エルフ「散らばって闇に消えて行った」
女海賊「その中に剣士の魂も居たって事?」
女エルフ「私も必死だったから分からないの」
女戦士「シャ・バクダの民の誘導が終わったらすぐに魔女様の下へ行く…魔女様に聞いてみよう」
女海賊「なんか心配になって来たなぁ…イライラする」
女戦士「剣士が動けん今は魔方陣のペンダントは女エルフが持て…剣士が持っていては動きに制限がでる」
女エルフ「うん…」
女戦士「観測所に着いたら私は剣士を背負って一旦気球から降りる」
女海賊「うちらどうする?」
女戦士「シャ・バクダと周辺の商隊にこちらへ向かうように仕向けてほしい」
女海賊「おっけ」
女戦士「あともし出来るなら物資調達も頼みたい…恐らくこれからひどく物資不足が予想される」
女海賊「わーってるわーってる…うまくやるよ…これで良い?」
女戦士「任せた」
289 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:18:20.91 ID:JyBdSu8i0
『星の観測所』
ガヤガヤ ガヤガヤ
女海賊「お姉ぇ…ここに衛兵まで来てんじゃん…降りて良いの?」
女戦士「構わん!降ろせ」
女海賊「気球捕られたくないからさぁ…ギリギリまで行くから飛び降りて」
女戦士「仕方ない…砂の斜面で頼む」
女海賊「おけおけ」
女戦士「…よし!剣士…いくぞ」ヨッコラ
女海賊「3…2…1…飛んで!!」
ピョン!! ズザザー
女海賊「つつつ…」
男「かしらぁ!!…大変っす」タッタッタ
女戦士「分かっている…まずこの男を観測所まで運びたい…手を貸せ」
男「うっす!!…歩きながらで良いんで状況を…」グイ
女戦士「頼む」
男「セントラルから戻って来たんすよね?あっちぁどうなってるんすか?」
女戦士「あちらも魔物に攻められて大混乱だ」
男「やっぱ魔王の復活っすか?」
女戦士「いや…魔王復活は阻止した…だが影響は出ている」
男「本当っっすか!?…もう魔王復活の噂でみんなビビりまくりっすよ」
女戦士「正確には阻止した筈…そんなところだ…それでこちらはどうなっているのだ?」
男「黒い魔物が突然現れて大混乱っすよ…どうやっても倒せない」
女戦士「オアシスに避難してきているのだな?」
男「そうっす…みんな着の身着のまま逃げて来てるっす」
女戦士「衛兵も来ている様だが…領主の隊はどうなっているのだ?」
男「領主は何処に行ったか分からんっす…もう指揮系統が壊滅してて衛兵もやる気ナスって所っすわ」
女戦士「ギルドの方は上手くごまかしているのか?」
男「一応義勇団って事でシャ・バクダ周辺を回ってるんすけどね…黒い魔物がどうにも…」
290 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:18:53.23 ID:JyBdSu8i0
女戦士「よし…当面はそのまま義勇団で行こう」
男「あざっす…で…これから何か考えあるんすか?」
女戦士「黒い魔物…あれはレイスと言ってな…倒し方は恐らくゾンビと同じだ」
男「まじっすか…でも銀の武器なんかあんまり無いっすよ?」
女戦士「銀貨を集めて鍛冶屋に作らせろ…矢尻が材料少なくて済むな」
男「弓っすか?」
女戦士「矢尻をスピアヘッドにして槍にも出来る…これを戦えるもの全員に配れ」
男「分かりやした」
女戦士「銀の武器で戦える者が集まり次第レイス討伐隊を組む…観測所前に集合させるんだ」
男「マジっすか…」
女戦士「荷を運ぶラクダも集めて置け…2時間で出来るか?」
男「分かりやした」
女戦士「ここで衛兵に義勇団振りを見せつけるぞ…しっかり働け?」
男「アイサー!!」
291 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:19:24.39 ID:JyBdSu8i0
『観測所前』
ガヤガヤ ガヤガヤ
女戦士「諸君!!私は義勇団長だ!!」
女戦士「これよりシャ・バクダに行きレイス討伐と生き残りの保護及び物資の調達へ向かう!!」
女戦士「レイス討伐は先に配布した銀の槍と銀の弓を用いて戦う…その他の武器は使用しない事!!」
女戦士「各自槍持ちと弓持ちで今からペアを組み基本的に2人1組でレイスと戦え」
女戦士「矢の予備に余裕が無いため必ず持ち帰る事!!」
女戦士「隊列はウェッジフォーメーションとする!!私より前に出ない様に!!」
女戦士「では出発する…」
-----------------
-----------------
-----------------
男「いやぁぁ皆やる気マンマンっすわ…やっぱかしらはすげーっすね」
女戦士「ハハ褒めるな…それよりラクダの数が少ないのが気になる」
男「みんな着の身着のまま逃げてるんっすよ」
女戦士「まぁ仕方ないか…これは物資運搬は何往復もしなければならんな」
男「要領が分かれば他のオアシスに居る連中も来てくれるかもっす」
女戦士「それに期待するか…しかし私は何時までもここには居れんのだ」
男「またどっか行くんすか?」
女戦士「うーむ…アサシンからまだ連絡は無いのか?」
男「相変わらずっす」
女戦士「私はこの闇の祓い方を聞きにシン・リーンの魔女の所まで行きたいのだ」
男「そういやなんでオアシス周辺だけ闇が来ないんすかね?」
女戦士「恐らく魔女が掛けた退魔の魔法のお陰」
男「そりゃ早くやり方聞きたいっすね」
女戦士「この戦い…2〜3日続けて慣れたらお前に指揮が出来るか?」
男「マジっすか…」
女戦士「いやむしろ盗賊ギルドメンバー全員が指揮をとれるようになってもらわんと困るのだが」
男「そりゃどういう意味で?」
女戦士「レイスに襲われているのはここだけでは無いという事だ…」
男「近隣の町全部行く訳っすね?…そりゃ英雄だ」
女戦士「しがない盗賊が英雄になるのだ…悪い話では無い」
男「こりゃ初戦にすべて掛かってるっすね」
女戦士「その通り!!兎に角うまく物資調達をして皆に配れば良い評判もたつ」
男「調達は得意分野っすもんね?」
女戦士「まぁ上手くヤレ」
292 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:19:58.73 ID:JyBdSu8i0
『シャ・バクダ上空』
フワフワ〜
女海賊「お姉ぇ!!もうみんな避難してこの辺に生きてる人居ないっぽい」
女戦士「…そうか」
女海賊「こっちの方は順調?」
女戦士「運搬に問題がある…気球でまとめて運んでもらいたい」
女海賊「おっけ!!今着陸させるから詰めるだけ積んで」
女戦士「うむ…その間に女エルフに回復魔法を頼めんか?」
女エルフ「私は人間の前で顔を見せて良いの?」
女戦士「その方が良いと判断する…見せておきたいのだ敵では無いという事を」
女エルフ「うん…それならやってみる」
女海賊「あんたさぁ…あのクソ男どもに顔見せたらどうなるか分かってる?」
女エルフ「本当はイヤ…でもそんな事言って居られないと思うの」
女戦士「大丈夫だ…手を出す奴が居たら私が静止させる」
女海賊「お姉ぇ衛兵に見つかったらマジヤバイと思うんだけど」
女戦士「まぁ見ていろ…一番頑張って一番傷を負っているのが衛兵だ…癒してみろ」
女エルフ「うん…」
女海賊「もう知らないかんね…降ろすよ」
フワフワ〜 ドッスン
293 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:20:33.80 ID:JyBdSu8i0
女戦士「全体!!気球に集合して荷を積め!!」
女戦士「治療師が来ている!!怪我をしている者は速やかに来い!!」
女戦士「女エルフ…来い」
女エルフ「…」テクテク
女戦士「治療が欲しい者は居ないか!?」
衛兵「あぁ腕の出血が応急ではちと厳しい…今縫って貰いたい…痛つつ」
女エルフ「回復魔法!」ボワー
衛兵「…え?…い、今のは?」
女戦士「他に居ないのか!?」
衛兵「お前…エルフじゃないのか?…いやエルフだ…どうして」
女海賊「ハイ!!痛く無くなったら行った行ったぁぁ…質問はナシ!!」
おい今の光…
あれエルフじゃないのか?
マジか
ちょ行ってくる
女海賊「ハイ!寄ってらっしゃい見てらっしゃい…回復が終わったらありがとう忘れんなよ〜!!」
男「あっしも怪我してるっす〜ココ痛いっす〜」
女エルフ「回復魔法!」ボワー
男「マジっすか!?ちょちょちょ…かしらぁどういう事っすか?」
女戦士「こういう事だ…回復が終わった者は周囲の監視を怠るな!!」
女戦士「手が空いている者は気球に荷を運び入れろ!!」
ゾロゾロ ゾロゾロ
女エルフ「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
------------------
------------------
------------------
女海賊「よっし!私らは荷物持って一回帰るね!!また来るから荷物まとめといて〜バハハ〜イ」
男達「うおぉぉぉぉぉ」
294 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:21:01.95 ID:JyBdSu8i0
『星の観測所』
ガヤガヤ ガヤガヤ
女海賊「なんか速攻噂広まったポイね…行列できてんじゃん」
女戦士「うむ…良いのか悪いのか」
女海賊「向こうのオアシスからも人来てるよ…女エルフあんなに魔法使って大丈夫なのかな?」
女戦士「少し休ませるか…」
女海賊「私が言って来るよ…今日は閉店だってね」
女戦士「そうか」
------------------
女海賊「女エルフ?そろそろ終わろ」
女エルフ「まだ大丈夫…ふぅ」
女海賊「ほら疲れてんじゃん」
女エルフ「ここに居る人で終わりにする」
女海賊「あんね…キリ無いから…向こうのオアシスからこっちに向かってる人見えてる」
女エルフ「…」
女海賊「ハイ!皆さん今日はオシマイ!!彼女はもう疲れてるからちっと休ませてネっと…はい行くよ」
野郎「んあぁぁ並んで待ってたんだよ…もうちょっと続けろよ」
女海賊「んだとコラ!!あんた何処痛いんだよ!!見せて見ろ!!」
野郎「うるせーガキだな」
女海賊「こんなカスリ傷で並ぶなって〜の…あんたも!!あんたもあんたも!!何回も並んでんじゃねぇ!!」
女エルフ「女海賊?良いの…もうすこし頑張る」
女海賊「ダメダメあんなのに魔翌力使ったらもったいない」
女エルフ「でもホラ…怪我のひどい人も並んでるから」
女海賊「よし分かった…回復が必要かどうか私が判断する…女エルフは私の後ろに居て」
女海賊「ルールを説明する!!軽い怪我は私のハグ…何回も並んでる人は私のパンチ…回復必要な人はエルフ…これで行く」
野郎「マジかよ…」
女海賊「何か文句あっか?」
野郎「ありありだモルァ…俺はお前のハグなんて要らねぇ」
女海賊「ブチッ!…分かったハンマーでパンチして大怪我してエルフ…良いな?」ブン ボカッ
野郎「ちょ…いでぇ!!」
女海賊「さっきあんた私の事ガキって言ったよね?」ブンブン ボカッ バキッ
野郎「ぐぇ!!マジでやんなよ…うがぁ!!」
女海賊「あーダメダメ…ハンマーじゃ大怪我になんない…この鉄槌で行く」ブン グチャ
野郎「ごふっ…やべて」
女海賊「はい!!エルフ行きぃ!!こんな感じネ皆さんヨロピコ」
ザワザワ ザワザワ
295 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:21:27.98 ID:JyBdSu8i0
『部屋』
剣士「…」
女海賊「…」グイット
女戦士「女海賊!無理やり目を開けるな…」
女海賊「だってさぁ…女エルフはずっと手ぇ握ってんじゃん…私も何かやらないと悔しいんだけど」
女戦士「瞑想中だ…大人しくしていろ」
女海賊「先に剣士見つけたのは私なんだけど…剣士とずっと一緒に居るのは私なんだけど…夢の中でも」
女戦士「嫉妬か?見苦しいぞ」
女海賊「本当なんだよぅ…剣士を一番知ってるのは私なんだよぅ」ブツブツ
女戦士「夢幻か…私も今日隊を指揮していて既視感があってな…いつもあんな事をしていた様に思う」
女海賊「夢の中でも剣士を誰かに取られちゃうんだよムカツク夢」
女戦士「お前は剣士の事がそんなに好きなのか?」
女海賊「お姉ぇだから言うけどさ…子供の頃からずっと剣士に背中を暖められてるんだ」
女戦士「ハハお前からそんな言葉が出るとはな」
女海賊「こいつの赤ちゃん生みたいんだ…でも秘密にしておいて」
女戦士「私から言っておいてやろう…そういうのは早く伝えておいた方が良い」
女海賊「ちょダメダメダメ剣士の方が年下なんだから私が気まずくなる」
女戦士「まぁお前の悔しい気持ちは分かった…今日は添い寝で背中を暖めてやれ」
女海賊「そうする…お姉ぇはあっち行ってて…見ないで欲しい」
女戦士「添い寝などどうという事でもあるまい?」
女海賊「うち等の暖め方は背中の肌と肌くっつけるの…恥ずかしいからあっち行ってて」
女戦士「…」
---そういう心の合わせ方もあるのか---
---やっている事はエルフと同じだな---
296 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:21:55.94 ID:JyBdSu8i0
『夢』
私「商船の航路に入ってるからこのままいけば絶対すれ違うハズ…もう安心して」
あなた「もう漂流何日目だろう…」
私「数えてなかったね…でもどうでも良いじゃん?生きてるんだし」
あなた「ごめんね頼りにならなくて」
私「良いんだ…あんたが居てくれるだけで私は暖かいんだ」
あなた「僕も暖かいよ」
私「あんた無口だけど大分話してくれる様になったし」
あなた「…まだ思い出せないんだよ」
私「導きの声ってのは?」
あなた「聞こえるよ…今は目を覚ましてって」
私「それ絶対精霊の声だよ!勇者よ…目を覚ましてってね」
あなた「何か…違う気がする…どうやって目を覚ませば良いのかも分からない」
私「あんたいっぱい魔法使えるし剣も使えるし…絶対本物の勇者だから自信持って」
あなた「う、うん」
私「あんたと一緒に旅して…もう1年以上…魔王島から逃げてやっぱりまだ生きてて…」
あなた「不安になってる?」
私「生きてて良かったなーってさ…何日も漂流してても楽しいんだ…あんたと一緒ならさ」
あなた「ありがとう」
私「ぅぅぅさぶくなってきた…暖めてよいつもみたいに」
あなた「僕の方が恥ずかしいんだ…そっち向けない」
私「しょうがないじゃん…着る物は縦帆になっちゃってるんだからさ」
あなた「君は恥ずかしくないの?」
私「もう全部見られちゃってるんだから諦めてる…寒いから背中くっつけて」
あなた「うん…君の背中暖かいね」
私「感じる?」
あなた「…」
私「どうしたの?急に黙って」
あなた「…この感じ…やっぱり本物だ」
私「はぁ?何言ってんの?私はいっつも本物だぞ?おい!!」コチョコチョ
あなた「ちょっとくすぐったいよ…いま感じてる所だから」
私「じゃぁこっちは?」クル ムニュ
あなた「そっちはちょっと…」
私「あんたさぁ…もっと私の温度を感じろよ」
あなた「感じる…君…そこに居るね?」
私「あのね…目の前に要るじゃん何言ってんのさ…ヤルのヤラないの?」
------------------
------------------
------------------
297 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:22:25.68 ID:JyBdSu8i0
『朝』
ガチャリ バタン
女戦士「起きろ!!」
女海賊「ムニャー」ムニャムニャ
剣士「…」
女戦士「…」キック! ドガッ
女海賊「あだ…つうぅぅ…何すんだよ…ててて」ゴシゴシ
女戦士「お前は何故全裸なのだ!!…女エルフ!!何故この変態を放って置く…剣士を寝取られて良いのか?」
女エルフ「あの…気持ちよさそうに寝ていたので」
女戦士「着替えろ!!10分でヤレ」
女海賊「お姉ぇ…私が寝取るってそんな事してない」
女戦士「その格好で言えた口か!!ドワーフ一族の恥だタワケ!!」キック ドガァ
女海賊「あだっ」
女エルフ「剣士に少し反応があったので見ていたの」
女戦士「まだ起きないか…」
女エルフ「私には剣士を探せなかった…何処にいるのか分からない」
女戦士「まぁ良い…急いで魔女の所へ出立する…女エルフは剣士を気球まで運んでくれ」
女エルフ「はい…」
女海賊「お姉ぇ!!弁解させてくれよぅ」
女戦士「黙れ!!この大変な時にお前の恋沙汰なぞどうでも良い!!兎に角今すぐ着替えろ」
女海賊「違うんだって…」
女戦士「うるさい!!お前はその格好を見られて恥ずかしくないのか!?」
女海賊「…恥ずかしく…え?どうして私の夢を知っているの?」
女戦士「お前の夢なぞ知らぬわ!!どうやら痛い目を見ないと言う事が効けん様だな…」スラリ
女海賊「ちょちょちょ…ま…着替えるから!今やるから!!」
女戦士「10分で全部終わらせろ」ブン バチーン
女海賊「いだぁぁぁい!!やめて叩かないで!!」
女戦士「フン!!」ツカツカ
女海賊「…」ブツブツ アーデモナイ コーデモナイ
女戦士「…それからお前!!もう寝ながら自慰をするのはヤメロ…手を洗ってこい」
女海賊「え!?」
ガチャリ バタン
298 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:23:00.89 ID:JyBdSu8i0
『気球』
フワフワ
男「かしらぁ…もう行くんすか?」
女戦士「事態は急を要する…義勇団は引き続き続けて近隣の民を守れ」
男「領主不在なのに勝手にやってて良いんすかねぇ?」
女戦士「構わぬ…民の意がある方に義がある…故に我々は義勇を貫け」
男「わかりやした…それでいつ頃お帰りに?」
女戦士「出来るだけ早く戻るつもりだが…戻らぬ場合も考慮してお前が指揮を取れ」
男「…ですがかしらにも立場が…」
女戦士「私を出し抜いても構わん…とにかくうまくやるのだ」
男「へい…」
女戦士「私がお前の部下でも良いのだよ…アサシンに会ったら良く言っておく」
男「ありがとうございやす…こっちの事は任せてくだせぇ」
女戦士「それが聞きたかった…これで安心して行くことが出来る」
男「死なねぇでくれやんす…あっしはかしらの事が好きなんでやんす」
女戦士「ハハ落ち着いたら酒でも飲もう…酔いつぶれてやる」
男「マジっすか!!」
女戦士「お前も死ぬなよ?…では私はこれで行く」
フワフワ フワフワ
女戦士「ミツバチは魔女の塔の方向を分かっているな?」
女エルフ「大丈夫…花が沢山あるって」
女戦士「よし高度を上げて急げ」
女海賊「…」ションボリ
299 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:23:28.06 ID:JyBdSu8i0
女エルフ「女海賊?平気?」
女戦士「放って置け…そんなアバズレに構うな」
女海賊「アバズレって何さ!!…しょうがないじゃん無意識なんだからさ」
女戦士「目の前に女エルフが居たのだぞ?」
女エルフ「え?何?何の話?」
女海賊「なななな…何でもない…私の剣士を取らないでって話」
女エルフ「取るってそんな…そんなつもり無いの」
女海賊「ごめんね女エルフ…あんたが剣士と仲良くすると腹立つ」
女エルフ「私と剣士はそういうのでは無いの…なんていうか兄妹みたいな…同族と言うのか」
女戦士「エルフの繋がりに嫉妬しているのだ世話を掛けてすまんな?女エルフ」
女エルフ「でもね?私はわかる…剣士と女海賊の繋がりが私よりもずっと強い事を」
女戦士「何故そう思う?」
女エルフ「夢の中…夢幻で私は剣士に一度も会って居ない…だから探せない」
女海賊「分かれば良いんだよ…分かれば」
女戦士「黙れアバズレ」
女エルフ「昨夜剣士と女海賊が横になって居た時剣士がすこし動いた」
女海賊「ほらほらほらほら」
女エルフ「剣士にゆかりのある人なら目覚めさせる事が出来るのかもしれない」
女海賊「え!?…」---目を覚まして…この声を聞いて居たって事なのか?---
女エルフ「…どうしたの?急に呆けて?」
女海賊「剣士は夢の中で心の中で声がするってずっと言ってた…」
女戦士「お前はしっかり覚えているのか?夢を…」
女海賊「…なんとなくね…それで剣士はその声を精霊の声だと思ってる」
女エルフ「私の声のなのかな?」
女海賊「だとすると声は届いてる」
女エルフ「返事をしてくれないの…だからどこに居るのか分からない」
女海賊「ちょっと悔しいけど…声が届くならもっと話しかけた方が良い…と思う」
女エルフ「うん…」
---私と剣士が愛し合ってた時も---
---剣士は精霊の声を聞いて居た---
---だからあの時---
---私の前から居なくなった---
---何だろうこの感情---
---夢の出来事なのに---
---これが嫉妬---
300 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:23:57.41 ID:JyBdSu8i0
『追憶の森上空』
ビョーーーウ バサバサ
女海賊「私の働きバチよ!!もっと働けぇぇぇ」ビシバシ
ミツバチ「…」ブンブン;;
女戦士「ミツバチに八つ当たりをするな…案内人が居なくなっては困る」
女海賊「腹立つんだよ!!女エルフと剣士の関係がさぁ…もうムキーーーーー」ビシバシ
女戦士「お前は本当に見苦しい女だな…」
女海賊「お姉ぇには分かんないよ…ずっと私ガマンしてるんだ…夢の中でも他の女に取られた」
女戦士「剣士の気持ちはどこにあるのだ?」
女海賊「何処って…あんにゃろう!まだ気付いてない!!」
女戦士「それを確認するのが先だろう?」
女海賊「起きたら取っちめてやる!!」プンスカ
女戦士「そろそろ高度落とせ」
女海賊「わーってるよ…女エルフ起して!!やっぱ見てて腹立つ」
フワフワ ドッスン
女海賊「前と同じ場所に隠すよ…女エルフも手伝って!!」
女戦士「長居する気は無い…このまま行くぞ…女エルフ肩を貸せ」
女エルフ「え?あ…はい」グイ
女海賊「気球盗まれたらどうすんのさ?」
女戦士「魔方陣のペンダントは女エルフが持っている…魔方陣無しの気球を誰が盗むというか?」
女海賊「お?…そりゃそうだ」
女戦士「迷わん様にミツバチに案内させてくれ」
ミツバチ「…」ブーン ブンブン
女海賊「私のミツバチに勝手に指示しないでくれる?」
ミツバチ「…」ブンブン プイ
女戦士「お前はミツバチにも振られるのだなハハ」
女海賊「おい待てゴルァ!!」
301 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:24:24.46 ID:JyBdSu8i0
『魔女の塔』
シーン
女戦士「…様子がおかしいな」
女エルフ「魔女様…気配が無い」
女戦士「遅かったか…」
女海賊「魔女の婆ちゃん死んだって事?」
女戦士「分からんが…とにかく行ってみよう」テクテク
女エルフ「誰も居ないみたい…あ!妖精」
女海賊「ん?どこどこ?」
パタパタ パタパタ
妖精「遅っそいよ〜何してたんだよ〜」
女海賊「よっ!!お久ぁぁ」
妖精「魔女様が死んじゃったよ」
女戦士「いつ亡くなったのだ?」
妖精「もう1ヶ月くらい…」
女海賊「あ…そっかここは時間の流れが違うんだ…あれからどれくらい?…」
妖精「2年くらいになる…すぐ戻るって言ってたのにさ」
女戦士「魔女様は今どこに?」
妖精「塔の中で椅子に座ったまま死んだよ…魂は僕が黄泉に案内した」
女戦士「…そうか」
女エルフ「行きましょう…」
妖精「剣士はどこに行ったの?魂が居ない」
女海賊「やっぱ分かる?妖精さんにも探せない?」
女戦士「ひとまず塔に行こう」テクテク
302 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:24:50.09 ID:JyBdSu8i0
『塔』
女エルフ「魔女様…椅子に掛けたまま亡くなったのね」ポロリ
女戦士「机に書置きが残っているな…弟子の魔女宛てだ」
女海賊「何て書いてある?」
女戦士「他人宛てへの書簡を先に読むのは道理に外れる…私には読めん」
女海賊「このままにしておくの?」
女戦士「弟子の魔女を探して連れて来るのが道理…しかし魔女様の骸をこのままにしておくのもな」
女海賊「ねぇ妖精?魔女の婆ちゃんは死ぬ前に何か言ってなかった?」
妖精「剣士達の帰りをずっと待っていたよ…千里眼でずっと見ていた」
女海賊「…だから何か言ってなかったか聞いてんだよ!私の話聞いてる?」
妖精「僕には何も話さなかったよ…でも無言でアクセサリーを沢山作ってた」
女海賊「どこにある?」
妖精「上の部屋だよ」
女海賊「ちょっと見て来るね」タッタッタ
女エルフ「魔女様を埋葬してあげないと…」
妖精「魔女様が入る予定のお墓は生前に作ってたみたい…裏手にあるよ」
女戦士「よし…先に埋葬してからシン・リーンの姫を探しに行こう」
女エルフ「そうね…」
女戦士「無くなって1か月も経ったのにまるで生きている様だ…やはりここでは肉体は腐らんのだな」
女エルフ「剣士はここで待っていてね?」ヨッコラ
妖精「裏まで案内するよ…こっち」パタパタ
女戦士「墓に入れる遺品は何か無いのか?」
妖精「魔女様は一つだけ大事に持っていた石があるよ」
女戦士「どこにある?」
妖精「大丈夫…魔女様の胸に身に着けているよ」
女戦士「…これか…よし一緒に埋める」
303 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:25:21.32 ID:JyBdSu8i0
『墓』
女戦士「…」人
女海賊「…」人
女エルフ「…」人
妖精「…」人
ミツバチ「…」人
女戦士「この狭間に墓が在る限り墓の下で魔女様の骸はずっとこの姿で居るのだろうな」
女海賊「荒らされないと良いね」
女戦士「妖精が案内しなければ誰も来ることはあるまい」
妖精「僕これからどうしようかな?」
女戦士「…そうだな一緒に来い!私たちの目になって欲しい…これからシン・リーンの姫を探す」
女エルフ「剣士は?」
女戦士「女エルフは剣士と一緒にここに残れ…誰も来んとは思うがもし誰か来たら追い払え」
女海賊「ちょ…剣士は私が」
女戦士「ダメだ!お前以外に誰が気球を操作するのだ?そしてここを守るのはお前じゃ役不足だ」
女海賊「ぐぬぬ…おい!女エルフ!!剣士に何かあったら許さないかんね!!」
女エルフ「うん心配しないで?」
女海賊「あんたが一番心配なんだよ…」ブツブツ
女戦士「女海賊!!さっき魔女様の作ったペンダントを持ってきたな?」
女海賊「持ってきた…いっぱいあるよ」
女戦士「女エルフ…この魔方陣に剣士が使った退魔魔法…出来るか?」
女エルフ「印の結び方がちょっと…」
女海賊「魔女の婆ちゃんの部屋に魔術書があったよ…それ見ながらやったら?」
女エルフ「…やってみる」
女戦士「退魔のペンダントがあれば私たちはレイスを気にすることなく行動できる」
女海賊「姫を探すって事は光の国シン・リーンの城?」
女戦士「…そうだな…まずは行って今の状況を把握せねば…」
女海賊「シャ・バクダ遺跡みたいに大きな魔方陣を作って居れば良いけどね」
女戦士「退魔のペンダントが出来たら出発するから下に降りて来い」
女海賊「おっけ!!女エルフ!魔女の婆ちゃんの部屋に行くよ」グイ タッタ
304 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:25:47.71 ID:JyBdSu8i0
『花畑』
ミツバチ「…」ブーン ブンブン
女戦士「お前はこの花畑で休んでいろ…誰か来たら直ぐに女エルフに知らせるんだ」
ミツバチ「…」ブンブン
女海賊「お姉ぇ!!お待たせ…はい退魔のペンダント」ポイ
女戦士「花を踏むな!!この花は魔女様の物だ」
女海賊「あ…ごめ」
ミツバチ「…」ブーン プン
女戦士「お前もちゃんとペンダント持っているな?」
女海賊「バッチリ」
女戦士「塔の戸締りはしてきたか?」
女海賊「アダマンタイトの扉はロックしてきた」
女戦士「忘れ物は無いか?」
女海賊「もう!!うっさいなぁぁ…子供じゃないんだからさ」
女戦士「では行くぞ?」
女海賊「あ!!!ヤバ…妖精置いて来ちゃった…先行っててすぐ行くから」ダッシュ
女戦士「…」orz
女海賊「ゴルァ妖精!!何やってんのさ!!羽ムシルぞ…早くこい!!」
305 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:26:17.76 ID:JyBdSu8i0
『光の国シン・リーン』
ビョーーーーウ バサバサ
女戦士「うーむ…こちらはセントラルと違って落ち着いた物だ」
女海賊「どうする?降りちゃう?」
女戦士「いや…そういえば思い出したのだが前に魔女様の所を訪ねた時の事を覚えているか?」
女海賊「どしたの?」
女戦士「魔女の塔に行く前に馬車を隠れてやり過ごしただろう」
女海賊「三角帽子の姫が馬車に連れられて行ったね…覚えてるよ」
女戦士「たしかその時魔術院に隠れると言っていた気がするのだ」
女海賊「んん〜どうだったかなぁ…その場所知ってるの?」
女戦士「ここより南のハジ・マリ聖堂…そこが魔術院になって居る」
女海賊「ほんじゃそこから行った方が良さそうだね」
女戦士「うむ…この状況を見る限りシン・リーンはさして混乱しては居ない」
女海賊「そだね…きっと魔法使いがいっぱい居るんだね」
女戦士「上手い事魔方陣を使っているのだろう…もし魔術院に姫が居ないのならこちらに来よう」
女海賊「おっけ!進路変える…南方面だね?おい!妖精!!方向教えて」
妖精「妖精使いが荒いなぁ…」ブツブツ
女海賊「羽ムシられたい?高度上げるから方向教えて!!」
妖精「ハイ右…もうちょい右…そこらへん」
女海賊「あんたぁぁぁ!!そんな態度でどうなるか分かってんの!?」
妖精「ふぁ〜あ…女エルフのやわらかいベットが恋しいよ」
女海賊「ムッカ!!あんたまで女エルフが良いのか!!ちょっと来い」グイ
妖精「痛てて…何するのさ」
女海賊「私のベットの方が大きいんだ試してみろ!!」ムギュ
妖精「ちょちょちょ…無理やり押し込まないで」
女海賊「どうだ!!女エルフのより良いだろ!!」
妖精「…なんか…うううぅぅ暑苦しい」
女海賊「そこで大人しくネンネしてな!!フンッ」
306 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:26:54.18 ID:JyBdSu8i0
『ハジ・マリ聖堂』
ビョーーーウ バサバサ
女海賊「お姉ぇ!!見て…戦闘が起きてる」
女戦士「戦っているのは魔術師達だな…なぜ魔方陣を張らんのだ?」
女海賊「でっかいクモがいっぱい転がってる…ちょいマチ…ちっちゃいのがもっと一杯いる!!」
女戦士「アラクネーか…退魔の魔方陣が効かんのか」
女海賊「アレを全部倒すのって無理じゃね?」
女戦士「焼き払う必要があるな…」
ゴゥ ボボボボボ
女戦士「あの魔術師達の近くに降ろせ…助太刀する」
ゴゥ ボボボボボ
魔術師「姫!!上で気球が旋回しています…味方と思われます」
姫「コレ気を抜くでない…このまま後退しながら広場まで誘導じゃ…火炎魔法!!」ゴゥ ボボボボボ
魔術師「気球が降りて来る様です…火炎魔法!!」ゴウ メラ
姫「あの者らを広場から離れる様に誘導せい」
魔術師「はい!!照明魔法!!」ピカー
307 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:27:23.02 ID:JyBdSu8i0
女海賊「光った!!誘導してる…あそこに降ろすよ」
女戦士「私は先に飛び降りる…気球を降ろしたらこちらまで走れ」
女海賊「りょ!!」
女戦士「アラクネーに囲まれるなよ!!」ピョン シュタッ
姫「広場で上位魔法を詠唱する…わらわに敵を近づけさせるで無いぞ?」
魔術師「はい…火炎魔法!!」ゴゥ メラ
女戦士「助太刀!!」シュタ
姫「わらわを守れ…詠唱の時間を稼ぐのじゃ」
女戦士「大型アラクネー2体…どうする?」
魔術師「あれは倒すとクモの子が散る…こちらに来るのを止められるか?」
女戦士「足を切り落とす…」ダダッ ザク ザク
アラクネー「シャーーーー」カサカサ
女海賊「お姉ぇ!!」タッタッタ
女戦士「私は構うな…もう一匹のアラクネーの気を引け」
女海賊「おっけー」タッタッタ ピョン クルクル シュタ ドテ
魔術師「伏せろぉ!!」
女戦士「む?」
女海賊「お?」
姫「竜巻魔法!!爆炎魔法!!」ゴゥ ドーーーーーン ボボボボボ
女戦士「…ボルケーノか」
女海賊「熱ち…あちち」
女戦士「女海賊!魔術師の所まで下がれ…巻き込まれるな!!」
女海賊「やばば…」タッタッタ
チュドーーーン
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308 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:27:49.62 ID:JyBdSu8i0
『広場』
姫「他の魔術隊に大型は処理したと伝令してくるのじゃ」
魔術師「はい…姫はどうされますか?」
姫「わらわは子虫を焼いておくかのぅ…して…主らは誰じゃ?母上の差し金か?」
女戦士「姫はシン・リーンの姫君か?」
姫「そうじゃ…わらわは光の国シン・リーン第一王女…魔女じゃ」
女戦士「失礼…あなたに伝えなければならない事がある」
魔女「わらわは忙しいのじゃ…手短に済ませい」
女戦士「あなたの師匠…塔に住まう魔女が亡くなりました…同行して頂きたい」
魔女「なんと…それはまことか」
女戦士「このペンダントをご覧ください」
魔女「…信じられぬ…時の番人が今…死んだと」
女戦士「あなた宛ての書簡があるのです」
魔女「…」ボーゼン
女戦士「…」
魔術師「姫?この者達を信用して良いのですか?」
魔女「…」
魔術師「姫?」
魔女「魔術師…はよう伝令に行くのじゃ…わらわは一旦この者達と魔術院へ戻る」
魔術師「分かりました…姫の事をお願いします」
女戦士「承知」
女海賊「魔女ちゃん大丈夫?」
妖精「ぷはぁぁぁ…」ヒョコ
魔女「妖精まで居るのじゃな…付いて参れ」トボトボ
309 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:28:19.24 ID:JyBdSu8i0
『魔術院』
もう元老の言うことなぞ聞いて居れん
わらわに安全なぞ要らんのじゃ
今ははわらわが最高位じゃぞ
従わぬのなら命令を下す
魔術院に引き籠っておる者を全員町の警備に回すのじゃ
一人残らず全員じゃ
これは命令じゃ…良いな?
ガチャリ バタン
魔女「待たせたのぅ…して…わらわは早よぅ師匠の下へ行きたい…今すぐ行けるかの?」
女海賊「みんな引き留めてたみたいだけど大丈夫?」
魔女「魔術師が力を合わせればアラクネーなぞどうでもないのじゃ」
女戦士「アラクネーは元々大人しい虫…やはりレイスが現れて粗ぶって居るのか?」
魔女「そうかもしれんが…ミツバチが隠れてしまったからじゃろうと思うておる」
女戦士「…という事はシン・リーンもいずれ…」
魔女「あちらは魔術師が此処よりも更に多いのじゃ…しかし」
女戦士「ん?」
魔女「いや何でもない…早う行くぞよ?…気球に乗れば良いのか?」
女海賊「え…あぁ行こっか」
魔女「そういえば主らの名を聞いておらなんだのぅ」
女海賊「私は女海賊…こっちは女戦士…ほんでこいつが妖精」
魔女「師匠の弟子の一人かの?」
女海賊「まぁ…そうなるかな?私も魔術書持ってるし」
魔女「主の魔翌力はわらわの千分の一も無いようじゃが…錬金術か何かかの?」
女海賊「…そんな事わかるんだ…千分の一…トホホ」
女戦士「ところで魔女…あなたはどうしてその様な格好を」
魔女「魔翌力の解放は10歳程度の体が最大なのじゃ」
女海賊「どゆ事?年齢ごまかしてるの?」
女戦士「記憶が正しければ28歳くらいの筈」
魔女「良く知っておるのぅ…主は何者じゃ?」
女戦士「フフ…ドワーフ王の娘と言えば分かるか?」
魔女「おぉぉ父君は達者であろうか?主らがこの地に居るという事は…勇者がどこぞに居るのじゃな?」
女海賊「お!?話早いかも」
魔女「この闇の空…言うまでもあるまいな」
女海賊「まぁそんな感じで色々ややこしいんだ」
魔女「…ではわらわも姿を見せておくかのぅ…変性魔法!」グングン
女海賊「おおおおおぉ背が伸びた…服がピチパチ」
魔女「この姿になるのは何年振りじゃろうか…他の魔術師達を欺くには丁度良かったかもしれんがのぅ」
女戦士「これで見つからないと思っていないだろうね?」
魔女「着替えて行くので待っておれ…普通の魔術師の法衣じゃ…安心せい」
310 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:29:00.93 ID:JyBdSu8i0
『気球』
フワフワ
女海賊「衛兵達が魔女の事さがしてるっぽいね」
魔女「構わぬ…行って良いぞ?」
女戦士「第三王女がどうとか言っていたが…もしや」
魔女「全部わらわじゃ…これは王家のみ知っている事なのじゃ」
女戦士「ハハハ影武者を使っているとはな」
魔女「母上の策じゃ…わらわはどうでも良い」
女戦士「第三王女が居なくなったとなっては母上も心配するのでは無いか?」
魔女「母上も師匠から教えを受けた魔女じゃ…この闇をみて理解して下さるじゃろう」
女戦士「母上も狭間で修行をしたと?」
魔女「もうわらわの方がずっと長い…母上の年齢はとうに超えてしもうた」
女海賊「魔女って何歳?28歳じゃ無いの?」
魔女「精神的には80を超えておる…体が28歳なだけじゃ」
女海賊「ややこしや〜〜ややこしや」
魔女「魔術師の中では珍しい事ではないのじゃぞ?…さて…主らには聞きたい事があるのじゃが」
女戦士「何かな?」
魔女「そうじゃな…師匠との関係…勇者の事…主らがどこまで知っているのか全てじゃ」
女海賊「どこから話せば良いかなぁ…」
妖精「僕から話そうか…まず剣士と魔女の関わりから」ヒョコ
カクカク シカジカ
----------------
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----------------
311 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:29:32.58 ID:JyBdSu8i0
魔女「…ふむ…大体経緯は理解した…主らがどうしたいのかも」
女海賊「剣士の魂を呼び戻す事は出来る?」
魔女「出来ん事はないが難しいと言わざるを得ん…出来るならとうに精霊は夢幻から戻る筈なのじゃ」
女戦士「精霊の魂を夢幻から解放するのと同じくらい難しいと?」
魔女「そうじゃな…夢幻では自分で夢から覚める事は出来んのじゃ」
女海賊「…だから魔女にお願いしてるんじゃん」
魔女「主らは魂の器を用意してはおらんのかえ?」
女戦士「器?」
魔女「器があれば簡単じゃと師匠から聞いた事があるのでな?」
女戦士「器とは初耳だ」
魔女「精霊の魂もその器が無いと呼び戻せんのじゃ」
女戦士「精霊の像とか精霊樹とかそういう類の物なのか?」
魔女「うむ…しかしあれらはもう器として使えぬ…何度も試しておるのじゃ」
女海賊「剣士の体は?もともと剣士の魂が入ってた器じゃないの?」
魔女「剣士にいのりの指輪を持たせて何か祈ることが出来ると思うかの?」
女海賊「…ムリ」
魔女「そういう事じゃ…精霊の像も精霊樹も自ら祈ることが出来ん…じゃから新たな器が必要なのじゃ」
女戦士「新たな器と言うのは何処に?」
魔女「わらわは知らぬ…師匠なら知っておったかも知れぬが…」
女戦士「…まてよ…アサシンは器がどうとか言って居たな」
女海賊「え?アサシンが何か知ってる?」
女戦士「ミスリルと器を求めに南の大陸に行った…たしかそうだ」
魔女「ほぅ…進展しそうじゃのぅ」
ビョーーーーウ バサバサ
312 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:30:15.37 ID:JyBdSu8i0
『魔女の塔』
ブンブン ブンブン
女戦士「ミツバチ達が戻ってきているな…ん?アレは!!矢だ」
女海賊「どこどこ?本当だ!!」
女戦士「ここで何かあった様だ…急ぐぞ!!」タッタッタ
----------------
女戦士「おい!女エルフ!!居るのか?」
女エルフ「はい…お帰りなさい」
女戦士「矢が落ちていた!!誰か来たのか?」
女エルフ「人間が4人来たけど追い返した」
女戦士「こんな場所に来る人間が居るのか…」
魔女「シン・リーンの者では無いのか?」
女エルフ「分からないけれど…魔女様の名を呼んでいた」
女戦士「では魔女の言う線が濃厚か…女エルフ!どうやって追い返したのだ?」
女エルフ「怖かったから弓を撃って…引き返せって言った」
魔女「これエルフ?主は姿を見せたのかの?」
女エルフ「は、はい…」
魔女「少しまずいかも知れんのう…シン・リーンとエルフは不可侵で約束しておってな…」
魔女「ここにエルフが来て追い返されたとなると魔術師達が来るやもしれぬ」
女エルフ「ごめんなさい…そんな事になるなんて」
魔女「まぁ来ても心配せんでも良い…わらわが居るでな?」
女戦士「そうだな…無事なら今はそれで良い」
魔女「それで…師匠は何処じゃ?」
女戦士「裏の墓に埋葬をした…石棺の中だが顔を見ていくか?」
魔女「うむ…何十年も過ごした母の様な縁なのじゃ…最後に挨拶をせねばならぬ…」
女戦士「こちらへ…」
魔女「来んで良い…みともない所を見せとう無いのじゃ…2人にしておくれ」
女戦士「塔の中で待ってる」
シクシク シクシク
うわぁぁぁぁぁん
うえっ うえっ
シクシク シクシク
----------------
----------------
----------------
----------------
313 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:30:44.74 ID:JyBdSu8i0
『部屋』
女海賊「あ…魔女…平気?」
魔女「済まなんだのぅ…師匠の顔を見たら辛くなってしもうた…」グスン
女戦士「…これが魔女宛ての書簡だ」
魔女「どれどれ…」
----------------
----------------
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----------------
魔女「この塔はわらわが継ぐ事になった…わらわはこれから時の番人として生きねばならぬ」
女エルフ「時の番人…」
魔女「そして時の番人としての最後の修行としてお主らと共に行かねばならぬ」
女戦士「共に行くとは?」
魔女「精霊の魂を…いや精霊の生きた世界の記憶を知り未来へ繋ぐのじゃ…それが時の番人の役目」
女戦士「神々の戦いの事か?」
どこから話せば良いかのぅ…
精霊は狭間の世界ではなく現実の世界を8000年生きたのじゃ
8000年生きた記憶の重みをうぬらは想像できるか?
その中で何人の人と出会い…別れ…愛し合い…憎しみ合い
それら8000年の記憶をすべてオーブにして保管していたのじゃ
愛した人との掛け替えのない記憶…その記憶に囲まれ精霊は生きておった
しかし…神々の戦い
精霊は幾度となく魔王と戦い…その都度代償を払いながら生き抜いて来たのじゃが
大事な記憶の4000年分を先の厄災の時に失ってしまったのじゃ
正確には人類を守るために4000年分の記憶を代償にしてわらわ達は今ここに生きておる
その記憶を失った理由がシャ・バクダ大破壊…かの地へ落とした隕石群…師匠が犯した罪じゃ
師匠はこの罪と悲しみを背負いながら時の番人として生き続け…未来へとこれらの記憶を残そうとしておるのじゃ
なぜか?
精霊はまだ来ぬ未来である人に会う為じゃ…師匠はこの約束を果たそうとしておる
200年前…師匠は精霊その本人と出会い勇者や他の仲間たちと一緒に魔王と戦い…うち倒したのじゃが
その時事情が合って精霊は動かなくなってしもうた
闇を祓う力のある精霊が動かなくなってしまっては人類が滅んでしまうと考えた師匠は
広大な森であったシャ・バクダへ隕石を落とし魔方陣を形成したのじゃが…全ての森とオーブを同時に破壊してしもうた
これが精霊の記憶と人類の命を天秤にかけた結果じゃ
しかしその後…精霊が目覚める事はついぞ無かった
314 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:31:15.82 ID:JyBdSu8i0
魔女「ここまで聞いて…謎が残るじゃろう?」
女戦士「精霊がどうして動かなくなったか…どこに行ったのか…夢幻に封じられたと聞くが…」
魔女「それを探求するのが時の番人としての最後の修行じゃ」
女戦士「手がかりが何処にあるのか…」
魔女「一つ分かっている事があってな…シン・リーンにある精霊の像…あれは精霊本人であった物じゃ」
女戦士「どうして石に?」
魔女「先の厄災の後に師匠が持ち帰ったのじゃ…始めは水々しい肉体をしておったらしいが3か月で石になったそうな」
女戦士「ホムンルクス!!」
魔女「そうじゃ精霊本人はホムンルクスだったのじゃよ…それが器と言われておる」
女エルフ「器…昨日ここに来た4人の人間が」
女戦士「ん?何か合ったのか?」
女エルフ「魔女様に伝えて欲しいって言ったのが…器は古都キ・カイに在るって…」
魔女「ほぅ…良い手がかりを得たのぅ…」
女海賊「魔女さぁ…もっといろいろ知ってるでしょ?」
魔女「そうじゃのう…時が来たら話せというのが師匠の遺言じゃ」
女海賊「本当は精霊が何なのかも知ってるんじゃないの?」
魔女「そういじめないでおくれよ…聞くと悲しゅうなるぞ?」
女海賊「良いじゃん教えてよ」
魔女「それを知るのが魔道なのじゃ…主はまだ修行が足りんのぅ…さて」ヨッコラ
女海賊「逃げないでよ…」
魔女「剣士を起こしてみるとするかの…」ノソノソ
女海賊「え!?マジ?」
315 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:31:58.85 ID:JyBdSu8i0
『魔女の部屋』
今から夢幻の門を開く…これは禁呪じゃ
眠る事で見る事の出来る夢には自我が無い…故に見ているだけになる
魔術で夢幻の門を開き入れば少しだけ自我を保てるのじゃ…しかし
自力で目覚める事が出来ぬ
よって補助者が必要なのじゃ
わらわは己が肉体に暗示をかけて夢幻の門へ入る
わらわが杖を鳴らした時に名を呼んで起こしておくれ
起せなかった場合はわらわも夢幻から出てこられなくなるのじゃ
よいな?必ず起こしてくれよ?
では…参る
夢幻開門!!
女海賊「…思い出した…赤目の魔女」
女戦士「夢の話か?剣士を寝取られたのは魔女なのか?」
女海賊「寝取られたって言い方腹立つんだけどさぁ…よく考えたら不自然に剣士取られた」
女戦士「全部覚えているか?」
女海賊「うっすらとだけど…急に現れて愛してるだの感じろだの…見ててイライラしたの覚えてる」
女海賊「…てかあいつハッキリしないんだよ!いっつもボヤーってしてて」
女エルフ「ねぇ…魔女の目から涙が」
女海賊「本当だ…大丈夫かなぁ?」
女エルフ「魔女が見る夢ってどんなだろう…」
女海賊「そういえば聞いて無かったね…あんたの夢は?」
女エルフ「不幸なエルフが精霊樹になる夢…剣士には会ってないと思う」
女海賊「剣士に声が届くって事はさぁ?剣士にとってはいつも居るって事じゃない?」
女エルフ「え?」
316 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:32:34.31 ID:JyBdSu8i0
女海賊「剣士はその声がいつも聞こえるって言ってるんだ…誰の声?」
---どこから祈っていたの?---
---夢の中の私は祈って居ない---
---そうあの人は空気や音を使って心を触って来た---
---私はそれを夢の中でやってない---
---そうか…精霊樹になっても空気を使って呼べる---
---風を使って呼べる---
---鳥も虫も使える---
---わかった…夢の中のあの人はそれを教えようとしてるんだ---
---夢幻の夢は私たちに何か教えようとしてる---
---あなたは誰だったのか---
女海賊「おーい!!聞いてんの?」
女エルフ「はっ…ごめんなさい…何の夢だったのか思い出せそうで」
女戦士「魔女が辛そうな顔をしているのだが…」
リーン…
女海賊「あ!…魔女!!魔女!!起きて!!」
魔女「…」ポロポロ
女海賊「剣士は?」
魔女「ダメじゃ…わらわは悲しゅうて耐えれぬ…精霊の悲しみを見てしもうた」
女海賊「それじゃ私が行く!!」
魔女「ならん…主の魔翌力では帰って来れぬ」
女戦士「魔女…休むか?」
魔女「わらわは夢の中で5年ほど過ごした…剣士を探してやっと見つけたのじゃが…」
女海賊「5年も?」
魔女「剣士はわらわを感じようとはせんかった…わらわには無理じゃ」
女エルフ「魔女様?…私の魔翌力では行く事できませんか?」
魔女「エルフか…同族じゃな?剣士と所縁はあるのか?」
女エルフ「血を分けています」
魔女「血で探すのか…由にお主の魔翌力なら帰って来れよう」
女エルフ「お願いします」
魔女「この杖を持て…暗示じゃ苦しゅうなったら杖を鳴らせ」
女エルフ「はい…」
魔女「では参る…夢幻開門!!その門をくぐるのじゃ…」
317 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:33:09.51 ID:JyBdSu8i0
『分断した夢』
謎の声「贄が足りぬ…贄が足りぬ…贄が…」
男「おぉぉぉ神よ…お救い下さい神よ」
謎の声「我を…呼ぶのは汝か…贄が足りぬ…贄が…」
男「どうか主のお力をお貸しください…魔物の軍勢が攻めて来たのです」
謎の声「調和を求めると言うか…今調和を呼ぶのか…されば我が名を呼べ」
男「神よ…調和の神よ…この祈りの指輪で主の降臨を祈ります」
謎の声「我着たれり…汝は調和を望むのか?されば名を呼べ」ゾワワワワ
男「主のご尊名を…」
謎の声「我は調和の神…名を魔王」
男「え…ま、魔王?そんな筈は…」
謎の声「器はどこだ?…汝では小さすぎる」
男「ちがう…そんな筈じゃ…か神よおぉぉぉ」
僕「だめだ!!させない!!」ダダッ シュパー
男「うがぁ!う腕がぁぁ…白い悪魔め!!」ボトリ
僕「この指輪は使ってはいけない物だ!!」ヒョイ
謎の声「汝が器か?我来たれり…」ゾワワワワ
僕「え!?何だ?うわぁぁぁぁ」ブン ブン
---何だ?記憶が流れ込んでくる---
僕「うわぁぁぁぁぁ」ブン ブン
---フッフッフッフ夢幻に捕われし者よ…お前達では我は倒せん---
---我がまやかしの術を抜けここまで来れたのは褒めてやろう---
---だが慈悲はくれてやろう…我が物となれ…世界の半分をお前にやろう---
---お前が存在しているのは我が力であると知れ…我を滅ぼせばお前も虚無へ還る---
---何だ…この記憶は---
318 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:33:40.95 ID:JyBdSu8i0
僕「やめろおぉぉぉ」ブン ブン
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---目を覚まして---
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僕「胸が!!熱い…熱い!!うがぁぁぁ」
------------------
---目を覚まして---
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319 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:34:15.13 ID:JyBdSu8i0
『決戦後の夢』
---夜明け---
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
僧侶「回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
魔女「何を呆けておるのじゃ?」
勇者「記憶がおかしい…」
魔女「魔王のまやかしの影響じゃな?」
勇者「それも…これも全部…何度も何度も…すべておかしい!!」
エルフ「僧侶は俺が見ててやる…勇者と魔女は周辺の村を回ってみてくれ」
勇者「僕はまた…取り返しの付かない事をしてしまった」
------------------
---目を閉じて?---
------------------
勇者「ハッ!!…まだ聞こえる」
魔女「どうしたのじゃ?」
勇者「導きの声がまだ…」
魔女「魔王はもう倒したのじゃぞ?」
------------------
---感じて見て?---
------------------
勇者(目を閉じる…)スッ
魔女「夜明けじゃ…勇者…行くぞよ?」
------------------
--ここに居るから--
------------------
ヒュゥゥゥ サラサラ サラサラ
320 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:34:45.90 ID:JyBdSu8i0
勇者(何だろう…この感じ)
勇者(僕の周りには誰も居ない)
勇者(風のする方向…)
勇者(そっちから声がする)
魔女「勇者…聞いて居るのか?」
勇者「…僕は行かなければならない所がある」
魔女「何処に行くのじゃ?」
勇者「声のする方向…森の奥だ」
魔女「今から森に戻るのかえ?」
勇者「済まない…声が呼んでいるんだ」
魔女「おかしな事を言うのだのぅ…」
エルフ「行ってきな…僧侶は見ておくから」
勇者「今気が付いた…僕は目を閉じていた方が良く見える…目を閉じてもちゃんと歩ける」
魔女「わらわは付いて行けば良いかの?」
勇者「僧侶の事をお願い…彼女は立ち直れないかもしれない…そうだ夢幻の連鎖を呼んでるのが彼女だ」
魔女「むぅ…必ず戻ってくるのじゃぞ?」
321 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/26(土) 11:35:18.45 ID:JyBdSu8i0
『迷いの夢』
ザワザワ ザワザワ
------------------
----こっちよ------
------------------
---僕には分かる---
---この木も---
---葉っぱも---
---枝も---
---何もかもすべて幻だ---
---ただ一つこの声の向こうに---
---僕と同じ物を感じる---
---何度も何度も同じ夢の中で---
---この声だけが本物だった---
---今度こそ向こう側に行ける---
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